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1949/04/28 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第11号
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1949/04/28 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第11号

#1
第005回国会 農林委員会 第11号
昭和二十四年四月二十八日(木曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○農業協同組合自治監査法を廃止する
 法律案(内閣提出)
○農業協同組合法の一部を改正する法
 律案(内閣提出)
○食糧確保臨時措置法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出)
○食糧管理法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
  ―――――――――――――
   午前十時三十分開会
#2
○委員長(楠見義男君) それでは只今から委員会を開会いたします。最初に農業協同組合自治監査法を廃止する法律案を議題にいたします。この法案につきましては大体質疑は盡されたと思いますが、尚御質疑がありますればこの際やつて頂きまして、若しございませんければ直ちに討論採決に入りたいと思いますが……。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(楠見義男君) 御異議ないようでありますから、それではこれから討論採決に入ります。
#4
○藤野繁雄君 農業成同組合を健全に発達せしむめためには、農業協同組合の経営に過ちなからしむるように、善道し、且つ監視することが肝要であります。この意味におきまして監査連合会は設立以來効果を上げて來たのでありますが、現行の農業協同組合法の建前からいたしますれば適当でないのでありますから、本案には賛成するものであります。併しながら前にも申上げました通り、農業協同組合の経営に遺憾なきを期することが、農業協同組合を健全に発達せしむる土台でありますから、政府は速かに幹事に監査知識を與えて自治監査を励行せしむると共に、農業協同組合連合会に監査指通員を設置せしめて、所属組合からの希望に應じて経理の方法を指導し、運営上の失敗を未然に防止する等の措置を講ぜられんことを要望いたしまして私の討論を終ります。
#5
○委員長(楠見義男君) 他に御意見もないようでありますから……。
#6
○山崎恒君 この監査法はすでに産業組合当初からの大きな役割を持つて來たのでありますが、只今も藤野委員から話されましたように、現在の我が國の協同組合法から見ますと、監査法そのものは両立しないことは当然であるのでありますが、すでにこの三万になんなんとするところの協同組合が全國に発足しておるのでありますが、この発足したところの協同組合が現在非常に……、すでに一年有余を経ない今日、経理上のいざこざが多いというふうな風評が甚だ多いのであります。このままにいたしましたならば、我が國の協同組合が果して健全に発達するかどうかということは、非常に今から危ぶまれる問題であるのであります。さようなことで今後この監査の問題、或いは経理の指導という面は非常に重要な問題であるのでありますが、法律を廃止いたしまして、自治的に何らかの方法を講じませんというと、町村の農民が一應幹事に選任されましても数字すら分らない幹事が非常に多い、尚更このバランスを見るよう幹事というものはたまさかであるという点からいたしますれば、幹事のこの徹底したるところの経理上の教育というものが、今後協同組合の健全な発達に如何に必要であるか、ということを考えますときに、政府におきましても、十六原則がら考えますというと、政府は解散その他の問題につきまして田、行政上の措置は何ら讓ずることができないのでありまするが、そうした面から考えまして、この指導の面に何らかの政府の打つべき手があるであろうと思われますので、一應政府の考え方をお聞きいたしたいと、こう思うのであります。
#7
○政府委員(池田宇右衞門君) 山崎さん、それは私から前に同感の趣旨を申して、政府としても嚴重に監査の事務を行われて、組合経理上における間違いのないように何らかの方法を講じ、尚これが強化策といたしまして講習会の方法を取つて、そうして完全を期すということを答弁したのであります。
#8
○山崎恒君 ああそうですか、ではそういう点を要望いたしまして賛成いたしたいと思います。
#9
○委員長(楠見義男君) それではこれから採決いたしたいと思います。
 「農業協同組合自治監査を廃止する法律案」について御賛成の方の御起立をお願いいたします。
   〔総員起立〕
#10
○委員長(楠見義男君) 総員起立でありますから、それによつて可決することに決定いたしました。
   ―――――・―――――
#11
○委員長(楠見義男君) 次に農業協同組合法の一部を改正する法律案を議題に供します。本件につきましても質疑は終了したようでありますから、これから討論に入りたいと存じます。
#12
○板野勝次君 私は本改正案には賛成するものでありますけれども、農業協同組合法が設立されて以來、今日まで政府の施策は虞に農業協同組合が協同組合として発展し得る経済的な基礎づけを何ら與えていないので、これは私は当時の農業協同組合法が通過する際におきましても、協同組合が眞に農民解放の覚書に基いて、農民保余の諸政計を取らないならば、一遍の作文に終るだろうと言つたのでありますが、果してそのごとく今日の農業協同組合が、眞に農業の成同経営化の方向に進まないならば、ただ看板を掲げておるのに過ぎないのでありまして、現在の政府におきましても、農業の協同組合に対しまして、一段の積極的な援助を與え得るような施策を以て眞に農業協同組合の健全なる発達を期すべき方向に進んで頂きたい。政府のやつておることはただ向うから言われたことの部分について、或いはそれも極めて消極的な自主性のない形においてやられておることは、今度の農業協同組合法の一部を改正する法律案の中にもよく現われておるのであります。その日過ごしのような形で行かれることは、決して我が国の農業再建の方向に辿らせるものではないと思うので、そういう面について積極的な施策を是非立てて、眞に農業協同組合の発展し得る基礎を與えることに希望いたします。本改正案に賛成するものであります。
#13
○藤野繁雄君 今回の農業協同組合のの改正は農民組織に関する十六厚則の趣旨に基いて出されたものでありますから当然のことであるのであります。それであるから本案には賛成するものであります。ただ改正の第一点である農業協同組合と、競合関係に立つものの組合役員、又は主要職員の辞任を禁止することにつきましては、その競合関係におりや否やという解釈について、政府は速かに公平明確な基準を具体的に指示して、以て將來物議を釀し、組合運用に支障を生することのないよう処置せられると共に、法の施行を行政官廳が勝手にやることなく十分に御主的に行なわけるよう愼重を期せられんことを要望いたします。更にこの際私は農民組織に関する十六原則と農業協同組合の関係について、政府の反省と善処を要望したいと思うのであります、即ち政府は極東委員会から発せられました農民組織に関する十六原則は総司令部に対するものであつて、日本政府に対する指令ではないとのことでありますが、國民の國民の対する指令であると思つて、全面的にこの指令の趣旨に基き、農業協同組合を運営して農民の福利を増進し、我が國の再建に貢献したいと熟望しておるのであります。政府においてもこの指令が出た以上は、その線に副うて自発的に積極的に農民組織を助長、育成する施策を講ずべきであるにも拘わらず、無爲傍観の態度でおられることは極めて遺憾に考えるのであります。特に指令の六、七、十、十一、十四等の項目については、速かにその具体化の措置を要するものと思うのであります。即ち農業協同組合事業が発展するためには、鞏固な地方組織の確立が必要であるのでありますから、その組織形態は農民の自由に委し、農業協同組合連合会統合の途を開くべきであります。而も連合会の統合は決して独占禁止の精神に反するものではなく、却つて農業協同組合の精神及び農民組織十六原則の趣旨にも合致するゆえんであることを強調いたしたいと思うのであります。
 次に農業協同組合の役職員中に新たに役職員となつたものが多く、経営につき知識と経驗を有する者が少いのでありますから、これらの役職員に経営の実務、農業技術に関する特別な教員を実施し、且つ技術的の援助、助言その他のサーヴイスをいたしまして、農業協同組合が健全に発達するように育成の途を講ぜられたいのであります。
 次に農業協同組合が経済活動をなすに当りまして、現行の取扱手続ではその活動る阻止するような点が多く、農民の福利増進を確保することができないのでありますから、これらの一切の差別的制限を廃止いたしまして、且つ農民が農民以外の勢力の支配を受くることを防止する措置を講ずるようにせられたいのであります。以上を以て私の討論を終ります。
#14
○委員長(楠見義男君) 大体これで討論を終了いたしましたから、農業協同組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に御賛成の方の御起立をお願いいたします。
   〔総員起立〕
#15
○委員長(楠見義男君) 総員起立。よつて本案は原案通り可決することに決定いたしました。尚以上両案に対する署名、委員長報告等は先例により然るべくお委せ願いたいと思います。
   多数意見者署名
    石川 準吉  玉井 淳一
    板野 勝次  加賀  操
    羽生 三七  岡村文四郎
    遠野 繁雄  山崎  恒
    北村 一男  柴田 政次
#16
○委員長(楠見義男君) それでは午後二時まで休憩いたします。
   午前十時四十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後三時五十八分開会
#17
○委員長(楠見義男君) それでは只今から委員会を開会いたします。午前に引続きまして再開いたします。食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案を議題にいたします。最初にお断り申上げて置きますが、実は大臣は四時から閣議があるそうでありますが、從つて短時間しか本日おいでになりません。そこで本格的の質疑はやはり六日以降にして頂くことにして、休みの間にいろいろ御檢討になる基礎的の事項について本日質疑を賜わり、それから六日までに政府の方に対していろいろ参考資料として御要求になる事項もあると思いますから、そういう事項を後でお述べを頂くということで、本日は進めたいと思いますから、そういうふうに一つお願いいたします。
#18
○板野勝次君 併しこれの基本的の問題、これが出される前の状態について暫くぐらいは……。
#19
○委員長(楠見義男君) 三十分ぐらいは我慢して貰います。
#20
○板野勝次君 私は今日は相当用意して來たのですが、そういうことなら、大体二、三の点について質問申上げたいと思います。
 その第一点は、この食糧確保臨時措置法には、今の現農林大臣はすでに農林委員として反対の意思を表明されておつたと思います。從つてこの食糧確保臨時措置法をお出しになるのには、農林大臣という責任ある地位からして、当然農林大臣が野党にあつたときに、農林委員として、抱負を語られ、政府を追及されたそのことが、逆に農林大臣として、この食糧確保臨時措置法の上にその抱負が盛られなければならないと思うのです。ところがこの内容を見てみましても、そういう抱負が盛られていない。從つて私はそういう揚足をとるわけじやないですけれども、苟くも農林大臣の御要職に就く以上は、みずからの抱負が実現し得ない状態ならば、むしろその職をお受けにならないということが政治家としてとるべき道でなかろうかと考えるのでありますが、その点に対する見解を第一に伺いたいのと、第二点は、この食糧確保臨時措置法の理由書に、「連合國司令部の主要食糧集荷に関する覚書に基き、経済九原則」云々とあるのであります。今まで我々は農林関係の提出議案の審議の際に、政府提出の理由書の中にこのようなものはなかつたと思う。ところがこの理由の書き方からして、これは覚書に基いているのだから、どうしても鵜呑みにしなければならんものだ、こういうふうな威嚇的な感じが強く持たされているのは、誠に遺憾に思うのですが、併しこれは私は決して國会が法案審議の自主権を放棄したということにはならないように思うのであります。併し若し自主性がないものならば、もう覚書をそのまま出して來るというものなら、我々はもうむしろ審議をする必要がないと思うのです。若し併し國会が独自の立場で自主性を持つてこの法案に対して賛成、反対、修正か、自由に國会議員の責任においと論議し得るものとするならば、このような理由の提出の仕方ではなくして、この「連合國司令部の主要食糧集荷に関する貿覚書に基き、」という点までは削除して、そうして國会議員が自由なる立場において十分審議し得るという立場を明らかにせられるのが正当ではないかと思うのですが、それが第二点であります。
 第三点は、昭和二十四年度の農業計画というものが如何なる方法で立てられておるか、それは供出の割当等が科学的な調査の上に、例えば地力調査、一筆調査等の科学的な調査の上にやられなければならないことは勿論でありますが、そのような方法によつて農林計画がなされているかどうか、言い換えますと、昭和二十四年度の農業計画の科学性があるかどうか、こういう点に対して農林大臣はどのようにお考えになられているか、又その第三点は、農業計画に附帶して、主要食糧の農産物の最大限増加に必要な諸措置をとるという点について、どういうふうな具体的な最大限の諸措置が講ぜられているのか、又報奬の途について、どういう具体的な報奬の途を講ぜられようとしているのかどうか、これは食確法の第三條にも明示されている点でありまして、不幸にして私は今日までこの報奬の措置についての決定が公表されているのをまだ聞いていないのであります。若しこのような諸措置が講じられていないのならば、このような食糧法の改正を出されるということは、以前にこういう諸措置が講ぜられているということが前提條件でなければならないので、法案審議に入り得る可能性が極めて薄いのではないかと思うのです。その三点について先ずお伺いしたいと思います。
 尚もう一つ、第四点は、本年度の食糧の需給の見通しをどういうふうに立てておられるかどうか、これは農林大臣も食確法審議の際において、一体農民はどの程度まで供出の責任を負わなければならないのかどうか、どれだけ食糧が要るのかどうかというふうなことがはつきりしないじやないか、食糧の需給の見通しはどうかということを政府に質されておるのでありますが、このことは私も今日尚正当なあなたの主張であつたと思うのです。從つて食糧の需給の見通しがどういうふうになつて來ておるのか、こういうこともこの審議に入る上に大切な点であると思いますので、その食糧の需給見通しに不安があるとかないとか、具体的にこの機会に示して頂きたいと思います。
#21
○國務大臣(森幸太郎君) 板野さんにお答えいたします。私はこの供出制度の現在のやり方については、決して完全なものと思うておりません。どうしてもこれは根本的にそのやり方を定めなければならないということは、曾て私が農林委員をいたしておりました当時も今日も変らないのであります。併い根本的に制度の方針を変えるということにつきましては、愼重に考えて行かなければなりませんし、又相当の調査も必要であるのでありまするから、殊に米穀年度の途中においてこれを変更し、又は変更の方針を朧氣ながらもこれを示すということは、供出の混乱を來すわけでありますので、その時期等も選ばなければならんと、かように考えておるわけであります。殊に超過供出に対しまして、これを法的に処置しなければならないということになりましたことは、今お述べになりました通り、お察しの通り、先方よりこういうふうにしなければならないという覚書が交付されたのであります。これは前大臣の時でありまするが、その方針に基いて、今回法の放正を処置いたすことにいたしまして、皆樣の御審議を仰いでおるわけでありまするが、そういう事情をあからさまにその提出の理由に書いて、何だか威圧的にやるようではないか、又勘かすべからざるものならば、もはや國会の審議を必要としないではないかというふうな考え、又御意見が出ておるわけでありまするが、今日の日本の政治の情勢は、私が今更申上げるまでもないのであります。國会の審議は飽くまでも民主的に、國会の意思によつて審議さるべきものであるということは申上げるまでもないのでありまして、予算の提出につきましても、勿論政府が責任を持つて予算の編成をいたし、これを國会に提出することになつておるのであります。その他の法案におきましても勿論政府の責任においてこれを法文化し、皆樣の御審議を仰いでおるのでありまするから、この日本の現在の客観情勢をよく察知して頂いた上において審議を進めて頂きたいと、かように考えるのであります。さように自分意思に副わないような法律案を出して責任を背負うということはいかんではないか、むしろそういう衝に当らない方がいいのではないかという御意見でありまするが、今日の日本の食糧事情が、御承知の通り、連合國から在る量を貰わなければ需給が立たないという段階におきましては、これを全然断り得る日本に確信があれば勿論何でもないのでありまするが、いろいろ増産方面に手を盡くしておりまするけれども、尚この輸入食糧を断わるという段階には進んでおりません。而もこの輸入しておる食糧のために、アメリカの國民といたしましては、傳え聞くところによりますれば、一ドルの税金が加重されておる。これはひとり日本だけではありますまいが、食糧を輸出しておる、そのためにアメリカの市民諸君がそれぞれの税金を特に負担されておるというような現段階を聞きますときに、日本に若し食糧に余裕が生ずるというような場合があつて、尚且つ安易として海外から食糧を輸入して貰うということは、道義の上から申しましても申訳がないのであります。然るに、今日この供出割当が、先程申しましたように、本当に合理化されておりませんために、中には苦しいいわゆる裸供出をしなければならん場面がありますし、又中には、供出をいたしましても尚且つ幾らかの余裕もあり、又農村の氣持といたしましては地方食をとりまして、そうして自分の保有いたしました食糧を余して行く、いわゆる節食、節米によつて食糧をここに出し得る余地を作つて行くという点もあるのであります。從來地方には地方食というものがありまして、地方独特り「さつまいも」の生産地は「さつまいも」が主体となり、又その他の雜殻の生産される地方においては、雜殻を主要食糧として、外の米なりそういうものを補つておつたというような地方も相当あるのであります。いわゆる地方の食事情というものは、各地方々々においていわゆる適切なる食糧の事情をとつて來たのであります。そういうふうな立場に今日農村が帰りますならば、一定の保有米を除きました米を節米して、尚幾らかでもこれを供出するという余力ができないとも計られないのであります。それが超過供出をお願いいたした意味でありまして、もとより本年は自主的に出して頂くということをお願いいたしたのでありまするが、食糧事情等の関係から、関係方面の考え方もありまして、超過供出をする。今年は完全にできたが、こういうふうなことを若し余裕があるならば、これを出し得るように法制化すべきであるということが、昨年の十二月でありましたか、こちらに指令がありまして、そうしてこれを法制化いたすことにいたしたのであります。もとより事前割当が合理的に行われ、事前割当を基礎といたしました食糧事情がうまく行つて、予定の配給ができ得ることになりますれば、敢えて超過供出を法制化いたしましても、これを強行する必要もなければ、又超過供出に依存しなくても、当初の事前割当を以て配給が完遂されるのであります。そういう氣持で、その食糧事情によりまして、法制化して、完全に集荷するということにしたいと、かように考えておるわけであります。
 本年は、御承知の通り、麦作も一部において植え変えをしなければならんような事情もありますし、まだとつて見ない「さつまいも」、これからとるそういうふうな食糧を併せて需給推算を立てておるような情勢でありますので、幸いに超過供出も百三十万石は十分にできましたので、今年の食糧事情については、先ず一應將來に対して樂観し得られるような情勢であるのであります。併しながら、まだまだこれからさす「さつまいも」でありますし、本年穫る早場米も含まれております。今日まだ青々といたしておりまする麦もその食糧の中に加わつて行くのでありますから、而もアメリカの國会が七月から開かれまして、果して日本の懇請いたしておりまする食糧が、その通りに日本に輸入されるか、これも未知数でありまするので、今日はただ計画の上において決して心配はないという立場にはあるのでありまするけれども、決して油断はできません。それでありまするから、「いさつまいも」等つきましては、特殊の貯藏法を考えまして、これを一個でも粗末にしないようにして行きたい、アメリカから食糧を貰つておるということを忘れずに、内地にできます食糧はでるだけ集荷の途を考えて行かなければならない、こういう情勢を考えまして、これを法制化することにいたしたわけであります。君は自分の心の中では反対しながらそういう法案を責任を持つて出すということはいけんではないかというお叱りを受けたわけでありまするが、今日の事情といたしましては、この供出制度が本当にまだ合理的になつておらない今日の段階といたしましては、こういう措置も止むを得ないではないかと、かように考えておるわけであります。
 尚二十四年度の農業計画につきましては、今申しました通り、いろいろの事情、又未知数のものが沢山あるのでありまするが、あらゆる施策を講じまして、そうして食糧の確保に努力いたしましたならば、アメリカの好意と相合せて、現在計画いたしておりまする配給は決して心配がないのではないかと、かように考えておるわけであります。又報奬物資に対しましても、昨年度より以上の報奬物資を確保いたしまして、この供出に対する感謝の氣持を表したいと、かように考えておるわけであります。御質問を一括してお答えいたしたような次第でありまするが、以上の事情をお察し願いたいと思います。
#22
○板野勝次君 只今、この報奬の途その他についてはまだ未知数の点があるということでありますが、それはスキヤツピンの四十七号の「主要食糧集荷の件について」、主要食糧集荷の前提として、日本政府は、一、主食の最大限増加に必要な諸措置を継続すること、二が、主食を生産供出するため、農民に対し報奨措置を講ずることが指令されておるが、これら措置について詳細説明されることなしには、この法案の審議に入ることは極めて困難でありますし、尚この点につきましては、聞くところによりますと、四月二十五日附で農林委員長から農林省へ資料の提出が要求されておるそうでありますが、まだその資料も提出されていないということでありますし、繰越して申しますが、この前提條件がはつきりするまでは、どうしても本法案の審議を進めることは適当でないと考えられますので、至急責任ある資料を提出して、そうして農林大臣から詳細にその点に対する説明をして頂きたいということが第一点と、
 それから第二には、どうも大臣が進んでやられた、大臣に就かれた抱負というものを、先程の答弁の中から汲み取ることができなかつたと思うのであります。一例を申上げますならば、農産物價の問題にいたしましても、災害復旧土地改良補助金等の問題にいたしましても、少しも農民の納得し得るような施設は何一つなされていない。これは年度の途中であろうと、初めであろうと、終りであろうと、農林大臣が熱意を持つて農業の拡大再生産のために努力されるという意図が示されますならば、必ず実現し得る筈でありますし、若しこれが実現し得ないのならば、何も苦んで大臣の椅子に就かれるよりも、むしろ大臣でなくてその方法を実現して貰う方がもつと賢明な方法であると思うのでありますが、ところがどうもそういう点が理解されにくいのであります。一体今日の農民は、現在の米價で果して満足しておるかどうか、こういうことは甚だ疑問なんでありまして、殊にこれは農林省の統計調査局が、三月二十八日に発表しております二十三年産米の石当りの生産費というようなものにつきましては、非常に高い農家の水準を選んで、一町七反もあるような平均面績を選んで來て、生産費調査をして、あたかもパリテイー計算が合理性を持つておるものだというふうな裏付けをするようなインチキ的なものを作りまして、現行の米價石当りは三千五百九十五円だけれども、この生産費によると、三千五百四十五円になつて來ておる。これは非常に標準の上の農家を選んで、そうして三千五百四十五円というものを算出しておられる。時間がありませんから、私統計調査局の具体的な問題は次回に讓りますけれども、これは明らかに農林省がパリテイー計算の合理制を立証するために、或部分だけを採つて來て、こういう價格で、それよりも尚パリテイー計算の方が四、五円高くなつておるという見せかけをしておると思う。このような現在の米價、こうしたものが放正されるということが勿論必要でありましようし、供出につきましても、司令部から指示されるまでもなく、我々は農業の再生産に必要な諸施策が講ぜられるならば、これは完全に供出がなし得る。下から農民が喜んでなし得る。完全な供出がなし得ると思います。年度の中途であろうと、何であろうと講いませんが、農林大臣は、農民が下から本当に、上から抑えつけられて出すのではなくして、下から、つまり部落から、村から、町から縣に行き、そうして中央に集つて來るという、積み上げた眞に民主的な供出制度の方向に改正される意図があるのかどうか。又この農林省の統計調査局の、この生産費の発表は、私は少くともパリテイー計算を合理化しようとする意図から出されたものだと思いますが、これに対して農林大臣の見解及び現在の米價というものが、農林大臣は果して妥当であるとお考えになつておられるかどうか。更にもう一つは農業計画の中にすでに私は超過供出を意図しておられるのではないだろうか。こういうような点が、これは先般長谷川第二部長が消費者價格の中に、すでに二十四年度の事前割当の超過供出として、米は五%、麦は三%、「いも」類は一〇%を織込んでおるという、すでに農業計画がなされる、その頃からもうすでに超過供出を意図されて來ておる。そうして而もそれは消費者の價格に織込まれて來ておる。こういう事前の計画は決して私は民主的なものではないと思いますが、農林大臣はどのように考えられておるか。
 以上の点をこの機会に承つておきたいと思います。第一の点は少し長くなりますから、これは資料の提出を求めて、そうして農林大臣から詳細の御説明を伺いたいという点。それからあとは……。
#23
○國務大臣(森幸太郎君) 農業増産に対して、一向何らやつておらんじやないかというお叱りでありますが、これはすでに皆さんに申上げました通り、予算編成の当時に当りまして、この食糧増産に対するいろいろの施策につきまして、予算面に対して相当努力はいたしたのであります。併しながらいろいろの事情がありまして十分その意思が予算の上に現わし得なかつたことは甚だ遺憾の次第でありますが、今後におきまして、若しこの年度途中におきまして機会を得ますならば、私は当初考えられました食糧増産の各施策の上において、更に考慮を拂われるような処置をとるように努力いたしたいと考えておるのであります。予算は予定通りの金額を獲得でき得なかつたのではありますが、最も重点的にこれを施設いたしまして、そうして食糧増産を妨げないようにやつて行きたいと、かように考えているわけであります。予算の編成に対するこの政府の苦衷等も十分板野さんとしてはお察し下さつておることと思うのでありますが、できるだけ農林当局といたしましても、増産対策に今後とも努力を傾注して行きたいと考えている次第であります。
 尚ちよつと供出の問題でありますが、超過供出ということは、もとより予定は予算面においてはいたさなければならんのでありますが、消費者價格は、もうすでに御報告申上げました通り、途中において幾たびもこれを変更することを許されないのでありまして、少くとも來年の三月まで、十二ケ月間、その間のいろいろの事情を考慮勘案いたしまして先般定めたのであります。それでありますから、二十四年の米作の作柄等から考えまして、当初事前割当をいたしましたよりも更に相当の作柄であり、又超過供出を要求し得られるというようなことも予想としていたさなければならんのでありまして、食糧管理局長官から御説明申上げました通り、一定量を予定いたしまして、消費者價格に加算しているのはその通りであります。これは先程も申しました通り、その当時その当時考えるわけではありませんので、十二ケ月間、大体その間の異動を含めて、先般消費者價格を決めたようなわけでありますから、そういう措置をとつたことを御了承願いたいと思うのであります。
 尚作報から報告している生産量がパリテイー計算を裏付けるために、ことさらにそういうようなものを作爲的にやつたというような御批判であります。これは板野さんの御観察でありまして、決してそのような作爲的な統計数字を動かすということは、責任ある統計当局としては決していたさないということを御承知願いたい。尚今日の農産物の價格は当局は決して高いとは思つておりません。併し農産物の價格を移動いたしますにつきましては、いろいろの派生問題を起して來るのでありますが、この消費者に影響を及ぼさないようにして、農村に行くようなその資材に対しまして、できるだけこれを安價にするとか、或いは課税の方面においても考慮を拂い、できるだけ農業経営が樂になるような方針をとつて行きたいという措置をとつております。併しながら今回三百六十円の爲替レートが変更されましたにつきましては、輸入食糧その他輸入品の値上り等も考慮されなければなりませんから、農産物の價格につきましても、相当これは考慮しなければならないのではないかと、かように考えておるのであります。併しこの間政府が発表いたしました通り、この爲替レートの三百六十円になりましたことにつきましても、特殊の物資については、或いは價格の補正もするが、全体的に價格の補正はしないという建前をとつて來ているのであります。從つて先程申しましたこの農産物價格の引上ということは或いは消極的であるかも知れませんけれども、肥料の値を下げる、或いは農機具の價格を下げる、或いは課税方面において考慮を拂い、できるだけこの農業者の負担を軽くして行くといつた面に考慮を拂つて行きたい。かように考えているわけであります。
#24
○羽生三七君 私は時間がないから簡單にお尋ねいたしますが、先程の板野議員の質問とやや似た点もあると思いますが、第一番にこの総司令部の今般の食糧問題に関する要求なり覚書というものが細目に亘たつものであるかどうかということであります。何故ならば、私は総司令部の要求というものは、日本の食糧の需給度を昂めるということを要求いたしておるのであると解釈しております。そういたしますと、先程板野君がお話になつたように、例えば対日援助資金等によつて、これを農業の増産なり、或いは農民の増産意欲を促進するような方向に織込むならば、実際的にはそのことの方が食糧需給度が昂まるのじやないか。私共はそういう解釈をいたしております。例えばこれまでも指摘されたように農業の災害、或いは税金の問題等、逆の方向へ施策が行なわれて、実際には農民の増産意欲を阻害するような方向を取りながら、法律的には逆に超過供出を要求するという方式が、果して日本の食糧需給度を昂めるかどうか。これは先般本院において食糧増産確保に関する決議案が出て、農林委員長から詳細説明があつたことに関係するのでありますが、そういう点から考えますと、どうしても私共は施策さえよろしければ明らかに農民が食糧の需給度を昂め、又そういう意欲を十分持つているにも拘わらず、実際には、その点には触れないで又逆の方向を取りながら法律化だけが先行して行くということは誠に遺憾と思うのであります。そこでそういう点に関して総司令部は細目に亘つての指令を出しているのか、或いは食糧需給度を昂めればそれで足りるということであるのか、その点を第一にお伺いいたします。
#25
○政府委員(安孫子藤吉君) お手許に行つているかと思いますが、スキヤピンの内容を一應読上げて見ます。昭和二十三年十二月二十四日、宛先日本政府、こういうのがあります。件名、主要食糧集荷に関する件、これを一としまして、A昭和二十九年九月二十二日附連合國総司令部指令第三号(スキヤピン四七号)B昭和二十三年十二月十九日附総理大臣宛連合國最高司令官の書簡を参照のこと。
 二としまして、國内産主要食糧の実行可能なる最大限の数量の集荷は総ての日本人に入手し得る食糧の公平な分け前を確保するためにも亦書簡覚書一及びそれに附した第九項に規定された諸目的を達するために必要欠くべからざるものである。現行食糧管理諸法律には、主要食糧の供出割当は作付前になさるべきこと及び事前割当は爾後増加せしめられないことを規定している。事前割当が増加せしめられないという規定は限られた入手し得る國内産食糧の供給の効果ある統制の確保を不可能ならしめるものである。
 三、スキヤピン四七号に対し日本政府は次の措置を取ること。A主要食糧農産物の最大限増加に必要な諸措置を継続すること。右の内には主要食糧を生産し供出するため農民に対し報償措置を講ずることを含む。B利用し得る主要食糧農産物の最大限実行可能な集荷を確保するための諸措置を取りこれを完遂すること。右の内には收穫の諸條件が確定した收穫時又はその直前において法的に強制力を伴う追加割当を規定するため必要な諸法令を改正又は公布することを含む。これが参つておりますスキヤピンであります。
#26
○板野勝次君 今の、先程スキヤピンの資料の提出を型めておるのに対して、これはやはり出して貰わんと審議するのに実際に困ると思うのです。
#27
○委員長(楠見義男君) この増産措置を継続してやれということですね。それから報奬措置を講ずることと、この二つの点について具体的の資料が貰いたい。その資料は現在の食糧確保臨時措置法の第三條にもそのことが政府の責任としてはつきり謳われておるのだから、その資料を寄越して貰いたい。こういうことなんです。委員長から実は御紹介申上げておるのもそういう趣旨なんですが、この機会に敷衍して私から申上げて置きますと、これは食糧管理局関係になろというよりは、むしろ他の局の関係が多いと思うのですが、丁度今お見えになつておりませんから、政務次官なり或いは食糧局長官からお傳え願いたいのですが、私共の一番資料として望むことは、先程板野さんが言われた増産確保のための現行法において、政府の義務としておる資材、これは肥料なり、それから農藥なり農機具、こういうような資材、それから資金、こういうものについて増産確保上どういう措置が本年予想されておるか。それから政府の増産措置について、昨年度どういう措置が講ぜられ、そのうちどういうものが本年落ち、或いは本年どういうものが新らしく加わつたかという昨年或いは一昨年と本年との比較の資料を、できる限り詳細に出して頂きたいと思うのです。これが実は今のスキヤピンの最後の政府の措置としてA、Bの中のAの事項として、私共は非常に重要視しておることなんですから、その点を特に出して頂きたいと思います。
#28
○板野勝次君 大臣は私の先程の供出の問題について述べられなかつた。何でも持つて行くのだ。完全な供出ができ得ないのでどうしても下から持上げて行かなければならんのじやないかということに対して大臣は答弁されなかつたのです。それから一番最初にも二十四年度の農業計画というものがどういう方法でやられたのか、供出の割当というものは科学的な基礎の上に立つておると思われるかどうか。この点についてもお答がなかつた。それから米價が農民が満足する米價であるかどうか。そうして現在の米價というものが妥当と思われるのかどうかという、この三点についてお答がなかつたので、重ねてその点に対する大臣の答弁を伺つて置きたいのであります。
#29
○國務大臣(森幸太郎君) それは供出制度が私のいうのは本当の合理的ではないということなんです。下から盛上がつて生産者が納得して供出するという制度でなしに、從來の作柄事情、又その土地の作柄事情等を勘案いたしまして、この供出の事前割当をいたしておるということに不合理な点があるのであります。これを私は根本的に改めて行かなければならんと、かように考えておるのであります。これは容易ならざる仕事でありまするが、この供出後における地方農村に実状について、いろいろそこに不平があり、不満があり、或いは耕作を断るというような場合が出て來ますこと。又は還元配給をしなければならんというような苦しい立場に農業生産者を置くということが、今日の割当が合理的でないということを私は意味しておるのではないかと、かように考えますので、この点につきましては十分將來改めて行きたいというのが私の念願であるのであります。
 價格の面につきましては、決して私は妥当とは考えておりません。併し生産費と申しましても、いつか申しました通りなかなか容易にこれは精巧なものは握把でき得ないのでありまして、やはり今日はパリテイー計算を基礎としてやつておるわけでありまするが、パリテイー計算と言いましても、爲替レートの変更によりまして、又おのずからこれも考慮して行かなければならんと思うのであります。従つてこの六月に参りまして、昨年の供出いたしました麦につきましても、或いは今年の十一月かに今年の米の價格を決めまする上におきましても、現在のパリテイー百四十三に根拠すべきかということは考えなければならんのでありまして、その当時のパリテイー指数によつて定めて行きたい、本年の六月に定めますパリテイーによりましては、昨年に供出いたしました麦に対してはこれを返してやるという措置も、これは当然取つて行かなければならんと思うのでありますが、一應この七月、十一月に決めます米價に対しましては、パリテイー指数によつてこれを定めるより適当な途はないとかように考えておるわけであります。
#30
○委員長(楠見義男君) いろいろ伺いたいと思いますが、本日はこの程度にして散会いたします。
   午後四時四十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   理事
           羽生 三七君
           石川 準吉君
           藤野 繁雄君
   委員
           北村 一男君
           柴田 政次君
           星   一君
           加賀  操君
           山崎  恒君
           板野 勝次君
           國井 淳一君
           岡村文四郎君
  國務大臣
   農 林 大 臣 森 幸太郎君
  政府委員
   農林政務次官 池田宇右衞門君
   農林事務官
   (農政局長)  山添 利作君
   食糧管理局長官 安孫子藤吉君
ソース: 国立国会図書館
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