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1968/03/04 第61回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第061回国会 本会議 第12号
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1968/03/04 第61回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第061回国会 本会議 第12号

#1
第061回国会 本会議 第12号
昭和四十四年三月四日(火曜日)
    ―――――――――――――
  昭和四十四年三月四日
   午後二時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 昭和四十四年度一般会計予算
 昭和四十四年度特別会計予算
 昭和四十四年度政府関係機関予算
   午後八時四十五分開議
#2
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(石井光次郎君) おはかりいたします。
 議員秋田大助君から、海外旅行のため、三月十三日から二十一日まで九日間請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 昭和四十四年度一般会計予算
 昭和四十四年度特別会計予算
 昭和四十四年度政府関係機関予算
#5
○西岡武夫君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算、右三件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#6
○議長(石井光次郎君) 西岡武夫君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。
 昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算、右三件を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
 昭和四十四年度一般会計予算
 昭和四十四年度特別会計予算
 昭和四十四年度政府関係機関予算
  〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#8
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。予算委員長荒舩清十郎君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔荒舩清十郎君登壇〕
#9
○荒舩清十郎君 ただいま議題となりました昭和四十四年度一般会計予算外二案について、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この予算三案は、去る一月二十七日に予算委員会に付託され、二月一日に政府から提案理由の説明があり、即日質疑に入り、その後、分科会、公聴会を合わせ二十三日間審議を行ない、本日、討論採決いたしたものであります。
 まず、予算の規模等について簡単に申し上げます。
 一般会計予算額は、歳入、歳出とも六兆七千三百九十五億円でありまして、前年度予算額に比べ一五・八%の増加であり、歳入のうちの公債金は四千九百億円で、公債依存度は七・二%であります。
 また、特別会計は、糸価安定特別会計を廃止するとともに、国有財産特殊整理資金特別会計を特定国有財産整備特別会計に改組することとし、その数は四十二となっております。
 なお、政府関係機関の数は、前年度と同様十四であります。
 次に、質疑の概要を申し上げます。
 質疑の最も集中いたしましたものは、沖繩復帰の際の基地の態様であります。
 すなわち、復帰に際して米軍の核基地を認めるべきではないという立場から、核兵器と憲法との関係、安保条約の事前協議条項、及び非核三原則の沖繩への適用、原子力基本法の立法経過にもわたって、きわめて広範な質疑が行なわれ、政府からそれぞれ答弁がありましたが、これを要約いたしますと、「沖繩復帰の際の米軍基地をどうするのか」との点について、「沖繩の早期復帰の願望と日本及び極東の安全確保上の沖繩の重要性とを考慮しながら、各方面の意見に十分耳を傾けているが、まだ結論に達していない」との答弁でありました。
 なお、沖繩基地のあり方に関する下田駐米大使の発言が、政府の答弁と異なっている点が問題となりました。その結果、政府から、「下田駐米大使の発言は、アメリカの世論の動向の情勢分析の一つの見解として述べたもので、政府が同意を与えているものではない。しかし、その発言に行き過ぎも認められるので、その意を伝達し、下田大使本人も、今後十分注意する旨の意思表明があった」との発言がありましたことを申し添えます。
 次は、最近の大学紛争に関するものであります。
 これにつきましては、学生暴力行為に対する認識、いわゆる東大十項目確認書の評価、将来の大学のあり方等に関して、各党それぞれの立場からいろいろな質疑及び提案が行なわれ、政府からそれぞれ答弁がありましたが、政府の答弁を要約いたしますと、「大学紛争の原因は、戦後、大学及び学生の急増による大学の質的変化に対し、教官、学生、社会一般の認識が不十分であった点にあるが、管理の乱れている点が問題である。学園の自治は尊重しなければならないが、学生の暴力はいかなる場合も認めるべきではない。将来の大学のあり方については、中教審の答申を待って、各方面の意見を聞いて善処したい。混乱のうちにつくられた十項目の確認書をもとにして大学のあり方をきめることは妥当でない」というものでありました。
 次に、物価、料金につきましては、「昭和四十四年度の消費者物価上昇率を五%と見込んでいるが、昭和四十三年度の実例に照らしても、また、国鉄運賃の値上げを織り込んでいない点からしても、この程度に押えることはできないのではないか。生産性の高い産業の寡占による管理価格が物価上昇の大きな原因と思うが、これにメスを入れるべきではないか。再販価格指定を再検討すべきではないか。国鉄運賃の値上げは、国民生活に重大な影響を与えるばかりでなく、私鉄運賃その他の値上げを誘発するおそれがあるから、これを抑制すべきではないか」という趣旨の質疑がありまして、これに対し政府から、「四十四年度においては、国鉄運賃以外の公共料金及び米価を引き上げない方針をとって値上げムードを押え、五%以内の上昇にとどめるよう努力する。物価上昇の要因はいろいろあって、寡占形態ばかりではないが、一定の取引分野において競争が実質的に制限されるような現象があれば、独占禁止法によって処理する。再販価格指定の再検討は、医薬品及び化粧品について行なったが、今後はさらに個々の商品ごとに検討し、不当なものは削除する。国鉄運賃は、国鉄再建の一端としてやむを得ず行なうもので、大手私鉄運賃の値上げは認めない方針である」という趣旨の答弁がありました。
 次に、社会保障制度に関しましては、「社会保障費の伸びが少なく、他の先進国に比べても、社会保障制度審議会の勧告に対しても、きわめて劣っているではないか。ことしは医療保険制度の抜本的改正をするという公約であったにもかかわらず、なぜこれを行なわないのか。しかも、抜本的改正のできないうちに、なぜ日雇い健保だけを改正するのか。児童手当は、四十三年度から実施するという公約であったのに、なぜその実施をおくらせているのか。農民年金の創設は、一昨年、総選挙の際に首相自身が公約しているが、四十五年度には必ず実施するか」という趣旨の質疑がありまして、これに対して政府から、「わが国の社会保障制度は、その出発がおくれているから、他国に比べて良好とはいえないし、社会保障制度審議会勧告の線に達していないが、四十四年度予算編成においてもこれに最大の重点を置いており、最近は相当に伸びている。医療保険制度の抜本改正については、厚生省で試案をつくり、自由民主党でも医療基本問題調査会を設けて最良の案を考えているが、遺憾ながら、まだ結論に達していない。できるだけ早く政府案をきめ、今国会中に審議会へ諮問の手続をとり、来年度は必ず提案したい。日雇い健保の改正は、出産手当の増額その他給付の改善をはかるとともに、長い間改められなかった保険料を適正化するため、抜本改正とは別に、この点の改正をはかるものである。児童手当については、児童手当懇談会の答申を得たが、答申どおり実施することにいろいろ問題があるので、児童手当審議会を設けてさらに審議を請い、来年度は必ず提案したい。農民年金は、現在検討中の国民年金の改善との関連を考慮しつつ調査検討を進めているが、四十五年度実施を目ざして最大の努力をする」という趣旨の答弁がありました。
 なお、予算関係法案である健保特例法案が予算審議終了時に至ってもまだ提出されていない点が指摘され、政府から、「できるだけ審議会の審議の促進を請い、三月中旬には法案を提出したい」との発言がありましたことを申し添えます。
 以上のほか、中国との国交正常化及び中国貿易の拡大、ベトナム和平への努力、安保条約の今後の取り扱い、国内米軍基地の整理、次期戦闘機の性能及び価格、将来の防空構想等、外交、防衛問題をはじめ、国政の各般にわたりきわめて熱心な質疑が行なわれ、政府からそれぞれ答弁がありましたが、詳細は会議録をごらん願うことといたしまして、説明を省略させていただきます。
 本日、質疑終了後、日本社会党、民主社会党及び公明党の各党から提出された、予算三案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、それぞれ趣旨弁明がありましたが、その内容は、会議録をごらん願いたいと存じます。
 かくて、予算三案及び三党の動議を一括して討論に付しましたところ、自由民主党は、政府原案に賛成、三党の動議に反対、日本社会党、民主社会党及び公明党は、それぞれ自党の動議に賛成、政府原案及び他の二党の動議に反対、日本共産党は、政府原案及び三党の動議に反対の討論を行ない、採決の結果、三党の動議はいずれも否決され、予算三案は多数をもって政府原案のとおり可決すべきものと決定した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(石井光次郎君) 昭和四十四年度一般会計予算外二件に対しては、細谷治嘉君外十三名から、三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。
#11
○議長(石井光次郎君) この際、その趣旨弁明を許します。細谷治嘉君。
  〔細谷治嘉君登壇〕
#12
○細谷治嘉君 私は、日本社会党を代表して、政府の昭和四十四年度予算三案について、これを撤回のうえ編成替えを求めるの動議の趣旨を要約して御説明申し上げます。
 わが党がこの組み替え動議を提出いたします基本的な考え方は、第一に、長い間の保守政権のもとで累積した大企業と資産所得者優先の経済、財政、第二に、大衆生活を圧迫するインフレ、物価高、第三に、経済、社会のあらゆる部面における格差と不公平の拡大、事故、災害、犯罪の倍増による生活不安などの根本的解決のため、政治、外交、経済、社会、教育の各部門の大改造のために、全面的な政策の転換が求められていることに根ざしているのであります。(拍手)
 申すまでもなく、わが国の経済は、昭和四十一年以来、毎年一七%以上の高成長を続け、自由世界第二位の生産を誇っています。しかしながら、大企業優先のインフレ政策によって進められた経済は、一皮はげば大衆収奪のからくりとインチキに満ち、国民福祉とは完全に遊離した成長の姿が明らかになってまいるのであります。この見せかけの成長の実態は、次の四つの決定的な矛盾と腐敗を生み出しているのであります。
 その第一は、経済の成長に伴い、資本も生産高も利潤も巨大企業に集まり、大企業と一部資産階級への富の集中をもたらしておるのであります。
 昭和四十二年度の法人企業統計によると、資本金、売り上げ高、純益の大半は、九百数十社の資本金十億円以上の会社に集まり、取引所に上場される株式の六割は、一部少数の大株主の所有に帰しておるのであります。このような富の集中は、佐藤内閣の財政、金融政策によって一そう激しくなりました。しかも、悪名高い租税特別措置などによって、大企業、資産所得者の税金は一そう軽減されております。その上、土地も大企業に集中し、その値上がりで、ものすごい利益を得ておるのであります。これらの大企業は、さらに合併、産業再編成を進め、寡占化、独占化の様相を濃くしております。
 第二の矛盾は、消費者物価の恒常的な上昇であります。
 政府の統計によっても、消費者物価は、池田内閣以来約五割、佐藤内閣に至ってからでも一七%以上の値上がりを見せ、年率五%以上が続いております。その根本原因は、政府の計画的インフレをてことした経済成長政策によるものであります。すなわち、大企業の設備投資をまかなうためのオーバーローンと、これをしりぬぐいする日銀の通貨増発など、信用膨張にささえられたインフレ政策による需要の拡大が重大な原因だと申さなければなりません。こうした計画的インフレによる物価上昇は、勤労者の実質賃金の切り下げと生計費への圧迫となるばかりでなく、これによって損をする大衆貯蓄者と、反対に利益を受ける土地など実物資産への投資者との間に著しい所得の格差、富の不均衡を招いておるのであります。
 第三には、あらゆる格差と不公平、不均衡を拡大している点であります。
 勤労者は、職場では低賃金と合理化により、さらにインフレ、物価高によって二重に搾取され、税金の天引きによる重税によって、まさに三重収奪の中に投げ込まれております。サラリーマンは五人家族で九十三万円から所得税がかかるのに、数千万円の株券を持つ配当所得者には二百八十二万円まで一銭の所得税もかからないという実態は、不合理の極と申すべきであります。(拍手)また、いわゆるイザナギ景気の中で、石炭などの斜陽産業が整理され、中小企業の倒産は一万件を突破する情勢にあります。農業経営も、米価の抑制と食管制度の取りくずしによって、その前途は極度の不安にさらされております。生産者米価と兼業収入によってささえられている農家所得は、四十四年度の米価据え置き、自主流通米制度によって所得の減退を来たし、兼業、出かせぎなどを一そう刺激し、都市と農村の格差をさらに広げることは必至であります。
 第四の矛盾は、人間不在の経済成長のもとで、国民生活に欠くことのできない交通、住宅、保健衛生、社会福祉施設は取り残され、著しい交通渋滞とおびただしい死傷者を生み出しているばかりでなく、空気のよごれ、水質汚濁、地盤沈下、騒音、中毒など、新しい公害や災害が耐えがたいまでにふえ続けておるのであります。
 以上、四つに集約されますように、大企業と資産所得者優先の経済成長は、国民の健康と生活を犠牲にするばかりでなく、金権万能、弱肉強食の世相を生み、道理を押しのけ、汚職と犯罪を激発し、贈収賄、背任、不正、麻薬、売春、暴力などを横行させ、人間疎外と人間性破壊による深刻な社会腐敗を生み出しておるのであります。しかるに、このような情勢に目をふさぎ、新しい角度から経済、財政の基本を検討し、政策の根本的転換をはかるべきであるにもかかわらず、依然として従来の態度で予算を編成したことはまことに遺憾であり、強い怒りをすら覚えるのであります。(拍手)
 論より証拠、昭和四十四年度予算案は、佐藤内閣の大企業、資産所得者中心の経済矛盾を一そう激化させ、重税と物価高を推し進め、国民生活圧迫、人間不在のインフレ予算となっており、しかもその上に、七〇年に備える安保予算の本質を露骨に示しておるのであります。すなわち、自衛隊の増強、継続費、国庫債務負担行為の拡大、F4Eファントム戦闘機を含む軍事予算の増大など、危険な経済軍事化の方向を進めようとしております。加えて、警察機動隊の増員、公安関係費の増強など、七〇年に備える反動的な予算であります。このような予算案を容認することは断じてできないことであり、いな、むしろ認めることは国民に対する背信行為だといわなければなりません。(拍手)
 わが党は、四十四年度予算について、何よりもまず平和と自立経済を確立し、国民生活と福祉につながる経済発展を目標として、予算案の根本的編成替えを強く要求するものであります。
 わが党が要求する予算編成替えの重点施策は、以下に申し述べる八つの柱からなっております。
 すなわち、第一は、物価の抑制。第二は、所得再配分の機能を強化することにより、格差と不公平を是正すること。第三には、住宅、生活環境を整備し、交通難を打開すること。第四には、教育、科学技術の振興。第五は、地方財政の充実。第六は、沖繩に対する財政措置の強化。第七には、防衛費等経費の削減と海外経済協力費の是正。第八には、財政投融資計画の根本的組み替えであります。
 これらの重点施策の内容につきましては、すでに議員各位に配付されておりますので、その要点だけを御説明申し上げます。
 第一の柱は、言うまでもなく、物価の抑制であります。
 政府は、公共料金主導型の物価値上げ政策をやめ、強力な物価政策を推進することを要求いたします。国鉄旅客運賃一五%の値上げは絶対に避け、財政投融資、政府関係債務のたな上げ、利子補給など、所要の措置を講ずべきであり、また、消費者米価をはじめ公共料金の引き上げを行なわないよう最大限の努力を払うべきであります。さらに、地価インフレを克服するとともに、独占価格の引き下げや、成長から取り残された農業、中小企業などの発展、向上につとめなければならないのであります。
 第二の柱は、所得再配分の機能強化によって格差と不公平を是正することであります。
 その一つは、大衆所得減税を断行し、大資本や資産所得に片寄った租税特別措置を大胆に改廃すべきであります。現在、税制の最大の欠陥は、勤労大衆には生活費にまで食い込んで重税を課している反面、取るべき税金を取らず、逆にこれを軽減している点であります。わが党は、この際、生活費には課税せずとの原則を守り、所得税の課税最低限を標準世帯百二十万円に引き上げるとともに、利子、配当分離課税などの特別措置を徹底的に改廃し、大企業の交際費、政治献金に対する課税の強化、大法人の税率引き上げなどを強く要求いたします。
 二つ目は、生命と健康を守る施策の充実であります。人間回復が強く叫ばれている今日、社会保障関係費、公害対策費などは予算編成の最重点に置くべきであります。しかるに、政府のこれに対する取り組みは、総合予算主義、受益者負担を口実として後退しつつあることは、まことに遺憾であります。わが党は、社会保障費を飛躍的に拡充し、生活保護基準、医療保障に対する施策の充実、同和対策の推進、老後不安の解消を推進し、各種年金の引き上げとスライド制、重症心身障害児、交通遺児、保育所対策など、社会福祉予算の大幅な増額を要求するものであります。また、公害、災害等の克服のため、公害対策基本法及び実施法の整備、制定とともに、緊急課題である公害被害者の救済、公害研究機関の整備充実、風水害等における個人災害の補償、職業病対策などを強力に推進することを要求いたします。
 その三つ目は、食管制度を堅持し、農政の根本転換を行なうことであります。政府が考えている米の買い入れ制限や自主流通など食管制度の根幹をくずす施策を取りやめ、食管制度を堅持しつつ、米以外の農作物についても、農民が安心して生産できるよう総合政策を推進するとともに、土地基盤の整備、価格政策などに十分な予算を確保すべきであります。
 その四は、中小企業の近代化、石炭鉱業の再建であります。特に、石炭鉱業審議会の答申に基づく政府の石炭政策は、大企業救済、金融機関保護に終始したもので、絶対容認できないのであります。政府は、石炭産業を再建する道は国有化以外にないことに思いをいたし、これに必要な予算の増額を要求するものであります。
 さらに五つ目は、労働者の生活保障であります。なかんずく、公務員給与の引き上げについて、四十四年度分として七月から約五%の引き上げを前提にしているが、これは、政府みずから人事院制度をじゅうりんするものといわなければなりません。政府は、国会決議を尊重し、少なくとも、人事院勧告が完全に実施できるよう予算措置をとるべきであります。
 第三の柱は、住宅、生活環境の整備と交通難の打開であります。
 政府の住宅五カ年計画は、すでに四年目を迎えたにもかかわらず、その進捗率は依然立ちおくれております。政府は、国民に約束した一世帯一住宅の実現と、安心して生活できる生活道路、清掃施設、下水道、公園など、国民生活に最低必要な施設を整備するとともに、いよいよ激化する交通戦争に対処するため、交通安全施設の増強、被害者救済措置、救急医療体系の確立等に必要な予算を積極的に確保すべきであります。
 第四の柱は、教育、科学技術の振興であります。
 今日の大学紛争の大きな原因の一つは、大学が社会の進展に大きく立ちおくれ、研究及び教育の機能がきわめて不十分なところにあります。大学が憲法と教育基本法の精神にのっとって新たな発展を遂げるには、私学を含めて、それに必要な予算の充実が必要であります。さらに、育英資金の増額、教職員の待遇改善、社会発展の原動力である科学技術、特に基礎研究を推進するための制度の確立と予算の大幅な拡充を要求するものであります。
 第五の柱は、地方財政の充実であります。
 政府は、四十三年度に引き続いて、四十四年度もまた地方財源から六百九十億円を国に借り上げています。現在、多くの地方自治体は、住民福祉のためなすべき多くの仕事も実施できず、その行政水準はきわめて低いのであります。加えて、過疎、過密に象徴されるように、財政需要は急増しつつある反面、住民は過酷きわまる住民税や国民健康保険税、個人事業税に泣いているのであります。こうした実態を無視して貴重な財源を国が取り上げたことは、法の精神に反し、地方自治をじゅうりんするものと申さねばなりません。(拍手)わが党は、地方自主財源の強化、超過負担の解消、地方公営企業の経営基盤の強化を強く要求するものであります。
 第六の柱は、沖繩関係予算の強化拡充であります。
 戦争で痛めつけられ、戦後二十数年間異民族の支配に泣き、膨大な基地で悩まされ続けた沖繩の即時無条件復帰を願わない者はだれ一人おるまいと思いますが、本土との行政水準の格差は、また著しいものがあります。この格差を早急に是正し、本土の類似県、市町村並みの行政水準を確保することは、現下の最大急務であります。したがって、本土の県、市町村及び住民同様の国庫支出が可能になるよう予算措置をとるべきであります。
 第七の柱は、防衛関係費等の削減と海外経済協力費の是正であります。
 政府は、一九七〇年の安保条約改定期を控え、防衛関係費、警察費等の経費を優遇し、特に第三次防計画に伴うF4Eファントム機国産化の予算を組んでおります。わが党は、防衛費を削減し、自衛隊員の増員を取りやめ、第三次防計画の中止と、ファントムの採用をやめることを強く要求いたします。(拍手)また、警察費の増大は、七〇年を控えた治安対策にすぎないので、これを削減すべきであります。
 さらに、ニクソン新大統領の登場により、アメリカの援助肩がわり要求と相まって、東南アジアへの経済協力費が大幅に増額されています。自由主義国に片寄った政治的援助は取りやめ、平和中立外交の精神にのっとって、中立国、社会主義国にも公平に援助を行なうとともに、輸銀資金は日中貿易拡大のためにも振り向けるべきであります。
 最後に、第八の柱は、財投計画の根本的組み替えであります。
 わが党は、大資本、大企業に奉仕する政府の財投計画を根本的に改め、運用の重点を農業、中小企業の近代化、住宅、生活環境の整備、国や地方の公営企業、公共料金の値上げ抑制のための措置等に振り向けることを強く要求いたします。
 以上、私は、社会党の組み替え案の概要を御説明申し上げましたが、議員各位におかれましては、わが党の動議に賛成されんことをお願いするとともに、すみやかに政府は予算案を撤回し、わが党の要求に基づいて組み替えすべきことを強く要求いたしまして、趣旨説明を終わります。(拍手)
#13
○議長(石井光次郎君) これより、予算三件に対する討論と、動議に対する討論を一括して行ないます。順次これを許します。八木徹雄君。
  〔八木徹雄君登壇〕
#14
○八木徹雄君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算の三案に対し賛成をいたし、日本社会党提案の組み替え案に反対の意向を表明するものであります。(拍手)
 さて、わが国経済は、昭和四十年の不況を克服して以来、今日まで一貫して、実質一〇%をはるかに上回る成長を続け、本年もなお力強い上昇の勢いを示しております。特に昨年は、アメリカのドル防衛措置、国際金融の激動等があり、野党の諸君は、輸出が政府見通しの一五・二%も伸びることはないと、激しく政府を追及したのでありますが、事実はこれらの批判に反し、輸出は当初の見込みを大幅に上回り、国際収支はみごとに改善され、いまや外貨準備は三十億ドルにも達し、大型景気の実現を見ようとしているのであります。(拍手)このことは、国民の創意と努力によることはもちろんでありますが、日米安保体制下、防衛費の重い負担を免れつつ、政府・与党のとってまいりました一連の財政経済諸施策のよろしきを得ている結果にほかならないものと確信いたすものであります。(拍手)
 ひるがえって、明年度のわが国経済を展望いたしますに、内外の経済環境必ずしも楽観を許さざるものがあります。すなわち、国外においては、アメリカの経済拡大テンポの低下、国際通貨不安、また、中近東、東欧などの政治的不安が横たわり、国内においては、産業界の一部にいわゆる需給バランスのかげり現象が生じ、長期的には、消費者物価の上昇、公共投資の立ちおくれ、労働力の不足、経済の国際化の一そうの進展など、解決を迫られているもろもろの課題に直面いたしております。
 このような諸情勢のもとで、わが国が今後一そうの発展を続けていくためには、物価の安定、社会資本の充実、産業構造の改善、科学技術の振興、労働力の積極的活用等により、経済の一そうの効率化をはかり、均衡のとれた成長を持続させつつ、明るく豊かな社会を築いていくために、私どもは最善を尽くさなければならぬと考えるものであります。明年度予算は、かかる内外経済の動向を十分に認識しながら、財政体質の改善、資源の適正な配分を通じて、長期にわたってわが国経済発展の基礎を強化するために必要な諸施策を十分に盛り込んで、国民の期待にこたえた予算であると確信いたすものであります。
 以下、本予算の特長ともいうべき二、三の点をあげてみたいと存じます。
 その第一は、財政の節度を保っているということであります。
 すなわち、税の増収見込み額約一兆二千億円を、所得税の減税と、国債の減額に、それぞれ千五百億円ずつを充て、一つには国民の減税への強い要望にこたえ、一つには財政の体質改善につとめるとともに、残り九千億円を公共投資等諸施策の充実と経費の当然増に充て、歳出規模を、前年度当初予算に対し、一五・八%の増加にとどめたことであります。世論の一部には、この伸び率は、経済成長の伸び率一四・四%を上回るから景気刺激型であるとの批判があります。しかし、財政規模と景気の動向との関係は、政府の財貨サービス購入額で推計することが本筋であります。ところで、明年度の政府財貨サービス購入の伸び率は一二・三%が見込まれておりますので、この点から、財政の経済に与える影響は、中立型か、やや警戒型とも申すべきものであります。また、公債依存率を七・二%に低下させ、将来における財政の景気調整能力を一そう高めるとともに、好況時に際しては公債発行額を減らすという、公債政策に欠くべからざる節度を保ったことは、まことに適切な措置であると考えるものであります。このほか、本年度に引き続いて総合予算主義を堅持するとともに、補助金については四百十七件に及ぶ整理、合理化を行ない、さらに、行政機構等の新設を抑制し、また、公務員の三カ年五%削減の線に沿って定員の削減を着実に実行するなど、財政硬直化の打開に一そうの努力を重ねていることに対しても、あらためて賛意を表するものであります。
 第二は、物価の安定に配慮いたしておることであります。
 消費者物価上昇は、いわゆる構造的要因がその背景となっていることは明らかであります。したがって、低生産性部門で働く人々の賃金、所得の上昇が消費者物価の上昇となって消費者に転嫁することを避けるため、明年度予算では、農業、中小企業の生産性向上、労働力の流動化の促進、競争条件の整備、流通機構の改善、消費者教育などについて、前年度に対し二一%増の七千四百億円を計上し、施策の充実につとめておることは、適切な措置と存じます。しかし、物価問題は必ずしも構造的要因のみではなく、需要の圧力も物価上昇の大きな要因であります。経済成長をはかりながら物価の安定を期するためには、常に生産能力に見合って需要が調整せられ、いやしくも総需要の圧力によって物価が刺激されないよう、財政金融の慎重な運営がなされる必要があります。明年度予算では、政府の財貨サービス購入をかなり控え目に押え、財政体質の改善、財政の効率化に特につとめておりますから、少なくとも、財政面から物価上昇を招かないものと認められるのであります。しかし、懸念されますことは、最近、賃金コストの上昇が卸売り物価の下方硬直的傾向を強めていることであります。賃金所得の向上は、常に生産性の向上によってのみ実現が期せられるということは、経済の大原則であります。したがって、物価上昇を避けようとすれば、賃金コストの上昇率を国民経済全体の生産性の上昇率の範囲内に見合うような節度を保つことが必要であります。かかる意味合いで、労使とも賃金については慎重な配慮を要するのであって、総評の一律一万円ベースアップ等は、生産性の向上を大幅に上回る物価値上げの要求であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 第三は、財源を適正かつ効率的に配分していることであります。
 明年度予算において、公債発行額を大幅に減少するなど、窮屈な財源の中にあって、社会保障費、道路、港湾、農業基盤の整備等公共事業費、文教及び科学技術振興費、貿易振興及び経済協力等、いずれも平均伸び率を上回り、きめこまかく、かつ詳細にわたって措置を講じており、この面から、明年度予算は、まさしく施策充実型予算と称してあえて過言ではないと存ずるのであります。(拍手)
 第四は、減税であります。
 一般減税を特に所得税一本にしぼり、平年度千八百二十五億円という、いままでの最高減税を実現し、また、地方税についても、住民税七百三十五億円という大幅減税に踏み切ったことは、まことに刮目すべきことであります。特に、課税最低限をイギリスの七十八万八千円、西ドイツの八十八万円を上回る九十三万五千円にいたしたこと、さらに、中堅以下の所得者層に対する税率緩和が、十二年ぶりに実現を見たこと等であります。社会発展のにない手として、外においては第一線で活躍し、内にあっては家庭生活の中軸として、子息等の養育等に任ずる中堅所得者への配慮は、まことに適切な措置であるといわなければなりません。
 以上申し述べた諸点から見て、明年度予算は、当面するわが国経済社会の諸課題に積極的に取り組み、現在の好況を維持しつつ今後の長期的発展を保障し、国民諸君に満足と希望を与えるものと確信いたすものであります。
 次に、政府に一言の要望を申し上げたいと思います。
 すなわち政府は、物価抑制にき然たる態度で臨んでいただきたいということであります。順調な経済成長のもとで、国民所得も大幅に増加いたしておるとは申せ、五%をこえる消費者物価の上昇は問題であります。そして、いまや、物価は上がるものといった風潮がびまんし、一部の企業では、生産性の向上よりも、いとも安易に価格を引き上げて、利潤、賃金の獲得につとめておる事実もあり、まことに憂慮すべき現象があらわれております。この際、少なくとも、政府の関与する物価、料金等については、値上げ抑制のきびしい態度を堅持するとともに、輸入政策の適切な運用、各種の保護政策の再検討、競争条件の整備等をはかるとともに、生産性の向上の成果を価格の引き下げに配分できるよう、環境づくりに十分なる配慮をいたされるよう強く要望申し上げる次第であります。
 最後に、日本社会党の組み替え案について一言申し上げます。
 社会党の組み替え案は、その基本において、わが党と所見を全く異にするものであり、その内容もまた現状においては実現不可能な要求であります。しかし本年は、従来の公式的観念論より、若干なりとも現実に近づこうといったかすかな気配も感じられないわけではありませんが、残念ながら、われわれは賛成することはできません。
 以上、政府提出の三案に賛成いたし、日本社会党の組み替え動議に反対いたし、私の討論を終わります。(拍手)
#15
○議長(石井光次郎君) 川崎寛治君。
  〔川崎寛治君登壇〕
#16
○川崎寛治君 私は、日本社会党を代表して、政府提出の昭和四十四年度予算三案に対して反対、細谷治嘉君外十三名提出の昭和四十四年度予算案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に対して賛成の討論を行ないます。(拍手)
 予算は、時の為政者の政治方針を金額であらわしたものであります。佐藤総理は、自民党の総裁三選後、沖繩、安保に政治生命をかけ、あえてどろをかぶるとまで言明いたしました。安保再検討の四十五年を来年に控え、乗り切りのための四十四年度予算案は、その性格を各面にあらわにいたしております。
 以下、佐藤内閣の政治姿勢、外交方針、財政、経済等の各方面にメスを加えて討論を進めてまいります。
 まず、第一には、佐藤内閣の政治姿勢についてであります。
 佐藤総理は、憲法尊重を唱え、非核三原則を口にしながら、核兵器持ち込みを容認し、自衛のためなら核兵器を保有しても憲法違反ではないとまで暴言し、ますます軍備を増強し、憲法の平和主義の精神を完全にじゅうりんしているのであります。また、警察力を増大して、国民の自由と人権を抑圧する権力政治への道をひた走りに走っているのであります。
 具体的に、防衛費については四千八百三十八億円のほかに、継続費百五十五億円、それに国庫債務負担行為は、ついに予算委員会においてその積算基礎を明らかにしなかったF4Eファントムを含む一千六百十億円が加わり、四十五年度以降の支出予定額は、何と二千七百三十五億円にも達するのであります。さらに、自衛官六千人の増員に加え、警察機動隊二千五百人を含む五千人の警官を増員しようとしています。四十四年度予算案が露骨な安保予算であることは、きわめて明白といわざるを得ないのであります。(拍手)
 また、佐藤総理は、政治資金規正法を握りつぶしました。国民の期待を裏切ったばかりか、一そう財閥と密着して金権政治を推し進めています。一部圧力団体に迎合するのみで、国民との対話を怠り、民心は議会政治から遊離しつつあります。まさに、佐藤総理は議会制民主主義の墓掘り人になろうとしているのであります。(拍手)
 第二には、自主性を失った対米従属外交についてであります。
 沖繩返還については、下田発言に見られるごとく、ひたすら米国の要求を国民に押しつけることにきゅうきゅうとしています。核つき、自由使用による沖繩の返還は、百万沖繩県民をさらに本土と差別し、屈辱を与えるものであります。そして、それはまさに日米安保体制を核安保、アジア安保に拡大をし、日本をして米国の極東戦略の先兵として、下請的帝国主義への危険な方向におとしいれんとするものであります。
 中国問題については、すでに、イタリア、カナダなど中国承認に進む大勢に逆行し、米国に追従して、中国の国連加盟を妨害し、日工展、食肉輸入問題に明らかなように、日中の経済交流を阻害しているのであります。
 核つき、自由使用の沖繩返還は、日本のみずからの意思による中国敵視政策の具体化であり、アジアの緊張を高める道にほかなりません。われわれは、沖繩県民を含む国民とともに、その道を断じて許すことはできないのであります。(拍手)
 第三には、国民を無視し、大資本に奉仕する自民党政府の経済、財政、社会保障政策についてであります。
 わが国の経済は、昭和四十一年以来高度成長を続け、自由世界第二位の生産を誇っています。しかし、この繁栄は、国民生活と遊離し、第一に、大企業と一部資産階級への富の集中、第二に、消費者物価の恒常的上昇、第三に、あらゆる面での格差、不公平、不均衡の拡大、そして第四に、交通事故、公害、犯罪の激増を招き、社会の不安を激化し、深刻な人間性破壊の現象を進行させています。
 以下、具体的に五つの点にわたって予算三案にあらわれた佐藤内閣の経済、財政政策を究明し、反対の理由を明らかにいたします。
 第一には、インフレ、物価引き上げの責任であります。
 佐藤内閣は、国債発行政策を導入し、銀行の信用膨張を放任いたしました。池田内閣時代には昭和三十七年一回限りであった消費者米価を、佐藤内閣になってからは、何と四年連続引き上げてまいりました。のみならず、各種公共料金を積極的に引き上げ、インフレ、物価高を激化させてまいったのであります。消費者物価は年平均五・六%上昇し、定額預金の金利を上回る勢いであります。四十四年度の消費者物価五%の上昇見通しも、国鉄運賃値上げによって、すでにこれを上回ることは確実となりました。佐藤内閣になってからの消費者物価は、実に一七%をこえる上昇ぶりであります。この結果、勤労大衆は、名目所得の上昇が帳消しにされるばかりか、みずからの生活防衛のための零細貯蓄や、長年の勤労の結実である年金積み立て金からその値打ちを大きく奪い去られているのであります。一方、インフレ、物価高は、実体資産を持つ大企業や地主にはばく大な不労所得をもたらし、不公平を拡大しているのであります。国民生活を破壊するインフレ、物価高は、佐藤内閣の責任であることを糾弾せざるを得ないのであります。(拍手)
 第二には、金持ち優遇、大衆収奪の過酷な税制についてであります。
 佐藤内閣は、大法人、資産所得者優先の税制を進めてまいりました。これまた佐藤内閣になってから、法人税率は引き下げられたのであります。昭和四十年の三八%から三五%への法人税率の引き下げによって、その比率は逆転し、所得税総額が法人税額を上回りました。悪名高い租税特別措置法によって、企業税制においては大企業優遇の税体系、個人税制においては資産所得への過度の優遇措置が行なわれ、中央、地方を通じて、何と年々一兆円をこえる大減税を行なっているのであります。昭和四十二年度以降、延べ五兆円をこえる自然増収がありながら、四千億円程度の所得税減税しか行なわれず、勤労者階級には、頭からの天引き重税を行なっているのであります。四十四年度においても、一兆二千億円もの自然増収がありながら、減税で勤労者に返されるものはわずかに千五百億円にしかすぎないのであります。数千万円の株式を持つ利子配当所得者には、配当所得二百八十二万円まで非課税としながら、汗水流して働く勤労者には、生活費に食い込む過酷な税の収奪を続けているのであります。不労所得者天国、勤労者地獄の税制には、断固反対せざるを得ないのであります。(拍手)
 第三には、中小企業倒産の責任についてであります。
 主要企業は、この三月期で七期連続の増益を記録しました。イザナギ景気を謳歌しながら、他方、中小企業の整理倒産は、四十一年に六千件台、四十二年八千件台、四十三年度には一万の大台をこえる増加ぶりであります。日陰の産業と日の当たる大企業との格差はますます開き、激烈な生存競争の中で、多数の弱小企業が整理されていますが、中小企業対策費はわずかに総予算の〇・六%にしかすぎないのであります。税制、金融、あらゆる面で中小企業軽視の政策を続けている佐藤内閣の冷酷ぶりを、われわれは許すわけにはまいらないのであります。(拍手)
 第四には、農村破壊についてであります。
 佐藤内閣は、農民の頼みとする米の食管制度を破壊し、その最後の希望をまさに奪おうとしています。しかも、農政不在の結果、農民は米以外の安心してつくれる作目を奪われている中で食管制度をくずすことは、完全な農村破壊の暴挙といわざるを得ません。これは、農村を安い農産物と安い労働力の供給源としての苗しろとする悪政であります。農山村をますます過疎化し、老人の墓場とする佐藤内閣の農村破壊の罪は、きわめて重大であるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 第五には、社会保障怠慢の責任についてであります。
 わが国は、急激な経済成長の結果、国民総生産においては自由世界第二位となりながら、社会保障の面は著しく立ちおくれています。佐藤内閣成立以来、予算総額に対する社会保障関係予算は、昭和四十年の一四・六%から一四・一%に、また国民所得に対しても、同様に二・一八%から二・〇六%へと低下しつつあることは、受益者負担、財政の効率化とともに、佐藤内閣の社会保障軽視を実証するものであります。不完全な年金制度は恒常的物価上昇に脅かされ、多くの老人は深刻な不安に悩み、医療費負担の増加、勤労者の児童保育所の不足、心身障害者対策の立ちおくれは、住宅、保健衛生など生活環境の悪化とともに、国民生活に大きな苦痛となっています。資本優先、人間軽視の佐藤内閣の社会保障怠慢の罪を糾弾せざるを得ないのであります。(拍手)
 最後に、民主教育破壊の責任についてであります。
 わが国の教育は、幼稚園から大学まで、健康な人間形成の姿を失い、社会の生存競争が持ち込まれ、より有利な資格獲得のための進学教育、受験地獄の姿は深刻であります。まさに今日の教育は、財界の要請する、産業により適応した労働力を供給するベルトコンベヤーになりつつあるのであります。自民党政府は、防衛予算は着実にふやしながら、豊かな教育のための環境整備は完全に怠ってまいったのであります。大学紛争は、この教育矛盾の集中的表現にほかならないのであります。しかるに佐藤内閣は、この病理を理解しておりません。また、根本的な環境整備への熱意を、四十四年度予算には全く示していないのであります。上からの権力による管理によって教育に介入する反動政策を行ない、民主教育を破壊している佐藤内閣の権力主義に、民主主義を守る立場から、断固反対せざるを得ないのであります。(拍手)
 以上見たとおり、佐藤内閣の危険な政治姿勢、外交方針、並びに国民生活を破壊し資本に奉仕する佐藤内閣の経済、財政、社会保障、教育政策等を裏づける政府の昭和四十四年度予算三案に反対をし、平和と民主主義を拡大し、豊かな国民生活の拡充をはかろうとする日本社会党の編成替え動議に賛成をし、討論を終わります。(拍手)
#17
○議長(石井光次郎君) 小平忠君。
  〔小平忠君登壇〕
#18
○小平忠君 私は、民社党を代表いたしまして、政府提案の昭和四十四年度予算関係三案に対しまして、反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 なお、社会党提案の組み替え動議に対しましても、遺憾ながら反対せざるを得ないのであります。
 わが党は、本日の予算委員会の採決に際し明らかにしたとおり、次のような骨子の組み替え動議を提出したのであります。すなわち、昭和四十年代の主要な課題を、福祉、教育国家の創造に置き、この長期的展望に立って、明年度予算を積極的な国民福祉予算に組み替えることであります。この観点から、明年度予算の規模は、政府案より五百四十六億円多い六兆七千九百四十一億円にするとともに、これによる景気刺激的な効果を相殺するため、一方において、大企業法人所得に対し三%の景気調整税を臨時的に設け、国民経済全体の均衡ある発展をはからんとしているのであります。
 次に、税制改正におきましては、明年度でいわゆる百万円減税を実施し、新たに勤労未成年者控除を設け、働く未成年者は原則として無税としたのであります。これによる歳入減は、利子、配当の優遇制度など、現在の不合理な税制を極力是正することによって補てんしていることは言うまでもありません。
 次に、歳出面におきましては、わが党が従来から強く主張しております行政改革を断行するとともに、防衛費、産投出資を一部削減して、三千六百十七億円を減額し、これを純歳出増の五百四十六億円を、全額民生向上対策費に重点的に増額したのであります。そのおもなものは、国鉄運賃値上げをストップする財源として五百十億円、児童手当の創設による一千二百億円などを増額しているのであります。さらに、物価対策費、文教費、農業、中小企業近代化対策費などをそれぞれ増額したのであります。
 以上、わが党の組み替え案の骨子を簡単に御説明いたしましたが、この立場に立って、以下、政府案に対する反対の理由を明らかにしたいと思うのであります。(拍手)
 政府提出の予算関係三案に反対する第一点は、わが党が従来しばしば指摘してまいりましたごとく、政府の財政政策における一貫性の欠除と無計画な姿勢であります。
 このことについては、政府自身が十分承知のように、あるときは財政新時代の到来と称して、財政主導型の経済成長を進め、財政してインフレ的要素を含めて無計画に膨張させたのでありますが、その次は、膨大な額にのぼる公債の発行が主要原因なるにもかかわらず、財政硬直化の打開を唱えて、総合予算主義という名のもとに、社会保障関係費、公共事業費などの民生的支出を抑制して国民生活の不安と停滞をもたらし、その結果、国民の不信を買うや、四十四年度では再び急転して総花的な予算を組むのみならず、反面、防衛費などの無定見なる拡大をはからんとしています。
 また、経済政策の基本となるべきはずである経済社会発展計画も、わずか二年にして破綻し、結局は、民間設備投資は大幅に伸長させたものの、国民生活に密着した社会資本は大きく立ちおくれ、物価の高騰が続いているのがその現状であります。これの是正こそは現在の緊急の課題であるにもかかわらず、政府の政策にはその姿勢と施策が全く見られないことは、まことに遺憾といわなければなりません。(拍手)
 反対理由の第二点は、政府の税制改正、特に所得税減税が軽視されている点であります。
 政府は、今回の税制改正において、所得税の課税最低限度額の十万円引き上げと税率の緩和によって、初年度一千五百三億円の減税を行ない、これをもって大幅減税であると称しておるのでありますが、これでは全く不十分なことであります。特に、わが党が従来から主張してきたいわゆる百万円減税が、ことしもまた実現を見なかったことは許しがたいところであります。(拍手)これまでの例である自然増収の二〇%を減税に当てるということや、また税制調査会の勧告などを守るならば、本年度の自然増収一兆二千億円のうち二千四百億円を当然減税し、百万円減税という国民の要求を実現しなければならないはずであります。政府は財源難を理由にこの要求を無視し、その一方で、本年度もまた大企業、資本家優遇の租税特別措置を温存し、特に利子、配当の優遇措置では実に八百十五億円にのぼる大幅な減税を行なっていることは、まことに遺憾であります。これでは国民の税に対する不満が解消しないのは当然であります。
 反対理由の第三点は、国内の社会的不均衡を是正するどころか、むしろそれが拡大せんとしている点であります。
 わが国の国民総生産は、周知のとおり、アメリカに次ぎいまや世界第二位まで上昇したことは事実ですが、しかし、住宅、生活環境などの社会資本と社会保障は、先進諸国中でも最低の部類に属しているのがその実情であります。社会開発と安定成長を経済政策の主要な柱にした佐藤内閣において、むしろ社会的不均衡が著しく拡大している事実は、いかに政府の公約が無責任なるものであるかを物語るものであります。(拍手)ことしこそは、こうしたおくれを取り戻し、必要最小限でも経済社会発展計画の目標を達成するためには、住宅、環境衛生整備費、社会保障費の大幅増額が必要であります。しかるに、政府案ではそれらの予算がいずれも目標を大幅に下回っておるのであります。さらに、今年度もまたわれわれの要求する児童手当制度の創設が見送られたことは、政府の社会保障に対する熱意のなさを端的に示すものといわなければなりません。(拍手)一方、陸上自衛官の増員、米軍基地の温存を前提にした基地対策費の大幅な伸び、さらに、七十年対策を露骨に示す治安対策費の増加など、防衛、治安重視の予算になっております。政府は、国民生活の福祉向上こそ治安対策の最良の方法であることを深く認識し、反省すべきであると思うのであります。(拍手)
 反対理由の第四点は、大幅な物価上昇が明年度も続かんとしている点であります。
 政府は、四十四年度の消費者物価の上昇率を五%と予想しておりますが、これは昨年度の予想四・八%を上回るものであり、みずから物価対策に無策たることをさらけ出したものにほかならないのであります。また、昨年の物価上昇が予想を大幅に上回ったように、ことしもまた五%を上回ることは必至であります。すでに政府は国鉄運賃の値上げを決定しましたが、さらに、私鉄、バス、地下鉄などの誘発的値上げは他の諸物価にも影響し、大幅な物価上昇を招くことは明らかであります。したがってこの際、国鉄運賃の値上げを押え、全面的に公共料金の値上げをストップし、政府の断固たる物価抑制の姿勢を示すことが何よりも重要であると思うのであります。(拍手)それとともに、低生産性部門の合理化、近代化を推進し、同時に、一般物価対策費を重点的に注ぎ込むべきであると確信いたすのであります。
 反対理由の第五点は、地方住民の福祉向上に対する施策が軽視されている点であります。
 政府は、今年度の予算編成にあたって、わずかばかりの地方財政の好転を理由に、地方交付税率の引き下げなどを画策し、それが失敗に終わると、次には、地方に当然交付すべき地方交付金を借り上げたのであります。こうした措置は、最近ますます増大する地方財政需要と、重い住民税の軽減を要求する地方住民の願いを全く軽視したものといわなければなりません。(拍手)われわれは、かかる政府の措置に強く反対するものであります。
 以上、政府予算案に対し、わが党の反対理由をるる申し述べましたが、最後に、予算案と関連して見のがすことのできない重要な点を一つだけ指摘したいと思うのであります。
 それは、現在の大学問題と深く関連した管理社会における人間疎外の問題であります。かつて、ある有名な政治家は次のように言っております。すなわち、老いたる者は夢を見、若き者はビジョンを持て。ビジョンなきところ、人間は滅ぶ。現在の日本の政治には、はたまた来年度予算には、この夢もビジョンも、残念ながら全く欠けているのであります。(拍手)ここに人間の精神的荒廃と社会的混乱が起こることは必然でありましょう。したがって、今日ほど政治に夢とビジョンが求められている時代は他にないといっても過言ではないのであります。(拍手)
 私は、この点について、きびしく政府に反省を促すとともに、新しいビジョンの提示を切望いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
#19
○議長(石井光次郎君) 伊藤惣助丸君。
  〔伊藤惣助丸君登壇〕
#20
○伊藤惣助丸君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております政府提出の昭和四十四年度予算三案に対しまして、反対の討論を行なうとともに、社会党提案の編成替え要求動議についても、いささか意見を異にする点がございますので、遺憾ながら、反対を表明いたします。
 昭和四十四年度の日本経済の見通しは、前年とは異なって、かなりきびしいものになると予想されるのであります。
 そもそも、わが国が高度の経済成長を維持しながら国際収支の黒字を達成することができた最大の要因は、六八年の世界貿易が予想外の伸びを示したこと、特に、アメリカの好況にささえられてわが国の対米輸出が大幅に拡大したことにあります。しかしながら、本年は、ニクソン政権によるインフレの抑制と保護貿易の強化のため、前年ほどの対米貿易の伸びは期待できません。しかも、これは対米貿易のみでなく、他の先進諸国、発展途上国に対する貿易についても同様であります。その上、国際経済の大きな不安定要因としては、さらに国際通貨の危機をあげねばなりません。このように、日本経済をめぐる国際環境はかなりきびしくなるものと予想されるのであります。
 次に、国内経済について見るとき、景気はすでに過熱ぎみであります。設備投資の増加のテンポは異常であり、消費者物価は前年に引き続き、依然として上昇傾向を強めております。これは国民生活を圧迫するとともに、経済成長それ自体を危うくする徴候さえあります。
 さて、このような内外情勢から見れば、当然に四十四年度予算は景気に対して警戒型のものでなければなりません。ところが、予算規模は、一般会計で六兆七千三百九十五億円、財政投融資三兆七百七十億円で、一般会計の対前年度伸び率は一五・八%であり、経済成長率一四・四%を大幅に上回っております。のみならず、国有財産整理資金特別会計に見るように、予算規模の操作をしており、さらに、四千九百億円にものぼる実質赤字国債を依然として発行していることなど、まぎれもなく景気刺激型予算となっているのであります。これでは、政府の言う経済の持続的成長の確保と物価安定という二つのスローガンも有名無実と化してしまうことは明らかであります。(拍手)
 以下、私は、主要な点について論じながら、政府原案反対の理由を明らかにしていきたいと思います。
 まず第一は、財政硬直化の打開と受益者負担の原則であります。
 財政硬直化の打開は、制度、慣行などの改善による当然増経費の削減と歳入構造の合理化という二つの側面から推進されねばなりません。ところが、外部よりの圧力の結果、当然増経費の削減が不可能となり、歳入構造の合理化という名のもとに、国民負担の増大となったのであります。これが受益者負担の原則であり、食管制度、社会保障、国鉄運賃など、至るところでこの原則が貫かれているのであります。このように、財政硬直化キャンペーンに国民が幻惑されている間に、受益者負担の原則という形での国民大衆への負担のしわ寄せ、税負担の増加だけが一方的に推進され、定着化されているといっても過言ではないのであります。このような国民生活圧迫のしわ寄せには断固反対であります。
 第二は、国債発行についてであります。
 四十四年度発行額は四千九百億円と巨額に達し、公債依存率七・二七%というものの、四十三年の実質発行額四千七百億円を上回っているのであります。景気過熱を懸念しながら、多額の国債を発行して、ばく大な消費的支出を続けるということは、矛盾もはなはだしいのであります。国債発行は、本来健全財政を破綻させるものであり、やめるべき性格のものであります。わが国の財政や金融の持つ膨張主義的傾向からすれば、このような国債政策はきわめて危険であります。したがって、自然増収が大幅に見込まれる昭和四十四年度においては、二千億円の減額を行なうべきであります。
 第三は、減税についてであります。
 政府の四十四年度税制改正は、夫婦子供三人の標準世帯の課税最低限を十万円引き上げ、また、累進税率を若干手直ししたにとどまり、これは減税というよりは、当然必要な調整措置にすぎないのであります。これでは、とうてい国民の不満は解消されません。それは税の軽重の尺度である租税負担率の上昇にもあらわれているのであります。すなわち、減税したにもかかわらず、昨年度一九・三%であった租税負担率が、かえって一九・七%に上昇しているのであります。また、一兆二千億円もの自然増収が見込まれながら、わずかに千五百億円しか減税せず、その減税率は一二・五%にすぎないのであります。これは自然増収に対する過去十年間の平均減税率二二%を大幅に下回っております。このことからも、減税の規模がきわめて小さいのであります。
 さらに、現在年収百万円以下の所得者が全納税者の七〇%を占めているという事実から、所得税減税の最優先目標が、この七〇%を占める低所得階層に向けられてしかるべきであります。ところが、今回の減税は、部課長減税ともいわれ、年収百五十万円以上の所得階層に減税の恩典が厚くなっているのであります。これは所得税が富裕者重課の累進構造を持たず、大衆課税化していることを示すものであります。このような減税が続けられるならば、低所得者の欲求不満が高じて、政治不信の念がますます高まることが予想されるのであります。このような調整減税ではなくて、課税最低限の大幅引き上げ、さらに、累進税率を大幅に緩和すべきであります。すなわち、四十四年度から、夫婦子供三人の標準世帯で、課税最低限を百三十万円まで引き上げるよう改め、また、現行の累進税率を緩和し、特に中堅所得者以下の減税をはかるよう主張するものであります。(拍手)
 第四は、物価問題についてであります。
 政府は、物価安定をスローガンに掲げながら、その内容は全くないにひとしいのであります。まず、物価安定を行なう第一の条件として、財政規模の抑制が行なわれるべきでありますが、四十四年度予算においては、これが刺激型となり、経済成長のテンポを早めて、物価を押し上げることになることは明らかであります。また、最近の消費者物価上昇の動向を見ますと、食料と雑費の上昇率が圧倒的に高くなっており、その中でも米、国鉄運賃がその中心となっておるのであります。四十四年度において、国鉄運賃一五%の値上げが行なわれると、それだけで消費者物価を〇・二%引き上げる要因となり、さらに、私鉄運賃などの値上げを考慮すると、〇・三%以上も影響することになるのであります。また、消費者米価にしても、一応据え置きの方針とはなっているものの、生産者米価が引き上げられ、食管会計の赤字が増大すれば、再ば消費者米価の引き上げということも懸念されるのであります。その他、電話の基本料金、タクシー料金の値上げを考慮するとき、政府の物価安定はかけ声だけに終わる危険が強いのであります。
 そこで、四十四年度においては、物価上昇の主軸になるべき国鉄運賃値上げを阻止することが、まず物価の安定をもたらす第一歩であると思うのであります。したがって、国鉄に対しては、すみやかに経営合理化を推進させると同時に、運賃値上げを避けるために、一般会計からの補てんをはかるべきであると主張するものであります。(拍手)
 第五に、四十四年度予算では、治安、防衛関係費の増大が見られますが、これは自衛隊定員の増加、警察機動隊の増強などに具体化されております。しかし、はたして増員を必要とする事態になっているかどうか、疑問であります。たとえば、陸上自衛隊の定員六千人増員は、欠員が一万数千名もありながらの形式的な定員増加であり、納得できる措置ではありません。これでは、七〇年対策の安保予算といわざるを得ないのであります。
 さて、最近の軍事兵器の異常な発達は、わが国においても軍備拡張へとかり立てる傾向にあります。すなわち、次期主力戦闘機F4Eファントム等の国産化がこれに当たるわけでありますが、これは平和憲法を持ち、世界に先がけて軍備拡張の危険除去に努力すべき立場にあるわが国にとっては、時代に逆行する政策といわねばなりません。(拍手)わが党は、三次防予算は認めないという立場から、人件費、施設費、庁費、被服費は認めるとしても、その他は四十一年度程度で押えるべきであり、また、国庫債務負担行為による装備品の購入は一切行なうべきではありません。
 以上、本予算政府原案に対しまして反対の意見を申し述べて、全面的な編成替えをすることこそ緊急の要務であることを強く主張いたします。
 わが党は、本日の予算委員会において、以上のような政府案の欠陥を是正するために、これを撤回して編成替えを求めるの動議を提出いたしました。
 その内容は、歳入面で、政府案よりも国債発行額を二千億円削減し、減税を三千二百九十億円増加し、ほかに、交際費課税の適正化、租税特別措置の大幅整理を行なう。他方、歳出の面では、防衛庁費の削減、生活保護費の増額、出産費用の全額医療保険負担、老人医療の全額国庫負担、母子、身障者、老人、肢体不自由児対策の強化、児童手当の実施、物価対策諸費、住宅対策費、公害対策費、教育関係費、交通対策費、中小企業対策費、農林漁業対策費、科学技術振興費、沖繩援助費、地方財政強化費などを増額するというものであります。
 最後に、政府予算原案は、大衆の福祉を無視した国民不在の予算でありますので、すみやかに公明党案をもとに編成替えをすることを強く要求して、私の討論を終わります。(拍手)
#21
○議長(石井光次郎君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、細谷治嘉君外十三名提出、昭和四十四年度一般会計予算外二件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。
 細谷治嘉君外十三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#22
○議長(石井光次郎君) 起立少数。よって、細谷治嘉君外十三名提出の動議は否決されました。
 次に、昭和四十四年度一般会計予算外二件を一括して採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。三件の委員長の報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
#23
○議長(石井光次郎君) 氏名点呼を命じます。
  〔参事氏名を点呼〕
  〔各員投票〕
#24
○議長(石井光次郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
  〔議場開鎖〕
#25
○議長(石井光次郎君) 投票を計算いたさせます。
  〔参事投票を計算〕
#26
○議長(石井光次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔事務総長報告〕
 投票総数 四百三十四
  可とする者(白票)      二百五十一
  〔拍手〕
  否とする者(青票)       百八十三
  〔拍手〕
#27
○議長(石井光次郎君) 右の結果、昭和四十四年度一般会計予算外二件は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
  〔参照〕
  昭和四十四年度一般会計予算外二件を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
      安倍晋太郎君    足立 篤郎君
      阿部 喜元君    相川 勝六君
      愛知 揆一君    青木 正久君
      赤城 宗徳君    赤澤 正道君
      秋田 大助君    天野 公義君
      天野 光晴君    荒木萬壽夫君
      荒舩清十郎君    有田 喜一君
      井出一太郎君    井原 岸高君
      伊藤宗一郎君    池田 清志君
      石田 博英君    一萬田尚登君
      稻葉  修君    稻村佐近四郎君
      宇都宮徳馬君    宇野 宗佑君
      上村千一郎君    植木庚子郎君
      臼井 莊一君    内田 常雄君
      内海 英男君    浦野 幸男君
      小笠 公韶君    小川 半次君
      小川 平二君    小澤 太郎君
      小沢 辰男君    小渕 恵三君
      大石 八治君    大石 武一君
      大久保武雄君    大竹 太郎君
      大坪 保雄君    大野  明君
      大野 市郎君    大橋 武夫君
      大平 正芳君    大村 襄治君
      岡崎 英城君    岡本  茂君
      奥野 誠亮君    加藤常太郎君
      加藤 六月君    鹿野 彦吉君
      賀屋 興宣君    鍛冶 良作君
      海部 俊樹君    桂木 鉄夫君
      金丸  信君    金子 一平君
      金子 岩三君    神田  博君
      亀岡 高夫君    亀山 孝一君
      鴨田 宗一君    仮谷 忠男君
      川崎 秀二君    川島正次郎君
      川野 芳滿君    菅  太郎君
      菅野和太郎君    木野 晴夫君
      木部 佳昭君    木村 武雄君
      木村 俊夫君    菊池 義郎君
      岸  信介君    北澤 直吉君
      吉川 久衛君    久野 忠治君
      久保田円次君    久保田藤麿君
      草野一郎平君    鯨岡 兵輔君
      熊谷 義雄君    倉石 忠雄君
      倉成  正君    藏内 修治君
      黒金 泰美君    小泉 純也君
      小坂善太郎君    小平 久雄君
      小峯 柳多君    小宮山重四郎君
      小山 長規君    小山 省二君
      河野 洋平君    河本 敏夫君
      佐々木秀世君    佐々木義武君
      佐藤 榮作君    佐藤 文生君
      佐藤洋之助君    齋藤 憲三君
      斎藤 寿夫君    坂田 道太君
      坂村 吉正君    坂本三十次君
      櫻内 義雄君    笹山茂太郎君
      四宮 久吉君    始関 伊平君
      塩川正十郎君    塩谷 一夫君
      重政 誠之君    篠田 弘作君
      澁谷 直藏君    島村 一郎君
      正示啓次郎君    白浜 仁吉君
      進藤 一馬君    周東 英雄君
      菅波  茂君    鈴木 善幸君
      砂田 重民君    砂原  格君
      世耕 政隆君    瀬戸山三男君
      園田  直君    田澤 吉郎君
      田中伊三次君    田中 榮一君
      田中 角榮君    田中 龍夫君
      田中 正巳君    田中 六助君
      田村  元君    田村 良平君
      高橋清一郎君    高見 三郎君
      竹内 黎一君    竹下  登君
      谷垣 專一君    谷川 和穗君
      千葉 三郎君    地崎宇三郎君
      中馬 辰猪君    塚田  徹君
      塚原 俊郎君    辻  寛一君
      坪川 信三君    渡海元三郎君
      登坂重次郎君    床次 徳二君
      内藤  隆君    中尾 栄一君
      中垣 國男君    中川 一郎君
      中川 俊思君    中曽根康弘君
      中野 四郎君    中村 梅吉君
      中村 寅太君    中村庸一郎君
      中山 榮一君    永田 亮一君
      永山 忠則君    灘尾 弘吉君
      二階堂 進君    丹羽 久章君
      丹羽喬四郎君    丹羽 兵助君
      西岡 武夫君    西村 英一君
      西村 直己君    根本龍太郎君
      野田 卯一君    野田 武夫君
      野原 正勝君    野呂 恭一君
      羽田武嗣郎君    葉梨 信行君
      橋口  隆君    橋本登美三郎君
      橋本龍太郎君    長谷川四郎君
      長谷川 峻君    八田 貞義君
      濱野 清吾君    早川  崇君
      原 健三郎君    原田  憲君
      広川シズエ君    廣瀬 正雄君
      福家 俊一君    福井  勇君
      福田 赳夫君    福田 篤泰君
      福田  一君    福永 健司君
      藤井 勝志君    藤尾 正行君
      藤田 義光君    藤波 孝生君
      藤本 孝雄君    藤山愛一郎君
      船田  中君    古川 丈吉君
      古屋  亨君    保利  茂君
      坊  秀男君    細田 吉藏君
      堀川 恭平君    本名  武君
      前尾繁三郎君    増岡 博之君
      増田甲子七君    松浦周太郎君
      松澤 雄藏君    松田竹千代君
      松野 幸泰君    松野 頼三君
      松村 謙三君    三池  信君
      三木 武夫君    三ツ林弥太郎君
      三原 朝雄君    箕輪  登君
      水田三喜男君    水野  清君
      湊  徹郎君    武藤 嘉文君
      村上  勇君    村上信二郎君
      村山 達雄君    毛利 松平君
      粟山  秀君    森下 國雄君
      森田重次郎君    森山 欽司君
      八木 徹雄君    保岡 武久君
      山口喜久一郎君    山口シヅエ君
      山口 敏夫君    山下 元利君
      山田 久就君    山手 滿男君
      山村新治郎君    早稻田柳右エ門君
      渡辺 栄一君    渡辺  肇君
      渡辺美智雄君
 否とする議員の氏名
      安宅 常彦君    阿部 昭吾君
      阿部 助哉君    赤路 友藏君
      淡谷 悠藏君    井岡 大治君
      井手 以誠君    井上  泉君
      井上 普方君    伊賀 定盛君
      石川 次夫君    石田 宥全君
      石野 久男君    石橋 政嗣君
      板川 正吾君    稻村 隆一君
      江田 三郎君    枝村 要作君
      小川 三男君    大柴 滋夫君
      大原  亨君    太田 一夫君
      岡田 利春君    岡田 春夫君
      岡本 隆一君    加藤 清二君
      加藤 万吉君    勝澤 芳雄君
      勝間田清一君    角屋堅次郎君
      金丸 徳重君    唐橋  東君
      川崎 寛治君    川村 継義君
      河上 民雄君    河野  正君
      木原津與志君    木原  実君
      北山 愛郎君    久保 三郎君
      久保田鶴松君    工藤 良平君
      栗林 三郎君    黒田 寿男君
      小林 信一君    兒玉 末男君
      後藤 俊男君    河野  密君
      神門至馬夫君    佐々栄三郎君
      佐々木更三君    佐野 憲治君
      佐野  進君    斉藤 正男君
      阪上安太郎君    實川 清之君
      柴田 健治君    島上善五郎君
      島本 虎三君    下平 正一君
      田中 武夫君    田邊  誠君
      田原 春次君    多賀谷真稔君
      高田 富之君    武部  文君
      楯 兼次郎君    戸叶 里子君
      堂森 芳夫君    内藤 良平君
      中井徳次郎君    中澤 茂一君
      中嶋 英夫君    中谷 鉄也君
      中村 重光君    永井勝次郎君
      楢崎弥之助君    成田 知巳君
      西風  勲君    野口 忠夫君
      野間千代三君    芳賀  貢君
      長谷川正三君    畑   和君
      華山 親義君    浜田 光人君
      原   茂君    平岡忠次郎君
      平林  剛君    平等 文成君
      広沢 賢一君    広瀬 秀吉君
      福岡 義登君    古川 喜一君
      帆足  計君    穗積 七郎君
      細谷 治嘉君    堀  昌雄君
      松前 重義君    松本 七郎君
      三木 喜夫君    三宅 正一君
      美濃 政市君    武藤 山治君
      村山 喜一君    森  義視君
      森本  靖君    八百板 正君
      八木 一男君    八木  昇君
      矢尾喜三郎君    安井 吉典君
      柳田 秀一君    山内  広君
      山口 鶴男君    山崎 始男君
      山田 耻目君    山中 吾郎君
      山花 秀雄君    山本 幸一君
      山本 政弘君    山本弥之助君
      米内山義一郎君    米田 東吾君
      依田 圭五君    渡辺 惣蔵君
      渡辺 芳男君    麻生 良方君
      池田 禎治君    稲富 稜人君
      受田 新吉君    内海  清君
      小沢 貞孝君    岡沢 完治君
      折小野良一君    春日 一幸君
      神田 大作君    河村  勝君
      小平  忠君    佐々木良作君
      鈴木  一君    曾禰  益君
      田畑 金光君    竹本 孫一君
      玉置 一徳君    塚本 三郎君
      中村 時雄君    永江 一夫君
      永末 英一君    西村 榮一君
      門司  亮君    本島百合子君
      山下 榮二君    吉田 賢一君
      吉田 之久君    和田 耕作君
      浅井 美幸君    有島 重武君
      伊藤惣助丸君    小川新一郎君
      大野  潔君    大橋 敏雄君
      近江巳記夫君    岡本 富夫君
      沖本 泰幸君    北側 義一君
      小濱 新次君    斎藤  実君
      鈴切 康雄君    田中 昭二君
      竹入 義勝君    中野  明君
      樋上 新一君    広沢 直樹君
      伏木 和雄君    正木 良明君
      松本 忠助君    矢野 絢也君
      山田 太郎君    渡部 一郎君
      田代 文久君    林  百郎君
      松本 善明君
    ―――――――――――――
#28
○議長(石井光次郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後十時三十四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 西郷吉之助君
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        文 部 大 臣 坂田 道太君
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
        農 林 大 臣 長谷川四郎君
        通商産業大臣  大平 正芳君
        運 輸 大 臣 原田  憲君
        郵 政 大 臣 河本 敏夫君
        労 働 大 臣 原 健三郎君
        建 設 大 臣 坪川 信三君
        自 治 大 臣 野田 武夫君
        国 務 大 臣 荒木萬壽夫君
        国 務 大 臣 有田 喜一君
        国 務 大 臣 菅野和太郎君
        国 務 大 臣 木内 四郎君
        国 務 大 臣 床次 徳二君
        国 務 大 臣 保利  茂君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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