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1949/05/06 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第12号
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1949/05/06 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第12号

#1
第005回国会 農林委員会 第12号
昭和二十四年五月六日(金曜日)
   午後二時五十四分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○食糧確保臨時措置法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出)
○食糧管理法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(楠見義男君) それではこれから委員会を始めます。
#3
○板野勝次君 前の委員会のときに残つておつた分がありますので……その第一点は提案の理由の中にGHQ覚書に基き云々という事項があるのに対して、私は削除して貰いたいということを言つたのですが、大臣のこれに対する答弁が明確でなかつたので、重ねてその点について説明を承わりたいと思うのです。あのメモランダムは政府に対するメモランダムであつて、國会かその責任を負うのではなくて、政府に対するものである。それが恰も國会に対するものであるかのように、あの理由の中には伺えるので、これはどうしても削除して貰つて、そうして國会議員の自由な立場から審議でき得るものだ、こういうことを明らかにして貰いたいと思うのですが、大臣の見解を先ず伺つて置きたいと思うのです。
#4
○國務大臣(森幸太郎君) お手許に廻しましたのはその眞実を記録いたしたのであります。削除いたしましてもいたさなくてもその実情はよく御承知と思います。この意味において政府は提案いたしたのでありますが、これをたとえ削除いたしましてもその提案いたしました意味においては十分御了承下さることと思うのであります。勿論國会の審議は自由であります。
#5
○板野勝次君 それでは大して意味のないことならばお削りになつたらどうかと思います。削るわけには参りませんか。
#6
○國務大臣(森幸太郎君) 法文じやないのですね。
#7
○板野勝次君 一番お終いに書いてあるのです。
#8
○國務大臣(森幸太郎君) ただ提案の理由に、その原因について記録をいたしただけでありますから、これは削りましても削らなくても、その意味では御了承下さることと思います。
#9
○板野勝次君 それではあのことはどうでもいいことだというふうに解釈いたしまして、些細な問題でありますからそのことを打切りますが、前の委員会のときに今度の消費者價格の中に、米の五%、麦の三%、いも類の一〇%の超過供出をすでに見込まれておる。そうしますと農林計画の中に、すでに超過供出ができ得るものだという前提の上に立つことなしには超過供出量というものを、消費者價格の中に織込むわけには行かないと思います。大臣は一ケ年を通じての價格であるから、一應ああいつたものを織込んである。こういう説明でありました。勿論そういう予想なくしては、この数字を織込みはしなかつたと思います。米が五%、麦三%いも類が一〇%供出をなし得るというなんらかの根拠があつてなされたものに違いないと思うので、その根拠について御説明を願いたいと思います。
#10
○國務大臣(森幸太郎君) 先日お答えいたしました通り、消費者價格を再三変更することは許されませんので、明年の三月まで一ケ年の期間を考えまして、その一ケ年の期間にこれこれの事情も当然起るであろうという事情を勘案いたして定めたのであります。米が三%、麦が五%いも類一〇%超過供出があると予想した根拠という話でありますが、もとより將來に関係するものでありますから、これを予測いたしたと申上げたのであります。
#11
○板野勝次君 それではそれはなにも確実な根拠の上に立つておるのでなくして、この程度のものはあるだろうという漠然たる予想で、それを消費者の上に予め転嫁した。こういうふうに理解してもいいわけですか。
#12
○國務大臣(森幸太郎君) 今申上げました通りであります。
#13
○板野勝次君 前のときに報奬措置その他の問題が出ておりましたが、例えば報奬措置関係は月曜日になさるわけでありますか。
#14
○委員長(楠見義男君) 報奬措置ということより、第二條の農業計画の内容をなす資材、肥料、農器具、農藥、資金計画というものが、この臨時措置法の運営上の根本の問題になりますから、月曜日にその問題をやつて頂いて同時に現在そういう資材の取り扱方等について、例の農民十六原則に反するようないろいろの差別的な待遇等もあるようですから、その問題も取上げたいと思います。
#15
○委員長(楠見義男君) 報奬問題については、そのときでも結構ですし、今農林当局も全部おられますから、今やつて頂いても結構だと思います。
#16
○板野勝次君 それでは私この前お願いしている点は、このスキヤツプに基く報奬措置と金融の問題は別ですから、二十四年度の食糧の需給見通しをこの前お願いして置いたので、これは前に農林大臣は御自身がこの法を審議される場合におきましても、そういう需給見通しなしに、こういうものの審議はでき難いとも言つておられたので、私はその点には同感なんです。どれだけ食糧を確保する、どうすると申しましても、本年度の食糧需給見通しなしには問題が具体的にならないので、その二十四年度の食糧の需給見通しと、それから第二に報奬措置の問題と、第三には食糧の最大限確保に関する諸措置の継続と、こういうような具体的な内容について、私は責任ある農林大臣の立場から説明をして頂きたいと思います。
#17
○國務大臣(森幸太郎君) 食糧の確保につきましては、いつか板野さんの御質問にお答えいたしたと考えておるのであります。これは御承知の、漸くアメリカの國会も七月から開かれるのでありまして、この七月から開かれる國会において実際に決定されるのであります。いろいろ予想はされておりますけれども、まだ確定はいたしておりません、二十四年度米穀年度におきましては、百八十五万トンの食糧を輸入されるという予想の下に、而も現在種を下ろしておりまする苗代からできる米、これから早場米としてこれを提供いたしまして、その残りのもの、明年播きます麦等を予想して行くのでありまするが、併し格別の天災地変のない限り、大体年々の收量というものは把握できますので、その把握の下に今日の配給が、百八十五万トンの輸入を許されるならば完全にこれができる。こういうことを申上げたのであります。尚今日麦の予想も立つておりますし、ここ二、三日いたしますれば、或いは確定をいたしておる予想数字が発表できると存じますが、今日お答えすることは先日、お答えいたしたと同樣であることをお許しを願いたいと思う。
#18
○板野勝次君 今の問題は後からですか。
#19
○委員長(楠見義男君) 今でもいいですよ。
#20
○板野勝次君 農業計画の中にも二十四年度需給計画の中において、報奬措置を公表するということになつておりますので、ここへ出て來ておるのが……
#21
○政府委員(安孫子藤吉君) 報奬措置のうちで最も重要な問題は、一つといたしましては報奬金倍率の問題があるわけであります。本年は米については三倍、米麦については三倍、甘藷については二・二五倍、馬鈴薯については二・五倍の超過供出に対する報奬措置を講ずる、これを二十四年産米並びに本年の麦について如何ように決定するかという点を只今司令部と折衝いたしておりますが、まだ確定の域に達しません。それでもう暫く時日を必要とすると思います。恐らくはこの國会中には何とか間に合うのではないかというふうには思つておりますが、そういう状態でありますので、只今はつきりした御返事ができないようなわけです。それから供米関係についての報奬措置といたしましては、リンク物資の関係がございます。これも最後的決定には至つておりませんが、概要を申上げますると、これは資料にも一部書いてあるわけでありますが、織物につきましては、これは全部綿織物をリンク物資として出す予定であります。二十三年の米、甘藷については九百二十五万一千反でありましたものが、二十四年は只今のところ九百七十万反という予定でおります。從つて四十四万九千反の増、それからタオルは昨年なかつたのでありますが、二十四年におきましては四百七十万本という計画でおります。手袋の方は昨年二百二十二万三千双でありましたが本年はこれがなくなり、地下足袋が二百八十万七千足、これは本年は三百六十二万四千足、ゴム靴は昨年二十万、今年も二十万という大体計画をしております。線製品並びにゴム製品につきましては、昨年よりも良い措置を講じて参りたい、かように考えております。
#22
○板野勝次君 それでは農林大臣にお伺いしますが、報奬措置、奬励措置のうちの米麦等に対しまして、あれは何倍かで買うということなんですね、何倍かで買うということは私は本当の意味での報奬の措置、奬励の措置ではないと思うのですが、それよりも実際に價格の面において、生産者が満足するような價格をつける。これが本当の意味での報奬の措置になるのじやないか、いろいろ報奬物資についても今言われましたけれども、これは結局そういうもので釣つて行くと、こういう形になるので、再生産資材を全体として確保し、同時に農産物の價格が適正なる値段で作られて行く、これが相当の意味での報奬の措置漿励と思うのですが、この点についての大臣の見解を伺つて置きたい。
#23
○國務大臣(森幸太郎君) 米價の適正化ということは随分議論があるわけでありまするが、現在の事情といたしましては、本年七月に或いは十一月におけるパリテイ指数によつて決めるということが今日の場合妥当と考えております。報奬物資により供出を釣るというような、そういう氣持は政府は持つておりません。今日農村が非常に苦労をして生産しておつて呉れるのでありまするから、その労に報いる意味におきまして、できるだけ農村に間に合う品物をお礼の氣持で出したい。別にただ差上げるわけでありませんので、農家が欲しいと思われる品物をたやすく公定によつて入手できるような手配をいたしたい。從來作業衣のごときもこれを仕立てまして、加工して配給いたしておつたのであります。又原反で配給いたしましても化学藥品によつて、化学染料によつてこれを染色して配給いたしておつたのでありますが、御承知の染料関係等より思わしき染色もできませんし、又農家におきましては、これは農村で水に浸り、土に塗れる作業衣でありまするから、染料関係から非常に耐久力を弱めるというような点も考慮いたしまして、今年からは白地原反でこれを配給いたしたい、かように考えておるのであります。決して報奬物資によつて農家を釣るとか何とかいうような氣持は毛頭考えておらないのであります。
#24
○板野勝次君 私は何も農林大臣の前の言葉尻を捕えたくはないのでありますけれども、今大臣の答弁によりますと、農民を釣るのじやない。或いは又米價の改訂についても七月に改訂をする品物について、何ら大臣自身が現状についての抱負を語つておらない。前あなたは食糧確保臨時措置法案に対して政府に質問されたときにこのことについては次のように言つておられる。簡單な部分だけ引用いたしますが、政府はこの供出に対してどういう奬励の措置を講じておられるか。農林大臣は供出以外のものに対しては三倍で買う、そういうようなことを一つの措置だ、こういうふうに考えられておりますが、そんなことでこれが奬励の措置と私は言えないと思う。こういうふうにも言つておられますし、むしろ私は價格の面において生産者が満足するような價格にして、そうして報奬物資で釣る、というと語弊があるかも知れませんが、そういうことは改めたらどうかということを言つておられると思うが、この点は、眞に農民の声でありますし、私も森農林大臣が曾て食確法審議の際に言われたことの短い言葉の中には、切実な氣持が滲み出ておる。今尚農林大臣はその價格の問題と言い、報奬令資等につきましても、非常に変化を見たとは、パリテイ計算の場合におきましても、報奬物資の具体的な内容におきましても、あなたが農林大臣になられた以後において立派な状態になつておるとは考えられない。それなのに、今現状について頗る満足そうな回答、若しくは將來について変つても、七月になつたらやろうと思う。その程度でありますが、この前に農林大臣をあなた自身が追及されたときと今日と果して農産物価、報奬物資等の状態がどういうふうに改善されたとお考えになつておられるか。又若しも満足な状態ができていないというのならば、一歩讓つて、七月にはどのような内容において價格を改訂されるか。この点について承わりたいと思います。
#25
○國務大臣(森幸太郎君) 私の氣持は去年も今年も変つておりません。報奬物資に対しての氣持は、昨年以來におきましては、誠に農村が報奬物資の名によつて自分の迷惑するような物が配給され、非常に迷惑をいたしておつた過去を知つております。それでありますから、できるだけ農村の必要なものを、而も先程お読みになつたように、報奬物資によつて供出を釣るというような、そういう氣持を除いて、本当に農村に対する感謝の氣持を以て適当な品物を贈りたい。こういう氣持であります。お読みになりました私の曾て申上げたことと少しも変つておりません。又農産物價格に対しましても、決して今日のパリテイ計算を理想とは考えておりません。併し生産原價につきましては、いつかも申しました通り、必ずこれは議論百出し、意見がまちまちであつて、統一できません。これは恐らく板野さんがその衝にお当りになりましても、適正な生産費をお生み出しになることを私はできないと思う。それでありますから、四囲の事情、いろいろの関係からパリテイ計算によらざるを得ないという氣持で、今日は米價を來たるべき時期において、その当時のパリテイ指数によつて決めて行きたい。かように考えておるのであります。尚報奬物資を、超過供出を三倍にしたということは、必ずしも私は妥当とは考えておりません。併し予算等の関係があり、消費者價格等の関係もあり、私もいつか申しましたごとく、今日の供出制度は、これはいずれは根本的に改めなければならんという一つの信念を持つておるのであります。然らば如何にしてやるかということを今具体的に申上げる時期に達しておりませんけれども、今日の段階におきましては、今日定められたる制度をできるだけ活かして行くということより途がない。かように考えておるわけでありまするから、さよう御承知をお願いいたします。
#26
○板野勝次君 今私達の場合について言われましたが、我々は勿論パリテイの計算方式よりも、生産費の計算によつて、地域的な差は地域的な差として正当な算出の方法、こういうことが考えられると思うのです。このことは私は申しませんが、農林大臣が米價が適正でないということは大臣自身もお認めになつており、先程私が速記録を引用した点についても認められている。ところが今度パリテイの指数に基いて米價を改訂されるという中には、パリテイ指数の中に盛られているいろいろな品目について、何ら改善されようとするのじやなくして、過去からずつと追つて來た指数の、ただ上り方だけを見て、今度の米價を改訂する。農産物の改訂をする。これではあなたが食糧法審議の際に言われているような正当な米價はどうしても出て來ない。いろいろ議論はあるでしようけれども、パリテイ計算の具体的な内容をもつと分析されて、そうして品目等についても多く品目を見て行く。そうして妥当なパリテイの指數を出す。こう言うのならばまだ一歩讓つても話は分るのですけれども、ただパリテイ計算上、今まで挙がつて來ている指數だけをそれの中に含めるということであつたなら、今までの米價がもうすでに安いということは農林大臣自身が御承知だと思う。その点を、その安くてどうにもならないという部分、それをパリテイ計算の中に盛り込んで行つて改善される御意思があるかどうか。余り一人だけで質問を重ねておりましても御迷惑でありますからその点だけはつきりお示し願いたい。
#27
○國務大臣(森幸太郎君) 勿論御意見のような氣持によつてパリテイ指數を作りたいと考えております。
#28
○岡村文四郎君 板野委員が大分御質問になつて、重複する部分もあると存じますが、私は今後の臨時措置法の一部改正は、農民にとつて実に重大なことだと考えておりますから、細かくは入つて参りませんが、概畧のお尋ねをして置きたいと思います。臨時措置法の一部の改正は、我が國現在の農民経済の立場から見て実に重大なる影響があると考えられるのであります。大臣はいろいろ御心配になつておられますから、單なる今まで措置を講じておりました食糧確保の普通の処置ではいかんと思いますが、どうお考えになつておられるかということを一つ。それから二番目は、食糧確保臨時措置法の一部の改正がスキヤピン連合國司令部の指令に基くものであり、又九原則具現化に当り、一部改正を行わねばならぬことになつておるのでありますが、スキヤピン指令にしても、九原則の実現にしても、日本政府として供出、経荷、配給を確保するためにしても、経済自立の安定にしても、先ず以て一番大事なことは、生産の増産が第一でなければスキヤピン指令も九原則の具現も効を奏さず、提案の一部改正も空文に近いものとなりはしないか、という虞れを多分に持つものであります。政府はこれに対する対策、裏付けは十分にお考えになつておらなければ前申上げましたようなことになると思います。変つた点がなくてはならんと思いまするから、そのお示しを願いたいと思います。
 それから次は先般委員会で板野議員のお尋ね答に、今年度の予算では農業に対する種々の予算、それが取れなくて誠に遺憾ながら政策が十分に行うことができないようなお話に承わりましたが、農民の生産意欲は金でのみ増進するものではないと確信いたしております。金の裏付けがなければ眞劍な生産、増産計画を考慮すれば、確かにそれが達成されると思うのであります。單に今までやつて参りました金で釣つたり、物で釣つたりするというようなことでなく、本当に我が國の農民は心から重要な職場であり、是非こうせなければならんというような対策を政府がお立になるならば、必ずそれは実現するというふうに考えておりますが、それは如何でありますか。
 それから四番目は、板野議員が十分御議論をされておりまして、重複いたしますが、日本の農業者の食糧生産物は、パリテイ方式によつて價格を決めて來ているのでありますが、若しパリテイ計算によります公定價格で農家が全部供出をいたしますと、農家の経営は赤字で成立たない立場にあることをよく御承知であろうと存じます。これをいつ迄続けられるのか、いつ迄続けなければならんのか、一刻も早くその方向に大努力をして貰わなければいかんし、我々も努力いたしますが、その点はどういうお見通しになつておられるかどうかお伺いしたいと思います。まだありますが、先づこの四点だけで……
#29
○國務大臣(森幸太郎君) 旭村さんにお答えいたします。総合してお答えいたしたいと思いますが、農業生産が必ずしも予算第一主義ではない、金をやつたから必ず増産できるという意味ではないという御意見でありますが、誠に御尤もなのであります。併し政府といたしましては、できるだけ農業生産が確保されるように、農民の希望に應えて事業を行うという意味から、予算の増加を考えたのでありまするが、いつかもお答えいたしました通り、十分なる予算が今日の事情では許されない、これは甚だ遺憾に存じます。併しながらお話の通り金をやつたから必ず増産ができるという單純なものではありませんので、私は甚だおこがましい氣持でありますが、行政される者の氣持で行政をいたしたいということを、就任当時省内の各位にもお願いいたしたような次第であります。言葉が惡いかも知れませんけれども、行政される立場からよく考えて行政しなければならない、いわゆる農業生産者の氣持になつて農林行政を行なつて貰いたいということを下僚にも依頼し、私もその氣持でやつて行きたいと、かように考えているわけであります。どうぞ皆さんにおかれましても、そのお氣持で農林行政についてのいろいろの御指導をお願いしたいと存ずるのでありますが、食糧増産の手段が、今回食糧臨時措置法の改正に基いて、泡を喰つたようにああもしなければならん、こうもしなければならんというようなことはない筈であります。日本は一日も早く食糧の自立を計らなければならんという立場は、敗戰後一日としても決して忘るべからざる事柄でありますので、その当時以來の農林行政に携わつている政府といたしましても、この点はいいか、あの点はいいかと、いろいろの農業政策を考えてやつて來ているのでありますので、今直ちに食糧を増産するについて、或いは覚書をつきつけられたから泡を喰つて今まで片づけて置いた農業政策を探し出して出すということはあろう筈はないのであります。從來やつて來ました農業政策もできるだけ無駄を省き、そうして能率も上がるようにして行くということに專念するより途がないのではないかと、かように考えておるわけであります。又農家の收支問題でありまするが、これは御承知の通り輸入食糧に比較いたしまして誠に格安になつておるのであります。併しこの点はガリオア物資でありますから、御承知の通り直接金を支拂うわけでありませんけれども、日本の農産物に比較いたしまして、それだけ外國の食糧が高く日本より評價されておることになるのであります。この評價そのものを日本の食糧に当て嵌めますれば、非常に食糧が高くなりまして、そうして直ちに生計費に響きまして、労賃との問題もあり、三原則に牴触するということになつて來ますので、政府といたしましては、すでに発表いたしました通り三原則に基いて労賃を、或いは諸物價を現状において据え置くという方針を取つたのであります。この氣持から今日の農業者が收入の上において惠まれていないということはよく承知いたしておるのでありますので、肥料の生産價格においてもできるだけこれをコストを下げさせるように努力を拂つて安い肥料をやる。農機具におきましても今商工省に所管いたしておりますが、これを農林省が所管いたしまして、そうして眞に農機具の適切なものを作る。そうしてできるだけ安くこれを農業者に支給して行くというふうに、漁業方面においてもその通りでありますが、資材等の問題についてもできるだけこれを安く、十分に再生産のためにいたしたい。かように考えておるわけであります。
 尚一面におきましては農家というものは商工業者と違つて甚だ経理に無関心なのであります。それでありますから自分のやつておる農業経営が果して合理的であるか。何処に欠陷があるか。何処に是正しなければならん点があるかという点を、氣付かずしてやつておるのが今日の農業経営の情勢であります。それでありますからこれを全然企業体と認めるわけでありませんけれども、少くとも自分の経営いたしておる農業がバランスの上においてどう響いておるか。どういうふうに現金を出しておるか。現金がどうなつておるかということを大まかでもこれを知らしめるということが必要であり、一面には納税の面におきましても、強く自分の担税力を認織するという裏付けともなりますので、今年からはこの標準的な農家を定めまして、そうして簡易な簿記法によりまして收支面をできるだけ明らかにいたして行きたいという努力を拂う積りをいたしておるのであります。尚生産主義につきましては、何をおきましても生産が第一主義でありますので、食糧確保の上においても、その生産の面につきましても、先程申しました通り、ただ予算にこういう事情で統制するという意味でなしに、本当に農業者の氣持になつて農林行政を行う。そうして増産を心から協力して貰うようにいたしたい、かようにいろいろ考えて行きたいと思つておるわけであります。
#30
○岡村文四郎君 私が今まで心配いたしておりましたのと、大臣のお話になつたこの心配の度が違うわけであります。生産計画によりまして我々の供出は、これは幾つか目標が決まつておりますから、それで邁進をすればことさら何もさまげたように騒がなくても宜いと思つております。今度の狙いは非常にむつかしいのであつて、私をして言わしめるならば、何もこういう法の改正をしなくたつて、これを十分に行けると考えております。と申しますことは、法が制定しましてから本格的に実局をしたことはないのであります。そこでそれを変えることには深く意義があつて、二十三年度の起過供出も法にも何にもなかつたのですが、大体このくらいの見当で農林省の案を立てられて、そうして起過は取上げております。併しながらこれをちやんと法を根拠にして非常にむずかしい、非常な非惨な目を農家に遭わせることが一体ありわせんかという心配が非常に多いのであります。そこで何らかの措置がなければ、若しこのままで行きますと、飛んだことになつて、そうして農家の中にはみすみすと受ける者は、これが非常に損がありまして、非常なことになりわせんかという心配が多分にあるのであります。こうなりますと、御承知のような労働法規の改正で非常に騒いでおりますが、百姓はこの恐ろしい先の暗い、何か分らん法律を作られておるに拘わらず、何も言うて來ておりません。併しながらそれの代表をしております我々は決して安閑としていることができないので、この法律に恐ろしい意味が出て來わせんかということを非常に心配しますから、どこまでもこれを十分に納得の行くように、場合によりましては定らない部分までも法文を加えて貰つた置かなければ、納得の行かく農民に対して我々は申訳ないと考えております。心配の度が違うわけなんです。その点は大臣どうお考えになつておられるか。
#31
○國務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。決して私心配いたしていることがあなたに負けるわけではないのでありますが、こういうふうなことをしなければならないということ自体が、甚だ立案者といたしましては心苦しいのであります。これがお話の通り二十三年度におきましては、事前割当をいたしまして百三十万四千石の追加供出を自主的に御依頼いたしましたところ、いろいろ末端においては勿論事情もあるように聞いておるのでありますが、とにかくこれが完納して頂きまして、非常に政府といたしましては面子を施したわけでありますが、いつかも申しました通り日本に食糧を與えておるそれがために、アメリカの國民は平均一ドルの納税が高つて來たというような情勢も傳えられておりますので、そういうふうにしてまで日本が敗戰國としてある日本に対して、アメリカは戰勝國の意味において、これを何とかして早く独立さしたい。これだけの犠牲を拂い、これだけの國民の負担をして日本に食糧をやつておるにも拘わらず、秩序を紊すような米の動きがあり、而も傳えられるごとく、或いは現に連合軍も目に余る程見ておるのでありますが、そういうふうなことでありますが、そういうふうなことであつては甚だアメリカ國民の好意に対しても日本といたしましては申訳がないのであります。それで若しそういう余裕があるならば起過供支をして貰う。であつてもいいが、アメリカがそこまで犠牲を拂つておるのだから、若しそういう場合においては、これを法制化して日本國民が、日本の農業者がそれだけの国家的に義務を盡して貰うようにしたらどうか、こういう氣持の指令であつたと思うのであります。もとより事前割当をいたしまして、それで非常に作柄も相当に参りまして、そうしてあちらにもこちらにもその事前割当が完納ができるよう、その完納を阻むような天災等もなかつた場合におきましては、或いは起過供支ということも法制化いたしておりましても、これを敢て実紙せなくてもいいのではないかという年柄も來ると思うのであります。若しも事前割当をいたしましても、天災地変の多い國でありますのから、或いはこれを補正しなければならんというような場合になりましたときに、仮にの天災を受けない土地が余裕綽々としておつた場合に、そういうものを喜んで出して貰い得るか、或いはそこは法制の力によつて或い一定量出して貰うかという段階に入るかと思うのであります。私は必ずしも事前割当が妥当であり、そうして何らの故障なくして供出が完納し得られるならば、今日二合七勺の配給をいたう上において、この法律によつて起過供出を敢て行わなくてもいいのではないかと思うのであります。
 併しながら食生活は一日々々と向上して行きたいという氣持を持つておりますので、成るべくならば二合七勺の配給を二合八勺か、或いは二合九勺にして行きたいというのが理想でありますから、その場合におきましては或いは土地柄によりまして起過供出をお願いして、そうして或いはこの増配等のことも考える時期も來るのではないか、かように考えておるのであります。ただこの法を決めまして、そうして、何らか無理に取上げるというような氣持は毛頭あつてはなりませんし、さような氣持は起してはならないとかように考えておるのであります。これもアメリカにああいう迷惑をかけております立場から、日本といたしましてはこの程度は忍んで行かなければならんのではないかと、かように考えておるのであります。
#32
○岡村文四郎君 大臣のお話はよく分りますし、私も同じ百姓でよく分りますが、農家の一番、何と言いますか、助かつておりますのは、この割当られたものと、その差のあることが大事なのだと思います。私の家は十二町八反作つております。毎年七、八万の赤字を出しております。それで何をするかと聽いて見ますと、全部公定價格で賣つておりまして、一合の米も賣つておりません。それは情無いかな、親がつまらんことをやつておりますために、批判の的になつてはいけないという心配からやつておりますが、若し大臣のお話のように、連合國から食糧を貰つて食うことは、これは敗戰國とはいえ実にいかんことであり、申訳けないことであつて、私共は一日も早くこのことがないことを願つておりますが、今のところはそう参らんので、止むを得ず多大の犠牲を拂つて頂いておりますことは、衷心から感謝をすることは当然であります。併しながら政府の見た、我々の考えたものしか若しないとすれば、これはこんなことではおさまらんと思つております。そこで正す方法がいろいろあるのでありますが、誠に目に余るような闇が横行して、そうして今日まで來たのでありますが、それがために日本の農家が助かつておることも事実であります。併しながらこれを法制化して、そういうことのないようにすることが最も明るい仕事で、百姓自身もそれを喜ぶと存じますが、大臣がおつしやるように、若し幸いにして起過分があつてもそれを出せと言わないでも、日本の食糧がおさまればこれは結構でありますが、私はそういうことはあり得ないと思います。先ず当分あり得ないと思うから、先ず起過の分があることを目当てにして、それを出さなければならんことを目標にして審議することは建前であつて、若し不幸にして風水害その他の被害によつて、恐らく不作、凶作が参りますと、これは誠に遺憾でありますが、そうでなくても確かにある、出して貰わなければならんということは一体お考えになつた方がこの際妥当であるし、そうなくちやならんと思うのですが如何でしよう。
#33
○國務大臣(森幸太郎君) 超過供出という名前がどうかと思うのでありますが、米穀の食糧の需給推算を樹てます場合においては、超過供出ということを考慮に入れずして需給推算を樹てまして事前割当ができているのであります。この後の情勢によりまして当初事前割当いたしましたのが完全に入りませんという事情、若しくは増配をいたしたいというようなことを考えた場合に、この超過供出というものを要求するのでありますが、この法律に決めましたからと言つて、法律に定めなければ超過供出をしないという今日の農業者は恐らくないと思います。いずれでも賣れる自由を許されていないのでありますから、自分が事前割当を出して、そうして尚自分の食糧を自家用を見ました場合において、尚余剩ありという場合においては法制化されてあろうとあるまいと、これは供出をして貰えることと思うのであります。ただそれが御承知の通り税関係がひつかかつて参りますので、今農林当局といたしましては、この政府の方針として、何とかこの超過供出に対する課税問題がうまく解決ができ得ないかということの研究を進めておるのでありますが、まだ結論にまで達しませんが、農業者の立場で行きますと、現在俗に言う闇の相場が所によりましては一升八十円というところもあります。或いは二百円のところもありますし、百円のところもありまして、必ずしも政府の今買取つておりますマル公の三倍というところまで達していない闇相場のあるところは沢山あります。併しそれが何故三倍に政府が買うにも拘わらず出て來ないというのは、これは人情の機微と申しますか、課税問題が関係して來ておるのであります。それでありますから何とかしてこの課税問題が円満に解決いたす方法がないか、政府は非常に今研究を進めておるのであります。これは余計なことを申上げて失礼でありまするが、例の無記名定期預金というのがあります。これは課税が六十割になつておるのであります。御承知の通りこれは総合課税から脱却いたしまして、誰が定期預金をしているか分らないということによつて、高い課税をいたしておるのでありまするが、この今日の日本の事情といたしましては、收入のあるものは納税しなければならん責任、義務がありますが、この超過供出に対しても何とかいい方法によつて総合所得に関連を持たないような課税方法はないかということを考えておりますので、若しこういうことができますならば、敢て法制化しなくても今日の事情から申しましても、超過供出がおのずから実現して來るのではないかと、かように考えているのであります。成るべくそういうような方法によりまして、法によつて出させるという意味ではなしに、自分が余つたらこれを超過供出してやるという氣持で農業者が協力して貰うような方法に考慮を拂つて行きたいと、かように考えて折角努力をいたしておるような次第でございます。
#34
○岡村文四郎君 もう一点、沢山御質問の方がありますからこれで御質問を止めますが、大体大臣のお話が私の考えておりますることに入つて來るようでありまして、一体お話のように超過供出そのものの名のつけよう、言葉がいかんのでありますが、今のところ止むを得んのでありまして、超過供出と言われておりますが、出してもいいし、そう出さなくてもいいというのが今日の現状であります。そこで今大臣のお話のありましたように、先ず以て恐いのは税金であります。それから出しても何にもならんことになるという虞れと、若し二十三年度に非常に恐れたことでありますが、超過供出をしたらいいのだろうか、しなければいいのだろうかというので、農家は二の足を踏んだのが多いのでありますが、政府がマル公の三倍に買つて呉れるからというので、まあ出した方がよろしいというので、あの成績を收めたと考えております。どうぞ前に申上げましたような、予算が取れないから処置ができないとか、金がなければ処置ができんとか、ものがなければ処置ができんということはなくて、沢山処置があると思いますから、又あとからここへ入つて参りますが、今大臣のおつしやつたような氣持で農林省の努力によつてその実が十分に結ぶようなことにお考えを願つて置きたいと思います。書いてある部分そのものは簡單でありまするが、実は若しこれがこのままで決まつて超過供出をする分は食糧事情によつて一部保有を認めると書いてあります。一部といつたつて何にもパーセンテージも分りませんし、超過供出も分りませんし、これがこのまま通ると何にも分らん百姓がこれを見ますと、非常な脅威で本年の秋作を迎える前に実に暗い氣持で收穫すると思います。これはそうならん先に政府の方でこういうふうにするのだ、ああもするのだという、処置も一刻も早く処置すべきだと考えております。その点十分御考慮を願つて置きます。
#35
○星一君 一体私は農林行政の一大革新を要すると思います。農林省の仕事は有機性であります。そうして商工省の仕事は大体無機性であります。この有機性を取扱つておる農林省は、これは総合的の働きをするものであります。ここでは無機性を取扱う事業の省のように專門に分業になかなか行かないものです。それですから農林省は有機性だということを知つて、生産も分配もすべて総合的に関係がある仕事だということを知つて貰つたらば、私はここに農林行政を改革をして大きなことをできると思います。肥料でも何でもなぜ農林省が作らんか。資材がなければ商工省から貰つて來ても何でも作つて、そうして有機性で作つたものを商品化する。例えばアルコールにしてもなぜ農林省がやらんか。ここに有機性、無機性を考えて、それで無機性でやつておるような、いわゆる專門分業、そこにあるような法律を有機性を取扱う農林省で以て作るということが私間違いと思いますから、ここに根本的にこれを考えて貰えたら……幸いに私は百姓の生れですが、この間までは税務署の金融機関の方の委員をしておつて、初めてでありますが、とにかくこの農林の方には幸いによい委員長があつて、皆が熱心にやつている。だからこの熱心を以て、又幸いに大臣も次官も熱心にやつている。ここに根本的に我々の取扱う有機性か、無機性か。この有機、無機の原則に立戻つて、ここで行政整理を私考えて貰つたらば必ずこれは立派に行くと私は思います。なぜかと言えば、この有機性の生産はなかなか無機の取扱のように行きません。太陽と協力するのだから、朝早く起きて夕刻遅くまでもやるのだから、この根本をよく知つて欲しい。私はこの間中から大体考えておるのに、日本の行政機構の考えも無機か有機かというまでに深く立入つて考えて行くときに大きなそこに革新ができると思います。だから今この食糧の増産といい、配給といい、この無機、有機を考えて、そうして有機性の方は、今まで日本の法律というものは大体無機性の方から出て來たように私思います。專門分業で行つておるのだ。しかし有機性の方の、農林省の方は私は有機性であるから一つこのことを大臣も考えて、そうして皆も考えて一つアメリカから世話にならずに、我々が食糧を自給自足できるように一つお願いしたいと思います。これは希望でありますからお願いします。
#36
○板野勝次君 簡單ですから……前の委員会のときに農産物の最大限増加に必要な措置の継続、農民に対して報奬措置を講ずること。こういうことに対する政府の今の施策案というものがここに配られた文書なんですが。
#37
○委員長(楠見義男君) いや、それはさつきも私が要望したように、一應農業計画を達成するに必要な食糧確保臨時措置法の第二條の資材であり資金であるわけなんです。從つて一部は該当して、今の施策案に該当しておるかも分らんが、全体として去年食糧増産についてどういう施設をやつたか。今年はそれがどういうふうに変つておるかという資料が欠けておるから、それを至急に出してくれということをさつき農林省の方にお願いをして置いた。從つて今の御質問の点は一部はこれに含まれておるけれども、他の部分は含まれておりませんから、新らしい資料によつて御判断を願いたいと思います。
#38
○板野勝次君 それは至急に出されるわけですね。
#39
○委員長(楠見義男君) そうです。それからもう一つ報奬の問題はリンク物資のが一つ、それから報奬金の問題が一つ、去年並みに考えて行けばですね。リンク物資については先程食糧管理局長官から口頭で麦類その他についてお話になりましたが、これはまだ決つておらんという点、これは至急決めて頂いて、これは前年度との比較を出して貰う。それから早期供出奬励金とか、超過供出奬励金とか、そういうようなものも、これは先程のお話で行けば大体今会期中に、法案が審議される間に大体決ますだろう、目下G・H・Qと交渉中だというお話であつたから、それも決り次第こちらの方に報告して貰いたいということなんです。
#40
○板野勝次君 それでこれは委員長の方にお願いするのですが、そういう具体的な問題が中味なしに紙の上のものばかり審議してもえらいことになると思うのです。どうしてもそういう全貌を明らかにして貰つての委員会でこの法律を審議する。そういうことが最も必要じやないかと思います。
#41
○委員長(楠見義男君) その点は同感です。
#42
○板野勝次君 そういう方向に是非一つ進んで頂きたいと思います。
#43
○池田恒雄君 私は法律の條文の中ではなく、一つの前提としてお伺いして置きたいのですが、それは今度の法律の改正は、大体において超過供出ということが問題になつて、そこから発展して來ておる。そこでこの超過供出ですが、一体これは超過供出というのは、つまり理論的なものではなくして、約束の上に成立しておるものですから、私はこれに対してどうこうというのではありませんから、大臣もその含みで話をして貰いたいのですが、つまり事前割当をやるわけですね。そうすると事前割当の数よりも多く取れた部分が超過供出として出て來る。こういう分り切つたことですが、そういうことになるわけですね。ところがこれは分り切つたことですがその数量、つまり事前割当で二石と割当てた。ところが二石五斗取れた。この五斗の部分が超過供出となる部分である。こういうことになるのですが、この数量の差というものは一体どのくらいに置くのか。これは私は理論の問題ではなくして、約束の問題じやないかと思うのです。この点を明らかにしなければ法律はなかなか審議はむずかしくなると思うのです。
#44
○國務大臣(森幸太郎君) 先程お答えいたしましたので、今お話のように超過供出、これはちよつと変な考えになつて來たわけですが、法制化しますとまあ補正再割当と言うた方がええのじやないかと思いますが、一應超過供出があるものと予想して事前割当をする。それじや事前割当だけじや需給推算が立たんじやないか。そうすれば或る程度百万石なり、百五十万石というものを後から追足して貰うということを予想して需給推算をしなければならんという理論になるのでありますが、先程も申しました通り、需給推算を立てる場合においては、大体從來の供出の事前割当については相当議論もありますが、とにかく一應事前割当をいたしまして、そうして需給推算を立てるのであります。それが御承知の通りのまだいずれか未知数のものを掴えての割当でありまするから、その途中においていろいろの変化があり、いろいろの事情が変つて來るというようなことで、事前割当ではどうも十分に行けないというような氣持を想像されるときにおいて、何と申しますか、事前割当から余裕のある人に替えて供出をして貰うというのなれは、その超過供出を需給推算の中へ織込んで行かなければならんというような理論が出て來るわけで、それは先程板野さんの御質問のように、それならば消費者價格において、米において三%、麦において二%、「いも」類において一〇%の超過供出、いわゆる三倍に買上げるということを見込んで決めているのじやないかという理論が又そこに成立つわけでありますが、これは若しそういうふうなことがありましても、消費者價格に異動を起さないような大凡の見込を消費者價格の方に織込んでおるわけでありますが、需給推算の上におきましては何ぼ超過供出して貰うということは予想でき得ないのであります。予想して需給推算を立てるわけではないのでありまするから、その年の経過の状況によりまして、これは一部において非常に事前割当が困難である。補正せなければならないという場合が生じたときに、一方においては事前割当より作柄状況から、四囲の環境から見まして余裕のあるということを見た場合において、そういう方面から超過供出をお願いする、こういうふうに、何と申しますか、事前割当の補正供出を法制化によつてやれるとでもいつた方が妥当ではないかと思いますが、從來超過供出、超過供出ということで前から超過供出という言葉を使つておりますが、氣持はそういう氣持であります。
#45
○池田恒雄君 只今大臣の説明でありますと、大体事前割当の数量とその秋における実際の收穫量というものはそう開きはないというような、まあ技術的な立場に立つて割当をして、そうして米の需給を計画するという工合に了解してくれ、こういうふうに私共は伺つたわけです。それからそれに続きまして更にここでお伺いしたいのは、これは大量観察の場合と個別観察の場合では違うわけであります。個別の観察と申しますと、大体過去の実績等から見まして、その秋の收量というものは大体掴めるわけです。でその春において掴み得る收量を仮りに事前割当にしたといたしますると、その秋においては実際の收穫はそれより減りましても、殖えましても、そう多いものではないとこう考えられるのです。それからやや個別観察と申しましても、或る程度の農業経営の集團を掴んで観察いたしましても、この場合でも私はそう大きい開きは持つて來ない、こういうふうに見るのであります。そうでありますと、これは超過供出というものは全然議論になつて來ないのじやないか。それで超過供出をお願いしてそれを三倍買上げをやる、こういうことを申しますが、それはまあ事情を聞きますと、今までの説明では超過供出するには相当経費を掛つているし、農家は丹精しているのである。從つて二倍なり、三倍で買上げてやらねばならんということを申すのでありますが、私は二倍だろうが、三倍だろうが、賣出す程の米は事前割当以上穫れはせんと、こう思うのであります。普通の状態では……從つてここではそういうことが問題になつて來ないのじやないかと思います。せいぜい多く穫れたとしましても普通の家庭では四合食つておる、公定相場の四合を喰つておる、四合では足らないでうちでは丹精をして穫つたお陰でざつと六合ぐらいに廻つた、だから皆に腹一杯飯を食つて貰える、或いはちよつと酒ぐらい作つて飲める、餅もつけた、こういうような工合に、多少食生活にゆとりができるという程度であつて、供出をするというところまでは私は個別観察の上では行かないと思います。それから、いやそうじやない、理窟はもう一つあるのであります。それは成る程村全体としては一石八斗なり、二石三斗ぐらいの標準になつておるけれども、うちの村には四石取りというものがあるということになりますが、この四石取りというようなものは、これは秀でて立派なものでありまして、これは又それ自体別個に取扱つていい代物だと考えるのであります。四石穫れるとか、五石穫れるということは、私は戰爭中篤農家廻りをやつたことがあるのでありますが、「じやがいも」なんかでも二千貫ぐらい穫る人もあります。米も十石或いは十五石も穫つている人がそう珍らしくないのであります。決して村に沢山あるわけではない、非常に珍らしい、併しこれは全く違つた耕作方法を営んであるのであります。これはこれなりに把握する方法がある、こういう場合の超過生産と申しますか、超適供出というものは全く別に考えていいのじやないかと思います。そういう特殊な裁培方法を除きますと、超流供出の数量というものは、個別観察では現われて來ない、せいぜい余計食つたらいいという程度のものじやないか、余計食えるという程度のものを、これをがむしやらに出させるということはどうかと思います。もう一つその程度のものであつたならば、農家では高く賣るよりも自分の家で消費するだろうと思います。又人も頼みます。いろいろな関係から、少くとも私は超過供出というものは、大臣の説明を受取つたような意味に解釈していいとするならば、この議論は起つて來ない議論じやないかと、こう思うのでありますが、如何でございましようか。
#46
○國務大臣(森幸太郎君) 一應御尤もに承わるのであります。大体事前割当ということが、地方の生産力と睨み合せまして、それから農家の家族等のことを勘案しての事前割当でありますから、事本割当が妥当であり、その作柄が予想しておつたような作柄では、そこに超過供出をする余地がない筈だというお考え方でありますが、一應さように考えられるのであります。ところが一面におきましては戰爭以來、供出統制をやり出しまして以來、農村の食生活が非常に変つて参つたのであります。以前は、農村におきましては地方食と申しますか、地方に独特のいわゆる節約食糧が考えられておつたのであります。ところがこの供出制度になりましてからは、いい米を自分が食べて、惡い米を雜穀に取換えても米は残したいというような氣持が相当部分に起つて参つたのであります。極端な例を申上げますと、「さつまいも」を常食にしている、米というものは食わなかつたところへ、米を食べろ食べろというので米を配給して、もう今では「さつまいも」の常食地帶が米食になつておるということも池田さん御承知と存じます。又極端な例を申しますと今まで稗やら麦を食べておつたところへ、米をどんどん配給するようになつて胃腸の工合が変つて來て、非常に生活が惡くなつたというような例もないではないのであります。それでこの超過供出ということを農村にお願いしますことは、先ず第一に食糧事情において、アメリカから日本が独立したい、この氣持を先ず考えて貰いますことと、そうして、從つて増産に主力を注いで貰う、増産をして、それじや作つた米はどうするか、今日本はこういうふうにアメリカから百八十万トンの食糧を貰つて独立ができ得ないのである、而もこれを認めた場合、考えて貰つた場合に、相当の高い價格で一應割当てた以上を政府が買うといたしますならば、それではこの地方にはこういう節米の方法がある、それだから一應池田さんのお話で行けば、そこに超過供出する余地はない筈である。ない筈であるが、生産に努力いたして、当時予想した以上に、或いは一俵或いは二俵会計穫れた、そうして尚且つ日本の食糧事情を考えて、自分の地方にはこういうような食糧がある、いわゆる節米の食糧がある、その節米し得られる食糧によつて貰つて、日本の食糧事情を幾らかでも緩和しようという氣持に農村になつて貰う。それには三倍なら三倍で高く買う、お礼の意味において高く買う、こういう意味で行く場合において、敢てこの超過供出する部分が篤農家に限るという意味ではないと思うのであります。又そういうふうにして行かなければ農村におきましても從來私らの田舍は麦飯を食つておりました。百姓がきめしを食うということでは働きにくいということで、麦飯を食つておつたのでありますが、この頃は麦飯を食いたくても配給はないし、きめし、白い飯を食うということで、必ずしも農村だけが文化に遠ざかつて、まずい物を食えと言うのではないのでありますが、農業自体はそういうふうに経営して行かなければいけなかつたので、又現在でもそういうことは決して捨てるべきものではない、いわゆる何と申しますか、私は、百姓は神樣のような氣持になれと言つて叱られましたけれども、この農業というものの本当の氣持から行きますならば物を活かして行く、いわゆる天の惠みを十分に受け入れて、できるだけこれを活かして行くという氣持で、農業はすべてを経営して行かなければ、普通の工業や商業のように行きませんので、ここに思いをいたして貰うならば、私は決して事前割当以上に超過供出する余地はない筈だという結論は必ずしも妥当ではない、かようにも考えるのであります。
#47
○池田恒雄君 大臣の御答弁は專ら精神的講話のように伺いまして、実は私はそういうことについては大臣と同感であります。そのことにつきましてはむしろ食糧増産運動なら食糧増産運動という、そういう方面においていろいろ対策を考えたいと思う。それで只今私達が檢討したいのは、如何にして供出を明瞭に掴み、そして合理的に米を吸い上げるかという法律或いは技術上の問題を議論するだけであります。そういうふうな点を焦点に議論しなければならないと思います。勿論今日アメリカから援助を受けておるし、且つこの援助はむしろ受けずにおる方が日本人にとつて幸福だし、殊に米のごときは米だけでも日本で自給する。同じ援助を受けるならば米でないもので受ける方がよいのでありますから、そういうふうにした方が割がよいのでありますから、誰もそう考えておる次第でありまして、そういう根本的なことは大臣も我々委員も意見の一致を見ておると思います。從つて今後はアメリカという言葉は抜きにしてこの問題を議論したいと思う。どうもアメリカから援助を受けておるという言葉が出ますと、皆議論がべしやんとなつてしまつてどうもまずいのであります。大臣もアメリカという言葉は余りお使いにならないようにこの際お願いして置きたいと思うのであります。そうでなく、それはそれであつて、そのことについて、我々はどうして取扱うかということを考えたいと思うのであります。大臣の只今のお話ですと、超過供出は結局あるように言われたように思いますが、私が先程超過供出はないのだと言つたのは、百姓が出したくないからとか、或いは日本の食糧事情をよく認識していないから出さないからとかというのではなくて、数字の上において明らかに超過供出の数量というものはないということを申上げたのであります。それから丹精をしたとか何とかいう程度、普通の農業の技術程度において、丹精をしたというのでは、これでは増收量というものは目に見える程のものではないと思います。大臣も言つておられたように、一俵とか二俵とかという數字じやないかと思うのであります。一反歩につき一俵とか二俵とかという数字であるならば、これは大きいのでありますが、決して一反歩でなく、そのものは一戸として五反歩なり一町歩なり作つておりまして二俵、三俵という、まあ今年は余計穫れたというようなことじやないかと思う。余計穫れたというよりも、供出量がそれだけゆるかつたというような結果じやないかと思うのです。丹精をしたという結果現れるものはその程度の差しかないじやないか、若し二俵や三俵の差であるならば、仮に五俵の差があつたとしても、これは、私は五俵くらいの差が出て來るというような農家でありますと、一町歩内外の作付けをしていると思うのであります。そこでは、人も頼めます。馬もおります、家族も大勢であります。五俵くらいの米というのは立ちどころに食い潰します、又それくらいの余つたものをそれまでよこせ、こういうのでは、そういう百姓は丹精をするその臍下丹田に力がなくなりまして、丹精なんかできるものじやないのです。やはりその程度の超過生産でありましたならば、これは食わして置くのが当り前であつて、そんなものを当てにしたつて、私は大して助かるものじやないと思うのであります。又その程度の数量ならば、出たと言つたつて引込んだと言いましても、これはどうにもならん話でありまして、少し捕捉しかねると思うのであります。ですから私はその程度の問題が、この超過供出の問題になつておるのじやなくて、現実に昭和二十三年度における事前割当の数量と、昭和二十三年度における秋の收穫の数量との間に相当大きい開きがあつたのじやないか。私はこう思うのです。そこからこの問題が起つて來ておるのじやないか、こう思うのであります。先程の大臣の答弁は、実は、あれは私に対する御戰法でありまして、これは有難く聞いておりますが、私の質問に対する答弁じやなかつたと思うのであります。そんなところからこういう問題は発生して來ようはないと思う、一俵、二俵、餅を一回搗いたらなくなるとか、結婚式一回やつたらなくなるという程度、或いは、今年は娘を嫁にやらなければならんから少しぐらい余計に穫ろうという努力ですね、その程度の米を農村の人達は余計食つているから、或いは出していないから、だからこの法律改正をやらんならんというようなところに、この法律改正が出発したのでなくて、昭和二十三年度における供出の実情、或いは昭和二十三年度において初めて事前割当をやつたんですから、その事前割当と收穫時期における收穫の数量との間に、相当開きがあつたということを農林省がお認めになつたか、或いは司令部の方で御調査になつてお分りになつたか、そういうところに問題があつて、この法律改正が出て來たのじやないか、私はこう思うのでありますが、その点を一つ、これは決して道義的な問題じやなくて、もつと何と言いますか、事実上の問題、計数上の問題として御答弁願いたいのであります。
#48
○國務大臣(森幸太郎君) 池田さんはどういうふうに農村の事情を御調査になつておられるか存じませんが、地方によりましては、なるほど、五、六反一町近く作つても、保有米を引いて、除け米が二俵三俵という農家もあるでしようが、これはすべての食糧について考えられるのでありますが、私も近頃「さつまいも」の主産地をちよいちよい歩いて見るのでありますが、一体反当りどのくらい穫りなさるかということを聞きますと、まあ、四、五百貫ぐらいのものですとお話になつている。四、五百貫というと俵数にしても知れているが、たつたそのくらいで「さつまいも」の主産地と言えますかと、いろいろ話しますと、実は供出をしなければなりませんし、何だからあまり收穫高ははつきり言えないのでありますが、そのくらいではありませんもつと穫れるんだという終いには話が出て來る。現に「さつまいも」も愛知、靜岡あたりでは二千貫以上穫つておられます。全國平均が僅か三百七十貫かそこらと思いますが、そのくらいの予定で事前割当をいたしておるのであります。「じやがいも」でも、今お話もありましたように一反から二千貫も穫る人もありますが、大体少し病害にかからん年でありますと、七、八百貫ぐらいは穫れるんです、穫れるんですけれども、やはり農家は二百貫余りだとか百五十貫余りだとかいうことを基準として、供出の根拠にしているのであります。これは決して農家だけを私は責めることができ得ないのであります。これは事前割当というもののそこに不正確ということを表明するので、地方の府縣知事が、一應自分の縣を考えるために、区別を控え、或いは数量を割引する、又それは事前割当の基礎となる調査官におきましても同じような氣持で、隠し反別ができたり、或いは数量のごまかしがあるということで、いつかも連合軍の或る人でありましたが、北陸の震災を調査して帰りがけに、或る村を指定して調べたところが、殆んど土地台帳というものと実際の耕地面績とが非常な開きがある、これはどこが信用しているんだ、こんなことで、世界の食糧事情を考えて、日本が連合軍から食糧を受けているのは大いに間違いではないか、世界に対して申しわけないではないかというような批判を下されたことも御承知でありますが、そういうふうな事情が私はあると思います。だからこの事前割当が公正なことを期したいということで、いろいろまあ勘案をいたしておるのでありまするが、いつかもお話になりました耕地の変換がある、それは山田で二俵か三俵しか穫れないというのに拘わらず、それに対しての供出問題でなしに、むしろ税務署の課税が、六俵穫れる田も三俵穫れる田も同じ税務署管内においては、甲乙丙ぐらいに分けて課税するというために、その田を放棄するというような事実も現われておるのでありまするが、実際の数量は私は皆さんもどういうふうに統計をお取りになるか知りませんけれども、相当農林省へ集つておりまする統計に対しまして、更に余裕があるんではないかというようなことも考えさせられるのであります。で、農林省の統計を取りますのは、食糧事務所も取つておりますし、地方事務所からも出しておりますし、又責任のある統計局等の手を経て出しておりまするが、いずれも合わないのであります。今度の麦の作付調査によりましても、出る矢先、出る矢先で、どれが本当か分らんような統計が三つ四つ現れて來るのであります。こういう事実から見ましても、事前割当が、必ずしも公正を欠いておるとは思いませんが、今お話のように保有米を引いて更に余地がないというような場面もあるかとも存じますが、一〇〇%以上の超過供出ができないという地方へ行つて参りましても、尚米が闇で動いているというような事実を私は目撃いたしておるのであります。それでありますので、そういう氣持を日本の食糧事情を考えて貰つて、こういうことにするんではない、今日本はこういう事情にあるんだからと、できるだけ説明もし、又余裕のあつた者は、政府が三倍で買おうというのだから、從つて日本の食糧事情をよくしようではないかという、この農業者の本当の協力心からこの問題を遂行するようにして行きたい、かように実は考えておるのであります。
#49
○池田恒雄君 只今の答弁で実は非常に問題が明らかになつて來たわけでありますが、農村の実情に対する観察は、大臣と私との間に開きはないと思うのであります。大臣が只今仰せられた通りであります。尚農林省の統計と実際が合わないというようなことは、これは專ら大臣自身が努力して行くべきものだと思いますので、これは農林省の恥を暴すものであると、こういうふうに思うのであります。だからですね、事前割当よりも実際の数量が多いという一つの見方をするのならば、事前割当というものは、こういうものであるという約束を明らかにしなければならない、こう私は思うのです。超過供出とはどういうものかという約束を明らかにしなければならん。これは前以て私が断つておる通り、理論上の問題ではなく、約束の上の問題である、こういうふうに私はいうのであります。で、若しも先程私も申しましたし、大臣も申されたような意味合における事前割当でありますならば、私は事前割当の数量と、実際の秋の收穫時の数量というものはそう開かない、それは開きましても実際は、よくやつてくれたからまあ腹一ぱい食べなさいと言つてよい程度のものに過ぎない、こういうふうになるのです。ところが只今の大臣の説明でありますというと、農林省の諸統計も割合に実際の秋の收穫量とは相当開きがある、こういうことであり、又各村々における農実の言い方、或いは申告の仕方と申しますか、そういうものも八百貫穫り得るものに対して四百貫しか穫れないと言うている。而もそれは收量の公定相場である。マル公は四百貫で闇が八百貫になつている。マル公は事前割当をやるから、その闇部分は超過供出として出して貰わなければならんと、こういうようなものであるならば、やはり事前割当の割当方法というものは、そういう前提に立つという約束を明らかにしなければならないのじやないか、こう思うのであります。そうでなければ、私は根本的にこの法律を仕組んで行くというのは困難じやないかと思います。事前割当というものは、一体何だかということを考えないで、超過收量とは一体何から超過したものを言うのかという定義を明確にしないで、これに対して三倍拂うとか二倍半拂うとか言うて、これも亦定まらないと思うのです。仮に東京都下における状態を申しますと、これは一昨年のガリ版刷りのものじやなかつたかと思うのです。昨年の実績じやなかつたかと思うのでありますが、馬鈴薯の收量を都市別に出しておつたのを私は見たのであります。ところが輸入の種を使つたものは三百貫、地種を使つたものは二百九十貫、いや百九十貫だつたかもしれません。そう出ております。各郡が皆同じであります。全部何々郡輸入の種が三百貫、こういうふうに反当り收量を出すのです。これで割当をしているわけです。これはどう考えたつて理窟が合わないので、これは私は都廳自身が農家に対してそのマル公を與えていると思うのです。こういう前提に立つて割当をするのだ、こういうマル公を與えるのだと思います。実際闇値と申しますか、マル公以外では百九十貫なのか三百貫なのかそれは分らない。私の推測する限り、東京都下で健全なる北海道の種薯を持つて來まして、それで三百貫なんという收量はあり得ないと思います。こんな箆棒なことがあるのでありまして、都廳自身がそんなマル公を與えている。それから地種を使いましても、東京都下では北海道から入れましてそれで種を作つて、それを翌年使う、三年間くらい使つている。この方式で行きますと、やはり三百貫くらい出ているわけです。それを百九十貫という仕切りの仕方をするということは、私はおかしいと思うのであります。そうして、併しそれはそういうふうな約束の下にやつて行くのだということになれば、超過供出というものに対する値段のつけ方も違つて來る。若しもそういうふうに、大臣が先程四百貫と言つているが、八百貫出る場合があるようにも仰せられましたが、そういう場合があるのです。若しマル公が四百貫、それで闇が八百貫とするならば、私は三倍買上げなんてそういう價格を設けること自体が無茶だろうと思うのです。でありますから、私はこの法律を討議し、或いはこの法律は、米價、農産物の價格の問題にも影響して來るとするならば、この事前割当というものはどういうふうにして割当てられて行くか、超過供出というものは、そこからどういうふうにして出て來るものかということを、もつと明確にして頂かなければならないと思うのであります。ただ穫れたならば沢山出して下さいとか、或るべき節米して出して下さいという道義上の問題じやないと思います。道義上の問題ならば、供米塔でも建てるとか、表彰するとかして、値段のことはあまり考えないでいいと思います。國家が一定の莫大な予算を立て金を支拂つて行くということになりますと、これは道義上の問題でなくて、やはり政治の問題であり経済の問題であります。これは道義を抜きにしてこの点のことをはつきり出して頂く、約束して明確に出して行くということが必要だと思います。大臣の答弁は、先程來私に対する説教に終つているのでありまして、説教でなく、この点を明らかにして頂きたいと思います。
#50
○國務大臣(森幸太郎君) お答えします。決して説教申上げているわけじやないのですか、これは名前が本当は変なのです。それですから政府は決して事前割当を不確信なものを以て割当てるのでは毛頭ないのでありまして、理想的ではありませんが、併し今日の段階としては、これだけのものを事前割当にして妥当であるという数字を出して割当をするのでありますが、それが先程も繰返しましたように、作況の状況、注文にも書いてあつたと思いますが、作況事情、食糧事情の変化によりまして更に供出をして貰いたいという事情の発生した場合において、超過……超過というとおかしいですが、補正というのですか、供出を法制化して行く、こういう氣持ちなのであります。それで、そうすれば何も三倍で買う必要がないではないかという御意見でありますが、これが関係方面では強いのであります。何もそんなものに三倍も買う必要がないではないかというような意見も相当あるのでありますが、併し今日の実際問題から申しまして、事前割当をして後のものがいわゆる秩序を紊しているという実情から見まして、これは相当の價格を以て酬いなければならない、そうせなければ供出ができないという氣持で、三倍ということが現在されて來ておるのでありますが、これを三倍にするか、或いは二倍半にするか、二倍にするか、ここまだ二三日折衝を重ねておるのでありますが、池田さんのお話のそんなに高く買う必要がないじやないかという理論は一應立つのであります。立つのでありますけれども、今日までそういうふうになつて來ておる。現に高く賣れておりますから、或る程度のものは見なければならんではないかとこういう氣持であるのであります。それですから何だかそこに理論が合わないような、一面から言えば事前割当の補正供出とも言い得られるわけでありますが、事前割当を完成したけれども、いろいろ食糧事情、作柄の関係等から、日本の食糧事情が今少しく食糧を集荷せなければならないという立場になつた場合において、どうか三倍で買うから出して下さいて、こう自主的に今まではお願したやつを、今度は必要だから出してくれ、こういうように法則化して行くより仕方がないような情勢になつて來たのであります。
#51
○池田恒雄君 もう一つお伺いします。次に質問があるようですから……私はどうも分らないのですが、そうすると事前割当とは極めて曖昧模糊としたものであると、こういうふうに了承してよろしうございますか。
#52
○國務大臣(森幸太郎君) 決して曖昧したものじやないのでありますが、事前割当は正当の理論の下に、過去の実績から勘案しまして、このくらいが事前割当として妥当であるということで一應事前割当をするのであります。これがいい加減なものであるというようなことは毛頭考えておりません。
#53
○池田恒雄君 もう一つしやべらざるを得なくなりましたから……と申しまするのは、先程大臣は、農林省の統計も極めて曖昧であるというふうに御説明になつておるのでありまして、過去の実績と申されましたが、大臣はその正確な実績をお持ちになつておらないと思います。だから結局曖昧なものであるとこういうような解釈は私は正しいと思うのです。それを曖昧なものでないというふうにすつぱり言える理由はないと思う。なぜならば農林省に統計も集つておるのだからそういうふうになるのだという、超過供料の数量を出して出ておらんのだから、曖昧なものでないものであるとおつしやるならば、先程の答弁において、明瞭にどういう約束によつてなされるかというその約束を計数的におつしやつて頂いた方が、時間を空費しなくてよかつたのじやないかと思います。
#54
○國務大臣(森幸太郎君) これは收穫量を把握することが困難であるという実例として、從來の生産額は地方長官の考え方、或いは町村の事務当局の考え方においてまちまちであり、それが流れる場所においていろいろな差異が出て來るという実例を申上げたのであります。併しこの統計というものを割当てる一つの根拠にはいたしますが、從來の地方におけるところの收穫量というものは、長い五十年以上の統計にも現われておるわけでありますから、そういうふうなものも勘案し、又過去の割当に対する供出の状況等も勘案してやつて行くのであります。必ずしも各地に出て來る曖昧だと見られるような統計を根拠として割当てるということでは決してないのであります。ただそういうような統計が現れるごとくに、今日の実体を把握することがなかなか困難であるということを例として申上げたわけであります。
#55
○委員長(楠見義男君) ちよつと門田さん、御質問があるようでありますけれども、実はもう暫くすると本会議が開かれまして、本会議が実は定足数が欠けておるために休憩になつたのであります。それで議長からも、今度開かれる場合にはもう委員会を止めて貰いたいと、こういう申出がございましたから、若し余り長いようでしたら……
#56
○門田定藏君 余り長いことではないのですが、これでは余り独占的です。二人や三人の人が質問して、余り時間がないために……
#57
○委員長(楠見義男君) 明日御質問下さいますか。
#58
○門田定藏君 今日は簡單でいいですから……供出の超過割当について大臣から御説明がありましたが、私は実は昨日出ておりませんので、聞き違いであつたかも知れませんが、お尋ねしたいと思いますのは、この超過供出の目的は、全國的に事前割当をやつたと、やつたが、併し或る地方は事前割当よりも増産であつた。そういう地方については先ず懇請しても大丈夫だと、こういう意味におつしやつたようでありましたが、それに間違いありませんか。
 それからもう一つは、私は超過供出の目的は、農民をして増産をさせると、成るたけ超過供出をさせた米を三倍とか四倍とかで政府に買上げて貰うならば、一合でも余計作つて超過供米をしたいという増産意欲を出させることになる。もう一つは、米を濫費しないように、成るたけ「どぶ」を造つたりしないように、成るたけ節約して供出したいという考えを起させたい。それから闇賣りというような考えを止めさせて、正しいルートに米を出さして、そうして國民に食糧を平均に食わせると、こういう目的であろうと私は考えておりますが、大体事前割当そのものは、大臣の先刻の御説明であるならば、これは適当ではないかと、こう思つております。それからこの超過供出について三倍、四倍という價格で買上げるということも、これも私は適当であると考えておりますが、今政府がとつておられるやり方で行つたならば、この超過供出の効果がない。何故ならば、この間も私の縣で調査したのです。ところが、或る人は、最初超過供出を出したと言うのです。ところがその結果、農家の所得が総合所得に加わつて、仮に五万円であるものが、超過供出をしたために五万八千円になつたとか、そのために莫大な税金が、総合所得が殖えて來て税務署からかかつて來たと、これでは超過供出をして少しばかり價格を上げて貰つたつていけない、こういうことに一應農民は思つておるのです。そこで私は、超過供出をさせるには、税務署が超過供出に対するところの所得税を総合所得に加えてうんと上げるということを止めさせなかつたなら……これは農家に尋ねて見たのです。こういうことをやつて、僅かの値段を上げて買上げて貰つても、超過供出をすると税をうんと上げて取られる。そんなことをせずとも、價格は安くとも闇に流す。そんな米を供出して莫大な所得税を取られるようなことなら、「どぶ」でも造つて飲むがよかろうと、こういうような考えが百姓に可なりあるのです。この点を農林省はよく考えて、これは全國的の問題であるから、大藏省ともしつかりと交渉して貰つて、農家の超過供出に対しては総合所得によつて税は課けないということを断行して貰わないと、地方の農民は、この頃の値打のない金を少々貰つたつてしようがない、それよりも、政府の買上げより少しは安くても税金を取られるよりよいということで、供出をしないです。そうすると、我々百姓が多少の節約をしても、一軒一俵か二俵の節約によつても、一合余計作つても、これを全國的に見ると大したものだと思う。それを、農家が供出したら税務署に余計取られるから、それよりも闇で賣つて金を儲けた方がよいと、このことを大臣はしつかりとお考えになつて、これは農林省ばかりでなくて、全國的の問題であるから、どの省とも交渉して、しつかりこのことを断行して貰わんことには、折角の名案が何もならんことになる。何もならんということはないけれども、効果が薄いと私の調査したところでは思うのです。もうどこに行つて聞いて見ても、総合所得が課かつて税をうんと取られた、出すのではなかつた、君も出したらこういうことになるぞということで、米の超過供出ということはできなくなる。超過供出をさせるには、まず大臣はこのことをしつかりと断行して頂きたいと思います。これについて大臣の御意見が承わりたいと思います。
#59
○國務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。超過供出、これはまあとに角超過供出という名前になつておりますが、超過供出に対しましては、先程も一度お答えいたしました通り、事前割当というものは、一つの基準によりまして、或いは根本的に多少の不正確な点があるかも知れませんが、町村に割当ててお願いしておるわけであります。その場合に、一局部に非常な災害等がありまして、そういうふうに今日やつておりますような補正までしなければならんような情勢になりましたときには、敢て超過供出をそこへ持つて行つてお願いするというようなことはでき得ないことであります。で、天災というものは地区的でありますので、全國的には殆んどないわけでありますから、そういう地区につきましては、敢て超過供出を更にお願いするというようなことは断じてしないと、かように考えておるわけであります。
 尚こういうふうな場合につきましては、増産の意慾を起して貰うということにもなり、又一面においては、先程來申しました、二倍半乃至三倍に買うことによつて節米ということにも考えをいたして貰つて、日本の食糧の事情をよく洞察して貰つて、そうしてできるだけ超過供出をしてやろうではないかという協力的な立場になつて頂きたいと、かように考えておるのであります。
 又闇賣りの中止でありまするが、これはもう我々政府が今日まで骨を折つて参つたのでありまするが、なかなか容易にできないということは、最後にお話しになりました所得税の問題であります。これは先程岡村議員にもお答えをいたしたのでありまするが、政府といたしましては、何とか財政の面なり、或いは税法の改正によりまして、この超過供出だけは特別な取扱いができないかと、どうしても收入のある者は税金を出さなければならん責任があるのでありますから、源泉課税によつてでも、何とかして総合所得税の加えることのないようにやりたいと、かように考えておるのであります。これは関係方面との交渉も必要でありまするが、農林省といたしましては、どうでもこうでもこの問題を実現いたしたいと努力いたしておるのでありますが、今日の財政事情等もありまして、なかなか政府の意見も一致いたしませんので、我々といたしましては、責任の立場として、どうかして所得税というものを低額な源泉課税にして、総合所得の方に加算しないということに今尚努力を傾けておるわけでありまするが、どうか一つ農林委員の皆樣におきましても、この趣旨に対してはいずれも御賛成して下さると存じまするから、どうか一つ國会において強力なる一つ御主張にあずかり、何とか闇取引をなくして超過供出が完全に行けるように、又農家もそれがために迷惑のかからないように一つ御援助をお願いいたしたいと思います。農林省におきましては関係省といたして極力その実現に目下努力をいたしておるような状況であります。
#60
○門田定藏君 今はこれで、又追つて大臣にお尋ねいたしたいと思います。
#61
○委員長(楠見義男君) 明日は午前十時から開会いたしまして、酪農業調整法を廃止する法律案という簡單な法律案がございますから、それを午前やりまして、午後からこれを引続いてやることにいたします。但し午前に本会議がございますれば、午前の酪農業調整法を廃止する法律案は止めて午後からいたしまするからさようにお願いいたします。
どうぞ御了承願います。
   午後四時四十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   理事
           平沼彌太郎君
           石川 準吉君
   委員
           大畠農夫雄君
           門田 定藏君
           北村 一男君
           星   一君
           加賀  操君
           徳川 宗敬君
           山崎  恒君
           板野 勝次君
           池田 恒雄君
           岡村文四郎君
  國務大臣
   農 林 大 臣 森 幸太郎君
  政府委員
   農林政務次官 池田宇右衞門君
   農林事務官
   (農政局長)  山添 利作君
   食糧管理局長官 安孫子藤吉君
ソース: 国立国会図書館
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