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#1
第061回国会 本会議 第23号
昭和四十四年四月八日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十六号
  昭和四十四年四月八日
   午後二時開議
 第一 訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
 第二 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職
  員定数の標準に関する法律の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
 第三 国際通貨基金協定の改正の受諾について
  承認を求めるの件
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
  参議院回付)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
  提出、参議院回付)
 続発する産業災害に関する緊急質問(橋本龍太
  郎君提出)
 相次ぐ災害事故に関する緊急質問(後藤俊男君
  提出)
 相次ぐ災害事故に関する緊急質問(内海清君提
  出)
 相次ぐ災害事故に関する緊急質問(小川新一郎
  君提出)
 日程第一 訴訟費用臨時措置法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
 日程第二 公立義務教育諸学校の学級編制及び
  教職員定数の標準に関する法律の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 日程第三 国際通貨基金協定の改正の受諾につ
  いて承認を求めるの件
    午後二時十三分開議
#2
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提
  出、参議院回付)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、参議院回付)
#3
○議長(石井光次郎君) おはかりいたします。
 参議院から、内閣提出、所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案が回付されております。この際、議事日程に追加して、右両回付案を一括して議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 所得税法の一部を改正する法律案の参議院回付案、租税特別措置法の一部を改正する法律案の参議院回付案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#5
○議長(石井光次郎君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、両案とも参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
 続発する産業災害に関する緊急質問(橋本龍
  太郎君提出)
 相次ぐ災害事故に関する緊急質問(後藤俊男
  君提出)
 相次ぐ災害事故に関する緊急質問(内海清君
  提出)
 相次ぐ災害事故に関する緊急質問(小川新一
  郎君提出)
#7
○西岡武夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、橋本龍太郎君提出、続発する産業災害に関する緊急質問、後藤俊男君提出、相次ぐ災害事故に関する緊急質問、内海清君提出、相次ぐ災害事故に関する緊急質問、及び小川新一郎君提出、相次ぐ災害事故に関する緊急質問を順次許可されんことを望みます。
#8
○議長(石井光次郎君) 西岡武夫君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 まず、橋本龍太郎君提出、続発する産業災害に関する緊急質問を許可いたします。橋本龍太郎君。
    〔橋本龍太郎君登壇〕
#10
○橋本龍太郎君 私は、自由民主党を代表して、最近発生した板橋仲宿のガス爆発事故、荒川新四ツ木橋七号橋脚水没事故、去る四月二日の北海道雄別炭鉱茂尻鉱業所における炭鉱ガス爆発事故並びに昨日発生した北海道空知炭鉱空知鉱の出水による崩落事故など、続発する災害事故に関し、一連の質疑を行なうものであります。
 それに先立ち、これら不幸な四事故のため、とうとい生命を失われた三十六名の方々の霊に対し、深く哀悼の意を表するとともに、不幸負傷せられた方々の御回復の一日も早からんことを、心からお祈りいたす次第であります。同時に、これら不幸な事故によって肉親を失われた遺家族の方々と、思わぬ罹災を受けられた方々に対し、深甚なる弔意とお見舞いを申し上げる次第であります。(拍手)
 これら四つの不幸な事故に対し、空知鉱の出水崩落事故の詳細はまだ不明でありますし、他の事故については、本院においても細部の究明はすでに各関係委員会の審議においてなされておりますので、まず第一に、私は基本的な政治姿勢の問題として内閣総理大臣にお尋ねをいたしたいのであります。
 総理はかねてより、近代国家形成の目標は福祉国家の建設にあると述べておられるのでありますが、この目的達成のためには、経済社会発展と同時に、国民福祉の向上を期する政策の遂行が必要であることは当然であります。しかしながら、わが国経済の現状を見るとき、最も留意せねばならない国民の福祉は、経済政策を遂行していく上において十分配慮されておるでありましょうか。大切なことは、経済発展の中にいかにして人間尊重の精神を織り込んでいくのかということであります。すなわち、今回問題としておるこれらの事故を冷静に考えてみますと、その物理的な条件は全く異なっておりますが、このような立場から判断するとき、経済社会の能率促進政策が、国民の福祉の向上をはかりつつあるその過程において、はからずもとうとい犠牲者を出したのではないかとも考えられるのであります。東京における板橋仲宿、荒川四ッ木の両事故は、いずれも都市の過密巨大化に伴い、地下鉄建設や都市計画工事が公共の能率及び福祉の増進のため行なわれたところで発生しております。また、北海道の茂尻鉱業所、空知鉱の場合においても、日本経済発展の原動力であった石炭産業の採掘現場に発生した事故であることを前者とともにあわせ考えますときに、わが国経済政策の基調を長期的に展望した場合、あるいは国民の福祉の向上よりも、むしろ経済そのものの発展、能率化にウエートを置き過ぎたきらいがありはしないかと考えるものであります。これについて総理の御見解を承りたいと思います。
 次に、通産大臣及び建設大臣にお尋ねをいたします。
 今回の事故は、いずれも公益事業として社会的に大きな責務を負うた事業における事故であります。その真の原因は、目下関係当局の間で鋭意調査をされておるものと思うのでありますが、いずれも経済性の問題が介在しておるかのごとく報道されております。すなわち、荒川の新四ッ木橋建設においては、リングビーム工法が従来の工法に比較して経済的に有利な工法であるために、技術的な検討が未解決のまま採用ざれたといわれておる。また、板橋のガス爆発事故においては、事故防止のための抜本対策として共同溝の利用が望ましいと考えられておるのでありますが、伝えられるところによれば、現場の国道十七号線において、昨年末、都営地下鉄志村線の完成とともに板橋の共同溝が完成しておったにもかかわらず、東京瓦斯のみは参加を見合わせていたということであります。また、北海道の茂尻鉱ガス爆発、空知鉱の出水による崩落、この両事故は、石炭産業の興廃をかけているスクラップ・アンド・ビルド政策の展開により、出炭量の増加を急ぐあまりの事故ではなかったのでしょうか。いずれにせよ、今回の異質の四事故の背景には、経済の高度成長に政策の重点が置かれ、その結果として、国民の福祉がそこなわれるという悲しむべき問題が提起され、政府の早急な検討を促しておるように考えられるのでありますが、通産大臣並びに建設大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
 第三の共通点は、被害を受けた方々のほとんどが、今日の社会の底辺におられる方々であり、一方、加害者の立場は、いずれもおのおのの業界の指導的立場にある有力な企業体だという点であります。とかく従来の例を見ますと、被害の補償は力関係で処理される場合が多かったように思われますが、私は、大企業は大企業らしく、すみやかに事後処理をしていただきたいと思うのであります。当時者間の自主的話し合いが早急かつ円満に行なわれて解決されるよう、積極的に指導されることが行政府の責任であると思うのでありますが、この問題についての通産大臣並びに労働大臣の御見解を承りたい。
 同時に、これら業界の指導的立場にある企業に関連する事故について、今後もわれわれは非常に不安を覚えるのでありますが、一体保安上の体制はどうなっておったのでありますか。特に東京をはじめ大都市の再開発が叫ばれている昨今、これら大企業の携わる分野のきわめて大きいことを考えるとき、その保安対策は特に重大であります。都市における再開発事業は、社会経済の要請によって今後も積極的に推進されると思われ、また推進されなければなりません。今回の事故などを貴重な教訓として、政府は、極力保安体制の整備に留意しつつ経済政策を進められることと思いますが、この際、社会資本の充実のためにも、国として地域住民の福祉を全うする安全保安対策を確立されるよう努力していただきたい。また、石炭産業においては、いままでも数多くの事故のたびに保安対策の強化がうたわれてまいったのでありますが、その整備はいかようになっているのか、具体的に御答弁をお願いいたします。ことに石炭産業については、今後とも、その再建策の実施について政府は積極的に取り組んでいかれる必要があると思うのでありますが、今回の事故のため労働者の離山ムードを誘発し、せっかくの石炭産業の再建をはばみ、ひいては産炭地域経済の停滞に拍車をかけ、地域住民の生活を脅かすがごとき事態さえ心配されておる向きもあるのでありまして、通産大臣及び建設大臣の具体的な御答弁を願いたいのであります。
 最後に、労働大臣にお尋ねをいたします。
 労働力不足の激化している今日、経済的効率の目標追求のために、ややもすると未熟練労働者が高度な技術を必要とされる職場、あるいは危険な職場で労働をせざるを得ないような状況が目立っておるのでありますが、これらいわば社会の底辺で苦労されている労働者が安心して働き得る職場の確保のためにも、労働者保護行政を一そう拡充すべきではないのか、また、新しい技術、新しい工法などの採用されるに際して、人命尊重の見地から、安全性の確保のためにも関係各省との連絡を密にされ、さらに十分な配慮検討を加えられるべきではないのか、この二点について、特に労働大臣より所見をお聞かせ願いたいのであります。
 これらの事故はいずれも民間の事故であります。しかし、行政上の責任、少なくとも道義的責任は政府が負わねばなりません。人の命、それはいかなるものにもかえることのできないものであります。何をもってしても、失われた生命を償うことはできません。残された者の悲しみは消すことができないのであります。
 今回の事故ではありませんが、やはり不慮の事故のために父親を失った小学生が、いまはなき父親に語りかける詩をつくり、最近それが歌になって町に流されています。私はその一部のみ記憶をいたしておりますが、先輩、同僚議員各位の中にも、すでにその詩を耳にされた方もあるのではないかと思います。
 ぼくの大好きだったおとうさま
 ぼくとキャッチボールをしたのに
 死んでしまった……
 おとうさまぼくといっしょに勉強してよ
 ぼくにおしえてよおとうさま
 どうして三人おいて死んだの
 もう一度みのるって呼んで
 ぼくはいと返事するよ
 ぼくは悲しい
 おとうさまがいないと
このような悲痛な思いを込めた詩を二度と子供たちにつくらしてはなりません。このような詩の生まれる、そんな悲惨な事故は二度と起こしてはならないのであります。(拍手)
 この小学生の悲しい叫びがこれで最後になるためにも、総理はじめ関係各大臣の誠意ある御答弁と、その実行とを心からお願いを申し、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 橋本君にお答えいたします。
 最近、災害が相次いで発生し、多数のとうとい人命が失われたことは、まことに遺憾にたえません。橋本君は、不慮の事故で親を失った子供の悲しみを切々と訴えられました。災害や交通事故でとうとい人命が失われることは、当の御本人はもちろん、残された遺族にとってこんな不幸なことはありません。私がかねがね人間尊重ということを強調しているゆえんであります。進歩する社会においては、ともすれば人間の尊厳が見失われがちでありますが、いかなる場合においても人命を軽んずるようなことがあってはならないと思います。国民を事故、災害から守り、その安全を確保するため、政府として行ない得ることは十分に行なってまいる決意であります。
 国民各位におかれては、経営者も勤労者も、ちょっとした安全確保の油断や気のゆるみが大きな災害の因となることを十分考慮し、安全で明るく、かつ規律ある職場環境の樹立に、確立につとめていただきたいと思います。
 私は、今後心を新たにして、各種事故の絶滅に取り組む決意でありますから、国民各位の一そうの御協力を切望してやみません。(拍手)
    〔国務大臣大平正芳君登壇〕
#12
○国務大臣(大平正芳君) 相次ぐ事故を起こしまして、責任者としてまことに申しわけなく存じております。
 第一の御質疑は、能率の向上を急ぐあまり災害を起こしたのではないかということでございますが、ただいま災害の原因は究明中でございますけれども、私どもが見ますところ、能率の向上というよりは、ちょっとした不注意、手抜き等がかかる災害を結果したのではないかと見ておるのでございまして、問題は、保安体制の確立こそ最大の課題であろうと思います。
 この意味におきまして、企業側に対しましては、保安に対する取り組み方をここで再確立をお願いしなければなりません。きのうも、午後一時、大手十六社の社長、中小炭鉱でつくっておりまする中央石炭鉱業連合会の首脳を招きまして、私からきびしく戒告を加えますとともに、全炭鉱にわたりまして保安対策の総点検を指示いたした次第でございます。政府といたしましては、鉱山保安法の順守状況を定期的に、より周到に指導監督することはもとよりでございますけれども、保安機器の整備、保安教育の普及、保安技術の開発等に増額を認められました予算を充当いたしまして、遺憾なきを期したいと考えております。
 第二の問題として、今後の離山を促し、あるいは産炭地域の経済停滞をさらに促進することになりはしないかという御心配でございます。もっともでございます。したがいまして、今度の四次の石炭対策の実施にあたりましては、保安体制の長期的な確立ができていない炭鉱には再建交付金を交付しないという、きびしい態度をもって点検を厳重にいたす覚悟でございます。
 ガス事業の、板橋のガス爆発事故でございますけれども、この対策といたしましては、政府側におきましてガス導管防護対策会議というものをつくりまして、現行の技術水準を再検討いたすことにいたしました。ガス導管の防護方法、あるいは共同溝にガス管を入れる場合の技術的な諸問題を究明中でございます。ガス事業者に対しましては、導管の埋設状況をもう一度見直す、それから、保安体制の強化を指示いたしましたところ、日本瓦斯協会におきましては、保安責任者会議を設置いたしまして、従来の事故を全部素材にのせまして、ケーススタディの形で保安体制の強化策を目下講じつつございます。
 それから、事故関係者に対する補償でございますが、目下、法律上の責任の所在は警察当局が追及中でございますけれども、被害者に対する補償が遅延しては困りますので、それとは別個に、東京都庁と東京瓦斯株式会社と鹿島建設株式会社、三者一体となりまして、法律上の責任にかかわりなく、罹災者といま話を進めておる次第でございまして、早急に解決を急ぎたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣坪川信三君登壇〕
#13
○国務大臣(坪川信三君) たび重なる不幸な事件が発生いたしまして、まことに申しわけなく存じております。建設省といたしましては、共同溝の設置に際しましてガス管も収容するよう指導してまいりましたが、さらに、今回の事故にかんがみまして、道路管理者は共同溝にガス管を収容することについて通産省と協力いたしましてその対策委員会を設けまして、技術的諸問題について検討いたしてまいりたい所存でございます。
 また、本工法の採用について、築造する構造物並びに地質、水深等の現場条件を勘案して、適当と判断される工法を採用するものであり、リングビームの工法は、広い作業空間をとれるために作業能率が上がりましたので、新しい工法としてこの数年間使用してまいったような次第であります。新四ッ木橋で同工法を使用させましたのは、同工法の約三百基の基礎工事実績に基づきまして、請負業者の申し出を承認して施行させたのでございますが、今回の不幸な事故にかんがみまして、目下調査委員会が発足いたしまして、鋭意その工法の瑕疵、その原因等を究明いたしておりますので、その解明が終わるまでは一切この工法による工事を中止するよう、各地建の局長並びに関係省庁にも連絡をいたしまして、不幸のないよう措置を講じておるような次第であります。
 工事の安全管理については、工事規模の大小を問わず、工事発注の立場において十分に注意を払い、請負業者に対しては、契約上特に安全管理に留意するよう義務づけており、施行監督にあたっても十分に注意し、災害防止につとめておりますが、今後も労働省と十分連絡を密にいたしまして、さらに安全管理について万全を期するよう強力に指導してまいりたい所存でございますので、何とぞ御了承のほどをお願いいたします。(拍手)
    〔国務大臣原健三郎君登壇〕
#14
○国務大臣(原健三郎君) 橋本さんにお答え申し上げます。
 新四ッ木橋の現場及び茂尻鉱業所におきまして多数の犠牲者が出ました。まことに、犠牲者に対しては衷心御冥福を祈り、私ども責任を痛感いたしております。また、御遺族に対しましても、つつしんでお見舞い申し上げたいと思います。
 御質問の第一は、災害の補償についてでございますが、犠牲者に対しましては、労働災害補償法に従いまして一時金並びに年金を至急支給するよう、いま手配をいたしておるところでございます。
 それから、労働力不足が非常に激化いたしておるので、労働者確保行政を一そう充実すべきものである。また、新技術、新工法の場合、安全性を確保しておるか、こういう質問でございますが、出かせぎ労働者が就労いたします建設現場の労働条件につきましては、労働災害防止のために労働行政の最重点といたしております。それで、昭和四十三年に策定いたしました労働災害防止基本計画というのがございまして、これに従って最重点政策としてその監督指導を強化いたしておるところであります。
 また、ことに建設業における寄宿舎の改善、賃金不払いの防止等についても、特別の監督を強化いたしておるところでございます。
 また、次に、出かせぎ労働者の就職援護対策といたしましては、就職経路の正常化、労働条件の明確化、留守家族の不安の解消をはかるために、出かせぎ援護相談所というのを新たに設置いたしまして、市町村援護団体と連携を強化しておりまして、くにを出てからくにに帰るまで、一貫して職業安定機関がお世話をいたすことにいたしておる次第でございます。
 それからさらに、新技術、新工法の採用に伴う安全の確保につきましては、従来からもやっておりましたが、今回の事故発生にかんがみまして、これらの配慮が必ずしも十分であったとは申されないことは遺憾に存じておるところでございます。それで、今後、新技術、新工法の採用に伴う問題につきましては、産業安全研究所、労働衛生研究所、労働災害科学調査団などの調査の結果を待ちまして、人命尊重という見地から、建設省ともよく相談いたしまして、新しい規制がもし必要である場合においては、所要の規定の改正などにも踏み切っていきたい、こう考えておる次第でございます。(拍手)
#15
○議長(石井光次郎君) 次に、後藤俊男君提出、相次ぐ災害事故に関する緊急質問を許可いたします。後藤俊男君。
    〔後藤俊男君登壇〕
#16
○後藤俊男君 私は、日本社会党を代表いたしまして、最近のたび重なる重大事故に対して、佐藤総理並びに関係大臣に緊急質問を行なわんとするものであります。
 まず、質問に入る前に、五つの惨事、合わせて四十五名の他界された方々に対し、さらにその遺族に対しまして衷心から哀悼の意を表するものでございます。(拍手)また、かろうじて命を取りとめたとは申せ、病床に呻吟しておられる多くの罹災者に対し、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
 さて、ガス爆発事故につきましては、いさいは新聞、テレビ等で御承知のごとく、地下鉄工事現場のあとで都市ガスの中圧管が爆発し、一面火の海となり、道路わきの商店街にその火が燃え移り、一家五人がむざんにも焼死体になって見つかったのであります。石井さん一家以外の六世帯二十一名も、逃げるのがやっとであるという悲惨な事故を起こしてしまいました。
 第一に、かくのごとき悲惨な事故を引き起こした原因はどこにあるのでございましょうか。新聞の報ずるところによりますと、東京瓦斯の中村広報課長は、ガス工事に伴う事故でなく、地下鉄工事による事故と言い、また鹿島建設板橋作業所の田口主任は、住民から連絡があったのに手を打たなかったガス会社の責任だと、責任のなすり合いを演じておるのであります。また、三月二十六日の報道によれば、東京瓦斯の安西社長は、東京瓦斯が悪者扱いにされているが、私のほうが被害者だと言い、その責任は鹿島にありと言明いたしておるのであります。その説明内容によれば、現場付近を十カ所点掘りしたら、手抜き工事が一ぱい発見されたと言っております。この事実を佐藤総理に二十五日報告したと言っていますが、これが事実とするなら、これがその原因とするならば、日本の建設業界の代表企業である鹿島建設が、企業利益のために手抜き工事を行なったその責任たるや、実に重大であろうと思います。(拍手)断固たる処置が当然と思います。総理並びに建設大臣はいかように思われるか、所見をお伺いいたします。
 東京都の消防庁の調べによれば、三十八年以来、都内でガス漏れ爆発事故がすでに五件も起きております。しかも、都内のみを考えてみましても、地下鉄工事、交通量は多い、その下にガス管と、危険な個所は数多く隠されております。都民一同安心して暮らすことができないのが現実でございます。これらの事故を防止し、さらに前途の不安をなくするためには、原因を徹底的に追及し、厳格なる態度で処置し、絶対に防止するための方策を早急に樹立せねばなりません。さらに、住民被害者に対する補償並びに労働者に対する補償は、企業はもちろんのこと、政府としても早急かつ十分なる配慮をしなければならないと思いますが、政府の最高責任者である総理大臣並びに労働大臣の御意見をお伺いいたします。
 次には、荒川放水路における八名生き埋めという悲惨な事故についてお尋ねいたします。
 経過については、申し上げる必要もなく十分御存じのことと思います。二日、九時半から現場検証が行なわれました。その第一は、間組では現場作業員に対する技術指導を怠っていた。シートパイル関係に欠陥があったといわれております。リングビーム工法については、当時現場の技師は、土圧と違い、水圧の研究はいろいろ自然現象が伴うので、十分な研究が行なわれていないと語っております。すなわち、水圧には責任が持てないと語っておるのであります。建設省はこの工法を支持されておった以上、安全度についてどのような見解を持っておられたのか、建設大臣にお伺いいたします。
 なお、被害者八名中七名までは青森からの出かせぎの人であり、そのほとんどが一家の生計維持のため遠く故郷を離れ、生活をささえるための労働者であります。被災者の一人、渡辺定雄さんの奥さんは、出かせぎが危険なことは知っているけれども、ここにいたのでは食べていけないと語っております。一番自分の住みたい故郷で農業をやり、リンゴをつくっていては一家の暮らしを守ることができない。出かせぎに来れば命までも奪われてしまう。一体どこでどうやって生きよと言われるのでありましょうか。政治の貧困はこのように多くの生命をなくしております。口を開けば、国民総生産が世界の第三位になったといわれますが、食わんがために遠く故郷を離れ、なれない仕事で命をとられている、こうしなければ暮らしていけない多くの人々がおるのでございます。総理大臣はこの現実を一体どうお考えになりましょうか。現状やむを得ないと思っておられるのか。いなと言われるならば、どうしようと思われるか、その方策をお伺いいたします。(拍手)
 次に、今月二日、北海道雄別炭鉱茂尻鉱業所において、死者十八名、重軽傷者二十八名を出したガス爆発による事故と、あわせて昨日の空知炭鉱の生き埋め事故についてお尋ねいたします。
 三池炭鉱の大災害後、派遣された海外保安調査団の報告書によれば、過去十年間一度に十名以上の死亡者を出した災害は、西ドイツで三件、イギリスで四件、フランスで六件であります。しかるに、わが国においては二十六件を数えており、その後九件を増し、実に三十五件に及んでおるのであります。特に昨年の五月から七月までのわずか三カ月の間に、北海道、九州の六鉱山でガス爆発、坑内火災、落盤など、相次いで大事故が集中的に発生したことは御存じのとおりであります。その後、鉱山保安協議会の答申に沿って保安強化に乗り出したといわれるが、いかようなる対策を、どのように具体的に進められたか、通産大臣にお伺いいたします。
 今回の惨事の原因は、生産第一主義で、安全点検に手抜かりがあったのではないかと思われます。茂尻炭鉱は、昭和三十年、ガス爆発により六十名の死亡者を出したガス爆発危険炭鉱として要注意の炭鉱であったにもかかわらず、万全の対策が行なわれなかったことは、いかなる原因によるものと判断するか。また、昨日、空知炭鉱において、坑内出水事故により五名の行くえ不明を出しているが、本炭鉱は北海道炭鉱汽船株式会社から分離され、いわゆる第二会社であり、昭和四十一年に十二名の死亡者を出した炭鉱であります。かような炭鉱に、いかなる原因で再びこのような事故が発生したか、通産大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 さらに、茂尻炭鉱につきましては、石炭産業合理化のあおりを受け、三月二十八日、会社側から分離して別会社をつくるという合理化案が提示され、その是非論をめぐって労使間の交渉中であったと聞いております。現在かなりの負債をかかえ、すなわち、採算悪化で生産能率第一主義にあせらせたところに、事故発生の原因があると思われます。石炭産業におけるこのような人命軽視は、久しくわれわれが指摘してまいったところであります。事故のたびに、経営者は保安第一主義を強調しますが、これが一片の弁明にすぎないことは、依然としてあとを断たない事故の発生が雄弁に物語っております。もはや、かくのごとき経営者の手に炭鉱労働者のとうとい命を預けておくことはできません。政府はこの際、全国全炭鉱の総点検を行ない、具体的な安全対策を実行することを、この場で国民の前に約束をしていただきたいと思うわけでございます。総理大臣並びに通産大臣の明快なる御回答をお聞かせいただきたい。
 次に、医師、患者、四名が死亡した東大病院の事故についてお尋ねいたします。
 国民すべてが医学の最高峰と思っている東大病院で、なぜこんな事故が発生したのでございましょうか。病院とは命をとるところではございません。生命を守るべき場所であります。その直接の原因につきましては現在調査中と聞いておりますが、ぜひ徹底的なる調査を政府の責任で行なうべきであります。昭和四十二年一月、アメリカでアポロ一号の酸素気密室で火災を起こし、三名の宇宙飛行士が死亡されたことは有名であります。わが国におきましても、同年十月、岐阜の病院で高圧酸素タンク爆発で患者が死亡いたしております。また、四十三年の二月には、埼玉県で高温度酸素保育器が爆発しまして乳児が死亡いたしております。
 このように同種の事故がたび重ねて発生している原因は、医療機器は、薬事法に基づいて厚生省がその製造、基準、取り扱いについては指導、監督の義務を負っているにもかかわらず、これが実行されていないところに原因があると思います。聞くところによれば、高圧酸素治療室の機械を製造する場合、厚生大臣の許可を必要とするが、機械そのものの基準はメーカーの責任にまかせた形であります。納入後は法律上の安全規程もなく、定期検査もなされていない。これが事実とするならば、担当大臣としての厚生大臣は、このような怠慢をどのように責任をとろうと思っておられるのでしょうか。また、全国の病院には五十基以上に及ぶといわれるこの治療タンクの取り扱いについてどう処置されるのか、明快なる御答弁をお願いいたします。
 また、罹災された患者並びに医師に対する災害補償と、東大病院に対する賠償はいかように考えておられるか、これまた厚生大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 荒川の事故といい、東大病院の事故といい、土木、医学における最新技術が引き起こした悲惨な事故は、最高に性能のよいものほど最高に危険が大きいという安全の基準原則を忘れ、これに対する対策を怠っていたところにその原因があります。人命尊重の安全対策が実行されているかいなかは、国民の生命に対する佐藤内閣の姿勢にあります。生産第一主義、安全無視のため、昨年一年間で六千名近い労働者が死亡いたしております。また自動車事故は、昨年、死亡者一万四千名、負傷者八十一万人の多数にのぼっておるのであります。打ち続く災害、事故、毎日毎日生命が奪われていく国民の姿を一体どう思っておられるのでしょうか。総理大臣、あなたは口を開けば平和とか人間尊重を言われますが、国民が日に日にこのように多数、しかも、人災によって生命を奪われていることを御存じないのでしょうか。国民は毎日毎日不安な中で暮らしておるのであります。どこに平和があり、どこに人間尊重があるのでしょうか。いまここで、あなたの人間尊重がから念仏に終わっていることを追及してみても問題の解決にはなりません。これからこのような災害事故から国民の生命を守るため、具体的にどのような施策をどのように行なっていかれるのかが重大であります。その方針をお聞かせ願いたいと思います。(拍手)
 また、最後に労働大臣にお尋ねいたしたいことは、今日の災害補償の額についてであります。
 人の命は地球よりも重いといわれています。人の命に値段をつけるおけにはまいりませんが、今日の労働基準法、労働災害補償法に規定されている遺族補償金額があまりにも少額であります。国際基準からも著しく低い額であることを指摘しないわけにはまいりません。現在二子を有する未亡人の場合、遺族年金は、西ドイツでは労働報酬の七〇%、フランスにおきましては労働報酬の六〇%であるにもかかわらず、わが国では四〇%であります。ILO百二十一号、業務災害における給付に関する条約におきましても五〇%になっておるのであります。何ゆえかかる少額な遺族補償を放置するのか、政府はすみやかに労基法、労災法を改正すべきであると思いますが、労働大臣のお考えはいかがでございましょうか。最後に、政府の最高責任者である佐藤総理大臣はじめ各大臣に申し上げます。あなたたちは、国を守る気概を持てと国民に言われますが、そんなことを口にする資格はありません。今日、国民の安全すら守られていないのであります。戦争こそ行なわれておりませんが、それに匹敵する多数の犠牲者を出しておるのでございます。人間尊重、りっぱなことでございます。しかし、これが実行されないところに多くの悲劇が生まれております。今回の五つの災害を見てみましても、すべて経営者の責任であり、指導、監督する政府の責任であります。安全を無視した激しい合理化をやめ、もうけ主義を一てきし、いまこそ国民の安全を守る気概を持つべきであります。その気概を持つべきはあなたたちであり、社会的責任を自覚しない経営者であることを申し添えまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) まず、板橋のガス爆発事故についてでありますが、その原因は、目下鋭意調査中でありまして、どこに責任があるかはまだ判然としておりません。ただいまのところ最も大事なことは、できるだけすみやかにこれを究明して、その原因の所在を明確にし、しかる上で必要なる対策並びにその責任を追及することにある、かように私は考えております。したがいまして、現在の段階では、鹿島建設の責任を云々するわけにもまいりませんし、東京瓦斯の責任を云々するわけにもまいりません。工事を請け負った業者の責任、その下請業者の責任、あるいは下請業者を監督する立場における責任、工事の竣工を認定したガス会社側の責任、工事の設計者の責任、あるいはその他第三者の責任、さらには、これらの複数の責任の組み合わせ等々、いろいろの場合が想定されます、いずれにせよ、当面の急務は、その原因を徹底的に究明することであり、その原因に応じて適切な事故防止対策を講ずることであります。関係者が責任のなすり合いをなすようなことがあれば、きわめて恥ずべきことであり、私は、企業が企業体としての責任を自覚して、互いに協力して、真の責任の所在を明白にするよう、かように努力することこそ、関係企業の当然の責務であると、かように考えております。
 被害者の方々に対する補償は、当然事故責任者が全面的に行なうべきであり、政府としても、事故原因の究明と事故の善後処置が完全に行なわれるかどうかを十分見守ってまいり、被害者の方々のために万全の処置を講じてまいるつもりでございます。
 次に、出かせぎの存在は政治の貧困のあらわれであるとのおしかりでありますが、私には、日本の農業から兼業農家が姿を消し、すべての農家が自立経営農家となり、単作地帯からは季節的労働者すら出なくなるといった事態が簡単に実現されるものとは思いません。社会党の諸君ももう少し地面にしっかり足をつけて、的確なものの見方をしていただきたいものだと思います。(発言する者あり)要は、出かせぎそのものの当否ではなく、出かせぎの方々の権利を守り、その職場環境の改善と労働条件の改善を確保するため、応分の指導、監督をなすことこそ政府のつとめである、かように考えております。
 次に、災害から国民を守る具体的方策についてお尋ねがありました。具体策としては、それぞれの職場においてそれぞれの対応策があるべきものであって、一がいには答弁いたしかねます。ここで申し上げられることは、すべての場合において何よりも大切なことは、人間尊重の精神に徹することであると思います。家庭を愛し、職場を愛する気持ちは、国を愛する気持ちに通ずるものであると考えます。逆に申せば、国を守る気概こそ人間尊重の精神、ヒューマニズムの精神であり、後藤君のように、国を守る気概と国民の安全を守る気概とが全く別ものとするような認識はぜひ改めていただきたい、かように私は思います。(発言する者あり、拍手)
 以上お答えいたします。
    〔国務大臣坪川信三君登壇〕
#18
○国務大臣(坪川信三君) お答えいたします。
 板橋のガス爆発事故に関しましては、ただいま総理も御答弁に相なりましたごとく、目下事故現場について、鋭意その実態と原因の究明に調査をいたしておるような次第であります。その調査の結論が出ました事実を踏まえまして、厳正に処置をいたしたい考えであります。
 次に、新四ツ木橋の工法については、築造する構造物並びに地質、水深等の現場条件を勘案しまして、適当と判断される工法を請負業者が採用するものであります。新四ツ木橋でリングビーム工法を使用させましたのは、同工法がこの数年来使用されて、約三百基の基礎工事実績もありますので、請負業者の申し出を承認し、施工させたものでありますが、この不幸を再び起こさないように、先ほども申しましたように、調査委員会の結論を待ちまして、十分厳正に配慮をいたしたい覚悟であります。御了承願います。(拍手)
    〔国務大臣大平正芳君登壇〕
#19
○国務大臣(大平正芳君) 茂尻、空知両炭鉱の災害の原因につきましては、目下調査中でございますが、しかし、先ほども御答弁申し上げたとおり、私どもの見方では、ちょっとした不注意が大きな災害を招いたものではないかと見ております。と申しますのは、鉱山保安規則によりますと、入坑前あるいは作業期間中、可燃性のガスの測定義務がちゃんとあるわけでございますが、それが十分守られておりましたならば、こういう事故はなかったのではないかということが、どうも気にかかるのでございます。したがいまして、この一般の保安責任の弛緩ということこそ最大の問題であろうと存じまして、昨日も関係者を集めまして厳重な戒告をいたしますとともに、御指摘のように、全国の全炭鉱に対しまして総点検の指示を出したわけでございます。この指令を出しましたあと、私どもといたしましては、追跡の調査を急ぎまして、びしびし改善命令を出してまいりたいと考えております。
 それから、従来、保安統括者に対する行政処分等につきましては十分でなかったうらみがありますが、これからは厳正に処分をしてまいろうと考えております。
 それから、政府のとりましたその他の助成策等につきましては、橋本議員にお答え申し上げたとおりでございます。
 それから、長期の保安体制の問題は、先ほども御答弁申し上げましたとおり、新石炭政策を軌道に乗せる前提といたしまして、保安体制の確立を十分見きわめた上でなければ、再建交付金の交付その他の措置に出ないというきびしい態度をとってまいる決意でおります。(拍手)
    〔国務大臣原健三郎君登壇〕
#20
○国務大臣(原健三郎君) 後藤さんにお答え申し上げます。
 労働省といたしましては、新四ツ木橋の事故について、事故発生直後、直ちに係官を派遣するとともに、奥村東大教授を団長とする労働災害科学調査団を編成して、すでに三回にわたって調査を行ないまして原因の究明を急いでおります。そして、この結果に基づきまして、いろいろ対策をやりますが、同種災害が再び起こらないよう、災害事故防止対策を確立する決意でございます。
 それから、災害に被災されました労働者の療養等につきましては、万全の措置を講じており、今後とも遺漏なきを期したいと思います。
 なお、なくなられました労働者の遺族及び被災労働者に対します労災補償につきましては、迅速に保険給付が行なわれるよう手続を進めておるところでございます。
 さらに、全国の石炭鉱山の保安を総点検すべしということでございますが、これはいま通産大臣からお答えになったとおりでございまして、通産当局を督励いたしまして、石炭鉱山の総点検を進めていきたい、こう思っておる次第でございます。
 最後に、雄別炭鉱等の災害に被災された労働者に対しては、万全の医療対策を講じます。また、なくなられた方々の遺族に対しては、遺族補償の年金を支給し、遺家族である限り、終身年金の保障を受けることになっております。
 御指摘になりました労働基準法並びに労災保険法を改正するのがよろしかろう、あまりにもその補償金が少ない、こういう御意向でございますが、こういう意見も方々にございますし、各方面の要望がありますので、現在労災保険審議会に検討をお願いしておる最中でございまして、その答申が出ましたら、政府としては、その結果に基づいて善処する決意でございます。(拍手)
    〔国務大臣斎藤昇君登壇〕
#21
○国務大臣(斎藤昇君) 相次ぐ災害によりまして多くの人命が失われ、また、傷害を受けられた方が多数出ましたことは、厚生省といたしましても、まことに残念であり、また遺憾でございまして、なくなられたお方、御遺族の方、傷つかれたお方に対しましては、心から敬弔の誠をささげる次第でございます。
 高圧酸素治療装置につきましては、これを販売するために業として製造をする場合には、これは認可を得なければならぬことになっておるのでございまして、厚生省といたしましては、認可の際には、その安全性及び性能の面から厳重な審査を行ないまして、およそ正しく使用される限りは事故が生ずることのないような配慮を尽くしているのでございます。
 また、製造承認にあたりましては、不適正な使用による事故を防止いたしますために、その取り扱い及び使用に際しまして留意すべき事項として、次のような事柄をその装置に表示させることといたしております。一つは、耐圧性圧力計について、少なくとも毎年一回定期検査の実施をすること。二つには、発火、爆発、スパークなどの発生するおそれのあるもの、油脂類などの可燃性物質のタンク内への持ち込みの禁止。三には、可燃性の消毒剤、麻酔剤、電気メスなどの使用の禁止というような注意事項を書き、これを順守させるようにいたしておるのでございます。先日東大の付属病院で起こりました事故は、特に人命を預かるところで、しかも、治療の中において起こった事故でございますが、この東大において用いられておりました高圧酸素の治療装置は、東大が研究用に開発をし、そして、東大の考えによってメーカーに試作をさせ、それをまた他のメーカーに改造をさせていたものでございまして、厚生省の認可した業者が売り込んだものではございません。したがいまして、それだけに、私は、東大の医療機関といたしましては、人命について全責任をもって考案をせられ、全責任をもって使用についての留意をしておられたことだと、かように思うのでありますが、たまたまああいう事故が起こりました。ただいま原因を司直の手において、また、関係のその道の大家の連中が集まって検討をしておられるわけでございます。
 そこで、厚生省といたしましても、厚生省の認可をいたしましたもの以外につきましても、そういうように医療機関自身において開発し、医療機関自身においてつくって用いておられるものも相当ございますが、これらの安全使用につきましては、それらの結果も踏まえ、また、ただいま検討をさせております専門家の結論も得まして、全病院につきましても、安全の確保に十分留意させるようにいたしたいと思います。
 なお、損害補償の点について私にお尋ねでございましたが、これは文部省の所管でございますので、文部大臣も十分補償には万全を期する所存でおられると私は承っておりますが、きょうの御質問の次第もございますから、御意見の点を十分お伝えいたして、遺憾なきを期したいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(石井光次郎君) 次に、内海清君提出、相次ぐ災害事故に関する緊急質問を許可いたします。内海清君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔内海清君登壇〕
#23
○内海清君 私は、民社党を代表いたしまして、最近多発いたしております災害につきまして、若干の質問をいたしたいと存じます。
 質問に入るに先立ちまして、雄別炭鉱のガス爆発、荒川放水路の水没事故、板橋のガス爆発、東大病院の爆発事故等により、その犠牲となられました方々に深く哀悼の意を表しまするとともに、御遺族に対し、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。(拍手)
 わが国の災害は、風水害、地震、交通災害、炭鉱の爆発等、その内容は多岐にわたっており、最近の実情は、国民の生命、財産の安全を守るという基本的な対策が全く確立されていないと申しても、決して過言ではないと存ずるのであります。特に災害につきましては、超党派的な立場に立ち、予防をはじめとして、救助、復旧に万全の処置を講ずべきだと思うのであります。
 国民は、まず生きるために働き、社会生活をより幸福にするため、日夜勤務に従事いたしておるのであります。しかるに、働くがゆえに傷つき、病におかされるとすれば、これは人生最大の不幸といわなければなりません。国民が人生の幸福を求め、社会生活を営むとき、その幸福を踏みにじるような災害の発生を放置することは、一日たりとも許されるべきではありません。国民を災害の危険から防護し、その健康を保持し、財産を守ることは、まず第一に、政府に課せられた重大な責務であります。(拍手)しかし、政府は、みずからその責任を回避し、防災について積極的な姿勢を示さない態度は、徹底的に追及さるべきであると存じます。この際、災害一般につきまして、政府の基本姿勢と佐藤総理の決意のほどを承りたいと存ずるのであります。
 次に、技術革新の進展はきわめて目ざましく、わが国産業経済の高度化、近代化を急速に推し進めてまいりました。そして政府は、事あるごとに、経済の繁栄は人間尊重と社会福祉の向上にあると申されておるのであります。しかしながら、その反面において、痛ましい産業災害があとを断たないことは、まことに憂慮すべきことであります。この原因は、政府が今日まで生産第一主義を唱え、人命を軽視したことによるものであり、このことは、いまだにあとを断たぬ類似の災害の多発が何よりも雄弁に物語っているところであります。(拍手)いかに経済の発展が得られましても、人間の生命や健康が優先的に尊重される社会でなけらねば、国民のための社会とは申されません。この点について佐藤総理の御所見を承りたいと存ずるのであります。
 次に、炭鉱災害についてお伺いいたしたいと思います。
 北海道の雄別炭鉱におきまして、死者十八名、重軽傷者二十七名という悲惨なガス爆発が発生いたしました。また昨日は、空知炭鉱空知鉱におきまして、出水による崩落により五人の方の生き埋め事故が発生したことが伝えられておるのであります。北海道では、昨年美唄炭鉱、平和炭鉱のガス爆発、炭じん爆発等、炭鉱災害が多発し、年間の死者百七十三名にのぼる記録を出しましたことは、いまだに記憶に新しいことであると存ずるのであります。暗黒の地底の奥深いところで発生する炭鉱災害は、崩落、炭じん爆発、ガス爆発、そのどれ一つが起こっても直ちに人命を奪う惨事につながるものであり、特にガス爆発は一挙に多数の犠牲者を出すという、これほど痛ましい事故はないのであります。
 このような相次ぐ炭鉱災害の態様を見ても、経営者が生産第一主義におちいり、自主保安体制の火除、保安施設の不備あるいは手抜かり、さらには従業員に対する保安教育の不徹底等、いわゆる人災ともいうべきものが、最近の炭鉱の事故原因となっているのであります。すなわち、自主保安に対する経営者の無責任とあわせまして、人間尊卑の基本理念から逸脱した政府の無為無策が炭鉱災害の頻発をなしているのであります。政府は、危機に瀕している石炭産業のためにも、一日も早く事故の真因を突きとめ、保安対策の強化徹底にさらに万全を尽くすべきであると考えますが、この点につき、通産大臣の御見解を承りたいのであります。(拍手)
 次に、都市改造の問題についてお伺いいたします。
 最近、大都市では、都市改造の波に乗って地下鉄の敷設や道路の建設、改修工事が大幅に進められておりますが、そのために起こる事故で国民が思わぬ被害を受けることが多いのであります。板橋のガス爆発事故、大阪のガス中毒死等はいまだに記憶に新しいものであり、このほか、工事による水道管の破裂、道路の陥没、建設資材の落下等、国民が受ける物的、人的な被害が数え切れないほどであります。もちろん、都市改造や再開発は、産業の発展にも、人口の都市集中化に対処するためにも必要であることは否定いたすものではございませんが、しかし、その生命、財産が脅かされるようなことは、決して許されるべきではありません。ずさんな工事をし、その工事を監督すべき立場にあったガス会社、検査した都市交通局等、事故を未然に防ぐべき機会は何回かあったと思うのであります。それをチェックすることができないまま、その悲惨な事故を発生させた国の責任はまことに重大で、人命尊重の精神が欠けていたというほかないのであります。
 都市改造とは、本来、国民が住みよく、生活しやすくするために行なうべきものであります。ところが現在では、それが逆に住みにくくなるばかりか、生命の危険さえ伴うものであり、今後、都市改造を本来の目的にかなったものとするため、いかなる対策を考えておられるか、建設大臣としてのこれに対する決意のほどをお示しいただきたいと存ずるのであります。
 最後にお伺いいたしたいのは、最近、重化学工業のみならず他の多くの産業におきまして、技術革新が急速に進歩し、しかも内容が、未経験の新物質の登場、オートメーション化等により、その保安対策は、従来の対策に比較し、質的な転換を要請されております。にもかかわらず、現在、政府の行なっておりますなまぬるい消極的な保安対策では、この急激な流れに全く対処できないことは火を見るより明らかであります。加えて、今後における産業の推移を考えますとき、いよいよ楽観は許されず、技術の進歩は災害の大型化、また、新たな職業性疾病を生み出す危険が非常に多いと申さなければなりません。
 この点について政府は今後いかなる方針で対処していくのか、佐藤総理に、国民の納得する明快な御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#24
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 ただいま、政府の責任は、災害から国民の生命、財産を守るにある、かように御指摘がありました。私もそのとおりに考えます。今回の災害によりまして多数のとうとい人命、また財産を失われた、まことに残念、遺憾に存ずる次第であります。そういう意味で、これに対する対策は、それぞれの所管大臣からもお答えしたとおりでありますが、私は、ただいま内海君が御指摘になりましたように、この種の相次ぐ災害、これは産業中心対策ではないか、かような御指摘でありますが、この点については、先ほど来政府当局がお答えいたしておりますので、私からは重ねてお答えはいたしません。さような意味ではない、私が口ぐせのように言う人命尊重に徹すべきだ、かように私は考えますので、ただいまのような点において、誤解のないようにお願いいたします。
 次に、最近の近代科学から生まれてきた機械等の取り扱い方について、東大病院の災害等を例にしての御意見がございました。私は、最近の医療施設の中におきまして、患者とお医者さんが同時になくなる、かような災害が起きたということは、これはほんとうに心から残念に思う次第であります。私は、いかなる新鋭の科学の粋を集めた機械であっても、安全対策に手抜かりがあれば、これは文明の利器であるとは申せないと思います。科学者たる者は、当然安全を第一義に考えるべきものであると考えます。また、いかに完全なる機械、施設であっても、それを利用する者に心のゆるみがあっては何にもなりません。いずれの場合におきましても、すべての人たちがお互いに人命を尊重する精神に徹して、そうして事に当たっていただくことが何よりも肝要である、かように私は考えるのであります。
 その他の点につきましては、それぞれの所管大臣からお答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣大平正芳君登壇〕
#25
○国務大臣(大平正芳君) 災害についての政府の責任の御追及でございますが、私どもとしては、鉱山保安法に基づきます厳重な監督指導に加えるに、保安施設、保安教育、保安技術等に種々の助成措置を講じておるのでございます。しかしながら、御指摘のように、最近の状況にかんがみまして、十二月の中央鉱山保安協議会の御答申にもありますとおり、経営者の主体的な努力、保安意識の向上が一そう大事であるという意味におきまして、それを促すために、長期保安計画を今度の石炭企業再建の前提といたしたのでございます。同時に、先ほども御答弁申し上げましたとおり、法規違反その他の行政処分は厳正にやってまいるつもりでございます。
 さらに、ガス抜き、密閉等についての助成措置を新たに講じますとともに、保安の機器、保安教育の助成措置は一そう強化してまいりまして、御期待にこたえたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣坪川信三君登壇〕
#26
○国務大臣(坪川信三君) お答えいたします。
 都市改造及び都市再開発等の市街地内における土木工事は、人口、家屋の密集地域における事業でありますので、工事施行には特に慎重を期しており、機会あるごとに次官、局長通達等を通じまして、工事発注者及び施行者に対して保安上必要な措置について指導してまいってきておる次第でありますが、今後とも、地下埋設物等については共同溝の設置の促進をはかり、ビル建築の際の事故防止、地下埋設物に対する施行上の配慮等について、なお一そう十分指導、監督を強化してまいりたい所存でございますので、御了承願いたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○副議長(小平久雄君) 次に、小川新一郎君提出、相次ぐ災害事故に関する緊急質問を許可いたします。小川新一郎君。
    〔小川新一郎君登壇〕
#28
○小川新一郎君 私は、公明党を代表いたしまして、最近のたび重なる重大事故で一瞬のうちにとうとい命を失われた多くの方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の方々に衷心より哀悼の意を表し、深い憤りをもって事故の原因を追及するとともに、質問をいたすものであります。
 わが党は、直ちに北海道及び各事故現場の調査及び救援対策に手を伸ばしたのでありますが、現地からの声は、いずれも悲痛な血の叫びがあがっております。災害は忘れたころにやってくるといわれておりますが、最近の相次ぐ災害は、きのうのことを忘れるほど次々にやってまいります。おそるべきは、天災にあらずして人災であります。こうして私が質問している間にも、わが国の西に、東に、また北に、都市に、農村に、山といわず、川といわず、災害の生じない日のないことを深く悲しみ、憤るものであります。山海空市、人の命免れがたしとは、まさにこのことを言うのでありましょう。
 近代福祉国家をもって任ずるわが国の近時におけるこの異様怪奇な姿は、一体何を物語るものでありましょうか。産業優先の高度経済成長のひずみか、または現代政治の本質的貧困性にあるのか、あるいは指導者の福運の尽きた国の姿なのか。総理、あなたは防災会議の最高責任者として、この災害時代の到来を思わせる世相を、根本的にいかに考え、対策を講ぜられるのか、お伺いいたします。(拍手)
 新四ッ木橋事故におきましては、急遽建設大臣を現地に派遣し、その対策を講ぜられ、また参議院における質問に対しては、原労働大臣は八十キロの巨体をふるわせてむせび泣いたといわれております。その行動、その態度はまことによしとするも、災害が起きて泣くよりも、起こさないために泣く姿こそ、真の為政者の姿ではないでしょうか。強く反省を求めるものであります。(拍手)
 わが国は、世界有数の地震国であり、台風常襲地帯国であります。自然災害の悲劇は、全面的にはこれを回避することはできません。しかし、人災の絶滅は、人間の英知と努力によって必ず可能であり、政治の力によって断じてなし遂げられるのであります。防災政策の基本原則は、災害を未然に防止するため、災害予防対策を強力に推進し、大衆福祉の立場に立って国民の身体及び財産を災害から保護し、もって個人の幸福と社会の繁栄の確保に資することですが、事故が起こってからあとの政策は無意味であるばかりでなく、むしろ政治的責任を問われ、さらに、法的にも国家賠償責任のおそれすらあります。事故の防止は、すべてが人命尊重の立場に貫かれて初めてなし得るものであり、今日の工業化時代には、科学技術の反面、それに原因する事故が生じ、安全の保持について厳正な配慮を欠くときには、事故もやむなしという危険な誤った考えを生ずるおそれがあります。最高に性能のよいものは最高に危険であり、科学技術の発達は、相次ぐ死の悲劇を生み、民族自滅の序幕と化するかもしれません。したがって、科学技術の進展を望まないわけではありませんが、その反面、人命尊重の思想が強く優先しなければならないのであります。政府は強力な指導体制を確立し、安全性について、より人命尊重の立場から、信念を持って強く指導すべきであります。総理の具体的な態度をお聞かせください。(拍手)
 次に、茂尻炭鉱粉ガス爆発事故についてであります。
 この炭鉱は、昭和二十五年、ガス爆発があり、同三十年には死者六十人、重傷者十六人を出すという事故のあった、いわくづきの炭鉱であります。このように、同一炭鉱でたび重なる事故を起こしたことは、明らかに政府の保安監督指導の欠除によるものであると思うが、その点、政府はいかに考えておられるのか。また、事故の原因は、ダイナマイトのハッパによるガス爆発ではないかと思われます。五%程度のガスがあったと聞きますが、ハッパ前のガス量の測定はしていたのか。また、全国の炭鉱のうち、ハッパ採炭をやっているものは二〇%もあり、最近ガス爆発による災害が目立っておりますが、どのような対策を講じておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
 昨年一年間において、北海道内だけでも百七十三人の死者を数えており、昭和四十年には、全国の死者は六百四十一人にのぼっております。近年、事故発生率は、実質的には大幅に上昇しております。空知炭鉱でもまた事故がありました。これは作業環境の悪化を如実に物語るものであると思いますが、炭鉱の災害予防についてはどのような施策を講じておられるか、お伺いしたい。
 最近、炭鉱では閉山ムードが高まり、保安に対する熱意もないことが、重大な災害要因となっているといわれております。現地のある炭鉱夫も、会社はしょせん閉山すると見てか、炭鉱内の保安対策には手を抜いていたからだと、ふんまんをぶちまけております。このような企業姿勢に対し、どのような具体的な対策を講じてきたのか、御説明を願いたいと思います。(拍手)
 政府は、二月十八日、道内の全鉱業所長を集め、重大災害を起こしたら厳重なる態度で臨むといっておりますが、その厳重なる態度とは具体的にはどのようなものであるのか、お示しいただきたいと思います。
 次に、重要な問題は、遺家族に対する補償であります。死者のうち四十歳以上が八人、五十歳以上が六人で、その大半は中高年層の人々であり、まことに同情にたえず、涙なきを得ません。起こり得べく、かつ予見できた事故を、保安対策軽視のため未然に防止し得なかったのであるならば、法定されている僅少な遺族補償や遺家族の就職を、一企業のみにゆだねておくことは許されないことであります。政府はいかなる措置と対策をとる考えであるか、特にこの点についてお伺いいたします。(拍手)
 第二は、板橋のガス爆発事故についてであります。
 何の罪もない一家五人の焼死という悲劇を生んだ原因であります。事前に住民を避難させるための正しい措置がとられていたならば、人命を救うととは可能であったろうと思われます。そこに行政上、保安上の手落ちはなかったか、お伺いいたします。
 すでに事故発生以来二十日間を過ぎようとしておりますが、その原因について、いまだにガス会社と地下鉄工事を担当した建設会社が互いに責任のがれの主張をなし、補償の譲り合いを行なっております。政府は、被災者のことを完全に忘れた一流の大企業者の態度をいかに理解しておられるのか。なぜ事態を傍観しておられるのか。それはあまりにも無責任な態度ではないか。総理の見解をお伺いいたしたいと思います。
 世界の大都市で、東京ほど掘り返し工事をたくさんやっているところはありません。しかもその地下は、まるで危険な埋蔵物に満ち満ちたジャングルであり、今回の事故も、ずさんな都市計画を進めている政府の都市建設行政の一端を暴露したにすぎないと思われます。さらに、あの爆発現場においては、このわずか三カ月間に三十四回もガス漏れ騒ぎを起こしております。それにもかかわらず、何ら抜本的な補修措置を講ぜず、あの大事を招いたのであります。このような企業側の態度に対し、関係官庁はいかなる監督指導をしているのか。これは企業者の責任であるとともに、明らかに監督官庁の怠慢によるものであります。よって、民事的損害賠償のことは当然でありましょうが、それとは別に、国家賠償責任は生じないのか。さらに、現行刑法を改正する必要はないのか。また、ガス管事故発生の原因が、他の工事との関連において生ずる複雑なものが多いと思われますが、今後の事故防止対策をいかに考えておられるのか、お答え願いたいと思います。(拍手)
 この事故からわずか半月も経過しないうちに、水戸市において、高圧ガスが圧力調整されずに各家庭に流され、六十名に余る主婦がガス中毒を起こしております。もし発見がおくれていれば、大量の死者を出す大惨事にもなりかねないといわれております。しかも、ガス圧力調整器の取りかえ工事後には、何ら検査は行なっていないということも指摘されております。これに関して政府の見解をお伺いしたい。
 また、去る四日には、国立東京大学付属病院の高圧酸素ガスタンク爆発事故が発生しております。医学の新兵器が一変して凶悪な殺人兵器と化したのであります。厚生省は、最近になってようやく安全基準について検討を始めたといわれておりますが、全くおそきに失したものといわざるを得ません。この事故は、公の営造物の管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたものでありますので、当然に国家賠償法により国は賠償する責めに任ずるものと思われますが、政府の所見を承りたいと思います。
 次は、相次ぐ火災事故についてであります。
 昨年十一月の有馬温泉、磐梯熱海温泉ホテルの悲劇、さらに、先日の東京新宿のトルコぶろにおける惨事等、最近、旅館、ホテル、トルコぶろ等レジャー施設の火災事故が続発しております。事故発生後、監督官庁は必ず、幾度も注意はしていたといって責任を回避するのが常であります。これらレジャー施設は営利に急なあまり、その公共性を忘却し、火災対策に対して実に無神経であり、消防法、建築基準法等の法規違反が公然と行なわれているのが実情であります。わが党は、すでに観光地、旅館の火災発生の場合における人命の安全確保に関する法律案要綱を準備しております。政府は、なぜにこれらの安全確保のための措置を完全に講じ得ないのか、政府の見解を明らかにしていただきたいのであります。
 新四ッ木橋事故についてでありますが、建設省のサゼスチョンによってリングビームという新工法が採用されておりましたが、それは特許申請中のものであり、建設省は、この工法についての調査研究をなし、いかなる根拠に基づいてこれを採用されたのか、お伺いしたいのであります。(拍手)また建設省は、直轄工事の責任者として、いかなる責任をとられるのか、その決意をお伺いしたいのであります。
 最後に、国民災害共済制度についてであります。
 昨年の五月二十八日の衆議院災害対策特別委員会におきまして、全国に公明党の主張で実施されている交通災害共済制度のシステムを災害にも適用し、全国災害共済制度を設け、個人救済をはかっていくべきであるという趣旨の質問を私はいたしましたが、これに対し佐藤総理は、交通災害共済制度はたいへん進んだ考え方だ、全国災害共済制度の提案も、なかなかいい着想だという趣旨の答弁をなされたことは、総理、御記憶のことと思います。総理は、相次ぐ事故発生にかんがみ、国民災害共済制度の立法化をなす御意思があるのかないのか、お尋ねいたします。
 以上、質問の要点のみを申し述べましたが、私は、政府に対し、災害対策の万全を期すべきことを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 小川君にお答えいたします。
 災害が相次いで発生していることは、人命尊重の見地から、まことに残念に思っております。災害防止のために政府としてとるべき方策と決意につきましては、すでに繰り返し、この席上から申し上げておりますので、あらためて申し上げません。お許しを得たいと思います。
 ただ、一つここで指摘しておきたいことは、安全の基本、これは一瞬の心のゆるみから起こることが多いのではないか。だから、この心のゆるみ、これを起こさないことが最も大事なことであって、この点は、いわゆる暴力を憎む心と相通ずるものがあるように思います。(「変な論理だよ」と呼ぶ者あり)わずかな災害は災害とも思わない、少々のけがは、その発生は、これまた軽く、たいして気にしない、かような風潮が出てくるところに、私は危険があると思うのであります。ただいま、変な論理だと言われましたが、私は、さような意味で、軽微な問題だといって見過ごしておる、そこに一つの問題がある、このことは特に指摘したいのであります。(拍手)
 次に、安全防止について政府が責任を持てとのおしかりでありましたが、もちろん、政府としてなすべきことについては、今後一そう励行してまいるつもりであります。しかしながら、ともすればすべての責任を政府に問おうとする傾向、これは裏返せば、すべての場合に政府がたよられている、かようにも考えられるのでありますが、これはやはり国民全体の問題として考えていただきたいと思います。災害の防止は、経営者にとっても、勤労者にとっても、わが事として最善の努力を払って、災害を起こさないようにする、こういうことがしていただきたいのであります。政府は、もちろん政府のなすべきことはいたします。また、各人が、みずからも災害から不幸な状態を招かないように努力するということを、私は申し上げたいのであります。
 次に、ガス事件につきまして、関係者が責任のなすり合いをやっているということ、先ほども申し上げましたように、全く遺憾に思っております。関係者が一致協力して事故の真の原因を究明し、すみやかに安全対策を講ずることこそ、被害者の方々に対するせめてもの責務である、かように思います。
 また、いろいろお尋ねがございましたが、それらの点は関係大臣からお答えするとして、最後に、国民災害共済制度の立法化について私の意見を聞かれました。これについて私の考え方を申し上げてみたいと思います。
 最近の交通災害の増加に対応して、地方公共団体の交通災害共済制度や市中金融機関の定期預金とリンクした保険制度等を自主的に活用される機運が高まってきたことは、歓迎すべき現象であると思います。本来、個人災害は、個人の自主的回復に待つべきもので、国が関与するのが適当かどうか、また、その関与する場合のあり方にはむずかしい問題がありますので、今後このような傾向がどのように発展するか、また、市町村の共済制度が円滑に運営されていくかどうか等を十分早守りながら、さらに慎重に検討してまいりたい、かように私考えております。
 以上、お答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣坪川信三君登壇〕
#30
○国務大臣(坪川信三君) お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたごとく、この不幸な四ツ木橋の事件が発生いたしますとともに、建設省といたしましては、直ちにその原因の究明と、またその工法の適否を技術的に十分調査する必要を痛感いたしましたので、民間、学界、技術界等の権威者に委嘱申し上げまして調査技術委員会を設置いたしまして、目下調査いたしておる次第でございますので、この調査の結論を待ちまして最善の適切な方途を講じたい、こう考えておりますとともに、今後のこうした不幸の頻発を避ける意味におきましても、本日事務次官通牒をもちまして全国の土木部長並びに地建の局長及び土木工事所長等に対しまして、現場監督に対する細心の注意と指導を行なうよう通告を発しまして、再びかかる不幸な事件のなきよう行政的配慮をいたしておるような次第であります。
 リングビーム工法につきましては、先ほども申し上げましたごとく、数年前から使用しており、同工法によりまして約三百基の工事の実績がありますので、請負業者の申し出を承認いたして施工させたものでございますが、ただいま申し上げましたごとく、技術的に解明する点も多くございますので、土木研究所長を中心といたしまして、調査委員会の結論を待ちまして、適切にその指導と今後の方針について検討、決定をいたしたいと考えておる次第であります。
 また、国家賠償法の適用につきましては、御承知のとおりに、いわゆる請負契約等の民事上の問題ともからみますので、国家賠償法の適用については、なお検討を要する点が多くありますので、にわかに結論を出すことはできないと考えておる次第でございますが、御遺族等に対する補償につきましては、最善の配意をいたす所存でございます。どうか御了承願いたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣原健三郎君登壇〕
#31
○国務大臣(原健三郎君) 小川さんにお答え申し上げます。
 労働災害事故が続発いたしまして、私どもも責任を痛感し、深くおわび申し上げたいと存じます。
 小川さんの御説のごとく、災害が起こってからいろいろ対策を講じるよりも、それを未然に防ぐべきものである、御説まことに同感でございまして、今後は災害を未然に防ぐ方向に向かって万全を期していきたい、こう考えておる次第でございます。
 それから、鉱山における保安は通商産業省の所管するところでございますが、労働省においても、労働基準法に基づいて労働時間、健康診断の実施等をやっております。また、鉱山保安法第五十四条に基づきまして、通商産業省に対し、鉱山労働者の安全を確保するよう、すでに六回にわたって勧告を行なっておるところであります。今後とも、鉱山労働者の安全確保のため、通産省と連携をとりつつ、さらに努力をいたしたいと思っております。
 また茂尻炭鉱における遺族補償対策並びにその就職等でございますが、今回の茂尻炭鉱における爆発災害によってなくなられました労働者の遺族及び被災労働者に対する災害補償につきましては、遺族等から請求があり次第、迅速な保険給付が行なえるように、もう事務手続を完了いたしておるところであります。御遺族に対しましては、一時金並びに年金を差し上げることになっております。また、御遺族の方々の就職についていろいろ御心配でございますが、その就職につきましては、労働省において責任をもってあっせんをいたしたいと思っております。(拍手)
    〔国務大臣大平正芳君登壇〕
#32
○国務大臣(大平正芳君) 鉱山保安監督上手抜かりがあったのではないかという御指摘でございます。仰せのように、鉱山保安規則によりまして、私どもは、作業中あるいはハッパ前のガスの測定義務を課しまして、常時監督を怠らないようにいたしておるつもりでございます。茂尻炭鉱につきましては、去年一年間でも十六回、立ち入り検査と指導をいたしておるのでございまして、形の上で一応監督上の手抜かりはないと承知いたしておりますけれども、なお一段と注意を促す所存でございます。
 第二の、厳重な対策を講ずるの厳重という意味はどうかということでございますが、きのう、私どもが石炭業界の首脳を招きまして厳重な戒告をいたし、かつ、全山に総点検を指令するというような異例な措置を講じたり、あるいは場合によっては鉱山の停止命令、鉱山保安責任者の解職命令等も出す決意で臨んでおるゆえんは、そういう政府のきびしい態度を反映するものであると承知いたしております。
 それから、労働大臣から、罹災者の補償につきまして政府の責任に属することの御答弁がありましたが、会社側の責任に属することにつきましても、関係金融機関と十分話し合いをいたしまして、その協力を得る見通しがだんだん出てきておりますことを、この際御報告申し上げます。
 それから、水戸のガス流出事故でございますが、これは四月一日に、水戸におきましてガスの圧力調整装置に浸水いたしまして、その装置が調整不良となって、通常の約二倍程度の圧力のガスが一時家庭に供給されるというようなことになった事件でございます。まことに申しわけございませんが、この事故の原因は、工事の手落ち、それから工事の完成時の点検が十分でなかったのではないかと考えられます。そこで、私どもとしては、直ちに当該ガス事業者に対しまして、地下に設置してある圧力調整装置の総点検を指令いたしました。それから工事担当者の教育の強化、工事完了後の検査の確実な実施を指示したのでございます。その後の報告によりますと、異常がなくなった旨報告がありました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣野田武夫君登壇〕
#33
○国務大臣(野田武夫君) 最近相次いで起こっております温泉、観光地の旅館、ホテルその他の災害は、まことに遺憾に存ずる次第でございます。その対策といたしましては、関係省庁の連絡協議会を設けまして、人命の安全確保をもちろん第一義として検討してまいりましたが、その結果、当省といたしましては、早期発見、早期通報、早期避難に関する設備の基準を強化するために、消防法施行令を改正いたしまして、四月一日から施行することとなっております。
 御指摘にありました新宿トルコぶろの火災の件につきましても、直ちに調査いたしました結果、いろいろ法にそむいている点がございました。まず、ボイラーの給油をしたタンクローリーの運転手が無資格であったということ、それから、このトルコぶろの経営者及び支配人が危険物取り扱いについての届け出を怠っておったということでございましたので、いずれも東京消防庁を通じ、四月五日に告発をいたしたのでございます。今後、この消防法施行令の改正に基づきまして、強力にこれを実施して、できるだけ災害の防止につとめたい、こう思っております。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 訴訟費用臨時措置法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
#34
○副議長(小平久雄君) 日程第一、訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#35
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。法務委員会理事 大村襄治君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔大村襄治君登壇〕
#36
○大村襄治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。本案は、最近の賃金及び物価の状況等にかんがみ、民事訴訟及び刑事訴訟における証人、鑑定人等の日当の最高額を増加しようとするものでありまして、その内容は、第一に、民事訴訟の当事者及び証人並びに刑事訴訟の証人の各日当の最高額を千三百円とし、第二に、民事訴訟の鑑定人等及び刑事訴訟の鑑定人、国選弁護人等の各日当の最高額を千百円にしようとするものであります。
 当委員会におきましては、三月十四日提案理由の説明を聴取し、自来慎重審査を行ない、四月四日、質疑を終了したところ、大村襄治君より、本案に対する修正案が提出されました。
 その内容は、施行期日が「昭和四十四年四月一日」とあるのを’「公布の日から起算して七日を経過した日」に改めることであります。
 次いで、討論もなく、直ちに採決の結果、全会一致をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#37
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第二 公立義務教育諸学校の学級編制及
  び教職員定数の標準に関する法律の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
#39
○副議長(小平久雄君) 日程第二、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
#40
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。文教委員長大坪保雄君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔大坪保雄君登壇〕
#41
○大坪保雄君 ただいま議題となりました公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会における審査の経過とその結果を御報告申し上げます。
 本案の要旨の第一は、公立の小学校及び中学校の学級編制の標準の改善であります。すなわち、小学校及び中学校の単級及び四十九人の学級並びに小学校の四、五個学年複式学級を解消するとともに、小学校の二、三個学年複式学級及び中学校の二個学年複式学級並びに特殊学級の学級編制の標準を改めることであります。
 第二は、公立の小学校及び中学校の教職員定数の標準の改善であります。すなわち、小学校及び中学校の教員並びに養護教員及び事務職員の配置基準を改善し、なお所要の加算を行なうことであります。
 第三は、公立の特殊教育諸学校の小学部及び中学部の学級編制の標準を改善するほか、重複障害児についての学級編制の標準を規定することであります。
 第四は、公立の特殊教育諸学校の小学部及び中学部の教職員定数の改善であります。すなわち、小学部の教員の配置基準について、小学校の場合と同様に改めるほか、寮母の配置基準を改善し、なお所要の加算を行なうことであります。
 第五は、この法律は昭和四十四年四月一日から施行することとし、施行に必要な経過措置を定めるとともに、その他関係規定の整備を行なうことであります。
 本案は、去る二月十三日当委員会に付託となり、同月十九日政府より提案理由の説明を聴取いたしました。以来、本案について慎重に審査いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。
 かくて、四月二日、本案に対する質疑を終了、次いで、四月四日、本案に対し、自由民主党を代表して河野洋平君から、この法律は、公布の日から施行し、昭和四十四年四月一日から適用することを趣旨とする修正案が提出ざれました。
 次いで、討論に入りましたところ、本案に対し、日本社会党を代表して唐橋東君、公明党を代表して有島重武君より反対の意見が、自由民主党を代表して谷川和穗君より賛成の意見が表明されました。続いて採決に付し、本修正案及び修正部分を除く原案は賛成多数をもって可決、よって本案は修正議決されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#42
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#43
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第三 国際通貨基金協定の改正の受諾に
  ついて承認を求めるの件
#44
○副議長(小平久雄君) 日程第三、国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#45
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。外務委員長北澤直吉君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔北澤直吉君登壇〕
#46
○北澤直吉君 ただいま議題となりました国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件につきまして、外務委員会におきまする審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 国際通貨基金協定は、第二次世界大戦終了前の一九四四年七月に、アメリカ合衆国のブレトン・ウッズにおいて四十四カ国参加のもとに国際金融会議が開かれ、戦後の世界経済における為替、通貨の安定と復興開発に関する国際取りきめの問題が討議され、その結果、国際復興開発銀行協定とともに採択されたのでありまして、この二つの協定は通常ブレトン・ウッズ協定と呼ばれ、一九四五年に成立いたしました。
 国際通貨基金が設立されて以来、国際通貨の安定、加盟国間の多角的支払い制度の樹立等により、国際復興開発銀行やガット等の国際経済機構とともに、戦後の世界貿易の拡大と世界経済の発展に大きく寄与してまいりましたことは、御承知のとおりであります。今後、世界経済の成長と繁栄をはかりますためには、世界貿易の着実な発展が必要であることは申すまでもありません。
 ところで、世界貿易の規模が拡大されますと、世界全体としての準備資産の総量がそれに見合って適正に供給されることが必要でありますが、金及びドル等から構成されております準備資産には限度がありますため、その適正な供給が期待できなくなってまいりました。そこで、この問題に対処するため、一九六三年の十カ国蔵相会議以来四年間にわたり検討が続けられ、その結果、既存の準備資産を補充するため、計画的に新しい準備資産を創出する目的で、国際通貨基金のうちに特別引き出し権制度を創出するための大綱が一九六七年の基金総務会で承認されたのであります。基金理事会は、この大綱に基づく特別引き出し権制度の創設等を含む基金協定の改正案を作成し、この改正案は一九六八年五月三十一日の基金総務会で承認されたのであります。
 このたびの国際通貨基金協定の改正のおもな内容は、国際通貨基金のうちに新たに特別引き出し権制度を創設するための規定と、国際通貨基金設立以来の世界経済の情勢変化に即応し、かつ、新設の特別引き出し権制度との調整をはかるための既存の条文修正とから成り立っております。
 特別引き出し権制度は、国際通貨基金によって特別引き出し権を計画的に創出せしめ、参加国に対し、それぞれの国際通貨基金割り当て額に比例して配分せしめるものであります。
 特別引き出し権は、今後、世界貿易の拡大化傾向に対応して、既存の準備資産である金及び米ドル等の供給に多くの期待をかけることができないため、それを補充するものであります。
 また、特別引き出し権は、そのままの形で対外決済に用いられるものではなく、国際収支上の必要が生じた場合には、いつでも、参加国はこれと引きかえに国際通貨基金の指定する他の参加国から必要な通貨を入手することができるという仕組みになっております。
 これに対応しまして、参加国は、国際通貨基金から指定ざれたときは、いつでも、交換可能通貨の提供と引きかえに等額の特別引き出し権を受け取る義務があり、準備資産の不足によって世界の貿易と経済の発展が阻害されることのないよう、対処しようとするものであります。
 また、この新制度の創設に伴い、国際通貨基金は、既存の基金資金の利用にかかる操作については一般勘定、特別引き出し権の操作及び取引については特別引き出し勘定を通じて、それぞれ機能することとなりますので、既存の条文を修正して、その調整をはかるとともに、世界経済の情勢変化に対応し、世界貿易の拡大発展を通じて世界経済の成長と繁栄をはかろうとするものであります。
 本案件は、二月十七日本委員会に付託されましたので、同月二十六日政府より提案理由の説明を聴取し、質疑を行ない、また参考人から参考意見を聞くなど、熱心な審査を行ないました。その詳細につきましては会議録によって御了承を願います。
 かくて、四月七日、本案件についての質疑を終了し、討論を行ないましたところ、日本社会党を代表して穗積七郎君から、反対の意見が述べられました。
 次いで、採決を行ないましたところ、本件は多数をもって承認すべきものと決した次第であります。右、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#47
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。本件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#48
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ――――◇―――――
#49
○副議長(小平久雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 西郷吉之助君
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
        大蔵大臣臨時代
        理
        国 務 大 臣 菅野和太郎君
        文 部 大 臣 坂田 道太君
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
        通商産業大臣  大平 正芳君
        労 働 大 臣 原 健三郎君
        建 設 大 臣 坪川 信三君
        自 治 大 臣 野田 武夫君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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