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#1
第061回国会 本会議 第24号
昭和四十四年四月十日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十七号
  昭和四十四年四月十日
   午後二時開議
 第一 行政機関の職員の定員に関する法律案
  (内閣提出)
    …………………………………
  一 国務大臣の演説(林業基本法に基づく昭
   和四十三年度年次報告及び昭和四十四年度
   林業施策について)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 内閣委員長藤田義光君解任決議案(柳田秀一君
  外九名提出)
 日程第一 行政機関の職員の定員に関する法律
  案(内閣提出)
   午後二時四十七分開議
#2
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 内閣委員長藤田義光君解任決議案(柳田秀一君外九名提出)
    (委員会審査省略要求案件)
#3
○西岡武夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、柳田秀一君外九名提出、内閣委員長藤田義光君解任決議案は、提出者の要求のとおり委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(石井光次郎君) 西岡武夫君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 内閣委員長藤田義光君解任決議案を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#6
○議長(石井光次郎君) 提出者の趣旨弁明を許します。大出俊君。
    〔大出俊君登壇〕
#7
○大出俊君 私は、日本社会党と公明党を代表いたしまして、内閣委員長藤田義光君解任決議案を提案し、その趣旨の説明を行ないます。
    内閣委員長藤田義光君解任決議案
  本院は、内閣委員長藤田義光君を解任する、
   右決議する。
    〔拍手〕
 以下、趣旨の説明を行ないます。
 今回の国会混乱の責任は、まず第一に、行政機関職員定員法、いわゆる総定員法の性格にあります。昭和二十四年の行政機関職員定員法も、また昭和三十六年の各省設置法も、ともに各省定員は国会審議により法定する形をとっておりましたが、今回の総定員法は全くその性格を異にいたしております。すなわち、国家公務員の総数を五十万六千五百七十一人を限度と押え、各省定員についてはこれを政令をもって定めるというものであります。つまり、一片の閣議決定という行政府の意思によって、五十万六千五百七十一名の範囲において各省定員をいかように削減しようともそれは自由かってである。極言をすれば、国家公務員の身分は、生殺与奪の権という形をもって全く総理の手中にゆだねることになるわけであります。もとより、一方に予算という抑えのあることは当然でありますけれども、今日までの予算委員会のあり方から見て、各省定数をしさいに論ずるなどということは、言うべくして行ないがたいことは、大方の御承知のとおりであります。
 また、戦後、昭和二十四年に行政機関職員定員法が国会に提出され、国家行政組織法第十九条を背景として、大幅な行政整理の政治的意図がその提案理由の説明によって明らかにされまして、わが党の成田知巳委員が当時質問の第一陣に立っておりますが、このときでも、国家行政組織法第十九条により、各行政機関の恒常的な職の定数は法律をもって定める旨の規定によって、各省別の定数を法律をもって定めることになっておりました。
 またこれは、わが国が明治の初期において英米的な公務員制度によらず、プロシャドイツ的な官吏制度を導入したものであり、このために強力な軍隊と忠誠な官吏団とを二本の柱としていた制度にならい、官吏と非官吏、すなわち雇員、用人とを峻別しておったものを、英米型の事務官制度の導入により、新憲法の趣旨による官吏、雇員、用人の別をなくし、ひとしく公務員と定めるという意味での評価すべき半面をも持っていたものでありました。
 また、昭和三十六年における定員法から各省設置法への切りかえにあたってもまた同様に、各省定数は法律をもって定めることになっており、今日に至っているのであります。このときの政府の提案の趣旨は、一方において法律により、一方において予算により、この両側面から公務員の定数が定められることが正しく、定員は行政の規模をきめるわけであるから、法定しがたい少数の例外を除き、できる限り法律をもって定めることにするというものでありました。しかも、行政組織と定員とは表裏の関係にあり、切り離せないものであるからして、行政の機構、組織を規定する各省設置法をもって各省定員を定めることが正しいと強調されていたのであります。
 今回の提案は、この意味では百八十度の転換であり、昨年の一省一局削減同様に、筋も理論もない問答無用式の提案であります。それだけに、公務員諸君及びその家族の皆さんの大きな不安と動揺はおおうべくもありません。したがって、まず、行政の規模、定数の管理、定員算定の基準という基本的な問題のあり方について深い論議が必要でありましたし、また、各省の機構と定数という関係を掘り下げて、大方の公務員諸君の不安、動揺を解かなければならぬ義務があります。また、国民諸君の考える公務員を減らせというばく然たる世論に対しても、事こまかに理論づけて答える必要もありました。しかし、これには、当然なことながら長い討議のための時間を必要といたします。このことを全く無視して、これだけの問題をわずかに二日の論議で、しかも、多くの質問者を残したまま採決を強行させるという性急な態度こそ、混乱の原因であるといわなければなりません。(拍手)
 第二に、今回の提案は、行政の学問的、理論的立場から見て、全くの逆であります。まず、定員算定のためには、末端の単位における仕事の質と量、つまり、係を中心に個々の仕事の範囲をきめる、次に行政の合理的規模を積み上げ方式により決定をする、この行政の規模による職の数、つまりポストの数をきめる、そして恒常的に必要な職、すなわち定員を算定するという形でなければなりません。佐藤総理自身、この立論の正しさを認めており、今回の提案がまさに逆であることもまた認めているわけであります。
 要するに、三年五%の定数削減をねらいとして、各省定数を国会審議できめるという正道を逃げて、政令という強権を使おうというわけでありますが、これは明らかに国会軽視であり、邪道であります。
 そのために、四十四年度予算を通じて、末端における国民への行政サービスの面で許しがたい弊害が各省において、また各所においてあらわれております。やめる人は、仕事がひまなところだけでやめるのではありません。忙しいところからもやめていきます。行政機構はそのままであって、あと補充がないのですから、当然至るところに労働強化があらわれてまいりますが、まず、これがサービス低下に結びついております。
 さらに、各省ごとに五%削減を理屈なしに押しつけるわけでありますから、その省の弱いところにしわが寄ります。これはまた総じて、企画部門等は減らず、現場末端の国民諸君と切り離せないところに、ただでさえ人不足に加えて、さらに人が減らされるということになってまいります。
 気象庁関係をまず例にとりますと、末端の測候、観測関係に大きくしわ寄せが見られます。大阪管区気象台で観測課員が削減をされます。今日、天気予報なるものは当たらないことになっておりますが、一日二十四回、つまり、一時間おきに観測が行なわれているものが、一日八回、つまり三時間おきの観測しかできなくなります。どうせ当たらぬ天気予報だからと言ってしまえばそれまでですが、気象学者の意見によりますと、三十分おき、一日四十八回の観測が行なわれ得る人の配置ができれば、天気予報はもっと当たるようになると述べております。また、観測課員の諸君は非常に多くの分野をかけ持ちしていまして、公害に必要な高層観測、逆転層の調査――これも減ることになっておりますが、それから地震、津波の予報体制、海難審判、官庁、民間の取引や、船待ちで荷揚げができない等の判定の資料などに至りますまで、いずれも人手不足で不完全なものばかりであります。
 昭和四十二年五月一日に行政管理庁が調査をいたしまして勧告を出しておりますが、気象報告をはじめ各種観測の体制が全く不備であり、すみやかに充足すべきであるなどと、長々と述べております。ところが、本年一月の行政監察月報によれば、気象解析機能の充実ということで、高速度模写送受画装置と大型ゼロックスの整備に必要な予算要求をしたが認められなかったので、今後も努力するという気象庁の措置模様などを載せております。行管自身が、人が足りない、充足せよと勧告しておきながら、同じ行管のきめた五%削減でさらに人を減らすという、国民の皆さんから見れば、あきれてものも言えないほどのばかげた事実でございます。
 また、運輸省関係において、一つは三種飛行場の例でございますが、セスナ機などの発着するローカル飛行場で、農薬の散布、ビラまき、遊覧、アマチュア訓練などなどに対して、パイロットと連絡して気象情報を提供している管制官をなくしてしまうのであります。小飛行場ですから、滑走路は一本しかありません。横風等の強い場合、温度の急激な変化等、滑走路の距離の関係を計算に入れて安全確保の仕事をしていますが、今後はパイロットに、自分の目で見て、かってにおりろということになるわけでございます。人命軽視もはなはだしいといわなければなりません。
 さらにまた、海運局の出張所二十二カ所が廃止をされます。これは地方の漁港等において、船員の雇い入れ、雇いどめなどの届け出、船員手帳への記載等の仕事を一人配置の官署としてやっております。これが廃止をされることにより、たとえば北海道浦川から小樽の本局までわざわざ出かけていかなければならぬような結果になります。
 また、陸運事務所等におきましても、せっかく今年六十五名の増員が予定されているところを、三年五%削減、四十四年度分の差し引きで、実数わずかに三十名にしかならないのでございます。
 運輸省に関する末端の具体的例を幾つかあげましたが、法務省においては一般行政職が減らされまして、逆に検察官が大幅にふえたりいたしております。各省ごとに数えあげれば切りがありません。政府の国民不在の行政意図が各所に顔を出しているといわなければなりません。したがって、これまた各省別に具体的に討議、検討の時間が必要なわけでございます。また、そうでなければ国民諸君への責任は果たせないわけでございますが、党派を越えて、賛否の意見はあるとしても、当然この理屈はおわかり願わねばならぬと存じます。これに対して、各党一致のたび重なる慎重審議の決定にもかかわらず、あえて強行採決を行なうという政府・与党の諸君の国会運営とその態度が混乱の原因となっております。
 さて、内閣委員長藤田義光君、私はあなたと旧知の間柄でございますので、情において忍びないところがございますが、あなたに解任の審判を下さなければなりません。
 あなたは、性、本来高潔にして温情きわめてこまやかな人物であることは、日ごろ私のよく知るところでありますが、惜しむらくは、功をあせるに急でありました。当選されること五回、あせらずとも、あなたほどの人物、やがて大臣のいすは回ってまいるはずでございましょう。
 今回、内閣委員長就任にあたり、本来の性格から、「私は自民党の党員ではありますが、自民党に片寄らず、公平に委員長の職責を果たす決意であること、いな、むしろ私は野党寄りで事を処してまいりたい、これが委員会を円滑に処していく方法であると信ずる」と理事会でしばしば申されておりました。まさにその意気やよし、さすがは藤田義光君であると感じ入った次第でありました。また、事実、四月四日を迎えるまではこの姿勢を堅持された点、まずはりっぱと申せましょう。
 しかし、あなたは時にあせりの色を濃くしてまいりました。特に四月四日の内閣委員会理事懇談会において、あなたは、「私も伊能理事も個人的には反対でございますが、われわれの意に反して、わが党国対筋より、四月七日は委員長の職権により開会をし審議を願い、委員会の可決決定をはかるようにとの命を受けました。したがって、私も党員である限り従わざるを得ません」と君子豹変をいたしたわけであります。みずからの意思に忠実である孤高の肥後熊本人間をもって任ずる人と信じておりました私は、全く落胆を禁じ得なかったのであります。
 党の国対筋よりかくのごとく言われたからそのとおりやるというのであれば、そこに藤田義光は存在をしないのであります。あわせて、国会の常任委員長として委員会の運営に当たる公平無私の委員長という立場も存在しないのであります。かくてまた、議会制民主主義は確立し得ないのであります。ここに多数党の多数意識が頭をもたげ、少数野党の意見を十二分に聞き、それこそ寛容と忍耐をもって国民の前に、国民のために審議を尽くすという、本来の使命を放てきせざるを得なくなる混乱の原因が生ずるわけであります。(拍手)このときから藤田委員長は存在せず、与党の無理押しをひたすら促進しようとする採決係のごとく、そしてまた、みずからの功をのみ追わんとする大臣候補が誕生したわけであります。
 さらに、越えて四月八日、事もあろうに、わが党の長老淡谷委員の質問中、特に追及が核心に触れ、国会の審議をことさらに逃げて政令により行政府がすべての権力を握るとなれば、いかにそれが議会軽視であり、法律無視であり、御都合主義に走るかという点を舌端鋭く事実をもって立証し、法律、規則の論争にはまことに不得手きわまる長谷川四郎農林大臣、答弁に窮し、まさにあわやと思われた瞬間、全く突如として、委員長みずからがハンカチを振り、逆に質疑打ち切り動議を催促するがごとき行動をとるに及んでは、まさにお粗末のきわみ、言語道断の所業といわざるを得ないわけであります。(拍手)
 したがって、私は、ここに、年来の友情と私情を捨てて、議会制民主主義の名をもって、今後かかる暴挙を本院において重ねて起こさざるよう大方の注意を喚起し、内閣委員長藤田義光君の解任決議案を提案するものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(石井光次郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。塩谷一夫君。
    〔塩谷一夫君登壇〕
#9
○塩谷一夫君 ただいま議題となりました内閣委員長藤田義光君解任決議案に対しまして、自由民主党を代表して、反対討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 本決議案提出の理由は、今国会に内閣から提出された重要法案の一つである、いわゆる総定員法案を審議する内閣委員会において、藤田委員長の委員会運営ぶりが適当でなかったということにあるようであります。しかし、私は、残念ながら提案者とは全く見解を異にするものであり、藤田委員長に対しては、その職務執行ぶりに最大級の賛辞を呈したいと思うのであります。(拍手)
 藤田委員長は、常に理事会の席において述べておられましたとおり、委員会に付託された各法案については十分審議を尽くし、決して無理な運営をしないという態度をとってこられたのであります。総定員法案の審議においても、特にこの点に配慮せられ、質疑時間を十分にとり、野党の各委員に対して、できる限り発言時間を保証されてきたのであります。この結果、質疑時間は約十七時間の長きに及び、社会党委員九名中六名、民社党委員二名中二名、公明党委員二名中一名に発言を許可し、これに自民党委員二名を加え、計十一名の委員に質疑を許可されたのであります。これこそ自由民主党のとっておりまする寛容と忍耐の姿を実現したものでございます。(拍手)
 また、この法案審議の過程においては、必要のつど理事懇談会を開き、各党の理事との間に忌憚のない意見の交換を行ない、委員会の円滑な運営につとめられたのであります。すなわち、法案審議の前提条件として、公務員の定員管理と関連のある公務員給与に関する人事院勧告の完全実施の問題等について、野党理事からの要求により、各野党委員に政府の所見をただす機会を与え、また、内閣総理大臣の出席を求める野党理事の要求にも快く応じまして、予定時間をはるかに越えた質疑を認めるなど、審議の充実、公正を期するため最善を尽くされたのであります。(拍手)また、宮内庁法の一部改正法案につきましても、野党委員の要求に応じ、下総御料牧場及び栃木県の新御料牧場予定地の視察に進んで参加され、野党の各委員とともに法案審議に誤りなきを期せられたのであります。
 御承知のとおり、総定員法案は、近時、国民がひとしく熱望している行政改革への政府の姿勢を示した重要法案であり、行政監理委員会の委員全員が賛意を表し、新聞論調を見ましても、全紙がこれを支持しているものであります。(拍手)
 この法案は、第五十八回国会以来三国会にわたり提出され、第五十八回国会においては、いわゆる各省庁一局削減法案とともにすでに質疑が行なわれており、しかも、今国会においては、この法案が年度内に成立しなければ影響も数々あり、その可及的すみやかな成立が望まれていたので、内閣委員長としては、法案審議の進捗状況について憂慮せられ、審議の促進に日夜苦心を重ねておられたのでありますが、審議の結果、四月八日、質疑終局の動議を適当と判断され、委員会審議に終止符を打たれたのであります。この点は、どなたが委員長の席にすわろうとも、このような処置をとらざるを得なかったものと思われるのであります。(拍手)そして、野党委員の質疑も、昨今まれに見るりっぱなものであり、その意とするところも十分尽くされたものと判断されたので、大方の委員の了とされる委員長裁決であったと確信するものであります。(拍手)
 藤田委員長の委員会運営については、以上申し上げましたとおり、非難すべき何ものをも見出すことはできないのであります。(拍手)社会党及び公明党におかれては、この解任決議案を総定員法案審議の行きがかり上どうしても提出せざるを得なかったものと思われまするが、今回のような委員会運営について、これを否とする決議案の提出は、かえって藤田内閣委員長の委員長としての適格性を証明するものであり、同委員長の委員会運営に今後一そうの自信を深めさせるものとなろうかと思うのであります。(拍手)
 どうか、心ならずも提案しておられる提案者各位におかれては、所属する党の名誉のため、すみやかに解任決議案を撤回されるよう要望するもの
 であります。
 以上をもちまして、私の反対討論といたします。(拍手)
#10
○議長(石井光次郎君) 木原実君。
    〔木原実君登壇〕
#11
○木原実君 私は、日本社会党を代表し、ただいま上程されました藤田義光内閣委員長の解任決議案を積極的に支持する立場から、賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 私が藤田委員長の解任決議案に賛成する第一の理由は、藤田君が委員長としてまれに見る政治的変節をあえてし、暴力的な審議の打ち切りを行ない、引き続く委員会混乱の主導者となり果てたからであります。藤田君はかねてから、委員長としてあくまで誠意と公正を旨として委員会の運営に当たると誓言をしてまいったのであります。しかるに、去る四月八日の内閣委員会の運営は、この誓言をみずから破棄し、委員会を混乱させる元凶となったのであります。
 諸君がすでに御承知のとおり、当日の内閣委員会は、いわゆる総定員法案について熱心な審議が続けられておりました。審議が進むにつれて、総定員法案は、政府が強調するように国民の利益のためにする行政改革というよりも、行政府の独善と独走に新しい道を与え、あまつさえ国会の審議権に挑戦し、行政に対する国会の監視の目を遠ざけようとする危険きわまる要素を持っていることが明らかになったのであります。すなわち、昭和二十四年の行政機関職員定員法においても、また昭和三十六年の各省設置法による各省定員を決定する場合においても、定員が行政の規模を定めるものである限り、公務員の定員は法律をもってきめることが正しいと主張し続けてまいりました政府が、突如として公務員の定員を法律からはずし、行政府の一片の政令によって各省庁の定員を定めるほか、公務員の配置その他の運用はすべて政令にゆだねるという提案を行なったのは、運用の便宜に籍口した便宜主義であり、行政組織の理論をもはずれて官僚独走への道を開き、国家行政組織法そのものさえも骨抜きにするものであるという指摘が行なわれたのであります。(拍手)
 ことに、わが社会党の長老淡谷悠藏君が、山中吾郎、川崎寛治あるいは浜田光人、大出俊君らに続いて質問に立ち、いうところの政令なるものが、行政府の便宜によっていかに乱用、悪用をされ、しばしば根拠となる法律のたてまえさえ骨抜きにするものであるかを、農地法にかかわる具体例をあげて質疑を展開するや、農林大臣をはじめ関係大臣はしばしば答弁に窮し、いたずらに空疎なたわごとを口走る状態と相なったのであります。問題がいやしくも立法府と行政府の権限にかかわる国家制度上の根幹的な問題であるだけに、満場の委員、傍聴者はかたずをのんで質疑応答の成り行きを見守ったのであります。ところが、こともあろうに、かかる重要問題の審議がまさに山場に差しかかろうとした瞬間、委員長の重責にある藤田義光君は、みずからハンカチを振って与党委員に対し質疑打ち切りの合い図をなし、委員会はたちまちにして混乱の場と化したのであります。このような事態をつぶさに目撃して、私は一人の政治家として、深い失望と怒りを新たにしたのであります。藤田君が委員長として公言してまいりました誠意と公正は、この瞬間どこへ失せてしまったのか。
 私は、委員長藤田義光君に、一〇〇%とはいわないまでも、多少の信頼を置いてまいりました。人材乏しき自由民主党におきましては、まあまあの政治家であろうとも考えてまいったのであります。しかしながら、私のこの善意の信頼は、一瞬にして裏切られたのであります。私たちはだまされたのであります。だまされたのが悪いのか、だましたほうが悪いのか、その理非曲直はおのずから明らかであります。(拍手)ことに、これまでも、委員会の不当な審議打ち切りや、いわゆる強行採決などという、議会制民主主義をその運営において危うくするような現象は、不幸にしてしばしばございましたけれども、こともあろうに、委員会の運営上の責任者である委員長が、委員長席にありながら、みずからハンカチを振って、審議打ち切り、強行採決の先頭に立つなどという事例は、憲政史上まれに見る珍事といわなければなりません。このことは、藤田君が多数の暴力によって委員会を混乱せしめようとする自由民主党の陰謀にみずから加担していたことを示し、あまつさえ、その先導の役を引き受けていたことを示すものでありまして、委員会混乱の責任はもとより、われわれの審議権に対して不当な制肘と攻撃を加えた罪は、国民と民主主義の名によって弾劾されるに値すべきものであると確信するものであります。(拍手)
 誠意と公正を旨とすると公言してはばからなかった藤田義光君は、かくして、みずから多数党の走狗と化し、暴力的陰謀の先導者となり、議会制民主主義破壊の元凶と成り下がったのであります。この変節、この恥を忘れた破廉恥行為は、オッチョコチョイというには、国民をおそれざること独裁者のごとく罪が深く、与党内指導部の圧力に屈したというには、あまりにもその職責の重さを顧みない行為といわなければなりません。
 私は、断言してはばからないのでありますけれども、この日、この時を一期として、政治家藤田義光君の政治的生命は、のら犬の死せるがごとく死んでしまったと判断せざるを得ないのであります。(拍手)われわれは、みずからのら犬のごとく野たれ死にをした政治家に、かりそめにも内閣委員長という重要にして権威あるいすをあけておくわけにはまいりません。そのいすはまた、多数党の走狗がすわる場所でもありません。それはまた、暴力的陰謀団の先導者、議会制民主主義破壊者のすわるべきいすでもないのであります。それは、国民によって選ばれた最も人間らしい人間、議会制民主主義の権威を高め、多数党の暴力や陰謀を排除し、少数野党の権利と意見を尊重し、何よりも国民のために議員の審議権を最大限に尊重することのできる、公正にして誠意ある政治家のすわるべき席であると確信するものであります。
 私が藤田君の委員長解任に賛成する第二の理由は、以上のような破廉恥行為によって、官僚独走一への道を開くことに進んで手をかしたという点であります。議会政治家として、これはまさに最も恥ずべき自殺行為であります。
 藤田義光君は、肥後熊本の出身であります。若くして中央大学に学び、業を終えるや、在野の新聞記者として働いたあと、政界に入りました。このりっぱな閲歴に加えて、肥後はもっこすの国柄、せめて一片のもっこす精神はあろうかと考えていたのでありますけれども、その期待もまた大きく裏切られたことを明らかにしなければなりません。肥後のもっこすというのは、聞くところによりますと、それはただ、がんこというだけのことではありません。理不尽な権威にはあくまで屈することなく、およそ不当と不正、不誠意と不公正に対しては、あくまでおのれを持して屈しない精神であるといわれているのであります。このため、多くの尊敬すべき熊本県人は、もっこす精神を県民の誇りとし、いまにその背骨の大きいことをよしとしておるのであります。たとえば、わが松前重義君を見よ。坂本泰良君を見よ。いずれもよき熊本精神の体得者であるがゆえに、広く尊敬されているではありませんか。(拍手)それはお子らく、火をふく活火山阿蘇の豪壮な風土が生み出した貴重な精神でもありましょう。藤田君は、火の国、阿蘇山中に生まれ、そこを選挙区として国会に出ていながら、その行為、識見たるや、まことに、よき熊本県人の風上にも置けぬ、あわれむべき小人ぶりを露呈いたしたのであります。
 先にも触れましたように、君が委員長として審議が進行しておりました総定員法案の最大の問題点は、官僚独善への道を開くか、議会の権限を制度の上でどう確立していくかの争いでありました。このせとぎわに立って、藤田君は、みずから先に述べたような行為に走ることによって、官僚独走への道を開くことに進んで手を貸したのであります。およそ、資本主義が高度化すればするほど執行部の権限が増大し、それに比例して議会が形骸化されるというのは、一般的な傾向であるといわれておるのであります。その行き着く先が、議会の機能を封鎖する執行部権限の万能化、すなわちファシズムであることは、われわれが近い過去に身をもって体験してまいったところであります。それだけに、われわれが何よりも自戒しなければならないのは、執行権力の増大に対する監視であり、法と制度によるその制限であり、議会政治の充実であります。しかるに、いまや、議会内においても、総理大臣佐藤榮作君をはじめとして、官僚勢力はしんしんとして議会内に浸透し、官僚勢力は、いまや政治の中枢を侵している現状であります。総定員法案でいう行政改革は、帰するところ、行政府の勢力を、国権の最高機関の制約から少しでも切り離したところで確立することにほかなりません。
 他方、この総定員法案が成立せんか、給与に関する人事院勧告すら、毎年これを無視して完全実施を怠っている政府が、公務員に対する不当な配置転換や退職の強要によって、つまり、公務員労働者の犠牲による合理化が行なわれ、ために公務員諸君の不安動揺を誘発することもまた当然であります。しかも、三年間五%の人員削減が、行政機構の改革に触れず、機構をそのままにして人を削るということである限り、定員のアンバランスによる労働強化がすでに各職場にあらわれており、これに拍車をかけることもまた必至であります。国民が求めてやまない行政上のサービスが、このようなやり方によって充足をされるという保障は何もないのであります。このような制度上、運用上の疑義が政府の説明によって何ら解明されないばかりか、かえって総定員法の含んでいる問題の重大性が次々と明らかにされてまいりましたので、われわれは、藤田委員長に対して、しばしば慎重な審議の必要なことを訴え、審議を続けてきたのでございます。
 藤田君の最大の罪過は、かかる事情を委員長として十分に知る立場にありながら、あえて問題の進展をおそれて議員の言論を封じ、官僚独走への道に議会の権限を売り渡したのであります。熊本のもっこすは多数にくみして官僚の走狗となれという精神であったのか。下級公務員の犠牲の上に高級官僚勢力の地盤を強固にするのをよしとする精神は、肥後のいかなる風土が生み出したものであったのか。藤田義光君において、残念ながら、よき熊本精神はしかばねと化したのであります。藤田君において、肥後のもっこすは、まるで背骨のないクラゲと化したのであります。
 次に、私は、藤田委員長解任決議案に賛成する第三の理由を申し上げます。
 藤田君が、委員長としてはもとより、政治家としても、およそものごとの判断において完全な不能者であることが明らかになったからであります。およそ状況の判断ということは、政治家にとっては最も重要な機能であります。まして院を代表する議長、委員会を主宰する委員長に求められるものは、その判断力であり、適切公正な判断であります。ところが、四月八日の内閣委員会の事態において、藤田君は完全に判断力の欠除した不能者であることを暴露いたしました。同僚委員の質問が進行するにつれ、総定員法案が単なる行政改革案ではなく、議会と行政府との制度上の根本にかかわる問題を含んでいることが明らかになり、そのため論議の成り行きは、一法案の成否の争いを越えて、突き詰めた論議が期待される状況になったのであります。このような事態は、総定員法案を野党が首切り法案として反対して引き延ばしをはかっているから、何が何でも通すのだと、きわめて党略的、単細胞的に考えていた委員も含めて、これはたいへんだ、もっと論議をすべきだという空気が高まっていたのであります。つまり、多少とも正常な議会政治家ならだれもが感ずる議会の危機感の意識が、少なくとも多数の空気となっていたのであります。藤田君にして、もし正常な判断力の持ち主であったならば、このような異状な状況の変化、審議の過程で提起された問題の重要性を当然察知するはずであり、それが判断できれば、たとえ事前の謀議があったにしても、さらに審議を進行させる良心も生まれてくるであったでありましょう。しかるに、判断力不能症の藤田君においては、そのような判断も、判断に基づく審議の継続も行なわれないまま、武男と浪子の別れではあるまいし、よごれたハンケチを振る愚行を演じてみせたのであります。およそ政治的判断力は、その政治的識見によって生まれるものであります。もしそうだとすれば、判断力不能症の藤田君は、同時に識見において痴呆症であることを示したことになります。(「議長、時間だ」と呼び、その他発言する者あり)まことにあわれむべき、そして国民と議会にとりましては、まことに不幸きわまりない委員長であったといわなければなりません。
 私どもは、かくして、すでに内閣委員長は存在をせず、解任決議案は、せめて彼が成仏のためのありがたい引導でありまして、私もまた、藤田君成仏のために賛成をいたすものでございます。
 私は、最後に、藤田君と与党の諸君に一言つけ加えておきたいと思います。
 もし藤田君に一片の良心が生き残っておるならば……。
#12
○議長(石井光次郎君) 木原君、申し合わせの時間が過ぎております。なるべく簡単に願います。
#13
○木原実君(続) みずからその任を退き、国民の前に非行の謝罪の意を表明すべきでありましょう。また、藤田君の属する与党自由民主党の議員諸君に、藤田君を思う多少の友情と同志愛があるならば、藤田君をしてみずから退任の道につかしめるのがあたたかい思いやりというべきでありましょう。
 以上、私は、内閣委員長藤田義光君の罪状の数々を申し述べまして、藤田義光君解任決議案に積極的に賛成をする意思を申し述べ、私の賛成の討論を終わりたいと思います。(拍手)
#14
○議長(石井光次郎君) 吉田之久君。
    〔吉田之久君登壇〕
#15
○吉田之久君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま上程されました内閣委員長藤田義光君の解任決議案に対し、賛成の立場を表明いたします。(拍手)
 とはいえ、率直に申しまして、私は藤田委員長個人に対しては、いささかお気の毒な感じもいたします。なぜなら、国会の乱闘はいまに始まったことではなく、委員会の強行採決は藤田委員長をもって初めとするわけではないからであります。しかし、今日のすさみ切った国会の現状を見るとき、議会制民主主義の危機はすでに限界まで来ているというわれわれの認識に立ち、また、もうこれ以上乱闘を繰り返してもらいたくないという全国民の率直な声を反映して、あらためてこの機会に強行採決の責任を問い、その責任者としての委員長の進退を明らかにしていただきたいと思うがゆえであります。(拍手)
 諸君御承知のとおり、わが党は総定員法に対し賛成の立場を明らかにいたしております。したがって、まず初めに、なぜわれわれ法案に賛成するものが、その法案を強硬に通そうとした委員長の解任決議案に賛成するかという点を明らかにいたさなければなりません。
 われわれの考え方は、法案の賛否はもっぱら政策上の問題であり、委員会や本会議における審議の手順、ルール、秩序は、まさしく議会制民主主義そのものの問題であるとしているからであります。(拍手)われわれ民社党は、議会制民主主義において最も大切なものは、その結果よりも、むしろプロセスにあると考えています。その結論に至る過程の中で、どのように真剣な議論がかわされ、どこまで少数意見が尊重されたかということが、実は民主主義の真髄であると思うからであります。(拍手)したがって、われわれは、かりに賛成すべき法案であるからといっても、それがどんな手段によってでも可決されてよいという考え方には全く従うことができません。
 その点、去る八日の内閣委員会のできごとは、われわれにあまりにも多くの疑問と憤りを与えました。すなわち、私は当日内閣委員の一員として委員会に出席いたしておりましたが、午後七時四十二分、淡谷委員の質問中になぜ質疑打ち切りを行なわれたかということなのであります。確かに、その時間、自民党の伊能委員が立ち上がって何事かを叫ばれたのを私は確認いたしました。しかし、それと同時に、あたかもスタートラインに並んでいる選手たちがピストルの合い図で一斉にかけ出すように、委員長席を目ざして各党の議員と衛視と傍聴者と秘書団等があっという間に殺到し、見る見るうちにやじと怒号と押し合いの集団ができ上がり、同時に、与党のほうから、実施期日修正のチラシが手ぎわよくまかれました。そして、それ以外の者はほとんど机の上に総立ちとなり、しばらくの時間の経過のあとで、ようやく委員長は衛視たちに守られて委員会室を脱出、待ちかまえていた与党の議員たちの励ましを受けながら、廊下一ぱい、ワッショイワッショイと引き揚げていくという騒ぎが展開されたのであります。最も神聖なるべき国会の審議の中で、それはまことに悲しむべき、正視にたえない混乱でありました。しかも、あとは静寂そのものでありました。別にけが人一人出なかった模様であります。
 一体、これはどういうことなのでありますか。それはどう考えても、偶発的なものだとは私たちには思えません。また、まなじりを決した対決であったという感じも特別いたしません。とすれば、やはりそれは予定の行動であったのではないか。悪く言えば、ある種の演出、お芝居なのではないかという疑問をますます深めざるを得ないのであります。だとすれば、当然、委員長みずからそのことを予測し、あらかじめその方法に同意、内諾を与えておられたとしか考えようがないのであります。もし、この分析に間違いがないとすれば、委員長の責任はきわめて重大であります。そこには、最後の最後まで混乱を回避し、議会の権威を精一ぱい守ろうとする努力の片りんも見出せないからであります。一方では、今日の国会運営の現状では、しょせんそれ以外に方法がないではないかという意見も聞かれます。しかし、藤田委員長、あなたは委員会の運営の一切の責任を持つべき委員長という立場におられたのではありませんか。国会の権威の低落を少しでも食いとめるために、なぜもっと隠忍され、自重され、努力の限りを尽くされなかったのでありますか。確かに、ぎごちない政府の答弁の連続ではありましたが、まだ時間は午後七時を過ぎたばかりでありました。しかも、淡谷委員の質問中であります。せめて委員長の介錯によって一応形のつくような円満な質疑の終了をはかり、残余の予定された質問者の質問をなぜお許しにならなかったのでありますか。夜半、深更に至ろうとも、質疑の限りは尽くし得たはずであります。現に今日まで、これほどの時間が空費されているではありませんか。結果的には、他の委員会の審議も停滞してしまったではございませんか。藤田委員長、あなたは、およそ民主主義とは、時間と忍耐の必要なものであるぐらいのことは万々御承知のはずであります。それが民主主義の宿命であり、課題である以上、われわれはそれを避けて通ってはならないと思うのであります。
 さらに私は、この機会に、当日の混乱を目撃した議員の一人として、率直な私の憤りを、そして感じた議会政治の危機について申し上げます。
 それは、あの混乱時において、議員も傍聴者も秘書も、大部分の者がいつの間にか神聖なるべき委員会の机の上に土足でのぼってしまっているという事実であります。女性を含めた速記者たちは、身の危険からのがれるために、筆記用具を持って逃げ回っているではありませんか。マイクは飛び、テーブルカバーははがされ、委員の名札は散乱して踏みつけられているではありませんか。議員と衛視と国会関係者が、お互いに見分けもつかないかっこうでわめき合い、ののしり合い、ぶっつかり合い、押し合い、あげくの果て、もみくしゃになっている姿を見て、国民はなおかつ今後の国会に敬意を払うことができるでありましょうか。(拍手)「学生よ、ゲバ棒を捨てよ」とわれわれが叫んでも、それはやがて説得力のない、むなしい響きとしてしか返ってこないではありませんか。考えれば考えるほど、議会制民主主義の危機は近づいていると民社党は考えております。そして、こうしたことが繰り返されるたびに、国会は議員みずからの手で議会政治の墓穴をまた一つ掘り下げたことになるだろうということを、お互いにいまこそ気づくべきであります。(拍手)
 いやしくも藤田内閣委員長は、この時期において、あなたの勇気と忍耐を示して、強行採決の慢性的な繰り返しと悪循環に終止符を打たれるべきであったと私は存じます。この意味で、このたびの内閣委員会において行なわれた強行採決の責任は、あげて委員長が負わなければならないというたてまえに基づいて、私は、藤田委員長に深く反省を求め、本決議案に賛成の意をあらわした次第であります。
 最後に、このようなことが再び国会の年中行事として展開されないように、まして今国会のごとく、月間行事や週間行事としてこれ以上決して繰り返されてはならないために、藤田委員長だけではなしに、お互い各党としても謙虚に反省し、努力されるべきであることを強く本院に訴えまして、私の討論を終わります。(拍手)
#16
○議長(石井光次郎君) 松本忠助君。
    〔松本忠助君登壇〕
#17
○松本忠助君 私は、公明党を代表して、ただいま上程されました内閣委員長藤田義光君の解任決議案に対し、心から遺憾の意を込めて賛成の討論を行なうものであります。(拍手)
 本解任決議案の趣旨につきましては、ただいま明らかにされたとおりでありますが、私は、同君の行動が日本の議会制民主主義の基本を破壊したという点を強く指摘したい。そして、藤田君の行動が単に一個人の行動でなく、最近における自由民主党及び政府の一貫した方針であったことを強く弾劾するものであります。(拍手)
 さきに国鉄運賃値上げに関する法案、いまは総定員法、このあとに控えた健康保険特例法、防衛二法、地方公務員定年制法案等々、いずれも与野党間に大きな意見の相違があることは、かねてより予想されてきたものであります。議会民主制においては、与野党の意見の対立は珍しいことではなく、当然の姿であります。しかし、その討論においては審議を尽くし、改めるべきは改め、とるべきはとってこそ民主主義のルールであり、立法府における国民の代表としての義務であります。(拍手)
 しかるに、自由民主党の首脳部は、今国会においても多数を頼み、審議無用、暴力採決の方針をとったのであります。これこそ民主主義の基本的ルールに違反するものであります。多数党の意見だけがまかり通るならば、審議も不要であります。質疑申し込み者を多数残して、いきなり審議を打ち切り、採決を強行するというのであれば、議会制民主主義ではないのであります。議会制民主政治の根本は、国民を代表する議員を選出して、その議員が国民の代表として、あらゆる意見を戦わせることによって国政を運用していくところにあったはずであります。もしも反対派の議論を頭から封殺し、審議打ち切りを強行するというのであれば、議会制民主主義は滅亡したも同じであります。これこそ議会制民主主義を信じて投票した国民に対する挑戦であるといわなくてはならないのであります。(拍手)
 しかるに、自由民主党は、先ごろ、国民多数が反対する国鉄運賃値上げ法案を、委員会の再開宣言もないまま強行採決し、さらにまた、総定員法を強行採決するという暴挙を再度行ない、今後もかかる暴挙をとり続けていくならば、もはや、のろうべき民主主義の破壊であり、独裁主義であり、軍国主義であり、そしてファッショへの道を開くものではありませんか。(拍手)自民党及び政府首脳部が、問題法案についてすべて強行採決の方針をとっていることは、まことにおそるべきことであるといわなくてはなりません。それは、単に藤田君一人の問題ではなく、自由民主党が日本の議会政治に真正面から挑戦しているという事実であり、日本の民主政治を崩壊せしめようとしている何よりの証拠であるからであります。(拍手)同党も、また同君も、少なくとも民主政治の恩恵を受け、日本国憲法を支持するのであれば、このような方針は断じてとるべきではないと、私はきびしく警告を発し、猛省を促すものであります。(拍手)
 藤田君は、自由民主党員である前に、厳正、公平な国会運営をはかる国会役員、内閣委員長として、まず所属せられている党のおそるべき議会制民主主義破壊の方針に対して敢然と反対されてしかるべきであった。しかるに、藤田君は、無節操、無定見に自民党の方針に従い、四月八日の内閣委員会においては、みずから合い図を送って審議打ち切り、強行採決をされたということは、まことに残念なことであります。これは、同君の政治家としての経歴に重大な汚点を残したといっても過言ではありません。さらに、同君のみにとどまらず、政府並びに自由民主党に一大汚点を加えるものとなったのであります。(拍手)このことに対し、国民の審判はきびしく藤田君及び自由民主党に下ることでありましょう。国会における委員長はいかなる権限を付与されているか、同君はよもや御存じないはずはありますまい。当選五回、自治政務次官、自由民主党国対副委員長を歴任された経験豊かな同君が、議事運営のルールを知らぬはずがない。委員長は、各政党の代表たる委員が、公平に、かつ正常に審議することを可能とし、少数意見を無視することなく、委員会の質疑を国民の前に明らかにする責任を有する国会役員であるはずであって、それが与党の方針に無節操に隷属して議会制民主主義を破壊したことは、もはや委員長としての立場を忘れたものであり、委員長としての資格をみずから放棄したものと断ずるものであります。(拍手)
 さらに、私が残念に思うことは、強行採決の行なわれた当日の委員会は、藤田委員長が、強行採決しない、十分審議するとの約束に基づいて行なわれたものであるという事実であります。ところが、六人の野党議員の質問を残したまま、野党議員の質疑中にもかかわらず、藤田委員長はいきなり質疑を打ち切り、採決を強行したのであります。このように、一方的に質疑を打ち切った暴挙は許されるものでなく、藤田委員長は、その個人的資質からいっても、委員長としては全く不適格であるといわざるを得ないのであります。したがって、藤田委員長は、かかる無謀な採決の責任をとって、みずからその職を辞することが当然でありましょう。
 わが党は、議会制民主主義の危機を救わんがために、ここに藤田義光君の反省を強く求めるとともに、解任決議案に賛成の意を表するものであります。(拍手)
#18
○議長(石井光次郎君) これにて討論は終局いたしました。
 内閣委員長藤田義光君解任決議案につき採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
    〔議場閉鎖〕
#19
○議長(石井光次郎君) 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#20
○議長(石井光次郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――閉鎖。
    〔議場開鎖〕
#21
○議長(石井光次郎君) 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#22
○議長(石井光次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長報告〕
 投票総数 三百五十九
  可とする者(白票)       百四十九
    〔拍手〕
  否とする者(青票)        二百十
    〔拍手〕
#23
○議長(石井光次郎君) 右の結果、内閣委員長藤田義光君解任決議案は否決されました。(拍手)
    ―――――――――――――
  〔参照〕
 柳田秀一君外九名提出内閣委員長藤田義光君解任決議案を可とする議員の氏名
      安宅 常彦君    阿部 昭吾君
      阿部 助哉君    赤路 友藏君
      井岡 大治君    井手 以誠君
      井上 普方君    伊賀 定盛君
      猪俣 浩三君    石川 次夫君
      石野 久男君    石橋 政嗣君
      板川 正吾君    枝村 要作君
      小川 三男君    大出  俊君
      大柴 滋夫君    大原  亨君
      太田 一夫君    岡田 利春君
      岡田 春夫君    岡本 隆一君
      加藤 清二君    加藤 万吉君
      勝澤 芳雄君    勝間田清一君
      神近 市子君    唐橋  東君
      川崎 寛治君    川村 継義君
      河上 民雄君    河野  正君
      木原津與志君    木原  実君
      北山 愛郎君    久保 三郎君
      久保田鶴松君    工藤 良平君
      栗林 三郎君    黒田 寿男君
      小林 信一君    小松  幹君
      兒玉 末男君    河野  密君
      神門至馬夫君    佐々栄三郎君
      佐々木更三君    佐野 憲治君
      佐野  進君    阪上安太郎君
      實川 清之君    柴田 健治君
      島本 虎三君    田中 武夫君
      田邊  誠君    田原 春次君
      多賀谷真稔君    高田 富之君
      武部  文君    楯 兼次郎君
      千葉 佳男君    戸叶 里子君
      堂森 芳夫君    内藤 良平君
      中嶋 英夫君    中谷 鉄也君
      中村 重光君    楢崎弥之助君
      成田 知巳君    西風  勲君
      野口 忠夫君    芳賀  貢君
      長谷川正三君    華山 親義君
      浜田 光人君    原   茂君
      平岡忠次郎君    平林  剛君
      広沢 賢一君    福岡 義登君
      古川 喜一君    帆足  計君
      穗積 七郎君    細谷 治嘉君
      堀  昌雄君    三宅 正一君
      美濃 政市君    武藤 山治君
      村山 喜一君    森  義視君
      森本  靖君    八百板 正君
      八木 一男君    八木  昇君
      矢尾喜三郎君    安井 吉典君
      柳田 秀一君    山内  広君
      山口 鶴男君    山崎 始男君
      山田 耻目君    山中 吾郎君
      山本 政弘君    山本弥之助君
      米内山義一郎君    米田 東吾君
      依田 圭五君    渡辺 惣蔵君
      渡辺 芳男君    麻生 良方君
      池田 禎治君    稲富 稜人君
      小沢 貞孝君    神田 大作君
      小平  忠君    曾禰  益君
      田畑 金光君    玉置 一徳君
      永江 一夫君    永末 英一君
      西村 榮一君    門司  亮君
      吉田 賢一君    吉田 之久君
      和田 耕作君    浅井 美幸君
      有島 重武君    伊藤惣助丸君
      小川新一郎君    大野  潔君
      大橋 敏雄君    近江巳記夫君
      岡本 富夫君    沖本 泰幸君
      北側 義一君    小濱 新次君
      鈴切 康雄君    田中 昭二君
      竹入 義勝君    樋上 新一君
      伏木 和雄君    正木 良明君
      松本 忠助君    矢野 絢也君
      渡部 一郎君    田代 文久君
      谷口善太郎君    林  百郎君
      松本 善明君
 否とする議員の氏名
      足立 篤郎君    阿部 喜元君
      相川 勝六君    青木 正久君
      赤城 宗徳君    赤澤 正道君
      秋田 大助君    天野 公義君
      天野 光晴君    荒木萬壽夫君
      荒舩清十郎君    有田 喜一君
      井出一太郎君    井原 岸高君
      伊藤宗一郎君    伊能繁次郎君
      池田 清志君    石田 博英君
      一萬田尚登君    稻村佐近四郎君
      宇野 宗佑君    上村千一郎君
      植木庚子郎君    臼井 莊一君
      内田 常雄君    内海 英男君
      浦野 幸男君    江崎 真澄君
      遠藤 三郎君    小笠 公韶君
      小川 半次君    小川 平二君
      小澤 太郎君    小沢 辰男君
      小渕 恵三君    大石 八治君
      大竹 太郎君    大坪 保雄君
      大野 市郎君    大橋 武夫君
      大平 正芳君    大村 襄治君
      岡崎 英城君    岡本  茂君
      奥野 誠亮君    加藤常太郎君
      賀屋 興宣君    鍛冶 良作君
      海部 俊樹君    桂木 鉄夫君
      金子 一平君    金子 岩三君
      上林山榮吉君    神田  博君
      亀岡 高夫君    亀山 孝一君
      鴨田 宗一君    仮谷 忠男君
      川島正次郎君    川野 芳滿君
      菅  太郎君    木野 晴夫君
      木部 佳昭君    木村 俊夫君
      菊池 義郎君    北澤 直吉君
      吉川 久衛君    久野 忠治君
      久保田円次君    久保田藤麿君
      草野一郎平君    鯨岡 兵輔君
      熊谷 義雄君    倉石 忠雄君
      倉成  正君    藏内 修治君
      小泉 純也君    小峯 柳多君
      小宮山重四郎君    小山 長規君
      小山 省二君    河野 洋平君
      河本 敏夫君    佐々木秀世君
      佐々木義武君    佐藤 榮作君
      佐藤 文生君    齋藤 邦吉君
      斎藤 寿夫君    坂田 道太君
      坂本三十次君    櫻内 義雄君
      笹山茂太郎君    四宮 久吉君
      志賀健次郎君    始関 伊平君
      椎名悦三郎君    塩川正十郎君
      塩谷 一夫君    重政 誠之君
      篠田 弘作君    澁谷 直藏君
      島村 一郎君    正示啓次郎君
      白浜 仁吉君    進藤 一馬君
      周東 英雄君    菅波  茂君
      鈴木 善幸君    砂田 重民君
      砂原  格君    瀬戸山三男君
      園田  直君    田川 誠一君
      田澤 吉郎君    田中伊三次君
      田中 榮一君    田中 角榮君
      田中 正巳君    田村 良平君
      高橋 英吉君    高橋清一郎君
      高見 三郎君    竹内 黎一君
      竹下  登君    谷垣 專一君
      谷川 和穗君    千葉 三郎君
      地崎宇三郎君    中馬 辰猪君
      塚田  徹君    塚原 俊郎君
      渡海元三郎君    徳安 實藏君
      床次 徳二君    内藤  隆君
      中尾 栄一君    中垣 國男君
      中川 一郎君    中曽根康弘君
      中野 四郎君    中村 梅吉君
      中村 寅太君    中村庸一郎君
      中山 榮一君    永山 忠則君
      灘尾 弘吉君    南條 徳男君
      二階堂 進君    丹羽喬四郎君
      丹羽 兵助君    西岡 武夫君
      西村 英一君    西村 直己君
      根本龍太郎君    野原 正勝君
      野呂 恭一君    羽田武嗣郎君
      葉梨 信行君    橋口  隆君
      橋本登美三郎君    橋本龍太郎君
      長谷川四郎君    長谷川 峻君
      早川  崇君    原 健三郎君
      広川シズエ君    廣瀬 正雄君
      福家 俊一君    福田 篤泰君
      藤井 勝志君    藤枝 泉介君
      藤尾 正行君    藤本 孝雄君
      古川 丈吉君    古屋  亨君
      保利  茂君    坊  秀男君
      細田 吉藏君    堀川 恭平君
      本名  武君    前尾繁三郎君
      増岡 博之君    増田甲子七君
      松浦周太郎君    松澤 雄藏君
      松田竹千代君    松野 幸泰君
      松野 頼三君    三池  信君
      三木 武夫君    三ツ林弥太郎君
      三原 朝雄君    水田三喜男君
      湊  徹郎君    村上  勇君
      村山 達雄君    毛利 松平君
      粟山  秀君    森田重次郎君
      八木 徹雄君    山口 敏夫君
      山下 元利君    山田 久就君
      山手 滿男君    山中 貞則君
      山村新治郎君    早稻田柳右エ門君
      渡辺 栄一君    渡辺  肇君
     ――――◇―――――
 日程第一 行政機関の職員の定員に関する法
  律案(内閣提出)
#24
○議長(石井光次郎君) 日程第一、行政機関の職員の定員に関する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#25
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長藤田義光君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔藤田義光君登壇〕
#26
○藤田義光君 ただいま議題となりました行政機関の職員の定員に関する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、定員の合理的管理をはかるため、各省庁別に法律で定員を定めている現行法制を改めようとするものでありまして、
 その第一は、公務員数の抑制をはかるため、内閣の機関並びに総理府及び各省を通ずる定員総数の最高限度を法定し、その数を現行の各省設置法等で定められている定員の合計数である五十万六千五百七十一名とすること。
 第二に、定員配置の合理的、弾力的な運用をはかるため、各省別の定員はこの総数の範囲内で政令で定めることとすること。
 第三に、大臣、政務次官等及び自衛官の定員は、現行どおり法律で明らかにすることとし、また、五現業の職員についても現行どおり政令で定めることとし、いずれも定員の総数の中には含めないこととすることなどであります。
 本案は、二月七日本委員会に付託、三月二十日政府より提案理由の説明を聴取した後、引き続き、本案審議の前提として、定員問題に関連する公務員並びに公営企業職員の給与改定問題等について政府の所見をただしたのをはじめ、四月八日には内閣総理大臣の出席を求め、本法の制定及び運用に関する基本問題等について質疑を行なうなど、熱心な審議を行なったのであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 質疑応答のおもなものを申し上げますと、「本案は機構について何も触れておらず、行政の簡素化方策としては本末転倒ではないか」との質問に対しては、「理論的にはそのとおりであるが、各省のセクショナリズムにメスを入れ、また、総定員を抑制しつつ、合理的、弾力的な定員管理を行なうには、出血整理を防ぐための三年間五%定員削減のショック療法とともに、やむを得ない措置である」旨の答弁があり、また、「省別の定員を政令で定めるという方式では、個々の省の増員を押えることができなくなり、結果として国会の審議権を制約することになりはしないか」との質問に対しましては、「総ワクについては法律で、また、各省別の定員については予算で十分審議を仰ぐわけだから、審議権を制約することにはならないと思う」旨の答弁がありました。また、「出血整理、強制配置転換をしないという歯どめがあるのか」との質問に対しましては、「出血整理など、職員と対決の姿勢では能率的な仕事はできないので、やらない。また、本人の意思に反して配置転換を行なうようなことはしない」旨の答弁がありました。また、「政府は公務員給与を考える場合、機構の改善なり定員なりを考えざるを得ないと再三強調しているが、人事院勧告の完全実施をなぜやらないのか、また、公営企業に対してはどう措置するのであるか」との質問に対しましては、「人事院勧告はどんなにしても尊重しなければならない。公営企業についても、待遇を改善しないで責任だけを負担させるようなことでは絶対いけない、善処する」旨の政府答弁がなされたのでありまするが、その詳細はすべて速記録に譲りたいと存じます。
 かくて、四月八日、本案は本年四月一日から適用するよう修正議決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#27
○副議長(小平久雄君) 討論の通告があります。順次これを許します。浜田光人君。
    〔浜田光人君登壇〕
#28
○浜田光人君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました行政機関の職員の定員に関する法律案につきまして、まず、さきの国鉄運賃値上げ法案に続く今回の強行採決という、反対党の言論を抑圧して行なうこの暴挙に対し、激しい憤りをもって断固反対の意思を表明し、反対討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 本法律案自体、議会民主主義の基本理念を遠くかけ離れ、単なる一片の政令で行政を行ない、行政を国民の目からおおい隠し、反動行政を行なわんとする悪法であり、国民の名において許すべからざる法律案であることは、いまさらあらためて議論する必要のないところでありますが、私はこの際、内閣委員会における審議の経過と結果について、議会審議の原則を無視した自民党に強い反省を求めながら、若干の意見を交え、討論を行ないたいと存ずるのであります。
 由来、行政は公共性をその本質とするものでありますから、政府は国民に対して行政の現状を常に明らかにする義務があるのであります。また、主権者たる国民の意向が行政に具体的に反映されるためにも、予算や立法と同様に、行政の組織、規模、機能ないし運用について、国民がいつでもこれを見渡せる制度にしておく義務があるのであります。これは、行政費用が国民の税金によってまかなわれているからという、ただそれだけの理由からだけではなく、行政が常に国民の監視を受けることによって、われわれが大戦中に経験した権力のファシズム化を二度と繰り返さないという、いわば民主主義を守る上での基本原則に立脚しているのであります。
 しかるに、本法案がねらいとする国家行政組織法第十九条の定員に関する条項の削除は、単に定員についての改正にとどまらず、国会の審議の及ばぬ行政権力の場において、行政の機構、規模、運用の全般について、一方的に改悪できるという結果をもたらすのであります。なぜならば、行政のあり方を具体的に保障しているのは、配置される公務員の人員と質によるからであります。行政のあり方、その運用について、国会の審議を封じようとするこのような政府の意図は、ひいては、軍部独裁の時代にわれわれが経験した問答無用の行政を国民に押しつけるものと断言せざるを得ないのであります。(拍手)
 私は、これらのことを単なる歯どめとして申し上げているのではないのであります。さきにわが党の淡谷委員が内閣委員会で指摘しましたように、たとえば筑波山学園都市あるいは三里塚の御料牧場の土地購入にあたっては、明らかに農地法に違反する土地の売買を、政府みずからが政令で行なっているのであります。総理は、さきの施政方針演説において、法と秩序ということばを声を大にして表明されたのでありまするが、あなたが選ばれた閣僚が、あなたが組織された内閣が、このような法律違反を行なっている事実について、国民の前にいかなる申し開きができるでありましょうか。
 なおその上に、昨年、政令によって増員された文部省、自治省、気象庁関係の二千百八十九名については、本年三月三十一日以降は、全くその法的根拠を失っているのであります。政令定員という既成事実をもって国会審議に圧力を加えようとする政府の議会無視もさることながら、法的根拠もない定員をかかえ、法的根拠がないがゆえに給与を払えず、何の罪もないこの人々に生活の不安を与えている無責任さは、二重の犯罪としか言いようがないのであります。政令による行政の実態は、このようなありさまなのであります。まさに政府にとって、法律とは破るためにあるとしか言いようのないのが実態なのであります。このような政令であり、このような行政であり、このような政府であることがはっきりとしている以上、国民が政府の行なう行政を信頼することができないのは、むべなるかなであります。
 しかも、これに加えて、今回の改正案は、反動政策並びに反動行政への志向を明らかに内に秘めているのであります。すなわち、三年間五%削減の中身を見ますると、各省別の定員の増減に著しいアンバランスがあり、また、省によっては、五%近い削減を受ける部門と、逆に四%の増員が行なわれる部門とがあることは、きわめて重要な点として指摘しておかなければならないのであります。特に、国民への行政サービスの中心となる技能労務職員については四千名に及ぶ削減を行なおうとしている反面、自衛官、検察官、公安職員、局長以上の高級官僚等は逆に増員されようとしているのであります。行政のこのような偏重は、さきに指摘しましたような政府の法律無視の政令による行政運用が加わるとき、いかなる結果をもたらすかは容易に予測のつくところであります。もともと、憲法を無視して再軍備を行なった自民党政府ではあるのでありますが、ここに至って行政を国民の手から奪い、さらに、国会審議の場から奪うことによって弾圧政策、反動行政の一そうの強化をはかろうとしているのであります。そこには、広く国民の権利、民主主義の原則を守ろうという一片の誠意もないと断言せざるを得ないのであります。
 ところで、本法案の直接の対象となるところの国家公務員は、歴代自民党政府のたび重なる労働法の改悪によって、労働者でありながら、労働基本権たる団体交渉権を剥奪されているのでありますが、そのような状態の中で一方的な免職、配置転換を可能ならしめる本改正案は、憲法二十八条、ひいては二十五条に保障されている労働権、生存権を奪うものであります。吉田内閣以来今日まで、政府・自民党によって労働者としての権利を奪われてきた公務員労働者に対して、国民としての基本的な権利まで放棄せよというのであります。政府はこの点について、首切り、強制配転はしない旨を表明しているのでありますが、公務員労働者をはじめ国民は、とうてい政府の誠意ある実行を信頼することはできないのであります。それは法律さえ守らぬ政府であることを承知しているからで、疑うには疑うだけの歴史的な理由があるのであります。
 すなわち、昭和二十四年、時の吉田第二次内閣は行政機関定員法を定め、二十万人の定員削減を行ない、実際に四万人の公務員の出血首切りを行ない、次いで、二十六年三万人、さらに二十九年には、臨時待命というおまけまでつけて、三万人の多数にのぼる首切りを行なっているのであります。かくも悲惨なる体験を身にしみて味わっている公務員労働者が、いま政府の定員削減をどのように受けとめているか、あらためて説明を要する事柄でもないのであります。特に、三十九年、臨時行政調査会が、その発足以来指摘し続けてきた行政の民主化、天下り人事の規制など、今日の行政のガンともいうべき部分には何らの改革の姿勢も示すことなく、高級官僚の腐敗、堕落、天下りの利権あさりを放任し、他方では行政の簡素化を人員の削減にすりかえるといった政府の姿勢は、信じよと言うほうが無理であります。
 本来、かかる人事身分上の制度の大改革を行なうときには、まず第一に、公務員に労働三権を完全に保障し、その中で当事者間の話し合いが、国家、国民のための行政の向上でなけらねばなりません。労働者の労働基本権は憲法の保障するところであり、さらに、さきの東京高裁の判決に示されたところであります。しかるに政府は、これら労働三権に対するかたくなな考えを反省することなく、あまつさえ、本来公務員労働者の権利制限の代償として設けられた人事院の給与勧告を、九回に及ぶも一度だに完全実施したためしがないのであります。口では、勧告は尊重いたします、完全実施には努力いたしますと、から念仏のごとく言っているけれども、真に公務員労働者のために考えたことが一回でもあるでしょうか。(拍手)公務員労働者が、仏の顔も三度といって立ち上がると、弾圧に弾圧、違法行為だといって圧力を加えているのであります。このような一方的な権力行為は、世界の歴史が証明するごとく、権力によって国民の権利が奪われていくときに、次に来たるべきものは議会制民主主義の破壊であります。本法案の中身といい、審議の経過といい、公務員の、国民の権利の剥奪以外の一体何ものでありましょうか。
 日本の議会制民主主義を守るため、国民と公務員の権利を守るために、本法案の撤回を強く求めて、私の反対討論を終わります。(拍手)
#29
○副議長(小平久雄君) 佐藤文生君。
    〔佐藤文生君登壇〕
#30
○佐藤文生君 私は、自由民主党を代表いたしまして、行政機関の職員の定員に関する法律案、いわゆる総定員法案につきまして、賛成の意見を述べます。本法案は、年々増加傾向にある国家公務員の定員増を押え、その総数の最高限度を、昭和四十二年度末の国家公務員の定員である五十万六千五百七十一人と法律できめまして、各省間の配分は政令でこれを定め、行政需要の消長に伴う定員の配置転換を合理的かつ弾力的に行なおうとするものであります。
 現行のように、定員一人の増減でも一々法律の改正を必要とするようでは、流動する社会情勢に行政を適合させることはできません。そもそもわが国の官庁は、社会経済情勢の変動や国民福祉向上のための施設などによる新しい行政需要に対処して、機構の拡大や人員増をはかることは実に機敏であります。それはそれなりに意味のあることであります。しかし、一方ですでに存在意義を失ったものや、さして必要とはいえない部門は一向に整理しようとはしないで、温存をはかる傾向があります。ゆえに、機構や定員は年々増加し続けてまいりました。そこで、総定員法の制定をいまこそ急ぎ、不急不要な部門から必要な部門、たとえば国立学校の教職員あるいは国立病院の看護婦、登記所、特許庁の事務員など、国民生活にとってどうしても増員が必要な部門に定員を回す等の合理的な定員の配置転換を行なうとともに、各省のセクショナリズムを押えて、無秩序な機構や人員の膨張を防がねばなりません。本法運用にあたって、向こう三年間に五%、約四万五千人の定員削減措置は、定員の総数をふやさず、自然退職による欠員不補充の方式をとることによって、出血整理を行なわずして当面の行政需要に対処せんとするものであります。その結果、労働過重にならないようにするためには、各省庁の事務の合理化が急速に促進されなければなりません。
 本法は、国家公務員三十五万人を減らせたあの昭和二十九年以来、初めての意欲的な行政改革法であります。しかも注目すべき点は、戦後三度にわたって大削減を行なったとき、現実に出血整理を行なった荒療治でありましたけれども、今回は、人員を直接整理するものではなく、欠員を補充しないという方法をとるのであります。わかりやすく言えば、ほうっておけば毎年一万三千人、予算にして百三十億円もふえ続ける国家公務員を欠員不補充のワク内でまかない、実質的には、現在数以下で押えようというものであります。一方で総定員法、片方で五%の削減措置、この両々相まっての定員管理こそ、流動的社会に適合する画期的な行政改革案であると信じて疑いません。
 いままで法律できめられてきたものを政令にまかすことは、国会の審議権を軽視するものであるとの意見がありましたが、定員の最高限は国会で審議することになっており、各省別の定員は毎年度の予算で十分審議ができますので、その懸念は全くありません。米、英、仏、伊、西独、これらの諸国でも定員は予算で定めており、予算のほかに法律で定める制度をとっている国はないのであります。
 さらに、本法の運用にあたって、各省別の定員を政令で定めるということになると、出血整理や強制配置転換が行なわれるのではないかという意見がありました。しかし、さきの内閣委員会において、「欠員不補充措置と行政需要にマッチした定員配置の実現によって、出血整理の事態が避けられ、なお本人の意思を尊重する」という佐藤総理、荒木行政管理庁長官、床次総理府総務長官より明快な答弁がありました。したがって、まじめに仕事をなさっている公務員諸君の御心配は一切不要でございます。(拍手)
 要するに、現在までの制度は、終戦後の首切り整理時代にできたものであって、戦後二十年以上たった今日、情勢は大きく変化をして、もはやこれを維持する意義は失われつつあります。古き衣を捨てて広い視野を持ち、筋道を通す公務員の特性を遺憾なく発揮して、緻密な行政的マネージメントを要求される時代がやってきました。少数精鋭主義による能率的行政運営、そのことが、結果として公務員の十分なる待遇改善、すなわち、人事院勧告完全実施への最短距離であるということを信じております。
 以上をもちまして、本法案の成立に心からなる賛意をあらわしまして、賛成討論を終わります。(拍手)
#31
○副議長(小平久雄君) 鈴切康雄君。
    〔鈴切康雄君登壇〕
#32
○鈴切康雄君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております行政機関の職員の定員に関する法律案に対し、反対の討論を行ないます。
 行政機構の合理的な簡素化と能率向上は、長年にわたる国民の強い要請であり、この実現は政府に課せられた責任であります。しかるに、佐藤総理は、総理就任以来、機会あるごとに行政改革の実現を国民に公約し続けてまいりましたが、その実態は、官僚政治の悪弊を改善する努力と意欲を全く欠き、いたずらに各省庁のセクショナリズムにまかせ、行政機構の膨大化、複雑化をただ傍観していたにすぎません。このことは、佐藤内閣の本質ともいうべき公約の不履行、国民不在の政治姿勢を明らかに示しているばかりか、佐藤総理の指導力のなさを如実に物語っているものであります。(拍手)特に、二年七カ月の歳月と約二億円の国費をもって行なわれた画期的な臨時行政調査会の答申が、四年以上も過ぎた今日、何ら生かされておらず、十六項目にわたる改革意見がほご同然に処せられ、根本的行政改革の姿勢がうかがわれない事実は、国民の名において追及されなければなりません。
 政府は、今度提出した総定員法が、あたかも行政改革にきわめて重要であるかのごとく言っておりますが、行政の簡素化、能率化を推し進めるための抜本策でないばかりか、国民を欺瞞しながら、かえって行政改革に名をかり、公務員労働者の基本権を侵害する本法案の提出には、全く納得がいかないのであります。また、佐藤総理は、思い切った簡素化をすべきだというのは国民の声であり、私はこういうショック療法もやむを得ないと、過日の内閣委員会で答弁をしております。しかし、昨年の一省庁一局削減の際にも、ショック療法であると申しておりましたが、はたしてどのような効果があったといえるでありましょうか。ショック療法というあいまいなことばをもって、国民の正しい理解をことさらにそらす佐藤総理の詭弁に対して、深い憤りを禁じ得ないものであります。(拍手)
 以下、総定員法の反対の理由を、数点にわたって申し述べます。
 第一は、政府の定員管理に対する姿勢であります。
 昭和三十六年には、首切り法といわれた行政機関職員定員法を廃止し、現行のように各省設置法の中に定員規定を置くようにする法案が提出されました。その際の政府の提案理由は、「定員というものは、本来組織の規模を示す尺度であり、行政機関の規模は機構と職員の定員により規制されるべきものでありますから、従来のように定員のみを切り離して規定するのは適当でない」というものでありました。しかし、政府は、この考えを平然とくつがえし、全く逆の立場においてこのたびの法案を提出したことは、明らかに一貫した定員管理に対する政策を欠いていることをみずから露呈したものであります。私たちは、このような政府の豹変する態度と、そのつど都合のよい理由をつけて、表面だけの制度を改めるようなことに賛成することはできないのであります。(拍手)
 第二には、本案を政令にゆだねることは、事実上総理の権限強化、国会審議の軽視につながることであります。これは権力の乱用と集中化をもたらす結果となります。
 この総定員法が各省のセクショナリズムを排する効果を持っているなどという宣伝は、佐藤内閣のごまかしであり、国会の審議の目の届かないところで、いままで以上に各省庁の定員獲得合戦が行なわれ、大臣の力関係によって定員がきめられることも容易に予測できることで、むしろ各省のセクショナリズムは、さらに一段と激しさを増すことは間違いないと考えられるのであります。(拍手)行政需要の消長に対する判断が総理並びに内閣のみにまかされることになれば、過去の政治姿勢を見ても、国民の要求するサービス部門への適正な定員配置ができなくなることは明らかであります。たとえば、国立病院、療養所は全国で三百カ所もありながら、看護婦の不足はおびただしく、昭和四十年五月、人事院の夜勤制限と労働過重の軽減をはかるための判定に基づいて、本年度は、その趣旨から、厚生省は七百名を要求したにもかかわらず、わずか二百六十一名の増員しか認められず、一病院に一人も満たないという状態となっております。一方、自衛官の増員に対しては、防衛という名目のもとに七千七百名という大幅な増員を試みようとする政府の考えは、口では国民のための行政を確保すると言いながら、行政需要の消長の判断を誤り、大衆福祉をさておくばかりか、人命にも影響する重大な問題をないがしろにしているといわざるを得ないのであります。行政需要の消長の判断が力関係によって左右されるという弊害を除こうというならば、臨調答申や行政監理委員会の指摘のとおり、内閣の調整機能を強化することをまずはかるべきであり、さらに、きめこまかく国会の審議を仰ぐのは当然であります。行き当たりばったりの本案提出は、国会審議を制約するばかりか、まさに主客転倒といわざるを得ないのであります。(拍手)
 第三には、この法案が公務員労働者の基本権を侵害するおそれがあることであります。
 公務員の定員を三年間で五%削減するということでありますが、この削減が機構の簡素化、合理化を伴わないものでありますから、その当然の結果として、公務員労働者の労働過重あるいは不当な配置転換をもたらすことになるのであります。そして政府は首切りはしないといっておりますが、不当な配置転換、労働過重などが退職、すなわち、事実上の首切りにつながることは明らかであります。もしも年々の退職者や欠員などから定員を削減するということであれば、これは現在の欠員不補充方式で十分できることで、現行設置法による形式を、ことさらに改める必要は毛頭ないのであります。(拍手)しかも、いままで歴代の自民党政府は、公務員労働者の労働基本権の代償として設けられた人事院勧告を一度も完全実施することなく、今日まで弾圧による不当な処置をとり続けてまいりました。さらに、この公務員給与の不完全実施をそのままにしておきながら、基本権が侵害されるような法案を提出したことは、公務員労働者に対する人権侵害であり、断じて許すことはできないのであります。(拍手)
 以上、反対の理由を申し述べましたが、わが党は、行政機構の簡素化、合理化を断行し、国民のための行政機構の確立は急務であることを再三主張してまいりました。総理並びに政府は、本法案を撤回し、もって誠意と責任ある態度を強く要望して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#33
○副議長(小平久雄君) 小沢貞孝君。
    〔小沢貞孝君登壇〕
#34
○小沢貞孝君 私は、民社党を代表いたしまして、行政機関の職員の定員に関する法律案について、賛成の討論をいたしたいと思います。(拍手)
 その前に、過日の運輸委員会における審議といい、今次内閣委員会の審議といい、かかる事態が今後も続くならば、かの暴力学生と何ら選ぶところがなく、議員みずからが議会の権威をそこない、政治不信を招き、議会主義の墓穴を掘ることとなることは、火を見るよりも明らかであります。(拍手)重要法案の審議のたびごとにかかる事態が繰り返されてよいものでありましょうか、まことに遺憾なことでございます。議会主義の擁護は、一党一派の問題ではなくして、党派を越えて真剣に取り組まなければならない課題であると考えるわけであります。(拍手)
 さて、わが党は、内閣委員会におけるあのような混乱から、わが党が討論に加わる機会を得ずして、わが党の意思表示ができ得なかったことは、まことに遺憾でございます。
 わが党は、委員会において、次のような附帯決議を用意しておりました。念のためにこれを読み上げたいと存じます。
 一、本法の運営にあたっては、本法に直接関係
  ある行政管理庁、大蔵省、総理府、人事院は
  もとより、関係機関と緊密な連絡をとり、運
  営の万全を期すること。
 二、事務量の逓減と事務の機械化を推進し、簡
  素にして、能率的行政を行なうようつとめる
  こと。
 三、本法の施行にあたって、万一配置転換が行
  なわれるようなことがあるならば、必要な職
  員の再教育はもとより、職員団体との間に事
  前協議を行なうこと。
 四、人事院勧告を完全実施し、職員の処遇の万
  全を期すること。以上であります。(拍手)
 第一項は、総定員法は、役人のセクト主義の排除に役立つ反面、総理大臣に大きな権限が与えられるが、あくまで権力の集中と乱用を排除する、こういう趣旨からであります。第二項以下は、行政機関に従事する職員の労働基本権を守り、労働強化を防止し、処遇の改善を期するためであります。
 この附帯決議は実現を見ませんでしたが、委員会の質疑を通じ、各項目にわたって、政府はこの趣旨を生かして本法の執行に当たることが明らかにされたのであります。
 中でも、第二項の、職員の労働過重を防ぐための事務量の逓減については、今後とも、簡素にして能率的な行政を行なうことについては、政府から今後一そう強力に推進するという言明がございました。
 また第三の、今日職員が最も不安を抱いている点については、首切りは行なわない、強制配転は行なわないという明確な言明はもとよりでありますが、配置転換等の不安についても、万が一、将来そのような事態が起こったとしても、当該職員団体との事前協議を十分に行なうことが明らかにされました。それのみならず、本法に基づいて他省庁に多くの配転が行なわれるようなことが起きたときにおいては、その配置転換の基準等については、国家公務員法第百八条の五にいう「その他の勤務条件」に該当して交渉権があるということも、人事院並びに法制局より法的に明らかにされたのであります。
 しかし、ここでいう「交渉」といい、あるいはまた協議といい、労使の不信の間ではその機能を十分に発揮することはできないわけであります。今日、特に人事管理体制の不備によって、労使相互間の不信は一朝一夕に除去できるものではございません。よくいわれるように、労使は鏡だといわれます。経営管理者の姿勢が労働者に、また、労働者の姿勢が経営管理者に反映することを言うわけであります。今後は、労使の努力によって相互信頼を打ち立てる中で、交渉といい、協議といい、その機能を十分発揮できるようつとめなければならないことは当然であります。(拍手)
 以上、本法施行によってマイナスの面だと危惧される多くの点については、委員会の質疑を通じ、また、今後職員団体と政府の努力によって解消でき得るものと考える次第であります。
 およそ、ある法律、制度が存在するからには、それなりの理由がございます。各省設置法で定員がきめられるという制度も、それなりの理由が存在しておりました。だがしかし、激しく変容しつつある社会、経済条件に適応する行政のあり方を考えるときに、その組織、機構と、それを動かす人の配置は弾力的、機動的でなければなりません。(拍手)民間企業にあっては、国際化と技術革新の中にあって、常に機構の改革に取り組み、それに応ずる人員の配置を行なっております。つまり、流動性ある組織をつくり、流動的な人材を開発し、流動的な人事の交流を行なっておるわけであります。機械や設備が新鋭であればよいというだけでは済まされないのであります。幾種類かの部門の管理を総合的に行なうということになれば、機構は常に複雑となり、膨張をする宿命を持っております。これに対して果敢に挑戦をしているのであります。毎日が機構の縮小と再編の戦いであるわけであります。かくして初めて、激しく移り変わる技術と国際情勢の中にあって、企業はたくましく成長することが可能であるわけであります。このような目で現在の役所の機構と人事管理を見るならば、封鎖的、硬直的、保守的な機構と管理の中に埋没しておると称しても過言ではありません。(拍手)
 今日、わが国は高度産業社会から、さらに高度知識産業社会へと発展しつつあるのであります。そのような社会、経済の動きの中で、われわれはその選良たるにふさわしく、保守的なものの見方に対して挑戦しなければならないと考えるわけであります。(拍手)。かかるものの見方からするならば、今次総定員法の中には、従来の官僚的発想にいどまんとする意欲を受けとめることができるわけであります。だが、まだ残念ながら、それにふさわしい行政の機構ができておりません。それにふさわしいものの見方が、そのにない手の中に定着いたしておりません。こういうことが、この総定員法の審議を混乱させました遠因であろうと思います。そうはいっても、人間は、本来、本質的に保守的であります。変化には本能的に抵抗するわけであります。(拍手)特に、労働組合、職員団体は、その機能から考えて、保守的、現状維持的になるのは、けだし当然であります。(拍手)われわれが本法の検討にあたって、職員の教育、訓練ということを重視したのは、新しい職種に変わっていくための技能訓練や行政知識という技術的なものばかりを言っているのではありません。硬直したものの考え方、硬直したイデオロギーでものを見ておっては、産業構造の変化に対応できないのであります。(拍手)もっと流動的なものの見方ができるような教育が必要だと言っているのであります。
 わが国家公務員の生産性を欧米並みに引き上げることが最後に必要だと考えます。国家公務員一人当たりの予算執行額で比較するときに、欧米先進国のそれの半分以下であります。これを、少なくとも欧米の生産性まで高めることが必要だとわれわれは考えます。そのためには、機構や事務処理の合理化、簡素化等、合理化の本質である無理、むだ、むら、こういうものを排除することが必要であろうと存じます。(拍手)そのための行政全般の改革を積極果敢に推進しなければなりません。それに加えて、事務の機械化、近代化等、公務員労働者の資本装備を高めなければなりません。
 最後に、わが党が終始要求してきた公務員の処遇についてであります。
 人事院の勧告さえ無視して、公務員に多くを求めることは不可能であります。政府の勇断を望んでやみません。よい機構と人事行政、高い労働装備率のもとで、高い労働生産性のある、創造的で積極的な参加意欲のある公務員こそが、望まれる公務員像であります。(拍手)これが国民の声、天の声であろうと思います。何とぞ本法の成立によって、この国民の声が一歩たりとも実現されるように望んでやみません。
 以上をもって、民社党を代表いたしましての賛成討論といたします。(拍手)
#35
○副議長(小平久雄君) これにて討論は終局いたしました。
 行政機関の職員の定員に関する法律案につき採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
    〔議場閉鎖〕
#36
○副議長(小平久雄君) 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#37
○副議長(小平久雄君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
    〔議場開鎖〕
#38
○副議長(小平久雄君) 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#39
○副議長(小平久雄君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長報告〕
 投票総数 三百四十
  可とする者(白票)       二百十五
    〔拍手〕
  否とする者(青票)       百二十五
    〔拍手〕
#40
○副議長(小平久雄君) 右の結果、行政機関の職員の定員に関する法律案は委員長報告のとおり決しました。(拍手)
    ―――――――――――――
  〔参照〕
 行政機関の職員の定員に関する法律案を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
      足立 篤郎君    阿部 喜元君
      青木 正久君    赤城 宗徳君
      赤澤 正道君    天野 光晴君
      荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君
      有田 喜一君    井原 岸高君
      伊藤宗一郎君    伊能繁次郎君
      池田 清志君    石田 博英君
      一萬田尚登君    稻葉  修君
      宇野 宗佑君    上村千一郎君
      植木庚子郎君    臼井 莊一君
      内海 英男君    浦野 幸男君
      小川 半次君    小川 平二君
      小澤 太郎君    小沢 辰男君
      小渕 恵三君    大石 八治君
      大竹 太郎君    大坪 保雄君
      大野 市郎君    大橋 武夫君
      大平 正芳君    大村 襄治君
      岡崎 英城君    岡本  茂君
      奥野 誠亮君    加藤常太郎君
      加藤 六月君    賀屋 興宣君
      鍛冶 良作君    海部 俊樹君
      桂木 鉄夫君    金丸  信君
      金子 一平君    金子 岩三君
      上林山榮吉君    神田  博君
      亀岡 高夫君    亀山 孝一君
      鴨田 宗一君    仮谷 忠男君
      川島正次郎君    川野 芳滿君
      木野 晴夫君    木部 佳昭君
      木村 武雄君    木村 俊夫君
      菊池 義郎君    北澤 直吉君
      久野 忠治君    久保田円次君
      草野一郎平君    熊谷 義雄君
      倉石 忠雄君    藏内 修治君
      小泉 純也君    小峯 柳多君
      小宮山重四郎君    小山 長規君
      小山 省二君    河野 洋平君
      河本 敏夫君    佐々木義武君
      佐藤 榮作君    佐藤 文生君
      齋藤 邦吉君    斎藤 寿夫君
      坂田 道太君    坂本三十次君
      櫻内 義雄君    笹山茂太郎君
      四宮 久吉君    志賀健次郎君
      始関 伊平君    椎名悦三郎君
      塩川正十郎君    塩谷 一夫君
      重政 誠之君    篠田 弘作君
      澁谷 直藏君    島村 一郎君
      正示啓次郎君    白浜 仁吉君
      進藤 一馬君    周東 英雄君
      菅波  茂君    鈴木 善幸君
      砂田 重民君    砂原  格君
      瀬戸山三男君    園田  直君
      田澤 吉郎君    田中伊三次君
      田中 榮一君    田中 角榮君
      田中 正巳君    田村 良平君
      高橋 英吉君    高橋清一郎君
      高見 三郎君    竹内 黎一君
      竹下  登君    谷垣 專一君
      谷川 和穗君    千葉 三郎君
      中馬 辰猪君    塚田  徹君
      塚原 俊郎君    坪川 信三君
      渡海元三郎君    徳安 實藏君
      床次 徳二君    内藤  隆君
      中尾 栄一君    中垣 國男君
      中川 一郎君    中曽根康弘君
      中野 四郎君    中村 梅吉君
      中村 寅太君    中村庸一郎君
      中山 榮一君    永山 忠則君
      灘尾 弘吉君    南條 徳男君
      二階堂 進君    丹羽喬四郎君
      丹羽 兵助君    西岡 武夫君
      西村 英一君    西村 直己君
      野田 武夫君    野原 正勝君
      野呂 恭一君    葉梨 信行君
      橋口  隆君    橋本登美三郎君
      橋本龍太郎君    長谷川四郎君
      長谷川 峻君    早川  崇君
      原 健三郎君    広川シズエ君
      廣瀬 正雄君    福家 俊一君
      福田  一君    藤井 勝志君
      藤枝 泉介君    藤尾 正行君
      藤田 義光君    藤本 孝雄君
      古川 丈吉君    古屋  亨君
      保利  茂君    坊  秀男君
      細田 吉藏君    堀川 恭平君
      本名  武君    前尾繁三郎君
      増岡 博之君    増田甲子七君
      松浦周太郎君    松澤 雄藏君
      松田竹千代君    松野 頼三君
      松村 謙三君    三池  信君
      三木 武夫君    三ツ林弥太郎君
      三原 朝雄君    水田三喜男君
      湊  徹郎君    村上  勇君
      村山 達雄君    毛利 松平君
      粟山  秀君    森下 國雄君
      森田重次郎君    八木 徹雄君
      山口 敏夫君    山下 元利君
      山田 久就君    山中 貞則君
      山村新治郎君    早稻田柳右エ門君
      渡辺 栄一君    渡辺  肇君
      麻生 良方君    池田 禎治君
      稲富 稜人君    小沢 貞孝君
      神田 大作君    小平  忠君
      曾禰  益君    田畑 金光君
      玉置 一徳君    中村 時雄君
      永江 一夫君    永末 英一君
      西村 榮一君    門司  亮君
      吉田 賢一君    吉田 之久君
      和田 耕作君
 否とする議員の氏名
      安宅 常彦君    阿部 昭吾君
      阿部 助哉君    赤路 友藏君
      井岡 大治君    井手 以誠君
      井上 普方君    伊賀 定盛君
      猪俣 浩三君    石川 次夫君
      石野 久男君    石橋 政嗣君
      板川 正吾君    枝村 要作君
      小川 三男君    大出  俊君
      大柴 滋夫君    大原  亨君
      太田 一夫君    岡田 利春君
      岡田 春夫君    岡本 隆一君
      加藤 清二君    加藤 万吉君
      勝澤 芳雄君    勝間田清一君
      神近 市子君    唐橋  東君
      川崎 寛治君    川村 継義君
      河上 民雄君    河野  正君
      木原  実君    北山 愛郎君
      久保 三郎君    久保田鶴松君
      工藤 良平君    栗林 三郎君
      黒田 寿男君    兒玉 末男君
      河野  密君    神門至馬夫君
      佐々栄三郎君    佐野 憲治君
      佐野  進君    實川 清之君
      柴田 健治君    島本 虎三君
      田中 武夫君    田邊  誠君
      田原 春次君    多賀谷真稔君
      高田 富之君    武部  文君
      楯 兼次郎君    千葉 佳男君
      戸叶 里子君    堂森 芳夫君
      内藤 良平君    中澤 茂一君
      中谷 鉄也君    中村 重光君
      楢崎弥之助君    成田 知巳君
      西風  勲君    野口 忠夫君
      芳賀  貢君    長谷川正三君
      華山 親義君    浜田 光人君
      原   茂君    平岡忠次郎君
      平林  剛君    広沢 賢一君
      福岡 義登君    古川 喜一君
      帆足  計君    穗積 七郎君
      細谷 治嘉君    堀  昌雄君
      松本 七郎君    三宅 正一君
      武藤 山治君    村山 喜一君
      森  義視君    森本  靖君
      八百板 正君    八木 一男君
      八木  昇君    矢尾喜三郎君
      安井 吉典君    柳田 秀一君
      山内  広君    山口 鶴男君
      山崎 始男君    山田 耻目君
      山中 吾郎君    山本 政弘君
      山本弥之助君    米内山義一郎君
      米田 東吾君    依田 圭五君
      渡辺 惣蔵君    渡辺 芳男君
      浅井 美幸君    有島 重武君
      伊藤惣助丸君    小川新一郎君
      大野  潔君    大橋 敏雄君
      岡本 富夫君    沖本 泰幸君
      北側 義一君    小濱 新次君
      鈴切 康雄君    田中 昭二君
      樋上 新一君    伏木 和雄君
      正木 良明君    松本 忠助君
      渡部 一郎君    田代 文久君
      谷口善太郎君    林  百郎君
      松本 善明君
    ―――――――――――――
#41
○西岡武夫君 本日の議事日程に掲げられた国務大臣の演説は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#42
○副議長(小平久雄君) 西岡武夫君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 荒木萬壽夫君
ソース: 国立国会図書館
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