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1968/04/11 第61回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第061回国会 本会議 第25号
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1968/04/11 第61回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第061回国会 本会議 第25号

#1
第061回国会 本会議 第25号
昭和四十四年四月十一日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十八号
  昭和四十四年四月十一日
   午後二時開議
 第一 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への
  加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
 第二 国際開発協会への加盟に伴う措置に関す
  る法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
    …………………………………
  一 国務大臣の演説(林業基本法に基づく昭
   和四十三年度年次報告及び昭和四十四年度
   林業施策について)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員の選挙
 日程第一 国際通貨基金及び国際復興開発銀行
  への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
 日程第二 国際開発協会への加盟に伴う措置に
  関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 長谷川農林大臣の林業基本法に基づく昭和四十
  三年度年次報告及び昭和四十四年度林業施策
  についての演説及び質疑
   午後二時十二分開議
#2
○副議長(小平久雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員の選挙
#3
○副議長(小平久雄君) 裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員の選挙を行ないます。
#4
○西岡武夫君 裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられ、その職務を行なう順序については議長において定められんことを望みます。
#5
○副議長(小平久雄君) 西岡武夫君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員に広沢賢一君を指名いたします。
 なお、その職務を行なう順序は第三順位といたします。
     ――――◇―――――
 日程第一 国際通貨基金及び国際復興開発銀
  行への加盟に伴う措置に関する法律の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 国際開発協会への加盟に伴う措置
  に関する法律の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
#7
○副議長(小平久雄君) 日程第一、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案、日程第二、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#8
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事山下元利君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔山下元利君登壇〕
#9
○山下元利君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 国際通貨基金の特別引き出し権制度は、国際流動性の適正な増加を確保するため、各国が共同の責任のもとに計画的に新しい準備資産をつくり出して、金や米ドルを補充するものとして考案されたものでありますが、わが国もその外貨準備を増強して、経済の一そう健全な発展を確保するため、この特別引き出し権制度に参加することが必要であると思われますので、この法案は、それに必要な所要の措置を講じようとするものであります。
 すなわち、第一に、政府は特別引き出し権制度に参加することができることといたしております。
 第二に、政府は、国際通貨基金に対するわが国の出資額に相当する額を限度として、特別引き出し権の配分を受けることができることとしております。
 第三に、大蔵大臣は、外国為替資金特別会計の負担において、特別引き出し権の取引を行なうことができることとしております。
 第四に、日本銀行は、大蔵大臣から特別引き出し権を譲り受けることができるとともに、その保有する特別引き出し権を日本銀行券の発行の保証に充てることができることとしております。
 次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 国際開発協会は、昭和三十五年に創立され、開発途上にある国々に対し、長期かつ低利の融資を行ない、低開発地域の経済開発にきわめて大きな役割りを果たしてまいりましたが、開発途上にある国々の同協会に対する資金需要は年々増大し、同協会の資金は遠からず枯渇する事情にございます。よって、昨年三月、総額十二億ドルの増資について合意が成立し、同年九月に至り増資決議が成立いたしました。そこで、この法案は、右決議の定めるところに従い、政府が同協会に対し、新たに六千六百四十八万ドル、邦貨換算二百三十九億三千二百八十万円の金額の範囲内において出資することができることとしようとするものであります。なお、この出資は、本邦通貨にかえて国債で行なうことが認められております。
 右両案につきましては、大蔵委員会に付託されて以来、慎重に審議を重ね、昨四月十日、討論に入りましたところ、広沢賢一君は、日本社会党を代表して、両案に対し反対の意見を述べられました。
 次いで、採決いたしましたところ、両案は多数をもって原案のとおり可決となりました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○副議長(小平久雄君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#11
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説(林業基本法に基づく昭和四
  十三年度年次報告及び昭和四十四年度林業
  施策について)
#12
○副議長(小平久雄君) 農林大臣から、林業基本法に基づく昭和四十三年度年次報告及び昭和四十四年度林業施策について発言を求められております。これを許します。農林大臣長谷川四郎君。
    〔国務大臣長谷川四郎君登壇〕
#13
○国務大臣(長谷川四郎君) 昭和四十三年度林業の動向に関する年次報告及び昭和四十四年度において講じようとする林業施策につきまして、その概要を御説明いたします。
 まず、この廣次報告に述べております林業の動向について申し上げます。
 木材の需要は著しく増大しておりますが、国内の木材生産は依然として停滞の傾向を示しており、こうしたことから外材の輸入は逐年増加し、四十二年には用材供給量の四割近くを占めるに至っております。
 一方、国内の森林資源の開発はいまだ十分でなく、資源造成のための造林は、民有林の拡大造林が四十二年度は前年度を上回ったものの、全般的には減少の傾向にあります。このような状況の中で、各県における公社造林の進展など新しい動きも見られ、林道も逐次整備されつつあります。
 また、林業経営の動向について見ますと、その大宗を占める私有林経営の規模は零細なものがきわめて多く、経営基盤が脆弱である等、林業構造の一そうの改善が必要な状況にあります。
 林業従事者の動向につきましては、山村住民の流出が著しく、林業労働力の量的不足、質的低下の傾向が目立っております。
 次に、林業に関して講じた施策でありますが、これは、最近、特に四十二年度以降において、政府が林業振興上実施した主要な施策を述べたものであります。
 最後に、昭和四十四年度において講じようとする林業施策の概要について申し上げます。
 政府といたしましては、すでに申し述べましたような林業の動向にかんがみ、林業基本法の趣旨に従い所要の諸施策を講ずることといたしております。特に、木材需給の安定を期するため、外材の適正円滑な輸入と相まって、森林施業の合理化、計画化を推進するとともに、林道の整備拡充、造林の推進、低位利用の里山の再開発等の施策を講じ、もって、国内の林業生産の増大及び生産性の向上をはかることといたしております。また、林業の構造改善を進めるために、林業構造改善事業、入り会い林野整備事業等の事業を推進するとともに、国有林野の積極的な活用のための施策を講ずる一方、山村労働力の流出に対処して、林業従事者の養成確保等の施策を充実することといたしております。さらに、森林の国土保全機能の確保をはかるため、保安林の整備、治山事業の拡充実施等の施策を推進することといたしております。
 以上、昭和四十三年度林業の動向に関する年次報告及び昭和四十四年度において講じようとする林業施策について、その概要を御説明いたした次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説(林業基本法に基づく昭和四
  十三年度年次報告及び昭和四十四年度林業
  施策について)に対する質疑
#14
○副議長(小平久雄君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。森義視君。
    〔森義視君登壇〕
#15
○森義視君 私は、日本社会党を代表して、ただいま農林大臣より説明のありました昭和四十三年度の林業年次報告及び昭和四十四年度において講じようとする林業施策に関し、総理並びに関係各大臣に、主要な問題点について質問いたします。
 林業白書の国会提出は、今回で五回目を数えるわけですが、そのつど、わが国林業が当面している問題点として、木材需要の拡大に生産がついていけず、外材の輸入が激増していること、山村人口の都市への流出で、林業労働力がますます減退していること、造林の拡大、林道の開発が計画どおりに進まないこと等が強調されてまいりましたが、これらの事態は改善されるどころか、年々深刻の度を加えております。
 昭和四十年の第一回林業白書の質問で、私が佐藤総理に本会議場でお尋ねしてからきょうまで、総理は四回、本件についての答弁に立ってこられたわけでありますが、総理の答弁が施策に具体的に反映したことは、残念ながら全くないといっても過言ではないと思うのであります。(拍手)むしろ、木材の自給率低下に見られますように、答弁とは逆な結果を生じていることすら多々あるのであります。このように答弁と施策が結びつかないようでは、せっかくの本会議における質問も形式に流れてしまって、質問者自体の意欲をそぐばかりでなく、林業基本法で規定した白書の国会提出について期待を寄せている多くの国民を裏切ることになると思います。そこで、私がこれからお尋ねすることについては、具体的な施策と結びつけ、来年の林業白書にその結果が十分あらわれるような責任ある御答弁をお願いして、質問に入りたいと思います。
 まず、総理にお尋ねいたします。
 わが国の林業は、いま非常にむずかしい局面に立っていることは、総理も御承知のとおりであります。すなわち、先ほど長谷川大臣からも御報告がありましたとおり、石油に次ぐ外材の輸入の増大、依然として続く国産材の生産停滞、木材価格の高騰、林業人口の減退、山村における出かせぎ問題など、どれをとらえてみましても、早急に有効な手を打たなければ将来に禍根を残す問題ばかりであります。これらは、林業政策の基本である林業基本法に基づく諸施策の充実、特に、関連立法の整備を怠った結果と考えますが、わが国林業が当面する諸課題と今後どのように取り組んでいこうとしておられるのか、特に、基本法に基づく関連立法についてどのような用意があるのか、明らかにしていただきたいのであります。
 次に、農林大臣にお尋ねいたします。
 ことしの白書が特に強調しているのは外材輸入の激増で、すでに総需要の四〇%に達し、従来の補完的役割りを脱して、木材需給上独自の地位を占めるに至ったと述べておりますが、今後の木材需給の見通しと外材輸入についてどのような対策を考えておられるのか、承りたいのであります。
 また、外材輸入の増大に対処して、行政需要が大幅にふえているのでありますが、これらの要望にこたえるため、農林省設置法の一部を改正して、林野庁の組織を再検討すべきであると考えます。今国会に提案している地方農政局を農林局に拡充する法案は、全国知事会まで反対しているのでありますが、このような法案よりも、むしろ当面の緊急課題である行政需要の拡大に対する施策のほうを先行さすべきであると考えますが、この点について、所信のほどをお聞かせ願いたいのであります。
 次に、経済企画庁長官にお尋ねいたします。
 大幅な外材輸入があるにもかかわりませず、木材の価格は依然として毎年大きく上昇しており、土地価格の暴騰とともに、家を持ちたいと考える多くの庶民にとって失望を与えておりますが、四十四年度において、木材並びに同製品の卸売り物価指数をどのような目標数字とされておるのか、また、この目標数字はどのような試算から出てきたのか、さらに、この目標数字を達成するための具体的な施策をどのように準備しているのか、具体的に明らかにしていただきたいのであります。
 次に、林業予算について、大蔵大臣にお尋ねいたします。
 福田大蔵大臣は、山村振興連盟の会長をされております。したがって、林業問題については特に強い関心を持っておられると考えるのでありますが、残念ながら、昭和四十四年度の林業関係の予算を見ますと、どうもそのようには感ぜられないのであります。たとえば造林、林道開設の補助等の問題を取り上げてみましても、積算基礎になる労働賃金は、全く実態を無視した半額以下のものであります。そのため、多くの森林所有者が造林意欲を失い、白書でも指摘しておりますように、人工造林は相変わらず減少傾向にあり、林道開設も計画どおり進んでおりません。造林、林道等は林業経営の基盤であり、しかも、これが計画どおり進まぬということは、わが国林業発展の上で憂慮すべきことといわねばなりません。政府は、すみやかに実情を分析して、森林所有者が喜んで造林をし、計画的に林道を開設できるよう助成制度を再検討し、林業予算の拡充をはかるべきであると考えるのでありますが、大蔵大臣の所見を承りたいのであります。
 次に、林業経営の動向に関連して、農林大臣にお尋ねいたします。
 私有林の森林所有者、特に、大山持ちは切り惜しみをするために、いわゆる資産保持的な経営態度で今日まで貫いてまいりましたが、このことが日本の林業生産の停滞の一因となっていることは、白書でも指摘されているところであります。林業基本法が制定されてすでに五年も経過している今日、依然としてこのような経営態度が改善の方向に向かっていないのは、指導行政の貧困といわざるを得ません。資産保持的な森林所有者は、経済的に見てもあるいは社会的に見ても、国の施策に合わせて経営を行なっていないと見るべきでありまして、今後は、林業施策のレールに乗せるため、強力な措置が必要であると考えます。さらに、公有林の経営、とりわけ、市町村有林や財産区有林の経営は、木材の生産も造林も年々減少の一途をたどっております。白書では、造林のふるわない原因として、労働力の不足や資金の不足を理由にあげておりますが、このようなことは他の所有形態の場合も同じことでありまして、むしろ私は、原因は公有林野に対する指導行政の不足にあると考えますが、市町村有林に対して、その振興をはかるための施策をどのように行なっているのか、承りたいのであります。
 また、公有林野の官行造林の復活については、先般入り会い林野等の近代化法案審議の際に、附帯決議として政府に検討を要請してきたところでありますが、その後どのようになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、国有林野経営の問題でありますが、国有林野事業の前途には森林資源の構造上の問題、財政問題、労働問題等幾つかの問題点をかかえ、その上に、近年とみに強まりつつある国有林野に対する国民的諸要請にこたえる重大な使命を有するのであります。聞くととろによりますと、国有林野事業の範囲と性格を明確にするため、次期国会に国有林野事業法の提案が予定されているようでありますが、その内容はどういうものを考えておられるのか、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
 また、国有林野事業の役割りと経営のあり方については、去る四十年三月、中央森林審議会が膨大な答申を行なっているわけですが、これに対して、今日まで何ら政府の見解を明らかにしておりませんが、答申をどのように受けとめ、どのように対処されたのか、承りたいのであります。
 さらに、今国会で継続案件となっている国有林野の活用法は、いわれるとおりの農林業の構造改善に国有林を活用するという範囲にとどまる限り、現行の林業基本法やその他の関連法規で十分にこと足れりと考えているのでありますが、あえて独立した立法措置を要請しておられる理由はどこにあるのか、この点については、特に総理並びに農林大臣から明確な答弁を承りたいのであります。
 次に、林業労働力の確保及び社会保障の問題について、農林、労働及び厚生の三大臣にお尋ねいたします。
 林業就業者の大部分を占める山村農家の流出は、最近鈍化したとはいえ、依然として流出は続いております。林業基本法第十九条で、国は林業労働に従事する者のために必要な施策を講ずべきことを明確に規定しておりますが、その施策は、遺憾ながら皆無にひとしいといわざるを得ません。その上政府は、今国会に失業保険法の一部改正として、林業労働者に対する社会保障施策の推進に逆行する法律案を提案し、ますますその地位を危うくしようとしておりますが、まさに施策のさか立ちといわざるを得ません。林政審議会も、白書に対する答申の中で、特に林業労働者の雇用安定につき、今後一そうの力を尽くすべきであると強調しておりますが、この答申にこたえるため、どのような具体策を考えておられるのか、あわせてお答えを願いたいのであります。
 また、林業労働者の労働災害は、依然として高水準にありますが、特に、機械化の導入に伴う白ろう病患者の激増は、けさのテレビでも報じられましたとおり、大きな社会問題になりつつあります。ところが政府は、林業災害統計から白ろう病患者をはずすとともに、国有林においては管理医に圧力をかけて認定を締めつけ、かりに白ろう病と認定されましても、入院治療を困難にするような措置を講ぜられておると聞いておりますが、全く遺憾といわざるを得ません。このような政府の白ろう病対策について、今後どういうふうに考えようとしておるのか、この機会に明らかにしていただきたいと思うわけでございます。
 次に、林業災害対策について、農林大臣にお尋ねをいたします。
 最近、土地の利用開発が国土保全施設を整備しないまま行なわれていることが多いため、集中豪雨等によって局所的、集中的に甚大な被害を生じていることは御承知のとおりであります。昨年の治山治水緊急措置法の改正によりまして、新たに治山五カ年計画を策定されたと聞いておりますが、その内容はどういうものなのか、また、この策定にあたって、建設、農林両省問の調整は十分できているのかを承りたいのであります。
 また、育林、生産を阻害する森林被害、すなわち風水害、雪害、病虫害、火災等につきましては、昭和四十二年度におきまして異常な発生を見ておりますが、これらの災害の増大は、貴重な森林資源を烏有に帰せしめ、森林を荒廃に導き、まことに憂慮にたえないところであります。そこで、私は政府に対し、これら森林被害を防止する熱意の欠けていることを強く指摘するとともに、昨年来検討しているといわれている林業災害補償制度の構想はどのようになっているのか、特に山林火災に対する基本的な対策を明確にしていただきたいのであります。
 以上、林業白書について関係大臣に質問をしてまいりましたが、今回の林業白書の中には、「停滞」という字句や停滞と見られる内容が随所に目につくのであります。すなわち、国内の木材生産の停滞が指摘をされ、その原因となっている切り惜しみを追及してまいりますと、このことは森林所有者の意識の停滞に基因しており、また、資源の不足を論じていけば、造林の停滞が顕著になっているなど、胸を張って林業の伸展を誇示できる内容はほとんど見当たらないのであります。これらはすべて政策の停滞につながるのでありまして、このような白書の指摘する停滞を、できるだけ早い時期に伸展の方向に向けなければならないと信ずるのであります。
 最後に、ぜひ来年の白書には「停滞」の文字が消えてしまうよう、強力な林政の展開を期待して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 森君からは、林業基本法の関連立法がほとんどなされていない、かような御批判をいただいたのであります。しかし、決してさような事実はございません。すでに御承知のように、入り会い林野近代化法、山村振興法の制定をはじめとし、森林法、森林病害虫等防除法等の既存の法律改正を行なってまいりました。また、国有林野の活用に関する法律もたびたび提案しておるのでありますが、いまだに御賛同を得ていないことは、まことに残念であります。政府としては、さらに森林組合制度の改正を主眼とする森林法の改正や、森林国営保険制度の改正等を取り上げ、林業の発展と林業従事者の地位の向上のための施策を推進してまいる考えでございます。これらの点はそれぞれ御承知のとおりでありますから、どうかこの上とも御協力を得て、いま提案し、御審議を願っております法律案は、ぜひ早く通していただきたいと思います。
 次に、御指摘のように、国有林野事業法を制定したらどうかという構想でございますが、この構想があることは事実であります。まだその考え方が十分に熟しておりません。ただいま森君は、この法案は、範囲並びに性格等をこれで明確にするのだ、かように言われますが、農林当局としては、まだそれらの点について考え方が固まっておりません。したがって、これを制定して提案し、皆さまの御審議を得るまでにはなおしばらく時日を要するかと、かように考えます。
 一方、先ほども申しました、すでに提案しておる国有林野の活用に関する法律案、これは農林業の構造改善等に寄与するための国有林野の活用方針を明らかにし、国有林野の活用を一そう適正かつ円滑に実施するためのものでございまして、すでに二年前から提案をいたしております。どうか、まず、この法案を御審議願って成立させていただきたい、この点をお願いいたしまして、私のお答えといたします。(拍手)
    〔国務大臣長谷川四郎君登壇〕
#17
○国務大臣(長谷川四郎君) お答え申し上げます。
 外材輸入の増大、外材生産地における対日丸太輸出の制限、開発輸入の必要性等、外材をめぐる行政事務が重要性をさらに増しておることは事実でありまして、その円滑な推進をはかることが要請されているので、関係行政組織間のより一そうの緊密な連携のもとに、本問題に対処してまいりたいと考えております。
 また、森林所有者の資産保持的傾向に対しましては、その生産活動を活発化するために、現在、森林施業計画制度によりまして施業の合理化、計画化を推進しているほか、林業構造の改善事業による協業を推進するなどの諸施策を総合的に講じてきているところでございまして、今後も、さらに各方面の意見を聞きつつ、これらの施策の充実をはかってまいりたいと考えております。
 次に、市町村・財産区有林については、経営の合理化と森林生産力の増強をはかるために、三十二年度以降、公有林経営計画の編成及び実施について指導援助を行なってきたところでございますが、公有林野の現状にかんがみまして、四十三年度に発足した森林施業計画制度への移行について、積極的な指導援助をはかってまいりたいと考えております。
 なお、公有林に対する指導体制の整備をはかるために、林野庁の窓口を一元化するとともに、その実態調査を急いでいるところであり、その調査結果等も勘案いたしまして、施策の推進をさらにはかってまいるつもりでございます。
 次に、わが国の社会、経済の発展に対応しまして、国有林野事業の果たすべき役割りと、そのあるべき姿について鋭意検討をしているところでございます。しかして、国有林野の活用に関する法律案は、林業基本法第四条の趣旨に即しまして、国有林野の所在する地域における農林業の構造改善、その他産業の振興、または住民の福祉の向上に資するための国有林野の活用についての方針を明らかにいたしておりまして、現在すでに行なっておる国有林野の活用を、さらに適正かつ円滑に実施する観点から立法化を国会に提案しているもので、国有林野事業のあるべき姿等の検討とは、一応次元を異にするものと考えておるのでございます。
 さらに、林業労働力を確保するためには、基本的には、雇用関係、労働条件等を含め、林業を近代的な産業として発展させるとともに、林業労働者の雇用の安定と社会保障の充実をはかる必要がございます。そのために、林政面において林業の構造改善事業、林業労働力対策等、各般の施策を推進しておるところでございます。
 失業保険制度は、林業労働者の福祉の向上、林業労働力の確保にとって重要な制度でございます。今回の改正にあたっては、林業労働者に対して悪い影響を及ぼさないように、特に配慮をいたしたところでございます。
 年次報告に対しまする林政審議会の答申に、林業労働者の雇用の安定について今後一そうの努力をすべきである、このような意見が付されておりまして、林業労働者の雇用の安定をはかるために、現在、林業構造改善事業等各種の施策を講じて生活及び労働環境の整備を行なうとともに、林業労働力対策により、通年雇用の推進、森林組合労務班の結成指導等、就業の改善、雇用の安定化等につとめており、今後もこれらの対策の拡充強化を進めてまいりたいと考えております。
 御指摘のレイノーの現象でございますけれども、国有林においては、レイノー現象の予防対策といたしまして、いままで実施してきた諸対策を集約いたしまして、次のとおり強力に実施することにいたしております。
 一、チェーンソーは、作業条件に合致した、より軽くて振動の少ない機種を導入する。二、チェーンソーを原則的に一カ月交代で使用するようにしていきたい。三、防寒保温のための施設、被服を整備いたしたい。四には、作業動作の訓練をさらに強化していきたい。五に、健康管理の徹底をはかる。
 なお、医師がレイノー現象と診断をし、治療の必要を認めた者は、できるだけすみやかに公務上の災害と認定して治療することにしております。また、民有林においては、林業労働力対策において、その発生防止につとめておるところでございます。
 さらに、民有林における白ろう病患者につきましては、その認定及び事後措置について、労働省と連絡を密にいたしておるところでございます。
 林業労働の災害防止につきましては、労働基準法、労働災害防止団体等に関する法律等に基づきまして労働省が行なっておる施策のほか、林野庁においても、労働災害防止の緊要性にかんがみまして、林業労働力対策の一環として安全衛生施設の助成、技能研修の拡充等を行なうほか、林業労働災害防止協会が実施する災害防止活動に対しまして積極的に指導、協力をし、そうして林業労働の災害防止につとめておるところでございます。
 最後に、中央森林審議会の答申につきましては、自来、各種の検討を行なっているところでありますが、答申は、組織機構、財務会計制度、労務関係のほかに、生産販売等の各種の事業について、広範囲にわたって多くの重要な問題を取り上げており、短期間に結論を得ることは困難でございますので、これらの問題について総合的な検討を行なう一方、個別的な問題については、逐次これに対する結論を得ていくことといたしております。さらに、検討の結果明らかになった具体的改善方策につきましては、実施可能なものから逐次これらは実施をしていく考えで、すでに分権管理等、予算執行についての合理化、販売方法の改善、国有林治山の一部一般会計負担等については、具体的な措置を講じておるととろでございます。(拍手)
    〔国務大臣菅野和太郎君登壇〕
#18
○国務大臣(菅野和太郎君) 経済企画庁長官としての私に対する御質問は、木材価格が上昇しておるが、木材価格をどの程度に押えていくかという御質問であったかと思うのであります。なるほど、この木材価格は、昭和四十一年以降四十三年の春ごろまでは、かなり大きな上昇を示しておりますが、最近は比較的落ちついておるのであります。これは数字的に申し上げれば、たとえば昭和四十四年の一月から三月までというものは、昭和四十年を一〇〇といたしまして一三二、一三三という程度でありまして、大体定着いたしておりますから、この定着しておる木材価格を持続せしめたいと考えております。お話しのとおり、もちろん木材価格の上下というものが国民生活に非常な影響を及ぼしますので、したがいまして、安定した木材価格というものを持続せしめる方針でいきたいと思います。それについては、もし木材価格が急激に騰貴する場合には、外材の輸入の適正、円滑化、あるいは国内生産の増強等をはかって安定したいと考えておる次第であります。
 次に、大蔵大臣としての私に対する御質問は、この国内林業生産の現状から見て、林業関係の予算をもっと増額したらどうかという御質問であったと思うのであります。昭和四十四年度一般会計の林業関係の予算の総額は五百六十四億円でありまして、四十三年度の当初予算に比較いたしますと一四・九%の増加となっておるのであります。このうち、災害復旧関係費という特別なものを除いて比較いたしますと、一五・五%の増加を示しております。また、その内容から見ますると、林業生産の基盤である、先ほどもお話がありました林道の拡充整備に特に重点的配慮を払うとともに、造林事業及び林業構造改善事業等を推進するほか、最近の災害の実態にかんがみまして、治山事業の拡充強化をはかっておるのであります。また四十四年度は、新たに里山を中心とする低位利用の広葉樹林地帯における森林資源の合理的利用等を推進するための、里山再開発パイロット事業を実施することとするなど、森林資源の維持増大、林業生産の増大とその合理化、近代化等、各般の施策の拡充強化につとめておるのであります。したがいまして、四十四年度予算においては、財政上の諸制約にもかかわらず、林業生産の発展強化を促進するため適切な配慮を行ない、財源を重点的に配分した次第であります。(拍手)
    〔国務大臣斎藤昇君登壇〕
#19
○国務大臣(斎藤昇君) 山村農家の社会保障の点につきましては、かねて、たびたび御答弁申し上げております僻地対策あるいは過疎対策としてやっております厚生行政を、今後ともさらに一そう推進してまいりたいと存じます。
 なお、林業労務者の医療保険また年金制度等をいわゆる被用者グループとして措置をするか、現在のように地域グループとして措置をするかということにつきましては、その就業の状態、また雇用条件等、御承知のようにまことにむずかしい点がございますが、できるだけ被用者として有利なような方向に解決をいたすべく、あるいは医療保険の抜本改正におきまして、また国民年金制度等を利用いたしまして、農民年金等とも考え合わせて善処をしてまいりたい、かように考えます。(拍手)
    〔国務大臣原健三郎君登壇〕
#20
○国務大臣(原健三郎君) 森さんにお答え申し上げます。もうすでに農林大臣等から説明がございましたので、重複を避けて、簡単にお答え申し上げたいと思います。
 第一の質問は、労働力確保対策でございますが、これは林業だけでなく、産業一般に労働力の不足を来たしておるのでございまして、労働条件の改善、労働福祉対策の充実等のほか、産業自身の体質改善等の具体策を講じて、職場を魅力あるものにいたしたいと考えておる次第であります。
 それから、農林労働力の確保につきましては、ただいま農林大臣の御答弁もありましたとおりでございまして、農林省の林業労働力対策と相呼応して、労働省といたしましても、全面的に協力をいたしたいと思っております。
 それから、失業保険法の改悪はますます林業労働力確保を困難にするというお説でございましたが、今回の失業保険法の改正は、かねてからの懸案でございまして、五人未満の事業所への適用拡大、各種の給付内容の改善、保険料率の引き下げによる労使の負担の軽減等をはかっております。また、被保険者期間の計算方法についても改正をいたしておるのでございまして、これによって林業労働力の確保が困難になるというような事実はございませんので、これは改善でございます。
 次に、社会保障制度の一環として、失業保険、労災保険の適用をはじめ、給付内容について不十分であるが、いかがであるかという質問でございますが、御承知のごとく、林業は、その事業自体に季節性がございまして、雇用関係及び賃金支払い関係が必ずしも明確ではございません。それで現在は、失業保険制度が当然適用されることにはなっておらないのでございます。それで、林業の近代化、通年雇用化により失業保険の適用の基盤ができたものについては、その実態に即して任意加入制度の活用によって、実質的に適用の拡大をはかっていきたい、こういう趣旨でございます。
 また次に、労災保険は、林業労働者については、原則としてこのほうは強制適用となっております。保険給付についても、他の産業の労働者に対するものと全く同じ内容のものでございます。また、労災保険の給付改善については、現在、労災保険審議会において御検討願っておるところでございます。御承知のごとく、最近の相次ぐ労働災害の発生状況にかんがみまして、また御意見もございましたので、この審議会の答申を待ちまして、適切に善処いたしたいという考えでございます。
 その他、林業災害防止策については、農林大臣の答弁のとおりでございます。
 白ろう病の現状とその対策いかんということでございますが、これも農林大臣の説明のとおりでございます。
 この白ろう病に対する補償でございますが、この振動障害につきましては、現在、業務上疾病として取り扱っておるところでございます。なお、この認定につきましては、専門医の意見を参酌して、適正に認定を下したいと思っております。(拍手)
#21
○副議長(小平久雄君) これにて質疑は終了いたしました。
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#22
○副議長(小平久雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        厚 生 大 臣 齋藤  昇君
        農 林 大 臣 長谷川四郎君
        労 働 大 臣 原 健三郎君
        国 務 大 臣 菅野和太郎君
ソース: 国立国会図書館
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