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#1
第061回国会 本会議 第27号
昭和四十四年四月十七日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程第二十号
  昭和四十四年四月十七日
   午後二時開議
 第一 厚生省設置法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 第二 公衆電気通信法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 第三 農業振興地域の整備に関する法律案(第
  五十八回国会、内閣提出)
    …………………………………
  一 国務大臣の演説(地方財政法第三十条の
   二の規定に基づく地方財政の状況報告につ
   いて)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 厚生省設置法等の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
 日程第二 公衆電気通信法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
 日程第三 農業振興地域の整備に関する法律案
  (第五十八回国会、内閣提出)
 岡山大学における故有本宏警部補殉職等、公務
  執行中の警察官に対する暴力妨害事犯等に関
  する緊急質問(田村良平君提出)
 米偵察機撃墜事件に関する緊急質問(戸叶里子
  君提出)
 野田自治大臣の地方財政法第三十条の二の規定
 に基づく地方財政の状況報告についての演説
 及び質疑
   午後二時十九分開議
#2
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 厚生省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#3
○議長(石井光次郎君) 日程第一、厚生省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
#4
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員会理事佐藤文生君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔佐藤文生君登壇〕
#5
○佐藤文生君 ただいま議題となりました厚生省設置法等の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案の要旨は、
 第一に、本省の附属機関として児童手当審議会を設置すること。
 第二に、医師、歯科医師等の試験の実施に関する事務を新たに設ける試験委員に行なわせることとし、現にこれらの事務を取り扱っている審議会の整理等を行ない、あわせて精神薄弱者福祉審議会を廃止し、その事項を児童福祉審議会に調査審議させること。
 第三に、児童家庭局の所掌事務として、福祉に欠ける寡婦の福祉をはかることを加え、船員保険の年金部門の裁定に関する事務を年金保険部の業務とすること等であります。
 本案は、二月十三日本委員会に付託、二月十八日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、四月十五日、質疑を終了、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 公衆電気通信法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#8
○議長(石井光次郎君) 日程第二、公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#9
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。逓信委員長井原岸高君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔井原岸高君登壇〕
#10
○井原岸高君 ただいま議題となりました内閣提出の公衆電気通信法の一部を改正する法律案に関し、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、法律案の内容を御説明いたします。
 本案は、電話利用者の料金負担の適正化をはかるため、電話の基本料及び近距離の通話料を改定するとともに、集団電話を法定するなどの改正を行なおうとするものであります。
 まず、基本料につきましては、現在、料金の区分が十四段階に分かれているのを五段階に統合するとともに、料金の水準を引き上げ、大局、小局間の料金格差を縮小することにいたしております。
 また、近距離通話料につきましては、準市内通話料を安くするほか、新たに低料金の近郊通話を設けるなどの引き下げを行なうことといたしております。
 次に、集団電話につきましては、現在、試行的に実施されている農村集団自動電話及び集合自動電話を新たに集団電話として法定し、その提供条件等を定めることとしております。
 このほか、本案には、公衆電話の市内通話を三分で打ち切ることなどの改正が含まれております。
 なお、この法律は、昭和四十四年十月一日から施行することとなっております。
 逓信委員会におきましては、二月十九日本案の付託を受け、自来、数回の会議を通じて政府並びに日本電信電話公社当局に対し質疑を重ねてまいりましたが、四月十六日、質疑を終了、直ちに採決の結果、賛成多数をもってこれを可決すべきものと議決いたした次第であります。
 なお、採決の後、委員会は、政府並びに公社当局に対する二項の要望を内容とする附帯決議を付することを全会一致で可決いたしました。
 以上をもって御報告を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#12
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第三 農業振興地域の整備に関する法律案(内閣提出)
#13
○議長(石井光次郎君) 日程第三、農業振興地域の整備に関する法律案を議題といたします。
#14
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事安倍晋太郎君。
     ――――◇―――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
     ――――◇―――――
  〔安倍晋太郎君登壇〕
#15
○安倍晋太郎君 ただいま議題となりました内閣提出、農業振興地域の整備に関する法律案について、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 近年における国民経済の高度成長のもとで、地域の社会経済情勢は著しい変貌を遂げ、特に、都市地域への人口集中と工業開発及び交通網の整備の進展に伴って、農地の無秩序な壊廃、土地利用度の低下、農業経営の粗放化など、憂慮すべき問題が都市周辺から農村地域まで波及していく傾向があらわれてまいりました。
 本案は、このような情勢に対処し、将来にわたって農業地域として保全し、形成すべき地域については、これを農業振興地域に指定し、これらの地域に対して、農政各般にわたる施策を総合的に集中実施することにより、地域の条件に応じた土地の農業上の有効利用と生産性の高い農業経営の育成をはかろうとするものであります。
 本案は、第五十八回国会に提出され、今国会まで引き続き継続審査となってきたものであります。
 農林水産委員会におきましては、慎重審議の末、四月二日、質疑を終了、四月十六日採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、本制度の運用にあたっては、全国的視野から、その指針となるべき農業生産の地域分担のあり方を明らかにすることなど、四項目にわたる附帯決議が全会一致をもって付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#17
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 岡山大学における故有本宏警部補殉職等、公務執行中の警察官に対する暴力妨害事犯等に関する緊急質問(田村良平君提出)
#18
○西岡武夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、田村良平君提出、岡山大学における故有本宏警部補殉職等、公務執行中の警察官に対する暴力妨害事犯等に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
#19
○議長(石井光次郎君) 西岡武夫君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 田村良平君提出、岡山大学における故有本宏警部補殉職等、公務執行中の警察官に対する暴力妨害事犯等に関する緊急質問を許可いたします。田村良平君。
  〔田村良平君登壇〕
#21
○田村良平君 ただいま議題となりました案件につきまして、緊急質問をいたします。
 警察官が殺された。しかも、公務執行中に学生が警察官を殺した。何というおそるべき事件でありましょう。また、何という悲惨な事件でありましょう。
 私は、自由民主党を代表いたしまして、去る四月十二日、岡山大学構内における捜索検証令状の執行にあたり、過激派学生の無謀なる投石のため、有本巡査の殉職というまことに不幸な、痛ましい事件の発生に関連し、総理並びに関係大臣に対し、教育の本質と治安について、その所信と対策をたださんとするものであります。(拍手)
 なお、私は、これに先立ちまして、このたびの過激派学生の投石によりとうとい生命を奪われました有本警部補のみたまに対し、つつしんで哀悼の意を表するとともに、御遺族に対しまして深甚なる弔意とお見舞いを申し上げる次第でございます。(拍手)
 さて、大学紛争をめぐり警察官が殺されました事件は、昨年九月四日、神田日大におきまする強制執行の際、警視庁第五機動隊の西条警部が同じく投石により死亡いたしております。有本警部補で二人目の警察官の犠牲者を出したのであります。学園の紛争、この暴力は、もはや断じて許すべきではありません。(拍手)
 言うまでもなく、教育は真善美、世界全人類の福祉に貢献すべき真理を探求し、幅広い科学の研究に精励するものであるにもかかわらず、しかも、その最高の学府たる大学の現状は、はたしていかがでありましょうや。東大においては、四億を上回る破壊がなされたというのに、一体だれがどのような責任をとられましたか。このたびは、岡山大学において公務執行中の有本宏巡査が殺されたのであります。いまや大学は、角材と敷石、破壊と殺人、組織された暴力集団の革命演習場となり果てたのであります。(拍手)このことは、もはや警察以前、治安以前の問題ともいうべきでありましょう。すなわち、かかる事態については、まずもってその大学当局自身が、大学教育それ自体の正常化についての責任ある処置が具体的になさるべきであります。学長がつるし上げられ、教授が監禁され、教室が占拠され、入学試験ができない、卒業式ができない、ヘルメットにほおかぶり、まさか、これが大学の制服ではありますまい。土木工事の作業員でもないのに、一体何で大学生の勉強に角材やヘルメットが必要でありましょう。(拍手)このときすでに、事実は集団暴力破壊活動が計画されているのではありませんでしょうか。もはや、これでは学校ではございません。大学に通う今日のわが子を見るとき、来年には大学に進まんとするきょうだいを思うとき、国民に対して、はたしてかかる暴力大学が許さるべきものでありましょうか。もはや大学ではありません。総理並びに文部大臣の御見解をまずもって承りたいものであります。
 次いで、特に国家公安委員長並びに文部大臣に次の点をお尋ねいたしたいと思います。
 今回の岡山大学の事件は、昨年九月十七日、大学構内の公道でデモの整理中の警察官を殴打した学生二名が逮捕されたのが紛争の始まりといわれております。いわゆる学園の自治、学問の自由とはおよそ無関係なところに端を発しておるのであります。その後、岡山大学学長の告発に基づいて行なわれました捜索検証令状の執行に対して学生が投石し、有本巡査が殺されたのであります。四十二年の十月からことしのただいま現在まで、一万をこす警察官がこれら学園紛争のために負傷いたしております。なおまた、四百人近い入院警察官をかかえておる状態であります。
 このたびの事件について、警察当局は、これら過激派学生の今後の警備について、一体どのような方針をもって臨まれんとするのか、国家公安委員長の所見を問うものであります。
 一般通行人が道路の敷石をたたき割って警察官目がけて投げつけたら、一体どういうことになりましょうか。いな、その敷石をはがしたそれ自体のみでも、すでに許されないことであります。それが学生なら許される、集団暴力であるがゆえに放置されるならば、一体法治国家の権威、はたしていずこにありましょうや。(拍手)今回有本巡査に石を投げ、有本巡査を殺した学生は、ただいまもなお学生証を所持し、しかも、大学当局からは何の処分も受けることなく、依然として大学生としてまかり通っておるのであります。これで学園の真の自治、また、学問の自由が一体保たれるでありましょうか。一日もすみやかに厳正な処置がなさるべきであると考えますが、具体的にその御所見を承りたいのであります。
 国民の血税による大切な教育の殿堂、国立大学が暴力団に占拠され、新入進学者は受験すら不可能な今日の荒れ果てた大学の姿、文部大臣、大臣が何人就任いたしましょうとも、一体日本の教育ははたしていずこに向かうのでありましょうか。
 民族の繁栄と国家の興亡の岐路は、実に教育にあるのでございます。小学校からの道徳教育こそ、勇断もってわが国教育の基本としなくてはなりません。(拍手)かのソ連においても、中国においても、小学生、中学生の義務教育の基本対策は、実は日本のかつて歩いてまいりました倫理教育の精神と全く同じものでございます。(拍手)大学が政権闘争、思想闘争、さらには七〇年安保闘争のとりでと化すことは、まことに憂慮にたえません。一日も早く正常な学園に返り、真に学問の自由と権威ある教育の殿堂として、国民から信頼と尊敬に足る最高学府としての面目を一新されんことをこいねがいつつ、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) まず、有本警部補の殉職に対して心から哀悼の意を表し、つつしんで弔意とお見舞いを申し上げるものであります。
 さて、ただいま田村君から御指摘がありましたように、有本警部補の殉職事件は、もはや学園の自治の限界をはるかに越えたものであり、まことに憂慮すべき事態であります。同時に、学生運動自体が学生運動の範囲を越えて、誤った方向に走りつつあることを示すものであります。今日、学生運動は世界先進国の共通の悩みといわれますが、特に、わが国の場合、あらゆる既成秩序を否定する破壊主義、暴力主義が横行し、単なる教育問題にとどまらず、大きな社会問題、政治問題となっているのであります。私は、戦争経験を経た世代と、戦後に育った若い時代との間には、いわゆる意識的または感覚的な断絶があるという事実はよく認識しております。しかしながら、日本民族が長い歴史ときびしい試練の末つかみ取った民主主義体制こそは、あらゆる年代の差を乗り越えて、国民全部で守り抜かねばならないものであると確信いたしております。(拍手)
 いまさら申し上げるまでもなく、民主主義は一見回りくどく見えますが、いかなる他の急進的手段を用いても、民主主義社会にまさる理想社会を達成することの不可能なことは、歴史の示すとおりであります。(拍手)若い青年や学生諸君は、自己の人生を探求すると同じ熱意を持って取り組んでもらいたい点であります。
 以上の観点から、政府は、社会の秩序維持と市民社会を暴力から守るために、万全の措置をとる決意であります。全国の教師、学生諸君は、目前の事象に惑わされたり、おぼれたりすることなく、国民的要請にこたえていただくよう熱望してやみません。
 特に、最近の大学紛争の経過を見まするに、長期間にわたりバリケードで封鎖をしたり、暴力事犯が発生したりしているにもかかわらず、御指摘のように、学生の処分はおろか、警察への被害申告すらされておらないという学校当局の消極的態度は、暴力の横行を助長し、その手段も次第に過激なものになってきているものと考えます。したがって、これらの学生の暴力行為については、まず大学当局が、暴力は絶対に否定されなければならないことを再確認し、勇断をもって学園から暴力を排除するための具体的措置を積極的に講ずることが何より必要であると考えます。このような態度で臨んでも、なお大学構内で暴力行為等の法律違反の行為があり、大学当局として措置できない場合には、警察当局の手で厳正な取り締まりを行なうよう措置されることが必要であると考えます。
 しかし、何より大切なことは、社会の各界各層において、き然たる態度で暴力否定の機運を盛り上げ、関係者それぞれの立場で暴力排除のための具体的な措置が的確にとられることであり、これによって、初めてこの種事件の続発が予防できるものと思います。
 今回の有本警部補の殉職事件に開運して、第一線の警察官は、暴力を取り締まる職責の重大さについて自覚を新たにして、士気は十分高揚していると聞いております。また、各方面の方々から、有本警部補の殉職に対し、心からなる丁重な弔意が寄せられ、警察に対して多大の激励が寄せられていると聞いております。むしろ、この事件を契機に、社会の各層において暴力排除の機運が大きく盛り上がることを期待し、かつ、心から切望する次第であります。
 以上をもちまして、私のお答えといたします。(拍手)
  〔国務大臣坂田道太君登壇〕
#23
○国務大臣(坂田道太君) まず、岡山大学におきまして、学生の暴力によりとうとい人命を失うという、まことに不幸な事態を惹起いたしましたことに対し、文部大臣として責任を痛感するとともに、故有本警部補並びに御遺族に対して、心からおわびとお悔やみを申し上げる次第でございます。
 このような事態に至りました背景には種々複雑な問題があると思いますが、私は、今日、大学の自治のあり方を誤解し、あたかも大学が治外法権の場であるかのごとき錯覚を持って、みずからの主義、主張を暴力を用いてでも貫徹しようとする行動を一部の学生がとったにもかかわりませず、大学当局が有効適切な措置を講じ得なかった責任は、軽くないと思うのでございます。ことに、岡山大学では、本年の入学試験実施の際に、警官に守られた入学試験には協力できないなど声明を出しまして、そうして不協力な態度を示すなど、国民のわれわれの常識から考えますると、まことにいかがかと思われるような行為をしておるという、こういうような教官のものの考え方あるいは意識というものが、影響がないとは私は申されないと思うのであります。
 今日、大学当局や教授が申します、いわゆる大学における学問の自由、あるいは大学の自治というものは、いまや一部学生の暴力によって失われておるのであります。大学に暴力が横行いたしまする限り、良識と理性の府たる大学は、もはや存立できないと私は思うのであります。今日、私は、大学当局及び全教官が、あげてき然たる態度をもって学内から暴力を排除する決意をすべきときであると信ずる次第でございます。文部省といたしましても、紛争解決のため、大学の措置を支援することにつとめてきたところでございます。去る七日には全国の学長会議を開きまして、強い指導と助言を与えたわけでございまするが、十分な実効があがっていない点については責任を痛感しており、今後大学の正常化に一そう努力を続けてまいりたいと考えております。
 大学におきまする学生の地位について、最近各方面において種々論ぜられておりますが、少なくとも、学生は本来教育を受ける立場にあることは明らかでございます。大学が教育を行なうに際し、必要があるときは、教育の手段として懲戒処分を行なうべきことは当然でございます。特に、大学の内外を問わず、社会的な秩序を乱す学生に対しては、大学は、その社会的責任からも、当然その学生としての責任を追及して、必要な懲戒処分を行なうべきであると私は考えるのであります。従来、ややもいたしますると、大学が学生の暴力をおそれるあまり、その処分をちゅうちょし、あるいは適正を欠き、そのことが学内における暴力行為をさらに過激化させる一因ともなっていることにかんがみまして、今後、大学が真に教育的な観点に立って、必要な処分を厳正かつ的確に行なうよう、各大学に対し指導してまいりたいと思います。
 岡山大学につきましては、このたび警官が死亡される事態が発生しましたことは、さきに申しましたとおり、まことに遺憾なことでございます。それぞれの信ずる主義主張は異なるとも、暴力によってこれを遂行し、あるいは妨害することは絶対に許さるべきことではなく、また人権、人命の尊重が重視さるべきことは言うまでもございません。大学当局としては、暴力否認のき然たる姿勢をいささかもくずすことのないよう、私としては強く指導、助言をいたしてまいりたいと思っております。十三日には、直ちに学生課長を派遣いたしまして弔意を表しますと同時に、学長を、病院ではございましたけれどもその室にたずね、教授会あるいは評議会等を開きまして、今後の警察との御協力及び捜査当局に対する協力をお願いいたした次第でございます。
 今後われわれは、岡山大学だけではなくて、全国立大学等に対しましても同様な指導、助言をいたしてまいりたいと思う次第であります。(拍手)
  〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
#24
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。
 私も、有本警部補の殉職につきまして、優秀な警察官をゆえなく失いましたことを衷心遺憾に存ずるものであります。これに関しまして、全国的に各界からお寄せいただきました御同情に対し、治安当局を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げる次第であります。(拍手)
 すでに総理大臣及び文部大臣からお答えを申し上げておりますので、簡単に私の関係します範囲内においてお答えを申し上げたいと思います。簡単にお答えすればいいようなものの、事の原因を申し上げることも必要かと存じますので、お許しをいただきたいと思います。
 岡山大学においては、昨年九月十七日より過激派学生によるバリケード封鎖が行なわれておりまして、その後、これらの学生の暴行は次第にエスカレートしていたのであります。そのため、卒業式も中止のやむなきに至ったばかりでなく、本年二月十五日には学生課長が、また、三月二十五日には教養部長事務取扱が、暴力学生によって暴行を受けるという事案まで発生したのであります。したがって、大学当局も、ようやく三月三十一日に至り、これら教職員に対する暴力事案についての告発を赤木学長名で行ない、岡山県警察では、この告発に基づきまして逮捕状、捜査差し押え令状、検証令状を発付してもらいまして、去る四月十二日学内の強制捜査を実施したのでございます。御存じのとおり、有本警部補の殉職事案は、この強制捜査を妨害しようとした暴力学生の投石によって引き起こされたものでございます。
 このような事態となりました原因につきましては、いろいろな問題が提起できるとは思いますけれども、特に重要な原因としてこの際指摘さるべきことは、大学の自治や学問の自由とはおよそ何のかかわりもない、しかも、そのために有害であるところの過激派学生の暴力を長期間放任してきた、岡山大学のみならず、全国数多くの大学当局の姿勢であると考えるものであります。(拍手)すなわち、国立、公立の大学について申し上げれば、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」という刑事訴訟法第二百三十九条が公務員に課している告発の義務をすら履行せず、国民からその管理を負託された大学施設が暴力学生によって不当不法に占拠されても、それを排除して国民に対する責任を果たそうともせず、さらにまた、警察官等に当たれば死に至るであろうという殺人的な投石その他の暴力行為をあえてした学生の処分すらもこれをやらないで、これらの暴力学生を放任してきたのでございます。このような大学当局の姿勢が、過激派学生の暴力行為をエスカレートさせた最も重要な原因と私は考えるのであります。(拍手)
 したがいまして、この種の事件の予防ないし対策としましては、申し上げればいろいろございますことを承知いたしますが、最も必要なことは、先ほど文部大臣からも指摘されましたとおり、総理からも指摘されましたとおり、全国の各大学当局が大学管理者としてなすべきこと、つまり、犯罪の告発、学内における不法占拠等に対する退去命令などの措置、警察活動に対する協力、暴力学生に対する処分等の諸措置を的確に行なうことによって、暴力排除についてのき然たる態度を示すことが、まずもって必要であると存ずるのであります。(拍手)
 さらにまた、国民の皆さま方が、民主主義の議会政治の敵であるといわれる暴力をはじめとする不法行為、無法許さじとする信念をあらためて確立されるよう、世論の形成のためにすべての国民が努力していただく。私どもももちろんでありますけれども、そのことが、またあわせて期待される課題だと存ずるのであります。(拍手)
 なお、申すまでもなく、毎度申し上げておりますが、警察は、およそ最高学府とは本来無縁のものであります。不幸にして、以上申し上げるような暴力をはじめとする不法行為が学生によって行なわれ、しかも、教職員がこれを放任し、中には、これとぐるになっておる人もあるとうわさされるのでありまして、法の命ずるところに従い、法の範囲内において、平和な国民の生活を保障するために責任を与えられ、権限を与えられている警察当局が、学内であろうと学外でありましょうとも、本来の法治国における民主警察の責任を果たしつつ、国民の御期待に、また大学全体の正しい立場からの御期待にこたえる全努力をすることは、当然のことと心得ておることを申し添えさせていただきます。(拍手)
     ――――◇―――――
 米偵察機撃墜事件に関する緊急質問(戸叶里子君提出)
#25
○西岡武夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、戸叶里子君提出、米偵察機撃墜事件に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
#26
○議長(石井光次郎君) 西岡武夫君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 戸叶里子君提出、米偵察機撃墜事件に関する緊急質問を許可いたします。戸叶里子君。
  〔戸叶里子君登壇〕
#28
○戸叶里子君 私は、日本社会党を代表して、米偵察機撃墜事件に関する件について、佐藤総理大臣に緊急質問を試みんとするものであります。(拍手)
 最近、アメリカは、長期に続いているベトナム戦でどろ沼に入り、青年は目的のわからないベトナム戦で厭戦気分が高まり、一方、経済的には軍事費がかさみ、経済情勢もきびしいのが、今日のアメリカの実情であります。このときに、今回の偵察機の撃墜事件は、アメリカのタカ派にとって、行き詰まった政策転換の糸口ともなり、むしろ引き締めの役をすると考えられる向きもあるのであります。しかし、わが国にとっては、この事件は非常に深刻な、重大な問題点を含んでいることは御承知のとおりであります。(拍手)
 このような情勢のときに、アメリカと安保条約を結んでいる日本が、どうして極東及び日本の安全と平和に寄与することができるのかと不審に思うのは、私のみではありません。むしろ、日本の立場から言うならば、極東の平和と安全という名のもとに、安保体制の強化とアジアにおける軍事的、経済的責任を負わされる方向に持っていかれるのではないかと憂うるのであります。総理の御所信をまず承りたいと思います。(拍手)
 今回の事件について質問をするに先立ち、昨年一月、朝鮮に起きたプエブロ事件について思いを新たにしていただきたいのであります。プエブロ事件が起きた当時、政府は、もしプエブロが公海にあったとするならば遺憾であると言われましたが、もし北朝鮮の領海を侵犯していたならどうなるかということには答えていないのであります。との片寄った発言は、アメリカ追従の態度のあらわれであります。プエブロの艦長は、北朝鮮において捕虜になり、釈放されるときまでは領海を侵犯したと答え、アメリカに帰さしてもらうや直ちに、おどかされたので領海侵犯の誓約書を書かされたと言ったのであります。昨日はまた外務委員会においても、外務大臣は、プエブロ事件については、この艦長が言ったとおりを繰り返すのみで、時日がたっているからには日本としてもはっきりしたことを国民に知らせるべきであるにもかかわらず、捕虜になった人のことばをもって日本政府の答弁とするようでは、不見識のそしりを免れないのであります。(拍手)
 さらに、今回のような領海、領空侵犯の問題は、あいまいなうちに水かけ論に終わってしまうことは、プエブロ事件で政府のとった態度を見ても、いま述べたとおり明らかであります。きのうの外務委員会で愛知外務大臣が、この偵察についても、単なる日常活動の一環であると述べたように、在日米軍は日本政府の知らない間に違法行為を繰り返しているかもわかりません。この疑惑と不安が私どもの間にもますます深まったことは、まことに遺憾であります。(拍手)こうした国際的不信行為が今回の事件を起こす一つの原因となったといっても過言でありません。なぜならば、まことに残念なことですが、不信行為というものは民族の心の底まで憤りとなって浸透し、いつの日かその芽を出そうとするからであります。
 また最近、アメリカは、米国と韓国との間にフォーカス・レチナ作戦と呼ばれる合同演習を行なったのであります。これは当面の目的とした演習を行なったわけでありますが、このことも、北朝鮮にとっては敵性行為でありました。そして、これが北朝鮮の不信感と危機感を招いたことは当然であります。この二つのことが、これまであったもろもろの事件に加えて、北朝鮮が不快なこととして印象づけられていたことは、いなめない事実であります。
 今日、アメリカと北朝鮮の間は犬猿の間柄であります。両国の間の緊張が高まっているときに、アメリカの軍用機が偵察の目的で北朝鮮の領空を侵犯したとするならば、北朝鮮にとっていかなる行動が国際法上許されるかということを、はっきりさせておかなければなりません。
 まず、侵犯した軍用機は、撃墜される、拿捕する、自国内に着陸を命ずる、領空外退去を命ずる等々であります。よもや総理は、偵察機は戦闘作戦目的の航空機でないから、これを直ちに撃墜することは違法である、あるいは過剰防衛であるとはおっしゃらないと思いますが、いかがでございましょうか。(拍手)
 神奈川県の厚木からこの偵察機が遁走を企てて、また厚木の基地に逃げ帰ったとした場合に、北朝鮮がこれを追跡して厚木の基地に来たとするならば、このときは、わが国の施政のもとにある領域に対する武力攻撃となり、日米共同防衛の体制をとらなくてはなりません。これは安保条約の五条によって明らかであります。この場合、自衛権の行使の態様は、日本は、日本に対する攻撃とみなしてこれを排除するために個別的自衛権を行使し、アメリカは、重大な危険ありとして集団自衛権の行動をとるのであります。まさに、これは戦争状態になるではありませんか。それだからこそ、厚木基地の住民はU2機に次ぐ事件に表情もかたく、不安におののき、大和市の市長も、住民を不安にさせるような挑発行為をする基地であってはならないと、当然のことを言いながらも、危機感はおおい隠せないのであります。
 また一方、昨日アメリカ側は、外務省に通告、協力要請をしたそうでございますが、外務省へ行く二時間前に、自衛隊に行って協力要請をされたということが伝えられております。これでは、まるで外交に自衛隊が優先するということになりまして、ますます基地の不安が高まるのみではないでございましょうか。(拍手)政府は、この基地周辺の人たちの不安を取り除いてやる自信、または具体的な方法があるかどうかを伺いたいのであります。
 いかに総理が否定されても、現実に基地がある間は、この不安を取り除くことができないではありませんか。政府のいわれる、日本及び極東の平和と安全のために基地が必要であるということは、皮肉にも、今回その逆の証明をしているのであります。(拍手)それでもなお、日米安保条約がわが国の平和を守り、安全に寄与するということが、どうしてできるのでありましょうか。具体的に御説明をお願いしたいのであります。(拍手)
 今回の事件のために極東に緊張が発生したとするならば、それはアメリカ軍の行動に由来するものであります。したがって、政府はアメリカに対してどのような態度をもって臨み、いかに対処しようとするか、伺いたいのであります。
 きょうの新聞等では、愛知外相がオズボーン駐日米臨時代理大使と面会され、米側から、今回の事件は確実なニュースソースから領空侵犯でないと伝えられ、その確実なニュースソースについては明らかにされておりません。このことをもって、一方的にアメリカの言うことが正しいと判断することは早計と思いますが、よもや、そんなことはないかどうかを伺っておきたいと思います。(拍手)
 聞くところによりますと、アメリカの国内においてもいろいろの意見があるようであります。さきのプエブロ事件で、民主党政権のとった態度は弱腰であると非難したニクソン氏が今日政権担当者であるだけに、その行動は世界の注目するところであります。もしアメリカが強硬意見に動かされて、自分の非をも省みず、北朝鮮に対応措置でも講ずるとするならば、北朝鮮も黙っていないでありましょう。現に平壌放送は、十五日に、もしも対応するならば反撃されることを記憶しなければならないと報道いたしております。報復に報復を繰り返すならば、日本も当然その中に巻き込まれざるを得ないのであって、何の関係もないにもかかわらず、アメリカの基地があることによって、必然的にその渦中に巻き込まれるということになるのであります。この点、総理みずからが、アメリカの対応行動は自制すべきが当然の旨、何らかの形でアメリカの責任者にその意を伝え、その実を結ぶことこそ、目下の急務の外交といえるのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。(拍手)
 今回の偵察行動は、直接戦闘作戦行動でないから、安保条約六条の事前協議の対象になり得ないと政府は述べております。今回のように、相手国の領空侵犯のおそれありとして紛争にもなりかねないような偵察機であるから、当然事前協議の対象にすべきであると私は思います。また、軍事的、技術的にも情勢が変わり、偵察のあり方も変わってきつつある今日、十年前の慣行をお念仏のように唱えているのでは賢明でないではありませんか。むしろ最近の政府は、事前協議も名のみで実なしの方向に解釈をし、国民に押しつけている今日、私どもは政府の立場に立って考えてみても、事前協議が危険と不安から平和を守る内容のものに変える検討をすべきであると思うのであります。もし今回の事件のような場合、事前協議の対象にならないとするならば、今後において日本の平和と安全は絶対に守れないでありましょう。それでもなお、偵察はいかなるときも、今後も事前協議の対象にしないと言われますかどうかをお伺いしたいのであります。(拍手)
 新聞報道によりますと、立川、佐世保、横須賀等の基地は待機の体制で、非常体制にあるということであります。そこで、もしここから航空機、軍艦が日本海に向かって進発する場合、事前協議の対象になるかどうかということが問題になるわけでありますが、おそらく政府は、その目的が戦闘作戦行動の場合には該当しますとおっしゃるでありましょう。しかも、事前協議の提案権はアメリカ側にあるのですから、緊急出動の場合には、日本との事前協議に入る時間的余裕もない場合も生ずるわけで、これまた事前協議の空文的内容をまざまざ見せつけられているのであります。しかし、この段階において、せめて政府のやり得ることは、四条の随時協議の権利でアメリカに協議の提案をすべきではありませんか。それとも政府は、それもしないで傍観しているのでしょうか。総理のはっきりした答弁を伺いたいのであります。(拍手)
 今回の事件は、朝鮮情勢の緊迫化を招く結果になりつつある今日、沖繩返還、その基地の態様等についても悪影響を及ぼしはしないかと、私は非常に憂うるものであります。政府はこの際、いかなることがあっても早期返還の線はくずさず、また、基地の自由使用などの方向は決してとらないとのかたい信念をもって臨まれることをはっきりさせていただきたいのであります。(拍手)
 以上述べたように、私どもは、今回の事件によって、日本に基地があるために私どもが戦争に巻き込まれる危険にさらされていることを、事前協議の空文であることとともに感じたのであります。そして、このことは、沖繩の方々が私ども以上の危険と不安な状態のもとに長い聞苦しんでこられたことも、これまで以上に深く感じ、無条件即時返還のためにがんばっていられる沖繩県民の立場を強く支持しなければならないことを痛感したのであります。(拍手)
 子を持つ母親が今日最も望んでいることは、暮らしと平和が守られるということであります。戦争の苦い経験を持つ者は、日本の平和のためにからだを張って守り抜くでしょう。そして婦人は、その先頭に立つことを決意しております。しかし、その平和を妨げる条件を取り除く役割りをするものは政治家であります。安保条約が日本の平和に役立たず、むしろ戦争に巻き込まれる不安の多いことを事実によって示された今日、政府もまた、在来の基地に対する考え方を反省すべき時期に来たことを銘記せられんことを願いつつ、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) ただいまの戸叶君のお尋ねにお答えをいたします。意見をまじえてのお尋ねでありますので、それらの点についても批判を加えることもありますが、その点も御了承おき願いたい。
 まず、プエブロ号事件あるいは最近行なわれたフォーカス・レチナ作戦等に関連いたしまして、北朝鮮に不安を与えた、そのことが対米不信感を与えておるのではないのか、こういう事柄が今度の事件と関係があるのじゃないか、こういうお尋ねであります。
 これは、私は、さようには思いません。ただいま北朝鮮がとっております政策、これは私が申し上げなくとも、社会党の諸君はよく御承知のことだろうと思います。その祖国統一政策に基づきまして、ただいま対韓工作を積極化し、とれが原因となって三十八度線付近の紛争が頻発するなど、朝鮮半島は緊張した情勢が続いております。プエブロ号事件と前後して起こった韓国大統領官邸襲撃事件あるいは韓国東海岸における武装ゲリラ上陸事件等に見られるとおりであります。これを背景にして米韓大空輸作戦も行なわれたものと私は理解しております。したがって、今回の米軍偵察機撃墜事件は、このような朝鮮半島の緊張を背景にして起こったものであると考えますが、日本政府としては、この問題があくまでも平和的に処理されることを心から希望しておるものであります。幸いにして、ただいままでは、米政府も冷静にこの問題と対処しております。ただいま事件がさらにさらに拡大していこうとは、私も今日の状況ではさようには考えておりません。
 そこで、領空侵犯、このことについて、ただいまたいへん巧妙な御質問がありました。万一領空侵犯が行なわれたならばと、こういう意味でございます。私はしかし、軍用機によるいわゆる領空侵犯というものに対してとり得る措置、手続等につきましては、ただいままで国際法上はっきりした規定、規則があるというものではない、これは長い間外務委員をしておられる戸叶君もよく御承知のことだと思います。そういう規定はございませんが、ただいままで普通にいわれておりますところは、侵入機に対して、まず、警告を与えるのがほぼ慣習法化しておるのではないかと思います。その結果、領空侵犯が、悪天候や器材の故障など、不可抗力なものであることが判明した場合は別にして、侵入機が敵対性を持っていると信ずべき十分な理由がある場合は、領空外への退去、指定する地点への着陸等を命ずることができ、侵入機がこれに従わない場合、領空内ではこれを撃墜することもできると考えます。しかし、今回の事件は、ただいまのような事態とは違い、オズボーン米臨時代理大使が御指摘になりましたように、愛知外相に対して説明したところによると、問題の米軍機は、いかなる時点におきましても……(発言する者あり)これは時間であります。いかなる時点におきましても、北朝鮮の海岸より四十マイル以内には絶対に入っていない旨、米国政府として保証するとのことであります。このことから考えると、米軍機は終始公海上において行動していたのであって、伝えられる北朝鮮側の行為、いきなりこれを撃墜するというような行為は、国際的にも非難さるべきものと、かように私は考えます。(拍手)
 今回の事件は、現下国際情勢のきびしさをわれわれに再認識させるものであります。同時に、世界各地で紛争が起こっているにかかわらず、わが国が平和と繁栄を享受し得ていることは、安保体制を選択した国民の選択が正しかったことを一そう裏づけるものであると思います。(拍手、発言する者あり)この点では、遺憾ながら社会党の諸君と私どもとは所見を異にいたしております。この点は、私どもははっきり自分の信ずるところを申し上げておきます。
 なおまた、今回のこの撃墜事件につきまして、幸いにも、米国政府がこの問題に対し、いままでのところ、まことに慎重な態度でこれに対処しようとしております。わが政府も、この上ともアメリカが冷静であるようにと、実は心から願っておるような次第であります。この点もつけ加えて申し上げておきます。
 次に、偵察飛行については、各国とも、現下の国際情勢のもとにおきましては、安全保障上必要な措置としてこれを公海において行なっており、情報収集、偵察活動のために日本国内の米軍施設区域を米軍が利用することは、事前協議の対象とはなりません。これもはっきり申し上げておきます。
 次に、安保条約の実施に関連して、政府は米国と随時緊密に協議をしており、今回の事件につきましても密接な連絡をとっております。したがって、ただいまお話のありました第四条を援用して協議を申し入れるということをまつまでもなく、現実にいわゆる随時協議が行なわれている、かように御理解をいただきます。このことははっきり申し上げておきます。
 次に、沖繩はどういう役割りを果たしているか、また、その返還にどういうように影響するか一どういうようにというよりも、沖繩返還がむずかしくなるのではないか、こういうような御意見をまじえてのお話であります。私は、沖繩から今回の事件に関連して救援機が発進したとは聞いておりますが、それ以外には聞いておりません。どうか社会党の方々も、この問題につきまして冷静に事件を見守っていただいて、そしてこの際は、われわれは沖繩の祖国復帰を心から願っておるものでありますから、その目的の達成のためにも(「うそをつけ」と呼ぶ者あり)うそをつけと、さようなことはありません。それこそ社会党が冷静でない証拠であります。それを私は申し上げる。(発言する者あり)私は、それこそ、かような点でこの交渉に支障を来たさないように、この上とも御協力をお願いする次第であります。(拍手)
 次に、基地周辺の住民の不安を除去せよ、こういうお話でありますが、冒頭に申し上げたとおり、今回の事件が平和裏に解決することを希望するものでありまして、日米安保体制による戦争抑止力の結果、わが国が戦争に巻き込まれる危険はありません。国民諸君は冷静に事態を見守っていただきたいと考えます。紛争処理に対するわが国の基本的態度につきましては、米政府にも伝えております。
 いずれにいたしましても、きびしい国際環境の中で、国民が自分の国を守る気概を持つこと、それこそ平和を維持する最良の手段である、かように考えます。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説(地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政の状況報告について)
#30
○議長(石井光次郎君) 自治大臣から、地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政の状況報告について発言を求められております。これを許します。自治大臣野田武夫君。
  〔国務大臣野田武夫君登壇〕
#31
○国務大臣(野田武夫君) 地方財政法第三十条の二の規定に基づき、地方財政の状況を御報告申し上げます。
  〔議長退席、副議長着席〕
 まず、昭和四十二年度の地方財政のうち、普通会計の決算について申し上げますと、決算規模は、歳入五兆九千二百六十三億円、歳出五兆七千二百五十五億円でありまして、前年度に比べますと、歳入において七千四百八十六億円、一四・五%、歳出におきましては六千九百九十三億円、二二・九%と、それぞれ増加しております。
 収支状況について見ますと、全体では八百八十一億円の黒字でありますが、その内訳は、黒字団体は三千九十一団体で、その黒字額は千百四十八億円、赤字団体は二百七十九団体で、その赤字額は二百六十七億円であります。
 昭和四十二年度の地方財政は、公共事業費の繰り延べ等、国の景気調整策の影響、特別事業債の廃止による地方債の減少等が要因となりまして、近年にない緊縮型の決算でありましたが、地方税及び地方交付税等の一般財源の増加率は前年度を上回り、おおむね順調な運営が行なわれました。
 また、歳出におきましては、社会資本を充実するための建設事業をはじめ、公害対策、交通安全対策あるいは地方公営企業に対する繰り出し等、新しい地方団体の財政需要の動向を反映して、その内容が多様化しておりますのが特徴でありますし
 次に、地方公営企業につきましては、経営面におきまして依然として赤字基調が続き、赤字は累増しております。
 国民健康保険事業につきましても、前年度に比較して赤字団体数、赤字額ともに増加しており、特に、大都市及び特別区が赤字額の大半を占めております。
 最近における社会経済の急激な変動に伴い、いわゆる過密、過疎の現象に対処するための地域開発事業及び社会開発事業をはじめとして、地方団体の果たすべき役割りはますます複雑かつ広範になってきております。また、地方における行政水準は、なお住民の要望を十分満たすには至っておりません。
 したがいまして、地方財政が増大する需要に対処し、地域住民の期待にこたえ得るためには、長期的な見通しのもとに、計画的、重点的な財政運営につとめることが必要であり、また、地方団体の財政運営について一そうの効率化に努力する必要があると考えられます。
 以上、地方財政の状況につきまして、その要旨を御報告いたす次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説(地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政の状況報告について)に対する質疑
#32
○副議長(小平久雄君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。河上民雄君。
  〔河上民雄君登壇〕
#33
○河上民雄君 私は、さきに内閣より提出されました昭和四十四年地方財政白書に対し、日本社会党を代表して、若干の基本的な問題について質問いたしたいと存じます。(拍手)
 まず初めに、いわゆる地方財政好転論と地方自治に関する問題についてお伺いいたします。
 質問の第一点は、昨年来政府はしばしば、地方財政は好転したと強調し、それを口実として、昨年に引き続き地方財政に対する圧迫の度を強めようとしておりますが、一体その好転とはいかなる論拠に基づくものでありましょうか。今日の地方財政の実態をいささかでも知る者にとっては、全く理解に苦しむ暴論であります。この問題はきわめて重要でありますので、総理大臣、大蔵大臣、自治大臣から明確なお答えをいただきたいと存じます。
 確かに、昭和四十二年度地方財政の実質収支は、形式的には八百八十一億円の黒字を記録しております。しかし、その実態は、赤字団体の数が大幅に減少したわけでもなく、黒字額が著しい伸びを示したわけでもなく、むしろ、地方自治体として当然なすべき仕事を見送り、逆に、歳入面では住民に重い負担を押しつけることによって、かろうじてつくり出された黒字であり、その陰で、将来の支出を拘束する地方債や債務負担行為による借金が年々増大している事実を重視しなければなりません。たとえば個人の住民税及び個人事業税は、昭和三十五年以降昭和四十二年までに、実に四・三倍以上にふくれ上がっており、世上重税として騒がれている所得税が、同じ期間に三・二倍になっていることを考え合わせるとき、地方税がいかに重税であるかをあらためて知るのであります。(拍手)なお、いま一つ言えば、その間、国民所得が二・六五倍となっておりますので、個人所得に対する地方税の伸びは、国民所得の伸びの二倍に近いのであります。したがって、今日の地方財政の課題は、このような歳入の増大をささえる住民に対する過酷なる重税をどのようにして解消するかであります。自治大臣は、この点について具体的な方針を明確にしていただきたいのであります。
 なお、さきの予算委員会で、自治大臣は、来年度も標準世帯五人家族十万円程度の住民税課税最低限引き上げを行ないたいと述べておられますが、その程度の減税では、生活費にまで課税されている地方税の現状を解消することは不可能であり、いつまでもイタチごっこを続けるだけでありましょう。この際、自治大臣より明確な減税計画を示していただきたいと考えます。
 第三点としてお尋ねしたいのは、景気の動向と地方財政の関係であります。
 今日、地方財政の歳入の伸びをささえているのは、その内容から見て、政府の地方財政制度改革に負うものではなく、一時的な景気の好転に影響されたものであります。したがって、今後の景気の動向いかんでは、きわめて不安定な状況に再びさらされる危険があります。さきに大蔵大臣は、今後成長率一〇%を持続するとの発言をしておられますが、事態は必ずしも楽観を許さないのではないでしょうか。昨今取りざたされている、いわゆる景気のかげりについて、また、今後の景気の動向についてどう見ておられるか、大蔵大臣の御所見を伺いたいのであります。
 第四点は、こうした実体のない財政好転を口実にして、国が地方交付税から六百九十億円の借り上げをしたのをはじめ、六百億円の土地開発基金への繰り入れなど、地方財政への国の干渉が露骨になっております。これは地方自治の否定に通ずるものであり、結果的には住民生活を圧迫するおそれがあります。この際、あらためて総理大臣及び自治大臣は、財政における地方自治をどう理解しておられるか、承りたいのであります。
 第二のテーマとして、私はシビルミニマムと財源問題についてお尋ねしたいと思います。
 質問の第一点は、国及び地方団体は住民の最低生活を保障する責任があることは言うまでもありませんが、総理大臣及び自治大臣は、この住民の最低生活保障基準ともいうべきシビルミニマムをどのように設定しておられるか。すでに、美濃部都知事は、東京都中期計画において、いかにシビルミニマムに到達するか、その具体策を明らかにしております。しかるに、従来の政府の行き方は、さきの経済社会発展計画といい、また、現在進められている新総合開発計画といい、すべて住民生活に奉仕するよりも地方財政を産業基盤整備に奉仕させようとする意図が明らかであります。この際政府は、シビルミニマムを明確に提示し、それを裏づける財源を確保すべきではないか。
 現在、わが国の生活基盤施設(d)民生行政の水準がきわめて低いことは、御承知のとおりであります。たとえば、地方財政白書も明確にしていますように、下水道の普及率は昭和四十二年度末で市街地排水面積の二〇・五%にとどまり、市町村道の舗装率は五%という低さであります。しかも、都市のスプロール化に伴い、市街地の形成の速度は下水道の整備の速度の五倍といわれ、そのアンバランスは一そう拡大しております。加えて、公害対策、交通対策など新たな財政需要が緊急な課題となっております際、これらの立ちおくれを克服するためには巨大な資金が必要でありますが、地方財政はこのような差し迫った時代の要請にこたえるものとなっていないことを指摘しなければなりません。
 このシビルミニマムを確保するためには、もはや小手先の対策では間に合いません。これまで本院においてたびたび確認され、また決議されておりますように、事務再配分を前提とする負担区分の明確化と、思い切った財源の再配分を断行すべきであります。大都市には十分な自主財源を与え、地方交付税には本来の調整機能を全うせしめるべきではないでしょうか。政府はこの点についてどう対処されておられるのか、重ねて自治大臣にお伺いいたしたいのであります。
 なお、最近いわゆる受益者負担の思想が提起され、それを口実として利用者負担の思想がまかり通っていることに、私は憂いを深くするものであります。その裏では、本来の受益者が負担を免かれ、すでに重税に苦しんでいる大衆に一そう大きな負担がしわ寄せされております。地域住民の負担金の制度が、本来シビルミニマムとして保障さるべき分野にまで及んでいることは、国の責任を住民に転嫁するものといわなければなりません。受益者負担のあり方について、自治、大蔵両大臣に基本的なお考えを承りたいのであります。
 第三に、私が特に強調したいことは、地方公営企業の危機をいかに打開するかということであります。
 この点については、ただいまの自治大臣の要旨の説明の中にも言及されておりました。現在の地方公営企業の累積赤字は、地方公営企業法による独立採算制のワク内ではとうてい解決しないことは明白であります。その点に目をつぶって公営企業再建計画をいかに強行しようとしても、問題は解決しないのではないか。自治大臣の御所見を承りたいのであります。
 地方財政白書によれば、四十二年度末までの法適用企業の累積欠損金の総額は、前年度から二百三十八億円ふえて一千四百四十一億円となり、営業収益の二九%にも及んでおります。特に赤字の著しいのは都市交通、上水道、病院でありまして、しかも、大都市における経営悪化が一そう深刻になっております。これに対し、昭和四十四年の地方財政白書を見ましても、何ら実効ある対策は見られません。
 最近、大阪、東京、神戸など、明治、大正以来長年市民に親しまれてきた市電が相次いで姿を消しておりますことは、単なる去り行く一つの風物詩ではなく、地方公営企業の苦しさを如実に物語っておるのであります。これにかわる将来の都市交通はいかにあるべきか、また、地下鉄化に伴う工事費は、一キロ当たり四十億から六十億円といわれており、あの世紀の新幹線工事費の一キロ七億円と比べて、いかに巨額な資金を要するかがわかるのであります。これを独立採算制のワク内で処理することはとうてい不可能でありまして、国の財政援助を強化する以外には解決の道がありません。政府は公営企業に対する財政援助をどう強化するか、そのお考えを承りたいのであります。
 地下鉄建設については、国道並みに三分の二の国庫補助を行なうべきだと私は考えますが、政府の見解を承りたいのであります。
 特に、これと関連して、都市交通に関する、自治大臣、大蔵大臣、運輸大臣の三者の間に、財政援助のあり方について覚え書きがかわされたと聞いておりますが、それは一体どのようなものか、自治、大蔵、運輸三大臣よりお伺いいたしたいのであります。
 最後に申し上げたいことは、この膨大な建設費の負担を、料金の形で利用者に転嫁すべきでないことはもちろん、また、公営企業の労働者の賃上げ抑制にしわ寄せすべきものでもありません。それは筋違いというべきであります。特に、再建企業下の労働者の賃金を差別扱いすることは、絶対に許さるべきではないと思います。自治大臣の見解を特に承りたいのであります。
 以上、私は、地方財政白書に対して、三つのテーマについて、基本的問題のみをお尋ねいたしました。苦悩する地方財政に対し、政府並びに本院における同僚議員各位の一そうの関心を期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#34
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 河上君にお答えいたします。
 まず、地方財政が好転したという論議は、地方財政の実態に反するのではないかとの御指摘でありますが、私は、地方財政が一時に比べればたいへんよくなったと思います。これは種々の角度から見ましても、この点が指摘できると思います。いまこれを具体的に申し上げるわけでもございませんが、その点は担当大臣に譲るといたしまして、総体的には、確かに好転したといえるものと私は見ております。しかし、問題は、しからば好転したからそれで十分か、こういう問いに対しまして、私も、もちろんこれで十分である、かように申すわけではありません。行政水準におきましても、またその体質におきましても、なお多くの問題が残されており、社会経済の伸展に即応して町づくり、地域づくりを計画的に推進すべき重要な時期に当面しているのでありますから、財源がただいまの状況で十分だというわけではありません。私は、このような地方財政についての実情認識のもとに、地方の行政水準の向上のために、政府としても十分配慮してまいる所存であります。
 次に、今回地方から国が六百九十億円の交付税を借りることとしたのも、地方財政好転を論拠として行なったものではございません。四十三年度において、地方交付税の自然増収がかなり生ずる見込みであったことなどの事情を考慮し、地方交付税の年度間調整を行ない、また、国、地方を通ずる財政運営の円滑化をはかるための措置として、地方団体側の協力のもとに行なわれたものであって、決して地方自治を侵害したというべきものではありません。また私が、地方自治を尊重するものであることは、あらためて申し上げるまでもありません。
 最後に、シビルミニマムについてのお尋ねでありますが、政治の理念は、すべての国民が健康で明るく快適な生活を営むことができるようにすることであります。このためには、社会保障、住宅、生活環境の整備、物価の安定等にわたって福祉的最低生活を確保することが肝要であり、国としても、これらの施策の推進に十分の配慮を行なっておりますが、地方財政計画におきましても、住民の生活基盤の整備充実を重点的に考えた次第であります。
 他の問題につきましては、それぞれ担当大臣からお答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#35
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 地方財政好転論は暴論だというお話でありますが、これはお返しをするほかはないのであります。総理からただいまお話がありましたように、一時に比べますとかなりよくなっておるのでありまして、たとえば、その財源の状態を見ましても、地方税の伸び、これは四十二年度で二二%、四十三年度で二一%、四十四年度でも二〇%、また交付税におきましても、四十二年度一九・五%、四十三年度二四・六%、四十四年度二五%という、これは自主財源の伸びの状況でありまして、いまや、地方財政全体におきましては、その財源の六四%がこの二つの自主財源をもって占められるというような健全さを示しておるのであります。したがいまして、予算の規模の拡大が可能となり、本年度のごときは、一般会計におきましては一五・八%の増大でありまするけれども、地方財政は、国に六百九十億円を預けてもなお一八・五%の増額となっておるのであります。したがいまして、地方債への依存度、これも改善されております。国におきましては七・二%の依存度でありまするけれども、地方におきましては四・三%の依存度である。また、単独事業が果敢に行なわれるようになってまいりました。総予算のうち三一%が単独事業である、かような好転であります。これらの数字が示すように、いっとき、四十年のごときは国から千二百億円の援助を受けてやっと息をついた地方財政でございます。その地方財政が、ともかくそういう状態になったということは、これは好転といわずして何であろうか。ただ、これが十分であろうかというと、私は必ずしもさように考えておりません。ますますこれが健全化を進めなければならない、かように考えておるのであります。
 第二の質問の、景気の動向との関係でございまするが、まさに、地方財政は景気の動向と密着をいたしておるのでございます。わが国の経済は、すでに三カ年の好況を経過して四年目にいま入っておる、新しいレコードをつくろうといたしておるのでありまするが、政府は、国際情勢の動き、特に国際通貨状況、この不安状態がどういうふうになっているか、また、アメリカの経済がどういうふうになるか、それらの点を注視いたしております。それに対応して、適時適切の機動的な対策をとりまして、この成長態勢が続いていくようにと、いま努力をいたしておるのでありまして、御期待をお願い申し上げます。
 第三は、公営企業につきまして利用者負担、これが乱に過ぎる傾向はないかというお話でございまするけれども、公営企業は、これは公共企業体であります。すなわち、一つの企業体である。企業体であります以上、独立採算制を基軸として運営されなければならぬ。しかしながら、同時に公共である。そこで、これが立ち行かざるような状態になりますることは、住民福祉のために大問題でありまするので、これがさようなことにならないように、予算面におきましても下水道、上水道、工業用水、地下鉄、あらゆる方面に援助をいたしておるわけでありまするが、同時に、地方財政の方面からも、公営事業につきましては財政援助をいたしておるのであります。
 しかし、問題は、この公営事業が自立する計画を持つかどうか、この一点にあるのであります。事実、時をかせば必ずこれは立ち直るのだというりっぱな計画があるものに対しましては、国や地方団体はこれに対してしっかりした援助をなさなければならぬ、かように考えておるのであります。特に、御指摘の地下鉄は、これは建設に金がかかる、そういうようなことから特に配慮をしなければならぬ、かように考えます。
 そういうことから、本年度の予算の編成にあたりまして、三大臣で協定をいたしております。つまり、地下鉄に対する財政援助方式、これをどうするか、これを検討いたしまして四十五年から実施することにいたしたい、これが三大臣の協定の趣旨でございます。(拍手)
  〔国務大臣野田武夫君登壇〕
#36
○国務大臣(野田武夫君) 御質問の点につきまして、総理からもお答えいたしておりますから、なるべく重複を避けたいと存じております。また、大蔵大臣もお答えした中に、やはり同様な問題も含まれております。
 ただ、地方財政好転については、特に自治大臣という御指摘がございましたから、重ねてお答えいたしますが、事実においてやや好転のきざしがあることは、これは認めます。しかし、先ほど総理もお答えになりましたとおり、今日の行政の水準、また体質の問題、今後の社会、経済の推進、これに沿うように地方行政を引き上げていこうとするには、なかなか財政上やはり困難なものが伴うのでございますから、好転のきざしは見えますが、やはり今後の地方財政の一そうの健全化、充実をはからねば、こういう出てくる諸計画の遂行はなかなかむずかしいと存じております。
 次に、六百九十億円の交付税減額の問題、これもお答えがございましたが、これはしばしばお答えいたしておりますとおり、四十三年度の交付税の、つまり自然増収を目当てにしてやりましたので、四十四年度の地方財政計画には何ら支障を生じない、こういうたてまえからこの措置をとった次第でございます。
 住民税その他の税制の問題、今後どうするかというお尋ねでございまするが、四十四年度には、地方税の改正で、御承知のとおり、前年度に引き続いて住民税、また中小企業の事業税その他八百七十億程度の大規模な減税を実行いたしました。しかし、まだ私といたしましては、地方住民の方々の負担を軽くしなければいかぬ、これは十分認めておりますから、今後とも、私はまず住民税の免税点の引き上げやその他の税制の改正をいたしまして、できるだけ地方の住民の方々の負担を軽くしたいということを積極的に検討する所存でございます。
 なお、シビルミニマムにつきましてのお話でございますが、全く、この問題は当然われわれの取り組むべき問題でございまして、ことに社会、経済の急激な変化に伴いまして、地方行政のあり方につきましても、これは根本的な検討を行なうときに来ておると思っております。
 これに関連いたしまして、財源措置につきましても、今後十分検討いたす必要があると同時に、本四十四年度の財政計画にも重点的に取り扱っております。これらの問題は、地方行財政の基本にかかわる問題でございますから、現在地方制度調査会においても御審議をお願いしておるのでございまして、これらを十分尊重して今後の計画に盛り込みたい、こう考えております。
 受益者負担の問題がございましたが、地方団体で、一部のものに利益をもたらす事業、特に利益を受けるものの受益の限度ということにつきましては、この分担金を徴することができると、まあ、たてまえはなっております。その根拠は、地方自治法や道路法とか都市計画法等に定めております。したがって、地方団体が行ないます行政に要する経費は、原則としては地方団体の財源でまかなうことが望ましいことはもとよりでございますが、今日の実情ではなかなか思うとおりのことが実現いたしません。したがって、住民間の負担の公平という見地からいたしましても、受益者に対して一定の負担を願うことは、まあやむを得ない場合があると考えております。しかしながら、受益者に対して過重な負担を求めるということは、これはもとより適当ではないのでございますから、この運用にあたりましては制度の趣旨を十分に参酌いたしまして、これを乱用することのないように、受益者負担問題は十分指導をしてまいりたいと存じております。
 御指摘になりました公営企業の累積赤字でございますが、これはもう先ほども私御報告申しましたとおり、過去におきまして累積赤字が非常におびただしいものになっております。したがって、地方公営企業法の定めるところの財政再建計画に従って今日その解消をはかっているところでございます。また、独立採算制を確保するためには、今後公営企業の支払い利子等の負担の軽減とか、あるいは経営基盤の強化とか、企業環境の整備等、あらゆる方法を講じなくちゃならぬ、そうして、できるだけこの赤字解消に立ち向かっていかなくちゃならぬ、こう考えております。
 そこで、この公営企業に対する国の財政援助を強化すべきだ、私もできるだけ国の援助を強化いたしたいと思っております。そこで、建設資金の投資とか、たとえば地下鉄、こういう問題は、先ほど河上さんの御指摘どおりたいへん多くの金が要るのでございますから、やはりどうしても国の財政援助をわれわれは必要と認めております。したがって、先ほど大蔵大臣からもお答えいたしましたとおり、大蔵大臣と運輸大臣と私のほうで覚え書きを交換いたしましたのは、やはり地下鉄の、特に建設に対して国の財政援助を強化する、この方面で、それも四十五年からひとつこの強化の具体策を講ずる、こういう申し合わせをいたしたのでございます。
 都市交通の、ことに利用者に対する建設費の負担問題とか、あるいは働いている方々の賃金にこれをしわ寄せするようなことではいけないとか、私は、大体御趣旨は理解し、またこれは尊重すべき御意見と思っております。特に、都市の交通事業につきましては、いま申しました地下鉄のごときはばく大な建設費がかかっておりますので、これを利用者に負担させるとすれば、当然高い料金をもらわねばならぬ。そこで、これはひとつ地方財政でまかなうということと同時に、やはりできるだけ国の財政援助がほしいというので、先ほど申しましたとおり、三大臣の覚え書きもこの趣旨に沿ったものでございます。
 また、交通職員の給与の問題でございますが、たてまえは、公営企業と申しましても、やはりこれは企業であります限り、自分の収入で給与を支払うというたてまえになっておりますが、現在ではなかなかそれが容易ではございません。これはわれわれも十分存じております。そこで、この問題は、公営交通の再建というのがやはり基本でございますから、当局においてもいろいろ努力いたしておられるし、また職員の皆さんも、この交通再建のためにはやはり当局と一体となって努力してほしい。同時に、その結果、私どもとしてもできるだけの措置を講じたい、こう考えております。(拍手)
  〔国務大臣原田憲君登壇〕
#37
○国務大臣(原田憲君) 御質問の中にありましたように、六大都市、たとえば大阪からは明治以来の路面電車がなくなっていきました。これらの廃止にあたりましては、それぞれの都市における輸送需要の特性に適合した代替輸送機関、たとえば地下鉄、バス等によりまして輸送力が確保されるように措置をいたしまして、当該路面電車の廃止後における市民の足が奪われることのないように十分配慮していくことといたしております。
 その問題の一つとして、地下鉄の問題に対して御質問がございました。地下鉄は、御指摘のように、現在一キロ四十億あるいは五十億というような投資が必要でございます。この都市交通における地下鉄の重要性にかんがみまして、お話しのように、大蔵大臣、自治大臣から御答弁がございましたが、四十五年度予算において地下鉄建設に対する現在の助成措置をよりよく改善をいたす、地下鉄建設を推進するよう、実現することを内容とした覚え書きをかわしております。したがいまして、この趣旨を必ず実現するように努力をいたしてまいりたいと存ずる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#38
○副議長(小平久雄君) 門司亮君。
  〔門司亮君登壇〕
#39
○門司亮君 私は、民社党を代表いたしまして、いま自治大臣から御説明のございました四十四年度の地方財政白書並びに昭和四十二年度の財政報告に対しまして、きわめて簡単に二、三の点について御質問を申し上げますので、率直にひとつ御答弁を願いたいと思います。(拍手)
 私がきょうここで質問を申し上げる大臣を特に総理と大蔵大臣にお願いをいたしましたことは、総理大臣はここでいろいろのことを申されます、大蔵大臣もいろいろいままでの質問について申されます。しかし、地方行政委員会に幾ら要求しても、二人の大臣は出られないのであります。これで一体、地方の行政、財政をめんどう見てますなんということが言えますか。(拍手)ほんとうに地方の行政を考え、財政を考えて、ここで色のいい答弁をするなら、やはり委員会にもひとつ出席をしていただいて、そうして十分にお互いに審議をするという態度を示してもらいたいと考えておるが、これについてどういうふうにお考えになっておるか、冒頭に両大臣からひとつ御答弁を願いたいと思うのでございます。(拍手)
 そこで、私は、内容について少しお尋ねをいたしたいと思いますことは、地方自治体の行政内容が非常に変わっております。したがって、この行政内容の変わっておりまする推移に対してどう対処するかということが、忘れられていはしないかということであります。これが、地方財政は好転したとか、いや黒字があるとかいうようなことに大体なっていると私は思う。今日、過密、過疎という問題が議論されておりまするが、これも何も天災ではございません。長い間、自民党の高度成長政策というような大資本中心の財政計画を立てて、そうして社会資本を怠った結果が今日のような状態になっているのであって、人は仕事のあるところ職を求めて集まるのは当然であります。したがって、今日の過密、過疎の最大の責任者は政府であると申し上げてもちっとも差しつかえない。これをいかにも天災であるかのごとき印象を与えつつ議論されることは、私は、非常に大きな間違いだということを最初に指摘をする必要があろうかと存じます。したがって、最近における地方行政の内容というのは、公害の問題でございましても、あるいは交通災害の問題でありましょうと、あるいは学校教育の問題、住宅、道路、水道、下水道、し尿の処理、じんあい等の処理に至るまで、従来の地方自治行政の観念とはおよそ離れた考え方のもとに運営をし、また対処をしなければならない時期に来ておるのであります。
 ごく卑近な例を私はここで一つ、二つ申し上げて御理解を願いたいと思いますことは、交通災害が非常に多い。しかし、この交通災害の始末はだれが一体しておるかということであります。自治省は、ごく最近に、三万以上の市に対しまして救急業務を政令によって押しつけられておるということである。三万の小さい市が救急車をこしらえて、そして常時救急業務を行なうなんということは、とうてい従来考えられなかったことである。ところが交通事故が非常に多いから、やはりこういう行政が必要になってくる。いまはどんな農村に参りましても、大体プロパンガスで炊事いたしておりまするので、従来のように、出たごみがそのままかまどの中で焼却されるなんということは考えられない。したがって、これは全部焼却炉を設ければそれでいいのでありまするが、町村ではそこまでいかないから、川にみな捨ててしまう、したがって、川がよごれて困っておるということに必然的にならざるを得ない。し尿にいたしましても同じことでしょう。従来農家還元ができて、そうして何とかし尿の処置がついたのでありまするが、今日それは許されない。したがって、どんな町村に参りましても、じんあいの処理、し尿の処理はどうしてもやらなければならない。下水は一体どうなっておるか。従来、地方の自治体における、ことに市町村における下水というようなものについては一つの考え方があったが、これがどういう姿に今日あらわれてきたかといいますると、御承知のように、ことに都市周辺におきましては非常に開拓が盛んになってまいりました。そうして、降った雨が直ちに、鉄砲水ということばで言われておりまするように、一ぺんに出てくる。そこで、従来は大河川が大体雨が降れば洪水の対象になっておりましたが、この鉄砲水の関係で、大河川まで水が行く前に中小河川がはんらんしておるというのが今日の現状でございます。したがって、県の河川であるとか、あるいは国の河川というよりも、むしろ市町村の中小河川に対する手当てというものが十分でなければならないということは当然である。こういう社会現象を、一体政府は御存じになっておるかどうかということである。私どもは、こういう問題を一つ一つここで取り上げて議論をいたします時間がございませんので、このくらいでやめておきますが、こういう行政内容の変容に伴う財政措置というものを、ひとつ考えてもらいたいということでございます。
 ことに、最近における地方財政の構成というのは、御承知のように税金と補助金、いわゆる国庫支出金あるいは起債によって大体まかなわれておるということが普通の常識であります。ところが最近の状態を見てみますると、いわゆる超過課税によって約一千億ぐらいのものが取り上げられておる。あるいは法定外普通税という法律に規定のない地方税というものが、かなり最近は出てきておる傾向がある。これに加えて、ギャンブルの収益からくるものが大体一千億以上あるということは、御承知のとおりであります。今日はこういうかき集めの状態である。なおかつこの上に、地方住民が自分の歩くところをかりに舗装してもらおうとすれば、寄付金をしなければ舗装ができないというような、地方住民の税以外の負担によってこれがまかなわれておる。こういう状態をほんとうに総理大臣や大蔵大臣は御存じになっておるかどうかということですね。これは、総理大臣も山口の田布施の生まれでございますから、町に行って調べてみればすぐわかると思う。大蔵大臣だって、郷里に行かれればこんなことはすぐわかると思う。東京のまん中におって、大きな官邸に住んでおいでになるから、このごろ少しうとくなっておると思いますが、ひとつお里のほうを少し見てもらいたいということを、この機会に申し上げておきます。こういう状態でございます。
 その中で、私は、この機会にはっきりしておいていただきたいと思うことは、この財政構成の中で補助金がございます。この補助金は、年々減らすとか整理するとか申されておりまするが、これからくる行政のゆがみ、これは何であるかというと、陳情政治であります。今日、地方の議員さんは、都道府県会議員、市町村会議員を集めてまいりますと、約十万の諸君がいるはずであります。これらの諸君が、一年に一回一万円ないし二万円の金を使って東京に出てきて陳情をしなければ地方の財政がうまくいかぬということになってまいりますると、これは根底から官治行政に返りつつあると申し上げてもちっとも差しつかえない。これはむだ金ですよ、実際。(拍手)こういうことのないようにして、どうしてやれないかということであります。とにかく陳情すれば陳情しただけのかいがあるのだから来るのだということで、どんどん陳情に来るから、政治が一部官僚の私の考えによってゆがめられつつあるということを申し上げてもちっとも差しつかえない。(拍手)私は、これらの問題に対して、特に総理並びに大蔵大臣からひとつ御答弁を願っておきたいと思うのでございます。
 それから、その次に申し上げておきたいと思いますと同時にお答えを願いたいのは、国民の租税負担の現状でございます。
 これが、国税と地方税との割合を白書によって調べてみまするとどういうことになっているかというと、昭和四十二年度で、国民所得に対して総額が一八・九%の税金になっておる。その内訳は、国税が一二・七%、地方税が六・二%であって、そうして都道府県が三・三%、市町村が二・九%ということになっておる。今日、地方で最も財政を必要といたしておりまするものは、むしろ府県よりも、基礎的団体である直接住民に関係を持っておりまする市町村であります。ところが、その市町村の割合が一番少ないことになっておる。これを税の伸びから考えてまいりますると、昭和三十八年を一〇〇といたして今日勘定いたしてまいりますと、国税が二二五に伸びておる、都道府県税が二五九に伸びておる、市町村税はわずかに二〇二にしか伸びておらない。地方自治体の基礎的団体であるといわれておりまする市町村の税金の伸びがこういう状態であっては、しかも、配分がいま申し上げましたような状態であっては、これはもう満足な環境が、住民に幾ら要求されてまいりましてもできようはずがないのである。私は、したがって、この税の配分を変える必要がありはしないかということを考えておりまするが、これについて、ひとつ大蔵大臣から御答弁を願いたい。(拍手)
 ちなみに、佐藤内閣が何かアメリカ追従といわれておりますので、アメリカの例をひとつ見てみましょう。
 米国の昭和三十九年度国民所得と租税負担はどういうことになっておるかというと、国民租税負担の総額が二七・二%、うち連邦が一七・四%、州並びに地方が九・八%、こういうことになっておる。これは三十九年でありまするから戦争――現在の状態に最も近いのでありますが、しかし、この時点におきましては、御承知のようにアメリカは軍事費を非常にたくさん使っておりまするので、国税に多くの税負担をさくということは、私は当然だと考える。そこで、アメリカが平和でありました当時の昭和九年から十六年、いわゆる戦争に入る前の状態を調べてみまするとどういうことになっているかというと、国民所得に対しまして一八・一%が租税の総額であります。そのうち連邦政府が取っておりまするものが六・八%であって、州及び地方の取っておるのが一一・三%であるということを記録は示しております。日本は、いま軍事費はほとんど要らないというと語弊がありまするが、かなり少ない。総予算のわずかに七・五%ぐらいしか使っておらない。そういたしますと、このアメリカの最も平和であった時代といまの日本の現状とは、そう変わらない時代と解釈して私は差しつかえないと考える。そうなってまいりますると、税の配分というものも少しアメリカを見習ってもらったらどうかということを――何でもかでもアメリカに追従するのじゃなくて、こういう点をひとつアメリカに追従してもらったらどうかということを、私は総理大臣にお願いする。(拍手)
 それから、そのほかの問題としてもう少し聞いておきたいと思いますことは、先ほどから河上君の質問に対していろいろ御答弁がございましたが、地方財政と地方の借金との現況並びに推移について、少し政府は考えていただきたいということでございます。
 この推移を申し上げてまいりますと、御承知のように地方債が、ちょうどこの白書にありまする四十二年度の地方債は、普通会計と公営企業全部を合わせてみまして四兆六百五十九億円になっております。ところが、四十四年度の財政計画を見てみますると、これが五兆二千五百四十五億円というような形で非常に借金がふえてまいっておることは事実であります。そこで、この借金がふえておるが、それなら、その借金の資金構成は一体どうなっているか調べてみますると、四十一年度におきましては政府資金が六一・四%、市中銀行その他から借り入れておりまするものが三八・六%、四十二年度は政府の資金が五九・五%で、市中銀行その他から借り入れておりますものが四〇・五%、こうなっております。ところが、昨年の四十三年度の大体実績を見てみますると、政府資金が五九・三%、その他が四〇・七%という数字で、資金に対して利息の安い国の資金がだんだん減っていって、そうして利息の高い市中銀行をはじめとする一般債務がだんだんだんだんふえておるということが、この推移の数字によって明らかにわかるのであります。これで一体よろしいかということであります。この点は、ひとつ十分に考えてもらいたい。
 そこで、もう一つこれを突っ込んで、それからくる地方債に対しまする利率の推移を一応見てみましょう。これがどういうことになっているかというと、昭和四十一年度は年利六分五厘以上のものが二六・五%であります。その内訳は、都道府県分が三一・二%、市町村分が二一・八%という数字になっておりまして、しかも、八分以上のお金を借りておるのが十億円以上になっているということが白書に書かれておる。さらに、これを四十二年度について見ますると、利率が六分五厘以上のものが二七・九%で、ここでは一・四%ふえておるという事実であります。その内訳はどうなっておるかといいますると、都道府県分が三三・三%で、市町村分が三二・五%、しかも、ここになってまいりますると、八分以上の借金が五十三億円以上あるという事実であります。一体、地方の公共団体が八分以上の利息で金を借りて仕事をして、何ができますか。どうにもならぬでしょう。こういう実態が、今日のいわゆる地方債の利率の推移であります。この点についてどういうふうにお考えになっているか、大蔵大臣なり、あるいは総理大臣から明確にひとつ答弁を願っておきたいと思うのでございます。これはぜひ改良しなければならないと私は考えておる。
 その次に、私は、最後に参考までに申し上げておきたいと思いますことは、河上君の質問に対しまして、地方の財政がいかにもよくなったようなことを言われ、また自治大臣は、ここで地方財政が非常に黒字に転向しているようなことを印象づけられておりまするが、実際は、先ほど冒頭に申し上げましたように、いろいろな行政の変容からくる財政需要の拡大というものは、これはいなむことはできません。しかし、それの最も大きな問題として取り扱わなければならないと私が考えておりますることは、東京都の現状であります。その中で私が最も遺憾に考えておりますし尿処理の現況を、ひとつ皆さんに知っていただきたい。
 それは、総個数が二百三万九千個ある。いわゆる便所の数でありまするが、その中で、くみ取りをいたしておりまするものが百十二万八千個、この半分以上の家庭からくみ取ってまいりまするし尿は、全部海上投棄をいたしておることは御存じのとおりであります。今日、世界のどこの文化都市において、近代国家としての都市において、ことに日本の東京において、半数以上の便所からくみ取ったものが海上投棄をしなければならないというような実情で一体よろしいとお考えになっているかどうかということであります。(拍手)この実態をひとつよく見てごらんなさい。水洗便所の数はわずかに七十四万九千個、浄化槽が九万、その他浄化槽でもなければ水洗便所でもない、くみ取りもしていない、自家処理だと思いまするが、これが大体七万二千個ということが書かれている。これは東京都の数字であります。このような状態で一体どうお考えになりますか。
 さらに、それからもう一つの問題は、お勝手やそこらから出るごみの問題でありますが、東京のじんあいの処理の状況は、全体の七〇%が集められて海上の埋め立てに使われておりましょう。夢の島で毎年毎年火が燃えておる、あのとおりである。わずかに三〇%だけが焼却炉において処分されておるというこの実情、私は、こういう実情で、一体、東京が世界のキャピタルであるとか、あるいは文化国家であるとかいうようなことがよく言えたものだと考えておる。(拍手)これは東京だけじゃありませんよ。これは大都市に行ってごらんなさい。ことごとくと言っていいほど、こういう状態になっておる。私は、こういう社会資本の非常に大きく欠乏しておるものに目をおおって、そうして単なる外観だけの地方財政が黒字であるとか赤字であるとかいう議論をすること自体が間違っていると考えておる。
 だから、この点について総理大臣からひとつ明確な御答弁を要求いたしまして、時間もまいりましたので、私の質問を終わらしていただきたいと思います。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#40
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 門司君にお答えいたします。
 地方行政委員会に出席しろ、こういうお話でございます。これは平素から、私も、各委員会に出席するようにいろいろ努力はいたしております。しかし、どうも全部の要望にこたえることができなくて申しわけなく思います。本会議の席上において、たいへんこまかな実例等までお話しになる、これは私が委員会に出ておればおそらくそういう質問も簡単に済んだだろう、かように思いますので、この点では、私たいへん申しわけなく思います。今後一そう努力いたしますから……。
 ところで、ただいま具体的な例をあげて、最近の地方行政のあり方についていろいろお話しになりました。よくわかっております。全く地方の行政需要は、社会、経済の発展が急激でございますから、それに対応したようにたいへん著しく変貌しておることは、これはただいまお話しになったとおりであります。いわゆる過密、過疎というような現象で表現されておりますが、それをただいまはわかりやすく具体的な点をとってお話しになりました。たいへんありがたいことであります。大いに勉強になったと思います。私は、新たな行政需要が発生しておることについて全然無関心ではございません。また、これが今日の政治の根幹問題、国民生活に直結しておる大事な問題だ、かように思いますので、委員会にこそ出席はいたしませんが、これらの問題についてはそれぞれの対策を立て、また、その財源措置なども地方制度調査会及び税制調査会等を通じてよく承知しておるわけであります。これらにおきまして、今後とも、御指摘がありましたから一そうこれらの点について注意し、行政が充実するように、そしてまた、財源の手当てがまたそれに十分できるように、この上とも努力してまいるつもりであります。
 ことに、私が心を打たれましたのは、いわゆる補助金問題、これが陳情によって補助金がそれぞれつく、そのために行政がゆがめられる、また、行政官庁におきましても特別な権力を持つようになる、そこらに汚職すら出てくる、いろいろの御指摘がございました。これは私も、確かに補助金でものごとを片づけないで、本来の筋で片づけるようにする、地方の財源は主として地方税でまかなうということが本筋だと思いますが、しかし、その地方税自身でも、地方住民の非常な負担になってはならない、かように思いますので、そこらは中央と地方と適当に税が配分されるように、ただいまちょうど地方制度調査会でもそういう点で検討し、ただいまのような弊害が生じないように努力したいと思います。いずれ詳しくは大蔵大臣からお答えすることだと思います。
 次に、起債の実態についていろいろとお尋ねがありました。起債の状況についてでありますが、詳しいことは担当大臣からお答えするといたしまして、私は、この地方団体の建設事業に要する資金措置のために必要な起債は、できるだけの措置を講じてまいります。また、その償還のための財源につきましても、金利が高いというようなお話がございますが、これにつきましても、地方財政計画上十分考慮していくつもりであります。また、量、質両面におきましての改善も、政府資金あるいは民間金融市場等各般の状況を勘案しながら、今後とも努力してまいるつもりであります。
 次に、東京都においてのし尿処理の状況あるいはじんあい焼却の問題など、具体的の例についてお話がございました。御指摘のとおり、ただいまのような状況で、自然、し尿処理もできておらないものが七万二千個もあるとか、こういうような状態では、お説のとおり近代都市とはなかなか言えないんじゃないか、かように私は思います。つい最近まで、このし尿処理の車が町中を通っていた時分に比べれば、最近はだいぶ改善はされましたけれども、それでもなお近代都市というのは恥ずかしい思いがいたします。また、ごみ、じんあいの処理につきましては、なおもっと徹底させなければならないものと、かように私は思います。これらの点について、先ほど河上君にもお答えしたのですが、私は、地方財政が改善はされたけれども、十分だとは決して申してはおりません。やはり行政需要、これを十分まかなっていくのには、なおなおくふうしなければならぬ、かように思っておりますので、その点は誤解のないようにお願いしておきます。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#41
○国務大臣(福田赳夫君) まず最初に申し上げます。地方行政委員会には今晩六時から出席いたしますから、さよう御了承願います。
 地方財政が好転していない、実態を見ろというお話でございまするが、社会資本の立ちおくれという問題を御指摘に相なっておることかと思います。私も、この日本の国づくりといたしまして社会資本が非常に立ちおくれておる、これを痛感し、かつ憂えておるものであります。さればこそ、財政面におきましても、この方面に最大といっていいくらいの努力をしておる、そういう状態でございますが、それにはやはり国民の負担力を伸ばしていかなきゃならぬと思う。それはやはり経済の安定的な成長、発展、これが基盤になっていくわけでございますが、何とかして、いま社会資本の立ちおくれという問題を解決したい、これが解決されるまでは、日本は先進国といえない、それくらいな感じを持っておるわけなんです。年々われわれの所得は向上していくと思います。また、一人当たりの所得も、いまの二十位なんという状態ではなくなると思います。思いますが、しかし、そこで生活がよくなったかというと、そうではない。われわれを取り巻く生活環境、つまり社会資本、社会的蓄積というものがおくれておる。これはもう全く門司先生と同感でございますので、さような方向で努力をいたしていきたいと存じます。
 第二に、補助金を整理せいというお話でございますが、これは地方自治団体の自主性を強化するという上において、まことに大事な点であろうと思います。しかし、地方の住民の現実の感情からいうと一体どうなんだ。ことしも、そういうような考え方で、幾つかの補助金について、これを地方自治のほうへ回そう、こういう考え方を出しておるのであります。そうすると、地方自治団体のほうから、まず地方住民のほうから猛然たる反対がくるわけなんです。そういうようなことを考慮しながら、そう性急にはできませんことかと思いまするけれども、何とか地方に自主性を与えるという方向の補助金問題の処理、これは進めていきたい、かように考えております。
 次に、税の配分の問題でありまするが、国と地方団体との間の税の配分は、私はかなりよくいっておると思うのです。とにかく交付税と地方税と合わせると、総財源の中で六四%を占めておるわけなんです。非常に高い自主財源を保有するに至っておりますので、国と地方との間にはさほどの問題はないと思いまするが、いま御指摘の府県と市町村との間の問題、これの検討を要すということでございますが、私もあんまりこの問題詳しくございませんので、なお自治大臣とよく相談してみたい、かように存じます。
 地方債につきましては、御指摘がありましたが、これは一般会計においてはたいへん改善され、またそう悪くないと思うのです。しかし、自治団体全体として見るときに、まだ問題が多々ある。また、金利の問題、とにかくあります。ありますが、なかなかこれも名案がない。また、これは地方行政委員会等でいろいろ御教示を願いたい。こうお願いをいたしまして、お答えといたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#42
○副議長(小平久雄君) 中野明君。
  〔中野明君登壇〕
#43
○中野明君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま報告がありました地方財政の状況に関連しまして、総理並びに関係の大臣に質問をいたしたいと思います。
 まず、四十二年度地方財政の決算報告によりますと、歳出規模は、国の四十二年度決算規模の増加率である一四・七%よりも下回っており、これは三十五年以来の緊縮型決算であると言われております。この理由として、白書は、第一に、公共事業費の繰り延べなど国の景気調整が響いた。また、特別事業債の廃止により地方債が前年より減少したこと等をあげております。国と同一の基調で財政運営を進めるとしておりながら、四十二年度地方財政計画の策定方針の中で、四十二年度の決算規模が、経済成長率や国の一般会計の伸長率よりも低下していることは、地方財政が国の財政の犠牲となった結果であると思うものであります。この理由をどのように考えておられるか、承りたいと思います。
 また、自治省の調査による地方公共団体の公共施設水準を見ますと、市町村道の改良率は一二%、舗装率はわずかに五%、下水道布設は二四%、また、ごみの処理率は四〇%という、きわめて劣悪な状態であります。地域住民の生活基盤の整備促進についての要望を満たすにはあまりにもほど遠い感じを受けるのであります。しかるに大蔵省等では、先ほど来も話が出ておりますように、地方団体の中でわずかばかりの黒字が出たことを理由に、財政の好転論を唱えて、地方財政の抑制をはかろうとしております。このような認識では、政府の掲げている町づくりや地域づくりは、とうてい達成することができないのみならず、総理がいつも言われる人間尊重の政治姿勢に全く相反する結果となっております。現在の地方財政では、最近の経済、社会の変化に即応して、地域住民の財政需要に十分こたえられないと思いますが、今後どのように対処していかれるのか、総理並びに関係大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、国と地方との年度間財源調整についてお尋ねいたします。
 四十三年度において四百五十億円、さらに四十四年度は六百九十億円を国に貸し付ける措置を行なっておりますが、四十二年度交付税の法案審議に際して、大蔵大臣は、この措置は四十三年度限りのことであると言明しております。しかるに、四十四年度において、またまた六百九十億円という巨額の地方財源を国に貸し付ける措置をとったのであります。これは先ほど来議論が出ておりますけれども、いやしくも一国の大蔵大臣が、しかも国会の本会議場において約束したことに反する措置をするということは、国会の軽視ではないでしょうか。全く国民を欺瞞するものであると考えるものであります。さらに、本年一月の大蔵並びに自治両大臣の覚え書きの中で、今後はこのような措置は行なわないと約束はしておりますけれども、はたして今後絶対に行なわないと確約できるのかどうか、これは大蔵大臣並びに総理からも、明確なお答えが願いたいと思います。
 次に、過密都市の財源対策についてお伺いいたします。
 都市部、特に大都市になるに従い、その人口は年々増加の一途をたどっており、もはや限界に達しております。最近の大都市財政は、産業及び人口等の集中に伴い、住宅、上下水道、公園等の公共施設の整備のほか、交通、騒音、汚水等の公害対策等の膨大な財政需要に対応できなくなり、本来財源の豊かな指定都市ですら、全部地方交付税の交付団体に転落しているのであります。その理由は、指定都市地域における税源配分が、国が約七三%、県は約一五%、市に至っては約一一%というように、指定市地域は膨大な財源があるにかかわらず、わずかに一一%しか入らない不合理きわまる実態にあるためであります。これについては、税制調査会でも重視し、その不合理性を指摘し、すみやかに検討すべき事項として答申しているのであります。また、衆議院並びに参議院の地方行政委員会でも、昨年の地方税法の審議に際し、都市、特に大都市については、明年度において具体的に税源対策を講ずべきである旨の附帯決議を付したのでありますが、四十四年度における政府の税制改正においては、わずかに地方道路譲与税の配分基準の改正、これによってたったの三十五億円の財源対策に終わっているのであります。このようなこそくな手段だけでは、まさに焼け石に水といったのが、現在の地方の状態であります。都市、特に大都市の過密対策の財政需要に対処して、総理並びに大蔵大臣及び自治大臣の御所見を承りたいと思います。
 次は、過疎対策でございます。
 経済審議会地域部会の調査によりますと、この中間報告で、現在、人口二万以下の町村では、おおむね一年間に一%ないし二%の人口減少を経験しており、そのような町村は全町村の七三%、そこに生活する人口は全国の二五%に及んでいると述べております。また、三十五年から四十年の五カ年間における人口減少率を見ると、三〇%をこえるものが多数あり、中には約半分の人口減少を記録しているところすらある現状であります。
 このように、過疎といわれる地域では、年々人口の減少により、バス路線の廃止、学校の統廃合、これに伴う寄宿舎あるいはスクールバスの問題、また、医療に関しては、医者の不足による無医地区の増加、国民健康保険の赤字、さらには消防団員の不足という最悪の状態であります。緊急時には婦人さえも動員しなければならないところも発生しているのが現状でございます。そして、年々村はさびれていく一方であり、国の強力な対策が望まれているにかかわらず、現在の対策としては、山村振興法等により個々ばらばらに対処しているにすぎません。すなわち、抜本的総合対策がないゆえであります。そのため、十分な行政の推進ができず、財源対策もきわめて不十分であり、失望した人たちの流出は増すばかりであります。
 このような状態では、過疎地域に住む人々は、生活、文化の向上を望むことは、とうてい不可的な状態下にあり、憲法の精神からいっても、このまま放置できないというところまできております。政府は、これら過疎地域についての今後の具体的方途を明らかにしていただきたいのであります。これは、地方にとりましては非常に大問題でございますので、総理、大蔵、自治大臣の御見解をお伺いしたいと思います。(拍手)
 次に、地方公営企業についてお尋ねいたしすます。
 四十二年度末の事業数は六千百七十一であり、これは前年度に比べて百二十七の増加であります。その決算規模は一兆四千三百十三億円で、前年度対比一四・九%の増加となっておりますけれども、経営面は、依然として赤字が続いております。この中でも、法適用企業の経営状態は、単年度においても三百七十一億円の赤字、前年対比五十八億円も増加しており、また、累積赤字は一千四百四十一億円の膨大な額にのぼっているのであります。しかも、一般会計等他会計からの繰り出し額は、下水道、病院、交通あるいは水道、そして国民健康保険等で、地方公共団体の負担額は合計約一千三百三億円の多額に及んでおります。このような実情にあるにかかわらず、国と県は、わずかに二百三十六億円の補助しかしていないのが現状であります。今後も、従来のように、単に独立採算制の原則を強行するだけでは、公営企業は、もはやその経営を維持することが不可能な状況であります。御承知のとおり、全国的に都市化の現象が進むにつれて、公営企業の必要性はますます大きくなり、今後の建設費等の投資額も増大することは必然であります。
 また、再建団体に指定された企業職員については、他の一般地方公務員と同様なベースアップすらなかなか望まれないというような現状でありますが、最近の物価の上昇から勘案いたしますと、いつまでも経営赤字を理由に企業労働者のベースアップを押えることは、事実上不可能であります。現在の地方公営企業の赤字の原因は、単に内部の経営管理の問題だけではなく、企業を取り巻く外部的要素に基因するものであることを深刻に認識すべきではないでしょうか。(拍手)
 そこで、地方公営企業対策としては、国庫補助対象の拡大及び引き上げその他で地方団体の一般会計負担を軽減するとともに、低利並びに長期の起債、その他元利補給をする等、抜本的な措置を直ちに講ずる以外に道がないと考えております。今後、これら公営企業に対して、政府はいたずらに料金値上げ等をしいる政策をやめて、ただいま申し上げました抜本策を講ずることにより、住民福祉の向上につとめるべきであると考えますが、総理並びに大蔵大臣の考えを聞かせていただきたいと思います。(拍手)
 最後に、米軍基地に関する問題についてお伺いしたいと思います。
 昨年、わが党は百四十五カ所にわたる実態調査を行ない、各方面の関心を呼び起こし、当本会議場においてもその一部を述べたのでありますが、地方行財政においても、米軍基地による多くの障害が発生していることが、さらに明らかになっております。
 まず第一に、米軍基地があるために都市計画に支障を来たし、本来ならば、産業が発達し、住みよい都市づくりが可能であるにもかかわらず、逆に疲弊しているところが数多く存在するのであります。
 第二に、米軍等の基地のため、関係地方公共団体は、米軍人、軍属等の必要な各施設の整備や渉外関係その他、いわゆる基地公害対策のため多額の支出がしいられておるにかかわらず、他方、収入面においては、米軍人の住民税は非課税であります。また、膨大な数にのぼる米軍人、軍属所有の車両の税金に至りましては、六分の一から八分の一近くに軽減されていることなど、はなはだ不合理きわまる実情でありますが、こういう点について、総理は御存じなのかどうか。
 なおまた、基地交付金については、飛行場及び演習場の建物、工作物等、並びに米ドル資産が算定対象から除外され、その他、本来、固定資産税並みの五十億円となるべきものが、その半分の二十六億円という、算定基準の立たない、俗にいうつまみ支給を行なっている現状であります。関係市町村の不満は目に余るものがございます。
 以上のように、米軍基地をかかえた市町村の行財政は極度に圧迫されているのであります。結論すれば、現在の防衛政策は、地方公共団体と周辺住民の犠牲の上に成り立っているといっても過言ではありません。公明党といたしましては、米軍基地は一日も早く取り除くべきことを主張しておりますが、取り除くまでの当面の問題として、基地が撤去されるまでの間、これら関係市町村に対して国はどのような対処していくのか、総理の御見解をお聞きいたしたいと思います。
 以上、数点申し上げましたが、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#44
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 まず、四十二年度の地方財政の伸びが経済成長率より低い、かようになっているとの御指摘でありますが、これは四十二年度におきましては、公共事業費の繰り延べ等を中心とする景気調整策を実施し、地方財政にもこれに協力していただいたからであって、決して地方財政そのものを軽視したからではございません。このことは、四十四年度の地方財政計画におきましては、対前年度一八・五%と積極的な姿勢を示しておることからも十分おわかりいただけるのではないかと思います。今後の地方財政、地方行政水準の向上のため、必要な財源措置につきましては、この上とも十分配慮してまいる決意でございます。
 次に、大都市の財政需要の増加は、御指摘のとおりでありまして、このために、今回の地方税制改正におきましても、地方道路譲与税の譲与基準を改めて、大都市の道路目的税源の充実を行なうこととしたものであります。今後とも、その充実には努力してまいります。
 次に、過疎対策につきましてのお尋ねがありましたが、いまここで簡単に一口で申せる性格ではないと、かように考えております。要は、道路網の整備その他基礎的生活環境施設の整備等、各般の施設を総合的に行なっていくことであり、現在作業中の新全国総合開発計画におきましても、重要な課題としてこれを取り上げていくところであります。過疎対策は今後の重要な政策課題の一つとして、真剣に取り組んでまいる決意だけをこの際披露して、そうしてそれぞれの対策につきましては、具体的に取り組んでまいりたいと、かように思っております。この上とも御鞭撻のほどをお願いしておきます。
 次に、地方公営企業の問題についてのお尋ねがありましたが、これは大蔵大臣に答えさせることにいたしまして、私は、次の基地問題、基地周辺町村の財政の問題につきましてお答えしたいと思います。
 基地所在の関係市町村に対しましては、防衛施設周辺整備法による補助金の交付及び基地交付金等によりまして特別の財源措置を行なっているものであります。今後とも、実情に即した適切な配慮を払って、基地住民が特に不都合を、また不便をこうむることのないように、十分の措置を講じたいと思います。しかし、これはなるほど御指摘になりましたように、なお政府といたしましても、この上とも十分実情を把握して、そうしてそれぞれの対策なり必要な処置をとることが望ましい、かよう思います。私のほうも基地点検――公明党に劣らないように、政府は機関を持っておりますので、そういう意味で、努力してまいるつもりであります。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#45
○国務大臣(福田赳夫君) お答えを申し上げます。
 まず、四十二年度決算におきまして、地方自治団体の決算の伸びぐあいが国のよりは少ない、その理由につきましてのお尋ねでございましたが、これは白書に示されておりますとおりでありますが、一言つけ加えますると、そもそも予算は、経済計画、経済見通しを基礎にしてつくるわけです。これは中央も地方も同じでございます。その予算を実行するわけでございますが、予算の基礎になりました経済見通しに変化があった場合におきまして、どういう影響が中央、地方の財政に起こるかと申しますと、中央におきましては、その財源の主軸になっておる所得税、法人税、これがその所得の生じたその年度に収納になる、こういう関係から、直ちにその年にこの経済の伸び縮みの影響というものが出てくるわけです。ところが、地方財政の財源の主軸になっておる住民税の方は一年おくれになりますものですから、そこで一年おくれて景気の見通しとの違いが影響として出てくる、こういうことになる。それが四十二年度には端的にあらわれておる、かように御承知願いたいのであります。
 第二に、四十四年度におきまして六百九十億円の交付税交付金を留保した、これはどういうわけかということでございますが、これはもう臨時異常の措置であります。今後はこういう形はやりません。別の調整方式を考えるということにいたしたいと存じます。
 第三に、大都市の財源をどうするか、こういう問題でございますが、これは私としては、交付税交付金の任務が主軸になるべきものであるというふうに考えておるのであります。四十四年度におきましても、基準財政需要に都市需要というものを織り込むことに努力をいたしておりますが、また同時に、地方道路譲与税の配分につきましても、道路が都市におきまして非常に重大問題であるということにかんがみ、特別のくふうをいたすことにいたしておるのであります。
 過疎対策につきましては、いま総理からお話がありましたが、これは過密対策と同時に大問題で、長期的、全国的な一つの構想をつくらなければならぬと、いませっかく勉強中でありますが、さしあたり四十四年度におきましても、あるいは集落再編モデル事業でありますとか、広域市町村圏整備計画でありますとか、また、在来の山村振興計画でありますとか、さようなものに七百億円を上回る支出をすることにいたしております。これはむずかしい問題でありますので、ひとつ少し時間をおかしいただきたいと存じます。
 最後に、地方公営企業の問題は、先ほどもお答えしたところでございまするが、これは企業体でありますので、とにかく、何としても独立採算企業経営というものを中心にしてやっていただきたい。しかし、これは公共的性格のものでございますから、適正に努力をいたしましても足らずというところは、どうしても国や地方団体が援助しなければならぬ。それはもう当然のことでございます。これが無性格な援助になりますると、親方日の丸というようなことになりまして、これは国家的に最も悪い結果になってくる、こういうふうに考えます。注意してまいりたいと存ずる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣野田武夫君登壇〕
#46
○国務大臣(野田武夫君) お答えいたします。
 総理大臣並びに大蔵大臣からお答えいたしておりますので、なるべく重複を避けます。ただ、自治省を担任しておる私といたしまして、一、二触れておきたいと思いますが、たとえば、いまの大都市の財源、これはもうすでに総理からお答えいたしましたとおり、四十四年度におきましては、地方税改正にあたりまして、地方道路譲与税の譲与基準を大都市の道路目的税源の充実を行なうというように改正いたしましたが、これでもって足れりと思っておりません。この問題は、やはり国、地方を通じまする財源の再配分とも関連いたしまして、今後とも十分これの充実に努力したい、こう思っております。
 過疎対策につきましてもお答えいたしておりましたが、自治省といたしましては、すでに地方債の充当あるいは地方交付税の配分、こういうものを通じまして、これは特に重点的に考えまして、林道とか農道を含む道路網の整備とか、飲料水供給施設、通学施設等、基礎的な生活環境施設の整備を行なうことにいたしております。今後も道路網の整備、あるいは従来から推進いたしておりますいろいろの行政の措置を強力に進めるとともに、集落再編成、適地産業の振興等を検討いたしまして、できるだけ所要財源の一そうの充実をはかりたいと思っております。また、行政面で、特に過疎地域を中核とするいわゆる当該地域の広域市町村圏という構想も持っておりますし、あらゆる面におきまして過疎対策には最善の力を用いたいと考えております。
 米軍基地の問題、これもちょっとお触れになったようでございますが、これは御承知のとおり、防衛施設周辺整備法によりまして、補助金の交付及び基地交付金の交付等によって財源措置を行なっておりますが、基地所在におきます特別な財政需要に対しましては、今後、実情に適しましてひとつこれに財源措置をいたしたい、こういう考え方を持っております。
 なお、地方公営企業の赤字解消でございますが、これは地方公営企業法に財政の再建の規定を設けてありまして、財政再建計画の承認を受けました企業につきましては利子の補給を行なっております。現在のところ、いわゆる御指摘になりました金利の低減とかその他には力をいたしたいと思っておりますが、直ちに国庫補助をどうするかということは、いまのととろ考えておりません。ただ、地下鉄につきましては、先ほどもお答えしておきましたが、これはばく大な建設費を要しますので、この地下鉄の事業に対しましては、この一部を国庫でもって負担するような措置をとってもらいたいというので、先ほどもお答えしたとおり、三大臣間の覚え書きによって、四十五年度の予算で積極的な姿勢に移りたい、こう考えております。
 それから、公営ギャンブルの廃止の問題を御指摘になりましたが、今日まで公営ギャンブルにおける収益が地方財政に相当の寄与をいたしておることは、もう御承知のとおりでございます。しかし、いま相当の地方財政の財源にはなっておりますが、やはり公営ギャンブルの性質そのものから考えまして、私は、しばしばお答えいたしておりますとおり、その住民の自由意思によって廃止したいということであれば、何もこれを妨げるものではございません。繰り返して申しますが、地方住民の自主的な判断によって決定してもらいたい、こう考えております。(拍手)
#47
○副議長(小平久雄君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#48
○副議長(小平久雄君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時四分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        文 部 大 臣 坂田 道太君
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
        運 輸 大 臣 原田  憲君
        郵 政 大 臣 河本 敏夫君
        自 治 大 臣 野田 武夫君
        国 務 大 臣 荒木萬壽夫君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
        外務省アメリカ
        局長      東郷 文彦君
        農林政務次官  小沢 辰男君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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