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#1
第061回国会 本会議 第29号
昭和四十四年四月二十二日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十二号
  昭和四十四年四月二十二日
   午後二時開議
 第一 新東京国際空港公団法の一部を改正する
  法律案(第五十八回国会、内閣提出)
 第二 千九百六十八年の国際コーヒー協定の締
  結について承認を求めるの件
 第三 国際水路機関条約の締結について承認を
  求めるの件
 第四 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 第五 石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
    …………………………………
  一 国務大臣の演説(沿岸漁業等振興法に基
   づく昭和四十三年度年次報告及び昭和四十
   四年度沿岸漁業等の施策について)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 皇孫殿下御誕生につき天皇陛下並びに皇太子殿
  下に祝詞を申し上げるの件
 日程第一 新東京国際空港公団法の一部を改正
  する法律案(第五十八回国会、内閣提出)
 日程第二 千九百六十八年の国際コーヒー協定
  の締結について承認を求めるの件
 日程第三 国際水路機関条約の締結について承
  認を求めるの件
 日程第四 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
 長谷川農林大臣の沿岸漁業等振興法に基づく昭
  和四十三年度年次報告及び昭和四十四年度沿
  岸漁業等の施策についての演説及び質疑
    午後三時十九分開議
#2
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 皇孫殿下御誕生につき天皇陛下並びに皇太子殿下に祝詞を申し上げるの件
#3
○議長(石井光次郎君) 去る十八日、皇孫殿下が御誕生あそばされましたことは、全国民とともに私どもの心からお喜び申し上げるところでございます。(拍手)
 つきましては、議長は、本院を代表して、慶祝の意を表するため、御命名式当日、天皇陛下並びに皇太子殿下に祝詞を申し上げたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり、拍手〕
#4
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第一 新東京国際空港公団法の一部を改
  正する法律案(第五十八回国会、内閣提出)
    ―――――――――――――
#5
○議長(石井光次郎君) 日程第一、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#6
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。運輸委員会理事阿部喜元君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔阿部喜元君登壇〕
#7
○阿部喜元君 ただいま議題となりました法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、新東京国際空港の建設に資するため、新東京国際空港公団に対して、政府が土地または土地の定着物を追加して出資することができることとし、土地または土地の定着物が出資された場合における空港公団の資本金に関する規定、出資の目的とする土地等の評価に関する規定その他の関係規定を整備しようとするものであります。
 本案は、昭和四十三年二月、第五十八回国会に提出され、四月九日付託、十二日政府から提案理由の説明を聴取し、自来、本委員会において継続審査となっておったものであります。
 今国会においては、二月二十五日、同二十八日質疑を行ない、同日質疑を終了いたしましたが、その内容は会議録により御承知願います。
 かくて、四月十八日、討論に入りましたとこり、日本社会党を代表して内藤良平君から反対の同論が行なわれ、採決の結果、本案は起立多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を安員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#9
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 千九百六十八年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件
 日程第三 国際水路機関条約の締結について承認を求めるの件
#10
○議長(石井光次郎君) 日程第二、千九百六十八年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件、日程第三、国際水路機関条約の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
#11
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。外務委員長北澤直吉君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔北澤直吉君登壇〕
#12
○北澤直吉君 ただいま議題となりました二案件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、千九百六十八年の国際コーヒー協定は、千九百六十二年の協定にかわるものとして、一九六八年二月十九日、ロンドンで開催された国際コーヒー理事会において、その協定が採択され、署々のため開放されたものでありまして、わが国は、一九六八年三月二十六日、この協定に署名をいたしました。
 本協定は、世界におけるコーヒーの需要の均衡及び価格の安定をはかることにより、発展途上国を主とするコーヒー生産国の経済の発展に資することを目的とするものであります。
 そのおもな内容は、輸出割り当ての設定、生産規制、生産過剰であるコーヒー栽培の耕地を他の農産物栽培に転用させるための多角化基金の設立、非加盟国からの輸入制限、消費増大を促進するための振興計画等について規定いたしております。
 次に、国際水路機関条約について申し上げます。
 世界の航海を一そう安全にする目的のため、各国の水路官庁との間の協調をはかるための国際機関として、わが国も加盟している国際水路局がありますが、その基本文書であるところの国際水路局規約は、同局の内部規則にすぎないため、現状に適合しなくなり、かつ、業務遂行上不便の点が生じてまいりました。
 そこで、国際水路局を改組して国際水路機関とするとともに、名実ともに整った国際機関にするために、一九六七年にモナコで開催された第九回国際水路会議において、本条約が採択され、署名のため、同年十二月三十一日まで開放しておかれたので、同年十二月十九日、パリのモナコ公国公使館において、わが国はこの条約に署名を行なった次第であります。
 本条約は、世界の海運国の水路官庁間の協調、水路業務に関する情報及び資料の交換、海図等水路図誌の国際的統一を促進すること等を目的として、国際水路機関を設立し、同機関には国際水路会議と国際水路局とを置くこととし、その任務を明らかにするとともに、執行機関たる理事会の構成及び本水路機関に与えられる特権、免除並びに加盟国が支払う分担金等について規定しております。
 本二案件は、ともに二月二十五日外務委員会に付託されましたので、政府から提案理由の説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承願います。
 かくて、四月十八日、質疑を終了し、討論を省略して採決を行ないましたところ、本二案件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(石井光次郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第二につき採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#14
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
 次に、日程第三につき採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第四 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#16
○議長(石井光次郎君) 日程第四、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、日程第五、石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
#17
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。石炭対策特別委員長平岡忠次郎君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔平岡忠次郎君登壇〕
#18
○平岡忠次郎君 ただいま議題となりました石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、並びに石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、石炭対策特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のとおり、深刻な事態にある石炭鉱業の再建整備をはかるため、先般の石炭鉱業審議会の答申に基づき、昭和四十八年度を目標として新石炭対策が実施されることになっておりますが、両案は、いずれもその根幹をなすものであります。
 まず、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、石炭鉱業の現状に対応して、石炭鉱業の整備の円滑化をはかろうとするものであります。
 そのおもな内容は、
 第一に、石炭鉱業合理化基本計画の目標年度を三年間延長して、昭和四十八年度に改めること。
 第二に、昭和四十四年四月一日から昭和四十六年三月三十一日までの間に企業ぐるみ閉山を行なった石炭会社に対し、その会社の従業員関係債務、鉱害賠償債務、買い掛け金等の債務及び一般金融債務について、政令で定める方法により算定した金額の合計額を石炭鉱山整理特別交付金として交付することができること。
 第三に、採掘権者または租鉱権者が毎年石炭鉱業合理化事業団へ納付する納付金の限度額を、トン当たり四十五円から五十五円に引き上げること。
 第四に、通商産業大臣は、石炭の安定的供給の確保に支障を生ずるおそれがあると認めるときは、鉱業権者もしくは租鉱権者、または石炭販売業者に対し、石炭販売数量等について共同行為の実施を指示することができること。
 第五に、通商産業大臣は、石炭鉱業の合理化をはかるため、採掘権者または租鉱権者が協力して事業活動を行ない、または事業の一体的運営が特に必要であると認めるときは、必要な勧告をすることができること等であります。
 次に、石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、石炭鉱業の現状にかんがみ、その再建整備の促進をはかろうとするものであります。
 そのおもな内容は、
 第一に、一定量以上の採掘可能鉱量を有する石炭会社は、すでに再建整備計画の認定を受けているものは、保安確保に関する事項の追加等について変更を行ない、その他のものは所定の再建整備計画を作成し、通商産業大臣の認定を求めることができること。
 第二に、政府は、再建整備計画の認定を受けた会社が、昭和四十四年五月一日現在において負担する長期金融債務、経過金融債務及び従業員関係債務の各借り入れ契約等について、償還期間、利率等、その内容を一定の条件に適合するよう変更したときは、再建交付金交付契約をその会社と結ぶことができること。
 第三に、再建交付金交付契約にかかわる借り入れ金及び債務の元本の額の総額は一千億円を限度とすること。
 第四は、再建交付金交付契約の対象となった借り入れ金について、石炭会社が金融機関に差し入れている担保を再活用して、昭和四十五年三月三十一日までに新たに金融を受け、その後、昭和四十九年四月一日以後に石炭の生産事業を廃止したため再建交付金交付契約が解除された場合には、金融機関に対し、担保の解除によって生じた損失を補償すること等であります。
 両案は、去る三月十八日当委員会に付託され、三月十九日大平通商産業大臣よりそれぞれ提案理由の説明を聴取し、自来、慎重に審査を行ない、四月十八日に至り、質疑を終了し、一括討論に入りましたところ、日本社会党を代表して岡田利春委員より、両案に反対、民主社会党を代表して田畑金光委員より、両案に賛成、公明党を代表して大橋敏雄委員より、両案に賛成の意見が述べられました。
 続いて、まず、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案について採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し、産炭地域中小商工業者に対する中小企業対策の強化、鉱害復旧事業量の大幅増大、無資力調整交付金の拡充、産炭地域振興事業団の機能の拡充強化及び産炭地域地方財政の援助等について、全会一致をもって附帯決議が付されました。
 次いで、石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案について採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し、将来の炭田開発の展望等を考慮し、企業の実態に即応する新石炭対策の弾力的運用をはかることについて、全会一致をもって附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(石井光次郎君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#20
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説(沿岸漁業等振興法に基づく昭和四十三年度年次報告及び昭和四十四年度沿岸漁業等の施策について)
#21
○議長(石井光次郎君) 農林大臣から、沿岸漁業等振興法に基づく昭和四十三年度年次報告及び昭和四十四年度沿岸漁業等の施策について発言を求められております。これを許します。農林大臣長谷川四郎君。
    〔国務大臣長谷川四郎君登壇〕
#22
○国務大臣(長谷川四郎君) 昭和四十三年度漁業の動向に関する年次報告及び昭和四十四年度において沿岸漁業等について講じようとする施策につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和四十三年度漁業の動向に関する年次報告について申し上げます。
 昭和四十二年の漁業生産量は、七百八十五万トンと、これまでの最高を記録いたしましたが、水産物に対する需要は、国民所得水準の上昇に伴って増大し、生産の伸びを上回っております。したがいまして、水産物の輸入は、中高級魚介類を中心に引き続き増加をしております。また、水産物の価格は、生産地ではスケソウダラの豊漁の影響もあって前年より五%の上昇にとどまりましたが、消費者価格は、需要の強い中高級魚介類や多獲性魚類の供給量がまだ不十分なこと等により前年より一一・五%上昇いたしました。
 次に、漁業経営体数は約二十二万八千で、近年の傾向としてはほぼ横ばいであります。しかし、内部では無動力船経営体が減少し、浅海養殖経営体及び動力船経営体が増加しております。漁業就業者数は、前年より二・四%減って六十万人台を割るとともに、中高年齢層の比率が一そう高まりつつあります。
 沿岸漁家の平均所得は百十万円となり、都市勤労者世帯の平均実収入を上回りましたが、一人当たり所得で見れば、都市勤労者よりまだかなり低位にあります。
 中小漁業経営では、収益性は、全体として見ると前年よりかなり好転してはおりますが、漁業の種類や経営規模により格差が見られます。
 また、大規模漁業経営では、資源の減少や国際的制約のため、最近一般に収益性が低下いたしております。
 なお、わが国の漁業をめぐる内外の諸情勢はきわめてきびしいものがありますが、これに対処して国民の必要とする動物性たん白食糧の安定的供給を確保するため、さらに生産の増強につとめるとともに、あわせて漁業所得の増大をはからなければならないと考えております。
 以上が第一部の概要であります。
 次に、第二部、沿岸漁業等について講じた施策は、昭和四十二年度を中心といたしまして、おおむね沿岸漁業等振興法第三条に掲げる施策の項目に従って記述したものであります。
 最後に、昭和四十四年度において沿岸漁業等について講じようとする施策について申し上げます。
 ただいま御説明いたしました漁業の動向に対航するために、政府といたしましては、沿岸漁業等振興法の定めるところに従い、四十四年度におきましては、新漁場の開発等水産資源の維持増大、漁港等漁業の生産基盤の整備、水産物の流通加工の合理化、沿岸漁業及び中小漁業の近代化に重点を置いて諸施策の推進をはかることといたしております。
 以上、昭和四十三年度漁業の動向に関する年次報告及び昭和四十四年度において沿岸漁業等について講じようとする施策につき、その概要を御説明いたした次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説(沿岸漁業等振興法に基づく昭和四十三年度年次報告及び昭和四十四年度沿岸漁業等の施策について)に対する質疑
#23
○議長(石井光次郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。米内山義一郎君。
    〔米内山義一郎君登壇〕
#24
○米内山義一郎君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま農林大臣から御説明のあった昭和四十三年度の漁業白書について質問をいたします。
 この白書の中で最も注目しなければならない問題は、沿岸漁村の問題と魚類の需給関係と価格の問題であろうと思います。白書はこれを明らかにしているのでありますが、単なる記述にとどまっており、その原因を探究することもなく、問題の所在やその本質にはことさらに触れようともしていないのであります。水産問題一般の中において、特に沿岸漁村の問題が今日のような崩壊状態にあるのはいかなる理由によるものか、それを明らかにし、同時に、その進むべき方向を明確にしてこそ、年ごとに発表される白書が、単に漁業関係者だけでなく、広く国民の指針ともなり、大いにその効用を発揮できると思うのでありますが、毎年同じような批判を受けながらも、依然として一歩の前進もないのはきわめて遺憾であります。
 今次の白書は、沿岸漁業に就業する人口は初めて六十万人台を割り、しかも、老人化と婦人化の傾向の強まっていることを明らかにしています。すなわち、六十歳をこえる老年層は一八・三%にも及んでおり、全就業人口の過半は婦人と五十歳以上の高年齢層で占められておるのであります。その反面、三十歳未満の青年層は一七・七%で、六十歳以上層よりも少ないのであります。さらに、二十歳未満の若年層においては四・五%にすぎなく、このことは、このまま推移するならば、遠からずして沿岸漁業は救いがたい困難におちいることを意味し、同時に、これに対応する政策を緊急に要求しているものと判断すべきであろうと思うものであります。したがって、政府は、この際、特に沿岸漁業振興について長期の展望に立って、その場を糊塗するものではなく、計画的にその方法と手段と目標を国民の前に明らかにする責任があると思いますが、これに対して総理の所信を伺いたいのであります。
 いまさら申すまでもなく、わが民族の生々発展を歴史的に見る場合、その生命力の根源に魚のあったことを見落とすわけにはまいりません。もし欧米のように動物性たん白質食糧を陸上動物によってまかなうものであったとすれば、その点からも、今日のように一億という人口をとうてい包容することはできなかったのであります。しかるに、今日、水産資源の培養、開発、さらにはその利用について、この観点を明確にしていないのははなはだ遺憾にたえないのであります。
 今日なお、魚類を食生活の中において、いわゆるおかず、すなわち、副食として考える傾向は強いのでありますが、今後の消費の動向から見ましても、わが国の置かれている地理的な条件から見ても、食糧政策の中において、でん粉質食糧と並んで、畜産、酪農とともに第二の主食糧として明確な位置づけが何よりも重要なことと思います。わが国の政治、経済の中において、国民食糧の問題をどのような位置に置くか、そうして、その中において水産問題をどのように位置づけするか、それが計画的な水産振興政策の出発点にならなければならぬと思います。たとえば、わが国の経済において、鉱工業生産は主人の座にあるとするならば、食糧生産は主婦の座を占めなければならぬものと私は強く主張するのでありますが、これに対して総理の見解を特にただしておきたいと思います。
 次に、資源の問題であります。
 海洋の資源といえども、決して無尽のものではありません。かつてわれわれは、イワシやニシンの大半を肥料にしていたのでありますが、今日、これらのものはきわめて貴重なものになっております。しかるに、今日までの政策を見れば、その根底に水産資源無尽蔵という思想が払拭されていないのであります。資源の乱獲が放任状態に置かれているだけではなく、鉱工業の発展に伴い、河川、湖沼等の陸水面のみならず、その公害は海湾までを侵し、漁場の荒廃は果てしもなく拡大しております。総理も、サンフランシスコの港内でアメリカ人が今日でもマスなどつって楽しんでおる写真などを見られることもあろうかと思いますが、世界に例を見ない、このわが国の自然破壊と天然資源荒廃に対して全く手をこまねいておる現状を、総理はどうお考えになるでございましょうか。
 私は、天然資源というものは、単に水産資源だけではなく、たとえ一草一木に至るまで前世代からこれを受け継ぎ、これを後世に伝えるべきものであると思います。そしてこれは、単に経済の問題ではなく、さらに広く人生との深い関連性を持つものであります。川があっても魚の影もなく、海べがあっても貝も生息しなくなりつつあるこの現状は、魚族だけではなく、人間にとっても決して幸福なものではありません。私は、これくらいのことは、佐藤総理の心がけ一つで解決できるはずのものであるとも考えるし、一国の政治の責任の地位にある人物には、それくらいの豊かな心情があってしかるべきものと思うものであります。(拍手)まず、そういう考えがあり、そうして、それが総理の口から発表され、そうして具体的な政策となってあらわれるべきものであると思うのであります。このことに対して総理の所感と方針、政策をお尋ねしたいのであります。
 次に、農林大臣にお尋ねすることは、まず、総理によって資源の培育を阻害しておる一切の公害等を除去した上で、すみやかに漁場の回復をはかり、そうして積極的な資源の培育をはかる問題についてであります。
 そのために特に重要でありますことは、陸上と違って、相手は一見単純には見えますが、大自然でありますので、畜産や農学以上の高度の科学性と大型の技術を必要とするものであるのは当然であります。しかるに、農林大臣の所管である農林水産技術会議なるものは、きわめて観点が低く、依然として水産軽視であり、農林技術偏重の傾向が強いと思われるのであります。生産の現場から遊離した研究は、いかに質的に高度であっても、これを大量化する技術に発展させ、すみやかに生産と国民生活に寄与するものでなければならぬと思うのであります。さらには、現場の大衆が苦労をしている経験は無数にあるのでありますが、これにも研究機関は積極的に支援と協力を惜しむべきではないと思います。民間の多数の経験を集約し、これを総括し、科学的な理論づけをしてこれを現場に返す、このような民主的な試験研究の心がまえと体制を確立することによって普遍的に技術が普及し、拡大発展を見ると思うのでありますが、大臣の所信を伺いたいのであります。
 次に、流通機構の問題であります。
 産地の市場は三%程度の手数料であるのに、生産物が集中する都市の荷受け市場の手数料は五%にも及んでおるのであります。さらには、生産者の仕切りまでごまかすという今日の複雑怪奇であり、かつ迂回、遠回りに過ぎている流通機構を、もっと簡素にして明瞭なものにしなければならぬと思うのであります。そうして生産地と消費地をもっと直結するよう、たとえば生産者団体等に上る消費地の冷蔵庫等を助成、奨励すべきと思いますが、その考えはあるかないかをお尋ねしたいのであります。
 さらに、大臣の報告にもありましたが、スケソウダラ等の多獲魚の利用が不十分であるということであります。
 今日、数十万トンの可食部分が、直接家畜の飼料になっている現状であります。これは国家的に見ても資源の浪費と思うのであります。政府としては、これらの水産物の高度利用に対して、積極的な政策をもって臨むべきであると思うのであります。政府にはその方針があるかどうかを承りたいのであります。
 以上をもちまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) まず、漁業白書が単に事実の記載のみにとどまっているとのおしかりでありました。私も、国民の漁業に対する最大の関心事は、漁業が転機にあるということを指摘することではなく、どうしたらその困難な局面を打開できるか、その点が聞きたいのだと考えております。そういう意味で、漁業の動向について生きた分析を行ない、今後の施策の方向を示すことは、漁業白書の当然の責務であり、今回の白書がこのことに全然触れておらないというのではありませんが、今後一そうその内容の充実につとめてまいります。このことをお約束したいと思います。
 次に、私も、御趣旨のとおり、長期的な観点に立って水産行政を総合的に推進すべきである、かように考えております。ただ、最近の漁業をめぐる情勢の変化はきわめて急なものがあり、かつ、水産資源の動きや漁場環境が流動的であるといった事情もあり、なかなか確固たる長期見通しを立てるのはむずかしい条件がありますが、できる限り的確な長期見通しを立てるよう、この上とも勉強してまいりたいと考えております。
 最後に、水産資源利用についての基本的な考え方についてお尋ねであります。漁業の主要目的は、これは何といいましても、国民にたん白食糧を豊富、低廉、安定的に供給することにある限り、そうして、供給が急増する需要に追いつかず、値上がりと輸入増大を招いている限り、難局を突破する主たる方向が、未利用資源の開発と有効利用、沿岸資源の積極的増殖などに求めなければならないことは、あらためて申し上げるまでもありません。沿岸漁業、遠洋漁業を問わず、今後とも積極的に水産資源利用について配慮してまいります。
 お説のとおり、公害から自然を守り、そうして一木一草といえども世のためになるように、この上とも努力していかなければなりません。その意味では、天然資源の確保、これが最も大事なことだと思います。この点はお説のとおりであります。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣長谷川四郎君登壇〕
#26
○国務大臣(長谷川四郎君) 生産対策を推進するためにとの御質問でございました。漁業の生産対策を推進する上で、漁業技術の改良、普及、これを進めることが最も重要であります。したがって、水産業改良普及事業による水産業の専門技術員及び改良普及員の活動強化をはかっているところでございますが、漁業系統組織においても、現場に密着した簡易な技術の普及をはじめとして漁業者の技術指導に当たっていることは、きわめて望ましいことであると考えておりまして、このためには、漁業に対する改良普及員と協力して、漁民の技術向上のための教育指導事業を活発に行なおうと指導しているところでございます。
 さらに、水産技術会議につきましては、御承知のように、農林水産業に関する試験研究は、変化する農林水産業の動向に即応して総合的、効率的に推進をし、かつ、その成果は円滑に普及に移される必要があるので、農林水産技術会議においては、従来とも、そのような方向で努力をしてまいっているところでございます。
 さらに、水産物の価格、これは漁業生産が増大しておりますが、他面、旺盛な需要の増加とその内容の高度化の結果、ここ数年上昇の傾向をたどっております。しかも、生産価格と消費者価格との格差も開きつつあることは、御指摘のとおりでございます。これに対する対策といたしましては、基本的には、供給量の増大を積極的にはかるとともに、流通機構につきましても種々問題があると考えられるので、特に本年度の予算をごらんになればおわかりのように、産地冷蔵庫の施設、あるいはまた加工施設の建設、冷凍魚の消費普及等の施策を進めるほか、流通の近代化資金等の融通によりまして、流通機構の改善、合理化を進めてまいっているところでございます。
 スケソウダラにつきましては、魚介類、特に多獲性魚の高度利用につきましては従来から各種の技術開発を進めてまいりましたが、本年度からは、さらに魚介類について、新しい液化たん白の開発及び新しい形態の食品の開発研究を強化してまいる考え方でございます。
 最後に、わが国の沿岸漁業については、現行漁業法に基づいて漁業権の免許等を行ない、沿岸漁業に従事する者によって水面の総合的利用をはかっているところでございまして、近年の漁業技術の進歩発展、漁船の大型化、近代化等が急速に進むに及んで漁場利用が複雑化しているとともに、沖合い漁業と沿岸漁業の調整がきわめてむずかしい問題となってきておりますので、今後、漁業秩序の維持に万全を期してまいる考え方でございます。(拍手)
#27
○議長(石井光次郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#28
○議長(石井光次郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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