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#1
第061回国会 本会議 第31号
昭和四十四年四月二十四日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十四号
  昭和四十四年四月二十四日
   午後四時三十分開議
  一 国務大臣の演説(四月十五日の日本海に
   おける米機撃墜事件について)
    …………………………………
 第一 北方領土問題対策協会法案(内閣提出)
 第二 通行税法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
 第三 地方交付税法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 第四 海外移住事業団法の一部を改正する法律
  等の一部を改正する法律案(外務委員長提
  出)
 第五 地価公示法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 愛知外務大臣の四月十五日の日本海における米
  機撃墜事件についての演説及び質疑
 日程第一 北方領土問題対策協会法案(内閣提
  出)
 日程第二 通行税法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第三 地方交付税法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 日程第四 海外移住事業団法の一部を改正する
  法律等の一部を改正する法律案(外務委員長
  提出)
 日程第五 地価公示法案(内閣提出)
    午後四時四十分開議
#2
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(石井光次郎君) 御報告いたします。
 本日、紀宮清子内親王殿下の命名の儀にあたり、議長は、本院の決議に基づきまして、皇居において、天皇陛下並びに皇太子殿下に祝詞を申し上げました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説(四月十五日の日本海におけ
  る米機撃墜事件について)
#4
○議長(石井光次郎君) 外務大臣から、四月十五日の日本海における米機撃墜事件について発言を求められております。これを許します。外務大臣愛知揆一君。
    〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#5
○国務大臣(愛知揆一君) 四月十五日、日本海上空において米軍偵察機EC121型機が北鮮側に撃墜された事件に関し、経緯等の概要を御報告いたします。
 四月十五日午時三時半ごろ、平壌放送は、北朝鮮人民空軍が、北朝鮮の領空深く侵入した米国偵察機を撃墜したと放送いたしました。在京米大使館よりは、米国防省及び国務省の本件発表内容を通報してまいりましたが、この発表は、北朝鮮の清津南東九十五マイルの日本海海上において、厚木に基地を置く乗員三十一名の四発プロペラ海軍機EC121の捜索救難活動が行なわれており、同機は同日午後二時ごろから行くえ不明になっていること等を明らかにしたものでありました。
 米側の捜索は、米機数十機及び米軍艦四隻により、ソ連駆逐艦二隻及び若干の航空機の協力のもとに行なわれた模様でありますが、乗員二名の遺体のほか、機体の破片、パラシュートなどが発見されたのみで、結局捜索活動は四月二十日をもって打ち切られたとのことであります。私は、この機会に、この事件でとうとい生命を失った搭乗員に対し深い哀悼の意を表明いたすものであります。
 本事件に関し、オズボーン駐日米国臨時代理大使は四月十六日私を来訪し、当該米軍機は、いかなる時点においても北朝鮮の海岸から四十海里以内には絶対に入っていないことを米国政府として保証する、このことは、レーダーその他の確実な根拠に基づくものである旨申し越してまいりました。私は、その際、本件が平和的に解決されることを希望する旨、わがほうの見解を米側に伝えたのであります。
 米国政府は、事件発生以来きわめて冷静かつ慎重に本件に対する対処ぶりを検討した模様であります。四月十八日ニクソン大統領は、記者会見において、本件に関する米国政府の見解及び対策について、当該機はいかなる時点においても北朝鮮の沿岸四十海里以内に立ち入っておらず、このことは、米側レーダーによってわかっており、また、北鮮レーダーもこのことをとらえており、したがって、これは無警告かつ計画的な攻撃であったことを強調するとともに、事件発出後中止していた本件偵察行動を護衛つきで再開することを命じた旨発表いたしました。
 一方、板門店において、四月十八日午前十一時から第二百九十回軍事休戦委員会が開催されました。この会談において米側は、公海上空にあって完全に合法的な偵察活動に従事していた米軍機の撃墜は、自衛行為ではなく、計算された侵略行為である旨を指摘し、北鮮が将来同様の事件が起こらないよう適切な措置をとるよう望むものであるとの趣旨を発言した旨発表されておりますが、この会談はもの別れになったようであります。
 米国の偵察活動再開決定後、これまでの捜索救難のため日本海に派遣されていた米国軍艦のほかに、米国の航空母艦、巡洋艦、駆逐艦等が対馬海峡を通過し日本海に入りましたが、四月二十二日朝米国防省は、航空母艦四隻、エンタープライズ、レーンジャー、タイコンデラゴ、ホーネット、巡洋艦三、駆逐艦十六からなる第七十一機動部隊が編成された旨発表し、在京米国大使館よりも同様の連絡がありました。なお米側は、護衛機が在日米軍基地から発進することはない旨、わがほうに連絡してきております。
 以上、本件の事実関係につき概要を御説明いたしましたが、最後に、本事件に関する政府の基本的見解を明らかにしておきたいと存じます。
 北朝鮮側は、いわゆる祖国統一政策に基づき対韓工作を積極化し、これが原因となって朝鮮半島において緊張した情勢が続いております。これはプエブロ号事件と前後して起こった韓国大統領官邸襲撃事件や韓国東海岸における武装ゲリラ上陸事件等に見られるとおりであり、今回の米軍機撃墜事件は、このような朝鮮半島の緊張を背景として起こったものと見られるのであります。
 前述いたしましたように、米側は、当該偵察機は、いかなる時点においても北鮮沿岸から四十海里以内に立ち入っていない旨保証いたしておりますが、このことから考えますと、当該米軍機は終始公海上において行動していたのでありまして、これを撃墜した北朝鮮の行為は、国際的にも非難さるべきものと考えるのであります。(拍手)
 米国政府の偵察飛行再開決定後、日本海において航空母艦等の米国艦艇が行動を開始いたしましたが、その目的は、北鮮側による不法行為の発生を防止し、合法的な偵察活動が円滑に行なわれるよう措置するにあり、今日の状況では、本事件がさらに拡大していくとは考えません。本件はわが国周辺地域で発生したことでもあり、政府は、日本を含む極東の平和と安全の見地から重大な関心を持っておりますので、米国政府とも本件に関し緊密な連絡を保っている次第であります。
 なお、日本海における米国艦艇の行動に関連する日本漁船の安全につきましては、政府はかねてから米側に対し、日本漁船の操業状況等を詳細に通報し、その安全に配慮方要望してきておりますが、四月二十二日、外務省より米側に重ねて要望いたしておきました。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説(四月十五日の日本海における米機撃墜事件について)に対する質疑
#6
○議長(石井光次郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山田久就君。
    〔山田久就君登壇〕
#7
○山田久就君 私は、ただいまの外務大臣の演説に関連いたしまして、自由民主党を代表いたしまして、重要と認められる二、三の点について質問し、さらに政府の見解をただしておきたいと存ずる次第であります。(拍手)
 去る四月十五日の平壌放送の伝えるところでは、北鮮側は、米大型偵察機一機を撃墜したこと、及び同機は偵察のため北鮮北半部の領空に深く米軍が浸透させるという重大な挑発行為を犯した旨を発表しておるのであります。しかしながら、米国政府は、確実な証拠に基づき、同偵察機は朝鮮海岸から四十海里以内には立ち入っておらない旨の保証を正式に日本政府に与えているのであります。ちなみに、同偵察機は、時速約六百キロで、北鮮にあるミグ戦闘機の速力の三分の一程度の速さしか持っておらない、武装もしていないし、かつ、領海外から十分偵察の目的を果たし得る性能を持ったものであると了解されているのでありまして、以上の事実から考えてみますると、侵犯の事実があったかどうか、また、この際の挑発者がいずれであったかということは、ほとんど明らかであると思うのであります。
 また、外電の伝えるところによりますると、昨二十三日北朝鮮当局が発表した政府声明において、朝鮮の平和を維持するためには、外国軍隊はすべて朝鮮休戦協定に定められたとおり韓国から撤退すべきであると、こう述べて、あたかも韓国にある国連軍が休戦協定違反の行為を行なっているかのごとき声明を行なっているのでありまするが、これは全く事実に相反していることに注目する必要があると思うのであります。すなわち、一九五三年の朝鮮休戦協定の第四条によれば、朝鮮問題の平和的解決を確保するために、双方の軍司令官は、双方の政府に対して、休戦協定が署名されて効力を生じた後、三カ月以内に、これらの国の政府がそれぞれ任命する代表からなる一そう恒久的な政治会議を開催して、すべての外国軍隊の朝鮮からの撤退、朝鮮問題の平和的解決その他の諸問題を、交渉において解決するよう勧告すると定められていることは、御承知のとおりであります。
 したがって、翌五四年の六月にジュネーブで十六カ国の国連軍関係の各国政府代表と北鮮政府代表との問に会議が開催されたのでありますが、同会議において、北朝鮮側が主として二つの重要な問題点、すなわち、一つは、朝鮮における国連の権威と権限を絶対に認めようとしなかったこと、また一つには、自由選挙を不可能にするような手続を固執して、国連監視下での自由選挙を拒否しておるのでありまして、自来、北鮮側がこの立場を固執しているために、平和的解決が不可能なまま今日に及んでいることは、御承知のとおりであります。
 昨今のわが国における外交論議を見ておりますと、いたずらに現象的な表面の動きにとらわれて、そのような問題が一体いかなる原因によってつくり出されているのであるかという、最も重要な問題点があまり客観的に究明されないで、表面的にあらわれている事柄だけでものを判断しようとしたり、あるいは感情論やイデオロギーを主とした姿勢で結論だけが争われているという、いわば外交論としては次元の低い論争が多きに過ぎるということは、きわめて遺憾なところであります。(拍手)
 このたびの米機撃墜事件と関連して日本海の緊張が増大されていることは、ある程度事実でありますが、一体、この緊張状態というものは、冷静に、かつ客観的に評価してみて、どのような原因が作用しており、そして根本的な要因は何であるのか、この点が究明されることが一番大切な点でございます。まず、この点についての政府の判断がどのようなものであるか、総理の見解をお伺いしたいのであります。
 問題の偵察行為に関してでありますが、あたかも、これが何か異常な行為であるかのごとき前提に立って非難をする者がありますが、現在の不安定な国際環境において、この種の行為は、遺憾ながら各国ともそれぞれ安全保障の必要上から通常行なっている種類のものであって、しかも、現状ではやむを得ない自衛措置として容認されている慣行なのであるというこの事実を、まずよく承知しておかれる必要があると思うのであります。(拍手)この種の行為で領空海の侵犯事件も、これまた時に起こっているということも事実であります。しかし、そのような際でも、沿岸または領空国は、これに警告を発して退去を命ずるとともに、自後、平和的な外交手段により厳重に侵犯国に対して抗議を行ない、将来これを繰り返させないよう、相手国の保証を求めるというやり方が通常の国際慣例なのであります。(拍手)強制着陸や回航を命ずるのは、通常の場合むしろ例外であり、いわんや無警告に攻撃を加えることは、たとえ侵犯があった場合でも、全く国際慣例に反する異常な過剰防衛措置なのであります。このような慣例は、問題を正しく理解する上におきまして、十分承知しておく必要があると考えるのであります。(拍手)
 しかも、今回の事件が客観情勢上むしろ公海上における不法行為である可能性を十分に示しているとき、相も変わらず、ある種の勢力は平和勢力、また他の勢力は侵略勢力などと、動きのとれないイデオロギーに立脚した外交評価が依然として存在しているのであります。(拍手)中ソがすでに戦闘を交えるに至った現実のもとでは、全く意味をなさない見方であるにかかわらず、この種の非現実的な見解で国際外交を判断するものがいまなお存在しているのは、まことに遺憾であります。(拍手)国民が誤った判断を下さないよう、政府はこの際、必要な事実を、また緊張のより根本的な原因を、よく国民に示す必要があると思われるのであります。
 特に、朝鮮半島の状況、とりわけ、北鮮が日本及び米国に向かってどのような言動を行ない、姿勢をとっているのか、その実情があまり国民に知られていないのであります。現在の緊張を生んでいる一つの大きな要因であると認められる事柄であるので、外務大臣より、ありのままの事実を具体的に御説明願いたいと思うのであります。
 次に、偵察行為は、現国際情勢下においては、大体いずれの国も行なっておることはすでに指摘しました。現に、東側のソ連は、日本の周辺に対してはほとんど定期的に海、空とも偵察を実施しており、かつ、領域の侵犯もときどき起こっているようでありますし、また、米海岸でのソ連情報艦の領海侵犯も行なわれていると了解しているのでありまするが、国際間に現に行なわれている実情をまず十分知っておく必要があると考えるのであります。(拍手)ソ連が現に行なっている偵察行為の現況及びソ連のわが領域への侵犯行為に対して、一体わが国はどのような外交上その他の措置をとっておるか。また、ソ連がその他の外国、ことに米国などに対して実施している偵察行為の実情を防衛庁長官、また、領域侵犯に対してとった対ソ措置については外務大臣から、それぞれ、これは重要な参考事項と考えまするので、御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。(拍手)
 私は、このたびの事件は、北鮮の挑発行為によるものであると認めるざるを得ない客観的な証左が大であるにもかかわらず、米国が直接報復措置などに訴えていないことを歓迎もし、かつ評価をするものであります。がしかし、このたびの事件に関連いたしましてとられた米国の対応措置が、たとえ北鮮側の挑発に原因した自衛行動であったとしても、結果として極東の緊張を増大するようなことになっているかどうか、これを判断する決定的な要因は、中国及びソ連が、一体このたびの事態に対して、はたしていかなる態度に出ているであろうかという点を見る必要があると思うのであります。当該の国際紛争を重大視しなければならないものと見るかどうかの判断は、なお国際関係の底流に根強く存在している米対ソ・中の対立がどれほど強く当該事件の中に反映しているかどうかによって左右されるのが、国際関係の実情なのであります。
 そこで、中ソが一体このたびの事件及びその後の情勢に対しどのような反応を示しているか。私の承知する限りでは、きわめて慎重な態度をもってこれに対処しておる、こういうふうに了解しているのでありまするが、すでに申し述べたような観点からいたしまして、この点はきわめて重要な問題点であると思われるので、政府の見るところを総理大臣あるいは外務大臣よりお伺いいたしたいと思うのであります。
 最後に、この種の偵察行為やその護衛措置によって日本が戦争に巻き込まれるのではないかとの懸念が野党の一部から表明されておりますが、日米安全保障条約は、今日、世界最強の米国に日本の防衛を義務づけているという点からいたしましても、また、日本に武力侵略が加えられなければこの条約は発動されないという基本的な性格の条約であるという点からいたしましても、現在考え得る自衛のための手段といたしましては、最も現実的、かつ、効果的な安全保障の体制であるということは、少し違った政治的意図で批判する共産圏側の見解はしばらく別といたしまして、今日世界の外交的、軍事的常識である、こう断じて差しつかえないのであります。(拍手)
 一部の限られた現象面だけに国民の注意を集中させようとするムード的巻き込まれ論は、全体として国の安全問題についての均衡のとれた評価と判断とを誤らせるおそれがあります。日本海における緊張が関係者の自制と協力によりまして平静化することを切に希望するものであり、政府の外交的努力をあらためて要望する次第でありますが、いわゆる戦争巻き込まれ論に対しては、国民が自国の安全保障につき正しい理解を持つよう、さらに政府の善処を希望するものであり、以上につき、あらためてこの機会に総理の見解をお尋ねいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#8
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 山田君にお答えいたします。
 最近の朝鮮半島における緊張の根本的原因は、北鮮の南北統一政策にあります。そうして、北鮮はこれを達成するため、平和的な手段によらず、昨年一月の大統領官邸襲撃事件及び十一月の東海岸上陸事件などに見られるごとく、大規模かつ半ば公然と武力挑発行為を行なっております。北鮮のゲリラ浸透工作の目的は、威力偵察と、韓国に対する撹乱、ゆさぶりにあると見られますが、韓国側の努力によって、いずれもいままでのところ失敗に終わっております。
 今回の米軍機撃墜事件は、このような北鮮の対韓工作の行き詰まりを打開するための方策として打ち出されたとの見方もありますが、いずれにしても、公海上で米軍機を撃墜し、多数の搭乗員を殺害する結果をもたらしたことは、きわめて遺憾であり、米軍護衛艦艇群の日本海出動となったことは、まことに憂慮にたえないところであります。朝鮮民族が、分裂国家としてのその苦悩には同情を禁じ得ませんが、国際信義を踏みにじり、過激な手段で目的を達成しようとする北鮮の行為は、国際的にも非難されるべきものと思います。私は、今後事態の平和解決を心から念願するとともに、平和が維持されるように、ほんとうにあらゆる努力をし、また維持されることを心から願うものであります。
 次に、ソ連は、事件発生後、米国の要請にこたえて直ちに救助活動に協力いたしました。ニクソン大統領も、十八日の記者会見で、ソ連に対する感謝の意を表明しております。また、ニクソン大統領は、ソ連が北鮮の今回の攻撃を知らなかったらしいという点を指摘し、北鮮の行動は予測がむずかしいと同時に、ソ連や中共のコントロールが全くきかないのではないか、かような推測も述べております。中共は、昨日になって、本件に関し簡単にこの事件を報道していますが、プエブロ事件の直後、北鮮の立場を支持する旨の政府声明を発表したことと考え合わせると、かなりのニュアンスの差が感じられないでもありません。平和を願うわが国は、先ほど外務大臣が説明いたしましたとおり、この事件につきまして、各国が平静に、冷静にこの問題に対処しておる、このことを心から実は歓迎しておるような次第であります。
 最後に、山田君が御指摘のとおり、この安保条約は、戦争に巻き込まれないために日本が選んだ道であります。日米安保条約によって、わが国は自衛力を持っておりますが、その足らないところは米国の援助を受けるという考え方で安全保障条約ができたのであります。また、米国の兵力につきましていろいろの批判をされる方がありますが、米国自身、故ケネディ大統領がこの点に関して申しましたように、米国の軍備はいかなる場合においても第一撃のためには使わない、これは弱さの告白ではなく、力の表明であり、米国の国家的伝統であると述べています。これはきわめて重みのあることばであります。日米安保体制は戦争を抑止するためのものであり、これを堅持することこそ、激動する世界情勢にあってわが国の安全を確保する最善の手段である。この道を国民が選択したということは、さすがにわが国民賢明なり、かように私は信ずるものであります。(拍手)
    〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#9
○国務大臣(愛知揆一君) 私に対する御質問の一つは、わが国に、現に外国の偵察機等による偵察が行なわれているかどうか、また、それに対していかなる措置をとっておるか、こういう御趣旨であると存じます。
 わが国といたしましては、ソ連機等によりまして、わが国の周辺の偵察が行なわれているという事実は相当ございます。その詳細は、委員会等で御質疑に答えることといたしたいと思いますが、その中で、ソ連機がわが国の領空侵犯を行なったと認められる事件もございます。たとえば、昭和四十二年八月十九日、ソ連機によりまして北海道の礼文島上空に侵入されたと認められる事案がございますが、これに対しましては、当時、わが国政府は、ソ連政府に対し直ちに抗議を表明した、かような事実がございます。
 御質問の第二点は、ソ連あるいは中共等のこの事件に対する反応ということでございますが、ただいま総理からも御答弁がございましたから、私は、新聞、放送等にあらわれた反響とでもいうべきことを、きわめて簡単に申し上げます。
 まず、ソ連の各紙は、事件につきまして、米軍機が北朝鮮領空を侵犯したという北朝鮮側の報道を掲載しておりますほかは、特に米側の行動を直接強く非難する論評、報道は、その直後には行なわれておりませんでしたが、二十二日のモスクワ放送になりまして、米国を批判する論評があらわれております。中共側は、最初は反応がありませんでした。二十二日朝の放送等に至りまして、米偵察機が北朝鮮領空に侵入して撃墜されたと述べましたが、北朝鮮の態度に対する支持も、称賛も表明しておりません。この放送は、ソ連の捜索、救助活動についての対米協力ぶりを詳細に述べて、そして、これを米ソが結託したという、やゆ的な問題として非難するような口調が重点となったように承知いたしております。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣有田喜一君登壇〕
#10
○国務大臣(有田喜一君) 日本周辺に行なわれておる各種の偵察行動の現状及びソ連が海外で行なっておる偵察行動の実情についてのお尋ねでございますが、日本周辺海域におきましては、絶えず何らかの形での偵察行動が行なわれている模様でありまして、特に宗谷、津軽、対馬の三海峡をはじめ日本沿岸の各海域におきまして、情報収集船等各種のソ連艦艇が絶えず遊よくしておりまして、演習等に従事しておるわが自衛艦にソ連艦隊が近接してこれを追尾する事例等がしばしばあります。また、ソ連偵察機が太平洋沿岸を南下して、三陸沿岸または関東沖合いに達する、いわゆる東京急行、あるいは日本海沿岸を南下して、対馬海峡付近に達した後反転したり、また、そのまま日本周辺を一周するなど各種の経路によって、明らかに偵察のためと思われる特殊な行動があるのであります。これら日本周辺における偵察行動のほかに、ソ連は偵察のための艦艇、航空機を相当数保有しておりまして、世界各地で偵察及び情報収集活動に従事しておる模様でございます。たとえばグアム島周辺、トンキン湾等では、常に情報収集艦が遊よくしており、またインド洋、地中海方面においても情報収集船が行動しておる模様であります。そのほか、アラスカ、カナダ等北米沿岸に至る北太平洋方面においても航空機による偵察行動の実例が認められておる、かようにいわれております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(石井光次郎君) 八木昇君。
    〔八木昇君登壇〕
#12
○八木昇君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府に対し、日本海における軍事的緊張に関する質問を行なわんとするものでございます。(拍手)
 佐藤総理は、去る十七日の衆議院本会議におきまして、わが党戸叶議員の質問に対し、米偵察機は終始公海上を行動していたと言っており、北朝鮮がいきなりこれを撃墜したことは、国際的にも非難さるべきものと考えられると述べ、朝鮮民主主義人民共和国側を非難したのでありますが、これは全く一方的にアメリカ側の言い分を認めたアメリカ追従の態度といわなくてはなりません。(拍手)はたして、われわれ日本国民は、アメリカの言い分をそのまま信じてよいものでございましょうか。
 今回の事件が起こった直後の四月十六日、アメリカの有名な上院外交委員長でありますところのフルブライト氏は、私自身が調査に当たったトンキン湾事件以来、国防総省の発表の一部に私はきわめて懐疑的になっておると、記者団に発表したのであります。これは一体何を物語るものでございましょうか。また、昨年八月のプエブロ号事件に際しまして、プエブロの艦長以下全乗り組み員が領海侵犯の事実を認めたばかりではなく、昨年十二月二十三日でありますが、国連代表ウッドワード米陸軍少将がこの事実を認めたところの文書に署名をいたしましたことは、皆さんよく御存じのところであります。(拍手)その署名文書の内容を申し上げたいと思うのでありますが、その第一項には、プエブロ乗り組み員の領海侵犯の自供に信頼性があることを認めるとなっておるのであります。第二項目に何が書いてあるかといいますと、米国が領海を侵犯し、偵察行為をなしたことを認めると書いてあるのであります。第三項には、米国が謝罪すると書いてあるのであります。第四項には、米国は再び北朝鮮の領海侵犯をしないとなっておるのであります。このような文書に国連代表が署名をしておるのであります。
 また、日本政府のとった態度について申し上げたいと思います。
 あの事件が発生いたしました直後、日本政府は、いち早くアメリカの言い分に追随をいたしまして、プエブロは領海侵犯をしておらないと言明をしたのであります。後にこれが問題になりましたことは、皆さんもまだよく覚えておられるはずであります。
 そこで、私は佐藤総理にお伺いをいたしたいのであります。
 過去の事実に照らしましても、今回の事件について、政府は、アメリカ側の言い分を一方的に信用してよいのかどうかということであります。もし、総理がアメリカ側の言い分を正当だと信じておるというのなら、そのことを真に客観的に認め得るところの事実を、しかも具体的に国民の前に明らかにする責任がある。(拍手)そのことなくして、先般来のあのような答弁をすることは、まことに無責任である。この点について総理の答弁を願いたいと思うのであります。
 私の質問の第二点は、日本にありますところのアメリカ軍基地が、アメリカ軍による北鮮に対する偵察活動、スパイ活動に常時かつ直接的に使われており、政府は、このようなことが日本にとっても必要であると言っておるのでありまするが、一体何のために必要なんでありますか。日本にとって何のためにその必要があるのか、この点を伺いたいのであります。
 外国に対する武力による威嚇や武力の行使は、どんな場合でもこれを禁じておるのがわが日本国憲法であります。百歩譲りまして、日米安保条約を肯定するといたしましても、この条約すらも、いまのような武力による威嚇等を禁じておるじゃありませんか。すなわち、安保条約第一条は、「締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。」と書いてあるのであります。在日アメリカ軍が、ある特定国に対しまして常時スパイ活動をやり、挑発行為をやる、そればかりではなくて、さらには戦闘行為を予想しての護衛つきのスパイ機を大っぴらに飛ばすというこういう行為は、日米安保条約そのものにも違反をしておると思うのであります。(拍手)護衛つきスパイ機を飛ばすということは、場合によっては北鮮軍と戦闘を交えるということであります。現に、ニクソン大統領は、去る十九日、護衛つき米偵察機や情報収集艦が今後攻撃をされた場合は、警告抜きで徹底的な報復をするであろうと語っておるでしょう。このスパイ機は日本から飛び立つのでありますが、そのスパイ機には、戦闘の意思を持った護衛機がつくのであります。これは、スパイ機がみずから武装をしておることと何ら違いはないのであります。このようなことは、安保条約違反であると私は考えるのでありまするけれども、総理はこれを認めるか、それとも逆に、総理は、このようなアメリカの行為が日本にとっても必要であると強弁をするつもりなのか。また、このような行為は少なくとも事前協議の対象とすべきが当然でございまするけれども、それすらも否定されるのであるかどうか、見解を承りたいのでございます。(拍手)
 私の質問の第三点は、日本海における漁船の安全操業確保に関するものであります。
 今回の事件で、アメリカは、航空母艦を主力に軍艦二十三隻を狭い日本海につぎ込んで、大騒動をやっております。このための直接の被害者が漁業関係者であることは申すまでもありません。漁船の安全操業確保のために、政府は一体これまでにどういう具体的な手を打ったのであるか、また、今後どうしようとしておるのであるか。先ほどの外務大臣の報告によりますると、アメリカに申し入れたというのでありまするけれども、申し入れをしたぐらいでどうなるのでありましょうか。安全操業確保について、アメリカが具体的にどのような措置をとったか、政府は確認したのでありますか。結局は、一日も早くアメリカ艦隊に日本海から去ってもらうほかに方法はないのです。この点のお答えをいただきたいと考えるのであります。
 私の質問の第四点は、アメリカは北鮮に対し、まことに大ぎょうきわまる挑発行為をやっておりまするが、この紛争が絶対に拡大しないという保証が一体どこにあるかという点であります。
 申すまでもなく、今日、韓国、沖繩はもちろんでありますが、日本本土のアメリカ軍は、すべて緊急非常体制に入っております。大艦隊の出動というアメリカの今回のこの大げさな行動は、まあ見ようによりましては、チンドン屋並みのこっけい千万な姿であります。しかし、彼らが超近代的な殺戮兵器を携えまして踊り狂っておるということは、おそるべきであります。現に、北朝鮮側の昨日の声明によりますると、このようなアメリカ側の大がかりな挑発に対して強く警告をいたしますとともに、侵略者の報復には報復を、全面戦争には全面戦争でこたえるとまで述べておることは、けさの朝刊でおわかりのとおりであります。戦争は思わざるできごとが発火点となって始まるということは、過去の歴史がこれを物語っておるところであります。今回に限り、紛争が拡大することは絶対にない、日本が戦火に見舞われるということはあり得ないという保証が、一体どこにあるのでありますか。あるというならば、その根拠を示してもらいたいのであります。そして、万一の事態となった場合、総理は一体――もし万一の事態が起こった場合に、総理は一体一億全国民に対しましてどういう責任をとろうというのでありますか。(拍手、発言する者あり)
 最後に申し上げたいのでございまするが、そもそも今回の緊急状態は、北朝鮮が米機を撃墜したから始まったというものではないのであります。プエブロ問題が片づきましてから本年三月初旬までは、御承知かと思いまするが、三十八度線を含めまして朝鮮の情勢は全く平穏であったのであります。三月中旬に至りまして、有名なフォーカス・レチナ作戦なる米韓合同大空輸作戦が行なわれたのであります。続いて、北鮮全面攻撃を想定した甲支図上作戦なるものが行なわれたのであります。立て続けに、英韓海兵隊合同上陸演習が行なわれまして、加えてアメリカ・スパイ機の挑発があったということが今回の緊張の根本の原因であるということを、総理もこの際は冷静にお考えをいただかなければなりません。
 また、今回の事件を見まして、私は、アメリカの大国主義的な横暴といいますか、これをいまさらのように見せつけられた気がするのであります。先年黒いジェット機、U2機事件が問題となったのでありまするが、その際アメリカは、ソ連に対しましては二度とこのようなことはいたしませんと約束をしまして、現に、今日これをやっておらないのであります。しかるに、北鮮に対しましては、プエブロ事件の際の約束を無視して、今日理不尽などうかつ行為をあえてしておる。おまけに、日本政府もまたU2機事件の際は、アメリカに対しまして申し入れをしたでしょう。U2機の厚木からの引き揚げを要求いたしまして、さっそく厚木からU2機は引き揚げたのであります。
 このようなことについて、私のみならず多くの国民は、今日政府がとっておる態度に対し不信の念を持っておるに違いございません。(拍手)これらの事実を総理はこの際じっくりとお考えをいただきたい。そうして、真に日本とアジアの平和を守るために、総理は、日本がアメリカ・スパイ機の基地となり、さらにはまた、これが護衛艦艇の基地となるということを拒否すべきであります。断固として断わるべきであります。この立場に立って、総理はアメリカに対し強く申し入れるのが当然の責務であると考えるのでありまするが、はたしてその意思がないかどうか、私は、最後にこのことをお伺いいたしまして、質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#13
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 八木君にお答えいたします。
 平和時において他国の飛行機を撃墜するということは、それ自体たいへんなことであります。前回の緊急質問で私が戸叶君にお答えしたとおり、領空侵犯の軍用機に対する措置につきましては、国際法上も明確な規定はありませんが、まず警告し、退去を促すのが国際的慣行であると思います。いきなり撃墜する、かようなことはございません。ニクソン大統領が記者会見で述べたところによれば、北鮮に撃墜された米軍偵察機は、米側のレーダーのみならず、北鮮のレーダーもこれをとらえており、また、ソ連のレーダーもキャッチしていたことが判明しております。これらのレーダーでキャッチしたところから、領空は侵犯せず、終始公海上を飛行していたということについて、不確実な点は全くなかったとされております。オズボーン駐日臨時代理大使は、四月十六日愛知外務大臣に対し、このことを米側の公式な言明として申し伝えてきております。御承知のように、その後、遭難機の機体の破片や搭乗員の遺体が発見された状況から見て、米軍機が公海上を飛行していたことは明らかであり、政府が、米側の言い分を一方的に聞いて、これに対する見解を明らかにしたものでないことは御理解いただけると思います。(拍手)
 また、今回の事件で、ソ連の果たした役割りについて注目しなければなりません。ソ連は、事件発生後、米国の要請にこたえて直ちに捜索活動に協力しており、ニクソン大統領も十八日の記者会見で、ソ連に対して感謝の意を表明しております。
 中共もまたプエブロ事件のときとは反応が異なっており、これまでのところ、事実の簡単な報道を行なっているのみであって、前回とはかなりその受け取り方にニュアンスの相違が感じられます。
 フルブライト米上院外交委員長の発言を引用されましたが、そこがわが国と同様、言論の自由をとうとぶ自由主義国の特徴であって、私はニクソ
ン大統領の公式発言を信用いたしますが、フルブライト外交委員長は、その意味において公式発言ではない、そこに差のあることを申し上げておきます。せっかく引用なさるなら、責任者の説明を引用なさるほうが正しいのではないかと思います。(拍手)
 次に、偵察機による公海上の偵察行動は、世界各国ともこれを行なっており、そのこと自体を非難することは当たらないと思います。ことに、北朝鮮がその政策に基づいて武力挑発、ゲリラの浸透など、対韓工作を積極化して、朝鮮半島付近の緊張が激化しているやさきでもあり、アジアの平和と安定に大きな責任を果たしている米国としては、紛争防止のための一環として必要な偵察活動を行なっているものと私は考えます。
 また、米艦艇群が日本海に集結し、偵察活動に護衛の戦闘機をつけるという措置は、北朝鮮の不法行為の再発を防止するという観点からとられたものであり、戦争の抑止機能を果たすことがそのねらいであると考えられます。したがって、これを武力による威嚇または武力行使としてとらえ、安保条約違反と見るべきではありません。どうか社会党の方も、もっと大所高所からよく事態のあり方を見ていただきたいと思います。(拍手)
 公海上の偵察活動は、戦闘作戦行動でありませんから、事前協議の対象とはなりません。今回の事件発生以来、米側はわがほうに対し緊密な連絡をとってきており、護衛つき偵察活動の決定につきましても、直ちに連絡してきております。そのように、安保条約第四条をあらためて援用するまでもなく、いわゆる随時協議が緊密に行なわれております。米側は、日本の国民感情を考慮して、日本からは偵察機を護衛するための飛行機の発進は行なわない、かような方針でありますが、もし、かりに護衛戦闘機が日本から発進することがありましても、これは偵察活動に対する不法行為の発生を防止するためのものであり、その発進自体は(発言する者あり)ここが大事なところですから、よく聞いいてください。その発進自体は、戦闘作戦行動として行なわれるものではありませんから、事前協議の対象にはなりません。(拍手)このぐらいのことは、条文をお読みなら、必ず御理解がいくことだと思います。
 次に、日本海漁民の安全操業は、御指示になりましたとおり、わが国にとりましてきわめて重大事であります。政府は、昨年一月以来、プエブロ号事件の際も、アメリカ側に対し、米海軍当局が日本漁民の安全操業確保のため留意するよう申し入れましたが、さらに、年間を通じての日本海における各種漁業の操業状況に関する資料を米側に提示して、その配慮を求めております。今回の米艦隊の日本海における行動につきましても、すでに米側に対し、漁民の安全操業に十分な配慮を行なうことを要望いたしました。
 アメリカ艦隊の即時引き揚げを要求せよとのお話でありますが、政府としては、当面、冷静に事態の推移を見守る方針であり、国民各位におかれても、国際政治のきびしい現実をしっかりと認識し、冷静に見守るよう、特にお願いをいたします。
 なお、漁業家に対して申しますが、この日本海におきまして、アメリカ海軍の行動等から特に損失をこうむられた、こういう場合におきましては、政府はそれに対しまして最善の措置をとる、そのことをはっきりこの機会に申し添えておきます。(拍手)
 申すまでもなく、世界、特にアジアの平和なくしてはわが国の平和と繁栄はあり得ないのでありますから、緊張緩和のため、わが国が最大の努力を傾けるのは当然のことであります。しかし、今回の事件によって、われわれは国際政治のきびしさをまざまざと見せつけられました。このように激動する世界の中にあってわが国が平和を保ち、繁栄を達成しているのは、日米安保体制によるところがきわめて大であり、この点、国民各位にもよりよく御理解いただけたかと思います。(拍手)
 八木君は、アメリカが挑発行為をして、それによってわが国が戦争に巻き込まれると言われますが、北朝鮮の不法行為に対応するアメリカ戦力の展開は明らかに大きな戦争抑止力であり、公海上における米軍と北朝鮮との戦闘が発生するとは、私は考えておりません。これによってわが国が、起こらない戦争に巻き込まれるなどというような事態は決してあり得ないのでありますから、御安心をしていただきたいと思います。(拍手)政府は、事件がこれ以上拡大せず、平和裏に解決されるよう、米政府に対して、冷静かつ慎重に対処するよう申し入れております。この機会に、北朝鮮におきましても、どうか今後アメリカの態度に応ずるような姿勢を示されまして、平和を維持することに御協力願いたいと思います。
 なおまた、私がかように申しておるが、もしも万一戦争が起きたらどうだ、佐藤の責任はどうするんだ、こういうお話でありますが、私は、日本の総理といたしまして、また日本の政党として、戦争が起こらないことをみんな考えておるんだと思います。私自身が追及される、さような状態で事柄が済むものではありません。社会党の方も真に心から平和を願っておられる。佐藤一人の責任としてさような言動をなさらないで、佐藤もしっかりやれ、平和を維持しよう、おれたちも協力する、なぜさように言われないか。(拍手)その点、私はまことに遺憾に思う次第であります。
 お答えいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(石井光次郎君) 竹本孫一君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔竹本孫一君登壇〕
#15
○竹本孫一君 私は、民主社会党を代表いたしまして、先般の米偵察機撃墜事件並びに今回の護衛つき偵察飛行の続行等、日本海における一連の緊張激化の事件について質問を行なわんとするものであります。(拍手)
 質問の第一点は、朝鮮半島における一連の事件に対する政府の基本的な考え方についてであります。
 日本の安全にとって朝鮮半島の動向を無視することができないことは、歴史的に見ても確かなことであります。また、ベトナム以後は朝鮮半島だということも、軍事専門家の一般的見通しとなっております。
 そこでお伺いいたしたい点は、政府が現在の朝鮮半島の動向をどのように見通していられるかという点であります。プエブロ事件、武装スパイ侵入事件、最近の米韓の合同大演習、そして今回の事件等、相次ぐ一連の緊張の高まりの動向とその原因を、政府ほどのように考えておられるのか、また同時に、それが日本の安全にとってどういう影響を与えるものであると考えておられるのか、具体的にお伺いをいたしたいのであります。われわれは、いたずらにアメリカを神聖視したり、また北鮮を神聖視したりすることなくして、あくまでも民族の自主性の上に立って、冷静に事態を見守るべきであると思うのであります。
 質問の第二点は、今回の事件に対するアメリカ政府の措置についてであります。
 去る十八日のニクソン大統領による護衛つき偵察飛行の続行決定は、若干の国内事情があるにせよ、緊張をさらにエスカレートするものでありまして、まことに遺憾であります。一体アメリカは、この際、二十数隻の軍艦や数百機の飛行機で無理押しに偵察飛行を強行しなければならない積極的、具体的理由がどこにあるのでありましょうか。(拍手)偵察の対象となるべき船も飛行機も、いまやその辺にはいないでありましょう。これは結果において、アメリカが北朝鮮にほんろうされた結果になるのではないか、世界のもの笑いになりかねないものであります。われわれは、アメリカを敵視する立場ではなく、誠実なる友人としての立場において、この際、アメリカのこの力の政策の強行がなされないよう、強くその停止を要求すべきであると思うのであります。(拍手)政府のこれについての見解並びに具体的措置をお伺いいたしたいと思います。
 質問の第三点は、今回の一連の緊張の高まりと、わが国の安全についてであります。
 今回の事件に対しまして、政府は、基本的に米国による偵察の必要性を弁護せられておりますけれども、われわれから見ますならば、今日のアジアの情勢が、言われるごとく険悪化しておるものとは思われません。アメリカが、もし、朝鮮半島の緊張あるいは中国の脅威といったように、緊張を誇大視して、これに戦艦ニュージャージー派遣等に見られるごとく、力でもって対決せんとするならば、北朝鮮もまた力でこれにこたえるでありましょう。かくて、北鮮の過剰防衛とアメリカの過剰防衛の激突が、あるいは戦争になりはしないかということをわれわれ日本人は心配いたしておるのであります。(拍手)わが国は、アジアの緊張を激化させるという方向ではなくて、その緩和につとめ、行く行くはアメリカと共産圏諸国とのかけ橋にこそなるべきであると確信いたしますが、政府のお考えを伺いたいのであります。
 また、政府は、日本の安全のためにアメリカの偵察飛行が必要だと言っておられますけれども、一体自衛隊自体の偵察能力は今日どうなっておるのであるか、伺いたいのであります。本年度四千八百三十八億円ものたくさんなお金が防衛費として計上されておりますけれども、自衛隊の偵察能力というものは本来ゼロであるのか、それともどれだけあるのかを具体的に伺いたいのであります。
 さらにお伺いしたい点は、日本海漁業についてであります。
 今回の事件によりまして、おそらくは全体の三割ぐらいの日本海での漁業が大きな危機に見舞われるでありましょうが、政府は、この約六百隻にのぼる漁船並びに漁業権の保護についてどのような措置をとられたか、先ほども若干の御説明がございましたが、特にこれからまたとられようとしておるのであるか、伺いたいのであります。
 さらに私は、この際これに関連をいたしまして、およそ日本の海上輸送は総量においてどの程度のものであり、数年内にどのくらいになるものと政府は見通しておられるかを伺いたい。これに関連しまして、商船隊の護衛というものは現在どの程度可能であるか、何%可能であるかを具体的に承りたいのであります。さらにまた、この重大な海上輸送の護衛の問題について、日本自体において、また日米協議の中において、どういうふうに従来取り組まれてきておるかを関係大臣に伺いたいのであります。
 質問の第四点は、事前協議の問題であります。
 米国第七十一機動部隊の寄港受け入れについて伺いたいと思います。一体、配置と寄港とは、どの点にどういう相違があると政府は御解釈でございましょうか。私は、以下八項目について具体的に伺いますので、御答弁も具体的にお願いをいたしたいと思います。
 一、機動部隊はハワイに本拠のある限り、いかなる場合においても、日本への配置ということにはならないのであるかどうか。一体本拠とは何であるか、司令部とはいかなるものであるか、伺いたいのであります。
 二、何回も反復寄港する場合という、その何回ということを数字で示していただきたい。また、寄港という概念の中には、どのぐらい寄港しておるかという期間の概念は入っておるのか、入っていないのか伺いたい。
 三番目、一機動部隊の海上部隊も、個々ばらばらに入ってきたならば、その場合は事前協議の対象にならないというお考えであるか承りたい。
 四番目、日本に寄港する前に戦闘行動が行なわれる、またそのあとに、寄港後に戦闘行動が予想されるという場合でも、入ってくるときの当面の目的が補給と休養であるならば、事前協議の対象にならないというお考えであるか。また補給とか休養、修理といった問題は、それ自体が戦闘力の強化につながるものでありまして、相手国からは攻撃される危険があると思いますけれども、その点については、政府はどういうお考えであるか。
 次に五番目、現在、わが国における米軍の偵察機は何機あって、その性能はどういうものであるかも伺いたい。
 六番目、偵察護衛のために日本から出ていく船や飛行機は、万一の場合、戦闘行動に入るということも予想されますが、先ほども御答弁ございましたけれども、それでも事前協議の対象には絶対にならないものであるかどうか。あるいは戦闘行動に入るであろうという場合は、いわば未必の故意といったような形で、これは事前協議の対象にすべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
 また、それらの船や飛行機が戦場から追跡されて、敵機とともどもにわが国に入ってきた場合、安保条約第五条との関係はどうなるのか。具体的に第五条の発動の有無並びにその段階的方法を承りたいのであります。
 八番目、また将来、交戦中の米軍機を助けるために米軍機がわが国から緊急発進をする場合は、事前協議は、第一、時間的に間に合うと考えられますか。第二、その場合に、政治的に拒否ができると考えられますか。第三に、事前協議でわが国がノーと言った場合には、アメリカはそれを尊重するということに岸・アイク共同コミュニケはなっておりますけれども、このコミュニケには法的拘束力ありとお考えでございますか。われわれは、事前協議が空洞化しないように、政府の厳正なる態度を求めたいと思うのであります。(拍手)
 質問の第五点は、極東条項にかかわる在日米軍並びに同基地についてであります。
 私は、沖繩問題について言われた総理の二つのことばが、今日では、そのままわが国の基地問題にいわれることばではないかと思うのであります。つまり、基地公害として騒がれ、また、目の前の船や飛行機を見ながら、場合によっては戦争に巻き込まれる不安があるのではないかということで、恐怖の中で悩み抜いておりまする日本人と無関係に巨然として存在する基地問題は、それが撤去されなければわが国の戦後は終わらないのであります。またそれは、いまや単なる政治課題にとどまらず、人間尊重を説かれる佐藤政権下のヒューマニズムの重大問題であると確信いたしますが、総理のお考えはいかがでありますか。
 かかる見地から、われわれ民社党は、七〇年の日米安保再検討期を機会に、御承知のように、米軍の常時駐留と基地を原則としてなくする方向において安保条約の改定をすべきであるということを主張いたしております。政府も最近の動きを考えられて、このわれわれの見解をいかがお考えであるかを伺いたいのであります。
 最後に、総理の対米姿勢について、特に強い姿勢を要望したいと思うのであります。
 ある人は、日米関係を分かちまして三つの段階にいたしております。
 米軍の占領下、彼らが自由に富士山の美しさと日本の芸者ガールの美をたたえた情緒的段階、エモーショナルの段階というのがその一であります。言うまでもなく、安保条約はこの第一の段階の所産であります。
 第二の段階は経済段階であります。この経済段階は、しかしながら、昨年、日本のアメリカヘの輸出が四十億九千一百万ドル、輸入は三十五億二千八百万ドル、差し引き五億六千三百万ドルの輸出超過を見るに及んで、一応終わりました。
 第三の段階は、今年から、すなわち沖繩、安保の政治段階であります。この政治段階で最も必要なるものは、日本民族一億の悲願の上に立って国民とともに進み、国民とともに要求する政治的勇気であります。
 世界情勢は複雑であり、対米交渉もまた困難であることはわかりますが、断じて行なえば鬼神もこれを避くと申します。佐藤総理の真の勇気と御英断を強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 竹本君にお答えいたします。先ほど来の答弁と重複をいたしますが、この点は大事なことでありますから、また同じことを申しますが、お許しを得たいと思います。
 朝鮮半島の緊張の原因は、北朝鮮の統一政策にあるといっても過言ではないと思います。北朝鮮は、この政策に基づいて対韓工作を積極化しており、休戦ラインでの武力挑発、ゲリラスパイの韓国内への浸透など、韓国に対する撹乱ゆさぶり工作を続けております。さきのプエブロ号事件といい、今回の米偵察機撃墜事件といい、このような情勢を背景にして起こったものであることは疑いありません。北朝鮮が、当面、休戦ラインに対し全面的進攻を試みる可能性は少ないものと見られますが、といって、現在の対韓強硬路線を変更するきざしも認められず、今後ともあらゆる手段による働きかけが続くものと思われます。ニクソン大統領が記者会見で指摘しているとおり、北朝鮮の行動は予測がむずかしく、ソ連や中共のコントロールが及ばないのではないかとの推測も行なわれております。
 いずれにしても、朝鮮半島に緊張が存在することは否定できないところであり、わが国としては、米国の自重を求めつつ、冷静に事態の推移を見きわめるべきであると考えております。この点について、北朝鮮側も、米国の態度に対応することを私どもは希望するものであります。
 さきにもお答えしたとおり、公海上における偵察活動は、各国ともそれぞれ行なっており、米国だけが特異な行動をしているわけではありません。したがって、北朝鮮側の今回の公海上における不法行為に照らし、米側が偵察機に護衛をつけることは、このような不法行為の再発を防止するためのやむを得ない措置であると考えます。政府としては、米側にただいまその中止を申し出るような考え方は持っておりません。
 次に、わが国がアジアの緊張緩和に努力することと、米軍の偵察行動を是認することとは、決して矛盾するものではありません。日米安保条約によって、米国はわが国を防衛する義務を負っており、これに対しわが国は、米軍に基地並びに施設を提供する義務があります。この条約の相互関係及び安保条約の果たしている戦争抑止機能から見て、日本が米軍の偵察行動を是認するのは当然のことであります。しかし、国際間の緊張緩和、特にアジアの緊張を緩和することは、わが国の国益を追求するという観点から見て最も大事なことであり、あらゆる努力を尽くさなければならないことは当然であります。だからこそ、今回の事件発生直後、政府は友好国たる米国に対し、この事件をあくまで平和的に処理されることを希望する旨伝えるとともに、その自重を促したゆえんであります。
 次に、項目をあげていろいろ個条的にお尋ねがございましたが、その詳細は後ほど外務大臣がお答えするといたしまして、私からも、事前協議について少しお答えしてみたいと思います。
 竹本君は、米空軍と北朝鮮空軍との武力衝突を想定して、安保条約との関係をあれこれと質問されましたが、安保条約の第五条は、わが国の領域に武力攻撃が加えられた場合のことを定めたものであることを、まず申し上げたいと思います。米軍機が日本領内まで追跡された場合、第五条の関係はどうなるかとのお尋ねでありますが、そのようなことにならないよう、偵察機に護衛をつけるというのが今回の米側の措置であります。万一わが国の領空が侵犯された場合は、国際慣行に照らし、まず警告を発し、退去を求めるべきものと考えます。また、公海上で偵察に従事している外国軍用機を撃墜することは不法行為であります。かりに、このようにして米軍機が公海上で正当防衛のため武力を交えたとしても、安保条約第五条の発動要因とはならないのであります。
 さらに、在日米軍のスクランブルについて事前協議との関連を聞かれましたが、御承知のように、米国は、今回の護衛戦闘機の発進は在日米軍基地からは行なわない方針を明らかにしておりますので、今回の事件との関連で事前協議の必要が生ずるとは考えません。
 次に、在日米軍基地は、既定の方針に従って逐次整理統合することになっており、特にこの方針に変化はありません。
 また、沖繩問題につきましてもお尋ねがありましたが、今日までのところ、政府の方針で特に変わった点がございませんので、いままでの説明で省略させていただきます。
 なお、この交渉に当たる態度としての竹本君の御指摘、国民の悲願にこたえろ、その態度で臨めというこの点につきましては、私もありがたく御忠言を聞いておきます。
 安保改定の問題にしろ、沖繩問題にしろ、必ずしも民社党と中身が同一だとは私思いません。ことに、安保改定について再検討して基地その他のあり方について大改正をしろというお話につきましては、私は反対でありまして、現在の安全保障体制を堅持する、こういうことでございまして、この方針を貫くつもりでございますので、この点は何とぞ御了承を得たいと思います。
 米軍の戦闘機が偵察機を護衛するため日本の基地から発進したとしても、これは戦闘作戦行動ではありませんから、いわゆる事前協議の対象とはならない、このことはおわかりだと思います。
 以上お答えいたしまして、その他の項目につきましては外務大臣から…。(拍手)
    〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#17
○国務大臣(愛知揆一君) なるべく簡単にお答え申し上げたいと思います。
 安保条約、交換公文あるいはこれに盛られました事前協議等に関する了解事項、一連の体系のありますことは御承知のとおりでございますが、まず第一点の、ハワイに本部がある機動部隊が、いろいろの場合に日本海から日本に寄港した場合はどうなるかということでございますが、いま申しました一連の体系におきまして、これは日本国への合衆国軍隊の配置という事前協議の対象になるかならないかということで律すべきものでございます。機動艦隊等が日本の一つの港をたとえば根拠地にいたしまして、全艦隊が常にこれを根拠として集結をし、恒久的に活動するという場合ならば日本国への配置になりますけれども、それ以外の場合には配置の変更になりませんから、事前協議の対象にはなりません。
 すなわち、ただいまお尋ねの第二の点、何回も反復入港してもそうか、あるいは第三に、寄港には期間の概念があるか、こういう点を含めてお答えいたしますと、これは、回数とかあるいは寄港の日数が何日になるかということの問題ではなくて、これは配置の変更になるかならないかということから律すべきものでございますから、こういう点につきましては、いまおあげになりましたような点は事前協議の対象にならない、あるいは寄港の期間については、これはこの際としての基準に該当するものとして律すべきものではない、こういうふうに考えます。
 第四点は、入ってくるときは補給が目的だが、出ていくときはそのほかの目的の場合はどうか。しかし、これは入ってくるときが補給等のための寄港でございますから、これは、ただいま申しましたとおり、事前協議の対象にはなりません。
 第五点。米軍の偵察機が在日米軍基地に何機あるか。これは、防衛庁長官からお答えいたしたほうが適当かと思いますが、今回問題になりましたような偵察機は、現在四機あると私は承知いたしております。
 それから第六点。万一の場合、日本から発進いたしました飛行機その他が、その後の状況によって戦闘行動に入った場合は、これは出撃行動になるのか、どうなるのか、こういうお尋ねでございますが、偵察を護衛するという、正常な偵察の護衛のための目的をもって発進する場合におきましては、これは直接の出撃行動ではございませんから、事前協議の対象にはなりません。
 なお、事実問題を申しますけれども、冒頭に御説明いたしましたように、護衛のための戦闘機が日本の基地から発進することはないということに相なっております。
 それから第七点。追跡された場合、第五条といかなる関係にあるかということは、ただいま総理大臣からきわめて明確にお答えがございましたから、省略いたします。
 第八点。岸・アイク共同コミニュケは法的性格があるかどうかというお尋ねでございましたが、これは先ほども申しましたように、安保条約は、条約それ自身、国会の御承認を得た交換公文、それから両国政府間の共同コミニュケ、さらに了解事項、一連の体系をなすものでございますから、条約論的に見れば法律的効果はございませんけれども、全体を見ての政治的の効果というものは大いにあるもの、かように考えてよろしいかと思います。
 以上、きわめて簡単でございますが、お答え申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣有田喜一君登壇〕
#18
○国務大臣(有田喜一君) 在日米軍の偵察機の機種とか機数とか性能等についてのお尋ねでございますが、在日米軍の偵察機は、海軍所属のものと空軍所属のものとがございまして、海軍所属の偵察機としましては、厚木基地所在の電子偵察飛行隊に所属しておるEC121と、EA3B、これらが約十数機ございます。また、在日空軍の偵察機としましては、横田基地にありますところの航空団に所属しておるRC130及びB57、これらが十機前後ございます。なお、板付基地にございました第五空軍所属の偵察機RF101、これを御承知のとおり一昨日米本国に帰ったのでありますが、まだ偵察機EB66というのが四機ございます。これも近いうちに本国へ引き揚げることになっております。
 なお、わが国の商船隊に対する護衛力といいますか、いわゆるコンボイにどの程度の力があるか、また、アメリカとの取りきめがどういうようになっておるか、こういうお尋ねでございましたが、わが自衛隊は商船隊に対する護衛の任務はございますけれども、まだ日本の海域の周辺と近海の一部だけでありまして、遺憾ながら遠いところはアメリカに期待しておる次第であります。しかしながら、どういう取りきめをやっておるかということは、平素互いに意思の疎通をはかりまして、有事の際は所要の調整が行なわれて、十分事態に対処できる、こういうようになっておるのでございます。御承知のとおり、わが国は海外資源、現在、ことに原油及び鉄鉱石その他いろいろな資源を外国に仰がなくちゃならぬ。したがいまして、海国日本として、日本の繁栄をはかるためにもまた商船隊を擁護する必要もありますので、われわれは、この上とも海上自衛隊の自衛力を増強してまいりたい、かように考えておりますので、ひとつ一そうの御支援と御協力を願いたい、かように思っております。(拍手)
 偵察の能力は、日本は国土自体の防衛や外敵の侵略に対する防御をするということに重点を置いておりますから、よその国まで偵察するというほどの十分の働きができません。したがいまして、日本の海上自衛隊とかあるいは航空機によって偵察というよりも、向こうさんのやってきそうな状態を把握しておる、こういう程度でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○副議長(小平久雄君) 渡部一郎君。
    〔渡部一郎君登壇〕
#20
○渡部一郎君 私は、公明党を代表いたしまして、日本海の最近の情勢に関するただいまの外務大臣の報告に関連し、総理並びに関係大臣に質問を行なうものであります。どうか国民と語る姿勢で、落ちついて御回答を賜わりたいと存じます。(拍手)
 十五日の米海軍偵察機EC121撃墜事件に関して、米国政府は十九日になって、大統領から護衛つき偵察飛行の再開という対応措置を発表し、今後、同様事態が発生した場合には、無警告報復を行なうと威嚇し、さらに、日本海に空母四隻をはじめとする二十三隻の艦艇よりなる第七十一特別機動艦隊を編成、投入してきたのであります。続々と北上、対馬海峡を遊よくする米艦隊に対し、ほぼ同数のソ連艦隊の日本海集結も伝えられ、いまやベトナムの戦火は日本海に燃え上がろうとしております。
 北鮮側は、二十四日、警告声明を発表し、強硬姿勢をとり、日本国民としては、もはや黙っているわけにはいかないのであります。このまま推移していくならば、一機の偵察機の撃墜に端を発して朝鮮戦争が再発し、アジアにおける第二のベトナム戦争へと発展する危険性はあまりにも濃厚だからであります。このような一触即発という最悪の事態にありながら、佐藤総理をはじめとする政府・自民党は、国家の運命を忘れたかのごとく、いたずらに米国一辺倒の言動にくみして平和努力を怠っている態度を、われわれはとうてい理解することができないのであります。(拍手)
 すなわち、あの戦争の惨禍の反省の上に築かれた日本国憲法の前文において、「われらは、全世界の國民が、ひとしく恐怖と缺乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」とうたっているのでありますが、これこそ、まさに日本外交の本質であり、国民の総意であらねばならないのであります。米軍の行動のみを支持し、一方的に北鮮側を非難する政府・自民党は、一方的に北鮮を支援し、アメリカを非難する立場と同じことであり、まさに平和憲法の精神に逆行するものといわざるを得ないのであります。自主性を忘れた対米追随姿勢をあらためてここで強く非難し、かつ反省を求めたいと思うのであります。
 次に、外務大臣をはじめ官房長官等は、米軍偵察機の撃墜が公海上において行なわれたという米国側情報をそのまま支持しているようでありますが、なぜこのような愚かな態度をおとりになったのか、確固たる根拠をこの際伺いたいと存じます。
 過去の例を取り上げるまでもなく、国境紛争においては、いずれが先に侵犯したかは常に不明確であって、いずれもが正当性を主張するのが常であります。したがって、軽々にいずれか一方のみの言い分を過信することは決して適当でないばかりでなく、場合によっては、平和国日本をきわめて危険な立場に招き込むことも銘記すべきであります。近くは中ソ国境問題にしても、また、ベトナム北爆のきっかけとなったトンキン湾事件についても、その後米国議会においては、アメリカ軍自身の仕組んだお芝居であったのではないかと大問題になったのであります。アメリカの議会においてさえ慎重に、と言っているのに、日本政府が軽率にも、米国政府の公式発表だからといって、いち早くそれをうのみにして信ずるのはどういうわけなのでありましょうか。一体、ほんとうの事実関係はどうであったのか。それが明らかにできない以上、日本国民の前に弁明し、日本国の中立性を回復せられたいと存ずるのであります。(拍手)ニクソン大統領の言明によれば、北鮮への偵察は合計百九十回にのぼっていたそうでありますが、このような領空侵犯の危険度の高い偵察を百九十回も行なうことはとうてい理解しがたいと、ニューヨーク・タイムズやワシントン・デイリー・ニューズも首をかしげているところであります。いわば過剰偵察と言うしかないのであります。総理は、こうした行動が日本にとって大きな脅威となると考えるかどうか伺いたい。
 また、総理は、先ほどから、レーダーに映ったと何回も弁明されておるようでありますが、撃墜機には三十分も前から北鮮機が追尾しており、そのことはアメリカ側のレーダーサイトで確認されていたというにもかかわらず、米側は指揮官不在で三十分も放置していたという報道があります。この事実が確実ならば領空侵犯と言われてもやむを得ないと考えますが、この点どう認識されておるか。また、北鮮との間に戦争状態が起こることを公然黙認していたという報道すらありますが、この点はどうか、伺いたいと存じます。
 次に、政府は、米軍の偵察行動は日本の安全に必要なものだと考えているようでありますが、朝鮮民主主義人民共和国と米国との関係は、休戦状態にあるとはいえ、戦争状態に準ずるほど極度に悪化しているのであります。したがって、わが国政府は、戦争挑発行動を厳に慎むよう、関係国、特に米国に警告してしかるべきであります。しかも、米軍偵察機が日本の厚木基地から発進している以上、厳重抗議するのは当然ではないかと存じます。さらに、事件後、米国は護衛機つきの偵察行動を続行すると言っておりますが、これはすでに偵察行動をはるかに逸脱した戦争予備行動というしかありません。このような米国の力を背景とした行動は直ちに中止するように申し入れることが日本国民の利益にかない、世界平和を進める道であると考えますが、いかがでありましょうか。(拍手)
 また、愛知外務大臣は、偵察行動は日米安保条約に基づく行動であって、もし、かりに米国が行なわないとしたら、わが国みずからが行なうべきであると、勇ましくも演説されたのでありますが、総理も同意かどうか伺いたい。同意であるならば、わが国みずからが、朝鮮ばかりでなく、ソ連、中共の沿岸まで出かけて偵察行動を行なうべきものであるとお考えなのかどうか、伺いたい。そして、このような形で海外派兵さえもなしくずしに強行されるおつもりなのかどうか、伺いたいのであります。
 次に、今回の事件の発端であるところの米軍機による偵察行動そのものの考え方であります。
 政府・自民党の考え方は、先ほどからたびたび申しましたように、日本の安全を守るためのものである、日本にとって必要なものである、こう言われております。お人よしもいいかげんにしていただきたい。米国は、日本の安全のためにと最近一言でも言ったことがあったかどうか。去る十八日、ニクソン米大統領は記者会見において、「日本海上空での偵察行動は、五万六千人の米軍が韓国に駐留しており、北朝鮮からの脅威に対してこれを守るという最高司令官の責任がある以上、米国にとって必要である」と述べておるのでありまして、この中には、日本の安全を守るなどとはただの一言一句も言っていないではありませんか。はっきりと、韓国に駐留している五万六千の米軍を守るためと言い切っているのであります。日本の安全などはニクソン大統領の脳裏にあったかどうか、疑わざるを得ない。たとえ百歩譲っても、日本の安全などは第二、第三、第四の考慮であったというしか言いようがないではありませんか。(拍手)いまこそ、このような対米追随政策の根本的再検討が必要であると信ずるのであります。
 次に、佐藤総理はきのうの参議院本会議で、先ほどもまた野党の質問に答えまして、第七十一特別機動艦隊は大きな戦争抑止力であると申されましたが、これは一体いかなる意味でありましょうか。佐藤総理は、日本海に機動部隊を導入することで、ほんとうに戦争を抑止することができると思っていらっしゃるのでしょうか。これはむしろ挑発行為そのものではありませんか。その考え方は、日本を核武装し、軍事的大国家とし、アメリカの日本駐留軍を強大ならしめることによって戦争抑止ができると考えていることに通ずると思うのでありますが、どう考えるのでありましょうか。世界各国は、軍事的均衡より軍備の縮小が平和をもたらすゆえんである、こう考えて、軍縮に対して大きな熱意を示しておるにもかかわらず、佐藤総理のみは、軍事的エスカレーションが戦争抑止になると考えていらっしゃるとすれば、時代に逆行した考え方であるというしかないのでありますが、その点はどうお考えになっているか、伺いたいと存ずるのであります。
 昨年わが党が発表した在日米軍基地総点検に刺激され、約五十基地の返還検討基地が発表されましたが、その後、具体的に名ざしで数基地の返還提案がなされておるわけであります。アメリカ側のこのような提案について、政府はどのように対処されているか、御説明を願いたい。さらに言うなれば、現在の状況にかんがみ、米国の提案を待つなどという消極的な姿勢を改め、在日米軍基地の撤去をすみやかに米国政府に申し入れるべきであると考えますが、総理のお考えを伺いたいと存じます。
 次に、日本側は、常にアメリカ軍がこのように危険な威力偵察を実施していたことを知っておられたかどうか。また日米安保体制の中に直接組み込まれておる自衛隊の最高責任者として、特に防衛庁長官は米軍偵察機の行動をよく知っておられたかどうか、伺いたい。もし知っていないとしたら、それは怠慢というしかない。日本の安全を守るためには、米軍がどのような危険な行動をとっているかを知ることもなくして、対策もできなければ政策もできないのであります。米軍の行動については詳細に連絡を受け、かつこれをチェックすることは、日本の安全を守る上においてきわめて重かつ大であると信ずるのであります。もしも、かりによく知らされていたとしたら、防衛庁長官は、このような米軍の偵察行動と、それに伴う危険な事態発生をすでに黙認し、許容したと言われてもやむを得ない。この点について、総理、外務大臣、防衛庁長官は特にしっかり返事をしていただきたい。
 さらに、航空自衛隊、海上自衛隊等は、本事件発生以来アラート体制に入っているといわれていますが、米軍とどのような分担役割りになっているか、特に明確に御答弁を願いたいと思うのであります。(拍手)
 また、安保条約の事前協議の問題でありますが、外務大臣は、二十二日の参議院外務委員会において、また先ほどにおいても、一機動艦隊の寄港の場合は事前協議の対象にならないと答えられた。本拠地を日本の港湾に置くのでなければ配置の変更にならないし、事前協議の対象でもないとするならば、事実上、日本の各港湾は自由にアメリカの海軍艦艇に開放されたと同じではありませんか。本拠地を日本に置くような艦隊の必要性はほとんど考えられない。その上、一機動艦隊全部が入港してくることなど考えられないわけであります。また、総理は、米艦隊の反復寄港も事前協議の対象外と言われた。もはや安保第六条によって規定された事前協議は、アメリカ側の拡大解釈と、それに迎合する日本政府によってすっかり踏みにじられ、これを日本側によってチェックする何の歯どめも、法律解釈も、条約もないのであります。この点、一体どう考えておられるのか。
 また、このような対米迎合の姿勢というものが、最近の沖繩返還交渉の前提としてアメリカが日本に要求してきたものなのか、または、日本政府がアメリカ側に示すところの媚態なのか、しかと伺いたい。日本国民の一人として、私は、このような危険な取引、危険な態度というものに深い憂いを表明せざるを得ないのであります。
 しかも、今回の事件によって、米国が極東の安全保障のため沖繩の基地は一そう重要だと判断した場合は、総理はどう説明をされるのか。われわれのようにアジアの緊張緩和の努力を傾けてこそ、沖繩基地の持つ相対的重要性を低下せしめることができるのであります。しかるに総理は、力の対決に加担し、アメリカの一方的な支持に直ちに加わること自体、沖繩返還をおくらせることになると思いますが、この点はどうお考えであるかを伺いたいのであります。
 次に、二十三日の報道によれば、米国務省は、二十一日駐米日本大使館に対し非公式に、北朝鮮沿岸の偵察飛行を護衛する戦闘機が在日米軍基地から発進することはあり得る、また、事前協議の対象にならないという条約上の解釈を伝えてきたそうでありますが、政府はこのような通報を受けた事実があるかどうか、また、その有無にかかわらず、これについてどう考えておられるか、見解を承りたい。
 最後に、当面の問題であります日本海における漁船の安全操業に関し伺いたいと存じます。
 御承知のように、日本海は米国艦隊とそれを監視するソ連艦隊の存在によって、漁民は危険におびえて操業もできない状態に追い込まれております。特に、第七十一特別機動艦隊の遊よくする対馬海域は、まき網、底びき漁船が三千五百そうも出漁するところであり、漁民の不安は想像以上のものと存じます。しかも、この状態は長期化することも考えられますが、漁民の生活に与える影響は深刻であります。この海域の漁業操業状態はどうなっておるか、農林省としては、漁民の声を代表して、各関係方面に対して強い申し入れを行なう気があるのかどうか、また、操業できないことに対する補償はどうするつもりか、また、政府が強力に支持している米軍の行動が原因となって、このような満足な収穫も得られない状態になっておるとするならば、損害に対する補償はどうするか、それは日本政府の責任においてなされるのか、それとも、アメリカ側の責任において補償すべきものかどうか、伺いたい。また、当面、漁民の安全操業を確保することが最大の急務でありますが、これに対して海上保安庁の警備保障体制は一体どうなっておるのか、特に運輸大臣に伺いたい。
 また、第七十一特別機動艦隊の行動について、今後どのような行動をとると予測せられているか。日本国民の不安を静めるためにも、この際説明をしていただきたいと思うのであります。
 以上をもって質問といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 渡部君にお答えいたします。
 最初の問題は、もうすでにいままでの質問者に答えたところでございますから、時間を省略するという意味で答弁を省略させていただきたいと思いますが、とにかく、朝鮮半島の緊張激化、これはわが国にとりましてもまことにたいへんな問題でございますので、政府といたしましては、これに十分気をつけておるつもりでありますが、この点は、いままでの方にみんなお答えいたしましたから、ただいまのように省略することをお許しを得たいと思います。
 ただ、このことについて、政府のやっていることはどうも自主性がなく、同時にまたアメリカ一辺倒じゃないか、こういう御批判あるいは御意見をただいま伺ったのでありますが、しかし、このことは、私は日本の総理大臣でございますし、いままでやっていることは、いま言われるような、自主性がないとかあるいは対米一辺倒だとか、こういうような御意見は、どうも私の参考にもならない、いわゆる筋違いの御意見だと思います。(拍手)その点だけ一言――あるいは一言多いかしれませんが、一言申し添えておきます。
 また次の、米軍偵察機が公海上で撃墜された、その裏づけについてもいろいろお尋ねがありましたが、これも先ほど詳細に政府の考え方をお答えいたしましたので、これまた省略さしていただきます。
 次に、公海上における偵察行動に対し、米国が戦闘機の護衛をつけることに決定したのは、これは先ほども申したのですが、北朝鮮の不法行為の再発を防止するためであります。そのために偵察活動本来の目的が変わるとは思えないし、そうである限り、政府としては、米軍の偵察活動の中止など申し入れる考えはございません。
 また、いきなり撃墜するということは、国際慣行ではございませんので、国際法規の欠除、ないことをいいことにして、これをいきなり撃墜するというのは、人道上からもこれは問題があると私は思います。日本の場合は、先ほども答えたように、まず領空から去ってもらうという、そういうような態度をとる、あるいはまた安全なところへ一応着くとか、こういうような、いわゆる撃墜ということを避けるのが普通一般にとられている処置であります。
 次に、外務大臣がどのような席で、どのように答たのか私も知りませんが、まだ報告を受けておりませんけれども、米軍がわが国の施設、区域を使用して通常の偵察活動を行なうことは、安保条約及び地位協定上当然認められております。また、わが国の自衛隊は、沿岸警備及び救難活動等のため随時哨戒飛行を行なっており、これは今後も続行する方針であります。ただし、わが国の場合、哨戒機の性能、その任務の性格からいたしまして、行動範囲は限られております。わが国沿岸周辺に限られております。御質問のように、中共やソ連の沿岸まで出かけていくというような勇ましいお尋ねがありましたが、さようなことはございません。
 また渡部君は、なしくずしの海外派兵と言われますが、海外派兵と言う以上、これはやはり武力行使の意図を持って自衛隊を他国の領域に派遣させることを言うものと私は考えますので、自衛隊の偵察活動が海外派兵につながる、かようなものではありません。これまた注意を喚起しております。(発言する者あり)注意で悪かったら、御注意を喚起しておきます。
 次に、渡部君は、米軍の行動がソ連、中共を刺激するとお考えのようですが、それでは事件発生後、ソ連が米国の要請に応じて直ちに捜索、救助活動に協力したという行動の説明がつかないと私は思います。また中共も、プエブロ号事件のときと違って、今回の場合は、一昨日になって簡単な事実報道をしたにとどまっております。公海上の偵察活動は、ソ連をはじめ、各国ともこれを行なっていることであり、アジアの平和と安定に重要な責任を持っている米国がこれを行なったからといって、それが特に緊張激化の原因になるとは私は考えておりません。遺憾ながら意見が違います。
 次に、韓国には御指摘のようにアメリカの兵隊が五万六千名もおります。在韓米軍が五万六千もいる、こういう状態でありますから、アメリカがこれについて格別な関心を持つのは、これは当然だと思います。そこで、アメリカは自分の国のことなら十分関心を持つが、日本の安全など考えちゃいないのだ、こういう御指摘でありますが、私は、日米安全保障条約に基づくアメリカの義務、これについてはまことに忠実だと思います。また、今回の行動に際しましても、逐一私のほうに話を通じておりますし、また、日本国民の感情を無視もしないで、いわゆる偵察機に対して戦闘機が日本の基地からは発進しないようにする、かような点も申しておるのでありますから、十分日本の状態にも考え方を及ぼしておる。そして、こういうことがいかにも佐藤内閣が向米一辺倒の証左であるように御指摘になりますが、こういう点こそ、もっと国際情勢というものを見きわめられ、そうして大所高所から、あるべきその行動をぜひともとっていく、これが大国日本の態度だ、かように私は思います。(拍手)どうか、これもよく、お気にさわることがあるかもわかりませんが、ひとつ御了承を得たいと思います。
 在日米軍基地の整理統合に関する政府の方針は別に変わりはございません。この点については、公明党の方々がいろいろ御協力してくださいましたこと、事柄は事柄としてお礼を申し上げておきます。
 また、戦争抑止力というのは一体どういうことかということでありますが、私は、これは参議院でも申したのですが、七十一機動部隊は確かに大きな戦力を持っております。巨大な戦力、この戦力こそ、これが戦争の抑止力だ、かように私は考えております。これがいわゆる戦争に発展すると、かようには私は思いません。
 沖繩問題の返還に重大なる影響があるだろう、事柄によりましては、さようにも考えなければならぬかと思いますが、なるべく今回の問題と沖繩返還問題とを混同させないように、そうして、われわれがわかりいいような方向で沖繩問題を処理する、これが日本国民の願望でもある、私はかように信じますので、ただいまのお説、そういう危険なきにしもあらずだが、私は、いまの段階ではこの問題を別にする、そうして、その点でアメリカに交渉したい、これも御了承いただきたいと思います。
 次に、外務大臣その他からお答えいたすといたしましても、漁業の問題について、先ほどお答えもいたしたのですが、私から、もう一度この点について意見を述べたいと思います。
 ただいま、日本海の安全操業、これは米側に強くその慎重な取り扱い方を要求しております。申し入れております。米海軍並びに外国艦船の行動によって、わが国の漁船が出漁手控えなどにより損失が現に生じたとき、これには国内的な救済措置をどうするかという問題もありますが、これらについては、先ほども一言申しましたように、損失補償につきましては当然政府が善処して、そうして、漁民の直接の損害をあとう限りないようにしよう、これは当然のことでありますけれども、日本漁民について、救済の点で万全を期す、この点を御了承いただきたいと思います。
 その他の点は、外務大臣と防衛庁長官からお答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#22
○国務大臣(愛知揆一君) 簡単にお答えいたします。
 先ほど冒頭に御報告いたしましたように、四月十六日に、私がアメリカ側の正式な連絡と説明を受けまして、そのときの、米国政府として正式に日本政府に対して、あらゆる根拠に基づいて絶対に保証をいたしますということは、これは非常なものであると私は信じます。同時に、私は外交の担当者といたしまして、日米安保体制の堅持ということが、信条として日本の国益を守る外交であると考えるわけでございまして、この信頼関係の上に立って、このように日本政府に保証するということは、これ以上の信ずべき証拠をほかに持つことはできないと私は思います。
 事前協議の問題につきましては、先ほど竹本君の御質問に詳細にお答えいたしましたが、艦隊を構成する艦艇等の寄港をいたします場合は、配置の変更とは見られませんから、事前協議の対象とはなりませんということを、いま一度申し上げておきます。
 それから次に、在日米軍基地から、偵察機の護衛のために戦闘機が発進するということが新聞の記事で報道されているではないかというお尋ねでございましたが、これは、正式に、最初に御報告申しました中にも特に入れてありますように、在日米軍の基地から戦闘機が護衛のために発進するということはございません。この点だけお答えを申しまして、簡単でございますが、御了承をいただきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣有田喜一君登壇〕
#23
○国務大臣(有田喜一君) 第一に、在日米軍基地につきまして、その後の整理統合はどうなっておるかというお尋ねでございます。われわれは、この米軍基地につきましては、日本の国の安全のために必要である、こういう前提に立っておるのでありますが、しかし、いろいろと事情の変化によりまして、比較的利用度の少ないものも生じてまいっておりますので、これが整理統合の必要を認めまして、御存じのとおり、昨年の暮れに日米安全保障協議委員会を開きまして、約五十の整理統合すべき対象をきめました。その具体的の処理を、日米合同委員会にすみやかにやらすようにいたしたのであります。自来、日米合同委員会におきまして、鋭意これが整理統合につきまして検討を重ねまして、名寄演習場、日出生台十文字原演習場など、すでに十カ所の施設の返還及び移転について合意を得たような次第であります。自余の施設、区域につきましても、今後とも、その調整の促進をはかりますとともに、その他の米軍施設につきましても、その実態を十分把握して、基地と周辺住民の生活との調整に積極的に取り組んでいきたい所存でございます。
 なお、米軍のやっておる偵察行為をおまえたちは知っておったかということですが、もちろん、アメリカがこういったような偵察行動をやっておるということはよく知っておりました。これは御承知のとおり、先ほど来話がありますように、国際的にも容認されておることであるし、一つの軍事常識だ。といって、私どもは、一々何月何日にどこへ飛んでいくというような、そういうような相談までは受けておりません。要は、日本の安全のために必要な結果を知らしてもらったらいいんでありまして、一々のことに相談を受けておりませんが、といって、それを受けなければ長官の責任がとれぬというような性質のものではない、かように思っております。
 なお、航空自衛隊が今回の事件に関して警戒体制に入っておるとのことであるが、というような御質問がありましたが、さようなことは全然ございません。したがいまして、本件に関して、アメリカとわれわれ自衛隊の役割りの分担というようなことはあろうはずがありませんから、これは誤解のないようにお願いしたい。(拍手)
    〔国務大臣長谷川四郎君登壇〕
#24
○国務大臣(長谷川四郎君) 渡部さんにお答え申し上げます。
 安全操業と漁業損失補償の件については、総理から、しかも詳細に御答弁がございましたので、私は、それ以上つけ加える必要がございませんから、私の答弁を省略いたします。(拍手)
    〔国務大臣原田憲君登壇〕
#25
○国務大臣(原田憲君) 米艦隊の日本海入域に伴う海上保安庁の対策を申し上げます。
 四月十五日の米軍機撃墜事件が発生しまして、外国の船艇の捜索活動が行なわれましたので、直ちに第七、第八管区海上保安本部に対し、漁船の安全指導に特に注意を払うよう指示をいたしました。
 さらに、四月二十一日朝、空母を含む米艦隊が日本海に入ったことが確認されましたので、関係のある漁業協同組合、漁業無線局、出漁船に通報いたしまして、注意の喚起を行なうとともに、特に出漁船の多い日本海南西海域に、通常巡視警戒のほか、さしあたり巡視船二隻を常時配置いたしまして、また、航空機による哨戒も実施いたしまして、漁船の安全指導に万全を期しております。(拍手)
#26
○副議長(小平久雄君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第一 北方領土問題対策協会法案(内閣
  提出)
#27
○副議長(小平久雄君) 日程第一、北方領土問題対策協会法案を議題といたします。
#28
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。沖繩及び北方問題に関する特別委員会理事小渕恵三君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔小渕恵三君登壇〕
#29
○小渕恵三君 ただいま議題となりました北方領土問題対策協会法案につきまして、沖繩及び北方問題に関する特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、昭和三十六年に制定された北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律により設立された北方協会を発展的に解消して、新たに北方領土問題対策協会を設立し、この団体を通じて、全国的規模において、北方領土問題その他北方地域に関する諸問題の解決の促進に資することを目的といたしております。
 その要旨は、
 第一に、北方領土問題対策協会の組織、協会の業務の範囲、協会の財務及び会計並びに協会の監督等、協会の設立に関し必要な事項を規定いたしております。
 第二に、協会の業務としては、北方領土問題その他北方地域に関する諸問題について、必要な調査研究、啓蒙宣伝等を行なうとともに、北方協会が現在までに行なってきた北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律の規定に基づき、旧北方協会が政府より交付された十億円を新協会が承継し、引き続き北方地域旧漁業権者等に対する必要な資金の貸し付け業務を行なうことといたしております。
 第三に、北方領土問題対策協会の設立に伴い、北方協会は解散し、その業務は、南方同胞援護会の北方地域に関する業務とともに新協会が引き継ぐこととなりますので、北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律のほぼ全面的な改正を行なうとともに、南方同胞援護会法その他関係法律について、所要の改正を行なうことといたしております。
 最後に、この法律の施行期日は、公布の日から施行すること、ただし、南方同胞援護会法の一部改正等の関係法律の規定については、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において、政令で定める日から施行することといたしております。
 以上が本案の要旨であります。
 本案は、三月二十日本特別委員会に付託され、同月二十五日床次総理府総務長官から提案理由の説明を聴取し、以後、慎重に審査を進めてまいりましたが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
 かくて、四月十七日質疑を終了し、一昨二十二日採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決した次第であります。
 なお、本名武君外三名提出の自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の共同提案にかかる附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 通行税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#32
○副議長(小平久雄君) 日程第二、通行税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#33
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長田中正巳君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔田中正巳君登壇〕
#34
○田中正巳君 ただいま議題となりました通行税法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、今回、日本国有鉄道の旅客運賃等の等級が廃止されることに伴い、新たに設けられる特別車両料金について、同料金が現在通行税の課税を受けている一等車両の利用料金であることに顧み、これに対して課税を行なうこととするとともに、寝台料金に対する免税点を現行の千四百円から千六百円に引き上げ、現在非課税とされている二等寝台料金が、今回の寝台料金の改定に伴って新たに課税を受けることにならないよう、所要の調整をはかろうとするものであります。
 本案につきましては、実に十三名にのぼる質疑者が立ち、それぞれきわめて熱心かつ慎重に審査を行ないましたが、その詳細は会議録を御参照願いたいと思います。
 かくて、去る二十二日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して渡辺美智雄君は本案に賛成の旨を、日本社会党を代表して村山喜一君、民主社会党を代表して河村勝君、公明党を代表して広沢直樹君は本案に反対の旨をそれぞれ述べられましたが、その詳細は会議録によってこれまた御承知を願いたいと思います。
 次いで、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決となりました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#35
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#36
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第三 地方交付税法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
#37
○副議長(小平久雄君) 日程第三、地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#38
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員長鹿野彦吉君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔鹿野彦吉君登壇〕
#39
○鹿野彦吉君 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、
 第一に、地方公共団体の行政経費の増加に対処するため、地方交付税の単位費用を改定し、基準財政需要額に算入すべき行政経費について、経常経費と投資的経費の区分を明らかにするとともに、特に投資的経費については、動態的な財政需要の算定を強化するほか、臨時の措置として公共用地の確保の促進のために要する経費を基準財政需要額に算入する等、行政の実情に即した財政需要の算定を行なおうとするものであります。
 第二に、地方財源の確保に配慮しつつ、昭和四十四年度分の地方交付税の総額から六百九十億円を減額することとし、別途昭和四十三年度の補正予算により増加した同年度分の地方交付税の総額から六百八十四億円を昭和四十四年度に繰り越して加算するとともに、六百九十億円は後年度において加算しようとするものであります。
 本案は、三月十八日本委員会に付託され、四月四日野田自治大臣より提案理由の説明を聴取した後、慎重に審査を行なったのであります。
 四月二十二日、本案に対する質疑を終了し、討論を行ないましたところ、自由民主党を代表して塩川委員は本案に賛成の意見を述べられ、日本社会党を代表して山本委員、民主社会党を代表して折小野委員、公明党を代表して小濱委員、日本共産党を代表して林委員は、それぞれ反対の意見を述べられました。
 次いで、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党共同提案により、地方交付税の年度間調整が行なわれる場合は、地方公共団体の自主的運営がそこなわれないよう配慮するとともに、過疎地域に対しては、その財政措置を一そう強化すること等を内容とする附帯決議を付することに決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#40
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#41
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第四 海外移住事業団法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(外務委員長提出)
#42
○副議長(小平久雄君) 日程第四は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。
 日程第四、海外移住事業団法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
#44
○副議長(小平久雄君) 委員長の趣旨弁明を許します。外務委員長北澤直吉君。
    〔北澤直吉君登壇〕
#45
○北澤直吉君 ただいま議題となりました海外移住事業団法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨とその概要を御説明申し上げます。
 本法律案は、四月二十三日の外務委員会において、全会一致をもって起草提出いたしたものであります。
 政府は、昭和二十七年に戦後の海外移住が開始されるとともに、財団法人日本海外協会連合会及びその後身である海外移住事業団を通じて、昭和四十一年三月末に至るまで、中南米移住者に対し、渡航費として総計五十四億五千万円余を貸し付けてまいりました。
 中南米に移住された方々の総数は、昭和四十三年末現在で約六万人でありまして、そのうち九〇%以上が農業に従事しておるものであります。
 これら農業移住者の現状を概観いたしますと、政府及び海外移住事業団の諸援護、並びに営農確立のための現地での融資等の措置にもかかわらず、いまだに定着安定の域に達していない方々も多いのであります。
 以上のような点にかんがみまして、政府は、昭和四十一年に行なわれた海外移住事業団法の一部改正により、昭和二十七年四月一日から四十一年三月三十一日までの間に事業団に貸し付けた五十四億円余の渡航費貸し付け金債権を免除するとともに、同年四月以降は事業団に渡航費を交付することとし、事業団も移住者に対して渡航費を支給することに業務内容を改正したのであります。
 しかし、法改正後も渡航費貸し付け金債権は依然として事業団と移住者の間に残っておりますので、事業団はその回収に努力してまいりましたが、四十一年四月以降は渡航費を全額支給していること、同じ移住地に渡航費を貸し付けられた人と支給された人が混在して不公平が生じていること、さらには移住者の中に経済的に良好でない人もいること等の理由によって、回収状況ははなはだ芳しくないのであります。
 一方、それに伴って、債権管理費の累積が無視できない実情にあります。
 また、戦後、米国難民救済法の適用を受けて、アメリカ合衆国に移住した三百八十八名に対し、政府は三千百八十五万円余を渡航費として貸し付けておりますが、すでに、その九五%が回収済みでありまして、残余の分は回収見込みが立たない状況でございます。
 よって、このような渡航費貸し付け金の返済という移住者の心理的負担と、四十一年の法改正による不公平を除き、かつ、経済的向上をはかり、もって移住者の営農定着を実現させるため、次のような法的措置を講じようとするものであります。
 すなわち、本改正案の第一点は、政府は、昭和四十一年の事業団法の一部改正の際に除外されたアメリカ合衆国向け移住者のため、事業団に貸し付けた渡航費貸し付け金債権約四百六十万円を免除するものであります。
 第二点は、事業団は、移住者に貸し付けた渡航費貸し付け金債権を一括して免除するものであります。
 なお、本法案に対しましては、過去に渡航費を返済した者との間に不公平が生じますので、これに対処する方法として、海外移住事業団が、現在特別勘定に保管している回収金を、移住者全体の利益になるように使用することが適当と思われます。
 よって、このような観点から、移住者の団体を選定し、これに対し、その基金として回収金を寄贈することとし、あわせて貸し付け金を返済した移住者に対しましては、右団体より感謝状を贈る措置をとりたいと存じます。
 また、本案施行による国庫減収額は約四百六十万円と見込まれますので、外務委員会におきまして、本案の提出を決定するに際し、政府に対して意見を求めましたところ、愛知外務大臣より、国がアメリカ合衆国移住者に対して渡航費貸し付け金債権を免除することについては、残余債権の回収が事実上不可能に近いのでやむを得ないものと考える。また、事業団が移住者に対して一律に渡航費貸し付け金債権を免除することについては、問題がないわけではないが、昭和四十一年以降渡航費を支給することに改められているので、あえて反対しない旨の意見が開陳されました。
 以上が本案の提案の趣旨とその概要であります。何とぞ御審議の上、御賛成あらんことを要望いたす次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#46
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 地価公示法案(内閣提出)
#48
○副議長(小平久雄君) 日程第五、地価公示法案を議題といたします。
#49
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。建設委員長始関伊平君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔始関伊平君登壇〕
#50
○始関伊平君 ただいま議題となりました地価公示法案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における地価の高騰が国民経済の発展と国民生活の安定に著しい支障を及ぼしている実情にかんがみ、適正な地価形成をはかるため、土地鑑定委員会を設置し、標準地の正常価格を公示して、一般の土地取引価格に指標を与え、公共用地の取得価格の算定等について所要の措置を講ずることを目的といたしましたもので、おもな内容は次のとおりであります。
 第一に、土地鑑定委員会は、建設省令で定める市街化区域内の標準地について、毎年一回、不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、その単位面積当たりの正常価格を判定し、これを公示するものとしたことであります。
 第二に、不動産鑑定士等が第一の区域内で土地を鑑定評価する場合及び公共事業の施行者が公共用地の取得価格を算定する場合には、公示価格を規準としなければならないものとし、また収用委員会が収用する土地に対する補償金の算定は、公示価格を規準とした価格を考慮しなければならないものとしたことであります。
 第三に、地価の公示に関すること及び不動産鑑定士試験に関すること等の事務を所掌するため、建設省に土地鑑定委員会を置くものとしたことであります。
 本案は、三月四日本委員会に付託され、三月十四日建設大臣から提案理由の説明を聴取いたしたのであります。その後における審議の詳細につきましては、会議録に譲ることといたします。
 かくて、四月二十三日、本案に対する質疑を終了し、討論の申し出なく、直ちに採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定した次第であります。
 なお、本案に対しまして附帯決議を付することに決したのでありますが、その内容につきましては、会議録で御承知願いたいと思います。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#51
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#52
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#53
○副議長(小平久雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後七時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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