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#1
第061回国会 本会議 第48号
昭和四十四年六月十七日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四十号
  昭和四十四年六月十七日
   午後二時開議
 第一 道路運送車両法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
    …………………………………
  一 国務大臣の演説(公害対策基本法に基づ
   く昭和四十三年度年次報告及び昭和四十四
   年度公害防止に関する施策について)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 道路運送車両法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
 斎藤厚生大臣の公害対策基本法に基づく昭和四
  十三年度年次報告及び昭和四十四年度公害防
  止に関する施策についての演説及び質疑
    午後二時六分開議
#2
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 道路運送車両法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
#3
○議長(石井光次郎君) 日程第一、道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#4
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。運輸委員長砂原格君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔砂原格君登壇〕
#5
○砂原格君 ただいま議題となりました道路運送車両法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本案は、最近における自動車保有台数の増加に対処いたしまして、その登録及び検査に関する業務の能率化をはかりますとともに、その検査に関する制度の合理化を期そうとするものでありまして、まず、電子情報処理組織を利用して自動車登録ファイルに自動車の登録をすることとし、現行の自動車登録原簿の制度を廃止すること。次に、登録を受けている自動車は、特別の場合を除き、指定自動車整備事業者の検査を受けられることとすること等であります。
 本案は、三月二十六日本委員会に付託され、四月十一日運輸大臣より提案理由の説明を聴取し、五月七日質疑に入り、六月十一日には参考人から意見を聞くなど、慎重なる審査を行なったのでありますが、その内容は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、六月十三日、質疑を終了し、討論の申し出もなく、直ちに採決いたしました結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対しましては、自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党四党共同提案による附帯決議が付せられました。以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#7
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説(公害対策基本法に基づく昭
  和四十三年度年次報告及び昭和四十四年度
  公害防止に関する施策について)
#8
○議長(石井光次郎君) 厚生大臣から、公害対策基本法に基づく昭和四十三年度年次報告及び昭和四十四年度公害防止に関する施策について発言を求められております。これを許します。厚生大臣斎藤昇君。
    〔国務大臣斎藤昇君登壇〕
#9
○国務大臣(斎藤昇君) 昭和四十二年度公害の状況に関する年次報告及び昭和四十四年度において講じようとする公害の防止に関する施策について御説明いたします。
 この報告及び施策は、公害対策基本法第七条の規定に基づく最初のものであります。
 初めに、公害の状況に関する年次報告について御説明申し上げます。
 まず、第一部、「序説」でありますが、今回が最初の年次報告でありますので、わが国における公害の発生と推移を概観しつつ、公害の特質にも触れ、公害防止対策の進展の状況と今後の課題を明らかにいたしております。すなわち、公害問題は、わが国の近代産業の生々発展とともに発生し、推移してきたのでありますが、特に、最近における経済の高度成長や都市化の進展等に伴って、今日におけるような公害問題の深刻化を見たのであります。一方、これに対する公害防止対策としては、従来から各種の施策がなされてきましたが、昭和四十二年八月の公害対策基本法の制定を契機として、その理念と方向に従って、各般にわたる防止施策が実施の緒につき、総合的、計画的な公害対策への道が開かれたのであります。
 今後においては、広い視野と長期的な見通しのもとに、公害の発生を防止するための配慮と施策を推進し、公害問題の克服に邁進することが必要とされるのであります。
 次に、第二部の「公害の現状」においては、大気汚染、水質汚濁、騒音、地盤沈下、悪臭及び振動の六種の公害について、その現状、人の健康や生活環境に与える影響等に関して述べておりますが、大気汚染、水質汚濁などの公害は広域化、複雑化の傾向を深めており、人の健康に重大な被害を与える場合があるほか、動植物や居住環境に与える影響も広範多岐にわたっております。
 第三部の「公害の防止に関して講じた施策」においては、まず、昭和四十二年度を中心として公害対策基本法の趣旨に沿って講じた具体的施策として、大気汚染防止法や騒音規制法の整備による規制の強化拡充、環境基準の設定及び公害防止計画の基本方針の策定、公害の紛争処理及び被害救済のための法律案の国会提案等をあげております。さらに、公害の種別に応じた規制対策や監視測定体制の整備状況をはじめ、地域開発等における公害対策、公害防止に関する調査研究と技術開発、公害防止施設整備のための融資助成措置、公害行政の推進体制、地方公共団体における公害対策等の進展状況を明らかにいたしております。
 次に、「昭和四十四年度において講じようとする公害の防止に関する施策」について説明いたします。
 昭和四十四年度においては、公害対策基本法に基づく公害の防止に関する基本的施策の具体化と個別的な公害防止対策の強化を目途として、各般にわたる施策を講じていくことといたしております。すなわち、基本法に基づく各種環境基準の設定、公害防止計画の策定実施をはじめ、工場立地の適正化、土地利用計画の確立等、基本的な防止施策をさらに進めるとともに、個別的な公害防止対策として、大気汚染、水質汚濁、騒音その他の公害について、規制措置の拡充強化、各種影響調査の実施等を引き続き推進するほか、防止技術の開発、監視測定体制の拡充、公害防止施設等に関する融資、助成その他の対策を整備強化し、さらに、公害紛争の処理及び被害救済の制度を確立するとともに、燃料の低硫黄化の推進につとめるなど、公害対策の充実をはかることといたしております。
 以上をもって説明を終わります。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説(公害対策基本法に基づく昭
  和四十三年度年次報告及び昭和四十四年度
  公害防止に関する施策について)に対する
  質疑
#10
○議長(石井光次郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。安井吉典君。
    〔安井吉典君登壇〕
#11
○安井吉典君 ただいま御説明のあった、いわゆる公害白書の閣議決定が五月二十三日、その二日前の二十一日、わが党中央執行委員会は、全国的公害総点検の結果に基づき「住民の公害白書――いのちとくらしをおかすものへの告発」を発表いたしました。私は、日本社会党を代表し、この際、政府の公害白書に関し、わが党の見解を明らかにし、佐藤総理をはじめ、関係閣僚に若干の質問をいたしたいと思うのであります。(拍手)
 わが党は、従来から公害対策に取り組んでまいりましたが、この二月から四月にかけ、成田委員長を先頭に、総動員で全国二十三都道府県の公害の実態について資料を集め、足を運んで目で見、かつ、自治体の当局者や住民と対話を重ねました。それにより、わが国の公害は予想以上に深刻であり、国民の健康をむしばみ、生活を苦しめていることをわれわれは確認いたしたのであります。
 その原因は、明治以来、低賃金、重労働、公害無視などの日本資本主義の体質から発するものであり、特に、昭和三十年以降の自民党政府による高度経済成長政策推進の過程において、独占資本と政府が、生産第一主義で公害を野放しにし、その上に、国と自治体では公害行政不在で、対策はすべて後手後手に回り、人が死ななければ対策に手がつけられないのであり、このような人間を忘れた政治こそがことごとく責任を負わなければならないと思うのであります。(拍手)
 政府の白書について、私が第一に指摘いたしたいのは、公害発生企業に対する責任追及が甘過ぎるということであります。
 政府の白書も、社会投資が不十分なままの急激な経済開発が公害をひどくし、かつ、公害防止に十分な配慮がなされなかったことを認め、企業の側に公害対策の努力を求めてはおります。しかし、われわれには、政府が企業に対しあまりにも遠慮がちであることについて、全く理解に苦しむのであります。(拍手)政府が、企業と国民の間の第三者的立場に立ち、双方の調和をはかるがごとき、公害における政府の中立的な姿勢は、断じて許さるべきではありません。(拍手)われわれは、政府は常に国民の生命、健康、そして生活を守る立場において、無過失責任をも含め、企業の公害防止の責任をあくまで追及し、発生源における規制の強化をはかるのでなければ、公害問題の解決はないと考えるが、まず、この公害対策の基本姿勢について、佐藤総理にお伺いをいたしたいと思います。
 現在、法制審議会の刑事特別部会において、刑法改正案に公害罪を加えることにつき検討中でありますが、外国の立法例もあり、刑事政策的効果をも期待し、公害罪を設けることにつき政府は積極的に取り組むべきではないか、また、刑法の体系でも法人に刑事責任を負わせることとすべきではないか、お尋ねいたしたいと思います。
 私の第二の指摘は、政府の公害予防対策の立ちおくれであります。
 今日、基幹産業のエネルギー源は石油中心に大きく転換いたしました。このエネルギー革命に政府は十分対応することがなかったために、このような石油公害を激発させてきているのであります。政府は、煙突を高くすることで亜硫酸ガスの被害を小さくする、こういう指導にとどまることなく、低硫黄燃料ないし液化天然ガス等への燃料転換とか脱硫技術の開発等、基本的な対策に積極的なかまえを示すべきではないか。
 また、水質汚濁防止対策はきわめておくれており、水質二法の一元化、水質基準の設定を極力急ぐべきではないか。特にカドミウムや水銀等による水質汚濁については、イタイイタイ病や水俣病など、百数十人の死者とこれに数倍する患者を出し、しかも、群馬県安中市で第二イタイイタイ病の発生の危険すら迫っておりながら、この世にも悲惨な公害病に対する効果的な治療法は発見されていない現在、政府としては、あらゆる可能性に対する対策を講ずるとともに、重金属の特定の有毒物による汚染防止の特別立法を行なうべきではないか。(拍手)
 また、自動車の一酸化炭素排気量は驚くべき増大ぶりであり、運輸省は車の一酸化炭素排出濃度規制を九月から強めることを決定いたしましたけれども、これではなお不十分であり、少なくとも厚生大臣意見書の実施ぐらいは当然のことであると思うが、どうか。
 また、全く未着手である産業廃棄物処理や、いよいよ原子力の時代に入るというのに、いまだ明確な原子力公害対策を政府は持ち合わせていないことをもあわせて指摘し、以上の諸点につき、政府のお考えをただしたいと思うのであります。(拍手)
 ここで私は、最近の国産自動車の欠陥車問題につき、一言触れたいと思います。
 日産、トヨタのほかに、昨日は残り十社が欠陥車を公表し、欠陥車の数は延べ二百四十五万台、うち回収、修理済みを差し引いても、現在百三十万台、実に十台に一台の割合で、欠陥車がブレーキやハンドルなどの欠陥まで隠されたまま走っているというのが現状であります。私は、世界第二位の自動車生産台数を誇り、大きな収益を積み重ねているわが国の大企業のモラルが、いまこそ問われているのだと思うのであります。(拍手)新聞や国会で追及されなければ、この重大な事実をひた隠しにしていくつもりであったのであり、事故が起きても車両整備不良でドライバーだけに罪をかぶせ、利用者に傷害を与え、命を落とさせてきたものであり、利潤が第一、安全や公害対策は二の次という大企業の態度を、われわれは鋭く追及しなければならないと思うのであります。(拍手)
 さらに、メーカーにこの事態を許してきた監督官庁である運輸省も、通産省も、これはまさに欠陥省であることを暴露したものであり、その責任は重大であります。輸出戦略産業という美名に隠れ、企業と癒着し、行政指導の責任をサボタージュしてきたのではないか。また、メーカーの刑事責任、いわれのない処罰を受けてきた利用者の救済措置、原因究明のための第三者機関の設置、今後の欠陥車公表の制度化、外国輸入車やオートバイに対しても同様な措置をとること等、当面の諸対策につき、この際運輸大臣から御答弁を願いたいと思うのであります。
 第三は、公害の行財政についてであります。
 政府の公害行政機関が実に多岐に分かれていることが公害対策の推進を妨げているわけで、これは周知のことであります。しかしながら、政府の白書は、ふしぎにもこの一元化の問題には少しも触れていないのであります。公害に関する行政は、外務と郵政と行政管理の三省庁を除く全省庁に関係しており、特に水質保全に関する行政などは、経済企画庁、建設省、農林省、通産省、それに厚生省というぐあいであります。最近、厚生省は水質環境基準専門委員会、経済企画庁は水質環境基準部会、水質基準の審議について、同じ佐藤内閣の中に二つの審議機関ができ、同じ人が両方の委員に選任を受けるという珍事さえ出現をいたしております。おくれた水質基準の設定に急に熱心になりましたのは、これは実は役所のなわ張り争いのためであります。公害行政の一元化の要をしばしば指摘されるごとに、佐藤総理はいつも検討を約束されているのでありますが、ほんとうにやる気がおありなのかどうか、私は、ぜひこの際お伺いをいたしたいのであります。
 公害防除技術開発のため、自治体さえ、現在は独立の研究機関を持ちつつあり、この際政府は、国立の強力な公害研究所を設立すべきではないか。さらに、政府の公害対策財政は、今日のような深刻な事態にあってもなお貧弱であるためか、政府の公害白書には、公害融資を除きましては、財政についてあまり書いてないのであります。今後は、むずかしい中小企業や農林漁業の公害対策費を含め、直接助成措置の拡大や金融措置の改善など、公害財政の大幅増額をはかるべきではないか。なお、原油輸入関税収入のうち、石炭対策に向けた残りを大気汚染防止や脱硫対策に向けてはどうかという強い意見がありますが、この点につきまして、大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。(拍手)
 第四は、自治体の公害対策を強化することであります。
 住民に直結する自治体では、住民を公害から守るため公害対策に努力することは当然のことでありますが、政府の法律による公害規制があまりにも弱過ぎるため、いわゆる横浜方式といわれる、自治体と進出企業との公害防止に関する確認書の交換、公害防止協定が全国各地で行なわれております。さらに最近では、東京都の意欲的な公害防止条例の制定があります。しかしながら、自治体の公害防除についての法律上の権限は小さいので、企業に対する単なる要請行政にとどまっているわけでありますが、この際、地方自治法において、公害行政を自治体の固有の事務としてもっと明確に位置づけ、公害諸立法においても自治体の権限を強化するとともに、地方交付税における公害対策費を大幅に拡大すべきであると思うが、自治大臣のお考えを承りたいと思います。
 第五に、政府の白書は、公害のために立ち上がっておりますところの全国各地の住民運動をほとんど無視しているのであります。わが党の白書が明らかにしておりますように、発生した公害の防除の要求や公害による被害からの救済運動が激しく、最近は三重県四日市のぜんそく患者や富山県イタイイタイ病患者、熊本県の水俣病患者、新潟県の第二水俣病患者等による訴訟提起が大きく行なわれ、また、公害発生のおそれのある企業の進出に予防的に反対する運動もきわめて盛んに起きております。住民運動は、いわゆる直接民主主義であり、政治と住民との間の断絶におきましてあらわれるものであります。国や自治体の公害対策を怠っていることに対する端的な政治不信のあらわれにほかなりません。たとえば富士川火力発電所新設問題で三千人の市民が市議会に押しかけた場合のように激しい住民運動が起きている場合には、政府は、企業進出に対する認可、許可を与えないか、あるいは企業側を説得するかにより、国民とともに公害を防ぐ政治のかまえを打ち出すべきでないかと思うのでありますが、総理のお考えを承りたいと思います。
 熊本県の水俣病患者は、メチル水銀化合物のために小脳や大脳皮質などの中枢神経をおかされ、手足も口もしびれ、ものがうまくつかめず、ことばもうまく出ないし、その苦悩は母体から胎児に引き継がれるのであります。政府がこの水俣病をチッソ会社の廃液のための公害病と認定をいたしましたのは、実に死者四十二人、患者六十九人を出した十五年目の昨年であったのであります。患者の一人、石牟礼道子さんは、土地のことばで次のように叫ぶのであります。「銭は一銭も要らぬ。そのかわり、会社のえらか衆の上から順々に水銀母液ば飲んでもらう、胎児性の生まれるように。そのあと、順々に六十九人、水俣病になってもらう。それでよか。」
 私は、最後に、佐藤総理をはじめ関係閣僚に聞いていただきたいのですが、政治が企業に片寄り、国民を忘れるならば、悲惨な公害の被害者たちは、企業の公害を放任してきた大臣諸公にも、水銀の廃液を飲んでみてくれと要求するであろうということであります。(拍手)それだけではありません。今日、物価がとめどもなくつり上がり、交通戦争で毎日おそるべき数の死者と負傷者が出、通勤地獄では心身をすり減らされ、また、米軍基地周辺では、住民は騒音や電波障害等に苦しみ、生命の危険にすらさらされているのであります。これら政治公害は、自民党佐藤内閣が相変わらずそこにいすわっていることから発生しているのであり、いわばわが国における最大の公害発生源は佐藤内閣であると思うのであります。(拍手)
 私は、この際、佐藤総理以下に深い反省を求め、誠意ある御答弁を願い、この質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 安井君にお答えいたします。
 政治の基本は人間尊重にある以上、何よりも国民生活を守るためにどうすればよいかを考えるべきであることは、あらためて申すまでもありません。公害問題は、とかく公害の原因あるいは責任の所在を明らかにすることが困難な場合が多い点に、問題のむずかしさがあるのでありますが、それだからといって、企業の立場を擁護する立場に立って、原因の究明を明らかにすることをためらうようなことがあっては、断じてなりません。そういう意味では、企業に対し、きびし過ぎるほどきびしくあってしかるべきであると、かように考えます。
 問題は、公害対策と経済発展の調和であろうと思います。本来、経済は人間の福祉を向上させるためのものであり、その意味からは、公害はゼロになるのが理想であります。しかしながら、現実のわが国では、狭い国土に工業立地を経済の基本としている以上、公害を皆無にすることは、現実問題としては不可能であります。いわゆる公害の受忍限度、許容限度が両者の調整点であり、経済と福祉のあるべき調整点の発見こそ当面の課題である、かように考えるものであります。これが私の基本的な態度であります。
 次に、公害行政の一元化の問題でありますが、公害現象そのものが多元的かつ複雑であるため、これに対処する公害行政も多角的でなければ実情に即しがたい面があり、質の異なった行政を一個所に集めても、かえって行政の能率を阻害する結果となるおそれもあります。しかしながら、公害行政が不統一で効実があがらないようなことがあってはならないので、私が中心となって、関係各大臣で組織する公害対策会議を十分活用することによりまして、実質的に一貫性のある公害行政を今後とも確保してまいる所存であります。
 次に、最後に、許認可等にあたって、地域住民の意見を尊重した行政を行なえとの御意見でありましたが、従来より、極力公害などの問題が生じないよう十分配慮を払っているところであります。今後とも一そう慎重に対処し、公害の発生を未然に防止してまいる決意であります。
 以上、私からお答えする点はお答えしたつもりであります。
 最後に、政治公害、佐藤内閣自身、その公害の原因だ、これは御意見でございますから、あえて私お答えはいたしません。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#13
○国務大臣(福田赳夫君) 公害予算についてのお尋ねでございますが、御承知のとおり、予算におきましても投融資におきましても、連年増額をいたしてまいりまして、特に四十四年度においては、いずれも大幅にこれを増額いたしておるのであります。
 公害対策は、これはわれわれの世代が当面しておる最大の社会問題であり、また、最大の政治問題と心得ております。今後といえども、必要なる財政対策につきましては十分配意してまいる、かように御了承願います。
 なお、石油関税の一部をこれに特定財源として回したらどうか、こういうような御意見でございますが、財政はひもつきひもつき、そういうことであまり窮屈になることは、これはよろしくありません。必要がありますれば、これは一般会計から十分支出をいたす覚悟でございますので、そのように御了承を願います。(拍手)
    〔国務大臣菅野和太郎君登壇〕
#14
○国務大臣(菅野和太郎君) 私に対する御質問は、水質汚濁に関する環境基準について、厚生省と権限争いをしておるじゃないかというお尋ねであったと思うのでありますが、これはある新聞紙上に報道されたことでありまして、全然根拠のない記事なのであります。というのは、この公害対策基本法によりまして、環境基準は経済企画庁においてこれを設定することにきまっておるのであります。最近、水質汚濁がますます激化いたしましたので、早くこの環境基準をつくりたいと考えまして、目下私のほうで部会を設けて、この環境基準をつくる委員会を開いておりますが、つきましては、やはり各省でそれぞれ環境基準の方策をきめていただいて、それを私どもで集めて調整してやるのでありまして、厚生省と私どもとで権限争いをしておるわけでは決してありませんから、さようにひとつ誤解のないようにお願いいたします。(拍手)
    〔国務大臣大平正芳君登壇〕
#15
○国務大臣(大平正芳君) 企業の公害に対する責任を明徴にいたしまして、発生源においてこれを規制するようにしろという御注文でございます。仰せのとおりでございまして、私どもも極力その方向で善処をいたしておるつもりでございます。
 それから公害対策の立ちおくれについて、事計に公害を防止するという観点から、低硫黄原油の確保とか脱硫技術の開発等についての御指摘がございましたが、私どもも仰せの線に沿いまして、脱硫技術の開発には、工業技術院を中心に、すでに実行に着手しており、一部実用化に移っておりますことは御案内のとおりでございまして、今後一そう低硫黄原油の確保に努力いたしますとともに、脱硫技術の開発につきましては、金融、税制その他から、政府は十分助成をしてまいるつもりでございます。
 カドミウム対策、それから重金属対策についての御指摘がございました。今日、工場排水から出てまいりまするカドミウムは、世界保健機構の基準以下になっておりますことは御案内のとおりでございます。ただ、ばい煙につきましては、まだ含有量の恕限度が明確になっておりませんで、これをいま一そう努力をいたしまして、早く真相を究明した上、適切な規制を考えてまいりたいと思います。蓄積性のある微量な重金属による公害防止につきましては、水質保全法、工場排水規制法等によりまして水質基準を守ってまいりまして、公害対策に遺憾のないようにいたす決意でございます。(拍手)
    〔国務大臣野田武夫君登壇〕
#16
○国務大臣(野田武夫君) 公害行政の地方公共団体の果たすべき役割りは非常に大きなものがあることは御意見のとおりであります。したがって、その重要性にかんがみまして、御指摘のような地方自治法の改正につきましても十分検討してまいりたいと存じております。
 財政措置の問題の御質問がございましたが、公害対策に対する地方財政の処理には十分留意いたしておりまして、普通交付税の算定におきましても年々増加し、なお必要に応じまして、地方債によりまして対処してまいりたいと存じております。なお今後ともその充実の必要性を考えまして、十分検討してまいりたいと存じております。(拍手)
    〔国務大臣斎藤昇君登壇〕
#17
○国務大臣(斎藤昇君) 水質環境基準の点につきましては、菅野企画庁長官からお答えをいたしましたとおりでございまして、厚生省といたしましては、どこまでの基準から人体に影響があるかということを科学的に検討をいたしまして、また農林省関係では、農作物あるいは魚族等に対する影響を検討し、そうして企画庁において総合して河川の水質の基準をきめる、こういうことになっておりますので、決して権限的に争っているわけではございません。
 公害研究所の問題は、公害研究は各省において行なわれておりますが、この問題は非常に重要な問題だと考えまするので、先向きに検討をいたしまして、人体に影響を及ぼすような事柄につきましては、厚生省が中心になって検討をしてまいりたい。また、公害防止に対する技術的な、いわゆる産業的な面は、通産省において研究をしてもらう、こういうたてまえがよかろうかと考えておるわけでございます。
 水銀、カドミウム等のいわゆる微量重金属による被害は、お説のとおりまことに悲惨でございます。これらに対する治療医学の進歩等につきましても、さらに一そう推進をいたすように努力いたしますとともに、今後、こういった公害にかかるおそれのある地域につきましては、事前に十分調査をいたし、また健康調査もいたしまして、万遺憾なきを期しますると同時に、公害に関する住民の方々の運動が起こらなくて済むように心がけてまいりたい、かように思います。(拍手)
    〔国務大臣原田憲君登壇〕
#18
○国務大臣(原田憲君) 欠陥車の公表制度についてお答えを申し上げます。
 わが国の欠陥車に対しましては、車検制度あるいは事故警報制度によって欠陥車に対する対策を講じてきておったのであります。これでは不十分であると私は判断をいたしまして、御質問の中にありましたように、日本の自動車産業は世界の一流に達してきております、その企業が、より一そう欠陥車対策というものをとることは必要である、こういう判断をもちまして、六月六日に通達を発して、現在御承知のような処置をとり行なっておる最中でありまして、そのとりました措置に関しましては、野党の皆さん方からも、よくやった、しっかりやれと激励を受けておるのでありまして、いたずらに責任追及の御意見はいただきかねるのであります。(拍手)私は、御質問の中にありましたように、今後車両欠陥の原因の追究に関しましては、運輸技術審議会が設置されますならば、車両欠陥の原因追究制度その他技術的基本方針について審議してもらい、また、新型式自動車の審査の強化をはかるとともに、研究所の体制を充実して、専門的事故解析面の強化をはかる所存であります。また、関係各官庁との連絡を一そう緊密にして、遺憾のないようにいたしたいと存じております。
 また、お尋ねにありました輸入外国車の検査についても、国産車と全く同一の取り扱いを行なっていく所存であります。
 また、ユーザーの救済措置につきましては、今後の措置によりまして、欠陥車の公表制度の実施、事故原因の解析面の強化等により、従前に比し、ユーザー側の賠償請求は容易になると思われます。
 なお、この際、自動車のユーザーが、みずから定められた点検整備を励行されることを強く望んでおきたいのであります。
 排出ガスの規制に関しましても、すでに御承知のとおり、私は、この九月から、新しい車両に関しましては、排出ガスの濃度を二・五以下にすることに決定をいたしました。より一そうこの制度をよくしていくことにつとめていきたいと思いますと同時に、大気汚染の実情に即して、使用中の自動車の検査の実施等、これはアメリカでは行なっておりませんが、これらのことも所要の規制の強化をはかっていって、万全を期していきたいと考えておる次第であります。(拍手)
    〔国務大臣西郷吉之助君登壇〕
#19
○国務大臣(西郷吉之助君) 公害罪についてお答えいたします。
 この公害罪につきましては、国民の健康の保護という見地からいたしまして、積極的に取り組まなければならぬと考えますが、現在、御承知のとおり、刑法の全面改正を審議いたしております法制審議会におきましても、重要な立法上の課題の一つとして鋭意検討を急いでおりますので、私といたしましては、その答申を待って善処したいと考えます。(拍手)
#20
○議長(石井光次郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#21
○議長(石井光次郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十一分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 西郷吉之助君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
        農 林 大 臣 長谷川四郎君
        通商産業大臣  大平 正芳君
        運 輸 大 臣 原田  憲君
        自 治 大 臣 野田 武夫君
        国 務 大 臣 菅野和太郎君
ソース: 国立国会図書館
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