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1947/08/22 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第4号
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1947/08/22 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第4号

#1
第001回国会 予算委員会 第4号
  付託事件
○昭和二十二年度一般會計豫算補正
 (第一號)(内閣提出)
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月二十二日(金曜日)
   午後二時二十六分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○昭和二十二年度一般會計豫算補正
 (第一號)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(櫻内辰郎君) 只今より開會いたします。前囘に引續き質疑をするということになつておりますが、質疑に先立ちまして政府と豫算委員との間において二十分間ばかり懇談をいたしたいことがありまするので、委員以外の方々は二十分間ばかり御退場を願いたいと存じます。速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#3
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて。これを以ちまして懇談会を終りまして、只今から昭和二十二年度一般會計豫算補正第一號に対する質疑を繼續いたしたいと存じます。
 特にお諮りを申上げます。本日は總理大臣がお見えになつておるのであります。故に御多忙なる総理大臣の時間を尊重いたしまして、而して特に總理大臣のみに對して質疑をお重ねを願いたいと存じます。総理大臣に對する質疑の御通告があるました順序によりまして申上げます。石坂豊一君。
#4
○石坂豊一君 私より片山総理に對して極く簡單に二、三のお尋ねをしたいと存じます。
 勞働省を新設せられるということは、過日米窪國務大臣から御説明もありましたし、又これはすでに勞働基準法に基きまして至急に實現をしなければならないということも存じておるのであります。私はこの際總理に伺いたいことは、勞働に對する行政の運營をされておつたことは、この勞働省がなくてもできておつたのであります。厚生省の豫算にも相当の經費があつた次第であります。特に一省を設けまして勞働に關する行政を強化されるということは、要するに勞働者の幸福を増進して生産に貢獻せしむるということが最後の狙いであると考えておるのであります。國費多端の際に一省を設けるということは、これは國民において大なる負擔となるのであります。でありまするから、非常な決意を以て新設せられることとは考えておりますが、これに對しまして私共が期待したいことは、要するに我が國の危機突破は何としても生産増強であります。この生産増強については、これは働く人の一層切實な現状を理解して協力して頂かなければならんことになるのでありますが、この一省を設けるということにおいて資本家も經營者も勞働者も三位一體となつてますます協力して行くということが望まれるのであります。その反面において、却つて勞働者が我々の力によつて一つの省ができた、我々の方が十分の權利を發揮する一つの方便を得たのであるという、民主的政治のつまり履き違いをするというようなことがあつてはならんと存ずるのであります。この點に關して普段より國民に對して耐乏生活を要求せられ、この時局に對して非常な決意を以て政治を運營られておる片山總理の國民に対する熱意は、我々十分理解することができるのでありますが、片山総理は本勞働省を設けると御決定なさつたその反面において、只今申しました協力によつてますます生産増強をすることが、本省を新設することにおいて、一層實現することができるというお考えのことと考えますが、これに對する御所信を一應伺つて置きたいのであります。萬一にもこれがあべこべの結果となりまして、今日の世相をますます混亂せしめるというようなことになつたならば、我々決議する側といたしまして、國民に申譯ない結果にならんとも限りませんので、その點は一應伺つておきたいのであります。
#5
○國務大臣(片山哲君) 只今の石坂君の御質問は誠に御尤もでありまして、勞働問題の進展を非常に重要に考えておりまする政府といたしましては、同感の點が澤山あります。尚これを明らかにいたしまして、政府の考えを十分御了解を願い、諸君の十分なる御協贊を仰ぎたい便に資したいと存じまするので、この問題について申上げて見たいと思います。
 私共は石坂君の御説明の通り、生産力の擴充、増務の計畫を實行に移しまして、是非ともインフレを克服して行かなくてはならないと考えておるのであります。それには眞に勞働者諸君が時局を辨えて、増産のために協力して貰う態勢を作らなくてはならないのであります。働き易いようにして、働く効果が産業の上に十分に現れるような態勢を作ることが必要と考えておるのであります。つきましては先年制定せられました勞働組合法の第一條にも、一國の産業の發展、經済の隆盛は、勞働大帳の地位の向上と關聯するところ非常に多い、勞働者の地位の向上は、一國の産業の隆盛、經済の發展と緊趣なる關係を持つておるので、ここに勞働組合法を制定して行かなければならないし、その目的はここにあるのである、こういうような條項が第一冒頭に掲げられておるのであります。その後勞働基準法の制定あり、又勞働問題が國民の非常な關心を買い、いろいろの要求となつて現れて、且つ又組織せらるる勞働者の組合數も段々と多くなつておる現状に鑑みまして、この勞働運動を健全に導いて行く方法を講じて行かなければならないと考えておるのであります。ただ單に自分のことばかりを考えて、國家國民の問題、産業の發展を第二に考えるというようなことがあつては、一大事と考えておるのであります。つきましては、その勞働運動の健全なる發展と、産業に寄與される導きを與えて行かなければならないと共に、一般國民も勞働運動の趨勢について、深き關心と理解を持つて、國民全體がこれらに關しまして深い關心を持つて貰うためには、どうしても政府において或る一つの基準を示したり、或いはそれらに対する各種の方策を講じて行かなければならないと考えておるのであります。只今までは厚生省の中に勞働問題を取扱う一局、或いはその他の對策を立てておつたのでありますが、こういう情勢に鑑みまして、これに對應いたしまして、ここに勞働省を設置いたしまして、本當に勞働大衆の心からなる協力を求めて、産業發展に邁進して行かなければならない、かように考えまして、本國會に勞労省設置の對策に立てまして御協贊を仰いでおるような次第であります。どうかういう心持を以て、眞に國家本位に、國民本位に、産業發展本位に勞働省設置の問題に取扱つて行きたい。そうして勞働大衆の生活をよくすることは産業發展に寄與する所以であるということ、勞働組合運動を矯激な運動にいたさないで眞に健全に發達せしめたい、こういう意味を以ちまして、政府はその強い意思を現す意味におきまして勞働省を設置いたして、そうして御協贊を仰いでおるような次第ぶあります。何分これらの點について、諸君の十分なる御支援、御理解を賜わりたいと存ずる次第であります。
#6
○石坂豊一君 御深切なる御答辯を頂きまして、御答辯に對して私は滿足するものであります。ただ、なぜ私は再び立つかと申しますと、お言葉のように、成るべく勞働運動を健全にして、而して生産増強に資したいとの思召しのことは、これは萬々拜承いたしておるのであります。然るにその御意向は未だ以て國民全般に徹底しておらないものがある。私の知るところを以て申しますと、これは直接この法律の對象になつておるのではございませんけれども、誠に憂うべき現象が廣く醸されておるように私は考えるのであります。私は最近或る農村に參りまして、事情を調べてみますと、農村のいわゆる立て直しができておるのでありまして、いわゆる土地を悉く自作農體制に引き直すために、多くの土地が今まで小作人であつた者に分配されたのであります。私はこれは健全なる農村の發達になり、又増産になるものと確信をしておりましたところ、その地方の一般の人の見るところを以てしまするというと、今年はこの秋に行つて小作料を納める人はなくなつた、餘り米を持つておつて供出を多くさせられるよりは、いいころ加減にして置いた方がいい、今まで一つの惡い習慣でありまして、田の草を取りますには、一年に田度も取つたのであるけれども、戰時中勞力の不足であつたのと、又いろいろの故障によつて、四度が三度になり、三度が二度になり、最後には一度に減つておつたのであります。昨年ごろ、更に復員軍人等の勞力が潤擇になりましたために、おいおいその草取りも、肥料が少い關係を補足するために、精農においてはこれを段々度を重ねて取るようなことになつておりましたが、今年この土地法が改まりましてから、一齊にその草取り度數というものは減りまして、そうして今までの小作人が一時に自作農になつたために、却つて増産にいそしまんような傾向を生じて來ておるのであります。これは本案の對象ではございませんけれども、一面又普通の工業勞働者にしましても、私共これを拜見しておるところによりますと、若し復員軍人などは筋肉勞働を避けてとかく事務的の方面に走る、で、筋肉勞働者においては、長い間外征に從事し非常に疲れている、我々は心身共に疲れておるから暫く遊んでも構はんのであるというようなことで、或いは闇商人に走る、闇商人に走らんにしましても、とんでもない惡事を企てたり、このところ新聞紙上に見まするところの犯罪は主として若い者が多い、そういうような傾向が非常に諸方に擴まつておることを我々は目撃するにつけましても、眞面目なる多數の勞働者に我々はこれは轉嫁するのではございませんけれども、若し本法等においてその運用を誤りまして、徒らに勤勞階級の方をおだてるというようなことは、そんなことはないでありましようけれども、そういう傾きを見ることになつたならば、國家の深憂なりと私は思うにつけまして、ここに總理の御説明を煩した次第であります。只今總理の御説明によりますと、かねてから私の尊敬しておりまする片山さんの御信念は、脉々としてお言葉の中にも窺われることであり、新規にできまする勞働省の運營如何は、片山内閣に對しては私は絶對に信頼いたしますけれども、とかく一つの省ができますというと、その省の運營が、かねて期待しておつた期待に外れることが決して絶無ではないと私は信じております。希くは總理はますます御精神のあるところを下僚の末端までも徹底せしめられまして、一層勞働態勢が健全になりまして、増産に寄與するようなことになることを我々切に念頭するものであります。私はまだ他に伺いたいことがあつたのでありますけれども、總理もお急ぎになつておることを考えまするから、總理に對する質問はこれで省略いたします。
 つきましては、私は先日の質疑の續きといたしまして、尚二三伺つて置きたいことは、先日米窪國務相より、本省以外の新らしい省は只今のところは設ける意思がない、併し將來においてどうかというようなことがあつたのであります。この議會の空氣を見ましても、或いは建設院を直して建設省にする、或いは水産廳を一遍に變じて水産省にする、増産の方面なり、又我が國の建設復興の方面からしていろいろの意見が胚胎いたしておると信じます。これに對して總理は、政府は將來どういうふうなお考えであらせられますか、ただ現内閣において本省だけに止めるという先日の國務大臣の言明をそのまま信じてよろしいのでありますか、その點を伺いたいと思います。
#7
○國務大臣(片山哲君) 只今の石坂君のいろいろの御注意は十分に私共心得まして、今後誤りなきを期したいと思つております。勞働省設置は、省を設置する當面の省であつて、これ以外にないか、こういう御質問かと思いますが、只今のところは勞働省だけに止めたいと思つております。但し内務省の廢止に伴ないまして、いろいろの變化が起つて來ると考えております。目下これに伴ないまする港灣關係、土木關係、或いは地方自治關係等につきましては齋藤國務大臣を總裁といたしまする行政調査會におきまして、どういう形態が新憲法の精神に副う行政機構であるかということを檢討しつつあるのでありまして、近くその成案が得られると思いまするが、本議會においては勞働省設置だけに止まると思つております。土木及び港灣或いは自治關係は一省を組織するまでには行かない豫定であります。
 以上の點御了承願います。
#8
○石坂豊一君 次に私は大藏大臣に伺いたいのであります。
#9
○委員長(櫻内辰郎君) ちよつと、總理大臣だけに……。
#10
○石坂豊一君 總理大臣の點は、今の程度で……。
#11
○委員長(櫻内辰郎君) それは承知しましたが、外の人がありますから……。
#12
○石坂豊一君 そうですか。
#13
○委員長(櫻内辰郎君) 川上嘉市君、總理大臣に對する御質疑だけに打切つて置いて頂きたいと思います。
#14
○川上嘉市君 政府が勞働省の設置を提案されましたことは、我々滿腔の贊意を表する次第であります。ただ感じますることは、物價というものが最近非常に上つて參つております。そのために或いは約二億という豫算がそれで持つて行けるかどうか、又今日この物價政策が若し根本から崩れるようなことができるというふうになると、それとこの豫算という見地からして、果して本當の行政ができるかということには、私は非常に懸念を持つておる者であります。と申しまするのは、今度の政府がおできになつてから、この物價の水準を昭和九年、十年、十一年の、この三年間の平均の物價の六十五倍というのを以て安定帶としたい、こういうふうにしたいという一つの理想を持たれまして、それと同時に、それに見合わすべき各職種の給與の平均を千八百圓、こういうふうな片方に見合わせるべきものを作りまして、兩々相俟つてこの安定帶というものを維持したいという御腹案のように拜承しております。ところで、その六十五倍というものが果して適當であるや否や、どういうような理論的の根據を以てお決めになつたか、或いは理論的根據がないとすれば、どういう見當でこういうところをお決めになつたかということを第一にお尋ねいたします。
 それと、實は六十五倍というのは、賃金給與の、さつき申しました千八百圓をこれから守れるものという假定の下に安定帶というものができるのであつて、若しこれが二千六百圓にでもなると、六十五倍が百三十倍になるだろうということは、この委員會の席上におきましても先囘米窪國務大臣からお話がありました。若し百三十倍になる、こういうようなことになりますと、これは從來の惡循環を再び繰返して、これでは食つて行けん、從つて給與ももつと増さなければならんということになると、根本がすつかり崩れてしもうということを非常に懸念する者であります。今囘の豫算を作りますについても、この新らしい政府のお決めになつたそのマル公を大幅に上げました。そのためにどのくらいの影響がこの豫算の編成上數字的に殖えておりますか、その點をお伺いし、又今申しましたように、この後この物價水準が上るがために、賃金を段々に増さなければいかん、現にもう電産協の方は三千百圓になつております。その外新聞にあります印刷會社にしろ、それぞれが四割、五割という増給をやつておる状況がありまして、千八百圓というものは到底維持することはできないのじやないかと考えます。そのときに、今度はその六十五倍という了員守れるかどうか、この點につきまして、總理大臣は果してこの物價を安定することができるという確信をお持ちになるかどうか、若しその賃金水準が變つたときに對してどういう政策をお持ちになつておるか、この點をお尋ね申上げたいと思います。
#15
○國務大臣(片山哲君) この物價基準は、現内閣におきましても最も力を入れて研究いたしております點でありまして、組閣早々危機突破八項目に亙る政策を發表いたしました際におきましても、食糧の問題と竝びまして物價賃金の問題、生産増強に關する問題を取上げておることであります。そういう意味におきまして、六十五倍が止め度なくどんどん上るということでは、政府の考えておりまする生活基準も、物價基準も安全帶をみんな破壞せられてしまいまするので、どうしてもこれを止めたい、かように考えておるのであります。賃金の方は三十幾倍の率でありまして、物價との間に開きがありますると共に、すでに諸君の御承知の通り、我が國の經濟が非常な破局の状態となりまして、勞働省の一人當りの生産力も非常に減退いたしておりまするし、國全體の生産力も亦減退いたしておりまするし、又資材の廻り方等におきましても十分でない關係上、生産費も相當以前よりは多く掛かつておる等の問題を考えますと、賃金率と物價水準との間に、かように決めて行くことが至當ではなかろうかと考えておるのがその一つである共に、更に又賃金支拂いの外に補給いたしまして、物による支給をいたしまして生活の安定をはかる方法も、一面においては考慮しなければならないと考えて、いろいろと案を練りつつあるような次第であります。いずれにいたしましても、この物價水準は守つて行かなければならない、そうしてこの經濟對策は堅持して行かなければならないということには變りなく、私共は懸命の努力を拂つておるような次第であります。そうして止め度なく惡循環を繰返すようなことでは破局に導いて行くのであるから、どうしても千八百圓で十分に理解を求めるために、先般の要求に對しましてもそれを斷わつて、どうしてもこれは守つて行くのであるということを解答いたしておるような次第であります。この物價及び賃金問題につきましては、いろいろ專門的な研究も要しまするし、私はその方の専門的知識を十分持つておりませんが、大藏大臣或いは米窪國務大臣が出席されておりまするから、その他の問題については兩大臣より御答辯をいたすことにいたしたいと思います。
#16
○川上嘉市君 只今御懇切な御答辯を頂きまして有難うございました。尚一つお伺いしたいのでありますが、この十八日の新聞によりますと、總理の時局に對するお話がありまして、それには物價の對策については、大幅に値上りした、これは併し物價を安定せんがために背水の陣を布いた、いわゆる馬鹿正直なやり方をしたのだということが謳われておるのであります。ところで實際上げておりまするのを見ますると、非常に不必要に上げておるようなものが多いように考えます。その一つの例は木材で、これを八割乃至二割ちよつとに上げるようでありますが、こういうふうな上げ方が必要であるかと申しますと、實際の市場の闇の値段の方が遥かに低い。それど業者が皆びつくりしておる。なぜそんなことになるかと申しますと、これは私の想像でありますが、後で物價廳の長官にお尋ねいたしたいと思いますが、恐らくは二月、三月、或いはそれ以上前にある調べをした、その當時これは上げる必要があると思つたにも拘わらず、實際見ますと、官廳でやられる仕事が大抵三月ぐらい遲れるのが多いように考えます。その間に情勢が非常に變つてします。殊に最近は一ケ月が平時の數年に相當する變化が常に起る、ドイツの第一次ヨーロツパ大戰から第二次大戰終戰までの二十何年間の差は三割しかしらなかつた、それがこの頃は一ケ月に二倍、三倍になることは珍しくない、正に平時の百年分、二百年分もの變化が一ケ月間にあるというような大變化であります。これは以前の調査で必要であつた、それを實行するのが二月三月遲れて、形勢が一變して、その必要がなくなつた、それをそのまま實行すると、わざわざ上げなくてもいいものを上げて、物價騰貴を促進するようになると考えられます。土建の仕事は御承知の通り進駐軍の仕事が非常に多くありまして、昨年度あたりは二百億、みは寄せますと三百億の費用がかかつている。土建の費用はかなり多い。その當時は土建の仕事は非常に割がいい、大工その他の勞銀を急激に上げましたのは、そういう關係の仕事が多かつたためであります。そういう所で、大材も足りない、高くても幾らでも買うという時代で、それが一通り濟んでしまつて進駐軍の土建の仕事は非常に少くなつてしまつた、そうして相當の請負業者まで割合小さい仕事までやらしてくれろ、やらしてくれろと、今度逆に向うから今日は頻りに頼んで來るという状況になつております。而も一方において住宅の建築の制限がありまして、餘り澤山造れんというふうに、その情勢が非常に變つておる。それにも拘わらず最も變つた時の調査でやつたならば、非常な誤りだと思います。現にこういう例がある。特殊鋼のパイプは市場の相場が千七八百圓、それを三萬四千圓というマル公に決められておりまして遥かにマル公より闇値の安いものがあります。まだ上げられておりませんけれども、上げたと噂のある非鐵金屬も、闇値段とマル公と同じでありますが、これを二倍か三倍にするという噂がある。事實かどうか後で伺いたい。
 そういうことをされると、折角政府が企圖されておる、物價安定の背水の陣だとおつしやつておることが、根本から崩れることがありはせんか。將來物價を決めます場合に、もつと實際に適するような方法を採つて頂きたいと思います。これは總理から嚴重に御監督願いたいと考える次第であります。
#17
○國務大臣(片山哲君) その方の專門家である川上君からいろいろ御注意、御希望を伺いまして、十分その點については注意いたしたいと思つております。大體におきまして物價廳において詳細に調べました基準に從いまして上げておる、じりじり上げるというようなことでは止まるところを知りませんので、思切つて私の文章にも書いておきましたが、三、四段飛び降りて、身構えをしつかりした方がいいのじやないか、自分も體が落つこちるのを止め得る體制ともなるので、幾らか思切つたところもあると思いまするが、徒らにじりじり上げないような方策を講じたいという心配から來ておるのでありまして、お言葉にありまする背水の陣を布いて、これ以上は動かさない方針でやつて行こうという心構えを現す意味に外ならないのであります。そうして物價の安定を期して行かないことには破局に導く、こういうことを考えているものでありますから、可なり注意してやつておるのでありますが、個々の問題については、在いは御注意を願わなければならん點が實はあるかと思います。これらの問題については、後程物價廳、安定本部の政府委員からお答えすることにいたしたいと思います。
#18
○川上嘉市君 もう一言だけお尋ねしたいと思います。實は三週間ばかり前と思いますが、名古屋で以て、中部日本新聞が、和田安本長官と米窪國務大臣が名古屋へおいでになつた時に座談會を開きまして、その時の新聞の記事でありましたから、これは或いは多少誤りがあるかも知れませんが、その時に和田長官の話に、これまで平時の物價に對して六十五倍というやつが百倍を越した場合には、外國の例によると、インフレが全部破綻が來ている、だから非常に云々ということをお話になつている。若しそういうことが事實とすれば、今日我々が當面している給與の問題についても、千八百圓というのが本當にそこで止まればいい。ところが、一方において民間ではあつちこつち破れつつある。四割、五割増しつつある。こういうようなことがあると、ば程の長官のお言葉と關聯して考えますと、日本の今日の状況は誠に汲々乎としているようなふうの感じがしてなりませんのであります。そこでこれをどうするかという問題について、實は今の給與なんかにつきましても、經理復興會議とかいろいろなものがありますし、最初の經理の經済の八大政策なるものの中にも、その經済復興會議なるものについて連絡をとつて發表なさつたということを言われておる。ところが、最近になつて、その現實の問題にぶつ突かつて、一二そういつた爭議式のものが起りつつあるにも拘わらず、この經済復興會議が一向活動をしておらん。政府がそれに一つも呼び掛けておらんように、私の知つている限りは見受けられるのであります。若は本當に六十五倍、或いは百倍の線が突破されるとあぶない、今まで助かつた例がないと言う。川實そんなことがあれば、もつと眞劍にならないと、これは石炭の問題も大事でありますけれども、本當をいうと、國の財政の何千億に相當する、國の經済の何千億、又國民生活の全部に關係する大問題でありますから、本當に眞劍になつてこの問題を處理して頂きたいと私お願いいたします。
#19
○國務大臣(片山哲君) 只今の川上君の御注意は十分に了承いたしました。愼重なる態度で扱つて行きたいと思います。
#20
○委員長(櫻内辰郎君) 今郷吉之助君。
#21
○西郷吉之助君 只今川上委員からの、物價問題等に關する御質問は私の總理に伺はんとする點とも非常に關聯があるのであります。本豫算委員會には、勞働省設置に關廠まして、補正第一號として、我々が目下審議中でありますが、この豫算の一部は、勿論前議會において協賛を與えたところの、厚生省の豫算から流用されるわけでありますが、一部はやはり今囘のこの豫算において我々が目下檢討しておるのでありまするが、先程の委員の御質問の中にもありました通り、今囘勞働省が新らたに設置せられたのみならず、目下行政調査部におきまして、いろいろの何々院とか、何々廳とか、そういうふうな新らしいものの構想も政府はお持ちのようでありまするが、從來大藏大臣は議會におきましても、健全財政主義ということを非常に強調せられておりまして、今日のインフレ激化の折から、我々はどうしてもそうでなければならんと思うのでありまするが、今囘の勞働省設置問題を初め、いろいろの院とか廳とか、そういうふうな行政部門の擴大強化によりまして、今後とも更に大きな豫算がここに組み出されるようなふうに考えるのでありまするが、今日今尚インフレーションの問題も相當難關にあるとき、政府當局は健全財政主義と言うけれども、國民の納税の限度にも、今日は相當大きな重い責任を國民に負わしておるのでありまするから、そういうふうにどんどん豫算が膨脹した場合に、それらを果して國民の負擔で行けるかどうか、又さような場合に、今言うところの健全財政というものが、果して堅持できるかどうかということを、我々は非常に心配しておるのであります。更に又今囘、今議會におきましても、政府の提出によりまして公團がかなり多数出るようでありまするが、これに望しまする政府出資額は、約百億圓でありまして、今囘本國會に、契緊の増資額に關する法案等も出るようでありまして、これによりますれば、三百億程度が増資されることになつておりますが、公團關係の政府の出資金におきまして、その約三分の一を占めるわけであります。かくなりましては、今日貿易再開とか、又生産再開の面におきまして、殊に中小企業の問題等においては相當の産業資金の放出を豫想せられる今日、その三分の一が公團の政府出資に取られるようでありまして、産業資金の面におきまして相當壓迫を與えるのみならず、又その公團の政府出資金が民間に放出せられますことによつて、更に又今日のインフレを激化させるような懸念が非常にあるように私は思うのでありまするがゐ現政府におきましては今日どうしても健全財政主義を堅持し、反面において今日のインフレーシヨンの解消することに關しまして行政整理を行うとか、何かこれに處する對策をお持ちになるであろうと思うのでありまするが、今日インフレーシヨンが非常に危機に直面しておる際、この政府が言うところの健全財政主義を、あくまでも堅持する上からも、現政府の、特に總理におきまして、これに對する何らかの御構想がおありであろうと思いまするので、この際豫算委員會におきまして、できるだけ率直なる總理の御所見を伺いたい、かように考えるものであります。
#22
○國務大臣(片山哲君) 只今の西郷君の御質問は、眞に我が國の財政を変えられる見地から、誠に御尤もな御意見と思うのであります。政府の方針は大藏大臣が諸君に御了解を得る意味において、度々お話しておることと思うのでありまするが、どこまでも健全財政を堅持して行きたいと考えておるのであります。この方針の下に豫算を立て、財政計畫を立てておるのであります。何分にも戰爭の結果荒れ果てておりまするので、收入は困難であり、支出又多大であるのであります。今御指摘のように、勞働省設置、或いは公團關係の支出が相當嵩んでおると思いまするが、どうしても必要止むを得ざる經費といたしまして、これらを計上しなければならない關係になつておるのでありまして、その收入の途を得るためには、あらゆる檢討をいたしておるような次第であります。今御指摘の公團でありまするが、政府の負擔いたしておりまする支出は百十億と聞きましたけれども、それはそうではなくして十一億程度でありまするから、治政に對する壓迫もそう大きなものでないので、この公團問題につきましても、十分政策を行い得ると考えて努力しておるような次第であります。そういうふうで、支出は相當嵩んで参りまするが、歳入の問題につきましては、できるだけ既定方針の税につきましての收入の多きことを圖る計畫を立てまするし、又新税等につきましても、國民生活を窮乏に陷れない程度におきまして、電税等も考えて行かなければならないと思つておるのであります。恐らく國民大衆も生活には困つておりましても、何とか祖國を再建しなければならない、日本を新らしく建て直して行くためには、莫大な費用を要するという點については、深く理解をせられるものと考えておるのであります。負擔の公平或いは能力に應ずる負擔等を加味いたしまして、税收入の問題についても十分財政當局は檢討いたしておる次第であります。尚貯蓄増強につきましても、あらゆる機會におきましてその方針をとりまして、國民の持つておりまする收入或いは所得を、國家産業資金に、又必要なる財政の資金にこれを提供して貰う方法を考えて行きたいと思つておるのであります。大藏當局におきましても十分檢討いたしておりまする結果、所定の健全財政は維持できる、その方針で赤字財政でない健全財政をとり得る、こういう方針で目下進みつつあるようであります。どうか諸君におかれましても、又國民大衆におかれましても、この健全財政を維持することが祖國再建に最も必要なる財政計畫である、こういうことを十分に御理解願いまして、ここは齒を食いしばるようにして忍んで行かなければならない重大なる時であるという點に、十分御協力を仰ぎたいと思つておるような次第であります。
#23
○西郷吉之助君 私の質問はこれで打切ります。
#24
○委員長(櫻内辰郎君) 中西功君。
#25
○中西功君 實は今日の新聞で見たわけでありますが、全官公廳の組合が危機突破二千圓を要求して、今囘政府の容れるところとならなかつたわけでありますが、その政府がこれを拒否した理由を簡單に説明して頂きたいと思います。
#26
○國務大臣(片山哲君) 先程も申上げました通り、千八百圓のベースはどこまでも守つて行かなければならない。これを碎きますると、物價體制に影響いたしまするし、すべての經済計畫に破綻を來し、インフレを促進するというようなことになるのが、これはどこまでも守つて行かなければならない。こういう建前で、その問題に對する要求は應ぜられないとお斷りをいたしたような次第であります。凸凹となつておりましたものにつきまして、二千圓或いは家族一千圓の要求も亦、我が財政計畫を壊すことになつて来るので、これも要求に應ぜられない。一に財政計画をぶつ壊してしまうという見地からお斷りをした次第であります、併し生活の窮乏を現實に體驗せられておりまするところの諸君に對しては、何とか處理して行かなければならない、こういうことは眞劍に考えておるものでありまするから、これは別途に目下關係閣僚において檢討いたしつつあるような次第で、その問題についてはできるだけ誠意を披瀝したいつもりであります。尚詳細なる點については、米窪國務大臣から御答辯いたしたいと考えております。
#27
○中西功君 この度の官公廳の勞働組合の要求は、千八百圓を上げてくれということよりも、一月以來の、一月から六月までの間の實際の生計費と、掛つた費用と、それから給與されて貰つたものとの差が、結局本人二千圓、家族一千圓という額となつたと思うのであります。これはだから千八百圓基準を守るか守らないかということとは一應別個であるわけだと思います。
 尚もう一つの問題でありますが、七月七日に政府が聲明を出して、その中でこういうふうなことを言つたわけであります。工業平均賃金を月平均一千八百圓の水準に引上げるならば、價格改訂によつて家計費に對し二十二%程度の影響を生じても、食糧緊急對策による食糧確保量の増加により、多くの部分を吸收できるという結論を得たのである――ということにして、千八百圓基準ということを改めて政府は確認したわけでありますが、この場合政府は、二十二%のその影響、即ちこれは食込みであります。これがあるということは認めたわけであります。而もそれは今後の配給の確保によつて何とか都合をつけるという約束をしておるわけであります。ところで、先日九月及び十月の食糧については放出物資によつて確保する見通しがついたということを政府は發表いたしました。それは非常に結構なことだと思います。ところが、あの聲明におきましては九月、十月の完全配給ができるということを言つたわけでありまして、すでに六月以來遅配が相當の部分に達しておる、この點については一言も言つていないわけであります。例えば現實に私たち……私は藤澤に住んでおりますが、藤澤あたりではもう六月分は八日であるとか、或いは七月い十一日であるとかいうとうに打切というような形になつております。八月分は別に改めて配給をしております。だから、遅配が一應各月によつて幾日か打切られておるわけであります。こういうことに對してはこの前の聲明において政府は何とも言わなかつたわけであります。ただ九月、十月が非常によくなつたということを言つたのであつて、あの聲明にはそういう點で非常に遺漏があると思います。ところが、七月五日の政府聲明自身にすでに二十二%を食込みがあり得るということをはつきり認めておる。その上に尚現實の我々の生活では、そういうふうに、六月、七月、八月とちやんと打切られ得るようになつておる。だから、政府のそういうな誓約は少なくとも六月、七月に關する限り果されていないわけであります。ところで、私が問題にするのは、千八百圓の基準はよいといたしましても、そういうふうに政府自身が食込みがある、少なくとも二十二%の食込みがあるということをはつきり認めておる。而も現實にこういうふうな状態になつておるというときに、そういう食込みに對して果して政府は何らかの形でこの問題を賠償する意圍があるかどうか。國家賠償法というものは一應兩院を通過しておる、國家は當然こういう問題に對して賠償すべきものと思うのでありますが、そうする意圍があるかどうか、それをお聽きしたいと思うのであります。
#28
○國務大臣(片山哲君) 遅配缺の問題でありまするが、政府の方では、これを打切るとか、或いは棚上げにしてしまうとか、そういうことを言つたこともなく、又そういうお考えもないのであります。幸いにして八月分が遅配缺配がなくなるし、又九月、十月も遅配缺配なくして、豫定通りの配給をなし得る、こういう情勢になりましたので喜んでおるのでありまするが、更に過去の遅配缺配もできるだけこれを縮めたいと努力いたしておるのであります。いろいろの方策を講じまして、できるだけそれを縮める方策に進むということが必要と考えておるのであります。そういうわけで、これは食糧として考えておりまするので、國家賠償問題で賠償をするというような問題とは違つておるかと思いまするから、これは別個にお考え願いたいと思います。
#29
○中西功君 最後に、政府は打切りをすると言つたことはない、それは非常に結構なことだと思います。とろが、現實に食糧配給所では、そういうふうに六月分はこれで一應据え置かれて、新らしい計算で七月分を貰い、八月分を貰つておるというような實情でありますから、その點はそうでないということ、又これは向うでは、こういうことは政府の命令でやつておりますとはつきり言つておりますから、これだというと、普通の人はもう打切られたんだと思つておりますから、その點はそうでないということをはつきりして貰いたいて思います。又そういうふうな計算の仕方というものはよくないと思います。だから、それは首相の説明によつて、そういうことは絶對ないんだと我々了承してよいかと思います。更に賠償の問題でありますが、これは實は遅配をさせ、後で又それだけやるから、それで結局済むという問題ではないのでありまして、遅配を行いましたときには、我々はそれを闇價格で買わなければならない、實際において現實にそれだけ支出しておるわけであります。非常に高い値段で買つておるわけであります。だからそこに當然必要な額を要求して來るというふうな問題があるわけでありまして、これは遅配だから、後でこれを埋めるんだからよいというふうには性質上行かない問題であります。でありますから、こういう問題に對しては、今後も要求が起つて來ると思います。そのときに政府がこういうことを考慮するしかないかということが私の質問であつたわけで、何も國家賠償法を適用しろということを言つておるんじやありません。
#30
○委員長(櫻内辰郎君) 總理大臣に對する御質疑は外にございませんか。……それでは木村禧八郎君。
#31
○木村禧八郎君 私はこの際皆さんにお諮りしたいことがあるのであります。それはこの會議に付託されておりまする勞働省關係の豫算案につきまして、これまで政府が一應これを説明して下さつたのでありますが、その説明の仕方は非常に形式的で、そうして又部分的に分らないように説明されたような傾きもありますので、この際私は政府からもう一度この勞働省設置に伴う豫算について、大體二つの點からもう一度説明して貰いたい、そういうふうに思うのであります。
 第一に、勞働省ができましたらば一體全體としてどれだけの豫算が要るのか、我々は豫算を審議する場合に、國家財政全體の見地から、勞働省ができた場合、どれだけの豫算が全體として要るのかそういう觀點からも一應檢討しなければならないであります。第二には、豫算の支出の内容、これは今度の新憲法下に制定されました財政法の精神から行きましても、形式的になにするのではなく、もつと實際に互つて詳細に、國民の誰にも分るように、政府がこれを事實について説明される、そういう二點であります。
 從つてもう一度、政府から勞働省設置に伴つて、全體としてどれだけの豫算が要る。そうして又この中厚生省豫算からどれだけ流用され、又今囘のこの二十二年度豫算の補正として出ておる豫算がどれだけ、又今後どれだけの追加豫算が出て來るのであるか、そういうようなことについてもお伺いしたいと思うのであります。更に豫算の流用ということについては、今囘の財政法によりますれば、やはり相當問題があると思います。一旦承認された豫算を他の使途に流用するということについてもいろいろ問題があると思います。そういう點について政府にもう一度もつと深切に、そうしてもつと眞面目に、この提出法案について、この勞働省設置に伴う豫算全體について説明して頂きたい。そう思うのであります。これについて皆さんの御贊同を得たいと思うのであります。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○政府委員(野田卯一君) 只今御質問のありました點につきまして、詳しく御説明申上げて御了解を得たいと思います。
 先づ質問の内容の第一點は、全體として何程の豫算が要るかという御質問と、それからもう一つは支出の内容を詳しく説明して呉れという二點でございますが、支出の内容を先づ御説明申上げますと、從つて第一の御疑問の點がお分りになると思いますので、支出の内容かに入つて行きたいと存じます。
 お手許にお持ちの書類につきまして御説明申上げるのが一番便利だと思いますので、「昭和二十二年度一般會計豫算補正(第一號)、第一囘國會(特別會)提出」という書類がございますから、それにつきまして、ページを追つて御説明申上げて見たいと思います。
 少し構釋めいて恐縮でありますけれども、新らしい財政法の下におきまして、豫算というものはどういう形になるかという問題でございますが、それにつきましては財政法の十六條に規定があるのでございまして、その財政法の十六條によりますと、こういうことが規定してございます。「豫算は、豫算總則、歳入歳出豫算及び國庫債務負擔行爲とする。」ということが書いてございまして、豫算の内容というものは三つに分かれる、第一が豫算總則、第二が歳入歳出豫算、第三が國庫債務負擔行爲、こう三つに分かれるのでございます。
 そこでお手許に差上げてある書類の第一ページの目録の所をみますと、目録の次に初めに豫算總則というのがございます。これが只今申し上げました第一番目の豫算總則、その次に歳入歳出豫算というのがございます。そこで尚もう一つの國庫債務負擔行爲というのがあれば、そのずつと下の方に出て來るのでありますが、これは今囘の補正豫算にはございませんので、此處に上つていない、こういう次第でございます。本豫算であるとか、或いは追加豫算の大きいものになりますと、通例國庫債務負擔行爲というのが出て來るのでございますが、今囘の勞働省設置に關する豫算は非常に簡單なものでありますから、國庫債務負擔行爲というのはないのでございます。
 それから次に豫算總則の中にはどういうことを規定するかと申しますと、これは豫算全體の通ずる通則的な、或いは共通事項的な問題が規定されるのであります。それから歳入歳出豫算という中には、金額的にどういう目的のために、どういうふうに、いか程の金が使われるか、又どういうような種類の歳入がどれ程あるか、又どういうような役所が、何程の金をどういう目的に使うかというようなことが、この中に詳しく規定されるのでありまして、此處に書いてございます歳入歳出豫算の内譯が甲第一號というのと甲第二號というのと二つに別れておりますが、この區分は新らしい財政法によつて出來たものであります。甲第一號と申しますのは、我々の方では制質別及び目的別區分と呼んでおります。甲第二號はこれを組織別區分と呼んでおります。組織別區分というのは部局、官廳の組織別、即ち官廳の部局別の分類であります。どういうような局において、幾ら金を使う、何という役所においてどれだけの金を使うというふうに部局別役所別に豫算が編成される、これが甲第二號組織別區分であります。
 甲第一號甲第二號の二様の區分の仕方につきましては、財政法に根據があるのでありまして、財政法の二十三條にこういうことが書いてございます。財政法の二十三條「歳入歳出豫算は、歳入にあつてはその性質、歳出にあつてはその目的に從つて部に大別し、更に各部中においてはこれを款項に區分し、又、その收入又は支出に關係のある部局等の組織の別を明らかにしなければならない」、少し分りにくいかと思いますが、要するに豫算は内容が二本建になる。歳入歳出豫算の内容が二本建になりまして、第一の分類は歳入につきましては性質別、即ちこれは租税であるとか、或は官業收入であるとか、或いは雜收入とか、公債金とか、歳入の性質によつて區分されます。歳出にあつては、そうはどういう目的に使はれる經費であるか、例えば行政部の關係、行政廳の基本的な經費であるとか、或いは産業に關する經費だとか、歳出の目的別に分れております。歳出の目的別區分の名前を擧げますと、第一が皇室費、第二は國會費、第三が裁判所費、第四が帝國憲法機關關係費、第五が行政部費、これは行政官廳の基本的經費であります。第六が司法及び警察費、第七が教育文化費、第八が社會及び勞働施設費、第九が保健衞生費、第十が産業經濟費、第十一が公共事業費、第十二が價格調整費、第十三が物資及び物價調整事務取扱費、第十四が行政共通費、第十五が地方財政費、第十六が年金及び恩給、第十七が政府出資金、第十八が國債費、國債の利拂等に要する國債費、第十九が終戰処理費、進駐軍關係のものであります。それから最後の第二十が豫備費、こういうふうになつております。これが目的別分類であります。今申上げましたこの二十の分類の中が更に款項に詳しく分かれて編成されておるのであります。
 次に第二の分類である組織別で申しますと、これは役所別にずつと出ておりますから殆ど説明を申上げる必要もないかと思うのでありますが、只今厚生省關係が問題になつておりますので、厚生省の例を取つて申上げますと、厚生省の中はこういう工合に分かれております。厚生省所管は厚生大臣官房、これが一番初めに出て來ます。それからその次が厚生公衆保健局、その次が厚生省醫務局、その次が厚生省豫防局、その次が厚生省社會局、その次が厚生省勞務局、これは今度勞働省に移るものであります。その次が厚生省勤勞局、これも同様に移る方であります。その次が厚生省保險局、その次が厚生省兒童局、その次が厚生省勞働基準局、これも勞働省に移ります。その次が厚生省の外壁みたいになをております引揚援護院、それから人口問題研究所、その次が公衆衞生院、その次が食生活研究所、その次が衞生試驗所、その次が國立病院及療養所、その次が国立少年教護院、その次が産業安全研究所、これは勞働省へ移ります。その次が勞働保護官署、その次が職業官署、この勞働保護官署で職業官署は勞働省に移ります。最後に行政共通費、こういうふうに厚生省の所管が各部局別に詳しく分かれておるこういうことになつておるのであります。
 これで歳入歳出予算の中の甲第一號、即ち性質別及び目的別の區分、それから、甲第二號の組織別區分というものがほぼお分りになつただろうと思います。
 次に豫算總則の内容に入ります。豫算總則の第一條でございますが、これは……讀み上げて見ますと、第一條に「既定の昭和二十二年度の歳入歳出豫算に對して、下記の區分に從つて、追加又は修正する」、そうしてその下に表が出ておるのであります。昭和二十二年の歳入歳出豫算は御承知のように、千百四十五億圓でありますが、それに對しましてこういうふうに追加又は修正をいたすということを謳つておるのであります。この表の數字は省略いたします。
 上記の追加又は修正の結果、昭和二十二年度歳入歳出豫算額は、歳入歳出とも、各々千百四十五億四千餘萬圓、こういうことになるのでございます。その次が「前記の追加額又は修正額の性質別又は目的別區分は、別冊甲第一號に、又組織別區分は、別册甲第二號による」、これは先程申しましたところでありまして、この追加額又は修正額の内容につきまして、性質別又は目的別の區合は、別册の甲第一號に詳しく書いてある、又組織別即ち部局別の區合は別册甲第二號に詳しく書いてあるということでございます。
 この表の説明を少し補足いたしておきますと、第一欄の區分というのは、歳入、歳出の別でありまして、次の欄が追加額ということになつております。追加額の歳入の金額が三千六百四十萬九千圓ということになつております。これは今度歳入としてこれだけ新らしく殖やさなければならないものが約三千六百萬圓であるということでございます。
 それから歳入につきましては昭和二十二年度本豫算に對する修正は何らございません。ただ新らしくぽかりとみれだけの金が加わつて來るだけであります。ところが、歳出につきましては少し事柄が複雜になつておりまして、歳出で今囘勞働者設立に伴いまして全く新らしく出て來る經費というものが、此處に追加額と相成つております五千萬圓であります。これが全く新らしく加わる經費でございます。その次に修正額というのがございまして、この修正額の中が増加額、減少額、差引額というふうに三つに分かれております。修正額の中の増加額は現在すでに成立しております豫算の中のものから引つ張り出して來て、新らしい項目を作つたり、或いは他の項目の中に加へたりする、その新らしい項目に計上され、又は既存の項目の金額の殖える部分、そういうものがこの増加額になつて來るのであります。
 それから減少額の方は、落される方、或る項目があります。その全部を落す場合もありましようし、一部を落すような場合もございましようが、要するに落される方の金額、これが減少額というふうになつて參ります。そこで若し既成立の豫算から落して全部新しい項目に立て、又は他の項目に足すということにいたしますと、この修正額の中の増加額と減少額が全く一致すべきであります。ところが今囘の場合におきましては、既成立豫算から削りまして、他に移そうと思つていろいろ中を調べて見ますと、すでに内容的に見まして、時期が過ぎてしまつておる、初め豫算を組んだときには要るだろうと思つて計上しておいた金が、現在ではもう要らなくなつておるというような經費が相當出て來たのであります。これはどういうことでそういうことが起るかと申しますと、例えて申しますと、各地方に勞働基準局を作るつもりでおつてそれを四月から作るつもりでおつた、ところがその設置が随分遅れてしまつたということになります、豫算におきましては四月から設置するものとして組んでおきましたが、その遅れた期間の金というものが要らなくなる、こういう類のものがあつちこつちに出て來たのであります。そういうものを移し替える際に差引いてしもう措置を採つたのであります。そういうことのために比處に増加額以上の減少額が出て來ました。この要らなくなつた差額が千三百五十九萬一千圓、これだけの金が浮いて來たわけであります。でありますから、その金が浮いたがために、全く新規經費が、五千萬圓殖えましても、財源としては五千萬圓は要らない、浮いた金を先ず充當しまして、足らん部分だけを新らしい財路に求めなければならんということに相成つて參ります。從つて五千萬圓の中から浮いた金の千三百五十九萬一千圓を差引きまして殘りの三千六百四十萬九千圓だけが新らしい財源を求めるこういうことに相成つて參ります。
 その次に豫算總則の第二條でありますが、豫算總則の第二條は、「歳入豫算の追加額の内譯は、別に添付する歳入豫算補正明細書による。ということが書いてございます。この點はお詫ビをしなければならんのでありますが、この書類はまだできておらないのであります。尤も歳入豫算補正明細書は假にできましても、その内容が前年度剰餘金の使用でありますから、極く簡單なものなるということを附加えて置きます。
 それから第三條に移りますが、第三條には「歳出豫算の、追加額又は修正額の内譯は、別に添付する、豫定經費補正要求書にかかげる區に從つて、法令にもとずいて、實行しなければならない。」と書いてあるのであります。この豫定經費補正要求書という書類は相當重要な書類でございまして、ここでいろいろと御審議願う際に當然出すべき書類でございますが、先日も大藏大臣からお斷り申しましたような工合に、印刷が非常に遅れておりまして、目下校正中で、まだ提出の運びに至つていないのは實に恐縮に存じておる次第であります。これには詳しくいろいろな説明員載つておるのでございます。本日若し御希望がございましたならば、その内容は、或る程度事務當局で分つておりますから、それにつきまして御説明を申上げたいと思うのであります。
 以上で豫算總則は終つております。
 その次はいろいろ歳入歳出豫算に入るわけでありますが、歳入歳出豫算の甲第一號は、いわゆる性質別及び目的別分類でございます。歳入の方は簡單でございまして、前年度剰餘金であります。これが部、款、項とやはり同じような名前になるのでありまして、第五部の前年度剰餘金、その第一款は、前年度剰餘金受入、項も前年度剰餘金受入となつております。昭和二十二年度本豫算の中には部としては四部しかございませんが、今度この補正豫算により新らしく第五前年度剰餘金という部が加わることになつたのであります。これはすでに説明がありましたように、二十年度の決算から生れて來ます歳計剰餘金でありまして、それは二十一年度に繰入れられまして、それから更に二十二年度に繰入れられて來る、こういうことに相成つて參ります。二十一年度全體の歳計剰餘金が何程になるかということは未だはつきりいたしておりませんが、併し二十一年度自體といたしましても、勿論或る程度剰餘金は出るはずになつております。從つて二十年度の剰餘金は二十一年に入りましても剰餘金となり、そのまま二十二年度に受入れられるものでありますから、これを財源として見ることは、何ら不都合はないという見解でございます。
 それからその次の甲第一號の目的別の分類の歳出でございます。先ず部、款、項という所から御説明申上げますと、「五行政部費」と書いて、その次に「9厚生本省」、(1)厚生本省」というふうに書いてありますが、「五行政部費」というのは、「第五部行政部費」というのでございます。それで部の數は、先程申しましたように、本豫算におきましては二十部がございますが、行政部費はその内の第五番目の部になつております。この行政部費の中が十三に分れておりまして厚生本省の款というのが九番目の款になつております。この「厚生本省」といの款の中は項が一つでありまして、同じ名前の「厚生本省」、即ち一款一項で款と項と同じ名前になつております。その次に第十四款「勞働本省」がございます。行政部費の中の款の數は本豫算においては十三までしかありません。ところが、勞働省が今度できますので、款が一つ殖えて、十三番目の「遞信本省」の款の次に、十四勞働本省という款が新らしく附加わるのであります。それから十四の「勞働本省」の款の項も、やはり一款、一項で「勞働本省」となつておるのであります。
 それからその次の「八、社會及勞働施設費」これは第八部社會及勞働施設費と云うのであります。これも先程申上げましたように二十の部の第八番目、これが、社會及勞働施設費となつておるのであります。その第五款に勞働保護行政費というのがございます。社會及勞働施設費の部の中に一体どんなものがあるかということを、御參考までに申上げて置きますと、第一款が救濟保護費、第二款が兒童保護費、第三款が社會保險費、第四款が勞働行政費、それから第五款が勞働保護行政費、第六款が就業施設費と分れております。即ち只今此處に擧げておるのは、第五款の勞働保護行政費であります。それからその下の(1)調査及び指導費、(2)勞働保護官署費は何れも項であります。その勞働保護行政費の中は、本豫算においてどう分れておるかと申しますと、第一項が此處に書いてありますように、調査及び指導費、第二項が、勞働保護官署費、第三項が、産業安全研究所費、こういう三つに分れておるのであります。
 その次は第十四部行政共通費、この中の第一款が官廳營繕費になつております。その中で項が二つになつておりまして、第一項が新營費、第二項が補修費となつております。その次に第二款が諸支出金ということになりまして、この諸支出金の中味は、第一項諸支出金で一款一項になつております。
 次に内容に入つて御説明申上げます。先ず二十二年度豫算補正額の追加額でありますが、行政部費で二千四萬五千圓ということになつております。その内容は後の方の部局別の方に詳しく出ておりますが、勞働本省の官房の經費、婦人少年局の經費、勞働統計調査局の經費、これがこの内容をなしておるわけであります。これが新らしく殖える經費であります。
 それから厚生省の方から移る經費がその次に出ております。これから少しく横に話を進めたいと思いますが、横に行きますと、行政部費の第二欄の増加額が二千八百一萬九千圓、これは下に下がりますと「勞働本省」の行にやはり二千八百一萬九千圓という數字が載つております。これは現在厚生省の中にあります勞政局、勞働基準局、勤勞局が勞働本省に移ります。その關係で移つて來る經費であります。これに見合うものといたしまして、その次の欄に減少額が出て來ます。減少額は金額が二千九百十六萬圓で、ちよつとその數字を下へお下がりになりますと、厚生本省の行に二千九百十三萬圓というのが上つております。厚生本省から二千九百十三萬圓落つこちて勞働本省の方に二千八百一萬九千圓殖える、その途中で差額の百十一萬一千圓が減ります。移り變る際に減つてしまうのであります。これは移り替りの際にいろいろ内容を調べて見ますと、少し話が詳しくなりますが、厚生省の官房で今までよりも少し世帶が小さくなるから、それに應じて金が二萬七千圓減る。それから保險局におきましていろいろな社會保險關係の全般の調査事務をやつておりますが、今度勞働保險關係は勞働省でやるから参少保險局の負擔が減るというわけで、二萬九千圓ばかり落つこちるという金があります。その他勞政局關係におきまして、移る際に三萬六千圓ばかり金が減る。これは勞政局の人が安本の機構擴充に伴つてその方へ少し出て行きます。そんな經費であります。基準局におきまして九十二萬二千圓という金が落ちます。これは官制の公布が遲れまして要らなくなつた關係であります。それから職業安定局の方で九萬七千圓というのが落ちます。これは安本にやはり安定局の人が少人數でありますが、出掛けて移つて行つた、その關係で落ちる。こういつた細かい問題があるのであります。そういうものを合計いたしますと、百十一萬一千圓という金額が出て來るのであります。この百十一萬一千圓という金は増加額と減小額の差引額即ち四番目の欄の一番上に出ております。
 その次は社會及び勞働施設費という所でありますが、この中の勞働保護行政費が新らしく殖えるものといたしまして、追加額千二百二十一萬四千圓が出ております。その内譯は、調査及び指導の經費が八百十七萬八千圓殖えておる。それから第二番目に、勞働保護官署の經費が新らしく四百三萬三千圓殖えるということになつております。それでこの調査及び指導の經費八百十七萬八千圓というものが一體何處へ行くことになるかという問題になりますが、これは婦人少年局と、勞働統計調査局及び勞働保護官署において、調査及び指導の仕事が新らしく始められます。その關係の經費でございます。それから第二項の勞働保護官署の四百三萬三千圓というのは、これは勞働保護官署、即ち地方の勞働基準局及び監督署におきまして、新らたに勞働保護關係の調査統計をやるという關係の機構整備のための規準的經費が殖えておるわけであります。
 次に勞働保護行政費の關係では修正による増加額がございません。ただ修正によつて落ちる金額がございます。その落ちる金額は總額で千二百四十八萬圓でございます。その内譯を申しますと、調査及指導費の百三萬二千圓と勞働保護官署の一千百四十四萬八千圓であります。前の調査及指導費の百三萬二千圓というのは、これは仕事を大體止める方の關係で、不用になるので落すことにした金でございます。基準局の關係の金であります、これは後で部局別の所でもう一度觸れることにいたします。その次の千百四十四萬八千圓というのは、地方勞働基準局及び監督署内の設置が遲れましたため要らなくなつた金だけを全部落したものであります。
 その次に第十四部の行政共通費に移ります。この追加額でありますが、新らしく殖える額が千七百七十四萬四千圓ということになつております。その内譯を申しますと、第一には官廳營繕費、これは今度勞働省ができますにつきまして、いろいろな營繕となさる關係の經費で六百萬圓、その中で新らしく家を建てられる關係の金、或いは新らしく家を買われる關係の經費が三百五十萬圓、既存の建物に手を入れられるという金が二百五十萬圓ということになつております。
 その次に諸支出金の一千百七十四萬四千圓というのがあります。これは今度新らしく勞働省のできるについて殖えた人の待遇改善費等がこれに入つておるのであります。
 それから次の欄でございますが、増加額と減少額であります。これは兩方共同じ金額でありまして、厚生省から勞働省に移つた人の家族手當、その他細々した種類の金でございます。又後で詳しく申上げますが、その金が同じ金額だけ勞働省に移つて來るというわけであります。
 以上で大體この目的別區分による歳出の内容の概略を御説明申上げましたのでございます。まだ十分お分りになつたことは申上げられないと思いますが、尚後引續いて部局別の御説明を申上げますと、尚幾分お分りになつて頂けるかと思いますのでこの程度にいたしまして、次に部局別に移ります。
 先ず甲第二號でございますが、歳入の點につきましては大藏省主管であるということは改めて申上げるまでもございません。別に大して御説明の必要はないかと思います。
 それから甲第二號歳出即ち部局別歳出の内譯であります。これが厚生省所管別に出ておりますが、第一番に厚生大臣官房、この厚生大臣官房については「勞働省設置に伴つて、既定經費の一部が不用となるため二萬七千圓を減少して既定豫算を次の科目區分に從つて修正する」と書いてあります。これは先程ちよつと觸れましたが、厚生省自體の世帶が少し小さくなりますので、從つて厚生大臣官房の金も幾分少くなる、こういうわけで、氣は心というわけで、少しばかり人を減らしております。傭人……極く下の方の人でありますが、人を幾分減らしておるというためにこれだけの金が要らなくなつたというのであります。これは行政部費の厚生本省の款の厚生本省の項から二萬七千圓だけ落すという意味であります。
 それからその次は「厚生省勞政局」の豫算であります。これは此處に「厚生省勞政局においては、勞働組合に關する事務、勞働關係調整に關する事務等を、勞働省勞政局へ移管する等に伴つて、既定豫算の一部が不用となるため千四百三萬二千圓を減少するので、既定豫算を、次の科目に從つて、修正する」と書いてあります。要するにこれは修正による減少であります。即ちこれだけの經費を厚生省勞政局から落しまして、勞働省の勞政局に入れるその關係の減少であります。お斷りして置きますが、この千四百三萬二千圓そのままの金額が一厘も變らないで勞働省勞政局に入るのではなくて、これからほんの少しでありますが、減つて向うに移つて参ります。それは先程すでに詳しく申しましたけれども、僅か三萬六千圓ばかりの金が減つて、勞働省勞政局の上に移つて行く、その減る金は勞政局の人が數人安本に移りましたので、その金を減らして行き、殘つた部分が新らしい勞働省勞政局に行く、こういうことであります。その金は行政部費の厚生本省の金がこう落ちるということになつております。
 それからその次が厚生省の勤勞局であります。「厚生省勤勞局においては、勞務の需給に關する事務、復員等に伴う職業對策に關する事務、職業紹介に關する事率、職業指導及び職業訓練に關する事務を、勞働省職業安定局に移管する等に伴つて、既定豫算の一部が不用となるたの千百三十一萬六千圓を減少するので、既定豫算を、次の科目區分に從つて、修正する」と書いてあります。下の方はテクニカルの問題でありますから略します。これは職業安定局へ千百三十一萬六千圓の金が殆ど全部移ります。それがために厚生省勤勞局の方からこれだけ落ちるのであります。
 その次が厚生省保險局であります。「厚生省保險局においては、社會保險の調査企畫に關する事務の、計畫を變更するに伴つて、既定豫算の一部が不用となるため二萬九千圓を減少して云云」、こういうことになりますが、これは先程ちよつと申しましたけれども、保險局で社會保險一般のことと調査研究企畫しておる、その中には當然失藥保險も入つております。ところが、今度、失業保險の問題は勞働省へ移つて、勞働省でおやりになる。從つて保險局ではその部分だけは要らなくなる、これを金額的に外すのは非常にむづかしいのでありますが、先ず少しの金額ではございまするけれども、人を數人落して、その經費を節約したのであります。それが二萬九千圓というふうになるのであります。尚御承知と思いますが、厚生省の保險局というものは、やはりそのまま厚生省に今後も引續いて存在をするのであります。
 それからその次は厚生省勞働基準局であります。これは「厚生省勞働基準局においては、(1)勞働保護に關する事務を、勞働省勞働基準局へ移管する等に伴つて、既定豫算の一部が不用となるため三百七十二萬六千圓、(2)勞働保護のため、賃金その他を調査及び指導する事務の、計畫が變更するに伴つて、既定豫算の一部を不用となるため、百三萬三千圓、計四百七十五萬八千圓を減少するので既定豫算を、次の科目區分に從つて修正する」ということで中が二つに分れております。これは後の方の表を御覽になると分るように、行政部費と社會及び勞働施設費の二つに分れておるのでありまして、それと對照して説明の方も二つにはつきり區分をしておるのであります。初めの方の説明は、これは要するに勞働省勞働基準局へこの厚生省勞働基準局の仕事が移るから、それがためにこちらは減するのだというのであります。二番目の方は、勞働保護のためのこういういろいろな調査及び指導に關する仕事があるのでありますが、それが要らなくなつた、この仕事の要らなくなつたという理由は、今度新らしく統計調査局ができますので、その方で仕事を取扱うというような關係もありまして、こちらは要らなくなつたので、統計事務に關する經費を百萬圓ぐらい落すということであります。これは落しつ放しになるのでありまして、移るわけではないのでございます。
 その次が勞働保護官署でありますが、勞働保護官署は勞働基準法を施行するための官署であります。この「勞働保護官署においては、勞働保護に關する事務の、計畫を變更するに伴つて、既定豫算の一部が不用となるため、千百四十四萬八千圓を減少し」云云と書いてあります。これは不用となるために減少するのであります。これは減りつ放しでありまして、移すのではありません。これは言葉はちよつとぼやかしてありますが、要するに官制の公布が遲れて、地方の勞働基準局や監督署の設立が遲れたために、これだけの金が要らなくなつた、だからこの際落すのだ、こういう性質のものでございます。
 それからその次は行政共通費でございます。これは「厚生省所管の行政共通費においては、家族手當、退官退職手當等を勞働省所管の行政共通費へ移管するに伴つて、既定豫算の一部が不用となる爲三千百三十三萬九千圓を減少する」云々と書いてある。要するにこういう家族手當とか、退官退職手當というものは、一括して行政共通費の諸支出金の中に入つておるのであります。今後は相當の人が厚生省から勞働省に分れて行くのでありますが、その人たちの分に對しては、これを分けなければならんので、それだけ外して、それを勞働省の方に移す、こういうのでございます。全然同じ金額だけ勞働省に移ります。
 その次が新らしくできる勞働省所管であります。先ず初めにございますのは、勞働大臣官房であります。「勞働大臣官房においては、各省官制通則に定めた事務の外、勞働省所管行政に關する總合計畫の設定、其の他重要行策の總合調整に關する事務等を處理するため、八百八十九萬五千圓を、次の料目區分に從つて、支出することができる」これは全く新らしく金が要るのでありまして、八百八十九萬圓だけは新規に増加する金でございます。
 それからその次は勞働省勞政局であります。「勞働省勞政局においては、勞働組合に關する事務、勞働關係調整に關する事務等を、厚生省勞政局から移管するため、千三百九十九萬六千圓を修正増加して、次の科目區分に從つて」云々、こう書いてあります。これははつきり出ておるように、厚生省勞政局から移管して、これだけこちらへ金ができる、勞働省勞政局の金ができるという修正増加のものであります。
 その次の勞働省勞働基準局でありますが、これは「勞働省勞働基準局においては、勞働保護に關する事務を、厚生省勞働基準局から移管するため、二百八十萬四千圓を修正増加して」云云、これも修正増加の金でございます。
 その次は勞働省婦人少年局、新らしく設けられる局でありますが、「勞働省婦人少年局においては」、「(1)婦人少年勞働保護に關する事務を處理するため五百五十六萬三千圓、「(2)婦人少年勞働保護に關する調査及び指導を實施するため二百四十五萬二千圓、計八百一萬五千圓」という金が新らしく盛られている、こういうことでございます。この區分はこの表に出ているように分れております。
 それからその次が、勞働省職業安定局であります。「勞働省職業安定局においては、勞務の需要に關する事務、復員等に伴う職業對策に關する事務、職業紹介に關する事務、職業指導及び職業訓練に關する事業を、厚生省勤勞局から移管するため、千百二十一萬九千圓を修正増加して」云々と書いてあります。これもやはり厚生省勤勞當局から仕事が職業安定局に移つて來るのであります。
 その次は、勞働省勞働統計調査局、これも新らしくできる局でありますが、「勞働省勞働統計調査局においては、(1)勞働統計に關する事務を處理するため、五百五十八萬七千圓」が新らしくできるものであります。「(2)、勞働統計に關する調査及び指導を實施するため四百五十七萬八千圓」、これも新らしくできる、計千十六萬五千圓が殖える、こういうことでございます。後は省略いたします。
 それからその次は勞働保護官署であります。「勞働保護官署においては、勞働統計に關する事務を處理するため四百三萬三千圓」、それから「勞働統計に關する調査及び指導を實施するために百十四萬八千圓」、兩方合せまして五百十八萬一千圓という金を新らしく殖やしまして、それを左の區分によつて支出するということになつております。
 最後は行政共通費でありまして、勞働省所管における行政共通費としまして、「(1)官舎の買收及び廳舎の補修等のために」、これが先程出ておりました六百萬圓であります。これは官舎の買收及び廳舎の補修のために新らたに六百萬圓を追加するものであります。それから二番目といたしまして、諸支出金において、中が分れて、(1)、新規増加人員に伴う給與特別措置費等のために千百七十四萬四千圓を追加する」、これは勞働省ができますために、私の記憶では二千數百人増加する。その人のための給與特別措置、これは千八百圓ベースに持つて來る方の關係の經費であります。私先日の説明において勞働省關係の給與は千八百圓ベースで組んでおると申上げましたが、ちよつと言葉が足りませんでしたので、申添えて置きますが、勞働省設置に伴つて新らしく殖える人はみな千八百圓ベースで組んでございます。ところが、厚生省から移つて來る者は千八百圓ベースではない、これは本豫算に組んでいる數字をそのまま持つて來ておる、本豫算は千百圓ベースで組んであります。從つて新らしく殖える人は千八百圓ベースでありますが、前からの人は千百圓ベースになつておりますので、これに對しましては、やはり豫算が必要になつて參りまして、それは今後「補正第二號」として出ます追加豫算においてその金額が計上されるということになるわけであります。それから(ロ)、は「家族手當、退官退職手當等を厚生省所管の行政共通費から移管するため、三千百三十三萬九千圓を修正増加する」、これは移し替えの増加の分でありまして、全然同額であります。その内譯は表に出ております。こういうことになつております。
 大體豫算の内容は只今申しましたようなことによつてお分りになつたと思います。
 尚この前私の御説明申上げた際に、この補正豫算に載つておるものの外に、すでに本豫算において認められておるもので、この議會の議決を經ないで移し替えて使えるものが別に二億六千六百萬圓あるということを申上げました。それはどういう經費であるか、その經費の表を今日刷らしておつたのですが、間に合わないのでお手許に差上げられないのですが、今刷つておりますから、でき次第お手許にお届け申上げたいと思いますが、口頭で以てそれを申上げますと、「昭和二十二年度一般會計豫算」(本豫算)を持つていらつしやる方もありますので、それを參照しながらあらまし申上げる方が便宜と思いますが、社會及び勞働施設費の分で、その豫算書で行きますと二十頁であります。そこの第八の社會及び勞働施設費というところでございます。その中の第四の勞働行政費の款であります。その中の項が三つに分れておりますが、第一項が調査及指導費、第二項が地方勞働行政負擔金、第三項が勞働委員會費、その經費が殆ど全部、丸々勞働省へ移つて參ります。
 この勞働行政費の數字を申上げますと、最初に調整及び指導費として四百七萬六千圓というのがあります。次に地方勞働行政負擔金というものが、これは勞政關係の事務を地方でやらせる場合に、その二分の一を國庫が負擔するということになつております。その二分の一國庫負擔の金が地方勞働行政負擔金という名前で擧つておるのでありまして、その金額が二千八百七十三萬三千圓ということになつております。次に勞働委員會費というのがありますが、これは本豫算におきましては六百七十六萬二千圓ということになつております。この勞働委員會の經費は、厚生省關係ばかではなしに、他に船員の關係があります。この船員關係の勞働委員會經費は運輸省の所管になつております。この六百七十六萬二千圓の經費の中で、厚生省の關係は五百九十九萬六千圓でありまして、その金が全部今度勞働省に移るということになつております。その次に勤勞局の關係で、やはり社會及び勞働施設費の中で就業施設費というのがございます。これは第六の款でありますが、二十一頁就業施設費というのがございます。その中に細かい項になるのでありますが就業奬勵費というのがあります。これが五百四十五萬圓、それから職業補導費三百八十六萬九千圓、その合計が丸々移るのであります。それから次に勞働行政費の中に調査及び指導費四百九十八萬七千圓というのがございますが、やはりそれが全部勞働省に移ります。
 それから産業安全研究所の經費、これが全部勞働省の方に移つて參ります、それから勞働保護官署の經費、これは地方の勞働基準局及び監督署の經費、この關係の經費が全部移つて參ります。但しこの中には先程から申しますように、官制公布が遲れまして、設立が遲れたために、要らなくなつた金が差引かれてあります。つまりその殘りが移るということになります。それが七千八百六十九萬三千圓で、勞働省に移つて參ります。それから職業紹介所の關係、これは就業施設費の中の職家官署という款があるのですが、これが一億三千三百八十一萬三千圓、これは職業紹介時、今職業安定所と云つておりますが、この經費が丸々厚生省から移つて來る。こういうようなものがありまして、全部合計いたしますと二億六千六百二十一萬二千圓という金が、厚生省豫算からこの議會の議決を俟たないで當然勞働省へ移つて來るということになるのであります。
 然らば勞働省全體として、どれだけ使う金があるかと申しますと、先程申上げました通り、全く新らしく追加された金五千萬圓、それから修正増加いたしました金が五千九百三十五萬八千圓、それに只今申上げました議會の議決を經ずして使える金、二億六千六百二十一萬二千圓、それを合計いたしますと、三億七千五百五十七萬七千圓、それが勞働省として使える金、こういうことに申上げ得ると思います。大體この程度で、尚お御質問によりまして、更に詳しくお答えいたしたいと思います。
#33
○委員長(櫻内辰郎君) 大村君の御質疑はこれでよろしうございますか。
#34
○木村禧八郎君 もう一つ、これ以外にまだ追加豫算として出る分がありますかどうか、その點について……。
#35
○政府委員(野田卯一君) 勞働省關係の追加豫算としては、尚この外に相當大きなものがあるのでありまして、一番大きいのは御承知の失業手當、失業保險、これはまた發表いたしておりませんけれども十數億圓あります。又まだ若干細かいものがあるかと思います。
#36
○委員長(櫻内辰郎君) 中西君、安本長官は見えませんが、物價局長がお見えになつておるのですが、大臣でなくてはいけませんか。
#37
○中西功君 別に構いませんが、少し長く。
#38
○委員長(櫻内辰郎君) それではお諮りいたします。今日は質疑はこの程度にいたしまして、次囘にすることにいたしてはいかがでございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○委員長(櫻内辰郎君) それでは本日はこれにて散會をいたします。
   午後四時四十一分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     櫻内 辰郎君
   理事
           木村禧八郎君
           西郷吉之助君
           中西  功君
   委員
           カニエ邦彦君
           木下 源吾君
           波多野 鼎君
           村尾 重雄君
           石坂 豊一君
           小串 清一君
           小野 光洋君
           左藤 義詮君
           鈴木 安孝君
           寺尾  豊君
           深水 六郎君
           伊東 隆治君
           稻垣平太郎君
           大島 定吉君
           木内 四郎君
           小畑 哲夫君
           田口政五郎君
           飯田精太郎君
           江熊 哲翁君
           川上 嘉市君
           島村 軍次君
           鈴木 直人君
           高田  寛君
           東浦 庄治君
           姫井 伊介君
           池田 恒雄君
           川上  嘉君
           藤田 芳雄君
           渡邊 甚吉君
  國務大臣
   内閣總理大臣  片山  哲君
   大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君
   國 務 大 臣 米窪 滿亮君
  政府委員
   經濟安定本部物
   價局長     谷口  孟君
   大藏事務官   小坂善太郎君
   大藏事務官
   (主計局長)  野田 卯一君
   大藏事務官
   (主税局長)  前尾繁三郎君
   厚生事務官
   (勞政局長)  吉武 惠市君
ソース: 国立国会図書館
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