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#1
第061回国会 本会議 第52号
昭和四十四年六月二十六日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四十三号
  昭和四十四年六月二十六日
   午後二時開議
 第一 農地法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 第二 公害に係る健康被害の救済に関する特別
  措置法案(内閣提出)
 第三 公害紛争処理法案(内閣提出)
 第四 公共用水域の水質の保全に関する法律の
  一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 軽機械の輸出の振興に関する法律を廃止
  する等の法律案(内閣提出、参議院送付)
 第六 国民年金法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 検察官適格審査会委員及び同予備委員の選挙
 鉄道建設審議会委員の選挙
 電波監理審議会委員任命につき同意を求めるの
  件
 日程第一 農地法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 日程第二 公害に係る健康被害の救済に関する
  特別措置法案(内閣提出)
 日程第三 公害紛争処理法案(内閣提出)
 日程第四 公共用水域の水質の保全に関する法
  律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 軽機械の輸出の振興に関する法律を
  廃止する等の法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第六 国民年金法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
    午後二時三十四分開議
#2
○副議長(小平久雄君) これより会議を開きます。
    ――――◇―――――
 検察官適格審査会委員及び同予備委員の選挙
 鉄道建設審議会委員の選挙
#3
○副議長(小平久雄君) 検察官適格審査会委員、同予備委員及び鉄道建設審議会委員の選挙を行ないます。
#4
○西岡武夫君 検察官適格審査会委員、同予備委員及び鉄道建設審議会委員の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#5
○副議長(小平久雄君) 西岡武夫君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、検察官適格審査会委員に
      瀬戸山三男君    田中 武夫君を指名いたします。
 また、古川丈吉君を瀬戸山三男君の予備委員に、長谷川正三君を田中武夫君の予備委員に指名いたします。
 次に、鉄道建設審議会委員に
      辻  寛一君    永井勝次郎君
      楯 兼次郎君
を指名いたします。
     ――――◇―――――
 電波監理審議会委員任命につき同意を求める
  の件
#7
○副議長(小平久雄君) おはかりいたします。
 内閣から、電波監理審議会委員に古賀逸策君、藤井崇治君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#8
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 農地法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
#9
○副議長(小平久雄君) 日程第一、農地法の一部を改正する法律案を議題といたします。

#10
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員長丹羽兵助君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔丹羽兵助君登壇〕
#11
○丹羽兵助君 ただいま議題となりました内閣提出、農地法の一部を改正する法律案について、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における農業の動向にかんがみ、農地等にかかる権利の移動の円滑化を通じて農業経営の規模の拡大に資するとともに、土地の農業上の効率的な利用をはかるため、現行農地制度について、農地等の権利取得の適正化、農業生産法人の要件の緩和、小作地所有制限の緩和、農地等の賃貸借の規制の緩和、小作料統制の廃止、小作料の標準額に関する制度の創設、農地等にかかる紛争の和解の仲介制度の整備及び草地利用権に関する制度の創設等所要の改善を行なおうとするものであります。
 なお、本案は、第五十八回国会に提出され、審査未了となりましたものに若干の改正点を加えた上、二月十二日本国会に提出ざれたものであります。
 本案は、二月二十七日本会議において趣旨説明とこれに対する質疑が行なわれた後、同日付託されました。農林水産委員会におきましては、本案について、三月四日に提案理由の説明を、四月二日にその補足説明をそれぞれ聴取し、同日から六月二十四日までの間に十回にわたり質疑を行ない、その間に、六人の参考人から意見聴取を行なうとともに、六月十二日から十四日までの三日間、東北、近畿、九州において現地調査を実施する等慎重に審査を重ね、六月二十四日、質疑を終了し、同日、日本社会党が反対の討論を行ない、採決いたしましたところ、本案は多数をもって可決すべきものと決した次第であります。
 なお、日本社会党兒玉末男君より少数意見を報告したい旨の発言がありました。
 本案に対しましては、農地制度の基本理念である自作農主義をくずすことなく、土地の効率的利用がはかられるよう、六項目にわたる附帯決議が多数をもって付されました。
 以上をもって報告を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○副議長(小平久雄君) 本案に対しては、兒玉末男君外一名から、成規の賛成を得て、少数意見報告書が提出されております。
    ―――――――――――――
    〔少数意見報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#13
○副議長(小平久雄君) この際、少数意見の報告を求めます。兒玉末男君。
    〔兒玉末男君登壇〕
#14
○兒玉末男君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま農林水産委員長が報告をしました農地法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会において留保いたしました、本案を否決すべきであるとの少数意見の報告をいたします。
 去る二十四日、同委員会におきまして、農地法の一部を改正する法律案が、原案のとおり可決されました。
 私どもが本改正案に反対する最大の理由は、本案が農業経営の規模の拡大と土地の農業上の効果的な利用をはかるための措置としては多くの矛盾や欠点を持っており、農地法の基本理念である自作農主義を崩壊させることになり、ひいては日本の農業の将来を誤らせる懸念があるからであります。この際、現在の日本の農業の実態をよく見きわめなければなりません。
 政府が高度経済成長政策をもって大企業、大資本に奉仕を深めた結果、そのあおりで各種の不公平、貧富の格差の拡大、過疎と過密の不均衡などの弊害が免じ、これが国民生産を強く圧迫しておりますが、それが農業に最も強くしわ寄せされております。
 農村を単なる労働力供給源とみなして、労働力を企業に吸収して農業を老齢化、婦女子化させ、農用地を他企業の資本に蚕食させ、あるいは外資の圧力に屈して、安い農畜産物を輸入してコスト高の国内農畜産物を圧迫し、流通機構の整備を怠って生涯者と消費者価格に大きな格差をつけるなど、政府の農政の失敗によって農業が受けた各種の痛手は、枚挙にいとまがありません。
 これらの失政を、総合農政の推進などのことばでおおい隠そうとしていますが、政府の本姿は、食管法、農地法の二大制度の廃止によって農業に対する保護政策を放棄し、大資本、大企業奉仕の政策を遂行しようとする以外の何ものでもありません。
 農業に明日のビジョンを与えるためには、自作農主義を貫き、食糧自給度の向上と農産物の価格安定をはかる以外に道はないと思うのであります。
 これらのことを踏まえて、以下、おもなる事項にわたり、反対の理由を申し述べます。
 まず第一に、第一条の目的を改正して、「土地の農業上の効率的な利用を図る」ことを加え、借地農政を導入し、農地等の権利移動の制限、小作地の所有制限、賃貸借の規制等を緩和し、小作料統制を廃止する等によって、借地による経営規模の拡大をはかろうとすることは、現行法の基本理念とする、耕作者みずからの所有、経営、労働の三位一体の自作農主義を否定し、ひいては農地改革の成果を崩壊させ、寄生地主の復活等を招来するおそれがあるからであります。
 第二に、農地等の権利取得の制限について、農地保有の上限面積制限及び雇用労働力制限を撤廃することは、農業経営発展の可能な経済的、社会的環境がそぐわず、むしろ一部の農家に資本家的農業の幻想を与えるにすぎず、農民が共同して独占資本の収奪に対抗しようとする方向を分断するものであります。
 また、農地保有の下限制限を五十アールに引き上げる改正は、農地法の原則として、強制すべきではありません。これは、経営向上の意欲のある者を抑圧することになり、農業外就業の安定的保証がない今日、貧農切り捨ての政策と判断されるからであります。
 第三は、小作地の所有制限を大幅に緩和して、不在地主制を認めたことであります。都府県平均一ヘクタール、北海道四ヘクタールまでの不在地主を認め、また、農業生産法人の構成員が所有する小作地、経営委託により農協に貸し付けられる小作地、農地保有合理化事業を行なう法人に貸し付けられる小作地、並びに市街化区域内にある小作地については、在村、不在村を問わず、小作地所有の制限をしないことにしているのでありますが、これは農地改革の成果を崩壊させ、零細農民の離農促進による低賃金労働力の流出を意図し、さらに、将来大幅に不在地主を認めることになるからであります。
 第四は、合意による解約や、十年以上の定期貸借の更新の場合に、契約更新の許可を要しないとしていることは、明らかに耕作権保護の後退であります。このことは、耕作農民の経常安定をそこなうことになり、生産意欲の低下、土地改良等への投資の減退を招き、さらに、今日なお力関係では地主の立場の強い農村においては、合意の名のもとに一方的に土地の取り上げが頻発するであろうことは、火を見るよりも明らかであります。
 第五は、小作料統制を廃止して、地主と小作との相対契約を原則とすることは、自作農主義の放棄に通ずるものであります。
 今回の農地法改正案が、農地流動化のためとしておりますが、はたして農地が流動化するかどうか疑問であり、かえって弊害の発生が多くなるものと判断するものであります。
 以上、申し述べましたとおり、本法案は、日本の農業の発展のためにきわめて大きな問題を有しており、否決すべき法案であると考えます。
 これをもって反対意見の報告を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○副議長(小平久雄君) 討論の通告があります。順次これを許します。湊徹郎君。
    〔湊徹郎君登壇〕
#16
○湊徹郎君 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となっております農地法の一部を改正する法律案について、賛成の討論を行なわんとするものであります。
 私どもは、戦後の農地改革が、明治以来長年にわたる農村の支配的体制であった地主小作制度を打破し、その後の農業発展に道を開いた画期的役割りについて、今日あらためて高い歴史的評価を与えるにやぶさかでございません。それのみでなく、農地改革は、戦後における一連の民主化政策の中で、崩壊に瀕していた経済の再建復興はもとより、今日の成長を続ける経済の繁栄と、開かれた社会の建設の礎石を築いた主要な原動力の一つであったと考えております。(拍手)
 現行農地法は、このようにして、一応戦後の日本の農業及び農村に定着を見た農地改革の成果を維持することに、その使命の一半を持って今日に至ったのであります。しかし、戦後二十数年、もはや歴史の舞台は大きく転回しようといたしております。
 世界的規模でどんどん広がりを増し、かつ、目まぐるしく変貌する国際環境や、それに対応する国内の社会、経済の情勢変化、また、テンポを加速度的に早めて発展し、躍進する技術革新や情報革命の波、それに伴う産業経済や、所得、生活、消費、需要などの急激な構造変化、いずれにしても、ここ数年来の発展のスピードと変化の振幅は、とうてい昔日の比でありません。
 私どもは、このような立場と観点から、いままでの農業や農政を根本的に見直し、農地制度もまた時代の進展に合わせて再検討し、その一部を手直しすべきときにきていると思うわけであります。(拍手)
 かつて明治の初中期、土地改良や農業の技術的発展に積極的役割りを演じた旧地主が、明治末期以降、次第に惰性と陋習の中に埋没し、時代の進運に背を向けて、労せずして父祖伝来の高率な現物小作料に寄生し、その徴収機能のみに依存するようになったとき、まさに農地改革が必要となったのであります。
 それと同じように、農地改革に続く農業改革が叫ばれながらすでに久しく、依然として一町歩前後の零細経営のワクの中で、驚嘆に値する発展を続けてきた戦後の農業が一つの限界点に達し、前途に立ちはだかる固定化し、硬直化した農地法に一つの大きな壁を見出した今日、これを改めることはけだし当然のことでございましょう。(拍手)
 一部からは、農地法はざる法ではないかと評され、また、現実のやむにやまれぬ必要から、広範に請負耕作や、やみ小作、委託経営や、やみ地代が発生している実態は、ここ数年の環境と条件の急激な変化に対応し切れず、もはや現行農地法が、新しい時代の農業に対する創造的機能とその発展を促進する役割りを失いかけておる証拠ではないでしょうか。
 これを放置することは、ただに戦後農業のパイオニアであった農地法の権威を傷つけるばかりでなく、大きく言えば、農地法の空洞化によって法の秩序と威信を失墜し、現実の問題として、今後の農業や農政の前進を妨げる桎梏と化する懸念さえ持たれるのであります。
 昭和三十六年以来の、いわゆる基本法農政に対する反省から総合農政が主唱され、構造政策展開の急務が叫ばれておる今日、その基軸をなす農地制度を、新しい農政の主柱としてふさわしいものに改めることは、当面の喫緊事であります。まさに、新しい酒を入れる新しい皮袋を用意するときであります。(拍手)
 この機会に、法案の二、三の基本的な問題に触れてみたいと存じます。
 まず第一は、農地法の目的についての改正であります。
 従来、自作農主義を唯一最高の目的としてきた本法が、それと並んで、新しく基本目的として、農用地の効率的な利用とそのための利用関係の調整を加えた意味は、きわめて重要であります。具体的に申しますと、積極的方策として、自作地と合わせて、借地による経営規模の拡大に道を開き、草地利用権の新設によって農用地の外延的拡大をはかり、さらに、兼業農家の農地を含めて、農業生産法人や農協など、集団的な生産組織の効率的な土地利用を可能ならしめるとともに、これらとあわせて、農業委員会等による利用関係の紛争処理機能を高め、権利移動の許可規制によって、経営的に見て非効率的な土地取得を制限しようとすることなどであります。
 農地改革による、いわゆる自作農主義は、長年渇望久しかった多くの小作農を、地主の手から解放して土地持ち農家とし、だれに気がねなく、思う存分土地が使えるという満足感に訴えてその生産意欲を刺激し、それによって今日まで農業生産の著しい増大をもたらしてまいりました。
 しかし、時代は、もはや物や金を持つことよりも、それらをいかに使うかに価値を認める時代になっております。狭い国土と乏しい資源に象徴されるように、ろくろく物を持たず、宿命的な貧乏国といわれたように、金に恵まれなかった日本が、戦後、戦前以上の悪条件の中から、今日世界第三位にランクされる経済的繁栄をかち得たのも、恵まれざる物と金を広く世界に求め、それを最大限に利用し、使いこなした民族の知恵と技術と働きの所産であることは明らかであります。(拍手)
 所有から利用へという、このような新しい時代の流れに沿う改正としては、むしろおそきに失したとさえ考えられます。しかし、善は急げであります。すみやかな成立を願ってやみません。
 今回の改正案につきましては、先ほども話がございましたように、農地改革の最大の成果である自作農主義を崩壊に導き、土地取り上げを激発し、統制のたがのはずれた高率、高額な小作料をてこにして、旧地主制復活につながるおそれがあるという意見があります。しかし、今日の事態は、農地改革当時とは全くその条件を異にしております。異質の社会、別次元の経済と言っていいかもしれません。小作面積も今日五%に減少し、小作農家も小自作を合わせて約二十五万戸、これまた全体の五%弱にすぎません。大勢はゆるがすべくもないのであります。
 また、国民の地域的交流や社会的移動が活発となり、職業選択の機会や範囲が増大し、所得や収益の種類や源泉が多元化し、特に労働力に対する社会的評価が急速に高まってきた今日、地代や小作料に所得や生活の主たる源泉を期待する旧地主的土地所有、あるいは農業における生産関係としての地主小作制度が、亡霊のごとく復活する懸念は全くないといわざるを得ません。(拍手)過去を振り返って、その弊害を気づかうあまり、あつものにこりてなますを吹くていの愚は繰り返すべきではありません。むしろ、今後、真剣に対処しなければならないのは、旧来の慣習や地価の関係から、所有者が資産的な保有に固執し、あるいは値上がり待ちの投機的な保有を求め、農地がその本来の生産手段として効率的に利用されない傾向に対してであります。
 今日、当面の課題は、もはや農地の所有にウエートを置いた規模の零細な自作農経営の単なる維持よりも、農地以外の生産手段も含めて、所有と経営と労働を三位一体的、効率的に運用していくような自立経営の育成であり、それを集団的、組織的にカバーしていく協業の助長であります。特に協業経営の場合には、その構成員がそれぞれの多様な条件に応じて補完し合うことが必要であり、その意味で、従来とは異なった経営と所有との関係が望まれることは当然の成り行きであります。今日の段階では、いわゆる自作農主義も周囲から孤立化した一戸建ての個別経営ではなく、広域主産地や、生産組織、営農団地の中の弾力性と幅を持った自立農主義に発展しなければなりません。
 しかしながら、本法の改正には幾多の問題点があることも事実であります。たとえば、農地の流動化を促進するためには、一方、くぎづけされた土地が賃貸借の形で動くように耕作権の保護の緩和をはかる必要がありますし、その反面、借地経営を安定させるためには、土地改良や大型機械の導入が可能なように、逆に耕作権の保護の強化をはからなければなりません。まさに、もろ刃の剣的な役割りと効果を法の運用に期待するわけであります。
 その他、農地転用をめぐる不正事件や、投機的な土地集中の防止、不在地主の特例措置の乱用防止、都市計画法との調整、下限面積規制の弾力的運用、便乗的な土地取り上げの抑制、残存小作地の保護、標準小作料制度の適切な運用、草地利用権制度の積極的活用など、改正法の実施にあたっては、周到な準備と慎重な運用を必要とする点が少なくありません。附帯決議を付して運用の万全を期したゆえんであります。
 大局的、達観的見地から何とぞ御賛同あらんことをお願いして、賛成の討論を終わります。(拍手)
#17
○副議長(小平久雄君) 伊賀定盛君。
    〔伊賀定盛君登壇〕
#18
○伊賀定盛君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました農地法の一部改正法案に対して、反対の討論をいたすものであります。
 今回の農地法改正は、農地法制定以来の大幅な改正であり、その目的とするところは、農地移動による経営規模拡大が中心となっており、政府が総合農政構想を打ち出し、その一環として農地法の大幅改正を提出してきた理由には、昭和三十六年に制定された農業基本法による農政が完全に行き詰まり、破綻したことをまず指摘しなければなりません。(拍手)
 農民の他産業従事者との所得格差の是正をうたい、選択的拡大、生産性向上、自立農家育成、構造改善を柱とした農業基本法の実績は、米を除いて惨たんたる失敗に終わっているのであります。
 農業行き詰まりの実態は、第一に、耕地面積の減少、特に作付面積が激減し、麦類、カンショ、大豆等、主要畑作物の作付面積は、昭和三十年から四十二年までに百五十万ヘクタールも減少しているのであります。第二に、農業生産は、米、畜産、野菜、くだものを除いて減退し、畜産、果樹も外国農産物の輸入政策により頭打ちとなり、農産物の自給率は大幅に低下しております。第三に、農家経営は不安定で、所得の六割を農外収入にたよる兼業化が進み、自立経営はふえず、その上、機械化や農薬の使用等によって労働生産性は上昇したが、農家の借金はふえてまいりました。第四に、経済成長に伴う若い労働力の流出、長期出かせぎの増加によって、農家労働力の老齢化、婦女化が進み、特に婦人の重労働によって日本の農業がささえられていると言っても過言ではないのであります。
 このような農基法農政の失敗の中で、自民党政府は「だれよりもだれよりも農民を愛す」と言った翌年には、「農民の納税額は、国税として百二億、〇・二%にしか達していない、生産者米価だけを上げるわけにいかない」という、農民軽視のことばを公式の場で発言しているのであります。いまや全国の農民は、自民党政府の農政に大きな不信を持ち、だれよりも農民を愛するの愛すは、英語の冷たいアイスであると受けとめておるのであります。(拍手)
 以上のような農政不在の傾向に対し、農民の反撃が次第に強まり、農基法農政の失敗が明らかにされるに従い、政府は新構造政策の展開から総合農政の推進等と、単にことばを変えてその場を糊塗し、現実には食管法、農地法の二大制度の廃止をもくろみ、農業に対する保護政策を放棄しようとしてきゅうきゅうとしているのが今日の姿であります。
 かかる観点から今回の農地法改正法案を見ました場合に、真の農業構造の改革は、単なる農地法の改正ではなく、まず、農政に対する姿勢を根本的に改めた上で、農政全般の抜本的改革を断行することが必要であります。
 わが党は、農地制度が農業の憲法的な存在であることにかんがみ、今回の農地法改正案に対し、農地改革の基本精神に逆行し、農業の矛盾を拡大させるおそれが多分にあるものと判断して改正案に反対し、農地法はあくまで耕作農民の権利を守り、農業の発展を目ざすものでなければならないものとし、このため、第一に、農地は耕作農民が所有することを原則とすること、第二に、農地の資産的保有傾向の経済環境を改め、農地が農業生産に有効利用される政策を強化すること、第三に、農業経営規模の拡大は、借地制による方向ではなく、外延的拡大をはかりながら、農業生産組合等による集団生産、共同耕作、受託耕作等によるものとすること、第四に、小作地は自作地化を促進すること、等がその基本方針であることを明確にし、以下、改正案の具体的内容にわたり、反対の趣旨を申し上げるものであります。(拍手)
 まず第一に、農地法の目的である第一条の改正についてであります。
 第一条の目的を改正して、「土地の農業上の効率的な利用を図る」ことを加え、借地農政を導入し、具体的には、農地等の権利移動の制限、小作地の所有制限、賃貸借の規制等を緩和し、小作料統制を廃止する等によって、借地による経営規模の拡大をはかろうとするものでありまして、これらは現行法の基本理念とする、耕作者みずからの所有、経営、労働の三位一体の自作農主義を否定し、ひいては農地改革の成果を崩壊させ、寄生地主の復活、零細農切り捨ての政策に転換しようとするものであると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 農地改革が実施されてから二十年、かつて大正デモクラシーの時期に、小作制度確立のため情熱を傾けた農政担当者が、自来四十年の長きにわたり理想としてきた、耕す者がその田を持つの農地制度は、改正案によっていまや百八十度の転換を示し、少数のエリート農業の育成に踏み出そうとするものであります。法改正によって、借地による規模拡大がある程度可能になり、かつてのような小作人泣かせの地主制にはならないとしても、種々の弊害が発生しないとは何人も保証し得ないのであります。独占資本の要求にこたえることに急のあまり、悔いを千載に残すことのないよう猛省を促すものであります。(拍手)
 第二に、農地等の権利移動の制限緩和についてであります。
 農地等の権利取得の制限について、農地保有の上限面積制限及び雇用労働力制限の撤廃は、現行法における家族労力による場合は制限を越えてもよいことになっており、統計上からも三ヘクタール以上の農家は四万戸、〇・七%しか存在せず、また所有権の移動を見ても、〇・七ないし一ヘクタール階層に最も多いことを示しておる際、これを撤廃して、農業経営発展の可能な経済的、社会的環境がそぐわず、むしろ、一部の農家に資本家的農業の幻想を与えるにすぎず、農民が共同して独占資本の経済的収奪に対抗しようとする方向を分断しようとするものであります。また、農地保有の下限制限面積を五十アールに引き上げる改正は、農地法の原則として強制すべきではなく、これは経営向上の意欲のあるものを抑圧することになり、農業外就業の安定的保障がない今日、貧農切り捨ての政策であるとのそしりを免れないものであります。(拍手)
 次に、農協による経営委託、農地保有合理化促進事業を行なう法人に対し権利取得を認めたことにつきましては、前者は請負耕作の追認であり、これを推進すれば、農協みずから組合員の脱農化を促進するものとなり、さらに、現在の農協に受託能力があるかどうか、後者については、地域農民の内発的要請に期待をかけている程度のものであり、質疑において、その法人の具体的内容も明らかにされないまま、これらについて権利の取得を認めることは、疑問なしとせざるを得ないのであります。
 第三に、小作地等の所有制限の緩和についてであります。
 今回の改正案で最も重大な問題は、小作地の所有制限を大幅に緩和して、不在地主制を認めたことであります。すなわち、都府県平均一ヘクタール、北海道四ヘクタールまでの不在地主を認め、また、農業生産法人の構成員が所有する小作地、経営委託により農協に貸し付けられる小作地、農地保有合理化事業を行なう法人に貸し付けられる小作地、及び市街化区域内にある小作地については、在村、不在村を問わず、小作地所有の制限をしないことにしているのであります。このように、例外的とはいえ、不在地主を認めることは、農地改革の成果を崩壊させ、零細農の離農促進による低賃金労働力の流出を意図し、さらに、将来大幅に不在地主を認める布石であり、特に、農業生産法人の構成員所有小作地について無制限に不在地主を認めることは、寄生地主化を目ざす偽装法人を多発させ、農外資本による投機的な農地投資によって、農村支配の弊害を惹起させるおそれが多分にあると思われるのであります。農地改革の際の不在地主と著しく公平を欠くとのそしりは免れ得ないのであります。質疑において、かつての寄生地主の復活はなく、地主は第二種兼業農家であり、借地は専業農家であるから、その心配はないと判断しているとの答弁でありますが、将来の情勢変化や、現在農外資本による仮装自作地が横行しているとき、かかる道を開くことに対しては、これを容認することはできないのであります。(拍手)
 第四に、耕作権の保護の緩和についてであります。
 合意による解約や十年以上の定期貸借の更新の場合に、契約更新の許可を要しないこととしていることは、明らかに耕作権保護の後退であり、耕作農民の経営安定をそこなうことになり、生産意欲の低下、土地改良等への投資の減退を招くことになるのであります。農地の賃貸借制度については、近代農業の確立をはかる上に権利強化は不可欠であり、西欧先進国ではこの法体系が整備されているのであります。改正案は、この趨勢に逆行して、弱体化を目ざしております。まして、わが国の農村では、今日なお力関係では地主の立場が強く、合意の名のもとに、一方的に土地取り上げが頻発するであろうことは火を見るより明らかであります。現行法による許可制度が目下のところ妥当と考えるのであります。
 第五に、小作料統制の廃止についてであります。
 小作料統制を廃止して、新たに、小作料については地主と小作との相対契約を原則とし、これに伴い、小作料の増減請求権の道を開くとともに、農業委員会の小作料の標準額の設定及び減額勧告制度を採用しておりますが、もともと小作料統制の主眼は、地主制復活の阻止と残存小作地に対する救済的要素を持つものであり、これを廃止することは自作農主義の放棄に通するものであります。現在、自作農主義にかわるいかなるものをもってするか、明確な展望がないとき、小作料統制を廃止することは早計に過ぎるものであり、廃止された後の土地需要の趨勢からくる地価問題の解決をますます困難にし、小作料の上昇が農産物価格のコストにはね返って価格政策に波乱を招き、あるいは当事者間の紛争を激化させるなど、小作料統制撤廃による農地流動化の効果よりも、数々のマイナス効果や弊害を誘発することが予想されるのでありまして、どうしても賛成するわけにはまいらないのであります。(拍手)
 なお、従来の小作地の小作料は、十年間最高統制額が継続されることにしておりますが、新小作地の統制が解除されると旧小作地まで波及し、事実上これをなしくずしにする結果を見ることは、他の例を顧みて明らかであります。
#19
○副議長(小平久雄君) 伊賀君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#20
○伊賀定盛君(続) 第六に、草地利用権の設定についてであります。
 今回の改正案の中で、草地利用権の設定に関する規定は、前向きの姿勢が見られる唯一のものでありまして、この制度の運用の実があがることには賛成であります。ただ、里山等の山林地主の力関係、あるいは入り会い山等複雑な権利関係の中で、政府が期待するほどその実効があがるものかどらか、現在ではいささか疑問なしとしないのであります。しかも、現行法の未墾地買収売り渡し制度は発動されておらず、国の農用地造成の責任を放棄しておるのでありまして、このような点にかんがみ、新たに知事裁定による草地利用権制度を設定しても、同様の轍を踏むものと考えられるのであります。
 最後に、今回の農地法改正案は、農地流動化のための借地農政を組み入れるための措置でありまして、単にこのような改正によって農地が流動化するかどうか。農地の資産的保有の傾向が強まり、地価の高騰や農業経営の環境の劣弱、農業生産体制、農産物価格の混迷、あるいは農外雇用の不安定、農村の社会保障の未確立等々、農業内外の困難な諸条件をそのままにして、農業経営の規模拡大のため農地流動化を促進しようとしても、安上がり農政といわれても当然であります。(拍手)
 農地法の改正に先がけて、これらの諸条件整備を完了することを要求し、以上指摘した諸点から、この改正案に対し、日本社会党としては断固反対であることを表明し、討論を終わります。(拍手)
#21
○副議長(小平久雄君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
    〔議場閉鎖〕
#22
○副議長(小平久雄君) 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#23
○副議長(小平久雄君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
    〔議場開鎖〕
#24
○副議長(小平久雄君) 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#25
○副議長(小平久雄君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長報告〕
 投票総数 三百六十三
  可とする者(白票)      二百四十八
  〔拍手〕
  否とする者(青票)        百十五
  〔拍手〕
#26
○副議長(小平久雄君) 右の結果、農地法の一部を改正する法律案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
 農地法の一部を改正する法律案を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
      安倍晋太郎君    足立 篤郎君
      阿部 喜元君    相川 勝六君
      青木 正久君    赤城 宗徳君
      秋田 大助君    天野 公義君
      天野 光晴君    荒舩清十郎君
      井出一太郎君    井原 岸高君
      伊藤宗一郎君    伊能繁次郎君
      池田 清志君    石田 博英君
      稻葉  修君    稻村佐近四郎君
      宇野 宗佑君    上村千一郎君
      植木庚子郎君    臼井 莊一君
      内田 常雄君    内海 英男君
      浦野 幸男君    江崎 真澄君
      遠藤 三郎君    小笠 公韶君
      小澤 太郎君    小沢 辰男君
      小渕 恵三君    大石 八治君
      大石 武一君    大久保武雄君
      大竹 太郎君    大坪 保雄君
      大野  明君    大野 市郎君
      大橋 武夫君    大平 正芳君
      大村 襄治君    岡本  茂君
      奥野 誠亮君    加藤常太郎君
      鹿野 彦吉君    賀屋 興宣君
      鍛冶 良作君    海部 俊樹君
      桂木 鉄夫君    金子 一平君
      金子 岩三君    亀岡 高夫君
      亀山 孝一君    鴨田 宗一君
      仮谷 忠男君    川崎 秀二君
      川野 芳滿君    菅  太郎君
      木野 晴夫君    木部 佳昭君
      菊池 義郎君    北澤 直吉君
      吉川 久衛君    久野 忠治君
      久保田円次君    久保田藤麿君
      熊谷 義雄君    倉石 忠雄君
      倉成  正君    藏内 修治君
      黒金 泰美君    小坂善太郎君
      小峯 柳多君    小宮山重四郎君
      小山 省二君    河野 洋平君
      佐々木秀世君    佐藤 文生君
      坂村 吉正君    坂本三十次君
      櫻内 義雄君    笹山茂太郎君
      四宮 久吉君    志賀健次郎君
      始関 伊平君    塩川正十郎君
      塩谷 一夫君    重政 誠之君
      篠田 弘作君    澁谷 直藏君
      正示啓次郎君    白浜 仁吉君
      進藤 一馬君    周東 英雄君
      菅波  茂君    鈴木 善幸君
      砂田 重民君    砂原  格君
      瀬戸山三男君    園田  直君
      田川 誠一君    田澤 吉郎君
      田中伊三次君    田中 榮一君
      田中 角榮君    田中 正巳君
      田中 六助君    田村  元君
      田村 良平君    高橋 英吉君
      高橋清一郎君    高見 三郎君
      竹内 黎一君    竹下  登君
      谷垣 專一君    谷川 和穗君
      千葉 三郎君    地崎宇三郎君
      中馬 辰猪君    塚原 俊郎君
      辻  寛一君    渡海元三郎君
      登坂重次郎君    徳安 實藏君
      床次 徳二君    内藤  隆君
      中尾 栄一君    中垣 國男君
      中川 一郎君    中村 寅太君
      中村庸一郎君    中山 マサ君
      永田 亮一君    灘尾 弘吉君
      二階堂 進君    丹羽 久章君
      丹羽喬四郎君    丹羽 兵助君
      西岡 武夫君    西村 英一君
      西村 直己君    根本龍太郎君
      野田 卯一君    野原 正勝君
      野呂 恭一君    羽田武嗣郎君
      葉梨 信行君    橋本登美三郎君
      橋本龍太郎君    長谷川四郎君
      長谷川 峻君    八田 貞義君
      濱野 清吾君    早川  崇君
      広川シズエ君    廣瀬 正雄君
      福家 俊一君    福田 篤泰君
      福田  一君    福永 一臣君
      福永 健司君    藤井 勝志君
      藤枝 泉介君    藤田 義光君
      藤波 孝生君    藤本 孝雄君
      藤山愛一郎君    古内 広雄君
      古川 丈吉君    古屋  亨君
      坊  秀男君    細田 吉藏君
      堀川 恭平君    本名  武君
      前尾繁三郎君    増田甲子七君
      松田竹千代君    松野 幸泰君
      三池  信君    三木 武夫君
      三ツ林弥太郎君    三原 朝雄君
      箕輪  登君    水野  清君
      湊  徹郎君    宮澤 喜一君
      武藤 嘉文君    村山 達雄君
      毛利 松平君    粟山  秀君
      森下 國雄君    森田重次郎君
      森山 欽司君    八木 徹雄君
      山口喜久一郎君    山口シヅエ君
      山口 敏夫君    山下 元利君
      山田 久就君    山中 貞則君
      山村新治郎君    吉田 重延君
      早稻田柳右エ門君    渡辺 栄一君
      渡辺美智雄君    池田 禎治君
      稲富 稜人君    受田 新吉君
      内海  清君    小沢 貞孝君
      岡沢 完治君    折小野良一君
      神田 大作君    河村  勝君
      鈴木  一君    田畑 金光君
      玉置 一徳君    塚本 三郎君
      永江 一夫君    西尾 末廣君
      門司  亮君    本島百合子君
      山下 榮二君    吉田 賢一君
      吉田 泰造君    和田 耕作君
      浅井 美幸君    有島 重武君
      伊藤惣助丸君    小川新一郎君
      大野  潔君    大橋 敏雄君
      近江巳記夫君    沖本 泰幸君
      北側 義一君    小濱 新次君
      斎藤  実君    鈴切 康雄君
      竹入 義勝君    中野  明君
      樋上 新一君    広沢 直樹君
      伏木 和雄君    正木 良明君
      松本 忠助君    矢野 絢也君
      山田 太郎君    關谷 勝利君
 否とする議員の氏名
      安宅 常彦君    阿部 昭吾君
      阿部 助哉君    赤路 友藏君
      淡谷 悠藏君    井岡 大治君
      井手 以誠君    井上  泉君
      井上 普方君    伊賀 定盛君
      石川 次夫君    石野 久男君
      石橋 政嗣君    板川 正吾君
      稻村 隆一君    枝村 要作君
      小川 三男君    大出  俊君
      大柴 滋夫君    大原  亨君
      岡田 利春君    岡本 隆一君
      加藤 清二君    勝澤 芳雄君
      勝間田清一君    角屋堅次郎君
      金丸 徳重君    神近 市子君
      唐橋  東君    川崎 寛治君
      川村 継義君    河上 民雄君
      河野  正君    木原  実君
      久保 三郎君    久保田鶴松君
      工藤 良平君    黒田 寿男君
      小林 信一君    兒玉 末男君
      後藤 俊男君    河野  密君
      神門至馬夫君    佐々栄三郎君
      佐々木更三君    佐野 憲治君
      佐野  進君    阪上安太郎君
      實川 清之君    柴田 健治君
      島上善五郎君    島本 虎三君
      下平 正一君    田中 武夫君
      田邊  誠君    多賀谷真稔君
      高田 富之君    武部  文君
      楯 兼次郎君    千葉 佳男君
      戸叶 里子君    堂森 芳夫君
      内藤 良平君    中井徳次郎君
      中澤 茂一君    中嶋 英夫君
      中谷 鉄也君    中村 重光君
      永井勝次郎君    楢崎弥之助君
      成田 知巳君    西風  勲君
      芳賀  貢君    長谷川正三君
      畑   和君    華山 親義君
      浜田 光人君    原   茂君
      平岡忠次郎君    平林  剛君
      平等 文成君    広沢 賢一君
      広瀬 秀吉君    福岡 義登君
      古川 喜一君    穗積 七郎君
      三木 喜夫君    三宅 正一君
      美濃 政市君    武藤 山治君
      村山 喜一君    森  義視君
      森本  靖君    八木 一男君
      八木  昇君    矢尾喜三郎君
      安井 吉典君    柳田 秀一君
      山内  広君    山口 鶴男君
      山崎 始男君    山田 耻目君
      山中 吾郎君    山花 秀雄君
      山本 幸一君    山本 政弘君
      山本弥之助君    米内山義一郎君
      米田 東吾君    依田 圭五君
      渡辺 惣蔵君    渡辺 芳男君
      田代 文久君    谷口善太郎君
      松本 善明君
    ――――◇―――――
 日程第二 公害に係る健康被害の救済に関す
  る特別措置法案(内閣提出)
 日程第三 公害紛争処理法案(内閣提出)
 日程第四 公共用水域の水質の保全に関する
  法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#27
○副議長(小平久雄君) 日程第二、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案、日程第三、公害紛争処理法案、日程第四、公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。

#28
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。産業公害対策特別委員長赤路友藏君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔赤路友藏君登壇〕
#29
○赤路友藏君 ただいま議題となりました三法案について、産業公害対策特別委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 近年、わが国産業経済の急速な発展と都市化の進展等に伴って発生する公害問題のうち、特に熊本県水俣湾、新潟県阿賀野川周辺における有機水銀中毒事件、富山県神通川流域におけるイタイイタイ病、大気汚染による四日市ぜんそく等、悲惨なる公害病患者の発生は、緊急な解決を要する重大な社会問題となっております。
 公害対策においては、公害の発生を未然に防止する万全の措置を講ずることがもちろん肝要でありますが、同時に、不幸にして公害が発生した場合における被害者救済、紛争処理の措置が必要であります。公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案及び公害紛争処理法案の両法律案は、公害対策基本法第二十一条に規定する「公害に係る紛争の処理及び救済」の制度として本院に提出されたものであります。
 まず、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案は、公害による被害のうち、当面緊急に救済を要する健康被害について、迅速かつ適切な救済をはかろうとするものでありまして、そのおもな内容は、
 第一に、本法による救済の措置は、相当範囲にわたる著しい大気の汚染または水質の汚濁により、公害疾病が多発している指定地域の都道府県知事等が、当該疾病にかかっている旨の認定をした者に対して行なうものであります。
 第二に、救済の措置といたしましては、医療費のほか、医療手当及び介護手当を支給するものであります。
 第三に、給付に要する費用については、産業界が二分の一、その他を国及び地方公共団体がそれぞれ分担するものとしております。
 第四に、産業界の分担は、本制度に協力することを目的とする民法による法人が、公害防止事業団に所定の額を拠出することによって行なうこととしております。
 次に、公害紛争処理法案の概要について申し上げます。
 現在、行政上の制度として、水質汚濁、大気汚染等につきまして和解の仲介制度がありますが、調停、仲裁を行ない得ない等不備な点が多く、また、現行の司法制度をもってしては、必ずしも簡易、迅速な解決をはかるのに十分ではありません。
 本案は、かかる現状にかんがみ、公害紛争処理制度を整備すること等を目的とするものでありまして、そのおもな内容は、公害紛争を処理するための専門的な機構を中央及び地方に置くこととしたことであります。中央公害審査委員会においては、現に人の健康または生活環境に著しい被害が生じ、かつ、当該被害が相当多数の者に及ぶ紛争、広域的な見地から解決する必要がある紛争、被害地及び加害地が二つ以上の都道府県の区域にわたる紛争について、調停及び仲裁を行なうこととしております。また、都道府県公害審査会等においては、これらの紛争以外の紛争について、和解の仲介、調停及び仲裁を行なうこととしております。
 以上のほか、地方公共団体は、公害に関する苦情について適切な処理につとめる旨の規定を設けております。
 なお、いわゆる基地公害といわれる防衛施設にかかわる障害に関する事項については、別に法律で定めるところによることとしております。
 両法律案は、三月二十五日、社会党提出にかかる二法案とともに、本会議において趣旨の説明の後、本委員会に付託され、四月二日提案理由の説明を聴取し、以後、予備審査のため本委員会に付託されました公明党提出にかかる三法案とともに慎重に審査を重ねてまいりました。
 その間、公害救済法案について、本法の救済対象を大気汚染、水質汚濁による健康被害に限定した理由、葬祭料等救済内容の拡大と物的被害の救済制度の検討、医療費、医療手当及び介護手当の支給と所得制限及び生活保障との関係、支給費用の事業者、国、地方公共団体の分担割合と損害賠償請求権との関係等について、また、公害紛争処理法案については、中央公害審査委員会を三条機関とせず八条機関とした理由、都道府県公害審査会の各都道府県への設置、中央、地方の紛争処理機構、人員の整備、予算の充実等、仲裁と裁定と訴訟との関係、立ち入り検査権、手続の非公開等、基地公害除外の理由と防衛施設周辺整備法等の運用状況等の質疑が行なわれました。
 特に、昨二十五日には、佐藤内閣総理大臣の出席を求め、公害対策に取り組む政府の基本的態度、企業の公害設備投資額と企業責任、航空機騒音による被害の調査、来年度の公害対策予算の増額、公害罪新設問題等について総理の所信をただしましたが、これら論議の詳細については会議録に譲ることといたします。
 かくて、昨二十五日、両案に対する質疑を終了し、次いで、委員長より、両案に対してそれぞれ修正案を提出いたしましたが、公害救済法案に対する修正の要旨の第一点は、指定地域に住所を有している者だけでなく、通勤者等についても救済対象者に加えること、第二点は、政府は、大気汚染と水質汚濁以外の公害にかかわる疾病に関し検討するものとする旨の規定を附則に新設することであります。
 次に、公害紛争処理法案に対する修正の要旨は、中央公害審査委員会に、専門の事項を調査させるため、非常勤の専門調査員二十人以内を置くことができる旨の規定、都道府県及び政令で定める市に公害苦情相談員を置くこととし、それ以外の市及び町村は、必要により相談員を置くことができる旨の規定を新設することであります。
 趣旨の説明後、内閣より国会法第五十七条の三の規定に基づく意見を聴取、次いで、採決の結果、両案はそれぞれ修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、両案に対し、それぞれ、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党四派共同提案にかかる附帯決議を付するに決しました。
 次に、公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 公共用水域の水質の保全に関する法律は、昭和三十三年制定以来今日に至っておりますが、最近、水質の汚濁原因の多様化により、水質汚濁問題が全国的に発生する傾向が見られるようになってまいりました。本法律案は、かかる事態に対処して、規制対象業種の範囲の拡大、国と地方公共団体との協力関係の緊密化等をはかり、また、公害対策基本法の趣旨に即して、本法の目的等につき所要の改正を行なおうとするものであります。
 本法律案のおもな内容は、規制対象として、従来からの工場、鉱山等に加え、斃獣処理場等、採石場、屠畜場、廃油処理施設及び砂利採取場を追加するとともに、し尿処理施設、養豚場等を政令で追加する道を開くこと等であります。
 本法律案は、四月八日本委員会に付託され、同月十一日政府から提案理由の説明を聴取し、以後、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案外六法律案とともに、慎重に審査を重ねてまいりました。
 その間、第一条の目的中、産業の相互協和と国民の健康の保護との関係、環境基準の早期設定、工場排水規制法等の改正の必要性、水質保全行政の一元化とその機構、人員、予算等の充実、重金属等特定有害物質規制法の制定等について質疑が行なわれましたが、その詳細については会議録に譲ることといたします。
 かくて、昨二十五日、質疑を終了、次いで、委員長より、本法律案に対する修正案が提出され、趣旨説明後、採決の結果、公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本法律案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党四派共同提案にかかる附帯決議を付するに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#30
○副議長(小平久雄君) これより採決に入ります。
 まず、日程第二及び第三の両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#31
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり決しました。
 次に、日程第四につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#32
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第五 軽機械の輸出の振興に関する法律
  を廃止する等の法律案(内閣提出、参議院
  送付)
#33
○副議長(小平久雄君) 日程第五、軽機械の輸出の振興に関する法律を廃止する等の法律案を議題といたします。

#34
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。商工委員長大久保武雄君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔大久保武雄君登壇〕
#35
○大久保武雄君 ただいま議題となりました軽機械の輸出の振興に関する法律を廃止する等の法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 軽機械の輸出の振興に関する法律は、家庭用ミシン、双眼鏡及びこれらの部品の製造業につきまして、登録制度の実施及び輸出振興事業協会の設立等の特別な措置を講ずることにより、過当競争を防止して輸出の振興をはかる目的をもって、昭和三十四年に制定ざれたものであります。
 この現行法は、施行以来約十年間に相当の成果をあげたのであります。すなわち、家庭用ミシン及び双眼鏡の品質の高級化、性能の向上等が顕著であり、また、業界の体制整備も著しく進み、ざらに、海外市場における調査宣伝も格段に活発化したのであります。
 このような成果にかんがみまして、現行法の所期の目的はほぼ達成され、業界の生産及び輸出体制の現状からすれば、法律を廃止しても特に支障はないものと考えられるに至りました。かくして、現行法の廃止期限であります本年六月三十日が到来する今国会に、本廃止法案が提出されたのであります。
 本案は、軽機械の輸出の振興に関する法律の廃止及び輸出振興事業協会の解散その他所要の措置について規定したものであります。
 本案は、四月一日参議院において可決の上、同日、本院に送付され、当委員会に付託となり、四月十五日通商産業大臣より提案理由の説明を聴取いたしました。その後、六月二十五日に至り質疑を終了し、引き続き採決を行ないましたところ、本案は全会一致をもって可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#36
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第六 国民年金法の一部を改正する法律
  案
  (内閣提出)
#38
○副議長(小平久雄君) 日程第六、国民年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#39
○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。社会労働委員長森田重次郎君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔森田重次郎君登壇〕
#40
○森田重次郎君 ただいま議題となりました国民年金法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における国民生活水準の著しい向上と、人口の老齢化傾向等にかんがみ、国民年金の給付を大幅に改善し、国民の老後の保障を充実強化しようとするものでありまして、そのおもな内容について申し上げます。
 まず第一に、拠出制年金額の引き上げについてでありますが、老齢年金額は、保険料納付済み期間一月につき二百円で計算いたしましたのを、一月につき三百二十円とし、二十五年拠出の標準的な老齢年金額を六万円から九万六千円に、月額にして五千円から八千円に引き上げることであります。したがいまして、二十五年の場合、夫婦で受給する年金の月額は、通常、定額分一万六千円に、今回導入される所得比例分四千五百円を合わせますと、いわゆる夫婦二万円年金が実現することとなるのであります。
 また、高齢者に対する経過的老齢年金の額については、年齢に応じて特例的に加算措置を講ずることとし、十年納付の場合の年金額を二万四千円から六万円に引き上げることでありまして、これにより、明後年には夫婦で月額一万円年金が現実に支給されることとなるのであります。
 次に、障害年金の最低保障額及び子二人を扶養する場合の母子年金額及び準母子年金額を六万円から九万六千円に、遺児年金についても三万円から九万六千円に引き上げることであります。
 また、一級障害年金の額は、二級障害年金額の一二五%とすることであります。
 第二に、所得比例制についてでありますが、被保険者の実態を勘案し、当面簡単な仕組みの所得比例制を取り入れることであります。
 なお、これに伴い、政府が行なう所得比例制を代行いたしますと同時に、業種ごとの特性に応じて上積み給付を行ならため、国民年金基金の設立の道を開くことであります。
 第三に、拠出制年金の発足当時、任意加入する機会を逸した高齢者については、再び国民年金に任意加入する道を開くことであります。
 第四に、保険料の額は、さしあたり百五十円程度の引き上げにとどめ、月額四百五十円とし、以後、段階的に引き上げることであります。
 第五に、国庫は所得比例制の給付に要する費用の二五%を負担することであります。
 次に、福祉年金について申し上げます。
 第一点は、年金額の引き上げについてでありますが、老齢福祉年金額を現行の二万四百円から二万一千六百円に、障害福祉年金額を三万二千四百円から三万四千八百円に、母子福祉年金額及び準母子福祉年金額を二万六千四百円から二万八千八百円に、それぞれ引き上げることであります。
 第二点は、夫婦がともに老齢福祉年金を受給する場合の一部支給停止を廃止することであります。
 第三点は、所得による支給制限について、その緩和をはかることであります。
 最後に、経過措置については、現に年金受給中の既裁定年金額についても、本則の改正と同様に引き上げること等であります。
 本案は、去る三月二十日本会議において趣旨の説明が行なわれ、同日本委員会に付託となり、自来、熱心なる質疑応答が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録で御承知願います。
 かくて、六月十九日の委員会において、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に関しましては、昨二十五日、委員より発言がありましたことを特に申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#41
○副議長(小平久雄君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#42
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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#43
○副議長(小平久雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十五分散会
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 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
        農 林 大 臣 長谷川四郎君
        通商産業大臣  大平 正芳君
        郵 政 大 臣 河本 敏夫君
        国 務 大 臣 床次 徳二君
 出席政府委員
        経済企画政務次
        官       登坂重次郎君
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ソース: 国立国会図書館
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