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#1
第061回国会 本会議 第62号
昭和四十四年七月十四日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五十三号
  昭和四十四年七月十四日
   午前零時十分開議
 第一 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に
  関する法律等の一部を改正する法律案(内閣
  提出)           (前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 本日の議事における発言時間は趣旨弁明につい
  ては十五分質疑答弁討論その他については十
  分とするの動議(園田直君外二十六名提出)
 日程第一 健康保険法及び船員保険法の臨時特
  例に関する法律等の一部を改正する法律案
  (内閣提出)        (前会の続)
   午前二時二十一分開議
#2
○副議長(小平久雄君) これより会議を開きます。
    〔発言する者、離席する者多し〕
     ――――◇―――――
 本日の議事における発言時間は趣旨弁明については十五分質疑答弁討論その他については十分とするの動議(園田直君外二十六名提出)
#3
○副議長(小平久雄君) 園田直君外二十六名から、本日の議事における発言時間は趣旨弁明については十五分質疑答弁討論その他については十分とするの動議が提出されました。
 本動議は記名投票をもって採決いたします。
 本動議に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。−閉鎖。
    〔議場閉鎖〕
#4
○副議長(小平久雄君) 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#5
○副議長(小平久雄君) 投票漏れはありませんか。
    〔「ある」と呼ぶ者あり〕
#6
○副議長(小平久雄君) なるべくすみやかに投票せられんことを望みます。
    〔発言する者多し〕
#7
○副議長(小平久雄君) ただいまから十分以内に投票されるように望みます。その時間内に投票されない方は棄権とみなします。
    〔発言する者多し〕
#8
○副議長(小平久雄君) いまだ投票されない方は、なるべくすみやかに時間内に投票されるよう望みます。
    〔発言する者多し〕
#9
○副議長(小平久雄君) 投票権は尊重いたしたいから、なるべくすみやかに投票願います。
    〔発言する者多し〕
#10
○副議長(小平久雄君) 残りの時間はあと三分でありますから、すみやかに投票されんことを望みます。
    〔発言する者多し〕
#11
○副議長(小平久雄君) 投票権は尊重いたしたいので、なるべくすみやかに投票願います。
    〔発言する者多し〕
#12
○副議長(小平久雄君) 制限時間が参りました。投票漏れはありませんか。
    〔「あり」と呼び、その他発言する者多し〕
#13
○副議長(小平久雄君) 制限の時間が参りましたので、投票箱の閉鎖を命じます。開匣。――閉鎖。
    〔議場開鎖〕
#14
○副議長(小平久雄君) 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#15
○副議長(小平久雄君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長報告〕
 投票総数 二百三十一
  可とする者(白票)        二百五
    〔拍手〕
  否とする者(青票)        二十六
    〔拍手〕
#16
○副議長(小平久雄君) 右の結果、本日の議事における発言時間は、趣旨弁明については十五分、質疑、答弁、討論その他については十分とするに決しました。(拍手)
    ―――――――――――――
 園田直君外二十六名提出発言時間制限の動議を可とする議員の氏名
      安倍晋太郎君    足立 篤郎君
      阿部 喜元君    愛知 揆一君
      青木 正久君    赤城 宗徳君
      秋田 大助君    天野 公義君
      荒舩清十郎君    有田 喜一君
      井原 岸高君    伊藤宗一郎君
      伊能繁次郎君    池田 清志君
      一萬田尚登君    稻村佐近四郎君
      宇野 宗佑君    植木庚子郎君
      臼井 莊一君    内田 常雄君
      内海 英男君    浦野 幸男君
      江崎 真澄君    小笠 公韶君
      小沢 辰男君    小渕 恵三君
      大石 八治君    大石 武一君
      大久保武雄君    大竹 太郎君
      大坪 保雄君    大野  明君
      大野 市郎君    大橋 武夫君
      大平 正芳君    大村 襄治君
      岡本  茂君    奥野 誠亮君
      加藤常太郎君    加藤 六月君
      鹿野 彦吉君    鍛冶 良作君
      海部 俊樹君    金丸  信君
      金子 一平君    金子 岩三君
      上林山榮吉君    神田  博君
      亀岡 高夫君    亀山 孝一君
      鴨田 宗一君    仮谷 忠男君
      川島正次郎君    川野 芳滿君
      菅  太郎君    木野 晴夫君
      木部 佳昭君    木村 武雄君
      木村 俊夫君    北澤 直吉君
      吉川 久衛君    久野 忠治君
      久保田円次君    久保田藤麿君
      草野一郎平君    鯨岡 兵輔君
      倉成  正君    藏内 修治君
      黒金 泰美君    小峯 柳多君
      小宮山重四郎君    小山 長規君
      小山 省二君    河野 洋平君
      河本 敏夫君    佐々木秀世君
      佐藤 榮作君    佐藤 文生君
      坂田 道太君    坂村 吉正君
      櫻内 義雄君    笹山茂太郎君
      志賀健次郎君    始関 伊平君
      椎名悦三郎君    塩川正十郎君
      塩谷 一夫君    重政 誠之君
      澁谷 直藏君    正示啓次郎君
      白浜 仁吉君    進藤 一馬君
      周東 英雄君    菅波  茂君
      鈴木 善幸君    砂田 重民君
      砂原  格君    瀬戸山三男君
      園田  直君    田川 誠一君
      田澤 吉郎君    田中伊三次君
      田中 榮一君    田中 角榮君
      田中 龍夫君    田中 正巳君
      田中 六助君    田村 良平君
      高橋 英吉君    高橋清一郎君
      高見 三郎君    竹内 黎一君
      竹下  登君    谷垣 專一君
      谷川 和穗君    地崎宇三郎君
      塚田  徹君    塚原 俊郎君
      坪川 信三君    渡海元三郎君
      登坂重次郎君    徳安 實藏君
      床次 徳二君    内藤  隆君
      中尾 栄一君    中川 一郎君
      中村 梅吉君    中山 榮一君
      中山 マサ君    永田 亮一君
      永山 忠則君    灘尾 弘吉君
      二階堂 進君    丹羽 久章君
      丹羽喬四郎君    丹羽 兵助君
      西岡 武夫君    西村 英一君
      西村 直己君    根本龍太郎君
      野田 卯一君    野田 武夫君
      野原 正勝君    野呂 恭一君
      葉梨 信行君    橋本登美三郎君
      橋本龍太郎君    長谷川四郎君
      長谷川 峻君    八田 貞義君
      早川  崇君    原 健三郎君
      広川シズエ君    廣瀬 正雄君
      福家 俊一君    福井  勇君
      福田 赳夫君    福田  一君
      福永 一臣君    福永 健司君
      藤井 勝志君    藤枝 泉介君
      藤尾 正行君    藤波 孝生君
      藤本 孝雄君    船田  中君
      古内 広雄君    古川 丈吉君
      古屋  亨君    保利  茂君
      細田 吉藏君    堀川 恭平君
      増岡 博之君    松澤 雄藏君
      松野 幸泰君    三池  信君
      三木 武夫君    三ツ林弥太郎君
      三原 朝雄君    箕輪  登君
      水田三喜男君    水野  清君
      湊  徹郎君    宮澤 喜一君
      武藤 嘉文君    村上  勇君
      村上信二郎君    村山 達雄君
      毛利 松平君    粟山  秀君
      森下 國雄君    森田重次郎君
      森山 欽司君    八木 徹雄君
      保岡 武久君    山口シヅエ君
      山下 元利君    山田 久就君
      山中 貞則君    山村新治郎君
      吉田 重延君    早稻田柳右エ門君
      渡辺 栄一君    渡辺  肇君
      渡辺美智雄君
 否とする議員の氏名
      麻生 良方君    池田 禎治君
      稲富 稜人君    内海  清君
      岡沢 完治君    折小野良一君
      春日 一幸君    神田 大作君
      河村  勝君    佐々木良作君
      曾禰  益君    田畑 金光君
      竹本 孫一君    玉置 一徳君
      塚本 三郎君    中村 時雄君
      永江 一夫君    永末 英一君
      本島百合子君    山下 榮二君
      吉田 賢一君    和田 耕作君
      田代 文久君    谷口善太郎君
      林  百郎君    松本 善明君
     ――――◇―――――
 日程第一 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)(前会の続)
#17
○副議長(小平久雄君) 日程第一、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、前会の議事を継続いたします。
 本案についての箕輪登君の討論を許します。箕輪登君。
    〔箕輪登君登壇〕
#18
○箕輪登君 私は、自由民主党を代表し、政府提案にかかる健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案につき、自由民主党の修正案及び修正部分を除く原案について賛成の討論をいたさんとするものであります。(拍手)
 改正案は、保険料率の引き上げを行なわないで薬価の一部負担を全廃し、分べん給付の大幅な改善を行なわんとする、きわめて適切な措置であると思います。
 以上、私は、修正案及び修正部分を除く政府原案について全面的に賛意を表し、私の討論を終わります。(拍手)
#19
○副議長(小平久雄君) 田畑金光君。
    〔田畑金光君登壇〕
#20
○田畑金光君 私は、民社党を代表し、ただいま議題となりました健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 今回の与党大幅修正により、さらに期限を二年間延長しようとする健保特例法は事実上廃案となったのであります。廃案それ自体にわが党は異を唱えるものではありません。問題は、特例法の廃案により、これからまた二年間で医療保険制度の抜本改正を行なおうとする政府の公約も、完全に破棄されたと同様の結果になったのであります。(拍手)また、保険料率の引き上げ、患者の一部負担強化が、健康保険法、船員保険法の一部改正として本法で長期固定化されたのであります。このことは、健保特例法延長以上の改悪といわねばなりません。(拍手)
 二年前のいわゆる健保国会で、健保特例法を二年の時限立法とし、二年間の期限を付し、政府に医療制度の抜本改正を義務づけてきた経緯にかんがみ、わが党は、今回の政府・与党の措置に対し心の底から憤激を覚えるものであります。(拍手)政治的にも、道義的にも許すべからざる背信行為といわねばなりません。
 特例法の実施以降、政管健保の財政状況は明らかに好転してまいりました。すなわち、昭和四十年度の単年度赤字は四百九十七億でありましたが、四十二年度五十八億、四十三年度四十五億、四十四年度の赤字見込み額は二十七億と、大幅に減っております。そうして四十四年度は、賃金ベースの大幅引き上げに伴い、保険料収入も増加し、それに最近の受診率横ばい傾向から見て、政管健保は本年度黒字に転ずるであろうことは大かたの見通しであります。船員保険は、すでに四十二年度以降、単年度収支は黒字に転じております。したがって、今回の与党修正で、薬代の一部負担を廃止し、分べん給付改善のための保険料率引き上げを取りやめたことは当然の措置であり、われわれが先般来強く主張してきたことであります。
 しかし、その他の点にわたる与党修正案は、法律上、手続上不当であり、大きな疑義がございます。(拍手)すなわち、健保特例法を廃止し、健康保険法、船員保険法の一部改正で医療行政の大転換をやろうというのであれば、当然制度審議会や社会保険審議会の議を経なければならないことは、法の要求するところであります。(拍手)もしそれ、今回の修正は政府修正でなく、与党の修正であるから諮問の必要はないというのであれば、政党内閣のたてまえ上明らかに詭弁であり、政府みずから法律を犯すものといわなければなりません。(拍手)
 政府は、この十年来、関係審議会の答申、勧告を無視し、医療制度の改革を怠り、わが国医療保障制度の荒廃を招いたのであります。二年前の五十六臨時国会において、健保特例法の審議にあたり、政府は幾たびか、四十三年度から抜本改正に着手することを国民に公約したのであります。ところで、この二年間、政府は一体何をやってきたというのでありましょう。なるほど、昭和四十二年十一月、厚生省は医療保険制度改革試案なるものを発表しましたが、それは財政対策に終始し、国民の期待する抜本改革案と呼ぶにはほど遠いものでありました。その後、与党においては、いわゆる医療基本問題調査会を発足させ、足かけ二カ年の時間をかけ、本年六月五日、ようやく国民医療対策大綱なるものを政府に手渡したのであります。これは国会対策上急いでまとめ上げた試案であるだけに、その冒頭には、本文と全く相反する反対意見が付されております。したがって、これを受けた政府は取り扱いに苦慮し、その結果が今回の特例法の廃止、医療抜本改正たな上げの一因ともなったのであります。(拍手)与党案が発表されるや、世論は、的はずれの抜本改正であり、何のための抜本改正かと鋭い批判を浴びせたことは、与党諸君もよく御記憶のとおりであります。(拍手)
 御存じのように、昭和三十八年以降、わが国における医療費は年々二千億ずつ増加し、国民所得の平均伸び率に対し、医療費の伸び率は約二倍の二〇%に達するという実情であります。昭和三十九年、約一兆円であった医療費は、四十二年には約一兆五千億に達し、本年度は二兆円をこえるでありましょうが、まさに国民所得の五%を占めておるのであります。これはヨーロッパ先進国に比べても決して劣っていないのであります。しかも、総医療費の中に占める薬剤費の割合は、ヨーロッパ諸国が二〇%以下であるのに、わが国のそれは四〇%をこえているのであります。このことは、診療報酬体系のひずみを端的に示すものといわなければなりません。(拍手)
 また、医療機関は都市に偏在し、保険あって医療なしという深刻な問題を投げかけておるのであります。しかるに、与党の医療対策大綱は、これについて何らの具体的対策を示しておりません。去る三月二十日、社会保険審議会はその答申の中で、政府が厚生省事務局試案を発表しただけで、一切を与党にまかせ切りにしてきたことに対し、きびしく非難しているのであります。
 また、制度審議会は、四月三日の答申において、「抜本対策について、従来のような手段によっては、到底筋のとおった成案を早急に期待することは不可能と考える。政府は、英国の王立委員会のような機構を設け、少なくとも原案作成はこれに一任することを勧告したい。」と指摘しております。いままでは特例法という歯どめがあり、二年の時限で政府に医療制度改革を義務づけてまいりましたが、今回の修正により、歯どめは取り払われたのであります。
 私が特にこの場合強調したいことは、今回の与党修正は、他の一般の法律修正とは全く異質のものであるということであります。(拍手)つい先ごろまで審議されてきた法案は一夜のうちに姿を消し、新たな法律改正案が突如として登場してきたのであります。しかも、この法律改正案については、提案理由の説明もなければ、一回の委員会審議もなされていないのであります。新しい改正案を突然提案し、異常な混乱と怒号、国会法、規則を無視した中で強行採決をはかり、これが有効だということになれば、議会政治も民主主義もあったものではありません。(拍手)
 五月八日、本院における健保特例法改正案の審議の劈頭、佐藤総理は釈明のことばを述べておられますが、その際総理は、「当面、保険制度を維持し、国民に必要な医療を確保することがぜひとも必要と考えられますので、この際、本法案の審議に御協力をお願いいたします。」と述べられております。法律案審議の劈頭、総理みずから釈明し、陳謝しなければならないということは異例のことであり、また同時に、醜態のきわみと申さなければなりません。(拍手)ところが、総理から協力を求められ、審議してまいりました法律案は、どんな事情によるのかわかりませんが、ある夏の夜、こつ然と消えうせ、別個の法律改正案が亡霊のごとく、唐突として前面に立ちはだかったのが今回のできごとであります。野党が修正案を出すとか、与党、野党話し合いで国会で修正することは当然でありますが、政府案をその与党が完全に換骨奪胎して提案するということは、およそ政党内閣の本義に反することであります。(拍手)特定の圧力団体に屈服し、党利党略的打算で国民に最も大切な医療問題が処理されたことに対し、与党の諸君は何らの反省もないのでありましょうか。
 ことに、佐藤総理・総裁に申し上げたい。あなたは、一億国民の先頭に立つ指導者であり、総理であります。あなたは、今日まで幾たびか国民に公約してきた医療制度の改革を怠ってまいりました。政治責任をお感じになりませんか。「健康は人間活動の源泉である。それは、経済発展の原動力であり、民族繁栄の基盤である。疾病は、人生の破綻であり、生活転落の因であるとともに民族衰亡につながるものである。」このことばは、ほかならぬ与党の国民医療対策大綱の書き出しであります。ことばは美しいが、実のないヤマブキの花であります。佐藤内閣の有言不実行をまさに象徴しております。
 この国会では、今日まで幾たびか強行採決が繰り返されてきましたが、今回の社会労働委員会における暴挙は、何と弁明しようとも、政府と与党が一切その責めを負うべきであると私は考えるのであります。(拍手)民主政治の前途に深い深い憂慮を禁ずることができません。
 民社党は、激しい怒りをもって、今回の法律改正案には断固反対することを強く表明し、私の反対討論を終わることにいたします。(拍手)
#21
○副議長(小平久雄君) 谷口善太郎君。
    〔谷口善太郎君登壇〕
#22
○谷口善太郎君 私は、日本共産党を代表して、健康保険特例法改正案並びにその修正案に対し、反対の討論を行ないます。
 わが党が本案に反対する理由の第一は、社会労働委員会のいわゆる採決が不当きわまるものであり、議会制民主主義の根本的な破壊だからであります。
 森田委員長の報告によれば、本案は去る十日の社会労働委員会で修正可決されたということになっております。しかし、委員長は、そのとき何党から修正案が提出せられたか、提案理由の説明があったか、なかったか、質疑、討論を省略したのか、しなかったのかなど、委員会報告には不可欠のこれらの事項については、何一つ報告をしなかったのであります。ただ委員長自身、その修正案なるものの内容を報告しただけであります。議長に報告したのは、こうであったと言っただけであります。すなわち、十日の委員会などなかったのであります。委員長の報告自体それを証明したのであります。しかも、この本会議で、同僚議員が委員会の経過について質疑を行なっても答弁をしない。議長はこれを促しもしないということであります。事実は写真が証明するとおり、第三委員会室の入り口前の廊下で、自民党の諸君が怒号と喚声をあげただけなのであります。それをもって審議、採決を行なったといっているのであります。これは強行採決というにも値しない暴挙にほかなりません。
 しかも、自民党が強行したと称する修正なるものは、薬代患者負担の廃止、分べん手当の増額に伴う保険料率の千分の一引き上げの中止などで、いささか譲歩したように見せかけながら、特例法の期限切れによって切り下げられるべき保険料や、半減すべき入院時、初診時の患者負担を健康保険法本法に盛り込むことによって、特例法どおり固定化するものであります。政府原案から見て、明らかに別件の法案であります。健康保険法が社会保障制度の根幹となっていることからして、かりにその改正が必要だというのであれば、特例法の修正ではなく、健康保険法そのものの改正として、あらためて国会に提出し、提案理由の説明を行ない、審議に付せられるべきものであります。(拍手)今回の修正案は、特例法の修正という立法上の術策を弄し、健康保健法そのものに恒久的改悪を加えたものでありまして、絶対に許せぬのであります。
 このように、健康保険法の恒久的改悪という新しい案件を提出したのであるにもかかわらず、委員会においては提案理由の説明も、質疑も、討論も行なわれない。しかも、これについての本会議の質疑に対して答弁も行なわないというのであっては、審議はないということであります。このようにして新しい法案が可決されていくということは、議会における審議を全く欠いたままで法案を可決するということであり、議会制民主主義の名をかりた独裁政治にほかなりません。このような議会運営を、わが党は絶対に許すことはできません。(拍手)わが党は、自民党によって、国会がこのような事態に追い込まれているということの重大性を、声を大にして、すべての国民にこの壇上から訴えるものであります。(拍手)
 反対の理由の第二は、自民党が、この修正案によって医療保障制度の抜本的改悪の重要な一歩を踏み出したということであります。
 すでに二年前、わが党は、臨時特例法の審議にあたって、それが政府のいうような抜本改正までの特別措置ではなく、抜本改悪の土台をつくるものであることを指摘しました。その臨時特例をさらに二年間延長することさえ抜本改悪につながるものでありますが、まして、今回の自民党修正案のように、健康保険法本法に手をつけるに至っては、まさに臨時特例法の抜本改悪の正体をあらわしたものというべきであります。(拍手)
 この抜本改悪の理由として、政府は、口を開けば健康保険財政の赤字をあげ、その原因として、病人の医者へのかかり過ぎとか、人口の老齢化とかを主張しております。だが、政府統計によりましても明らかなとおり、一番患者数の多いのは二十五歳から三十四歳までであり、これを中心に青年層、壮年層と続き、老人及び少年層の患者は、むしろ絶対数では非常に少ないのであります。しかも、年々発生する病人の数は、昭和三十一年から十年間に約二倍にふえております。このことは、歴代自民党政府が強行した大資本本位の高度経済成長政策、その中での労働者に対する低賃金、労働強化、合理化、物価値上げなどの政策の結果であることは明らかであります。(拍手)過労と栄養失調、それによる発病は、今日勤労人民の一般的現象となっております。さらに、労働災害、職業病、交通災害、公害の激増もまた高度経済成長政策のもたらしたものであることは衆知のとおりであります。すなわち、勤労人民は自民党政府と大資本によって健康を破壊された被害者であります。したがって、政府は、少なくとも医療保障制度を完備する重大な責任があります。
 しかるに、政府・自民党は、これとは全く反対に、医療給付を受ける者があたかも利益を受けるかのようにこじつけ、いわゆる受益者負担の原則なるものを持ち出し、保険料や患者負担の引き上げを強行したのであります。特に許しがたいのは、政府が膨大な財政資金を持ちながら、被害者、すなわち勤労人民の医療のためには全く金を出し惜しみ、他方、加害者である大資本の利益追求のための設備投資、産業基盤の強化に巨額の財政資金を投じていることであります。さらに、自主防衛強化と称して、アメリカのアジア侵略に協力するための自衛隊の増強、東南アジア経済援助、人民弾圧のための警察力強化などの財政支出を飛躍的に増加してはばからないことであります。われわれはこれを断じて許し得ないのであります。
#23
○副議長(小平久雄君) 谷口君、谷口君、時間ですから、結論を急いでください。
#24
○谷口善太郎君(続) 反対の第三の理由は、現在の医療保険制度が、国の支出を削減して被保険者に重い負担を押しつけるばかりか、医療機関に対しては低い診療報酬しか認めないにもかかわらず、製薬資本には高薬価を野放しにして、そのばく大な利潤を保証するものとなっていることであります。
#25
○副議長(小平久雄君) 谷口君、制限の時間になりましたから、結論を急いでください。
#26
○谷口善太郎君(続) ヨーロッパの発達した資本主義国において、医療保障制度の国と資本家の負担割合はどうなっておるか。イギリスでは八八・二%、フランスでは七四・八%、イタリアでは九八・九%が国と資本家の負担であります。
#27
○副議長(小平久雄君) 谷口君、谷口君、制限の時間が参りましたから、発言の中止を命じます。
    〔谷口善太郎君発言を継続〕
#28
○副議長(小平久雄君) 谷口君、発言の中止を命じます。――谷口君、降壇を命じます。――執行を命じます。
    〔谷口善太郎君なお発言を継続〕
#29
○副議長(小平久雄君) 執行を命じます。
    〔谷口善太郎君降壇〕
#30
○副議長(小平久雄君) これにて討論は終局いたしました。
 日程第一につき採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。−閉鎖。
    〔議場閉鎖〕
#31
○副議長(小平久雄君) 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#32
○副議長(小平久雄君) 投票者の通路をふさがないように、すみやかに投票を願います。
    〔議場騒然〕
#33
○副議長(小平久雄君) 投票の妨害はしないでください。投票の妨害はしないでください。
    〔議場騒然〕
#34
○副議長(小平久雄君) 投票者の通路をふさがないでください。
    〔議場騒然〕
#35
○副議長(小平久雄君) 記名投票の要求をされた諸君がこれを妨害することは許されません。(拍手)
    〔議場騒然〕
#36
○副議長(小平久雄君) すみやかに投票を願います。
    〔議場騒然〕
#37
○副議長(小平久雄君) 通路をあけてください。
    〔議場騒然〕
#38
○副議長(小平久雄君) 実力で他人の投票を妨害することは許されません。
    〔議場騒然〕
#39
○副議長(小平久雄君) 投票をしない人は演壇をおりてください。
    〔議場騒然〕
#40
○副議長(小平久雄君) 実力の行使はやめてください。
    〔議場騒然〕
#41
○副議長(小平久雄君) 多数の人が投票を希望しておられます。これを妨害しないでください。
    〔議場騒然〕
#42
○副議長(小平久雄君) 投票の妨害はやめてください。みずから記名投票を要求しながら、みずから実力をもってこれを妨害することは許されません。(拍手)実力による妨害をしながら、他に法規の順守を求めることはできません。一部少数の実力によって、多数の者の表決を妨げることは許しがたいことであります。
 この状況では、議長は、記名投票をもって表決することは不可能と認めます。少数の実力によって多数の意思を無視することは、憲法の精神がこれを許しません。(拍手)
 議長は、やむを得ず起立をもって採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#43
○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。(拍手)
    〔発言する者多く、議場騒然〕
     ――――◇―――――
#44
○副議長(小平久雄君) 本日は、これにて散会いたします。
   午前三時三十四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
ソース: 国立国会図書館
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