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#1
第061回国会 本会議 第65号
昭和四十四年七月二十五日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五十六号
  昭和四十四年七月二十五日
   午後二時開議
 第一 昭和四十二年度及び昭和四十三年度にお
  ける地方公務員等共済組合法の規定による年
  金の額の改定等に関する法律等の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 第二 大学の運営に関する臨時措置法案(内閣
  提出)
     ――――◇―――――
○本日の会議に付した案件
 本日の議事における発言時間は趣旨弁明につい
  ては十五分質疑答弁討論その他については十
  分とするの動議(園田直君外二十六名提出)
 衆議院議長松田竹千代君不信任決議案(柳田秀
  一君外四名提出)
   午後七時五十六分開議
#2
○副議長(藤枝泉介君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 本日の議事における発言時間は趣旨弁明につ
  いては十五分質疑答弁討論その他について
  は十分とするの動議(園田直君外二十六名
  提出)
#3
○副議長(藤枝泉介君) 園田直君外二十六名から、本日の議事における発言時間は趣旨弁明については十五分質疑答弁討論その他については十分とするの動議が提出されました。
 本動議は記名投票をもって採決いたします。
 本動議に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
    〔議場閉鎖〕
#4
○副議長(藤枝泉介君) 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#5
○副議長(藤枝泉介君) 投票漏れはありませんか。
    〔「ある」と呼ぶ者あり〕
#6
○副議長(藤枝泉介君) なるべくすみやかに投票せられんことを望みます。
    〔投票継続〕
#7
○副議長(藤枝泉介君) いまだ投票されない方は、できるだけ早く投票してください。
    〔発言する者多し〕
#8
○副議長(藤枝泉介君) すみやかに投票してください。
    〔発言する者多し〕
#9
○副議長(藤枝泉介君) いまだ投票されない方は、なるべくすみやかに投票せられんことを望みます。
    〔投票継続〕
#10
○副議長(藤枝泉介君) すみやかに投票してください。
    〔投票継続〕
#11
○副議長(藤枝泉介君) いまだ投票されない方は、できるだけ早く投票してください。
    〔投票継続〕
#12
○副議長(藤枝泉介君) いまだ投票されない方は、できるだけ早く投票してください。
    〔投票継続〕
#13
○副議長(藤枝泉介君) いまだ投票されない方は、できるだけ早く投票してください。
    〔投票継続〕
#14
○副議長(藤枝泉介君) 氏名点呼を命じてからすでに一時間を経過しています。なるべく早く御投票を願います。
    〔発言する者多し〕
#15
○副議長(藤枝泉介君) 静粛に願います。
    〔投票継続〕
#16
○副議長(藤枝泉介君) いまだ投票されない方は、できるだけ早く投票してください。
    〔投票継続〕
#17
○副議長(藤枝泉介君) いまだ投票されない方は、できるだけ早く投票してください。
    〔投票継続〕
#18
○副議長(藤枝泉介君) 八木君、すみやかに投票せられんことを望みます。
    〔投票継続〕
#19
○副議長(藤枝泉介君) 投票漏れはありませんか。
    〔「ある」と呼ぶ者あり〕
    〔投票継続〕
#20
○副議長(藤枝泉介君) 投票漏れはありませんか。
    〔「ある」と呼ぶ者あり〕
#21
○副議長(藤枝泉介君) いまだ投票しない方は、すみやかに投票せられんことを望みます。――投票漏れはありませんか。
    〔投票継続〕
#22
○副議長(藤枝泉介君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
    〔議場開鎖〕
#23
○副議長(藤枝泉介君) 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#24
○副議長(藤枝泉介君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長報告〕
 投票総数 三百十九
  可とする者(白票)       百八十四
  否とする者(青票)         百三十五
#25
○副議長(藤枝泉介君) 右の結果、本日の議事における発言時間は、趣旨弁明については十五分、質疑、答弁、討論その他については十分とするに決しました。
    ―――――――――――――
 園田直君外二十六名提出発言時間制限の動議を可とする議員の氏名
      安倍晋太郎君    足立 篤郎君
      阿部 喜元君    青木 正久君
      赤澤 正道君    天野 光晴君
      荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君
      有田 喜一君    井原 岸高君
      伊藤宗一郎君    伊能繁次郎君
      池田 清志君    石井光次郎君
      稻村佐近四郎君    宇野 宗佑君
      上村千一郎君    植木庚子郎君
      臼井 莊一君    内田 常雄君
      内海 英男君    浦野 幸男君
      遠藤 三郎君    小笠 公韶君
      小川 半次君    小川 平二君
      小澤 太郎君    小沢 辰男君
      小渕 恵三君    大竹 太郎君
      大坪 保雄君    大橋 武夫君
      大平 正芳君    大村 襄治君
      岡本  茂君    加藤常太郎君
      加藤 六月君    鹿野 彦吉君
      賀屋 興宣君    鍛冶 良作君
      海部 俊樹君    桂木 鉄夫君
      金丸  信君    金子 一平君
      上林山榮吉君    亀岡 高夫君
      亀山 孝一君    鴨田 宗一君
      仮谷 忠男君    川島正次郎君
      川野 芳滿君    菅  太郎君
      菅野和太郎君    木野 晴夫君
      木部 佳昭君    木村 武雄君
      岸  信介君    北澤 直吉君
      吉川 久衛君    久野 忠治君
      久保田円次君    久保田藤麿君
      熊谷 義雄君    倉石 忠雄君
      倉成  正君    小平 久雄君
      小峯 柳多君    小宮山重四郎君
      小山 省二君    河野 洋平君
      佐々木秀世君    佐々木義武君
      佐藤 文生君    佐藤洋之助君
      齋藤 邦吉君    斎藤 寿夫君
      坂田 道太君    櫻内 義雄君
      四宮 久吉君    始関 伊平君
      塩川正十郎君    塩谷 一夫君
      重政 誠之君    澁谷 直藏君
      正示啓次郎君    進藤 一馬君
      周東 英雄君    菅波  茂君
      鈴木 善幸君    砂田 重民君
      瀬戸山三男君    園田  直君
      田澤 吉郎君    田中伊三次君
      田中 榮一君    田中 角榮君
      田中 龍夫君    田中 正巳君
      田村 良平君    高橋清一郎君
      高見 三郎君    竹内 黎一君
      竹下  登君    谷垣 專一君
      谷川 和穗君    塚田  徹君
      渡海元三郎君    登坂重次郎君
      徳安 實藏君    床次 徳二君
      内藤  隆君    中垣 國男君
      中川 一郎君    中野 四郎君
      中村庸一郎君    永田 亮一君
      灘尾 弘吉君    南條 徳男君
      二階堂 進君    丹羽喬四郎君
      丹羽 兵助君    西岡 武夫君
      西村 英一君    根本龍太郎君
      野田 武夫君    野原 正勝君
      野呂 恭一君    葉梨 信行君
      橋口  隆君    橋本登美三郎君
      橋本龍太郎君    長谷川四郎君
      長谷川 峻君    八田 貞義君
      原 健三郎君    原田  憲君
      広川シズエ君    廣瀬 正雄君
      福家 俊一君    福井  勇君
      福田 赳夫君    福永 健司君
      藤井 勝志君    藤尾 正行君
      藤波 孝生君    藤本 孝雄君
      船田  中君    古内 広雄君
      古川 丈吉君    古屋  亨君
      保利  茂君    坊  秀男君
      細田 吉藏君    堀川 恭平君
      本名  武君    増岡 博之君
      増田甲子七君    松澤 雄藏君
      松野 幸泰君    三池  信君
      三ツ林弥太郎君    三原 朝雄君
      箕輪  登君    水田三喜男君
      水野  清君    湊  徹郎君
      宮澤 喜一君    武藤 嘉文君
      毛利 松平君    森下 國雄君
      森田重次郎君    森山 欽司君
      八木 徹雄君    保岡 武久君
      山口シヅエ君    山口 敏夫君
      山下 元利君    山田 久就君
      山村新治郎君    吉田 重延君
      早稻田柳右エ門君    渡辺 栄一君
      渡辺美智雄君    關谷 勝利君
 否とする議員の氏名
      安宅 常彦君    阿部 昭吾君
      阿部 助哉君    赤路 友藏君
      淡谷 悠藏君    井岡 大治君
      井手 以誠君    井上  泉君
      井上 普方君    石川 次夫君
      石田 宥全君    石野 久男君
      石橋 政嗣君    板川 正吾君
      稻村 隆一君    江田 三郎君
      枝村 要作君    小川 三男君
      大出  俊君    大柴 滋夫君
      大原  亨君    太田 一夫君
      岡本 隆一君    加藤 万吉君
      勝澤 芳雄君    角屋堅次郎君
      金丸 徳重君    神近 市子君
      唐橋  東君    川崎 寛治君
      川村 継義君    河上 民雄君
      河野  正君    木原  実君
      北山 愛郎君    久保 三郎君
      久保田鶴松君    工藤 良平君
      黒田 寿男君    小林 信一君
      兒玉 末男君    後藤 俊男君
      河野  密君    佐々栄三郎君
      佐々木更三君    佐野 憲治君
      佐野  進君    斉藤 正男君
      阪上安太郎君    實川 清之君
      柴田 健治君    島上善五郎君
      島本 虎三君    下平 正一君
      田中 武夫君    田邊  誠君
      多賀谷真稔君    高田 富之君
      武部  文君    只松 祐治君
      千葉 佳男君    戸叶 里子君
      内藤 良平君    中澤 茂一君
      中嶋 英夫君    中谷 鉄也君
      中村 重光君    永井勝次郎君
      楢崎弥之助君    成田 知巳君
      野間千代三君    芳賀  貢君
      長谷川正三君    畑   和君
      華山 親義君    浜田 光人君
      平岡忠次郎君    平林  剛君
      平等 文成君    広沢 賢一君
      広瀬 秀吉君    古川 喜一君
      帆足  計君    細谷 治嘉君
      三木 喜夫君    三宅 正一君
      美濃 政市君    武藤 山治君
      森  義視君    森本  靖君
      八百板 正君    八木 一男君
      八木  昇君    矢尾喜三郎君
      安井 吉典君    柳田 秀一君
      山内  広君    山口 鶴男君
      山崎 始男君    山中 吾郎君
      山花 秀雄君    山本 幸一君
      山本 政弘君    山本弥之助君
      米田 東吾君    依田 圭五君
      渡辺 惣蔵君    渡辺 芳男君
      浅井 美幸君    有島 重武君
      伊藤惣助丸君    石田幸四郎君
      小川新一郎君    大野  潔君
      大橋 敏雄君    近江巳記夫君
      岡本 富夫君    沖本 泰幸君
      北側 義一君    小濱 新次君
      斎藤  実君    鈴切 康雄君
      田中 昭二君    竹入 義勝君
      中野  明君    樋上 新一君
      伏木 和雄君    正木 良明君
      松本 忠助君    矢野 絢也君
      山田 太郎君    田代 文久君
      谷口善太郎君    林  百郎君
      松本 善明君
    ――――◇―――――
 衆議院議長松田竹千代君不信任決議案(柳田秀一君外四名提出)
          (委員会審査省略要求案件)
#26
○副議長(藤枝泉介君) 柳田秀一君外四名から、衆議院議長松田竹千代君不信任決議案が提出されました。
 本決議案は、提出者の要求のとおり委員会の審査を省略して議事日程に追加するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○副議長(藤枝泉介君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 衆議院議長松田竹千代君不信任決議案を議題といたします。
#28
○副議長(藤枝泉介君) 提出者の趣旨弁明を許します。田中武夫君。
    〔田中武夫君登壇〕
#29
○田中武夫君 私は、日本社会党提出、衆議院議長松田竹千代君不信任決議案について、提案者を代表して、その提案理由を申し上げます。(拍手)
 まず、決議案文を読み上げます。
    衆議院議長松田竹千代君不信任決議案
 本院は、衆議院議長松田竹千代君を信任せず。
 右決議する。
    〔拍手〕
      理 由
 衆議院議長松田竹千代君は、議長就任そうそう、各党に対し、「国会の権威を守り、この際、国会の正常化を実現するため、物理的抵抗はしない。強行採決はしない。」などの裁定を行なつた。
 七月二十四日夜、政府・自民党は、文教委員会において、野党の物理的抵抗がなかったにもかかわらず、突如として、「大学の運営に関する臨時措置法案」の強行採決を行なった。議長は、直ちに本法案を委員会に差し戻すべきであるにもかかわらず、この暴挙を是認し、本会議に上程せしめた。
 これは明らかに、自らの裁定を否定するばかりでなく、議長の職責を放棄したものといわざるをえない。
 かかる議長をひとときといえども容認しておくならば、正常な国会運営はとうてい期することができない。
 これが、本決議案を提出する理由である。
    〔拍手〕
 私が申し上げるまでもなく、衆議院議長は、国権の最高機関である国会の長であり、最も権威ある存在であります。その一挙手一投足は、国の民主政治を左右すると言っても過言ではなく、国会の権威を一身にになっているのであります。
 特に松田議長は、わずか一週間前に特別の使命を帯びて就任されたことは、国民周知の事実であります。すなわち、約一週間前の健康保険法案の審議において、かつてない不法不当な強行採決が行なわれ、世間のごうごうたる非難の前に、石井前議長がみずから職を辞したのでありますが、そのとき、再びかかることのないように、そうして国民の議会不信を回復させるという重大な使命を負ってその席についたのであります。
 議長も、その就任にあたって、至公至平、この態度で臨みたいと述べ、新聞記者の「大学法案の強行採決がうわさされているが」との質問に対しても、そういうことはなくしたいと、はっきり述べているのであります。私たち野党もまた、松田議長この人ならばと、一るの期待をかけていたことは事実であります。
    〔発言する者多し〕
#30
○副議長(藤枝泉介君) 静粛に願います。
#31
○田中武夫君(続) ところが、きのうから本日にかけて、大学運営臨時措置法案の審議にあたって、議長のとった態度は、私たちの期待を全く裏切ったものであります。
 就任わずか一週間にすぎない新議長を不信任することは、情において忍びないものがありますが、議会政治を守り、国民の議会不信を回復するためには、いまこの議長を不信任することこそ、議会政治の大義であるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 特に、議長は、わずか一週間前に、与野党との問に、強行採決はしない、物理的抵抗はしないとのかたい約束をしたやさきのことであります。事実、文教委員会では、何らの物理的抵抗が行なわれたわけではなく、熱心な審議がきわめて冷静に行なわれていたのに、全く一方的に自民党の党利党略によって強行採決が行なわれたことは、明々白々の事実であります。(拍手)そうだとするならば、今度こそは、議長の権威において委員会に同法案が差し戻され、ここに新しい、しかも当然の慣行が生まれることを、たれもが期待したとしてもふしぎではないと思います。
 ところが、議長のとった態度は全く逆であって、大坪委員長の不法不当な行為を何らとがめることなく、追認し、公認したのであります。これは大坪委員長と同罪、いや、それ以上の責任を負わねばならないと思います。
 さらに、きのうの文教委員会は――すでに新聞紙上等でも明らかなように、本会議場において審議が行なわれ、しかも記名採決まで行なわれていた最中に、大坪委員長は、本会議場から抜け出し、分館の文教委員会の委員長席に二時間も前からすわり込み、強行採決の準備行為に入っていたのであります。かつて、本会議中に一議員が三階の傍聴席にいたことですら、懲罰問題を起こしているのであります。まして今回は、国会の正式な役員である文教委員長が、しかも強行採決という不法不当な行為の、言うならば、犯罪予備行為に入っていたという正真正銘の懲罰事犯の行為を議長が唯々諾々と公認するようでは、どうして国今の権威や秩序が保たれるでしょうか。(拍手)しかも、記録で明らかなように、昨日の文教委員会の強行採決は、本会議終了の時刻が午後七時四十分、採決が終わったと称せられる時刻が、同四十五分であります。そして喚声と怒号の中で、数秒間のわけのわからないわめきと拍手によって、採決が合法的に行なわれたと称しているのであります。
 こうした強行採決は、本国会、実に七度目であります。まさに毒ざらということばがそのまま通用するような多数の暴力の慢性化であります。このような方式、暴挙によって法が成立し、それによって、国民の重大な権利義務がきめられていくような国会運営が日常茶飯事化している国会に、国民がどんなに不信感を深めているかを議長はほんとうに反省すべきではないでしょうか。議長就任の際のあいさつにも誓って猛省すべきであります。
 しかも、今回の大学立法は、慎重の上にも慎重に審議しなければならない法案であることは、私がいまさら申すまでもありません。公聴会における公述人の発言の中にも、大学立法成って大学滅ぶとか、安政の大獄的法案といわれております。この法案のように、大学に対する国家権力の介入は、大学が学問を創造する場であるがために、どうしても持たねばならない時の権力からの自由と自主性を全く否定する点で、根本的な誤りをおかしております。それは、大学が大学であることの存立の意味を奪う法案で、大学の生命ともいうべき学問の自由、大学の自治に死刑を宣告するようなものであります。憲法第二十三条や教育基本法第十条の精神に違反するばかりではなく、一文部大臣が指揮権を発動して大学を休校にしたり、教員を一括休職にして、給料をカットするという基本的人権をじゅうりんする違憲立法ともいうべきものであります。(拍手)このようなものでは、紛争を解決するどころか、紛争の火に油を注ぐもので、その本質においても、その内容においても類を見ない悪法が、このような多数暴力の手段でまかり通るとするならば、まさに法の暴力以外の何ものでもなく、断じて許すことができないのであります。(拍手)こんなことで学生を批判することができるかという国民の批判と、議会不信の声がちまたに満ちていることを議長は何と心得ているのか。
 世上、議長はテキサス無宿とかいわれ、硬骨漢をもって任じておられるようでありますが、その二丁拳銃の一つは与党に、もう一つは野党に向けられて公正を期するものと思っていたのでありますが、残念なことには、われわれ野党に向けられた拳銃には実弾が入っておった。そして与党に向けられたのは空砲、不発弾であったのであります。(拍手)
 私は、本提案に対する採決以前に、議長がみずから職を辞することによって、松田竹千代君の長い政治経歴の最後の名誉を保つことを願ってやみません。国会の権威と議会制民主主義を守るため、国民の名において提案した本決議案に諸君の御賛同をお願いし、提案理由の説明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○副議長(藤枝泉介君) 質疑の通告があります。順次これを許します。依田圭五君。
    〔依田圭五君登壇〕
#33
○依田圭五君 ただいま提案されました松田衆議院議長の不信任決議の趣旨説明に対し、日本社会党を代表いたしまして、質問をいたすものであります。
 私は、松田議長の不信任要求に全面的に賛成でありますが、趣旨説明で述べられました重要事項に関連いたしまして、幾つかの質問をいたしたいと思うものであります。(拍手)
 松田議員が議長に就任をされましたとき、どれほど大きな要望や期待が寄せられましたかにつきましては、十分に理解されているところであります。朝日の社説は、国民一般の気持ちを代弁いたしまして、「健保法案をめぐる国会混乱の責任をとって、石井、小平正副議長が辞任し、新たに松田、藤枝両氏が正副議長に就任をした。失われた議長の権威を回復いたし、議会政治を谷底から救い上げることが新議長に課せられた責務である」と、重大な事態における議長の責務を強く要請しているのであります。
 しかるに松田議長は、重大な危機に立たされた国会を、国民の心からの期待にこたえて、行動を通して正常化するどころか、国会の権威の失墜と議会制民主主義の破壊を促進する役割りに加担いたし、就任後数日にして、再び辞任の要求をされざるを得ない事態となりましたことは、あまりにも嘆かわしいことといわなければならないのであります。(拍手)また、この事実は、国の最高機関でありまする衆議院議長が、ひな人形のように、飾りものにすぎないことを示す以外の何ものでもないことを再びわれわれに認識させたのであります。(拍手)
 質問の第一点は、議長がみずからの職責のもとで、委員会の強行採決などの暴挙をやめさせ、これを差し戻すこともできずに、ひたすら自民党の数を頼んだ多数決論に一方的に従属することを繰り返すことでは、議長みずからが議会政治の破壊、その墓穴を掘ることに手をかしていると思いますが、提案者はどのようにお考えでありますか。(拍手)
 石井前議長自身、辞任後、新聞紙上におきまして、自民党の議会運営の暴挙に無抵抗であったことを述べ、自民党のやり方はあまりにも強引過ぎる、強行採決が十数回というに至りましては。特に健保法案の委員会採決は異常である。与党に、委員会に差し戻すよう話してみたがだめだったと、自民党の非を認めておるのであります。今回の国会の事態は、まさにあの健康保険法案採決の事態と同じであり、さらにそれ以上に、大坪委員長が本会議を無視して、これを抜け出して強行採決に備えるなど、あまりにも悪質な事態を準備していたのであります。このような議会運営は、すべて自民党のおぜん立てによって強行されたものであり、議長はその職務において、自民党の無暴な党利党略をきびしく改めさせなくてはならないのであります。しかるに議長は、自民党に対し抗議をし、また文教委員会の強行採決を無効とさせるどころか、この暴挙の旗振り役をつとめようといたしておるのであります。
 ここで強く指摘しておかなければならないことは、松田議長の就任以来の態度であります。松田議長は、就任初の記者会見で、はっきりと国会正常化の決意を述べているのであります。いわく、野党とも誠意をもって話し合い、その考えも尊重していきたい。またいわく、かつて文相時代に日教組を相手としたときに、文部官僚や党の中にも異論があったが、私は話し合いに終始した。したがって、問題が起きたときなど、必要とあれば話し合いで解決していきたいなどと、自慢話にこと寄せて、なかなかの大みえを切っておられたのであります。確かに松田議長は、議長になるまではざっくばらんな党人派の長老議員として、特に形式にこだわらない性格で好感を持たれた面もあったと思うのであります。しかしながら、議長就任以来、わずか数日間にすぎないのにもかかわらず、あまりにも無力、無気力なお飾り議長であることをみずから示し、かつての人望を失墜させたのでありますが、いままでの国会正常化に対する議長調停や議長裁定といわれるものを見ましても、国会の権威を失墜させている本質をことさら回避し、枝葉末節だけの努力でありましたから、その調停や裁定がたちまちほごになったのは、当然の結果と思われるのであります。自民党の言いなりで国会の正常化をはかろうとすることが、いまはやりのことばで言えば、そもそもナンセンスといわなければならないのでありますが、提案者はこれらの点に関し、どのような評価と判断に立っておられるのでありますか、お尋ねをいたします。
 質問の第二は、あの健康保険法案におきまする自民党の暴挙は、石井前議長が、ぐちまじりに、辞任してからその非を告白しておりまするが、われわれの必死の抵抗も、だれが見ましても明白な、自民党の暴挙を許すことができないからとった手段なのであります。朝日も七月十五日の社説におきまして、「最初にルール違反をやったのが自民党である以上、その後のすべての混乱について、第一義的に責任を負わねばならないのは自民党である、といわねばなるまい。野党が、自民党の予想を上回る抵抗を続けたのも、これを正当化し得るという自信があったからであろう。」と、はっきりと暴挙の元凶を指摘しているのであります。(拍手)そして「強行採決−審議空白−議長調停−正常化という、いわば定型化した国会混乱収拾の筋書は、議長の権威がわずかながらでも残っていればこそ可能であったわけだが、こうした筋書さえ困難となるような事態に落ち込むとしたら、いったい議会政治の行方はどうなるのであろうか。議会政治をドン底から救いあげるための救助策はなにか。その第一着手は、政府・自民党が、今日の事態をもたらした責任を自ら問うことである」ときびしく政府・自民党を非難いたしておるのであります。政府・与党の横暴な強行採決と、そのかいらいと化しました議長の一方的な国会運営の中において、幾多重要な反動法案に関するわれわれ野党の抵抗の重要な役割りと意義について、提案者はどのようなお考えをお持ちであるか、お聞きしたいと思うのであります。
 質問の第三は、議長がみずからの職責を自覚せず、自民党のロボットと化している間に、国民は議会に何ものをも期待しなくなり、議会主義の病根はもはや治療しがたいものと判断して、他の政治ルールを求めようとさえしつつあるのであります。自民党が国の政治の決定権はすべて自分のものであるとの議会政治を無視する立場に立つ限り、議会政治は完全に退廃し、形骸化してしまい、国民は議会の惨状に憤ることもやめて、他の方法を是認せざるを得なくなってしまうのであります。議長が自民党の言い分に立ってそれを正当化しようといたしましても、そのように退廃し、形骸化した議会主義はまっかなうそであり、こっけいなお笑いぐさとしか認めなくなっているのであります。
 今回の文教委員会で審議されました大学の運営に関する臨時措置法案は、社会党の質問で、いかに民主主義に挑戦し、民主主義を破壊するものであるかが判明いたしておるのであります。それだけに、日本学術会議をはじめ、国公私立各大学の連絡組織や、各大学ごとの反対声明がこぞって提起されたのであります。自民党が真に日本の民主主義、日本の学問の発展にとって重要不可欠な法案とするならば、もっと審議に誠実であらねばならないと思うのであります。私たちは文教委員会におきまして審議を尽くせば尽くすほど、この法案に対し大きなる疑問を抱いてきたのであり、それだけに十分な審議時間を要求してきたのであります。しかるに、憲法違反の条文に対してもたびたび答弁に詰まりながら、最後は形式的な答弁で逃げを打とうとさえいたしたのであります。
 このように、法文の違憲、大学関係者の全面的な反対、日本の学問研究を破壊する内容を含みながら、これを十分審議せず、一方的に強行採決することが、法治国家、法秩序の順守を叫ぶ国会において許されてしかるべきでありましょうか。議長はこれを許そうとしているのでありますが、提案者は、大学管理法案の危険な内容と関連をいたして、議長の議会運営の不当性をどのように判断されておられるのでありましょうか。そのお考えの一端を述べていただきたいと思うのであります。(拍手)
 私は、国民が、このような暴挙を繰り返して、国民の権利を無視する自民党や議長のやり方に憤りを持っておる間は、そして、国会の正常化を期待しておる間は、まだ議会主義は望みがあると思うのであります。しかしながら、松田議長のように、就任して十日にも満たない議長が、就任の決意で強く正常化を主張しながら、その舌の根もかわかないうちに、平然と暴挙を認め、それを押し通す役目を果たそうとするのを見るとき、この議長を辞任させなければ、議会政治は急速に没落をたどると判断せざるを得ないのであります。(拍手)議会の危機はまさにせとぎわにあり、国民の権利としての主張を代弁する立場にある一人として、私は、松田議長に対する不信任要求を以上のように痛切に感じているものであります。
 提案者の趣旨に全面的に賛成しながら、私の問題点を明らかにしたのでありますが、これに対する見解の表明を強く要望して、質問を終わります。(拍手)
    〔田中武夫君登壇〕
#34
○田中武夫君 依田議員の質問にお答えいたします。
 大体四点であったと思いますが、もし答弁漏れがございましたら、御指摘を願います。
 第一点は、議長は国会正常化を口にしながら、文教委員会の暴挙に対しては何ら努力をしなかったとの批判があるがどうか、こういうことであったと思います。
 おっしゃるとおりでございます。昨夜、文教委員会において、あのむちゃくちゃな行動がありました後に、直ちに私は社会党の柳田国会対策委員長、矢尾代議士会長らとともに、議長に善処方の要望に参ったのであります。そうして、まずその場におりましたわが党の文教委員会の理事の諸君から、つぶさにあの状態を御説明申し上げて、そういうことであるので、まず第一点としては、あすの公報に掲載することをやめてほしい、文教委員長が、衆議院の正式な役員でありながら、本会議が開かれ、現に重要法案に対しての記名採決が行なわれておる、そういうときに議場を抜け出して委員長席に一人おる、こういうことは、まさに懲罰に値する行為である、そこで、議長がもしそれを、すなわち文教委員長の報告に基づいてあす、すなわち本日の公報に記載するようなことがあるならば、その懲罰に付すべき行為を追認し、是認することになる、したがって、その点をよく考えてもらいたい、そしてまた、公報にかりに載せたとしても、それは各党の話し合いが済むまでは、絶対に本会議のベルを押さない、こういった点についていろいろと話をいたしました。そのときに議長は、まだ正式な報告も受けていないので、後ほど報告を受けてから御返事をいたします、こういうようなことで、一たん引き揚げてまいりました。
 その後各党が参られて、あるいは文教委員長をお呼びになって、文教委員長の報告を聞かれたようであります。そこで、来てくれと、こういうことで再び参りました。そういたしますと、文教委員長がその報告を撤回しないといいますか、しないので、どうにも公報に載せなければならない、こういうことです。たとえて言うならば、法を破ったその犯人をつかまえて法律を適用するぞと言ったら、おれはいやだ、だから適用できませんと言うのと同じことなんです。(拍手)そこで、もし公報に載せるとしても、直ちにあすの公報に載せる必要はないじゃないか、そのような法律的根拠がどこにあるのだ、事務総長は、法律的な根拠はございません、議長の判断でありますと。そこで、われわれは前例等も示しまして、そういうことがあるじゃないか、われわれは委員会に差し戻しをしてほしい、こう言っておる、だから百歩を譲って、もし議長のおっしゃるように、委員長にその意思がなければ公報に掲載せねばならないといたしましても、何もあす載せる必要はないじゃないか、そういう話も前例を示しながらしたわけです。ついに柳田国対委員長は、ほんとうに国会の権威を守り、議会制民主主義を守るの熱意から、声涙あふるるような話、要請を議長にしたのであります。
 ところが、議長のわれわれに対する返事はどのようなものであったかといいますと、これは議長が言われたそのままですから、お読みいたします。正確を期するために文書で説明いたします、こういうことを申されまして、「各党の申し出もあり、委員長の報告も聞いていろいろと話をしてみたが、本日までの審議の状況から見て、委員長は報告を保留する考えはないようでした、きょうは時間もないので、すべてを尽くすことができませんので、議長としてはあすの本会議の日程に一応載せるが、さらにあす、すなわち本日、各党においても、議運においても、何らかの方策を見出せるよう努力してほしいと思う、議長としても努力をしたい」――努力をしたいと言って、しなかったのです――という紋切り型のこういうメモ書きで説明がございました。そこで、先ほど申しましたように、いろいろの話を申し上げ、議長はこの際ほんとに議会の権威を守り、議会制民主主義を守るために再考してほしいと、もう何回も申しましたが、時間もないということだし、他党との話もある、そういうことでわれわれは一応昨日の要請は引き上げたわけです。
 そうして、きょう、議長も努力をしたいというのですから、何らかあるだろうと思って待っておりました。ところが、午後七時を回っても何らの話がないのです。そこで、江田書記長を中心といたしまして、われわれ代表が議長のところへ行き、議長は昨日、議長としても努力したい、こうおっしゃっておりながら、何らかの話があるものだと朝からお待ちしておりましたけれども、七時を過ぎても何もないが、一体どうなんです、こういうように申し上げた。ところが議長は、久野議運委員長に各党の議運の理事を通じて話し合うように命じました――こんな議長がありますか。私は、議長としても努力したいということに期待をかけておりました。ところが、きょう何もしていないのです。しかも、わが党の江田書記長をはじめとして、社会党代表が話をしているときに、隣の部屋でどうやら議運の強行採決か何かあったようで、久野委員長が参られまして、七時三十分予鈴、四十分本鈴ということをきめました、そう言った。われわれの目の前で、一体いつ事務総長に議長はそんなことを命ぜられたかわからないのに、ともかく久野君の言われたとおりに命じたというので、まさに与党のかいらいであります。(拍手)まだあとたくさん質問がありますので、時間がないようですから、まあこの程度で、あとでまた補足をいたしますけれども、昨日から本日に至る間に議長は何をしたかといったら、何もしていない。こういう議長がいまだかつてあったでしょうか。おっしゃるように、何らの努力をしていないのであります。
 第二点は、健保法案と同様、今回の暴挙も、その元凶は……
#35
○副議長(藤枝泉介君) 田中君、制限の時間になりましたから、結論をお急ぎください。
#36
○田中武夫君(続) 自民党の議会政治無視にあると判断するがどうかという質問であります。
 まさに、そのとおりであります。私は、たいへん失礼な申し上げ方ですが、与党の幹部諸君は一体衆議院議長を何と心得ておるか、衆議院議長に暴挙を押しつけて、国会を混乱せしめて、そうして議長、副議長が責任をとってやめれば、またあとから議長をつくってやろうと、ほんとうに、これは取り消しを求められるかもわかりませんが、議長を消耗品と考えているのですよ。(拍手)前石井、小平の両正副議長が突然辞職をせられたのは、もちろん、みずからあの健保法案のときに行なったところの最後のあの採決のとり方が憲法違反であるという反省もあったでしょう。だがしかし、ささやかな自民党幹部に対する抵抗のあらわれであります。(拍手)このような状態が続くならば、自民党幹部が反省しない限り、重要法案が一つ採決せられるごとに議長がかわるというようなことになりかねないのであります。(拍手)私は、議長に反省を求めると同時に、いや、それ以上に、自民党の幹部諸君、もっと……
#37
○副議長(藤枝泉介君) 田中君、時間ですから、結論を急いでください。
#38
○田中武夫君(続) 議長の権威を尊重し、さらに議会制民主主義を尊重するという近代的政治感覚を持ってほしいと思います。(拍手)
 次に、この大学法案の危険な内容について、委員会審議で十分に尽くせなかったが、一体どのような内容であるのか、委員会で、憲法違反等の追及、及び院外での大学関係者をはじめとした強力な反対意思表明があり、これは十分な審議を尽くすべきであるにかかわらず、強行採決を行なったことは、民主主義の危険と思うがどうか。おっしゃるとおりであります。
#39
○副議長(藤枝泉介君) 田中君、時間ですから、結論を急いでください。
#40
○田中武夫君(続) 先ほど申し上げましたように、この法案は、まず根本的に政府・与党の諸君の考え方が間違っておるのであります。現在の大学問題をどう考えておるのか、現在の大学の紛争の根本は一体どこにあるのか、これを認識することがなく、誤った認識の上に立ってこのような法律をつくっておるのであります。つくろうとしておるのであります。これには根が深くて、そしてその根は広いのであります。まず……
#41
○副議長(藤枝泉介君) 田中君、制限時間が過ぎましたから、発言を終わってください。
#42
○田中武夫君(続) 政治の不正、社会のあり方、人間不在の政治、大学内部のあり方等々から根本的に考えなくちゃならないのを、単に紛争という事態だけを取り上げて、それを学生対策だとか、あるいはまた治安対策と考えて解決しようとするところに、この法律案の根本的な誤りがございます。したがって、わが党委員からいろいろと追及を受くれば、答弁できない点がたくさんあります。憲法二十三条をとりましても、もうはっきりとした違憲の疑いがあります。教育基本法につきましてもそうであります。このような法律案が、審議を深めることによってその内容が国民の前に暴露せられることをおそれて、あえて行なった強行採決であると思うのであります。(拍手)
 最後に、議長の辞任が、国民の議会不信の回復に必要ではないか、こういうことでございますが、だからこそ、この不信任案を提案したわけでございます。したがって、ここで先ほど私、提案説明で申しましたように、採決を待たずして、議長がみずから反省せられて職を退かれることが、議会の正常化、議長の権威を守り、議会制民主主義を守るために、絶対に必要であろうと考えるわけでございます。
 まだ答弁漏れがございまするが、次の答弁の際につけ加えて申し上げることをお許し願いたいと存じます。たいへん失礼をいたしました。(拍手)
#43
○副議長(藤枝泉介君) 千葉佳男君。
    〔千葉佳男君登壇〕
#44
○千葉佳男君 衆議院要覧(乙)によりますと、松田議長については、次のように記載されております。
 「松田竹千代 大阪府第五区選出、」「明治二十一年二月大阪府に生る、」「紐育」と書いてありますが、これはニューヨークだと思うのです。「紐育大学にて経済学社会学を研究、同大学より名誉法学博士号授与、昭和三十九年勲一等瑞宝章を授与」、「伊国」と書いてありますが、これはイタリアだと思います。「伊国より功労大十字騎士章受章 我国初の隣保事業たる柏木有隣園理事等となる。」その次は、「海軍政務次官、地方制度調査会委員、郵政大臣、文部大臣、コロンボ計画協議委員会第七次会議政府代表、ドミニカ国と貿易、移住問題につき交渉する政府代表等となる。第八回、第九回国際労働会議、第二十九回列国議会同盟会議に出席、欧米各国、満州、支那、東南アジア、中共を視察す。自由党総務、自由民主党相談役、総務、顧問、大阪府支部連合会々長」、その次に「永年在職議員として衆議院より表彰さる」、最後に「当選十一回」。
 このように記載されておるわけでありますが、功名武勲かくかくたる――あえて私は武勲と言いたいのですが、功名武勲かくかくたるこの松田議長が、なぜ一体不信任されるか。こういう理由につきまして、以下提案者に説明をお聞きしたいと思います。
 まず、この議長不信任案が冒頭に出されたということは、私は単なる議会、議事運営のかけ引きとか、技術的な問題ではなかろう。ついせんだって衆議院の議長、副議長が交代した直後でありますから、そういう意味におきまして、単なる技術上の問題、かけ引きの問題などと質的に違った非常に異常な事態だというふうに私は考えるわけであります。そういう点で、普通一般の不信任案の提出というふうなものよりも、まことに質的に違っておるということをまず最初に深く遺憾としながら、お尋ねしたいと思います。
 まず、松田議長が就任されたその前後の事情を、私はもう一回振り返ってみたいと思うのであります。
 今国会の重要法案である健保特例法改正に関しまして、御承知のように、与党自民党は、委員会審議の途中で、突如として全く別の法案ともいえる本質的修正をあえて行ない、社会労働委員会はもとより、衆議院本会議においては、健保特例法案の記名採決中に起立採決に切りかえるという、国会史上例のない、常識のはずれた措置をとったのであります。このような国会の無秩序的運営の責任をとって、前石井議長が辞任し、そしてそのあとを受けて、国会の変則事態の深刻さと、その責任の所在を明らかにしながら、正常な国会の回復に全力をあげるという使命をになって、現在の松田議長が就任されたわけであります。
 このような事情の中で生まれた松田議長が、しかるがゆえに議長就任にあたりまして、その記者会見においても、国会の正常化につとめるために、真摯な態度で問題に当たる、野党とも誠意をもって話し合い、その考えも尊重していく、強行採決は本会議ではやらないなどの態度を明らかにし、また、翌十八日には、国会正常化のためにとして、強行採決はしないという議長裁定を行なっているのであります。
 ところが、御承知のように、文教委員会の強行採決が起こったわけでありますが、この文教委員会における大学管理臨時措置法、この法案に対しまして、衆議院議長である松田議長が、この採決を無効として文教委員会に差し戻すことが、国会正常化を重要な任務として就任した議長の当然とるべき真摯な態度であろう、私はこのように思うのであります。ところが、こういうふうに責務を放棄しました議長が、はたして議長として適任であるかどうか、もう一ぺん提案者にお伺いいたしたいのであります。これが第一点であります。
 次に、私は、松田議長が議会民主主義のかなめである衆議院の権威と、審議を尽くす、こういう民主主義の基本原則に沿って院を運営する立場にあるにもかかわらず、それを行なわなかった。これが一体衆議院の議長としてふさわしいかどう
 、この点についてもお伺いしたいと思うのであります。
 次に第三点、私がお伺いしたいのは、この国会に提案されました大学運営臨時措置法、この法案は、憲法に定められました思想、言論の自由さえも侵す全くの悪法であるといわなければならないと考えておるのでありますが、本案が成立するならば、大学は教育の場としての権威を失い、わが国の将来にとって憂うべき事態を引き起こすことは明らかであります。
 政府は、大学を研究の場として維持するために暴力学生を取り締まることが必要だと強調しておりますが、法治国家であるわが国において、順法精神を持つことが基本であると、朝から晩まで精神訓話をされておる。そういう精神訓話を――私はお尋ねしたいのでありますが、自分たちが都合が悪いときには合法性を無視しているのではないかというふうに、あなたたち自身が暴力学生であるとレッテルを張った学生からもし突っ込まれたならば、一体どうするか。多数だから何をやってもかまわないのだ、こういうようなことがまかり通るとするならば、この精神訓話の中心である順法精神というものは、まさに根底からくずれる、私はこのように思うのであります。
 でありますから、今晩の夕刊を見ましても、全国の九十六の大学の学長があらためて反対のための会合をし、反対の態度を強く表明しております。でありますから、今日のこの大学問題が生じておる背景には、こうしたその場その場の御都合主義、こういうものが非常に大きな背景になっておるというふうに指摘せざるを得ないわけであります。でありますから、このことが背景である大学問題、この大学を正常化しようとする現在、先ほどもちょっと触れましたような大学の学長を先頭にして、学長、教授、助教授、一般学生、こういった者が一体となって努力している現在、こういうふうな努力に水をさし、さらには、紛争校というものを新しい形で増していく、こういうふうな結果に相なるのではないか、このように考えるわけであります。
 でありますから、こうした法案を強行採決してあえて恥じないというのは、この法治国家における、民主主義憲法下における、しかも、議会制民主主義をたてまえとするわが国のこの本院において、これがはたして妥当なのかどうか、これをもう一ぺん提案者から懇切丁寧に説明をいただきたい、このように思うわけであります。
 最後に、大学法案の強行採決によって、再び三たび、四たびですね、国会が異常事態を引き起こしたわけでありますが、ここで、もう一点お伺いいたしたいことがございます。それは、この法案を成立させることが、はたして適当であるかどうか。今国会における強行採決は、参議院を含めて十六回になるというふうにいわれておりますが、一国会におけるこのようなルール無視ということは、国会史上例を見ないと私は思うわけであります。
 文教委員会で強行されましたその瞬間には、御承知のように、月からアポロがちょうど地球に帰ってくる途中であったわけでありますが、わが国の科学技術の発達、人類の平和、こういう大きな点から考えてみましても、現在の大学の教育、研究のあり方について、政治がこれに介入してはならないと私は強く考えておるわけでございます。政治が教育、研究に介入したとき、それはもはや、その発展の根拠というものがくずれるのではないか。日本の将来にとって非常にマイナスになる法案をあえて強行採決しようとしたこの態度は、私は、許されない、このように思うわけであります。あえてオーバーな表現をするならば、今後の日本にとって非常に大きな憂うべき時代が到来した、こういうふうに言っても私はあえて過言ではないと思うわけであります。
 最後に、もう一度お尋ねいたしたいと思うのでありますが、議会制民主主義を破壊するという、こういう政府並びに自由民主党の態度は、おそらく国民の諸階層もかんにん袋の緒を切らしておるというふうに思うのであります。議長が公平な裁定者としての権威を高めるために党籍離脱を行なうというのがかねがねの私どもの主張でございましたが、松田議長は党籍離脱にかかわらず、どこまでも公正な態度で臨むつもりである、このように述べておられました。この党籍離脱を行なわないでも、公正な態度をとるといったこの態度が、いまや、まさにくつがえっておるわけでございまして、先ほどの質問にもありましたように、これはまさに、自由民主党の走狗、つまり番頭に化しておる、議長の権威はまるっきり失墜した、このように思うわけでございますが、この点、提案者はどのようにお考えになっておりますか、最後にお尊ねいたしたいと思います。
 以上、数点にわたって質疑を申し上げましたけれども、ひとつ懇切丁寧な回答をいただくことをお願い申し上げまして、私の質疑を終わる次第であります。(拍手)
    〔田中武夫君登壇〕
#45
○田中武夫君 もし答えていなかったら注意してください、あらためて答えますから。
 千葉議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず第一点は、国会正常化をになって登場した松田議長は、強行採決をしないと公約したにもかかわらず、大学管理法で再び国会を混乱におとしいれた責任は大きく、議長として不適任ではないか、こういうことであったと思います。
 先ほど申しましたように、だからこそ、この不信任案を提案しておるわけであります。先ほど申したように、昨夜、あのような暴挙が行なわれてからあとの議長のとられた行動といいますか、これに対する態度は、全くいままでの議長にはかつて見ないような無能な議長だと思うのであります。このことは、第三点の御質問にも関連がございますが、議長は就任にあたって、われわれが、正副議長は党籍を離脱して、そうして公正無私の立場に立って、与野党間の意見の相違するところはうまく調整をしてやっていくべきではないか、こう申しましたときに、議長は、党籍を持っていても、別に変わりはないのだ、そのようなことを言われたようであります。さきの石井、小平両正副議長が突然辞任せられましたあとの人選にあたりまして、自民党内部では、結局、議長の、あるいは議長候補と申しますか、の人選を総裁一任としたのであります。佐藤総裁は、言うまでもなく佐藤総理であります。すなわち、行政府の長であります。行政府の長が立法府の長の人選の一任を受ける、あるいはこれに一任するという与党の諸君の考え方、もちろん政党政治だからと言うかもしれませんが、この点は十分考えてほしいんです。民主主義の基礎は、言うまでもなく三権分立であります。(発言する者あり)いや、あなた方に申し上げておる。したがって、司法、立法、行政は、それぞれの態度にお互いにその権威を認め合うところに、私は民主主義の基礎があると思うんです。たとえばココム裁判があります。にもかかわらず、判決がどうであれ、いままでどおりやるんだというような大臣もおられるようです。これはもう司法を無視した態度です。と同じように、やはり立法府の長でございますので、またその立法府、すなわち国会を構成しておるのは、与党とわれわれ野党であります。したがって、その人選にあたっては、あらかじめ野党のわれわれに相談くらいせられてもいいのではないか。そういう態度があれば、私は、もっとうまく国会のいわゆる正常化がいくと思うのです。
 ここで、私、特に総裁に申し上げたいのは、立法府の長を選ぶのを、行政府の長が一任を受ける、あるいはこれに一任をするという、与党の諸君の感覚が問題であろうと思うのです。(拍手)これを忘れたら民主主義は成立いたしません。先ほど質問者も申しておられましたように、松田竹千代君は本院において永年勤続の表彰をとっくに受けられた大先輩であります。硬骨漢をもって知られた人であります。その人を、先ほど申しましたように、一つの法案を通す道具のように考えて、無理押しをやらして、批判を受けるならば、人をかえたならばいいではないかという考え方、こういう考え方こそ改めるべきであり、そういう与党幹部の考え方を改めて、反省のない限り、幾ら議長がかわっても、やはりこのようなことになるだろうと思うのです。世界のどこの国の議会史を見ましても、就任わずか一週間で野党から不信任を受けた例があるでしょうか。あまりにも私は、大先輩に対する与党幹部の思いやりというか、先輩に対する尊敬というか、そういった人情に欠けておる、人の道に反しておる、そういうことがある限り、質問者がおっしゃったように、この議長は不適格ではないかということを何回か言わなくてはならないようなことになることをおそれるものであります。
 次に、大学管理法案を強行採決し、大学管理法が成立するとするならば、紛争が起きていない大学にも紛争を起こすのではないか。(「大学管理法なんか出てないよ」と呼ぶ者あり)通称でございます。この法案は……
    〔発言する者多し〕
#46
○副議長(藤枝泉介君) 御静粛に願います。
#47
○田中武夫君(続) この法案は、法律と秩序を守るための立法だと言っておる。その法案を、秩序を破り、法を無視して採決をする、そうして、法律が成立するならば、ますます紛争がエスカレートするのは当然だろうと思うのです。そういうことで学生の行動を規制したり、法の権威を基礎づけることはできるものではございません。御承知のように、本法案に対しましては、全国の国立、公立、私立のほとんどの大学の学長、教員、学生が反対の請願をし、反対の意思を表明しております。この法律成立に対して、その反対のための紛争が起こるのは当然でございましょう。おっしゃるように……
    〔発言する者多し〕
#48
○副議長(藤枝泉介君) 御静粛に願います。
#49
○田中武夫君(続) 紛争をますますエスカレートする結果になろうと思うのでございます。
 さらに……(「法律の名前を言ってみろ」と呼ぶ者あり)日程に書いてございます。
 千葉議員がおっしゃっておられるように、党籍離脱をやるほうがいいじゃないか。これは、これからの議長、副議長に対しましても、私、ほんとうに公平無私でやっていただくためには党籍を離脱する、そのことをここからもお願いいたしたいと思うわけでございます。
 さらに、一番心配するのは、教育というものは重要であります。その重要な教育に関係する法律案を、みずから法を破り、秩序を破って成立さすところに、どこに教育があるでしょうか。教育ということについて、もう一度深く反省をして、考え直していただきたいことを申し上げて、答弁にかえたいと存じます。(拍手)
     ――――◇―――――
#50
○副議長(藤枝泉介君) 本日は時間の関係上この程度にとどめ、明二十六日午前零時十五分より本会議を開き、本日の議事を継続することといたします。
 本日は、これにて延会いたします。
    午後十一時三十分延会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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