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1968/12/18 第60回国会 参議院 参議院会議録情報 第060回国会 石炭対策特別委員会 第2号
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1968/12/18 第60回国会 参議院

参議院会議録情報 第060回国会 石炭対策特別委員会 第2号

#1
第060回国会 石炭対策特別委員会 第2号
昭和四十三年十二月十八日(水曜日)
   午前十時十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿具根 登君
    理 事
                川上 為治君
                大矢  正君
                藤原 房雄君
    委 員
                石原幹市郎君
                剱木 亨弘君
                松平 勇雄君
                吉武 恵市君
                米田 正文君
                小野  明君
                小林  武君
                森 元治郎君
                原田  立君
                片山 武夫君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   大平 正芳君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        植木 光教君
       通商産業省鉱山
       石炭局長     中川理一郎君
       通商産業省鉱山
       保安局長     橋本 徳男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○当面の石炭対策樹立に関する調査
 (当面の石炭対策樹立に関する件)
○継続調査要求に関する件
○閉会中における委員派遣に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(阿具根登君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。
 当面の石炭対策樹立に関する調査を議題といたします。
 この際、大平通商産業大臣及び植木通商産業政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。大平通商産業大臣。
#3
○国務大臣(大平正芳君) 私は、このたび通商産業大臣に就任いたしましたが、所管事項の中でも特に石炭行政は、エネルギー革命の渦中にあり、石炭鉱業の再建の問題にとどまりませず、保安の確保、産炭地域の振興、鉱害の円滑なる処理、雇用の安定等の幅広くかつ困難な問題をかかえており、私といたしましては、関係各方面の御協力を得まして、誠心誠意これに取り組んでまいる所存でございます。
 今後の石炭鉱業のあり方につきましては、その深刻な状況にかんがみ、本年四月以降石炭鉱業審議会において、長期的かつ国民経済的視野に立って広範な御検討が続けられてまいりましたが、その大綱について小委員会における審議を終えたところであります。さらに引続き総合部会で御検討を重ねられることになっており、間もなく答申の運びになるものと期待いたしている次第であります。
 政府といたしましては、御答申があり次第、その趣旨を十分尊重して予算面、法制面等の所要の措置の準備を急ぎ、来年度より石炭鉱業の再建、保安の確保、産炭地域の振興、鉱害の円滑なる処理、雇用の安定等の目的達成のため強力な施策を実施してまいる所存であります。
 なお、保安の確保につきましては、すでに中央鉱山保安協議会の御答申を得ており、目下その具体化のため予算の確保に努力いたしている次第であります。
 私は、今後の石炭対策につきましては、審議会の審議経過等にかんがみ、基本的には石炭鉱業の「再建」を念頭に置いてこれに臨むべきであると考えております。ただ、石炭鉱業内外の客観情勢から見て、今後とも現在の出炭規模をそのまま維持し続けてまいることはむずかしい面もあると思いますが、いずれにしても、相当思い切った支援を行なう必要があると考えている次第であります。とりわけ労働面での不安動揺が多い現状にかんがみ、これを安定し、再建が円滑に進むよう十分に配慮すべきであると考えております。
 当面緊急を要する年末金融対策につきましては、関係金融機関の御協力を得るほか、開銀の融資、合理化事業団の近代化資金の貸し付け等融資制度の活用をはかるとともに、安定補給金、坑道掘進費補助金等を年内に交付する等の措置を講じておる次第であります。
 本特別委員会は、従来から石炭対策につき熱心に御審議をいただき、また心強い御指導、御鞭撻をいただいておりますが、今後とも一そうの御協力をお願い申し上げる次第であります。
#4
○委員長(阿具根登君) 植木通商産業政務次官。
#5
○政府委員(植木光教君) このたび通商産業政務次官を拝命いたしました。石炭行政はまことに重大でございます。大臣の指示を受けまして、懸命の努力をいたす所存でございますので、何とぞ御指導、御鞭撻、御協力を賜わりますようにお願いを申し上げます。
 よろしくお願いいたします。
#6
○委員長(阿具根登君) ただいまの通産大臣の所信表明に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。
 その前に、小委員会の原案ができて、ただいま部会に差し回されておるということを新聞等で触れておりますので、局長からその内容を御説明願います。中川鉱山石炭局長。
#7
○政府委員(中川理一郎君) ただいま大臣からお話ございましたように、去る十三日に、長い審議、検討の結果、政策懇談会の小委員会の原案ができまして、昨日総合部会にお諮りし、さらに引き続いて総合部会で再度検討しようということで答申を急いでおる状況でございます。そこで、お手元にお配りいたしました「新石炭対策について」というタイトルのこの小委員会の原案について、要点だけを御説明いたしたいと思います。
 これは、いま申しましたような意味で総合部会、総会を経て最終答申になりますので、表現その他は十分変わり得るものではございますけれども、考え方の統一をするという意味合いでの答申案のいわば骨子とも言うべきものでございます。お配りしてございますので、お読みいただければ大体おわかり願えるように修文してあるつもりではございますが、簡単に要点を申しますと、最初に基本方針というところで四つのことを述べております。
 第一には、大臣のただいまの所信表明にもございましたように、石炭鉱業については非常に困難な状態にあって、このままでは存続自体が困難であるという状況ではありますけれども、これをこの石炭鉱業の再建という考え方でできるだけひとつ考えてみたい。ただしかし、状況から見ますと、現状の出炭規模を今後ともそのまま維持するということには困難があると考えられる。しかし他方、原料炭は確保しなければいけないのでございますし、電力用炭を中心にする需要も相当期待し得るわけでございますので、この有力なる国産エネルギーとしての石炭をこの需要に対応し得る出炭体制を確立するためにひとつ考えたい。このためには、労使双方はもとより、関係者にも最大限の努力を傾注していただきたいということが第一でございます。
 第二には、以上申しましたような事情から、ある程度の終閉山というものが今後もあり得るとの前提に立ちまして、これによる影響と社会的摩擦ないし不安を可及的に緩和するということを考えまして、十全の手配をいたしたいということでございます。
 第三番目は、労使の努力と企業間の協力体制の確立について述べておりまして、国はこれを可能ならしめるために相当の支援をいたすつもりでありますけれども、これにはほんとうに再建が可能になるかどうかは労使の努力に待つところが多い。その意味で企業内はもとより、企業間におきましても最大限の企業努力を発揮し得るような体制を自主的に整備してもらいたいということを言っております。この基本には、最初に表現されておりますように、いろいろ議論がございましたけれども、検討の結果、私企業体制を前提として再建を行なうべきだという結論に小委員会は達しております。
 第四番目は、財源の確保とその使用の効率化並びに負担の公平化ということでございまして、政府も相当思い切った支援をいたそうと考えますので、特別会計を四十八年度まで延長いたしたいということでございます。また国の助成費を使うにあたりましては、対策の目的にかんがみまして、できるだけ再建という意味合いで効率的に活用されるように考えると同時に、関係者の間の犠牲と協力ないしは関係者が受ける国の支援というものができるだけ公平でなければならないという立場を述べておるのでございます。
 以上は基本方針でございますが、対策の中身の概要について簡単に申し上げます。
 第一に、再建交付金という制度を今回創設をいたしたい。これは前回の肩がわりというものとは相当思想的に変えまして、今後の石炭産業の再建に必要な制度といたしまして、長期金融債務と退職者預り金というものの返還に使えるように、十五年、三%の利率をもちまして国が元本ベース一千億円の交付をいたしたい、こういう感じでございます。従来と違っておりますのは、そのように今後の石炭産業の再建に役立たせるという念願を持ちまして、前のような累積赤字の解消という黄味合いではございませんので、債務があることは必要でございますけれども、必ずしも赤字であるということを要件にしないということで考えております。これは諸先生方御承知のように、前回の場合、赤字会社でないために適用がなかった例がございます。今回はできるだけそういう考え方でなくて考えたい。したがって企業ごとの再建交付金の額につきましても、その出炭量等を基準として考えてみたい、かような考え方でございます。
 その次は区分経理でございます。今回再建交付金の交付をいたしますことにかんがみまして、とかく当委員会でも御議論のありました石炭部門と兼業部門との間の経理実態について的確な把握をいたしまして、もっと正直に申しますと、石炭関係に投じたつもりの資金が他部門へ流出することのないようにという観点からいたしまして、また今回とります対策の効果というものを時間の進行の間に的確につかみ得るようにするということで、この石炭部門と兼業部門、新旧勘定の区別、この二つの区別によった経理報告を定期的に提出させるということを小委員会は希望しております。その際、なるべくは実態を的確に判断して、企業も国もこれの対応策を考え得るようにしたいということでございますので、石炭部門の資産等につきまして、もし要除却資産がそのまま計上されておりますと実態を見誤まることがございますので、これらはそういう評価がえを行なったものとして記載をしてもらいたい、こういうことでございます。これを誠実に行なわない場合等々につきましては、勧告を行なう必要があると考えております。
 それから第二番目は、安定補給金の増額でございまして、御承知のように現在は中小炭鉱、再建会社と呼ばれておる数社にしかトン当たり百五十円の安定補給金が出ていないわけでございますが、今後の再建を考えますと、これを大幅に増額する必要がある。こういう感じでございまして、そこで原則といたしまして、原料炭についてトン当たり五百円程度、一般炭についてトン当たり三百円程度の補給金というものを全面的に交付をいたしたい、こう考えております。ただし、公平上の問題からいいまして、先ほど御説明いたしました再建交付金の交付を受ける企業についてはそれぞれの額から百五十円を引いたものでバランスをとりたいと考えております。
 第三番目は、再建のための資金の確保でございます。これにつきましては、なかなか市中金融になじまない状態がございますので、特別会計から五カ年間に毎年百億円ぐらいずつの出資を合理化事業団にいたしまして、これによって近代化資金等を中心にいたしまして、無利子の融資をいたしたい。これで実態的な資金調達に役立たせると同時に、この無利子という利子効果によりまして、さきに述べました再建交付金ないし安定補給金の支給と相並びまして、損益面の改善に役立たせたいというつもりでございます。これによりまして、開銀の役割りは漸次合理化事業団に移るわけでございますけれども、長期的に有望な会社、企業につきましては、開銀融資も継続させたいと考えております。
 その次の(2)にございますところは、小委員会の最終段階でいろいろ議論のあったところでございますが、これをもってしてもまだ資金繰りの上に不安がある、こういう実態判断に立ちまして、財政融資を考えましても、いたずらに国の融資にたよるという弊害を防止するために資金の自己調達努力をはかってもらいたいのであるけれども、これについて企業側に担保力が枯渇しておる状況から見まして、担保解除につきまして一定の条項を加えまして、これによって新たな借り入れが可能になるような道を開きたい、かような趣旨でございます。多少おわかりにくいかもしれませんが、銀行側にとって担保権の解除が得でも損でもないという状況をつくり出しまして、企業側の資金調達に役立たせたいということでございます。
 四番目には、企業の合理化努力と企業間の協力体制の確立でございます。あらゆる経営の刷新をひとつやってもらいたいということでございます。その際に鉱区の再編・調整のための企業の統合でございますとか、逆に地域別、炭種別の需給の確保のための分割でございますとか、こういうもののための分離でございますとか、あるいは需給の円滑化を確保するための共同行為の実施等につきましては、実情に即した体制の整備を行なってもらいたい。これには、必要があれば勧告をし得る制度を検討いたしたい。
 なお、労使協調の意味合いにおきまして、生産及び保安の問題、あるいは労働環境の改善等の問題につきまして、企業ごとに労使協議の場をつくることを考えたい、かようなことを申し述べております。
 五番目には、労務者対策の推進でございますが、ここに書かれておりますように、雇用の面から石炭鉱業の再建がくずれる可能性なしとしない。「生産の担い手である炭鉱労務者に対して次のような対策を行なう。」ということで、定着及び確保対策といたしましては、先ほど申しました無利子融資制度に住宅改善等の環境整備のための必要資金を対象とし得ることといたしますし、その他万般の手配りをいたしたいと思っておるわけでございます。
 なお、閉山に伴う退職者の退職金につきましては、閉山交付金による充当率を高めるということで、あとに出てまいります閉山交付金のところで考えております。なお、国が負担する閉山交付金による退職金の充足だけで足りない分につきましては、企業サイドで何らかの措置を講ずることを検討すべきであるということを申し述べております。
 離職者対策の改善につきましても、実態に即しまして、再就職の困難なものを重点にして援護の措置を考えていきたいということを申しております。
 保安対策につきましては、協議会の答申にのっとりまして、一そう指導、監督を強化するとともに、ガス抜き、密閉等の坑内骨格保安構造の整備をはかるための助成制度の創設等を言及しております。
 閉山交付金につきましては、実際いままで行なわれた閉山からの反省によりまして、もう少しく閉山交付金の単価を引き上げないと、労務者債務、一般債務等の弁済率が必ずしもよくないという実態からまいりまして、現行平均トン当たり二千四百円ぐらいのものを三千三百円程度に上げたいと考えております。鉱害債務の有無によるでこぼこもこれによって調整をいたそうと考えております。また著しい超過債務をかかえている企業が、企業ぐるみ閉山を行ないます場合には労働者、中小商工業者、鉱害被害者等にもたえがたい影響を与えるおそれがありますので、これには臨時的な割り増し制度を考えたいということでございます。
 鉱害対策につきましても、相当まだ残存鉱害がございますし、無資力鉱害の増加も予想されますので、一そう積極的に推進すべきだということを申し述べております。
 産炭地域振興対策につきましては、地方財政への援護措置をあらためて考え直すほか、今後の終閉山等にも考えまして、思い切った施策を講じたいと思っております。
 概要以上のようでございまするが、これによって五カ年間の計算をいたしますと、おおよそ四千二百億円強の経費が必要になると私どもは判断をいたしております。予算のことでございますので、毎年の予算でもって確定をいたしていくわけでございますが、大ワクにおいては大体政府部内においても御了解をいただけるものという前提でこれを進めてまいりたいと思っております。
 簡単でございますが、御報告申し上げます。
#8
○委員長(阿具根登君) 時間の約束もございますので、質問はなるべく大臣に対してお願いいたしたいと思います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#9
○大矢正君 先ほど委員長からお話がありましたとおり、大臣の都合等もあって、短時間のうちに質疑を終了しなければならぬという前提がありますので、小委員会原案の具体的な施策面については、あらためて質問をすることとして、基本的な事項についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 まず第一点は、ただいま石炭局長から説明をされました新対策を検討いたしますると、なるほど前回の答申と多少異なったといいましょうか、充実した施策の内容が盛り込まれておりますることは事実でありまするが、ただ私どもがわからないのは、石炭鉱業ないしは産業というものをどこへ持っていこうとするのか、その意味がわからないのです。もっと具体的にいうと、これだけの施策を講ずることによって、五年後の昭和四十八年度末には石炭がどういう状態になると想定をしてこの対策が生まれたのか、それがこの新対策の中には一つもあらわれてこないわけです。なるほど再度の肩がわりであるとか、あるいは補給金を引き上げるとか、保安についてはもっと積極的に取り組まなければいかぬとか、いろいろ項目は施策上並べてあるが、それじゃ五年後は一体どうなるのだということが全然不明瞭なんですね。前回の第三次答申に基づく施策の際には一応生産量、それから需要を五千万トン程度というような目標を据えてそこに施策を立てたと、こういうことになるのですが、これは柱のないところでこの石炭政策を立てたようなかっこうになって、結果としてはどうなるかということが全然あらわれてこない。大臣はこの点についてはどう思うか。ただ肩がわりをやればいい、補給金を引き上げてやればいい、それから閉山の場合の買い上げ資金を上げてやればいい、これだけが出てくるだけであって、どうなるのだということが一つもないのですよ。こんなことで石炭政策などと私は呼ぶわけにいかないと思うのです。どうですか。
#10
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございます。御案内のように、石炭鉱業の内部にはいろいろのむずかしい条件をかかえておりまするし、またそれをめぐる環境といたしましては、まさにエネルギーの革命的な変化のあらしの中にあるわけでございまして、こいねがわくは、こういった問題についての展望をちゃんと持ちまして石炭政策を立てるのが、大矢委員がおっしゃるとおり当然のわれわれの責任だと思うのでございまするが、正直に申しまして、確たる展望を自信を持って立てるというまでの自信が実のところないのであります。したがいまして、いま局長から小委員会の考え方につきまして御披露がございましたけれども、この考え方は、私どもの理解をもっていたしますならば、国の助成というものを、四千二百億という助成の限界を一ぺん想定いたしまして、そしてそれをてこといたしまして、そのワク内で労使並びに政府その他関係者が精一ぱいの努力をいたしまして、何とか石炭産業の再建の道を切り開いていこうというこの切なる願いを込めた政策でございます。したがいまして、いま御指摘の出炭規模につきましても、これから関係者がこの政策のワク内におきまして、最善の努力をすることによってどれだけの出炭が確保できるか、私どもはこの一応の助成のベースとして検討をつけた出炭の数字はございますけれども、それを下回るどころか、上回る出炭のあることをこそ希望いたしておるのでございます。
#11
○大矢正君 大臣、あなた長々と答弁されておるようだが、中身は一つもないのです。私が聞きたいと思うことに対して答弁してない。五年間で四千二百億円程度も金を使って、そして五年後には一体どうなるかということが明らかにされないで、これだけ多額の国費を使うこと自身に私どもは問題があると思うし、だからこそ新聞その他の論調を見ても、どの新聞どの世論も政府の、あるいは審議会が固めつつある答申に対して好意を持っていない。好意を持っていないというよりは理解ができ衣のですよ。で、石炭政策を立て三あたっては、やはり私は前回からも主張しているんだが、生産規模をどの程度に求めて、したがって、そのためにはどういう施策が必要か、こういう立て方をしていかないと、石炭産業というものを維持していくことはできないわけです。この小委員会の案というものは、これから五カ年間で重油あるいは原油の関税の一〇%を使う範囲内において行なえる助成の内容を示しているだけにすぎない、そうでしょう。その結果はこれだけ金をつぎ込んでみて、五年たった四十八年の年度末にこなければわからないと、こういう内容ですよ。そんなばかげたことで四千二百億円も金を使えるはずがないじゃないですか。そこが問題なんですよ。だから大臣、ある程度あなたは数字があるとか、あるいはまあこれだけ金をつぎ込んだら、結果として五年後にはどうなるという想定はある程度あるとおっしゃるなら、具体的にそれを明示してもらいたい。それがなくて四千二百億円も金が使えるはずがないのだから。五年後にどうなるかわからない。そのときのコストと販売価格と助成と合わせてみて、それでやっていけるところだけが残る、しかも残る炭鉱がどれだけ残るんだかわからないということでは、ますます混乱を増加させるだけですよ。あなた三千五百万トンという一時小委員会の中で数字の結論が出た段階で大きな動揺を来たして、基本的には労働力の流出が激しくなると心配して、その数字はなるだけ出さないように伏せておこうというように戦術転換されたのかどうかわからぬが、また逆にいえば、これだけの助成の範囲内においてやれる企業だけが残って、やれない企業は全部つぶれるんですよと、こういう前提だったら、これまた同様に混乱を起こすことになるわけです。一体その辺のところをどう締めくくりしていこうと考えておられるのか、お答え願いたい。
#12
○国務大臣(大平正芳君) たいへんくどいようでございますが、国の助成の限界をまずきめまして、これだけの金をこういう方法で差し上げますから、そのワク内で最善の努力をお願いして、生産の確保、労働力の確保ということに自主的に責任を持って御努力をいただきたい、こういう趣旨が込められているわけでございます。先ほど申しましたこの五年間に四千億円は、とうといお金を出す以上は一応の想定がなければならぬわけでございますから、私どもといたしましては、年平均四千万トン強ぐらいの数字を押えておるつもりでございます。
#13
○大矢正君 それは大臣あれですか、いまあなたは四千万トン強ぐらいの出炭が、この対策をやることによって見込まれると明確に御答弁いただいたわけですが、そのとおり受け取っていいわけですか。局長どうですか。
#14
○政府委員(中川理一郎君) 私どもは、これだけの助成を行えばどれくらいの出炭が確保できるかという想定をいたしております。これは大矢先生おっしゃいましたように、ある時点におけるコストがどれくらいであるか、売り値はどれくらいであるか、助成額が各企業にどんなふうに渡っていくか、これを個別に積み上げまして、おおよそこれぐらいのものという想定をしております。先ほどの大臣の御答弁と同様に、もし運営よろしきを得て企業が力を出してくれれば、その想定よりも多く出ることを私どもは期待しておるわけでございますが、かた目に押えたそのような判断では、大体計画期間五カ年の間に年平均四千万トン強と、ただいま大臣のお答えになりました数字を私どもは試算の前提といたしております。
#15
○大矢正君 あなたの説明と、大臣のこの考え方とちょっと合わない点があると思うのは、私は大臣がおっしゃられた四千万トン強というのは、四十八年度の時点における四千万トン強という判断を実はいたしたところが、いまの局長の答弁からいくと、五カ年間平均すると四千万トン強だということになると、たとえば四十四年度が四千六百万トン出炭があったとすれば――まあその程度のことは見込まれるのじゃないかと思うが、だとすると、五年後の四十八年になったら三千万トンぐらいまで下がる、そうしなきゃ平均四千万トン強にならないでしょう。そういうことになるという前提ですか。
#16
○政府委員(中川理一郎君) 考え方としてはそうでございます。ただ、各年度見ております数字につきましては、期近の四十四年度でももう少し落ちるかと思っております。四十八年度時点で大体三千五百万トンという前提に立った試算をいたしております。
#17
○大矢正君 通産大臣に繰り返し申し上げるようだが、考え方が非常に大きく違いがあるのですよ。国民の理解を得られない根本原因がどこにあるかと言えば、四千二百億円もの金を五カ年間で使うからには、五年後における石炭というものが、国の産業と経済の中でどういう役割りを果たすのかということが明らかにならないから問題があるとこう言うのですよ。そうじゃないですか、これならば。しかも、私企業を堅持していくとこう書いてあるのだから、そうすれば、あくまでこれは企業の救済、あるいは企業に付随する銀行の救済が前提で立てられて、その結果積算をしてみると、四十八年度にはこのぐらいになるというものを出してきているのであって、こういう考え方でいった場合には、経理状況のこれからの変化によっては、その四十八年度の結果がまだまだ生産面においてダウンするということは想定のできることですよ。だから、そうではなしに、わが国のエネルギーの一つとしての石炭は、五年後にはこういう程度の生産規模と、そうしてこういう内容を持ってわが国の経済に貢献させると、その前提でかくかくの施策を講ずるのだと、これが当然じゃないですか。基本的に石炭産業、石炭それ自身をわが国の経済や産業の中でどういう位置づけをするかということを明らかにしないで、ただ金だけは四千二百億円使いましょうということになるから、企業と銀行の救済にしかならないという批判が出るわけですよ。これを矛盾だとお思いにならないですか。金はくれてやろう、貸してやろうと、あとはどうなるか、五年たって見なければわからぬと、こういうことになりますよ、この小委員会案というのは。
#18
○国務大臣(大平正芳君) 冒頭にもお断わり申し上げましたように、あなたが言われたように、確たる展望を持ちまして、そのベースの上に石炭政策を乗せるのが本来のあり方だということは、私も重々そう考えるものでございますけれども、何さま石炭鉱業をめぐる内外の状況はたいへん不安定でございまして、五年先について確たる展望を持ちまして、それに政策のベースを乗せていくという自信が十分持てない。したがって、われわれといたしましては、この逆に、石炭がわが国の重要な固有のエネルギー資源であるということ、それは粘結炭ばかりでなく、一般炭につきましても大事なエネルギー資源でありまするし、石炭産業自体が日本の経済にとりましてはもとより、社会的にも重要な産業であるというたてまえで、何とかこれの再建の方途がつかめないかということで、幸いにいままで投資をしてまいりました特別会計に与えられた原資がございまするので、それで再建の糸口をそこからひとつ考えられまいかということで、政府の助成の限界をまず示して、そのワク内において労使その他関係者が最善の努力をお願いするという政策の立て方が、満足なものではございませんけれども、事態やむを得ないのではないか、そういう考え方に立っておるわけでございます。
#19
○大矢正君 時間がなくて質問をやめなければなりませんようでありますから、最後に二つだけお尋ねをしておきたいと思うのです。
 これは先ほど来言われておる四千二百億円程度が原重油関税の一〇%の数字になるという想定だと思うのですが、そこでこの関税収入なるものは逐次増加をしていくわけです。したがって、本年度でいえば六百億円、四十四年度が六百五十億円、あるいは四十五年が七百億円というふうに漸増していくわけですよね。その際に一番大事なことは、いま直ちにできるだけ多くの――もしかりに四千二百億円という金でこの施策を講ずるならば、いまがむしろ金が一番要る時期なんですね。そうしてその投資の効果というものが漸次あらわれてきて、将来は幾らかずつでも予算上減らしてもいいということになるわけです。ところが、その特別会計の原資というものは関税収入の限度内においてやるの、だということになると、ちょうどすれ違いになるわけですね。この問題をどう解決されるのか。たとえば一般会計なら一般会計からとりあえずは年に百億なり百五十億なりつぎ込んでおいて、将来漸増の傾向にありますから、あとからそいつを払うとか、そういうような方法を講ずるのか。そうでないと、いま炭鉱が一番困っておるときに金が一番少なくて、将来あなた方がねらっておる――山をつぶしていこうとおっしゃるのだから、そのときに金が多く集まってくるという、原資が多くなるという矛盾があるわけですよ。これをどうされるつもりか。
 それからもう一つは、従来の慣例からまいりますと、小委員会から答申が出されて、これが総合部会ないしは総会の承認を得て政府に答申ということになると思いますが、それをさらに行政当局は通産省が検討されて閣議決定という過去はそういう経路をたどってきておるわけですね。そこでこれからの石炭産業が生きていく上において一番大事なことは労働力の確保ですよ。働く人たちが、もうおれはいやだと、こんなところにいてもしようがないと言って見切りをつけられては、幾ら金を出したって石炭産業は再建できないのですよ。したがって、労働力の確保ということをいかにして講ずるかということだと思うし、それには小委員会の答申がこうだ、それから総合部会も通った、総会も通った、したがって閣議決定をぽんとやって、これを強引に押しつけるというやり方をもしやったとすれば、これは今回の場合には重大な問題が私は派生すると思いますよ。したがって、政府においても閣議決定をする場合においては、やはり十分な幅と余裕とある程度の話し合いの余地を残しておかないと、びしっときめて閣議決定をこのまま押し切っていくのだというやり方では、法律が通り予算が通っても、現実に現場における石炭の体制を確保することにはならないと思いますから、その辺を十分考えてもらわなければいかぬと思うのですが、きょうは先ほど来申しましたとおり、時間がなくて、私も残念ながらやめることにしますが、この二点についてひとつ御答弁いただきたいと思う。
#20
○国務大臣(大平正芳君) 第一点の御質疑はごもっともで、私どももそう考えております。特別会計の能力、借り入れ金の能力がございまするから、トップヘビーに金がかかっていくということについての調整は十分とっていくつもりです。
 それから第二点につきましては、仰せのとおりでございまして、政府の立場もございまするし、また私ども通産行政の立場もございまするし、国会その他の論議もございまするから、そういった建設的な御意見を取り入れて魅力のある政策にいたしまして、関係労働者に働く意欲を持っていただかなければならぬものでございますから、そういうものにしなければならないと私も決意いたしております。
#21
○小野明君 二、三お尋ねをいたしたいと思います。
 第四次案になりますが、この今回の案というのは、再びこれを修正をするというか、第五次案なるものを予想してはならぬ私は重大な事態に立ち至っておると思うのであります。そういった点から考えますときに、この第四次案なるものが内容においては若干のニュアンスの違いはありましても、第三次案とほとんど変らぬと、こういう印象しか持ち得ないのであります。それで大臣としては、この第四次案によって、今回の答申によって石炭鉱業なるものを再建できる自信がおありであるかどうか。いままでの御答弁を聞いておりますと、私も持てない。大臣が確固たる再建の自信がおありになるというなら、その根拠を伺いたい。
#22
○国務大臣(大平正芳君) 私がどう決意いたしましても、労使並びに関係者がその気になってもらわなければならないわけでございまして、先ほど大矢委員の御質疑に対して申し上げましたとおり、今度打ち出す新しい政策が関係者にとって魅力のあるものにするように、再建のベースになるように、そういう祈りをこめてやっておるわけでございまして、こいねがわくは、これが最後の政策として実りあるものになるように、私も再建に努力をせにゃならぬと、そう思うておるわけであります。
#23
○小野明君 私はこの案をお聞きをいたしまして非常に不安に思いますのは、大臣の所信表明の中にもありますように、第一に現在の出炭規模をそのまま維持できるかどうかという点に対しても展望を持ち得ない。いわばわが国の総合エネルギー政策の上におきます石炭の位置づけ、あるいは五年後を展望いたしましても、その問題がまずはっきりいたしておりません。それで若干局長の説明もお聞きをいたしたのでありますが、再建交付金が一千億程度、あるいは閉山交付金も若干伸ばす、あるいは一般炭三百円、原料炭五百円の上乗せをしていく。それならばいかなる理由によって、またいかなる炭鉱の経理の上に立ってこれが計算をされたものか、そういう答申の基礎になるものがはっきり私どもにはつかめないわけです。いわゆる大ワクというものがきまっておって、それから分けていったどんぶり勘定の再建案といいますか、そういう印象をぬぐい得ないわけなんです。そういう非科学的な第四次案なるものをこの際練り上げるなんというのは、それこそ国民の血税をむだに使うものじゃないか。企業にいたずらに金を注ぎ込んだから再建ができるかというと、そういうものではないわけですね。やっぱり前回の第三次案にいたしましても、トン当たり損益五百五十円に踏みまして、そうして五年計画で立てておる、それが倒れた。それと同じような状況を再度繰り返すだけではないかと思う。その答申の基礎になる資料がついておりませんから、その辺を言うわけにはいかないんですが、それをまず私どもに提示をいただきたい。こういういろんな、どちらの意味ともとれるような答申案ではなくて、この計画はどこから出ておる、どういう基礎に立って出されておるんだというものを私どもに御提示をいただきたい。それができる間は大臣に、私はこのやり方にむしろ問題があると思うんだが、当面のたとえば金融対策、差し迫った対策というようなものを先に承っておいて、そして最終案なるものは、さらにいまのいろんな検討をされた上で出されるのが至当ではなかろうか、このように私はこの御説明を聞いて考えるわけですが、その点、大臣並びに局長の御答弁をいただきたいと思います。
#24
○政府委員(中川理一郎君) ただいまの小野委員の御指摘はまことにごもっともなことでございまして、実は昨日の総合部会におきましても先生と同じような御議論が出ております。そこで、きょう私ども御説明しておりますのは、審議会の答申作成までの中間段階としての小委員会の思想をお取り継ぎして御説明しておるわけでございまして、昨日の総合部会でもただいまの先生の御指摘と同じような御意見が出ておりまして、次の総合部会には、いまのような御質問にお答えできるものを準備をして、再度総合部会を開こうということで、きのうのところは了しているわけでございます。審議会の状況から申しましても、ただいまの御指摘からいたしましても、私どもその時期までにおおよそのものを準備いたしまして、一回御説明をいたしたいと思います。
 小委員会の考え方は考え方として言っておりますので、ひとつ御理解をいただきたいのは、企業のコスト状況も相当ばらつきがございます。最初に大臣が申しましたように、五年後時点で考えますと、トン当たり千数百円という赤字になる、このまま進めば――という状況のものがございますので、そういったある程度不採算なものをなくして、そして今後の再建の主役となるべき会社というものについて十分な見通しが得られるという考え方で私どもは助成策を組んでおるわけでございまして、この辺のところは、たとえば管理会社あるいは非鉄金属等の兼業会社というようないろんなばらつきのあるものをはずしまして、主力九社でございますとか中小の主力になるものについては、十分今後の再建を期待し得るという数字のもとに助成策を講じているわけでございます。いずれ御要望のとおりのものをつくりまして、一回御説明申し上げたいと思っております。きょうのところは小委員会のまだ中間段階でございますので、考え方だけをお取り継ぎをいたしたわけでございます。
#25
○原田立君 今度新大臣になられて、前の大臣から引き継ぎの石炭政策について確たるお考えがおありだろうと思いますが、前の二人の委員の質問と大体同じようになる点がありますので、それは避けるとして、大臣、今度の答申によって炭鉱労務者の方々がほんとうに楽しい豊かな職場をつくり得ると、こういうふうに自信を持って今度の政策を実施なさる御決心なのかどうか、そこいら辺はどうですか。
#26
○国務大臣(大平正芳君) そうしなければ意味がないと考えております。
#27
○原田立君 そのとおりであります。ところが、いままでいろいろの第一回、第二回、第三回と提案されてきたものは、実際にはしり抜けの金融対策といってその不評を買っていることは大臣も承知だろうと思います。まして今度の第四次が最終になるわけですから、しり抜け金融対策であってはならぬと思いますが、それに対する姿勢はどうですか。
#28
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど大矢委員からも同じような御趣旨の何がありましたが、企業対策に傾斜し過ぎているという御批判も、もとより私どももよく耳にするわけでありますが、関係労働者のおしあわせを考えますと、企業がまた安定した経営を続けていく状況でなければならないし、また金融を受ける能力を持っていただかなければならぬわけでございますので、いま御指摘のようにしり抜けにならぬように、企業対策、労働対策が調和がとれて実効あるものにしたい、そういう考え方でやってまいりたいと思います。
#29
○原田立君 そういうしり抜けにならぬようにしていきたい、そうするには必ず歯どめがなければならない。いまの段階でそういうことが言えるかどうか、もし言えれば言ってもらいたいと思う。その点どうですか。
#30
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど来局長から小委員会の案の御披露もございましたが、区分経理というお話もございました。つまり今度のわれわれがやります助成が生きて、石炭産業の再建にのみ働きまして、関係者のしあわせになるように、それが還元されなければならぬ、それを保障するような石炭政策に持っていきたいと考えております。
#31
○原田立君 今度の答申について、政府は満足なものと考えているのか、精一ぱいなものとして考えているのか、その点はどうかということをお聞きしたいのですが、現実に北海道でもあるいは九州でも、炭労の諸君たちは地底にもぐり込んでいって無期限のストライキをやろうとしている。一斉下山をやろうとしている。すわり込みをやっている。こういうような切迫した問題にまで発展しているのですが、そういうような事実をどうとらえて、いかになさろうとするのか、その点どうですか。
#32
○国務大臣(大平正芳君) 政府が置かれました立場、条件のもとにおきまして、精一ぱいのことをいたすことが私どもの任務であろうと思っておるわけでございます。欲をいえばいろいろなことがございましょうけれども、与えられた条件のもとで精一ぱいなことをやる、それ以外のことはできるはずはないわけでございまして、そういうつもりで終始努力をしていきたいと思います。
#33
○原田立君 これで最後にしたいと思いますが、もう少し時間があればたくさんやりたいのですが、時間がないようですから……。
 不幸にしてこの五年間に終閉山が続発して、五年なんていかないで一年か二年であやしい、こんな感じがするわけですが、不幸にして終閉山が続発し、炭鉱離職者が多発した場合に、その離職した人たちに対して賃金とか退職金の保障がない。それで六割とか七割しかもらえなくて泣いている人が多い。今度の答申なんかにしても期待感は全然ゼロということを言う人もあります。それでそういうことがないようにしなければならぬ。これをどうなさるかということ、それから人口流出による地域帯の衰退というものは目に見えるものがありますが、こういう離職者をその県内にプールするようにしなければならぬのではないか、こう私は思う、広域職業紹介なんということで、ただ日本全国にずっと散らばせばいいじゃないかというようなことでは通らない。やはり自分の生まれたところ、長らく働いてきたところ、土地に対する執着、そういうものはみな持っているわけです。そこでやはり今後も生活していきたい。要は、たといつぶれたとしても、このあとこの地元でずっと生活していきたい。こうなってくると、そこに大き企業誘致というような問題も出てくると思うのですよ。終閉山に伴ったそういう離職者対策、あるいはまた地域地帯の充実をはかるためにも県内に離職者をプールするような施策を講じなければいけないんじゃないか。この二点についてどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいのですが、前に福岡県のほうから雇用安定法というものを出して、ぜひこれの実現方をしてもらいたいということは大臣も御承知のはずだろうと思うわけです。これらのそういう考え方ですね、これは非常に後退的なものの考え方でありますけれども、どうしてもしょうがなければそういう面も考えなきゃならぬだろうと思うのです。切実な問題なんです。それに対してどうお考えになるか、御答弁願いたいと思います。
#34
○国務大臣(大平正芳君) いま御指摘のような事態が起こらぬようにまず努力せねばならぬことは当然だと思うのでございます。不幸にして万一そういうことになりました場合の労務者対策、それから産炭地対策、それぞれについて、きめこまかく配慮していくつもりでございますが、具体的にはまた局長から答弁させます。
#35
○政府委員(中川理一郎君) ちょっと補足して申し上げます。お配りしました小委員会案のしまいから二枚目でございますが、「閉山交付金の改訂」という条項がございますが、小委員会でもいままでのところ、ただいま原田委員から御指摘の点はいろいろと検討をしてまいりました。率直に申しまして、いままでの閉山の実態から見まして、悪い場合はいま原田先生おっしゃった六割云々よりはよほど悪い事態がございまして、少なくとも退職金につきましては七割五分を確保する、国からの交付金で確保するということを基本に置きまして、一般の閉山交付金の改訂並びに特別の閉山交付金を臨時的に割り増しを行なうということによりまして、七五%程度は国から出る金で確保されるという形をひとつつくりたいというのが「閉山交付金の改訂」のところに書いてあることでございます。それからそれに関連いたしまして、残りの分をどう考えるかという点は、その前のページの「労務者の定着および確保対策」のマル2でございますが、残余につきまして、「企業サイドでも何らかの措置を講ずることを検討すべきである」ということで、いま検討を行なっておる次第であります。
 それから第二点の御指摘でございますが、小委員会案の一番最後のページをごらんいただきますと、「産炭地域における地越雇用安定対策を講ずるとともに、」ということで考えておりまして、その上のマル2のところでは、企業誘致についての考え方を掲げております。一般的にはさようなことを十分ひとつ考えてまいりたいと、こう思っておりますが、具体的提案としての福岡県の知事の御提案につきましては、公共事業の関係その他がございまして、まだ審議会としての確定的な態度をきめておりません。趣旨はわかりますけれども、方法論に相当の問題があるという感じで、いま検討を進めておる段階でございます。
#36
○須藤五郎君 第一次、第二次再建案が発表され、多額の国費が石炭産業に注入された、こういうことでありますが、すべてこれが失敗に終わってしまった。政府はこのことに対してどれだけの責任を感じておるかという質問をこの前当委員会におきましていたしましたところ、鉱山局長は、反省しておりますと、こう答えておるのですが、この何千億という国費をいわばむだづかいした責任は、一官僚の反省などということばで済まされる性質のものではないと私は思うのです。こういう立場に立ちまして、前回の再建策が企業と金融業の救済に終わったと、こういうことは皆さんもおっしゃるし、これは社会の通念になっておる。そして企業と金融業が救済されて、多数の労働者はどうなったかというと、大きな犠牲を強いられたわけです。首も切られた。そのあとに残った労働者に対しては労働強化を押しつけておる。また首切りのときの退職金すらも満足に払われていない。未払い分がたくさん残っておる。そうして今回また抜本策という問題が出てきたわけでありますが、今回の再建策を見ましても、これまた前回と同様労働者を犠牲にしまして、企業と金融機関にひたすら奉仕するという、とうてい石炭産業の抜本的な再建策とは考えられない面が多いと思うのです。必ず私は前回失敗したような同様の失敗をまた繰り返し、数年後には再びこれがまた国会に出されてくるということになる、こういうふうに考えております。そのときの責任を政府はどういうふうに考えておるのか。この前の責任は、鉱山局長が反省をいたしておりますというふうなことばで片づけておりますが、大臣決してそんな軽いものではないと思うのです、国費を数千億むだにしたということは。今度は四千億ですよ。四千億の金をつぎ込むわけですが、再びまた必ず失敗すると思うのです、こういうやり方では。そのときにどうするか。四千億という金は、炭鉱労働者が今日五万人とするならば、頭割りにしたら八百万円ですよ。月五万円の労働者として計算するならば、十五年間炭鉱企業は労働者をただ働きさせ得る、労働者に給与を払わなくてもいいと、こういう計算になってくるのです。十五年間五万人の労働者の賃金に値いする四千億の金をつぎ込むわけです。これは重大な責任があると思うのですがね。これが失敗したとき、大臣はじめ政府当局はどんな責任をとるのか、その点はひとつ大臣の心がまえとしてはっきりと伺っておきたいと思います。
#37
○国務大臣(大平正芳君) 冒頭に申し上げましたように、たいへんな空前の経済の変革期でございまして、政府並びに労使関係者の努力にもかかわりませず、いままでやってまいりました石炭政策が必ずしも満足すべき成果をあげ得なかったことはたいへん残念に思っておる次第でございます。これを踏まえてどういう責任を感ずるかという御質問でございますが、私どもといたしましては、今度の新しい政策がほんとうに石炭産業の再建に役立つようなものに精一ぱいいたしまして、国民の期待にこたえることにおいて責任を果たさなければならぬのではないかと、そう考えております。
#38
○須藤五郎君 今度の再建案に対しまして労働組合も、炭労はこれに反対していますよ。こういうものでは再建案にならないのだと、労働者の立場から反対をしておりますよ。先ほど大矢さんもおっしゃいましたが、この問題は労働者の問題から出発しないとできないですよ。だから私は、この石炭対策特別委員会の初頭から、こんなものの考え方では、おそらく将来労働力不足という点から日本の石炭産業は内部崩壊してしまうだろうという意見を最初述べてある。重ねてそういう意見をきょうここでは述べませんけれども、ところが、この再建案を見ると、労働者がみな不満を持っております。こんなことではおそらく私はまた労働力の問題からも内部崩壊する運命にあると思うのです。この前の再建案のときに私たちは反対をいたしました。反対をした理由は、あれでは再建にならない、これは金融業救済と企業救済にすぎない、労働者のためには何の役にも立たない、こういうことでは日本の石炭産業というものはほんとうの再建にならない、こういうふうに言って私たちは反対したわけです。それをあなたたちは再建抜本策だ、だいじょうぶだと言ってやったところが失敗に終わった。ところが、その失敗に終わったそれに対して政府は何らの責任もとらない。ただ一官僚が、鉱山局長が反省しておりますが、鉱山局長の反省の一言が何千億に値いするのですか。どうですか。こんなばかなことはないですよ。もっと重大な責任を感じなければならない。だから今後の四千億に対しては、ここで通産大臣は明らかにもっとはっきりと、このことの責任についてのしっかりとした答弁をしておいてほしいのです。残念でしたとか、反省しております、そんなばかなことでわれわれの税金が四千億も五千億も使われてしまったらたまったものではない。しかも労働者のためにはならない。労働組合が反対しているような政策のためにこんなばかな金が使われたのではたまったものではない。もっとはっきりと答えていただきたい。
#39
○国務大臣(大平正芳君) 石炭政策は一つでございまして、一面から見れば労働対策であり、一面から見れば経営対策であり、いろいろなものを持った総合施策でございまして、それぞれの部面から見ますと、必ずしも満足のいく政策ではないと私は思うのでございます。しかし全体といたしまして、与えられた条件の中で最善の案を考案いたしまして、それが関係者の企業努力、労働意欲を吸引するだけのものに仕上げてまいることによって国民の御期待にこたえる、ということにおいて責任を果たすのが私の任務であろうと思っておるわけでございます。先ほど御答弁申し上げたとおりの考えでございます。
#40
○須藤五郎君 満足な案ではない、通産大臣自身が考えているなら、満足な案ができるまでこんなことを急いで出さなくて、もっと満足にいく案をひとつ検討しようじゃないですか。われわれも協力しますよ。私たちはこの日本のエネルギー対策というものは、アメリカのエネルギー支配に従属しているようなこういう状態では、この石炭対策の抜本策というものは出てこないと思う。この石油に対する問題ですね、これをどう解決するかという問題、だんだんずっと七十年時代になりますと、原子力発電所の問題が大きく取り上げられて、日本の全火力発電力の三〇%を原子力発電所が占めるというのです。十年間に十三基の原子力発電所ができるというのです。これは私はこの間東海村に行って原研の人の意見を聞きましたが、これから原子力発電所がどんどんふえていく、どんどんふえてそうして石炭部門がだんだん消滅していくだろうと、こういう意見を述べておりました。でありますから、今日石炭対策を考える基本は、このエネルギー対策全般の中で石炭がどうなるかという点、それで今後石油をどうしていくかという点、これをはっきりしなければいかぬと思う。
 では、通産大臣に具体的に尋ねますが、今後この石油に対する依存度は強まっていくのですか、だんだん小さくなっていくのですか、どうですか。どういうふうに石油対策と取り組んでいこうとするのでしょうか。原子力に対する取り組みをどうしようとするのですか。この中で石炭がどういうふうになっていくのか、そこの点を私は答えていただきたい。
#41
○国務大臣(大平正芳君) 須藤さんのお考え方はごもっともでございますけれども、満足すべき条件ができて、満足すべき政策ができて、それからやろうじゃないかといいましても、石炭企業は生きておるわけでございまするから、いまの窮状を座視するに忍びませんから、私どもとしては与えられた条件の中で最善の政策を考えるのが任務だと思っております。
 それからエネルギー資源としての原子力発電による依存につきましては、御指摘のように将来相当高いものになることを予想いたしております。しかしながら、同時に固有のエネルギー資源としての石炭に対しましても、安定した期待を持たなければならない立場にありますことは御案内のとおりだと思います。
#42
○委員長(阿具根登君) 片山君。
#43
○須藤五郎君 もう一問、もう一問……。
#44
○委員長(阿具根登君) 時間がありません。約束を守ってください。切りがありませんから。
#45
○片山武夫君 きょう、大臣の所信表明があったわけであります。この中にも言われておりますが、まだ石炭鉱業審議会の最終的な答申がなされていない。いままでこういう審議会等の答申がそのまま政策として打ち出されたことは少ないわけなんです。そこでお尋ねしたいわけですけれども、今日までいろいろこの審議会の内容についての質問もこの委員会であったわけであります。きょうもたまたま局長から、いろいろ今後の問題について質問があった際にも、この中にある方針をやっていきたいといったようなことも言われているやにうかがえるわけなんですけれども、そういう意味でこの審議会の内容をそのまま政策として取り上げてやっていこうとする考えであるのかないのか、ちょっとその辺が私疑問になったのでお尋ねしたいわけですけれども、いま一つ、なぜそういうことを申し上げるかというと、審議会はこれは自主的なものであって、そして自主的に政策を樹立するのが私はこの審議会の性格であろうと思う。たまたま審議会の今日までのいろいろ審議の過程についての説明が局長からあったわけなんでありますが、それについていろいろ質問もあったかと思いますが、しかし、そういうことが審議会の自主的な審議を阻害するようなことがあってはならない。そういう意味でわれわれはこれはあまり決定的な一つの関心を持ち得ないわけなんですが、結局この答申そのものを政府が政策として具体化していこう、こういうところにあるのかないのか、その辺のところを明確にお答えをいただきたい、かように思うのです。
#46
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど大矢委員からも同趣旨の御質問がございましたが、政府が審議会に御審議をお願いいたしたわけでございまして、その答申が出ましたら、これを尊重するのは当然だと思いますが、しかしこれはあくまでも骨子、大綱でございまして、私ども政府は政府の立場がございまするし、国会その他にいろいろの御意見もございます。したがいまして、最終的な政策として仕上げてまいります道程におきましては、各方面の御意見を十分ちょうだいしながら、威力のあるものにいたしたい、こう考えております。
#47
○片山武夫君 そうしますと、ここに、「新石炭対策について」という審議会の答申があるわけなんですが、これによらないで、政府としての新しきいわゆる抜本策としての対策が出てくると、こういうふうに理解してよろしいのですか。
#48
○国務大臣(大平正芳君) よらないでという意味でなくて、政府から審議をお願いしたわけでございますから、これは尊重してまいりますのは当然だと思いまするが、これを骨子といたしまして、私どもはいろいろくふうを加えて、いい政策にいたしたいと、そういう気持ちでございます。
#49
○委員長(阿具根登君) 速記をとめてください。
  〔午前十一時二十九分速記中止〕
  〔午前十一時四十一分速記開始〕
#50
○委員長(阿具根登君) 速記を起こして。
    ―――――――――――――
#51
○委員長(阿具根登君) この際、継続調査要求についておはかりいたします。
 当面の石炭対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお要求書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#54
○委員長(阿具根登君) 次に、閉会後の委員派遣についておはかりいたします。
 当面の石炭政策に関する調査のため必要が生じた場合の委員派遣については、すべてこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
  午前十一時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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