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1949/05/16 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第19号
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1949/05/16 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第19号

#1
第005回国会 農林委員会 第19号
昭和二十四年五月十六日(月曜日)
   午前十時五十六分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○獸医師法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○競馬法の一部を改正する法律案(内
 閣送付)
○特殊勝馬投票券に関する法律案(内
 閣送付)
○競馬法の一部を改正する法律案(衆
 議院提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(楠見義男君) それではこれから農林委員会を開会いたします。本日は最初に獸医師法案を議題にいたします。この法案につきましては、予備審査の際に相当長時間に亘つて御審議を煩わしたのでありますが、その際に問題になつておりました事柄のうちで、獸医手の問題につきましては、衆議院側とその後連絡を保持しながら、修正についての案文を練つておつたのでありますが、衆議院の方で一つの修正案を作つて関係方面といろいろ折衝をいたしました結果、当初の修正案はこれを実現することは困難でございましたけれど、結局種々折衝の結果これから申上げますような修正案に落ち着いたのであります。それは獸医手に関しましてこれの救済をいたしますために、経過規定、即ち附則を修正をいたしておるのでありまして、その修正箇所を一應朗読いたしますと、
  附則中第十項の次に、第十一項及び第十二項として次の二項を加える。
 11 この法律施行の際、獸医師法等の臨時特例に関する法律第一條の規定によつて獸医手の免許を受けている者であつて、現に同法第二條の規定によつて業務として家畜の疾病に関する診療を行つているものは、この法律施行の日から一年間を限り、農林大臣の定めるところにより、第十七條の規定にかかわらず、その業務(鶏の診療の業務を含む)を行うことができる。この場合においては、第八條、第九條、第十八條から第二十一條まで、第二十八條及び第二十九條第二号から第六号まで並びに前項の規定は、獸医手に準用する。
 12 前項に規定する者は、家畜傳染病予防法(大正十一年法律第二十九号)、麻薬取締法(昭和二十三年法律第百二十三号)及び薬事法(昭和二十三年法律第百九十七号)の適用については獸医師とみなす。
   附則中第十一項を第十三項とし、以下第十四項まで順次二項ずつ繰り下げる。
   第十五項中「第七項」の下に「若しくは第十八項」を加え、同項を第十七項とする。
   第十七項の次に第十八項として次の一項を加える。
 18 この法律の附則第十一項に規定する者は、この法律の附則第四項の規定にかかわらず、この法律施行の日から一年間を限り、旧法第一條第二項第二号の獸医師試驗を受けて合格したときは、この法律の附則第六項の規定にかかわらず、獸医師國家試驗に合格しないでも、この法律の規定に從い、獸医師の免許を受けることができる。この場合においては、同條第二項第二号及び第三項の規定は、なおその効力を有する。
   第十六項を第十九項とする。
 大体この修正の趣旨は現在の獸医手につては新らしい第十一項で一年間を限つて從來通りの仕事ができる。こういうことと、これらの人々が第十八項によりまして旧法の獸医師の試驗を受けて合格した時は新法による獸医師國家試驗に合格しないでも、獸医師の免許を受けることができる。而して、獸医師の免許を受けた者は旧法により獸医師同様の待遇を受けることができる、こういう趣旨の修正條文であります。当初の修正案は五年間ということの猶予期間を設ける考え方でしたが、これがいろいろ折衝の途中において全然駄目であるというのを三年までせめて認めて貰いたいということで再折衝をし、漸くこの法案に落ち着いたという状況であります、從つて衆議院からは本院に対しましては、この修正いたしましたものを正式に回付いたして參りました。從つてこの衆議院の送付案を議題にいたしたいと思います。大体質疑も終了いたしましたので、これからこの衆議院の送付案につきまして討論に入りたいと思います。
#3
○藤野繁雄君 獸医の充実ということは我が國畜産奬励上重大なことであるのであります。而して現在の獸医師及び獸医手については、まだ知識が十分でない点もあるかと考えられますから將來においては講習、講話等の方法を以て十分なる知識を與えられてその技衡を向上し、より一層に畜産界に貢献するように努められる措置を講ぜられたいと思うのであります。次に、獸医手は今も申上げましたように我が國畜産発展上に相当の成績を收めておるのでありますから、この獸医手が獸医師の試驗を受くる場合においては特段の御考慮をお願いいたしまして、万遺憾なきを期して我が國畜産界に貢献するように努められるようにお願いしたいと思うのであります。
#4
○板野勝次君 私は大体衆議院から修正送付されました点で、獸医手が救済される途が開かれましたことは賛成なんでありますが、一方におきまして、審議会の構成の問題、更に日本のいろいろな現状からして新制大学を卒業した者のみが、受驗資格者であるということに対しては疑義がありますので、直ちに全面的にこれに賛成するということについては二、三まだ檢討の余地があると思いますので、私は採決に対してはその態度を保留して置きたい、こういうふうに考えます。
#5
○北村一男君 獸医手の問題につきましては、只今委員長から修正案の御説明がございましたが、前にも申上げましたように單に獸医手の救済策の点から考えるばかりでなく農村といたしましては只今藤野委員が申されたように獸医手は相当貢献しておるのでありまして、獸医師が山奧の不便なところに行かないような例が山沢あるのに、そういうところは獸医手が參りまして、畜産方面に非常に貢献をしておる、それから只今獸医手は農業協同組合、共済組合、それから普及技術員となつてそれぞれの道に貢献いたしておるのでありますが、こういう人たちが一年後に退職しなければならないようになりましたとき、そこに空白の状態ができる、こういうよう点から考えまして、旧法による試驗によつて獸医師となるような場合にはでき得る限り多く收容するように、ただ学術に偏した試驗ばかりやらんで、実地方面に重きを置いて試驗をやつて貰つて、この二千七百名という限られた人が十分にその職域で才能の伸ばすことのできるように希望いたしまして、民主自由党はこの修正案に賛成するものであります。
#6
○委員長(楠見義男君) 今の問題に関連しまして政府の方から発言を求められておりますから許します。
#7
○政府委員(山根東明君) 獸医手の救済の問題についていろいろ御希望があつたわけでありますが、私の方といたしましても、この問題がこの前の委員会でいろいろ議論せられまして以來、事の重要性に鑑みまして、更に具体的にこうした修正案で一年間獸医手の試驗期間或いは業務を実施し得る期間を延長せられました事情に鑑みまして、只今北村委員、藤野委員両氏から御希望がありました試驗についての配慮はいろいろ考えておるのであります。具体的に只今考えておりますのは、この期間にできるだけしばしば試驗を実施いたしたい、この法律が來年の十月一日から施行になるわけでありまして、一ケ年有三、四ケ月あるわけでありますが、その間に今年は一應七月に学科試驗、更に引続いて九月に実地試驗を予定しているわけでありますが、來年は、この試驗は予算を伴うわけでありまして、確定的なことは申上げかねますが、大体五月、七月の両回に学科試驗を実施し、更に九月頃それらの合格した人たちの実地試驗を実施して、勿論試驗でありますから、その試驗の権威を失墜するようなやり方はできないと思うのでありますが、御希望の御趣旨を十分汲み入れまして、できるだけ多く合格して貰うように、その間に講習会なり、講話会なりをできるだけしばしば実施することによつて、最後の試驗にできるだけ大多数の獸医手が救済できるようにやつて参りたいとかように考えておりますので、御承知置きをお願いします。
#8
○池田恒雄君 獸医手の期間を一ケ年間しかないということは問題だと思うのです、というのはまあ世の中が進歩しますから、大学を出た者でなければ獸医師になれないという規定は結構だと思う、只今まで獸医手であつた者がもう仕事ができないということは残酷だと思います。いい惡いは問題じやない、今までそれで勤めて來ておつたので、馬が助かつたり何かしたり結構なんです、だからそういう生き残つておる人たちを生かして行かなければならん、もう一つはこれを一年ばかりで止めさせるのは大変だ、獸医手だつて獸医師試驗をその程度の人が受けるのだからあの試驗だつて捻り鉢巻でやるのだから樂な試驗じやないのです、非常に苦労して試驗を通つて、苦労して勤めておる、一生やるつもりでやつておるのを一年でいいということは、この問題は残酷だというべきであります、だからこれをいろいろの試驗や何かで救済の方法を講ずるということを申されましたが、現業に從事しておる人はどんな簡單な試驗だつて、これは容易に通るものじやないのです。獸医手であつた人が又獸医師試驗を受けて簡單に通るものじやない、そんなわけで合法的に仕事を止めさせるということは、私は獸医師界のためにいいとか惡いとかいうのじやなくて、その人のために残酷だ、そういう法律案は通すべきじやない、こう思います。それからもう一つ例を申上げますと朝鮮弁護士が内地において資格を獲得し得るという、なんか法律案が國会を通過したことをあります。これは司法委員会かなんかで、そういう案を通過をさせたのであります。この員数は十人かそこそこであつたと思います。日本の國会は曾て朝鮮の弁護士という十人か二十人の少数の人たちのために、今までの朝鮮の弁護士も内地の弁護士の資格があるという、こういうような資格を保証する法律案を通過させておる、あれはやはりあの際、朝鮮弁護士を能めさせるのは残酷だからというのであつたと思う、だから私は農林省でもそういう條理を分つて法律を立案すべきである、農業の技術が進歩して参りますと、獸医手だけの問題だけでなく、他の農業技術の問題、養蚕技術の問題、こういう方面でもこういう問題が起つて來ると思う、こういう問題が起つた場合、いつでも古い技術者は食えようが、食えまいがかまわず、ぱつさり切つて行くような改正法律案を作つて行くことは非常に残酷だ、又北村さんが言うように空白時代が起る、それから新制大学を出たものが獸医師になつたり、農業技術員になることは結構だが、大学の名の付いたところを出たものは、百姓の門口に行つて仕事をするという氣分を起さない、これは理想としてはいいが、実際においては北村さんが御心配になるようなことがどんどん起つて行くだろう、だからそういうふうに残酷な法律というものはどうも困る。
#9
○委員長(楠見義男君) 大体御意見は終了したようでありますから、これから衆議院から送付されて参りました獸医師法を議題にいたしまして採決いたします。衆議院送付案通り御賛成の方の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#10
○委員長(楠見義男君) 多数を以て本案は可決することに決定いたします。多数意見者の御署名をお願いいたします。
 多数意見者署名
    高橋  啓  北村 一男
    平沼彌太郎  徳川 宗敬
    加賀  操  赤澤 與仁
    山崎  恒  岡村文四郎
    藤野 繁雄  石川 準吉
    星   一
#11
○委員長(楠見義男君) 尚前例通り委員長報告は委員長において適当に作成いたしますので、御一任を願います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(楠見義男君) 御異議ないと認めまして、さようにいたします。ちよつと速記を止めて……
   〔速記中止〕
#13
○委員長(楠見義男君) 速記を始めて下さい。
 それではこれから競馬法の一部を改正する法律案、及び特殊勝馬投票券に関する法律案を議題にいたします。尚競馬法の一部を改正する法律案につきましては、政府から提案せられましたものと、衆議院の原健三郎君外六名提出の法律案と、題名は同じでありますが、二つございますが、便宜上政府の方の提案を先に取扱います。先ず最初に競馬法の一部を改正する法律案と、特殊勝馬投票券に関する法律案につきまして政府からの提案理由の説明を伺うことにいたします。
#14
○政府委員(池田宇右衞門君) 只今御審議を願います競馬法の一部を改正する法律案の提出理由を御説明申上げます。
 先きに第二回國会におきまして、公正を競馬を行うため、從前の競馬法及び地方競馬法を廃止すると共にあらたに競馬法を制定し、從來日本競馬会の行なつてきた競馬を國営とし、馬匹組合又は馬匹組合連合会の行なつてきた競馬を都道府縣営又は指定市営とし、今日まで運営して参りましたが、その実績にかんがみ尚又競馬法第四十條の規定により施行後一年内に改廃の措置をとる必要もありますので、ここに次の要旨により所要の改正を加えることとしたのであります。
 第一は、競馬の公正を維持するために必要な改正を行うことであります。即ち一年以上の懲役に処せられた者は、馬主になれないこととしたこと、また指定市が行う地方競馬について農林大臣も監督することができる措置を講ずるとともに、都道府縣と指定市及び指定市相互の組合の結成を容易にいたしまして、地方競馬の秩序を維持したこと、尚又勝馬投票類以行爲の罰則及び競馬法違反の罰金を引き上げたことであります。
 第二の要点は、國営競馬の開催日数を一競馬場について、地方競馬場と同一とし、國営及び地方を通じて新たに重勝式勝馬投票法を採用して賣得金額の増大を図ろうとすることであります。その外は特権的色彩を除くことが必要であると考えられますので、無料入場の制度を廃止したことであります。
 以上がこの法律案を提出した理由の大要であります。何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことを希望する次第であります。
 次に只今御審議を願います特殊勝馬投票券に関する法律案の提出理由を御説明申し上げます。
 この法律案は國営競馬の勝馬投票券の賣得金額の増大を図るため、勝馬投票券に特殊の措置を講じ、併せて競馬法中に、このために必要な規定を設けようとするものであります。即ち、國営競馬の大競走について、賣得金総額の五割以内、一投票券の券面金額の十万倍以内において、勝馬投票の的中者について更にくじ引を行い、これに当つた者に集中的に拂戻す措置をとろうとするものであります。この勝馬投票券の発賣の事務は、適当な銀行に委託することといたしております。尚、諸般の準備の都合によりまして、施行期日については、改めてお諮りすることといたしております。
 以上がこの法律案を提出した理由の大要であります。何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことを希望する次第であります。
#15
○委員長(楠見義男君) これは御質疑に入る前に内容について事務当局の方から御説明を伺つた方が御審議に便すると思いますので、畜産局長の方から一應内容だけについての説明を伺うことにいたします。
#16
○政府委員(山根東明君) それでは私から改正案の大要について御説明をいたします。
 競馬法新旧対象表をお手許に差上げてありますので、條文の順序に從つて申上げますと、第三條第一項、現行法によりますと「國営競馬の開催は、競馬場ごとに、年二回以内とする。」となつておりますのを「國営競馬の開催は、競馬場ごとに、年三回以内とする。」但書もそういうことで一回ずつ殖やしてあります。この理由は実は御承知のように現在國営競馬場は十一ケ所あるのでありますが、いろいろな関係で現在そのうち六ケ所だけしかやつておりません。北の方から申しますと、札幌、函館をやつております。それから福島、新潟を休場いたしております。東京の近郊で府中と中山、それから西の方へ参りまして京都のいわゆる淀の競馬、それから阪神鳴尾の競馬は今中止しております。それから九州の小倉、宮崎は中止しております。以上の六ケ所をやつておるのでありまして、全体の回数といたしまして五ケ所が休場いたしておりますので、実は回收が全体的に見て十分でないということ、特にそれが回数が少いために、國庫の收入にもそれだけの何と申しますか、予定收入が上げ得ないような実情でありますし、かたがた一方馬主の経済から申しますと、最近は非常に馬の飼養経費等も高くなつておりますので、できるだけ回数を増加いたしまして賞金なりの馬主の收入を殖やすことによりまして馬主の経済の窮迫を緩和するというような趣旨から、実は年二回以内とありましたのを一回殖やして行きたいということにしたのであります。そういたしますとそれぞれの競馬場一回の開催日は、実は御承知と思いますが、八日間でありますので、三回やるということになりますと二十四日一競馬場でやるということになるわけでありますが、これは現在地方競馬では年四回やつております。それが六日間ずつ四回やつて、全体として二十四日、地方競馬の開催日数と合せるというようなことも考えてこの年二回以内とありましたのを三回としたのであります。それから第二項も同じような考え方の修正であります。
 それから第四條でありますが、現行の四條に無料入場券の規定があるのでありまして、現行では一回の競馬について二千人以内は、これは無料入場を許可することになつておりますが、先程の提案理由の説明にもありましたように、こうした特権的に扱いを除くという趣旨を以ちまして、今後の競馬におきましては從來二千人を限度として発行いたしておりました無料入場券の、この規定を削除しようという趣旨であります。それから第三項、現行法によりますと、『地方税法が施行せられるまでの間、第一項中「地方税法」とあるのは「入場税法」と、「入場税及び入場附加税」とあるのは「入場税」と読み替え、第二項の規定はこれを適用しない。』これは地方税法が施行せられるまでの間の経過規定でありましたが、これは当然に削除になるわけであります。
 それから第六條で「勝馬投票法は、單勝式、複勝式及び連勝式の三種とする。」これを改正いたしまして、「勝馬投票法は、單勝式、複勝式、連勝式及び重勝式の四種とする。」從來は單複それから連勝式、一、二等を当てるのでありましたが、この第六條で重勝式というやつをやることにしたのであります。これは今日の馬券賣場の現状は、開催時間直後、即ち朝の間は比較的賣上げが少いような関係で暇でありますので、その時間を利用いたしまして、第何競馬、何競馬のそれぞれの一等を当てるというような投票法を採用いたしたい、一競馬と三競馬はそれぞれどの馬が一等になる、二つとも当てたものにその特殊な配当をいたして行くというやり方でありまして、これがここにあります重勝式の投票法であります。七條はそれについての規定であります。今私がお話を申上げましたような事項が規定してあるのであります。八條が拂戻金額の算出方法に関する只今の重勝式の拂戻方法に関する規定であります。
 それから第十二條でありますが、これは投票無効に関する規定でありますが、從來の條文を書き直した程度のものでありまして、特に実質上大きな改正ではありませんので、省略さして頂きます。
 それから次に第十三條でありますが、これは現行法の規定によりますと、「左の各号の一に該当する者は、登録を受けることができない。禁治産者、準禁治者及び破産者であつて復権を得ない者 二 競馬法、地方競馬法、又はこの法律に違反して罰金以上の刑に処せられた者」こういう欠格條項があつたわけでありますが、この外に、これは先程改正の要点の第一に御説明いたしましたように、一年以上の懲役に処せられたる者も……、これは從來でありますと競馬法違反、或いは地方競馬法に違反した者は馬主になれないという規定でありました。外に一年以上の懲役に処せられたる者も馬主になることができない、馬主の何と申しますか、馬主がそうすることによつて競馬自体が大衆の信用を得まして、その公正を保持するということのために、こうした措置をとつたわけであります。一年といたしましたのは、一年以上の懲役ということになりますと、情状が軽くないという意味で一年を基準にしたのであります。
 次に二十條でありますが、これは地方競馬に関する開催日数の規定であります。これは実は現在では地方競馬は一回につき六日以内という建前になつておりまして、ただ上の欄にこういうような実は簡單な條文が一つそのことを規定しておるのでありますが、新たに実は從來は都道府縣の競馬があり、更に指定市の競馬がありまして、それぞれが何と申しますか、実は統制がとれてなかつた点があるのであります。同じ縣で一シーズンにそれぞれ競馬をやるとなりますと、縣といたしましては、できるだけ賣上げの多いような、例えば日曜であるとか、祭日であるとか、そういう日にやつて行きたい、ところが指定市の立場といたしましても、同じような事情があるわけでありまして、その両者の間に一つどうしても統制をとつて行かなければならない、というような趣旨から、実は新らしい地方自治法に基いて、府縣と指定市が組合を作るという場合には、その組合で以て競馬を実施して行くことができるように新らしくいたしたのでありますが、從來のただ上にありますような規定のみでありますと、その組合を作つたために、從來両者でそれぞれ六日以内年四回を限つてやつておりました回数が、両者が一つになりますと、從來の上段にあります規定だけで参りますと、組合でやれば四回で六日以内という読み方になりますが、組合を作りました場合には、組合を作らなかつた以前と同じように、それぞれが四回六日できると同じような実質を持たせなければ不都合が生じまするので、こういうような規定を詳しく書替えたわけであります。
 次に第二十一條であります。「但し都道府縣知事又は指定市の市長は、一回につき六百人以内の限度において無料入場を許可することができる。」これも國営競馬と同じような趣旨で削除いたしたのであります。
 それから二十三條、「農林大臣は都道府縣が、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反して地方競馬を作つた場合には、当該都道府縣に対し、地方競馬の停止を命ずることができる。」とありますのを、「農林大臣は都道府縣又は指定市が、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反して地方競馬を行つた場合には、当該都道府縣又は当該指定市に対し、地方競馬の停止を命ずることができる。」これは從來、先程説明にありましたように、指定市に対しましては、農林大臣の監督の権限がなかつたのでありますが、この規定によりまして、指定市に対する農林大臣の監督権を強くしまして、違反事項がありました場合には競馬の停止を農林大臣からも、できるような規定にいたしたのであります。
 次に二十四條、これは上では競走という字句を用いておりましたわけでありますが、これでは言葉の解釈上若干不都合がありますので、競馬という字句に修正いたしたのであります。
 それから二十五條は、「農林大臣は、都道府縣に対し、都道府縣知事は、指定市に対し、地方競馬の開催、終了及び会計その他必要があると認める事項について、報告をさせ又は書類及び帳簿を檢査することができる。」とありましたのを、これはやはり指定市に対しても農林大臣が直接監督権を持つために規定を改めたのであります。
 次に三十條でありますが、これは実は現行法の罰則が上の欄にありますように、「五年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処する。」違反者に対する罰則の規定を「五年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金」これは罰金額を今日の経済事情に即應いたしまして、これは十万円でありましたのを五十万円にしたのでありまして、これはいろいろな諸法律の前例を参酌いたしまして、他の法律との権衝を参酌しまして現行の十万円を五十万円にしたのであります、と同時に処罰事項の中に一号加えまして、「國営競馬又は地方競馬の競走に関し勝馬投票類似の行爲をさせて利を図つた者」これはのみ屋の取締を附加えたのであります。今ののみ屋の取締は三十一條にありまして、「三年以下の懲役若しくは五万円以下の罰金」、罰則が懲役の方において三十一條は低いのでありますが、或いは罰金の額におきましても低いのでありますが、これを三十條に移しまして、重い罰金、懲役の刑をこれに適用することにいたしたのであります。のみ屋の横行が相当弊害を現わして参つておりますので、罰則を強化したという趣旨であります。
 次に二、三の規定がありますが、三十三條、三十四條、これは現行の罰金の額を先程三十條で御説明いたしました趣旨と同様な趣旨から金額を引上げたのであります。
 それと最後に附則としまして所要の経過規定を改正法で書いておるのでありますが、「この法律は公布の日から施行する。」「この法律施行の日に現に馬主の登録を受けているものであつて第十三條第三号に該当する者については、その登録をまつ消する。」「國営競馬特別会計法(昭和二十三年法律第百五十九号)の一部を次のように改正する。第四條中「第十二條第二項及び第四項」を「第十二條第五項に改める。」「この法律施行前にした行爲に対する罰則の適用については、なお從前の例による。」これは大した内容はないのでありますが、この法律の改正法を施行するにつきましての所要の経過規定であります。
 以上で競馬法の一部を改正する法律案の改正事項についての説明を終ります。
 次に特殊勝馬投票券に関する法律案……
#17
○委員長(楠見義男君) これについては、具体的にどういうふうに動くのだということを競馬部長からお願いします。
#18
○説明員(井上綱雄君) 特殊勝馬投票券は外國でやつております……、外國と申しましても英國でありますが、スイープ・ステークスの形式にならいまして実施をしたいというのであります。スイープ・ステークスはアイルランドの病院建設のために行われておるのが一つ、それから上海で戰爭前に行われておりましたのが世界的に有名なものであります。その仕組は大体現在の日本の宝籤と同様な方法でありますが、今回法律でお願いしておりますのは、それに若干の修正を加えまして、一應馬券として購入したものを、的中者は更に籤引で賞金をかける、こういう大体の仕組であります。そういたしまして具体的に申上げますと、現在國営競馬をやつております大きなレースを対象といたすのでありますが、大体大きなレースが、この関東附近の競馬場と、京都の競馬場で七大レース、七つの大きなレースがあります。そのうち一應四レースを予定いたしまして、春秋二回ぐらいずつ考えております。最初に或る大きなレースを対象といたしまして、その出走の締切の二十日前から馬券を賣るつもりでありまして、一應その馬券の発賣金額は一億円と予定いたしております。そういたしまして、いよいよ出走になります馬が仮に二十五頭といたしますと、そのうちの一号が勝つたといたしますと、その一号の馬に的中した人が仮に一万人あるといたしますれば、一万人のうちから抽籤で以て、これは競走が済んでからでありますが、一万人のうちで一等賞に該当した者が何人、二等賞に該当したものが何人、三等賞に該当したものが何人というふうに抽籤をして予定の賞金を渡すようになるのであります。その拂戻の金額は大体四千五百万円、五千五百万円は一應政府が四割を頭から收納いたしまして、あとのその一千五百万円というものはいろいろの手数料等に取る、そういたしますと拂戻に当る金額は四千五百万円というふうに考えております。それから更に法律の内容といたしましては、券面金額の一等十万倍までの拂戻をお願いしておるのでありますが、十万倍と申しますと、仮に三十円の馬券を発賣いたしますれば、三百万円、五十円を発賣いたしますれば五百万円というふうになるわけであります。この点の十万倍というのは現在の宝籤と同様な仕組になつております。四回やりまして、そういうわけでありますから政府がとる金は直ちに一億六千万円、それからその他は手数料と、それから拂戻金に充てる、こういう仕組であります。内容は極めて簡單な法律でありまして、宝籤法とはちよつと違います点は、今申上げましたように、一應馬券として購入しまして、これは自由選択ができますが宝籤の方では最初から当るか当らないか分らない、ぴんからきりまであるのをたまたま買つて抽籤で当るのでありますが、これには一應の選択権を持たして選択できるという点が違つておるのであります。
#19
○大畠農夫雄君 お尋ねをいたします。先程政務次官の御説明の中に、一年以上の刑に処せられた騎手は乘馬することができないということがあつたんですが、これは刑の時効ということを考えておるんですか。
#20
○説明員(伊藤嘉彦君) 只今のお尋ねの点は改正法案には、騎手の問題ではなくして、馬主の問題であります。一年以上の刑に処せられた者は馬主として登録することができない……
#21
○大畠農夫雄君 先刻言われたのは馬主ではなく騎手でしよう。
#22
○政府委員(池田宇右衞門君) 先刻申上げましたのは馬主です。
#23
○説明員(伊藤嘉彦君) 時効の問題は一年以上の刑に処せられた者でありますから、刑に処せられない場合にそういう犯罪につきまして時効が完成をして刑に処せられなければ問題がありませんが、刑に処せられた者を確かうろ覚えがありますが、十年経ちますと、元元の奇麗な身になる、こういうふうに現在の刑法ではなつておりますので、結局十年経たなければ馬主にならんということであります。
#24
○北村一男君 競馬法の第一條は、外の法律でありますと、目的を書いてあるのでありますが、いきなり政府、都道府縣、若しくは指定市は競馬を行うことができるということが出ておりますが、競馬の目的をお尋ねするのは甚だ迂濶のようでありますが、併しながら今日競馬の目的をお尋ねしなければならんということは、これはいわゆる世間の常識になつております馬匹の改良というようなことを目的としておられるのか、國家財政收入に重点を置いておられるのか、その点を一つお尋ねいたしたいと存じます、と申しますのは、若しも財政收入を目的とされることに重点を置かれるならば、私はむしろこれは大藏省でやられることが本当でないかと考えております。そこで政府は競馬の目的を今どういう方面に重点を置いておられるかということを先ずお尋ねしたいと思います。
 それから最近競馬に観心を持つ者の輿論調査をした、これも政府でもすでに研究のことと思いますが、輿論を調査いたしましたら七七%は國家若しくは府縣で競馬を開催することは不適当であるというような結論が出ておりまするが、私共も過去一年の実績から見ましていずれの点に目的を置かれるにせよ國家が競馬を行うということは適当でないと私は考えております。賭博行爲とは申しませんが、これに類したことを國家が主催なさるということについては私共は賛意を表することができないし、又競馬自体から考えましてもいろいろの欠陷があつて、例えば曾ては千六百頭乃至二千頭國営競馬元の十一競馬場に出走した馬がそのくいの数がありましたのが、今國営になつてからとは申しませんが、國営に移つてから段々減りまして、八百頭内外になつておる、こういうような事実から考えましても、國家が競馬を行い、府縣で競馬を行うことは私は適当でないと考える一人でありますが、この点についての政府の御見解はどうであろうか質して置きたいと思います。
#25
○政府委員(山根東明君) 法律には御指摘のように競馬の目的を書いていないのでありますが、新らしい競馬法が目的といたしております点は、只今御指摘の二つ共の点を私共は狙つておるつもりであります。ただ單に收入を目的とするだけであれば、進んでこれは大藏省でやるべきではないかという御意見もあつたのでありますが、私共としましては、競馬を通じて我が國の馬匹の改良と言いますか、更に廣く畜産の振興をこれによつて図つて行きたいという二つの狙い、その外に小さい問題かも知れませんけれども、これが健全な娯樂として國民の明朗化と言いますか、スポーツを通じてのそうした健全娯樂の普及というようなそういう狙いも勿論若干持つていると考えておるわけでありますが、大きな狙いは御指順の両々これが一つも、いわゆる車の両輪のごとくこの二つの狙いをこの法律に持たせたいと考えておるのであります。
 次に國営でやることが適当であるかどうかという点は、それは非常に問題になるわけでありまして、この法律が國営競馬としてスタートいたしましたときから、いろいろ議論があつたわけでありまして、第四十條に、「この法律は、施行の日から一年を経過した日までに、改廃の措置をとらなければならない。」という規定が、外の法律にもないようなこうした規定が置かれておりますのも、一年間國営の形式でやつて行きまして、そうしてその間に國営が適当であるかどうかというような一つの実驗をいたしまして、一年経つた際に今一度そうした規定についても檢討をこの法律で以て私共が要請せられておつたのであります。今日になりまして私共としましては更に國営でこれを続けて行きたいという考え方を持つておりますので、新らしい法律案も、経営の主体は國で行くという考え方を採つておるわけでありますが、私共の考えとしましては、國営が最も、あらゆる前提條件を考えなければ、果して國営が適当であるかどうかにつきましては、御指摘のような氣持を私共も実は持つておるわけであります。併しながら今日これを民間で行う、例えば從來御承知のように日本競馬会がこれを施行して來たわけでありますが、そうした民間でやる場合に、一つの團体でこれを経営するということは、今日の建前上許されなくなつたわけでありまして、そういう前提下におきまして、これを今の状態におきましては、國営以外で施行するということは、遺憾ながら今日の現状におきましてはいろいろな問題が考えられまして、今日の現状におきましては尚当分國営でやるの止むない実情であるというふうな考え方をいたしておるのであります。
#26
○北村一男君 只今目的に二つの目的を以てやるということを仰せになりましたが、馬匹改良、畜産振興の面に國営競馬が如何ように役立つておるかということの具体的の事実をお示し願いたいと思うのであります。それから健全娯樂の点につきましては私は國営と民営とによつて区別があるとは考えられませんが、國営でやることによつて健全娯樂であるということはどういうことでありますか。それから過去一年の実績によりまして、それはそういう日本競馬会のようなものが一元的にやることには支障があるかも知れませんが、これは方法があると考えます。東京、中山競馬には中山競馬としての民営でやるような方法によつてそういう問題に触れなくとも済む方法があるのではないかと考えますが、過去一年そういうような、主催者が誰であるかということを暫く措きまして、國営でやつて成績が好かつたと思われる点がございましたら具体的の事実をお挙げ願いたいと思うのであります。
#27
○政府委員(山根東明君) 競馬がただ單なる財政收入の目的だけでなく、馬の改良と言いますか、畜産の振興にどういう形で寄與いたしておるかというお話でありますが、これはそれぞれの競馬における番組の編成等にそうした問題を考慮いたしましておるわけであります。具体的にどういう番組がどういう狙いを持つておるかというようなことは競馬部長から更に追加して御説明いたします。それから私は健全娯樂と言いますか、そういうことに先程ちよつと触れましたが、それはそのために國営でなければならんという趣旨で申したのではないのでありまして、お話のように國営であろうと、そうでなかろうと、私はその点はその故に國営にしなければならんというふうに考え方はいたしておりませんし、先程の私のお話がそういうふうでありましたら、その点は訂正いたして置きます。
 それから國営になつてどれだけ競馬が好くなつたかというお話でありますが、これは具体的にこういう点がどうだということは或いははつきり申上げかねるかと思うのでありますが、私共といたしましては勿論民営時代におきましても私共は監督的な地位にありまして、それが初期の目的通り競馬が行われることにつきましては、勿論最大の関心を持つて來ておつたわけでありますが、國営競馬としまして私共競馬場で働きますすべての者が役人として直接の責任で施行いたして参ります関係上、何と申しますか、些かもその間に不正なり、不明朗なり、いろいろな問題が起きないことを期する点におきましては、氣分的には少くとも最大の緊張を持つてこれに当つておるわけでありまして、馬の数が逆に却つて減つたじやないかというようなお話もあつたようでありますが、これも私共としましては、國営でやつたために減つたとは考えていないわけでありまして、成る程戰前の時代からみますと、大分減つてはおりますけれども、終戰後暫く民営でやりました当時と較べますと、必ずしも馬の数も減つていないのでありまして、むしろ逐次馬の数は殖えているような傾向を辿つておるわけであります。特に國営でどういういいところがあるかというお話になりますと、私共は今日のような現状においては、最も立派な競馬をやつて行きたいという氣持でやつて参つておりますということを一應申上げて置きます。
#28
○委員長(楠見義男君) 午前中の委員会はこの程度で休憩いたしまして、午後は一時半から開会いたします。
   午後零時十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十九分開会
#29
○委員長(楠見義男君) それでは只今より再開いたします。衆議院議員原健三郎君外六名提出の競馬法の一部を改正する法律案が去る五月十二日衆議院から送付になりましたので、この法律案を議題といたします。先ず提案者の説明を求めます。
#30
○衆議院議員(原健三郎君) 只今議題となりました競馬法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
 現行競馬法によりますと、地方競馬の主体は都道府県又は指定市だけでありまして、戰災等によつて著しく災害を受けた町村は、除外されているのでありますが、今回の改正案はこれらの町村をも地方競馬を行うことができるようにして、災害を蒙らなかつた町村或いはその程度が軽微であつた町村に比し、一層財政難に苦しむこれら町村の財源を確保し、併せて地方の明朗化を図らんとするものであります。
 從來の指定市に加うるに、指定町村を以てすることは競馬の開催回数の急増に伴う各種の弊害を予想せしめるのでありますが、五十%以上の戰災を蒙つた市町村は、合計百二十四の中、市九十六、町二十五、村四でありまして町村の数は極めて少いのであります。この極めて少い町村の中から更に内閣総理大臣の指定を受けるのでありますから、右に述べたような弊害は殆んどないと考えられます。
 尚、提案者としましては既設の競馬場を借りて数ケ町村連合して開催すればいいのではないか、又開催回数は年一回でも構わないと思つております。
 以上が提案の理由であります。何とぞ愼重御審議の上、速かに可決せられんことをお願いいたします。
#31
○委員長(楠見義男君) それでは本法案について御質疑をお願いいたします。速記を止めて。
   午後二時四分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時五十七分速記開始
#32
○委員長(楠見義男君) 速記を始めて。本日はこの程度で散会いたします。
   午後三時五十八分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   理事
           平沼彌太郎君
           石川 準吉君
           藤野 繁雄君
   委員
           大畠農夫雄君
           門田 定藏君
           北村 一男君
           高橋  啓君
           星   一君
           赤澤 與仁君
           加賀  操君
           徳川 宗敬君
           山崎  恒君
           板野 勝次君
           池田 恒雄君
           岡村文四郎君
  衆議院議員
           原 健三郎君
  政府委員
   農林政務次官 池田宇右衞門君
   農林事務官
   (畜産局長)  山根 東明君
  説明員
   農林事務官
   (畜産局畜政課
   長)      伊藤 嘉彦君
   農林事務官
   (畜産局競馬部
   長)      井上 綱雄君
ソース: 国立国会図書館
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