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1968/12/18 第60回国会 参議院 参議院会議録情報 第060回国会 決算委員会 第2号
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1968/12/18 第60回国会 参議院

参議院会議録情報 第060回国会 決算委員会 第2号

#1
第060回国会 決算委員会 第2号
昭和四十三年十二月十八日(水曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十六日
    辞任         補欠選任
     佐藤  隆君     新谷寅三郎君
 十二月十七日
    辞任         補欠選任
     新谷寅三郎君     佐藤  隆君
 十二月十八日
    辞任         補欠選任
     上林繁次郎君     二宮 文造君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         木村禧八郎君
    理 事
                佐藤  隆君
                温水 三郎君
                松井  誠君
                黒柳  明君
                高山 恒雄君
    委 員
                長田 裕二君
                亀井 善彰君
                楠  正俊君
                小枝 一雄君
                菅野 儀作君
                山本  杉君
                若林 正武君
                渡辺一太郎君
                大橋 和孝君
                小柳  勇君
                戸田 菊雄君
                矢山 有作君
                和田 静夫君
                二宮 文造君
                峯山 昭範君
                渡辺  武君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
       郵 政 大 臣  河本 敏夫君
       労 働 大 臣  原 健三郎君
   政府委員
       宮内庁次長    瓜生 順良君
       皇室経済主管   並木 四郎君
       外務政務次官   田中 六助君
       外務省条約局長  佐藤 正二君
       大蔵政務次官   沢田 一精君
       国税庁長官    亀徳 正之君
       厚生大臣官房長  戸澤 政方君
       農林政務次官   玉置 和郎君
       農林省農地局長  中野 和仁君
       通商産業政務次
       官        植木 光教君
       郵政省電波監理
       局長       石川 忠夫君
       労働大臣官房長  岡部 實夫君
       労働省労政局長  松永 正男君
   事務局側
       常任委員会専門  佐藤 忠雄君
       員
   説明員
       法務省刑事局刑
       事課長      石原 一彦君
       大蔵省理財局次
       長        谷川 寛三君
       通商産業省企業
       局参事官     井上  保君
       労働省職業安定
       局失業対策部長  上原誠之輔君
       建設省住宅局調
       査官       沢田 光英君
       自治省行政局行
       政課長      林  忠雄君
       自治省財政局地
       方債課長     山本 成美君
   参考人
       元下田町議会議
       長        山本 信一君
       中央労働福祉セ
       ンター常務理事  間宮重一郎君
       日本住宅公団総
       裁        林  敬三君
       日本住宅公団理
       事        南部 哲也君
       日本住宅公団理
       事        宮地 直邦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調
 査
 (国家財政の経理及び国有財産の管理に関する
 件)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
  〔理事松井誠君委員長席に着く〕
#2
○理事(松井誠君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、上林繁次郎君が辞任され、その補欠として、二宮文造君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(松井誠君) 委員の異動に伴い、理事が一人欠けておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○理事(松井誠君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に佐藤隆君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○理事(松井誠君) 参考人の出席要求に関する件につきましておはかりいたします。
 国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査のため、元下田町議会議長山本信一君を参考人として本日出席を求め、意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○理事(松井誠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、本調査のため、必要に応じ、政府関係機関等の役職員を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○理事(松井誠君) 御異議ないと認めます。
 なお、日時、人選等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○理事(松井誠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#9
○理事(松井誠君) 国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査を議題といたします。
 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#10
○矢山有作君 私は、きょう外務大臣に来ていただきまして、外交関係のウイーン条約に関する通信の自由の問題に関連して二、三点お伺いしたいと思いますが、お話しによりますと、他の委員会との関係があって、大臣は最後までおれないということですが、途中で退席されるにいたしましても、この問題は外交上の重要な問題であると私は考えておりますので、外務省からの御答弁をいただく場合、それは大臣みずからの答弁であると、私はこういうふうに解釈をいたしますので、そういうおつもりで外務大臣なり、外務省当局のほうからのお答えをいただきたいと思います。
 まず第一に、本論に入ります前にお尋ねしておきたいのは、国際関係において条約、国際法、確立された国際慣習法及び相互に国内法をみずから守り尊重することはもちろんですけれども、相手国に対してもこれを要求することが当然のことだと私は考えております。これに対しての外務大臣の基本的なお考えをまず承りたいと思います。
#11
○国務大臣(愛知揆一君) お答えを申し上げます前に、一言ごあいさつ申し上げます。
 十一月三十日の内閣の改造によりまして、不肖私、外務大臣を仰せつかりました。まことに微力でございますが、何とぞ今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 さて、ただいまの御質問でございますが、政府としては国際条約、これを順守することはもちろんでございますが、他の法律その他につきまして順守すると同時に、外国の機関等に対して、特に慰められた特権等以外の点につきましては、やはり国内法に従ってもらうように、こういたしますことが私は当然のことと思います。
#12
○矢山有作君 ただいまの大臣の御答弁を基礎にいたしまして、私は、具体的な問題に入ってお尋ねをしていきたいわけですが、まず第一に、事実関係を明らかにする必要があると思いますので、郵政省のほうにお尋ねをいたします。
 御案内のように、夜昼なしに日本の空に国籍不明の怪電波が乱れ飛んでおると、こういうふうに私どもは聞かされております。その発信局が国外である場合、その場合には、わが国として国内法や国際法、いずれをもってしてもその規制は不可能であります。しかしながら、その発信局が国内である場合には、国内法、国際法の実定法規に照らして、その取り締まりは可能であるはずです。また、取り締まりが可能であるだけでなしに、国内法上明らかに不法行為でありますし、また、国際法上からいうならば、不法行為だけでなしに、わが国の主権の侵害とも考えられる私は重大な問題であると思います。ところが、ふしぎなうわさが長年流れております。これはすでに三十九年の衆議院の逓信委員会でも問題として取り上げられておりますが、こうした国籍不明の電波が東京のどまん中、しかも在日公館であるらしい、そういうふうにいわれておるわけですが、その真偽のほどを伺いたい。また、在日公館からそういうような電波が発射されておるとするならば、確認された在日公館はどういうところなんであるか、それもあわせてお伺いしたいと思います。
#13
○国務大臣(河本敏夫君) お答えに入ります前に、一言ごあいさつ申し上げます。
 先般の内閣改造で郵政大臣を仰せつかりました。よろしくお願いいたします。
 さて、ただいまのお尋ねでございますが、在日公館から電波が発言されておるという事実はございます。国名もはっきりしております。
#14
○矢山有作君 在日公館から、わが国の同意を得ないで電波がかって気ままに発射されておる事実をつかんでおられるとするならば、私は、そのつかまれた事実に基づいて、どういう国の在日公館がそれをやっておるのか、そのことを郵政省が探査されて承知のはずですから、郵政省の立場からお答えを願いたいと思います。
#15
○国務大臣(河本敏夫君) 国名ははっきりいたしておりますが、これは外交上微妙な問題を含んでおりますので、旧名を申し上げていいかどうか、簡単に判断をいたしかねますので、しばらく留保をお願いしたいと思います。
 ただ、不法電波であるということにつきましては、間違いありません。
#16
○矢山有作君 外交上の問題があって、どういう国の公館がそれをやっておるかは、お答えできないそうですけれども、私が承知しておるところによれば、六ヵ国ほどの在日公館がそれをやっております。私も、外交上の問題といわれるならば、名前はわかっておりますが、あえてその名前はこの際触れないでおきたいと思いますが、郵政省がこの在日公館の不法な電波の発射をつかまれた時期はいつであったか、さらに、それをつかんだ後にどういう処置を具体的にとられたのであるか、このことを明らかにしていただきたいと思います。
#17
○国務大臣(河本敏夫君) つかまえた時期その他につきましては、後刻政府委員がお答えいたしますが、キャッチいたしましてから外務省を通じまして、相手国に対して厳重に抗議をしていただいておるはずでございます。
#18
○政府委員(石川忠夫君) つかまえた時期は三十一年ごろでございまして、三十一年から外務省に善処方のお願いの文書を出しております。
#19
○矢山有作君 三十一年ごろから大体何回ぐらいそういう事実を探知したのですか。そしてまた事実を探知したことに具体的にはどういう内容の処置をとられたのか、それを明らかにしていただきたい。
#20
○政府委員(石川忠夫君) 怪しい波がありますと、私のほうに電波荒視をやる監視部という施設が全国に九カ所ございますが、そこでこれはいろいろな波を把捉し、監視しているわけでございますが、それにつかまったのが三十一年ごろからでございまして、大体その波を継続して出しているだろうかどうかということは、毎月探査をいたしておることでございますが、確実にそこから出ておるかどうかということになりますと、やはりその場所へ行って、周囲で調べませんとはっきりいたしませんものですから、一年に一回なり、二年に一回なり移動探査ということをしております。その移動探査によりまして、大体この建物からおそらく間違いなく出ているであろうということを推測しているわけでございまして、そういった探査をいたしましたつど、確実に把捉いたしました波につきまして善処方を外務省に対してお願いの文書を出しているわけでございます。
#21
○矢山有作君 最初にそういう不法電波を探査されたのが三十一年当時、それから直ちにいまおっしゃったような措置を外務省に対してとられただろうと思うんですが、その後そういう措置をとりながらも、さらにいままで探査にひっかかっておった以外の国がそういう不法電波を出したという例はなかったですか。
#22
○政府委員(石川忠夫君) 探査のつど、少しずつ国名は変わっておりますが、大体同じ国が大部分でございます。
#23
○矢山有作君 私が調べたところによりますと、三十一年、最初不法電波を探査して、そうして外務省に対して、あなたのおっしゃるような措置をとられた。その後四十一年前後になって探査をやったところが、いままでの探査にひっかかっておらぬ外国の公館から新たに電波が発射されておるという事実もつかんでおられますね。
#24
○政府委員(石川忠夫君) そういう事実もございます。
#25
○矢山有作君 そうすると、わが国の電波法違反の措置が外国の在京公館によって行なわれておる。それに対して郵政省は外務省に善処方を申し込む。それに対して外務省は一体どういう措置をとりましたか。
#26
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま郵政大臣等から御答弁がございましたように、郵政省から外務省は通報を受けまして、詳しいことは事務当局から御説明を申し上げたいと思いますけれども、文書あるいは口頭におきまして、当該の公館に対しまして注意を喚起し、善処方を要望して今日に至っておるわけでございます。
#27
○矢山有作君 当該外国公館に対して注意を喚起したと、ところが、幾ら注意を喚起しても、不法電波の発射をやめないばかりでなしに、いままでそういうことをやっておらなかった国が新たにそういう不法電波を発射し出した。そういう事実を外務大臣どうお考えでございますか。
#28
○国務大臣(愛知揆一君) わが国の電波法から申しますると、遺憾なことであると考えております。
#29
○矢山有作君 就任早々の外務大臣の口から、条約を無視し、国際法を無視し、さらに国内法を無視された措置が外国公館によって公然ととられておる。そうしてそれに対して注意を喚起しても全然無視されておる。無視されるどころではない、いままでそういう不法電波を発射してない国が新たにそれを平然としてやり出した。こういう事態というのは私はきわめて遺憾な事態だと思いますし、日本の立場からするならば、きわめて重大な問題だと思います。外務大臣のただいまの御答弁のようなことで私は簡単に片づけられる問題ではないと。しかし、外務大臣にこの点についてはもっとあなたのお考えを聞きたいのですが、あなたは他の委員会の出席の御都合があるようですから、これから残った方であなたの意思をそのままにひとつ答弁をしていただくようによく話をされて、そうして退場していただきたいと思います。
 そこで、郵政省にお伺いをしたいのですが、郵政省は電波法によって、こうした外国の公館が電波を発射することについては明確な規定を持っておられるはずです。そこで、私はこういうような事態と電波法三条、四条、五条との関係というのはどうなるのか、この点をひとつ御説明いただきたいと思います。
#30
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほども申し上げましたように、電波法上の不法行為であることには間違いありませんが、御指摘の条文との関連につきましては、政府委員が答弁をいたします。
#31
○政府委員(石川忠夫君) ここであらためて申し上げるまでもないことでございますが、電波法によりまして、電波を発射するためには、郵政大臣の免許を受けました無線局を持って発射しなければならぬわけでございますが、この無線局を持つ場合の欠格事由として、「外国政府又はその代表者」「外国の法人又は団体」というものは欠格事由
 に入っておりますので、こういった在京の外国大公使館は電波の発射ができないということが明らかに規定されておるところでございまして、こういった外国大公使館から電波が発射されるということは、電波法に明らかに抵触するところでございます。
#32
○矢山有作君 明らかに抵触しておるにもかかわらず、それに対して有効な措置がとれないということは、この電波法の規定がまさに空文化しておるということになりますね。あなたはこういう事態に照らして電波法の規定が空文化されておるという事実を認めますか。
#33
○国務大臣(河本敏夫君) これは、そういう不法行為はキャッチしておりますが、事外交問題でもありますので、外務省から数回にわたって厳重な抗議をしていただきまして、いまなお交渉が継続しておる、こういう状態でございます。
#34
○矢山有作君 その外務省に対する善処方の要望に対して、外務省からどういう措置をとったという回答が郵政省に来ておりますか。
#35
○政府委員(石川忠夫君) 外務省から文書が参っております。
#36
○矢山有作君 内容を言ってください。
#37
○政府委員(石川忠夫君) 口上書をもって注意を喚起しておいたのでお知らせします。こういうような文書も一例として参っております。
#38
○矢山有作君 もう一ぺん。
#39
○政府委員(石川忠夫君) 一例でございますが、四十一年四月二十一日付口上書をもって下記の在京公館に対し注意を喚起いたしておいたので、お知らせします。こういう文書が参っております。
#40
○矢山有作君 外務省にお尋ねするのですが、私は、先ほど来の話を聞いておると、外務省としては、この不法電波に対して厳重抗議をした。ところが、いまの話を聞いていると、また外務省から私がいただいておる回答書によると、どうも厳重抗議というところにいくのにははるかに隔たりのある段階にとどまっているのじゃないだろうか。いままで外務省は一体何をやっているのですか。私が聞いているところでは、外務省はたび重なるその外国公館の不法電波に対して、その在京大使館に対して注意を喚起した、こういうことなんです。これは抗議という性質のものですか。ただこういうことがあって困りますなあという注意喚起というか、注意程度なんですか。それはその注意を喚起したときに、一体外務省はどういう腹がまえで注意を喚起したのですか。これは無視されてもやむを得ないという、そういう腹がまえで注意を、喚起されたのか、それともその注意の喚起に対して、向こうが正しい対応をしなければ厳重な態度をとらざるを得ないという腹を囲めて注意を喚起されたのですか。一体どうなんですか。おざなりの注意の喚起であるならば私は抗議というのに当たらないと思います。
#41
○政府委員(田中六助君) 外務省といたしましては、もちろん抗議のしかたは、口頭で抗議した場合もございますが、やはり抗議のたび重なるうちには口上書でもって抗議をしております。口上書となりますと、これはやはり外交上厳重な抗議になりますので、その精神は向こうに十分伝わっておるのは事実であると私どもは信じております。
#42
○矢山有作君 それでは外務省に伺いますが、外交関係に関する国際法は、これはまあ釈迦に説法だと思いますが、古くからの慣行を基礎にして成立したもので、ほとんどすべてが不文の法である。明確、でないところが少なくなかった。そういう不文の法を成文化し、明確化と統一化をはかろうということで六一年に、外交関係に関するウイーン会議が開かれた。そこでいわゆるウイーン条約というものが成立したわけです。そこで、わが国がこのウイーン条約を批准したのが昭和三十九年、こうなっております。また、この会議に参加した国が、私の聞いておるところでは、八十一カ国、さきに郵政省の電波法違反として善処方を外務省に申し込まれ、外務省から注意を喚起した措置をとったその国の数が、名前は伏せますが、私は六カ国あったと聞いております。その六カ国はいずれもこのウイーンの会議に参加をしておる。会議では逐条ごとに討議がされて、そして修正の上でさらに賛否が問われて本条約の成立が見られております。私はさきの六カ国の批准の有無はつまびらかには知りません。どの国がこのウイーン条約を批准し、どの国が批准をしていないかということは、大体のことは知っておりますが、正確なことはわかりません。ところで、この条約の第二十七条、通信の自由に関する条項の中で、使節団は接受国の同意を得てのみ無線送信機を設置し、かつ、使用することができる、こう規定されております。ところで、この、さきの六カ国が本条約を批准しておれば、これは明らかにこの第二十七条の違反であります。もし、また批准しておらぬ、こういたしましても、このウイーン条約の第四十一条の規定を待つまでもありません、それはいわゆる外交使節の法令尊重義務というものは、すでに確立をされた国際慣習法であろうと思います。こういう事実に明らかに違反しておるということは私は疑いないと、この点の外務省の見解を伺いたいと思います。
#43
○政府委員(田中六助君) 矢山委員も御承知のように、このウイーン条約の二十七条は、電波の使用の自由、そういうものがやはり貫かれておる精神だというふうに思っております。したがって、電波の使用の自由ということから考えますと、はたして各国が使用しておるのは違法かどうかという疑点があるわけでございます。したがって、この問題は非常に国内法との関係ですっきりしないという点がうかがえるかと思います。
#44
○矢山有作君 このウイーン条約の第二十七条が通信の自由ということを大原則にしておる。したがって、これに違反するかどうかということも一がいには言えぬと、こう言うのですか。
#45
○政府委員(田中六助君) さようでございます。
#46
○矢山有作君 それだったら、ウイーン会議のときの審議の状況というものは、あなた知らぬとは言わぬでしょうね。通信の自由の第二十七条というのは、ウイーン会議では最大の議論になった一つの点なんです。議論に議論を重ね、修正案が出され、討議を重ね、その結果、第二十七条というものができた。通信の自由を大前提としてうたっておる。しかしながら、少なくとも「無線送信機を設置し、かつ、使用するには、接受国の同意を得なければならない。」ということは、最終的に賛成五十七、棄権一、反対十二で可決された。そうするならば、この規定を批准しておる国は、少なくともこの規定を守らなければならぬというのが当然じゃありませんか。それを守らぬでもいいとあなたは言うのですか。
#47
○政府委員(田中六助君) つまり法解釈でございますので、いずれにいたしましても、二十七条の前段の項の電波の使用の自由、つまり通信の自由ということにまずウエートがございまして、 エスケープ・クローズの意味合いから、そこにそれを補足するという後半がつくのじゃないかというように思います。したがって、やはりこの二十七条に流れておる精神というものは、あくまでこの使用の自由というほうにウエートがあるというふう
 に思います。
#48
○矢山有作君 それはあなた論弁です。なるほど国によっては、電波の使用を認めておるところもあります。しかしながら、少なくともこの二十七条が国際会議の場で論議をされて、その論議の経過を考えると、批准をされた、成立をした、そうしてこれに加盟をしたということになると、その批准をし、加盟をした国に対しては、この条項がやはり生きて働くと考えなければいけないのじゃないですか。なるほど、接受国に対して、相手国から同意を求められたときに、同意を与えるか与えぬかということは、それは任意でしょう。しかしながら、少なくとも同意を求めなければならぬということが、二十七条によっての無線送信機を設置し、使用しようとするものの義務じゃありませんか。それをもあなたは否定されるのですか。
#49
○政府委員(田中六助君) たびたび申し上げますように、前半と後半とございまして、前半の精神にウエートがある――私は程度の問題を言っておるわけでございまして、前半にウェートがあるが、後半を無視しろというわけではないわけでございます。したがって、後半につきましても、了承がそれぞれ得られるならば、つまり円満なる使用法がやはりこの精神にあると思います。したがって、バイラテラルなる両方の国同士で了解が得られ、円満に使用できるならば、それはもちろん両国にとっても大切なことであり、親善関係でも重要なことであります。また、特に日本の場合は、国内法の第五条にはっきり使用を禁止しておるという関係もございますので、そういう点で私どもも相手国に抗議を申し入れておるわけでございまして、したがって、後半の部分を無視し、これを拒否するということではないわけでございます。
#50
○矢山有作君 それでは一歩譲って話をしましよう。円満に了解が得られるのそうろうのという段階じゃないのじゃないですか。ただの一度でも、無線送信機の設置について一方的な通知でもあったのですか。何にもないでしょう。全く日本の立場というものは無視し、ウイーン条約を批准しておるにかかわらず……、さらにまたウイーン条約の成立について、この条文の共同提案国になっておるのに、それをも顧みないで、全く不法に電波を使っておるのじゃないですか。これが現状なんです。それをしもあなたは、いまのような形で言い抜けをされるのですか。少なくとも二十七条に違反するということは言えないのですか、どうなんです。
#51
○政府委員(田中六助君) 二十七条にこれは明らかに違反するわけでございます。これが合法ならば私どもも抗議は申しませんし、そういう点は合法的でないというふうに考えております。
#52
○矢山有作君 二十七条違反なら違反ということをはっきり言いなさい。通信の自由が原則であるとか、無線送信機の設置がどうとかこうとか、そういう要らぬ議論は要らぬのです。私は、このウイーン条約に違反しているか違反していないかということを聞いている。言いわけを言う前に、違反しておるのなら違反しておるということをはっきり認めなさい。そして、あなたは国内法である電波法にも違反をしているということを認めますね。
#53
○政府委員(田中六助君) これが問題になるのは、国内法の第五条には違反をいたしますが、御承知のように、第三条に、条約でうたわれておる場合は、これを優先する項目が第三条にあるわけでございます。そういう点とウイーンのこの第二十七条、こういう電波の使用の自由という観点を二つ合わせますと、多少の問題が起こってくるわけでございます。したがって、い、ずれにいたしましても、国内法第五条との話が、つまり歯車がうまく合いませんので、この点の疑義が矢山委員のお突きになる焦点でございますが、私どももすっきりしてないわけでございます。したがって、まあできるだけ国内法との一致を考えたいという観点から、たびたび私どもも郵政省に対しましてこの電波法の改正をお頼みしているわけでございまして、御承知のように、アメリカやノルウェーとはすでにそういう国内法との不合理を是正しております。したがって私どもも、国民の中のそういう疑惑あるいは周波数の保護というような観点も考えまして、いろいろ指摘される点も十分考慮の上、郵政省に国内法の改正をしてほしいということはお頼みしているわけでございます。
#54
○矢山有作君 まあお役人というのはなかなか頭のいいものですから、いろいろとへ理屈をこねて自分たちのミスがなかったことを強調するんでしょうが、私はそういう姿勢はやめてもらいたいと旧いますね。で、条約で――電波法の第三条によって「電波に関し条約に別段の定があるとき」云々というものを引き合いに出されての話ですが、この第三条によって認められておるのはどこどこあるんですか。あまりたくさんないはずですよ、これは。この第三条で言い抜けの理由にはならぬ。さらに、電波法の五条に違反しているということは明らかに認められたんですが、条約との関連を言われるが、条約も、第二十七条によるならば、通信の自由は原則として認めても、無線送信機についてはこれをきびしく規制しておると私は考える。そういうようなあれやこれやの言い抜けば必要でないんじゃないですか。第三条の条約によって認められておるのはどこなんです、ひとつ参考に聞かしてください。
#55
○政府委員(田中六助君) 現在認められている国はアメリカだと思います。
#56
○矢山有作君 それは安全保障条約第六条に根拠を置いた在日米軍に対して認められておるわけでしょう。そのほかには一切ありませんよ。第三条によって認められておるのは一切ない。しかも電波法の第五条に違反しておる。しかも、ウイーン条約の二十七条では、通信の白山は大原則と前提しながらも、無線送信機の設置、使用については、ウイーン会議できわめてきびしい論議の結果、これを規制をするという条項が入れられて、そしてその条項を入れることについて、そういう趣旨の提案国になったものが、日本政府に一片の通知もなしに不法電波を発射しておる。また、ウイーン条約に加盟をしておるその国が、日本政府に一片の通知もなしに、ましていわんや同意を得ることもなしに不法電波を発射しておる。そのことをあなたは全面的に認めますね。
#57
○政府委員(田中六助君) お認めいたします。
#58
○矢山有作君 あなたはそれを認めた。そうするならば、郵政省から不法電波の発射の善処方を求められて注意を喚起した。一ぺんならず二度三度注意を喚起した。ところがその間に、いままで探査にひっかかって注意を喚起された国どころではない、それ以外の国までが不法電波を発射し出した。この現実を外務省の立場からどう考えますか。それほど日本政府というものは、国際法を無視し、条約を無視し、国内法違反をやられても注意を喚起する程度のことしか、しかもその注意の喚起を何べん踏みにじられてもいかんともしがたいほど無力なんですか。
#59
○政府委員(田中六助君) まあ無力ということは別といたしましても、先ほどから申し上げますように、国内法とそれから国際法二十七条の前段のことと、そういうようなことをかみ合わせて全面的にこれを拒否するということが、すっきりした態度でできない点が多少あるわけでございます、私先ほどからたびたび申し上げておりますが。それからもう一つ、これはこの場で言っていいかどうか疑問でございますが、矢山委員も御承知だと思いますが、わが国も、外国のまあ数カ国で、許可なくして無線送電の設置などをやっておるところがあるわけでございます。これはどういうことからやっておるかと申しますと、やはり緊急な、あるいは重大な、わが国の在留邦人などの問題などで緊急な場合があったり、あるいは国際的にたいへんなことがあるというようなときに、やはり電波をわが国に送信しなければいけない場合もあるわけでございまして、必ずしも、日本にそういう国内法の関係で疑義があることをやっておる国もあるわけでございますが、わが国も外国でそういう事例があるということもお知り願いたいというふうに思います。
#60
○矢山有作君 いまの答弁に対しては、またあらためて聞きます。
 私は、先ほど外務省から重大なことばが出たと思うのですが、この通信の自由との関連で、郵政省に対して、外務省はかねて電波法の改正を申し入れておるということなんですが、この点郵政省の考え方を聞きたい。
#61
○国務大臣(河本敏夫君) 現実の問題として、外国公館などに割り当てのできる電波の波があればいいのですがありませんので、その点でお断わりをしておるような次第でございます。
#62
○矢山有作君 外務省に聞きたいのですが、いまおっしゃったとおりですわ。この電波というのは、国際電気通信条約で各国に周波数の割り当てが行なわれておりますわね。それで電波法をあなたのほうで改正してくれと言っても、この電気通信制度を維持する立場から郵政省はそれができないと言っているわけです。郵政省ができないという態度をとっておるのに、不法電波が幾ら発射されてもどうにもしようがない。どこどこの国が不法電波を発射しても日本政府は注意を喚起する程度で、もうたいしたことはないじゃないか、これならなるべく不法電波を発射しているほうが経済的にも、あるいはあらゆるその他の面を考えても得だから、われわれも大いに国内で不法電波を発射しましょうということになって、無線通信機を各国の在京大使館が設置するということになった場合には、この無線通信制度というものが維持できるのかどうか。これに対しては大混乱が起こると私は考える。電波行政というものは崩壊すると私は考える。郵政省の意見と外務省の意見と両方聞きたい。
#63
○国務大臣(河本敏夫君) もし御指摘のようなことになれば大混乱が起こります。
#64
○政府委員(田中六助君) 外務省といたしましては、まあ全面禁止ということではなくて、審査主義と申しますか、審査した結果、そういうふうに緩和してほしいというような改正のしかたができればということを内々お頼みしているわけでございます。
#65
○矢山有作君 そうすると、またあなたおかしな問題起こりますよ。あなたのいままでの答弁聞いておると、ウイーン条約の第二十七条は、通信の自由であるという大原則を打ち出したのだ。したがって、この後段の無線送信機を設置し、使用するのに、接受国の同意がなければならないというこの条項を特別ずばりすっきり適用することができないと、こう言っておるのです。そういうときに、周波数の関係があるとはいえ、国々によってその無線送信機の設置、使用を認める国と認めない国をこしらえるということになると、これは外交上このほうが大問題なんじゃないでしょうか。
#66
○政府委員(田中六助君) つまり非常に矛盾した話を当初からしているわけでございまして、国内法とそういう国際的な問題と、それから法律解釈じゃなくて、実体面からの問題と、そういうあらゆる面からこの問題に焦点を合わせますと、どうしても矛盾したことになるわけです。
 それから、ただいま郵政大臣がおっしゃいましたように、国内法の周波数、つまり波の数が非常に限られておる、そういう点などを勘案いたしますと、全面的に何もかもすっきりしろというような、つまり一足す一を二にしろというような事態が困難なわけでございます、実体面で。したがって私どもも、そういう観点から郵政省にも十分考慮してお願いしておるわけでございます。
#67
○矢山有作君 郵政省に伺うのですが、外務省の腰というのは、いま言ったように全く抜けてしまった。それで幾ら不法電波の発射は困るといって注意を喚起する処置をとっても、依然として不法電波は発射される。そればかりではない。不法電波を発射する国の数はふえてくる。先ほど言ったように、在京の外国公館がだれもかれも日本ではこれは不法電波を発射しても差しつかえない、無線送信機の設置が許されておるのだということでこれをやり出したら、郵政省は一体どうしますか、郵政省の処置を伺いたい。
#68
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど来繰り返し御指摘のように、現在わが国の在日公館の中で不法電波を発射しておる国は六カ国あります。それに対して、外交ルートを通じてたびたび厳重に抗議をしていただいておるのでございますが、しかし、先ほど外務省のほうから御答弁のように、国際的にむずかしい問題などがあるようでございます。現在まで解決しないままたいへん遺憾でございますが、なかなかむずかしい事情が重なっておりますので、ただいままでのような経過をたどっておるわけでございます。
#69
○矢山有作君 だから郵政大臣、私が聞いたことに答えてください。どんどんその無線送信機を設置する在京の外国公館が不法電波を発射したら、無線通信制度の維持の上でどうなるのですか。たいへんなんです。これは困るとおっしゃる。だからそういう現象が起きてきたときにはどうするか。起きてこない保一証はない。何べん注意を喚起してもやめない。やめぬどころでない。新たな不法電波を発射する国が出てくる。そこのところを聞きたい。一体どうするのですか。
#70
○国務大臣(河本敏夫君) 非常に混乱することは事実でございます。
#71
○矢山有作君 そのときどうしますか。
#72
○政府委員(石川忠夫君) この不法電波は、実は御承知のとおり、こういった国際的に使われる波は短波帯でございまして、日本におきましては、昔から漁業通信が非常に盛んになっておりまして、どこの波も十分に時間を分けて使っているというような状況でございます。したがいまして、こうした在外公館から出している波もこちらでもちろん使っているわけでございますが、これが時間帯を考えたり、いろいろなことを考えて、こそこそとこうやっているというようなかっこうでございまして、これは日本の波にぶつかればこちらもだめですし、またぶつかるほうもだめになる、こういう状況になるわけでございます。いままでのところは、四六時中これは探査しておればわかることでございますけれども、ある国の波が出ているかと思うと、今度探査してみると全然出ていないということでなかなかつかまえにくい。周波数を変えたり時間を考えたり、つかまらないだろうという時間帯を調べて使うというようなことをやっているのではなかろうかというふうに推測されるわけでございます。したがいまして、これはほんとうに腰を据えて世界の各国が日本の東京でやったら大問題になる、どうしてもやめてもらわなければならぬことになるわけでございますけれども、そこまでなるには、向こうもとにかくぶつけて、自分の通信も役に立たない通信でも絶えずやるというような覚悟を持ってやらなければ、そういった事態にはならないのではなかろうか、こういうふうに思われます。御答弁になるかならないかちょっとあれでございますが、以上でございます。
#73
○矢山有作君 先のことですからわかりませんわ、そういう事態が起こるか起こらぬかは。しかし、経済的に助かることですから、やろうと思えばこれはやれるということになれば、やらぬという保証はないわけですから、そのときには郵政省全く困る、無線通信制度は崩壊する。外務省、一体そのとき私のほうはどうも注意を喚起したがしかたがないですというような事態が起こると思います。そうしてまた、こういうような条約なり、国際法なり、国際慣習法なるもので確立されたものについて、先ほどあなたの答弁にありましたが、わが国も、きわめて限られた場合であろうが、特別な場合にはそういう不法電波をわが国の在外公館が出しているのだという、そういう事例を引き合いにして、この条約や国際法をあえて無視するような態度は許されませんよ、これは。このことは、私は日本政府の今後の外交の推進の問題として、姿勢の問題として考えてもらいたい。
 そこで私は、別の点を一つ伺いたい。これは名前はあえて言いません、某国の在日大使館です。これは不法電波を出しておる。そこで、わが国のほうもその某国の大使館に、某国にあるわが国の大使館に無線通信機を設置させろという交渉をした事実がありますね。ところが、そのとき某国はそれを拒否した。拒否したというか、その某国のほうは日本にある某国のもう一つのある機関に無線送信機を設置させろ、つまり日本に二つ認めろ、日本のほうはおれの国に一つだけ認めてやろう、こういう話が出てきて、結局、この話はつかなかった。つまり日本政府は、その某国との間では相互主義によって無線送信機の設置を認める、これによって事態を解決されようとされたと思います。ところが、これが成功しなかった、そういう事実がありますね。何なら名前を出しますよ、もし否定されるなら。
#74
○政府委員(田中六助君) 私は就任早々でございまして、そういう事実があるかどうかということも実は聞いておりませんし、現在の段階では知らない状況でございます。
#75
○矢山有作君 新任早々だからわからぬと言っても、これはきわめて私は重天な問題だと思う。それでこの問題については、外務省には私はこの問題にしぼって質問するということはもう二、三日前に言ってある。そうすると、あなた方、想定問答集をつくられるでしょう。あるいはこういうこともつかまえられてしゃべられるかもしれない、こういうことを指摘されるかもしれないとわかっている。そこに来ておられる外務省の方は、だれも知らないと、そういう事実をあなた方があえて知らぬというなら、私のほうから名前を出しますよ。もし、知っているというなら名前は伏せておきましょう。もし知っているというならあとで私のところへ名前を知らせますか。
#76
○政府委員(田中六助君) 矢山委員のおっしゃるそういう事実はあるようでございますが、後半の第二の機関についてのことは、外務省では関知していないわけでございます。
#77
○矢山有作君 交渉されたんですから知らぬはずはない。
 もう一つ、日本の東京にある某国の、まあ国の機関ではないでしょうね、これは。某国のある駐在をしておる機関に対して無線送信機の設置を認めろ。そうすると、その某国は、東京の大使館と、その某国のある機関の、出先のその機関と二つ無線送信機をつけることになる。わが国はその某国の大使館に一つつけることになる。これは相互主義の原則に反するということで、日本政府は、この話はおじゃんにしてしまって、この相互主義による解決はまとまっていないわけです。そこであなた、そこのこまかいところまでは知らぬとおっしゃるのですから、調べておいてください。これはあなたのほうでどうしてもしらを切られるなら、私はその国の名前を出します。
 ところで次は、この相互主義による解決は不可能、こういうことになると、こういうような明確な国内法違反、国際条約違反、その事実はあなたは基本的には認められたわけですから、そういうことが平然として行なわれる。何べん注意を喚起しても、一片の反省すら示さないその国々に対して、一体今後この問題をどう解決するか。理論的に言うならば、解決方法はどういう解決方法が考えられるのか、このことをひとつ御説明をいただきたい。
#78
○政府委員(田中六助君) 先ほどからたびたび申し上げているわけでございますが、いままで申し上げたことを集約して多少補足いたしますと、つまり国内法である電波法の禁止の第五条と、国際法でございますウイーンのそういう条約の二十七条の電波の使用の精神というものと、必ずしも一致しないという点が第一点。そういう第一点を加味して私どもが考えられるのは、外国公館に対しまして全く無線通信機の設置、使用を認めないということはやはり問題だと思うんです。したがって、そういう点の外国との慣行、そういうものも加味しますし、またわが国が外国でやっておることも十分加味いたしますと、合理的な範囲で特定な国に、電波事情の許す限りまあ許可をしてもいいんじゃないか。もちろん郵政省、郵政大臣もおっしゃいますように、波という限られた問題がございますが、その許す範囲で許可したらいいんじゃないか。それが解決の方法だと思うんです。また、アメリカやノルウェーでも、そういう国内法との矛盾を是正しております。したがって、まあできますならばわが国もそういう矛盾の一もちろんこれは前提がございまして、その事情の許す範囲で国際的な慣行に没っていったならばいいんじゃないかという考えを持っておるわけでございます。
#79
○矢山有作君 おっしゃるとおりだろうと思います。二十七条も、外交使節が無線通信機を設置することを絶対に認めないといっているわけじゃない。認めるのには接受国の同意を得なければならぬというのですから、同意を正当に求めてくるならば、それは事情の許す限りこれは認めてやる、それによって問題の解決をはかるということは、それは私はあり得ることだと思いますし、一つの正しい方法だと私が言っておるのは、そういう条約二十七条があるのに、一片の通知もない、ましていわんや同意を求めることもなしに、全く国内法違反、ウイーン条約二十七条の精神からしても違反するようなことをやっておる。その点を私は指摘して、外務省に対して、それに対する適正な措置をとるべきではないかということを言っておるのです。だから、それはあなた郵政省と相談をして、早急にこのような違法な行為が違法のままでまかり通ることのないように処置をしなければいけぬ。しかもこの問題は、いまに始まったことじゃない。三十九年にウィーシ条約の批准をするとき、電波法の一部改正が出て、そのときに衆議院で森本靖委員から、その点は指摘されているところです。ところが四年たつのに何らの措置がとられておらぬ。措置がとられておらぬだけではない、注意の喚起のしっぱなし。喚起のしっぱなしどころではない、幾ら注意をしてもやめないだけでなしに、新しい国かまた不法電波を発射するという事態が、私はきわめて重要だと言っている。だからそれに対するあなた方の対応策というものを早急に考えるべきです。これはできるだけ早い機会に郵政省と見解の統一をはかってもらいたい。そうして統一ができたならば、私はあらためてまたこの問題についてお尋ねしたいと思う。ところが、そういうことがいまなかなか進まない、できない。また事情の許す範囲を越えて無線送信機設置の、あるいは設置使用の同意を求める話が来たとしても、許すことができない事情にある。その場合に、同意をしておらぬのに不法電波が発射されているとするならば、その場合に日本政府がとり得る外交上の理論的な方策は何ですか、第二点としてこれを伺いたい。
#80
○政府委員(田中六助君) そういうことがあくまで貫かれる、外国がそういうことを不法にあくまで貫いて、国内的にも周波数の問題が生じてどうにもならぬという事態にならなくても、少なくともそれに近い状態になれば、私どもも、いままで口上書などで厳重な抗議もしておりますし、十分強い抗議をいたします。それからやはり環境の整備ということも必要でございましょうから、委員の御指摘のように、早急に国内法との調整をはからねばなりませんので、郵政省とも十分相談をして善処したいというふうに考えます。
#81
○矢山有作君 答弁が一つところにとまっちゃ困るのです。そういう措置でなおかつ解決がつかぬ場合、さらに外交的な処理方法というものが理論的にあるはずです。それを私は聞いているわけです。その外交的な処理方法というのは、ウイーン条約を批准している、批准しておらない、さらに紛争の義務的解決に関する選択議定書を批准している国、批准していない国、それぞれによってその理論的な解決方法というものは違ってくるのかもしれません。しかしながら、いずれにしても、外務省ば専門ですから、そういうおっしゃったような措置をとっても解決できない場合の解決の理論的な方法というものは私はお持ちであろうと思う。ただそれを現実にやるかやらぬかは問題外です。そういう点で、解決方法として理論的にどういう方法があるのか、言ってください。
#82
○政府委員(田中六助君) 私の勉強足らずで理論的に幾つかの方法があるかもしれませんが、一応考えられるものとして、やはり厳重な抗議をしても、なおどうしても言うことをきかないということになりますと、やはり向こうの代表であります大公使の国外追放というようなことも一つの方法じゃないかと思いますが、それはやはり重大な問題にもなりますし、十分考慮してなさなければならない方法でございましょうが、そういうことも一つの方法じゃないかというふうに思われます。
#83
○矢山有作君 理論的な解決方法といったら、おっしゃるような方法があると思う。それはその方法については、これは私は条約に加盟をして条約を批准している国と、そうでない国というのは、おそらく扱い方が違ってくる場合があるのじゃないかと、私しろうと考えで思います。しかし、条約を少なくとも批准をし、さらに先ほど言いました紛争の義務的解決に関する選択議定書をも批准をしている当事国同士の間であるならば、私は、ウイーン条約にいう第九条のペルソナ・ノングラータ、この規定を適用する方法がある。さらにもう一つは、紛争の義務的解決に関する選択議定書による国際司法裁判所でも解決方法がある。さらに、その前段として仲裁裁判にかけるということは、あるいは調停に持ち出すという方法があるだろうと思う。理論的にはそういう方法が当事国の間にはあるんじゃないですか。さらにまた条約を批准しておらない当事国でない場合の方法としては、私はこれまた方法があると思います。その一つの方法は、このペルソナ・ノン・グラータの規定というのは、私はすでに確立された国際慣習だろうと思う。好ましからざる人に対する処置、これはすでに確立された国際慣習法だと思う。したがって、これを適用する方法というものが私はあると思います。さらに当事国でないからといって、二十七条違反でないといって逃げることは私はできないと思う。なぜかと言うならば、国内法の尊重義務というものが外交使節に、条約の明示を待つまでもなく、確立された国際慣習法としてあるはずです。そうするならば、国内の法令順守義務に違反しておるのですから、不法電波の発射は。そうするならば、国際慣習法として確立されておる。ヘルソナ・ノン・グラータを適用して解決をしていくということも一つの方法としてあると思う。さらにもっと進めて言うならば、これはあるいは相手国の同意が要るかもしれませんが、国際司法裁判所による解決方法も私はないこともないと思う。その点はどうなんですか。
#84
○政府委員(田中六助君) もちろん国際司法裁判所に条約違反、法律違反の場合は国際的には訴えるという措置があるわけでございまして、その方法もあると思います。
#85
○矢山有作君 問題は、そういうふうにこういった不法、違法な状態を幾ら注意を喚起してもやめないというならば、あるのがわかっておるのに、なぜ在京の公館に一片の注意を喚起する通告だけでやめておるのですか。なぜ直接外交ルートを通じて日本の国内法の立場、ウイーン条約の立場等等を明らかにして、明確な抗議の形をとる、それに従わないならば、やはりこちらにもそれ相応の決意があるという強い態度でなぜ解決に臨まないのですか。注意の喚起を初めてするというのなら話は別です。何べん注意を喚起しても平然として日本政府に対してナシのつぶてで、その注意を無視しておる。そういう態度をそのまま黙認するというのは間違いじゃないですか。在京公館に対する抗議だけでなしに、通告だけでなしに、なぜ外交ルートを通じて本格的な交渉をやらないのですか。
#86
○政府委員(田中六助君) 最初から申し上げておりますように、波の制限はございましても、できるならば国際的な慣行、それから両国間の親善というようなことを十分考え、そして国内法を踏んまえてそれとの関連を考えますときに、まあぎりぎりの線までは、アメリカやノルウェーが国内法を改正いたしましたように、そういう線で円満に持っていきたいという考え方がベースにあるわけでございます。したがって、その線でまず第一に解決できるところはしようという考えでいままできておるわけでございますし、将来もその考えはやはり一応持っていきたいという希望があるわけであります。しかし、御心配のように、私どもも国内のこのサイクルの問題がございますので、その点とのかみ合いがうまくいかないという結論がはっきり出ますれば、国内法とそういう国際的な調整ということは第二、第三にいたしまして、その点の配慮をするつもりでございますし、そうなれば当然国際司法裁判所に訴えることも一つの方法でしょうし、また向こうの代表を追い出すぞということも考えられるわけでございます。
#87
○矢山有作君 私が言っておるのは、あなたがおっしゃるように国際慣行、対外関係、国内法に照らして、いわゆる通信の自由というのが大前提としてある。したがって、その大前提を踏まえつつ円満な解決をはかりたい、こういうことなんだろうと思うのですが、国際慣行というのは、すでに通信の自由のこの二十七条というものは、この条約の未加盟国にとっても一つの国際慣習的なものになっていると思うのです。なぜかというと、通信の自由をどう扱うかということは、いままで各国によって違っておる。その問題を統一するためにウイーン会議で最大の論議がかわされ、たびたび修正案が出され、その論議をめぐって最終的に通信の自由というものは大原則として認めるが、しかしながら、国際的な無線通信制度の維持ということもある。それも私は一つの大きな理由だと思うのですが、そういうところから無線通信機の設置、使用については接受国の同意を得なければならぬ。同意を得ることが、いわゆる義務的にきめられたのですから、そうするならば、そういうようなことというものは、たとい条約に加盟しておらぬ国についても、すでに国際慣行的な立場から規制できると思う。したがって、単なる注意の喚起というようなことにとどまらないで、私は積極的な外交ルートを通じての解決への交渉をやってもらいたい。頭からこういうペルソナ・ノン・グラータを発動しなさいとか、国際司法裁判所にかけなさいとか、そういったことを私のほうから提案する立場にはありません。しかし、私はそんなことを言っているのじゃない。もう少し日本の外交における自主的な姿勢というものをはっきりしなさいということを言っているわけです。しかも、その日本の自主的な姿勢というものは、何も日本が不法、不当に自主性を貫こうというのじゃない。条約から、国際法から、国際慣行から、国内法に照らしてみて、日本の主張というものが正しい。正しいのであるならば、その正しい主張に基づく日本の処置に対して、これを全く無視するという態度をとる国に対しては、まず外交ルートを通じて厳重な抗議をし、交渉を積み重ねる。それで、どうしても解決がつかぬのなら、あなたがいまおっしゃったような国際司法裁判所の問題や、ペルソナ・ノン・グラータの問題が出てくる。この姿勢をはっきりして、今後対処されますかどうか。その今後の対処のしかた、それをやっていくのについてのあなたの決意を伺いたい。
#88
○政府委員(田中六助君) もちろん私どもは自主外交という至上命題は、それぞれはっきり抱いて進むつもりでございますし、その点は委員の御指摘を待つまでもなく、そういう決意でございます。特にこの問題につきましては、今後ともそういう方針で進みますが、たびたび申しますように、わが国のその電波法のたてまえが、ウイーンのそういう条約の精神に反するというような疑惑は、われわれは解釈上持っているわけでございます。したがって、そこが強い態度がとれない理由でもありますが、どうしてもわが国との関係で、現在の不法と思われる点が除去できないという時点にまいりましたら、もちろん最終的な、最後的な手段はとる決意でございます。
#89
○矢山有作君 どうもあなたの話というのは、これは重大ですよ。これはあなた何か混同して答えているのじゃないですか。わが国の国内法、電波法第五条が、このウイーン条約の精神に反するというのは、これは聞き捨てなりませんよ。そんなことじゃないでしょう。ウイーン条約というのは、通信の自由は認めておるのです。ただこの国際的な無線電信、通信制度の上からいって、無線通信機を設置する場合には、接受国の同意を得なければならぬ。同意を与えるか与えないかは、接受国との対外関係その他いろんな状態を勘案して、これは自由です。通信の自由という大前提からいうならば、この設置、使用の同意を求められた場合には、積極的に同意をしてやるということは私はいいことだと思う。別にそれをいかぬと言っているのじゃない。ところが、同意を求めなければならぬというのは、無線送信機を設置するほうの側の、使用するほうの側の義務ですよ、これは。それをやらないことが問題だと言っているのです。その同意を求めないで、不法に電波を発射していることが問題だと私は言っているのですよ。電波法五条がどうしてこの国際条約に違反するのですか。
#90
○政府委員(田中六助君) 国内法、電波法の第五条が国際法に違反するというのじゃなくて……。
#91
○矢山有作君 それは取り消しなさい。
#92
○政府委員(田中六助君) もちろん、そういう、それは取り消しますが、私の言い違いだと思うんですが、つまりこういうことなんです。国内法第五条、つまり電波法の第五条には明らかに禁止しているわけです。しかし、この点が矢山委員と少し違うのですが、ウイーン条約の二十七条の精神というものは、つまり前段に私どもはウェートを置いておると言っているわけですが、電波の使用の自由、通信の自由ということは認めているわけでございます。したがって後半に、ただ円満な解決として接受国の同意を得なければやめるというふうにいっておりますが、その二十七条の精神は、あくまで通信の自由、電波の使用の自由ということにある。したがって、そこの歯車のかみ合わせがうまくいってないから、できるならば日本の、つまり国内法の是正をしたらどうかという考えが、あるいはそういう構想がどうしてもここに残るわけでございます。したがって、それがぎりぎりの線で日本の周波数との問題が起こるならば、いろんな最後の手段をとる、とらねばならないという決意であるということを、かいつまんで申しますとそういう考えがあるということを申し述べておるわけでございます。
#93
○矢山有作君 これはきわめて技術的な法律解釈の問題に入ってきたのですがね、私はあなたと考え方が違うのですよ。というのは、電波法の三条、四条、五条、ウイーン条約の二十七条、これを関連をさしてものを考えなければいけませんよ。関連さしてものを考える限り、なるほど通信の自由というのは大きな原則としてあるでしょう。そこから見るならば、国内法というのは通信の自由を全面的に認めておらない。ある一定の規制を加えておるというところに問題があると、あなたは言うのです。ところがそれは、別段の定めを条約にした場合には、それは第五条の規制を加えるということはかまわぬことになるわけですよね。その別段の定めというのは、二十七条によって接受国の同意を得るということに関係してくるんじゃないですか。その同意も何もなしで、知らぬ顔の半兵衛で、何べん注意を喚起しても平然として使っておるこのことは、明らかにこれは間違いですよ。ですから、電波法の五条が条約に違反するのじゃない、電波法の五条は条約と照らし合わせて考えてみても何ら違反しておるところはないわけです。ただすんなりとその通信の自由というものをまるで認めていこうというのであるならば、この電波法について手を加えなきゃいかぬということになるだけです。違反だとは言えませんよ。条約違反だとは言えないわけですよ。そういう解釈をしてもらっては困る。どうなんですか。
#94
○政府委員(田中六助君) つまり法解釈でございますので、これもたびたび申し上げておるわけでございますが、つまりウエート、程度の差と考えておるわけでございまして……。
#95
○矢山有作君 程度の差じゃないよ。
#96
○政府委員(田中六助君) 法律というものは、やはりこれが成立したバックグラウンドというものがあると思います。したがって、一足す一を二にしろというようなことと実体の問題というものが食い違ってくると思う。現実にこの問題で食い違ってきておりますので、その点を私どもは考えておるわけでございます。
 それからもう一つ、過去に特定国がわが国にそういう設置の同意を求めてきたこともあるわけでございますが、その際にやはり国内法の問題で同意が得られなかった事実もあるわけでございまして、そういう点から、やはりまず最初に当面取り組むべき問題は、国内法の改正、外国の例がありますのでそれをやったらどうかということが考えられるわけでございます。
#97
○矢山有作君 もうここで幾らあなたと議論やってもしかたがないので――要するに電波法第五条は、条約に違反したものではないということ、これはもうはっきりしましたね。これは条約に違反しておるのじゃない。ただ私の言うのは、条約二十七条の通信の自由の大前提はあるが、少なくとも無線通信機を設置しようとするのには、その接受国の同意を得るということが設置、使用者側の義務なんですから、そういう方向で事態を解決する。その解決方法というのは、いままでいろいろ議論してきたところから出てくると思う。一つは、事情が許すならば電波法を改正して、同意を求められてきた場合には同意を与えて、そうして大っぴらにこれを使わせるということが一つでしょう。しかし、どうしても電波法を改正して同意を与えることができないという、そういう事態があるならば、そういう事態があるのに同意なしで不法に電波を発射しておるというならば、それはまた確立された国際慣習法やあるいはウイーン条約にのっとって事態を解決していく、こういうふうに整理をしていただきたい。それで間違いありませんか。これで質問をやめます。
#98
○政府委員(田中六助君) 全く私も根本概念としてはそのとおりでございますし、間違いないと思います。
#99
○理事(松井誠君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#100
○理事(松井誠君) 速記を始めてください。
#101
○和田静夫君 万国博覧会の進行状態の問題について、もろもろの角度からこの機会にお尋ねしておきたいと思います。
 まず最初に、立場を明らかにしておかなければなりませんが、私たちは、万国博覧会が商業見本市と化したり、あるいは軍国主義や大国主義的愛国心の宣伝の場に利用されないように早くから希望し続けてきました。そしてこの希望が満たされない場合には反対であるという意思表示もし続けてきたところです。ところが、どうも今日の状態を見てみますと、国民的な希望がいれられないままに進行されているように思われてしかたがありません。たとえば、万国博覧会は産業と文化のオリンピックとして、国際条約加盟百十四カ国のうち七十カ国の参加を予定をして膨大な宣伝費をかけて諸外国の招請に努力をしてきたというのでありますが、申し込み締切日の三月の末では、外国政府や企業団体を合わせて二十三でしがなかった。そして今日の状態は五十二カ国一政庁、こういわれているのでありますが、実情の確認と、一体今後の参加見通しはどういうふうに踏んでおられるのか、明らかにしてもらいたいと思います。
#102
○政府委員(植木光教君) 先般通産政務次官に就任いたしました植木光教でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 ただいまのお尋ねでありますが、お話しのように、十九世紀の博覧会は産業育成の目的で、諸国間の産業競争の手段として行なわれてきたのでございますが、今日の博覧会は世界貿易の拡大、国際交流の伸長、諸外国の相互理解の促進などによる世界平和の達成という大きな目的を負うているのでございます。したがいまして、日本万国博覧会も、万国博の現代的使命にこたえるべく、御承知のように、人類の進歩と調和を統一テーマとして掲げました。単なる物品の商業的な展示ではなくて、友邦諸国の産業文化の発展並びに人類の幸福と平和に貢献する世界の祭典になることを念願としているのでございます。したがいまして、政府といたしましても、協会といたしましても、内外の出展者に対しまして、かねてからこの日本万国博覧会の基調に沿う展示を行なうように強く要望してまいりました。これはあまねく徹底いたしまして、日本万博のテーマにふさわしい展示計画を有していると私どもは考えております。なお、さらに内外の民間企業に対しましても、この趣旨の徹底をはかりますように、一般規則、特別規則によりまして広告の規制など、所要の処置をとっているのが現状でございます。
 いまもう一つ御質問がございました参加見込みの状況等につきましては、参事官のほうからお答えをいたさせます。
#103
○説明員(井上保君) 現在の参加数及び今後の参加見通しにつきまして実情を申し上げます。
 現在参加いたしております国は、先生おっしゃいましたとおり、ホンコンを入れまして五十三カ国でございます。
 ここでその中を見てまいりますと、ヨーロッパ関係では、モントリオールの十八カ国に対しまして、十七カ国ということでほほ同数の参加でございます。アメリカにつきましては、特に中米がモントリオールよりも少ないというわけでございまして、前回のモントリオールは十カ国でございますが、今回は七カ国の申し込みにすぎないということであります。それからアジアでありますが、アジアにつきましては、非常にアジア諸国の協賛を得まして、モントリオールの場合は十カ国でございますが、今回はすでに十六カ国の申し込みがございます。それからアフリカでございますが、アフリカにつきましては、総計モントリオールの場合は二十一カ国でございましたが、今度の場合は、いまだ十カ国でございます。オセアニアにつきましては、ニュージーランドも初めて万博に参加するというようなことになって、モントリオールの場合にはオーストラリアだけでしたが、今回はニカ国ということであります。また、モントリオールが六十カ国でございましたが、今回はさっき申し上げましたように五十三カ国ということでございます。
 したがいまして、今後の方針といたしましては、これに落ちております大国、たとえばブラジルであるとか、スペインであるとか、イタリーでございますが、イタリーなどは、敷地の確保もできておりますので、これは予算措置が終わり次第参加してくると思います。そういう大きな国に対しまして、アジアでいいますと、マレーシアでございます。そういう国に対しまして要請を続けていくということと、それからアフリカの中部諸国、あるいはアラブ諸国、中米の諸国に対しまして、在外公館あるいは担当大臣の特使あるいはリエゾンオフィサーを出すということで努力してまいりたいと思います。それからなお小さな国の入ってきます共同館という構想を出しまして、共同で小さな国が参加してくれるということができるようなことを考えておるわけでございます。
 そういうようなことで、現在いろいろなインフォーメーションを総合いたしますと、できれば七十カ国程度にはしたいということで鋭意努力をいたしておる次第でございます。
 それから参加の申し込みの時期でございますが、これは大きなパビリオンを出してまいりまして独立の展示をいたします国でございますと、相当時日が切迫いたしておりますけれども、共同館であるとか、あるいは小さな展示館というようなところでございますれば、まだ若干の余裕があるということで、今後ラストヘビーをかけて勧誘に努力いたしたいということであります。
#104
○和田静夫君 テーマにふさわしいものになっていると御答弁になったのですが、どうも私は必ずしもそう理解ができないのであります。すなわち、過去に、いま言われたとおり幾多の万国博覧会が開かれてきました。その時代と開催国の条件に根ざして民主主義、人類愛、平和の追求をしてきたということは、言われたとおりです。ただ日本万国博覧会というのがアジアにおいてともかく初めて開催される。そうして平和憲法を持っている日本で開催をされる場合に、私は一つの意義を見出さなければならないと思います。それを重視をする必要というものを私たちは実際考えるわけです。そこで私たちは、もし特定国が初めから差別をされている、そういうことになってくると、やはりこの万国博が持つ性格というのは初めからゆがめられている、こういうふうに指摘をせざるを得ません。特定国を除外する限り、そういう意味では万国博とは認めがたい、こういうことを私たちはっとに主張もしてきたところです。政府及び協会は、特定七カ国をあらかじめ招集国から除外をしている。これはいま御答弁がありましたが、基調を無視して、政治優先の態度をやはり内外に示している、こういうふうに、ひがみではなくて、理解をせざるを得ないと、こう思うんですね。どこの国とも仲よく、より深い相互の信頼を、こういうふうに掲げられた平和の催しだといまも述べられていらっしゃいますけれども、一番身近にある中国、朝鮮、北ベトナムをはじめとして東ドイツ、アルバニアなどには招請状は送っておられません。人類の平和と幸福をうたいながら、こういう政治的な配慮を加えられる、片寄ったものに仕上げられようとされる、こういうことについては、たいへん遺憾に考えざるを得ないのです。善処をする、そういう意欲的な考え方がおありになるのかどうか。また、さきにもちろん総理答弁のあることも知ってるのでありますけれども、これらについて、新しい内閣はもう一ぺん抜本的に善処をされないかどうか、お聞きをしたいと思います。
#105
○説明員(井上保君) 万博に対します参加国に対する招請状の問題でございますけれども、これはBIE、博覧会国際事務局がございまして、万国博覧会条約というものがあるわけでございます。その条約の規定によりますと、博覧会の開催国は、外交ルートを通じて招請状を参加国へ出さなければならないということになっております。したがいまして、外交ルートが確立されていない国につきましては、招請状を出せないという条約上の規制がございます。そういうことで、条約に従ってやる一種一般博覧会であるというたてまえから、招請状を出せないということに相なっているわけでございます。
#106
○和田静夫君 規制の条約があることはもちろんわかっているわけです。わかっているからお聞きをしているのであって、問題は、いわゆる日本が平和憲法を持っておる。したがって、その平和憲法を持っておる国において、しかもアジアで初めて万国博を行なう、こういうことを前提に置きながら、規制をしているところの条約を乗り切ることの努力というものを、万国博を開催をする当事国として、政府として、一体やられたか。いままではやられた足跡がないわけです。それを乗り切る、そういう努力というものを今後に向かって、やはり既成のものに制約をされたままでいく、それ以外のことは考えられないか、そういう立場からの質問をしているのですが、たいへんこれは政治的な立場において申し上げているのであります。ひとつ次官のほうからお答え願いたいと思います。
#107
○政府委員(植木光教君) ただいま参事官のほうから申し上げましたように、条約規定の中に、外交ルートを通じて招請状を出すようにという規定がございますんで、したがって、いまお話しありましたような諸国に対しまして、わが国から招請状を出せないのはまことに残念な状況でございます。
#108
○和田静夫君 そういうような一つの規制をやはり打ち破るという努力をされなかった。そういう結果、私は、先ほど述べられた参加国のある意味では少数にとどまっているという条件に結びついてきていると考えざるを得ないと思うのです。アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国の参加がある意味では片寄って少ない、こういうふうに考えられると思うのです。それはモントリオールと比べてみて、アジアの場合にふえているのだという理解があるでしょうが、アジアで開かれる、日本で開かれる、そういう立場から考えた場合に、単に比較的にはモントリオールの場合より幾らか数字が一、二多いというだけでは、私はふえたことにならないと、こう思います。したがって、日本万国博が、先ほど申し上げましたように、どうも政治優先の、大国のデモンストレーションになっている傾向というものを指摘をせざるを得ません。したがって、そういう側面から一体どういうふうにお考えになっているのか、お伺いをしたい。
#109
○政府委員(植木光教君) 確かにアジアで初めて開かれます万国博でございます。ただ、先ほどお答え申し上げておりますように、条約の規制がございますので、また従来どの国でもそういう例もございませんので、まあ私どもとしては、たいへん残念に思っております次第でありまして、どうか御了承をいただきたいと思います。
#110
○和田静夫君 まあこれは新聞や取り寄せた資料などで判断をする限りですが、この日本万国博覧会が、やはり日本の巨大資本の産業見本市の性格の色彩が非常に強くなってきているように思います。そしてそういう批判が諸外国の報道の中でも寄せられている。これはそういう事実があらわれているわけですが、私も出展企業や出展内容を若干調べてみました。そうすると、国内の大きな資本の見本市の要素が非常に多くなってきている。その間において競争的なトラブルさえ起こっている。言ってみれば、万国博の精神というものが、わずかにシンボルゾーンに企業のワクを越えた企画を見るにすぎない、こういうふうに考えます。したがって政府は、企業の見本市と化しつつあるような――化してしまったとは言いませんが、とにかくこのまま放置すればそういう結果になると思われるようなこの万国博に、どういう具体的な指導性を発揮されるつもりなのか、伺います。
#111
○政府委員(植木光教君) 先ほど申し上げましたように、万博テーマを掲げて準備をしているわけでございますけれども、参加します各国がテーマとして選びましたものの中に、たとえばソ連でありますと、人間と自然の調和でありますとか、個人と社会の調和というようなテーマを持ち出しております。カナダが、国土と国民と精神、あるいはまたイギリスは、英国の文化、民主主義制度、生活というようなテーマで参加するということになっております。それから国内の出展参加でございますけれども、これもその掲げておりますテーマは、たとえば三洋電機のグループが、日本の心であります。松下電器産業が、伝統と開発でありますとか、その他いろいろのテーマで参加することになっております。お説のように、確かに大きな企業が多いという状況でございますが、まあできるだけ小さい企業も参加できますように、私どもとしては現在も努力をしているところでございます。
#112
○和田静夫君 およそ国家の関与する国際行事は、そういう一握りのものの独走で進められるべきことでないことは、これはもう明らかだし、国民が一体、たとえば万国博に何を求めているのか、あるいは社会が一体必要としているのかどうか、その上に国内外の情勢が何をいま求めているのか、そういうことをしっかり踏まえなければならないと私は思いますが、ところが万国博は、後ほど入場料等の問題でも聞きたいと思うのですが、どうも国民不在のままで提議もされたし、進められてきて三年も経過をする。とりわけ協会の構成を見てみると、その感を深くせざるを得ないのです。たとえば金融業者、旅行観光業者、広告業者、業者と言ってしまったら怒られるような方々でしょうが、言ってみれば、職種別に見ればそういう万国博受益業者の出向者によって構成をされている以上、私は強い指導性をその協会に望むべくもない。そうすると、それを指導される政府の側がもっと万国博のテーマの実現について真剣な指導、いわゆる「人類の進歩と調和」という大テーマにふさわしい運営面の構成というものを考える必要があるのではないか、こういうふうに思うのです。したがって、その運営面の構成の変更、それらについてお考えになる余地があるかどうか、伺いたいと思います。
#113
○説明員(井上保君) 万国博覧会の民間の出展の状況でございますが、これはシンボルゾーンが今度の万国博覧会の最も代表的な部分であって、そこで博覧会の意義であるとか、目的であるとか、希望であるとか、そういうものを表現いたしておるわけでございます。そのテーマの選定にあたりましては、東大の元総長でいらっしゃいます茅先生をはじめ、学識経験者の方に集まっていただきまして、そこでテーマを検討いたしたわけでございます。テーマに従いまして、各民間企業あるいは各国の政府館等がそのテーマを理解し、そのテーマの精神にのっとりまして展示をしていくということに相なっておるわけでございます。従来の万国博覧会の経緯から見まして、相当大がかりな大きな金がかかるような施設があります関係で、出てまいります民間の企業の各パビリオンの数からいきますと、どうしても大企業中心ということになりまして、中小企業等につきましても、それぞれ合同で合同館をつくるということで、その万博のきめたテーマのもとでパビリオンをつくるということになっております。
 それから万博の協会の人事構成でございますが、博覧会は仕事の内容が非常に多岐でございまして、非常に大きな広い分野の仕事があるわけでございます。そういう関係で、それぞれの分野のエキスパートの方に入っていただく必要があるというようなことがございまして、実際の運営の必要上、そういう人が入っているということは事実かと思います。
 それから一般の国民不在ということでございますが、従来からいろいろな博覧会の、たとえば今度は歌をつくるとかというようないろいろのことを考えておりますが、そういう場合にも、一般の公募を今後もなるたけ多く取り入れていきたいというふうに考えております。それからまた、いろいろなイメージなりあるいは意見を伺う場合でも、学識経験者だけでなくて、国民の各世代によりまして、二十代の方、三十代の方というような方に集まっていただきまして、いろいろと各層の意見を聞くというようなことで、なるたけ広く国民の各層の意見が入るように、各年代の意見が入るというようなことを絶えず考えて行なっております。
#114
○和田静夫君 その問題は、一般の公募が行なわれていろいろのアイデアが出てくると思うのです。それを受ける側の、先ほど申したことに対する答弁が漏れているのですが、協会のいわゆる構成、それらを受けとめる側の構成がすでに一方に片寄ってしまっているのですから、後ほども述べたいと思うのですが、たとえば広島にあるところのあの原爆被害の記念館そのままをもう一ぺん再構成する、こういう形の私たちの希望が受け入れられるような構成になっていませんよね。したがって、その構成というものを変えるおつもりはないかということをいまお聞きしているわけです。
#115
○説明員(井上保君) いまちょっと申し落としましたが、そういう協会なり政府部内で各エキスパートの方に集まっていただいて検討しておるわけでありますが、そのまた下部機構といいますか、その相談、諮問機関というものがあるわけでございまして、そこに学識経験者にお集まり願いまして、そこで十分に検討していただきましてそれを実施していくというようなかっこうになっているわけでございます。たとえばそのテーマ館の展示につきましても、実際のことはプロデューサーの岡本先生がやっておられますけれども、テーマ委員会のメンバーの方々がテーマ館の展示についてはいろいろと意見を持っておられるということでございまして、協会の役員なり協会の職員なりが直ちにそのいろいろな展示その他について決定をしておるという実態ではございません。やはり非常に広い範囲の方々の御意見に基づきましていろいろと準備を進めておるというのが実情でございます。
#116
○和田静夫君 しかし、その上層部でもって最後にチェックされるということは間違いありませんね。いろいろなことを言われますけれども、その下のほうに決定権があるわけではないですから、その辺のことを述べているわけなんですよ。したがって、先ほどから述べていますように、各多くの会場で博覧会が開かれてきまして、そのすべてを知悉しているわけではありませんが、たとえば第一回のパリではピカソの「ゲルニカ」に代表される強力な反戦平和のアピール、あるいはニューヨークではデモクラシー擁護、昨年のモントリオールでは、たとえばイスラエル館のナチのユダヤ迫害の歴史的事実の復元、あるいは子供の日、婦人の日、黒人の日などの開催、あるいは国際詩人会議、国際学術会議の開催、あるいはソ連館の小学生から大学生に至る教科書、生活実態の展示などなど、人類の平和と進歩に寄与する催しが開かれていることは御在じのとおりです。ところが、今回の万国博は、先ほども言ったように、ツンボルゾーンのみ万国博テーマの「人類の進歩と調和」を表現する部分がわずかに企画されているだけで、たとえば労働者、平和愛好者が熱望する原爆をテーマとした平和館の構想を過去から何べんも要求し続けてきましたが、きわめて消極的であると聞いております。私は一九六一年に日本の平和運動を代表してヨーロッパやその他十数カ国を回ったのでございますが、そこで多くの友人をつくりました。その多くの友人は決して私と同様の社会主義者ではありません。日本にいた宣教師の方、そういうような方々が広島の原爆記念館を見て、そうして、私たちが携えていった被害のパネルを見てそういうような運動の必要性を実は感じられて、NATOの中核であるところの西ドイツとかその他の国々で実は平和のための運動を組織されておるわけです。したがって、私は、そういう意味からいっても、日本で開かれるところの万国博覧会では、過去に三回も悲劇的ないわゆる核爆弾の洗礼を受けたこの実情というものを多く内外に知ってもらう、そういう機会の一つでもあろうと思うのです。したがって、平和を希求する全人類の願いを示す、そういう意味における平和記念館というものは、私は、どんなことがあっても、この日本における万国博なるがゆえにつくり上げていただきたい、そういうふうに思いますが、その努力をする御用意があるかどうか承りたいと思いますが、その努力をする御用意があるかないか承りたい。
#117
○政府委員(植木光教君) お話しのように、日本は原子爆弾の悲劇を経験をいたしまして、常に核兵器の禁止を世界に主張してきた国でございます。したがいまして、日本万国博の日本館にこの原爆関係を含みます原子力展示を行なう方針できわめて積極的に調査研究を進めてまいったのでございます。目下愛知芸術大学の教授であります河野鷹司先生を中心といたしまして原子力展示のデザイン設計を行なっておりまして、これが近く成案を得る予定でございます。したがって、これが万国博の場にふさわしいものでありましたならば、ぜひ日本館に展示をいたしたい、こう考えております。また協会のほうでも独自にテーマ展示の一部といたしまして、戦争と平和の展示を企画をしておられます。この部分にも原爆に関連したものがあることになるかもしれません。私どもといたしましては、先ほど申し上げました日本館のものとよく調整をしたい、こういうふうに考えております。したがって、結果によりましては、政府館または協会のテーマ展示館のいずれかにおいて統合展示を行なうかもしれないというような状況でございます。
#118
○和田静夫君 いまの御答弁は、私が申し上げた趣旨のものを十分に含んでいる、こういうふうに理解をしてよろしいですか。
#119
○政府委員(植木光教君) 先ほど申しましたように、日本は原爆被爆国でございまして、私どもとしては常にこの原爆の禁止に対しましては意欲的な精力的な取り組み方をしております。そういう趣旨を踏まえ、また万国博の場にふさわしいものというような観点から展示をいたしたいと、こういう方針でございます。
#120
○和田静夫君 いまいろいろの調査研究をされていらっしゃるそうでありますが、とにかく私が申し上げたような趣旨のことが生きる。しかも、それは独立したやはり平和館というような形で生きるということでもってその検討を加えられるようなことをこの機会に要望しておきたいと思うのです。なぜこういうことを私は申し上げるかと言いますと、すでにやめられた外務大臣でありますから多くのことを言いませんけれども、どうもその私が言っている考え方とは反対の方向に動いているような感じがしてしかたがありません。たとえば三木前外務大臣がニューヨークの日本クラブと日本商工会議所共催の夕食会、御存じのとおり、十月一日の夜の演説会がこのことを明確に物語っていると思うのです。すなわち、いわゆる七十年安保危機は沖繩問題もからんで六十年当時以上と心配する向きもあろう、しかし現行条約はほうっておけば七十年以降も自動的に継続し、反対陣営はその運動を盛り上げる山となる時点をつかめないはずである、七十年は安保危機ではなく大阪万博の成功に努力する年となろう、こういうような形で実は述べられているのであります。したがって、何か安保改定反対の戦いをムード的に一変する。そのために一九七〇年の万国博は性格づけられる、こういう形のことを語るに落ちて実はニューヨークで、国内でないものだから安心感を持ちながらしゃべられたような気がして私はならない。そこにこそ実は危険性がある。したがって私は、どうしても忘れてもらいたくないのは、この万国博は国民の血税によってまかなわれている、このことをやはり忘れていただいては困る。大企業の商業見本市化して万国博の性格がねじ曲げられる、そういうことのないためにも、いま私が前段申し上げたような形でのこの真摯な御検討というものをお願いをしておかなければならないと、こう思うのです。
 そこで、それらとの関係で一つたいへん心配になるのは、一部の地域や学校では万国博見学のための強制貯金がすでに行なわれ始めている。政府はこのような一体指導を行なっていらっしゃるのかどうか。何か人的動員を含んで、いま言ったような学童の動員を含んで三千万人から五千万人というようなお祭り騒ぎを盛り上げる、三木さんのニューヨークで述べられたところのことばとの関係ではそういうことになるのですけれども、そういうようなところに目がいっているがゆえに、どうも強制貯金というような形に発想が向いている、こういうふうに感ぜざるを得ませんが、一体そういう事実ありやなしや。
#121
○説明員(井上保君) 強制貯蓄というようなことは、全く指示したりなんかしたことはございません。万一そういうことがあるとしますれば、非常に万国博の精神と離れますので、至急調査いたしたいと思います。
 それから、ちょっとさっきの原子力展示につきまして御説明申し上げたいと思います。一つは、原子力展示の最終交渉がまとまっていない。政府の問題とそれから博覧会の構想と二つございまして、それを調整しなければならぬということが一つと、それから展示内容は万国博覧会の展示にふさわしいものでなければならぬだろうという点が一つでございます。それからその辺の判断が非常にむずかしい点だろうと思います。
 それからいま一つは、独立した記念館、記念塔といいますか、そういうようなものをつくる意思は全然ございません。と申しますのは、政府館の中に、いま五つ館をつくる予定でございます。その中に、第四号館に展示することになっております。第五号館は未来のことで、二十一世紀というテーマで展示をやることになっておりますが、その四号館の終わりのところに原爆の展示をし、原子力の平和利用の明るいものが五号館の未来のほうにつながっていくということになっております。前のほうで原爆の状況を何か展示をして、それで暗い面と明るい面を対比させて、そして平和に対するアピールをやって、それから二十一世紀に向かうというような構想でございます。四号館全体の構想は、近代技術をいろいろ展示することになっておりますので、原爆だけで一つの館を占めるということは考えておりません。
#122
○和田静夫君 どうも私は心配しておりましたが、いま言われたように、ふさわしいものであるかどうかわからぬというような考え方自身がすでに誤っておると思うのです。先ほど冒頭に次官が述べられたように、未来の平和に向かって万国博というものは基本的に意義づけられておると言われるように、私たちもその限りにおいてそうだと思うのです。そうすると、一番悲劇的であったことを経験したこの日本において、平和に向かって何を訴えることが一番いいかということになれば、これは広島に行ってみられないかもしれませんけれども、広島や長崎のあの資料室に展示されておるそのもの、それ以外に人類の将来に向かって平和希求というものは考えられません。あそこに一ぺん立ちかえってみて、そこに出発点をおく。そのことが何といっても必要だと思うのです。そういう意味では、私はどうしてもやはり独立的なものとして考えてもらう必要がある、こういうふうに強く要求をしておきたいと、こう思います。同時に、もう一つつけ加えておきたいことは、昨日も経企庁長官の発表ですか、戦後の今日の日本のいわゆる経済、国民総所得や総生産やというような形の発表がありましたが、いわゆる世界最高の経済発展を行なってきている。世界第三位の工業国となった。しかし、この発展の基礎となった、いわゆる労働者あるいは国民の生活は、昨日も、イタリーの次に第二十一位だと、一人一人の所得については、報告をされているように、必ずしもこの生産力の発展にふさわしいものになっていないことは、御存じのとおりです。したがって、労働者の賃金それから労働条件、あるいは最もおくれている社会保障、こういうようなものについて、生活館というようなものを設置をして、この出展を行なっていく、そういうことが、私はやっぱり未年の進歩に向かってものを考える場合には、しっかりと現実をありのままの姿でもってとらえるということが必要だと思うのですね。そういう意味で生活館の設置というものもまた要求をしたいと、こう思うのです。
#123
○説明員(井上保君) これは第三号館に、農林水産関係のところでございますが、あそこにいろいろな統計を展示することとなっておりまして、そこである程度の統計資料的なものの展示をやることになっておりますけれども、生活館というかっこうではございません。まあ部分的にどこかに入ってくるというかっこうでございます。と申しますのは、今度の日本館の大体の構想は、日本の過去と、それから現在と未来ということで、これをその歴史的な流れにおいてっかまえて、日本の今後の進むべき道、そういうものを表現していきたいということでございまして、特定のテーマにつきまして特定の館をつくるというようなかっこうじゃございませんので、部分的にいろいろな展示が一まあそういうテーマでひっくくれば、まとまってはいないというかっこうにならざるを得ないということでございます。
#124
○和田静夫君 その、まとまっていないから申し上げているので、まとまっていれば何も申し上げる必要がないのです。たとえば、たいへんりっぱなものが出ているのですが、これを見ても、私はさっき指摘したとおり、住友グループ、日本鉄鋼連盟グループ、宝グループ、三井グループ、ペプシ・グループ、古河グループ、こういうような形のやり方ですよね、日本政府館の中のずっと案内状をこう見てみましても。私は、こういうようなやり方の中には、万国博が持っておるところの基調というものが失われていっているだけであって、本来的には達せられていない、こういうふうに述べているのであって、まだまだ時間的な余裕があるのですから、その辺を抜本的に改善をしてもらうことが必要だ。そういう立場に立って申し上げているところなんです。限られた時間でありますから、次に移ります。
 そこで、自治省の側にちょっとお聞きをしておきますけれども、この万国博覧会の開催に伴って、近隣地方自治体に財政負担が重加されないようにということを、私たちは早くから要求をしてきました。特に、一般市民への税負担の増加が絶対に行なわれないようにという約束さえしてきたはずです。ところが今日、たとえば大阪府の四十三年度の当初予算をながめて見ましたら、一般会計が二千二百八十六億円、特別会計が八百十九億円、合わせて三千億円をこすようでありますが、これは前年度と比べてみると、一般会計で四〇%増、そのうち土木費が五百三十四億円計上されているわけです。府は、用地買収費だけでも二百五十一億円、建設負担金を入れると三百四十億円近くも府費から出されていこうとしている。また、万国博覧会関連事業では、起債を含めて、府の負担は七百六十億円と、こうなっているわけですね。で、現在の大阪府政というのは、そういう意味では、万国博覧会オンリーで、四十三年度予算では、老人なり身障者なり、教育保育対策などの民生関係の予算は、軒並みに圧迫をされてきています。このことは、自治省関係よく御存じだと思います。これは、何も大阪府だけではありません。当該自治体であるところの吹田市、その周辺の池田、豊中、箕面、茨木、摂津、高槻市などでも例外ではないわけです。政府は一体、こういう状態についてどう考えていらっしゃるのか。この機会に明らかにしていただきたいと思います。
#125
○説明員(山本成美君) ただいまの御質問についてでございますが、万博の開催につきましては、もうこまかい数字は省略さしていただきますが、国と地方団体が協力してやるというたてまえは、これは自治団体側もよく認識しております。つきましては、この万博の開催に伴います財源負担と申しますか、地元負担と申しますか、そういうふうなものが生じてまいります原因と申しますか、その態様に大体私は三つぐらいあると思うのでございます。一つは、この公共事業として、むしろ先行的に、万博を機会として早く繰り上げて、当該関連の地域に投資をして仕事をやってしまう、こういう考え方の部分がございます。まあむしろこれがほとんど大部分を占めておるのじゃないかと思うのであります。それからもう一つは、いま御指摘になりました単独事業でございます。たとえば地下鉄の問題でございますとか、あるいは御指摘の中にございました土地の買収でございますとか、あるいは保健施設でございますとか、そういったものの、単独で――むろん補助のあるものもございますけれども、おおむねまあこういう単独でやるものもございます。それからもう一つは、これは少し変わった性格のものでございますけれども、万博協会への負担金がございます。大体以上申し上げましたような三つの種類の経費というもので成り立つわけでございますが、この場合に、一等最初に申し上げましたように、税負担が主として生じてくるという関連で御指摘になりましたのは、この公共事業の関連が一番大きいと思います。ただこれを、歳出が増加するということイコールそのまま税負担の増加というふうに言えるかどうかは、若干問題があろうかと思いますが、私のほうとしては、単年度単年度で見ました場合に、なるべく、万博事業のために、ことさらな他の一般の事業に影響がないようにということは、繰り上げて当該関連の地域に仕事を落としていくということは十分認められますけれども、そのために、御指摘のような、辺隣の地域へのしわ寄せがないようにということは、十分注意をいたしておるわけでございます。本年度におきましても、厚生省の関係の事業で、たとえば南河内の地区にコロニーをつくりますとかいったようなことにつきましても、私どもは、起債の手当てにつきましても十分配慮しておるつもりでございます。申し落としましたが、いろいろな事業に対しまして、一応、補助制度あるいは交付税で見られるものは十分見ていく。なお臨時的な経費として足りません部分につきましては、これは起債でつとめてフォローしていくというふうな考え方で現在進んでおりますので、このために、特にある特定の地域が非常な公共投資がおくれるというふうなことは、私はないものと考えております。
#126
○和田静夫君 そうすると、このために当面する地方公務員の賃上げ問題も、これを理由にしては低く押えられない、こういうふうに理解してよろしいんですよね。同町に、万国博を機会にして阪奈和合併――都市合併、ちょっと質問の趣旨からいってあれかと思うんですが、いま言った住民福祉の切り捨て、こういうような形のものが背景としてずっと動いているような感じがいたします。これは地方自治を破壊する政策でありますから、認めるわけにはいきません。したがって、万国博を契機にして、これら合併問題を促進をするということのない、そのことを明確に政府側としておいていただきたい。
#127
○政府委員(植木光教君) 私から答弁いたしますのもいかがかとも思いますけれども、いまお話しあります阪奈和合併問題は、これはいろいろ論議されておりますけれども、この万国博とは全然関係がございません。それはもう明確であると存じます。
#128
○和田静夫君 ちょっと物価の問題でお尋ねをしておきたいんですが、用地買収や関連事業で建設資材の値上がり、地価の高騰、諸物価の値上がり、こういうものが会場周辺の住民生活にたいへんな悪影響を及ぼしております。これはモントリオールの場合も、諸物価が非常に上がって、開催前の半年ごろから終わりごろまでの間には、御存じのとおり二倍に達したと、こう言われておる。それから東京オリンピックの場合も、生鮮食料品等を中心としてたいへんな値上がりを示したことは御存じのとおりであります。はなやかな宣伝の裏に、国民や地方自治体に負担が増加をする、あるいは市民生活へ悪影響を及ぼす、政治、社会、労働などの各分野にたいへん大きな暗影を投げかけている、こういう問題については、責任を持った行政措置というものをとっていただきたいと、こう思うんです。答弁を求めたいところですが、時間がなくなってきておりますから、先に進みます。
 一つ伺っておきたいのは、先日も新聞で見たのですが、悪質な労務者によるところの強姦、暴行、のぞき、こういうようないわゆる生活侵害が行なわれて、住民の間に自警団というような形のものが組織をされているというふうに仄聞をいたします。こういう実情について、この機会に明らかにしておいてもらいたい。
#129
○政府委員(植木光教君) 先に御質問ございました物価の問題につきましては、私どもとしましてもたいへん心配をいたしまして万全の措置をとってまいりました。用地質収に関しましては、各事業主体が緊密に連絡を取り合いまして、土地収用法の適切な運用などによりまして、適切な価格で買収を進めて早期に取得をするというように努力をしてまいっております。また、建設資材につきましては、たとえば砂利を砕石に転換させるというようなことによりまして、ただいまのところは、万国博による影響は出ていない模様でございます。また、会期中の生鮮食料品の値上がりも憂慮されるところでありますが、純増分は近畿全体の消費量の二、三%と推定をされておりますので、生産、出荷調整を適切に行ないましたり、あるいはまた流通施設、冷凍設備などを整備するというようなことによりまして解消いたしてまいりたいと考えております。
 後段の労働者の風紀紊乱のことについてのお答えでございますけれども、お話しのようにこの建設工事を進めてまいりますと、ピーク時には一日五万人の労働者を補充する必要があるという状況でございます。したがって、大阪府内に多数の労働者が集中をすることになります。管理面には細心の注意を払う必要がありますので、政府といたしましては、建設労働者の円滑な管理、必要労働力の確保、さらに受け入れ態勢の整備、なかんずく福利厚生施設面の整備充実ということが先決問題であると考え、いま精力的に取り組んでおります。また大阪府及び地元建設業協会等に対しまして、総合的な福利厚生施設の推進でありますとか、宿舎を計画的に分布させるということ、あるいは共同福利厚生施設の整備等に対しまして強く要清いたしておりまして、政府としても援助策の一環として、労働者用の宿舎を設置、貸与するということにしておりまして、ただいま建設希望業者の申請を受け付けているという状況であります。また労働者が集中的に集まりますので、地元民とのもんちゃくの起こることが心配されますので、会場の近辺には派出所を増設するなど、警備力の増強につとめますとともに、協会ガードマンによります警備、地元防犯協会と民間機関による自主防犯体制の強化などをはかりまして、ただいまの問題につきましての万全の施策を期しているという状況でございます。
#130
○和田静夫君 ちょっと聞きたいのですけれども、労働省の関係で、いまの私の質問に関連して次のことを後ほど資料として提出をしていただきたいと思います。
 一つは、建設労働者の現況と対策ですが、他府県からの出かせぎ労働者の実態、たとえば石川県からどれだけ、富山県からどれだけ、新潟県からどれだけ、そういう形のものを資料として提出願います。それから、その出かせぎ労働者の住居、いま御答弁がありましたが、それは将来展望を含めて、今日までのあの会場の建設従事者を含んで明らかにしていただきたいと思います。
 それから労災防止、特に賃金不払いの対策について、業者間との関係における指導、契約の状態、それから社会保険関係の適用の状態、それから労働基準法が求めているところの諸規則を含んで、たとえば就業規則その他の問題についての現況、これはサンプルとして提出していただきたい。それから労働者の雇用契約、これについてひとつ写しを資料として出していただきたい。
 先ほど御答弁がありましたように、こんなに多くの労働者がとにかく万博の工事を中心として動くわけでありますから、一番やはり心配になるのは、明治三十五年の第五回内国御業博覧会が天王寺公園、新世界一帯を会場とした。あのときに治安維持のためと称していろいろな措置がなされ、そうして今日の釜ケ崎ができ上がった。釜ケ崎発生の歴史との見合いにおいて、私たちはいわゆる過疎過密の問題というものをかなり心配せざるを得ない。いま出かせぎの実情も資料として求めましたが、たとえば北陸から出てくるところの人たちが、工事後も帰らないという形における過密現象がひとつ問題になる。それが大阪周辺にプールされる。そこに出てくるところの町方の新しいスラムという問題は政治の問題として十分考えなければならない問題だと思いますが、それらについて、どのような対策を講じられようとしているのか、明らかにしていただきたいと思います。
#131
○政府委員(植木光教君) 川治三十五年の内国勧業博が行われた結果、釜ケ崎にスラム街ができたかどうかは、私、つまびらかにいたしませんけれども、この万国博事業によりましてそういう事態が起こることは絶対に避けなければならないと思います。したがいまして、政府としましては、雇用促進事業団によりまして第二種移住者用の住宅、プレハブでございますが、これを建設いたしまして、工事終了後は全部撤去することにいたしております。また、建設業者が建てております飯場ももちろんございます。これにつきましては、地域的にも分散をしております。したがいまして、第二の釜ケ崎になるような心配はないと思いますが、関係省庁ともよく連絡協議いたしまして、ただいまのお話のような事態が絶対に起こらないように努力をしたいと存じます。
#132
○和田静夫君 これももう資料でお願いしたいのですが、万国博の予算執行の状態、後ほど私に届けていただけませんか。それとのかね合いで、工事請負の状態ですね、この二つは資料でお願いをいたします。
 次に、入場料です。入場料がきまりましたね。きまったのに私はたいへん不満であるのですが、たとえば、いろいろの経過、三回くらいあったようですけれども、おとな六百円、青年四百五十円、子供百円、こういうような内定の線がどうもくずれて、結果的には、おとな八百円、青年六百円、子供四百円、こういうような形にいま大体あれされているようですが、私は、万国博で政府が過去何べんか答弁されている中で、たとえば、りっぱなものだ、一回行ったって済まないのだ、六回くらい行かなければならないのだというようなこととかね合わせて、いわゆる平均家族がここに行った場合に、たいへんなものだと思うのですね。一回行くだけでたいがい八千円から一万円かかる、こういう状態のものが一体――もちろん交通費や食事代も含めてですが、市民が求めているところの万国博なんだろうか。やはり大多数のものに対する万国博ではなくて、特権階級を対象とするところの万国博にどうも入場料の点で落ち込んでいっているような気がします。まあ経過はありましたが、その経過の中で最も安い条件で内定されておったものから、どうして上げざるを得なくなったのか、それはまかなうためだというようなことになるのでしょうが、それなら、一体万国博をいわゆる大衆のものとして成功させるために、もっともっと政府が補助金を出すとかいう措置が考えられなかったのだろうかということを一つと、それから、これは最後にいたしますけれども、どうしてもやはり心配になるのは、あと地の利用であります。あと地がいやしくも一部の企業の利益に供せられることのないように配慮してもらうのは当然なんですが、最近どうも耳に入ってくるのを整理してみますと、たとえば阪急電鉄か――固有名詞をあげていいかどうかわかりませんが、阪急電鉄が、万国博のきまる数年前から土地を買い集めていた。そして意外に早く手放したことから、いろいろなうわさが取りざたされています。これは調査してみなければわかりませんが、数年前に坪八百円程度で手に入れた土地が、いま二万七千円で簡単に手放された。この阪急の場合、その見返りとして娯楽ゾーンの特殊な調査が依頼されたといわれております。あるいは、あと地の利用も何かまかされる公算が大きいのではないかというようなうわさもあるわけであります。私はこれによって黒い霧がかからないようにこの機会に警告を発しておきたいと、こう思うのです。少なくとも大衆負担によってつくられた万博の会場でありますから、これは国民に還元をされなければいけません。出展者を中心としたあと地処理が行なわれる、そうしてそれがまた大きな利潤を呼ぶというような形のことがないように、私は次のことを提案をしてみたいと思うのです。たとえばいまの協会のスタッフとは別に、知識人や労働者や住民、そういう民主的なあと地利用のための処理機陶をつくる、そういう形のお考えがあるかないか。この二つのことを御答弁願いたいと思います。
#133
○政府委員(植木光教君) 入場料の問題につきましては、参事官からお答えいたしますが、あと地の利用計画でございますけれども、これは政府としましては、万博を長く記念をして、かつ、の社会経済の発展に役立てるという見地から検討を進めております。たとえば会場は約三百三十万平方メートルでございますが、その中心部の百二十九万平方メートルにつきましては、公園として都市計画が決定されましたことは御承知だと存じます。残余の分につきましては、できるだけ早期に決定すべく検討中でございます。
 また、お話しのございました阪急の問題につきましては、全然私どもはそういうことを聞いておりません。調査をいたします。
#134
○説明員(井上保君) 入場料金の決定の経緯でございますが、御指摘のとおり、当初おとな六百円、子供三百円というような試算がされましたことは事実でございます。そういう試算に基づきましていろいろと支出のほうとのかね合いを見ておったわけでございますが、それは入場料金が決定したというわけではございませんで、ただそういう一応の試算をしておった、それがいつの間にか漏れて新聞などにも出たことがあるということは事実でございます。その後当初の案で検討いたしましたあと、テーマ展示あるいは催しものの計画であるとか、消防あるいは警備計画の問題であるとか、それから会場の路線を決定しなければならないとか、いろいろな必要な新しい所要資金の問題が出てまいりまして、そういう関係もございまして、所要資金額がふえてまいりました。運営経費と見ています予算がふえてきたという事情もございまして、いろいろと検討いたしました結果、おとな大体八百五十円、青年が七百円、子供が四百円ということで一応協会として決定しておった段階でございますけれども、先生御指摘のような世論の動向を考慮いたしまして、本年の八月に閣僚協議会でおとな八百円、青年六百円、子供四百円にするのがよかろうというようなお話がございまし最終的に協会といたしましてそういうことにしたということでございます。ただ、その際に勤労青年であるとか、あるいは学校行事等であるとか、あるいは回数券であるとか、負担力の少ないと思われるようなところにつきましては非常に安くするというようなこともあわせてやったわけでございます。
 大体以上の経緯でございます。
    ―――――――――――――
#135
○理事(松井誠君) この際、参考人の出席要求に関する件につきましておはかりいたします。
 先ほどの参考人出席要求に追加して、国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査のため、中央労働福祉センター常務理事間宮重一郎君を、本日参考人として出席を求め意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#136
○理事(松井誠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後一時二十分再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時四十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十分開会
#137
○委員長(木村禧八郎君) 委員会を再開いたします。
 午前に引き続き国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査を議題とし、質疑を続行いたします。
 この際、御出席をいただきました参考人の方にごあいさつ申し上げます。
 本日は遠路、御多用中のところ、本委員会に御出席くださいましてありがとうございました。
 それでは御質疑のある方は、順次御発言願います。
#138
○二宮文造君 先般来高輪の旧御用邸の等価交換ないしは新しい御用邸の購入等につきまして質疑をさせていただいたわけであります。その時点におきましては、主要な部分において明確になりませんので、理事あるいは委員各位の御協力をいただきまして、参考人の御出席をいただくようにきめていただいたわけでありますが、病気その他お仕事の都合もございまして、私のほうからお願いをいたしました、当時の国有財産局長の江守堅太郎氏は出張中という御意向でございますし、また交換の相手方であります京浜急行の関係者におかれては、片桐専務がやはり御病気ということであります。また、その他の関係の方も、社用か何かで御出席がかなわない、あるいは財団法人中央労働福祉センターの今井理事長におかれましても、他に会議が重なりまして御出席ができないという御返事をいただきまして、間宮常務理事に御出席をいただいたわけですが、これもやや明確にならない部分も出てまいるかもわからないわけであります。したがって、委員長並びに理事あるいは同僚の委員諸兄の御判断をいただきまして、この問題はさらに明確にならない部分につきまして、また、こういう審議の機会を近い機会につくっていただきたい。また、参考人の御出席も、本日同様に御協議をいただいてお取り計らいを願いたいことを私のほうからまず冒頭にお願いをしておきます。
 またさらに山本参考人あるいは間宮参考人におかれましては、たいへんにお仕事のお忙しい中また遠路の中を御出席をいただきましてありがとうございました。
 私は、まず山本参考人からお話を伺いたいわけでありますが、昭和三十五、六年当時から今日まで、概略でけっこうでございますが、山本参考人はどういう御公職につかれておったか、それを概略伺いたいわけであります。
#139
○参考人(山本信一君) 私は静岡県賀茂郡下田町の山本信一でございます。ただいまの二宮先生の御質問に対しましてお答え申し上げますが、昭和三十一年から三十五年まで下田町の助役をつとめておりました。それから三十七年から四十一年まで町会議員をつとめまして、その間四十年、四十一年は議長をつとめてまいりました。その後公職を離れまして、現在に至っております。
#140
○二宮文造君 ありがとうございました。
 そこで、ただいまの下田町所在の狼煙崎でございますが、この狼煙崎が新しく御用邸になると、こういうふうな話といいますか、そういうことをお耳にされたのはいつごろでございましょうか、これをまずお伺いしたい。
#141
○参考人(山本信一君) お答え申し上げますが、狼煙崎が御用邸用地になるということを承りましたのは三十五年ごろでございます。
#142
○二宮文造君 三十五年ごろは、山本参考人は下田町の助役をやっていらっしゃったと、こう先ほど伺いました。当時、徳川待従が下田町に来町されまして、御用邸の候補地として若干検分をなすった。そのときに助役でいらっしゃった山本参考人は案内をした、こういうふうに私も伺っておるわけでありますが、当時の模様を、もう年次も古いことでございますが、記憶の中にある当時の模様をお聞かせ願いたいと思うわけであります。
#143
○参考人(山本信一君) お答え申し上げますが、突然参考人として出席しろという御通知をいただきまして、非常に長い期間にわたる資料等もなお調べる期間がほとんどございませんので、記憶等につきましては、若干日時等が違う点があるかと存じますが、その点は二宮先生の御了承をいただきたいと存じます。
 私が助役をしております昭和三十五年の春ごろ、徳川待従から頼まれまして、私は実は須崎の出身でございますので、そういう関係と助役をしておるという関係で、須崎にある三井別邸のあとを案内していただきたいということで私案内いたしました。それから後に、事情があるからほかに御用邸として適当なところはないかというようなおことばで、それにつきましては、私は専門家でないから御用邸にどういうところがいいかということはわかりませんが、常識から考えてほかの場所というならば狼煙崎というところがございます、ただし、そこの土地の半分近くは町がすでに京浜急行に売買してございます、というお答えをいたしました。
#144
○二宮文造君 徳川待従が下田町に検分に行かれたという事情ははっきりしたわけでありますが、その場合に、三井別邸の方面を歩きましたときの徳川待従の感想、さらに、いまノロシザキと御説明になりましたけれども、私どもその地名がよくわかりませんので、ローエンザキといままで棒読みにいたしておりました。言いなれておりますから狼煙崎でお許しをいただきたいわけでありますが、狼煙崎のほうも案内された。その徳川待従の感想といいますか、そういうものを一言にして表現をしていただけばどういうことになりましょうか、お伺いしたいわけであります。
#145
○参考人(山本信一君) お答え申し上げます。
 三井別邸を御案内いたしましたときに、あすこは御案内のとおりに、すりばちの底のようなところに別邸がありますので、ことばそのものは、ここではっきりとおっしゃったことばかどうかということは私言明できませんが、非常に陰うつであるからほかのところはないかというようにおっしゃったように私は記憶しております。したがいまして、それならば狼煙崎ということを申し上げたわけであります。
#146
○二宮文造君 大体狼煙崎というもの、あるいは須崎というものを徳川待従が検分をされたときの印象は、ただいま承ったとおりであります。
 さて、山本参考人が議長当時、よく下田町でいわれますことは、暁の町議会というので重大な議決が行なわれたようでありますが、およそこういう下田町に御用邸ができるとかできないとか、そういうことにつきましては、巷間のうわさだけではなかなか町自体としても動けないわけでありますが、何かそれにかかわる、まあいわば政府、大蔵省、あるいは宮内庁のそういうふうな何か公文書といいますか、あるいは指示といいますか、そういうものがないと町自体は動けないと思うわけでありますが、この暁の町議会の内容は次にお伺いするといたしまして、それにかかわる部門について、下田町のほうから大蔵省ないしは宮内庁に対しまして、御用邸云々の問題について確認をされたか、あるいは文書の提出を求めたか、こういう事実はありましたでしょうか、お伺いしたいわけであります。
#147
○参考人(山本信一君) お答えいたします。
 先ほど申し上げましたとおりに、御用邸の用地の問題は、三十五年ごろから相当具体化してまいりましたが、そのときの町長は外岡文雄氏でございました。それでこの外岡町長は、ほかの問題でいろいろと議会あるいは町民からその不手ぎわを多く非難されておりましたので、町長も、この狼煙崎の御用邸問題に関する件につきましては非常に慎重な態度をとっておったことは事実でございます。私たちもしたがいまして町長に助言いたしまして、この問題は慎重にあなたはやってほしい、特に狼煙崎の南端の大体六万七千坪を京浜急行に町が譲渡するときには、観光開発をするという条件、それから第三者に移譲してはならないという条件をつけまして、京浜急行に売った関係がありますので、そういうことで町民から非難を受けないようにしてもらいたいということを、としても要望しましたし、町長もその点についてはずいぶん心を配りました。そこで、私の知っている範囲におきましては、県や大蔵省にも町長は足を運んでおります。それからなお大事をとるために、助役と――その当時原田武尚という助役でございましたが、助役と相談をしまして、そこははっきりわかりませんが、財務局に対して文書で、ほんとうに狼煙崎が将来御用邸の用地になるかどうなのかということを教えてほしいという文書を出したわけでございます。その後幾日かたちまして、町長から町長室に私にも来てほしいということで、そのときに助役がそこにおりましたが、課長さんからこういう文書がきておる、狼煙崎を候補地にするという考えは間違いないけれども、いまの段階では大蔵省としてはそれを発表すべき段階でないから、その点は御了承を願って、しかるべく御協力を願いたいという文書がきておりまして、町長からそれを私は見せてもらい、聞かされたわけでございます。その後さらに町長は宮内庁のほうにも連絡したそうでございますが、町長のことばによりますと、宮内庁のほうでは、まだ国有財産になっておらないので、宮内庁としてはそれを御用邸の候補地にするかどうかということは、いま申し上げる段階でないということを町長に申し上げた。それで宮内庁からはそういった書類をとることができなかったという御返答でございました。
#148
○二宮文造君 これで前回谷川次長が、私のほうから下田町に何らの照会もしてないという論拠はくずれたわけであります。
 さて、その次にもう一つ、営内庁にも御注意を申し上げておくわけでありますが、宮内庁は何ら意思表示をしてないという、こういうふうな先日来の答弁ないしは説明でございました。ですけれども、いまのお話を伺いますと、国有財産でないから何も言えない、こういうことで、否定をいたしておりません。したがって、下田町はあげてそういう方向、狼煙崎が御用邸になるんだと、こういう方向で進んでいったのか事実であります。これをよく記憶にとどめておいていただきたいと思うわけであります。
 さて、問題の暁の町議会の内容でございますが、当時は山本参考人は、伺いますと、町議会の議長としてさいはいをふるわれたわけでございますが、この町議会が開かれて暁の町議会と異名をとるほど紛糾をいたしました経緯につきまして、概略お伺いをしたいわけであります。
#149
○参考人(山本信一君) お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたとおりに、外岡町長が前段でそういう働きをいたしまして、三十八年にやめられて、現在の石井町長がそのあとを引き継いだわけでございますが、石井町長も御用邸の問題であるということで誠心誠意その実現に努力したわけでございまして、一方狼煙崎の土地買収につきましては、当時京浜急行が買収に当たっておりまして、四十年の七月ごろになりますというと、あの狭煙崎の全地域、大体、私の記憶では十二万七十坪ぐらいあるかと存じますが、それはほとんど買い占めてしまった。残っておるのは、そこに町の近路予定地がございまして、その坪数は大体一千六百七十坪くらいと記憶しておりますが、これがあると国有財産に移管することが非常に困難である、しかも、その当時の京浜急行の幹部の方方のことばは、近く大蔵大臣も現地を見に来る、そういう段階になっておるのに、ここに一部一般の町民が将来通うことができるような道路敷地があることは非常にまずいから、早く譲渡してほしいという要望が盛んにあったわけでございまして、しかもそのときに、もしそれを譲渡してもらうならば、来年の三月ごろは国有財産として移管したいんだと、だから、ぜひとも頼むという要望がありました。町長はそのために何とかしてここを譲渡すべきだという考えを持ったわけでございますが、たまたま町長が、自治省の研究が不足したために、当然無償譲渡でございますから町議会の議決を要すべき案件を、その手続をとらないで町長の権限内でできると、かように解釈いたしまして、無償譲渡の契約を町長が結び、その土地の登記を京浜急行とかわしてしまって、それを議会には何ら報告してなかったわけでございますが、それを七月の十七日から開かれる臨時議会に提出する予算書の中に、百万円の寄附金、これは京浜急行からの寄付金である、それは大体一千六百七十坪と思いますが、その無償譲渡することに対する書付行為であると、こういう予算書の説明がありました。初めて議会はそれを知って驚きまして、町長は何事をするのだ、これは当然議会の議決を要するのを、町長は越権行為じゃないかということで大騒ぎになりまして非常に混乱したわけでございますが、すでに登記してある。そこで私は、休憩をいたしまして、町長室に行き、町長、助役、総務課長、それから副議長、総務委員長を呼びまして、その善後策に相当の時間を費やしたわけでございますが、とにかく譲渡契約を結んで登記は完了してあるが、町長の誤った手続によって登記されたものであるから、その千六百七十坪というものは、現在まだ町の所有地であるという私たちは解釈をしたわけでございます。ただし、登記のほうは、早く京浜急行にいま電話で連絡とって、あやまちによって登記したのだから、この登記は抹消手続をとってほしいという了解を求めなさいと町長に言って、私のいるところで町長は京浜急行に連絡をし、京浜急行の了承を得たわけでございます。そこで町長が申すのには、これはこのまま置くというと、御用邸にすることがおくれるから、ぜひともこの会期中に再提案したい、こういうことでございまして、私は了承して、それを最終日の会議に無償譲渡の件を提案したわけで、ございますが、そのときに町長に重ねて、非常に町民はこういうことに対して不審を抱いておる。ここにも参考までに持ってまいりましたが、町民の相当数の者が、まぼろしの御用邸だ、そして一体これが御用邸になるという根拠がどこにあるのか、町長や議員の大多数は皇室のために非常に一生懸命で奉仕せんとしているけれども、これが半永久的の御用邸の候補地としてきまったときには、だれが責任をとるのかということを盛んに追及され、そしてそういったチラシもその方方は三万下山町民にまいたわけでございます。そういうことがありますので、町長に、大事な時期であるから、あなたがここで御用邸の用地として、用地のためにこれを譲渡するというひとつ証拠をいま一回見せなさい、こう言ったところが、実は前町長から申し送りを受けておるし、こういうものがありますと言って、国有財産関東地方審議会の答申書の写しを見せたわけでございます。それを私見まして、非常にごりっぱな方々がたくさん委員であって、その方々が慎重審議されて御用邸候補地として適当であるという答申を出しておられる。そのためにはおそらく大蔵大臣も――大蔵大臣の諮問でございますから、大蔵大臣も宮内庁のほうとの十分話し合いがあって答申を求められたものである。その答申を見まして、私はこれならだいじょうぶ、町長の説明することと、そういうものを見まして、かたく信じて、最終日にさらに議案として提案したわけでございます。
 そこでそうなりますというと、いままでまぼろしの御用邸の用地であるというようなことを言っておった議員がこれに非常に反発をしまして、これは効力がない、すでに京浜急行に登記されておるので、その所有権は京浜急行にあるんだ、それを町が無償譲渡するという議案を出すこと、そのことがこれは無効であるということと、いま一つ、そこの土地は道路予定地として買っておりましたので、そういう連中の申すのには、行政財産である、一般財産でないんだ、行政財産は自治法によってそういった譲渡をすべきものではないと、こういう二つで非常に混乱いたしましたが、私たちの見解は、道路用地として買い上げはしましたけれども、いろんな状況の変化によって、その時点におきましては、道路法に基、ついての設定をしてなかったわけでございますから、これはまだ行政財産ではない、一般財産であるという主張をしましたが、見解の相違で非常にそれがもめまして、時間ぎりぎりになってもなかなかそれが終えない。そこで、町長はさらに何とか通していただきたいということで、さらに会期延長をはかろうとしましたが、相当の数の人が、もう会則は認めない。これを廃案にするのだという勢いで、非常にそこでもめたわけでございますが、私は何回も休憩をしまして、賛成してくれるような方々といろいろな打ち合わせをやった結果、議会にはかりまして、過半数をもって会期延長を認めさした。そして引き続いてその無償譲渡の件を審議しまして、採決に至って、過半数でこれを採決した、こういうような次第でございます。
#150
○二宮文造君 ただいま申されましたことにつきましては、私の手元に当時の記録が届いておりまして、議第五十七号で、いまおっしゃいました五反五畝二十六歩、千六百七十六坪の無償譲渡の議案がここに記録がございます。山本参考人が先ほどおっしゃいました千六百七十六坪が符合いたしております。それから同じく議事録で町長がこのような発言をしております。御用邸にするという話から、なるべく御用邸の中には他人の所有がないようにという希望から考えて処分にかかったわけですと、あくまでもこの暁の議会の案件というものは、狼煙崎が御用邸になる。しかも、その前提には財務局から出された関東地方審議会の写し、それを確認をして、間違いなく御用邸になるという判断のもとに、町ないしは町議会でこのような無償、譲渡の措置がとられたものと、私はいまおっしゃったことと、当時の議事録とを照合いたしまして、そのように受け取るわけであります。ここにその問題の文書がございますので、もうちょっと――これはリコピーでありますから、記憶がどうかわかりませんけれども、これらしきものであったかどうか、ちょっと見ていただきたいと思います。
#151
○参考人(山本信一君) お答えいたします。
 これと同じものでございました。マル秘という判が押してございまして、これと全く同じものでありました。
#152
○二宮文造君 ここでまた同じようなことでありますが、谷川次長にあとで答弁を求めたいと思うわけであります。私はこの文書を出していただきたい、こういうお願いをしてあったのですが、今日まで出てまいりません。役所の公文書というものは、そうおろそかにできるものではございません。ところがこの原本は、ふしぎな事実によりまして、いま下田町当局にはございません。その事情は差しつかえがございますので、私は申し上げませんけれども、原本はございません。しかし、あったということ、また、数名の方がそれを確認している。そのことを記憶にとどめておいていただきたいと思うわけであります。
 さて、それほど審議会にもかけ、それから町議会もこういう議決をし、一潟千里御用邸の方向に向かっているはずのものが、突然変異を起こしまして、宮内庁は須崎地区に新御用邸をきめまして、そして、その購入を今年やってしまったわけであります、予定地を。したがいまして、その間には、これほど町当局あるいは町議会をわずらわしたわけでありますから、その変更について町並びに町議会に対して国のほうから、あるいは宮内庁のほうから、あるいは大蔵省のほうから、何らかの意思表示がありましたかどうか、これをお伺いします。
#153
○参考人(山本信一君) お答えいたします。
 須崎の三井の別荘のあと、それからその周辺の須崎の区有の土地の買収にかかりました時点におきましては、私は、実は現職を去っておりましたのでその当時は知りませんが、四十一年の三月まではおりましたが、それまではそういうことはございませんでした。それからなお、この須崎の問題が起こりましたときに、当時の議員もただいま現職の議員でおりましたので、非常に驚いて事情を聞きましたが、町としても驚いておったと、なぜ関東地方審議会の方々があれほどの審議をされて答申を出し、われわれはほんとうに天皇陛下の御用邸のために骨を折ったのに、しかも骨を折るのには、ずいぶんいろんな問題がありまして、町政は先ほど申し上げましたが、いろんな方から言われたとおり、こんとんたる期間を相当過ごしたわけでございます。それであるのに、せめてそこを変更しなければならない理由を教えてほしかったということは、当時の議員、町長も言っております。現在の町長も言っております。それから町民からも、あれほどチラシを出して後援したのに、御用邸用地になるということを確信を持ってつとめた議員諸公、町長の顔を見たいというくらいにわれわれは言われまして、その点につきましては、いまでも、なぜ私たちにせめてこういう事情であるから変更するということをおっしゃってくれなかったか、まことに失礼なことばではございますが、その当時われわれは、どうも中央の政治家というものは信用できないなと、これじゃ国民も迷ってくるよというようなことを正直に申し上げたくらいでございます。そのようなわけで、私たちは町長はじめ、そういうことは中央からも一言も聞いておりません。
#154
○二宮文造君 では問題を、現時点の様子についてお伺いをしたいわけであります。山本参考人の御住所は、たしか問題の土地須崎地区にお住まいと伺っておるわけでありますが、そうでありましょうか。
#155
○参考人(山本信一君) 須崎でございます。
#156
○二宮文造君 さて、この須崎に財産区がございまして、宮内庁はこの須崎の財産区の土地と、それから三井別邸の用地を購入をしたわけでありますけれども、その宮内庁が財産区の土地を購入するにあたりましては、静岡県知事ないしは静岡県の商工部長をやっていらっしゃる白戸さん、この方は宮内庁にも奉職をされておった方で、宮内庁から静岡県に転職をされたと伺っておりますが、この白戸商工部長が主となってあっせんをされたようでありますが、その当時の白戸部長のお話ないしは宮内庁と売買契約に至るまでの事情というものを、御存じの限り概略お話をいただきたいわけであります。
#157
○参考人(山本信一君) お答え申し上げます。
 まず、この土地につきましては非常に問題がありまして、私が助役をしておる当時にさかのぼって、実は昭和三十年に下田町を中心としたその周辺の村六カ町村が合併いたしまして、ただいまの下田町ができたわけでございますが、その合併の準備の期間中に須崎に相当膨大な土地がありまして、これが財産区であるのか共有地であるのかということで非常に問題が出て、研究に研究を重ねたわけでございますが、私たちの、徳川時代、それから明治三十三年、四十四年の町村合併のときにおける須崎の方々の動き等の記録から考えまして、いまだこの土地は財産区の所有になっておらない、共有のものである、その当時三十三年、四十四年の町村合併のときに、国の行政指導としてはこれを財産区にしようという主張が行なわれましたが、当時の農民等の非常に強い反撃がありまして、それをまだ財産区に持っていく手続をしないで現在に至っておる、こういうようなわけでございまして、その土地は、役場の台帳を見ましても、須崎の財産区の所有になっておりません。したがって、いまだ共有財産であるというような解釈をしておりましたので、ここをかりに売るとしても、そこのあいまいの点をどっちかにきめてやらないとあとで問題が起こるというようなことを盛んに私たちは主張いたしましたけれども、いろいろ県の方々の要請もあったということで、町長も最初は、狼煙崎の問題を解決してくれなければ、町長として須崎の問題に取り組むことはできません、ということを知事にも、白戸部長にも申し上げたそうでございます。その後いろいろな話がきまして、町長もまあ須崎をひとつ御用邸の候補地のために取得するように骨を折るというようなことになりましたが、そこで須崎の区の代表の方々は、これをまあぜひとも――御用邸になることであるから、知事もお骨折りをしてくださるので何とかそれに報いなければならぬということで、いまだもって総会をやっておりませんから、はっきりはわかりませんが、われわれの考え及ばないような手続をもって財産区として法務局に届けて処分したというようなことでございますが、その点が問題がありますので、いま当時の区長、それから区会議員に対しまして、区の総会を開きなさいと、そうしてその当時の事情をはっきりしなさいと言っておりますが、区長は売買の契約の調印をすると同時に辞表を出しまして、いまだもって区の総会を開かないようなわけでございますから、そこの手続がどういう手続が行なわれたかということは、ただいま不明でございます。
#158
○二宮文造君 いま伺いますと、非常に何か、この財産区の財産なのかあるいは部落民の共有財産なのか、疑義があるまま問題が取り運ばれてしまった。その場合に多分に力があったのが県のあっせんであり、それを代弁されたのが宮内庁出身の白戸商工部長、白戸商工部長が何回か現地に行って住民を説得されたようでありますが、その説得の内容は大体どういうことでありましたでしょうか。
#159
○参考人(山本信一君) お答えしますが、私は区の代表者となっておりませんので、白戸部長さんとお会いするという機会がありませんでした。ただ、区会議員の方々から、県に行ってきたとか、あるいは町で県の方々、白戸部長さんたちとお会いしたとかということは聞いております。ただ、この土地を売るかどうだかということにつきまして総会を開いたわけでございますが、そのときに区民の大多数は、売った金を全部分けてくれるならば、売ることに同意すると、これは私のその区に組が十二組ございまして、区の寄り合いで何回かやったわけでございますが、大多数の意見は、そういう結果になったわけでございます。御参考までに申し上げておきますと、私たちは、そういうことをすべきでない、その金は先祖がこの須崎の発展のために尽くせといって残してくれた財産であるから、それを売ったならば、その金をもととして県や国の補助を得ながら何倍かにして須崎の公共的事業あるいは開発等に使うべきだと言いましたが、大勢は、分けてくれるそうであるから、分けてくれるならば売るということに賛成しまして、最後に総区の総会を持ったわけでございますが、そのときに白戸部長さんと賀茂支庁長さんがおいでになりました。白戸部長さんにもほかの方方から質問をされたわけでございますが、区のほうの方々の受け取り方では、金はある程度のものは分けてもいいというような御説明があったように私は記憶しております。
#160
○二宮文造君 そこでまた問題が起こるわけであります。いま説明をいただいてみますと、財産区にはっきりと指定をした、そうしてこのまた宮内庁との契約書を見ますと、須崎財産区の管理者としての現に石井町長との契約になっております。そうしますと、法のたてまえからまいりますと、その売買の代金は管理者である石井町長が管理をしなければなりません。しかし、調べたところによりますと、部落の方々は、これはおれたちのものだというので、石井町長の手元から、要するに町当局の手元から須崎地区のいわゆる住民の漁業組合のほうへこのお金は移して現に管理をしております。また財産区でありますと、これは処分したお金は個々に配分するわけにはいきません。こういう現状から考えてみますと、宮内庁はわれ関せずというような顔をされておりますけれども、住民に対しては何がしかの金銭の配当があるというような錯覚を行なわしめて、法を破るようなことをあえて宮内庁は断行されている、こういうふうな結論にもなるのではないかと思うわけであります。したがって、この須崎地区の購入の問題につきましても、その手続に相当宮内庁は反省をしていただかなければならぬ。現にいまも説明がありましたように、現地においては紛議の的になっております。区長さんはやめられたまま、後任はきまらないまま、はたしてその三億何がしの金がどういう方向になるのか、現在も性格不明のまま物議の種になっているようであります。これは状況の説明として申し上げておきます。なお、私も現地へ行ってまいりました。下田町には下田町としての開発計画もあると思います。そうして狼煙崎を含め、あるいは須崎地区を含め下田町ないしは下田町の住民の皆さん方はどういうふうな開発計画を従来お立てになっておったか、それが今回の御用邸の購入とどういう関係になってくるか、こういうことについて、地元の見解の全部とは申せないでしょうが、山本参考人の接する範囲内ではだに感じられました下田町の今後の発展計画、開発計画をここで御教示願えればと思うわけでありますがよろしくお願いいたします。
#161
○参考人(山本信一君) お答え申し上げます。
 ただいま二宮先生のおことばの中に、区長の後任がきまらないと申されたように聞き取れましたが、後任は新しい人がただいま区長をつとめております。その点御了解願います。
 下田町の開発計画でございますが、これは実は電車が下田にまいりました当時、その前から電車がくるということを前提にいたしまして、私、助役を先ほど申し上げましたとおりしておりましたが、向こう十カ年の計画を、当時の鈴木町長が東大の高木先生あたりの御意見、御指導を得まして立てたわけでございまして、その当時といたしますと、現在の下田を発展させるためには、須崎半島とそれから西側に田牛というところがございますが、そこを開発することが一番いいことである。へたをしてこの開発をやらないというと、よその地区に特に観光的の利点をとられてしまうおそれがあるということで、実は十カ年計画を立てたわけでございますが、その中にも須崎開発、田牛地区の開発というものが織り込んでございます。特に町村合併をするときに、下田町の発展のためには須崎半島と田牛を開発する以外にないと、したがって、須崎半島は海岸線が大体八キロございますが、ただいま海水浴場になっておりますが、外浦からいまの三井浜を通りまして須崎半島の周遊道路をつけるべきであるという項目が、新下田町の十カ年建設計画の中に載っております。
 なお、四十二年の下田町に参りました観光客の数を御参考までに申し上げますと、五百三十三万人でございます。そうしてそのうちの下田に足をとどめる者はごくわずかである。その理由は何であるかといいますと、下田に来ても十分楽しんで時間を費やす施設が何もないということがアンケートによりましてはっきり出ておりますが、そういう次第でございまして、実は須崎半島は下田町の発展のためにも、須崎の発展のためにも開発したかったけれども、結局天皇陛下の御用邸ができるということになれば、これは須崎もやむを得ない、しかたがないという気持ちでいまおります。計画はそういう計画がありましたが、御用邸ができることである、天皇陛下のことであればしかたがないというような気持ちでございます。
#162
○二宮文造君 先ほど来、当時の事情から、狼煙崎が御用邸としてほとんど地元の方は脳裏の中に深く刻みつけられたことが、一転いたしまして、須崎地区に変更された。そのことについて、土地の方は非常に国に対して疑問を持っている、これが明らかになりました。さらに須崎地区のこの財産区の購入問題についても、金という問題がからみまして、正常な判断を失わしめている。これもよろしくない。こういう事情も明らかになってまいりました。さらに、町自体とすれば、従来この地区は開発をしたい、レジャーセンターとでも申すんでしょうか、いわゆる観光客の足どめの場所にしたい、こういう年来の開発計画も天皇陛下のおためならばというふうな、まあ国民感情の一端としてやむを得ないというような感情であることも明瞭になってまいりました。また、大蔵省はそう判断を失わしめるような文書を町当局に差し出しているということも明らかになってまいりました。私が山本参考人からお伺いをしたいという点は以上で済みましたですが、ほかの委員の方々で何か御質問ございましょうか。なければ次の質問に入りたいと思いますが、委員長いかがでしょうか。
#163
○委員長(木村禧八郎君) 別にないようですから、お続けください。
#164
○二宮文造君 たいへんありがとうございました。
 では続いて、これも間宮参考人にお見えいただいておりますので、当局の方々には非常に参考にもなりますし、質疑が若干おくれるわけでありますが、お許しをいただいて間宮参考人にお伺いをさしていただきたいと思うわけであります。冒頭にも申し述べましたように、本日は今井理事長の御出席をいただきたい希望でございました。御所用の関係で間宮常務理事が御出席をいただいたわけであります。もし御記憶にないことでございますと、そのまま記憶にないと、こうおっしゃっていただいてけっこうでございます。後日また委員会にはかりまして、今井理事長の御出席を求める機会をつくっていただく所存でございますので、あらかじめ申し添えておきます。
 まず最初にお伺いをいたしたいことは、中央労働福祉センターが、そういう労働四団体の勢力をバックにいたしまして財団法人、公益法人としての認可をとられた、その主たる目的は福祉施設をつくることにあった、こう伺っております。しかし、問題の土地であります高輪の御用邸を福祉施設の用地と決定をされたいきさつはどういうわけでありましょう。と言いますのは、当時は、この高輪の御用邸につきましては、居住者である東久邇氏が国を相手どりまして所有権確認の訴えをやっておったときであります。労働大臣が認可をいたしました公益法人である中央労働福祉センターが、所有権確認の訴訟を起こしているその問題の土地を候補地として選んだいきさつについてそういう事情を踏まえながら御説明いただきたいわけであります。
#165
○参考人(間宮重一郎君) お答えいたします。
 まず、私どもが昭和三十七年の二月十五日に財団法人の設立を許可されまして、いま先生から御指摘のように、労働者の福祉施設をまず東京につくり上げる、こういうことを実は念願としておったのであります。その財源は主として年金福祉事業団の融資を受けてやる、これがまた財源の目当てでございました。そこで、さっそく二月十七日――二月十七日だと思いますが、許可されまして、直ちに年金福祉事業団に対して融資の申請をいたしました。融資の申請、たしか三十億前後の金額だと思いますが、これにはもちろんどこに建てるという計画書を添えなければなりません。そこで、まず当時話が出ましたのが、たしか目黒区のほうにある民有土地がございまして、これに着目いたしまして、この上に施設を設けるということで、年金福祉事業団に申請をしたのでありますが、年金福祉事業団のほうでは、まず土地が自分の所有になるということが明確に証明できなければ審査の対象になりませんと、こういうことでございましたので、いわゆる審査がその意味において保留になりましたので、私どもとしては、何とかして東京都内に土地を見つけたい、こういうことで八方手を尽くしまして、詳しいことは忘れましたが、十数件の候補地、これは国有、民有を含めてでございましたが、当初は実は主として民有の土地に着目いたしまして、ずいぶんさがしたのでありますが、なかなか適当な土地がなかったのでありまして、たまたまそのうちに不動産業者のほうから、高輪の土地があるいは手に入るかもわからぬぞと、こういうような話がありまして、この土地をそれじゃひとついろいろ調査もし、あるいは検討もしてみたいと、こういうようないきさつでございました。そこで初めて品川の土地に集中的に、何といいますか、入手のために動いたと、こういうことでございます。
#166
○二宮文造君 伺いますが、当時東久邇家と国との間にそういう訴訟問題があるということを承知の上で入手に動かれたわけでありますか。
#167
○参考人(間宮重一郎君) 話を当初持ってこられたときは存じませんでした。そこで、いよいよ具体的な話になって、この土地についてどうだろうということでいろいろ検討をした結果、当時、訴訟中であるということはその後承知いたしました。以上でございます。
#168
○二宮文造君 その承知をされた時点はいつでございますか。
#169
○参考人(間宮重一郎君) 詳しいことは忘れましたが、何年でございましたか……
#170
○二宮文造君 三十八年。
#171
○参考人(間宮重一郎君) 三十八年の春だと思います。
#172
○二宮文造君 四月二日。
#173
○参考人(間宮重一郎君) 四月二日は、これは殿下に名誉総裁になっていただいたときでございまして、その少し以前、その後に具体的な事実を知ったかと思います。要するにその前後でございます。
#174
○二宮文造君 ここに書類がございます。同意書というかっこうになっておりますが、昭和三十八年四月二日の日付をもちまして、「財団法人中央労働福祉センターが現在の私の住居地である東京都港区芝高輪南町十七番地に所在する土地(一万一千九百七十六坪七三)のうち五千坪について、国に対して一時使用の許可を申請することに同意する。東京都港区芝高輪南町十七番地、東久邇稔彦、財団法人中央労働福祉センター理事長今井一男殿」、こういう同意書が一通出ております。また同じ日に、中央労働福祉センターは声明書を発表いたしまして、三十八年四月二日であります。この声明書は相当に長文でありますので、時間の関係で概略だけ申し上げますと、冒頭に、高輪の土地は東久邇氏の土地である、こういう確認をしておる。そうして、そういう確認のもとに中央労働福祉センターが福祉施設をつくる、ついては、その趣旨に賛同して、東久邇氏が名誉総裁に就任する、こういうふうな声明書のようになっておるようであります。また同じく、これは多少前後するかもわかりませんが、中央労働福祉センターを債務者とし、東久邇稔彦氏を契約者として賃貸借契約書を取り結んでおられることは御承知でしょう。
#175
○参考人(間宮重一郎君) いま先生のおっしゃったことは、大体そのとおりだと思いますが、賃貸借契約という名称ではなかったように思います。ちょっと見せていただければ、すぐわかりますけれども、賃貸借契約じゃなかったと思いますが、そのほかの部分は、大体御質問のとおりでございます。
#176
○二宮文造君 あるいは私のことばを訂正しなければならないかもわかりません。おっしゃるとおり、表題は契約書となっております。で、甲、乙ときめまして、甲、債権者東久邇稔彦、乙、債務者財団法人中央労働福祉センター理事長今井一男。この甲、乙両者間に左記の契約を締結する。こういう十項目になっております。その中で、乙は甲に名誉総裁報酬月額二十七万三千円、手取り二十万円を終身給付する。ただし、昭和三十八年三月分まではすでに給付済みである。乙は甲の居住地となっているこの土地に――読みます。四番目は、「乙は現在甲の居住地となっている東京都港区芝高輪南町十七番地の四に所在する土地(一万一千九百七十六坪七三)について、甲を原告とする国との間における所有権確認についての裁判上の争いについて、甲は訴訟を取り下げ、乙の目的達成に協力した功労に対して、第一項の邸宅の総建築のほか、甲を受益者として三井信託銀行に金四千万円を信託する。五、乙は前項の信託金のうちから毎月二十五日に、甲に金二十万円を持参、支払いするものとする。」、要するに、この契約は、名誉総裁の報酬として月々手取り二十万、三井信託銀行に信託金四千万、その中から生まれるものは毎月二十五日までに二十万円、これだけを支給いたします。したがって、この土地五千坪についてあっせんをしていただきたいというふうな契約になっておりますが、事実でございましょうか。
#177
○参考人(間宮重一郎君) 契約したことは事実でございます。ただ、ちょっと釈明といいますか、その当時の事情を、東久邇氏の言といいますか、ことばのあれもありますから、少し補足して説明したいと思います。東久邇さんにわれわれが名誉総裁になっていただいたことと、この契約それ自体とは、少なくとも表面的には関係がないわけでございます、何回もそれは東久邇さんが言明されておりますので。ということはどういうことかと言いますと、東久邇さんは、われわれの寄付行為、設立趣旨、それに賛同して名誉総裁に就任することを承諾をしたんだぞ、土地のことはそのときは別に関係はない、こういうことで名誉総裁になっていただきまして、名誉総裁になっていただきました暁におきまして、それはいいことだからおれも協力してやろう、こういうことでこの契約を結んだ、こういういきさつになっておりますので、さよう御了承願いたいと思います。契約の内容は、まさにいま先生御指摘されたとおりでございますが、ただ、ちょっと私聞き落としたのかもわかりませんが、四千万円の信託をするのと報酬を別個に出すというのは、ちょっとどうかと思いますが、まあいうなれば、ここに書いておりますように、その内金として、最初に二百万円と思いますが、お払いして、それはこの中に含めますぞということを書いておりますので、二重ではないと思います。以上、少しその点を御了承願いたいと思います。
#178
○二宮文造君 ちょっと先に進みますけれども、事実問題として中央労働福祉センターから、いろいろなものを含めて東久邇家に渡された金額の総額は幾らでございますか。
#179
○参考人(間宮重一郎君) これ、ちょっと正確な数字は帳簿をみてみないと、私記憶だけでございますが、数百万円かと存じております。
#180
○二宮文造君 いま間宮参考人が、名誉総裁に就任と土地の云々ということはこれは別問題である、こういうことを了解願いたいと、こういうお話でございました。一応、現段階においては、その説明も生きてくるかもわかりません。しかし、この時点におきまして、東久邇家が東亜開発と同様趣旨の契約を結んでおったことを承知されておったかどうか、これをお伺いしたい。
#181
○参考人(間宮重一郎君) 先ほど申し上げましたように、いよいよ中へ、中身に入って事情を聞いてみましたときに、そのような事実は存じました。そこで、それは東久邇さんのほうで――ほうというのは、いろいろほかの人がまじっておりますが、そのほうで解決するから、こういうことでございまして、その中間の人を信頼して解決してもらえるものと考えて、こういう契約をしたわけであります。
#182
○二宮文造君 契約の時点においては御存じなかったわけですか。
#183
○参考人(間宮重一郎君) その前後のことを、前のことですから、私の日誌でももう一ぺん調べてみないとちょっとわからないくらいの、前後したことでございます。
#184
○二宮文造君 では記憶を取り戻していただくために、間宮参考人から三十八年十一月十二日に東京中央郵便局の配達証明郵便で東久邇氏にあてた書簡の写しがここにございます。その内容を見てみますと、なるほどこういう文言がございます。
 「もちろん貴殿を名誉総裁に推載したときは、土地との関係は無関係でありました。したがって、貴殿がセンターの名誉総裁として誠意をもって協力くださるならば、土地問題とは関係なく、名誉総裁として奉っていくことには変わりはありません。しかし、いまの場合はこれが当てはまらないことになりました。貴殿はセンターとの間に土地についての契約を締結し、土地の使用に同意しながら、突如一営利会社のために節を曲げられたのですから、これではセンターが幾ら善意に迎えようとしても、とうていお許しすることはできません。」、こういう文言がございます。しかし、さらにずっと中略いたしまして、こういう文言もございます。
 「貴殿が今回みずからの背信行為の罪を償うため、センターの代替地選定に協力され、センターが適当な新しい土地に労働者の福祉施設が完成するならば、貴殿の背信行為も少なくとも精神的には償われることと信じます。したがって、通知書には貴殿に対する損害賠償請求権を保留することを明らかにしていますが、貴殿の誠意ある態度を期待し、いまのところ訴訟を提起することなどは考えていません。もし貴殿が依然背信行為を改めようとする態度を示されないと認めたときは、あらためて態度を決したいと考えております。」、こういう文言の、片や奉り、片やあなたは背信したではないか、損害賠償の請求を提起するぞ、こういうような趣旨をあなたは東久邇家に対して書簡を提示されているのでありますが、これはお認めになりますか。
#185
○参考人(間宮重一郎君) そのとおりでございます。ただ、私どもとしては、契約をしております。そこへなお契約どおりのお金を払うかどうかという立場に立って、いうなれば、センターの立場を守るために、いまのような書簡を出したことは事実であります。
#186
○二宮文造君 それに対して東久邇家から回答が出ていると思う。これは十一月の十五日付、すでに問題が一応落着したとあなたのほうに届いていると思います。それによりますと、東久邇家はこのように反論をしております。
 まず第一項に、「特に小生土地と無関係ならば、同氏の主唱される元皇族と勤労大衆と相結ばれることは意義あることと確信し、微力ながら役立つならばと思ってお引き受けをしたのであります。このとき小生土地とは全く無関係であることは相互に了解せられるものであります。」、それでありまして、「当時すでに東亜開発株式会社と小生土地につき賃貸借契約が存在していたのであって、ものごとを円満裏に進めるためには、当初から貴センターの意図を小生も知悉すべきでありました」というのは、その前文があります。その前文を、順序逆になりますが、読みます。「貴センターの小生をして名誉総裁に就任を求めた意図を推察するに、当初から小生土地の獲得が主たる目的であったことが明白となったのであります」、それでいまの文言が続くわけであります。そして言わんとするところは、第三項目に、「しかるに本年四月二日、貴センターと無理に契約を結ばしめられたことにより、事態は急変したのであります。小生はつとに疑念を抱いていました。貴センターと契約を結ぶことは、現在貴センターが小生に抗議していると同様な二重契約になると思ったからであります。ゆえに当日はかたく拒否をしました。しかるに貴センターは契約の締結を強要し、東亜開発との契約については、この契約は間違っている、貴センターは、必ず東亜開発と話し合いをつけ解約をせしめる。」、特定の名前が出ておりますが、何々「等は東亜開発の弁護士であって、不適当であるゆえ解任をさせる」、こういうふうなことをあなたのほうから申し出た。先ほどあなたの説明によりますと、契約を取り結んで、その後内容に立ち至ったときに初めて前との契約があると、こういうふうなことが判明したという説明でありますが、問題はそうではありません。当初から東亜開発との契約を知っておりながら、それは無効だ、私のほうで必ず解決してあげます、したがって、東久邇家についている弁護士については、解任しなさい、都合が悪い、こういうような慫慂をあなたのほうでなさっているという反論であります。これについてはいかがでありますか。
#187
○参考人(間宮重一郎君) 記憶にもありませんし、おそらく私のほうでは入手していないと思いますが、配達証明か何かになっておりますでしょうか。
 それから土地の契約といいますか、その土地を協力するという契約をしたときには、東亜開発が借り出したことを存じておりました。名誉総裁になっていただく時点においては、たしか聞いてなかったかと思います。
#188
○二宮文造君 そうしますと、名誉総裁に就任をされたのが三十八年四月二日、契約をなさったのはどれくらいずれておりますか。
#189
○参考人(間宮重一郎君) 契約と同時でございます。同時でございますが、名誉総裁になっていただきましたのはもう少し前だと思いますが、ちょっと私も記録調べてみないとその日のズレはちょっと存じませんけれども、もうちょっと前だと思います。
#190
○二宮文造君 要するに、東亜開発との契約ということはよく御承知の上でその契約をされたというふうな、両者の往復書簡によりましてその間の経緯は明らかになるわけであります。
 さて、なぜこういうふうな問題になったかといいますと、同年十月の二十三日に東久邇氏は三たび京浜急行と契約を結んだわけであります。そのことがセンターのほうにわかりまして、センターから申し入れをし、両者の間にいろいろ往復し錯綜する議論などが行なわれてこういう問題になったわけであります。これはもうあなたもうなずいていらっしゃいますから、そのとおりだろうと思います。
 さてここで、十一月の十二日であったかと思いますが、センターは京浜急行から七千万円受け取っていらっしゃいます。受け取られた方はどなたでありますか。また、だれから受け取られましたか、お伺いしたい。
#191
○参考人(間宮重一郎君) これは京浜急行の代理として吉田裕彦氏という方からであります。
#192
○二宮文造君 そうじゃないでしょう。あなたのほうから吉田裕彦という方に委任状を渡して、吉田裕彦氏を代理人に立てて京浜急行と交渉して、そうして受け取ったんではありませんか。京浜急行の代理人じゃないでしょう。
#193
○参考人(間宮重一郎君) その点私の舌足らずでありました。おっしゃるとおりであります。実は、吉田先生をお願いしたのは、この金を受け取るためにお願いしたんではございません。これは、当時どうもこの土地は紛糾しそうだというので、吉田先生に土地を何とかひとつ取得するのに御協力を願いたい、こういうことでお願いをし、なおかつ委任状を差し上げた記憶はございます。したがいまして、七千万円というのは、そういう話の過程において、先方から吉田先生に依頼をして、それで私のほうがそれを受け取ったということでございますから、京浜急行の代理者ではございません。ただ私のほうがお願いをしてそうして向こうと話し合いをして、そして受け取ってもらった、こういうことになります。
#194
○二宮文造君 その吉田裕彦氏は、だれからその七千万円を受け取ったんでありましょうか。
#195
○参考人(間宮重一郎君) これは私ちょっとわかりません。全くわかりません。
#196
○二宮文造君 いまここに委任状の写しがございます。これはおっしゃるとおり三十八年五月二十二日の日付になって委任状が渡されております。それから、同じく十一月の十二日に七千万円の領収書、これは委任状を渡された吉田氏に対して理事長から領収書が出ております。ただその間に、私、ふしぎに思いますことは、ここに妙な資料があるわけですが、その二カ月以前に、晃洋商事株式会社社長逸見、ちょっとわかりませんが、某からの小切手が一応福祉センターに渡されておりませんか。先付の小切手です。
#197
○参考人(間宮重一郎君) 全然ございません。
#198
○二宮文造君 わかりました。何かこれが先付に渡されていて、直前になって――直前といいますか、その期日のころになって現金化されたというふうな風聞も伺いましたので、確認をしたわけであります。
 なおもう一つお伺いをしたいことがありますけれども、これは今井理事長のことでございますので後日に譲らしていただきたいと思います。
 この七千万円はどういう性質のものか、どういう性質としてセンターはお受け取りになったか。先ほど伺いますと、東久邇家に支出したときは数百万円である、その契約不履行ということで京浜急行にも交渉されたのでしょうが、この七千万円はどういう意味のお金か、どうセンターでは理解をされているか、承りたい。
#199
○参考人(間宮重一郎君) 何といいますか、別に債権があって主張したわけではございませんが、ともかく強力な競願者がございまして、いまの吉田先生を通じて交渉してもらいましたけれども、どうにも話がうまくいかないので、いままでの何といいますか、損害といっても別に私らが先方に債権を持っているわけじゃございませんけれども、まあこれでひとつ手を打ってくれぬか、こういう性質の金でございまして、どういうふうに言うたらいいかわかりませんが、謝礼といいますか、あるいは涙金といいますか、そういう性質の金でございまして、わがほうとしては、それを公益法人として寄付として受領した、こういう手続になっております。
#200
○二宮文造君 私、先ほど保留をいたしましたが、しかしどうせわかることでございますので、間宮参考人に、ここで念書というのがございますが、これについて何かお聞きになったことがあるかどうか、書類を確認した上で御答弁をいただきたい。
#201
○参考人(間宮重一郎君) これは十一月十二日という日は、私一人で現金を受領した日であります。これは私一人というのはセンターが私一人でございまして、日本勧業銀行、労働金庫の行員がついてまいりました。その際にはそういう念書のことは全然ございませんし、また、先生からそういう御質問が出ているということを労政当局からお聞きしましたので、今井さんにも確認をいたしました。また、吉田さんと一緒に行動しておられたある人に、私、直接一昨日も参りまして、どういうことだと言いましたけれども、吉田先生は知らぬ、こういうことだそうでございます。これは伝聞でございますから、私はそれ以上の真偽はわかりませんが、いずれにいたしましても、私どもは、念書としてその日に出したのは今井理事長の署名入りの念書でございまして、先ほど申し上げました契約書についてさらに責任を追及しないという、土地のことについては異議を申しません、こういう念書は確かに差し入れましたけれども、いま私、先生から御提示願った念書は全然わかりません。
#202
○二宮文造君 おっしゃる念書も手元にございます。したがいまして、ここに関連する書類は四通あるわけでございます。三通まではおそらくあなたのほうは確認をされると思います。というのは、一つは委任状、一つは領収書、一つは、いま今井氏が差し出された念書、それからあて先は吉田裕彦氏になっております。この三通はもう必ず確認されると思います。あとの一通は全然知らない、ここに出ております逸見竜秀という方のお名前は、間宮参考人はお聞きになったことがありますかどうか。
#203
○参考人(間宮重一郎君) 存じております。二回面識がございます。その方が京浜の土地に関係されているということは存じておりました。
#204
○二宮文造君 結局二回お会いになったその席が、大体七千万円に落着をするような話し合いの席じゃなかったのでしょうか。
#205
○参考人(間宮重一郎君) 全然その方が七千万円の間に介在しておられたということは、先生がいま念書云々とおっしゃって、ただいま現時点における調査で初めてわかったことでございます。その前に二回、ちょっと説明を加えておきますが、一回はその事件の途中でございまして、一度土地のことで介在をしているので相手方の顔も見たいというので、たしかホテル・オークラかどこかで一回、昭和四十年ごろに会いました。一回はつい最近に、何か国税庁との間において紛議があるので証言をしてもらいたいということでお見えになっただけでありまして、したがいまして、七千万円がその方が介在しておったかどうかということは、当時も、最近まで全然存じませんでした。
#206
○二宮文造君 それではこの問題は今井理事長が御出席をいただきましたときに、その当時の事情というものをもう少し解明をしながら説明をいただきたいと思います。そのまま保留にいたしておきます。
 その次にお伺いをしたいことは、センターの昭和三十八、九年ごろの職員は一体何名ぐらいいらっしゃったのでしょう。
#207
○参考人(間宮重一郎君) 職員というのは二人だったかと思います。嘱託は一人委嘱してあったかもわかりませんが、多少異動があったかもわかりませんので……、二人だったと思います。
#208
○二宮文造君 そうだろうと思います。というのは、ここにおたくの決算諸表を持参しておりますが、このうちの什器備品を見ますと、大体それらしい什器備品を備えてありますから、そういうスタッフをもって経理をなさってこられたということもあわせて頭の中に入れておきながら話を申し上げていくわけでありますが、ここに三十九年度の決算諸表がございます。お断わりしておきますが、私は何も中央労働福祉センターの経理の中に立ち入る権限も資格もございません。ただ問題は、御了解いただきたいことは、福祉センターが公益法人であるということ、労働大臣の認可であるということ、したがって、民法上の規定をもちましても労働大臣の厳重なる監督の中にある、こういう労働行政の一環として福祉センターが含まれるということが一つ、さらにもう一つは、国有地の等価交換にからみまして問題の土地のいわゆる涙金という七千万円を受け取られたこういう事実、もう一つは、東久留米の土地を交換に提供して岩崎邸を取られたということ、さらにその岩崎邸との交換にあたりましては転売、転貸しは絶対いたしません、こういうふうに念書を出しておきながら、その念書に背反するような行為を現になさっていること、こういうことをからめましてあえて経理の内容についてお伺いをしたいのでございますが、よろしゅうございますか、お伺いしたい。
#209
○参考人(間宮重一郎君) 内容についていいますと、どういうことでございましょうか。私、きょうはもちろん証憑書類を持っておりませんが、まあ一言で申しますと、その点はだれに公開してもはばからない経理にしてあるつもりでございます。七千万円の金は、全部公益法人への寄付金として入金しております。なお、先ほどいろいろ契約のときに東久邇さんには数百万円じゃないかと、言外にあとはどうしたというような含みであったようにも受け取れましたのでちょっとつけ加えておきますと、先ほど先生から仰せられたように、東亜開発の問題もございまして、こういう紛議を一切おれが整理をしてやる、こういう人もありまして、その人とは別の約束をいたしまして出金の手続もしたことでございますし、そういうような金が、いうなれば七千万円の中で処理された、こういうことになっております。したがいまして、これも先生の御質問の趣旨をいろいろこれまで予備知識として勉強しておりました中に、もしもこの中に政党献金がありはしないかという御疑問を持っておいでになるということをお聞きしましたので、あえて申し上げますと、その中にはいわゆる政治献金というものは一銭もございません。ただ先ほど言いましたように、いろいろやっかいになりました、動いてもらいましたので、その人たちのある意味における報酬といいますか、これはいわゆる給与所得じゃございませんけれども、調査費という形でそういう方への支出はしておりますが、これは何といいますか、絶対に、少なくとも私どものほうでは正確にやっておるつもりでございます。また、東久邇さんの給与所得につきましても、当然源泉所得といたしましてきちんと処理をいたしております。
#210
○二宮文造君 大体概略伺いました。おっしゃるとおり七千万は三十八年度の収支計算書の中に寄付金としてちゃんと御記載になっております。それは私も承知いたしております。ただ私、疑問に思いますことは、先ほども仰せになった数人のスタッフ、そのスタッフの行動費が、この時点に限って千二百六十一万七千六円、同じく調査費が二千五百九万六千一百円、合わせて三千七百万以上の金がここに調査費、行動費として支出されていることは、これはどういうわけでしょうかと、監督の立場にある労政局に伺いました。ところが、センターのほうでは説明をしていただけませんと、こういう当局の御返事でございます。私は、労働大臣の認可下にある公益法人が、そういう指導監督の立場から、少なくとも経理の内容について説明を求められた場合に、説明をする必要がない、こういう返事でございました、こういうので、できれば議員のほうで当事者に聞いてくれませんか、こういうことでございますので、私はお伺いをしたい。お伺いをしたいが、その前に了解をとっておきたい、こういうことで前段のお話をしたわけでございます。そういう意味でもっと立ち入って説明を求めてよろしゅうございますかどうか。もしあなたのほうがそれはお答えできませんと、こう繰り返されるのであれば、私はもう時間のむだですから、ここでおきまして、しかるべき方法によって説明してください。申し添えるまでもないのですが、公益法人であります。経理は厳正であります。したがって、どこへ出しても説明のつくような経理で処理をなさっていると私は確信しております。ですから、あえてこういうことを申し上げる必要もないと思うのですが、一応礼儀の上から申し上げておくべきだと思い、了解をとりたいと思います。
#211
○参考人(間宮重一郎君) 私どものほうでは経理は秘密ではございません。労政当局に対しては説明はいたします。ただし、先生に御理解を得たいが、それが通るか通らないかは、また先生御自身の御判断にまたなければならぬと思いますが、しかし、先方の個人の名前を公開の席上で発表することは差し控えさせていただきたい。ただし、経理の帳簿、証憑書類は、労働省の方がおいでになりましたら、これは見ていただきたい。私どものほうには、一銭もその点には隠すところはございませんし、事実、所得税課ないしは法人税課からそれぞれ所轄の税務署からいままでそれぞれ再三にわたりましておいでになっておりますが、秘密にしたこともございません。ただ、ちょっとつけ加えておかないと、いつもおまえのところは取り調べられているのかということになりますが、私ども農民数十人の方から土地を買いましたので、土地を買った金を受け取った方の証拠固めといいますか、そういう意味で数回おいでになっております。また、最近ではおそらく国会質問との関連等もあるでありましょうが、おいでになっております。これは秘密じゃございません。ただそういうことは、許されるならば、どこの何兵衛に何ぼということは、公開の席上では、相手のプライバシーといいますか、そういうこともございますから、できることならば御遠慮いただきたい。そのほかのことは、いかなることもお答えいたしたいと思いますが、ただ経理の数字のことになりますと、これは帳簿を見てお答えしないと、ここではちょっとお答えできないこともあると思いますが、そういう前提でひとつお願いいたしたいと思います。
#212
○二宮文造君 ちょっとここで、いま間宮参考人の確信ある御答弁がございましたので、労政局長にお願いをしたいわけでありますが、いまのように、間違いなく見せる、こういうことでございます。したがって、私は調べる権利も何もございません。労政局のほうで早急にその経理の内容について、この問題の千二百万、二千五百万、この問題について早急に御調査を願いたいと思うのですが、やっていただけますか。
#213
○政府委員(松永正男君) ただいま間宮参考人が申されたとおりでございますが、ここで、本委員会におきまして先生の御質問がありましたので、その後係の者をやりまして帳簿を見させております。帳簿とそれから証憑書類につきまして整理がされておるかどうかということは見ております。
#214
○二宮文造君 見ております……。
#215
○政府委員(松永正男君) 見ております。その後私のほうの課長がお伺いをいたしまして御説明を申し上げましたと思いますが、帳簿上の処理ができておるけれども、その具体的にだれに幾らやったというようなことにつきましては、プライバシーの関係から申し上げないでくれと、こういうことがセンターの希望でございますので、その趣旨も申し上げておると思います。
#216
○二宮文造君 私が伺いましたのは、そういう趣旨ではないのです。センターのほうでは、これはセンターのプライバシーに属するものだから、説明はする、説明はするけれども、こまかいことについては、どこにどうした、こういうふうなことはする必要がないはずだ、相なるべくは幾らかの罰金を払えばそれで済むのだから、こういうふうな――これは冗談だろうと思います。笑い話の中にそういうお話もあって、内容のことについては個々につかめませんと、こういうふうな概略のお話でございました。つかんではおりますけれども、説明はできませんと、こういうことなら私は了解するわけです。なるほどそうだろう。つかめませんということですから、いまあらためてこの議場で問題にしたわけであります。ですから、そういう趣旨に従って今後処理していただけるかどうか、お伺いしたい。
#217
○政府委員(松永正男君) 少し時間の経過がございましたので、実はセンターの事業につきまして、私ども監督官庁としまして、適正な運営ができるようにということでずいぶんやかましいことを申しました。そうしてそのやかましいことを言っております間におきまして、センターの責任者との間に感情のそごが多少ございました。帳簿を見せるという最初の段階におきましては、ややそのようなことがございました、事実。その後私どもといたしましては、センターの正常な運営が行なえるようにという趣旨が、誤解に基づいて反発をされたということもありまして、帳簿検査等につきましても、最近におきまして係が参りまして帳簿を見、証憑書類に当たりまして整理がされておるという事実は確認をいたしましたので、最初御質問がありましたときと、その後におきましてやや時間の経過の中におきまして変化がございましたので、その点は御了解願いたいと存じます。
#218
○二宮文造君 間宮参考人、以上のような事情でございますので、どうかひとつ、経理は厳正であろうと私は確信しております。ですから巷間、たとえそれがうわさであるにせよ、そういうふうなことが流布されるとすれば、センターの名誉にも関しますし、おっしゃるとおり労働四団体を代表されるセンターでありますから、どうかひとつそういう意味で明快な処理、説明を当局に対してなさっていただくように私のほうでお願いをしておきます。
 また、もう一つこまかい話になるわけでございますが、これも同じく経理のことでございますが、昭和四十二年三月三十一日の決算諸表でございます。これは疑問ですからあとでまた今井理事長がお見えになったときに説明をしていただけばけっこうでございます。このときに四十一年度の事業会計の貸借対照表に固定負債長期借り入れ金八億五千三百万円、長期借り入れ金が計上されております。ところが、それに見返ります支払い利息の面を見ますと、同じく事業会計の中のこれは損益計算書には全然出ておりませんで、支払い利息の関係は開業費というのが設定されておりまして、その開業費の内訳の中に、支払い利息が五百八十一万六千円と計上されております。八億五千万円の支払い利息が五百八十万となりますと、一分にも満たないわけであります。どこからお借りになったのか、こんな安い金利の融資があるんならば私も貸していただきたいと思うわけですが、もしこれより以上に支払い利息を払っておられながら、決算諸表に計上されてないとしますと、これはちょっと問題が出てまいります。もしいまおわかりでしたら説明していただきますし、こまかい数字のことですからおわかりにくかったら次の機会でけっこうです。
#219
○参考人(間宮重一郎君) それはまことに申しわけないです。未払いになっておりまして、したがって、その時点においては未払いでございました。貸借対照表には出ておらないわけであります。損益計算書には出ておらないわけであります。その後順次、経理をいたしております。以上でございます。これはおそらく今井理事長にお聞き願っても同様のことじゃなかろうかということは、財務諸表はもちろん理事長の決裁を受けておりますけれども、私どもが作成させておりますので、自信を持って――なところで自信を持つようでございますけれども、とにかく利息が払えなくてそこには記載されてないと、こういうことでございます。
#220
○二宮文造君 なるほど、お金の都合でお支払いになれなかったことはわかります。しかし、決算諸表というものは、当期における損益の計算、当期における資産、負債を明確に計上されるのが決算諸表の意義であります。その年度に起こってきた支払い利息、金がないからということで決算諸表においては何の説明もなしにその金額を落としてしまって、はたしてこの決算諸表が正確かどうか。公益法人ですよ、そういう経理のしかたをすることは、ちょっと私も経理上よろしくないのじゃないか、こう思うのですが、御意見いかがでしょうか。
#221
○参考人(間宮重一郎君) 未払い利息として正式に言うならば、何といいますか、こちらがどういうふうに言いますか、私もあまり経理専門でございませんから、その点あまり明快な御説明できませんけれども、財務処理として未払い利息金として、そこへ計上するまでに整理ができていなかったということでございまして、それがまあおしかりを受けることであるかどうかということは別といたしまして、少なくとも私どものほうといたしましては、未払い利息として開業費の中へ計上するまでの金融機関との関係がはっきりしていなかったということになると思います。
#222
○二宮文造君 いや、これは福祉センターの決算諸表を見てみますと、そういう疑問がずいぶん出てくるのです。たとえば基本財産の五百万円を預けておりながら、その金利の計上額が毎期めちゃくちゃだ。あるときは二十四万円くらいしか計上しないかと思えば、次の期には四十数万円あれする。いわゆる未経過処理というものを全然なさらない。まあいわば大福帳のような形式で当センターが帳簿処理をされている。これが私企業であればいいでしょう。しかし少なくとも、たびたび申し上げるようでありますが、労働四団体、しかも今回はあの湯島ハイタウンというような膨大な事業をなさるこの中央労働福祉センターの経理のしかたとしては、今後改めていただかなきゃならぬのじゃないか。これはなおそういう疑問がたくさんございます。したがって、それはまた次の機会に譲らせていただいて、問題を次に進めさせていただきたいと思います。といいますのは、問題の東久留米の土地を購入なさいましたそのときの八洲産業との契約のしかたでございますが、私どうも、この契約のしかたが疑問に思えてしかたがないわけでありますが、これは大蔵省もひとつよく聞いていただきたいわけであります。
 要するに、東久留米の土地は二万五千円以下で買ってもらいたい、それ以上かかった分については私のほうは知らぬぞと、そして八洲産業に対する報酬は、国に買ってもらって、国の値段がきまったら、その差額を両者で二分の一にしましよう、こういう契約なんですが、こういうのは世の中にあるんでしょうか。これは谷川さんもよく聞いておいてください。八洲産業と契約をしたのは三十九年四月二十八日です。五十四回の審議会にかけて等価交換を契約したのは五月の二十日です。しかし、その当時は労働福祉センターはまだ用地は買っておりません。労働福祉センターが買ってもいない土地を対象にして、大蔵省は関東地方審議会に交換案件として出しているわけです。これは御承知でしょうね。そしてその契約の内容は、八洲産業が買収の仲介あっせんをする、大蔵団地と名前をつけております。土地の買収価格は、一坪平均二万五千円とし、これをこすものは別に定める八洲産業の報酬の中で負担する、八洲産業は土地買収に伴う手付金について、福祉センターのために資金的に協力する、これはおたくから出した書類ですから。それから福祉センターは土地買収に伴う測量費は負担するが、その余の経費はすべて八洲産業の負担とする、要するに、測量費だけはこちらで見ようというふうな契約ですね。そしてこれが問題なんです。八洲産業は以上の諸条件によって次の算定による報酬を受ける、大蔵団地の評価額、要するに国が交換受けをする、そのときの評価額マイナス土地買収費(坪二万五千円を退度とする)マイナス宅地造成費、ですから、国が評価をする、それから二万五千円以下の実際に要した費用と土地造成費を引いて、残ったものを二分の一する、これが八洲産業の報酬である。こういう契約の内容で土地の入手にお入りになったのですが、事実でございましょうか。
#223
○参考人(間宮重一郎君) そのとおりでございます。
#224
○二宮文造君 ちょっとここで差しはさみますが、どうでしょう、谷川次長、こういう契約のしかたでこの東久留米の団地を福祉センターが購入したのですが、こういう事実は御承知でございましょうか。
#225
○説明員(谷川寛三君) ただいま初めて伺いました。
#226
○二宮文造君 先般来、この土地は二万五千円以下で購入されたはずである。それに対して、いいですか、買ってもいないのに交換するときめたのですよ。まだ買ってもいないのに交換をした。そして土地を入手し大急ぎで造成をした。それを待ちかねて交換をやった。そのときの差額が、坪で一万一千円出ているのですよ。それをあなたは、国の評価は間違いない、こういうふうに、こういう内容がわかった上でもあなたは言い切れますか、お伺いしたい。公僕として返事してください、メンツじゃなくて。
#227
○説明員(谷川寛三君) 評価には間違いないと思っております。
#228
○二宮文造君 では申し上げましょう、もっとからくりを。これは岩崎邸の交換がきまりましたのは四十年の十二月二十八日です。そして大蔵省で価格を決定したのはいつです。大蔵省が――もうここに資料があります。私のほうで言います。大蔵省が価格を評価したのは三十九年、そして四十年の二月ですか、四十年の二月にそれにある程度の是正を加えてその時点で買収価格はきめてしまっているのですよ。岩崎邸は、したがって、基本になるのは三十九年の二月が基本なんです。それにわずか六%の値上がり分をきめただけで二年近くも経過するような、あの三十八、九年、四十年の地価の値上がりというものはたいへんなものです。それを四十年の十二月の二十八日にその価格で決定されている。これはここに評価鑑定書がありますから、もっと時点をはっきり申し上げたらあなたはなお了解されると思いますが、「土地売払価格評定説明書」、これいただいております。この日付は四十年の二月二十五日、この日に決定し、坪三十二万六千四百八十円。この基本になりますのは、鑑定人に鑑定をさしましたのは三十九年の四月十七日に日本不動産研究所、一年前ですよ、三十九年四月十七日。同じく安田信託に対しては、三十九年四月二十日。なるほど、それから是正をしております。高い分については三%、安い分については六%の是正はしております。しかし決定をしたのは四十年の二月です。交換をした時点は十二月の二十八日です。この半年以上の地価の高騰というものはたいへんなものです。こういうふうにあなたが適正な査定をしたと、こうおっしゃいますけれども、時点を振り返ってみればこういう疑問も出てくる。私は答弁はまた後ほど個々に当たりましたときに申し上げますから、出ますが、こういうことがあったということを御記憶ください。
 なお、参考人にお伺いをいたしますが、ここでそういう契約に基づきまして、ここに、交換契約に伴う損益というのが出てまいりました。その中には、買収費、造成費、これはもちろんセンターが負担すべきでしょう。ところが、最初に、測量費は負担するけれども、その他の経費は全部八洲産業がやると、こう言っておきながら、橋梁費、それから家屋の移転の補助費、それから訴訟手続費用、印紙収入、こういうものをずっとセンターが負担されておりますね。そうして残った差益というのが、八洲産業に払われた差益金が八千九百三十八万七千五百六十円という計算になっております。要するに、この二万坪を八洲産業はあっせんをして、二万五千円をこえた金額が若干はあったでしょう。それはセンター側知らないと説明しております。われ関せず。それは最初の契約どおりだ。それで八千九百三十八万七千五百六十円を八洲産業は入手しているにかかわら、ず、センターのほうはどうかといいますと、いろいろ経費を払います。しかも、問題の土地であります。裁判所書記官研修所の出入り口を改修しなきゃならぬ。それに最終請負金額として二千百九十九万円かかるから、差し引き二千四十五万八百五十円、センターは欠損をした。これ、私、疑問に思いますことは、センターは公益法人、公益法人の関係者は、この公益法人に利益するような契約書をつくって事を進めていくのが当然であるにかかわらず、外来者には相当の利益を与えるような契約をし、しかも、センターは二千五百万、なけなしの金の中から毎期ずっと繰り越し欠損金をあげておりながら、また、七千万円というような涙金をちょうだいしなきゃならないような不如意なセンターが、どうしてこういうふうな二千数百万円も赤字にあげるような契約をなすったのか。これは、いわゆるセンターの構成員に対する、構成する皆さんに対する善良な管理を誤っているのではないかと、こう私は思うんですが、そのいわゆる管理者といいますか、執行部といいますか、そういう立場にあります間宮参考人の御感想を承りたい。
#229
○参考人(間宮重一郎君) 先ほども申しましたように、ただいまのような内容の契約をしていることは事実でございます。それから、諸経費のうちに柵渠費あるいは印紙代、こういうようなものは、実は抜き書き――抽象的に書きましたので、さも含まれておるようになっておりますけれども、それは、実は契約上含まれておらないことになっておるわけでございます。諸経費というのは、土地の買収について、それぞれ先方が、いわゆる土地の買収それ自体の諸経費でございまして、いまおっしゃったような柵渠費とかいうようなものは、そのときは含められないという意思、解釈になっているわけでございまして、したがいまして、契約ができておるけれども、払ったというわけではございませんで、それは私が資料提出のときに、その点、あるいはことば足らずかもわかりません。なお、そういうふうな契約があるかとおっしゃられますが、それは、まあ何といいますか、一つの報酬の基準としてそういうものを置いたわけでございます。したがいまして、その結果につきましては、先ほど、二万五千円をこえたものは、センターの責任でないと、こういう契約は確かにしておるわけでございますが、そこで、事実上二万五千円をこえるものも私どもと地主との間においては契約はしております。二万五千円こえた土地は、私どもと地主との間に契約しております。そのこえた部分は、平均で割り出して八洲産業が負担すると、こういうことになっております。
 それから私どもに契約した以外に八洲産業が現実に払っておるものも相当額あるということも聞いております。何か三、四千万の金、そういうものがあると聞いております。それを私は存じませんというのは、そのことでございます。ただ私どもと契約したものの中身は、私ども全部知っております。これは三万近くまであったかと記憶しております。したがいまして、その契約当初は、土地を買い集めてくれ、しかも全部買い集めたということを確認してからでなければ契約はしませんぞと、いろいろ厳格な条件がつけてあります。その上土地を買い集めて、たとえ仮登記におきましても、抵当権が設定できるまでは銀行から金が出るものじゃございませんから、一億円を限度として、いうなれば保証金を積むけれども、その余の契約金はおまえのほうの負担だぞというようなお約束もございました。それやこれやを勘案して、あれは契約でございますから、相手方との取引関係において、いまのような結果になったわけでございます。それが先方が利益を得たか得ないかというのは、いろいろ見方もございましょうが、これは私どもセンターの理事者としては、絶対に確信を持ってそれぞれ機関にはかっていたしてきたことでございまして、それが結果的におまえのほう、少し向こうのほうがもうかったんじゃないかという御批判がかりにあったといたしましても、私どもとしては、甘んじてその御批判を受けるほか、ほかに方法がない、かように存じております。
#230
○二宮文造君 そうしますと、ここに確認いたしますが、費用としてこういうふうに種別をあげてあるけれども、必ずしもそのとおり支払ったんではないと、こういう意味でございますか。たとえば――さっき橋渠と申しましたが、間違いでした。柵渠工事費四百三十四万二千百五十九円、久留米町寄付採納となっていますが、これは支出したんでしょう。それから家屋移転補助費四百万円支出したんでしょう。これは要するに、これだけのものを払いましたという金額をここにおあげになったわけでしょう。したがいまして、八洲産業が八千九百三十八万七千五百六十円センターから取ったということは事実ですね、それでよろしいでしょう。
#231
○参考人(間宮重一郎君) そのとおりでけっこうでございますが、精算上八千九百何万が、最終的な、つまり私どもと地主との契約した部分において、それを精算した結果いまのような算式で得た数が八千九百何万でございます。
 それからそこに書いてある柵渠費とかいうのは、契約上相当方の負担に属さないもので、わがほうが負担すべきものを支出した、こういうことでございまして、その点御了解願いたいと思います。
#232
○二宮文造君 それからもう一つ確認しておきますが、何か地主との間でということを再三繰り返しておられますけれども、地主との土地の購入の契約書は、まさか二重契約じゃないでしょうね。
#233
○参考人(間宮重一郎君) 私のほうでは絶対二重契約しておりません。ただし、先ほどちょっと言いましたように、これは八洲産業からまた聞きでございますからわかりませんけれども、この土地を入手するについて、私どもと契約した以外に、八洲産業が支出しているものがあるということを聞いております。それがあえて地主から見れば二重契約かもしれませんが、私どもとしては公正に契約をして、その契約書は交換契約につけております。
#234
○二宮文造君 それで、もうこれでずっと地主との契約を当たっていけば、疑点がはっきりしたわけでありますが、間違いないというお話でございますから、次に入ってまいります。
 そこで、ここに登録税という四百三十六万九千五百十二円、こういうのがありますが、この登録税というのは何に要する費用でございますか。おたくのほうは所有権の移転登録はなさっていない。やったのは所有権の移転の仮登記だけであります。仮登記といいますと登録税は要らないのです。ほんとうにわずかなものであがるわけであります。これはどうでしょうか。何の登録税でしょうか。
#235
○参考人(間宮重一郎君) ここにある登録税はもちろん登記の登録税でございますが、おっしゃるように仮登記の登録税のほかに何を登録したか、これこそ、私ちょっと記憶では出てきませんが、これは正確に帳簿を、照合書類がそろっておると思いますから、何でしたらその内容は、これは相手が法務省でございますから、きちんと調べて資料は当局にお出ししてもよろしい、こう考えております。
#236
○二宮文造君 それからもう二、三点です。センターは、当初に念書を入れておりました。転貸しはしない、あるいは転売はしない。この念書の性格というものを公益法人であるセンターはどのようにいま理解されておりますか。これは念書であって破ってもいいんだ……
#237
○参考人(間宮重一郎君) 念書の趣旨は、少なくとも法律上の効果がどうあろうと、一たん念書を入れた限りは、絶対にこれは守っていきたいということで終始一貫しております。
#238
○二宮文造君 現状はその念書のとおりになっておりましょうか。
#239
○参考人(間宮重一郎君) 先ほど申し上げましたように、いろいろ先生からも御指摘もございますが、当初の計画と変わっていることは事実でございます。したがって、うち二千坪については、いわゆる、ぼくらのほうの命名した名前で湯島ハイタウンというのですが、これは当初の計画とは変わっております。その点につきまして分譲マンションというものが、ある意味において空中権を売るようなかっこうにもなるわけでございます。そういう意味からいうと、道義上これはしたくなかったのでありますが、しかし諸般の事情によってやむを得ず、何といいますか、分譲マンションをやると、こういうことになったわけでございます。その点、いまでも何とか当初の目的どおりやればよかったということには変わりはございません。
#240
○二宮文造君 そうじゃないんです。あなたは転売のことばっかり言っていらっしゃる。転貸しをしないと、こう書いてある。それがこの契約書によりますと、私もこんな概要の契約書はほしくない、いわゆる原本の写しがほしかった。ところが種々の事情によりまして、こういう概要しかおたくのほうからお出しいただけないので、やむを得ずこれによってまいりますけれども、この契約のハの部分には、明確に、土地賃借り権の設定を承認する、こういうわけであります。しかもなお――もう時間が切迫してきましたから最終的にはしょってまいりますが――土地賃借り権の対価は五億六千万円、大蔵省からこの福祉センターに対して等価交換に応じましたときの二千七百坪の総価格は幾らでありますか。
#241
○説明員(谷川寛三君) 九億二百万でございます。
#242
○二宮文造君 九億二百万で取得しました二千七百坪、そのうちにセンターは藤田組あるいは藤和不動産と契約をして五億六千万円の賃借りのための対価を受けているわけですが、こういうことはよろしいでしょうか。大蔵省へお伺いしたい。しかも、このあとの地代を取るから、これは地代を取るからこれは転売はいたしません。しかし念書に反したこれは賃貸しの設定です。これは念書に反しております。さらにあとあとの地代はどういう加入者との約束になっておるかといいますと、A棟におきましては月々千六百円、B棟におきましては月々千三百円、四百戸でありますから毎月の地代は二千七百坪に対しては四十万か五十万、年に直しても六百万円、十年で六千万、百年で六億であります。それほどそういう地代はうんと低くして賃借り権として五億六千万円を取った。これは単純なる転貸しではありません。建つ建物は永久建築が建ちますし、重要なこの念書に対する背反であるし、念書の性格についてはまた大蔵省と議論したいと思いますが、こういうことが好ましいかどうか、当面の大蔵省から見解を承りたい。
#243
○説明員(谷川寛三君) 前回も申し上げましたように、当初計画をしておられましたところと違ったものになりましたことにつきましては、私どもといたしましては非常に割り切れない気持ちでおります。まあ念書の性格としましては、またあとで御説明を申し上げますが、道徳的な制約は私はあると思いますが、法律的に確保するだけのものがなかったわけでございます。たいへん割り切れない気持ちではありますが、追記はできない次第でございます。
#244
○二宮文造君 間宮参考人からいろいろお伺いをいたしまして、依然経理の問題それから土地の入手、交換の状況、現況、こういうものにつきまして私どもはまだ疑点が払拭されません。したがって、さらにこまかく後日御説明をいただきたいと思いますが、ここで最後に一間だけお願いしておきたいのですが、あの四面戸のハイタウンの分譲住宅は全部売れたかどうか。
#245
○参考人(間宮重一郎君) 申し込みは全部売り切れました。現在契約進行中でございますので本契約がどれだけということはまだわかりませんが、補欠何番というのまでございますから、おそらく売り切れたと表現しても間違いはないと思います。
 なお、ちょっと先生のおっしゃったことについてですけれども、地代は月千三百円でございまして、間違いございません。A棟、B棟私のほうでは区別しておりません。平均千三百円でございます。したがって、片方が千六百円になれば片方はもう少し下がるはずでございます。その具体的なことにつきましては、私どももランクにつきましては値づけと非常に関係がありますのでまかしておりますが、そうでございます。いま契約進行中、全部千三百円でございます。間違いございません。
#246
○二宮文造君 私がいま申し上げましたのは別に憶測で申し上げたのではないのです。おたくの出された資料の中から申し上げたわけでありまして……失礼しました。見間違いました。管理費としてA棟は九千円、うち千三百円が地代、B棟は六千円、うち千三百円が地代と訂正しておきます。
 ただお願いをしたいのは、私は労働省を通じましてセンターの――ほんとうにいままでも正常に運営されてきたと思うのです。しかしその性格上、より厳正に運営をしていただきたいという趣旨から、いろいろ労政局に対しまして資料を要求いたしました。ところが、今日まで満足な資料は提供していただけません。何かの都合によったのでしょう。したがいまして、私は余分の努力をしながらそれに見合うような資料をあちこちで入手しなければならない。要すれば公益法人でありますだけに、みずから姿勢を正していくというやり方で、どうかひとつそういう私どもの資料の提供に対する要望に対しましては、今後も御協力をいただきたい、こうお願いしたいのですが、それを伺いまして本日のところ参考人から説明を承ることを終わりにしたいと思います。
#247
○参考人(間宮重一郎君) いままで労政当局のみならず、大蔵省あるいは国税庁、資料はいつも見せてかつ説明をしております。今後も資料要求がございましたならば、私どもの立場から、このぐらいでひとつごかんべん願いたいというのが中にはあるかもしれません。それ以外のものは、進んで提供をいままでもしておりますし、今後もしたいと思います。なお、先ほど局長からもありましたように、若干その間のいきさつがあったことは御了承願える――これは過去のことでございます。現在のものにつきましては、そういうことはなかったと思っております。ひとつよろしくお願いいたします。
#248
○二宮文造君 あと十分時間をいただきたいと思います。それで整理をしてしまいます。
#249
○委員長(木村禧八郎君) 参考人に申し上げますが、長時間にわたり、ありがとうございました。
#250
○二宮文造君 私はここで申し合わせの時間が参りました。皆さんにもたいへん御迷惑をかけておりますので、最終的に各省に対しまして疑問点を提供いたしまして説明をいただきたいと思うわけであります。
 まず大蔵省にお伺いをします。これは中間省略の問題でございますが、前回谷川次長は判例でも許されております、間違いありません、こういうふうな答弁でございましたけれども、中間省略を是とする判例はどの判例でございますか、これをお伺いしたい。
#251
○説明員(谷川寛三君) たくさんあるようでございますが、私が見ましたのは、ちょっとここへ持って参りましたのは、判例でそれを引いたところに書いてございますが、大正九年大審院第百二十七号とか、たくさんございます。よろしければあとで書いて差し上げます。
#252
○二宮文造君 また違反だという判例もありますね。たとえば大正八年十二月二十三日二千九百二十五号、これの違法であるというそういう判例もあります。およそ答弁をなさる場合に、都合のいい判例だけを引用されて、悪い判例を引用されないことは、説明の段階では私はまずいと思う。この点は今後お改めを願いたいと思うわけでございます。
 法務省の刑事局にお願いをいたしますが、刑法の百五十六条に「公務員其職務二関シ行使ノ目的ヲ以テ虚偽ノ文書若クハ図画ヲ作り又ハ文書若クハ図画ヲ変造シタルトキハ」云々という、こういう規定があるように私も聞いております。さて、この問題の東久留米の土地は中央労働福祉センターが買った土地であり、大蔵省はそれから等価交換をして所有権の移転を求むべきでありますのに、この法務局に対する届出の様式を見ますと、非常に疑問があるわけです。読み上げます。所有権移転登記嘱託書、これは物件の表示は後記のとおり、登記の原因及び日付は昭和四十年十二月二十八日交換、登記の目的は所有権移転の登記、登記義務者住所氏名、北多摩郡久留米町大字門前何々。登記権利者大蔵省、大蔵省は当該の人と購入した、契約書はないのです。契約書がないのに、その内容に虚偽を与えるような、そういう大蔵省の不動産登記嘱託書を、職員何の誰兵衛という人が、田無出張所に対して登記をしておりますが、これは問題になりませんか、どうでしょう。
#253
○説明員(石原一彦君) 突然のお尋ねでございまして、法規上、私も記憶間違いがあった場合にはあとで訂正さしていただきますが、ただいま先生百五十六条をおあげになりましたが、中間省略登記で問題になりますのは、むしろ百五十七条でございまして、公正証書不実記載に当たるか当たらないかということが、かつて問題になったことがございます。私の記憶に誤りがなければ、たしか大正八年ごろまでは不実の記載であるということで、百五十七条に当たるということでございますが、その後の判例において、たしか変わったはずでございまして、現状における記載事項の内容が虚偽であればこれに当たることがあるかもしれませんが、現状が実体に合致している限りでは、本罪は成立しないというぐあいに大審院時代に変更されたという記憶でございます。詳細につきましては、またあとで調査いたしまして御報告いたしたいと思います。
#254
○二宮文造君 これは、しかし登録税の関係が出てまいります。国が登録しますときは、ここにもありますように、登録税法十九条十五号による免除と、しかし、当然これは労働福祉センターが登録すべきである。その場合には登録税は私必要とすると思う。それだけ国庫収入がなくなってくる。また、そういうふうな国損を与えるようなことに大蔵省の役人が協力をするということは、よろしいでしょうかどうか。あなたがいまおっしゃった中間省略の被害がなければいいですけれども、現実に国損を与えるというような条件が出てきた場合にも、なおかっこのやり方は間違いございませんか。
#255
○説明員(石原一彦君) 先生のおっしゃるように、私が申し上げましたのは刑法の百五十七条に該当するかどうかということについて申し上げたのでございまして、税法上の評価、それがいいことであるか悪いことであるかという点については、別個の評価であろうかと思います。したがいまして、税法上の問題がございましても、刑法に関する限りにおきましては、たしか中間省略登記が実体に合っている登録がなされておりますれば、犯罪は構成しないというぐあいに私は了解いたしております。
#256
○二宮文造君 刑事局のほうでは税法上の問題というお話でありますが、国税庁のほうの見解はどうでしょう。こういうことが間々行なわれてよろしゅうございましょうか、好ましくないか、結論だけでけっこうです。
#257
○政府委員(亀徳正之君) 私も突然の質問であれでございますが、少なくとも形式上大蔵省、国が登記をするというときには、国の登録税は免除ということになっておりますので、私のいまの立場では、形式上国が登記するということであれば、登録税は免除されるとお答えするほかないと思います。
#258
○二宮文造君 答弁の趣旨が違います。国が登記をするときには免除されるのはあたりまえです。私そう言っているのではないのです。ここで中央労働福祉センターが――センターがと言わなくてもいいです。Aという人が土地を買った。そうして国に売った。当然この人に所有権の移転の登記をして国に売るべきでしょう。所有権移転、これが行なわれなければいけません。また当然そこには対価というのが、差額が出てまいりますから、当然そこに税法上のあれを受けるはずです。ところが、こういうふうにまん中に立った者が抜けてしまいますと、中間に立つ者が所得を得ても税法上は捕捉できないじゃありませんか。したがって、そういうことが慣習として行なわれた場合には、税の捕捉がむずかしくなるので、その点から考えて好ましいでしょうか。このままでいいでしょうか、好ましくないか、その結論を伺いたいということです。
#259
○政府委員(亀徳正之君) ちょっとこの実体に関しましていま問題があるようでございますので、私たちはやはりあくまでも実体に即して判断しなければなりませんのでやはり実体を十分承知いたしました上で御答弁したほうがいいかと思います。
#260
○二宮文造君 私はきょうがまた序説のような質疑の展開になってしまいました。本来であれば今井理事長ないしは京浜急行が御出席をいただきますと、全部ここで問題点が明らかになるところでありました。ところが本日はそういう不測の事故がございましたので、内容がさらに固めにくくなりました。あとの質疑者の関係も一ございますので、今後に質問の機会をつくっていただきますことをお願いいたしまして、きょうはこの程度にとどめておきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。
#261
○委員長(木村禧八郎君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#262
○委員長(木村禧八郎君) 速記をつけて。
#263
○黒柳明君 持ち時間が限られておりますので、要点だけでいきたいと思いますけれども、建設省でせんだって公営住宅の入居基準の改正を発表いたしたわけですが、その趣旨と目的をお述べ願いたいと思います。
#264
○説明員(沢田光英君) お答えいたします。
 公営住宅の収入基準の改正をいたしましたわけでございますが、改正の理由は、いまの収入基準というものが三十七年に改定されましたものでございまして、それ以後物価の上昇あるいは収入の増加等によりまして、入居資格を有する勤労者の層が相対的に低下いたしまして、今日の現状にそぐわないということになりましたので、改正をした次第であります。
#265
○黒柳明君 もうちょっと何か具体的に基準を…
#266
○説明員(沢田光英君) 内容は、第一種公営住宅と申しますか、いわゆる二分の一補助のほうの住宅につきましては、従来二万円をこえ三万六千円までの収入の方、この二万円あるいは三万六千円という収入は、税法上の収入から扶養家族の控除を引いたものでございますけれども、そういうふうなものを、二万円から三万六千円までというものを、二万四千円をこえ四万円以下、こういうふうに一応上げました。それから第二種公営住宅のほうは、これはより低所得階層をねらうものでございまして、三分の二補助のものでございますが、これが従来二万円以下というものでございましたものを二万四千円以下と、かような内容に改定をいたしました。
#267
○黒柳明君 私はそれを今度は公務員の宿舎の問題に当てはめてみたいと思うのです。まあるるこれに対しての説明はつくと思うのですけれども、要するに、簡単に言いますと、従来から問題であった高額所得者の居すわり、これを追い出そうと、こういう一つの方途である、こういうふうに私は了解しているわけですけれども、一般の住宅に対して、公営住宅に対してこういう処置をとっている。これはある意味においては当然妥当であるからこういう処置をとらざるを得ないと思いますね。ところが、今度は公務員のほうにこれを当てはめて、そして私は質問をしたいと思うのですけれども、現在の公務員の宿舎、まあ充足率あるいは不足率、等級別にどのようになっているか、谷川さんのほうですか、簡単でけっこうです、一、二、三、四、五、六と。
#268
○説明員(谷川寛三君) 私のほうでは充足率と申しますか、こういうかっこうでアンケートをとりまして、毎年九月に……
#269
○黒柳明君 一つの省だけでもいいですよ、労働省なら労働省。
#270
○説明員(谷川寛三君) いや全体でわかりますので……。安定率と申しております。職員の方から、御自宅で住居が安定しておられますかどうかというような御質問をいたしまして、そこで安定率というのをとっておりますが、それで見ますと、全体では九四%になっております、公務員全体で各省全部入れまして。ただし等級別に見ますと、六等級以下の方で申しますと、これはまさに平均どおり九四%でございます。それから五等級の方で九三%、四等級九六%、三等級はアンケートによりますと、一応一〇〇%ということになっておりますが、二等級以上の方が九九%、こういうような統計になっております。
#271
○黒柳明君 もうちょっと具体的に数字を。私どももらった資料があるわけですね、一等職、指定職ならこういうふうになる、ここにずっと各省庁掲げてございますでしょう。それから労働省でもございましたですね。
#272
○説明員(谷川寛三君) 各省別ですか。
#273
○黒柳明君 各省別でも全体でもけっこうですよ。要するにまあパーセントじゃなくて、何戸あるか、こういう戸数別に言いませんとちょっとはっきりしません。お願いします。一つの省をあげていただいてもけっこうです、みんな同じですから。典型的な……。
#274
○説明員(谷川寛三君) それでは黒柳先生に提出いたしました書類で申し上げますと、労働省で申し上げますと、これは指定職、一等級の方でございますが、現員が三十九名おられまして住居安定が二十二名、これだけでございますが……
#275
○黒柳明君 要するに一番右の数字だけでいいです。
#276
○説明員(谷川寛三君) それではマイナスニと出ておりますが……
#277
○黒柳明君 二戸余っているということですね。
#278
○説明員(谷川寛三君) ところがこの実態がよくわかりませんけれども、建てかえのために廃止予定の宿舎が含まれておる場合もありますし、それからまた一等級、指定職の方が、私どもで一応その方がお入りになるに適当だという宿舎以外の、もっと下の方がお入りになるところに入っておられる場合もありますので、このマイナスの実態がよくわかりませんから、実態の御説明が不十分でございますが、そういうことになっております。
#279
○黒柳明君 ですから、六等職が何百と出ているじゃありませんか。五等職が何百、六、五、四、三、二、一と。要するに足らない戸数が出ているじゃありませんか、そこに。
#280
○説明員(谷川寛三君) そこの実態がちょっと不明でございますが、またよく調べましてお答え申し上げます。労働省のほうからも何か別途お出しになっているかもしれませんが……。
#281
○黒柳明君 等級別に出ているのがあるでしょう。
#282
○政府委員(岡部實夫君) それじゃ労働省の官房長でございますが、ただいま先生の労働省のことに関してでございますが、私ども一応調べておりますのは、指定職及び一等級は現員四十一で、自分の住居を持っておりますのが二十一、それから宿舎が二十、これは全部満ばいであれしております。
 それから二等級が現員百五十九名、そのうち自分の住居を持っていますのが五十六、それから既設の住居が百で、必要戸数三でございます。
 それから三等級が三百八十三、自分の住居が百六十四、既設の戸数が二百十、必要戸数が九、
 それから四等級が二千五百四十三、現在自分の住居を持っておりますのが千四百二十八、それから宿舎ですでにありますのが九百九十二、差し引き必要戸数百二十三。
 それから以下必要戸数だけ申しますと、五等級が四百九十七、六等級が千二百二十三等になっております。
#283
○黒柳明君 これは各省庁ともこの例は変わりないと思います。要するに六等職の方が千二百二十三の戸数が足りない。それから五等職が四百九十七、四等職が百二十三云々。指定、一等職はすべて足りている、こういうことですね。それで宿舎法ですと当然上から充足していくと、まあ、こういうふうなことですからね、指定、一等職のほうからどんどん借り上げていく。ですからここらあたりがゼロであることは間違いない。また先ほどのマイナス二の内容、若干各省庁によって違いますけれども、指定、一等職あたりは余っておるところがあるわけですね。こういうふうな実態、それが今度は家賃の問題、はたしてその家賃と住んでいる家と、常識的に見合った状態にあるかどうか。ここらあたりは先ほどの建設省から出した、高額所得者を追い出す、要するに家賃を上げると、こういう点と、私は公務員の宿舎、特に高級公務員の宿舎、この状態とどうも常識的に判断してうまくないという気がするんですけれどもね、どうですか、その点、その監督をしておる責任者として、また具体的にここに例がございますけれども。
#284
○説明員(谷川寛三君) いまの点にお答えいたします前に、先ほどの御質問にちょっと補足さしていただきたいと思います。
 先ほどちょっと全体の数字で申し上げましたように、平均しまして九四%でございますが、二等級以上が九九%という数字を申し上げました。まあいろいろ議論はございますが、最近におきましては下のほうの等級のほうを中心にいたしまして逐次宿舎事情を向上しようという趣旨で計画をいたしておりまして、そういう点から申しますと、毎年度の建設戸数のうちの中、下級のほうの建設戸数のシェアをとって申し上げますと、四十二年度は九四%でございましたものが、四十三年度は九五%余りになっている、逐次そういうふうになっていることがあらわれているようでございますので、御了承をいただきたいと思います。今後ともそういうふうにやっていきたいと思います。
 それから次に宿舎料の問題でございますが、まあ公務員宿舎の性格がまず問題であろうかと思うのでございますが、私から申し上げるまでもございません、まあ職員の配置につきまして、人事配置につきましていろいろ行政目的からの要請がございますし、それから職員の仕事の上での能率の点からのいろいろな配慮がある、そういった行政上からの配慮に基づくものであるというのが、まあ一般の民間の住宅の場合と非常に違うのじゃなかろうかと思っております。そういう点で、一般の民間の貸し家の賃貸料と比較することは適当でないのじゃないかというふうには考えます。これは民間の場合でも社宅の給与住宅等はわれわれと同じような考えで借料をきめていると思いますが、そのように基本的には考えています。しかし、まあ最近建築費も非常に上がっておりますことなど考えまして、できるだけ早い機会に、ただいまの賃貸料を全体的に再検討したいというふうに考えて勉強しているところでございます。
#285
○黒柳明君 ことしの春ですか、一般民間会社の重役が豪華な家に住んでいる、現物支給という形であるのですけれども。これを国税庁のほうで改めた、こういうことでありますね。ですから、全体的に申せばそういう傾向にあるのです。また、だからいま言ったように、建設省のほうも、一般の大衆の高額所得といっても、たいしたことではないのですよ、高級公務員からあるいは一般民間の役重から見れば。それだったって改定しようということなんです。それが妥当であるという判断に立っているわけです。これは国家公務員の宿舎法に「職務の能率的な遂行を確保し、」云々とありますけれども、はたしてそれじゃ国家公務員だけが能率的な職務をやらなければならないのか。むしろ国家公務員も文字どおり公僕です。どんなところに住もうが、それこそ能率的にやらなければならぬ使命と役目があるのじゃないですか。むしろ逆ですよ。そういう法律がある、だから、ということは私はそれこそ庶民の感情に反することであると思う。そんな法律があっても、それはさておいて、こういう立場にあると思う。私たちの公僕としての使命なんだ、任務なんだ、こういうふうでなければならぬと思う、またこのことは触れますけれども。それから料金の問題ですよ。まあ確かに国家公務員、いろいろな宿舎は違う、確かに違うと思います。私も納得します。しかしながら、いま言ったように、一般の民間会社だっても重役が豪華な家に住んでいる。それに対して税金を取っていこう、国税庁のこういう態度。また建設省ですらも、わずか三万、四万あるいは五万の所得がある国民からも高額所得者はどんどん高い入居料を取っていこう、こういうことをやっているのに、片一方、先ほどおっしゃったように、こういうこれからは中、下級公務員に対して住むところと、こうおっしゃっておりますけれども、これはどの程度であるか非常に疑問だし、いま現在なんというのはとんでもない話ですよ。ここに、私はほんとうに失礼ですが、何も私はこの人が親のかたきでも恨みがあるわけでもない。要するに二十五万、東京都に四分の一があるわけですね、全部調べろといったって無理ですよ。ですから私がわずかの時間で調べた範囲内でのことで、ほんとうに御当人には名前を出して申しわけないのですけれども、一事をもって万事を知っていただきたいし、また一人の人の姿勢が正されれば全部の高級公務員の姿勢が正せる、正すべきじゃないか、こういう良心の叫びとしてまず料金の問題を取り上げたい。私は三点ここで言いたいことがあるが、料金の問題、たとえば郵政省の浅野事務次官、これは土地面積が四四五・五八平方米、大体百五十坪ですよ。それに対して木造平屋一〇四・六二平方米、大体三十五、六坪ですかね、家賃が四千百円、それから溝呂木官房長四五四・五四平方米大体百五十坪、木造二階建て、建て坪はこれはちょっと大きいです、二一二・七一平方米、七十坪以上ですね。家賃三千二百円、まだその他あります。もう一人、農林省、三善水産庁生産部長、五二七・一四平方米、これはものすごいですよ。建て坪が一一二・一六平方米、家賃が四千円、まあ二千円から三千円、三千円から四千円、これだけお金を出していまどれだけの家に住めるかというのです。私が調べましのでは、大体二DKから三DKで二万五千円かかりますよ、いま現在。私は、ここに発言するからには国家公務員宿舎法を研究しました。当然わかっています。木造に対して、鉄筋に対してあるいはブロックに対して、あるいは年数が古くなるごとにこういうふうに一坪当たり家賃を減らすとか、そういうことはわかっています。でもそれは微々たるものですよね。一平方米に対して幾ら引くとかなんとかいったって、ともかくこれは三千円、四千円の家賃、それに対しての上下の差というものは微々たるものなんです。ともかくこういう豪華な家に住んでいる。まだひどいのがあるのです。これはあとに出てきますけれども、住宅公団島さんという方、この家は豪華な屋敷ですよ。家賃二千七百円、これは住宅公団。またここに総裁に出ていただいたので、あとでもっと指摘したいのですが、いまついでに指摘します。この家へ一回行ってごらんなさい。なぜこの家が二千七百円で住めるのかしら。私は繰り返して言います。宿舎法知っています、木造なり、ブロックなり鉄筋なり、あるいは年数別にしての差額という……。それは全然いまの家賃の常識から見て無視されているといってもいい、こういうふうに私は考える。それを一つの前提にして、二千七百円でこんな家になぜ住めるのか。文字どおりこれは豪華なお屋敷です。豪邸です。あるいは住宅公団あたりは御自分でコントロールするからこういうところへ優先的に入れるのじゃないかと、こういうやっかみもするくらいの豪華な屋敷に、わずか二千七百円で住んでおる。まずこういう料金の点についてどのように感じられるか。あと二点私は指摘したいが、まず第一点。
#286
○説明員(谷川寛三君) 先ほども申し上げましたように、公務員宿舎の設置の目的が、行政能率の向上とか人事配置の面とか、とにかく行政目的からのいろいろな要請に基づいてやっておりますので、必ずしも民間の採算ベースの住宅の賃貸料となまに比較することは私は適当でないかと思いますが、いろいろ御批判もありますので、それから建築費の値上がり等もございますので、先ほどもお答えいたしましたように、早急に勉強してみたいというふうに考えておる次第でございます。
#287
○黒柳明君 これは勉強するというのはちょっとうまくない。まだ突っ込めば、行政目的というのは何かといったってお答えになれないと思いますから、私はそんな意地悪なことは聞きません、また時間もございませんし。もう勉強でなくて改めなければうまくない。改める御意思はあると思いますけれども、早く改むべきである。
 それからもう一つ。まあこれは料金の問題で、一つはゴルフの練習場――なぜこの公務員宿舎にあるか。これも名前をあげて申しわけないのですけれども、労働省の有馬事務次官、港区高輪一の四の三十七、木造平家ですけれども、ゴルフの練習場に金網のでかいのが張ってある。これは国有財産。こういうことを設置する場合には許可が要るんじゃないですか。どうですか。
#288
○説明員(谷川寛三君) どういう施設でありますかが、私わかりませんから的確に御答弁を申し上げることができませんが、法律的に言えば、この施設が恒久的なものであるならば一時使用の許可ということで、借地上何か厳格なことになるんじゃないかと思いますけれども、実態がわかりませんので……。
#289
○黒柳明君 実態がわからないと言いますから、私は一つにしようと思ったけれども、言いますよ。法務省の勝尾矯正局長、ここにはゴルフ。大体二メートル五十、二メートルぐらいのネットがずっとあります。それから厚生省の戸澤官房長、これも同じ二メートルから三メートルぐらいの高さの――要するにこれはしろうとのゴルフの練習場としては最適であり、これ以上豪華なものをつくれませんよ、個人の庭をもって。それでどういう施設であるにせよ、こういうものをつくる場合には許可が要るということになっている。一時的にせよ、二時的にせよ、半永久的にせよ、永久的にせよ、許可が要るのですよ。こういうものを建てること、いじってはいけないのじゃないですか。極端に言えば庭石一ついじってはいけないのです。そのかわり、今度補修したりなんかするときには国のほうでめんどうを見てくれる、こういうことでしょう。どうですか、その点。
#290
○説明員(谷川寛三君) まあ普通取りはずしのできるような網等でございますと、特に問題はないのじゃないかと思います。
#291
○黒柳明君 そうじゃなかったらどうですか。
#292
○説明員(谷川寛三君) 先ほどもお答えいたしましたように、厳密に言えば一時使用の許可を受けなければならぬのじゃないかと思います。
#293
○黒柳明君 ぼくは――あなた笑っていますけれども――これだけ調べるのにどれだけかかったと思いますか。ぼくはその態度が気にくわない。ぼくはおとなしい性格だから、でかい声は出したくない。どうです。皆さん御存じですよ。一番おとなしいのですよ。ですから、どうしてもでかい声を出さざるを得ない。させるわけです。しょうがない。だから、どんどんぼくの性格が荒くなってしまう。うまくないと思うのです。笑っていて……こんな問題、笑う問題じゃないじゃないですか。あだやおろそかで私はこんなことを言いませんよ。子供のピンポン台を一時片づける、そんな問題じゃありませんよ。りっぱなネットがありまして、そこでピンポンやられる。御近所の人が何と言っておりますか。行政上、いまおっしゃったように、国家公務員の能率をあげるのだと。しかしゴルフ場は能率をあげるのに何の関係があるか、それは御老体だから、健康のためだから、こういうふうに解釈し、さらにふえんし延長すれば、これはどこまでいっても切りがありません。私が認識する限りでは、たとえば庭石一ついじるのであっても許可なくしてはいじってはいけないのです。それをこういう施設を建てて、それで世間のひんしゅくを買う、こういうことも、この料金だけの問題ではないのじゃないですか。こういうゴルフの施設を、幾ら御自分の健康のため、あるいは趣味のためとはいいながら、この前においても、悪い意味のこのゴルフの問題は指摘されたわけです。姿勢を正さなければならないという零囲気になっている。こういう施設はこれはもっともっと調べますとまだ出てくるやに私は思いますよ。残念ながらそんなに歩けません。こういうりっぱな施設かなぜ許可なしに1許可なんか出ていません、出ていないことは間違いない。また、取りはずしなんかできるものではありません。一回見ていただきたい。そういうものをここに建てる。これ自体料金だけの問題ではないのです。これだからうまくない。そういうものをみな野放しにしておいているじゃありませんか。能率をあげるということで、そういうことがみな拡大解釈されている。こういうことに対しても、すぐ取りはずしできるものであるかどうか、あるいはそうでなかったら許可を得るのが当然だと思います。もしそれがだめだったならばささいのことのようですけれども、一事改まれば万事の姿勢が改まるのです。すぐこれに対して善処してもらいたい。
#294
○説明員(谷川寛三君) どうも性格でありまして、申しわけありません。言いわけを申しますと、各省庁とそれから大蔵省の管理のものと二つございまして、これはどちらの管理のものかわかりませんが、こういうことは好ましいことではありませんから、私のほうの所管でないものにつきましても御注意申し上げます。
#295
○黒柳明君 それから次に退職した人の話。これも私は知っています。要するに原則的には退職したらすぐ出る、こういうことですね。
#296
○説明員(谷川寛三君) 半年は猶予申し上げます。
#297
○黒柳明君 原則的には……。
#298
○説明員(谷川寛三君) まあ何でございましょう。さっき申し上げるような目的でございますから、職務をお離れになりましたら、原則としては出ていただくことがいいと思いますけれども、いろいろな御事情もありますから、半年は御猶予申し上げるようになっております。
#299
○黒柳明君 それを、そういうものを見ながら答えるようじゃ困りますね、ほんとうに。いっそういう立場になったかわからないけれども、私はそんなものは見なくとも知っていますよ。そんな憤然とするなら憤然とするらしくもっと勉強しな。だらしがない。何勘違いをしているか。それで、原則としては当然出なければならない。それはあたりまえです。ただしいろいろな環境があるでしょう。事情があるでしょう。ですから半年の猶予を認めている。ところが住宅公団の脇本経理部長、この人は退職いつですか。四十三年三月一日、まだ住んでおりますですよ。これはどうなったですか。
#300
○説明員(谷川寛三君) いつから御退職かちょっと……。
#301
○黒柳明君 四十三年三月一日辞任しております、大蔵省を。
#302
○説明員(谷川寛三君) 法律の施行令の十四条でございますが、公団の方につきましては出ていただかなければならないのでございますが、ただいま申しましたように、施行令の十四条で、公団、公庫その他特別の法律によって、特別の法人に使用されるため退職した人も入りますが、そういう方につきましては、普通料金の一・五倍相当額を納めていただいて措置することにいたしております。
#303
○黒柳明君 まあ、それも私知っています。一・五倍だと、三千円だと四千五百円でしょう。原則はともかくも下級公務員、中級公務員、一般の人は住宅もない。上級公務員も当然出なければならないが半年の――いろいろな事情がある、それは当然認められなければならない。しかしながら公団だけなぜそういう一・五倍の料金を払えば居すわることができるのか、それ自体が私はおかしい、そういう発想が。おかしいといっても法的にそうなっているのですからと、こういうようなことで言われてしまえば、私は二の句を継ぐ余地がないと思いますけれども、――まして脇本さんという方は大蔵省の監査、要するに居すわりを監督する役目だったわけですよ。要するに長くいる人は早く出ていけ、出ていけと、こうおっしゃっていた方が、今度御自分が住宅公団にいらっしゃったら、自分はいつまでもいる。いつまでもいらっしゃるかどうか、この点私はわかりませんよ。現在もいる。こういう立場では、今度は御自分が、攻守ところを変えて今度は自分が言われる立場になった、こういう人がまだいるのです。ですからこういうことも至急やはり考え直すうちの一つに入っているんじゃないか。一・五倍払えばそれでいいのか、非常にこれはうまくないと思うのですよ。このことは先ほどの料金のことから当然発生する問題と思う。と同時に、下級、中級の公務員の方がこういう実態を知ったら非常にあ然とされると思うのですよ。何だというわけで、あくまでもそれじゃ昔の日本の官僚そのままですね。上厚下薄、下に薄くて上に厚い、そういう方がここに一人や二人いらっしゃるでしょう。おなかの中じゃ憤然としていらっしゃる方が……。そういう姿勢がこの問題についていつまでも改まらないということではうまくないと思いますが、こういう点についてもお考えになる余地はありませんか。
#304
○説明員(谷川寛三君) 先ほどから御質問になっております御退職になられました方の問題につきましては、従来からただいま御質問がありました御趣旨に沿うような気持ちでやっておりますが、実際問題としてはなかなか人情もからみますし、できない場合もあります。そういう精神でやっております。ただし、脇本さんにつきましては、私もよく事情を……。出向の形になっておりますので、御退職とは必ずしも同様ではございませんので、そういう事情も考慮しなければならないと思います。
#305
○黒柳明君 もう時間がありませんので……。二年たったら帰ってくるということは、私も聞きましたけれども一、二年間出向の形で、退職金もらっているんでしょう。昔のままでここに居すわる気持ちなのか。それじゃ全然法があってなきがごとしですよ。そんな法律つくったって……。ともかく大蔵省にはいない人ですよ。二年たったらバックしてくるからその形でおるんだということを聞きました。それから農林省の元農地局長の和田さんという方は、これは八郎潟の事業団の理事長をやっているんですよ。ずっと秋田に常駐していらっしゃる。で、まだ御家族の方がここにいらっしゃるんですね。私も一人情深いし、感情的には情けもろいです。しかしながら、こういう形で、この人だってものすごい一千四百十一・五七平方米ですよ。どれだけの坪数になるんですか。三百坪、四百坪ですよ。こういうところを何とかして下級、中級の公務員の宿舎をつくってごらんなさい。どれだけ喜ぶ人が出てくるか。それを元……。いま農地局長じゃないんですよ。しかも向こうに常駐ですよ。その方の宿舎がまだまだ……。期限はもう切れた。六月一日ですから十二月一日には期限が切れた、六カ月の。切れてもまだいらっしゃる。まだどの程度いらっしゃるかわかりませんけれども。ですけれども、私もまだ人情もある、情けもある。すべての法的なことも知っている。しかしながら、こういうことが書いてありますよ。よく読んでください。職務の能率的な遂行を確保するとか、行政上やむを得ないとか、こんなことは吹けば飛ぶような言いわけにきまってます。これは私も突っ込みません。これが国民の意見を代弁するかのごとく書いてある、某新聞に。これは谷川さんの答えているものと同じですよ。「国家公務員宿舎法によると「――職務の能率的な遂行を確保する」ためとしてある。高級官僚ほど住みよい環境と完備した宿舎を与えるわけだろうが、ウラを返せば、国民の側の能率的な職務の遂行などクソくらえということになる。しかも、国民の場合、明け渡しを義務づけられているが、その後の“住居”について国は「努力してみましょう」程度の誠意?しか示さない。」いまも同じですよ。勉強しよう、努力しょう、これは古い。「かつて故池田首相は日本の中産階級化を強調したが、これでは“役人だけの中産階級化”だ。庶民に縁なき、いや家なき「官僚ニッポン」である。」「庶民に縁なき、いや家なき「官僚ニッポン」である。」と、こういう痛烈な表現をされる。私はこれは知る人ぞ知る。知らない人も相当いらっしゃる。だけど知る人の声として、ほんとうにこれは庶民大衆の、あるいは中下級の公務員の方を代弁しているそのままの声だと思うんですよ。ですからこれは、いまごく一部の整理してきたもの。まだまだ、メモ的に書いたものが百何十件あります。あるいは家賃の問題、こういう施設の問題、いろいろ一ぱいございます。なぜ私はこれだけの人をとり上げたか。この意味はわかりません。何となくとり上げただけといってもけっこうです。だから、もしこの人に御迷惑かけたら、これは私おわびしなければならない。しかしながら、冒頭に申し上げましたように、やっぱり指摘しなければ、これを黙っていたら、もうそのままですよ。それこそ善処しますでまた終わっちゃう。だから一、二の具体的な点を指摘させていただきましたけれども、この点について勉強するだけじゃなくて、料金の問題、いたずらに法をまげて自分かってな施設をつくる問題、それからさらに退職した後までもそういうところに居すわる。それが公団の場合には一・五倍出せばいい、こういうような、非常に矛盾したこういう現状、これに対して、責任者としてひとっここで谷川さんも、まだまだ御就任間もないんですから、ひとつこの仕事に取っ組んで、あるいはきらわれる人もいるでしょう、反感持たれる人もいるかもしれない。いいじゃないですか、庶民に味方になってもらえば。大衆に谷川さんの味方になってもらえばいいじゃないですか。最後に決意をひとつお聞きしたいと思います。
#306
○説明員(谷川寛三君) いろいろ有益な御示唆をいただいたり御叱吃をいただきまして、非常に肝に銘じております。先ほどからいろいろ宿舎設置の目的等につきまして申し上げましたが、誤解を受ける、世論の批判を受けることのないように厳正な管理をしてまいりたい。料金につきましても、さっき、勉強中と申し上げましたが、できるだけ早く、これは一挙にはいきませんけれども、合理的なものをつくるようにつとめていきたいと思っております。
#307
○黒柳明君 最後に一言。政務次官もいらっしゃいますので、確固たる御答弁、信念のほどを、新政務次官ですし、また労働省や住宅公団にもいらしていただきましたけれども、私の持ち時間三十分ですから、御足労いただいて申しわけなかったのですが、政務次官の御答弁を締めくくりにいたしたいと思います。
#308
○政府委員(沢田一精君) 先ほど来、国民世論を背景としてのいろいろな角度からの御批判をいただいたわけでございます。一々ごもっともでございます。谷川君も誠意をもってひとつ改善すべき点は検討をし、改善をしたいという決意のほどを表明したわけでございます。私も、お話の趣旨をよく体しまして、これからひとつやってみたいと、かように考えております。
 第一、現在の東京のこの一般の都民生活という状況からいたしまして、都内の比較的便利のいいところに相当の広い面積を一人の公務員で占めておるという必要性がどこにあるかという問題を、私も先ほど来お話を伺いながら考えておったわけでございます。お話の中にもありましたが、そういう土地がございますれば、これに高層の公務員住宅を建てるなり何なりいたしまして、できるだけ多くの公務員を収容いたすことによりまして、全体としての国家行政の能率をあげていくという方向が正しい方向であろうと思うわけでございます。そういう意味から、よく御意見を拝承いたしましたので、今後善処してまいりたいと思っております。
#309
○委員長(木村禧八郎君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#310
○委員長(木村禧八郎君) 速記を始めて。
#311
○渡辺武君 私はきょう労働省からは労働大臣、それから職業安定局長、それから自治省からは行政長官のおいでをいただくようにお願いしてあったわけですけれども、労働大臣と職安局長は青少年との懇談会に出席のために出られないということです。それから自治省のほうは行政課長さんがお見えだということで、私がおいでいただきたいと思っていた方がどなたもおいでになっていないということで、青少年との懇談会に出ることも重要だと思いますけれども、しかし委員会のこの審議というのは、これは非常にそれ以上に私は重要じゃないかというふうに考えます。この点で労働省の皆さんが委員会を軽視しないように、特に国会の開会中ですから、この委員会非常に重要でありますので、今後こんなことがないように十分に注意をしていただきたいと思います。
 最初に、自治省の行政課長に伺います。
 緊急失対法に基づく失業対策事業、これは国が地方公共団体の首長に委任する事務か、それともまた地方公共団体に委任する事務か、その点を伺いたいと思います。
#312
○説明員(林忠雄君) 主管省はその点については労働省であると考えますけれども、私は団体に委任される事務だと理解しております。
#313
○渡辺武君 労働省の見解はどうでしょう。
#314
○説明員(上原誠之輔君) ただいま自治省当局から御答弁がありましたとおりであります。私どももそういうふうに解釈いたします。
#315
○渡辺武君 もう一つ自治省のほうに伺いますけれども、もし失業対策事業が団体委任事務であった場合、政府はこの団体委任事務については法律またはこれに基づく政令によってのみ地方公共団体に事務を委任できるものであって、したがって、法律またはこれに基づく政令にきめられた範囲でのみ関与、規制できるものと思いますけれどもどうですか。
#316
○説明員(林忠雄君) 原則的にはそのとおりでございます。ただ、これについて別に財政援助その他が政府から出ていますから、補助条件というような形での関与ということはあり得ると考えます。
#317
○渡辺武君 労働省の見解はどうですか。
#318
○説明員(上原誠之輔君) 私どもといたしましては、この緊急失業対策法の定めるところに従いまして、失業対策事業をやっておるのでございます。地方公共団体に事業をやらせます場合に、国の補助金が出るわけでございますから、その失業対策事業が法律で期待いたしております目的が十分発揮できますように補助条件において地方公共団体を拘束するということはあるわけでございます。
#319
○渡辺武君 いま自治省の方は、原則的には法律またはこれに基づく政令できめられた範囲でのみ関与規制できるというふうにおっしゃったが、その点はどうですか。
#320
○説明員(上原誠之輔君) 私どもといたしましては、この失対事業の施行につきましては、緊急失業対策法の定めるところに従ってやっておるわけでございます。したがいまして自治法で規定している事柄と、別に法律的には違背はしない、こういうふうに考えます。
#321
○渡辺武君 そうしますと、団体委任事務の場合は、地方公共団体が処理すべき事務の範囲、その内容、事務量等は、法律またはこれに基づく政令によって明確にされなければならないと思いますけれども、したがって、法律に授権規定を設けて、それによって省令等をもって具体的に委任し規制することはできないと思いますけれどもどうでしょうか。
#322
○説明員(林忠雄君) 法律の委任規定があれば、その委任規定の考える範囲で具体的な問題について主務大臣が指導その他をするということはあり得るのではないかと考えます。
#323
○渡辺武君 いま原則的には法律またはこれに基づく政令によって委任するものだというふうにおっしゃったですね。そうしますと、法律に委任規定を設けて省令などで具体的にいろいろ規制するということはできないのじゃないですか。
#324
○説明員(林忠雄君) 委任規定が底抜けであって何もかも省令に譲る、ないしは労働大臣ですか、主務大臣にすべてまかせるということは、法律では考えられない。しかし、起こり得るあらゆる事象について全部法律ないし政令で規定し得ない場合には、法律ないし政令が当然その文面から予測できる範囲のことを主務大臣にまかせるということはあり得るのではないかと考えております。
#325
○渡辺武君 それではなお問題を進めますけれども、緊急失対法の第十一条ですね。「失業者就労事業の事業主体は、事業の適正な運営を図るため、労働省令で定めるところにより、運営管理規程を定めなければならない。」としています。また労働省は労働省令の第二〇号、緊急失業対策法施行規則というのを出しておりますが、この第八条で、「法第十一条の運営管理規程に定める事項は、次のとおりとする。」として定めるべき事項を具体的にきめております。いま自治省も労働省のほうも、団体委任事務の場合は原則として法律またはこれに基づく政令によって委任しなければならないというふうに言っておりますので、そのたてまえからすれば、いま申した労働省令や施行規則は、法律またはそれに基づく政令ではないと思うのですね。したがって緊急失対法十一条と労働省令二〇号は団体委任事務を、機関委任事務もしくは政府直轄事業と同様に扱うもので、憲法に保障された地方自治権を侵しているのじゃないかというふうに考えますがどうですか。
#326
○説明員(上原誠之輔君) 運営管理規程につきましては、いまお話のように法律の第十一条できめてあるわけでございまして、したがってその法律によりまして「労働省令で定めるところにより」定めるということになっているわけでございますが、その点、いまお話の点は問題がなかろう、こういうふうに考えております。
#327
○説明員(林忠雄君) 先ほど私が申し上げましたように、法律なりあるいは政令で筒抜けで全部主務大臣その他に白紙委任をするということは考えておりませんし、趣旨としても自治法の法律または政令に合わないと思います。ただ、いま御指摘の点につきましては、運営管理規程をつくるということを法律で義務づけておりまして、その内容にいかなるものをつくるかというデテールを労働省令にゆだねている、この限度のことはできるというふうに考えております。
#328
○渡辺武君 そうしますと、労働省令できめております施行規則ですね、これは全く法律と同様のものと見なければならぬですか。
#329
○説明員(林忠雄君) 運営管理規程をつくるということは、すでに法律で義務づけております。運営管理規程がいかなるものの内容になるかということについては、それはこまかくデテールがありますので、これを省令に譲ったというふうに考えてもいいと思いますので、省令によってそういうものをつくらなければならないのだということは、直接的には義務づけられたのではなくて、法律で管理規程をつくることを義務づけられて、そのデテールを省令にゆだねる、ですから省令自体が法律と同等といいますか、そうでなくて、法律で原則的に義務づけは済んで、中身はどのようなものを盛るかを省令にゆだねる、そういうふうに考えるべきではないかと考えます。
#330
○渡辺武君 そうしますと、先ほどあなたがおっしゃったことと矛盾してくるのじゃないですか。団体委任事務の場合は、法律またはこれに基づく政令によって委任するのだと、これは大原則ですね。これは憲法にもきめられている。また地方自治法にもきめられている大原則だと思うのです。ところが法律の中で授権規定を設けて、そうして労働省令によってできるのだということで、法律またはそれに基づく政令と全く変わりのない権限を国が持つということになってまいりますと、これは地方自治の本旨を全く踏みにじるものになってくるのじゃないでしょうか。
#331
○説明員(林忠雄君) たびたび同じことを申すことになりますが、法律または政令が、省令に全く白紙委任をしまして、そこの省令の内容によってやらなければならないことが全部きまってくるという形では考えるべきではない。つまり地方団体をいわゆる義務づけることができるのは、法律または政令に限られる。しかしそのつくり方の手続とかその内容とが、比較的デテールの問題を、法律なり政令で書くのよりも、省令でより専門的にこまかく書いたほうが妥当だと思う場合に、委任できる範囲というものがおのずから限定があるかと思います。ですから法律あるいは政令は、それ自体がずばり省令に至って初めて義務づけられるということではない。法律または政令に書きにくいこと、非常にこまかいこと、専門的なことを法律または政令が予想する範囲で省令に譲るということは、必ずしも不可能ではないと考えます。御指摘のこの条文は、そういうものに当たるのでは一ないかと考えております。
#332
○渡辺武君 重要な点ですから重ねて伺います。そうしますと、省令などで規定して、そうして国が地方公共団体を規制することのできるその範囲ですね。いまあなたは具体的な手続ということをおっしゃいましたけれども、その具体的な手続ということに限られますか。
#333
○説明員(林忠雄君) 手続というのは、私、省令に委任することができる例として申し上げました。で、総括的に申し上げますれば、法律または政令が当然予想し得る範囲、つまり法律ないしは政令の段階で、もう義務づけということは地方団体の義務は、そこで生じているというふうに考えられる範囲に限られていると考えられます。
#334
○渡辺武君 そうしますと、予想できる範囲という判断は、これをたとえば労働者がなさって、そうして団体委任事務の場合に省令または通達などでいろいろ規制を行なっていくということになりますと、これはいわば無制限に地方公共団体の仕事に干渉することができるということになってくるのじゃないですか。そういうことになりましたら、せっかく憲法でもきめられ、地方自治法でもきめられて、法律またはこれに基づく政令によって委任するということになっているのに、それを全く踏みにじるという可能性が出てくると思いますが、どうですか。
#335
○説明員(林忠雄君) それは当然、立法趣旨ということが解釈の幅を限定すると思います。主務省であるからといって、それに、あらゆるものを何でも盛り込めるとは解釈できない。立法したときの立法趣旨あるいは審議したときの経過その他によって、これで義務づける範囲の幅はこれだけであるという客観的な幅は、当然あり得ると考えております。ですから、主務省が恣意的に地方団体の意向を全部縛るということはあり得べきことじゃないと考えます。
#336
○渡辺武君 そうしますと、省令などで、この規制できる範囲というのは、客観的にどういう点ですか。
#337
○説明員(林忠雄君) これは、一般的に申し上げるのは非常にむずかしいと思います。それぞれ、立法趣旨ないしその法律から出てまいります解釈上妥当と考えられると申しますか、地方団体への義務づけは、その法律、政令の段階で済んでいるのだと解釈し得る範囲であると思います。いま具体的に問題になっている点は、主務省のほうに聞いていただきたいと思います。
#338
○渡辺武君 そうしますと、先ほど申しました労働省令の第二〇号ですね、緊急失対法施行規則の第八条で、「運営管理規程に定める事項は、次のとおりとする。」ということで、運営管理規程の諸事項をあげておりますね。そうしますと、なんですか、労働省令で地方公共団体を規制できる範囲というのは、運営管理規程に関する限りは、 いま言った第八条の範囲というふうに理解して差しつかえないでしょうか。
#339
○説明員(上原誠之輔君) 先ほど申し上げますように、運営管理規程は、緊急失業対策法の第十一条によりまして、事業主体が定めることを義務づけておるわけでございます。しかも、その細目につきましては労働省令にゆだねておるわけでございますが、この労働省令にゆだねているからといって、そのどんなことでも規定できるということではないわけでございます。これは、先ほど自治省の御当局からお話があったとおりでございます。私どもといたしましては、失業対策事業をやります場合に、この程度のことは少なくとも規定しておかなければならない。いわゆる運営管理を進めていく上において、これだけはぜひ必要だということに着目いたしまして、省令できめておるわけでございまして、ことさら逸脱した内容を定めているわけではない、こう考えておるわけでございます。
#340
○渡辺武君 いや、その点は非常に重大な問題でして、私はやはりその点は明確にしていただきたいと思うのですよ。その辺が明確にならなければ、せっかく法律またはこれに基づく政令によって委任するのだというふうに原則が定まっていながら、法律の中に授権規定を設けて、そうして省令によってこれをやっていくことができるのだということになって、主観的には法律または政令によって趣旨を生かすのだということをもし考えているとしても、省令あるいはまた通達によって、全く法律の趣旨を踏みにじったような行政をやっていくという可能性が出てくると思う。いまは通達行政、通達行政と盛んに言われております。私、労働省の所管局長の出した通達を見ますと、全く地方自治の本旨を踏みにじったようなことを、どんどん通達で出している。ですから、いま私が伺っていることは非常に重大な点です。いま自治省の方は、労働省令――労働省令に限りません、省令などで規制できることは具体的な手続と、一例としてあげましたね。私は、具体的な手続などは、明らかにこの省令で規制できる範囲の一つだろうと。しかし同時に、この緊急失対法施行規則の第八条を、これをよく見てみますと、運営管理規程をつくるにあたっての、いわば技術的の基準というようなものが定められているわけですね。そこで、省令などで地方公共団体を規制できる範囲というのは、この具体的な手続だとか、あるいは技術的基準だとかいうものに限られるのじゃないだろうか、そう思いますけれども、どうですか。
#341
○説明員(林忠雄君) 個々の法律についての見解というのは、もう少し私のほうで検討しないと申し上げかねますけれども、一般論として申し上げましたように、義務づけはあくまでも法律または政令の段階であるから、法律または政令の段階で当然に考えられる範囲、つまり、法律あるいは政令の段階では考えられもしなかったような義務づけであれば、いかに省令に授権してあってもできないと思います。当然考えられる範囲である。いま例をお出しになった具体的な手続とかあるいはたとえば様式とか技術的な基準なんかは、当然それに入りますけれども、法律または政令の段階で、もう当然予想されるというか、つまり、国会の審議なり、政令であれば閣議の審議の段階で、こういうものが内容になるのだということが大体わかる範囲、その範囲にとどまるのだと考えます。
#342
○渡辺武君 具体的な手続は技術的基準も入るとおっしゃったけれども、それ以外にどんなものが入りますか、この団体委任事務の場合、省令で地方公共団体を規制できる範囲というのは。
#343
○説明員(林忠雄君) 一般的にはなかなかすぐ適当な例を思いつきませんが、少なくとも、法律の審議、ないしは政令であれば閣議の審議において予想もされ得ないことというのは入らないということでございましょうか。その例として、いまの、具体的な手続、様式、技術的基準というようなものを申し上げたのでございますが、個々の問題についてでないと、そのほかに例が考えられません。
#344
○渡辺武君 そうしますと、いま問題になっている運営管理規程の問題で申しますと、緊急失対法の第十一条によって、労働省が、労働省令で、この運営管理規程についての定めをしているわけですね。それが、先ほども申しましたように、緊急失対法施行規則の第八条ということになっております。この運営管理規程について、労働省が各地方公共団体を規制できる範囲というのは、この第八条、これに限るというふうに理解すべきだと思いますが、どうですか。
#345
○説明員(上原誠之輔君) 失業対策事業の運営について、労働省が事業主体を規制できる範囲というのは、これはいろいろあると思います。一つは、法律の定めに従いましてきまっている事項がございます。それからもう一つ、やはり補助金を交付いたしますから、その補助金の交付が目的どおりに施行できるというような点に着目して拘束することができるというようなこともあるわけでございます。また、この緊急失業対策法の十六条で書いておりますように、失業対策事業が、全国統一的に、ばらばらにならないように、うまく実施できるように指導調整するという法律上の権限などによって指導調整を加えるということもあるわけでございます。
#346
○渡辺武君 いま、補助金等を出す場合の補助条件だとか、あるいは指導調整権ですか、これに基づくものということを言われましたが、その点については、私なお、あとから問題にしたいと思うのです。しかし、いまここで問題にしておりますのは、緊急失対法十一条に基づいて労働省が出す労働省令ですね、これで規制できる範囲は一体どの範囲かということを伺っているのです。問題をはっきりとさせますとね、地方自治体が、憲法に基づいて、固有の地方自治権を持っているわけですね。ですから、国が地方自治体に委任できる事務の範囲というものは、これは法律またはそれに基づく政令によってきめられていなきゃならない。それが大原則だと思うのです。ところが、労働省令によって労働省が地方公共団体にいろんなことを規制していくということになりますと、勢いのおもむくところ、そしてまた現実にそうなんですけれども、憲法に定められた地方自治を踏みにじるということになっていかざるを得ないし、現にまたなっている。だからその点で一体この運営管理規程について労働省令で規制できる範囲はどこなんだと、どこまでなんだということをはっきりしていただきたいのです。私は、先ほど言いましたように、省令二〇号緊急失対法の施行規則第八条、この範囲じゃないかと思いますけれども、どうですか。
#347
○説明員(上原誠之輔君) 緊急失業対策法第十一条につきましては、失業対策事業の事業主体が運営管理規程を定めなきゃいかぬと、こういうことを言っておるわけでございます。したがって、この法律の第十一条で労働省令で定めるところによるということで省令に委任しておりますが、法律上の趣旨からいたしますと、運営管理規程の中で事項として定めなきゃならぬことを書いておるというふうに考えております。
#348
○渡辺武君 ですから、その事項として定めてあることが、労働省令で運営管理規程について規制できる範囲だと理解すべきだと思うが、どうかということを言っているんです。
#349
○説明員(上原誠之輔君) 当然規制できる事項でございます。この十一条によりまして、運営管理規程を定める場合の地方公共団体に対する規制のできる根拠だと思うのです。運営管理規程をつくるにあたりましての、何と申しますか、地方公共団体が守らなきゃならぬ事項を書いてある、こういうふうに思っております。
#350
○渡辺武君 そうしますと、その第八条によって定められている諸項目というのは、各地方公共団体が、これが定める運営管理規程のいわば基準を示しているというふうに理解していいと思いますが、その点どうですか。
#351
○説明員(上原誠之輔君) 運営管理規程で定めるべき基準及び内容を言っておるというふうに御解釈いただきたいと思います。
#352
○渡辺武君 ではその点についてさらに伺いますけれども、この第八条に基づいて各地方公共団体が、全日自労などの失業対策事業で働く労働者の団体と団体交渉をやって、そして具体的に運営管理規程を定めたという場合ですね。特に、この運営管理規程の中で、就業規則としての性格を持つ部分について団体交渉によって具体的に定めたという場合、これは各地方公共団体の固有の自治権に属することであって、労働省が干渉すべきことではないというふうに思いますけれども、どうですか。
#353
○説明員(上原誠之輔君) お話のように、具体的に定められております各事業主体の運営管理規程の内容を見ますと、当然労働条件の定めがございます。したがいまして、労使関係にある以上は、労働条件に関する部分が団体交渉の対象になるわけでございます。ただ、賃金などにつきましては、法律できめられておりますので、これは、先生の先般の質問主意書に対しまして、政府としてお答えいたしておりますように、この部分は団体交渉の対象にならない、こういうふうに考えております。
#354
○渡辺武君 そのあなたの答弁はですよ、この前のこの委員会で、職業安定局長のなされた答弁と全く食い違っているじゃないですか。職業安定局長は、この前のこの委員会で、賃金も団体交渉の対象になるんだということをはっきり明言しておられる。あなたのおっしゃるのは違うじゃないですか。
#355
○説明員(上原誠之輔君) 先般この委員会の席上で、局長がいまの運営管理規程の内容等につきまして先生といろいろやりとりをいたしました状況等につきまして、私伺っているのでございますが、あの席で申し上げた安定局長の答弁は、一般的に考えた場合に、賃金は当然これは労働条件の団体交渉の対象になるということ、しかし緊急失対法の場合には賃金というものは労働大臣がきめるということで法律上きめられておりますから、その限りにおきまして、その部分は団体交渉の対象にはならない、こういうふうな趣旨で申し上げたはずだと思います。これは、なお速記録の内容等を調べまして御返事申し上げたいと思います。
#356
○渡辺武君 それは全く違いますよ。そんな答弁なさっちゃ困りますね。重要な問題ですよ。私は、賃金が団体交渉の対象になるかどうかというのは、一般論を聞いたわけじゃないんです。緊急失対法に基づくこの失業対策事業においての問題ですよ。これを村上さんにあの時間一ぱいかけて、何回も何回も繰り返し聞いたんですよ。そうして村上さん何と言われましたか。賃金を含んで就業規則のこの性格のあるものは、これは全部団体交渉の対象になるんだということをはっきり言明された。ただ、労働大臣が賃金をきめるということになっているので、その点は規制を受けますということを言っているにすぎない。団体交渉の対象にならないなんというようなことは、これっぽちも言いませんよ。あなたその点どうですか。そんな食い違った答弁をされちゃ困りますよ。だから私は、きょう労働大臣と、そうして職安局長に来ていただきたいということを言ったんです。あなたは、さっき私に、私の答弁は労働省を代表した答弁だと言う、しかし食い違っているじゃないですか。
#357
○説明員(上原誠之輔君) 先般の安定局長の答弁をどういうふうに解釈するかという点につきまして、あるいは先生がいまお受け取りになったような解釈でお受け取りになったという点はよくわかるのでございますけれども、事の本質上労働大臣が失対事業の就労者の賃金をきめる、こういうふうに法律できめているわけでございますから、それ以上のきめ方がないわけです、事業主体に。交渉自体いわば当事者として、一方の使用者側のやり方として、それ以上のきめ方がないとなりますと、これは団体交渉の対象になる労働条件じゃないんじゃないか、実質上そういうふうに私は思うのでございます。
#358
○渡辺武君 依然として食い違っています。それはどちらが一体労働省の見解ですか。私が職業安定局長の答弁を私流に解釈して言っているんじゃないんですよ。この速記録をあとでお読みください、もう時間がないので読んでいるひまがないから。はっきり職業安定局長は、賃金も含めて、具体的に言いますと、あなた方が出されたこの失業対策事業労務管理規程の準則の第五から十一まで、この項目は、全部団体交渉の対象になるんだとはっきり言っておられる。そうして、先ほど私が申しましたように、賃金については、労働大臣が決定するということになるから、その点は規制を受けますと言っている。重要な問題です。よく研究していただきたいと思う。
#359
○説明員(上原誠之輔君) いまの失対事業の就労者の賃金が団体交渉の対象になるかどうかという点につきまして、私どものほうの答弁でいささか統一を欠いたニュアンスをお受け取りになったようですけれども、この点につきまして、なお正鵠を期します上に、後ほどまた労働省としてどう考えるかという点につきましては、あらためて御答弁申し上げるということで御了承いただきたいと思います。
#360
○渡辺武君 ニュアンスと言いましたけれども、ニュアンスじゃないんですよ。根本的な違いですよ。それは後ほどひとつ統一見解を聞かせていただきたいと思うんですけれども、賃金の問題はまたあとから論ずるとしまして、いまの運営管理規程について、私の質問の趣旨は、緊急失対法施行規則の第八条ですね、これで労働省が示している運営管理規程の諸項目ですね、これに基づきながら一そう具体的な運営管理規程を各地方公共団体がつくった場合、これは各地方公共団体の独自な自治権の発動とみなすべきであって、労働省の干渉すべきことじゃないというふうに思いますが、どうですか。
#361
○説明員(上原誠之輔君) 先ほど申し上げますように、団体交渉の対象となり得る事項につきまして、事業主体である自治体が就業者団体と交渉するということは、それが労働条件である以上は、また法令に反しない以上は当然できるわけでございます。ただ、失業対策事業は、毎々申し上げますように、失業者の就労の機会を増幅するために国が特別に補助金を出しまして全国を統一的にやっておるわけでございます。したがいまして、そういう失業対策事業として適切に運営されますように、また、失業対策事業の本旨が阻害されませんように事業が行なわれるということは、これは当然考えなければいけない。したがいまして、そういう意味におきまして、労働条件の内容につきましては、事業主体において交渉をいたします場合に、そういう意味での制約があるということはお含みをいただきたいと、こういうふうに考えております。
#362
○渡辺武君 そうしますと、第八条に示されている運営管理規程のこの諸項目に基づいて、各地方自治体が特にその中の就業規則的な性格のものについては、全日自労などと団体交渉をやって、より一そう具体的にきめることは、地方自治権のこの範囲内に属することであるという原則は、これはどうですか。
#363
○説明員(上原誠之輔君) これはお話しのとおり当然労使関係の当事者として、地方自治体が就労者団体との交渉の過程におきまして、労働条件に関する部分につきまして、いろいろと交渉をするということは、これは当然のことでございます。ただ、私が申し上げておりますように、失業対策事業につきましては、国が全国的な規模におきまして実施しておる。また、その事業が適正に行なわれて本来の目的を達成するように、十分に適正に行なわれるように実施していかなければなりませんから、そういう意味で補助金を出しているわけでございますから、実質上はそういう場合に違反したような形で話し合いがまとまるということは、私どもとしてはこれは適当でないということで、そういう意味では地方自治体に対しましては、実質上の拘束をいたしておるわけでございます。
#364
○渡辺武君 その点が非常に重要な問題なんですよ。国が地方公共団体に委任することのできる事務、この中に、一番最初質問申しましたように、地方公共団体の首長に委任するものと、地方公共団体そのものに委任するものと二通りございましょう。この緊急失対法に基づく失業対策事業は、地方公共団体に委任する事務ですね、これは一番最初あなた方が答えられた。そして地方公共団体に委任する事務である限りは、これは憲法にも地方自治法にもはっきりとうたわれているように、法律またはこれに基づく政令によって委任することになっている。ですから、法律または政令に違反しない限りは、これは具体的に運営管理規程をどのようにつくろうとも、これは地方自治権の発動に属することであって、労働省の管理、干渉することじゃない。そうでしょう。先ほど申しましたように、緊急失対法の十一条で、運営管理規程については労働省令で定めるということになっているので、労働省の省令の第二〇号を出されて、その八条で運営管理規程の大体基準としか思われない基準を示している。だから、この基準に基づいて各地方自治体がより一そう具体的な運営管理規程をつくるということは、これは法律違反でもなければ、政令違反でもない、当然各地方自治体の固有の地方自治権に属する問題です。したがって、その点について、労働省がこれに対して干渉するということは、地方自治権の侵害であり憲法違反であるというふうにいわなければならない。
 先ほど補助条件について言われましたけれども、この補助条件については、なおあとでさらに時間をとって詳しくあなた方と議論したいと思いますけれども、補助条件で一切がっさい何でもかんでも労働省が地方公共団体に干渉することができるかというと、そんなことはない。機関委任事務とは違う。団体委任事務の場合には、原則的には法律またはそれに基づく政令によってのみ委任することができるのだ。補助条件というのは、これは法律でも政令でもない。したがって、地方自治の本旨を生かしながらその点は適用しなければならない。それが補助条件だからといって地方自治権を侵害してまで一切がっさい干渉できるかというと、そんなことはない。その点を間違えないようにしていただきたい。だから、さっきも申しましたように、労働省が地方公共団体にいろいろな規制を加えることのできる範囲、これは運営管理規程に関しては、先ほどの緊急失対法施行規則第八条、それに限らなければならない。この第八条に基づいて各地方自治体が具体的に運営管理規程を詳細にきめるということは、これは地方自治権の範囲に属することである。あなた方労働省がその点について規制できるのは、第八条にきめられた基準に違反しているかどうかという程度にすぎない。第八条をごらんなさい、もうほんの基準ですよ。第八条は「法第十一条の運営管理規程に定める事項は、次のとおりとする。」「一 管理監督の組織、事業の施行日、失業者の雇入れその他事業の施行の管理に関する事項」「二 雇用の開始及び終了の時期、作業規律の保持、始業及び終業の時刻、休憩時間、賃金の格付け、計算方法及び支払・方法、安全及び衛生、災害補償その他就労する失業者の就業の条件に関する事項」、なおそのほか三、四とありますけれども、具体的に何時何分に出てきて、終わる時間は何時何分でなければならぬとか、あるいは休憩時間は何分でなければならぬとかいうようなことは、これにはきめちゃないのです。だから、いいですか、この項目を基準として、具体的に各地方自治体が運営管理規程をつくるということは、各地方自治体の固有の自治権に属するというふうに見なければならぬ。特に先ほども申しましたように、就業規則的な性格を持ったところについては、全日自労などの団体と、団体交渉によってこれを具体的にきめていくということは、これは固有の地方自治権に属することだと、そう思いますけれども、どうですか。
#365
○説明員(上原誠之輔君) 何か私どもが進めておる仕事の内容が、どうも自治権の侵害でないかというふうなことでいろいろと御意見をいただいておるわけでございますが、私どもといたしましては、何ぶんにも多額の国費を地方団体に交付いたしまして、失業対策事業の運営をやっているところであります。したがいまして、何と申しましてもこの法律で規定いたしておりますように、国がその計画を立て、あるいはまた手続を定めてやっておるわけでございまして、そういう趣旨からいたしますと、どうしてもやはりそういう補助金を出して失業対策事業をやる以上は、その補助金の趣旨が十分達成できるように見ていかなければならぬ、こういう趣旨で、当然これは事業のやり方等につきましても、ワクが出てきます。したがいまして、極端なことを申し上げますれば、そういうワクがあるということになりますれば、これは別の形で仕事が行なわれるということになるわけでございます。そういう趣旨でございます。決してこれは地方自治の侵害でも何でもない、私はそう思います。自治省当局がどういうふうに御判断になりますか。
#366
○渡辺武君 その点についての自治省の見解どうですか。
#367
○説明員(林忠雄君) 労働省と変わっておりません。団体委任事務でございますから、団体の仕事としてやらせる体制をとっておることは事実でございます。一方、この仕事というのは、完全に団体が自分の財源で自分の仕事としてやるのではなく、国が相当の資金を出して、全国統一的にその目的を達成するように、国が経費をもって団体にまかした仕事でございまして、その範囲内で国として必要な統一の確保、公正の確保ということをなさる合理性は十分にある。実際は法律上も団体委任事務の形をとっておりますが、指導調整の権限を労働大臣に与えたり、さらには補助金を出すについてこれは補助金適正化法、その他の規定によりまして、一応国が国費を出すについてはその意図する範囲で、そのやり方をきめて、これに従ってやる、それが国が補助金を出す条件になっておるということも――しかし補助金だけでなく、いろいろな行政にございますけれども、その範囲での労働省の指導というものは、当然あっていいと思います。
#368
○渡辺武君 いまおっしゃった点ですね、団体委任事務だということが明らかだけれども、この団体委任事務の場合でも労働大臣の指導調整権、それからまた、いまおっしゃった補助金の場合のいろいろな条件、これによって何でも地方自治体を規制することはできるのですか。機関委任事務の場合は、包括的にこれは規制できるでしょう。しかし団体委任事務の場合は、これは憲法に明確に規定されているように法律またはそれに基づく政令によって委任するのです。ね、そうでしょう。ですから、それ以外のものによって、たとえば労働省令だとかあるいはまた補助金等の場合の条件だとかいうことによって、法律または政令と同じような規制力をもって地方自治体を規制するということは、私はできないと思う。もしそういう見地に立つならば、団体委任事務を機関委任事務並みに扱って、もしくは団体委任事務を政府の直轄事業事務並みに扱うことになるじゃないですか。憲法の本旨をこれは守らなければならぬ。地方自治は守らなければいかぬと思う。その点は厳密に区別して考えなければならぬと思うのですが、どうですか。
#369
○説明員(林忠雄君) おっしゃるとおり、機関委任事務と団体委任事務の性格は、はっきり違います。ですから、団体に委任する以上は、その団体の仕事として仕事をさせることは御指摘のとおりでございます。しかし同時に、これが全く、団体が自己の財源をもって自己の思うままに仕事をする団体の固有の事務ともまた区別しなければならぬ。全くの固有の事務であれば、それに要らざる干渉と申しますか、国としても直接利害関係ないかもしれませんが、要らざる干渉は、これは厳として憲法で排除されているところである。しかし団体にまかせて国の仕事をやらせるというときに、国として必要最小限度の国家的な、何と申しますか、ナショナルインタレスト、これのために最小限度の関与というものは、もちろん法律その他の根拠がなければできませんけれども、法律上たとえば指導調整権を与えるとか、そういうことが許されておると思いますし、それから補助金、補助のほうはこれはまた少し議論が違うと思いますけれども、団体の固有事務についても国の補助金を出す場合もございますけれども、国の補助金として財源を持つというところからくる国の利益のための関与というのは、これは団体委任事務、固有事務とを問わずに、補助金適正化法の認める範囲内では許されている。いま問題になっているのは二つの両面あると思います。そういう面で、団体委任事務であるからといって、すべて団体の自治権だけでやるということではない。同時に、機関委任事務とは違って、国の直轄事業とは違って、すべて国の意思どおりということもあるべきものではないと考えております。
#370
○渡辺武君 その最後に言われた点が非常に重要だと思う。なるほど、法律で労働大臣に指導調整権があるということはこれはきめられている。それからまた、補助金をもらうにあたって国がいろいろな条件をつけているということも明らかです。しかし団体委任事務の場合は機関委任事務の場合と違って、その指導調整をする場合の具体的な内容、それからまた補助金をつける場合の条件、ここに相違がなければならぬ。そうでなければ、機関委任事務と全く変わらなくなってしまう。あなたは、その点が区別があるべきだというふうにおっしゃいましたが、それじゃ、その点どういう区別がなければならぬのですか。
#371
○説明員(林忠雄君) もちろん、これも具体的な例に即してケース・バイ・ケースで考えていかなければならぬと思いますが、一般的に申し上げますれば、さっき言ったことの繰り返しになりますけれども、団体にまかしたということと、しかもそれが国の仕事を委任したということの限度、したがって国としてはもちろん必要最小限度であるべきである。その範囲にとどめるべきだと思いますが、具体的には個々のケースによって判断する以外にはないと思います。
#372
○渡辺武君 必要最小限という表現はまことにこれは抽象的なものであって、どこまでが必要最小限か、これはわからぬですよ。その辺、明確な基準をやはりきめなければならぬと思う。これは答弁があるなら、たのみます。
#373
○説明員(林忠雄君) これは団体に委任された個個の事務のニュアンスだと思います。その団体に委任された事務が、その仕事の実情に即して行なわれれば、これで万事事足りるというものと、仕事の性格上、ある程度全国的な性質のものでなければ行政の効率上その他の面で困るというもの、その委任される事務の内容、事務の性格、あるいはその事務に対する国費の支出の多寡――多いか少ないか――そういうようなものによって、やはりその場合国として必要最小限の判断が違ってくるのではないかと思いますので、一般的にこういう事項まではよろしい、ここまではいけないという基準は、きわめて引きにくいのじゃないかと思います。
#374
○渡辺武君 そういう解釈は解釈にならぬですよ。先ほども申しましたように、団体委任事務というものは、これは法律またはそれに基づく政令によってのみ委任できる、これは原則です。したがって指導調整権にしてもあるいはまたこの補助金等をつける場合の条件にしても、法律またはそれに基づく政令に違反しておるかどうかということが、これが指導調整権を発揮できる限界だと思う。それからまた補助金等の条件をつけることもできる限界だと思う。もし労働省令などで、先ほどもちょっと論議しましたけれども、法律で授権規定を設けてこれをやる場合、その場合はこれをあなたもいみじくもおっしゃったように、具体的な手続あるいはまたこの緊急失対法施行規則の第八条にそれがはっきり示しておるように、ほぼ技術的な基準というようなことを示すところが、これが大体限度というふうに理解しなければならぬのじゃないですか。だから指導調整権にしても、あるいはまたこの補助金を出す場合の条件にしても、地方自治体をそのことによって制約できる限界というのは、これは具体的な手続だとか、技術的な基準だとか、それが限度であって、それを越えて地方自治体にいろいろ干渉するということになってくると、これは地方自治権を侵害することであって、したがって機関委任事務と団体委任事務を取り違える。もっと言えば、政府の直轄事業と団体委任事務を取り違えてしまうということになってくるのじゃないですか。一応の区別じゃない。機関委任事務と団体委任事務の違いは、これは原則的な違いなのです。地方自治権がどの範囲まで及ぶかということの重要な問題です。国と地方自治体との間の関係を律する重要な原則的な区別、その点は無視できないと思います。どうでしょうか。
#375
○説明員(林忠雄君) 原則的には、その三つの、固有事務、団体委任事務、機関委任事務の、性質上の区別があることは御指摘のとおりです。ただ、その中間に位する団体委任事務の場合に、それがさっき申しましたように、いかに全国的な、統一的な要請があるか、あるいはその仕事によっては、その地域の実情にさえ合わせてやればいいものだ、そういう仕事の性質によって、指導調整権の及ぶ範囲、あるいはまあ補助金はちょっと別かもしれませんけれども、補助条件につけられる範囲、そういうものがおのずから異なってくる。つまり、結局必要最小限度としか言えないことになりますが、団体委任事務であれ、あるいは固有事務に補助金を出す場合にも、自治権を侵さないという配慮は常に行なわれなければならない。同時に、その事務の性質によって、ナショナル、ミニマム、国家的な要請によって、ここまでは統一しなきゃならないという要請も常にある。その具体的な要請、地方自治権統一の要請も、国家的な統一ないしは国の関与の要請というのは、仕事の一つ一つによって当然異なるべきであると考えております。
#376
○渡辺武君 時間がきましたので、これで打ち切りますけれども、最後に一言申し上げておきます。いまあなたがおっしゃったような、行政上の必要によって憲法できめられる、地方自治法で明確にきめられている各地方公共団体の固有の権利である地方自治権は、行政上の必要によって平気な顔して侵すということはできないと思う。だからこそ団体委任事務の場合は、法律またはそれに基づく政令によって委任できるんだということを明確にきめているので、その点を間違わないように考えていただきたい。さらにつけ加えて申しますと、したがって、法律の中で、先ほどの緊急失対法第十一条のように、法律の中で授権規定を設けて、そうして省令などで規制できるという場合には、やはりその点に明確な限界がなきゃならぬのです。私は、その限界というものは、必要最小限だとかいうような抽象的な表現ではだめだと思う。当然これは具体的な手続あるいはまた技術的な基準、この程度の範囲でしか規制できないということを明確にしなきゃならぬと思う。その点ひとつ自治省としても、これはあなた方の仕事の大事な問題にかかわってくる問題ですから、十分にひとつ考えていただきたいと思う。労働省は、これはまあ、きょうは問題がたくさん残りましたので、さらに次の機会を得て、この問題については、あなた方の見解を聞きたいと思いますけれども、もうとにかく賃金について、これが団体交渉の事項かどうかというようなことについてさえも食い違っておる。あなたの答弁と、前回の村上職安局長の答弁と明確に食い違っている。まるきりそれでは、重要な問題について、労働省がどういう立場に立って実際の行政をやっているのかわけがわからぬという感じがしますよ。事実、先ほども申しましたけれども、あなた方は全く法律にも政令にも基づかないで、職安局長の一片の通達でもって、全く地方自治をじゅうりんしているようなことを平気でやっておられる。いまここに労働省の失業対策部の監修で出ている「失業対策事業労務管理提要」というのがあります。これを、いま私が申し上げたような見地から、一ぺん読んでいただきたいと思う。繰り返して言います。団体委任事務です。この失業対策事業というのは団体委任事務の場合です。国が地方公共団体を規制できるのは、法律またはこれに基づく政令によってのみ規制できる。省令などで規制できる範囲というのは、これは具体的な手続だとか、技術的な基準だとかいう範囲にとどめなきゃならぬ。それを越えて、各地方自治体が自分の固有の地方自治権に基づいて具体的にやらなきゃならぬことまで、通達でもって縛ばり上げるということは、これはもう地方自治権の侵害以外の何ものでもない。私は、その点をあなた方が十分検討されることを特に要望して、きょうの質問を終わります。
    ―――――――――――――
#377
○委員長(木村禧八郎君) 継続調査要求に関する件についておはかりいたします。
 国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#378
○委員長(木村禧八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#379
○委員長(木村禧八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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