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1949/05/17 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第20号
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1949/05/17 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第20号

#1
第005回国会 農林委員会 第20号
昭和二十四年五月十七日(火曜日)
   午前十一時七分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○食糧確保臨時措置法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出)
○土地改良法案(内閣提出衆議院送
 付)
○土地改良法施行法案(内閣提出衆議
 院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(楠見義男君) 只今より委員会を開きます。先ず食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案の質疑を行います。速記を止めて。
   午前十一時八分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時十四分速記開始
#3
○委員長(楠見義男君) 速記を始めて。
#4
○石川準吉君 私は東北の方でありますが、東北の農村を廻りますというと、今大藏当局から話されましたように地方におきましては、いろいろの基礎計算がありまして、それによつて課税しておるようでありますけれども、実際の問題を見ますというと、地方ではお前の税務署管内では、これだけの税額を取れというような逆におつ被せるような税額の査定が來る。從つて税務署としては、都市よりも、商工業者よりも、むしろ農村の方が取り易いというような工合で、農村に非常な負担の大きなものをかけるというようなことを聞いておるのでありますが、実際問題としてそういうようなことをやつておられるかどうか、それから農業者は御承知のように自分が申告したものにつきまして、税務署からちよつと來いと言われましても、自分が行つて一々説明する程の口達者な者は少ないのでありまして、從いまして農業協同組合長に頼んで一緒に行つて貰つて、そうして説明して貰うというような場合が往往あると思いますし、又必要だと思いますが、ところが税務署においては本人でなければ絶対に弁明を許さん、協同組合長が來ておつてもその代弁は許さんということを言つております。從つて実際に農家としましては、自分の所信を十分述べるこはできない。そのためにみすみす不当なる更正所得の査定に対して、服從しなければならないということがあるので誠に困るのだということを述懷しておりましたが、こういう点につきましてはどういうような処置をなしておられるか伺いたい。
#5
○説明員(忠佐市君) 第一のお尋ねでございまするが、農村が農村以外の納税者より負担が重いというようなお尋ねでございましたが、この点につきましては一般的な傾向といたしましては、國民所得の分析等からいたしまして、農業所得とそれから商工業所得に対する課税の問題が取挙げられておりますが、これを具体的に各納税者について、申上げますれば、農業関係の納税者につきましては、耕作反別收穫高等が比較的分り易い状況にございますので、課税が相当正確性を持つて行われ得る。これに比較いたしまして、商工業者等につきましては、実情の捕捉が必ずしも農家のように参りません実情にございますので、課税の捕捉面におきまして、相当の始難性が伴う。かような結果が、農村の負担が多い、或いは商工業者の負担が軽いのではないかということが、論ぜられておると思いますが、この点につきましては、個々の業者につきまして、個々の農家につきまして、論ずる以外には方法がございませんので、一般的にこういう傾向があるというようなことで、問題が片附かないと思う次第でございます。で先程問題になりました目標の設定につきましては、農業と、それから商工業と、別に分けまして、それぞれの視野から計算いたしておりますが、この点につきましては先刻申上げましたように、個々の納税者の負担が税法を適正に執行して、妥当の結果を得るようにということで考えておるような次第でございます。
 それから第二の問題でございまするが、農家の人々が税務署に出て参りました際に、よく事情が述べられない、誰か、代弁をさした方が意思が疏通するという問題につきましては、これはいろいろ事情がございまして、これは必要性がありますると同時に、多少別な角度からも檢討を要する問題がございまして、方針といたしましては次に述べるようなことに相成つております。それは例えば非常に言語不明晰の者であるとか、或いは殆んど喋れない、こういうような場合におきましては、どなたか代人が出て、お話をして頂くことは結構である。併しその代人が、同じ人が反覆してやつて來るということはお断りしたい、やはり個々人に具体的に自分の事情を述べて頂くというのが一番適切でございますので、その個々人の事情を述べる程度の代人が出て参りますことを期待しておりまして、同じ人が何回か別々の人の代弁をするということは避けて頂きたいと思います。かような方針で進んでおりますような次第でございます。この点につきましては農家の方にも不便の点があることと思いますし、それから税務署におきましても必要をみずから感ずるという事態もございまするが、只今のところは一應そういう方針で進んで参る予定でございます。從いまして若し非常に百現の拙たない人がございまして、適切に事情を述べ切れないというような事情もございましたら、どなたかそれを補足するような書面を作成して出して頂く。まあかようなことが一つ考えられると思います。と申しまする趣旨は、代弁者の方がその本人のことを本当に鸚鵡返しに傳えるというような趣旨でなくて、代弁をする方が代弁をする人の理解なり、或いは思想なりをお述べになりました事情が、本人の意図するところと反対になるというようなことを避けたいという趣旨でございまするので、書面その他によりまして分りますならば、一應現段階におきましてはさような方法で進んで参りたい。非常に廻りくどい申上げ方で恐縮でございますが、この辺を御了承願いたいと思います。
#6
○石川準吉君 第一問についてちよつと説明の……。私のお尋ねの趣旨が或いは違つたかと思いますが、私のお尋ねしたのは、税務署の判断において農村も、中小都市もありますが、それは理論から言えばその年の所得が決定しまして、決定した額を取れというのは当り前だと思いますが、そうではなく現状におきましては、例えばAの税務署に対して、お前の管内からはこれだけの所得税を取れ、こういうような一種の供出の割当のようなものが來る。從いまして税務署々長といたしましては、自分の成績を挙げたいために最も課税し易い農村にぶつかけて來る。而もその場合において税務署々長の会合なんかにおきましては、この地方は反当り何ぼの所得だということを決めて來る。それに対していろいろ抗弁したくてもなかなかそれは聞いて呉れない。こういう事情であるということなのです。
 それから第二番目の問題は、いろいろ事情があることを私はよく承知しておりますが、少くとも農村におきましては、農業協同組合長というものは、相当に農家の世話をしている人なのです。從つて農業協同組合長が代人で行つて話すくらいのことは認めてやつて欲しい、かように思つておるのです。
#7
○説明員(忠佐市君) 第一の問題につきまして只今御質問がございましたような点につきましては、私共各税務署に租税收入につきましての努力目標を設定いたしまするが、この努力目標は数回申上げましたように、適正に税法が執行された場合の收入の予定額でございまして、農民層について課税が容易であるからというような意識を入れないで計算いたしておるような次第でございます。その点につきましては先程申上げましたように、課税が昭和二十三年度分としてこの程度予想できるという数字に対して、昭和二十三年度におきましては何割納税ができるかという問題を考えまする際に、これを平均で計算をいたしておる。というような点からもこの点が御承解願えると思いますので、この点につきましては、只今御質問がありましたような関係がないと考えております次第でございます。
#8
○委員長(楠見義男君) かねて高橋さんから木材の價格差益金の問題について物賣廳に対する質問を留保されておりますので、丁度物價廳の第一部の経理課から山口さんと平岩さんがお見えになりましたから、高橋さんからかねて御留保になつておりました質問をやつて頂きたいと思います。
#9
○高橋啓君 物價廳の方にお伺いしますが、この木材統制價格の改訂が二十三年度の六月二十三日以來十二月十四日まだに四回行われましたが、その價格形成に当つて移動平均價格算定方式というものを用いた。この移動價格算定方式――ムーヴイング・アプリーズというか、それはどういう方式かというと、前年のストツク量と当年の生産量とを決めて新旧價格をプールする。それで差益というものを見ないというような計算方式であるというふうに覚えておるのでありますが、それについてそのストツク量の資料をどこから取つたか。その統計はどこの統計によつたか。例えば農林省で統計を持つておりますが、その統計によつたかどうかということを先ずお伺いしたいと思います。簡單で結構でございますから……。
#10
○説明員(山口方夫君) 御説明申上げます。只今の移動平均と申しますか、各平均の算出の根拠になりました石数と農林省の林野局の資料に基いたものと聞いております。
#11
○高橋啓君 そうですか、この價格改訂により差益処理に関する法律があるのであるから、價格が改訂せられた場合に、その差益があつた場合は、差益額を正しく計算して徴收するということがよいのであるけれども、生産の状況によつては、例えば煙草のように仕入れて賣るというような形のものでなく、その生産の物の種類によつては、すでに價格が改計されるときに原價がもう高くなつておるか、價格改訂をせざるを得ないというような状況になつておるのが沢山あるのですが、そのうち木材が殊にそうだと思います。それで実際に差益がないのを徴收するということになると非常に資金力を殺ぐのです。賣つて利益があつて、その何割かを租税で納めるというのと違つて、いきなり差益がありとして資本力から取上げるのであるから、これが若し差益がなくて取上げられるということになると、資金力を非常に減退させて再生産を阻害し、あらゆる産業を萎廃沈滯せしめる重大な結果になると思うので、特にこの問題をこの委員会にもお願いして取上げて頂いたのですが、大体こういうものは適正な且つ公平な計算が必要であつて、これは折角均衝予算のようなものを作つても担税力を超えたり、或いは不公平な課税をするような場合には、どうしてもそれは滯納になつたり、納められないということになるのであつて何にもならんと思う。そこで私はこの差益計算における基準というものをはつきりここに見付けて、そうして公平妥当な徴收をしなければならんとこう思うのであるが、この木材がすでに價格改訂のときは生産費が高まつてしまつておるという事実は、いろいろな事情において、又資料も物價廳にはそれぞれの業者から提出してあると思うのでありますが、とにかく價格を決定するときには、その数量通りのストツク数量であれば差益を徴收しないということになつておるのでありますが、その方針に物價廳は変りはないかどうか、それを伺いたいと思うのであります。
#12
○説明員(山口方夫君) 先程お話の通り移動平均で今度の價格を算出したのでございますが、実査いたしました結果、その根基になりました数量と食い違いございます場合には、その部分につきましては、これはプール計算に入つていないわけでございますから、一應差益の対象になるという点は第一に御了承願いたいと思います。それで一應プール計算いたしましても、いろいろ各地の実情によりまして差益が発生する、こういうことは考えられる点でございます。それで差益の制度につきまして原價が昂騰しておるために、差益が事実上発生しないように思われる点もあるかと思いますが、その点につきましては單純に新旧價格の差額を、差益として徴收するということをいたしませんで、原則としましては生産業者には差額の三分の一を控除いたしますし、更に特殊な原價が特殊な事情によつて昂騰しておる場合には嚴密な査定をいたしまして、指示額を作りまして、それと新價額との差額を徴收するというふうな制度になつておりますので、その点は個々の場合につきまして具体的な基準を拵えて、そうして調整するということに相成ると存じます。
#13
○高橋啓君 そこで移動平均價格で算出したストツク量というものが一應抑えられる、ところがそれ以上超過してストツクがあつた、いわゆる闇ストツクがあつたということを決めるについて、いわゆる実査の方法についてどういうふうにこれをやつておるか、というのは、最近地方局でやつておるところを見ると、一、二の業者の状況についていわゆる抜取調査をやつている。ところがそれによつて非常に廣汎な、例えば関東ブロツクとか、東北ブロツクとか、或いは中國ブロツクというような大きなブロツ全体に対して二、三の抜取檢査の事情に基いてこれを全部に及ぼそうという傾向があつて、極めて天正確な方法を以て、いわゆる勘によつてこれをやつておるという傾向があるのだが、いわゆるストツク量を超えているかどうかという問題については、非常に地方でこの問題に対する決定について騒いでいるのであります。というのは、この木材の御承知の通り指定生産資材であつて、これに対するいろいろ取締りの法規がある、それが或る一、二業者の状況によつてそれを全部に、例えば農林省の統計以外の数量があつたということになると、それは或いは刑法の罪人となる関係も出て來るだろうし、或いは課税の対象になるということにもなるだろうし、これは軽々しくこういうようなものを調査した結果をこのような差益徴收の決定に使用するということは大きな問題であります。これは何か地方局に対して、当局にその超過量を見出だすための調査の方式或いは基本的な方法というものを指示しておるかどうか伺いたい。
#14
○説明員(山口方夫君) 実査の方式、方法ということについては、これは過去数年にわたつて差益の事務を担当して來た地方事務局の経験と熟練によつておるわけでございますが、特に木材について他の調査の方法と異なつた方法を指示したということはやつておりません。ただ適正なストツク量を把握する方法としては、一、二の抜取檢査をやるということは、お説の通りこれは十分な点ではないと存じますので、この点については可及的廣範囲の実査をさせまして、適正な在庫量を調べたいと思つております。ただ大きなものから小さいものまであらゆる業種について調べるということは勿論できませんので、その点は御了承を願いたいと思います。
#15
○高橋啓君 実査の問題ですが、実査に現れた数量、それにその実査に当つた人のかんを加えて、或いは或る種の倍数を加えて、そうしてそれをいわゆる闇ストツクとして決定しようとするところの実例があるのですが、そういうことは非常に大きな影響を持つのであつて、私は政府のやつておるいわゆる資料とか、統計というものを、同じ政府でありながらこれをお互いに尊重しない、これを軽蔑しておるというような傾向があるのでありますが、外の税金の問題の場合にも絶えずそういう議論が出たのであるが、價格形式のときには農林省の統計によつておる。それから別ないわゆる差益を決定する場合のストツク量の場合は、その資料を排斥するといつたようなことは、これはどうも私共考えられないのであつて、若しそのように各官廳がお互いに資料を排斥し合うならば、これは伊達に作つておるのであつて、私は資料というものについて非常に疑いを持つておるのでありますが、少くとも農林当局が作つたその價格改訂のときにいわゆるストツク量というものの統計が確実なものであるが、何人に対してもこの統計というものは主張し得るものだという確信を農林当局に伺います。
#16
○説明員(田中紀夫君) 只今御質問がございましたのでお答えしますが、農林省としては、各府縣知事から公文によつて毎月月末に木材のストツク量を聽取しておるわけであります。で只今問題になつております價格を決定するときには、本來ならば價格差益というものが、公定價格は普通に決めまして、その上でストツクを持つておる人から差益のあるところを徴收するというのが從來のやり方であつたわけですが、木材については非常に價格の差益が取りにくいということからいたしまして、初めに全國のストツク量を対象にして計算上出ました妥当なる價格から、そのストツク量だけは差引いて置くという、初めに價格差益を考慮して差引いた、下げたような價格が決つたわけであります。それでその價格も基準價格を決めまして、各都道府縣間の價格差を從來の價格差を適用したわけでありますので、具体的に各都道府縣どこのストツクは各都道府縣の價格を決定する際の基礎にはなつておらぬわけであるので、考え方の問題としては、最初に全國にあつたストツクは公定價格を決める際に加味されて、それだけ値段が下げられて決められた。個個の業者等について見ますれば、ストツクを持つていた人はそれでいいわけですが、全然ストツクしていなかつた人が新たに生産を初めるという際には非常に不公平なことになるわけでありまして、そういう点では移動平均價格算出方式というものは無理じやないかということを、林野局としては考えたこともございますが、結局結論としては、移動平均價格算出方式で最初にストツクしたものは、旧價格で賣られて然るべきものであるという判定の下に、移動平均價格算出方式を取られるというので、ストツク量については私共の方で各府縣知事から報告のある際以外には何らの正式なものがないわけであります。
#17
○高橋啓君 そこで今の通り移動平均價格算出方式というものをとつたのは、今木材課長が言われたように、木材の場合はとりにくい、各ストツクをどこで決めるか、そのストツク量の算定についてこれを決定することについても、不可能ということからこれを決めたのなら、價格を決めるときに闇價格があるという見込みならば、何故そのときにそれを用いなかつたのか。初めに價格決定のときにはつきりした政府の資料を用いておいて、その後において闇ストツクがあるであろう、而も一ケ年も立つてからその当時のストツクを抜き取るとか何とかの不完全な方法で、これを混雜に導くというようなことをやらなければならなかつた物價廳の考え方をちよつと簡單に……。
#18
○説明員(山口方夫君) 價格形成につきましては、一應農林省の資料を主にして作成したのでありますが、移動平均を一切出したのでありますが、價格差益はこの建前といたしまして、生産業者の差益につきましては、成る程このストツクの中に織り込まれたものは差益が発生する余地がないのでありますが、販賣のために持たれておるもの、そういうような物につきましては若干差益は出る余地があるのではないかという考え方ができるのでございます。それから又農林省の統計を軽蔑するというふうな意味ではございませんが、少なくとも差益の処理に当りましては個々の対象が問題でございますので、一々の業者のストツク量というものを調べて見る必要がございます。そうして見ますと、そこに差益の対象とするものが出て來る場合が考えられますので、差益の処理をするという方針を取つております。
#19
○高橋啓君 今の差益の対象となるものはそれでいいと思うのです。ところが対象から除外されるものについては、例えばここで一例を言うと、素材生産業者の場合には、十分買い入れて自分が伐採して販賣しておる。それから林木を買い入れて伐採を委托して販賣をする。自分が持つているものを伐採してこれを販賣する、この関係。これは差益から除外される製造業者では、素材生産をして、製材して販賣する。初めから素材を買付けて製材して販賣する。それから素材を製材工場において賃引で製材品として販賣する、この関係については絶えず物價廳と交渉して、これを対象から除外する、こういうことであります。これに対するストツク量というものはすでに價格を決めるときに農林省の資料に基いて決められたのであるから、この事項については調査は必要はないのではないか。そこで問題は例えばこの対象となる仕入れて賣るもの、いわゆる小賣商なんかの扱うもの、例えば業者であつても他所から製材品を仕入れてそれを賣るもの、それは價格の差益の対象となるのだ、この点についてはストツク量の調査が必要であるけれども、除外さるべき事情の下にあるストツクについては、今更調べる必要はないのではないか、こう思うのだがどうですか。それとも正確な調査ができるというならば、若しストツクならば、当然みんな納得するものでなければいかん。何万人という業者がみんか平均して責任を持つておる。併し製造業者まで押しなべてそのような責任を負わなければならんということは不合理だと思うのですが、今の点について御答弁を願います。
#20
○説明員(山口方夫君) その差益の対象とならないもの、なるものを区分して調査するということも、或る場合にはなかなか困難な場合もあると思いますので、その調査の方法につきましては、各事務局で総体を調査して、そうして対象にならないものを除くというふうな処置を取る場合もあり得ると思います。いずれにいたしましても、その地方なりの生産或いは販賣の実情によりまして、特に差益の発生しないものに負担を多くかけると、いうような御説のような点がないように指導いたしたいと思つております。
#21
○高橋啓君 そこで今の問題は、差益の対象から除外されている種目のものが、更に又一年前の状況をいろいろな勘や想像を加えて、そうしてどえらい数量を出してくる。これは名古屋から出た資料に基ずくと、農林省で出した資料は百%大体闇ストツクがあつた。こういうような資料が出ておるのだが、そういうことは非常に我々としては常識はずれであり、政府のやり方としてまずいことが多い。闇ストツクというものを認定してそれを押付けて、而も徴税官が絶対的な認定権を持つてこれに当られた場合、國民は極めて困つている。そこでいわゆる税務フアツシヨとか何とかという言葉が巷にずいぶん拡がつておるのであるが、とにかく向う樣に認定権を持たせて、勘や想像をこれに加えられたのでは非常に困つたことになると思うから、本局の方において、そのようなことを廃せ、的確なる資料があつて、而もそれがどの人にも納得できるような全般的な公平な徴收をせんければいかんということを指導して行くのでなければ実効を得られない。こう思うのでありますから、その点について責任を負うて地方を指導して行く、このようなことをやつて貰えるかどうか、それを一つ。
#22
○説明員(山口方夫君) 御説の通り勘や見込で不当な課税をするということは、誠に当を得ないことでございますから、その点につきましては、十分資料に基ずきまして適当な調査を作成し、そうして妥当な決定に進まさせるように指導して行きたいと思います。
#23
○委員長(楠見義男君) それではこれで休憩いたします。
   午後零時五十分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時二十三分開会
#24
○委員長(楠見義男君) それでは休憩前に引続きまして委員会を再開いたします。
 只今から御審議を願いまするのは、土地改良法案及び土地改良法施行法案以上二件でございますが、以上の二件は衆議院で可決されまして、本院に本付託として参つておるのでありますが、これからこの二件について御審議を頂くことにいたしますが、先ず最初に池田政務次官から提案理由の御説明を伺うことにいたします。
#25
○政府委員(池田宇右衞門君) 土地改良法案につきまして、その提案理由の大体を御説明したいと思います。御承知のように、現在の日本の農業の重要問題は、農業経営の合理化と農業技術の革新を通じて、食糧その他農産物の最大限度の増産を達成するということであります。このためには、何よりも先ず農業経会における基本的な生産の手段としての土地及び水の利用を合理的にすることで、いいかえれば、灌漑排水施設や農業用道路を整備し、農地の区画を整理し、農地を集團化し、農地の造成及び農地の保全を図り、その災害復旧を行う等の事業を実施することであります。
 又これらの事業は、國民、特に農民の手に残された最も貴重な資源である土地と水とを有効且つ、適切に開発利用する上にも欠くことのできないものであります。
 然るにこのような事業に関する法律としましては、古くは明治末年の制度にかかる耕地整理法、水利組合法及び北海道土功組合法がありますが、いづれも今日の社会経済上から見て、もはやその機能を完全には果し得ない状態にあり、この種の事業の施行には、却つて著しい障害となつているのは、顯著な事実であります。
 即ち、これら耕地整理法、水利組合法又は北海道土功組合法の規定によつて成立された組合は、その性格もその事業も相互に極めて頻似しているのでありますが、同一の法制の下に統一する必要があることは当然であります。
 次に、これら三種の組合員となる資格のある者は土地の所有者に限定されておりますので、土地改良事業の負担は、これら土地の所有者に掛るのであります。然るに農地改革以後は、地主の経済的地位は從前と非常に変つて來ましたので、その負担に堪えないものが多く、そのために、土地改良事業が一向に進捗できない状態にあるのであります。
 次に、從來より國営及び都道府縣営の土地改良事業が行われておりますけれども、これに関する法律的規定が全然なかつたのでありますが、そのためにいろいろと事業の進捗上支障のある点があります。
 以上のような理由から、土地改良法の制定は、その必要を痛感されるのでありまして、農民及び関係團体からも強い要望のあるところであります。
 以上が土地改良法案を提出いたしました所以であります。
 次に法案の重要な内容について概略御説明申上げたいと思います。
 第一は、土地改良の施行の主体として新に「土地改良区」という制度を設けました。この法人が從來ありました耕地整理組合、水利組合、北海道土功組合に代つて、今後主となつて土地改良を行うのであります。尤も土地改良事業は、土地改良区の外に農業協同組合も、亦、國や都道府縣も施行できることは当然でありまして、法案の中に、そのための所要の規定を設けた次第であります。
 右の土地改良区は、先に申し述べました理由に基きまして、関係地区の耕作者がその組合員となるものといたします。併しながら、土地の所有者も申出があり、所有者が組合員となることが相当であるときは、耕作者に代つて組合員となるものといたします。
 第二に、國又は都道府縣が土地改良事業を行う場合の規定を設け、円滑に事業を進められるようにいたしました。
 第三に農地等の交換分合の規定を設けました。これは今後の日本の農業の置かれるべき極めて困難な地位を予想いたしまして、農業経営を合理化するための有力な手段の一つであります。
 最後に土地改良事業に対して所要の補助をなし得るものといたしました。
 以上が同法案の主要な内容でありますが、何卒愼重御審議の上速に御可決あらんことを切望する次第であります。
 次に上程されました土地改良法施行法案につきまして、その提案理由の要旨を説明申し上げます。
 土地改良法案につきましては、只今御説明申し上げましたが、この土地改良法の制定されました場合におきましては、從來存しておりました耕地整理組合、普通水利組合及び北海道土功組合をどう処置するかの問題を始めといたしまして土地改良法の施行に伴う関係法令の整備等が必要となつて参るのであります。土地改良法施行法案は、かような土地改良法の施行に伴う必要な措置を講じようとするものでありまして、その要点といたしますところは、まず第一に、土地改良法の施行に伴い、耕地整理法及び北海道土功組合法は廃止し、水利組合法は水害予防組合法として改正することとし、現存の耕地整理組合、普通水利組合及び北海道道功組合は、一定の要件を具備するものは土地改良区又はその連合への轉換を認め、しからざるものは、三年を経過した時に解散せしめるものといたしておるのであります。第二には、土地改良事業を施行した場合には地力が増進するため、地租の値上りを來すのでありますが、これについては、地租上の恩典を與えることといたし土地台帳法の特例として所要の規定を設けておるのであります。
 以上の外に関係法律に所要の改正を的なうことと致しております。本來この法案は、土地改良法案中に規定し提案いたす予定でありましたが、他の法律の例にならい、これを別箇の法案といたしたのであります。
 何とぞ愼重御審議の上、速かに御可決あらんことを切望いたします。
#26
○委員長(楠見義男君) 経済安本部総務長官と大藏大臣の出席を要求しておりますが、いずれも衆議院の本会議に出席しておる趣きでありまして、只今関係省で参つておりますのは、農林省と経済安定本部の建設局次長であります。一應法案についての大要の説明を伺うことにいたしましようか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#27
○委員長(楠見義男君) それでは事務当局の方から法案の内容について大要の説明を伺いたいと思います。
#28
○政府委員(伊藤佐君) それではお手許にお配りしてございます土地改良法案要綱につきまして主なる点を御説明申上げたいと思います。改良法案の方が非常に大部でございますので、要約をしてございますから、それに基きまして、御説明申上げます。
 それでは御説明申上げます。第一は土地改良法の目的でございますが、この目的は農業経営を合理化して農業生産力を発展させることを目的といたしております。その手段といたしまして、農地の改良開発、或いは保全及び集團化を行うのであります。この集團化と申しますのは、交換分合のことであります。それをそういうふうな手段によりまして、食糧その他の農産物の生産の維持、或いは増進に寄與することを目的といたしておるのであります。次の第二項に書いてございますのは、この土地改良事業を行うに当りましては、土地の総合的利用という観点からいたしまして、國土資源の利用を総合的な見地から見まして、土地改良をやるところをやつて参る、こういうような考え方であります。從いまして、單なる土地改良さえやるならばよろしいというものではなくして、森林関係でありますとか、その他國土資源の開発の他の面と十分調和を取り、尚且つこれをやつた方がよろしいという地域につきまして土地改良事業を行うように考えてるのであります。
 次は土地改良関係の法律におきまする諸般の定義でありますが、この法律におきまして農地と申しまするのは、耕作の目的に供せられておる土地を言うのであります。
 次にこの法律で土地改良事業と申しまするのは、以下一乃至七に掲げてある事項でございまして、第一には灌漑排水施設又は農業用道路その他農地の保全又は利用上必要な施設を新設したり、我いは維持管理したり、場合によりますると、廃止をしたり変更をしたりということであります。第二といたしまして、区劃整理であります。田畑の区劃整理の問題、第三は開田又は開畑、四は埋立て又は干拓、五といたしまして農地又はその保全又は利用上必要な施設の災害復旧、要するに農地の災害復旧又は農地の保全上、或いは農地の利用上、必要な諸般の施設の災害復旧であります。水利とか、或いは農道といつたようなものであります。第六は農地に関しまする権利これはいわゆる交換分合でございまして、農地に関する権利並びに農地の利用上必要な利地に関する権利、農業用施設に関する権利及び水の使用に関する権利の交換分合であります。農地だけの交換分合の場合もございますが、それに付随して必要な諸般の施設、或いは水の権利関係といつたようなものを交換分合する必要がある場合には、これらのものを併せて交換分合することができるようにいたしたのであります。第七といたしましてその他土地の農業上の利用を増進するために必要な事業であります。
 次は土地改良事業の参加資格でございまするが、この土地改良、只今申上げました土地改良事業に参加し得る人の資格といたしまして、第一には農地につきましては、耕作者であります。但し耕作でない、いわゆる地主、小作に出しておるところの地主でありますが、地主が市町村農地委員会に申出をしまして、そうして参加をしたいという希望を申し出ました場合に、市町村農地委員会がこれを適当と認めた場合には、その所有者といたしておるのであります。原則といたしましては、耕作者を本位にいたしたのでございますが、現在の実際の状態、並びに法律の関係からいたしまして、所有権者の所有権というものも、これも尊重しなくてはいけませんので、これらのことを併せて考えまして、農地の所有者が自分で組合員にこの土地改良事業に参加したいという場合には、以上申上げましたような手続の下に参加することを認めておるのであります。
 次に農地以外の土地につきましては、所有者、これは例えて申しますと、宅地であります。その地区内におきます宅地のようなものでございます。但し使用収益権者が所有者の同意を得て申し出たときには、その使用収益権者、宅地を人から借りておるといつたような場合であります。
 次は土地改良事業でありまするが、この土地改良事業には、先程の提案理由の中にもございましたように、土地改良区の行いまするものと、農業協同組合その他のものが行いまする場合とあるのでありまするが、第一は土地改良区の行う土地改良事業であります。その中で先ず土地改良区の設定につきまして申上げますが、これは從來の耕地整理組合等の設定にあたるものでございすが、從來の土地整理組合は土地の所有者を單位といたしておりまして、土地所有者の地区内にありまする土地所有者の三分の二以上の同意、或いは全体の面積の三分の二以上の同意というものを必要といたした次第でございますが、今回の考え方は、先ず区請を定めまして、その区域内に耕地を所有し、或いは耕作をいたしておりまする人達の三分の二の同意を得て土地改良区を設定することができるというふうにいたしたのでありまして、この点はアメリカの例に倣つたのであります。で、手続といたしまして、前に述べました参加資格を有する人達十五人以上ありました場合に、それらの人々は一定地域につきまして、土地改良区を設定するために、土地改良事業計画の概要と、定款作製の基本となるべき事項等を定めまして、その地区内で資格を有する者の三分の二以上の同意を得まして、先ず都道府縣知事に予備審査を申請するのであります。それで今回の法案におきましては、予備審査と本審査と二回の審査の手続を採つておりますが、從來の耕地整理組合におきましては、一回の申請で足りたのでございます、手続を愼重にいたしております。で先ず予備審査を申請いたしますると、都道府縣知事は、その予備審査の申請に対しまして、專門的な知識を有しておりまする技術者の報告を求めまして、その報告と申請の内容を一般の縦覧に供するのであります。その場合利害関係人は、これに対しまして意見を提出することができるのであります。都道府縣知事は、この技術者の報告に基いてその意見を参酌いたしまして、土地改良の設立を許すかどうかということの適否を決定いたしまして、よろしい場合にはその旨を申請人に通知する。適否を申請人に通知するのであります。で申請人は知事から適当であるという通知に接しました場合には、今度は土地改良事業計画定款等を作製しまして、都道府縣知事に土地改良区設立の本申請をいたすのであります。この申請を受けました都道府縣知事は、更に專門的な知識を有しまする技術者の報告に基きまして、この本申請を審査した上で土地改良事業計画書及び定款をもう一遍利害関係人の縦覧に付しまして、異議の申立の期間を與えまして、後に土地改良区の設立に認可をいたすのであります。かくして設立されました土地改良区は法人といたしております。これは公法人的の性格を持つておるものであります。それから土地改良区はその地区内の土地改良事業及びそれに附帶して生ずる事業を行うことを目的といたしております。附帶事業は例えば材木、この事業に必要な簡單な製材所を作るとか、或いは場合によりますると瓦を焼いたといつたそういつた程度のものでございます。
 次は土地改良区の監理の問題でございまするが、土地改良区の役員といたしましては、理事及び監事がございます。理事は、これは全員組合員の中から選挙いたすのでありまするが、監事は半数は組合員中から選挙をいたしまして、残りの半数は都部府縣知事が任命することになつております。この半数の任命というのが從來と変つておるのでありますが、これはアメリカにおきましては、こういつたような公共事業的な、公共事業をやる團体の監事は、これは公共事業本位に自己監査をいたすのでありますから、全員任命によるものだそうであります。併し日本におきましては、まだそこまで一足飛びに行くことは適当でないと考えられますので、半数は組合員中から、半数ば知事が任命をすることにいたしたのであります。
 次は土地改良区の総合でありますが、これは総組合員を以て組織をいたします。普通定時総会を毎年一回、その外に一定の員数の組合員の請求がありました場合には臨時総会も開けることになつております。それから土地収良区は非常に廣汎な範囲に亘る場合がございますので、これらの場合に総会を開くことは容易でございませんから、そういうふうな場合におきましては、組合員の数が五百人以上の場合におきましては、総会の代りに総代会を設けることができるようにいたしております。でこの総代会の総組合員に対する比率も、組合員の数に從いまして変えておりますが、これは法律の方に詳しく規定しております。尚総組合員の三分の一以上の請求があつた場合におきましては、これを投票に付して総代を変えることができるようにいたしておるのであります。組合員の表決権、議決権及び選擧権は各々一個にいたしております。
 それから土地改良区は組合員に対しまして事業の経費に充てるために、必要な金銭、夫役、現品を、賦課したり徴収したり、又は過怠金、加入金を課することができることにいたしております。尚これらのものの賦課徴収等に当りましては、場合によりまして市町村に委任して、それら滯納処分によつて徴収することができるようにいたしております。これは現在の耕地整理組合と同樣であります。その外土地改良区は区債借入金の借入をすることができることにいたしております。これも現在の法律と同樣であります。
 それから組合員の権利の得喪でありますが、組合員が資格を喪失しましたときは、新たにその資格を獲得した者が前者の組合員に対する権利義務を承継することにいたしております。これも現在の法律と同樣であります。
 それから土地改良区の事業でございます。
#29
○委員長(楠見義男君) 法律委員会の方で採決のために約十分程度速記の拜借方を要求して來ましたので、その方に暫時割愛いたしますから御了承願います。
   午後二時四十七分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時三十分速記開始
#30
○委員長(楠見義男君) それでは速記を始めて。
 土地改良法案及び土地改良法施行法案の具体的内容の審議に入ります前に御質問のあります方はどうぞ御質問を願います。
#31
○藤野繁雄君 私は土地改良事業というものを、政府は公共事業と考えておられるかどうかということをお尋ねいたしたいと思うのであります。
 先ず第一條の第二項によつて見まするというと、土地改良事業は「國土資源の総合的な開発及び保全に資するとともに國民経済の発展に適合するものであり、且つ、土地利用、森林その他資源の保全、開発に適切な考慮を拂つて」計画せねばならんとこういうふうなことを書いてあるのでありますから、土地改良事業のうち、個々の農家の耕地に関するものといいましても、決して私企業的の立場にあるものではなくて、公共事業として取扱うべきものであると信じておるのでありますが、これに対する政府のお考えをお伺いしたいのであります。
 次にはこの土地改良事業には、補助金を交付されるということが書いてあるのでありますが、これについてお尋ねしたいと思うのであります現在において農作物の作付は全面的に統制せられ、且つ収穫せられた農産物は再生産を保障するに足らないような安い値段で供出を強要せられておるのであります。のみならず租税の負担もあり農業経営は非常に難局に直面しながらも、農民は日本國再建のために日夜営々として働いておるのであります。即ち農耕地は農民の所有ではありますけれども、農民はただ政府の指示するままに農耕に從事しておるのでありますから、農耕地というものは政府の所有と同樣であると考えられるのであります。これが農地の開発、改良、保全及び集團化を行う食糧その他の農産物の生産の維持増進を図る事業に対しては、政府は当然相当額の補助金を交付すべきものであると信ずるのであります。然るに二十四年度予算編成を見まするというと、農業関係の公共事業費は大削減せられ、土地改良について府縣営の継続事業及び北海道の直営事業に限定せられまして、團体の継続事業は勿論、新規の事業は一切補助金が打切られておるのであります。又災害復旧におきましても、耕地の流失、埋沒等の復旧は全然除外されて、全部農家負担による復旧が要請せられておるような状態であるのであります。法律第百二十六條によりまするというと、「國は、その予算の範囲内において、農地の改良、開発、保全又は集團化を行う者に対して補助金を交付することができる。」又提案理由の最後には、「土地改良事業に対して所要の補助をなし得るものといたしました。」こうありますが、この法案が成立いたしますれば、どのくらいの補助金を交付せられる考えであるか、又現在成立しておるところの二十四年度の予算では不足することは明らかであるのでありまするから、政府は責任を以て追加予算を出される考えであるかどうか、又農民が所有しておるところの農地の改良や災害の復旧費にも從来の通りに補助金を出される見込でさるかどうか、法律は通過したが、補助金の交付がないということであつたならば、農民の土地改良事業に対する熱意は少く、所期の目的は達することができないのであります。ただこの法律によつて見まするというと、「できる」ということであつて、「する」ということにならなくては、私などはこの法律を成立させてもその効果がないと考えるのであります。この点は安本、大藏省、及び農林省で「できる」じやなくて、必ず補助金を出すということを断言して頂いて、この法律が一日も早く通過するように熱意を示されんことを願うのであります。
 次には、國などが土地改良事業をいたしますのについては、補助金が仮にあるといたしまして、將來その補助金だけでは足りないのでありますから、長期低利の資金を仰がなくてはできないのであります、長期低利の資金の融通される見込であるか、どうか、若しその見込があるといたしましたならば、どのくらいの額を昭和二十四年度に融通される考えであるかどうか、明確なる返事をして頂きたいと思うのであります。これらの三点がこの法案を審議する根本問題であつて、長期の資金の融通もできない、補助金の増額もできないというようなことであれば、この法律は成立させてもその効果がないという結論にはならないかと考えるのであります。この点について明確なる御答弁をお願いしたいと思うのであります。
#32
○政府委員(池田宇右衞門君) 只今藤野さんの非常な御熱意のある、土地改良をすると申しますが、あらゆる食糧安定の上から申しまして、國民生活の明るき日の來ることを念願される上からの、非常に御熱意のある御指摘を頂きまして、以下私から申しますけれども、内容はそれぞれ関係省から來ておりますから、順次答弁を願うことといたしまして、大体の大まかな答弁は私が申上げたいと思います。
 第一のお尋ねは、勿論この事業は公共事業とかように信じます。又公共事業であるから本法案を出して、普く政府においても、亦地方公共團体においても、これに参加して、この事業の遂行を図りたいと、かように念願するものであります。併しながら経済九原則によりまして、今日の健全財政を作り上げる上において、今年度は御指摘の通りこの公共事業の大幅な削除をされまして、事業遂行上一大障害を來すような経路を辿りつつありますことは、誠に遺憾としなければならないと、かように信じるのであります。併し目下事業継続中のものを放棄するようなことがあつては大切だとかように信じまして、大藏当局とも十分にこの点を折衝し、追加予算において予算の間に今後これを計上するような方法ができるならば一日も早く実現の方法をとりたいと、かように信ずるものであります、更に補助金政策におきましては、できるだけ融資の途を講じまして、公益事業としての継続の上においても、この方法をとると同時に、天変地変による災害になつては一日も早く復旧して、農民が全く國民の生活の中に大なる犠牲を拂つておる、その農民の農民道に対しまして、災害を少なくすると同時に不安なからしめなければならない。これが政治の執るべき道であると、かように確信するものであります。尚長期低利資金につきましては、大藏当局が参つておりますからその方からお答えいたすお考えであります。大体お尋ねの骨子については私から申上げた次第であります。
#33
○政府委員(河野一之君) 土地改良事業が公共事業であるかどうかとのお尋ねでありまするが、これは政務次官が申された通り、公共事業であると考えております。即ち私共が公共事業と考えておりますのは、國が直接或いは補助をしてやる公共的な、建設的な、事業というふうに考えておるのでありまして、補助すると申しましても一般事業に対して考えておるのでありまして、公共團体その他公共的な組合に対して補助をしてやらせる事業というものは、一切公共事業であるというように考えております。土地改良事業というのは正しくこれに当るものと考えております。補助金の規定も今回の土地改良法案にあるのでありますが、從來土地改良事業につきまして、相当多額の補助が盛られておつたことは事実であります。この利地改良事業が國家的な性質を有し、從つて補助金をやることは相当に意味があるのでありますが、ただ私共として考えておりまする点は、補助金というものの性格からも來ると思うのでありますが、如何なる事業にも財政の現況もございますが、直ちに補助を出すというように考えているのではないのでありまして、その事業の採算が合うかどうか、又その事業が大規模であり、或いは工事が困難であり、從つて國家として或る程度の援助をしなければ実施が困難である、こういつた点も併せて考えまして補助するというような建前になつておるのでありまして、それがために單に法律にあるから、できるとあるからというふうに必ずしも直ちになるというふうには考えておりません。その面から言いまして、土地改良事業にはいろいろなやり方が、施行の樣式があるのでありまするガ、今回の予算において考えましたところによりますと、そういつた種々の点を勘案いたしまして、一般には採算関係その他もあり、直ちに施行困難であるといつたようなものに限定した関係もありまして、或いは客土事業でありますとか、そういつたものに対して補助を出す段階に到らなかつたことは、財政の事情でもありまするが、遺憾と存じておる次第であります。今後土地改良事業につきましてはどういうように予算的措置を構ずるかということになりますと、これは目下のところ予算が成立いたしました段階におきまして、年度内……、更に財源の問題その他もございまするし、直ちにこの問題を予算的に考えるというようなことをこの際申上げるまでの段階には至つておりません。
 それから長期低利資金の問題でございますが、これは公共團体、組合等において施行いたしまするこういつた土地改良事業につきましては、地方債の枠が八百三十三億ということに一應予算上の問題として決まつておりまするので、この点の重点的な繰廻しによりまして、できるだけ善処いたしたいと考えておる次第でございます。
#34
○政府委員(近藤直人君) 公共事業費予算につきまして一言御説明申上げます。私の方で公共事業費の予算を大藏省と協同いたしまして編成いたしておるのでございますが、本年度の予算につきましては先程政務次官からお話がありましたごとく、司令部の九原則に則りまして非常に公共事業費予算は削減を受けたのでございます。これは皆さん十分御承知のことと思いのでございます。私共といたしましては、予算の編成の都度絶えずその筋と連絡を取りまして編成をしておるのでございますが、遺憾ながら農林予算、六・三予算、文教予算につきましては、今日御承知のよいなことに相成つてのでございます。殊に農林省予算につきましては、土地改良の補助金、その一府縣の担当いたしておりまする事業以外の、土地改良費の補助並びに高地山野公共施設の災害につきましては、災害復旧費を計上いたしてございますが、高地災害につきましては、これは、補助金を削除されたのでございます。はつきり記憶いたしておりませんが、確か高地災害の部といたしまして十四億程度、それから土地改良の方におきまして三十六億、両方併せまして確か五十億程度だと記憶いたしておりますが、從來ならばその金額が当然農林省予算に計上せられる筈のものでございましたのであります。併しながらこれはその筋のいろいろ方意見もありますので、我々としまして誠に遺憾でありますが、これは一應承服しなければならぬことだと思います。然らばそのトラブルをどうするかという問題に相成るのでございますが、この点につきましては、先程主計局長のお話もありましたように、融資の方面で何らか考えたいということにつきまして、経済安定本部といたしましても農林御当局と連絡を取りまして、或いは大藏御当局と連絡を取りまして、できるだけ速かな機会に長期低利の資金を確保すべく御相談申上げております。尚又その一部につきましては御承知のカウンター・パート・フアンド、見返援助資金につきまして、是非何がしかの額を確保したいと思いまして、これ亦目下その筋と折衝をいたしておる現状でございます。
 それから追加予算の点でございますが、これは先程主計局長の御説明のごとく、今後或いは補正予算ということが考えられるかも分らないと思いますが、現在のところでははつきり申上げる段階じやないと考えます。以上。
#35
○藤野繁雄君 只今の御説明によつて、土地改良事業は公共事業なりという明言をして頂いたことは了承いたしました。今回打切られたところの團体の継続事業、或いは新規事業、或いは災害を受けた農耕地、こういうふうなものを除外せられたのは、これらの事業は公共事業に非ずという考えで打切られたのであるか、如何なる理由であるか、この点をお伺いしたしたいと思うのであります。
#36
○政府委員(近藤直人君) 打切られた理由でありますが、公共企業費でないという判定ではないと考えます。それはやはり事業の性質、つまり経営規模の小さいものに対して補助金を出すことはどうかという考えは、これは我我も経営規模の小さいものに対して補助金を出すという建前は、むしろこれは金融で行く方が筋ではないかという考えでありますが、この金融で行つた方がいいという考え方につきましては、これは相当外にも支持者もあるようか伺つているのでありますが、これはいろいろ議論があることと思いますけれども、小規模のものにつきましては融資の方向で行くのが至当である、徒らに國の補助を出すことは適当でないという見解に從つたわけであります。
#37
○藤野繁雄君 若しそういふうなことで補助を打切られて融資で行くということであれば、融資が思うようにできたらばいいのでありますが、この結果食糧増産に支障を來さないというお考えの下に打切られたのであるか、若し食糧増産に支障があつたらば、支障がないように融資をしなくちやならないということだつたらば、現在進行途中にあるところのこれらの事業に対しては、直ちに所要額の融資をして貰わなくちやできないのであるが、今にその融資が決定せないということであれば、本年の事前割当の供出の困難に追い込まれるじやないか、一方においては政府は事前勘当をして、その事前勘当を完遂すべく農家は努力するが、努力するところの農耕地の復旧に対して政府が熱意を示さないということであれば、結局ぐるぐる廻つて、とどのつまりは政府の施策が惡いから事前割当の数量のは出て來ないのだと、こういうふうな結論になると考えるのでありますが、そういうふうな点までお考えの下に本年度の予算を打切られたのであるかどうかお尋ねしたいと思うのであります。
#38
○政府委員(河野一之君) 私から予算の考え方の問題でありますから一應申述べます。その前にちよつと土地改良事業は、公共事業なりという意味をもう少しはつきり申上げますが、公共事業というものは客観的にすべてのものが決まつているわけではないのであります。公共事業は四半期ごとに認証を受け、そうして資材も貰い國の補助をやると、こういつたものは公共事業である、公共事業と呼ぶ場合においては、私が先程申上けたような公共的なものであり、且つ國が直接やるのでありまして、或いは公共的な團体に補助をやつてやらせるものと、こういうふうになつているので、これから外れますならば、たとえそういう性質に類したものであつて補助を今まではやつているけれども、公共事業ではないということになるのでありまして、その点誤解のないように願います。土地改良に対して補助が打切られたことは遺憾である、これは成る程その通りだと思います。併しながらこの予算の編成の面の問題ですが、この底に流れている思想というものは非常に私共の考からすればきついと思いますか、とにかく日本の経済を自立する上においては、國庫の補助に徒らに頼るべきでない、殊に採算の合うような仕事については、國民がこれ程重い租税負担をしてこれを配分するのに、これを辞退すべき性質のものである、國民各自が非常に耐乏して苦しくつてもやつて行くというところに日本の経済自立があるのだ、こういう全体を流れる精神があるわけであります。單に農業ばかりではありません。六・三制の問題でも、アメリカでも四部教授の学校さえある、日本のこれから経済を自立して行こうといつたときに、そういつた積極的改善の要素というものは一切差し控えるべきだという基本的な考え方がある。從つて、個人としてできない、個人として採算が合わないものは援助が考えられる。例えば客土なんというものはこれは私共の事務的な計算、從來いろいろな計算があるのであります。客土して七年とか八年とかいうくらいはもつだろうと思いますが、採算としては二三年でもつてペイしてしまう、それから耕地復旧なんかについても、從來耕地の補助をやりましたのは、その災害の復旧費が何年間に回收できるかというような標準を以てそうして補助をしておつたわけです。漫然と耕地復旧であるから何分の一補助するとか、或いは土地改革だから何分の一補助をするのだと、こういつた呼び水的な補助金は一切今年の予算に限り排除しておる、そういうことはいいか惡いかとかは別であろうと思いますが、そういつた精神が流れておる、從つて土地改革事業に対してはそういつた一つの流れを汲んでできてある、これだけは御議論はいろいろありますが、そういう考え方であるということだけを申上げて置きます。
#39
○藤野繁雄君 我が國の土地改革は、御承知の通りのことで利地改革が行われたのでありますが、土地改革が行われる前は、土地の所有権は地主にあつたのであります、当時の地主は相当の柏力を持つておつたのであります。他から資金を借入れて災害の復旧や土地改良をすることもできたのであります。併しながら土地改革の結果これらの資力を持つているところの地主階級がなくなつてしまつて、やろうとしてもやる資力がないというような段階になつた今日では、從來よりも倍して補助金なり、低利資金なりの融資を受けなくては、利地改革良事業はできないという結論になると思うのです。又さつきも申方げたように、農民は耕作には從事しているけれども、一つも自由を與えられていない、事前割当だ、一定の價格によるところの供出だというようなことであるから、所有権はあるものの、政府の使用人になつて農事に從事するものであると同樣に考えられるのであります。そう考えて來れば土地なるものは実際は政府のものだ、その伏府のものに農家はただ労働に從事しているものだ、こう考えて來ますと、自分のものを自分が復旧するのに、自分の金を出すのにそこに何の憚かるところはないから、この利地というものは土地改革のために地主階級がなくなつて、自作農というものが資力がないから、又そういうふうな事情で供出をしているのだから、自分のものを部分がしなくちやできないのだ、そうでなくては食糧の増産はできないと、こういうふうに政府が先ず認識を改めて、然る後食糧増産を図つて來なかつたならば、食糧増産はできないのじやなかろうかと、こう考えるのでありますが、この点についてのお考えをお伺いしたいのであります。
#40
○政府委員(河野一之君) 土地改良事業が非常に重要であるということは、私は決して否定するものではございません。非常に重要だと思います。併しこれを國が補助するということと又別の点があるのじやないか、殊にこういつた予算の組み方であり、且つ國民の所得に対して前年に二〇%であつた國民の負担が、二六%に殖えて來ると、こういつた場合の負担に、この補助金を配布するということは、やはり國民から取つた税ではできない。公共的な施設というものが第一義に考えられると、これは國民全般から取つた國民の税を配分するとすれば、第一番になるのではないか、勿論食糧の問題は大切でありますけれども、併し考え方としては、農業の水利であるとか、堤防とか、公共的な施設を先ず第一に置く。それから後に耕地の復旧の問題も出て参りましよう。併しこれは今まで補助を出しておつた精神から見ますと、何年間において回收ができるかと、いろいろと期間があります。五年間に回收できないものは或いは何分の一、十年間に回收できないものは何分の一という段階的のものである。とに角國民のためにもなるが、又個人のためにもなるというものは第二段階に置かれるので、予算の組み方においては、第二段階になるという事情にありますということです。これは御答弁になりますかどうか。
#41
○藤野繁雄君 この意見は議論になりますから、先ずこの程度で止めて置きます。
#42
○岡村文四郎君 御承知のように、土地改良法が衆議院を通過して、参議院に廻付されて、これを審議し、討議いたしますのに、日本の現在の農業では、とてもこの法の精神に副うようなことは事実上はできないのでありますが、補助金を出すことができると書いてはありますが、甚だ疑わしいのであります。そんな程度ではとても遂行できないと思うのでありますが、それにしては解決のしようがあつて、この法律を通過さして、法律でこうできているから、何とかしなければならないという努力もあるとは存じますが、先ず以て私のお尋ねしたいのは、これは安本にお尋ねしたいと存じますが、本年の予算において、ドツジ公使の強い指示の下に日本の予算は殆んど急轉回して、我々の予想していない予算ができたよ女なわけであります。併し先ず以て削減されたものは公共事業費、その中でも六・三制と農業の補助でありますが、農業に対する補助金が削減をされましたが、これはドツジ公使から見ますと、当然のことであつたのではあるいか。私の言わんとするところは、一体徳川時代から今日まで、日本の政府の考え方、取つて來ましたその処置がどういうことを一体して來たのか。それらを考えると、ドツジ公使は眞つ向からこれを削減するのは当然だと思います。併し日本の狭い島國におつて、何が一番大切かということを考えると、先ず食糧が第一に問題になる。そこで政府が迭わるたびに、何遍迭わつても同じだと思うのですが、何が人間に一番大事かということが先決問題である。あらゆる工業に比べて、石炭が食糧とやや匹敵するといつても、食糧がなければ、その國の政治が最後に参つてしまわなければならん。今の予算は、終戰処理費が第一で、食糧が第二であるということを政府が惑うからして、ドツジ公使に会つたとき、この補助を非公共事業費と名を付けたと、私は安本長官からそんなことを聞いておりませんから、それが事実かどうかはつきり申上げませんが、向うの話を聞いて見ると。安本の方でそう考えているから、私はこういうようになつて來ているのではないかと思います。安本がこれを第一義に考えているものではないからかようなことになつた。そこで心を入れ換えて、どうしても生きている者に対しては、食糧がなければどうにもならない。これが始まらんことには、これは何にもならんということであります。仮に芋でも塩でも、食う物がなかつたらどうするか。石炭にしても、職工の人が働くにも、我々が生きて行けないわけである。まだ輸入がどんどんできるうちはいいが、それもいつまで続くか分りません。このことを考えても、今までとつて來た日本の政府のやり方は誠に不都合であり、非常にいけなかつたのであります。私戰爭前に、満州へ一度行つて見て涙が出たのであります。私の言わんとするところは、君は認識が足らん。そんなことでは駄目だと言う。狭い日本でそういうことをするよりは、満州で手を拡げて、そうして食糧を取つた方がずつといい、こう言うから、私はそれは違うと、何ぼも日本にはあるんだと、それを満州にかける金を日本に投じて、そうしてやれば、日本の島國の人間が七千万八千万のごときはどうにか食糧は堪えしのがれて行くということにして置くことが、大事であると申上げておつたが、それは我々の言うことは、そのときの爲政者の頭とは全然違うのでどうにもならない。そこで戰爭が済んだら、その当時は大分日本の國民も食糧に関心を持つておつたと思います。ところがアメリカの援助物資によつて、又忘れた。そうなると又薄れた。若し一朝事があつたらどうするのか。今百八十万トン、二百万トンの援助を受けているが、あんな農業を主にして、農業で食糧を取ることを考えても駄目だと、こんな狹い島國では大して何も取れないと言うかも知れんが、今政府が余りやつてやらんから取れないのであつて、それは今ここに土地改良法案を審議しても、これは今のお考えのように、誠に大藏省の局長のお話を承わつても、我々百姓というものはぴんと來ない。そんなことじやとても、何年たつても、二百万トン、二百五十万トンを貰うより道がないのでありますが、これは非常に遺憾なことで、そうでない。もう少しなんで人間が生きているかということをお考えになつて、それから島國はどうしたらいいか、増産するにはどうしたらいいか。ドツジ公使が何と言つても、政府の代表者が申請して、終戰処理費の次はどうしても農業に対する金だと言うて行けば、弱い農林省でも話が通つたと思います。ところが安本の査定はなかなか容易でないと、大藏省の査定が容易でないと、そんなことでどうしてそれが通るか。今後政府がそういうおつもりでおられるならば、この案は決めましても、何もならないのでありますから、我々は考えようと思います。その点をはつきり御答弁願いたいと思います。
#43
○政府委員(近藤直人君) ちよつと速記を止めて呉れませんか。
#44
○委員長(楠見義男君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#45
○委員長(楠見義男君) 速記を始めて下さい。
#46
○板野勝次君 今度この土地改良法案を出されましたのには、先程いろいろ説明を聞いておりましても、了解に苦しむ点は土地改良に対する何らの財政的な裏付けがないという点です。その財政的な裏付のないのに、今までの耕地整理法とか、水利組合法、北海道土功組合法等を、ただ單純化して統一したというに過ぎない。むしろこういうふうに單純統一化されたことによつて、その法律があるために、將來当局が土地改良の公共性というものを段々忘れて來る。こういう懸念がありはしないかどうかというその点が第一であります。と申しますのは、こういう法律ができておるから勢い土地改良事業に対する資金の裏付けというものが、この法律ができることによつて却つて裏付けを失うものじやないか、こういう点です。それから安本の方から説明されておりましたが、零細なものだからそういうものに補助を出すのはどうか、金融でやつた方がよいのだ、こういうことでありましたが、先程藤野委員も申されておりましたが、現在供出、税金等によりまして、農村の状態は実に窮乏しておるということは、当局も認められておるところであります。從つて零細ではあるけれども、零細なものが集積されて、農業の再生産ができておるのに、零細だからといつてそれを放任されるのならば、農業は自滅するより外ないと思います。これは連合軍から経済の自立を切に要請されておる。併し現状は國家の助成なしには農村が窮乏してやれない状態にある。そのやれない現実を無視して自立しろといつて見てもこれは自立できない。自立できないものに対して補助も出さないということになれば、これは勢い破滅するより外ない。破滅するようになつて参りますなら、これを復活させるのには容易ならん努力が必要とされると思う。而も終戰後日本は相当な外國から食糧を輸入しなければならない状態にある。ところが一方において、こういうふうに零細な農業形体が破滅されて來るなら、勢い食糧というものは外國に依存しなければならない。外國に依存して行くということになれば、依存度が昂まれば昂まる程、安易に國内の自給態勢の確立というものが放置されて來る、これが國内における農業破壞の方向に持つて行つて、益々外國食糧への依存度を高めて來る。こういうことに対する危險性を感ずるのでありますが、その二つの問題について先ず伺つて置きたいと思う。
#47
○政府委員(近藤直人君) 私程度零細なものに対して補助はどうかということを申上げましたが、これは私失言であります。取消します。そういう意味ではないのでありまして、個人の利益になる面に対して、國の補助金を與えるということは適切でないという意味でありますから……。
#48
○政府委員(伊藤佐君) 第一の、財政的な裏打がないのにこういう法律を作ることは、却つてどうも面白くないのではないか。事業の重要性が却つて忘れられてしまうのではないかというようなお話でございますが、これは、この法律そのものは、公共性にあることは御承知の通りでございます。財政的な問題、それは偶々今の本予算においてはそういうことになつておりまするけれども、併しそれも全然ないのでは無論ありませんので、九十九億に近い、九十九億が全体の公共事業の本年度の我々の方の関係の予算でありますが……。その大部分というものは、この法律の対象になる事業なのであります。で、先程お話のありました土地改良の府縣営以外の分及び耕地の災害復旧につきましては、遺憾ながら現在の予算には組まれておらんのでございますが、それ以外のものにつきましては、大体金額の満足でないという点はございますが、事業の種類といたしましては補助金もあるのであります。そこで私は、これは或いは私の私見になつて恐縮かとも存じまするが、法律と予算が伴ないますれば、これはこれに越したことはございません。これが一番理想的であると存じまするが、併し政府として一つの大きな政策を決めまして、それに基いて流れるところの予算を更に拡充して行くという考え方もありまするし、又常に屡屡そういつたようなことは行われて來たのであります。今の予算がないというのにこういう法律を出すことは如何かという仰せに対しましては、私はさように考えているものでございます。
#49
○板野勝次君 一つの計画を決め、一つの政策を実行して参りますために、勿論資金の要らない政策というものもあろうかと思うのですが、農業の再生産をやつて行く上から申しますならば、資金の裏付けのない政策というものは一片の作文であります。而もこれは中学生の作文ならば弊害はないけれども、その作文がありますことによつて、政府は何らか行われているだろうという誤解を生むから、中学生の作文以上にこれは惡いものを、私は生み出して行くと思います。それならばこれをやるのに対して一つの政策を決めて行き、その計画の実現の手段として、この土地改良法案が出された。それならば、例えば本年度は土地改良の五箇年計画なら五箇年計画というものを決められた上で、この法案が出て來るならば、五箇年の後においてはどのような日本の農業改良ができて來るか、こう具体的な見通しを持つておられる筈だと思います。若しそういう計画をお持ちになつているのならばこの機会にこの土地改良法案を通すことによつて、二年でも三年でもよし、若しくは五年後においてどのような計画が実現されて來るか。こういう政策実行に対する計画を持つておられる筈だと思います。それを一つ伺いたいと思います。
#50
○政府委員(伊藤佐君) 板野さんの御質問は非常にむづかしい御質問でありまして、計画を持つている筈だからどうだというお話でありましたが、計画といたしましては、昨年の春以來経済安定本部が中心となりまして日本の経済復興五箇年計画というものを立てておつたことは御承知の通りであります。それで進むということになつておつたのでありますが、ところが今度のドツジ公使の來朝によりまして、その点がすつかり御破算になりまして一應棚上げといつたような恰好になつているのでございます。それで私共の理想といたしましては、日本の経済復興の途上において、農業は五箇年以内にかくあるべきものと考えているのでありますが、今のところでは遺憾ながらすつかり一應棚上げになつております。
#51
○板野勝次君 それで一應その五ケ年計画というものが御破算につた。つまり理想の夢であつたと、こういうことになつたということが分つたわけですが、それならば何か裏付けがないのだから、一度御破算になつたものを今度は具体的にこういうふうにやり得るのだということを再計画を立てられた上でその計画の裏付けとして、土地改良法というものをお出しになつても決して時期的には遅れはしない。こういうふうに考えられるのですが、若しそうしないとここでこういうものを通して置くと、勢い安易に流れがちだと思う。そのことを私は非常に心配しておるわけなんです。
#52
○政府委員(近藤直人君) 板野さんの御心配の点もなく了解できるのでありますが、御承知のように、現在のような状態におきましては、二年、三年、数年の間の具体的な計画をどういうように立てるかということにつきましては非常に困難な状態にある。尚それで私共といたしましては、たまたま不幸にいたしましてこの法律と同時に盛り込まるべき予算が十分でなかつたのでありますが、ここに一つの政策を確立して頂きまして、それに基いて今後でき得る限りその内容を充実して行くようにしたい。かように考えておる次第であります。
#53
○北村一男君 只今の御説明によつて、この本年度の予算獲得に対して当局が非常な努力をなさつたことは了承いたしましたし、又安本建設局次長のお話で、今後は融資によつてやらなければならんということも了承いたしました。私はやはりこの法案は通して、政府を鞭撻した方がよろしいと考えております。ところで融資によるといたしますならば、なかなかこれも、私午前中他の委員会の法案の審議にも申上げたのでありますが、土地改良につきましても、大体暖國主義でありまして、寒い地方の、寒冷地方のことをお考えにならない面が相当にある。予算が決まりましても、実際事業をやるものに資金が渡りますのはなかなか早く渡りませんので、その中に冬の早い北國ではなかなか仕事が行われないというようなことが毎年繰返されておるのであります。それでこの融資の問題でありますが、そういう寒國の、寒冷地帶の事情を御考慮になつて、急速に取運んで頂かないと困るのでありますが、これに対してどういうふうにお考えになつておるか、特に寒冷地帶に対する融資の面について、具体的のお考えがあつたらこの際対策を承わつておきたいと思います。
 それから先程開拓局長のお話で國営事業の地元負担を取らなければならんということを仰せになりましたが、これは遡及してお取りになる御意向であるか。或いは今後取るという御意向であるか。遡及してお取りになるということであれば、これはなかなか窮迫しておる農村では容易ならん事態が起きて來る、それに対して徴收なさるには利子を包含してお取りになるのか、それとも利子は取らんで負担金だけを取られる御意向であるか。その点について明確な御答弁を頂いておきたい。
 それからこの法律による土地の交換分合、自作農創設、特別措置法による交換分合は錯綜を惹き起こすのではないか。若しあるならばどういう対策をお講じになるのであるかどうか。これは小さい問題でありますが、今度事業の主体になるのに、土地改良区という名前をおつけになつた。どうも聞き馴れない言葉でありまして、ともすればこれは区劃であり、平面的なものであるというような考えが起きがちであるが、とうして組合という文字をお避けになつたのであるか、これは極くつまらないことであるけれども序でに伺つておきます。
#54
○政府委員(伊藤佐君) 第一の融資等の点につきまして、時期的な考慮を地域的に拂うべきであるというお話、これは御尤もでございます。それで一昨年あたりから、我々の方でやつてやりますのは、東北地方、或いは北陸地方、北海道といつたような、早く冬が來たり、雪が降つて事業ができなくなるというようなところに対しましては、融資、補助金共に或るべく集中して、先ず二回半期、三四半期くらいまでに集中して出すことになつております。四四半期等につきましては、これは成るべく地域的に関西方面、或いは九州方面といつたような方向に持つて行くようにいたしております。尚今のお話の点は今後とも十分注意をいたすようにいたしたと思います。
 それから次の國営事業の負担金は遡及して取るかどうかという問題でございますが、これは現在事業をやつておりまするものが主でありまして、完成しておるものはまだございません。從いましてそれらの事業を完成しました後におきまして、本当の地元負担の中には府縣費負担の分と、地元の農家の負担の分とございますが、縣費負担の分につきましてはそれぞれ各年度内に國の方へ納めて貰う、地元負担の分につきましては、事業の終了後大体十箇年以内くらいに年賦をもつて償還して貰う、その利率は國債の利率と同樣なことにするということで、大藏省事務当局とはすでに話合がついておるのでございます。そういうふうな方法で参りたいと考えております。
 それから次に交換分合につきまして、自作農創設特別措置法との関係というお話がございましたが、現在自作農措置法では、交換分合に関する事項はございません。本法で初めてできるようになつております。
 それからもう一つ、区というのは甚だどうもむつかしてじやないか、わかりにくい言葉じやないかというお話、我我もさように考えておるのでございますが、これは司令部との折衝の途上におきまして、こういうふうな強制的な事業、つまり公共的な事業で一部の少数の人がどうしても聞かない場合には、強制することもやむを得ないというふうなことは事業の性質上しかたがないが、それについてはまず地域を設定して、そうして地域を主にしてやれというのでありまして、これはアメリカでもこういつたような言い方をやつておるそうであります。それで組合ということでなしに、地区を主にするのだという意味をはつきりさせますために、区という文句を使つたのであります。
#55
○北村一男君 大体分りましたが、その融資をどういう方法でおやりになるか、具体的に方法を承つて置きたい。
 それからいま一つ、現に交換分合が行われておるのは何に基いてやつておるのでありましようか。現在行われておるのであります。
#56
○政府委員(伊藤佐君) 融資の具体的の方法というお話でございますが、大体融資は地域的にやりまするものと、突発的に災害復旧等の場合がございまするが、いずれの場合にいたしましてもその時期等を考えまして、雪國、東北地方、北海道といつたような方面につきましては、雪の來ないうち、仕事のできるときに集中してやる、その間はそれ以外の部分については或る程度の我慢をして貰う、こういうふうなやり方でやつておるのでございます。
 それから現在の交換分合は何によつてやつておるかというお話でございますが、これは話合で今のところやつておるのでございます。それから場合によりますと、自作農創設法によりまして買上げました農地を、今度は耕作者に賣渡すのでございますが、あの買上は法律的に申しますと、御承知の通り、一應國が買上げまして、そうして今度賣渡すのは原始取得になるわけであります。前の人のを承継するということになつておりません。國が途中でちよん切つてしまつて権利義務関係が一應切れるのでありますので、その機会を利用いたしまして農業経営になるべく便利のようにやる。こういつたやり方をしておる所もございます。
#57
○板野勝次君 衆議院においてはこの土地改良法案を通過さす場合に、各派が申合せて全額國庫負担でなければならないというふうな希望條件が付せられたように聞いておるわけです。勿論この法案に條件を付してはならないということになつておりますことは存じたおりますが、全額國庫負担を政府がやる意図があるのかないのか、意図がないのに各派で共同でそういう希望條件を付されたものとは考えることができないのですが、そのような各派が一致して全額國庫負担としたのに対する政府の見解を一つこの機会に承つて置きたい。
#58
○政府委員(伊藤佐君) 衆議院の御審議の途中におきまして、全額國庫負担でやるべきであるという御説の出ましたのは、確か一人二人の方であつたと記憶いたしております。それからこういう事業に対して予算的な措置を大いに講ずべきであるということは、これは皆さんの方の御意見でありましたが、只今板野さんからお話になりました全額國庫負担にすべしというのは、少数の方の御質問或いは討論の際の御意見でありました。全体的なそれで全額國庫負担とすべしという皆さん方の御決議であつたようには記憶いたしておりません。
#59
○板野勝次君 そうしますと、今の全額國庫負担というのは少数の意見であつたのだから政府としては取上げる意思がないのだ、こういう意味なんですか。
#60
○政府委員(伊藤佐君) 御承知の通り全額國庫負担ということは、実際問題といたしまして到底できにくいことであろうと思います。又理論的に申しましても、一面から申しますと國がいろいろと農家に対して努力を強い、又無理を強いておる点もございますが、一方から申しますれば、農家それ自体の経営の改善にもなり、土地の生産力が増す事業でございますので、全部を國が出すということは理論的にも無理があるのじやなかろうかというふうに考えております。
#61
○板野勝次君 只今の答弁ですと、部分的には農家が受益するという御見解なんですが、現状の下においては土地改良を一生懸念やつて行く、そうすると超過供出で取られて行く、超過供出をして若し三倍で買上げて貰つても農業協同組合の計算によると相当な赤字で出て來ておる、結局一生懸命やつて土地が改良されて行つた、ところが増産したけれどもそれは全部取上げられて行く、こういう現状の下においては、農民は土地を改良しても何等利益を得ていないという現状だと思うのです。そういう現状では農民は利益を得ていないのだから、そういう土地改良の事業は、先程どの方もこれは公共事業であるということを認めらておつた、公共性に何等変りがないというのはどの答弁の中にもあつたと思う。そう面から照し合せて見て、やはり原則としては全額を國庫負担とすべき現状の下にあるのではなかろうか。そういう現状にあるかないかという点に対する見解も承つて置きたい、そういう現在農民が置かれておる超過供出、その他の諸條件から睨み合せて見て、土地が改良され、地力も良くなつて來たけれども、何等農家は利益を得ていないという現状ですね。そういう事実をお認めになるかどうか。
#62
○政府委員(伊藤佐君) 土地改良事業が行われまして増産になると、その分は全部超過供出させておる、農家には何等残るところがない、こういうことでございますが、御承知のように今の供出割当の制度は、過去五カ年間の平均の数字をとつてやつておるのであります。從いまして本年度土地改良事業が完成するといたしましても、來年度の数字に入つて來ますものは、その実際の増收量の五分の一だけのウエイトをもつて入つて來るわけです、丸五ケ年たちました後におきまして、初めて土地改良による増收量というものが丸々入つて來るという計算になつておりますので、その間は農家の利益というものが相当あろうと考えられております。ただ併しそれでは無論十分ではございません。これは全額板野さんのおつしやるように國が持つということであれば別でございますが、相当な農家に負担をかけておるという現状からいたしますれば、それだけでは土地改良意欲の増進ということも十分とは考えられませんので、今農林省内部といたしまして、いろいろな相談をいたしておりますが、まだ申上げる点まで行つておりません。
#63
○山崎恒君 一つ御質問いたします。この法案を取上げますときに、政府が今回の予算について農業方面の予算を極力心配されたことはよく承知しておるのでありまするが、いずれも農業方面の公共事業費は削減されてしまつておるのでありまするが……。速記を止めて下さい。
#64
○委員長(楠見義男君) 速記を止めて。
   午後四時四十二分速記中止
   ―――――・―――――
   午後五時十一分速記開始
#65
○委員長(楠見義男君) 速記を始めて下さい。では本日はこの程度にいたしまして、この二つの法律案につきましては大藏大臣、安本総務次官が出席したそのときに審議をすることにいたします。
 明日は午後一時から委員会を開きます。本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   理事
           石川 準吉君
           藤野 繁雄君
   委員
           大畠農夫雄君
           門田 定藏君
           北村 一男君
           柴田 政次君
           高橋  啓君
           星   一君
           赤澤 與仁君
           加賀  操君
           徳川 宗敬君
           山崎  恒君
           板野 勝次君
           岡村文四郎君
  政府委員
   総理廳事務官
   (経済安定本部
   建設局次長)  近藤 直人君
   大藏事務官
   (主計局長)  河野 一之君
   農林政務次官 池田宇右衞門君
   農林事務官
   (開拓局長)  伊藤  佐君
  説明員
   総理廳事務官
   (物價廳第一部
   経理課勤務)  山口 方夫君
   大藏事務官
   (主税局監理第
   一課長)    忠  佐市君
   農林事務官
   (林野局木材課
   長)      田中 紀夫君
ソース: 国立国会図書館
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