くにさくロゴ
1968/12/17 第60回国会 参議院 参議院会議録情報 第060回国会 商工委員会 第2号
姉妹サイト
 
1968/12/17 第60回国会 参議院

参議院会議録情報 第060回国会 商工委員会 第2号

#1
第060回国会 商工委員会 第2号
昭和四十三年十二月十七日(火曜日)
   午前十時二十三分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
十二月十一日
    辞任         補欠選任
     植木 光教君     赤間 文三君
     平泉  渉君     村上 春藏君
十二月十七日
    辞任         補欠選任
     田渕 哲也君     向井 長年君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         金丸 冨夫君
    理 事
                剱木 亨弘君
                土屋 義彦君
                小柳  勇君
    委 員
                赤間 文三君
                大谷藤之助君
                大森 久司君
                川上 為治君
                玉置 猛夫君
                村上 春藏君
                山本敬三郎君
                阿具根 登君
                近藤 信一君
                竹田 現照君
                塩出 啓典君
                矢追 秀彦君
                向井 長年君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       国 務 大 臣  菅野和太郎君
   政府委員
       公正取引委員会  柿沼幸一郎君
       事務局長
       経済企画政務次
       官        登坂重次郎君
       経済企画庁調整
       局長       赤澤 璋一君
       経済企画庁国民
       生活局長     八塚 陽介君
       経済企画庁総合
       計画局長     鹿野 義夫君
       経済企画庁総合
       開発局長     宮崎  仁君
       通商産業政務次
       官        植木 光教君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
   説明員
      通商産業省企業
      局参事官      井上  保君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (経済企画庁の施策に関する件)
 (日本万国博覧会に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 十二月十一日、植木光教君、平泉渉君が委員を辞任され、その補欠として赤間文三君、村上春藏君がそれぞれ委員に選任せられました。
 また本日、田渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として向井長年君が委員に選任せられました。
#3
○委員長(金丸冨夫君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。
 まず、菅野経済企画庁長官及び登坂経済企画政務次官から発言を求められております。これを許します。企画庁長官。
#4
○国務大臣(菅野和太郎君) 私は今回経済企画庁長官並びに万博担当大臣を仰せつかりました菅野和太郎であります。今後皆さん方のいろいろまた御支援、御協力を特にお願い申し上げたいと存じております。今回経済企画庁長官並びに万博担当大臣になりましたにつきまして、今後の施政のいき方について私の所見を申し上げ、また皆さん方の御批判また御指導を特にお願い申し上げたいと存ずる次第であります。
 まず最初に、最近の経済情勢と今後の見通しについて申し上げたいと思います。
 最近の経済の動きを見ますと、鉱工業生産は増勢を続けており、企業の投資意欲も根強いものが見られるなど、国内経済活動は依然として拡大基調にあり、他方、国際収支は、貿易収支を中心に好調を続けております。
 このような経済の推移から見て、本年度のわが国経済は、実質一二%程度の成長を遂げ、国際収支も、総合収支で十億ドルを上回る黒字が見込まれております。
 しかしながら、国内経済においては消費者物価が騰勢を続けているなど、望ましくない面もあるとともに、海外経済の今後の情勢についても、米国景気の見通し、国際金融情勢の推移など、楽観を許さない問題が出てきております。
 このような内外の諸情勢を慎重に見守りつつ、今後の経済運営にあたりましては、まず物価の安定を第一義的な政策目標として全力を傾注するものとし、農業、中小企業、流通部門等低生産部門の近代化、産業及び企業の体質改善等を重点的に推進し、わが国経済の体質を強化して、長期にわたる経済社会発展の基盤を整備してまいる所存であります。
 このような目標のもとに、財政金融政策を中心とする経済政策の適切な運用により、四十四年度のわが国経済は順調な成長が期待されます。
 なお、昨年三月策定を見た経済社会発展計画について申し上げますと、以上見てまいりましたように、最近の経済の実勢は、この計画の想定する成長の線をかなり上回っております。計画の掲げる物価の安定、経済効率化、社会開発等重点政策は、今後ともますます必要になってまいりますが、想定数値と実勢との乖離にもかんがみまして、計画をどう考えるべきかにつきましては、各方面の意見も参考にしつつ、十分慎重に検討してまいりたいと存じております。
 次に、物価の安定と消費者行政の推進について申し上げます。
 当面問題となっている消費者物価につきましては、本年度は、前年度後半からの根強い騰勢もあって、当初の政府見通し四・八%の範囲内におさめることはかなり困難となっております。このような消費者物価の大幅な上昇は、単に国民生活を圧迫するのみならず、あらゆる経済政策の効果を減殺するものでありますので、明年度におきましては、その上昇を極力押えるよう、各般の施策を一そう強力に推進してまいりたいと考えております。
 他方、卸売り物価につきましては、本年度は、当初の政府見通しの範囲内におさまるものと考えられます。明年度につきましても、引き続きその安定化につとめたいと考えております。
 現在の物価上昇の要因は、基本的には急激な経済成長に伴う経済の構造的変化によるところが大きいものと考えます。したがって政府としては、今後とも生産性の低い部門の近代化、競争条件の整備、労働力の有効活用、輸入政策の活用、適時適切な財政金融政策の運用等、物価安定のための諸施策を総合的かつ着実に積み重ねてまいる所存であります。これとともに、その背後にある旧来の制度、慣行に再検討を加え、新しい時代に即した新しい制度を確立し、物価の長期的安定をはかり、経済の健全な発展を期する所存であります。
 次に、消費者行政を中心に国民生活行政全般の問題について申上しげます。
 近年、国民の生活水準は大幅に上昇し、消費生活の内容も高度化し、多様化してまいりましたが、その反面、有害商品の増加など、消費者利益の侵害のほか、住宅難、公害、交通事故など国民生活を脅かす問題も生じてきております。
 政府といたしましては、これらの障害を取り除き、国民福祉向上のための諸施策の充実につとめてまいっております。特に消費者の保護につきましては、さきの国会で消費者保護基本法が制定され、消費者保護に関する基本的方向が明確にされましたことは、画期的な意義を持つものと考えます。今後は、この法律で示された施策に沿って、関係法令の整備、消費者教育の推進、行政運営の充実改善等を積極的にはかっていく所存であります。
 次に国土総合開発の推進について申し上げます。
 近年、日本経済は目ざましい発展を遂げ、都市化が急速に進展いたしました。これに伴って国民の生活水準は着実に向上してまいりましたが、同時に、国土の利用が一部の大都市地域に過度に集中したため、これらの地域では、いわゆる過密の弊害が深刻化し、他方、急激な人口流出を見た農山村等の一部では、教育、医療など基礎的な生活条件にも影響を与えるほどの過疎現象が生じてきております。
 このような地域経済社会の動向に対処し、経済社会の長期にわたる発展を確保するためには、全国にわたる情報、通信網と高速交通体系などを整備して、国土の開発可能性を拡大し、この基礎の上に各地域の特性に応じて均衡のとれた開発を進めるとともに、都市農村を通じて国民のための豊かな社会環境を創造することが必要であります。
 政府は、従来から地域開発の促進につとめてきておりますが、今日、新たな観点から国土総合開発の基本的方向を示す必要があると考え、目下新しい全国総合開発計画の策定に取り組んでおり、今後、国民の理解と協力を得て実効のあるものとしたいと考えております。
 最後に、日本万国博覧会のことについて申し上げます。
 今回、私は、日本万国博覧会の施策を担当いたすこととなりました。この博覧会は、わが国が明治以来その開催を意図し、ようやく実現にこぎつけた一大国際行事であり、産業、経済、文化の各分野において、日本民族の英知と活力を世界に問う絶好のチャンスであります。各方面の御協力を得て、歴史に残るりっぱな成功をおさめるよう期待する次第であります。
 以上、主要な施策について申し述べましたが、本委員会及び委員各位の御支援と御鞭撻を特にお願い申し上げまして、私のあいさっといたします。
#5
○委員長(金丸冨夫君) 次に、経済企画政務次官登坂君。
#6
○政府委員(登坂重次郎君) ただいま委員長さんから御紹介をいただきました、このたび内閣改造によりまして政務次官を拝命いたしました登坂重次郎でございます。委員各位の御協力を得まして、何かと委員会に御協力をいただきますことをお願い申し上げまして、ごあいさつにかえる次第でございます。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(金丸冨夫君) それではこれから質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#8
○委員長(金丸冨夫君) 速記を始めてください。
#9
○小柳勇君 いま長官は、国際収支の問題で非常に楽観的な見通しを述べられておりますが、ベトナム戦争の停止その他アメリカ大統領の交代などによって、必ずしも日本の貿易が楽観的ばかりとは私は考えないのでありますが、国際収支を楽観的に見ておられるその根拠について、長官の見解を聞きたいと思います。
#10
○国務大臣(菅野和太郎君) お話のとおり、ベトナム戦争が終りますと、たとえば特需などはたちまち減りますからして、したがいましてそれによって国際収支に影響がありまするし、それからアメリカの政変によりまして、あるいは保護政策をとるというようなことになりますと、日本の輸出にも影響を及ぼすかと存じております。そういう点で、あるいは一時的な打撃はあるということは大体予想いたしておりますが、しかし他方、今後アジアの開発というような問題あるいは共産圏との貿易の拡大というような点を考えてみますると、私は、日本の経済の前途については決して悲観的ではないのでありまして、そういう意味で、楽観的な考えを述べておる次第であります。
#11
○委員長(金丸冨夫君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#12
○委員長(金丸冨夫君) 速記を起こしてください。
#13
○小柳勇君 それじゃ局長に、大臣が大ざっぱな説明だけだから、少し深いところを質問します。
 それは、いま国際収支の問題で大臣非常に簡単に説明されましたけれども、昨年の見通しは暗かったわけですよね、経済企画庁の見通しは。それが急に明るくなって、しかも実質一二%の経済成長を見込んで、それが一つの基礎になって国際収支の総合収支で十億ドルの黒字を出したと、したがって、これからも国際収支については明るいものを見込んでおるようにいまの長官のあいさつから見受けるわけですが、この点について、皆さんの専門的な見地から見解を聞いておきたいと思います。
#14
○政府委員(赤澤璋一君) 特に国際収支につきましての御質問でございますので、数字をあげて少し御説明申し上げたいと思います。
 先般発表がございましたので、御存じだと思いまするが、この四月から十一月までのわが国の国際収支の実績をとってみますると、輸出入関係を、季節調整をいたしました総合収支で十億七千二百万ドルの黒字になっております。当初、ことしの一月に閣議決定をいたしました今年度の国際収支の見通しは三億五千万ドルの赤字ということでございましたので、これからいたしますると非常な好転を見たわけでございます。
 こういうふうに好転を見ました非常に大きな原因は、一つは貿易の面で輸出が非常な伸びを示したわけでございます。いま申し上げました四月から十一月までの季節調整をいたしました輸出の金額は、IMFベースで申しますと八十六億七千八百万ドルということでございまして、昨年の同じ期間と対比をいたしますと二〇・五%の伸びになっております。で、特にこの八十六億ドルも輸出が出ましたわけでございますが、ちょっと期間の対比はございますが、この一月から九月まで対前年同期に比べて伸びました輸出金額のうちで、その四六%は実は対米輸出の伸びで占められております。こういったことも輸出が非常に伸びた大きな要因であろうかと思います。つまり、アメリカの景気というものが本年度におきまして非常な強い力で伸びておる。言い方によりましては過熱に近いとも言えるようなアメリカの景気でございますので、それを受けて日本の対米輸出が非常な勢いで伸びた。そういうこともあって、いま申し上げたような輸出の非常な伸びがあったわけであります。
 反面、輸入の点で申し上げますと、いま申し上げました四月から十一月までの輸入は六十八億三千万ドル、前年の同期に比べてわずかに五・四%という非常に低い水準で伸びております。これは、昨年度におきまして、いわばやや余分のものを買い過ぎたと申しますか、輸入がございまして、それの在庫調整というものが、本年度の上期において行なわれた在庫の食いつぶしということで、新たな輸入が低位に終わったということがその原因であろうかと思います。
 こういったような輸出入、輸出が非常に伸び、輸入が非常な落ちつきであったということから、貿易収支が好転をしてまいったわけでございますが、同時に、また見のがすことができませんのは長期資本収支の点でございます。私ども、ことしの初めにおきましては、国際通貨不安、また例のゴールドラッシュといったような点からいたしまして、本年度の長期資本収支におきましては、九億五千万ドルの赤字というのが当初の私どもの見通しでございました。ところが長期資本が非常な勢いで入ってまいりまして、これは外債ということもございますし、インパクトローンという形での企業の借り入れ、それに加えまして御存じのように非居住者の株式取得、要するに外人投資家の株の購入ということでございますが、こういったようなものが予想外に出てきております。こういったことから、ただいまの統計から申しますと、四月から十一月までの長期資本収支の収支じりは、わずかに一千四百万ドルの赤字――当初年度間で九億五千万ドルの赤字と見ておりましたものが、わずかに一千四百万ドルの赤字にとどまっておる。こういった状況から、いま申し上げましたような輸出入を季節調整をいたしました総合収支じりでは、十一月までの間に十億七千二百万ドルの黒字が出た、こういうことでございます。おそらくこういった調子でまいりますれば、本年度は十億ドルをこえる総合収支になるだろう、こういうふうに長官が申し上げたわけであります。
 来年度の点でございますが、ただいま私どもが見通し得る限りにおきましては、アメリカの国内景気は自然と鎮静化の方向に向かいまして、おそらく来年の一−三月あるいは四−六月期において、ある程度低い、底をつぐと申しますか、ずっとスローダウンしてまいりまして、下期ぐらいから少しのぼっていく、こういう状況であろうと思います。こういった状況から、おそらく対米輸出の伸びにつきましては、本年度のような伸びは期待できないだろう、こういうふうに考えております。一方、国際通貨不安という問題が依然として小康状態ではございますが、完全な解決を見ておりませんので、こういった面からくる問題がやはり残っておる。また、お話のようなベトナム関係のこと等もございますが、世界の全体のいまの形――協調態勢と申しますか、そういったことから見れば、ポンドの問題が当面いろいろ取りざたされておりますけれども、こういった国際金融問題は何とか協調態勢のもとで切り抜けていけるのではなかろうか、こういう感じもいたしておるのであります。
 こういったことからいたしますと、やはり輸出はやや衰える、輸入も経済の伸びに応じて今度は在庫調整等がございませんので、伸びるといたしましても、やはり全体としての総合収支という点から見ますと、このために特に来年度が赤字に転落をするというようなことは、いまの情勢からはまずまず考えられない。少なくとも均衡点以上のところで来年度の国際収支は推移するのではないか、こういう見通しを持っておりますので、先ほど長官から所感として申し上げましたように、いろいろ問題はあるけれども、また、そういうものについて適当な施策を講じていかなければならないわけでございますけれども、まあ総じて非常に心配だというような情勢ではあるまい、こういうふうに申し上げたと考えます。
#15
○小柳勇君 残存輸入の制限の問題、いわゆる自由化の問題ですね、それから農産物の自由化の促進など、いま問題に出て問題になっておりますが、いま一年ぐらいの見通しについては言われましたね。もうちょっと長期な見通し、たとえば四十五年、四十六年ぐらいまでの見通しに立った長官の現在の見解であったかどうか、そういう点について、ひとつ事務当局の見解としてお聞きしたい。
#16
○政府委員(赤澤璋一君) 長官のあれは、所信と申しますか、所見は、特に来年度のことを申し上げたように私承知いたしておりますが、まあ日本の経済の実力が、こういうふうに非常に強くなってきておりますわけでございますけれども、同時に、世界貿易あるいは国際経済の中に日本経済が組み込まれておる。まあ、ビルトインということばがいいかどうかわかりませんが、そういうような日本経済になっておりまするので、やはり、世界の景気全部の動きというものが、日本の国際収支には敏感に反映をすると思います。また同時に、各企業も非常に輸出比率を高めておりますから、やはりこの輸出の問題が各企業の運営にも組み込まれてきておる。いわゆる国際化社会と申しますか、そういう中に日本の経済がほんとに入ってきておるという状態だろうと思います。したがいまして、いまの長期の問題ということになってまいりますと、今後の国際経済がどういうふうに動いていくかということが最大の問題でございまして、その動きに従って日本経済は、いいときにはさらにそれに輪をかけて輸出を伸ばしていける実力がある。まあ悪いときにも、今度は約三十億ドルというような外貨の蓄積を持つわけでございますから、そういった世界が不況的になりましても、ある程度しのぐ力ができてきたと、こういうふうにも私ども考えておりますので、まあ、あんまり先のことで私どももどんぴしゃりと数字をあげて御説明はできませんが、従来の世界景気の好不況というものに対する日本経済の対応力と申しますか、そういう点からいえば、まあ従来よりももっと強い力を持つという意味合いから、先々いま悲観的な感じは持っていないというふうなことが正直な感じだろうと思います。
#17
○小柳勇君 経済企画庁の見通しというものが、半年もたたぬうちにどんどん変わっていくものだから、要らぬ心配をしているわけです。具体的に、たとえば経済社会発展計画にしましても、まあ一年半ばかりですけれども、ほとんどもうこれを改定しなきゃならぬように私ども考えるわけなんです。それは人か、あるいは電子計算機などのまあ機械も不足しておるけれども、経済企画庁は一番政府の中心であるし、日本でもこの経済企画庁の統計能力なり経済総合能力なりについて、われわれも信頼しなきゃならぬけれども、いまのところ、信頼十分できないわけですね。したがって、まあこれは数字を離れまして、現在の経済企画庁の人材なり、あるいは物量なり、そういうものが、なお諸外国の一番進んだ経済統計などに比べて劣っておるからこの見通しが悪いのか、そういう点について何かお気づきの点があれば見解を聞いておきたいと思います。
#18
○政府委員(赤澤璋一君) これは前の宮澤長官も、そういうことであるいは御答弁申し上げたかと思いますが、予測の問題ということになりますと、やはりいまの予測能力ということに一つの原因はやはりあると思います。こういった問題は、もちろんいろんなモデルを使いましての電子計算機のシミュレーションということもありますけれども、やはり何と申しましても、こういった予測技術、統計のしかたあるいは計算機への入れ方、こういったものがまだまだ十分でないという点は、私どもも反省をいたしておりまして、こういった点につきましては、なお今後の向上をはからなきゃならぬと思います。ただ、私が担当いたしております、当該年度ないしは来年度の見通しということになってまいりますと、政府の出します経済見通しは、いわゆる予測という領域と、それからやはり政府としてのいろいろな施策を裏打ちとしまして、こういう施策を打つことによって、こういう経済の姿であってもらいたいと、こういう期待と申しますか、政策の裏づけによるゾルレンと申しますか、そういった分野がどうしても入ってくるわけであります。その両方のまざり合いましたものが一つの政府の経済見通しということで出てまいりますが、いろいろの経済情勢の変動によりまして、これが当たるか当たらないかということになってくる面もあろうかと思うわけでございます。
#19
○小柳勇君 経済社会発展計画は改定する必要があるのではないかと思いますが、企画庁としてはそのような準備をなされているのかどうか、このままこれを当分続けながら、経済の企画をされようとするのかどうかお聞きいたします。
#20
○政府委員(赤澤璋一君) これは実は計画局長の所管でございまして、私の直接所管ではございませんが、庁内におります者としていろいろ議論いたしておりますので、その範囲でお答え申し上げますと、確かに経済社会発展計画が、想定数値と実勢と非常に乖離しているということは事実でございます。長官も先ほどの所感の中で申し述べましたように、一体こういう乖離がどういうことで起こっているのか、あるいは計画を立てますときの基本的な考え方というものに、何かさらにこれにつけ加えましたり、あるいは若干の訂正をするというようなことは必要ではないのかというような点も検討されておりまして、近く経済審議会の総合部会も開かれますので、そういった面で各方面の御意見を伺いまして、やはりただ数字の一部をいじり直すということではなしに、もう少し計画の基礎でありますいろいろの問題を研究をした上で、基本的にはどういうふうにするかということを考えていったらどうかというのが、ただいま私ども事務当局内部で議論をしております状況でございます。
#21
○小柳勇君 物価の問題についてお尋ねいたしますが、いままで経済企画庁としては三・五なり四ぐらいで押えていきたいということを再々言われたにかかわらず、六ないし七に上がりました。この物価上昇を、長官は再三再四今度こそひとつ五%以内にとどめたいとおっしゃっておりますが、具体的に生鮮食料品、農産物などが一番物価に影響するところが大きいのではないか、次は公共料金ですね、したがって、二つに分けて、きのう、きょう新聞などでも農産物の輸入自由化がいわれておりますが、これは農林省との関係がありましょう、ありましょうが、経済企画庁としては農産物の輸入の自由化というものについては、野方図に考えているのかどうか、物価と農産物の輸入の自由化という問題についての皆さんの見解をお聞きしたいと思います。
#22
○政府委員(八塚陽介君) ただいま御指摘になりました、たとえば本年度も四・八%という対前年の消費者物価の上昇率を努力目標といたしてまいったわけでございます。四十三年度の上半期は五・七というふうに四・八%をかなり上回っております。なお下期になりますと、十月が対前年四・七、十一月が五・一ということで、米価等が上がりましたが、一応上半期よりも騰勢が鈍っております。それにいたしましても、やはり私ども当初所期いたしました四・八にはおそらく四十三年度はおさまらないだろうという見通しが非常に強くなってまいったわけでございます。いま御指摘になりましたように、このうちでやはり何が上昇に寄与するかと見てまいりますと、食糧、これが三十九年以降、やはり年によりましては三割程度の場合もございますが、約半分ぐらいの寄与率を示しております。それからいわゆる公共料金等を含みます雑費が、やはりこれまた年によりまして五割に近いときもございますけれども、総じて言えば、約三割程度を示しておるというようなことで経過をいたしております。そこで、物価上昇に非常に寄与をいたしております農産物の自由化の問題でございますが、ちょうど十月に物価安定推進会議のほうから勧告がございましたが、その考え方の骨子と申しますか、あるいはその作業が行なわれました過程で、私どもいろいろ気がついたこと等を申し上げますと、現在やはり農産物の外国に依存するもので一番大きいのはやはり主食でございます。麦でございます。麦につきましては、これは食糧管理制度に基づいてやっておるわけであります。そのほか具体的に問題になりますのは畜産物、水産物等々でございますが、現在までの段階では約八割近い自給率でございますから、一応やはり八割の国内食糧の価格安定ということが必要である。それに対してそういう国内の農産物に対するいわば合理化を強制する要素として輸入の農産物がどう働くかということがいろいろ検討されたわけであります。結論的に申し上げますと、一応やはりそれだけのウエートを国内生産が占めておりますから、できるだけ国内生産あるいは国内の生産のための資源をさらに十分活用するとともに、具体的にいろいろな輸入の制度であるとか、あるいは輸入の産物の選び方等を通じて十分食糧の価格安定に農産物輸入を使いなさいという提言になっております。具体的な個々の品物について申し上げますと非常に長くなりますので、そういう意味におきまして、経済企画庁の姿勢といたしましては、いまの勧告の線を受けまして、国内の資源の十分有効な活用をはかりつつも、農産物の輸入をして価格安定にできるだけ使っていくという線が、私どもの基本的な考え方になると思います。
#23
○小柳勇君 長官に質問いたします。
 いま物価の問題で質問しておるのです。長官のきょうのあいさつ、所信表明にもございました物価の問題、非常なウエートを置いて所信を披瀝されましたけれども、本会議でも、今年度こそ五%以内に押えたいとおっしゃった。私どもの試算では四十三年度が六・二、四十四年度は六・五ぐらいに物価は上がるんではないかというような暗い見通しも持っています。もちろんこれには国鉄料金や電話料金などの値上げも含んでおるのですが、したがって、いまこの農産物の輸入自由化の問題は、担当官から話を聞きましたが、あともう一つの問題は公共料金ですね。公共料金がもうメジロ押しに値上げを要請しておる。国鉄、私鉄、電話料など。そのままいきますならば、いま私どもが試算したように、四十三年度六・二、四十四年度六・五くらい物価は上がるのだ。これはもう詳しく試算をしているのですよ、私どものほうで。ですが、これはもう本会議で所信表明されたのですから、こうなったら引責辞職されなければなりません。どうされますか。公共料金については値上げしない、電話料金についても上げないと、はっきりここで言明できますか。
#24
○国務大臣(菅野和太郎君) 昨日も予算委員会でこの問題についてもちょっとお答えしたのでございますが、公共料金は一つの価格でありますからして、したがいまして、赤字経営であればおのずから運賃の値上げを――国鉄でいえば運賃の値上げも必要になってくるということになると思います。しかしながら、これが公共事業であるがゆえに、やはり国全体の経済の発展からこの料金をき
 めなければならぬ。たとえば国鉄で申し上げれば、農産物の運賃を安くするとかいうようなことは、これはやはり国全体の考え方で特に安くするというようなこともやっておるわけであります。そういうように、国全体の経済の発展に関連して料金をきめなければならないし、ことに今年におきましては、いま小柳委員も言われたとおり、これが他の物価に波及するということを心配しておるのでありまして、したがいまして、われわれの方針としては、あくまで物価安定をさしたいという考えを持っておりますからして、国鉄の運賃値上げ自体だけでは、われわれの生活にそれほどの影響はありませんけれども、他の公共料金に波及する場合には、これは非常な影響を及ぼすのであります。一般物価の上昇を来たしますからして、そういう観点からして、公共料金をいかにきめるべきかということを考えなければならぬ、慎重に考えなければならぬ、こう考えておりますからして、したがいまして、ただ私のほうで目下それぞれいろいろ調査をいたしておりますから、現時点で公共料金を上げるか上げないかという返答は、私としてはいたしかねます。もう少しいろいろ資料あるいは調査をいたしまして、その上で最後の決断を下したいと、こう考えておる次第であります。
#25
○小柳勇君 私どもこれはあるいは経済企画庁よりも統計能力はまずいかもわかりませんけれども、いまおっしゃったようなことでいくならば、四十三年度が六・二、四十四年度六・五物価上昇があると計算しているのですよ。これでは大臣の方針と全然違うわけです。五%以下に押えたい。これは本会議の言明ですからね、大臣の。いまおっしゃったような方向では五%以下に押えられませんよ。では五%以下に押える具体的な方法について大臣のお話を聞きたい。
#26
○国務大臣(菅野和太郎君) いまの公共料金、私上げるということは決して申し上げていないのであります。いまも一般物価に及ぼす影響、国策という観点から公共料金を考えなければならぬ、慎重に考えなければならぬということを言っておるのでありますからして一般物価を上げないような限度において公共料金を決定したいというのが私の考え方であります。
#27
○小柳勇君 だから、五%以下に押えるには具体的に一体どうするのか、その根底をひとつ御説明を願いたい。
#28
○政府委員(八塚陽介君) 公共料金の御議論の根底は、現在の物価がどのくらいになるかということが問題であろうと思いますので、その点で申し上げたいと思いますが、正直に申し上げまして、現在の段階ではまだ四十三年度の年度を通じての対前年上昇率がどのくらいになるか、あるいはそれに引き続いて考えらるべき四十四年度の物価上昇率がどれくらいになるか、まだ最終的に計算をいたしておりませんが、ただ現在までいろいろ作業をいたしております私どものいまの見当を申し上げますと、端的に申しまして、私どものいまの見通しでは、やはり六%までにはこれは到底ならないだろう。今年度につきまして大体先ほども申し上げましたように上半期五・七でございます。それから下期が、十月が四・七、それから十一月が五・一というふうに経過をいたしておりまするので、私どもの計算では、四・八には先ほど申し上げましたように残念ながら到達いたしませんが、四・八は、当時申し上げましたように、消費者米価の値上がり等は計算をいたしておりませんでしたので、そういうことも含めまして四十三年度につきましては五%を上回ることはほぼ確実でありますが、六%台に近づくということはまずなかろうと思います。
 それから、それに引き続いての四十四年度の見通しでございますが、これまた四十三年度がいまのように最終的に見通しがついておりませんので、確実になかなか申し上げられませんが、これについてはさらに今後の公共料金の取り扱い、あるいはその他の物価政策等勘案いたしまして、さらに今後少し時間をかけて見通し作業に入っていくわけでございますが、これも、まあ小柳先生のほうの御計算を一度伺わないと、一がいに言えないことは当然でございますが、どうも私どもの見方では、先生のおっしゃるようには高くはならぬだろうというふうに考える次第でございます。
#29
○小柳勇君 経済社会発展計画では三%ですからね、基礎は。お互いが話すならば、ほんとうはそこで話さなければならぬのですよ、皆さんと話すときは。それが、いま五・七%と平気でおっしゃるけれども、五・七は初めから消費者物価の上昇なり――これは私のほうの試算は、国鉄運賃やあるいは私鉄や電話料金の値上げをもちろん含んでおります。含んでいて、この四十三年度のトータルをすれば六・二にまでいくだろう、またそのまま推移していくならば、四十四年度は六・五に上がるだろう。これではまた今年度からもう経企庁の計画も全然当てにならぬ、こういうことを言いたいわけですよ。いまおっしゃったことでも、私のほうの資料でなくて、あなたのほうの資料を出して、今年度はこれです、来年度はこれですと、こう言わなければならぬでしょう。そうでしょう。だから、経済企画庁の資料が不足なのか、機械が不足なのか、諸外国に比べて。少なくとも二、三年から四、五年くらいの見通しを持っていなければ計画できないでしょう。そうでしょう。そのことを言っているのです。私、さっき長官がおられないときに質問したのです。経済企画庁の見通しは、いつも違う。そうでしょう。国際収支の赤だって、昨年は三億ドルの赤だといっておった。それが、幸か不幸か十億ドルの黒になってきた。それは皆さんの手柄とは言わぬだろうけれども、見通しが全然当てにならぬですよ。当てにならない見通しを当てにして私企業は設備投資をしたり計画をするわけでしょう。いわゆる指標ですね、皆さんのは。灯台の灯がよく見えなければ船は運航できないでしょう。その灯台の灯をがっちりするにはどうするか。それは、物価の上昇の判定くらいはきちっとやってもらわぬと困るということで質問しているのです。もう一回ひとつ長官、あなたは少なくとも五%以下に押えたいとおっしゃる。具体的にどうあなたはしようとされるか、あるいは閣議でどういう発言をされようとするのか、お聞きしておきたいと思います。同僚議員もたくさん待っておりますから……。
#30
○国務大臣(菅野和太郎君) 具体的ということであると、まあいろいろ資料集めをしておりますからして、具体的ということについての御返事はできませんが、しかし五%以内で押えるという方針ですべての計画を立てたい、こういうことでいま計画を立ててもらっているわけです。でありますからして、いろいろ公共料金の値上げというような問題もおのずからその中に当然入ってくることでありますからして、できるだけ各公共料金を押えるとか、その他物価を上げさせるような原因についてはこれをなくするとかというようなことで五%以内で押えたい。そうでなければ、私は、五%以上なら五%以上に物価が上がるようなことであれば、日本の経済の根本的な――私は破壊とは言いませんけれども――基礎を危うくすることになりますからして、どうしても五%以内に押えたいというのが私の念願である、どうしても実現したいという私の熱意を持っておることだけを申し上げておきます。
#31
○阿具根登君 ちょっと関連して長官にお尋ねいたしますが、本会でもそういうような質問が出ておりましたが、確かに経済企画庁が非常に諸般の調査をされて、一応年度の物価対策はどうするのだということを出されるのは、私はりっぱだと思うのです。しかし力がないですね。力がない。各省の大臣がそれについてこない。だから言われても、これは言うだけで広報課長が言っているようなものだと、こういうことまで悪口を言われているわけです。経済企画庁の長官がどれだけの力を持っているか、これを総理大臣に認めさして、その線でぴしゃっと各省やるのだというならいいけれども、そうじゃない、だから物価の問題、米の問題だって、農林省のほうがワンと言えば経済企画庁はしゅんとなってしまう。宮澤さんは相当いいことを言っていると期待しておったけれども、ところがいいことを言っても通らない、力のない企画庁が何ぼ力のあることを言っても通るわけはない。だからその点はどう一体やっていくのか、各省の大臣から見て、失礼だけれども経済企画庁の長官は非常に頭のいい方だと思うけれども、力は各省の大臣から見たらない、われわれはこう思っている。先ほど局長も言っておられたけれども、消費者米価の値上がりを考えなかった、生産者米価は値上げをしておいて、同じ大蔵省があれだけ反対しておるのを、その衝にある局長が、消費者米価の値上げはわれわれは考えておらなかったから、だから四・八%が五・何ぼに上がったなんという言い方は結果論であって、最後になって、これは思っておりませんでしたと。ところが各省が強いから私たちの意見は通りませんと、そうなってくれば、何にも力がない、言うだけです、ただアドバルーンを上げられるだけで。だから信用しない。だからそのことを一体どうされるか、これでいかなかったならば、たとえば五%なら五%には私は自信がない、だからこれでやってもらわなかったら、私はやめさしてもらいますということを一ちょう言ってくれますか、どうです。
#32
○国務大臣(菅野和太郎君) 物価の安定ということが今度の佐藤内閣の目標のうちの最も大きな目標であります。重要施策としてうたっているのでございます。したがいまして、この物価の安定は、何より先にやらなければならぬ、来年度の予算も物価の安定を基礎にして予算を編成するように大蔵大臣には申し入れているのです。でありますからして、私といたしましては、微力でありますけれども、物価の安定ということには私は全力を注いでやるつもりであります。総理の所信表明にもそういうことを、力を注いでやるということを言われておるのであります。でありますからして、今度は経済企画庁総動員いたしまして、そうしてひとつ物価の安定という目標でいきたい。私は国内の内政問題としては大学問題と物価の安定、この二つが重要な問題だと思うのです。物価の安定をやらなければ、ほかの経済政策いろいろなことをやったってだめなんですから、そういう意味で物価の安定をひとつ目標にやっていきたいと思います。
#33
○阿具根登君 まことにけっこうだと思うのです。ならば先ほどの小柳委員の質問の中に、公共料金を上げたならば、これは他物価に影響しますよ、とても五%以下ではおさまりませんよ、それに対して、いやいや私は上げるとは言っておりませんと、こうおっしゃるけれども、もしもそれで五%に影響するようだったら、公共料金は上げませんとぴしゃっとこう言わなければ、あなたは腹では――おれはやりますよと言っているけれども、具体的なことは何も言わない、いま具体的には持っておらないけれども、あなたの考え方で公共料金あれだけ追及されたら、公共料金が影響して、五%以上に物価が上がるようだったら、公共料金は絶対上げません、政治性にかけてやりません、今日の日本の国内情勢では大学問題と物価の問題だと、こうおっしゃるけれども、大学問題もこれはたいへんなもの、しかし物価はもっと国民全般にしみ通っている問題です。ならば、それ以上に力を入れなければならぬ、それならひとつ、はっきりと五%以上になるようだったら公共料金は絶対上げません、これくらい言ってもらわなければならぬ、どうですか。
#34
○小柳勇君 いまのと一緒の問題ですが、五%とおっしゃるのはいつかということです。四十三年度上期は五・七ですね、五%はいつを目標に長官は言っておられるのか、それが非常に問題なんですよ、だからこれから四十三年の下期に入ってこれを五%に押えます。あるいは四十四年度の上期でなければ五%にいきませんとか……。計画的なずいぶん大きなあれがありますから……。そこで阿具根君が言ったように、公共料金をこれから上げたら、とてもとてもそれはもう五%におさまりません。だから大臣の言われる五%というのは、
 一体いつのことか。そこをひとつはっきりと言っていただきたい。大体これで国民が大臣をちゃんと認めますよ。
#35
○国務大臣(菅野和太郎君) 本年度につきましては、先ほど申し上げましたとおり四・八%というように想定しておりますけれども、四・八%で押えることは困難だということを先ほどちょっと申し上げたのでありまして、私ども五%というのは、来年度の消費者物価について申し上げた。来年度は五%以内で押えたいということで考えておるのであります。
#36
○小柳勇君 そういたしますと、経済企画庁長官の経済社会発展計画は、これはもう使いものにならぬということですね、あれは三%ですから。それで、今日これ以後、経済社会発展計画はもう使えませんと宣言されたことになりますか、よろしゅうございますか。
#37
○国務大臣(菅野和太郎君) 経済社会発展計画は使えぬものとは私は考えておりません。しかし、これは当時計画をつくったときとは、実績が違っております、先ほども申し上げたとおり。その違っておる原因があるのでありまして、原因は何かと言えば、これは予想せざるところのいろいろの経済諸情勢が起こってきたということです。たとえば貿易が発展してきた。国際収支がまさか十億ドルもの黒字になるということは、おそらく一億の国民だれ一人考えておらなかったと思います。そういうように予想すべからざる事件が起こってきたということによって、この計画自体が違ってきておるし、それから大体計画の基礎になったものは四十年度の不景気の数字を基礎といたしておりますからして、したがいまして控え目な数字ということになっておりますからして、この経済社会発展計画は五カ年計画でつくったものでありますが、しかし、今日までの実績をかんがみて、今日までの実績を基礎として、今日ではこれを補正する必要があるということを私は言っております。いままでの計画をそのとおりやれと私は言っておりません。これから補正してもらうように事務当局にお願いをしておる次第であります。新しい時代に即応した、実勢に応じた計画を立て直す必要があるというつもりでおります。
#38
○向井長年君 いまの質問に関連してですが、物価の問題で、ここにあるのはなかなかりっぱなことを書いておりますが、これは非常に具体性がないのですね。ただ抽象的に書いておるだけで、先ほども話がありましたように、この経済の成長が一二%だと。そうするとこの経済の成長に見合って物価はどうせ上がりますよ。これは若干の上がりは認めなければならない。どれくらいが適正だと思っておりますか。いま何か来年度五%だと大臣は言っておりますけれども、経済の成長に見合った物価の上昇というものは適正がどのくら
 いか、この点を伺いたい。
#39
○国務大臣(菅野和太郎君) 五%というのは、来年度についての私のそういう希望をしておるのでありまして、経済の成長に伴って消費者物価が上がるということは、これはもう世界各国ともに同じような状況を見ております。したがって、来年度の経済成長率がどのくらいであるかということによって、また考えられると思うのでありますが、しかし私どもは、まず物価を五%にするということで進めて経済計画を立つべきであるという、私自身は強い考え方を持っております。
#40
○向井長年君 私は、その経済の成長が一二%だったら適正の物価はどれくらいかということを聞いておるのです。大体上昇は、これは経済の成長に見合ってしますよ、自然に。それはしてやむを得ないと思います。しかし、これは現在まではその成長率から考えるならば、あまりにも政府の考えたやつよりオーバーしている。したがって、どれくらいが適正であると思っているかどうかということをまずお聞きしたい。これはわかるでしょう。
#41
○政府委員(鹿野義夫君) 経済の成長と物価の間にはかなり相関的な関係があるということは、一般的に学者も認められております。高い成長になりますと、どうしても物価が上がってくる関係が出てきます。ただこの間の関係は、そうきちんとした関係じゃございません。成長と物価の関係を見た場合には、成長の動きのズレが物価に影響しますので、その年の成長がこうであるから、そのときは物価がこうであるというふうに一義的にはきまらないと思います。数年の長期の関係あるいは大数的な関係を見れば、日本の経済の過去の動きから見ますと、八%程度ですと大体平均すれば四%程度くらいの物価上昇が、いわゆる分析的に出てくる結果でございます。また一〇%くらいの成長になりますと五%程度の成長というふうな形のものが計数的には大体分析して出てまいりまして、いろいろないわゆる計量経済学的な手法でもって過去の実績を詳細に追求すると、大体そういうような関係が出てまいりますけれども、いま申し上げましたように、成長の動きがでこぼこがございますから、大きな成長のあとには、そのズレがございますし、低い成長のあとにはその効果がまたその次の年にあらわれるというふうなことで、ある意味では低成長の場合にも高い物価が出てくるということになりますので、必ずしも一義的に幾らの成長のときには幾らが適正な物価であるということは申し上げられないが、大体そういった関係がございます。
#42
○向井長年君 そうすると、大臣のいわゆる五%というようなことは、何も見ないで、かってに言っておるわけですね。あまりこれは当たらぬというので。前年が五%が六%になった。だから来年は五%くらいに押えたいと、これは想像的なかっこうで言っておると思うのだが、具体的な資料を持って、経済の動向を見ての話ではないと思うのですね。これはちょっと大臣そういう軽率な発言はやめてもらいたいと思う。
 そこで、私は特に抽象的にりっぱな所信表明が出されておりますけれども、大体企画庁長官が就任されたら、こういうことを常に出されておりますが、はとんどこれが実行されておらない。先ほど阿具根君が言われたように、あるいは小柳君が言われたように、これはほんとうにその場限りの抽象的なやつを、努力目標はわかるけれども、事実上実施されておらない。だからいま物価の値上げの問題については、もちろん生鮮食料品の問題もありましょうが、やはり公共料金の値上げという問題が一般の国民的な常識ですよ、これは。そして便乗値上げがどんどんなされてきておる。こういう実態を見た場合に、公共料金を上げなければならぬという、いわゆる分析すればそういう実態も出てくるかもしれない。上げないで済むように公共料金をいかにすべきか。ここに私は政府のあるいは局長の大きな課題があると思うのですよ。私はこの間本会議場でこの問題を若干取り上げました。しかしそれに対する十分な答弁がない。これは総理にいたしましても大蔵大臣にいたしましても。そこで、われわれ提言したことは、まず私鉄の料金値上げが出ておる。国鉄が出てくる。郵便料金が出てくる。保険料金が出てくる。どんどんまたこの来年矢つぎばやに値上げ申請がなされてきていると思うのです、現に。これを企画庁はいかに料理するかというところに、私は企画庁の任務があるし使命がある、そうでしょう。やはり私鉄にしても国鉄にしても、上げなければならぬ理由があるのですよ。その理由を分析して、これを上げないで済むような事態をつくり上げるということが、これは私は政府の責任だと思う。そのためには、私はこの前提案した、まずそれを上げないようにするためには、少なくとも法人税率を引き上げなさい。一千億くらいの法人税が出てきます。それから租税特別措置法の改正を行なったら、また一千億くらい出てくる。こういう問題をいわゆる公共企業とかあるいは生産部門の低いところにこれを投資して、その中から上げないでそして物価を押えていくという方法をとったらどうかということを私はこの間提言した。これに対して企画庁長官も答弁が非常に満足する答弁じゃない。あるいは大蔵大臣しかり。私は少なくともいま阿具根君が言われましたように、それくらいの気概を持って企画庁長官は当たってもらわなければ、これはいつまでたっても何ぼ流通機構がふえるとか中小企業の近代化、こんなことを言ってもだめですよ、実際問題として。そういう気概があるかどうか。したがって、先ほど言われたとおり、いま政府の中では物価問題なり大学問題なり外交問題なり、たくさん重要な問題がありますけれども、国民が一番ひとしく問題にしているのは、やはり物価問題あるいは税金の問題であると思う。国民生活の問題としてはそういう意味においてこの物価を上げないで、そして物価抑制に対するてこ入れを行なう、あるいは流通機構の改善を行なう、この具体的な方策を企画庁は立てない限りにおいては、何ぼ五%とかあるいは四%と言ったところで、これはだめですよ。その気があるかどうか、またどうしようとするか、その点をお聞きしたい。
#43
○国務大臣(菅野和太郎君) 五%以内に押えてという私の希望だということを言うたのです。何もそういうようにすると確定的なことを言ったのではない。私の希望的なことを言ったまでです。ただし、そこで国鉄の料金の値上げの問題ですが、値上げしなくてもいける道はないかという問題、これは財政的援助という問題もあるし、あるいはもっと経営の合理化という問題もあるし、そういう点もあわせ考えなければならないということで、先般来国鉄のあり方について、われわれも再検討する必要があるんじゃないかということを考えております。財政的な援助ということについても考えております。しかしながら、そこでどの道、どういう方法をとるのが一番いいのかということについては、まだ最後的に結論が出ておりませんし、私自身、また国鉄のあり方について、もう少し勉強したいと思っております。まだ勉強しておりません。したがいまして、国鉄の現状、国鉄の今後、そういうような問題について、もう少し研究して、いまのままでいけば毎年国鉄は値上げしなければやっていけないと思うのです。これでは私はいかぬと思うのです。そこでもう少し根本的な問題に触れてみたい。こういう考えを持っておりますから、公共料金を上げるとか上げないとかいうことは、私のところではいまのところまだ二次的な問題として、まず国鉄のあり方ということを研究したい、こう考えております。
#44
○向井長年君 国鉄だけの問題ではなくて全般的な公共料金について、上げてくるには上げてくるところの理由があるわけだ。上げなければならない理由があると思う。しかし、それを上げるとなれば、あらゆる物価に影響するということはこれは常識だと思うのです。したがって、上げないという一つのてこ入れをする、そのてこ入れをいかにすべきであるか、そこに企画庁長官も力を入れるべきであると思う。ただ、上げるのはストップだと言ったところで、もちろん合理化もやるという内容も出てくるでしょうし、あるいは資金投入の問題も出てくるでありましょうし、そういう具体策を企画庁は立てて、そして上げるべきではない、こうやはり言わなければ……。それは企画庁長官の任務というものは私はそういうところにあると思うのですそういうことであるならば、大蔵大臣あるいはその他関係大臣にも、堂々と私は胸を張っていけると思う。そういうことを私は提言しているわけだから、それに対してどうですかと質問したのに、国鉄云々だけのことでは困る。
#45
○国務大臣(菅野和太郎君) いま向井委員から非常に力強い御声援を得て、そのてこ入れをいま私どもでやるわけです。もしそこで向井委員にそういうりっぱなてこ入れの方法があるのだったらお教えいただきたい。われわれもいま研究している最中でありますから……。したがいまして、料金の値上げをとめるについても、これは大蔵大臣なりその他に対しては十分理解をしてもらわなければいかぬと思うのであります。理解をしてもらうだけの理由をこちらが研究しなければならない。ただ単に下げると言ったところで、それではおさまらない。そういうことをいま私のほうでも研究しておる最中であります。なお、いい知恵があるならば教えてもらいたい。
#46
○向井長年君 いま私が教えたんですよ。提言したことは、一億円以上の資本金の会社に対して法人税の率を上げなさい、そうすれば一千億余りの金が出てまいります。計算しました。それと同時に、租税特別措置法がそのままに据え置かれており、若干のこの改正をすれば一千億の金が出るのです。二千億という金をここに生み出して、これを低生産部門とかあるいは公共企業のてこ入れに使っていく。そうして、合理化を含めてこれは料金ストップを行なう、こういう形をとったらどうかという一つのいい案ですよ。これを参考にして皆さん御検討いただいて、そうして公共料金ストップとかあるいはその他の物価値上げに対するいろいろな施策を行なってもらいたい。これは一つの提言ですから、どうぞひとつ参考にしていただきたいと思います。いろいろ計算しましたから。
#47
○阿具根登君 きょうは私どもは長官の所信表明を聞いて、それに対するものの考え方を言って、具体的な問題は言っておらないわけです。ただ最初から私が小柳君の関連質問で言っておりますのは、経済企画庁には頭のいい人ばかりおって、日本の経済に対する全般に目を通しておられるけれども、腹がない。各省から押えられて、実際に宮澤さんはあれだけ苦しんだけれども、実際は成功しなかったじゃないか、こういうことを言っておるのです。一応は皆さんに好意を持って、少し元気を出してくれという意味で言っているのだけれども、どうも長官の話を聞いておると、十億ドルの黒字なんか一億国民が知らなかったと、そういう言い方がどこにありますか。経済企画庁くらい金を使って部下を持って、機構を持って、経済を調べておるところはないです。何も持たずに、今度黒字が十億出ますよと言ったら、簡単ですよ。あなた方要らないですよ。そういうような、そんな、たまたま十億ドルになった、そう言えば、政府は何も知らなかったのだ、企業家がうんと働いてうんと貿易収支がよくなってきたのだ、これはわれわれの責任じゃなくて皆さんがやってくれたんだ。われわれ何にも知らないのだということを言っておるのと一緒なんです。結果論からいろいろ出てくるのです。一年間の計画を立て、われわれさらに三年、五年の計画をするのだから、狂うこともあるけれども、心がまえなんです。だから、抽象的な問題をやっておるから抽象的にどうあったらということで、各省大臣に負けなさるなという気持ちでみんな言っておるのを、一億国民が十億の黒字知らなかったなんて、そういうような言いっぱなしにされたら、これ議事録に残りますから、これはやかましく小柳君が言わなかったから私が言っておるのだから、そういう気持ちなんだから、国民は、ことしまた物価が上がるから、先ほどから言っておるように、公共料金がメジロ押しにきていることはみんな知っておる。本来なら公共料金がこれだけ出ておるのだから、せめて国の力でストップできるものは、この前、宮澤君だって一年間据え置くということをあれだけ叫んだんだから、今度こそやりましょうという気持ちがなかったら、あなたがおっしゃる五%にとにかくとまらないという心配をみな持っておる。これこそあなたのことばじゃないけれども、一億国民が全部それは心配しておるかもしれませんよ。私は、全部心配しておると思うのですよ。だから、ひとつ腹をきめて、五%にどういうことがあっても押えていくのだという覚悟をしてもらって、各省大臣と渡り合ってもらわぬと、各省大臣にはそれぞれ圧力団体がついております。そうして経済企画庁は押されるのです、その場になってくると。だから一番弱い立場になってくるから、広報課長になりなさんな、宣伝課長になりなさんなという気持ちでわれわれ質問しておるのですから、どうぞその心がまえでひとつ答弁してもらいたいと思うのです。
#48
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいまいろいろと心強い御声援をいただいたわけでありますが、前の宮澤長官のときも相当宮澤長官の発言が各省の経済政策にも影響をしておるのであります。その点は宮澤長官の実力を大いにわれわれも買うておるのであります。経済企画庁は大体まあ各省からの優秀な人がみな集まっておりますので、いろいろ研究をして、そうしていろいろ案を立てたり計画を立てたりしておるのであります。
 そこで問題は、経済企画庁が立てた計画がこれは権威がないと、やはり各省従わないということで、私は就任すると同時に、そのことを申し上げたわけであります。経済企画庁の計画、行動がすべて権威のあるものにしてほしい。権威づけるようなみなプライドを持ってひとつやってもらいたいということを私は就任のときに各局長にお願いをしたのであります。でありますからして、今後ともひとつ幸い皆さん方がこのように熱心に御声援していただいて、われわれも、各局長も、力強く思われたと思うのでありますが、われわれもできるだけ勉強をして、そうしてひとつ各省ともにあるいは国民が納得のいく計画を立てるということに全力を注ぐことをここでお約束したいと思うのです。
#49
○近藤信一君 菅野経済企画庁長官が長官に就任されて、最初の所信表明を本委員会でされたわけでありますが、非常にこの内容を見ますると、大臣、意欲的なかまえで取り組もう、こういう決意をしておられる。その決意に対しては私は大いに敬意を表するものでございます。しかし、先ほど同僚の向井議員が言われましたように、歴代の長官がまず物価の安定をはからなければならぬと言って、私どもの前に所信を披瀝されるわけなんです。大臣も同じように意欲を持って国民生活の安定のためには、まず物価の安定をはからなければならぬ、こういう力強い表明をしておられるわけでございますが、だからといって、先ほど来同僚の議員の諸君が言っておられるように、まあ菅野長官がここに意欲は持っておられるけれども、そう簡単にはこの問題は解決されないだろうということを皆さん頭に置いてのいろいろ質問であろうと思うのです。と申しますのは、先ほど来言われておりますように、公共料金の問題が中心になって、その他の諸物価が上がってくる。このことに対して、私どもが商工委員会でいろいろ質問いたしますと、そのときの答弁はどう言われるかというと、いわゆる便乗的な卸物価の値上げについては、これをさせないと、こう言われるのです。ところが、させないと言われるだけのことであって、これは公共料金が上がってまいりますると、当然他の物価というものが上がってくることは必然的な現象なんです。私どもしろうとの頭で考えましても、鉄道運賃が上がる、また私鉄運賃が上がる、電話も上がる、お米が上がるということになりますと、それに関連した産業、商業といいますか、酒屋も上げなければならぬ、物を運ぶには運賃が高くなる、これもここへかかってくる、こういうことで諸物価はずっと上がってくるのですよ。だから大臣が、私どもの前で答弁しておられるように、いわゆる便乗値上げはさせないと言っても、これはどうしても必然的な現象としてそうなってくるのです。それがいままでの例なんですね。今度も皆さんが、公共料金を上げることによって国民の消費生活に影響があるから、何とか公共料金のストップをせぬかということを盛んに言っておられる。私はストップもなかなか困難だろうと思うのです。しかし、これはいままでのずっと歴史から見ましても、なかなか困難であるのは、一回池田内閣のときに一年間公共料金のストップをした、こういう例もあるのだから、やればやれないことは私はないと思うのです。それは先ほど来言われておりますように、関係各省、いわゆる運輸省なり農林省なり、いろいろな省とあなたが十分に御相談なさって、あなたはあなたの国民的な立場からひとつものを言ってもらう以外に私はないと思う。それから来年は五%で、突破するようなことはない、だろう。ことしの政府見通しは四・八%。ところが先ほどの同僚の小柳君が言っておりましたように、まあいまの情勢でいくと六%突破する、六・五とかいうようなことを言っておられましたが、来年あなたが五%で押えるのだと、ここで大きな声で言われても、実際五%で押えられるかどうかということは、これは来年になってみなければわからぬ問題でございますが、その意欲は大いに私は買うべきだと思うのです。しかし、あなたも御承知のように、物価の上昇ということは、わが国だけの現象ではないと思うのです。アメリカにおいてもヨーロッパにおいてもずいぶん物価がどんどんと上がってきております。昨年私ずっと回りましたけれども、やはり相当物価は上がってきておる。ことしになればさらに上がっておるであろうと私は想像するのですが、先ほどあなたがアメリカも来年の一−三月がピークになっておる云々と言われましたが、私は、やはり世界的な物価の上昇の動きと日本の動きとは、これは切り離して考えるわけにいかぬと思うのですね。やはりこれはアメリカ経済に依存しておるのじゃないかといわれるような日本の経済は、やはりそうした諸外国の動きと同じような歩調でいままでずっときている、物価の上昇というものは。どうも来年になりまして、私はベトナム問題のいま和平問題が出ておりますし、あのベトナム戦争が終わるとすると、アメリカにはまた大不況というものがくるのじゃないかというふうにも私考えるので、私の心配はないと言われるかもしれませんけれども、そういうような見通しの上に立って、はたしてあなたが言っておられるように五%で押えられるかどうか、この点、私は非常に危険だと思います。
 そこで、やはり先ほど来皆さんが言っておられますが、上がらないようにするためにどうするか。公共料金を上げるなと、こう言われます。また個々の農業、中小企業、流通部門等の近代化、それから産業及び企業の体質改善を重点的にやらなきゃならぬ、こう述べておられます。しかし、私はこれらの近代化については非常に疑義を持っておる。あなたも通産大臣をしておられたからよく御承知だろうと思うのですが、いま近代化資金というものは三百万で押えられておるわけですね。この三百万で一体いつまで押えていくのか。この中小企業等の近代化をはかっていくためには、やはり三百万の限度額ということでは、私はとうてい近代化なんかできるものじゃないと思う。そうすると、ここに言われておるこの問題も、ここに一つの誤りが犯されるのじゃないかというふうに私思うので、この問題等については通産関係でいろいろとまた私どもは担当大臣にも質問したり、これを改正せなきゃならぬ点があれば、改正の問題についても私ども意見を述べたいと、こう思っておるのですが、なかなか物価を安定させるということは、言うはやすいけれども、私はなかなかこれはむずかしい問題だ。歴代の長官がいろいろとこの問題ではわれわれに何回も繰り返して言っておられるけれども、一向に抑制されずに、だんだんだんだんと上がっていくばかりだ。この点、大臣は非常な意欲を持っておられるけれども、私は、ただ意欲だけではいけない。やはりあなたが将来各省とどのような決意をもって折衝されるのか、この点についてまず一点お伺いしておきます。
#50
○国務大臣(菅野和太郎君) 物価安定についての私の意欲は、同時にこれを実行に移さなきゃだめなんでありますからして、したがいまして、私としてはあらゆる努力を払って物価の安定に邁進したいという考えを持っております。これを具体的にどうするこうすると言うことは、いま私としては確固たるまだ信念を持っておりませんからして、申し上げられないのでおりますが、きょうも先ほどのお話のとおり、今後のこの経済企画庁の動き方についてのいろいろの皆さんからの御注意を受けたので、したがいまして、私といたしましては、ただ私が単なる意欲を述べただけでは役立たないので、これを実現しなければ効果がないのでありますからして、これをいかにして実現するかということについては、私もこれから一生けんめいに勉強さしていただくし、また皆さん方のお知恵もお借りしてこれを実現したい、こう考えておる次第でありますからして、どうかその点はひとつ皆さん方の御協力を特にお願い申し上げたいと思う次第であります。
#51
○近藤信一君 それから、これはついでではおかしいけれども、万博の担当大臣をしておられるから一言お尋ねをするのですが、御承知のように万博は、非常にいま突貫工事で、あの工事にかかっておる。そこで、万博に集中されておる危険性があって、地方に行きますると、小企業の建築業者が非常に困っておるのですよ。なぜかと申しますると、私の友人も左官職をやっておりまして、ことしの春、私どもと会っていろいろとお話しましたところが、建築を受け請ってもなかなかはかどらない。これはいま人が足りない。これは事実なんで、だんだんああいう職人がなくなっていくということなんで、そこに今度は万博のほうでみんなかり集めておるから、この秋になったならば、左官屋のような職人は現在は三千円でいいけれども、秋になると万博のほうが急速に急いでくるから、一日の日当五千円出さなければ人が集まらぬ。こういうようなことを漏らしておりました。それから、私ども名古屋の郊外あたりに行きましても、個人住宅を建築しておるが、まあ外形は早くできまするけれども、その後の工事が一向に進まない。これは人がおりませんし、左官屋さんもいないということで、一人くらいが来てこつこつと工事をやる。そして二、三日休まれるというふうなことで、いわゆる小建築業者といいますか、これらは非常に困って、今年の春ごろのあとから夏ごろにかけまして、そういう建築業者がよけい倒れましたことは御承知のとおりですね。しかし、あれは建築業者というものは倒れてもまたほかのかわりの人がすぐやりますから、倒れただけぐらいは、倒産しただけぐらいはまた出てくるという、こういうことになりますから、数字的には一向変わらないけれども、またそういうことが大きく原因しておる。万博はいま全力を国が集中して、またあなたの大阪府ですか、大阪府が担当してやっておられますので、あそこにかり立てられるということで、私ら非常に迷惑をしておる。そうして自然的にまた工賃が上がっていきまするからして、これはどうしても物価の値上がりと並行していくわけですね。この点、あなた万博の担当大臣として、いまどんなようなことで万博の工事が進んで、どういうふうな状況であるかということについて一言お聞かせ願いたいと思うのです。
#52
○国務大臣(菅野和太郎君) 万博のことにつきましては、この間本会議でちょっと私お答えをしておいたのでありますが、いまお話しのとおり、万博の建築並びに労務者の不足というようなことは、私がいま一番心配しておる点なのでありまして、また、万博のために地方の土建業者がお困りのこと、よくわかっておりますが、しかし、万博はこれは何も大阪がやっておるわけじゃないのでありまして、国がやっておる仕事でありまして、これはもう一大盛典としてやるべき仕事でありまして、いまの万博の条約によりますと、おそらく今後日本には百年以内には万博がこないのじゃないかというようにも考えておりますので、したがって、百年に一度のこの大事業でありますからして、これはひとつ成功させたい。これはもうこの前、本会議で申し上げましたとおり、一億の国民がみな協力するという気持ちで、われらの博覧会というような気持ちでやってもらいたいと、こういうふうに考えておりますので、そういう点において、私はおそらくだんだんと国民がこの万博に対して理解をしていただき、もっと重要性について十分理解していただいて、御協力を願っておるし、また、今後も御協力をしてもらえることと存じておるのであります。
 万博の建築の状況につきましては、先般私は大臣となると同時に、寸暇をとりまして、まず万博の敷地の視察に参ったのであります。それは、私が、万博が気になっておるために、とにかく現状はどうであるかということで視察に参ったのでありましたが、私はこれで、ことし万博の敷地を視察すること四回目でありますが、今度行ってみて、これならばできるという私の予感がしたのでありまして、それで、だいぶもう柱が立っておりまするし、どんどん仕事が進んでおります。同時に、私はそのときにカナダの人で万博に関係のある人、現在日本に万博で来ておる人、それからベルギーで万博に関係のある人で、また現に日本の万博のために日本に来ておる人、その人たちに会って状況を聞きましたところが、ちょうど十五ヵ月前でありますが、ベルギーでも、カナダでも、開催の十五カ月前の状況と比較すれば、日本のほうが進んでおるということを言ってくれたのでありまして、それで、私は非常に意を強ういたしたのでありますが、ことにカナダなどは冬には仕事のできないところでありますからして、日本がその点においてもなお有利な条件だというようなことも言っていただいたのであります。なお、これはベルギーの人が発言したのでありますが、万博には奇跡がいつでも伴うということを言って、できぬと思っておったのができる、三分前に完成するというような話をしておったのでありまして、カナダの博覧会でも、もうすでに一年ほど前からとても会期には間に合わぬ、あるいは延期するのじゃないかというようなデマが日本にも飛んでおったのでありましたが、カナダではほとんど完成して、たった三つほどパビリオンがまだ完成しなかったということであります。ベルギーでも、私、ベルギーの博覧会に参りましたが、たとえばあそこの空港などは、まだ改築中であったのであります。九年ぶりにベルギーに参りましたから、ブリュッセルに参りましたら、りっぱな空港ができているのであります。そういうことで、万博には奇跡があるということを言われたのでありますが、大体私はそういう奇跡の点になると日本人のほうが外人よりも優秀な才能を持っておると思うのでありまして、まあ試験勉強をする癖がお互いについておりますからして、したがいまして、そうじゃなくてもベルギーやカナダに比べて、なお日本が進んでおるという今日の状況でありますからして、万博の開催については、私はいまのところ安心しております。が、しかし、今後この十五ヵ月の間にはどういうふうに進展するかということについては、やはり国民がみんなひとつ協力してもらわなければならぬので、そういう点において国民の啓蒙運動を今後やらなければならぬというように考えておりまするし、ただいまお話の労務者問題についても心配しておりますので、近くまた大阪へ参りまして、土建業者その他の人に出会って、労務者の問題について、もう一度実際の実情を土建業者からも聞いて、そうして、ほんとうに労務者については十分間に合ってやっていけるかどうかということを確かめに、臨時国会終わり次第またもう一度大阪に行って視察したいと、こう考えておるのであります。そういう点において、私といたしましては、この百年に一度の万博を成功さすために全力を注いでやりたいと思っておりますが、これはやはり皆さん方の御協力を得なければならぬので、これはもう党派とかなんとかいうことを別にして、ひとつ国会議員の全員の御協力、御支援を特にこの機会にお願い申し上げたいと存ずる次第であります。
#53
○小柳勇君 最後に、もうあと矢追君に移りますが、物価問題からずっと関連がありましたのですが、いまの万博で締めくくりますが、行政機構がどうなっておるか。万博の、これを完遂するための行政機構。それから飛行場の拡張工事は一体どうなっておるか、飛行場の拡張工事ですね。それから、パリのエッフェル塔が万博のモニュメントであったという話は聞いておるが、今度のこの日本の万博を、たとえば新聞によると淡路島に飛行場をつくるとか、橋をつくろうとかいう話もありましたけれども、何かそういうものの計画を大臣は考えておられるかどうか。この三つの問題を質問して次にいきます。
#54
○説明員(井上保君) お答え申し上げます。
 最初に行政機構の問題でございますが、行政機構は、御承知のとおり万博担当大臣がおられまして、その万博担当大臣が万博に対する閣内の、各省間の調整をおやりになっております。それから、万博事業自身は、通産省の専管事業でございます。それから万博担当大臣の下に推進会議がございまして、推進会議は、担当大臣が推進対策本部の本部長でございます。それから官房副長官が副本部長になっております。それから各省のうちで、関係次官が本部員ということになっております。それから通産省の企業局の担当官がそれぞれ総理府の兼務になっております。それからその各省次官のもとに幹事がおりまして、それは各省の参事官がなっております。そういうことで、担当大臣の下の各省調整機構、それから万博それ自身は通産省の専管事業である。それから各省はそれぞれの関係するところで仕事をしておると、そういうかっこうになっております。
 それからそれ以外に、閣僚ベースで閣僚会議というのがございます。これは閣僚会議でございますが、事実上は推進会議で措置しておるというかっこうになっております。
 それからエッフェル塔のようなものでございますけれども、これは今度の各国の展示館、それから日本からの政府展示館、それからいろいろ民間のもの等がありますが、そのうちで一番大きなものが日本政府の展示館でありまして、これが、大体工事費が六十一億くらい、それから庭の工事費が――庭が広いのでございますけれども、二十九万平米の庭があります。二十九万平米ございますが、その庭の費用を入れますと、全部で八十二億くらいになります。その日本館が、いまの予定では歴史博物館として残そうではないかということを検討しております。これはあと地利用の問題が非常に大きな問題でありまして、まだ根本方針はきまっておりませんけれども、そういう方向でいま検討したいと思っております。それが、そういうことになりますと、歴史博物館としてりっぱなものができるというかっこうになっております。
#55
○小柳勇君 飛行場の拡張の問題は。
#56
○説明員(井上保君) 飛行場の拡張の問題につきましては、予定どおり進んでおります。
#57
○小柳勇君 初めの行政機構の問題ですね。まだばらばらのような印象ですよよ。くわからぬから、ひとつ、一覧表を――われわれ今後質問する都合もあるから、行政機構の一覧表を出していただくということをお願いいたしまして私の質問を終わります。
#58
○説明員(井上保君) はい。
#59
○矢追秀彦君 万博を続けてやりますから……。
 だいぶ問題が出ましたので、簡単に終わりますが、さっき長官、奇跡ということを期待しておられるというお話が出ましたけれども、私は、あまりああいうものはよくないと思います。期待はけっこうですけれども、やはり具体的にその見通しを立てて、おくれておるところはそれを推進させる方法をやらないといけないと思うわけです。まあ本会議でも、カナダに比較した場合はまだ進んでいると言われましたけれども、どういう根拠で、そのカナダより早くといいますか、カナダはいまの時点ではおくれておったけれども、まあうまくいったんだと、その点、もう少し根拠ある御答弁をお願いしたいと思います。
#60
○国務大臣(菅野和太郎君) それは、カナダの万博の関係者が私に言っておったことで、それを私がお伝えしたのであります。十五カ月前のカナダの状況と日本と比較をすると、日本のほうが進んでおるということを言っておった。それをお伝えしたわけであります。何も私が見て来て言うたわけではありませんので……。なおそのときに、カナダでは、冬、仕事ができないからして、その点は日本のほうが仕事ができる。したがって、なお日本のほうが進捗は早くいくやろということをカナダの人が言っておったのであります。
#61
○矢追秀彦君 できれば、そういう点も、実際はカナダはあと何カ月でこれだけの仕事量をやった、日本の場合はこれだけの仕事量があって、向こうと比較してどうということを、やはり科学的にもっと出していただきたいと思うわけです。
 次に、用地買収はまだ終わっていないところがあるわけですが、これは関連事業のほうで……。その点で、これは特に大正川の改修の問題、あるいは自動車道路ですね、道路で一カ所、かなりおくれて、問題になりそうではないかといわれるところがあるわけです。用地買収がまだ終わらなければ、相当これからそれをやってつくるわけですから、かなりの支障が出てくるのではないかと思うのですが、その点いかがですか。具体的に述べてください。
#62
○説明員(井上保君) いまの御質問の点でございますが、関連公共事業の全般につきましては、全体の予算が六千五百億程度でございまして、これを四十四年度に完成するということでやっておるわけでございます。それで、現在までのところ大体うまくいっておりまして、特に大きな問題点で、これが完成しなければ万博に大きな支障を来たすというようなものはほとんどないわけであります。
 ただ、御指摘のように、道路関係で若干ございます。それは奈良のバイパスの問題、それから中国縦貫の池田から宝塚に至る自動車道路の問題と、それから和歌山から南のほうの自動車道路の問題であります。このいずれもそれぞれ用地買収等に全力を尽くしておりまして、できれば間に合わせたいということでやっております。奈良のバイパスにつきましては、当初の計画では木津から大和郡山までの十三・六キロの道、バイパスをつくるという予定でございましたけれども、その後、工事の進捗状況とにらみ合わせまして、木津から三条までに変えたわけであります。そういうようなことで極力完成いたしたい。そういうことで計画変更してやっていきたいということでやっております。それから宝塚と池田の間の問題でございますが、あれにつきましては、用地買収をまあ本年一ぱいに終われば万博までに間に合うということで、当初来年の二月までの予定であったものを本年一ぱいに完成したいということで、極力現地の地元の県で用地交渉をいたしておるわけでありますけれども、十二月よりややおくれておるということでございます。それから和歌山の南のほうの線でございますが、自動車道路でございますが、あれにつきましては山間部にかかるところで設計の確定にむずかしいところがございまして、これは実情を申し上げますと、ちょっと万博には間に合いそうもないということでございます。これにつきましては、地元のほうとは十分に話をいたしております。まあ着工はいたしまして、続けていって、和歌山の国体までに間に合わせたいというようなことでやっておるわけでございます。ただいまの道路の関係ではそういう点が問題でございます。
 それから大正川の問題でございますが、これにつきましては、いま川下のほうからずっと工事をしてきておりまして、国鉄新幹線の下を通っているところから上のほうに向かって工事が来ているわけですが、そこはいまの予定では六月には完成して通水するということになっておりまして、六月に完成すれば、つゆに間に合いますので、いまのダムのところを処理いたしまして、自動車道路その他、万博の開催までに十分に間に合わせたいということでやっておりますので、特に支障がないというように考えております。大体以上でございます。
#63
○矢追秀彦君 道路が万博開催時までに間に合えばいいという問題でなくて、早くつくらないと、結局工事の車等も通るわけです、いま阪大の中を通っている、かわりに通らしているわけですね。そういうようなことで、早くやらなければならなくなってくるわけです。そういう点で非常に心配するわけですけれども、来年になって相当工事が激しくなった場合に、その工事のためのいろいろな自動車の動きに対して十分であるかどうか、その点どうでしょうか。
#64
○説明員(井上保君) 工事用道路の問題でございますが、御承知のとおりいま工事用道路四本をつくる予定でやっておるわけでありますけれども、実際上そのうちで千里ニュータウンから入ってくるのがちょっとおくれております。そういうことで、千里ニュータウンのほうに車が通るということで、いろいろ地元から話があったようなことがあるわけでございますけれども、大体大阪府とよく相談いたしまして、特に材料を運ぶ大きな車は夜間に運んでもらう。特に今後上のほうに出てまいります――いま地下作業が多いのですが、上のほうに出てまいりますので、骨材なんかを大きなトラックで運ぶというようなことがありますので、そういうものは極力夜間に運んでもらうようにする。それから府道を主として使うというようなことで、なるべく大きな道を使う。それから安全対策につきましては十分に注意してもらうということで、大阪府のほうによく言っておりますが、地元のほうにもよく相談しまして、特に地元の言うままに、希望に従いまして、横断歩道をつくるとか信号機をつくるとか、そういうことでやってみたいということで話をいたしております。地元からもいろいろお話がございましたけれども、大体そういうことで大阪府と相談していただきまして、最近はそういう話はきていないというような状況になっております。
#65
○矢追秀彦君 最後に関連事業について、相当費用がかさんできましたので足りないと、かなりの増額を言ってきていると思うのですけれどもその具体的な数字と、それを増額をしてできるのか、それともワク内で途中で工事をやめたり、あるいはできないところを全部切ってしまって、いまのワク内で、押えられるのか、できればこの際ですから、ちゃんとしたものにしたいと思うのですが、その点いかがですか。
#66
○説明員(井上保君) 当初の計画では六千三百五十億でしたか、ほどの予算でございましたが、その後、私鉄の改正等がございまして、六千五百億というようなことに改正いたしました。大体その線で四十四年度の予算要求を出しておる次第でございます。ただ、一部国鉄関係は、予算要求はまだきまっておりませんので、合理化計画等きまっておりませんので、それを除きまして、大体従来考えておりましたような予算の配分になるということでございます。
#67
○国務大臣(菅野和太郎君) 土地の買収やなんかでおくれている点は、実はただいま参事官申したとおりでございます。とにかく万博のためには道路関連公共事業はすべて完成させたいということについては、総理もしばしば閣僚会議でこれを言明しております。各大臣もこれは極力やらなければいかぬということでやってもらっておりますからして、大体いま申し上げた土地の買収で間に合わぬという点を除けば、間に合うというように私は聞いております。
#68
○矢追秀彦君 それでは万博の問題はまたあらためて詳しくやりたいと思います。
 次に、経済成長の問題で、先ほどから本年度一二%という話が出ておりましたが、来年度の経済成長はどれくらいと踏んでおられるかお伺いしたい。
#69
○政府委員(赤澤璋一君) ことし来年、両年にわたります経済見通し、ことしの分は実績見通しでございますが、まだ最終的にこれがきまっておりませんので、はっきりした数字をここで申し上げられる段階でないのはまことに残念でございます。ただ総じて言えますことは、先ほども長官から御説明がございましたように、本年度は実質成長率でほぼ一二%程度になるだろうというくらいな感じを持っております。来年度につきましては、いまの経済の実情等を考えますと、これよりは相当程度ゆるやかな経済成長ではなかろうか、かように考えております。
#70
○矢追秀彦君 都市銀行あるいは長期信用銀行の見通しでは、大体が一〇%以上、少ないところで第一銀行あたりで一〇・七%、三菱、東海、三井そういったところでは一二%と来年度の見通しを立てておりますけれども、この経済成長の問題は、経済社会発展計画でも年平均八%程度が妥当と考えると、このように言われているわけです。比較的ずっと成長率は大幅に上回っておるし、また来年もこのままいけば八%よりはずっと高いわけです。こういう点について、まあ八%の成長で押えたいと思ったけれども一〇%になってしまったとか一二%になってしまったとかいうのではなくして、やはりここで八と立てたならば八の線で押えていく、それでなければいまの成長のままどんどん成長さしてもいいというふうな方向でいくのか、特に来年度に対して企画庁としてはどういう方針で臨まれようとしておるか、経済成長をどこで……。目標ですね、お願いしたいと思います。
#71
○政府委員(赤澤璋一君) ただいまちょっと市中銀行の見通しが発表されて、そのことに触れられましたので、そのことをちょっと申し上げますと、成長率は対前年比でございますので、その点、前年が低ければ翌年が高くなる、前年が高ければ翌年が低くなる、かりに同じ数字でもそういう差異があることは御承知のとおりでございます。大ざっぱな感じでございますけれども、そういう点、たいへん恐縮でございますけれども私どもただいま今年度の実質成長率一二%程度ではないか、こういうふうに見ておるわけでございますが、この点はごらんいただきますと、あるいは市中銀行の見通しよりもややちょっと強めかなというお感じをお持ちになるだろうと思います。それに比べて来年度はそういうベースの上に立って成長してまいりますものですから、市中銀行等の見通しよりもやや低目ではなかろうか、こういう感じ、その辺は相対的なものであるということをちょっと御説明をきしていただきます。
 明年度私どもどのぐらいが適当だと考えているのかという御質問でございますが、ただいまお触れになりました経済社会発展計画は五カ年間の平均を八・二というふうに計算をいたしております。ただ、あの計画にも触れておりますように、前半あたりはやはりこれよりやや高目にということが想定をされておりまして、普通は九%台ぐらいのところというふうに私どもも承知をいたしております。これが一つの基準でございますけれども、先ほど来の御質問がございましたように、経済社会発展計画の想定しております各種の指標と四十二年度以降出ております実勢というものが、相当程度乖離をいたしております。したがって、また計画の改定問題、こういったものも議論をされるに至っておるわけでございます。したがいまして、来年度私どもはただいまの経済社会発展計画をもとにいたしまして、あの数字をもとに、何%でなければならぬというふうに考えておるのではございませんで、もちろんあの計画の中に盛られておりますいろんな問題点、また政策の指向すべき重要な課題、これはぜひ追求してまいりたいと考えておりますが、数字の上では必ずしもあの計画にとらわれておるわけではございません。あくまで今年度をベースにした経済の実勢をまず十分把握し、それに政府としての経済政策による見通しと、こういったものを追加して来年度の見通し、数字を固めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
#72
○矢追秀彦君 というと、結局この数字はある程度変わるかもわからない。しかし物価問題、先ほどだいぶ議論に出ておりましたけれども、やはり物価の安定を考えた場合に、この書物の中にも、成長の行き過ぎを押えて安定的な成長を維持すると、こういうことがはっきりうたわれておるわけです。まず第一番に、この経済成長の問題と本気で取り組んでいただかなければならないと、しかるにいままで、はたしてどれだけ経済成長の行き過ぎを押えるという手が打たれたかどうか、私ははなはだ疑問に思うわけなんです。来年度のいろんな物価の上昇のことから考えましても、ある程度は押えていかなければならないんじゃないかと思うわけですけれども、それに対してどういうお考えであるか、野放しにするのか押えるのか、押えるとすればどの辺まで押えるのか、それをお聞きしたいと思います。
#73
○国務大臣(菅野和太郎君) 来年度の経済成長率はまだはっきりいたしませんが、一〇%内外ぐらいでひとつ押えたいという気持ちを持っておりますが、問題は、経済成長の原因である総需要がどんどん伸びますと、たとえば民間設備あるいは政府支出がふえるとかというようなことになりますと、したがいまして、成長も成長率がよくなるということになりますからして、総需要を押えるということも考えなきゃならぬ、そういう意味において民間設備もコントロールするし、あるいは政府の財政支出もコントロールするということで、まあ大蔵省のほうでは来年度の予算は警戒予算というようなことを言っているのはそういう意味だと思うのであります。で、まあできるだけひとつ安定した成長で進めていきたいと、こう考えておる次第でございます。
#74
○矢追秀彦君 それぐらいの話なら何も聞かないのです、何回も聞いているわけですから。もう少し具体的に、いま総需要を押えるという話、これは大蔵大臣も言っておりますけれども、それに対して総需要を押える場合、民間の設備投資をある程度押えるという、じゃどういうふうにして押えるか、その方策を私は聞きたいのです。もう一つは、公共投資を押える、どれくらいに押えるのか、そういう点。ただ予算を組む場合、警戒型予算にする努力をするとか、そんなことでは私はならぬと思います。その点、まだ西ドイツあたりのほうは物価安定ということに非常に力を注いで、この前、御承知のように経済成長安定法というようなものをつくった、これはデータをきちっと出しているのです。経済成長を何ぼに押える、こういうふうなことでいいわけです。何もこの法律をつくれというのではないですが、ほんとうに経済成長と物価安定が今度の主眼目的ですから、そうすればある程度成長という問題、総需要の抑制ということが出てくるわけです。そうすると、どうしてもそこに予算を組む場合のいろんな経費の節減等が出てくるわけですね。これ西ドイツの場合は相当きびしい、苦い薬だったといわれているわけです。非常に社会保障費だって相当削っておりますし、国防費はもちろん削っておりますし、その他ある程度の増税もやっておるわけです。そういう点で、来年度の予算編成にあたって、いまの答弁だけではちょっと私は満足できないのです。もう少しきちっとした線を出していただきたいと思いますが、いかがですか。
#75
○国務大臣(菅野和太郎君) 具体的にどうするかということについては、これはまあいまいろいろ材料を集めておりますからして、まだ具体的な御返事はできませんが、今度の予算を計上した場合には大体その具体的な数字が出てくるのじゃないかと、こう考えておりますが、そこで、総需要を押える方法としては財政金融の政策です。それによって総需要を押える、民間設備を押えるという場合はこれは金融面で押える、それから政府の支出を押える場合は財政的な政府支出を押えるというようなことで財政金融政策によらなければならないのであります。そういう点は今後大蔵省ともよく相談して具体的なことをきめたいと存じております。
 なお、西ドイツに経済成長安定法ができたのは、これはもう御存じのとおり不景気の対策としてやったので、相当思い切った政策をとっております。で、これはわれわれとしても非常に参考にしなければならぬと考えておるのでありまして、そこまで思い切った政策をとる必要があるのかどうかということについては、もう少し検討さしてもらいたい、こう思っておる次第でございます。
#76
○矢追秀彦君 その大蔵省と相談をしてから、具体的な数字の点については、それはまあいまでなくてもいいですけれども、じゃ経企庁としてはこういう方針で臨む、これぐらいは私は出してほしいと思うのですけれどもね、これはどうでしょう。
#77
○政府委員(赤澤璋一君) おそらく矢追先生の御指摘の点は、従来の経済成長が、見通しと対比いたしますと、主として民間企業設備等が見通しより非常に大きく出ておる、そういったことから、成長もしたがって見通しより高まってきておる、こういった点を分析をされての御質問だと思います。事実またそのとおりでございます。総需要の中で特に個人消費支出、これはやはり構成比で申しましても五〇%を少しこえております。従来から伸び率も大体一二%から一四%というぐらいで、いわば着実な伸びという感じでございます。これはもちろん国民の所得が上がっておりますし、消費も進んでおりまするので、これをいますぐどうこうというふうに押える手段というものは非常に困難であろうかと思います。そういたしますと、勢い問題は民間の総資本形成と政府の財貨サービス購入、この二点に大きくしぼられてまいるわけでございます。こういうことになってまいりますと、民間の総資本形成の中で、特に設備投資と在庫投資の問題、これがあるわけであります。在庫投資は企業活動に従って上下いたす性質のものでございますし、景気に敏感に動きますので、これ自身また政府のほうでコントロールするというわけになかなかまいりません。そうしますと、設備投資をどうするのか、こういうことになってまいるわけでございますから、これ自身もまた大きな意味での財政金融政策にこれがかかっておるということはもちろんでございますが、同時に、これから差し迫っております資本の自由化問題、特に中小企業の省力化投資と申しますか、労働力不足に対応する投資というものは、これは中小企業が今後近代化していきます場合の必須の条件でございます。そういったことから、こういった面もむやみにこれを押えていい、そうして全体を縮めていくということには、なかなか政策的にも問題がございますし、また実行手段としても非常に困難でございます。ただ私どもといたしましては、御承知かと思いますけれども、特に製造業関係で申しますと、通産省の産業構造審議会の産業資金部会等を中心にいたしまして、各方面の御協力も得、また政府として大体このくらいの投資を節度を持ってやってもらうことが望ましいという指針も出しまして、それに金融機関、産業界も協力していただく、いわばまあ説得と協調と申しますか、そういう態度で具体的な個々の業種別の産業設備というものを行政指導していくと申しますか、あるいは協力によってやっていくと申しますか、そういうことで従来も進めてきておるわけでございます。また、おそらく今年度以降におきましても、ただいま長官から申し上げましたような大きい意味での財政金融政策というものがやはり全体に影響いたしますので、その点の政策につきましては、今後予算編成等を通じまして、あとで申し上げます財貨サービス購入とあわせてこれは政策の目標をきめてやっていく、こういうことになろうかと思います。財貨サービスの購入のほうは、先ほどちょっと公共投資という問題が出ましたが、実際問題といたしまして、ここ一、二年間公共投資と民間設備投資の問題、民間設備は非常に出ておるけれども、公共投資は非常に不足しておるという実情もございますので、これまたむやみにこれを押えることが長期に見ると日本の経済にとっていいか悪いかという政策論がございます。こういった点もございますので、やはり予算編成方針をめぐりまして、全体の予算の規模の中で一体どういうぐあいにこういう波及効果の多い民間並びに政府の固定投資というものを考えていくか、こういったことの議論を今後十分詰めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
#78
○矢追秀彦君 いま設備投資の問題で、もちろん中小企業等に対しては、それは押えるとまずい面も出てきますが、それには結局中小企業、育てなければならぬ産業に対しては、やはりそれなりの方途をひとつはっきり拡充した上で、特に設備投資は四十三年度でも九兆六百億円で、結局四十六年度見込みの八兆九千三百億円を上回っておるわけですよ。そういうわけで非常に上回っておる。しかし日本の場合の設備投資というのは、資本の蓄積があった上でのものではない。借金でやっておるというのが非常に多いわけですから、それだけこれも将来にまた危険な問題が出てくるのではないか、それをいまの経済成長の問題で、要するにワクをきめて幾らにしろ、こういうのじゃなくて、もっときめこまかにこういう企業についてはこれくらいにしろ、こういう企業については金利を安くして政府も出資してやっていく、そういう点のきめのこまかい設備投資に対する配慮というのを私はやらなければならぬのじゃないか、こう思うのですけれども、その点いかがですか。
 もう一つは、総需要を押えるのは公共投資で押えるのも一つですが、増税という問題が出てきますが、もちろん減税はやらなくちゃいけませんし、やはりある程度税を取ってもいいが、ちょっとさっきも話が出ておりましたが、そういう面もあると思うのですけれども、結局その点のかみ合わせですね、さっきから聞いていると、もう少し私は、くどいようでありますけれども、経企庁として、はっきりした線を出して、そして予算の審議に臨むと、こうしていただきたいと思うのですが、その点いかがですか。
#79
○国務大臣(菅野和太郎君) 民間設備投資につきましては、御存じのとおりみな借金してやっておりますから、これは金融面からこれをコントロールすることはできると思いますが、しかし、その点においては、日本の金融制度自体をわれわれ改善しなきゃならぬじゃないかと思う。ということは、ある銀行はある事業を育てようと思ってどんどん出す、片一方の銀行はまたある事業に、しかも同じ業種に……。それがおのずから競争になって過当設備になるという危険がいままでずいぶんあったのであります。そういう点について、何かもう少しコントロールする道はないかということをかねがね考えておるのでありますが、とにかくこれは金融面からコントロールしなきゃならぬかと考えております。
 公共事業につきましては、これはまた政府自身がこれを考うべき問題でありますからして、これは考えなければなりませんが、私は付加価値を生ずる公共投資はどんどんやるべきだと思う。たとえば道路などは、道路がよくなることによって物価をまた下げるという効果がありますからして、そういう付加価値を増すような公共投資は進めていくべきじゃないかというようなことで、そこらの判別がなかなかむずかしいのでありますが、そういう点についても、できるだけわれわれ大蔵省とよく相談してやっていきたいと考えております。
 それからもう一つは重税の問題ですが、減税ということが同時にまた総需要を増す一つの原因にもなると思いますが、しかし、また一方からいうと、重税のために生活に困っている人もありますからして、そういう人たちに対する減税も必要だと、こう考えておりますが、また他方で、もう少し税金を重く課することもできる問題があれば、そのほうでまた総需要を押えるような方法も考えてみたいと、こう考えておる次第でございまして、今後のこの物価の安定というような問題については、これは各方面からひとつこの際検討すべきであって、一つ一つやったのでは効果がないのでありますからして、そういう点においては、従来ともいろいろ経済企画庁は計画しておったことでありますが、もう一度その点については、われわれも再検討して、そうして各方面から歩調を合わせてやらなければ物価安定ということは実現ができないと、こう考えておりますから、ひとつその点においてわれわれできるだけ努力して、知恵をしぼっていきたいと、こう考えておる次第であります。
#80
○矢追秀彦君 いま金融の問題が出ましたけれども、それでは来年度は何らかの形で金融引き締めの方向を出されるのか。
 それからもう一つは、いま銀行がいろんな事業をやっているという問題が出ましたが、そういう点についても何か方策を講じようとされておるのか、その点どうですか。
#81
○国務大臣(菅野和太郎君) 金融引き締めということでは私言ったつもりはないので、金融制度の改善と言ったわけです。私の個人の考えから言えば、できればもう少し銀行などの数を減らしていいんじゃないか、外国の例などを見ても。そういう意味で、銀行の過当競争、それが同時に設備投資の過当になっておるのではないか、そういう点について、もう少しコントロールをする道はないかということを考えておる次第であります。
#82
○矢追秀彦君 いま銀行を減らすという問題が出ましたが、これはまたどこかで議論ができると思いますので、次に物価の問題についてお伺いします。
 先ほどからいろいろ出ましたけれども、特に物価を最優先にすると言われておりますが、また、佐藤総理の所信表明にもありましたが、年末の物価の問題が出ております。まずさしあたって年末の物価をどうして抑制をするか。もろろん下がっているものもありますし、それはその生産が上がったからでありますが、しかし、実際供給の少ないもの、それから加工賃が上がったために、加工されたもの等は少し上がってきておるわけですけれども、年末の物価抑制に対して具体的にどういうことをいまやっておられますか。
#83
○政府委員(八塚陽介君) いま御指摘になりましたように、物価はやはり大局的には供給と需要とできまるわけでありますから、年末になって急にあわてて供給けふやすということもできない性質のものは、これはやはり当然に急に下げるというわけにはまいりません。ただ年末になって特に気をつけなければならないことは、やはり一時的に需要が集中するわけでありますから、そういう点について流通上の隘路を――隘路と申しますか、できるだけ流通上のぎくしゃくしたことのないようにするということが一つの対応策であろうと思います。たとえば大体やはり年末に対する供給について、しかるべく供給側に対して情報を与えるというようなことで出荷を奨励するというふうなことも当然考えなければならないわけであります。それからまた政府が何がしかコントロールできるものを放出していく、これは現在の段階では、それほど多くのものは持っておりませんけれども、やはりできるだけそういうふうに対応していく、たとえば冷凍水産物のようなものもある程度大消費地の冷蔵庫等にありますので、そういうものをできるだけ放出していく、あるいはまた、急に一カ月ぐらい前からのことではできませんけれども、やはり年末の高騰ということを頭に置きまして輸入をする。豚肉のような場合は、これは従来非常に高い水準で経過しておりましたから、何もいま急にどうこうということではなかったわけでありますが、それにしましても七月以降の一応努力が若干効果を発揮してきて、やや鎮静ぎみになってきているというようなことは、冒頭申しましたように、急に生産を根本的にふやすということは、これはなかなかできません。物価対策というのは、元来平素からの積み上げが必要でありますが、しかし年末に急に需要が集中する、従来でありますならば、それは需給の関係で値段が高ければたくさん出すというような関係だけで放置しておかないで、物的流通の段階で阻害要件を除くとか、あるいはできるだけそういう時期に合わせて輸入の焦点を合わす、そういうことをやってまいるということになろうかと思います。
#84
○矢追秀彦君 私の聞きたいことは、もうちょっと具体的に聞きたいのですけれども、いま豚肉のことだけを少し言われましたけれども、実際年末の買いものというものは始まっているわけです。お歳暮等を初めといたしましても、どんどん始まっているわけですね。年末というのは、何も急にくるのではなくて、前からわかっております。たとえばカズノコなどは非常に少なくなっております。しかし、外国から輸入すれば、まだまだ見込みはあると思いますね。国によっては、ほかしているところもあるわけですから。そういう点で、まだまだこまかく一つ一つについてこういうものについては、ことしは豊作でなかった、それに対しては輸入していこう、また消費者に対しては、これはことしは不作であるからお正月の料理には、これは値上がりするだろうから遠慮してもらいたいとか、そういう点と消費者に対する啓蒙と、それから必ずその予測をした上において輸入にしても生産して適切なる――生産は半年くらいでできないかもわかりませんけれども――ことができれば、こういう年末の高騰ということも私はないと思います。その点について、いまからではちょっとおそいのではないかと思いますが、いまからできるだけの手段ですね、残れさたあとわずかの期間で、どれだけのことをどこまでできる、これは国民にはっきり言わないと、毎日の新聞なんか見て、これは高い、すごいということになるわけですね。早く買えとか、また業者にしてもそれをねらって上げてくることが考えられる、その点いかがでしょうか。
#85
○政府委員(八塚陽介君) 確かにお話のとおり第一の問題としまして需給の動向についてできるだけ消費者に知らせる。なかなか政府からこういうものは食べないようにという説教的なことはできないと思いますが、できるだけ需給の状況を正確に知らせるというようなことは、当然必要であろうと思います。たとえば、年末物資について最もぴんとくるという生鮮食料品等につきましては、農林省等におきましても通常でありますと、たとえば年末については十二月になってから生産の見通し、供給の見通し等をつけて動向を発表するわけであります。十一月の半ばごろから少し早目に見当をつけてそれを新聞等に発表していくというようなことをやっております。ただ毎年政府の見通しというものは、そう何回も新聞等で取り扱われない。したがって、やや一般の方の耳に遠いというような欠点がございます。これはまた一方ラジオあるいはテレビ等を通じて絶えず放送をしていくというようなことをやっておるわけであります。それからいま御指摘になりました特に年末物資として特徴的なカズノコ等でありますが、これは本論ではなくて例示であったと思いますが、実はカズノコにつきましては、昨年やや日本のニシンが豊漁でありまして、水準としては決して過去におけるようなものではございませんけれども、やや低かったわけでございます。ところがカズノコの輸入は、ソ連にいたしましても、ノルウェーにいたしましても、御指摘になりましたように、元来は生産されておるわけではなくて、いわば日本が注文生産をする。それは大体五月ごろにこちらは注文をしなければいけない。ところが当時はまだニシンについて、やや何と申しますか、昨年の豊漁が頭にありまして、輸入ワクについて農林省のほうはワクは出したようでありますが、輸入業者のほうで手控えたというようなことがありまして、これは年末物資でございますが、半年以上前の段階で見通しをつけなければいけないというようなことで、結局本年は間に合わなかったわけでございます。しかし、もう一つそういう点についてやはり一つの例として考えてみますと、もう少し消費者のためにたつぶり輸入するという制度的な考慮をさらにする必要があるんじゃなかろうか。いま私が申し上げましたような弊害だけではなくて、何がしかそういうことをさらに改善を加えてやるべきではないかというようなことで、農林省等に対しても申し入れておるわけでございます。
#86
○矢追秀彦君 時間がだいぶたちましたので、最後に二点だけお聞きしたい。
 一つは米価の問題でありますけれども、これについては前長官もこの夏に相当に苦慮をされまして、いろいろ意見等も出されておりまして、長官が変わりまして来年度の米価に対してどのような考え方、どのような方向で臨もうとされておるか、観念論ではなくして具体論でお願いをしたい。
 もう一つは、先ほど公共料金が問題になっておりましたけれども、アメリカのようなああいう資本主義、自由経済の国ですら大統領はかなりの権限力を持って物価抑制、特にUSスチールのあのケネディ大統領の措置はかなり有名でありますけれども、ああいう強い態度、方針というものをぜひやっていただきたいと思います。その決意はおありになるかどうか。特に来年度の公共料金に対する長官の態度、先ほど原因、力の問題が出ておりましたけれども、一つこのくらいは、そういう値段を下げた、こういうことを佐藤内閣がやられてもいいんじゃないかと思いますが、その点についてお伺いして終わります。
#87
○国務大臣(菅野和太郎君) 米価の問題につきましては、閣僚でいま委員会がありまして、そこでこの米価の問題をいま検討中であります。でありますからして、これは私から観念論申し上げなければならないのですが、私は米価を上げちゃいかぬという私の希望を持っております。いま関係閣僚でいろいろ数字をあげて討議している最中でありますから、具体的な数字が出ておりません。
 公共料金の問題につきましては、先ほど申しましたとおり、私は上げるとも下げるとも言明してないのであって、諸般のいろいろの事情を考慮してやるべきじゃないかということで、私の考えとしては、公共料金は上げたくないという気持ちを持っております。その他の方法で何か赤字を埋める方法はないかということについて、先ほど申し上げたとおり関係方面で研究している最中でありますからして、まだ具体的な結論は出てないということを申し上げざるを得ない、こういうことであります。
#88
○矢追秀彦君 そういう答弁だから、さっきからいろいろと言われると思うのですが、だれでも上げたくない気持ちです。だけれども、諸般の情勢からやむを得ない、だから来年度はここまでやる、こういう私ははっきりした線を持たせてここまでいって、これはやむを得なかったからやったというならば、国民はある程度は長官にも同情的になると思いますが、いまのような話を皆が聞いて、気持ちはわかるけれども、実際上げて、やはり上げた、上げるべきだ、こうなっているのです。それじゃやはりしょうがないと思います。その点で、経済企画庁ですから、はっきりした企画を立てて、線を出して臨むのが私は正しいと思う。長官になられて間がありませんから、時間がないと思いますが、予算編成までには、はっきりとした線を国民の前に発表するということをぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
#89
○国務大臣(菅野和太郎君) お話しのとおりで、もちろん予算の編成までにはきめるつもりで、また、それに基づいて予算編成をするはずですから、それまでにはきめたい、こう考えております。
#90
○塩出啓典君 関連でございますが、二つの点についてお聞きしたいと思います。
 一つは現在大型合併の問題が非常に問題になっておりますが、やはり私たちも現実の問題として八幡、富士のそういう合併の問題について、非常に関心を持っているわけでございますが、前長官等は非常にそれを推進するお考えであったわけでありますが、それについて、今度の長官がどのようにお考えになっているかどうか、それからまた物価安定のためにやはり管理価格あるいは独占価格、そういう問題に対してもわれわれも非常に関心を持っているわけでありますが、そういう点についての長官の今後の決意、考え方、その二点についてお聞きしたいと思います。
#91
○国務大臣(菅野和太郎君) 製鉄会社の合併の問題ですが、私の根本の考え方は、国際市場を持っている商品の製造会社などは、外国競争と負けないようにするためには、私はやはり大資本、大企業でなければならない。外国が大企業ですから、むしろそれと競争するためには大企業でなければならない、こう考えております。したがって、私はいまの世界の製鉄会社の状況を見て、八幡と富士が合併することも外国競争上必要じゃないかと考えておりますが、しかし、それじゃ寡占価格になるのじゃないかというようなお考えであるかもしれませんが、そういう鉄などの価格は国際市場できまることですから、したがって私はそれだけ外国との競争が盛んになれば、おのずから価格も正当な価格になるのじゃないか、独占価格というようなことはあり得ない、こう考えております。したがって私自身は、いま申し上げたように、そういう意味で国際市場で外国競争と勝つためには、そういう企業はできるだけ大企業でやってほしいという希望を持っておりますが、しかし、これは結局公正取引委員会できめることでありますからして、その決定をわれわれは待たなければならぬので、私のほうからこうせい、ああせいということは言えない。ただ私のいまの気持ちは、そういう国際市場という観点から考えておる次第であります。
 それからもう一つは独占価格、したがいまして、その管理価格自体の概念がまだはっきりしませんが、とにかく独占価格で不当にメーカーが利益を得るというようなことは、これは公正取引委員会にどんどん活動してもらって、そしてそういう独占価格、不当な独占価格を押えるようにしてもらいたいという私は希望を持っております。
#92
○委員長(金丸冨夫君) 他に御質疑がないようでございますから、本日はこれをもって散会いたします。
  午後零時五十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト