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1968/12/20 第60回国会 参議院 参議院会議録情報 第060回国会 社会労働委員会 第3号
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1968/12/20 第60回国会 参議院

参議院会議録情報 第060回国会 社会労働委員会 第3号

#1
第060回国会 社会労働委員会 第3号
昭和四十三年十二月二十日(金曜日)
  午前十時二十七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         加瀬  完君
    理 事
                鹿島 俊雄君
                丸茂 重貞君
                大橋 和孝君
                上林繁次郎君
    委 員
                上原 正吉君
                黒木 利克君
                高田 浩運君
                玉置 和郎君
                山崎 五郎君
                山本  杉君
                横山 フク君
                上田  哲君
                小野  明君
                中村 英男君
                藤原 道子君
                渋谷 邦彦君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
   政府委員
       大蔵政務次官   沢田 一精君
       厚生省医務局長  松尾 正雄君
       厚生省保険局長  梅本 純正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       辻  敬一君
       文部省大学学術
       局審議官     清水 成之君
       厚生大臣官房企
       画室長      首尾木 一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度等に関する調査
 (看護婦の充足に関する件)
 (財政制度審議会の社会保障についての報告に
 関する件)
 (へき地の医療対策に関する件)
 (社会保障関係予算に関する件)
○同和対策促進の特別措置法早期制定等に関する
 請願(第五号)
○厚生年金保険法及び国民年金法の改正に関する
 請願(第六号)
○戦没未処遇者の援護措置に関する請願(第八
 号)
○山村へき地医療対策に関する請願(第九号)(
 第二一号)(第九一号)(第一二二号)(第二
 五一号)(第三三〇号)(第三四九号)
○無認可保育所が認可施設に移行する際の法人化
 のわく撤廃に関する請願(第一九号)(第一八
 二号)(第二〇五号)(第二七二号)
○国民年金制度の改善に関する請願(第二〇号)
 (第三二三号)
○原子爆弾被災者対策に関する請願(第二二号)
 (第一八八号)
○国民年金の老齢福祉年金増額、所得制限の撤廃
 及び医療保障に関する請願(第二三号)(第一
 八六号)
○自閉症児の治療施設の整備に関する請願(第五
 〇号)(第二〇九号)(第三三一号)
○身体障害者の生活保護等に関する請願(第七九
 号)
○ハンセン氏病療養者の日用品費増額等に関する
 請願(第九二号)
○簡易水道国庫補助金の増額に関する請願(第九
 三号)
○未帰還者の調査並びに留守家族の援護に関する
 請願(第一八七号)(第二二四号)(第二七三
 号)(第三四四号)
○各種福祉年金の併給限度撤廃に関する請願(第
 二〇六号)
○ソ連長期抑留者処遇に関する請願(第二〇七
 号)
○国民健康保険の財政強化等に関する請願(第二
 〇八号)
○清掃事業の地方自治体直営化等による転廃業清
 掃業者に対する補償救済に関する請願(第二二
 二号)(第二二三号)(第三一二号)
○厚生年金保険及び国民年金制度改善に関する請
 願(第二四五号)(第二四六号)
○生活協同組合の強化等に関する請願(第二四七
 号)
○昭和四十四年度社会福祉予算増額等に関する請
 願(第二四八号)(第二四九号)
○医療保険制度の改正に関する請願(第二五〇
 号)
○緊急失業対策法の改正等に関する請願(第二八
 〇号)(第三四六号)(第三四七号)
○貧困者の生活の擁護等に関する請願(第三一六
 号)
○同和対策特別措置法制定に関する請願(第三四
 五号)
○日雇労働者健康保険法の改正に関する請願(第
 三四八号)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(加瀬完君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 社会保障制度等に関する調査を議題とし、質疑一を行ないます。
 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○藤原道子君 私は過日の委員会で東大病院のことについて御質問申し上げましたが、争議は解決したやに聞いておりますが、さようでございますか。――このあいだ東大病院で看護婦さんたちとの間にトラブルがあったはずなんです。それは、人事院判定で夜勤は月八日以内、それから複数夜勤――一人夜勤は排除するというようなことで、それを実行していたためにいろいろ病院側でも対策を講じられて解決をしたというふうに伺っておりますが、さようでございますか。
#4
○説明員(清水成之君) ただいまの東大附属病院看護婦の件でございますが、いま藤原先生御指摘のように、十二月一日からトラブルがあったわけでございますが、病院長それから看護婦さんとの間で、当局側が看護婦の増員等につきまして努力をする、こういうことでトラブルは一応終わっております。
 なお、この間、東大の加藤代行からは、直接私どものほうへ、看護婦増員並びに看護婦宿舎を今後において大学も検討するので、文部省も協力をしてもらいたい、こういう要請があったことをつけ加えさしていただきます。
#5
○藤原道子君 そのときの覚え書き等も私は拝見いたしたのでございますが、これがぜひ一日も早く実施されることを要望いたします。病院の責任において昭和四十四年度中に八十名以上の看護婦(三交代要員)増を確保する、それから複数夜勤は最低勤務条件として実現をするというようなことがうたわれております。さらに、四十五年度までに二百六十七名の看護婦さんを確保するよう最大限の努力をする、その中には非常勤職員の定員化を含むと、こういうふうな確認書でございますが、いつもこういうことでだまされる。いま看護婦が足りなくて困っておりますが、看護婦二百六十七名確保、ことし中に八十名以上の看護婦の確保、この見通しはおありになるのでございますか。一時のがれでは困ると思いまして、私はさらに確認をいたしたいと思います。
#6
○説明員(清水成之君) ただいまの点でございますが、先般病院課長からもお答えしたかもわかりませんが、人事院判定の趣旨を実現いたしますために、私どもといたしましては、ある計画を立てて、そうして年次計画でただいま大蔵と折衝中でございますので、ただいまの東大の人数を具体的に言うことはともかくとしましても、全体計画としてその年次計画の実現に努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#7
○藤原道子君 私が心配いたしますのは、いま一番問題になっております赤ちゃん取り違え事件等々で今度は看護婦を新生児にもつけるということになっておりますが、その一番心配しております産婦人科で、一月に十六日から二十日の夜勤をしているのですね。そうして、看護婦さんが卒業しても定着をしない。それなどを見ますと、看護婦が忙し過ぎるということ。看護業務以外の仕事がずいぶん多過ぎるということ。看護学院で習った看護を現実には行なえない。三分の一くらいはやっているかと思ったら、とてもとても一割もできません。点滴注射もやりっ放し、ときどき点滴液がからになっているのを発見して大騒ぎをする。こういうことで天下の東大病院で責任が果たせるかということを常に心配いたします。このことは、厚生大臣、国立も同じなんです。全国の病院で看護婦が足りない。そのために、看護婦は、良心的につとめるのはいやだということが一つ、あまりに忙し過ぎるということが一つ、こういうことを訴えておるのです。
 ところが、一面、東大病院の看護学院ですが、定員は五十名となっておる。にもかかわらず、今年度は三十五名。今年の試験で合格したのは四十名。五十名定員でありながら、合格は四十名で、そうして入った人はわずかに三十五名なんです。入っても、だんだんやめていく人が出る。こういうことは、東大の看護婦の寄宿舎等の問題もございますが、見ていて忙し過ぎるので、とても私はやれない、魅力を失ったと、こういうことで途中で退学する人がふえている、こういうことを訴えておるのです。したがって、東大で、今後の方針として、看護学院の定員が五十名なら、五十名きちっと採って教育をしてほしい。私は、さらに、定員をふやしてもらいたい、全国の看護婦が足りないのですから。こういう用意があるかどうか。
 いま一つは、巷に眠る潜在看護力が二十五万人といわれている。この人たちを再教育して職場復帰の方途を考えておいでになるかどうか。なぜ看護婦さんが巷で眠っているか。あまり過酷な労働条件で、夜勤が多過ぎる、給与が低い、こういうことを非常に訴えております。
 これに対して、東大としては看護学院の定員増の計画があるかどうか。それから巷に残っております潜在看護力を吸収するための対策というものを考えておいでになるか。それからいま看護婦が現に足りないのに看護婦の増を約束しておいでになりますが、はたしてできるかどうか、そのお見通し等に対して伺いたい。このあいだも、あれは黒木さんが出している「医療新聞」を見ますと、ある病院の事務長は、あんな看護婦争議の妥結の約束は気休めだ、なれ合い芝居だ、こういうことをはっきり書いているので、私は腹が立ってたまらない。なれ合い芝居で争議が終わればいいんだと一時のがれでは困るのでありまして、今度は看護婦さんたちも非常な決意のようでございますので、そのお見通しをこの際はっきり伺わさしていただきたい。
#8
○説明員(清水成之君) ただいま藤原先生御指摘のように、東京大学で、五十人の定員に対しまして、四十三年度合格者発表が四十名ということは、確かでございます。私ども、東大当局と、その点につきまして、先生からの御質疑もございまして、いろいろ調査もし、考え方を聞いたのでございますが、先般も課長から申し上げましたような事情もございますが、一面、先生から御指摘がございました宿舎の問題があるということを東大当局からも聞いたわけでございます。そこで、私は、端的に申し上げまして、実は四十四年度の予算の各大学からヒアリングをいたしました際にこれは局長から特に各大学当局へ申し上げたのでございますが、看護婦さんの絶対数が不足している、こういう事態に対しまして、看護婦宿舎並びに看護学校の寄宿舎の整備について、大学局としては意を用いてまいりたい。できるだけそういうものにつきましては上順位で、しかも敷地等勘案の上でできるだけ出してもらいたい、こういう要請を実はいたしてまいったわけでございます。その他の大学につきまして敷地がきまっていないところもございますが、若干要請が参っておりまして、施設部としましてはこれを全面的に受けて立つと、こういう考え方で大蔵と折衝しているわけでございますが、東大につきましていろいろ相談いたしましたところ、実は、現在、大阪大学に医療短大ができております。それからまた、九州大学につきまして四十四年度に要求中でございますが、東大自体につきましても、今後、いまの附属看護学校のあり方でいくか、あるいは短期大学でいくかということのマスタープランが、東大医学部ないし附属病院で検討中でございます。それの結果を待って、短大でいくなら短大でいく、そちらの方向で私どもも考えていきたいと思っておりますが、御承知のとおり、大学全体、特に医学部、病院でああいう紛争が続いておりまして、そのマスタープランの検討が残念ながら進んでいないというのが実情でございます。そこで、私どもといたしまして、東大の看護学校でいくか短大でいくかという見通し、マスタープランができましたら、それを受けて立って整備に私どもも協力をし努力をしてまいりたい、かように思っておるのでございます。
 いま御指摘のように、単に看護婦宿舎とか看護学校の寄宿舎という問題だけではございませんで、これまた厚生省ともども努力を願ったり私どももやっておる点でございますが、給与の面の問題もあるわけでございます。それからまた、もう少し幅広く見ますと、病院におきます医局全体におきます看護婦の地位の問題、そういう医局のあり方という問題がやはり大きく関連してこようと思います。その点につきましては、待遇につきましては厚生省ともども私どもも今後とも努力をいたしてまいりたいと思っておりますし、それから医局のあり方等につきましては、ただいま私どものほうで大学附属病院におきます研究会を外部の方に御検討いただいておりまして、そういう点の改善の御審議をいただいておる、こういう最中でございます。
#9
○藤原道子君 委員長、この看護婦の問題は非常に重大でございますので、日を改めて一日看護婦問題で委員会で論議をするというようなことをお願いしておきます。
#10
○委員長(加瀬完君) はい。
#11
○藤原道子君 文部省当局のいまの御答弁でまださらに追及したいのでございますが、きょうは私に与えられた質問時間は一〇分なんです。したがって、この約束をほごにして再び不測の事態が起こらないように、約束したことは必ず努力をして実現するという方針で進んでいただくことを強く要望いたします。
 さらに、厚生大臣、看護婦さんの問題は、いつもいつも私も飽きるくらい取り上げている。一向解決がしない。いま、御答弁の中に、看護学院でいくか看護短大でいくかということが検討されておる。そこで、私は、常々申し上げておりますが、いま、看護婦は、高等看護学院が一つある。短大が一つある。それから大学制――四年制のところもある。それから中学を卒業して二年間の准看護婦がある。同じ職場で働くのにいろいろ入りまじっておる。高等看護学院ならば三年です、高校を出て。ところが、短大は二年なんです。それで、同じような資格で国家試験を受けて、それから高等看護学院を出たのは学力とみなされないで、ほかで就職するときには高校卒の資格しかないんです。いろいろ矛盾がございます。したがって、あくまで看護婦は一本でなければいけない。教育法に基づく看護学校、こういうものをつくるべきだという主張で来ておりますが、この前の大臣のときにも、文部当局と打ち合わせなければなかなかそれは実現が困難だ、目下折衝中でございますというような答弁を聞いて、もう一年くらいたつ。今後の看護婦の教育、看護婦充足の方法等についてどの程度の折衝が行なわれておるのか、はたしていつごろ具体的になる見通しなのかということをこの際お伺いしたい。
 さらに、きょうは東大のほうだけを申し上げておりますけれども、国立大学の二十四校みんなこの騒ぎをしている。それじゃ国立病院はどうか。ここでも絶えず争議が繰り返されておる。基本は、いつも看護婦の不足問題です。こういう点について、国民の健康を守る立場にある大臣といたしまして、どういう御所見でおいでになるか、国民が安心して医療が受けられるような医療体制、こういうものについての大臣のお考えをお聞かせ願いたい。
#12
○国務大臣(斎藤昇君) 看護婦の問題は、国民医療の面におきまして非常に重大な問題だと思っております。また、いま当面をしていると思っております。先日も委員会でるる御質問をいただき、御意見をいただき、私も非常に啓発をされました。この問題には一日みっちりこの委員会においておやりになりたいという御希望でありますが、私もそれまでにみっちり勉強いたしまして、そのときに十分御意見を伺いながら御返事もさしていただきたい、私もさらに検討したいと思っていることがございます。いまの看護婦の充足計画が、はたしてこれがいいかどうかということも、もう一ぺん洗い直してまいりたいと思っておりますし、このあいだ伺ったことについてさらに十分検討を加えて、先ほどのことをもしこの委員会でお取り上げになるならば、その機会に十分むしろ教えていただき、意見の交換をさしていただき、方針を研究してまいりたい、かように思います。
#13
○藤原道子君 最後に一つ……。この前も申し上げましたけれども、いまの四人に一人も検討するというから、あわせて検討してほしいんですよ。四人に一人の定員は、病床と看護婦さんを割ってやむを得ずきめました、ほんとうはその当時ですら二・五人に対して一人がほしいのだということを厚生当局は言っていた。ところが、その後、医術がどんどん進んで、看護の内容も違ってきている。それが相変わらず四人に一人なんです。だから、定員を確保できても、看護婦さんはとてもやり切れない。したがって、いまの段階では、二人に一人の看護婦が必要だと思う。看護婦が足りないために、不測の事態が各所に起きている。国民は安んじて治療が受けられない、こういう立場にございます。したがって、看護婦の養成をどうするか、巷に眠っている有力な看護力をどう吸収していくか、あわせまして今後の看護婦の定員がいかにあるべきかという点も十分検討していただきまして、可及的すみやかに結論を出していただきたいということを強く要望いたします。
 東大のほうにおきましても、せっかく妥結いたしましてこの覚え書きができても、看護婦が高等看護学院で学んだことがなかなか実地には行なわれていない。この悩みを解消するように御努力をいただきたい。定員の問題もございます。あるいは雑用の問題もございます。いろいろございますので、寄宿舎をつくること、看護婦の充足をすること、さらに、二十四時間保育、これがあればたいへん助かるというのが巷にいるいま他の職についている看護婦さんたちの主張でございます。どうぞ、そういうこともあわせて御検討願いまして、そのうち安心のできるような御答弁をいただきたいと思います。いかがでございましょうか、大臣、もう一ぺん決意を……。
#14
○国務大臣(斎藤昇君) ただいまのお話の点、重々心に銘じまして、良心的に私のほうで検討して御答弁のできるように今後さらに推進をはかり、また、勉強いたします。
#15
○委員長(加瀬完君) 藤原委員の申し出は、理事会にはかって善処いたします。
    ―――――――――――――
#16
○上林繁次郎君 きょうの新聞を見ますと、来年度の生活扶助費の引き上げ幅が九%に押えられるような見通しが強くなったようであります。こういう状態は、西欧諸国におくれている日本の社会保障制度のますます後退という以外ない。いろいろな論議はあると思いますけれども、何といっても、目先の問題でなくて、日本の社会保障制度というものを西欧諸国並みにいつまでに持ってくるか、こういう問題が最も大事な問題だと、そういうふうに思います。そういういわゆる基本的な考え方をがっちりと持っていただきたい、こういうふうに最初に要望と申しますか、申し上げまして、問題点に入っていきたいと思います。
 佐藤総理は、絶えず、人間尊重とか、あるいはまた福祉国家の建設、こういうように言ってまいりました。そういう公約それ自体が現内閣の重要な施策の一つになっている。昭和四十三年度の「厚生白書」を見ますと、社会保障に対しては国庫負担のワクを拡大すべきである、こういうふうに言っているわけです。ところが、いま申し上げたように、新聞にも発表されました、あるいは今回の財審の報告書を見ても、財審の報告書のごときはますます日本の社会保障というものを後退させていくようなそういう言辞が並べられております。こういった財審の考え方、こういうものを大蔵省としてはそのまま取り入れていくのかどうか。そういう一つのあらわれとしてきょうの新聞の発表というようなことになったかもしれませんが、いずれにしましても、そういった点につきまして、財審の報告をそのままのんでいくのかどうか、そういう考え方で大蔵省もいるのかどうかという点をまず大蔵省のほうから答えてもらいたい。
#17
○政府委員(沢田一精君) こまかい点につきましては、担当者が参っておりますので、お答えをいたさせたいと思いますが、まずお尋ねの財政制度審議会から「社会保障における費用負担についての報告」というものが出されまして、主として財政制度面からわが国の社会保障のあり方ということにつきまして答申を受けましたわけでございます。私が申し上げるまでもなく、専門家を相当網羅いたしまして、熱心に御審議をいただいたわけでございます。いまのお尋ねでございますが、結論として申し上げますと、いろいろとわが国の社会保障制度というものが問題をはらんでおりますけれども、逐年充実されてまいりましたことは事実でございます。したがいまして、長い将来を展望いたしましてあるべき姿といういうことになりますと、今回の財政制度審議会の答申というものがかなり尊重すべき意見を盛り込んでおるというふうに実は思っておるわけでございます。しかしながら、これは将来のある意味におきましては理想的な姿でございまして、当面それでは直ちにそういった方針ですべてよろしいかということになりますと、なかなかまだ日本の現状からいたしまして問題があろうと思うわけでございます。したがいまして、過渡的なと申しますか、当面しております幾多の問題を解決しますためには、必ずしもこのとおりにいけるものでもなかろうと思います。ただ、繰り返すようでございますが、将来を見通しました一つの非常に示唆に富んだ報告であるというふうに私どもは評価してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
#18
○上林繁次郎君 財審の報告について相当これを取り入れるものがあると、こういうふうに私は聞きましたけれども、そうすると、私のいま申し上げていることは、社会保障の後退であるという考え方、こういうふうに申し上げているわけです。いま大蔵省の政務次官のほうからお話があったわけですが、厚生大臣としては、いまの大蔵省の考え方についてどういうふうに考えておられますか。
#19
○国務大臣(斎藤昇君) わが国の社会保障の現状は、私は、日本の産業経済の現状に比べまして、まだまだ手薄いと考えております。何も外国を手本にする必要は全然ないと思いますけれども、しかし、わが国の経済の発展、科学技術の進歩、それに伴って、それに即応してと申しますか、さらに新しく進めてまいらなければならない点もありまするし、物価や国民生活の水準が上がってまいっておるわけでありますから、したがって、まだ国民生活の低い時代に基礎を置いた制度そのままではとうてい日本の現状に追いついていけないように思っております。さらに、日本の生活水準もまだまだ高まっていくわけであります。全般の生活水準が高まってまいれば、その生活水準に達しない人たちに対する社会保障ということもますます大事になってまいりますので、大蔵省の所管の財政制度審議会の答申は、これはまあ金のやりくりの面から出たものだと思います。日本の今後の社会のあり方というものから考えまして、いま一歩前進を――一歩どころじゃない、二歩も三歩も前進をしなければならぬ、かように考えております。
#20
○上林繁次郎君 その辺、ちょっと食い違うところがございます。だいぶ食い違うわけであります。大蔵省は、少なくとも社会保障に関する限り、その運用の考え方について、この財審の意見、考え方というものを尊重するのか、あるいはまた社会保障制度審議会の考え方というものを尊重するのか、その辺のところをあなたは社会保障制度に限ってどちらを尊重しているのか、その考え方についてひとつ……。
#21
○政府委員(沢田一精君) 私が先ほどお答えいたしましたように、私どもとしまして財政制度審議会に諮問をいたしました考え方の基本は、あくまでも財政的な面から検討を願いたいということでございます。必ずしも財政制度審議会と社会保障制度審議会と全くすべての点において相反するものとも考えておりません。ただ、先ほどから私が申し上げておりますのは、もういまさら申し上げるまでもございませんけれども、社会保障の諸制度と申しましても、やはり国民の負担の上に成り立っておる制度であるということで、したがいまして、やはり緊要度の高いものから優先的に充実をはかっていくべきである。まあすべてがいまの日本の現状からしますると緊要度があるということになるのでございましょうけれども、限られた国民の負担の上に立っていろいろな制度を運営していきますからには、各制度間の均衡ということもございましょうし、緊要度ということも当然考えなければならぬ、かように思います。たとえば保険料の負担にいたしましても、国民の所得の能力に応じましてきめていくというようなこともやはり当面必要ではなかろうか。そういった幾つかの基本的な考え方につきましては、先ほども申し上げましたが、長い目で見ていろいろな社会保障制度を整備充実していきます上から絶えず検討を加えていくべき問題ではなかろうか。そういう意味では、私どもは、財政的な面からいたしまして財政制度審議会の今回の答申というものを評価していくべきではなかろうか、かようにお答えをいたしたわけでございます。
#22
○上林繁次郎君 その点につきましては、またあとで話を聞かしてもらいたいと思います。先に進みたいと思います。
 私は、いまあなたが言ったように財政上の都合ということですが、そういった問題ももちろん無視しているわけではありません。財政を無視して何ものも成り立つわけではないですから、これは考えていないわけではない。しかし、今度の財審の報告を見ても、非常に専門的である。たとえば、医療料の引き上げ、あるいは児童手当制度にまで言及しているわけですね。こういう行き方というのは、総理の諮問機関である社会保障制度審議会あるいは社会保険審議会、こういったものの権威を損うものである。もし財政の都合だけで財審の報告それだけをあなたのほうでのみ込むとするならば、これらは要らないということになる。私は、それは少し行き過ぎではないか、こういうふうに考えますが、この点はどうでしょうか。
#23
○政府委員(沢田一精君) 繰り返して申し上げておるように、財政的な側面から検討を加えたということでございます。御承知のように、財政面からだけ申しますならば、わが国の財政が規模としては非常に伸びてまいりましたけれども、最近著しく硬直化を示しておる。これはまあ一がいに悪いと言えるかどうかわかりませんけれども、要するに、義務的経費の増加というものが相当大きなウエートを占めておる。したがいまして、ある程度制度、慣行というようなものにつきまして検討を絶えず加えていく必要があるのじゃなかろうか。そういった趣旨から諮問をし、今回答申を得たわけでございます。児童手当の問題あるいは医療費の引き上げというようなことにお触れになりましたけれども、児童手当が当面要らないのだというようなことを結論づけようとしておるわけでは決してございません。その点はひとつ御了承をいただきたいと思うわけでございます。
#24
○上林繁次郎君 児童手当の論議をしようとは思っておりませんけれども、その児童手当一つを言っても、何年から総理がそれを実施するのだというようなことを言っていたか、あなたは御承知のとおりだと思うのです。そういった話というものは、もちろんこれから先何年かたって、あるいは何十年か知らないけれどもたって行なわれることは当然でしょう。だけれども、それは時期の問題である。ですから、そういう論議をしてもしようがありませんのでそれはやめますが、この財審の報告は社会保障についていろいろと論及しているわけです。ただ、あなたの話を聞いていると、財政上だけの都合、これを優先しておる、こういうことです。社会保障が財政に従属するような答申は、私は根本的に間違っておると思う。このような考え方について、前厚生大臣は、最後の閣議で何とおっしゃったか。それに対しては強く反駁をしている。前厚生大臣がそういう考え方は誤りであることを強く指摘しておるわけです。閣議でありますから、当然大蔵大臣もいらっしゃったけれども、大蔵大臣はそれに対して何ら触れていない。触れていないということは、本質的には大蔵大臣も前厚生大臣の社会保障に対する考え方というものを容認しておる、認めておる、こういうふうに私は解釈したいわけであります。こういった財政に社会保障が従属するというのでなくて、まず社会保障というものを基本にして、それに財政がついていくという、そういう考え方が基本的にほんとうではないか、私はこういうふうに思うわけです。この点について、もう一度大蔵省の考え方を聞かしていただきたい。そうして、そのあとに厚生大臣の御意見も伺いたいと思います。
#25
○政府委員(沢田一精君) 財政制度審議会のこの報告について、大蔵大臣から閣議で報告をいたしました。それに対して、前厚生大臣から特に意見が述べられたわけでございます。私が承知しておりますところでは、その際、総理から、大蔵省の意見はないかという発言がありまして、大蔵大臣から報告書のとおりであるという一応の答えがなされたようであります。
 いま御指摘のように、財政がすべてに優先するということであってはならないと思うわけでございます。これはもう私が申し上げるまでもなく、そこには政治的な配慮というようなものがいろいろな施策の面におきまして生かされてこなければ、単に財政だけが健全であって、そうしてそれですべて終わりということであっては、これはもう私どもがこうしていろいろと御意見を聞き、お答えをする必要もないわけでございましょうし、国会の審議ということに関しましても基本的に疑義が出てくるかもしれない。これはまあ私見でございますけれども、そういう感じがいたします。やはり、その時点におきまして何が大切であるか、どういうことをすべきであるかということを考え、同時に、また、しかし、長期にわたるある程度の見通しを立てまして、その制度のあるべき姿というものの理想を絶えず頭に置いて、それに近づくようにするという努力もまたしていかなければならぬと思うわけでございます。政治と財政の調和をはかりつつ所期の目的をあげるという考え方で対処していくべき問題だろうと思います。お答えが非常に抽象的になりましたけれども、先ほど来私が申し上げておりますことは、そういう意味でございます。
#26
○上林繁次郎君 この財審の報告書を見ますと、七ページに、「わが国の社会保障にはなお充実を図るべき分野が多く残されている。社会福祉等の分野においても現状必ずしも十分というわけではなく、又社会保険においても年金制度等今後の充実が必要なものが存在する。しかし、医療保険に巨額の租税財源を投じている現状のままではそれは著しく困難である。わが国社会保障の全体としての均衡ある発展を望むならば、この際そのあり方に根本的な再検討を加え、いかなる給付をいかなる財源によって行なうかについて明確な理念を確立し、これに基づいて逐次社会保障の給付と費用の再編成を図ることが必要である。」と、こういうようにあります。この「根本的な再検討を加え、」なんというようなところは、受益者負担というようなことが言いたいのでしょうけれども、そういったことは別としまして、医療に金がかかる。いまの社会保障費の大部分は医療にかかる。だから、ほかの面のおくれはあるけれども、いまのそういう状態ではそのおくれを取り戻すことはできないようなことを言っているわけです。ですけれども、医療費がよけいにかかるということは、専門家の中でも言われているのですが、結局、そのことによって寿命も伸びました。また、疾病も少なくなった。そういうようなことで非常に効果があがっているわけです。それを無視して、財審の報告は、それに金がかかるから、だからほかのことはできない、こういうようなことを言っているわけですが、こういう考え方は根本的に間違っている。医療以外のいろいろな施策がおくれておる、西欧諸国に比べて。それをたなに上げて、そして医療に金がかかるからとてもほかのことはできないという財審の報告、また考え方、それを大蔵省がそのままのむとするならば、大蔵省の考え方もこれはおかしいじゃないか、こう思います。ほかのいわゆる施策がおくれているのだ。だから、医療は医療だ。専門家が言っているように、寿命も伸びた、こういう面でもこういう結果が出た、そういうはっきりした結論が出ているわけでありますから、こういう考え方は間違いで、ほかのおくれをもっともっと財源を投じてこれを向上させていくという考え方、これが正しい考え方であると、こういうように思いますけれども、この点はどうなんですか。
#27
○政府委員(沢田一精君) この報告書にありますように、医療に相当の金がかかっておるということは事実でございますが、いま御指摘がありましたように、医療に金がかかり過ぎるからほかの制度に手が回らないのだという考え方は、私も間違っておると思います。医療制度自身については、やはりそれ自体として改善を検討さるべき性格なものだろう、私はかように考えます。
#28
○渋谷邦彦君 ちょっと関連して。財審の結論が出て論議されておるわけですけれども、いままで、大蔵省当局として、審議会の答申というものはどの程度尊重されてきたのか。全面的に取り入れられてきたのか、それとも部分的に取り入れられてきたのか。今後も、尊重とはいうけれども、どの程度の尊重ということを言われておるのか、その辺を明らかにしていただけませんか。
#29
○政府委員(沢田一精君) どうも的確なお答えはできないかもしれませんけれども、まあせっかく専門家もまじえまして勉強をして出していただきました報告書でございますから、できるだけ尊重をしなければならぬというふうに基本的には思っておりますけれども、それじゃどの程度であるかということになりますと、事柄とその緊要度あるいは難易ということによりまして具体的に申しますならば差が出てくるだろう、かように思っております。抽象的なお答えですみませんけれども、できるだけいい点は尊重をしていこうという態度で。ございます。
#30
○渋谷邦彦君 いままでの常識として、審議会がたくさんございますが、守られないというのが大体通り相場のようになっているようなんです。まあ審議会がないよりはあったほうがよろしい。多少でも専門家の意見を聴取しながら、政府自民党としてかねがね考えていた施策というものを正当化しよう、そういうところに隠れみの的な考え方がおありになるのではなかろうか。ですから、単なる財審の答申にいたしましても、どこまで一体政府として信頼されておるのかどうか、そこで議論の分かれ道にもなると思うのです。財審のことを土台にして言ったほうがいいか、大蔵省当局の基本的な考え方を軸にして今後の社会保障全般に対しての財政というものを論議したほうがいいか、こういうふうになると思うのですけれども、ただいま申し上げましたように、どうも政務次官の御答弁では、その辺が不明確のようでございます。今度、内閣の改造によりまして、根本的に施策が変わるとは思いませんけれども、やはりニュアンスの違いというものは必ず出てくると思うのですね。しばしば社会保障という問題は西欧先進諸国と比較をされながらこの委員会でも論議が繰り返されてきているわけです。けれども、答弁は通り一ぺんの答弁という印象が非常に強烈であります。先ほど政務次官のおっしゃっていることも理解できるんですよ、財政というものもやはりそれなりの仕組みによってできているわけでございますので。だからといって、基本的な方向というものは、いまもここで論議されておりますように、明確な今後のビジョンというものがあってほしいのじゃないか、こう思うわけなんですね。そういうところのつながりというものがぼやけている。したがって、いまの答申というものをはたしてどこまで尊重されているのか、これからも尊重するのか、それはただ参考程度にしかしないのだという程度なのか、ここでやはり方向が大きく違ってくるのじゃないかと思いますので、将来のこともございますから、まず基本的な問題を明確にしていただいて進んだほうが話が進みやすいのじゃないか。もう一ぺんその点を明らかにしていただければ……。
#31
○政府委員(沢田一精君) ごもっともな御意見だと思って拝聴いたしたわけでございますが、こういうことを言ったんではあるいはおしかりを受けるかもしれませんけれども、先ほど来繰り返しておりますように、財政的な側面から検討を加えたという趣旨のものでございます。社会保障全体の将来のビジョンということになりますれば、これは役所の区分のことを申し上げて失礼でございますけれども、ここに厚生大臣もおいでになりますが、やはり厚生省で相当なビジョンを描いておられるだろうと思うわけでございます。私どもは、役目柄と申してはなんでございますけれども、やはり財政の面をとかく重視しがちでございます。そうあっていいかどうかということは、これはまあ議論の分かれるところでございましょうけれども一、やはり大蔵省的な考え方から申しますと、とかく財政の問題が重点になりがちである。もちろん、制度を確立していきますためには、財政が一番大きな要素ではございましょうけれども、しかし、制度自体の本来のあるべき姿、あるいは明確なビジョンということになりますれば、絶えずそのことを念頭に置いてお考えになっております厚生省あたりで描いておられると思います。そういうものを突き合わせまして、そうして政治的な考慮を加えながら一つの制度として打ち立てていく、こういう仕組みで行政は流れていくものだろうと私は承知をいたしております。私のほうは、これは釈明ではございませんけれども、財政的な面をあまりにも強調し過ぎる。しかし、それだからといって、財政優先ですべての施策が行なわれるということになってはならない。これは私どもが十分考慮しなければならないことである、かように考えておるわけでございます。
#32
○上林繁次郎君 先へ進みます。もう一度この報告書で、ございますが、ここにこうあります。「給付と費用負担のアンバランスから、一時的にもせよ社会保障の後退を余儀なくされた西欧諸国の例はもって他山の石とすべきである。現在の社会保障制度が財政硬直化の一因となっていることは、そうした意味のものであることを、当審議会は指摘する。」と、こうある。たとえば四十三年度の「厚生白書」を見ますと、「イギリス経済の不振の原因は、社会保障以外にあるというのが、今日の定説である。」と、こういうふうに言われているわけですけれども、現在の日本の硬直化が社会保障に原因があるのだという考え方、これはとんでもないことだ。ほんとうに大蔵省はそういう考え方でいるのかどうか、これは財審の報告ですから、政務次官にお尋ねするわけです。
#33
○政府委員(沢田一精君) 先ほども申し上げましたように、財政の硬直化と言われておりますことばはいろいろ意味があると思いますけれども、わかりやすく申しますならば、義務的経費が累増して、そして予算の規模が毎年ふくらんでまいりましても、そのうちの大部分が義務的経費の自然増に振り向けられる。したがって、そのときどきに応じて自主的に判断して必要なところへ回す金がない、その余裕が非常に乏しいということが硬直化と言われておる意味であろうと思うわけでございます。もちろん社会保障関係の経費が累増してそれが主要な原因であるというふうには私は思っておりませんけれども、その中の一つの部門を占めておるということは数字の面から見ますると言えると、かように考えるわけでございます。
#34
○上林繁次郎君 わかりました。堂々めぐりしそうでございますので、先へ参りますけれども、日本の社会保障制度は、制度は一応確立はされてきたけれども、この内容が西欧諸国に比べて非常に乏しいということは、政務次官も認めていらっしゃると思います。そこで、経済社会発展計画であるとか、いろいろと社会保障についてはそういう中で考えられてきているわけです。また、ある程度のビジョン的なものが掲げられてきているわけです。そういうものが一つも実現されていないというのが現状であります。それで、先ほども渋谷委員からありましたように、何年には日本の社会保障というものを西欧並みに持っていく、こういう一つのビジョンというものがなければならないと思う。大きな立場から、社会保障というものを、金の面だけでなくて、いわゆる政治の要諦でもある。この問題をそういう大きな立場からもっともっと大蔵当局も考えていかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。失礼な言い方かもしれませんけれども、昭和三十七年だったと思いますけれども、社会保障制度審議会のほうからそういった問題について答申がなされております。昭和四十五年ですかまでにはイギリスの――これは例を申し上げますが、イギリスの三十六年当時ですかの水準まで持ってくるというふうに言われているわけでありますね。そういう答申があった。そういったことで現状を見ますと、三十九年までしか出ておりませんけれども、四十一年の時点で国民所得に対する振替所得の割合を見てみますと、日本の場合は、一人当たりの国民所得が六百四十六ドル、そして振替所得が五・五%、こういうようなことになっているわけですね。三十六年当時のイギリスの状態を見ますと、国民所得が千百七十六ドル、そして振替所得は八・一%です。四十五年までにこの水準まで持ってくる、こういうことなんです。振替所得だけを見ても、四十一年度はわが国においては五・五%、イギリスは三十六年で八・一%です。同時に、一人当たりの国民所得は、イギリスの場合には千百七十六ドルです、四十一年の時点で日本人一人当たりの国民所得は六百四十六ドルです。もうこういう差があるわけですけれども、これをたとえば振替所得八・一%まで四十五年度までに持ってきたとしても、国民所得の上からいえばぐんっとまだ低いものだということが言えるわけです。ですから、ただ一時的な現在の財政の硬直化とかなんとか言われますけれども、目先の問題でなくて、そういう長い将来――それだけのことを大蔵省が言うんだったらば、社会保障制度審議会で答申されているこういう大きな立場からの社会保障という問題、こういった問題もあわせて考えていくべきではないかと思うわけですね。ここまで少しでも西欧諸国に追いついていく。この状態では追いついていかないのです、いつまでたっても。そういった点については具体的にどういう考え方を持っておられるのか、これは財政面から私はお尋ねをしておきたいと思います。
#35
○説明員(辻敬一君) 数字の問題でございますので、私からお答えを申し上げます。
 ただいまお示しのとおり、日本の三十九年の国民所得は六百四十六ドルでございまして、振替所得の国民所得に対する比率が五・一%でございます。それからイギリスにおきましては、三十六年の一人当たりの国民所得が千百七十六ドル、国民所得に対する振替所得の比率が八・一%ということになっておりますのは、御指摘のとおりでございまして、日本の社会保障の水準が低いことであろうかと思います。
 ただ、一方、租税負担と社会保険料負担の国民所得に対する比率、つまり負担面も考えなければならぬわけでございまして、ただいまお示しの年次をとってみますと、三十九年は、日本の場合が租税負担と社会保険料負担の国民所得に対するパーセントは二四・一%、これに対しまして、イギリスの三十六年のお示しの時点でございますと、三五・九%、つまり日本の場合には租税負担あるいは社会保険料負担の水準もイギリスに比べて低くなっておるわけでございます。
 そこで、財政制度審議会の報告の中にもございますように、やはり給付と負担とのバランスがございますので、「社会保障は国民の負担の上に成立っている制度であるから、その負担が可能な限度においてのみ給付の拡大が可能である。給付の拡大は、減税の見送りか、増税か、保険料の引上げか等々に直接つながる国民的選択の問題であることを十分認識しなければならない。」とされておりますのは、その点の御指摘であろうと、かように考えておるわけでございます。
#36
○上林繁次郎君 まあ専門的になりますとあれですが、いずれにしましても、日本の社会保障制度がおくれている、社会保障がおくれているということだけは認めますね。その点はどうですか。
#37
○政府委員(沢田一精君) 制度的に見ましても、あるいは内容の面におきましても、まだかなりおくれておるということは御指摘のとおりだと思います。
#38
○上林繁次郎君 いま専門的にいろいろな話がありましたけれども、それだけの詳しいことを言うなら、逆に今度はこっちが突っ込んで言うなら、それじゃ、そういう租税の負担率とかそういったことを全部引っくるめて、そうして何年度においてはちょうどそのすべてを換算してバランスがとれるのだ、そうしてこの水準まで持ってこられるのだという、そういったものを出してあるのですか。
#39
○説明員(辻敬一君) 経済社会発展計画におきましては、振替所得の比率を目標年度の四十六年度までに二%程度上げるということになっていると承知をいたしております。
#40
○上林繁次郎君 じゃ、二%上げれば、いつの時点でもって西欧並みになると、こういうことですか。
#41
○説明員(辻敬一君) さしあたりの目標といたしまして、四十六年度までに現在の振替所得の国民所得に対する比率を二%程度上げる、こういうことであろうと思います。
#42
○上林繁次郎君 そうじゃない。二%上げるというそのことではなくて、いつになったら、いつの時点で、そうしていけば西欧並みになるのかということを私は聞いているのですよ。
#43
○説明員(辻敬一君) その点は、先ほど申し上げましたように、やはり負担とのバランスの問題もございまして、経済社会発展計画におきましても、保険料等は必要のものは引き上げるということが示されていると思いますけれども、要するに、やはり負担とのバランスという問題であろうかと思います。
#44
○渋谷邦彦君 ちょっと関連して。給付と負担のバランスは、それはそのとおりだと思うのです。それはもう原理でございますので。いまおっしゃられた負担、これは保険料の値上げだけを意図されるのか、それから税制全般にわたってそれを引き上げなければ給付と負担のバランスがとれないのか、の辺の調整を十分見きわめた上で社会保障制度審議会で出された答申の線に沿って、まあ九年計画になりますか、それを三十六年度におけるイギリス並みにしていこうという政府側としての方針を現在も貫いているのかどうなのか。また、現在の時点において、今後、五カ年計画であるとか十カ年計画というものを新たに目標を立てる必要に迫られているのかどうなのか。その辺が明らかになってくれば、いまの問題がまたより明確になるのではなかろうかと思いますので、私のほうからも関連としてお伺いをしておきたいと思います。
#45
○委員長(加瀬完君) どなたがお答えになりますか。
#46
○渋谷邦彦君 大蔵省でも厚生省でも、どちらでも……。
#47
○説明員(首尾木一君) ただいまの御質問でございますが、給付と負担の問題ということに関連をいたしまして、負担のほうを、たとえば国庫負担、あるいは保険料というような形、どういう形で負担するかということにつきましては、これはいろいろ問題が多い点でございますが、いずれにいたしましても、その全体を含めまして、経済社会発展計画におきましては、目標年次であります四十六年度までに、計画の基準年次から国民所得に対する二%程度振替所得をふやすというようなもくろみでもって計画を立てておるわけでございます。なお、その経済社会発展計画をきめます際に、いろいろ制度のこまかい点にわたりまして積み上げ的な計算は必ずしも行なっておらないわけでございまして、従来の社会保障における負担の趨勢でありますとか、あるいは給付費の趨勢でありますとか、そういうものを勘案をいたしまして、一方でわが国の社会保障のワクを拡大するというような考え方から、総ワクといたしまして二%のものを積み上げるというような考え方であったわけでございます。
 なお、全体といたしまして、それでも西欧水準に比較いたしますと振替所得というものは小さいわけでございますが、この大きな原因になっておりますのは、現在のところ、まだ年金が本格的な給付の段階に入っておらないというような点がございます。それからまた、諸外国において実施されております児童手当制度が実施されておらないといったような問題がございますので、将来は、こういう問題を含めますと、振替所得のワクというのは相当程度拡大をするということになっておるわけでございまして、私どもといたしましては、現在検討されております医療の抜本対策でございますとか、あるいはやがて具体案が確定されると思います児童手当制度等を含めまして、将来わが国の社会保障水準というものを見劣りのしないりっぱな水準にまで引き上げる、そういう方向で将来とも長期的な計画の詰めを行なっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
    ―――――――――――――
#48
○上林繁次郎君 それでは、時間の関係もありますので、先に進みたいと思います。大蔵当局はけっこうでございます。僻地の医療対策についてお尋ねしたいと思います。
 医務局と保険局の僻地ということに対する見解も考え方が少し違うような感じもするのですが、そういった点からひとつお聞かせを願いたいと思います。
#49
○政府委員(松尾正雄君) ただいまの僻地という考え方の御質問でございますけれども、この場合、私どもが僻地医療という観点からとらえておりますものは、医療機関のない地域で、その中心的な場所から大体半径四キロメートルぐらいのところの地域の中、五十人以上が住んでいる、こういう地域を一応とらえまして、そういうものを一応医療機関のない無医地区という考え方でとらえておるわけでございます。しかし、その中でも、僻地性といいますか、そういうものはかなりやはり地域の間に差がございます。非常に僻地性の強い、交通事情その他から考えましてもそういう医療対策上非常に解決の困難なような度合いのところもございますれば、人口の基準以上の度合いというような、ものによりましては解決が比較的やさしいと思われるような僻地性というようなものも、ございますので、その僻地というものも、いろいろ対策を考えます場合には、ただいま申しました地域の中で、さらに人口区分、あるいは交通その他の事情というものを組み合わせた分け方をいたしまして、それぞれに対応するような対策を考えていきたい、こういう私どもの基本的な線で進めております。
#50
○政府委員(梅本純正君) 保険行政の点におきましては、ただいま医務局長から御説明いたしましたように、半径四キロぐらいの地域につきまして、医療機関の不足しております施設について、建物の改築及び整備拡充に要する費用の三分の一を補助する、あるいは、先ほどの地域で当該直営診療施設しかない地域に設置されています施設につきましては、運営上の赤字を生じているものに対しまして赤字額の二分の一を助成すると、こういうふうな制度で運営いたしておりまして、被保険者が保険料を納められておる、それについて利用する施設が十分でないという地域につきまして、先ほどのような整備関係の、あるいは運営上の補助をやっておるという制度でございます。
#51
○上林繁次郎君 医務局の僻地医療については、いま、どういうような対策を考えているのか、今後の問題として。
#52
○政府委員(松尾正雄君) 僻地の医療対策につきましても多少時代的な変遷がございまして、三十一年からの第一次僻地の無医地区対策というときの中心は、もっぱらそういう地域に診療所をつくっていく、いわゆる昔で言いますところの無医地区診療所でございます、そういう診療所をつくっていくということを重点にして最初の五カ年間をほぼやってまいりましたが、途中から、次第に、診療所の運営の実態でありますとか、あるいは交通事情の発達というものが出てまいりましたために、そういう診療所だけの対策では必ずしも十分カバーできない、むしろそれが効率的でないと思われる面も出てまいりましたので、三十六年以後特に三十八年以来の第二次の五カ年計画におきましては、機動力を使うという点にある重点を置いてまいりました。したがいまして、巡回診療車でございますとか、患者輸送車、あるいは離島等におきましてはそれを舟にする、あるいは雪の多いところでは雪上車にかえる、こういうふうなことでもっぱら機動力というものをこれにさらに組み合わせてまいる、こういうふうなことを中心にやってまいりました。
 それで、診療所といいますものを設置します場合、現在もその方式をとっておりますが、これは御承知だと思いますけれども、きわめて人口が希薄でございますと、診療所をつくりましてもなかなかうまく運営ができません。そういうことでございますので、先ほど来申し上げました僻地の中でも、人口が千人以上と思われるようなところは診療所をつくるという方向で対応する。それからそれ以下の人口でございますれば、一番僻地性の高いところは、そういう患者輸送車というのはマイクロバスを大体考えておりますが、それを市町村に補則いたしまして、そうして患者さんをそこから毎日定期的に医療機関のあるところまで運んであげる、そこで自由にいろいろな医療機関をお選びになって保険診療が受けられる、こういうような患者輸送車を中心にした対策でございます。それからそのほか多少まだ自発的と申しますか、その地域の交通その他でもってある程度解消できておると思われますようなところは、巡回診療車というようなものでその間を埋めていく、こういうことが現在までとってまいりました対策の骨子でございます。
#53
○上林繁次郎君 国保の直営診療所の現状ですね、これをひとつお話をしていただきたいと思います。
#54
○政府委員(梅本純正君) 先ほど申しましたように、直営診療所という形で僻地の関係につきまして国民健康保険の立場からやっておるわけでございますが、その状況を申し上げますと、半径四キロ以内に当該直営診療所しかない地域、いわゆる先ほど医務局長が申しました僻地でございますが、に設置されているものが七百九十四個所ございます。それから人口二千人に対しまして医療機関の数が一つに満たない町村、いわゆるまあわれわれのほうでは医療機関不足市町村というふうに言っておりますが、そこに施設を設置しておりますものが五百五、その他八百五十七でございまして、そのほかに最近の現状としまして休止いたしております施設が四百七十三ございまして、合計二千六百二十九個所の施設を設置いたしておるわけでございます。
 ちょっとこの際ついでに申しておきますが、先ほど申しました四十三年の四月一日現在で休止しております施設が四百七十三と申しましたが、これは、交通機関の発達、あるいは一般医療機関の進出、その他公的医療機関への貸与などによりまして休止しておるわけでございまして、地域的に見ました場合の医療の確保につきましては特段に支障を来たしていないというふうに考えております。
 なお、昭和四十三年度の整備費補助金の交付状況でございますが、僻地八十七件につきまして五千三百三十五万五千円、それから医療機関不足の市町村百二件に対しまして一億一千六百六十四万五千円、計百八十九件に対しまして一億七千万円の補助金を交付しておる現状でございます。
#55
○上林繁次郎君 遊休施設があるわけですね、いま。四百七十三個所ありますか。この現状といいますか、これはどういうようなことになっておりますか。
#56
○政府委員(梅本純正君) いま申し上げましたように、交通機関が発達をしましたとか、あるいは一般医療機関が進出されましたので国民健康保険の立場からはもうその必要がなくなった。あるいはまた、他の公的医療機関に貸与するというふうな状況によりまして休止をしておるものでございます。地域的に見まして特段に医療の確保につきましては支障がないというふうに考えております。
#57
○上林繁次郎君 施設の補助率、これは保険局では三分の一、それから医務局でやる場合には二分の一になっておりますね。そういう面での医務局と保険局の行政の一本化といいますか、そういったことで、この補助率を、保険局では三分の一でやっておる、医務局では二分の一だ、これを少なくとも統一したらどうか、こう思うのですが、この点はどうですか。
#58
○政府委員(梅本純正君) 御承知のように、国民健康保険法の直営施設につきましては、保険者が被保険者の療養の給付を行なうために設置運営するという目的になっております。先ほど医務局長の説明いたしました僻地対策というものと保険という立場で目的は少し違っておりますし、まあそういう点におきまして私のほうの行政の点におきましては、被保険者がせっかく保険料をお納めになっておってそうして利用する施設がないというようなことがないようにという趣旨でいっておりますので、いままでの法律のたてまえは、施設費については三分の一でございますが、医務行政のほうの僻地対策と違いまして、特に僻地にございます施設につきましては運営上の赤字につきましても国のほうは二分の一の助成を行なっております。医務行政のほうの施設には運営費につきまして補助金がまだついておりませんので、その点、おっしゃるように今後の問題といたしまして僻地対策がますます重要になってまいりますので、厚生省内部でよく相談をいたしましてそういう方向に検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
#59
○上林繁次郎君 そうしますと、ちょっとおかしいと思うのですけれども、医療の機会均等というそういう立場からいいますと、いま国民皆保険である。いま被保険者を対象にという話が出ましたけれども、医療の機会均等という立場からいうと、たとえば離島だとかいろんな問題点があるわけです。そういったところで、国民皆保険ということであれば、十分な医療も受けられないで保険料だけは払っておる。それはなるほどどれだけかの率は違うかもしれない、その地域によって。率は違うかもしれないけれども、医療の機会均等という立場からいうとこれはちょっとおかしいのじゃないか。大体四十七年までにすべて整理をしていこうという計画を第三次計画で立てていらっしゃるようですが、そういったことで、それまでの間は、そういう機会均等の立場を得られない被保険君たち、こういう人たちに対しては保険料をとるということが少しおかしいのじゃないかという気もするんですね。いまの話に関連しましてお聞きするわけですけれども、その点の考え方はどうです。
#60
○政府委員(梅本純正君) ただいまの点、おっしゃるとおりでございまして、その点につきましてわれわれ保険行政をやっております立場から申しました場合に、国民皆保険になっておる現在でございますので、やはりあらゆる手段を通じて皆保険の実をあげるようにしなければならぬと思います。ただし、保険というワク内におきましては、やはり保険料と見合った形の給付というのがどうしても保険原理上動いてまいります。今後の問題といたしましてただいま検討をいたしております抜本的な対策におきましても、まずやはり医療制度というものが根幹にございまして、その上に保険という形で、まあいわば医療費の調達の一つの手段として保険というものが成り立つわけでございます。いままで医療制度の面におきまして十分な発達がなかったために、保険の立場からこういう施設をいろいろつくってまいったわけでございます。その点、今後の問題としまして、医療制度の充実を十分計画的に進めていただいた上で保険という形を乗せていくという形で進むべきだと思いますが、御指摘の保険料の点につきましては、やはりそういうところにつきましては保険の原則といたしまして医療費が非常に少なくなっております。したがいまして、自動的にそういう市町村につきましては保険料が非常に少なくて済んでおるというふうな原則が一つ働いております。
 なお、いろいろ三千をこえる市町村が現在の国民健康保険の保険者でございますので、その辺いろいろ実情がございますので、われわれのほうといたしましてはよくその実情を検討いたしまして、財政調整交付金というものを、総医療費に対して五〇%持っておりますので、そういう趣旨の点につきましてはいままでのところ不十分ではございましたが、先生おっしゃるような実情に合わせてきたということでございます。
#61
○上林繁次郎君 その点はわかりましたけれども、先ほども申し上げましたように、医療の機会均等という立場から言いますと、離島問題等もあるわけですし、そういったところが完全に医療からシャットアウトされているようなそういう感じがするわけです。そういったところで十分な給付を受けられないで、なるほど保険料は安いかもしれないけれども払っておる、こういうことです。その施設が完全になるまでは、それは昭和四十七年までかかるわけなんです。そういうことが言えるわけですね。ですから、その間は、そういう立場に置かれている人たちに対する保険料というのは、いままでの、皆保険だから、あるいは制度の上からという、それだけでなくて、もう一歩突っ込んでそれを考えていく必要があるのじゃないか、こう思うわけですね。そういった点を申し上げているわけです。十分にその点をもう一歩突っ込んで考えてみる必要があると思いますので、申し上げておきます。
 先ほどのことにまた話は戻りますけれども、医務局と保険局で僻地という問題に対してばらばらなような気がする。地元のほうからはやはり強い要望があるように聞いております。たとえば補助率を、医務局のほうに対しては、いままでの二分の一を三分の二まで持ってきてもらえないだろうか、こういうような要望も相当強いものがあると思うのです。保険局に対しても同じであろう、こういうふうに思うのです。その辺のところを、先ほどは、保険局の場合三分の一、それを二分の一に同じレベルまで持ってきたらどうかということを申し上げたのですが、私は、いまの時点では、いろいろな情勢から考えて三分の二補助、 こういった考え方は妥当ではないか、こう思うわけなんですね。その辺のところを、いままでの要望等にかんがみまして、医務局のほうとしてはどういう考え方を持っているか、また、保険局としてもそれらの問題に対してどういうふうな考え方を持っているか、今後そこまで持っていこう、こういうような考え方を持っているか、あるいは現状維持でやっていかなければどうにもならぬのだ、こういうことであるのか、その辺のところを明確にしていただきたいと思います。
#62
○政府委員(松尾正雄君) 補助率等につきまして、両局の間で差があったりいたしまして、たいへん不統一のように印象を与えておるかと存じますけれども、ただいま保険局長の言われましたように、そういう歴史的にも差はございましたけれども、やはり皆保険の中で何とか早くそれぞれの持てるだけのものを持ってこういう僻地を解消したいということでそれぞれ努力をしておるような状態でございまして、ただ、実施をいたします最終的ないろいろな場合には、両局とも十分相談いたしまして、両方で統一的にできるようにということだけは十分注意いたしてやっておるわけでございます。
 なお、ただいま僻地の補助率の問題がございました。私どもも他にそういう御要望もいろいろ受けておりまして、来年度におきましては、まず最初に、離島振興法のいろいろな適用を受けておる事業につきましては、直接この診療所は僻地の医療対策は入っておりませんけれども、当時の国会等におきましてもそういう準じていろいろやるべきであるというような御決議もあったということでございますので、秒どもはこういう僻地の関係のいろいろな補助金の中で来年度は離島だけは少なくとも三分の二に持っていきたいということで要求を出しておるような状態でございます。
#63
○政府委員(梅本純正君) 保険行政の立場からいたしまして、ただいま医務局長が申し述べましたように、医療保険制度が十分よくマッチして僻地の医療について支障のないように十分連絡を緊密にいたしまして、先ほど医務局長が申しましたような線で進んでまいりたいと考えております。
#64
○上林繁次郎君 いろいろとまだまだお尋ねしたいことがございましたけれども、時間がありませんのでこれでやめます。
 いずれにいたしましても、僻地医療対策、僻地問題というのは、非常に問題がある。今後十分に検討また解決もしていかなければならない問題点であると思います。医師の問題を一つ取り上げても、あるいは看護婦の問題を取り上げても、診療所の問題を取り上げても、いろいろと問題がある。つくったけれども医師がいない。それでもって遊休施設になってしまう。いろいろな問題があるわけです。こういった問題を抜本的に改革をして、もっともっとその地域にマッチした医療行政というものを考えていかなければならない、こういうふうに思うわけです。こういった問題点も含んでいるわけですけれども、こういったことにつきましてはまた次回にお尋ねをするといたしまして、きょうはこれでもって終わることにいたします。
#65
○委員長(加瀬完君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#66
○委員長(加瀬完君) 速記を起こして。
    ―――――――――――――
#67
○大橋和孝君 私も、きょうは、いろいろ突っ込んで詳しく御意見を伺っておかなければいけないと、こう思っておったわけでありますが、時間が非常にありませんので、私の概略のあれを申し上げて、そしてお話を伺っておきたいと思います。
 先ほどから上林委員からの質疑にもありましたけれども、厚生省におかれましては、前の園田厚生大臣、今度の斎藤厚生大臣とも、厚生行政に対しては真剣な態度で非常に前向きにいろいろと施策を出しながら予算要求もされておるわけでありますが、まだまだ私どもが見ますならばこれではテンポがゆるいし、むしろ厚生省は紳士的に遠慮をして予算の請求をしておられる。社会保障問題に対しては、先ほどの質疑の中にありましたように、皆さんがお認めになったように、世界的水準からは非常におくれているので、それをいかにして取り返していくかというところから、もっともっと真剣に厚生省としても取り組んでいただかなくちゃならぬと、われわれはこう考えているわけであります。それが、財政当局のほうでは、まあいろいろお話を承っておれば、もっともなところはございます。だから、そこの中では非常に至難な点はわれわれもよくわかるわけでありますけれども、しかし、社会保障の問題というのは、現在においてかなり経済の成長しておる中で、ここにほんとうに行政の目をあるいはまた重点を置かなければいけない時期に来ておる。これをいまほうっておくならば、将来はたいへんなことになるのではないかというようなことを考えているのでありまして、特にこの問題は重大なときではないか。
 今度、私も、社会保障制度審議会に新しく出さしていただいて、いろいろ検討に加わっておるわけでございますが、そこの中で話を聞いておりましても、これは総理大臣の諮問機関として社会保障はどうあるべきかということを最も真摯に考えられ、また、非常に権威の方が集まっておられるわけでございまして、そこの中の御意見を聞いておりましても、もっとこれはいまのような形で推し進めなければいけないという議論を盛んに進められているわけで、そこの中でもいろいろ答申が出ているわけです。ところが、今度、先ほど上林委員も触れられた――私ちょっと席をはずしておりましたので、重なるところもあると思いますが、それはお許しいただきたいと思いますが、今度の財政審議会でいろいろ御指摘になったことをはっきりお認めになって、ある程度経済的なものがこうであるからしてこのワクしか社会保障というものはとり切れないようなふうに印象づけられる。だからして、社会保障制度審議会でも、いま起草委員会をこしらえて、これに対してはもっと申達をしようということになっているわけで、このようなことを考えてみますと、いまのこうした考え方が、先ほどからいえば、振替所得を何ぼにするとか、いろいろありますけれども、それももちろん基礎をなすところでありますから、われわれはそれに対してのいろいろあれをしなければなりませんが、私は、ここで特に、どちらを優先さしていくのか、こういうことは一ぺん明確にしてもらわなければいかぬ。特に私は厚生大臣にお願いしたいと思いますが、いままでのこうした厚生省全体を通じて積み上げていただきましたいろいろな労作、そしてまた将来の展望、あるいはまた何カ年計画、こういうようなもので社会保障をより一歩向上させようという努力をしていただいておることでありますからして、これに対して経済だけで押えられているというそこのところに非常に問題があるのではないかと思いますので、今度新しく厚生行政に対して熱意を込めて厚生大臣になられました斎藤厚生大臣は、ここのところをどうか十分な反映をさしてやっていただきたい。
 それから私は、この財政審議会の答申内容は特に検討しなくちゃならぬ問題だと思います。これはまたいろんな方面でこれに対する御質疑もさしていただきたいと思いますが、きょうは三〇分しかございませんので、こまかしいところは抜かしていただいて、先ほど上林委員も触れられましたけれども、四十二年度の「厚生白書」なんかを見ましても、社会保障に対する国庫負担のワクを拡大すべき段階に来ていると、こういうような状態を私は読ましていただいてまざまざと感ずるわけであります。ことに、社会保険から社会保障へというのは世界的動向になっているわけですが、ここではむしろ社会保障ということより保険でやっていく、相互扶助でやっていくという考え方が先行しているように思うわけであります。先ほどからお話が出ておりましたが、社会保障制度審議会の三十七年度の勧告を見ましても、この中にはそういうことが十分うたわれているわけであります。こういうことにつきまして、一ぺん大臣のお考えを聞き、同時に、大臣のほうからいかに強く財政当局のほうにも突き上げていただけるかという決意を聞くと同時に、財政当局のほうとしても、これを受けとめてもっと前向きの姿勢で具体化していくということを考えていただきたい。特に私は今年度のずっと経済情勢を見てみますと、税の伸びも相当ありますそれはやはり国債償還にも充てなきゃならぬだろうし、いろいろな問題はあるだろうと思いますけれども、ここで社会保障というものを軽視されたのではたいへんなことが起こるというふうに考えますので、その二点について双方から意見を伺っておきたいと思います。
#68
○国務大臣(斎藤昇君) 時間もないようでございますから、簡単に申し上げますが、先ほど申し上げましたとおり、日本のこれからのあり方にかんがみますと、どうしても社会保障はいままでの状態であっては相ならぬ、十分な前進を示さなければならぬと思っております。
 社会保障と社会保険の関係も、御指摘の次第もございますが、社会保険自身もおくれている点がございます。そうしてその中に社会保障としてやるべき面もおくれていると思いますから、両々相まってやっていきたいと思います。
#69
○政府委員(沢田一精君) 先ほど来お答えいたしておりますように、財政硬直化の名のもとに社会保障費全般につきまして縮小しようというような気持ちは、財政当局にも毛頭ございません。内容の点におきましても、制度の面におきましても、やはり拡充強化をしていかなければならぬということにつきましては、いまお話しのとおりであろういと思います。
 ただ、来年度相当な税の伸びがあるから、それで十分まかなえるではなかろうか、そういうお気持ちを込めてのお尋ねもあったわけでございますけれども、義務的経費の伸びというものが相当でございますし、これは地方と国との財源の調整の問題ともからんでおりまして、それと不況時に対応する財政の体質の健全化ということ――大げさに申すようでございますが、やはりできるだけ好況時には、国債を減額いたしまして、租税収入が減ってまいります不況の時期に備えなければならぬ。それでなければ、こういったある一定の率で充実していかなければなりません社会保障関係の経費等につきましても将来問題が出てくるということになってはまことに困ったことでございますので、そういったことを考えまして、効率的に緊要度に応じまして予算措置を講じていきたい、かように考えておるわけでございます。
#70
○大橋和孝君 今度の財政審議会の答申というものは、私は、むしろ社会保障制度のほうでどういうふうになったかということを踏んまえて社会保障の問題に対してはどうだという案を出してもらうのが筋じゃないかと思う。そういうふうにして、社会保障制度を先ほど上林委員からも話があったようにどういうふうにすべきかということが先行して、そうしてそれに財政の裏づけをする、こういうふうな形でなければ、今後いろいろな問題が起こってくるのではないか。この点は、大蔵省のほうでは大臣のほうにも十分伝えてもらって、少なくとも財政的なもののほうが先行するというようなことであってはならない。財政的なものを考えられるときには、厚生大臣の意見を十分反映をして、厚生省のほうでこういう社会保障についてはどうしようという考え方を十分反映をした上で、それに対して最大限の努力を払って財政の裏づけをすべきだと思うのです。最近では、そうじゃなくて、財政的にはこうだ、だからワクはこれだけにしなさいということが答申されて、先ほどからそのどれを取り扱うか取り扱わないかという議論はありましたけれども、そうでなくて、そういうことが先行しているということが事実なんです。こういうことでは絶対ならぬので、今後、厚生大臣も、相当意欲的に、先ほどからもお話にありましたように、厚生行政をやっていこう、国民の健康を守っていこうという立場でいまおられるわけでありますから、そういう御意見を十分反映をして財政措置をしていくということを特に私は考えてもらわなければ今後相ならぬと思います。私はこれからあとから一つ二つお伺いをしようと思っておりますけれども、人口構成の問題からいって老齢人口がふえてまいりましょう。あるいはまた、いろいろ雇用関係も変わってまいりましょう。あるいはまた、小さい子供たちあるいは底辺の人たちをどうするかということは高度な経済の発展の中にはどうしても考えなければならぬ点だろう。いろいろなものが社会保障の中に重なってきているわけでありますから、そういう中で、いまの金の配分をどうするかということが先行したならば、やはり社会保障的なものはあとに取り残されていくという傾向がどうしてもあらわれてくるというような心配があるわけであります。今後そういうことの絶対ないように大蔵大臣のほうにも強く要望しておいてもらいたいという点が第一点であります。
 それから次は、この報告書を見ておりますと現在の社会保障の体系の中で、特に医療保険というようなものが関係費の中の二分の一を占めている、こういうようなことが指摘されているわけでありますが、医療保険については確かにそのウエートはそうなっておりましょうが、むしろこれを考えるなら、他の部門、たとえば年金だとか生活保護だとか社会福祉とかが著しく制度面で立ちおくれているのでそういうことがあらわれてきておる。そうなれば、私はむしろ憲法の違反にもなってくるというふうなことにも考えるわけでありまして、社会保障全般にわたるところの問題が先ほど申したようなものがあると思うわけであります。先ほどもちょっとお話がありましたが、三十七年の社会保障制度審議会の勧告の中にもあります。そこでは、三十六年度の状態で六・九%ですか、これをあれして四十五年度には一四・三%までに引き上げて、はじめて西欧の水準になるということを指摘しているわけでありますが、昭和四十一年でわが国の振替所得はわずか五・五でありますからして、こういうふうなことから考えましたならば、大蔵省ではここで大きく先ほど申したようなことを考えてもらわなければならぬし、厚生省のほうもひとつ堂々とこの方面については押していただいて、少なくとも西欧並みにどれほど近づけていくか、こういうようなことを考えてやっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。五カ年計画も四十六年で終わりですか。そうすれば、今度はまたその次の五カ年計画をお考えのようなことを個人的には私は話を聞いておりますが、しかし、計画を何ぼつくっていただきましても、どんどんと財政当局から圧迫を受けているようなことではいけませんから、こういうような問題について、先ほど上林委員は大蔵省側にお聞きになりましたが、厚生省としては一体どういう腹でどういうぐあいにやっていくというようなことがもしお聞かせ願えるならば、お聞かせ願いたいと、こう思います。
#71
○説明員(首尾木一君) 私どもといたしましては、先般の経済社会発展計画で、先ほど申し上げましたように、四十六年度振替所得にしましてほぼ七・五%ということでございますので、その目標の達成ということに全体的には努力をするということでございます。さらに、先生のおっしゃいました引き続いて政府におきまして長期の計画がもし立てられるというような際には、社会保障につきまして望ましい構図を描きまして社会保障の推進の拡大に努力したいというふうに考えておるわけでございます。
#72
○大橋和孝君 いま、厚生省のほうでは、七・五%に引き上げると、これは、大蔵省のほうでは、どうですか、これに対して対応するだけのことは考えておってもらえますか。
#73
○説明員(辻敬一君) 先ほど申し上げましたように、負担面とのバランスという問題もございますけれども、経済社会発展計画の目標につきましてはできるだけこれを尊重してまいりたいと思います。
#74
○大橋和孝君 先ほど、二%とかなんとか聞きましたね。それであなたのほうの考え方を合わしていこうということはわかるのですけれども、事実問題、計画ができるかどうかということも問題になって、あなたのほうでは、厚生省のほうで考えているのは遠慮してぎりぎりの要求をあるいはまた計画を立てておられる、これに対して、ある程度裏づけをすると、こう考えさしていただいていいですね。
#75
○説明員(辻敬一君) 繰り返して申し上げるようで恐縮でございますけれども、経済社会発展計画の中に、たとえば保険料につきましては必要な限度において引き上げるべきであるというようなことが述べられておりますので、そういう負担面との関係もあろうかと思いますが、目標年次の示されております二%程度振替所得の比率を上げるという目標につきましては、できるだけこれを尊重してまいりたい、こういうことでございます。
#76
○大橋和孝君 ここらのところをもう少しデータを持っておりましていろいろとお伺いしなければならぬが、もう時間があと十五分ですから、あとから時間をさいていだだいて大蔵省と両方寄っていただいて御意見を伺うことによってもっと社会保障のあり方を詰めていきたい、こう思うわけであります。ちょっと飛ばして、特にここで公的年金制度についてお伺いしたいわけでありますが、厚生省のほうでは四十四年度から厚生年金の給付を二万円として、国民年金の給付を夫婦で二万円、こういうふうなことで大綱を発表されましたけれども、医療保険もそうでありますけれども、公的年金制度も、制度が分立して、その給付額にも非常に差があるわけであります。特に、年金支給開始年齢についても、国民年金が六十五であり、厚生年金が六十、各種共済年金が五十五歳、こういうような差が大きく出ているわけであります。また、この年金制度で考えなくてはならないと思われることは、わが国の人口の老齢化現象でありまして、人口につきまして言うならば、百人についていま六人の割合である老齢者が、昭和六十五年には十一人になり、九十年には二十人と見込まれており、こういうふうなことであれば、所得保障としての年金制度の充実の必要性がここでますます高まってきていると、こう思うわけであります。さらには、老齢者の雇用政策との対応でもってこの制度の充実を考えなくてはならない現段階に来ていると思うのであります。そして、従来からわれわれのいろいろ主張してまいりましたところのスライド制の導入などいろいろな検討事項が解決されておりません。このたびの厚生省の原案では、年金額の引き上げ、スライド制の一部導入など、多少改善の方向にあることは私どもこれを見せてもらって感じておるわけでありますが、保険料の引き上げがなされるし、また、福祉年金の額の引き上げについては何ら触れられておりません。拠出制と無拠出制の年金を近づけるということは、公的年金制度の使命の一つでもあります。支給制限の撤廃とともにこれは大事な問題だ、こういうふうに考えるわけでありますが、厚生大臣のほうのお考えを聞きたい。また、大蔵省に対しましては、年金積み立て金等のいわゆる資金運用部資金の管理運営についてでございますけれども、現在どのように使われているのか。このばく大な資金は、本来、もう少し国民の福祉向上の方面に十分使われるべきであり、そういう観点から考えまして、この管理運営、使途のこまかい内容についてあるならば、これも聞かせていただきたい、こう思っております。これは、きょうは時間がありませんから、お話を承ることができなければ、もう一ぺん私は資料的なものとしていただいて、これをこの次のときにもつと詳しくお話をしてみたいと、こう思っておりますので、両方の省からお答えを願いたい。
#77
○国務大臣(斎藤昇君) 年金制度の充実の問題、それから各種年金間の不つり合いの問題等につきましては、おおむね大橋委員の御所見と同感でございます。大体そういう方向に一歩でも近づけるように来年度予算も要求をいたしておるわけであります。詳しく申し上げます時間がございませんけれども、大体いまおっしゃいましたようなつもりでやっております。
#78
○政府委員(沢田一精君) 年金制度の積み立て金につきましては、その運用におきましても今後十分考慮をすべきであろうと思うわけでございます。制度自体の将来ということにも影響がございますし、大きく申し上げますならば国民経済の動向にかなりの大きなウエートを占める、かように考えられますので、特にこの点につきましては配慮をしてまいりたいと思います。
 なお、いま御指摘がありましたように、できるだけ資料等をまとめまして提出いたしたいと考えております。
#79
○大橋和孝君 特に運用部資金のほうで考えてもらいたいことは、いま社会福祉方面に使われている率が少ないために、これで厚生省で考えておられるいろいろな施策に対してもうまくいかないと思うわけでありますからして、この点は考えてもらいたいと思う。いままでの議論のうちでだいぶ聞いておりますが、これが実行されておりませんので、どうぞこの点も、今度は福田大蔵大臣という大物がすわられたわけでありますから、ここのところでかちっとやっていただいて、なるほど今度の大蔵大臣はというふうに国民から受け取られるようにひとつ十分な伝達をしておいていただきたいと、こう思います。
 その次には、この報告では、失業保険制度だとか、年金制度、日雇健康保険、児童手当制度、こういうようなものについて、ことこまかく、制度、性格、あるいは運営、財政のあり方にまで論評されておりますけれども、本来の財政制度審議会の使命というか、任務から少し逸脱した、行き過ぎの感があるというふうなことも考えられるわけであります。財審の中でこういうふうな非常に行き過ぎた点まで考えられている点は、十分ここで反省してもらう必要があると、先ほどからの議論と同じことでありますけれども、そういうこともひとつ御配慮願っておきたい。ことに、中医協、社会保険審議会、社会保障制度審議会、あるいはまた、国民年金審議会だとか、社会福祉審議会だとか、いろいろ審議会があるわけでありますが、それぞれ専門の立場で審議しておるわけであります。また、社会保障とは、人間尊重を基調とする政治の理念の具現としてあらわれるわけでありますが、この報告にあるごとく、ある程度財政が先行しておる立場からしてこれを消してしまっておるというのが非常に大きいわけでありますからして、社会保障という政治の根幹に財政を従属させるということが絶対に必要だということを私は重ねて今後の問題についても考えておきたいと思います。
 そこで、私は、児童手当制度についてちょっとだけここで触れてみたいと思うわけでありますが、この児童手当制度については、昭和四十年一月二十五日の衆参における佐藤総理大臣の施政演説にも取り上げられておりますし、衆参の社労委員会でもいろいろいままでこれが論議されております。五十一回の国会では、当時の鈴木厚相は、四十三年ごろには実現したいと、こう言っておりますが、その後、厚生省の中に準備室もできたが、準備の段階を一歩も一出ていないということも聞いております。こういうところから見まして、非常に進みつつあるのに、一方においてこの報告にも否定的なものが出ておりますが、来年度予算の中でこれが一体どういうふうに取り扱われるのか、私はここのところで一ぺんちょっと聞いておかないと、この児童手当の問題に対しても少し心配になります。特に、私は、厚生省のほうでいろいろ進歩的に考えてもらっているのに対して、財政当局でこれを裏づけることのかまえがないとこれはできないと思いますので、そういうかまえのもとで一言尋ねておきたい。
#80
○国務大臣(斎藤昇君) 児童手当制度の問題につきましては、御承知のとおり、厚生省の児童手当懇談会で専門的に検討をしていただいております。きょう夕方にはおそらくその最後の研究の成果がまとまって最終報告をいただけると、かように存じております。そこで、それをよく検討させていただきまして、わが国としてはどういう手当の制度のあり方がいいのか、どういう内容にしたらいいのか、これを厚生省としても検討をし、また、各界の御意見も聞いて、そうして成案にいたしたいと、かように考えます。そういうわけでございますので、手当制度そのものに対する予算の要求は、ただいまのところいたしておりません。本年は、おそらくそのいろいろ準備、調査等の費用をお願いをするかもわかりません。したいとも思っております。その程度でございますが、なるべく早く筋道をはっきりいたしまして、そうして実施の一日も早くできるように努力いたしたいと思います。
#81
○政府委員(沢田一精君) 方向といたしましては、いま厚生大臣がおっしゃいましたように、できるだけ早くそういった制度が確立されることが望ましいということには、私のほうも変わりはございません。ただ、これはもう前々から言われておりますけれども、いろいろと複雑な問題がございます。極端に申しますならば、関連するいろいろな制度というものを一ぺん洗い直して、そうしてはっきりした制度に組み立てていく必要があろうと思います。したがいまして、今後児童手当懇談会の結論も出るそうでございますので、厚生省当局とよく相談をして進めてまいりたいと思います。
#82
○大橋和孝君 もう時間がいよいよ三分でございますので、申し上げたいことはちょっと飛ばしておきます。私は特に保険関係のことについても保険局長からいろいろ意見を聞きたいと思っておったのですが、その用意をしておりましたのですが、時間の関係でこれは次に回させていただきます。
 ここで一言最終的に申し上げたいことは、先ほどから申し上げたわけでありますが、現在の社会、経済が高度に成長していきますと、社会の中には非常に大きなひずみができてきつつあることは、皆さんお認めのことと思うのであります。その落ちこぼれした部分を底上げして、国民の生活と健康をいかに守っていくかということが政府の最も重大な責任としてやってもらうことじゃなかろうかと思うのでございます。そういう意味からいたしましても、いままでの財政制度審議会が先行したような形は今後は一切やめてもらって、そうしてほんとうに国民の期待を裏切らないように厚生省のほうと十分に打ち合わせをしてこれを進めていただきたいということをお願いしたいと、こう思いますので、これはどうか両大臣ともに特にお願いをして、社会保障の前進に極力努力を願いたい。それに対して斎藤厚生大臣も非常な意欲をもってやっていただいておることは、私も聞いております。ですから、そういう点では非常に感謝しておるわけでありますが、ただ、私ども言えば、まだずっと控え目過ぎるというくらいに思うわけでありますから、財政当局に対しても大きな突き上げをしていく。また、財政当局も、そういう観点から十分抱きとめてやっていただかないと、今後来ようとする医療保険、あるいはまた医療制度だとか、あるいはまた医学の教育だとか、あるいはまた、先ほど僻地問題もありましたけれども、そういう問題は解決しないと思います。これは制度の中で大きくしていかなければいけないという考えを持っておるわけでありますが、そういう観点からいえば、厚生大臣と大蔵大臣とがひざをつき合わしてほんとうに手を握り合って、そしてさっき申しました底上げをしていく、あるいはまた社会保障というものをほんとうに社会保障的な考え方で推し進めていくという観点に立たない限りはできない、こういうふうに思うわけでありますので、私は特にそこのところをお願いしておきたいと思います。
 最後に、これは非常に別なことでありますけれども、私は厚生大臣に対して一つお伺いしておきたいと思うわけであります。私は、社労の理事をやらしてもらいまして、社労の運営について梅本保険局長に私は辞を低くして、どうしたらいいか、もう少しそういう立場を突き上げて、できるだけいいものになるように事を考えようと思っていろいろ相談に行くと、先ほどもあったし、私はこれは三回経験いたしましたが、私は忙しいのだと。ぼくの言うことを聞かないで、忙しいのだと。いまおっしゃるのでは、これからすぐ西村調査会へ行かんならぬからといって、まだ私が何も言わないうちに封鎖をする。こういうようなことは、私はむしろ社会労働委員会というものの軽視にもつながるものだと思うのです。こういう態度があっては相ならぬと私は非常に憤激をいたしておるわけであります。こういうような梅本保険局長の態度というものは、ここで改めなければ、改めないように私も考えを持つと思っております。ですから、このことを大臣に対して一言申し上げて、この梅本局長の態度というものに対してどうお考えになっているのか。私に対してとった態度というものは実にけしからぬと思うのです。私は、そこの席まで行って、会の始まる前に辞を低くして話しかけた。私はこれが済んだらすぐ行かんならぬと。それはいろいろ御用はあるでしょう。しかし、私の言うくらいのことは聞いてもいいじゃないですか。私は、その立場は何の用で行っているかというと、個人の立場で行っていない。これは社労の運営のことについて相談に行っているわけです。こちらが辞を低くして行っているわけです。これに対して、そういう態度は、けしからぬと思うのです。こんな局長がおって、今後、それならば、抜本改正の大事な保険の問題をやっていくときに、彼自身が勝手にできるものならやってもらいたい、こういうように私は思うわけです。この態度というものは、ひとつ大臣はきびしく申し伝えておいてもらいたい、こう思います。
#83
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま梅本局長のことについてお話がございましたが、私は、いま伺いまして、一、二分なら伺ってもよかったんじゃなかろうかと思いますが、梅本君自身はそんな気持ちは毛頭なかったと思います。実は、医療保険制度の抜本改正を急がれておりまして、党の都合でだんだんおくれてまいりましたので、そういう小委員会を開くということで、一日も早くこれをまとめて、そしてものにして国会に出したいという気持ちで一ぱいだっただろうと思います。しかしながら、御指示の点もございますから、私がよく申しまして、今後一そう御協力をいただけるように、本人自身も心の中はそうであろうと思いますから、御了承いただきたいと思います。
#84
○委員長(加瀬完君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#85
○委員長(加瀬完君) 次に、請願第五号同和対策促進の特別措置法早期制定等に関する請願外四十七件を議題といたします。
 本委員会に付託されております四十八件の請願は、一応調査室において整理してもらい、理事会におきまして、その取り扱いにつき協議いたしました結果を、専門員より報告いたさせます。中原専門員。
#86
○専門員(中原武夫君) 付託された請願は四十八件でありますが、これを項目ごとに整理しますと、二十二項目となります。厚生関係のものが二十、労働関係が二であります。
 先刻の理事会で御検討をいただいた結果では、三枚目の末尾に〇印をつけてある二つ、緊急失業対策法の改正等に関する請願と、山村へき地医療対策に関する請願の二つ、件数にして十件を留保とし、その他の請願は採択してしかるべきではなかろうかという御意向でありました。
 留保と考えられた請願について、経緯を簡単に申し上げます。緊急失業対策法の改正等に関する請願の内容は、失業対策事業に就労している人々の身分を安定させる施策として、失対事業を国の直轄事業に切りかえ、就労者の待遇を公務員並みにしてもらいたいということでありまして、失対事業の性格を根本的に変更することを要請するものであります。山村へき地医療対策に関する請願は、その表題は時宜を得た題目でありますが、その内容が、僻地離島向けの医師を養成するために公立の医学専門学校を設置してもらいたいという提案でありまして、これは医師資格の中に特定の地域でしか診療できない特別の資格をつくるということになります。前者は労働政策の基本姿勢にかかわり、後者は医療政策の根幹に触れる内容でありますので、いまにわかに採択に踏み切ることはちゅうちょされるということでありました。
 採択してしかるべきとの御意向でありましたその他の案件については、お手元のプリントに記しました内容要約によって御承知いただくことにいたしまして、各項目、ことの説明は省略さしていただきたいと思います。
#87
○委員長(加瀬完君) ただいまの専門員の報告どおり、請願第九号山村へき地医療対策に関する請願外九件については留保することとし、これを除く三十八件の請願は、いずれも議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付することを要するものと決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#88
○委員長(加瀬完君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#89
○委員長(加瀬完君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#90
○委員長(加瀬完君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。
 社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(加瀬完君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○委員長(加瀬完君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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