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1968/12/19 第60回国会 参議院 参議院会議録情報 第060回国会 大蔵委員会 第2号
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1968/12/19 第60回国会 参議院

参議院会議録情報 第060回国会 大蔵委員会 第2号

#1
第060回国会 大蔵委員会 第2号
昭和四十三年十二月十九日(木曜日)
   午前十時四十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十一日
    辞任         補欠選任
     近藤英一郎君     青田源太郎君
 十二月十七日
    辞任         補欠選任
     藤田 正明君     江藤  智君
 十二月十八日
    辞任         補欠選任
     江藤  智君     藤田 正明君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    理 事
                大竹平八郎君
                小林  章君
                戸田 菊雄君
                中尾 辰義君
                瓜生  清君
    委 員
                青木 一男君
                青田源太郎君
                岩動 道行君
                亀井 善彰君
                河口 陽一君
                今  春聴君
                塩見 俊二君
                中山 太郎君
                木村禧八郎君
                佐野 芳雄君
                田中寿美子君
                野上  元君
                横川 正市君
                鈴木 一弘君
                渡辺  武君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
       国 務 大 臣  菅野和太郎君
   政府委員
       人事院事務総局
       職員局長     島 四男雄君
       経済企画庁国民
       生活局長     八塚 陽介君
       経済企画庁総合
       計画局長     鹿野 義夫君
       大蔵政務次官   沢田 一精君
       大蔵省主計局次
       長        相沢 英之君
       大蔵省主計局次
       長        船後 正道君
       大蔵省主税局長  吉國 二郎君
       大蔵省理財局長  青山  俊君
       大蔵省銀行局長  澄田  智君
       大蔵省国際金融
       局長       村井 七郎君
       国税庁長官    亀徳 正之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       人事院事務総局
       給与局次長    渡辺 哲利君
       法務省民事局参
       事官       貞家 克巳君
       文部省大学学術
       局大学病院課長  吉田 寿雄君
       厚生省医務局次
       長        北川 力夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○自動車損害賠償責任保険料及び自動車保険料の
 所得税法上控除に関する請願(第一号)
○支那事変国債償還に関する請願(第一六号)(第
 四七号)(第一〇二号)
○中小零細企業に対する融資制度に関する請願
 (第一八号)(第三五〇号)(第三五一号)(第三五
 二号)(第三五三号)(第三五四号)(第三五五号)
 (第三五六号)(第三五七号)(第三五八号)(第三
 五九号)(第三六〇号)(第三六一号)(第三六二
 号)(第三六三号)(第三六四号)(第三六五号)(第
 三六六号)(第三六七号)(第三六八号)(第三六九
 号)(第三七〇号)(第三七一号)(第三七二号)(第
 三七三号)(第三七四号)(第三七五号)(第三七六
 号)(第三七七号)(第三七八号)(第三七九号)(第
 三八〇号)(第三八一号)(第三八二号)(第三八三
 号)(第三八四号)(第三八五号)(第三八六号)(第
 三八七号)(第三八八号)(第三八九号)(第三九〇
 号)(第三九一号)(第三九二号)(第三九三号)(第
 三九四号)(第三九五号)(第三九六号)(第三九七
 号)(第三九八号)(第三九九号)(第四〇〇号)(第
 四〇一号)(第四〇二号)(第四〇三号)(第四〇四
 号)(第四〇五号)(第四〇六号)(第四〇七号)(第
 四〇八号)(第四〇九号)(第四一〇号)(第四一一
 号)(第四一二号)(第四一三号)
○葉たばこ生産振興のため盛岡原料工場の建設促
 進に関する請願(第二三八号)
○学費の所得控除に関する請願(第三二一号)
○租税及び金融等に関する調査
 (財政金融政策の基本方針に関する件)
 (年末の中小企業金融対策に関する件)
 (国立病院特別会計の運営問題に関する件)
 (国税の不服審判制度に関する件)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
  〔理事大竹平八郎君委員長席に着く〕
#2
○理事(大竹平八郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。去る十二月十一日、近藤英一郎君が委員を辞任され、その補欠として青田源太郎君が委員に選任せられました。
#3
○理事(大竹平八郎君) 次に、請願の審査を行ないます。
 第一号、自動車損害賠償責任保険料及び自動車保険料の所得税法上控除に関する請願外七十件の請願を一括して議題といたします。
 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#4
○理事(大竹平八郎君) 速記を始めて。
 それでは、おはかりいたします。第一号、自動車損害賠償責任保険料及び自動車保険料の所得税法上控除に関する請願外六十七件の請願は、議院の会議に付し、内閣に送付することを要するものと決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○理事(大竹平八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○理事(大竹平八郎君) 御異議ないと認めます。
#7
○理事(大竹平八郎君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。福田大蔵大臣より発言を求められておりますので、この際、これを許します。福田大蔵大臣。
#8
○国務大臣(福田赳夫君) 私、このたび再び大蔵大臣に任命されまして、またいろいろと御教示にあずかることと存じますが、この前に私が大蔵大臣をいたしましたときは、ちょうど国債発行という大問題がありまして、格別御教示に預かったのですけれども、まあ今回は経済情勢はわりあいによろしい時期であります。しかし、物価の問題、それから国際経済の問題、いろいろむずかしい問題がありますので、心を新たにしてやってまいりたいと、かように存ずる次第でございます。所信表明がありますが、お手元にお配りしてありますので、まあ省略さしていただきますが、いろいろ皆さんからひとつ御意見、御質問等をお願いしたい、よろしくお願い申し上げます。
#9
○理事(大竹平八郎君) これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#10
○横川正市君 最初に、最近の郵便貯金の受け入れ額の原資が伸び悩んでいるという問題に関連してお伺いいたしたいと思うのですが、たとえば通貨流通高を見ますと、昭和九年には十九億三千八百万円、それから十六年の兌換券の時期に六十八億三千万円、それから急激に日本銀行券に切りかわる時期からさらに増加をいたしまして、最近は三兆三千九百億円というような通貨の膨張を来たしているわけです。実はきょう大蔵大臣に資料をちょっとお見せしたいと思ったのですが、たとえば昭和十三年か四年ごろの契約された保険の証書をちょっとお見せしたがったのです。その当時二百三十四円という一時金掛けをして、保険の契約高は一千円という契約高で、それがまだいまなお満期になっておらない、いわゆる千円という額面の証書を持っているという実情というものがあるわけです。私は、実は貯金の問題でお聞きする一の理由というのは、なぜ郵貯というのが預け入れのカーブをだんだん下降させてきたか、その下降させたのにはいろんな理由があろうと思うのですが、これは一時的なものだと判断をされるか。たとえば郵貯の大体目標額に対して九月は九%、十一月は一九%と減少いたしております。同時に、来年度の財投計画には、これはある程度の影響力を持つんじゃないかというような判断がなされている。ですから、その推移は、これは通貨問題でまたあらためて質問をいたしますが、このいまの時期に、一体郵便貯金の預け入れについて下降線をたどった原因は一体何か、これをひとつどういうふうに考えているかという問題ですね。同時に、同一企業、たとえば民間企業と郵貯との関係でいって、手厚い保護がされたかされないかという問題とか、あるいはその他に転換することによって有利だというような、そういう事態が見受けられるとか、いろいろな関係がこの中に入っていると思うのですが、どういう見方をされているのかという点が第一であります。
 それから、私には十分間だということですから、一緒にまとめて話しておきますけれども、第二の問題は、きょうの新聞でも、たとえば軍人恩給を主体とした、いわば来年度予算に対しての引き上げの要求が出てきておる、国民年金と厚生年金との問題も出てきている、あるいは公的年金、私的年金、共済年金、いろんな問題が出てきているわけですが、一体この国の成長経済の中で、これらの取り扱いについて大蔵省として基本的にはどう考えているのか。いわゆる均衡のとれたものにする、均衡を維持するためにどういう対策をとるか、この点をひとつ明確にしておいていただいて、実は、きょうは少し詳しくお聞きをしたいと思ったのですが、時間がありませんので、次回に時間を十分とっていただいて御質問いたしたいと思いますが、その大まかなところでまずお聞きをいたしておきたい。
#11
○国務大臣(福田赳夫君) 郵便貯金につきましては、来年度の財投の関係がありまして、その成り行きにつきまして私も非常に心配をしているのです。御承知のように、少しどうも調子が悪い。ことに十一月の伸び率が非常にダウンをしている。もっとも、この十二月というこの月、それから一月という月、これが上がる時期なんでありまして、これに望みをかけてはいるのでありますが、十二月はやや盛り返してきております。ボーナスがこれから支払われる時期になりますので、それがどういう影響を及ぼすか、これに期待を持っているわけでありますが、どうしてこう減ってきたかということにつきましては、一つは株式ですね、これが非常な好調な推移なんです。三月が千三百円、旧ダウですね、それが今日は千七百円、三割も半年近くの間に上がる、こういうような状態。そっちのほうへかなり移動しているんじゃあるまいかという、これは想像の域を脱しませんが、そんな感じ。それから、やはり一つは消費ムードですね、これがきわめて旺盛である、消費支出、そういうものがあるように思うのであります。その他にも、最近は国民のふところぐあいもよくなっておりますので、あるいはアパートを買いましょうとか、そういうふうな転用なんかの傾向が出ているのかとも思いますが、なおこの情勢というものはよく調べて、郵便貯金、年金の位置づけをどういうふうにするか、慎重にやっていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
 それから、第二の公的年金の問題、これはいろいろの要請がいま概算要求として各省から出ているわけでございますが、これらはいまお話のありましたように、前後左右の均衡、均衡第一主義、それで対処していきたい、こういうふうに考えております。
#12
○木村禧八郎君 一応所信表明ですね、このプリントがありますので、一応読んでみました。これに基づいて、若干時間が少ないですから、また本格的には通常国会で十分御質問したいと思うのですが、まず、二、三質問したいのです。
 総合予算主義につきまして伺いたい。これを見ますと、四十四年度も総合予算主義を貫く、こういうお話です。大臣は、四十三年度の予算編成方針で総合予算主義というものをはっきり規定してありますが、それに基づいて四十四年度も総合予算主義を貫かれるおつもりか、これを伺いたい。総合予算主義とは一体どういうことか、内容を伺いたい。
#13
○国務大臣(福田赳夫君) 総合予算主義とは、この年度間で予想されるあらゆる行政需要に対しましてあらゆる財源を用意しておく、こういうことであります。よく補正なし予算、補正なし予算というが、実際常識的に言うとそういうことなんですが、組みかえ補正、これを排斥している趣旨ではございません。また、国家非常の際に増ワク補正というものが絶対ないんだということ、これを言っているわけでもありません。しかし、とにかくこのワク内で年度間は最大限の努力をしてやっていきたい。ことにこれが心配されるのは、昭和四三年度は経済が好調で自然増収が出たというような事態でありますが、さあ自然減収というものがないとも限らない。そういう際にどういうふうに対処するかというと、総合予算主義というものは大きな力を発揮する、こういうふうに考えます。そういうふうなことで、この考え方というものはいい考え方である、財政を近代化する上において一つの前進である、そういうふうに考えておりますので、これも四十四年度以降進めていきたい、かように考えております。
#14
○木村禧八郎君 いい制度であるかどうかは、これがいわゆる財政硬直化打開の一環としてとられている政策であって、したがって、財政硬直化に対してどういう政策をとるのが適正かという観点からこの総合予算主義が適切かどうかを判断しなきゃならぬと思うのです。それについてはあとで質問しますが、私はいいとは思いません。近代国家において総合予算主義、単一予算主義というものを固執するということは、これは新憲法で国会が増額修正できるのですよ。そういう条件の毛とで単一予算、一たん予算を組んだら、今度は増額修正は認めない、こういうふうなことを政府がとることは、これは国会の予算修正権に対しての私は干渉である、制限だと思うのです。そういう立場からも、あるいはこんな激動期におきまして、一たん予算を組んだらこれを修正しないということは、これは非常にむしろ財政硬直化の原因になるのです。そういう意見もありますが、差しあたり、いま大蔵大臣は総合予算主義について御説明がありましたが、ところで、大臣は、十三日の参議院の本会議で各党代表の質問に対して、総合予算主義は破綻したのではないかとの質問に対して、組みかえ補正はできるんだと、組みかえ補正までも否定しないのだと、こういうお話なんです。ところが、四十三年度の予算編成方針というのがありますね。これにはこういうふうに規定しています、はっきりと。「総合予算主義の採用」、「総合予算主義の原則により、公務員給与改定に備えて予備費の充実を図るとともに、食糧管理特別会計繰入れについては、年度途中における米価改定等、事情の変化があっても、これにより補正財源を必要としない方式を確立する。」とあるのですね。補正財源を必要としない。ところが、米についてはどうですか。八百六万トンですか、予算で予定したのは。それが九百六十万トンになるでしょう。そこで、どうしても補正財源が必要なんですよ。大蔵大臣はその具体的な説明として、予備費を使うか、あるいは他の節約等によって財源を捻出すると言っているんでしょう。補正財源じゃありませんか、それは。そういう補正財源を捻出しなくても済むような方式を確立するというのが総合予算主義とはっきり書いてあるじゃありませんか。ですから、あなたの御説明はごまかしですよ。そうした補正財源を必要としないような方式を確立するというのが総合予算主義であると規定しているから、そこで、四十三年度の予算編成方針に規定したとおりの予算編成方針を四十四年度も貫くかという質問に対して、あなたは組みかえ補正というのは否定してないんだ、そういうようなことを言っているんですけれども、これは私は間違いだと思うのです。いかがですか。
#15
○国務大臣(福田赳夫君) 総合予算主義ということ、総合と言うても相当広い幅のあることばでありますが、確かに実質上のねらいは、公務員給与の勧告がありましても、これに予備費で対処する。それから、米価の変動がありましても、これに食管会計の中で対処する、こういうことを実質上のねらいとしておる。これはもういまお話のとおりだと思います。しかし、総合予算主義というものをこれからずっとやっていくという際の解釈の問題とすると、これは年度間に予想されるあらゆる支出要因、行政需要というものに対処しまして十分な財源をととのえておく、こういうことでありまして、私は正確にこれを言いますと、組みかえ補正というものはこれを排斥しておるものではない。また、国家非常の際において非常の需要がある、こういう際におきまして、増ワク補正をこれを絶対にしないのだ、こういうようなことになったらたいへんなことなんです、これは。財政の総合主義は貫かれるわ、国家国民は困るわ、こういうことなんで、これはあなたといえども御理解いただけることかと思うのですが、それをも排斥しているという意味ではない、こういうふうに理解しております。
#16
○木村禧八郎君 大蔵大臣、そんなこと言ったって、あなたのほうでちゃんと規定しているじゃありませんか。規定しているんです。総合予算主義とは何かというのをいまいろいろ御説明されているけれども、四十三年度予算編成方針ではっきり規定しているんですよ。それがいま大蔵大臣の御説明と違うんですよ。「補正財源を必要としない方式を確立する。」、あらゆるいろいろな要素を考えて財源を確保していく、そういうのが総合予算主義とは書いてありませんよ。具体的に書いてあるんですから、はっきりと、具体的ですよ。予算編成方針、これと違うじゃありませんか。だから、この方針どおりにいくというのならいいんですよ。いまいろいろ御説明されているけれど、それとはまた違うのですよ。私はそれはいい悪いはまた批判は別でありますけれども、事実問題を質問している。こんなにはっきりしている。四十三年度予算編成方針をごらんになってくださいよ。こんなにはっきり規定してあるのに、国会で、みな本会議でも委員会でもいいかげんな答弁しているでしょう。ほんとうですよ。そんな抽象的に規定してあるんじゃないんですよ。ですから、食管会計で九百六十万トンの買い入れをするときに財源が足りなくなるということを大臣言っているでしょう。そのときに、その財源としては、あるいは予備費を使ったり節約したりしてそういう補正財源を必要としない方式を確立するというのですから、事情の変化があっても、これだけ厳格に規定しているじゃありませんか。そういう厳格に政府が規定しているこれに基づいてわれわれは判断しているのであって、いまみたいな変通自在のそういうふうな解釈ならば、またそういう解釈でわれわれは対処しなければなりませんけれども、これほどはっきりと規定しているのに、この規定どおりにあなた説明しないから私はおかしいと言うのです。もっと厳密に、予算でありますから。
#17
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま私が申し上げたとおりでございまして、この編成方針をいま見てみますと「補正財源を必要としない」、こういうふうにありますが、これは総合予算主義、つまりあらゆる歳出需要に対して十分な財源を留保する、こういうことで、それ以上の財源は使わないでも済ませるようにする、こういう趣旨と御了解を願いたいのです。そういう意味からいたしますと、私のただいま申しました解釈で実際は運営していくということに相なる、かように御理解願いたいと思います。
#18
○木村禧八郎君 それは了解できませんよ。これを見たらそんなこと言えないでしょう。それはごまかしですよ。それはまた新しい解釈です、そうわれわれは受け取らざるを得ない。こんなに具体的に内容が書いてあるじゃありませんか。私は時間がありませんから、これはまた通常国会のときはっきり問題にします。
 次に質問したいのは、本年度の自然増収をどのくらいお見込みですか、四十三年度。
#19
○国務大臣(福田赳夫君) いま経済計画を策定中なんですが、これが確定しないと自然増収の正確な見込みは出ないんです。出ませんが、私の勘どころでは一兆一千億円をかなり……。
#20
○木村禧八郎君 四十三年度です。
#21
○国務大臣(福田赳夫君) 四十三年度ですか。四十三年度は千億円をかなり上回りますか、さような程度かと思います。
#22
○木村禧八郎君 大蔵大臣、とぼけちゃいけないですよ。四十三年度の経済成長率を予算編成の前提として一二・一%見通したでしょう。実績見込みは二八・八%ですよ。それで租税弾性値一・五で計算してごらんなさい。四千二百億ぐらい出ますよ。四千二百億ぐらい。ところが、そういうマクロ的な計算のしかたと、また、各税目別の計算のしかたがありますけれども、千億ちょっとなんて、そんなことはおかしいですよ。もう九月決算がはっきりわかっているのですよ。少なくとも三千億ありますよ。私の計算では四千二百億出ますよ。やってごらんなさい。四十二年度でもわれわれが見通したとおりになっているじゃありませんか。四十二年度だって約三千億ですよ。約二千八百億をこえているのですよ。われわれがマクロ的に成長率、弾性値をもとにして計算したとおりになっているのです、これまでずっと。ですから、その点は、これは全く私は、政府はこの公務員給与の問題もあり、また、食管の問題もあるものですから、自然増収を発表することを私はちゅうちょしていると思う。もっと総合予算主義のたてまえをとるならば、歳入の見積もりはもっと正確にすべきですよ。そうでしょう。総合予算主義をとって、もう補正を組まないと、そうしてあとで自然増収がたくさん出てきたらどうします。そうしたら当初予算と実績とうんとずれるじゃありませんか。もちろん税金の取り過ぎでしょう。そういうことがないように、歳入の見積もりは、今後総合予算主義をとるならば、もっといままでより厳格にすべきですよ。その点について大蔵大臣、千億大体ちょっとだなんて、そんな無責任な、これは常識はずれですよ。これは弔う不謹慎きわまるものですよ。
#23
○国務大臣(福田赳夫君) よく聞いてもらいたいのですが、ちょっと上回るとは申し上げません。かなり上回ると申し上げておるのであります。木村さんがそうおっしゃいますから、もっと具体的に申し上げますと、二千億近くまでいくんじゃないかと、こんな感じがしておるのでありますが、これはまだいろいろな要因がありますので、的確なことは申し上げられません。
#24
○木村禧八郎君 時間がありませんので非常に残念なんですが、私は、この自然増収については、総合予算主義をとるたてまえからいきまして、これまで以上に歳入の見積もりは、これはもう極力正確にすべきだと思うのですよ。そうでないと、これはもう予想と実績と食い違いますと、うんと自然増収が出てきてしまうのです。それをどう処理するかということは、当初予算をわれわれが審議するときは予想されてないのですから、これは非常に重大問題です。ですから、四十四年度においても重要でしょう。その点は十分大蔵大臣、いままでのような考え方で歳入の見積もりをやったのではいけないと思うのです。いかがですか。総合予算主義をとるたてまえになったら、その点については一そう正確にしなきゃならぬということは、これは問題意識を新たにしなければならないと思うのです。いかがですか、その点について。
#25
○国務大臣(福田赳夫君) 御説のとおり、歳入の見積もりは的確にこれをしなければならぬ、れで的確に的確にと努力はいたしておるのですが、それにしても、これは生きた経済ですから、変動は免れない。しかし、ことしあたりはふえるからいいのです。これが減ったというようなことになったらこれはたいへんなことなのでありまして、そういうことを考えますと、おっしゃるとおり、ますます見積もりは厳正にしていかなければならぬ、かように考えております。
#26
○木村禧八郎君 次に、公務員給与の問題ですが、これを予備費でまかなうことは、これは財政法上、あるいは、また、憲法上私は問題があると思うのです、予備費で組むことは。これは予備費の規定から言っても緊急性というものはやはり問題要素になると思うのです。いまこの国会は公務員給与のために開かれた国会でしょう。法律案だけ出してこれで済ませるというのは財政法違反ですよ。憲法違反でもある。なぜ人事院勧告がはっきりしたらそれを、――予備費は予算じゃないのですから、予算としてこれをなぜ提出しないのですか。そうしませんと、国会の事前審査制、これを侵害するわけです。予備費ですと、これは来年度になるのですよ。だから、財政民主主義のたてまえからいって予算として出して、予備費は予算じゃないのですから、人事院勧告がきまったらそれを予算として出して、どうして国会のこの事前審査の対象にしないのですか。これは私は財政法違反だと思う。こういうことを今後続けるのですかどうですか。非常に私は問題だと思う。それで、財政制度審議会でも、ある学者は、公務員給与を予備費として組むのは問題があるから、第二給与とかいう名目でやっぱり予算化すべきだ、こういう議論があったでしょう。予算化すると財界から反対がある、労働組合から逆にまた所得政策で反対があるというので、うやむやにしたのじゃないですか。そういう経過があるのですよ。しかし、これは今後私は重要な問題です。国会としては、財政民主主義を貫く上から、こういう予備費を――重要な給与費です、これも。人事院勧告というものは政府及び国会に二重に勧告しているのですからね。それはなぜかといえば、やっぱり財源措置としてこれを国会に審議を求めるということですよ。だから人事院勧告だけ国会と政府と両方勧告する、そうでしょう。その重大性をやっぱり認識すべきですよ。だから大蔵大臣、今後は私は予備費としてこれを計上すべきじゃない、予算化すべきです。
 それと、もう一つは、今度生活保護費も予備費でまかなうでしょう。いままでは消費者米価の値上げによる生活保護費の増額は、これを予算化して出してきたのですよ。ところが、四十三年は、これもみんな予備費でまかなうのでしょう。どうして大蔵省はこのように財政民主主義を空洞化しようとするのですか。国会軽視ですよ。非常な軽視ですよ。その点伺いたいと思う。
#27
○国務大臣(福田赳夫君) 総合予算主義ということでこういう試みをしてみたわけです。しかし、総合予算主義は、私は非常に財政上前進だと思いますので貫いてまいりたいと思いますが、御指摘のように、予備費にこんなにたくさんな額のものを入れておくということは、これはいかがかとも思っておるのです。いまどんなふうにしたらいいかと思いまして、頭をひねっておる最中である、かように御了承願います。
#28
○木村禧八郎君 四十四年度は予備費としては組まない。人事院ともいろいろ折衝しているようですが、予備勧告とかいろいろ。学者の中でも、やはりこれは予算化して出すべきだ、これはもう定説ですよ。ですから、四十四年度は予算化するかしないか、そこが非常に重要な点ですよ。いかがですか。
#29
○国務大臣(福田赳夫君) 木村さんのおっしゃることごもっともなお話だと、こう思うのです。私もいま予備費にあれだけたくさんのものを入れておくことについては、かなりこれは疑義がある、こういうふうに思っています。法的な違反とか、そういうことでなくて、どうも財政運営の合理性というところから見て問題があると、こういうふうに思いますので、これをどういうふうに一体するか、いませっかくいろんな考え方について考えておる、近く結論を得たいと、かように考えております。
#30
○木村禧八郎君 それじゃ少なくともいろんな形があるでしょうが、第二給与とか、いろんな形があると思うのです。しかし、少なくとも予備費計上は避けて、何らかの形で予算化して国会の審議を求める、事前審査の対象にする、その考えで進んでいる。その形式はいろいろあると思う。その根本の予備費としては計上しないという点だけは、これはやはり今後はっきりさせるということでございますか。予備費は避ける……。
#31
○国務大臣(福田赳夫君) 考え方はよくわかりますので、それをどういうふうに財政上具体化しますか、その技術的な面でいま考えておるのです。ですから、また御批判を受けたいと思います。
#32
○木村禧八郎君 私は、これは法律的にも大蔵大臣は私よりもよく知っておるのですから、長い間大蔵省にいて。よく知り抜いている。旧憲法でも予備費というのは、やはり緊急性という条件が入ったでしょう。ちゃんと大蔵大臣よく知っているのです。今度の国会はその公務員給与のための国会じゃありませんか。ところが、給与法の改正だけで、予算措置が出ていないなんて、こんなどだい国会がおこらぬのは私はおかしいと思うのですよ。こんなに政府の行政が国会を軽視している。非常な軽視です。
 次に、非常に時間がありませんので、はなはだ残念ですが、物価問題について、企画庁長官もおられますので、御両者に伺いたい。
 まず、今度の四十四年度の予算編成にあたって、大蔵大臣は物価問題についてどういう立場で取り組まれるか。これは新聞等では、四十四年度予算の一番重要な編成の方針の一つが物価安定であるといわれているのですが、そういうふうに取り組まれるか、まず大蔵大臣のほうから伺います。
#33
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、今度の予算は、これは予算でありますから、財政そのものの機能といいますか、そういうものを当然発揮しなければならぬわけでありますが、つまり歳入の適正な調達、それから、また、歳出の公平な合理的な配分、こういうことをやらなきゃならぬわけですが、特に注意しなければならぬ点は、一つは、国際経済情勢の来年度における見通しが非常にむずかしい。それに対処するかまえ、それから、もう一つは国内経済、これは物価が少しでも上がり過ぎだと、こういう傾向に対しまして、財政だけじゃどうにもならぬ問題でありますが、財政面におきましてもこれに一致協力をする、こういうことであります。この二点は特に注意してまいりたい、さように考えております。
#34
○木村禧八郎君 企画庁長官はどうお考えですか。
#35
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいま大蔵大臣が述べられたとおり、予算編成の上において、やはり物価安定ということを最重点として考慮しなければならぬというふうに考えておるのでありまして、先般の総理の所信表明の中にも、消費者物価の問題については最重点として力をそそぐということを総理も言われたことでありますからして、まず物価の安定という立場から私のほうでは来年度の経済見通しを立てたい、こう考えております。
#36
○木村禧八郎君 物価安定のためにどういう方針で臨むかを聞いているのです。政府は経済社会発展計画で物価対策というものははっきり打ち出しているのですよ。そのとおりになぜやらないか。いま大蔵大臣、企画庁長官に聞いても、経済社会発展計画でこんなにはっきりと物価政策の基本をきめておりながら、これは経済社会発展計画に基本はちゃんときめてありますから、それをお読みくださいとなぜ言えないのですか。物価安定を重要施策として考える、そんなことを聞いているんじゃないですよ。書いてあるじゃないですか。このとおりやるんですか。
#37
○国務大臣(菅野和太郎君) そこに書いてある程度は、もう木村先生も十分御承知のことだと思っておりますから、したがって、やはりその方針に従ってやりますが、ことに物価安定ということを重点を置いてやりたい、こう考えておるのであります。
#38
○木村禧八郎君 これほんとうにこのとおりやりますか。
#39
○国務大臣(菅野和太郎君) このとおりやるつもりでおります。
#40
○木村禧八郎君 大蔵大臣、このとおりやりますか。経済社会発展計画にも書かれておるように、この方針で四十四年度予算編成にあたって物価政策を行ないますかどうか。
#41
○国務大臣(福田赳夫君) 私、経済社会発展計画というのをまだ拝見しておりませんので、その御答弁に相なりますかどうかわかりませんが、おそらく公共料金の問題が中心になっておるのじゃないかと思います。これは私は、この物価情勢の中で公共料金の扱い、これにつきましては格別慎重でなければならぬ、こういうふうに考えて、これらの問題はよく企画庁長官と話し合ってきめていきたい、かように考えております。
 それから、さらに、物価を押し上げるというか、物価の中心は生鮮食料品問題ですね、これが非常に大きな要因をなしておるわけですが、これをどういうふうに生鮮食料品の価格を改善していくか、これもひとつ農林当局とよく協議いたしまして、有効な対策があれば財政上協力をいたしていきたい、かように考えております。また、物価抑制の一つの大きな問題は地価なんです。この地価問題、これもとより財政当局だけで片づく問題じゃございませんけれども、まあ税制の面におきまして地価の高騰を抑制するような対策を打ち出していきたい、このようなことを考えておる次第でございます。
#42
○木村禧八郎君 時間がありませんから、もう簡潔に質問しますが、この経済社会発展計画における物価対策は二つにはっきりと分かれております。当面、前半と後半に分かれておる。前半においては、「生鮮食料品の供給増加、輸入の活用、政府関与価格の安定など比較的短期間に効果の現われる施策に努力を傾注し、上昇率の鈍化をはかる。」となっている。ところが、四十三年度の予算ではどうですか、受益者負担の原則と称して公共料金の引き上げをやっているじゃないですか。そうでしょう。また今後も公共料金を引き上げようとしているのですよ。前半の物価対策は政府の関係の料金等を極力これは引き上げない、短期間に効果をあげるのでしょう。そうして上昇率を鈍らせるというのに、四十三年度どうですか、四・八%の消費者物価の見通しをやったところが、六%近くも上がって、それは政府の公共料金引き上げ、受益者負担の原則によるのじゃないですか。これに反しているのですよ。ところが、このとおりにやると言うのです。おかしいじゃありませんか。
 もう一つの今度は後期のほうの後段の政策は、これは所得政策に関係があるのです。全体としての生産性と賃金・所得の均衡のとれた上昇など、恒久的な物価安定のための条件を整えて三%程度の上昇率にとどめる、こうなっている。後段は所得政策です。こうはっきりなっているのですよ。それを政府は、具体的に私質問しているのに、そのとおりであると思いますと言いながら、それと反していることをやっているじゃありませんか。四十四年度予算でも公共料金引き上げが前提となって、受益者負担の原則が前提となっているでしょう。全く反しているじゃありませんか。これに答えてください。
 それから、時間がありませんからもう一つ。これは今後の問題として重要でありますが、熊谷報告ですね、所得に対するあの報告、あれについて前に私質問したときに、前の企画庁長官はこういうふうに評価されている。これは一番この報告のエッセンスは、結局従来いわれておりまするいろいろの政策とともに、補完的な、補助的なものの考え方等、いわゆるフィリップス曲線ですね、フィリップス曲線をできるだけ原点に近づけていく、こういうことなんだ、これに対して学者の大体の合意を得たのだ、これがエッセンスだ。トレード。オフ曲線ともいいます。そういう方針でいかれるのか。フィリップス曲線というのは何ですか。原点に近づけるということは何ですか。トレード・オフというのは何ですか。これは学者ですから、それに近づけることがこの真髄だと言っているじゃありませんか。企画庁長官はっきり述べている。そうすると今後そういう政策をとっていくということなんですか。そうしてこの物価対策は後段においては所得政策をとるということが明らかになっているのですから、そとで私は今後重要だと考えて質問しているのです。この二点について伺いたいのです。まず大蔵大臣に、さっきのお答えでは全く要領を得ないのですよ。これはお読みになっていただくといいのです。非常に具体的なんです。それに基づいて一応御答弁願わないと……。
#43
○国務大臣(福田赳夫君) 大体そういう方向のことを考えておりますが、いま具体的にも申し上げたんです。一つは、公共料金政策の運用、それから、もう一つは生鮮食料品の問題、それから、さらに地価対策ですね。一つ漏れておったのは輸入の問題のようです。輸入につきましてはお説のとおりです。極力努力いたします。それから、受益者負担ということは財政上の大原則でございますとは考えますが、しかしながら、当面のこの物価情勢のことを考えますと、これは弾力的に考えていかなきゃならぬ。その考え方につきましては、先ほど申し上げたとおりなんです。これでおおよそ尽くしておると、かように考えております。
#44
○国務大臣(菅野和太郎君) この公共料金の値上げは、なるほど四十三年度においてはやったのであります。それが非難の的になっておると思います。来年度は、この公共料金の引き上げについてはもう少し慎重に考えたい、こう考えておる次第であります。
 そこで、いま木村先生は、そのページの最後のところで所得政策のことに触れておるじゃないかというようなおことばがありましたが、私はこれを読んでみて、所得政策に触れておるとは考えていないのであります。生産性を高め、同時に賃金も高めていこうじゃないかということが書いてあるのであって、何も所得政策とはちょっと意味が違うと思うのであります。
 それから、この熊谷報告書は、これは一つの考え方を示したのであって、これをまだ経済企画庁として取り上げたものではありません。学者が寄って、こういう考え方があるということで、私はこの研究というものは、よほど皆さん、学者の先生方がよく勉強して報告書をつくられたと思っておるのであって、これは冒頭にも書いてありますとおり、これが政府の方針としてやるというようなことは決して書いてないのであります。これは一種のたたき台にして、これからひとつ大いに各方面の批判を仰ぐということになっておるのであります。したがいまして、経済企画庁といたしましても、熊谷報告書のとおりやるという考えはありません。また、今後われわれのほうも勉強したいと思っております。また、所得政策自体の概念が世界的にまだ一定もしてないのでありますが・熊谷先生自身はまた所得政策についてのお考えもあるようでありますが、しかし、世界的にはまだ所得政策の内容、あるいは概念も一定していないのでありまして、これはひとつ私も木村先生もともに勉強して、この熊谷報告書をひとつ有効に活用するように今後やりたいものだ、こう考えておる次第であります。
#45
○木村禧八郎君 最後に、これでやめますが、そういうことを質問しているのじゃないのです。前の企画庁長官は熊谷報告というものを評価しているのです。エストメイトしているのです。どういうふうに評価しているか、どういうふうにこれを判断しているかということを質問したら、いわゆるフィリップス曲線を持ち出して、それを原点に近づける、トレード・オフ曲線を原点に近づけるということを、それが一番のエッセンスであり、これが学者間の合意に達した。これを評価したんです。そこに非常に問題があるのであって、勉強するとかこれからやるとか、国民の税金であれはやったんですよ。つまりその評価を聞いているのですよ。企画庁長官としてはあれをどういうふうに評価するのか。ただ、いろいろな諸外国でも定説があるとかないといって、だからこそ熊谷報告をさせたんでしょう。せっかくあれだけさせておいて評価が適正にできてないということはおかしいじゃありませんか。とれが間違っているなら間違っている、間違ってなければ、どこのところが評価すべきか。それはフィリップス曲線を原点に近づけるという点が一番重要なのかどうか。そうなると問題が起きてくるのです。そこのところです。そこをフィリップス曲線のことが一番重要なところ、エッセンスである、こういう評価でいいのですか。
#46
○国務大臣(菅野和太郎君) いま木村先生の言われたおことばの中に、ちょっと私にも合点がいかぬ点があるのでありますが、これをいかに評価するかということについては、これはりっぱな私は所論であると思います。所論というのは、よく勉強してこれだけのものをよく書いた、こう思うのです。しかし、これを実行するかしないかということは、これは第二段の問題である。また、このとおり実行せいということも書いておりません。ですから、その実行するということについては、今後もう少しお互いに研究しなければならぬということを申し上げているのであって、とれだけの研究をよくまとめたものだという意味において、私はりっぱな報告書である、こう考えております。しかし、内容についてはもう少し具体的に研究して、はたして日本の国情に合うかどうか、日本の経済の発展のためにこれがいいのかどうかということは、もう少しお互いが勉強してやらなければならぬのでありまして、その点を私は申し上げているのであります。
 なお、宮沢長官が言われたことにつきましては、ひとつ局長から、どういうととを言ったか、ちょっと……。
#47
○政府委員(鹿野義夫君) 確かに熊谷委員会の一つの重要なポイントは、いま先生がおっしゃられたフィリップス曲線を原点にシフトさせるような政策が一つの所得政策であるということを言っております。それは、フィリップス曲線というのは、経済の成長と―― ここでは失業率の関係を言っているわけですけれども、失業率と物価との関係、それはつまり翻訳し直せば、成長率と物価というふうに言えると思いますが、その関係をある程度――フィリップスとリプシーという学者だと思いますが、その両学者によって、大体一つのカーブが、これは本にも示された線でございますけれども、経済の成長が高くなれば物価が上がる、成長が低くなれば物価がだんだん下がっていくということが一つの実証的な研究としてなされている。それは従来の経済政策のような、いわゆる財政金融政策によって総需要を調整するというような形では、曲線の上を上に行ったりあるいは下に行ったりするような形にとどまる。さらにそれをシフトさせるということであれば、つまりできるだけ高い成長率であまり物価を上げないようにするというふうなためには、一般的な政策といいますか、従来の系統の政策であれば、いわゆる構造政策、あるいは労働移動を有効にしていくというような政策が考えられるわけですけれども、そういうような政策だけではなかなか原点のほうにシフトさせることが困難である。むしろ逆に言いますと、これからいろいろな価格形成の中に管理価格的な要素などが入ってくる場合には、そのフィリップス・カーブが原点より逆に動く傾向がある。それをむしろ動かないようにしていくためには、もちろん構造政策的なことが第一であるけれども、さらにそれを補完するものとして所得政策というものが考えられるのではないかというふうな一つの考え方を述べておられるので、これは事務当局としてもそこが一つの重要なポイントですけれども、考え方については本質的に間違っているというふうな観念を持っているわけではございません。補完する政策であるということでございます。
#48
○戸田菊雄君 大蔵大臣と企画庁長官が時間の関係で帰られるようでありますが、いまの木村委員の問題に関連して、一点だけ聞いておきたい。
 それは経済審議会の、会長は木川田一隆さんですけれども、いまの問題、物価・賃金・所得・生産性研究会、この中で所得政策についての報告書が出ていると思うのです。その内容を見ますと、所得政策を、単に賃金上昇を抑えるためのものではなく、社会経済成長の中で物価の安定をはかるための施策である、こういう指摘をしている。ですから、そういう問題であって、一体、具体的にいわゆる物価安定政策について、すでに企画庁は、事務当局の言ったように、検討されていることは間違いないようでありますが、どういう一体実行方法をとっていくのか、その点を一点だけ聞いておきたい。
#49
○政府委員(鹿野義夫君) 先ほど大臣が申し上げましたけれども、この報告書は、従来、所得政策という概念が日本でもあまりはっきりしませんで、各方面で適当にあるいは使われて議論されているので、むしろ所得政策なるものの理論的、基礎的なものを十分に検討して、それを一つの報告書にまとめ、その報告書をたたき台にしてさらに所得政策の議論の発展をはかろうというような形で書かれております。ですから、現在の日本の経済の情勢では、所得政策的なものを取り入れるにはいろいろな問題がたくさんある、その前にやらなければならない条件整備というものはたくさんあって、直ちにこういうものが取り上げられるとは報告書の中にもほとんど書かれていない。ただ、将来の問題としてこういう問題をいまから検討していくのは十分な意味があるのじゃないかというようなことで、そういう態度でもってこの報告書は書かれているわけでございます。確かにいま先生がおっしゃるように、所得政策を日本の立場で考えた場合には、従来、外国では、所得政策については、賃金を押えるために所得政策ということばがしばしば使われておる例もございますけれども、日本の場合には、単に賃金を押えるということではなくて、インカムズ・ポリシーである、賃金も利潤もその他の所得も総合的に考えていくのが所得政策であり、同時に、いま申し上げましたように、成長と物価の安定をはかっていく政策として、従来の政策を補完するものが所得政策である。さらに、所得政策というのは、政府が強制的にそれをやっていくというような性質のものではなくて、一つのガイドライン的なものを与えて、民間の自主的な規制によってそういうものが達成されるように政府が誘導していく政策である、そういう性格の政策を所得政策として考えるべきではなかろうかという一つの提案がなされているわけでございます。なお、それを実行するためにはたくさんの条件が必要であるということをるる述べておりますので、その条件を一つずつ満たして、なおこの所得政策という問題にかかるにはたいへんな努力がこれから必要であろうというふうに思っておるわけでございます。
#50
○戸田菊雄君 いずれその問題については、あとでまた質問したいと思うのです。
 それで、大蔵大臣に、時間ありませんから、三点一ぺんにお伺いをしてまいりたいと思いますが、その第一点は、四十四年度の予算案の政府決定、この時期は一体いつごろになるか、この見通しについてお伺いしたい。
 それから、先ほど木村委員の質問に対して、予算編成の重点は、一つは物価であり、国際収支改善だ、こういうことを言われましたけれども、国内政策の重点は物価だけではないと思うのですが、もちろん物価第一でありますが、そのほかに予算編成上の国内政策として一体どういう重点施策があるのか、その辺についての考えが一つと、それから、もう一つは、最近いろいろなことを聞くのでありますが、どうもこの予算編成の全体を一貫く受益者負担、こういうもの、あるいは相互扶助、こういうことで、いわば、われわれから解釈すれば大衆収奪、そういう方向に予算編成の根幹を置いているというふうな印象を受けるのでありますけれども、ことに社会保障費等について相当な削減を予想されるのではないか、こういうふうに取りざたをされておるのでありますが、この辺に対する大蔵大臣の見解を承っておきたいと思います。
 もう一点は、国会で問題になりました国立病院の特別会計移行に伴って、前回の通常国会において大問題になってその結末を見たところでありますけれども、この内容について、一つは、やはり独立採算化の問題で問題になったと思う。これに対して水田蔵相は、独立採算にはしない、今後といえども独立採算制には絶対しないのだということを明確に通常国会の中で回答いたしております。それから、一般会計の繰り入れ問題については、厳正な経理による収支の差額は一般会計から必ず出す、こういうことを言明している。それから、地方自治体の負担増問題については、本年度より地方負担等の処置をしていただく、本年というのは四十三年度をさしていると思うのでありますが、今後も四十三年度と同じような措置をとる。それから、医師、看護婦等の増員、待遇改善、労働条件、こういった問題について、大蔵省は、いわゆる厚生省の概算要求がきたらこういった改善策については十分協力をいたしますと、こういうことで、具体的に水田大蔵大臣――これは福田大蔵大臣の前任者ですが、確約をいたしておる。こういった特会制移行措置等に対する諸問題について前任者の水田大蔵大臣が確約をしたそういった諸方針を福田大蔵大臣は今後も踏襲をするのかどうか、その辺に対する考え方を明確にお答えいただきます。
#51
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十四年度の予算につきましては、何とか年内にこれをきめまして、まあ正月はのんびりしたいと思っておるのでありますが、どうも臨時国会がこういう時期に開かれておるという関係で、どうもそううまくいくかどうか危ぶんでおるわけでございます。で、越年となります場合におきましては、まあ六、七日ごろ大蔵原案を閣議に提出をする、こういうふうにいたしております。まあ一週間そこらで最終的な閣議決定に持ち込みたい、こんな考えでおるわけですが、正式には国会が終了したその時点でスケジュールを確定をいたしたい、かように考えております。
 それから、来年度の予算の重点は、先ほど申し上げた大きな問題もありますが、さらに具体的には食管制度と関連し、農業全体をどういうふうに位置づけしてまいりますか、この問題が最大の問題になってくると思います。それから、第二は、国鉄が非常に経営難に直面いたしております。これをどういうふうに財政再建の方策を講ずるか、これが問題となってくると思います。それから、さらに医療体系をどうするか、こういう問題があるわけでありまして、これは国会に対する政府の宿題みたいな形になっておりますが、この問題。それから、社会保障費、これはいまお話もありましたが、年々ふえてまいっておりますが、この取り扱いの問題。それから、ほかにもいろいろありますが、さらに中央、地方を通じての財政問題といたしまして、昭和四十一年度に地方財政が非常に落ち込んだそのときかなり手厚い地方財政対策をとったわけであります。その結果、地方財政が好転をしてまいりました。今日になりますると、中央、地方の財政の内容が逆転したような形になっておりますので、この間の調整をどうするか、これも四十四年度予算を考える上において重大な問題になってくる、いういうことかと考えるのであります。国立病院につきましては、水田前大臣からいろいろお話があったようでありまするが、私宅前大臣のお考え、こういう問題につきましてはこれを踏襲し、尊重してまいる、さように御了承を願います。
#52
○野上元君 関連。大蔵大臣にちょっとお聞きしておきたいのですが、さっき公共料金の問題で木村委員から質問がございました。政府の物価の対策をやっておる元締めというのはどの官庁なんですか。
#53
○国務大臣(福田赳夫君) 経済企画庁であります。
#54
○野上元君 私も、新聞記事ですから、はっきりしたことを申し上げるわけにいきませんけれども、新聞記事によりますと、最近盛んに大蔵省が公共料金の値上げ、あるいは値下げについてこれを選別する、こういう記事が出ておるわけであります。たとえば食管にあっては生産者米価の引き下げをやりたい、しかし、これができなければ消費者米価の値上げを行ないたいと、こういう考え方、それから、国鉄の場合には、これは九百億程度の増収を認めなきゃならぬだろう、そのためには国鉄運賃の値上げはやむを得ないだろう、こういうふうな見解が出ております。ところが、一方、電信電話のほうについてはこれは、値上げをする必要がない。特にその内容についてまで、市内通話料については、これは値上げしてよろしい、しかし、市外通話、長距離通話についてはこれは値下げをすべきである、こういうようなことを言っておられるのですが、大蔵省設置法のどの条項に基づいてこういうことがやれるんですか、その点をお聞きしておきたいと思います。
#55
○国務大臣(福田赳夫君) これは私は、まずどこ
 の公共料金を上げるの下げるの、そんなことは一言も上育ったことはない。どこでどうお聞きになったか知りませんが一言も言っておりませんから、その点は御了承願います。
 それから、大蔵省は国の財務を統括する、そういう役所でございます。米の問題でありますれば食管会計の問題、それから、電信電話であれば電信電話公社の経理の問題、国鉄でも同様であります。でありますから、これは重大な発言をする根拠を持っておるわけです。これは大蔵省が発言するということは、これは何ぴとも、常識的にも、また、法理的にも、そう疑問を持っておらぬと思います。
#56
○理事(大竹平八郎君) 発言時間があって、関連ですから、その程度で、あとにしてくれませんか。あと時間の割り当てがあるんですから。
#57
○河口陽一君 関連。
#58
○理事(大竹平八郎君) 関連でしたら簡単にやってください。
#59
○河口陽一君 ただいま地方交付税に対する大臣のお考えが披瀝されたのですが、実は町村長がこの問題に対して非常に気を配って、要請書がたくさん各議員さんにもきていると思いますが、昨夕私二回も三回も起こされた。実は町村長並びに知事からの電報要請で、この地方交付税の引き下げを阻止してもらいたいという要請で寝られぬような状態です。ただいまの御答弁ではなかなか理解がしにくいと存じますから、われわれが安眠できるような施策をひとつ早く打ち出してもらって、そうして混乱の起きぬようにお願い申し上げたい。要望申し上げておきます。
#60
○国務大臣(福田赳夫君) ちょっと誤解のないように申し上げますが、中央、地方の財政調整、これは四十四年度予算の大問題だというふうに考えておるのですが、さて、その調整の方法をどうするかということにつきましては、私はまだ固まった考えを持っておりません。これは自治大臣ともよく相談をいたしまして適正な結論を得たいと、こういうふうな段階でございます。
#61
○中尾辰義君 来年度の予算編成は、ただいま御答弁がありましたように、まだきまってないということですけれども、大体大詰めに迫って、大蔵大臣の腹の中もおおよそきまっておるんじゃないかと思うわけです。そういうことで私は減税につきまして一点だけ聞くわけですけれども、ことしは減税を幾らにするのか。まあ去年はまだあなたは幹事長で、水田さんがやっておられたのですけれども、全く去年の減税は、非常に物価が高い今日、酒、たばこの引き上げによって、せっかくの一千五十億の減税というものも帳消しになったということで、国民の非常に不評を買ったわけですが、それで、来年は一体大臣の腹の中はどの程度おやりになるのか、その辺をひとつ、隠しておってもしようがないことですから、新聞等にはちょとちょこ出ておりますので、聞かしていただきたいと思います。
#62
○国務大臣(福田赳夫君) 来年度において自然増収がどのくらい出ますか、一兆一千億円はかなり上回る状況ではあるまいかと、こういうふうに考えております。それで、歳出の需要が、先ほど申し上げますように、かなりある。大半は歳出の需要に充てられるのですが、これをなるべく残しまして、大体残った額はどのくらいになりますか、三千億と見る人もありまするし、そこまではいくまいというような人もありますし、多少は出るかというような人もありまするが、大体その半々という見当で、半分は国債発行の減額に充当し、半分は減税のほうに回していきたい、かように考えております。
#63
○中尾辰義君 あなたが大臣になったときに初めて赤字公債を出したのですから、それはまああの当時は、自然増収が余ったら国債を減額しなきゃならぬと、こういうことをあなたもおっしゃった、私もはっきり覚えておりますし、当然でありましょうけれども、しかし、財政論からいえばそうか知りませんけれども、実際今日の物価の高い環境において生活しておりましたら、とてもじゃないですよ、こう次々と物価が上がって、まあ物価の問題になりますというと、よくパーセントとおっしゃるけれども、三%、五%と、そんな話をしてみても、これは国民はぴんときませんよ。実際問題として家賃が一割、二割上がったとか、授業料が何千円上がったとか、交通費が何割上がったとか、これが実感ですからね。ですから、せめてこの減税の面におきましても、昨年みたいなごまかしをやらないで、昨年の汚名を挽回するという意味でもっと大幅にやる、そういう意思はありませんか。わが党は、すでに昭和三十九年から百万円の免税をやれと、こういうことを言っておるのです。自民党政府は来年まででやるというんでしよう。これはもうこういうことを言ったら次元が合わないですよ、物価がずっと上がっていくんですから。ですから、私は、百三十万円までやったらどうか。特に最近は税法上の不公平、アンバランスが目立ってきまして、私が言うまでもないわけですけれども、何だかサラリーマン・ユニオンというようなものもできて、相当圧力をかけなきゃだめじゃないかと、そういうふうな雰囲気も上がってきておるんですね。そういうことで、所得税は一体どの程度減税をなさるのか、その点をひとつお答え願いたいと思います。
#64
○国務大臣(福田赳夫君) まだ額というところまで決定いたしかねておるわけでありますが、昭和四十三年度のように実質減税がないと、いまそういうお話ですが、一方において減税だ、一方において増税だという形でなくて、ネット減税だという性格を出していきたい、かように考えております。その内容につきましては、かねて政府が国会に対しましてお答えをいたしておりまする課税最低限の引き上げ、これと、それから、第二は、中堅所得者以下の所得者ですね、これらの人々に対する税率改正がここ長い間行なわれておりません。そういうような関係から税率の引き下げ、さようなことを考えておるわけであります。なお、サラリーマンに対しましては控除額の引き上げもあわせて行ないたい、こんな考えを持っておるわけであります。
 さらに税制改正の重点といたしましては、先ほど申し上げましたが、物価というようなことも考えながら、土地税制に対しまして根本的な改革を加えていきたい、こういうことであります。その他特例法ですね、その関係でこまかい問題はございまするが、大筋を申し上げまするとそれらの点でございます。
#65
○中尾辰義君 それで、この際、大蔵大臣にお聞きしたいのは、いつもこれはもう問題になりますけれども、要するに農業だとか、あるいはその他の事業者と給与所得者の間に非常にアンバランスがあるんじゃないか、こういうことで、例の九・六・四というようなこともいわれておるわけですね。それで、納税順位の面から見ても、九割は給与所得者である、そういうことで不平不満が出ておるわけです、新聞で御存じでしょうけれども。それで、なぜ給与所得者だけに必要経費を認めないのか。ここはいつも問題になるんですがね。この辺どうお考えになるのか。その必要経費に見合うものがみな給与所得控除であるとするならば、その点ももう少し明確にしなければならないし、その辺がもやもやとしておるわけで、そういうところもこれははっきりと大蔵大臣から答弁がなければ、これはまたいろいろな問題が起こってくるんじゃないかと思いますので、お伺いします。
#66
○国務大臣(福田赳夫君) 給与所得者の必要経費というと、なかなかこれは複雑で、測定困難でありまするし、税の執行上も問題があると思います。したがいまして、控除制度というものをとっておるのですが、まあサラリーマン階層の減額、そういうもの。それから九・六・四というような傾向、そういうものを考慮いたしまして、給与所得者に対しる税率の引き下げとあわせて控除額、これを引き上げていく、これでただいまお話しのような問題はカバーされる、かように考えております。
#67
○中尾辰義君 そうしますと、要するに百万円の年間給料をもらったら給与所得控除が幾らになりますか。一〇%になっておると思いますが、それを引いた残りが結局純所得、こういうことになるわけですか。
#68
○国務大臣(福田赳夫君) もろもろのその他の控除があるのですよ。勤労者といえども、一般の基礎控除とか家族控除だとか、いろいろあります。その上に勤労者独得の勤労者控除というものがついておるわけですから、標準世帯でいくとどのくらいになりますか、ちょっと……。
#69
○政府委員(吉國二郎君) ただいま先生のお尋ねの点でございますが、ただいま大臣が申し上げましたように、給与所得につきましては、いわゆる必要経費控除という控除が税法上はございません。これは御承知のとおり、一般の事業者のように、給与所得者の場合には収入を得るための必要経費というのが、仕入れであるとか、そういう関係がございませんので、非常に必要経費そのものの内容がむずかしいという点がございます。非常に紛糾を招く結果にもなりますので、御承知のように、給与所得控除という制度を日本では従来とも使っております。これは大体において三つの考え方からできておるというふうに説明をいたしておりますが、一つは、ただいまの必要経費の概算的な控除の意味を持つ。第二は、これは最近かなり変わってきておりますけれども、資産所得、資産と勤労の結合の所得であります。事業所所得等違って、勤労所得の場合には担税力がどうしても弱い。たとえば病気をすれば、それでかなり収入の減を来たすとか、失業あるいは退職というような問題がございますので、そういう意味の担税力を考慮した面が一つと、第三番目には源泉徴収を受けているということで、一種の利子に対する報償、こういう三つくらいの意味を持った給与所得控除というものを設けているわけでございます。給与所得控除につきましては、ただいま大臣から申し上げましたように、昭和三十二年以来、あまり定率控除の部分が動いておりません。定額控除につきましては、御存じのとおり、この最近の間に十万円ばかり上げまして、低額所得者につきましてはかなり大きな控除になっておりますが、定率控除は百十万円で、昨年頭打ちで改めたわけでありますが、昭和三十八年当時でも八十万円の頭打ちでありましたので、最近の所得の伸びから申しますと、先ほどの給与所得に対する必要経費的な意味から申しますと不十分ではないかという観点もございます。いま大臣申しましたように、給与所得控除の定率控除をもっと大幅に所得に比例して引き上げるということを考えているわけでございます。
#70
○中尾辰義君 ですから、そういう答弁はちょいちょい聞くのですけれども、要するに国税庁の長官も御承知でしょうけれども、大体税金をまともに払っているものはありませんよ、ざっくばらんに言いまして。これは国税庁が毎年毎年業種別にねらいをつけて調査をやっておりますが、やってみますと、大体たいがいのところはばれてくる。そうして何割増しかで更正決定をやるというのが実情でありまして、それがサラリーマン諸君にはできない。会社からもらう月給は封筒の中ですでに頭をはねられているのですから、これで九割、あるいは最近一〇・六・四、十割までやられているという声が出ておりますけれども、その辺もやはり御存じでしょうけれども、当然考えてもらわなければならないし、また、予算編成の点からどうしてもこれだけの額が要るので、この程度にしたらどうかというようなことでは困るわけです。そこで、給与所得の控除をもう少し大幅に引き上げなければ、これは不満が解決しないと私は思う。それが一点。ですから、ことしはうんとこの所得控除を引き上げてもらいたい。できれば思い切って、過去におきましては予算の一割程度は減税した事実もありますし、一割というと大体六千億ですが、去年の穴埋めも考えてもらいたいですね。そういうことで、第二回目の大蔵大臣就任を機会に、うんとやっていただきたい。私は要望しておきます。
 それから、もう一点は、大体税金は申告制度になっておりますですね。全部所得税は申告をして、それによって国税庁がこれを決定してやるわけですけれども、なぜ給与所得者だけに申告制がないのか、この辺もひとつはっきりしてもらいたいと思います。
#71
○政府委員(吉國二郎君) 給与所得のような定額収入のものにつきましては、これは世界各国で徴税上の納税者の便宜、あるいは、いわゆる最小徴税費の原則ということから源泉徴収制度を例外なくとっております。日本の場合、やはり源泉徴収制度をとっておりますが、もちろん雑損を生じたり、盗難とか災害があって所得が減少したというような場合には申告書を提出いたしまして、源泉徴収を受けた税額を払い戻すという道も一応あるわけでありますし、また、給与所得以外の所得があった場合には、申告納税を追加して行なうという制度がございますが、現在の源泉徴収制度は、これはかなり精密にできておりますので、給与所得だけの納税者であれば、一般の控除、たとえば生命保険の控除等は年末調整ですべて処理がつきますので、一応申告をしないでもいいたてまえになっております。申告の必要がある場合には必ず申告ができるという制度になっているわけでございます。
#72
○中尾辰義君 それは手続等の技術の面からそうおっしゃいますけれども、実際、まあ先ほど来必要経費の問題もありまして、申告制度にしたらもっとこれは必要な経費の面も出てくると、私はこう思うのですがね。それと、もう一つは、法的に言いましても、片方は申告制になっているし、片方は源泉徴収でやられる、こうなりますと、これはまあ大げさになるかもしれませんけれども、やはり何ぴとも法のもとに平等でなければならぬと、そうなっているのですから、憲法においては。そういう面から言えば、源泉徴収をやるということは憲法違反じゃないか、こういうふうな声も出ているが、これはいかがですか。これは大蔵大臣から答えてください。日本全国のサラリーマン諸君にあなたは答弁してください。
#73
○国務大臣(福田赳夫君) これは、税は憲法の規定によりまして法律によってきめられるということで、私は、法律論としては別に問題ないと思うのです。ただ、おっしゃられるように、九・六・四というような問題があることは私もはだに感じておりますが、そういう点は是正しなければならぬと、こういうようなことで、今度の税制改正あたりでは、そういうことの考え方を加味した改正を行ないたいと、こういう考え方でございます。
#74
○中尾辰義君 ですから、私聞いているのは、憲法違反なのか違反でないのか、そこを聞いているのですよ。その点を。
#75
○国務大臣(福田赳夫君) これは憲法には私は違反は別にいたしておらぬと、かように考えます。これはもう法律で国会の承認を得てやっておることでありますので、憲法違反という問題はない。ただ、実際上九・六・四問題というものがまあ取りざたされておるという、そういう傾向もあろうかと、こういうふうに思いますので、それの是正には努力しなければならぬと、かように考えております。
#76
○鈴木一弘君 一つだけ関連して。
#77
○理事(大竹平八郎君) あとの発言の順番がありますから、一点だけ。
#78
○鈴木一弘君 先ほど、来年度の減税の規模について、大体いま二千億ないし三千億というような予想に受け取ったのですが、自然増収が一兆一千億以上かなりということで、一兆二千億程度くらい踏んでおられるのじゃないか。義務的経費の増加が七千億、差し引きすれば五千億。そうすると、大臣の考えから言うと、減税と国債減額で三千億になると、新規事業には二千億円という計算になってくるわけですけれども、大体そういうふうな案分でお考えなのか。私どもとしたならば、さらにこれをふやして、四千億程度まで持っていく。そのほかに、例の交際費課税等をやれば、四、五百億以上出てまいります。そのほかの関係もやればやはり四、五百億以上出てまいる。そうすれば減税分のほうに大臣の言われたような千五百億程度でなくて、まあ二千五百億、ないし、思い切ってやっていくということになれば四千億ぐらいまで踏めるのじゃないかというふうに思っておるのですけれども、大体先ほどのような答弁のままなのか、その点についての考え方をもう一度聞かしていただきたいと思います。
#79
○国務大臣(福田赳夫君) まだ数字的にこれをはっきりつかめる状態でない。というのは、企画庁の経済見通しというのがまだ固まらないのです。それと調子を合わせた租税収入の見積もり、こういうことになりますので、そもそもその一番もとになる自然増収の総額いかんという問題がきまっておらないわけなんです。したがって、これをどういうふうに配分するか、まあ私の勘では一兆一千億円をかなり上回ると、こういうふうには見ておりますが、それがどの辺までいくのか、これがきまっておらぬという状態でありますので、その配分の額をどういうふうにするか、これもまたここで公に申し上げるということができない。もう少しお待ち願いたいと思います。
#80
○渡辺武君 大蔵大臣に対して伺いたいと思います。
 御承知かと思いますけれども、わが党は、去る三日、佐藤総理に対して、現在年末を控えて国民の緊急切実な要求となっている公務員の賃金引き上げ、それから失業対策事業の労働者や生活保護者に対する年末手当の増額、それから米の買い入れ増加による食管会計への繰り入れ、それから災害の復旧、国民健康保険に対する国庫負担の増加など、義務的経費の精算払いなど、特に緊要な支出のために補正予算を組まれることを要求しました。また、中小企業に対する年末融資の拡大なども要求したわけですけれども、これらの経費は、財政法第二十九条に規定している「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費」と考えますけれども、その点どうお考えになるか。また、わが党の要求に従って補正予算を組むべきだと思いますけれども、その点どうお考えになるか、お答えいただきたいと思います。
#81
○国務大臣(福田赳夫君) 予算編成後に生じた財政需要につきましては予備費で支出をいたします。それで、この予備費が千二百億円あるのですが、そのかなりの部分を公務員給与のほうへ出すことになります。したがって、予備費の残額というものは非常に少なくなるわけであります。いまおっしゃられるような需要に全部応じ切れるかどうかというと、あるいは応じ切れないのじゃないかと、かように考えます。しかし、総合予算主義はこれを貫いていきたいと、こういうふうに考えますので、その財政需要に対しましては、他の経費を節約いたしましてもこれを充足すると、こういうふうな考えであります。
#82
○渡辺武君 財政法第二十九条に規定された緊要となった経費というふうに見られますか。
#83
○国務大臣(福田赳夫君) いま一々あげられたものが全部が全部そういうふうに理解できますかどうかわかりませんが、その大方はそういう性質に該当するかと、かように考えております。
#84
○渡辺武君 大蔵省の十二月初めの推計というのが新聞紙上に発表されておりますけれども、この推計によりましても、米の買い入れ増による食管会計への繰り入れ、義務的経費の清算払い、災害関係費、公務員の給与改定などだけで千二百六十一億円から千二百八十一億円の支出増が見込まれる。そうして、当時の予備費の使い残りの七百七十一億円を差し引いても、なお四百九十億から五百十億円の支出が必要だということになっております。既定経費の節約などでまかなえるものは約二百億円しかない。したがって、どうして毛補正予算を組まなければならぬのだというような趣旨のことが出ておりました。しかし、この大蔵省の推計の根拠、これを私ども見てみますと、たとえば公務員の給与については、人事院勧告の上に厚く下に薄い給与のきめ方で、しかも、八月実施という、政府の全く実情に合わない不当な腹づもりを計算の基礎としてやっているものです。したがって、そのほかの費用毛大体そういうようなことで、あまり実情に合致していない、国民の要求に十分のっとっていないというふうに私ど毛見ているわけです。したがって、いま申しました国民の緊急切実な諸要求に合致したわが党の補正予算要求によれば、公務員給与は、これは人事院勧告のあの五月実施と、しかも、上に厚く下に瀞いのではなくして、三千五百円、これをほしいという公務員の要求にのっとって予算を組むならば、大体九百億円から九百二十億円くらいの予算が必要じゃ、ないかというふうに私ども思います。また、失業対策事業で働いている労働者が、いまの物価の値上がりのもとで、どうしても一人四万円程度の年末手当はほしいという要求、これは全く無理のない切実な要求だと思います。これをもしかなえるとするならばここに六十億円の支出が必要です。また、生活保護を受けている人たち、これまたいまの低い保護のもとで、しかも、この物価の値上がりの激しい年末に、やはり年末手当をもう少し増額して、ほしいという切実な要求を持っております。これをもしかなえるとすれば七十億円の支出が必要になってまいります。そのほかに食管会計への繰り入れ、これは米の買い入れが非常にふえておりますので、これらを含めて五百五十億円、それから、少なくとも災害復旧費については過年度の分くらいはどうしてもこの臨時国会中に予算を組んで緊急に復旧に取りかかるべきだというふうに私ども思います。また、現地からの要望が非常に強いわけでありまして、中でも、特に緊急必要なものを拾っても約七百億円くらいの繰り上げが必要じゃないかというふうに考えます。これに先ほど申しました義務的経費の精算払い二百六十億円です。これを加えれば約二千五百四十億円から二千五百六十億円の経費が必要になってくるというふうに私ども考えます。で、十一月末のこの予備費の使い残りが七百七十一億円ということでございますので、これを差し引けば、千八百億円近い補正予算を組まざるを得ないというふうに考えます。国民の切実な要求に従って私はこの補正予算を組むべきじゃないかというふうに考えますが、どうですか。
#85
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど来累次申し上げておるように、組みかえ補正というのは年度末には必要になってくるかと、かように考えておるわけですが、増額補正はなるべくいたしたくない、さように考えておるのであります。いまのお話でいろいろと一つ一つ伺いましたが、その中には、たとえば義務的経費の不足というようなものは、どうしてもこれは予備費等から支出をしなきゃなりません。なりませんが、予備費の状況は、公務員給与八月実施ということで支出いたしましても余りが百数十億ということになるわけです。その中からいろいろの経費を支出――まあ義務的経費のほうが多いと思いますが、そういうものを支出する。ところが、その予備費の百数十億じゃとても足りないという計算になるのです。そこで、その足らずまえは、何とか他の経費の不用額だとか、あるいは不急と思われるような経費の差し繰りとか、そういうことで対処してまいりたい。お話のような千八百億円の補正予算を組むというようなことは考えておりません。
#86
○渡辺武君 なるべく補正予算を組みたくないとおっしゃいましたけれども、私は、財源は十分あると思うのです。いま申しました予備費の使い残り七百七十一億、それから、大蔵大臣がおとといの衆議院の大蔵委員会で、本年度の自然増収は一千八百億円程度は出るんじゃないかというふうにおっしゃったと思うのです。きょうは一千億円以上二千億円に近いところだというふうにおっしゃいましたけれども、おとといの衆議院の大蔵委員会で言われた数字は約一千八百億円というふうに記憶しております。それくらいの費用がある。これでどうして国民の切実な要求をかなえるために補正予算を組もうとしないのか、その点を伺いたてと思う。
 なお、それに関連して、時間もないので申し上げますけれども、この自然増収の中から約一千億円は国債の減額に回すということは、もうあなた方きめられたと思うのですけれども、そうしますと、自然増収の残り約八百億円ですね、これは一体何に使われるのか。全国銀行協会などからは国債減額について非常に強い要望が出ていると私承っておりますけれども、なおこの八百億円は国債減額のほうに回されるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
#87
○国務大臣(福田赳夫君) まあ一千八百億円になりますか、まああら見当、一つの見当としてその辺かということを過日衆議院の大蔵委員会で申し上げたのですが、その場合にその財源をどうするか、これは私は国債の減額、これをただいまの千億円からさらに増ワクをしていきたい、こういうふうに考えております。ただ、年度末の手持ちが出るというわけにはまいりませんから、若干のワクは残さなければなりませんけれども、大方は国債減額に持っていく、かような考え方をいたしております。
#88
○渡辺武君 そうしますと、ただいま私が申しましたように、国債の減額というのは、全国銀行協会など、日本の大会社、大企業の強い、要求だと思うのです。その国債減額は優先的にやられて、そうして国民の大多数を占めている勤労人民の切実な要求については、できるだけ補正を組みたくないということで押えようとなさる、私は、このこういう大蔵大臣の財政方針の中にこそ、いまの自民党政府の性格が全く露骨にあらわれているのではないかというふうに考えます。先ほど木村委員の質問に答えて、大蔵大臣は、総合予算主義については検討を加えてみたいと思っているんだという趣旨のことをおっしゃいましたけれども、そろじゃなかったですか。
#89
○国務大臣(福田赳夫君) そうは申し上げません。堅持すると申し上げました。
#90
○渡辺武君 もし堅持するとおっしゃるならば、それはいま申しました大会社、大資本家の要望に優先的にこたえて、国民に対する支出を押えようとする、その見地から総合予算主義を堅持するというふうに言っておられるんだというふうに理解せざるを得ないと思うのです。なぜかといえば、いままでこの総合予算主義ということによって公務員の賃金は押えられ、農民の生産者米価はできるだけ押えられる、そうして消費者米価は引き上げられる、あるいは、また、公共料金も次から次と引き上げられるということで、そのすべての被害は勤労人民に全部しわ寄せされておるというのが実情だと思う。私は、自民党政府がこの大会社本位の政治姿勢を直ちに改めることを強く要求いたします。
#91
○国務大臣(福田赳夫君) 国債は発行しないほうがいいじゃないかというのが大体野党の皆さんの御意見のように私は記憶しております。共産党の方もたしかそうじゃなかったかと思いますが、その国債はなるべく減らそうと、こう言うのですから、大筋においては御意見を尊重しておるような形にまあなるわけなんです。そもそも国債を発行するということは、これは国民経済を大いに安定的に発展させようということで、この政策で私は日本の経済が発展し、また、大いに施策も進み得る、こういうふうに考えておるわけです。だから国の経済が発展しなければ、人民大衆人民大衆とおっしゃいますが、国民の福祉もあり得ないのであります。そういう見地から、私は、景気のいいときには国債をなるべく減らし、そうして景気の沈みそうだというときは国債の発行を多額に行なう、そうして持続的な経済発展をさせよう、こういうふうに考えているので、これこそが私は国民全体の福祉の最大の基礎がまえであると、かように考えておるのでありまして、根本が少しどうも食い違っておるようです。
#92
○理事(大竹平八郎君) 渡辺君に申し上げます。先ほど委員長・理事の打ち合わせで、大蔵大臣は、御承知のとおり、きょうは給与関係の法案で非常に多忙でありますので、だいぶ時間も過ぎているので、いま一点だけひとつ簡単に。
#93
○渡辺武君 いま共産党の言うことに沿っておられるというふうに言いましたけれども、私どもが国債発行に反対している根本は、これはいまの自民党政府の財政政策が大企業本位に行なわれているという点から出発しているわけであります。御承知のように、その支出の中心が、軍事費の増大、あるいは、また、大企業のための高速道路、あるいは、また、工場用地、港湾の建設、あるいは、また、大企業に対するさまざまな補給金というようなところに中心が置かれておって、しかも、大企業に対しては租税特別措置その他の処置によって至れり尽くせりの大幅な減税をやっている。私どもが計算しただけで、今年度の国家予算だけでも約一兆円近い特別な減税が大企業に対してだけ行なわれているという、どういう実情、そういう実情を前提にして公債を発行する。しかも、その公債を発行してまかなった国の金が、これが大企業本位に使われている。このことによってインフレーションはますます激しくなるということで反対しているんです。したがって、その根本原則を変えなければ、たとえ公債を減額しても、いまの国家予算の根本的な性格というものは変わらない。そういう意味で私はいま大蔵大臣に質問しているわけです。ですから、まあ確聞がありませんのでこれで打ち切りますけれども、やはり私は、この公債の減額という、銀行協会をはじめとする大企業の要望に優先的にこたえ、国民の切実な要求を踏みにじろうとする政府の財政方針について、強く抗議せざるを得ないわけです。これで終わります。
#94
○理事(大竹平八郎君) 速記をちょっとやめて。
  〔速記中止〕
#95
○理事(大竹平八郎君) 速記をつけて。
#96
○木村禧八郎君 税制についてちょっと伺いたい。それは、一つは基本的な問題として、・財政硬直化というその中で、歳入の硬直化について政府があまり触れていないのですが、この歳入面の硬直化打開について何か検討していますか、事務当局として。
#97
○政府委員(吉國二郎君) 最近ときどき歳入も硬直化しているという声を聞くわけでございます。どういう意味で歳入が硬直化しているかという問題をまずとらえなきゃならぬと思うのでございますが、御承知のように、歳入力という面、つまり歳出が硬直化しているという意味は、義務的経費等が自然にふえて歳出がとめどなくふえるということを意味しているとすれば、歳入の硬直化というのは、逆に租税による歳入力が衰えて歳出をまかなうのに足りないような形のまま推移することを意味するかと思うのでございますが、そういう意味ではわが国の税制はむしろ硬直化していないので、ただ、税を据え置いておきますと逆の意味の硬直化が起きるんじゃないか。これは先生よく御承知かと思いますが、所得税の課税最低限、税率構造というものになおまだ改正の余地がある。いまのままですと、所得が伸びますと非常に累進度がきいてまいりまして税収が非常にふえる。そういう意味で毎年これを直しているのが、ある面では硬直化を直している面ではなかろうかと思うわけでございますが、なお、ほかに租税特別措置等が慢性化するという面での硬直化ということはよく言われることでありまして、これもここ数年間努力をいたしてまいりまして、従来はほとんど期限の定めのなかった特別措置について、ほとんど期限の定めをいたしました。ただ、ややそれが短かめであるとかというような理由で期限の延長も起こっておりますけれども、租税特別措置については一定の期限に洗い直すチャンスをつくっていくというようなことでそういう意味の慢性化、硬直化を打開するようにつとめたいというので進めておりますので、私どもは、歳入が硬直化して歳出要求を満たし得ない状況になるという意味での硬直化というのはいまのところ起こらないのではないかというふうに考えているわけでございます。
#98
○木村禧八郎君 だって公債発行しているじゃないですか。
#99
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のように、日本の税制の中で、いま申しました特色は、所得税については申しましたが、同時に、法人税につきましては、非常に日本の法人の利益構造というものは特殊なものでございますが、これが非常に景気弾力性が強いだけに、これは所得税と違いまして、景気が非常に落ちました場合にはそれ以上に法人税が減るという要素があります。景気がよくなるとそれ以上に法人税がふえるという要素がございます。それが最も集中的に出たのが昭和四十一年でございまして、そのためにその景気停滞期において公共事業等を積極的に行なうという意味から、御承知の建設公債が発行されたわけでございますが、その当時、租税負担率は一八・五に落ちた。現在それがことしの予算では一九・六まで戻ってまいりました。経済が正常化してくれば直ちに復元してくる力はあるわけでございますので、景気変動に対する弾力性というものが確かに法人税の中に大きくございますけれども、正常な経済、安定した経済が続けば相当な上昇弾性値はあるというのがいまの姿ではなかろうかと思います。
#100
○木村禧八郎君 どうも大蔵省の考えとわれわれと正反対ですけれども、この財政硬直化という場合、大蔵省のほうは歳出のほうに重点を置いて考えている。制度的に食管とか、あるいは人事院の勧告とか、それからいろいろな義務的経費が多くなるとか、それから交付税の税率がどうとか、そっちのほうに非常に重点を置いているのですよ。それが非常に硬直化している、そしてそれを直そうとしているのですね。ところが、財政硬直化が問題になり出したのは歳入面からでないですか、その点がわれわれと非常に違うのですよ。考え方がさかさまなんです。というのは、昭和四十年までは自然増収がずっとあったのですね、高度成長で。ところが、四十年に不景気になって四千二百億の公債発行をした。ところが、四十一年になって、今度は景気対策として七千億ですか、公債発行しましたね、四十二年八千億でしょう。ところが、景気が直ったものですから資金需要がふえてきて、銀行は公債を買いたくなくなったでしょう。そうでしょう。公債の消化が困難になった。歳入面に弾力性がなくなったでしょう。そこに問題が生じたのが財政硬直化の問題じゃないですか、歳入面から。私はそう思う。それをごまかしているのだ。公債発行が困難になって、銀行が公債を買うよりは、資金需要がふえてきたら、それは貸し出しに回したほうが有利なんですよ。さっき渡辺さんからも話がありましたが、本年度自然増収が千八百億出たら、千億以上また銀行の公債引き受けを減らすなんというんでしょう。これは銀行は当然資金需要が出てくれば、公債なんか利回り八分程度でしょう。持ちたがらないですよ。公債発行に行き詰まったから、昭和四十三年度でこれはたいへんだというので硬直化問題を打ち出して、四十四年度が一番山だと、こうだったと思うのですよ。そのときに私は、歳入面においてもっとなぜ手を打たなかったかと言うんですよ。さっき法人のことを言いましたけれども、私は大蔵省で調べた法人統計を見たのですよ。一億円以上の企業でものすごい税負担の減少ですよ。昭和三十一年は付加価値のうち、企業の税負担が一七・七%なんです。それが四十二年は一二・九%なんです。ところが、一般の国民の税負担はどうですか。一般の国民の税負担は政府のほうでこれは発表していますね、大体あまり変わらないんですよ。一九%から二〇%でしょう、国民所得に対して。あまり変わらないですよ。そうでしょう。大体昭和三十一年は一九・二%、四十三年度は一九・六%、むしろふえていますよ、一般国民のほうは。だから資本蓄積のためにそれは固定資産の耐用年数を短縮したり、あるいは租税特別措置で減税をやって、企業の税負担の軽減というのはものすごいですよ。そればかりでなく、貨幣価値が下がって、相当企業は債務負担は軽くなっているのですよ。だから、資本蓄積は大切かもしれませんが、それでまた設備が行き過ぎて、設備が過熱化する心配なんかしているわけですね。私はもっと根本的に日本の税体系を洗い直す必要がある。こんなに資本蓄積に重点を置き過ぎたこうした税体系をもっと直す必要がある。歳入面の硬直化ということがそこに一つあるのですよ。租税特別措置なんか硬直化の最たるものでしょう。そうでしょう。食管とか、あるいは地方交付税とか、歳出面ばかりを考えているけれども、歳入面の硬直化というものの最たるものは租税の特別措置ですよ。そういう点について、もっと私は歳入面の硬直化について考えなきゃならない。さっき主税局長が言われた、自然増収がふえていくんだから、どんどん減税していかなければいけないなどと、そう言っていますけれども、どうも大蔵省の考え方はわれわれと非常に違うのです。それから、さっきも大蔵大臣言いましたが、いわゆる受益者負担を原則としているとか、総合予算主義の原則とか書いてありますが、これは一種の増税ですよ。増税なんです。諸外国に比べて日本の税負担は軽いという考えに最近変わってきているようですよ。税負担が軽くて、社会保障費をふやしたいならもっと税金負担しろ、こう言っているのです。前の塩崎さんが書いているのはそうですよ。諸外国に比べて税負担が軽い、だから社会保障費が諸外国より低いのはあたりまえだ、予算の中に占める社会保障費をふやしたいならば、もっと料金で負担をしろとか、あるいは税金で負担しろ、そういう考えなんですよ、大蔵省は。そうでしょう。そうすれば、これはいままでの財政方針と非常に違うのです。公債政策に行き詰まったために、私はそういううしろ向きの財政政策に転換した、これは重大な私は日本の財政の転換だと思うのですが、どうですか。
#101
○政府委員(吉國二郎君) 私の守備範囲を少し逸脱しておりますので、あるいは主計局次長からお答えしたらいいかと思いますが、先ほどお話しの付加価値に対する負担という問題は、付加価値の内容がずっと違っております。勤労部分が多くなっているというような面から考えますと、法人税がネット所得に対して課税するものである以上は、付加価値税でもとらない限りは、そういう問題はやはりある程度残ると思います。企業の雇用賃金がふえてまいりますと、その分は当然経費になっておりますから、そこはやむを得ぬと思います。法人税としては、大体いままで所得に対する負担率は、世界的に見ても、ほぼアメリカその他と同じであるということは申し上げられると思います。
 それから、これは私の守備範囲でないので、主計局次長がやったほうがいいかと思いますが、公債発行が困難になったからという仰せでございましたが、御承知のとおり、不況期に非常に弾力性の大きい租税が減りますと、どうしても経常歳入は減る。その際に公債を発行して遊んでいる資金を吸収をして景気回復をはかる。同時に、景気がよくなってまいりまして租税歳入力が復活してきたならば、その公債を縮減しておいて、次のもし発生するかもしれない停滞期に備えるというのは、ある程度公債発行に踏み切ったときからきまっていた姿であると思います。そういう意味では、四十三年、あるいは来年国債をできるだけ減らしておこうというのは、景気の判断としては、別に公債発行が困難になったからではないように思いますが、この点はあるいは主計局のほうからお答えをいたすかと思います。
#102
○政府委員(相沢英之君) いま主税局長から答弁申し上げましたことに特につけ加えることはございませんが、私どもも、公債発行の額に関しましては同じような意見を持っておりまして、やはり景気を振興する必要がある場合において、四十一年に建設国債の発行に踏み切ったわけでございますが、四十三年、四十四年考えられます経済の状況下においては、やはり公債をできるだけ減らして、今後必ず、過去における経験によりますと、訪れるであろう不況期に財政面からするところの景気刺激策を講じ得る余地を残すように、いずれそのときに相当額の公債の発行をし得るような状態にするためにも、相当減らし得るときに公債を減らしておきたいということがわれわれの考え方でございまして、もちろん先生のおっしゃいますように、金融界、その他公債を消化する側から申しますと、できるだけこれを減らしてもらいたいという要望があることは十分承知しておりますし、また、その側から申せばもっともなことだとも思いますけれども、私どもの考え方はただいま申し上げたようなところに立っているわけでございます。
#103
○木村禧八郎君 公債発行につきましては、たとえば四十三年度の予算を編成するときに、大体一〇・何%ですか、見ておいて、自然増収があるとと、今度は国会にはからずにこれを減らしちゃうんでしょう。そういうふうに自由自在にできるんですよ。そういうところが非常に問題だと思うのです。そこで財政構造が変わるでしょう、税収に依存する割合と公債に依存する割合が。だから、最初予算の審議を求めるときには、当初予算ではわれわれは賛成はしてないのですけれども、一応これだけの公債依存率で、税負担はこうだというので出してくるわけでしょう。ところが、自然増収があると、それは公債を償還してしまう。今度はいままでと歳入構造が違うわけですね。予算の性格というものはそこで違ってくるのですよ。そういう場合、ぼくは、やはり今後何か国会の承認が必要じゃないかというように思うのですけれども、そういうふうに思うけれども、どうですか。これは研究課題ですけれども、どうもそういう気がするのです。そうしないと、今後、たとえば総合予算主義で二千億自然増収があるでしょう。この自然増収をどう処理するかということは重要な問題ですよ。それを今度は自然増収をどうするかは国会にはからなければならない問題だと思います。減税に向けるか公債を減らすのに向けるか、あるいはさっき渡辺さんが言われたような、国民の社会保障その他に対する非常な要望があるでしょう、そっちに補正を組むか、そこのところが総合予算主義と関連して、どうもわれわれ割り切れないのです、いままでと違ってね。それはどういうふうにお考えですかね。これは問題じゃないですかね。
#104
○政府委員(相沢英之君) やや副次的な答弁になると思いますけれども、私ども、やはり予算の歳入と歳出とは区分して考えるべきだというふうに存じております。歳出については、これは国会でそれだけの支出の限度というものをわれわれに与えられているわけでございますから、それをこえる支出をする場合には、あるいは債務負担をする場合には、予備費の範囲内にありますものを除いては、当然予算の補正の形で国会の御承認を求めるということになりますが、歳入は、これはその性質上、見積もりでございますから、その見積もりが変わったということになっただけでは、特に予算の補正の形でこの国会の御承認を求める必要はないというのが私どもの従来の解釈でございます。
 それで、ただいまお話の、歳入のうち、租税収入、公債収入とその割合が変わるじゃないかといった点につきましては、確かに先生おっしゃいましたような問題があるかと毛存じますけれども、しかしながら、公債の発行ということについては、これはその発行の限度について国会の御承認をいただいておるわけでありますから、その限度をこえない以上、その範囲内において発行する、つまり減らすことについては、これは他の税収等の歳入の増加がある限り、これは差しつかえないことではないかというふうに私どもとしては考えております。
#105
○木村禧八郎君 法律的にはそうでしょうけれども、実質的にわれわれとしては国会の立場として非常にそれは財政上の立場からいうと非常に問題があると思うのですよね。
 それから、もう時間がありませんから具体的に聞いていきますが、来年の税制改正でとの税率も変えるという方針が示されています。その場合、この累進率をもう少し刻みを大きくする。どうも大蔵省は小さくするような考え方ですけれども、ぼくは、逆にこの物価調整との関係で大きくする必要があるのじゃないか、税率を下げると同時に。そうしませんと、少し物価が上がるとすぐに税率が高くなっちゃって、それで負担が高くなり、実質的な増税になってしまうわけだ。それで、いままで物価調整物価調整と非常に言っておりましたけれども、そこのところをもう少し累進の税率を下げると同時に、低所得層についてはもっと累進の幅を大きくしたらどうですか。そうすると、多少物価値上げも、私は認めるわけじゃないけれども、なるべく上げないようにしなければならぬのだけれども、実質的に六%くらい上がるんでしょうが、それを大きくすることによって、ある程度名目所得がふえても、とれがすぐに商い税率にならないですね。そういう調整を考える必要があるのじゃないか。どうですか。
  〔理事大竹平八郎君退席、理事戸田菊雄君着
  席〕
#106
○政府委員(吉國二郎君) お説のとおり、いまの日本の累進度の刻みが非常に幅が狭いということが、しかも、それが五%で累進をするということが、ちょっと給料が上がりますと、ことにボーナスなどの場合にはっきり出てきて問題になっていることは事実でございます。税制調査会の考え方も確かにそういう点もあったわけでございますが、同時に、先生の御承知のとおり、累進の幅を広げるということは非常に減収を来たしますので、やはり現実的に考えますと、税率を小さく刻んで、上がり方を下のほうの段階でできるだけ税率を低く置きまして、上がり方が急激でないようにするということと、税率の幅が、これはやはり理想的な最後の姿を描きましたら先生のおっしゃったような姿になるかと思いますが、それに移る過渡的な段階では税率の幅をあんばいしていくという考え方をとったようでございます。そこで、いまお手元にないかと思いますけれども、従来の五%刻み、下のほうは二%刻みになっている、その上で三%刻み、さらにその上で四%にして、上のほうにいけばもう五%というような案を出したんだと思います。もちろんその点をまた広げていけば一番いいと思いますけれども、やはり税収その他を見合って毎年度改善していくということじゃないかと思います。お考え自体は私もよくわかります。
#107
○木村禧八郎君 それは私はぜひそうしなければならぬと思うのです。
 それから、税制についてもう二つばかり伺いたいと思います。自治省がこれについてはきょうは来ないのですけれども、これはやはり国税との関係もありますし、大蔵省関係でもありますから、大蔵省の考えを承っておきたいのですが、この地方税の最低課税限ですね、これはいつも問題になるのですよ。国税との間にあまり開きがあり過ぎますね。もう一つは配当所得ですが、二百三十六万円ですね、それとの間にあまり開きがある。配当所得者の最低課税限が二百三十六万でしょう、それで所得税が八十三万、地方税が五十一万でしょう。十万円上がって五十一万、これはもっと私はどうして調整できないのか、おかしいです。同じ課税最低限でありながら、八十三万と五十一万というのはおかしいと思うのですよ。いろいろの理屈をつけておりますがね、地方税は国税と違うので。地方税では最低生活に食い込んでいるのですよ。そういう理論も成り立つわけですよ。地方税では最低生活に食い込んでいるのですよ、税金が。その点が一つと、もう一つは、シャウプの税制改革のときは、やはり地方自治の一番の基本としまして、市町村の経済力を高める、それには市町村の歳入を豊富にする、そういうたてまえで府県の税収より市町村の税収が多くなるような税体系になっておったのですよ、シャウプの税制改革は。したがって、昭和三十八年、までは、府県税と市町村税を比較しますと、ずっと市町村税のほうが府県税より多いのですよ。三十三年が府県税が二千二百四十九億、市町村が二千八百五十五億。ところが、三十九年から逆になっちゃっているのです。ずっと府県のほうが市町村より、はるかに多いのですよ。シャウプ税制改正のときと逆になってしまっている。四十三年は府県税が一兆二千七百五十七億、市町村のほうが一兆五百十億です。逆になっております。だから、これはやっぱり民主主義をもっと貫くために、やはり市町村の財源を豊かにするというたてまえは守らなければいけないのじゃないかと思います。それで、大蔵省は、最近・国より地方のほうが豊かだ豊かだと言うのですけれども、府県と市町村とは違うのですよ。それは一律に論じてはいけないと思うのです。それは府県と市町村とたいへん違うのですから、知事さんと市長さんに聞いてごらんなさい、逆の意見を述べますよ。だから、一括して何か地方が豊かだと、地方財政富裕論を言っているでしょう。しかし、これは一つの自治省のほんとうは研究すべき課題なんです。ちっともこういう点については考慮が払われていないのはおかしいと思うのですよ。実は大蔵省のほうからおかしいじゃ、ないか、直せと、こう言うくらいじゃないとおかしいと思うのですよ。その点はどうですか、いまの二点。
#108
○政府委員(吉國二郎君) これは自治省からだれも見えておりませんので、大蔵省も地方税に関することというのが一応共管みたいになっておりますから、その立場でお答え申し上げます。
 地方住民税の課税最低限と所得税の課税最低限が食い違って、ことにはなはだしく食い違ってきたのは、御承知の三十七年の税制改正で地方住民税を国の所得税から完全に切り離したときからでございます。御承知のように、所得税の課税最低限は、いわゆる最低生活費というものからかなり離れまして、所得税自身が持っております所得再分配の機能というものを徹底する意味から申しますと、課税最低限よりかなり高いところで課税を始めて、そのかわり、非常に強い累進度で課税していくという体制を理想的にはとるべきかと思います。地方の住民税の場合には、むしろ税率構成はフラットに近くて、一般住民が一番身近なサービスというものに対応する負担を負うという、そういう意味では課税最低限も、国の所得税の持っ
 ている機能とはやや違っておりますので、そういう意味では、まあよく応益といわれておりますが、若干課税最低限が食い違うというのはやむを得ないのではないか。むしろ御指摘のように、もし所得税の課税最低限が最低生活の最高限度であれば、これは食い違っておれば、確かにこっちが最低生活費以下ということになるのですけれども、私どももいまの所得税の課税最低限というものはそれほど低いものではないと思っております。そこで、住民税のほうが所得税よりもやや低いのはやむを得ないと思いますが、どうもだんだんその差が大きくなってくるというところに確かに問題があると思うのです。ただ、一つ問題は、地方は、御指摘のように、市町村になりますと三千もございまして、中には非常に小さい団体がございます。所得税程度に課税最低限を上げてしまいますと、住民税の納税義務者が十数%に減ってしまうというような事情がございまして、ほかの市町村の財源をまかなう代替税が十分ないところでは非常に困難があるというようなところから、どうしても住民税に片寄っているという事実があるように思います。市町村と府県の税収が逆転したことは事実でございまして、これはシャウプの指摘から見るとはずれておるという点も確かでございます。この一番大きな原因というのは、一つは、おそらく市町村の基幹税になっております固定資産税が時勢に十分に適応できないという性格を持っておることと、府県に与えました法人事業税が非常に大きく伸びてきたということにあるかと思います。私どもも確かにその点は問題だと思いますが、現に税制調査会でも、市町村の税源をもう少し拡大すべきじゃないかという意見もございます。ただ、先ほど申し上げましたように、市町村三千の中で、もしも一番小さな市町村が相当に税収を得られるようなシステムをつくりますと、大都市は膨大な税収になると思います。結局国税と地方税と合わした国民の総合負担は非常に重いものになるのじゃないか。そういう面から申しますと、どうしてもある程度調整財源と申しますか、交付税とか譲与税という形で、総体の国全体で歳入になるものの中から分けていくという中で補充をいたしませんと、結局最低の市町村が完全に充足されるだけの税制をもし施行すれば、国全体としては非常に大きな負担になりますので、その辺をあんばいして考えなきゃならぬ点があるのじゃないか。いわば国と市町村の財源調整というものを含めて、税体系をもう一回考え直す必要があるのではないかというふうに私ども考えているわけです。
#109
○木村禧八郎君 とにかく国税、地方税を通じて、全体的に日本の税体系を、やはり洗い直してみて、再検討しなければならぬ。シャウプ以来非常に変化しているでしょう。これは、われわれは財政民主主義の立場から、非常に逆の方向にいろいろな面でいっている。そういう点で再検討を要求するのですけれども、実際にはただ伺っておきます程度だろうと思うので、あまり期待を持っていませんけれども、一応申しておかなければならんと思いますが、われわれの力がもっとつくよりしかたがないのですから。
 最後に、国際金融局長、アメリカの国際収支の問題について伺いたいのです。それで、最近貿易の黒字幅が相当減ってきていますね。ところが、国際収支のほうは一総合であまり赤字にならない。いままでずっとこういう状況のようなんですね。どうも一応ここで国際通貨は安定しているように見えますけれども、貿易の黒字幅が非常に減ってきて、そうして国際収支全体、総合としては赤字が減っているでしょう。その内容を検討してみますと非常に疑問があるわけです。それで、今後、これからどうもわが国に対しても、ドル防衛協力という形で、いろいろな形でしわ寄せがくるのじゃないかという気がするのですが、たとえばアメリカは貿易以外のもので、ずいぶん資本収支のほうで無理をしているようですね。たとえば中期債を買わしたり、あるいはいままで投資した果実をどんどん回収したり、市中銀行の貸し出しを非常に制限したり、いろいろな面で非常に無理して、貿易の黒字が減っているのに国際収支の総合で赤字が減っている。何かそこには非常に無理がある。だから、そういう無理が、私は、今度は来年あたりは逆の傾向が出てくるのじゃないか、裏目。そうなると、いま表面的にはちょっと安定しているように見えますけれども、来年は相当私は問題が出てくるのじゃないか、こう思うのです。それで、大臣の大蔵委員会に対する所信表明というものを読んでみますと、何か「海外においては、米国経済は本年七月から実施された抑制的財政政策の影響を受けて、今後次第に沈静していくものと予想されます。」、国際通貨問題は、いったん落着きを取り戻したけれども、今後とも慎重に見る必要がある、こういうよらな表明をしているのですが、私はかなり、何というのですか、来年は問題じゃないか。表面的によくなっているが、その裏目が出るのじゃないかと思うので、そこで、村井局長さんに一ぺん聞きたいと思っていたのです。ちょっと理解しがたいような状況なものですから、ひとつその点お話し願いたいと思う。
  〔理事戸田菊雄君退席、理事大竹平八郎君着
  席〕
#110
○政府委員(村井七郎君) 本村委員の御指摘の点は、まさに国際金融のいわば中心的な課題であろうかと思います。今度の国際通貨不安が、ドルが一応局地外に置かれたとは申しますものの、いま御指摘のように、アメリカの国際収支の姿を見ますと、確かに貿易収支の黒字幅というものはかなり減っており、それをカバーもしきれませんで、かなりの資本取り入れが行なわれている。その中には、さらに御指摘のように、中期債というような非常に硬直的な部分もあるのは事実のようでございますし、これが裏目になって出てくるかどうかということは、確かに来年の問題かと思いますが、来年の問題として、ことに新政権のもとにおきまして、アメリカの国際収支、あるいはドルの価値の動向というものを考えてみますと、私はやはり二つ問題があるのではないか。一つは、新政権のもとでどの程度の国際収支改善の努力が行なわれるかということが一つ。それから、もう一つは、やはりほかの通貸、ほかの国の経済、ことに主要ヨーロッパ各国の経済というものがどういうふうに動くかという問題かと思いますが、前者の問題にいたしますと、確かに貿易収支の黒字が非常に縮まっているのを来年また取り戻す、かつての、あるいは去年の四十億ドルの黒字というような姿にまで取り戻すというようなことは、かなりインフレを抑圧する決定的な決意と実行力がなければなりませんが、新政権にそういうものを私たちとしては強く期待したい。去年が三十六億ドルの赤字でございましたが、ことしはそれがおそらく一般の人が、ことにアメリカでいわれておりますのは、十億ドルくらいに縮まるのではないかというふうにいわれておりますが、それが来甲どういうかっこうになるかという問題が一つ。
 それから、第二の、ヨーロッパ各国の脆弱な通貨、あるいは強過ぎる通貨の調整の問題というものがどういうふうなかっこうで結末をつけるかという問題、これはいろんな意味で、私たちとしましても、国際協力というようなかっこうと、各国に強くそれぞれの経済運営の措置というものを期待するほかはないわけでございますが、結局は御指摘の裏目が出ないように私たちもそれを可能な限り協力していく。ドルに協力するのみならず、そういうヨーロッパの各国は全く対岸の火災視ばかりはできませんで、そういうヨーロッパ通貨についてもできる限りの協力はしていくということと、必要なそれぞれの国の経済運営の措置というものに対して、あらゆる場を通じてわれわれとしても忠告をしていく。私たち考えますのは、日本がここまでよくやってきたという実績を重ねておりますので、従来と比較して私たちのそういう場で言うこと自体はかなり聞かれるようになってきたかと思いますが、私たちのそういう体験も生かしながら、そういう国際協力をやっていくことによって国際通貨不安というものを全体的に除いていくという必要があるのではないかと私は思っております。
#111
○木村禧八郎君 貿易の黒字幅の減少というのは異常ですよ。たとえば昨年上期は二十億ドルの黒字、ところが、本年上期は一億ドル足らずの黒字ですからね。それはちょっとの変化じゃないんですよ。ですから、非常にわれわれとしては重大視したければならぬ。これが一時的なものなのか、これがアメリカ経済の構造的なもので、かなり長期的な現象なのかどうかは重大な問題ですし、それから、本年三−四月は貿易収支が赤字だったんですよ。七−九月が五億、ドルの黒字になりましたが、十月は再び六千三百二十万ドルの赤字、こんなに貿易収支の黒字がうんと減っているのに、今度間際収支のほうは、逆に昨年三十六億ドルの赤字が十億ドルくらいというんでしょう。何でそんな操作ができたかということをだんだん調べてみると、中期債の販売でしょう、それからアメリカの長期資本流入ですね、これが相当多くなって、ヨーロッパからアメリカに流入していくとか、それからアメリカ企業のヨーロッパにおける起債ですか、それから海外に対する直接投資の規制、海外投資資金の回収、こういうように非常に無理しているわけですね。そうすると、こういう状況が続くと、われわれとしては、またアメリカのドル防衛協力というものが強く出てくるのではないか。ですから、三十六億ドル近く外貨がふえたといってもそんなに安心すべきものじゃないし、やっぱりアメリカの国際収支には、何か基本的に非常に不健全のように思われるものがあると思われるものですからね。ことに私は、来年これと逆な現象がどうも起こるのじゃないか。ちょっと金利の差異なんか生じても、すぐにまたヨーロッパにアメリカの資本が流入していくというようなこともありますし、これはもう普通の状態ではちょっと考えられなかったのですよ、黒字幅がこんなに減るとは。昨年上期が二十億、ドル、今度一億ドルというのでしょう、二十分の一でしょう。非常に大きな変化が免じている。ですから、これに対して村井さんのほうで本検討されていると思うのですけれども、この点は今後の来年の予算編成とも関連しますけれども、そんなに国際収支の問題については私は楽観できない。来年度におきましては、そういう点でひとつ十分警戒する必要があるのじゃないかと思うわけですが、今後もいろいろな中期債の買い入れなんて、また日本に要求してくるのじゃないか。こういう調子じゃその他いろいろなしわ寄せがくるのじゃないかと思うのですが、どうですか、その点は。
#112
○政府委員(村井七郎君) 確かにその貿易収支の幅が非常に減って、おるということは、これははっきり申しましてアメリカがインフレ状態であるということで、必ずしもノーマルな状態ではないと思います。しかし、新政権でこれを克服するのに、安易にほかの国に中期債とかいうようなかっこうで協力を求めるのか、あるいは自国の経済運営を正していくのかということになりますと、私がいろいろ非公式その他の場で聞いておりますのは、どっちかといいますと、いままでの中期債は、ドイツその他の国に対しまして、かなり政治的な圧力をもって無理をさせたということについての批判というものが、やはり新政権の中では現政権よりもあるのではないかという話を聞いております。これはもちろん公式な話とは言えませんけれども、だれが考えましても、粉飾自体は、これはもう国際収支の統計的な一つのマニピュレーションであることは言うまでもないわけでございまして、そんなことをやっているようでは、木村委員の御指摘のように、必ずいつか裏目が出るということになるわけで、中期債の償還期が来れば、これはどっと資本の流出ということになってくるわけでございますから、これはいずれの口かそういうことは許されなくなる。また、現にそういう批判がある。ことに新財務長官は銀行界出身でもありますし、いままでそういう批判は、現政権のもとでも、民間、ことに金融界では起こっておったようでございますので、これがどういうかっこうにあらわれてくるか、必ずしも予断は許しませんけれども、われわれといたしましては、もし場があれば、そういう方法じゃなくて、もう少しノーマルな――まあ別にいばるわけではございませんけれども、日本がやっておったように、国際収支の危機を自国のえり元を正しながら乗り切っていったああいうことこそ本筋じゃないかというふうに思っておりますけれども、そういったことを、機会があれば、私はやっぱり言うべきではないかという感じがしております。
#113
○理事(大竹平八郎君) 速記をちょっとやめてください。
  〔速記中止〕
#114
○理事(大竹平八郎君) 速記をつけて。
#115
○中尾辰義君 最初に、中小企業者に対する年末金融の実施状況について、政府三金融機関の年末金融の申し込み状況、それから貸し付け決定額はどの程度までなっておるのか、その辺のところをひとつ金融機関別にお願いします。
#116
○政府委員(澄田智君) 政府金融三機関の年末の融資でございますが、これにつきましては、実績と申しましても、まだいまのところ十一月までの状況で、十一月に入りましてからの申し込みの状況並びに貸し付けの状況を申し上げますと、国民公準は、十一月の申し込みが七百三十七億、これに対して十一月の貸し付けは四百二十四億でございます。それから、中小公庫の十一月の申し込み金額は三百、五十六億、貸し付けは二百八十七億、商工中金の十一月の貸し付け額は二百四十四億でございますが、二百四十四億と申しますのは純増額でありまして、申し込みは短期とか割引とかの総額しかわかっておりませんので、ちょっと数字はつき合わないのでございますが、申し込みのほうは千六百六十八億でございます。
#117
○中尾辰義君 そうしますと、いま融資目標の何%ぐらいいっておりますか、決定額は。
#118
○政府委員(澄田智君) 融資目標額というのは年末金融に特にございません。御承知のように、年末金融につきましては、先般三機関合わせまして千百六十五億の追加を決定いたしております。そうしてその結果、国民公庫は貸し付け計画が四百三十億、それから中小公庫は三百九十億、商中は三百四十五億それぞれ年末のための貸し付けワクの増加が行なわれております。
#119
○中尾辰義君 それで私お伺いしたいのは、いま暖冬異変で、冬物衣料、あるいは暖房器具、そういうところが売れ行きが悪くて倒産もしかかっているところもありますね。ですから、こういったような中小零細企業に対して在庫金融というようなものはどういうふうに考えているのか。
#120
○政府委員(澄田智君) 暖冬の影響によりまして、繊維関係とか、あるいは暖房関係、その他相当な影響があるのではないかということがいわれておりますし、そのための在庫金融等につきましても問題が出てまいると存じております。そういう意味で商況並びに在庫の状況等について十分に今後の推移を見て、そしてそれに即応して必要な指導を、政府金融機関に対しましてはもとよりでございますが、民間の金融機関等につきましても、そういうような今後暖冬の影響等に対処する点につきましては十分に配慮してまいりたいと、かように存じております。
#121
○中尾辰義君 次にお伺いしたいのは、最近銀行の預金競争から、裏金利を出して導入預金を集めておる、そういうことがあるわけでしょう。これでコストが高い預金を集めますと、えてしていろいろなオーバーな融資が行なわれてくるし、それにからまって京阪神土地事件についてもごらんのとおりでございまして、ですから私がお伺いしたいのは、あなたのほうで掌握している導入、預金、導入屋の実態というものをひとつ聞かしてもらいたい。また七それに対してどういうような監督をしておるのか、きのうも衆議院のほうで福徳相互銀行がかなりオーバーな融資をしているというようなことが議題になったようですので、ちょっとお伺いしたい。
#122
○政府委員(澄田智君) いわゆる導入屋というものの実態につきましては、私ども金融機関の関係からある程度そういった事態等についての実例も見ているわけでありますが、法律的な導入についての刑事事件というようなもの、それから刑事事件に至らないが、しかし、導入のおそれのあるものというようなものの実態というのは、あるいは警察ないし司法当局のほうからお聞き願うほうがよろしいのではないかと思います。ただ、私のほうの関係で申し上げますと、刑事事件になっているケースというのは、事件自体は昨年起きておりまして、ことしに入って刑事事件になっているものが福徳相互のほかにも、あと二件ないし三件ございます。そのほかに導入としての法律違反になるその要件を必ずしも備えていないが、しかし、いわゆる導入屋というようなものの手を経て資金が動いていると思われる場合毛あるわけであります。その導入預金によって行なわれている貸し出しというものが不良の貸し出しになる、そしてそれがこげつきまして、金融機関の貸し出しの回収難というようなことになって業務停止というような事態を招いている、これが善意の預金者にも迷惑を与えている、こういうような例が信用組合などであったわけでございます。こういうような意味で、導入預金というのは、言うまでもなく、金融機関にとっても非常に危険でありますし、そうしてこれが善意の預金者等に及ぼす影響というのは、これはぜひ防止をしなければならない。したがって、こういう導入的な行為については、厳にこれを取り締まるということは当然でございます。そういう意味で刑事事犯がはっきりしたものについては刑事事件として起訴されている、こういうようなことになるわけでございますが、金融機関側に対する監督といたしましては、御指摘のように、預金量の拡大というようなものに心を奪われまして、あっせん預金、そういうものに幻惑される、こういうことがないように、京阪神土地の場合などがその例であるわけであります。従来からそうでございますが、ことにこういう事件もございましたので、厳重に金融機関にそういうことを通達もいたしましたし、また、個別に指導監督もいたしておるわけでございます。さらに金融行政といたしましても、従来とかく金融機関がこのような量的な拡大競争に走るようなそういった根本的な姿勢を改めさせる、そして質的な経営内容でもって競争させる、そういうふうな行政を行なうべきであるというふうに考えまして、金融の効率化というような見地から、適正な競争原理が働くようにするということで、たとえば統一経理基準でありますとか、そのほか各般の金融行政の面においてそういった金融機関の態度を育成するように現在指導しているところでございます。
#123
○中尾辰義君 法務省から見えてないようですが、最近、あなた御存じでしょうけれども、実際の例についてひとつ説明してください。こういうのがあった、こういう手口でこのような金利をとっている、そんなものがあれば参考に聞かせてもらいたい。
#124
○政府委員(澄田智君) 最近の例では、京阪神土地の場合は、これは京阪神土地株式会社ないしは山田という個人が農協その他いろいろの預金を紹介をいたしまして、そうしてその預金を京阪神土地会社に貸し出しをさせる、こういう形であります。そしてこの場合の裏利というようなものは、これは金融機関の手を経ませんで、山田ないしその関係のグループが、直接その貸し出しを受けた先から、グループが版金を出したところへ直接払っている、こういう形でございます。そして農業協同組合その他が金融機関に預入しておりますのは、これは金融機関預け金というものでありますので、その金利はコール並みの金利、この場合は一銭四厘でございます。これは通常の金融機関預け金でありますが、裏利といたしまして、山田ないしそのグループが農協などに払っておりましたものが一銭四厘、合わせまして二銭八厘の金利で預け入れが行なわれていたという結果になるわけでございます。裏利はそういう形で払われております。これが京阪神土地の場合の実例でございます。そのほか二、三の例があるわけでありますが、いまそういう金利その他についての資料を持ち合わせておりませんが、大体同じようなケースが多いと思います。
#125
○中尾辰義君 わかりました。
 次に、この前私がお伺いしました例の利息制限法の金利の問題、あれと公益質屋というものがありますが、これはまあ地方団体が経営に関係をしている機関でありますけれども、この片方の利息制限法の制限金利と、公益質屋のほうではまたかなりの金利をとっている。どうなっているのですか、その食い違いの点。
#126
○政府委員(澄田智君) 利息制限法は、法律におきまして、元本が十万円未満の場合は年二割、十万円以上の場合については一割八分、百万円以上の場合は一割五分と、こういうような規定がありまして、これをこえる利息は、その超過部分を無効とすると、こういう規定でございます。実は、公益質屋につきましては、これは大蔵省は全然関係のない法律でございまして、法律の所管省としては厚生省でございますが、現在公益質屋の貸し付け利息につきましては、公益質屋法の施行規則において、貸し付け利息の限度一月につき三分、月利三分と、こういうような規定になっております。
#127
○理事(大竹平八郎君) 中尾君に申し上げます。法務省から貞家参事官が見えております。
#128
○中尾辰義君 それで、こういうような法律はいろいろあるわけですけれども、これはどういうわけでこのように違うのか。片方は利息制限法でこのように二割ないし一割八分と、それで制限しておる。それにのっとって元本に繰り入れてもいいということですね。片方では月三分と、年に三割六分となるのですが、こういうような関係はなぜこういうふうにちぐはぐになっているのか、そこら辺のところはちょっと私は了解に苦しむので、説明願いたい。どなたでもけっこうです。
#129
○説明員(貞家克巳君) 御指摘のとおり、民事上の効力を定めております利息制限法とそのほかの法律との間におきまして相違があることは事実でございます。ただ、基本的な考え方といたしまして、たとえば出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の制限と申しますのは、一定の限度をこえて不当な高利と申しますか、いわば異利を刑罰をもってこれを禁圧するということでございまして、それはもはや放任すべからざる一線を画しているものだということが言えようかと用います。そして、それ以下のものにつきましては、民事上の、私法上の効力といたしまして利貞制限法の規定があるわけでございますが、その本来の趣旨は、元来そういった貸し金、債権を持っております債権者の権利というものを、それが有効でございますならば国家権力がこれを確保する、その債権者の請求に対して国が助力するとなるべきはずのところを、そういった利息制限法の限度をこえますものにつきましては、たとえ刑罰の対象になりませんでも、裁判所がその債権者の請求につきまして助力することを拒否するという立場を示しているわけでございます。元来、民事上の問題といたしましては、利息の点につきましても、本来は当事者の任意に放任するという考え方もございますが、これは債務者の利益を保護するために、一定の限度以上は契約の自由によるその債権の効力を認めない、そして債権者が取り立てようといたしましても、国家はそれに助力をしないという立場を示しているわけでございまして、言いかえますならば、前者のほうは刑事面におきまして国家の能動的な暴利禁圧、積極的に放任すべからざるものとしてそれを取り締まるということでございますのに対しまして、後者のほうは私法上の効果を抑制するという関係になるわけでございます。考え方によりましては、こういった限度を統一するということは非常に法律関係を明確にするという考え方ももちろんあり得るかと思いますけれども、そういたします場合に、一体どこで線が引かれるのか、刑罰の対象にもなり、しかも、私法上の効果も認められないというものに共通する線を引くことは非常にむずかしいわけでございまして、結局あるいは非常に実行性がないことになるという可能性もございますし、また、逆に、非常にゆるやかな態度でがまんせざるを得ないというようなことにもなろうかと存ずるわけでございまして、その点で、やはり国家が積極的に刑罰を課するという目的による限界、それから、裁判上債権者の請求が認められないという限界、これはそれぞれ実情に応じまして区別をしてやるという態度、これも一応の合理性があるのではないかと考える次第でございまして、現在の考え方はそういう仕組みになっているわけでございます。そこで、結局非常にわかりにくいということは事実でございますけれども、これを要約して申しますと、利息制限法の範囲内であれば、これは刑罰を課せられることはむろんございませんし、国の裁判所に対してそれを訴えて、強制的にその主張をすることができるわけでございます。利息制限法をこえまして、この出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律が定めます日歩三十銭までという中間的領域がございますが、この領域につきましては刑罰の対象にはなりませんけれども、裁判所に訴えてその権利の実現をはかるということはできないという中間的な領域になるわけでございます。それから、出資法の定めます日歩三十銭をこえるという限度になりますと、これは明らかに不当な高利であるとして、裁判上請求はできないのはもちろん、刑罰の対象として国家が積極的にそれを放任しない、乗り出すという形になるわけでございまして、いわばそういった三段階が考えられるわけでございます。わかりにくいという点は確かにございまするけれども、やはりその制度の目的と申しますか、趣旨と申しますか、それに応じましてある程度のこまかい区別をするということも一応合理的な理由があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#130
○中尾辰義君 それで、ただいまの答弁は、この前も私お伺いしたんです。それで、きょうは、この公益質屋の貸し付け利息は月三分になっているんですが、これとこの利息制限法の関係はどうなるのかと、これを聞いているんですが、銀行局長の見解は。
#131
○政府委員(澄田智君) これは私のほうの所管でございませんが、ただ、私から一応お答えを申し上げますと、一般の質屋の場合につきましては、先ほど法務省のほうから御説明になりました出資法の最高限度、すなわち、日歩三十銭、これを月利に換算しますと九分ということになりますが、その九分以内で、これはもちろん三十銭をこえますと出資法違反として罰則の適用もある、これは厳重に押えられているわけでありますが、それ以内で一般の質屋は営業をしている。したがって、一般の質屋の場合は月九分が限度で、通常、質屋は利率を店頭に掲示することになっておりますが、掲示しておりますのは月利八分というような掲示が多いというふうに聞いております。これに対しまして、公益質屋につきましては月利三分というわけでありますので、そういった質屋の水準よりは相当低い、どういうことで公益質屋法という法律でそういう公益質屋というものを認め、監督をすると同時に、これに援助をする、こういう仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、先ほど答弁になりましたように、私法上、民事上、訴訟によって確保されるという年二割というものと、それから、出資法の最高限度の間において現実の質屋というものの営業の実態を見まして、それをさらに公益的見地で、より低利に民衆の必要に応ずる、こういう趣旨の、まあ現実に即した限度が月三分である、かように私は考えております。
#132
○中尾辰義君 そうすると、利息制限法は現実に即しないと、こういうことになりますか。現実に即しないものをこの前みたいに最高裁で判決を下すというのもちょっとおかしなことで、その辺がちょっと納得がいかないのですが。
#133
○政府委員(澄田智君) 法律上の問題としては正確にお答えできないかもしれませんが、質屋という営業の実態というものから出発しましてやむを得ない。質屋という、非常に特殊な緊急の金を庶民に用立てるという、そういう営業の実態から見て、それをその現実に即した範囲でできる限り低利にするというのが公益質屋であるといたしますれば、利息制限法の民事上の二割をこえるその金利というものは、これは民事上は無効である。払った場合には、それは裁判の判決等においては元本の返済に繰り入れる、こういうことによって民事契約の金利水準というものをできるだけ望ましい、妥当な二割以内というものに限定する、それ以上は訴訟によって保護されるものではない、こういうことで国の司法権、民事訴訟というものを通じて保護するに値する金利は二割以内の金利である、こういう考え方ではないか。それ以上は国の司法権で保護するようなものではない。しかし、まあ日歩三十銭という、これ以上は反社会性を持った全く認められない行為でありますが、その中間のところは、社会の実情と、それからそういった資金の要る緊要度というようなものに応じてその実態を認めていく、こういうことではないかと存じます。
#134
○中尾辰義君 それじゃ利息制限法という法律は、どういう金融機関の金の借り方で適用されるのですか。公益質屋の場合は、これも短期間の融資でしょう。どうも片方では制限して、片方じゃ三分だと、どちらも短期資金の融資の機関ですよ。その辺のところはどうも納得いかんのですが、少しわかるような答弁をしてもらいたいですね。
#135
○説明員(貞家克巳君) 利息制限法はいわば民法の特別法でございまして、特別の例外と申しますか、手当てがない以上はあらゆる貸借に適用があるわけでございまして、そういった業者の間のみならず、全くの個人間の貸し金というものについても適用があるわけで、非常に一般的な広い適用対象を持っている法律でございます。
#136
○中尾辰義君 それじゃきょうのお二人の答弁を聞いてようわからぬのですが、利息制限法というのを、やはり短期間の融資のために町の金融機関に対して適用されるでしょう。ただし、まあ日歩三十銭以上をこえていると出資法を適用して、これは刑罰がある、これはわかりますよ。片方は刑法である、片方は民法の特例法みたいになっている、その中間にこの質屋さんのほうは三分というのが出ているものだから、この辺のバランスがどうもないじゃないかということで聞いているのですが、どうももう一つこういうのがあると国民が非常に迷ってくるのですよ。惑わすのですよ。借りたほうも貸すほうも、そういうものを悪用していろいろな問題が出てくるのです。その辺の統一見解は、どうも答弁聞いていてわからない。これで終わりますから、それで、わからなければもう一ぺんこの次聞きますよ。
#137
○理事(大竹平八郎君) 委員長から申し上げます。
 先ほど来の答弁を聞いていますと、どうも政府の統一的な見解がないようでございますから、勉強して次回にひとつお答え願いたい。
 委員長から、銀行局長がおりますので、特に政務次官に一言御要望申し上げます。
 実は、日本開発銀行の問題でございます。御承知のとおり、先国会で繊維の構造改革を法律として行なっておるわけでございます。で、との対象は主として中小企業が多いわけです。日本開発銀行が今日まで日本の経済の高度発展に尽くした功績というのはきわめて大きいのです。さらに最近は地方開発にも進出をして、非常な成績をあげておるわけであります。そこで、先般通過いたしました繊維構造改革で、繊維関係、主としてとれはもう中小企業です。とれが資金の問題について通産省との連絡推進によって開発銀行に幾つか資金の問題について要請が出ておるわけです。おそらくまだ一件もこれは許可されていないと思います。そこで、こういう流動の激しい経済界において、慎重はけっこうです、慎重に審査をされることはけっこうですけれども、時にチャンスを逸して、最近の繊維界が非常な暴落をした。そうすると、最初の申請をしたときと市場の情勢というのが変わってくる。そうなると、またこれの計画をやり直せとも言わんでしょうが、ものによってはやり直して提出しろというようなことがあるわけです。そうして資金繰りをしてみましても、最初の計画と違って、非常に開発銀行の資金というものは少ないということで、おそらく最初の申請の三分の一とか、よくいって半分というようなこういう状況下にあるわけです。そういう点で、ひとつ大蔵省としても開発銀行を大いに督励をして、できるだけひとつ差しつかえない範囲において、この繊維構造改革の法律の精神にのっとって、ひとつ促進方を要望いたしておきたいと思います。とれについて一言政務次官からひとつお答え願いたい。
#138
○政府委員(沢田一精君) ただいま御発言の趣旨につきましては、よく実情を検討いたしまして善処してまいりたいと思っております。
#139
○理事(大竹平八郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#140
○理事(大竹平八郎君) 速記をつけて。
#141
○戸田菊雄君 厚生大臣が時間二十分ということでありますから、だいぶ多くの問題があるのでありますけれども、特会制との問題についての基本的な政策上の問題について若干質問をしてみたいと思います。
 これはその財政制度審議会の第二委員会でありますけれども、この等申案の内容を見ますと、社会保障政策のあり方をいろいろ検討した。その結果、各種医療保険など医療保障に片寄り過ぎている。現行制度は、国民年金、厚生年金、これを中心とする所得保障重点に転換する必要がある。以下、具体的には、たとえばこの医療保険等につきましては、赤字が多い日雇保険、それから政府管準健康保険、あるいはその保険料、こういったものを引き上げる、あるいは現行の出来高払い方式、これを現金払い方式に改める、薬価基準は下げる、そして相対的に医療費高騰というものを防いでいく、こういうことで具体的にその答申案が出される情勢にあるようでありますけれども、こういった問題に対する厚生大臣の考えをひとつお伺いをしたい。
#142
○国務大臣(斎藤昇君) ただいまのお尋ねの点に関しましては、医療保険にたとえば限って申し上げますると、いままで、いろいろな問題がございまするから、いまの抜本改正を検討中でございますが、しかし、その基本方針といたしましては、財政面に寄与するという点が、先ほど御指摘の審議会の意見は少し強過ぎるのじゃないかと私は思います。もちろん制度を乱用して国費を乱費するというようなことがあっては相なりませんから、この点は十分留意をしなければなりませんが、要点は、完全な医療給付を階層に差別なく給付をする、そして保険料も各所得に応じて過酷でないようにしていくというのがねらいでなければならぬと思います。したがいまして、現在の給付を引き下げるのか、あるいは保険料についていわれなく上げるというようなことは、これはあっては相ならぬと、かように考えております。
#143
○戸田菊雄君 そうしますと、二十七日に通常国会が召集される予定なんでありますけれども、その通常国会においては保険法の改正等については考えておらない、こういう理解でいいですか。その点が一つ。
 それから、もう一つは、この厚生白書を見ますると、白書では、社会保障が景気調整などを理由に消極的に取り扱われたならば、国民生活のアンバランスはますます拡大する結果になるであろう、これは厚生白書に明確になっているのであります。こういう姿からいけば、四十四年度のそういった社会保障制度全般、ことに国立療養所なり国立病院等に対する財政面からの手当ての問題について具体的に一体どういうふうに考えておるのか、この二点についてお聞かせを願います。
#144
○国務大臣(斎藤昇君) 前著の医療保険制度の抜本改正の問題は、この通常国会にできるだけ提案をいたしたいと考えておりますが、何ぶんにも根本に触れる問題でございますので、次の通常国会の再開壁頭というわけにはまいりません。しかしながら、通常国会中には少なくとも提案だけはいたしたい、かように考えまして、与党との間でいまさらに検討を進めているわけであります。
 それから、厚生白書に載っております、今後の社会経済の発展、そうしてこれに追いついていく、さらに、いままで足りないものを追い越していくというのには、いままでの程度ではとうてい十分な社会保障が得られないということでございますが、老人対策でありますとか、いままで手をつけていない公害とか、あるいほ身障者とか、また、現在手をつけておりますものにつきましても、物価の上昇、あるいは生活水準の向上に伴なって考えてまいらなければなりませんので、そういう点を主として大蔵省に強く要求したいと思っております。
 国立病院につきましても、あるいは看護婦の問題とか、あるいは給与の問題、いろいろございますが、今日の国民の要求にこたえられるようにできるだけ尽くしてまいりたいというのが今度の予算要求の趣旨であります。
#145
○戸田菊雄君 過日の通常国会でありますが、そ中で前任者の厚生大臣が、国立病院、国立療養所の特会制移行をめぐりまして、当時国会審議の中におきまして、一つは独立採算化問題、園田厚生大臣は、特別会計に移行しても、一般会計同様、営利制はとらない、人員等の削減もしない、国立病院も一病院のごとぎ独立採算制は許されない、こういうことを明確に言っているわけであります。もう一つは、二割引き廃止、基準加算等の問題につきまして、同じように新患者と在来患者の自己負担のある方は二割引きをするし、基準加算もしない。さらに、らい療養所の問題につきましては、らい療養所は将来とも一般会計で国が責任を持って運営すべきであるとの追及に対し、そのとおりであると言った。それから、労働組合との関係につきましては、何か計画をつくって押しつけて、うまくいかぬ場合には話し合いをするのじゃなくて、前もって対話をし、こういうことをやりたいから協力してくれというようにすべきだ、そういったきわめて理解ある態度を、特会制移行に関しての重要諸問題について前任者である園田厚生大臣は明確に確約したのであります。こういった態度について、今度厚生大臣になられた大臣は一体どういうふうに考えておられるか、その辺について明確にひとつお答え願い
 たい。
#146
○国務大臣(斎藤昇君) ただいまお伺いいたしましたところによりますと、私も前大臣と同じように考えております。
#147
○戸田菊雄君 若干具体的な問題になりますが、厚生省といたしましては、四十三年九月二日でありますが、昭和四十四年度予算要求の概要について大蔵省に要求をいたしましたね。この内容によりますと、国立勘定繰り入れ、これは七百三十七億となっております。それから国療勘定への繰り入れ二百四十二億六百十二万五千円、それから国立病院勘定、これが五百五十八億四千三百五万四千円、国立療養所勘定が四百八十一億六千三百六万二千円、こういうことになっているのでありますが、この要求額の内容について間違いはないのですか。今後も予算要求を具体的にやっていくわけでしょうが、先ほど大蔵大臣に質問をいたしましたら、おおむね一月の六、七日ごろまでに四十四年度予算総体は決定をしたい、こういう時期的展望を明らかにしました。そういうこととの関連において、厚生大臣はこれらの要求の実現についてどのように考えているか、明確にひとつお答え願いたい。
#148
○国務大臣(斎藤昇君) 要求額につきましては、いまおっしゃるとおりでございます。大蔵省の予算査定のありますまでの間に、事務当局の間でいいろと説明をし、折衝をいたしておる段階でございますが、できるだけ原案をいれてもらえるように努力をいたしたいと思っております。
#149
○戸田菊雄君 具体的にはいまいろいろ折衝段階で煮詰めているでしょうが、まあいろいろ対外的な問題があって発表ができないということであれば、それはここで強く要求はしませんけれども、見通しとしては、もし言えるなら、もう少し具体的な説明をひとつお願いしたいと思うのです。
 それから、もう一つは、四十三年度のいまの予算要求と四十四年度の予算要求額との内容を検討しますと、物件、物材が非常に上がっている。あるいは人件費も上がっている。それと対前年度の比較をした場合には、非常に割合として少ないんじゃないかと思うのですけれども、その辺の経済動向と、具体的な、要するに四十四年度のいまの問題の内容ということについて、少し私は不足の点があるんじゃないかと思うのですが、その辺をどうぞ。
#150
○国務大臣(斎藤昇君) いま御指摘になられました点につきましては、あるいはまだ十分でない点もあるかとも思いますが、現在出しております予算におきましても、まだ大蔵省のほうから査定の意見がないわけでありますからわかりませんが、まあ例年に徴して、見通しは必ずしも明るいとは言えないんじゃないか、よほど努力を要すると、かように考えております。
#151
○戸田菊雄君 具体的にその数字を見ますと、国立療養所勘定でもって四十三年度予算額の総体が四百二十億何がし、それで一般会計繰り入れ率は四八・九七%、四十四年度の要求内容でいきますと五〇・二五%、少なくとも四十三年度の物価上昇見通し等については、経済企画庁が四・八%だということで四十三年度は策定をしておる。ところが、現実九月になって六・二%もすでに物価上昇割合を示している。こういうことからいけば、おそらくわれわれの推定としては、年度末締め切りまでには少なくとも七%台をこえるのではないか。さらにいまの各種公共料金や各種物品がどんどん消費財が上がっている。こういう推移からすれば、わずか一・何がしですね、その程度の差で一体間に合うのかどうかということが非常に心配されるのですが、そういった問題についてどうですか。
#152
○国務大臣(斎藤昇君) 物価の上昇傾向から考えての御指摘、それもごもっともだと存じます。ただ、予算の全般が必ずしも物価の上昇だけに限る、物価の上昇率に全部支配されるものばかりでもないと思うのでございます。あるいはそれよりももっと増してもらわなければならぬものもあろうと思いますが、個々の項目について当たってまいらなければならぬと思いますが、まあ要求いたしました額は、まあまあとの程度の要求ならばと、私も大臣を拝命しまして後にながめまして、この程度認めてもらえるならまあまあという感じでいるわけでございます。
#153
○戸田菊雄君 それから、もう二点ほど大臣に伺っておきたいと思うのですが、それはこの施設整備の促進等の問題ですが、通常国会でこの問題について水田大蔵大臣当時の答弁は、土地処分等によっての財源措置はしないということを実は回答しているわけであります。四十四年度の本予算の要求内容を見ますると、土地処分で十億程度見込まれているように思います。これはあとで詳しく主計局次長のほうにはお伺いをしますけれども、そういう問題について大臣の明快な答弁をひとつ承っておきたいと思います。
 それから、もう一つは、時間がございませんからだいぶ急ぎますが、看護婦の問題について、この養成の根拠法規は一体何なのか。さらに需給計画等について具体的にひとつ伺っておきたいと思います。それから、労働条件等の問題につきまして、非常にいまの医療法規等によってきめられている看護婦等の定員査定基準というものは二十三年当時だろうと思うのですが、もうすでに二十年もたった。そういうことからいけば、その後非常に医療面の全体の近代化や、あるいは医療内容等が非常に変わってきた。そういう面からいって、はたしていまのそういう定員査定基準というものが妥当なのかどうか、法律的改正を必要としないのか、こういった問題についての見解をお聞きしたい。
#154
○国務大臣(斎藤昇君) 土地の処分の問題は、大蔵省から要請されてやっておるというわけではないといま政府委員が申しておりますから、そのとおりだと思います。
 それから、看護婦の養成施設、それから、国立病院等における看護婦の数の基準等につきましても、
 一昨日は当院の社労で、ただいままた参議院の社労でいろいろと御質問があり、御答弁申し上げている最中でございますが、今日厚生省で考えておりまする看護婦の充足計画は、最近の情勢から考えて、さらに洗い直してみないと、少しまだ甘いのじゃないかという感じを私がいたしております。ただいま要求をいたしておりますのは、洗い直す前の計画で要求をいたしておりますから、これはやむを得ないといたしましても、来年度からはもう少し洗い直してみて、この看護婦不足に対処しなければ、まことに医療行政にとって容易ならぬ事態が来るのではないかということを憂えておるわけであります。国立病院に対する看護婦の定員増の問題につきましても、基準看護を充足できることを目途として大蔵省に要求をいたしておるはずでございます。
#155
○理事(大竹平八郎君) 大臣、御退席されてけっこうです。
#156
○戸田菊雄君 それじゃ何か時間の関係があるそうですから、人事院関係について最初お伺いしておきたいと思います。
 医師、看護婦等の定員を定める根拠法についていま大臣にも質問したのでありますが、人事院としては、これらについて現在の医療法施行規則第九条だと思いますが、これは大体二十三年の十一月五日、厚生省令第五〇号、こういうことで二十年も経過しているわけですけれども、本問題が現状に合ったものであるかどうか、具体的な内容についてひとつお伺いしたいと思います。
#157
○政府委員(島四男雄君) 医療行政の内容につきましては、人事院として事こまかに承知しておるわけではございませんが、私どもでは直接この問題に関係いたしましたのは、四十年に組合のほうから看護婦の勤務条件の改善に関する措置要求の要求がございまして、その際に、各国立病院、あるいは療養所等を調べまして、あらゆる角度から看護婦の勤務条件を調査したわけでございます。その結果について四十年の五月に判定という形でその勧告をしたわけでございます。その当時の調査の結果によりますれば、私どもがまずまずこの程度の勤務条件ならばよろしいと、努力次第によっては実現できるという目標をお示ししたわけでございます。で、いま先生の御質問のような、はたして現在の定員が十分であるのかないのかということは必ずしも私のほうとしては承知しておらないわけでございますが、この勤務条件についての、たとえば夜勤回数の問題であるとか、あるいは一人夜勤をなるべく二人夜勤にするというためにはどうしたらいいのかということは、そのつど厚生省のほうからもいろいろお聞きしているわけでございます。毎年その点についての予算なり定員の要求を厚生省のほうで御努力されているわけですが、まだこの点で私どもの判定の内容がそのまま実現されているとは申しかねますが、逐次改善しつつあるというふうに承知しております。
#158
○戸田菊雄君 主としていまお答えになったのは、人事院が四十年の五月に人事院の判定を出されたいわゆる夜勤、これは一ヵ月八日以内の制限、あるいは一人夜勤の廃止、あるいは産後六カ月の夜勤の停止、休憩、休息時間の維持など、こういった各種の労働条件について四十年の五月に人事院が一定の判定を下した、そうして厚生省に対して勧告をした。しかし、そういった関係については、若干実行に移された点があるが、総体的には全くそのときのものと何ら変わりがない、こういうのが実態だろうと思うのです。したがって、こういう三年間も前に判定を下したものがいまだ関係各省が実行しておらない、こういう問題について一体人事院としてはどう考えているのか、その辺をひとつ明確にお答えを願いたい。
#159
○政府委員(島四男雄君) この種の勤務条件の改善に関する措置要求の判定につきましては、直ちに実現できるものもございますし、あるいはそこに当然予算なり定員を伴う性質のものがございますので、必ずしも面らにできないものもございます。ところで、この看護婦の勤務条件の問題は、看護婦の絶対的な不足という大きな問題をかかえておりますとともに、また、単に看護婦の定員のみならず、いろいろ病院の施設の問題であるとか、あるいは勤務時間の問題とか通勤事情とか、いろいろの他の勤務環境の問題が並行して改善されませんと、単に人数だけをふやしてそれでよろしいというものではないと思います。
 ところで、この判定は、もちろん先生御存じだと思いますが、法律的に見れば拘束力がないわけでございます。しかしながら、従来この種の判定については、おおむね各省によって尊重されておりますが、いまこの四十年の看護婦の勤務条件に関する判定の内容は、必ずしも十分満足する結果が現在実現されてないということは、これはもう率直に認めざるを得ないわけでございますが、私どもとしましては、直ちにできるとは思いません。したがって、この判定の中におきましても、これはまあ一応の目標であると、計画的にそれを実現するようにということを申しておるわけでございます。で、私どもとしては、まあ一日も早くこの内容が実現されることを心から望んでおりますし、それだけに、この判定の内容がどういうふうに改善のあとがあるか、重大な関心を持って見ているわけでございますが、そのつどまあいろいろ厚生省のほうから御報告をいただいておりますところによれば、まあ少しずつではございますが、まあ定員が少しずつふえておるとか、あるいは病院の施設等において毛改善のあとは十分見られるというふうに承知しております。
#160
○戸田菊雄君 まあ改善、上向きの方向にあるというのですが、必ずしも私はそういうことではないと思うのですよ。確かにこの一九六五年の四月の人事院判定、これによりますと平均の夜勤日数は九・四日、それで六日以内はわずかに四・三%、八日以内は二九・六%、そうして九日以上というのが驚くなかれ六九・九%ですから、七〇%近い、そういう状態ですね。一番関係のある全医労の調査によりますと、これは国立対象で調査をしたようでありますが、その調査によりますと、四十三年の八月でありますが、これでやはり平均日数は九・四日になっております。それから、六日以内が一二・五%、八日以内が三三・三%、九日以上が依然として六六・五%存在しておる。そうして、なおかつ、はなはだしきものは二十日も一カ月のうちに夜勤をしなければいけない、こういう全く劣悪条件なんですね。ですから、そういう夜間勤務の場合に、家に帰るとか、こういう状態の中に非常に危険が伴うし、家庭生活が大体成り立ちませんね。そういう非常に劣悪な条件の中でいま奮闘し、人命保護なり予防と、こういうことで精進をしているというのが看護婦さんの実態ではないか。だから事務当局が机上プランで、何か想定で、単なる推測だけで上向き方向に行っているなんというのは、私は実態を無視するのもはなはだしい、こういうふうに考えるわけです。いずれ医務局次長もおられますから、厚生省関係の問題はあとで聞いてみますが、こういう問題は人事院としては一体早急に手を打たなければいけない問題です。一定の結論を出しているわけです。あとは実行を関係各省に向けてどうやらしているかと、こういうところに私は問題があるだろうと思うのです。そういう具体的な内容についてひとつお聞かせをいただきたい。
#161
○政府委員(島四男雄君) 私どものほうとしましては、法律上与えられました権限に基づいてやるしかございませんので、この判定につきましても、やはり当該関係機関におきまして御努力いただくということ以外に、それ以上当局に対する指示権であるとか命令権というものはございません。ただ、そうは言いましても、全然無関心でおるというわけではございませんし、事実私どものほうでも、その判定の出たあとにおいて病院あるいは療養所等に直接出向きまして調査して、何らかの内容についてつかんでおるというのが実情でございます。それ以上私どものほうとしましては何か打つ手はないかとおっしゃいましても、それ以上の権限は与えられておりません。あくまでも基準の設定であるとか、あるいは調査するとか監査するとか、そういう法律上の権限内容において努力していると、こう申し上げるしかないと思います。
#162
○戸田菊雄君 もう一点だけ人事院のほうにお伺いしておきますが、ただいま審議をされているこの国家公務員給与の引き上げ等の問題について、おそらく今明日最終結論出るだろうと思うのですね。その中で看護婦の初任給の問題ですね、初任給は、正看の場合で二万五千六百円、准看の場合で二万六百円と、こういうことで要請をしているのですが、その実現の見通しはどうですか。いろいろな問題があればあとでいいんですけれども。
#163
○説明員(渡辺哲利君) お答え申し上げます。
 看護婦の初任給につきましては、他の職種と考え方は同じでございますけれども、民間の看護婦の初任給と均衡をとって定めたものでございます。本年は民間のほうが非常に上がりました関係で、私どものほうの勧告でも、大学卒の上がる金額よりも百円多い二千五百円のアップを勧告申し上げまして、先ほどお話のございました二万五千六百円ということにしたわけでございますが、なおこれに暫定手当の繰り入れ等がございまして、実際には二万五千八百八十二円になる予定でございます。民間のほうはそれに対しまして二万五千七百九十五円でございますので、一応均衡がとれているものというふうに考えている次第でございます。
 それから、給与法案でございますけれども、私どもといたしましては、会期中に法案が成立しますようお願いを申し上げる次第でございます。
#164
○戸田菊雄君 それじゃもう一点だけお伺いしますが、その一つは看護婦の夜勤手当の問題ですが、との増額、現行の夜勤手当百円、しかし、民間病院、大学病院などでは百分の五十プラス超勤手当が入る、それに百円、これが慣行化されておりますね。同じ深夜勤務についた場合も、一方は百分の五十付加されて百円プラスされる。ところが、片一方は百円しかやらない、こういうところですね。この辺にやはり私は手当上の矛盾があるのではないかと、こういうふうに考えるのですが、この点はどうお考えですか。
#165
○説明員(渡辺哲利君) 夜間看護手当の問題でございますけれども、夜間看護手当、いまお話のございました大学病院、国立病院の違いでございますが、夜間看護手当は、正規の勤務時間が深夜にわたりました場合に夜勤手当、これは深夜の場合二五%の夜勤手当がつきますけれども、それと併給をされるわけでございます。で、超過勤務手当は正規の勤務時間である限りは併給されることはないわけでございますが、大学病院と国立病院が違います点は、両方とも正規の勤務時間は四十四時間でございますが、大学病院のほうはそれに四時間の超過勤務を見込みまして、一週四十八時間を基礎にいたしまして深夜の交代制勤務をとっているようでございます。したがいまして、その場合は四時間別に超過勤務の実態がございますので、その分が超過勤務手当として、夜間看護手当とは別に支給されているということでございまして、勤務時間の長短による違いでございまして、その間に給与上の不均衡というものはないというようなわけでございます。
#166
○理事(大竹平八郎君) 人事院関係の方、御退席けっこうです。
#167
○戸田菊雄君 文部省ですが、さっきちょっと厚生大臣の答弁を願ったのですけれども、具体的な回答がなかったのですが、看護婦養成の法律根拠ですけれども、それが一つ。それから、需給計画等についてどういう方針を一体持っているのか、文部省としての見解を承りたい。
#168
○説明員(吉田寿雄君) お答え申し上げます。
 まず、看護婦養成につきましての法的根拠でございますけれども、私どもは保健婦助産婦看護婦法、これは昭和二十三年法律第二〇三号でございますけれども、その第二十一条に看護婦国家試験の受験資格に関する規定がございます。その第一号に、「文部大臣の指定した学校において三年以上看護婦になるのに必要な学科を修めた者」、それから二号として、「厚生大臣の指定した看護婦養成所を卒業した者」、三号として、「免許を得た後三年以上業務に従事している准看護婦又は高等学校を卒業している准看護婦で前二号に規定する学校又は養成所において二年以上修業したもの」、四号として、外国の看護婦学校等を卒業した者に対する認定の規定がございますけれども、こういうような者でなければ看護婦国家試験を受けることができない、こういう規定になっておりますけれども、この「文部大臣の指定した学校において」という、これが第一条の学校が看護婦養成に当たるという根拠になっておるというふうに私ども解しているわけでございます。准看護婦につきましても同様の趣旨で、「文部大臣の指定した学校において二年の看護に関する学科を修めた者」というような規定が列挙されておるわけでございますが、いずれにいたしましても、看護婦の養成につきましては、厚生省の施策に合わせまして、文部省といたしましても、学校教育法に基づく大学、それから短期大学、高等学校、さらに、また、医学部付属の各種学校におきまして看護婦あるいは准看護婦等の養成につとめているわけでございます。
  〔理事大竹平八郎君〕退席、理事小林章君着席〕
しかしながら、何ぶんにも、最近における医療需要に対しまして、現実の供給数はなお不十分でございますので、文部省としましては、今後とも厚生省と密接に連係をとりまして看護婦の養成に努力いたしたい、このように考えている次第でございます。
#169
○戸田菊雄君 委員長にお願いしたいのですけれども、私の持っている内容と、いま政府委員の言われた法律番号は同じだと理解しておるのでございますが、ちょっと内容が違いますけれども……。
#170
○理事(小林章君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#171
○理事(小林章君) 速記をつけて。
#172
○戸田菊雄君 いまの説明によりますと、それは主として国家が看護婦なり、あるいは准看を採用する場合ですね、そういうものの規制だけであって、現行いっている民間ベースとか、あるいは医師会ベースとか、あるいは国家ベースとか、いろいろあるようでありますが、そういう養成内容について、いまの医療需給からいって、こういう計画で具体的にこの法律に基づいて看護婦養成計画というものをやっていかなければならない、こういうような根拠法規というものはないのですね、いまのやつは。養成をしたその上に立って、国家試験を受けて、そして資格要件を取って初めて就業していく、そういう道しかないと思うのです。そういうところに全国的に非常に最近各種災害がふえて、いろんな病人が非常に多くなった、あるいは公害その他一ぱいありますけれども、そういうものに看護の充足体制が追いついていかない、こういう非常に矛盾した結果というものが出てきていると思う。ですから、そういうものを国家が一元化した方向で、明確な法律のもとに年次計画に基づいて看護婦養成というものをやって、そして身体あるいは人命を扱うそういう貴重な職場を確立していく、こういうことになっていかなければ片手落ちじゃないか。そういう点についての根拠法規というものはないのかあるのか、あるとすれば一体何なのか、そういう点を私は聞いているのです。その点はどうですか。
#173
○説明員(吉田寿雄君) ただいまの御質問でございますけれども、先生御存じのように、医師なり、あるいは看護婦等につきまして、直接この需給につきまして第一義的責任を負っておりますのは、私どもは厚生省と考えているわけでございます。そういうことで、特に文部省として具体的にこういう需給計画を持つというところまではいっておりません。そういうことでございますけれども、いずれにしましても、できるならば看護婦の需給計画がございまして、そしてそれに基づいて年次計画的に養成が行なわれるということが一番望ましいのではないかと考えているわけでございます。
#174
○戸田菊雄君 これは厚生省どうですか、ちょっと見解を示してください。
#175
○説明員(北川力夫君) ただいま御指摘のとおり、現在における看護婦の需給状況というものは相当に逼迫をいたしております。それは最近における医療の進歩が非常に顕著でございまして、看護の内容も非常に多角的になり、複雑になっていることも御指摘のとおりでございます。また、反面、何と申しますか、看護婦になろうとする方々の供給面、つまりそういった若年労働力というふうなものの層が近年非常に激減をしてまいっておりますことも事実でございます。さらに、また、加えまして、先ほどからも御指摘のございましたように、いろいろ夜勤の問題でございますとか、そういう新しい問題も出てまいっておりますので、全体的に申しますときわめて供給面で困難な状況下にあるにもかかわらず、供給の面では従来よりもさらに強化をしていかなければならない、こういう事情にあるのが現在の実情であるかと存じます。そういうもとでございますので、現在における看護婦数の大体の不足の現状を申しますと、約三万人程度が不足しておる。それから、最近における就業看護婦数は約二十四万から二十五万くらいの間とわれわれは承知をいたしておりますが、そういう状態のもとでなおかつ不足している。しかし、私どもは、ただいまいろいろなお話がございましたように、どういうかっこうで長期的に養成をしていくかという問題がございますし、また、おそらくこの問題について年次的な計画を推進するという根拠法規というものは現在ないと思いますけれども、しかし、問題は、やはり看護婦の養成施設の整備を十分に助成をしていく、あるいは、また、前々からもやっておりますけれども、看護学生に対しまして修学資金の国庫補助を行ないますとか、あるいは、さらに、また、現在潜在しております看護力というふうなものも、これはできるだけ新しいこの医療需要下において、こういうものも何かのかっこうで看護力に参加をしてもらう、こういうことについていろいろな予算上の措置を年々強化をしてまいっているわけでございます。もとよりそういったことのみでは必ずしも十分であるとは存じませんけれども、われわれといたしましては、そういうことでできるだけ養成の施設、あるいは養成中の学生に対する援助、そういうことを強化をいたしまして、現在の看護婦の不足というものをなるべく早い機会に解消していくような方向で努力をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#176
○戸田菊雄君 少しこまかくなりますけれども、看護婦の現在の有資格者、これは一体どのくらいあって、そのうち、そのまま看護婦に定着をして現在稼働している方はどのくらいあるのか。
 それから、もう一つは養成の中身でありますけれども、国、厚生省がやる場合、その他あるいは都道府県、市町村、日赤、いろいろありますけれども、その場合、国とその他を分けまして、養成人員がどういう割合になっているのか、この辺をひとつ。
 それから、いまの割合でさらに内容を区分いたしまして、看護婦三年課程、看護婦の二年課程、准看護婦、こういうことであると思いますが、その辺の入学状況がどのくらいになっているか、年度としては四十年ごろでけっこうでございますけれども、ちょっと教えてもらいたいと思います。それから、看護婦、准看護婦の就職者数、この数もちょっと教えていただきたい。
#177
○説明員(北川力夫君) ただいまのお尋ねの中で、いますぐに申し上げられないのもあるかもしれませんけれども、わかっている面だけを申し上げます。
 第一に稼働の状況でございますが、これはただいまお答えを申し上げましたように、四十一年末の就業看護婦数は二十四万六千三百人と見込んでおります。それから、稼働状況ということに関連をいたしまして、正確な実数は把握をいたしておりませんけれども、大体これと同数のいわゆる潜在看護婦というものはおるように見込んでおります。
 それから、第二のお尋ねの看護婦等の養成施設の設置主体別の内訳でございますが、四十三年度、ことしの四月現在を申し上げますと、三年課程で全体の数は養成の学校が二百二十一、養成の総定員は二万一千六百三十七名でございますが、その中で国が受け持っておりますのは、厚生省その他を含めまして八十七校で、養成定員は全体の四六・八%でございます。そのほか都道府県、市町村が五十八校で、養成定員は二四・六%でございます。それから、二年コースの進学過程でございますが、このほうはトータルの数で七十七校、養成の総定員は四千四十四名、国の受け持っております分が十八校で、パーセンテージにいたしまして二一・五%、それから都道府県、市町村で三十五校、四八・四%でございます。それから夜間の進学課程が四十六校ございまして、四千五百六十名で、このほうは都道府県と市町村で十一校、二〇・四%、それから、おもなものを申し上げますと、医師会のほうで六校で一四・八%、それから、准看護婦のほうは総数六百八十四校で、総定員は五万八百二十二名。内訳は、国のほうが六十
 一校で二千五百七十名、五・一%、それから都道府県市町村で百四十三校、パーセントにいたしまして一三・二%、それから大口は医師会が二百九十一校で六一・五%、養成定員三万一千二百七十二名ということになっております。なお、そのほか文部省所管の看護高校が八十三校ございまして、これは一万三千二百四十五名の養成定員でございます。大体以上でございます。
#178
○戸田菊雄君 いま説明がありましたように、現在看護婦の有資格者、いわゆる免許を持っている者は総数において五十万ということになっているわけですね。それに対して、説明があったように二十四万六千三百人、稼働数はですね。半分ぐらいに減ってしまうのですね。一体こういう根源はどこにあると思っているのですか、厚生省は。この内容についてひとつ説明してもらいたい。
#179
○説明員(北川力夫君) いわゆる潜在看護力というものは全体の免許所有者の約半数ということになるわけでございますけれども、潜在いたしております二十五万というものは、その中には、おそらく相当な高年齢でございまして、すでに再び職場に帰ることもできない人たちが相当あろうかと思います。また、その方の事情によりまして新しく看護力として登場してくることができないというふうな方もあろうかと思います。したがって、われわれはこういう中でどの程度の方々がどういう条件を整備すれば看護力として現在の非常に逼迫した状況下に再び現在の看護戦線に投入されるかということについて、必ずしも十全明確な見通しは持っておりませんけれども、御指摘のように、結果的に半分が就業をしない、したがって、その半分が就業するような方途を講ずべきであるということには必ずしもならないと思います。できるだけこういう潜在看護力の中で、もう一度看護に当たっていただけるような方々を見出すというための施策をわれわれはやってまいりたいと思うのでございまして、全部が全部もう一度現実に看護婦さんとして就業願えるかと申しますと、この点はちょっとまあ非常に疑問だろうと思います。
#180
○戸田菊雄君 いまの問題について、文部省としてはその需給計画についてどういうふうに考えているか、あとでお伺いしたいと思います。
 それから、これは私の調査ですが、まあいろいろ厚生省からいま説明があったのですけれども、私の調査によりますと、入学希望者というものは非常に多いですね。たとえば看護婦が四十三年度の場合に四万五百三十四人、それに対して入学者はわずかに六千八百七十九名、それから二年課程の場合は七千九百三十九名受験者がありまして三千五百四十四名、それから、准看の場合は四万八千三十七名、うち三万二千七百七十六名、こういうことなんです。中学卒の准看というものが非常にウエートが大きくなってきている、こういう傾向が数学的に見るとうかがわれる。それと、勤続年数をいろいろ調べてみますると、四年平均ぐらいでやめられておるわけですね。大体中学卒業ですから、十六かそのぐらいですから、二十前後になって結婚適齢期になっている。そうすると、そのままいまの生活の実態からいけば看護婦さんとして勤務をしていたいんだけれども、子供さんが生まれるとか、そういう環境によって、どうしても病院によっては保育所やなんかの設備がまだ足らないということで、結局は短命で終わってしまう。その結果が、いまあなたが説明されたように、有資格者は五十何万人いるんだけれども、実際は二十万しか稼働してない、こういう結果になっている。そういうことから考えると、やはり看護婦のいわば労働条件なり職場環境、あるいは生活条件の問題、こういうものが結果的には災いをしてやめざるを得ないと、こういう状況になっている。反面、一体いまの労働状況を考えますと、共かせぎという状態が各所で増大する傾向にあるわけですね。これはパートタイムなどを含めて一切そうです。これはやっぱり生活がひどいということを物語っているわけであります。そういうものがなされないというところにこういう結果を私は招来しているんじゃないかと思いますが、そういう点について一体どういうふうにお考えですか。
#181
○説明員(北川力夫君) 確かに御指摘のとおり、現在の職場環境と申しますものは、非常に経済の成長と申しますか、社会の進歩と申しますか、そういう関係から申しまして、全般的に非常に生活環境が向上をいたしてまいっております。そういう中にあって、病院におきましても、やはりそれなりにそれに対応したような形で生活環境の改善をしていくということは、これは全く私ども努力をしていかなければならない問題であると考えております。と同時に、環境の整備と並行いたしまして、先ほどからも御指摘のございました看護婦さんの給与、処遇といったようなものを現在以上に向上をしていく、改善をしていく、こういう努力を怠らないようにやってまいらなければならない、かように考えております。
#182
○戸田菊雄君 そこで、主計局次長にお伺いをするわけですが、厚生省からそういった項目ごとに明確に予算要求がなされているわけであります。一つは保健衛生施設整備費、これはどのくらい要求されて、前途の見通しはどうなんですか。それから国立病院、療養所の看護婦養成費、これは一体どのくらい要求されて、実現の見通しはどうなのか。この辺について、こまかいことですが、見通しというものをひとつお伺いしたい。
 あわせて主計局次長に、この国立療養所勘定の、さっき厚生大臣にもちょっとお伺いしたですけれども、割合でもって四十三年度には四八・九七、四十四年度には五〇・二五、それから、国立病院勘定では一般会計繰り入れ率が一〇・五四、四十四年では一三・一九、私の調査では以上のようになっているのでありますが、これはさっきも申し上げましたように、物財の値上がりや、あるいは人件費の値上がりということから推していくならば、この厚生省の予算要求の内容というものはきわめてささやかなものだと思うのですね。そういうことに対して主計局次長としてはどういう判断をしているのか、これから具体的な作業を進めるのか、その辺について具体的にひとつお答えを願いたい。
#183
○政府委員(船後正道君) 初めにお尋ねの予算要求の数字は、私手元に資料がございませんので、厚生省からお答えできますならばお答え願いたいと存じております。
 明年度予算の一般論になろうかと思いますけれども、現在作業中の段階でございまして、これから各省と相談しながら予算をやっていくわけでございますので、ただいまのところ、計数その他につきましてはまだ申し上げられるような段階ではございません。
 第二点の国立病院特会に対する一般会計の繰り入れの問題でございます。これは病院勘定と療養所勘定とはちょっと様相を異にしておるのでございますが、療養所勘定につきましては、この春の療養所の特別会計移管の際にも種々御議論がございまして、私どもからお答えしておるところでありますが、要は、療養所におきましては必要な歳出を確保する、そうして過去におきましての療養所の診療収入その他自己財源、これを差し引きました残余は一般会計から繰り入れていく、こういう方針でございます。繰り入れ率がどうなるかは、この二つの計数の相関関係から結果的に出てくるものである、かように当時もお答えしたわけでございまして、四十四年度の予算におきましても、療養所につきましては、いわゆる独立採算制というものを前提とするものではないから、合理的な経営から生ずる収支差につきましては一般会計から繰り入れていくという方針でもって予算をつくっていきたいと存ずるのでございます。
#184
○戸田菊雄君 私は、次長、抽象的なことは聞いていない。国立療養所勘定で厚生省は、具体的に予算要求として予算総額四百八十一億六千三百六万円、こういうことで予算要求をやっているんです。それから、一般会計繰り入れ額は二百四十二億六十一万六千円、それから、その割合が五〇・二五だと、このように要求はきわめてささやかなものではないか。さっき大蔵大臣も問答したように、すでに一月の六日、七日あたりまで政府の閣議決定を予算についてはきめていきたい、こう言っているんですから、弔うすでにあと半月くらいしかないわけです。そういう中ですから、私は、作業としては相当厚生省担当の主計局としては煮詰めていかなければいけないと思うのですね。だから、私はそういう意味で、いま具体的にこれはずばりそのとおりやりますよという、そういうところまでは期待しておりませんけれども、との厚生省の予算要求の内容というものは、国立療養所勘定で見ても国立病院勘定で見ても、全くささやかな要求ではないか、そういうものについてどういう見方をしているかというのが私の質問なんで、端的にひとつお答えを願いたい。
#185
○政府委員(船後正道君) 厚生省は、明年度の予算につきまして、各事項にわたる種々の要求があるわけでございます。療養所の予算がささやかであるかささやかでないか、これは主観的な問題でございますので、おのずからそれにつきましての意見は差し控えたいのでございますが、いずれにいたしましても、療養所の特会におきまして種々の歳出要因があるわけでございます。人件費から事業費等、いろいろの歳出要因があるわけでございます。これにつきましてまず詰める。そして他方、療養所につきましては、診療収入その他の自己財源が見込まれるわけでございます。その差額は一般会計から繰り入れる、こういうことで予算をつくっていくわけでございますが、もちろんこの春に申し上げましたように、療養所が特別会計に移行いたしましても、従来一般会計であったというころよりも、一般会計のいわゆる実質的な繰り入れをそれがために抑制するというような考えは毛頭ないわけでございまして、療養所の業務が円滑に運営できるように配意してまいりたいと考えております。
#186
○戸田菊雄君 大体答弁了承いたしますけれども、それで、さっき二点ほど実は質問したのでありますが、その一点の看護婦の養成費ですね、国の調査ですと、四十三年度は七億九千六百五十五万円、これは内容としては一体どういうものを考えられておるのか、その内容について具体的にお聞かせを願いたい。
#187
○説明員(北川力夫君) ただいまお話になりました七億という数字でございますけれども、これは従来から看護婦の養成施設の整備につきまして国庫補助をもっていろいろと努力してまいったのでございますが、四十三年度から新しく国庫補助以外に特別地方債というものが導入されております。その特別地方債の額が七億である、このように考えておりますが、それはいま申し上げました養成施設の整備に充てておる次第であります。
#188
○戸田菊雄君 今年度はどのくらい要求しているんですか、四十四年度は。
#189
○説明員(北川力夫君) 四十四年度につきましては、先ほども申し上げておりますとおり、やはり養成施設の整備拡充ということと、それから、養成所に入学をいたします志望者を確保するということ、それから、さらに、また、潜在いたしております看護力を十分に活用をするということ、こういったことを中心に予算の要求を行なっておるような次第でございます。
 で、第一点の養成力の拡充につきましては、先ほどもお話ありました都道府県とか、あるいは市町村、日赤、済生会、そういった公的な養成所に対します補助金、それから、そういったものを含めまして、大体四億程度のものを現在のところは要求をいたしております。
 それから、この何のほうは入学志望者の確保ということで、これも数年前から始めております修学資金の貸与でございますけれども、これも毎年の懸案でございます単価の増額でございますとか、あるいは、また、貸与人員の増加でございますとか、こういう面について要求してございます。さらに、また、潜在看護力の活用につきましては四十二年度から行なっておりまして、四十二年度の実績といたしましては、大体講習を受けました者のうちの三分の一から四分の一程度がいわば現役復帰と申しますか、新しい看護力として顕在化してくるというような実績もございますので、そういう面をさらに強化をしてまいる、こういうつもりで要求しておるところでございます。
#190
○戸田菊雄君 主計局次長に弔う一点だけお伺いしたいのですが、施設整備費の問題ですね、かつての審議の中で、特別整備費として、水田大蔵大臣は、四十三年度から五カ年計画、おおむね二百三十億円程度の整備計画費を充当せしめていく、こういうことなんですね。四十四年度の厚生省要求額で見てまいりますと四十五億円、内訳が、一般会計十五億、借り入れ金が二十億、土地処分が十億、こういうことになっているんですが、これでいきますと、厚生省要求それ自体も私はこの二百三十億の金額の向こう五カ年の消化については下回っている、こういうふうに考えるのですけれども、厚生省担当官としてどう考えるか、主計局次長としては、一体この第三次の整備計画についてどのように今後消化していくつもりであるか、この点ひとつお聞かせ願いたい。
#191
○政府委員(船後正道君) 厚生省の特別整備計画は、この春の国会の際にも厚生省当局からお答えがございましたように、厚生省としては今後五カ年でもって二百三十億ということをめどに特別整備を考えていきたい、こういうことでございました。私どもも、五カ年の先の問題ではございますけれども、おおむねそういった計画の線に沿って四十三年度予算をつくったわけでございます。四十四年度の問題につきましては、これは毎年均等といたしますと、毎年四十五億前後の数字が要ることになるわけでございますが、厚生省は具体的には四十五億の予算要求がなされたわけでございまして、その財源につきましても、一般会計繰り入れ、借り入れ金、土地売り払いとして、財源として要求されているわけでございます。この点につきましては、もちろん来年度の予算の中身に関する問題でございますので、ただいま確たることは申し上げるわけにはまいりませんけれども、この春以来の経緯もございますので、私どもも序出省に相談しながら慎重に検討していきたいと考えております。
#192
○説明員(北川力夫君) 整備につきましては、ただいま主計局次長のほうからお答えがなされたとおりでありますが、これは二百三十億というものにつきまして、年次計画のもとに、一般会計の負担分と、それから借り入れ金と、さらに土地処分というものをあんばいいたしますと、私どもといたしましては、要求のベースで、ただいま御指摘になりました二十億ないしは十億というふうな金額につきまして適切を欠くものじゃない、かように考えております。
#193
○戸田菊雄君 もう一点だけ主計局次長にお伺いをいたしますが、現在公務員給与等の引き上げについて、さっき厚生大臣にちょっとお尋ねしたのですが、看護婦の初任給ですね、今回公務員給与引き上げについての大蔵省の圧力が非常に強く、不当にこの要求が通らない、そういうことをたまたま話に聞くのですが、これが総体実現されないと、看護婦の初任給引き上げ等についても相当支障が生ずるということになると思うのですが、この辺は一体どう考えておりますか。
#194
○政府委員(船後正道君) 給与の問題は、私、主計局内で直接担当いたしておるわけではございませんが、ただ、最近におきましては、具体的な職種のそれぞれの号俸の金額につきましては人事院勧告どおりを尊重しておる、こういうことでございますので、今回提案いたしております給与法の改正におきましても、看護婦の初任給につきましては人事院勧告どおりというふうに私は承知しておるわけでございます。
  〔理事小林章君退席、理事大竹平八郎君着席〕
#195
○戸田菊雄君 時間がないものですから急ぎますが、厚生省になるのですけれども、看護婦の労働条件ですね、さっき申し上げましたように、人事院判定について、なぜ一体いままで関係省の厚生省がそういう行政指導なり適正な労働条件の改善に取り組まなかったのか、この点についてひとつお尋ねしたい。
#196
○説明員(北川力夫君) 人事院のほうで行なわれました行政措置要求に対する判定の中身につきましては、先ほど人事院御当局からお答えがあったとおりでございます。私どもはこの関係につきまして、これも人事院当局からお話がございましたように、全く手をつけてないというわけではございませんで、四十一年度以降、看護婦さんの夜勤体制の改善のための設備費につきまして、かなりの額を設備の改善のために投入をいたしておるところでございます。また、これも先ほどお話にございましたが、夜間看護手当というものも、やはりこういった人事院の判定に関連をいたしまして出てまいった問題であろうかと存じております。しかしながら、御指摘のとおり、最近のきわめて複雑な医療需要と申しますか、医療態様と申しますか、そういったものとか、あるいは、また、勤務環境の改善というふうな面から申しますと、これのみで十分であるとはもちろん考えておりません。したがいまして、明年度からこの人事院判定の趣旨を十分尊重いたしまして、夜勤体制の改善のために必要な人員の要求を計画的に行なっていく所存でございます。
#197
○戸田菊雄君 具体的にやっていくのですが、その内容がわかれば示していただきたいのです。
 それから、もう一つは、夜勤回数はどうなっているのか。この辺は四十年、四十一年、四十二年、四十三年でけっこうですから、夜勤回数の厚生省が調べた実態についてひとつお示しを願いたい。
#198
○説明員(北川力夫君) 最初に夜勤回数について申し上げますと、私どもの調査によりますと、三十八年の十月で九・四回でございます。四十一年七月が八・九回、四十二年十月が八・八回となっておりまして、今年十月の調査はまだ集計に至っておりません。
 それから、人事院判定の関係の予算要求でごございますけれども、これは中身といたしましては、御指摘のありました月の夜勤回数は八回、それから、一人夜勤の解消というふうな線に沿いまして、明年度から三カ年計画で実現をしていく、こういう中身で要求をいたすような次第でございます。
#199
○戸田菊雄君 ただ、人事院判定があってすでに三年過ぎているのですからね。そういう中で、いまお答えのように、具体的に施策を講じていきたい、こういうのですね、人事院判定の線に寄せるために。だから、その具体的な計画の内容について厚生省は一体どういうふうに考えるのですか。
#200
○説明員(北川力夫君) それは、ただいまお答え申し上げましたように、一人夜勤を解消して、それから月の夜勤回数を八回というところを目途にいたしまして、その線を三カ年で実現をするようにやってまいる、こういうことでございます。
#201
○戸田菊雄君 その誠意は認めるのですけれども、しかし、いままでそういうことを実行されていなかった。それだけでは私は安心できないわけです。だから、そういうものについて行政指導だけではなくて、明確に一つの法的規制によってそういうものをやっぱり改善をしていく、もう少し強いものでないと、いままで三年間早い話がばかにされてきているわけです。だから、今後そういった計画については私も非常に了とするところだけれども、しかし、その行政指導だけでは私はいけない。だから、そういうものについては法的規制で、明確にぴちっと法的強制力を加えていく、こういうことでないと、なかなかいまの状況からいってむずかしいのじゃなかろうか、こういうように考えるのですけれども、そういった立法措置等については考えられておりますか。
#202
○説明員(北川力夫君) 私どもが現在要求をいたしておりますのは、国家公務員でございますわれわれ国立病院、国立療養所に勤務する看護婦さんについての問題でございまして、おっしゃるとおり、これをどういうかっこうでしからば法制的な裏づけをするかということになりますると、これはまあ何と申しますか、そういうことができるかできないかということも含めまして、人事院の判断される問題だと思っております。したがいまして、われわれはこういう線に沿って、とにかく先ほどから御指摘のあったとおり、判定以来、人員の面でこの判定に直接沿うような形のものが明確にはできておりませんので、一面においては、現在の運用上、できるだけ合理的な人員配置ということを考えますと同時に、一方、予算の要求の面でも、いま申し上げましたような計画を持ちましてその具体化をやってまいりたい、こういうところが私どもの考えておる方針でございます。
#203
○戸田菊雄君 くどいようですけれども、人事院では四十年にすでに判定を出されている。夜勤回数は八日以内だ、これを制限とするのだ、それから、一人夜勤は廃止しなさい、それから、産後六カ月の勤務の停止と、それから、休憩、休息時間の明示ということを明確にしなさい、こういっているのです。そうして園田厚生大臣は、今後の労使関係については押しつけるようなことはやらない、十分労使双方で話し合いをして円満に進めるのだ、こういうような善意な態度を最高責任者は示しているのです。それで一体いままでやられていないのです。いままで依然として四十年の人事院が当時査定をされた九・四日というものはそのまま残っている、こういう状態。だから、そういう意味からいって何らかの法的規制措置をやっぱりやっていかなければ、ほんとうの向こう三カ年の中でこういう問題の解決策というものは出されていかないのじゃないかという心配がある。そういう意味で、私は強くこの問題について、くどいようだけれども、関係事務当局の考えというものを明確にここで聞いておきたい。
#204
○説明員(北川力夫君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、三十八年の十月から昨年の十月に至ります間において、少なくとも私どもの調査では、いろいろの条件もございましょうけれども、できるだけ人員の合理的な配置と申しますか、そういったことを行ないました結果、九・四回の月の夜勤回数が八・八回まで好転をしているわけでございます。しかしながら、最近におきます国立療養所の実態と申します毛のは、これも先生十分に御承知のとおり、新しく重症心身障害児を収容いたしますとか、あるいは進行性筋ジストロファーの患者を入れておりますとか、さらに、また、長期慢性の手のかかる患者を収容いたしておりますとか、いろいろと新しい問題が出てまいっておりますので、われわれもこういう段階で現在の人員をできるだけ配置の合理化をはかりますとか、あるいは、また、いろいろな設備の面でも合理化をやる、こういうふうなことを行ないましても、はたしてこういう夜勤回数というふうなものがこれ以上好転するかどうかにつきましては、必ずしも明確な見通しを持っておりません。したがいまして、今回いま申し上げましたような形で、今後の三カ年計画ではございますけれども、段階的に人事院判定の趣旨に直接沿うような形のものをお願いをする、こういうことでございますので、何と申しますか、この問題について前大臣の意図に沿わないような措置は決してとっておらないつもりでございます。むしろ積極的にその意図を推進するような施策をわれわれとしては考えているような実情でございます。
#205
○戸田菊雄君 時間がありませんから、もう二、三でやめますけれども、いずれいまの問題は、配置転換の問題もございますけれども、労働条件全般として問題がありますから、再度時間をかけて機会を見てやっていきたいと思います。
 問題は、これは特会法の審議過程で、園田厚生大臣も、独立採算制には絶対しない、こういうことを言っておるのでありますが、最近の厚生省医務局の動向を見ますと、どうも少し心配な点があるわけです。具体的には、一点単価従来十円のものを五円五十銭でまかなうように指示をしているのですね。国立病院長、副院長、事務長、総看護婦長、こういったことでいろいろ会議を開きまして、医務局国立病院課ということで一定の指示通達事項が外部に流されている。こういうことになると、担当者としては、薬などを使う場合に非常な苦労をして、従来十円の範囲内でいろいろやっていくべきものが五円何がしという規制のワクをはめられた、それ自体、病院の経営自体に対する干渉、あるいは従来審議をしてきた精神にもとるのではないか、こういうふうに考えるのですけれども、そういう事実が一体あったのかないのか、指示をしていることはないのか、あったとすれば一体今後どういう措置をとっていくか、その辺についてひとつ伺いたい。
#206
○説明員(北川力夫君) 国立療養所が特別会計に移行いたしましたあと、これを独立採算という考え方で運用しないということは、これはもう先生御指摘のとおり、通常国会の際にも関係者から十分に申し上げたところでございます。したがって、現在におきましても、また、将来にわたりましても、独立採算というようなことは毛頭考えておりません。ただいまお話のございました十円、五円五十銭という話でございますが、これはおそらく国立療養所における薬の購入の問題についてのことかと存じます。これがわれわれの調査では、ことしのある期間についての実績が五円五十銭というふうになっておりまして、したがって、そういう意味で五円五十銭というふうな話をしたのだろうと思います。ただ、私は、やはり国立療養所と申しましても、これは国立療養所という病院の経営でございますので、独立採算であるのかないのかということは別にいたしまして、できるだけ経営上むだを省いて適正な円滑な運営をしていくということは、これはもう経営の衝に当たる者として当然考えていかなければならない問題でございますから、そういう意味合いで、実績に即した、現在の実態に合った運用をする、こういう意味でこういったいろいろな指導をしている次第でございます。
#207
○戸田菊雄君 どうもそういうことになると、独算制体制はとらないということは、これはさっき大蔵大臣も厚生大臣も明確に、大方針として、政策として明言した。これはそのとおりわれわれも信頼をするわけです。しかし、こういうこの薬価一点に対して従来十円のものを、ことにいまの経済動向の中、軒並み消費経済がどんどん伸びて上がっているそういう中において、薬だけ五円五十銭に縮めていくという、こういうことは私は時代逆行じゃないかと思うのです。だから、そういう点について、いまの答弁では私どうも矛盾しているのじゃないかと思うのですよ。ことに三項として、特掲診療点数の一点当たり消費が、四十三年一月一日以降四十三年三月三十一日までの実績ということで、各地方ごとに金額全部統計を調べているんですね。その上に立って一定の基準というものを示しているのだろうと思うのですよ。そこまで事務当局としてこまかい計数をはじいてとの問題に対処したということは十分うかがえる。そういう面からいけば、どうもいまの次長の答弁では私納得しないのです。どうなんです。
#208
○説明員(北川力夫君) 私は、いま毛申し上げましたとおり、独立採算制をとらないということと、それから、経営そのものを健実、適正、円滑にやっていくということは、これは弔うある意味におきましては別な問題じゃなかろうかと思っているわけです。で、特にいま御指摘になりました薬の問題は、これはいろいろ議論もございましょうけれども、現在の薬価問題ということは一つの大きな問題でございまして、実績に合わせてこの運営をしていくというふうなことは、運営上はそれが直ちに独立採算につながっていくというふうな、そういう御推測までをしていただくには当たらないのじゃないかと思っております。ただ、御指摘のとおり、われわれは、国立療養所というようなものの特別の使命、国療が持っております非常に大きな使命、ことに特別会計に移行することによって結核対策の最終的な仕上げをして、さらにまた新しい医療需要に対応していくというふうな、そういうことから考えますというと、いやしくも経営上、いまおっしゃったような、不当に経営面を圧迫をするとか、そういうことがないように、その点は十分に留意をしてまいるつもりでおります。
#209
○戸田菊雄君 いまの答弁を了として、ぜひひとつ善処方をお願いしたいと思うのです。これで終わりますけれども、さっきもちょっと人事院等に質問をしたのでありますが、この医療法施行規則の十九条一項四号であろうと理解をいたしますけれども、この看護婦ないし准看の定員査定の問題で、これはこの改善措置をとる必要があると思うのですが、この辺の見解をひとつ聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
#210
○説明員(北川力夫君) 医療法の施行規則の十九条におきましては、病院における医療関係者の定員をきめているわけでございます。で、たとえば一般患者につきましては、愚者四人について一人というふうなことをやっておりますが、これは先ごろも先生から御指摘のとおり、終戦直後にきめられましたいわばかなり古い基準でございます。したがって、最近における非常に複雑、高度な医療内容というようなものを考えますと、人的な面から申します限り、こういう基準でいいかどうか、確かにこれは検討に値する問題があるかもしれません。また、さらには看護力全体ということから申しまするというと、また、医療の内容補助というようなことから申しますというと、そういう人的な面と同時に、物的、施設的な整備という
 こともあわせて促進をいたしまして、そうして医療法が期待している人的、物的な病院の設備強化、機能強化ということをはかってまいらなければならぬと思っております。したがいまして、われわれは、単にこの医療法施行規則十九条の改正と申しますか、そういう問題だけではなくて、病院全体の新しい事態に即応したような機能の向上、こういう面から、この問題を含めまして、多角的に検討してまいりたい。たとえば最近の例で申しますと、新生児の看護という問題が新しくいろんな事故によって登場してまいりましたが、この点につきましては、すでに新生児というものを、医療法施行規則の十九条に関する限り、その看護力につきましては新生児を患者の中に計算すると、こういうことでその看護力の強化をはかってまいっております。したがって、そういう面で個々に、あるいは包括的に病院全体の機能向上、医療内容の強化、こういう面を考えながら今後とも対処してまいりたい、これが私の気持ちでございます。
#211
○戸田菊雄君 最後にお尋ねしますが、ハンセン氏病患者の日用品費の問題で、ぜひひとつこの予算編成の中で善処していただきたいと思うのですが、それは簡単に言いますと、現在月額慰安金九百五十円、生活物品費が百八十三円で、合計一千百三十三円ということになっているわけです。ずっと長い間据え置かれた。それで、この生活保護患者の日用品費は三千百三十円になっているのです。この生保の関係よりもずっと下回っているという実態です。この問題についてやはり私は善処していただきたいと思いますし、それから、もう一つは年金の問題、いろいろ級によって違うのでありますけれども、障害年金は現在月額一級六千円、二級五千円、こういうことになっており、福祉年金の場合は、障害は二千五百円、老齢福祉年金が千七百円、こういうように、そういう問題に対する非常に矛盾が多い。年金の格差是正、こういうものを含めて要望して、私の質問を終わります。
#212
○説明員(北川力夫君) ハンセン氏病患者の方々につきましては、御承知のとおり、特殊な方々でございまして、その療養環境を十分によくしていかなきゃならないことは、私ども前々から十分に考えておることでございます。ただいま御指摘の問題のうちで、日用品費につきましては、確かに生活保護との関係もございますので、できるだけこれを生活保護による分に見合う分まで増額をするように努力をしてまいりたいと思っております。
 それから、後段のお話の年金との関係でございますが、各患者相互間の所得の不均衡というようなものを来たしておりますので、これも、でき得ることならば不自由者慰安金というものを増額することによってその辺の生活環境の不均衡を是正してまいりたい、このような考えでございます。
#213
○理事(大竹平八郎君) 北川次長、退席してけっこうです。
 では、次に渡辺君。
#214
○渡辺武君 国税庁長官に伺いますが、この前のこの大蔵委員会で私の質問に答えられた吉國主税局長の答弁によって、いま大蔵省が税制調査会の第三次答申に基本的に沿って国税不服審判所を設立する立法的な準端を進めているということが明らかになったわけですけれども、この国税不服審判所の設置については、もうすでに御承知かと思いますけれども、中小業者の団体はもとよりのこと、日本税法学会、それから、また、日本税理士会連合会等が反対の意見を発表しておるわけです。特に日本税法学会は、私がこの前質問の中で述べましたような点とかなり共通した点で国税不服審判所の設置に対する根本的な批判を含む学会の正規の意見書を内閣総理大臣と両院議長に送っているわけです。私ここにきょう持ってまいりましたけれども、この日本税法学会の意見書に対して担当官庁である大蔵省はどのような態度をとっておられるか、それをまず伺いたいと思います。
#215
○政府委員(亀徳正之君) これは私の意見をお求めになっておりますが、いま立法の準備をしておりますので、主税局長が立法に当たっておられますので、実務の執行面についての問題ですとよろしゅうございますが、ちょうど立法中でございますから、あるいは主税局長のほうが適当ではないかと思うのですが、私の見解をぜひ聞きたいということであれば……。
#216
○渡辺武君 大臣に伺うつもりでおったのですが、大臣が退席されたので、あなたに伺うわけです。
#217
○政府委員(亀徳正之君) 主税局長と私と手分けして、私はまあこの改正法ができたところで、それを正しく執行するという立場でございますので、私がちょっと意見を言うのはいささかどうかと思いますが、この意見書にはこまかくいろいろございますけれども、一番私が拝見しまして、第一の、やはり不服申し立て前置主義の廃止、大体こう重要度に応じて並んでおるようでございますから、それに応じておもな点だけを、私の感じを申し上げて、場合によっては、むしろ主税局長に足らざるところを補っていただきたいと思っております。
 不服申し立て前置主義の廃止の御意見でございますが、御存じのように、非常に税のやはり更正決定の件数も多うございますし、それから非常に全般的に件数が多いわけでございます。現在の協議団制度のもとでも、やはり相当の不服申し立てといいますか、ます原処分庁がやはり見直してみるということによって相当直している例もございますし、やはり全部何から何まで審査請求ということになりますと、今度はそのために膨大な人を入れないと間に合わないということにもなりますし、やはり税務のような、非常にまた原処分庁がもう一ぺん見直して直すということが可能であり、また、それで大半処理されているという実態から見ますと、やはり不服申し立て前置主義というものは残しておくほうが、むしろ納税者の方に便利ではないか。それに不服であれば、当然今度の不服審判所ができれば、それに申し立てていただければいいのでありまして、この廃止の御意見でございますが、との点はやはり不服申し立て前置主義の現在の考え方、また、これを答申はそのままうたっておるのでございますが、私は前置主義であるべきだと考えております。
 それから、その次に、一番やはり大きなあれとして、審査請求の裁決機関といいますか、これが一つの同じ穴のムジナ論で、いろいろ何回も主税局長も答弁しておるところでございますが、やはり内閣総理大臣の所轄の毛とに裁決機関を設けるべきであるという御意見でございます。おそらく裁決機関の問題が、また後の機関総数といいますか、ここでは内閣総理大臣の所轄のもとに裁決機関を設けるべきだといっておりますので、当然あとの七に裁決に不服な場合の原処分庁の出訴権という問題が引き継いで、この意味では論理的に御意見はつながっているかと思います。これは、ただ、基本的には、一体今度のこういう不服申し立ての処理に対する考え方として、基本的に二つの考え方があろうかと思います。非常に簡易な租税裁判所といいますか、一種の準司法機関をつくって簡易に処理していく、この場合には当然行政官庁とは別個の立場でもって処理することになろうかと思います。その場合には総理大臣というよりも、むしろ準司法棚関として専門的な知識を持った裁判官が非常に迅速に判決を下していくと、こういう一つの類型があろうかと思います。これから、もう一つは、やはり行政機関の一つの内部組織として、われわれの行政処分についての見直しをやると、こういう考え方でございます。それで、まあいろいろ議論はございましたけれども、準司法機関をつくるということは、やはり憲法改正にもつながる問題でございまして、なかなかむずかしいのではないか。そこで、行政機関の内部で見直しをする機関をつくるという大体基本方針が固まったようでございます。そういたしますと、やはり行政機関の中で二つのものが違った意見を持ち合うという形ですと、この御意見のように、また原処分庁の出訴権というような問題の取り上げ方をしなければいけない。しかし、いずれ最後には裁判所で見直しをしてもらう制度が担保としてあるわけでございますから、むしろこれは行政のやはり一貫性を保ちながら、どうすれば現在の同じ穴のムジナという批判にこたえられるかということになろうかと思います。そうしますと、やはり国税庁長官の付属機関と  しかし、これは考え方としては、やはり通達も批判できる形にしようじゃないか。それから、現在のように国税局長が審査を決定するということになりますと、どうしても国税局長の下には直税部、間税部、そういうものがございまして、どうしてもそのほうの力が強くて、まあ協議団の力が弱いじゃないかという批判があるわけですが、それはひとつ切り離しましょう、そして国税庁長行の付属機関として今度の不服審判所を設ける。しかし、そういった通達を改正とか批判するとかというような場合には、一応これは行政の一貫性を保つ意味で、まあ長官に意見を、こういうふうにしたいと、それでまあ長行もそれに決定をいたしますときには、審査会、これは結局まあ民間の専門的な知識を持った方々の審査会の意見を聞いて、そして決定をする、こういうことにしていまの批判にこたえたいという考え方でございまして、まあ私は、やはりそれがいろいろ直す上において、基本的にはそれが現状に合った考え方ではないかと私は思っております。いろいろこまかい点があろうかと思いますが、大きな線として二つばかりが特に目立ちましたので、その点に限りまして意見を申し上げました。
#218
○渡辺武君 補足する点ありますか。
#219
○政府委員(吉國二郎君) ただいま国税庁長官から申し上げたとおりでございまして、税法学会のお出しになった意見の。ポイントにつきましては、実は税制調査会の中でも審議の過程でことごとく出た問題でございます。それをいろいろこなしまして、結局結論がああいうふうに出てまいったとうことで、私どもは、やはりこの税制調査会の答申の線でひとつ国会の御審議を願うべきではなかろうか。もちろん税法学会の中にも税制調査会の意見と一致しているものもございます。それから、運用上、御意見をできるだけ取り入れたらいいものもあると思います。一応基本線としては、税制調査会の中にも、あるいは関係法曹会、あるいは税理士会、その他の委員が一般的に集まっておられますので、同じ問題を見落としている問題があるといかぬと思いますけれども、ことごとく拾い上げた問題であるだけに、この線で御審議を願いたいと、かように考えております。
#220
○渡辺武君 いま長官も、それから局長からもおっしゃったことは、これは税制調査会の答申の中に全部盛られているのと同じことです。それで、税法学会は、その答申を十分に学会として検討して、そうして正規の学会の意見として出したものです。税法学会というのは、御承知のとおり、税法関係の学者を中心としてつくられている日本でもただ一つの学会です。それなりに十分な権威を持った意見というふうに考えていただかなきゃならぬと思うのですね。ですから、いまおっしゃったところを伺っておりますと、この意見書の中から特に基本的な点について採用して、そうしていままであなた方が考えておられた国税不服審判所の設置について変更したという点は一つもないわけですね。
#221
○理事(大竹平八郎君) 政府委員の方に申し上げますが、答弁はできるだけ要領よく、明快に、簡潔にお願いいたします。
#222
○政府委員(亀徳正之君) たとえば更正の請求の期間などは、やはりこの御意見のとおり、まあ全く税制調査会の意見も一緒でございますが、採用しておるのでございますが、いまのこの二点は、なかなか事柄としてはやはりわれわれの仕事は実務に臨みまして、やはり実際が動くようなことも考えなきゃいけないと思いまして、税法学会の中の、なかなか権威のある方々がいらっしゃるのでございますが、やはりわれわれ実務と結びつけて考えました場合に、先ほど申し上げたような考え方にならざるを得ないのではないかと考えておる次第でございます。
#223
○渡辺武君 その実務の点についても、また、税法という法律についても、あるいは、また、学説についても、十分に知り尽くした方々がこういう学会をつくって、そうしていまちょうど亀徳長官が言われたと同じような意見を、これをまことにみごとに反駁してこの意見書を書いておられる。それを従来の意見と全く同じ意見を繰り返して、そうして採用しないということでは、これほどの権威のある学会の意見に対する態度としては、私はまことに遺憾だと思います。極端に言えば、理由なくして自説を固執しているというふうにしか考えられない、そう思います。きょうはもう時間がないからこれで打ち切らなければなりませんけれども、やはりこういう権威のある学会の意見、特にその中での国民の要望に沿った民主的な意見、これについては十分に耳を傾けるべきだと私は思うのです。この中にもはっきりいわれておりますけれども、いま長官が答えられた意見というのは何の根拠もないということをはっきりことで言い切って、幾つか重要な論駁をされているのです。ですから、そういう点も十分にやっぱり考慮しなきゃならない、私はそう思います。したがって、この日本税法学会の意見書の中に盛られている幾つかの民主的な、非常に蚕一要な意見に沿わないような国税不服審判所の設置というような毛のは、これは私は取りやめるべきだというふうに要望して、私の質問を終わります。
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#224
○理事(大竹平八郎君) 他に御発言もなければ、本件の質疑はこの程度にとどめます。
#225
○理事(大竹平八郎君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。
 租税及び金融等に関する調査につきましては、閉会中老なお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#226
○理事(大竹平八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#227
○理事(大竹平八郎君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後三時五十分散会
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ソース: 国立国会図書館
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