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1968/12/20 第60回国会 参議院 参議院会議録情報 第060回国会 外務委員会 第2号
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1968/12/20 第60回国会 参議院

参議院会議録情報 第060回国会 外務委員会 第2号

#1
第060回国会 外務委員会 第2号
昭和四十三年十二月二十日(金曜日)
   午前十時二十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         三木與吉郎君
    理 事
                佐藤 一郎君
                長谷川 仁君
                山本 利寿君
                大和 与一君
    委 員
                石原慎太郎君
                鹿島守之助君
                梶原 茂嘉君
                杉原 荒太君
                高橋  衛君
                廣瀬 久忠君
                増原 恵吉君
                加藤シヅエ君
                羽生 三七君
                森 元治郎君
                松下 正寿君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       外務政務次官   田中 六助君
       外務大臣官房長  齋藤 鎮男君
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
       外務省アメリカ
       局長       東郷 文彦君
       外務省欧亜局長  有田 圭輔君
       外務省経済協力
       局長       上田 常光君
       外務省条約局長  佐藤 正二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国際情勢等に関する調査
 (国際情勢に関する件)
○在日朝鮮公民の帰国に関する請願(第一二六
 号)(第一二七号)(第一二八号)(第一二九
 号)(第一三〇号)(第一三一号)(第一三二
 号)(第一三三号)(第一三四号)(第一三五
 号)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(三木與吉郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についておはかりいたします。
 去る十一日の委員会で御報告のとおり、木内四郎君が委員を辞任されたため、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に佐藤一郎君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(三木與吉郎君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 まず、愛知外務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。愛知外務大臣。
#5
○国務大臣(愛知揆一君) 先般の改造によりまして、不肖私が外務大臣の大役を仰せつかりまして、まことに微力で、省みてはなはだじくじたるものがございますが、どうか、外務委員会の皆さま方におかれまして、何かと御指導を賜わり、またお力添えを賜わりますように心からお願い申し上げる次第でございます。
 何ぶん就任早々でございますし、また、今国会が会期が短いような関係もございますので、通常国会までの間に十分いろいろの問題を検討いたしまして、いずれ通常国会におきまして私の基本的な考え方というものを明らかにさせていただきたいと存じます。何とぞよろしく御了承願いたいと思います。
 まことに簡単でございますけれども、一言就任に際してのごあいさつにかえる次第でございます。(拍手)
#6
○委員長(三木與吉郎君) 引き続き、田中外務政務次官から発言を求められております。この際、これを許します。田中政務次官。
#7
○政府委員(田中六助君) このたび外務政務次官を拝命いたしました。よろしくお願いいたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(三木與吉郎君) これより質疑に入ります。大和君。
#9
○大和与一君 いま外務大臣の、御所見まではいきませんでしたが、ごあいさつになったと思いますが、新大臣は自民党の中でも学の高さ、深さ、広さ、これはもう定評があって、十二分に何でもおわかりになっておることだと思います。ですから、今後の大臣にお願いすることは、決断力といいますか、ぜひそれをいままでよりもっと勇気を出してやっていただきたい、こういう期待を持って今後おつき合いをさせていただきたいと思います。ところが、それだのに、大臣の就任当初の記者会見、十一月三十日でございますが、沖繩問題についてお話があったのですけれども、総理が訪米するまでに技師の役割りを果たしたい。どうもこれは少し情けない発言ではないか。日本の外交をリードしていく上に、謙虚な気持ちはわかりますけれども、いわゆる鉄道のレール敷きでは困るので、今後の大臣の外交姿勢についてもう少し御意見を承りたいと思います。
#10
○国務大臣(愛知揆一君) いまお話がございましたが、私の気持ちはこういうところにあるつもりなんでございます。一つは、よく総理外交ということばがいわれますけれども、私としては、大切な時期に際会して基本的な外交政策を展開していくためには、内閣がほんとうに一体となっていかなければならない、こういうふうに考えますので、たとえばあとでもいろいろお話が出るかと思いますが、沖繩問題の取り組み方などにいたしましても、総理が秋に訪米をするということを言っておりますので、総理とほんとうに一心同体になって路線を敷かなければならない、こういうふうに考えましたので、ああいう表現をいたしたのでございます。それから、基本的な私の姿勢と申しますか考え方は、いま申しましたようなところにあるわけであります。さらに言えば、外交の一元化、こういうことが非常に必要なことだ、こういうふうなことをもあわせて私としては考えておるわけであります。
#11
○大和与一君 総理が秋においでになることは、これはもう間違いない予定でございますね。そうすると、その前に外務大臣がおいでになることも、これまた動かざる事実。そうしなければいけないわけですね。そうしますと、総理が行かれるんでしたら、これは帰ってくるまでは、大臣のお考えとしては、解散はあり得ないのですか、あるかもしらぬですか。
#12
○国務大臣(愛知揆一君) これは私が御答弁するよりも総理が答弁すべきであろうと思いますけれども、総理としては、これまでのこの臨時国会における本会議、委員会等の発言としては、そういうことは、解散ということは考えていないということを表明しておりますので、それを基本にいたしまして私としては努力を続けていきたい、かように考えております。
#13
○大和与一君 アメリカはニクソンが大統領になりましたけれども、正式には来年ですが、いまの人事配置をごらんになって、おのずから外交の姿勢、政治姿勢というものが出てきていると思うのですが、それはいままでよりも好ましいのか、あるいは世上言われるように、右なのか、あるいは左なのか、そういう点はどういうふうになるだろうとお考えになりますか。
#14
○羽生三七君 それに入る前に、さっきの問題でちょっと一つだけ関連。
 いま大和委員から御質問になった訪米前に解散云々の問題、これは先日予算委員会で、私の関連質問に関連して総理が、そういうことはないとお答えになったわけです。それはそれでいいのです、どうあろうとも。いいというのは、この問題をここで問題にするわけじゃないのですね。問題は、そうでないとすると、国民の声を聞くという場合に、私、この前予算の委員会で関連質問したのは、アメリカへ行く前に国民の声を聞いてニクソン大統領と折衝されるのか、それでニクソン大統領と折衝したあとに、帰ってきて国民の声を聞くのか、こう言ったわけですね。そうすると総理は、国会なりあるいは新聞紙上等を通じていろいろな議論が出てくるからそれでわかる、こう言われたわけです。私は関連質問だったから、そのときに多く申し上げなかったわけです。私の言いたいことは、単にこういうことで国民の意思がわかるというのでなしに、たとえば、おおよそこういうものが固まったが、さてどうだろうかというものを出して、国会で――通常国会の途中ですよ――だからある程度のものを出して、国会で、つまり自然発生的に国会の質問で意思をくみ取るのでなしに、政府側が、これから訪米するに際してほぼこういうものができておるがどうだろうかというような形のものにするのか、そういう形の問い方をするのか、あるいは、帰ってきて、こういうことになったがさてこれはどうだろうか、こういう問い方をするのか、それを私この間聞いたわけなんですよ。ただ、私、関連質問だったので、時間の関係でああいう簡単な質問になったので、意を尽くせなかったけれども、私の言いたいことはそういうことだったわけですね。ですから、先ほどの問題に、大和委員の質問に関連するわけですけれども、こういう委員会でただこうやって質疑しておることをくみ取って行かれるのか、行かれる前に、通常国会の途中でもあるいは行く場合もあると外務大臣おっしゃっているわけですけれども、その場合には、ある程度のものを固めて、その場合に国会の意見を聞くということも言われておりましたですね。ですから、どういう形で意を問われるのか、それをお尋ねしたいと思います。
#15
○国務大臣(愛知揆一君) これは先ほど申しましたように、総理がお答えいたしましたとおりでございまして、いま私といたしましては、訪米ということ、これはまた相手の都合ということもございましょうし、あるいは、ことに新政権が一月二十日から発足するわけでございますから、それから日程等の打ち合わせもだんだんできることになろうかと思います。いま、こちら側の期待としては、来年秋に佐藤総理が行ってできるだけ話を煮詰めたい、そうして、そういう考え方の中において、それまでに解散というようなことは考えません、こう言っているのでございますが、私も御同様に、そういうふうに考えているわけでございます。
 それから、いろいろの論議を十分伺いながらという考え方は、もちろん非常に強くあるわけでございます。これは解散ということとは別に、できるだけそういう趣旨が通るようにこの問題を組み立てていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
#16
○羽生三七君 ちょっともう一度。
 あのね、わかったような、わからぬようなことなんですが、要するにこれは、こういう委員会で野党側の――与党のほうもあるでしょうが――発言を聞いて、十分それを参考にして、訪米の前にそういうものを参考にして国民の声を聞くのですか。その場合に、政府側は何も言わずに、ただ議員にしゃべらしてそれが参考になるというのか、あるいは政府としては、まあ最終案がこういうもので、そのとおりなりましたとかということは、外交のことですから、言えるはずのものではありませんが、大体こういう方向のことを考えているがどうだろうかという形でそれを問うのか、そこを聞いているわけです。そうでないと、何も、総理が三本の柱に掲げられた中の一つに、世論の動向というのがあるわけです。科学技術の変化、国際情勢の変化、世論の動向という、その世論の動向というものは、ただ国会における国会議員の自然の発言のことを言っているのか、新聞論調のことを言っているのか、あるいは、いま言うように、訪米の前に、いわゆる政府としてはこの程度のことを考えているがということを、通常国会の途中なんかに言って、その反応を見きわめて訪米されるのか、そういうことは具体的にどうか、こういうことなんです。
#17
○国務大臣(愛知揆一君) 大体いま申しましたことを繰り返すことになるかと思いますけれども、要するに、解散ということは、方向として考えていない、これははっきり総理の言っているとおりでございますから、それは別といたしまして、できるだけ世論の動向がよく反映するようなやり方をしてまいりたい。いろいろの方法もあろうかと思いますが、まだそこのところを的確に、今後こういうふうなスケジュールでこういうふうなやり方をやっていきたいというところまで、実は詰めてまだ考えておりません。
#18
○大和与一君 さっきの私のお尋ねに答えてください。人事配置が新しくなって、それで一体特に外交方面でどういうふうな形、世上いわれているのは、ニクソンはやや右であろう、右寄りであるというふうな一応概念がありましたけれども、最近は違うという声もありそうだ。しかし、私はよくわかりませんが、新しいスタッフを続々任命しているニクソン新政権の外交に対するあり方というものは、大臣としてどのようにお考えになっておりますか。
#19
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一は、これは従来からの、歴史的にもそのようでございますけれども、アメリカは外交政策、特に当面しているような問題については、政権がかわりましても、超党派といいますか、やり方をするようでございますから、それを、今回の場合も原則はそうであろう。また、そういう点について、たとえば当面している日米の問題などにつきましては、まあ、よく例に引かれますけれども、朝日新聞を通してのニクソンさんの見解などがあらわれておりますけれども、それなどを見ましても、たとえば昨年の佐藤・ジョンソン会談に例をとりますならば、あの考え方というものは踏襲していくのであると、これはかなりはっきりしておるように思いますので、私は今回の人事配置等に直接関連しての意見は差し控えますけれども、基本線は変わらないものだと、こういうことでいきたい、かように考えております。
#20
○大和与一君 ニクソンの対アジア政策なり対日基本方針が必ずしも固まらなくても、沖繩の問題はジョンソンとの引き継ぎだから、日本の、来年あたりにあるいは総理が行かれるその内容は、何にも拘束されんで、沖繩問題は真剣に取り組んで話を進めることができるのですか。
#21
○国務大臣(愛知揆一君) 私はそういう考え方で進みたいと思っておりますが、なお、一月二十日前には、ニクソンさん及びその周辺も、どこの国のどういう人とも接触をしていかないで、新政権が発足してからいろいろそういう仕事を始めたいというような態度のようでございますから、そういう点は、一月以後にいろいろの話し合いも始めることにならざるを得ないと思います。ただ、その間に、こちら側としてもいろいろの情勢や見通しをできるだけ的確に掌把しておきたいと、かように考えましたので、私も就任早々でございましたが、駐米大使下田君に一時帰国してもらいまして、下田大使を通じての情勢分析などを十分に正月の早々いたすことにいま計画いたしておるわけでございます。
#22
○大和与一君 十二月の十七日の衆議院の外務委員会で戸叶委員が質問したのに対してあなたは、安全保障その他の問題も含めて、アメリカに行くときはワン・パッケージ――こういうことばを使っていますね、そんなものをみんな一緒くたにまとめて持っていくことができるのか知らぬけれども、沖繩問題に最重点を置いて、国民がこれだけ早期に望んでいるのだからということと、そういうことばをたしか発言したのですが、それではかえってこれは少しおそくならんですか。
#23
○国務大臣(愛知揆一君) この点は私のことばが、戸叶さんに対するお答えは多少足りなかった点があろうかと思いますので、補足して申しますと、沖繩問題と取り組みます場合に、返還という問題はもとよりでございますが、これに関連するいろいろの考え方というものを一体として私としては考えていなければいけない、こういうことに力点を置いて申したつもりでございまして、その結果、折衝の具体案あるいはタイミング等をどういうふうにするかということについては、まだ実はその考え方の内容もきめきらないくらいのところでございますから、対米交渉に際して、一つのものをどかっと持ち込んでAからZまでをという、私はそこまで言ったつもりでなかったのでございますけれども、その点はひとつ御理解を願いたいと思うわけであります。
#24
○大和与一君 いまの朝日の夕刊に、ブルッキングズ報告というのが連載されております。その中でエドウィン・ライシャワー氏が言っているのですが、もう沖繩に核は要らぬと、原子力潜水艦とICBMがあるのだから要らぬじゃないか。この人はしろうとであるけれども、相当学のある人だから、非常に大事な発言なんですが、そういうことをいままでたびたび言っておられますが、それについてはどうお考えですか。
#25
○国務大臣(愛知揆一君) ライシャワーさんは、いまさら私申し上げるまでもございませんが、日本のことは非常によく知っておられる立場にもございますから、こういう方の御意見というものは十分尊敬をもって読んだり聞いたりする必要があろうかと思っております。
#26
○大和与一君 それについて、私なんかしろうとでも、これだけ科学兵器が発達したんだからそのとおりだというふうに、日本国民の多くの人は、何も隠して言っていることじゃないんですから、あたりまえだと思うんですね。それを大臣はどう思いますかということです。
#27
○国務大臣(愛知揆一君) 私いま申しましたのは一つの意見であると、いろいろの意見の中の一つとして考えていかなければならないと思いますけれども、ただ、何と申しましょうか、一番基本的には早期に返還をしたいということと、それから、何と申しましても、日本と沖繩との安全ということがやはり国家として存立の基本要件でございますから、そのことを考える場合に、先ほども話が出ましたが、やはりこれからの国際情勢の推移や科学技術の変化というようなことについて政府としての考え方を煮詰めていくのには、まだここでは早計ではないだろうか。ひとつの考え方を現在固めてこれに膠着――膠着といいますか、それだけで一つの案をきめるのはいままだ早計である、私はこういうふうに思いますので、ライシャワーさんに対してどう見るかという問題とは別に、われわれが今後どういうふうに考えていかなければならぬかというふうに私は取り上げていきたいと思っているわけです。
#28
○大和与一君 いまのお話の、早く返したい、核はつけたくない、つけたいということは、核が沖繩にあるということを政府は認めておられるということですね。
#29
○国務大臣(愛知揆一君) 現状が沖繩においてどういうふうないわば軍事的な体制がとられ、装備ができているかということについては、現状におきましては、日本の私の立場からいいますとこうこうだということを知らない、また知らないから御説明できない、こういうふうに申し上げざるを得ませんけれども、同時に、返還後における安全を確保するためにはどうしていかなければならないか、どういう措置が必要であるかということについては、ほんとうに真剣に考えて、誤りなきを期していかなければならない。これは私考えますのに、現にアメリカが考え、とっている措置と、また、われわれが自主的にどういうふうな体制が望ましいかということとは、それぞれ違うところもあろうかもしれません。そういうことを含めて、ほんとうにこれは真剣に自主的な立場で考えていかなければならない、こういうふうに思っているわけです。
#30
○大和与一君 そうすると、メースBなんというのがあるんですが、それはまだ核がついているということにはならぬ場合がありますか。
#31
○国務大臣(愛知揆一君) いま申しましたように、現在こうこうこうあって、そしてこれがこういうふうな意図で装備され、用意されているというような内容につきましては、いま私も知りませんし、したがって、お答えできませんので、メースB云々、これをどうするか、どうなっているかということについては、いまお答えする立場にございません。
#32
○大和与一君 これもライシャワー氏ははっきりと、沖繩に核がある、これははっきり書いております。去年の十二月の十三日の衆議院の予算委員会で佐藤総理は、核基地があるとは想像されるが公式の通告はない、こういうお答えをしている。そうすると、公式にはないけれども非公式にはあったんですか。
#33
○国務大臣(愛知揆一君) 公式に私お答え申し上げておるわけでございますが、公式には私としては御説明できる立場にございませんし、また、現にほんとうに率直に申しまして、私自身がそれを語るべき立場にないということに御了承願いたいと思います。そういう意味で佐藤総理もそういうお答えをしたのだろうと思います。
#34
○大和与一君 一昨日の参議院の沖繩特別委員会で大臣は、達田委員の質問で同じようなことを開いたようですけれども、そうしたらあなた、あるかないかわからぬというようなことを言って、ちっともわからなくなってしまったというのですが、それはいまも同じですか。
#35
○国務大臣(愛知揆一君) いまも同じでございます。
#36
○大和与一君 それは、アメリカが日本に対して言わないのですか。アメリカはちゃんとあると言っているけれども、あなた方は国民に対してちょっといま言わぬほうがいいというので公式には言わぬと、そういうふうになっておるのですか、その辺どうでしょう。
#37
○国務大臣(愛知揆一君) その点は、たとえばライシャワーさんを含めてアメリカ側でもいろいろ言っていることもあり、また、情報としていろいろいわれていることはございますけれども、これを私の現在の立場としては存じませんので説明はできないと、これは一昨日もお答えしたのと同じでございます。
#38
○大和与一君 国民も、安保条約がある限りは、核以外の若干の装備なり配置があることは、これは認めているわけですね。心配しているのは、核があるかないか、これを使うか使わぬのか。しかし、わがほうとしては、核はもう絶対つくりもせぬし、使わないし、入れない、これだけを言っている。その点だけなんですよ。そうすると、あなた、あることを認めないで、アメリカとこれから話をするときにどうするのですか。向こうが言ったときには、それはあるのにきまっているのだから、それを前提として、国民が要望していることを、国民の声を強くアメリカに反映しなければならないというのに、それを、いつになったら核がある、ないをあなた方は国民に言うことができるのですか。ナンセンスじゃありませんか。核つき核なしてあるかないかわからない、そんなこと議論する必要はない。その辺のことがどうもわからぬのですよ。
#39
○国務大臣(愛知揆一君) 別に私もそうかたくなに申し上げているわけではございませんで、先ほど申しましたように、沖繩が返還されるならば、沖繩は日本の土地として、そしてまた沖繩県民の人たちをいつまでも安全に、日本の本土の人たちと同じような自由を享受し、経済を繁栄できるようにしてあげるということが最高の仕事でなければならぬ。それを考えますと、現にアメリカがやはり安保条約の抑止力と申しましょうか、そういう立場で沖繩の基地を現にどういう考え方でどういうふうな装備をしているのか、そういうことをはっきりとわきまえなければこちらの考え方も固まらないわけでございますが、それがこれからの日米の話し合い。この話し合いということも、よく私申しますのですけれども、正式の代表をだれだれ、テーブルをはさんでどうこうというだけの協議や会議では私は目的が十分には達せられない場合もあろうということで、随時これからも話し合いをしていきたいと思っておりますので、そういうところを通して私たちが主体的に沖繩の地位というものをどういうふうにすればいま申しましたような大きな目的が達成できるかということは、おのずから自主的に組み立てられてくるはずだ、またぜひ私はそうしていきたい、こう考えますので、いま申しましたように、現状のところを、自分の心境を御説明しているわけでございます。
#40
○大和与一君 沖繩が返ったら日本は一本になるわけですから、沖繩のことをとやかく言うのではなくて、日本全体のことをとやかく言うわけでしょう。そうしますと、日本全体のいまの日本とアメリカとの約束事、それにさらに加えて、そういうものを置かなくちゃならぬということが一体どこから生まれるか。たとえば、ベトナムはもう大体終わる。いつか終わる。中国はいわゆるワルシャワ会談を再開しようとして一つの新しい動きがある。アメリカ自体にも、中国といままでのようにただおせっかいをすることはアジアに対してもいかぬという声もある。そういう全体的な世界の展望に立った場合に、沖繩が日本に返還されて日本が一本になったときに、そのときに沖繩だけになお核を持たなくちゃならぬ。どうしてそんなことになるのですかね。
#41
○国務大臣(愛知揆一君) その辺のところは、これは総理もしばしば答弁したり御説明もしておりますけれども、いわゆる三つのテーマについて十分意見を尽くして沖繩問題に対処する考え方を漸次固めていきたいと申しておりますが、私もそれが最善の道である。冒頭に申しましたように、こういう点におきまして総理とほんとうに一体となって事を進めてまいりたい。自然、私の申しますことも総理の言っておりますことの範囲の中といいますか、同じことを申し上げるにとどまるわけでございます。
#42
○大和与一君 これは幾らやっても同じだから、一つだけ、アメリカは日本政府に対して、沖繩に核がある、それからそういう兵器もありますということを一ぺんもほんとうに言ったことはないのですか。聞いたことあるでしょう、だれか。一ぺんもないですか。アメリカは、いや、そんなものは持っていないと言ったはずはない。それだったら、持っているのがあたりまえだから、持っているということを言ったのではないですか。
#43
○国務大臣(愛知揆一君) これは私の就任してからあとではまだそういう話を聞くところまで行っておりません。
#44
○大和与一君 それは就任前ですよ、そんなこと。もう少し前のほうにさかのぼってもいいですが、そういうことをほんとうに一ぺんも言っておりませんかね。どうしてもそういうことはないかどうか。
#45
○国務大臣(愛知揆一君) 就任前のことでございますから、私も明確でございませんが、私は、そういうことを正式に表明したかどうかということはなかったのじゃないかと想像をいたしております。
#46
○大和与一君 次に行きます。
 宇宙開発の例のジョンソン・メモ、きのう商工委員会でだいぶおやりになりましたからあまり深いことは申し上げません。ただ、逆に言って、いままで発表を隠したのではなくて、ジョンソン大使が経済何とか会議に行って、そこで日本政府にはものを言わぬでくれと言っておったのに、それでもばらしてしまった。それでたいへんだというので政府が発表せざるを得なくなった。これが真相でしょう。
#47
○国務大臣(愛知揆一君) この点は、こういうことであったと思います。昨年でございますか、佐藤・ジョンソン会談の共同コミュニケにもとがあるかと思いますけれども、そこでコミュニケにも出ていることなので、アメリカとしては宇宙開発等についても日本に対してできるだけの協力をするということを昨年の二月に確認すると同時に、何か御希望があれば遠慮なく協力を申し入れてほしいという趣旨で、駐日大使が佐藤総理のところへ紙に書いたメモ的なものを持って来て説明をいたした、かように私は聞いております。同時に、これは場合によりましては、当時のことで就任前のことでございますから、正確に事務当局からお聞き取り願いたいと思いますけれども、公式の書類でも何でもなくて、おそらく大使として話のメモを持参したのじゃないかと思いますので、そのときにはこれは紙として発表しないでくれという話であったのではなかろうかと思います。しかし、それに対しては、従来日本側としては返事が出せなかった。なぜ出せなかったかということを科学技術庁方面に聞いてみますと、宇宙開発委員会というものを日本の最高の機関としてつくる必要があるということで、ことしの夏、国会で法律ができた。ところが、委員の任命がある程度おくれたような関係もあって、宇宙開発委員会の諸公によって、今後どういうものに協力を得たらいいかということを話をきめて、それから返事を出してもおそくはないだろう、こういう気持ちでおったんじゃないかと思うのであります。ところが、これも想像を交えた私の理解なんでありますけれども、初めから日本側としては、あるいはアメリカ側としてもそうだったと思いますけれども、平和利用ということに問題は限定されて理解されている。そうしますと、政府間の取りきめというようなことよりも、いわゆるノーハウの提供等を中心にする商業的な取りきめ、あるいは約束でいいのではないか。また、そういう範囲のものしか協力を求め得ないのではないか。さりとするならば、それ以上、政府間の協定ということについてはだれも考えていないというふうにこの問題は取り扱っていく。まあ、多少私の想像も入っておりますから、いま申しましたように、正確にはひとつ事務当局からも説明を聞いていただきたいと思いますが、大体そういうことではなかろうかと思います。
#48
○大和与一君 想像だけじゃ困るので、新聞の報道によれば、一月十七日に佐藤首相に文書で行なわれた。それから十二月十二日に経団連の宇宙開発推進会議にジョンソンが出てかってにしゃべった。それで、けさの新聞を見ますと、その宇宙開発委員会に原案が報告も何もされてなくて、それを知らぬで委員会が審議されていたとか、まあ、それは過去のことで、それできのうこういうことになったんだが、外務省を通じて二十七日までに持ち回り閣議をも開いて、そして日本政府の回答も真相を添えて報告すると、こういうふうになっておりますが、今度は外務大臣に関係がありますので、それは間違いなくそのようになされますか。
#49
○国務大臣(愛知揆一君) 実は率直に言って、この問題が新聞に出ましたときに、私も驚いたのであります。そこで、こういうふうな申し入れがあったことはもう事実明らかなんでありますし、それから、宇宙開発委員会も現に仕事をやられておるのですから、私としては、科学技術庁が中心になって、早くこの返事と申しますか、日本側の態度というものを一日もすみやかにきめて、かつ、これを公表すべきである、そういうことで処理してもらいたいということで科学技術庁等に申し入れをいたしました。その結果、いま二十七日の閣議云々のところまで、これは新聞報道を否定するわけでは決してございませんが、私は一日もすみやかに処理をいたしていわばけりをつけたい。それから、誤解があったとすれば、こういうものは早く誤解を解いて真相を明らかにしたほうがいいんじゃないか、これが私の考え方でございますから、一日もすみやかに日本側の態度をきめてアメリカに回答すべきものはするし、また日本の国民にも真相をはっきり明らかにすべきである、こういう態度を私はとっておりますから、そういうふうに運べば、これはたいへんけっこうだと思います。
 ただ、一つだけ私の所見をつけ加えますと、これは閣議決定というようなものが必要なのかどうか、これは形式的あるいは技術的な政府部内の取り扱いの問題でもございますし、それから、いわゆるそのメモという、ペーパーをいかなる性格のものにするかということにも関連するかと思いますから、必ずしも閣議決定は要らないのじゃないかという気もいたします。その点だけちょっと、まだ私は自分の考えをきめ切っておりませんが、これはほんとうに一日もすみやかに事態を明らかにすべきだと、それに必要にして十分な措置は関係方面を督励してけりをつけたい、こういうように考えております。
#50
○大和与一君 これは商工委員会で二十七日までに聞くということを約束したそうですが、私は、外務委員会に外務大臣が関係されるのだから、外務大臣がそのとおりやっていただけばいいんです。だめ押しをしているわけです。
 それでは次に参ります。ASPACの問題ですが、これはだいぶいろいろ取り上げられておりますが、いわゆるニクソンの「フォーリン・アフェアーズ」に書いてあった問題ですね、彼が大統領になる前でもあるし、認識不足というか、そういうことになりますか。
#51
○国務大臣(愛知揆一君) ニクソンさんのその在野時代の御意見で、「フォーリン・アフェアーズ」に書いてあるということ、私もつぶさにこれは読みました。しかし、ニクソンさんは新しく大統領になられたわけでございますししますから、これに対して私がここで論評するということは、いささか不適当かと思いますから、それは避けたいと思いますけれども、ASPACの問題につきましては、これはよく御承知のとおりの経緯でございまして、日本側の態度というものは非常にはっきりしております。今後もこれは堅持していかなければならない。つまり、アジアの国々がお互いに経済的に繁栄し、協力し合うということが中心に、一口に言えば、なっている。軍事的な協力などということは、日本側としては毛頭考えておりません。それから同時に、この参加各国の、これはもう多くの国々でございますが、私の理解するところでは、こういう国々の間でも、ASPACのそういうような性格の変動などということは考えないはずだと、こういうように私は思っております。したがいまして、ニクソンさんの御意見――在野時代の御意見は御意見として、ASPACについては私は、三木前大臣と申しますか、この考え方を完全に踏襲していきたい。これがまた現内閣の確たる方針でもある。その方針を私としては実行して、さらにこうした平和的協力ということでありますならば、もっと参加国をできるならふやしたい、もっとこういう目的が拡大されていくようにはかりたい、こういうように考えているわけでございます。
#52
○大和与一君 私ども十月でしたか、IPUの会議で豪州から東南アジアを回って、外務次官かその下くらいの人に会ってきました。そのASPACについての私の感じでは、わが党は正確に意思を決定していませんけれども、そんなに心配はないような感じを、上つらだけですが、受けてきました。それで、やはり国民はそれを一番心配するのだから、政府は再三そういうことを言明するのだったら、来年日本で行なわれるASPACの総会で、軍事的なことは一切ないのだということだけでも明確に決議でもして打ち出すということができるのではないか。それをすることによって、いま大臣の言われた、ほかの国がたくさん参加しないということは、やはりそれは参加した国に強弱がありますから、韓国、タイ、フィリピンこれは少し強硬なほうですよ。できたらそうしたいと思っておったかもしれません。しかし、なかなか多数を得られないからこういうようになって、これはけっこうなことなんだけれども、もっとアジアの総合的な、各国みなまとめて、ほんとうにアジアの経済なり平和のことをやるという日本の政府の意思があるのだったら、来年のASPACの総会にそれをひとつはかって、それを打ち出す、そういう決意をはっきり出していただけませんか。
#53
○国務大臣(愛知揆一君) 私としては、いま申しましたような考えでおりますから、来年幸いに日本でASPACが持たれるわけでございますから、その機会に、私がいま申しましたような趣旨で、そういう趣旨で強化されるように私は最善の努力を傾倒したいと思っております。
#54
○大和与一君 そのときに、もう一つ、アジアの安全、平和、これは中国問題をひとつ意見交換をしてみたのです。やっぱり中国についてはどこも、何かしらぬけれども、こわい。直接的脅威は何もないじゃないか、何も心配ないじゃないか、これはずいぶん見解が違いますから私も議論してきたのですが、その中国問題について、大臣のいまお話しできる程度でいいですが、お考えを聞かしていただきたい。
#55
○国務大臣(愛知揆一君) 中国問題につきましては、一口に言えば、政経分離というこの従来からの方針を続けていくということがいまのところ最善の日本としては選択ではないだろうか、こういうふうに考えておりますから、したがって、その範囲内でやれることを十分考えていきますと同時に、これは総理の所信表明にもございますように、中共側でも文化大革命のようなものがだんだんおさまるといいますか、なってくる、対外政策についてももっとやわらかな態度が醸成されることを私どもとしては期待してまいる、こう基本的には考えております。
#56
○大和与一君 ところが、残念ながら中国のほうは、佐藤内閣は中国に対して敵視政策だと、こういうふうに相当はっきり言っておりますね。それで新大臣は、さっき言ったように、学は高く広く深く、自民党では随一ですから、ここで何とか新機軸を出して、そういう考えだけでも、少しもっとうまくいくようにやるという自信はありませんかね。
#57
○国務大臣(愛知揆一君) まあ、非常にこれはむずかしい問題であることは、私もとくと承知しておるつもりなんでありますけれども、一例をあげますならば、政経分離ということに関連して、たとえば米国では米中大使会談というものもやってるじゃないかというようなお話もよく出ますけれども、まあ、私の考えとしましては、政経分離で、そして貿易の額も相当な額をあげている。それから、率直に言わしていただけるならば、自民党の国会議員も往来をしておるというようなことで、政経分離と申しましてもその中にはかなり広い幅があって、やはりお隣りの大国でありますだけに、日本としてとり得る、先ほど申しました最善の選択をやっておるのではなかろうか、こういうふうに考えて、これを一つの基礎にしまして、できるだけいろいろの措置を考えていくことにしたいものだと思っております。それから、ただ、御案内のように、台湾における国民政府、これがわれわれと親善友好関係にあり、かつ、国交の正常化の対象なんでございますが、あの土地において、私はまあ一つのりっぱな国づくりができている、ユニークな国づくりができている、これもひとつの客観的に世界的に認められている事実ではないか。これも私は十分脳裏に入れていくことが必要なことである、私はそういうふうに考えております。
#58
○大和与一君 それと国連の例の加盟問題ですね、重要事項指定、これもさっきちょっと申し上げましたように、アメリカが対アジア政策、対中国と取り組む態度は、私はやっぱり若干流動的になるだろうと思います。そうすると日本も、そういうことをやや前提として、こういうものはすっぱり共同提案国にならぬという時期がずいぶん早く来るのじゃないかと思うのですがね。その辺はどうですかね。もうそれに必ずしもアメリカの流動的な動きに絶対的につながるのでなくて、日本自体の自主的な判断から、特に日本と中国との歴史的な問題から、私は当然そうあるべきだと思うのだけれども、それはいつごろになるでしょうか。
#59
○国務大臣(愛知揆一君) 御案内のように、ことしの国連総会で、重要事項指定方式というものの国連での討議やそれから採決にあらわれたところを見ますと、前の年よりも重要事項指定に賛成する国のほうが多くなって、いわば幅が広がっているわけでございますね。やはりこういうことは、国連の場で見ただけでも、多くの国が重大な関心を持っている問題、したがって、単純多数決じゃなくて、これだけ大きな問題だから、重要事項に指定する方式をとるということが、私は適切ではないかと思うのであります。ただ、来年以降どういうふうなことにするかというようなことについては、いま私はとかく申し上げないで、とっくりやはり、それこそ国際情勢の推移とかいうようなことを見きわめて対処していくべきものであると、こういうふうに思っております。
#60
○大和与一君 例の吉田書簡ですね、中曽根運輸大臣は、墓場に持って行ったからもう終わったと言っているのだけれども、それは政府として正式にそういうことを言う言わぬは別として、よくケース・バイ・ケースということを言うのですが、実際はもうなきものと思って、それこそ新しい前進のために、いまおっしゃったような気持ちだったら、当然これは乗り越えていくでしょうね。
#61
○国務大臣(愛知揆一君) この問題は、政府が従来からも繰り返し申しておるところと思いますけれども、吉田書簡というものは、国と国との間の約定とか条約とかいう性格のものではございませんから、これについていまとかく申し上げることは適切ではないのではなかろうかと思っております。問題は、これからの問題として、たとえば輸銀の使用というようなことについては、それこそケース・バイ・ケースでしかるべく扱っていくということにするのが、これまた最善のやり方であろうかと、大体これは前内閣といいますか、改造前の内閣の方針を私としては踏襲をしてまいりたい。
#62
○大和与一君 ちょっといまお触れになりましたが、だから、気象とか郵便とか、航空とか、そういうことをセパレーティブにこれは話を進めていいものではないでしょうかね。私はちょっと考えるのは、日本も観光国策で、もっともっとこれ、金もうけしなくちゃいかんと思うのですよ。特に日本だけに来いと言うから世界じゅうの人が二の足踏むので、これに中国が入れば、盧山、浙江幾らでもいいところがあるのだから、これを観光的に開発をして、日航が少し運賃を減らせば、これはずいぶん来ますよ。これは一挙両得だと思うのだが、そういうことは別口として、これは話ができるのじゃないですかね。そういう具体的なことを別として、そういうことをやる決意を大臣が持っておるか、こういうことをはっきり言ってもらいたい。
#63
○国務大臣(愛知揆一君) それらの問題につきましては、いま申しましたような考え方でいきたいと私は思っておりますので、個々の点でどうするかということについては、まだ申し上げられないと思います。
#64
○大和与一君 たとえば、いま具体的日工展ですか、これなんかもココムの関係があるというのだけれども、それもだいぶ内容が変質しているのもありますから、こういうのは何で遠慮して、いかぬとかなんとか言うのですか。しかも、あなたのほうの偉い人が主催者じゃないですか。
#65
○国務大臣(愛知揆一君) 私は日工展の問題につきましては、これは出品といいますか、展示持ち出し商品とか、その他のものの関係は主として通産省の関係になりますので、こまかい点をとかくお話しすることはいかがと思いますけれども、スムーズに日工展が開かれ、そして成果をあげるということを私は期待しております。ただ、通産省等からの話を聞いてみますと、決して、ことさらに阻害するとか、あるいはことさらに国際的な、たとえばココムその他のものを厳重にして、そして阻止するような気持ちでやっているのではないということは、再々通産当局も申しております。したがって、そういうような点につきまして関係の方々も、スムーズにこれがいくように、そして、かりに何か現に問題があるといたしましても、それは故意に阻止するということじゃなくて、従来からも考えておりましたような、あるいは従来の慣行その他で正すべきところがあるならばそれを正しながら、スムーズに日工展が開かれ、そして成果があがるようにやってまいりたい。私はそういう気持ちでいまおります。
#66
○大和与一君 次に行きます。ただ、いまのはこちらからもひとつ話をかけてみてくださいよ、向こうから言うまで待っているのじゃなくて。それは、あなたでなくても、やはりどこかで話をやってみなければいかぬ、こんなのはどうだろうかと。ことに観光問題なんか、向こうも困らぬだろうから、こっちから積極的にアプローチするということでなければ困ると思うんですよ。
 次に、例の朝鮮人民共和国の帰還問題ですね。あれは現状どうなっておりますか。
#67
○国務大臣(愛知揆一君) いわゆる北鮮帰還問題でございますが、これは政府が直接言うのではなくて、まあ、いわば人道問題として従来から赤十字間におきまして話し合いをしておる。これを事実上政府側も必要なものはバック・アップしたり、あるいは阻害になる要因を取り除くというようなことに尽力をして、ほんとうに一生懸命にいま相談が展開されております。まだ、結論を得るのに若干の時日はかかろうかと思いますけれども、いろいろの点を慎重に考えていかなければならない、かように考えております。
#68
○大和与一君 木村官房副長官が十二月十七日に、一両日中に政府の方針をきめて二、三日中には日赤に示す段取りになっている、こういうふうな言明をされておるのですから、御相談を受けておると思いますが、差しつかえなかったら、どんなことなのか。
#69
○国務大臣(愛知揆一君) これはいまお話がございましたように、関係する役所も多いことでございますから、木村官房副長官に依頼しまして、国内的な――これはもうもちろん赤十字も含めまして連携を密にしてとっくり、おそらく連日のように相談を進めておるはずでございますが、いま申しましたように、最終的な結論はまだ出ていないようでございます。やはりできるだけ早く結論を得たいものと思っておりますけれども、いままだそこまで行っておりません。
#70
○大和与一君 もう一つ最後に、核拡散防止条約についてですね、アメリカはソビエトのチェコ侵入のときに、たとえばニクソンあたりも、ちょっと批准するのは待ちたい、こう言っておったが、きょうあたりの新聞によると、そうでなくて、逆に一月ごろには批准するのじゃないか、こういう空気があるというのですが、これはほんとうですか。
#71
○国務大臣(愛知揆一君) 一部にそういう報道もあったようでございますけれども、まだ、しかとした情報は受けておりません。
#72
○大和与一君 さて、その日本ですがね、この前、三木さん、やるようなやらぬような、そのうちになどと言っているうちにかわっちゃったのですが、こちらはどういうふうになっておりますか。
#73
○国務大臣(愛知揆一君) 拡散防止条約というこの考え方、これにはもうわが民族としてその精神においてはもうもちろん賛成。さらにもっと欲を言えば、核の軍縮であるとか、あるいは持てる国の大国がもっと義務を、何といいましょうか、強く感ずるような、欲を言えば、そういう点でいろいろ考えられると思いますけれども、いろいろの関係を国際的に静観しながら善処したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#74
○大和与一君 そうしますと、検討の結果によっては拒否する場合もある。あるいは各国の批准の状況を待っておるという形もある。しかし、まあ、大まかな目安は、日本の調印というのはいつごろになるのですかね。
#75
○国務大臣(愛知揆一君) これもどうも、実は私もいろいろと考えておりますのですが、何ぶん就任後まだ日が浅いものでございますから、どういうふうにやっていってどういうふうに……いま拒否というお話がございましたが、私は拒否ということは考えたくないのです。ないのですが、やはりいろいろのところ考えてみると、いつごろ日本が態度を表明するかということにつきましては、いろいろともう少し検討したい、あるいは情勢を見きわめていきたいと、これは非常に率直なことでございますが、そういう感じをもちましてまあ、いわば善処したいと思っております。
#76
○大和与一君 これから世界的な一つの視野に立った場合に、最も注意しなくちゃならぬことは、いわゆる大国意識に対するこれはもう敢然とした抵抗ですよ。アメリカがベトナムで少し反省しておるでしょう。しなければ人間じゃないわけです。ソビエトもチェコでうまくないと思っておるでしょうな――と思うね、ぼくは。ところが、それで済みませんで、また同じことを繰り返す可能性がある。そういうことに対して日本は敢然として大国意識には抵抗していく、こういう決意を持ってもらいたいと思うのですが、どうですか。
#77
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまのお説は十分胸に体しましていきたいと思います。
#78
○大和与一君 終わります。
#79
○委員長(三木與吉郎君) 森君。
#80
○森元治郎君 少し小さい問題をやっていきたいのですが、内閣一体、外交一元化でやっていくのだと言う。一元化という久しぶりでなつかしいことばを聞いたのですが、どういうことを言うのですか。
#81
○国務大臣(愛知揆一君) きわめて率直に言いますと、私の頭の中には、少し古いことかもしれませんけれども、あるいは戦前において、あるいは戦中において、あるいはそのちょっとあとにおきましても、なかなか一元化ということが言われておりましたけれども、必ずしもそういかなかった事例をわきから見ておりまして、たまたまこういう立場になるとは私自身思いも寄りませんでしたけれども、こういうところが一番大事なんだなというふうにかねて感じておりましたもんですから、私としてはそういうことでいきたい、こういうふうに思っております。
#82
○森元治郎君 大臣、このところが大事だということを言わなきゃ一元化が何を言っているかわからないのですよ。そうでしょう。大臣のさっきから話聞いておると、私むらむらしてきたのは、牛場さんがそこへすわったって同じ答弁できると思うのですよ。大きな問題を小さい事務的段階に引き下げてきて、どっからでもすきのないじょうずなことを言って、大和君の第一難関は、第一ハードルはうまくいったとほっとしたら困るので、あなたのあいさつの中だって、大任を帯びたということ、しかし、これを実行するにはなかなか浅学非才とは言わなかったが、じくじたるものがあって皆さんのお力添えを得たいと言ったんでしょう。だから、もっと、初日ですから、やはりあなたの考えておられることを、自分の不明だと言われない範囲で大いに言ってもらいたかったんですよね。何も出てこないんだな。この一元化というのは、私の印象では、総裁選挙で見られるように、反主流の外交面における考えと主流派との違い、こういうことをなくして、自民党としては自分の中を一体化していくんだというふうに理解したんですが、違いますか、われわれは一体化される覚えはないんですから。
#83
○国務大臣(愛知揆一君) 私申しましたのは、古い見聞などを通しての私の感じなんでありまして、少なくとも内閣が総理の統裁のもとにおいて外交政策というようなものについてはゆるぎなきものにしたい、これがまず一つわれわれの立場としては非常に必要なことだと思います。そういうことを申したつもりです。
#84
○森元治郎君 わかりました。自民党の内部を統一して、一本にして強力に反安保でがんばろうとするわれわれに対決をして引っぱっていこう、こういうことをおっしゃったんですね。それでわかりました。
 そこで、日本の歴代外務大臣、総理大臣にはアメリカでよく言うようなブレーンというものが裏にはあるんでしょうが、表には見えない。アメリカでは各大学のそういう研究所もあり、特に軍事関係、安全保障関係にはウォー・スタディーズという部門があって、これは西側の大学で全部持っていますね。日本はない。スタディすることはかまわないんだろうと思うんだが、それはまだない。そういうところからアメリカの場合はロストウだ、サリンジャーだ、キッシンジャーだと、いろんな人を引っぱってきて考えさして、そして頭をつくってやっておられるようだが、新外務大臣はさようなブレーンをお持ちなのか。持とうと思っているのかどうか。聞くところによると、歴代の自民党の先生方は外交問題あまりさわられたこともない方が多いせいか、変なのを使っているんですね。たまげちまうようなものを、それをアメリカへこっそり出して、ことばがうまいから、これを使ってニクソンがどう考えているとか、あるいはいまの副大統領の腹がこうだとか、これは非常にあぶないんですね。こういうことを堂々と持ち上げてブレーンをつくるのか、また、現在見ているところでは、防衛問題では久住君なんかの何とか懇談会とか、あるいは沖繩では早稲田大学総長のああいうものを使って聞いて、そのほかには党内の外交部会、あるいは外務省の現役の外務省というものの組織だけから集めて外交を事務的に処理しているような感じがするんだが、そういうブレーンなどを持ってしっかり取り組もうとするお考えがあるのか、あなたのブレーンがあるならここで公表して、これとこれとはおれのブレーンだということを聞きたいと思う。
#85
○国務大臣(愛知揆一君) このブレーンということもいろいろな概念があろうかと思いますけれども、私はできるだけ多くの方々の意見を伺うことは非常に必要なことではないかと思いますけれども、ただ、それがばらばらに、ことに外国と接触するというようなことになりますと、外交一元化ということにはならない。そういう点は十分心していきたいと思っております。それから、私は現在のところ、こうこうこういう人をいまブレーンにしてどうこうということを申し上げるような段階にはなっておりません。
#86
○森元治郎君 私この間小笠原へ硫黄島経由で行ってまいりました。非常に激戦でたくさんの人をなくしたところ、あそこに行って感じたのは、一体日本では、国民も議会も政府も、返せ返せとさんざんやった。返ってきた。まだ国務大臣、政府を代表して現地に足を踏んでおらないように思うのです。やはり自分の領土に、取り返した領土に足を伸ばし、そして慰霊する。私は、あそこの土の中にまだ二万人くらい埋まっているでしょう。われわれの仲間が呼んでいるといったような感じを受けるのですね。これは私ばかりでなく、愛知さんも来れるなら来てくれという声を感じたのです。ぜひとも外務大臣行ってみる必要があると思う。
 それから、あそこにアメリカ軍側の記念碑が立っております。国会でも――衆議院でも参議院でも、若干ではありましたが、おもしろくない、ああいうアメリカだけのものを建てるというのはということでありましたが、聞くところでは、アメリカでは、これなくしては――建てさせなければ返さないという非常に強い意向だ。そういう外交の裏話をあとで聞いたんですが、こっちは何もないんですね。返ってきたけれども、アメリカ領土に行ったような感じがするのです。上へ行ったら横文字しかありません。こういう政府の不熱意のようなことが、やはり沖繩問題に対しても、われわれから見ると、取り組み方がたるんでいるんじゃないかという感じを深くしたのです。私は外務大臣、あるいはだれか代理でもいいが、やはり取り返したものはどんなふうになっているかと調べに行くぐらいは、減ってやしないか、何か持っていってやしないか−持っていくものはありませんけれども−何か現状を見てくる必要があるのじゃないか。取り返したものを、こわされたら原状回復するという損害賠償の問題もあるだろうし、いずれにせよ私が感じたのは、政府の不熱意を感じたのです。領土に対する不熱意、遺族に対して気の毒だというこの感情、こういうものがなくては沖繩を取り返すなんというのはこれは容易じゃないと思うのですが、大臣はどんな感情を持っておられますか。
#87
○国務大臣(愛知揆一君) お話はごもっともでございまして、実は一月中にでも私もできたらば一度行ってみたい、こう思って、いまでも気持ちは持っておるのでありますけれども、御案内のように、ずっと日程が一ぱいになりまして、私がこの時期と思っていたようなときになかなか行けないかもしれないと思いましたので、それにかわる措置を考えたい、こう思っております。
 それから、顕彰碑の問題は国会でも非常な御協力をいただき、また、各界各層の御喜捨もいただきまして、政府としても考えをまとめまして、これは政府の派遣ということにはならないかと思いますが、一月上旬にまず顕彰碑関係の方々を、これは政府の人も行くように私は考えておりますけれども、派遣することにしたいと心組んでおります。
#88
○森元治郎君 もう日本の領土、東京都に入ったのですから、東京都に横文字の碑だけあって、日本側のほうは単なる戦没将士の碑とだけあって、硫黄島の名前もなければ東京都の名もない。ただ棒ぐいだけが立っている。向こうは、恒久的なりっぱなものができている。私は、あれをどかせとかそういうようなけちなことは言いませんが、大きな、何といいますか、航路標識でもいい、何でもいい、そういうような形で一本にしたものを、慰霊碑といいますか平和塔というか、そういうものを建てられることをぜひともやってもらいたいと思う。そうしなければ、いつまでもあそこは戦場の感覚が残ります、あれは。平和な硫黄島にならぬと思うのです。
 ところで外務大臣、本論に入りますが、事務的なお話はいいとして、世界を大きく見て、国際の平和と安全というのはいよいよきびしくなっていきそうなのか、どんなふうに動きつつあると判断をされますか。世界ですよ。
#89
○国務大臣(愛知揆一君) これはなかなかむずかしい御質問で一がいにお答えできないと思いますけれども、たとえば、パリ会談が発足をした、そうして直接の当事者がフル・メンバーで会議を持った。これは確かに明るいことではないかと思います。ベトナム戦火がおさまるということは一つの明るい事態であると思います。しかし、一方ではヨーロッパのチェコをめぐる問題、あるいはアジアにおきましても朝鮮の問題、あるいは中近東、あるいは何々と、こう考えてみますると、必ずしも私どもの大きく期待しておりますような、世界全体が非常に緊張が緩和されて明るさが近く全般的によみがえるかどうかということにつきましては、まだまだきわめて流動的ではないだろうか。その間に処して日本が国益を守り発展さしていくということは、よほど真剣にやっていかなければならぬのじゃないか、こういうふうに思っております。
#90
○森元治郎君 第三次といいますか、大きな戦火――大戦が起こる情勢にあるかどうか。第三次大戦の危機らしき地点、問題はどこだとごらんになっていますか。
#91
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、第三次大戦というようなことは起こらないように列国がいろいろの苦心をしているのではないでしょうか、そういうことが起こってはたいへんだというふうに感じております。
#92
○森元治郎君 これはもうどなたも同じ考えなんだが、私が伺うのは、外務大臣ですから、昔と違って世界は小さいし、全体を見て政策を立てなければならぬ。いまの国際新聞論調は、極東の平和と安全が重点になっておるようですが、やはりこれは世界的関連のある、東西を軸とした動きですから、それでお伺いをしたのです。米ソのヤルタ体制というものは、だんだん時のたつにつれて――いよいよ二十四年目を来年迎えますが――くずれつつあるような感じもするのですね。やはり中共の台頭ということなどなどで、私は極東も、したがって、いまのところでは、単に米ソだけとにらみ合っていては問題は解決しない。中国という第三勢力というか、これも絶えず頭に十分入れていかなければならぬと思う。ところが、政府はこれを脅威だと、従来の内閣は今日まで言い続けてきたのです。脅威だから安保条約を引き続き堅持し続けなければならぬというような、これを依然として従来どおり脅威と外務大臣は判断をされておるかどうか。
#93
○国務大臣(愛知揆一君) これはやはり大きく全体を見て、たとえば、この中共と境を接している国々などが、脅威といいますか恐怖を感じているという事実というものは、やはりわれわれとして見のがすことはできないのではないだろうか、こういうふうに考えております。
#94
○森元治郎君 日本外務大臣愛知さんはどうお考えになりますか、日本に対して。
#95
○国務大臣(愛知揆一君) これは、いま申し上げましたように、やはり日本が安全であるためには、これと不可欠な状態にある極東の安全というものが非常なる関心の的でなければならない。ところが、中共をめぐる諸国において相当の脅威感を持っているという事実というものがあるということを、これはわれわれとしても認識していなければならない、こういうふうに思いまするし、それからもう一つは、これは何といいましょうか、相関関係であって、こちらが十分な平和を守る体制がなければ、またほかのところがこれに対してどういうふうな態度に出てくるかということも十分洞察していかなければなりませんから、やはり政治の最高の責任者として十分な、国民が安心して――安全であるというようなことは、常に考えていなければならない、私はこういうふうに考えております。
#96
○森元治郎君 大臣の御答弁の中で「相関的関係にある」ということは非常に同感でありますが、その相関関係のとらえ方が、武力安全ということに重点があって、外交的措置というのがないのですね。
 私、この間、オーストリアに行きまして、あそこでチェコ事件に関する臨時国会が一日開かれた。その結論では、外交的手段をもって防衛しなければならぬという一項目があるのです。これは非常に打たれたのですね。外交手段――兵力は五万しかないし、人口七百三十万ぐらい、吹けば飛ぶようなものだ。それでも、中立の義務を果たすためには国境警備をふやす体制はとったが、外交的防衛ということを言ってるんですね。この辺も、やはり自民党はただ安保から外交を見るのじゃなくて、大きな外交の一つに安保という考えで指導していってもらいたいと思うのです。いずれ大臣も頭固まって、来春の通常国会で演説されるであろうから、本格的なことはそれからやるにしても、問題は小さくしちゃいかぬと思うのですね。こういうふうにやってもらいたいと思って、きょうのところは要望にとどめます。
 ところで、この安保条約ですが、十年間の効力があると、ところが安保条約の第十条によれば、国際連合が極東の平和と安全に十分なる措置をとったならばこの効力はなくなると、その措置をとるまでこの条約は効力を有するんだと。そのうしろに同じ十条で、十年間たてば、一国がいやだと言えば、通知すればやめられるという、ちょっと打ち消すようなものが、一条の中に入っているのですね。これをひとつ御説明を願いたい。一体国際連合の極東の平和と安全、国際の平和と安全に対する「十分な定め」とは一体何か。「日本区域」というのはどこをさすのか。日本区域における十分な定め、国連の措置が効力を生じたと両国政府が認めるときまで効力を有するとあるが、国連の措置というものをこれは一体だれが考えるのか。日米両国政府が考えるのか。予想される措置とは何か、またその措置をとらせるべく両国は努力をしているのかどうか。この点をこの際伺いたいと思います。
#97
○国務大臣(愛知揆一君) 安保条約で規定されている国際的な平和機構が国連を中心に確立されるという具体的な姿、方法が考えられていたのでは私はないと思います。たとえば、もう先ほども問題になりましたが、核拡散防止条約などがもっと考え方が進んで、核軍縮がきちんとできるとか、あるいは、各国が日本と同じように軍隊というようなものがなくなる、そして国連警察軍というようなことで平和の維持ができるとかというような、日米両国が、これならもう国際的な平和が確立される、これを日本の憲法にあるような、国際的紛争を武力によって解決するということがもう絶対になくなったという見通しがはっきりするならばと、そういう趣旨であったと私は考えるわけでございます。
#98
○森元治郎君 条約局、説明してください。
#99
○政府委員(佐藤正二君) 大臣から御説明いたしましたとおりだと存じますが、これはいわゆる国連の中で平和機構というものが現在条文にはいろいろ予定されておりますが、実効的なものがまだできていない、こういう状態にあるようです。そういうものがやはりできまして、それが実効的なものだということを日本及びアメリカがこれを認めた場合、これはいつどういう形でこの十年間にできるかもしれなかったわけでございます。したがって、その十年間の間でも、そういうものができたと日本及びアメリカが認めた場合には、それはそこでやめようという趣旨だと私は了解しております。
#100
○森元治郎君 一般的な問題となると、いま大臣及び政府委員の御答弁のようなことになるかもしらぬが、日米間で、二国間でこれをやろうと条約に打ち込んだのはほかの条約にないと思うんですが、いかがですか。安全保障関係の条約で、アメリカと台湾、フィリピンあるいは韓国その他でありますか、条約の有効期限の前に国連のこの条項を入れている、それはないと思うんだな。ないでしょう。
#101
○政府委員(佐藤正二君) 私もその全部についていまここではっきりお答えできませんが、そういう意味の条文というのは、たしかなかったように私は記憶しておりますが、これをずっと見ましてからはっきりお答えいたしたいと思います。
#102
○森元治郎君 これは特殊なんですよ。特殊だから問題が重大で、これは単なるまくらことばではないと思うのは、前文にうたってあるならば、理想をうたってあるならともかく、第十条の中でこれが入っているということは、一体どちらから申し出たのか。単なる世間ていなのか、対外的なのか。あるいはまくらことばだけだったのか。かりにまくらことばであっても十条に入れた以上は、日本憲法にあるように、条約は誠実にこれを実行するというならば、これがために努力を政府はすべきであったんじゃないかと思うんです。やったことありますか、日米間で。国連というばくたる相手じゃないですよ。日米両国政府間でこの措置をどうしようかという協議をしたことがあるか、どうかということを聞いているんです。
#103
○国務大臣(愛知揆一君) この点は、先ほども御答弁申し上げましたように、趣旨といいますか、考え方を明確にしたものだと思うのでありまして、それならば、そういう趣旨や目的が達せられるためにどういう努力を日米両国はしたか。これは具体的にいつ幾日こういう努力をしたとかなんとかいう問題はないかもしれませんけれども、全体として世界が平和になるようにというような方向については、アメリカとしても日本としても、相当な外交政策の累積として常に努力をしているところである、こういうふうに考えていいんじゃないだろうかと思います。
#104
○森元治郎君 これが、あとに「十年間効力」というのがなければそれでいいかもしらぬが、効力があとに書いてあるんです。同じ第十条の後段に、十年間でいやになったならばそのあとはやめてもいいよと書いてある。だから、前の努力を当然すべきなんだが、いままで日本政府、アメリカ政府も、とてもできっこないと思うのかどうか知らぬが、何ら努力をしていないというのは、両国は条約違反だと思うのだな。一体どういうふうな、どんな手続を通じて――国連の措置をこうしてくれああしてくれというのは日本政府だって案はできると思う。一ぺんぐらい安保理事会かどっかへかけてやってみたらどうですか。
#105
○政府委員(佐藤正二君) その点は、この全体の趣旨から申しますと、こういうふうな平和維持機構というものができるように努力するということ、これは当然そういうふうな目的があるというのは全体のこの条文の趣旨だと存じますけれども、この条文自体から読みますれば、効力を生じたということを両国で認定したときにということでございますから、効力を生ずること自体のほうは、これはある意味では国連の措置だということも言えるかと存じます。ただ、先生のおっしゃいますように、これは努力すべきであるということは、法律的には別に義務とかなんとかということじゃなくて、そういうふうな趣旨であるという程度のものではないかと思っております。
#106
○森元治郎君 私も十年余り参議院におりますが、最近は口にしなくなったが、国連第一主義ということを言ったんですね。このごろ言わなくなりました。どういうわけか。そういう気持ちがこんなことになるのだろうと思うので、国連第一主義と言うんなら、安保条約なき世界のほうがいいことは、これは自民党でもどなたでも同じことなんだから、特に「日本区域における」ということを書いてなければ別ですが、「日本区域における国際の平和及び安全」と書いてある以上、日本としてはこの国連の措置がとられるように努力されるべきではなかったか。その点では単なるこれは気持ちをあらわしたのだというのでは、前文ならとにかく、第十条に掲げるのはおかしい。ことに、効力との関係で書いてあるのですから、これは政府の怠慢である、アメリカ政府もいいかげんな態度だと、こういうのが私の質問の気持ちなんです。それは御同感願えると思うのですが、どうですか。
#107
○国務大臣(愛知揆一君) そういう御批判をなさるお気持ちは私もわからないではございませんけれども、ただこの第十条、これは法理的な解釈をすれば、いま条約局長が申し上げたとおりだと思うのです。ただ、私も条約の条文などの法理的解釈というようなことを離れまして、それこそ大きな政治的な観点からすれば、やはりこの世界的な平和か確立されて、そして日本としても日本国民が絶対にもう安居楽業できるような態勢をつくり上げるということについては、先ほど申し上げましたように、一般的な政策の大きな精神としていろいろの機会にいろいろのことを試みてきたはずだと私は思うのでございます。たとえば核拡散防止条約の取り扱いなどにつきましも、私は今後も、したがって十分いろいろの配慮をしていきたいと、こういうふうに思います。
#108
○森元治郎君 これで終わります。
 私、なぜこんなことを聞くかというと、ちょうど終戦後のあのどさくさで中国とソ連も相互援助条約をやるし、日米安保ができるし、NATOができるし、東南アジア条約機構ができた。それはみんな有効期限があるんですね。それがそろそろみんな終わりに近づいてきているんですよ。ですから、いまもう国連では何も手なしで米ソでもってリードしちゃって、国連はあってなきがごとし、こういう際であるから、国連のこの国際の平和と安全の措置ですね、いかにあるべきかというぐらいの新しい問題をぶち投げて議論を盛り上げることがやはり平和への一つの突破口になるのではないかということが一つと、もう一つは、日本は第十条というものの中に書いてあるように他に例を見ないのだから、相当熱心なつもりで入れたのでしょうから、なぜ努力をしないのだと、こういうことでありますから、政府の努力を期待したいのですが、やりますかどうか、伺います。
#109
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまも申しましたように、その御主張の趣旨というようなことには私も理解ができないこともないので、いろいろの点でひとつ私も十分考え、かつ、がんばりたいと思います。
#110
○委員長(三木與吉郎君) 石原君。
#111
○石原慎太郎君 外部大臣に御質問いたしますに先立ちまして、このたびの御母堂の御逝去を心からお悔やみ申し上げます。
 いままで比較的ショート・レインジの質問が多く出ましたのですが、私ここでごくロング・レインジの質問をさしていただきたいと思います。これは決して観念論、理念論ではございませんで、いかなる将来の問題も今日の外交がそのいしずえというものを築いていくわけでありまして、すなわち、これからの外交、新しい核時代における日本の外交の基本的な問題についてお尋ねしたいと思います。
 いままで、戦後冷戦の基調をなしてまいりましたイデオロギーの対決が非常に緩和されまして、多様化の現象が強くなり、そしてまた、わが国日本も非常に国際的に力をつけまして、日本を見守っておる各国の中で一番当の日本人がおくれてみずからの力を認識し、自覚を持った現在、ベトナム戦争あるいはソビエトのチェコ侵入という超大国のエゴイズムというものにかんがみ、現今の日本には自主独立の外交というものを非常に強く望む傾向があると思います。たとえば、沖繩の選挙の結果も、あれは決してイデオロギーの選択ということでなしに、政治、外交における自主独立性というものに対する強い期待のあらわれだと私は思います。しからば自主独立外交とは何かという問題でありますが、これは私はたとえ日本がいかなる陣営に属そうとも、その陣営に属す――帰属というものを国民がみずからの選択できめるものであると私は思います。そしてこのべーシックなナショナル・インタレスト――基本的な国益――というものを第一に追求していくことが私は自主独立外交でなければならないと思いますが、この基本的な国益というものを簡単に申しますれば、やはりわれわれの平和とより大きな繁栄だと思います。そしてこれをさらに外交的に換言すれば、われわれが持っている国際的なオプションとフレキシビリティというものをいかに確保し、増大していくかということではないかという気がいたします。われわれのこの持っておるオプションあるいはフレキシビリティというものを何と理解するかということに問題はかかってくると思いますが、私はまあ、われわれが攻撃的な軍備を持つことを非常に規制している、幸か不幸か規制しているこの憲法というものの存在を非常に大きな要素としてつちかわれてきた、驚異的に発展してきた日本の経済力、そしてまたこれからの将来にもその発展が予測されている日本の経済力こそがわれわれのオプションであり、またそういった状態をこれから規制していく、これから先も規制していく平和憲法の拘束力というものがわれわれのオプションであり、フレキシビリティであると思いますが、この二つをこれからの変動する国際社会の中でいかに保ち、いかにうまく使って、すなわちデプロマティックなバーゲニング・パワーとしてわが国の平和と繁栄あるいは他国との友好にいかに使っていくかということが、これからの新しい外交に課せられた大きな主題であると思いますけれども、そういった点。日本にいま台頭しつつあるナショナリズムというものの強く希求している自主独立外交というものに対して、外相はこれから基本的な姿勢としてどういうふうなお考えを持っていらっしゃるかを、まずお聞きしたいと思います。
#112
○国務大臣(愛知揆一君) 最初に御弔詞をいただきましてありがとうございました。
 基本的な考え方といたしましては、一つは、いまもおあげになりましたが、自主独立ということは非常に大切なことであります。これは何といいましても二十数年前敗戦という大きな事実があって、その後何か自主性というものが失われてきたかのような感じがあったのが、最近におきまして、いま御指摘もありましたような多くの国民の考え方の中にも積極さが出てきた、これは非常に喜ぶべきことだ、これをうまくとらえて外交政策の上にも反映していかなければならない。ただ、自主独立といいますと、人によっては、何かこう尊皇攘夷的なものにつながるやにおそれる人もございますが、そういう意味ではなくて、日本民族の持っている資質をできるだけ伸ばし、そしてこれを国益に合致するように伸ばしていくということが外交の基本であるのではなかろうか、まあ、そんなふうに考えております。
 それから、基本的な国益とは何ぞやということで、ただいま主として経済繁栄ということをおあげになりました。そのとおりと思いますが、私は、同時に、あらゆる意味において日本国民が自由を享受している、このことは非常に大切なことだと思うのでありまして、日本くらいいま言論の自由を持ち、あるいは経済の自由を持ち、あるいはそのほかの面におきましても自由を享受し得ている国はないのではないか。やはりこれを守ることが非常に大切な基本的なことではないだろうか。そうすると、やっぱりこれは国の安全をできるだけ国民によく理解をしていただいて最善のチョイスをしてもらわなければならない、こういうことが方法論として大切なのではなかろうか、こういうふうな考え方をしてまいりたいと思います。
#113
○石原慎太郎君 先月の何週でございましたかの「ニューズ・ウイーク」のエディションに、総理が日本のこれからの外交について語られたことばが非常に短く出ておりまして、これはサード・パワー、つまり第三勢力の指導国たらんという非常に印象的でサジェスティブな――暗示の多い発言をしておりました。それから、私事にわたりますが、私がさきの総裁選挙で個人的な質問状を提出しました中にも総理の御回答がございまして、また私、それを取材しました「ニューズ・ウイーク」の支局長が個人的な友人でございますので、彼の口からもそういうことばを聞きました。私、総理から御回答をいただきましたときに、やや具体的にその御説明をいただきまして、これはかつてネールが言っていた非同盟各国の第三勢力でなしに、あくまで自由陣営に属していながらこの米ソのイデオロギーの谷間――ギャップの中でこのギャップを埋めていく推進力としての第三勢力という意味だそうでありまして、また、これを別のことばにしますと、核を持てながらも持たずにいる、それだけの経済力、文化力を持った国というイメージを総理は持っていらっしゃいましたが、私はこれは非常に印象的で、かつまた、これからの日本の外交の姿勢を暗示する非常に興味のあるサジェスチョンだと思いますけれども、こういったものを具体的にどういうふうに展開されていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
#114
○国務大臣(愛知揆一君) いま最後におあげになりました、核を持とうと思えば持てる科学技術の力はあるがこれを持たないで済ましていこうというところが、非常にまたわが国の日本的な特徴だと思うのです。この考え方というものはできるだけ伸ばしていかなければならない。同時に、私先ほど、もう一つけ加えることを忘れましたけれども、やはり日本人の持てる資質をできるだけ伸ばそうという中には、科学技術の力でかつては武力によってということであったでありましょうけれども、科学技術というようなものを高度に発展させて、それを他の国々にいろいろの意味で協力をし、かつ、特にアジアの人たちに対しては、いま国民所得を見てみましても、日本もまだ個人としては二十一位でありますけれども、やはりそれとは比べものにならない。こういうところを向上させていくという大きなやはり構想を持ち、かつ、具体的に進めていかなければならない。先ほどもおあげになりました総理との問答の中にも、総理のそういう気持ちも含めて回答されたものだと私は思っております。
#115
○石原慎太郎君 総理の第三勢力の御説明の中で、いま申しました、核を持てながら持たないでいる国々という説明がございましたけれども、そういう性格を賦与されますれば、必然、核拡散防止条約というものは第三勢力に入り得る国々の非常に大きな共通項になってくると思われます。すなわち、日本だけではなしに、ドイツ、イタリーあるいはスエーデン、イスラエル、多くの国々が核を持てる力を持ちながらいま核を持っていないわけでございますが、私は、この核拡散防止条約というものには、非常に個人的な見解がございまして、非常に目的はけっこうでございますけれども、外務省の訳文あるいは原文である英文を読んでみましても、非常にあいまいな文字が、文章が多く、ことばが多く、きわめてこの解釈の範囲、適用の範囲というのが非常に広いという気がいたします。前外相の三木さんも、それがゆえにわが国がこの条約に対して発言する余地というものは非常にあるんだということをおっしゃっておりましたが、現に外務省の中にもこの条約に対して抜本的にいろいろな立場をとられている方々がいらっしゃると聞きますが、うまいぐあいに、いまのところ、この条約が、いろいろな国際情勢にかんがみて、たな上げになっている状態でございますけれども、私は、これは日本にとって条約の状況が非常に有利な形にいまたな上げされているという気がいたしますが、この点、外務大臣はいかがお考えでしょうか。われわれとしては、このまましばらくたな上げされることが望ましいか、ほおっかぶりして、たな上げされている間にこれに対して何らかの外交的な措置をとられるべきであるかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
#116
○国務大臣(愛知揆一君) 拡散防止条約につきましては、先ほども若干お答えいたしたわけでございますが、私はすなおに考えれば、この条約というものはわれわれの望む方向に数歩前進している考え方であろうかと思うのでございます。そういう意味におきまして、先ほど森委員の御質問にもお答えいたしたのでありますが、拒否するというような態度はとりたくないと思っております。前向きに取り上げていかなければならない。そこで、個人的な見解を申し上げるのもいかがかと思いますけれども、個人的に考えると、もっとこういうところはこうあればいいということがあろうと思いますけれども、前進して一歩ずつそういう方向へ向かうという趣旨が生かされるならば、そういうふうな取り上げ方をしていきたい。同時に、私は外務省へ参りましてからも検討してみたんですけれども、三木前大臣の時代に、私とほとんどぴったりしたお考えであったように承知して、非常に私もうれしく思いましたけれども、この拡散防止条約が国際の議題になりましてから、日本としてはずいぶんよい主張を自主的にしております。そしてその関係から、まだまだ不満足はもちろんありますけれども、ある種の条項等について、あるいはある種の考え方についてはだいぶ日本の発言というものが強く、かつ、効果もあらわれてきているようであります。したがいまして、先ほど申しましたように、今後の取り上げ方については、いま申しましたような気持ちで、調印の時期その他について考えていきたい、こんなふうに思っております。
#117
○石原慎太郎君 この条約自体が数度手を入れられまして、われわれの利益というか、利益の目的というものに沿って前進をしてきたことは私も認めますが、しかし、いまなおこの最終稿というものを見ますと、非常に問題が多いという気がいたします。私は前外相が、西ドイツ等の出方を見て日本も態度をきめると発言されまして、これは非常に自主外交というものの態度からすれば、きわめてひより見でありまして、何ら自主性を感じさせない発言だと思いますが、現条約のままに、たとえば西ドイツがこれに調印した場合――そういうことはないと思いますけれども――西ドイツはすでに国民感情からしてこういったものを調印するわけにはいかないとはっきり申しておりますが、しかし、何らかの形で西ドイツなりイタリーという国が、あるいはインドがこの条約に調印した場合に、日本はこのままでも調印されるおつもりでございますか。
#118
○国務大臣(愛知揆一君) その点は、いままでのいろいろの経緯もございますようですから、場合によりましては、このままでも調印をするほうがいいという結論になろうかもしれないと思います。
#119
○石原慎太郎君 それは非常にゆゆしき問題でありまして、私は条約のある条項、特に査察の条項というものがいまのようにあいまいな形で残される限り、われわれがこのまま条約に調印することは非常に――ことばは強いですけれども――売国性の強い条約になるのじゃないかという気がいたします。これは私の懸念にすぎなければこれにこしたことはございませんけれども、しかし、いまの査察というものの条項に関して、ごく自然に類推しますと、われわれがいま入っている国際原子力機関の調査以上の強い調査を受ける。それによって日本の持っている技術的なポテンシャルというものが非常にそこなわれて、そういった点で国益が海外に流出するというおそれが私は強くあると思いますけれども、この点いかがお考えでございましょうか。
#120
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたように、まだ調印の時期をいつというふうに、私自身の気持ちもまだはっきりきめ切れないわけですけれども、いま仰せになりましたような点には、私もずいぶん御同感の点が多い。もう少し私にも研究させていただきたいと思います。御趣旨は私もよくのみ込めるつもりです。
#121
○石原慎太郎君 特にこういった条約が非核保有国というものの側から提出されれば、非常にわれわれにも受容でき得る性質を備えたと思いますけれども、特に査察の問題については、日本が、第三勢力と総理が言われた国家の中にあって、この条約に関して一つの指導性をとられて、われわれの国益というものをそこないやすい条項についての修正を強く提唱していただきたいと思います。たとえば査察官の選定であるとか、あるいは査察の機械化であるとか、あるいは査察の技術基準の設定であるとか、あるいは査察の予告という点について御配慮を願いたいと思います。たとえばいまの場合に、われわれが外国から輸入する核燃料あるいは核の技術というものに対しては国際原子力機関を通じて査察を受けておりますけれども、これはあくまでも輸入したものについてのみの査察でありまして、純国産の燃料あるいは技術については査察を受けておりません。ところが、拡散防止条約の査察というものが非常に広い範囲で適用されますと、いろいろな点でわれわれの純国産の燃料あるいは技術についての査察が行なわれて、われわれの秘密といいますか、一つの経済的な利益というものすらが失われるという余地が非常にあると思います。たとえば、国産の炉、原子炉の燃料がいかに燃えているかということを計算するコンピューターのコードがございますが、これはいま日本が輸入しているウエスチングハウス等の外国の原子炉をつくっている会社も、この燃料がいかに燃えているかということを計算するコード、方程式はあかしておりません。これは、これをあかすことによって炉の構造の秘密が漏れるからでありますが、われわれがもし国産の炉を将来完成した場合に、こういったものが査察の対象になったときに、非常にそれがすぐれた技術性、構造を持った場合に、そういったものが非常に容易に外国に漏れるということがあり得ると思います。その点、私は強く、こういった問題について修正というものを日本のイニシアチブでこの条約に関して行なっていただきたいと思います。
#122
○羽生三七君 ちょっと質問じゃないのですけれども、石原君の言っていることは、それに対する大臣のさっきの御答弁は、条約を批准するかしないかという態度のことを言っているけれども、そうではなしに、いま提起されたような問題を、前の大臣のときには、特使を出されたり、あるいはいろいろな注文をつけたりしてやってきたわけですね。今度はそれが十八カ国からニューヨークへ移っちゃったわけです、国連へ。それに対してまだ働く余地は残されているかどうか、それを具体的に話されたらいいんじゃないですか。
#123
○国務大臣(愛知揆一君) その点は、抽象的でございますが先ほども触れたつもりなんでありますけれども、従来の本件についての関係国との間の折衝の過程等ももう少しつまびらかにいたしまして、そして、いま御提案のようなことがどういう形で取り上げられ得るものかどうかということも含めて、私にいま少し検討させていただきたい、こういう趣旨でございます。
#124
○石原慎太郎君 核が出ましたついでに、拡散防に限らず、総体的に今日の世界の外交を大きく規制している核の問題について触れさせていただきたいと思いますが、われわれは、日本が現在のニュークリア・ウェッポンのシステムというものを開発していくことは、経済的にも私はロスだと思いますし、国益に沿わないと私は思います。わが自由民主党の中にも何やらそういうインテンションをお持ちになる方がいるそうだと聞きますけれども、私はこれは非常に愚かな考え方だと思いますが、これからの外交を考えていらっしゃるに際して、今日の核、特に核兵器というものがどういう性格に変わってきたかということを御銘記願いたいと思うんです。それは核兵器の開発というものは進めば進むほど、かつて非常にホットであった核というものが、実は互いに抑止し合うことによってフローズンな――冷たい核に、冷蔵庫に入った核になりつつある。そして、そういったものが、核拡散がいかに行なわれても、私は核戦争というものの可能性は減らしていると思います。一カ月前ですか、私たちの知己であるハーマン・カーンが日本に数日やって来ましたときにもそういう話をしまして、カーンは七五年に日本は核武装するであろうという、これは歴史的な大事件であるが、しかし核戦争は起こらないという乱暴な予言をしましたけれども、私はいささか所見を異にしますけれども、こういった核の性格というものをやはり踏んまえることでこれからの外交の基調というものは変わってくると思います。私は、人間というのは核というものをつくるだけつくってそれを非常に大きく育てるほど非常に愚かではありましたが、しかし、それを使わぬだけの一つの冷静さを持っていると思います。現にベトナムのケサンで原爆を使用したいという幹部の意が強かったのに、しかし、ペンタゴンか大統領か知りませんが、それを落とさなかった。私は、すでにある原爆、水爆というものが存在しながら、これを規制し合ってこういったものの使用を不可能にしていると思いますし、たとえば、日本人が非常に感傷的に好きなオッペンハイマーに次いで、彼のつくることを拒否した水爆をあえてつくったテーラーのごときは、水爆をつくることによって原爆というものを阻止できるんだということを言っております。私は、むしろオッペンハイマーよりはテーラーのこういうものの考え方のほうがこれから新しく来つつある時代に適切したものだと思いますけれども、これからの外交の基調をお考えになるよすがとして、いま全般的に、先ほども御質問出ましたが、世界的に核の戦争の起こる可能性がふえつつあると思われますか、それとも減りつつあると思われますか、その点をお聞きしたいと思います。
#125
○国務大臣(愛知揆一君) 非常に重要な、かつ大きな問題ですから、私いま即座に、そうでありますともそうでないと見込みますとも申し上げるのは、あまりにこれは大き過ぎる問題かと思います。ただ、いろいろの機会によく使われることばでございますけれども、これからの科学技術の進歩ということですね、これはいろいろの意味でいろいろの内容が予見されるかと思いますので、そういうことを十分踏まえながら外交にも誤りなき道を選択していかなければならないのじゃないだろうか、まあ、こういうふうに考えます。ただしかし、現在の時点において考えますれば、とにかく核が戦力として使われるということは人類の破滅である。私はおそらくそういうものを使う者はなかろうと思いますし、それを期待いたしますけれども、それに対する日本国民のセンチメントといいますか、国民感情ということを十分に考えますと、これは現実の政治の上においてもできるだけ大事にこれは尊重していかなければならぬ、現在のところでは。そういうふうに考えております。
#126
○石原慎太郎君 おっしゃるとおり、まあ、冷静に核の性格を見きわめている人間、これは政治家に限らず技術者等々、いわゆる特に日本の国民の核に対する反応の間には非常にギャップがあると思いますし、いま非常にばく然とおっしゃいましたけれども、しかし、やはり核というものの熱さといいますか、核戦争の危険性というのは日増しに私は軽減されていくと思います。おそらく外相もそういう御判断だと私は推測しますが、そういった判断に立って、沖繩にいまある、非常に日本にとっての焦点になっている核というものの存在をいかにお考えでしょうか。私は、沖繩における核というものもまた世界の核も同じようにフローズン――半ば冷蔵庫に入った核だと思います。こういった問題を沖繩返還の決定的なエレメントと考えることが非常に沖繩の返還というものを阻害すると私は考えますが、この点いかがお考えでしょうか。
#127
○国務大臣(愛知揆一君) この点につきましてはですね、抽象的にお答えせざるを得ないのでありますけれども、私は、先ほども申しましたように、返還をできるだけ急ぎたい。同時にというか、この沖繩を含む日本の安全性を確保するために現に沖繩の占めている地位というもの、これに関連して十分ひとつ考え方をまとめていかなければならない。そういう点から私どういう考え方が適切であるかということを考えておりますと、結局、まあ総理もよく言っていることばですけれども、科学技術の進展、国際情勢の変化、あるいは国民世論の動向というようなことがやはり構想をきめていく上においての非常に大きな要素だと、こう思いますので、その点を踏んまえながら、考えをまとめながら、また一方会談を進めながら、うまく、できるだけ円滑でかつこれが最善の選択方法かということをまとめることに努力を傾倒していきたいと思っております。まあ、直接のお答えにならぬようで恐縮でございますけれども、こういう問題はやっぱり、何のために何を考えるかと、それには現実の問題をどういうふうに処理していくのがいいかということでいくべきかと思いますので、いまの段階で直接クリアカットのお答えができないことを私は非常に残念と思いますけれども、同時に、これにはもう少し時をかしていただきたいと、こういうふうに申し上げざるを得ないと思います。
#128
○石原慎太郎君 先ほど申しましたフローズンな核というものの性格を踏まえてでございますけれども、われわれ自由民主党は、どうやら七〇年には自動継続という形で安保に臨むようでございますが、私はそれが妥当だと思います。ということは、これを十年なら十年固定、いまのままで延長するのでなしに、状況に応じてこういったものに非常に柔軟な態度で臨み、修正を加える余地を残すことだと私は解しますが、いまのような核の性格を踏まえてこれから先の安保の態様というものがいささか変わる余地があるのではないかと私は思いますけれども、この点いかがでございましょう。
#129
○国務大臣(愛知揆一君) この点については政府としての見解、態度をまだ明確にしておらないことは御承知のとおりでございますが、自民党の大部分の空気が、いまお話がございました自動継続というようなことになっておりますことも事実でございます。政府の立場といたしましては、来年の六月二十三日に至りますまでの間に考えをまとめて御理解をいただくようにしたい。基本的には安保条約に象徴されている安全保障の考え方というものが日本の国益に最も合致する方法である、これはもう申すまでもない政府としての見解でございます。
#130
○石原慎太郎君 安保についての価値観というものは私もほぼ同じだと思いますが、とにかくわれわれが核を持てながら持たずにいる間に、大国、超大国は核というものの装備を増すことで非常に経済的に過重な負担を負って、それなりに疲弊しております。たとえばイギリス、フランスのごとく、あるいは隣りの中国のごとく、みずからの経済生活を犠牲にしてまでこういった開発をしておりますが、その間にわれわれは、こういった開発をしなくて済む利点というものを踏まえて非常に経済的に成長しております。私は、こういった間隙を縫ってといいますか、状況の中で、われわれ自身の新しい力をたくわえていくべきだと思いますし、また、新しい力とごく古い力、つまり経済の力でございますが、われわれはおそらく、この一世紀来アメリカに追いつきアメリカを追い越せという国民的な願望、目的というものを、皮肉にも安全保障条約という非常に片務性の強い条約をアメリカが結んでくれることで、われわれはアメリカの手助けによって遂げつつある現状でございますが、こういった条約のメリット――利点というものをどうも国民というものは理解をしていない。そして、これに対して非常に感傷的、感情的な論がありますし、しかしまた、社会党が言っている非武装中立などという論は、今日では非常にアカデミックなファルスになりつつあって、社会党の中にもこういったものをはずせという要求があると聞きますが、どうもわれわれ自由民主党に限らず与党政府は、いままでこういった問題を国民に冷静にそろばんを入れて啓蒙する努力をはなはだ怠っていたという気がいたします。これは安保に関するPRという点に関して――ことばが強いですが――まさに無能に近いありさまで、条約というものをほんとうにわれわれの国益に結んで国民に理解をしてもらうためにもう少し強い態度――強い態度というのは対決ということと違いますが、もう少し努力を何らかの形ですべきだと思いますけれども、この点についてこれからの安保に関する啓蒙というものに関して外務大臣いかがお考えですか。
#131
○国務大臣(愛知揆一君) いまお述べになりましたのは、私はもう全く御同感でございます。ということは、安保条約のメリットはどこにあるのか、これは私は日本のためにあるのだ、日本のためにだけあるのかといえば、そうではございません。アメリカの立場におきましても、日本に協力することがやはり最善のチョイスであるということで合意をして、そして相当の負担をしておる、こういうことに私はかねがね考えております。それから特にきょうもいろいろな点から御意見を承りましてたいへん参考になりましたが、この安保条約の今日的意義とでも申しましょうか、あるいは明日的意義ですね、その考え方というものをほんとうにひとつ皆さんと御一緒に考えてみようではございませんか。それが私としてはPRにも通ずるのじゃないか。私も、社会党の方々やほかの政党の方々も、こういう点の問題を、それこそできるならば白紙に返ってお取り上げいただければ、これは国益増進のためにたいへん得るところが多いのではなかろうか。私の考え方をちょっと申し上げまして御参考に資していただきたいと思います。
#132
○石原慎太郎君 時間が来ましたようですので、最後に一つだけ御質問させていただきます。
 北方領土の問題でございますけれども、総理は、沖繩が返還されなければ戦いは終わらないということをおっしゃいましたが、同じことが私は北方領土について言えると思います。そして、この北方領土の返還はわれわれにとって民族的な主張でございまして、たまたま同胞が幸か不幸かあの領土にいないということで、どうもこれが非常になおざりにされているきらいがございます。しかし、たとえ人はいなくても、あそこを失って本土に帰ってきている同胞は、自分の故郷がないということで、半ば死んでいるという状態だと私は思いますけれども、いまアメリカが沖繩に関して非常に柔軟な態度をとってきて、そしてそのきざしが見えている。しかも、小笠原の例に見るように、いくさがなくて、奪われた領土というものが戻ってくる、こういう外交の交渉は私は非常に評価いたしますけれども、どうも歴代の外務省なり政府というものがこの問題について積極的なアプローチをしているような気がいたしません。私は、現在アメリカがこういう態度に出てきたときに、現在にこそ、日本がソビエトに対して北方領土の返還というものに対してもっと積極的なアプローチをすべきだと思います。外交というものはバランス・オブ・バーゲニングパワーといいますか、取引というものから成っていると思いますけれども、私はそういう点非常にいままでの日本の外交は取引がへたであったという気がしてならないんですけれども、こういった点、たとえば、ソビエトはシベリアの開発というものに非常に意欲を燃やしている。これに対して日本が参加する可能性もあると思いますし、あるいはソビエトもそれを望むと思いますが、こういうものを踏まえて特に沖繩というものをアメリカが返すことは、日ソ関係だけに限って見ると、ソビエトにとっては非常に痛しかゆしの問題だと思いますし、こういうとき、われわれは沖繩が返ってきつつあるときこそ、一そう強くソビエトに対する一つのバーゲンというものを行なっていくべきだと私は思います。この点いかがお考えでしょうか。
#133
○国務大臣(愛知揆一君) 北方領土の問題は、この国会の冒頭の総理大臣の所信表明にもうたい込んであるので御承知のとおり、政府としてはうんとこの際がんばっていきたいと考えておるわけでございます。
 それから、事務的に申しますと、いわゆる前大臣当時の中間協議というようなものの経過を見てみますと、どうもソ連側は領土問題は解決済みであるという非常に強い態度をとっておりまして、他の日ソ間の懸案の問題につきましては、何かとたしましては、いろいろの懸案があるが、それをひとつあまりかた苦しくない程度で話し合いをしてみよう、向こうもその点は応じた。その中には当然領土はこちらとしては入っているということで話し合いをずっと継続してきておるわけですが、報告によりますと、領土についても解決済みなんであって、これはもう終わりだからほかの問題のほうをやろう、こういうのが向こうの基本的の態度のようでございます。そういうことをいま申し上げました。これは現在までのこちらの観測なんであります。
#134
○森元治郎君 私は、何か大臣の答弁がいままでもやもやして、三木さんもつかんでこなかった中間的措置、向こうの言う中間的措置とはどんなことですかということを伺っている。大臣は何かはっきりおわかりになっているように私は伺ったのですが、この間中曽根君も行ったときに中間的な措置の話はしているはずですね。ですから、はっきりわかったと思うのだ。いままでわれわれ全然知らないのですから、向こうの言う中間的措置を、あなたおわかりのようだからひとつおっしゃっていただきたい、こう思うのです。
#135
○国務大臣(愛知揆一君) いわゆる中間的という問題につきましては、ソ連側としてこれとこれとこれとを中間的措置として取り上げようという具体的な提案もしておらないようでございます。そして領土問題については非常にかたい態度であるというのが現在までのところのようでございます。
#136
○森元治郎君 あまり変な思いつきでもって外交なんかやってもらっちゃ困る。そうでしょう。コスイギンを突っ込んでみたら何もなかったということですね、思いつきの措置。
#137
○国務大臣(愛知揆一君) その辺のところは、率直に申しまして、電信等の往来だけでははっきり掌握できない点もございますので、その折衝に当たっている担当大使を呼びまして、いままでの、どういうバックグラウンドであるか、どういう話を向こうがこういう環境でやっているということを私としてもとくとひとつ承知したいと思っておるわけでございます。
#138
○森元治郎君 そうすると、こういうふうに了解していいですか。領土問題はもう解決済みという態度は変わらないと、しかし、コスイギンの言った平和条約に至る間の何か中間的な措置があるかどうかを両国政府の事務当局、総理大臣が事務当局をして話さしてみたらどうだということでしたね。この先生の思いつきの中間的措置ということの内容は、具体的にはまだはっきりはわかっていない。わかっているのは領土についてのであって、こういうことですね。中川さんが帰ってくれば、何で電信でわからないのかわからないけれども、向こうが言ったのだから何も検閲されることもないのだから言ったらよさそうなものだと思うのですけれども、がまんします。帰ってくれば中間的な措置はわかるわけですね。
#139
○国務大臣(愛知揆一君) それは詳細な報告をとってみないとわかりませんけれども、いままでの段階では、いま御指摘のようなふうにしかなっていないわけでございます。
#140
○大和与一君 ぼくはこういうふうに考えているのですがね、外務委員会にまでまだ言うほどは固まってない。ただ、これは政府と自民党は親戚だから、あなたはその自民党の幹部としてそういう動きを聞いておったものだからちょっと言ってみたと、こういう態度でしょう。それはいいんだけれども、平和条約をやはり結ぶという立場に立って、領土問題も含めていいですよ、その考えは、それで何とかそれをまとめていこうと、こういう方向は変わってないのでしょうね。
#141
○国務大臣(愛知揆一君) それはもう全然変わっていないのです。
#142
○委員長(三木與吉郎君) 松下君。
#143
○松下正寿君 十六日の参議院の予算委員会で私が総理大臣に日米安保条約のことについて質問いたしまして、それに対して総理大臣が御答弁になりました。そのとき外務大臣御出席であったと思いますが、御記憶だろうと思いますが、私の質問に対して総理大臣は、民社党のかねがね主張しております駐留なき安保は反対であると、あるいは、考えていないというような意味の御答弁であったと思います。それについていささか私自身のことばが足りなかった点もあるやに存じますから、これについての御質問を申し上げたいと思いますが、とりあえず、外務大臣としてはやはり総理大臣と同じ御意見でございましょうか。
#144
○国務大臣(愛知揆一君) それは同じでございます。
#145
○松下正寿君 前の外務大臣と違って現愛知外務大臣は一そう総理大臣と一心同体を主張しておられる。まことにけっこうであると存じます。ところで、私がこの前の予算委員会で一番力説したかったことは、私はこの日米安保体制というもの自体についてはこれは賛成の立場をとっております。ただ、日本の安全という立場から見て、はたして現在のような、まあいわば片務的な、一方的な安保条約が、特にアメリカの軍事基地を認める安保体制というものが日本にとってはたして有利であるかどうか。どうも率直に言いますというと、この前の参議院の選挙のときにも、これはどういう方がおっしゃったかは忘れましたが、自民党の候補者の方々のうちから、現在のこの安保条約というのは、日本がアメリカを緩助するのでなくてアメリカが日本を一方的に緩助してくれるのだ、こんなけっこうなことはないじゃないか、こういったような演説もずいぶん私は耳にしたわけでございます。ちょっと聞きますというとはなはだけっこうであるような感じがいたしますけれども、こういったようなことが、先刻石原議員の指摘されました自主独立、これはどういう意味でおっしゃったかちょっとはっきりといたしませんが、私の考えております自主独立ということは、決していわゆる尊皇攘夷というような意味ではなくして、これはやはり自分の国のことは自分でやるべきだ、ただ、さればといって、日本が現在核兵器を持つというようなことはこれは考える必要もないわけであります。そこで、不幸にして現在のように核兵器が大きな威力を持っておる限り、やはりアメリカの核に関してはアメリカと協力するこういう安保体制は、これは私は現在の場合、けっこうじゃないにしても、やむを得ないのじゃないかと思います。その点は賛成でありますけれども、日本に現在のようにたくさんの軍事基地があって、その結果、特にこの日本の軍事基地というものはヨーロッパの軍事基地などと違いまして、いわば戦争――敗戦――長期占領というもののまことに不幸な、国民から見て非常に連想の悪いもののいわば継続といいましょうか、遺物になっております。こういうところに民族的な非常な屈辱感とかあるいは不当な対米依存感、またその逆作用として出てくる反米感情というものが出てくる。私はこういったようなことが現在所々方方で起きているところの反米運動と非常に密接につながっておるのじゃないか。現に一九七〇年の危機と申しますけれども、私は一九七〇年にアメリカが日本を攻めてくるということも考えていないし、また、ソ連が日本を占領しに来るとだれも考えていないし、中共が来るというようなことも私は考えていないわけでありまして、むしろ、この一九七〇年の危機というものは日本自体から起こるのじゃないだろうか。さように考えますというと、日本の安全保障ということは、これはよほど慎重に考えませんというと、単に現在の日米安保条約をそのままに維持していくことが一番日本にとって安全であるかどうかという点を根本的に考えていただきたい。私はむしろ、直ちに一九七〇年に現在の軍事基地を全部廃止するということはこれは実際上不可能でありましょうが、少なくとも一九七〇年前後には、長い目で見た場合に、軍事基地は撤廃するのだという政府の方針を明らかにして、終局において日本は自主防衛の立場をとるということをはっきりと声明されたほうが、日本の安全保障という点から見てむしろプラスじゃないか、さように考えるわけでございますが、外務大臣はこの点についてどういう御見解でございましょうか。
#146
○国務大臣(愛知揆一君) 安保条約のこれからの問題でございますけれども、私は、やはり安保条約というものが双務的にできている、そうして日本が提供したものは基地であると、こういう考え方に立脚いたしますと、基地をなくすんだということは、私は安保条約の根幹に触れる問題じゃないか、こういうふうに考えるわけでございますが、同時に、日本の本土の場合においては、核の問題は幸いにしてございませんですね。それから、今後の考え方でございますが、私はやはりアメリカの抑止力と申しますか、アメリカのほうに対しても、日本側が、ことに国民が快く理解した協力ということを求めることが非常に大切なことであると、一方においてさように考えます。したがって、基地のたとえば公害問題というようなことに対しては、従来にもましてきめのこまかい考え方をやっていきたい。それから不用あるいはもう用事が終わったというようなものについてはこれを整理をするというようなことにつきましては、今後とも私どもとしてはアメリカ側の理解ある協力を求めて具体的な措置に入るような、そういう心がまえでまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#147
○松下正寿君 アメリカ側の立場ということの御指摘がございましたが、実は私はこの問題についていろいろアメリカの有力者と懇談してみる必要があると思いまして、この九月アメリカに行きまして上院の外交委員、これは全部というわけにはいきませんでしたが、半分くらい会いました。下院の外務委員会の方々にも大体半分ぐらいお会いいたしまして、安保条約について率直に話してまいりました。いわばこの外務省を通じての表の話というのでなくて、懇談をしてまいりましたが、一々だれがどう言ったということは、これは記憶もしておりませんし必要もございませんが、私の得た印象としては、決して日米安保条約をいまアメリカのほうの側から急に破棄するというような考えはない。これは確かでございます。ただ、同時に、やはりアメリカとしては徐々に極東から手を引きたいと、したがって、現在のところ日米安保条約というものは、はっきり言えば、アメリカの側では相当負担になっておる。ちょっと負担が重過ぎる。日本がこの程度まで成長した以上は、もう少し日本自体でやってもらえないかという気持ちが非常に濃厚であるということを私は感じたわけであります。現在日本のこの世論を見ますというと、日米安保条約というものは、いわば弱国日本が強国米国から強制されておると、アメリカからしいられておるといったような、こういう考え方が相当に普及しておるように感じられますが、私の得た印象は、日本はどうかこれは別でありますが、アメリカでは、これは日本が押しつけたとは思っていないでしょうが、いわばアメリカが初め押しつけたかもわからないけれども、いまちょっと重荷になっておって、何とかこれは相当なときにかんべんしてもらうわけにはいかないだろうかというような気持ちが濃厚であるような感じがいたします。私は悪くしますというと、将来時期を誤りますというと、安保反対は向こう側のほうから起きて、日本がいわば孤児になりはしないかということをちょっと心配するわけであります。外務大臣、この点いかがでございましょうか。
#148
○国務大臣(愛知揆一君) 私もただいまお話の前段にございましたように、アメリカ側から安保廃棄というようなことが出てくるとは万々思いません。しかし、同時に、後段でお述べになりましたような考え方や説があることも、私も一般的には情報として承知をいたしております。その辺のところを今後十分ひとつやはり私からいたしましても懇談というか、フリー・トーキングということもあわせて十分ひとつ話し合いに入ってみたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。ひとつ、まあ、あらゆる努力を払っていきたいと思っております。
#149
○松下正寿君 安保問題につきましては、もうちょっと実は突っ込んで御意見を伺いたいのでございますが、時間がございませんから、これで一応終了いたします。
 一九七〇年にイギリスが香港などスエズ以東から兵力を引き揚げるということは決定しております。実はこの問題についてどういうふうにイギリスが見ておるかをはっきりと知りたいと思いまして、私この前ヨーロッパへ行きましたときに、保守党、労働党、それから戦略研究所、その他できるだけの人の意見を聞いてみましたが、私の得た印象ははなはだ簡単明瞭で、何も策がない。いわば経済的に見てイギリスとしては引き揚げざるを得ないから引き揚げる、これだけのことで、あとは考えてないというのが私の印象でありました。そうして、これはイギリスの立場でありますが、日本の石油というものはみんな大部分はマラッカ海峡を通過してくるわけであります。日本の現経済を維持していく上に非常に大事だろうと思います。このイギリスの兵力というものがどの程度評価されておったかは別としておいて、あの辺の通商上の安全という点から見て全くこれは無視して差しつかえなかったものであるか。もしそうであるとするならば、イギリスの兵力の引き揚げということは日本と全く無関係であるということになりますが、ちょっとこれは常識的に考えられないわけです。現に新聞等の報道によりますというと、ソ連はあの辺の国々といわゆる親交関係をだいぶ続けるよう働きかけておるらしいので、これはけっこうであると思いますが、同時にこれの日本に与える影響はどうかという問題、あるいはまた同時に、かりに影響があるとするならば、日本は一体それに対してどういう措置をとったらいいか。私はイギリスにかわって日本があの辺に大いに兵力を持つべしということは主張しているわけではございません。これはだから、日本の国策と相反すると思います。しかしながら、ソ連があの辺に非常な関心を持っていることは事実であります。国際情勢は相当あの辺から大きく変化するのじゃないか。さような背景を前提とした場合、日本政府はそれに対してどのような措置を考えておられるか、外務大臣の御意見を伺いたい。
#150
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一に、イギリスがどういう考え方でどういうスケジュールで具体的に一九七〇年以降出てくるかということをはじめといたしまして、どういう影響を当該国その他に与えるか、これは十分私どもとしても情報を正確に取り、かつ分析しつつあるわけでございますが、その次に、今度は日本がそういう場合にどうするのか、これはいまからよほどよく考えておかなければならないことであると思いますが、一つには、イギリスとの間の日本との関係におきましてもいろいろ措置すべきこともあろうかとも思います。それから、一般的に申しますと、やはり日本としては武力の協力などということでは全然ないので、先ほどもお話が出ておりましたけれども、ASPACの問題ではその地域はまたカバーし切れないというような、さらに広範な地域の問題にもなってまいりますが、日本としては、いわゆる東南アジア方面に対しては、いわば経済とか技術とかその他の面の協力で民生を安定して、とにかく力づくで紛争が起こるようなことを基本的にできるだけ起こらないようにやっていく、こういう考え方は大なり小なりそのほかのところにも及ぼしていいのじゃないか、そういう考え方は、いまはまだ抽象的でございますけれども、大体の考え方としてはそういう考えをしておるつもりでございますが、何ぶんにも、これから十分な情勢を把握をいたしまして、ソ連がどういうふうな能度に出てくるだろうか、これは八方に目を配りたがらやっていかなければならない問題の重要性はまさに御指摘のとおりだと思います。十分の備えをしてまいらなければならぬ、こういうように考えております。
#151
○松下正寿君 時間がございませんからあまり詳しくお伺いできないのは非常に残念でございますが、外務大臣のいまの御説明の中に、この問題について外務省は相当分析をしておる、こういう御説明がございましたが、その分析された結果をここで詳しく御説明は願えないでしょうが、ごく簡単でもけっこうでございますから、どういうふうに見ていらっしゃるか、どういうふうに分析していらっしゃるかを簡単に御報告を願えませんでしょうか。
#152
○国務大臣(愛知揆一君) 実はただいま用意してまいっておりませんでしたが、全体の情勢というようなことにつきましてはお話を申し上げたいと思っております。
#153
○石原慎太郎君 関連質問。
 松下委員がおっしゃいましたアジアにおけるソビエトの比重でございますけれども、たとえば、インド洋でソビエトの艦隊が演習をすることによってわれわれが日本海で受けている漁船の操業の迷惑以上のもの、たとえばわれわれが日常生活に必要としている石油というもののルートを完全に撹乱されるおそれがあるんですから、特にイギリスが七〇年に撤退するということは心理的に非常に大きなアジアにおけるインパクトとなっておりますが、こういう問題について次期のASPACにおいて、ASPAC総体として、つまりアジアにおけるソビエトというものに対する対処というものを検討される御用意はありますでしょうか、どうでしょうか。
#154
○国務大臣(愛知揆一君) ASPACは、先ほど申しましたように、今度は総会が東京で開かれますので、これはいろいろの情勢判断をする上において、あるいは当該国の首脳と会談する機会がそのときにできますことは非常に私も得るところが多いと思います。
 それから、イギリス自体の問題にいたしましても、幸いに日英定期会談というようなものもございますので、イギリス自身が、アジアといいますか、中近東に対してどういう出方をせんとしているかというようなことも、またそういう機会を利用できるのではなかろうか、あらゆる機会を利用いたしまして、できるだけ正確な情勢分析をしたいと思います。
#155
○松下正寿君 不満足でございますが、時間がこれで終了いたしましたので、私の質問は終了いたします。
 ありがとうございました。
#156
○委員長(三木與吉郎君) 本件に対する本日の質疑は、この程度といたします。
#157
○委員長(三木與吉郎君) 次に、請願第一二六号、在日朝鮮公民の帰国に関する請願外九件を議題といたします。
 まず、専門員から請願の趣旨について説明を聴取いたします。
#158
○専門員(瓜生復男君) 本国会中外務委員会に付託されました請願は十件でありまして、すべて在日朝鮮公民の帰国に関するものであります。
 その趣旨は、すでに帰国を申請した一万七千余名はもとより、すべての在日朝鮮公民にとって帰国の道が保障されるかいなかは重大な人道上の問題であるので、帰国船の入港を認めるとともに、両赤十字会談を即時再開し、在日朝鮮公民の帰国事業が従来どおり保障されるよう適切な措置を講じられたいというものであります。
 以上で御説明を終わります。
#159
○委員長(三木與吉郎君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#160
○委員長(三木與吉郎君) 速記をつけてください。
 それでは、請願第一二六号外九件は、いずれも保留すべきものと決して御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#161
○委員長(三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#162
○委員長(三木與吉郎君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。
 国際情勢等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#163
○委員長(三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成及び提出の時期等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御
 異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#164
○委員長(三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
  午後一時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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