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1968/12/13 第60回国会 参議院 参議院会議録情報 第060回国会 本会議 第3号
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1968/12/13 第60回国会 参議院

参議院会議録情報 第060回国会 本会議 第3号

#1
第060回国会 本会議 第3号
昭和四十三年十二月十三日(金曜日)
   午前十時六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  昭和四十三年十二月十三日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)。
 一昨日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。藤田進君。
   〔藤田進君登壇、拍手〕
#5
○藤田進君 私は、日本社会党を代表いたしまして、総理、並びに関連事項につきましては所管大臣に、それぞれ質問をいたすものであります。
 昨日、衆議院におきまして、野党各派がかなり迫力に富んだ質疑を展開いたしましたが、これに対する総理の答弁は、まことに当を得ない、不行き届き、不親切そのものでございました。さらに、一昨日の総理所信表明に関する演説の原稿並びに演説を承りましたが、これまた、かつてない空疎なものであり、世上、今日、批判の的になっております。(拍手)そこで、私は、本日参議院におきまする当本会議の答弁としては、総理並びに所管大臣は、この所信表明の具体的裏づけをする意味におきまして、懇切丁寧、具体的な御答弁をお願い申し上げまして、以下質疑に入ります。
 その第一は、政治姿勢についてであります。
 総理は、所信表明の中で、今後取り組むべき重要な課題について触れております。そして、国民の協力を求めております。その一つには、「大学問題をはじめ、数々の困難な問題」がある。また、「世界は、いま多くの分野で転換期を迎えている」と認識をいたしております。であるならば、私は、その世界の迎えている転換期をどのように総理としては把握をしているのか、また、国内における種々数々の困難な問題と称するものはいかなるものであるか、ここに例示をお願いいたしたい。そうして、これに対処するために――これらの困難を「乗り越えて、十年先、二十年先、さらに二十一世紀へ向かって賢明に対処する」と、こう書かれておりますが、この将来に対する総理のビジョンをぜひ承りたいと存じます。
 次に、議会運営に対する今後の基本的態度をお伺いいたしたいと思います。
 従来、四年以前の第一次・当初就任の佐藤内閣以来、私どもは、種々議会運営について困難を経験いたしました。郵便料金の値上げ、これが決着いたしますると、間髪を入れず紀元節、いわゆる新しい建国日の設定に関する法律に対して強行突破を試みました。いわば話し合いの政治というものが基本であるかに見えるけれども、その現実は、常に力を頼んだ強行突破、こういう実績を私どもは経験いたしたのであります。今回の自由民主党・与党の総裁選挙に関して私どもが見ますと、競争相手である三木、前尾両氏は、話し合いの政治を唱えてまいりました。これに対して佐藤候補は、対決をむしろ強く世に訴えてまいりました。こういう対決の姿勢というものは、真の民主主義議会政治を生かすものではないと、私どもは確信をいたしますが、この点に対して、総理の基本的な、議会に対する自由民主党総裁としての態度も表明願いたいと思います。
 その次にお伺いをいたしたいのは、諸政策についてきわめて一方に偏した政策態度であると言わなければなりません。今次問題になっている石炭鉱業の再建に関する方策を見てもしかり、あるいは予算の編成、歳出についてしかり、大資本を唯一の基盤といたしまして、これに一筋に奉仕をするという、その態度が国民の、広い大衆にとってはもう耐えられない現実の事態になってまいりました。総理のいう国内諸問題に対する転換期の方向は、まさにこの点に転換を求めなければならないと考えるのであります。(拍手)
 さらにお伺いをいたしますが、最近検察当局、特に最高検等の態度を見ますと、かつてお隣の韓国における李承晩大統領がやってのけたと全く同じような政治謀略が、わが国に行なわれているということであります。過般の京阪神土地事件に関してこれを見ますに、現地の神戸地検並びに大阪高検は、本件に関する政治家に対しては、全く黒であるという断定のもとに、最高検に問題を協議いたしました。ところが最高検においては、井本検事総長、これは御承知のように、池正こと池田正之輔君と、事件に関連してかどうか宴を催し、ついに御承知のような措置がとられてまいりました。片や、野党に対しては、全く事実に反する措置が強行されております。このようなことは全く政治謀略であって、暗黒政治への道であると私は考えるのであります。(拍手)この点について、総理の暗黙的指揮権ともいわれるこのような態度を改めるべきであると考えまするが、いかに総理はお考えか、お伺いをいたします。
 次に、国際外交についてであります。いよいよ一九七〇年は、あとわずかに控えてまいりました。昨日の参議院におきましても、安保条約に関する論争がその中心となってまいりました。政府・自由民主党においては、次期安保改定については、国内のいろいろな反対に対する肩すかしの手段として、このまま存続はするが、その方式は自動延長であると、こういうふうに伝えられているのであります。与党においては、その筋の方が正式に公表もされているのであります。ところが、この自動延長に関連をいたしまして、国内においては多くの軍事基地がこれまた中心的課題になってまいりました。さらに沖繩のB52の爆発に端を発して、苛烈な命を守る戦いが展開されてまいりました。総理は、この安全保障条約に対する政府の態度を、いまだ明確にいたしておりません。わが国の総理、自由民主党の総裁として、統一的な態度、見解はいかなるものであるか、すなわち、自動延長で対処しようとするのか、あるいはその他に方法を求めようとするのか。この際、われわれは、軍事基地その他で苦しめられてきたその根源は、あげて安全保障条約――米安保条約にあるということを認識いたしますときに、安全保障条約の廃棄を、最もこの絶好の機会に実施すべきであると考えるものであります。
 軍事基地につきましては、今日百四十五の軍事基地を持ち、政府の怠慢によって――多くの軍事基地が不要不急、全く使われていないところも多々ある、あるいは町のどまん中に弾薬庫がある、幾多の問題を提起いたしております。これに対する政府の態度は全くあいまいであり、対米従属と言われてもしかたのない現状であるのであります。相模原等におきましては、通信施設のために周辺の都市計画が遂行できないという事態になって、本院においても、昨年の通常国会では、建設委員会で相当問題になっているところであります。近くは公明党がいろいろな調査の結果を発表されているのであります。このような軍事基地に対して、日本政府の代表として、き然たる態度でアメリカとの間に、これを総点検のもとに全面返還をいたすといたしましても、その過程の一つとして、これが整理縮小に当たるべきではないかと考えるわけであります。
 次に、沖繩の復帰問題であります。沖繩では、御承知のごとく先般初めての主席公選が行なわれました。私も沖繩の地に参りましたが、ちょうど当時の福田幹事長、いまの蔵相が参られて、御承知のような、屋良革新候補が当選すれば、沖繩の日本への復帰は、これはおくれるであろう、あるいは財政その他の援助は困難であろうと。いまは、まさに財政当局である大蔵大臣であります。さすがに佐藤総理は、屋良主席と会見された模様を承りますと、おまえが通ったならば復帰はおくれるとか、財政援助はしないとかは申しておりませんが、一体、腹の底はどういうことなのか、私どもはまだ読み取っておりません。(拍手)この際、福田幹事長を含めて、選挙のときはでたらめを言うものだということなのか、あるいはほんとうに復帰が屋良さんのもとではおくれるのか、この際、天下に公約をされたあの言質から明確にしていただきたいのであります。(拍手)私どもは、現地沖繩百万の県民があのように願望している、異民族の支配、強圧のもとにここに二十二年間苦しんできたこの実態を見るときに、私どもは同情ではなくて腹の底から、総理もいみじくも言ったように、沖繩の返還なくして――祖国への復帰なくして戦後は終わらない、あなたはこういうことを言ったのであります。この面からも現地の要望である即時無条件全面返還。アメリカの代表が言うような極東の安全とわが国の安全保障のためにというような、アメリカの大統領が言いそうなことを、こちらが先に言う必要はない。(拍手)この即時無条件全面返還には、おのずから過程もございましょう。したがって、今後これら返還に対する政府の具体的計画について、両三年と言うけれども、これらの妥結目途について、プロセスをあわせてここに所信を表明していただきたいと思います。
 さらにアジアにおきましては、不幸にして南北朝鮮の問題、さらには今日ベトナムのあのむごたらしい戦争が展開されているのであります。しかしながら、このベトナムの動乱も、いまや。ハリにおける会談のテーブルに着くということを契機として、やがて平和がくるであろうことを世界は望んでおります。そこでわが国は、ベトナムに対する経済関係について、特に深いつながりを持ってきていることは事実であります。平和になりました暁に、いわゆるポスト・ベトナム、ベトナムのあとに対する過当な、日本がアメリカの肩がわりをするのではないだろうか、国内に及ぼす経済への影響が相当悪化するのではないだろうかと、心配をされているところであります。この点について、総理の明確なる態度を、この際お伺いをいたしたいと思います。
 総理は、所信表明の中で、沖繩に触れる場合は、必ず北方領土に触れなければアメリカに申しわけがないというように見えるわけでございます。しかし、今度は、国民の願望を背景として忍耐強く取り組むと、こう言われております。とするならば、総理は、あるいはモスクワに乗り込んでいって、北方領土に関するソ連との交渉を持ち、やがては平和条約を、佐藤内閣のもとで締結をするという決意が含まれているのかどうか、ここにお伺いをいたします。
 次に、ニクソン大統領が今回当選をされ、いよいよ明春就任をされることになりました。ニクソン新大統領については、とかく暗い陰として論ぜられてまいりました。そこにおいて、アメリカの国内でもいろいろ批判が出たからこそ、ニュー・ニクソンとして登場しようと非常な努力を払ったことは、皆さん御承知のとおりであります。しかしながら、このニュー・ニクソンといえども、その大統領選挙の過程における演説の中では、アジアにおける問題に多く触れております。しかも、この内容を見ますときに、日本に対しては、自主防衛、軍備の強化を非常に迫ってくるかまえを見せております。あるいはその一環として、いわゆるASPACの軍事化を目途としているようにも思われるのであります。あるいはまた、御承知のように、アジアあるいはアフリカにおけるこれらの後進地域、中進地域に対しての経済援助の肩がわりも意図しているように思われるのであります。これらに対して、佐藤総理はこれに呼応するがごとく、わが国の安全と平和のために自主防衛、自分の力で守る気がまえと政策を四十四年度から遂行するのではないだろうかと思わせる節が多々あるのであります。FXの購入等を含めて、これらのことがひしひしと感ぜられるのであります。この点に対して、総理はニクソン新政権のもとにおいていかなる態度を表明しようとするのか、具体的政策を遂行しようとするのか。昨日の衆議院の答弁では、一向変わりはないと言うけれども、私どもは、そうはどうしても受け取れないのであります。
 次に、いま問題になっております世界経済、なかんずく通貨の危機であります。さきには、イギリス・ポンドの危機が報ぜられ、あるいはアメリカのドルは、つとにその不安がケネディ以来問題になってまいりました。加えて、国内の不安とともにいまフランスのフランが問題になってまいりました。今朝の新聞の伝えるところでは若干好転したとは言うけれども、長い目で見て、これら国際通貨は、まさに不安と言わなければなりません。このような不安のもとにおきましては、将来アメリカの国内景気の動向は先行き暗く、さらに欧州においては、このような通貨の不安を包蔵いたしております。この当然の所産としては、われわれ日本の高度成長下において過剰生産傾向にある今日、対外輸出貿易は不振になり、やがてわが国の産業経済は憂慮すべき状態になるのではないだろうか、このことが心配をされております。私は、この通貨に関する影響が、ここ一カ月や半年でくると申し上げているのではございません。総理の言う長い将来を見るときに、これに対する対策を必要とするのであります。それには、いわゆる対米輸出経済の依存から、これを他に転換するなり、かねてわが党が唱えてきたことが、まさに現実化しようとしているところであります。
 次に、内政問題についてお伺いをいたします。
 大学問題につきましては、昨日衆議院の本会議においていろいろやりとりがございました。この中で総理並びに坂田文相の答弁を聞きますと、大学の学生に対する評価でありますが、すでに自立的能力を失っている人間たち、あるいは自主的能力を失っているかのような答弁が中心でありました。で、これに対して背反矛盾したものは、全くそのようなもとで自主的解決を期待するということで結ばれておるのであります。政府として具体的な施策はないのであります。そこで、今日の学生が、どういう意識と現状に対する認識を持って、かような事態が露呈しているのかという、その基本的な問題について、総理並びに文相の所信をお伺いをいたします。
 さらに、大衆社会といわれている今日の大学のあるべき姿については、必ずしも明確なものを現政府は打ち出しているとは言えません。この点に対してお答えをいただきたい。
 また、紛争中の大学は数々ございます。東大をはじめ私学関係、御承知のとおりであります。ただ、これに手をこまねいているということも問題であるが、しからばといって、直接これに介入をして、荒木国家公安委員長が直接手を出すということはさらに問題なのであります。したがって問題は、私は、今日の大学の紛争の根源である、たとえば政治不信に対する要因も一つあろうかと思います。あるいは父兄の負担といい、いろいろ政治の路線であたたかく迎え、解決をしてやらなければならない問題が多々あると思うのであります。このような具体策については何ら触れられておりません。この点を明確にしていただきたいと思います。
 さらに、今日の時点に立ちましては、憂慮すべき事態がすでに出てきているのであります。明春の新しい学徒の入学という問題であります。入学試験がまさに来年は中止されようかというのは、東大をはじめ、これまた大きな問題であります。この社会問題に対して、もし入試が中止されるとすれば、非常なこれは問題なのでありますが、これに対して、いかなる対処をしようとするのか、お伺いをいたします。
 さらに、大学紛争の本源ともいうべき、特に私学に対する振興方策であります。わが国の私学の貢献している貢献度はきわめて高いのであります。今日の大学は、百四十八万人の学生を擁するといわれますが、その七五%、百十六万が私立大学の学生であります。私立学校の父兄負担は、国立に対して格段の負担が加重されております。国庫についてこれを見ても、四十三年度国の支出は、国立の学生でこれを見ますと、一人当たり国立は七十六万円、これに対して私立学校学生に相当するものは、国庫としては、一人当たり国立の二十五分の一の三万円にすぎない。また、私学振興方策調査会は、答申は出しましたが、実際に行なわれているのは、研究費の補助がわずか三十億にすぎないのであります。私は、このような実態から見て、授業料の値上げあるいは入学金の引き上げ、これらが学生騒動の発端となっている点にかんがみまして、昭和四十四年度から特段の国庫支出をいたしまして、私学振興と助成の措置をとるべきだと思うのであります。たとえば、私学振興会の融資額をさらに増額をいたしまして、高利債の借りかえを積極的に行なうというようなこと、あるいは私大は企業にとって労働力の供給源であります。企業はこのことによって繁栄している面もあるのであります。したがって、私大振興会に関する財政援助の原資としては、あるいは法人税の一部を私学振興に回すという方策も当然考えられてしかるべきでありましょう。また、私大の学生に対する日本育英会の奨学資金を、国立の学生よりももっと厚くすることを考えてはどうであろうか、このような具体的な点についてもお伺いをいたします。
 次に、今日重大なる段階に到達をいたしました国内の諸物価の高騰であります。
 総理は、所信表明の中でも重大なる決意をもってこれに当たると表明をいたしました。今日の物価の上昇の原因は、むしろ政府主導型物価上昇といわれております。まさに今日多くの私鉄、さらに国鉄、電報、電話、あるいはたばこも問題になり、多くの公共料金の値上げが軒並みであります。単に、年内、生鮮食料品の値上げを防ぐなどというような、なまやさしい問題ではないのであります。これらにつきましては幅広い、また奥行きの深い施策を必要とするのであります。
 特に私は、ここで指摘をいたしたいと思いますのは、今日の政府機構のもとにおける――特に物価問題を論ずる場合の経済企画庁の位置づけについてであります。かつて私は、本院予算委員会においても指摘をいたしましたが、経済企画庁が不要だというのではないけれども、現状においては全く機能をしていない。おそらく二度目になる菅野和太郎経済企画庁長官においてもです、何かこの営業部宣伝課長のようなことをよく言いますが、物価の値上がりの見通しは何%だとか、経済成長率は一〇%以下に押えたいとか、あれこれ言いますが、これをまじめに取り上げている実施官庁――各所管大臣が一体何人あるでしょうか。大蔵大臣はまるきり違ったことを言っている。かりに意見が内閣として統一されても、半年たたないうちにその計画は瓦解してしまうのです。経済社会発展計画においてしかりではございませんか。最終年度は三%余りに物価を押える、そんなことができるのか。絶対にやりますと佐藤さんは言ったんです。要するに、ただ易占いのようなことを言っていたのでは、決して物価はおさまってはこないのです。(拍手)ここに政府としては、もっと物価に対する真剣な取り組み、メカニズムとしての物価の取り組み、これを私は四十四年度からは実現をしてもらいたい。経済企画庁の機能に対して、もっと強化をすべきときではないだろうか。あるいはまた、流通に対しても全く無関心であります。あるいは物価の値上がり、あるいは人件費の平準化その他が言われております。農産物物価に対する問題が指摘されております。このように、中小企業やあるいは農水産業に対する施策を怠っているところに、回り回って悪循環の物価としてあらわれてきているとも言えるのであります。これらに対して、ここに抜本的取り組みを私は要求いたしたいと思うのでありますが、総理はいかにお考えか、この際、明確にしていただきたいと思います。
 さらに、物価と関連をいたしまして、国際競争力を高めるということに名をかりまして、今日通産省等の行政指導のもとに、大型合併が進められております。たとえば、鉄鋼においてしかり、自動車その他、御承知のとおりであります。これらは、要するに、今日の公正取引委員会の無力とあわせて、物価を高騰せしめるのみならず、やがて国内に独占的シェアを獲得するならば、私は、わが国の公正なる競争関係に重大な汚点を残すことになるのではないかと思います。これらに対して総理並びに所管大臣の所見をお伺いいたします。
 さらに、先ほども触れました石炭鉱業であります。企業の合併等は石炭鉱業以外については行なわれておりますけれども、今日、石炭鉱業については、依然として、いわば金融資本、銀行資本を擁護することにのみきゅうきゅうとしていると言わなければなりません。さらに言えば、二千数百億あるいは三千億になる国庫支出は、全くと言っていいほど、むだづかいをされております。石炭鉱業は、他企業に投資をするとか、あるいは今朝の新聞も伝えているように、膨大な重役をかかえて、この重役手当がまことに大幅な国庫支出でなされている。国民の血税であります。昨年来の論争を聞きましても、最後の手段としての一千億債務肩がわりと言っておりましたが、ことしまた出てまいりました。来年も、その次も、いまのままではさらに国庫の大幅負担が出てまいります。ここにおいて私は、抜本的に、国有国営なり、あるいは公社、公団なり、企業形態について触れる時期が来ていると思うが、いかがでございましょう。
 次に、社会保障について触れておきたいと思います。今日、社会保障の面におきましては、佐藤内閣になって、昭和四十二年、四十三年と、その伸び率は急速に低下をいたしております。いわば、ナショナル・ミニマムというか、最低の生活が安んじて営まれる意味においても、人間尊重をたてまえとする佐藤総理の方針から見ても、四十四年度からは特段の社会保障への経費を計上すべきだと思うが、いかがでございましょう。
 さらに、食管制度についてであります。食糧に関する問題は、今日いろいろ政治の大きな問題になってまいりました。食管制度を含む今後の政府の方針について、この際、明確にされたいと思います。
 さらに、第三次防に関連するFX購入は、国防会議などにかけないままに、まず決定が先行いたしました。これらの不明朗さはそれといたしまして他の委員会等で追及をいたしますが、買いますファントムF4は、いまの三次防予算でまいりますと、大体五十機程度になるのではないだろうかと思うが、これはこの程度で、これ以上に機数が今後はっきりと増加しないと言えるかどうか、お伺いをいたします。
 さらに、四十三年度の追加補正予算についてであります。
 人事院勧告は、当然、財政的には五月実施、完全実施ができるのであります。次回は完全実施をするように努力をすると、答弁を衆議院でいたしておりますが、今回から実施できるのであるから実施すべきではないか。
 さらに、食管の赤字補てん、繰り入れ等から見て、補正予算は当然組むべきであります。これはぜひ大蔵大臣も含めて明確な御答弁をいただきたい。
 さらに、四十四年度予算編成の基本方針についてお伺いをいたします。
 その第一は、経済見通しが明確になっておりません。これを明らかにしていただきたい。総合予算主義はすでにことし失敗をいたしました。これを改めるべきであると思うのであります。特に、四十四年度においては自然増収が相当大幅に考えられております。公債減額あるいは減税、これらの点についていかなるウエートを考えているのか、お伺いをいたします。
 さらに、明年度中にぜひとも解決すべき問題に同和対策特別措置法というものがあります。過般来、重大な問題となっております大久野島毒ガス患者の救済対策があります。これらに対する内容とその提出時期等を含め、お願いを申し上げます。
 最後に、以上のように種々問題はございますが、今日、国民にそのいずれかを問うべき時期が到来をしておりますのは、七〇年を控えた安保条約であります。これに対しては、すでに参議院の選挙において安保条約是非について国民の信は問うたと言う人もあるのであります、特に与党の中に。しかし、今日の選挙の実際の態様を見ますと、御承知のように、さっきからやじも出ていたが、自分の政党の悪口を言って、そうしておれが出ていったら直すんだというようなことを言う人が最高点で当選してくる。これが実はある選挙の側面を持っているのであります。ですから、具体的に国民に重大な関係を持つ安保条約のごときは、参議院選挙ですでに信は問われたということをいうのではなく、ここに議会の解散等の手段をもって新しく国民にその信を問うべきである、あるいは問題の所在を問うべきであると考えますが、総理はいかに考えているか、お伺いをいたしまして降壇をいたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 その前に、たいへん広範にわたり、また大事な問題を次々にお尋ねでございますので、あるいはこの機会に全部を尽くすことはできないかわかりません。それらの点は他の機会にまた譲って十分御意見も聞かしていただきたい、かように思います。
 そこで、まず第一にお尋ねのありました、多くの分野で転換期を迎えている、かようなことを私申しました。この点について御理解がいただけないようでありますので、私さらに詳しく申し上げてみたいと思います。
 この問題はいろいろの角度からとらえることができるように思いますが、現在の国際情勢の中で、日本独自の役割りを世界じゅうが認めざるを得なくなったということをまずあげたいのであります。国際紛争を武力によらないで話し合いで解決する、他国の内政には干渉しない、こういうわれわれの主張、われわれの行き方に対しまして、世界の国々が理解と認識を深め、信頼するようになった。そうして、わが国の経済力が充実するにつれまして国際的な期待が強まっているということであります。また一方では、特にこれからの国際情勢に大きな影響を与えるものとしてベトナム問題があります。国際緊張の大きな要因だったベトナム戦争はすでに終局の段階に入っております。ベトナム和平実現は、これからの国際政治に大きな転機をもたらすものと考えております。この間にあって、われわれは、とにかく平和を維持する方向にわが国外交の主眼を置き、平和達成に努力しなければならないと思う。
 このほか、国際社会の中で、転換期に直面している問題は、あるいは中共があります。あるいはチェコの問題があります。あるいは中近東、米国の大統領のかわり等がございますが、要はわれわれが、この変化に柔軟に対処し得るだけの力をたくわえることが大事だと思うのであります。これが第一であります。
 また、国内的には、急激な社会改造、変化ということに尽きると思います。たとえば、都市化の波に洗われる日本列島、技術革新のテンポの速さ、情報文化、情報革命といわれるコミュニケーションの発達などの中にあって、変貌を遂げるわれわれの生活様式、そうして、そこから過密、過疎、公害、交通、住宅、物価、大学問題などが発生しているのであります。これらは、われわれの先輩が想像だにしなかった変化であり、全く新しい試練であります。私は、この試練を克服しつつ、次の世紀に臨むために、いまほど民族の英知が求められているときはないのであります。民族の英知を結集して、誤りなくこれに対処していきたいというのが、私の考え方であります。(「原稿じゃないか」と呼ぶ者あり)大事なことでありますので、私は原稿を読んでおります。はっきり申し上げます。
 次に、野党の意見を十分聞けという――私は謙虚に野党の御意見も聞いております。そうして論議を尽くすのがこの国会の場だと、かように考えております。したがいまして、私は、いわゆる対決思想であると、かような批判は当たらないと思います。どうか皆さん方も、国会の運営にあたりまして、国会の能率をあげる、こういう意味で、ぜひとも御協力を願いたい、この点が民主主義の当然の帰結でありますので、この点をよく御理解いただきたいと思います。(拍手)そうして国民に対する政治、この信頼を回復する、このことは、与党も野党も同様に責任のあることと、かように御理解をいただきたいと思います。
 次に、政界の浄化の問題についてのお尋ねであります。政界を浄化、粛正し、清潔な政治に徹することが、われわれ政治家の国民に対するつとめだと私は思っております。かねがね、さような意味で今日も努力しております。御質問の中にありました正示君の問題につきましては、私は、別に指揮権発動などした覚えはございません。これは、どこまでも検察当局独自の考え方でこの処置を遂げたのでございまして、これは皆さん方も十分この処置について御信頼をいただきたいと思います。
 次に、安保問題についてお答えをいたします。
 一九七〇年以降、私は、日米安保条約を堅持するということをしばしば申してまいっております。この方針に変わりはございません。しかし、そのあり方はどうするかということにつきましては、まだ決定しておりません。今後、国民世論の動向を見きわめつつ、慎重に対処してまいる考えでございます。
 在日米軍基地につきましては、基地周辺住民の不安と不便を取り除くということを第一義的に考えて、万全の措置をとるべく、すでに米側と話し合いに入っております。全面返還ということを言われましたが、私は、さような点については賛成はいたしません。しかし、基地は、日本の安全に直接寄与し、日本の安全に不可分な極東の平和と安全に重要な役割りを果たしているのでありますから、この点につきましては特にこの際国民各位の御理解を得たいと思っているのであります。
 私は、公明党の方々が総点検をいたしまして、政府の対米交渉に大いに役立つような資料をいただいたこと、これも厚く御礼を申し上げたいと思います。ただ批判するだけが能ではございません。十分建設的な意見をすることが国会の義務でもあります。
 次に申し上げておきますのは沖繩問題であります。沖繩同胞の心情を理解する者といたしまして、私は、早期返還、これを実現することこそ私の最も大きな政治課題である、かように考えております。米国の新政権が発足いたしますと同時に、すみやかにこれと緊密な連携をとりまして具体的な話し合いを詰めていきたいと考えております。屋良君ともせんだってお目にかかりまして、十分提携して、早期復帰、これに協力をひとつ願いたいし、その目的を達するように話し合ったような次第であります。返還後の基地のあり方につきましては、今後の国際情勢の推移や軍事技術の進歩及び世論の動向等を考慮いたしまして、わが国及びわが国を含む極東の安全をそこなうことのなき解決をはかることが、最も現実的にしてかつ最善の策であると同時に、わが国の国益に合致する道であると、かように考えております。
 ベトナムの問題についてお尋ねがございました。具体策は和平の態様いかんにもよりますが、わが国の果たすべき役割りを大別いたしますと二つあると思います。御承知のように、基本的には、私どもは戦争に協力しない、平和の戦いには協力する、これがわが国の態度であります。一つは、ベトナム及び周辺諸国に対し、諸外国と協力して民生安定及び戦災復旧のための援助を行なうことであります。まだ具体的に申し上げる段階になってはおりません。もう一つは二国間の協力であります。難民救済もその一つであります。南ベトナム政府自身は、すでに難民収容アパートの建設等種々の計画を立てており、諸外国に対して具体的な援助についても希望を述べております。なお、これらとは別に、わが国としては、和平の見通しがつき次第、国際赤十字等を通じて戦闘被害者に対する救済援助を行なう方針であります。
 北方領土の問題につきましてお尋ねがありました。北方問題、私は絶えずこの点が念頭にあるのでありまして、社会党の方は、南を言うから北方を言うというような言い方をされますが、さようなことはございません。北も南も同じように私の念頭にあるのであります。この日ソ間の懸案であります北方領土の問題につきましては、三木前外務大臣が出かけましていろいろ交渉をし、そうして日ソ間の懸案事項について総ざらいをいたしました。しかし、なかなかいい話にならないで、何らかの中間的交渉を持ったらどうだろうというような話が出ておりまして、これを中心にして中川駐ソ大使がただいま交渉しております。しかし、ソ連側は、国後、択捉両島の返還問題につきましては、いままでどおりの態度を持して、何らの変わりはございません。私はまことに残念でございます。もしもソ連側が譲歩するような気配があれば、私自身訪ソをいたしましてソ連首脳と交渉する気持ちは十分あります。しかし、いまのところソ連の態度がかた過ぎますので、当面はただいま出かけるというような考え方は持っておりません。わが国内世論を背景に根気強くソ連に呼びかけていく考えであります。決して笑いごとではありません。はっきり申し上げておきます。
 ニクソン政権の交代につきましてお話がございました。私は、ニクソン政権が実現することによりまして米国のアジア政策が急激に変わるとは考えておりません。在野時代にいろいろな発言をいたしました、それが何かと考え方にも残り、そして、ああでもあろうか、こうでもあろうかというような想像がいま出ておるようでありますが、それらの点については、私はただいま批判を差し控えます。いずれ政権成立後いろいろその考え方がはっきりすると思いますので、当方におきましては、日米友好関係、そのもとにおいてアメリカと話を進めていくつもりでございます。
 お尋ねのありましたASPACにつきましては、これを軍事的機構の母体にするようなことはございません。これは参加各国が一致しておる考えでございますので、ただいまのところ私は、ASPACが変質を遂げる、かようには考えておりません。はっきりお答えしておきます。
 次に、通貨の問題についてお尋ねがありました。所信表明でも申しましたように、ポンド、フラン等をめぐって国際金融情勢の激動する中にありまして、外貨保有も順調に充実し、円価値を維持し、堅持し得ていることは国民各位の努力、その上にささえられたわが国経済力の反映でありまして、御同慶にたえません。今後予想される国際環境の変化に備えて、財政、金融にわたり一そう慎重な政策運営によりまして、引き続き円価値を堅持してまいりたい、かように考えております。
 次に、大学問題について、その原因は何かというようなお尋ねがございました。これは私一般的にすでにたびたびお答えしたのでございますが、さまざまな角度から論ぜられておりますし、私自身も私なりに勉強しておるつもりであります。ここではあまり多くを申しません。若いエネルギーが目標を見失って、破壊的な方向にそのはけ口を見出そうとしているということもあろうと思います。また、自由に伴う規律や責任についても学生諸君の自覚を求めたいと、私はかように考えております。個々の大学の紛争につきましては、学校当局の収拾に期待する。政府は何もしないじゃないかと、かように言われますが、まず学校当局の収拾に期待するのが当然であります。その努力を支持するというのが政府の態度であります。紛争が長引けば、御心配になりましたような、留年という事態も起こり、新入生の募集中止というようなことも考えなければならないかと思いまするが、そのもたらす社会的影響等も考慮いたしまして、事態の推移を慎重に見守りたいと思います。いずれにいたしましても、大学問題は、大学当局の問題であると同時に、政府の問題でもあり、学生自体の問題でもあります。さような立場から、全体が良識ある解決への努力を期待したいと、かように私は考えております。
 また、私学振興についてもお触れになりましたが、助成措置等、一般の努力を払ってまいる考えでございます。詳細は文部大臣からお聞き取りをいただきたい。
 物価問題を具体的にお尋ねがございました。これまた企画庁長官から詳細にお答えすると思いますが、私が申し上げたいのは、物価の安定というものは、経済全体の安定的成長の中にその鎮静を考える必要があります。特に、産業全般を通じまして構造政策を推進し、競争条件の整備をはかるとともに、低生産性部門の近代化をはかっていき、御指摘になりましたように、物価メカニズムにつきましても、改善をし、善処していくという考え方でございます。
 次に、石炭問題についてお尋ねがありました。石炭問題につきましては、近く石炭鉱業審議会から答申が出される見込みと聞いております。政府といたしましては、石炭産業健全化のために適当と考えられる施策につきましては、積極的に取り上げ、来年度の予算におきましてこれを具体化してまいる考えでございます。
 次に、社会保障についてのお尋ねがありました。人間尊重は、私の政治的な姿勢の基本でもあります。来年度予算編成にあたりましては、社会保障の充実に一そうの意を払い、真に保障を必要とするものにつきましては、きめこまかな配慮が行き届くよう、社会保障制度が確立されるよう努力してまいります。
 次に、食管会計についてのお尋ねがありました。食管制度につきましては、国民食糧の安定的供給と農家所得の向上の二つの要請を踏まえて、適当な解決策を得るために鋭意研究中であります。この問題は、将来にわたる日本経済全体とも関係の深い問題でありますので、将来に悔いを残さないよう、各方面の意見を十分しんしゃくいたしまして、政策樹立にかかっていきたいと、かように考えております。
 FXの問題についてお尋ねがありました。戦闘機の機種の選定は、防衛上、技術上の見地から客観的になされたものでありまして、きわめて公正に決定された、これは当然のこととはいいながら、関係者の努力を私は高く評価しております。ただいま、その機数は幾らになるかというようなお尋ねでありまするが、その点はまだきまっておりません。
 次に、補正予算、来年度予算編成、さらにまた公債減額、減税等のお尋ねがありましたが、これは大蔵大臣の答弁に譲りたいと思います。
 最後に、同和対策につきましてお尋ねがありました。私も、同和対策が今日いまなお解決を見ないで、これと取り組むということは、まことに残念に思っております。しかしながら、各党でことしの五月以来、この問題につきまして鋭意協議を遂げておりますので、いずれその協議あり次第、その結論によりまして立案したい、かように考えております。
 また最後に、どうも解散が気になるようでございまして、解散を聞かれましたが、昨日も衆議院ではっきりお答えいたしましたように、七〇年あるいは安保問題で解散は考えておりません。はっきり申し上げておきます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(福田赳夫君) 四十三年度の補正予算につきましては、総合予算の見地から、これを編成する考えは持っておりません。ただ、一言申し上げたいのですが、総合予算というのはあらゆる補正を排撃する意味じゃないのです。行政需要は流動しております。それに対しましては、予備費を支出する。それでも足らないときには、これは既定経費の繰り回しをやる。そういう組みかえ補正を排斥している意味ではない、これはひとつ御了承願いたいのであります。また、国家非常の際というような際に、総合予算主義をあくまで貫いて国民が非常な迷惑だというような際に、これまたこれを排斥するという考えはないのであります。それは高度の政治的判断のもとに決定さるべき問題である、かように考えているのであります。
 昭和四十四年度の予算につきましては、目下鋭意検討中であります。私がその前提となる国内情勢について非常に心配しておりますのは、御指摘の物価問題なんです。物価に悪影響を及ぼすような予算であってはならないという点であります。それからもう一つは、これまた御指摘のありました国際情勢です。非常に流動的である。これが、通貨不安が通商縮小という傾向になりますると、特に貿易日本というわが日本の経済に非常な影響をもたらすわけであります。そういう際に、わが日本の経済をどういうふうに運営するか、これはやっぱりそういう際においても、世界のそういう荒波をなるべく日本経済がかぶらないようにという考えを持たなければならぬ。これには財政政策、また金融政策を通じて弾力的なかまえをとらなければならぬと思うのであります。幸いに外貨の保有高が非常にふえてまいりましたので、多少の波風が立ちましても、日本経済の成長を維持するという最大の条件が整っておるわけであります。これを踏んまえまして、わが国経済の運営に支障のないようにやってまいりたい、これが私の基本的考えであります。
 自然増収は、四十四年度において一兆一千億をこえる状態かと見るのであります。ただ、いわゆる財政硬直化と申しますか、当然増というものがたいへんありまして、これが七千億にも及ぶのであります。そうすると、どうも財源が残りが四千億とか、そういうボーダーになってまいります。それを新規財源に充てるのでありまするけれども、なおかなりの余裕を残しまして、大体の見当でありまするが、これを半分は減税に、半分は公債の減額に充てていきたい、これがただいま私が構想をいたしておる大筋でございます。
 最後になりましたが、私が沖繩におきまして、選挙の際に、屋良主席が実現したらえらいことになる、こういうようなことを申し上げたようなお話でございまするけれども、これを要約いたしますると、屋良主席の出方いかんによりましては、これは沖繩問題はうまくいかない、(拍手)こういうことを申し上げたのであります。(発言する者多し)屋良主席にお目にかかってみましたけれども、屋良主席は非常にりっぱな態度でわれわれと応接をいたしているのであります。私は、沖繩問題が屋良主席のもとに順調にいくものということを期待し、また、そう考えているところでございます。(拍手、発言する者多し)
   〔国務大臣菅野和太郎君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(菅野和太郎君) 物価問題については、藤田君から核心に触れられた御質問があったのでありますが、大体総理からもお答えがありましたので、あるいは重複するかもしれません。いま国内問題として、やはりこの物価問題は重要な問題でありますから、したがいまして、佐藤内閣におきましても、最重要施策として、この物価問題に取り組みたいということを、先般の総理の所信表明の中にもうたわれているのであります。
 そこで、この物価問題でありますが、お話のとおりこれはその簡単に、きょう政策をとるから、あす物価が下がるというものではありませんので、これには基本的な問題と当面の問題と二つに考えなければならないと考えております。基本的な問題については、これはあるいは産業構造の問題、あるいは流通過程の問題、あるいは労力の問題、そういう問題がありますので、それらについてはそれぞれ基本的にひとつ考え直さなければならぬ、こう考えている次第であります。なお同時に、これは価格でありますからして、したがいまして、やはり生産と同時に需要ということも考えなければならぬ、そういう点において、この国民の需要ということもあわせて考えていかなければならぬ、こう考えております。そこで問題は、当座の問題として、たとえば公共料金の値上げの問題、こういうことは政府がやれる仕事でありますからして、この点につきましては慎重に考慮して善処したい、こう考えているのであります。
 なお、経済企画庁の役割りは軽いじゃないかというお話がありましたが、従来、経済企画庁の経済方針に従って政府はすべて経済政策をとっておるように私も見受けておりますので、従来の政策を私は踏襲したい、こう考えておる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(坂田道太君) 藤田さんにお答えをいたしたいと思います。
 大体学生の意識の問題、大学のあるべき姿、当面の大学紛争の具体策、それから私学の問題であったかと思います。
 学生の意識の問題でございますが、やはりどうも自立的な人間形成ができておらぬということは一般的に認められることだと思うのです。しかしながら、御承知のとおりに大学自治というものは、やはりそういう自立的人間形成のできた学生によって初めてその大学自治が行なわれると私は思います。このあるべき姿と、あるという現実、この矛盾がやはり紛争の一つの原因だというふうに私は思うわけでございます。たとえて申しますと、学問の自由というものを守るということは、これはもう当然なことなんです。しかも歴史的に見ましても、国家権力からこれを守ってきた経緯もございますが、国家権力から学問の自由を守るということについては非常にはっきりした認識を持っておりますけれども、その他の、たとえば一部政治的主張を貫くために暴力をも辞さないと、そういう学外、学内の暴力ということに対しては、きわめて、何といいますか、関心が薄いと、そういうことはよくないのであって、むしろ私は民主主義の敵は暴力であるというふうに思うのでございまして、大学当局も学生も、国民も政党も、みんなこの暴力はいかぬということを考えなければ、とうていわれわれの大学の学問の自由、大学の自治を守ることはできないと私は考えるのであります。(拍手)
 それから大学のあるべき姿でございますが、やはり量的、質的に変化をいたしました今日の大学――今日の社会の激変、この二十年間の経済的あるいは社会的いろいろの変化というものは、われわれ人類が五百年あるいは千年に対応してきましたことを一挙に二十年間において適応しようとしておるんでございますから、さまざまな欠陥が生ずることもやむを得ないと思います。しかし、この社会の変化に対して、一体大学当局が対応しておるかというと、どうも対応できなくなっておるのではないだろうかというふうに私は思うのでございます。今日学生の意思を踏まえて反映、声を踏まえて大学当局が運営をしていかなければならないということも、これまた当然でございます。しかしながら、たとえば、紛争中の東大のごときは、一人の学生に対しまして百二十六万円の税金をわれわれは払っておる、そういうことを踏まえまするならば、学生の意思の反映ということをいうと同時に、私は国民の意思の反映というものを踏まえて大学当局が大学の自治、管理、運営をやっていただかなければならないと思う次第でございます。(拍手)当面の問題に、紛争につきましては、総理がお答えになったとおりでございまするが、今日、国民、父兄ひとしく憂慮をいたしております。心配をいたしております。私、文部大臣――責任者といたしまして、全力をふるいまして一日も早くこの紛争を収拾するために努力をいたす決意を申し上げまして御了承をいただきたいと思います。(拍手)
 また、私学問題について種々貴重なる御意見をいただきました。私どもも、今日百五十万のうちに七五%の百十六万の学生というものが私立大学に通っておるということを踏まえまして、しかも一方、国立大学一人当たりに対して国は七十六万円も払っておるのに対しまして、私立に対してはわずかに一万円以下であると、こういうことを考えまする場合には、国公私立を問わず、大学というものを、大学問題を考える場合には、やはり国公私立のおのおのの性格はございましょうけれども、そういうことを踏まえて具体策を考え、検討いたしていきたいと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(大平正芳君) 第一は、国際通貨不安が貿易の萎縮を招きはしないかという憂いは、藤田さんと私もともにするわけでございますが、ことしは幸いにいたしまして、ポンドもフランも、こういう主要通貨が、貿易通貨としての機能を、各国の協力によりまして、これにはわが国も応分の寄与をいたしたわけでございますが、そこなわれることなく貿易の拡大を見ましたことは、御同慶であったと思います。ただ、これから御指摘のように不安がつのりまして、貿易が委縮することのないように、国際協力を慎重に進めてまいりまして、御懸念のないような方向に施策を進めてまいらなければならぬと考えております。
 次は、大型合併問題でございますが、この問題につきまして、産業政策を担当しておるお前の意見はどうかと問われるならば、私は、経済がこのように国際化いたしてきました今日、わが国の産業が、でき得れば国際的に戦える体質を持つような方向に施策を進めるべきだと思います。したがいまして、合併によって規模の利益を身につける余地があれば、合併また歓迎すべきではないかと、私の立場からは考えております。しかしながら、合併によりまして鋼材その他の価格が硬直化して管理価格化しはしないかという懸念はいたしますけれども、わが国の実際は相当競争の余地があり、若い競争力を持っておる経済でございまするので、私どもの見解では、管理価格化しはしないかというのは、やや取り越し苦労ではないかというように考えております。しかしながら、この問題は学界におきましても経済界におきましても、大きな陣営に分かれて論争がいま行なわれておりまするし、公正取引委員会におきましてはそのお立場におきまして公正な審理が続けられておりまするので、これに対してとやかく論評は避けたいと思います。
 それから最後に石炭問題でございますが、石炭産業が御指摘のように非常な危機にあるということはたいへん残念でございます。これに対しまして、あなたが言われましたように、国有化とかあるいは公社、公団というような体制問題に大きく踏み切らなければ再建はおぼつかないんじゃないかという御意見、よく拝聴いたしたのでございますが、しかし、私どもの見解では、どうも石炭の各企業、各山々の実態は非常に千差万別でございまして、賃金の格差も鉱害の格差も非常に激しいし、それから関連産業のあり方もまちまちだし、財政力、金融力もまちまちでございまするし、生産の条件もまちまちでございます。したがいまして、一がいに一つのワクで問題を片づけるのには少し乱暴過ぎやしないかということで、できるだけ実態に即しつつ、かつ、御指摘の体制的な配慮を加えて、再建に役立つ部面は十分吸収しつつ、この険しい道でございますけれども、石炭の再建の道を切り開いていくべく、せっかく努力中でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(重宗雄三君) 松永忠二君。
   〔松永忠二君登壇、拍手〕
#12
○松永忠二君 私は、日本社会党を代表して、総理の所信表明に関連して質問をいたします。
 まず、冒頭、私は、総理の所信表明に対する感想を述べて、総理の反省を求めたいと思うのであります。
 総理は、世界はいま重大な転換期であり、日本またその一環として数々の困難な問題に直面し、新しい試練に立つことを指摘しているのであります。かかる重要な際、しかも、佐藤三選内閣最初の国会であります。国民は、国内外の重要な課題に対し、総理の率直な考えや具体的政策を聞くことを期待し、切望していると存じます。しかし、一体、この所信表明は、はたしてこの期待にこたえているでありましょうか。新しい国際情勢の展開に応じて日本の外交の姿勢がどう変わっていくのかということについては、ほとんど触れておりません。当面する最大の課題が沖繩の早期返還にあると指摘をしておきながら、沖繩の返還については、安全保障上の要請を踏まえつつという、すこぶるばく然としたことばで述べて、どんな形で返還を交渉するのか、基本の方針は明確にされていません。中共の柔軟な態度を期待するだけで、日本のこれに対応する外交の姿勢には一音も触れていないのであります。日本の直面する試練として大学問題をとらえながら、学生の行動を非難し、反省を求めるだけで、ここに至らせた政府や政党の責任や反省には一言も触れていないのであります。教育環境をつくる決意だけを披瀝して、それに関する具体的な提案もなければ、学生を説得する思想的なものもありません。国民生活を守る最重点施策が消費者物価の安定だと言いながら、年末の生鮮食料に触れただけで、聞くべき何らの物価対策も述べられていないのであります。政治家の任務は、必要なときに必要なことを述べることであります。日本の政治家に欠けるのは、深い思想や思索を持たないということであります。風格ある政治ということばは、あなたの口から聞いたことであります。この短い、具体性のない思想性の乏しい所信表明から受けるものは、臨時国会だからこの程度にとどめようという慣例に基づく行政官的感覚だけであります。かかる重要なとき、慣例を破り、国民の聞きたいことに具体的にこたえるという所信表明が聞かれないことをいかにも残念に存じます。(拍手)これは大官房長官という保利官房長官にも責任があるでありましょうけれども、率直な総理の反省と所感をお聞かせいただきたいのであります。
 政府は、四十四年度経済見通しの作成に取りかかり、民間の経済団体や研究所等もその見通しを発表しております。来年度の国民総生産の伸び率は、実質一〇%ないし一二%となり、本年度とあまり変わらない基調を続けるとの見方が強いのであります。民間設備投資については、二〇%台の伸び率を続けると見られているのであります。こうした中で、国際収支の黒字は一億ドル程度、物価上昇率は五%から六%の上昇になりかねないという見方が強いのであります。こうした中で、来年度予算は、国際通貨の不安もあり、警戒中立予算を組むという方針も出されています。
 しかし、ここで問題にすべきのは、民間設備投資と政府投資の関連であると思います。政府のきめた経済社会発展計画は、社会資本と民間資本とのアンバランスを是正して、経済の安定した成長をはかろうとしているのであります。しかるに、民間設備投資は常に計画を上回り、政府の固定資本投資は計画を常に下回っているのであります。実際の国民総生産の伸びが計画を大幅に上回っているのでありますから、それより下回った計画の国民総生産と比較してなお下回っているのでありますから、政府投資の不足ははなはだしいものがあるのであります。しかも、その政府投資の大部分が生産基盤に回され、生活環境基盤に回されることが少ないのでありますから、総理が総裁三選立候補の際に社会開発はおくれていると認めたのも当然なことであります。計画達成からすれば、住宅、環境衛生、国土保全の施設など、毎年三〇%以上の増加率が実現されなければならないのが、最近数年間、名目でも毎年二〇%以下の増加率にとどまっているのであります。来年度の予算編成に際しては、生活環境基盤の政府投資は大幅に拡大をはかるべきであると思うが、この点についての総理の見解をお聞かせいただきたいのであります。
 民間設備投資は四十四年度に十兆円台を突破することが予想されますが、これは計画の四十六年度想定規模の八兆九千三百億円を大幅に上回るものであります。このような激増を可能にしている根拠は、法人所得の伸びの著しい結果であります。実質有効需要を政府投資以外の政策で抑制するためにも、民間投資の伸び率を押える必要があります。この際、民間投資に対する租税政策の影響を強めるべきであると思います。以上の理由から、法人税の増税が必要であります。百七十八の租税特別措置の整理や、千七百億にのぼる交際費課税の強化、投資平準化準備金などの政策の導入なども必要でありますけれども、この点について大蔵大臣の考え方をお聞きいたしたいのであります。
 経済の成長と物価の安定をはかり、安定した経済成長をはかることは、佐藤内閣発足以来の最大の課題であり、物価対策に革命的方策を講ずるということばもあなたの口から聞いたことばであります。しかし、消費者物価の上昇は、四十年度不況下の中で七・二%、四十三年度は五%以上の上昇となり、明年もまた六%をこすとの予想すら出ているところであります。経済企画庁長官ですら、五%以下に押えたいというほどであるのであります。物価問題はいつも国民の不満の的であります。安定した経済成長政策は、まさに失敗したと言って過言ではありません。しかも、受益者負担の原則が予算編成にあたって強調され、国鉄運賃、電話・電報料金、健康保険料、国立大学授業料、地下鉄、私鉄運賃など、公共料金は一斉に引き上げられようとしているのであります。受益者負担の原則の導入は、一見公平なように見えますけれども、実は、貧富の差の大きい社会では、貧困者を公共サービスから遠ざける結果になるのであります。中小企業、農業の生産性を高めます、生産性の高い産業の製品価格を下げます、流通構造を改めます、などと、わかったお題目を並べてみても、もう国民は信用いたしません。財政主導型の物価騰貴を押えるために、公共料金の引き上げをどう具体的に抑制をするのか、総需要の中心である民間設備投資をどう押えるのか、公共投資の効果を減少させ、著しい騰貴を示している地価を一体どう抑制するのか、具体的にひとつ総理大臣の答弁を要求いたします。(拍手)
 また、経済企画庁長官は、本年度の消費者物価の上昇は何%になると考えているのでありますか。いかなる理由から明年度五%以下に押えることができると考えているのか、明らかにしていただきたいのであります。
 本年産米の買い入れ量は、当初予想の八百万トン程度から九百六十万トン以上に達し、食管会計内でやりくりできる限度を上回り、その上、国民健康保険に対する国庫負担の追加を中心に、義務的経費の精算払いが予想以上の多額にのぼり、一般会計予備費、不用、節約など、予算の範囲内のやりくりでまかなえる公算が非常に実は少なくなってきているのであります。したがって、税の自然増収の一部を財源として、歳出の追加補正を行なわなければならないと考えられます。自然増収は、当初予想を優に二千億も上回るのであります。予想しなかった事態が生すれば、補正予算を組むという財政法のたてまえからも、経済情勢の変化に応じて、弾力的に運営される財政の立場からも、補正予算を組むのは当然のことであります。
 私は食管制度の改悪には反対でありますけれども、法律や制度を改めないでおいて、予算のワクをはめるのでは全く本末転倒であります。経済変動の激しい中で、財政だけを固定化することは、財政の弾力的運営を害し、財政本来の任務の遂行を妨げるものであります。一体大蔵大臣は、この硬直した総合予算主義を来年度も実施するつもりであるのか、また、当然本年度予算においても、追加補正を行なうべきだと思うのでありますが、大蔵大臣の見解をお聞きしたいのであります。また、組みかえ予算で済むというなら、数字的なめどをひとつ明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 人事院勧告を尊重することは、政府の方針だと繰り返し言明しておりました。完全実施は世論もこれを支持し、公務員も強く要求しているところであります。人事院勧告は、政府と国会に対して出されるものでありますが、衆参の内閣委員会は、勧告実施を決議しているのであります。物価は政府の目標の四・八%を上回る上昇であり、自然増収の伸びは二千億をこえるのであります。国債償還も必要でありましょうけれども、自然増収のすべてを一体これに回すという法律的な根拠はありません。本年は人事院勧告完全実施の条件はすべて整っているのであります。これでも実施をしないというならば、総合予算主義は、賃金を押える所得政策だと言って差しつかえはないのであります。(拍手)政府は、勧告完全実施をもとにした給与法の改正を提案すべきであると思いますけれども、大蔵大臣の見解をお聞きしたいのであります。
 また、四十四年度予算編成に際して、人事院勧告完全実施の基本方針を踏まえて、すみやかに最終結論を得るというのは、給与関係閣僚協議会の結論でもありますし、閣議口頭了解とも聞いておるのであります。これが確実に具体化するかどうかということは、もう佐藤総理の決断にかかっていると考えるのでありますが、その御決意をお聞きしたいのであります。
 次に、大学問題をお尋ねいたします。
 まず、大学問題を引き起こした背景についてであります。
 第一点は、古典的な大学の崩壊の現象、マスプロ教育の現状ということであります。大学生の数が同年齢人口の二〇%を占めるに至っているのに、大学はいつまでもエリート養成所であり、学問の自由、大学自治の名のもとに、教授会自治中心で、封建的かつ非能率的であります。また一面、象牙の塔的旧態依然たる封鎖性をも色濃く持って、社会の要請にも十分応ずることができなくなってまいりました。ある大学では、収容定員以下の講座は七十八講座のうち三講座、教養課程などでは一人の先生が三千人の学生を持っている講座もあるようになりました。このマスプロ教育の中で学生は孤独と人間疎外の感情に陥り、こうした孤独感の解決をサークルに求めたり学生運動の中に求めるようになってきたことも当然のことであります。特に私学の教育ではこの弊害が著しく、国立大学に比べて四倍の学費を出しながら施設は四分の一にすぎません。
 企業本位の大学経営にも強い批判が出てきています。学生紛争にあたって、一般の学生が過激な学生運動に批判を持ちながらも、この欠陥の是正を求める運動には賛成し、支持することは当然であります。いかに説得や対話にすぐれた大学の教授といえども、この欠陥を指摘しての学生運動の前には、十分な説得をなし得ないのは当然であります。
 第二の点は、政治や社会に対する反発不満であります。現在の民主主義が形式化し、自分の運命に関する問題が自己とかかわりなしに決定されることに強い不満を抱いておるのであります。また、現在の政治的情勢下では、日本社会がどうなるかわからないという不安と危機感を持ち、ベトナム戦争の激化の中で日本人が戦争に巻き込まれる危険を感じ、安保条約が日本にこのきたない戦争への加担を義務づけ、自分もまたこの戦争の責任を免れないという認識を持つようになってきました。一九七〇年は、この日本の救済と自己救済が一つの行為のうちに結合する決定的なときだと考えてきているのであります。
 戦後の教育のゆがみにその一つの原因がありとするならば、私は、教育基本法の目ざす個人の人格尊厳を忘れ、中学、高校を試験準備の場とし、大学教育を就職の条件と考え、人間不在の教育が行なわれてきたことに責任があると思うのであります。個人の人格の尊厳が、他人の人格尊重に通ずるものであり、個人の自由が、規律や責任を背後に持つことを強調することに乏しかった教育にも、その原因があると思うのであります。
 以上、大学問題の背景を述べましたけれども、首相の見解をお聞きしたいのであります。
 以上の原因を取り除くためには、憲法や教育基本法に基づく国民の大学という新しい大学を創造する以外に道はありません。問題は、こうした大学をどうしてつくるかという方法であります。この方法は、大学みずからの力と思考で進められなくてはなりません。それには、まず確立をされなければならないのは、大学の自治であります。従来の学部教授自治を改めて、助教授、講師、助手も参加できる教官の自治に拡大されなければならないのであります。特に重要視しなくてはならないのは、学生の自治を確立するということであります。東大の加藤代行は、その提案の中で、学生はかつてのように単に教育される立場にあるのではなく、大学の一員として個有の要求を持つものとして存在をしている、大学の自治は教授会の自治であるという従来の考え方は、再検討に迫られている、大学の将来に関する基本問題を検討する委員会をつくって、大学の改革の問題について学生諸君と検討を進めていきたいと述べているのであります。
 大学の管理運営、学長選挙、カリキュラムの編成、学寮、学生会館、学生処分等について、問題によっては教官自治が学生自治の上に立ち、学寮、学生会館などの問題では、むしろ学生自治が教官自治の上に立ちながら、大学の自治の実現を期すべきものだと考えるのでありますが、総理大臣並びに文部大臣のお考えをお聞きしたいのであります。
 加藤学長代行は交代以来、全学集会を開くよう呼びかけ、そのために努力を重ねてきています。学生への大学提案も示しました。この提案集会を通じて、全学集会への道を切り開きたいと努力しているのであります。従来のような一部活動家による請け負い闘争から脱皮して、全学生の関心を集めて全学集会の成功から解決の手がかりをつかむよりほかにないと考えているからであります。一般学生立ち上がれ、奮起せよと口で要請してみたところが、どうにもなりません。一般学生を立ち上がらせる具体的な方法は、これ以外にないのではありませんか。全学集会というも、大衆団交というも、その内容に変化はありません。大衆団交は秩序を破壊するもので許せない、などという一体見解を発表したのはだれですか、総理大臣の見解をお聞きしたいのであります。
 また、学内占拠の学生を排除するに警官を導入してはなりません。これはいかにも筋の通らないなまぬるい態度のようでありますが、対決と挑発では、学園の紛争は片づきません。信頼と対話の中で一般学生の支持を求めることこそ、学内占拠する反対派学生に対処するかぎだと思います。一たん警察力をかりれば、その後幾度となく警察力によって大学の秩序を回復するよりほか道はなくなるのであります。
 加藤代行が人命の危険、人権の重大な侵害ないしは緊急の必要が必ずしもなかった事態のもとで、警官を導入すべきではなかったとし、法的に見れば正規の令状に基づく学内捜査を拒否することはできないが、その場合でも、大学に当否の判断を求めるという慣行を堅持していく方針だ、学内での学生の自治活動に関する警察の調査や捜査については、警察の要請があった場合にも、原則的にこれを拒否するという態度を貫きたいと述べているのであります。国家公安委員長のこれに対する見解をお聞きをしたいのであります。
 留年、入試の問題もやかましい問題であります。大学に入ればところてん式に卒業するのではなく、時間が足りなければ、成績が悪ければ、留年や卒業延期や退学者が出る。こうした教育内容を通じて、学内の粛正をはかるべきである。このことについては、異存を示すものがあるはずはないのであります。しかし、留年や卒業延期は大学や文部省が学内の紛争収拾の圧力として利用すべき問題ではありません。新聞報道などによると、大蔵省は留年処理費は出さない、留年生に対しては、事情を問わず奨学金を全部ストップするというきびしい措置をしようとしているとも伝えられているのでありますが、大蔵省が予算を圧力にして、大学紛争の処理をますます困難にさせるこれらの措置は許さるべきことではないと思うのであります。
 国立大学入試について、他大学に振り分け措置をしようとすることについてはやむを得ない措置だと思うのであります。このため国の予算措置や他大学の協力は当然といわなければなりません。以上の諸問題について、総理大臣並びに大蔵大臣の考え方や処理の方法についてお聞きをしたいのであります。
 この際文部省の態度について二、三お聞きをいたします。
 文部省はいままで、大学の努力を見守るという態度をとってきました。私は、現段階でなすべきことは、むしろ静観ではないと思うのであります。大学紛争の背景を取り除くために教官の増員、研究施設の充実、私学助成内容の前進について計画を立て、少なくとも、明年度の予算要求等の構想を明らかにして、大学側に側面的な支援を具体的におくるべきだと思うのであります。(拍手)
 私立大学については、大学設置基準による調査を実施すべきである。しかるに、そうした具体的な措置はとらないで、内に強権発動の意思を示して、陰に圧力を示してみたり、警官の学内捜査に協力を求めたり、紛争を続けている大学に研究費補助をストップしてみたり、事ここに至って中教審に答申を求めたり、省内に大学対策委員会をつくったりしたのであります。まさに適切な措置をとったとは言えませんけれども、文部大臣は、これについてどう出やえるか、お答えをいただきたいのであります。
 大学の紛争に直面するにあたっても、みずからが勤労し、税金を一方に納めながら、勉学を続けている勤労青年について、国はその責任を果たしていないことを痛感するものであります。大都市にあっての私立大学の第二部は、かつてはこうした機関の中心でありましたが、授業料の相次ぐ高騰によって、能力ある勤労青少年にとって、私学夜間の門はますます閉ざされつつあるのであります。したがって、国公立大学の第二部及び併設短期大学の意義がきわめて増大してきているのであります。独立した勤労青年の大学や短大をつくるべきであります。直ちに、低い基準を改め、また、予算の配分の方法等も改むべきであります。経済的な負担も軽くすべきであります。これらについて、文部大臣の見解と決意をお聞かせをいただきたいのであります。
 次に、政党や経済団体の大学問題に対する態度の問題であります。大学問題の一つの背景が政治や社会に対する不満にあることを思うにつけ、真の民主主義の樹立と豊かな社会の建設に努力するとともに、特に戦争、平和の問題について、学生が危機感を抱いて、政党にかわる行動を必要としないほどの具体的な政策の樹立と活発な活動を展開しなくてはなりません。これは保守、革新を問わず、与党、野党を問わない政党の責任であり、この点の反省と努力を政党が示すことが、大学問題に対する政党の責任であると考えるのであります。(拍手)
 大学が就職の条件をつくる場所となったり、学閥、学歴を偏重する気風は、むしろ会社の就職条件に起因するものが多いように思います。なぜ大学卒業程度の学力という条件で、学歴を問わない、学校を問わない就職試験ができないのでありましょうか。また、経済団体は、個々の学生の調査も行なわず、紛糾している大学生の就職を取り消したり、取り消しても補償の責任はないという方針を流したりして、むしろ大学問題の処理を一そう困難にさせているのであります。
 総理大臣や文部大臣は、この二つのことについて、具体的に経済団体に働きかける用意があるのでありますか、この点をお聞きをしたいのであります。(拍手)
 学生に望みたいことは、過去の大学紛争に対する責任の一端がおのれにもあるということであります。その反省の上に立って、大学側との対話を通じ、一日も早く授業再開の道を開かれるよう切望したいのであります。
 最後に、一般学生は立たない、全学集会は開かれない、学生の学内占拠は解かれないとき、一体どうするかという問題であります。立ち上がらない一般学生、立ち上がることがむしろできない一般学生の一人一人の意思をどう聞くかということであります。文書で求めることも一つの方法でありましょう。その意思を集約し、その最大公約数の結論と、総教官の決意の上に立って、授業を再開する方法も残されているのであります。その授業再開が学生の暴力に妨げられ、一般学生がそれを傍観するときこそ、大学の判断によって一時閉鎖や休校もやむを得ません。しかし、学生の多数の意思が確認をされたとき、それを背景に教官のすべてが立ち上がったとき、政府や政党や各種の団体は、国民全体の意思として大学の行なう授業再開に、一般学生の立ち上がりに、支援と協力を惜しんではならないと思うのであります。このときこそ、国会はその意思を決議として表明することも必要でありましょう。衷心を吐露した総理大臣の呼びかけも必要とするでありましょう。私は、このような事態が起こることのないことを切望するとともに、かかる決意を持ちながら、最後の大学当局の努力と学生の反省と決意を要望したいところであります。総理大臣の決意を尋ねて質問を終わりたいと思うのであります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 まず第一に、私の所信表明につきましての御意見を交えての御批判でございますが、これは私も謙虚に伺ったつもりでございます。また、今後ともそういう点を参考にしたいと思います。ただ、その中で、世界はどんどん変わっていく、そういう場合に、どう日本がこれに変わって対処するのか、そういう点がどうも明確でない、安全保障の問題についてもまたこれは明確でない、中共にはどう対処するのか、というようなお尋ねがございますので、この点で一言私の所見を申し上げておきます。
 私は、先ほども藤田君にお答えいたしましたように、わが国の態度は、またその方向は、進むべき道は、はっきりしているのだということを申しました。私は、周囲の状況が変わりましても、この基本的態度は守っていきたいのであります。いわゆをネコの目の変わるように、四囲の状況で変わるということはしないつもりでございます。また、安全保障の問題につきましては、ただいままで私自身が、その堅持はするけれども、その方式等についてはまだ研究中だということを申しておりますので、御理解をいただきたいと思いますし、また、沖繩の問題につきましても、私どもが、わが国の安全確保にどうしたらいいのか、わが国の安全を第一に考える、そうしてその要請を踏んまえた上でこの態度をきめる、かようにも申しておるのでありますから、これまた御理解をいただきたいと思います。
 中共の問題につきましては、私は中共の出方をただいま見守っておる。今日まで、わが国の態度も、これまたきまっております。私どもは、善隣友好、隣の国と仲よくする、そうしてお互いに内政に干渉しない、こういう原則でやっていこう、かように申しておりますので、これも、ただいまの、中共自身に柔軟な態度を希望する、期待する、こういうことで、私のほうの態度を明確にしておらないと言われるけれども、実は明確にしておるのでありますから、誤解のないように願います。
 次に、予算の問題についてお尋ねがありました。お答えをいたします。
 来年度予算は、所信表明でも明確にいたしましたとおり、経済に過熱をもたらさないような適度の規模のものでなければならない、かように考えております。その中にありまして、生活基盤の整備のための政府投資につきましては、均衡のとれた財源配分の中に及ぶ限りの充実をはかっていくつもりであります。この点については、具体的にはさらに大蔵大臣からお聞き取りをいただきたいと思います。私は、官、国だけが先行する形は必ずしもいいこととは思っておりません。
 次に、物価対策でありますが、公共料金の引き上げ、これは各方面に多大の影響を及ぼすのでありますから、この問題については、本来極力慎重でなければならないことは申し上げるまでもございません。したがいまして、まず、企業努力によりまして、この料金の引き上げをしなくても済むように努力することが第一であります。しかし、一面、これを無理に抑制をいたしますと、経済原則にも反しますし、国民負担の公平をそこなうことにもなりますので、真にやむを得ないものにつきましては必要最小限度の引き上げを検討しなければならない、かように考えております。
 次に、民間設備投資を抑制せよ、こういうような御意見が出ましたが、最近の物価上昇は、基本的には構造的な要因の面が大きく考えられます。かつ、設備投資も物価に悪影響を与えるものだ、かようにも言われます。しかし、悪影響のみを与えるものでもございませんから、現在のところ、これを抑制するようなつもりはありません。
 地価対策につきましては、去る十一月の関係閣僚会議で新しい方針が決定されましたので、一連の対策を強力に推進してまいる考えでございます。
 また、人事院勧告につきましては、昨日も衆議院で詳しく答えましたが、ことしはすでに閣議決定をいたしましたととろでございます。今後とも、さらにこの問題につきましては真剣に取り組みまして、明年度予算編成時を目途にいたしまして、さらに改善を加えていくということに努力いたしたいと思います。
 最も松永君の力を入れられました問題は大学問題であります。さすがに教育者である松永君、私も大いに傾聴いたしました。また、大いに教えられるところがあったと、かように考えます。今日の問題は、御指摘にもありましたように、かつての七、八万の大学から、百四十万、百五十万という、まあ多数の学生を擁するような、いわゆるマス大学になった。ここに問題がある。かように御指摘であります。私は、かような大学ができたことは時代の要請であって、これが悪かったとは思いません。したがいまして、私は、この多数の学生を擁するような大学制度が生まれた、それこそは時代の要請である、そうして学問は開放された、すべての国民が最高学府に学ぶことができるようになった、これはたいへんけっこうなことだと思います。しかしながら、マス大学になったその変貌、それを十分理解しないところに問題があるのではないかと思う。これだけの学生を擁するようになった、それが必要であった。先生も、生徒も、父兄も、社会も、もう大学は昔のようなエリートだけの大学ではないんだ、象牙の塔ではないんだ、こういうことに気がついていたら、もっと、こういう事柄についての態勢を、時期を誤らないで済んだのではないかと思います。ことに、ただいま御指摘になりましたように、こういう多数の学生を擁するようになれば、これ明らかに人間疎外の大学だ、かように言われる。私もそのとおりだと思います。こういうような欠陥も、時代の要請によって生まれた大きな大学、しかも、その大学が当然当面するであろう欠陥、そういうものに対して、私どもが絶えざる注意と、それに対する対策を怠ったと、こういう点に今日の問題が起きているのではないかと思います。したがいまして――ただいまの学生問題は、それぞれの原因によってそれぞれが違うようであります。たとえば、東京大学の問題は医学部の問題であり、あるいは慶應大学の問題はアメリカからの援助の問題であった等々の、それぞれの違った問題がありますが、今日のような全学の学生問題になってきた場合に、そういう個々の問題ではなくて、学生そのものについて、われわれ考えなきゃならぬのだろうと、かように思うのであります。私は、皆さん方から、政府は一体何をしていたか、また、政府の責任じゃないか、かようにも言われる。また私は、学生も、先生も、父兄も、そういう点について、社会も、全部が見直さなきゃならないのじゃないかと、かように思うのであります。私は別にセンチメンタリズムに訴えるつもりはありませんが、父兄、ことに全学連の子供を持った父兄、それらの心情を思いますと、ほんとうにどうしたらいいだろうか。これは、私自身も、私に、もしさような子供がいたらどうするだろう。皆さんもそれを考えてごらんなさい。皆さんのところにそういうお子さんがもしあったらどうなさるか。私は、こういう点で、この問題を、いま松永さんのお話を聞きながら、ほんとうにこれは真剣に取り組まなきゃならない、これは他人の問題ではないんだ、かように私は思っておるような次第であります。その将来につきましていろいろお話があるかと思います。また、文部大臣からもお答えすると思います。
 そこで、一つの問題で、学生の自治問題についてお話がありました。学生の自治活動、これはもう、教育的意義にかんがみまして、従来からも各大学でやっておることであります。しかしながら、学生参加につきましては、その内容、方法等が必ずしも明確ではありませんし、また、一がいに学生参加がいいとは申しません。学生の正しい意見や希望が大学の運営に十分反映されることは必要だと私も考えております。しかしながら、学生は行政上の責任を負うものではありません。その参加にも、おのずから限度があるのではないかと思います。また、大学紛争の解決の方法として、大学当局と学生一般が、互いに意見を述べ、話し合うために集会を持つことは、一つの方法ではないかと私も考えます。しかし、この集会を持つと申しましても、いままでしばしば行なわれましたように、何らの秩序もない、ああいう状態はいかがかと思います。そこで、その話し合いは、一定の秩序のもとに、平静に行なわれることが前提だと私は思っております。
 また、お尋ねになりました、一部企業が、就職の内定した者を取り消した、こういうような問題がある。これはもう明らかに社会問題になります。しかし、この問題は、個々の企業自体の問題であり、政府がとやかく言うべきものとは私は思いません。私は、これはやはり、会社には会社のしきたりがありまして、あらゆる者を収容するというわけにはなかなかいかないのではないかと思います。若年労働者の不足という本質的な問題とは、この問題は一緒にはできないのではないかと思います。
 最後に、紛争が長引く大学につきまして、先ほども一言触れましたが、学校の閉鎖などの強硬手段が行なわれる、あるいはこういうようなことが出てくるだろうと思いますが、そういう点につきまして政府は最後の考え方があるのか――もちろん、政府は政治の最高責任者でありますから、そういう意味におきまして、責任は考えなければならない、責任はとらなければならぬと思います。しかし、私は、何と申しましても、大学問題に政府が直接介入する、こういうようなことは、できるだけ避けなきゃならない。もう原則として、そういうことは避ける、かように申し、断言いたしましてもいいのではないかと思います。どこまでも、大学当局、これがまず第一のこの解決者でなければならない、かように思います。しかし、政府は、また文部省も、よきアドバイザーであることは、これは当然の責任としてするつもりであります。それらの点につきましても、各党とも十分これらの問題に取り組んでいただきたい。よろしくお願いをいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(福田赳夫君) 財政運営の中で、産業投資を押えて、生活基盤というか、財政のほうを拡大する考えはないか、かようなお話を承ったのでありますが、確かに、さような財政上、あるいは金融上、いろいろな配意をしておる必要はあると思うのです。ただ、当面、いま日本の経済情勢は非常に順調だと、かように観念をいたしております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 昭和四十一年から、とにかく四十カ月近い成長繁栄を続けておる。私は、今後の最大の課題は、この成長のカーブをどこまでも持ち続けさせると、こういうところにあると思うのであります。ただ、その中におきまして、さあ財政投資と、つまり生活基盤、産業基盤――社会基盤ですね、社会基盤、そういうものと、それから産業投資とのバランスをどうとるか、こういう点は非常に重大な問題であると、かように考えておるのであります。
 そこで、産業需要につきましては、過般まで金融引き締め政策がとられておったわけであります。産業基盤の整備という産業投資が、これが行き過ぎの傾向があったのでありますので、引き締め政策がとられた。これを、この夏ごろから解除したばかりなのであります。ただいまのところは、これがまた爆発的なことになっては困るのでありまするから、それを警戒しながら、慎重な金融政策をとっていきたい、かように考えております。
 一方、この生活基盤や、あるいは社会資本、そういうもののための財政需要でありますが、これは年々増大するわけでございます。この増加の趨勢というものを押えることはできませんけれども、しかし、経済の動き全体が今後ともなめらかに成長するためには、これを伸ばしたり縮めたりすることも考えなければならぬ。そのための手段として、今日公債政策というものを持っておるわけでございまするから、この公債政策を弾力的に運営いたしまして、さような目的を果たしていきたい、かように考えておるのであります。
 なお、その際法人税の運用を気をつけたらどうかというようなお話でありますが、これはもちろん気をつけてまいります。
 また、交際費課税についても御指摘がありました。これも検討いたしておるところであります。それから、追加補正をするかどうかという問題は、先ほどお答えをしたとおりでありまして、今後とも総合予算につきましてはこれを堅持してまいる、かような考えであることを御了承願いたいのであります。なお、その間におきまして、明年度の給与予算をどうするかというお話でありますが、総合予算の中におきまして、ただいま閣議で検討しておる。方向はどういうふうに実現されるか、前向きの姿勢で検討いたしておるところであります。なお、留年経費を大蔵省は支出しないんだというようなことを言っておるということでございますが、さようなことをまだ私が申し上げる段階じゃないのです。文部大臣が大学問題についてどういう収拾策を出してくれるか、私も、大学問題につきましては当面の最大の問題だというふうに考えております。文部大臣の要請を待って十分協議いたしまして、大学問題の解決に慎重に取り組んでまいりたい、遺憾なきを期してまいりたい、かように考えていることを申し上げておきます。(拍手)
   〔国務大臣菅野和太郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(菅野和太郎君) 消費者物価の上昇率についてお尋ねがあったのでありますが、本年度は四・八%の上昇率ということを考えておったのでありましたが、今日までの実勢におきましては、おそらく五・七%になるのじゃないかということを実は考えられておるのでありまして、予想以上に物価が上昇しておることはまことに遺憾だと考えております。
 そこで、来年度はどうかというお話がありましたが、来年度につきましては、いまいろいろ材料を集めて調査研究中でありますが、私個人の希望といたしましては、できれば五%以内に上昇率をとどめたいという希望を持っております。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(坂田道太君) 松永さんにお答えをいたしたいと思います。大学自治と参加の問題でございますが、この参加ということばは広い意味と狭い意味がありますし、また、人おのおの解釈が違うようでございます。少なくとも、私は、あるべき大学の姿というものが描かれて初めて――その決定権にまで参加する、あるいは学生の意思をくみ取るということも参加と考えるか、その辺を、やはりそういう長期的な大学像というものの設定を見て初めて、そういうものがきまってくるんじゃないかというふうに思います。ことに、紛争中におきまして、力関係においてこの限界がきめられるということは望ましくないと思っております。
 それから、基本的には、そういういろいろの問題がありますから、私のほうの中央教育審議会に、学生の地位、参加の意義、及びこれが生かされるための条件等について、ただいま諮問をいたしておるところでございます。
 それから、留年、卒業延期、入試定員、その他大学振り分け等に対する見解についての御質問でございましたが、これは総理から大体お答えになったようでございますが、長期化しております数校の大学につきましては、皆さま方が御心配になっておるように、留年をさせざるを得ないような期限がもう迫っております。そういたしますると、来年度入学試験をやるかやらないかということを最終的にきめなければならぬ時期がくると思います。そういうわけでございますが、入学志望者や、その父兄の心情や、国民一般のお考え等、十分にしんしゃくしながらも、授業の再開が見通しがつくかつかないのに新入生を受け入れるということは適当ではないんじゃないかというのが事務当局の意見でもございますが、しかし、やはり事態の推移を考慮しながら慎重に私はこういうものは決定しなければならないと考えております。不幸にいたしまして、入試が行なえない場合の措置につきましては、その時点でこれは慎重に検討いたしたい、また、慎重に検討した上で決定をいたしたいというふうに考えております。
 それから、今日の大学が量的に拡大してきた、そしてまた、同時に質的な変化がもたらされたということは御指摘のとおりでございます。しかしながら、日本は高等教育機関に学ぶ階層があらゆる層から出てきておるということは非常に私はいいことだと思っております。しかも、この点が、フランス、イギリス、ドイツに比べて、日本の教育制度のいい点だというふうに考えておるわけでございますが、しかし、反省といたしましては、量的な拡大を急いだために、質的な充実、整備ということが欠けておったということを私は反省しなければならないと思いまして、やはり松永先生のおっしゃいますように、これからは質の向上、教育環境の整備のために努力をいたしたいと考えておりますし、また、中教審にもそういう諮問をいたしておるところでございます。特に、大学教官の待遇等の改善についても今後私は努力をいたしたいというふうに考えております。
 ただ、ここで一言申し上げておきたいことは、確かに量的拡大あるいはマスエデュケーションのために、教官と学生との接触が非常に悪くて、いろいろの紛争の原因になっておることも御指摘のとおりでございますし、多くは、施設あるいは教官一人当たりの学生数というものが、国立に比べまして非常に劣悪な状況にあるというふうなことも仰せのとおりでございます。しかしながら、私が調べましたところによりますると、日本の国立大学における一教官当たりの学生数というものは、戦前も一対八であったけれども、今日でも一対八、それから私立は一対十五であったのが一対三十とか一対四十とかになっておる。あるいは先進国と称せられますフランスのソルボンヌ大学においては一対五十というわけで、日本の私立大学よりも劣悪な状況にある。それから国立大学の一学生当たりの経費と申しますか、あるいは国の支出というものを世界的に調べてみますると、日本の国立に関する限りは相当高い。七十数万円である。イギリスあたりが八十万円、西ドイツあたりは五十万円。――あるいは西ドイツはもうちょっと……八十万円ぐらいだと思いますが、フランスあたりは五十万円というわけで、必ずしも、その国立大学は国があまり何もかにもしておらないのたというわけではないということは、一つの認識として持っておらなければならない。それからまた、私立大学に比べて、国立というものは一教官当たりの学生数というものは非常に少ない。たとえば本郷のほうは一対五、問題の発端になりました医学部のごときは、一対一・二というような状況において、ああいう問題が起こっておるということは、単にマスエデュケーションの問題だけで解決できる問題じゃない、紛争の原因はほかにあるということは、お互い考えなければならぬのじゃないかと私は思うのであります。
 最後に、短大の問題でございますが、今日短大が果たしておりまする役割りというものは、非常に私は大きいと思うのであります。八百数十校の大学のうちの四百数十校がこの短大であります。しかも、その八〇%が女子の教育機関でございます。次代のいわば母親となり、そして次代の子供を育てていく上におきまして、こういうふうに、日本が、相当高等教育機関に女子の方々が学ばれるようになったことに対しては、非常に私はけっこうなことだと思うのでございますが、こういうような面について、われわれは短大等についても国の援助を考えていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 松永さんにお答え申し上げます。大学紛争がいままでにない非常な複雑な憂慮すべき状態にありますことは、私もまた国民とともに心配しておる一人でございます。いままで総理大臣及び文部大臣からそれぞれお答えが出ておりますので、重複を避けまして、私の担当します範囲に限ってお答えを申し上げさしていただきます。もともと、申し上げるまでもございませんが、国家公安委員長という立場は、法に基づき、法の範囲内において、不偏不党、中正な、国民に対する警察行政を通じての奉仕機関であると存じます。そういう立場は申し上げるまでもないことでございますが、それを前提にいたしましてお尋ねの問題にお答えを申し上げさしていただきます。
 まず、学生の学内占拠を排除するという課題について、どういう考え方かという御趣旨かと拝察いたします。学内占拠を排除しますために、官の学内導入をするかしないかという課題は、大学の管理の責任者である大学当局において判断さるべきものと考えます。ただ、外見上、新聞その他の報道を通じて私ども知り得ます限りにおいては、大学の施設が学生によって占拠されていることのために大学本来の機能が行ない得なくなっておることは、たいへんなことだというふうには思いますけれども、そのこと自体が、たとえば、東大の安田講堂が占拠されっぱなしになっておる、それは、大学当局としては、みずからの判断に立って――何らかの理由があるから占拠されっぱなしにしておるのかもしれない。また、暴力に屈服するような気持ちで、それが心配だから、どうにもならないから、ほうっておくという状態なのか、このことは、私は、申すまでもないことですけれども、学生は、憲法が保障するところの、能力に応じて教育を受ける権利が保障されておると承知しておりますが、それが、施設を封鎖されておるという物理的な事情のゆえに権利を侵害されておるということにつながるわけだが、それが、もしこれを排除しようとすれば、暴力がまた頭をもたげてくるから大学としては決心がつかないとするならば、まことに残念なことであるとは思います。ですけれども、それがいずれであるかの判断、警察権を導入してその状態を排除するかいなかは、大学の管理責任者としての国民に対する責任ある立場に立って判断さるべきもの、その判断の結果、御要請があるならば、むろん御協力申し上ぐべきである、こういう問題だと存じております。(拍手)
 なお、松永さんの御質問の中に、警察の学内捜査について、東大の加藤学長代行が学生に提案されましたことを御引用になりながらの御質問であったかと存じますが、冒頭に申し上げましたように、大学の学内捜索にいたしましても、あくまでも法に基づき、法の範囲内であらねばならないことは当然でございますが、その意味におきまして、裁判官がその必要性を認めて発付した令状に基づいて学内に立ち入り、捜索を実施するものであります限り、大学当局によってその当否が判断される性質のものでは本来ない、(拍手)そのことだけは厳粛に理解さるべきものと存じております。学生の自治活動が正常に行なわれる限りにおいて、警察として何ら関与すべきものではないということは、これは当然しごくと存じておる次第であります。そのことに関連してではございませんけれども、一般的に、学校内でありましょうとも、暴力事犯などの刑法に触れる不法行為が発生した場合におきまして、法に基づいて捜査が行なわれる、これも当然のことと理解いたしております。
 お答え申し上げます。(拍手)
#18
○副議長(安井謙君) 文部大臣から答弁の補足があります。坂田文部大臣。
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(坂田道太君) はなはだ失礼をいたしまして……。当面の紛争解決のため文部省のとってきた処置の批判について、文相の見解いかんという御質問でございます。
 最近の大学紛争問題につきましては、事の性格から、まずもって大学自体のくふうと努力に待つべきものと考え、このような基本的な態度で必要に応じ随時指導をしてきたところでございます。この文部省の態度に対し、拱手傍観しておるとか、なまぬるいとか、種々御批判のあることは私も承知をいたしております。しかしながら、私といたしましては、大学が積極的にただいま紛争解決への意欲を持ってせっかく努力を重ねておるところでございますので、ただいまのところは大学当局の手による解決を期待して、その努力を支援したいと考えておる次第でございます。(拍手)
#20
○副議長(安井謙君) 大蔵大臣から答弁の補足があります。福田大蔵大臣。
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(福田赳夫君) 本年度の補正につきまして、その規模並びに内容を示せという御質問があったわけです。私は、それに対しまして、総合予算のたてまえから補正は組みません、こういうふうに申し上げたのでありますが、しかし、これは組みかえ補正、これを排斥する意味ではない、かようなこともつけ添えたわけでございます。その組みかえ補正は歳出需要――社会保障費が多いのでございますけれども、年度末に至りましてもろもろの費用の不足が出てくると思うのです。それらの状況を見て、あるいは組みかえ補正を編成し、御審議をお願いすることになるかもしれぬ。今日ではその規模、内容につきましては、まだ申し上げる段階にはなっておりません。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○副議長(安井謙君) 鈴木一弘君。
   〔鈴木一弘君登壇、拍手〕
#23
○鈴木一弘君 私は公明党を代表して、総理並びに関係閣僚に質問を行なうものであります。
 佐藤内閣の経済政策の重要な柱である経済社会発展計画が、経済の実態と大きくかけ難れていることはすでに決定的であり、全く経済計画の意義を失っているのであります。
 そこで第一に、計画と実績が大幅に食い違っていることについて伺います。発展計画が想定した昭和四十二年度から四十六年度までの実質経済成長率八・二%はどうなったかといえば、実績では四十二年度一三・三%、四十三年度も政府の経済見通しを大きく上回り、一〇%をこえることは確実であります。さらに、経済審議会が行なった発展計画の二回目のアフターケアによれば、四十二年度から四十六年度間の実質成長率は一一%をこえると見込まれているのであります。そのいずれをとりましても、佐藤総理の唱えた発展計画の実質成長率八・二%という想定を大きく上回っているのであります。当然のことでありますが、けさ経済企画庁が発表を予定しております四十四年度九・八%の成長率も、実際はそれを大きく上回るであろうと思うのであります。佐藤総理のとってきた経済政策の基本的な思想は、池田内閣の所得倍増計画に見られるような高圧型の経済政策は誤りであるというものであったわけであります。それが成長率八・二%という安定成長政策であったわけであります。しかし、経済の実態は総理の考えとは逆に高度成長を続けたのであります。このことは佐藤総理の経済政策は言行不一致の政策であるということを示しているのであります。(拍手)総理は、発展計画が真に国民のために必要な政策の理想図であると考えているのであれば、その計画に近づける経済運営の努力をするべきであると考えますが、いかなる努力をなさったか、具体的に示してほしいのであります。
 また、計画と実績がこれほどかけ離れたのに、手をこまぬいて国民を欺瞞し続けた責任はどうとられるのか、示していただきたいのであります。
 次に、総理は均衡ある成長を掲げて、発展計画の中にも安定成長と並んで、均衡ある成長がうたわれておりますが、実績は、すでに跛行成長となっているじゃありませんか。すなわち、民間設備投資を見ると、四十三年度ですでに計画最終年次の四十六年度の投資見込み八兆九千三百億円を上回る八兆六百億円に達すると見込まれているのに、他方では、計画の目標値に達するか、あるいはそれ以下であり、全くのアンバランス成長となっているのであります。これが、総理が公約した均衡ある発展でありましょうか。
 総理は、一昨日の所信表明演説において、「わが国経済の均衡のとれた持続的成長をはかりたい」と、こう申されましたが、それは現在の経済社会発展計画をそのとおり実行するということなのかどうか、もし、そのとおり実行するとするならば、民間設備投資は、今後三年間横ばいのまま推移しなくてはならないわけでありますが、こうした経済運営は不可能であります。総理は、今後このようなアンバランスな成長を、一体どうやって均衡ある成長になさるのか、答弁を求めるものであります。
 さらに、発展計画の重要なねらいであったひずみの是正について伺いたいのであります。ひずみの最大なものは物価の高騰であります。総理は、総裁三選後の記者会見で、沖繩、安保、文教、治安などの重要性を強調し、経済についてはほとんど問題がないような発言をしておりますが、これは認識不足もはなはだしいと言わざるを得ないのであります。(拍手)よく言われておりますように、国民総生産では世界第三位であるとしても、一人当たりの国民所得は第二十位以下であり、経済成長は国民の福祉と全く結びついていないのであります。その上、一方では価物の上昇率は一年もの定期預金の利子率をこえているし、所得の増大もこのような物価の上昇に食われてしまっている実情であります。発展計画では、三本の柱の一つとして物価の安定を唱え、消費者物価の上昇を徐々に弱めて、計画期間中に年上昇率を三%までにすると言っております。ところが、消費者物価の上昇率は年々増加してきておりまして、昭和四十三年度が五・七%以上、四十四年度でも五ないし六%以上というように見込まれており、計画の想定は全くはずれているのであります。
 総理は、所信表明では、物価安定を最重点施策にすると言いながら、その具体策はほとんど示しておられませんが、残る三年間ではたして計画どおり三%まで下げられるのかどうか。国民は、力を注ぐとか、努力をするとか、そういうことばより、具体的な有言実行を求めているのでありますが、その具体策を示してほしいのであります。
 ここで物価に関連して、物価と財政の問題について伺いたいのでありますが、物価上昇の大きな原因は総需要が強すぎることであります。したがって、一方では、財政面からの総需要抑制政策が必要であり、他方では、物価上昇の構造的要因である農業、中小企業やあるいは流通機構などの低生産性部門の近代化と生産性の向上をはかるという、財政面からの構造政策が必要であります。ところが、最近の財政のあり方は、物価を押えるよりも、むしろ物価を押し上げているというのが実情であります。国債政策をとって以来の赤字財政は、絶えざる超需要圧力を生み出して、これが物価上昇の大きな原因となっているのであります。しかも、景気抑制の美名をかりて、公共事業費、中小企業対策費、農業構造改善対策費の伸びを押え、構造政策の前進を妨げて、さらに物価上昇の原因を強めているのであります。その上、昨年以来、いわゆる財政硬直化打開が叫ばれ、その最も安易な方法として、いわゆる受益者負担の原則を振りかざして、消費者米価をはじめとして各種公共料金の引き上げを行なおうとしているのであります。
 物価を抑制しなければならない政府が、みずから政府主導型の物価上昇を招いていると断言できるのであります。本年度も政府は、消費者米価を大幅に値上げして消費者物価を押し上げたではありませんか。経済企画庁の経済研究所の予測では、消費者米価を押えぎみにし、国鉄運賃、電報、電話料金を据え置きにしたとしても、来年度の消費者物価は五ないし六%以上上昇すると発表しているのであります。ところが実際には、いま申し上げましたように、受益者負担の原則ということで、国鉄運賃、電話、電報料金、米麦の価格、ガソリン税、健康保険料等の引き上げが日程にすでにのぼっており、また、大学授業料、地下鉄や私鉄運賃の引き上げもあるということであり、公共料金は軒並み引き上げられるおそれがあるのであります。もし、このような事態となれば、そうでなくても上昇傾向の強い消費者物価は大幅に引き上げられることは必至であります。このような事態は絶対に避けるべきであります。
 総理は、来年度予算編成において、財政体質の改善という立場をおとりになって、そうして受益者負担原則を強く押し出し、公共料金の値上げをはかるのか、それとも公共料金の引き上げ抑制による物価安定を目ざすのか二者択一のいずれをとるかを、答弁していただきたいのであります。
 先ほどの答弁によりますと、真にやむを得ないものの公共料金引き上げは行なうと、こう言われたのでありますが、その真にやむを得ないものに該当するものは何と何か、示していただきたいのであります。所信表明で、物価安定を最重点施策とすると述べているのは、ただ重点施策の一つにするという軽い扱いでいくのか、あるいは予算そのものを物価最優先の目標に沿って再検討、再編成するというのか、所信を承りたいのであります。いわば、このような物価抑制予算、それを組む意思があるかどうかということであり、その意思があるとするならば、第一に、歳入構造を再編成する、第二に、歳出面では、防衛費、経済協力費、補助金等を徹底的に洗い直して、不要不急の経費を削減するとともに、物価対策上必要な諸経費を充実し、また、公共料金を引き上げないで済む方法を講ずるための予算措置をとることが必要である、このように思いますが、総理においてそのような考えがあるかどうか、あわせてお答えを願いたいのであります。=次に、社会開発についてお伺いいたします。
 総理は、いままで、社会開発を推進して、ひずみを除くということを大きく取り上げてこられたのでありますが、社会開発計画が実施されてから、過疎、過密、公害、交通戦争、さては大学紛争等々、重大な社会的、政治的問題が大きくクローズアップされております。このことは社会開発が推進されていないという証拠じゃありませんか。経済社会発展計画と名づけた佐藤内閣の経済計画の実態は、社会開発は単なる飾り文句であって、その中身は大企業を主軸とする民間設備投資促進のための計画であったと言わざるを得ないのであります。総理としては、社会開発とか、ひずみ是正とかの看板は、この際いさぎよくおろすべきであると考えますが、御所見はいかがか、お伺いしたい。(拍手)
 以上のように、佐藤総理の経済計画は全く失敗に帰しているのであります。根本原因は、日本経済に対する見方そのものを誤ったことによるのであります。現在では、すでに総理の喧伝した計画はあっても、全く絵にかいた餅にひとしいのであり、これではわが国の経済は羅針盤なしの航海をしなければならないことになるのであります。総理は、この計画を改定されるのか、また、破棄して新計画をおつくりになるのか、それとも、国民の前に責任をとってやめられるのか、どのような決意がおありか、伺いたいのであります。
 経済企画庁長官は、経済計画にのっとってやっていると、先ほど松永議員の質問に対して答弁しておりましたが、このような破綻してしまった経済計画で今後運営をしていくのかどうか、伺いたい。これでは全く話にならないと言わざるを得ないわけであります。
 第二に、私は、国際通貨体制の動揺と、わが国の外貨政策について総理の所見を承りたいと存じます。
 昨年十一月のポンド切り下げ、四十三年初頭のドル危機、三月のゴールドラッシュ、そして十一月末のフラン危機等々の一連の事件は、まさに第二次大戦後のブレトン・ウッズ体制が限界にきて、崩壊の危機すらはらんでいることをあらわしていると思います。総理は、この動揺を続ける国際通貨体制をどのように見ておりますか。また、その動揺に対処するわが国の基本方針をどうするのか、まず伺いたいのであります。国際通貨体制が動揺している中にあって、幸いにも、わが国の国際収支は、政府の当初見通しの三億五千万ドルの赤字が大きく狂って、上半期で三億ドル余りの黒字に逆転しております。外貨準備も、四月の十九億ドルから、先月の十一月末には二十七億七千八百万ドルに達しております。しかし、二十七億ドルに達した外貨準備も、わが国の年間輸入額百二十億ないし百三十億ドルから見ると、その外貨比率は二〇%から二二%にしかすぎません。西欧主要諸国の外貨比率が、五〇%、少なくとも四〇%に達していることから考えても、わが国の比率はまだまだ満足すべき水準ではないのであります。総理は、この外貨準備についていかなる御所見をお持ちですか、伺いたいのであります。
 次に、外貨準備構成について総理の所見をただしたいのであります。
 わが国の外貨準備は、量的に問題があるばかりでなく、質的な面では、圧倒的にドル預金、ドル証券から成り立っていることは、御承知のとおりであります。そこで、具体的に伺いますが、外貨準備の中に占める金の割合は三億ドル余りで、従来も少な過ぎると指摘されてまいりましたが、外貨準備高が増加するのに反比例して、金の比率はますます低下してまいっております。政府は、外貨準備にゆとりができたら金部分の増加をはかると、このように約束してきたわけでありますけれども、外貨事情が新記録ずくめの今日こそ、そうした絶好のチャンスではないか、このように思いますが、実行するのかどうか、総理の決意を伺いたいのであります。
 次に、外貨準備がドル預金、ドル証券に片寄っていることは、わが国がドル輸入ユーザンスを多く受けるためで、それにはそれなりの理由はあったとは思いますが、外貨といえばドルというのであっては、ドル中心の国際通貨体制があらしの前に立たされている今日、抵抗力はいかにも不十分であると、このように思うのであります。西独マルクとか、スイスフランとか、国際的に見て強い通貨を含めた外貨準備の多様化をはかることがぜひとも必要だと思うのでありますが、どう考えておられるか、お伺いしたいのであります。
 貿易や資本自由化の進展で、世界経済の変動が直接わが国経済を脅かすようになった今日、手持ち外貨は、海外要因が日本経済に激しいショックを与えるのに対する緩和剤としての役割を果たすものであります。それだけに、ドル依存、ドル追随の外貨政策は、当然再検討するべき段階に来ていると思うのでありますが、総理の所見を承っておきたいのであります。
 次に伺いたいのは、本年一月、ホノルルにおいて開かれたドル防衛協力会議において、わが国は、外貨事情が悪いととを理由に、米国の中期債購入を拒否したのでありますが、先般、中期債にかわる米国輸銀債一億ドルの購入を取りきめたと報じられております。このことは真実かどうか、さらに、今後米国からの要請があれば中期債を購入する意向であるのかどうか、または、中期債は断わるが、アメリカの輸銀債のようなものならば購入する方針なのかどうか、この際承っておきたいのであります。
 第三の質問は、総合予算主義についてであります。
 政府は、財政硬直化打開の第一歩であるとして、四十三年度においていわゆる総合予算主義による補正なし予算を組んだのでありますが、これは当初からわれわれがその不合理を指摘して強く、反対したとおり、完全な失敗に終わったのであります。
 まず、第一に、公務員給与については、人事院勧告を忠実に実施するためにこそ、総合予算主義をとって予備費を充実したのだという政府の説明であったのであります。ところが、人事院勧告の完全実施は行なわれなかったばかりでなく、実施時期は昨年並みの八月となり、いままでに比べ一歩も前進は見られなかったのであります。この政府の食言に対し、総理は、どう責任をとられるのか、所信を披瀝していただきたいのであります。
 また、米価・食管の問題にしても、生産者米価と消費者米価のスライド制によって補正予算の編成を免れようとしたわけであります。しかしながら、その代償として、前に指摘いたしましたように、消費者米価を大幅に引き上げ、消費者物価の大幅上昇、政府主導型の物価騰貴という大きな犠牲を国民は支払わされたのであります。しかも、四十三年産米の政府買い入れ量が、政府見込みを大幅に上回って一千万トンに達する場合には、それによって食管会計に三百億円の赤字が発生することになるのであります。大蔵大臣は、組みかえ予算でいくと言っておりますが、私は、すでに補正をしなければならぬことが明白なほど総合予算主義がくずれたのでありますから、今国会に補正予算を提出するのが、国会審議を重視した態度だと思うのでありますが、その点いかなる理由で出さないのか。政府の怠慢ではないかと思うがどうか、答えていただきたいのであります。
 第四にお尋ねしたいのは、国債減額と減税についてであります。
 来年度予算編成に関する基本的な問題の一つとして、国債減額と減税とのいずれに重点を置くかという問題があります。この問題について、一部で論議されているような国債減額か減税かという二者択一の形での問題の考え方が間違いであることは言うまでもありません。すなわち、国債減額と減税とは二つ並べて、そのうちの一つをとればよいというような性質のものではないのであります。いずれも緊要不可欠のもので、これを二者択一の形で問題を提起するのは、善意の間違いでなければ、意図的なごまかしであると、このように思うのであります。
 国債政策導入以来、予算ベースで四十一年度七千三百億円、四十二年度八千億円、四十三年度六千四百億円と、好況と不況とにかかわりなく、巨額の国債が発行されてまいりました。そもそも国債政策は、昭和四十年の深刻な不況打開のためにフィスカルポリシーとして導入されたものであります。フィスカルポリシーとしての国債政策である以上、不況のときには国債を発行するが、好況のときにはこれを大幅に削減するか、ないしは発行を取りやめるのが当然であります。ところが現実には、好況不況にかかわらず、毎年巨額の国債が発行されつつあるというのは、つまり建設公債とは名ばかりで、その実は、赤字公債であるからにほかならないのであります。このことは、建設公債の大量発行がなされているにもかかわらず、公共事業費の伸びは、国債政策導入以前に比べて比較にならぬほど低下しているという事実によっても裏書きされているのであります。このように建設公債とは名のみで、実は赤字公債であるというようなものは、現在のように岩戸景気を上回るイザナギ景気といわれるほどの好景気のときには、むしろ発行を取りやめることが望ましいのであって、少なくとも大幅に削減しなければならないのは当然であります。ところが、新聞紙上等で伝えられるところでは、戦後わが国に初めて国債政策を導入した福田大蔵大臣は、減税も国債減額も両方とも重視すると言いながらも、他方国債政策の定着に非常な熱意を持って、わが国の財政に国債政策を定着させて、好況の場合にも国債の発行を全くやめることはしないという考え方である、こう報道されておりますが、はたしてそのとおりなのかどうか、大蔵大臣の真意を伺いたいのであります。
 次に、減税につきましては、四十五年度までに、標準家族の所得税の課税最低限を百万円に引き上げるということは政府の公約であります。ところが、税制調査会は、去る七月の答申で、中堅所得層を中心に負担軽減をはかるため、税率を緩和する必要があることを勧告しております。すなわち、課税最低限の引き上げと並行して、早ければ来年度からでも税率の改正に踏み切るべきだとの考え方もあるのでありますが、他方では、景気抑制の必要上、所得効果の大きい減税は行なうべきではないとの有力な意見もあるということであります。しかし、この所得減税が景気を刺激するという見解は必ずしも当たってはおりません。すなわち、累進税制のもとで、経済の名目成長率を上回って伸びる税収の一部を減税の形で民間に戻すのは、もし減税をしなければ増税をしたと同じになるからであります。したがって、景気を刺激するということにはならないわけであります。国民総生産全体の大きさはともかく、国民一人当たりの所得水準や蓄積の低さから見て、中小所得層の現在の租税負担は依然として過重であり、したがって、物価上昇による事実上の増税を調整するためのいわゆる調整減税が必要なことはもちろん、さらに中小所得者の実質減税がぜひとも必要なのであります。したがって、わが党は、減税の具体案として、来年度において課税最低限を百三十万円に引き上げることを主張いたしているのであります。この所得税の課税最低限の引き上げを行なうか、ないしは課税最低限の引き上げと同時に、税率の緩和を並行して実施するか、いずれにしても所得税については、来年度少なくとも実施予算の一割近くの減税を実施すべきだと思うのでありますが、総理の所見を伺いたいのであります。
 以上述べましたように、国債の減額も所得税の大幅減税も必要不可欠であります。しかも来年度の租税の自然増収は、先ほどの答弁では一兆一千億円を上回る、このように言われております。経済の成長率あるいは租税の弾性値などから試算してみますと、少なくとも一兆三千億円の租税自然増収があることは、ほぼ確実と思われております。これに税外収入の増加五百億円を加えると、新規財源は一兆三千五百億円となります。来年度は、内外の経済情勢から考え、警戒的中立型予算を組むと、こういうようにかりにしたとして、その規模を六兆六千億円と仮定して試算してみても、歳出増に八千億円、減税に三千四百億円、これを充当することができますし、なおかつ、二千百億円の国債減額が可能なはずであります。四十四年度の国債発行額は、そうなれば四千三百億円ということになるわけであります。その上、もしも租税特別措置の整理合理化を行ない、配当利子の分離課税の廃止、交際費課税の強化等を行なえば、さらに一千億円の財源が得られるので、これを減税に回せば、四千四百億円の減税が可能となり、そうしてわが党の主張どおり課税最低限を百三十万円に引き上げができると思うのでありますが、総理は、サラリーマンに対して大き過ぎる税を減らし、希望を与えていく、この公正な案に賛意を表されるかいなか、伺いたいのであります。福田大蔵大臣は、減税も公債減額も、どちらもやると、このように言明されたと新聞紙上に伝えられております。しかし問題は、抽象論ではなく、具体的な数字であります。一体どれだけ国債を減額し、また減税をどのような方法で、どれだけの規模で実施するのか、その具体的な数字をお示し願いたいと思うのであります。
 第五に、資本自由化の方針について伺いたい。
 第二次世界大戦後の国際経済は、IMF、ガット体制により、貿易・為替の自由化を着実に推進してきております。わが国もこの国際経済の流れに従って、昨年七月一日から第一回の対内直接投資の自由化措置を実施しました。政府の方針によると、自由化は、昭和十六年度末までにはかなりの分野において実施することになるのでありますが、今後いかなる方針で自由化を行ない、また外資の進入による弊害を予防する考えでいるのか、伺いたいのであります。聞くところによりますと、アメリカの三大自動車会社は、資本の完全自由化に対し特に強い意欲を見せ、対日門戸開放をニクソン政権に要求すると、このように思われているのでありますが、アメリカの巨大資本によってわが国の基幹産業の支配が始まれば、国民経済に与える影響はすこぶる大きいと言わざるを得ません。基幹産業の自由化は慎重にならざるを得ないのでありますが、政府は、電子工業あるいは自動車等基幹産業の自由化対策をどう進めるのか、伺いたいのであります。
 また、自由化が進展すると、やがては流通部門についても自由化を実現することになるのは必至であります。流通部門への外資の進出により、いままでの流通秩序が乱れ、多くの中小商業者が倒産に追いやられないとも限らないのでありますが、巨大資本から中小商業者を守るため、政府はどのようにこれらの業者を指導していく考えか、産業秩序法ともいうべきものを制定する考えはないか、総理にお伺いしたいのであります。
 言うまでもなく、資本自由化の次には、台湾、韓国などから労働者を入れるという労働の自由化の問題があるのであります。事実EECの域内においては、近々労働の完全自由化が行なわれると聞いております。おそかれ、わが国も当然この問題に取り組まねばならないと思うのでありますが、労働の自由化は、わが国にとって深刻な社会的、経済的問題を引き起こすのは間違いないことであり、それだけに、よほど慎重に態度をきめてから行なわねばならないと思いますが、総理の考えをこの際伺いたいのであります。
 最後に、冬季オリンピック、また万国博覧会について伺いたいのであります。ともに、わが国にとって非常に大きな国際的行事でありますが、その工事のおくれは目にあまるものがあります。開催時を過ぎてからなお工事を続けなければ完成できないであろうといわれているほどであります。特に明年以降は、成田空港あるいは鹿島港建設などの事業が重なっており、労働力の不足は目に見えてきておりますが、一体工事はどう進捗させられるのか、その点について総理の責任ある答弁をお伺いしたいのであります。
 以上をもって、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(佐藤榮作君) 鈴木君にお答えいたします。
 まず最初に、お断わりしておきますが、いずれも全部が私に対するお尋ねでありますが、私が答えなかった点については、所管大臣に答えさせますから、その点を御了承おき願いたいと思います。
 まず、経済社会発展計画について御意見をまじえての御批判でございます。この計画は、御承知のように均衡がとれ、充実した社会経済発展のための指標として策定されたものでありまして、計画自体も、その冒頭におきまして、経済社会活動の全分野にわたって詳細に規定し、厳格にこれを実施するという性格のものではない、と注釈をしております。それらの点も御了承をいただきたいと思います。特にこの計画が策定されましたのが四十年でございます。四十年度は、御承知のように不況の年でございます。その不況の直後でありました関係で、日本経済の成長をやや控え目に評価したきらいもあります。その後の経済の実情が計画を上回った動きを示しているのは、事実であります。御指摘のとおりであります。それはそれなりに、この計画が経済運営の指標として果たした役割りは、今後におきましても生かすことが可能だと、かように考えております。したがいまして、私は、以上申し上げたような趣旨において、この計画が失敗であったとも、また直ちに改定しなければならないとも、全く役に立たないとも、かようには考えておりません。御質問のひずみの是正も、むしろこのような計画と実績との隔たりについての原因を究明し、適切な経済運営をはかることによりまして解消していきたいと思うのであります。以上が、私のこの問題についての考え方であります。
 そこで、この問題で一番大きく出たのが、経済成長率を上回ったのだから許すとしても、ひずみ、物価との問題は、計画とよほどはずれているではないかというおしかり、これは確かにそのとおりであります。私は、この点で今回も、この物価の問題と真剣に取り組む、かように申しておるのでございます。(「何回も聞いたよ」と呼ぶ者あり)これらの点を……何度も聞いたとおっしゃるが、また重ねてお尋ねでありますから、お答えしたのであります。御了承いただきます。
 そこで、今度の予算は一体どうするのか。この予算につきましては、もちろん、後ほど大蔵大臣がお答えいたします。過熱にならないような、また警戒すべきいろいろの問題が国際経済の面にも出ておりますから、そういう意味でどちらかといえば、警戒的な予算を組む、こういうような考え方でございます。
 そこで、具体的に公共料金の取り扱い方の問題の御注意がございました。これも先ほどお答えいたしましたから、御了承いただけたかと思いますが、もちろん慎重に扱わなければなりません。したがって、この公共料金をどうしてもいじらなければならないというような場合があれば、それはできるだけ少額に押えていくということで、まず第一は、企業努力によって公共料金を変えなくてもいいように努力することだと、かように思います。そういう意味で、関係各方面につきまして、ただいま指導しておるのであります。そこで、真にやむを得ないような公共料金、そういうものは一体何か、こういう具体的なお尋ねでございます。しかし、これはただいま申し上げるような原則的な問題について、政府が取り組んでおる最中でありますから、ただいま申し上げるわけにはまいりません。
 次に、社会開発につきまして、社会開発の看板をおろせ、こういうお話でございますが、成績があがらなければあがらないほど、その看板が必要でございまして、私は住宅問題や交通問題、公害問題、さらにまた大学問題等々、ひとつ、それらの問題に取り組んでまいるつもりでございます。むしろ、皆さん方も看板をおろせと言わないで、看板にうそ偽りのないように内容を充実しろ、そういう意味で政府を御鞭撻願いたいと思います。
 次に、国際通貨の問題についてお話がありました。御指摘のようにポンド切り下げに続き、さきにはフランの問題が世界の注目を浴びるなど、国際通貨情勢はきわめて流動的で、不安定な状況にあります。この間にありまして円価値を堅持していく、そのためには、経済基盤の強化と激動期に対処する慎重かつ適切な経済運営の必要を痛感するものであります。国内におきましては、物価が上がる、そういう意味で円価値が下がったのじゃないか、かような御批判もありますが、外国におきましては、ただいま円は非常に信用が強うございます。私は、最近外国から帰りました人たちから円の信用の強いことを話されて、たいへん愉快に思っている次第でございます。ただいまの点で、さらに外貨準備の適切な保持が重要な意味を持つものと考えますが、具体的には、これは大蔵大臣からお答えすることとし、私は、この間にありまして感じた一つに、これは国際金融の問題、国際経済の問題の当然あるべき姿、それを一つ御指摘をして御注意をいたしたいと思います。
 それは、私が申し上げるまでもなく、お気づきのように、経済の国際的交流の問題であります。現在では経済の国際的交流がどんどん高度化しております。今日の通貨問題につきましては、国際的な協調が何よりも必要だという事実であります。先ほど御指摘になりました輸銀債、あるいはアメリカの問題等につきましても、そのような角度から御理解をいただくことが必要だと思います。ただいま申し上げますように、ただいまの国際的関係は、そういう意味で非常に交流が激しくなっておる。この点を御注意申し上げておきたいと思います。
 そこで今度は、外貨は一体幾ら持てばいいのか、金は一体どうしたらいいのか、こういうようなお話であり、あるいはまた、ドルばかりではなく他の外国貨幣も持ったらどうか、多様化したらどうか等々の御意見が出ております。御意見をまじえてのお尋ねでございます。私どもも幾らあれば安心だと、こういうようなことをきめることが、ただいまの外貨ではできないような状態でありますし、また、できるだけ金を持ちたいと考えましても、なかなか金もございませんし、また、多様化することもなかなか困難な状態だと、かように思います。ただ、お尋ねになりました方向で政府自身がくふうし、努力しておることだけ御披露して、御了承を得たいと思います。
 次に、総合予算主義、あるいは国債減額をどうするか、あるいはまた減税、これをどうするか。国債減額と減税とをどちらを先にするか、あるいは減税は幾らにするか等々のお尋ねがありましたが、これは後ほど大蔵大臣からお答えさせることにいたします。御了承いただきます。
 次に、資本の自由化につきましてのお尋ねがありました。資本の自由化は、近年急速に国際経済社会の地位を高めてきたわけでございまして、今後の発展のために回避することのできない問題でございますが、同時に、資本自由化を推進することは、わが国経済の体質強化に資するものであると考えます。しかし、資本自由化を円滑に進めるためには、個々の企業や産業が合理化、近代化を積極的に進め、自由化に対処し得る体質を備えることが必要でございます。このためには、民間の努力にまつところが少なくないが、政府としても、商品の競争から技術と資本の競争への変化に即応し得るよう、税制面、金融面からの措置を積極的に推進いたしまして、この資本の自由化に対処する考えでございます。
 次に、冬季オリンピック並びに万博の問題についてお尋ねがありました。冬季オリンピックの担当大臣は文部大臣といたしましたし、万博の担当大臣は菅野君といたしております。それぞれが担当大臣として、来たるべきそのときに備え、万全を期するつもりでございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(福田赳夫君) 国民総需要を抑制して、生産性部門に振り向けると、こういうことが、物価対策上非常に大事であるというお話でありまするが、そのとおりに考えております。これは適当な総需要の上昇ということが、日本経済成長上にぜひとも必要でございまするが、これがあんまり高きに過ぎますると、これは物価を刺激する。これにはよく気をつけなければならぬし、また総需要の中で、生産性部門の必要とする需要に対しましては、優先的にこれを振り向けまして、そうして生産性の向上、これに資してまいることが物価政策上、基本的に非常に重要な問題である。これは私、鈴木さんの考えと全く同じであります。
 国際通貨問題について非常に御関心を示されましたが、ただいま私も、これからの国際通貨の成り行き、これにつきましては、たいへん心配をしておるし、警戒をしておるのであります。フラン問題が、これが片づくかどうか、これが片づくことを期待はしておりまするけれども、あるいはどういうことになるか。この通貨不安が発展しますると、通商の不安、つまり、世界的規模の通商の低下、縮減と、そういう方向にならぬとも限らない。そういうことになりますると、これはたいへんな事態だというふうに考えます。わが国といたしましては、先進十カ国の一員といたしまして、IMF体制の強化、これに協力していかなければならぬ。また、通常国会におきましては、ぜひともSDR協定の承認、わが国も他国にそうそうおくれないように、この体制に協力をしなければならぬと、かようにまあ考えておるのであります。
 幸いに、わが国の外貨保有高はたいへん改善を見まして、まあ、年末に二十九億ドルをこすというような状態になりましょうか。そんなところまで来ているのであります。それに伴いまして、御承知のとおり、金の外貨の中に占める割合が減ってきておる、総量は多少ずつふえますが、割合は減る、こういう状態であります。そこで、金をもう少し持ったらどうだというような御意見と承ったのでありまするが、しかし、金は市場が非常に狭いものですから、買いあさりますると値段が高くなる。なかなか買い方もむずかしいのであります。また、金は、これは金庫に入れておくだけでありまして、利息を生みません。そういうようなことから、今日まで、乏しい外貨事情のもとにおきましては、金はごく少量にとどめておったのですが、外貨事情が改善した今日におきましては、多少金の保有というところにも目を向けていかなければならぬかなと、かように考えておるのであります。また、外貨準備が二十九億ドルをこすという年末の大勢になりまするけれども、これはもう、もっともっとふやしたいのです。諸外国の例を見ますると、大体貿易量の四割から五割ぐらいを保有している。わが国はまだ二三%である。この状態はぜひとも改善をいたしていきたいものだと考えておりますが、この外貨保有さえできますれば、これはもう、少しぐらい景気の荒波が来ましても、びくともせず、谷間のない日本経済の成長ということを実現するための最大の基礎固めができるわけでありまして、この上とも努力をしてまいりたいと考えております。
 また、先般輸銀債を買ったわけであります。これも、運用として、また決して不利なしかたではないと考えております。しかし、これを当面今後ふやそうというような計画は持っておりません。
 総合予算主義につきましては、しばしば申し上げましたように、四十四年度といえどもこれを堅持してまいる考えでもります。ただ、この総合予算の意義につきましていろいろ誤解があるような趣がありましたので、先ほども私の見解を申し上げたことはお聞きのとおりであったと思うのであります。
 昭和四十三年度において補正予算を組むべきではないか、こういうお話であり、特に食管の赤字が問題ではないかというふうな御意見でございまするが、ただいま政府の買い入れがたいへんふえてまいりまして、九百六十万トンというところまでいきそうな形勢でございます。九百六十万トンのペースでありますると、先般米価の改定をいたしまして、消費者米価を八%にした。生産者米価が五・九%であった。あの措置によりましておおかた対処し得ると、かように考えておるのであります。そのために補正が必要であるとは考えておりません。
 最後に、公債政策についていろいろ御意見を承らしていただいたのでありますが、私どもの政府が公債政策を三年前に採用した。その趣旨は、これから国の財政需要がどんどんどんどんふえてくる。これはもう否定できない。皆さんも御承認くださることと思います。思いますが、そのふえておる需要に対しましてどういうふうに財源を取るか。いままでの考え方でいきますと、これは増税をするよりほかない、こういう考え方であったのでありますが、まあ非常にきびしい社会環境でありまするから、また経済環境でありますから、政府が借金をする。政府が借金をしても、ひとつこの際、この財政需要に立ち向かう必要がある、かように認めたこと、そしてそれによって国民負担はそれだけ軽減をされた。減税がなくとも国債を出しておるだけ、それだけ国民負担は軽減されておるのであります。そういう国民負担軽減の考え方、それからもう一つの考え方は、この公債の伸び縮みによりまして景気の調整に財政がその機能を発揮する、こういうことであります。この二つの考え方を持って公債政策を取り上げたわけであります。で、確かに御指摘のように、ことしあたりは非常に景気がよい、来年もそう景気は悪くなさそうであります。ですから、公債はこれは低目にしなければならぬ年に当たります。景気調整の機能ということから考えますとそういう年柄になる。でありますから、来年は公債の減額を行ないたい、こういうふうに考えまするけれども、全部減らすというようなことになりますると、どうしても財政の伸びを実現することはできません。そこで、財政の伸びに応ずるためにはやはりある程度の公債というものは存置する、かように考えておるわけございまするけれども、まあ、いま御指摘のように一兆一千億を上回る自然増収があろうかと思います。ところが、既定経費というか、これの重圧、これに悩まされておるわけでありまして、新規経費の財源も乏しいのでありまするが、それにいたしましてもかなりの額を残しまして、租税負担の軽減と国債の減額と両方を実現いたしたい、かように考えておるのでございますけれども、国民負担の軽減、税制改正に当たりましては、課税最低限の引き上げ、それから税率の調整、この二つのことを実現いたしていきたい、こういうふうに考えておるのでありまするが、まだ幾ら自然増収があるかというその見当が今日ついておらないのです。それだものですから、何ぼ減税になるか、何ぼ国債減額になるかというところまではまだ申しかねるのでありまするが、しばらく御猶予を願いたい、かように思います。(拍手)
   〔国務大臣菅野和太郎君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(菅野和太郎君) 私については、万国博覧会のことのお尋ねがあったように思います。万国博覧会を今回また担当いたしまして、これで二度目の担当でありますが、私といたしましては、ことに地元の関係もありますので、万博担当を仰せつかると同時に、私の頭では、万博がうまくいくかどうかということを非常に心配いたしたのであります。したがいまして、先日、寸暇を盗みまして万博の敷地を視察にまいってきたのであります。同時に、大阪におきまして、日本の博覧会に関係しておる、またすでに万博を開きましたカナダ、ベルギーの関係者の人にお会いしましたところ、ちょうど十二月で開催日まで十五カ月前になりますが、その十五カ月前のカナダ、それからベルギーの状況から見ると、日本のほうがはるかに進んでおるということを私聞いたのであります。私といたしましては非常に喜んだのであります。しかし、この万博を成功せしめるがためには、私はまたカナダの人から聞いたのでありますが、カナダでも十五カ月前には非常に国民が不安を持っておった。そこで、この博覧会を成功せしめるそのためには、二千万の国民がわれらの博覧会という気持ちを持たなければならぬということで、それで成功したということを聞いたのでありまして、したがいまして、日本の博覧会も、一億の国民がわれわれの博覧会であるという気持ちを持つように、今後、啓蒙運動をしたいと存じております。同時に、ことに院の皆さん方には、先頭に立ってひとつそういうように御発言のほどを特にお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○副議長(安井謙君) 向井長年君。
   〔向井長年君登壇、拍手〕
#28
○向井長年君 私は、民主社会党を代表いたしまして、総理並びに関係閣僚に若干の質問をいたします。
 佐藤総理が三選後、内閣を改造いたしまして、政局を担当するにあたり、初めての国会の開会であります。一昨日の総理の所信表明演説が、重要諸問題が山積している今日、私のいま与えられました質問時間よりも短い十二分間で、その内容があまりにも簡単で、かつ抽象的で、迫力が乏しく、総理は、ほんとうに身命を賭して、勇断をもって事に当たる心がまえがあるのか、多くの国民が憂慮しているところであります。そこで私は、具体的に次の諸点について質問をいたします。
 質問の第一点は、佐藤総理の政治姿勢についてでございます。
 佐藤内閣は、従来、高姿勢である、あるいは右寄りである、対決政治といわれており、われわれも、この点を強く批判してまいったのであります。ところが、臨時国会の開会される直前になって、各野党の党首を招かれ、ラフな形で会談を持たれたことは、話し合い政治のよい慣行づくりに役立つものとして、われわれは歓迎したいところでありますが、多数の国民にとっては、はたして、そう信じてよいのかどうか、疑問とするところが非常に多いのであります。そこで総理にお尋ねいたしますが、今後、懸案となる重要問題についても、党首会談を開き、野党の建設的な意見を取り入れる政治慣行をつくる御決意をお持ちになっておられるのであるかどうか、この際、お伺いをいたしたいのであります。
 質問の第二点は、明年度の予算編成方針についてであります。
 現在、深刻な問題となっております物価問題、各種公共料金、中堅サラリーマンの減税対策、公害対策あるいは総合農政の確立と食管制度問題等に、国民生活と国民経済にとって重要な問題が山積しており、これらに対する国民の要望は切実なるものがあるのであります。もし佐藤内閣が、民意を尊重し、真に民主政治の確立を目ざしておられるならば、よもや、ひとりよがりに明年度予算を編成されることはあるまいと思うのでありますが、その際、いかなる形で国民世論を反映されるかが、大衆の憂えておるところでございます。私は、この立場に立って考えるとき、議会制民主主義の精神にのっとり、野党の意見を十分尊重し、それをくみ取る手段を講じて、明年度の予算編成をすることが、最も望ましい姿であると思うのでありますが、総理並びに大蔵大臣の御所信を承りたいのであります。
 次に、私は、当面緊急の問題となっております物価問題で、質問と同時に、一つの提案をいたしたいと思うのであります。
 すでに消費者物価は、昭和三十六年以来、年々高騰を続け、ことしの場合も、上半期の上昇率は、前年同期比五・五%と、政府見通しの四・八%をはるかに上回っておりますが、総理は、年度内の物価上昇率を、いまなお、予定どおり四・八%に抑制する自信をお持ちであるかどうか、また、これを上回った場合は、いかなる措置と、国民に対して、どう責任をとろうとするのか、お伺いをいたしたいのであります。
 また、本年九月に提出された熊谷報告書の所得政策論によれば、最近まで展開されてきた、単なる所得の抑制的見解のほかに、価格問題とも関連して、商品価格に対する規制政策も織り込まれていたのでありますが、もちろん、われわれは、これに全面的に同意するものではございません。しかし、これが提出後は、政府も財界も、全く議論をひそめ、大企業の商品価格に何らかの規制が必要であると述べただけで、抹殺されているのでございます。物価政策に熱意がないと判断されてもやむを得ないと思われるのであります。これに関する総理並びに経企庁長官の御見解を承りたいと思う次第でございます。
 言うまでもなく、今日物価上昇の推進役を果たしているものは、政府によって軒並みに引き上げられる公共料金であります。また、一方には高度成長政策にのって活発に展開されるところの過大な民間設備投資が、適切な景気調整を狂わせ、物価上昇をあおっていることも、見のがすことはできないのであります。この二つが物価問題の元凶であり、前者については、公共企業体、公営企業に対する政府の適切な指導と計画的な財政援助の欠如が最大の原因であります。後者については、公的な機関による強力な投資調整政策の欠如にほかならないのであります。
 政府は、物価政策の重要性にかんがみ、この際、一切の公共料金の値上げをストップし、その裏づけ対策として、資本金一億円以上の会社に対する法人税率を引き上げ、及び租税特別措置法の改正等を行なって増収を行ない、公共企業体、公営企業及び低生産性部門の能率向上資金として投入するとともに、あわせて景気調整の一環とするよう勇断をもってこれに当たることが肝要と思うのでございますが、これに対して総理並びに大蔵大臣、経企庁長官の見解を承りたいのであります。
 質問の第四点は、現下深刻な事態にまで立ち至っている、いわゆる大学問題についてでございます。
 今日百五十万人をこえる学生が大学に学び、同年齢層での比率が二〇%に達するとするならば、まさに大学は大衆の高等教育機関化したものと言わざるを得ません。また、この傾向は、今後もますます顕著となることは疑う余地はございません。このような現実に対して、大学自体は依然として、真理の探求と学問のうんのうをきわめるところとして、研究、教育、管理運営のすべてが進められてきたところに、過去と現在の衝突、大学紛争を起こしているものと言わざるを得ないのでございます。
 そこで、総理並びに文部大臣にお伺いいたしたい一つは、社会は大きく変化しつつありますが、将来予想される社会に対応した大学制度あるいは教育制度全般についての構想を持たれているならば、それをこの際お聞かせいただきたいのであります。同時に、その構想を実現するためには、当面どのような基本的な政策を実行に移されようとしているのか、あわせて御答弁を得たいのでございます。
 次に、いま最も国民の憂慮を集めている東大紛争についてでございますが、このままで推移するならば、来年度の入学問題も、あるいはまた卒業生の問題も見通しは立たず、混乱は日を追ってますます増大するばかりであります。もはや話し合いの場は物理的に断ち切られたにひとしい現状と言わなければなりません。そこで、政府はすみやかに事態を収拾するために、何らかの具体的措置をとらなければならない、ぎりぎりの段階に追い込まれているはずであります。しかるに、昨日の衆議院における総理並びに文部大臣の答弁の中には何一つ具体的な対策が示されていないのは、まことに遺憾であります。
 そこで、私は一つの緊急収拾策として提案いたしましょう。総理、文部大臣、よく聞いていただきたいと思います。今日まで率直な自分の意思を表明する機会を失っていた一般学生の真意が那辺にあるか、これを確かめ、かつ全学生の総意がどこにあるかを把握して、民主的な解決への糸口を見出すために、「加藤代行の提案を全学生の投票に問うという方法もあるのではありませんか。」この成り行きを見て、すべての答えはきまるはずであります。世論もまた理解し、納得するでありましょう。これで民主的手続も完全に踏まれたことになるではありませんか。総理並びに文部大臣は、私のこの提案を受け入れて、直ちに今日の膠着状態から問題を一歩解決に近づける決意をしようとするならば、この点についてお答えをいただきたいのであります。これは決して干渉ではございません。いわゆる責任ある政府、文部省の指導性でございます。この点を明確にしていただきたいと思います。
 質問の第五点は沖繩問題であります。
 御承知のように、去る十一月十日の主席選挙、そして十二月一日の那覇市長選挙と、沖繩では非常に重大な選挙が相次いで行なわれ、いずれも早期全面返還を主張する革新統一候補の屋良氏、平良氏が圧勝いたしました。この両候補の勝利の裏には、単に革新の勝利、保守の敗北と言えないもの、つまり、二十三年余にわたる異民族支配に対する沖繩県民の悲壮な決意が示されていると私は思うのであります。したがって、母なる本土政府の総理大臣として、はたまた、沖繩の解決なくして戦後は終わったとは言えぬと言明された佐藤総理として、革新主席、革新市長の誕生をどのように評価されているか、まずお伺いしておきたいのであります。
 かつて総理御自身も自民党総裁選への出馬声明の際の記者会見で、基地の問題が煮詰まらなければ沖繩問題は解決しないと述べられました。私も全くそのとおりだと思います。そこでお伺いいたしますが、総理の信じておられる、両三年内にめどをつけるということ、必死になって沖繩問題と取り組むと言われたこと、総理の最近の心境からするならば、来年にも当然訪米されて新しいニクソン政権と交渉されるものと考えられるのでございますが、はたしていつ訪米されるのか、この際、その時期を明らかにしていただきたいのであります。
 まず、総理が訪米の時期を明らかにされ、それによって、基地のあり方を含めて沖繩返還に対する国民的合意を求め、その上に立って総理が強く対米交渉されるのが順当な手続、方法であると私は思うのでございます。それがためには、政府自身が従来主張してきた核の三原則を堅持しつつ、沖繩の基地の態様についてその具体的方針を明らかにして国民に問うのが当然だと考えるのでございます。これらについても、あわせて御見解と方針のほどをお伺いしたいのであります。
 さきに総理は、本土並み基地にすることを沖繩同胞が望んでいるというのは認識不足もはなはだしいと述べたと伝えられておりますが、これは見のがすことのできぬ重大な発言であります。と申しますのは、基地の本土並みという要求は、沖繩県民大多数の最低線の願望であると同時に、本土国民の願いでもございます。なお、自民党の中でさえ、本土並みの基地の主張を掲げて総裁選挙で四十数%の得票を得た事実を否定することになりはしませんか。そればかりではありません。総理みずからは白紙を唱えながら他の真剣な要求に水をかけるというやり方では、沖繩問題に身命を賭して取り組むと言われた総理自身の政治的背反となるからであります。この際、総理御自身の口から明確に本土並み基地に対する御見解を承りたいのであります。
 最後にお伺いいたしたいのは、沖繩県民が一丸となって要請しておりまする、沖繩の国政参加に関する対策でございます。
 最近総理は、衆参両院議長あてにこれに関する書簡を出されておりますが、これはどういう意図であるのか。真剣に取り組むとするならば、政府みずからがすみやかに検討され、政府から成案を得て国会に提案するべきであるにもかかわらず、かかる措置をとられたことは、政府の責任転嫁と言われている向きもあるのでございます。これに対し、総理の所信と、沖繩の国政参加への決意のほどをお聞きいたしまして、私の質問を終わりますが、どうぞひとつ、総理はじめ関係大臣に、国民にわかりやすく、誠意ある御答弁を期待いたしまして、終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(佐藤榮作君) 向井君にお答えいたします。
 私の政治姿勢は、別にいままでも今日も変わっておりません。私の姿勢が、あるいは高姿勢だとか、右寄りだとか、これは御批判は御自由ですが、さようなものではないのでございまして、私は、私の姿勢こそ正しい姿勢だ、かように考えております。
 そこで向井君から、各党首と懇談を持ったことをたいへんほめられました。私は、もちろん国会におきまして審議を尽くす、そういう意味で十分話し合うことができれば、それに越したことはありません、かように考えております。したがいまして、今後とも必要があれば、党首といつだって話し合う。同じ議員でございます。衆参議員でございます。同じように国政に携わっておるのでありますから、そういう点では遠慮会釈は要らないのであります。ただいまもちょうど幸いに、先ほどからの御議論を聞きましても、大学問題なぞは、たいへん各党で話し合うにかっこうの問題ではなかろうか、私はかように考えます。別にこれは党首同士で話し合うということでなくとも、この国会の委員会の場におきましても、あるいは円卓会議等の試みがしばしばやられておりますが、そういうような場をつくって、お互いにかみしもを着ず建設的な話し合いをする、そういうことがもっとあっていいのじゃないだろうか、私かように考えます。そういう意味で、つとめてそういう点を今後も取り上げてまいります。問題は、私どもがいかにして国民の信頼を得るか、また政治の目的を達するか、こういうことだと思いますので、各党ともそれぞれの立場はおありのことだと思いますが、どうか私が提唱するのでなく、皆さんからもそういう意味の提唱を私は歓迎するということを御了承おき願いたいと思います。
 そこで、今度は予算編成につきましても、各党の考え方をひとつ取り入れるのか、こういうお話がございます。おそらく各党といたしましては、政策こそそれぞれ国民に対して公約するところのものだろうと思います。私どもが政権を取っておるからといって、野党の諸君の要望に一切こたえないと、かようなものではございませんし、野党の諸君の要望と私どもの要望が合致するものもございますし、たとえば社会保障の問題等につきましても、これは意見は一致すると思います。ただ問題は、金額を一体いかに盛るか、こういうような点でしばしば違ってくるのであります。与党といたしましては、予算全体を見て、そうして各部門の配分は適正であると、かように考えますが、どうも皆さん方もそういうこともお考えになるけれども、ときに、たとえば防衛費を減らして、そうしてその予算をよそに持っていけ、こういうようなお話が出たりいたしますから、なかなか野党の意見を全面的に取り上げるというわけにはまいりません。しかし、私ども非常にかたくなな考えはございませんし、また皆さん方の御要望が、あるいはただ単に陳情という形でなしに、その要求、それを述べる。さらにその意見を率直に受け取る。この臨時国会などは、かっこうな場所でございまして、皆さん方の御意見を率直に聞ける、かように私どもも考えておりまして、そういう意味で、りっぱな予算を生むように、この上とも努力するつもりであります。
 次に、物価の問題についてお尋ねがありました。四・八%、かようにとどめることができるかということでございますが、率直に申しまして、どうもこれは非常にむずかしい問題である。あまり高くならないように、かように努力するのが私どものつとめであります。ことに、物価が国民生活に及ぼす影響などを考えれば、どうしても物価を安定さして、そして生活を圧迫しないようにすべきだ、かように考えております。熊谷報告につきましては、後ほど企画庁長官からお答えするかと思います。
 具体的な問題で、公共料金を上げないように何か特利な税でそれをまかなうような処置をとったらどうか、こういうようなお話でございますが、どうも増税ということにつきましては、私は簡単にこれがよろしいとは言いかねます。まだまだやはり増税をするよりも、受益者負担というほうが筋が立つのじゃないだろうか、かように考えます。しかし、公共料金そのものを上げないで済むような方法はもっとないか。受益者負担だと、こういうことで片づけないでも、もっと企業努力によってそういうことが片づかないか、それなどを今後検討してまいりたい、かように思います。
 次に、大学問題についてたいへん示唆に富んだお話を伺いました。私も大学の管理運営、これは特に改善の余地があるのではないだろうかと、かねてから考えております。ただいま総理大臣の、別にやかましい機関ではありませんが、大学問題懇談会というものを開きまして、その道の人たちの意見も徴しております。こういう点についても考えてまいりたいと思います。御指摘になりましたように、一口に大学と申しますが、総合大学もあるし単科大学もあるし、また教育の場も、また研究を主体にするところもありますし、また大学管理の問題がある。こういうことを考えますと、やはり三つに分けまして、それぞれ専門化したらよいのではないだろうか、これも一つの方法ではないかと実は私は考えております。また、大学制度もいま申しますように、大学と一口に申しますが、あるいは大学院制度、総合大学、これらもやはり改善する、これもまた研究に値する問題ではないだろうか、かように考えております。文部当局におきましても、これらの点を含めて鋭意検討中であります。
 東大紛争につきまして、具体的な案として、加藤代行の考え方を全学投票にかけたらどうか、こういうお話であります。これは確かに一つの示唆に富んだ事柄だと思います。しかし私は、しばしば申し上げましたように、個々の大学の紛争は大学当局の収拾努力に期待して、その努力を支持するということがわれわれの態度ではないかと思っております。これが政府の基本的態度だと思っております。したがいまして、東大問題に対する御提案は一つの方法であるとは思いますが、これを採用するかどうかは、大学当局が学内の状況を見て判断し処理すべき問題だと、かように私は考えております。加藤代行がせっかく精魂をこめて努力しておる最中でありますだけに、政府といたしましても、しばらくその結果を見守りたい、かように私考えます。前の質問等にも出たように思いますが、大学紛争がこれ以上長引くようなことがありますと、新入生の取り扱い等につきましても考慮しなければならなくなります。したがいまして、できるだけ早く事態がおさまるように、私ども、ただいま慎重に事態を見守っておるということでございます。
 次に、沖繩の問題につきまして、選挙の結果、御指摘のとおり屋良君が当選されました。これは無条件祖国復帰、即時復帰と、かように申しますが、一日も早く祖国に復帰したいという、私は同胞の願望が示されたものだと思います。何としても、一日も早く祖国に復帰したい、もう二十三年間他国の施政権下にあること、ほんとうに苦痛だと、かように私は考えております。政権担当以来、沖繩の祖国復帰を私は決意をし、私自身が沖繩に行って、県民の気持ちをはだで受けとめてきておるのであります。私は、至るところに、ここにも日本人がいるという、その立て札を見ましたときに、ほんとうに胸が迫る思いでございます。この気持ちがあるからこそ、たいへんな困難な問題ではありますが、勇気を持ってこの問題と実は取り組んでおるのであります。しかし、これとても国民各界各層の御支援がなければ、できることではございません。私は今回の選挙に際しましても、本土の政争を沖繩に持ってくるなと、候補の方々が叫ばれたということを聞いております。私は全くそのとおりだと思います。米国の施政権下にある沖繩の人たちは、これは一日も早く日本に帰りたい。私は、屋良主席が東京に出てまいりましたので、屋良君ともよく懇談をいたしました。私は屋良君とともども祖国復帰を実現するということを話した次第であります。屋良君も本国のやはり協力、支援がなければ本土復帰はできない、そのこともよく承知しております。私は、県民の、同胞の支援がなければこのことは実現しないということ、また本土のわれわれも十分理解しなければならぬ、かように思っております。
 そこで、訪米の時期はいつかというお尋ねでありますが、まだこれはきめておりません。これは新政権の態勢が整い次第、外交ルートによる本格的な沖繩返還交渉に出る考えでございます。来年中の適当な時期に訪米をいたしまして、ニクソン新大統領と話し合い、そうしてこの問題と取り組みたいと、かように考えております。
 基地が、核三原則、これとの関係でどうであるのか等々の御意見が、いまお尋ねでございました。しかし、先ほど来、いや、この前の施政演説でも申しましたように、私はこの祖国復帰、同時にまた基地のあり方等につきましても、わが国の安全確保、そういう観点に立ちまして、どうあったらいいのか、これを十分考えていきたいと思っております。
 以上、あるいはなお不十分かと思いますが、一応お答えいたしまして、その他の点については、委員会等に譲らしていただきます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(福田赳夫君) 公共料金を据え置く手段、財源として、一億円以上の資本の法人に対して法人税を増税したらどうか、こういうお話でございますが、いま総理がお話になりましたように、増税となると、なかなかこれはそう簡単にはまいりません。私といたしましても、なるべく資本には蓄積を持ってもらうという基本方針で、税制改正には臨みたい、かように考えておるのであります。
 なお、財源を、つまり税をもって公共料金を据え置くべしという意見はしばしば聞くのでございますけれども、ただ単に対策なしにさようなことを繰り返しますと、これはもう二、三年たつとえらいことになってしまう、これは私から申し上げるまでもないことかと思います。やっぱり企業体自体に内在する諸問題を解決する、つまり企業の体質改善、これが前提であり、先々体質が立ち直るという見通しがついた場合に、その経過的措置としての財政援助、そういう性格があってこそ、財政援助というものが生きてくる。さようでないと、財政援助のために企業体を殺しちゃう、こういうことにもなりますので、その辺は注意しながらやっていかなければならぬと、かように考えております。
 なお、四十四年度の予算の編成に各党と話し合えというお話でございまするが、どうか、いろいろ積極的な御意見がありましたならば、ひとつお聞かせくださるようお願い申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣菅野和太郎君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(菅野和太郎君) 本年度の消費者物価を四・八%に押えることができるかどうかということにつきましては、総理からすでにお答えになったとおりでありまして、本年度におきましては、まことに遺憾ながら押えることができないと考えております。がしかし、明年度からは五%以上にならないようにひとつ極力努力したいと、こう考えておるのであります。
 なお、熊谷報告書のことについてお尋ねがありましたが、熊谷報告書は所得政策のことについて述べてあるのでありまして、所得政策自体につきましては、いろいろまだ概念が一定しておりませんが、しかし、熊谷報告書のその内容といたしましては、向井君もこれは全面的には賛成できぬというお話でありましたが、私自身もこれをうのみにするわけにはいかないと考えております。がしかし、要は、この所得をいかに適正に配分するかというところに所得政策の目的があるのでありまして、たとえば生産性の向上によって得たところの成果をいかに分配するか、これを経営者ばかりがもうけるか、あるいは賃金の値上げにするか、あるいは販売価格を引き下げて、そうして消費者に利益を、恩典を浴さしめるかというようなところが、これが所得政策の目的だと思うのでありまして、そういう意味で、私は大企業など、ことに生産性の高い大企業によって得たところの成果を、これは労使ばかりではなく、できるだけ同業者の競争によって販売価格を低くして、そうして消費者が安く購入することのできるような指導をしたいと考えておるのであります。今日まで、たとえばテレビが数年間に安くなったというようなことなども、その一例かと存じておる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(坂田道太君) 向井さんにお答えをいたしたいと存じます。
 全学投票の問題について、この御提案は確かに私は傾聴すべき一つの方法だと考えております。しかし、ただいま総理がお答えを申されましたとおりでございまして、加藤代行、せっかくいま一生懸命やっておられるわけであります。これを含めておそらくお考えのことだと私は考えております。
 それから大学の未来像につきまして、現在の学校教育制度は、新学制発足以来二十余年を経ております。社会の進展についていろいろ検討を要する問題も生じております。また、今後の時代の進展に応ずる新しい課題を検討する必要もございます。特に大学問題につきましては、その大衆化に応じ新しい大学のあり方を確立する必要がありますが、このためには国民一人一人の理解と協力がぜひとも必要であると考えております。
 昨年七月、中央教育審議会に対しまして、今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策につきまして諮問をいたしまして、総合的、長期的な観点から検討をお願いしておるところでございます。
 最近におきます大学紛争の激化にかんがみまして、去る十一月十八日、同審議会に対しまして、右の審議と並行いたしまして、当面する大学教育の課題に対応するための方策につきましても審議をお願いしたところでございます。私は、国民のための大学というものを考えていきます場合におきましては、国民の皆さま方、各党の皆さま方の御意見を十分踏まえて考えていかなければいけないのじゃないか。また、個性ある大学をつくらなければならないのじゃないか。それから、もう一つは、研究を中心とした大学、あるいは、また、教育を中心とした大学、あるいは義務教育のための大学というものについては、やはりおのずと性格、目的が違いまするので、そういうようなことも考慮して考えなければいけない。しかし、事は重大な問題でございまするので、中央教育審議会に諮問をいたしまして、その結果を待って新しい大学像に対する施策を進めてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。(拍手)
#33
○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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