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1968/12/17 第60回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第060回国会 石炭対策特別委員会 第2号
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1968/12/17 第60回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第060回国会 石炭対策特別委員会 第2号

#1
第060回国会 石炭対策特別委員会 第2号
昭和四十三年十二月十七日(火曜日)
  午前十時四十七分開議
 出席委員
  委員長 堂森 芳夫君
   理事 大坪 保雄君 理事 鹿野 彦吉君
   理事 神田  博君 理事 中川 俊思君
   理事 三原 朝雄君 理事 岡田 利春君
   理事 八木  昇君 理事 池田 禎治君
      藏内 修治君    西岡 武夫君
      多賀谷真稔君    大橋 敏雄君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  大平 正芳君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       藤尾 正行君
        通商産業政務次
        官       植木 光教君
        通商産業省鉱山
        石炭局長    中川理一郎君
 委員外の出席者
        通商産業省鉱山
        石炭局石炭部長 長橋  尚君
        通商産業省鉱山
        保安局長    橋本 徳男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 石炭対策に関する件(石炭対策の基本施策)
     ――――◇―――――
#2
○堂森委員長 これより会議を開きます。
 石炭対策に関する件について調査を進めます。
 この際、石炭対策の基本施策について通商産業大臣から所信を承ることといたします。大平通商産業大臣。
#3
○大平国務大臣 私はこのたび通商産業大臣に就任いたしましたが、所管事項の中でも特に石炭行政は、エネルギー革命の渦中にある石炭鉱業の再建の問題にとどまりまぜず、保安の確保、産炭地域の振興、鉱害の円滑な処理、雇用の安定等の幅広くかつ困難な問題をかかえております。私といたしましては関係各方面の御協力を得て、誠心誠意これに取り組んでまいる所存であります。
 今後の石炭鉱業のあり方につきましては、その深刻な状況にかんがみ、本年四月以降石炭鉱業審議会において長期的かつ国民経済的視野に立って広範な検討が続けられてまいりましたが、その大綱について小委員会における審議を終えたところであります。さらに引き続き総合部会で検討を重ねることとなっており、まもなく答申の運びになるものと期待しておる次第であります。
 政府といたしましては答申があり次第、その趣旨を十分尊重して予算面、法制面等の所要の措置の準備を急ぎ、来年度より石炭鉱業の再建、保安の確保、産炭地域の振興、鉱害の円滑な処理、雇用の安定等の目的達成のため強力な施策を実施してまいる所存であります。
 なお、保安の確保につきましては、すでに中央鉱山保安協議会の答申を得ており、目下その具体化のため予算の確保に努力しておる次第であります。
 私は、今後の石炭対策につきましては、審議会の審議経過等にかんがみ、基本的には石炭鉱業の再建を念頭に置いてこれに臨むべきであると考えております。
 ただ、石炭鉱業内外の客観情勢から見まして、今後とも現在の出炭規模をそのまま維持し続けていくということはむずかしい面もあると思いますが、いずれにいたしましても、相当思い切った支援を行なら必要があると考えている次第であります。
 とりわけ労働面での不安動揺が多い現状にかんがみ、これを安定し、再建が円滑に進むよう十分配慮すべきであると考えております。
 当面緊急を要する年末金融対策につきましては、関係金融機関の協力を得るほか、開銀の融資、合理化事業団の近代化資金の貸し付け等融資制度の活用をはかるとともに、安定補給金、坑道掘進費補助金等を年内に交付する等の措置を講じている次第であります。
 本特別委員会は、従来から石炭対策につき熱心に御審議をいただき、また心強い御指導御鞭撻をいただいておりますが、今後とも一そうの御協力をお願い申し上げる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#4
○堂森委員長 石炭鉱業審議会政策懇談会小委員会の審議結果等について政府より説明を求めます。中川鉱山石炭局長。
#5
○中川(理)政府委員 それでは石炭鉱業審議会の政策懇談会の小委員会が新しい石炭対策について考え方をまとめましたので、御報告いたしたいと思います。
 なお、これからあとの手順といたしましては、先ほど大臣からも言及されましたように、総合部会を経まして石炭鉱業審議会の総会が開かれまして、そこで最終的に結論が出ましたものが答申となるわけでございます。
 きょうお手元にお配りしております「新石炭対策について」としるしました書きものは、この小委員会の思想統一をするためのドラフトでございまして、表現その他は必ずしもまだ練れておりませんし、本答申となります場合、これが基調に相なりましても表現その他はまだ十分練る必要があるかと思います。考え方の基本は骨組みとしてしるされておりますので、読みながら御説明をいたしたいと思います。
 最初に基本方針でございますが、ここでは四つの事柄を述べております。一つは石炭鉱業の再建であり、第二ほ終閉山の円滑化であり、第三は労使の努力と企業間の協力体制の確立であり、最後に財源の確保とその使用の効率化並びに負担の公平化ということをしるしております。一 基本方針
 一、石炭鉱業の再建
 石炭鉱業については、数次にわたり対策が実施されたにもかかわらず、現在非常に深刻な事態に直面しており、現行の対策のもとにおいては、その存続自体が困難な状態に立ち至っている。
 これは、その後における引き続くコストの上昇、赤字の増大、資金繰りの極度の悪化、労働力の流出等石炭鉱業自体における相重なる諸条件の悪化によるところが大きいが、同時にエネルギー革命の進展に伴う競合エネルギーの発展、それに伴う石炭需要の変化、労働力需給の構造的変化等石炭鉱業をとりまく諸情勢の変化に負うところも大きいので、現状の出炭規模を今後ともそのまま維持することは、困難と思われる。
 しかるに他方石炭鉱業は、その需要面から見ても、原料炭については国の産業をささえる柱として長期的見地からその確保はぜひとも必要であり、また一般炭についても、電力需要等を中心に考える場合は、なお相当量の需要は期待し得る。のみならず、石炭はわが国にとっては有力なる国産エネルギー資源でもある。したがって、わが国の石炭鉱業について、上記の需要に対応し得る出炭体制を確立するための石炭鉱業の再建が必要であり、これがための抜本的施策を講ずるとともに炭鉱労使はもとより、金融機関、大口需要家、地元関係者等が相協力して石炭鉱業の再建に最大限の努力を傾注しなければならない。
 2 終閉山の円滑化
 今後諸般の事情から、石炭鉱業のある程度の規模の縮小はやむを得ないにしても、今回の対策樹立の中心が石炭鉱業の再建にある以上、終閉山による影響をできるだけ防止し、社会的摩擦ないし不安を可及的に緩和しつつ、石炭鉱業全体に急激な不安と動揺を与えないよろに留意すべきである。
 特に、石炭鉱業が特殊な地域構成をとる産業である以上、終閉山が産炭地の経済社会に与える影響を十分考慮し縮小についてもこれが可能な限りなだらかに行なわれるよう配慮するとともに産炭地域振興、雇用の安定、鉱害処理等のため必要な対策についても万全を期すべきである。
 3 労使の努力と企業間の協力体制の確立
 石炭鉱業の再建は、あくまでも私企業体制を前提として行なわれるべきものである。
 この意味において、国の助成もこれを可能ならしむる程度のものでなければならないが、再建が真に可能になるかどらかは労使一体となっての努力にまつところがきわめて大きい。
 したがって、今後の石炭鉱業の再建にあたっては、保安の確保が前提であることは当然のこととして、今次対策が再度、練り直しの許されない最終的なものであり、昭和四十九年度以降の国の助成は減少するとの前提にたって、企業は自己の責任を自覚し、労使一体となって再建のための計画を樹立し、これを実施するとともに、必要に応じて各企業が相協力して最大限の企業努力を発揮し得るような体制を自主的に整備すべきである。
 4 財源の確保とその使用の効率化並びに負担の公平化今次対策の緊要性にかんがみ、現行の石炭対策特別会計の存続期限(昭和四十五年度まで)を昭和四十八年度まで延長し、その収入のワク内において対策の適確な実施をはかるものとし現行原重油関税率のうち昭和四十五年度末まで有効とされている暫定分の取り扱いについても、今後必要に応じ適切な措置が講ぜられるよう要請する。
 経費の配分にあたっては対策の目的にかんがみ、これが石炭鉱業の再建に最も効率的に活用されるよう配慮するとともに、石炭鉱業の再建が関係者の応分の協力と犠牲を前提としない限り成り立ちがたい事情にかんがみこれら協力と犠牲が最も公平に行なわれるよう留意すべきである。
以上のような基本方針に基づきまして、次に二といたしまして対策の概要を述べております。
 二 対策の概要
 上記の基本方針に基づき、国においては概要
 次のような総合的施策を早急に確立し、その強力な実施を推進する必要がある。
 1 再建交付金
 (目的)
 (1) 石炭鉱業の経営基盤を確立し、その再建をはかるため、「再建交付金」(仮称)を石炭企業に交付する。
 (対象企業)
 (2) 再建交付金は、石炭鉱業の再建をはかるという趣旨にのっとり、交付するものとする。この場合、国は、再建交付金の交付を申請する石炭企業に対し、最大限の自己努力を織り込んだ再建計画の提出を求め、再建に関する企業の決意と責任を明らかにさせる。
 (使途)
 (3) 再建交付金は長期金融債務に充当するほか、退職者預かり金(未払い分を含む。)の返還にも使用することができるようにする。
 (交付金額等)
 (4) 再建交付金として交付し得る総額の限度は一、〇〇〇億円程度(元本ベース)とし、四十四年度より十五年間にわたり分割交付し、その際、再建交付金により償還する債務の金利は、年三%(貸し出し金利との差は免除)とする。この場合、退職者預かり金の返還を優先的に行なわせるものとする。
 また、各企業ごとの再建交付金の額については、その出炭量等を考慮して決定すべきである。
 (区分経理等)
 (5)(一) 国は、再建交付金の交付を受ける石炭企業に対し、石炭部門及び兼業部門の経理の実態を把握し、石炭関係の資金が他部門へ流出することを防止するとともに、今回の対策効果を的確に判断することを目的として、(イ)石炭部門と兼業部門との区別(ロ)新旧勘定の区別に従った経理報告を定期的に提出させる必要がある。
 なお、国は、(イ)兼業部門の採算が悪く石炭部門から兼業部門へ資金が流出するおそれがある場合、または(ロ)区分経理を的確に実施していないと判断される場合には所要の勧告を行なうべきである。
 (二)石炭部門の収益力、実資産力の明確化をはかることによって石炭企業にとっても国にとっても的確な判断基準を提供し得るようにするため、上記@の区分経理に際し、石炭部門の資産の評価がえ(資産の除却)を行なったものとして記載を行なわせる必要がある。
 2 安定補給金等の増額
 長期的に見た原料炭需要の重要性とその採掘条件の実情にかんがみ、原料炭に重点を置きつつ、石炭鉱業の再建、維持に必要な助成を強化することとする。
 特に安定補給金については、出炭トン当たり平均単価の大幅引き上げをはかるとともに、再建交付金の交付を受けない企業に対しては交付を受ける企業との均衡上妥当な格差(例えば、トン当たり一五〇円程度)を上のせするとととして、その交付対象を全石炭企業に拡大する。(再建交付金の交付を受けない企業については、トン当たり平均一般炭三〇〇円、原料炭五〇〇円程度とする。)
 3 再建のための資金の確保
 (1) 今後における石炭鉱業の再建に必要な長期金融の確保には、相当の困難が予想されるので、石炭対策特別会計からの出資金を原資とする石炭鉱業合理化事業団の無利子金融制度を大幅に拡大(各年一〇〇億円程度の出資)して、近代化資金のほか、労務者住宅の改善等に必要な資金を新たに融資対象に加えるとともに、あわせて無利子効果による損益の改善に資する。なお、日本開発銀行資金については、長期的に採算のとれる企業につきこれを期待するとともに特に中小炭鉱金融の確保をはかるため政府系中小金融機関についてこれを検討する。
 (2) もとより再建金融の円滑化をはかるためには、可能な限り企業自体による自己調達努力を促進し、安易に財政融資にのみ依存する弊におちいることを防止すべきことは当然であるが、石炭鉱業の担保余力が枯渇しつつある現状においては、このような企業努力に対して国としても適切な支援を与える必要がある。このため、再建交付金の交付を受ける企業がこの交付金の対象となっている借り入れ債務に関し、金融機関に差し入れてある特定の担保資産について担保権の解除を受けることとなっているときは、当該資産が石炭事業の再建に寄与するための資金の調達に役立つこととのかね合いにおいて、政府は、原則として当該資産の金額に見合う対象債務額の補償を行なう等の所要の措置を講ずべきである。
 4 企業の合理化努力と企業聞の協力体制の確立
 石炭企業はその実情に応じ経営の刷新に全力をあげ、あらゆる合理性の追求につとめるべきである。
 (1) その意味において、鉱区の再編・調整等のための企業の統合、自立意識高揚と地域及び炭種別需給の確保のための炭鉱単位の企業の分割、それらのための石炭部門と非石炭部門の分離、需給の円滑化を確保するための共同行為の実施等実情に即した体制の整備を行なう必要がある。
 これがため必要に応じ国が企業に勧告し得る措置を検討すべきである。
 (2) 今次対策における国の助成のもとで再建をはかるため、企業ごとに労使協議の場を設け、労使一体となって生産及び保安の確保、労働環境の改善等の問題につき前向きに検討協議させる。
 5 労務者対策の推進
 炭鉱労務者の置かれている環境は十分とはいいがたく、今日、これの改善がなければ、雇用の安定と石炭鉱業の再建を期することはできない。このような認識に立って、今次対策を実施するにあっては、石炭生産のにない手である炭鉱労務者に対し次のような対策を行なう。
 (1) 労務者の定着及び確保対策
 (一)炭鉱住宅の改善等の環境整備を進めるため石炭鉱業合理化事業団の無利子融資制度等の助成措置を講ずるとともに、福祉施設の設置等の労務者福祉対策の推進をはかること等により健全な労働環境をつくり上げる努力を積極的に行なう。
 また、やむを得ず閉山する炭鉱の離職者についても、その前職経験を生かして存続炭鉱への再就職が円滑に行なわれるよう指導援護措置を充実することとする。
 (二)閉山に伴う離職者の退職金については、閉山交付金による充足割合を高めることとするが、国が負担する額にもおのずから限度があるので、企業サイドでも何らかの措置を講ずることを検討すべきである。
 (2) 離職者対策の改善
 やむを得ず閉山する炭鉱の離職者については、高齢化の実態、若年者、技能者に対する求人難等の状況に即して、再就職の困難なものを重点として援護対策を推進するとともに、職員層等については、その能力、経験に適合した職業転換対策を強化することとする。
 6 保安対策の強化
 中央鉱山保安協議会の答申にのっとり、石炭鉱業経営者は自主保安体制の確保にさらに努力すべきであり、一方、国は、これに対する監督、指導及びガス抜き、密閉等の坑内骨格保安構造の整備をはかるための助成措置の創設等、助成を一そう充実強化するとともに石炭企業の長期再建計画の一環として保安計画を提出させその実施推進をはかる等、石炭鉱業再建のための各種施策の実施にあたってその基本的条件としての保安の確保に十分配慮しつつこれを推進すべきである。
 7 閉山交付金の改訂
 終閉山に伴う関係者への影響をできるだけ緩和するため、最近の実情にかんがみ閉山交付金の単価を引き上げることとし、これによって従来弁済率の低かった労務者債務及び一般債務の弁済率の向上をはかり、また、鉱害債務の有無により他債務の充足割合が不均等にならないようにするため、地域別に格差を設ける必要がある。(平均的に見れば、現行平均トン当たり二四〇〇円を平均トン当たり三三〇〇円程度に増額する。)
 また、著しい超過債務をかかえている企業が、企業ぐるみ閉山を行なうときは労務者、地元中小商工業者、鉱害被害者等に耐えがたい影響を与えるおそれがあるので、これら関係者への影響を緩和するため、臨時に閉山交付金に所要の割り増しを行なう。この場合の割り増し限度は、当該企業が支払い得ない退職金等の労働債務、一般債務、鉱害債務、金融債務の各債務ごとに一定限度までの弁済を行ない得る範囲とすべきである。
 ただし、再建交付金の交付を受けていた企業がこの制度によって閉山する場合は、再建交付金の既交付額は控除することを考慮すべきである。
 8 鉱害対策の推進
 石炭鉱業は、現在なお膨大な残存鉱害をかかえており、しかも過去及び今後の閉山合理化の進行に伴い無資力鉱害の増加が予想されるので、このような現況に対処するには従来にも増して鉱害対策を一そう強力に推進すべきである。
 このため、鉱害復旧事業規模の拡大をはかるとともに鉱害処理の総合性、計画性をさらに確保するため、長期復旧計画の策定を急ぐこと、鉱害認定制度の整備を行なうこと、復旧不適地制度の活用と改善をはかること、鉱害賠償鉱害防止のための資
 金の確保をはかること、終閉山時における鉱害債務の弁済の迅速化及び一そうの適正化をはかること等の措置を講ずる必要がある。
 9 産炭地域振興対策の推進
 産炭地域の現状は過去の終閉山による影響からの回復の途上にあり、しかも石炭鉱業の整備は今後も行なわれる見通しにある。
 このような情勢のもとにあって、この際産炭地域振興について格段の努力を払う必要があり、このため、次のような基本的方向に沿って施策の推進をはかるべきである。
 (1) 地域振興の根幹となる産業基盤及び生活環境の整備を促進するとともに、疲弊した地方財政の状況にかんがみ、所要の援助を行なう。
 (2)長期的、総合的な地域振興のビジョンを確立し、中核企業の誘致等を中心とする産業の振興を一そう強力に進めることとし、このため産炭地域振興事業団の事業の拡充、強化をはかるほか、政府系金融機関による産業転換の資金の融通等の措置を考慮する。
 (3) 産炭地域における地域雇用安定対策を講ずるとともに、中小商工業者対策の強化、産炭地域振興税制の充実等のきめこまかい対策等についても十全の措置を講ずる。
 なお、産炭地域の振興は、実施主体が数多く、地方公共団体の自主努力に加えて各省庁の一致した協力が必要であり、対策の推進に当たっては、政府は、この点に十分な配慮を払う必要がある。
 以上、少し急ぎ足で朗読いたしましたが、若干の補足を対策の概要の面につきまして申し上げますと、再建交付金でございますが、前回一千億円の肩がわりをいたしました経験と反省にかんがみまして、今回の再建交付金は、従来のように累積赤字があるから肩がわりをするという手法とは全く別個のものといたしまして、今後の再建のために旧債の処理を応援しよう、こういう思想にいたしておりますので、たとえば累積赤字がないと肩がわりしてもらえなかったというのが前回の状況でございますが、今回の再建交付金制度におきましては、今後の再建のために助成をするということでございますので、赤字ということは要件にはしない、こういう考えでおります。
 それから、実際問題として、退職者の預かり金等の問題が労働不安のもとにもなりかねませんので、これらにも充当し得るようにいたしたいと考えております。なお、前回の場合におきましては、債務残高に従がいまして、一千億円の分配をいたしたわけでございます。これも思想的に今後の再建のためという基調に立っておりますので、ここに書いておりますように、出炭量等を考慮して決定するということで、従来不成績であったからよけいもらえるという弊害におちいらないように考慮をいたしたいと思っております。
 区分経理の点は、大体お読み願えれば、趣旨はおわかり願えると思いますので、これは省略いたします。
 安定補給金でございますが、先生方御高承のように、現状におきましては、中小炭鉱と再建会社に対しまして、トン当たり百五十円という補給金をいたしておるわけでございますが、これを相当大きなものにいたしませんと、今後の経営はなかなか改善しないという見込みでございますので、ここに書いておりますように、トン当たり一般炭で三百円、原料炭で五百円という大幅な引き上げ拡大をはかっておるわけでございます。ただし、再建交付金の交付を受けるか受けないかは、一つにはこれの制度の要件に該当するかどうかということにもよりますが、該当する場合でありましても企業側に選択をさせるという制度にいたしたいと思っておりますので、再建交付金は要らないという企業に対しては、この三百円、五百円で処理する、交付金の交付を受けるものについてはこれから百五十円引くということで考えております。3の「再建のための資金の確保」につきましては、諸先生御高承のとおり、だんだんとむずかしい状態になっておりますので、実態として市中金融機関に期待することはだんだんむずかしくなってきているという判断で、石炭特別会計の財源からの合理化事業団への出資によりまして無利子融資を拡大したい、かように考えております。この際、労働問題等を考慮いたしまして、生活環境の改善のためにも充て得るようにしておりますし、この融資によりまして、無利息でございますので、さきに申し述べました安定補給金の交付と同じように損益面での改善には利子効果として大きく働くものと考えております。ただ、これを大幅にやりますので、これとの関係上、従来財投原資によって行なっておりました開銀の融資というものはそれだけ後退することになりますので、開銀の担当すべきものについては、銀行としての十分な採算に乗るものに限定されるということに相なろうかと思うわけでございます。(2)に書きました担保抜きの今度の新しい措置は、今回初めてのことでございまして、ここに書いておりますように、現状からいたしまして、市中金融に依存することがなかなかむずかしい、合理化事業団の無利子融資制度を中心にして金融をつけていくという実態に相なろうかと思いますが、企業としては、やはり資金の自己調達努力というものについて十分な努力を行なってもらいたい、こういうプリンシプルに立ちまして、これに対する支援措置として考えたものでございます。
 御承知のように、再建交付金の交付は、これを受ける企業が石炭採掘を継続しております限りにおきましては、約束に従って元利の償還をいたすわけでございますので問題はないのでございますけれども、この今回の再建交付金制度におきましては、十五年という長い年賦期間にいたしておりますので、その間に、その企業が石炭事業をやめるという不測の事態が生じないということも言えまい、こう考えられるわけでございます。そこで、前回の一千億の肩がわり制度におきましては、元利均等償還をいたしております期間の間にその企業が石炭採掘をやめましたときには、その企業と約束をしておりました肩がわり額の未払い額につきましては、金融機関がその企業に対して持っております抵当権を行使した上でなお回復し得なかった額の二分の一を国が損失補償として行なう、こういうことになっておったわけでございます。同様の仕組みを今回そのまま適用いたしますと、金融機関といたしましては、担保解除をすればしただけ、その会社が途中で解散しました場合の取り立て不能額が大きくなりますので、したがって、その半分だけを国から損失補償を受けましても、残りの二分の一である銀行側のかぶりというものが大きくなるということになりまして、平たく申しますと、担保解除をすることが銀行にとっては不利だ、したがって、担保解除をしてくれない、こういう実態が出てまいります。そこで、今回の制度といたしましては、その分を国が損失補償である程度引っかぶることにいたしまして、金融機関としては、抵当権解除をやっても得でもないし損でもない、しない場合とする場合とは全くイコールである、こういう制度を仕組みまして、万が一の場合は、国の持ち出しは少し大きくなりますけれども、この抵当権解除によりまして、石炭企業が石炭事業の再建に必要な資金を再び調達し得るような情勢をつくってやりたい、こういうことでございます。
 時間の関係もございますが、概要申し上げましたようなことでございまして、今後の運びといたしましては、きょうの午後総合部会を用意しておりまして、総合部会にこの小委員会案をはかりまして、ここで御審議を願う。総合部会の審議が終わりましたところで総会を開いて、総会の御了承を得られるならば正式答申ということに運びたい、かように考えておる次第でございます。
#6
○堂森委員長 これにて政府の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○堂森委員長 藤尾、植木両通商産業政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許可いたします。まず、藤尾通商産業政務次官。
#8
○藤尾政府委員 このたび、通商産業政務次官に就任をいたしました藤尾正行でございます。
 大臣の命によりまして、石炭対策につきましては特段と勉強をし努力をするようにという御指示でございますので、今後とも全力をあげて大臣の御負託にこたえたい、かように思っております。委員各位の御協力と御理解を特段にお願いを申し上げまして、私のごあいさつといたします。(拍手)
#9
○堂森委員長 次に、植木通商産業政務次官。
#10
○植木政府委員 このたび、通商産業政務次官を拝命いたしました植木光教でございます。
 懸命の努力をいたす所存でございます。何とぞ御指導、御鞭撻、御協力をくださいますようにお願い申し上げます。(拍手)
#11
○堂森委員長 次回は、来たる二十日金曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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