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1949/05/23 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第26号
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1949/05/23 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第26号

#1
第005回国会 農林委員会 第26号
昭和二十四年五月二十三日(月曜日)
   午前十一時四十八分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○競馬法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○食糧確保臨時措置法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○食糧増産確保基本法案(楠見義男君
 外十八名発議)
○食糧管理法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(楠見義男君) これより農林委員会を開会いたします。本日は衆議院から送付され本付託となつております政府提案の競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。本法律案につきましては昨日の委員会をもちまして大体質疑を出盡しておると思いますので、御異議がありませんでしたら直ちに討論採決に入りたいと思いますが。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(楠見義男君) 御異議がないようでありますから、これより競馬法の一部を改正する法律案につきまして討論に入りたいと思いますが……。別に御発言もないようですから討論は終局したものと認めて、直ちに採決に入ります。競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案を衆議院送付案の通り可決することに御賛成の諸君の起立をお願いいたします。
   〔総員起立〕
#4
○委員長(楠見義男君) 総員起立であります。よつて本案は衆議院送付案通り全会一致を以て可決せられました。
 尚、本会議におきます委員長報告については、委員会における審議の経過並びに結果を報告いたすことで委員長に御一任願いたいと思います。
 それから報告について多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可決することに賛成された方々は順次御署名を願います。
 多数意見者署名
    加賀  操  池田 恒雄
    大畠農夫雄  星   一
    柴田 政次  板野 勝次
    平沼彌太郎  門田 定藏
    國井 淳一  徳川 宗敬
    山崎  恒  藤野 繁雄
    石川 準吉
#5
○委員長(楠見義男君) それでは暫時休憩いたします。
   午前十一時五十分休憩
   ―――――・―――――
   午後七時十六分開会
#6
○委員長(楠見義男君) それでは休憩前に引続きまして委員会を再開いたします。先ず最初に食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案を議題にいたします。それで只今から討論に入ります。
#7
○板野勝次君 私は日本共産党を代表いたしまして、この度の食糧法の改惡案に対しまして反対の意を表明するものであります。先月の二十八日以來今日までいろいろこの案の中に盛られております超過供出の問題につきましては、委員各位におかれましても愼重に審議されまして、その間におきまして政府当局が今回の改正に伴う農民の諸対策につきまして、極めて不親切であるということが明らかになつて参つたのでございます。例えば農民にこのような努力な措置をとりますためには、何と申しましても何よりも農民が喜んで供出する、こういう体制を作つて初めてこの改正案が問題になるのでありますが、政府当局におきましては、その一つの例を申上げますならば、價格の問題につきまして、少しも考慮が拂われていない。現在のパリティー計算によりますところの農産物の價格は極めて安い農産物の價格の下に置かれておる。これはもはや農林委員の各位が一樣に認められておるところでありまして、農産物の價格が他の農業生産の再生産に必要なものと比較いたしまして、極めて安い指数を示しているのであります。その上に農村に必要な報奬物資にいたしましても極めて高い値段、これ又高い値段で農村に供給されようとしておる。而もそれは誠に微々たるものであります。農機具の問題にいたしましても、衣料品の問題にいたしましても、何一つ農村が買い得るような値段でないばかりでなくして、現在の食糧を拡大生産するために農業の再生産を確保し得るような内容を持つていない。
 更に農業所得税の問題にいたしましても、皆さんにおかれましても御議論がありますように、農民に対する課税は極めて苛酷であります。その一例につきましては昨日大藏大臣に、その農村課税の極めて不適正である点も一部触れたのでありますが、自主申告納税制度は全く蹂躙されておりますし、封建的な反別課程が強行されておる、これに対しましても大藏大臣は何ら明解な答弁を與えていないのであります。又必要経費から家計上の経費でありますところの自家労賃を除外することによりまして、農民の生活を破壞しておる。政府の方では自家労賃は経費に入らないと言つておる、そうして若し自家労賃を経費に入れるとすれば、所得税は世帶ごとに合算して課税するのだから、自家労賃を收入の方に入れる結果、差引同じことだと言うに違いないのであります。併しこれは間違つておるのでありまして、何故間違つておるかと言えば、これは農家労働を全く只のものだと見ておるからであります。農家が経営を続け、生産を続けて行くためには、どうしても肥料や農具を整える以外に家族の労働力を健全に保持して行かなければならないのであります。幾ら土地があり、種や苗や農機具があり肥料がありましても、これを耕やし收穫するまでの労働が伴わなかつたならば農産物は穫れないのであります。農民が、自分及び家族の身体を、重労働である野良仕事に堪え得るような健康を維持するための経費、これが本当の意味での自家労賃であります。税法の規定に從つて自家労賃を必要経費とみなさないために幾多の矛盾が起つているのであります。事業所得と給與所得では基礎控除の額が違つておる、例えば三人の働き手がいるとした場合に、給與所得は一人が一万五千円、昨年は中途で税法が改正され、特別で一万三百二十五円でありましたが基礎控除があるので、二人が給與所得を得ているといたしますと二万六百五十円、それにあと一人の事業所得の基礎を控除して一万三百二十五円を加えて合計三万九百七十五円控除されるのでありますが、ところが逆に事業所得が二人の場合には、基礎控除は二人で一万三百二十五円しかなくて、他の一人の給與所得の基礎控除一万三百二十五円を加えて合計二万六百五十円しか控除されないこととなるのであります。そうすると、家族労働力をできるだけ減らし、家族は自分のところでは働かないで、他の賃労働をやり、これで得た金で以て人を雇つては仕事をした方が得だということになるのであります。これは何と考えて見ましても大きな矛盾だと思わずにはいられないのであります。農民に自分の労働力の價値を十分に認めさせる、幾ら働いても自分のところで働くのは只というような官僚の封建思想を徹底的に打破しなければ、農民生活と農業生産の発展は望めないのであります。昭和二十四年の一月の二十日附で二十三年農業所得税に対する農業團体の要望事項におきましても、家族從業者ごとに基礎控除を認めますると共に、勤労控除を認めること、こういうことを申しておるのであります。女中の用役というものは生産であつて、主婦の用役は生産に入らない、こういうふうな制定が果してつくと思われるかどうかということは、俄かに判定しにくいといたしましても、女中の用役にいたしましても主婦の用役にいたしましても同樣であります。又、農舍や大農具などの減價償却費などの評價に当つて取得價格を基礎としておりますために、現在のようなインフレの下におきましては農民の生産を破壞しているのであります。大藏省は商工業を通じて取得價格主義であり、それが所得税法の原則であるというかも知れないのでありますが、併し農民の再生産が基礎をなさなければ意味はないのであります。購入價格を基準にして償却していたなら、例えば脱穀機を買おうとしても今のインフレの下にありましては買えなくなるのであります。而も耐用命数……近頃は粗惡になつております。從つて現在價格で見積り、それを耐用命数で割つて償却費を出すべきであります。若しこの方法を採らないならば買えなくなつて、農家は自然に知らず知らずの間に財産を取上げられてしますようなことになつてしまうのであります。又皆さんも御存じのように、農業收入の算出を收穫年度主義を採りますために、不当に過大な評價を行いまして農家経済を破綻させていること、税務署の方では今は一石三千五百九十五円だから、米十石穫れるならば三万五千九百五十円の收入だと言いますが、併し一石三千五百九十五円に決まつたのは本年度産米からでありまして、出來秋まで農家の收入となつておりますところの二十二年度産米を今年になつてから供出した分、及び新米が出るまでの農業の收入となつております二十二年度産米を今年になつてから供出した分及び新米が出るまでの農家の自家飯米は一千七百五十円の計算が十ケ月でありまして三千五百九十五円が二ケ月にならなければならないのであります。税法でも二十三年度中に收入すべき金額と決められておるのでありますから、このように計算するのが当然であります。收入すべきというのは、二十三年度中に物でとれればすでにそのものは收入の中に含まれるというのではないので、二十三年中に供出又は消費した物の貨幣換算を收入とすべき金額と見なければ理窟に合わないのであります。二十三年度産の農産物のうち二十四年になつて供てしたり消費したりする分は、二十三年に收入とならないで、二十四年になつて初めて收入となり、貨幣化され、又は貨幣額に見積られるわけでありますが、だから税務署のように一律に一石三千五百九十五円の産米値段で計算するのは、來年度の所得に対する税金の前取りとなるのであります。これは明らかなる税法の違反である、こういうふうに断ぜざるを得ないのであります。二十三年五月十三日附農林次官から大藏次官宛の二十三年度以降の農家所得税に関する件の第一項におきましては、來所得年度に消費せらるべき農家の自家消費米は、本所得年度の所得に属せしめず、これを來所得年度の所得に繰越すること、こういうことを申入れておるのであります。又早期供出及び超過供出の農産物の所得の計算に当りましても、そのために増加した必要な経費を明らかにするようにせよ、こういうふうに無理な方針を採りまして、事実上これを認めまいとしておるのであります。その他一々農村に対しまする徴税方針を見ますると、官僚の天降り的な機構によりまして、随分農村における農民の諸君が困つて來ておることにつきましては、先般來しばしば大藏当局に出て來て貰いまして、この問題を片付けなければならないということを私は主張して参りました。然るに只今多数を以ちましてこの本改正案が上程され、今や採決の直前になつて参りました。苟くも我々が今日農民の生活を思いまするときに、このような超過供出を強制して参ります政府の一方的な行爲、而も経済九原則に示されておりますところの食糧集荷配給計画の強化ということは、何も政府がこのような法案を出さなくても強化し得る方法は幾らもある。それなのにも拘わらず経済九原則の食糧集荷制統の強化ということに名を藉りましてこれを農民の上に押しつけて、こういうことをやりまするならば、我が國の農業は破壞されるより外ない。その一つの部分、一つの大きな重石として富農と言わず中農と言わず貧農までも苦しめておる最も大きなものは農民の課税でなければならない。これはこの農林委員会におきましても、どの党派の委員の方におきましても異口同音に今日の農業課税が苛酷である、政府のこういう強制的なやり方について法律を押しつけて來ます場合には一致して農民課税の改革をこの機会にやつて置かなければならない。それなのに遂にこれは龍頭蛇尾に終つてしまいました。我々は飽くまでもこの農民課税を改革されなければ、一方におきましては、今度のような改惡案によりまして極めて農民は苦しめられて來る。そうして米を取上げられた一方で重税で苦しめられて來る。從つて農民の課税に対しましても、そのまま默過しており、供出に対する報奬措置につきましても極めて不十分である。又零細農家に対します農業の再生産、資材の報奬は少しもなされていない。バリティー計算を改正して適正な農産物の價格を決めるということも放擲されておる。そうして一方的なこの超過供出の強化のみを許して参りますならば、吉田民自党内閣は更に多数を頼みまして農民の上にどのような暴政を押しつけて参りますか、これを考えて見ますならば実に肌に粟を生ずるような感じがいたすのであります。ところがこの民自党が野党の際におきましてどういうことをやつて來ておるか。私はこの法案が上程されました冒頭におきまして、農林大臣に質問をいたしましたところ、情勢が変つて來ておる、年度の途中であるといろいろな弁解を申しておりましたが、今その食糧確保臨時措置法が最初に衆議院に上程されまして森農林大臣が当時の農林大臣に対して質問しておる要点をここで申上げますならば、如何に農林大臣がその地位に汲々とし、ただ農林大臣になつたならばもう農林大臣になつておることだけで満足しておる、農民のことがどのようになろうとも一向に構わない、こういうふうな考え方に変つて來てしまつておる。森農林大臣の衆議院におきます会議録を読んで見ます。こういうふうにして食管法というものに対して反対しておられる。「一体政府はどれだけの食糧を確保せんとせられるか。米においてなんぼ、麦においてなんぼ、或いはさつま芋においてなんぼ、じやがたら芋においてなんぼを取られる一つのメドがなければならない。このはつきりした供出量が決まつていなければ……。政府はどれだけ考えておられるか。数量がはつきりしなければ、この法律だけでは、供出を確保することは恐らくできまいと私は思う。それで一体政府はどれだけの食糧を確保したいのか、如何ように考えておられるか。先ず第一にその一定量を私は知りたいのであります。」こういうことを申しておられます。一度農林大臣になつて見て、この記録を読み返えして、農林大臣がこの改惡案を出されます前に、このことを思い出されて來ますならば、農民は今何故に飯米にまで食込んで來て裸供出を強制されて來ておるのか。政府は一体どれだけ我我が供出したらいいのか、こういうことさえも不明である。納得の行かないことということを私達も亦同樣に、森農林大臣が曾て野党にあつて質問されたと同樣な氣持を農民は抱かれるだろうと思うのであります。又こういうことも言つておられます。「一割増産、二割増産、三割増産を考えていなければならない。それがただボーと一割増産というようなことを言い出して、農民に協力しろと言つたところで農民は一体食糧が足りるのか足りないのか、どういう情勢になつておるのか分らない、この知らない農民に対してこの食糧問題に協力しろと言つたつてなかなかできない、だからここにこういう無理な法律を作つて農家に迫るのである。これは率直に農民の氣持を示しておる。そのことを農林大臣は野党にあつて言つておられる。これは前議会においても我々が反対したごとく、こういう法案でやればやる程生産意欲が減退し、政府の期待することができ得ないということを強く強調したいのでありますが、やはり依然としてそういう氣持がこの法案にあります。我々は今日の割当の状況が大臣の言つておるように、納得の行く割当なんということは期待できるものではないということを言つておられる。その通りでありまして、それでは今の民自党が内閣を取つて農林行政をおやりになつてから、こういう氣持の上で少しでも変化が出て來ておるか、農民の上に少しでも割当が軽くなつて來ておるか。最近における裸供出の強行につきましては、私は先般來しばしば食糧管理局長官にあの二合半領の問題、千葉縣における問題、和歌山縣における問題、全國各地におけるこの轉落農家が困つておる状況についてどういう事態になつておるのか、詳細に示して頂きたい。今日そのことを私は食管の長官を通じて報告があるものと期待しておつて、ところが昨晩そのことを重ねて依頼いたしましたのにも拘わりませず、今討論に入ります直前まで食糧管理局長官がこの私の昨日の質問、而も一晩経つて寢て起きてもうけろりと忘れられておるということは、如何に農民の苦しみを忘れておるか、このことを率直に、このような点まで農家に対する納得の行く答弁がなかつたがために民自党の農林行政が全く農民を奴隷視しておる、このことを率直に示しております。又農林大臣がお見えになりましたから、もう一度よく聞いて頂きたいのであります。この法律に農民が納得するような割当をするといううまい言葉を使つております。私は言葉は惡いかも知れませんが、騙すような生産と供出を納得せしめて、喜んで確保するというようなことを謳つておられますけれども、恐らくこれはカモフラージした一つのやり方であつて、やはり強制的な供出を行わせなけれ慎子らないという結果になるのではないかと思うが、この点について一つ御意見を承わりたいと思います。こういうふうに言つて農民の立場に立つておられます。そうしてその次にこういうことも言つておられます。政府はこの供出に対してどういう奬励の措置を講じておられるか、農大大臣は供出以外のものに対しては三倍で買うという、そういうようなことを一つの処置だと、こう考えておりますが、そんなことでこれが励奬の措置とは私は言えないと思う、むしろ私は價格の面において生産者が満足するような價格にし、そうして報奬物資で釣るという、こういうと誤弊があるかも知れませんが、そういうことは止めたらどうかということを言つておられます。私は、野党にあつたとき森農林大臣が率直に農民の氣持をこの場合においても示されております。報奬措置でごま化して行つて、そうしてお百姓が出して來る、こういうことは小馬鹿にしておるということを森農林大臣自身はよく知つておられる。併し今のその手を使つて農民を騙すような報奬物資、その中に農林大臣も指摘されましたような酒や煙草で釣るというような方法さえも又やつておられる、何ら農林大臣の抱負が活かされては來ていない、又税金の問題についても言つておられます。昨年は所得税が非常に過重な課税でありまして、今我々は合理的な課税の方針を要求しておるわけでありますが、無理な供出割当と、そうして課税が苛酷であるために耕地の返還が非常に多い。この状態は民自党が第三次の内閣を作られました後におきましても、毫も変つていないばかりでなくして、昭和二十四年度の予算におきましてす水増しの課税さえもしておられる。農民に対する苛斂誅求は民自党の場合におきましてなかなか用意周到なものがあります、我々はどうしてもそういうような苛酷なやり方におきまして、今度の経済九原則の中におきます農民の食糧供出の問題をあのような形においややれとは決して連合軍は私は指令していないことを確信いたします。而もこのような手が少しも改善されていない、くどいようでありますけれども、今暫く皆さんに御辛抱を願いたいのでありまして、農林大臣にばかり当るようでありますけれども、私は農林大臣の責めておるのではない。民自党自身が選挙の際にうまいことばかり言われる、國会においても農民を相手にしてうまいことばつかり言われておる、一片のゼスチュアであるということを森農林大臣が野党にあつて率直に示しておるから、私は民自党の政策としてこのようなことも言われておる、こういうことを速記録の中には書かれておりまして、この田からはこれだけ取れるからこれだけの余分が出て來る、それが部落から町村、町村から郡、郡から縣に集まつて、どこの縣は芋はどれだけ、米はどれだけ供出する能力があるか、それが相当の供出の割当てだと思う、これは正しく日本共産党の申しておりますように、下から盛上つて供出してこそ完全なる供出ができるということを強調しておる、これはもう森農林大臣の意見と合致しております。而も農林大臣はこのようなことを続いて言つておられる、今は大まかに知事をしてこれは連合軍とも相談したのだからということでこれだけ供出せよ、上から天降り的にやる、ここに無理な、適正ならざる不合理な割当てがあると思う。経費も幾らか予算に上つたようであるのでありますが、地力によつてこれだけの生産力があつたのだから、そのうちこれだけ供出しよう、下から盛上つて來て初めてそれだけのものが供出できる、政府は安心してそれだけのものが確保できるから、昔の大名が扶持を貰つたように三千二百万石の大名になつて年々天災地変のない限りそれだけのものは確保できる、そうすれば震災に遭つたとか、その他特別の場合以外は建議することも調査することも要らん、安心して食糧計画が立つ、私はこう考えるのだが、一つそういうように方針を変えられませんか、今のようにあなたの方で過去五年間の平均実績を調査されたプランで各府縣に割当てて、それを下に押しつけて行くということではなくして、地方に應じてこれだけの生産力があるからこれだけ供出する、これが合理的の割当であり、合理的な供出であり、それを基礎にして我々の食糧政策を立てて行くことにならなければならないと思うがどうか、こう言つて政府を追及されておる、この言葉の上におきましても、私は何ら異議を狹むものでない、農林大臣が只今まで私が読み上げました点におきましては、我が党も亦全面的にこの農林大臣のお言葉を支持し、これのために推進して行く、このためには我々は決して民自党の政策に協力を惜しむものではない、この限りにおきましては……ところがそれは一片の選挙演説である。それは一片の政権をとり政権慾を満たすためであつたということが今白日の下に明らかになつて來ました。これは昔から申します羊頭を掲げて狗肉を賣るという類以上に、実際に我が國の農業再建という重大なる課題の上に立つております時代に眞に憎むべき農民の敵である。私はこう申しましても決して言い過ぎではない。事実口によい言葉を述べながら、逆に今まで以上に惡い農民政策を採つて参りますならば、これを農民の敵であると断ぜずしてどうして外に言葉があるでありましよう。私は以上の前提の下に立ちまして、食糧確保の修正点についてこれから述べて参りたいと思うのであります。
#8
○委員長(楠見義男君) 板野さん。甚だ恐縮でありますけれども要点を……
#9
○板野勝次君 私は今発言中でありまして、予め時間が制限されなかつたのであつて……
#10
○委員長(楠見義男君) 從つて、私は今甚だ恐縮でありますけれども、できる限り簡略にして貰いたい旨を希望しておりますからどうぞ……
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○板野勝次君 そこで、食糧確保の修正意見について申上げたいと思います。これは今出されておる食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案だけでなくして、食糧確保臨時措置法の全面改正に対しまする修正点であります。
 第二條の第二項の「農業計画」とは、主要食糧農産物の生産数量生産者保有数量若しくは供出数量又はその生産に必要な肥料、農薬若しくは農機具」この字句の次に「その他農業用必要資材」こういう字句を挿入したいのであります。事前割当に関しましては、行政機関と農業調整委員会との権限上の改正を伴わなければ民主的なものとは到底ならないのでありまして、従つて「第三條 農林大臣は、中央農業調整審議会」の次の「及び」を削除しまして、これを「の議決を経て」と改めたいのであります。第三條第五項「中央農業調整審議会に関する規程は、政令でこれを定める。」こういうことになつておりますが、この字句を削除しまして、これは仮称といたしまして、中央農業調整委員会は、食糧確保臨時措置法の施行に関する重要事項について決議する機関とする。委員は十五名とし、都道府縣農業調整委員の互選とする。委員は選挙人の五分の一の請求によつてリコールのできるように改める。第四條第二項「都道府縣知事は、必要があると認めるときは、」の次に「都道府縣農業調整委員会の議決を経て」こういう字句を挿入しまして、「農林大臣の承認を受け、」の次の「都道府縣農業調整委員会の議決を経て、」これを削除したいのであります。この項の終りに但書として、「農林大臣の承認は、中央農林調整委員会の議決を経ることを要する。」こういうふうにしたいのであります。
 第五條の市町村長の決める農業計画に対し、地方自治法の準用によりまして、市町村長のリコールの請求を明文化して、第六條は現行のままとしまして、異議申立の期間を二十日に改める。これは本委員会におきまして修正されました点と私の主張する点は完全に一致するのでありますが、遺憾ながらこの異議申立の期間が十日でありますことには賛成できないのでありまして、どうしてもこれを二十日間の期間を置かないことには、今までの例によりましても、異議申立というものは、上からどんどん押しつけて來て、十日間の異議申立期間におきましては到底異議の申立ができていない。こういう実例に徴して見ましても農家の苦しい今日の姿を十分に推察して、これをどうしても十日を二十日に改めるべきだと思うのであります。
 第六條第七項の末尾に但書として「但し、農林大臣がこれを承認するには、中央農業調整委員会の議決を経なければならない。」とこういう字句を追加したいのであります。第七條第五項中「農藥又は農機具」の次に「その他農業用特殊資材」の字句を挿入いたします。
 第八條現行條文中「災害その他眞にやむを得ない理由」を「災害その他の事由」と改めたいのであります。これは「災害その他眞にやむを得ない事由」といたしますと、今のような官僚的な、天降り的な政府におきましては、眞にやむを得ないという限界は、極めて限られたもの、災害以外には、或いは旱害等につきましてをどの程度までかということが分りにくい。そこで農民はどうしても有利にいたしますためには、これを「災害その他の事由」と改めることによりました減額請求の上に十分行い得るような方法に改めたいからであります。第八條第二項は事実上届出の場合に減額請求を拒否する虞れが多いので、これは削除しなければならません。第八條第四項の「第一項の請求は、」の次に「その請求にかかる変更要求量については、」の字句に挿入しまして、食糧管理法第三條第一項の規定による賣渡命令の効力を停止しない点を変更請求量に限りおくことを明らかにして書く必要がありますので、そしてこの改正を機会に、食糧緊急措置令はこれを廃止する必要がありますので、「但し、」という字句は削除しまして、変更請求の決定があるまではその強権発動によつて收用を行わないとしておるが、強権発動そのものが権力の濫用として天降り割当を強行する肚であります、この強権発動を考え出し、農民の上に押しつけて参りました政府こそ正に第一次吉田内閣であります。この機会に農民をいじめ、農民を苦しめ、尚も惡質農家に強権発動をするんだという暴行、これは傳家の宝刀であるからなかなかやらないのだと言いながらも、これは前に委員会の質問の際におきまして、池田委員が指摘しましたごとく、この棍棒を持ちますことによりまして、農民に要らざる恐怖を與えて、恰かも供出を強要しております前代未聞の惡法でありますから、この機会にこれは当然廃止さるべきであります。第九條の「その責に帰すべき事由に因りその指示に係る農業計画において定められた生産数量を確保できる見込がないと認めるとき」の資材配給数量の削減請求は、農家経済を危殆に導くものだから削除すべきであります。第十條の都道府縣知事が主要食糧農産物の生産を確保すると称して、農作物の作付制限をすることは、戰時作付統制の再現でありますから、これは当然に削除すべきであります。これ又場業経済の破壞であります。農業計画は飽くまで民主的に計画されなければならないのであります。第十二條第二項の中の「都道府縣知事及び市町村長の監督に属し」という字句を削除しまして、市町村農業調整委員会を市町村長の隸属から解放して民主的な機関とする。第十三條第四項「市町村長は、特に必要があると認めるときは、」の字句を「市町村長は、市町村農業調整委員会の議決を経て」と改めまして、「都道府縣知事の許可を受けて前項の委員の定数を増減することができる。」この次に「都道府縣知事がこれを認可するには、都道府縣農業調整委員会の議決を経なければならない。」という字句を追加いたします。第十三條第五項の市町村長が選挙以外に三人を限り委員を選任することができるとの規定は、市町村長の我がままな選任方法となりまして、委員会の民主的運営の障害となるのでありますから削除し、從つてこれが削除されますれば、同條第六項は当然の削除となります。市町長村が委員の過半数の同意を得て委員を選任するとしますれば、これら同意を與えた委員とグルになりまして、專断的な運営と助長する危險もありますから、このような項は民主的な僞装にしか過ぎないのでありまして、必要な数だけの委員は全部選挙すればよいと思うのであります。現行法第十四條の選挙権並び被選挙権の制限は全く非民主的でありますので、この選挙制度におきましても、世帶主、世帶員及び一定の日数、例えば五十日以上農業に從事する農業労働者に選挙権、被選挙権を與えるように改めて、徹底した民主的選挙の方法を採用すべきであることを主張するものであります。第十五條のリコール請求権を現行の有権者総数の三分の一を五分の一と改める。第十七條の市町村長でありますが、市町村農業調整委員会の議決又は処分が行政廳の処分に違反するときは、その議決又は処分を取消すことができる規定を、知事を都道府縣農業調整委員会の議決を経なければこれを承認することができないように改めたいのであります。第十九條第二項は「都道府縣知事は、特に必要があると認めるときは、」の次に「都道府縣農業調整委員会の議決を経て」の字句を挿入して、地区農業調整委員会を置くことができるというように、飽くまで民主的な方法によらしめ得るように改めなければならないと思うのであります。第二十條の市町村農業調整委員会及び地区農業調整委員会並びにこれらの委員会の委員に関し必要な事項は、政令で定めることになつておりますが、これを中央農業調整委員会の議決を経てこれを定めることに改め、政令によらないようにするのであります。第二十一條第二項の「都道府縣農業調整委員会は、」の次の字句である「農林大臣及び都道府縣知事の監督に属し、」こういう字句を削除いたします。第二十二條第二項の「会長は、都道府縣知事をもつてこれに充てる。」となつておりますのを、「会長は、選出された委員の互選とする。」ことに改めまして、知事の独裁制的な性格をなくするのであります。第二十二條第三項の都道府縣農業調整委員の選挙を、選挙された市町村農業調整委員会の委員の中から互選する選挙法方を、有権者による一般選挙に改めたいのであります。第二十二條第四項の知事の委員選任権は、市町村長の選任権と同樣民主的でないから削除いたします。同條第五項は第四項の削除と共に当然削除となります。
 第二十五條第一項に、都道府縣農業調整委員会の議決を経なければならない。こういう字句を追加いたします。同條第三項の会長は、地方事務所長又は当該区域内の市町村長で都道府縣知事の指定する者をもつて充てることになつておりますのを、「会長は、委員の互選とする」と、こういうふうに改めます。第二十五條第四項は「委員は、有権者による直接選挙とする。」第二十六條は、都道府縣農業調整委員会の議決を経なければならない旨を追加いたします。第二十八條は、行政廳は命令によつて農地の面積、地方その他の状況又は作付及び收穫の実績等について必要なる報告を徴したり、官吏が農地その他必要な場合に臨んでその状況を調査するためには、それぞれ農業調整委員会の議決を経て行うことに改める。
 以上修正点に関しましてこれを要約いたしますならば、第一に、農業改革を飽くまで民主的に立てられるように修正することが修正点の第一であります。第二に、そのためには中央農業調整委員会、都道府縣及び市町村の農業調整委員会を議決機関とする。これはどうしても官僚に実権を握らせるのでなくて、民主的な、このような機関は現在は必ずしも民主的でないといたしましても、当然これを議決機関とすること。その選挙も徹底した民主的選挙とし、リコール請求権を三分の一から五分の一とする。市町村長に対しましても地方自治法の準用でリコール制を採用する点。第三に、農業の再生産用資材を確保する責任を政府において負うことを明らかにした点であります。第四は、作付制限のごとき戰時作付統制の再版であるところの條項を全面的に削除する点であります。強権発動を規定した食糧緊急措置令は官僚的な強奪を合法化し、裸供出を強要するものであり、人権蹂躪でありますから廃止されなければなりません。第四の主要修正点を食確法の中に貫かしめることによりまして、初めて民主的供出制度を確保することができるのであります。併しこれらは飽くまで暫定的な措置としての修正でありまして、我が國農業の拡大再生産を遂行するためには、第一に農民生活の安定し農業生産力の発展のために、農地、農業品、水利及びこれに属する諸施設の農民管理と、その合理的利用運営を図ることを目的とするところの農地等管理法の制定が最も急務であり、最も必要であります。これに相應ずるためには、自作農創設特別措置法、農地調整法の改正が必要でありますことは申すまでもないところであります。第二は、國家は農業生産力の飛躍的な発展を図りますために、耕地の集團、溜池の造成、水利の改良等、これら大規模化し、その他の建設を直営にし、これに伴つて在來の農地の私有権を保障することによつて整理する等を始め、農地等管理組織、農業組合などの民主的組織は自発的に農業改良を行なう場合に、これに対する資金、資材の優先保証、水力発電の開発と農業協同組合等への貸與又は賣渡し等々の諸事業を行い得る農業改革法の制定等によつて、始めて全面的の改訂がなされなければならないのであります。第三に、これらを基礎にいたしまして民主的供出制度を基本といたしまして、これに配給消費の人民統制に関する規定を加えましたところの食糧人民管理法をどうしても制定しなければなりません。今回の食糧確保臨時措置法の改訂案は全くの農業破壞でありまして、食糧の外國依存度をますます高める結果となりますので賛成することは絶対にできないのであります。政府が今回の九原則を惡用して、このような超過供出を強要するものは、一に我が國の食糧依存力を深め、我が國の農業を破壞して、ひとえに外國食糧に依存せんとする賣國政策の現われでありますので、我が党は只今申上げました修正点を提案いたしまして、全面的に本改正案に反対するものであります。
 長い時間私が討論の時間を取りまして、皆さんの中には随分長たらしくしやべつて何か妨害的な行爲でもやろうとしておるというような誤解をされたかも知れないのであります。これは皆さんが辛抱して聽いて頂け得るでありましようけれども、このような超過供出を強制し、税金の面におきましても、農業用の再生産資材の面におきましても、あらゆる面において農民を奴隸の境地の下に置き、轉落農家に対しては遅配、欠配によつて、そうして餓死状態に放任して置いて、そうして農村が荒廃に委せられて、これを実際に受ける農民は、あの参議院の同胞引揚委員会におきまして取上げられました、その取上げた事のよし惡しは別といたしまして、ウランバートルにおけるあの酷寒の上、曉に祈る刑に処せられたあの苦難なる姿がそのまま日本の現在の農民の姿ではありますまいか。法案を審議することはいと易いことでありますけれども、これが通過した後に、あのような涙を呑んでおる日本農民の姿を思いますときに、このような血を涙もない改革案に対しまして、断じて賛成することはでき得ないのであります。
#12
○委員長(楠見義男君) 討論の通告につきまして岡村さん、岡田さん、池田さん、北村さんからございますが、委員長といたしましてはでき得る限り時間等の制限もいたしたくないのでありまするけれども、御承知のように時間も大分迫つておりまするし、若し長いようであれば誠に不本意でありますけれども、時間の制限をお諮りしなければならんと思いますが、岡村さんはどのくらいを予定しておりますか。
#13
○岡村文四郎君 そう長いことかかりません。
#14
○委員長(楠見義男君) 岡田さんは……
#15
○岡田宗司君 僕も長いことないです。五分か十分やれば……
#16
○委員長(楠見義男君) 大体五分くらいでお願いしたいと思いますが池田さんはどのくらいですか。
#17
○池田恒雄君 私はさつき本会議でやつたくらい。十分くらいです。
#18
○委員長(楠見義男君) 北村さんは……
#19
○北村一男君 私も五分以内……
#20
○委員長(楠見義男君) そうしますと、お諮りいたしますが、誠に不本意でありますけれども、時間を迫りましたので、討論の時間は五分以内に制限いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○委員長(楠見義男君) 御異議ないようでありますから、それでは討論をせられる方はどうぞ制限時間をお守り頂きたいと思います。時間が來ますとこれも誠に不本意でありますが止めて頂きたいと思います。
 それでは先程御賛成を得ましたので、討論時間は五分間以内にいたしたいと思います。岡田さん。
#22
○岡田宗司君 私は社会党を代表いたしまして、政府の提出いたしました食糧確保臨時措置法の改正案につきまして、反対するものであります。
 いろいろな議論もございますが、この改正案の條項に限つて申しますならば、私共の最大な反対点は第八條の第一項でございます。第八條の一項の新らしい改正案につきましては、「主要食糧農産物の需給の均衡を保持するため特に必要があると認めるときは、作況等を考慮し、且つ、中央農業調整審議会及び都道府縣知事の意見に基き、都道府縣別の供出数量の変更及びその実施に関し必要な事項を定め、これを都道府縣知事に指示することができる。」この点についてであります。これによりまして、いわゆる超過供出が強制的に行われることになつて参るのでありまして、現在の供出制度というのが極めて農民に苛酷であり、そのためにいろいろな障害、悲劇が起り、日本農業の発展にもいろいろ支障を來しておることは言うまでもないことであります。今度の法律の改正によりまして、超過供出が強制的に行われることになりますと、この点につきましては先にも板野議員が指摘されたように、これによつて農民はますます窮境に追い込まれて行く。而も與えられるものは殆んどない。こういうことになつて参るのであります。ここにあります「需給の均衡を保持するため特に必要があると認めるときは、作況等を考慮し」云々とありますが、この「作況の考慮」につきましては、農民側の意見というものは何も入らない。又「中央農業調整審議会及び都道府縣知事の意見に基き、」とありますけれども、事実上中央農業調整審議会なるものは、これは單なる諮問機関で、而も何ら権限を持つておらんのであります。更に「都道府縣知事の意見に基き、」とありますが、今までのやり方を見て参りますというと、常に都道府縣は行政の指示を押しつけられておる。余程特別な場合でなければ、都道府県知事の意見の一部も容れられないような状況であるのであります。かような工合で、全く天降り的に超過供出が行われることになりまするならば、事実上農民の收奪がこれ以上甚だしくなることを意味するものであり、現在でさえ飯米の確保に事を欠いてあるのでありますが、少しいわゆる豊作ということになりました場合は、非常な却つて苦しみを生むような結果にならざるを得ないのであります。私共はそういう点におきまして、この点に強く反対するものでありますが、特にこの改正案が行われますについての農民に対する心理的影響ということを考えましたときに、これは農民の生産意欲を阻害するものになつて参ると思うのであります。そういう点を考えますときに、この法案が却つて九原則の実際の効果を削減するものである。それに逆の結果をもたらすものであると考えざるを得ないのであります。從いましてこの法律を政府が改正されまして、それによつて得ようとするところの目的が、必ずや逆なものになるであろうということを私は言わざるを得ない。こういう点におきまして、私はこの改正案に対しまして反対するものであります。
#23
○委員長(楠見義男君) 岡村さん。
#24
○岡村文四郎君 食糧確保臨時措置法案は、本委員会に付託されましてから、長い間審議をいたして参つたのでありまするが、私は共産党に同調するものでもなければ社会党と同調するものでもないのであります。日本の農民を代表して反対するものでありますが、何とかこの法律を曲りなりにも百姓に申訳のある修正ができたり、又私共の意見によつてそうして認められるときがあつて、百姓に、実に残念であつたが、かようにまで骨を折つて貰つてその上で実は通したのだ。こういうふうになることを念願いたしまして、委員長にも随分御苦労をかけたのでありますが、止むを得ずしてそれが通らんのであります。そこで今多少の修正をしようといたしておりまする部分は、これは私はそのままでも事の足らんこともないとは考えますが、肝腎な場所が認められんことになりますと、これをそのまま認めて行くわけには参らんのであります。そこで私に限らんと思いますが、若し農民を代表しておるという氣持で議会で口を出す人は、一人としてこれに賛成することがでてんのが当然であると承知いたしております。若しこれが通りますならば、我我は百姓に向つて断然そのことを言うつもりでありまするが、通つてしまいますると、言つても何にもならないのであります。私共が不賛成を唱えてこの法案は……、実は農林大臣も今は農林大臣として我々に提案をし強いられておりますが、個人としては実に樂な方法であろうとさえ考えます。私は徒らに反対するものではありません。参議院に議員に出て参りましてから、強つて反対をしたのは今回が始めてであります。先般去勢法に対しまして、余りに知つておりまするから反対をいたしましたが、併しながら今度という今度は絶対に反対を申上げます。その代り、若し今後これに賛成をして通した我が同僚は、絶対に農民の代表であるとか又農村の中心であるとかと言うことは、我々は聞くことはできないのであります。これは実に百姓に取りましては命取りの法案であります。若しこれが我々の手でなくて、他の方面で方法があつて通されれば止むを得ません。我々は自分が賛成の手を挙げて通すということは、もうそうなりますと、我々は百姓の代表ではなくなるのであります。本來から申上げますと、これを若し通過すれば、私は切腹をして、そこで自殺をしてもいいと考えております。そのために賛成はできません。長いことは申しません。
#25
○委員長(楠見義男君) 池田さん。
#26
○池田恒雄君 本案がよくなることにつきまして、委員長が相当長い間努力をされたということに関しまして、私は一應謝意を表したいのであります。にも拘わらず私は最後にこのときにおいて、反対しなければならないことを遺憾に思うのでありますが、その理由とするところは勿論岡村、岡田、板野の諸氏と同じものである、こう申していいのでありますが、私はその方々が取上げていない面を実は取上げて、そうして申したかつたのであります。尚私は岡村さんにいたしましても、板野さんにいたしましても、農林大臣に聽かせる討論をなされたようでありますが、私はこの際格を下げまして、長官に聽かせる討論をいたしたいと思います。尚これは長官に対してどうこう申しては申訳ないのでありますが、折角鉛筆をお持ちになつておられるから、メモでもされて置かれたらいいと思います。大体この方法では地力主義が取られておりますが、地力というものは一体何かということは、これはこの法律に一向規定がありません。掘下げてをりません。それから超過生産というものが一体何かということにつきましては、この前大臣からたびたび聞きましたが、これは全然明瞭にされておりません。更に私は第五條の問題につきましてサンプルだけでもいい、或いは規範だけでもいいから出して貰いたいと申しましたが、農林省からこれは出ておりません。それから割当をする場合に割当の尺度というものが一向決まつておりません。これは非常な問題になつて行くと思うのであります。それからこの割当の尺度がありませんから、反別平均割当というようなことが平氣で行われております、或いは又超過供出なんかも反別平均に割当てられる結果になる。或いは繩延びというものがあるが、このことについては農林省でいろいろ研究もありましようが、これも村別、個人別、平均に割当てられるというようなことになります。これは割当について、この法律が明確な規定を持たないからであります。この法律の改正を見ると、天下り補正というものが從來に比して非常に合法化されておるのであります。あれは間違つたことであります。法律上の解釈から言つて甚だおかしいやり方であります。第六條の問題になりますが、これは改正しても、しなくても今まで文書を以て通告するという方法を取つております。これは非常に不明瞭で惡いことであります。又行政手続上すべて行政官廳の通告は文書を以てなすべきものと私は考えております。それがこの法律ではやられておらない。こういうような点が問題になるだろうと思います。だから折角今度割当の文書を出すことになりましたが、あれは内示を出す十日前から、あの文書は出す方がいいのじやないか。私はこういうふうに考えております。そういうようなことがはつきり規定されないのが、どうもまずかろうと、こう思います。大体法律的に考えても、強制收用というものを事前に行うという、この法律の考え方も他の法律から考えて間違いだと思います。もつと重要なことは、私は一切こういう法律は要らないと主張するが、要らないという理由、又更に改正するということに関する反対の理由は、自給生産というものを基盤にする日本の農業において、こういう統制は非常に危險だ、而もこれは戰時における統制を眞似ておるということでありますが、今日の日本の農業の実際的危機は、農村失業者の増大、これは決定的な実情であります。この上に農業人口の増大ということ、或いは過小経営の増大ということは、日本の農業の土地利用に対して、或いは取引に対して、或いは作物に対して大きい影響を與えて來るわけであります。このことを考えないで、こういう妙な固定化させるような法律を以てするのが、どうもよくないから、だから第五條を明確にしなければならんと、こういうのであります。第五條は、この問題にかかりますが、農林省では農業近代化とか、農村啓蒙宣傳とか言われる。そういうことは言うにも拘わらず、この法律の存在することは、そういうことに対して、繩を傳り付けることになる。この法律が存在する限り、日本の農業近代化はない。何故ならば農業の近代化というものは、これは從來の作物や、從來の土地利用状況、こういうものの上に近代化にない、近代化することになれば、一切そういうものが変つて來る。まあ丸髷を結つている婦人を見て、あれは近代の人間だとは言わない、ハイカラだという意味は、今ならパーマネントでもかけなければいかんということになります。だから表面的にも農業は変つて参ります。そういうことを阻むのがこの法律である。こういうふうに私は考えております。それから九原則を云々するが、九原則はこういうふうな法律の改正をやれとは言わない。むしろ九原則の指摘している点は、農林省の努力にも拘わらず、農林省は常に今日の米の供出問題で、どじばかり踏んでいることを指摘しておるのじやないか。法律の問題でなく農林省自身がよく供出の能率を上げさえすれば、向う樣は喜んでおられるだろうと思う。これをこういう法律の形において、農林省の努力の不足を農民に轉嫁する方法は、どうもまずいと思うのであります。そうして又こういうことは役人さん達の何というか、天下り的態度、それから農業調整委員になつておる方々の地方代表的な性格、ボス的性格と結び付いて、いろいろな問題を起すのでありまして、法律はこの点をもつと明確に規定して、委員会勢力というものによつて禍いされないという方式を、確立しなければならないのじやないか。このことは詳しく他の機会に申上げたこともあるように思つております。こういう点は是非書いて頂かなければならないと思います。尚農林省の方々は非常に熱心に、大藏省が農民から税金を取る態度を嚴に攻撃なさいます。農民のために旗を担いで、大藏省を一緒に責めておるわけです。ところが、事供米の問題になると、大藏省が農民に対して税金を取ると同じように、農林省は大藏省と同じような態度で供米の督励をやる。
#27
○委員長(楠見義男君) ちよと池田さんに御注意申しますが、制限時間の二分が過ぎかかつておりますから、簡略にお願いします。
#28
○池田恒雄君 制限時間が参つたそうでありまして、この程度で終りたいと思いますが、とにかく税金に対する大藏省の態度、この態度は供米においては農林省が、農民に対して同じ態度を取つておる。こういうことに私は大きく反対しなければならない、こういうふうに思います。以上の外にもいろいろ指摘したいことがあるのでありますが、これは今後の運用上にも重大問題であろうと思いますから、一應申上げて終りたいと思います。
#29
○委員長(楠見義男君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#30
○委員長(楠見義男君) 速記を始めて……。暫時休憩いたします。
   午後七時四十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後九時二十二分開会
#31
○委員長(楠見義男君) 休憩前に引続いて再開いたします。
 食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、すでに討論も終了いたしたようでありますから、只今から採決に入ります。先ず最初に板野委員の先程の各條に亘つての修正案に対して御賛成の方の起立を求めます。
   〔起立者少数〕
#32
○委員長(楠見義男君) 少数。次いで板野委員を除く各委員の共同提案によります修正案を議題にいたします。この共同提案の修正案に御賛成の方の御起立をお願いいたします。
   〔起立者多数〕
#33
○委員長(楠見義男君) 多数。次に只今の決定を見ました修正個所を除く原案について採決をいたします。この修正個所を除いた原案に賛成の方の御起立をお願いいたします。
   〔起立者半数〕
#34
○委員長(楠見義男君) 賛成の方は八名、反対の方も八名であります。よつて議事規則に從いまして委員長がこれを決します。委員長は原案に賛成いたします。よつて多数を以て本案を修正可決することに決定いたしました。
#35
○委員長(楠見義男君) 次に食糧増産確保基本法案について討論採決に入りたいと思います。
#36
○藤野繁雄君 食糧増産確保基本法案に対して私は賛成するものであります。今日徒らに農民に対する食糧供出の義務のみを強化し、食糧供出の根本であります食糧の増産に対する施策の見るべきものがないことは、誠に遺憾に堪えないのであります。併しながら楠見委員長が特に日夜の別なく努力せられたのと、又委員各位の眞撃なる御協力によりまして、食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案と同時に、食糧増産確保基本法案が提案せられる運びに至りましたことは、食糧増産に対する一歩前進でありますから、次の事項を強く要望して本案に賛成するものであります。即ち今日課税問題は農村にとつて最大の問題であり、特に超過供出報奬金に対する課税措置は、超過供出の成否に拘わる重大な問題であります。報奬金には免税すべきが当然であり、又免税の措置あつて、初めて一方において超過供出を強行することが納得され得ると思うのであります。そこで超過供出の報奬金に対しましては免税の措置を取ることを強力に主張して來たのでありますが、遂に容れられず、次善の策として報奬金に対する源泉選択の途を考慮し、今日に至るまで最後の努力が傾けられましたに拘わらず、遂に今日の段階においては見送りとなりましたことは、誠に残念であり、我々としても悲痛たる思いがいたすのであります。併しながら私はこの報奬金に対する源泉選択の処置が、來るべき臨時國会における税制改正に当つては必ず実現される、否、必ず実現させねばならないと確信いたすものであります。その私の案文を次に紹介し、今後の対策に備えたいと思うのであります。即ち、政府は主要食糧農産物の生産者に交付した報奬金については、所得税法第九條第一項第九号及び第十三條の規定に拘わらず、納税義務者の申告により、他の所得と区分し、政府の委任を受けたものがその報奬金を支拂う際に、その報奬金額を課税標準とし、百分の二十の税率により所得税を課することができる、というのであります。尚農業所得税全般につきましては、根本的に再檢討し、是正の方法を講ずること、差当つては、農家に対しては本年六月の所得税申告時期を八月に延期する措置を講ずることが必要であります。次に基本法に規定されました事項につきましては、速かに政府は具体案を作成し、実施しなければならないのであります。以上を以て賛成の討論といたします。
#37
○岡田宗司君 私は本食糧増産確保基本法案に賛成いたすものであります。日本の再建にとりまして、食糧の生産を増加するということは極めて必要であることは言うまでもありません。併しながら終戰後今日に至るまでの政府のとりました食糧増産対策を見ますというと、個々バラバラであり、矛盾をし、又その結果におきましては食糧の増産と相反するようなことも多々見られるのであります。而も政府のなしましたいろいろなる政策が農民の増産意欲を阻害する点も極めて多いことは遺憾な点であるのであります。私がこの度これらの施策を統合いたしまして喜んで農民が食糧増産に協力し、これによりまして日本の再建に協力し得る途を開くことが必要であると思うのであります。この食糧増産確保法基本法案は実にその基本をなすものであると言わなければならんのであります。個々の條項につきましては、詳しく申上げませんが、ただ全体を通じまして、一つ遺憾な点は今藤野君が御指摘になりました課税の措置の点でございます。この点につきましては藤野君の意見が若し來るべき臨時國会に実現されますならば、それによりましてこの基本法案は更に改善されることになると思うのであります。この基本法案が本になりまして、すべての食糧関係の法律が、この法案の趣旨によつて統一され、この法案に矛盾するものは盡くことを近い將來において改廃することを私は要求したいのであります。それらの基礎となるべき思想を盛り、そうしてその方策の根本を示したる本法案に対して賛成する次第でございます。
#38
○板野勝次君 私はこの食糧増産確保の基本法、これにつきましては、今の段階におきまして当委員会における努力に対しまして感謝するのであります。同時に民自党の我が國における農業破壊政策から護つて参りますためにも、我が党はこの基本法に同調し、今の農業破壊から護るために一歩前進いたしたいのであります。從つてこの助成といい、農地開発に関する措置といい、災害復旧に関する措置といい、農地改良に関する措置といい、藷類の利用増進に関する措置といい、いずれも反対する理由はないのであります。
 併しながら一方におきまして、食糧確保臨時措置法があの採決にも見られましたごとく、非常な無理な方法であるということはあの改正案に賛成されました委員諸君におかれましても、腹の底で賛成でなければこそ、このような別なものが出て來たということは否むことができないと思う、從つてこのような措置がいろいろ條文を読んで参りますと極めて弱い。何故このようなものをあの食糧確保臨時措置法の中にお盛りになつて、農業の再生産が確保されるような強力なことをおやりになりましたならば、このような弱い形ではやれなかつた。これはこの意味においてインテリゲンチャ諸君の弱さではなかつたか、この弱さがここに率直に示されておる。特に超過供出等に関する報奬措置は食糧法と睨み合せまして、正当防衞の方法として、ここに超過供出等に関する報奬措置に関する條項規定をお設けになつたに違いないのであります。
 併しながら農村におきます現在の供出の状況におきまして、地力の調査或いは繩延び、隠し田等に関しまして、本当に民主的な檢討がされていないときにあの法律を惡用いたしまして、超過供出というものが固定定されて、そうして幾分でも欺瞞的な報奬措置に甘んじて参りましたならば、中小並びに零細な耕作農民諸君はこの一時的な彌縫策によつて長い間苦難の途を歩まなければならない結果になつて参ります。意図においては私は賛成でありますけれども、これが実際に運用されました場合に極めて力強いものとはならないし、これが却つて弊害を生んで参りますが故に遺憾ながらこれに賛成することができない。できればどんなにかして賛成したいと苦慮いたしました。前の改正案の場合におきましても、案全体を通しまして反対する理由はなかつたのでありますけれども、農民が異議申請の十日間を二十日間ぐらいに延ばす、それは僅か十日でありますけれども、これがどんなに農民の供出の上に障害を取除く一助になるところの條項に対してだけ賛成することができなかつた。今又この基本法につきましても同樣に極めて弱い形で現われて來、これが固定化されて参りますことは、決して農民のためにはならないであろう。一時的には、半年ぐらいはあの食確法に対する一つのインテリゲンチャの趣味として、この形は賛成すべしではありましようけれども、耕作農民全体の意思が著しく弱められておる。こういう点で反対の意を表明する次第であります。
#39
○山崎恒君 私はこの本法案に対して賛成の意見を申述べるわけでありますが、二、三それに対しまして希望意見を述べたいと存じます。
 戰後國家再建の線に沿つて統制経済が強化され、各生産部門においてそれぞれ計画達成に努力が続けられて來たのでありますが、今日まで計画の一〇〇%以上を完遂して來たものは、農業部門を除いては他にないて存ずるのであります。特に農業がよくその割当量を確保し、更にみずから進んで超過供出を達成して來たのは、一に國家再建の成否がかかつて食糧問題にあるということを深く認識し、國民の要請に應えて來たからであります。然るに今般政府が考えておるところの食確法は今日まで続けて來たところの農家の自発的努力を法規によつて強制し、農村の犠牲をいよいよ加重せんとするものであり、誠に遺憾に堪えないと思うのでありますが、諸般の情勢上農家各位に対しましては誠に申訳ないのでありますが、政府におきましても今回の措置を万止むを得ないものとしてとられたことと存ずるのであります。これが施行に当りましては特に基本法その他を睨み合せまして私は二、三希望意見を申述べたいと存じます。
 供出價格の問題でありますが、再三この問題は朝野を挙げて論議されておる問題でありますが、現行パリティー方式の矛盾を解消いたしまして、公正妥当な價格を決定する、その一つといたしまして、三九方式の廃止、いわゆる現在行われておることは十一月から十月までの年度を八月から七月までに改訂されること、次に基準年度の基礎價格の再檢討、次に実効價格の採用、この問題を供出價格の面においては特に研究されないと存ずるのであります。次に必需資材の確保、必要全量を正式ルートによつて農家に配給する具体策を樹立して、速かにこれを実行して貰う。その次は生産機関に対しその計画完遂のための法的強制力を認める措置を講ずること。例えば肥料とか、或いは資材等ひとり農民のみに強制的な措置を講ぜずして、この資材の生産者に対してもそうした法的措置を講ずる。
 次に特に生産者を刺激しておる問題は、配給機関の最近の闇行爲であります。この闇行爲を徹底的に撲滅することを強化して貰う。次に先程藤野委員から強く申されましたところの供出代金に対する課税の問題。次に農業生産に必要なところの資金の確保、以上の点を希望申上げまして賛成するものであります。
#40
○委員長(楠見義男君) 大体御意見も終つたようでありますから、これより採決に入りたいと存じます。食糧増産確保基本法案を議題にいたします。原案通り可決することに御賛成の方の御起立を願います。
   〔起立者多数〕
#41
○委員長(楠見義男君) 多数であります。よつて多数を以て本案は原案通り可決することに決定いたしました。
  ―――――――――――――
#42
○委員長(楠見義男君) 次に食糧管理法の一部を改正する法律案を議題にいたします。この法案につきましてもすでに昨日質疑を終了いたしましたので、これより討論、採決に入りたいと存じます。尚討論時間は五分間程度に制限したいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○委員長長(楠見義男君) 御異議ないようでありますから、討論時間は五分程度に制限いたします。
#44
○板野勝次君 この本案の改正に対しまして、日本共産党を代表いたしまして反対いたします。この食管法は昭和十七年に制定されました戰時立法でありまして、数回に亘つて改正されたのでありますが、これに一貫しいたまするものは、米價の決定が一方的に政府において行われ、家庭のための農民の意思が尊重されていない。こういうようなことは今回改善されていないのであります。どうしても農産物の價格の決定につきましては、中央に農産物價格審議会等の民主的な機関を設定いたしまして、そうしてそれによつて農産物の適正なる價格を決定するか、若しくは國会におきまして、両院においてこれが決定されるべきでありまして、今回の改正に当りましても尚官僚的な弊害のある低米價政策を強行しようとする意図が歴然として現われているのであります。これが反対の第一点であります。
 第二の点は、強制的な買上げをやり、更に強制的に買上げをやりまして、一方におきましては集中生産方式で大量的な失業者が出て來たり、或いは賃金遅拂いの現象がありまして、一般の消費者は米が買えない。同時に又轉落農家におきましても、今日は裸供出等におきましても米もなかなか買いにくいという状態が起きて來ております。農林大臣は農村には、轉落農家は轉落しても農村には芋ができるときには芋もあるし、いろいろ農村には食糧がある、こうおつしやつています。成る程農村には食糧はあるかも知れないけれども、よその家に入つて行つて芋を取つて來て食いますと、これは窃盗罪に問われるのであります。如何に涎が出て参りましてもこれを盗むことはできない。実際に困つて來ておる。こういうふうなものに対して適切なる処置を今回の改正の際において試みられていないのであります。そして私はこの法案の審議に当りましても何らかの温かい処置として掛賣制度等によつて今日の窮乏を緩和して行きたい。こういうふうに主張して参りましたけれども、政府におきますところのいろいろな不正はそのまま默過されて参りますのに、一般に賣ります場合には引換でないと絶対に賣らない。公團の場合におきまして多少とも涙のある人達がこの掛賣に対して讓歩いたしますると、直ぐに農林省はこれに対して通牒を発して、この困つている、飢餓状態に苦んでおる人達に食糧の配給を杜絶させる、こういうふうなことをやつて來ておるのであります。私は過日食管の特別会計に不正のあるということを申しました。私はこのことについて今日農林委員会における調査機関の設定を要求したかつたのでありまするけれども、会期もすでに終末に近づきまして、私は機会を見ましてどうしても世間一般から見られておる、この食糧管理特別会計が伏魔殿であると言われておる、これにメスを加え、これを改善することによつてどうしても民主的な民間の意向を酌み入れ、これを正しく運営して行かなければならないのであります。その一点を挙げますと、二十二年度におきまして歳出の中で食糧の買入代金と食糧買入高の騰貴價格との間に五億五千万円からの理由不明の開きがありまして、食糧物品出納の不正が予想されるのであります。又食糧配給公團、各地方の配給公團、食料品公團、帝國油糧株式会社、日本罐詰株式会社、日本澱粉株式会社、日本甘藷馬鈴薯株式会社で金融逼迫のための配給先からの代金回收の困難や、地方食糧営團が閉鎖機関に指定され、食糧配給公團からの引続き食糧代金の回收遅延によるものでありますけれども、配給先からの回收代金を他に流用して國庫に納付を遅延しておるものさえありまするし、又食糧証券の発行をしました後における不正、金額はここでは申上げませんが、その不正に加えて、この食糧証券の発行のうち十億円からに及びますものが一般経理に使用されて來ておる。これを更にその後における状態について見ましても食糧特別会計が実に乱脈な状態に置かれておりますことは、もはや世間がこれに対して疑惑を持つて見ておるところであります。このようにして会計が過去において紊乱して來ておる。今においてもとかく言われて來ておる。このような状態を勿論改める、こういう状態であるから、掛賣を認めるというのではなくして、こういうものを勿論是正しなければなりませんが、同時に温かい手を、何も只呉れと言つておるのではないのでありますから、一時の掛賣を、これは血もあり涙もある農林委員諸君でありましたならば、これを機会に掛賣の制度を是非とも主張して頂きたいと思うのであります。次に毎月の配給量の、都道府縣に対する配給量の決定、完全保有農家の裸供出に対するところの還元米ができ得んような状態、こういうふうなものに対するさまざまな窮窟な状態が少しも改善されて來ないばかりか、逆に枠を設けて、そうしてそういうことができないような方法をとつて來ております。そういう状態でありますし、又消費者に対する購入券発給の場合におきましてもさまざまの嚴重な規定を設けて、ますます窮乏しておる國民生活の上に一沫……ではない、本当に濃い不安な状態を投げかけておる、こういうふうに改惡されようとしておるのであります。又今度の基本金の増額につきましても、随処における食糧公團の不始末等につきましては、たびたび新聞紙等に出て参りました。こういう不正をなくして、世間から公團の経理に対して明るい光がさし染めたときに、初めてこういう基本金の増額等が問題になるべきでありまして、今これに対して増佃を與えることはますます官僚的な機構としての食糧営團を腐敗、堕落させるものでありますから、我が党はこのような改惡案に対しましては賛成することができないのであります。以下まだ反対すべき諸点もあるのでありますけれども、時間の関係もありますので、以上を以ちまして反対の討論に代えさして頂きます。
#45
○池田恒雄君 私今回の食糧管理法の改正に対して反対いたします。
 その第一点は、第八條の三の第二項であります。これは昨晩私と長官との質疑應答で、第一項の解釈は明らかになつたのであります。それに対する第二項の規定は甚だしく矛盾しておる、一方は一方を否定しておるというような法律になつておるのであります。法律というものはこういうふうに規定すべきものではないと思います。これは法律家が因縁を附けますと相当問題になるであろうと、私はこう思います。不幸にして私法律家でありませんので、余り詳しい因縁の附けようはありません。ただ第八條三の第二項が存在することによりまして、相当農林大臣は米の配給において横暴を極め得るのであります。縣廳の連中も相当横暴を極める。そのために轉落農家或いは赤字、裸等の供出をさせられたところの農家は、非常に米の配給を拒まれて困るという事態を惹き起すのであります。
 それから私が第二番目において問題にいたしますのは罰則の問題でありますが、公團などの役職員が犯罪を侵した場合、相当嚴罰にされるということは、これは一應こういう統制團体でもあり、役人でありますから当然であります。だが一般消費者が購入券を融通したというような場合に莫大な罰金をとられるというようなことは、これは非常に残酷であると私は思うのであります。土台食糧の配給は極めて無計画であります。こういう状態におきましてはやはりいろいろと遺り繰りの都合もありまして、購入券を賣るとか、或いは買うとか、呉れるとか、貰うとか、或いは部分々々の食糧品を交換するということはあり得る。食糧の交換が存在する限り購入券の交換も存在するわけであります。その場合には合理的に貨幣を以て決済するということは、これは今日の社会では当然なことであります。これを非常に嚴重に処罰するということは残酷であり、若し処罰するならば、消費者にそういう必要のないような配給制度を確立すればよいのであります。それをやらないで、ただ処罰するというようなこのやり方も、非常にこれは間違つた規定の仕方である、こう思います。
 それから第三点に問題にいたしたいのは、こういう法律の改正をおやりになるとするならば、今まで繰返し繰返し問題になつておつたところの農村の遅配、欠配というものは、これは改めるべきものである。殊に長官はこないだも六月の農繁期には、農村の人々が腹が減らないようにいろいろと方策を持つておると、こう言われておつたのでありますが、すでに東北地方では田植が始まつておる。然るに未だにそういう問題が解決しておりません。そうして今日農林省は農家の肥料の配給等をやつておりますが、貧農は配給された肥料を賣つて米を買つて食つておる、こういう事実が今沢山できておるのであります。そうしてその買つた肥料を自轉車に積んでいたのを捕まつて処罰されておるような人もあります。肥料を賣つて米を買う、こういうような状態が展開されておりますので、このことは今年度の農業計画達成のためにも極めて重大な問題と思います。でありますから、このような改正をするのであるならば、この事態を完全に救済すべきものだと、私はこういうふうに思います。それができなくて、こういう大きな問題になつておるような法律の改正というものは非常に無理である、こういうふうに思います。
 それからもう一つ附加えて置きたいのでありますが、食糧配給公團の問題であります。この問題つきましては、本委員会は藤野さんをキャプテンにいたしまして、いろいろな調査を続きて行く、そうして今年いつぱいに一應の結論を出すということになつておりますから、私は公團問題について、この際どうこうという理窟を言つたり、或いは非難するということは止めたいと思いますが、ただこういうことを申したい。果して今日のような形において公團が行けるかどうか、或いは又政府自身が、公團制度による米の統制或いは配給が非常にうまく行つておるかどうかということであります。そうしてもう一つは、これは民主自由党の内閣になりまして米屋も復活するであろうというような予想もされたのでありますが、とにかく米屋の復活ということを一應考えて見ることはできないかどうかということであります。又農業協同組合というものをもつと有効にこの食糧統制に活用するということはできないかどうかということであります。私はこの問題についてこれ以上申すことはありませんが、私は食糧の統制を止めろという意味ではない。食糧の統制は勿論今後続けられますが、尚且つその統制の中において米屋というものに対して、我々は関心を拂うべき時代ではないか、農業協同組合というものに対して関心を拂うべき時代ではないか、そういうようなところから根本問題の解決点があるのではないか、私はこういうように考えるのであります。大体これだけを私の反対の討論の内容として申上げて置きたいのでありますが、只今私の反対討論の内容としてこのことを申上げたのであります。併しながらこのことは恐らくこの委員会においてこの法律の改正案に賛成なされる方々の意見でもあるということを申上げたいのであります。私一個人の意見ではないということであります。つまり私は、このことを反対討論ということで申上げておりますが、今晩は賛成討論をする人はない筈であります。恐らく若し今晩時間があつて賛成討論が行われるならば、その賛成討論を言われる人々は、すべ前私の今指摘したことを申上げるであろうと思います。私の只今の発言はそういう性質の発言である。委員会全体の氣持とは申しませんが、とにかく茫漠とした意味においては、この委員会全体の意向を代表すると言つてもよろしい、こういうふうに思うのであります。そういうふうに大臣も次官も長官もはつきり聽いて頂きたいのであります。
#46
○委員長(楠見義男君) 討論はこれにて終局いたしました。よつて食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして、これより採決に付したいと思います。衆議院送付原案通り可決することに御賛成の方の御起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#47
○委員長(楠見義男君) 多数であります。よつて本法案は多数を以て可決することに決定いたしました。尚この際只今まで御決定を見ました一法律案について多数意見者の御署名を願いますと同じに、本会議における委員長報告は例によつて委員長に然るべくお委せを願いたいと思います。
   〔食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案〕
 多数意見者署名
    柴田 政次  平沼彌太郎
    徳川 宗敬  石川 準吉
    星   一  北村 一男
    山崎  恒  藤野 繁雄
   〔食糧増産保確基本法案〕
 多数意見者署名
    山崎  恒  北村 一男
    池田 恒雄  柴田 政次
    平沼彌太郎  徳川 宗敬
    岡村文四郎  國井 淳一
    加賀  操  藤野 繁雄
    石川 準吉  星   一
    岡田 宗司  門田 定藏
    大畠農夫雄
   〔食糧管理法の一部を改正する法律案〕
 多数意見者署名
    星   一  徳川 宗敬
    石川 準吉  平沼彌太郎
    藤野 繁雄  岡田 宗司
    加賀  操  門田 定藏
    岡村文四郎  大畠農夫雄
    柴田 政次  山崎  恒
#48
○委員長(楠見義男君) 本日はこれにて散会いたします。どうも有難うございました。
   午後十時一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   理事
           岡田 宗司君
           平沼彌太郎君
           石川 準吉君
           藤野 繁雄君
   委員
           大畠農夫雄君
           門田 定藏君
           北村 一男君
           柴田 政次君
           星   一君
           加賀  操君
           徳川 宗敬君
           山崎  恒君
           板野 勝次君
           池田 恒雄君
           國井 淳一君
           岡村文四郎君
  國務大臣
   農 林 大 臣 森 幸太郎君
  政府委員
   農林政務次官 池田宇右衞門君
   食糧管理局長官 安孫子藤吉君
ソース: 国立国会図書館
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