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1949/05/30 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第27号
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1949/05/30 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第27号

#1
第005回国会 農林委員会 第27号
昭和二十四年五月三十日(月曜日)
   午後一時十一分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○家畜商法案(衆議院提出)
○酪農業振興臨時措置法案(衆議院送
 付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(楠見義男君) それでは只今から農林委員会を開会いたします。
 本日は最初に衆議院の小笠原八十美君外十五名の御提案にかかりまする家畜商法案を議題にいたします。最初に提案者の小笠原八十美君からその提案理由を伺うことにいたします。
#3
○衆議院議員(小笠原八十美君) 只今議題と相成りました私他十五名提出にかかりまする家畜商法案につきまして提案理由の大要を御説明申上げます。
 從來家畜商の取締に関する法制としては、昭和十六年に施行された家畜取締規則があつたが、新憲法の施行に伴い、昭和二十二年法律第七十二号をもつて、同年末日をもつて失効し、そう後の家畜商取締は、各都道府縣においてそれぞれ区々に條例による試驗免許制度や登録制度、届出制度等の方法による取締が行われている都道府縣があるとともに、放任状態にある都道府縣も多い現況である。かような状況の下では、一方においては、家畜商取締制度の無統一によつて、廣汎な区域を地盤とする家畜商営業に多大な支障を生じ、ひいては家畜取引の円滑なる運営を期し難く、又他方においては、全く放任の状態にある結果家畜商に家畜取引の担当者としての資質、特に、家畜衞生に関する関心や知識に欠くるものがある。これがため、家畜の傳染性疾患の予防制度の見地から遺憾の点が多いのであります。
 又家畜取引に重要な役割を演ずる家畜商の品位の向上を図り、公正な家畜取引を実現するためには、家畜商に一定の制度を具備する必要があるのであります。
 以上のような、現行家畜商取締制度の無統一による欠陷を是正し、且つ、家畜の傳染性疾患の予防制度のために寄與する効果的な措置を講じ、併せて、家畜取引の担当者の品位の向上に資する見地から、次のような骨子をもつて家畜商法案を提案する次第であります。
 先ず第一に、家畜商たるの資格要件については、欠格要件に該当しない者は、すべて免許を受けることができるものとし、從つて、家畜商になろうとする者は、欠格要件に該当しない限り、千円を越えない範囲内で、省令の定める手数料を納めて、住所地の都道府縣知事の免許を受けることとなる。欠格要件についても、禁治産者、準禁治産者を除いては、もつぱら家畜衞生の見地から、この法律又は家畜傳染予防法に違反し、罰金以上の刑に処せられて一ケ年を経過しない者、又は免許の取消を受けてから一ケ年を経過しない者に対してのみ免許を與えないこととし、都道府縣知事のいわゆる自由裁量による免許制をとつていないのであります。
 第二に、家畜商の営業の取締りについては、都道府縣知事に家畜商の免許の取消及び業務の停止をなし得るものとしておりますが、その取消を爲し得る場合は特に制限されており、実際に免許の取消又は業務停止の処分をする際にも、家畜商に聽聞し、それに対し家畜商が意見を述べ、及び証拠を提出する機会を與えているのであります。
 その他家畜商の業務の取締りの必要及びこれと取引をする者を保護する必要上二、三の補足的規定を設けているのであります。
 以上述べた事項を骨子とした法律案を提出した次第でありまして、何とぞ速やから御審議の上可決せられんことを御願いいたします。
#4
○委員長(楠見義男君) 尚この際申上げますが、参考のために只今提案理由の中にありました昭和十六年の農林省令家畜商取締規則と、それから各府縣における取締の状況として家畜商に関する調査資料をお手許に配付して置きましたので、それを御覧置き頂きたいと存じます。
 尚この際予備審査として付託されております酪農業振興臨時措置法案の提案理由を便宜伺つて置きたいと思いますからお聽取りを願います。この法案は同じく衆議院の小川原政信君外十名の議員の方々の御提案でありまして、現在衆議院において審査中に属するものでありますが、本日提案者を代表して野原正勝君がその提案趣旨の御説明に参つておられますので、この際伺うことにいたします。
#5
○衆議院議員(野原正勝君) 只今提案の酪農業振興臨時措置法案の提案理由を御説明申上げます。
 戰後我が國農業の近代的民主化を確保するため農地改革及び農業協同組合組織等の日本農業における生産の基本條件の合理化及びその協同組の諸般の措置が講ぜられたことは御承知のところでありますが、飜つて農村の実情に眼を轉じたとき、我々はその理想と現実との余りにも隔離しているを覚えるものであります。
 即ち農村の現実は、農地改革による経営の零細化による小農経営の経済的脆弱性が、漸次露呈され、農家経済は主要食糧供出の重圧や農民課税の強行等により漸次その彈力性を喪失し、その貧困さを増して來ている情況であります。かかる現象は、何に起因するかと申すならば、農地改革によつて創設された零細な自作農に対する政府の新情勢に即応した新しい農業経営政策の貧困と農家経営を無視した不合理を主要食糧農産物の供出制度の強行とに困ることも尠くないのでありまして、我々の誠に寒心にたえざるところであります。
 今や單一爲替レートの設定、経済九原則の実行等によりまして我が國の経済が自立化が強く要請せられている秋に当り、我が國経済の再建の基盤たる我が國の農業経営の安定とその綜合的生産力の増強を図り、世界農業との競爭場裡においてその独立性を確保する要今日より大なるは無しと考えるものであります。
 かかる観点から致しまして、主要食糧の生産及び供出との合理的調整を図りつつ飼料の自給力を増強することによつて酪農業を振興することは土地の高度利用、労働生産性の増進等による農業の綜合生産力の増大とその経営の安定を期し、延いては近代的文化農村の建設に最も有力な一手段と考えるのであります。
 尚特に酪農業の振興が我々がここにとり上げんとする理由は、右の農業経営の見地のみならず現下の食糧事情よりいたしまして、牛乳及び乳製品の所要量を確保することが、從來の澱粉質食糧の量の確保を主として食糧政策を、動物性蛋白質を加味することによりまして質的向上を図るという所謂総合食糧政策に轉換することにより國民の食生活の改善と特に今後我が國を背負つて立つ乳幼兒の主食を確保してその体位の向上に資し、健全なる民主的文化國家の実を挙げる要を痛感するからであります。
 然るに酪農業現状は、生産面においては、尚依然として飼料事情が窮屈であつてその経営は極めて不安定であり、今後の見通しとしても單一爲替レートの設定により、配給飼料の價格の二、三倍の騰貴を予想せられ、尚輸入数量においても必ずしもその必要量が予想通り輸入するの保証も期せられ難い状況であり今にして適切な施策を講ぜずんば我が國酪農の將來は誠に寒心すべきものがあると考えるのであります。
 ここにおきまして、本法案は、飼料の確保を主眼として適切な措置を講じ酪農を安定せしめ牛乳及び乳製品の計画的生産を確保することを目的としているのであります。
 右のような次第から本法案を提案いたしたのであります。
 尚、次に本法案の要点について申しますならば、第一に酪農経営の安定を図るための基本問題として自給飼料、特に飼料圃を設定することにしたのであります。即ちその狙いは主要食糧農産物の生産及び供出との合理的調整を図つて、公正且つ計画的に原料牛乳の生産数量に應じて飼料圃を確保する措置を講じて、酪農経営の基礎を確立せんとするのであります。このためには先ず酪農地域を指定し、当該地域の生産者の農業経営の実際からする原料牛乳の生産計画の提出を求め市町村長、都道府縣知事がそれぞれ当該市町村、都道府縣の生産計画を作り、農林大臣が酪農審議会の意見を聽き且つ食糧需給状況、飼料事情牛乳及び乳製品の需要状況等を勘案して、原料牛乳の生産計画を決定するのであります。
 右の決定された生産計画の実施方法といたしましては、これを主要食糧と並んで農業計画に織込み知事、市町村長、生産者の順に食糧確保臨時措置法における主食と同樣な方式で指示するのであります。これによつて酪農家にとりましては、從來のごとき米麦のみを主眼とした農業計画による経営の不合理が是正され、その農業経営の実際に即した総合的な米麦及び牛乳の生産及び供出数量の割当と、それに必要な肥料等の生産資材の割当を受け時に飼料作物の自家生産を認められその供出は免除され経営の安定が期せられることになるのであります。飼料圃の設定に即應して指定酪農地域から生産される牛乳乳製品は供出され、乳幼兒病弱者等必需方面に優先的に配給されることになるのであります。その供出は一見して強化されるように見えますが、その数量と言い、その実体といい、從來も亦現在も事実上は供出されておるのでありまして、供出関係は從來と殆んど変らない見込であります。即ち從來と雖も事実上は供出でありまして、而も飼料團の考慮恩典がなかつたので酪農民はその経営に困難をしていたのであります。それを今回の法律で正式に供出の義務は認めるが同時に飼料圃の設置を確保するという建前にいたし酪農経営の安定を図ろうとするのであります。
 更に酪農民にかかる義務を課することによつて、その生産した原料牛乳を買受けるれん粉乳製造業者との取扱関係を合理的ならしめ酪農民を保護する見地から、原料牛乳の取引事項の届出制を実施し、不当なものについては、その変更を命じ得ることにし、又その農業計画で指示された数量の牛乳についてはれん粉乳の製造業者等はこれを拒み得ないこととし、且つ農業協同組合等の生産者團体の團体協約による賣り渡しの促進の方途をも併せて講ずる等、酪農民の利益を擁護することによつて、酪農経営の安定を図つているのであります。
 更に生産計画の設定に当つてはその生産を確保するために必要な奬励施設を講ずることとし、或いは報奬物資の配給、資金の特別の融通輸送の優先取扱等、國家として、米麦と同樣特別な措置を講ずることにして、生産計画の遂行を助成することになつておるのであります。
 第二は、れん粉乳製造業者に対する措置としましては、先ずその登録制を実施して、一定の基準を定め不良業者の跳梁を阻止する措置を講じたのであります。又指定地域から集乳した原料牛乳については、れん粉乳等の用途以外に使用することを制限し、且つその製品は物調法に基く配給規則によつて定める指定機関への讓渡の義務を課し、牛乳及び乳製品がルートに流れるようにいたしたのであります。
 第三は本法施行に必要なる重要事項を調査審議するために、主として民間の知識経驗者に集まつて頂き、酪農業審議会を設け、生産計画の決定、れん粉乳製造業者の登録の基準等を公正且つ民主的に決定する措置を講じたのであります。
 以上が本法案の主なる内容であります。何とぞ愼重御審議の上会期切迫の折柄でもありますが、速かに可決せられんことをお願いいたしまして、提案趣旨の説明を終ります。
#6
○委員長(楠見義男君) 速記を中止して下さい。
   〔速記中止〕
#7
○委員長(楠見義男君) 速記を始めて下さい。それでは只今の酪農業の法案の方につきましては、衆議院で審議の結果修正をせられてその上で正式に本院に廻されるそうでありますから、その修正の点についてこの際併せて便宜御説明を伺つて置いた方がいいと思いますから、それを伺います。
#8
○衆議院議員(坂本實君) 衆議院の農林委員会におきましては、只今上程になつておりまする酪農業振興措置法案につきましていろいろ審査をいたしたのでありまして、審査を終結いたしまして、今日午前中採決をいたしたのであります。その際私から修正案を提出いたしたのでありますが、この際この点を併せて御説明を申上げて置きたいと存じます。修正をいたしましたのは、原案の第八條を次のように改める。(生産計画の実施)、「第八條 前條第一項の規定により生産計画及びその実施に関し必要な事項が決定されたときは、これらの実施に関しては、食糧確保臨時措置法の農業計画及びその実施に関する規定の例による。」
 第九條中第二項を削り、第三項を第二項とし、同項中「第一項」を「前項」に改める。
 附則中第四項を削り、第五項を第四項とする。
 以上が修正案でございます。本法案におきましては、第二條から第七條までの規定により、原料牛乳の生産計画を定め、第八條において右の生産計画は、食糧確保臨時措置法の農業計画に移されることとなつておりまして、原料牛乳の生産計画の実施は、食糧確保臨時措置法の規定に所要の改正を加えて、主要食糧農産物と同一方式によつて行われることになつておりますが、主要食糧農産物と原料牛乳との性格の差異に鑑みまして、食糧確保臨時措置法による主要食糧農産物の農業計画の例によつて行ない、実施上適切な措置を講ずることが酪農業振興を図る上に妥当であると考えます。從いまして原料牛乳の生産計画の実施につきましても、本法案そのものの規定によることが妥当であると認められますので、第八條を修正して原料牛乳の生産計画の実施についての規定を定めようとするものであります。又食糧確保臨時措置法に牛乳関係を追加しておる箇所、即ち第九條第二項及び附則の第四項を削除しようとするものであります。
 以上が修正に対しまする趣旨でございます。
#9
○委員長(楠見義男君) それでは只今から家畜商法案について御質疑がございますればお始めを頂きたいと思います。
#10
○加賀操君 この法案は、全体としては別といたしまして、家畜商の向上につきまして、消極的な方面は大体よろしいと思います。例えば欠格條件だとか、或いは聽聞会だとかという制度がございますからよくなつておると思いまするが、この提案の理由にありまする家畜取引の担当者として資質、特に家畜衞生に関する関心や知識が乏しいので、これらを向上すると同時に品位の向上を図る、こういうふうになつておりまするが、これは誠に結構なことでありまするが、こういうことを法案に載せることはどうかと思いまするが、その事項につきまして行政措置として十分に準備がしてありませんと、一方が欠けることになりますので、行政措置として農林省の方でこれに対す具体的なる計画が立てられておるかということをお尋ねしたいと考えております。
#11
○政府委員(山根東明君) 衆議院からの提出理由にもありましたように、從來の家畜商が全くフリーに放任されておつたのであります。新らしいこの規則によりまして、都道府縣知事の免許制度にした理由は、お話のように家畜商の資質を統一し、高めるという趣旨があるわけでありまして、このためにはこの法案が通過いたしますれば、私共といたしましても、從來は家畜商が家畜行政についてはいわば殆んど手をつけていなかつた点を改めまして、各種の講習会等の形において家畜商の品位なり資質を高めることに、私共としてもその途を取つて行かなければならないというつもりでおります。
#12
○大畠農夫雄君 家畜商法の十二條の一号です。ここに「第十條の規定に違反して、家畜商でなくて家畜の取引の業務を営んだ者」こうあるのでありまするが、これから見ると、一回でもそういう業務をやつた者は結局処罰されるというふうに見えるのですが、絶対に禁止されている規定になつているように見えるのですが、これはどうなんですか。
#13
○政府委員(山根東明君) 家畜の取引の業務を営んだという字句の解釈になりますると、これは法律の字句の解釈としては、たまたま一回限りやつた者はこれに該当しない。反復継続的にやるというふうなことになるだろうと思います。
#14
○大畠農夫雄君 それならばこういうややつこしい文句じやなくして、家畜取引を業とした者とか何とか、こういうふうにしたらどうですか。
#15
○政府委員(山根東明君) 家畜取引を業とした者という書き方と同樣に解釈されると思います。
#16
○大畠農夫雄君 ところが私達にはそうそうふうに解釈できないのです。取引の業務といえば一つでも業務なんです。業務を営んだ者というよりも、業とした者というふうにしないと間違うのです。これで必ず引つ掛つて來る。一回でも必ず家畜商にされたり何かするのです。そういう例が今まで沢山あるのです。だから業とする者とか何とかしないとまずいのです。
#17
○衆議院議員(坂本實君) 只今の御質問でありますが、家畜の取引の業務を営んではならないという精神は、これは営業としてやつておるという意味でありまして、常識的におのずから判断ができるものであると考えておるのであります。
#18
○大畠農夫雄君 今までこういう法令があつて、ただ一回でも引つ掛つておる前例が沢山ございます。法の体裁上から言つて、こういうことでなくして、家畜の取引を業とする者とか何とかというふうに書いた方が適切なんです。そういうふうには立案された方は考えるかも知れませんが、一般から法文を解釈して行くと、そういうふうには解釈できない。実際において引つ掛つてしまう、だからそういうふうにはつきり業とする者とか何とかというふうに直した方が私はよいと思う。
#19
○衆議院議員(坂本實君) 只今の御指摘には、第二條におきましてはその点を明らかにしておるのでありまして、『「家畜商」とは、次條の規定による免許を受けて、家畜の賣買若しくは交換又はそのあつ旋(以下「家畜の取引」と総称する。)の業務を営む者」と規定しておりますので、只今の御心配はないのではないかと考えております。
#20
○大畠農夫雄君 一回じやなくて、三回から五回に亘つてやつた場合には業務と見るのですかどうですか、三回ぐらいやつた場合にはどうですか、五回ぐらいやつた場合にはどうですか。
#21
○衆議院議員(坂本實君) それを業務と見るか見ないかということは、その人の意思によりましておのずから決定するものだと思います。
#22
○藤野繁雄君 第三條の家畜商になろうとする者には自然人と法人とを含んでおるのかどうか。第十五條によつてみますと、法人も含んでおるようにも考えられますが、その点をお伺いしたいと思うのであります。それから手数料は千円を超えない範囲内において定めるということになつておりますが、大体どのくらいの程度に決められようというお考えであるか、その点をお尋ねしたいと思います。
#23
○衆議院議員(坂本實君) 家畜商になろうとする者は、それは個人、法人の範囲はどうかという御質問でありますが、その家畜商は廣く一般の人に成規の手続を踏んで、そうして統一のある家畜商の制度を作りたいと、こういうことでありますので、個人、法人を問わずそれができるというふうに考えておるのであります。尚今の手数料の問題でありますが、これは現在は相当区区のようでありますので、條令等によつてこれを定めるのが妥当ではないかと、かようと考えておるのであります。
#24
○石川準吉君 第八條の「停止の効力は、全都道府縣に及ぶ」という、この全都道府縣という意味はどうですか。その地方長官の管轄する区域という意味ですか。それとも日本全國という意味ですか。
#25
○説明員(伊藤嘉彦君) 最近たしか道路交通法か何かの改正がありまして、その中でこの第八條のような書き方の前例があるそうでありまして、或る一縣の知事の免許を受けますと、それが他の府縣にも通用する、こういう趣旨であります。
#26
○門田定藏君 先刻大畠氏から質問があつたと思いますが、第十條の規定についてお尋ねしたいと思います。
 家畜商でなくて家畜の取引の業務を営んだ者とありますが、これでは曖昧である。家畜商でなくして家畜取引の業務を営んで処罰された者は、ということをはつきりさせて置かないと、あとでこれは問題が起るのではないかと思いますが、どうお考えですか。家畜商でなくして家畜の取引の業務を営んで処罰された者ということでないと、多くの中には、家畜商でなくして営む人が沢山おるのです。これを摘発して、これまでそういうことがあつた人はなれないというようなことでは、この法律の提案の理由に戻りはせんかと思いますが、提案者に一つお尋ねしたいと思います。はつきりして貰つて置かなければならんと思います。
#27
○岡田宗司君 第二條の家畜の範囲についてでありますが、ここでは牛、馬、豚、めん羊、及び山羊となつております。大体これでいいと思うのでありますが、最近アンゴラ兎が相当飼育されるようになつておりまして、特にこれは輸出との関係がありますので、それの種兎の分讓が盛んに行なわれておる。然るにその品質等が非常によろしくないものをどんどんと流行に乘じて賣つておる者が現われておる。こういう者の取締りがなされ得ない状態になつておるのです。この法律に規定するしないは別といたしまして、畜産局の方におきまして、そういう場合における処置はどういうふうにな取られておるか、それをお伺いしたいと思います。
#28
○政府委員(山根東明君) 只今アンゴラの取引が相当多くなつて、これの扱い者を家畜商に限定するところまでは行く必要はないけれども、何らか考えなければならんと、こういう御趣旨のように承わりましたが、そうでありますとすれば、私共も実は最近におけるアンゴラの飼育が非常に盛んになつて参りまして、その間これはただ單に衞生の面からだけでなく、飼養者が主として農家であるというような点等からも、私共としましては、今後においては、その取扱についてお話のような心配のないように、何らか考えて行かなければならないというような実はつもりはしておるわけであります。具体的にこの扱い業者に免許制の規定を採用するとか、そこまで只今のところ考えておりませんけれども、御趣旨に副つて今後において何らかこの取引きが公正に行われますように処置いたしたいと、かような考えをいたしております。
#29
○岡田宗司君 只今の畜産局長の御意見にもありますように、輸出の面からいいまして、それらの取締りが相当重要だと思うのであります。そこでこれを提案されました衆議院の方の方にお伺いしたいのでありますが、その点におきまして、提案者の方ではどういうふうにお考えになつておるか、お伺いしたいと思います。
#30
○衆議院議員(坂本實君) 只今の段階におきましては、一應家畜というものは、ここに列挙いたしました品種で一應よいのではないか、というふうに考えておるのであります。只今御説があります通り、將來或いはいろいろ情勢の変化によりましては、更にこの品目を追加する必要もあるかと思いますが、只今のところは一應この程度で一つ取り決めて置きたいと、かように考えておるのであります。
#31
○平沼彌太郎君 私も只今の点であつたのでございますが、例えば兎、鶏というようなものも相当に農家が普遍的に飼育しておりまして、取引きが大きいと思うのですが、將來これを考慮するというお話でございますから、それは別といたしまして、この法案の全般に対してちよつと見ますると、只今の提案説明でよく分りましたのですが、今までフリーのものも急にこういうふうに束縛して、殊に罰則が嚴しいようでありますが、これで萎縮して、却つてこの方面の取引きを不完全に殖えさせるような心配はないかどうか、戰爭中豚を檢疫制で屠殺するということのために、非常に遠くへ輸送しなければならん、そのためにこの法律を恐れてないしよに皆農家がお互に示し合せして、裏面的に屠殺を盛んなやつたのであります。そういうふうな傾向を起す心配はないかどうかというような憂えもちよつと持つたのでありますが、一体こういう嚴しい法律にしていいかどうか、その点を提案者にちよつと御説明を願いたい。
#32
○衆議院議員(坂本實君) 只今の御意見のように、いろいろこういつた取締りというか、制度を設けられますことは、いろいろ一長一短あると思います。併しながらこの法案の精神は、どこまでも機会均等にする。欠格條件がない者は、むしろどなたでもなつて貰えるということにいたしておりますので、その面におきまして、家畜商を営みたいというような人は、進んで一つ免許を受ける方向に指導して行くべきである、かように考えておる次第であります。
#33
○岡田宗司君 ここに提出されております調査資料は十八條だけでございまして、その家畜商の現在数が、この十八縣全部で二万一千四百五十七、こうなつております。で恐らく全國にいたしましたならばこれの倍以上にも上るかと思うのでありますが、この家畜商の中で、農業協同組合が営んでおりますものはどのくらいに上つておりますか、ちよつとお伺いしたいと思います。
#34
○説明員(伊藤嘉彦君) この資料にあります家畜商は、実は只今資料を詳しく檢討しておるひまがないのでありますので、多少間違いがあると思いますが、都道府縣からの報告でありまして、都道府縣の場合、從來家畜商取扱り規則が、つい最近までありましたので、その場合には、農業協同組合が営む場合には、家畜商として取扱つておりませんで、恐らくこの家畜商現在数には、農業協同組合は入つておらないと思うのであります。農業協同組合で営業として、営むことは確かできないようになつているので、農業協同組合は、この法案におきましても、家畜の取引の業務を営む、営利を目的として行うものではない、こういう考え方でおります。
#35
○門田定藏君 この法律によりますと、從來は個人と個人との賣買は、禁ぜられておつたかどうか知りませんが、今も聞きましたが、生産者と生産者が直接賣買するのはかまわないのですか、この法律ができましても……
#36
○説明員(伊藤嘉彦君) 大変僣越でありますが、この解釈をする場合には、生産者が生産したものを賣るということは、これは取引の業務という、この業務には当らないという考えでおりますので、家畜商というものではない、こういう考えでおります。
#37
○門田定藏君 そうすると、生産者が家畜商でない生産者に賣る場合は、この限りにあらずという條項を、これにはつきり入れて置いて貰わんと、後日よくない問題を起しわせんか、これまでは家畜商の手を経ねば、賣買してはならんということにしてあつた。その家畜商が、正しい家畜商ならばいいが、不正な家畜商であつて、傷のあるものをないと言つて騙して賣つたりした場合に、いろいろの問題が起る。個人と個人との間の賣買はしてもいいということを、こういう窮屈な法律ができるならば、はつきりとこの中に挿入して貰つた方がいいと思います。ただ当局の解釈だけではいかんからして……
#38
○大畠農夫雄君 私もそれを思う。十二條は一般人を処罰する規定ですから、曖昧な解釈にならんように、こういうときにはこういう処罰をするのだということを、書かなければ分らない。人を処罰する場合に、こんな曖昧な規定を書いて、これはこう思うからというので、処罰されては困るのであるから、その意味においてこういうふうな曖昧な文字を使わずに、「業とした者」というような、はつきりした言葉を使つて貰いたい。そうでないと、間違いを起すので申上げて置きます。
#39
○説明員(伊藤嘉彦君) この法案にあります業務という言葉でありますが、第十二條の関係、第十條との照應の関係からいたしまして、継続的な意思を以て、営利の目的を以て営む場合を指すものである。こういうふうに解釈できると思います。
#40
○大畠農夫雄君 それは絶対にできない。「業務」の「務」を取つて、「業を営んだ者」とすればいいのです。業務ということがあれば、業の一つをやつたのでもやはり業務です。例えば一回でも賣る人から鞘を儲けて、買い人に賣るということは一つの業務になる。営利を目的として一回でもやれば、業務になつてしまう。営利が目的でなくて直接生産者から買つたという場合は、これはそうでないが、中間に入つて営利を目的として、そういうことをやれば、これはやはり一つの業務になる。一回でも処罰されてしまうということになる。そういうことのないように、そこをはつきりして貰わんと困る。業務とそうでないということは、そこが違う。鞘を儲けるか、儲けないかということによつて違つて來る。そこをはつきりしないことには……
#41
○委員長(楠見義男君) その点はどうでしようか。司法省あたりからはつきり解釈を聽いて、若し司法省の方で今の大畠さんの心配されておるような解釈が、これから出るということであれば、趣旨はそうでないということであれば、その趣旨に副うような法の改正をする必要があるし、司法省の解釈が業務というのは集團且継続的にやるものを言うのだと、こういう解釈であれば、これはもう司法省の解釈は尊重した方がいいと思いますから、それは司法省の解釈を俟つたことによつて、これを決定する。こういうふうにしたらどうでしようか。ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#42
○委員長(楠見義男君) 速記を始めて下さい。
 それでは本日はこの程度で散会しまして明日は午前十時から開会いたします。
   午後二時一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   理事
           岡田 宗司君
           平沼彌太郎君
           石川 準吉君
           藤野 繁雄君
   委員
           大畠農夫雄君
           門田 定藏君
           北村 一男君
           高橋  啓君
           星   一君
           加賀  操君
           徳川 宗敬君
           板野 勝次君
           國井 淳一君
  衆議院議員
   農林委員長  小笠原八十美君
           野原 正勝君
           坂本  實君
  政府委員
   農林事務官
   (農政局長)  山根 東明君
  説明員
   農林事務官
   (畜産局畜政課
   長)      伊藤 嘉彦君
ソース: 国立国会図書館
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