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1949/05/10 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 水産委員会 第4号
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1949/05/10 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 水産委員会 第4号

#1
第005回国会 水産委員会 第4号
昭和二十四年五月十日(火曜日)
   午後一時二十三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○水産業團体整理特別措置法案(内閣
 送付)
○漁業法案(内閣送付)
○漁業法施行法案(内閣送付)
○造船法案に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(木下辰雄君) 只今から水産委員長を開会いたします。
 本日の議題は水産業團体整理特別措置法案、漁業法案並びに漁業法施行法案、この三法案を議題に供します。先ずこの三法案の提案理由の説明を大臣にお願いいたします。
#3
○國務大臣(森幸太郎君) 水産業團体整理特別措置法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 第三國会において成立いたしました水産業協同組合法及び水産業協同組合法の制定に伴う水産業團体の整理等に関する法律は、本年二月十五日より施行され、現在全國各地において水産業團体の解散準備、水産業協同組合の設立の段階にあるのであります。從つて水産業團体の財産の処分、特に水産業團体より新協同組合えの財産の移轉が、これから始るのであります。この財産移轉につきましては、水産業協同組合法の制定に伴う水産業團体の整理等に関する法律中に、その方途に関して規定しているのでありますが、尚この外の二つの問題に関する規定が必要なのであります。
 第一は、水産業團体より水産業協同組合え債務を承継させるについて債権者保護の手続を講ずることであります。第二は、水産業團体より水産業協同組合え財産を移轉する際の財産の評價基準であります。この法律案は、この二つの問題に関する規定をその内容とするものであります。
 以下その内容を御説明いたしますと、先ず第一に債権者の保護手続につきましては、水産業團体は、先ず水産業協同組合がその債務を承継するについて債権者に公告又は催告し、異議の有無を問い、異議ある債権者には債務の弁済又は信託等の措置を講ずるのであります。この弁済又は信託の措置をとるため必要なときは水産業團体の資産を処分するのでありますが、その譲受けについては、協同組合に最大限の優先権を認めております。この債権者保護の手続を完了しなければ、水産業團体は、水産業協同組合えの財産移轉の認可申請ができないことになつてをります。
 第二に水産業團体から水産業協同組合へ財産を移轉する場合その財産の評價については帳簿價格と時價の範囲内で水産業團体の資産処理委員会の定める價格によつて財産の引継を行わせることとし、各團体の実情に應じて價格を決定し得るようにしているのであります。
 以上がこの法律案の内容の大要でありますが、水産業團体より新協同組合えの円滑なる財産の移轉を図るため、何とぞ慎重御審議の上可及的速かに御協賛あらんことをお願申し上げます。
 次に漁業法案及び漁業法施行法案につきまして、その提案理由の大体を御説明申しあげたいと思います。
 今日わが國の当面する最大の問題は、國内各分野における民主化を達成し、この基盤の上に生産力を発展させ、日本経済の再建とその自立化を図ることにあります。農業と共にわが國産業構造の基盤をなす漁業にして、その生産力の発展は停滞し、その内部に多くの封建的な残滓を包藏したままに止りますならば、再建日本の基盤は誠に脆弱にして、日本の民主化は勿論経済自立も亦歪められざるを得ないでありましよう。
 政府におきましては、終戰以來漁業問題の全面的解決につき鋭意考究を進め、その一環として漁業團体制度の改革をなすベく、去る第三國会に水産業協同組合に関する法律を提出し、その成立をみ、既に本年二月十五日より施行いたしておりますが、根本的には漁業生産に関する基本的制度即ち漁業制度の改革を断行することが不可欠なのであります。
 現行漁業制度は、明治三十四年の旧漁業法において始めて法制化され、同四十三年の全面的改正によつて確立されたものでありますが、これは旧來の慣行をそのままに固定したものであり、その後の諸般の情勢の変化、特に漁業生産力の発展にも拘らず、基本的部分については何等の改正を見ずに今日に至つたものであります。
 その内容は根本的欠陷といたしましては、個々の漁業権を中心に漁場の秩序が組み建てられているために、漁業生産力を上げるに不可欠な「相当廣い水面を單位とした総件的な計画性」を持ち得ないこと、又適当な調整機構を伴わず漁業権を物権としたことの弊害面として、権利者に不当に強い力が與えられ、漁場の秩序が漁民の総意によつて民主的に運用されておらぬこと等が上げられるのでありまして、これが漁業生産力の発展を阻害し。又漁村の封建性の基盤をなしているのであります。從つて漁業生産力を発展させ、漁業の民主化を図るためには、この行き詰つた漁業関係を全面的に整理し、新たに漁業生産に関する基本的制度を定め、民主的な漁業調整機構の運用によつて、水面の総合的高度利用を図る必要があるのであります。
 これが漁業制度改革を実施するため必要な漁業法案及び漁業法施行法案を提出したゆえんであります。
 申すまでもなく、この一片の法律によつて直ちに生産力が発展し、漁業の民主化が達成されるものではなく、政府といたしましては、この改革の基盤の上に立つて、各般の施策就中漁業経営の安定と漁民生活の確保に関する施策を総合的に推進せしめる所存でありますが、漁村の般建性の根の深さを思うとき、この改革に対する全國漁民の積極的な関心が切望され、改革の成否も又これにかかると思うのであります。
 以下両法案の主要の内容について概略御説明申しあげます。両法案はその内容が一体をなすものでありますので、一括して御説明申上げます。
 第一は、沿岸漁場の全面的整理であります。この法律施行の際現に存する漁業権は、二年以内にほぼ一斉に消滅させ、同時の計画的に新漁業権の免許を行います。この漁場整理のため消滅する漁業権等には、漁業権補償委員会の計画に從いまして、補償することとし、この補償の財源は免許料、許可料及び内水面における料金に求めることにいたしております。補償金の算定方法は、概ね財産税の場合の評價方法にならつて定めております。
 補償金は、現下の財政金融事情に鑑みまして、政府発行の証券をもつて交付することといたしております。
 第二は、新漁業権についてでありますが、漁業権は定置漁業権、区画漁業権及び共同漁業権の三種とし、その内容は從來と多少違えております。存続期間は従來より大分短縮し、期間の延長は区画漁業権以外にはみとめないこととし、漁場の固定化を防ぎ、事情の変化に應じて最も合理的に漁場を利用しうるように致しております。
 漁業権の免許方法は、都道府縣知事が漁業調整委員会の意見をきいて、水面の総合的高度利用の見地から事前に免許の内容をきめ、法定の適格性及び優先順位に從つて免許することとし、從來の如き行政廳の独断的決定をさけ、法律の定める基準に從つて民主的に決定することと致しました。
 免許する相手方は、原則として自ら漁業を営む者であり、漁業権の賃貨は禁止しております。但し、漁業権の性質上その行使に團体的規制が必要なものは、自営でなくても一定の條件を備えた漁業協同組合又はその連合会が免許を受け、組合の内部規制により組合員が漁業を営みうるように措置致しております。このような漁業権及び独占排他性の弊害の強く現れる漁業権については、一定の民主的要件を備えた地元の漁民團体に優先的に免許するように致しております。
 漁業権を物権として第三者の侵害から保護する点は從來と同樣でありますが、権利者の恣意的な行使は制限し、又賃貸を禁止し、讓渡性及び担保性を制限して、單なる私権ではなくて水面の総合的高度利用のためという公的性格を強めております。
 入漁権は慣行制度を廃止して、すべて設定行爲によらしめることとし漁業調整委員会の裁定によつて調整しうるように致しております。
 第三は、指定違洋漁業であります。これについては、認可の定数を定め、又適格性の規定に反しない限り、船航の使用権に実質上許可が伴うように措置致しました。そして、漁業権の場合とやり方は多少違いますが、この法律施行の際現に指定遠洋漁業の内容たる漁業の許可を受けている者については、一定期間内に再審査を行うことと致しております。
 第四は、免許料及び許可料でありまして、毎年、沿岸漁業に関する補償及び漁業制度改革費をまかなうため、沿岸漁業者から免許料又は許可料を徴收し、沿岸漁業以外の漁業者からは、沿岸漁業者とほぼ等しい負担度の許可料を徴收することに致しております。
 第五は、漁業調整委員会であります。漁場の総合的高度利用及び漁業に関する粉爭の調整を図る民主的な機構として、新たに漁業調整委員会を設けることとし、行政廳が漁業の免許等、重要な行政処分をする場合には、必ずこの委員会の意見をきかねばならないこととし、更に又漁業調整上必要な指示をするという廣汎な権限を有して、漁業制度改革の眼目をなすものであります。これには、海区ごとに設置する海区漁業調整委員会と、海区にまたがる特定の問題を処理するために、臨時に設けられる連合海区漁業調整委員会とがあります。又中央には漁業法の施行に関する重要事項を審議するため、中央漁業調整審議会を設置することと致しております。
 第六は、土地及び土地の定着物の使用についてでありまして、海草乾場、船揚場、漁舎等漁業上の施設として必要不可欠な土地又は土地の定着物を漁業者が使用しうるように措置致したのであります。
 第七は、内水面漁業であります。内水面の中でも海に準ずるようなものは別と致しますが、通常の内水面については、その特殊性に即應し、増殖事業を積極的に展開するため、海面と異なる特殊規定を設けることと致しました。即ち内水面においては、原則として、料金を納めなければ、水産動植物の採捕又は養殖をすることができないこととし、政府はこの料金收入をもつて、補償及び漁業制度改革費のうち内水面漁業に関する分をまかなうと共に内水面における基本的増殖事業を行うのであります。この内水面における民主的な設整機構としては、都道府縣に内水面漁場管理委員会を設置致します。
 第八は、瀬戸内海漁業についてでありまして、瀬戸内海における資源の維持と複雜な入会関係の調整を期するため、特に瀬戸内海漁業調整事務局を設置し、漁業法の施行に関する事務の一部を分掌させることと致しました。これに対應して連合海区漁業調整委員会も普通は臨時のものでありますが瀬戸内海には常設のものを設置致すこととしております。
 第九は、漁業制度改革に伴う関係法律の改正でありまして特に水産業協同組合法関係の規定を改正致しております。
 以上が両法案の主要な内容でありますが、何とぞ愼重御審議の上速かに御協賛あらんことを切望する次第であります。
#4
○委員長(木下辰雄君) この三法案の内容説明を事務当局から伺いますが、その前に造船法案に対して質問したいという千田君の申入れがあります。この際その質問を許します。千田君。
#5
○千田正君 農林大臣にお伺いいたしますが、このたび運輸省から造船法案なるものが、今議会に提出されてありまして、この造船法案の内容を見まするというと、從來水産廳において所管しておりました漁船の建造の許可その他に対しましては、殆んど農林省関係は除去してありまして、運輸省一本で行く。つまりその許可権は運輸大臣においてこれをなすというような法案でありますので、誠に水産委員の我々として、この法案はこの際適当でないと考えるのでありまするが、大臣におかれましては、この法案が第一に上程されるに当りまして、閣議において大臣がこの法案が上程されるかどうかということについて御檢討になつておられたかどうか。第二におきましては、從來の農林大臣の所管であつたところのこの漁業造船法なるものが、この際農林大臣の所管から消え去るというようなこの法案に対してどういうお考えを持つておられるか、この二点につきまして大臣の所信を伺いたいと思います。
#6
○國務大臣(森幸太郎君) 実はこの造船法の提案につきましては從來とも非常な問題が造船法の上にありまして、これは逓信省と言つた時代でありますが、その当時漁船に関しては農林省が專門的に考えなければならないという氣持が、この水産委員会においても相当強く論議されまして、我々もその氣持を持つておつたのであります。然るに今回この造船法として出ましたにつきましては、今までこれは法としてでなしに、さようなやり方をいたしておつたのを今回造船法といたしたのでありまして、これは閣議においてもこの問題は非常に論議をされなかつたのでありまして、運輸大臣の方にもうつかりいたしており、こちらにもすでにこういう法案については大体事務当局において事務次官が法案の提出については下調べをしておるのでありまして、これが左程その閣議においても論議されずして決定いたしておつたのであります。これは依然御承知の通り農林大臣と逓信大臣、運輸大臣との共管されるという意があつたのでありまして、今回これが單独に運輸大臣の所管になつておるということにつきまして、それを運輸大臣とも交渉を重ねておるのでありますが、一應法案として関係方面の了解を求めておりますので、今これを修正して政府が出し直ということはでき得ないのでありますので、相当委員各位におかれまして適当な御措置をお思いいたしたいとかように実は考えておるわけであります。
#7
○千田正君 政府当局としましては、仮に農林大臣の申入れによつて、これに対する一部改正の追加法律案を出す意向はありませんでございますか。その点を重ねてお伺いします。
#8
○國務大臣(森幸太郎君) 政府といたしましては、修正する提案はなし得ないというような情勢にあるのであります。
#9
○千田正君 大臣としましては、この法案が仮に提案された以上は相当に議論の的になると思いますが、農林大臣としまして、水産行政を所管せられる大臣のお考えとしましては、この法案が適当であるとお考えになつておりますか。それとも、これは適当じやないと、從來の通り水産行政の一部面としてこの造船法のうちの漁船の問題に関する限りは、農林省の所管にあるべきが至当というふうにお考えになつておりますか。いずれにあなたはお考えになつておりますか所信を伺いたいと思います。
#10
○國務大臣(森幸太郎君) これは從來とも、こういう内容によつて逓信省が取扱いをいたしておつたのでありますが、從來とこれが変つたというわけではないのであります。併し造船の、その目的が水産業の漁船である以上は、農林省がこれは所管するのが適当ではないかという考えを持つわけであります。
#11
○江熊哲翁君 ちよつと大臣に……
#12
○委員長(木下辰雄君) 今のことに関連しておりますか。
#13
○江熊哲翁君 ちよつと関連しないが、僕は資材の問題について、この行政機構の問題についてちよつと、機構問題ですから関連していると思いますが……
#14
○委員長(木下辰雄君) 関連しているならばよろしいのでございます。
#15
○江熊哲翁君 大体関連している。ちよつと大臣に是非聞いて貰いたいと思います。只今この漁船行政の問題について大臣の御所見を承つたのでありますが、私はこういつたようなことは資材行政の面においても、そういうことが今後起り得るのじやないかと思うし、更に私共の多年主張しているところの資材の製造、配給の方の行政というものが、從來商工省との共管になつているのでありますが、この際、この機構改革というか、そういうような際に取上げて頂いて、これは農林省の專管としてやるというふうにして行くのが、今後水産業の発展上非常に妥当な措置ではないか、こう思うのであります、本朝はからずも、この漁業経営者團体連盟の連中からの。この委員会に対する要望があつたのでありますが、それはこの綿漁網等の、いわゆる水産專用資材行政を現行の商工省、農林省の共管を改めて水産廳に一元化せられることを要望するということが参つたのであります。非常に重要な問題でもありまするし、私共從來屡屡これについて政府に要望しておつた問題でもありますが、この行政機構の問題が取上げられる際でありますので、こういつた資材行政の面について農林大臣はどういうお考えでありますか伺つて置きたい。こう思うのであります。
#16
○國務大臣(森幸太郎君) 御質問の農林水産用具の問題でありますが、現在では農林省として当然所管せなければならん肥料でありますとか、農器具、漁網、綱というものは統制の関係でありますか、商工省の所管になつておるのであります。このことは私としましては農林行政上是非とも農林省が所掌すべきものであるということを強く感じておりまして、今回組織法の改正によりましては、御承知の通り水産廳設置法によつてこれが行われるのでありますが、それについて特に第一條に水産廳設置法の一部を改正することを挙げまして、漁網綱の生産ということが商工省に移管されておつたのでありますが、これを除きまして、水産廳自体農林省がこの漁網綱を生産し得るように法制化することにいたしたのであります。この問題は通商産業省の設置法の中にもこういうふうなことを書かれておりますので、これは当時、内輪話を申上げて失礼でありますが、商工大臣と農器具、漁網、綱等について交渉を重ねたのであります。ところが商工省の事務当局といたしましては、原料の関係上なかなかそれは農林省が生産を所掌すべきものでないという強き主張もあつたようでありますが、商工大臣と互いの交渉の上において、それは農林省の方で生産されていいんだということを表明いたしましたので、この原案作成に対しましては取敢ず漁網綱を農林省が生産をなし得るということに改めたのであります。尚この実行については相当まだ曲折を経なければならんと思いますが、必ずやこれを実現して行きたいと思います。現に今日の新聞等にも出ております通り、折角漁網綱用として與えられました綿糸が、他に闇流しになつておるというような事実がら考えましても、これは結局漁網綱というものの重要性を商工省が感じておらないという結果であろうと私共考えますので、これは先程申しました今後両省間において多少の紆余曲折はあろうと思いますが、必ず私共の方に所掌するようにして行きたいと、かように考えておるわけであります。
#17
○江熊哲翁君 是非とも実現するように盡力願います。
#18
○矢野酉雄君 造船法の法律案ですが、これについて今千田委員から御質問があつたそうでありますが、これに対して大臣は率直にありのままの経過を御発表になつたそうでありますが、結局造船法の法案を見ますというと、相当この問題はいわゆる農林当局と運輸当局がいろいろな行政的の交渉をし、更に政治的折衝をしてなかなか解決ができない一つの大きいこれは問題だと思うのであります。その問題が何ら解決の曙光を見ずして、そうして而も突如として農林大臣が閣議において関知しないときにおいてこれが立法府に轉出されておるというような次第であつて、恐らく農林行政最高官廳たる農林大臣としては非常に遺憾の意を表しておられると思うのであります。さればこそ水産廳法においてはこの造船法というものを何とか修正したい、こういうような考えの下に一應の修正の案件と申しますか、修正ができないとすれば、大臣の意向を聞かないで水産当局がこれを案を立てる筈はないのですが、併し本当の心持は修正案のように落着かして行きたいというこれは氣持であろうと思うのであります。故に私はこれは政治問題として農林大臣に率直にお氣持を伺つて置きたいと思いますが、これは我が参議院の水産委員今が運輸委員会といわゆる連合審査の機会を数回繰返しても、この水産当局が考えておるような、或いは我が水産委員会が構想しつつあるような修正案は、簡單にその結論を出すことはむずかしいと思うんです。なかなか今の段階においては私は不可能であるとさえ思うぐらいであります。そういうようなこの事実の上に立つて、一つのこれは法案でありますので、勿論立法府たる我が水産常任委員会は独自の見地で、大いにこの上程せられたるものは審議しなければなりませんけれども、この会期も非常に切迫しておるこの際、若し農林大臣がなんとかそこに運輸当局その間に行政的折衝と、更に政治的折衝を重ねられて、一時これを審議の進行を見合わして貰うかどうか、撤回するとすれば、國会法の規則によりまして、院議を以て決定しなければ政府が一旦上程したるところの法律案というものは撤回することができないのでありまするから、それ亦いろいろな面目が潰れるとか、立つとかいう問題も生じますので、そういう見通しが、今申上げたような事情である以上は、むしろ同じ政府の重要なる國務大臣としての御同僚の関係でありますので、私矢野としては、農林大臣はすべからくこの立法府の審議を懇請されるというようなことでなくて、内閣の内輪において、なんとかそこに話合いができるようなふうに御努力をなすつたら如何かと思うのでありますが、これについての率直なる農林大臣の所感を一應承つて置きたいと思います。最前千田君の御質問に対して或る程度は御答弁になつておつたようでありますが、更に打ち砕いて私は御眞意をお聞きしたいと思います。
#19
○委員長(木下辰雄君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#20
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて下さい。
#21
○矢野酉雄君 農林大臣の歯に衣を着せない率直なる御答弁は我が意を得たのでありますが、そこで非常に会期切迫の折から法律案は山積しております。殊に運営委員会の立場から見ますというと、なかなか手一杯どころか、会期を延長しなければできないというような実態である今日に、我が一体水産委員会は、これに対してどういう態度を取るか、一應委員長はむしろ諮つて置く必要があると思います。もう当然流産せしむべき運命にあるものであるならば、徒らなるその審議の機会を今切迫しておる際に持つ必要は私はないと思います。これについて委員長、どういうふうに我が水産委員会は態度を決めるか、一應決定を見なくても、各委員諸君の御意向を正式の委員会において諮つて置く必要があると思います。正面から、これは握り潰しをするというような露骨に敢て結論を出せという意味では全然ありませんから、この点……
#22
○委員長(木下辰雄君) 矢野君どの法案。
#23
○矢野酉雄君 造船法案です。
#24
○委員長(木下辰雄君) これは造船法案は運輸委員会と合同審査することになつておりますが、その点において水産委員会としてどういうふうな発言をするかという態度は、昨日の委員会で決定いたしましたので、これによつて邁進する、こういう工合にいたしたいと思います。その結果審議未了になることはいたし方ないと思つております。
#25
○尾形六郎兵衞君 幸い農林大臣の御出席がありますので、私からも蛇足みたいになると思いますが、お願いして置きたいと思います。森農林大臣は水産の御出身でもありまするので、前々の水産廳の経緯も御存じでありますが、何とか水産省に持つて行きたいと言つておりましたときに、どうしても造船の方の所管を或る程度、例えばあの当時は参議院ではトン数百五十トンくらいまでは水産省ということを唱えた。それから繊維品のことも商工省から移管して貰うというようなことを主張したのですが、共にその当時はいけなかつたのでありますが、造船法を見ると二十トン以上の船は全部運輸省に移るということになつておりますが、そうなりますと非常に退歩するわけであります。願くば將來水産省というまでも今後行政機構を拡大強化しようとする水産廳でありまするので、この二点につきましては、十分お考えの上今後檢討して頂きたい、こういうことをお願いする次第であります。
#26
○委員長(木下辰雄君) それでは質問はこのくらいにいたしまして、三法案に対する内容の御説明を事務当局にお願いいたします。
#27
○尾形六郎兵衞君 ちよつとこの法案の前に聞きたいことがあるのですが……
#28
○委員長(木下辰雄君) 誰に。
#29
○尾形六郎兵衞君 大臣にちよつと……
#30
○委員長(木下辰雄君) どんなこと……
#31
○尾形六郎兵衞君 簡單なことです。今の法案の最後に、これに対して御協賛あられんことを切望するということがありますが、この御協賛という言葉は、どうも新らしい憲法に私は合わないのじやないかと思います。天皇が出しました議案につきましては、協賛ということはあるだろうけれども、今日ではこれを御決議とか、御審議とかいうようなことになさるのが適当じやないか。御協賛という言葉は使う方もありまするが、正しく言つて、これは古い憲法時代の言葉と思いまするので、これについて大臣の御所見如何でしようか。(笑声)
#32
○國務大臣(森幸太郎君) うつかり考えておりました。成る程お説の通りと考えられますから、以後注意いたします。
#33
○矢野酉雄君 それは大臣そう遠慮なさらなくてもいい。参議院、衆議院の兩方の可決を協賛というのだから、天皇とは無関係で、決議と協賛とは又違う。参議院だけの意思の決定したのが決議であるけれども協賛というのは、参議院、衆議院が同一の案件につきまして同一の趣旨が決定する場合にこれが協賛だから、それは尾形先生協賛で結構です。
#34
○説明員(藤田巖君) 先程農林大臣から三法案の提案理由の御説明がございましたが、更にそれに若干補足をいたしまして御説明を申上げたいと考えます。先ず第一に水産業團体整理特別措置法の方から御説明を申上げます。この法律は水産業團体が水産業協同組合法の制定に伴う水産業團体の整理等に関する法律、これに基いて財産を処分するにつきまして、債権者保護の手続及び財産の評價基準等を定めまして財産処分の公正と、水産業協同組合えの円滑なる財産の移轉を図るということが目的になつておるのであります。この内容は先に農業團体の方に前例がすでにあるのでございまして、農業協同組合法関係の法律におきましては、これを政令の形ですでに規定をいたしてありますものであります。今回これを法律の形に改めましたのでありまして、内容は大体農業團体の前例に倣うというふうなことと御了承頂けばいいかと思つております。ただ農業團体の例と違つております点は、大体二点ございまして、第一点は縣の團体が解散をいたしました場合の清算人は農業團体につきましては、農林中金、中金が清算人になつておるのであります。併しながらこの水産業團体の方ではそれは自主的な清算をする。つまり、自主清算を行う。從來の理事が清算人となつて清算を行う。こういう点がその相違の第一点であります。それから相違の第二点は水産業團体が水産業協同組合に財産を移します場合の財産の價格、これは農業團体の方は大体時價が基準になつております。併しながら水産業の場合では帳簿價格と時價との範囲内で資産処理委員会が定める價格による。こういうふうに時價とは決めずにそのときその團体々々の資産状況と睨み合いまして、又新らしい協同組合と古い水産業團体との関係等もいろいろ考慮いたしまして、帳簿價格と時價との範囲内で適当に資産処理委員会が決められる。こういうふうにいたしました点がその相違の第二点であります。その外は大体農業團体の前例と同樣でございまして、尚規定上は水産業協同組合であり、財産ができるだけ移轉しやすいようないろいろな規定が置いておるわけであります。この法律は極く簡單なものでございますので、御説明はこの程度に止めておきたいと思つております。
 それから次に漁業法案及び漁業法施行法案についての御説明でございますが、お手許に御配付してございます法案の印刷物の中で、この二法案は非常に大部な復雜なものでございますので、それの簡單な要綱というものはこの漁業制度改革に関する件といたしまして二十一頁以下に載つております。これが新らしい漁業法案及び漁業法施行法案の大体の説明であるわけであります。これも何度も委員会において御説明をいたしましたところでございますので大体お分りかと考えております。説明の便宜上從來の案と今回提案をいたしました最終案とが、どういうふうな点において違うかという重要な修正点につきまして御説明をいたすに止めたいと考えております。これは印刷物の一頁に載つております漁業制度改革に関する第三次案についての重要修正点、これがそうであります。御承知の通り漁業制度改革に関する案は從來も数次の修正を経まして、第一次案、第二次案、第三次案とこう來たのであります。前國会の場合に一應農林事務当局案として発表いたしましたものは、いわば第三次案であつたのでありまするが、それがその後あの案を発表いたしました後におきまして、各方面の意向を十分採入れまして修正を加えましたのが今回の法律案であるのであります。その重要な修正点の主なものを申上げて見ますと、先ず漁業権の内容につきまして從來の案と違うという点であります。從來の案では漁業権はみずから経営する者にこれを與える、これが原則でありまして、この原則は今回の法律案でもこれが貫かれておけるわけでありますが、ただその例外といたしまして、いわば根付、磯付の漁業及び区画漁業権の一部につきましては、これはその漁業の性質上團体的規則が不可欠なものであります。これを個々の個人に許すことができない事情のものであります。そういうものにつきましては特別に一定の要件を備えました漁業協同組合、又は連合会にこれを與えるという規定があつたのでありますが、その範囲を更に拡張をいたしましたのであります。そうして今回の修正案では、新しく共同漁業権というものを設けました。これは「漁業の性質上團体的規則を不可欠とする左の漁業を抱含せしめる。」とありまして、一種から五種までそれを設置いたしたのであります。
 第一種は根付漁業、これは從來の案でいえば根付、磯付の海藻、貝類又は主務大臣の指定する「伊勢えび」、「うに」、「しやこ」、「なまこ」、「えむし」、「ほや」、「かしばん」、「ひとで」、それから又富山縣の「白えび」、こういうような定着性の水産物、こういうものを目的とする漁業、これが根付漁業と考えられておつたのであります。これは從來通りでございますが、それ以外に二種から五種までを追加をいたしましたわけでございます。
 第二種は、いわゆる小型の定置漁業であります。これは從來の案では水深十五メートルよりも浅いところにあります。定置漁業は、これはいわゆる定置漁業権からは外しております。許可漁業としてこれをやつて行くというつもりでおつたのでありますが、これもいろいろ研究をいたしました結果、むしろ小型の定置漁業はこれを漁業協同組合に與え、そうしてその團体的規制によつてこれを行使して行くというふうに改めた方が適当であろうということから、今回の共同漁業権の内容に採入れたわけであります。それから第三種は、地曳、地漕、船曳、飼付、「しいらづけ」、「つきいそ」でありますが、これは從來の特別漁業及び專用漁業の一部が入つておるわけであります。これも從來の考え方では許可漁業として、或いは自由漁業としてやつて参り、その調整は漁業調整委員会においてこれを調整して行くという方式をとつておつたのでありますが、それを改めまして共同漁業の内容として取り入れるということにいたしたのであります。
 それから第四種は寄魚漁業又は鳥付こぎ釣漁業、これは特種の瀬戸内海方面にございます漁法でございまして、これもやはり漁業の性質上、ここにはこういうことは許すことは困る漁法でございますので、やはりこれを共同漁業の内容として取り入れました。
 それから第五種は封鎖性水面で営む漁業で前四号以外のもの、これは湖沼で、大きな湖沼、例えば琵琶湖でございますとか霞ケ浦、八郎潟こういうような湖沼はこれはむしろ海と同じような規律でやつて行くわけでありますが、それ以外の湖沼、つまり小さな湖沼等でありまして、いわゆる封鎖的な水面で行われるものにつきましては、その対象にいたしますものが海藻、貝類である場合のみでなく、魚類でありますものにつきましても、これを包含いたしまして、共同漁業権というふうな内容にこれを包含する。そうして協同組合が自治管理できるというふうにいたしたのであります。
 次に書いてございますように共同漁業権は、一定の條件を備えた漁業協同組合又はその連合会に限つて、これを免許するというふうにいたしたのであります。但し根付漁業のみは、旧慣のある町市村はこれを適格性ありとして考慮をいたしております。そうして協同組合に免許いたします漁業権の行使は、その團体の内部規制によつて組合員が各自漁業を営むというふうなやり方をいたしたい、尚漁業協同組合は任意加入、任意脱退の團体でございますので、組合に入ることは強制されないわけであります。從つて組合には入らない漁民もこれを保護しなければならんわけでありますからして、員外にあります漁民がその内容である漁業を営み得る場合において、これを保護する処置を講ずるということにいたしておるわけであります。この点が修正案の第一の点でございます。
 それから尚これに関連いたしまして、区画漁業権につきましても、從來は「かき」の養殖業及び内水面における魚類養殖業を内容とする区画漁業権につきましては、漁業協同組合又は連合会に自営でない場合にこれを與えるという規定がございませんでしたのでございますが、今回それを新らしく追加いたしましたのであります。
 第二の大きな修正点は優先順位についての規定でございますが、優先順位につきまして定置漁業権の優先順位につきまして修正いたしました。從來法文ではつきりいたしておりませんでしたところの漁業協同組合、又はこれに準ずる漁民團体で自営いたします場合に、みづからこれを経営いたします場合には、第一次に優先せしめるというふうに考えております。ただこの自営をいたします團体は地元の地区内に住居を有する漁民が、その世帶單位で七割以上これを包含する場合というふうに限定いたしておるのであります。併しながらその自営の條件につきましては、これは從來と行き方を変えているわけでありまして、從來の自営をすることのできる協同組合につきましては、大体いろいろの條件をつけております。みずから漁業を経営いたします場合に、或いはその從業員の三分の二以上が組合に入つてなければいかん、或いは又その出資の限度につきまして、出資の口数の……、組合員の有する出資口数の全部が総口数の過半数でなければならない。或いは又從業者の三分の二以上が組合員又は同世帶の者でなければならない。いろいろの條件がついておつたのでありますが、今回はそれを改善いたしまして、むしろ協同組合がみずからこれを自営するかどうか、その自営の意思決定というものを重視する。出資又は從事関係等の経営内容の規制はむしろ外しまして、漁業協同組合の組合員がみずから営むことを欲するかどうかということの意思決定を重視する。從つて五にちよつと書いてございますが、漁業協同組合の漁業自営の條件を「組合員の三分の二以上の書面による同意」とする。つまり組合員の三分の二以上がみずから自営をするということを書面で同意するときにこれを認めるというやり方に変えたわけであります。
 それから第二次優先といたしまして、漁業生産組合的なものにつきましては、これを第二次優先として扱うということに考えております。但し北海道につきましては北海道の定置漁業はその從業者の大半が内地からの出稼ぎに俟つことが非常に多いわけであります。そういうような事情からいたしまして、特に生産組合的なものを第二次優先と認めない、同格というふうに考えておりますわけであります。尚特例といたしまして、孤立部落における村張組合的なものに特別優先を認めましたのは、これは大体從來の案と同樣であります。
 次に今回の重要修正点の第三点は、市町村の漁業調整整委員会を設置しないことにしたのであります。從來の案では市町村漁業調整委員会、海区漁業調整委員会、それから連合海区漁業調整委員会、中央漁業調整審議会、こういうふうになつているのであります。今回の改正で共同漁業権というものが設けられました。相当廣い範囲において漁業協同組合に権利を與えて、そうしてその團体的規制によつて、その間の自治統制を行うという措置ができるようになつておりましたので、從來のような市町村調整委員会の仕事というものについても、その必要性が薄らいで参りました関係もあります。尚財政の事情その他等を考え併せまして、今回の案は市町村漁業調整委員会はこれを設置しないことといたしましたのであります。
 それから次に修正の重要修正点の第四点は、漁業権等の補償についてでございます。これは從來の案では基準年度が、昭和二十一年度から二十三年度までの三ケ年平均こういうことになつておつたのでありますが、昭和二十三年七月に漁業権調査を実施いたしまして、七月以前の一年間、つまり昭和二十二年七月一日から、二十三年六月三十一日までの一ケ年間の数字が纏つております。これは正式な調査の法則に基く調査でありますから、確実だと考えますので、むしろ我々といたしましては、この数字を取ることが正しかろうということに考えましたのであります。この数字を取ることに相成りました関係上、補償金の総額において、若干の増加を見るように相成つております。大体参考までに補償金の関係を報じますと、これはお手許に配付してございます資料を御覽頂けば分るかと考えておりますが、補償金額が、全体で百七十億と予定いたしております。この百七十億に対する利子、これを寄せまして、全体で約三百億になるのであります。この三百億を統計表はこの二枚目のこの下にあるのでございますが、「要償還年額推計」というところを見て頂けば、Cの補償金額推計、Cの補償金額がこれが百七十億でございます。それから利子額が百三十億これを合計いたしまして償還すべき総額が三百、約三百億になるのであります。これを利率年五分二十五ケ年の元利均等年賦償還という方法でこれを拂うということになりますと一年に約十二億、十二億見当のもの、これが償還すべき年額と相成るわけであります。これの見合に相成りますところの免許料、許可料の総額は、大体平均年漁獲高の三・七%、年三・七%程度、免許料及び許可料として徴收することによりまして、この毎年の償還年額に充てて行くというふうに考えておるわけであります。以上が大体今回提案の漁業法と從來の案との相違点であるのであります。
 尚本修正と関連をいたしまして、水産業協同組合関係の法律の改正の点について、若干補足して御説明申上げたいと思いますが、前國会において成立をいたしました水産業協同組合法につきましては、その当時もいろいろと委員会その他でも修正の御意見があつたのであります。今回はこの漁業法の改正に関連をいたしました、直接関連をいたしました部分につきましては、これを改正をする漁業法施行法の一部で水産業協同組合法の改正をしておるわけでありまして、例えば先程申上げました自営をいたしますところの協同組合の條件を緩和する。それから又生産組合が、漁業生産組合を農林中央金庫に直結をする。金融をいたします場合に、從來は、協同組合を通じてでなければ生産組合は中金から借りられないというような点がございましたのを、今度は生産組合を直接中金に直結せしめるというふうなことをいたしました。
 尚これはやや細かい点でございますが、河川漁業協同組合につきましては、漁民という範囲を若干拡げまして、水産動植物の採捕又は養殖をする者で一定の資格を持つておる者を組合員とするというふうにいたしました。つまり事業者でなくても、この水産動植物の採捕又は養殖をする者、遊猟者は別でありますが、それで一定の資格を持つておる者は組合員とするというふうに範囲を拡げました。
 それから又これに関連いたしまして、河川における協同組合は漁場整理の行われまする前でも、現行法に基く場合により、漁業権を取得したり又は貸付を受けたり、又は現に存置する漁業権を設定するというようなことをやる必要も、ある場合には河川についてはあり得るのであります。その点をなし得る途を開きました。
 それから漁場整理が行われるまでの漁業権の管理は、これは漁業会が当るのでありますが、漁業会は御承知の通りこの水産業協同組合法施行後二ケ月、つまり本年の四月確か十五日以降はこれは仕事ができないわけであります。そういうふうな関係に相成つて、ただ單に漁業権を管理する或いは保有する主体としてのみ残つて行くわけであります。その場合の漁業権の管理につきましては、從來の役員に委せることなく、漁業権管理委員会というものを新しく作りまして、この漁業権等に係る理事の権限をこの管理委員会に行わしめるというふうに、暫定的の機関といたした方がよかろうというふうな考えでこれを改正いたしましたのであります。
 それ以外に漁業協同組合法の改正の大きな問題、例えば法人加入を認めるかどうかという問題、それから連合会に対する規模の制限を撤廃するかどうかという問題、その外いろいろあるわけでございますが、その点につきましては、私共といたしましては現在いろいろ檢討をいたしております。尚現在の協同組合の設立状況を見、その後の協同組合の意向、下から盛り上つて來る意向等をもいろいろ参酌いたしまして、これを持ち出すということが適当じやなかろうかというふうにも感じております。目下この点は研究をいたしておりますわけであります。大体以上が現在の法案と從來の案との相違いたしております点でございます。
 漁業法案全体の説明につきましては大臣の提案理由でも相当詳細説明がございまして、何度も御説明をいたしております点でありますので、省略さして頂きたいと思います。
#35
○委員長(木下辰雄君) 大体説明は終了しましたが、これから質疑に入りたいと思います。この三法案に対する質疑がありましたらお願いいたします。
#36
○江熊哲翁君 この水産業團体整理特別措置法案というのは、これは大体今ごろ出しておるが何故早く出して下さいませんでしたか、これは最近そういう方向に決めたわけですか。これは御説明ではあまり問題もないように思いますが、出すのになぜ早く出さなかつたかと思いますが、どうですか。
#37
○説明員(藤田巖君) これは実は早く出さないと、水産業協同組合へ從來の團体から移します場合に、債権者保護をどうするか。或いはその評價をどうするかということが決まらないので困る問題であるのであります。これは私共といたしましては……、農業團体では政令で出ております。
 それで私共も政令で出すつもりでおつたのであります。それが各関係方面といろいろ打合せをいたしておりますうちに、むしろ國会開会中でもあり、これは法律を以て規定するので正しい。適当であるということで、法律で出すことに模樣変えになつたわけであります。それでこれを早く出してやりませんければ、今出來上つております協同組合が、水産業團体から資産を讓り受けようといたします場合に支障を來たすわけであります。この法律だけは速かにこの本國会において成立ができますように御取り計らいを頂きたいとこう思つております。
#38
○江熊哲翁君 そこで事情はよく分りましたが、実は私共はこういつたものがなくては、どうも工合が惡いじやないかと思う。何かないかと思つておつたし、私自身も実は責任者でありますから分つておつたのでありますが、この法案だけを切り離して、早急に決定して頂きというようなことにすると、関係業界では非常に便利であると思うわけであります。魚業の問題は重要であるが、といつてこれは簡單に早急にどうというわけには行かないので、この法案だけを一應先に決定して頂くようにお願いしたいと思います。
#39
○委員長(木下辰雄君) 予備審査でありますから、本審査は法案が來てからでありますけれども、この三案の中の第一番の水産業團体整理特別措置法案を審議いたします。これから先に審議いたします。それでは逐條に入りますが、この團体法の第一條法律の目的、第二條は債権者に対する措置であります。
 第二條に対して質疑或いは不審がありましたら……、それでは第一條から朗読して下さい。
#40
○説明員(山田嘉治君) 第一條から朗読いたします。
  (法律の目的)
 第一條 この法律は、水産業團体(漁業会、製造業会及び都道府縣水産業会をいう。以下同じ。)が水産業協同組合法の制定に伴う水産業團体の整理等に関する法律(昭和二十三年法律第二百四十三号。以下「整理法」という。)に基いてその財産を処分するについて、債権者の保護手続及び財産の評價基準等を定め、もつて財産処分の公正と水産業協同組合への円滑な財産移轉とを図ることを目的とする。
  (債権者に対する措置)
 第二條 水産業團体は、整理法第五條、第七條及び第九條から第十一條までの規定に基き水産業協同組合が債務を承継することにつき異議を有する債権者は一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、且つ、知れている債権者には、各別にその旨を催告しなければならない。
 2 前項の勝定の期間は、一箇月を下つてはならない。
 3 債権者が第一項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、同項に規定する債務の承継を承諾したものとみなす。
 4 債権者が第一項の一定の期間内に異議を述べたときは、水産業團体は、遅滯なく、弁済をし、若しくは相当の担保を供し又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託業務を営む銀行若しくは信託会社に相当の財産を信託しなければならない。
 第三條 前條第四項の規定による弁済又は信託をするために必要な財産の賣却は、法令又はこれに基く行政廳の処分に從つて処分しなければならない資産を除き、随意契約によつてしなければならない。
 2 前項の随意契約ができないとき又は成立しなかつたときの財産の賣却は、入札又は競賣の方法のうち整理法第十三條第三項の資産委員会(以下「資産処理委員会」という。)の定める方法によつてしなければならない。
 3 第一項の随意契約の方法によつて資産を処分する場合において、その價格は、公定價格(法令に基く價格をいう。以下同じ。)があるときはこれによるものとし、公定價格がないときは時價を基準として資産処理委員会の定める價格によるものとする。
#41
○委員長(木下辰雄君) この第一條、第二條、第三條、第四條に対して質疑がありましたら願います。
#42
○江熊哲翁君 第三條の初めの方の分をちよつと説明して頂けませんか。この「法令又はこれに基く行政廳の処分に從つて処分しなければならない」その次は何ですか、資産を除き随意契約をしなければならない、そこのところを……
#43
○説明員(藤田巖君) これは「法令又はこれに基く行政廳の処分に從つて処分しなければならない」財産というのは統制物資であります。例えば漁網の問題であります。臨時物資需給調整法という規則がありまして、その中に処分ができなくなつております。そういうような資産のこれは行政廳の処分に基いてやるそれ以外の財産、例えば特別の禁止のございません例えば家屋だとか、そういうふうなものについては、それは随意契約によつてやるとこういうわけであります。
○説明員(山田嘉治君)
  (買受人又は落札人の決定)
 第四條 随意契約の方法をもつて水産業團体の財産を水産業協同組合以外の者に賣却しようとする場合には、当該水産業團体は、当該財産の種類、賣却しようとする相手方の氏名若しくは名称及び住所並びに賣却價格を公告しなければならない。
 2 前項の場合において、水産業協同組合は、当該水産業團体に対し、当該賣却價格により当該財産を讓渡すべきことを申し出ることができる。但し、公告の日から二週間を経過したときは、この限りでない。
 3 水産業團体は、前項本文の規定に基いて同項但書の期間内に当該財産の讓渡を申し出た水産業協同組合に、第一項の賣却價格をもつて、当該財産を讓渡しなければならない。
 4 前項の規定により当該財産の讓渡を受けるべき水産業協同組合が二つ以上ある場合には、水産業團体はこれらの水産業協同組合につき入札又は競賣を行い、その結果落札又は競落人となつた者に落札價格又は競落價格をもつと、当該財産を讓渡しなければならない。
 5 前項の落札賣格又は競落價格は、第一項の賣却價格を下ることができない。
 第五條 入札の方法をもつて水産業團体の財産を賣却するにあたり、落札となるべき同價の入札をした者が二人以上ある場合において、そのうちに水産業協同組合があるときは、当該水産業協同組合をもつて落札人とする。
 2 入札の方法をもつて水産業團体の財産を賣却する場合において水産業協同組合以外の者が最高價の入札をしたときは、入札に加つた水産漁協同組合は、水産業團体に対し、当該入札賣格により当該財産を讓渡すべきことを申し出ることができる。但し、入札開封の日から十日を経過したときは、この限りでない。
 3 前項の場合には、前條第三項から第五項までの規定を準用する。
 第六條 前二條の規定中「水産業協同組合」とあるのは、賣却しようとする財産が漁業会に属する場合にあつては当該漁業会の会の会員の十分の一以上を組合員とする漁業協同組合又は漁業生産組合とし、当該財産が都道府縣水産業会に属する場合にあつては当該都道府縣水産業会の地区の全部又は一部を地区とする漁業協同組合又は漁業協同組合連合会とし、当該財産が製造業会に属する場合にあつては当該製造業会の地区の全部又は一部を地区とする水産加工業協同組合又は水産加工業協同組合連合会とする。
 第七條 第三條に規定するものの外、第三條の規定による財産の賣却につき必要な事項は、資産処理委員会が定める。
#44
○委員長(木下辰雄君) 五條、六條、七條に対して質問がありましたら、お述べ願います。御質問がないようでありますからそれでは第八條から……
○説明員(山田嘉治君)
  (財産移轉の認可申請の制限)
 第八條 水産業團体は、前六條の規定による手続を完了した後でなければ、整理法第五條第一項、第七條第一項、第九條第一項、第十條第一項又は第十一條第一項の規定による財産移轉の認可の申請をすることができない。
#45
○委員長(木下辰雄君) 第八條に対して質疑がありましたらお述べ願います。
#46
○江熊哲翁君 ちよつと脳が惡いので分らないものですから、第八條をちよつと説明して置いて下さいませんか。
#47
○説明員(藤田巖君) これはつまり、水産業團体が債権者保護の手続き、つまり第二條の債権者保護の手続きをしなければ、それからでなければこの水産業協同組合に対する財産多轉の許可の申請ができないという規定、つまり債権者保護の手続きを完全に果して、そのあとで協同組合に対する財産移轉の認可の申請をするということを書いてあります。
#48
○委員長(木下辰雄君) 第九條を……
○説明員(山田嘉治君)
  (財産の評價)
 第九條 水産業團体が整理法第五條、第七條、第九條、第十條又は第十一條の規定により財産を移轉する場合における当該財産の價格は、公定價格があるときはその價格によるものとし、公定價格がないときは帳簿價格と時価との範囲内で資産処理委員会で定める價格によるものとする。
#49
○江熊哲翁君 この九條のおしまいの方の、なかなか御同情のある文句なんだが、これで行きますと、この間に非常に大きな開きがあるのですが、それに対して何か我々として考えなくちやならん問題があるのではないでしようか。非常に大きな問題だと思う。協同組合課長あたり、こういう巾の廣い行き方で一体差支ないとお考えになつておるか。
#50
○説明員(藤田巖君) 從來の水産業團体の財産というものは、これは御承知の通り漁民の蓄積した財産、或いは又補助金によつてそれができておる財産というふうなものも多いわけであります。從つて新らしい協同組合にできるだけ私共といたしましては、安くこれを手に入れさせるということが一番望ましいと考えております。從つて帳簿價格というふうなことで行くならばそれが一番望ましいわけでありますが、併し團体によりますと、帳簿價格でやりましては從來の團体が赤字になる。それでは増産ができないし債権者にとつても非常に迷惑がかかるというような場合も予想されると考えられますので、從つて大体赤字を抹消するような範囲の評價増と申しますか、そういう程度のものを認めて行こう、而もそれは時價以上にはならないように、そうしてその範囲で認めて行こう、そういうような趣旨に考えております。
#51
○江熊哲翁君 ちよつと私はこの規則を離れてお尋ねいたしますが、最近どこかの縣で問題になつておるとか、或いは伺つて來ておるところがありますか。こういつた意味のこの法文を、こういつたものが出なかつたために何か支障がありそうだ、或いはこれがないために分らないからどうしたらいいかというようなお話が最近ありましたか。
#52
○説明員(曾根徹君) 只今のところ移轉を始めておりません。ただ移轉の始まつておりませんけれども、評價の点についてはつきりした見通しがないために、この点についての照会はございますけれども、実際の財産の移轉の具体的の問題について、この法律についての照会等はまだ來ておりません。
#53
○委員会(木下辰雄君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#54
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて。この法律は比較的簡單な法律で、本日の説明並びに質疑で、凡そ質疑も終了したように思いますが、如何ですか、外に質疑がありませんでしたら、本法案が廻つて來るまで一應これはこのままにして置きまして、漁業法に入りたいと思います。
  ―――――――――――――
#55
○委員長(木下辰雄君) それでは次に漁業法案に移りますが、これは厖大なものでどういう工合に審議しますか。まあいずれ氣長く審議せんければならんけれども、本日は全般的に何か漁業法に対する質問がありましたらお述べ願います。
#56
○江熊哲翁君 私はこの修正法案の今説明を聽きまして、はつきりは分らない。私自身がまだ研究いたしておりませんですが、前の根付漁業権というものが專用漁業権の身代りをやるような恰好に作られておつた当時に比べると相当私は進歩しておる。殊にこの協同組合というものに対していろいろと考慮されておる点は見えるのでありまして、私共その点について大変結構だと思うのでありますが、尚この内容についてはいろいろ研究しなくちやならん問題が多いように思います。そこで私はここでこういうことを申上げて見たいと思うのですが、一体これは甚だ今までお骨折を願つておる係官達には失札な申分でありますが、これは日本の政治というものが、大体その政治というか事務的な動きというものが、そういう動きをとつておるということを、非常に残念に思うのですが、このことについては、この漁業法の改正には根付漁業権の在り方というものについては、これはいけない。こういう考え方はいけないということを申されましたのですが、その当時においても、水産廳の係りの人達は如何にもこれ以上の案はないといつたような観念に囚われておるのか、そういう面からの指示があつてそういつておるのか、わけが分らないものですから、ついこういうふうにしなければいけないものだというような、ものの言い方をして説明をされておつたのであります。それからその当時改正案が発表されておつたものですから、漁民の方からもいろいろ陳情があつたのです。そうすると陳情を封鎖する手段として、どういうことを言つておつたかというと、それはもう駄目なんだと、こういうふうに言われて説明される。だから漁民達は、もうこれは仕方がないものだ。漁民は諦めのよい人達ですから、これは仕方がないのだというようなことで行くのですから、自然又いろいろな意見があつたにも拘わらず、貴い意見というものは消滅したというようなのが今日の実情なんです。ところが併しそうはいうものの或る縣においては、漁民の一人一人が陳情する。一人々々の名において陳情書を送る。或いは縣全体の漁民大会の決議によつて書類を送る。或いはG・H・Q等の方面にもそれぞれ運動する。政府には勿論する。又委員会等にもどんどん陳情するという面も一方にはあつたことは事実であります。それによつてこれはいけないということになつて、出て來たものを見ると果して前の案より進んでおる。前の案よりよいのです。この一事を以て見ても私はこの漁業法の改正ということはもう少し徹底した漁村の声を聞き、水産人の声を聞いてやることだ。声を聞けばまだこれ以上に改正すべき点があるということを申上げたい。これは重大な問題である。これは私はこの法律の草案に当つて努力された人達の苦心は非常によく知つておる。だから甚だ御氣の毒ですが、これは今後我々が仕事をやつて行く上において、特に注意しなくちやならんものではないか。これは駄目なんだ、君らがそういう陳情をしても駄目なんだということで抑えつけることは絶対いけないことだ。どこどこまでもお前らはどう思うのか。お前らの声はどこにあるのだということを徹頭徹尾聽かなくちやならん。そうしてむしろ私は水産廳の漁業法改正に対する意見申出所というか、引受け所、そういう係を拵えてでも懇切丁寧に漁民の声を聽くようにすべきであると思う。ところがそうでなかつた。それはやはり依然として官僚独善だという從來私共としては甚だ聽くに堪えない。いやな言葉ですが、そういうようなことを一部の人が言われておる。そういつたような状態に水産廳自身があつたということを以て、私は弁解の余地はないと思う。これは確かにその考え方は進んでおると思う。宜いと思う。そうしてそのことは同時に又よりよいものが必らずや生れるということを証明しておると私は思う。非常に失礼な点があつたかと思いますが、これはお許しを願いまして、私はこの法案に対しては大変進んだ考え方に拘わらず、非常に不滿足な点もまだ相当にあるということを冒頭に申上げまして置く次第であります。
 それでこれは一体私共は非常に修正しなくちやならん点があるから、修正自体それについては十分漁民の声もまだ更に私共としても聽かなくちやならん。然るに会期幾ばくもなく、今日この漁村革命というか、漁業革命ともいうべき重大な法案が今頃になつて提案された。第一國会以來もう出す、やれ出すといつて、やつと第五國会の今日而も会期の切迫した今日こういう厖大な法案が出たということに対して、政府は一体これが確実にこの國会を通し得るのだ。又我々議員に対してどういう氣持を以て一体提案されたのであるか。私共は非常に重大に考えるが故に、今日残された期間内においては十分な審議ができない。こう私は思うが、政府はどういうふうにお考えになつておりますか。
#57
○説明員(藤田巖君) 実はそういうふうな根本問題については、農林大臣から意見を述べられるのが適当かと考えておりますが、私共事務当局の考え方といたしましては、これは御承知の通り昔からの長いことの縣案でありまして、やつて今度閣議にも通り、司令部方面のアプルーヴも得たわけであります。私共といたしましては非常に重要な法案でありますので、決して原案を推そうというようなことは考えておりません。十分に各方面の意見をいろいろ聽いて、そうしてできるだけよい案を作ることが望ましいと考えております。從つてその意味でこれを提案をいたしませんと、正式に意見を聽いたり、又議論を鬪わしたりする機会が與えられないわけでありますから、そういうふうな意味合で会期が切迫しておりますけれども、ともかくこれを早く出そうということで提案した次第であります。一つ十分に各関係方面の意向も聽いて、そうして委員会において十分御審議頂きたいと、こういうふうに思つております。
#58
○尾形六郎兵衞君 只今江熊委員からお話がありました通りに、私も今回の第四次案なるものは、今までの案よりは遥かに進歩したものだと、こう思つております。実は最初は漁業協同組合に対して多くの力を持たせるような方式であつたのですが、その後非常に権限を縮小した、殆んど漁業協同組合というものが力を喪失したのではなかろうかと思われます。ところが再び今度の修正案で相当力がつくようになつたということを先ず私は喜びたいと思います。最初は漁業権も根付漁業だけしかなかつたのですが、今度共同漁業権というもので数種の漁業をなすことができる。こういうことになつたのですが、これは私質問しますが、第三種地びきというようなものは、漁業協同組合だけで、他の人はできなくなりますか。
#59
○説明員(藤田巖君) 只今の御質問は、この漁業法の第六十六條を御覧頂けば分るかと思つておりますが、この第六條第五項、つまり共同漁業でありますか、五項の二号から四号に掲げる漁業は、二、三、四と、この漁業は「都道府縣知事の許可を受けなければ、営んでならない。但し、共同漁業権の内容となつている場合及び都道府縣知事の定める場合は、この限りでない。」こうなつております。從つて共同漁業権で営みます場合と、それから然らざる場合も許可を受けて営むことになつております。
#60
○尾形六郎兵衞君 その他のこの定置漁業権の優先順位を定めます場合に、今度は漁業協同組合又はこれに準ずる漁民團体が第一次優先になつておりますね、今度はそうしますると、今まで個人でやつておつた、個人が所有し、個人が持つておつたものでも、すべて漁業協同組合が漁業調整委員会にかかつた場合には、この漁業協同組合というものは、優先してこれを持つことができるのですか、経営することができるのですか。
#61
○説明員(藤田巖君) これは從來個人の営んでおりました漁業権も。この優先順位の第一次優先として、扱われますような條件を整えた協同組合が出て來た、そうしてそれが現実に経営し得るところの能力を持つておるというような場合には、資格といたしましては、協同組合の方が優先する、こういうことに相成ります。
#62
○尾形六郎兵衞君 今までの第三次案とは非常な変化ですね
#63
○説明員(藤田巖君) その点につきましては、第三次案と雖も同樣でございます。ただその漁業協同組合というような名前は、特に出ておりませんけれども、一定の資格、要件を備える漁業者の團体は、優先するという規定は、從來の案でもあつたわけであります。それを今回の案で以て、特にこの第一次優先として見るところの漁業協同組合、これをはつきり書いたということであります。
#64
○尾形六郎兵衞君 要するに今度の修正の主目的は、漁業協同組合の漁業権の所有、並びに経営権を大幅に拡大した、こういうふうに認めて差支えないですか。
#65
○説明員(藤田巖君) 漁業協同組合がみずから営まない場合でも、持ち得る漁業権の内容を廣めた、それからみずから営みます場合においては、一定の條件を備える場合は、これを從來もあつたのでありますけれども、生産組合その他の團体よりも、更にそういう資格要件を調えた漁業協同組合が優先するということを、はつきり書いたということであります。
#66
○江熊哲翁君 本修正と関連して、水産業協同組合法関係法律の改正というところに五つばかり挙げてあります。先ずそれについて伺いたい。この法律の改正はまだ私共の方に廻つてないわけですか。
#67
○説明員(藤田巖君) それはすでに漁業法施行法の中に、水産業協同組合法の一部改正が載つておるわけでありまして、そこで水産業協同組合法の改正をやつておる。それからその他の各法律の改正を、関連した部分についての例えば農林中央金庫法の一部改正、こういうふうなものをやつております。
#68
○江熊哲翁君 分りました。それから市町村漁業調整委員会というものは設置せないと、こういうふうに單純に書いてあるが、この調整委員会があつたのはどういうわけであつたのか、なくなしたのはどういうわけで、なくなしたのかということについて、少し具体的に御説明を願いたい。
#69
○説明員(藤田巖君) これは從來は、漁業協同組合が保有できます漁業権というものは、ただ單に根付漁業権だけであつて、從つてそれ以外の権利というものは、これはつまり個々のみずから経営する者に與えるというような原則であつたわけであります。從つて市町村内においても、そういうふうな各漁業権の調整の問題が相当あるわけであります。從つて市町村漁業調整委員会というものを設置しまして、つまり漁業権の自主的な調整ができない部分を、調整委員会でやらせるということが主であつたのであります。併しながら今回の改正は、相当地元の重要な漁業、それは共同漁業権として大抵包含しております。從つてもう市町村漁業調整委員会が調整をするという問題は、もう漁業権を協同組合が持つておりますからして、その協同組合の内部的な、何と申しますか、決議と言いますか、つまり内部的な意思決定で或る程度は解決するわけであります。そういうふうな意味合から、市町村漁業調整委員会は必要が全然ないとは申しませんけれども、薄らいだ、從つてその程度のことならば、むしろ海区の調整委員会へ持ち出したらいいじやないか、もう一つは市町村漁業調整委員会を設置するといたしますと、相当厖大な予算を伴うのであります。そういうふうな関係からいたしまして、財政上の理由からできるだけ簡單にしようということで、これを止めることにしたのであります。
#70
○江熊哲翁君 この海区漁業調整委員会があるのですが、これは委員は十名ですか、これがいわゆる從來の市町村漁業調整委員会のやるべき仕事というものは、非常に少くなつたからといつたところで、可なり仕事も、殊に漁業権の創設当時においては、必要な仕事があると思うのですが、この海区は大体どの程度にお考えになつておるのですか。
#71
○説明員(藤田巖君) 海区は、これは大体でありますけれども、私共の見当といたしましては、一縣に大体三つ程度、それからこれは縣に跨るような海区は、一應作らないと考えております。その縣内で三つ程度の区に切りまして、一海区と考えております。更に海区ごとに跨る問題については、連合海区委員会を作つてやるというような考えであります。
#72
○江熊哲翁君 この漁業生産組合が、農林中金に直結するという言葉があるのですが、この規定は施行規則の中にまだ書いてあるだろうと思いますが、それは第何條にございますか。
#73
○説明員(藤田巖君) これは二十二頁の農林中央金庫法の一部改正というところに、ここに農林中金のつまり出資者を規定しておるわけであります。そこに生産組合を入れております。
#74
○江熊哲翁君 そこで中金に生産組合が直結されることは一應組合の発達を願う上からいつて当然その措置が取られていいと思いますが、地区の、地域的な協同組合の場合においてのことを考えますと、この生産組合というものに対する考え方が、私共漁村あたりを廻つて聞いた話では、これは実は非常に痛し、痒しの感を懷いておる点が多いのでありまして、実はこの子は血を引いていないのにとんでもない、弱い子になつてしまいやしないかというふうに心配しておる向が多いので、そうしてここに更に中金と直結するということによつてプラスしたわけなんですから、私はこの問題はこれは第三國会でしたか、水産協同組合法ができるときに私は生産組合のあり方に対して触れたのですが、その後あなた方の方においてもいろいろ地方の意見を開かれておるのでありますが、生産組合というものが中金に直結することは今俄かにお考えになり、入れられたところを見ると、何か更に思い付いたことがあるであろうと思いますが、それはどういうことなんですか。
#75
○説明員(藤田巖君) これは御意見のように一利一害の伴なう問題であるのですが、ただ一般の何か特別措置によつて農林中央金庫から全面的に資金を計画的に下に流すという場合は勿論系統團体を通じて流すというやり方がいいであろう、併しながらそうでなく、例えば生産組合が船を一艘新らしく作つて、そうしてやつて行こうとかいう場合に、相当それに要する設備資金というものは現在重なつておるわけなんです。從つてそれを協同組合を必らず通じて、協同組合が何と申しますか、常に中金の関係においては借主になつて、そうして或いは又その保証の下に今度は生産組合が借りる。こういうふうなやり方をいたしますと、協同組合に……それは場所によつてではありますけれども、協同組合が非常に確りしているようなところはいいのでありますけれども、そうでありませんときは協同組合が徒らに大きな債務を負担してしまうわけなんです。すると協同組合自身が非常に困るというふうな場合も出て來やしないかと思うわけなんです。從つてむしろそういうふうな場合には直接生産組合がその責任で中金から借りる、こういうふうな方途を講じておかないと、なかなか生産組合は協同組合に話ししなきや駄目だ、協同組合ではそういう大きな債務は負担できない、こういうようなことで折角の金融もつかないような場合もありはしないかというふうに思いまして、御趣旨のように協同組合と生産組合の関係は非常にデリケートであるわけなんでありますけれども、それは個々の場合に善処いたして行くということにいたしまして、法律の途としてはやはりこれをつけておく方が却つていいのじやないだろうか、こういう結論になつたわけであります。
#76
○委員長(木下辰雄君) まだ質問は沢山ありましようが、明日の委員会に譲りまして、本日はこれを以て閉会いたします。
   午後三時十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     木下 辰雄君
   理事
          尾形六郎兵衞君
           千田  正君
   委員
           青山 正一君
           松下松治郎君
           淺岡 信夫君
           西山 龜七君
           田中 信儀君
           江熊 哲翁君
           矢野 酉雄君
  國務大臣
   農 林 大 臣 森 幸太郎君
  説明員
   農林事務官
   (水産廳次長) 藤田  巖君
   農林事務官
   (水産廳漁政部
   協同組合課長) 曾根  徹君
   農林事務官
   (水産廳漁政部
   協同組合課勤
   務)      山田 嘉治君
ソース: 国立国会図書館
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