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1949/05/11 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 水産委員会 第5号
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1949/05/11 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 水産委員会 第5号

#1
第005回国会 水産委員会 第5号
昭和二十四年五月十一日(水曜日)
   午後一時三十三分開会
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  本日の会議に付した事件
○漁業法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。本日は二時から衆議院の方で水産委員会がありまして、その方に関係当局があつちへ行かれますので、こちらでは成るべく早く終りたいと思いますから、そのつもりで一つお願いいたします。この前漁業法の改正案につきまして大体の一般的質問をすることにいたしましたが、まだ一般的質問の御希望者が残つておれば、引続いて一般的質問をしたいと思いますが、如何ですか。
#3
○青山正一君 農林省の水産廳の方の今度の二十四年度の予算の中に、大体沿岸漁業に関する漁業権の調査費用、或いは内水面に関する調査費用、こういつたものが沿岸の方では一億四千万円、或いは内水面の方には大体二千万円程度の予算は組んであるわけなのでありますが、この予算の内容は只今漁業調整委員会の費用などもそのうちに含まれてあるのかどうか、例えば今までの起案といたしまして、第三次案には、この地区調整委員会というようなものがあることになつておりましたのですか、そういつた費用を多分含まれておるようにも考えられるわけなんですが、その点を一つ内容の点について承りたいと思います。
#4
○説明員(藤田嚴君) お答えを申上げます。現在昭和二十四年度の予算といたしましては、御質問のございました漁業権制度改革に必要な経費といたしまして、沿岸漁業関係では約一億四千八百万円計上してございまして、それから内水面の漁業制度の改革に必要な経費といたしましては、合計千四百万円計上いたしてございます。これは月割計算になつておりますので、平年予算ではございません。一年分ではございません、金額は減つております。この内容は御質問のございました漁業調整委員会の経費、これをその中に計上してございます。
#5
○江熊哲翁君 この漁業法を見ますというと、「指定遠洋漁業」というような言葉が使つてあつたように思いまするが、私共漁業法に対する古い観念というようなものがあるからこういうことを考えるんじやないかとも思つて見るんですが、大体この法案の全体を見廻して見ますというと、「指定遠洋漁業」というものが突如として出て來た、丁度青天井から足をぶら下げたようにこの法律の中に現われて來たというような感を抱くのであります。その中でも遠洋漁業に関する漁業調整委員会とか、その他漁業法本來の取扱方としての行き方の面にタツチしておることは少ないように思います。從來なかつたものをこれに入れたんだということになるんですが、この際水産に関するこういつた漁業許可に関する問題も一應入れて置けばいいじやないかといつた軽い考えでお入れになつたのかとも思われる点があると思います。私はむしろ遠洋漁業法というような別個の法律を出して、日本が將來水産國として伸びようとする部門は、遠洋漁業というものに大いに期待を掛けられるわけなんです。私共としては遠洋漁業法というようなものを別個に作つてでも、今少し整備した遠洋漁業に関するいろいろなことが決められなくちやならないと思つておつたのでありますが、この法案を見るというと、指定遠洋漁業というものが從來の漁業法の中にぽかつと入つて、そうして余り重要ではないようなことがくだくだ書いてあつて、そのあとに指定遠洋漁業に関することがあり、この記事の向うへ行くと今度又突如として漁業調整委員会のことなど一般の漁業法の扱つておることを又書いてある、どうも尻切虫になつておるのですが、というような氣がして、むしろこれは遠洋漁業というものを重要視すればする程別個の單行法として出した方が相当よかつたのではないかと、こういう氣がするんだが、ここに入れられた理由というものはどういう理由で、今までなかつたのにこういつたものを入れたのか、將來この遠洋漁業に対しては、水産廳としてはこの法律というものが根本になつて行くわけなんでしようが、又果してそういうようなお考えであるのか、でありますね、それを一つお伺いしたい。
#6
○説明員(藤田嚴君) お答を申上げます。御質問の通りこの漁業権制度の改正は、当初は漁業権の改革ということだけを先ず取上げまして、それで案ができておつたのでありますが、段々案が進むにつれましてこの漁業は漁業権による漁業の外に、言わば許可漁業の部分も非常に多いと、この許可漁業についてはどういうような措置を講ずるのかという問題が出て参りまして、第二次案までは何もなかつたのでありますが、第三次案を、つまり從來の発表しております。農林省の原案を作ります際に、指定遠洋漁業というものの扱いが載つたわけであります。これは主としてこの許可漁業の中でも國際的な漁場において操業するために、そういうようなものについての、少くともこの規定を置かなければならない。この狙いはそういうふうな、このいわば指定遠洋漁業というものについては、一般資源その他の関係を考慮して許可の定数を定める、つまり許可すべき限度の隻数を決める、そうしてその限度内においてはこの船が移された場合に、船の使用権が移轉された場合には、実質上許可が伴うようにして、つまり行政官廳が許すとか許さんとか、こういうようなことを決めるんでなく、一定の基準を置いて、その基準に適合する場合には、又讓り受ける方が適格性を持つておる場合には、当然移るというような規定を書くべきではないかというような意見が出て参りまして、第三次案からこの指定遠洋漁業というものが載つておるわけであります。まあ私共といたしましては、これは漁業法の、漁業権制度の改正、これが一番大きな問題であります。それから先には許可漁業の問題ということが当然起つて來るわけであります。これはその他の委員の調整で適当になつて行くというように考えておりますが、少くとも指定の遠洋漁業というものは國際法の漁場で、國際法の伴います漁業でありますので、これについてははつきりした方針を謳うことも極めて適当であるということでこれを入れておるわけであります。経過はそんなふうなわけであります。
#7
○江熊哲翁君 そこでですね、遠洋漁業というものはそういうふうに國際性が多分にあつて、極めて重要であり、だからですね、私は漁業法、御承知のように漁業法の中に我々の重要視しておる漁業権の問題のごとき、内水面の区画漁業権とかそういつたような土地と不可分の関係にある漁業権関係を扱つておるのがこの主眼点なんです。そうして調整委員会というのが今度の重大なる変革を與えようとする、特殊の狙いでおるのであるが、その任務の殆んど全部というものが、この漁業権に対する問題なんです。即ちこの問題を扱うのが委員会なんです。そこへ持つて來てそういう重大な変革を漁業法に與える、この重大なる変革の対象となるものは土地と不可分関係にある漁業権の問題なんであります。そこへ持つて來て、こういうことまで重要だから入れるというのは私にはどうもその扱い方においてしつくりしないのです。非常に重要であつて國際性が多分にあるから急いで決めなければいかんというので、急に漁業法の中に織り込まれる、布は重要であればあるだけ單行法でやらなければならないと思う、そこのところは考え方が違うが、いずれ後にこの問題は十分触れたいと考えております。
 もう一つこれはなぜしなかつたかという御質問をするのであります。今の御説明によりますと許可漁業のうちの最も大きなものを、つまり指定遠洋漁業であるとして取上げるようなことを言われるのですが、前申上げたように漁業権というものと最も深い関係にある一般の許可漁業をなぜそれだけやらないのか、この漁業法の改正に不可分関係にある一般漁業許可に対しては何ら触れてない、これは本件改正に対しても即刻この漁業権整理の問題と同時に表裏一体となつて解決しなければならない重大なる問題であるにも拘わらず、この一般の許可漁業に対しては何らの手を触れていないのです。これは恐らく府縣において漁業調整委員会を運営される上に、調整委員会自身が仕事をして行く面においても重大なる支障を來たすに相違ないと思う、そうしてこの漁業権のこの問題はですね、私は重要であるというけれども、問題を起す点においてはむしろその裏面に動くところの許可漁業こそ今後いろいろな問題がこれは絡み合つて起つて來るだろう、ところがそれについて、ないという点については何か余程これについては別個のお考えがあるのかどうか、又この問題に全然触れなかつたという理由はどういうことでありますか、そういうようなことを飼いたいと思います。
#8
○説明員(藤田嚴君) お話のように一定の漁場内における漁業の秩序を維持しようとする場合に、勿論漁業権のある漁業、これを対象として取上げるだけでは足らんのでありまして、その外の許可漁業、自由漁業全般について総括的に調整的見地からこれを勘案しなければならん、こういうようなことは当然の措置であります。從いまして私共といたしましても、この漁業の、海区の漁業調整委員会が、その海区におけるいろいろな調整の問題を取上げる場合には、先ずその漁業制度の改正のところから先に取上げることは順序としてそうであろうと思うのでありますが、その以外に更に一般の許可漁業、その外の例えば底曳網漁業でございますとか、或いはアグリ漁業でございますとか、つまり非常に関連の深い他の許可漁業についても、これは当然取上げて行くというようなことは、これは私共としても大体考慮をしておるわけであります。ただそういうふうな漁業につきましては、これは漁業権につきましても個々の事情がございまして、いろいろ複雜でありますと同時に、許可漁業の実体というものについては、これは各地方々々で非常に錯雜いたしております。それを簡單に割り切つてこれはどうするこうするということを法律に書くのはですね、まだ実際の調査も行われておりませんし、更にその適切な方途は各地方々々の実情に應じて講じて行くというふうなやり方の方が、順序としては賢明な方策であろうとこう思つておるわけです。從つて本案の内容としてはそういうものは全然触れておりません、併し漁業調整委員会が、漁業権の制度に関するいろいろな計画を立てる、それに関連いたして、その他の許可漁業についての調整についても、当然海区調整委員会がこれを考えて行くと、併しそれは個々の地方によつて又個々の漁業について、そのやり方はそれぞれいろいろ違うであろうと思います。そういうものはすべて法律に一律に書かないで調整委員会に委して行く、そうして必要がございますれば、この法律の六十五條、ここに漁業調整に関する命令が出せるようになつておる、こういうふうな命令によつて裏付けをして行くというふうなやり方で、具的に処理して行きたいというような考え方でおるわけであります。
#9
○江熊哲翁君 指定漁業の処分のところに、「許可の不当な集中」というような言葉が書かれておるのです。これは意味は分りますが、私は文字通りに解釈した意味はよく分りますが、この意味が分らないというのじやないのですが、それに対して水産廳はどれだけの腹を割つて……こういう言葉がこの私共の頂いておる書類の中に書いてあるのですが、こういつた文句が法文の中にあるかどうか、実は私はまだ研究はしておりませんけれども、その腹の中をお伺いしたい、或いは速記を止めてでも今少し詳しく話して貰いたい、私はこのことについては一つの独自な考えを持つておるのです。しばしば私が前の國会あたり、前々の國会あたりでそういうことを申上げた、漁村の民主化、漁業の民主化ということを言いますが、これは余程思い切つた方法をとらなくちや到底民主化はできないというふうにも考えておるのですが、併し政治というものが理論通りに行くものじやないし、いずれは適当な一應納得と言うか、御了解の願える程度のことはやらなくちやいけないというふうに考えておるわけで、例の沿岸捕鯨の問題などについても若干意見を申述べたこともあることは御承知の通りでありますが、この法案を作られる上において、こういつたような氣持が多分に動いて全面的に行つておるとは思いますが、いずれ新法施行後一定期間内に再審査を行うというような言葉を書いてありますが、どういうようなことをされるのでありますか、お差支がなければはつきりお答えを述べて頂きたいとそう思うのであります。
#10
○説明員(藤田嚴君) 再審査の意味でございますが、これは漁業権のやり方と、それから指定遠洋漁業のやり方と方法が違うのでありまして、漁業権は從來の経営者が良きにつけ、惡しきにつけ、とにかく一度全部これを一律に消滅させる、そうして全面的に適格性と優先順位に從つて再免許して行く、こういうやり方をしたのでありまして、併しながらこの指定遠洋漁業については私共は必ずしもそういう必要がない、例えば全部の許可漁業を一遍に止めさせてしまつて、そうして更にそれを再許可する、こういうやり方はさしてそう必要ないというふうに考えまして、それは止めたのでありますが、ただ新らしく許される場合には、当然それは許されないであろうというような状態のものがある場合には、これは何かやはり篩に掛ける必要があるのじやないかということで、現在この漁業法を施行をいたしました当時に許可を持つております者は一應引続いて許可の効力は存続する、こういうことにはいたしておりますけれども、取敢えず一度俎上に乘せる、全部のものを中央漁業調整審議会の俎上に乘せて見まして、その中に許可の適格性のないものであるとか、或いは新らしく許す場合の條件になつております許可の不当な集中というふうなものがあるかないかということを檢討いたしまして、それに引つ掛かる者は落す、それに引つ掛からない者は引続いて從來通り許可が続く、こういうようなやり方でいわば調整をして行うこということを考えたのであります。そこでそのときに問題になりますのは、「許可の不当な集中、」これはどういうことかということでありますが、まあ私共の大体の考え方といたしましては、許可漁業というものは、これは御承知のすべてのものに自由に許すことのできない質性のものである、おのずから許されたものは、それによつて一つの利益を受けるわけであります。そういうふうな許可漁業については我々としてはできるだけそれを廣く漁民に分ち與えるということが大体の考え方で、從つて今回のこの法令で参りますと、先程ちよつと御説明いたしましたように、一應許可の定数を定めて、適格性の規定に反しない限り船を讓渡せばそれに許可が伴う、こういうふうに機械的に移ることに今後はなつておるのであります。そういたしますと、或る一つの会社があつて、何と申しますか船の讓受によつてどんどん許可を集中する、こういうふうなことは從來はこれは良かれ惡しかれ許可の際に、一應我々としてはそれがチェックできるわけです。今度は法制上はチェッできません、從つてそういうふうなものを見る際に、この許可の不当な集中であるというふうな場合には、先程も申上げましたように、できるだけ許可漁業というものは廣く一般の者にやらせたいという趣旨からして、これが中央漁業調整審議会に掛かつて來る場合には、これを認めないというふうなやり方で抑えようという趣旨であります。ただ問題は現在然らば如何なるものがこの許可の不当な集中に該当するかという問題があろうかと思います。これは私共の考え方としては機械的に考えておりません。例えばそれが全体の半分あるからこれはもう必ず許可の不当な集中である、こういうふうに機械的にも考えておりませんので、その漁業々々の特殊的な事情からそれぞれ不当な集中になるか、ならないかということは、おのずから判断が違うと考えております。要は沢山共願者がある、こういうような場合にその共願者の数というふうなものも考えて、相対的に決定して行くことが必要である、それから又資源の限界の明らかなものについては、例えば適正規模というふうな問題も考えられる、即ち限度といたしましては、非常に集中するという最高限と、それから下の方では適正に経営するにはどの程度の規模が適当であろうかということと、両方睨み合つて決める必要があるというふうに考えております。從つて現在私共といたしましては、先程申上げましたように、全体の許可隻数のうち半分以上あるからこれが許可の不当な集中であるというふうに、機械的に簡單には考えておらないので、これは中央、地方漁業調整審議会で審議いたしまして、いろいろの観点からいたしまして、それらの観点からしてその事実が不当な許可の集中であると結論が出た場合にこれを決定して行く、いろいろの條件から考え合せまして、これを結論付けて行きたいというふうに思つておるわけです。
#11
○江熊哲翁君 お貰いした印刷物の中の内水面漁業という所に、政府は料金收入の一部を元として基本的な増殖事業を行うというような意味のことが書いてあるのですが、ちよつと聞くと大変結構なように聞えるのですけれども、こういつたふうに確か漁業調整委員会の諸経費等の賄い方も漁権の処理に際する料金によつて得たそれを以て財源とするように聞いておるのですが、若しそれでするとするならば、一体この重要な産業の在り方として、その直接関係者のそういつた手数料というか、そういうようなものを不当に取つてそういう施設をするというような仕事を他の産業で、類似産業の中でそういうような事実が外に何かございましようか、又一体このことは余り問題なく、極く立案される際に良心的に考えて当然なる、必然的なる結果としてここに書いたのでありますか、それとも何か非常にトラブル、フリクションが起つて、ここにこういう止むを得ざる結果が來たのか、そこらあたりの事情を一つ伺つておきたい。
#12
○説明員(藤田嚴君) 從來内方面方面の増殖施設は國家の補助金がございまして、両三年前まではその補助金によつてこれを実施しておつたわけであります。ところが段々財政が窮屈になつて参りまして、そういうような農林省全体に対しての考え方でありますが、いわゆる補助金政策というものが打切られて参りました。從來組んでおりましたようなその補助金はこれを削減されて來たわけであります。そうして私共としましては、これは考え方でございますが、本來これは國家が税金を徴收しておるのであります。その税金から必要な、つまり産業を維持助長するための必要な業務というものは國がこれを予算に計上してやつて行く、こういうやり方がこれは実際問題として本筋であろうと考えております。併し事実從來予算が非常に窮屈になつております関係から補助金が打切られておりました。そうしてそういうような施設がちつとも進んでいないという現状になつております。その当時にいろいろ財政当局と御意見を闘わしたのでありますが、財政当局の意見としては、本來こういうような増殖施設というものについてはそれによつて受益する者があるだろう、その受益する者にやはりそういうような増殖施設の費用を分担させる、それによつてやつて行くというのが適当じやないかという意見もあつて、なかなかそれが通らなかつたのであります。(「馬鹿にしている」と呼ぶ者あり)今回私共といたしまして内水面の漁業権の整理をする場合、又内水面の増殖施設を行うというような場合に、我々といたしましてはこれを止むを得ず、率直に申しますと、國の財政が非常に窮屈でございますので、まあ止むを得ん措置として考えたのであります。いわゆる受益者から一定の料金を取りまして、それによつて國が積極的に増殖施設を行つて行くというような建前をとることに相成りましたようなわけであります。
#13
○委員長(木下辰雄君) まだ大分質問が残つておりますが、あとは明日にしまして本日はこれを以て散会いたします。
   午後二時九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     木下 辰雄君
   理事
          尾形六郎兵衞君
           千田  正君
   委員
           青山 正一君
           松下松治郎君
           淺岡 信夫君
           田中 信儀君
           江熊 哲翁君
  説明員
   農林事務官
   (水産廳次長) 藤田  嚴君
ソース: 国立国会図書館
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