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1949/03/23 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第1号
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1949/03/23 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第1号

#1
第005回国会 厚生委員会 第1号
昭和二十四年三月二十三日(水曜日)
  ―――――――――――――
 委員氏名
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
           姫井 伊介君
   委員
           中平常太郎君
           山下 義信君
           草葉 隆圓君
           中山 壽彦君
           紅露 みつ君
           竹中 七郎君
           井上なつゑ君
           岡元 義人君
           小杉 イ子君
           穗積眞六郎君
           藤田 芳雄君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○派遣議員の報告
  ―――――――――――――
   午前十時二十七分開会
#2
○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。本日は、先般來第一班中山委員、それから姫井委員、中平委員が京都、奈良、和歌山地方に視察に参られました。それから尚第二班として私並びに竹中委員、山下委員が山形、福島、栃木方面を御視察になりました。本日は先ずその視察の御報告をお願いいたします。最初に中山委員から……。
#3
○中山壽彦君 院議に基きまして、社会福祉並びに公衆衞生に関する諸法規の実施状況を視察しろ、こういうことで、中平、姫井両委員、私と草間專門員を加えまして四名で一班を組織いたしまして、二月の二十六日午前十時に京都府廳に集まりまして、視察を開始いたしたのであります。京都、奈良、和歌山に各二泊ずついたしまして、三月四日の午前中における和歌山の民間諸團体の代表者との懇談会を最後として視察を終りました。奈良、和歌山の状況につきましては、後刻姫井、中平両委員からそれぞれ御報告があることと存じますので、私は京都府下に関する状況について極く簡單に御報告を申上げたいのであります。
 先ず京都府下の政情につきましては、衞生部面に関しましては、その行政機構も大体他の府縣と異なるところはありませんが、衞生統計課というものが独立しておりますることが特徴となつておるように存じます。保健所は東京の杉並保健所にならいまして、中央、宮津、舞鶴の三ケ所にモデル保健所を作り、その外に府立の十二ケ所の保健所がそれぞれ五ケ年計画によつて拡充強化が行われておるようであります。市立の保健所も外に十二ケ所あるということであります。大体各保健所には医師二名以上を確保いたし、保健婦が平均六名に達しております外、三十四名の監視員が食品、環境衞生のために配置されております。いずれも地元大衆の協力を得て、相当の成績を挙げているように聽いております。保健所における保健婦が、只今申し述べました通り、大体六名程度でありますので、訪問指導ということが現在不十分なようであります。
 京都地方には特別な風土病は認められておりませんが、結核による死亡率が全國第一を占めておりまするような状態でありまして、府当局におきましても、相当にその対策に努力をされておりますに拘わらず現在十五歳乃至二十五歳の年齢層が依然として死亡率が多くを占めているようであります。その予防対策といたしましては、青少年、学童に対する集團檢診、或いはBCGの予防接種を行なつておりますが、未だ一般の家庭までには行き届いていない模樣であります。昭和二十三年度中の届出によりまする患者一万一千七百十五人に対しまして、三千九百六十二人の死亡であります。死亡数は人口一万に対しまして二十二人の割合となつておりますが、前年度と比べますと、多少少い傾向にあるように思われます。これが收容施設といたしましては、公私立合わせて十ケ所、二千の床があるのであります。現在收容患者数は一千六百人ということになつております。
 次に性病でありますが、その性病の関係は感染源の追及のために届出の数が少い、又昨年來実態者の強制檢診というものがなくなりましたので、正確な数字がはつきりいたしておりません。昭和二十二年度の届出総数が一万五千二百七十七件に比しまして、二十三年度におきましては一万六千六百二十三件となつております。而も重症患者が逐次増大の傾向を示しているのであります。妊産婦手帳に関連をいたしております血液檢査による妊婦の梅毒血清反應の陽性率は郡部が三・九五%、市部が五・四六%、こういう成績を示しております。警察側の協力によりまする昭和二十三年度中の賣淫常習者の檢挙数二千七百六十三名に対し、罹病率は三七%となつておりますが、府立性病院及び各保健所、性病診療所等におきましては、減免診療を取扱つております。
 上下水道、清掃等の概況につきましては、京都は比較的いい結果を示しております。便所も三十万人だけは水掃裝置が許されておりますが、その他は汲取りの励行であります。この汲取りの励行は非常にうまくできておりまして、遠くは滋賀縣地方よりも爭つて汲取りに來る、こういうように承つております。市内でも公衆便所が百七ケ所で、極めて清潔に行われておりますが、ただ鉄道、警察の便所が非常に穢いということで進駐軍の方からも種々注意を受けているようでありますが、これは所管が違いますので、府縣の方では如何ともいたし方ない、こういうお話でありました。
 優生保護法が実施されましてから、昨年の十二月からの統計でありますが、この同法第十二條による人工妊娠中絶の届出件数は、旧國民優生法第十六條による届所件数よりも一段と増加をいたして、市内では十二月に三百三十九件、一月が三百十七件、郡部では十二月が三十二件、一月が三十九條となつております。又同法第十三條による人工妊娠中絶の実施件数は、二月までに市内が八件、郡部が四件、計十二件であります。又同法第三條により優生手術の実施件数は、市内が二、郡部が十一、計十三件になつております。藥品及び医療資材は割当量並びに特別申請によりまして、ほぼその需要量を充しておるようでありますが、サントニン、ガーゼ等の類は尚若干不足の状況にあります。
 民生部の関係におきまして、社会保險に関する状況でありますが、政府管掌の分は、保險料の收入がまだ百パーセントに達しておりませんので、やはり支出の方が増となりまして、若干の赤字を示しておるようであります。組合管掌の分におきましては、診療諸費が著しく殖えて参りましたので、すでに二、三の組合は解散の運命に立ち至つておるように聞いておるのであります。厚生年金、船員保險等の保險料は約八〇%の收入になつておりまして、どうやら收支のバランスがついておるように思われます。國民健康保險組合は、昨年の法律改正によりまして市町村の公営の移し、或いは組合が合併をしておるのでありますが、現在その割合は六割に達しております。併しながらこの制度の利用者が非常に殖えて参りまして、町村におきましても市部におきましても相当の赤字があるように思われます。
 社会福祉関係といたしましては、現在の民生委員は兒童福祉法の実施に伴いまして総改選の結果、その八〇%までが新任者であつて、三百十一市町村に対しまして三千二百七十八名を数えております。府下の社会事業施設は兒童福祉施設を除いて百二十余の施設と他に連絡統制上の十余團体がありまして、主として養老院その他の保護所、医療施設及び授産施設がありますが、近來その運営に当りましては、その経営資金が非常に枯渇をいたしておりまして、十分なる運営ができないのであります。漸くにして共同募金によります資金の分配を受けてその危機を脱しておるような感があります。授産施設は、現在京都市内に十四、郡部に十一、計二十五あります。この施設におきましては、主として和裁、洋裁等を行なつておりまするが、いずれも資材と資金に悩んでおります。戰前は相当の施設数と実績とを有しておりましたが、昨年五月に市町村経営の授産施設二十一ケ所が資金難のために労働省主管の共同作業所に轉換をいたした結果減少の状況となつたのであります。
 生活保護法による保護状況につきましては、要保護者の現在数は、京都市内におきましては九千五百八十六世帶、二万三千四百二十一人でありまして、郡部では八千三百三十六世帶、二万二千九百八十九人となり、人口に対する千分比は、市が二三、郡部が三一の割合になつております。次に保護費支出の問題でありまするが、大体におきまして、市長限りで支給します場合におきましては十二日以内、知事の認可を要する場合は十八日以内に申請を決裁して、本人に通達するようになつております。その月の分の保護費とか補助金は、市都市におきましては十日まで、その他の町村におきましては十五日までに保護者への支給を完了することになつております。社会事業施設といたしましては、高野川寮外二十二の引揚者寮におきまして九百三十一世帶、三千五百六十三人を收容いたしておりますが、そのうち約一割は要保護者であります。傷痍者には府立宇治寮があり、時計修理や謄写印刷の授産をやつております。失明者を收容いたします施設は府立京都寮が定員五十名を以てこの四月完成する筈になつております。又未亡人に対しましては、府費十四万を以ちまして対策委員会が活動するように相成つております。昨年十一月から実施をされました生活協同組合は任意組合が百、産組法によるもの百が新法の下に設立或いは移行する見込であります。
 災害救助対策につきましては、御承知の通り京都には災害が少いのでありますが、昨年福井の震災に当りまして、一部動員いたしたのでありまするが、未だその発動例はありませんが、対策目標の罹災者五万人を対象として基金三百万円を持つております。衣料品三万四千五百点を備蓄し、本年は生活必需品等最小限度二百万円を確保するとのことであります。
 京都府には他の府縣に見られないような民生事業査察員制度がありまして、七名の査察員が生活保護法、兒童福祉法の直接運営に当る民生、兒童委員の指導連絡、或いは府市町村職員の執務状況を査察して相当な成果を挙げている模樣であります。
 兒童福祉施設といたしましては、保育、養護、母子寮、相談所等百二十五ケ所を数えまして、收容保護兒童の総数は約六千人に達しております。以上が一般の概要であります。
 これより私共が視察をいたしました各種の施設の概要を御報告申上げたいと思います。先ず第一が洛北寮、これは元精神病院のあとを受継いだものでありまして、一般浮浪者の保護対策といたしまして、生活保護法の收容施設として府の直営であります。構内には特殊婦人の收容保護施設と引揚者の宿泊施設がありまして、引揚者も十七世帶、六十六名を收容いたしております。当時は昭和二十三年二月開所以來、実人員千七百六名、現在男女百九十九名を收容しておりますが、そのうち六十一名が寮内の授産に從事をいたし、二十四名が工員、日傭労務者として寮外に働いております。最近にはこの洛北寮に養老院の施設を完備したいという目途を以て現在工事を進めておる次第であります。
 次に高野川寮、市内の左京区にありますが、高野川寮は海外引揚者の收容施設二十三ケ所の中の最も大なる施設であります。これは昭和二十一年八月に元陸軍病院高野川分院を改造いたしたのでありますが、その完了を待たず十月末にはすでに定員二百四十一世帶、九百四十八名を收容した次第であります。その構内の施設は比較的よくできておりまして、保育園、診療所も完備をいたし、授産施設も大規模のもので、男子に対しましては、主要機械十七台を据え付えまして、製材、大工等に三十五名が從事しておりますが、家具類なども相当程度のものが製作されておるように見受けたのであります。女子に対しましては、一貫作業によりまして、アジロ傘、番傘等を製造しておりますが、いずれも府の委託経営でありまして、相当の收益を挙げております。
 次に鴨川の母子寮、これは元軍事保護院の未亡人職業補導所といたしまして建築されたものでありまして、終戰により京都府が工事を続行いたし、兒童福祉法に基く母子寮として利用されたものでありまして、新築でありまするから、誠に室の氣分もよく、設備も申分ありません。本母子寮は府内居住者で配偶者のない女子、又はこれに準ずる事情にある女子であつて、その者の監護すべき兒童の福祉に欠けるところがあると認められた者を收容いたしておるのであります。現在成人の女人が四十四名、兒童が三十五名で、近く七十二世帶に達する見込であります。入所女子は大体三十乃至四十歳程度の人が多く、夫の病歿した者が最大数でありまして、いずれも高等女学校卒業程度の教育を受けた未亡人が多いのであります。概して戰歿未亡人は素質が良好でありまするが、離別関係にありまする者は、その素質が惡いということであります。本所の特徴は、新築アパートを思わせるような小ざつぱりとした建物構造は勿論でありまするが、特に私共の目を惹きましたものは附設の授産所であります。目下京都工業組合の援助の下にバツコック帽――パナマ帽子のようなものを作つております。優秀の機械が数台据え付けられておりまして、約一ケ月製作をいたしますと相当な製品が出來上るようになつております。その間、乳幼兒は附設保育所におきまして、晝間保育をいたしまするが、学童に対しましては施課後一日二時間程度において極く軽い簡單な仕事をさせて生活の補助とさせております。丁度輸出向きのデコレーション用綿鳥を作つておりましたが、いたいけな子供が愉快にお互いに助け合つて、この製品を作つておるのは誠により有樣と感じたのであります。
 次に中央保健所は、市立のモデル保健所でありまして、位置もよい所にありまするし、又建物も立派な建物でありまして、施設におきましては欠けるところがないようでありまするが、丁度夕方参りましたので、仕事の状況がはつきりいたさなかつたのでありますが、こういう施設を若しやりまするならば、十分なモデル保健所としての活動が期待できるように感じたのであります。
 次に平安病院でありますが、市内にある平安病院は、これは性病に対する府立の施設として古いものでありまするが、強制檢診制度がなくなりましてから、比較的重症の者が多くなつたのであります。この平安病院において、私共が耳にした誠に不吉なことは、近來ペニシリンの粗惡なものに販賣されるようになりまして、三万單位或いは五万單位、或いは十万單位、或いは二十万單位と称してそれだけの高い金を取つておる。こういうことを耳にいたしまして、非常に奇怪な思いをいたしたのであります。これらの粗惡な製藥者はその名前を承つて参りましたから、後刻厚生当局にも御注意申上げたいと存じております。
 次に中央兒童相談所であります。これは府立で少年教護法による鑑別所でありまするが、最近は養護相談が多くなる傾向でありまして、鑑別には二週間を要する模樣であります。相談件数も少いようであります。
 次に財團法人厚生園を見て参りましたが、これは余程市内よりも……市内でも無論ありまするけれども、余程郊外に近い所にありまして、主に生活保護法と健康保險の被保險者の結核患者の收容所になつております。場所は見晴しのよい殆んど三万坪という廣い傾斜面に病院が散在しておりまして、結核療養所といたしましては、場所としても特に理想的のように考えたのであります。病院法によりますというと入院患者の一人当りは一坪半ということでありますが、この厚生園におきましては、アメリカ式に則りまして、一人当り二・五坪を使用しております。又患者の使用いたしました食器の消毒等につきましては、殆んど法定傳染病において実行いたしておりますような施設を、このところがやつておりまして、私共誠に氣持のいい感じをいたした者であります。殊にこの病院におきましては、院長も、事務長も、看護婦長も曾て結核に罹つた人であります。從つて結核患者に対する思いやりというものが非常に濃厚でありまして、親しく患者に接し、心から治療に当る、こういうような麗わしい状況が窺われたのであります。殊に院長はこの三万坪の敷地を將來十万坪にしたい。この募集に当つては院長自身が陣頭に立つて募集に当りたいということまで話されておつたのであります。この厚生園は現在二百二十の病床を持つておるのでありますが、只今使用しております病床数は百十であります。あとの百十というものは職員の宿舎等に使われておるのであります。もう少し病室の使用率を殖やしたらどうかということを申したのでありますが、これは看護婦が今少い。從來はこの厚生園で看護婦を養成いたしておつたのでありますが、看護婦の養成は綜合病院でなければできないというようなことになりましたので、この厚生園自体において看護婦が養成できないという関係から、病室の全部を患者の方に向けることができない現状にあるのであります。この春には外科の手術場等も新たに設けるということでありまして、私共は何とかこういう特殊のところには、特殊の便法を講じて看護婦の養成ができ得るような方法を講じたらどうかというようなことも感じたのであります。
 次に伏見寮、城南農工場、及び有名な里子村の山田莊を視察したのであります。伏見寮と申しますのは、伏見方面事業後援会所有の厚生会館を借入れまして、昭和二十二年四月から浮浪兒の一時收容所として、翌年一月からは兒童相談所附設の一時保護所となつておるのであります。浮浪兒は季節的に見ますと、夏季に多く、年齢的には十三歳乃至十五歳の者が多いのであります。原因的には家出、浪浪――これは本年に入つてから急激に増加いたしておるのであります。次に戰災孤兒、普通孤兒、引揚孤兒の順となつております。大部分は定着寮へ配分したり、家族に引渡しておる状態であります。逃防兒は依然として多く、三十九%を占めておるのでありますが、これは主に渡り者が多いためだろうと存じます。
 城南農工場は、二十三年の一月から京都府営となつておりますが、京都定差引揚者の開拓地でありまして、主として満洲開拓民が多いのであります。千五百坪の工場では藁工品の製作、八万坪の農場を開墾して一家三反歩当り、住宅も相当適当に分散をいたしております。開拓地向きの理想的なものであると考えておるのであります。現在四十五世帶、男が五十九人、女が八十六人、このうち、要保護者が四世帶二十二人となつております。いずれも收益の三分の一を維持費として納入し、三分の二を自己の收入として取つておるようであります。
 次に里子村の山田莊村を視察いたしたのでありますが、この村は戸数が五十二、そのうち、四十八戸が男子三十五名、女子二十七名、計五十二名を里子として預かつておるのであります。この里子は主として京都及び大阪から参つておるようであります。年齢は十歳から十四、五歳、この村は日露戰爭以來仲介人の手によりまして活溌に取引が開始されたのでありますが、その当時は仲介人の利慾のためにやられたのが多いのでありまして、死亡率も比較的高く、虐待もひどかつたということでありますが、昭和十一年以降から同村の婦人会の活動によりまして、すべてのことが非常に改善をされ、今日では誠に幸福な生活を送つておるようであります。すでに里子の中から婚姻をいたした例もあるようでありますが、どうもいわゆる捨子というような籍の関係が、今日までうまく参つておりませんので、近く裁判所の手続で入籍する。こういうようなふうに進んで行くように、責任者の方が申しておられたのであります。
 尚私共の一行は、この他に民間の社会事業諸團体の最高幹部の方々と座談会を開催をいたして、各方面の意見なり、要望事項を聽いたのであります。京都におきましては五十名近くの人が集まつて参りました。この懇談会におきまする主な意見を、御披露申上げて置きたいと思います。
 第一に、民生委員の運営経費というものが非常に少い。若干國費負担にして貰いたいという意見が出ておりました。又地方吏員、公職者をもこの民生委員の中に任命でき得るような途を開いて貰いたい。それから施設に関する最低基準に対しては、設備資材を給與して貰いたい。徒弟制度の失われた今日、教護施設によつて折角一人前になつた者にも、法的の保護を失わしめないようにして貰いたい。兒童相談所は予防的意味においても法的処置のものばかりでなく、兒童一般の取扱を認めて貰いたい。
 審判所の送致には、教護院の施設收容力を考慮して貰いたい。少年院は経費は取らんが、教護院は経費を取るので、一方は取り、一方は取らんのは面白くないから、この経費負担関係を同一にして貰いたい。
 民生委員と兒童委員との兼職は、兒童問題に関心を有する者を選任するか、或いは別個に切離して貰いたい。生活扶助は本人の苦心した收入額を取られては困るから、これを減額しないようにして貰いたい。次に優生保護法の第十三條において、第四号の暴行脅迫に民生委員の意見を必要とし、又第三号の数人の子を有する経済面に医師の意見を要する不合理を是正して貰いたい。どうも優生保護法の法律の意味が的確を欠いておるような傾きがあつて、檢察官と行政官との意見が相違をし、ために手術を施した医師が非常な迷惑を感ずる。現に京都ではそういうような事例が起つておるのであるから、もう少しこれをはつきりした法文に認めて貰いたい。こういう要望であります。それから妊娠中絶につきましては、審査許可制を事後届出制にすること、これは戸籍謄本を取るのに、原籍が遠方であると、謄本を取ります手続に数十日を要しまして、実際手術するのが妊娠後三ケ月、四ケ月というふうな不適当な期間に延びるから、それは事後の届出制にして貰いたいと言うのであります。
 尚多産者は殆んどその母体が健康でありまして、何人子供を産んでも母体の健康には差支ないというわけであるから、むしろ経済方面のことを、もう少しはつきりと書いて貰いたいというような意見も出ておるのであります。その外社会保障制度が実施される前提として、現在の各種の社会保險を一本にして貰いたい。又窓口拂を別々にしないで、診療報酬の支拂を窓口一本に一つ早くして貰いたい。こういうような要望が出ておつたのであります。
 以上が京都における各種團体の首惱者との懇談会における要望の主要なるものであつたことをこの機会に御報告申上げて、私の報告を終りたいと存じます。
#4
○委員長(塚本重藏君) それでは続きまして姫井委員から奈良縣の視察報告をお願いします。
#5
○姫井伊介君 調査班は京都府におけるものと同一であります。
 二月二十八日の午後奈良に着きまして、直ちに縣廳で政情聽取を行いました。三月一日奈良保健所、それに併設してある中央兒童相談所、松籟莊國立療養所、縣立医科大学附属病院を見まして、社会事業関係者の座談会を開きまして、三月二日天理養徳院を見まして、午前十一時奈良駅を発して和歌山に向いました。縣の政情一般は印刷物に讓りまして、内容の詳しいことは略さして頂きます。各施設につきまして、社会事業の関係者の座談会における要望事項などを加えまして御報告をいたします。
 結核予防施策では、病床が二百九十で、一月末の入院患者は百八十七名、二十二年度の死亡数は千五百二十人、二十三年度の死亡数が千百二十となつておりまして、如何に病床が少いかということが分るのであります。殊に死亡率の全國平均から見ましても、奈良縣は少し上廻つております。
 性病の予防策につきましては、非常に努力はしておるということでありますが、徹底はまだ非常にむずかしい状態にあります。
 環境衞生の方面におきましては、傳染病予防費は全額國庫補助にして貰いたいという意見が強いのであります。又その率は前年度によらないで、本年度の扱いにして欲しい。乳幼兒の死亡率は全國平均よりも相当高い率にありまして、これを減らすことにつきましては、非常な努力をしているということであります。一般衞生におきましては、人口割にいたしまして、千二百五十五人に医師が一人、三千十一人に対して歯科医師が一人というような比率になつております。
 國立病院におきまして、生活保護法の関係患者にのみ加配米があるが、これは非常に患者の心理状態を害するので、その外のものも同樣にして欲しいというような意見がありました。看護婦が非常に不足だということはいずれも同じことであります。
 又代用精神病院におきましては、代用という字がどうも有難くない。これは委託とか、若しくは指定とかいうふうにして頂きたい。又それに対する交付金も生活保護法同樣の程度にして欲しいという希望があります。優生保護施策につきましては、京都府におけると同樣な状況であります。
 藥品医療資材におきましては、災害対策用の救急藥品の備蓄は信用のある藥局の倉庫に保管をさしてときどき巡視して監督しておる。厚生課におきましては、年間災害による被害者を四万人と仮定して、これに備蓄したいと思つておるが、実際の予算は五千名くらいにしか足りない。家庭藥、これは奈良縣におきまして相当生産されておりますことは申すまでもないのでありまして、二十三年度の一月には生産高が千七百五十六万円であつたが、同年の十二月には四千二百十二万円、販賣も多少時間的ズレはありますが、それに即應して行つておるのでありまして、全國中優秀な家庭藥の生産縣であります。然るにこの医藥品檢査成績を見ますると、檢査の総数が三百十七件に対しまして、不良医藥品の件数が九十三、その不良率は二九%になつております。最も甚だしいのは、点眼藥の十六の檢査に対して十五の不良品、灌腸藥の十に対して九の不良、婦人坐藥の三に対して三の不良、甘味剤の六に対して六の不良、その外内服の家庭藥十九に対して七の不良といつたように非常にこの家庭藥の藥品の不良があるのでありまして、これにつきましては相当の方法を講じて行かなければならないと思います。
 以上が衞生方面でありまして、次には民生関係に移りますと、國民健康保險でありますが、二市百四十ケ町村に対しまして、現在保險者は四十一で、被保險者は十四万人という程度であります。市町村の公営には大体八〇%までは進む見込であると申しております。この制度に対しましての要望は非常に多いのでありまして、先ず社会保障制度の速かなる確立、各種保險の整備統合、人件費の國庫金額負担、保險料が市町村民税の二倍乃至三倍となる傾向があることは非常に苦痛であつて、これは一部は課税化する、税金にして行く、税金に吸收して行くという方法が考えられて貰いたい。公的医療機関の拡充増設、診療報酬一点の單價は中央で一律の標準を決定されるが、これは非常に不適当なものがあるから、地方的に考えて欲しい。各種保險職員の身分待遇が不均衡である、これを均衡化して欲しい。社会保險診療報酬支拂金庫の成績がうまく行つていない。非常にこの支拂などが遅れるので、殊に医療担当者としては困る。殊に税金が納められない。納められない税金に対しては一日二十銭の利息がつく、而も政府から貰うものに対しては無利息である。いろいろな関係において非常に困るからこれを一つ根本的に円滑なる運営ができるように考え直して欲しい。健康保險におきましては、適用範囲を拡張して欲しい。現金給付額を引上げて欲しい。傷病期間中の手当金の六割支給は不足である。厚生年金保險の積立金の還元運用を望む。家族給付を増して貰いたい。又保險審査制度の改革と充実を要する。今の制度ではどうもうまく行かない。各種社会保險の審査の制度は統一して欲しい。
 生活保護施策におきましては、要保護者は段々減つて行く傾向にありますが、併し扶助額が増しますから金額としてはぐんぐん増して行く。この生活保護につきましては、轉落前の保護についてもう少し考慮して欲しい。さつき中山委員からもお話がありましたように、折角努力して少額の收入がある、それは直き差引かれる、こういうことになると働く者がなくなる、働く意思がなくなる、少額收入の差引は余り嚴重に行われないようにして欲しい。それから生活扶助費が子持の婦人に対しては非常に不足である。殊に子供の入浴や理髪料といつても相当かかるので、今の定額ではとてもやつて行けない。兒童福祉施策につきましては、福祉司が非常に少い。市に一人ですから奈良縣など二人しかいないわけです。兒童委員と民生委員との関係は先程お話がありました。一般の兒童厚生施設にも補助して欲しい。尚國立の保育施設、國立の精神薄弱兒の收容施設、尚関西に國立の教護院といつたものを是非作つて欲しい。学校兒童の給食が行われるように保育所にも給食の方法を講じて欲しい。里親は四ケ村に四十八人ありますが、里子の入籍関係でありまして、本当の自分の子供として自分の籍に入れるということになれば、養子取扱になつて扶助金がなくなつてしまう。性を異にして置けば実際の子として何だか感じがぴつたり行かないものがある。殊に一軒で二人も三人も里子を持つておるところはおのおの姓が違い、学校に行つても非常に子供の氣持の上に親子関係の情愛を摺り減らして行くような傾向が段々年をとつて行くにつれて多くなつて行く。この辺は何かの條件によつて同じ性としても扶助というものが行われるような方法を講じて欲しいというのであります。
 それから社会事業一般の施設でありますが、社会事業施設は奈良縣は非常に少数であります。例えば保育施設にいたしましても、公設が十四、私設が二十三、合せて三十七くらいしかないのであります。ここでもやはり最低基準に到達するためには、設備、資金、資材が足りないので考慮して欲しい。共同募金は二十二年度は六百五十万円に対して七百五万円、二十三年度は千二百万円に対して千二百二十七万円、これはいずれも一〇〇%以上になつておつて、すでに配分も決定したということであります。戰爭犠牲者の保護指導につきましては、未帰還が、軍人で千四百三十一人、一般邦人が百八十八人、これにつきまして、未復員者の給與法を中共地区をも加えるようにして欲しい。これは人数は僅かだからただソ連地区関係のみならず中共地区のも一つ入れて欲しい。生活保護扱いとこの扱いとをはつきり別観念にして欲しい。共に保護する、救助するといつたような観念でやられるということは非常に苦痛である。傷害給與でありましたか、これはテクニックをよく存じませんが、それには食費関係がないということでありましたが、これは一應研究しなければならんと思つております。戰犯者が四十四名ある。これは國内服務である者は家族の面会を或る程度まで許して欲しい。引揚者の課税免除、或いは未帰還者の留守家族の課税の軽減、未復員者給與法と生活保護法との支給額の差引について考えて欲しい。有利の方に扱つて貰いたいということであります。未亡人保護につきましては計画中、大体要援護の数が二千人余り。庶民住宅は、これはいずれも不足でありますが、殊に國宝の建物の中に二ケ所に九家族、十二家族といつたようなものまで容れておる。これは非常に危險であるし、特に考えて欲しい。
 その他國民厚生、民生安定の施策につきましては、授産関係では原料、資材の不足、消費生活協同組合は甚だ振わないので、現在できておりますのが、小が一、町村が二、引揚関係が一で、四つであつて、今切替手続中のものが三ということであります。懇談会の最後に例の青年禁酒に対する賛否の意見を聞いて見たのでありますが、京都のときには青年禁酒の賛成者が大体四割五分でしようか、現状のままと言うのが五割五分ぐらいでありました。奈良縣では現状のままというのが一割で、禁酒よろしいというのが九割くらいであつたんであります。以上報告を終ります。
#6
○山下義信君 議事の進行についてちよつと、本日の議員の報告に対して、厚生省と各局長が、お忙しいところを非常に勉強して下すつて御出席を下すつて、厚生大臣や政務次官はなぜ出席しないか。議員の派遣報告であつても、本日は正式の委員会の議事でありますから、或いは政府当局の行政に関して質疑をしなければならないような場合もあるかと思う。速かに出席を御要求願いたい。
#7
○委員長(塚本重藏君) 今、山下委員の御要求もありますので、できるだけ出席を願うことに手続をいたさせます。引続いて和歌山縣の視察報告を中平委員からお伺いします。
#8
○中平常太郎君 和歌山縣の厚生行政につきまして簡單に御報告を申上げます。時間は後で又ありますから、成るべく簡單に、和歌山縣の厚生行政は概して他縣の機構に比しまして、縣民の内部への滲透は十分でないと思われました。從つて諸般の法令が法律的に未だしの感があつたのであります。まだ無医村と言われるものが二十八ケ村ございます。極めて淳朴なところでありまして、氣質といたしましては誠に好もしい氣質を持つておられるのでありまして、それだけ淳朴であつて、やはりそういうようないろいろな行政面が、まだ十分に滲透していないように考えられます。順次御報告申上げます。
 結核予防対策といたしましては、全國の平均にいたしまして平均以下であります。やはり南國という意味でありましようか、健康は惠まれておるようであります。結核は全國平均率よりも以下であります。主に二十一歳から二十五歳程度までの年齢が多い樣子でございます。BCGの注射などは、大体國民体力法による受檢者、受檢資格者のもにやつておられるのでありまして、それ以外の一般には余りどうも普及しておりません。これはやはりその方面にももつて普及しなければならんと思うのでありますが、まだ國民体力による学童とか何とかというのにばかりやつておるようであります。その関係が陽性が僅かに一三%でありまして、陰性が八七%というふうで、いわゆる結核に対しては処女地であると思われたのであります。結核に対する病院というのが、実際それを標榜している病院は野上病院一ケ所であります。これは相当機能を発揮して利用いたしておりまして、相当効果を現わしておるように思われます。
 性病予病の対策といたしましては、公娼廃止が、これは公娼廃止ということは和歌山縣は非常に早うございまして、先鞭を付けたのでありますが、昭和七年に公娼を廃止しております。その後は再び檢診をやつておつたんでありますけれども、それを止めて今は組合によつて自主的に受診せしめておるという状態で、まあ梅毒の患者よりも非常に淋病が多いようです。新予防法によりましての届出制はまだ極めて微温的でありまして、そういう方面の届出制は極めて少いらしいです。
 それから一般病院の診療所、産院、保健所という方面はこれはおかしいですが、國立病院はありませんということなんでありますが、ここを調べて見たところが一つある。深山國立病院というのが白濱にはありますが、もとより白濱には行きませんが、白濱病院には療養所が一つあるだけであります。産院は縣にありません。保健所は中央に一つありますが、大阪病院の分院でありまして、あとは極めて少いのであります。中央の保健所は相当に設備も完備しておりますが、聊か狹い感じがするのであります。済生会の病院は職員が二十四名もいるのでありますが、どうも十分に機能を発揮していないで、診療所とも合せて百名ぐらいでありますが、ここの機能は十分発揮していないように思われます。優生保護施設といたしましては、優生保護施設は僅かにまだその緒についたというだけで、一ケ年に百件程しかございません。薬品医療施設に関する施策の状況といたしまして、和歌山縣は薬品の調査につきましても注射と駆虫等だけやつておりまして、葡萄糖とか、塩化カルシウム、ビタミン等の不良品が大体四十パーセントありまして、どうもよくないのが出ておるようであります。相当手を盡しておる模樣でありました。あすこは御承知の通り、罌粟の生産が止みまして、麻薬を全國の九十パーセントも作つたところでありますが、それが今生産禁止になつておりますので、その方が止つております。今主として、除虫菊は、これは北海道に次ぐ除虫菊の産地でありまして、これは漸次発達されて行くと思われます。又あすこは柑橘が得られるのでありまして、枸櫞酸あたりもでき、相当今頃はその方は成熟いたしておりまして、家庭藥の方が漸次生産が殖えて参つておるのであります。保險中の特に國保の施策でありますが、一つ組合の野上病院というのでございますが、先程申上げました結核の野上病院でなく、別に組合の病院があるのでございますが、予算は百五十万円の予算でやつております。一日大体七十名ぐらいの患者を診ております。レントゲンも出來ておるが、これは組合でやつておりまして、十三ケ村がやつております。病床は五十六床持つておりますが、建築費の千八百万円が要つたというのが大部分であります。半分程負債になつておりまして、非常に経済は不安定な状態でありまして、その辺は全く安定しておりません。自動車一台持つておりまして、その回診自動車で十三ケ村を廻つておるということはなかなかちよつとよく出來ておるように思われますが、そのために十八ケ村の開業医の間の関係はどうかということを調査いたしましたが、開発医は、組合病院ができたために、非常に勉強をされたりいたしまして、往診でも往診料も取らずしてどんどん医者が出て行くという。そのために組合立の病院の方の入院料が高くなつて、医者の方が安くなる。お医者はどんどん勉強しており、組合病院は規則通り取るのでありますから、入院にいたしましても、この組合立病院は一日百円で、その上お藥代か何かで百五十円取りまして、二百五十円ないと入院ができない。それが普通の病院へ行きますと二百円以下ということで、却つて医者の方が安く、組合病院の方が高くなつて、それために組合立病院の利用が惡くなるという傾向を持つておるのであります。組合立病院はそういうふうでありますから、どこにいたしましても組合立病院の経営というものは、非常に医者の不勉強を怒つて組合立病院を作つたということであつたらば、組合立病院を作ると同時に医者が勉強し始めたら敗けです。その点は非常に考えて、組合立病院を建てた後には大きな金を使いますが、運営には非常に困難を來しておるようであります。果してあの野上病院の維持ができるかどうかということを非常に懸念をいたして帰りました次第でございます。國民保險の滞納率が大体和歌山縣は四〇%程あるのです。それから又お医者の方へ支拂うところの医療費の未拂が大体三〇%になつておりまして、こういう二つのズレがありますので、國民保險の発達という面で誠に遺憾な点が随所に見られたのでございました。
 それから生活保護施設の擁護でありますが、大体和歌山縣におきましては要保護者は三万程度でありまして、全縣民の九十六万に対する約三%でございます。それで先程両委員からもお話になりました通り、生活保護費を出しておつても、それで食つて行けるものではないからして、何かの副業をする。その副業から得たところの金があると生成保護費を差引くということであれば、どうしても生産意欲がなくなる。労働意欲かなくなる。だからしてどうしてもそういうふうに嚴重に整理すべきではないということは、最初から大体私共の言つたことでありましたが、政府におきましても、それは嚴重にはそういう差引勘定をしないということを口ではたびたび言うておられるのでありますけれども、事実の問題では、何かという直ぐ差引こうとする傾向がある。もとより支出の多難な場合でありまして、國費の濫費はいけないのでありますけれども、生活が保てない。つまり要保護者に対して十分にやつておるのなら、それは働くだけ差引いてよろしいけれども、大体要保護者に出す金が少いのであつて、それでは食えない。食えないから働くのでありますから、働く金と要保護者の生活保護費を一緒にして漸く食つて行けるという状態であるから、この点は何かの通牒を以て余り手内職をすることに対してその收入を生活保護費から差引かないように。これは一般にどの縣に行きましても痛切なる要望でありまして、我々もその考えで主務省に当つて行きたいと思つておるのであります。
 兒童福祉施設につきましては、施設は僅かに三十ケ所しかありません。最低基準令によりましていずれも一定の期間に早く直さなければならんのに、困難で直せない。それに共同募金の金は、経営の赤字には補填はして貰えますが、建築、増築というようなことには、どうも共同募金の金は廻らないという意味におきまして、どの施設も最低基準令に合わすためには何か政府が手を打つて呉れなければいかんということに要望が一致しているようであります。里親制度は、和歌山縣は未発表でありますが、目下僅かに十五人ぐらいやつておるくらいでありまして、殆んど問題にする程ではありません。
 浮浪兒も和歌山縣は極めて少く、調査の結果僅かに二十五人ぐらいでありまして、これも余り取立てて言うことはございません。
 それから民生委員、兒童委員等の福祉機関に関する施設状況でありますが、民生委員は千八百三十六名でありまして、相当活動をいたしております。民生委員の活動振りのいいことは、縣会議員であつた或る者からの話から言いましても、民生委員の活動には誠に同情する、何かに方法を以て待遇の改善をやつて貰いたいというような希望を縣会議員は言つておられたことから見ても、民生委員は可なり活動しているようであります。民生委員の方の連盟の会長からの要望でありましたが、兒童局の廃止は絶対に反対、兒童局の廃止は將來を担うべき兒童の重要な役目を持つており、殊に思想の惡化をどう扱うかという重要な今日の段階におきますところの問題でありますから、兒童局の廃止は絶対に反対であるということを非常に強く要望しておるようであります。それから民生委員の事務所というのは、現在十五万以上の都市には事務所を作つてよろしいことになつておりますが、これはやはりもうちよつと緩和して五万ぐらいの程度までには民生委員の事務所を置いた方が、その機能を発揮する上において中心点ができていいというような要望がありました。私共それに対しては、それはよくないかと思う次第であります。
 社会事業の分布並びに運営施策状況でありますが、教護院といたしましては、縣立の仙渓学園がございます。園長は谷垣というなかなか熱心な人でありますが、何か要望はないかと聞いたところが、要望は農園をどうしても作つて貰わんと子供自身が労働方面に農園がないといかんと言つて大分要望しておりました。これは縣の方で考えて呉れるだろうと思います。それから娯樂機関が非常に少い。ラジオしかありません。食料は大体千八百カロリーを攝つておるようです。智能としては平均の八十八点であります。あすこで聞いたのでありますが、鐘の鳴る丘という映画に感化院という名称が出ておりますが、この名称は誰も喜ばないということですが、実際この名称はよくないと思います。
 それから戰災者、引揚者の保護対策でありますが、これは引揚新生僚を視察しましたが、全く臨時的な施設でありまして、移轉の見込がつかず、実に不潔であり混雜しております。狹に屈曲した廊下が炊事をいたしておりますが、誠に同じ日本國民として、あのような状態にいつまでも置くべきではない。何と考えて見ても、相当立派な家がどんどん建つているのに、引揚者の何十世帶があんな所にうずくまつているというような状態は我々はどうしても看過できない。速かなる対策をされることを我々も期待しておるのであります。本人はそれ程に困つたことはない。お蔭さまでここにおられますと言つておりますが、我々の眼で見たとこでは、いつまでもああいうことではいけないという思つております。今度和歌山縣には引揚促進の援護対策審議会が出來まして、百万円程お金の募集をやつておるようであります。まだ未帰還者が和歌山縣には三千人あります。未亡人の保護指導対策につきましては、援護会経営の母子僚がございますが、これは相当うまくやつております。熱心な寮長の経営でありまして、仕事は主にミシン等をやつておりますが、これは相当な成績を挙げておりますが、併しこれにも憂うべき現象があります。稼働労力のあるところの者には生活保護を停止されるために、労働意欲が非常に減殺されるということと、それからどうもそういうことになつてぶらぶらさすと風紀問題を起して來て、さまざまな醜聞が出て來るということで、とにかく生業に早く就かさなければいかんというふうに心配しておられましたが、誠に同感したのであります。
 庶民住宅は、何人も燒けたところなら要るが、燒けない和歌山縣は、大体和歌山市が燒けておるだけでありますが、それでも農村に至るまで住宅には困つておる。何故かというと、大阪府近から疎開して來て落着いておるのが大分あるので、やはり住宅対策には困り切つておるというようなふうであります。
 災害復旧費といたしましては、和歌山縣では四百万円持つておりますが、和歌山縣は御承知の通り地震があつたり、津浪があつたり、天災がとにかく多いところでありますので、災害復旧費は四百万円くらいでは少い、一千万円くらいは少くともなければならんというように言うております。今は四百万円くらいしか持つておりません。概してそういうふうでありますが、座談会をやりまして、三十数名社会事業のメンバーが寄つて参りまして座談会をやりましたが、そのときの要望事項を簡單に申上げます。
 要望事項といたしまして、いろいろ只今まで申上げた中にも入つておりますけれども、取立てて別のものといたしましては、パージの將校中の衞生部員が相当ある。それで何とかしてパージの將校中の衞生部員だけを緩和して貰つて、実務に就かして貰いたいという珍らしい要望がございました。成る程衞生部員が少い場合においては、パージに立派な將校の医者なり、衞生部員があるなれば、それは何らかの方法で請願し、懇願するなれば、何とか方法は緩和されることがあるかも知れんと思つておつた次第でございます。
 優生保護に対しましては、どこにも要望がありましたが、人口の増加は、とても日本の人口増加は抑え切れんのじやないか。優生保護法ではいけないのじやないかというので、優生保護法は質の向上を図るためにやつたのでありますが、只今一般國民の憂えておるのは、質の問題よりも量の問題を憂えておるのでありまして、優生保護法の中に、どうしても優生保護法の改正をして貰うか、別個の立法をして貰わなければならん。先程も他の中山委員、姫井委員からおつしやつた通り、ただ経済的の問題をどうしても入れて行かんというと、多産の母親は却つて強いじやないかというようなことを言つて、母体に影響するから妊娠中絶をして呉れというようなことを言う。母体に影響しない者にはできないじやないかというようなことになりますから、やはり何かの方法で多産を抑制する方法、つまり文化が進むなれば自然と避妊法でうまく行くんでありましようし、又現在各國もその避妊法でうまくやつておるのでありますから、日本が避妊法をうまくやらんということはない。文化が進めばひとりでに解決する問題ではありましようけれども、今の日本の現状といたしましては、まだまだ文化が低い。それで何かの方法で多産を或る程度抑制をするということの方法をやつて呉れという、こういう要望があつたのであります。
 兒童局の廃止は反対の要望が多い。それから國立病院がない。これに対してもつと一つ國において考慮して貰いたいということ、それから共同募金に対する免税興行の許可をやつて貰いたい。これは兵庫縣は可能になつたということでありますが、地方財政委員会の方へ諮つて呉れというような希望があつたのであります。それから兒童福祉司はやはり各縣市に一名宛ぐらいは是非設置して貰いたいというのであります。それから國民健康保險法により医療費の支拂遅延の問題、保險金を他へ流用しておる噂がありますが、これはどういうふうに流用する方法があつたか、そういう噂があるからして早く貰えないというのであります。生活保護法の市町村の一割負担は止めて、國庫全額負担にして呉れということはどこでも言うておりますが、ここらでも大分要望がございました。併しこれは國の財政の上におきまして、我々それはよろしいとは決してよう言わなんだのであります。
 それから厚生省の官僚化問題でありますが、厚生省では國民の実に困難な状態を訴えるのであつて、一つの組織を持つた團体交渉というものは行えない。大部分はこれは主に民生安定のために起きて來る個々の問題で來るのでありますが、厚生省へ行つたときの感じがどうも官僚化していかん。もつと民主化して貰わなければいかん。持つて行きさえすれば厄介なものを持つて來たように言われたり思われたり、極めてお坐なりに扱われたりして、本当に身についた氣持でその本人の氣持になつて、ああそうか、ああそうですか、その点はそうですかというふうに深切に聞きおらん。大抵撃退しよるというようなことを聞いておる。これはいかん。これは我々常に考えておるんですが、もつと官僚化しないように民主化して、特に厚生省は民生の安定ですから、労働省みたいと組織で、ダーツと來るのと違つて、一人々々が特別な用件を持つて來るんですから、どうか氣長に扱つて貰いたい。決して疎かにしないように、それは我々も同感で、それはそうだと言つておつたんですけれども、あなた方も考えて貰いたい。局長あたりはそうでもありますまいが、事務官にそういうことがちよいちよいとあるかも知れませんから、どうか氣を付けて貰いたい。
 それから要望は今後どうせ出ますが、中山委員、姫井委員等からも申上げたいろいろな要望はお耳に入つたと思いますが、これに対して何かお考え向き、或いは今後の処置についてどうかこの要望に対しまして何か具体的な問題、或いはお考え向きを聽きたいと思います。私のはそれだけにいたして置きます。
#9
○委員長(塚本重藏君) ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#10
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて下さい。
 それでは暫時休憩いたします。
   午前十一時四十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時二十九分開会
#11
○委員長(塚本重藏君) 午前に引続き開会いたします。東北――山形、福島、栃木三縣におきまする視察の報告は、これを大別いたしまして、衞生関係、民生関係といたしまして、衞生関係の報告を竹中議員からお話し頂きます。
#12
○竹中七郎君 我々東北班におきましては、山形、福島、栃木三縣に亘りまして、衞生並びに民生の両方面の視察調査をいたしたのでございます。私は、その中におきまして、衞生方面に関する視察状況を御報告申上げたいと思います。詳しいことは、三縣の衞生部から提出されましたいろいろな資料によつて專門員室にありますから御覽願いたいと思います。私はその中におきまする主なるものを御報告申上げたいと思います。
 先ず第一に結核予防施策状況でありますが、この問題、性病予防施策、環境衞生、その他一般病院、優生保護、藥品、こういう問題に対しましては、各縣におきまして保健所が現在モデル保健所は非常に完備いたしておりまして、三縣とも誠に東京の杉並保健所以上のものができまして、これならばこれが本当に活躍いたしまするならば、こういう衞生方面に対しまするいろいろな施策が十分に行くであろうと思いますけれども、まだ各縣ともモデル保健所一つが完備いたしまして、その他のものではまだなつておりませんので、いろいろな点におきまして、今後の三年計画、或いは四年計画、五年計画において完成するものと思うのでございます。結核状況におきましては、山形縣におきましても、福島縣におきましても、栃木縣におきましても、二十年、二十一年、二十二年、二十三年と行きますというと段々低下しておる状態であります。
 先ず福島縣から言いますというと、二十年が千人に対して、一七・六、二十一年一六・二、二十二年十五・九、二十三年一四・九、栃木縣におきましては二十年一六・〇七、二十一年九・四六、二十二年におきましては九・四五、こういうような状態になつておりまして、二十三年は報告はなかつたのでございます。山形縣におきましては、二十三年が一八・二というような状態でありまして、これもBCGの普及その他におきまして各医療機関が総動員しておりますために低下しておる状態であります。
 性病関係におきまして、山形縣におきましては三千三百十四、福島縣におきましては六千五百四十七、栃木縣におきましては七千二百七十四というのが二十三年の統計でありまして、相当あるのであります。医師の分布状態におきましては、山形縣におきましては病院が二十九、診療所が五百九十九、医師八百五十一、歯科医師二百六十五、無医村は四十一ありまして、医師一人当りの場合におきましては千五百八十人に一人、併しこの無医村におきましても、その近村に医療機関がありますので必ずしも四十一ということは言えないのであります。
 福島縣におきましては病院が五十五、診療所が歯科医師と両方で千百三十五、医師九百四十六、歯科医師四百八十九、無医村は九十二ありますが、近隣その他におきまする医院施設がありますので、実際無医村と称せられるものは四ケ町村であるのであります。
 栃木縣におきましては病院四十五、診療所七百十八、医師千十五、歯科医師四百六十四、無医村は六ケ所、医師一人につきまして千五百人と、こういうような状態にありまして、保健所の方におきましては山形縣が十、福島縣が十六、栃木縣が十一でありまして、十万に対する一ケ所というわけには行きませんが、十五万ぐらいに一ケ所の程度に大体保健所がなつております。今後この保健所を中心にいたしまして、性病或いは結核、こういうものの充実を図るのにおきましては、このモデル保健所に做いました、これに準じたところの保健所を早く作るということが最も必要であると考えるのであります。
 國立病院その他を視察いたしまして我々感じ、又國立病院がこの度は自給自足になるというような話を聞いておりましたのでありますが、元來國立病院は軍のものが多くありまして、まあ繁華地と申しますか、非常に地の利を得てない。又その建物が非常に経済的にできていない。こういう点でありまして、且つ医師と事務員とのバランスが取れていない。こういうようなことを考えますときにおきまして、よい医師がおりますと、その病院の收入は上る。こういうことを考えますと、事務員が多過ぎて医者が少いという非常な弊害があり、この病院が研究機関が充実しておらないためによい医師が來ない。こういうことでありますために、経済的に悩みがある。現在いろいろ要望を受けて参りましたときにおきまして、研究施設の充実と医師の待遇、事務員は行政整理において少くしてもよろしいが、医者は絶対にこれを少くしてはいけない。現在の状態におきますと、三割の國庫補助がなければこれは経営ができないというような状態になつておるのでございますから、この点は我々は強く当局に要望する次第であります。保健所の方におきましても、医師或いは保健婦の問題でございますが、これも保健婦が又充実していない。モデル保健所においては大体ございますけれども、外のものには殆んどこの問題に悩みがある。こういうことは医師の待遇と保健婦の待遇が事務員並になつておる。本当に働く者がその下にありますが、現在の給與法というものに矛盾があるのではないかということを我々は感じて参つたのでございますから、今後この衞生方面を充実するには、保健所並びに國立病院に対しまする厚生当局の重大なる決意を以てこれに臨まれなければならないということを、三縣の保健所並びに國立病院を視察いたしまして私が感じましたことであるのであります。その他環境衞生その他のものに対しましては、これも保健所が本当に機能を発揮いたしませんときにおきましては、これは十分にならんのでございますので、この保健所の充実ということが必要であるということを痛切に感じて來たのでございます。
 優生保護法の実施の問題に対しましては、各縣これが施行方法に対しまして努力しておりますけれども、まだ実施後その期間が少いのでありまして、まだ十分なるものになつていない状態であります。健康保險の問題でございますが、普通健康保險におきましては、段々と健康保險患者が多くなつて來た。そして家族の利用者が非常に多くなつて來ましたために、健康保險経済というものが非常に危機に迫つている、こういう状態でありますので、この事務費その他に対しましては増額を願いたいという要望がありますし、又各医師に対しまする支拂いの面におきまして、或る病院のごときは相当の、百万以上の未收入状態にある、これではやつて行かれないというような切実なる状態を伺つて参つたのでございます。
 國民健康保險の問題でございますが、これは三縣におきまして最も関心を持ち、又充実いたしておりますのは山形縣でありまして、山形縣におきましては、私観察いたしまして、特に山形縣を國民保險のモデル縣として一つ取上げられたらどうかというようなことまで感じて参つたのでございます。山形縣におきましては市町村が二百二十五ありますが、旧國民健康保險組合におきまして二百二十四ございまして、現在におきましては百八十四やつておりまして、その改組いたしましたのが約八十五であります。從つて二十四年度において全部やる、こういうようなことを申しておるのでありまして、この國民健康保險はいろいろな問題がありまして、國民健康保險が他の二縣におきましてはまだ三分の一或いは半数ぐらいしか改組されておらないというような状態にありますのに拘わらず、この山形縣におきましては、特に一毛作であり、いろいろな経済的な面におきまして、この疾病と経済というような面から考えまして、殆んどの各市町村が國民健康保險を施行するようになつたということは、経済面がその大原因であると共に、この普及徹底に当局者が盡力せられているのであります。その方法におきまして、給付の関係或いは掛金の関係その他に対しまして、特に我々参りまして或る町村の方々の要望を承わりますというと、やはり事務費並びにこの國民保險を本当にやるならば國庫の補助が相当なければやつて行かれない状態にあるから、この点をお願いしたいというような問題であります。即ち國民保險に対しまする國庫補助の大幅増額であります。
 そして第二におきましては、國民健康保險事業に要する費用の負担基準の法律化について。これは國民保險事業に対する費用の負担基準をはつきりして貰つて、そうしてやれるように一つお願いしたい、こういうようなことを特に要望しております。
 第三におきましては、指導機関の拡充強化、この問題も各府縣におきましては、國民健康保險課のようなものを設置して呉れ、或いは地方事務所におきまして專任の職員を置いて貰いたい。そしてこれに対しましては、國庫の予算的措置を講じて貰いたい、こういうような要望があります。
 次には第四といたしまして、社会保障制度の実施促進、これはまあ社会保障制度の審議会ができましていろいろおやりになることと存じますし、我が厚生委員会におきましてもこれは研究いたしておりまするが、これによりましてはつきりしたところの國民健康保險が十分行くように現在におきましてはやつているけれども、非常に苦しい立場にあるから、これがためにこのことにつきましてどうか國家の方で考慮して貰いたいという要望があつたのであります。
 甚だ簡單でございますが、以上が三縣の衞生状態であります。
 詰まるところ、保健所の整備ということが、結論的におきましては、衞生行政の末端の機関といたしまして、これが充実に対しまして政府におきましては特に力をいたされることが必要ではないかということが、調査いたしました我々の得ました観点であるのであります。
 次に我々が参りました最も重点的なものでありますが、これは山形縣の南村山郡上ノ山町の性病患者発生事件であります。その概要を申上げまして我我の意見を申述べたいと思うのであります。
 本事件は昭和二十三年十二月一日より上ノ山に起りました小兒淋疾の発生につきまして、山形縣におきまして調査されましたものを申上げたいと思います。この小兒疾病の多発を見ましたところの南村山郡上ノ山町の共同浴場七ケ所のうち、二日町共同浴場は、毎年少数の小兒淋疾の発生を見ておりまして、昭和二十一年、同二十二年、同二十三年十一月までのその発生状況は、ここの表にありまする通り、昭和二十一年におきましては十五名、二十二年におきまして四名、二十三年の十月までに二名起つているのであります。温泉利用中長期間のうちにおきまして知らず知らずのうちに感染しまして、漸次慢性に移行いたしましたもので、町民の言うところによりますと、古くから上ノ山の人々は、女子の局部発赤やズロースの汚れ、小兒淋疾と推定されるものでありますが、これは小兒の疳と称しまして、そのまま放置するのが例で、これらの多くは高湯温泉、上ノ山町より十二キロの藏王山の麓にあります温泉でありますが、高湯温泉に行けば治るとされまして、高湯に行つて治療しておつたものであります。小兒の親は共同浴場よりの感染であるとしていましたが、共同浴場よりの感染という確証を得るに至りませず、この山形縣におきましてもその経過を注目しておりましたところが、二十三年の十二月の六日に、上ノ山町十日町性病指定医でありますところの澁谷善秀氏より、南村山郡西郷村におきまして一人上ノ山町二日町共同浴場におきまして淋疾に感染せる旨の届出に接しました。続いて同月十三日に又一人、十五日に二人、いずれも共同浴場で感染せる旨山形縣に報告があつたので調査いたしましたというのであります。この二日町の浴場の患者発生状況を申上げます。十二月の上旬に上の山温泉の共同浴場七ケ所のうち一ケ所の、二日町共同浴場を使用しておる一般町民約二千名のうち、女子浴場を使用しております小兒、学童中に淋疾九名の発生を見、更に健康診断の結果、二月二十一日までに小兒、特に学童間に九十六名の患者を発見したのであります。患者の発生数は、昭和二十三年十一月から昭和二十四年の二月までにおきまして、十一月が四名、十二月が九名、一月が四十名、二月上旬が十一名、不明のものが三十名でありまして、九十六名となつております。年齢別に見ますというと、一歳から五歳までが十一名であります。六歳から十歳までが二十一名、十一歳から十五歳までか四十七印、十六歳から二十歳までが十三名、二十一歳以上が四名、計九十六名であります。この発生原因並びに傳染経路を山形縣におきまして調べられました結果は、一つは、一、といたしまして各期氣温の低下に伴いまして、特に夕方より夜間に掛けられまして、特に夕方より夜間に掛けまして、湯の温度が、三十八度の低温を示しておるということであります。第二は、十一月下旬二日町共同浴場におきます細菌檢査の成績によりますと、一CC中に十二万の菌数を示し、極端なる汚染度を示しておつたのであります。三、は淋疾に罹患した賣淫常習者が、当時入浴し、淋菌を以て浴槽を汚染し、直接感染の原因になつたものと思われるのであります。四、は現在判明いたしました傳染経路というのは、賣淫常習者があつたということと、浴槽を介しまして小兒の間に九名の淋疾患者を発生し、第二次的に小兒間に流行したものではないかと思われるのであります。この表にあります通り、この二人の賣淫常習者がありまして、これが二日町に來た、そうしてこの女の方に会つて、又男に会つた、この四人はこういうようなわけで段々感染いたしましてそういうふうになつた。もう一つは、浴槽の位置でありまして、一番沢山できたので二日町の共同浴場でございます。この源泉、湯元は、この近所にあるところでありますが、冬期におきまして、源泉におきましては五十度近くであると申しておりますが、それがここに参りますと、夏の間なら四十度以上であるが、冬になりまして、又夜間の方になりますと三十八度くらいになります。こういうことがあります。山形縣におきましては、これが対策といたしまして、先ず第一に共同浴場の湯温の上昇を図りまして、共同浴場の湯温の増加を図るために、一般の旅館への分湯量を規制いたしまして、旅館へは成るべく少くして、絹同浴場へ沢山やる、共同浴場の源泉の扱み湯は附近の町民その他がこれを使つておつたのでありますが、これを禁ずる。男女を隔日に入浴日を定めまして、入浴人員の制限を図りまして、この湯の温度の低下を防いだ。そういうような対策を構じました。第二においては、健康診断を行う。学校及びPTAの自発的要求によりまして、山形保健所におきまして、尿の檢査を実施いたしましてこれが対策をいたしたのであります。これはちよつと省略いたします。就学前の少年の檢査をやりましたのでありますが、これは檢査人員が六百七十三人でありまして、淋菌の陽性者が四人あつた。それから賣淫常習者の被疑のある者、例えば貸席業の從業員、旅館の女中などに対しましては警察の力を借りましてこれが健康診断を実施しつつありました。傳染源と思われまする婦人の健康診断につきましては、一般婦人の自発的な健康診断を奨めております。尚性病予防法第十二條の健康診断の全然的発動につきまして、これを厚生省に今承認を得ておろうという状態まで行つておると申しておりました。治療におきましては各医師並びに保健所が全力を挙げましてこれが全滅に盡されまして、我々が参りましたときにおきましては、殆んどもう九十六名のうち七十九名は二月の中頃におきまして癒つておる。かように申しておりました。その他におきまして性病の予防思想の普及を町におきまして、又縣におきましてやりまして、講演会とか座談会その他の催し、町の指導者、或いは一般婦人に対しまする性病予防の知識、性病に対する知識、こういうものを普及いたしておりました。次には一般の浴場の問題でありますが、これが二日町の浴場であります。ちよつと絵が甚だ浴槽側が小さくて洗場が廣くなつておりますが、本当はもつと洗場が非常に小さいのでありまして、これが〇・七二メートル、二尺もないくらいで、洗場ではなくて、ここで洗えなくて皆この縁に腰を掛けてお湯に入る。この縁がタイルか、或いは石かなんかになつておりますればいいが、腐朽いたしました木でできておる。そうして又洗場の勾配が殆んどなくて、ここに水、と申しますか汚染されました湯が始終停滞しておる。そうしてここへ腰を掛ける。感染した菌保有者が腰を掛けて、温度が低いために菌が死ないで他の人の中へ入つて來るというふうに考えられる。この洗場の問題、それから浴槽の問題、それから湯の温度の問題、それから湯量の問題、こういう問題で二日町に一番多くなつたのであります。この全体の浴場の設備その他が不完全であるということを我々は感じて参つたのであります。この中湯というものは、これは町で作りましたのでありまして、皆タイル張りになりまして、この洗場はやはり我々ももう少し、一米以上の幅がなければならないと思いますが、これは一メートル切れておりました。これは割合に完備しておりました浴場であります。共同浴場としては洗場さえよければいいのじやないかという感じがします。これもちよつと古くなりましたけれども、相当大きなものでありますけれども、それでも洗場が実に狭くできておる。旅館その他に行きますと、洗場が相当廣くなりますが、これはそうじやなく、成るべく経済的にやつておるのでありますが、こういうことを感じたのであります。我々はこの問題に対しまして、ここの上ノ山温泉場が全部無料である。赤湯の温泉を私たちも視察いたしましたが、これは有料であります。非常に安い料金をとつておるのでありまして、所の人は三十銭、それから外來者が一円。ここは全部無料であるために、子供たちが殆んど遊び場にしておる。温泉をいつでも、お前喧嘩したら一遍お風呂に入つて來いというようなわけで、これが遊び場になつておるということを感じますときにおいて、この問題は、どういたしましても、或る程度の料金を取らなければいけない。そしてこれが設備に常にそれを充てて参らなければならないような感じを、我々は持つたのであります。現在におきましては、洗場が狭くありまして、その縁の腰掛ける、こういうことでありますので、縣におきましては、各一般入浴者におきましては腰掛を持つて参れ、こういうわけで、板を一枚ずつ持参して來なければ入れないというような処置を採られたのであります。又浴場の清潔保持のため、十一時以後の入浴を禁じて、浴槽内の清掃を図られておるのであります。又その他まだ浴槽、その他の衞生設備の充実はできておりませんが、特にこういうことを我々は強調して参つたのであります。
 その他いろいろありますけれども、現在この問題に対しまして縣の処置というものは、大体納得が行く問題になつておりますが、只今私が申しました通り、特に我々が要望いたのは、或る程度の低額の有料にして、そしてその設備をよくすること、その管理をはつきりしてこれが監督に從事させなければならない。洗場のいわゆる内部設備の改造をしなければならない。そのためには保健所が特にこの問題に対しまして、関心を持ち指導をしなければならない。もう一つは花柳病が、一番初めに申し上げましたように、この地方におきましては、高湯に行けば治る、淋病なんぞなんでもないというような観念を去らなければならないということを、この上ノ山におきまして、我々座談会をいたしまして、各地方の有力者その他関係者が集まつて頂きまして、いろいろ座談会をいたしまして、我々の意見も申述べて参つたのでございます。この問題はひとり上の山の問題でなくて、全國の温泉全般の問題でありますので、我々はただこの状態を視察いたしましたけれども、この問題に対しまして、我々厚生委員といたしましても、又厚生省とされましても特に取上げられまして、十分なる今後の発生を防止するために努力せられんことを希望する次第であります。我我はこの上ノ山の温泉に対しましては、現状の視察並びに二回に亘りまして、この地方の有力者の方々、或いは婦人会の方々と、懇談をいたしまして参つたのであります。これが取上げられまして、上ノ山温泉が非常な打撃を被つたというような。何と申しますか、愚痴の言葉を言われたのでありますが、こういうものが取上げられましたために、全國の温泉に対する國民の関心が深まり、厚生省の方々の関心が高まつて、改善せられることになりますれば、非常な、この一事が全般に対しまする一つのいい刺戟になる、かように考えた次第であります。甚だ長々しく申上げたのでございますが、以上我々が調査いたしました結果を報告いたします。
#13
○委員長(塚本重藏君) 続いて、同じく東北三縣におきまする視察の民主関係の事項につきまして、山下委員から御報告を願います。
#14
○山下義信君 私は東北三縣におきまする社会福祉実施状況に関する御報告を申上げます。先ず大体のことを申上げまして、その次に我々の視察の重点でありましたいわゆる東北地方における兒童身賣問題についての調査の結果を御報告いたしたいと存じます。
 先ず施設を見ました数が、山形縣におきまして五ケ所、福島縣において四ケ所、栃木縣において四ケ所、合計十三ケ所の母子寮とか、授産所とか、保育所とか養護施設というようなものを見たのであります。そうして他の地方の視察の同僚諸君と同じように、生活保護法の施策の状況、兒童福祉法の施策の状況というような問題を中心に、現地におきまして関係者の報告を聽取したのであります。詳細なことは各関係者の提出の資料に讓ることにいたしまして、大体のことを申上げたいと存じます。
 先ず山形縣におきまして特に眼のつきました点は、未亡人の問題を兒童相談所で取扱わさしておるということであります。これは極めて適切な処置であると存じました。それから山形縣の兒童相談所長は婦人でありました。その人が適任であるかどうかは別といたしまして、これも特異の点であります。それから同じく山形縣の米沢市、これは古い都市でございますが、社会事業の熱意が幾らか出て参りましたようで、種々なる計画を立てております。十分にこれは援助してやるべきであると考えました。山形縣の縣当局の方針といたしましては、從來團体又は個人が経営しておりましたものは、漸次市町村の経営に移す考えであると申されました。公営主義を採るという……又今後新たに設置するもの、或いは設置を奬励しようとするものは、成るべく市町村立でやらせる方針だと申しておりました。これらの方針は注目する價値があると思います。まあ民生事業と関連いたしましての問題、或いは要望事項等も聞き取りましたが、これは後から一括いたしまして塚本委員長も同行いたしておりましたから、或いは塚本氏から又木村專門員から補遺して貰うことにいたしまして詳細は省略いたします。ただ注意すべき要望事項を二、三申上げますというと、兒童福祉司の権限をもつと強化しろという意見がありましたが、成る程と思います。それから福祉司の増員等は午前の関西班の報告にありました通り要望いたしております。兒童相談所に兒童問題の研究所を設置する。これに法的根拠を與えてそういうことにやつたらどうかという意見がありました。これ又尤もと思うのであります。それから保姆の資格でありますが、これは資格を規定するばかりでなく、もう一つ制限を加えて免許制度にしたらどうかという意見もありました。研究の價値があると本員は考えます。それからこれはどこにでも共通の要望でありますが、ララ物資の配分を砂糖室にもするようにという意見もありました。いろいろ兒童関係の山形縣におきまする特殊の状態も数字的に調査いたましたが、ここでは省略いたして置きます。
 福島縣におきましては縣費で以て民生委員に相当の手当をやつております。國費での民生委員の手当の増額を待つまでもなく縣費でやつておる。社会施設の火災予防についても福島縣は注意を拂つておるようでありますが、これらの施設の火災予防に必要な消火器、ホース等を本省でも十分斡旋して貰いたいという要望がありました。要望の中の一、二を申述べておるのであります。福島縣の軍政部の意見として、おしなべてこれは東北三縣の我々が視察した地方に通じて言えることでありますが、社会福祉施設に氣の利いたものがない。たまたまあれば荒廃しておる。つまり新らしいものはない。皆十数年、或いは数十年以前に造つたものそれだけであります。而もそれがすべて荒廃しておる。又火災予防が至つて不備であるというようなことを申しておりましたが、これはそのまま取つて総体的な我々の所感と言い得られるのであります。それから同じく軍政部の意見として、生活保護費の支給の内容が極めて複雜で難解である、又その支拂が果して適当であるかどうかということを調べることすらも不可能であるという批評をいたしておりましたが、我々も十分この点は分つておるのでありまして、今後研究を要すると思うのであります。すべて厚生行政方面に対するところの監督が行届いていないということを指摘しておりましたが、参考に資するに足る言であると存じます。福島縣におきましては授産所の運轉資金としまして、縣費で以て、金額は多額ではありませんが、二百万円程度であります。けれども、一定の利子を取りまして授産所の運轉資金を貸しております。他府縣もやつておるかどうか、社会局では分つておると思うのでありますが、私は成る程これはいいと感じたのであります。福島縣の兒童福祉司の四名中三名が婦人の福祉司であります。併し遺憾ながらその能力には十分な信頼が置き得ない程度のものでありました。婦人の福祉司というのは非常にいいと思いますが、若し今後採用するならば適任者について十分に考慮しなくてはならんのではないかと考えます。同縣におきましては、明年度から縣立の保姆養成所の設置計画があります。又同縣の未亡人連盟は組織がややできておる状況でありました。要望事項は省略して置きます。
 次に栃木縣でありますが、先程も同じく姫井君の御報告の中にもあつたと思うのでありますが、栃木縣におきまして未亡人の状況を調査したものがたまたまその資料が提供されまして、それによりまして調査をいたして見ましても、この保護を要します未亡人の連れております子供の問題が非常に憂うべき状態にあるということが明白になつております。一万三千九百八名の未亡人を調査いたしました中に、扶養を要する且つ又扶助を要する子女を抱えております未亡人の子供の数は実に二万九千九百八十三名に達しておるような状態であります。そうしてその生活状態も辛うじて生計を維持しておりますものが四千二百十七名、生活扶助を受けておりますものが二千五百四十名というのでありますから、四八%五八の未亡人は実に多数の子女を抱えて今日が非常に窮迫しておるというような実情であります。でありますから兒童問題は少くとも五〇%は同時に未亡人の問題であるということも言い得られる状況が栃木縣において明白に判明いたしておるのであります。要望事項の中で相当重要と思われるようなものもありますが、これ又省略いたしまして、後者に讓ります。先程申上げましたように総体的に申上げますというと、東北におきまするこの社会福祉状況というものが極めて低調である、あれどもなきがごとき状態であるということを言い得られるのであります。
 次は問題の兒童身賣事件でございます。これは申すまでもなく非常に重大な問題でございまして、我々はただ單に東北地方における特殊な事件というものを取上げて調査するというのでなくして、恐らく大同小異のことが全國的にあるだろう、從つてこれらに対する対策というものは余程考えなければならんということを考えて、同問題の調査に当りました次第であります。簡單に申上げますと、この東北地方の殊に福島縣、山形縣、栃木縣三縣下に亘つての兒童身賣問題は言うまでもなく古い因習であります。それが今日まで残つておる。又今日まで多少形態は変りましても、同趣旨のことが行われておるのであります。それらの因習につきましては、大体本院におきましても承知されておるのでございますから、詳細は省略いたしますが、要するところ貧困の結果子供を金に換えて賣るという習慣であります。いろいろ人口政策の上から、旧藩時代これらの防止に努めた、子供の身賣或いは間引きということの防鉄に努めてようでありまするが、この弊習は牢固として今日まで残つて來ておるのであります。現地に参りまして判明いたしましたことは、殆んどといつてよろしい程関係者がこの因習を是認しておるということであります。いろいろと弁護するのであります。改めようとするような意向が見えません。いい制度であると言うのである。同時に非常に意氣込んでこの惡弊を匡正しなければならん、惡習を打破しなくちやならんと勢込んで参りました者も、一日か二日現地に滯在して現地の関係者の意見を聞いているうちに、いつの間にかこれに同化される傾向があります、ということが判明いたしたのであります。例えば村山山形縣知事は昭和九年にも甚だしい事例が起つた。この地方では養子に行くのが通念であつて、根本的には惡いとは思つていないと考えて、兒童身賣を養子に行くというようなことと一緒に考えておるのであります。山形縣の民生部長の報告書の中にもいろいろ書いてありまするが、一番終いに、農村の子供を賣ることは半ば風俗化しておるような有樣であつて、農家では左程重大には考えていないのであるというようなことを報告書の中に言うておる。又福島縣の兒童福祉司の平田秀子君は、東京で新聞を見て兒童の身賣り問題というような言葉から受けておいでになる感じと、こちらの実情とは別物でございますというような説明をいたしておる。又民生委員である若松の市会議員の一人は、これからも今まで通りやつてよいと思うておる、この有樣を今後続けても差支ないと思うということを若松市役所の懇談会で公々然と述べております。又若松市の社会課長も兒童の福祉のためにはこの状態は是認するの他はないという意見を述べております。何が故にこれらの人々がこの因習制度を是認するかと申しますと、大体次の諸点であると思う。日本の実情では致し方がない。或る意味において兒童のよい配置轉換である。又食べ物が十分食べられるということは何よりの仕合である。こう言うのであります。実際問題としてはどうにも他に方法がないではないか。こう反駁するのであります。結局これはかわいそうな子供を助けてやつているのである。こう言うのであります。仲介人制度は惡いかも知れんが、今では先方の親や或いは兄弟などが連れて頼みに來るのであるから、これを引受けてどこが惡いか。こう言うのであります。又現に子供を買つておる側の者たちは、自分の子供と同樣にしているのであるということを強弁いたしておるのであります。仕事らしい仕事は子供にさせておらないと、こう言つておる。足利地方ではこれまでの年期制度は段々薄らいで來て、少年工、つまり子供たちを使うておるけれども、むしろお客樣扱いにしておる。こう言うておるのであります。子供が帰りたいと言わないのは満足しておる証拠である。こう言うのであります。それらの代表的意見というものは栃木縣の兒童課長の報告というものを一覧すれば判明いたします。併しながら本員らが調査いたしました結果、如何に関係者たちが言葉を巧みにいたしまして強弁をいたそうとも、この現在の兒童が養われておる、雇われておる、里子に行つておるというそれらの動議はすべて功利的動議であつたと言う以外に何物もありません。具体的な事例はすべて調査の書類の中に十分にありますから、改めて詳細はその点で御覧を願います。ただ栃木縣におきまする里子の一般調査表はやや完全に近いものがありますから、その中から挙げて申しますと、五千四百八十六名の問題の兒童につきまして調査をいたしました結果、労働に從事させるために養育いたしておるというのが千四百四名、二五・六%を占めております。家事使用のためと特にはつきり言つておるのが一千四百一名、これ又二五%四を占めております。仕事見習のためと称しておる者が一千二百六十八名、二三%であります。合せまして、養育の動議とはつきり調査の上に現れておりますものが、子供をとにかく使うためであると言つておるのが五千四百八十六名の中で実に四千七十三名、即ち七四%強を占めておるのであります。如何に養育者側その他の人々が種々に申立をいたして見ましても、これらの調査表の数字が明らかに使用目的のために子供たちが賣られたり、里子にやられたりしておるということは明白であります。眞実に里子にしようという考えで子供を養育しておるという者は五千四百八十六名中僅かに四%に過ぎません。即ち二百三十名程度の者が里子というような考えで養つておるというのであります。これは視察の最終日の三月十一日に栃木縣廳におきまして座談会をいたしましたときに、この因襲制度の妥当性を出席者が種々に主張をいたしておりました場合に、たまたま同行いたしました厚生省の事務官から、兒童福祉法の里親というものはどういうものを要請しておるのであるかと、かように里親の適格條件を説明して頂きまして、そうして里子処遇についての愛情の深甚の必要を説明するに及びますと、列席の面々が俄然として悉くそういうむずかしい里親ならば、里親の登録は希望しません、むしろ労働基準法による雇庸契約の届出の方にしましようということを口々に申し出しました。これを見ましても、兒童養育のすべてが功利的動議であることを暴露いたしておる次第であります。即ち彼らの温情というものは雇主としての温情であり、徒弟制度の親方としての温情の域を出ないのであります。又成長後における低廉なる労働力の確保を目的とするところの温情である。恩に着せるところの温情である。我々は現状是認論者の主張をそのまま安易に受取ることはできないと痛感いたした次第であります。厚生省が里親として要求いたしておりまする要件につきましては御承知の通りであります。これを簡單に別の言葉で申しますと、深い愛情で包まれること、我が子同樣であること、学校に学ばせること、將來を束縛せずして自由で樂しいこと、よい躾けを受けること、こういうことが内容でなくてはならんと思う。然るに今三縣下におきまして、里親と称する者の実態を見ますると、先ずその家庭の状況、例えば山形縣の一千二百九十九名の調査につきまして、経済状態の余り面白くない状態の者が七百八十九名、生活の窮迫した者が二百二十八名、生活に窮迫しておる者二百二十八名が子供を預つて、そうして己の労働の補助に使つておる。その中には生活保護法の適用を受けておる者が五十二名おる。生活に余裕なくして己が生活保護法の適用を受けておつて、尚他人の子供を預かるというのは何の目的であるかというと、言うまでもなく分るのであります。大部分は中以下である。里親として適当ではありません。栃木縣下の五千四百八十六名の調査につきましても、その生計の程度は中が二千百六十七名、丙が百三十二、即ち中以下のものが半数を占めておるのであります。從いまして、それらの子供の中におきましては、実に九百九十七名の不就学兒童を示しております。そうして注目しなければならませんことは、現在子供を養つておりまするそれらの家庭の多くは、皆多数の実子を持つておる家庭である。多子家庭である。栃木縣下の平石村の一例のごときは、五人、七人の実の子供をかかえておる家が可なり多いのであります。これは何故かと申しますと、子供が多いと手が足りない。從つて他人の子供を預つて労働に使うのであります。詳細なことは、これ又割愛いたします。が、その多子家族の状態、即ち子供を預つておる者の多子家族の状態は、栃木縣の兒童相談所の里親調査表を見れば直ぐ分ります。三十三名の家について里親を調査いたしました中に、六人以上の実の子供を持つておる者が二十名ある。里親の登録を希望して参りました者の三十三名のうち、自分の子供を六人以上持つておる者が二十名里親になりたいと言つて來ておるあと十三名はどういうのかというと、五人が五名、四人が五名、三人が三名である。かような者が里親の希望を兒童相談所に申出ておるのであります。又平石村の実際の里親と称しております渡辺富三郎方の実地について見ますると、大槻ヨシノという女子が、三ケ年になりますのに、その間、半道足らずの所に宇都宮という都市がございますが、その都会に出たことが三べんくらいしかない。言い換えれば、映画を見に参るというようなこともめつたにないというような状態である。でありまするから、眞に彼らが実の子同樣の生活をさせて貰つておるか、或いは小遣い等が與えられておるか、或いは学用品等が與えられておるか、遊び、娯樂等が與えられておるか、実の父母との面会等も自由にされておるかというような点を微細に調査いたしますると、恐らく思い半ばに過ぐるものがあるであろうと思う。
 以上を概観して見ましても、現状の大部分は、福祉法が希望しておるところの里親としては不適当であるということを本員らは断定いたしました次第であります。
 一面飜つてその兒童の実家を見ますというと、その悲惨なる有樣は、ここに詳細に申すに忍びません。これらも三、四の家庭につきまして我々は調査をいたしました。併し久しくその家に佇むに忍びませんで、匆々でございましたから、詳細は調査いたしかねましたが、会津若松市鶴岡町一丁目の佐藤ミヨという三十八歳の家庭のごときは疊三枚しかございません。而もその三枚敷きのところは板の間に「むしろ」でありまして、何にもありません。押入れもなければ、蒲團もありませねば、ただどんぶりが二つ三つ、お茶碗が二つ三つ古ぼけたのがあつたばかり。そうして三尺四方の破れたような蒲團がたつた一つ。そこに子供が三人も四人も、その僅かの蒲團の中にくるまつて寝ている。そういう子供が鈴木安治という職業的仲介人の手によつて賣られております。他の家庭につきましても同樣であります。五人の兄弟が離れ離れに賣られております。ここで注意いたさなければなりませんことは、栃木縣の平石村は御承知のごとく、多数の兒童を養つている村でございますが、これらの子供のうち、五十七名について調査いたしますと、一般の貧困兒が四十四名で、又一般孤兒が七名、戰爭によります孤兒が六名ということになつております。詰りこれは栃木縣の里子の親権者につきまして調査いたしました五千四百八十六名について見ますると、その五千四百八十六名のうち、親の欠けた子供が二千四百九十二名を占めているのであります。でありますから、賣られて行く子供というような問題の兒童は、大部分が父親のない者か、即ちこの栃木縣の里子の親権者の調査によりますと、父親のない者は千二百七十五名、母親のない者五百三十四名、両親のない者が六百八十三名、即ち親の欠けた者が二千四百九十二名を占めて、親のない子供が非常に多い。賣られている兒童の大部分はそうだという点が我々注目をしなければならない点であると思います。又賣られている子供の健康状態を見ますというと、概ねよろしくございません。詳細はこれ又省略いたしますが、只今の五千四百八十六名の中で健康状態の思わしくない者が千四百六十七名で、二六%強を占めております。知能状態に至りましては七八%、即ち四千二百九十一名は知能状態の乙、丙の者であります。如何に憐れむべき兒童たちであるかということがこれらの数字によりましても実証ができます。問題の発生、この問題が廣く世問に傳わりましたので、これに随伴いたしまして、類似の状態が各府縣にありますことがそれぞれ報道せられましたことは省略いたします。この問題に対しまして、労働基準局が動いております。労働基準局が活溌に動いている。労働基準法を楯に取つて、その面において兒童を保護する立場でなかなかやつておりました。この問題が大きく取上げられるようになりましたのは、実に労働基準局関係の活動によると言つても過言ではございますまい。が、最近の労働基準関係者は態度が軟化しております。又法務廳も人権擁護の立場におきまして二月四日現地に参つて懇談会をしたり、いろいろやつております。法務廳の人権擁護の立場からの考え方には二派あることが分りました。硬論を唱える者と、多少妥協説を言う者と二派あることが判明いたしました。兒童福祉関係者はどう動いたかということを調べて見ますと、山形縣も福島縣も栃木縣もいろいろと動いた形跡はあります。例によりまして縣廳でその対策の委員会というものを作つて、どうしたならばよい、こうしたならばよいということをいろいろ審議いたしまして、ずつと委員を並べまして、一應いわゆる机上プランとしてはその対策がずつと掲げられてありましてやつておる。結局は若干の子供を栃木縣から或いは福島縣、山形縣へと親の手渡したというようなことをいたしたというだけのことでございます。併しながら実の親に返しましても、実の親は只今申上げましたような惨憺たる家庭でございますから、やがては又元の所へ帰つてしまうだろうというようなことが予想されております。ただこの三縣下の中で、受入側と言うと語弊がございますが、子供を受取つた方の側の栃木縣は、この問題に対しまして若干活溌に兒童関係者が動いておるということが見受けられました。栃木縣の米軍の軍政部がこの問題に可なり詳細なる指示と助言を與えておりますことも分りました。一斉調査などでは調査方法に相当な指示を與えております。中央の関係各省のそれぞれの所管の、殊に厚生省の当面の兒童局長、その他の関係課長が参つていろいろ心配し盡力し、或いは指示を與えておりますことも分りました。併しながら尚未だ抜本塞源的な指導方針と申しますか、これらの解決策がはつきりと示されていないという何だか物足りなさの状態にあるというのが眞実の現状であります。
 以上大体申上げたのでありますが、最後に栃木縣におきまして、座談会をいたしましたときに、我々委員の側で同行の厚生省事務官の援助を得て話題を作りました。それらの話題によつて懇談会をいたしましたことによりまして、この問題の眞相が最後に大体把握できたと思われるのであります。それは一應省略いたします。
 結論といたしまして、本員は次の通りこの問題につきまして報告いたします。本問題は年少兒童の労働違反事件であります。これが第一点。第二は、東北地方に特に甚だしいのでありますが、全國的の問題でありまして、かくのごとき境遇に置かれてある兒童は少くないものと推定されます。第三、兒童の人権福祉を飽くまでも擁護せねばならんと痛感をいたしました。第四には、本問題の関係は官民の間に兒童福祉法を尊重するということの熱意を認むることができなかつたのは甚だ遺憾といたします。第五に、兒童福祉法の活用運営は極めて低調であります。又現状では設立日尚浅くいたしまして、かく言うは酷に失するかとは思いますが、いわゆる兒童相談所は無力であります。又兒童委員は不活溌であります。而して兒童施設は皆無であります。第六に兒童愛護運動というようなものがございません。婦人團体の活動は全然ございません。これらの問題に関しまする三縣下の有力者は極めて無関心であります。第七に、多少これは後戻りしまして重複いたしますが、現在の兒童の処遇状態は全く使用人の待遇であります。即ち先に申しましたように、労働基準法の範囲に属します、いわゆる家庭育成の形態は使用形態であります。第八に、言うまでもなく未然に極力これを防止して且又現状に改善を加えなければなりません。第九に現状のままの解決、或いは枝葉末節の立入りによつてこれが合法化を狙い、現実妥協をして行こうという考え方もありましようが、一應は敢然として法の精神の貫徹を図らねばならんと思います。即ち権威ある対策を立てまして、一貫せる指導を行うことが焦眉の急務であると痛感します。從いまして、最後に本員が附加いたしたいと思い。且又厚生省当局のこれが意見を聽取いたしたいと思いますることは、兒童福祉法の権威をどうして示すか、発揮するかということであります。兒童が愛護せられ、兒童の生活が保障せられるということは兒童の権利であります。何人もこれを蹂躪することはできません。兒童福祉法のこれが原則として掲げられております大人の考え方を以てこれらの兒童の生活保障の権利を奪うことも侵害することもこれを弱めることも、縮小することもできません。兒童福祉法の権威をどうして示すか、お考えがあるか。第二は施設の新設拡充をどうしてもやらなければなりません。殊に著しくそういう集中的に問題になります地方には、要すれば國立の施設を相当設置する必要があります。その施設の形態内容につきましては、種々工夫する余地もございましよう。生活保護法のそれらの家庭に対しまする十分なる活用を望みますことは、同僚議員の御意見にありました通り、且又先の報告の中に触れましたように、これらの兒童が大部分孤兒の状態、而も未亡人と密接不離なる関係にある子供たちであるという点に鑑みまして同時に未亡人を救う、又未亡人を活用するというような点に一つの狙いを置くのも一方法ではないかと考えるのであります。例えば未亡人をして里親の仕事をやらせる。里親にならせる。いろいろ各府縣に作られつつあります未亡人会などの事業種目の一つ、活動目標の一つとして、これらの兒童の養育というようなことに当らせるということも考慮の必要があるのではないかと考えておりますが、ともかくもこれらの母子を速かに救済するところの立法措置が採られなければならんと思います。当局者は母子救済について何らかの考えを持つておりますかどうか、私は後で承りたいと考えておるのであります。
 兒童福祉運動の大展開でありますが、これは厚生省当局も非常に熱心にやつておられるので、私もその熱意は十分認めます。又成功を祈ります。これはただ運動だけでもいけないのでありまして、意見は省略いたしまして、兒童福祉運動の大展開を強化しなければならない、やつて貰いたいと思います。
 それから里親制度の改革でありますが、これは非常に綿密に研究せられまして、実に行き届いた里親制度の運営要綱が作られてあります。何ら非難する余地がない程完備しておる。むしろ完備し過ぎておるのでありますが、ここで注意しなければなりませんことは、いわゆる兒童の労働使用という点に触れるか触れないかという限界をどこでその線を引くかというその線の引き方であります。これは研究の余地があろうかと思います。でありまするから、養育しながら働かせる里親制度の展開をする上に、その働かせるという線の引き方で、即ち働くというその働きの程度の問題、この点を十分にはつきりとする必要があると思います。私をして意見を申上げますならば、使用人的にならざる働き方、つまりその家の子供と同じように働かせる。又その子供の立場や健康や発育状態に相應した仕事、又通学、或いは又自由というようなことに行われておる間においてする仕事、尚金銭的報酬がどうなつておるか、小遣銭などが與えられておるかどうかという点も関係があると思う。以上で私の報告は誠に不備でありますが終ります。要するところ、児童を同情的に、慈善的に処遇せんとする考え方は私は児童福祉法の採らざるところであると信じます。兒童の尊重は兒童の人格の尊重であります。兒童の権利の尊重であります。これを同情的に、慈善的に、つまり飯が食べられるから福祉であるというような考え方は実に愚劣であると私は思います。飽くまでも兒童の育成と兒童の愛護は彼らの権利であると、これを護つて行かなければならないということを思うたのであります。尚今後ともこれらの問題の兒童は恐らく今日の我が國の情勢としては非常な数と申しますか、境遇と思しますか、そういう兒童の激増は必至であると存じます。これに対しましての行政部のいろいろな努力と準備もあると思いますが、こういう國会におきましても、これらの兒童の救済、やがて來るべき生活苦難に直面いたしましての、悲惨なる状態に落ちて行くであろうところの兒童を如何にして救済するかという問題につきましては、本員といたしましては他の機会に又これらの小委員会の設置その他を要望したいと存じますが、國会も大きく取上げまして、この重大な問題には総理大臣も耳を傾け、厚生大臣も晝夜不眠不休で努力する態勢をとらなければならんものと確信いたします。以上で私の報告を終了いたします。
#15
○中山壽彦君 私ちよつと用事がありますので帰りたいと思いますが、その前に厚生当局もお見えになつておりますから、私の方は今回視察して氣付きました要望の点、又その他のことについてお尋ねしたいと思いますが、よろしうございますか。
#16
○委員長(塚本重藏君) 実は今まで皆さんからいろいろ出ておりますことについて順次聞こうと思つておりますから、尚その上で各人から十分でない点を指摘して頂きたい。
#17
○中山壽彦君 私今回案内を受けたのでありますが、私共が案内を受けたところは大体優秀な施設に案内を受けたと思うのであります。保健所といたしましても、私の方の見た保健所では先ず施設はよいように思いますが、要はこれを運用する人如何にあります。私共が見ない保健所については随分その内容の貧弱なものがあることを想像いたしておるのであります。で、先ず適当な人を選んで頂きたい。その人如何によつて保健所の能率が上るか下るかということは非常に影響があると思う。現にそういうような実例を今回視察した中にも見たのであります。保健所長に、医員が何人おるか、保健婦が何人おるかといつても即答ができない保健所長があります。こういう点においては特に強調して十分に督励をして頂きたい。國立の病院長にいたしましても、例えば厚生園の病院長は非常な熱を持つておる。奈良縣の或る國立病院に行つて見ると、院長も事務長も看護婦長も熱がない。余り不思議でありましたので、あとで私は人に聞きましたところが、あれは共産党だ、こういうことを聞いたのであります。この点については是非地方廳に人選方を督励して頂きたいと思います。それから今日性病予防法が昨年通過いたしたのでありますが、傳染源を追究いたしまするための届出が予期のごとく行つていない。実際の数よりも届出は極めて少ない。又業態の一斉檢診が開始されましたので、これ又自主的にやつておるのでありますが、その治療というものは徹底しないと思います。予防法ができて却つて性病患者が殖える、或いは重症患者が殖えるというような現象があるように想像されるのでありますが、これに対して御当局には何らかの改正意見をお持ちになつておるかどうか、それから藥品の問題でありますが、午前中の御報告申上げました通り、これは病院においては不正なペニシリンを使つておる。又姫井君の御報告にあつたように、奈良縣下には随分不正な藥品があるように聞いておるのでありますが、從來こういう藥品の檢査にはどういう方法で以て檢査されておるか、又將來はそれをどういうふうに嚴重にされるか、その点を一つ伺いたい。
 それから和歌山縣におきましては、國立の結核病院というものが現在ないのであります。僅かに野上病院という百ベットの病院が結核の病院になつておるのでありますが、元來この結核病院というのは入院の月日が長い。大体二年以上病室の空くということは少いだろうと思う。で開放結核なんかは現在どうなつておるか、その点私共は憂慮いたしておるのであります。從來看護婦の養成というものは総合病院でなくてはできんということに今度なりましたために、例えば京都の厚生園のごときは二百二十のベッドがあるのでありまして、看護婦の養成が中止されたために漸く百十ベッドしか使つておらん。こういうようなまあ好ましからざる現状が起つておる。これらにつきましては、何とか便利な方法を考究して頂きたい、一方に和歌山縣野上病院においては單科病院でありますが、副院長の説明によりますと、看護婦を現在養成しておる、こういう御回答を得ております。縣によつてこの取締が異つておるということは私共余り面白くない。こういうように考えております。
 それから社会保險の問題でありますが、これもどうも政府管掌の分は比較的運営ができておりますが、健康保險の組合管掌に至つてはマイナスになつております。國民健康保險にありましては、昨年一部法律を改正されましたが、この改正によつても尚且つ運営に困つておると言つております。これらに対する今後の御所見を聞いて置きたい。
 又資金團が設立されて医療費は早く支拂う、必ず支拂うと、法律案審査の際にも政府当局の御説最でありましたが、行つて見るというと、半年以上遅れる。こういうようなことで医療担当者が困つておるということを言つておりました。
 尚生活保護法の医療費のごときも半年以上経たなければ受取れない。こういうような報告も得ておりますが、これらに対する善処方を私はお聞きしたい。以上取敢えずのお尋ねを申上げて置きます。
#18
○委員長(塚本重藏君) 順次関係当局から答弁があると思いますが、私も極めて簡單に、奈良縣、山形縣、福島縣、栃木縣を視察した関係で、視察せられましたおのおの議員から非常に廣汎な視察でありましたので、十分に報告ができなかつたのでありまするけれども、とにかく問題となるべき諸点は、それぞれ御報告になつたように思うのであります。
 ただほんの一、二報告に洩れたと……、或いは報告にあつたかも知れませんが、私が報告で洩れたかと思います点で、多々要望のありました点の中で、二つの点だけ補足して置きたいと思います。
 一つは災害救助法の改正の問題でありますが、これは法によりますというと、事業税の百分の五以上ですかの災害が発生した場合においてのみ國庫の補助がある。或いはその他の救護、災害救助法の活動を見るといつたような法規になつておりますが、この経済事情変動等において、その法規では甚だ不十分になつたということで、仮に栃木縣ですが、一つの例をとつて見ますというと、栃木縣下では、事業税の総額が大体四億二千六百二十七万幾らになる。この方の百分の五は二千百三十一万余円になる。それ以上の災害でなければ災害救助法の適用を受けることができないようでは実際に困ると、栃木縣では昨年は一千二百万円の災害費を出しております。併しその救助法の恩典に浴することができないというような実情に置かれておりますので、これは実際に適するようなふうに改正して呉れという要望がありました。これは尤もだと思います。
 それから兒童福祉の問題について、厚生施設に対する設備費を國庫から補助して貰いたい。或いは既設保育所というものをやはり補助の対象にして貰いたいという要望があり、変つた意見としては精神薄弱兒の收容施設、虚弱兒の收容施設というものが殆んど全國的に見るべきものがない。そこで、一つ國営として、ブロック單位にでも国営のそれらの施設を設けて貰いたいという要求がありました。これは非常に考えべき問題だと考えるのであります。以上の点だけを補足しておきます。
 それから私のこれは視察いたしました所感の一端でありますけれども、衞生方面では特に傳染病が激減していること、それから乳幼兒の死亡率が漸次減じていることは、非常に喜ばしいことと感じたのであります。それに反して結核、性病というものが非常に増加しつつある傾向を見逃してはならん。これらの対策を一段と強化して行かなければならん、殊に結核療養所、或いは國立病院等におきまして相当收容能力を持ちながら、十分にその施設を生かして行くことができないような実情に、荒廃したままに放置せられているものが相当沢山ある、その原因のよつて來たるところを見ると、これは大体人員の不足である。医者の不足、看護婦其の他の不足、その不足の原因は又職員の処遇の問題等があると思いますが、これらの問題を解決しなければならん、かように考えるのであります。ただ保健所の活動が、報告にもありましたように、大体活溌な活動が行われるようになつて参つたのは嬉しいのでありますが、これもやはり人員の不足であるということが痛感せられます。それから民生関係では私は今の山下委員の報告にありましたように、兒童問題を中心として詳細な報告があつたのでありますが、それを中心としてこの一貫する兒童保護の行政並びに施設、その他戰災者並びに引揚者等、未亡人の問題等をひつくるめて、私の痛感したところでは生活保護法というものが、十分に徹底していないということを痛感したのであります。民生委員が、兒童委員がもつて忠実なる活動をして頂きますならば、生活保護法の適用によつて救われる面が非常に多いだろうと考えるのであります。ともすれば生活保護費が増加するということで、濫給を阻止するというような処置がとられて、生活保護法による保護費が或るときは急に激減するような事態もないではないのでありますけれども、私の見た程度では、まだまだこの生活保護法によつて救われるべき人が救われないで放置されていることを見逃してはならんと思う。そういうことが強いて兒童の身賣り問題というものを惹起する重大な原因の一つにもなつていると思うのであります。子供は願くば原則としてやはり実の親の膝下において養われるべきものである。それにはその家庭の生活が保障せられなければならん、そのことのための生活保護法というものが十分に徹底していないから、ああいうような結果を招いた点が非常に多いと考えられるのであります。私はやはり生活保護法の不徹底であつたということ、それから児童福祉法の法の精神がまだ十分に徹底せず、これが実際の上に運用されていなかつたことが、こういう問題を惹起したのである。それと共にやはりこれはいろいろな保護施設というものが民生関係において、これはあらゆる面において不足である。母子寮の問題、或いは保育所の問題、或いは乳兒院の問題、その他浮浪兒の收容施設、浮浪者の收容施設、その他授産所、そういつたような各般の施設が非常に不十分である。これは一段と厚生省が全力を挙げて、法の徹底並びに施設の拡充ということに懸命の努力を拂つて行かなければならない。かような点を痛感いたしたことを申上げて置きたいのであります。これは各議員から報告になりました点について、殊にその要望事項等を中止として、当局の方針を明かにして頂きたいのであります。先ず最初に中山委員から御質問申した点についてお伺いいたします。ちよつとその前に、先程午前中に山下委員から要求になりましたのでありますが、未だに大臣の御出席がないのでありますが、どういう事情であるか。並びに次官はどういう事情にあるか、出席のできなかつた事情を一つ明かにしておいて頂きたいと思います。
#19
○説明員(小川朝吉君) 只今委員長からのお示しの点は、後刻御報告申上げることにいたしまして、私から予防局所管の関係のことについて御説明申上げたいと思います。
 第一の保健所の問題でございますが、保健所が衞生行政の末端機関であるから、衞生行政の滲透を図りますためには、これを整理しなければならんという御指摘でございますが、私共誠に同樣に痛感しておる次第でございまして、昨年から格段の努力をいたしておるのであります。各縣に昨年はモデル保健所、標準保健所というものを設置いたしまして、これに重点的な指導をいたしまして、この線に副つて残余の保健所を整備せしむべく計画を立つたのであります。尚これの実際充実は本年度以降のことに属しますので、二十四年度の予算におきましては、厚生省全体の嚴重点の問題として関係当局にそれぞれ強く要求をいたしておるのであります。從いまして本年は十分とは参りませんでも、昨年より遥かに強化をするような見透しでございます。尚保健所の人の問題でございますが、現在保健所の職員、殊に医師、保健婦等の場合は、これは大体の処遇等は國立病院、國立療養所に準ずるような形で、人事院当局が檢討いたして、処遇問題は漸次人事院からお答え申上げることにして、先程中山委員から御質問の選択の点について申上げたいと思います。最近保健所の医師、医療関係者の充足がやや好轉して來て、或る縣のごときは、ときに十分選択ができる條件になつて來た点がございますので、その点附加えて置きたいと思います。現在は入りました職員につきまして、これを厚生衞生に三ケ月再訓練をいたしまして行くような考でございます。医師等は保健所へ入る前は、御存じのように一般行政についての体驗が非常に乏しいので、先程御指摘のような点があるのではなかろうかと思います。
 これを三ケ月ずつ再訓練しまして、急速に使用に堪える立派な施設にしたいというふうにやつております。
 尚次に性病の問題についてお答え申上げます。性病の問題は昨年予防法施行以來私共としてもできるだけ努力をいたしておるのであります。例えば届出数につきましても、昭和二十二年は四十万とちよつとでございましたが、昭和二十三年度には四十七万というように届出数は増加の傾向でございます。ただ遺憾なことには届出の内容が主として公的施設からの届出が主でございまして一般開業院の方のがそのうち約三〇%ちよつとでございまして、これが徹底いたさねば初期の目的に到達し切れないのではないかと考えております。かかる故に本年の二月に特に医師会方面にこの点の御協力方も文書を以て御協力を願つておるような次第でございます。この報告の中にございます山形縣の問題でございますが、性病の蔓延がああした温泉によりまして、少女に感染するという実例は甚だ遺憾でありますが、今度が初めてでございませんので、從來にも一、二その例を見ておるわけであります。私共もこのことをお伺いいたしまして、直ちに適切な指導を行なつたつもりでございますが、特にこの場合必要があれば性病予防法の十六條の発動によりまして、現地に働きやすくするということについて特に御指示を申上げておる次第であります。尚その他性病の問題は特に医師の届出を中心にいろいろな感染源を追究するということで、先程申上げました医師会の御協力も懇請しておる次第でございますが、根本は何と申しましても、性病予防思想の普及しない点にあるのではないかと思います。この点を大いに努力いたしたいと考えております。尚性病予防法の側面の方策といたしましては、いわゆる素人療法の問題を、つまり素人療法によりましては性病が根治しない、そのためにいつまでも感染源が残るということを考慮いたしまして、政府としましてはペニシリン、ズルファミン系統のいわゆる性病藥等を医師の指示以外にはこれを勝手に藥局等で賣ることのできないようにいたしまして、その点も今後強く指示いたしまして、完全な性病治療の徹底を期したいと考えておる次第でございます。
 尚結核の問題につきましても、一應私の所管になつておりますので、一言申上げますが、結核の予防対策につきましては、保健所を強化すると同樣に、私共強く本年度の予算要求で各般の施策を強力にいたしたいと考えておる次第でございます。特に御指摘の和歌山縣の結核病院の問題は医務局の方からお答えになるかもしれませんが、現在和歌山縣に隣接しております大阪の貝塚方面のものを融迫するように努力いたしておるということを附加えさして頂きます。以上であります。
#20
○政府委員(久下勝次君) 医務局の関係のことにつきまして私からお答えいたします。先ず第一に中山委員のお話になりました奈良縣の病院の医者のことでございます。これは松籟莊という療養所のことであろうかと存じます。御指摘のように適宜と認めております。近くこれは更迭をする予定でございまして、阪大の方から適任の医者を得られる見込みでありますから、これを実現して行きたいと思います。
 それから次は和歌山縣の結核病床のことについてお話がありましたが、お話の通り和歌山縣の日本医療團の経営の療養所があつたのでありますが、一昨年火災に遭いまして全燒をいたしました。その後燒残りの一部建物を利用いたしまして、現在三十五ベッド、僅か三十五ベットの收容数が運営されているのみでございます。私共の対策といたしましては、先ず第一に、白浜に國立大阪病院の分院があります。これが大体百ベッド結核に轉用できる見込みでありますから、これを整備して使いたいという予定であります。その外に國立和歌山病院に若干の手を加えますと、約五十ベッド程病床に使えるものがございます。これを來年度、二十四年度には手を加えまして利用できるようにいたしたいと考えております。そうすることによりまして、約二百床近いものは和歌山で確保できるのであります。勿論これを以て十分といたすものではございませんが、これを解決いたしますためには、どうも療養所の新設をいたさなければなりませんが、現在の情勢におきましてはちよつと見込みがない状態でございます。二十五年度になりましたならば、何とか療養所の新設の方にも手を伸ばして、和歌山の結核病床の不足はそういう方法によつて補いたいと思つているのであります。
 それから次に結核療養所における看護婦養成についてのお話でございます。私共としましては、少くとも從來の結核療養所における看護婦養成施設は先般御審議を頂きました、保健婦、看護婦、助産婦法に基く新らしい制度が施行いたされます間は、そのまま結核療養所において從來通り養成を続けて参る予定にしておるのであります。現在國立結核療養所におきまして、約五十一ケ所において看護婦の養成を継続いたしておるのであります。ただ問題は結核療養所という特殊の疾病のみを対象とする施設におきまして、特殊の疾病の看護に從事する看護婦の養成をすることが適当であるかどうかということにつきまして、根本的な御意見がございました。只今の看護婦養成施設の準則によりますると、そういうものでは適当ではなく、総合病院でなければならないという方針が示されておるのであります。從つて新らしい法律が施行になりました後には、結核療養所のような特殊の患者のみを相手としております施設におきましては、看護婦の養成は不可能になるものと思つております。現在やつておりまするのは、新らしい法律の施行になります間、從前の規則に基くものとして認めておる次第でありまして、これらの問題はいろいろと看護婦の報酬などにつきましての根本問題にからんで参りますので、相当重大な問題とは思つておりまするが、差し当り現在のところはさような方針の下に処置をいたしております次第でございます。從つて現在のところでは縣によつて結核療養所で養成をしてはいかんというような、いいところと惡いところがあるというような方針のところはない筈だと考えるのであります。それから國立病院療養所における医師の待遇の問題について、委員長からも御指摘がございましたが、確かに私共もこの点につきましてはいろいろと指示もしておるものでございます。昨年來の新給與の実施に関連をいたしまして、給與の改善につきましては、給與実施本部と折衝をし、身分は從來に比しましてよくなり得るようになつたとは思つておるのでありますが、何分にも医師が官吏として働きます場合と、外に出て開業医をいたします場合の收入の差異が余りにも甚しいために、少しぐらいのことでは到底解決のできない問題と思つておるのであります。言い換えますと、可なり根本の問題に触れて参りまして、國家公務員の給與制度として、如何にこれを織込まれるか、待遇改善をするかというようなことが只今私共の直面しております難関でございます。この解決の方法といたしまして、私共として考えておりますのは、医師その他の医療関係者につきまして、一般國家公務員とは違つた特別の給與体系を作つて貰うということでございます。そういうふうなことによりまして、幾分でも待遇の改善をされますように今案を作つて折角練つております次第であります。それにいたしましても、御指摘の通りに十分優秀な医者を施設に採用することは、現状ではなかなか困難な実情もございますが、併しこれも從前に比較いたしますと、先程保健所についてのお話がございましたように、大分改善をされて來ておると信じておるのであります。尚これら施設に優秀な医師、その他の医療関係者を吸收いたしますために、施設の改善でございますとか、或いは医師の研究費の増額でありますとかにつきましては、及ばずながら微力を盡して予算の折衝をいたしておるのであります。只今のところといたしましては、昨年より若干研究費その他につきましては、増額を認められておりますような実情であります。こういうようなことによりまして、若い学究的な優秀な人材に多数來て頂くように努力を続けておりますことを申述べまして、御了承頂きたいと思います。
#21
○政府委員(宮崎太一君) 保健関係のことでお答え申上げます。健康保險の問題でございますが、実は健康保險につきましては、從來その運用が余り良好でありませんのでありまして、長い間の歴史を持つてやつております健康保險でございましたが、その年度、その年度、若干の剩余とか、相当の剩余を殘すというような状態の年もあつたのであります。ところが昨年の八月から医療給付が、非常に嵩みまして、大体、四、五、六、七の間くらいは、医療給付が一億円内外でありましたものが、八月から非常な膨脹を來たしまして、八月、九月、十月、十一月、十二月というのが、非常な膨脹で月々一億円くらいの増加を來たしまして、從來私共の統計の経驗から申しますというと、蜜柑の色ずく頃は医療費が減るということになつておつたのでありますが、ところが十月、十一月、十二月になりましても、医療給付が非常に増して参りまして、大体一億円内外であつたものが十二月には四億円を越すに至つたのであります。それから一月は、今調べておりますが、まだ正確な数字とは存じませんけれども、五億円を越すに至つたのであります。かくのごとく医療給付が嵩んで参りましたということは、健康保險の利用度が非常によくなつた。又保險医の協力が非常にいいという点が非常に多いのでありまするが、同時にかくのごとき医療給付の激増振りでありましては、私共といたしましては、本年の支拂も危ないのみならず、來年度の支拂につきましても、非常な危惧の念を持たざるを得ないような状態になつて來たのであります。最初基金を設けました……参議院で御決定を願つたのでありますが、八月の状況におきましては、前月分の一ケ月分を預つておけば翌月の支拂ができるだろうという見当で基金を始めたのでありますが、ところがかくのごとく月を重ねるに從つて一億円の医療費の増加を來すということになりまするというと、一月分予め貰いましても賄い切れないのであります。基金が最初仕事を始めましたときには、若干事務の不慣れと、及び寄せ集めの人間を以てやりました関係上、事務のためから起る支拂の遅延があつたのであります。先月分の医療費を翌月分といういわゆる迅速拂いという建て方で基金を始めたのでありますが、それが最初の頃は事務の不慣れから生ずる遅延であるということで、盛んに事務的の督励をいたしたのでありまするが、ところがだんだんやつて参りまするというと、医療給付の激増がいつでも前に預つておりまする予納金と申しますか、そういう金では賄い切れないようになつて参つたことが一つの原因であります。それから次に大きな問題は、工場、事業場が金詰りをいたしました関係と、それから事業不振の関係で保險料の滯納が非常に増して参つたのであります。そこで政府管掌につきましては差押え処分等をいたしまして、盛んに今この徴收成績の向上を目してやつております。ところがこの健康保險組合におきましては、これは御承知のように若干保險料も高くありまするし、又自主的に運営ができるようになつておりまするので、経営成績の良好なる健康保險組合におきましては何ら心配がないのでありますけれども、経営の不振の組合におきましては、御承知のようにすでに賃金すら滯つておる状態でございますので、この保險料收入が十分行かないというようなことから、基金に対しまする予納金の支拂が遅れ勝ちであるわけであります。その関係で一月分でもなかなか納めない、こういう関係で基金の仕事をやつておりまする上におきまして、徴收の成績が挙らなくなつて参つたのであります。勿論不良なる組合は解散を命じて政府管掌に吸收する手があるのでありまするが、今のところはそこまで至つておりませんので、健康保險組合連合会等とも通じまして、徴收の成績を挙げまして、そうして早くお医者に支拂のできるようにいたしたい、こういうつもりで督励を加えているのであります。政府管掌におきましては先程申しましたように、一月に一億円内外の医療給付がすでに五億に達するという状態になりましたので、実はしばしば財政当局とも折衝いたしまして、いろいろな手を講じまして支拂をできるようにいたしたいというので目下努力をいたしております。十二月までは拂つておりますが、一月分につきましてもうすでに支障を來しておる状態でございます。これにつきましては会計法の施行政令の改正とか、或いは予備金の決定とか、いろいろな方法によりまして何とか拂おうという努力をいたしておるのでありますが、又保險料の徴料につきましては、私は去年の十一月におきまして、合國に保險料徴收強調の一月というものを設けまして、各地方廳の課長に督励を加えたのでありまするが、それでもまだ十分でありませんので、本年の一月、最も保險料の影響の大きな大府縣の課長だけを東京へ集めまして、やはり保險料の徴收の督励ということに今後三月間全力を注ぐべしということでいろいろ指令を出したのでありますが、尚それでも不十分でありますので、私並びに関係の課長が各地方手分けいたしまして、保險料の滯納整理ということに力を入れておるのでありますが、目下のところ未だ八〇%を越す状態でありますので、年度末整理までに何とか徴收の成績をもう少し挙げたいということに腐心をしておるような状態でございます。それがこの基金の支拂等に影響を及ぼしておるものでございます。基金の支拂の遅延につきまして、そういう根本的な原因がございますが、これらの点以外の事務上の問題につきましては十分注意をいたしましてやりたいと思います。それから根本的な問題につきましては、近く健康保險及び基金の法律の改正案をお願いしたいという考えで目下檢討いたしております。そういたしまして、健康保險の保險経済の確立ということに力を入れなければならんと思つております。それから医料費の急激なる膨脹に対する対策といたしましては、今年の一月から各府縣廳におきまして、保險医の監査、お医者さんの監査をいたしておりまして、不正なる行動に出ておられまするお医者さんにつきまして注意を促しておるのでございますが、尚診療報酬の審査等につきまして、今後この強化を図るというような意味の点もやりたいと思つておりますが、明年の健康保險の保險経済というものがこの法律の施行以來の重大危機に至つておると思いますので、法案改正等につきまして案が出ましたときに、又深く御説明申上げたい、こう思つております。それから國民健康保險につきましては、昨年の七月の改正案によりまして先程もお話がございましたように、公営に切換えるということに努力をいたしておりますが、私共が予定いたしましたよりも公営切換えは遅れて参りました。私共といたしましては、本年三月までに大体健全なるものは切換えをいたしたいというつもりでおりましたが、やはり新年度においてやらなければならんのが可成りあるようであります。併しながらあの改正によりまして、國民健康保險が息を吹き返しつつあるということだけは申上げ得ると思うのであります。從來の支拂の滯納等の整理につきましても、休止組合の復活、或いは公営の切換えの機会におきまして、從來の欠陷を是正するという意味の努力をいたしておるのであります。私共といたしましては、七月くらいまでに何とか面目を一新したいという考えでおりますので、その点どうかお了承を願いたいと存じます。
#22
○中山壽彦君 もう一つちよつと……、從來厚生省からいろいろ法律案が出ますと、その後で施行細則というものが又出ておるようであります。この施行細則の内容については法律案を審議いたしました私共は実は知らないのであります。殊に昨年議員提出となりました優生保護法の運用は地方に行つて見ますというと、いろいろ午前中に申上げましたように、檢察官と行政官との間に意見の喰い違いもあり、どうも不幸な結果をもたらしておるような実例があるように思うのでありますが、今後は施行細則を立案されましたときには、一應議員提出は勿論のこと、政府案の提出の法律案に対しましても、一應この厚生委員の方に諮問をなさるとか、何かお示しになるとかいうような方法を私は採つて頂きたいというふうな希望を持つておりますが、如何でございましようか。
#23
○委員長(塚本重藏君) 今の中山委員の御質問は一局長の問題ではなく、厚生省としての責任ある答弁を得たいと思います。
#24
○中山壽彦君 私はそういうことを要望するのであります。どういう施行細則が出ておるのか、例えば我々が施行細則を見ればいいのでありますが、無論施行細則というものは法律案の内容に即應しておるものであるのでありますが……。
#25
○中平常太郎君 その通りであります。
#26
○中山壽彦君 一應私共に見せて頂くということが討議上いいのじやないかとこういうふうに考えましたから、これを要望したわけであります。
#27
○委員長(塚本重藏君) この点は我々委員の間でしばしば問題になつておるので、是非今後はそう実行して貰わなければならんという要望があるので、大臣にお傳え願つて、適当な要望に副うような方針に改められて御報告願いたいと思います。
#28
○山下義信君 今回視察の重大なポイントでありました兒童身賣問題に対する厚生省の御所見をこの際開陳を願いたいと思います。
#29
○政府委員(小島徳雄君) 各府縣の御視察を頂きまして、いろいろ兒童関係の点につきまして貴重なる御意見を拜聽いたしました。この機会に先程御質問のありました、御意見のありました問題につきまして、簡單に御説明申上げたいと思います。兒童福祉の最低基準ができて、これに伴ないまして相当の設備の改善なり、資材の関係、その他いわゆる経費の点がかかる。こういうものについては政府において大いに考慮して頂かなければならん。こういうような各府縣の要望のように拜聽いたしました。この議論に対しましては、我々といたしましても最低基準の制定当時におきましても、そういう問題につきまして愼重に考慮いたしておつたのでございまするが、從いまして、最低基準の実施につきましての計画化につきまして、或る程度の猶予期間を設け、更に場合によつて保育所建設の問題につきましては、更に猶予期間をこの委員会において考えるという規定を設けまして、できる限り迅速に最低基準に達するように各施設が努力するのは勿論でありますが、同時に今日の財政状況、資材の関係等も勘案いたしまして、できる限り早い機会にこれを実施する。こういうことで我々は考えておるのであります。今回のこの最低基準に伴ないまして各施設一般の調査を今実施しておりまして、最低基準を実施した場合において各施設にどの程度の改善をし、どういう場処にどれくらいの資材を要するか。尚どれくらいの予算が実際にかかるかという問題につきまして、今調査をいたしております。これに基きまして、全國的に一つの調査ができますれば、我々といたしましても、できる限り公立のこういうような施設につきまして、法律の規定する限りにおきましては、その補助の問題につきまして、できる限り一つ考慮をいたしたい。こういう考えで進んでおるのであります。資材の関係におきましても、許す限りにおいてそういうような斡旋をいたすような努力をいたす考えでおるのであります。ただ御承知の通り、最低基準の計画化の問題でございますので、実際の各施設の状況ということを具体的に把握いたしませんと、それを予算化することも極めて困難な関係もございます関係上、多少遅れておることも御了承願いたいと考えるのであります。尚民生委員と兒童福祉司の活動の問題、これは兒童福祉司の方が非常に足らないのじやないかということの要望につきましては、今の御意見の御開陳もあり、又各方面から何回もこの問題につきまして、意見を、陳情を受けておるのであります。我々といたしましても、今日非常に行政整理で困難な折でございますので、増員が非常に困難でございまするので、この兒童福祉司というような問題は他の行政官廳の増員と違うという意味で、できる限り努力いたしたのでありますが、今日の情勢上なかなか増員というものが困難であるということで、今回は補導員というものを或る程度二百名近く、百九十五名でございますが、補導員というものがあつたものを兒童福祉司に切替えまして、約百九十五人というものを増員することを大体決定いたしておるのであります。
 尚いろいろの兒童福祉施設、擁護施設、乳兒院、母子寮の関係、すべての問題について施設が東北近所、田舍の縣においては非常に不十分、不適当である。内容もよく行つてない。殊に施設が非常に足らないというような御意見につきましても、我々といたしましても頗る御同感でございまして、この問題は兒童福祉法の制定に伴いまして法律ができ上つたにも拘らず、施設の方の整備、拡充ができないのではないかというようなことで、各方面からいろいろの御批評も頂き、又御鞭撻も頂いておるわけでありまして、我々といたしましても最大限度の努力をいたすは勿論のこと、予算化いたすべく、殊に参議院の皆樣方からは昨年來非常な御協力を頂き、御努力頂きまして、この問題につきましては漸く最近におきまして、各方面におきましてもこういう問題の予算の必要性というものが叫ばれておるようになりましたのでありますが、この際の問題として公共事業費といたしまして、相当の兒童施設の要求をいたしたのでありまするが、公共事業費の関係が極めていろいろの関係上非常に困難であるというようなことを拜聽いたしまして、我々は誠に遺憾に考えておるのでありまするが、我我といたしましても將來ますますそういう問題に大いに皆樣の御意見を副いまして、努力したいと、その拡充を考えたいと、かように考えておるのであります。
 次に今回非常に御詳細に調査、視察して頂きました栃木、福島、山形縣方面におけるいわゆる人身賣買事件と申しまして、新聞紙上を賑わした問題につきまして、殊に山下議員から非常に御熱意ある御意見を拝聽いたしまして、我々といたしましても非常に從來の兒童行政というものが、兒童福祉法ができ上つたに拘わらず不徹底ではないか、末端に至つてはよく徹底していないではないかというようなお叱りを受けまして、誠に恐縮いたしておるのであります。もとよりこの人身賣買事件というものが新聞紙上に宣傳されまして、各方面で非常な関心を持たれまして、これは関係する官廳も厚生省、或いは労働基準局、婦人少年局、職業安定所、或いは法務廳の人権擁護局、或いは学校教育局というような各方面の官廳と極めて関連のある問題であり、而もこの問題が只今山下議員からお述べになりましたように、我國の非常な傳統的な封建的な因習の未だに今日まで残滓が残つておるということの明かな大きな例証といたしまして、社会に警鐘を鳴らした問題であります。この問題は從つて我々の從來の考え方、兒童問題に対する從來の日本人が考えて來た考え方をこの機会に根本的に改むべき一つの今回契機になるべきじやないかというふうに我々は考えておるのであります。今おつしやいましたように、この問題というものが非常に長い間の日本の封建的な歴史から來て、未だに兒童福祉法が制定されましても、完全にはそれが殆んど拂拭されていない。こういう問題であり、而もこの問題がさような長い歴史を持つていることであり、而もこれが栃木縣とか、福島縣というような縣に限られなく、全國的にこういう問題が伏在する、各方面にあるという意味において非常に大きな問題で、兒童問題の根本問題にも触れる大きな問題のように我我は考えておるのであります。從いまして、この問題の扱い方をどうするかということにつきましては、我々といたしましても、関係官廳、或いは関係方面と十分なる連絡を取る必要があるということで、この措置につきまして、多少時期が遅れたじやないかという御批判もあると思いますが、この問題が極めて今申上げましたように、長い歴史の由來から來ておるということと、非常に各方面に関係があるということで極めて愼重を要する。而もこの機会にこの問題を徹底的に解決しなければならないという、こういう意味合いにおきまして、この問題の処理に当りましては極めて愼重を期したのであります。この問題につきましては、新聞紙上にもちよつと出まして、各方面にいろいろ意見が出ました。公聽会におきましても、関係方面でもいろいろ意見が出たのであります。問題は今言うような、一つには今山下議員からおつしやいました兒童の人権の尊重という考え方が日本人においてはまだまだ根本的に改められていないという、こういう根本問題に大きな原因があるのであります。この一つの大きな原因の現れが、子供を、預けました先の子供が、どういう状況になつているかということについて、預け先の親許が極めて無関心でおる、手紙もやらない人が多いし、或いは子供からも便りが來ないでも平氣でおるというようなことである。こういう事実から見ましても、親自身が自分の子供の幸福について余りにも無関心の場合があるんじやないかという問題、更には預かり先におきまして、兒童がどのように保護されているかというこの問題につきましても、今山下議員がおつしやいましたような、必ずしも本当に兒童を養育してやろうという氣持で預つていない者もある。多少功利的な意味で子供を預つておる者もおるのじやないか。從つて里親とするには不適当な者が相当あるのじやないかというような問題、この問題が極めて重要なもののように考えたのであります。從いまして、我々としては、この問題の処理に当りまして、先ず第一に考えなければならんことは、この事態というものはいろいろの事態があるから、徹底的に事態を調査することが先ず第一の條件じやないか。事が栃木縣に極めて多く発生した関係上、一つ栃木縣におきまして、一斉にすべての場合を調査しまして、その場合によりまして、ケースによりまして、我々事態に判定を加えまして、それによりまして全國的なこういう問題があつた場合の一つの根本的な対策をその栃木縣の例から取る。こういう意味合におきまして、栃木縣というものにつきましては、徹底的な調査をいたしたのであります。そうして只今山下議員から仰せられましたような各種の統計、各種の調査というものが生れたのでありますが、その結果によりまして、我々といたしまして対処すべき方策というものにつきまして、各方面の官廳並びに関係方面と連絡を取りまして案を作つたのであります。この問題は最近兒童課長会議におきまして、特にこの問題を重要視しまして、最近兒童課長会議において、本省としての考え方、厚生省としての考え方、政府としての考え方をこの機会に各府縣の兒童課長に徹底いたしたのであります。この問題は、結局現在保護されておる兒童をどういうふうに取扱うかという問題と、將來如何ようにこういう問題の発生を未然に防止するかという問題の二つに分けて考えるのであります。一つは、今申しましたように、現在のかような関係で、他人の家に養育され、又扶養されておる兒童をどういうふうに保護するかということにつきましては、いろいろ中間搾取の問題、或いは又前借金があるというようなこと、労働基準法違反とか職業安定法違反の問題は無論、これは根絶しなければならんと同時に、それらの違反によつて、或いは契約が無効になつたような場合におきましても、その子を如何ように保護するかという問題は、兒童の福祉の見地から相当考慮しなければならん。先ず原則としては、その兒童という者を、両親があり、親がある場合におきまして、親許に帰すということが先ず順当であるというふうに我々考えるのであります。併しながら親が引取ることが不適当であるという場合につきましては、適当な養護施設、或いは適当な里親というものを見付け出して、それに子供を委託する、或いは又現在預り先の方におきまして適当に養育されておるならば、その家庭において養育することも適当である。新たに契約を結び変えまして、その家庭内において養育することも合法的である。かようないろいろの方策につきまして、案を作つたのであります。無論この問題につきましては、或いは就学の関係、六三制に伴いまして、義務教育を怠つておるというような問題、この問題につきましても、文部省方面とも連絡いたしまして、少くとも他人の子供を養育しておる者は、義務教育を必ず実施しなければならん、こういうことにつきましても十分なる配慮をいたしておるのであります。問題は、將來こういうような事態が起つた場合、起り得るということについて、如何ように対処すべきかという問題が多いのであります。今申上げたような問題は、一つは結局兒童の人権の尊重という観念が、未だ國民において稀薄である、その点において徹底的に兒童の人権尊重という運動を展開しなくちやならんということに考えておるのであります。もう一つは何故、それじや親が子供を他人の家に預けなければならんかというような家庭的な原因、経済的な原因、各種の原因というものを調査いたしまして、若しその子供を預けなければならんという場合におきますその預け家庭における担当の兒童福祉司とか、兒童委員とか、或いは兒童相談所長というものが更に十分なる活動をいたすということが一番大きな將來の対策ではないかと思うのであります。今委員長から仰せられましたような生活保護法の不徹底というものが、こういう関係の大きな原因をなしておるということも我々も同感でございまして、こういう問題につきまして兒童福祉司とか、兒童委員とか或いは相談所長というものが、更に預けなければならんような家庭の実態を調査いたしまして、それに即應する保護、福祉を図るということを我々は特に要望いたしておるのであります。或いは又職業安定所の拡充の問題でありますとか、更に今言いましたように、今度はそういうように他人の子供を預つておる家庭において養育又は雇庸しているもの、こういうものの実態をすべて把握する必要がございまして、これにつきまして、今國会に、今準備いたしておるのでございますが、兒童福祉法の改正によりまして、すべて届出制度を実行いたしまして、兒童福祉司とか兒童委員というものがすべてこれらの、他人の子供を預つておる家庭におきまする子供の保護につきまして、指導を加えますとか、或いは監督を加える、こういうことを考えておるのでありまして、この問題につきましては、特に法の改正の必要を認めまして、改正案を準備いたしておるのであります。尚里親制度というものが兒童福祉法において現在規定されておるのでございますが、その里親制度というものが極めて不徹底である、漸く最近におきまして里親というものの宣傳、里親というものはどういうものであるかということの意義、こういうことが各方面におきまして宣傳されるようになりまして、里親になるという希望者、或いは里親適格者というものが漸次増加の傾向にあることは誠に喜ばしいことでありますが、今山下議員がおつしやいましたように、その希望者の中には相当いかがわしいものがいる、こういう問題につきましては、我々といたしまして、里親の適格條件というものを十分に吟味いたしまして、その適格に合うものを里親にして、而も里親になる場合におきます國家のある程度の経費の補助というものも考えておるのであります。これが一日一人四十四円程度ぐらいのものであります。同時に又里親につきましては現在ララの関係の物資も配給することを大体確定いたしまして、近く発表いたしたいと思いますが、かように一面においては政府におきまして、里親に対する経済的並びに物質的援助も考えて、眞に適用な里親を廣く、あまねく求める、こういう方面で最大の努力をいたしまして、施設の拡充と共にこれらの兒童が十分に保護される國家施設ができるように努力したい、かように考えておるのであります。ただ山下議員がおつしやいましたように、現在兒童福祉法が実施されて一年になりますが、問題の起つたのは極めて遺憾なことではないか、誠に私共も申しわけないことと考えておるのであります。この機会に我々といたしましては大いに児童福祉法というものを宣傳いたしまして、兒童の人権の尊重の必要なことを各方面に理解して頂きまして、併せて國の方におきましても、あらゆる民間の團体の方におきましても、この問題につきまして十分な御協力を願うよう、最大の努力をいたしたいとかように考える次第であります。
#30
○山下義信君 この問題は相当大きな問題で、一朝一夕にはいろいろ問題を明らかにすることはできませんので、他日に讓りたいと存じます。この機会に関連して私伺つて置きたいと思いますのは、兒童福祉運動を展開するにつきまして、厚生省は、何か全國の都道府縣に指示を出しておるだろうと思うのでありますが、その中に兒童福祉協会というものを作るように何か指示でもなさつたのでありますか、若しそうであるとすれば、どういうような構想で……、各府県の兒童福祉協会というものができたならば、中央においてもそれを運用して行くのにどういうようなことを考えておるのですか、その点をお伺いして置きたいと思います。又そういうものができまする地方には、地方の兒童福祉委員会というものがあつて、いろいろ紛淆しておるような嫌いもあるように考えられるのでありますが、そういう何か児童の福祉に関する團体の結成というものについて指示されたようなことがありますれば、その構想を伺つて置きたい。
 それから第二点は、これは私は迂遠なので教えて頂きたいと思いますが、こういう問題が仮に起きた場合、それを処理するのにいろいろ本省が細部に亘つて親切に手取り足取るような恰好で指示して行くようなことになる、又そうなさらないと、地方ではその能力その他からできないのでありますが、そういう場合中央の兒童相談所長というものが中心になつて動きますか、それとも縣廳の児童課長というものが尻をからげて盡力するのですか、一体誰がいろいろこういう問題が発生した時分に盡力するのですが、私共が三縣下を廻つて見たところによりますと、まあどこでも兒童課長というものはなかなか盡力しますが、中央の兒童相談所長というものは風馬牛吾れ関せずえんという態度を取つております。中央の兒童相談所長というものが兒童問題の処理運営、そういうものの中心になりますか、例えば関係官廳関係者の連絡協議会でも直ぐ持つか、労働基準局、職業安定所の関係者の協議会を持つときにはいつでも主動的な立場に立つのは兒童課長でありますが、そういう場合に中央の児童相談所長がイニシヤチイヴをとつて動くように指導いたしますか、どちらをなさいますか、若し中央の児童相談所長が中心になりまして、そういう兒童問題のいろいろ斡旋、処理、そういうものの中心的存在になつておることになりますと、福祉法の規定では少し物足りないようにも思うのでありますが、それらに関しましての兒童局長のお考えがありましたならば、この機会に伺つて置きたいと思います。
#31
○政府委員(小島徳雄君) 最初に兒童福祉の問題につきまして民間的な運動の團体というものが各方面にできておる、できておるような形勢がある。或いは又この問題につきまして本省で何か指示したというようなことの御意見があつたのでありますが、児童福祉の問題につきましては、民間運動としては自然発生的にでき上るべきものだと我々は考えておるのであります。從つて厚生省におきまして、こういうものを民間運動として作れというようなことを指導いたしたことはありません。ただ各府縣におきまして、それぞれ兒童問題に関心が深まるに連れまして、相当民間的に兒童問題を大いにやらなければならん、こういう動きにおきましていろいろの兒童問題を研究する團体或いは兒童問題を大いに推進しようとする團体が最近起き上つておるのであります。この問題は我々といたしまして、別に特に府縣に指示するという問題ではございませんし、これは民間自身の考え方でやるべきものと私共は考えておるのであります。
 次に相談所の問題でございますが、これはいろいろ兒童課と相談所の規定の問題でございますが、兒童課というものがいろいろの計画を作り、行政官廳として運動の主体となることは当然のことと思うのであります。相談所と申しまするのは法律にも規定いたしてある通り、兒童の相談、鑑別に應ずるわけでございます。殊に今度の問題につきましては、いろいろ里親の認定の問題、或いは又難しい問題が起つた場合の実際の科学的な措置指導という問題につきまして、相談所というものが、十分その機能を発揮するということがあるのでありますが、兒童課のなすべきことと相談所のなすべきことはおのずから分担があるのでありますが、ただこういうような問題を処理するような場合におきましては、ひとり兒童課ばかりではなくて、相談所というものがその問題に極めて重要な関係を持つということは皆様のお手許に示しましたような、この問題の通牒案にも示されておる通りであります。この問題は所管がいずれにあるに拘りませず、おのずから協力しなければならん。併し分担があることは申すまでもないと考えるのであります。
#32
○山下義信君 児童相談所というものの機能はこういう問題が起つたときに突き当つて見ると、少し機能の範囲が狭い、言い換えるというと、兒童を取扱う諸般の問題の中心に兒童想談所というものがなつて行かなければならん、兒童福祉法を見るというと、児童福祉法を動かす中心が、児童相談所が中心に動いて行くということにならねばどうも機能が弱いと思います。この点について局長は大いに研究なさる御意思がありますかどうか。
#33
○政府委員(小島徳雄君) 言葉が足りなかつたと思いますが、一般的な兒童の問題を企画し、一般の啓蒙もするということは無論兒童課に関する担当であると思うのでありますが、児童相談所は今のような具体的な兒童の問題をどのように措置するか、今のように他人の家において養育しなければならん場合にどういうように措置するか、具体的な措置には兒童課でなく、相談所長に責任があるのであります。ただ今おつしやなましたように、將來相談所という問題につきまして、更に一般的な兒童の啓蒙運動とか、社会に呼びかける運動を相談所長の資格においてやるかどうかという問題につきましては、これは愼重に研究を要する問題と考えるのであります。おのずから、そこに分担はあるというふうに考えておるのであります。ただその機能の発揮につきまして、おのずから関係の兒童課というものとよく連絡して、そういう方面に協力するということは当然取らなければならん態度であるというように考えておるのであります。
#34
○中平常太郎君 ちよつと予防局長にお尋ねしたいのですが、保健所の機能でありますが、保健所法を制定した場合に、各保健所はどうも機能を発揮しない、一週のうちに二日ぐらいしか一般民衆の診察期間がないとか、或いは午前に行けば今日は午前はない、午後にあるとか、或いは月曜に行けば月曜はない、水と木、土ということで患者はとかく着物を着替えて出て來ても、診療なり診察を受ることができない、そうすると次の機会にはその者はいろいろの差支えがあつて保健所へは行けない、保健所は官僚主義だと言つて非難があつたのでありますが、これは制定の当時我々やかましく言いました。その当時法案制定の時分にその保健所の運営を極めて民主的にするために、その土地に即した運営委員会を持つべきだということになつておるのでありますが、今度方々へ行つて見ると、どうも運営委員会を作つておらん。一ケ所作つておつた所があるのですが、大部分は運営委員会を作つていない。それは保健所なるものが僅かの患者を相手にして、多勢の者が來るが十分な機能を発揮しておらんように思う。又モデル保健所だけは可なり患者を扱かつておるような所もありますけれども、その外にも余り沢山は行つて見ませんでしたけれども、運営委員会は持つておらん。殆んど微々たるもので、保健所として將來厚生行政の末端を扱かわなければならんという大事な時に、余りにも機能が弱い、仕事ができていないと思うのでありますが、あれはどうですか。運営委員会を作れといつて我我は指示したのですが、それはそういうふうに指示しておられんのですか。
#35
○説明員(小川朝吉君) ちよつと局長に代りまして申上げたいと思います。昨年保健所法が制定されまして、新たに開設されましたわけですが、当然行う業務が多々あると思います。從いまして、これを本当に発揮いたしますには、大体現在の保健所の陣容でやつて行くとしますれば、困難じやないかということを私共痛感いたしておるのであります。ところが只今のモデル保健所はいろいろ研究いたしました結果、大体六十一人という員数と、ほぼ三百坪の建物が必要だという結論になつておるわけであります。それでモデル保健所だけは取敢ずこの二つで以て行くように、多少遅れておる点もありますが、しかけております。爾余の保健所につきましては、平均予算の定員で一八・八というような悲惨な状態であります。從いまして、これが機能がモデルまで行きませんでも、取敢ずここまでなければならんという線はいろいろ研究しております。十分でなくとも、最低限の仕事をいたしますには、どうしても三十五人以下では困難ではなかろうかというふうな考を持つております。そこで少くともそこまでいくように、今回の二十四年度の予算につきましては、最大限度の努力をいたしております。最終の決定はまだ若干疑義の点がありますが、全部そこまでいくことは困難じやないかという感じがいたします。これは精々議会の御援助を受けなければ相成らんと考えております。
 尚今御指摘の診察問題ですが、例えば結核ならば結核という問題を保健所の係がやる際に、そこで患者を待つて、つまり一般の開業医のように毎日待つておつてやる仕事というものは微微たるものであります。即ち日に五十人ということは困難だと思いますが、仮りに五十人としましても、一週間に一定数しかこれは診察できません。それで現在これらのために集團檢診というような方策をとつております。從つてこれが出動いたしまして、工場とか、学校とか、その他の実情からいたしまして、多くの人を一遍にお相手するというようなコースをとつております。從いまして外に出る仕事と、うちにおる仕事ということを限られた員数でやりますというと、或る人は外來、或る人は外へ出るというような格好になりますので、御指摘のような、非常に御満足のいかんようなことになつております。この点は飽くまで最低の員数を確保して、急速に標準保健所の域まで持つていくということが必要かと思います。
#36
○中平常太郎君 無論その点はいいと思いますけれども、今の十万、十五万程度の人口を相手にするのですが、少数の外來者を待つておるということはできないのですが、併しながら決まつた日のみに行くことができないものもありますし、家事の都合でいろいろ困難がありますから、やはりいつ行つても診察のできるようにして置かなければならん。もう一つは運営委員会というものは持つべきである。その土地に即した運営方法を以てやつて行くということを市なり町村に相談して、適当な、地についた保健所の機能を発揮するために運営委員会を民主的に作れということを言うておつたのですが、その点が徹底していないように思います。その点についてお伺いしたいと思います。
#37
○説明員(小川朝吉君) 運営委員会は保健所法施行規則にはすでに盛られておりますが、通牒も出ておるのでありまして、徹底していない点もございますので、我々の努力が欠けておる点もあると思います。これも十分に一つ徹底いたしたいと思います。
#38
○委員長(塚本重藏君) 只今亘政務次官が御出席になりましたが、亘政務次官は御存じなかつたかと思いますが、実はこの委員会は本日午前十時半から開会いたしまして、そうして山下委員の希望によりまして、大臣、政務次官の出席を要望したのであります。午前に淺岡政務次官が暫く御出席になりましたが、午後又ちよつとお見えになつて、何でも消費生活協同組合の連合会の協議会があるとか、そこへ大臣に代つて祝辞を述べに行かなければならんから、ほんの暫くの間時間を許して呉れ、私はそのときに申上げましたが、大臣、政務次官三人もおられるのであるから、この委員会には少くともどなたか一人は責任を以て御出席になることはできないか、そういう祝辞のごときものでありますならば、社会局長が代つて朗読しても然るべきではないか、こう申上げたのでありますが、これはどうしても自分が代つて行かなければならんと言つておいでになつて、相当時間が経ちまして、亘次官が御出席になつたような次第であります。委員会としては非常に不満であります。從來もしばしばこういうことがあつたのでありますが、もう少し委員会というものが國会の法律、その他の予算等を審議いたしまする一番中心の活動機関であるということは御存じのところであります。その委員会と政務最高幹部との間の連絡がとれないというようなことでは、今後十分な審議ができない、支障を來たすことが非常に多かろうと考えるのであります。私はまだ政務次官がどういう必要があつて設けられておるか、又どういう職能を持つておられるのか十分には承知いたしておりません。大体常識で知つている程度でありますが、この問題については、曾ては政務次官廃止の議論もあり、若し置くならばこれは大臣と委員長との間の連絡機関として連絡委員の名称に変えておくべきではないかという意見までもあつたようであります。私の承知するのでは政務次官の設置は大体議会と政府との間のそういう関係を円滑にするということが重要なことではないか、かように考えているのであります。その点についてどういうふうにお考えになりますか。私はここに是非とも國会の委員会には三方のうちで必らず一人は御出席になるような方針を以てやつて頂かなければならんとこのように考えるのであります。本日未だに大臣の御出席がなかつたのはどういう理由によるのか。又今後現内閣の大臣並びに政務次官は委員会に対してどのようなお考を持つておられるか。どのような態度を取ろうとせられるか。この機会において一つ御所見を伺いたいと思います。
#39
○政府委員(亘四郎君) お答え申上げます。只今委員長からお話になつた通り、大臣と二人の政務次官というものは、大臣を主にいたしまして、そうして政務次官は主といたしまして議会との運営をスムースにするための一番大きな連絡をするようにということがその最も大きな目的で作られたものでございまして、その点委員長のおつしやつた通りだと思うのであります。本日私参議院の厚生委員会におきまして、委員会があることは実は私自身誠に申訳ないけれども存じておらなかつたのであります。内々参議院の方は淺岡さん、それから衆議院の方が私とかように考えておつた次第でございました。で先程私は用がありまして、淺岡さんに面会を求めたところが、厚生委員会に出ておられるからというので、私は淺岡さんを捜さずに帰つたような次第なんでございまして、ここに出ておられるものとばかり思つておつた次第でありまして、その点誠に皆さん方に申訳なかつたと思うのであります。申すまでもなく今後の國会の運営は常任委員制度でありまして、委員会を中心にした運営であることは申すまでもないことでありまして、決して委員会を軽視するというような態度は苟もとるべきでは絶対ないのでありますから、私共今後一層意を用いまして、委員会を重視いたしまして、委員会との連絡を緊密にいたしまして、そうして厚生省所管の問題、法案につきましても、委員の皆樣方から特に御協力を願つて、速かに厚生省の方針が進行できるように御協力をお願いしたいと思う次第であります。
#40
○山下義信君 委員長が御注意下さつたのでもう蛇足を加える余地がないのでありますが、大体亘政務次官が見えましたので、大臣にもお傳えを願いたいと思う。又亘政務次官は衆議院でいらつしやいますので、まあ、ちよつと速記を止めて頂きたいのですが……。
#41
○委員長(塚本重藏君) ちよつと速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#42
○委員長(塚本重藏君) それでは速記を取つて下さい。
#43
○山下義信君 亘政務次官にお尋ねいたしたい。最近厚生省の所管に関しまするいろいろな機関或いは施設等におきまして、不祥事件或いは不正事件が起り、救護用の物資の横流れ、或いは收容者に対する暴行をするとか、さまざまの事件が起きるのでありますが、今日厚生行政を非常に伸張して参らなければなりませんこの際、私はそういう問題に対しまして、粛正をしなければならん時期である。又その必要が迫つていると考えるのでありますが、例えば岡山縣における厚生館の事件でありまするとか、その他御承知の通りにあります。厚生省はこれらの粛正ということについて、何らかの手を打つお考えでありますか。或いは不正施設に対しましての調査をするとかいうようなことに対する御用意があるかどうか、そういうことをなさるお考えがあるかどうかということを、政府の責任者として御答弁を願いたい。
#44
○政府委員(亘四郎君) お答えいたします。私は率直に申上げますが、御承知のように、この度政務次官になつたほやほやでありまして、まだ審かにお答え申すだけの私は勉強が、自信がないのでございます。それで不満足なお答えしかできないことを恥じるのでありますが、お説のごとくいろいろと不祥事件が厚生省の所管の問題について起つていることを新聞その他によつて承知している次第でありまして、内内心配しておつたのであります。ひとりそうした通徳面のことだけでなく、又技術面の方からいたしましても、いろいろと問題になるような事柄が頻々としてあるような状態でありまして、誠に遺憾に思つているのであります。この際日をかして頂きまして、調査を徹底いたしまして、その結果におきまして当然の措置を取りまして、そうして厚生省のあり方として、國民に信託して貰わなければならん。そうして國民の福祉を増大さして行かなければならん、機能を十分に発揮しなければならん省なのでございますから、十分そういう点を考慮いたしまして、そうして改革すべきものは当然断乎として改革し、又技術の面におきましても力を盡しまして、そうして國民の要望に應えまして、過ちのないようにして行きたいとかように考えております。
#45
○山下義信君 分りました。速かにお願いして置きます。それでは次の本院厚生委員会のときには、どういう構想で、どういう機構でこの粛正或いは不正の査察、そういうふうなことを実行なさるか、具体的な方策をお示し下さつて御報告を願いたいと思います。
#46
○政府委員(亘四郎君) お言葉了承いたしました。
#47
○井上なつゑ君 亘政務次官においでを頂きましたので、お尋ねいたしたいと思います。先程各地を視察いたしました委員から報告がございましたけれども、この視察の度ごとに問題になつていることは保健婦の絶対数の不足、看護婦の絶対数の不足、第一回から第四回の國会に至るまでいつもこの問題に対して咳の出る患者に少し頓服を飯ませるという処置しか講ぜられていないのでございますが、厚生次官もおいでになりましたし、厚生省におかれましては、眞劍にこの問題に対して原因がどこにあるかということを研究して頂きたいと存じます。そうしてこれに対する対策を考えて頂きたいと私は思います。
#48
○政府委員(久下勝次君) 私から只今の御質問にお答えいたします。保健婦が一般的に不足であるということにつきましては、私共全然同樣に考えておりますのであります。この補充につきましては、御承知の通り新らしい制度によりますと、なかなか保健婦を得るのに困難と思いますが、少くとも現在の新らしい制度が実施されます二十六年度に至りますまでの過渡的の措置といたしましては、新らしい制度ができます前後に、一應廃止になりました第二種の保健婦の養成の制度、即ち具体的に申しますと、一定期間の講習を受けました者に対して都道府縣知事が試險を行なつて免許を與えるというような措置を復活をいたしまして、先般來実施をいたしているのであります。かような便法を取ることによりまして、少しでも保健婦の補充を図りたいと思つているのであります。尚これも保健婦の実質が伴わなければ意味がありません。実はその点で苦慮いたしているわけであります。而も更に近い將來のことを考えますと、新らしい法律に基きますと、甲種看護婦、即ち六、三、三の卒業生に対して更に四年間の教育を與えなければ保健婦になれないという制度になつております。ここ二、三年の後の問題ではありまするけれども、私共としても非常に心配をいたしているのであります。当面の処置としては先程の應急的措置を実施いたしているのでありますが、近い將來の問題といたしましては、この辺のところをもう少し世の中の推移と見合わせまして、篤と檢討いたしたいと思います。
#49
○竹中七郎君 先程私は温泉場の性病問題に対しまして御報告を申しましたのですが、これに対しまして、山形縣当局としてはいろいろの調査をしておられますが、厚生省としてはどんなふうに今後取扱い、又全國的にこういう共同浴場に対しまする措置をとられますか、その点をお伺いしたいと思います。
 次に兒童身賣り問題に対しまして、私たち山形或いは福島縣の若松地方に出て参りまして、その氣候が東京或いは我々愛知縣とは非常なる違いがあります。いわゆる雪害と申しますか、十一月の末から三月いつぱいは雪にとざされる、この時期に対しまして、この身賣り問題が起りましたその家庭を見ますときにおきまして、必ずしも生活保護法にかかつている家庭の子供だけではなくて、却つてその生活保護法にかかつておらない家庭が多いように見受けられるのでございます。かようなことを考えますときにおきまして、私は委員長が申されました通り、この生活保護法の問題を約四ケ月乃至五ケ月間の間におきまして、生活保護法の、何と申しますか、例外を設けられまして、この四ケ月間だけは、普通では生活保護法にかからないけれども、特別な者に対してはこれをかけてやる、こういうことにいたしますならば、或いは義務教育だけなりとも自分の家庭に置いて生活ができ、そしてその後におきましては、或いは私この点も自分の一つの私見があるのでございますが、職業安定所におきまして、或いは兒童相談所におきまして、少年の職業の紹介をやる、こういう少年職業安定所或いは少年職業紹介機関というようなものを設けまして、そこにおいてこの家庭の生活を見てやる、こういうようになりましたならば非常にいいじやないかと思いますが、この点につきまして当局のお考えを承りたいと思います。
#50
○政府委員(三木行治君) 竹中委員から御報告に相成りました上ノ山温泉の事件は誠に遺憾な出來事でございまして、丁度昨年七月こういう事件の絶無を期して施行せられました公衆浴場法の施行当局といたしまして、誠に申訳ない次第であると、かように考えておる次第でございます。先程の御報告の際の御要望にもございましたように、これはひとり上ノ山温泉の事件にのみ止まらないのであるから、十分注意するようにというお叱りを頂いたのでありまするが、私共といたしましては全く恐縮しておるのでありまして、更に地方当局を督励いたしまして、十分努力をいたしたいと考えておる次第であります。戰爭中御存じのように疎開学童にかような事件が発生いたしたのでありまするが、併しこれは特異なる環境下に発生した事件であつて、而もこの上ノ山事件後、福岡縣の炭鉱において、或いは鹿兒島縣等におきましても、同樣な事件が出ておりますることは、私共といたしまして重々申訳のない次第である、かように考えておる次第でございます。つきましては、四月に相成りましたならば、地方の関係官を招集いたしまして、かようなる不祥事が決して起きないように、且又公衆浴場法におきましては、公衆浴場の衞生諸條件等につきまして、條令で以て定めることに相成つておる次第でありまするが、それらの点につきまして、更に檢討を加えまして、この種事件の絶無を期して行きたい、かように考えておる次第であります。
#51
○政府委員(小島徳雄君) 只今いわゆる身賣りいたしておる家庭は、いわゆる生活保護法の該当者より、それのすれすれの線の家庭の方が非常に多い、從つて生活保護法の徹底を欠いておるから、ああいうことが起きるんじやないかというような御意見のように拜承いたしました。この問題につきましては、我々も関係社会局方面との連絡をいたしておるのでありまするが、一つには、まあそういうような経済的な原因というものもあると思います。もう一つには、今のように、昔からの習慣で子供を、大体いろいろの調査をして調べて見ますと、最近においては日傭いの関係が多いとか、農家でも相当出しておる家庭を見ますと、大体二反とかいうような面積の田地の小作ほかやつてないという家庭、從つて單作地帶で働くべきことは当然だから、而も地域がないというので、適当な所へ出した方がいいというような、昔からの多少習慣的な、從つて一家の中で相当三人も四人も出しておる家庭で多いというような実情を見ましても、経済的な原因ということと、もう一つは、今のような、いろいろ從來からの習慣的な考えが改められないという点もあると思うのであります。この点につきましては、一面におきましては、先程申しましたように、もう少し兒童の人権を親も尊重しなければならんということと、もう一つは生活保護法の問題につきましても、関係方面と連絡いたしまして、改善すべき点を改善しなければならん、かように考えておるのであります。
#52
○政府委員(久下勝次君) 先程竹中委員の御報告の中にございました点で、私ちよつと申し落した点が二点ございますから、簡單に申上げたいと思います。第一は、國立病院の医師その他につきましては、行政整理をすることは適当でないというお話がございました。実は私共といたしましても、從來國立病院、療養所、いずれも患者が逐年増加いたしますにもかかわらず、この両三年全然増員が行われておらない状態であります。從つてこれ以上医師或いはその他の從事関係者の数を減らしますことは、病院関係の事務の低下或いは医療内容の低下ということになろうと思いまして、関係方面に折角努力をいたしておる最中でございます。
 それからもう一つは、特別会計制の実施につきましてのお話がございました。國立病院の特別会計制度の実施につきましては、只今までの予算の折衝の経過におきましては、特別会計を実施いたさなければならないように趨勢にございます。いずれこの問題につきましては、正式の決定は國会に特別会計法案が提出されまして、御審議を頂きました上で決定になることとは思つておりますが、ただ特別会計と申しましても、これは独立採算制を前提としたものではございませんので、今までの予算の折衝の経過では若干一般会計からの繰入で行われる予定になつております。大体御意見のございましたような運びになると思つておりますが。さよう御了承を願います。
#53
○委員長(塚本重藏君) 尚相当沢山当局から聞かなければならん問題が残されておりますが、明日午前十時からそれを続けることにいたしまして、本日はこれにて散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。それでは散会いたします。明日は午前十時から開会いたします。
   午後四時四十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
           姫井 伊介君
   委員
           中平常太郎君
           山下 義信君
           中山 壽彦君
           竹中 七郎君
           井上なつゑ君
           藤田 芳雄君
  政府委員
   厚生政務次官  亘  四郎君
   厚生事務官
   (兒童局長)  小島 徳雄君
   厚生事務官
   (保險局長)  宮崎 太一君
   厚生事務官
   (医務局次長) 久下 勝次君
   厚 生 技 官
   (公衆衞生局
   長)      三木 行治君
  説明員
   厚 生 技 官
   (予防局予防課
   長)      小川 朝吉君
ソース: 国立国会図書館
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