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1949/03/25 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第3号
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1949/03/25 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第3号

#1
第005回国会 厚生委員会 第3号
昭和二十四年三月二十五日(金曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○保健婦檢定試驗に臨時特例設定の請
 願(第百十四号)(第百二十八号)
 (第百四十七号)
○厚生省兒童局廃止反対に関する陳情
 (第百八号)(第百三十五号)(第
 百四十三号)
○厚生省兒童局廃止反対に関する請願
 (第百六十二号)(第百七十三号)
 (第百七十五号)(第百八十号)
 (第百九十一号)
  ―――――――――――――
   午前十時三十二分開会
#2
○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。本日の会議に付しました事件のうちの請願の第百十四表、保健婦檢定試驗に臨時特例設定の請願、請願第百二十八号、同第百四十七号、いずれも同樣の請願であります。この三件とも紹介議員は井上なつゑ議員でありますので、これを議題にいたしまして紹介議員井上なつゑ氏から御説明願います。
#3
○井上なつゑ君 この請願第百十四号は長野縣の大久保しづか外十六名の請願であります。請願第百二十八号は、これは神戸市の仙賀ますみの請願であります。それから請願第百四十七号は山梨縣の功力春枝の請願であります。これは三件とも意味は同じものでございますが、実は本年一月二十九日付で保健婦の檢定試驗に関する省令が出ましたのですが、これによりますと、保健婦の檢定試驗は、昨年の國会で保健婦助産婦、看護婦法が通過いたしましたが、その法律の一部を実施いたしましても、檢定試驗に関することは從來のままになつておりましたところ、突如といたしまして、去一月二十九日に厚生省令第四号を以ちまして、從來の保健婦規則の一部すなわち檢定試驗に関することの省令が出たのでございます。それによりますと保健婦の檢定試驗は都道府縣の知事の行う五ケ月以上の講習を受けた者でなければ、これを受けることができないというのでございます。それで保健婦の免状を持たなくして保健婦をいたしておりまして、そのうちに保健婦の檢定試驗を、殊に今年四月になれば檢定試驗を受けたいと各府縣では準備をいたしておるものでございますが、長野縣でもそうした準備をいたしておる者が相当数ございますので、そうした折角保健婦を志しておる者で保健婦の檢定試驗が受けられない。保健婦になれないということが一つと、それから現在長野縣では保健婦の実数が少なうございますので、保健婦の本当の実のある仕事ができません。そうした意味から特に四月に限つて保健婦の檢定試驗を從前通りにするような臨時の特例を設けられたいという請願でございます。以上外のものもあるのでございますが同樣の文書であります。それからもう一つは例えば五ケ月の講習をなさいましても、今度の省令では看護婦でない者は保健婦になることはできないということでございますので、この特に看護婦不足を來しておるときに、どうしてこの五ケ月の講習が続けられましようかということが、一つ大きな問題でございますから、是非ともこの四月は特に臨時特例を設けられたいというのでございます。どうぞよろしく御審議をお願いいたします。
#4
○委員長(塚本重藏君) 只今井上委員から請願の趣旨の説明がありましたが、これに対しまする政府の方針をお伺いしたいと思います。
#5
○政府委員(久下勝次君) 只今の請願に対しまして私共の考えておりますことを私から御説明申上げたいと思います。それには從來の保健婦制度のごく最近の経緯を先ず申上げる方がよろしいかと思いますので、簡單に申上げて見たいと思います。
 昨年保健婦、助産婦、看護婦法を御審議御決定を頂いたのでありまするが、それより先政令を以ちまして、昨年の法律と同じようなことがすでに公布施行せられておりましたのであります。この法律の精神は御承知の通りに、保健婦、助産婦、看護婦の資質の向上を図つて、我が國の公衆衞生の向上改善に資したいということに盡きるのでございます。申上げました政令発布の前後におきまして、從來保健婦になります者に大体三種類のものがたつたのであります。その第一種は高等女学校を卒業いたしまして、二年乃至三年の教育を受けた者、これがいわゆる第一種の保健婦養成所としまして、無試驗で保健婦の免許を与えておつたのであります。この制度は今日も新法の施行までそのまま継続されておるのであります。第二種の養成所と申しておりますものは、看護婦の資格を持つております人に一年間の教育を施しまして、そうして保健婦の免許を与えるというような制度があつたのでありますが、政令施行の当時この第二種に属します資格を持つております保健婦が、全般的に見まして必ずしも保健婦として適切な資質を持つておらないということがいわれましたので、政令施行の当時すでに第二種の養成施設というものは中止をいたしまして、そのままごく最近に至つておつたのでございます。第三種の保健婦の資格といたしましては、一年以上保健婦、助産婦、看護婦の学術を修業いたしました者に檢定試驗を行いまして、それに合格した者が三ケ月間保健婦に関する実務を修習した上に、免許を与えるという制度でございます。この第三種に属しますものは、政令施行の当時すでに第二種のものと同樣に廃止すべきであるという意見が出まして、一度厚生省としても通牒で廃止の意向を表明したこともあつたのでありますが、事実上は第三種に属する修習中の者が相当数ございました関係もありまして、実際問題としては廃止にならずに今日に至つております次第であります。そこで昨年頃から、この請願の御趣旨にもありまするように、保健婦の数が足りないので、何とか廃止になつておりました第二種の復活をして貰いたいというような御意見が各方面から出ておりまして、私共といたしましても最初から問題になつておりました第三種の檢定試驗制度を合せ考えまして、どういう措置をとるべきかということにつきまして、各方面といろいろ打合せをいたしておりましたのでございます。その結果決まりましたのが、先程請願の内容として御説明のございました本年一月二十九日付の厚生省令第四号で出ました制度でございます。從つてこの制度の考え方この特例の考え方は、從前行われておりました第二種の養成所の制度と檢定試驗制度とを合せ考慮いたしまして、そして保健婦として必要な資質というものを如何なる限度に置くべきかというような考え方に出たものでございます。私共といたしましてはこの制度を作りますのに、一面におきまして請願の趣旨にありますような保健婦の数が足りない、何とかこれを早く養成する便法を講じなければならないという一方の要求と、又一方におきまして保健婦の資質を向上するためには、從前のような制度をそのまま踏襲することは適当でないという、二つの相反する考え方を、どういう点で調和して行くかということをいろいろ考えたつもりでございます。その結果が両制度を一本にいたしまして、そして本年一月二十九日の省令の形になつて出てきたわけでございます。從いまして御指摘のようにこの臨時特例一部改正と申しますか、本年一月二十九日の一部改正によります制度は、一面におきましては檢定試驗制度を受ける資格のありました人につきましては、やや酷に失すると申しますか、少し程度を高めたようになつておりますが、又一面におきましては從來第二種の養成所に入り得る資格のありました人々、つまり看護婦の資格を持つておりました人々につきましては、実際問題としては五ケ月間の講習を受ければいいということで、一年が五ケ月に減らされたという建前から、勿論試驗制度はございますけれども負担の軽減になつておると考えております。結局この辺のところで調和をすることが、將來我が國の保健衞生の事業を推進して行きますために、今日の実情を考え合せまして適当であるという考え方に基いておるものでございまして、請願の御趣旨にございますように、これを從前の制度に戻しまして講習を経ずして受驗をさせるというようなことをやりますことは、この制度或いは法律の精神に鑑みました保健婦制度の建前から申しますと、やや困難なことではないか、かように考えておる次第でございまして、さように御了承頂きたいと思う次第でございます。
#6
○委員長(塚本重藏君) 御意見ございませんか。
#7
○井上なつゑ君 只今の政府委員の御説明で大分分りましたのでございますが、それでは現在保健婦の免状を持つておりまして保健婦として働いております者、それから保健婦免状を持たないで保健婦の仕事をいたしております者が、どのくらいございましようか。その数字が承わりたいのでございますが……。
#8
○政府委員(久下勝次君) 保健婦の免許を持つております人の数は、調査がやや古いので恐縮でございますが、一昨年九月の数字で申上げますと、二万一千百十一人、こういう数字が出ております。保健婦免状を持たないで保健婦の仕事を行なつております者につきましては、対象が非常に漠然としておりますので、私共としては数字を掴んでおらないのでございます。と申しまするのは、保健婦制度というものは、御承知の通り、保健婦と申すのは保健婦の名称を用いて保健指導に從事する者ということになつておりますので、保健指導というものは保健婦の名称さえ用いなければ誰がやつてもよろしい、そういう制度になつております関係上、非常に漠然としたものでありますので、その調査が困難でございましたので、只今のところ数字を持たないのでございますが、それで御了承頂きたいと思います。
#9
○井上なつゑ君 それではお伺いいたしますが、これから檢定試驗が実施されるようになりましてでも、保健婦の免状を持たないでも保健指導ができるわけでございますから、現在のように市町村で保健婦の免状を持たない者でも保健婦代用として使つておるようでございますが、ああいうように使つてもいいものでございましようか。
#10
○政府委員(久下勝次君) 制度の建前から申しますと、お話の通りになると思いますが、この者はやはり保健婦ということはいえないので、私共としては実際問題としてはさようなことを奬励をするつもりはございません。成るべくならば正規の保健婦の免許を持ちました立派な保健婦に働いて頂くように指導したいと思つております。
#11
○井上なつゑ君 実際問題として起れば止むを得ないということでございますね。
 もう一つ伺いたいのでございますが、この保健婦試驗でございますが、從來の檢定試驗は何と申しますか、各都道府縣でやつておつたのでございますが、どの程度厚生省でこの檢定試驗を監督なさいましたのでしようか。それを伺いたいと思います。
#12
○政府委員(久下勝次君) 檢定試驗につきましては從來必ずしも厚生省から画一的な指示はいたしておりません。ただ試驗の科目等について省令の規定があつた程度でございます。併し今後のこの新しい一月二十九日の改正に基きまする講習並びにそれに関連する保健婦試驗につきましては、先ず第一に五ケ月間の講習の内容につきまして、只今丁度保健婦のこの講習を担当する指導者の講習会をやつております。そこで関係者が集まりまして、講習内容そのものについて愼重に檢討をいたしておるのであります。從つて講習の内容及び程度が決つて参りますれば、必然それを修業した者に対する試驗ということで、試驗の内容にも一定の限度が定つて來るものと考えておるのでございます。只今その辺のことはまだ決定いたしておりませんから、今申上げたような措置をいたしたいと思つておるのであります。
#13
○井上なつゑ君 それではもう一つお伺いしたいのですが、この五ケ月の講習を受けた者に対する試驗の内容は、只今指導者の保健婦の人たちによつて定められるということでありますが、その指導者の保健婦の人たちの講習を近くするやに伺つておるのですが、その人たちが帰りまして、いずれ決めるのでございましようと思いまするが、若しこの四月に保健婦の檢定試驗の臨時特例が設けられるといたしましたら、その指導者の人たちは、四月の臨時檢定試驗の特例の内容にタツチするようなことはできないのでございましようか。結局この檢定試驗と申しましても、その五ケ月の講習を受けた人も講習を受けまして、檢定試驗で免状を受ける。無試驗で五ケ月の講習を受けた者と雖もやはり檢定試驗を受けなくちやならん。それからこれまで免状がなくても無資格でやつております保健婦の人たちは、講習を受けないかも知れませんが、或る一定の体驗を持つておるわけですが、要は試驗の仕方にあるのではないかと私は考えるのですが、これは私個人の考えですけれども、これまで各都道府縣で厚生省が監督をせずに、檢定試驗でやつておるというところが、保健婦の質の問題に関係するのではないかと思いますので、若し臨時特例が設けられるようなことがありましたら、厚生省が監督でもなさいまして、講習を受けておる人たちも試驗の内容にタツチするように試驗委員会の中に入れて頂くというようなことにして、この請願をもう少し見て頂くようなわけには行かないものでしようか、その点を一つお伺いしたいと思います。
#14
○政府委員(久下勝次君) 只今行なつておりまして今月の末で終了いたす予定の保健婦指導者講習会でございますが、この講習会は先程ちよつと申上げましたように、新しい一月二十九日の省令に基く五ケ月間の都道府縣知事の行います講習の指導者となるという意味におきまして、今教育をいたしておるのであります。從つてこの人々はこの保健婦指導者の講習会によりまして、五ケ月間の講習を如何に行うべきかということの教育をしておるのでございますから、仮に請願にございますような臨時特例が設けられるといたしましても、只今の教育そのものはそういうことを目標にしていたしておらないのでございます。又一方におきましてこの秋から実施されると思いまする新しい制度の改正に基く試驗につきましては、当然今回の講習を受けております人々が試驗委員として参画をするようにということになろうと思つております。少くとも地方で行います五ケ月間の講習会には今申上げましたように、現在講習を受けております保健婦が指導者になるということになろうと思います。試驗委員のうちにも当然加わつて行くものと考えております。臨時特例につきまして重ねてのお尋ねではございましたけれども、先程來申上げておりますような趣旨で、請願の御趣旨にありますような意味においての特例を今日又別に設けるということにつきましては、考慮はして見たいとは思いまするけれども、只今までの各方面との打合せ、交渉の結果におきましては、非常に困難があるということを御了承頂きたいと思います。
#15
○井上なつゑ君 それではもう一つ伺いたいのでございますが、この五ケ月の講習にどういうようにして保健婦の志願者をお採りになりますか。この本年度の計画がおありでございましようから、その計画を承わりたいと思います。
#16
○政府委員(久下勝次君) 一般的に申しますると、こういう制度ができましたことによりまして、各方面に宣伝をいたしまして、志望者を集めたいと思うのでありまするが、ただこの改正省令の施行に関連をいたしまして、私共としては現在從前の制度によりまして、保健所で先程御指摘のような事実上の見習というようなことをやつておる人がございます。そういう人々にも講習を受けます資格を与えることにいたしておりまするので、それらの人々、即ち保健所に働いておる現在の見習の人にこの講習に参加するように慫慂をするつもりでおりまするが、差当り志望者が少くて困るということは余りないのではないかと考えております。
#17
○井上なつゑ君 もう一つ承わりたいのでございますが、講習の経費はどういうようになるのでございましようか。その経費の問題を一つ承わりたいと思います。
#18
○政府委員(久下勝次君) 講習会の費用につきましては、從來の関係もございまして只今のところ私共としては府縣の負担でやつて頂く外はないと考えております。
#19
○井上なつゑ君 経費の問題でちよつと伺いたいと思います。実は看護婦の問題でございますが、この頃厚生省の主催で各地区に看護婦の再教育を三ケ月か行なつて頂いておるのでございます。大変看護婦の人たちも喜んでおりますのでございますが、その一部の人たちのお話によりますと経費が嵩む。尤も会場等の経費は厚生省で負担なさつておるようでございますが、こういう時期でございますから、この三ケ月の経費がこの間も聞きますと二万円ということでございます。これはどこからどういうようにして御計画をお立てになつたのでございましようか。自弁でその五ケ月間も行くということになりますと、これは不可能だと思います。年のいつた人たちがこの講習に対して二万円乃至三万円の費用が要る、そういうことでございますが、この講習会の計画なども予めよく立てて頂かないと、折角の計画も、保健所の近くの人たちは行けるかも知れませんが普遍的でない。耳にいたしますところでは講習会が保健所中心主義でよくないということでございます。勿論保健所中心でなくては指導はできないかも知れませんが、町村にも保健婦がおりまするし、他の団体にもおります。そういう人たちの再教育が殆んど顧みられていない。いろいろ聞きますのですが費用の点は本人の負担ということになりますと、この点大いに問題ではないかと思いますので、その点承わりたいと思います。
#20
○政府委員(久下勝次君) 講習会の費用につきましてはお話の通りに相当重大な問題であろうと思います。私共といたしましても御趣旨に從いましてこれを実施します時分には、尚十分檢討いたしまして実施上齟齬のないようにいたすつもりでございます。ただ一言申上げまして御了解を得たいと思いますのは、先ほど申上げました第二種養成施設の復活ということにつきましては、昨年の秋全國の看護長、係長会議を開きました際に各都道府縣の殆んど挙つての意見でございました。一年間の看護婦の免許を持つております者に一年間の教育をするという制度の復活を非常に要望せられました事情もありまして、縣が希望する以上実際問題としてそう困難はないかと考えます。併し尚この点は具体的に審かにいたしておりませんので十分注意はいたしたいと思います。
 それから教育が保健所中心主義ではいかんではないかというのは御尤もでございます。保健所のみならず保健婦の活躍しておる面は御指摘のように各方面でございまするが、その点は十分氣を付けたいと思つております。
#21
○井上なつゑ君 それでは只今のお答弁で大体分りましたのでございますが、現在それでは保健所でないそうした所で、現在この請願にございますこの入檢定試驗を受けようと目的を立てておりました人達は、これはどういうように厚生省ではなさるおつもりでございますか。
#22
○政府委員(久下勝次君) この春受けようと思つておられた人々については、誰か最初お話のように青天の霹靂かも知れませんけれども、先程申上げましたように、檢定試驗を通りましても免許を貰いますまでには三ケ月間の実習が必要でございますので、期間的に申しますれば二ケ月ほど延びまするけれどもそう大差ないものではないかと思います。ただ後でやることを前にやるというような関係に考えておるのでございます。從つてこの春試驗を受けようとして保健所で見習をしておりましたような人々につきましては、先程申上げたようにこの講習は五、六月頃には開始するように指示いたしたいと思つておりまするが、その講習会に参加するように慫慂することによつて解決したいと思います。
#23
○委員長(塚本重藏君) 他に御意見ありませんか。
#24
○山下義信君 私は門外漢でよく分りませんが、この請願に関しての紹介議員の御発言並びに政府の所見を伺つておりますと、一、二奇異に感ずる点があるのであります。
 第一、保健婦の管轄は医務局でしておいでになるように今承知いたしたのであります。保健婦の任務といいますか、活動といいますか、重要さというものは本員は門外漢でありますが、先般視察いたしました諸方で実地に見聞いたしましたことによつてよく承知をいたしております。それの身分に関しまする省令、規則の問題でありまして、而も紹介議員はいうまでもなくその途の権威者であります。國会におけるその方面の唯一の代表者といつてもいいのであります。この件が適当と認めて紹介いたしましたこの請願の事案は、極めて私重大であると感じております。然るに只今の政府の御説明によりますと、保健婦の実態の御調査の統計は、一昨年の数字をお述べになつたようであります。而も私が、了解しがたいのはさような重大な省令、規則をお出しになりますのに、免状を持つておる、いない、保健婦が幾らの数があるか、或いは五ケ月の講習という條件をつけて十分その講習を受けて試驗を受けようなどと志しておる保健婦がどのくらいあるか、或いはこの計画を実施いたしました場合に失格する保健婦が、即ち換言すれば、幾らあるか。若しそれがために保健婦の数に欠員を生じたならば、どのくらい重大な支障を來すかということにつきまして、詳細なる基礎的な御調査ができているかどうかということが甚だ私疑問に感ずるのであります。恐らくそういうことを御檢討に相成つて、且つ又若し必要があらば講習会の計画等いろいろそういうものに対して与えるところの便宜というようなことに対して、周密なる御計画もあるはずであると私は思うのです。又そういう御計画やお調査がなくして、その身分に関しますることの変更を加える規則の制定等が軽々しくできるものではないと思います。もとより保健婦の資質の向上について御心配御苦心になつておるところは了承いたします。私も賛成であります。程度を高めなくちやならん忌わしき保健婦が多数あることは想像でき難いことでもありません。併しながら不確実なる調査の下に重大なる変更を加えるということは、余程注意をいたさなければならんと私は思うのであります。この請願を審議して行く上に本員は賛否いずれにいたしていいか、只今の紹介議員と政府との質疑応答では、判断を下すのに苦しいような状態であります。要すれば委員会として保健婦に関する政府の資料を正式に要求いたしますか、どういうような取扱いをしたならばよかろうかと私は思うのでございます。どうか私共にこの請願に対しての賛否の判断の資料になりまするようなものを与えて頂きたいような希望を今生じましたので、それで第一に政府のそういうような資料を要求しますか、どうしまするかの前に、こういうときにおいての專門員でありますから取敢ず私は本案に対しての草間專門員の意見を、この委員会で聽取したいと私は思います。どうか委員長からそのようにお取り計らいを願います。
#25
○專門員(草間弘司君) この保健婦の現在の状況は、私共各地方を見て廻りましても、相当に不足しておる状態にあるのであります。保健所におきましても、これがために実際の仕事を行なつて行くことができない程に不足を感じておるのでありまして、何とかこの際に私共は保健婦の事業に完成させるために、保健婦の数を増す方法を講じて行かなければならないと思います。
 併し又一面におきまして、保健婦の資質の向上ということも頗る重要な問題でありまして、如何に数ばかり多くありましても資質が向上されなければやはり何にもならないのであります。つきましてこれはなかなか大きな問題だと思います。けれども差当りの応急の措置といたしましては、やはり何らかここに便法を講じまして、保健婦の充実を図るという方法に出るより外に仕方がないのではないかと、かように考えまするのであります。でありまするからして、私共はこの請願の趣旨にありまするように、特別なる試驗の方法を設けて頂くというようなことを考えなければならないのじやないかと思います。
#26
○山下義信君 私はこの数が特例を設けても、その恩典にあずかる者の数が極めて少ない場合には、小の虫を殺して大の虫でも押切つて政府の御方針の通りでよろしいけれども、非常にそれが多数の者に該当するというような状態でありますならば、もとより常識的に考えましても一考をしなければなりません。それでその数が明瞭でございませんので判断に苦しむのでもございますが、政府の面目もあります。一旦省令、規則で以ちましてその方向に進んでおりますものの逆行を國会が要求することはできません。私共もその方向には賛成でございます。併し現実の事態がこういうふうなことが本員たちに明らかになりました上では、政府の立場その方針を尊重しつつ、何らかの処置がないものであろうかと思うのであります。詳しく規則を存じませんので、愚案も申し兼ねますが、例えば使用しておりまする所長とか院長とかいうような者の実力の認定で、暫くの間使用してもよろしいというような、試驗を受けるまでせめて五ケ月、六ケ野の講習を受けるまでの間使用してよろしい、但しそれは相当使用し得るだけの資質のある者と何人かが認定をしたというようなことが、どこかの規則にでもありますものかどうか、不案内でありまして分りませんが、これは私の愚案の一例を申したわけであります。それで何らか政府のこの規則を活かして尊重しつつ、本請願の趣旨を採入れても行政措置が、もうこの後続いて二度も三度もお願いするのではないと思うのです。恐らくこの度一度切りのこういう請願をまあお願いするということになりますれば、当局がもん一遍ここ二三日お考え下さる思召がありますかどうか。先程の御説明の中では、非常に御苦心のところをも推察するのでありまするが、考慮して見たいとも思つておるという次長の言葉もあつたと思うのでありますが、若し当局でもう一遍研究して頂くということでございますれば、專仰々しくいろいろな資料の要求というような御面倒を願わなくても、御研究の一二の結果を委員会は数日お待ちしてもいいのではないか、かように考えるのであります。政府のお考えを重ねて承わりたいと思います。
#27
○政府委員(久下勝次君) 只今山下委員からお話のございました第一の点でございますが、先程ちよつと申上げましたように、保健婦と申しますのは、保健婦という名称を用いて保健指導に從事する女子を言う、こういうのが法律の規定でございまして、この考え方は、保健婦という名称を用いさへしなければ、保健婦の免状を持たない者でも保健指導に從事していいという裏の意味があるわけでございます。從いまして実際問題としてはお話の通りになるものと考えておるのでございます。
 それから第二の点でございまするが、先程申上げましたように、この問題につきましては、各方面といろいろと打合せもいたしまして、それから又正確な数字がなくて甚だ恐縮でございましたが、実際上府縣の幹部の会議を開きました際の意見等を総合し、或いは厚生省で申しますれば、予防局の保健所を担当いたしておりまする方と十分連繋を取りまして、いろいろと打合せました結果、大体この程度ということで措置が決まつておりまするので、これを再び実質的な大改正を行いますということは、私今思いまするところでは、非常に困難ではないかと思うのでございますが、お話もございまするし、尚一つ私共としても各方面と再折衝をして見ることは吝かでございません。
#28
○山下義信君 私は、本請願の審議は、本日はこの程度にしておいて頂きまして、他の政府の又御研究の結果を俟つて審議の御継続を願いたいと思います。
#29
○委員長(塚本重藏君) 他に皆さま御異議ございませんか……。それではこの請願に対しまする取扱いについてお諮りいたします。先程山下委員の発議の通り、本日はこの程度で留保いたしまして、当局の善処を俟つて、その上で最後の決を採るということにすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。さように決定いたします。
 次に陳情第百八号、厚生省兒童局廃止反対に関する陳情を議題に供します。專門員から説明を願います。
#31
○專門員(木村盛君) 陳情文書表第百八、厚生省兒童局廃止反対に関する陳情。横浜市財団法人神奈川縣社会事業協会代表者からの陳情であります。
 趣旨は、最近行政整理に伴う措置として、厚生省兒童局廃止の報に接して、関係方面はもとより、國民として誠に我等兒童福祉事業に携る者は、唖然としてその眞僞を疑うような状況になつておる。いうまでもなく現在の兒童福祉法が制定されたのは、正に防貧乃至救貧の從來の觀音を超えて、憲法の精神に從つて、兒童福祉法という誠に画期的な立法が、崇高なる立法精神によつてこれは生れたのであつて、而も次期日本を担うところの兒童のために、どうしても一元的な行政を進めねばならないという理由から、この局が誕生して僅か一年にして、如何なる政策の転変か分らないけれども、これの廃止を見るがごとき風評が起るがごどき状況になつておることは誠に遺憾に堪えない。願くばこの新らしい精神の盛上つておるところの我が日本の兒童行政に、大なる禍根を残すことがないように、而して文化國家建設の將來に一大光明を与うるように、この際是非、この廃止問題には反対であるから、存続するようにして貰いたいというのが陳情の概要であります。
 尚これに伴いまして、各地から同樣の趣旨の陳情が、口頭又は電報を以て本院に参つております。この数その他は省畧いたしまするが、同樣なものが沢山電報、或いは口頭によつて陳情がなされておるということを附加いたします。以上であります。
#32
○藤田芳雄君 今のものは請願の中にも第百六十二号、第百七十三号、第百七十五号、百八十号、百九十一号。それから陳情の方にも百三十五号、百四十三号と出ておりますが、これは皆同じもんだと思いますから、一括して取扱うことにいたしました方が都合好くないでしようか。又改めて審議をやるより……。
#33
○專門員(木村盛君) それはまだ委員会付託になつておりませんです。
#34
○藤田芳雄君 付託になつておるでしよう。我々の所へ文書が廻つて來ておるんですから……。
#35
○專門員(木村盛君) 只今調査いたしまして申上げます。
#36
○委員長(塚本重藏君) 今藤田委員の言われたのは番号が非常に若いのですが……。
#37
○專門員(木村盛君) 失礼いたしました。本日付託になつたそうであります。
#38
○委員長(塚本重藏君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#39
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて下さい。
 只今の請願に対しまして、政府の御所見を昨日も聞いたのでありますけれども、正式に議題として取上げておりますから、一つお願いいたします。実はこの問題につきましては昨日も一応政府の所信を聞いたわけでありますが、あの程度においてこの陳情の処理をいたしますか。
#40
○山下義信君 正式に審理することになりますと、行政機構に関する総理廳の係官の方で、各省設置法案の原案がどういうふうになつているか、そういう点を説明して貰いたいと思いますから、その上で改めて御審議を願いたいと思います。
#41
○委員長(塚本重藏君) これは今山下委員の発言の通りに、厚生省自体もそうでありますけれども、これに関する関係廳の方の意見を徴する必要があろうかと思いますから……。
 尚先程藤田委員から御指摘になりました件が本日付託になりましたから、本日これを延ばして、一緒に審議することにしましようか。尚緊急上程で以て……。
#42
○藤田芳雄君 先程も申しました問題が付託になつたそうでありますから、同一のものでありますから、請願としての第百六十二号、百七十三号、百七十五号、百八十号、百九十一号の請願、それから百三十五号、百四十三号の陳情、これを同時に緊急上程して頂きたいと動議を提出いたします……。只今の陳情の方は取消しまして、請願の五件だけ緊急上程をして、一括御審議を願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#43
○委員長(塚本重藏君) 只今藤田委員から本日本委員会に付託になりました、請願第百六十二号、同百七十三号、同百七十五号、それから百八十号、百九十一号以上五件を一括いたしまして議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。
#45
○山下義信君 只今追加して緊急上程をされました数件の請願は、同一内容の請願でございますので、その趣旨の陳述につきましては、これを省畧いたしまして、直ちに審議にお移りを願いたいと思います。
#46
○委員長(塚本重藏君) 山下委員の御発議に御異議ございませんね。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。
#48
○藤田芳雄君 但し、今又お聞きしましたら陳情の第百三十五号、百四十三号も受理になつているそうでありますので、これも同一の内容なんでありますから、同じ意味において一括上程することにお願いいたします。
#49
○委員長(塚本重藏君) 藤田委員の動議に御異議ございませんね。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。
 尚これにつきましても、山下委員の発議通り説明を省畧することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。それでは請願の五件、陳情の二件を一括して議題として審議を進めます。以上の請願並びに陳情に対しまする政府の所見を伺うことにいたします。
#52
○政府委員(淺岡信夫君) 兒童局の廃止の問題につきましては、政府といたしましてこれを廃止するというような面につきましての、まだ結論には何ら到達いたしておりません。今政府といたしましても、亦厚生省といたしましても、この兒童局の問題に対しましては、何とかこれをこのまま存置したいという強い要望を持つておりまして、この件に対しまして折角各方面からの檢討をいたしておりまして、何とかして存置したいという意向に目下善処中でございます。以上お答え申上げます。
#53
○山下義信君 只今政務次官の御説明がありましたが、これは政府の方で廃止又は存置いずれにか御決定になることができるのでございましようか。その点を伺いたいと思います。
#54
○政府委員(淺岡信夫君) 只今の山下委員の御質問にお答えいたします。御質問の点につきましてこれは政府だけの意図において決定できるかということでありますが、今日の政府は殆んど民自党の單独内閣といつても過言ではないと思うのでありますが、一面民主党の犬養総裁の御一統と申しましようか、連立の形はとつておりますが、大体におきまして民自党の單独内閣で民自党の政策を行うということでありまして、この面につきまして政府におきましてもいろいろ檢討いたしております。と同時に一応これを党の政調会に持つて参り、更に政調会といたしましてはこれを党の役員会に掛けそして決めるというような状態でありましてまだ折角檢討中でございまして、これは勿論政府だけで決められるということにはなるのでございますが、党と政府の緊密なる連絡で折衝過程にあると申上げ得るのであります。ちよつと速記を止めて下さい。
#55
○委員長(塚本重藏君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#56
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて……。
#57
○山下義信君 只今政務次官から、政府部内において、殊に自由党においても相当これに対していろいろ御配慮頂いて、折角努力をして頂いておるということでございますので、私共は兒童局の存置につきましては、單に厚生委員会であるから、或いは兒童関係者であるからというようなそういう我田引水的な観点からでなくいたしまして、是非これは存置の方向に御努力を願いたい。殊に政務次官はいうまでもなく自由党の有力なる幹部の方でありますし、一段の御努力が是非願いたいのであります。折角我々厚生委員会で浅岡政務次官をお迎えしたので、あなたの初仕事の一つ、我々厚生委員会のお土産として是非これは存置のことに、党内部或いは政府部内において御努力願いたい。恐らく新聞でも拜見いたしまして政務次官の方へ、各種の兒童団体或いは母子団体が沢山押かけて御無理を申上げたというようなことを記事で拜見いたしておりますが、十分御努力下さつていることは万々承知しておりますが、本席は公開の席でございますので、関連の厚生委員会でございますから、公式に次官の力強い一つ御確約を下さらばありがたいと思います。
#58
○政府委員(淺岡信夫君) 只今山下委員の熱烈なる御要望に対しましてお答えいたします、この問題につきましては、大臣とも殆んど連日に亘つて話続けておるのでございまするが、大臣といたしましても亦民自党といたしましても、何とかしてこの兒童局は残したい、存置したい。勿論行政整理の面におきまして、これを整理するということはこれはもう当然のことと考えられるのでありまするが、仮に整理に当つても局は存置して、そうして整理に当りたいという、大臣御自身も強い要望を持つておりますし、又党としても強い政策を遂行したいというようなふうに考えておられますので、只今山下委員からの固い決心あるところの御確約をというようなお言葉もございましたが、私からただ確約するというような、御回答は簡單でございますけれども、なかなか確約ということは申上げかねるのでございます。諸般のいろいろな情勢からいたしまして……、だが併し今役所におきましても或いは党におきましても或いは党の政調会におきましても、あらゆる各種婦人団体或いは全國の殆んど津々浦々からの日々受けます電報、踵を相次いでの陳情或いは歎願、そうした面を考えますると、私といたしましては何とかして兒童局を存置したいという面に全力を傾注して努力いたしたいと思います。以上お答え申上げます。
#59
○山下義信君 只今の政務次官のお言葉了承いたしました。つきましては新聞紙上では厚生省の兒童局が廃止されることに、こう決定したかのごとき原案といいますか、草稿が伝えられたのでありますが、その辺の御消息は次官は御承知でございましようか。御承知でございますまいか。
#60
○政府委員(淺岡信夫君) 丁度私はその当時内閣調査団といたしまして、能代の大火に内閣から派遣されたものでございまするから、その新聞或いはいろいろな状況というものを直接見ておりません。聞いてはおります。そういうふうな状態でございますから、私はしつかりとそれはまだ存じ上げないのであります。
#61
○山下義信君 それでは行政管理廳はこの兒童局の廃止案というようなものについて一度そういうような草案を作つたことがあるかないか。又現在行政機構の整備改革について現在の段階において、厚生省の兒童局の存置問題はどういうふうに審議されつつあるかということについて、行政管理廳の管理部長の説明を願いたいと思います。
#62
○政府委員(中川融君) 今の山下委員の御質問にお答え申上げます。行政整理及びそれに伴いまする各行政機構の簡素化の問題につきましては、この一月の初から政府において取上げられまして、現内閣の成立後具体的な作業が進んだのであります。その段階中におきまして一応各省、廳を通じまして、大体において三割程度を機構を縮減したいということになりまして、その一応の腹案というのを行政管理廳、及び行政管理廳長官であります本多國務大臣の手許で作つたことがございます。その案の骨子は要するに各省、或いは各廳につきましておのおのこの省、又はこの廳は大体何局、或いは何部程度に縮減して貰いたい、そうしてその枠の中で各省、廳がどのような機構を持つかということはむしろ各省、廳に任せて立案して頂きたい、こういう趣旨の構想で作つたのであります。併しながらそれの一応の参考といたしまして、例えばこういうふうにしたならば一応行政簡素化ができるのじやないか、こういう意味での参考案というものをそのときに準備いたしまして、厚生省の分につきましては、確かその参考案には兒童局は廃止というふうなことになつて厚生省に提示されたと記憶しております。併しながらその趣旨は飽くまでも今申上げましたように、各省におきまして大体この数の中で具体案を盛るという考えでありましたので、その後厚生省側からの案も一応提示されておりまするし、政府といたしましてそれについて最終的な決定ということは未だ見るに至つておりません。目下愼重審議中でありますので、結果につきましてはまだ申上げる段階に至つておりませんが、只今の兒童局の問題につきましては、浅岡政務次官から申されましたように、政府としても愼重に考慮を加えておるというふうに御了解願つていいのじやないかと思います。
#63
○山下義信君 私も國家行政組織法を審議いたしましたときに、行政機構のいろいろな改革案の数多の案を私共の委員側からも作り、又今の行政管理廳の原案も数次いろいろ懇談をいたしたりして、その過程を若干存知せんでもございませんが、その兒童局の廃止をあなたの方で先ず試みに御指摘になりました何かそこに理由でもあつたのでございましようか。これは非常にデリケートな問題になりますが、若しその辺に内部で御審議の上に有力なる、我々が参考とするような意見があるとすれば、お聞かせを願いたいと思います。但し現在は厚生省の方で練つた案に重きを置いて、大体その線で行くというような方向の段階にありまするならば承わらなくてもいいと思うのでありますが、尚念のためにその辺の……、あなたの方が何というても中心でありますから、管理廳の方の意向をお示しを願いたいと思うのであります。
#64
○政府委員(中川融君) 厚生省ばかりでなく、その他のいずれの省におきましてもなかなか現行の局を減らすということは実はむつかしい問題であります。各局とも非常にそれ相応の仕事をしておりまするし、又成立に至る経緯その他に鑑みましても、なかなかこの局を廃止し、この局を存置するということはなかなか決定がむつかしい問題でありますので、我々の根本的な考えは、できるだけその省の御意向によつて、併しながら機構としては飽くまでも縮減するということで行きたい、こういう根本的な考えを持つておるわけであります。具体的の問題の兒童局につきましては、これを一応の案といたしまして削るということになりました経緯は、格別ほかの局と比べて兒童局をどうしても廃止すべきであるというふうな結論は、なかなか下し得ないのでありますが、まあ諸般の事情を見まして一応の案として作つたというふうに御了承願いたいと思います。
#65
○山下義信君 私はそういうことを聞いておるのではないのであります。行政官廳が兒童局廃止の草案を作つた時分に、兒童局はなくつてもいいと考えたか、或いは労働省に婦人少年局があつたり、いろいろするので、兒童局廃止の草案を作つたときにどういう考えでそういう考えを持つたか、行政機構に関する專門の官廳であるあなたの方の考えを聞いたのです。ただ兒童局というのが小さい局であるから、或いは弱い局であるからというようなことではあるまい、恐らく兒童行政と睨み合せたり、いろいろいたして、この兒童局を廃止しても差支えないとかあるとか、或いはどこに整理統合したらこうだとかいうような、相当の研究が積まれて、草案ができているのであらうと私は思う。若しそういうことの研究ができておれば、どういうふうな意見で兒童局廃止という考えが行政管理廳では出て來たかということが聞きたかつたのであります。御説明があれば聞きますし、御説明がなければ聞きません、聞く必要ないと思います。御説明下さいますか。
#66
○政府委員(中川融君) 今の兒童局の問題でありますが、私の先程の説明が十分でありませなんだものですから、御理解むづかしかつたのだと思いますが、我々の氣持といたしましては、厚生省の七局いずれも重要な実は仕事をしておる局でありますので、なかなか一つを削り、他を活かすということがむづかしかつたのでありますが、我々がまあ外部から見まして、その事務量というようなことを大体考えまして、一応この局くらいを落すことの案にして置こうかという程度のつもりで作つたわけであります。全体趣旨が、一応の枠を要するに決めるということでありましたので、それほど深い考えがありまして兒童局廃止の案というものが出て來たわけではないということを申上げたかつたと思つたわけであります。
#67
○山下義信君 分りました。一応行政分量のそういうような大小から行つたのであつて、深い考えではなかつたという答辯であります。承わつておきます。これに関しまして、兒童局長は、いろいろ当面の責任者として心配しておることであらうと思いますが、厚生省の方の大体の相談はどういうふうになりましたか。政務次官から承わつてもいいのでありますが、これはあなたから聞いた方が分ると思いますから、大体厚生省の方の内部で御相談の決つた模樣を御説明願いたいと思います。
#68
○政府委員(小島徳雄君) 行政機構の整理に関する問題につきまして、只今政務次官からも該当官廳の方からも御答辯になつたわけでありまするが、只今行政管理廳からのお話もありましたように、管理廳といたされましては、一応原則として三割の縮減をいたしたい、こういうことで各省が案を立てるのでありまするが、一応参考案として管理廳の方で案を立てられまして、それを各省の大臣の方にお示し頂きまして、それを参考にして各省が更に各省としての案を立てる、こういうことで案が廻つたように承わつておるのであります。そこで厚生省といたしましては、各局長、次官等が集りまして、この問題につきまして局長会議も開いたわけでございます。この問題に関しまして厚生省といたしましても、兒童局というものの存置というものが非常に必要である、兒童行政というものは將來ますます伸びなければならんところの行政である。成る程、歴史は浅いけれども兒童行政というものは日本の文化國家の最も基本をなすものである、而も兒童福祉法というものができたばかりである、こういうような関係から、兒童行政というものの綜合、企画それの指導という面におきまして、兒童局の必要というものが決まりまして、厚生省の案としましては、兒童局を存置すべしという案が管理廳の方に指示された、こういうことになつておるのであります。その後の経緯につきましては、只今政務次官から話されました通りであります。
#69
○山下義信君 兒童局長は大変遠慮して自分の局の存廃については、心中非常に苦慮しながらも、遠慮して大袈裟な運動にならんように、ならんように、もう徒らに騒ぎ立てて、却つていろいろ誤解を受けないようにという、非常に謙遜的な態度でこの間に処しておることは、本員もよく了承するのであります。了承するのでありますが、これはあなたが局長とか自分の局とかいう考でなしに、これは兒童の浮沈、いうまでもなく可憐なる兒童の浮沈問題である、こう考えられて遠慮なしに堂々と一つ今後とも十分力強く御主張願いたい。又浅岡政務次官も御援助願いたい、こう思うのです。引揚者は非常に大切である、こはれ浅岡君の專門ですね、非常に大切ですね。併しその数は七百万、然るに兒童は一千五百万だという、兒童局の対象とするこの十八歳以下の児童は全人口の中の千五百万を占めておる、数から行きましても実にこれは重大な問題を取扱つておる局なんです。こういう婦人の行政部局とか或は兒童に関する行政部局とかいうものが廃止せられるというような政治の行き方の印象は、これはもう何ともいいようのない悲痛な感じがするのです。予算は少くても、兒童問題に政治家が関心を持ち、全國民が温い心持をもつてこの兒童問題を取扱うように行けば、金だけじやない、予算は少くつても、ある程度まで行けるんです。併しながらこれを軽視するというような、政治の上においてもそういうことになつて來ますとです、これはもうその兒童問題に関する熱意が低いということになつて來ると、現在の予算の十倍を貰つても、私は実は足らんと思う。そこで、私は非常にそういう点において我々は重大問題と考えておるのでありまして、兒童局長は遠慮しておられるが、これは確かに私は信ずべき情報で知つておる。いろいろ民間団体が立上ろうとするのを、まあまあ、まあまあといつて抑えておるというような情勢、併しながら一度立上るということになれば、全國の母性も、兒童関係者も総立ちに立上るということになれば、國民の半分は立つでしよう。で、私共はそう考えて、実は秘かに心配いたしておつたんでありますが、只今の段階ではやや希望の達せられる状態ではないかと、かように先刻來の御答弁、御説明を聞いて、実は頼みにいたしておるのでありまするが、念のために聞きますが、若し兒童局が廃止せられて、或は伝えられるがごとく社会局の一部課になるとかいうようなことに相成りましたときには、兒童行政の前途はどうなりますか、局長の所信をはつきりここで述べておいて下さい。
#70
○政府委員(小島徳雄君) 只今山下議員の非常に御熱心な御質問を頂きまして誠に恐縮に存じますが、兒童行政というのは、只今山下議員のおつしやいましたように、総括総合されて、一つは一番ハンデキヤツプのある兒童、或いは孤兒、環境的に惠まれない兒童或いは肉体的に惠まれない兒童、或いは精神的に惠まれない兒童、すべてのそういうようなハンデキヤツプのある兒童というものを國家が特別に保護しなければならない。こういう面をいわゆる要保護兒童の保護という問題が一つであります。もう一つは母子の衞生、御承知のごとく日本におきます妊産婦、乳幼兒の死亡率というものが多い。母子衞生という問題が日本において非常に遅れておる。こういうような兒童、乳幼兒の保健衞生の問題、或いは妊産婦の保健衞生の問題、こういう問題があるのであります。もう一つは只今山下議員がおつしやいましたように、全兒童の完全なる育成というものを図る、こういうような大きな三つの目的が兒童行政によつて総合されておるのであります。これを表徴したものが御承知のごとく、第一回の國会において非常な御愼重な御審議を頂きました兒童福祉法であるのであります。從いまして兒童行政はこれらのものを総合調整いたしまして、一元的に総合的に運営することによつて完全な運営ができるのであります。從來考えられるところの社会事業という考え方は、今私が申上げました第一の要保護兒童の福利を図るという問題が、從來のいわゆる社会行政の一部でありますけれども、母子衞生の問題になりますれば、これは一つの保健衞生の上にも関係するということになります。從いまして兒童行政というのは、そういうものをすべての兒童の面から保護するという意味と合せました総合的の立法であるのであります。これは正に日本におきまする新日本の文化の表徴である、最も尖端を行く新らしい而も國民から祝福された立法となつて、第一回の國会を通過したのであります。從いまして各府縣はこれに伴いまして各府縣の民生部に兒童課というものができ上りまして、こういう行政の一元的運営によりまして、私共非常に微力でありますけれども、最近でき上つたばかりである関係上、本当に法律は立派でありますが、我々の微力、各府縣の兒童課におきまするまだ陣容が不充分でございまして、本当に皆樣の御期待に副い、國民の要望に副い得ないということを我々は恐縮に存じておるのでありまして、藉すに日を以てし、更に我々が最善の努力をいたしますならば、日本の今日遅れました兒童行政というものは更に將來におきましては、十分な発展を遂げ得ると思うのであります。この意味におきまして兒童という問題は極めて我々は重要に考えておるのであります。これはアメリカの例を申上げますと恐縮でございますが、アメリカにおきましてはすでに五十年前におきまして、前々ルーズウエルトがアメリカにおける兒童問題の各種の権威者、專門家を白亞館に召集しまして、非常な愼重審議をした。こういうように大統領みずからが取上げて兒童問題に審議をしたということは、すでに五十年前に実施しておる。この関係でアメリカにおいて兒童行政というのは非常に進歩したけれども、アメリカの子供に対する考え方から見ると最近人身の賣買のことがいわれておるということは、いわゆる日本人の子供に対する考え方が非常に不徹底であることを目の辺りに見ておる。かように五十年前の歴史を持つておるアメリカに比べて、非常に日本が遅れておるということを現わしておるというふうに私は考えられるのであります。この意味におきまして、アメリカにおいてはすでに五十年前に大統領みずからこの問題は重大であるとして取上げておる。日本におきましては終戰後漸く三年におきまして、この問題が取上げられたのであります。非常に遅かつたのであります。とにかく日本におきまして新らしいスタートを切りまして、政府においても兒童問題を取上げたということは、新日本を飾るに最もふさわしい立法であると考えるのであります。その立法の精神に副いまして、我々は最善の努力をいたしておるのでありますが、遺憾ながら非常に今日まで微力でありまして、皆樣の御期待に副い得なかつたということをこの際お詫び申上げるのでありますが、同時にそれによつて兒童行政というものが不必要である。或いは更に兒童局がそれによつて存在を疑われるということになりますと、これは極めて重大問題であると考えるのであります。この点は我々といたしましても最善の努力をいたしまして、兒童行政の將來の完全な運営のために、而も山下議員のおつしやいましたように、全日本兒童のために我々は兒童行政のための大いに努力したい、かように考えた次第であります。
#71
○委員長(塚本重藏君) 他に御発言ありませんか……。それではこの請願並びに陳情の取扱いについてお諮りいたします。
#72
○姫井伊介君 その前にちよつと蛇足を附加えさせて貰いたいと思います。兒童福祉年題の重要性はもう述べ盡されておるのでありますが、この局の存廃問題につきまして、仕事の分量がとやかくと言つたことは、これは大いに考慮しなければならないと思う。さつきお話のありましたように最近出発した機関であり、而も一方では予算というものが非常に圧縮されておる。熱烈な増額の要望があるに拘わらず、それが圧縮されておる。逆にいえばこの問題の発展性というものはもうないということになる。而も子供には母親の問題があり、更に家庭、社会と拡大して行きますると、社会保障制度の確立されんとする現在におきましても、この問題は非常に重要性を持つておるということははつきり分つておる。これはどうしても存置してますます発展せしめなければならない。この存廃問題如何は政府並びに厚生省の手腕如何、鼎の軽重を問われると私は思います。殊に民主自由党におきましては、單に行政整理とか或いは政策という部面でなく、眞に日本を立派に仕上げるという根本対策の上から愼重にお考を願いたいと思います。從いましてこの請願は当然院議に附して内閣に送付すべきであると考えるのであります。さよう御取計らい願いたいと思います。
#73
○山下義信君 私は姫井委員の動議に賛成いたします。同時に希望がございます。一つはこの請願の本会議における報告に際し、委員長からこの兒童行政、母子行政に対して是非力強い政府の支持を本委員会が希望する旨を、御報告演説の中に十分織込んで頂きたいと思うのであります。これが第一。これは私も蛇足を加えるようになり相済みませんが、いうまでもなくたとい保守党の内閣でありましても、欧米に見られるがごとく、進んで社会政策的な政治をどんどんやつて、保守党であるからといつて兒童問題を軽視すとるいうことはないと思います。否、保守党内閣であるが故にこそ是非こういう問題に対して重点をおくようにと御希望を願いたいと思います。
 第二点は、本請願の採決の結果、つまり院議に附しまする上程を、運営委員会その他と御協議下さつて、成るべく早い機会に本請願の報告ができるように御盡力を願いたいと思います。もう現在のような情勢でございますから、本会議の開催日は予測はできませんけれども、或いは場合によりましては緊急本件の上程の機会を掴み得るのではないかとも思いますので、御善処を願いたいと思うのであります。それから、これはちよつと速記を止めて頂きたいのであります。
#74
○委員長(塚本重藏君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#75
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。
#76
○山下義信君 以上の希望を附しまして私は姫井委員の本案採択の動議に賛成いたします。
#77
○委員長(塚本重藏君) 外に御異議ございませんか……。それではこの請願百六十二号、百七十三号、百七十五号百八十号、百九十一号、並びに陳情の百三十五号、百四十三号、以上の七件を、姫井委員の発議のごとく、これに山下委員の希望を附してこれを採択し、院議に附して内閣に送付することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。さように決定いたします。ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#79
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。それでは本日はこれを以て散会いたしまして、明日午後一時から委員会を開会いたします。
   午後零時二十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事      今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
           姫井 伊介君
   委員      山下 義信君
           中山 壽彦君
           井上なつゑ君
           藤田 芳雄君
  政府委員
   総理廳事務官
   (行政管理廳管
   理部長)    中川  融君
   厚生政務次官  淺岡 信夫君
   厚生事務官
   (兒童局長)  小島 徳雄君
   厚生事務官
   (医務局次長) 久下 勝次君
   常任委員会專門
   員       草間 弘司君
           木村  盛君
ソース: 国立国会図書館
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