くにさくロゴ
1949/04/09 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第5号
姉妹サイト
 
1949/04/09 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第5号

#1
第005回国会 厚生委員会 第5号
昭和二十四年四月九日(土曜日)
   午前十一時十一分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○兒童及び未亡人福祉に関する調査の
 件
○証人喚問に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。本日は兒童及び未亡人の福祉に関する審議を進めたいと思いますが、厚生大臣並びに労働大臣が御出席に相成つておりますが、両大臣に対しまする質疑の通告がありますから順次これを許します。山下委員。
#3
○山下義信君 当委員会が未亡人の救済問題を取上げまして、これが解決に熱意を傾注いたさんといたしておりますることは御承知の通りであります。前回厚生省の関係局長とこの問題につきまして質疑をいたしまして、その際政府におきまして或る程度のこれが対策を考えておいでになることをお述べになつたのでありますが、尚本日は政府当面の関係大臣の御出席を願いまして、十分この点につきまして政府のお考を承わりたいと存ずる次第でございます。以下お尋ね申上げたいと思います点を簡單に述べたいと存じます。
 第一点はこの焦眉の急に迫つておりまする未亡人の非常に多数に上りまする悲慘なる状態に対しまして、これが救済についていかなる熱意を政府は持つておいでになりまするか、これが第一点であります。十分熱心にお考え下さつておるとは存ずるのでありまするが、どういう御用意を考えておいでになりまするか承わりたいと思うのであります。例えばこの未亡人の救済を中心といたしまするそれらの関係の部局はどこで熱心にやろうとなさつておいでになるのか、その点が極めて明瞭でございません。相当な機構をもちましてやらなければこれはならんと思うのでありまして、ただ一局一課の中で便宜取扱つておるという程度では十分でないと存じます。而も関連するところが多少或いは幾多の局に亘つておる。これがために中心がない、この問題が十分に推進されていないという憾みがあるのでございまして、少なくとも專任の一課を、母子課というがごときものを設くるという必要があると私共考えておりますが、或いは又政府部内におきまして、いわゆる未亡人救済の審議会、そういうものをお作りになるお考えがありますかどうか、或いは又國会が要望し、國民も非常な関係を持つておりまするこの問題、未亡人救済のその対策を強化いたしまする要綱を厚生大臣が御心配下さつて、これを政府の閣議の決定事項としてまてお採り上げ下さるお考えがあるかどうかという点を承わりたいと思うのであります。
 第二点は生活保護法の運用につきまして改善を加えて行くという社会局長の説明が先般あつたのであります。今日生活保護を受けております五十八万有余、約六十万近い世帶の中で、実に未亡人世帶が四十万近い三十八万世帶を含んでおりまして、而も幼兒を抱えておりまする者が十八万に及んでおる。この生活保護法の恩惠は十分私共認めておりますのですが、その運用の面につきまして、尚幾多十分手を盡し得る範囲があるやに思います。先般局長並びに保護課長がこの点につきまして新たなる示唆を與えたのでありますが、それを急速に具現して行かなければならない。でこれらは行政措置でできることでありますから、速やかに具体的にこれを進めて行かなければならないと思いますが、どういうふうに進めて行くお考えであるか、その点を承わりたいのであります。
 第三は寡婦に対する年金であります。これは御承知のごとく社会保障におきまして各國いずれも実行いたしておりまする問題でございまするが、政府におきましてもこれについて用意に着手いたしておるかのように説明があつたのでありますが、或いは生活保護法の改正とか、こういう法案による救済の方法を政府においては今國会にこれらの法案を提出する意思があるかどうか。少くとも今國会の劈頭に未亡人救済に関しまするいわゆる寡婦年金法とでも言うべき法案の提出の用意があるかどうか。この点を承りたいと存ずるのであります。
 次は未亡人の救済はただ政府の手に俟つばかりでなく、未亡人全体並びにそれらに同情を寄せておる民間有職團体の蹶起が必要である、大同團結が必要でありますことは言うまでもございません。これに対しましても厚生省は相当強い援助を與える意思があるかの如き社会課長の説明もあつたのでありますが、改めて厚生大臣のこれに対しまする十分なる御援助の御意思があるかどうかという点を承りたいと思うのであります。これらの大きな民間團体が結成されますならば、即ち約二百万に近い未亡人それら自身の大同團結、それに対しまする官民の強力なる援助というものがございますれば、この團体がみずから政府のなし得ざるところの幾多の施策が行い得られると思うのであります。この団体の一例といたしましては、例えば地方におきまする未亡人会でなかなかよく運営をやつておる所があります。隣席にありまする中平君の郷里、愛媛県におきましても、愛媛縣の未亡人会は相当な成績を挙げておりまして、未亡人の生活に対しましては民生委員が保証いたしますると、二万円くらいの金の融通をする。いろいろ生業資金の斡旋をするというような活動もいたしております。若しこれが全國的な大きな連盟團体ができまして、指導よろしきを得ますならば、私はこの面におきまして相当に救済の実が挙り得ると思うのでありまするが、厚生省は積極的にこれらの全國的團体の結成に乘出して指導する意思がありますかどうか承りたいと思うのであります。
 次は授産所の改革でございまするが、現在の授産所が商人本位でありまして、ただ授産所の看板だけでその実が誠に期待の薄い状態でありますことは申すまでもありません。これは未亡人を中心にいたしまするところの新しい角度からの授産所の再建設をいたさなければなりません。要すれば授産所法というようなものの制定が必要であると私は考えるのでありますが、授産所を強化いたしまするということにつきましての厚生省当局のお考えはどうでありますか、この点を承りたいと思うのであります。
 尚子供を連れておりまする未亡人が就職いたしまする場合、最も困難を感じまするのは、その子供の処置でありまして、これがために保育所の必要のありますことは申すまでもございませんが、一体そういう子供連れの未亡人を使つております事業場におきましては、どの程度保育所、即ち託兒施設ということが行われておるか。これは厚生省として是非そういう施設の設置を事業場にこれは要望いたさなければなりませんが、労働省自体といたしまして、何か法規によつてこれを命令いたしておりますか。或は厚生省はそういう事業場に対しまして、それらの要請をどういうふうにいたしておりまするか。その点を承りたいと思うのであります。
 次は未亡人の世帶……私は只今分り易く未亡人と申してこういう言葉を使つておりますが、つまり寡婦の世帶、この世帶に対しまするいろいろの生活物資の特配、そういうようなことがどの程度行われておりますかどうか。又生活保護の面でありまするが、いわゆるお金のない困窮の家庭のいろいろな配給品を受取りますにつきましての、いわゆる掛買いのできまするような、掛けで買うことのできる、現金拂いでなしに掛買いのできまするような、そういうような扱い方というようなものができることになつておりますかどうか。又はさせる考えがありますかどうか。そういう点も承りたいのであります。これがためには或いはそこに未亡人手帳といいますか、寡婦手帳というようなものを皆に與えて、そうしていろいろと便宜を図らせるようにしたらいいのではないかという民間の声がありますので、そういう点にまでお考えがありますかどうかという点を伺いたいのであります。
 次は私最も重点として伺いたいのでありますが、それは現在のままで、現在の法規の範囲内で相当効率的な援助対策があると思う。それはいわゆる母子寮を新たに建設する。新たに保育所を作るということは予算の関係上至難であります。これは本員も了承いたします。併し新たに作りませんでも、現在のままを母子寮と認め、現在のままを保育所と認めて行く行き方がありはすまいか。例えば子供連れの未亡人が十世帶集まつておりますその收容施設、これは言い換えればそのままが母子寮であります。その間に集まつておる四十人の子供がそれがそのまま保育所であると同じであります。別に母子寮を建てて、そこに入れ、保育所を建てて子供だけを切離して預ける施設にせんでも、未亡人が集まつてささやかな粗末なバラツクの中で集合して生活しておる。その協同生活の状態、それが共同炊事をやる。或はいろいろと一つの組織を作つて助け合つて生活しておる。その現状に対しまして、これを母子寮に準ずるの扱い、保育所に準ずるの扱いをいたしますならば、現在の法規の上で相当の援助ができるのじやないかと考えるのであります。それにつきましては、厚生省はどういうふうにそれを考えておりますか、準母子寮、準保育所としての取扱をする意思があるかどうかという点を承りたいと思うのであります。私の質疑は以上の通りでありますが、その他政府におきまして未亡人の救済の対策、二百万に近い未亡人、並びにそれらが抱えておりまする子供は恐らく四百万に近いのでありまして、これらの声なき、悲惨なるこれらの弱き者が、政府に向つていろいろな方法でお願い申上げる途も、又声も挙げ得ざるこれらの弱者のために、現在の政府が如何なる熱意を以てこれが救済をなされんとするか、それらの点につきまして伺いたいと思うのであります。
 労働大臣に対しましては私は次の諸点を伺いたいと思うのであります。第一点は未亡人の就職状況はどういうふうになつておりますか。非常にこれは困難であると思いますが、公共職業安定所関係におきましてどういう取扱いをし、どれだけの手が差伸べられてありまするか、これが第一点であります。
 第二点は、先程の厚生大臣に対しまする質疑の中にも及んで申上げておきましたが、事業場におきましてのこれらの未亡人、或いはその抱えておりまする子供などに対しまする福利厚生施設の強化というような奬励、この点はどういうふうにしてお出でになりますか、承わりたいのであります。
 第三点はこの人達に対しまする職業補導の状況、又関連いたしまして共同作業場などをどの程度まで活用させてお出でになりまするかどうか、これが第三点であります。
 第四点はいわゆる失業に関連いたしまして、官と言わず、民と言わず、近く免かれることのできませんこの失業、首切りに、子供を抱えて就職しておりまする寡婦、これらの者達が悲惨なる首切りの犠牲にならないようにどれだけのお考えが、考慮が拂われてありますかどうかというような点であります。又労働省におきましてはこの未亡人の救済対策につきまして労働省関係におきましてどれだけの御心配を下されてありまするか、この点も承わりたいと思うのであります。
 私の質疑は以上でございます。
#4
○國務大臣(林讓治君) 山下委員の御質問に対してお答えをいたします。只今山下委員の仰しやいました通り、誠に未亡人に対しましては御同情に堪えませんので、厚生省といたしましては、從來ありますところの母子寮であるとか、或いは保育所、授産所のようなものを一段と強化をいたしまして、各関係省ともよく連絡を取りまして、その成績を挙げて未亡人に対してのお盡しをいたしたいと考えております。尚今日におきましてはまだ未亡人対策審議会というようなものを設置するかどうかということにつきましては、只今のところでは從來のものを強化いたしますると共に、各省と連絡を計つて行きますならば、凡そそれによつて或る程度までの成績を挙げ得られるのではないかと考えておりまして、只今のところにおきましては未亡人対策審議会というものの設置につきましては、閣議などにおきましても話題に上つておりません。只今そういうような実情にあるわけであります。
 それから生活保護法に対する保護の具体的の処置につきましては、三歳未満の乳幼兒を抱いておりまする未亡人などの勤労に対しましては、これは強要しないというのが一つの方法と、それから今一つは勤労いたしておりまする未亡人に対しましては、生活保護の基準額を成るべく引上げて、これを手渡しをしたいということによつて未亡人に対しての御援助の方法といたしたいと考えておるわけであります。
 それから寡婦年金法などについての考えはないかということのお話でありましたが、この問題につきましては、この度の議会におきまして案が出ておりまする社会保障制度のうちにこれを加えまして、そうしてこの方法を講じたいと考えておりますが、これを寡婦年金法というようなものにいたしますかどうかということにつきましては、目下これを研究をいたしておりますから、尚審議会などもできるわけでありますから、そのときに皆さんの御意見などをとくと拜聽いたしまして、今後の処置を採りたいと考えておるわけであります。
 それから昨今の授産所などは仰せのごとく誠に完全に参つておると申上げかねますことを、甚だ遺憾に存ずるわけでありますが、お説の通り我々はこの授産所であるとか、或いは保育所、母子寮などにつきましては、できるだけこれが完全を期するように今後努力をいたしたいと考えておる次第であります。それからこの未亡人團体の指導につきまして、全國的團体を結成して相互扶助をやつてはどうかというようなお説でありますが、誠に結構なことと考えるわけでありますが、ただそういうような大きい團体を結成いたしまして、これをやるかどうかということにつきましては、現在あります團体については、これを十分適当なる援助をいたさなければなりませんが、これを全國的に團体を結成して、これを遂行しようということにつきましては、只今のところ研究中なのであります。それから寡婦世帶に対する生活物資等の特配の処置、或いは生活物資の掛賣制度というような、いわゆる山下議員の仰しやいました通り、寡婦手帳というようなものを拵えたらどうかということでありますが、誠にこれは適当なお話と考えますから、これを今後研究いたしまして、そうして寡婦などに成るべく迷惑の掛らない、又有利になり得られるような方法を一つ研究をいたしてみたいと考えるわけであります。
 それから寡婦、孤兒の十世帶以上共同生活をなしておるような場合についてのお話があつたのでありますが、これは誠に結構なことでありまして、これにどういう取扱いをするということにつきましては、十分研究をいたしまして、御希望に副い得られるようなことにいたしたいと考えておるわけであります。簡單でありまするけれども、私に対する御質問のあらましをお答えいたします。
#5
○政府委員(宿谷榮一君) 山下委員の御質問の未亡人問題は極めて重大な事柄で、労働省におきましても、この問題につきましてはいろいろ心配しておるのであります。從來職業の斡旋所等におきまして、各職業安定所に、廣い地域の所は婦人課を設け、又狹い所は係を置きまして、一般婦人問題の就職の斡旋、お世話を申上げておりますが、特に從來は未亡人だけをお世話するという課は設けてございませんが、一般婦人課、係を通して職業の斡旋に御盡力申上げております。尚婦人関係の就職の機会を多くするために、適当な技能の習得をさせることが非常に大事でありますので、本年度におきましては、技能の補導所を三百四ケ所設けまして、これらに対しましても設備費及び経営費のようなものを國庫で補助をする準備を今進めております。この補導所の活動は二月現在で入所者が約一万四千名程あるのですが、その中に婦人が三千五百名程入つております。未亡人は多く子供等が沢山おありなんで、なかなか通勤その他が御困難でありますので、こういう点に対して厚生大臣がお答えになつたような授産所等の活動が適当に行われれば、うまく行くのじやないかというようなことを考えておるのであります。主としてこの婦人に対する技能の、いろいろこれはございますが、繊維関係ですとか、或いは木竹、藁加工だとか、食品だとかという方面にお世話し、又共同作業所というようなものも、そういう方向に向つている模樣ですが、特に未亡人課というものは現在のところで設けておりませんが、各婦人課係員をして、成るべく未亡人に対しては優先的にお世話申上げるようにということを、本省からそういう方針を採るように達しております。尚今後行政整理、企業整備等でいろいろ婦人関係でもやはり離職する者も多いのでありますが、この点につきましては特に関心を持ちまして、そういう企業整備等から婦人を先に出すということのないように、今後努めて行きたいと考えております。以上簡單でございますがお答えをいたします。
#6
○山下義信君 厚生大臣の御答弁に関しましては、尚重ねて伺いたい点がございますが、これは他の同僚議員からも大臣に対する御質疑があると存じますから、それらの御答弁を拜聽しましてから後にいたしたいと存じます。
 只今労働省の政務次官から極めて簡單なお答えがあつたのでありますが、労働省としては厚生省と違つて直接どうこうしようということもなかなか省の性質からいつて、それのみを專門にお世話を願うことは無理かと思いますが、併しながらこの未亡人の人たちの八〇%は仕事しておる、就職しておる。遊んではいない。それは一部分の者はいろいろ転落いたしましたり、又心掛けの良くない者が多少非難を受けるような点はありましても、大部分は就職いたしておる。で、それらに対しましては、労働省関係におきまして十分思いやりをして頂ける余地がある。例えばいろいろ労働條件、賃金等の点につきましても、子供を抱えておる未亡人などは年齢も相当行つておりまするし、子供は持つておるし、技能は低いし、いろいろな家事やその他に追われるから出勤率も惡いといつたようなことで、新規の採用からは敬遠される。又事業場におきましては好まれていないという傾向のあることは御承知の通りであります。併しながらこれらに十分保護を加えて行く手の打ち方はあると思うのでありまして、そういうような点についての未亡人が持つておりまする不利なるハンディキヤツプについては、労働省の親心として十分親切に援助してやつて貰わなければならん。又今のいろいろ共同作業所でありますが、それがどういうふうに運営されておるか、本員は不幸にして労働省関係の共同作業所の実況を把握いたしておりませんが、授産所などにおきましてやらしておる仕事というものは何もならん。藁の先の方を握らして見たり、いろいろぼろ布をいじり廻して見たり、何もならない。又得ておるところの賃金は、一日四十円とか五十円とか、問題にならん、実に惨澹たる状況である。そんなことをやらしておつて、そういう授産所があるから、共同作業所があるから、それで或る程度の救済ができておるなんと考えておるお方もないと思いまするが、全く不備な状況である。
 労働省は折角婦人少年局を持つておる。私はもつとそういう点を心配すると思つたら、婦人少年局というものは、ただ調査をすると言う。調査した結果を、それを厚生省や安本や関係政府の部局がその調査資料によつて考える。一つのブレーンになるのだと言う。資料を提供するのでも十分な任務である。私共は存在價値を認めます。又婦人少年局の存置には熱心に私共支持する一人でありますが、折角名前も婦人少年局というものがある。こういう未亡人の就職状況や就職斡旋や、又それから労働條件の改善や或いは事業場に対してのいろいろ施設の命令、奬励というものについては十分に努力して貰わなければならん。今事業所に対しましての、例えば託兒所を作らせるとかいろいろ寮などを十分やらせるとか、又そういう事業所の寮や託兒所に対してはどれだけの援助や奬励をいたしておるか、その点の御答弁が拔けておるので、改めて只今私が申しました労働省が十分に未亡人の、この勤労者に対しての援助というものをやる意思があるかどうか、もう少し力強い答弁をして貰わんければ承服ができない。
#7
○政府委員(宿谷榮一君) 実施状況につきましては詳細なことは局長からお答え申上げますが、特に婦人、年少者等につきましての保護と地位の確保ということにつきましては、労働基準法を嚴重に実施させまして、各職場々々における婦人の立場を擁護するように、一方労働基準局の方でもこの点に十分意を注いで監督をやつておるので、尚この点も特に今後一層注意を深くするようにいたしたいと存じます。なかなかこの共同作業所又は婦人の職業ということについては、山下議員の仰せの通り、いろいろ難しい点もございますが、まあ多くその技能を習得して貰つて、その人の技能によつて生活が維持して行かれるように、先ず労働省としては技能の習得ということに相当力を入れておりますが、一般的に冷遇されるとか、特別の扱いをされるとかいうようなことに関しましては、労働基準法に基きまして、十分な監督を今後もいたしたいと思います。尚、実施状況等につきましては局長から御答弁を申上げます。
#8
○山下義信君 大事なことであるから政務次官から御答弁頂きたい。この未亡人の子供連れのような者の就職者を首切らさないようにするということの措置はどういうふうにしてやるか、その点をお答え願いたい。
#9
○政府委員(宿谷榮一君) これはなかなか難しい、私の考えでは難しい問題ではないかと思います。一般未亡人の子供のある方々が公共機関というようなものに就職されておる場合には、そこに相当の手心が加えられると思うのであります。併しながら私企業の範囲におきまして、そこで特に未亡人を首切らないようにというようなことは、それは役所として、労働省として、そういう希望は各企業体に対してできると思いますが、それを強力に推し進めて行くということはなかなか困難ではないか。併しながらこういう時代でもありますから、今後経済九原則の実施によつて余程経済界は不況の道を一應迫るような段階にもなることが予想されるので、特にそういう私企業関係の事業体に対しましては、成るべく愛情の深い態度を以て、そういう婦人に対しては考慮して貰うように指導いたしたいと、かようなことを考えております。
#10
○山下義信君 大変御親切なことで有難いと思うが、それだけの注意を労働省の何か訓示か示達かで各事業場その他に対しまして、成べく悲惨な首切をしないように、成るべくそういうものに向つてできるだけ温かい保護の精神から首切をやらないようにというところの訓示通達をして呉れますかどうか、その点念のために伺つておきます。
#11
○政府委員(宿谷榮一君) 重ねてお答え申上げます。労働省から各事業者全部に対して強い命令として出すことは手続上いろいろ困難だと思いますが、できるだけ山下議員の仰せになつたような方向に向うように、又私がお答え申上げたような方向を達成するように、いろいろ手段を盡して努めたいと思います。併し大臣ともこれは相談をしてでないと、私から今直ぐお答はできませんが、若しさようなことができるのであれば、むしろ私の氣持としてやりたいと思つております。
#12
○山下義信君 私は大臣の代理として答弁を承つておるのであります。でありまするから、あなたの只今の親切なお心持でお取計いを頂きたいと思います。技能の指導をなさる労働省の技能指導につきましては、將來婦人、殊に私は今未亡人をとり上げて言つておるのでありますが、これに対しましての技能の指導、いろいろ輸出産業的な、生産下請的な仕事、そういうものの相当收入になり得る仕事を斡旋する余地が多分にあると私は思う。藁の先や竹の先みたいなものばかりを握らせないでも、十分いい仕事があると思うのであります。そういう点の用意があるかどうか、労働省の意見を承つて置きたいと思います。
#13
○政府委員(宿谷榮一君) なかなか技能の習得問題は今仰しやつたように、範囲もとても廣く、非常にむつかしい問題であります。いろいろ共同作業所、授産所というようなものがありますが、私の工業経驗から申しますと、特に子供のある婦人は家庭工業的のものが一番適しておるのではないか、かようなことを考えておりますが、尚今後海外貿易中心に中小企業の方向がそちらに向いて行きますが、婦人に向く仕事としましては、やはり先ず繊維関係のいろいろの刺繍の問題ですとか、或いは細かい指の先の仕事ですとか、そういうようなことが特に適しておろうと思いますが、今後の補導、同時に技能の指導については、特に日本の貿易発展と見合せ、その方々がその仕事だけに頼つて生活のできるような、特殊な職業、技能の指導を受けることに一層努めるようにいたします。あと実施状況につきましては、局長が見えておりますから、一應お答え申上げたいと思います。
#14
○山下義信君 一つだけ、今の事業所に対しての福利厚生施設、殊に託兒所の設置をできるだけやらせるといつたようなことは、労働省ではどうなつておりますか。
#15
○政府委員(宿谷榮一君) 今の技能の補導所ですね。
#16
○山下義信君 違います。
#17
○政府委員(宿谷榮一君) 託兒所ですか。
#18
○山下義信君 そうです。
#19
○政府委員(宿谷榮一君) 各工場々々における……
#20
○山下義信君 そうです。
#21
○政府委員(宿谷榮一君) これは労働省としまして、各職場々々、即ちそれぞれの企業体に対して、特に託兒所とか、そういうものを設けろということは、從來は強い言い方で奬励はいたしていなかつたように思いますが、これもやはりその工場々々の状態によることが非常に多いのでありまして、既にできておるところも一般にはありましようし、この点に対しては、十分な実は調査はしてございませんが、特に未亡人の子供を預かるような機関が各工場々々にできれば、非常に理想的で結構だと思います。これを強く進めるということは、今のところ公式にはやりにくいと思います。併しお奬めはできようと思います。
#22
○山下義信君 これは私不審に思うのでありますが、労働省はそうですか。私はそうでないと思う。相当強く事業所にこれらの施設の設置を要請しておるのではないかと思うので、もう一度何か関係局長でも來ておりましたらば御答弁願います。
#23
○説明員(谷野せつ君) 託兒所の問題につきまして、これは法律の問題から申上げますと、労働基準法に産前産後の母性の保護の休養期間の規定がございます。それからもう一つ、事業所に一般的な施設の命令のできる基準の規定がございます。それで母親になつておる労働者は当然産前産後の休養の規定と、もう一つ育兒期間の規定がございます。これによりまして、働きながら乳を與えられる権利を認められておるわけでございます。実際問題といたしますと、乳を與える場所がない場合に非常に母親が困ります。ですから施設の命令としての直接なものはございませんでも、監督官が事業所を廻りましたときに、授乳のための必要な場所がなかつた場合には、授乳の場所を設けるように事業主に話すことができると思います。ですけれども基準法に設けられております施設の命令は、一般の危險とか風紀とか或は休養とか、そういう事柄に関しての規定だけでございまして、積極的に女の人が働くために福利施設としての命令をすることができないような規定になつております。ですから強制的にそれを作らせることはできないと思うのでございます。そういうつまり法律の上から申上げますと福利に属するものは、労働條件からちよつと離れますものですから、基準法には外れておるのでございますが、ただ実際問題といたしまして監督官が参りました場合に、子供のありますような方が沢山働いておる場合に、託兒所がないことは非常にお困りでしようから、成るべく作つて下さいという程度のことはお話しておるのじやないかと思うのでございます。労働省といたしましては、今まで託兒所に対しての特別な調査もやつたことは実はございません。ですから現在どれくらい全國の工場に託兒所があるかということも私どもは大変残念でございますけれども、まだ調査の資料がないわけでございます。私どもは機会のある毎に働く婦人のための職域を確保する意味で託兒所が必要であるということを、いろいろな機会を通して今宣伝しておる程度でございまして、強制的な特別なものとしての措置はまだとつておらない筈でございます。
#24
○山下義信君 私これで終りますが、私は相当奬励しておいでになるかと思つたのですが、山川さんがおいでになつたり、谷野さんがおいでになつたりするのに今事業所に託兒所の設置を殆ど強制的にさせるまでの段陷に達していないことは非常に残念に思いますので、何卒労働省で法規の上で何か強制的に、子供を連れておる婦人のある事業所では、何人以上の子供がおる事業所は託兒所を置かなければならないということを労働省の方でもやつて頂きたい。厚生省の方は予算が取れないで、保育所、託兒所はできないことは御承知の通りであります。労働省では私はできると思う。先般あなたの方の公共事業費の中から失業救済の名目で各地に二百万だとか、五百万だとか、グラウンドを作らせておる。グラウンドもよろしい。併し五百万のグラウンドを作りますならば、託兒所が十ケ所でも二十ケ所でもできます。私は山川さんや谷野さんがおいでになる労働省に期待するところでありますが、是非事業所に託兒所を強制的に設置させるところまでやつて頂きたいと思いますので、希望いたして置きます。
#25
○草葉隆圓君 実は未亡人の問題につきましては、片山内閣のときに、成立後間もなく、総理大臣をこの委員会に引張り出して、当時私からもその他の委員からも強く要望し、殊に片山さんが在野時分に「國民に訴うる」という中に、未亡人の問題は最も早く國費の多数を費して解決すべきものである、ということを書いておりましたので、我々大いに期待しておりましたが、それが殆んどできずに済んだのであります。当時におきましても耐乏生活であるから國家が立ち直つてからこういう処置をつける、こういう答弁でありましたが、これに対して私共は、そうじやなしに、こういう問題を解決をしながら國家の立直りをやつて行かなければならぬ。國家の財政ができてしまつてからこういうものに手をつけるというような考え方ではいかんじやないかというようなことを強く我々は当時から申して参りましたが、今日までこの問題が殆んど未解決に終つておりますことは、誠に遺憾でありまして、今回本委員会におきまして強くこの未亡人の問題が取上げられましたので、私ども現在の厚生大臣及び現政府に対して大いなる期待を持つております。同時に未亡人の問題ということにつきましても、私がここで言わんとする未亡人というものは、こういう意味であります。夫を失つた妻であつてみずからの力によつて子女を養育すべき責任の地位にある者、これを私が問題に取上げる未亡人である、いわゆる寡婦である、自分の力で子供を養育して行かなければならない地位にある未亡人です。從つて未亡人にも種々樣々あるが、その他の未亡人は私共の敢て論ずる必要はないのである。これが私の未亡人に対する問題の一つの中心であります。夫を失つた妻でありますが、夫を失つた形におきましては、病氣の場合もありませうし、戰災、空襲の場合もありませうし、或いは戰爭で遺族になつた場合もありませうし、或いは終戰後のドサクサで夫が亡くなつた、或いは引揚途中で亡くなつたための未亡人がありませう。然るに未亡人の問題というのはむしろ戰犯的な考えを持つていて、数の多い戰爭犠牲者が他に多くあるので、未亡人というと、いかにもそういうふうな取扱いを今までの政府が考えて來たのではないか。私はこれは大変な間違いである、むしろ未亡人というのはその中の多少は或いはそうかも知れませんけれども、全般的な意味から一つこれを考えて頂きたい。從つてその中に今申上げたような種類の人達は当然ありませうけれども、全体の未亡人としての立場から我々は一つ考えて行かなければならぬと存じます。自分の力でやる以外に方法がないという未亡人でありますから、自分の力というのは主として労働力であろうと思います。そうして今後の日本の経済を考えて参りました場合に、私共が第一次欧洲大戰数年後における欧洲の状態を考えてみると、そういう状態が日本にも出現して來るのじやないかということを憂うるような状態を今考えるのでありまするから、現実の未亡人の最も悲惨な問題が一つの大きな社会問題とし、又次に起らんとしている経済情勢の変化における未亡人の悲惨を我々は考えるときに、今のうちに政府が十分な手を打つておかねば將來大変な社会問題が、現在よりももつと逼迫した状態が來るのではないか、こういうことを憂うる次第であります。從つて最後にどうしてもいけない場合が起つて來る問題はたつた一つのことである、未亡人の持つております肉の資産というところに入つて來る。これはこの前の欧洲戰爭における悲惨な事実であります。從つて私共がその前にあらゆる観点からこれを考えて参りましたときに、第一は生活の立場、生活の立場からは從來、これも山下委員から、生活保護法の運用の問題、或いは改正の問題、私はその生活保護法の運用だけではなく、運営問題から考えて、生活保護法を未亡人の現実の、数百万の未亡人の立場から生活保護法の現在の在り方を変える、いわゆる改正する、法律自身を相当改正する必要がありはしないか、こういう点について政府はお考えになつているかどうか。これは生活保護法全体を相当改正せなければならん最も古い法律となつておると存じまするが、それはそれとして、未亡人の問題の立場から生活保護法を改正すべき点が多々ありはしないか、これが第一点であります。
 それからもう一つは、職業の立場からの未亡人の問題、これは労働省関係にも相当あろうかと思いますが、只今の山下委員の質問に対して、労働基準法等の積極的な実施というようなことをお話になりましたが、この未亡人の立場から現在の労働基準法を御改正になるお考えはないか、いわゆる子供を持つて働いている未亡人に対して、現在では、ただ一種のやわらかい指導というような程度でその人達の労働を守つている、むしろ時間的とか、そういう点からいつているだけであるが、もつと積極的に行けるような労働基準法を改正すべきである。それからもう一つは、先程政務次官からのお話にありましたが、職業補導所というのを今度は三百数ケ所予算に計上している、併しこの中で未亡人專門の職業補導所というものをお作りになるお考えはないか、むしろ私共はそれが必要じやないか、尤も職業補導というものは、失業救済の対象から來ているのでございますから、一般も勿論ありましようが、未亡人專門のを一つお作りになり、現在授産所におきましては、生活保護法で職業補導費を受けている者が沢山あります。これは一方、生活保護法で六ケ月保護を受けておりますが、一方労働省等におきましても、職業補導所というものを作る場合に、そういうことを一つ頭に置いて、そうして未亡人專門の職業補導所を、少くとも相当な都市にはお作りにならないと、この問題は解決しないのじやないか。これは時間がかかりますから内容は詳しく申上げませんでも大体御了解は願えるのではないか。この職業の場合におきましては、当然生業資金という問題が起る、これも先般もちよつと問題に出ておりましたが、この生業資金の問題も十分考えて行かなければならないと思います。これに対して今回國民金融公社というものができましたが、この國民金融公社というものを、未亡人の職業の確保の立場から、強くこれを利用するという方向にお考えになつておるか、この点を一つ伺いたいと思います。
 それから次は、未亡人の問題の中心の一つは、育兒、育英、保育の問題、いわゆる育英の問題、これは一方育英会というのがありますけれども、又一方生活保護法による育英費の支給というのがありまするが、これは從來の生活保護法よりも一歩前進していると思います。一歩前進していると思いますが、全体の國家の立場から考えますると、未亡人の子供に対する育英、この問題は殆んど考えられずにいるとすら言い得る状態であります。この問題がもう少し具体的に解決しましたならば、もつと本質的に解決しましたら、未亡人の肩の凝りは約半分以上はこれで解決すると思います。この問題は、一方は文部省の文教関係になつて参りまするが、同時に廣い意味の未亡人対策の根幹をなすものである。
 もう一つ第四には、未亡人に対する課税と申しまするか、國家負担と申しますか、地方税も含めた課税の問題、これは現在地方によりましては、相当考へて呉れているところがあります。現に或る大都市のごときは、未亡人であるために、市民税を三割引くというようなやり方をしております。或いは或る所のごときは、未亡人である場合は、決定した額の次の、一段低めてやるというようなやり方もしております。從つて課税の問題というものは、相当考究する必要がある。
 それからもう一つは、これは主として農林行政になりまするが、農村におきまする未亡人の大きな問題としては、供出の問題、私ども愛知縣におきましては、この未亡人の供出の問題について随分力を注いで参つております。そうして大体了解を得まして、供出の約二割そこそこは、未亡人なるが故に減じてくれという委員会の了解を得て、大体やつてくれるというような行き方にして参りましたが、これはもういろいろな意味から、子供を持つて働いておる未亡人が、朝暗いうちから晩遅くまで働いても、尚普通の人のようにはできない。從つてそこに何とかしてやらなければならんという問題が起つて参ります。これは現実の問題である。さつき配給の問題は山下委員から御質問がありました。
 最後に私は結婚の問題、この結婚も普通の人は、未亡人の問題は結婚で解消するじやないかという、極く軽い意見がよくいろいろな方面に見えますが、併し私は結婚問題で未亡人の問題は解決しない。結婚の問題で解決するのは、これは結構だ。どうしても解決しない大多数の未亡人の問題というものは残つておる。併し結婚の問題で解決する問題については、結婚の問題で解決するやうに、やはり施策を講じてやる必要がありはしないか、正しい結婚を求めて正しく行くようにする必要がありはしないか。併し結婚問題だけでは解決しない外の問題については、今申上げたようになる。だから結婚の問題について正しく結婚のできるように一つの方策を講じてやる必要がありはしないか。先に山下委員の質問に対して厚生大臣は、現在各省にまたがつておる未亡人の行政についての、或いは労働省、或いは厚生省、その他の省……、別に課を特定なものを設けんでも、連絡を密にしたらいいというお話がございましたが、併しその場合において、どこが中心になつて今後連絡をなさるということになるか。実は大変この問題は大きい、又必要であると言われながら、殆んど、どこでもやつておらないのであります。そうして眞劍に考えましたら、現在私ども二、三のところを強く調べて廻りまして、実際調査をとつておると、未亡人ではないと言つております。例えば特殊飲食店、併し本当に調べて見るというと、自分の身分を隠しておる人達が相当あります。從つてこれは眞劍に考えて行かなければならないので、現在においては、或いは厚生省、或いは労働省おのおのがおのおのの範囲においての仕事しかできておりませんので、これを一課或いは一行政廳を作らなければならんということも、必ずしもこういう時代ではありますまいが、併しそうなるというと、これを中心に今後取纏めて行つて、本当に未亡人の問題というものをあらゆる観点からやつて行くというのは、一体どこがやつて行くのか、これを一つはつきりしておかないと、いつまで経つても進まない問題に陷つて來るのではないかと存じます。そういう意味において、私は先にこれも御質問がありましたが、授産所の問題も同樣であります。実は授産所の問題につきましては商工省、安本或いは厚生省、あらゆるものが少し引つ掛つて、むしろ厚生省の物資課でどうやらこうやらということになつておる。從つてどうも二進も三進もやつていけない。金はない。資材もない。そこで働いておるものは先程山下君の言われる通り、四十円くらいのものを貰うのがいいくらいです。実際本当の行政面に立入つて見ると、これが実際日本の授産所の問題かと考える。これは何とか一つ一本の行政機構ができなんだら、もつて物になるような方法を採つて行かなければならぬ。これについても一つお考えを願いたい。又御答弁がありましたら……以上であります。
#26
○國務大臣(林讓治君) 草葉委員にお答えいたします。只今お話のありました通りに、この未亡人の問題は非常に重大なる問題と政府といたしましても考えておりますが、その中に私に対するお尋ねの中に、生活保護法を改正するの要なきやというお説でありますが、昨今の未亡人などの状況を見まして、そういう点も指摘せられることであろうと考えます。が併し只今のところでは、生活保護法を改正をするという段に立ち到つておりませんが、今後の問題といたしまして、これを一つ研究をいたして見たいと考える訳であります。
 それから尚先程申し上げましたように、この未亡人に対するところの生業資金について國民金融公社に対して未亡人に対する金融の途を講ずるように強く要望せられたようなお話もあつたのでありますが、私もこの点につきましては篤と考慮いたしまして、そうして國民金融公社法が成立いたしまして、特に未亡人の方面に対しては力を入れるように今後努力いたしてみたいと考えるわけであります。
 それから未亡人に対しての課税の問題でありますが、誠に事実を指摘せられまして、私共も御尤ものお話で、社会問題といたしましては、草葉委員のおつしやいました通りに我々は是非取計らいをしたいと考えておりますが、未亡人なるが故にこの課税の問題というものを、これを正式にどうこうということがやり得られるかどうかということが、そこに一つの疑問が起きて來るのではないかと私は考える訳であります。つきましてはその事態に應じまして、この課税の問題については、篤と考慮をいたして見たいと考えまして、大藏当局あたりとも一應私共研究をいたして見たいと考えます。それから未亡人に対しての各省の連絡の問題でありますが、この中心がどこにあるかということの御質問でありますが、私共もその案件によりまして、その問題々々によつて軽重があり得るとは考えますけれども、我々といたしましては、厚生省が一番主としてこれをやつて参るように今後いたしてみましたならば、却つて良い結果を得るということになりはしまいかとこう考えますが、その辺のことは各省と連絡を取つてみまして、成るべく厚生省が主として当り得られるように努力してみたいと考えるのであります。以上簡單でありますが……
#27
○政府委員(宿谷榮一君) 御質問の中、労働問題に関して私に対する点をお答えいたします。特に第一点は、補導所に関して未亡人だけをお世話申上げる補導所はどうかという御質問であつたと思いますが、これは予算の関係もありまするし、本年度において三百四ケ所と申しますのは、これはもう既に出來ておるものであります。それに対して予算上の措置が必要で、四百だつたということを聞いておりますが、そのうち全く必要でなくなつたところを整理いたしまして、三百四ケ所ということになつたのであります。特にこの未亡人、及び婦人達を指導いたす補導所を作るということは只今のところ考えておりませんが、併しながら、此処へ入つて頂く方は、從來ともにこの未亡人は特に優先的にお入れするという措置を取つております。
 從つて、強いてやろうとすれば、この補導所の中に無論婦人部、或いは男子と区別することは可能だと思いますが、特に婦人だけの補導所を作るということは只今のところ予定されておりません。
 それから尚労働基準法の改正について、兒童の保育所とかそういうものを作るというような必要のために改正する必要があるのじやないかという御意見に対しましては、労働基準法はそういう観点において今改正することは実は考えておりませんのですが、尚、婦人が労働基準法の職場における最低生活を保護して、又婦人、年少者の過去における酷い取扱いをされることを抑えるために、多くその施策が向けられております。なかなか各工場におきまして託兒所を作れというようなことも、いろいろ工場々々等の営利的な関係から事情がございましようし、これを法律をもつて今すぐ決めて、各産業機関にそういうものを設置するということはちよつと困難だと、かように考えます。
#28
○政府委員(山川菊榮君) 先程から、未亡人についてのいろいろなお説を承りましたけれども、この未亡人問題は一般的な婦人問題の一部分でございまして、その意味におきまして、婦人少年局が未亡人問題に触れます点は、調査に限つてはもどかしいというような先程お話がございましたけれども、調査は困難なことでございまして、只今いろいろお話が出ました中にも、未亡人の就職状況、その他いろいろな点についてまだ調査のできていない点があつたことがお分りと存じますけれども、私の方では、全國の未亡人についての詳しい調査を企てております。來年から大体手がつくわけでございますが、調査を行つております。何分大きな問題でございますから、それがすつかり未亡人の全貌が分るというまでには、相当の時日を要することと思いますけれども、そういうものができ上りますと、対策を立て得ると思います。
 それから未亡人の問題を先程から伺つておりましても、要するに社会的の問題と経済的の問題と両方に跨がつておると思います。只今結婚によつて解決できる問題があるというお話がございましたけれども、日本の場合はなかなかそれもむずかしい、と申しますのは、未亡人に対する社会の偏見が強いのであります。つまり全体としての女の地位が低いので、未亡人が特に非惨だというのは、女が特に経済力のない地位に置かれておる。社会的の偏見によつて虐げられておるために、それが未亡人の場合に特に強く出ておるわけなんでございます。結婚いたします場合に、私共結婚紹介所に聞きましても、最近未亡人の再婚希望者が非常に多いそうであります。男の方にも再婚希望者は多いのでございますけれども、日本の今までの男の結婚の考え方では、一度結婚した女は女の資格を失つておるというような、非常に怪しからん考えを持つておる者があると思います。それがために自分の方では幾ら年を取つておろうとも、又何遍も、三度も四度も結婚した者であろうとも、再婚者は女の資格を持つていないものとして、これを相手にしない。それから自分の方には何人も子供があつて、その子供が後妻の世話になるにも拘わらず、女の方に一人でも子供があつたら、もうそれを世話する氣のない男ばかりで、これはどこの紹介所で聞いてもそうなんでございます。つまり男の方が非常に今までの封建的な考え、利己な考えである。女を自分の道具にする。相手を愛する以上人格を認めて、又父親を失つた不幸な子供を引取つて世話するという考えはありません。自分の子供だけを世話させようという考えが強いのでございます。私共の方では、婦人の地位の向上、婦人の解放という立場から考えまして、こういう男性の偏見を打破するためにも、かねていろいろな啓蒙宣伝をやつております。どうかこの参議院の方々にも非常に御協力を願うような次第でございます。外國でもそなんふうかと思つて聞きましたところが、昔はそうであつたけれども、近年はもう未亡人だからといつてハンデイキヤツプを付けて考えるようなことはなくなつてしまつている。そのために非常に再婚する人も多いし、又子供がある場合には、父親を早く亡くした可哀そうな子供、自分の方にも子供があるから丁度いいと言う人もあれば、又自分の方に子供がないから丁度いいと言つて、子供を人道的見地から進んで引受ける男の人も多いそうでございます。私は日本の男の方が早くそういうふうになりましたならば、未亡人の結婚問題の解決として大変いいことだろうと思います。又未亡人自身がそういう自分はすでにもう一人前のものでないように考えて、そうして非常に卑屈な考えに囚われていることも事実なんでございます。私も地方に参りますと、地方程そういう偏見が強いものでございますから、世間でああ言います、こう言いますというふうに愬えられますけれども、何故そんなものにこだわつていらつしやるか、世間がどう言おうと自分が正しければそれでいいのだから、自信を持つて生活なさいと力づけておりますけれども、世間というものは要するに男性中心の偏見なのでございますから、どうぞそういうことも皆さんの心に入れて頂きたい。それから経済的な能力の問題ですけれども、これも同じことでございまして、女は嫁にさえ行けばいいものとして、教育されなかつた。教育もほんの形式だけであつて自活の能力のない者が多いのでございます。それが一旦夫に死に別れましたら途方に暮れてしまいます。技能がないばかりでなしに、精神的に参つてしまつて、どうしても自活する能力がなかなか付きません。ですからこういう点は、これは文部省ともよく話合つていることでございますけれども、本当に女が自活する能力を持つような教育、それから精神的に独立するような教育、それがあれば未亡人問題も大変に樂になるのでございます。
 もう一つはこれは第一次大戰の後に、イギリスあたりで未亡人問題が大変やかましくなりました時に、女の中から出た声でございます。未亡人は一旦結婚して、そしてその場合は大変同情される。ところが独身で家族を養つている職業婦人が非常に多い。年を取つた親を抱え、父親のない家庭で小さい子供を育てて働かなければならない。こういう人達を養わなければならない。それにも拘わらず、そういう女のことは考えずに、ただ未亡人だけを大騒ぎするのは何故かという声が起りまして、大分問題になりました。まあそういう人達のためには、やはり今日本では家族手当がありますけれども、家族手当のない場合でしたから問題になりまして、未亡人という特殊な人間として取扱われる、ハンデイキヤツプを付けられることを好まない、しつかりした人も多いのであります。いろいろな点で、経済的にも社会的にも婦人の地位をよくして、特に未亡人という片輪のように思われないで済むように、女を強いしつかりしたものに育てて、そうして一般の人が、一旦結婚したということに対して、女の價値が減つたような偏見を持たないように、そういう根本的なところについて私どもの方では大いに努力しております。どうか皆さんもその点について、婦人解放について十分御協力を願いたいと存じます。
#29
○草葉隆圓君 先程厚生大臣からいろいろ御答弁を頂きましたが、もう時間も大分過ぎましたので、何れ又他の機会に御質問申上げたいと思いますが、課税の問題で、一言お話しを申上げます。主人がおりまする場合には妻は控除される。その主人が死んだ場合に、今度は妻が中心になつて行くというような状態で、未亡人は随分そういう点においてどうも割切れません。おやじがいる間はただである。おやじが死んでしまつたら今度は課税して來たというような点に、何か理論的な根拠も相当できて來るのじやないか。それからもう一つ伺つておきたいと存じまするのは、いろいろな意味において、今山川さんが、未亡人という特別なことを考えんでも一般婦人問題でやつたらよいじやないかという意見は私は賛成しかねます。やはりこの委員会が取上げたような、現実に日本の未亡人をどうするかという問題が中心である。從つて、將來は我々も孔子樣のような大理想を持つて行くことも勿論必要でありますけれども、現実の未亡人を如何にするかというのが政治だと思う。從つて、そういう意味から未亡人保護に対する特別な立法をなさる考えがあるか。それが一つと、今度はもう一つは、職業保護の立場から、未亡人というようなものの、これと特別ないろいろな立場に現実の日本の未亡人はありまするから、これに対する就職の特別な立法的措置を労働省はおとりになるお考えはないか。それから先に三百有余の職業補導所は從來からあつたのでというお話で、これもその通りであります。ところが從來からありまするのを、私はむしろそういうふうに変えるべきものじやないか。從來からありまするのをお調べになりますと、私はよく存じておりますが、中には相当労働省の目的を達している職業補導所もありまするけれども、むしろその大多数は必ずしもそうじやないという点が沢山あります。具体的に例を言えとおつしやいましたらいくらでも出し得る状態にあります。だからこの機会に、從來からあるのをばもう少し檢討しておやりになるというので、そうして現在の日本の状態に應じたように切り替えて來るという必要もあると思います。殊に未亡人が何百万、その中には技術的な方面に進み得る者がある場合において、こういう職業補導所を作つて、そうして技術を教えて、將來職業の安定を期するというような行き方に、相当欠くるところがありはしないかという点を私は思いながら御質問を申上げたのであります。それからこの委員会は、実は私もどちらかというと少しそういう点に触れましたので、山川局長のような意見が出たと思いますが、むしろ私はそういう意見じやなしに、もつと労働省は現実の未亡人という問題をキヤツチすべき必要がありはしないか。むしろ現実の未亡人をキヤツチしていないからそういう意見が起つて來るのじやないか。地方におきましては、婦人少年局の何か分室等があつて、婦人少年問題に対して府縣に專任者がおつていろいろやつております。相当好成績は上つておると存じますが、併し一般に我々が考えるというと、必ずしも現実におけるこの大きい問題に、調査する現実にもう数年になつてもできていないというようなことで、一体日本の労働行政ができるかどうか、私どもは説教を聞こうとするのでもなければ、單なる意見を求めようとするのでもない。現実の日本の政治をどうするかという問題だと思います。こういう点につきましては、私は労働省はもう少し自重して欲しい。これだけを申上げます。
#30
○國務大臣(林讓治君) 只今未亡人に対するところの特別の立法の問題でありますが、特に未亡人ということにつきましての特別の立法というものは、今日の場合非常にむずかしい問題ではないかと私どもは考えているわけであります。尚十分その点については研究はいたしてみまするが、只今のところといたしましては非常にむずかしい問題だろうとこう考えているわけであります。
#31
○政府委員(宿谷榮一君) 職業補導所全体が十分な機能を発揮していないということですが、これは私共といたしましても十分、特にこの婦人関係について、又先程も申上げました通り、未亡人に対して優先的にすべてお扱い申上げるようにという心構えでおります。又從來もそういう処置を取つておりますようなわけであります。尚補導所の問題を、特に未亡人だけの補導機関を作れということにつきましては、一体この職業安定法によりましても、労働基準法によりましても、男女の性別の考え方をしてはならないということが、この両法の基に大きく流れております。ただお説の通り数百万あるこの未亡人に対する生活の安定を期する。而も子供さん達を立派に育て上げさせるということは、これはもう國として全く大きな問題で、是非労働省におきましてもできるだけこういう方々の生活上の種々の保護というようなことに今後一層力を入れたいと、かように考えております。
#32
○山下義信君 生活保護法の運用の改善で未亡人を特に考慮して貰いたいという措置でありますが、これは非常に急を要しておりますという状況は御承知の通りでございます。いつからこれを具体的に実行されるように御指示がございましようか。その点を承りたいと存じます。
 それから未亡人の全國的な團体の結成に積極的に厚生省が協力をして貰いたい。指導して貰いたいと私が申したことは、私の表現がまずかつたか分りませんが、未亡人の團体のできますることについては政府は好意をお示し下さらなければならんと思います。これは彼の人達が自立厚生せんと奮起しておりますることを政府が好意を以つて援助をして下さるか、どうであろうかということを、固唾を呑んで政府の態度を見守つておるのでありまして、一向そういうことに対しては政府は積極的に斡旋盡力しようという意思がないのだということをおつしやいますと、全國二百万に近い未亡人が失望いたしますので、この点を聽き違いがあつてはなりませんので、今一つ大臣から確かなお心持を承つて置かなければならんと思います。
 それから各府縣でも未亡人会がいろいろ縣廳などの世話でできつつあるのでありますが、これらの運用などにつきましていろいろ本省に伺わなければならん、御相談しなければならん、又御援助願わなければならんというようなことで参りましたときには、これはどこに参りましたらようございましようか。社会局に参りましようか。兒童局に参りましようか。と申しますのは、未端におきましては社会課、厚生課で世話しておりまする縣廳もあり、兒童課が中心になつていろいろ斡旋しておる縣もある。どこに参りまして、未亡人会團体などのことにつきまして御相談に参りまするところを一つ決めて置いて頂かなければならん。丁度この席がよい機会でありますので伺います。
 それから今一つは厚生省の機構が最近改革される。行政整理に関連しまして行政機構の改革がある。前の國会におきまして、授産局の設置の請願が、これは採択されて通過して内閣に送付してある。御参考に御覽下さつたかどうか分りませんが、局というのは実は過ぎておるということは誰も考えたのでありまするけれども、要望は採択して置きました。未亡人中心の、授産事業中心のいろいろ保護補導についての一課を是非これは御新設願わなければならん。でありまするから授産課という、今の保護課ではいろいろな生活保護法の保護課でありまするから一般的であります。特殊なこういう急を要しまする、而も大きな問題ですから專任の課として補導課というか、授産課というふうな名称如何に拘わりませず、社会課の一課になりますから、そうするとポイントがきちんと決つて來るのであります。小さいことでございますが、非常に大事なことでございますから、この席で承わつて置きたいと思います。
#33
○國務大臣(林讓治君) 先程の團体の問題でありますが、私どもの考えといたしまして、勿論御指導、或いは御援助申上げるのには吝かでない、今後大いに未亡人團体の、現在ありますものに対しては相当の授助をいたして行かなければならんと考えております。ただ先程ちよつと私の思い違いであつたかと思いますが、今全國的團体を結成して云々というお話があつたと察しましたので、私はその点については今のところでその團体結成をどうこうということを考えておらんと申上げたのでありますが、今あります團体は固よりのこと、今後できます團体につきましてもできるだけ御援助を申上げて見たいと考えております。
 それから尚今の未亡人に対して何拠へいろいろな御相談に行つたらいいかということのお話であつたかと考えますが、これは私、社会局にお尋ね、又お越し願えば一番いいよいに考えております。尚、今後授産課のようなものを設立することにつきましては、今後機構の改革もあるわけでありまするから、その時に十分研究いたしまして、そうしていかなる方面に付け得られるか、又どういうところによつて一番分り易くいろいろお世話申上げ得られるかというようなことは研究をいたして見たいと思います。
#34
○政府委員(木村忠二郎君) 只今主食の價格の改訂がございまするし、それから統制の一部の撤廃もあるようでございまするし、それらのいろいろな観点からいたしまして、生活保護の基準は近く改訂しなければならんということになつております。なるべくならばその機会に只今の点は改革いたしたいと、かように考えて、そのつもりで以て我々の方ではやつております。御承知願いたいと思います。
#35
○山下義信君 了承いたしました。大臣の御答弁にもよく了承いたしました。大体あの今の基準の改訂は凡そ七月頃と予想いたしてよろしゆうございましようか。
#36
○政府委員(木村忠二郎君) もう少し早いと私は思つておりますですが。
#37
○山下義信君 それでは尚結構です。
#38
○政府委員(木村忠二郎君) 五月の中にはやりたいと思つております。
#39
○姫井伊介君 続けられますか。
#40
○委員長(塚本重藏君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
  ―――――――――――――
#41
○委員長(塚本重藏君) 速記を取つて下さい。この機会に皆樣にお諮りいたします。四月の五日であつたかと記憶いたしますが、委員会の懇談打合会の席上で、今問題にいたしておりまする兒童及び未亡人の調査に関する件をお諮りいたしました。そのときに皆さんの要望によりまして、未亡人問題に関係のある團体の代表者、並びに個人数名を証人に喚問したいという議が出まして、委員長並びに理事にその喚問者の選定を御一任下さつたのでありますが、この機会にお諮りいたしますが、十六日の午前の委員会には武藏野母子寮内の森磯子さん、それから品川区南品川四丁目四百八十二番地北沢方におられます馬場トシさん、それから二葉保育園におられます永田豊子さん、以上三人の方を、更に十九日の委員会には二葉保育園の園長徳永恕さん、それから茨城縣水海道町未亡人会会長の鯉淵鉱子さん、それから武藏野母子寮、寮長の牧野修二さん、愛知縣未亡人同盟の代表者墨眞佐さん、以上の四人の方を証人に喚問いたしたいと思いますが、異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○委員長(塚本重藏君) それでは御異議ないものと認めまして、さよう取計らいます。尚質疑を続行いたします。
  ―――――――――――――
#43
○姫井伊介君 労働省関係でありますが、この問題につきまして、職業補導機関における母親の子供の扶養につきましては、何か特別の考慮が拂われておるか。言い換えますと、手当などでも少し割増しにやつておられますか。ただ本人だけの補導手当というだけでは、やはりこの問題につきましても、未亡人問題の上におきまして、その解決の曙光が見えないわけであると思いますが、それから商工省関係もあるのでありますが、大体今日の私企業が、ただ昔のように営利一本では無論いけないということは分つております。從いまして、子供を持ち、両親を持ちしておる寡婦の人が工場に働きます場合に、少くとも子供が將來立派な國民であらねばならんという点から、特にその勤労婦人に対する賃金、手当とかいうのみならず、子供のことにまで考慮されなければならんことは、無論でありますが、現在の家族手当制度、これも無論不十分でありますし、家族持ちであるが故に、工場、鉱山などではこれが雇い入れに躊躇するという点も御承知の通りであります、この点は、さつきもお話がありましたように、なるたけそういう方面のものにも注意をいたして、今回の企業整備に当りましても、先に職を離れさせないように注意するというお言葉もありましたが、殊に未亡人が戰爭犠牲者であるという國民感情の上からと、今一つは、それらの人の少しでも能率を高めて、生計の余裕を與えてやろうということと、進んでは、労働問題の緩和にも資して行こうというためには、炭鉱や工場におきまして、住宅がありました場合に、その住宅を、さつき山下委員もお話のあつたように、少くともやはり母子寮的な性格を持たして行くということにまで、工場、鉱山におきましても考慮して行かなければならないのではないか。ただ一般の勤労者並にそれをやつて行くということで、夫を失つた女の手一つで自分が生活するのみならず、同時に子供の生活並びにその子供の將來の養育のためにも、何かの手助けを、助力してやるというためには、今のような考慮は必要じやなかろうか。從いましてさつきの当局の御答弁では、強制的に母子寮など、或いは保育所の施設ができないが、なるベくそうさせるというお話でありましたが、これらの施設につきましては、会社経理上どういうふうに取扱われるかとさつき申しましたが、商工省関係で、或いは御答弁がどうかと思いますが、母子寮的性格、保育所的性格を持たしたような施設をした場合には、少くともこれは会社の利益金からそれは控除する。つまり利潤に加えない。從つてその結果としては、課税対象としない。これが厚生省の方で、やはりこういう施設であるということをお認めになれば、生活保護法などによつて、或いは兒童福祉法によつて、課税対象とならないのでありましようけれども、そこが厚生省と労働省とが緊密な連絡を取つて貰つて、やはり厚生省の方で、その施設を社会的施設と認めるというふうな手段を講じなければできないと思います。若しこの連絡ができないとする場合においても、今申しましたような社会的の福利施設というものが課税対象にならないかどうか。今現にどうされておりますかということをお尋ねいたします。以上。
#44
○政府委員(宿谷榮一君) 補導所に未亡人で働いておられる方々のあとに残されている子供の扶養というようなものはどうなるかという御質問ですが、補導所は、その技能を習得させる、いわば一つの厚生機関でありまして、從來では、この補導所に來ている方に対しては、交通費だけは出しておりますようです。從つて短期講習であるためにさようなことに相成つておりますが、子供の扶養というようなものは出ておりません。労働省に関係するものはそれだけだと存じます。
#45
○姫井伊介君 そうすると、今の場合はなんですか。生活保護を要する者は、その生活方面の補助だけを受けるということになるわけですね。
#46
○政府委員(宿谷榮一君) 生活保護法の方でそれを見て行つているわけですね。
#47
○姫井伊介君 それだけでは事実足りない。普通ならば、自分で手内職でもして、隱れた收入とでもいうか、そうして生活扶助でも受けておれば、いくらか息が吐けるが、補導所に入ればそういうことができないし、而も子供を抱えている。だから何らかそこに考慮が拂われなければ、そうした婦人の救済の道を講ずるといいながら、事実はできないということになるわけですね。
#48
○委員長(塚本重藏君) 家族手当の問題とか、母子寮的住宅の、そういうことについての答弁を願います。
#49
○政府委員(宿谷榮一君) 課税問題については、労働省からお答え申上げられないと思います。尚、母子寮その他のことにつきましては、先程もそれに類した山下議員からの御質問がありまして、一應お答え申上げておいたのですが、特にそれぞれの企業に対しまして、そういうものを作れということは、いろいろの企業体が千差万別でありまして、これはなかなか今の労働法規だけでは実はむずかしいと考えております。併し各工場とか或いは職場におきまして、それぞれの経営者のこういう問題に対する熱意を持つて貰うことが一番大事じやないかと思いますが、若しそういうものを作つた場合に、利益の中から作つて、課税の対象にしないというようなことは、又作られることは我々としても実は賛成しておることでありますが、それが利益金から控除されるとかというようなことは、やはり労働省からお答えできかねる問題だと思います。そういうものを作つて十分な施設をやつて貰うということについてのお勧めは、今後も十分して行きたいと思います。
#50
○姫井伊介君 その辺のことは分つておりますけれども、今言つたように、折角工場鉱山では住宅を作つておるのですから、作つておれば、それにちよつと手心を加えれば、或いは保育所等があれば、或いは母子寮的の性格を持たせられるわけですから、そうすれば厚生省との連絡交渉において、厚生省の方で認めれば課税の対象にはならない。課税の対象にならないということは、一方企業者をしてそういう施設を喜んでさせるということに一つの誘因になるわけですが、その辺の関係はどうなんでありましようか。
#51
○政府委員(宿谷榮一君) 各省とよく連絡を取りまして相談いたします。
#52
○委員長(塚本重藏君) 本日はこれを以て散会いたします。
   午後零時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト