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1949/04/15 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第8号
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1949/04/15 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第8号

#1
第005回国会 厚生委員会 第8号
昭和二十四年四月十五日(金曜日)
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  本日の会議に付した事件
○人口対策並びに産兒調節に関する調
 査の件
  ―――――――――――――
   午前一時四十五分開会
#2
○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。本日は人口対策並びに産兒調節に関する調査案件を議題に供します。この問題につきましては参議院の厚生委員会は、我々が國会に席を有するに至りましてから終始一貫重要な問題といたしまして取扱つて來た問題であります。從いまして第二國会におきましては谷口委員その他数氏の発議によりまして、優生保護法の改正法案を提出し、これの可決実施を見るに至つたことも皆樣御承知のところであります。更に第五國会におきましては、國会召集以來数次に亘ります委員会並びに打合会を以ちましてこの問題を愼重に取扱つて参つたのであります。その結果といたしまして、委員会は特別なこれに関しまする調査承認要求を本月の六日にいたしまして、翌七日には議長の承認を経まして、爾來又数回委員会を以てこれが調査に当つて参つたのであります。この調査を進めれば進める程、この人口問題は非常に重要であることをいよいよ深く痛感するに至りまして、委員一同非常な熱意を以てこれに当つて頂き、できるだけ早い機会に何らかの具体的方策を決定したい、かように考えまして鋭意努力をいたしておる次第であります。聞くところによりますと、政府におきましても最近これが問題を採上げられ、何らかの方策が行なわれるようになりつつあるのではないかと考える節々があるわけであります。從いまして、山下委員、谷口委員等の要求によりまして、本日は総理の出席を求めた次第でありますが、総理今日只今関係方面に用談のため不在でありますので、この機会に総理に代つて副総理から内閣におきまするこの問題の施策諸般につきましての今日までの事情、今後に取られようとする方針対策等につきまして御所見を伺いたいと思います。
#3
○國務大臣(林讓治君) 終戰以來日本の人口の問題は非常に重大な問題と考えまして、政府といたしましても、この人口問題につきましては、非常に、如何にしてよいかということに対しまして研究をいたしておるわけでありますが、昨年八月の調査によりますと、日本の人口は遂に八千万人を超えたのであります。併し出生の増加は大体昨年五月頃でその絶頂に達しまして、それ以來は減退の傾向を見せて参つたのであります。昭和二十二年の出生率は人口千につきまして約三十五でありましたが、昭和二十二年には約三十四に低下いたしておるのであります。それから出生率が下つて参りましたのは、復員、引揚等のごとき出生増加の一時的原因の影響がなくなつて來たことと、産兒制限の普及によるものではなかろうかと思われるのであります。幸いにいたしまして公衆衞生の拡充徹底によりまして、死亡率は戰後急速度に改善せられまして、昭和二十三年には人口千につき十二という、從來にない低い率になつて参つたのであります。戰後、出生率の増加と死亡率の低下とによりまして自然増加率は非常に高まりましたが、只今申上げましたような次第で、昨年を絶頂として本年からは減退に轉ずるものと見ておる次第であります。近い將來におきまする人口増加の見透しにつきましては、今のところ過日統計委員会で発表いたしました昭和三十年までの推計人口を採用いたしておるのであります。先程申述べました通り、出生率は漸次減退いたしまして昭和三十年には人口千につき二十七、或いはそれ以下に下るのではないかと見ている次第であります。出生率の減退によりまして、自然増加率も本年からは減退に轉ずるものと考えられますが、只今申上げました推計人口によりますと、昭和三十年の日本の人口は大約九千万に達するものと見られるのであります。かように現在日本の人口は、この人口を養う経済力に対して多過ぎると申すの他はないと考えております。この人口と経済力との比例関係が破れていること、いわば人口と経済力との失調というところに、今日の人口問題の根本があると思うのであります。從つて日本の経済の速かなる復興を図りまして、人口の收容力を能う限り拡大いたしますることが根本と考えます。昭和五年の農業人口は約一千四百万でありましたが、昭和二十二年の調査の結果によりますと、一千七百万を、越しておるもののようであります。ところ員昭和二十年の耕作面積は昭和五年当時よりも却つて幾分減つているという状態でありますから、農業人口はむしろそれを減らすことが望ましいのでありまして、これ以上の人口の收容力を農業に求めることは殆んど不可能であると思われるのであります。從つて経済復興の根本は、工業とこれに伴う商業、その他サービス産業の人口收容力を極力高めることを根幹とするの他はないと考えるわけであります。
 次に人口身体の増加が調整されることが望ましいのでありますが、現在死亡率は最早限界に近いところまで下つておるのでありまして、今後人口増加を決定するものは、出生率の動向如何にかかつておるものと考えるわけであります。出生率は最早減退に轉じましたが、將來相当急速度に下ることが予想せられるのであります。最近の人口動態統計や人口問題研究所の調査の結果などから推計りましても、産兒制限は相当著しい速度で普及していると見られるのでありまするし、或いはこれに伴つて種々の弊害が生ずる虞れもあると思われますので、適切な指導を行い、極力弊害の防止に努める方針であります。
 尚産兒制限普及の問題はただ人口政策の上からばかりでなく、各方面に重要な影響をもつものでありますが、婦人文化の高揚を図り、眞のいわゆる計画的母性の制度とでも申しましようか、高き文化水準に立脚して受胎調節の健実なる普及を指導する方針であります。尚又現在から近い將來における日本人口増加の特徴は、総人口の増加もさることながら、職業について家族を扶養すべき十五歳から五十九歳のいわゆる生産年齢人口の増加が、総人口増加中非常に大きな割合を占めておるという点にあるのであります。即ち今後十五年乃至二十年の將來におきましては、生産年齢人口の増加は年平均七十万乃至八十万に上ると推定されるのでありまして、それらの人口は勿論すでに生れてしまつておるのでありますから、産兒制限の普及によつて如何ともない難い人口であります。從つて産兒制限普及の十分な効果は今後十五年乃至二十年の將來に期待さるべきものでありまして、現在の人口問題の解決に向いまして、産兒制限の普及は決して万能藥ではありませんし、その即時的効果を過大視するわけには参らないと考えるのであります。これらの点に鑑みますれば、さきに申述べました通り、産業の人口收容力を拡大いたしまして、何とかしてこの人口の特に生産年齢人口の培養に特に努めなければならないと存ずる次第であります。
 人口調整の第二の問題は、海外移住の問題でありますが、純然たる理論から見ますれば、先程申上げました日本人口増加の特徴から申しまして、現在から近い將來にかけて海外移住が人口問題解決上有効であることは申すまでもないと存じます。將來必ずや海外移住をし得るときが來るであろうと思いますが、占領下にある現在の我が國といたしましては、民主化の徹底を期しまして、ますます國際信用を高めるように努力することが肝要であろうかと思うのであります。日本民族が眞に平和的な民族といたしまして世界の経済発展、開発々展に貢献し得る民族であることが認められまして、列國の理解ある協力を求めるの外はないのであります。從つて極めて近い將來に海外移住の実現を期することは非常に困難であると申さなければならないのであります。何分人口問題は日本復興の根本問題でありまするし、その対策は複雜多岐にわたるものでありまして、政府は大体只今申述べました基本方針に立脚いたしましてあらゆる努力をいたし、万遺憾なきを期しておる次第であります。問題の緊急重大な性質と対策の廣汎にわたりまして複雜極まる点に鑑みまして、人口問題、人口対策に関する限り一大審議機関を設置することが適当であると考えまして、実は先般來からも考慮いたしました結果、本日の閣議によりまして人口問題審議会というものを内閣に設置をいたしまして、これらの機関によりまして十分御研究を願いまして、そうしてこの人口の問題を如何に解決すべきかということの問題の成案を見るようにいたしたいと考えておるわけであります。只今申上げましたように、先般來何とかしなければならん。今日総理あたりからも伺いましたらば、昨今外國の新聞記者諸君あたりから、実は日本の人口問題についても頻りに試問をせられるような実情にあるというようなお話も伺つたわけでございます。今後の対策をこの審議会によりまして、一應御研究を願うような計画を立てたわけであります。
#4
○中平常太郎君 林副総理にお尋ねしたいんですが、只今の御発表の中に、生れて來た者はもう仕方がないから、とにかく出産の増加の問題は二十年先のようなふうにお話がありましたのですが、その点がちよつとよく了解しにくかつたのでありますが、産兒の調節、いわゆる妊娠調節というような問題は、今日只今から効果の発揮されるものであつて、何も二十年先のことによらないと思うのでありますが、お話にはちよつと二十年先に初めて本当の効果があるというようなお話があつたんですが、それは現在生れた子供からの生産を言つておられますけれどもが、生産調節というような問題は、現在の産兒制限を生産年齢である者に対する産兒制限であるなれば、今日から直ちに効果がある筈であるということ、それから殊に今日極めて重要なことは、七百万に近い引揚者が帰つて來て、それが大部分男子であるということ、その男子が又殊に出産年齢が多いということ、そういうところからいたしまして、特に一昨年から昨年この方、人口の増加が非常に急激な状態を示して來たのでありますが、こういうような場合には、特別な今の七百万も入つて來たという、特別な事情もあるわけでありますから、人口増加の問題は急激に一つ適当な処置を取る必要があると私共考えて、早くより我々は問題にして、実は厚生委員会の方でも一つの單行法を、法律を以て産兒制限なり、或いは又人口対策に対して、調節法というようなものを考慮中なわけでありまして、まだ原案はできておりませんけれども、そういうことを今厚生委員会としても早くから考えておつたのであります。政府といたしましても今日審議会をお作りになるということは誠に結構なことであると思うのでありますが、御承知の通り大体東洋は多産国であります。南洋その他一切、ロシアあたりも入れてもよろしいが、大部分が千対四十以上になつております。アメリカ、イギリス、フランスのごときは千対二十くらいになりますけれども、日本は大体その中間を行きよつたのです。そういうふうでありましたが、どうしても千対二十程度のところまで低下して行かすべきであると思うのでありますから、この問題は強力な手を打つて貰いたいと思うのであります。道徳的に或る意味からいいますというと、かのカソリツク教などのごときものは、産兒制限は罪惡だ、こう言つておりますが、そういうことは私はもう言うべきじやない。今日はもう当然國策として日本國全体の人を救うためにどうしても調節の必要がある。して見ればその調節は少なくとも現在の人口を増さないというところに行きたい。そこでそういうところまで行つて一つ強い手を打つて貰いたいと思うのでありますが、まあ審議会の内容を見ませんから分りませんが、生煮えのことにならないように、本当に効果のある、実際覿面に人口の増加を規正するという力のあるようなものに一つ十分お考えを願いたいと思うのであります。
#5
○委員長(塚本重藏君) 中平委員にお答えになるときに、併せて人口問題審議会の設置法といいますか、そういうものを本国会に御提出になる御意思がありますか、その準備が進められつつありますか、一緒に併せて御答弁願いたいと思います。
#6
○國務大臣(林讓治君) 只今の産兒制限などの問題は、いろいろ道徳的の点も考えなければなりますまいし、これを成文化するということについては非常に困難な点がありはしまいか、又いろいろ御説によりまして種々な見解もあろうかとは考えておりますが、これが成文化するということ、この審議会によりまして如何なる成案が出るかは存じませんが、今後におきまして篤と御審議を願つた上、一つの成案を見るということでないと、ちよつとカソリツクのような意見を述べられる人もありましようし、なかなか困難な問題ではなかろうが、つきましては御納得の行き得られるように、その審議会によつて成案を見るようにして行きたいと考えておるわけであります。尚これはこの間からも考慮いたしておつたのであります。他面これも目下委員にどういう方を選んだらよかろうかということを選考中であります。それでその成案を見まして、これは内閣総理大臣の諮問機関としてできるわけでありますから、別に法律として出すより前に十分審議をして行くことになると思います。
#7
○中平常太郎君 今林副総理の御答弁で大体分つておりますようですが、審議会ができて後の、発足後のいろいろ決議その他指示事項につきましては、これは今日論ずることのできないことは分つておりますが、その審議会の作られるということについて私は申上げた。その審議会を強力なものにして貰いたい。これは初めから問題を大きい問題として取上げて貰つて、ただ一個の今までありふれた沢山の審議会のごとく、お座なりなものをお拵えにならんように、これは本当に命がけのつもりで、この審議会をしてもつと強力なものを拵えるという意思の下に十分な人選をして頂きたい。ただ義理や何かでいろいろのイデオロギーだけの問題とか、或いは机上の空論ばかり言う者を入れ込んだところで、とても本当の成案は得られまいと思つておりますから、強力な審議会を作るという初めから前提の下に十分な人選等についてお考えを願いたい、こういう意味であります。
#8
○國務大臣(林讓治君) 中平議員の御趣旨に從いましてやりたいと思つております。丁度内閣に置くようにいたしまして事柄も、厚生省というようなことでなしに、むしろ内閣全般の一つの問題として取上げた方がよかろう、こういうところから置きましたようなわけで、御趣旨の点は十分体しまして成果を得たいと考えております。
#9
○山下義信君 只今大臣の御説明がありましたが、内閣に置かれる人口問題審議会というものは、もつと具体的に内容とか構想、運用、大体どういうふうな考えを持つておいでになりますか、今少し審らかに内容について承わりたいと思います。
#10
○國務大臣(林讓治君) まだ具体的に……、今日実は閣議で決めたわけでございまして、まだ具体案といたしまして申上げるような材料は、こういうふうにやつて見ようかということにまで進んでおりません。成べく早くやりたいと考えましたので、今日ようやつと今朝の閣議で通過いたしたわけであります。
#11
○山下義信君 実は今日午前の予算委員会で私質疑いたしたのでありますが、このことは質疑いたしませんでしたが、日本人の海外渡航、これは移民とは少し違うと思いますけれども、こういう問題について総理の御答弁の中に、本年末になつたならば、非常に明るいことになる見透しを持つておるという御答弁があつたのでありますが、何かこの年末頃には日本人の海外に出て行きますについて、余程よい條件などがるのではないかと思つたのであります。重ねてお尋ねする時間の持合せがなかつたのでありますが、副総理は何かその点につきまして御承知でありますか。
#12
○國務大臣(林讓治君) まだその問題で伺つておりません、総理みずからで御自分独得なことをいろいろ折衝せられての関係にあります問題を、一般の閣僚に話すことは重大であるだけに、我々にまだお話になつておりません。その明るい見透しというものを十分私はまだ存じません。
#13
○山下義信君 総理が御出席下さればいろいろ伺いたいと思つたことがあつたんですが、例えばこの移民などの可能の見透しでありますが、具体的に申しますれば、ニユーギニアなどへの移民可能性などについての見透しでありますとか、或いは日本の人口問題がです、やがて將來講和会議の時代等になり、可能性がありますとか、まだそれに持ち出すだけの用意は今日本政府としてはしなければならないと思うのですが、その点について政府では相当な考えを持つておいでになるかどうかという点を伺いたいと思つているのであります。副総理で御答弁できますれば伺いたいと思います。
#14
○國務大臣(林讓治君) ちよつと速記を止めて下さい。
#15
○委員長(塚本重藏君) ちつよと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#16
○委員長(塚本重藏君) 速記始めて下さい。
#17
○山下義信君 では人口問題研究所の方が見えておいでになりますが、その方でもよろしいのですが、当面の問題は産兒調節の問題が、これは非常に大きな問題です。この根本的な人口問題は、三年研究、五年研究しても果てはない深刻な問題ですが、当面は産兒調節によりまして、人口の関係を調節して行こうということになるわけでありますが。どの程度の産兒調節をやれば、どの程度の効果が現われて、或いは三ケ年間にそれが人口の増加にこれだけの影響がある、又それだけの産兒調節をやるためには、避妊藥とか避妊器具というものがこれこれの数量が必要である、或いは生産しなければならん、或いはどうにかしなくちやならんというような事柄が、大掴みに考えられるであろうと思うのでありますけれども、そういう点につきまして、当面の産兒調節をどの程度我が国の現状に対して行い得るか、つまり普及し得るか、先程の厚生大臣の御説明の人口の出生率が最近減少したのは、産兒調節が相当普及しておるのだろうとこう申しております。誰が普及したのか。誰が奬励したのか。何者によつて普及されておるのか。本員は寡聞にして未だ存じませんが、それは見まするにいろいろ避妊法の秘傳公開とか、雜誌などの記事とかいろいろございますが、我我が信頼するような、産兒調節の普及機関として、そういうようなものが公式に行われておる、普及されておるということを未だ寡聞にして耳にいたしません。でありますから今日までの状態は産兒調節が普及されてあるとかいうところの段階ではないと思う。そういうことが話されており、必要に迫られていわゆる間引きしておる者が、段段増加しておるのだろうということは想像されますけれども、正しい産兒調節が普及されておるとは考えられていない。でありますから只今申述べたような、正しい健全なる産兒調節が、それが十分普及されるという状態であるか、又それがためには今言つたようなその対策がどの程度行われたらば、どういう影響があるだろう。例えば明年中、一ケ年中に、どういう影響があるだろうかというような大体の見透しというものは、関係者の方でどういうふうに考えられておりますか。その点承わりたいと思います。
#18
○委員長(塚本重藏君) 厚生大臣の外に法務廳檢務長官の木内曾益氏、厚生次官淺岡信夫氏、外に説明員として厚生省人口問題研究所総務部長の館稔氏、法務廳檢務局の高橋勝好氏が見えております。必要に應じ説明員に発言を許可することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。
#20
○説明員(舘稔君) 只今のお尋ねに対しまして私共の研究しておる面から分つておりますことを簡單にお答さして頂きたいと存じます。只今のお尋ね中の産兒制限の普及の程度でございます。実は人口問題研究所の方でも現在の普及状態等につきまして、調査をいたしておるのでございます。これらの調査の結果、それから只今の人口総体調査の結果等を分析いたしますと、現在の普及の程度はむしろ、可なり私共が予想いたしましたよりも、普及の程度は拡まつておるように見受けられるのでございます。大体の普及しております割合と申しましようか、普及の割合を申述べますと、只今大都会を中心といたしまして、大体一般の結婚しております夫婦の二六%くらいが産兒制限を家庭の内部において実行しておる。かような状態でございます。この二六%という実行者の割合につきましては、いろいろこれは研究上重要な問題がございますので、外國の普及度などと比較いたしますが、外國の普及の割合等を比較研究いたしたのでございます。只今御承知の通り西ヨーロッパの文明國並びにアメリカ等におきましては、六五%乃至八〇%の実行者の割合が報告せられておるのでございます。ところがこのアメリカ合衆國並びに西ヨーロッパ文明國の六五%乃至八〇%と申しますのは、産兒制限の相談機関を來訪いたしましたものについての割合でございますが、私の只今申述べました二六%と申します割合は、これは相談所を訪れたものでなしに、一般の住民についての割合でございますから、直接のその点に比較はできないわけでございまするが、たまたま一九二〇年台に、イギリスにおきまして、同じような割合が出ておるのを見出したのでございます。その当時の一九二三年と記憶いたしますが、一九二三年当時のイギリスの普及の程度が二五%でございました。大体におきまして、只今日本の大都会を中心といたしまして、一九二三年当時のイギリスの普及率とほぼ似たような数字が出ておる状況でございます。これは日本の産兒制限の普及率につきましては、大正九年以來、すでに数字を分析いたしまするというと、大正九年から戰前までは、大体イギリスの一八七六年頃から一九〇〇年の初頃と、殆んど同じような普及の状態を示しておるのでございます。大体まあ産兒制限普及の典型的な国と言われておりまするイギリス程度の普及をしておるのでありまするが、時代が、大体イギリスと比べまして、四十年くらい日本が遅れておる、ずれておるというような状況でございます。ところが極く最近の状態を見ますると、非常に産兒制限普及の程度が昂まつて來ておるように思われるのでございまして、特に地方の中小都市にまで相当及び、特に又大都会の効外地帶に、非常に急速度に普及しておるという状態が、私共の調査の結果現われておるような状態でございます。
 只今お尋ねのもう一つの点は、産兒制限の普及度がどのくらいの程度に進行するかという点でございますが、実はこれは非常に困難な点でございまするけれども、大体只今見透されておりまする程度は、一般に、只今産兒制限に対しまして、指導を特に、強度でなしに普通の程度に、産兒制限の指導を行なおうといたしまして、大体第一次大戰後に現われましたドイツのあの急激な産兒制限の普及による出生率低下の、約半分ぐらいの速度ということを仮定することができるのではないかと思われるのでございます。大変抽象的な言い廻しでありますが、具体的な数字で以て簡單に見透しを申述べまするというと、現在、先程厚生大臣からもお話がございました通りに、昨年の出生率は約三十四という数字でありますが、大体今後五六年ぐらいの間に通常の程度、大変どうも言い廻しが漠としておりまして申訳ございませんが、この程度にしか出て來ないのでございまして申訳ございませんが、普通の普及の程度を予定いたしまして、大体今後五、六年くらいの問に、二十七、八というところまで大体下るものと私共の方では見透しておる状態でございます。
#21
○委員長(塚本重藏君) ちよつと他の委員会の都合で速記を少しますから御了承願いたいと思います。速記を止めて。
   午後二時二十四分速記中止
   ―――――・―――――
   午後二時五十九分速記開始
#22
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて……。
#23
○山下義信君 人口問題審議会を御設置下さつたようでありまして、これは厚生省はどういうふうに御盡力下さるのですか、内閣にお置きしまして、厚生省は……、実際問題としまして厚生省では、この人口問題審議会のいろいろな事務これを推移して行くことを大体どこでお扱いになります御予定でございますか、人口問題審議会ということになりますと、関連するところが諸般に亘りますことは申すまでもございません、具体的に申しますと、産兒調節というようなことでも、これは非常に社会政策的な見地から申しますと、ただ單にこれは事務的な関係とか役人的な関係だけではないと思うのであります。本來我々門外漢で考えますというと、これは非常に大きな社会問題でありますから、むしろ社会局あたりのこれは仕事のようにも考えられるのです。人口問題研究所が今何局の所管か、或いは局外の部局か実は存じませんですが、將來この人口問題審議会のこれを主管して参ります……。主管というと言葉が惡うございますが、厚生省の中で主として世話をします部局は、大体何局で世話をして参りますようなことになりましようか、まあ今お聞きするのは少し無理かと思いますが、大臣のお考えを一つ承つて置きたいと思います。
#24
○谷口弥三郎君 ちよつとこれに関連してお伺いいたします。私がお伺いしたいと思いますのは、人口審議会というようなものができます場合に、とにかく人口問題というのは、單純な或いは政治的とかと言わないで、経済的なものもあれば、いろいろなことが入つて参りますし、殊に学問的に、或いは將來のことを考えなければならんのでありますから、或いは部局といわずにまあ私共の何では、人口問題研究所みたいなところが主としてやつて頂いたら、実際の学問的並びに政治的、いろいろなものを付け加えて一緒にして、是非一つ附属させるような場合には、そういうような方面に持つて行つて頂きたいと思いますけれども、今の山下議員の御質問に私も一つ同調しましてお伺いしたいと思います。
#25
○国務大臣(林讓治君) その問題につきましてはまだ確定して決まつてはおりませんが、いろいろな方面に関係がございますので、一應総務課あたりでこれを取扱うことにいたしまして、そうして只今谷口委員のおつしやいましたように、今日研究所などは勿論深く連絡を取つてやるつもりでおります。尚内閣におきましても厚生省は主としてやらなければいかんことを考えますが、大体今のところでは総務課あたりへ、一つの根拠を拵えておいて、そうして各般に亘つた方面から委員をお選びいたさなければならんと、こう考えております。
#26
○山下義信君 実は御決定下すつたということは有難いと思すのです。大臣は我々委員会の希望の状況は御承知の通りでありまして、これが政府に取上げられて、まあ先手を打たれたことにはなりましたけれども、そういうことは先陣爭は別として、私共全く同慶に堪えないのであります。それで強力な構成だろうと思うのでありますが、これは審議会の構成によりましては、折角の審議会の設置も徒労になつてはいけません。これは私は世界的に注目すると思う。日本人が自分の國の人口問題をいよいよ政府も乘り出して大きく取上げて、これの解決に向つて努力するというこの日本人の態度、又それにつきましてはすでに世界的の問題でありますだけに、世界的の注目を浴びると思う。ただこれは関係の官吏だけが概ねその委員に列するというような行き方でなしに、有力な民間の権威者でありますとか、或は場合によつては國会なども入るとよろしいと思う。どうかいろいろな從來の慣例などに捉われずに、画期的な、しつかりした國策的な審議会として、十分委員の人選などについても御考慮下さる御意思がありますかどうか、この点希望なり、且つ又大臣の一つ御信念を承つて置きたいと思います。
#27
○國務大臣(林讓治君) お答えいたします、十分その点については考慮いたしまして、大きいものとして取扱をいたしたいと考えております。
#28
○委員長(塚本重藏君) 外に御質問ありませんか、それでは本日はこれを以て散会いたします。明日午前十時より兒童及未亡人福祉に関する調査のため証人喚問をいたしたいと思います。
   午後三時六分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
           姫井 伊介君
   委員
           中平常太郎君
           山下 義信君
           中山 壽彦君
           井上なつゑ君
           岡元 義人君
           小杉 イ子君
  國務大臣
   厚 生 大 臣 林  讓治君
  政府委員
   檢 務 長 官 木内 曾益君
   厚生政務次官  淺岡 信夫君
  説明員
   厚 生 技 官
   (厚生省人口問
   題研究所総務部
   長)      舘   稔君
ソース: 国立国会図書館
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