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1949/04/22 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第13号
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1949/04/22 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第13号

#1
第005回国会 厚生委員会 第13号
昭和二十四年四月二十二日(金曜日)
   午前十一時十七分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○社会事業團体及び施設の振興整備に
 関する施策の調査(生活保護法によ
 る生活扶助に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) それではこれより開会いたします。この際生活保護法による生活扶助について大藏省より説明を聽取したいと考えますが、事前に皆さんからお尋ねがあつたら……、最初から一應説明を伺いましようか。
#3
○山下義信君 厚生委員会では未亡人の救済、母子の救済、そういうようなことから関連して、生活保護法の現在の生活扶助の金額というものに対して、非常にこれは不満足なものであるという見解の下に、段々調査を進めて参つておりまして、昨日は厚生省の当局からいろいろ厚生省側の意見を聽取したのでありますが、大藏省の方の財務当局においては、この現在の生活保護法によるところのすべての扶助額の基準改訂、今後の情勢に順應して行かなければならんいろいろなそういう点についての財務当局の見解を聽取したいと思いますので、当局から御説明を願いたいと思います。
#4
○説明員(吉岡英一君) 主計局長或いは次長がお伺いする筈であつたのでありますが、止むを得ん事情で出席いたしかねまして、而も大分お待たせをいたして大変恐縮でございますが、私から正式の御説明になりますかどうか、一應事務的な御回答だけをいたしたいと思います。
 生活扶助の基準額につきましては、昨年の夏に廻れ右への大きな改正をいたしまして、大幅の増額をいたしたのであります。その際に一番問題になりましたのは、扶助費の中の飲食物の数量なり價格なりをどういうふうに決めるかという点が厚生省の方の意見と我我の方の意見と最後までなかなか一致いたしませんで、結局関係方面のESSとPHWの分同の会議で決まつたというような経過であります。その後いろいろ物價等も上つておる物もございますし、殊に最近の主食の値上りの問題がございまして、極く最近主食の値上りを中心といたしまして、扶助額の引上をするようにという厚生省の御要望がつい最近私の方に参つておりまして、只今檢討いたしておる途中であります。まあ國で保障いたします最低生活の限度問題自体が非常にむつかしい問題でありますし、最低生活の限度をじの程度までを最低生活というかということは、非常に議論の分れることかと思うのであります。一應八月に、いろいろな檢討の結果できましてものを基礎にいたしまして、その後の最近の主食の値上りを中心といたしました調整は、我々といたしましても加えなければならないと考えております。ただ問題が重要でありますし、どの程度までどういうふうにということをはつきり御返事申上げるまでの段階になつておりません。尚恐らく又関係方面と連絡を取つて……いろいろ意見があるのじやないかと思つておりますので、尚檢討中でございますために、はつきりした御返事はいたしかねますが、そういう意味での調整は加えなければならない、そういうふうに考えております。
#5
○山下義信君 大藏省の当局が、今日の予算編成のこういう困難な情勢下にあるに拘わらず、生活保護の関係については非常に理解を持つて下さつて、而も今年の予算のごときは昨年度より他の費目などと比べまして、深い理解の下に増額されておることなとは、関係者として大藏当局に感謝に堪えないのでありますが、この基準を決めまする内容でございますね、いろいろな各費目についてもすべての又單價の彈き方、或いは又パーセンテージの取り方というようなことは、一定の與えられた予算の枠の範囲内で厚生省当局がやつてもよいのではないかというふうに我々常識的に考えられるのでありますが、予算の増額を伴わなくても、一世帶に與える扶助額の基準というような、つまり生活保護法の表面に出ていない、又或いは施行令の方面にもそういうことが出ていないのでありますが、そういうことの基準の変更につきましてもやはり一々財務当局の方、大藏省の方、いわゆる大藏大臣の認可を経なければつまり扶助額のそういう基準の変更はできないことになつておるのでありますか。
#6
○説明員(吉岡英一君) 法律的にはいろいろ議論はあるかと思いますが、実際上の問題としては、只今まで常に改訂のたびに厚生省の方から御相談がありまして、我々も御相談にあずかつて決めております。保護費は御承知のようにその性質上法律上の義務費と申しますか、そういう事態が発生すれば出さざるを得ない金でありまして、予算で何億と決めたら何億の範囲でしか出せないという性質のものではございません。予算で百億と決めましても、実際に保護家庭が殖えまして、出さざるを得なくなれば追加予算でやるとか何とかして出さざるを得ない金であります。又逆に予算がありましても、保護家庭が少くなつたりいたしますれば、その予算は当然使うべからざる金でありまして、むしろ実体は予算の金額よりも基準額といいますか、個々の基準が問題になりますから、そういう意味で今まで厚生省から御相談があるし、我々の方もその根源の方を御相談にあづかつておかなければならんので、それを積算して出た金額自体は実は全く推算といいますか、全くの予算でありまして、予算以上に実体が膨れたときには、何とか財源の心配をして出さざるを得ない性質のものでありますから、基準額の方はそういう意味で現在御相談にあずかつておりますし、今後も御相談をして参らなければならないと思つております。
#7
○山下義信君 私は大藏当局がこの生活保護費に関することについては、非常に御理解と御同情を寄せて頂いておる点は、先程申上げましたように感謝しております。本日の主任の主計官のあなたといろいろ論議をするという考えはちつとも持つておりません。むしろ我々は大藏当局に歎願をしたいと、あなたの所まで行つていろいろ衷情を訴えてお願いをしたいくらいの考えを持つておるのでありますから、そういう意味でいろいろ伺うのでございますので、その点を諒として頂きたいのですが、最低生活をどの程度に決めるかということなんですが、自分の意見は差控えますが、一般の國民生活費が向上する場合でも、或いはいわゆる耐乏生活して國民の生活水準をいやが應でも切り下げなければならんということになつた、その情勢の場合でも、私は最低生活というものはやはり最低生活であろうと思うのであります。それでこの際最低生活というものの内容が最低生活をなし得る最低生活、或いは最低生活とは称しておるけれどもそれでは生活はできない、生活ができなかつたら最低生活じやないのでありまして、それで最低生活というならば少とくも最低の生活は確保する内容を持つていなければならん。それでそういうことを私はこの國民生活の水準の切り下げが要請されておるときであつても、やはりそれに從つて、今、現に例えば四千円なら四千円、四千三百円なら四千三百円では生活が不可能であるということであるならば、その生活のでき得る線にまでは持つて行かなければ本当の最低生活というものにはなり得ない。かように考える。そこで主食の値上りや、その他の消費物價の値上りに伴いましてのスライドは当局もお認め下さつておる。問題はいわゆる内容の問題であります。これは是非一つ御改善を願わなければならんと私共考えるのでありますが、このままでありましては、これはとても生活は確保できないことでございます。殊にこれは十分御承知かと思いますが、問題はこの被保護者家庭の人達、いわゆるインフレによるところの副收入というものが全くなくなつたのでありますから、生活保護法によるところの扶助額はよしんば低くても、正式收入以外の臨時の副收入がある間は何とか生命が維持できても、そういう副收入を得ることができない情勢になつて参りますると、もうこの生活保護法によるところの表高より外に命の綱がないということになつて來ると、ここに重大な考慮を加えなければなるまいということが我々考えられる。これは是非一つ規準の額の引上げより何より、中味の考え方というものについて、これは根本的に一ついわゆる形はできておるけれども、生活保護法という生活保障の形はできておるけれども、眞にそれに畫龍點睛をして行くためには、金額が上がろうと下がろうと、中味について一應考慮して見る必要があるのではないか。こういう点が考えられるのでありますが、この点当局はどういうふうにお考え下さるでしようか。
#8
○説明員(吉岡英一君) 規準額の内容は只今のような樣式にいたしまして、一應流いざらい、最低生活に必要なる品目を全部考えまして計算しましたのは、昨年八月改正のときが、実はある意味で始めてで、始めて作りましたものでありますから、恐らく不完全な点、間違つておる点もあると思います。そういう点は今後直して行かなければならないと我々も考えております。余りにも不合理だとか、或はこの点は明らかに間違つておるという点がございますれば、厚生省と御相談の上直して参りたいと考えております、ただ、今御意見のございました通り、最低生活というものは理論的には一つである筈でありますが、実際問題として最低生活という理論的には一つの言葉でありますが、内容は可なり彈力性を持つておると思うので、どの線が最低生活かという点については、いろいろ外の問題でも、官吏の給與を決めます場合とか、その他いろいろ最低生活の限度と申しますか、どこに線を引くかという点は非常にいろいろ議論が分れるものであると思うのであります。そういう点は別にいたしまして、今ありますものを再び檢討し、いろいろな御意見を参考にいたしまして、檢討して変えて参るということで、研究をして変えて行きたいというつもりは十分持つております。
#9
○山下義信君 私はこういうことを一つお考えを願いたいと思うのでありますが、最低生活ということはいわゆる飲食費で申しますると、飲食費のパーセンテージがああいうような形を取つて、いわゆる貧困生計というものが最低生活ではなくして、本当の耐乏生活の、もう極端にまで耐乏した生活が最低生活である、かように考えて見たい。そこでこの意味はつまり一般の國民の平均家計、或いは総理廳でいろいろ取つておられますところの勤労者の家計調査というものによりまして、例えば労働階級の人が……一概には言えませんが、比較的質素な生活をしておるものと見て勤労者の家計生活を取つて見る。そうすると飲食物であるとか、光熱費であるとかいつた家計費のパーセンテージが出ておる。そのパーセンテージと同じような生活内容を與えて、ただそれに使うところの金額というものは、それらの家計の私は六割でも、五割でも、四割でも、それは今の生活扶助額が一般の勤労者家計の六割にも達しないような金額である。これは五割に行くかも知れない。けれどもその範囲内の中味というものは、普通の家計のパーセンテージというものの内容を持つたものでなからねば、これは私は合理的に、理論的には一貫しないようなところがあると考えるのであります。殊に僅少な收入を皆差引いてしまうということは、もう再起の機会は絶対にないということになつて、本当にもう食うだけのものしか與えないということになりますると、これはもう殆んど立上る手がかりをもう全然與えないということになりまするので、被保護者の僅少なる收入なぞというものを或る程度まで扶助額から差引くことは考慮する必要があるのじやないかとかように考えるのでありまするが、少額勤労收入のその点の控除を多少は考えて見るという点につきましては、財務当局はどうお考えになりますか。
 尚只今申上げました前段の一般家計のパーセンテージのような内容を持たせて、而もそれに要するところの金額をこれを全体的にできるだけ耐乏に切り詰めるという仕方が合理的ではあるまいかという点についての、この二点についての御所見を伺いたいと思います。
#10
○説明員(吉岡英一君) 始めの飲食物費の割合が非常に多いという点の御意見であるかと思うのでありますが、これは飲食物費というのはまあ配給、非配給を入れまして、今の建前は日本人の標準カロリーを基礎にして出しておるものでありますが、どうしても要る金がまあ一應出ておるわけでありますが、それを基礎にいたしまして、普通の家計のようなパーセンテージに直すと、恐らくどうしても金額全体が触れて來るのじやないかと思うのであります。金額の方を圧縮しておいて、パーセンテージは同じようにということは実は恐らくむつかしいのじやないかと私は考えます。勤労者の生計費の中の飲食物費と、それから要保護家庭の中の飲食物費とはそう甚しい内容的に隔りがあるのじやないのでありまして、むしろその他の費目で相当な差があるのじやないかと思うのでありますから、御意見のようなことができると非常にいいと思うのでありますが、恐らく総額の金額において非常に大きなものになつて可なり困難になるのじやないかと思います。
 少額所得の控除の点につきましては、再起の途が断たれるとおつしやいました意味が実はよく了解いたしかねるのでありますが、一應我々が考えておりますのは、生活に必要なものは一應全部基準額の中に入れまして、その中から必要があれば一應全部引くということを今考えておるわけであります。それでそう不都合はないのじやないかというふうに考えております。
#11
○山下義信君 この私の質疑が終つてから、外の委員からの質疑をお願いしますが、大体大藏当局はどうお考えになつておりますか。今後の國民生活の水準の行き方、安本あたりは現在の程度は落さない、現在の生活水準は落さない、むしろでき得るだけで少しでも……。それは予定通りには行かないけれども、本年の予定は御承知の通り、七五%にしようというのが六五%程度にしか参らん、昨年程度にしか行かないと思いますが、それには落さんようにしようという考え方を持つておるようでありますが、大藏大臣の説明でも若干そういうようなことを申されておつたと思います。耐乏生活というものは非常に生活が飢餓生活みたいなところまで落ちて行くのでなくて、現在の線を維持しようということを確保させるという考え方であつて、又安本あたりの見方によりますと、本年の物價は約一八%上昇というようなことを考えておる。そういう点から睨み合せまして、私は生活扶助費の基準額が内容も改善され、いろいろな面から合理化されて、幾らか金額を増額しても、決して私は現在の財政経済が生活と背馳するものではなく、決してこれは矛盾するものではないというふうに考えるのでありまするが、その生活水準の見通しや、いろいろなそういうようなことに関連しましての点につきましては、あなたはどういうふうに考えておられますか。
#12
○説明員(吉岡英一君) 生活扶助費の基準額に関しては、我々は只今事務的に考えておるのでありますが、今の線を本年度耐乏生活というので落すということは考えておりません。
#13
○中平常太郎君 山下君も御質問の何があろうと思いますが、ちよつと私一言この際お尋ねしたいのでありますが、生活扶助の基準につきまして、大変今大藏省では御配慮になつておりますので、その問題につきましては十分善処しておられるというので、我々も大変期待をしておるのであります。ところが、ここに一つのややもするとこういう錯覚をとかく起して行くものでありますから、大藏当局においても或いはそういうことはありますまいと思いますが、基準額の引上げをすると、直ちにその基準額というものが、そのまま全体のものに渡るかのごとく考える虞れがあつていけないのでありますが、これに対しては現在都市で二千四百円になつておりますけれども、これでも六〇%しか大体実際においては出されていないのでありますから、特殊な事情があつて、初めて地方長官なり厚生大臣に願つて漸く七割に上げるとか八割に上げて貰つたりすることがありますが、十割というものは殆んど田舎のところにはないのであります。だから大体六割と申しますと、市町村で括つておるところの六割、いわゆる省令によつて大体の基準が六割になつておる。五人家族で二千四百円、これは現在食えるか食えないか、その方の彈力性を考える段階の問題ではないのであります。段階は六、七千円のところへ行つて始めて食えるか食えないかということが言われるので、最低生活の彈力、最低生活にもその線で彈力があつてなかなか決定しにくいという話がありましたけれど、二千円や三千円しか渡していないものに、考慮をするとか考えて見るという余地はもうない、だから彈力性のあるところまで行つていない、全く乞食同樣の生活をしておる者に対して、これはそういう彈力性のない階級であるということを我々は考慮に入れて考えて頂きたいと思うのであります。つまり現在におきましても六割の給與でありますから、都市で二千四百円、それから外の町村で二千円くらいになつておりますから、どうしてもこれは引上げるようにお願いしたいのでありますが、それで今度厚生省から言つております六千円になりましても、それはこれの六割といいますと三千六百円になりますので、五人家族で三千六百円、都市の生活でありますから、そうまだまだとても彈力があるという家計は持ち得ないものであります。だからして、十分支出面におきましては、そういうような制限もありますから、それで今度の厚生省の要求を全部お入れになつてところで、そう妥当なものではないということを考合せて頂きたい。それから又予算の範囲内におきまして、先程おつしやつたように予算は必要に應じて足らなければ予備費から出さなければならん性質のものでありますが、とにかくそういうふうにいたしまして、その金額においては絶えず一つの制限があるのでありますから、今の予算の範囲内においてこれを出そうとする厚生省の努力に対しましては、どうとしても大藏省としては一つ善処しと頂きたいと思うのであります。それで何も六千円にするといつても六千円全部渡るのではなくて、六千円という最高のものは千人に一人もないと考える、その基準を引上げて貰つたとしても三千六百円にしかならん、実際の手取が三千六百円にしかならんということを基礎にして基準額の引上げということを御考慮願いたいと思うのであります。
#14
○説明員(吉岡英一君) 只今仰せの通りでありまして、基準額を引上げましても、実際に渡す金は六割であります。要保護家庭のものが受取ります金は六割の金額でございます。五大都市において只今約二千四百円でございます。それから六千円になりましても、又その六割に過ぎないのでありますが、これは十分御承知のことでありますが、支給金額は六割でありますが、その外に四割見当の收入があつて、初めて全体の家計としては成立つのであります。家計としては飽くまでも十割の金額の計算でございますので、その点十分御承知と思いますが、我々としてはそういうふうに考えております。それから只今の六千円の厚生省からの要求があつて、非常に期待をしておられるというような仰せでありましたが、我々としても先程申上げましたような主食の値上りその他については心しなくちやならないと考えておりますが、内容をよくと申しますか、改善をする点については可なり私は困難があるのではないかと考えております。特に物價の値上りの点、我々としては当然認めなければならないと考えております。物價の値上りの点についても、今年の予算編成のときの関係方面との折衝の工合などから言ますと、可なりその間にすら問題があるじやないかというふうに実は恐れておるのであります。今週中か或いは來週からいろいろ交渉することになると思います。御期待を頂く程のことになりますかどうか、我々としては非常に疑問に思つております。
#15
○中平常太郎君 もう一度お尋ねいたしますが、その最低基準の支出面におきまして、いろいろ計算されておるようでありますが、交通費というものが今度又値上りになりますが、交通費というものが余り出ていないようであります。それから文化費、文化費というものはちよつと余分なものになるように思われますが、予供のある者に対しては、月に一册や二册の雜誌類も買い得ないということは絶対にいけない。或いは学費、学校の経費なども、一般に義務教育でありまするけれどもが、さまざまな学校の申合せがあり、運動会とか何とか言えば、みんなが行けばやはり自分の子供も出さなければならん。そうすると粗末な状態では出されんし、ズツクの靴も買い與えてやらなければならんというようなことになる。運動具も欲しいと言えば運動具も與えなければなりませんし、又いろいろなものを持つて來いと言えば持つて來なければならん。そういうようなこともあるし、それから区費或いは交際費、交際費というと飲み食いのように思われますが、そうでなくして、附近の交際、区費負担金、祭礼費とか何とか、とにもかくにも何もかもみんな数倍に上つております。そういうことから考えてみますと、ただ石鹸とか歯磨粉や、衞生綿とか、理髪とか、というだけではない。そういうふうなものの雜費がどうしても余計要ると思われるのでありますから、どうかその基準をお調ベになりますとき、そういう点を十分考えて善処して頂きたいと思います。
#16
○姫井伊介君 皆さんのお尋ねがありましたことに少し附け加えさして頂きたいと思いますが、生活保護費の基準を決定するということは、申すまでもなく誠に重大な問題でありまして、さつき山下委員も言われましたように、健康で文化的な最低生活という、人間生活に要する費用という点から考えますと、現在の費用が單に動物的の存在、動物的の生存費に過ぎないというふうに考えられるのであります。若し從來の生活保護費額のみを以て生活をして行けと言えば、それは栄養失調になつて死んで行くばかりだと思うのであります。何らかのそこに補いがあつて、漸く生きる繋ぎをしておるという哀れな状態にあることは御承知の通りだと思います。この要保護者を少なくする、今でも段々数が減つておるということは喜びに堪えないのでありますが、併し本当の原因はどこにあるかということを突き止めなければなりませんけれども、とにかくも國といたしましては、お互い國民といたしまして、保護をしなければならない同胞を少しでも少くして行かなければならない。そう考えますならば、それらの人々を成るたけ早く生活的に自立更生さして行かなければならない。自立更生することがやはり今度は生産面に寄與することになるので、適当の保護費が出されますならば、この自立更生の面が非常に促進されることと思うのであります。これが早くなりますれば、いわゆる目的を達するのでありまして、いわば現在の保護費は一つの、生産事業における投資といいますか、出資といつたようなことにも我々は考え得るだろうと思うのであります。若し今のままで参りますれば、思想上におきましても非常な影響がありまして、或いは或る種の方面に利用されるという逆効果を及ぼす虞れも少なくないのであります。そういたしますならば、この際是非大蔵当局におきましては、この生活費の基準内容の檢討につきましては、一段の社会的立場から、殊に社会福祉、社会保障の立場から御考慮を煩わしたい。單に金によつてのみ人間を支配することなくして、さつき申しました國民のために活かして金を使うということについて御考慮を煩わしたい。尚先程御説明の中に、從來の基準の立て方は必ずしも理想的ではないというお話があつたのでありますが、この際こそ本当に再檢討して從來の例とか、從來の額とかにこだわらないで、そこから抜き出て理想的に考えて、先程皆さんのお話になりました食糧関係は無論のこと、住居費、更に教育費におきまして、又保健衞生費におきまして、雜費におきまして更に考え直す余地が私は沢山あると思うのであります。又先程お触れになりましたが、給與賃金ベースとの関係から考えましても、これは考慮の余地がある。我々自身の生活から考えましても、現在の生活保護費が決して國民を生かして行くべきものではないと我々は考えざるを得ないのであります。この点につきまして、どうか從來の関係にこだわらないで、本当に同胞愛の熱意を以て國家のためにまじめに研究して下さることを私は切にお願い申上げます。尚勤労收入のお話でございますが、これは非常にデリケートな問題があるので、理屈からいえばこれは差引くということになりましようが、一方から申しまするならば、現在のやり方が妥当なものでない。人間生活をなし得るものでないとも思われるから、さつき申上げましたように、ああいうままで行けば死んで行くことになるのであります。また一方から言いまして、要保護者を少しでも自立させようとするならば、多少の内職などの收入は見てやつて、殊に教育費なぞはとても圧縮されておりますから、子供のために多少貯蓄でもし、或いは教育保險でもして、將來そういうふうな恩典に浴さないで済むようにさせるために、そこは多少大目に見るといいますか、なんと言いますか、見て頂かなければ生きる途が全く塞つてしまいますから、或る人はこういうことを申します。若し働いて月に二、三百円の副收入を得てもそれが差引かれるならば、むしろ遊んでいた方がいい、寝て死んでもいい、そのまま腕を組んで、手を動かさないというようななげやりの心さえ持つものが多いのであります。殊にあの人々の心理状態をお考え下さいますならば、その点から考えまして、私は勤労收入の控除ということにつきましては、そこに政治があると思います。ただ二二が、四というような算盤でなく、政治というものを活かして、そこは一つ肚でやつて頂きたいと思うのであります。
 もう一つは、昨日も厚生当局にお伺いしたのでありますが、この生活保護費の地方、市町村の負担関係、それに対する財源関係がどうもはつきりしていないので誤解があるのですが、大藏省ではこの地方で持ちます負担の十分の一の補助を実際的にどういうふうな操作をしておられますか。この点をはつきり伺いたいと思います。
#17
○中平常太郎君 一緒に御答弁願いたいと思つてちよつと申上げますが、今の副收入につきまして、私が先程御質問申上げたときは、六割の扶助をし、四割は收入などを考えてやつておるのだというお話がありました。いわゆる基準額は六割になつておる。後の四割は何かの收入があるという予想を立てておるというお話がありましたが、市町村におきましては、決してそうでなく、六割出すのが満点でありまして、五百円、三百円と收入がありましたら、そこから差引くのであります。それで例えて申しますと、四千円の場合は、その六割の二千四百円を出しておる。そこに千円の收入があれば、二千四百円から千円を引いて、千四百円を出すということになつて行くのでありまして、二千円ぐらい收入があつても、四割の方にこれを見てやつて、やはり六割は渡してやれば誠にいいと思うのでありますけれども、それを渡さないで、六割の方から副收入を差引いておる。これは全國的にそうであります。
 それから尚増額の要求の途が開かれておることはもとよりでありますが、それはもう百人に一人しかないくらいでありまして、大部分はそれで泣寝入りになつてしまつておるのであります。それで六割なるものは、補助の方の過程から言いましたならば最高限であつて、副收入があつたらその中から差引かれる、こういうことになる。だから理論から言つたならば、後の四割が何らかの副收入があると認めて六割にしてあるという理屈は立つておりますが、実際の問題はもう四割は出さんからであつて、六割の中で副收入を差引いておるという実情であります。だからその点を一つ、実際問題といたしましてそういうふうになつておりますから、六割を渡すということは、副收入がたとえあつても、副收入を引かずと渡すようにしなければいけない、ということが十分に市町村において理解されておらないのでありますから、そういう点に対しまして、当局のお考えを伺いたいと思います。姫井さんがこの副收入の点を御質問になりましたから、一緒に御答弁願いたいと思います。
#18
○小杉イ子君 関連して、これは要求ではございませんけれども、政府が約束したその支拂をせんということも大変なことであると思います。で私は、これは前政府が約束したのであるから、現政府を責めてはならないと思いますけれども、ここにこういうのがございます。保險医の報酬を支拂つて貰いたいというのです。「政府はよろしく全力を盡し診療報酬支拂の正常化に邁進し以て保險医の生活の安定を図り社会保險制度の発達に努力すべきである。」こういうのでありますが、要求に対しても支拂つて貰わなければならないでしようけれども、せめてこの約束だけでも守つて頂かなければならないと私は思うのでございます。これは約束を守つて頂けないものでございましようか、どうでございましようか。
#19
○委員長(塚本重藏君) ちよつと姫井さんの質問の点と別個のようでございますが……。
#20
○小杉イ子君 これもやはり生活の安定を図るための問題であると思います。
#21
○説明員(吉岡英一君) 最初のお話の、我々が基準額を取扱います場合の考え方についての御意見でありますが、誠に御尤もでありまして、我々としてもそういう氣持で今後やつて行きたいと考えております。收入の控除の問題でございますが、これはお話にもございましたように、どうも我々のような下つぱの事務的な者から申しますと、一應数字としてはやはり差引かれるということになるのでありまして、全くお話のように、或る程度肚の問題はあると思います。肚の問題と申しますか、実際の現場の運用の問題で、可なりいろいろな問題が起るのじやないかと考えております。お話のように、働いても何にもならない、働いただけ差引かれるというようなことは、必ずしもいいこととは私も考えませんので、何かいい方法があれば研究をして見たいと思います。
 それから運用の面に関しましては、我々から申しますよりも、むしろ厚生省側でお答えして頂いた方がいいかと思います。
 それから府縣並びに市町村の負担いたします財源に関してでございますが、これは主計局で地方財政の財政需要と財源とを考えます場合に、財政需要の方には、我々の方の保護費の算出を必ず連絡をいたしまして、その一割を必ず地方の財政需要として考えております。從つて地方財政の財政需要の数字には、市町村、府縣の負担する保護費の分を考慮に入れてあるわけであります。ただ御承知のように、今年のように地方財政の財政需要自体が圧縮をされております関係上、実際の面において可なり窮屈にはなつて來ると思うのでありますが、財政需要としては、正確に我々の方と計算を合しましただけのものを考慮しております。
 それから最後の保險医に対する支拂の問題は、ちよつと保護費の問題とは違うと思うのでありまして、主として保險特別会計、或いは政府の会計に関係のない健康保險組合の問題かと思うのでありますが、保險特別会計の問題といたしましては、昨年の特殊な事情で多少支拂が遅れたというようなことは聞いておりますが、今後はそういうことのないように、予算の問題は考慮してある筈だと思います。
#22
○姫井伊介君 地方財源処理の問題でありますが、この関係の金額というものは何を標準としてお定めになりますかということと、それから地方には、それがただ入つておるということが観念的には考えられるだけで、幾らどこに入つておるかということがちつとも明示されていないわけです。それでやはり地方といたしましては、この経費は自分で負担しなければならないということで、保護を圧縮する傾向があるわけですね。その点をもう一度ちよつと……。
#23
○説明員(吉岡英一君) これは地方財政全般を通じて、保護費だけでなしに、いろいろな経費にも同様なことをやつておるのでありますが、保護費について申しますと、明年度の保護費が大体百億なら百億になるというような推算は私の方でいたします。そうしてできました推算を、地方財政をやつておる方の方に廻しまして、その計算を基礎にいたしまして、市町村負担分を市町村財政需要の方に計算をいたします。そういうものが各省にいろいろありまして、例えば義務教育の先生の給料の半額が地方財政の需要になるわけでありますが、そういうようにいたしまして、本体を持つておる所で全体の金額を決めまして、それで地方財政の係の方に移しまして、そこで負担分を計算いたしまして、地方財政の需要というものの総計を出してまして、負担をいたすわけでありまして、從つて地方財政の收支の積算の基礎としては、保護費の分が幾ら、先生の給料が幾らというようなことは、実ははつきりいたしておるのであります。ただ積算をいたしました総額を各地方に配分をいたします際には、今度は全然中味なしに配付をいたすわけであります。そこまで又中味を付けたのでは、地方財政の独立と申しますか、そういう方面の非常な支障になるわけでありまして、配付のときには中味が付いておりませんので、地方々々の実情によつていろいろな問題が起つて來るわけであります。
#24
○姫井伊介君 そういうように地方廳なり市町村でその中味の内訳を聞けば明示されますか。
#25
○説明員(吉岡英一君) これは地方財政委員会が配付いたすのでありますが、個々の具体的な保護費が幾らというようなことまでは示しておらないと思います。
#26
○姫井伊介君 尋ねても駄目ですか。
#27
○説明員(吉岡英一君) 聞きますれば、総体の地方財政全体としての保護費が幾らというようなことは分つておると思いますが、個々の具体的な、この市、この町村で幾らというようなことは分らないと思います。
#28
○委員長(塚本重藏君) 今ちよつと待つて頂けば主計局長が見えると思いますから、お待ち願いたいと思います。
#29
○姫井伊介君 主計局長が來られまして、別の質問があるかも知れませんが、今まで私の尋ねましたことで重要な点につきましては、若しおいでにならないでも、更めて取次いで貰つて答弁が願いたいと思います。
#30
○委員長(塚本重藏君) 勿論今まで山下委員、中平委員、姫井委員からおのおの眞実籠る涙ぐましい質疑が交わされ、御答弁を得たわけでありますが、局長が見えましても、細かい点までは触れる時間もなし、触れようともいたしませんが、主計官の方から具さにお傳えを願いたいと思います。我々は、局長が幸いにして見えますならば、総括してお願いを申上げたい、こう考えております。
#31
○穗積眞六郎君 また暇がございますならば、ちよつと一つ今の姫井委員と同じようなことで、一つ具体的な例を挙げて申上げますが、未復員者の家族で、家内と子供が四人、そういう家族で保護費の方を全部頂きますと、四千五六百円になるという人があつたのであります。そこでそれを要求しましたところが、未復員者の給與法による手当が結局四人の子供で千六百円、それから家内が六百円でございます。そうしますと二千二百円そちらの方から出るわけでございます。そこでこれに対して縣の方のお言い分が、第一に結局非常にこの生活保護費も人数が多くて、成るべく少くしたいのだと、こういうような第一の言い分であります。それからもう一つは四千五六百円から二千二百円を引くと、結局又一千四五百円余るわけであります。そこで縣の方の言い方は、お前はミシンをやつておるから一ケ月の收入は二千円はあるものと認めると、こういうのです。いいえ、そうではございません。とにかく四人の子供を抱えてそれもミシンが家にあるわけではなく、外の人の家へ行つてやるのだから、千円きりございませんと言つても、それはどうしてもミシン一台やつておれば二千円はある筈だ、こういう答えなのであります。そこで後まだ四五百円残りますが、お前には親類が沢山あるのだからその四五百円ぐらい貰つたらいいだろう、從つて二千二百円のその未復員者給與法によつて貰う以外には何も出さん、こういう結論なのであります。でそれには私聽いて見ますと、その人も食えない、又これは全般の事情がそうかと思いますが、それだけではなく実際親類からも少しの補助は受けておるようでございます。併し若しそれが嘘ならばみんなそれを調べて見るぞと、こういう脅迫があるわけであります。脅迫といつちや悪いかも知れません。そうすると皆引込んでしまいます。そこでその一番の問題になるのが、結局二千二百円という未復員者給與法のあれがあるがために、後は一文も出さないと、こういうあれで、收入は二千円あるものところの認めたところに一番の強い原因があると思います。これは全体が結局は非常にお察しのつくことでありますが、國家の経費が非常に多端の際でもあるから、成るべく少く生活補助費を出そう、この観念が根本になつておるから、こういう無法が出て來るのだろうと思います。これは先程もいろいろ伺つておりますと、大蔵省のおつしやること、理論から行けば尤も至極ではありますけれども、併し根本にそういう考えがありますと、そこに実行という面には非常な無理が出て参りましよう。で、それと今の地方に一割、一割ということも、これは筋は立つておりますが、地方財政が非常に苦しい今日、そうしてその人によつて、今おつしやつたように抱括的になつておる今日においては、地方が非常に出し澁るということも実際は非常にあるのだと思います。こういう点について大蔵省も厚生省も余程よくこの生活補助費をやる根本ということを考えてやつて頂きませんと、理屈ばかりは非常に立つが、実際は非常な恨みを作る因になることが多い、こういう結果になると思います。これは御答弁頂ければ仕合せですが……。
#32
○政府委員(淺岡信夫君) 只今穗積先生並びに姫井先生、並びに中平先生のこの生活保護に対しましての根本の実際心打たれるお話を伺いまして、全く敬意を拂う以外に何物もございませんが、その御趣旨をよく体しまして、本省に持返りまして、それを徹底するように努力いたします。
#33
○井上なつゑ君 時間がございましたら、只今の穗積委員のおつしやつた実例ならこちらにもございますので、一つ厚生省の方に聞いて頂きたいのでありますが、外でもございませんが、或る國立病院の中へ入院しておられます結核の患者が大変氣の毒なものがございまして、病院の方から何とか生活医療保護費を送つて頂いたらというので、村の方に言つて参りますと、村ではこれを非常に喜ばないのであります。村の村長に言わせると、あの病院の院長さんは生活保護の患者さんばかり作りたがつておるというのであります。実情はよく病院長さんが知つておりますが、療養の程度なんか見ましても、非常に氣の毒な人がありますが、結局村なり、縣なりにそういう実例は多々ございますから、よろしくお願いいたします。
#34
○姫井伊介君 議事進行上、今までの点で委員長のところでこの点を適当と思われる点をあなたからお問いになつて、その足らん点を委員からすると、そういうことにして頂きたいと思います。
#35
○委員長(塚本重藏君) それでは局長がお見えになりましたから、私から申上げますが、只今まで吉岡主計官と各委員との間に生活保護法の中の補助額の基準改訂の問題につきましていろいろ質疑應答があつたわけであります。
 大体その全部を勿論申上げるわけには参りません。非常に細い点に亘つて機微に触れた質疑が交されたのであります。問題はこの厚生省でも非常に御苦心なさつておられるのでありまして、我が國の現在の財政状態からして、何とかして予算総額を殖さない範囲において、而も被保護者の最低生活を保持せしむるような程度にまでこの基準を改訂しなければならん必要に迫られておる、そこで今大藏省の事務当局との間において予算折衝が行われておると昨日厚生委員会は厚生当局から聞いたわけであります。そうして本日大藏当局の方に御出席を願つて質疑應答を重ねておる次第でありますが、我々から大藏省に参つて一同のものが参つてお話してもいいのでありますが、議会の開会中でもありまするし、突然お伺いいたしましても会えないかとも考えられるし、この委員会に御出席を願つたわけであります。いろいろ問題はありましたが、とにかく今の基準額では人間としての最低生活が営めない、況んやこの主食の改訂が行われたのでありまして、副食物の價格が騰貴して参りまするし、その他物價は依然としてやはり昂騰を続けておる。昨年八月、十一月に改訂がありましたけれども、その改訂額では、今日はすでに生活を維持するに足らない実状になつたので、そこでどうしてもこれを改訂しなければならん。こういう事態になつておるわけであります。今までいろいろお話になつておりました点は、全体としてとにかくあれでは生活ができない。そこで基準額を上げて貰わなければならん。上げる必要がある、これが主たるお願いの点であります。それからもう一つは從來この少額の勤労收入というものを扶助費のうちから差引いておつたのでありますが、これは一番最初に、私の記憶が間違つておるかもしれませんが、生活保護法ができましたときの生活費基準を幾ら、それが大体二百円程度に置かれておつたのではないかと思われます。從いまして、そのときから二百円程度の收入があれば、二百円を超す收入があれば、それは生活扶助費から差引くといつたようなことが行われました。そのこと自体が今日尚依然として続いておる。貨幣價値の非常に下つておるときであるにも拘わらず、僅かに二百円内外の少額の勤労收入があれば、それでも尚今日の給與額から差引くというようなことが依然として行われておる。いろいろ各委員から御指摘になつたように、今日の支給額が、それ自体が生活を維持するに十分でない支給額であるにも拘わらず、それで暮せないから何か勤労による副收入を得なければ生活が維持できない、こういう立場から副收入を得れば、その副收入が支給額から引かれるというような事態が今日行われておりまするので、これでは折角この被保護者の勤労意欲を昂揚せしめ、そうしてできるならば、できるだけ早い機会に自立更生させるようなふうに勤労意欲を昂揚さして行かなければならないにも拘わらず、そういうことは事実においては行われない。多少でも收入があれば、直ぐにそれが引かれるというようなことでは、勤労意欲は起つて來ない。そうしてこのいわゆる社会的の一つの大きな病氣といいますが、こういう被保護者というものが減らない。いつまでも國家は給與を続けて行かなければならんというような事態に置かれております。これは政治の取り方によつて政府のやり方によつてはもつともつとこの被保護者というものに勤労意欲を持たしめ、そうして働かせることができるのではないか。そういう点では、從來行われている少額勤労收入というものの差引につきまして、幾ら儲けても差引かないというわけにも行きますまいが、勤労收入のうちの或る一部分だけは引くようにしても、働けば働いただけやつぱり自分の生活は樂になるという、こういうような状態において差引かれるようなふうにせらるべきが適当ではないか、こういうように各委員がお考えになつているところであります。それからもう一つは一割が市町村の負担になつているが、その市町村負担金の地方財源としての処理方法について当を得ていない点があるのではないか、そういうことから窮迫せる地方財政によつて切り盛りしております地方の事情といたしましては、やはりこの被保護者というものをできるだけ少くしなければならん。これは殖えれば殖えるだけやはり地方の負担が嵩んで來るというようなことから被保護者として、保護してやらなければならん人の保護が十分に行われない、そういつたような状態にある点、勿論これは濫給は避けなければなりませんけれども、漏給があつてはならないのであります。とすると、それが漏給に導くような結果を作りつつあるのではないか。二十三年度のこの実績を見ましても、昨年の四月には二百十四万九千余人あつたものが、本年の二月には百七十一万五千余人と減つておるわけであります。この減つて参りましたことが、実際被保護者が少くなつたということであれば非常に結構なことではありまするけれども、今申しますようないろいろな事情からいたしまして、この減つて來たという原因が、一部分でもこの中にあるとしまするならば、それは非常に憂うべきことであると思うのであります。今、日本の國にとにかくこの生活保護法があつて、月々二百万内外の人達が救われておるということが、とにかく敗戰國ではあるけれども、今日の國家の体面を維持しておることだと思うのであります。若しこの生活保護法がなくて、こういう人達の保護がなかつたとしまするならば、日本の国は社会全体を挙げてどういう姿になつておるかということを考えて見ると、非常に思い半ばに過くるものがあるのであります。私共といたしましては、何とかして、この一番社会のどん底に陷つて、そうして自力生活を維持することのできない状態に……これは本人の責任ではなく、社会全体の責任を負うべき事情において、そういう立場に置かれておる人々でありまするから、憲法二十五條の精神に則つて、これらの人々の最低生活を保障せる國家の責任を果さなければならん立場において、十分温かい手を延べてやらなければならんのでありますが、國の財政は我々の知る通りでありまするから、十分とは行かなくつても、少くともこの文化的な最低生活、いわゆる耐乏生活の限度である最低生活だけは維持できるようなふうに、この基準額を改訂したいというので厚生当局の意向でもありまするし、私共委員会に席を置きまする委員一同の熱願しておるところなのであります。大藏当局におきましても、いろいろこの困難な点がありましようけれども、諸般の事情を十分に考えて頂いて、今日までも同情ある支援を示して頂いたのでありまして、この点は感謝に堪えませんが、今後一層のこの同情を持つて、今事務折衝が行われておりまする問題について、御善処下さることをお願いして止まないものであります。尚各委員から補足して頂きまして、主計局長のお話を伺いたいと思います。
#36
○政府委員(河野一之君) 日本の國が平和國家、文化國家として立つて行くというような面から考えて行きまして、こういうような社会的な経費が段々と多く盛られて行くということは、誠に喜ばしいことであろうと存ずるのであります。ただ本年度の予算のみならず、最近の我が國の財政の状況から言つて、なかなか一足飛びにそういうふうな情勢には参らないことは誠に遺憾に堪えないところでございまして、現在、先程委員長も言われました通り、二百万程度の生活保護を受けておる者もあるのでありますが、人口から参りますと、大体三%程度になるかと思いますが、これは從來でもありますと、これは戰前のことを考えて見ますと、大体〇・一%程度、諸外國では大体一%程度でありますが、我が國では〇・一%程度であつたように思うのであります。こういうような特別な社会経済情勢下において、こういう経費が殖えることも、又止むを得ないかと思うのでありますが、こういつた経費全体が、國民から出る税金ですべてが賄われておる、特に軽からざる税金の負担で賄われておるということも、亦一方において考えなければならんところではないかと思うのであります。勿論社会保障の制度が確立いたしまして、すべての人が安んじて最低の健康にして文化的な生活の保障を受けるということは望ましいことでありますが、又違つた面から考えて見ますと、この生活保護というような事態が起らないことも亦望ましいと思うのであります。只今委員長からのお話で、補助額を改訂してはというようなお話であつたようでございまするが、これは一應予算といたしましては、確か六大都市においては五人家族で四千三百円程度に、現在予算上計算せられておつたと思うのでありますが、その後主食の値上りもいたしましたので、この程度の改訂はいたさなければならんのではないかというふうに個人的には考えております。ただこれに伴つて相当の生活改善を行うということになりますと、生活保護の本質というような点から、聊かどういうものであろうかというふうに考えられる点があるのでございます。他方こういう社会保障と申しますか、生活保護みたいな、こういうふうな経費の限度というものはこればかりでなく、他の一連の問題からして考えなければならん問題があるのであります。この失業保險におきましては、全收の六〇%程度が遊んでいても貰える。六千三百円ベースといたしまするならば、四千円以下というようなことに一應なる点もあるのでありまして、こういうふうな点も併せていろいろ考えて行かねばならん。勿論そういつた失業保險の適用を受ける人は、過去において保險料を入れておる。又相当の資産があるということもありましようけれども、こういつた面もいろいろ考えて行きませんと、うまく行きませんので、直ぐにそこまで現在の段階としては行くことは困難ではないかと思うのであります。それから勤労收入差引きの点でございますが、これはまあどういうふうに厚生省において運用せられておりまするか、これはやはり生活保護の本質というものは、こういう事態が起らずに、別のいろいろの施設その他によつて、又本人の努力によつて相当の收入を得て、こういうものを、國民の税金によるこういう補助を受けざることが本質であると思うのでありまして、或る程度勤労関係で出ました收入というものを引くということは、これは実際問題として止むを得ないことではないか。殊にこれを從來軍事扶助から切り替つた生活保護の当初におきましては、これが多少その点がルーズになりまして、濫給と申しますか、いろいろ問題を起した点も我々は思い起して見る必要があると思うのであります。これは併し運用上におきまして、個々の具体的の人を御覧になりまして、勿論薄からず厚からずというところに運用せられるのが、その行政の執行の要諦であるかと思うのでありますが、又第三点の、市町村の負担の問題でございますが、これは地方の財政の状況等からいたしまして、一割の負担というものは、現在決して軽くないと思うのでありまするが、又この制度の沿革もさることながら、こういう制度を運用して行く上においては、これを実施して行く当面の責任者は市町村長でありまして、市町村長が最もよく実情を知つており、勿論民生委員その他の御援助も仰ぐわけでありますが、そういうことによつて、又その市町村内の人であるということによつて、隣保相扶の観念から、お互いが少くとも出し合つてこういう人を救済して行くということが、我が國の旧來の傳統的な美風だろうかと思うのでありまして、今直ちにこの負担を取る、全部國家的な負担にするということになりますと、國費というものはとかく濫費に流れ易いというような点も併せ考えまして、現在の段階においてはその程度の負担を、存置するも止むを得ないものと考えておる次第であります。大体お答え申上げた次第でございますが、又何か言い足りないことがありましたら、改めて申上げます。
#37
○中平常太郎君 只今第二の勤労收入を差引くという問題でありますが、私もう一度お伺いしたいのは、扶助の基準額が出ておりまして、今日まで都市が四千四百円でありますが、その基準額まで渡しているという場合になれば、どうしても收入は差引かれるということは当然のようになりまするが、基準の六割を渡して、あとの四割は何かの收入があるだろうという予想の下に六割にしてあるという場合には、その六割が普通の扶助が受取り得られる最高額のように思うておる。又思わしめておる現在の状態の中で、その金額の中から副收入を差引くということになりますると、どうしてもそこに堪え得られない状態になつて働く者と働かない者とが、働く者は馬鹿を見るということになると思うのです。だからあとの彈力のある四割の方の側が、例えて見れば四千四百円の場合に四六二千四百円を普通出した場合なれば、あとにまだ二千円というものがかれこれありますから、それで二千円程度までの收入は、何も二千四百円出す場合には差引かないというのならば分るのですけれども、二千四百円の收入の中で千円の收入があつてもその千円を差引くということになると、大体生活の基準額を決めた甲斐がない。決めた以上はその十割を標準にして無收入の者に出さなければならない。ところが無收入の者はありましても、事実上は六割しか出していないのです。で、たまに特別な場合にのみ府縣知事の裁量、或いは厚生大臣の裁量によつて十割まで出し得るということの限界があるわけでありますが、これは百人に一人もこれを利用し得る者は少ないのでありますから、これが普通六割を以て最高限のごとく支給面においてはなつてしまつておるのであります。だからして副收入が少々ありましても、その副收入を差引くという段階に達していないのであります。副收入があるだろうというつもりですでに早や政府は六割にしておる。だからもう副收入があつては、一千円や五百円の副收入があつても差引く段階に達してないに拘わらず、これを六割の中から差引くという慣例に現在なつているのに我々は異議を申立てるわけです。その辺に対する御答弁を願いたい。
#38
○政府委員(河野一之君) こういうものにつきましては、勤労收入の見方というのが非常に実は困難な点があるのでございます。使い走りをいたしましたり、或いはお隣りの洗濯物をやつたりしてチップを貰う。それを計算するという点に非常に事実問題として困難な点があろうかと思います。それから各要扶助者の家庭の生活状況につきましても、或いは裏に庭があつて野菜もやつている。或いは家賃は親戚の者から只で借りている。そういうものは余りないかも存じませんが、いろいろな生活態樣がありますし、勤労の態樣もございますので、これを一律に律することは実は非常に困難な点があるのでありますが、併し大体生活の程度も似かよつておられるのでありますから、定型的なものとして、一應の支給の限度から四割程度の勤労收入があるというふうに推定で、いろいろな実績なり実情を見てやられているのではないかと、私は厚生省の取扱いを拜承するのでありますが、併しこれはそれだからと言いまして、一律にそれでやるというのではなしに、若し只今仰せになりましたような、六割から先に勤労收入があれば、必ず引くというふうに一律に考うべきではなしに、これこれの生活費が要る。そうして勤労收入というものをずつと計算して行くというと、更に六割から落ちることもある。そういうふうな取扱いを実際は私はやつているのではないかと存ずるのでありますが、若しそういうような、おつしやいましたような点があるといたしますならば、無理に勤労收入を引いて支給單價を下げているというようなことでありますならば、これは実際の適用の誤りでありますので、是正いたすべき筋合いのものであろうかと存じます。厚生省において適当に運用をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。
#39
○政府委員(淺岡信夫君) 只今中平さんの質問の点でございますが、この点におきましては、厚生省といたしましては今も主計局長が言いましたようにはつきりしておるのです。そうした面が末端の市町村においてなされておるというような点がままあるのであります。そうした点を極力是正するようにいたしたいと思います。
#40
○山下義信君 さつきから吉岡主計官から懇切な答弁を得て了承もいたしておるのでありますが、この際私は主計局長にお願いをいたしたいのは、委員長から縷々我々委員会の意のあるところは申上げて、すでに盡きておるのでありますが、大体生活保護費の予算の枠に大なる増額というようなことをお願いしないで、それを大体枠内で操作して行こうという態度で行くということでありますれば、十分一つ我々の意のあるところを財務当局としてはできるだけお取入れを願いたいと思うのであります。これが一点であります。それから第二点は、言うまでもなく救済の合理化ということが言われておるので、ただ單に同情だけではいけないのでありますが、御承知のように最近実質賃金の向上を見まして、それが自然家庭の統計の面にも現われて参りまして、全國労働者もいろいろの統計の見方で違うでありましようけれども、保護費の割合も全國的に見ますると六割五分全面的に下つておる。東京都のC・P・Sでも六割三分最近一月の統計で出ておる。それは生活補助額の基準が八〇%に止まつておるということは、これは不合理があることは言うまでもないことでありますから、当局はできるだけいわゆる最低生活というものの、一般の生活が幾らかでも改善されるということであれば、やはりそれに比例を取つて行かなければ生活補助を現状のままで置くということは、そういう保護をいたさなければならないものの生活を切下げるということになつて、非常に不合理であると考える。大体費目のパーセンテージを一家の家計に近づけさせて、而してその所用金額をできるだけ抑えるのが耐乏生活であると思う。又國の生活水準を切下げるということも、いわゆる一番下の線を切下げることではない、上の贅沢な階級の線を切下げるのが眞の耐乏生活であろうと考えられますので、それで聊かここに基準の額の内容のできるだけ改善を、小さいことではあるけれども、これをお取入れ下さつて、財務当局としてその点だけは最小限度お認め下さることになりますれば、金額でなしに、生活保護というものの行き方の内容の上に、生活保護法の眞の形態と内容とが一致して実のある保護政策が行なえるとかように考えるのでありますが、今の二点に関しまして、特に主計局長の御好意をどれだけお示し下さることができましようかどうか。その点お心持を伺いたいのでございます。
#41
○政府委員(河野一之君) 勿論生活保護費は今回計上しました予算は、枠ではございますが、これはすべての予算の歳出も同樣に実行に当りましては、非常に適正に、濫救がないように、勿論漏救があつては尚更いけないことでありますが、実情を見まして、適正に実行して参りたいと考えております。それから救済の合理化の問題でございますが、勿論この予算というものは耐乏予算でありまして、國民に或る程度の生活費の、切下げと申しますと語弊がございまするが、或る程度御辛抱願わなければならんというような予算であることは事実でありますが、生活保護を受けておられまする方につきまして、これを更に同樣な程度において引き下げると、本当に最低の、まあ生きて行くためのものでありまするから、これを更に切上げて御辛抱願うというようなことは聊かも考えておらないところでありまして、こういう方につきましては、從來の生計費の扶助というものをできるだけ維持して行くというような考えで進みたいと思うのであります。ただこれが申上げますれば、現金の給與であるものでありますから、今後の生活保護の改善の問題といたしましては、いろいろできるだけ実態に即應して現物の給與ということも考えて行くのならば、非常にいいことだろうというふうに考えておるわけであります。今までの役所の考え方といたしましては、マル公というようなものに捉われると申しますと、これが亦語弊がございますが、そういつた点からなかなか合理的な、実際の生活に即しない点がままあつたことは私は認めるのに吝かではないのであります。こういう点におきましては、これが金としては同じ金を有効に使つて、それによつて生計の内容が、生活の内容が向上するというふうに是非持つて行きたいと考えておるわけであります。
#42
○姫井伊介君 局長の御答弁並びに吉岡主計官の最初の御答弁はほぼ同じだと思いますが、繰返しては申上げませんが、どうか私共の氣持は主計官からもう一度一つお聽取りを願いたいと思うのでございます。ただこうした人を飼い殺しにするということでなしに、早く起ち上らせて、補助を少くしようということで言つたわけなんですけれども、そういう意味で基準のことにつきましては、眞劍に考えて頂きたいことが一つと、それから最後の市町村財政の問題ですが、これは負担をなくするという費目がないので、ただこの一割の財源がどういう形で地方に交付されておるかという関係を聽いたわけなんでありまして、その点は大体了承いたしましたが、御承知の通り地方ではそれがはつきりしませんから、從つて個々の取扱いの圧縮と関係があるわけです。ただそれだけです。
#43
○穗積眞六郎君 今局長のおつしやつた理論はよく分りましたのですが、ただお願いしたいのは、その理論を貫いて行く上にも、若し物價改訂がありました場合には、当然にそういう改訂があるべきだ。その点が崩れますと、理論はすべて崩れてしまうというような氣がいたします。どうぞその点一つお願いします。
#44
○委員長(塚本重藏君) 本日はこれを以て散会いたします。
   午後零時四十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           谷口弥三郎君
           姫井 伊介君
   委員
           中平常太郎君
           山下 義信君
           中山 壽彦君
           井上なつゑ君
           小杉 イ子君
           穗積眞六郎君
  政府委員
   大藏事務官
   (主計局長)  河野 一之君
   厚生政務次官  淺岡 信夫君
  説明員
   大藏事務官
   (主計局主計
   官)      吉岡 英一君
ソース: 国立国会図書館
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