くにさくロゴ
1949/04/23 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第14号
姉妹サイト
 
1949/04/23 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第14号

#1
第005回国会 厚生委員会 第14号
昭和二十四年四月二十三日(土曜日)
   午前十時二十七分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○医療法の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
○医師法及び歯科医師法の一部を改正
 する法律案(内閣提出)
○社会保險診療報酬支拂基金法の一部
 を改正する法律案(内閣送付)
#2
○委員長(塚本重藏君) それではこれより委員会を開会いたします。
 先ず日程の第一、医療法の一部を改正する法律案を議題にして、その審議を進めます。最初に提案の理由説明を願います。
#3
○政府委員(亘四郎君) 医療法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます。
 只今議題となりました医療法の一部を改正する法律案の提案の理由でございますが、医業、歯科医業等に関する廣告につきましては、それで適正に行われる場合は、一般國民が診療を受ける上において有益であることは勿論でありますが、反面これらの廣告を自由放任にいたします時は、とかくその内容の適正を期しがたく、これらの業務が人の健康及び生命に関するものであるだけに、國民保健上著しい弊害を生ずる虞れがあるのであります。この点に鑑み、医療法におきましては、医業、歯科医業等に関し廣告し得る事項を極めて嚴格に制限していることは御承知の通りであります。併しながら、このような嚴格な制限のために、例えば他の法令の規定の施行を円滑にする等のために、廣告を適当とする事項であつても、これを廣告と得ない場合を生じ、不都合を存ぜられる場合がありますので、厚生大臣が特に必要と認めて定める事項は、これを廣告することができるようにいたしたいのであります。尚厚生大臣が右により特定の事項を定めるに当つては、必ず医道審議会の意見を聽くことを要することとし、その濫に流れることを防止することといたしておるのであります。
 次に現行規定におきましては、專ら往診のみによつて診療に從事する医師等に対し、必要に應じ報告を命じ又は診療録等の帳簿書類を檢査のため提出させることの根拠基定がないのでありますが、医療行政の円滑を運営のためには、かような規定が必要でありますので、新たに設けることといたしました。更に右のような改正に伴い罰則規定の必要な整備を行うこととしておるのであります。何とぞ御審議の上速かに可決せられるようお願い申上げます。
#4
○委員長(塚本重藏君) お諮りいたしますが、一案ごとに審議を進めましようか。
#5
○谷口弥三郎君 ええどうぞ一案ごとに……
#6
○委員長(塚本重藏君) 只今の提案説明に対しまして質疑等がありましたら……
#7
○姫井伊介君 今の御説明の中に、「他の法令の規定の施行を円滑にする等のために、」云々とありますが、この内容がどういう意味かはつきりいたしませんから、補足して御説明願いたいと思います。
#8
○政府委員(久下勝次君) お尋ねがございましたので、この機会に少しく法案の内容につきまして御説明を申上げたいと思います。
 先ず第一は、医療法の一部を改正する法律案の中の廣告制限を緩和する規定の内容でございます。法案を御覽を頂きまして、これに基いて御説明申上げたいと思います。
 医療法の一部を改正する法律の中に、ちよつと途中になりますが、第三十九條に次の三項を加えという文がございます。これを朗読しながら御説明申上げたいと思います。第三十九條の第四項として「第一項及び第三項の規定にかかわらず、厚生大臣が特に必要があると認めて定める事項は、これを廣告することができる。この場合において厚生大臣は、その廣告の方法についても、必要な定をすることができる。」第五項「厚生大臣は、前項の規定による定をするに当つては、あらかじめ、医道審議会の意見を聞かなければならない。」それから第六項に移りまして「第一項各号に掲げる事項又は第四項の規定に基き厚生大臣が定める事項を廣告する場合においても、その内容が虚僞にわたり、又はその方法が第四項の規定による定に違反してはならない。」かようなことになつたのでありますが、現行の医療法第三十九條によりますると、医業若しくは、歯科医業又は病院若しくは診療所に関しましては、特定の事項を除きましては廣告を許してはならないということに相成つておるのであります。この特定の事項と申しまするのは、医師又は歯科医師であるということ、それから許されております診療科名、それから病院、診療所の名称、所在地の場所を表示する事項、第四番目に診療に從事する医師又は歯科医師の氏名、第五番目は診療日又は診療時間、第六番入院設備の有無、七、その他都道府縣知事の許可を受けた事項これだけの事項は廣告してよろしいということに相成つておるのでありますが、更に現行法第三十九條の第三項によりますると、今申上げましたような事項を廣告するに当りましても、「医師又は歯科医師の技能、治療方法、経歴又は学位に関する事項にわたつてはならない。」こういう規定があるのでございます。そこで実際問題として困つておりまするのは、例えば健康保險法によりまして、健康保險の保險医は都府縣知事がこれを指定することに相成つているのであります。健康保險医として指定せられたかどうかということは、被保險者の診療を受けるために表示することが必要であると考えられるのであります。そこで健康保險法の施行規則によりまして、八定の樣式を定めてこれを表示してもよろしい、言い換えれば廣告してもよろしいというようなことが、健康保險法施行規則で定められているのでございます。更に又優生保護法によりますると、御承知のように人工妊娠中絶ができます医師は、医師会が指定をすることに相成つております。そこで優生保護法の施行規則で一定の樣式を示しまして、その指定医であるという表示を規則で許すことにしておるのでありますが、これは嚴密に申しますると、いずれも技能、経歴を示すものという解釈になると考えられるのであります。特に優生保護法のように人工妊娠中絶ができる医師であるということによつて指定をされるわけでございますが、これはそういう指定を受けたという廣告表示をいたしますることは、医療法を嚴密に解釈いたしますといけないということに相成るのであります。そこで健康保險法施行規則及び優生保護法施行規則で一定の表示を認めているということは、やかましく申すと医療法第三十九條違反の規定ということになつて來るわけであります。そこで医療法の規定を緩和いたしまして、只今読上げましたように、この種のものにつきましては、厚生大臣が医道審議会の意見を聞きまして、正式に廣告してもよいということに定めるということにいたしたわけでございます。典型的なものは、以上の二つのものが差当り問題になつているのでございますが、更に御承知の通り保健所法によりまして、保健所は結核、性病、皮膚、泌尿器科というような極く一部の疾病につきまして、治療、診療をいたすことができることに相成つております。ところが医療法に基きますと、これもやはり診療所になるわけでありますが、廣告の制限の規定から申すと結核治療という表示もできませんし、或いは又性病の治療ということもできなくなつておりまして、結核、性病、皮膚、泌尿器科というような表示をする以外は方法はないのであります。法律によつて任務が限定されておりまする保健所につきまして、今申したような廣い表示をいたさせますことも如何かという議論も現在あるわけであります。これらの問題は今日まだ別に具体的にそうしなければならないというふうに決まつているわけではございませんけれども、一應問題として医道審議会あたりで十分審議して行きたい、かように考えている問題であります。その外性病予防法によりまする性病の病院、又は診療所は各都道府縣知事が設置し、或いは指定することになつております。設置し、又は指定しました、性病の診療所である、或いは性病であるということも、この医療法の第三十九條の規定からいうと廣告はできないということになつております。これも將來の問題として十分檢討いたしまして措置いたしたいという意味でございます。これらのことが他の法令の施行を円滑にするという趣旨でございます。
#9
○委員長(塚本重藏君) 他に御質疑はありませんか。
#10
○姫井伊介君 例えば、医師で特別のいい薬を作る、その特効薬を創製した、或いはこの間お話になりました妊娠調節等に対して、荻野法という特別の研究をして、それが流行だというような場合には、これは他の法律関係ではありませんが、そういうものの廣告ということは、特定の人が特定の仕事をした場合に、発表廣告ということは如何ですか。
#11
○政府委員(久下勝次君) 私共只今の考えといたしましては、その種類のことは廣告をさせない方がよろしいと考えております。できるだけこの規定がやや廣いような表現にはなつておりますが、実際の運用といたしましては、できるだけ限定をして参りたいと思う次第でございます。
#12
○谷口弥三郎君 本日はこの提案につきまして説明を聞くという程度にしておいたら如何ですか。
#13
○中山壽彦君 質問は後にいたしましよう。
#14
○委員長(塚本重藏君) では医療法の一部を改正する法律案につきましては、質疑をこの程度に止めまして次の議題に移ります。
 次に医師法及び歯科医師法の一部を改正する法律案を議題に供します。先ず提案の理由を説明を願います。
#15
○政府委員(亘四郎君) 医師法及び歯科医師法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます。
 現行の医師法及び歯科医師法には、行政應が医師又は歯科医師の業務に関して指示をなし得る根拠規定がないのでありますが、公衆衛生上重大な危害を生ずる虞れがある場合において、その危害を防止するため特に必要があると認められる場合には、厚生大臣が医師又は歯科医師に対して、その業務に関して必要な指示をなし得ることとすることが、医療行政の眞に円滑な運営を期するゆえんであると考えられるのであります。例えば昨秋、新聞紙上を賑わせました輸血による病毒感染事件の発生に鑑みましても、この際新たに医師及び歯科医師の注意を喚起すると共に、これらの者が医師又は歯科医師として当然に遵守すべき事項を明かにする必要が痛感されるのであります。そのため医師法及び歯科医師法中の一部を改正し、かような場合に、厚生大臣が指示をなし得る根拠規定を新たに設けることといたしたいのであります。勿論かような根拠規定を設けるに当りましては、この規定が不当に濫用され、又はこの規定に戒めなければなりませんので、厚生大臣が右の指示をするに当つては、必ず予め医道審議会の意見を聽かなければならないこととして、この規定の運用の適正妥当を図ることといたしているのであります。何とぞ御審議の上速かに可決せられるようお願い申上げます。
#16
○委員長(塚本重藏君) 提案の説明は承りましたが、この機会に改正の要点を一應説明して頂きたいと思います。
#17
○政府委員(久下勝次君) お手許に仮刷りのものを差上げでございますが、これを朗読いたしまして一と通り御説明をいたしたいと思います。
 先ず「第一條医師法(昭和二十三年法律第二百一号)の一部を次のように改正する。
 第四章中第二十四條の次に次の一條を加える。
 第二十四條の二 厚生大臣は、公衆衞生上重大な危害を生ずる虞がある場合において、その危害を防止するため特に必要があると認めるときは、医師に対して、医療又は保健指導に関し必要な指示をすることができる。
 2 厚生大臣は、前項の規定による指示をするに当つては、あらかじめ、医療審議会の意見を聽かなければならない。
 第二條 歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)の一部を次のように改正する。
 第四章中第二十三條の次に津の一條を加える。
 第二十三條の二 厚生大臣は、公衆衞生上重大な危害を生ずる虞がある場合において、その危害を防止するため特に必要があると認めるときは、歯科医師に対して、歯科医療又は保健指導に関し必要な指示をすることができる。
 2 厚生大臣は、前項の規定による指示をするに当つては、あらかじめ医療審議会の意見を聽かなければならない。
  附 則
 この法律は、公布の日から施行する。」
 これが法案の内容でございます。医師法及び歯科医師法にそれぞれ同じ規定を一條ずつ追加をいたしたいというのでございます。大体の考え方は、今、政務次官が御説明を申上げました通りでございまするが、この規定を提案をいたすようになりました経緯を先ず申上げて見たいと思うのであります。御承知の通り、昨年の秋、輸血によりまして病毒感染事件が起りました当時、本委員会におきましても、これが対策についての御質疑がございました。私共といたしましては、できるだけ早く法律案の成案を得て御審議を頂くということを申上げたつもりでございます。その後、法律案の内容につきまして、いろいろと檢討を重ねておつたのでございます。当初は輸血取締に関する特別の法律を出そうかというようなつもりでおつたのでございましたが、いろいろ協議、打合せをいたしました結果、医師法、歯科医師法にこの種の規定を加えることによつて目的を達するであろうということになりましたのであります。從前厚生省令を以て輸血取締規則というものが昭和二十年に制定公布せられておつたのであります。この規定の内容は、輸血に関しまして、先ず輸血に干與する医師に対する取締の規定それから血を供給いたしますいわゆる給血者に対する取締、更に給血者と医師の間を斡旋をする給血斡旋業者の取締というような、その三点を包含をしておつたのでございましたが、この給血斡旋業態が適当でないという結論に到達をいたしました。結局輸血の取締のためには、輸血に干與する医師の注意を喚起すれば十分であるというようなことに達しましたので、医師法、歯科医師法等に規定を設けたいという考えに相成りましたわけであります。この規定にございまするように、先ず医師法及び歯科医師法の根本的な考え方といたしましては、医師及び歯科医師に対しましては、その素養におきまして十分な要求がされておりました。しつかりした系統付けた教育を受けた者でなければいかんことになつております。更に又、実地修練を終り、更に國家試驗に合格しなければならんという嚴格な規定をいたしておるのであります。さような経歴を持ちました者には、厚生大臣がこれを審査して医師免状、又は歯科医師免状を與えることになつております。一旦免許を與えました以上、特定の法律に掲げておりまする義務を課する以外に、一般的に医業の内容につきまして、厚生大臣と雖も指示をしない、注文をしない、大体、医師、歯科医師の自由な判断に委せるというのが、医師法及び歯科医師法の基本的な考え方でございます。輸血問題のような社会的にも重要なことにつきましては、ここに書きましたように「公衆衞生上重大な危害を生ずる虞れがある場合において、その危害を防止するため特に必要」だという制限を設けまして、医師、歯科医師に対して必要な注文ができるようにいたそうという考えでございます。更に第二項にございますように、その場合にも厚生大臣が勝手にやるのではなく、医道審議会の意見を必ず聽かなければならんというふうにいたした次第でございます。從つてこの表現の仕方から申しますと、事柄の起りは輸血問題に対する対策として生まれたものではございますが、規定の表現の仕方から申しますればもつと一般的なものに相成つております。私の方としては実はこの規定を活用しなければならないような場合は、そう度々あるとは考えておらないのでございますが、といつて輸血だけを解決するだけでも足りない、將來この種の問題が起るだろうということを予想いたしまして、表現の仕方は廣くいたしたのでございます。尚「必要な指示」という言葉が使つてございますが、この指示と申しますのは、命令とは違うという考えでございます。從つてこの規定から起つて参ります法律上の効果といたしましては、先ず第一に先程申上げましたように、一般的には医業の業容について法律で規定する以外には特別な指示も注文も付けない、付けられないという建前でございますが、この法律の規定によりまして、厚生大臣が、特別な場合には指示をする権利を與えられるというようなことに相成ると思うのでありますが、同時に又指示という表現をいたしましたのは、指示を受けました関係の医師、歯科医師といたしましては、これを考慮する義務が生ずる、こういう程度に解釈をいたしているのでございます。命令でございますると、普通の場合、命令違反につきましては罰則を付けるのが例でございますが、この指示の場合は罰則を付けてございません。從つて法律上の解釈としては、これを考慮する義務を生ずる程度であるというふうな解釈をいたしておるのであります。從つて、考慮せずに何か危害を生ずる虞れがあるということになりますれば、その事態の判断をいたしまして、別に医師及び歯科医師免許の取消し又は停止処分の規定がございますから、この法の中にございます医師に関して不正の行爲かどうかということを客観的に判断いたしまして、不正行爲に該当するような事態でありますれば、免許の取消し又は停止ができるという行政処分に移つて行くことができるというような考えている次第でございます。尚、只今私共としては、この規定に基きまして差当りの輸血問題について指示をいたそうとして、まだほんの試案の程度で考えていることでございますが、簡單に申上げて見ますると先ず第一に、輸血によつて傳染の虞れのある病氣、梅毒でありますとかマラリアでありますとか、その他の、輸血によつて疫病の傳染する虞れのある者からは血を採つてはいけないし、又その血を採りましても、輸血をしてはいけないというようなことを根本的に書きたいと思つております。同所に又採血をされます者の健康の保護ということも必要でございますので、高度の貧血者には一定の基準を定めまして、それ以上の高度貧血者からは血液を追つてはならない、或いは又結核患者などであつて、血液を採取することによりまして、その結果病状を惡化するような虞れのある者からも採つてはならないというようなことをも指示をいたしたいと思つております。尚、輸血というのは特殊の事柄でありまして、疫病の状況によつては非常に急を要する場合もあるし、又場合によつては若干余裕のある場合もありますから、それぞれの場合を区別して、必要な檢査などもするように注文をしたいと思つております。この辺のところは細かくなりますから省略をしますが、一般的な從來考えられておつたことでありますが、特に今回私共の指示の内容として考えておりまする特異な点は、先程申上げましたように実際問題として輸血、給血斡旋業者という存在は適当でないという考え方から、病院の管理盛である医師に対しては、病院と給血者とが直結するように、間の斡旋業者を使わないようにというような措置をいたす考えでございます。而して病院が直接給血者と折衝をして給血者を直接診察して、安心できる者だけから採血をするようにというような注文をいたしたいと思つておるのであります。
 それからもう一つ從來余り行われておりませんでした例としては、非常に緊急な場合には怪しいと思つても檢査をせずやつてもよいというようなことにいたしてはおりますけれども、その場合でも必ず輸血をする血液の一部を保存して置きまして、そうして爾後において檢査を必ずやるようにということを注文いたしたいと思います。これは輸血をしてしまつた爾後においては、從來はそのままになつておつたのが普通の例でございましたが、輸血をしたあとでも、若しもその中に病毒があるということが明らかになりました場合においては、駆梅療法その他の措置ができるだけ早くできるようにという狙いを以ちまして、只今のようなことも指示の内容に含めたいと思つております。甚だ簡單でありますが、医師法及び歯科医師法の一部を改正する法律案の御説明を以上で終りたいと思います。
 序に先程議題となりました医療法の一部を改正する法律案の中、御説明を申上げませんでした点を簡單に申上げて置きたいと思います。
 先ず第一は、医療法の第五條の改正であります。第五條の第一項は「公衆又は特定多数人のため往診のみによつて診療に從事する医師若しくは歯科医師又は出張のみによつてその業務に從事する助産婦については、第八條、第九條及び第三十九條又は第四十一條の規定の適用に関し、それぞれその住所をもつて診療所又は助産所とみなす。」これは現行の第五條の表現を変えただけでございます。現行の第五條の表現が本質的に申しますと少し正確でないように思われましたので、文字を書き換えただけでありまして、内容には何ら変更はございません。
 それから第二項のこの場合に、例えば具体的に申すと診療録であるとか、その他必要な帳簿書類を見せて貰うということが現行の規則ではできないことになつております。問題が起きました場合の取締上必要だと考えまして、新たに二項を附加えまして、必要があるときには報告を取つたり或いは帳簿書類を提出さして檢査をすることができるようにということを加えたいというのでございます。
 それから『第二十九條第一項第二号「命令」を「命令又は処分」に改める。』これは字句が不十分でございまして、二十九條の第一項には「命令」だけになつておりましたが、前條を受けております関係上、処分という言葉を入れることが正確であると思いまして、改正の機会に一緒に改めておきたいというのでございます。
 それから三十九條は先程申しましたから省略いたしまして、四十一條の改正でございますが、これは助産所につきまして先程病院、診療所に関する廣告の取締りと同樣の規定がございますので、それをやはり病院、診療所、助産所について廣告の規定も改めたいというのでございます。
 それから四十二條或いは四十四條の改正は、先程提案理由の説明がありましたように、以上の各條の改正に伴いまして罰則の規定を改めておるのでございます。簡單でございますが、以上を以ちまして内容の御説明といたします。
#18
○委員長(塚本重藏君) 以上提案の理由、改正の要点等の説明がありましたが、この程度に止めて質疑を次回に廻すことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  ―――――――――――――
#19
○委員長(塚本重藏君) それでは次に社会保險診療報酬支拂基金法の一部を改正する法律案を議題に供しまして、当局の説明を求めます。これは予備審査のための議案でありますから説明だけお願いいたします。
#20
○政府委員(宮崎太一君) 社会保險診療報酬支拂基金法の一部改正の要綱につきまして御説明申上げたいと思います。
 社会保險診療報酬の支拂基金につきましては昨年の八月の制定でございまして、九月から仕事を開始いたしたのでございますが、それから今日に至りまする間、基金の状態を見ますと、この基金法の改正をいたしまして、基金がしの迅速適正な支拂をするという目的を実施し得るに便宜な措置を講じたい、こういう意味がございまして、いろいろ法案等の檢討をいたしたのでございますが、その結果只今御説明申上げるような改正を必要と存じまして御提案申上げる次第でございます。そこでどういう改正をするかと申しますると、この改正の大きな眼目は三つございまして、一つは基金の支拂の上におきまして、診療報酬の予託金というのがございまして、過去三ケ月におきまする最高額の費用を要した月の診療報酬の一ケ月分を、各保險者即ち政府官署におきましては政府、それから組合につきましては健康保險組合、それから國家公務員共済組合におきましてはおのおのその共済組合から予託することになつておるのでございますが、その予託金を一ケ月分ということになつておりまするけれども、実際の経過を見ますると大体始めましてから、政府官署について申上げますと、八月分が二億五千万円あつたわけであります。九月分が三億一千万円、十月分が四億一千万円、十一月分が四億五千万円、十二月分が四億七千万円というように、毎月或いは一億近い診療報酬の増額があつたのであります。健保康險組合の部、共済組合の部につきましても、同樣の増加がございまして、この経驗から見ますると過去一ケ月分というものはいつでも不足勝でございまして、基金の支拂が一ケ月分予め貰つておりましたのでは、支拂の円滑を欠くことが明瞭になりましたので、これを一ケ月半分に変えたいということが第一点でございます。
 それから第二点は、診療報酬支拂基金と申しますものは、政府に代りまして、或いは保險者に代りまして金を貰つてそれをお医者さんに支拂うという仕事をするのでございますので、金を支拂います以上は、そのお医者さんから出されました請求書が正しいかどうかということの審査を必要といたしまするので、法律におきましては、この基金が支拂報酬請求書の審査をする権能を持つておるのであります。その審査をするために審査委員会というものが設置されておるわけであります。この審査委員会が從來、昨年の九月からやつて來ました経過に鑑みますと、審査委員の数が十名でございまして、即ち保險者側から五名、それからお医者さん側から五名というふうに十名の審査委員があるわけでございまして、審査委員は十名ございますが、十名ともお医者さんか、歯科医師の方でございます。この十名の審査委員が法定の数であるわけであります。ところが、先程申しましたように、診療報酬は非常に増加して参りまして、件数も殖えて参りましたので、とても十名の審査委員ではそ能力が足りないのでございます。そこで実際上におきまして、臨時審査委員というものを各々五名即ち十名置きまして、二十名の審査委員で審査をいたしておるのでございますが、臨時審査委員という形でございますので、ここに審査委員の数を増加したい、そして臨時の審査委員でなしに、本当の審査委員ということにこれを決めたいという考えを以ちまして、審査委員の数を学識経驗者を加えまして二十一名、即ち保險者側から七名、診療担当者側から七名、学識経驗者から七名、二十一名を以て審査委員の最高の数にしよう、そして医師、歯科医師の方々によつて審査委員になつて頂く、こういう形にこれを改めて行きたい、それからもう一つは、審査委員会はお医者を以て構成しておりますが、そこへ幹事即ち各地方に基金の支所がございますが、支所には幹事が置かれておるのでございますが、その幹事が審査委員会に出席いたしまして審査に関する意見を述べたり、或いは審査につきまして疑問の点の説明を求めるということができるようにいたしたい、從來におきましては、実際上において幹事が、そこに入る場合もあろうと思います。又幹事も入れないというようなお話もございますので、はつきりと幹事が、そこに來て発言をし得るように、議決には参加しないでも発言をし得るという内容の條文を加えたいということでございます。
 それから次に審査会が審査をいたします際におきまして、書面審査をいたしているのでございますが、書面審査では十分でない場合があるわけでございます。そこで実際におきましては、審査委員が診療担当者に來て頂きまして、説明を求める場合もございますし、又診療所等に出掛けていろいろ説明を求めたり、調査をしたりすることもあるのでございますが、法律上はそれができることになつておらんのでございます。そこで実際におきましては、問題のないところは支障なくできるのでございますけれども、議論がありますところは、審査委員会にそういう診療担当者に出頭を求めて説明を開いたり、或いは報告させたり、診療録の提出を求めたりすることが法律上できないではないかという議論もございまして、審査委員会が実際の機能を発揮する上において、法律的には不十分であるという見解もございましたので、法律上かくのごとき権能を審査委員会が有するということをここに規定いたしたい、そうして出席されました診療担当者に対しましては、必要な場合には旅費、日当、宿泊料を支給し得る、こういうことにいたしたい、その権能を與えますると同時に、請求に伴いまして正当な理由がなくして出頭や説明を拒んだり、報告をしなかつたり、帳薄の提出を拒んだりいたしましたお医者さんに対しましては、基金は診療報酬の支拂を一時差止めることができる、これは非常に特別な場合でございますが、そういうような権能を與えたい、併し基金というものは特殊法人でございますので、單独にそういうことをいたしましては行政廳との権限の関係もございまするので、かくのごとき措置をとります場合には、すべて行政廳の承認を得て基金がそういう行爲をすることができるという規定を置いたのが、これが第二の問題でございます。
 第三の問題といたしましては、基金というものが今申上げましたように月に十億くらいの支拂をする大きな仕事をいたしておりまするので、その予算経理につきまして國家がこれに監督を加えたいということでございます。そこで基金の事務費予算につきまして厚生大臣の認可を必要とするようにいたしたい、それから予算科目中の款の金額の流用を禁止するとか或いは予備費を設けるとか或いは出納整理期間を四月三十日にするとかいうような、一般官廳の会計に似通つたような経理にこれをいたしまして、厚生大臣が監督を加えたい、こういう意味の改正をいたしたいということでございます。
#21
○委員長(塚本重藏君) 以下の説明でよろしうございますか。
#22
○中山壽彦君 今日はこの程度に止めて置きたいと思います。いろいろ質問もありますから……
#23
○委員長(塚本重藏君) それでは三案の質疑を次回に延期いたしまして、三案に対しまする説明をこの程度に終ります。この機会に何かございますか。
#24
○姫井伊介君 社会保險診療報酬支拂基金法の一部を改正する法律案、これを見ますと附則に「五月一日から施行する。」と書いてありますからこの点は我々考慮して置かなければなろんと思います。それだけちよつと申上げて置きます。
#25
○委員長(塚本重藏君) 外にございますか……それでは委員会はこれを以て終了いたします。
   午前十一時十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
           姫井 伊介君
   委員
           山下 義臣君
           草葉 隆圓君
           中山 壽彦君
           井上なつゑ君
  政府委員
   厚生政務次官  亘  四郎君
   厚生事務官
   (保險局長)  宮崎 太一君
   厚生事務官
   (医務局次長) 久下 勝次君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト