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1949/04/26 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第16号
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1949/04/26 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第16号

#1
第005回国会 厚生委員会 第16号
昭和二十四年四月二十六日(火曜日)
   午前十一時二十七分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○健康保健法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
  ―――――――――――――
○厚生年金保險法等の一部を改正する
 法律案(内閣提出)
  ―――――――――――――
#2
○理事(姫井伊介君) それでは開会いたします。本日は健康保險法の一部を改正する法律案と厚生年金保險法等の一部を改正する法律案につきまして質疑をいたします。質疑のある方は……
#3
○中平常太郎君 これには議事進行についてでありますが、兩方共付議されておりますが、やはり一本ずつ纏めたらよかろうかと思います。進行について意見を申上げます。
#4
○理事(姫井伊介君) それでは進行上、健康保險法の一部を改正する法律案を先にいたすことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○理事(姫井伊介君) ではそういうふうにいたします。
#6
○中平常太郎君 本法案につきまして昨日質問いたしたのでありますが、この診療報酬というものが、受くる者と、この診療報酬の根拠をなす保險料を出す事業者側との了解が、この大きな体系の方においてなんらの連鎖がないという問題ですね。昨日これに対して質問をいたしましたが、その質問から出ました結果も、なんらの連鎖を発見することができなかつたのであります。それは一例を申しますというと、どういう品物の賣買にいたしましても、買う方と賣る方との問には了解が成立して初めて金銭の授受があるのであります。然るにこの保險につきましては、出す、いわゆる保險料を出しておる者の側が、診療報酬を受取る方の医者の金額の多寡を知る機会がない。それで立入つた話でありますけれども、惡質の医者があつた場合には、注射をしなかつたにも拘わらず注射をしたと書かないとも限らない。又一週間の治療の期間が二週間になつておるということもないとは限らないのであります。なぜかというと、それを立証し、それを是正する期間もない。そのまま保險者の方におきましては、診療報酬規程によつてその報酬を出してしまわれる。それから又保險料を負担しておるところの事業主の側は、それと沒交渉に毎月保險料を一定の基準によつて從業員の数に應じて保險料を負担しておる。その負担した金と診療に出しておる各個の被保險者が使つたその金額との対照が何らできていないからして、何程惡徳の医者があつてその間に不徳なことがありましても、事業主はそれを知らない。近い例を言いますというと、事業主の方に雇われておる被保險者に、その診療報酬の金額を示す。そうして金を出しておる事業主の側でその被保險者を呼んで、お前は千五百円――仮に例えて言えば――千五百円という診療報酬が医者の方に拂われておるが、お前は何日かかつたのか、これには二週間と書いてあるが…いや、私は三日しか行きません。注射は五回とあるが、どうか。いや、私は注射は一回もして貰つておりません。こういうような場合があることを予想しなければならない。何となれば、何か被保險者が医者の方の側で自分がして貰つたことに対する証明、いわゆるその手形は貰つておるに相違ないけれども、それと事実が引合わすチヤンスがないからして、何ら被保險者のかかつた費用の実費を調ベることなくして、そのまま保險者が拂つてしまう。從つて拂う方の側と保險料を取る方の側と、権利と義務との間において何らの関係がない。而して何程医者の方から出た診療報酬の金額に過ちがあろうとも、それを是正するチヤンスが一つもない。それでただ保險者におきましては、沢山な金が要ると言つて心配されるけれども、実際は被保險者に聽いて見ると、それ程治療はかかつていないということがあるかも知れない。これは私は小さい問題ではないと思います。それで少くとも物を買う場合には、品物の数まで改めて初めて品代を出すというのが慣例でありまして、事業主が何十万、何百万という保險料を一ケ年拂つておるにも拘わらず、自分の使つておる工員がどういう方面に、どういう病氣に罹つて、どれだけ要つたかということを知らずに保險料を負担しておる。又被保險者は病氣を癒して貰つたので、自分の腹は痛めていない。自分の腹は半分痛めておることに保險料はなつておりますけれども、事実は大会社では割合会社が負担しておる場合があるのでありますから、たとえ自分が負担しておることになつておりましても、その月給を差引かれるのでありますから、痛し痒しという現実に薬との関連がない。そのために相当大きなここに重大な欠陥があつて、その欠陥は例えて見れば何程でも惡用できる欠陥であり、無制限な一つの欠陥と言わざるを得ぬのであります。だからして私などの考えるところによりますと、意見になりますが、こういうふうな考えを持つております。この点をお伺いします。即ち診療報酬というものは何の某に何回注射した、何で使つた、だから何百何十円だ、こういうところの表が事業主の方へ行つて、事業主が被保險者を呼んで、お前はこれだけ行つたがよろしいか、さようでございます。こういうことなれば、これは問題いない。それは一々やることができないということなれば、月に一回でも或は一週間に一回でも表にして事業主の方へ診療報酬の明細が行くということになれば、それは事後においても、つまり診療報酬が出すために期間が遅れるなれば、事後においても一週間毎にその表が事業主の方に渡つて行くという保險者としては業務を持たねばならん。その手紙は煩瑣とは言えない。なすべき一つの仕事であります。これを煩瑣と言うことは、それは事務を怠つておるということになると思う。だからたとえ煩瑣でも、診療報酬が決つて以上は、診療報酬と同じ数量のものを事業主の方に通知をしてその承認を受ける。たとえ事後承認であつてもよろしい。承認を受る。それなれば医者も氣を付けて誤謬のないように、被保險者に対して三回の注射を五回したというような問違いを書くようなことはなくなり、極めて正直なものが行われて、診療報酬にも相当大きな金額の影響があると思うのであります。決して医者だからといつて神様ばかりでもありますまい。然るに、どういうような金の支拂いでも政府は嚴重な査定をして金銭の支拂いがあるにも拘らず、この保險者の診療報酬にだけは、ただ医者を信頼して、医者の言うままで何を書いてあろうともそのまま支拂つて行くということは、厖大な予算が無茶苦茶に増加するという嫌いがある。それさえもどこに欠陥があるか、悉く被保險者がそんな治療をしたかのごとく保險者が認識しておられる。その中にどれ程の差異があり、どれ程の誤謬があるかということがはつきりするチヤンスがない。これは昨日これに対して私問題したところが、宮崎局長は、それは診療報酬の受拂いが今でさえも遅れておるのに、そういうことをして診療拡酬を出しよつては医者の方に出す金がどんどん遅れてますます困難になるというお答でありましたが、これは事務的の責任であつて、それを以てなすべき処置をなさずして金を早く拂う必要はない。又今日他の方面も十分に研究なさつておるのであれば、事業主の方の了解を得て後に診療報酬を決定するというのが普通であります。これがなすべきところの本当の筋道であります。金を拂う者は年がら年中金を出しておつて、いつ拂われるか、誰に拂われたか知らないでおる、そこに大きな欠陥がある。そうして政府も一つも痛くも痒くもない。事業主は一遍出したものを出されるのだから、これも痛くも痒くもない。被保險者も自分の病氣が癒つておるから沢山掛つておるがおるまいが自分は一定の率で保險料を出しておるから痛くも痒くもない。そういうように三者悉く痛くも痒くもないという状態に置かれておる。医者の方のみその金額の多くなることを希望するという結果を生じ得る可能性がある。だから取る方と出す方との側に深い了解があつてのみ初めて金銭の授受というものがある筈であります。ところが保險者のやり方は、出す方の側に何ら一つの確定した根拠を持たずして、一方的な請求によつて出しよる。これは思い半ばに過ぎるものがある。私は今日の赤字という問題につきまして、或いは金額が大きいという問題につきまして、被保險者も割合自由な行動があるであろう、又家族の診療券などについても、幾分惡用しておるものがあるであろう。けれども問題はそういうことでない、もつと大きなところに欠陥がある、そう見るのです。家族の問題になれば何程でも嚴重にできる、会社には家族の名簿があるから、その家族の者が受診した場合に、君の細君はこの問中病氣であつたかと聽いたら、いいえ私の妻は健康です。たけれども君の細君の名前で医者に行つたじやないか、いいえ行きません。こういうことが調べの結果立証ができるのでありますから、そう家族の診療券を他に貸すわけには行かない、貸した場合には直ちにそういうふうに事業主の方で調べることができるから、どうしてもこれは事業主の方に廻して、診療報酬の明細が事業主の方へ告げられて、それから初めてその承認の下に、保險者が金を拂うというところの本筋へ向つて頂かん限りは、いつまで経つても、この不正は防ぎ得ない。この点を今度の健康保險法の一部を改正する法律案に何ら謳つていない。私はその点を謳つていないのはどういうわけか、それを昨日お伺いしたのでありますけれども、それに対する宮崎局長の返答には、まだ満足しないのであります。それに対するお考えと、それからもう一つは、初診料を付けるという問題は、健康保險の本來の精神に逆行しておるものである。嚴重にすべきところは、どこまでも嚴重にして、弱い者の生活の保障に、医療の保障を謳つてあるべき健康保險が、成るべく行くなと言わんばかりに、初診料を本人に負担せしめる、年がら年中千分の二十を負担しておりながら、初診料とは何事かという問題になります。これは全國の労働者の方で、非常な反対の空氣が醸成されつつある。我々は労働者階級がそういう保險料を出して置きながら、初診料を又出さねばならんというような、そういう二重人格のような逆行、進みつつある後ろから縄で引つ張る、向うへ行けと言つて向けて置きながら、後ろから縄を以つ引つ張るというような法律の建前は、矛盾しておると思う。だからこれは保險料の値上げという問題につきましては、これは独立採算制から言いましても、或る程度値上げしなければ赤字が大きいと言うならば、止むを得ない場合がありましようけれども、初診料を付けるということは、絶対に主義の逆行になるのでありますから、健康保險法を制定した趣旨に逆行するものであると思うのであります。この二つについて明快な御答弁をお願いします。
#7
○政府委員(宮崎太一君) 最初の問題でございますが、診療担当者が診療費の請求をいたします際において、事業主の方の承認を経て、その金の支拂をする方がいいじやないかという、こういう中平委員の御質問でありますが、昨日お答え申上げましたが、健康保險につきましては、御承知のように二通りありまして、組合管掌と政府管掌とあるわけでありますが、組合管掌は一應拂いましてから、それが組合の方へ戻るわけでございますから、事後において入れるわけでありますが、政府管掌の掌は政府が保險者でありまして、政府が保險料を取つて、そして担当医に診療を委託して、その結果に基いて政府が支拂をする、こういう形でその支拂も基金を通じて支拂をする、こういう恰好になつておるが、政府管掌の方につきまして、只今の中平さんの仰せのように、事業主が診療内容については分らないということは、これは事実でございます。それで私共といたしましては余りにその点がルーズでは困るというので、近く被保險者証を改正いたしまして、被保險者証の中で診療の内容が分るような欄を設けて、そこへ医者が書き込んで、そうして被保險者がそれで分るという形を採るつもりでおるのでございますが、中平さんの仰せは、そうでなしに被保險者が分つただけでもいけないのであつて、もう一歩進んで事業主に分つた方がいいじやないか、こういうことであるのでありますが、健康保險の法理上の建前からいたしますと、保險者が政府でありますので、政府がよく審査をして、政府が支拂う、被保險者は診療を受け、事業主は保險料を納める、こういう形で從來から來ておるわけでありますがそれをその中へ事業主が入り込むという形に相成りますので、昨日申上げましたように支拂の遅延を來すとか、成いは診療内容の点で問題があるということを申上げたのでございますが、日本の今までの診療ということにつきましては、仰せのような点があると思いますが、そこで私共といたしましては、保險者として医療担当者の監査を十分やつて、その辺のところを矯めたい、又お医者さんの方も医師会等の協力によつて自粛自戒をして貰つて、そういうことのないようにいたしたい、こういうことで今日まで参つておるわけでありますが、この点の改正は、省令の改正で行ける筈でございますけれども、これらの問題は相当響くところも大きいのでございますので、よく研究いたしまして、各方面の意見を聞いてからやらなければならん問題のように存じますので、今回は一つよく檢討して見るということで、一つ御了承を願いたいと思うのでございます。それから初診料を取ります点につきましては、保險料を上げて、そうして初診料を取らんようにするのが本体ではないかというお話であつたのでございますが、私共保險料を徴收いたしまして、そうして初診料を取らずに済むような経済にいたしたいと思いまして、いろいろ檢討を加えたのでございますが、今日の産業界の現状から見まして、保險料を今千分の四十四取つておるわけでありますが、これを千分の五十に上げるということをいたすのでございますが、それをこの初診料を一部負担させないでやりますというと、尚五%ばかり上げないとバランスが合わんことに相成りますので、今日の事業主、被保險者等の状態から見まして、保險料をそんなに上げることが不可能ではないか、こういうことを考えましたので、保險料の点は原則の千分の四十を千分の五十にいたしまして、そうして初診料の一部負担をすることによつてバランスを合わすのが、被保險者の上においても、事業主の上においても妥当ではないか、こういう結論を見出したのであります。初診料と申しますると、東京、大阪のようなところでは四十四円、それから地方の方は四十円でございますので、疾病の際におきまして、今日の状態におきまして四十円、或いは四十四円の初診料を拂うことは左程苦痛ではないのではないかという点を考えまして、こうした初診料を一部負担させるということにいたしたのでございまして、大体敗戰後の社会保險ではこういう一部負担を取るというような手より他に、外國の例を見ましてもないような状態でございますので、一應患者の受益者負担と申しますか、そういう意味で初診料を負担して貰う、そうして一般の保險料を上げることをそれだけ抑制しよう、こういう意味でございますので、その点一つ御了承を願いたいと思います。
#8
○中平常太郎君 診療報酬の事業主に知らしめるという相手方の金を出す方に了解を得られるという方法が、それがために診療報酬の支拂が遅延するのであろうという懸念を持つておられるのでございましたが、これは私はもう一度お伺いいたしますが、被保險者証というものが出るのでありますから、被保險者証に医者が正確に書いておりますから、その被保險者証を政府管掌の保險者へ持つて行つてそうして一應見せる。そうして置くならば、医者の方から來るところの診療報酬と同じであつたならば、何ら差異がないということが分る、誤謬がないということも分るのでありまして、診療報酬を、政府管掌のその取扱う事務局の方へその被保險者証を持つて行つて、そうしてその受診をしに行つた費用が何ぼ要つたということが書いてあるその被保險者証を見せて、そうして政府管掌の事務局の方に登録をして置いて戻つて來る。そういうくらいの義務は私は被保險者がしてもよろしい。そうするなれば医者の方から今度診療報酬の請求が参りましても、それと照合さえすれば分る、誤謬がないということが分る、そういう方法があつて、それがために何も診療報酬を支拂うことが遅延するということは絶対にない。それくらいの事務は当然なすべき仕事であつて、決して煩瑣な余分な仕事でない。それは支拂いを確実ならしめるために必要なる手段であると思われる。そういうことをすれば被保險者証というものは有效に事務局へ提示さえすれば、私はこの問題はひとりでに解決する。だから、そういう方法はなし得ることができると思うのですが、その点に対してできるかできないか、それくらいのことができるかできないか、一つ御答弁を願いたいと思います。
#9
○政府委員(宮崎太一君) 被保險者証に医師が書き込む、それから請求書を基金に提出する。その書き込まれた被保險者証を地方の健康保險課或いは出張所へこれを見せて、そうしてそこで書き込ます。それを受取つて帰ることができるかどうかというお話でございますが、この被保險者証というものは、疾病の継続中は医師にこれを見せて置くものでございますし、その被保險者証によりまして、家族診療の根拠にもなるものでございまして、それを持つて來て地方の保險当局にこれを見せて、又帰るという点につきましては、相当被保險者がこれについて難澁をするのじやないか、こういう氣がいたしますので、そういう方法でなしに、何か考えられはせんかということを檢討してみたいと思います。
#10
○中平常太郎君 更に伺いますが、被保際者証は医者の所に滯留する期間がありますけれども、全治するならば被保險者が取つて帰るのであろうと思いますから、取つて帰つたときに事務局に見せさえしたらいい筈のものであります。つまり医者が持つておる間にそれを預つて取つて帰る必要はないのであつて、全治してから後に医者から被保險者証を貰つて、それから被保險者証を今度事務局の方へ提示するというだけの手数を今度取らしめるということは、私は手数は大した手数じやない、又治療して貰つて治つたところの被保險者が、それくらいの手数は何も厭うことじやないと思います。その点もう一度。
#11
○政府委員(宮崎太一君) 中平先生のお考えは私はよく分るのでございますけれども、ただ東京のような所はいいのでございますが、縣廳に役所があるわけでございますので、わざわざ縣廳まで疾病が済んでから被保險者証を見せに行つて又戻るというような手数……郵便で送りましてもいいわけでありますが、その間この頃の状態でございますので、そういうようなことをして被保險者証がどこかで滞留するというようなことでも困るし、廣島で申しますと、廣島市とそれから福山市にあるわけでありますが、そこまで出かけて行つて持つて行くか、郵便で送るかというような問題が起つて來るわけでございますので、その点被保險者が事実それを実行し得るかどうか、こういうような点が私共心配でございますので、先生のおつしやることはよく分りますけれども、その点はよほど檢討を要するのじやないかという氣がいたしますので、先程のお答えを申上げたのでございます。
#12
○中平常太郎君 そういうような欠点もありましようと思いますが、もう一つの方法といたしましては、事後におきまして、政府管掌の方のつまり事務局の方から、その事業主に対して雇用しておる部分の被保險者の支拂明細というものを一週間に一回とか、或いは一月に一回とかいうふうに表にして、事務局の方から送られるという方法に対して御意見をお伺いします。それなれば事後であつても調査の上において非常にためになると思うのでございますが、その点はどうですか。
#13
○政府委員(宮崎太一君) 地方の保險課、又は保險出張所が基金から廻つて参りましたこの請求書の帳簿を見まして、そうして不都合なものにつきましては、これはいろいろな方法を講じまして事業主、或いは被保險者と連絡を取ることが現在であるわけでありますが、全部の書類につきまして、これを事業主、或いは被保險者に渡すということについては、相当厖大な書類でございますので、なかなか困難ではないかと存ずるのでありますが、何か簡單な方法でもございましたらよく研究してみたいと思うのでございます。
#14
○理事(姫井伊介君) 外に何か重要な点でお尋ねになることはありませんか。
#15
○小杉イ子君 十二日の委員会で、私は保險医に対する手術科、診察料の支拂が遅れておると、こう申しましたところが、それは保險事業に対する大変発達を妨げるから、早く拂つて頂きたいと申しましたら、大蔵省の係の方は、今後はそういうことがないように支拂をするとおつしやいました。その後神戸に帰りましてそのことを聽いてみましたところが、先程中平委員の御質問の中にも入つておつたと思いますが、保險料をその会社が集めて、それを融通することがある。それがために自然と治療代が遅れるのであるということを聽いたのでございますが、そういうことはございますか。
#16
○政府委員(宮崎太一君) そういうことはございます。ございますので盛んに徴收に出かけまして、いろいろな徴收の手段を講じて取り上げております。今小杉先生の言われたような点はないではございません。
#17
○理事(姫井伊介君) 一時休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時五分開会
#18
○理事(姫井伊介君) それではこれより休憩前に引続き開会いたします。速記中止。
   午後二時六分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時三十二分速記開始
#19
○理事(姫井伊介君) 速記を始めて…
#20
○草葉隆圓君 健康保險法の一部を改正する法律案は質疑を打切つて直ちに討論に入られたいという動議を提出いたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#21
○理事(姫井伊介君) 今の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○理事(姫井伊介君) では御異議ないと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありの方は、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
#23
○中山壽彦君 この一部負担金を取りますることは、保險の性質からいつて好ましからざることと信じておりますが、現在の運営の実際面から見ますというと、これを止むを得ざる臨機の措置として、私は原案に賛成をいたす者であります。但し当面問題になつております社会保障制度の実現をいたしまするまでは、今後尚相当の期間を要することと存じますので、政府当局におきましては、この際社会保險の全般に亘つて適正なる改正の具体案を作成されて、成るべく近い國会に提案されんことを要望いたしておきます。
#24
○理事(姫井伊介君) 今の法案は先ず健康保險法の一部を改正する法律案についてでありますから、さよう御了承を願います。
#25
○中平常太郎君 私はこの健康保險法の一部を改正する法律案につきましては、その内容を檢討いたしましたところ、これは重大なる問題といたしまして、今日まで質問をいたしましたが、その質問に対しまする滿足なる答弁を得ません。この本案につきまして、私は反対をする者でございますが、期間がございませんのでこれは修正案を出して行きたいと思つておりますが、政府から話もありますし、極めて期間がありませんので、このままこれを討論に入るとすれば反対せざるを得ないのであります。その反対の理由の主なるものを申上げますと、健康保險を政定いたしましたその趣旨からいたしまして、労働階級の人々に医療の開放、医療の十分なる機会を與えて、そうして生産の増強に全幅の労働力を発揮せしめようというのが目的である。そういうふうな目的を以て、健康保險法が社会的政策とし、又社会保障の前提として今日まで行つておるのでありまするが、今日その会計が赤字が出たからといつて、その考え方に逆行したような被保險者から初診料に相当する金を取立るという案でございまして、それでは保險法を政定したところの趣旨に逆行するというても宜しいのであります。而もその初診料を出すことを被保險者が厭うために、病氣が早く診察すれば全快するものがそのままに放置するために寧ろ却つて病氣を重からしめる。その結果といたしまして、生産の減退を來たし、本人の苦痛は固より、業界におきましても、生産の減少を來たす恐れがございます。趣旨において逆行であり、生産の増強には固より反対の結果を招來する恐れがあるのであります。それで初診料の一部負担をせしめるとしうことは絶対に反対でございます。但しそれにつきましてそれに相当の赤字の補填ができないという政府の説明でありますが、これは診療費の支拂の改善をすれば、五億や、六億は当然優に生み出されるものと私は信じておるのであります。而も今日の診療費の支拂状況を見ますというと、一方的の処理をして支拂いをしております。ただ審査会がありますけれども、審査会は出て來たところの公けの書類をただ当否を見るだけであつて、その公けの書類に記載された事項に対する何らその裏付けも調べることがない。巻間伝うるところによりますと全部ではありませんが、いろいろ惡い噂が立つておりまして、お医者さま必ずしも神樣ではありません。收入を多からしためための方法を採るという性格は人間には何人にも潜在の意識であります。收入を多からしめようという考えから起きて來る時に、その人格のよくない者はどういうことをするか分らない。これはお医者のみに私は申上げるのではない。どういうような場合におきましても、今日あらゆる方面にさまざまな惡辣な手段が行われておりますが、盡く利己主義から行われて、これが詐取、詰り詐り取る。人はどうでもよい、自分さえよかつたらよいという算盤から出発して考えて、そういうようなことが行われておる。診療機関だけらそういうことは行われぬとは絶対に言えないのであります。ところが今日の監察状況におきましたならばこれが極めてそういう方面を十分に監察するところの機能になつていないのであります。ただ机の上の書類の数字、或いはそれの当不当を調べるに過ぎないのでありまして、何ら根柢に触れていないのであります。例えて見れば物を買う場合に金を出す。して見れば、その金の値ほどの物を貰わねばならない。それが如何なる場合でも物を調べてそうして金を出す。これが普通の金銭の授受であります。然るに保險料はどうかといつたら、政府管掌においては特にそうでありますが、請求して來るところの伝票によつて直ちに支拂いが始まるのであります。その当否を調べるのは、ただその紙面に載つておる数字のみを以て当否を調べるのでありまして、内容は果して事実かどうかということを調べる機関はないのであります。そういうような一方的なものを信じてこれを支拂う。それが少数の金額ならよろしいが、何十億という支拂であります。果して然らばその中にどういう不正な行動が行なわれておらないとも言えないのでありますからして、五億、六億というような初診料の積算された金額くらいは、診療費の支拂に対する適当な改善を行うならば、確かにこれだけの金は出て來るものと私は信じて疑わぬのであります。政府はかかることを煩瑣な事務として、これに十分な方法を研究もせず、又ただ煩瑣の一方で以て、これをそういう方面に十分な仕事をしておられないということは、誠に遺憾に堪えません。たとえ煩瑣でありましても、たとえ少々件費が要りましても、なすべきことはなさなければなりません。出そういう場合に、人の金を出しておる。政府は、政府管掌の金は人の金である。事業主から出た金であり、人から出た金を拂うのでありますから、痛くもかゆくもない恰好で拂つております。又事業主は事業主として一定の保險料を負担しておるから、なんぼかかつても放つておけというふうに現在なつておる、被保險者は被保險者で、自分の病氣さえ直れば、その直つたために何十円、何百円、何千円かかつても、一つの考えも持つていない。だから、三者相共に極めて金銭の額に対する深い注意を拂つていない。ただこれを受け取るところの診療機関のみが、その診療費の多額を望んでおる。如何なる場合でも、金を出す者と取る者との側に、双方の適当な権利義務が交換されなければならない。それが交換されていない状態において、他人の金が勝手に支拂われておるということは、これは又その制度の上において極めて深い大きな欠陥があると言わざるを得ないのであります。私はその方面を十分に改善さえするならば、四億、五億、六億の金は何でもないと思うのであります。そうして次に政府の負担は僅かに人件費の三分の一でありまして、七千八百万円しか負担しておりませんが、この大きな社会的な健康保險法の保險に対する政府の負担が余りに軽きに失する。少くとも人件費を全部、一ケ年間二億程度のものは負担しなければならない。將來の社会保障制度を行なわんとする場合には、政府は相当大きな負担を將來予期しなければならない。現在急激に敗戰の日本が社会組織を編んで行つて、少くとも社会保障に進まんとする通程におきまして、單にこの費用を民間の労務者のみ、産業者のみに負担させて、政府は濡れ手で粟の仕事として、ただ事務費の三分の一を負担しただけどこの仕事をするということは、全く政府としては社会保障に深い考えを持つていないと言わざるを得んのであります。少くとも人件費全部は政府が負担すべきであります。それをせずにおいて、何も彼も事業主に掛け被保險者の掛けて行くということは、その考え方がすでに大衆を窮地に陥れてもよろしいという結論を殊更に取つておると言うてよろしいのであります。私はこれに対して一つの修正案を考えておりますけれども、今日政府の要望といたしまして、成るべく早く案を審議して呉れということでありますので、実際におきまして、議会におきまして、殊に衆議院へ廻さなければならんという先議になつておりますから、この際これを押し通されるお考えならば、我々は反対せざるを得んのであります。
 右の理由を以ちまして、私は反対の意見を発表いたします。
   〔小杉イ子君発言の許可を求む〕
#26
○理事(姫井伊介君) 反対か賛成かはつきりと簡單に述べて下さい。
#27
○小杉イ子君 私はこの案に全面的に賛成する者でございます。その理由は、すべて保險を意味する保險組合であろうが、どの保險であろうが、すべて免税という特権がなければならないと、こう思つております。その意味から、この改正案の二ノ(二)健康保險組合に対する登録税の免除これも賛成でございます。それから保健施設の用に供する建物又は土地の権利の取得又は所有権保存の登記には登録税を免除すること、これも賛成でございます。
#28
○理事(姫井伊介君) 小杉委員、一つ一つ言わないで、一括してやつて下さい。
#29
○小杉イ子君 それから罰則の点でございます。給付金を納めない者は罰するという罰則、これも賛成でございます。
#30
○理事(姫井伊介君) 全部賛成なら全部賛成と……
#31
○小杉イ子君 全部賛成ですけれども、討論を一つ言わして下さい。
 それからこの保險というものに対しては、衞生ということをもう少し注意して、予防ということに重きをおいて頂きたいと思います。すべてが健康でありますならば、政府も亦被保險者も亦國家も仕合せであると思いますから、これに対して衞生の意味を一つ強く附加えて頂きたいと思うのでございます。予防に注意して頂きたい。この意味を以て私はこれに賛成する者でございます。
#32
○井上なつゑ君 勤労者が今日耐乏生活のうちにおりまして、本当に生産に励むことのできますのも、健康保險があるからだと存ずるのでございます。この健康保險法の改正によりまして、保險経済の破綻を予防する意味から、一部診療費の負担をして行かなければならないということになりましたことは、誠に遺憾に存ずるのでございますが、諸般の情勢からして、どうしても一部負担をしなければ、日本の健康保險の保險経済は破綻を來すというのでございますので、これは止むを得ないことと存じまするので、本法案が定まりました以上は、政府におかれましても、この案の運営を円滑にして、一日も早く保險経済の破綻から免れるようにせられんことを要望いたしまして、そうして本法案に賛成する者でございます。
#33
○理事(姫井伊介君) 他に御発言ございませんか。
#34
○草葉隆圓君 討論を終結されて、直ちに採決に入られんことを希望いたします。
#35
○理事(姫井伊介君) 只今の草葉委員の動議に御異議ありませんか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#36
○理事(姫井伊介君) 御異議ないと認めます。これで討論は終結と認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○理事(姫井伊介君) 御異議ないと認めます。それでは採決に入ります。健康保險法の一部を改正する法律案について採決をいたします。原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
#38
○山下義信君 採決に異議があります。反対意見が出ておりますから、反対意見から御採決を願います。
#39
○理事(姫井伊介君) ではこの原案に対しまして、反対の方から採決をいたします。この原案に反対のお方の挙手を願います。
   〔挙手者少数〕
#40
○理事(姫井伊介君) お二人。
 次にこの原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
   〔挙手者多数〕
#41
○理事(姫井伊介君) 多数と認めます。本案は多数を以て可決すべきものと決定いたしました。
#42
○理事(姫井伊介君) 次に厚生年金保險法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
#43
○草葉隆圓君 厚生年金保險法等の一部を改正する法律案は、討論を省畧して、直ちに採決に入られたいと思います。
#44
○理事(姫井伊介君) 草葉委員の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○理事(姫井伊介君) 御異議ないと認めます。では討論を省畧して採決に入ります。厚生年金保險法等の一部を改正する法律案につきまして賛成の方の挙手を願います。
   〔総員挙手〕
全員賛成、よつて本案は原案通り可決すべきものと決定をいたしました。
 尚、本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四條によつて予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において両案の内容、本委員会における質疑應答の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○理事(姫井伊介君) 御異議ないと認めます。尚、本院規則第七十二條によりまして委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつておりますから、兩案を可とされた方は順次御署名を願います。
#47
○中平常太郎君 ちよつとこの際御参考までに申上げておきますが、委員長の報告の後におきまして反対意見を議場で述べるかも知れませんから、そのお含み置き願いたいと思います。
#48
○理事(姫井伊介君) 承知いたしました。
 健康保險法の一部を改正する法律案
  多数意見者署名
     草葉 隆圓  井上なつゑ
     小杉 イ子  黒川 武雄
     今泉 政喜  中山 壽彦
  ―――――――――――――
 厚生年金保險法等の一部を改正する法律案
  多数意見者署名
     山下 義信  中平常太郎
     井上なつゑ  草葉 隆圓
     黒川 武雄  今泉 政喜
     小杉 イ子  中山 壽彦
#49
○理事(姫井伊介君) 署名洩れはございませんか。署名洩れはないと認めます。では本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時五十二分散会
 出席者は左の通り。
   理事
           姫井 伊介君
           今泉 政喜君
   委員
           中平常太郎君
           山下 義信君
           黒川 武雄君
           中山 壽彦君
           草葉 隆圓君
           小杉 イ子君
           井上なつゑ君
  政府委員
   厚生政務次官  淺岡 信夫君
   厚生事務官
   (保險局長)  宮崎 太一君
ソース: 国立国会図書館
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