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1949/05/10 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第21号
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1949/05/10 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第21号

#1
第005回国会 厚生委員会 第21号
昭和二十四年五月十日(火曜日)
   午前十時二十九分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○死体解剖保存法案(内閣提出)
○國立身体障害者更生指導所設置法案
 (内閣提出)
○國立公園法の一部を改正する法律案
 (内閣提出・衆議院送付)
○傳染病予防法の一部を改正する法律
 案(内閣提出・衆議院送付)
○派遣議員の報告
○兒童福祉の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) 只今より開会いたします。
 先ず日程の第一、死体解剖保存法案を議題に供します。前回に引続いて質疑を続行いたします。
#3
○谷口弥三郎君 これはもうすでに大体質疑の済んでおられることが了解されておりますから、この辺で質疑を打切つて頂きたい。
#4
○委員長(塚本重藏君) 谷口委員の御発議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。
#6
○谷口弥三郎君 討論を省略いたしまして、早速採決にして頂きたいと思います。
#7
○委員長(塚本重藏君) 谷口委員の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。直ちに採決に移ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。先ず本法案に賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#10
○委員長(塚本重藏君) 総員起立と認めます。よつて全員一致を以て可決いたしました。つきましては、尚本会議におきまする委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條により予め多数意見者の承認を得なければならないことになつておりますから、これを委員長において本案の内容及び委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することにして、御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。
#12
○山下義信君 異議はございませんが、報告書の中に是非入れて頂きたいと思いますのは、死体解剖に供しまする死体の出所でありますが、これは先般質疑の際にも明瞭に相成りましたように、刑務所関係なり或いはいろいろの收容所関係から死体が出ますので、その取扱いにつきましては、十分注意するようにということを委員会で申しまして、政府も了承いたしておるのでありますが、その点特に御注意下さいますように報告書の中に御挿入願いたいと思います。
#13
○委員長(塚本重藏君) 承知いたしました。尚、本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書に対し、多数意見者の署名をすることになつておりますから、この際可とせられる方は順次御署名お願いいたします。
  多数意見者署名
    谷口弥三郎  山下 義信
    草葉 隆圓  中平常太郎
    黒川 武雄  姫井 伊介
    今泉 政喜  中山 壽彦
#14
○委員長(塚本重藏君) 御署名漏れはないものと認めます。
  ―――――――――――――
#15
○委員長(塚本重藏君) 次に、國立身体障害者更生指導所設置法案を議題に供しまして審議を続行いたします。
#16
○山下義信君 この第四條の省令にいたします事項、その中にあります國立身体障害者更生指導所の位置、名称その他であります。これはどういう意味でございますか、御説明を願いたいと思います。
#17
○政府委員(木村忠二郎君) これは國立身体障害者更生指導所は、どういう名前を附けるか、それからこれをどこに置くか、その中にどういう課を置くかといつたような事項でございまして、これらの事項につきましては省令を以て定めたいというふうに考えております。尚、法律に別段の定めのないときとございますが、当然法律に規定がありますれば、その点につきましては、省令ができないことは当然なのでございまするので、念のためこういう文字を入れたものでございます。
#18
○山下義信君 そういたしますと、この指導所設置法というのは、つまりこれは行政機関の設置法になるわけでございますね。
#19
○政府委員(木村忠二郎君) さようでございます。
#20
○山下義信君 そういたしますと、この設置法に基きまして、この指導所の機関に属しまする施設が作られる。こういうことになるわけですね。
#21
○政府委員(木村忠二郎君) この法によりまして、そういう事業をいたしますることの施設が作られることになります。
#22
○山下義信君 私のお尋ねいたしておりますのは、大体御答弁で分つておるのでありますが、念を入れて置きたいと思いますのは、厚生省の中に國立身体障害者更生指導所という一つの役所ができて、そうしてこの國立身体障害者更生指導所に属するところの、こういう目的を持つた施設が、どこか別のところに作られる。こういう法律のように見えておりますが、それに違いございませんか。
#23
○政府委員(木村忠二郎君) 厚生省の中にと申しますか、厚生省の一つの機関といたしまして、こういう指導所ができることになるわけでございます。厚生省設置法の法案の方にも、厚生省の一つの施設といたしまして、國立身体障害者更生指導所を置くように相成つておりまして、そうしてそれを受けまして、その指導所につきましては國立身体障害者更生指導所設置法の規定によるということにいたしまして、これによつて一つの施設ができることに相成ると思います。
#24
○山下義信君 これは私が確めて置きたいと思うのは、第一條に、「厚生省に國立身体障害者更生指導所を設置する。」こう置きまして、そうして第四條に、「國立身体障害者更生指導所の位置、名称」云々「は、厚生省令で定める。」こうありますと、本法案はいわゆる國家行政組織法に基くところの政府機関の設置法であつて、國立身体障害者更生指導所という一つの施設を國立で持とうというその意味の法案ではないように立法の体裁上見えるのであります。それを確めて置きたい、こう思うのです。
#25
○政府委員(木村忠二郎君) これは厚生省に設置するというふうに相成つておりまするのは、厚生省の附属機関として設置されるという意味でございまして、この法律によりましてこの指導所が設置されることに相成るのであります。尚位置、名称等を決めると申しますのは、この身体障害者更生指導所が幾つ設けられるか、二つ或いは三つ設けられる場合もあるわけでございますが、その具体的な場所を明らかにする。或いはこれにどういうものを附するということを明らかにする。これを法律で以て省令に委任した、こういうことに相成ると思います。
#26
○山下義信君 前の國立光明寮の設置のときは、これはやはり厚生省に國立光明寮を設置するというふうになつておりましたのですが、ちよつとお調べを願いたいと思います。
#27
○政府委員(木村忠二郎君) 前の光明寮は厚生大臣の管理に属する國立光明寮、こういうことに相成つておりました。併しその意味は同じ意味であるというふうに解しておるわけであります。
#28
○山下義信君 この第一條の「厚生省に國立身体障害者更生指導所を設置する。」という体裁にして置いて、そうして第四條にその位置、名称等は別に省令で定めるということにいたして置きますと、この設置法は、どうしても厚生省内に一つの、つまり國家行政組織法に規定してある内部局その他の機関という、こういう行政機関を一應置くということにどうしてもこの法では取れるのでありますが、これは第一條の「厚生省に」という、これをやはり國公光明寮の設置法のように、厚生大臣の管轄下にというふうにいたして置くと疑義はないと思うのでありますが、政府のお心持はよう分る。ですからこういう役所を作ろうというのじやない。
#29
○政府委員(木村忠二郎君) これは私共としましては、どちらでも同じというふうに一應解釈されるのじやないかと思つております。尚この点につきましては、法案を書いております当初におきましては、光明寮と同じような原案でいたしておつたのでありますけれども、関係方面の指示によりまして、こういうふうに改めたというだけでありまして、その内容につきましては、全然同じであるというふうに只今のところ理解をいたしております。
#30
○山下義信君 私も趣旨は分つておるのです。ただ法文の書き方の上でちよつと誤解を招き易い点がないかという点でありまして、これでいいというのでありますれば、別に異議があるわけではないのであります。それを一つ御研究を願つて置きまして、法制局を呼んで來てもよろしうございますが、これで差支えない。これは部局の設置的な構成にはならない。こうあつてもやはり一つの國立の施設を持つということになるのだ。第四條の省令で位置その他を決めるということと第一條とは決してそこに混線はないということでございますれば、本員は異議はございません。
#31
○政府委員(木村忠二郎君) 只今お話にございましたように、私共の方でも同じように一應理解いたしたのでありますが、その点もう一應念を押して確めて見ることにいたします。
#32
○姫井伊介君 身体障害者の更生指導で最も大切なことは、病院から職場への中間補導施設だと思うのであります。即ち病院や療養所等において治寮を終了した者は社会に出てすぐ生活活動はできないので、更に医師の注意指導の下に極く軽い起居歩行動作から作業訓練、進んで職業補導に至るまで、同じ施設で一貫して組織立つた総合的な更生指導を受けることが必要だと思われるのであります。今回提出されましたこの法案におきましては、職業補導のことについては何ら触れられていないのであります。これは第二條第一項第二号にある必要な指導及び訓練の中に当然包まれておるのか、或いは又職業補導は全部労働省所管としてこの施設においては触れないで、その前の段階の作業訓練までを実施するのであるか、それでは誠に不徹底であるのでありますが、その点はどういうふうに処理されるのでありますか。尚、今度提出されました職業安定法の一部を改正する法律案の第二十六條の二との関係がどういうふうになるのでありますか。そのために職業補導のことは触れないでも実際の仕事はやつて行けるのかどうか。要するに治療のアフターケエアを全うするためにはどこまでも本人が中心でなければならない。それか行政上の分野に煩わされてはならないと思うのでありますが、以上の点を先ずお伺いいたします。
#33
○政府委員(木村忠二郎君) 只今の姫井委員の御質問誠にお尤もなのでありまして、今回國立身体障害者更生指導所を新たに設置いたしまして、從來から身体障害者に対しての更生のためにやつておりました收容授産施設というものの外に、新たにこういう施設を作ることにいたしたいというふうに考えましたのは、実に今姫井委員のおつしやいましたような趣旨に從つてやりたいというところであつたのであります。この身体障害者の職業補導につきましては、昨年の身体障害者の福祉に関する法律を研究いたしましたとき以來、十分研究いたして参つたのでありまして、厚生省といたしましても、労働省と、しばしば折衝を続けて参つた次第であります。その大要を大体申上げますると、現在医療その他社会的な援護面につきましては、厚生省が行いまして、職業補導の面は從來労働省がこれを行うということになつて、その点は所管がはつきりいたしております。從來終戰前におきましては、これらの問題につきましては主として軍事保護院の方でやつておりました関係から、一つの施設で以て一貫してこういうようなことをやるという建前を取つておつたのでありまするけれども、終戰後におきましては厚生省、労働省に分れまして、職業補導といつた面につきましては、これは労働省の所管ということになりまして、身体障害者の職業補導は、それは労働省でやる、その他の生活の援護或いは医療管理といつた面につきましては厚生省がこれをやるということに分れてしまつたわけであります。併しながら今お話がございましたように、身体障害者の中で本当に身体障害の著しいものにつきましては、医療が終了いたしましてもすぐに職業補導所に入つてやれるといつたようなものは極めて少いわけでありまして、只今お話がありましたように一定の期間業肢の訓練或いは作業の訓練といつたようなものを施さなければ、職業補導所の教習には堪え得ないという状況にあるのであります。又職業補導所に入り得るような者は、身体障害者といたしましては障害の程度が極めて軽いということになるのでございます。從いまして我々といたしましては、只今申上げました通りに、一つの施設で以て作業訓練から作業補導まで一貫してやるという施設がどうしてもなくちやならないというふうに考えておるのでございます。そこでこの問題につきましては、労働省と相談をいたしまして、当初といたしましては職業補導の中で身体障害者の職業補導、特に軽度のものは除きまして、或る程度重い身体障害者の職業補導につきましては、これはその権限を厚生省に移管したらどうか。そうして厚生省におきましては、そういうものにつきましては、一貫した施設で以て一貫した方針で指導するというふうにして行くのがいいのではないかというふうな話合をいたしたわけであります。併しこの点につきましては、労働省といたしましては飽くまでも職業補導は職業安定法の建行からいたしまして、是非とも労働省の所管となつておりますし、將來もそうしてやつて行きたいという強い希望を拂つておりまして、その点話合が付かずに現在までに至つたわけであります。この期間におきまして、この國立身体障害者更生指導所を作るにつきまして、労働省の方で職業補導の面はやるけれども、これは厚生省に委託してやる。厚生省の國立身体障害者更生指導所に委託いたしまして、そうしてそこで委託を受けて、ここで一貫してやる。從いまして職業補導面につきましては、労働大臣の監督には属しまするけれども、身体障害者更生指導所は一貫してやれるような建前にしたいというふうなところまで一應話が妥結いたしたのでありますが、その後いろいろな事情によりまして、本案を提案いたしました際には、その職業補導を委託を受けてやるという規定につきましては、これを削除するということの止むなきに至つておるわけでございます。これはやはり関係方面におきまして、労働省に職業補導が所管されておる以上は、飽くまでもそういう点は労働省がやるべきものであつて、厚生省に委託するという規定を設くべきではないという非常に強い意見がございまして、この規定が削除されたようなわけでございます。併し実際にやります上につきましては、労働省といたしましては、やはりこういうふうに一つの施設が一貫してやる必要は認めておりまするので、実際の運営といたしましては、労働省におきましても、この場時に併設いたしまして、職業補導所を設け、その職員については、その職員と申しますか、首脳は更生指導所の所長を以て充て、尚その下に職業補導の職員を入れまして、そうして実際には一貫してやるというふうにいたすことは差支えない、又いたすように協力したい。こういうことに相成つておるのでありまして、或いは若干困難な点があるかと思いますけれども、運営によりまして、その点が何とかなるのじやなかろうかと、一應考えておるのです。尚この機会にちよつと速記を止めて……
#34
○委員長(塚本重藏君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#35
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。
#36
○姫井伊介君 公共職業安定所の一部改正との関係を……
#37
○政府委員(木村忠二郎君) 今度の職業安定法の改正案によりまするところの職業補導所を、こちらの施設で以て附設することができるということは、先程も申しましたように、その規定によりまして、この指導所に職業補導所を附設いたしまして、そうして併設した上で、実際にはこの指導所の所長が、向うの補導所の所長になる。事実上一貫してやるという形を取り得るように、まあ現在のところではなり得るわけであります。我々の方といたしましては、附設する場合よりは、むしろこちらに委託して貰うという方が、一貫してやるには都合がいいと思います。附設いたしましても、絶対できないということはないのじやないか、ですから職業安定法の改正の方は、向うの施設をこちらへ併設するという行き方でありまして、私共が考えていたのは併設でなく、委託されて、一貫してやるという行き方にしたいと考えておつたのであります。
#38
○姫井伊介君 この問題につきましては、この施設の設置の趣意からいたしまして、非常に割切れないものがあるのであります。殊に患者の立場から考えて、私共はその患者自身の本当の更生を滑らかに進めて行く途の上に若干の疑問はあるわけですが、これは意見になりますから、後に譲ります。尚小さいことで続いてお尋ねいたしますが、第二條の第一号に、身体障害者の相談に應ずる、無論相談に應じなければならんが、相談に應じないでも、身体障害者があることを知れば、殊に民生委員等の関係もあるので、やはり親切にこちらから手を延べて、その施設を活用するようなことにまで働きかけなければならないのじやないか、從いまして、ただ相談に應ずるという受身だけの方向でなくして、積極的に更生を図つて行くということにつきまして、もう少し何かここに書きようがないかということが一つ、第四條に、國家公務員法その他の法律に別段の定めのないときはとありますが、これはどういう関係になるのですか。位置、名称、内部組織の後に、これが出て來ておりますが、それはどういうふうな関係になりますか、それをお尋ねいたします。
#39
○政府委員(木村忠二郎君) 相談に應ずるというのは、消極的に待つていて相談に應ずるだけでなく、積極的にこちらから出掛けまして、向うの相談を受ける場合も含んでいるつもりでありまして、身体障害者の更生指導所におきましては、單にそこに收容いたしました者につきまして、いろいろな指導その他の措置を行うだけでなく、窓口を設けまして、或いは出掛けまして、そうして相談をする。つまりこの施設に收容するのが適当であるかどうか、或いは他の上の施設に收容した方がいいかというような点につきましての相談というようなことが、この指導所においては非常に重要な部面に相成つております点を、ここに強調いたしたつもりであります。只今お話しがございましたように、消極的に待つておるだけでなく、積極的に出掛けて行くということも、この言葉に含めたつもりでおつたのでございます。それから第四條の國家公務員法その他の法律に別段の定めがないときは、というのは、何も大した意味がないのでありまして、先程山下委員の御質問の際にもちよつと申上げたのでありますけれども、当然これらの法律に規定があります場合には、厚生省令で定めることはできないのであります。例えば内部組織、運営の事項、或いは内部の職員の資格の問題、その他の点につきましては、当然ここに入つております個々の職員は、國家公務員でありますから、公務員法の規定によるべきであり、その他法律にこれの規定がありますならば、その規定に当然よらなければならないので、省令で定めることができないのでありますけれども、念のためにこれを書いただけでございます。原案にはなかつたのでございますけれども、関係方面の指示によりまして、この規定が入つておるわけでございます。
#40
○草葉隆圓君 大体只今の御説明で一應は了承いたしましたが、もう一つ念のために伺つて置きますが、謄写版刷のお配りになつたのと、昨日ですか、印刷して國立身体障害更生指導所設置法案となつておりますのとの、内容において、第二條の第二項が削除され、それから第四條が只今お話のように違つておりますが、これは第二條の第二項は「前項に規定する業務の外、厚生大臣は、必要があると認めるときは、労働大臣と協議の上、國立身体障害者更生指導所をして、労働大臣の委託を受けて職業補導を行わせることができる。」というのは削除になつておるわけであります。この点と第四條の只今の國家公務員云々の関係の点を一應伺つて置きたい。
#41
○政府委員(木村忠二郎君) これは何か手違いがございまして、最初の原案が印刷にされて出たものだございまして、司令部の承認があつたのは、謄写版刷の方が司令部の承認があつたものであります。
#42
○草葉隆圓君 それからもう一つ伺つて置きたいのは、以前に傷痍者保護対策審議会というものが厚生省に設置され、各府縣にもそういうものが設置されて、そうして各府縣に対して傷痍者に対する職業補導所を相当額を以て設置され、或いはされつつあつたのでありまするが、その関係とはどういうふうになりますか。
#43
○政府委員(木村忠二郎君) 身体障害者の保護対策審議会につきましては、今後もそのまま継続して参りたいというふうに我々は考えております。それは法によりまして設けられましたものではないのでありまして、こういう施設で以ていろいろ対策につきましての檢討も必要でありますし、又地方におきましては、実際にこういうもので以て指導するという必要があろうと思いますので、今後も継続して参りたいと思います。尚、予算的措置を以ていたしておりまするところの身体障害者に対する收容授産施設、これは現在十二ケ所全國に設置いたしておりますが、この方面はそこで授産を行い、生活の手段を得さしまして、併せてここで以て將來の自立の基礎を築いて行くという施設でございまして、只今更生指導所につきましては、それよりも更に高度な指導をしなければならない者を收容して扱いたい。尚そういうような施設に收容いたしまする者につきましても、ここで相談をいたしまして、その方に廻して行くようにできるだけして行きたいというふうなつもりでおるわけであります。尚、收容授産施設につきましても、將來もできるだけ各縣に多数作るようにいたさなければならないのじやないかというふうに考えておりまするが、今年は誠に遺憾でございまするけれども、新らしい施設は作ることが予算上できなかつたのでございます。尚これらの施設を法制化するかどうかということにつきましては、只今檢討いたしておりまするところの身体障害者の福祉に関する法律といつたようなものを今檢討いたしておりまするが、その際には是非ともこれらの只今お話がありましたような施設につきましても、法の基礎を持たせるようにいたしたいというふうに考えております。
#44
○草葉隆圓君 一つ速記を止めて御懇談を願いたいと思います。
#45
○委員長(塚本重藏君) 御異議ありませんね。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○委員長(塚本重藏君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#47
○委員長(塚本重藏君) では速記を始めて……國立身体障害者更生指導所設置法案に対する質疑をこの程度に止めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。
  ―――――――――――――
#49
○委員長(塚本重藏君) 次に、國立公園法の一部を改正する法律案の審議に移りたいと思います。先ず政府の説明をお願いいたします。
   〔委員長退席、理事谷口弥三郎君委員長席に著く〕
#50
○政府委員(淺岡信夫君) 只今議題になりました國立公園法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
 國立公園法は昭和六年四月一日制定せられましてからここに十八年を経過いたしました。その間十三の國立公園が指定せられ、その保護利用が図られて参つたのでありますが、法運営の結果に徴して、且又、現在並びに將來の國立公園行政の運営を円滑ならしめるため、天與の景観を國立公園として保護する面において、不十分の点を最小限補ないますと共に、その利用促進を図りますために必要な規定を追加する必要を認め、且は関係方面からの示唆をも考慮に入れて、ここに國立公園法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
 今回の改正案の主なる点は、第一は、受益者負担及び原因者負担の規定を加えたことであります。即ち國又は地方公共團体が事業を行う場合に、その事業で利益を受ける者がある場合、又はその事業を行はなければならないような原因となつた工事を行つた者がある場合には、その利益を受ける者又はその原因となる行爲を行つた者に費用の一部を負担させることが妥当である場合があり、且つかくすることによつて事業を行うことも経済的に容易となりますので、國立公園事業促進のため、他の類似の法律の例にならつて本規定を設けたのであります。
 第二は、特別地域内で「水位水量ノ増減ヲ來ス行爲」を制限し得るよう規定を加えたことであります。即ち最近の電力事情によつて水力発電のための水の利用が各所に計画されているのでありますが、ともすれば湖岸、河底等が露呈し、又は地貌の変化を招來する等、自然風景の損壊を來す虞れがありまして國立公園行政の面から、景観の損壊防止と水力利用との調整を図る必要がありますために特にこの規定を設け景観の保持に万全を期したのであります。
 第三は、特別保護地区を設定しこれが保護に関する規定を設けたことであります。即ち國立公園においては、自然景観の維持は大きな眼目であり、且つ、現在の世潮よりみてもこれが保護の徹底を期さなければ悔を後世に残すことになりますので、現在の特別地域の内で特に景観の傑出した所を特別保護地区として指定し、景観の損壊行爲を抑制して保護の徹底を期さんとするものであります。
 第四は、國立公園法の準用地区を設定する規定を設けたことであります。我が國においては風景のすぐれた地域が多く、これらを國立公園に準ずる区域に指定して、國立公園法の一部を準用し、その保護のため差当りの措置を講じますと共にこれら風景地の利用促進を図らんとするものであります。
 第五は、國立公園審議会に関する規定を挿入したことであります。即ち國立公園委員会に関する規定は、昭和十六年の改正において戰時中の委員会整理のため、法律から削除せられていたのでありますが、戰後國立公園法の民主的運営の必要から、昭和二十二年勅令による、國立公園委員会として復活し、今日に及んでいるのであります。從つて今回の法律改正に際して、國立公園審議会としてその職務権限を規定することにいたしたのであります。
 その他、特別地域に関し新たに補償の規定を設け、或は裁判所に関する規定を改める等、新憲法に伴う所要の改正を図り、又最近の情勢に合はせて罰則の限度を引上げたのでありますが、要は何れも保護利用の万全を期するためのものであります。
 以上簡單でございますが國立公園法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたしました。何卒御審議の上速かに可決あらんことをお願いいたす次第でございます。
  ―――――――――――――
#51
○理事(谷口弥三郎君) それでは続いて傳染病予防法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
#52
○政府委員(淺岡信夫君) 只今議題となりました傳染病予防法の一部を改正する法律案について提案の理由を説明いたします。
 我が國の傳染病対策は明治三十年に制定されました傳染病予防法を基幹として、コレラ、赤痢、腸チフス、パラチフス、痘そう、発しんチフス、猩江熱、ジフテリア、流行性脳脊髄膜炎、ペストの十種の急性傳染病の防遏を規定いたしましたが、その後この法律に準じまして、結核、癩等に侵性傳染病にはそれぞれ單行法が制定せられているのであります。
 爾來傳染病予防法は時代の進展と共に部分的改正が行われて参りました外、終戰後におきましては、右の十種の疾病の外日本脳炎を新たに指定傳染病として適用しておるのでありますが、最近の機構や制度の改革に伴ないまして、一部改正を必要とするに至りましたので、この法案を提案するに至つた次第であります。
 次にこの改正の大体を申し上げます。
 第一に最近衛生行政機構は保健所を中心として運営されておるのでありまして、從つて保健所の衛生行政上の責任を明確にするために從來傳染病の発生轉帰等の届出受理者は市町村長でありましたものをこの度市町村長を経由し保健所長といたしました。
 第二に防疫の國家的要請により、都道府縣に駐在させておりました防疫職員を地方出先機関整理の各議決定に基き防疫監吏及防疫医として都道府縣に委讓し、厚生大臣に傳染病予防上必要があるときは、これを指揮する権限を與えました。
 第三に地方財政法が昨年制定されまして國家と地方公共團体との費用負担を明らかにしました外、用語等の統一に伴いまして関係規定を改正いたしました。
 第四に昨年夏解散を命ぜられました衛生組合関係規定その他現在適用されてない規定を削除又は改正をいたしました。
 何とぞ御審議の上可決せられんことをお願い申し上げます。
  ―――――――――――――
#53
○理事(谷口弥三郎君) それでは先ず先刻御説明を頂きました國立公園法の一部を改正する法法案について御質問がございますならばお願いいたします。
#54
○草葉隆圓君 この國立公園法の一部を改正する法律案は、只今御説明にありましたように、当然の結果としての改正の要点だけでございまするから、他に御質問がなかつたら、直ちに討論採決にお入り願いたいという動議を提出いたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#55
○理事(谷口弥三郎君) 外に御異議もないようでありますから、それでは質問を終えまして、早速討論に入りたいと思います。
#56
○草葉隆圓君 討論を省略して、直ちに採決に入られたいという動議を提出いたします。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#57
○理事(谷口弥三郎君) 別に御異議もないようでありますから、それでは早速採決をいたしたいと思います。どうぞ本案に関しまして御賛成の方は御起立を願いたいと思います。
   〔総員起立〕
#58
○理事(谷口弥三郎君) 総員起立と認めます。本案は全員一致を以て可決することに決定いたしました。可決した本案に関する委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、予め多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑應答の要旨及び表決の結果を報告することといたしまして、御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○理事(谷口弥三郎君) 御異議ないものと認めます。それでは本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につきましては、多数意見者の署名を要することになつておりますから、本案を可とされる方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    草葉 隆圓  黒川 武雄
    小杉 イ子  姫伊 伊介
    今泉 政喜  中山 壽彦
    井上なつゑ
#60
○理事(谷口弥三郎君) 御署名洩れはありませんか……御署名漏れはないと認めます。
  ―――――――――――――
#61
○理事(谷口弥三郎君) 次に傳染病予防法の一部を改正する法律案について御質問がございましたならばどうぞ。
#62
○草葉隆圓君 この改正法律案は、提案理由の説明にもありましたように、衞生行政機構の改革に伴います点なり、或いは從來の防疫職員の都道府縣の駐在を廃止して、都道府縣に委讓します問題なり、衞生組合の解散に伴いますその他の問題なりについての当然の結果としての改正でございますから、他に御質問がなければ、直ちに討論採決に入られたいという動議を提出いたします。
#63
○理事(谷口弥三郎君) 只今の草葉委員の動議に対しまして如何でございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○理事(谷口弥三郎君) 御異議ないものと認めます。それでは質問を終りまして討論に移りたいと思いますが。
#65
○草葉隆圓君 内容を詳細に檢討いたしますというと、討論もないことと存じますので、討論を省略して直ちに採決に入られたいという動議を提出いたします。
#66
○理事(谷口弥三郎君) 御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○理事(谷口弥三郎君) 御異議ないものと認めます。それでは採決に入ります。傳染病予防法の一部を改正する法律案につきまして、原案通り御賛成の方は御起立願いたいと思います。
   〔総員起立〕
#68
○理事(谷口弥三郎君) 全員起立、本案は可決いたしました。尚、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑應答の要旨及び表決の結果を報告することとして、御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#69
○理事(谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につきましては、多数意見者の署名を要することになつておりますから、本案を可とされる方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    草葉 隆圓  井上なつゑ
    小杉 イ子  黒川 武雄
    姫井 伊介  今泉 政喜
    中山 壽彦
#70
○理事(谷口弥三郎君) 御署名漏れはございませんか。それでは法案の審議はこれで終ります。
  ―――――――――――――
#71
○理事(谷口弥三郎君) これから先日來派遣されて、あちこち御調査を願いました委員の方の派遣報告をして頂きます。草葉隆圓君。
#72
○草葉隆圓君 それでは御指名によりまして、去る四月二十八日から愛知縣、大阪府に現地視察に参りまして、その中心問題は母子保護対策及び各種社会事業團体の問題並びに人口問題というものを中心にいたしまして、あらゆる関係者の会同を求め、或いは実地に視察に参り、或いは施設を調査する等、あらゆる方法を以ちまして、参議院の調査團として独特な構想を以て、今回院議による趣旨の完結を期する方法を取つたのでございます。
 第一に、母子対策の問題につきましては、大阪、愛知縣とも、大体結論といたしましては同樣でありまするが、第一には関係未亡人その他の方々の会同を求め、その意見を徴しますると同時に、或いは母子寮なり、或いは関係しておりまする方面の実地調査をいたしまして、具さに現在の母子保護対策、未亡人対策についての核心に触れることにいたしたのであります。その結論といたしまして、第一には、生活保護法の改正、現在の生活保護法によりますると、扶助額が相当少額がありまするために、実際の生活には殆んど困窮の極度にあるのでありまして、從つて生活保護法による扶助額を増額するということが必要である。もう一つは、勤労收入により、授産收入によりたる收入を直ちに生活保護法の扶助額から差引いておりまするこの現在の状態を改めて、そうして差引くことのないようにして、できるならば更生資金、自力更生のための資金とか、一部はその方法で蓄積するとか、適当なる、実際の未亡人の生活に即應した処置を取つて頂かねばならんと、各地とも、又実際上の問題におきましても、その声が高かつたのでありまして、我我委員といたしましても、以上の点を痛切に感じたのであります。殊に愛知縣におきまする打合せ会等で、軍政部等の関係者の御出席等も求めて、いろいろと実際の状態についての調査をいたして参つたのでありまするが、結局現在の生活保護法は形式に流れておつて、從つて生活費は極く少額であつて、むしろ子供の多数を持つている未亡人に対しては、実際生活のできるだけの費用を支給せよ。三人、四人、五人を持つておる母親に授産所へ通へということが無理な話であつて、これはもうすでに授産所へ通わずに、いわゆる多数の子女を有する者は生活保護法の扶助だけで生活のできるようにして行かねば何にもならんのではないか。結局極端な例を以て或る人が申しておりましたが、生活保護法の扶助費も貰つておるが、それは本当の生活のぎりぎり一杯をそれで満たすということではなく、むしろパンパンを作るような状態にならざるを得ない現在の実情であるから、この実情を打開せねば駄目だということが強く一般的に叫ばれておつたのであります。この点は我々出張調査に参りました者が同樣に感じた点でありまして、從つて生活費を生活し得る限度に引上げ、殊に授産等は子女を多数持つている人には無理である。それから授産によつて得た費用を直ちに減額するということも実情に即せず妥当ではないから、この点は至急改むべきである。生業資金の現在の金額は誠に僅少であつて、実際の状態に即應し得ないので、ミシン一台も勿論買えない状態であり、殆んど実情に即應しない生業資金の給付になつておるから、この額を増額して欲しい。それから未亡人、子を持つた母の職業につきましても、職業補導を多角的に取上げて指導して欲しい。或いは未亡人を兒童福祉施設の職員として採用するような方法を取るために、看護婦なり、保母なりの養成をいたすとか、或いは又職業としての内職の斡旋、賃金の相当高いものを斡旋するというようなことを、相当統制ある方法で取つて欲しいというようなことが強く要望されておつたのであります。又授産所におきまする状態を調査し、且つ各方面の意見を総合いたしますると、私共調査に参りました委員といたしましても、先ず現在の授産所は大体において資材がなく、工賃が安く、誠に哀れな状態であるというのが大体の状態であつたのであります。從つて資材を斡旋し、工賃が、少くともこういう公共的な事業であり、社会事業でありまするために、税金等が免ぜられておりますに拘わらず、一般の工場の六割以下であるという状態でありますから、これは結局もう少し工賃が上つて來るような方法も相当取つて來ねばならない当面の急務であろうと存じたのであります。そうしてこれも全く授産に対する行政の不統一が一つの原因になつておるのではないか。從つて授産行政に対する行政の統一を取つて來るという方法を構じなければ、この問題は解決は困難であろうと感じたのであります。未亡人の問題といたしまして一つの大きな問題は、子供の教育の問題でありまして、この教育の問題につきましては、未亡人は異口同音、將來を案じながら何とか育英の制度の確立、殊に義務教育である新制中学校までの程度においてでも月々相当多額な費用を要する状態であるから、この義務教育の場合においては、未亡人は学資を負担しなくても十分勉強のできるような方法を取つて欲しいというのが強い要望であつたのであります。且つ又それ以上の高等教育を受けます場合には、現在の育英会の事業をもつと拡充強化されて、そうしていわゆる上級学校に進み得る能力ある者に対しては、國家がさような途を開いて欲しいという要望が強かつたのであります。保育所、託兒所の増設並びにその時間の延長、母子寮の増設、それから更に庶民住宅が本年度も政府事業として相当できるのでありますが、その二割程度を未亡人のために一つの枠を設けて、そうして未亡人の住宅問題の解決に是非資して欲しいという意見が相当強く出ておるのであります。又兒童厚生施設といたしまして遊戯場なり、遊ぶ所とか、或いは保育をしながら、運動をしながら子供の遊ぶ所なりというようなものを、もう少し文化的に、兒童福祉法ができか機会に、今後政府は参く指導しながら設置して欲しいという意見が相当強く出しておつたのであります。
 更に、政府は生活保護法の適用者以外の者に対して、病氣になつたときに、健康な間は適当な仕事があつて、子供も母親も健康である場合には適当な仕事があつて收入がある場合には心配がないが、畜えが一つもないので、病氣になつたときには忽ちに困つて來るから、從つて生活保護法の適用者でなくても、未亡人に対しては生活保護法の医療だけは一つ適用さして欲しいという意見が出ておつたのであります。その外に母子の町を作る、或いは母子寮その他を地方だ作る場合に國庫補助をお願いしたいという意見でありました。最後に、未亡人の問題の解決にはどうしても未亡人自体が奮起をして、自覚をしてやつて行なねばならないから、その奮起自覚をする一つの基本として、未亡人会の市町村における結成、更に都道府縣における結成、更にこれを強くした一つの全体的の結成という段階まで進んで來なければならないので、この未亡人会の結成ということについても、未亡人自体、その他関係者自体も痛切に感じておるから、そういう方面に対しても十分政府なり、國会なりに強力に援助して欲しいという意見であつたのであります。又税金の問題につきましては、夫を持つておる妻は税金の対象からは控除されておる。然るに夫が死んで自分一人で働いておるときは当然そういうことは考えられないで、夫と同じ立場における納税の義務を負わされておるということは誠に苦痛である。又地方税にいたしましても同樣な状態であるから、未亡人に対しては税の減免という点について可能な方法を考えて頂きたい。供出の問題においても農村における未亡人は、同じ耕地を同じ反別をいたしておる場合において、男子と比べて、男子程の力と、それから体力とがない。又子供を育てて行かなければならんという、いろいろな惡條件があるから、供出の場合においても、未亡人に対しては供出の減免という点について相当政府は考慮して頂きたい。且つ最近の経済情勢においては誠に精神的に困つて、精神的な最も弱者になつておるから、こういう点につきましても、全國的な母と子に対する一つの國民的な運動を起して頂きたいという意見が強く出ておりました点を御報告申上げます。
 次に、各施設を視察いたしましたが、こういう点につきましては、いずれも報告書に詳細御報告申上げる予定でございますから、それによつて御了承を願いたいと思います。又團体統合の問題につきましては、これも地方によりまして強い意見がありまして、具体的に申上げますると、すでに済生会というようなもの、明治四十三年、明治天皇が他に医療の道なき者の天壽を全うする意味においてなされた御下賜金を元にして作られた済生会という医療機関も恩賜財團であるが、現在では殆んど無料診料というものをいたしておらずに、普通の診料機関と同樣であるから、かようなものはすでにその使命を終つてしまつたのであつて、從つて或いは赤十字或いは済生会というようなものは、別々に嚴然として置く必要はないのではないか。済生会等はすでに本部と支部との関係においては、大した金銭的な経済的な援助関係もなくなつておるということであります。それから同胞援護会におきましても同樣であります。本部と支部とにおいての経済的な関係もなく、又同胞援護会自体もすでにその使命は一應達したから、今度は現段階における社会の実情に即應した施設として切換えて行うべきであるという意見が相当強くありまして、殊に大阪では一つの構想として、こういう團体を全部一本にしてしまつた協議会というものを作つて、そうしてできるならばその協議会の中に全部をコンクリートしてしまつて、そうしてそこから一つの事業別に発生する社会事業というのが、今後新らしく出て來るべきものじやなかろうかというような構想を以て、すでに関係者が集まつて進んでおる状態であつたのでありまして、これは誠に一つのいい行い方ではなかろうかと存じます。問題の中心は、共同募金の現在のあり方であるという点であります。これはどこの縣もさような意見が出ております。共同募金の事業体というものは、全然違つた一つの共同募金の機関ができて、そうしてそれによつて社会事業は配分を受けておる。從つて今後社会事業が生きるためには、共同募金の御機嫌をそこねては全然駄目になるというような状態でありますので、共同募金の今後の行き方ということについても、強い批判を各地ともしておつたのであります。この点につきましても、報告書等で詳しく一つ御報告申上げて置きたいと存じますから、御了承を願いたいと思います。
 その他團体といたしましては、或いは民生委員連盟、或いは社会事業協会その他の点につきましても同樣、現在の戦後の日本の実情に即應したような編成替えをすべきものであるというのが、私共の參りました各地の実際の意見でありまして、むしろそれが中央本部によつて逆な現象を來して、それができないような状態になつておるから、早くさような方面に國会等が進んで頂きたいということでありました。
 人口問題につきましては、大阪を中心にしまして、相当突つ込んだいろいろな意見が出ました。これも一々ここで御報告申上げることは、他の委員から御報告がありましようから、私から御報告申上げる煩を避けまして、報告書を作成いたしまするので、どうぞそれによつて一つ御熟読を願いたいと思います。
 要しまするに、今回の現地調査は、参議院の厚生委員会といたしまして、独自の立場からそれぞれ從來と違つた調査の方法を取りまして、本当に問題の核心に触れながらその解決の実体を掴んで行こうというので、各委員晝夜兼行で勉強して参つたような次第でございます。以上御報告申上げます。
#73
○理事(谷口弥三郎君) 次に、中平委員に廣島縣の御視察の模樣を御報告願います。
#74
○中平常太郎君 それでは第二班の廣島縣の調査報告を申上げます。
 第二班は岡山縣と廣島縣でありましたが、岡山県の方は姫井委員から御説明がある筈であります。廣島縣は廣島市の原爆惨禍によりまして、終戰の動機となり、或る意味において更生日本の生みの親とも評すべき極めて大切な縣であり、從つてその市民の惨禍は母の生みの苦しみとも解すべく、今や世界如何なる國においても廣島市を知らない者はなく、又これが復興は、將來の平和のシンボルとして深い意義を持つていること申すまでもないが、我我議員がその廣島縣の更生問題を調査するに当つて、かかる心構えの下に限られた問題について調査をした次第であります。我々の調査の目的の範囲においては、空前の惨禍の跡であるから如何やと懸念したのであるが、案外よくできている。國への要望として五〇%補助さえあれば、縣は断然各種の施設を敢行せんと予算なども予定しているが、本年は大削減になつたので、実現できないことは同情に堪えないのであります。廣島縣のごとき特殊の縣に対しては、政府はこれを卸し並みに取扱わないで、十分予算の割当をなすべきであると思うのであります。廣島縣の生活保護の実態は、大体被保護世帶は一万七千七百世帶であり、その数は四万二千百三十二名であつて、縣民の二・一%であります。給与金額は、一ケ月に廣島縣は二千二百三十八万円程給與金額を出しておりまするが、これを四人家族の一ケ月にいたしますと、二千百三十一円でありまして、一人が一日十七円七十六銭の生活保護費が出ておるのでありまして、又先程草葉委員が報告された通り、これでは到底生活はできない。一人が十七円七十六銭の計算にしかなつておりません。これは次官もお見えになつておりますから、よく覚えておいて頂きたいと思います。民生委員の現在数は四千三百八十七名でありまして、中に婦人が一千二百二十名であります。これは全國では愛知縣に次ぐ婦人委員の多数縣であります。引揚者等に対して出しておる、困る者に出しておる生業資金は、現在五千四百万円程出しておりますが、これらの貸付の状態は順調でありまして、返還が五〇%見込まれておりますが、そういう程度でございます。住宅の問題といたしましては、引揚者が二十二万三千三百七十一人ございまして、これが十四万一千四百六十五世帶、元の軍人が五〇%、一般が五〇%でございます。そのうち住宅の必要な家庭が現在一万四千二百六十二世帶でございます。廣島縣における住宅問題は、ただに厚生問題のみならず、建設省において特別な積極的な考慮を要するものと我々は考えた次第であります。
 社会事業團体といたしましては、恩賜財團同胞援護会の廣島支部、これがございますが、各地方事務所ごとに支会、或いは分会を設置して委託施設、或いは法外援護等に活動しているが、現在本部職員が十三名で、予算も千四百万円ぐらい持つており、又共同募金は百四十五万円配付を受けておりますが、事業施設も廣島縣において三十二施設持つております。それで他縣に比しまして同胞援護会の施設の大きいことは、廣島縣は割合に同胞援護はよくやつております。
 それから廣島縣の民生委員連盟は自主的啓蒙或いは連絡、統制機関で随時協議会、講習会、座談会等をやつておりまして、民生事業に対しましては模範地区を二十二ケ所作つて、そして民生事業の推進を図つていることは大変結構なことだと思つております。廣島縣の社会事業協会は縣の知事が名誉会長になつて、参議院議員の山下義信君が会長でありまして、各層の有志、有力者が三百六十名ぐらいで構成されておりますが、これは事業といたしましては、府中の靜和園でいろいろな事業をやつておりますが、似島学園、これは養護事業でありますが、この二つを持つております。これが二十三年度の予算では、施設の予算は別といたしまして、百七十二万円であり、共同募金は八十九万円の配付を受けております。今度本協会では山陽記念館を社会館にするために三百万円を投じて着々建設中でございます。誠に有意義な仕事をしておるように思われます。引揚者対策の專門委員会などもあるが、主として今申上げた三つの團体が主たる社会事業團体でございます。
 兒童福祉委員会の方は四つの專門部会に分れておりまして、相当福祉委員会は活動いたしております。兒童善導部会、同じく施設部会、同じ母子保護部会、同じく浮浪兒対策部会ができています。兒童相談所は三ケ所しかございませんが、いずれも多忙であるということであります。廣島の母子寮は同胞援護会の委託経営でありまして、六十三世帶、百八十九人收容しておりますが、先日來新聞にあつた内紛事件があつたのでありまして、愼重に調査いたしまして、二回未亡人会を開きまして、入寮者の意見なども時間をかけて調査したのでありますが、眞相が大体半明いたしました。内部の設備は誠に不完全であつて、人事その他幾多改善を要する点があり、縣並びに市において十分善処するとの確信を得たので、今後の施策を見ることにいたしました。これに対する感相はあとから申上げます。それから光の園、カソリック教会の経営の光の園は孤兒院、五十人收容しておりますが、その規模は設備模範的で、誠に清潔であつて、豊かな宗教的雰囲氣の中でひがみのない純眞な発育を念としておられます。似島学園は戰災浮浪兒の施設でありまして、入園者は百五十二名、廣島縣社会事業協会が経営いたしております。元軍部の火藥庫の所在地の建物を改造したものであつて、土地は七万坪、寮並びに学校経営は相当事績を挙げている。授産としては木工、建築、漁業、農園、養豚などである。廣島市のごとき特殊な事情のある土地においては、似島のような、土地も廣く発展の立地條件の良好な学園は、よろしくこれは國立にして十分設備を行い、廣く且つ理想的に孤兒、浮浪兒の学園として活用すべきであると委員一同は考えた次第であります。戰災兒育成所、これは山下義信君の経営でありますが、入所兒は八十五名で、土地は二千五百坪、建坪四百五十坪。ここはさすがに山下君が高遠な理想を織込まれ、人所兒に一切ひがみ根性を起さないように中流家庭の兒女の養育に準じて、起居飲食等に注意を拂われ、殊に同氏の御家族子女を孤兒と一緒に寢食せしめておられることは誠によいことであると思うたのであります。予算は一ケ月三十万円くらいで、共同募金は四十五万五千円の配付を受けておられる。廣島縣の社会事業の施設は現在百七十四施設ございまして、特に二十四年度において急施を要するものとしては養老院、浮浪兒の收容所、母子寮、引揚寮、保育所、助産院等は絶対に必要であつて、從つて一施設でも今年度厚生省は特に考慮をいたさるべきであると考えております。又日赤の廣島支部は全國的に有数な支部であつて、活動の分野も廣く、組織もがつちりとして利用者も多く、原爆当時職員の死亡が五十一名、人院患者が五名、負傷者は職員が二百五十名、患者が百九名、建物は全燒又は破壞、備品燒火等、目も当てられん中に一般救助に努力し、又一方鋭意復旧に努められた、病床は二百五十九であり、入院外來は大体平均八百名程度であります。看護婦養成所は五十名くらいでありまして、目下看護院として施設の拡大を申請中であります。ここで指導者階級の座談会を開き、原爆による妊娠並びに出産率、或いは放射能の影響、又人口問題、社会事業團体等の状況を調査報告を受けました。ABCCCドクター鈴木氏、これは二世でありますが、わざわざ臨席されまして、原爆の影響の調査研究のための米國の大規模な方策の一部を聽取いたしました。原爆影響研究所、この原爆の影響の研究については、この研究所を中枢として米國側で眞劍に調査が進められ、各種の機械もすでに据付けられ、廣島、長崎、佐世保の三ケ所より同じ種類の條件のものを各般に亘つて蒐集、例えば一定年齢の同程度の少年の普通状態と被爆、或いは放射被害者の発育、智能、生理方面、或いは被爆物質の変化、生物のその後の発育状況、妊娠並びに出産率等、廣く且つ恒久的に調査研究するので、米國よりと日本よりと約百人くらい專門学者、技術者を集中する。その宿舍等多額の経費を投じてすでに計画進行中であります。設備等を見学したが、まだ我が國にはないような機械が多数で、大掛かりなものである。多数の犠牲者を出して試驗台になられた廣島こそ誠に同情に堪えない次第であります。駅前の大火災の跡を視察して罹災者などより復興に関する陳情を聽取した。重ね重ねの不幸で同情に堪えない次第である。厚生省はできる限り、これが復興並びに生活困窮者等に集團を対象しする方策を講じられたいと思うのであります。
 ここに私が痛切に感じたことは、母子寮とか、收容所とか、各種の社会施設について、その根本理念というか、心構えというか、これがややともすると旧來の慈善事業観念を脱していない。経営の側と、即ち治者と收容者、即ち被治者との関係に置かれておる傾向が強い。これは全く根本理念が間違つておると思う。元來憲法二十五條によつて、健康にして文化的な生活を保障されておる建前から申しても收容は慈善的ではない。或る意味において対等である。又経営者は世話をするのみである。であるから入寮者に対しては、その一般に必至な経営上の取締りの大綱は必要であるが、成るべく入寮者の自由自治を認めて行くというように運営すべきである。この点が官僚式になつたり、封建的になつたりすると、入寮者に不平を生じ、又反対に行き過ぎるくらいまでに反感を釀成するものである。この点は各方面、各施設において、特に根本理念として留意すべきであると痛感した。この点については厚生省においても何らか啓蒙というか、指示というか適当な処置を取られたいと思うのであります。
 右のような次第でありまして、報告書にはもう少し詳しく書いてありますけれども、時間の関係がありますので、口頭報告はこの程度に止めて置きます。要するに実際全國にあるところの施設の中に入つておる者と施設の経営者との間が、官僚的になることがこの事業の振興上に非常に障害になる。入る者に決して卑屈な感を持たすべきではない。対等であるということの観念が経営者の側になければならんということに対しては、このままではいけない。厚生省において何かの処置なり、指示を與えらるべきであるということを申上げたいと思います。右御報告申上げます。
#75
○理事(谷口弥三郎君) それでは午前はこれを以て休憩いたします。午後は一時半から再開いたします。
   午後零時十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時四十二分開会
#76
○委員長(塚本重藏君) 午前に引続き委員会を開会いたします。報告の引続といたしまして、姫井委員から視察報告をお願いいたします。
#77
○姫井伊介君 院議によりまして、社会事業團体の地方組織及びその事業状況等調査のため中平、谷口両委員と私の三人に草間專門員並びに齋藤委員部主事を加えた五名を第二班といたしまして、四月二十七日午後出発、二十八日午前岡山着、予定の通り岡山縣、廣島縣及び大阪府の調査を終り、五月三日帰着いたしました。今私はそのうち岡山縣におけるものにつき、主なる見聞事項を調査要目に從い以下簡約御報告申上げます。
 調査は施設による分担とせず、府縣担任といたしましたから、若干他の報告書と重複するものがあることを御了承願います。行政状況や團体施設等の内容の詳細は時間の都合上別册の資料に讓ることといたします。調査行程は、縣廳における座談会で縣状並びに関係諸團体の概況聽取の後、岡田厚生館、岡山市役所、仁愛館、少年の丘、日赤病院、聖む愛子会を巡訪して、二十九日午前廣島へ向つたのであります。
 一、社会事業團体の地方組織及びその事業状況、ABCに小分けをいたします。
 A、日本赤十字社岡山支部、災害救助の機構、設備、物資及び資金の整備充実に努力しておるとのことであります。尚日赤本社における今一段の民主化を望むとの話がありました。
 B、済生会岡山縣支部及びその病院、医療扶助、健康保險の外、生活困窮者を優先的に診療して、料金を取つておるいわゆる有料患者も料金の二割引をいたしております。併し設備不完全なため法定の基準に達しません。現在医師七名、看護婦七名、收容患者三名に過ぎません。独立採算のためには経営が困難であります。一方都市計画上移轉改築を要するから増築にもかかれないという状況であります。縣の支部とは財政的関係が切断されてその交渉は非常に薄くなつております。ここでの要望は、病院の移轉と整備に要する建設費に対し何らかの方法による國又は縣等の補助或いは低利資金の融通を希望いたしております。設備が整備すれば独立経営は可能ということであります。日赤との合併につきましては、むしろ希望をすると言つております。
 C、岡山縣共同募金委員会、二十三年度の目標額は二千百万円で、應募額が二千四十八万円、九七%強であります。應募金に対する課税免除を希望しております。
 D、同胞援護会岡山縣支部、経営施設は十三持つております。財源に困つておりまして、僅かに共同募金の配分金で命を繋いでおる状態であります。從つて賣い食い状態にある。あと維持が一二ケ年間だと悲観しております。この際改組建直しについて苦慮しておるとのことでありました。要望といたしましては、一、國有建物等を私設社会事業團体へ無料貸付されたい。二、資金を得るため免税興行、宝籤発行を許し、維持会員の釀金制を認められたい。
 E、岡山縣民生委員連盟、民生委員と兒童委員との兼任は支障がない、司法保護委員とも兼務が望ましい、公職者との兼任ができないので、地方では良い人物を失う憾みがあるとのことであります。
 F、岡山縣社会事業協会、これは意見を聞く時間がありませんでした。
 G、岡山縣増産場連盟、施設といたしましては、縫製施設これが二十一、これは資材不足で経営困難。木竹工施設九つ、これはかつかつやつて行ける。その他十四、会計四十四でありますが、外に小さい施設を加うれば七十六になる。現在收容者は千百六十八名、これも経営が困難で資金は借入金五十万円いたしております。共同募金の配付金三十万円、二十三年度は損失を十七万円出しております。要望、一、授産事業法の制定、二、授産施設資金の融通、三、授産事業用資材の確保。
 H、岡山縣兒童福祉施設協議会、これは二十三年十月に設置いたしました自発的のもので、厚生施設は百程あります。事業は一、兒童問題並びに兒童文化厚生施設の調査研究、二、兒童問題についての資料情報の提供及び交換、三、兒童福祉増進について研究、講習、講演会等の開催。四、兒童福祉施設從事者の資質の向上並びに福祉の増進。この協議会は他の社会事業團体と分派対立の途は取らない。將來これらの事業を推進して呉れる適当な團体ができるならば、直ちにそれに合流するの用意があると申しております。要望一、兒童福祉施設最低基準の早急完備のため、必要な費用の補助及び資材の配給。二、保姆養成所の設置。三、保育所の増説。
 以上で調査報告の一を終りまして、今度は二に移ります。
 二、医療並び社会事業関係收容施設の運営状況並びに被收容者処遇の実態。この二項の調査事項中、前の第一項で触れたものは除きます。
 A、少年の丘、これは教護院であつて、岡山縣成徳学校に保護兒童收容所を併設したものでありまして、いい位置、いい施設であります。家庭、学校、社会の三味一体的経営方針の下に家庭教養、学校教育、職業指導を行い、医療保險施設を加えたもので、ますます一層の完備に努力が拂われております。即ち兒童の教護も事業の経営もよく行われております。現在收容兒二百五十八名、栄養はいずれもよろしい、それは食糧が一般配給の外若干の加配がある。ララ物資や婦人会等からの慰問品がある。開墾した農耕地も一町歩に及んで栄養士をも置いておるからであります。兒童の逃亡は約十五%であります。職員は縣職員待遇でありますから、他の学校に勤めておつた適当な教員を採用する場合に、國家公務員法による待遇者が縣職員待遇になりますから、給與額を下げなければならない。併しそれでは氣の毒だから何かの方法で給與の実額を低下せしめないようにしなければ、今まで他におりました他の職員との均衡を失する矛盾が生じて來る、この辺の調節については適当な考慮が願いたいということであります。要望、
 一、最も浮浪性の強い兒童收容のため、地方に國立教護院が設置されたい。
 二、折角の教護が無駄になるから、退院兒童に対する社会の受入れ態勢が用意されたい。
 三、寮舎三棟と教室三室の増築、水道設備と運動場の完備、共同炊事場の改備が望しい。
 B、仁愛館、岡山市立の母子寮で保育所を附設しております。主として戰災者、引揚者中の不遇母子收容施設であります。事業は聖心愛子会が委託を受けておりますところのカトリック教のシスターが中心で働いておりますので、非常に整頓し、且つ清潔であります。
 C、日本赤十字社病院、病院は、岡山、玉野の二つで、両方併せて病室四十八室、收容者の現在人員九十七名、うち生活保護法による者が二十六名、岡山病院は戰災に遭つておりまして、建物も以前程でありません。経営は黒字であります。要望は一、災害救助用物資及び救護員用の被服の増配。二、引揚列車乘務救護員の乘車賃無料、又は半額割引扱い。これはちよつと附加えますと、二十二年度における姫路、岡山間の引揚列車のうち救護六十二回、救護人員が四千四百九十二名、救護職員述べ百二十五名でありますが、これの旅費に困る。從つて今のような無料若しくは割引扱いを希望したい。三、病院復興建築資材の優先的割当。四、病院患者用寢具、繊維製品類の配給。五、性病治療費の補助がないから、民生委員が診療券を出しても治療が受けられない患者は縣立病院へ送らなければならない、患者も病院も共に困る、そこで適当な措置が講ぜられたい。
 D、聖心愛子会、先に仁愛館の委託を受けておりますカトリック教の團体の経営であります。乳兒院と養護施設を兼営しております。戰災者、引揚者孤兒、捨子等現在乳兒十七名、養護兒百四名、施設、設置もよく整つて清潔であり、養護も徹底しております。
 調査要目の第三、岡山縣岡田厚生館における事項であります。これは浮浪者收容施設、例の問題が起りましたが、その起りました起因として考えられまするものは、
 一、浮浪者を過度に收容したこと。問題発生当時の收容者は、男二百二十六人、女四十九人、計二百七十五名で、疊一疊に一人三分の割合であつたのであります。
 二、給食事情がよくないこと、事務費不足のため保護費の一部を事務費に流用したために一般配給限度の給食事情は一層惡くなり、栄養失調者も多かつたのであります。
 三、衛生的処遇がよくないこと、寢具の不足、入浴回数が非常に僅少である。診療が不十分である、清途が不徹底である、皮膚病や性病、結核患者が非常に多い。
 四、部長、班長制度を設け、ボス的関係を生ぜしめたこと。部長には当時手当を支給しておつたとも言われております。
 五、監禁的処遇の下に虐待的行爲さへ行われたこと、当時逃亡者は毎月平均五人強、毎亡者が毎月四人弱。
 六、收容者の素質にもよるが、管理指導者側にも難点がなかつたでもないこと、現在の状況は在館者が九十六名、生活扶助費が一人一ケ月平均千百五十円、逃亡者は一日平均一人、死亡者は八日に一人の割合、食事は朝と夕食が雜炊でありまして、海軍食器一杯、米麦七勺ぐらい、晝食が普通食で米麦一合二勺、誰でも闇生活なしには生きられない今日、在館者は一般配給のみで闇買いはできないし、耕作地がないから、補足もつかず、配給主食の種類も平均化されていないから、食事事情は相変らずよろしくない。診療も不十分、病院に送ろうにも病院でも收容力がなく、患者を受入れて呉れないことがある。管理のためには室長制度をとつている。監視は解いた、從つて逃亡数は幾らか増して、地方的には不満の声があるらしく、岡山駅には浮浪者が増したと言われております。授産の成績は挙つておりません。鼻緒、大工仕事、精米等であります。日雇仕事も思わしくなく、働き口が少い。要するに、
 一、場所が奧地過ぎるから授産上にも、就労上にも不利である。
 二、敷地が狹く、相当の農耕地がないから勤労作業上にも、食糧補足上にも便宜がない。
 三、地勢的還境がよろしくない。保健上、教化上、慰樂上適当でない。
 四、建物、設備、共に不十分である。
 これらの点から、現在延百十坪の收容室が新築中であり、浴場、洗濯場、炊事場の増築、既設建物の改造修理も行われんとしておりますが、根本的に場所がよくないのだから、徒らに貴重な金と物と力を泥中に投げ込むようなもので、とても十分な改善の期待はかけられない。給食、診療、授産、就労強化の便宜を増して、更に逃亡の防止に資するためには、いつそこの際適当な場所に移轉、改築することこそ最も賢明、妥当な措置ではあるまいかと思うのであります。
 四、縣廳における座談会。
 A 生活保護法による保護の実態要望だけを挙げます。
 要望一、生活扶助額の増額。二、女子の扶助基準額増額。これは勤労婦人の実際生活に即するようにして貰いたい。三、基準額算出表及び認定基準表の区分の簡單化。四、市町村長で支給し得の扶助費を基準額まで引上げること。五、一時扶助の基準額引上。六、生業扶助の基準額引上。七、民生委員取扱事務の簡單化。八、民生委員用自轉車、地下足袋等の有償配給。
 B、未亡人の現況並びに保護対策。現況の詳しいことは略します。現在收容保護者は四十世帶、これは母子寮三ケ所に收容しております。然るに尚收容を要するものが二百二十世帶あるのであります。対策といたしまして、一、母子寮の増設、これには成るべく保育所及び授産場を併設すること。二、乳幼兒保育所の増設。三、婦人職業補導施設の設置。四、婦人授産施設の設置。五、育英資金の給貸與。六、生業資金の貸與とその増額。七、生活保護費の増額。八、職業補導又は授産期中の特別手当給與。岡山縣では保育所五、六十ケ所の設置を要望しておりまして、地方の予算は成り立ちますが、國庫補助がないから辛うじてその十分の一ぐらいしか設置できないと言つております。岡山市では保育所併設の母子寮、二十五世帶、九十五名收容のものを予算四百万円で計画し、國庫補助を要請しております。併し國庫補助がないからどうにも方法がつかない、いずれもそういうような声が漲つておるのであります。
 以上に対して私の意見、感想は差控えまして、報告を終ります。
#78
○委員長(塚本重藏君) この機会に、私からも草葉委員が報告になりました点で、私暫時の間席を外しておりましたので、十分拜承しておりませんが、草葉委員が大阪の調査中暫く調査の一行から行動を別にせられた期間がありましたので、その間における事柄を少しく報告に附加えて置きたいと思います。
 先ず第一番は社会事業團体の整理統合並びにその施設の運営状況に関する調査目的に関してでありますが、日赤並びに済生会病院、或いは社会事業協会、民生委員連盟、それぞれの團体の事柄については草葉委員から報告に相成つた通りであります。ただ大阪におきましては、これらの團体が、本委員会が目途といたしておりまするような事柄に早くから氣を留められまして、何とか新らしい時代に即應する社会事業の施設の整理統合をしなければならんということが、それぞれ関係者の間において話題に上り、研究が進められ、相当な結論にまで達しておるとの報告を受けました。そうしてその結果といたしまして、中央團体との繋がりについては愛知縣における事情と大体大差はないのでありますが、大阪府下におきまする各社会事業團体施設等の統合につきましては、一つの成案をすでに立てられておるのであります。即ち大阪社会福祉協議会というものを設立し、そうして最後に述べます大阪社会事業協会、大阪府民生委員連盟、大阪市民生委員連盟、衞生都市民生委員連盟、大阪同胞援護会、大阪市市民援護会、大阪府兒童福祉協会、大阪府海外引揚援護会等は、この社会福祉協議会の設立によつてそれぞれ円満に自然解消に持つて行つて統合すべきであると、こういう結論に到達せられておるとのことであります。これは社会福祉は一般住民の問題であつて、特に関係者が民主的に協力する新らしい機関が必要である。それから社会福祉に関する計画は、これは民主的の協力機関において廣く各方面の要求を調整して作成する必要がある。更に又社会福祉に関する計画は共同募金の分配にも反映する必要がある。今日の民生委員並びに兒童委員と社会福祉施設の連絡を強化する必要がある。こういう必要性からこの社会福祉協会なるものを設立しよう、こういうことの結論のようであります。そうして社会福祉協議会の組織といたしましては、この中に協議会と、專門委員会と、理事会と、事務局というものを設けて、そうしてそれぞれ所要の運用を図つて行こう。こういうようにすることがよいのではないかということに大体各関係者の間のすでに了解が或る程度まで進んでおるようであります。たただ愼重を期してこの問題を本当に良きものに仕上げるために、適当なる人と適当なる時期とを今考慮している状態であるという報告を受けたのであります。これは私共といたしましても、日本の今後の社会事業團体並びにその施設のあり方について非常に示唆を與えるものと考えた次第であります。
 それからもう一つは人口問題に関してでありますが、大阪府におきまして、大阪府の議事堂でこの問題について懇談会を開きまして、各方面の関係者、今村阪大総長を始めといたしまして、約三十名の方の出席を求めまして、いろいろ懇談をいたしたのであります。人口問題については、詳しい報告は省略いたしますが、我々非常に嬉しく感じましたことは、大阪府におきましては、すでに我が國の人口問題が非常に大事な問題であつて等閑に附することができない。從つて大阪府自身においても大阪府の人口問題対策を樹立する必要があるというので、大阪府並びに関係者の間に人口問題懇談会というものが今年になりまして早々に開かれたのであります。その人口問題懇談会というものが発展いたしまして、今日では大阪府人口問題対策審議会なるものができ上つておるのであります。これは今村阪大総長を会長にいたしまして、非常な活?なる活動を始められております。そうして大阪府下に四十箇所の優生結婚相談所というものを設け、府立の保健所二十ケ所の外に大阪市立の保健所十二ケ所、堺市立の保健所その他旧來産兒調節優生相談所が七ケ所ありました。これらのものを加えまして、四十ケ所の優生結婚相談所というものを設けて、そうして受胎調節、人工妊娠中絶を含めるところのいわゆる優生問題を積極的に取上げて行こうということで、五月一杯を準備期間といたしまして、五月中にそれぞれ所要の準備を整え、予算を以ちまして六月から実行運動に入るということになつて着々その準備が進められておる、こういう報告を受けました。そうして大阪におきましては、中央においてもこの問題をできるだけ早い機会において適当なる対策を國として持つて貰いたいという、こういう強い要望があつたのであります。
 それからその次に今度の視察の中の一事項でありまする社会事業施設の不正事件の内容調査でありますが、私共の班の仕事といたしましては、堺の脳病院における不正事件を調査することが使命の一つであつたので、そこで堺脳病院の事件の経過について一應御報告申上げて置きたいと思いますが、堺脳病院は浮浪者を收容いたしておりまして、その浮浪者の收容に絡んでいろいろの面白くない問題が起つたのであります。何故堺の脳病院に浮浪者を收容したかといういきさつでありますが、これは終戰後大阪府の駅前に沢山な浮浪者が蝟集しておりまして、その数が夥しいものに達したのであります。府及び市及び警察は軍政部の指揮の下に收容に努めましたが、浮浪者は激増する一方で、軍政部からは大阪市内から浮浪者を一掃するようにという嚴命がありましたが、戰災を免れたそれら社会事業施設内はすでに満員の状況でありました。ところで生活保護法による保護機関であるところの大阪市は、そこで止むなく臨時的な應急の措置といたしまして、軍政部の了解の下に且つ大阪府衞生部の承諾を得まして、病人の浮浪者を府下各代用精神病院の空病室に收容することになりましたが、このときに堺脳病院にも昭和二十二年一月から收容を開始いたしまして、昭和二十三年九月までの間に延八千五百五十名の浮浪者を收容いたしたのであります。即ち月平均いたしまして四百七名であります。この中で二百九十九名というものが死亡いたしております。月平均三十人の死亡者を出しております。その後大阪府におきましては、施設の充実に努めました結果、昭和二十二年の一月に一部收容者の收容替えを行なつたのでありますが、尚施設が足らなかつた状況からいたしまして、残余の者のうち、病人でありました者を軍政部及び衞生部の了解の下に継続して收容しておつたのであります。その後発生いたしました発疹チフスの死体処理の不始末事件がありました。これは病院の監督は大都市のみに任すべきでないと考えまして、大阪市を督励の上、大阪府、市交互にその後十数回に亘つて保護の状況を監査いたしているのでありまして、その後いろいろ改善をし、その保護の万全を期したと大阪府は言つているのでありますが、昭和二十三年の九月、残余の者につきましては、衞生部立会の下に、精神病患者だけを衞生部に引継ぎまして、そうしてその他の者はそれぞれこの施設に收容替えをいたしまして、ここで初めて堺脳病院は病院本來の患者のみを收容することになつたのであります。ところがここに不正事件が発生いたしたのは、堺脳病院の不正事件については、直接堺市警察署及び大阪地方檢察廳堺支部がこれを担当して取調べを今行なつているのであります。私共は堺脳病院を実地に視察し、病院長から事情を聽取し、尚大阪府衞生部、大阪地方檢察廳、堺市警察署側から取調べの経過を詳細に聽取いたしたのであります。この事件が起ります端緒は、今年の三月の二日に脳病院長の高橋幸雄の夫人宛に一通の脅迫状が差出され、その脅迫状がたまたま進駐軍の檢閲にかかつて、これが端緒になつたものであります。そこで進駐軍は、大阪の地檢を通じて堺警察署に家宅捜索を指示いたしましたのであります。堺警察署におきましては、この進駐軍の指示のありまする以前に、今姫井委員から報告いたしましたような岡山縣の岡田厚生館の問題、或いは先に起つた豊中脳神経病院の問題等がありましたので、堺脳病院にもかくのごとき事実があるのではないかとすでに内偵を進めておつたのであります。そこで事件は非常に早く進捗いたしたのでありまして、地檢において早急にこの問題の調査を進められました。その脅迫状の内容というのは、二十万円を浜田という脅迫者がよこせというのであります。そうしてそのうちの七万五千円は、これは社会事業に寄附するのである、そこで堺市内浅香山のこれこれの所へこの二十万円を持つて來いという脅迫状であります。この脅迫状を出しました浜田光雄というのは、元は堺の脳病院に收容せられておつた患者であつたのであります。それがいろいろのことから病院の内情をよく知つておりまして、知り拔いておりました結果といたしまして、こういう脅迫状を出したらしいのであります。不正の事実といたしましては、堺脳病院が曖昧なカルテを作成していること、即ち凶惡犯人である浜田光雄は、昭和二十一年の四月に麻藥中毒患者としてこの堺脳病院に入院したが、その後二十日間で麻藥中毒は全治いたしましたにも拘わらず、その後引続いて治處後も浮浪者の病人として取扱われてここに收容されておつたのであります。そういうカルテの作成という不正事実が現われて参りました。
 更に先程申しました死体の不始末事件でありますが、ここで預りました死体は二百五十二死体でありまして、この死体の始末につきまして、その経緯といたしまして、十五万七千円を受取つておるのでありますけれども、これも亦浜田光雄という者を葬儀屋に仕立てまして、つまりその架空の葬儀屋にしたわけであります。そうしてこれには火葬費といたしまして五十円、チップ三十円、人夫費十円という僅かの金をこれに與え、この支拂高は六万二千八百七十円、從つて差引九万四千五百八十円という死体の始末につきまして横領をしておるわけであります。
 更に又医療費の詐取でありますが、大阪府においては医療費支拂いについては患者を三段階に分けまして、即ち生活保護費のみを支給する者、それから通院治療程度の者には生活保護費と少額の医療費を支給する。それから重症患者には入院治療費を支給するという三つの段階に分けて指示しておつたのであります。ところが堺の脳病院はすべての患者を重症患者として所要経費を請求いたしておるのであります。そういたしまして、これによりまして、浮浪者二千二百九十六名、これは昭和二十二年一月から昭和二十三年九月までの間にこれだけの浮浪者の重症患者として請求いたしました金、八十五万六千七百七十九円という医療費を詐取いたしておるのであります。それから更にここで働いております者の症状の非常に軽い者、こういう者を進駐軍の事務に就労せしめておるのであります。労働に就かしめておるのであります。そうしてそういうことにために受取つた金は百五十三万二千円に達しております。即ち一日一人百二十円ずつ請求しております。然るにそこに働きました人に対しましては、一日二十円乃至四十円しか支拂つておりません。その額が七十万円でありまして、差引八十三万二千円という巨額の金を横領いたしておるのであります。
 その他物資の配給につきましては、主食の二重配給を受けておる。事務長の大久保という者が病院からも受け、自分の自宅からも受けておる、こういう二重配給を受けておる。それから主食の代替といたしまして、輸入罐詰を一千ポンドを受領して、主食の二重配給によるものは大体七百八十日分であります。なかなか沢山事件の内容があるのですが、その他清酒であるとか、ビールであるとか、小麦であるとか、砂糖であるといつたものは相当多額に横領し、且つこれを病院の通勤者であるとか、その他の者にこれを横流しいたしております。更に又退院いたしました者も退院していないようなふうにいたしまして、即ち幽霊人口を作つて四百五十日分の主食を詐取する、こういつたような相当重複した不正を行なつておるのであります。これ以上細かいことは申上げませんが、まだなかなかあるのですけれども、時間の関係で省略いたします。実際私共は驚いたのであります。こういうような事件がなぜこの病院に起つたかということについては、原因を我々は明らかにしなければなりませんが、これも極めて簡單にいたして置きましよう。ここで我我が問題にしたいのは、この代用脳病院に対しまする経費の支拂であります。これが大阪府では、この精神病院法によつて経費が拂われているのであります。大体それは今日非常に上りましたけれども、一日百二十円であります。ところが問題になるのは、大阪府を除きました、京都府におきましても、兵庫県におきましても、この代用精神病院に委託收容せられておりまする者は、生活保護費から経費が支給せられている。そうすると、二百円以上の費用が拂われておるわけであります。大阪府だけは嚴密に、精神病院法によつて、一日僅か百二十円の経費しか支拂われていない。そこで大阪府下の精神病院というものの経営が立ち行かなくなつておる。その事実は大阪府下には私立の精神病院が十五ありましたのが、今日では十一まで閉鎖されておる事実であります。残存しておるのは僅か四つの精神病院しかないのであります。いづれも皆経費償わずいたしまして閉鎖されておるという事実、從いまして残存しておりますこれらの病院も、止むを得ずいろいろな形において不正を行わなければ病院の経営が持続できないような状態に置かれておつたのであろうということが想像せられるのであります。これは政府におきましても、我々においても考えなければならん問題であつて、この精神病院法という特別法があれば、一般法に優先する建前から、大阪府がやつておりますように、精神病院法によつてやつて行くということが正当であろうと思います。生活保護法を適用するということは、これは妥当ではないと考えられます。併し事実上この経営が成立たないということでありますならば、精神病院法による内容を改正する必要があるのではないか。或いは又一方には生活保護法を正式にこれらの病院にも適用せられるように改正される必要があるのではないか。大阪府がやつておることが正しいのか、他の府縣がやつておることが正しいのか、これは一應批判の対象になると思います。
 それからもう一つは、大阪府の監督の責任でありますが、先に申しましたように、しばしば監督はいたしておりますが、ここに收容せられておる多数の患者が、大部分これは重症患者であるという経費の請求を受けて、そこに何らの疑を差挾まずに大阪府がこれを支給しておつたというところに、監督上の不十分な点、不注意な点があつたろうということが想像せられるのであります。そういう長い年月に亘つて請求せられておりまする内容について、何故不審を持たなかつたかということが、私共は考えられると思うのであります。これは堺脳病院ばかりでなく、大阪におきましては、初島学園の不正事件、それから大阪府厚生病院の不正事件、その他松柏寮の不正事件等々、枚挙に遑がないように不正事件が発生しておる。これはいつかの委員会におきまして、山下委員が指摘せられましたように、この社会事業團体の運営等につきまして、厚生省の責任も重大であるということを考えなければならん。厚生行政というものが弛緩しておるのではないかということが、いつかの委員会で指摘せられましたが、私はそれを非常に痛感するのであります。今日の読賣新聞にも、厚生省の予防衞生研究所ですか、ここの庶務課長並びに会計係長が、それぞれ收賄によつて送局せられておるという事実、下にこういう事件があれば、上の方まで同じような似たような事件があるというところに、我々は深い関心を持たなければならんと考えておる次第であります。
 時間の関係で、以上を以て報告を終ります。
#79
○小杉イ子君 報告を聞いておりますと、何一つ希望するにも予算にかからんことにはできないので、できるかどうかということが先が分らんのでございますが、未亡人だけには十分保護権を與えて貰いたいということを私は希望するのでございますが、ところがこの頃生活保護を受けておる人に対し、今塚本先生のおつしやつた通り、調べの不行届きから、一向その受けておる人が努力心、奮発心がないという声が高いのであります。これについては、大いに調査をして頂かなければならんことであります。私は未亡人、特に戰爭未亡人の援護を主張した者でありますが、援護法といたしまして、只今母子寮におる人は、いろいろな手仕事ならば母子同居でできるので、その点私は最も適当であると思うのであります。そうして母子を離さんという点から、家でできる内職の計画を立てて貰いたいと思うのであります。先日私は、家でできるところの機織の仕事で收入を得させたいと思うことから、厚生省にいろいろなことを伺いに行きましたが、私できるだけこのような仕事をさせて頂いて、そうして一日も早く独立ができるように資材を與えて下されたいと、そうして一日も早く依頼心をなくさせることを努めて貰いたいということを希望しておるのでございます。
#80
○委員長(塚本重藏君) 小杉委員、そういう問題は、未亡人なり児童問題として取扱いますから、そのときに一緒にやつて頂いたらどうかと思います。
#81
○小杉イ子君 ちよつと今出ましたから、草葉さんの報告について、これを申したのであります。
  ―――――――――――――
#82
○委員長(塚本重藏君) それでは報告はこの程度にいたしまして、次に兒童福祉法の一部を改正する法律案を議題にいたしまして、審議を続けたいと思います。先ず政府の提案説明を伺います。
#83
○國務大臣(林讓治君) 只今提案になりました、兒童福祉法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申上げたいと思います。
 兒童福祉法は、廣く十八歳未満の兒童の健全な育成を図るため、昭和二十三年一月一日より施行され、國、公共團体、各兒童福祉施設関係者及び保護者の努力と協力によりまして、次第に福祉の実効を挙げつつあるのでありますが、施行後の経驗に徴しまして、次のような理由によつてその一部を改正する必要が生じたのであります。
 今回改正をいたしました主要な点は、第一に少年法との調整であります。御承知のごとく、兒童福祉法は、満十八歳に満たない兒童の福祉を目的としながら、「刑罰法令に触れる行爲をした」十四歳未満の兒童と、「満十四歳以上十八歳未満」の兒童であつて、「その性格又は環境に照らして、將來罪を犯す虞のある」いわゆる虞犯兒童は、いずれも少年法によつて取扱われることになつておつたのであります。
 併しながら、兒童の犯罪を予防すると共に、その不良化を防止し、これが保護指導を完ういたしますがためには、兒童に対する豊かな愛情を以てする医学的、心理学的及び精神医学的判断を内容といたしまする「鑑別」と、その結果に基く適切な指導或いは性格矯正のための施設への送致という、一貫した措置が必要であり、そのための施設と人員が系統的に備わつている兒童福祉法による処理に移すことが、より適切と考えられるのであります。こうような理由から、刑罰法令に触れる行爲をした十四歳未満の兒童は、これを兒童福祉法によつて扱い、満十四歳以上十八歳未満の虞犯兒童は、これを兒童福祉法と少年法との双方によつて扱えるよう、少年法との間に調整を図り、兒童福祉法の適用範囲を拡げ、兒童の福祉を徹底するようにいたしたいのであります。
 第二に、新聞で報道された栃木、福島両縣下における、いわゆる兒童賣買事件についてでありますが、これらの事件は、農家における経済的貧困を理由とするものではありますが、やはり子を親の私物とみる困窮的な家族制度の欠陥と、兒童に対する基本的人権の観念の低さとを露呈したものとして、極めて遺憾なことと存ずるのであります。しかもこのような不合理な慣行は、ただに栃木、福島両縣下のみならず、廣く全國に亘つてみられる現象であることが指摘されるのであります。兒童の自由、人権を保障し、その福祉を図るためには、営利を目的として他人の兒童の養育を斡旋することを禁止すると共に、法令により兒童を委託された場合及び兒童を單に下宿させる場合の外他人の兒童をその家庭におく者に届出の義務を課し、その届出に基いて必要な指導監督ができるようにいたしたいのであります。
 第三に、兒童福祉を地方行政の面で更に一段と推進いたしますため、市町村長の地位を明らかにし、その機能の強化を促したいことであります。即ち、市町村長は、兒童福祉司及び兒童委員から状況の通報及び資料の提供を求めることができる外、兒童福祉司に対しては、必要な援助を、兒童委員に対しては、必要な指示をすることができるようにする等の改正を行い、尚、市町村における兒童福祉の円滑な運営を図るため、從來中央及び都道府縣のみに設置せられていました兒童福祉委員会に準じ、市町村兒童福祉審議会を置くことができるようにいたしたいのであります。
 次に、現下の世状に鑑み、家庭と並んで社会環境の整序が、兒童の健やかな育成の見地から特に要請せられるのであります、とり分け兒童の精神的環境とも申すべき藝能、出版物、玩具等の在り方は、兒童福祉の上から特に重視しなければならないのであります。中央及び都道府縣兒童福祉審議会は兒童福祉の問題について、廣く專門的知識を有せられる民間の方々を中心として構成せられており、もともとこの問題について深い関心を拂い、研究をいたしておるのでありますが、今般この審議会がこのような文化財の製作者等に対し、その自主的な改善を促進しうるような規定を整備し、この面からも兒童の福祉に遺憾なきを期して行きたいのであります。
 以上の外、兒童の不良化を防止するため兒童の背後にあつてこれを不当に支配している者に対する取締の規定を加えると共に、この法律に言う兒童相談所又は兒童福祉施設でない兒童福祉事業を行う施設について、その指導取締を行うための規定を追加し、その他、從來療育施設の中に含まれていた、盲ろうあ兒施設を新に兒童福祉施設として独立せしめる等法條の整備をいたしたいと考えるのであります。
 今日兒童の問題が國家の切実な関心事となつております実情に照らし、この法律案の意図するところは、極めて重要なことと思料いたすのであります。何とぞ御審議の上、御可決あらんことを希望いたします。
#84
○委員長(塚本重藏君) 只今児童局長は、衆議院で兒童福祉法の討論が行われているので、そちらへ出席中であります。局長に代りまして内藤企画課長が出席しております。
#85
○山下義信君 ちよつと大臣にこの機会に……
#86
○國務大臣(林讓治君) ちよつと私から申落したことがありますから申上げます。今朝程山下委員から総理大臣の御出席を要望せられておつたそうでありますが、丁度横浜の方のその筋へ出張することになつておりまして、時期が、申しましたときすでに立たれた後であつたのであります。早い機会においてこの会合に御出席を願いまして、直接に人口問題のことでお話を申上げる機会を作りたいと考えております。どうかその点惡しからず御了承頂きたいと思います。
#87
○山下義信君 近く……
#88
○國務大臣(林讓治君) お打合せの上でできるだけ早く私の方で取計ろうようにいたします。
#89
○山下義信君 質疑してよろしうございますか。
#90
○委員長(塚本重藏君) よろしうございます。
#91
○山下義信君 只今本案の提出理由にお述べになりましたように、実に切実な現下の重大な問題として考えている。こういう最後のお結びでございました。本來ならばこの改正案は非常に御説明の通り重大でございます、これはまあ兒童憲法でございますから……。最近の国会の慣行といたしましては、重大な法案は本会議にかけまして質疑が許され、それから委員会に移すというようなことになつております。すでに労働組合法等の改正案は御承知の通りであります。私はこれはああいう労働法規の改正案に匹敵するような重大なことと考える。ただ兒童福祉法の対象者が子供でありまして、ここへ参りまして言うだけの力も口も持つておりません。默つておればこそでございまするが、若しあれらが一々口を開いて言うということになりまするというと、それは実に重大でございます。私共はこの言うことのできない子供達に代つて審議をする、そういう考え方で本員はこの改正案を重大に考えているのであります。満十八歳以下が対象者でございますから、人口統計を御覽下さいまする通り、満十八歳以下の者を人口の中で拾いますというと、三千万人以上になつております。そういうような関係で、私はこの改正案は重大でありまするから、衆議院から送付を待たないで当院におきましても審議を急いで、十分愼重にやならければならんというので、本日は我々からいたしましてその審議を急いで提案理由の御説明を持つておつたような次第でございます。從いまして、只今総理の出席につきましては、厚生大臣からいろいろ御配慮を頂きまして感謝いたします。できるだけお互いに婦人問題や兒童問題を眞劍に有力なる人達が討議するというような、新らしいそういう政治感覚と申しますか、こういうような態度を取つて行きたいという我々の熱意もあるのでございまするから、そういう意味で私共は総理の出席を要望いたしたのでありますが、從いまして、この改正案の審議につきましては、事務当局は勿論でございますが、厚生大臣にも努めて繰合わせられまして、本委員会は御出席下さるように、そうして子供達のために、將來の日本再建を託さなければなりませんこの子供達のために、眞劍に討議したいと考えておりますので、この点を先ずお願いして置きます。本日は時間もございませんので、一、二大臣に御相談申上げまして、他は同僚諸君にお讓りいたしまして、又次の機会を待ちたいと存ずるのでありますが、
 第一点は、これは無理なことをお尋ね申上げるというわけに行きませんので、いろいろ政府とも研究いたさなければならんのでありますが、この兒童の今日におきまする現状の実態であります。これは厚生省で調査をしておいでになりまするが、或いはその実態調査ができて大臣がよく把握しておいでになりますかどうか。若し御調査ができておれば、今日の日本の兒童の現状はどういう趨勢にあるか、どう見ておいでになるか、この点を承りたいと思うのであります。これが根本になりませんというと、兒童行政の根本方針の決まりようがない、その兒童行政の根本方針が決まらなくては、この兒童福祉法案のいじくりようがない。今回の改正はその改正の理由を挙げて数点箇條書にいたしますというと、簡單なようでありますが、只今説明を聞いておりますと、一つ一つが尤もであつて、何ら論議の余地はないようでございますが、非常に大きな改正が行われている。この改正全体を通じて見ますというと、今後の兒童対策はどういうふうに持つて行くかということ、その根本方針が我々には酌取ることができない。これはどうしてもその根本方針が立つた上で改正案を行うのでなからねば、ただ少年法との調整、ただその必要というようなことで、ここをこういうふうにいじくるというふうな、枝葉末節的に改正するところの改正案であつてはならないのであります。福祉法は御承知のごとくに本院等におきましては、一昨年の春、兒童福祉法が提案されましてから四ケ月有余を費やして審議いたし、心血を注いで福祉法を成立いたしました経過につきましては、御承知の通りであります。從いまして、この福祉法を改正、即ち手を入れるということになりますと、十分当局もお考え下すつているだろうとは思いますが、質疑の要点を元に返しまするが、今日の我が國の兒童の現状の実態をどう御覽になつておいでになるか。それに対するところの対策、即ち兒童行行の根本方針をどう考えておいでになるか。こういう点を先ず伺いたいのであります。尚私の質疑が余り漠然といたしておりましては、御答弁もどうかと考えまするので、伺いたいという要点を申上げますというと、即ち今の日本の兒童の状態が、終戰後におきまする悲惨な幾多の兒童が出て参りまして、それらの現象がどういうふうに動きつつあるか、どういうふうになつて來ているか、それを当局はどう考えておいでになるか、つまり言換えますと、戰災兒であるとか、浮浪兒であるとかという者の状態がどう変遷して來たか、今後はどういう種類の兒童が最も問題になるとお考えになつているかという点であります。これが根本であります。そうしてそれに対処する政府の方針は一体國家としてどれだけの力を、公けの力を注ごうとしておるか、そうしてどれだけ、どういうことを民間のいわゆる國会以外の力で活動をするのかというところの根本方針が決まらなければ、私は今日のごとき大改正案はできんと思います。この改正案の要点を参考資料にも図表でお示し下さつてある。一体兒童のこれらの対策の中心をどこに置こうとするのか、この兒童福祉法を改正した結果として、どこに重点を置こうとするのか、というようなことが明白でございません。極めて茫漠としておる。どこに置くのであるか、この子供達に対する対策、即ち兒童福祉法の運営の中心をどこに置こうとするのであるかということが私共には明白でございません。大体その大要につきまして、先ず大臣の御所見を承りたいと思います。
#92
○國務大臣(林讓治君) 只今山下委員からの御質問のありましたように今日の兒童のあり方というものは、この戰後の結果に基きまして、非常に憂慮すべき実情にあるというと、私共も深く考えておるわけであります。これらの主なる原因は、戰後のああいうような戰災を被りましたところの実情であるとか、敗戰後のその結果に基きまして、生活の上にも非常に苦しいような問題から起きておるもののように考えまして、先ずこの兒童に対しましては、お説の通りみずからが何も言う機会を與えられないようなものでありまするから、我々といたしましても大いにその点を考慮いたしまして、子供の成育ばかりでなく、今後の行き方について十分考えなければいけないものであると考えておるわけであります。尚この子供の問題などにつきましては、今後あらゆる点について指導すべき立場が始終あろうと思いますが、その具体的の問題につきましては、兒童局長からのお話を願うことといたしまして、私共はこの兒童に対しての考えというものが、このたびの行政整理なんかにつきましても、一番簡單に整理をする、片付けやすいものはこの兒童局のように考えられておりまするけれども、どうしても今後やつて行きます上においては、立派なるところの一つの旗印しを持つて行くということでなければ、この兒童局というものはいけないであろうというようなことを考えまして、私共も今度兒童局は是非とも存置をいたして、一般社会的に明かにして進んで行きたいというような心持もここにありまして、実質は部であろうが、局であろうが同じようなものでありまするならば、その局を部にするというようなこの行政整理の際にも拘らず、この兒童局というものは是非とも存置をいたしたいという氣持で置いたようなわけであるのであります。從いまして只今、私共も今後子供の生活そのものについても十分安易に生活をし得らるるだけの方法を以て導いて行くということだけが、先ず兒童の今後のあり方についての途ではなかろうか、從つて今後の兒童に対しまして、これから先種々なる施設に基きましても、悉く物質上の問題が整わんような点が多いのでありまするから、私共といたしましては、先般の予算につきましても相当に考慮はいたしたわけであります。これも私達のすべての希望の通りには参りませんでしたが、かち得ましたところの予算につきましては、それを最大の力を発揮し得られるるように私共は今後努めて行きたいと考えておるわけであります。甚だ抽象的なことでありますが、この具体的の案につきましては、兒童局長から御説明願うことにいたします。
#93
○山下義信君 私共は政府がいろいろと兒童問題に御盡力になつておりますことを多といたしております。且つ又この兒童福祉法の施行以來兒童問題が我が國といたしましては画期的に取上げられ、いろいろと発展を助長されておりまするこの本法の効果につきましても、十分認めておるのであります。尚より以上に完全を期したいというのが本委員達の眞意でございます。私は大臣と御相談申上げたいことは、この兒童問題をただ厚生省が企画の中心、行政上のただ指導をするその中心というだけでなくいたしまして、もつと一歩進みまして、國が子供を抱いてやるというような意氣込みで、國が子供の問題に乘出したという態勢を是非取つて頂きたい、かように考えるのであります。私共率直に申しますると、社会党の内閣の時代におきましては、いろいろ我々が要望もいたしましたが、取敢えず経済危機を突破して、然る後という当時の止むを得ざる情勢でございました。保守党の現内閣でありまするけれども、私は國がこういう兒童問題に力強く手を延して行くという態勢を是非お取り願いたい。これを大臣はどうお考え下されるか。それから、從いまして例えば最近は政府もいろいろ御心配下さつて審議会をお作り下される。これなどもいろいろ論議がありまして、これは私共公平に見て、官僚内閣当時の審議会と違つて今日の政党内閣におきましてどしどしお作り下さつてよろしい、而もそれが與党で以て大部分委員をお取りになりましても結構であります。それらの費用につきましては、國費を使うことは一党に偏する政務調査会的な審議会云々という議論がありますけれども、これは偏見であります。これは國会が承認いたしますれば、どしどしお作りになつて力強くやつて頂いて結構でありますが、この意味で人口問題もお採上げ下さつて、婦人、兒童の問題につきましても、ただこれを厚生省の一部局の問題に墮さずして、もつと大きくお採上げ下さるということが私は現下の実情として必要ではないかと考えるのであります。この点厚生大臣とされまして、どうお考え下さいますか、承つて置きたいと思うのであります。
#94
○國務大臣(林讓治君) 山下委員のおつしやること御尤もでございまして、厚生省といたしましては、この兒童問題につきましては、國家的にこれを取扱うような方向に向つて大いに兒童の福祉を図つて行きたいと考えております。
#95
○山下義信君 先程政府に質問いたしました現下の兒童の現状の実態をどう掴んでおるか、それに基いての対策の根本方針をどう考えておるか、それが今回の改正案の上にどう現われておるかという点につきまして、事務当局の御答弁を得たいと思います。
#96
○政府委員(小島徳雄君) 兒童問題は只今山下委員から御質問がありましたように、非常に根本問題があるわけであります。この問題につきましては、いろいろの面から考えられるのであります。先ず第一に我々が考えなければならん問題は、今山下委員からおつしやいましたように、終戰後の時代におきましては、日本の兒童福祉法が將來如何ように発展しなければならないかというその根本問題、兒童の実態がどうなつておるかという問題でございます。一つは終戰後今日までの問題といたしまして、一番大きく話題に上りましたものは、終戰直後非常に浮浪兒とか孤兒というものが多くなつて、これらが非常に路頭に迷つておる、このような状態にありまして、如何ような対策を取るべきかという非常に大きな社会問題、政治問題になりましたことは御承知の通りであります。これによりまして、昭和二十一年度以來今日に至るまで約三年間に亘りまして、それぞれやつて参りましたが、殊に兒童福祉法制定後におきましては、それらの問題につきまして、科学的措置を講ずるというようなことでいろいろ対策を練つて参りました。終戰直後から今日まですでにそれぞれ保護を加えました者は、毎年一万数千人を数えておるのでありまして、数万を数えておるのであります。そういたしまして、これらの問題につきましては、一面におきましては施設を整備し、一面最近におきましては、新らしく施設の整備、同時に兒童福祉法の制度の改革というようなことにつきまして、これらの問題の解決に当るということによりまして、今日におきましては、終戰直後に非常に御承知の通り各駅頭に迷つておつたところの、どこにもかしこにもおつた浮浪兒というものが、現在におきましては殆んど大部分が保護を加えられておりまして、いわゆる浮浪兒というものが我々の統計によつて見ますれば非常に少い、現在一千名以下というようなふうに府縣からの報告には相成つているのであります。かようにいたしまして、いわゆる浮浪兒とか孤兒という問題は、今日の段階におきましては、むしろ不備な点がありますが、大体の問題といたしましては、或る程度解決の緒に付きつつあり、大体そういう方向に向つておる。一定の方針が確立され、保護が確立されておるというふうに我々は考えているのであります。これにつきましては十分でないということは無論でありますが、大体大きな考え方といたしましては、そういう方向に向つておるというふうに考えられるのであります。
 第二の問題といたしましては、然らば今日非常に大きな問題はどういう問題であるかということでありまするが、一つのいわゆる御承知の通り少年の不良化の問題、この問題があるわけで、これは非常に大きな問題でございまして、これは新らしく発生する戰災孤兒、引揚孤兒というものは終戰直後極めて顯著に起つたのでありますが、それ以外におきましても毎年多少起りますけれども、特別に急に発生する問題でないわけでありますが、いわゆる少年の不良化の問題につきましては、これは最近におきます社会環境、経済環境、家庭環境等各種の影響によりまして、少年の不良化ということが、殊に青少年におきまして相当大きな、殊に犯罪少年の大部分が若い二十五歳以下の青少年が大部分を占めておるということ、そればかりでなく、少年の不良化という傾向が非常に大きな問題になつておることにつきましては、大きな問題として取扱わなければならんというようなふうに考えております。荀も兒童福祉法の改正におきましても、今度の十四歳に満たざるところの虞犯少年の問題ということで、法律的にはただ一つの條文として現われるのでありますけれども、兒童福祉対策の根本問題として、ただ施設の整備という問題でなく、これを國家的にどう扱うかということがより大きな問題であるのであります。この問題につきましては、我々といたしましては、最近閣議の決定を見まして、今度兒童福祉法によれば、兒童福祉審議会というものができ上つておるのであります。警察でありますとか、学校、市町村でありますとか、こういうものがすべての問題につきまして、一緒になりまして対策を講ずる、或いは子供の厚生施設、或いは家庭の問題等、各種の問題があるのでありますが、そういう関係の者が寄り集まりまして、それぞれ市町村に應じまして適当な対策を講ずるような一つの氣運を釀成し、そういうことの完備に強力な一つの態勢を整備するということによりましての改正案というものも考えられるのであります。この問題につきましては、これから御審議を願うところの市町村の審議会もそういうような構想で、この問題は政府が現実に机上で拵えた案ではございませんで、各府縣々々によりましては、すでにこの問題につきましていろいろ対策を講じておりまして、府縣全体で審議会、或いは市町村がそういう審議会、名前は審議会ということにはなつておりませんが、子供のための協議会、或いは子供を幸福にするための組織、そういうことが段々各府縣で行われておるのであります。こういうことに対して我々といたしましては、そういう問題につきましても非常に將來大きな問題として考えられる。その意味におきまして、この問題は單にひとり兒童の問題ばかりでなく、兒童自身に欠陷があるよりは家庭に欠陷がある、社会に欠陷がある、こういうようなことで家庭の欠陷につきましては、いわゆる啓蒙運動が必要でありまするが、家庭のいわゆる無関心とか、無理解とか、無監督とかいう関係からこういう問題が起つて來るわけであります。こういう問題につきましては、國民運動といたしまして、そういう婦人團体とか、家庭に呼びかけるというような運動が必要であると考えております。そういう意味におきまして、從來とかくいたしますと、社会事業というものが從來の社会事業團体に限定されたような行き方でなくて、兒童福祉のために新聞でありますとか、雜誌とか、宗教團体で以て、或いは婦人團体でありましようが、ありとあらゆる團体、そういうものを通じまして、家庭に如何ようにそういうことを滲透させるかというそういう啓蒙運動ということが極めて我々兒童福祉行政におきまして重要であると考えまして、そういう方面につきまして、最大の努力を拂い、幸いにいたしまして、最近におきましては、兒童問題が新聞におきましても、放送などにおきましても、各方面におきまして、それぞれの分野におきまして、非常な関心に持たれまして、いい意味で、多少惡い意味もありますけれども、とにかく兒童というものが大きな問題として各方面で問題にされるようになつたことは、一つには社会全体が非常に関心を持ちつつあるという一つのいい傾向であると考えまして、これらの社会全体がさように覚醒するということが兒童問題の解決に非常にいい役割を果すと考えます。そういたしまして、我々といたしましては、兒童福祉法の持つております施設の整備ということも、予算が必ずしも十分でない、將來も十分にやらなくちやならない問題で、我我も將來努力しなければならない思うが、同時にいわゆる子供のクラブ、母親の指導班、兒童の指導班、母親クラブ、そういうような組織、或いは各種の民間の指導組織というものを通じまして、兒童というもののいわゆる生活環境、全体を一つよくしよう、こういう線でいろいろの組織指導というものを加えております。これは各府縣によりまして、実情に應じましていろいろ対策を講じておるのでありますが、或いは山梨縣におきましては、今のように子供の班、クラブというものを作つてこれを指導する、或いは各府県によつていろいろのやり方があるわけでありますが、そういうような子供自身の指導班というものを、それに指導班に適当な指導者を得まして、そういうような組織を通じて適当な指導者の下に、自主的に一つ子供の生活環境をよくして行こう。こういう運動というようなことも考えられておるのでありますが、いろいろの面からこれらの問題についてやらなければならん。いわゆる特殊兒童の問題につきましては、先程申上げましたような一部の問題ばかりではなく、いろいろの特殊兒童の問題が現在尚未解決になつております。この問題につきましては、將來とも大いにやらなければならん問題が尚沢山残つておりますが、それは又時間がありますれば、詳しいことはお話申上げられると思いますが、同時に今日におきまして、我々が兒童福祉問題について我々といたしまして最も意を強うする現象といたしましては乳幼兒の健康の問題、最近におきまして非常に進歩をいたしました。これは日本におきましては乳幼兒の死亡率が非常に多かつたと言われておつた、日本のいわゆる文化水準が非常に低いことを象徴する最も忌わしい事項として從來言われておつたところの乳幼兒の死亡率という問題が、健康の面においては非常に最近におきましては改善を加えられまして、乳幼の死亡率におきましては、曾て日本の大正八年頃に比べますと、約三分の一に減つて、全体といたしまして日本で稀に見る、未だ曾てない百人に六人という、縣におきましてはアメリカの水準に達しておるという縣もあるというふうに、乳幼兒の保健の問題につきましては、非常に飛躍的な発展を遂げたということをこの際御報告申上げて置きたいと考えます。そのように健康の問題、或いは特殊の環境にある兒童の問題、この問題もそれぞれ分野があるのでありますが、これらの問題につきましては、今日までといたしましては、社会的に関心を持たせるという運動、兒童福祉におります最も大きな問題といたしまして、各方面に関心を請うという運動が兒童福祉の最も最上であり、重要な問題であると考えて今日までやつて來たのでありますが、今後の問題につきましては、今いろいろ内容の改善、或いは又施設の拡充の問題、これらの問題につきまして、民間の輿論と共に政府におきましてもできるだけ努力いたしたい、かように考えておるわけであります。
#97
○山下義信君 只今詳細な御答弁でありましたが、いろいろなお心盡しですが、私そういうことを聞いておるのじやないのです。それじや質問をこうしましよう。今度の改正案の結果として、いろいろ兒童福祉法の運営が各種の何といいますか、改正されておる。一体運営の中心をどこに置きますか。それに関連してのお答えの都合のいいように、市町村長についていろいろな改正がされてある。これはどういうわけで市町村に審議会を置き、或いは市町村長が指導員の人事ができるようにし、或いは兒童福祉司に連絡や資料についての協力を求めたり求められたり、市町村長の立場がこの福祉法の改正で非常に大きく取上げられた理由、これはどこにあるか。それで一体兒童福祉の問題は國家の責任としてやるのか、或いは市町村の固有の協同隣保の義務としてやるというような理念でこういう市町村の立場というものの改正を謳つておるのか。ただ單に福祉司や指導員との便利上からとにかく連絡をさせるという程度でしたのか。根本理念をどう考えるか。この点を御答弁願いたいと思います。
#98
○政府委員(小島徳雄君) 兒童福祉法の第二條に揚げておりますように、兒童のこの法の責任者は保護者であると同時に國と地方公共團体が共に責任を負うことが兒童福祉法の第二條に揚げられておるのであります無論兒童福祉の問題につきましては、國も府縣も市町村も同じようにその法につきましては責任があるのであります。何故市町村長というものを今度重点を置いたかと申しますと、これはそもそも兒童福祉法制定当時におきましての母法と考えられる少年矯護法というものがあつたのでありますが、少年矯護法ではどこまでも府縣が中心であつたのでありまするが、市町村というものにつきましては、現在生活保護法におきましては、市町村長というものが相当大きな役割を果しておるわけでありますが、結局兒童福祉行政というものは末端にこれを徹底させることが極めて緊要であるというふうに我々は痛感いたしたのであります。その意味におきまして、市町村というものは行政機関の末端機関として、從いましてその市町村の行政機関というものが、行政機関と言つちや何ですが、市町村という公共團体がこの兒童福祉につきまして或る程度の権限と責任とを持つということが兒童福祉法の運営上極めて必要であるということを、最近の一年間の実施において痛感いたしまして、又府縣各市町村におきましても、そういう要望が極めて強いのでありまして、折角兒童福祉法ができ上りましても、末端におきまして兒童福祉行政が徹底しないというような原因の一つには、どうも市町村長というものの地位が、所属長が明らかでないという関係、或いは指導員に対する関係、或いは兒童福祉司に対する関係、市町村長の義務の関係というものが法律上余り形式的にしか扱われていないということが大きな原因をなしておることをいろいろの方面の意見としても拜聽いたしたのでありまして、この意味において、やはり市町村というような一番行政の末端機関というものが、相当兒童福祉法の運営上極めて関心が深くあらねばならんという意味から、今回の改正におきましては市町村長というものに或る程度の権限を與え、責任を持つて頂く、こういうふうにいたしたわけであります。
#99
○山下義信君 私も同感であります。只今の答弁で了承しました。私は福祉法の第二條にある兒童の問題は、國の責任であると同時に地方公共團体の責任である、そういう意味でこれはつまり責任者が二つある。それは保護者などを加えれば別として、國と地方公共團体両々相俟つてやるので、その建前で行かなければならんと思う。それで只今の局長の答弁も了承しましたので、市長村は今後は市長村自体の責任においてでもこの兒童の福祉に積極的に動くという体制を取らなくちやならん。同時にそれなら市町村が一つになつたから國は手を抜いてもよいというと、それじやない。只今厚生大臣が申したように、國も力強く責任を負うて進んで行かなければならん。この理念において、私はその点において了承した。ところでそう行くとすると、今度の改正案の中で市町村に折角審議会を置こうというのに、これが置いてもよいが、置かんでもよいというような程度のことに仰せられる理由はどういうわけですか。それから先程國が力を入れるという問題に関連して、実は大臣のおるときに聽かしておいた方がいいと思つたのでありますが、帰られたのであるが、最低基準令の実施はどうします。これは実施期が來ておるのだろうと思いますが、どうやります。これこそ國の責任において力を入れるのが國なんです。そうして最低基準令によるすべての施設を引上げてやる力を作つてやらなければならん。施設の整備は國の責任においてやらねばならんという局長の答弁もありましたが、最低基準令の実施はできますか、準備はできますか、そこまで時は來ておるのであります。この点……
 それから兒童の対象の趨勢は大体局長と同感であります。戰災者とか浮浪兒とかいう問題はこれはいわゆる靜止した、もうこの程度で大体今後の新らしい発展はない。今後の対象は不良兒、不良兒というけれどもこれは少年法などに言うところの不良兒ではない。今後の問題は貧困兒、貧困から來るところの不良性というか、不遇なそれらの兒童の対象が中止にならなければならん。そういうことに関して文部省で先般何か新聞を見ると、向うの文化兒童委員会というものが、兒童白書というものを出したという……よく詳細は分らんが、兒童局も実態の調査をしておるのだろうと思うのでありますが、默つてちや駄目で、それで兒童局で調査された資料がありまするならば、只今申上げましたようないろいろ関連しておるところの兒童の実態に関する調査を提出して頂きたい。この良要求いたしますから、委員長からも御鞭撻願いたい。そこで不良兒というようなものの扱い方も経して少年法や少年院法のようなものの不良兒でない、そういう意味ではないということを兒童局長もお考えになりますか。これは今回の少年法の関係が福祉法に入つて來ますから、よくそれをはつきりした置かないと、これからの指導問題は、法務廳からのあの犯罪少年や虞犯少年が中心になつて來るという印象を與えたらこれは大変である。これは福祉法の範囲内に書いたけれども、兒童福祉法の全体から見ればちつぽけなものでありますが、この点はどう考えますか。でありますから、最低基準令の実施の準備如何という問題と、それから今の不良兒だというその本質の問題と、それから市長村の責任において市長村がこれから大いに力強くやらなくちやならんということに関連して、市町村の審議会の設置が随意にしてある理由はどうかという、三点であります。私はこの程度で今日は止めて置きます。他の質問は、沢山ありますが、他の同僚諸君に讓りますから、この点はつきり御答弁して置いて頂きたいと思います。
#100
○政府委員(小島徳雄君) 市町村審議会を何故置くか、置くならば何故市町村に義務的に置かないか、こういう御意見でございます。誠に御尤もの御意見だと思います。ただ我々といたしまして、義務的に置かなかつたのは、全國一万一千有余の市町村に法令的に直ぐ必ず義務として置くということがいいのか。もう少し情勢を見まして、我我が適当な市長村というものを見まして、そうして漸次モデル、モデルというものを作つて、配置という問題についていろいろ考え方があるわけです。迅速に一足飛びに直ぐ明日から法令で実施をやるかという問題がいいか。又もう少しただ形式的に作つてしまえばいいというのではなくて、それが本当に兒童のためにうまく運営されるような行き方にするためには或る程度の指導というものも必要じやないか、さような考え方からいたしまして、一應市町村におきましては、置くことができる、こういうふうな一定の指導標準を作つておりますが、こういうふうな一つの行き方で、こういうふうなメンバーで、こういうような会議を開いて、こういう決定をしたから、こういうふうにやりたいという具体的に細部に亘つたものを作りまして、漸次いい人がそういうものに選ばれるようにして、運営されるようなそういう行く方で指導して行つた方がいいのじやないかというような考え方からいたしたのでありまして、或いは考えによつて、將來はもつとそういうものが成功いたしますれば、義務的にするということも一つの方法かと考えますが、差当りといたしましては、まあ形式だけを作つてしまうという形じやなくて、本当に関心を持つてそのものが完全に運営されるように行くために、一應そういうようなものを置くことができるという規定だけにいたしました。指導といたしましては、できるだけそういうものが全國にできるように指導いたして行きたいというように考えておるのであります。
 第二に少年の不良化の問題と私が申上げましたのは、單に今犯罪少年とか虞犯少年という問題を取上げているばかりでなくて、兒童の健全なる育成、いわゆる精神的に或いは肉体的な、殊に精神的な健全なる育成という問題を主として考える、その場合におきまして、その健全なる育成のためには、うまく行かない場合において片方に不良少年という問題が起るわけであります。從いまして、我々が考えておる問題は、少年の家庭環境とか、社会環境の全般を良しくて行くという考え方を非常に大きく考えておるのでありまして、從いまして兒童の指導組織の問題ですとか、兒童の更生施設の問題でありますとか或いはいろいろのグラフの問題でありますとか、或いは兒童の毎日毎日の生活の実態、今の青少年というものは何を求めて、何についてその弊害があるかというような、兒童をめぐる出版とか、遊び、藝能、すべてそういう社会環境、家庭環境全般につきまして、我々といたしまして兒童の福祉面からそういう部門を指導面といたしまして、取上げない、かようなふうに考えておるのでありまして、ひとり今問題のような虞犯少年だけを取扱うというのではなくて、兒童全般のそういう環境全体というものを良く育てて行こう、こういうような考え方で兒童問題を考えております。
 次に最低基準の問題でございますが、最低基準問題につきましては、殊に保育所につきましては今いろいろ問題があるのでありますが、我々といたしましてはとかくいたしますると、今までの日本の行政の通弊と考えられますのは、施設を作るときには、國も府縣も市町村も非常に関心を持ち、それから市町村民も関心を持つが、できてしまつた曉におきましては、それが如何ように運営されているかという問題につきましては、從來日本においては無関心過ぎたという嫌いがあるのであります。そういう意味において施設の内容について殊に兒童を扱つている施設につきましては、相当の監督が要るという意味におきまして、最低基準の設備につきましても、或いはその職員の構成につきましても、或いは日々の諸施設の運営につきましても、適当な最低基準を設けるよう努力いたしたのでありますが、設備の問題につきましては、御承知の通り現在の日本の経済状況といたしまして、直ちにその改善が困難であるということも十分私共承知いたしておるのであります。從いましてこの問題につきましては、できる限り猶予期間を置いて漸次それに副うように努力して行きたい、かような考え方でいたしております。この前にちよつと申上げたのでありますが、一應全國の福祉施設につきまして実際の改善というものを現在調べておりまして、最低基準を実施したならば、どれ程の金額が要るかということについて今報告を取つております。
#101
○委員長(塚本重藏君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#102
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。
#103
○政府委員(小島徳雄君) そういうわけで、我々といたしましても、この問題につきまして、努力を拂つているわけでございまして、この問題につきまして、若し最低基準に達しない施設があつた場合どうするかという問題につきましては、無論府縣立、市町村立の問題につきましては、政府としてもできる限り補助を與えなければならぬし、そういう意味において補助予算も考慮いたすのでありますが、私立につきましては、御承知の通り補助ができないということになつております。從いまして最低基準で律する場合には相当の痛手を蒙むるのであります。この問題につきましては、共同募金との関係と睨み合せてできるだけそういう方面と連絡をいたしております。我々といたしましては、成るべく早い機会に最低基準に施設が達し得るように、政府も民間も互いに協力するというようにいたしたいと考えるのでありますが、どうしても最低基準の実施が予算の関係、施設の関係でできない場合においては、或いは現在の現過規定というものを考えまして、その猷予期間内におきまして、適当に按配して行く、漸次その方面に行くように努力いたしたいと、かように考えております。
#104
○山下義信君 只今の政府の市町村の審議会の設置の問題ですね、これを自由にしてある点につきましては、尚本員は了承しがたいのです。それから今の最低基準令の実施関係ですね。これが予算の関係でどうしても基準令が実行できない。或る程度まで基準を決めることも、いろいろのことも実際できないということなれば、最低基準令の実施を延期しなければならない。延期せずに実施期が來た、それ最低基準に達しないものはびしびしやつて行かなければならんということになると、基準令というものは空文に帰して、一ケ月も二ケ月も予算がないから、ないからというので、いい加減にしておつたのでは、これがもう根本であつて、それが死文化して行くということではいけないのであつて、若し実行ができないようならば、実行のできるまで五ケ月とか六ケ月とか最低基準令の実施を延期することにいたさなければ、それが実施期に來たけれども、予算がないから止むを得ないということでずるずるになつて行くということはいかんと思う。当局はその点どう考えておりますか。
#105
○政府委員(小島徳雄君) 私は最低基準の違反をやつてもいいということを考えておるのではなくて、最低基準令の中におきまして猷予期間という規定があります。從つて最低基準の條文には、適用に関する條文もありますし、或いは設備の問題につきましては、或る程度猷予期間、或いは職員の構成というようなものにつきましては、或る程度猷予期間があるわけでございます。從いまして保育所の問題になりますと、最低基準に達しない施設が相当多いわけでございます。この問題につきましては府縣の兒童福祉審議会の方で意見を申して來れば、或る程度の猷予期間をおいて、尚後まで延期ができるわけでございます。合法的にできるということになつております。私といたしましては、最低基準の違反をやつてもいいというのではなくて、最低基準に認められたる期間内において成るべく早い機会に実施する。こういうふうに考えておるのであります。
#106
○山下義信君 それでは最低基準令の、つまり猷予期間があるのを忘れておるのもあるかも知れません。この実施期間も二三異にしておるのもあります。その他はあれを直ちに実施なさるというお考えでございますね。延期なさるお考えはないのですね。
#107
○政府委員(小島徳雄君) さように考えます。
#108
○中平常太郎君 先程から山下君の切実な質問に対して林大臣は國においてやるのだと言明されましたので、その点は我々も了承しておるのでありますが、兒童福祉法というものを実際において効力を挙げるということになりますと、どうしても施設の完備ということが伴わなければなりません。併し施設は現在戰災で殆んど半減しております。それがまだ十分にできていない場合に、國においてこの問題を大きく推進しようとするなれば、予算を十分に取らねばならん。然るに二十四年度におきまして実節施設面に振り向けられる予算は何程あるか、それで大きなことを言えるかどうか。それから現在ただできておるものだけを当にしておられるようですが、一つ法律を作つた以上は、この法律によつて嚴として國があらゆる施設問題を拡充しなければならん義務がある。今までの普通の社会事情であるなら、できたものを利用するだけでよかつたが、この大事の兒童福祉法というものに準拠する立場から、その施設は國がやるか、縣がやるか、市町村がやるか、とにかくこれは法によつて明らかに定めなければならん。それがただ申訳的にあちこちにあるものを当にして兒童福祉法が行われておる。そして各府縣におきまして、現在の施設が十倍になりましても差支えない程の人件費を使つておる。然るに施設がないために何らの効果が挙つていない。だから今年度の予算に対してこの種の予算が何程取つておられるかを伺いたい。それから又非常に要求されておる兒童文化の側が取上げられておらない。いわゆる兒童公園、或いは廣い意味の厚生施設、そういう大きな意味におきまして、兒童を対象とする公園というものに対する何ら示唆が與えられていない。こういう実情である。
 それから今の市町村の問題でありますが、國と市町村がやるにいたしましても、市町村は必然的に必須條件にすべきである。それが拔けてしまつてる以上は末梢の効力が非常に疑わしい。やつてもやらんでもいいということでは、兒童福祉法の重大な意義というものを市町村は感じない。必須條件だつたら市町村も極めて大事な問題であるということを考えますけれでも、やつてもやらんでもいいという審議会であれば、若しやらんでも責める途がない。これでは児童福祉法の実際の効果を狙う國の目的に反する。だからあれは必須條件にして市町村に責任を持つてやらせなければならんと思う。これは意見の問題になりますが、將來この問題は必ず出て來ると思います。それから藝能、出版物、刊行物の問題を取上げられたことは、これは一つの進歩であると思います。ただそれの締括りが勧告になつておる。これでは極めて不徹底だと思う。今日子供用の本とか、玩具のいかがわしいものは沢山出ております。これは兒童福祉法を根本として考えをまとめた、兒童福祉の目的を十分に体得しておる玩具、出版物を出す必要があります。今は営利本位の奇を好んだものが出ております。こういうものはどういうような程度に抑えるつもりか。奬励すべきものは奬励したらいいと思う。藝能にしても、文化の向上のためになり、子供の性質を良い方に導いて、惡化しないように一つの趣味を持たしめるという方面に十分興味の乘るような方法としてどういうものを考えておるか、そういうような問題が兒童福祉面において出ていないが、その点をお伺いいたします。先ずそれの二つだけ、時間がありませんから、今日はそのくらいにして、その質題に対する答弁を得まして、後は先にいたします。
#109
○政府委員(小島徳雄君) いろいろ御意見がありましたのでありますが、まあその兒童福祉法におきまして、兒童文化という問題を取り上げるのに少し生温いじやないかという御意見だと思います。今日我々といたしましては、兒童が学校におる間、家庭におる間、或いは又学校と家庭を除いた社会におる間に如何なることを実施しておるか。如何なる遊びをしておるか。如何なる書物を見、如何なる環境におるかという問題についていろいろ調査いたしておるのでありまするが、そういう問題になりますると、結局まあ兒童の環境という問題になるのでありますが、その中でまあ出版物の関係、映画の関係、或いは紙芝居とか、或いは玩具の問題、これは年齢層によりまして、この点が多少重点が違うのでありますが、そういう問題が兒童の問題の中で一番大きな問題であると私は深い関心を持つておるのであります。然らばこれをどういうふうに法律上取扱うかということになりますと、法律上の規定としては、やはり今申しましたように、今度は改正法に上つておる程度の推薦、勧告ということが、現在の民主日本國家においてはこの程度が適切ではないかというふうに考えて立案いたしたのであります。ただ法律條文といたしましては、今の推薦とか勧告とかいうことで一條文になつておりますけれども、我々がこの條文によつて考えておる考え方というものは極めて大きな関心を持つておるということの一部の現れとして、法律上の形式としては一條文となつたのであります。兒童文化といたしましても、今の兒童の出版物とかがどういうふうにして、どういうふうな紙を以てどういうふうな影響を與えておるか。或いは兒童映画に余りいい映画が製作されておらないかとか、從つてどういう問題についてどういうふうになすべきか、これらのすべての問題につきまして、又それに從事しておる、例えば紙芝居の問題ならば、それに從事しておる職員の素質の問題、指導の問題、こういう問題につきましても極めて深い関心を持つておるのでありまして、父兄によりましては、大体或る程度はこういう問題につきまして、指導面においても相当の効果を挙げておる父兄もあるのでありますが、今回この問題を取上げましたのは、我々といたしましてはいわゆる兒童をめぐる環境というものが、兒童の本当の育成のために極めて重要なる影響があるということに深い関心を持ちまして、そういう意味で、法律の條文といたしましては極めて簡單な條文でありますが、その根ざす根拠は深い考慮の下において我々はこの指導に当つておる。從いましてこれらの問題は主として法律條文よりも、如何にしてこれを運営指導するかという実際の活動に將來かかつておるのであります。この問題につきまして我々も一應の案を持つておりますが、皆様の方でいろいろ又有益なる御意見がございますれば、いつでも拜聽いたしまして、これらの問題の運営が適当に行われるように、我々といたしまして皆様方の御協力を得て実施したいと、かように考えておるのであります。
 予算の問題につきましてでございますが、これは非常にお恥かしいことでありますけれども、つまま財童局としての予算として約十一億の予算が計上されることになつたのでありますが、無論昨首に比べましては、非常な増大ではございまするが、今日の兒童の行政の重要性から考えて見ますれば、極めて貧弱な予算であるということに相成るのであります。問題の重点は福祉施設の増設ということが非常に困難である、いわゆる公共事業費の枠の中におきまして、新設ということが客観的情勢におきまして殆んど不可能になつたというような、そういうところに一つの大きな挫折を來たした大きな根本の原因があるのでありますが、我々といたしましても、更にそういう問題に努力いたし、皆様の十二分の御協力を頂きたいというふうに考えておるのであります。厚生施設の問題につきましても、最近におきましては昨年から今日まで統計を取つて皆様の許に御報告にもなつておるのでありまするが、全國で見まするというと、約千五百ケ所のいわゆる子供の遊び場所というものが市町村とか、民間の力によつて増設されておるのであります。最近におきましては、最近東京におきましても、子供の意見や希望を聞いて見ますと、一斉に皆の意見というものが子供の遊び場所を作つて呉れということが圧倒的に子供の輿論を代表しておるということで、我々といたしましても、そういう子供の遊び場所というものが今日眞に子供のために必要だということを痛感いたしまして、府縣、市町村等非常に努力をいたしまして、約一年間の統計によりますと、大体全国で大きい小さいはありましようけれども、千五百ケ所の増設ということになつておるのであります。我々といたしましては、市町村等の地元の熱意に対しまして厚く感謝いたしておるのであります。こういう市町村審議会ができて民間の輿論が起つて來ますと、政府といたしましても、相当地元々々におきまして、子供の立場を考えて、そういうことをやつて参りたいという機運が民間に非常に盛上つて來て、それによつて解決される分野というものが相当多いということを考えまして、そういう意味におきまして私共といたしましては、そういう民間の輿論の促進ということにつきまして、重大な関心を持つておる次第であります。尚市町村の審議会の問題につきまして、なぜ義務制にしなかつたかということにつきましては、非常に御尤もな御意見でありまするけれども、一應我々の考えといたしましては、先程申上げたような理由でやつた次第であります。
#110
○中平常太郎君 只今の十一億という金は……。この兒童福祉施設の市町村或いは府縣などに作らしめる、或いは作るところのいわゆる補助金というふうなものに使われる方の側が十一億でありますか、在來の……。そのことを私は先程申上げたのであります。十一億の方はそのことでもいいのでありますか。
#111
○政府委員(小島徳雄君) 私の申上げたことはちよつと誤解して申上げたのであります。結局今より施設の増設ということが公共事業費におきまして極めて困難になつた関係上、増設ということは補修という程度に予算が削られましたものですから非常に少いのでありまするが、いわゆる補修関係を公共事業費と一般の大藏省予算の関係と合せますと、約一億五百万円、こういうふうになります。
#112
○中平常太郎君 それではあとの十億は人件費ですか。
#113
○政府委員(小島徳雄君) あとは施設のいわゆる経常費の補助でありますとか、子供の施設に入つておるいろいろな問題……
#114
○中平常太郎君 現在使つておる側の委託費でありますかね。
#115
○政府委員(小島徳雄君) さようでございます。
#116
○中平常太郎君 今日はこの程度で又……
#117
○山下義信君 議事進行について、委員長に希望するのであります。この改正案は非常に重大なことでありまするし、問題も沢山あります。十分審議の時間を與えて頂きたいと思います。本案は若しお許し下さるならば、本員だけでも少くとも三日間ぐらいの質疑がございます。又他の議員諸公も質疑ございますと思いますから、それでかね合いかね合いはいたしまするけれども、大体そういうふうな見込みでございますので、十分審議の時間をお割き下さるように希望いたして置きます。
#118
○委員長(塚本重藏君) 本日はこれを以て散会いたします。明日は午後一時から開きます。
   午後三時四十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
           姫井 伊介君
   委員
           中平常太郎君
           山下 義信君
           草葉 隆圓君
           黒川 武雄君
           中山 壽彦君
           井上なつゑ君
           小杉 イ子君
  國務大臣
   厚 生 大 臣 林  讓治君
  政府委員
   厚生政務次官  淺岡 信夫君
   厚生事務官
   (社会局長)  木村忠二郎君
   厚生事務官
   (児童局長)  小島 徳雄君
ソース: 国立国会図書館
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