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1949/05/17 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第24号
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1949/05/17 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第24号

#1
第005回国会 厚生委員会 第24号
昭和二十四年五月十七日(火曜日)
   午前十時二十三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○兒童福祉法の一部を改正する法律案
 (内閣提出・衆議院送付)
○船員保險法等の一部を改正する法律
 案(内閣提出・衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) 委員会を開会いたします。本日は兒童福祉法の一部を改正する法律案について、その審議を続けます。質疑を続行いたします。
#3
○山下義信君 衆議院の修正案でありますが、これは一應は分つておるようでありますが、この審議の状態などは政府が御承知と思いますから、衆議院の修正案はどういうところを修正したかという点を、簡單に一應説明して置いて頂きたいと思います。
#4
○政府委員(小島徳雄君) 一つは、今度の兒童福祉法の改正案によりまして、保育所は乳幼兒以外の者も保育することができるという條文の改正案を提出いたしたのでありますが、その場合のその規定に伴いまして、市町長が措置をした場合は、措置費が出るような規定に改正案が衆議院の方においてなされた。
 それからもう一つは、條文の整理におきまして、誤りがございました関係で、その誤りを訂正する、こういう意味の改正案が衆議院において提出されたわけであります。
#5
○山下義信君 そうしますと、政府修正案の第二十四條の市町長のいたしまするその保育所に收容すべき保護に関しまして、第三十九條の第二項が政府の修正案によつて拡大されましたので、保育所に入れることのできる子供の範囲が拡大されましたので、それを第二十四條の市町村長の保護すべき義務規定にそれを取入れまして、そうして更に乳兒、幼兒でないところの保育所に保護いたしましたその入所の兒童の費用を、補助の対象にまで拡げて行こうとすることが、衆議院の第二十四條の修正の趣旨と、こういうことになるのでありますか。
#6
○政府委員(小島徳雄君) さようでございます。
#7
○山下義信君 そうすると三十九條の第二項で拡大されました普通の兒童の補助の点から眺めて見ますると、それは、つまり養護施設に收容いたしました兒童へのその費用の補助と、大体同じような扱いをして行くことに、結果においてはなるでありましようか。或いはどこか違うところがあるのでございましようか。その点は如何でありましようか。
#8
○政府委員(小島徳雄君) 養護施設と違いまして、普通の保育所の乳幼兒と同じ費用が出し得る、こういうことになるわけであります。
#9
○山下義信君 第三十九條の第二項はですね、乳幼兒よりは年齢の多い普通の兒童も取扱えるように今回改正された。從つて衆議院の修正案は、その第二十四條の保育所へ疾病の者、或いは勤労に行かなければならん、そういう者の連れております乳兒、幼兒については、市町村長が保育所に入れて保護をせにやならん、但し止むを得ない場合は、適当の処置をしなくちやならん。併しその適当な処置は、三十九條の二項の処置もできることになつて來た。三十九條の第二項は、つまり七歳以上の学童以上の兒童も扱えるようになつた。その費用について、養護施設と異なりまするところは、これは何ですか、日々帰えす子供と、そこにずつと泊めて衣食をする子供との差というだけになるわけでありますか。
#10
○政府委員(小島徳雄君) そうでございます。日々やはりその者は保育するわけでございますから、その費用だけが出るわけで、いわゆる養護施設みたいの、そこにずつと一日中寢食をするというわけじやございませんから、普通の乳幼兒と同じように、保育がそこにおいてなされる、その費用を出し得る、こういうことになるわけであります。
#11
○山下義信君 分りました。そうすると、年齢の差によりまする日々保育のその兒童につきましては、年齢の差によりましての補助額の差はないのでございますか。
#12
○政府委員(小島徳雄君) それは予算の場合におきましての措置といたしまして、例えば乳兒と幼兒が違うじやないか、或いは少年と違うじやないかというようなことは、実際問題の大藏省と予算の折衝の場合におきまして、それぞれ年齢に應じて適当の予算が計上されて、それに伴いまして計費が出されるわけでありますが、多少違う場合もありますし、同じような場合もあるわけであります。
#13
○山下義信君 それから先般質疑をちよつと触れかけて止めたのでありますが、実は他の委員の方の御質疑の都合で私先に残りをさして頂いておるわけでありますが、第五十三條の保護の規定についてでありますが、これは第五十一條の三号が除かれてある。即ち市町村兒童福祉委員会の費用が除かれてある。これは政府の修正案は設置する推移になつておるわけでありますが、その設置しました市町村の兒童福祉委員会に対しての費用を、若し政府が幾らかでもそれに対して補助をしてやるというお考えはあるのでしようか、ないのでしようか、如何でしようか。
#14
○政府委員(小島徳雄君) 五十三條は御承知の通り法律上の義務費として國が補助しなければならんという規定でありまして、今度の市町村に設ける審議会につきましては、法律上の義務といたしまして、政府は補助しなければならんという義務はないのでありますが、予算措置として將來そういうものについて補助ができるようにすることはできるだけ我々といたしましても努力いたしたい、かように考える次第であります。
#15
○山下義信君 私共は市町村兒童福祉委員会は必ず置かせるべき性質のものである、從つて市町村兒童福祉委員会に対するこの第五十三條におきましては、当然補助を出すべき途を拓くべきであると考えるのでありますが、政府の方においてできるだけ補助の方法を講ずる考えもおありのようで、只今の御答弁で承知いたしたのでありますので、その点はまあそういうことにいたして置きます。
 次に第五十六條の第三項でありますが、第三項に保護を受ける者、同居の配偶者、これらの人達が一年以上引続いて居住した市町村という規定が第三項にあります。これを今回特にお入れになりました理由を分るように一つ御説明を願いたいのです。
#16
○政府委員(小島徳雄君) 從來これらのものは命令で定めるところによるということになつておつたのでありますが、こういう規定を命令というよりははつきり法律に書く方が適当であろうというわけで、内容につきまして変更があつたわけではございませんで、規定の形式を命令から法律に移した、こういうふうの方がまあ実効的である、こういうふうな建前からこういうふうに改めたのであります。内容につきましては変更はございません。
#17
○山下義信君 この第三項関係の規定につきまして何か問題が起きますとか、関連しましていろいろありましたようなことがございますか。
#18
○政府委員(小島徳雄君) 問題というより研究いたしまして、これをやはり法律的に考えて見ます場合におきましては、命令でこの限りでないと書くよりは、やはり法律で書くのが建前として筋ではないか、こういう趣旨で改めたわけで、別に特に問題が起きたというわけではありませんが、そういうふうに書く方が合法的である、法律的に正しい行き方である、こういう意味で改めたわけであります。
#19
○山下義信君 実は生活保護費などの場合におきまして、市町村の負担についてなかなか居住地の市町村がいろいろ費用の負担について、澁つて問題を起しておるような事例が生活保護法の場合においては非常に多いんです。それでこの兒童福祉法の費用の負担の、現に市町村が何かこの規定に関連していろいろ適当な措置をしないような事例が、今日まで兒童福祉法関係においてあつたことがあるか。こういうことをお尋ねして見たんです。
#20
○政府委員(小島徳雄君) この問題はいろいろ予算面におきまして今日地方財政におきましても、相当困難の点がありまして、お話のように生活保護法の問題などにおきましても、全額國庫負担して呉れというような要望が前からあつたのでありますが、今日の建前といたしまして兒童福祉法におきましても、そういう要望は一面にあるのでありますが、兒童福祉法の建前といたしまして、やはり府縣市町村というものが國と同じようにそれらの市町村の居住兒童につきまして福祉を図るということは、当然市町村としても府縣としても考えなければならん義務でありますから、この程度の規定におきまして運用するように我々は府縣市町村にお願いいたしまして、現在のところにおきましては特に市町村或いは府縣から、強いこれに対する要求があるという問題は我々のところに寡聞にしてまだ聞いてないのでありますが、多少そんな問題がないというわけじやありませんが、大体この精神において実施されておるというふうに解しております。
#21
○山下義信君 今一つだけ第五十一條の一項の第一号でありますが、政府の修正案によりますと、市町村の支弁いたしまする費用を第二十二條、二十三條、二十四條本文だけに限つておいでになるようであります。折角市町村長の保護規定を拡大せられまして、私たちはその点は非常に同感なんであります。非常に思い切つた改革で、この改正案が実施せられた以後の兒童福祉の発展を我々は期待するのでありますが、折角そこまでなされておいでになつて補助の規定の方におきましてお澁りになりまして、本文だけになされまして二十二條、二十三条、二十四條の肝腎の三ケ條の但し書の方の措置につきましては、費用の対象にはなさらんことに修正案がしておいでになります。その本文の方におきまする但し書の市町村の保護も是非せにやならん。殊に今回大修正をなされた、それの費用の方を惜しまないで、本文だけでなくして右の二十二條、二十三條、二十四條の全文に通じましての措置に対する費用も、市町村の支弁になさるのが私は本筋ではないかと思うのでありますが、但し書を除外されまして、本文だけに第五十一條の第一項一号に限られましたのはどういうわけでございますか。
#22
○政府委員(小島徳雄君) 御承知の通り規定の形式におきましては、本文だけがいわゆる措置費といたしまして市町村の費用になります。但し書の場合におきましては、今回の修正案におきましてはいろいろの場合が考えられるのでありまして、それは各具体的な措置が実際問題といたしまして違つて來ておるわけであります。一律的ではございませんから、それを法的に見ましてすべてこれも市町村の負担にしなければならんというふうに義務的に書くことは実際の法律の規定の形式としてはちよつと困難であるというふうに考えますし、又それを運用する場合におきましても、今申しましたように全部市町村の負担にするということは問題になる場合が相当あると、こういうふうに考えまして、これは義務として市町村の負担とするということにつきましては、法律的に一律に書くことは不適当だこういうふうに考えるのであります。
#23
○山下義信君 御答弁も分らんことはないのでありますが、ただ但し書の措置は千差万別であるからこれは法律的に書き現わしにくいというのと、それはただ書き現わしにくいから書かんということは意味をなさんのでありまして、その措置も、本文の措置の費用を負担する以上は本文の精神を汲んで、施設がないから但し書のような臨機應変の措置をしろ、こうなつておつて但しその方の費用は知らんぞというのでありますと、そうすると但し書の方の措置というものは、費用を市町村が負担しない措置とは如何なる措置を指すか、單なるこれは精神指導でありますか、單なる相談に應ずるのでありますか、どういう市町村は措置をするのであるか。市町村が費用を負担する、但し書の世話をするのでなければ意味ないように存ずるのでありますが、ただ何らかの斡旋をするのでありましようか。それでは私は市町村の保護規定を義務付けて拡大した意味をなさんと思うのでありますが、そういたしますと政府の修正案の通りにするということになりますと、この右の三ケ條の但し書の措置の場合は、一体どういうふうに実際は処置して行くのでありましようか、その点を御説明願いたいと思います。
#24
○政府委員(小島徳雄君) 例えばそこに書いてあるように、生活保護法を適用いたしますと、適切な保護を加えなければならん、こういう場合におきまして生活保護法を適用する場合におきましては、今のように兒童福祉法のこの規定に基く市町村の義務でなくて、当然生活保護法でやらなければならん義務を、市町村がそれに対して無関心であつたのを、この規定に基いて初めて生活保護法を適用しなければならんということを発見して、それによつて措置する場合におきましては、それはこの規定に基く市町村の義務でなくて、生活保護法に基く市町村の義務、或いは府縣の義務、國の義務ということになるのであります。從いまして、ここにある場合すべて兒童福祉法によつて市町村が負担するということは、少し法律的にむずかしいし、又実際問題といたしまして、兒童福祉法の規定というものは、全般的に劃一的に市町村が必ずこれを負担しなければならんという規定でございまして、今申しましたようにいろいろの例がございまして、或いは生活保護法の義務として出す場合もありますし、或いは市町村が法律適用に基く、この兒童福祉法に基く義務でなくて、市町村自身は特殊の措置としてなし得る場合もありましようし、いろいろな面が考えられるのでありまして、ここは非常に今申しましたように、すべてこれの義務として市町村が負担しなければならんと書まするということは、ちよつと法律的に困難じやないかとかように考えておる次第であります。
#25
○山下義信君 これは折角局長の御答弁でありますが、局長は非常に頭のいい方でありますが、今の答弁はおかしい。これは生活保護法は生活保護法でありますから、生活保護法によるような心配もしろ、その方の世話もしろということは言うてありますが、これは但し書の措置の一つの例であつて、生活保護法でやるならば、それはその分は問題がない。それから兒童福祉法によらざるところの市町村の種々の世話、これはもとより兒童福祉法の関知するところではないのであります。只今の私の質疑の問題にはいたしておらない。私の質疑をしておりますのはこの兒童福祉法の二十二條、二十三條、二十四條のこの規定によりまして、市町村長が措置をいたしましたときの而も生活保護法によらない以外の母子寮の代用、保育所の代用、助産施設のないときの場合の代用の措置をいろいろいたした。例えば保育所を寺院の一ケ所を借りてそこに三人、五人の子供を臨時に入れる、或いは遊休の住宅を借受けて母子寮の代用施設として市町村長が取計らいをした、或いは助産施設がないから市町村には産院を置く、そういう場合に産婆の家の座敷が二つ三つほど空いたのがあつて、それを代用の助産施設のようにいたして、保護を要すべき産婦の世話をさせた場合のその措置に要りました費用は、この修正案によりますと入るのでありますか入らないのでありますか。法律の上から申しますと、即ち正当な委任がせられた施設に対する措置をいたした分だけ、第五十一條は費用を負担するというのでありますから、そういうものに対しまして市町村の負担いたしました明文がない。從いましてそれらに対しまするところの、都道府縣や國の補助も出て行かないということに、修正案のままじやなるように思いますがこの点いかがでありまするか。
#26
○政府委員(小島徳雄君) お話の点はよく分かるのでありますが、法律で必ず市町村の義務と規定いたしますると、その場合におきましてはありとあらゆる場合が全部網羅されて、この場合でも絶対に市町村の負担として間違いはないというような場合でないと、法律におきまして必ず市町村の負担と書くことは非常に不穏当があるわけであります。從いましていろいろ予算をいたします場合に、何も法律に根拠がないといつて予算というものも出せないわけではございませんから、勿論予算に基いて予算措置としていろいろ関係を有することが今までもありますし、又將來もあり得ると思います。ただ法律に全部の場合におきまして、政府の措置としてやれという市町村のあらゆる措置が、全部市町村の負担になるということを書くことは、一應法律の形式といたしましてお話の筋は分るのでありますが、少し無理があるのじやないか。もう少しそれを何とか具体的にいろいろな場合を列挙いたしまして、これこれの場合につきましては或いは出さなければならんということが將來考え得るといたしましても、いろいろの措置の場合があり得るわけでありますから、それを全部網羅的に市町村の負担ということは少しく行き過ぎじやないか。從いまして單なる法上の義務としての市町村の負担じやなくして、いわゆる市町村義務に基く当然の予算措置としては勿論可能であります。実際によつてそういう問題は解決をした方が適当じやないか、こういうことでこういう形式にしたわけであります。
#27
○山下義信君 これ以上見解の相違でありますから避けますが、ありとあらゆる場合という只今の局長の重ねての御答弁は私は承服はできません、まあ二十四條の但書の義務規定はありとあらゆる場合の世話をしろという意味ではありません。本文にそれが條文が附けてあります。看護を必要とする場合、或いは疾病、勤労者、適当なる保護者のない者とか、いろいろの場合がそれぞれありまして、もうこの法律は二十二條、二十三條、二十四條の範囲というものが限られておる。ですからありとあらゆる場合といいましても、それは施行細則やその他の省令等によりまして御規定になりますから、雲を掴むようなそんな空漠な範囲ではない。そんな空漠は範囲でありますれば、本文の二十二條、二十三條、二十四條の但し書を拡げましても、市町村長の措置の費用がありませんやつを、或る程度代つて保護をするというように義務付けましたのは、限られたる範囲内が想像せられるから、法律か市町村長に義務を命じておるのでありますから、今度はその費用の点になると、ありとあらゆる場合があつてどうにもならん、雲を掴むようなということは、法文の方ではそこまで市町村長に義務付けることはできんわけであります。これは見解の相違になりますからこれで止めて置きまするが、これは施行細則で細かに規定すれば、こういう範囲ということは、五項目か十項目ぐらいで範囲の規定はできると思う。この程度で質疑は止めて置きます。
#28
○姫井伊介君 続けて四、五項目について御質問いたします。たびたび発言を求めませんから、そのまま続けさせて下さい。
 いつかお尋ねしたことでありますが、民生委員と兒童委員の関係で、兒童委員の立場からいいますと、民生委員は厚生大臣の辞令を貰つてはつきりしておる、ただ兒童委員は民生委員を以て当てるということで、何だかもの足りないという点で、これは法文の上に明記することはできないといたしましても、政令などの取扱で、やはり兒童委員としても厚生大臣の辞令書を交付する措置ができますかどうか、それせ先ず伺つて置きたいと思います。
#29
○政府委員(小島徳雄君) この問題は昨年からいろいろそういう府縣からの御意見もありまして、それは至極御尤もの御意見というふうに我々も考えております。民生委員と兒童委員の問題については、根本問題がありますから、その関係もございまするけれども、今のような現行法におきまして、兒童委員に辞令を出し得るかというと、それはもう既定の民生委員は当然兒童委員になるとなつておりまするけれども、辞令の形式におきまして両方の辞令を出すということは、解釈上可能であるというふうに考えております。府縣によりましては、辞令を一本にいたしまして民生委員、兒童委員という形式で出している府縣もあるやに聞いておるのであります。法律上もそういうことは可能であるというふうに考えております。
#30
○姫井伊介君 それは地方にはつきり指示はされないのですか。地方で勝手にさしておられるのですか。
#31
○政府委員(小島徳雄君) これは私の方でこうせよということは、別に指示はいたしておりませんけれども、府縣によりましてそういう措置をしておるところもありますし、してないところもあります。こういうわけであります。
#32
○姫井伊介君 それは兒童委員の氣持というものも、御承知の通りであります。やはり兒童委員としての意識をはつきりさせる、自分から責任感、義務感というものを強く自覚するという点につきましては、辞令書一本でも両方の委員名を書いてやるように、是非やつて頂きたいと思います。
 それから次に兒童福祉司の名称の問題でありますが、これは第二回國会でもいろいろ論議されたのでありますが、やはりどうもその兒童福祉司ということが堅苦しいような、役人ぶつたような言葉であつて兒童福祉というものにそぐわない。これはまあ修正意見として出すかも知れませんが、兒童福祉司を兒童福祉委員と簡單に呼んでもいいのじやないかと思います。その点は如何でございましようか。どうしても兒童福祉司でなければいけないとお考えになりますか。委員会の意向がそれならば、それでもいいということで御承諾なさいますか。
#33
○政府委員(小島徳雄君) その名称をどういうふうに表現するからどうこうということは、兒童福祉法制定当時におきましても、委員会で非常に御審議頂きまして、兒童福祉法というものは決定して頂いたのでありまして、漸く決定いたしまして兒童福祉司というものの名称が全國的に分りかけたときに、どうしてもこれは改正しなければならんという特別の理由がありますれば、私は姫井さんの御意見に無論反対するわけではありませんけれども、折角國会の御審議を十分頂きまして、名称を決定して漸く分りかけようとしておるときに、又名前を変えるということは却つて混迷を來すのではないか、今暫くこれでやつて行きたい、かような考えを持つております。
#34
○姫井伊介君 これは少し意見に亘りますが、実施した結果どうも堅苦しくていけないというのが世間の感じ方、考え方なんですね。それを世間の好むように変えてやることは少しも差支ないのではないかと、これはまあ意見でありますからそれまでにして置きます。
 次は兒童の年齢問題でありますが、満十八歳に満たない者と、これは特別な措置といたしましては満二十歳まで認めることになつておりますが、少年法で行きますと、やはり少年は二十歳まで、更にいろいろな收容施設におきまして、教育指導その他の措置をいたしまして、尚この上若干二年の余裕といつたようなものを置きますことが、子供を社会に送り出す上のいろいろな生活指導、職業指導の面におきましても非常に都合がよい。ただ十八歳になつたからというので直ぐ世間に送り出すことは、社会で十分な受入態勢もできておりません現在におきましては、やはりいろいろな收容施設におきまして適当な指導をするということも必要ではないか。そういうような点におきまして、これを二十歳まで延ばす、少年というものは二十歳までだという、この少年法と同じ行き方にすることにつきましては、どんなものでございましようか。
#35
○政府委員(小島徳雄君) こういう御意見は私共もよく分るのでございまして、二十歳にするという考え方もあり得ると思います。併し兒童福祉法の今一番問題になつておる施設におきまして、今のように十八歳から人によつては二十歳にする規定を改正案として出しておりますから、この程度において問題の解決ができるのではないかと、こういうふうに考えまして、どうしても二十歳にしなければならんということがありますれば、將來又研究いたして見たいと思います。
#36
○姫井伊介君 身体の不自由な子供の收容施設は療育施設で考えられておるかとも思いますが、殊にそういつた身体不自由な子供に対しましては特別な施設があつてもよいのではないか。從いまして、この兒童の福祉施設の中にこの盲ろうあというものを入れられましたが、そういう意味におきまして、こういう兒童を收容する施設を加えることが必要ではないか。先程申しましたように、そういう者に対しましては特に生活指導をやつて行かなければなりませんので、從來の療育だけでは何だか物足らないような氣がいたしますが、その点如何でしよう。
#37
○政府委員(小島徳雄君) 今回の盲ろうあ施設というものを療育施設から離したという意味は、從來の解釈では、療育施設というのは盲ろうあ施設も入つておつたのでありますが、療育施設といたしますと、或る程度療育可能であつて、或る程度治療が可能であるということが療育の観念ではないか。盲ろうあになりますと、もうちよつと治すのがなかなか困難であるというような解釈上の疑義がございまして、それで特にこれをとり出して盲ろうあ施設というふうにいたしたのです。今おつしやいましたような肢体不自由という問題は当然療育施設に入つて來ると思います。
#38
○姫井伊介君 療育施設はこの四十三條に身体の虚弱な兒童に適正な環境を與える、又は身体機北の不自由な兒童を治療すると共に必要な知識技能を與える。実際この施設はどうなつておりますか。
#39
○政府委員(小島徳雄君) 療育施設を分けますと、今言うような肢体不自由兒施設や虚弱兒施設、こういうふうに実際問題としては運営されるわけです。
#40
○姫井伊介君 更に兒童福祉という点からいいまして、今度兒童福祉司並びに兒童委員の仕事も明記されておりますが、そういう点だけではどうも不良化防止という点が足りない。少年法と相対比いたしまして、或る異常兒その他の者を收容し保護するということのみならず、一般兒童を指導し教化する、これは教育方面ということになるかも知れませんが、私は指導教化と言つておりますが、指導教化、從いまして不良化防止の面をはつきりこれに出すことが、兒童福祉法に明るい部面を與えるものじやないか、この点につきまして一つ。
#41
○政府委員(小島徳雄君) 御意見非常に分るのでありまして、兒童福祉法が規定の形式から行きまして、少し特殊兒童を扱う規定が多くて、一般の兒童に関する福祉の問題、今の不良化防止に関する規定の内容が少いじやないかという御意見、よく分るのですが、これは將來研究して行きたいと思いますが、ただ現在どうしてこうなつたかと申しまするというと、そういう問題につきましては、法律的に規定しなければどうしてもできないというふうじやなくて、実際の運営ができる場合が多いものですから、法律の形式におきましては、そういう面が割合に形式的には少い、こういうふうな結果になつていると思いますが、これは根本問題としましては、姫井さんの御意見よく我我も分つておりますので、將來研究いたしてみたい、かように考えております。
#42
○姫井伊介君 それから今度犯罪者予防更生法案が出ましたが、それにおきましては、各地に地方少年委員会というものを設ける。兒童福祉の方面においても、子供みずからが自粛自戒して正しい道を歩む、そういつたような組織もやはり考えて行く必要があるのではないか。ただ運営において適当に処理するということはできましようが、やはり一方ではこれに対すべき今のような少年法乃至犯罪者の予防更生法案などには、はつきりそういうふうな組織を規定している。兒童福祉の面におきましてはどうお考えになりますか。
#43
○政府委員(小島徳雄君) 今私の方といたしましては、そういうような子供の環境をよくすると共に、子供自身から自発的はそういうようなことにつきまして一つの組織を作つてやつて行くというような仕事につきましては、たびたび府縣に要綱を示しまして、子供クラブでありますとか、兒童指導班でありますとか、母親クラブの結成でありますとかそういうようなことにつきましては、詳しい様式を示しまして、各府縣におきましてそれぞれその精神に則りまして相当やつているわけでありますが、今のお話はそれをもう少し法律的に規定したらどうかというような問題でございまするので、これは大いに將來研究いたして見たいと思います。
#44
○姫井伊介君 次に第二十條におきまして、「妊娠した者は、速やかに、医師又は助産婦の妊娠証明書を添え、」とありますが、先には、この医師若しくは助産婦の証明ができないものは添えなくてもいいというふうなことが書いてある。妊娠した者が速かに証明書を以て届出るということは、非常に億劫で又本人も余り好まないことだと思いますが、從來こういうようなことが手続上非常に煩瑣で面倒だという声が随分多いのであります。從つて妊娠したということは事実に基くのでありますから、何も助産婦や医師の証明書がなくてもいいのじやないか、そのまま届出ればいいというふうに考えられますが、この点如何でしようか。
#45
○政府委員(小島徳雄君) 御承知の通り妊娠初期におきまして、いろいろ疾病の場合治療するということが、医学的に極めて重要で、今母子衛生の対策といたしまして、妊娠のいわゆる健康診断というものは、妊娠自身のためばかりでなく、生れ出る子供の健康のためにも絶対必要であるということで、できるだけ速かにそういうようなお医者さんとか助産婦の診断を受けるということを指導いたしているのでございますので、こういうこともその精神の一つの現われでありまして、これは結局兒童福祉の面から、妊娠した場合に絶対に我々はお医者さんの指導を受けることが必要である、こういう考え方でございます。
#46
○姫井伊介君 これ以上は意見になりますからやめますが、一應これで私の質問を終ります。
#47
○中平常太郎君 第五十二條には費用の問題が規定されてありますが、その家で但し書によりましてそこに一つの制約ができております。「本人及びその扶養義務者において入院のための費用を負担することができない乳兒を入院させて、これを養育することを目的とする乳兒院以外の乳兒院」と、こう断われてありますので、どうせこの福祉施設に直接の関係を持つていない乳兒院の補助は、この対象から除いてある。これはよく分りますが、「及び兒童厚生施設の設備に関するものについては、この限りではない。」というて、或いは許可のないような乳兒院と同じように、「及び」という字をつけて、兒童厚生施設の設備に対して補助をしないことになつております。ところがこの間もこれは質問したのでありますが、これは第四十條で明らかに施設を謳つてある。この施設の謳い方は大変強く旧法にありまして、第三章の兒童福祉施設として、明らかに第四十條に兒童厚生施設の説明が附いております。それでこれは第四十條としてありまして、相当重く見ておりましてその後の四十一條、四十二條、四十三條というふうにずつと続いておりますが、大部分初めの方に強く謳つておられるのであります。この兒童福祉施設として明らかに認めておるところのこの第四十條の兒童厚生施設というものに対しては、補助をしないということになつたのは、どういうわけでそういうふうに除いておられるのか。除くのなれば何故に兒童福祉施設の第四十條に強く謳つておられるか。この問題をもう一つお伺いいたします。
#48
○政府委員(小島徳雄君) 只今中平さんからお話になりました厚生施設の問題が極めて重要であるにも拘わらず、義務の補助規定から抜けておるのはどういうわけかというお尋ねでありますが、我々といたしましても中平委員の御意見はよく了承できるのであります。我々といたしましても、この兒童厚生施設が今日の日本の兒童福祉の面からいたしまして、極めて重要であるということにつきましては、兒童福祉法の笹定におきましてもそういう精神で謳われておるのであります。それを現在の規定におきましては、府縣と市町村の責任においてこれを実施し、政府におきましては義務といたしまして補助の規定がないのであります。併しながら我々といたしましては、この問題は極めて重要であるということを考えておりまして、又最近のいろいろな子供自身の自治会や子供自身の声を聞いてみますと、子供の遊び場所が最も要望されておるということもよく了承いたしております。最近の一年間におきまして、各府縣、各市町村というものが非常に努力いたしまして、非常に廣い範囲の厚生施設、そういうものが全國的には相当の数が設置されまして、その報告は我々の方へ参つておりまして、約一千五百の数が府縣、市町村、大きい小さいはいろいろございますけれども、そういう報告が参つて來ております。そういう意味におきまして、地元において相当費用がかかる場合もありますが、大して費用がかからなくても済むような場合もございます。從いましてこの問題につきましては、相当地域の事情によつて違う場合もございますし、又一番この問題は府縣とか市町村におきましても、非常に熱心に考えて実施されておるのであります。將來我々といたしましても、この問題を政府において義務として補助するかどうか、研究問題ではございますけれども、できる限り政府においても予算的な措置が講じ得るように努力いたしたいと考えております。ただ法律的にこれを義務として必ず出さなければならんものとするということは、今日の実情において、果してそれが適当であるかどうかということにつきましても、一つ研究を要する問題ではなかろうか、かように考えております。
#49
○中平常太郎君 只今の御説明では、ちよつと満足しないのであります。兒童厚生施設は、最初から兒童福祉法のできましたときから、第四十條として一條項を明らかに盛つて、そうして相当重い條項のところへ加え込んであるのであります。してみれば政府は初めから兒童厚生施設の將來性を考えておつたに相違ない。それが漸次その方向に進んで、現在府縣において一千五百も兒童厚生施設、兒童遊園地というようなものができつつあるという、極めて必要なものが漸次できつつあることの情勢を厚生省はよく知つておられる。それならば何故に今度の修正の場合に、この兒童厚生施設を補助の対象から除くということを、削除にならなかつたかということに対しましては、只今の御答弁では満足いたしません。この兒童厚生施設はもはや論議の余地はありません。限られた保育所或いは養護施設によりますと、相当これも数は足りませんが、子供全体の悪化の防止、或いは又保育所につけて兒童の厚生施設もやるという場合に、子供の遊び場所が極めて都市におきましては困難でありまして、自動車の通る交通路の方で遊ぶというような問題からいたしまして、どうしても都市におきましては兒童厚生施設というものはなくてはならんものでございます。それであるからしてこの兒童厚生施設に対しては、政府といたしましても、本腰を入れて必置條件にさすべきであると思うのであります。そういうものは都市におきまして、子供の遊び場所を中央の適当なところへ拵える。そう廣いところには及ばないが、到るところへ緑地帶を作つたり廣場を作つたりして、子供が学校から戻つてもゆつくり遊べるように、そうして悪企みを考える余地がないように子供にさまざまの競技、集團競技などをさせて、子供の悪化の防止並びに保育の完全を図るということの設備は、一々の施設のところへ入れる乳兒院或いは保育所或いは母子寮というような、そういうふうなもののその上の方の兒童にまでも及ぶところの、非常に廣汎な衞生問題から、風紀問題から、悪化の防止からあらゆる目的を含んで來ておるものであります。だから兒童厚生施設というものは、今後極めて重要な立場におるのであります。すでに兒童福祉施設の中の四十條として明らかに出ておる。出ておるならばそういう情けないことをお言いにならずに、これも補助の対象にちやんと初めからなさつて然るべきものだと思うのであります。若しお取りにならなければ、あなた方がお取りにならんのは、甲斐性がないのだ。それはあなた方が大体卑怯なんだ。だから予算をさつさとお出しになつて、予算であなた方が喧嘩をなさらなければならんことである。我々から突つ込まれるようなことでは仕方がない。あなた方はもつと考えなければならん。これは意見になりますから、これ以上は言いませんけれども、今の御答弁では満足いたしませんということだけ申上げておきます。
 それから次に、しまいの附則の中の三十四條の二というのは、施設外の、兒童福祉法によらざる施設をやつておるもの、すでに現在行なつておるものに対して行う前に届出でなければならんというのが三十四條の二であります。届けをしなければならんのじやない。届出る前にすでにできておるというその施設、兒童福祉法にあらざる施設の問題であります。それには相当な罰則も加えられておりまして、その設備その他によつてはこれを閉鎖することもできるし、改善の命令も與えることができるようになつておるところの部分であります。それができておるものが今日相当数あると思いますが、そのものに対して、その日から十日以内に同條に規定する届出をしなければならないという、三十四條の二の規定によつて届出をせいというのでありますが、十日ではとても今までの施設が届出をようしないと私は思います。届出期間が余り短くて、十日以後になつたならば……、経営者が病氣の場合もあるし、旅行しておる場合もあるし、この法律は公布の日から施行するとなつておる以上は、抜打的にこれは出て來るものであつて、我々こそ知つておるけれども、一般民衆は知らない。知らないような法律がぽかつと出て來て、十日のうちに処置されるということになつたらどうしますか。これは少くとも私は三十日くらいにしておかなければならんと思いますが、どうしてこんなふうに冷やかな十日というふうに同情のないような日にお決めになつたのか。それをお聞かせ願いたいと思います。御答弁を願います。
#50
○政府委員(小島徳雄君) あとの問題から申上げますが、これは施行する場合におきまして、そく府縣に徹底いたしまして、末端にまで徹底してから公布いたしたいというふうに考えております。從いまして、これは急に十日というわけじやなくて、徹底してから、もう直ぐに実施できるようになりまして、そういう規定の届出をするわけでありますから、薮から棒に届出を命令するというわけではございませんので、その点御了承願います。
 それからもう一つ、先程の厚生施設の問題につきましての件でございますが、よく私も分るのでございますが、実際問題といたしまして、兒童福祉法がどうしてそんなふうなことになつておるかというと、外の施設につきましては大抵規模も決つておりますし、そのいわゆる子供とか入る母親という者が大体限られている関係でございまするが、厚生施設になりますと市町村の子供全体が非常に恩惠を受けるわけで、それは恰も小学校が全体の市町村民の便益となると同じ意味におきまして、市町村というものは非常に関心を持つております。そういう意味におきましては、これは当然市町村がなすべきものである。若しこれが、今我々も予算の措置が分りませんのでありますが、ここに國が補助を義務として出すということを仮に規定いたしますると、府縣とか市町村では折角今市町村の熱意でやろうというのが、國会から補助が來なければならないということになりまして、却つて折角市町村がやつておるというような厚生施設の熱意が、規定の性質上、國から補助が來るということに規定がありますと、それを当にしてやる。國の予算というものが十分厚生施設につきまして確実に出し得るということになれば別でございますが、そういうことが見通しがつかないでやりますと、却つて市町村自身の独力でやるということの熱意を冷ます結果にならないかと我々心配しておりまして、その点は將來の予算全体の見通しを勘案し、又厚生施設というものが市町村に非常に重大問題でありまして、市町村が非常に関心を持つて、市町村住民の全体の福祉施設に対する考えをこの際奮い起しまするには、却つて少い費用を補助するよりはその方がうまく行くのではないかというような考え方もございまして、この際今度の改正した法案に入れるということは如何かと考えまして、実は躊躇いたした次第でありまして、そういう点もお含み願いたい。かように考えております。
#51
○中平常太郎君 只今の局長の御説明は、その市町村の施設するところの熱意を冷却するかも知れないという御深切なお考え方でありますが、これは少し補助があつた方が熱が出るので、それは一つもないということで放任された方が熱意が減るのであります。それはあなたの御解釈は、出すのが嫌だからお出しになりたくないというお立場から考えたことであつて、貰う方の市町村は、十万円要るところに一万円貰つても、今年は二分の一も出ないから、或いは十分の八も出ないから、まあ少いけれども一万円出るという、それは都合によつて思う程出せない場合でも、少い場合でもそれが種になります。よく普通いいますが、「さんしよう」があるからおすしを作るということがあります。砂糖が來ると直きに餅つくということをいいます。それはその砂糖以上に材料は要るけれども、砂糖で餅の考えが起き「さんしよう」でおすしの考えが起きる。だからあなた方が兒童厚生施設をやろうという場合は、必要な調査をして、政令では或る程度細かく基準もできるのでありますから、その基準によつて適当にやるものは、少しでも補助、今年は規則通りは通せないけれども、これくらい出してやるというならば、喜んで施設に掛るから、あなたの今おつしやつたふうに、出すことにしたら市町村の熱意が冷却するということは、これは全然反対にお考えになつていることで、これはどうもあなたがそんなお考えで、局長でおやりになつてはしようがないでなす、その点は……
#52
○政府委員(小島徳雄君) 中平さんのおつしやる意味よく私分るのでありますけれども、今の財政当局のこれは非常に強い見解がございまして、義務として國が、大藏省が金を出すということについては非常に強い反対がございます。我々といたしましては、中平委員のように努力はいたしますけれども、若し法律の規定だけは、國が補助を出すという規定になりましても、予算がこれに伴わなかつた場合においては、却つて國から費用が來るのじやないか、規定はなつているじやないか、それにも拘わらず國が経費をくれないから、市町村はやらなくてもいいということになることを我々は心配しております。これは我々としてもう少し財政当局にもよく話しまして、こういう問題につきまして國がぜひともそういう中平委員のおつしやるように二分の一の補助ができなければ、四分の一ならば四分の一でもいいから相当國が義務として補助をして貰うことにつきまして、大いに國が持つて貰うことに努力いたすつもりでありますけれども、現在の折衝の工合におきましてはまだそこまで達成しておりませんから、一應我々といたしましては、今回の改正案におきましてはそういう改正をなすことが却つて不適当であると、將來は御意見の通りに研究してみたい。私共といたしまして、厚生施設につきまして無関心であるということでなく、厚生施設を非常に重要視しておることだけを一つ御了承を願いたいと思います。
#53
○中平常太郎君 局長の御熱意も分るのでありますが、そうすると大藏省の方にあなたの方で修正しようと思うて、養護施設の方にも出すという考え方をお話しになつたことがあるのですか。そうして一遍蹴られたのですか、その点を一つ。
#54
○政府委員(小島徳雄君) これはもう兒童福祉法制定当時から何十回となく論議し、改正のときにおきましても何回となく論議しておる問題でありまして、我々としては最善の努力をいたしておる次第でありますが、大藏省の建前としてはただ財政的の見地からいろいろ理由がありまして、相当難色を示しておる、かように考えております。
#55
○中平常太郎君 それは何回となく御折衝になつたというお話でありますけれども、時勢が急テンポでありまして、この兒童の厚生問題というものは殆んどもう画期的に概念が違つて來ておりまして、ここ五年前や何かのことは今日一つも問題にならん。去年のこと一年前のことが大変な違いであり、すでに人口問題でも一年前ではこれ程やかましくなかつたが、今日人口問題はあれ程やかましくなつて産兒制限の問題が出て來る。二三年前までは産めよ殖やせよ、それ程違つておりますからこの修正案をお出しになるときに、何も大藏省に御相談になることはなかつた筈ですが、この修正案をお出しになるとき、何故理想を織込みにならなかつたかということをお伺いしたい。今日までのことはそうでありましようが、修正案をお出しになる以上は、断熱そういうことを修正なさつたら、関係方面でも喜ばれる筈と思いますが、関係方面でそれでは予算が多いからいかんと取られたのですか。
#56
○政府委員(小島徳雄君) 無論法律案を出す場合におきましては厚生省單独で出すわけでなく、政府一致して出すわけでありますから大藏省は関係省の賛成を得て初めて出すわけで、その意味におきまして今回の改正案におきまして、我々といたしましても努力いたしておりますけれども、中平委員の御希望のような点がなかなか解決困難であつたということを申上げます。
#57
○中平常太郎君 それならば私、実はこの問題は実際において遺憾に思つておるのでありますが、大体厚生の常任委員会に総理大臣がまだ一遍も見えたことがありません。総理大臣は厚生問題は厚生大臣に任したら、次官に任したらいいという考えで、何か不良化防止の問題でも、それは厚生大臣でよかろう、こういう考えでなかろうかと思うのですが、先日これは要求してあつたところが、逃げられてそうして日を換えておいでになるということであつたのですが、段々延期になりましたことはなりましたけれども、こういう兒童厚生施設の問題なんかは大事な問題でありまして、総理大臣はこういう問題がどつち向いて行くか知らんようなことではいかんと思います。で厚生大臣が予算をようお取りにならなかつたという問題は、総理大臣にぶつかつて行く以外は途がない。総理大臣がもつと腹をこういう方面に、十分な厚生問題に認識を深めて貰わなければならん。棺桶の方ばかり大きい金をお使いになつておる。これは厚生大臣ではいけない、総理大臣にぶつからなければいかん。それだから総理大臣をこの委員会に臨席して貰うように要求を私いたしたいと思いますが、その点に関しまして……
#58
○山下義信君 只今の中平君の御発言は私も全く同感であります。総理大臣の御出席の問題はどうなつておりますか委員長御承知の点を御説明願いたい。且つ又兒童福祉法の審議に関しましては本員はこれは重大な法案でありますから、できるだけ大臣が出席するようにとお願いいたしましたところ、当時厚生大臣もこれを御承認したのでありますが、まだ一度も審議中には顏を出さない、総理大臣の出席なり厚生大臣の出席なり委員長から御交渉下さるでしようか、その点どうお考えになるでしようか。委員長の御見解を聞いておきたい。
#59
○委員長(塚本重藏君) この問題は皆さんの御希望通り、今日まで運んで参りましたが、総理大臣の出席は要求がある都度出席を求めましたが、その都度総理大臣はいろいろな事故もあつたという理由によつて出席されなかつた。更にできるだけ早い機会に総理大臣みずから出席せられるようにということを申傳えておきました。それに対しまして、日を私今ちよつと忘れましたが、或る日の午前十一時三十分には出席するということを事前に総理大臣の方から通知がありましたので、それによりまして委員会を開会する準備を進めておつたことも御承知のところであります。ところがその日になりまして、突然又総理大臣から約束はしたけれども、他の要件のために出られない。こういうことで遂にその日は午前の委員会は開くにいたらなかつた事情も御承知のところであります。委員長といたしましてこの点は甚だ遺憾に存じておる次第であります。今後のことにつきましては皆さんの御意思の通りに委員長は取計らつて参りたいと思います。
#60
○山下義信君 厚生大臣の出席は私はよく要望しておきまして大臣も了承しておられたのでありますが、今後は大臣の出席があるかないかということを念を押された上で委員会を開いて頂きたい、この兒童福祉法に関しては……これは一委員の発言でありましても、公開の席で了解し合つた事項については重大なお取扱いを願いたい。ただ聽き流し、こういうことがたびたびあつては議員の発言権というものが軽視されていけませんと思いますので、厚生大臣に是非ともできるだけ出席することを要望しておきました以上は、厚生大臣の出席がなければ兒童福祉法案の審議はしないくらいの意氣込みでお当りを願いたい。これは重ねて要望いたしておきます。
#61
○中平常太郎君 それは委員会の審議の際に厚生大臣が出席しなければ審議しないということは初めから言うておることではなくして、段々時期が迫つてきておるに拘わらず今日まで余り出席がないから今の山下委員のような意見が出て、今後は見えなければ審議しないという強い御発言になつたと思いますから、その辺は我々は次官、局長でいい場合もありますけれどもが、余りに総理大臣がこのような問題を閑却されておると思いますので、どうか一つ山下委員の言われた通り審議の場合にはそういうようにお取計らい願いたい。それからどうしても一つ強く総理大臣の出席を要望して貰うように委員長にお願いいたします。
#62
○委員長(塚本重藏君) 承知しました。
#63
○小杉イ子君 ちよつとあと戻りですけれども質問をさして頂きます。私はこの兒童福祉法案が出ましたときに、一番目についたことは、先程姫井委員がおつしやつた兒童福祉司という文句であります、これはそのとき申しましたことは、神主さんのような氣がする、又ものを司るというようないかめしい氣分がするから、これは廃止して貰いたいというようにそのときにお願いしたのでございます。これは何故かと申しますと、兒童とか又は妊産婦を取扱うところの仕事に対してそういういかめしい名前はいけないということを私は言つたのでございます。それからその福祉司に対して官吏又は吏員、技術者、学識者、こういうようないかめしい人がなつているのでありますが、それも結構でございますけれども、こういうことは婦人を使つて貰いたいと申しました。殊に今日となりましては、産兒制限、産兒調節などが盛んに行われて参りますと、この産婆というものの失職が甚だしかろうと思います。その点においてこの産婆を任用なさつて、この名称も変えて頂くというお氣持はないでしようか。これを伺いたいと思います。
#64
○政府委員(小島徳雄君) 福祉司につきましては、この前配付しました資料に書いてあります通り、婦人の方も無論十分ではございませんけれども、相当出ておられます。名称の問題につきましては、先程私が御答弁申上げましたように、現在のところでは、一應折角でき上つた名前でございますから、特に改正の必要がありますれば別といたしまして、この線に進みたい、かように考えます。
#65
○委員長(塚本重藏君) 外に御質疑はありませんか。
#66
○山下義信君 尚質問は残つておりますが、本員に関しまする限りは、これ以上の質疑は私は大臣でなければいかんと思う点が多々あるのであります。厚生大臣の出席を待つて質疑することを保留して置きたいと思います。
 尚この際議事の進行につきまして、質疑が済みますれば、もとより討論に入りまして、いろいろ皆さんの御意見もあろうかと思います。本案の審議を進行する上におきまして、何か修正点に対しまして、更に修正の御意見のある方がありましたならば、これは委員長の手許へ各委員がお出し願うとか、何とかおまとめにつきまして皆さんにも御註文下さつたならばいいではないかと思います。これをお願い申上げて置きます。
#67
○中平常太郎君 もう一つお伺いしたいのですが、丁度谷口委員がおいでになつておりますが、第二十條のことですが、姫井委員から妊娠証明書が一々煩わしい問題であるし、殊に附近に医者がない場合にはなくてもよいと書いてある点から考えまして、あつてもなくてもいいように法律ができておる以上は、ないものがあるに相違ないのですから、ひとりでにおなかが肥るのが見えるのだから、妊娠証明書はせんでもいいということになるのですが、丁度極めて経驗の深い谷口委員がおられますが、二十條に対する御意見か何か、この際ありましたら修正しようという、証明書は要らんじやないかという問題に対して、どうしてもなけらねばならんという理由があるでしようか。
#68
○谷口弥三郎君 妊婦にはもう皆でるだけ早い時期から妊娠の診断をして貰いまして届出まして、妊婦手帳というものを貰つておるのであります。そうして妊婦手帳があればそれで十分代用はできる、特別に外の証明書とかいう必要は全然ないと思います。
#69
○中平常太郎君 そうでしよう、妊婦手帳が渡るし……
#70
○草葉隆圓君 一應本日はこの程度で質疑を打切つて後で議事の進行について御懇談を申上げたいと思います。(「異議なしと」呼ぶ者あり)
#71
○小杉イ子君 先程伺いますと総理大臣をという出席要望がございましたようですが、私は総理大臣を厚生のことについてお呼びするということは余りに酷のような氣がいたします。それにはやはり厚生大臣という方がおられるのですから、厚生大臣の出席が当然だと思いますが、厚生大臣にしても又逃げられたとばかり申せませんが、やはりお忙しいと思うのであります。とにかく今には副大臣ともいわれるかも知れませんが、政務次官というものがおられます。その政務次官が初から終りまで出席しておつて、それを聞いて全部やられるということはどうかと思つております。勿論厚生大臣の出席は要望いたしておりますが……
#72
○中平常太郎君 とても珍しい御意見が出たのですが、これは厚生大臣は一つの総理大臣から命ぜられた一省に向つての責任を持つておられるのでありまして、必要の場合には総理大臣まで自由自在に委員会は呼ぶことができるのであります。そうして又予算の獲得という問題でありましたから、総理大臣の意思の発動がどんなに影響するかということが大きいのでありまして、その範囲内で各省大臣は動いておるのでありますが、根本の方針は総理大臣から出て來るのでありますから、あなたのおつしやつたような次官でもいい、局長でもいいということは、それは事務的の問題ならそれでよいが、大事な根本方針を突く場合にはそういうものじやありませんです。その点は一つよくお考え下すつたら、議員の性格というものはそんなに弱いものじやありません。
#73
○草葉隆圓君 先に申上げましたように本尾はこれで質問を打切つて後は懇談にお願いします。
#74
○委員長(塚本重藏君) 草葉委員の御意見に異議ありませんか。
   〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
#75
○委員長(塚本重藏君) では休憩いたします。
   午前十一時四十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時三十四分開分
#76
○委員長(塚本重藏君) 午前に引続き委員会を開会いたします。午後は船員保險法等の一部を改正する法律案を議題にしてその審議を進めます。質疑を続行いたします。
#77
○姫井伊介君 現行法の十九條の三行目の「其ノ日ヨリ其ノ資格ヲ喪失ス」とありますが、これはよく分りませんがどういう意味でしようか。
#78
○説明員(河合庄平君) 「其ノ日ヨリ其ノ資格ヲ喪失ス」という意味は、その日からその被保險者の資格を喪失するという意味でございまして、普通の場合は死亡した日、或いは船舶所有者に使用せられざるに至つた日の翌日から、その被保險者資格を喪失するのであります。ところがその資格を喪失した日に、更に被保險者資格を取得する、喪失して同時に取得するというような日は、翌日といたしますと、ここに喰違いが起りますので、即日その日より被保險者の資格を喪失する、こういう意味でございます。普通死亡いたしますと、翌日に被保險者資格を喪失する。或いはやめましたその翌日に被保險者資格を喪失する。ところがやめた日の翌日に又新たに会社に雇われたというような場合は、その日にやめたことにしないと資格が重複するものでございますから、こういう場合は稀有なことでありますが、まあ法律的に矛盾のないようにするために、こういう規定にしたのであります。
#79
○姫井伊介君 二十二條の第三項において「脱退手当金ノ支給ヲ受ケタル場合ニ於テハ其ノ計算ノ基礎ト爲リタル期間ハ之ヲ合算セズ」その手当金を貰つたためにこの期間が合算されない、むしろ手当金を貰わない方が再び被保險者となつた場合に、從來の給付に対する有効期間が合算される、その方が得だということになりますと、では私はこの手当金を一遍お返しいたしましようと言つた場合にはどうなりますか。返せばその前後の期間におけるものが合算されますかどうか、それは許されないものか、一遍手当金を貰つてしまつたらそれきりになるのか……
#80
○説明員(河合庄平君) 只今の規定の上ではそれはできません。恩給法ではこれはできることになつております。
#81
○姫井伊介君 恩給法ではできますか。
#82
○説明員(河合庄平君) ええ、船員法ではそれはできません。
#83
○姫井伊介君 それはできないということは、でかすようにしてはいけないのですか。どういう関係でできないことになつておるのですか。
#84
○説明員(河合庄平君) 事務上とかいろいろな手続の関係で只今やつておりませんが、理窟から言つてやつて差支ないわけであります。
#85
○姫井伊介君 そうですね。被保險者の利益のためにはそう考えてやるべきものだと思うのです。
 五十七條の二、福祉施設、これには相当の金額が使われるようでありますが、その施設の内容、その種類といつたようなものの概要を御説明を願います。
#86
○説明員(河合庄平君) 船員保險の福祉施設といたしましては、疾病予防ということが先ず第一でございまして、そのためには性病の予防、それから被害の予防、そういう健康診断というようなことをするようになつております。性病は船員保險では約一億円に達するような状態でございまして、これは是非できる限り予防したいと思つておりますので、これに関するパンフレツトを配付するとか、或い海員組合、海運当局ともよく打合せをいたしまして、各地で性病予防の講演会とか催しを開きますとか、或いは又予防法を行う。それから健康診断につきましては、船員法の規定に基きまして、船員は毎年一回健康診断を受けなければならんことになつております。これを船員保險でやつておりまして、性病予防或いは健康診断の結果いろいろ発生、発見いたしました疾病の早期治療をやつております。それから各地に温泉保養所というようなものを設けまして、非常に過激な労務に携つて疲れました船員を一日も早く疲労を回復せしめて、もう一度又再び元の体にして、速かに疲労の回復、疾病の保養という点から各地の温泉の保養所、それから不具癈疾になりました者につきましては、陸上の厚生年金の外郭團体たる厚生團で、登別、湯ノ川、そういう方面に温泉療養所というものを設けておりまして、船員保險におきましても、それと契約いたしまして、不具癈疾になつた者の後療養、或いは義手、義足の支給、そういうことをやつております。それから船員保險の長期給付を完全に支給せしめるために、いろいろの受給者としての手続をこの方で代行しております。そういうようなことをやつております。
#87
○姫井伊介君 今お話を聽きますと性病者が相当多いようでありますが、それなんか統計か何かありましようか。或いは又その治療の経過によつてどのくらい治癒しておるか、或いは蔓延しておるかというような実態を現わすような統計を示すことができますか。
#88
○説明員(河合庄平君) 正確な数字でなく、掖済会病院の各地の診療所、そういう方面から推察いたしまして大体一億、こういうようなことは、是非一つしつかりとした調査をやりたいと思つております。
#89
○姫井伊介君 船員の性病関係は、或いは社会的方面から相当考えて行かなければならんと思いますから、それと二十八條の五と七ですが、この診療報酬算定協議会、若しくは保險診療協議会にはただ同数を委嘱するというだけで、人数は決めておりませんですね。外の方を見ますと、やはりそれぞれ人数が決めてありますが、これはどうして人数決めないのでありますか。
#90
○説明員(河合庄平君) 改正法では規定しております。
#91
○姫井伊介君 船員保險審議会などは決めてあるのですね。
#92
○説明員(河合庄平君) はあ。
#93
○姫井伊介君 然るに、こちらの方は決めてない。
#94
○説明員(河合庄平君) 診療報酬算定協議会の方ですか。
#95
○姫井伊介君 それと、二十八條の五、社会保險診療協議会、それから二十八條の七は社会保險診療報酬算定協議会。
#96
○説明員(河合庄平君) これは政令で規定しております。
#97
○姫井伊介君 船員保險審議会などは委員各六人を以て組織すると書いてあります。これは政令に讓つていないですね。どうしてこれを一致させないか。
#98
○説明員(河合庄平君) 審議会の方は船員保險の根本原則を決めるようなまあ中心機関でございますので、それは六名の委員というように規定したのであります。ところが社会保險診療協議会とか算定協議会とか、これらは健康保險とかそういう他の社会保險とも関係いたしますので、政令で決めることにいたしました。
#99
○政府委員(宮崎太一君) 只今の船員保險審議会の方は、船員保險が單独に持つており、診療報酬算定協議会とか、診療協議会といいますものは、健康保險と船員保險と合体した形になつておりますので、そういう意味で政令で決めることにしております。
#100
○姫井伊介君 分りました。第三十三條の九第三項第一号ですが、その收入の一日分に相当する額から五円を控除する、この五円という根拠はどこにあるのですか非常に貨幣價値が今日のように下落した場合に、六円という数字が妥当であるかどうか。
#101
○説明員(河合庄平君) これはえらい根拠はないのでございますか、五円程度、少しでも得さそう、金額は少しでもよくしようという考えから、陸上の健康保險でもそういう意味で、陸海一致にするというだけで深い意味はありません。五円でも六円でも……
#102
○姫井伊介君 この保險の十五年と十年との関係でありますが、十年になりましたものは保險給付が二ケ月分、十五年のものは六ケ月分、この差が余りひどいじやないか。即ち十五年と十年とは三分の二関係になるので、四ケ月というのが妥当ではないかという考え方も多いのでありますが、その辺の理由と、今一つは一年を増すごとに六日を加算する。これはこの前の健康保險なんかでは、たしか二日間の加算か何かになつておるんですが、四日が余り少いということをちよつと質問したが、それとこれとはちよつと違つているのではないかと思いますが、その辺の関係をお伺いいたします。
#103
○政府委員(宮崎太一君) 漁船のこの養老年金の期間でございますが、一般のものは十五年を以て満期となるわけでございますが、漁船につきましては、十五年勤めるだけの勤務の期間がないと、臨時的な勤務等が多くて、ないというような根拠からこの改正を考えたのでございますが、その際におきまして、給付を他の汽船その他の乘組員と同じようにするかどうかということと、それから保險料を同じくするかどうかという点が二つ問題でございまして、十年の期間を以て給付を貰う以上は、保險料を上げなければ十五年と同じようなことにならないわけであります。そこで保險料を上げるか給付を多くするかという点で、いろいろ考えた結果、今日の船主或いは船員の経済状態から見まして、保險料を上げることはどうも適当でない。殊に十年先の養老年金の問題でございますので、それよりも給付を減らした方がよいのではないか。こういう見地に立ちまして、保險料は外の船員と同じ保險料を取る。而して十年で給付を始めるというときに、幾ら出したらよいかということを、いろいろ数理計算をいたしました結果、普通の人の半分でよいじやないか。普通は四ケ月であります、只今姫井委員は六ケ月と申されましたが、四ケ月でございますので、その半分の二ケ月を拂う。こういうことにいたしたのでございます。
 それから然らばこの十年から十五年未満のもの、十五年になりますと普通になると思いますが、十五年未満のものをどうするかという点が、普通で申しますと十五年を過ぎたものが一年増すごとに六日間を加算して行くわけであります。それと同じ歩み方ができればしたいと思つておりましたけれども、保險経済の数理計算上から参りまして、それをいたしますと、他の漁船以外の船員の保險料を食うことになる結果になりますので、これが漁船を短縮したことによつて、汽船等の乘組員に影響を與えることは好ましくないという関係から、このスライド制の加算ということをやらなかつたのでございます。理論的に申しますると保險料さえもう少し取れればそういうことも考えられるわけでございますが、今日の情勢において保險料を据置にいたしました関係上、そういう結果になつたのでございます。
#104
○姫井伊介君 一年増すごとにというと、陸上と同じことになつていますか。
#105
○政府委員(宮崎太一君) さようでございます。六日になります。
#106
○姫井伊介君 陸上は少いのですね。
#107
○政府委員(宮崎太一君) 陸上は四日で船員が六日です。
#108
○姫井伊介君 多いのですね、多い方がいい。
#109
○小杉イ子君 ロシア辺では女の船長なんかいるということを聞きますが、日本では婦人のそういう人がございますかどうか。婦人というものは誠に移動の激しいものなのでございまして、その保險料金に差支えると思いますがどうでしようか。そういう移動の激しいものでございますかどうか。その点で保險金の方は、給付の点が違つて來るのではないか。
#110
○政府委員(山口傳君) 只今手許に資料を持ちませんので正確な数字は分りませんが、主として機帆船に家族で乘つておる船員でございます。奥さんであるとか、娘さん、そういう方が船員として取扱われております。数はやはり二、三千はおられたんではないかと思いますが、船員法の対象になつておる機帆船でございますと、他の男の船員と同じような取扱いになつている、それらは常住船に乘りこんで生活をしておられる、そういう方がございます。
#111
○委員長(塚本重藏君) 私から一、二お伺いいたしますが、一部には今度の船員保險法を改正することによつて、保險料率が上つて來たが、かような高額な保險料金はその負担に耐えない、船主側の方でそういう声がある。こういうことも聞いておるのでありますが、その辺の事情、それからこれらの所管でありまする運輸省としては、この船員保險法の今度の改正に対して、どういうふうにこれを見ておられますか、御意見がありましたらその点聞きたいと思います。
#112
○政府委員(岡田修一君) 今度の船員保險料引上げになりまする船主の負担額は、およそ四千四百万円と承知いたしておるのであります。これを船主側が負担でき得るかどうかというお尋ねでございまするが、本年度の船舶運営会から船主に支拂いまする傭船料におきましては、この保險料引上げによる負担分は計上いたしておりません。現在船主が貰つておりまする傭船料の中でこの四千四百万円を負担し得ることが可能なりや否やにつきましては、いろいろの考えをとり得るだろうと思いますが、この傭船料は当初私共が船主側に対して妥当であると考えておりました額に対して、二割強の削減をされた経費が行つているのでございます。從いまして船主のこの傭船料による経済というものは非常に苦しいものと、かように考えております。それから更に運営会全体の経費を差繰つて、船主負担分を考えることができるかどうかにつきましては、七千九百万円の予備費を運営会が持つております。この運営会の予備費を差繰ることが考えられるのでございまするが、これらの差繰につきましては現在まで折衝いたしておりまするところによりましては、関係方面におきまして強い反対意見がございまして、非常にその実現が困難な状況にある次第でございます。
#113
○委員長(塚本重藏君) 厚生省の方にお伺いしますが、この改正法案を提出せられるまでの間に何か運輸省との間において話合などなさつたことがございましようか。
#114
○政府委員(宮崎太一君) この法案を作りますまでには運輸省と私の方と緊密な連絡をとりまして、殊に漁船関係をこういう特別な扱いをすることにつきましては、農林省との関係もございまして、この運輸省と農林省と厚生省の間、種々打合せをしまして、そうしてでき上りましたものがこの法案でございます。只今の船舶運営会の問題等につきましては、船員保險委員会において船主側からこれに対する意見があつたのでございまするが、船員保險法の改正はこれは船員の保險をやれるかどうかという見地からみるべきものであつて、船主側、或いは船員側の負担等については別に考えることであつて、船員保險としては船員保險がこれをやれるかどうか、又妥当であるかどうかという見地から論ずべきであるというような議論もございまして、只今の船舶運営会の問題等については別途運輸省等で考慮されて然るべき問題ではなかろうか、こういうことで委員会を済ましまして、それから両者の合議の結果、関係方面とも了承を得て提出した次第でございます。
#115
○委員長(塚本重藏君) こういう法案を提出するにはそれぞれ閣議の決定をみていると思うのでありますが、その閣議においては運輸大臣も勿論これに同意したと思うのでありますが、その間の事情を明らかにして頂きたい。
#116
○政府委員(宮崎太一君) これは同意を経て出しております。
#117
○委員長(塚本重藏君) 尚今日の社会情勢からみて、陸上の保險と同様に、船員保險につきましても、この程度の改正を行わなければ今後の船員保險の運営というものはできないと考えられますか。保險料率を上げないで運営することが不可能であるかどうか、その点の見通しについてもう一度伺つて置きたい。
#118
○政府委員(宮崎太一君) 先般も申上げましたように今日の船員保險におきましては、厚生年金保險の分と失業保險の分等は別問題として、健康保險に相当する分、労災保險に相当する分というものは、疾病保險でございまして、治療費の高騰に対しまして、賃金がそれに比して増しておりません関係上、どうしても現在の保險料率をもつてしては、この短期保險を賄い得ない状態になつておるのでございまして、健康保險に相当する分につきましては、今回御改正願つておるのでございますが、これを改正せずに参りますると、保險経済がバランスを失すると思うのでございます。厚生年金保險、失業年金保險に対する分につきましては剩余が出ておりますけれども、厚生年金は御承知のように養老年金の積立金でございます。併し失業保險は今後の失業の見通しの問題にかかつておりまするので、これらも触れ難いような状態にございますので、保險料率の改訂を是非お願いしたいと存じております。
#119
○姫井伊介君 運輸省にお伺いいたしますが、現在船員法によりますと、三十トン以上の漁船の乘組員が、船員法に規定されておるということを聞きましたのですが、それ以下の船員に対しましてはこの保險が適用されない。両方面から考えますと、一つは保險経済を幾つか緩和するという立場からこの被保險者の数を多くすることが妥当ではないか。今一つは三十トン以下の漁船乘組員もやはり保險に均霑せしめるという点からいたしまして、この船員法にあります三十トンの制限というものをもう少し緩和いたしまして、多くの被保險者を得、從つて保險経済の運営にも便利にし、被保險者の範囲も拡大して、社会福祉の均霑面を拡げて行くというふうなことについては、お考えはございませんか、どうですか、それをお尋ねいたします。
#120
○政府委員(山口傳君) 只今のお話の被保險者の対象を殖やしまして成るべく多勢でやるということは、御尤もだと思いますが、今までのやり方が船員法の対象船員を差当り対象としてスタートしておる。御趣旨の点結構だと思うので研究いたしたいと思います。
#121
○委員長(塚本重藏君) 外に御質疑ありませんか。
#122
○姫井伊介君 今のところ船員法改正の御意思はないのでありますか、或いは御計画はありませんですか。
#123
○政府委員(山口傳君) 只今持つておりません。
#124
○委員長(塚本重藏君) その点について、船員保險法であるから船員としての資格を持つておる者、つまり船員手帳を持つておる者でなければこれの対象にならないという今の建前から來ておるらしいのですが、併し船員法に基く船員でなくてもそういう三十トン未満の漁船等の乘組員に対して特別な措置を講じて、任意加入というのかそういう便法を考慮されるような御意思はないのでありますか。
#125
○政府委員(山口傳君) 船員法の方の意見を申上げますが、御趣旨御尤もなんですけれども、対象がこれまではつきりいたしません。それは船員法自体の適用範囲でも実は苦しんでおるのでございまして、今日までのところ漁船については三十トン、その他の船舶については五トンということで、段々拡大して参りまして、現状のところそこで止つておるのでございます。これを妥当であるかどうかの範囲の決め方が、御趣旨の通り持つて行きますのには今のところ基準がございませんので、今後の研究に待たして頂きたいと思います。
#126
○小杉イ子君 この間伺つたんですが、農民と漁船乘組員どちらが長命か短命かを聞きましたところが、魚を丼一杯でも食べれるほど食べなければならん日もあつて、魚ばかり食べる漁夫が農民よりも短命であると聞きましたが、そういう証拠が挙つておりましようか。短命ということは保險に大変影響があるようでありますが、お調べになつたことがありますか。
#127
○政府委員(宮崎太一君) 今のところ統計はないそうであります。
#128
○委員長(塚本重藏君) この程度で質疑を打切ることに、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#129
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めて、質疑を打切ります。
#130
○谷口弥三郎君 質疑を終りまして、討論を省略いたしまして、直ちに採決になりますように願います。
#131
○委員長(塚本重藏君) 谷口委員の動議に、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#132
○委員長(塚本重藏君) それでは討論を終結いたします。直ちに採決に入ることに、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#133
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。これより船員保險法等の一部を改正する法律案について採決いたします。本案につきましては衆議院で一部修正が行われております。衆議院修正のものをもつて原案といたします。衆議院修正通りこれを原案として可決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#134
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。全会一致と認めます。つきましては、委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、予め多数意見者の承認を得なければならないことになつておりますが、これは委員長において、本案の内容、本委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することにして、御承認を願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#135
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。尚本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とせられた方の順次御署名をお願いいたします。
 多数意見者署名
    今泉 政喜  中山 壽彦
    黒川 武雄  草葉 隆圓
    谷口弥三郎  山下 義信
    姫井 伊介  小杉 イ子
    井上なつゑ  中平常太郎
#136
○委員長(塚本重藏君) 御署名洩れはないものと認めます。本日はこれを以て散会いたします。
   午後二時十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
           姫井 伊介君
   委員
           中平常太郎君
           山下 義信君
           黒川 武雄君
           草葉 隆圓君
           中山 壽彦君
           竹中 七郎君
           小杉 イ子君
           井上なつゑ君
  政府委員
   厚生政務次官  淺岡 信夫君
   厚生事務官
   (保險局長)  宮崎 太一君
   厚生事務官
   (兒童局長)  小島 徳雄君
   運輸事務官
   (海運総局海運
   局長)     岡田 修一君
   運輸事務官
   (海運総局船員
   局長)     山口  傳君
  説明員
   厚生事務官
   (保險局船員保
   險課長)    河合 庄平君
ソース: 国立国会図書館
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