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1949/05/21 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第26号
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1949/05/21 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第26号

#1
第005回国会 厚生委員会 第26号
昭和二十四年五月二十一日(土曜日)
   午前十時二十九分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○社会保險診療報酬支拂基金法の一部
 を改正する法律案(内閣提出・衆議
 院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開きます。本日は社会保險診療報酬支拂基金法の一部を改正する法律案を議題にいたしまして質疑を續行いたします。質疑のおありの方は……。
#3
○中山壽彦君 この基金の法律が昨年制定されまして實施をされたのでありますが、今日までの実績を見ますと、やはり支拂が相当遅れておりまして、地方によつての多少の差はありますがやはり遅いところは約五ヶ月ぐらい遅れております。保險医といたしましてはこの診療費の遅れておることによりまして、非常な困難な事情におる。殊に病院経営者等におきましては、患者の給食も関係方面の要望によりまして病院が支給をする。この支拂が遅れておりまするために、又一面には税の過重のために病院の差押えを受けておるようでありまするし、尚甚だしきに至つてはもう病院はやり切れんというので病院を賣却したというような極端な事例も起つておるようであります。御承知の通り戰災において全國大中都市の病院というものは相当破壞をされて、その復興というものは非常に困難であります。又新たに病院を拵えますということも、医療法の改正によつて、総合病院は百ベッド以上、單科病院でも二十ベッド以上と改正されておりますので、新しく病院を拵えるということは非常な困難な現状にあるのであります。病院の建物を病院以外の目的に利用されるというようなことは、非常に私は避けなければならんことと存ずるのであります。而してこの支拂いの遅くなつた理由というものは、大体保險料の未納ということが主たる原因であります。政府当局としてはこの未納の整理というものをどういうふうになさつておるか、それを先ず一つ承つて置きたいと思います。
#4
○政府委員(宮崎太一君) 只今中山委員から御質問になりました点につきまして、基金が発足以来、支拂が初めの間は何とか参りましたけれども、今日においては相当遅れておることにつきまして、診療を担当して頂いております医師或いは診療所、病院等に非常に迷惑をかけております点につきましては、これは私共基金を監督し、且つ社会保險を運営しておりまする政府の立場におきまして、この点につきましては誠に相済まん次第であると存じておるのでございます。保險料滯納についてのどういうことをやつておるかというお話でございまするが、保險料は從來年度末におきまして大部分入つておるのであります。又年度計画におきましてもいろいろ手を講じまして殆んど大部分入つておるわけでございますが、昨年におきましては金融の梗塞等によりまして、相当経済界が金詰りを來しておるということを感じましたので、從來のように年度末までに取ればいいということでは危ないということを感じまして、昨年の十二月におきまして滯納整理を今月一杯は全力を注ぐということにいたしまして、十二月全國を挙げて滯納整理に当つたのであります。その結果約八五%ぐらい十二月までに入つたのでございますが、一月から又やや滯納が出て参りましたので、大府縣の保險課長に集つて貰いまして、尚継続して力を注がなければならんということを申したのであります。そこで税金等と重なりまして、いろいろ苦労があつたのでございまするが、今日におきましては九割五分の保險料が入つたのでございます。そこであとの五分につきましては、年度計画で取るように努力をしておるのでございます。今日基金に対する支拂が遅れました点につきましては、そういう滯納の点もございまするが、同時に予算の不足という点もございまして、これにつきましては昭和二十三年度の予算を組みまする際におきまして、これ程医療給付が増大するということは予測しなかつた関係もございまして、相当少額予算であつたためであります。それが八月、九月頃から医療費が非常に増して参りまして、毎月一億ぐらい宛殖えて行くということになりまして、年度の初め頃には一億円から一億五千万円の医療給付金が、二月には五億六千万円というような増大振りになりましたので、本年度に入りましてから予備費を出したり、或いは会計規則の改正をいたしまして、三月分を從來は翌年度に廻しておつたのでありますが、それを本年度に廻す等の処置を講じまして收入の増額を図つたのであります。それでも尚予算の不足を來しておりまして、本年度に入りましてから四月に暫定予算を組まれましたので、暫定予算の方から二億ばかり出しまして、それから新予算が成立いたしましてから五億を出すというようにいたしまして二月分を拂い、三月分は今日本銀行へ手続中でございますので、明日あたり出せる、四月分もおつつけ出す、こういう状態になつておるのでございまして、予算の最初に二十三年度の予算というものが少額に組まれておつた。即ち今日の情勢に対する、何と言いますか、予測が誤りであつたという点等も禍いしておるものと存じまして、この点を深くお詫びを申上げる次第であります。
#5
○中山壽彦君 尚一昨日の新聞に千葉縣におきましては、二月以降の診療費が約二千余万円滯納になつておりますので、千葉縣の医者は今月中に支拂いをしなければすべて保險医を脱退したいというような意向を洩しておるということが新聞の記事に載つておつたようであります。その他全國にも相当そういうような傾向があり、これに対しては只今のお話でもありますが、今月中にそういう支拂ができ得るかどうかということを改めて伺います。
#6
○政府委員(宮崎太一君) 政府管掌の分につきましては、五月分は困難であると思いますが、四月分はできるだけ努力いたしまして、今月中に何とかしてやりたいというつもりで今努力をいたしておりますが、五月分はこれはまあ当然來月の問題でありますけれども、そういうつもりでおります。問題は組合管掌の分でありますが、組合管掌の分は今基金におきまして盛んに徴收に努力をいたしておりまして、私も先般東京都の基金へ参りまして、実情をよく調べ督励を加え、或いは鞭撻を与えたのでありますが、そのときの情勢から見まするというと、やはり基金が発足以來、事務所が手狹であつたこと及び職員が不馴れであつたこと等のために九、十、十一月頃の仕事が非常に遅れておつた、それがずれて参りまして徴收事務が自然遅れた、その関係で組合からの徴收が惡かつた、同時に経済界の今日の状態の関係上組合から納まる金が若干入らない分があつた、こういうようなことで、非常に遅れておつたのでございますが、東京に関する限りにおきましては、二月分の支拂を今各区ごとに順次やつております。全國的に見ましても相当府縣が二月分の支拂を完了しております。でまだ二月分の支拂をしておらない府縣もございますけれども、これもおつつけ済むと思いまするが、大体の状態から見まするというと、事務員も相当馴れて参りまして、計数の誤り等が減つて参つたようでございます。この調子で参りますというと、徴收事務、即ち組合に対する請求書等の作成も順調に参るのではないかと思つております。
 それから政府管掌の分も先程申しましたように大体順調に行き得るのでございまして、お医者さん方に対しまして掛けました御迷惑は來月分くらいから、この規則通り動くという自信を持つて努力をいたしておるのでございます。それから医師会の方におきましても今日の情勢を申上げておるのでございまして、私共のところに今中山先生の言われたような点の情報が入つておりますので、これらの点につきまして非常に憂慮いたしまして、近く保險課長を招集いたしまして、これらの点につきましてできるだけの努力をし、遺憾のないようにいたしたいこういうつもりでおります。
#7
○中山壽彦君 今回基金の一部改正をやられまして、從來一ヶ月分の予託金を一ヶ月半というふうにやられるということは多少の効果があろうと存じますが、これは診療費というものは、今日の世相から言いますと医学の進歩に伴い治療を社会保險によつて行なわなければならん、こういう風潮になつて参つておりますので、医学が進歩いたしますればいたします程、治療費というものは増額するものと存じております。例えばズルフアミンとか、ペニシリンであるとか、或いは近くはストレプトマイシンというようなものが、社会保險において治療上使わなければならん、こういうような傾向になつて参りますので、診療費は増額の一途を辿るのではないかと思います。又今日の社会世相から参りますというと、被保險者証の活用は、今後一層殖えるのではないか、こういうふうに考えておりますので、今回一ヶ月半の予託金をお取りになりましても、この運営というものが、やはり從來と同じように困難になるのではないかというような考えを持つておりますので、その点に対するお見込みはどうでありますか。
#8
○政府委員(宮崎太一君) 医学の進歩に伴いまして診療費が増額するというお話でございますが、保險の理想の形から申しますというと、医学が進歩いたしますると治療費は嵩むのでありますが、併し医学の進歩に伴いまして病氣が早く治る、即ち診療の日数が減つて來るということで、トータルナンバーといたしましては、金が増えない或は減るというのが理想ではないかと思うのであります。いい治療が始まりますと、死ぬ人が死ななくなつたり、或いはひまのかかつた病氣が早く治るというのが普通であると思うのでありますが、ペニシリン等が始まりまして治療日数がそれじや減つたかということになりますというと、若干は減りましたけれども、経費はやはり嵩んでおります。そういう点は、ペニシリンの効果はあるけれども、治療が或いはペニシリンを使うと同時に、外の治療剤を使うというような関係で、やはり経費が減らないということではないかと思うのでございますが、理想の姿としては、医学の進歩に伴いまして疾病が減少するということではないかと思うのでございます。そこで中山先生のおつしやいましたように、現状におきましてはやはり治療の進歩に伴いまして医療費が増加するのでございます。そういうようなことを考えまするというと、今回法の改正で一月半にするというけれども、一月半でも賄い切れんのではないか、こういうお話でございまするが、これは私共といたしましては昨年の四月、五月と違いまして、今年の二月、三月、四月というものが相当多額の診療費でございますので、それの一倍半という金額であれば何とか行けるのではないかというような考え方でお願いをしておるのでございまして、一月半の予納金を完全に納めてくれれば勿論心配はないし、ややそこに何と申しますか、滯りがありましても行けるのではないか、こういうような氣持でいたしておるのでございまするし、もう一つは今日の組合等の現状からみまして、余り多額の予納金を貰うわけにも参りませんので、この辺で改正をお願いしたい、こういうことでございます。
#9
○中山壽彦君 まあ政府の御答弁のように、この点の運用がスムースに行きますれば大変結構だと存じますが、私はこの診療報酬を請求した翌月に診療報酬を支拂うということが少し無理でないか。各國の例を見ましても、翌月に拂うような事例はないようでありますが、むしろこれを二月後というようなふうになさる方がいいのではないかと私は思う。そうしますと保險医はどうしても二月後でなければ診療費を受取ることができないという苦境に陷りますので、診療報酬請求書の審査を終つた分に対しては、政府の斡旋によつて特殊の銀行から保險医個人が若干借款ができるような途を講じて貰うということが、今日の保險医の経済の非常に逼迫した現状におきましては、非常に有意義なことになるのではないか、こういうようなふうな考えを持つておるのでありますが、こういうことに対する御当局の意見はどうでありますか。
#10
○政府委員(宮崎太一君) 診療報酬を翌月拂うということは無理であるから、翌々月、即ち二月後に拂う方がいいという御意見でございますが、これは仰せの通りに世界各國例のない翌月拂というのでございまして、まあ日本で始めてそういうやり方をした、その表面は非常にいいけれども、実際は翌月拂にはなつていない、であるからしてむしろ翌々月拂にした方が本当ではないか、こういう御意思であろうと思うのでありますが、これらの点につきましては私共よく研究をいたしてみたいと思うのでございます。
 それからそのためにお医者さんが経済上いろいろ御迷惑を受けられるという点につきましては、現在でも実は税金その他の関係でお困りである分につきましては、基金から証明をいたしまして、そういう或いは借金のお世話をしておるような例もあるのでございますので、それらにつきましては基金当局とよく相談をいたしまして、できる限りのことをいたしてみたいと思うのでございます。
#11
○中山壽彦君 続いてお尋ねをいたしたいと思いますが、今回は審査委員というものが殖えて参ります。そのうちに學識経驗者から七名の審査員を選ぶことになつていますが、この学識経驗者と申しまするのは、どういう範囲のうちからこれをお選びになりますか、お尋ねいたします。
#12
○政府委員(宮崎太一君) 大体学識経驗者は……、普通の診療担当者というのは医師会から選ばれるのでありますが、それから保險者と申しまするのは政府の医師、或いは政府と申しますが、府縣廳の医師が主であろうと思うのであります。或いは特に保險に関係の深い者から選ぶ場合もございましようが、大体縣廳の役人というものが主であろうと思うのでありますが、学識経驗者につきましては、これはこの方面に学識のあるお医者さんが主であろうと思います。例えて申しまするというと、國立病院或いは國立療養所、保健所というような方面のお医者さんが主であろうと思うのでありますが、その他これに特別の経驗の深い保險医、或いは保險診療に特に学識経驗を持つている人、こういうような選考があろうかと存ずるのでございまするが、大体においてそういう方面のお医者さんを選ぶ、こういうふうに御了解願いたいと思うのであります。
#13
○中山壽彦君 それから続いて……、審査委員会というものがこの基金の方に置かれる、こういうふうになつておるのでありますが、現在政令に基きまして診療協議会というものが設置せられておるのであります。この診療協議会の目的というものは、診療報酬を決める、又保險の監査をする、こういうことが主たる目的になつておりますので、むしろこの審査会というものは診療協議会の中に併置されました方が常道ではないか、こういうふうに私共は考えておるのでありまするが、この診療協議会に審査会を併置し得られない何か理由があればそれを一つ伺いたい。
#14
○政府委員(宮崎太一君) 大体この診療報酬につきましては、こういう形に現在なつておるのでございます。診療報酬そのものを決定いたしまするのは、診療報酬算定協議会という厚生省の諮問機関がございまして、その諮問機関において診療報酬を決定する、こういう形で一点單價は何円、何と何を何点にする、こういうことを算定協議会が決めているのであります。それから保險診療の方針を決定する、保險診療はどういう方針で診療を始めて行くかということを決定し、それを保險医に対して指導をするという仕事は、診療協議会というものが中央、地方にございまして、それが審議決定をし、或いは建議をするという形になつておる一つの審議機関があるわけであります。それで、その方針に從いまして保險医が診療をされて、そうして診療の結果、請求書を基金にお出しになるわけであります。そういたしますと基金の使命は、診療報酬を迅速且つ適正に拂うという使命を持つているわけであります。そこで迅速に拂う使命と適正に拂うという使命の関係上、基金に審査会というものがございまして、この審査会で、請求書が適正なりや否やということを速かに決定いたします。そうしてその決定に從つて支拂いをする、こういう形になつているのでございます。そこで今中山委員の仰せになりましたのは、その診療協議会、即ち診療報告を決定し、指導医を監督する、その者が審査をやつたらいいじやないか、こういうことについて何の支障があるのか、こういう御質問でございまするが、診療報酬の、普通査定と申しておりますが、適正なりや否やということを調べますには、基金が適正支拂をする使命の上においていいのではないか、こういう意味でこの法律ができているわけでございますが、診療協議会と申しますのは、先程も申上げましたように一つの審議機関でありまして、これはそういう査定というような事務を行わない組織になつているわけでございます。そういう事務は基金でやりまして、そうして診療協議会がその結果によりまして医師の間に不服があつた、納得ができないということで診療協議会にそれを申請されますと、診療協議会がそれを採り上げて判断を下す、或いは医師にして不正なる者がある、そういう不正な医師に対しまして、これを処罰するという意味におきまして保險医を除名するとか、或いは保險医に戒告を与えるとか、注意を促すとかというような決定をする場合に、診療協議会に諮つてこれをするという形になつておりますので、診療協議会は一種の審議、諮問の機関でございますので、そこへそれを移すということが性格上どうか、こういう考え方でありますので、基金の審査を残しておるわけでございます。
 もう一つは現在の予算等の措置におきまして、診療協議会と申しまするものは、これは政府の予算で診療協議会に経費が出ておるわけでございます。一つの委員会、諮問機関の委員会としての経費が出ておるわけでありまして、中央、地方を通じまして年に何回か会議を開くというような費用が出ておるわけでございます。ところが基金の審査委員会と申しまするものは、これは政府管掌の保險と、組合管掌の保險と、それから政府職員共済組合の保險と、この三つのことにつきまして審査をする関係上、一疾病について幾らという手数料を保險者から貰いまして、それがいわゆる審査の事務費に充てられることになりまして、それで審査委員が月に何日かをこの審査に費やす、こういう形で経費が組まれておりまして、政府の予算ではなくて、基金の予算に保險者から事務費を貰いまして、やつておるような形になつておるのでございます。そういう関係で、今日基金の審査事務を診療協議会に移すということが、制度の建前からと経費等の関係上困難であるという事情であるわけであります。
#15
○中山壽彦君 この基金の方で事務的のいろいろ審査をすることは、私も大変よいことだと思うのでありますが、最近方々から聞くところによりますと、歯科医師等におきましては、毎月診療報酬の多額に上る歯科医の人は悉く基金に呼ばれまして、少し注意をしなければいかんじやないか、かような注意を受けておる。これは審査の済まない前にそういう注意を受ける。基金で金を持つておつて、その上にこういう権力と申しましようか、そういう二つを兼ねますと、結局保險医に当る人が被保險者の滿足する診療をなし得ない結果に陷り易いことになるのではなかろうか、こういうふうに私共は感じております。殊に基金の方において運営宜しきを得なければ、一層そういう感じを深めるのでありますが、こういう点についてはそういう心配は要らないものでしようか。現在歯科医師等においてはそういう訴えが相当ある。毎月少し多額の診療報酬請求書を出すと、悉く審査を受ける前に基金の方に呼ばれて、これは余り高過ぎるじやないか、もつと注意しろ、こうなると結局診療上に手心をしなければならない。從つて被保險者は又以前のように、保險というものは粗診粗療だ、こういうような感じを起して、折角皆現在におきましては喜んで被保險者証を活用するときに、又以前の時代に逆行する虞れはないか、こういうことを心配いたします。
#16
○政府委員(宮崎太一君) 審査の前に基金が歯科医師の方を呼び出して注意を促すというようなことは、私初めて承つたのでございますが、実は去年の暮から今年の初めにかけまして、從來診療報酬につきましては、政府は監視等を行なつておらなかつたのでございます。丁度保險経済も潤沢でございましたし、保險の利用も余り多くなかつた関係上、政府は終戰後監査等を行なつておらなかつたのでありますが、先程申上げましたように医療費が非常に膨脹して参りましたので、果してこれが全部正しいものであるかどうかという点を確かめようと存じまして、実は全國的に監査を行なつたのであります。その監査を行いました関係上、前に出されました診療報酬請求書、或いは前に支拂いまして支拂いにつきまして医師、歯科医師の方々につきまして、疑問のある点について各府縣で或いは呼出しをして監査をいたしたことがございます。その監査をいたしましたので、それが或いはそういうふうに響いたのではないかと思うのでございまして、やはり審査をしてから正不正がはつきりするのでございまして、審査の前に基金の方からお医者を呼出して注意をするというようなことが若しございまするとするならば、その点私の方から注意をいたしたいと存ずるのでございます。今度審査委員会の権限を強化いたしました点といたしまして、基金は金を持つておる外に権力まで持つて、いろいろ圧迫を加えて医師歯科医師がその意思にあらずして診療の内容を変更して、被保險者が或いは差別的な待遇を受けるというようなことが起りはせんかという御心配でございまするが、私共といたしましては基金にそういう権限を与えまするに際しまして基金が單独の立場でそういうことをやるのではなくして、行政廳の承認を経てやる、府縣知事の承認を経てやることにいたしまして、府縣知事がその間におきまして、基金等が若し往々不当の権限を使うようなことがありまするならば、行政廳としてこれに監督を加えて行くようにいたしたい、こういうつもりでおります。又厚生省といたしましても基金につきまして強く監督を加えまして、基金が不当の権限行使をしないようにする考えでございまするので、その辺につきましては今後十分注意をしてこの点の執行をいたしたいと存じますので御了承願いたいと存じます。
#17
○中山壽彦君 改正法律案の第十四條の四に書いたのは、卒直に申しますというと、医者の人格を認めないと思われるような苛酷な文字が使つてあるように私共は考えられるのでありますが、今日のこういうような世相におきましては、かような文字をお使いにならなくても実際の運用は、これをお使いになつたと同樣にできるのじやないかというふうに考えますがこの点についての御意見はどうですか。
#18
○政府委員(宮崎太一君) 実はこの十四條の三或いは四等の法律は、今でも行なつておるのでございまして、この法律の條文がなくても了解がつけばできる問題でございます。併しながらこういう権利義務の明瞭な時代におきまして、行政行爲によりまして適当に処理するということではなくして、法律上これを明らかにしておいた方が仕事をする上におきまして正しい行動が行えるのではないかという考え方で現在行なつておりますることを、法律の成文に書変えたのでございます。その結果文字等におきましては出頭とか或いは説明を求めるとか、支拂を差し止めるとかいうような言葉がございまするが、私共法律を專攻しておる者からは、普通に考えて書いたのでございますけれども、文字としては或いは強く響いておられるのではないかと思うのでございまして、趣旨はそういう趣旨でございませんのでありまして、大体現在でも話合で行つておることを法律の成文に書いたということでありまして、文字等がきついというようなことがございますとするならば或いは基金法は、そのうち、なにか改正を要するようなときもあろうと思います。そういう際におきましては、もう少しやさしい文字が使えますならば、そういう点も將來考慮してみたいと思います。
#19
○中平常太郎君 二、三お伺いしたいのですが、この基金の一ヶ月半になりましたことにつきまして、今日までの一ヶ月では運営に不足ができたのでありますから、こういうようなことになつたと思いますが、今日までの基金であるならば藥價も安く、診療費も安かつたのであります。大した金ではなかつたのでありますが、現在の一ヶ月というものは凡そ金額に直しまして、過去三ヶ月における最高の標準診療報酬の一ヶ月の金額は大体何億になりますか。
#20
○政府委員(宮崎太一君) 現在におきまして、大体基金は十億を支拂つておりますので、全部を合せますと一ヶ月半は十五億をちよつと越すことになるのではないかと思います。
#21
○中平常太郎君 それは政府管掌と組合管掌のうちで政府管掌の分だけでありますか。
#22
○政府委員(宮崎太一君) 政府管掌と組合管掌とそれから國家公務員共済組合を合せまして十億でございます。政府管掌におきましては約五億ぐらいでございます。
#23
○中平常太郎君 次にお伺いいたしますが、今後企業の合理化によりましてだんだん失業者が出て來ますと、失業者の分はそれだけ診療費が減少する見込を持つておられますか。それから又企業の合理化、一般経済界の金詰りによりまして、中小企業は非常な困難に陷つておりますが、今でも保險料の收入は困難なのに、今後の保險料の増減の見通しは尚一層困難になりやしないかと思いますが、その点のお見込を伺います。
#24
○政府委員(宮崎太一君) 今後経済九原則の実施によりまして、経済界が相当苦しくなつて参りまして失業者が出ると思います。失業者が出ますれば、保險料の收入はやはり減つて來ると思います。その代り失業者は或る期間を過ぎますと被保險者になくなりまして保險給付は減つて参りますから、その辺のところはとんとんに行くのではないかと思います。ただ保險料の滯納がどうかということになつて参りますと、滯納等は或いは二十三年度より余計になるのではないかと、私共も今から憂慮いたしております。
#25
○中平常太郎君 次に私は診療を受持つておられる医者の方々に、何ヶ月も診療費の停滯いたしておりますことは、これは極めて重要な問題となつて、非常に御迷惑を掛けておると思うのでございますが、それはどうしても一ヶ月半では足りないという場合には、やはり医者のみに負担を掛けて診療費の支拂を遅らすだけで、他の臨時の金融によつて飽くまでも診療者に対して適当な期間に拂い得るような措置を取つておらないのでありますか、やはり無い袖は振れないといつて医者のみに遅延の犠牲を拂わせるわけでありますか。
   〔委員長退席、理事谷口弥三郎君委員長席に着く〕
#26
○政府委員(宮崎太一君) その点、中平先生の言われた点は、私共非常に困つているところでございますが、この基金法制定の際におきまして、基金は借金をしてはいけないという條文が入つているのでございます。これは金融政策の関係等もあつたろうと思うのでありますが、基金がこの借入金をすることはできない法則になつているのでございます。実は去年の暮に若干この借入と申しますか、或いは一時借入と申しますか、ということでやつたのでありまするが、これにつきましてもお叱りを蒙つたのでございます。若し一ヶ月半取りまして足りないというような場合におきましてどうするかというのでありますが、そういう点におきましては、何らか便法が講ぜられないかどうかということを又関係方面等の御意見も承わりまして、努力をして行きたい、それでもどうにもならんというときには、健康保險全体につきまして、根本的にもう少し考えなければならん、考え直そうではないかという氣持がいたしているのでございます。幸い社会保障制度審議会等も開かれておりますので、この健康保險並びに社会保險全般の問題につきまして、当面に差しかかつた案件をどう処理するかというような点も、刻々その必要に応じまして御審議を願い、そうして政府の方の考慮もして貰い、或いは関係方面の考慮もして貰つて行かなければ、本年のようなこういう時期におきましては、いろいろ心配のことがあると思いますので、それらの点につきまして、今私共は現状で行けるだけは行くが、若しそれで間に合わない場合には、応急の対策を考えなければなるまいということで、國会終了後、そういうようなことにつきまして研究を進めて行くつもりでございます。
#27
○中平常太郎君 今日まで所得税などの徴收には非常に強権を発揮して、その納税者がどんな苦痛を持つておろうとも、支拂うということに対しまして、非常な努力を拂つて納税いたしております。尚且つ足りない場合には差押えが行つて、殆んど一家を破滅に陷れるところまでやつているのでありますが、これには行き過ぎも沢山ございまして、非難のあつた点も大部ありますが、この保險料の徴收督促の状態が大体ルーズになつておりはしないかと思うのです。あの芝浦電氣ですが、何十億といつた滯納があつたということを聞いておりますが、その外毎月受けられるべき保險料が入らない場合にその翌月に重なり、又その翌月に重なるので、ついに一ヶ月も未納で終つたりして、それを一遍に取立てるというと、会社が潰れるというようなところまで保險料の收入を遅延せしめるというようなことになつて、むしろ毎月拂わしたならば拂えるものが、重なつたがために拂えないようになつてしまうというような傾向にありはしないかと思うのですが、この取立てに対してこれの徴收の権限というものが、やはり税金と同じ意味におきまして、何らの変りなく取立ての強い権限があるだろうと思うのですが、その点は優先権があるのですか、どうなつておりますか。
#28
○政府委員(宮崎太一君) 只今中平先生の仰せになつた通りでございまして、税金と同じ権限を以ちまして、差押え等もいたしております。今度の法律改正によりまして、被保險者の保險料を滯納する事業主に対しましては、体刑を以て臨むような罰則をまで加えたわけでございまして、税金とほぼ同じ権限を以ちまして、保險料の取立てをすることになつております。現に二十三年度におきましては相当差押えをいたしております。それから二十四年度といたしましては、從來のように年度末までの取上げればいいというやり方ではなくして、毎月々々取立てて行く、そうして滯つて何十億と重なることのないようにいたしたいというつもりで、近く開かれます主任官会議等におきましてそれを申し傳えるようにいたす、こういうつもりでおります。
#29
○中平常太郎君 只今の宮崎局長の御説明で大体分りましたが、そういう方面を毎月励行されるならば、むしろ却つて会社はそのために、組織的に経理の面におきまして明確な経営方法が生れると思う。一ヶ年も放つて置くからして、その余裕の金で何か買い込んだり、或いは運営資金に使つたりして、むしろ保險料として納めなければならないものを、徴收がルーズのために、それを他の方面に流用して、殆んど支拂を請求される時分には一ヶ年分だということで大変な難儀をするのでありますから、これはやはり毎月几帳面に取立てて貰うことを嚴重になさつたならば、そう保險料の遅れるということはない。事業をやつておる以上は拂つて行けるものと思つておりますが、そういうような取れないということになつたのは、これは取立てを遅延してそれが累積したというのが原因の主たるものと私は睨んでおります。その点に対してお氣が付かれて毎月やるなら、今後はそういうことはあるまいかと思つて、大変今のお答えに滿足するのであります。
 それからもう一つお伺いしたいことは、お医者さんの方へは、担当者に対しては、どうしても早く拂うということがこれは第一番の問題であつて、中山委員から格別な御意見があつた通りであります。併し診療費の適正という問題については、いつかも申上げましたが、ただ年に一遍や二遍くるくる廻る監査くらいのことで私は適正は期せられないと思う。これは集めた金でお拂いになるのだから、政府としては樂なことです。人の金を取つて來て、人の金を拂うのだから痛くも痒くもないかも知れないけれども、拂う方の側から言つたら間に合わなければ差押えもされるのでありますから、無理もないと思いますが、診療費の適正ということはどうしても几帳面にやつて頂かなければならん。それは百億を超えるようなこともあるし、百何十億にもなるような大きな診療費のことでありますから、とにかくこれはお医者さんの方へも早く拂つて貰いたい。又お医者さんも正確にやらねばならんというお考えに一層拍車をかけて行きますためにも、審査の嚴重ということはどうしても必要なことであろうと思うのであります。それで何かの方法によつてどうしてもこの際診療費の適正を期するという新らしい一つの手を打つて頂きたいと思うのでありますが、これはこの前にいい加減私申しましたから、これに対しては十分何かお考えがあるだろうと思つておりますから、その点はこれくらいに控えて置きますが、今の審査委員会のできるのも今お伺いすれば止むを得ないかと思われるのでありますが、私は素人でありまして深い質問もできませんけれども、とにかく嚴重になるということに対しましては、私は却つてこの改正する法律案の方がよかろうと思つておるのであります。質問を打切ります。
#30
○山下義信君 一つ、二つお伺いしたいことがあります。不適正な報酬請求をする者というのが凡そどのくらいあるのでございますか。現状におきまして二割も三割もございますか。現在の状態でどの程度あるのですか。
#31
○政府委員(宮崎太一君) 実は先程申上げましたように十二月、一月頃から監査をいたしたのでございますが、まだ全体の集計ができておりませんでございます。それで大体今度の監査のやり方は、縣廳のお医者さんと医師会の幹部と両方の相談で、保險医の中でどうもこれは疑わしいと思われる方を中心にいたしまして監査を行うのであります。その結果やはり全体から申しますというと、大部分のお医者さんにどうもおかしいところがあるわけでございます。それは要するに危ないと思つて呼んだ人を調べた関係でそういうことになつたのでございまして、これが何万の保險医の中でどれくらいかというような調査がはつきりいたしませんのでございますが、若干不正なお医者さんが現れております。でありますからして、全体から見た数字が出ておりませんので、はつきりしたことは申上げられないのでありますが、大阪、兵庫、福岡等におきまして調べましたところ、やはりこの一般のお医者さんで二十三名調べまして十二名、診療協議会の議を経まして何らかの処分をする。兵庫におきまして一般十七名のお医者さんを調べまして九名の人がいる。福岡では二十七名のお医者さんを調べまして十六名でございました。それから歯医者さんの方で申しますと、大阪で八名調べまして七名、兵庫では十一名調べまして六名、福岡では十五名調べまして九名、そういう結果が出ております。勿論これはその縣廳と医師会の方々と相談した結果これはと思う人を調べましたから、そういう結果が出たのであります。全体についての調査でございませんので、正確なことは申上げられませんが、そういう結果が出ております。
#32
○山下義信君 適正な請求書を出すことを指導させるということは、今中平委員の指摘されたように非常に大切な点であろうと思います。我々素人でもそう考えるのであります。これは重点だろうと思うのでありますが、いろいろその指導については政府も御心配になつておることは、重々察しますが、私は忌憚なく言いますと、こういう批評もある、噂もある。外地から引揚げた医師とかそれから軍隊におつた軍医の人達の中には、非常に不当な請求書を出す者が多いという噂が專ら高い。これは一概にはそうだとは言えますまいけれども、いろいろ適正な請求書を出すことにつきましては、十分の御指導が必要だろうと思うのであります。この審査をされまして、そういう不適正な請求書を出しました者に対するいろいろ制裁と申しますか、処置はどういうふうな処置をしておいでになりますか。これはここに現われておりまする中には、例えばその支拂を一時差止めるというのがありますが、これが段々と軽重もあろうと思う。いろいろそういう人達に反省を求める求め方、極端なものになりますと、保險医を断わるというようなこともありましようが、大体どういうふうにそういう診療に対しまする処置といいますか、何かしておいでになるのでありますか。
#33
○政府委員(宮崎太一君) 著しく不正、不当の診療をしたり或いは報酬の請求を行いまして、社会保險診療担当者として不適当と認められる者に対しましては、保險医の指定取消しということをいたしております。即ち保險医の身分を取るわけであります。それから不正不当の診療や報酬の請求を行いまして不適当とは認められまするけれども、他面、情状酌量すべきものがあると思われます者につきましては、保險医の指定を取消すが、但し猶予期間を設けまして、再審査をして、そうしてその結果許すという場合もございます。それから不当であつたり或いは若干の不正がある診療や、報酬の請求を行いましたけれども、これに戒告を加えますると、今後診療の適正が期待し得られるというような人には戒告を加えております。それから不当な診療や報酬の請求を行いましたが、その程度が軽いという方につきましては、注意の処分を行うのであります。併しそういう処分を行います際に当りましては、先程お話が出ました診療協議会の審査に付しまして、その答申を経て知事が行うということになつております。
#34
○山下義信君 これはどしどしやらなければならん。私は忌憚なく言うて、嚴重にこれはやらなければ駄目であります。これはどしどし政府はおやりになることを私は要望いたしておきます。そうして一面には支拂を迅速にやらなければならん。そうして保險医に対するところの何と言いますか、十分なる行届いた処置をやつてやらなければならんのでありまして、その点は切に要望して置きます。
 もう一つは、この改正案の第十四條の二に、幹事の権限が新たに決められてあるのでありますが、この審査の内容について説明を求めるというのは、誰に求めるのですか。審査委員会に報告を求めるという意味ですか。それから審査に関して意見を述べるとありますが、これは詳細なことは命令で規定されるのでありましようが、審査に関して意見を述べるという中には、第十四條の三に規定されてあるような事項についての意見を述べることもできますか。この点を聽いておきます。
   〔理事谷口弥三郎君退席、委員長著席〕
#35
○政府委員(宮崎太一君) この意見は、私共大体は普通の場合といたしましては、近頃どうも診療報酬の額が非常に殖えて來た、或いは診寮件数が増加したことはいいが、点数が非常に殖えて來ているようであるというような点につきまして幹事が……幹事と申しまするものは、実は各方面の代表者であります、即ち被保險者の代表である労働者の代表があります。それから事業主の代表があります。それから保險者でありまする政府或いは組合の代表がおります。それからもう一つは、お医者さんの代表がいるわけであります。その四つの方面の代表者が幹事になつておつたのであります。幹事は幹事会というものを設けておりまして、この幹事会に幹事長というものが、これは專任の幹事長というものがいるわけであります。そういう構成でできている幹事におきまして、どうも近頃点数が無暗に殖えているが、どういうわけであろう、或いは報酬の額が非常に殖えて來たが、どういうことであろうか、或いは月によつて非常にでこぼこがあるか、どういうわけであろうというような点について、審査委員会はいろいろ御心願になるわけでありますが、同時に基金の幹事として、統計から見たり何かいたしまして、そういう点で審査委員会に出席をいたしまして、そうしてそういうような意見を述べるということが普通ではないか、こういうつもりでいるのでありますが、十四條の三のように、審査の内容に亙りまして、どこそこの保險医はこういうところに不正がある。こういうところに惡いところがあるというようなところを突つ込んで一々説明を求めたり、報告さしたりする考えはないのでありまして、大体そういう基金の大局から見て幹事がいろいろ質問すると思うのでありますが、そういう点につきまして審査委員会と幹事会との間にとび離れた動き方ではいけませんので、そういうような点について説明を求めたり、或いはどうもこういうように思うが、審査委員会及び審査委員長はどういうように考えておられるかというようなことを述べるくらいのものではないかと私は存じております。
#36
○山下義信君 單なる発言、その程度の発言をさせるくらいのことですね、では幹事というものの権限が相当強くされたということも大して意味がないのでありまして、不当な診療者に対して委員は默つておるけれども、幹事は出て行つて、そうして第十四條の三にあるごとく、審査委員会の委員に与えられた権限を侵すのではないけれども、やはり不当な請求者に対しての出頭や説明を委員会に要求することの意見が述べられるならば、幹事の権限が多少強くなつたとも言えるけれども、そこまで発言権がないということになれば、極めて軽微なことであると了承しなければならん。次に伺いたいと思うのは審査のことでありますが、法令をよく読んでおりませんから不案内で伺うのでありますが、審査につきましては何か期限があるのでございますか。審査期間というようなものがありますか。
#37
○説明員(友納武人君) 審査の期限でございますが、これは審査委員会規程というのがございまして、それに審査の方法なり、期日なりというものが書いてあるわけでございます。
#38
○山下義信君 この第十四條の三の二項の但書に、不備又は不当な記載があつた者に対しては、出頭の旅費やその他のものは支給をしない、こういうのでありますが、これはどうかと思いますがね。不備又は不当というようなことも審査の結果判定されるのでありましようが、一応は法理的に言えば、本人は正当である又完備しておる、こう考えておるのでありまして、これは如何なる場合でも呼出したならば、旅費、日当、宿泊者の支給をするのは至当であつて、ただその請求した者に対しての支拂をしないとか減額をするとかいうことは、この十四條の四とかいろいろそれに対する処置はあるので、それで如何なる者でも今日では呼出して旅費や日当を与えないことはないと思いますが、その点は実際においてどういうように運用しておるのでありますか。
#39
○説明員(友納武人君) 実は只今御質問のありましたような原案であつたのであります。その原案によりまして公聽会なり各方面の意見を聞いたのでありますが、結局においてここに御提案申上げておるような案に落着いたわけであります。元來不備、不当というものを誰が認定するかというと、審査委員会そのものが認定するわけで、審査委員会は何によつて成つておるかと申しますと、先程申上げましたように、医師で構成されておるわけでありまして、極く例外として学識経驗者のうちで医師以外の者が入ることがあるわけでもありますが、殆んど医師によつて構成されておるわけなのです。從いまして医師に特に不利な不備、不当というような旅費を支給しないというような判定を下すということも考えられないのではないかというふうにも考えまして、かような規定に直したわけであります。
#40
○山下義信君 これは運用に当りましては、不備、不当であつても、不備であつても或いは診療報酬の支拂差止めというところまでしなくても、いろいろ場合があるのではないかと思う。こう規定して置きますというと、一切この但書の該当者には支拂をしないということになりますと、これは余り苛酷になり過ぎるということにもなるわけでありまして、運用におきましては十分いわゆる人権尊重の意味で御留意を願いたいと思うのであります。それからいろいろ審査会の審査の結果につきまして、不服のありました場合の、何といいますか、上訴権といいますか、爭いといいますか、そういうもののやり方は一体どうなつておりますか。この際不案内でありますので、お教えを願いたいと思います。
#41
○政府委員(宮崎太一君) それは府縣に診療協議会がございます。診療協議会へそれを申請いたしまして、診療協議会の議に付しまして決定をする、こういうことであります。
#42
○山下義信君 その上はもうないのでございますか。その府縣の診療協議会がもう最終の決定機関ですか。
#43
○政府委員(宮崎太一君) その上は裁判所になります。
#44
○山下義信君 私の質疑は終りました。
#45
○中平常太郎君 大体の質問は私は終つたのでありますが、只今山下委員の御質問に対してお答えの場合に、たまにやつた監査の結果、医療診療費の調査につきましていろいろ数を挙げられたのでありますが、あの数が挙げられるときに、宮崎局長はほんの少数をやつたのであるという前提の下に、そうして大阪で二十三人中十二人とこうあるのでありますが、怪しいと思われる者二十三人の中で十二人あつたというわけでありますか。十二件じやないでしようね。二十三人中十二人というのは、やはり一人ずつのいわゆる十二人の医者という意味でしようね。
#46
○政府委員(宮崎太一君) 人数でございます。
#47
○中平常太郎君 もう一つお尋ねいたしますが、今の問題は、我々がやはり想像した通りでありまして、そういう比率ぐらいになるじやろうと思われておりますが、これはどうじやろうと思われておる医者の中から、そういうふうに半数以上出ておるのでありますが、その以外に相当隱れた者がある。それで札付という医者だけをお調べになつた傾向があるのでありますが、お医者さんは客観的に見て札付の医者はかりが惡いことをするとは言えない。沢山のお医者さんの中には随分猫を被つたようなのもあるかも知れない。だからこういうふうに出て來る数字から見ますと、相当多くの者が不正診療があると言わなければならんと思うのであります。これをどうして是正するかということが根本問題になりますが、私はこの行いい加減痛烈に申上げましたので、その中の一節をいま一応お伺いいたしますが、十四條の二の「基金の從たる事務所の幹事は、」とありますが、その幹事なるものは、診療報酬の請求をして來るその月々の計算というものを事務員にやらして、その計算から上つて來ておるところの表を作つて、何々工場はなんぼ拂つた、何回事件があつた、そうしてそれはこうこうこういう人名であつて、こうこうこういう医者の支拂であるというような明細、そういうものを表に作つて、診療費の支拂の遅れるというようなことと関係なくして、診療費は診療費としてどんどんとお拂い願つておいて、そうして事務的にその表を毎月関係の工場に送られたらどうかということを私はこの前申上げた。それは手数が掛るんじやとか、人が足らんのじやというように言われたと思うのですが、そういうことのために、診療報酬の支拂が遅れることについて、事後に事務的にその月々に工場に送つたならば、工場の方は保險料を出しておるという一つの権利と義務とを持つておりますから、自分のうちの工場になんぼ掛つたのかということは、これは興味がないようだけれども、表を見る、表を見ると何の某という者の病氣に何千円支拂つておる、こうなつておると、そういうことはない筈だがというようなことが出て來る。そうすると被保險者を呼んで、君はこういうようになつておるが、何千円支拂いになつておるがそうかと言うと、いや、そんなことはありませんと、こういうことが分つて來る。だから後でよろしいですから、月月に一遍ずつ表を作つて、幹事なんかはぶつ坐つている必要はない、事務員がおるんですから事務員に集計させたらよい。表を作つて各工場に印刷物として配付して貰うことができたならば、それで初めて本当にいわゆる保險料の支拂者においてその被保險者の費用が分り、又その保險者が、中間に立つて他人から金を取つて他人に金を渡すというような中間のブローカー的な保險者が、非常に明らかな責任観念に対して重大な一つの補償ができることになります。だから保險料を出すところの工場は、出して置きさへすればいいというつもりで出しておりますが、それがどういうふうに使われるかということについて、自分の方の工場とどういう関係があるということを見るということさえもしない。これを見るようにして貰つたならば、どうしてもこの診療費の適正を期することになつて來ていいし、お医者さんは皆頭がいいから直ちにこの問題などから考えて見て、一点も不正があつてはいけない。間違いがあつてはいけないという一つの反省の心が強く起ると思う。それをやつて貰いたいと私は思います。そういう方面は余計な金は要らん。印刷費くらい知れたものです。それをおやりになるお考えがあるかどうかを伺いたいと思います。
#48
○政府委員(宮崎太一君) この前も中平委員から御質問ございまして、誠に適切な御意見でございますが、私共その辺のことができるかどうかということを実は帰りましていろいろ事務担当の者とも相談して見たのであります。が、工場の数においても非常に多いし、又病氣の件数も非常に多いので、とても実は事務的にはそういうことはできないであろう、こういう意見が強かつたのでございますが、本日の御意見等承わりまして、この診療報酬請求書の支拂い後においてどういうことをするかというような点につきましては、私も実は工場と保險者との連絡というようなことを、余程考えなければならん点があろうかと存じております。こういうときでもございますので、工場と保險者の連絡の意味におきまして、被保險者の事故である診療の問題につきまして、何らかの連絡の方法が講じ得られますならば講じたい。こういう氣持もいたしますので、いずれはそれは二十六、七日に全國の保險課長を集めることになつております。それらの会議等に際しまして、中平委員の御意見等についてどうしたらそう金も費さずに、而もそう人数を増す程の手数を要さずしてそういうことができるか、こういう点をよく檢討して見たいと思うのであります。その点につきましては、私も中平委員の御意見に敬意を表しておるのであります。私も実はその事務の分量その他或いは今非常に地方庁は行政整理で忙がしいのでありますので、今ここではつきりやりますと申上げられないのを遺憾に思いますが、その線に副うてよく檢討して見たいということをお答えいたします。
#49
○中平常太郎君 只今宮崎局長の誠意の籠つた御答弁を聞きまして私は満足いたしました。局長十分この点については御配慮を願いまして、私共の希望のあるところを十分に汲み入れられた方法を以て、ただに印刷物等のことで済むならば、事後においてもよろしいから、対象となるべき工場との間の連絡が保險者の方に十分できますように是非お願いしたい。
#50
○谷口弥三郎君 すでに多数の御質問もありましたししますので、大体盡きたと思います。私から一、二お尋ねして置きたいと思います。
 先ず第一番に先刻山下委員、中平委員のお尋ねのお話の中にありましたように、この今回お調べになつた数の中に多数の違反者があつたということを一口に申しまするというと、すべての正直な医者までが疑われるということが、非常に私はその結果はよくないと思います。從つてすべての医者を御面倒ではあつても一度ずつとお調べになつて、それからその中の何名ということを発表されんというと、眞面目にやつておる医者が非常に疑われる。例えば福岡縣の医者は全体におきまして今はつきりは存じませんが、二千五、六百くらいはあるだろうと思います。その中で何人を調べて疑わしいのは、何人調べてその中にこうというようなふうに言つて頂かんというと、二千何百人の医者が皆、或いは何パーセントの人が惡いというふうに思われることは、これは非常に愼しむべきことであろうと思いますから、その点に対して実際全体のものをおやりになれるか。又そうした方がいいとお思いになりますか。保險局長の第一にお考えをお聞きして置きたいと思います。
#51
○政府委員(宮崎太一君) 只今谷口先生から適切な御質問がございましたが、私申上げましたのは、疑わしいと思う方を調べたのであつて、何万のお医者さんになりまするので、そこからのパーセンテイージはどうしても出て來ないということを山下委員に申上げたのでありますが、今日のこの情勢におきまして、全体のお医者さんの診療内容を監査するということは私不可能であると思います。それでございますので、若し誤解をされまして福岡縣のお医者さんの何千のほんの一部分を調べた結果を申上げたのでございますので、決してそのパーセンテージで全部のお医者さんが惡いということではないのでございまして、或る時期におきまして時々監査等を行うわけでございますけれども、全体のお医者さんに一斉にやる、或いは本年度内にやるというようなことはなかなか私は困難であると思います。
#52
○谷口弥三郎君 次にお尋ねしたいと思いますが、今回どうも支拂がうまく行かんので、一ヶ月半程度の金を先ず集めて置いて、そうしてできるだけ早く医者に拂うようにしようというお考えだということを只今の質問中でお伺いしましたし、又最近は二月分まですでに拂いが一部始まつたというお話も聞きましたが、私共の聞いておるのでは、まだ一月分も漸く最近頃だという話ばかり聞いているので、併し今後だんだん御整理が付いたら早く貰えるということになつておるということを聞いて大いに安心はいたしますが、御承知のよう医者の方におきましては、これは病院食費とか、或いは薬代とか、或いは從業員の報酬などが要りますので、その上に税金が多額にありますので、非常に医者は困つておるのでございます。從つて先刻の例にも何か基金の方から少しそれに対する補償を与えるようなこともあつたというようなことも聞きますが、御承知のように供出米などにつきましては、農業手形などが発行されておるのでありまするからして、医者に対しましても、医者は一ヶ年どのくらいということは大体保險の方で支拂う金額も分りますのでありますからして、その一部分でも、或いは半額でもいわゆる保險料支拂手形払とでも申しますか、診療手形とでも申しますか、そういうようなものをお作りになつて、そうして医者はその手形によつて、或いは銀行から金を借りるとか何とかいうようなふうの方式を取つて頂くと医者も非常に助かると思いますが、そういうようなふうの方面に何か手を打とうというようなお氣持がありますですか、如何ですか。その点をお聞きしたい。
#53
○委員長(塚本重藏君) 皆樣に御了解を得たいのですが、実は速記を十一時半までと約束しておつたのですが、再三呼びに來られておりますので、残念でありますけれども、放したいと思いますから、御了解を願いたいと思います。速記止めて。
   午前十一時四十八分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時二十五分速記開始
#54
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて下さい。質疑もございませんようですから、只今から討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○委員長(塚本重藏君) 御異議もないようでございますからこれより討論に入ります。
#56
○中山壽彦君 私は現下社会状勢の推移より考え、社会保險は本年度において、或いは危機に陷る虞れあることを憂慮いたして居るのであります。この際政府は社会保險の全般について十分の考慮を拂われ、其の運営に最善の努力を願いたい、特に社会保障制度の実施を控えてその感を深くするものであります。各委員より主張されました通り、不正不徳の保險医に対してはそれぞれ適当なる制裁を加えらるることは当然のことでありますが、又一面多数の善良なる保險医がこの社会施策に心から協力し、被保險者の満足し得る診療の出來得るよう診療費の速かなる支拂に全力を傾注され、又必要によりては、適当なる方法により保險医に対して融資の方途を開かるることを希望いたします。過般京都、大阪地方において保險医大会が開催せられ、その代表者が上京せられて種々の請願をされましたが、そのうちには診療費をば翌月の二十五日必ず支拂うべしとの決議を衆参両院に提出されたしとの事項もありましたが、これを差控えて居るのであります。尚基金団に金力と審査の権力を與えているのでありますから、その運営を誤りますと、その結果において好ましからざる悪影響を來すことでありますから、基金の運営に十二分の注意を拂つて頂きたいのであります。法文の中には修正を要する点もありますが、会期も切迫してその時間もないのでありますから、來るべき臨時國会に各委員よりの要望事項をおりこんだ修正案を提出さるべきことを希望して政府案に賛意を表するものであります。
#57
○谷口弥三郎君 私、法案の一部を改正する目的は診療報酬を一日も早く支拂いたいというのでありますが、事実はなかなか思うように行きませんのでありますから、是非その目的達成のために、例えば農業方面における手形交付のごとく保險料支拂手形制度を設け、半額だけでも、一日も早く交付し得るようにせらることを強く要望して本案に賛成するものであります。
#58
○委員長(塚本重藏君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。社会保險診療報酬支拂基金法の一部を改正する法律案について採決いたします。社会保險診療報酬支拂基金法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#60
○委員長(塚本重藏君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#61
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして委員長が議院に提出する報告書には、多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
 多数意見者署名
     姫井 伊介  山下 義信
     谷口弥三郎  竹中 七郎
     井上なつゑ  小杉 イ子
     黒川 武雄  中山 壽彦
     中平常太郎
#62
○委員長(塚本重藏君) 署名漏れはございませんか、署名漏れはないと認めますで。はこれを以て休憩いたします。尚再会は午後一時三十分にいたします。
   午後零時四十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時五分開会
#63
○委員長(塚本重藏君) これより午前に引続いて委員会を再会いたします。請願及び陳情を追加して議題に供します。速記を止めて。
   午後二時六分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時三十九分速記開始
#64
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて、本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時四十分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           谷口弥三郎君
           姫井 伊介君
   委員
           中平常太郎君
           山下 義信君
           黒川 武雄君
           中山 壽彦君
           竹中 七郎君
           井上なつゑ君
           小杉 イ子君
  政府委員
   厚生政務次官  淺岡 信夫君
   厚生事務官
   (保險局長)  宮崎 太一君
  説明員
   厚生事務官
   (健康保險課
   長)      友納 武人君
ソース: 国立国会図書館
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