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1949/04/08 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 経済安定委員会 第4号
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1949/04/08 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 経済安定委員会 第4号

#1
第005回国会 経済安定委員会 第4号
昭和二十四年四月八日(金曜日)
   午後一時四十五分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本経済の安定と復興に関する調査
 の件
 (右件に関し証人の証言あり)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(佐々木良作君) それでは第四回の委員会を開催いたします。予定に基きまして、今日の題議は、日本経済の安定と復興に関する調査の件でありますが、特に鉄鉱部門について証人として、日本製鉄連盟の山田忠義君、それから日本製鉄の小野清造君、やはり同じく日本製鉄の島村哲夫君、以上三人を証人としてお呼びしてあります。その外に政府委員の方の御出席もありますから、鉄鋼問題を中心として御説明を聞き、それに應じての質疑應答という恰好で進めたいと思います。先ず最初政府側の鉄鋼関係に関する概略説明をお願いしたいと思います。その次に各証人からの御説明をお願いする、こういう順序で行きたいと思います。御了承を願います。では一つ生産局長にお願いいたします。
#3
○政府委員(菅谷重平君) 極くエレメンタルなことから申しますと、日本の鉄鋼業というものは、軍事的な要求によつて生まれて來たものでありまして、日清戰爭が済んでから八幡の製鉄所を作つた今の日鉄の前身になります。それからずつと暫くの間昭和七、八年頃まで、十年に二倍の割合で増加して参りました。昭和七、八年の頃に、ほぼ鋼材の需給がバランスしまして、それでまあやや鉄鋼國らしい形を整えました。昭和六、七年頃になりまして鉄鋼の需給がバランスしました。時に、日本が鉄鉱國としての地位がほぼできまして、一番多いのがたしかアメリカでありまして、その次がドイツ、ソヴイエツト、イギリス、フランス、ベルジアム、日本というような形でおりました。その後日本の方がベルジアムより生産高が増しまして地位が高まつたのであります。それで滿州事変以後に政府が又一層に鉄鋼を奬励しましたので、それから以後は、更に急速度に、ほぼ五年で二倍の速度を以て登展拡張されて行きまして、昭和十五年には鋼材として五百万トンを超えるというようなことになりました。それが終戰後に一躍減りまして、昭和二十一年は三十何万トン、二十二年は五十万トンぐらいですか、二十三年で九十万トン、二十四年は百八十万トンを超える、こういうような状態がほぼ日本の鉄鋼業のあらましの姿なのであります。それでここまで來まするには非常に厚い保護を加えて來たということがあります。一つは関税による保護であります。鉄銑で以て確か最後には六円十銭になりまして、鋼材は種類によつて違いますが、約三割見当の関税をかけて來た。それからもう一つは製鉄業を営む一定の單位のものに対しましては、土地收用法の適用をさせまして、それから所得税営業税を主に免除した。製鋼用の機械に対して輸入税を免除した。こういうような保護政策を採つて來たことによるのであります。この鉄鋼業を保護するしかないかということについて、関税をかけておくということ、そうして内地の價格を釣上げておくということで、機械業者と鉄鋼業者の間に一方には関税を取れということと、一方には関税を置けということで、これが絶えず論爭が繰返されておりました。併しこういう問題は、昭和八年以後殆んど影を潜めておりまして、ずつと政府の政策通りになつて動いて來ました。それが鉄鋼業の保護の概括であります。
 ここで長く時間を取つていても仕方がないと思いますので、もつと個別的なことにこれから入つて行つた方がいいかと思いますから、数字を折角用意して來ましたので、数字を以て説明をしまして、それから後で、尚鉄鋼に沢山問題がありますので、その問題をお答えすることにしたいと思います。
#4
○説明員(松本豊君) 只今の生産局長からお話がありました点につきまして、数字的に幾らか詳しく申上げます。今日安定本部から資料を二通りお手許に差上げてございますが、ミスプリントがございますので最初にこれを訂正いたします。鉄鋼関係諸資料という表題の方につきまして申上げますが、これの四頁目の年間推定実生産能力の單位が落ちております。單位はトンでございます。次の頁に行きまして、五頁の左側のいろいろ日本文字の書いてある欄の所で、丁度眞中頃でございますが、輸入鉄鉱石とあるべきを、輸入鉄鉱石になつておりますので字を訂正して頂きます。その裏の頁、中頃、やはり同じく輸入鉄鉱石の鉄の字が間違つております。その一つ下の欄で、國内マンガン鉱石の所の数字が各欄とも〇になつておりますが、この〇を消して頂きます。資料がありませんでしたのでこれはブランクになつております。その次の頁、やはり同じ所の丁度眞中頃になります。國内鉄鋼石の鋼の字が違つております。これは鉱石の鉱に直して頂きます。それから同じ頁の備考の所に行きまして三番目お仕舞の方に行きまして、括弧内はマグネサイト原石にて外数である。石の字を補つて頂きます。同じく備考の四、鉄鉱生産実績は云々とあります。鉄鉱の鉱の鋼に直して頂きます。その次に鉱山局鉱業統計課資料(暦年)とありますが、暦年を消して一番終りの鉱業課資料の次に暦年を補つて頂きます。
 次にもう一つの方の鉄鋼生産計画関係資料抄、これのミスプリントを訂正いたします。二頁目の第二表、表の下から四行目、第三・四半期のCの欄、四四四になつておりますのを、四五七に直して頂きます。同じ欄の第四・四半期のCの欄、四四七を四三四に直して頂きます。次に四頁の註が四つばかりございますが、三番目の、Dは自家発用炭四六四四屯ベースである、となつておりますが、四六四千屯と直して頂きます。千が数字の四に間違つております。その次に第五表の表の中の上から三番目、東田ナンバー四の第一四半期一七、六〇〇とありますけれども、一七、八〇〇に訂正いたします。それから三、四行下の備考の欄で修理未完のまま吹入、とありますが、これを削除いたします。同じく備考のところで一行置きまして、GHQは廣畑よりも優先視す、とありますが、これを削除いたします。それから表の中の数字に戻りまして、釜石の八号の欄、第三四半期のところ、二七、六〇〇とありますのを、二七、八〇〇に訂正いたします。次の第六表に移りまして、八幡、洞岡の三号目の欄、第四四半期のところ、〇が三つ書いたままになつておりますが、これは二万の間違いであります。それから一番左側の工場名のところで、八幡、廣畑、中山その次がブランクになつておりますが、これは日本鋼管の川崎でございます。炉の方は扇町と大島でございます。会社の名前は日本鋼管の川崎。その次の釜石のところで釜石の六行目の第三・四半期の数字、これは二八、〇〇〇と訂正いたします。次に少し飛びまして十三頁目、左側の頁になりますが、二十四年度下半期普通鋼材圧延計画というのがございます。それの丁度眞ん中頃に尼鋼という段がございます。尼ヶ崎製鋼のところに、最初の欄の大形のところに五、〇〇〇というのを追加して頂きます。同じ頁の下から四行目、東洋鋼板の欄のブリキ六、〇〇〇を補つて頂きます。それから右の頁に移りまして、八幡の欄の一番後、半製品の合計に九〇、〇〇〇を追加して頂きます。それから次に一枚めくりまして第十表の左のところに、種別としまして上から工場返屑、市中返屑、市中在庫。その次は屑化物件でございます。この表の中に屑仕と書いてございますのは全部屑化の間違いでございます。同じ頁の不良屑の一番下のところ、やはり屑化に直して頂きます。それから三番目の需給計画のところ、下から二行目、これも屑化と直して頂きます。それからその紙の裏の方に行きまして、四番目もこれも屑化補助金、この表の左から物件別数量、屑價格、その次がやはり屑化物件、化の字に直して頂きます。それからその次は「B+C+A」となつておりますが、これは「B+−A」と直して頂きます。以上でミス・プリントの訂正を終ります。
 それでは二十四年度の生産計画を中心といたしまして数字的に一應御説明いたします。最初に二十四年度百二十万トン生産計画の遂行状況を申上げますと、これはお手許に配付いたしました資料の鉄鋼関係諸資料の中の七頁目に二十三年度の生産計画対実績が載つております。この欄の上から八行目普通鋼圧延材の欄を見て頂きますと、もともと百二十万トン計画といわれましたのは、普通鋼の基本分と申しますのは、いわゆる鋼塊から造ります圧延材、それが百十四万トン、伸鉄七万トン、その合計で百二十万という意味でございますが、これは二十三年度の年度初めに立てられました計画でありまして、その後各期ごとの配炭並びに電力の配当状況に應じまして計画は少し数字が動いて参りまして、普通鋼の生産計画としましては、この表に載つております百十一万八千という数字になりましたが、これに対しまして実績は百十八万九千で、上廻つております。伸鉄の方はこの表には載つておりませんが、計画七万に対しまして優に実績は上廻つておりますので、合計しますと、百二十万トン計画に対しましては、計画以上の実績を挙げ得たということが言えるのであります。
 鋼材についてはそうでございますが、もう一つの鉄鋼生産計画の一番大本の高炉鉄につきましては、この頁の一番上に、計画八十六万五千に対しまして実績が八十四万四千とちよつと欠けております。こうなりました原因を極く簡單に申上げますと、高炉鉄につきましては、鉄鉱石の入荷状況が上半期において余り円滑でなかつたこと、それが殆んど唯一の原因になつております。それから普通鋼圧延材につきましては、電力が異常豊水であつたこと、これが計画達成の一番大きい原因であります。
 國内炭につきましては、各四半期とも多少の配炭規正がございまして、それはこの夏の國内炭、丁度、鉄鋼部門向供給計画と供給実績とありますが、國内炭のところに年間の計画、各四半期ごとの鉄鋼生産計画を立てるときに一應必要條件として予定された國内炭の所要量三百二十七万九千トンに対しまして、実際に入つて分は二百八十一万八千トン、このように規正がございましたけれども、電力の予想以上の豊富がそれを補つて余りがあつたために、鋼材は計画以上の実績を挙げたのでございます。以上で二十三年度につきましては終りまして、次に二十四年度の計画の御説明に入ります。
 二十四年度はお手許に配付いたしましたもう一册の方に細かい数字が載つておりまして、これがいわゆる普通鋼材百八十万トン計画でございますが、これは鉄鋼の生産計画を示します場合に、一つのインデツクスとして、普通鋼の圧延鋼材を取つて呼ぶだけでありまして、別に普通鋼偏量という意味ではございません。実はこの百八十万トン計画ができますまでには、國内の禎炭状況並びに電力の供給状況から見まして、並びに資金の方も考えまして、大体普通鋼材は百五十万トンぐらいが妥当であるという意見が、國内においては支配的でございましたが、その場合ですと輸出鋼材は三十五万トン程度に止まりまして、三十五万トンの輸出代金では製鉄原料の輸入代金を支拂うのにほぼ手一杯である。食糧を稼ぐための鉄鋼業が果す役割がなくなつてしまうということで、特に司令部の方から大きな不満が出まして、結局輸出鋼材を普通鋼材で六十三万トン程度にせよ、最初は六十九万とか六十七万とかいろいろ数字が出ましたが、とにかく六十数万にせよという要請もあるわけでありまして、又そうしなければ製鉄原料は止めてしまうというような話もありましたので、まだこの計画達成の條件、殊に資金面においては必ずしも一〇〇%解決しておるわけではございませんけれども、今のところほぼ最終的な計画としまして、この百八十万トン計画というものが立てられたわけでございます。その場合の総括表はこの第一表に挙げてございます。
 ところで生産計画を立てます場合に、普通鋼材を作れば、それと或る均衡のとれた比率を以て特殊鋼或いは鐵、鍛鋼も作らなければいけない。又鐵物銑も作らなければいけないということになりますが、そういう生産数量を決定するフアクターとしましては、先ずスクラツプ事情並びに銑鉄事情、いずけも鋼塊の鉄源になるわけでございます。それと配炭事情と電力の配当事情というものがございます。このうち二十四年度において最も決定的なるものはスクラツプ事情、次いで電力事情でありましたので、その意味から全体のバランスというものを考えました。即ちスクラツプ面、電力面から考えて見ましても、電炉鋼塊というものは余り伸ばすべきではないと考えまして、電炉鋼塊につきましては二十三年度とほぼ同じ程度に抑えてあります。これはスクラツプの消費規正を主にしたのでもありますが、積極的にはスクラツプの不足銑鉄によつて補われなければならない。その場合に輸入銑鉄としましてはたかだか十三万トンぐらいしか見込めないということになりますとつ勢い銑鉄は國内において増産しなければならないことになります。製法におきましては高炉銑と電氣銑がありますけれども、電氣銑は二十三年度に比べて余り殖すことができないということになりますので、勢い高銑炉を増産しなければいけない。その増産し得る量によつて鉄鋼の生産計画というものが決つ來るということになります。ところで現状を見ますと、高炉銑の場合に鉄鋼では遊休設備が多いといわれておりますけれども、今まで大した補修をしないで済む高炉という高炉は二十三年度中に殆んど動かしきつております。二十四年度高炉銑増産の場合においては、コークス炉を大々的に整理しなければならない。そのためには厖大な耐火煉瓦はもとより一定の整備期間というものがどうしても入用になりますので、二十四年度におきまして、一應賃金は充足されるものとしまして、期間的に見て間に合う限りのコークス炉並びに高炉を整備するということを前堤としまして生産量を決めますと、ここにあります高炉銑の場合の半間合計百七十一万三千トン、大雜把にいいまして百七十万トン、これが期待し得る最高量になります。そういうことでこの総括表は作り上げられたものでございますが、これを仮に二十三年度と対比いたしますと、普通鋼圧延材基本二十三年度実施計画が百五万トンでございますが、これが今度は二十四年度は百八十万トンに殖えております。又平炉鋼塊は二十三年度計画が百三十五万六千トンでございまして、それに対して実績が百四十五万七千トンになつておりますが、これが二十四年度計画におきましては二百三十九万五千トンになつております。高炉は二十三年度計画八十六万五千トン、実績八十四万四千トン程度に対しまして二十四年度計画百七十万トンになつております。この増加率を見ますと高炉銑において著しく大きいということがいえます。一方設備の面から見ましても先程申上げました通り、二十四年度整備を要する高炉並びにコークス炉において最も甚だしいということになりますと、当面の問題として少くとも生産面、從つて資金の面、或いは資材導入の面から見まして高炉に重点を置かざるを得ないということになります。その場合にしばしばこれが一貫業者偏重であるという非難がされるのでありますけれども、決してそうではありませんで、高炉銑をどこまで延ばすかによつて百八十万トン計画が可能になるのであります。それから高炉を伸ばそうと考えましたことと、それと同時にできるだけ高炉を増産しまして、一貫業者におけるスクラツプ使用量を成るべく節約して貰う。と申しますのは一貫業者は平炉鋼において銑配合率を非常に高めることができるわけでございます。そうしてそこにおいて節約して浮いて來たスクラツプを單独平炉業者にできるだけ向ける。そうして各平炉において最も技術的に見て合理的なスクラツプ配合率、銑配合率を置きまして一貫業者、單独業者ともどもに能率の良い鋼塊生産をやつて貰う、そういう希望からこういうふうにいたしたのであります。
 銑配合率につきましては現在國全体としまして四五%程度の配合になつておりますが、二十四年度におきましてはスクラツプの不足は銑鉄の増産からこれが段々殖えて参ります。特に高炉の増産が四・四において著しい関係上、四・四において急速に配合率が高まることになります。数字で申しますと第一・四半期、第二・四半期において大体四八%ずつ、それから第三・四半期において僅かに上がりまして五〇%、第四・四半期において六一%、國全体で六一%と申上げますと、單独平炉の場合においては大体四五%ということが限度というふうに聞いておりますので、一貫業者では六十数%の配合率になるだろうと思います。七〇%近くになるだろうと思います。國全体で三・四の五〇%の時には一貫業者では六五%ぐらいの配合率になるのではないかと思います。
 次にこの総括表で電炉のところ合計四十七万トンになつておりますが、先程申上げました通り二十三年度に比べて著しく伸びてはおりません。二十四年度は計画四十九万トンになつておりますが、まあほぼそのままということになります。ところで特殊鋼、鑄鋼、鍛鋼の生産量が二十四年度は前年度に比べまして著しく増えておりますので、その分の電炉鋼塊は非常に殖えることになります。從つて普通鋼を造つておる電炉業者は非常に苦しいことになるだろうと思います。生産割当が少いために採算がとれないというような事態も起るだろうと思います。ここで企業整備というのは、そういう種類の電炉業者について最も苛酷に現われて來ることが予想されます。併しこれは電力事情もさることながら、スクラツプの状況が徹底的に惡いために必然のことであろうと存じます。ただその場合にできるだけ経営に対する打撃を少くするために、普通鋼だけを頼りに生きておるような工場の電炉休止ということは、これは一番最後にいたします。同じ会社で平炉を同時に持つておる場合には電炉を止める代りにその会社の平炉を動かすとか、或いは普通鋼以外の鋼種の兼業メーカーに対しては、普通鋼以外の鋼塊の生産量を増すことによつて、普通鋼電炉鋼塊の減産を補うとかいうような方法を考えております。先頃新聞紙上にちよつとそういう方針につきましても、亦数字につきましても誤つて傳えられましたので、いろいろ各方面から疑義を持たれておりますのでここで申上げます。それで以上のような生産をいたしますのに第二表にありますような石炭が入用になります。この表にはBの欄に製品トン当りの石炭使用量が出ておりますが、これは二十三年度の実績と対比して頂きますと分ります通り、年間としましては大体において約一割程度切下げてやつております。そうしてそれは相当の努力は要しますけれども、決して不可能な数字ではないというふうに見ております。石炭の供給量としましては、國内配炭四百五十万トン、輸入炭百六十万トンになつておりますが、輸入炭につきましてはすでにGHQの方の了解を得ております。一方國内につきましても出炭四千二百万トン、鉄鋼向けが四百五十万トンということはすでに決定しております。端数程度の数字の動きはあるかと思いますが、ほぼ決定しております。
 もう一つ大きいフアクターとしまして、次の第三表の電力でございますが、ここにあります一番最後のところに、電力事情が惡うございますから、自家発電をできるだけ伸すことにしましても、尚且つ買電しなければならない電力が年間で十四億九千万キロワツト・アワーありますが、これらの配当もつけようと電力の担当者は言つておりまして、相当他産業の方は圧縮する形になつておりますけれども、とにかく鉄鋼向けの電力は一應確保された形になつております。ただ量についてはそうでございますが、地区別に見ますと、九州と北海道はどうしても需給バランスが取れませんが、それぞれ一方八幡、輪西を控えておりますので、この面で相当問題が起ることが予想されます。
 それから次の第五表高炉稼働計画、この表の備考の所に吹入れと記してある分が全部で八基内外ございます。丁度現在稼働中のものが八基でございますから倍増することになります。吹上とか吹入とか炉の切替えする分もありますが、大体において二倍になります。丁度二十三年度は前年度に比べまして高炉の稼働数が約倍になりますので、二倍々々で殖えて來ておるわけであります。これはただこれだけの稼働には資金として五十四億円が必要になりますので、それが可能かどうかは資金計画がもう少しはつきりして來ないと何とも言えないわけでございます。
 次に第七表に飛びまして、平炉稼働計画につきましては、先程、決して單独平炉業者を圧迫するつもりはないということを申上げましたが、一貫業者といわず、單独業者といわず、とにかく現在稼働しておる設備についてできるだけ能率を高めることを先ず主眼としまして、それで足りない場合に、新らしく設備を殖やすような考え方でありますとこのような計画になります。
 次に圧延につきましてはここに品種別の計画が出ておりますが、この品種別は一應百八十万トン程度の生産をする場合に、それを各部門に何トンずつ配当するか。各部門がそれだけの配当を受けた場合にどういうふうにそれを使用するか。それに一致するように作つた計画でございます。各社ごとに出ておりますが、今度一四から鋼材配当における品種別を約五品種に集約することになつておりますので、実際には各社にはこういうような計画は示さずに特別な品種だけについて示されまして、あとは各メーカーと需要部門との間の直結によりまして、各社ごとに最も妥当だと思われる品種別の計画を作つて貰いまして、それを官廰側においてまあ総括的にバランスさしたものを以て各期の計画にするというような方策が採られることになると思います。そうして一應ここに年間計画として上期、下期の平炉につきましては、四半期ごとに計画はできておりますけれども、各四半期において計画を作成します場合には、前期における各社の製品がどの程度需要者から迎えられておるかという実績を重視することになるだろうと思います。と言いますのは、設備資金の逼迫から相当購賣力の減ることが予想されますので、まあ鉄鋼メーカーの採算を主に考えました。たとえ鋼材が多少、いわゆる重点産業以外の方に流れるようなことが起りましても、賣ることが先ず先決問題というふうに考えますので、多分そのようなことになるだろうと思います。
 その次に百八十万トン計画作成の前提になります原料の需給計画、それが國内と國外に分けて載つておりますが、輸入物資につきましてはGHQの了解をほぼ得ております。即ち鉄鉱石、マンガン、硅石、粘土、マグネシヤがここに計上してある数字は認められております。螢石については今のところまだはつきりしておりません。勿論問題は國内の設備でございまして、鉄鉱石につきましてはメーカー側におきましても、この程度の設備をするについては、價格をもつて上げて貰わなければ困るということを盛んに業者は言つております。そうして又二十三年度は相当の出荷があつたとはいえ、それは山元においてストツクになつていた分を出して、辛うじて需要に見合うだけの供給をなし得るという事実もありますので、たとえ出荷量が殖えましても二十三年度に比べてストツクが下ることは予想されませんので、その言い分も尤もだと思います。この点は原料につきましては一番大きな問題であります。この他副資材におきましては、この表に載つておりませんけれども鉄鋼重点という趣旨でほぼ充足されております。
 從いまして結論的に申上げますと、資金計画だけが未定なので何とも申上げられませんけれども、これが大幅に減ることがなければ、百八十万トン計画は生産面から言えばできることが予想されます。又資金が大幅に削られました場合に、これは多少普通鋼材百四、五十万に落ちることも考えられるのであります。で行政官廳としましては、今のところESSに対する建前もありますので、百八十万の看板を下げるようなことは決してこれは言いたくないのでございますが、業者に対しましては資金計画が確立されないうちに、先走つてどんどん整備計画を進めることは危險だということは警告しております。
 以上で二十四年度生産計画に対する説明を終ります。
 その外この度お求めのありました資料につきまして、いろいろ纒りにくいデータが多数ございますけれども、まあできます限り纒めたのがもう一册の方の鉄鋼関係者資材でございます。これは過去の実績でございますから別に御説明申上げることもございません。以上で終ります。
#5
○委員長(佐々木良作君) では引続きまして二証人の御説明をお願いいたしたいと思います。初めに宣誓をお願いします。
   〔総員起立、証人は次のように宣誓を行なつた〕
   宣誓書
  良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
         証人 小野 清造
         証人 島村 哲夫
         証人 山田 忠義
#6
○委員長(佐々木良作君) 最初日本鉄鋼連盟の山本忠義君にお願いいたします。
 鉄鋼業者現状の概況についてのお話を伺いたいと思います。お願いいたします。
#7
○證人(山田忠義君) 山田でございます、先程安本の生産局長並びに松本部員から非常に詳細に亘る御説明がありましたので、私の方から蛇足を加えるまでのこともないと思いますのですが、民間側として見た現況についての説明を二、三加えさして頂きます。お手許に私共の日本鉄鋼連盟で作りました鉄鋼産業統計というこの綴りました本年の三月一日付発行の分と、それから四月六日附で作成いたしました三枚綴りになつております鉄鋼生産状況、この二つの表をお配りしておきましたこの鉄鋼生産状況につきましては、先程御説明のありました際にお使いになりました安本側から出ました詳細の記録がございますので、それと些か重複すめわけでございますが、多少数字の相違もあることはお認めの通りでございまして、これには二十三年度第四・四半期の実績が多少推定が入つておること、並びに同じ業者でありましても、報告に、官に行くのと民に行くのと、早いのもあれば遅いのもあるというようなことで、多少ずれはあろうかと思いますが、できるだけ私共の方としましては、会員でありますところの約百七十社を督励いたしまして、正確を期したつりもでございます。この生産状況の説明は只今の通りでございますが、ただこれを然らば過去と比べてどの程度まで回復して來たかということの一應説明のために、ここに欧米あたりで大体戰前と称しております一九三七年昭和十二年の実績を掲げまして、それと終戰後即ち昭和二十一年二十二年並びに先程の二十三年の一部推定を含んだ実績、往び二十四年度の計画と過去に最高の実績を挙げた年、及び実績はどの程度挙つたかということを一番右の端の方に掲げておきましたこれによつてみましても過去の最高年次はともかくといたしまして、昭和十二年くらいに比べまして非常に現在の生産の状況が小さくなつている。特に終戰直後の二十年の後半がありませんので比較にはなりませんが、翌年の二十一年或いは二十二年等におきましては、昭和十二に年比べて、高炉銑など二十一年には一割にも足らない鋼材が二十二年になつて昭和十二年の一割を超えた程度だという非常に少い現況にございました。それが昭和二十三年になりましてから先程お話もありましたように、主として輸入の諸原料の入荷がGHQの御厚意並びに商工、安本両当局の非常なる御援助の下に比較的順調でありましたために、銑鉄の多少の予定減はあるにしましても鋼魂の面におきましても、鋼材の面におきましても生産計画を遥かに突破した誠に喜ばしい状況に至りました。これには先程申しましたように官の方の非常に絶大なる御援助がありました。又この議会側の御了承もありまして、昨年商工省の鉱山局の一課であります鉄鋼課で鉄鋼行政が見られておつたのを、昨年の春の終り頃になりましてそれが鉄鋼局という大きな局として、行政面の強化にまで御賛同を得られたような次第でありまして、我々業者の方といたしましてもこの議会並びに官の側における協力態勢に呼應いたしまして、極力生産に努力した結果がこの昭和二十三年度の実績、計画超過という結果になつたものと信じておるわけでございます。御参考までにこの鉄鋼産業統計の方の一應第四表を御覧願いたいと思いますが、四頁第四表並びに十八頁の第二十表の双方を開きながら説明をさせて頂きたいと思います。
 例えば仮に昭和二十二年の一月をとりますと、この第四表の普通鋼々材生産実績は漸く二万六千トン、三万トンに滿たない状況でございまして、それが一ケ年あとの二十三年の一月には四万七千トン、その前月の十二月は四万八千六百トンばかりになつておりますが、四万七千トンを超えております。そうしてその翌月二十三年二月には僅か二十八日であつたにも拘わらず、五万トンを超えて六万トンの線に到達いたしまして、遂に二十三年の十二月には十二万七千トン弱という終戰以來最高の月産記録を挙げた次第であります。これに対しまして、この十八頁の二十表の在籍労務者推移状況を御覧願いたいのでありますが、この二十二年の一月、即ち三万トンに滿たない生産でありました頃に、普通鋼関係の労務者数は六万三千八百人弱でございました。それが二十三年の一月、即ち四万七千五百トンばかりに昇りまして約七、八割の生産増加になりましたけれども、労務者は七万一千百人ばかりでございまして、僅かに七千二、三百人の増加になつておるの過ぎません。それが二十三年の十二月、即ち十二万六千トン、大体五倍、二十二年の一月に比べまして四倍六、七分から五倍弱という実績を挙げるに至りましても、労務者は二十二年一月の六万三千八百人に比較しまして二十三年の十二月は十万二千七百人程度、程一・七倍弱といつたような程度にしかなつておりません。この二倍にも滿たない労務者で、生産の方では非常な実績を増強して行つたという点、これは單に普通鋼々材だけではなく、銑鉄の面におきましてもやはり同樣なことがいえるわけでございまして、この普通鋼関係の労務者のうちには、普通鋼々材も亦鋼魂も亦銑鉄の労務者も含んでおるわけでございます。銑鉄の生産につきましては、六頁の第七表を御覧になりますればお分りのように、このうちの普通銑というのが、普通の鎔鉱炉銑でございますが、鑄物用と製鋼用と合せまして二十二年の一月には約一万三千トン程度しか出しておりませんのが、一年あとの二十三年一月には約二万八千トン超過ということでございまして、それが昨年の十二月にはここにございますように八万トンの線を突破いたしたような訳でございまして、現に今年の一月には九万七千トンという終戰以來最高の十万トンに垂んとする記録を挙げた次第でございます。保有銑鉄在いは鋼材の非常な躍進を生産の面で遂げたに拘わらず、労務者の面では過去二ヶ年間に二倍に満たない、百パーセントの増員にならない人数でやつておつたということは、一面において労務者の方がいわゆる鬪爭のための鬪爭ではなくして、生産増強のための生産鬪爭に努力した、自分の要求を達するために、團体交渉は会社当局とやることはやるけれども、生産には全力を挙げるという態度が二十三年度になりましてから、議会及び官の方の御努力に呼應して現われ、又これは同時に経営者の方でも團体交渉に熱意を示すと共に、工場経営に当つて全力を盡すに至つた結果が結集されて、今日御説明のような実績を挙げたものと我々は信じている次第であります、今この燃えておる熱意を百パーセントに活かすためには、先程お話がありましたような二十四年度の生産計画百八十万トンは絶対にこれを実行しなければならないという深い熱意に燃えておりまして、幸い司令部側の御了承もあり、又政府側の御努力もありまして、これに必要な輸入の諸原料の入手についてはどうやら見通しがあるということでありまして、我々の最も懸念しておる問題の一つが解決せられておると思うのでありますが、何回も申しますようにこの生産計画に非常に必要であつて、而も恐らくそれが生産計画達成の成否の鍵を握つておると思われる資金の面におきまして、未だに決定がないということ、而もそれが減額される見通しの方が多いということを聞いておりますので、その点で折角この増産のために而も今輸出の点におきましても鉄鋼業は建設資材であると共に、纖維に次いで大きな輸出資材でありますので、この面からも一刻も早く日本経済を自立させるに貢献するのは、鉄鋼増産が一つの大きな途であるという自覚の下に、もう少し労務者経営者が一体となつて銑鉄百七十万トン、鋼材百八十万トン生産計画に今入る態勢を整えておるという情勢にあります。先程資金面の点を申しましたが、それはすべて高炉を初めとして圧延計画或いは労務者を多少今後殖やさなければならない、その殖えた労務者の住宅の問題、或いは経営を合理化するために或る程度の整備計画を立ててこれを実行するというのに際しまして、鉄鋼労務者は先程申しましたように過剩とはいえません。できるだけ配置轉換をすべきものと考えて、その計画をするにいたしましても新らしい受入先において住宅がない、受入設備がないということでありましたら、これ亦整備計画の実行が遅れるというような困難性も伴うではないかという心配をいたしておるわけであります。先程百八十万トン計画の実施上の諸問題について縷々とお話がありましたけれども、例えば原料の面におきまして國内炭配炭が四百五十万トンの計画になつており、安本の第二次計画においても確認せられておるようでありますが、この四百五十万トンという数量は四千二百万トンの一〇・七%即ち一割一分弱になります。これは昭和二十一年が約六・五%、昭和二十三年さえも九%程度であつたのに比べまして相当な数量の増量になり、而も他産業ともども四千二百万トン生産によるカロリー減から來る量的な心配を持つておる際でありますから、是非この四百五十万トンの鉄鋼業向配炭は確保して頂きたいと思いますと同時に、カロリーの面におきましても例えば戰爭中におきましては、鉄鋼業向配炭の平均カロリーが約六千五百カロリーに相成つております。六千五百カロリーで灰分の方も一八%前後というものでございましたが、これが二十二年には六千百カロリーに下り、アツシユも二三%という相当な上昇になりまして率の面で相当下る。從つて量の面で多少の増量がありましても、量と質とを掛け合せましたカロリーの絶対量において、増量に比例するだけの期待が持てないのではないかという懸念もある次第でございます。これらの点につきましても安本、商工省双方におかれまして十分御留意のこととは存じます。配炭増の喜びに比例しただけ実績の上りますよう、この際是非お願いいたして置きたいと思うわけでございます。
 尚外の原料におきましても、例えば鉱石につきましては輸入鉱石の確保はほぼ実現できるであろうと聞いておりますけれども、内地鉱石も相当重要でございまして、先ほどの表にありましたように、三百八十万トンのうち百八十万トンばかりが國内鉱石で賄う予定になつております。これは國内鉱石の自給率の問題に関係するわけでございますが、我々が通称基準年次と称しております昭和五年九年の頃には、國内鉱石の自給率が約一割二分程度でございまして、それが戰時中には大体十六年、十九年が非常に國内の鉱山が増強に努力いたしまして、非常に上りまして約四割に相成つております。ところが二十四年度のこの計画で参りますと、戰時中の非常な特例のあつたとき以上に國内鉱石への依存が殖えまして、大体四割二分乃至三分、四二・三%に相成るわけでございます。これまで鉄鋼業向けの鉱石は大体終戰当時の百十万トンばかりの鉱石と、その後の出鉱の約六十万トンばかりございますが、これを喰い潰してしまいまして、今日在庫が極めて少い実情にありますときに、何も輸入量が減つたわけではなくして、より以上増産の必要のために國内鉱石の絶対量が殖える、從つて鉱石依存度が殖えたわけでございますけれども、この依存度が戰時中以上に殖えたというところに、國内鉱石確保へのためのいろいろな努力の拂われなければならない余地を見出すのでございますが、その國内鉱石の中で最も重要視される釜石とか群馬等の諸鉱山増強の資金面につきまして、只今のところでは聊か悲観的な風説すら聞いておる次第でございます。例えばこの経済安定本部から本日御提出になつて御説明ありました鉄鋼関係諸資料の一番最後の頁に、昭和二十四年度鉄鋼部門所要設備資金の一覽表がございますが、この中で、この一番下の鉱山関係というのに三億九百万円ばかりの計上がしてあります。これはそのうち二億ばかりを釜石とか群馬の主要鉱山に注がれるやに聞いておりますが、この設備資金総量百十六億というものが仮に二、三億切られるとか、又噂では九十八億程度に変えられるとかいうようなことが若しありといたしますならば、この高炉、製鋼、圧延、輸送或は或る程度住宅等の資金は欠かさないために、止むを得ず鉱山関係の方が相当犠牲になる憂いもございます。そういうことにでも相成りますと、我々の期待としてる内地鉱石百四十万トン程度の確保は不可能になる。從つて輸入量に限りがあります以上、この鉱石という原料の重要資源の一面からも百七十万トンの高炉鉄の鉄鋼生産計画というものに、大きな罅が入るという懸念も持つておる次第でございます。
 その他この屑鉄の問題につきましても、もう一つの方の安定本部の生産計画関係資料書にも亦最後の員になるのでございますが、大体今年度予定せられております市場屑百五十万トンのうち約四十万トンが屑化物件でございますが、これも屑化して製鋼用に使い得るようにするためには、この安本の表の一番最後にありますように莫大な費用がかかり、安本の計算では國有補助額という点がここに掲げてありますが、一千五百七十万円を大藏省は百三十六万円に査定されたというような、又審議会の費用を三十六万円ばかりに査定されたということが出ておりますが、たとえこの通りに仮に実施されるといたしましても、この建造物をトン当り一千円で讓渡するとか或いは機械をトン当りにして一千百円で讓渡するというような非常に安い價格で、果して建造物と機械の所有者が讓渡するものかどうか。又これに行政的措置をとられるとしましても、この権限を憲法上の規定と相違せずして、果して強行し得るかというような困難性がございまして、これが若し予定通りに行かないとすれば、それだけ屑鉄は入手が不可能になるということは、現在日本の國内の屑鉄を利用する以外に、他から屑鉄の供給を仰ぐことができません以上、これ亦鉄鋼業について生産上の非常な隘路になるということを我々は恐れるものであります。先ほど申しましたような資金の面の他にこういつた原料資村の面で相当の懸念があるわけでございます。鉄鋼業自体はすでに輸出産業でございまして、本年度どうしても六十三万トンの輸出を実行するためには百八十万トンの生産というものは不可欠と考えておる次第でありますので、何とかこういつた隘路を打開されることによりまして、業者の折角盛り上つた熱意を最大限に日本経済自立のために利用さして頂くということを、この席を借りてお願いしておきたいと思います。
#8
○委員長(佐々木良作君) 有難うございました。質疑は全部の説明が済みましてから後一括お願いした方がいいと思いますので、次に特に鉄鋼の生産に関する諸問題につきまして島村哲夫君のお話をお願いします。
#9
○證人(島村哲夫君) 只今まで日本鉄鋼業の本質或いは二十四年度生産計画につきまして政府側から御説明がありまして、鉄鋼業の現状全般について、鉄鋼連盟の山田さんから縷々御説明がございまして、私から別に取立てて申すこともございませんが、ただ生産をやつております私達としまして、この二十四年度百八十万トンを遂行するためには、いろいろの問題もございまして、そういう点について二三述べさせて頂きます。
 本質的に申しますと、日本の鉄工業が、將來どうなるかという点については、我々非常に不案を感じており又いろいろの根本的な考えが定まらないわけです。併し終戰後抱いておつた例えば賠償の問題であるとか、或いは、日本の許される鉱工業水準の問題というのも、幾らか最近は明るくなつて來て、又、集排法による会社の制限というようなことも、幾多生産に支障を來しましたけれども、これも漸次緩和されるような方向にございまして、この際むしろ明るい面を見て、我々は日本製鉄業の復興に努力をいたしたいと、こう考えておる次第でございます。この二十四年度は百八十万トンという非常な躍進の計画を政府でお作り願いまして、その重責を担つて、我々はこれから奪鬪いたすわけでございますが、これを遂行いたしますのには、二三重要な点があるように考えるのです。
 第一は、原料の問題でございます。石炭は先ず四千二百万トン是非掘らなければならん、そして四百五十万トンを是非鉄鋼業にやつて頂かなければならんということが第一でございます。それは、根本的な問題で石炭がなければ鉄はどうしても出ません。次に鉄鉱石の問題でございますが、御承知のように、内地資源に乏しい日本としましては、外國から多量の鉱石を入手しなければならん。先ず第一に問題になりますのは、國内の今政府からお示しになりました百万トンの内地鉱石が本当に入手できるかどうか、これについては相当強力な手を政府でお打ち願わなければ非常に困難ではなかろうかと、こう考えます。第二は、外地の鉱石百八十万トンを入れる、これは一應現在の契約においては、見通しは非常に明るいということが言えますが、併しここに見て行きますと必ずしもそうでもないのじやないか。始終これは我々は関心を持つてGHQあたりによく了解して貰わなければ、非常に不安なことが起りはしないかということを心配いたします。元來熔鉱炉は、御承知のように、年中、日夜動いているわけで、これに入れます原料が、毎日変つて來る。或いは明日何を食わせるかということが不案でありますれば、全然いい操業はできないわけでございまして、やはりここにはストツクを相当持つて安心した計画作業というものを遂行しなければならませんし、特にこの製鋼一貫工場におきましては、作業の元が熔鉱炉にあり、熔鉱炉の炉項に入れた原料が、十時間或いは十数時間して熔銑として出て参りますが、その熔銑が製鋼炉に行き、その製鋼が鋼塊となつて、製品に流れて行く、こういう一つの流れがうまく行くということは、先ず熔鉱炉に上手にいいものをコンスタントに食わせて行くということであるし、又熔鉱炉に入れますコークス炉の滓或いは熔鉱炉と滓というものが一つの燃料として作業の中で使われるので、この有機的な動きというものもあるわけでございまして、どうしても原料を上手に一つ加工して頂くということをぜひお願いしたいと思います。
 更に根本的な日本の製鉄業の問題として、只今我々は滋常な高價な外國石炭或いは外國鉱石を買つているわけですが、例えば何とかして内地炭を成るべく多量に使つて熔鉱炉を動かして行くということはできないかどうか。例えば小さい熔鉱炉には日本炭のみで操業が可能ではないかというような点、これはそれぞれ研究をいたしておりまして、いくらか底を見つけたわけでございまして、先般アメリカからコークスの專門家が参りまして、この日本における強粘結性炭の問題はすでに解決している、これの実行はただアドミニストラテイヴでボリテイカルな問題であります。要するに実行できるのだというくらいに行つているので、この結論には、私は全幅的に賛成するわけではございませんけれども、併し一應実驗的には見通しがついているというような点で、これには我々も大いに今後努力いたしたいとこう考えております。
 もう一つ、私たち八幡で昔作業いたしました場合に、熔鉱炉が十二本動いておつて、これは今後二年先も三年先も何ら心配なく鉱石は來るという一つの自信を持つておつたわけです。というのは大冶の鉱石は八幡に大体属しているし、又マレーにおける鉄鉱石は日本の人が経営しているというようなはつきりした見通しがあつたのですが、現在外國鉱石が買われております状況を見ますと、いろいろの所から成るべく安いものを買う、要するに町にある品物を買集めるような態度で今鉱石が入つて來ている。例えて申しますと海南島にあつた我々が掘りました鉱石が外國人に買われて、そのストツクが來ている。そのズングンも同様である。海南島、ズングンというような、我々が將來期待する鉱石が何ら開発されてはいないということは、何ら基礎のない原料事情であるということであります。これは敗戰の日本では如何ともするべからざる点ではございますけれども、何とかしてこれが開発され、次々に安い鉱石が日本に入つて來るという事情に一日も早くなることを希望している次第であります。
 次に鋼材の需要につきまして、今年度の生産の最も特徴とするところは、輸出が非常に多いということ、これは我々製鉄業始まつて以來のことでございまして、生産したうちの三五%が本当に輸出される。これは將來満洲とか朝鮮とか台湾という所に輸出したときとはまるで違うわけでありまして、本当に外國の製品と一騎打をすることになるわけです。で、世界の鉄鋼事情も終戰以來非常な鉄鋼不足で、アメリカにおいてさえも鉄の闇價格があつた。まあ現在もいくらかあるようでございますけれども、今年の一月から急にアメリカの闇價格というものは減つて來た。一方昨年はイギリスは世界各國に二百万トンの鋼材を輸出いたしておるようでございます、今年は正に世界各國の鋼材の競爭が行われると私は思つております。簡單に三十二万トンの鋼材を輸てすると申しましても、値段が安くなければ買わんし、質が惡ければ買いはしないので、相当輸出振興という点については、我々としましては極力合理化によつて生産費を下げるとか、質をよくするということに努力いたしますが、政府側におかれましても是非ともGHQあたりと連絡を取られまして、方策をお練り願いたいと考える次第でございます。
 尚内地の需要については、今度の予算でどうも官廳側の需要が殆んど半分以下になるのじやないかというような心配をする意見もありまして、若しそうした不案があれば、我々としても燃え立つた氣持が消えてなくなるわけでございます。この点は十分一つお考えを願いまして、やはり生産をスムーズに動かすためには注文というものもスムーズに來なければ非常に困るのでありまして、是非お願いいたしたいと思います。
 次に今後我々が合理化すべき点は多々ございますけれども、特にこの労働生産性を上げなければならんということをつくづく考えるのです。鉄鋼全体で申しますと昭和十五、六年の能率のよかつた頃に比べて、多分今四〇%ぐらいだろうと思うのですが、是非一つこれを上げなければならんという問題と、それからこれを上げる方法としては賃金制度の改善でありますとか、作業の合理化、設備の改善、そういうものも多々あると思いますが、我々といたしましてもできるだけのことをいたしまして、世界相手の仕事ができるように一つ努力いたしたいと、こう考えております。尚この鉄鋼生産が上るにつれて、從業員の増加が必要でございますが、例えば八幡で申しますと、八幡附近にはなかなか人も現在いない。遠いところから連れて來なければならない。すでに八幡は火事で家がないので社宅を建てなければなりませんが、これに対しての資金なんかも不安であるし、是非こういうところを解決して頂きたい。更に百八十万トン計画のためには、やはり新らしく作業を開始する必要があるので、こういう設備資金は是非確保して頂くと同時に、早目に決めて頂かなければ、百八十万トンの計画はできないのじやないか。すでにこの二十四年度に入つておりまして、私たちの会社でもいつもならば三月までに企業費予算の審議を終る筈でございますが、幾ら金が使えるか分らないので、その審議もできないというような状況でございます。
 以上述べましたように、我々は是非皆さんの御期待に副つて百八十万トンを遂行したいと思つておりますが、それの遂行に対しての幾らかの不安な点もございますので、この点を是非一つ政府の方でもお考え願いたいと、こういうふうに思います。
#10
○委員長(佐々木良作君) 次に鉄鋼生産業の特に経理の問題につきまして、小野清造君にお願いいたします。
#11
○證人(小野清造君) 私日本製鉄の小野でございます。それでは私から鉄鋼の経理関係のことについて若干申上げまして御参考に供したいと思います。
 鉄鋼の経理は、大体御承知のように、現在いろいろな事情で非常に沢山の問題を包藏しておる現状でありますので、これを詳細に申上げますことはなかなか時間の関係もありましてできないのでありますが、大体のことを概括的に申上げて見たいと、こういうふうに考えます。経理の問題はこれを大きく分けますと、損益の関係と資金の関係と、こう二つに大体なるというふうに考えますが、終戰後最近までの経理の大きな流れを見まして、その特徴的な点を大きく分けて見ますと、昨年の七月の公價改訂までの時期とそれ以後とに大体分けられると思いますが、昨年の七月の公價改訂以前の状態を申しますと、当時は非常に操業度が低かつた。從つて原價的に見まして固定費が非常に割高になつて、採算状態が非常に惡かつた。それからもう一つは、鉄鋼價格の改訂と一般物價の上昇との間に時間的なずれがあつたという、この二つの事情のために、昨年七月以前におきましては、経理関係は損益の面で非常な苦境に立つておつたわけであります。ところがこの点は、昨年七月の公價改訂によりまして相当程度に改善されまして、それ以後は損益の面では相当樂になつたと考えるわけでありますが、一面におきまして、この公價改訂とそれから生産量の増大と、この二つの事情によりまして、所要資金が非常に大きな額になつて來ました。從つてその資金をやり繰りして行く、つまり金融操作の面で非常に困難な事情にぶつかつて來たと、こういうふうな大体傾向になつておると思います。
 それで先ず損益の面から大体どういうふうな状況になつて來ておるかということを申上げて見たいと思いますが、丁度二十一年の八月に新旧勘定の分離ということが行われまして、それ以後生産関係は新勘定の負担ということで経理をやつて來ておるわけでありますが、その新勘定にその後ずつと赤字が出ておるわけでありますが、それが鉄鋼全体といたしまして、昨年六月の現在で十四億五百万円という赤字が出ております。その赤字は七月に公價改訂がありました以後は、業者によりまして若干の赤字の出ておる所もあるかと思いますが、まあ償却の問題がありますが、償却の問題を一應考慮外に置きますと、大体收支一杯々々に行つておるのではないかと、こういうふうに考えております。從つてその後はこの十四億五百万円という赤字はそう大して殖えていないというように、一應私共は考えておるわけであります。この十四億五百万円の赤字に対しまして、業者が復興金融金庫から融資を受けて辻褄を合せたものが、十億何がしであります。從つてそれを除きました約四億何がしというものは借金もできませんので、結局業者各個の資本の食い潰し、或いは手許の操作というふうなもので辻褄を合せている。こういうような状態になつております。尤も新旧勘定分離以後の、その後できました赤字の総額といたしましては、実は十九億三千万円ばかりになるのでありますが、これに対して國家から補償を受けました分が五億三千万円ばかりあつたわけであります。それを差引いて、結局十四億五百万円というものは現在業者の負担として赤字で残つておる。こういうふうな状態になつております。総括的に見ますと、新勘定にそれだけの赤字が出ておるわけでありますが、それは経過的に見ますと、やはり大体この赤字の大部分というものは、昨年七月の公價改訂以前にできたものが多いのでありまして、その後は公價改訂によつて、生産状態も相当改善されるということになつて、比較的損益の面では大きな赤字を出さずに済んで來たというふうな経過を辿つております。これは昨年の六月現在の状態でありますが、その後の状態については、今申上げましたように大して大きな赤字は出ておるとは考えておりませんが、日鉄だけの状態を見ますと大体收支一杯々々に行つておるというように考えております。ただその場合に問題になりますことは、償却の問題でありますが、これは現在御承知のように、公價の中に織込まれておる償却は、法定償却でありまして、これは帳簿價格の七%という償却が認められておるわけでありますが、御案内のように帳簿價格は現在のインフレの影響を受けない。非常に貨幣價値の高かつた当時の貨幣で表示されておるわけでありまして、從つて固定資産の價格というものは、現在の一般物價から見ると非常に安いところに抑えられておる。その非常に安いところに抑えられた帳簿價格に対して、七%という償却より認められておらないというふうなために、その後の物價情勢に対應して適宜に資本の維持更新を図つて行くというためには、到底この程度の償却では足りないわけであります。そこでどうしても資本の維持更新を図つて行くためには、ここに認められております以上の償却をやつて行かなければならんということになるわけでありますが、それをやつて参ります場合には、税法の関係がありまして超過償却として課税されるというようなことになつて参りますので、仮に業者の損益状態にはそれだけの余裕があつても、法定償却以上の償却としては、実際問題としてはできないと、やつてもそれだけの意味がないというふうな実情に置かれておるわけであります。どれぐらい違うかということを例をとつて申上げますと、日鉄の場合について申上げますと、大体日鉄は過去、支那事変の始まりました当時からのずつと状況を平均して見ますと、大体製品賣上高に対して、八%程度の償却をやつて來ておつたわけでありまして、それによりますと大体一・四半期に、現在の生産量で申しますと、少くとも五億程度の償却をしなければならんというふうなことになります。ところが実際問題として、公價の中に認められております償却というものは、それの一割にも満たないというような現状でありまして、この点は今後の鉄鋼業の復興という問題と関連いたしまして、何らか適切な措置がとられないと、何年かの先には、鉄鋼の生産設備の大部分が役に立たないというような事態にぶつつかるということを、私共としては、非常に恐れておるわけであります。この点は差当りの問題としては、税法の改正によつて、更により以上の償却を認めるというふうなことになるか、或いは最近よく世間でいわれております資産の評價換と申しますか、再評價と申しますか、そういうような措置をするが、いずれかの方法がとられない限りは、この点は解決しないと考えておるわけであります。この点につきましては、政府並びに関係筋の今後の非常な御理解と御援助を是非お願いしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
 損益の概況につきましてはそういうふうな状況でありますが、次に資金の問題でありますが、この資金の問題は先刻も申上げましたように、特に昨年七月の公價改訂以來、この價格の上昇と、それからたまたま軌を一にして生産量が非常に増えて來た。この二つの事情によつて資金の所要額というものは非常に大きなものになつて参りまして、これの調達ということに常に苦心をしておるわけでありまして、先刻來話の出ております二十四年度百八十万トン計画というものの達成につきましても、恐らく一番中心的な問題となりますものは、資金問題であろうと、こういうふうに考えているわけであります。そこで一体鉄鋼業の資金が、今日どういうようにして調達されて運用されているかということを極く簡單に申しますと、資金は御承知の通り、運轉資金と設備資金と二つに分けて考えられますが、大体において、今日この運轉資金は、基本的には賣上收入というものによつて賄つて行くわけでありますが、この賣上收入の入つて参ります道が現在大体三つあると思います。その一つは、御承知のように、私共の製品は、生産と同時に公團に買取られるわけであります。その後問屋との商談が決りますと、それをもう一遍公團から賣戻しを受けまして、そうしてそれを問屋へ賣ると、その代金を問屋から回收するわけでありますが、この公團の生産買取と同時に、需要者價格に相当する部分をメーカーは公團から貰うわけであります。そうしてその後問屋の方にこれを出荷いたしまして、問屋から代金を回收しまして、きれを公團の方に返して行くというような大体仕組になつているわけでありますが、それで大体その收入の源泉を分けて見ますと、第一は、問屋から回收して参ります賣掛代金、それから第二は、今の公團に対する生産買取りによつて貰います需要者價格に相当するもの、それからもう一つは、補給金に相当するものであります。これも現在公團を通して貰つているわけでありますが、この問屋からの代金收入と公團に対する生産買取代金と、それから補給金と、この三つの分で大体收入が成立つているわけであります。この三つについてそれぞれ最近の金融事情によつていろいろ問題があるわけでありますか、第一の問屋の賣掛金の回收でありますが、これは戰前におきましては、鉄鋼と申しますより特に日鉄あたりの状況としては、非常に代金の回收状況が惡かつたのでありますが、終戰後はこの点に非常な努力を拂いまして、最近は回收状況は非常によくなつて來てはおるわけでありますが、ところが肝腎の問屋の金融というものが最近非常に逼迫しておるわけであります。それで私共は問屋の代金回收を促進するためには、どうしてもその或る部分を手形で以て取つてやらなければ回收ができないというふうな実状になつておるわけであります。こういうことを申上げますのはおかしいのでありますが、大体問屋と申しますものは、一面において金融的な機能を持つておるものでありまして、從前は問屋がメーカーに対して或る程度の金融の援助をするという実状であつたものが、最近は逆に問屋の金融を或る程度メーカーで見てやらなければ代金回收ができないというふうな、全く逆な実状になつておるわけであります。日鉄の実状を申しますと、最近のごときは大体賣掛代金の四割までは手形で以て取つてやらなければ回收ができないというような実状になつております。而もそうやつて問屋から取りました手形は、全額が市中で割引等によりまして消化ができれば問題はないのでありますが、最近の実状では問屋から徴收するもののうちの一割乃至一割五分くらいのものは、市中で割引ができない。そのまま日鉄の手持になつて残つて資金ができないというふうなことになつております。
 その次に生産買取でありまするが、これは生産買取で公團に私共が製品を渡しますと、これに対してメーカーの方から手形を出すわけであります。これは品物を賣つてその代金に対して、賣つたものが、手形を出すということは甚だおかしいのでありますが、いろいろな関係で、例えば公團が手形上の請求者になれないというような事情がありまして、こういう変則的な方法を取つておるわけでありますが、この生産買取に対してメーカーが出します手形を、いわゆる認証手形といつておるわけであります。実際は生産買取ができますと、それに対する手形を出して、先ずメーカーの方で、その手形を割引いてくれる銀行を探して、その銀行との間に話合がつくと、それを公團の方に出して、その手形を、公團が、これは確かに買取つたものに違いないという認証をいたしまして、そのことによつて市中銀行がそれを割引くということをやつておるわけであります。この認証手形が、はつきりした数字は覚えておりませんが、日鉄の事情から考えて見ますと、大体鉄鋼全体で四十億くらいになつておるのじやないか。こういうふうに考えておりますが、日鉄だけで申しましと、大体十七各乃至八億くらいのものが出ておることと思います。この認証手形が、これは又最近なかなか市中で以て消化がつかない。これが消化がつきませんと、今度は公團から我々が製品の賣戻しを受けました場合に、その代金支拂ができない。その代金支拂ができないということになると、この認証手形が期日に落ちないということになつて、金融上非常に厄介な問題が起つて來るわけでありまして、この認証手形の制度をうまく運用して行くためには、やはりこの認証手形が順調に市中銀行で消化されて、そうしてメーカーの方で賣戻しに差支のないようなことになつて参りませんと、非常に運用上支障が起つて來るわけでありますが、これは最近の実状は、甚だ遺憾ではありますが、やはり認証手形の若干のものが消化できないで、手許に残つておるというふうなところへ追込まれておるわけであります。鉄鋼については、そういうふうなことはまだ起つておりませんが、私共聞いておりますところでは、或る業種の認証手形が不渡になつたというようなことも聞いておるわけでありますが、こういうふうな事態が起つて参りますと、今の公團の生産買取方式というものにも相当大きな問題が出て來る。同時に又業者の生産にも支障が起きるというふうなことになつて参りますので、何とかこの認証手形だけは順調に市中で消化されて、そうして支障が起らないように持つて行きたい。かように考えておるわけであります。
 それから第三の補給金でありますが、これは大体四十日くらいの期間のずれで、補給金の支出を受けておるわけでありますが、その四十四日間の金融が、これがやはりメーカーの責任において金融をして行かなければならんというふうな事情になつておりまして、実際の実状を申しますと、この補給金收入というものを見返りにいたしまして、日本銀行が斡旋いたしまして、市中銀行にそれぞれ割付けて、それだけの金融をつけておるという実状であります。日鉄で申しますと、現在この補給金見返りの融資ということで我々に援助を願つております銀行が、十六行に達しております。この多数の銀行の協調融資によつて、この補給金の時期的なずれに対する金融を見ておるわけでありまして、この補給金見返りの、協調融資につきましては幸いにして今日まで各銀行方面の格別の御援助によつて、先ず大体において支障がなく金融がついておるというふうな実状であります。ただ併し最近のように非常に全体の金融情勢が逼迫して参りますと、銀行の方といたしましては、この問屋の代金收入から出て参りますいわゆる商業手形、これの割引、それから生産取引に対する認証手形の割引、それから補給金見返りによる協調融資、これが皆一つの銀行に固まつて行くわけであります。從つて銀行の手許が窮屈になつて参りますと、例えば商業手形は或る程度割つているが、認証手形の方は余るというような事情も起きて來るわけでありまして、そういう面でこの運轉資金の金融というものを全体的に見ますと、最近は非常に円滑を欠いているようなわけでありまして、幸いに補給金の協調融資がうまく行くかと思うと、今度は認証手形が残つておる。認証手形がどうにか割れるかと思うと、今度は商業手形が余つて來る、こういうような、いたちごつこの関係になつておるわけでありまして、どの一つが行き詰つても、結局メーカーの金融を圧迫することに変りはないわけでありますので、この点今後の金融情勢にもよると思いますが、どういうふうになつて行くか、私共としては非常に懸念しておる次第であります。
 それからもう一つの設備資金の問題でありますが、これは特に二十四年度の百八十万トン計画というものに関連して非常に大きな問題になつて來ておるのでありますが、先程も安定本部の方からお話がありましたように、百八十万トン計画に対する資金的な裏ずけが現在まだ決まつておらない。從つて若しこれを資金の調達ができなければ百八十万トン計画を下りるわけではないが、或いは百五十万トン、六十万トンというふうに生産計画を変えなければならぬかも知れぬというふうな実情にあるように伺つておるわけでありますが、私共としては、採算関係もあり、業者としての経営的な立場から見てどうしても二十四年度は百八十万トンに持つて行きたい。從つい百八十万トンに持つて行くために必要な資金、これは何らかの方法で一つ調達できるように御配慮を願いたいと考えておりわけでありますが、この点について私共は從來復興金融金庫から融資を受けて來ておつたわけでありますが、この復興金融金庫が新年度においては財政の関係で殆んど新規の貸付はどきない。まあ既往の貸付の回收その他で多少の残務は残るだろうと思いますが、積極的に從來のように貸付をして行くことは全然望みがないということになつたわけでありますが、然らばそれに代つて誰がこの設備資金を供給するかという点になると、まだこういうふうにするというはつきりした方策が立つておらないように考えるわけでありまして、いずれは何とかの方法ができるものとは我々期待しておるわけでありますが、併し一方資金の需要の方から申しますと、これはもう差当り金が要るわけであります。で、特に私共非常に心配しておりますことは、すでにこの第四・四半期において二十四年度の百八十万トン計画に対する設備資金の一部として融資を受けておるものがあります。例えば日鉄で申しますと第四・四半期で約五億円の融資を受けたわけであります。この五億円の融資がいずれも二十四年度の百八十万トン計画に対する設備資金の一部分になつておるわけであります。從つて今後その金が暫くの間後の分が出ないということになつて参りますと、折角第四・四半期に融資を受けました分までが、結局用をなさないというふうなことになる虞れが非常に多いのでありまして、その意味において結局は何らか復金に代る設備資金の融資機関ができるにしても、それができるまでの間、設備資金の供給者が空白になるということになりますと、この百八十万トン計画に重大な支障が來るわけであります。仮にそういつた根本的な方策が立たないとすれば、それが立つまでの時期をどういうふうにして凌いで行くかということについては、これは格段の御配慮をお願いしたいと考えておるわけでありまして、差当り第一・四半期の日鉄だけで申しましても、この百八十万トン計画と即應ずるためには十一億くらいの設備資金が要る。これは情勢によつて若干圧縮できるかも知れんと思いますが、一應計算して見ますと、十一億くらいの資金が要るわけであります。ところが現在のところではこの十一億の金の出場所がない。從つてこれが出ないということになると、どういうことになるかということを申上げますと、大体十一億の資金が第一・四半期は出ない、第二・四半期でなければ出ないということになりますと、銑鉄で十二万八千トン、鋼材で九万トンくらいのものが計画から下廻る。それだけのものが計画量に達しないというふうな大体結果が出て來るような計算になつております。そういうことになつて参りますと結局百八十万トン計画に大きな罅が入つて來るわけでありまして、私共としては何とかそういう事態の起らないように、第一・四半期の所要設備資金について一時の繋ぎにしろ、何とかこの資金の供給が順調に行くということを念願しておるわけでありまして、この点につきましては私共としては勿論あらゆる努力をするわけでありますが、同時に政府並びに関係筋におきましても、格段の御配慮をお願しなくちやならんとこういうふうに考えております。
 甚だ簡單でありまして、経理の全般を盡しておりませんが、本体私共の一番今問題になつておると思われる点を、極くかい摘んで申上げた次第であります。
#12
○委員長(佐々木良作君) 一應みんな説明を終りましたわけですが、政府側からは先程御説明の安定本部関係から、生産局長、関係局長を初めとして見えておりますし、商工省関係からは鉄鋼局長を初めとして関係の方が見えておりますし、政府側及び証人側どちらに対してでも結構ですから一つ御質問をお願いしたいと思います。
#13
○藤井丙午君 鉄鋼局長から何か説明に御補足になることはありませんか。
#14
○政府委員(始関伊平君) 別にありません。
#15
○藤井丙午君 私から質問すると少し変ですが、私先程から政府の御当局並びに民間側の証人の方からお話を伺いまして、終戰後鉄鋼業が非常な苦難を克服しつつ二十四年度普通鋼材百八十万トン計画ができ上がるに至りましたことは、全く私共多少鉄鋼に関係のあります者といたしましては感慨無量なものがありまして、その間政府並びに民間業界双方の非常な御努力に対して深く敬意を拂うと共に、特に鉄鋼関係は商工省に鉄鋼局ができますし、かたがた民間側と非常に緊密な協力態勢で以て、関係方面との折衝も他産業に比して非常にスムースに進んでおる点を私は深く敬意を拂うわけであります。今年度の百八十万トンの計画の概要につきまして先程お話を伺いまして、これは今年度の屑鉄或いは電力事情、その他の國内の生産諸要件も勘案され、又特に今年は六十三万トンの輸出というような製鉄業界にとつては画期的な大轉換を控えまして、それらの諸要件を総合してこの計画が組立てられておりますので、誠に我々としては計画としては申し分のない計画だと思つております。ただ先程來お話を伺つて見ますと、その実施面において、生産面で申しますとまあ四千二百万トンの國内炭の生産に基く四百五十万トンの鉄鋼用配炭、これに相当な私は難点があるだろうと思うのです。今度の石炭産業に対する指令に基きまして、石炭鉱業の今重大な、一面においては合理化も当然でありますけれども、一面においては非常に生産上困難に立つておりまして、資金面その他から果して四千二百万トン計画が直ぐにできるや否やという点を、業界側では少くとも相当悩んでおるような状態であります。從つてそれを前提として四百五十万トン製鉄用配炭ということについては、これは余程商工省当局でも今後御努力を願わなければならんと思います。
 それからもう一つの一番の今年度の問題でありまするスクラツプの問題も、先程証人側からもお話がありましたように、本年度三十五万七千トンの屑化の問題、これは相当な國庫補助を要する問題である。近く商工省の方からこれに伴う関係法律案が提出されると思いますけれども、この計画されました費用面から見ましても、相当これは資金的に困難がありますと同時に、この屑化作業それ自体でも相当な難関がありますので、この点についても特段の御努力を願いたいと思うのです。
 それから資金の問題については先程安本当局からもお話があり、小野さんからもいろいろお話がございましたが、私共ざつと考えましても今年百八十万トン計画達成のためにこの表に出ておりますような百十六億の設備資金が要る。先程お話がありましたように、一般の資金関係からいつては減價償却すら誠に殆んどしていないと同樣な状況でございまして、会社自体としては自己資金或いは増資その他によつて得られる資金というものはせいぜいマキシマム三十億程度しか恐らくできないだろうと思うのです。市中銀行からの融資も、現在のような九原則の実施下においては予想される非常な金融情勢の逼迫という点からいうと、これも非常な困難が予想されますし、況んや復金を從來引当にしておりました厖大な資金の獲得ということは、これは余程困難が伴い、その面から私は百八十万トン計画も崩れて行くのじやないかということを一番憂慮するわけであります。
 そこでまあ安本当局から今日は財政金融関係の方はお見えになつておりませんが、大体のことを一つ伺いたいと思いますが、百十六億の説備資金について、從來更にそれを圧縮したような、例えば九十七億六千万円案というのが安本辺りにはあるように承つておりますが、それはいずれにしましても、大体そのうちで自己資金をどれくらいに見、市中銀行その他による融資或いは又貿易関係の見返資金というようなものも問題になつておるわけなんですが、千七百五十億のうちの産業資金へ廻し得る部面、そのうちで鉄鋼等はどの程度に考慮されるのでありますか。若し分れば大体の方向だけでもお示し願えれば大変有難いと思います。全体の資金計画がまだ樹つてなくて、全然その見通し方向すら分らんということであれば、又別の機会にお伺いしたいと思います。その点を一つ伺える範囲で伺いたいと思います。
#16
○政府委員(菅谷重平君) 藤井さんのお話、四件ありましたが、生産計画の問題、スクラツプの問題、それから資金の問題、最後に自己資金をどう向けるか……。
#17
○藤井丙午君 前の問題は大体御説明を伺つて、これは結局確信に努力するというお話以外には問題ないわけですが、問題は結局資金問題に全部絡んで來るわけですから……。
#18
○政府委員(菅谷重平君) ここに資金の要求額をリスト・アップしてお示しいたしたのですが、これは前に今の千七百五十億のカウンターパート・フアンドがまだ決まらんうちに、この資金計画でこれをもう少し圧縮して最低限度に、これを九十六億か九十八億に圧縮したのです。それだけは確信して行こうというわけで言つたのです。これは大した問題でありませんが、速記を止めて頂きまして……。
#19
○委員長(佐々木良作君) そうしますといろいろ御懇談がおありと思いますが速記は止めましようか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#20
○委員長(佐々木良作君) それでは如何でしようか、これで以て委員会は今日閉会したことにして、そうして懇談的にずつとお互いに質疑應答をお願いしたら如何でしようか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#21
○委員長(佐々木良作君) よろしうございますか。それでは委員会は一應これで散会いたします。
   午後三時五十三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     佐々木良作君
   理事
           西川 昌夫君
           安達 良助君
   委員
           川村 松助君
           奥 むめお君
           鎌田 逸郎君
           藤井 丙午君
  政府委員
   経済安定政務次
   官       中川 以良君
   経済安定本部生
   産局長     菅谷 重平君
   商工事務官
   (鉄鋼局長)  始関 伊平君
  証人
   日本製鉄株式会
   社経理部長   小野 清造君
   日本製鉄株式会
   社渉外部長   島村 哲夫君
   日本鉄鋼連盟総
   務部長     山田 忠義君
  説明員
   総理廳事務官
   (経済安定本部
   生産局金属課勤
   務)      松本  豊君
ソース: 国立国会図書館
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