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1949/04/11 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 経済安定委員会 第5号
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1949/04/11 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 経済安定委員会 第5号

#1
第005回国会 経済安定委員会 第5号
昭和二十四年四月十一日(月曜日)
   午後一時四十五分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本経済の安定と復興に関する調査
 の件(右件に関し証人の証言あり)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(佐々木良作君) それでは第五回委員会を開会いたします。
 本日の議題は御承知の通り日本経済の安定と復興に関する調査を議題といたしますが、前回の第四回の委員会におきまして特に鉄鋼問題を中心として証人及び政府委員から説明を聽取し、質疑を行いましたので、予定通り引續きまして本日は石炭問題につきまして証人と説明員から御説明を承わり、同時に質疑應答を重ねたいと思います。
 最初に政府側の方から概括的な御説明を願いたいと思いますが、証人と説明員の時間を合せまして大体一時間見当、後一時間、或いは少しはみ出しましても結構だと思いますが、大体説明の聽取を一時間程度、質疑應答を後の一時間程度と、こういうことでやりたいと思いますからお含み置の上お願いいたします。最初に安定本部の動力局長から御説明を承わりたいと思います。
#3
○政府委員(増岡尚士君) それでは最初に私から極く簡單に総括的な問題について申上げます。お手許に石炭廳から資料が配付になつておりますが、先ず第一に二十三年度の生産計画と実績との対比が上期と下期に分れて出ておりますが、総計といたしまして、三千六百万トンの計画に対して、三千四百七十七万九千トン、遂行率九六%六ということになつております。そのうち特に注目しなければならん点は結局北海道が非常に遂行率が惡いという点であります。これに反して九州は大体一〇〇%近く出ておるのでありますが、北海道の惡い点につきましては後程石炭廳の生産局長辺りから詳しく御説明があると思いますが、労務事情或いは電力事情というようなもののためにどうも北海道が振わないという結果になつております。それから能率の問題でちよつと触れて見たいのは、表によつて御覽になりますと、三月について見ますと、労務者平均一人一月当りについて七トン九という数字が出ておりますが、前月あたりから比較して非常に多くなつておるということであります。もとより三月は例年出炭が多い月ではありますが、この二月、三月の上つておる状況は例年に比しても顯著であろうというふうに考えられます。而もそれが労務者の人員において前の月の四十五万五千四百に対して四十四万九千七百と減つた人員で相当出炭を上げておるという状況になつております。次に二十四年度の計画は、御承知のように、四千二百万トンという計画が與えられておりますが、四千二百万トンの計画が果して諸般の情勢から見て適当であるか、又可能性があるかという問題についてはいろいろ議論があつたところでありますが、三月十日附の総司令部覚書によりまして日本経済の復興のためには、四千二百万トンが是非必要であるからということで四千二百万トンの数字が與えられまして、これについて御承知のようにいろいろ対処すべき方策についても併せて示されたのであります。只今のところでは一應四千二百万トンの年間計画或いはこれの四半期別計画を立てまして、それぞれこの目標によつて出炭をするという計画で進んでおります。併し御承知のように、石炭鉱業につきましてはいわゆる國管法というものがありまして、この出炭目標の指示というものは一部の炭鉱については、きつい國管法上の指示をしなければならんというような関係もありますが、この点についてはまだいろいろ國管委員会にかける條件が整わないということのために、正式に國管法による指示がされておらないわけであります。併し取敢ず行政的な指示をいたしまして、四千二百万トンの計画で進んでおるわけであります。この二十四年度の生産計画に関しまして問題になります事項は、何といつても生産の合理化或いは資金、價格いろいろあるのでありますが、経営の合理化につきましては、從來の石炭産業が多少放漫だつたという譏りを受けておりますので、今後は大いにこの経営の合理化、健全化を図つて行くという必要があるというふうに考えまして、これに関するいろいろの対策を考慮中であります。
 それから價格問題につきましては、從來の炭價を以てしては到底四千二百万トンの生産數量を確保することが困難だというふうに一應考えまして、これの改訂についても考慮をいたしたのでありますが、先に撲しましたような経営合理化ということをやることによりまして、價格の改訂をしないでやつて行くという建前で目下のところ進んでおります。但し價格を改訂しないということは、消費者價格の水準において値上げをしないという考え方でありますので、その水準の範囲内において所要の調整を加えることによつて、生産業者の價格は多少有利になるということは考えなければならないだろうというふうに考えます。又生産者の間における從來の炭價の割当方式を変えまして、從來よりも合理的なやり方をするという問題があるわけであります。この点については目下十分に研究中であります。
 それから所要の資金につきましては、從來は御承知のごとく、復金に大部分のものを依存していたのでありますが、復金がああいう姿になりましたので、今後は原則的には一般の金融によらなければならんということになるわけでありますが、石炭鉱業の現状は必ずしも今直ちに一般の金融によるということは困難なことは申すまでもありませんので、見返資金によつてこれをできるだけ補うというか、これを中心にして一般の金融機関より資金を與えるという方向に進みたいというふうに考えて、見返資金から石炭鉱業に対して相当の資金が出るように努力中であります。
 それから配炭関係一般につきましては、ここにも資料がありますように、二十三年度の計画として八七%という数字になつております。これを供給の方から行きますと、出炭減による削減ということもあるのでありますが、一部のものには資金的な、その他の事情から引取りが少いというために、実績が減つておるというのが相当あるわけであります。例えばいろいろ問題になつておりました北海道の暖房用炭につきましても、その引取りは確か七十何パーセントくらいになつていたと思います。そういうような引取りが惡いために実績が減つているというものもあります。
 それから二十四年度の第一・四半期の割当計画におきましては、現在のところは一應四千二百万トンの計画として、九百九十一万一千トンの配当をいたしております。昨年はそこにありますように、第一・四半期は九百六十五万一千トンの計画でありましたが、これよりは多くなつているということでありますが、四千二百万トンの計画が第一・四半期においてどれだけの実績を挙げるかということは、なかなか経営的にも変革が來されるのでありますので、見通しは困難でありまするが、現在配炭公團あたりが観測しているとこめでは四、五%は九百九十一万トンよりは引込むのではないかというような考え方であります。
 配炭の問題に関しまして附加えて申上げたいことは、いろいろ問題になつております配炭公團の機構の改正でありますが、この点につきましては需給の状況がやや好転して來たというような事情もありますので、でき得る限り統制を簡易にする建前で研究を進めております。それで品種の点におきましても需給が樂になつた無煙炭、煽石その他一部の低品位炭につきましては、公團の取扱いから外したらどうかという問題、或は一手買取り、一手販賣をやつております公團の取引のやり方を販賣の部面においては一部業者をして販賣せしめるという問題、それらの点について研究を進めておりまして、場合によつては國会の今の会期に法律の改正案を提出した方がよいのではないかというふうに考えております。
 一應生産と配給の問題について最も中心になる問題を申上げたのでありますが、更に詳しくは石炭廳の方から御説明を願うことにいたしたいと思います。
#4
○委員長(佐々木良作君) では引続き商工省の石炭廳の田口生産局長から御説明をお願いします。
#5
○政府委員(田口良明君) 私商工省の石炭廳生産局長でございます。二十三年度の生産実績並びに二十四年度の生産計画につきましては、お手許に差上げた資料を御覽になると、大体の數字をそこに書込んでございますからお分りになると思いますが、ただ二十三年度の生産実績につきましては当初三千六百万トンということで進みましたものが、実績におきまして約百二十二万トンばかり切れまして、遂行率九七%というような成績を示したわけであります。この減産の理由につきましてはいろいろ調査の結果、主として北海道において約百万トンの減産をしておるのでありますが、この百万トンに達する北海道の減産の理由がどこにあるかということを調べて見まする徳、これはお手許の資料にはございませんが大体当つて見ますると、北海道は労働関係のために約四四・四%を減産しております。これは勤労意欲の低下とか或いはサボとかストとか、そういう問題を含んでおりまして、このために四割四分四厘の減産を來たしております。次に自然條件の惡化のために減産した量が九・九%、これは坑内の出水とか或いは断層とかガスその他の地質的な自然條件の惡化のために、減産を來たしたということであります。次はこの作業方法の問題によりまして、一三%を減産しております。これは現場の運搬の事故や何かを主として含んでおります。次に施設の関係においての減産が二二・八%、この施設と申しまするのは主として機械の不備とか故障こういうようなものでありまして、いわば先程も申しました作業方法、運搬の事故や何かを言つておりますが、これと施設とは一緒にしても大体よろしいかと思います。そういうふうな施設の故障不備によつて生じたものが二二・八%。それから北海道の電力が前から言わけておりましたが、サイクルの低下或いは電圧の降下のために、出炭減を來したのが五・四%であります。これは停電とき電圧の降下、そういうものであります。次は災害によりまして〇・三%、これは自然発火とか、爆発とか、落磐というようなものによる事故であります。その他の減産理由といたしまして四・二%、これは資材の不足とか人員の不足、或いは季節的な影響、こういうようなものを含んでおります。こういうような減産の理由といたしまして調査の成績を申上げたわけであります。この外東部西部九州におきましても大分そういうふうな点がありまするが、北海道の約百万トンに達した減産が主もなる理由でございます。
 次は二十四年度の生産計画でございまするが、今回司令部の方から石炭の生産に関しまして六項目の指令を受けたわけであります。これは主として経営の合理化、企業の健全化ということを狙つたものあります。同時に少くとも四千二百万トンを出さなければならんということでありまして、一面こういうふうな安定を計りながら更に四千二百万トンの増産をしなければならんということで、事務当局といたしましても非常にこの問題については頭を悩ましておるわけでございますが、何と申しましてもこの四千二百万トンの増産を確保しなければならんということから、ここに二十四年度の生産計画を作つたわけであります。この生産計画につきましては月別、地域別の資料をお手許にお配りしてございますが、四千二百万トンは昨年度の三千六百万トン計画、或いは三千約五百万トンの実績に対しまして、二割強の増産になつておるわけであります。この計画につきましては、月々約三百五十万トンの月間平均出炭量を確保しなければならん。而も尚資金におきましても、その他の面におきましても、殆んど圧縮された現在の設備を以てこれを達成しなければならんということで、この計画の内容に織込まれておる一貫した根本の方針は、あくまでも能率の向上、これによつてこの生産目標を達成せんとしておるわけであります。
 然らばこの能率の向上はどういうふうなことでやつていくかという問題でありまするが、一應事務局の方で考えておりますることは、五つの方法によつてこれを達成しようといておるわけであります。その第一は坑内外の配置転換を更に六対四の比率にまで持つていきまして、これによつて増産しようとすることであります。然らば規在の坑内外の比率はどうなつておるかと申しますると、二十三年度におきましては、平均五七対四三の坑内外の比率になつております。これを六〇対四〇にまでいたすことによりましての配置転換、これは坑内の人員を増加いたしまするために、坑外の人員を坑内に配置転換するわけであります。必ずしも坑外の人員を以て直ちに坑内の人員に充足することができない場合には、新規に、それだけの坑外夫の減員によりまして、新らしく坑内夫を入れるということも考慮しておるわけであります。これによつて一〇六%期待しております。
 次は採炭方式の改善によりまする増加分でありますが、採炭方式と申しますると、例えば切羽の長さをもつと適切にするとか、或いは片磐を整理する、或いは、発破法の改善をやるというような、いろいろなことによる採炭方式の改善であります。これによつて三・七%の増加、一〇三・七%。次は設備の改善による増産を考えておりまするが、これによつて増加する部分が一〇三・九%、設備の改善と申しまするのは、ピツクを更に使うとか或いはフエースローダーを使うとか、いろいろな坑内設備の改善によるわけであります。次は機械の故障排除、或いは稼働時間の充実による増産分を見込んでおりまするのが一〇五%、五%の増加を期待するわけであります。次は出勤率の向上によつて一〇六・四%、六%四の増加を見込んでおります。これは現在の出勤率が大体におきまして、全國八三・四%でありまするが、これを八八%の出勤率に引上げようという考え方であります。
 以上申しました五つの方法によりまして、生産の増強を図ろうというのであります。これによりまして、二十三年度の平均能率が、六・三九程度でございまするが、これを七・六まで能率を上げるという考え方でございます。この只今申しましたような配置転換といい、或いは採炭方式の改善といい、或いはその他出勤率の向上に関すること、こういうようなことが今までにおきましても相当やつておつたのでありまするが、まだまだ今までにおきましてはこの点が十分でなかつたという点は先程申しまして数字によつてもお分りと思うのでありますが、こういう点につきまして、本年度こそは本当にこれが実行を遂げなくてはならん。これがためには政府といたしましても或いは技術の指導改善に関する指導班の派遣とか、或いは技術調査團の更に強力な推進を図るとか、或いは機械の輸入やなんかによりまして、現在の機械の能率を更に飛躍的に増進せしめるというような方法をとるとか、又從來ともすれば労資とも幾分緩み勝ちな氣分であつたと言われておりまする、從來の炭鉱の能率向上に対しまする考え方をここに思いを新たにして、更に今後出勤率の向上に強力な手を加えるというようなことも考えることによりまして、この程度の目標は必ずしも不可能ではないというふうに考えられるわけであります。
 一應昨年度の生産実績に関しまする減産の理由、二十四年度の生産計画についての内容について、石炭廳の方としまして考えておりまする諸点について申上げたのであります。
#6
○委員長(佐々木良作君) 引続きまして石炭廳の管理局長の山地さんにお願いいたします。
#7
○政府委員(山地八郎君) 私から石炭鉱業の資金経営の問題につきまして極く概略申上げたいと思います。二十四年度の石炭鉱業の資金計画につきましては、先程も安本の動力局長から御説明がありましたように、まだ研究中でありまして確定していないのであります。対日援助資金から参りまする見返り資金総額千七百五十億円ばかりの中から、日本経済の安定資金として相当額を石炭鉱業に振向けて頂くように目下鋭意研究中でありますが、ただこの資金の性質から見ましても、從來の復金融資のごときものと性質が違いますので、相当從來よりも尚嚴重に査定せられるだろうと考えておりまするし、又その効果も相当明確なものでなければ融資を受けられないのではないかと考えておりまして、さような面から関係の鉱業者の方達と相談いたしまして、的確な資料を揃えまして、資金の割当を得たいものと工作中であります。昨年度の炭鉱の資金につきましては、これも実は現在問題がございまして、下期の生産計画に伴う資金計画としては約九十四億円ばかりあつたのでありまするが、これにつきましては設備の進行の計画に基きまして、漸次復金から融資があつたのでありまするので、工事の進行工合を見ておりますると、少くともそのうち約九%程度のものは融資がなかつたのでありまするが、実際融資が許可になりましたものは約四十五億でありましたので、差引約四十億円ばかりば調備に関する工事の未拂いという形で残つているわけでありまして、これが最近炭鉱関係の資材未拂問題を起しておりまする一つの大きな原因となつているのであります。工事を命じられた炭鉱、又工事を引受けられた業者においても、両者ともこの問題には非常に苦しんでいるような実情であります。尚炭鉱住宅計画につきましても、昨年の計画は約九十六億円でありましたが、この計画も相当九四%程度工事は実行いたしましたのでありまするが、実際融資許可になりましたのは七十九億ばかりであるというような関係で、差引約十一億ばかりが融資の不足を來しております。これ亦関係の土建工事その他に相当の影響を及ぼしておるわけであります。その他炭鉱といたしましても、自己の運転資金によりまして、運転資材を購入して行くというわけでありまするが、この関係もこれは主として炭價の問題が原因であるのでありまするが、運転資材の不拂いを起しておりまして、昨年末においてもすでに五十億円を超えるようなくらいな勘定を持つておるのであります。現在まで恐らく六十億を超える数字に相成つておるのだろうと思われるのであります。運転関係の資材支拂代金の未拂いとか、設備関係の未拂いとか炭鉱のみならず関連産業に相当ひどい影響を與えておることは私共も痛感いたしておるのであります。このまま放置いたしますると炭鉱の生産そのものに影響を及ぼすのみならず、日本の産業にも相当大きな影響があろうということを憂慮いたしておるのであります。併しながら現在の九原則下におきましては、炭鉱がいわゆる赤字契約をやつておる関係上赤字融資の途がないのであります。現実に復金の機能が殆んどなくなりました今日、融資をしてくれる金融機関がないわけであります。又炭價につきましても、三月十日の指令によりまして、消費者價格は引上げることは許されなくなつたのでありますので、消費者價格の炭價の水準の中において炭鉱の合理化をしなければならん。幾らかでも炭鉱合理化によつて黒字を呼んで行かなければならない。かようなことになつたわけでありまして、先程生産局長から説明いたしましたような大体の考え方に基きまして、鋭意炭鉱の方面において生産能率の向上と経営の合理化をして頂きまして、それによつて一刻も早く黒字経営に移つて頂きまして、これによつてできる限り自己の力によつてこういつた未拂問題を速かに解消して頂かなければならん建前になつたのであります。ただ時間的にかようなことは急速に行われるかどうか非常に疑わしい点がありますので、その間何とかして特別な手段を講じたいものだと頻りに考究いたしておる次第であります。現在のところ設備関係の資金に融資につきましては、先程申しました対日援助費によりまする見返り資金によりまして、何とかこれを繋いで頂きたいと思いまして、この方を頻りに努力いたしておるわけであります。又関連産業未拂につきましては、今申したように運転資金関係未拂では、どうしても炭鉱の自力で経営上の黒字から拂つて頂かなければならない建前でありますが、何とか外の途はないものかと目下関係方面へも頻りに懇願いたしまして、特別の方策を考究して頂いておるような事情であります。ともあれ先程來繰返して申しましたように、現在並びに將來の炭鉱の経営につきましては、対日援助によりまする特別資金の関係の融資はどういう形になりますか、これによりましては余程又変つて來る点もあろうかと思われますが、少くとも昨年までのような状況とは非常に異なつた資金経理の下で、経営を行なつて行かなければならんのでありまして、思い切つた経営の合理化によりまして、相当早期に思い切つた経営上の黒字を出して行くということによつてのみ、炭鉱の経営が今後行われて行く、こういう本格的な態勢に移つて行かざるを得ないのだろうと考えている次第であります。
 尚詳細の点につきましては御質問がございましたならばお答え申上げることにいたして、概畧の御説明をいたした次第であります。
#8
○委員長(佐々木良作君) 以上を以ちまして、政府委員の御説明は一應終ることにいたしまして、次に証人又は説明員のお話を承わりたいと思いますが、証人として見える予定になつておりました日本石炭協会の会長の圓城寺氏が緊急の用事のために欠席を止むなくされまして代りに天日光一氏がお見えになつておりますが、予定に從いまして圓城寺氏のお話の中心ということになつておりました総括的な問題は、経理問題或いは生産技術問題の中に含めて一應の御説明を聞くことにいたしまして、先ず井華工業の村木武夫君の経理の問題を中心として、次に三井鉱山の栗木幹君に生産及び技術の問題を中心として、それから最後に配炭公團の八代好三氏に配炭問題を中心として御説明を承わりたいと思います。初めに宣誓をお願いします。
   〔総員起立、証人は次のように宣誓を行なつた〕
  宣誓書
 良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
     証人    村木 武夫
     証人    栗木  幹
#9
○委員長(佐々木良作君) では順序に從いまして先ず井華工業の村木武夫さんのお話を承わりたいと思います。大体今政府委員の方からお話になりましたような條件の下に増産、或いは企業の建直しが要請されているわけであります。これにつきまして、今の見通しとしてできるかできないか、できないとすれば、或いは困難な点があるとすれば、どの辺に問題があるか、こういうお話を承れば結構だと思います。
#10
○証人(村木武夫君) 石炭鉱業の経理関係を中心としたお話を一つ申上げたいと思います。大体終戰後の石炭界のあり方というものは結局増産第一主義だつた。つまり日本の復興をするためには、石炭の生産が第一であるということで、いわゆる集中傾斜生産方式が採られたわけでありまして、我々業界一同といたしましても何よりも先ず増産だということで、採算を度外視して増産を強行しておつたというのが実情だつたと思います。その結果大体石炭界全般で終戰後本年三月末までの赤字がどれくらいあるだろうかという類推をして見ますと、去年の六月二十二日までのいわゆる旧炭價までの赤字が二百十六億程度だつたと思います。それからその後の新炭價になりましてから、今年の三月までの間に大体月平均十億程度の赤字が出ておるのじやないかというふうに予想されますので、九ケ月問に約九十億程度の赤字が出ておるのじやないかと思います。それで合せまして三百億近い赤字が、終戰後この三月末までに石炭界全般として出ているのじやないかというふうに予想されるわけであります。そのうち御承知のように去年の六月二十二日までの赤字の補償といたしまして、百三十四億余りございましたので、結局残りが百六十五億前後、極く大ざつぱでありますが、その程度の赤字が石炭界全般で出ておるというふうに想像されるわけであります。その赤字は結局どういう形になつて転嫁されておつたかと申しますと、先程もお話がありましたように、関連産業の資材代の未拂、或いは電力代の未拂又は税金の未拂、それから更には山の配給所の食糧、衣料を買う、そういう代金の未拂或いは厚生年金の未拂とか健康保險料を未拂いしておるというような状況、更にはこの一月、二月には賃金の一部を延べ拂いしなければならない、賃金延べ拂いというような形になつて現われているわけであります。
 そこで最近の石炭界のトン当りの赤字の状況はどういうふうになつておるかと申しますと、あとで書類をお渡しいたしますが、二十三年十一月現在の赤字を分析して見たのでありますが、それによりますと、大体ペイできるか或いは多少黒字になるという炭鉱の割合が生産量において二四%七、それから大体現在の炭價の一割ぐらいまでの赤字、即ち二百四十円くらいの赤字が出る炭鉱の数が生産割合で一七%、四百八十円くらいまでの赤字が出る炭鉱の出炭割合が一六%四、七百二十円くらいまでの赤字の出る炭鉱が一八%、九百六十円くらいまでの赤字の出る炭鉱が一四%、九百六十円以上の赤字の出る炭鉱の割合が九・九%というふうに、赤字の内容を分析して見ましても非常にまちまちな。そうして又非常に多額の赤字が出ておるわけであります。そこでこれは赤字の内容についての十一月末の分析でありますが、更に最近までの、最近と申しましても実績の上がつておるのは一月末までがはつきりしておるわけでありますが、いわゆる大手筋五社、これは三井、三菱、井華、古河、北炭の五社を指しておりますが、その五社の昨年十月から今年一月までの赤字を調べて見ますと、その赤字の平均が二百八十四円七十三銭というようになつておるわけであります。そこで大体五社の赤字よりも全國の赤字が平均から行きますと相当高くなつておりますので、ざつとこれを三百円くらいの赤字というふうに大ざつぱに類推いたしております。又その内容は先程申上げたように、分析すめば炭鉱別に非常に大きな違いがあるわけでありますが、大体全國の赤字を三百円と考えて見ますと、今後いわゆる九原則或いは六項目の指令によつて我々が克服しなければならない赤字の内容は、どういうふうになつているかということを考えて見ますと、大体大ざつぱに見ました三百円の現在のトン当りの赤字の外に、二十四億のいわゆる十二月協定に賃上げの補償として頂きました分が四月からはなくなるわけであります。これはやはりトン当り百七十円くらいに当つておりますので、これを加えますと、四百七十円くらいの赤字を克服しなければならない一應の対象になるわけであります。更に本年度からは、企業が自立して行かなければならんという大きな目標が與えられておりますので、これにはやはり健全経営に移し得るだけの、償却を考えなければならないというふうに思うわけでありますが、それには現在の炭價の二千六百八十八円五十三銭の中には、償却費としては僅かに〇・五%である十一円七十銭しか見られてないわけであります。これをいわゆる通常の企業が自立し得る態勢に持つて行くための償却を考えて見ますと、大体百円くらいは更に償却を殖やして行かなければならんということになりますので、そう考えて参りますと、今申上げた四百七十円の外に百円を加えまして、五百七十円の赤字を目標にして克服を考えて行かなければならんということになるわけであります。これは今までの、過去の、負担で何もないときでもこういうふうにして行かなければ企業の自立ができないわけでありまして、先程申上げましたような、まだ百六十五億前後の過去の赤字が未拂その他の形で残つておるというふうになりますので、これを一年間で返し得るようにするためには、四千二百万トンの出炭が出るといたしましても、トン当りの四百円近い赤字を、更に克服をして行かなければならない。併せまして、九百七、八十円の赤字を、本当の企業が自立して、関連産業にも迷惑を掛けないというようなことをするためには、その程大きな赤字の克服をしなければならないというような状態に置かれておるわけでありまして、非常に至難な問題を、我々が克服する目標にしなければならないわけであります。そういうことで、企業自立のためには、今回出ました六項目の指令を忠実に実行いたしますために、非常な経理の改善をして行かなければならんという問題になるわけでありまして、その点を特に、非常に予想以上に大きい金額の克服をしなければならんという点を認識願いたいと思います。
 更に炭鉱は、生産をして行きますためには、破壞と建設を、両方行なつて行かなければならない。一方では破壞が生産になり又生産するために建設をして行かなければならんという特殊な性格を持つておるわけでありますが、そのためにはどういても設備資金が要るわけであります。その設備資金関係が、貿易会計の方から御心配願えるような問題もあるようでありますが、まだはつきりした目途が今のところ立つておらん。そこで我々の今一番憂えます点は、そこに空白期間ができては、炭鉱のように保安問題もありますし、四千二百万トンの増産を目の前に要請されておる緊急な、いわゆる時を急ぐ関係もありますのと併せ考えましても、どうしても設備資金は空白を起さないように注入して頂かないと、これが大きな四千二百万トン達成上の重大支障になるだろうという点を、一番憂えておるわけであります。そこでそういうような困難な事情の下に、我々はいわゆる安定と復興の同時充足をしなければならんわけでありますけれども、その対策といたしましては、いわゆる徹底的な企業の合理化、これは必ずしも人員整理ばかりを考えておるのではないのでありますが、徹底的な、積極的な企業の合理化を考えて行く。それは六項目の指令その他もあると思いますけれども、そういう内容によつて考えて行くということは必要であると思いますけれども、企業内部の合理化も必要でありますけれども、企業外の合理化も、不合理な点があれば直して頂かないと、なかなか企業内の合理化にも、非常な支障があるわけでありまして、例えば現在の炭價の配分の方式その他も、大体現在は原價に重きを置いておりますので、同じような品質の石炭を掘つておつて、或る山では二千円であり、隣の山では三千円であるというような價格で決められておるという場面が多いのでありまして、そうしますと、現場監督者は同じ品物を掘つておりながら、隣の山は三千円を目標に自立を考えている。それから自分の山は二千円を目標に自立を考えなければいかんということになりますと、どうしても自立の氣合が挫けるのであります。そういうためには全國の單一的な、いわゆるメリツト制を考えて貰わないと、合理化の支障になることが懸念されるのであります、又更に、石炭の價格というものは、あらゆる價格がそうでありましようが、殊に九原則その他單一爲替レートと直結するようなあり方から考えましても、やはり経済の原則に從つた價格体系にならないと、そういう点からもメリツト制というものが非常に必要な問題になつて來るのではないかというふうに考えるわけであります。從つてそういう炭價の配分方式について、企業界の不合理な点があればそれを直して頂きたいというふうに考えます。
 それから更に、これは少し問題が違うかも知れませんが、一言附加かさして頂きたいと思いますのは、いわゆる現在の國管の問題でありますが、今度の九原則並びに六項目の指令は飽くまで企業の自立ということを主眼に考えておりますので、経営といたしましては企業が自立いたしますためにどうすればいいかということを、心魂を碎いて生産計画その他を考えておるのであります。或る山は経済出炭に止めるような考え方も生れて來ましようし、或いは或る山においては集中生産方式で大いに流産を図るというようなことを考える場合も、企業の内部で、あろうと思います。そういう場合に、現在の國管法で、いわゆる生産命令その他の形で行政面から、企業内部で考えている生産方式と違つた姿の命令が來るようなことになりますと、結局それを行いますと、企業の内部で考えている自立計画と齟齬を來すという問題も起り得る可能性がありますので、それらの調節を今後どうして行くかという問題が、一つの大きな課題であろうと考えております。大体配給機構の問題もありますけれども、それは後程配炭公團の方のお話を伺つた後にお話申上げたいと思います。我々の考えておりますのは非常なむずかしい問題でありますが、企業内外の今までの不合理を是正して、何とかしてこの四千二百万トンの要請に應えたいという熱意に燃えておりますので、そういう不合理を直して頂くことにぜひお取計らいを願いたいというふうに思うわけであります。
#11
○委員長(佐々木良作君) 続いて三井鉱山の栗木さんお願いしたいと思います。
#12
○証人(栗木幹君) 生産関係のことはお役所の方から大体御説明がありましたから、重ねて申上げる程のこともないと思いますので、私は現場の事情から一應申上げたいと思います。
 昨年度三千六百万トンの生産計画に対して三千四百七十八万トン出たのでありますが、最初は三千六百万トンというのはなかなか困難であると思いましたのが、段々労働者並びに経営者が一致して増産に努めた結果、次第に上つて参りましたが、何分三千六百万トンという数量が大きい数字であつたために、そこまで達し得なかつたのは誠に遺憾と存じますが、これについて最も苦しんだのは、やはり今村木さんが申上げました赤字の問題であります。昨年の六月二十三日、二千三百八十八円と決められまして当時は黒字が出ておつたのでありますが、九月頃から次第に赤字が殖えて参りまして、それが労働賃金の方には全部拂わなければならない関係上、他の未拂金の方が段段殖えて参りまして、本年の三引末には資材だけでも五十三億の未拂金を作つておるような状態であります。これが関連産業から非常な催促を受けまして、私共の会社あたりでも関連産業の社長以上参つて盛んに催促を受けたので、それでこれをどうして逃れるべきかということに苦心しまして、この二月以來大部分の会社は、二割位賃金の支拂を延期したり、三月にはやはり二割乃至一割の賃金の支拂延期をしたというような状態であります。そういう状態の外の設備資金が思うように参らずに、これも未拂が更に加わりまして非常に困難を極めておりまして、この二月頃から次第に設備関係の工事を打切つて参つたのであります。それで三月割合に大きな出炭をしましたのは、主として三月に割合に増産する傾向にあることは事実でありますけれども、設備資金関係の工事を打切りまして、殆んど全部営業費関係に人を移しております。そういう関係で総人員からいいますと、如何にも能率が上つたように見えますし、又出炭量も多くなつておりますけれども、事実は設備工事関係の人間を営業費関係出炭関係に廻したために、増産した部面が相当あるような次第であります。四月に入りましてもやはり説次資金関係は全く参つておりませんので非常に困難を極めております。それで今輸入見返り資金で設備資金を出して頂くように伺いましたが、これがいつ参るか見当がつかず、我々としましてはもうすでに二月の末から三月にかけまして、ずつと設備工事を打切つておりまするからして、早く出して頂かなければ二十四年度の四千二百万トン達成はなかなか困難だと思つております。
 次に四千二百万トン出せるか、出せないかということでありますが、現状におきましては尚赤字が続きまして、成る程九原則又石炭鉱業に関する安定六原則なども出まして、極力経費の節減に努めておりますけれども、尚赤字が続いておりまして、現状におきましてはこの九原則並びに六原則に副うてこの赤字を克服うるために全力を挙げておる状態であります。從つてまだ炭鉱には四千二百万トンの割当数量も勿論決まつておりませんし、炭價の問題も現在の赤字におきましては、どうしても緊縮一本でなければ外に方法がない状態であります。そんなわけで四千二百万トンを如何にして達成すべきか、内々ではいろんな研究しておりますけれども、まだ炭鉱界全部の姿としましては纒まつておらないように状態であります。成るべく早く新らしい炭價を決めて頂いて、そうして設備資金を早くどれくらい出すかという点を決めて頂かなければ、四千二百万トン達成できるかどうか、その檢討資料さえない状態でありますから、その点どうぞお願いたす次第であります。
 それからもう一つ、設備資金のことを申上げて置きたいのですが、世間の一部では設備資金を全くいらないように言つておられる方があるようでありますけれども、先程村木君が申しましたように、炭鉱は外の産業と違いまして破壞すると同時に建設をして行く、全く始終建設事業をやつて行く工事でありますから、これは應急の設備資金は要るということもはつきりしておりますから、どうぞそういうお考えの方は、まだ炭鉱に対して十分認識されておらないのでありますからして、これ亦皆さんのお力によつてその点を御了解に達するようにお願いしたいと思います。以上。
#13
○委員長(佐々木良作君) 最後に配炭公團の八代さんにお願いいたします。
#14
○説明員(八代好三君) 一應御説明申上げます。お手許に大体資料はお配りしてあるのでございますが、それは最近一ケ年間に供給された石炭の量及び質を昭和十六年度のそれと比較した概要、二は昭百二十三年度四月から十二月の間の品位別出炭表、三は終戰後出炭・貯炭、荷渡推移表、四は昭和二十四年度需給概要、その他参考資料がございますが、時間の関係上この資料に促われずに大体の御説明をいたしたいと思います。
 それで先ず配炭公団として御質明を申上げたいのは、一体二十三年度において需給の実績がどうなつておるかという問題、それから二十四年度における見通しはどうなのかという問題を中心といたしますが、尚先程動力局長並びに生産業者の村木さんからお話がありましたので、配炭公團の機構問題については、一應簡單に御説明を申上げたいと思います。
 そこで二十三年度の実績はどうなつたかということは、先程動力局長から御説明がございましたので、詳しいことは申上げる必要はないのでございますが、要するに実際上約八七%という計画に対する遂行率を持つておりますわけであります。それでなぜ八七%しか遂行ができなかつたかという理由につきましては、これは三千六百万トンの、つまり計画に対する遂行率も惡かつた。同時に時期的のずれもある。例えば三月中の出炭は三月に荷渡しされておらないというような事情もあり、その他いろいろの事情もあるのでありますが、要するに約九〇%自身遂行率を持つておるということは、同時に一〇%は実需給のアンバランスがあるというふうに考えるわけであります。そこで実績はそういう数字になつておるのでありますが、然らば二十四年の一体需給の見通しはどう考えるかという問題であります。そこで需給の見通しを考えますときに、我々はただ單に統計の数字だけで、例えば三千六百万トンが出たというだけでは三千六百万トンの需要を充たし得るというわけに行かない。それは御承知の通り食糧におきまして、例えば茨城一号という芋が余つた、芋が余つて腐つたら完全に食糧事情はいいのだということは考えられない。どうしてもそういう食えないものは食えない。石炭が仮に三千六百万トン計画が達成されましても、石炭の品位の惡いものは、どうしても消化に耐えないという問題が起りますので石炭の数量と品位とは不可分的にお考え願いたい。それで昭和十六年度の総出炭の平均総熱量を見ますと、それは六千二百十カロリーあつた。然るに昭和二十二年の十月から二十三年の九月、極く最近ではありませんが、やや最近の実績をとりますと、これが五千六百カロリーしかない。そこで十六年度に比べまして、最近一ケ年のカロリーは三百十カロリー低い平均を示している、從つて同じ数量の三千六百万トン出ましても、総カロリーになりますと非常な出炭の不足だということになるわけであります。それで今のは十六年度と最近との総平均の比較でありますが、これを実際問題に入つて、二十三年度十二月分のカロリーを一例にとつて申上げて見ますと、六千五百カロリー以上の石炭は二四%八しか出ていないのです。それから六千五百以下五千五百以上の石炭が三四%三出ているのです。それから五千四百以下四千五百以上の石炭が二六%二出ている。それから四千二百以下三千八百以上、そういう品位の惡いものが一〇%三出ている。こういう実情になつておるわけであります。それを今度実際上二十四年度の需給の見込みに、これを具体的に割当てて見ますと、その出炭については先程からしばしばお話がありましたように、四千二百万トンを要求されておる。そこで四千二百万トン出るものとして、その品位別のパーセンテージはどうなるかと申しますと、原料炭は一・一八%八なのです。それから発生炉用炭が六・八%、それから一般炭は上中下、低級炭としまして、上級炭が三三%五、中級炭二二%一、下級炭一〇%一で、その外に低級炭が四%一その外無煙炭が二%、煽石が二・七%というような比率に一應なつております。そこでこの四千二百万トンという供給を、そういう品位に分析して見ますと、需要とどういうような振合いになるか、こういう問題なのです。それで需要は実は配炭公團といたしましては、直接に掴むことができない。政府で大体見当をおつけになりまして、各産業別にこれを割り振つて、四千二百万トンにして計画を建てておられるわけであります。ところが産業別に計画を建てておられますが、産業によりましては最低平均品位の必要な産業がある。これは例えば進駐軍の場合は総平均五千五百カロリーの石炭が必要である。それから輸出の場合には六千カロリーの品位を保障しなければならん。その他鉄道は五千七百五十カロリーを必要としておる、こういうふうに各産業別に、それに絶対に必要とされる品位があるのであります。それらの品位の、先程申しました出炭の四千二百万トンの内輪にあります品位を、それぞれ充当いたして見ますと、その出炭の各品位別の割合と、今各産業別に要求をされております品位の割合と比べますと、甚だ総体的に見て品位が不足するわけであります。
 そこで今の出炭計画と需要量とを睨み合せて、ここに一つの過不足を品位ごとに見てみますと、これが非常に重大な、結局配炭面の技術の問題になるわけであります。原料炭におきましては二十九万八千二百トン不足するという数字が出るわけであります。それから発生炉用炭につきましては六千五百トン超過である。それから上級炭につきましては百五十八万七千トン足らん。それから中級炭につきましては八十七万七千トン余り、下級炭は五十四万八千トン余り、低級炭は三十四万八千トン余る。こういう数字が出るわけであります。これを通算いたしますと十八万七千トン余る、こういう数字が出るわけであります。然らば実際十八万七千トン余るのかと申しますと、それは実際上その数字面だけで見れば十八万七千トン余りますが、上級炭は百五十八万トン不足だ、こういう実際の事実に当面いたすわけであります。そこで我々といたしましては、実際出炭いたします石炭で、どういうふうに品位上公正なる割当をするかということに常に苦心いたしますわけでありますが、これは計画通りの当てはめ方をいたしますと、こういうふうに上級炭が百五十八万トン不足であり、中級、下級炭が余る、こういう数字になりますが、これを我々が実際生産業者から受取る品位によつて調整しないで、例えば進駐軍関係は五千五百カロリー必要とするけれども、五千五百カロリーそのまま持つて行つたのでは、結局において他のカロリーが足らんことになる。そこでこれも規定しなければならん。電力は五千六百カロリー必要とするけれども、その通りカロリーをやつたのでは総体的に品位が足りない。これは百二十カロリー規定しなければならん、惡いもので我慢して貰わなければならん、そういう数字を各産業別に作りまして、甚だしいものは食料品工業のごときは五千カロリーなければならんものが、三百八十カロリー足らんもので辛抱して貰わなければならんというような問題が、現実に起つて参るわけであります。繊維工業のごときは五千カロリーを必要とするけれども、やはり三百八十カロリー低い品位で辛抱して貰わなければならん。こういう問題が調整の結果として起つて参るわけであります。これが実は配炭公團といたしましては非常に苦しい立場なのであります。各消費者からどうも配炭公團の持つて來るものは、品位が惡いじやないか、という叱言を痛切に頂いているのでありますが、これは現実のこの出炭の品位から見まして、我々はそれを公正に割当てると、かくのごとく産業別に必要なる石炭の供給ができない、必要以下の品位で御辛抱願わなければならんという実情になつておるわけであります。
 それで尚これを言葉を換えますと、かくのごとく数量的には一應の計画は四千二百万トン出るものとして、それを消化するものとしての計画なんでありますから、実際上四千二百万トン消化し得るかどうかは別な問題ですが、要するにそれを四千二百万トンとして割当てると、こういうふうに各産業とも惡いカロリーで御辛抱願わなければならん。然らば一体総体としてカロリーが幾ら余れば、今計画されておる最低保障の品位が維持できるかということを、述に檢討いたしますと、大体平均百三十一カロリー余らなければならん。つまり標準たる五千七百なら五千七百というカロリーに対して百三十一カロリーばかり余らなければならんという問題になつて來るわけであります。それで先程申しましたように、一應計画面のみについて見ましても、その四千二百万トンの出炭が確保されて、四千二百万トンが完全に消化されるとしても、かくのごとく品位において消費者の満足を得ることはできないという実情なんであります。尚言葉を換えますと、消費者の満足を得るためには百三十一カロリーを上げるか、然らずんば平均品位の五千七百カロリーを以て平均品位の数量を約二%殖やすということに計算上はなるわけであります。
 尚ここに需給のアンバランスがあるということを考えざるを得んのであります。併し実際問題といたしましては、現に各産業における金詰りのために引取が甚だ困難になつておる。同時に資材関係、もとより金融関係もあつて、二次生産、三次生産が縮小する傾向にある。そういう面から檢討いたしますと、四千二百万トンの消費というものが果して可能なりや否やということに非常な問題があるのであります。從つて四千二百万トンの生産が確保された場合において、果して輸出等の別途ルートに振向けるにあらざれば需給は相当緩和されるのではないかというふうに我々は考えるのであります。ただここに一言申添えなければいかんと思いますのは、例えば暖房、浴場等の石炭、それから食料品工業に使つておる石炭、比較的重点から外れた石炭の用途に対して果して石炭が完全に行渡つておるかどうか。現在では石炭の消費に対して一つの嚴重な枠があるために、こういう暖房、浴場の用途に対しては石炭を供給することが、北海道以外においては、殆んどできない。そこで例えば昭和九年を一例に取りますと、食料品工業は約二百四万トンの荷渡しを受けておる。それが二十二年には六十六万トンの荷渡ししか受けていない。それから暖房、浴場等につきましては、昭和九年には三百三十九万トンの配給を受けておる。それが昭和二十二年におきましては、約二十五万トンしか配給を受けていない。そういたしますと、單に暖房、浴場それから食料品工業とこの二つの未だ充足されざる需要の面から見ましても、その二つ合せしまして約五百四十万トンの昭和九年の供給に対して昭和二十二年においては百九十万トンの供給しかない。それに約三百四十万トンくらいの未だ潜在需要がある。現に我々の身近かで我々は風呂を焚くことができない。我々は石炭で部屋を暖めることができない。その必要な潜在供給が現在の段階においては充たされていない。それが三百万トン以上もの消費が予想される。それでこの面におきましてはやはり依然として供給が不足である。尚非常に枠を拡げれば十分であるのだという結論が出ざるを得ないのであります。併しこれは先程申しましたように、資金の面、資材の面から起る産業の萎縮によつて四千二百万トン出た場合にどうなるかということは、別個の問題で、我々としてははつきりその見通しがつかないのであります。
 そこでもう一つ特に煽石無煙のごときを一例に取りまして、明白に一般の燃料石炭と異つた販路を持つておる煽石及び無煙炭、この需給の状態が一体どうなつておるかということに関連して、この配炭公團というものの性格の矛盾の一端を御判断願いたいと思う。煽石無煙は無煙炭においては約七万五千トンの生産が一ケ月にある。煽石においては二万五千トンの生産が一ケ月にある。これは合せて約十万トンの生産があるわけであります。然るに煽石無煙これは用途は違うのでありますが、仮に問題を簡單にするために一つに申上げますと、煽石無煙の需要は一ケ月に今五万トンしかない、そうすると明白に一ケ月に五万トン過剰炭が生じておるわけであります。その過剰状態は去年のもうすでに十一月頃から起つておる。そうして我々は現在月に五万トンの過剰を配炭公團は背負い込んでおる。それは生産を停止する権限は配炭公團にはない。同時に買取りをしなければ生産は行詰るわけであります。そこで我々は明白に五万トンの供給過剰を生じたから毎月五万トンの貯炭を敢行して参つたのであります。併しそのために現在においては約四十五万トンの貯炭を抱かざるを得ない。そこでその四十五万トン持つということは月に五万トンの消化しかないものに向う九ケ月間の供給力がある。一方煽石無煙の生産というものは依然として毎月五万トン殖えて行く、こういう実情なんであります。そこで一体國家的にも、そういうものを配炭公團が徒らに抱き込んで金をそこに寢かせる。尚將來この需要というのは大して殖えるとは考えられない。にも拘わらず生産は毎月五万トンオーバーしておる状態を続けて行くということは、もう絶対に國家的にもよくないことだと我々は考えて、政府にもお考えを願つておるのでありますが、現実に配炭公團法におきましてこういうものの買取りを我々は命令されておる。我々は明白に余るということを知りながら買わざるを得ない。又同時に止めますと生産業者は死んでしまう、こういう段階に立つておるのであります。これは軈てこの問題は更に近く一般の過剰低品位炭にも被害は及ぶものである。併し我々は配炭公團法を変えて、同時に配炭公團が買取業務を停止した場合における生産業者の窮状をどうするのかという問題を政府においてお考えを願いたい。我々は非常に重大な問題が現に起りつつあるということを皆さんに一應御了解願いたいとかように考えます。
 今申しましたように二十四年度の需給の見通しについては、四千二百万トンの需要というものを仮に政府が産業別にお作りになつておるが、それに対して数量的にはそれでよろしいのでありますが、品位別に見ますと尚足りない、尚平均百三十一カロリーの引上げがなければ足りなくなる、こういう数字が出ます。のみならず今申上げましたように暖房、浴場等の当然必要な潜在需要が入つていないから、その面を生産にプラスしなければならんし、又明白に余つている煽石無煙のものをどうするか、こういう問題に直面しておるわけであります。
 それから最後に、実は機構問題につきましては、実は申上げる機会がないと考えておつたのでありまするが、動力局長も生産業者の代表の方からもお話がございましたので、一應申上げます。配炭公團がやつております仕事は、單に計画配給の実施といふことばかりじやないのであります。計画配給の実施の面から申しますと、統制を緩和するにつれて当然機構の簡素化をやるべきだ、その時機が次第に近づきつつあるということは我々も分るのであります。その外に配炭公團のやつております仕事として、いわゆる價格のプールが又相当困難な問題なんでありますが、今政府並びにGHQで討議されておりまする点は、要するに過日の國会を通過いたしました、各公團の存続を三ケ月間延長する、七月一日からどういう機構になるか、今政府で御檢討中のことと考えますが、この價格の調整、設定を、聞くところによりますと或いは近い將來に撤廃してもいいんじやないかという見解もあるように伺うのでありますが、基礎原料たる石炭の價格のプールを外しました場合において鉄、セメントあらゆる産業が現在におきましては、石炭の平均三千三百円という販賣價格を價格体系の中に織込んで作つておりまして、各産業のいわゆる物價体系というものが根本的に崩壞すると我々は考えるのであります。これは仮に配炭公團を廃止いたしましても、尚物價体系を政府が必要とする以上は石炭のプールというものはやらなければならん。その点は政府におかれましても十分私はお分りのことと思いますが、よくお考えを願いたいと思います。
 それから尚配炭公團のプロバーな機能ではないのでありますが、現在配炭公團が結果として当面しております問題は金融難、生産業者に対する金融といいますか、消費者に対する金融といいますか、これは配炭公團のプロバーな仕事ではないのであります。併し現実に我々は生産業者に対しては毎旬締切で金を拂つている。同時に消費者に対しましてはおのおの條件は違いますが、月末締切で翌月十五日までに支拂を打切るのであります。今若しこの配炭公團の機能をその面から解消いたしますと、生産業者は十日々々に金を受取ることは不可能だ、ということは消費者は今配炭公團に対して百八十億の賣掛けを持つているのであります。我々は百八十億を各種の消費者から金を取らなければならない賣掛けを持つている。その消費者が配炭公團の機能が解消した場合において毎旬生産業者に果して金を拂えるか、これは問題であります。それで公團のごときものがたまたま結果としてそういう操作に陥つたということはいいことか惡いことか分らんのでありますが、同時に復金の作用が変りまして、公團自体も金融に追われるのであります。尚現在の機構を持つて行けば或る程度その間の仕事はできる。若しそれを打切れば恐らく立ちどころに金融の面において、生産者や消費者に特別の措置がない限りむずかしいのではないかと思います。こういう段階に立つているわけであります。これも公團の機構問題を檢討されるに当つては合せてお考えを願いたい。
 それから公團の基本問題に関連いたしまして、我々が是非お考え願いたい問題は人間の問題、これは配炭公團に対する非難は我々はしばしば聞くのでありまして、非常に尤もなことも多いのでありますが、何故配炭公團に限らず、あらゆる公團が十分な能力を発揮し得ないかという根本的な理由が恐らく二つあると思う。その一つは、これは政府機関であつて、あらゆる機会において國庫補助金という形で支拂われて自由な仕事ができないというせいもあります。他の一つは公團の短期性という問題でありますが、公團発足のときにおいて、去年の三月までということを決められた。そこで從業員というものはまだ延びるかも知らんとそのときは考えておつた。併しいずれにしても公團に自分の全生活を捧げて、そこに將來の基礎を得るということが不可能であるということを從業員は考えざるを得ない。尚去年の三月一年延ばされて、今年の三月になつてから極めて明白に公團の短期ということが完全に現れて來た。石油公團が廃止され貿易公團もそういう運命を持つている。然るにこの際配炭公團を仮に延ばすとしても、七月以降三月か半年、或いは來年の三月に持つて行くとしても、職員はそれ以上延びないことをはつきり知つている。我々は一万二千人の職員を持つている。それがもうすでに年末なら年末に廃止される公團で一生懸命に仕事をするしかないかこれはお分りになると思います。どうしてもその間に外に転職の途を探さなければならない。或いは望ましいことではないが惡いことをするかも知れない。これは経営者が如何に重任を持とうとしても実際上なかなか困難な問題であります。そこでただ困難であるということをお訴えするのではなくして、当然な運営を担わせているのだから、我々としては配炭公團の解体期においては、当然この配炭業務を新らしく始める生産業者或いは新らしく始める販賣業者において、この職員を当然吸收すべきである。それはどうしてもそうしないとそこに生産業者なり販賣業者が新規に素人を雇入れて、エキスパートになつておられると考える職員に、逆に退職金をやつて街に放出するという國家的の不経済を防ぐべきであるし、同時に配炭公團の最終の解散時期まで、職員を落ちついて仕事をさせるために、我々は解体後における職員の処置について配炭公團の終了前に政府なり國会の援助によつて明白な処置をやりたい。そうしなければ配炭公團の残る機関の業務がうまく行かんだろう。それはひとり配炭公團の損失ではない。石炭計画配給の仕事がうまく行かない。これは非常に身勝手なようなお話でありますけれども、実際は非常にシリアスな問題であります。併せてこれを基本問題の重要なポイントとしてお考え願いたいと思います。大体以上を以ちまして……
#15
○委員長(佐々木良作君) 有難うございました。以上を以ちまして証人及び説明員による一應の説明を終了いたしました。次に質疑應答に入りたいと思いますが、政府委員或いは証人どちらに対してでも御自由に御質疑をお願いいたしたいと思います。ただ成るべく質疑に答えられる相手方を指定して御質疑願いたいと思います。
#16
○帆足計君 石炭國管はあれ程大騒ぎしてやつたんですが、石炭國管委員会がもう少し強力であればこういう問題について責任のある態度を示してきて、GHQに対しても大きな発言力が当然あり得るものと我々は予想しておつたのでありますが、現状はどうなつておりますか。極く簡單に最近の結論だけを政府にお尋ねしたいのですが……
#17
○政府委員(山地八郎君) 私からお答えいたします。非常にむずかしい御質問なんですが、石炭國管法は実際出発したのは昨年の六月頃だつたと思いますが、それで御承知のようにあの法律は官労資が一体になつて、そうして本当に何と申しますか、肚を打割つてお互い抱き合つた了解し合つた氣持で石炭増産をやろう、こういう形を整えてやつたのであります。我々全炭管理委員会がやつてきていると思うのでありますが、非常に理想的な、いわゆる炭鉱の増産を民主的な努力で盛り上げて行こうといつたような仕組になつておるわけでありますが、現実にはなかなか実際にその人々の立場から見て理想の状態にはどうも行き難いのでありまして、ともすれば経営者代表の方々も、労務者代表の方々も、どうしても自己の立場を離れてはやることができないといつたようなことが多いのでありまして、段々とお話を続けて行くうちに問題はおのずから解けあつて、役人の方は役人として態度を改めて渾然一体になる時期が必らず來なければならんと思つておりますが、まだ三者とも心持がそこまで解け合うまで行かないのでありまして、場合によつては非常に話が合いまして問題がすらすら片付くのでありますが、場合によつては意見が対立してうまく行かないということもあるのであります。そこに御承知の通り占領治下でありますので、我々が如何に話合をいたしましてもどうにもならない筋合の問題も出て参りまして、そういう点からいつても官労資で額を集めて相談しながらも、みずからの無力を嘆くような事態も出てくるような訳でありまして、まあ我々から申しますれば、客観的にいろいろな情勢もありまして、当初考えておつたような一〇〇%の効果はまだ発揮していない。併しながら先程來お話がございましたように非常に今度の石炭増産問題はむずかしい枠の中にはめられまして、金融、價格その他諸般のむずかしい枠の中で、四千二百万トンの増産をやれという至上命令もありまして、こういつた難問題を解かうというためには、やはりもう一度振返つて、官労資の相談で本当に腹の底から理解し合つた方策をとらなければならん時期にもなつていると考えられるわけであります。そういつた意味合で、実は労資双方とも立場は違いますが、相当不満の意を表されておりますが、敢てしばしば全管委員会、專門の委員会を開きまして、我々としてはできる限り極力御相談を持ちかけて、その一致した意見として関係方面にも取継ぎいたしたいと思つていますが、全管委員会の意見ということによつて関係当局を動かすところまでの力は現在持つておりません。只今申上げましたように、與えられた非常にむずかしい問題を官労資でできるだけ解いて行こうという方向に全管委員の方々の御努力を願つている、こういう状況でございます。
#18
○帆足計君 引続いてちよつとお尋ねしたいのですが、第一には、今の石炭國管の方法、審議会のやり方などをどういうふうに改めれば所期の目的を達するか、それとも石炭國管をお廃めになるような意思であるか、大体の政府の結論的なお考えを伺いたいのと、それから第二には、一方で四千二百万トンという要請があつて、それは生産命令その他の類似したような形でそれが要請されるのに、他方では炭價その他について非常な嚴しい條件がある。この二つの問題をどういうふうに調整されて行こうとなさるのか、ちよつと御説明願いたい。
#19
○政府委員(山地八郎君) 國管問題につきましては、現在のところ國管法を廃止しようということは考えておりません。ただ全管委員会の運用のし方その他につきましては、只今率直に申上げましたように、非常に遺憾でありまして、何とかしてもつといい運用方法はないかというような点を只今研究中でございます。
#20
○政府委員(増岡尚士君) お話のように、四千二百万トンの計画を達成すると同時に、企業の合理化をやつて行くということで、この二つの計画を達成することは、極めて困難であることは私共十分承知をしているのでありますが、それならば、果して今のような状態で四千二百万トンが出るかどうかということはなかなか見通しがつきません。正直のところ見通しがつかないのでありますが、それには、やはり先程村木さんからもお話がありましたように、経理上の不合理な点というものを直すことが一番だというふうに考えまして、やはり炭價問題、資金問題を中心にして、合理化をやりつつ四千二百万トンを達成するという建前で努力いたしているわけであります。炭價問題につきましては、最初にちよつと触れましたように、消費者の價格水準は動かさないけれども、これを生産者側から見れば先程もお話がありましたように、いろいろ現在の炭價配分においては不合理な点がありますので、できるだけこの不合理を是正する。例えば現在帳面上のことでありますが、いろいろ問題にもなつておりますように、配炭公團に黒字が相当額残つたというようなものを炭鉱に初めから與えるというような方法もありましようし、又現在の生産費というようなものに余りに拘泥した炭價の設定の仕方を、もつといわゆるメリツト制によつて建替えて行くというような方法によつて、消費者の水準を動かさないでも生産者に相当有利な変更ができるというふうに考えております。
 それから從來とかく労働者の能率といいますか、そういうものがやはり重点だという意味で多少甘やかされていたという点はなきにしもあらずでありますので、この労働の能率というものを、先程もお話がありましたように坑内外の比率を変えるばかりでなくて、働きます時間におけるいわゆる労働密度の充実というようなことも、賃金制度と絡み合せて考えることによつて相当改善されるというふうに考えます。それ外にまあいろいろ技術的に増産方向に向う方法もありますので、それらの点については一々細かい点について大いに努力をいたしたいというふうに考えておりますが、炭價問題につきましては、急速にこれを研究して決定に持つて行きたいというふうに考えております。
 それから設備の資金の問題は、先程もお話がありまして融資機構が変つたということでギヤツプができる問題も、我々も非常に苦慮しております。併しながら今の與えられた枠では何としても見返資金というものに依存する外ございませんので、この中からできるだけ早く沢山の資金が石炭鉱業に廻るようになるということで、関係の業界の方々、或いは石炭廳と連絡をいたしまして、必要な資料を作つて現在持込んでおるような状態でありまして、これを今中心にして努力をしておる恰好であります。二つの命題を與えられまして一時に解決するということはなかなか困難でありますが、三月の実績等から見て、或いは業界の又は一部の人の意見かも知れませんが、絶対に不可能なことではない、何とかすればやつて行けないこともないのだというような空氣もないではありませんのでいろいろ問題の所在をこれから突止めまして、一つ一つ解釈して行つて、二つの問題が両立いたしますように努力をして行きたいというふうに考えております。
#21
○藤井丙午君 石炭鉱業が終戰後まあ経済復興の基幹産業として、先程お話のありましたように全く採算を無視して生産第一主義を強行して來られて、現在でもすでに赤字補償等で百三十四億ばかりのものが負債が帳消になるとはいえ、百六十五億も赤字が累積しておる。又價格問題につきましても依然として幾多の問題があつて、先程村木さんのお話では、現状のままで行つても少くとも平均三百円の赤字で、これを賃金の補償打切とか源泉償却というようなことを考えれば、五百七十円トン当り赤字がある。こういつたような現状において、矛盾に直面しておる矢先に六原則の強烈な指示を受けたというわけで、石炭鉱業界においては一切我々としても御苦心お困りの状況はお察しするに余りがありますが、私共分つておるところでは結局問題は二つになるわけなので、一つは四千二百万トンの生産の確保の面で、無論あとからお伺いしたいと思ますが、資金関係でこれに裏付けされなければ問題にならんわけですけれども、一面においては生産技術の面で、関係方面の担当官等の新聞発表等によつても、相当この技術の導入とか、或いは採炭関係の機械の輸入とか、そういつたようなもので相当大幅な画期的な増産方策が採られるようなことをしばしば言われておりますし、又炭鉱業の一部の方の御意見では、例えば北海道方面においても、今年は相当今までの設備の改善等によつて、新らしい採炭技術等によつて相当大幅な増産ができるというような意見もあるやに伺つているのですが、その点は栗木さんどうでございますか。技術乃至採炭方式の改善で余程画期的な増産というものは見込まれるのですか、資金問題は別として……
#22
○証人(栗木幹君) 採炭方式その他の技術の改善は、もう我々の生命ですから、これは経費が高かろうと安かろうと、どんな場合でもそれが使命である以上極力技術の向上に努めておりますけれども、それが僅か一年の間に急激なる増産に寄與するような採炭技術の改善というものはなかなか困難だと思います。勿論例えていえば、芦別炭鉱辺りはまあ今まで一日に四尺か五尺、よく行つても精々六尺か七尺ぐらいしか拂いが進み切らなかつたのが、一日に二十五尺も進むように拂いを作つたというような技術の改善もあるのですね。それから又最近鉄柱と申しますか、鉄枠と申しますか、とにかく坑木を鉄に代えまして、そうして拂いの進み方をよくするようなことを考えております。これなんかも非常に画期的な進歩だと思つております。経費もその拂いの面については非常に安く上るのですね。それから安全であるから怪我人も少く、同時に天井も惡くならないから、更に進み方もいいというようなことで、技術的の進歩としては恐らく最近十年以來の画期的な進歩だと思いますが、それかといつて急激に四千二百万トン出るというようなことを考えては危いと思うのです。それで我々としましては今申上げたように極力盡力はいたしますけれども、國全体からいいますと今のような炭價ではとても引合わないのです。それで考えておられる線は、消費者價格は据置いて生産者價格の方をいろいろ心配願つておりますけれども、去年の十一月の実績……村木君が説明されました最後のところで今の赤字加算額百四十二円を除きまして、それから更に二十四億政府から補給金を貰つておりますけれども、これも除いた裸の炭價から比較して見ますと、赤字炭鉱で四百八十円以上の炭鉱が六〇%ございます。こういうような大きな赤字を出している炭鉱は、どうしてもやはり赤字をなくするということは困難だろうと思うのです。殊に炭價が下りますと、恐らくこれなどは低品位の炭鉱が多いと思いますから、更に炭價が下るとなるといよいよ経営が苦しくなつて恐らく潰れるのじやないかと思います。そうしますとやはり四千二百万トンにひびが入るということになると思うのです。この点はやはり過渡的な方法としては、二十四年度の予算の中に多少でも赤字補給金を出して頂くよう御心配願えないかと思います。
#23
○藤井丙午君 今の價格の問題について伺おうと思つていたら、栗木さんの方からお話が出たのですが、先程の村木さんのお話で企業内の努力は無論のことだけれども企業外の合理外をやつて貰いたいというお話で、生産者價格の調整と申しますか、具体的にいえば、價格配分方式の改善のことで今お話の中にあつたように、相当優秀な炭鉱では今のプール計算で非常な割損を喰つておる。だからこれは相当メリツト主義を採入れて貰いたいというのが、大手筋のメーカーの村木さんの御意見になつておるようですが、これも今お話もありましたように、そうなつて來ると、今の低能率炭鉱が立行かなくなるというので、そこら辺の調整を政府は或る程度やはりメリツト主義をこの際考えながら、尚全体量の確保の面から非能率炭鉱も十分とは行かなくても連れ立つて行くような、生産者價格の安定方法をどういうふうに考えておられますか。
#24
○政府委員(増岡尚士君) 理想的な形といたしましては、最初に申しましたようにいわゆるメニツト主義一本でやるのが一番いいと思うのでありますが、やはり生産目標との関係或いは從來掘れ掘れと言つて來たところを、一遍に潰すわけには行かんというような実際上の問題がありますから、当然理想に言つて進むにしても、段階的な措置は必要だと考えまして、大体その線で研究は進めておりますが、メリツト主義を立てた場合には、今のやや經営のいい炭鉱の増産が可なり進むというふうに見られますし、又一方では非常に困つて減産する、或いは倒れるという山があると思いますが、それとの生産量の兼合いで結局生産目標とどういうふうに睨むかというような計算をやつて結論を出さなければなりませんので、目下その作業をいたしております。それで過渡的には、やはり今まで百四十円だつたのをそれをどのくらいの金額にするかという問題になるかと思いますが、過渡的にはこれは生産目標とも睨み合わして考える必要があるのでありまして、今作業中であります。
#25
○藤井丙午君 それから丁度價格の問題が出ましたことに関連しますけれども、一部には公團の手数料を相当負担してトン当り百円乃至それ以上のものが出るというような説を出す人もあるのですが、その辺はどうでございますか。
#26
○政府委員(増岡尚士君) 先程もちよつと触れましたように、公團には二十三年度ではちよつとした黒字が出ておるわけでありますが、これが出る理由は手数料の関係もありますし、又運賃のプールその他價格のプールの関係で出る金額もありますし、又いわゆる事業関係その外の部面で出るのもあるのでありますが、手数料だけについていえば、必ずしもそう高いというか、百円を切下げるというようなことは到底できないので、全体の額からすれば、或いは相当程度のものが生産者に戻るという数字が出るかとも思います。その点については先程も御説明いたしましたように、公團というのは現在は営同事業でもありませんので、ここに利潤を残す必要はないのでありますから、今度價格を立てます際には十分にあらゆる点を考慮いたしまして、ここにもう利潤なんてものは残らんように、本当に健全に最少の経費で仕事をして行くというだけの建前にいたしまして、できるだけ生産者價格が上るというか、生産者が利益を受けるような價格の配分をして行きたいと考えております。
#27
○説明員(八代好三君) 今の動力局長の説明に公團の立場から補足をしたいのですが、今の御質問の公團の手数料を圧縮するという問題なんですが、今公團の手数料としましては、当時六十九円五十五銭の國庫交付金を貰いまして、公團はその手数料收入で以てこれを返して行く。そこでその六十九円なにがしは現在では赤字なんです。御承知のように物價、賃金ベースが上りまして、到底今後は六十九円ではやれない。そこで問題は今動力局長の御説明があつたのですが、いわゆる公團の純粹の手数料と、事業上の損益という問題は別なんです。恐らく御質問の趣旨は事業上の損益の問題かと思うのですが、これは九百六十円で公團は一應請負つておりますが、一番初めにおきましては物價廳初め関係官廳にかくのごとき炭價のプールをやつて見て、運賃諸掛はかくのごときプールでやつては如何でしようかということを政府に相談して、それで決定されるものである。期の当初におきましては、これからプラスが生れるかマイナスが出るか予想されない。一應プラス、マイナスが出ないという建前で九百六十円で算定された。ところがそれに対して、政府としてはマイナスが出るかも知れんから三十二円といういわゆるプールの平準の割当金を公團に交付された。その範囲において赤字が出た場合においては、それで消えるのです。残つた場合は全部國庫にこれを返還するわけです。結果としては、二十三年の上期において約九億円の黒字が出ました。これは直ちに公團の決算と同時に大藏省に返納いたしております。それから二十三年の下期においては、まだはつきり計算は出ておりませんが、約二十億円を予想されるに至つた。それは当初から利益が出るという計算でプールを作るということは絶対に許されていない。たまたまその間において公團の予想より高いものが多かつた、低いものが多かつたというような予想に対する変化によつて起つて参りましたもので、今度ともそれは期の初めにおいてはプラス、マイナスが出ないプールの價格を政府の承認によつて決める。こういう建前でありますから、過去においてはプラスが出ましたが、將來において必ずプラスが出るとは考えられません。
#28
○藤井丙午君 先程御配付になつた資料の中に、これは政府からではないようでありましたが、今度二十四年度の四千二百万トン計画に見合う資金計画ですね。これは全体で二百八十二億というふうになつておるのですが、安本の計画では二百五十億案というようなものがあるように伺つたのですが、ここでこの一般設備資金と、住宅建設資金と、それからその中で旧坑の設備と、新坑開発に伴う設備をどういうふうにお考えになつているのでしようか。
#29
○政府委員(増岡尚士君) この石炭協会から出ました案は、一應二十四年度の予定は、石炭廳の最低所要額なりということで、まあ第一次的に、從來の資金の供給の大要から行けば、このくらいのところがほしいというわけで出た案であろうと思うのでありますが、いろいろ状況が変つた結果、いろいろ案を作り変えまして、先程お話がありましたように、二百五十億の案もありますし、それから二百四十億の案もありますし、百七十五億なんという案もいろいろあるわけであります。十分なことからいえば、この二百八十二億という程度のものはほしいということは、我々も考えておるのでありますが、從來のように、比較的大雜把に、石炭工業ほいくらというような融資が、現在の状況では認められないというような状況になつたものですから、具体的な計画について、かなり詳細に一度檢討いたしまして、その案を以て見返資金から出して貰うという方法で今進めておるわけでございまして、そういう手筈から申しますと、なかなかこの二百八十億というような数字は、ちよつと困難であるというふうに考えまして、目下この産業資金に見返り勘定がいくら要るか、七百億という説もありますし、五百億という説もありますが、仮に七百億であつた場合には、何程の工事をやる、五百億症であつた場合には何程の工事をやるというような計画を、精密に現在作つておるところでございます。その際に今お話の新坑開発の部面と旧坑調備の問題とは、全部一貫的にといいますか、取纒めて考えて新坑とか旧坑とかということではなくて、一括しまして最も効果が上り又経済的であるという工事を選ぶという意味で、工事を選択するという建前で進んでおります。
#30
○藤井丙午君 先程來から伺つておる炭鉱企業の現状からいえば、到底増資とか自己資金の調達ということは全然見込ないといつてもよいくらいでしよう。そうすると今のお話ですと、政府としてはやはり預金関係とか、その他の一般の金融機関からの融資というようなことも或る程度考えらおられるのでしようか。それとも全部例の見返資金におんぶして行こうというお考えですか。それを伺いたい。
#31
○政府委員(増岡尚士君) 今最初に念を押されましたように、石炭鉱業の現状ではなかなか自己資金を調達するということも困難ですし、一般の金融機関から借入れるということも上半期においても、相当に企業が合理化されてうまく行つて黒字でも出るようなことにならない限りは、なかなか金融機関は貸すという状況にはならんと思います。ただ全然それならば貸してくれんかといいますと、そうでもなくてまあ非常に特殊な例えも知りませんが、堅実な会社がある。或いは見返り資金の関係で相当に金が出たので、あの会社は信用があるので貸されたというような評判で、一般の金融機関が貸す場合もあるだろうということも考えまして、一應今立てております資金計画の中では、極めて少い部分でありますが、一般金融機関からも、この程度のものは獲得できるのだろうというような考え方で、資金計画を立てております。併しながらやはりそれは極めて困難でありますので、何といつても、中心は見返り資金を中心にして考えて、それの借りられた信用によつて脇からくつつけて貰うという程度で、一般の金融を考えるというふうに考えております。預金部等からは余り考えておりません。
#32
○藤井丙午君 今の御説明で実情は正にその通りだと思うのですが、結局あらゆる問題が、この資金問題に集中されているので價格問題ももとよりでございますけれども、そこで先程も村木さんからお話があつたようにいつになつたらそれが決まるか分らんというので、つなぎの賃金ならとだえて今もすでに三月以降設備関係も殆んど打切りというようなお話になつている、これは相当重大な問題だろうと思うのです。何か併し橋をかけるだけの特別の了解が得られんだろうかという氣がするわけなんです。それと同時に今年は金融関係は戰時公債三百億の償還だとか、その他復金債の返還等を、相当これも見返りの資金を財源にしておるようですけれども、考えておるので、相当市中銀行に手持が入つて金融は緩和されて來るのじやないかと、そういうことですから今の経理状況からなかなかむつかしいかも知れんけれども、政府補償というような何かの形でこの石炭鉱業の金融のことを、ただ見返資金だけ一本にすがつて強硬にやることは当然ですけれども、それだけでは私は十全が期せられないから、二の矢三の矢というふうにお考えになつて、金融対策を講じて行く必要があるのじやないかと私は思うのです。それから今度これは関係方丁の指示に基く問題でなかなかむつかしいだろうと思うのですけれども、実際今の資金問題の見通しから、もう少し現実的に生産計画も掘下げて、ぎりぎり結着のところはここだというところをもう一遍政府としても、業界としても緊密に連絡をおとりになつて、資金計画等の見通しと並行してやはり作業をやられて、場合によつては至上命令とはいえやはりこの四千二百万トン計画に再檢討を加える必要があるのじやないか。ということは一般の産業金融が今年度非常に梗塞されることは勿論でありますし、特に石炭鉱業の未拂代金が関連産業に非常な圧迫を加え、それが又更に、第二次の関連産業に影響するというふうにして、一波が万波を呼ぶ催うにこの問題だけ考えても、相当深刻な経済界に影響を及ぼして、下手までつけば私は將棋倒しになりやせんかということすら心配するわけであります。そういう金融状況から申しますと勢い全体の生産規模も縮小再生産とまでは行かんかも知れませんけれども、今政府の考えておられるような二十四年度の生産計画は私は総体的に困難になつて來はせんか。現に今も先程の公團の総裁のお話のように、無煙炭にしましても煽石にしましてもすでに需要減で生産過剩の状態になつて、配炭公團で背負に込みになつておる。当然今年は品質の低い一般炭に同樣な傾向が顯著に現われて來るだろうと思うのです。その面からいつてこれは当該生産業者自体にとつては深刻な問題ですけれども、國全体から考えるというと今のような國家の財政の状況或いは産業界金融界の状況からいつて非常な無理をして、而も実際の石炭需給状況を無視してまで、四千二百万トン計画を強行するということは私は必要でなかろうと思う。ですから資金計画或いは全体の総合生産計画等の関連において再檢討して、場合によつたは至上命令であつても、経済事実に対する正しい建て方からいつても、関係当局に生産計画の再要請をする準備、檢討が私は必要だと思います。私の意見になりましたけれども……
#33
○委員長(佐々木良作君) 私ちよつと一二お伺したいのですが、最初生産局長にお伺しますが、先程の説明の中で北海道炭の減炭の理由として一番大きなパーセンデージとしては、労働関係の問題によるものが四四%あつたというお話であつたと思いますが、今年度の四千二百万トン達成の計画途上において、昨年よりも労働問題に基因する減炭、うんと減る見込といいますか、可能性はどういうところに求められるか、お伺いしたいのですが……
#34
○政府委員(田口良明君) 昨年度の北海道の減産の四四%が労働問題であつたということは、石炭局の調によつて先程お話した通りであります。さて本年度はこの点に関してどういう見通しかという御質問でありますが、問題は昨年度中央で賃金を協定いたしたものについて、現地において労資間における具体的な話合が非常に時間的に延びましたために、この間にストライキとか或はサポタージユを生じたという点がかなり多く見込まれております。もう一つは團体協約の各條項につきまして今までの炭鉱の労資間に取交されておりました團体協約が誠に不備不十分な点が多々ありましたために、これが解釈について無用なトラブルを起したということがかなり多かつたように考えられます。なお労資共に、これは精神的な問題でありますが、とかく問題を紛糾させるというようなことによつて、お互に有利に問題を解決しようというような考から無用に労働に紛爭を生じたといううよなこともありました。これらの諸点につきましては本年度は相当改善されるというような見通しがついておりますので、この点については北海道の労働問題に基因する減産は昨年のようなことはあるまいというふうにかなり樂観的な予想を持つております。
#35
○帆足計君 先程石炭金融のことで伺つたのですが、最近の結論としまして石炭の赤字の後始末ですね。これについての見通しは只今のところどうなつておりますか。
#36
○政府委員(増岡尚士君) 旧炭價までの赤字につきましては、今度の國会で決まりました補償の額で一應打切という形になるわけでありますが、新價格になつてからの赤字をどうして行くかという問題については、一應実は現在のところ策はないというような形になつております。結局まあできない相談かも知れませんが、今後の企業合理化によつて利潤を出して埋めて行つて貰うというようなことになるわけでありますが、併しながらそれだけで放置いたしましては関連産業に対する未拂も拂えないというような結果になりまして、非常に経済全般に対して惡影響を與えることになりますので、これを何とか一部でも始末したいという考をもちまして、現在のところ、先程八代さんからお話がありました配炭公團に、二十三年度にたまたま出ました黒字を利用いたしまして、これを炭鉱に還元することによつて幾分でも赤字を埋めるという形にして、関連産業の未拂代金の支拂に充てさせたいということでいろいろ案を作りまして関係方面と折衝中でありますけれども、まだ結論を得ておらない状況でございます。もとよりこの額は限られておりますので、先程お話がありましたような赤字の額でありますと、いわゆる九牛の一毛かもしれませんが、外に現在考えられます手がありませんので、たとえ少い額でも何とかしたいということで目下これに精力を注いでおるわけです。
#37
○帆足計君 そこで只今の三月末の関連産業の未拂が、新聞などでは百二十億もうすでに達しておると出ておりますし、今後毎月炭鉱業に対する納入を打切るわけには行きませんから、毎月数十億くらいづつ殖えるということを業界から聞いておるのですが、これは石炭の赤字補償の問題でもありませんし、又石炭救済資金でもないし、納めたものの代金を拂つて貰うということは当り前なことで、而も國策の線に副つた関連産業の仕事でありますから、私は石炭鉱業と場合によつては関係なしにでも、関連産業に対しての融資の途というものは、國として心配しなければならない問題ではないかと思いますが、聞くところによりますとこの前ドツジさんと財界との懇談会の席におきましても、数百億の政府の未拂勘定があるということは、どうも自分はこういう御伽噺のようなことがあるということは普通の常識では考えられんということを幾らか漏されたそうでありますので、私共も普通の常識では、どうしてこういうことが長い間放つたらかされておるのかと思つて、非常に何だか中世紀の出來事のような氣がするのですが、それで関連産業の方は石炭鉱業の赤字と関係なしに、自分の方でただ拂つた代金ですから貰うのが当り前だと私は思いますが、而も三千四百万トン掘るということは至上の國計問題である、併しその國策に協力した会社は政府から表彰の免状などを貰つて、お祝の式があつたりしたことなんかを我々は記憶しておるのですが、從いましてこれに対して何らかの政府の正式の声明なり、GHQの正式の意向なりというものが当然國民の前に明らかにされて然るべきではないかと思うのですが、その辺のいきさつはいろいろ御苦労もおありでしようが、現状のところはどうなつておるのでしようか。九州の業界あたりから労働組合側の意見も聞いておりますが、最近は賃金が拂えなくなつて恐慌状態になつております。今拂えないのはしようがないが、一体どうしてくれるという御回答すらないのが辛い、こういつております。これは全く尤もなことでありまして、こういうことが文明の社会にあるということすらも奇怪至極のことだと思うが、どういう事情になつておるのでしようか。見通しぐらいのことは政府なりGHQなり、如何に占領下の國と雖も私は國民に分るようになつてよさそうに思いますが、そこらのところを事情を一つ承わりたいと思います。
#38
○政府委員(増岡尚士君) どうも返答に困るのでありますが、実は関連産業の赤字をできるだけ早く処理したいということで放つていたわけではなくて、去年のもう暮にならない前からこれを何とか炭鉱へは金を貸してくれないにしても、関連産業に対してでも何らかの特別の処置をとりたいということでいろいろ策を練りまして、関係方面とも連絡をしたのでありますが、いずれもこつちの案が不満足なせいか認められるところになりませんで、現在まで日が経過いたしまして、現在のところでは先程申しましたような恰好で幾分でも始末しようというふうに考えておるのであります。でこれは結局遡りますと、やはり何といつても石炭の價格が昨年の七月に改定になつて、その当時まあ二、三ケ月はよかつたかもしれないけれども、その後に至つては赤字に苦しんでしまつて、心ならずも構入した品物に対して代金を拂わなかつたというところにあるのでありますから、我々といたしましては二十四年度から幾分でも價格を改定しまして、石炭産業が黒字経営ができるようになれば、これも累積した借金も拂えることになるのどはないかというふうに考えて、その法方でも努力して來ましたが、御承知のごとく生産者の價格としては、先程來申上げましたような程度の補正ができるということしか認められない状況になりまして、実は二進も三進も行かないかとになりまして、先刻申上げましたような小さな財源ではありますが、一應中央の意見はこれを財源にして始末をしたいというように考えたわけであります。
 併しながら今御質問のように非常に大きな問題でもありますので、更に私共研究をいたしまして所要の手続を向うにも取り、又國内的にも研究を進めて行きたいというふうに思つておるのであります。実は石炭産業は一方に今のような借金をしておるし、これは全部の石炭産業の関連する産業ばかりでもありませんけれども、石炭の賣掛代金は先程八代さんから説明がありましたように、百五十億を超えるだけの賣掛代金があるということで、みんなが借金の形になつておりますので、何か水を流せば一應ぐるぐると廻つてけりがつくような手もありそうなものだということで、いろいろ考えを廻らしておりますが、まだみんなが出ませんので甚だ御迷惑掛けてを恐縮に思つて率るのでありますが、現在のところは率直に申しまして甚だ不満足な状況になつておるわけであります。
#39
○和田博雄君 政府は非常に苦労なさつておりますが、私はこの石炭産業は、やはり基礎産業ですから……九原則の下でどうやつておるかということをもつと眞劍に考えて貰いたいと思います。それで業界の人ももつて眞劍に考えなければならませんが、政府も本当に基本的にも、根本的にも考えて貰いたいと思います。その意味で簡單に御答弁を……
 一つは今一体政府は九原則の枠をはめられてやろうとしておる石炭鉱業に対して、これは何つ何か大きな中心でもあつた纒つて本当の対策を練つておるかどうか、その点はどうなつておるか。商工省とか、安本ではなくて、何かもう少し大きな総合的な力が、やはり業界、官界なりが一つになつて、このはめられた大きな枠の中でできるかどうか。若し枠を破るとすればどういう点でそれを破るか、もう少し基本的な檢討をやはりやらなければならない時期だと思う。そういうことはやつておるかどうか。例えば石炭につきましては、國家管理が行われており、その國家管理という一つの方策で石炭増産をやつて行こうとしておるときに、一つの大きな制度がありますので、その大体の條件が九原則とか、今度のいろいろドツジ案等與えられて來たときに、その方策によつて本当にやつたらこれができるのかといつたようなことについて、業界なり、或いは官界なりの人が少しは寄つて、本当に商工大臣か、安本長官ぐらいが中心になつて、そういうことをやつておるのかどうか。一つ幸い次官も來ておられるようですからお伺いしたいと思います。
#40
○委員長(佐々木良作君) ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#41
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて下さい。
#42
○和田博雄君 それからもう一つ生産局長にお飼いしたいのですが、例えば配置転換をやるとかいろいろな増産のことを四つばかり述べられましたが、それはそれでやろうという意図は結構なんでありますが、方法はどういうことなんですか。例えば國家管理のあの法律の下において、行政としてなんか命令を出したりなんかしてやらすのか、どういう形でそれは下まで流して各企業にそれを実際上やらして行くか、具体的な方法はどうですか。方法としてはしよつちう言われるが、具体的な手段についての説明は何もないのですが、一体企業に対してそういう命令でもするのか。或いは各企業家を寄せてどうするとか、或いはただ方針だけを示して任して置くのか。そこらのところはもう少しはつきり御説明を願つたらいいと思います。
#43
○政府委員(田口良明君) 先程申上げました今度の二十四年度の生産計画の五項目の点でありますが、これは生産計画ばかりでなく、今回三月十日に出されました司令部からの六原則につきまして、一部法案を作つてこれを徹底せしめようかというような意見もあり、着々準備も進めておりましたが、まだそこまで行かなくても行政指導において、又從來の法律によつてできるであろうというような意見に変つて参りました。只今のところ例えば配置転換にいたしましても、これを直ちに現地の方に伝達いたしまして、これが実施につきましては石炭局をして推進を図らせる、その他の方面につきましても大体において行政指導を強力に実施することによつて、これができるであろうというふうな現在における考え方であります。
#44
○政府委員(山地八郎君) 私から補足して説明申上げます。只今生産局長が申しましたように、今度石炭鉱業安定に関しましては、特別のメモランダムが出ておりまして、六つばかりの項目が掲げられております。これらの各項目につきましては、これを仔細に法律的に檢討しますと、嚴重に励行するためには概ね立法的措置が必要のように考えられます。例えば炭坑夫の坑内、坑外の比率を六十、四十にしたとか、坑外夫の採用をこれ以上するな、或いは時間外賃金の支拂い方、或いは所要資材の購入について、過剩な資材を購入せんようにせよとか、又支拂いについては、賃金、税金に優先的地位を得て、続いて賃金は適時に的確に拂えとか、運転資材を支拂え、尚最後に炭鉱の経営はよいのもとなる場合にも、公團の炭代は封鎖勘定において政府は監督せよ、こういつたいろいろの項目がございます。これを徹底的に嚴重に施行しようといたしますと、立法的措置が要るのであろうと我々は一應考えるのであります。併し一度振返つて見ますと、要するに炭鉱自身が立直りますことは経営者にとりましても、労働者にとりましても非常に仕合せでありまして、炭鉱に黒字が殖え資材の値上りが減つて行くことになれば、又炭鉱の能率が上つてくれば賃金も自然に殖えて來るということで、労資双方が協力することによつて実現して行くということが望ましいわけであります。法律の條文にこれを書いてしまいますとぎこちないものになりまして、違反した場合にはどう処罰されるとか、いろいろなケースを考えて見ると除外例のために一々監督官廳の許可を取らなければならん。そんなことまでしてやりますよりは、若しもできるならば労資双方の自発的協力によつて折角実行して貰うがいいのじやないか、かように考えましたわけであります。これは先程來申しましたように、國家管理法がございまして、全國國家管理委員会、その他で官労資が相談をしてできるだけ実行して行こうという建前になつております。このメモランダムに伴います措置につきましては、いろいろの施策を全管委員会を通じてしよつちう連絡を取りまして、尚全管委員会にも政府の対策を発表して、是非励行して貰いたい。この施策がこのように施行せられないことになれば、止むを得ず立法的手段に訴えなければならん。法律的な手段に訴えて経済界を合理化するということは非常におかしなことでありますが、できれば炭鉱の人々の自発的な協力で実現して貰い、その成績を見た上で、どうしても工合の惡いものは立法的手段に訴えたい。こんなふうに持つて行きたいと実は存じておるわけであります。これらの点は項目の中で例えば炭鉱の経理につきまして、統一ある会社制度を設け、或は資材の購入計画を政府に出しまして、一應の監査を受けるといつたようなことが、現在の國管法の監督規定を発動しましてもすぐできることでありますし、かねがね業界にも相談いたしまして実行可能なことは分つておりましたが、これは國管法による監督命令に基きまして実施いたしたいと考えておりまして、これ亦全管委員会の御賛成を得て実行いたしたい、かように考えております。又炭代を封鎖管理するという非常特別措置、これは勿論法律が要るわけでありますが、今申しましたようにそういうこと無きを以て最もよしとするという建前から、これらの法律は準備いたしますができる限り発動しないで行きたい。こういつた只今のところでは心組みで、あらゆる機会あらゆる機関を通じて、政府の意図するところを労資双方におかれて協力することを以て第一点とする。その成果を待つてどうしても上らないようであれば思い切つた立法措置をとる。かように考えておる次第であります。
#45
○和田博雄君 最後に時間がありませんが、ちよつと速記を止めて貰つていいのですから……
#46
○委員長(佐々木良作君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#47
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて。
#48
○帆足計君 時間を取りましたから結論だけを申上げたいと思います。第一には九原則に基いての新らしい石炭政策は非常なる大転換でありますから、先程の和田委員からお述べになりましたように、我々は能率、價格、品質、労賃、大体総合的な見地から四千二百万トンの目標を再檢討して頂いて、官私、労賃一致した意見を全國民に強く納得の行くような政策をお樹てになつて、そうして司令部と折衝して十分協力して頂きたい。そこで石炭鉱業の経理対策、合理化対策は、今後の問題でありますが、そういう総合的観点から一つ無理のない、努力すれば必ず解決し得るような方策で向つて頂きたい。ところが今の関連産業の方の百億を超えるような今の未拂は、差迫つた今日の問題でありますから、先程御答弁がありましたが、是非一つ経済安定委員の中で國会議員たる一委員から、政府のはつきりした御回答を願いたいという質問があつた、その質問にも答えねばならんということで結構でありますから、速記録をお示しになりまして、関連産業は石炭増産に協力しなければならんけれども、それはいつまでも代金が貰えないで破産し、玉碎するまでそうせねばならんものであるかどうか。GHQの方では企業の自主性を尊重せよ、引合わんような値段で賣る奴が馬鹿であるというようなお話も出ておりまするが、そういう玉碎するまで、我々は馬鹿といわれても石炭増産に協力すべきであるか、又生産並びに納入をこの際一時手控えするのが正しいのであるか、又は政策がやや遅れておるだけであるから、いずれ妥当な援助政策が発表されるから、それまで我々は隱忍自重して從來のように大いに石炭鉱業への協力を続けるべきであるか、これらのことについて國民が納得行く御答弁……現在諸條件が困難であることは十分承知しておりますけれども、困難の中にも我々が納得し得うるような一つ方針示して頂きたい。こういう希望意見があつたということを然るべき筋にもお伝え下さつて、そうして適当な機会に一つ大臣からでもこの問題について御答弁を願うようにお取計らいをお願いしたいと思います。
#49
○委員長(佐々木良作君) 外に発言はありませんか。
#50
○証人(村木武夫君) 今関連産業の未拂は非常に我々としても重大な問題だと思つて心配しているわけなんですが、こういうことを申上げるのはどうかと思いますけれども、率直に申上げたいと思うのですが、今後百三十四億ばかり補償になりましたが、あのときに政府側ではもう少しあと二十何億くらい余計な金額を政府責任でやるというふうにお考えになつて立案されておつた問題もあるわけでありますが、それから新炭價設定後に日本政府側でも現在新炭價は不的確なるものがあつたということも、これは金額ははつきり申上げませんが、二百五十円程度のトン当りの不適当の部分があつたという御確認も頂いておるわけなんです。そういう問題もあつて、それが今度の六項目の指令でできなくなつたわけでありますけれども、そういう事業が過去の六月の二十二日までの赤字の処理の分に対しても政府が更に認めておられた金額があつたということと、その以後にも政府側が新炭價についても不適正な部分があつたということも認めておられる額があるのでございますから、それらを率直に御檢討願つて、そうして和田さんからお話がありましたが、関連産業を救済する方法は今までの炭鉱界が増産第一主義で経営にも多少御批判の余地があつたと思いますけれども、増産に邁進して出て來た赤字のうちで、政府側がこれを政府側として考えなきやならん額があるという点を、お考えになつておる部分があるのですから、そういう分を率直に御檢討願いたいというふうに思います。
#51
○委員長(佐々木良作君) ほかに御発言はございませんか。
#52
○藤井丙午君 簡單なことで一つ伺いたい。先程八代さんからお話がございましたが、配炭公團の方は本來の配炭業務のほかに價格調整、金融が主な仕事になつていて、公團の廃止問題なんてものも石炭の需給関係ばかりでなしに、金融関係ということが非常に大きな関係を持つておるので、そう軽々には、ここ三ケ月とか期限を切つての話はむずかしい。これは別の機会に詳しくお伺いしたいのですけれども……それからお話がありましたように、私共金属のあれで、御承知のように存続の期限を切つてあれすると、從業員が安定感を持つて仕事ができんということは、分り切つたことです。これに対しても配炭公團というものをむしろ政府と業界双方で、身分保障みたいな、少くとも安心の行くような措置が至急講ぜられる必要があると思うのです。
 これは又別問題ですが、さつきのお話の中で百五十億とか、百八十億という賣掛代金があるというお話ですが、これは公團としてはその間の金融は市中銀行からおつけになつておりますか。
#53
○説明員(八代好三君) 公團では大体復金の方からやることになつておりまして、実際上一般認証手形として特殊のスタンプ手形がございますから、足りないのは支拂を認証手形で以てやつておつたが、今度はそれができなくなつたものですから、それで現在毎月レギユラーに、回收のできます金は炭鉱の支拂代金と見合つておる。その間に時期のずれがあるから認証手形を落すことになりはしないか。こんな状態になつて來ておる。炭鉱賣掛代金の整理を急いでおりますから、問題は関連産業等における問題も同じなんですが、配炭公團は例えば日発なら日発に命令で配炭をしなければならん。日発に賣掛三十五億幾らある。併しお納めできませんと言えば、日発の方では今ストツクを持つておりますから、暫く辞退しよう……併し品物を送らなければ貰あない。実際困つた問題になつて今政府と御相談して、とにかく集金を急ぐ、それを計画いたしておりますが、それを実行に移すと同時に配炭を受けておる先の産業は相当ひどく金融的に消費者が圧迫を受ける。これは相当憂慮すべき問題が起るだろうと思うのであります。今までは復金のあれと認証手形の両方でやつておつたわけであります。
#54
○藤井丙午君 それで配炭公團のスタンプ手形が割れないという現象は起つて來ておりますか。
#55
○説明員(八代好三君) 一番初めは日銀が市中銀行に別枠で出したわけですが、別枠を止めましたので、市中銀行には先程の認証手形を喜ばないで御辞退したいというものが出て來まして、非常に困る段階には入つておりますが、將來政府が特別の措置を講じて認証手形を必ず何するという安心感を與えられねば、認証手形処置は全公團の問題としてこれは重大だと思います。
#56
○証人(村木武夫君) 四月までは認証手形で……
#57
○説明員(天日光一君) 先程からいろいろお聞き取り願いまして、石炭鉱業界全体としても申上げる点はいろいろお聞取りを願つたのであります。なかんずく先刻からお話がてました從前からの巨大なる赤字の処理問題でありますが、先刻御承知の通り百三十四億円の政府補償を頂きまして、巨大なる赤字に対して、それだけの復金への未拂いが軽くなつた結果を出しておる。この点非常に業界として感謝いたしておるわけであります。お聞きの通りこの百三十四億円の金額で定まりますまでには、幾多の紆余曲折、経緯を経ておりまして、率直に申上げますと石炭鉱業全般といたしましては、全部從前の旧炭價時代の赤字が全部消えたとは考えておらないのであります。ただ諸般の情勢上先般の御処置に対しては感謝いたしておりますが、一面さような点があるわけであります。又昨年の六月二十二日以降のいわゆる新炭價時代になりました赤字につきましても、いろいろまあ御考慮をお願いいたしておるわけであります。至難な問題でありましようけれども全般的に御考慮の際には、やはり充分経緯等御考慮願いたい、かように思うわけであります。
 それからいわゆる消費者價格を変更せずして、その枠の中での炭價の配分問題がございますが、それにつきましていわゆる先刻もお話が出た公團の経費等の分け方と申しましようか、或いは生産者に対する還元という問題がございますが、これらに関連いたしまして、只今三月だけ延長されております配炭公團の今後のあり方等につきまして、多くの関連を持つておるわけであります。この配炭公團の今後のあり方、今後と申しますが、三月経過後のことでありますが、それらの点に関連いたしましては、石炭鉱業会といたしましても一つの考えを持つておるわけであります。本日は時刻もございませんようでありますし、他尾お聞取り願えるだろうと思つております。詳細は申上げませんが、金額は次の機会をお與え願いたいと思います。かように考えておるわけであります。
 尚最後にもう一つお許しを頂きたいと思いますのは、石炭鉱業全体の投下資本が恐らくこの三月では三百三十億くらいに相成るだろうと思つております。御承知の通りこれは大部分が終戰後の投下資本であります。石炭鉱業の性質そのものからみましても、これが償却を余程考えておかなければ明日の石炭鉱業界のためには大きな支障を生ずることだと思つております。先刻現在の段階では一千円なにがしか……償却期間は見てないのであります。かような点が一面においては設備資金を更に必要とし、各種の資材等の支拂等も御承知の通り巨額の未拂が溜つて來ておる大きな原因を成しておる。十分御考慮をお願いいたしたいと思います。かように考えております。
#58
○委員長(佐々木良作君) ほかに特に御発言がなければ委員会を終りたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○委員長(佐々木良作君) それでは最後に特に証人の方にお忙しいところお出で頂きまして、石炭鉱業の安定と復興に関して貴重な御意見を頂きましたことは、委員会を代表いたしまして厚くお礼を申上げます。尚足らなかつた点は適当な機会に又機会を設けましていろいろお話を承わりたいと思いますが、そのときは又よろしくお願いいたします。
 それではこれで委員会を閉会いたします。
   午後四時三十八分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     佐々木良作君
   理事
           西川 昌夫君
           帆足  計君
   委員
           和田 博雄君
           川村 松助君
           鎌田 逸郎君
           藤井 丙午君
  政府委員
   経済安定政務次
   官       中川 以良君
   総理廳事務官
   (経済安定本部
   動力局長)   増岡 尚士君
   商工事務官
   (石炭廳管理局
   長)      山地 八郎君
   商工事務官
   (石炭廳生産局
   長)      田口 良明君
  証人
   井華鉱業株式会
   社経理部長   村木 武夫君
   三井鉱山株式会
   社常務取締役  栗木  幹君
  説明員
   配炭公團副総裁 八代 好三君
   石炭協会專務理
   事       天日 光一君
ソース: 国立国会図書館
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