くにさくロゴ
1949/04/27 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 内閣・法務連合委員会 第1号
姉妹サイト
 
1949/04/27 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 内閣・法務連合委員会 第1号

#1
第005回国会 内閣・法務連合委員会 第1号
昭和二十四年四月二十七日(水曜日)
   午前十時四十一分開会
  ―――――――――――――
 委員氏名
  内閣委員
   委員長     河井 彌八君
   理事      カニエ邦彦君
   理事      中川 幸平君
   理事      藤森 眞治君
           河崎 ナツ君
           荒井 八郎君
           城  義臣君
           栗栖 赳夫君
           佐々木鹿藏君
           市來 乙彦君
           岩本 月洲君
           下條 康麿君
           町村 敬貴君
           堀  眞琴君
           三好  始君
  法務委員
   委員長     伊藤  修君
   理事      鬼丸 義齊君
   理事      岡部  常君
   理事      宮城タマヨ君
           大野 幸一君
           齋  武雄君
          大野木秀次郎君
           鈴木 安孝君
           遠山 丙市君
           岩木 哲夫君
           深川タマヱ君
           來馬 琢道君
           松井 道夫君
           松村眞一郎君
           星野 芳樹君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○法務廳設置法等の一部を改正する法
 律案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   〔河井彌八君委員長席に着く〕
#2
○委員長(河井彌八君) それでは只今から内閣法務両委員会の連合会を開会いたします。先ず法務廳設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。法務総裁に御説明を願います。
#3
○國務大臣(殖田俊吉君) 法務廳設置法等の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申上げます。
 法務廳には御承知の通り現在法務総裁の下に檢務長官、法制長官、法務調査意見長官、訟務長官及び法務行政長官の五人の長官と法務総裁官房長が置かれておりまして、その下部機構として合計十六の局と官房があります。即ち檢務長官の指揮監督の下に檢務局及び特別審査局の二つの局が置かれ、法制長官の指揮監督の下に法制第一局、法制第二局、法制第三局の三つの局があり、法務調査意見長官の指揮監督の下に調査意見第一局、調査意見第二局及び資料統計局の三つの局が属し、訟務長官の指揮監督の下に民事訟務局、税務訟務局及び行政訟務局の三つの局が配置され、法務行政長官の指揮監督の下に民事局、人権擁護局、矯正総務局、成人矯正局及び少年矯正局の五つの局が置かれております。そして法務総裁官房長は総裁を助けて官房の事務を指揮監督することになつておるのであります。この度の改正案におきましては、行政機構簡素化の方針に從いまして、現在の五長官、十六局制を三長官、十一局制に縮小いたしまして、且つ國家行政組織法の施行に伴いまして、法務廳の名称を法務府と改めました外、いわゆる各種の廳外機関等について所要の規定を設けました。以下その要点を申上げて御審議の御参考に供したいと思います。
 改正案におきましては、法務総裁の下に法制意見長官、刑政長官及び民事法務長官の三長官と法務総裁官房長を置き、法務廳が設置されましてから今日までの一年有余の経驗に鑑みまして、法制意見長官の指揮監督の下に法制意見第一局から第四局までの四局を置き、大体現在の法制長官と法務調査意見長官所属し各局を統合し、刑政長官の指揮監督の下に檢務局、矯正保護局及び特別審査局の三局を配置し、主として從來の檢察及び行刑関係の事務を同一長官の下に一括し、民事法務長官の指揮監督の下に民事訟務局、行政訟務局、民事局及び人権擁護局の四局を置くことにいたしたのであります。
 近く犯罪者予防更正法案を提出して御審議を願うことにいたしておりますが、この予防更正法が施行になりますまでの間、臨時に保護局を置き、いわゆる司法保護に関する各種の事務を処理させることにいたしてあります。又官房におきましては、全國の檢察廳、刑務所、少年院、法務局及び地方法務局等の会計事務を管掌し、おびただしい事務量にのぼりますので、特にこの度経理部を設けることにいたしたのであります。
 以上は法務本府の機構の概要でありますが、いわゆる廳外機関につきましては、現在の司法事務局並びに訟務関係の駐在官制度及び人権擁護関係の駐在官制度をいずれも廃止いたしまして、これを法務局及び地方法務局に改組しました外は、大体において國家行政組織法の施行に伴う法規の整備を主眼とするものであります。
 以上甚だ簡略でございますが、これを以て提案理由の御説明を申上げたつもりであります。何とぞ愼重御審議の上、速かに御可決せられんことをお願いいたします。
#4
○委員長(河井彌八君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#5
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて。それでは休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時四十二分開会
#6
○委員長(河井彌八君) 午前に引続きまして連合委員会を開会いたします。
#7
○伊藤修君 午前中御惑迷頂きましたけれども、一時間有余にわたりまして、十数項目にわたりましてお尋ねいたしまして、それに対する御答弁があつて大体の輪廓は把握できましたのですが、尚二三点重要な点を明らかにいたして置きたいと思いますので重ねて質問申上げる次第であります。
 第一に法務廳の人員整理について詳細にお伺いいたしましたが、要するに御答弁によりますれば、定員中において今度の人員整理が賄える、いわゆる定員中の欠員が相当数あるから、その欠員の中からいわゆる原則的に三割を控除しても尚且つ欠員が残る。事実上出血はないとかというような事情を拜聽いたしたのでありますが、若し然りとするならば、從來の欠員によつて生じたところの予算が、先程の整理によつて生ずるところの一億二千万円ですか、あるというお説でありますが、少くともそれと相当の金額、或いはそれ以上の金額があつた筈ですが、その予算金額はどういうふうに利用されておるのですか。それは返還されておるのですか、或いは他の方面に使用されておるのですか。その点を先ずお伺いして置きます。
#8
○國務大臣(殖田俊吉君) その金額は一億二百万円ばかりだつたと思いますが、大藏省において既にこの二十四年度予算からは減額されており、從つて法務廳といたしましては、その金額は使えないことになつております。但し新しい事業等で緊急やむを得ざるものは、又予算の増額を得ておりますから、実際のところでは予算は殖えておるわけになつております。本年度の予算は前年度の予算よりも殖えたことになつております。
#9
○伊藤修君 私のお尋ねするのは、從來の欠員に相当するところの予算はどうなつておりますかというのです。
#10
○國務大臣(殖田俊吉君) その予算は、つまり法務廳といたしましては使うことができませんので残つたわけになつております。
#11
○伊藤修君 それは現実の予算のあれとして返還されておるのですか。
#12
○國務大臣(殖田俊吉君) さようでございます。
#13
○伊藤修君 だから、そういう人件費というものはですね、先程午前中にお尋ねいたしましたような、いわゆる第一線にあるところの刑務官一万七千百十七名ですが、その中実働一万五千六百二十一人。そういたしますと約千五百名程の刑務官の不足、それに基因して実際勤務している人が通常の時間以上の勤務をしなくてはその欠員の方に割当られておるところの仕事をなし得ない。いわゆるオーバー・タイムする、実際上の問題といたしましては十一時間半とか或いは十二時間というような過労の勤務に服しておる。こういう者に対するところの勤務手当というものを、いわゆる一定額の枠内で支拂つて、事実上働いた者に対するところの相当の賃金を支拂わない、給與をしないというその矛盾ですね、なぜそういうような人件費において繰合せができないのですか、若しくはできないとするならば要求が出なくてはならんということになる。一面においては欠員によつて生ずるところの金額があるとするならば、その人員に割当られた仕事を少い人によつて賄つておるんだから、それに対するところのオーバー勤務に対する給與は当然出して差支ないのじやないか。予算使用上からいつたところで差支ないと考えられますが、それに対して、どうしてそういう方法をお採りにならなかつたか、御答弁を得たい。
#14
○國務大臣(殖田俊吉君) それは給料として予定されておりまする額は、それがたとえ剩余を生じましても、超過勤務の方へ流用ができなくなつております。止むを得ずそれはそれとして残し、超過勤務手当の方の予算が足りないために十分な超過勤務手当が出せなかつた。これは矛盾と思いますが、予算の使用の建前からしましてそう相成つておるのであります。從つて何とかしてその超過勤務手当をもつと出して貰いたいということは要求いたしておるのであります。それが思うように参らなかつたのであります。
 それから又定員がありながら給與を不用額に終らせますことは甚だ遺憾でありますが、それは成るべく速かに定員を充実いたしまして、そうして、さようなことがないように、且又超過勤務の時間を全体として少なからしめるというようなことに、今後大いに努力をいたしたいと思つておるのであります。
#15
○伊藤修君 ですから私の申上げるのは、そういうようなことが大体予見できるのでありますから、その場合において数回補正予算というものが組まれておりますから、いわゆる充実できないという見込数に相当するところの金額を補正いたしましてその方へ直して、そうして実際働く人に対してそれだけの給與を振り向けるということは、予算面上においても別に財源を要するわけでありませんから、ただ振り替えるだけでありますから、容易にできることと存じますが、それをもなさずして、実際第一線に立つておる人々等に対してさような過労の勤務に服せしめ、延いて以て行刑の上において大きな支障を來たすことは、日常見るところの事故によつても明かなことで、全國において十数と算えられるところの事故が生じておるのです。今日一般官公吏の標準勤務というものは四十八時間となつておりますれば、これは特別の勤務として、特別な制度の意味において時間を割当てられておるでしようけれども、少くとも勤労者に対するところの基本的な勤労時間というものは守つてやつて貰いたいと思うのですが、若しそれ以上の働きを國家が求むるならば、それにふさわしいところの給與を與えるということが、当然國家としてなすべき義務であろうと考えられるのですが、ひとり第一線のかような過激な而も危險の伴うこの重職にあるところの刑務官に対しまして、それだけにひとり責任を負わせる、それだけに苦痛を忍ばせるということは、國家の施策の下において私は不合理でないかと思うのです。だからその点はどうしてさような手続をなさらなかつたか、一應明らかにして置きたい。又將來どういう方法をおとりになるのかという点を明らかにして頂きたいと思います。
#16
○國務大臣(殖田俊吉君) 人員の増加をいたしましたのが昨年の暮押詰つてでありまして、そのときは定員は取りましたが、片方において行政整理の話が出て参りました。從つて定員を充実しても、行政整理に又鉈を振われるのではあるまいかということもありましたので、定員をとりながら、充実を少し遅らせたこともございます。それから、只今のようにこの定員を殖やしましたのは予備費を以て殖やしたのでありまして、前年度の終りにおきまして、さような取扱いをいたしたのでございまして、お話のごとく誠に御尤もな御意見でありまするが、補正予算等の手段に出る機会がなかつたのでございます。今年度に入りまして初めてそれが、実際に予算も定員も本当に働くということになつて参つたのでありまして、今後は十分努力いたしまして、早く予算だけの定員を埋めたいと、こう考えております。
 それから超過勤務のことでございますが、誠に御尤もでございます。勤務をさせながら手当をやらん、これは非常に間違いだと思うのであります。今までのところ、財政の都合によりまして、どの官廳におきましても超過勤務手当が、実は勤務時間に比べまして少い、これは甚だ不都合なことであると思つております。それは何とかいたしまして、そういう不都合は速やかに是正をするように努力をいたしたいと考えているのであります。
#17
○伊藤修君 第十三條の八でありますが、これは御承知の通りに、司法試驗法というものは、提案になりまして未だこれが両院を通過していないのでありますが、勿論その法律案の運命も分りません。又仮りに可決されたといたしましても、その法律案に盛られるところの内容において変更を生じ、所管が最高裁判所に若し移るというようなことがあり得るということも考えられる。さような未知数の法律をここに明らかに明示いたしまして、それが法務府の所管に属するということが、立法の上において許されるかどうか、それと関連いたしまして第九條の十でありますが、この事項と関連いたしましてこの点を御説明願つておきたいと思います。
#18
○國務大臣(殖田俊吉君) お話のごとく、試驗法が、現在提案になつておりまする通りに成立いたしますれば無論問題はないのでありますが、これが違つた形において成立いたしましたときには、この法案と矛盾することになるのでありますけれども、若しこの法案に、これに関する規定がありませんときには、この法案といたしまして、やはり不十分の嫌いがあるのでありまして、勿論この法案にありませんでも、試驗法の中に、その管理は法務廳において扱うという規定が設けられれば、それでも差支えないのであります。予めこの法案の中に用意いたしておきます方が適当であると考えまして、この法案の中にそのことを予見いたしまして規定をいたしておるのであります。若し又試驗法案の成立にあたりまして、その管理が最高裁判所に移るということになりますれば、この法案と矛盾をする嫌いはありまするが、法律の解釈といたしましては、試驗法という特別法が優先をいたしまして、この設置法中のその部分は試驗法によつて優先せられまして死文に帰する、格好は悪いのでありますが、法律の運用といたしましては差支えないかと考えているのであります。弁護士法につきましても、やはり同じで、弁護士法は現在法務廳で管理いたしておりまするから、これは現在の法規を見まして、それによつてこの法案を作りましたために、これは止むを得ない法案であると思うのであります。但し弁護士法が將來変りまして、法務廳ではこれを管理せざる形になりますれば、自然この法案中のその分の規定は又これ死文に帰するということになるだろうと思います。
#19
○伊藤修君 只今の御答弁によりまして明かにならぬ点は、第一点ですね。一体未だ成功していない法律を、ここに法として現わすことが立法技術の上において正しいかどうかというその点をはつきり伺つて置きたいことと、それから総裁の御説明によりますと、特別法だから、特別法の中に明かになりますれば、それによつてそれが優先するから結局運用においては差支ない、こういうお話でありますけれども、併し國家の法律が二つの所管を明記するということは法律の体裁からいつてもおかしなものじやないかと思います。この法律においては自分の方で所管する、他の法律においては最高裁判所において所管する、こういうことは、法律自体の矛盾が一体國民が納得できるかどうか、むしろこれはその法律ができてから後に補正されることの方がよいことじやないでしようか。その二つについて承ります。
#20
○國務大臣(殖田俊吉君) それは御尤もであります。ありますが、若しこの法案に規定しておりませんで、そうして試驗法が成立いたしました場合に、この法案の中にその試驗法に應ずる規定がないということは、やはりこの法案の欠点と見られるだろうと思います。從つて予見ができることは、やはり見越して書いて置いた方が、將來のために都合がよくはないかと、こう考えたのであります。若しこれに規定しておりません場合には、却つて恰好が悪い、こう考えて、こういうような規定を置いたわけであります。それからお話のごとくこの法には法務廳で管理するとあり、次の特別法で最高裁判所において管理するとあつた場合に矛盾を生じます。それは実に恰好が悪いのでありまして、それはお話の通りであります。でありますから成るべくそれは調整いたしまして、両方に矛盾のないような規定にいたしてありますけれども、最悪の場合を考えまして、さような解釈もできる、こういうことを申上げたのでありまして、できれば何とか両法案において適当に調整して行きたいと考えておるのであります。
 それから第一点のお尋ねでありますが、それは法律ができましてから、その法律をここに移しまして規定する方が工合がよろしいのでありますけれども、併しながら將來の法律を予想して具体的に法案も出ておりまするし、法案を出すことも決つており、又法案の出ておる場合に、やはりその法案と関連のあります場合、この設置法中にもそれに應じて規定を設けた方が法案としては工合がよかろうと考えるのであります。必ずしも絶対的に、未だ成立せざる法案を他の法律案中に規定することが間違いであるとは私は考えておりません。それは便宜の問題であろうかと思つております。
#21
○伊藤修君 曾つてこういうことがあつたのです。いわゆる將來に属する法律、いわゆる未だ法律として成つていない法律について、いわゆる條文中にそれを明かにするということは、立法の技術の上において誤りであるということが曾てあつたのでありますが、今後はこういう方式を採られるということに法制局の方で御意見が一致しておるのですがどうですか。その点についてお飼いします。
#22
○政府委員(岡咲恕一君) お答え申上げます。伊藤委員長の御意見のように、本來は確定した法案を法律案の中に掲げるのが正しいのではないかと考えます。政府といたしまして、この法案と同時に、或いは遠からざる將來に必ず提出することが予定されておる法案でありますれば、一應政府といたしましては、その案の成立を見通しまして、他の関係法律案の中にその法律案を掲げることは、取扱いとして毫も差支えないと、かように法制局では了解いたしまして、この法案を提出いたしておる次第であります。伊藤委員長の御指摘のように第十三條の八には司法試驗法、これは現在は法案でございますが、これにも定めておるような規定もございますし、又十三條の七には犯罪者予防更生法に関連した機関の規定を掲げております。又第十六條には、やはりこれ又犯罪者予防更生法が施行されるまでの暫定措置としての規定を掲げておりますが、これは総て國家行政組織法の提出される建前から申しますと、今法務廳或いは將來法務府と称されると思いますが、法務府に設置せらるべき一切の機関主務局というものをこの法案の中に盛るということが、一つの要求として掲げられておりますので、そういう関係もございまして、嚴密に申しますと多少、牴触する、或ては修正をしなければならんような点もありますけれども、それを法案として、全部を掲げまして提出することが懇切でもあるし、適当であるとも考えて提出した次第であります。
#23
○伊藤修君 御趣旨はよく分りましたのですが、ただ嚴密の意味から行きますというと未だ法律でないものを法といつて表現するということは私は誤りだと考えておる次第であります。ただ何々の事項或いは將來こういう仕事をやる、こういう権限があるということは、表現の方法ならそれは正しいでしようが、ここに未だ法律になつていないものを何々法という表現をするということは正しくないと、こう考えるのです。それは今御説のような將來あるべきことを予想して便宜上やられたのだということなら一應了承できると思います。危險は伴うことだけは御了承願いたいと思います。一面においては、こういうことも考えられる。今問題になつておる司法試驗法を、この法律によつて法務廳の所管に確定づける、予め確定づけてしまう、或いは試驗法をどうしても法務廳の所管の中に入れなくとはならないように國会が制約されるという虞れもあるのです。その点を私は憂えるから御忠告を申上げた次第であります。若し試驗法を直そうといたしますれば、やはり試驗法の方で、この法律がたまたま先に成立されます場合、その点を附則において賄わなければならん。こういう手数もかかるのであります。そういう点を慮かつて申上げます。恐らく法務総裁があとの法律に対するところの制約をするために、有利の地位を取るためにこの法律を以てかように確定づけようというような、まあ御意図はないことは重々承知をしておりますけれども、さような考え方も見られるのであります。この点を十分に明かにしておきたいと思います。從つて横々が審査する場合におきまして、決してこの法案に拘束それないということを予め申上げておきます。それからこれを午前中にお尋ねして置きましたが、それを明らかにして置きたいことは、第十七條の関係でありまするが、これは御承知の通り、檢察官はいわゆる行政官に属しておりまして、一般公務員の行政官に対するところの給與というものが定められております。にも拘らず檢察官はいわゆる裁判官と同じような仕事をする場合、裁判官に準ずるところの地位にあるのであるから、特別にこれを待遇しなくてはならんというので、第一國会以來我々といたしましてもこれに協力いたしまして、いわゆる檢察官は裁判官に準ずるところの待遇を承認いたしまして、現在におけるところの檢察官の報酬に関する特別の法律ができておる次第であります。それは飽くまでもいわゆる裁判官に準ずる檢察事務を行うという点に重点が置かれております。これに相應わしいところの待遇を與えなくては日本の檢察官制度というものが維持できない。かように考えたからであります。然るにここに十七條によつて、十三條の十二というものが引用されることになりますれば、いわゆるこの特別な職にあるがために特別な待遇をするという、その地位をそのまま今度は持ち込んで、一般行政官としての地位においてその待遇を依然として受けるということにいたしますれば、これは行政官の一般の待遇と非常な矛盾を來たしまして、当時根本的の問題として給與局長の如きは強く反対しておつたのでありますが、数は九十人とは限定されたおりまするが、この考え方というものは、私は是認できないと思うのです。若し行政官の職務であるならば、それに相應わしい一般の國家の待遇方法を以てすればよろしいのです。然るに特別な檢察官の待遇の地位にある人をこの地位に置く場合におきまして、尚檢察官に與えておるところの特別な俸給をこの人に與えなくてはならんという理論的根拠を私は発見できないと思います。又これならば將來におきまして、いわゆる檢察官が法務行政の故におきまして、一般に及んで來るという一つの危險をも多分に含むのです。本廳におけるところの優秀なる司法官出の人、檢察官出の人が本廳の特別の機構或いは檢務長官であるとか、或いは行刑をするような地位の人であるとか、そういうような特別の地位に優秀な人をとるということは、從來の慣行上あり得ることであります。この人に対しまして、その地位に導くがために、待遇は格段の差を生じて、待遇上の低い地位に置かれておるということは、我々としても忍び難いところであります。こういうところといざ知らず、然らずして一般の法務行政の上に、この特別な地位に相應わしいところの待遇を受けている人がそのまま就いていくことを根本的にこれは認めることになりますれば、外の行政官との均衡というものは私はとれないと思う。又他面におきまして、將來檢察官が法務行政の全般を握つてしまうことは、いわゆる檢事総長の息のかかつた者が法務行政の全般を動かすというような非常な危險をも私はここで予見しなければならんと思う。法務総裁の意見というものが率直に下部まで届くということができないことになる。或る程度の制約を受けるということの危險も亦考えられると思う。この檢察官に対するところの特別の報酬をする根本的の理念にも反するし、又將來のことを考えましても、私は多分に危險を持つていると思う。この点は九十名とかいう数の問題ではない。たとえこれが五十人となつても私は問題であると思う。その点を一つ明らかにお伺いしておきたいと思います。
#24
○國務大臣(殖田俊吉君) 誠に御尤もな御意見でありまして、檢察官と事務官とが区別されております以上、たとえ法務廳と雖も檢察官が事務側の職務を執る、檢察官がそのまま事務官になつているということは甚だ面白くないことであります。ただ御承知のように、從來の司法省が檢事が多く司法省内におきまして事務を執つておつた。仕事をしておつたという長い慣例がありまして、そうしてその司法省が、司法省はなくなりまして新しく法務廳ができたのではありまするが、人事におきましては、旧來の司法省が大体におきまして法務廳に移つて参りました。その過渡的に人事の建前がやはり多くの檢事を包含いたしておるのであります。從つてそれが法務廳の事務を執つておると申しましても、元來檢事でありますので、全部これを檢察へ返して、その代りに新しく事務官を入れるということが簡單に参りませんために、過渡的の措置といたしまして只今でも檢事を事務に当らしめているのでありまして、漸次こういう、何と申しましようか、明確を欠くやり方は止めたいと、こう考えておりまして、実は全部止めたいのでありますが、今直ちに全部止めることが非常に困難でありますから、漸を遂うて人間を減らし、その事務の区分を明らかにするということにいたしたい。併しそれにいたしましても大切なことでありまするから、これは法律の上に明らかにして置きたいという建前で、人数を限りまして、そうして当分の間という文句を使いまして、実はここに制度としてお認めを願つておる次第であります。仰せの御議論は御尤もでありまして、成るべく速かにさように実行いたしたいと考えております。今日のところどうもこの程度までは、実は実際の運営上止むを得ざることでありますので、さようにお願いしておる次第であります。
#25
○伊藤修君 法務総裁の御答弁は止むを得ないとかいう御趣旨でありますが、若し然りといたしますれば、現在檢察官は非常に不足をしておるというふうに我々は承知しておるのです。殊に最近行われんとするところの檢察官の刷新という面からいたしまして、相当人員というものがこの檢察事務から退陣の余儀なきに立ち至るということは考えられるのです。それによつて生ずるところの減員及び現在檢察官の数が不足しておるという場合に、それの外にこの九十名を兼務いたさせまして、第一線檢事から事務の方に廻すという余剩があるでしようか。又その補充というような面についてどういうふうな御考慮があるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#26
○國務大臣(殖田俊吉君) 九十名をお認め下さいましても、成るべく速かに実際の人員は九十名以下に減らしまして、檢察の方にどんどん送り返したいと実は考えておるのであります。的確に何人をどうするこうするというまでの案は今申上げるわけに参りませんけれども、それはそのつもりでやつておるわけであります。
#27
○伊藤修君 法務総裁は非常に簡單におつしやいますが、一体檢事の補充というものは一般職から持つて來るわけに行かないし、相当の資格を要しますし、相当の熟練を要しますが、その場合に容易にその補充ができると御確信がおありになるのですか。現在ですら私は足らんと思うのです。その場合に第一線檢事を事務の方にお廻しになりまして、それを又戻してやるというような安易なお考えが実現できるでしようか。又現在相当馘首される、いわゆる退職して頂くというその補充をも私しむずかしいだろうと思うのですが、その点どうでしようか。
#28
○國務大臣(殖田俊吉君) 私も非常に実は困難な仕事であると憂慮いたしているのでありますが、本廳に保有しております檢事は成るべくできるだけ多くを檢察へ送り返す。それから又弁護士の方からも檢事に來て頂く。それから今度修習生の卒業生も出ますので、それからも採りたい。こういうことを考えております。お話のごとく檢察官は資格がむずかしいのでありますから、檢察面を補充しますよりも、本廳の事務官を補充する方が容易だろうと思います。先ず事務官の補充をうんと努力いたしまして、そうしてその結果、檢事の方へ送り返す率を多くしたいと、こう考えております。非常にむずかしいこととは承知いたしておりますけれども、何分にもいろいろな状況で、かような変則な制度も亦存置せしめなければならないという状態であることを御了承願いたいと思います。
#29
○伊藤修君 我々が取扱つている上におきまして、最近「当分の間」を非常に使い慣らされるのですが、その当分のうちにならんのです。相当長い間当分のうちが継続されるのです。一体当分のうちというのは、どのくらいのお見込みでありますか。その点を一つ伺つておきたいと思います。
#30
○國務大臣(殖田俊吉君) むずかしい御質問でありまして、どうも何年と限られませんが、成るべく速やかにこの條文を不要に帰せしめるように努力いたすつもりであります。何年と申上げたいのでありますが、ここで私自信を以て何年と申上げることができないのは甚だ残念であります。
#31
○伊藤修君 だから只今その衝に当らるる法務総裁におきましても御自信、御確信がないごとく、結局こういうことは過渡期の便宜規定には相違ないのですが、それが便宜でなくて常態になつてしまうという虞れがあるのです。從つて私が申上げましたごとく、結局行政官と特別な檢察官しの待遇の均衡というものを失して來る。これは延いて一般公務員に対するところの問題に発展して來ると思うのです。若しそういうことになりますると、先に我々が特別な職として、特別な地位、待遇をしなければならんという強く主張したところの根本の基礎を失なつて來ることになりまして、後日必らずや一般職の方からこれを問題化される虞れがありはせぬかと思うのです。その点は十分一つ法務総裁におきましても御考慮に入れて頂いて、かような便宜規定、過渡期の一時的な規定は、速やかにその運用を廃止するような方向にお持ち願いたいと思います。若しそうでないとするならば、今後におけるところの檢察官の待遇に対するところの法律案が若し出て参つても、私はその点が重要な反対の根拠になつて参りはせぬかと思います。
 それから、この点はもう一点伺つておきたいのですが、先程ちよつとお話がありましたが、弁護士に関する第九條の十一でありますが、これは成る程現在弁護士に対するところの管轄は法務廳においてされておるのでありますから、この法律において今入れられることはよいと思いますが、一体弁護士に関するあれは憲法の第七十七條ですか、いわゆる最高裁判所のルールに関するところの制定権を持つております。あのルールは嚴格なルールだけというふうに御解釈になるのか、或いは弁護士に関するところの所管をも含むとお考えになるのですか、その点をお伺いしたいと思います。
#32
○政府委員(佐藤藤佐君) お尋ねの憲法第七十七條には、最高裁判所は弁護士に関する事項について規則を定める権限を有するという明文がありまするので、只今お尋ねの点につきましては、私共はルールに関する権限を特に新憲法において規定したものと解釈いたしております。
#33
○伊藤修君 そうすると、ルールを制定するならば、從つてそれに対するところの所管をも最高裁判所の方において、むしろとるというふうにはお考えにならんでしようか。まあ新しい弁護士法におきましては、独立するという建前にはなつております。けれども若しこの法律において、これは現在のことを規定しておるという今朝程の御答弁でありまするから、將來をもこの十一項に含まれるということになりますと、その点の御解釈を明らかにして置いて頂きたいと思います。いわゆるルールの制定権があれば、尚それに対する所管をも併せて持つことが本來ではないかというふうに考えられて來やしませんかと、こう思うのであります。
#34
○政府委員(佐藤藤佐君) 現在の弁護士法が改正せられまして、弁護士並びに弁護士会に関する事項をどこで所管するかという、いわゆる行政管轄の問題については、新しい弁護士法で規定されることと思うのでありまするが、さように現在の所管が変りましても、裁判所が弁護士或いは弁護士に関する行政事務を管轄するということは、私はむしろ適当ではないのではないかというふうに考えるのであります。と申しまするのは、申上げるまでもなく新憲法において、又旧憲法にも同樣でありましたが、司法権は裁判所の行使するところでありまして、その司法権行使について必要な範囲の行政事務、新憲法におきましては殊に規則制定という立法事項までも認めておるのでありまして、その司法権行使に必要な最小限度の立法又は行政を実は予定しておるのでありまして、その立法及び行政に関する事項について、事務取扱いについての不当なることが、たといあつたとしましても、これは國会に対して何ら責任を負うべきものではないと思うのであります。そういう國会に対して無答責の事項は、それは司法権行使に絶対に必要な最小限度に止めるべきものである、かように解釈せられまするので、第七十七條の規則制定権を認めておるから、それに関連する弁護士及び弁護士会に関する行政事項も全部裁判所でこれを管轄すべきものである、そうしてそれが無答責であるべきものである、こういうふうに廣く解釈をすることは妥当ではないように考えられまするので、私は第七十七條に規則制定権を認めておるから、故に弁護士及び弁護士会に関する行政も裁判所が所管すべきものだというふうな結論にはならないのじやないかというふうな考えを持つております。
#35
○伊藤修君 最高裁判所においては、さような只今の佐藤さんのお答えとは反対の考え方も持つておるように聞いております。盛んに権限を主張しておるようでありますが、只今佐藤さんの御説を伺いまして、その点は明瞭になつたのでありますが、そうすると第九條第十一の事項は、現在の弁護士会の管轄権は法務廳におありになることは明らかである、從つて新弁護士法によつてその所属が独立するか、或いはその他に決定するか分りませんが、その場合においては本項においてあずかり知らないところである、いわゆる本項に含まないことである、こういうふうに伺つてよろしうございますか。
#36
○政府委員(佐藤藤佐君) 第九條の十一号は、御承知のように現在の法務廳の所管事項を掲げたのでありまして、若し將來新らしい弁護士法の改正法律によつてこの所管が変更せられまするならば、当然第九條の十一号の変更を見ることになるのであります。
#37
○伊藤修君 私の質問といたしましては大体論だけにして置きまして、尚これは予備審査の程度と存じますから、若し將來本審査の場合におきましては又お伺いすることにいたしまして、本日はこの程度にいたして置きたいと思います。
#38
○委員長(河井彌八君) それでは本日の連合委員会はこれで閉じます。
   午後二時二十七分散会
 出席者は左の通り。
  内閣委員
   委員長     河井 彌八君
   理事
           カニエ邦彦君
           中川 幸平君
           藤森 眞治君
   委員
           河崎 ナツ君
           城  義臣君
           佐々木鹿藏君
           下條 康麿君
           三好  始君
  法務委員
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鬼丸 義齊君
           宮城タマヨ君
   委員
           遠山 丙市君
           深川タマヱ君
           來馬 琢道君
           松井 道夫君
           松村眞一郎君
  國務大臣
   國 務 大 臣 殖田 俊吉君
  政府委員
   法務廳事務官
   (調査意見第一
   局長)     岡咲 恕一君
   法務行政長官  佐藤 藤佐君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト