くにさくロゴ
1949/04/12 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 予算委員会 第10号
姉妹サイト
 
1949/04/12 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 予算委員会 第10号

#1
第005回国会 予算委員会 第10号
昭和二十四年四月十二日(火曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十四年度一般会計予算(内閣
 送付)
○昭和二十四年度特別会計予算(内閣
 送付)
○昭和二十四年度政府関係機関予算
 (内閣送付)
  ―――――――――――――
   午後二時三十七分開会
#2
○委員長(黒川武雄君) これより委員会を開会いたします。本日は経済安定本部長官から二十四年度の綜合資金計画についての御説明がございます。
#3
○國務大臣(青木孝義君) 本日お手許へ昭和二十四年度綜合資金需給見込概算という表をお配りいたしましたのですが、その綜合需給見込概算について総体的な構想を申述べたいと存じます。
 第一に、前年度におきまして、この特別会計における國債の発行、それから借入金の増加、復金債券の日銀引受けなどによりまして、通貨の増発があり、又これらの財政資金消化のために、治政の面から金融の面を圧迫する、即ちこの三十五%の融資規正というようなものがありまして、そういう事態が存在したのでありますが、本年度即ち二十四年度におきましては、今回のいわゆる総合予算の完全均衡の原則という下に、原則として國債の発行或いは復金債の発行は行わないという方針を執つておりますので、これらの面からする通貨の増発は先ずあり得ないということになるのであります。そしてそれのみならず、政府の予算を通じまして、又米國援助見込勘定から相当額の國債と、それから復金債の償還乃至は買上げが行われるので、インフレの停止、租税の増加等によりまして金融機関に対する貯蓄は、前年度程増加しないといたしましても、一般金融機関の手許資金は相当豊富になる面が生じますので、金融政策の運営よろしきを得ますならば、世間一般に憂えられておりますがごとき、デフレによる甚しい資金梗塞というものは生じないのではないかというふうに考えまして、我々としてはそういう観点から方針を立てておる次第でございます。かような方針を以ちまして、金融政策を運営いたすことにいたしますことが、我が党の目的でもありましたし、現在以上の通貨の收縮は行わないという建前を以ちまして、基本計画を立てようとするものであります。お手許に配付いたしました資料について申上げますると、表のこの左の方の資金供給関係、これから右側の方に資金配分関係が示しておるのであります。そこでその左側の資金供給源となるものは、一、金融機関の預貯金その他の資金、それから二が政府の予算から出される出資金及び借入金等の償還金、それから三が企業の自己調達資金、いわゆる増資資金乃至は社内留保の資金というものであります。そうして四が今回設置を見ましたアメリカの援助見返勘定からの資金、この四種類であります。それから金融機関の預貯金は昨年度程増加することは前に申上げました理由で期待し得ないのでありますが、貯蓄目標はこれより若干高く置いて、二千五百億程度となることになつております。預貯金の増加は少いのでありまするが、他面この前に申述べましたような政府の財政からの償還金、対日見返勘定からの資金放出が特に本年度の特徴として多額にありますので、資金供給全体としては相当多額を期待し得るという見込みであります。その代り昨年のような通貨の増発はない、こういうのでここに昨年の通貨増発が九百三十七億でありますが、今年度は零というようになることを示してあるのであります。
 それから右側の方の数字は資金の配分でありますが、一、財政上の資金は昨年度のごとく多額ではなく、僅かに鉄道、通信の建設資金と地方債のみでありまして、その外はすべて産業資金として供給し得る建前になるのであります。それから二はこの面におきまして、昨年のように復金の貸出しはないわけでありますが、金融機関からの貸出しを加えまして、アメリカの見返勘定からの産業資金として直接貸出乃至は資融機関に対しての國債償還が多額に期待されるので、貸出総額としてはむしろ前年度より若干上廻るような勘定にもなるのであります。この辺今後政府といたしましては、金融機関に対する指導のよろしきを得る必要があるかと存じておる次第でございます。それから増資とか、或いは社内留保につきましては、大体前年度と同程度と見ております。それから問題は長期設備資金に供給にあると存じますが、この表では直接現われておりませんが、経済復興計画遂行のためには、大体年間千六百億円程度の設備資金が最小限度必要と見込まれますので、これが供給につきましては、一般金融機関、なかんづくこの興銀であるとか、或いは預金部であるとか、農林中金であるとか、そういう金融機関の資金の活用に特別の工夫考慮をいたしまする外に、アメリカの見返勘定からの産業設備資金の直接放出をできるだけ多くするような司令部に懇請する方針で、只今折角折衝をいたしておる次第であります。以上大綱でございますが、この二十四年度の綜合資金の需給見込の概算を申上げた次第でございます。
#4
○委員長(黒川武雄君) 安本長官に対する質問を始めます。木村委員。
#5
○木村禧八郎君 只今資金計画についての御説明がありましたので、これに関連しながら二、三質問いたしたいと思うのであります。
 只今の御説明では結局綜合資金需給の結果、通貨増発は零となるということになつております。そうして安本長官のお話によりますれば、見返資金その他から相当の資金で出るからそんなにデフレにはならないだろうと、そういうお話でございましたが、併し私はそうは思えないのです。大体今その理由として二つあると思うのです。その一つはこれまで一般の経済界はこのインフレーションがもつと続くという考えで進んで來ていたのです。又安本においてもいわゆる中間安定方式というもので進んで行つてインフレをなし崩し的に收めて行くという、そういう方針で來たわけなのです。それを一挙にインフレを処理するという建前を取られているわけであります。通貨面から言えばその増発を零にするということなんであります。そうしますれば、これは物理的に言つても、汽車が進行しているのに一挙に止めれば反動というものが來るわけであります。この点から言つても、これはむしろこの一挙安定方式はデフレになる、相当なデフレが來る、この通りに行けばです。そう見なければなりませんし、それからもう一つはこのデフレを緩和するところの見返資金が、千七百五十億というものは一時にそれが積立てられるわけじやありませんので、見返物資が入るに連れてそれを買却して漸次積立てられる、そういうわけですからこの資金の配分と、その見返物資の入り方がマッチしなければ、そこに非常な資金の需給間にアンバランスが出て、これをどう調整するかということが今問題ですけれども、そこにどうしてもズレが出て來ると私は思うのです。その他、又他の原因で、徴税の強行その他のことを考え合せますれば、私はむしろこれはデフレになると、そういうように考えるのですが、その基本の考え方について安本長官と少し違うのですが、この点は今後のいろいろな対策を考える場合に重要な問題であると思いますので、その点安本長官の御意見を質したいと思います。
#6
○國務大臣(青木孝義君) お答えいたします。御説誠に御尤もだと存じますが、御承知の通り経済安定本部は復興計画を立てまして、いわば漸次に安定して行くというような態度をこれまで取つて参つたのであります。ところが今回の予算の均衡ということから参りました、いわば急激な可成り強い方法で、これは日本の留興計画を考えなければなりませんということになつておりますので、可なりというか、ドラスティックな方法で臨むということになれば、勢いこの復興計画に対しましても多少のズレが生ずるだろうというようなことも、もとより我々の懸念をいたすところではあります。併しながら今回のこの資金計画を通して見まして、通貨が大体三千五本億という程度に抑えられておつて、而も現在のところでは三千百数十億程度であつたと存じます。先ず今日我々の目標としているディスインフレという目標、抑制インフレと申しましよすか、インテレ抑制と申しますか、ともかくもこの日本のインフレを緩漫化す、こういうことで或いはできることならば、ここで止めてしまう、こういうこととの間を考えて見ますると、この予算から言えば、確かにここで一應はつきり止めてしまうというくらい強いものだと考えます。その結果我々の感じとしては、多少そうおつしやるような懸念が伴うと存じます。併しながらよくその資金面を考えてみますと、この間の金融の操作のよろしくを得ますならば、それは可なりむずかしい問題ではありますけれども、とにかくもこの操作を適宜にやつて参りますならば、おつしやるようなデフレーションに突込んで行くというふうなことは避け得られるのではないかというふうに考えまするし、又政府の支拂等に関しまましても、今後成るべく早く、支も民間の資金等の充実についても、できるだけ適当な配慮を急速にやつて行くというようなことを考えて行つたならばどうかというようなことも、只今私共としては考えておる次第でございます。その結果ともかくデフレーションには持つて行きたくない、持つて行かないような措置して参りたい、そういう努力や大いにやつて参る考えでおる次第でございます。
#7
○木村禧八郎君 只今のお話ですと、どうも希望的にデフレーションにいたしたくない、そういうお考えと、この資金計画から見てですね、これはデフレーションになるかならないかということとは問題が違うと思うのです。私はこの資金計画から見て、この通りに若しか資金計画をおやりになれば必ずデフレーションになる、この数字に基いて御質問して置きたいのです。先ず通貨が零になるということが、その一つの理由でありますが、更に突込んで見ますと、この金融機関の貯蓄二千三本億というのは、これは私は過大であると思うのです。それから貯蓄目標を二千三百億にすると、これは目標計画であるとすれば、これはただ努力目標に過ぎないのであつて、実際問題としてイギリスにおいてディス・インフレをやつた場合にも貯蓄は半減しておるというふうに言われておりますが、昨日の予算の公聽会において、千代田銀行の千金良氏の公述によりましても、政府は預貯金の増加を二千二百億円くらいの目標として掲げられておるけれども、一千五百億乃至一千七百億円に抑えるのが適当ではないか、こういう公述をされております。更に全銀連の書記長の人の公述によりますと、これまで政府が預貯目標を掲げて來る。そのために年度末に行くと無理にも貯蓄目標に達せなければならないということになつて、そこに非常に弊害が出てくる、例えば両建みたいなことにして、そうして無理に貯蓄を殖やす、こういうような頃常に無理が生ずる、それに又いろいろな弊害が伴つて來る。そういう公述であつたのであります。実際問題としてそういう金融の専門家が、これは過大であるのではないか、むしろ自分はまあ非常に石橋を叩いて、金融業者であるから堅く見透しをしておるのだというお話もありましたが、それにしても相当過大であるように感ぜられるのです。こういう面から先ずこの貯蓄目標についても私一つ問題があると思うのです。
 それから更に資金配分の直接投資ですが、直接投資を七百億と見積つておられるのです。これは二十三年度よりは二百億殖えておりますが、若しかこれが本当デフレになるということになれば、私はこの直接投資はそんなに期待できないのじやないか、社債、株式をどの程度にお見込になつておるか分りませんが、これも少し過大ではないかと思うのです。それは一に懸つて今後の経済情勢にあると思うのですが、相当私は甘く考えておるのじやないか、この予算を本当にこの通りに実施するならば、それは私は相当のデフレになる。その点が資金計画の数字から見ても私は思われるのでありまして、從つてただデフレにしたくないという希望だけでは足りないのであります。もう少し根拠のある推定をされ、若しかそうしてデフレになるならば、なるような対策をやはり用意しなければいけないのであると思うのです。この点についての御見解を承わりたいのです。
#8
○國務大臣(青木孝義君) この貯蓄目標でありますが、これは大体昭和五年から十年くらいの間の大体経過を見ますと、普通六年ですが、十年ぐらいまで見ますと、何とか一〇%ぐらいには行つておるということでありますので、貯蓄目標ということで少し甘い感はいたしますけれども、目標ということもございますので、二千三百億ということに相成つておるのであります。大体一〇%ということであります。それで昨年、二十三年度は六百八十億、直接投資でありますが、これは七百億、二十億ばかり余計になつておりますが、大体腰だめのようであります。社内留保を四百億ぐらい、それから増資を三百億ぐらい見ておるのであります。そうして尚その外に増資につきましては、株式市場の再開というようなことも考えておりまするし、それから会社の固定資産再評價の可能性というようなことをも考慮いたしまして、大体こういう資金の配分を考えた次第でございます。
#9
○木村禧八郎君 只今のお話ですと、資産再評價ということもお考えであるというようなお話ですが、これはいろいろな問題があつて、そう簡單にこれはできない問題と思いますが、その点をこれに織込んでおるということになると、この資金計画というものは、非常に杜撰なものであるということになると思います。実際できないものをそういうふうに……。その点もう一度お伺いしたい。
 それから更に安本でこれは御承知の筈なんですが、政府が五千七百八十億の民自党の公約を盛り込んだ予算を作つて時の資金計画、あの時においては、大体自己資金というものをこんなに大きく見積つておらなかつたと思うのです。併しそれも大体政府の資金が一千億ぐらい支拂起過になる、そういう前提で貯蓄が三千二百億ぐらい殖える、そういうときの推定が大体四百億ぐらいなんです。それにも拘わらずこれが七百億というふうに非常に大きく出であるので私は不審の感がしておるのですが、その点が一つ疑問であるということ。もう一つは更に昭和六、九年の國民所得を基礎にして、そうして、この貯蓄目標を推定したと言われるのですが、確かそのときの計算では一千八百五十億ぐらい、一千八百五十億ぐらいの推定だつたと思うのです。そうしますと、この資金計画を何んだか我々が見ると、無理に作るためにこれを二千三百億にしたというふうに見受けられる。一千八百五十億でもこれは多過ぎるのではないか、そういう意見であつたのです。先程も予算委員会において、千代田銀行の千金良氏の証言するところでも千五百億乃至千七百億と見る、こういう意見もある。從いまして、二千三百億という貯蓄、これは目標であると言えばそれまでですが、もう少し科学性を持つて推定をすべきではないかと思うのです。この点非常に杜撰のような感じがするのですが、その点御意見を伺いたい。
#10
○國務大臣(青木孝義君) 昭和六年を計算しますと、多分七、八%、八%ぐらいになつておつたと思うのです。併しそれを十年……。少し多くなつておると思うが、そこらで少し幅が出ておるわけでございます。おつしやれば甘いということも、私必ずしもそれに異議を申しはいたしませんが、そこでまあ、私といたしましては一千八百億とか、二千億、こういうことも考えたのでありますが、併し昨年の預貯金というようなものを考え合して、何んとか大いに努力したいというようなことをも加えまして、二千三百億ということにいたしておる次第でありまして、そこらのところで私共の目的を達成したいと思つておる次第でございます。尚現在増資氣構が一般に看取されておるのでございまして、この点は御承知のことかと存じておるのであります。
#11
○木村禧八郎君 それから直接投資、再評價……。
#12
○國務大臣(青木孝義君) この再評價によりまして、流動資金等については、何んとかできるのではないかというのが、我々の考えなんです。
#13
○木村禧八郎君 只今安本長官のお話ですと、再評價は何んとかできるのじやないかというお話ですが、これは相当大きな問題じやないかと思うのです。もう少し根拠のある、國務大臣として責任のある答弁を願いたいのです。何んとかできるのじやないかでなくて、この問題については確定的なことが若しか言えませんのなら、この再評價問題に関する経過でも一應お伺いしたいのです。今どういうふうになつておるか、これは外資導入その他の問題と関連して非常に重大な問題になつておりますので、はつきりと一つお伺いしたいのです。
#14
○政府委員(中川以良君) 只今の木村さんのお話でございますが、再評價を今日政府が直ちにするとはまだ確定をいたしているのではないが、今日の各企業の資産の状態を仔細に檢討いたしますと、確かに現在の時價を以ていたしますときは、帳簿價格と比較いたしまして、数等余計なものに相成つておりまするので、今後企業の健全な運営をいたします上においてはこれが再評價という問題を是非取上げなければならないと存じます。かような意味におきまして、今日そういうことが論じられるにつれて、企業に対する國民の信頼感と申しまするか、今後企業に投資をする、増資に應ずるというような氣構えも活溌にできて行つておりますることは事実でございます。左樣な意味におきまして、再評價の問題も直接影響がないにいたしましても、間接的に今日投資方面には非常に好感を與えておる、かように考えております次第でございます。
#15
○木村禧八郎君 それは非常に今の御答弁は、大体再評價を織り込んで、株式なんかも騰貴しているとか、或いは又いい効果を及ぼしておるというお話ですが、若しかこれができなかつたら、そういう問題が許されなかつたら、これは非常に惡い影響を逆に與えるのです。この問題はもう御承知のように非常に重要な問題だと思うのです。例えば商工大臣もこの前の予算委員会において、外資導入の問題と関連して、この問題を言われましたが、そう簡單にそういうものができるものかどうか。若しかできないのに、なかなか実現しないのに……。これは何も日本政府がそう思つても直ぐ達成できるわけのものじやないけれども、関係当局との、有力筋とのいろいろな折衝もあると思います。そういう点について経過をお話し願えたら、若しか差支があれば速記を止めてでもよろしうございますから、率直にお話し願いたいと思います。
#16
○政府委員(中川以良君) なかなかむつかしい問題でございまするが、再評價の問題につきましては、これは御承知の通りに、大藏省にございまする審議会においていろいろ論じられておりまするので、まだ結論に達しておらない次第でございます。ただ私共の考えますることは、一應今日の企業というものは、持つておりまする資産の内容を檢討いたしますると、今日の時價に評價いたした場合、これを更新する場合には、相当帳簿價格とは距りがあるということも調べておりまする次第でございまして、かような意味において、一般に企業に対する、先程も申しましたごとく、信頼感を増して來ておるということは考えられておると思います。かような意味において本年度において投資約三億程を我々は見込んでおるのでございますが、それくらいのものは、一般の投資が集まるじやないかということで、ただ再評價があるからということは決して申上げておるのではなくて、再評價という考え方から、つまり企業の資産の内容というものの檢討のし方によりまして、いわゆる好影響を投資に及ぼす、與えるということを申上げておる次第でございまして、再評價の結果どうなるということを申上げておるのではないのでございます。
#17
○木村禧八郎君 それは分りますが、再評價問題を織り込んで、投資家が多く投資するであろう、そういう御説明をなんですね。その再評價が許されるかどうかは別問題として、そういう問題を織り込んで、増資すればそれを買う人が多くなる。投資家が多くなるだろう、そういう推定において八百億という自己投資、直接投資ですか、これを織込んだ、そういう御説明ですか。
#18
○政府委員(中川以良君) これは株式市場のことでございますので、株式市場は御承知の如く、いろいろな要素を織り込んで、いわゆる評價をされて参りますので、そのうちの一つの好條件としては、確かに言われるじやないかということを申上げておるので、決してそういう強い意味に考えておるのではないのであります。
#19
○木村禧八郎君 その問題はまだ大藏省においても、この委員会においても決定されておらないというお話でございますから、これ以上御質問しても仕方ないと思いますが、併し私がさつき安本長官が何とかなるのじやないかといつたような推定に基いて、非常に簡單に考えたような立場から御答弁されたので、それは余り軽卒じやないか。こういう意味で少し諄く御質問したわけですが、この問題はその程度にして置きまして、更にもう一点お伺いしたいことは、先程も安本長官からの御説明がありましたように、民間の金融機関の演ずる役割が非常に大きくなつて來るというお話でございましたが、これにつきまして今までの日本銀行でも、市中銀行でも、これは昨日の予算公聽会における大内兵衞博士のお話しによつても明らかな通り、日本銀行、市中銀行はまだ日本の軍國主義を育てたような、ああいう性格はまだ本当に拂拭されていない、そういう話がつたのであります。そこで今後これは非常に日本銀行や市中銀行の力が強くなりますので、これについてどういうこれまでのような性格を是正し、或は調整するというような方法をお考えかどうか。これについては過日恐らく衆議院だつたと思いますが、安本次官は昨年の八月十七日でしたか、司令部から金融制度改革の指針というものが示されて、それによつていわゆるバンキング・ボードを設置し、そうして日本銀行も改革し、その他市中銀行も金融業法というものを作つて改革するという方針がありますが、それは一應取止めになつたというお話がありましたが、この点重ねてお伺いして置きたいのです。
#20
○國務大臣(青木孝義君) この市中金融機関に対しまして、いわば自立性と申しますか自主性を持たせるということは、日本経済の実は行くべき方面がこういう面で強く現われておると私も考えておる次第でありますが、ともかくこの金融機関の運営、金融上の操作につきましては、やはり何らかの方策を考えなければならんではないかということは、私も考えておるものでございます。というのは一般市中銀行というものは短期の資金については、これは資金の充実に從つてどんどん運轉資金なり各種の方面にその用益を果すと存じますけれども、長期の資金の問題になつて参りますると、やはりその点で多少考えなければならんということになるのではないか。殊に設備資金というような面について考えますると、当然そういうことが考えられますので、この際日銀における例えばオープン・マーケット・オペレーションというような問題についても、亦その他の金融操作の問題についても何らかの考え方を持つて臨まなければならんだろう。こういうことを考えておる次第でございます。
#21
○木村禧八郎君 若しお差支えなければ、これは大藏省の方にお伺いいたす方がよろしいかとも思いますが、新聞には日本銀行の改組のことについていろいろ報道されておるのでありますが、若しか安本長官御存知でしたらその改組の方向及び内容、それから又構想でも結構ですから御説明願いたいと思います。
#22
○國務大臣(青木孝義君) 御質問でございますが、その点は、御承知の通り主として大藏大臣がこれまで考えており、今後どういうふうにするかということについて何かお考があるかとも存じますが、私といたしましては、只今のところまだその相談には與つておりませんので、やはり大藏大臣の出席の機会にその点は御質問願いたいと思います。
#23
○木村禧八郎君 それでは先程御質問申上げたのですが、昨年八月十七日に司令部から提出されました金融制度改革の指針、これについてこれはどういうふうにやつておるのですか。これに基いてバンキング・ボードというものをお作りになるのですか、或いは又バンキング・ボードの下に日本銀行を監督して行くということになるのですか。この指針はいつたいどういうふうになるのですか。
#24
○國務大臣(青木孝義君) お答え申上げます。昨年の夏の御指摘のその方向と違いまして、日本銀行法の改正によつて、現在の重役会の外に、その上に政策委員会を設けるというような構想であります。委員は大体七人、それで今のところその構想としては大藏一名、安本一名、日銀一名、これは職務上でありますが、それから金融機関一名、産業二名、学識経驗者一名、そういう構想になつておるということでございます。
#25
○木村禧八郎君 そういうことは新聞にも報道されておりましたが、これは行政機関でありますか。
#26
○政府委員(内田常雄君) 御質問の点につきましては、今問題は実は進行中でありまして、極く最近までのところでは行政機関としてではなしに、つまり昨年の夏問題になりましたようにバンキング・ボードというような形の日銀そのものでもない、政府そのものでもない我が國の憲法上非常にむずかしい、殊に國会に対する責任を取る建前において非常にむずかしい立場を取るという構想ではなしに、日本銀行の組織の一部として、ただ併し日本銀行が從來の日本銀行のままで行くのではなしに、日本銀行が例えばアメリカのフェデラル・レザーブ・ボードの機能をその中に取込んだ形で進む、從つて表面から申しますと、日本銀行そのものという機構で進むということで参つておりますが、その後司令部方面との話合の途中において行政的機能をも持たせるような問題が現在ちよいちよい出て來たりいたしまして、これは主として大藏省が当つておりますが、その扱い上特に愼重を期しておるところでございます。尚大藏省の今までの考え方としては、できるだけいずれかの方向に決めて、本國会に日本銀行改正法案を提出するということで進んで來て参つていることは承知しておりますが、後から申上げました行政機関的政策、或いはファンクションの何ものかを得るということは、更に発展いたしますれば、簡單には参らんと思います。
#27
○木村禧八郎君 只今のお話で経過は大体分りましたが、安本長官に金融の問題をこのようにしつこくお尋ねするのは、先程もお話がありましたように、今後金融政策というものは、日本の國全体の経済を動かす程重要になつて來るのでありまして、結局二十四年度予算を実行した結果、それを成功に導くか失敗に導くか、又それをどういうふうな内容で日本の経済にこの二十四年度予算を盛り込んで行くかという問題と非常に関連して、非常に今金融政策が日本経済全体を動かす程重要になる。そういう意味で経済安定本部としても、総合的観点から特にこの金融政策を重要視されなければならん。單にこれまでのように金融という單なる一部門ではなくて、今度は財政以上に大きな比重を持つて來るのじやないか。そういう点において御質問申上げたんですが、先程のような日本銀行の改組でありますと、私は非常に危惧される点が出て來るんじやないかと思うのです。これまでどうも大藏省は、又政府は、金融政策に対して余り強い発言権を持つておらない。大体日本銀行総裁というものは非常に強い発言権を持つておる。例えばこの前の高率適用の問題でも、あれは一体どこに責任があるか、高率適用によつて金融を引締め、非常に影響があるわけですから、金融引締めによつて産業界に非常に大きな影響が出て來る。そのときの責任はどこにあるか、あれは恐らく金利の改訂のときには大藏大臣は認可したと思いますが、その認可された金利の範囲内で、高率適用をするしないは、これは日本銀行総裁の、日本銀行の意向一つにあるのであります。そういうような場合に、若しかその金融政策が間違つた場合、一体これはどこが責任を取るのか、誰が責任を取るのかという点が明確になつていないと思います。今後の責任関係ですね。金融政策が間違つた場合に、非常に大きな影響を及ぼすんですから、日本銀行の金融政策が間違つた場合に、責任をどういうふうにして取るか、そういう点についての考えをお持ちになつておるかどうか。今進行中の日銀法改正については、そういう点がこれに入れられておるかどうか、政府委員で結構ですからお答え願います。
#28
○政府委員(内田常雄君) 高率適用の問題は、恐らく日本銀行プロパーの権能でやり得ることになつておりますが、御承知のように、日本銀行そのものは日本銀行法に基きまして大藏大臣の監督下にある機関でありますから、政治上或いは憲法上、形式的には日本銀行の政策の問題は大藏大臣の責任下にあると思います。今回仮に先程のような民間の産業、或いは学識経驗者、或いは安定本部等の代表者をも加えましたポリシー・メーキング・ボードが日本銀行の中にできました場合には、從來と趣きは非常に変つて参りまして、形式的にはやはり恐らくその場合の日本銀行も、大藏省の監督の下に置かれようと思いますが、政治的には恐らく安本なり、或いは政府全体なりの責任の形が、現在より一層明確になつて來るのではないかと思います。
#29
○木村禧八郎君 形式的な責任の所在は、今お話の通り日銀法に基いて大藏大臣が取る。これは分つておりますが、問題は実質的な責任であつて、金融政策が間違つて、そのために非常に日本の國民経済に惡い影響を及ぼしたというときに、大藏大臣が一人辞めても、これは追つつかないわけでありまして、そういうことができないように、そういうふうにさせないようなそういう機構なり、そういうものを作られることが望ましいと思うんです。それでそれについて私は只今のような構想の日銀の改組では私は不十分じやないかと思いますが、これは見解になりますから申しませんが、最後に一つ安本長官にお伺いしたいんですが、経済を計画的に安定さして行く、或いは計画的に再建して行くという場合に、この金融機関をこれまでのように営利機関として、その安全性と收益性を主として営業する。そういう機関に非常に大きな金融上の力を與えるということに対して、そういう形において日本経済を計画的に安定した復興をすることが実際問題としてできるかどうか、この点についてお伺いしたいんです。
#30
○國務大臣(青木孝義君) 勿論おつしやる意味の計画ということの考え方でありますが、日本の國民経済というものが今後ともかくも自立性を保つて行く、或いは自立性を穫得する、こういう意味での予算の方向なり、又今回のこの予算全体というものを考えて見て、勿論無計画だとか何とかいうことではございませんので、できるだけ計画性に側つてやるということは考えておりますけれども、併しこれまでの金融機関というものの、戰爭から引続いていろいろな経過を辿つて見ますると、いろいろな活動そのものを制約するという点が相当に強かつたということは考えられると思うのであります。併しこの際一般金融機関の資金を充実するというような意味におきまして、復金債なり國債なりを買上げるというような方法によつて、資金は充実されるということになれば、金融機関は元來それ自体としてはおつしやり通りに、その金融機関としての自己の利害ということを中心として考えるというまでもございませんが、併しながらそのためにはやはり適当に資金を貸出す、或いは資金の活動を有効ならしめるということは、金融機関それ自身が産業との関連において考えられまする限り、それ程我々は心配しなくてもいいんじやないか、或る程度まではこれに自立性を持たせるということによつて、経済の全般的な発展に寄與して行くということになるんだという観点から、おつしやるような計画経済、例えば場合によつては公共銀行とか、或いは金融機関の國営であるとか、そういつたように必ずしも考えなくてもいいんじやないかというふうに私は考えておる次第であります。
#31
○木村禧八郎君 私は少なくても日本銀行は國有にすべきである、しなければ計画的な金融はできないと思いますが、これは意見でありますから、この点は爭つてもいたし方がありませんが、ただ金融機関の社会性、公共性、これを実際問題としてもつと高めるためにアメリカからの見返資金というものは國民全体の利益のために與えられておるのでありますから、その金によつて市中銀行、日本銀行等の持つておる國債とか復金債が償還される、それによつて市中銀行あたりも、特に大銀行は手許に余裕ができて、その金を運用して非常に多くの利益が挙げられると思うのであります。そういう場合にそういう利益を勝手に一部の金融業者にこれを與えるということはこれは許され得ないと思う。そこで今後、今まででもそうですが、大銀行、金融機関は非常に沢山儲けているのです。これはもう明きらかです。その賃金水準も非常に大きくて、そこの経理というものは非常に問題になると思うのです。今後金融機関のそういう社会性、公共性を強める意味において、政府は金融機関の経理面についての何か措置を講ずる考えはないかどうか。それから一部に傳えられるところによりますと、最近金融機関では配当の復活を要求している、そういうことを言はれています。こういう点について、安本としては日本経済全体の再生産を順当に行なつて行くというそういう見地から言つてこの点についてどういうふうにお考えになりますか。
#32
○國務大臣(青木孝義君) お答えいたします。民主自由党といたしましては、いわゆる金融制覇の政策を採るものではございませんので、その点は特に御信頼を願いたいと存じます。
#33
○木村禧八郎君 そういう抽象的なことでなく、私は抽象的な質問をするのでしたら抽象的なもつといわゆるイデオロギー的な質問もできるのでありますけれども、そういう質問ではなく、具体的なことをお伺いしているのであります。具体的な金融機関に対する経理を問題にしているのです。最近非常に問題だと思う経理についてどういうふうにお考えか、又配当の問題、金融機関の配当復活の要求が相当あるけれども、今後國民全体のためにアメリカから援助してくれる千七百五十億の中からそういう金が金融機関に沢山に公債償還、復金債償還として返つて金融機関に資金の余裕が沢山できてそれによつて非常に儲かるのですから、そういう儲けによつてどんどん配当をしたり増配して行けばこれは相当社会公正の観念から言つて問題になると思うのです。そういう点具体的にお伺いしているわけです。
#34
○國務大臣(青木孝義君) お答えいたします。その点につきましては、只今大藏省から米國対日援助見返り資金特別会計法案というものが提出されることになつておりますし、尚援助資金が効率的に使われるということについての配慮については、お説のように私共も十分それらのことを配慮して、この金融対策を考え且つ又日本銀行法の改正等と関連的にそれらの問題を一つ遺漏なく考えてみたいというふうに存じている次第であります。
#35
○木村禧八郎君 まだそういう御答弁では納得行かないのですが、他に小川さんも非常にいろいろ御質問があつてお急ぎのようですから、一應私はこの程度にいたします。
#36
○小川友三君 先程から木村先生の質問で私の八割くらいもう終つちやつたのですが、簡單に大臣にお伺い申上げます。今の政府がやつていらつしやる経済安定方法は、ディスインフレとディスデフレの噛み合せをやつていらつしやるように思いますが、それに対する御所見を先ず第一番にお伺い申上げます。このディスインフレとディスデフレの噛み合せをやつているという実態は、政府がディスインフレの政策を実践している証拠として、昨年の十二月には政府未拂の金が二百七十億、本年の一月には殖えまして四百三十億でありました。二月には又殖えて四百五十億、先月は又殖えて六百億であるという莫大な支拂を政府は停滯している。これは計画的に政府に納入する業者からインフレを抑制するために支拂いを延ばしているというような有機的な動きをやつていらつしやるのだというような見方が当つておりますかどうか、この点につきまして安本長官の御意見を賜わるのと、それから一方輸入品に対しましては補助金を出して、そうして輸入品の賣捌きをやる、又一方輸出品に対しましては補助金をやらないで自由に高能率的な生産業者に資本が集中して行つて、それが輸出をやらせるという形態になつておるのでありまして、これはデフレとインフレに対して、大きな抑制を政府が加えているという実体につきましてお伺いします。その反應として反動がここにできます。その反動としまして輸出品は採算の引合はないところのいわゆる一ドル四百五十円以上の品物が、輸出品の四五%前後を占めておるのであります。それか商品が輸出で引合いませんから、國内消費というものを目標にしまして、大きな渦を巻いて販賣線に出て來るというわけになりますると、今までは補助金があつたが、ありませんから公定價格を政府は引上げてそうしてその差益税を課けて戰はなければならんという状態に当然に入ると思いますが、安本長官はどうお思いになつておりますかお伺いいたします。それと同時に政府においては物價改訂はしないという公約はしたが、併し諸般の情勢からこういう工合になつたのだから、物價改訂をせざるを得ない状態に入ると思が信じておるものが沢山あります。それは綿製品を初め絹製品にしましても、或いはその他今まで輸出した四百五十円以上のドル対円貨が上つて行くが、物價改訂をどれとどれをなさる御予定でありますか、その点を先ず含めてお分りになつておる範囲でいいからお洩らし願いたいものであります。
 それから二千三百億の預金問題ですが、これはできると思つて居ります。もつと行くのじやないかと思います。今國会の郵便局でも貯蓄奬励をやつておりまして、私が電報を打ちに行つたら掴つて貯金をして來ました。そういうふうに貯金はなかなかうまく行つておりますからその点は信用いたします。それから株券の再評價、会社の再評價、これは政務次官から御説明がありましたが、数倍、二十倍に評價できる優秀会社が沢山ありますので、この七百五十億というものはむしろ見積りが少いのじやないか、直接投資という工合に積極的に考えられます。そこでこのインフレがそこに行くのを抑制するというのと、又デフレに入る反面が沢山あるというのがこのいわゆる資本、金融業者の金というものが優秀工場、優秀工場へと投資されております。今も木村先生がおつしやいましたが、いわゆる戰爭前の独裁資本的な大きな工場がここにでき上つて行くということは、優秀工場に貸せば市中銀行は回收に困難を感じません。安全でありますからそういう形態は当然取られます。これに対しまして政府は所得税で課けて行くと思いますけれども、これに対する御所見を少し拜聽したいと思つております。それからこの一千七百五十億の救済基金に対しまして、安本長官はGHQに対しまして感謝の意をお表しになるお考えがありますかどうか、それをお伺い申上げます。
#37
○國務大臣(青木孝義君) お答え申上げます。先ず最初に政府の支拂いを抑制して計画的にそういうことをやつている、インフレになることを恐れて計画的に支拂を阻止している。そういうようなことをしはしないかという御質問であつたと思いますが、これはさようなことは毛頭ございません。むしろ内閣といたしましても、各省にそれぞれそういうことのないようにということを特に通告をいたしておる次第でございます。それからいろいろ御質問がございましたが、輸入の補助金を支給する、それから輸出には援助しない、そういうことでございますが、これは御承知の通り、輸入品につきましては、國内の物價への影響ということを勘案いたしまして、全部ではありませんけれども、輸入補助金を支給いたします。それから輸出につきまして、これはまあこれまでの経過から考えますると、誠に輸出するということに力を入れるというのならば、そういう補助もということも考えられるのでありますけれども、この際我が国の輸出産業というものをできるだけ合理化して、そうしてどうしても世界の市場における商品價格というものに鞘寄せをして、少なくとも世界の市場で日本の商品が競爭して行くということのためには、やはりそこに輸出産業そのものの強い合理化が要求せられるということにもなりまするし、輸出に対しては補助をしないということに相成つておる次第であります。
 それからこの價格調整費の支給と言いますか、それを廃止しておるということは、これは御承知の通り、基礎資材につきましてはこれは上げないということであり、一部分中には上げなければならんものもあると存じますけれども、併し物價を上げない、物價体系を崩さないようにと、こういう配慮から、ともかくも引上げなければならんようなものも、先ず上げないという方針をとつておるのであります。一部分何か個々には或いは引上げるというようなものもできるかとも存じますけれども、今申上げましたように、物價体系を崩さない、物價を上げない、こういう方針で、さように考えておる次第でございます。それから勿論物價が上ります場合に、この物價が上るということを抑制するということにつきましては、先ず第二次、第三次製品に吸收するというような考え方で進んでおりまするので、この程度の物價を維持して行くという方針で参るつもりでございます。
 それから今申し落しましたが、輸入補助金を支給せられない物資等は値下げをいたします。その点は、御承知の通りに、鉛とか、亞鉛とか、そういうふうなものが上げられておる次第でございます。それから後の製品につきましては、値下げをしなければならんようなものも、いわゆる價格の改定をしなければならんようなものも、相当にある状況にある次第でございます。
 右申上げましたような次第で、この物價の問題は、御承知の通り、我々は從來消費物資等について、相当に出廻つておるものについては、成るべく統制を外して行きたいというような方針を継続いたしておりまするし、又闇物價が公定物價よりも下つておるというようなものについては、むしろ公定物價を下げる、こういう意味で値上げの改定もすべきものが相当あるというふうに考えておる次第でございます。その結果、おしやつるようにディス・インフレ或いはデフレという問題でありまするが、先程から申上げましたように、我々としてはディス・インフレということを目標として、デフレーションになるというようなことをどうしても避けて参りたい、こういう考えであります。
#38
○深川タマヱ君 安本長官にお尋ねいたしますけれども、日本で今一番大事なことは、アメリカの援助資金を使わないで日本の國の経済を自立さすべく努力さすことなんですけれども、今度の予算には大変無理なところが多いように存じますけれども、仮にこの予算を通過さすとしたら、こういう調子で行つたら何年いたしましたら日本の國の経済が自立できるか。具体的に申しますと、今アメリカの援助資金は鉄道及び通信の建設資金と、それから復金及びすでに発行しておる國債の償還に決てておるようでありますが、いつまででも鉄道や通信の建設公債にもそれらのものを注ぎ込まなければならないか、即ちいつまでも独立採算制がとれないものかということが一つと、それから復金とすでに発行しておる國債の償還を何年くらいかかつたら償還することができるかと、こういうことになるかと思いますけれども……。
#39
○國務大臣(青木孝義君) これは只今の日本の竹馬経済と言われておる、千七百五十億、こういうものの支えによつて日本経済が維持されておる。これは甚だ遺憾なことでありまするし、一日も早くこういうことのないようにということは我々國民の念願でありまするが、今のところこれがないということになりまするならば、日本の経済というものは、到底現状を維持することはできないということでありますので、これが漸次少くなつて行くということに対する心配も世間にはいろいろと考えられておるのでありますが、勿論我々といたしましては、こういうものがなくなつて行くようにということでいろいろな計画も立てておりまするし、経済安定本部におきましても、五ケ年計画というようなものを立てて参つておりますし、成るべく早くこういう援助なしに日本経済が立ち行くことを考えてはおりますが、まだ何年経つたらばというような見透しはどうもつきかねておるような次第であります。
#40
○深川タマヱ君 お見透しはつきませんか、國民に呼び掛けるときに困りますけれども、それは又後にいたしまして、その次の問題をお尋ねいたします。
 所得税は前年度の國民所得にかけることになつておるのですけれども、國民所得の計算の方法につきまして、農業、漁業、鉱工業の場合は生産高にマル公をかける、それからサーヴィス業の料理屋とか、鉄道、バスなどは、お客様が拂つた金そのままそつくりにかける、お医者さんの場合もその通りになつておるようでありますけれども、私が一つ疑問に思いますのは、そういうものはやはり原料、労賃、金利、設備に対する減價償却、こういうものの上に、更に経営者が生活しなくちやならないのですけれども、その生活費を引かないで全部に直ぐ課税いたしますと、どうも生活費の出場所がなくつて非常に困るというようなことを聞いておるのですけれども、それに対して一体安本はどういう考えを持つていらつしやるのでしようか。
#41
○國務大臣(青木孝義君) ちよつとお伺いいたしますが、御質問の点は國民所得の算定の根拠でございますか。
#42
○深川タマヱ君 そうです。
#43
○國務大臣(青木孝義君) それはこういうことになつております。二十四年度の國民所得は、二十三年度の暦年の國民所得を基礎にしまして、そうして二十四年中の雇用と、それから生産等の見透しに基いて、且つ又この物價賃金水準等については、二十三年十一月の水準によりまして推定いたしている次第でございます。そして二十三年の國民所得は一應の実績でありまして、その各業種別、それから勤労所得、個人業種所得等を基準にしまして、それぞれに見合うところの雇用賃金、或いは生産物價等の推移を当嵌めて算定したものであります。勤労、業種所得以外の個人所得、法人所得等につきましても、それぞれに應じた指標によりまして同樣な算定をいたしております。その結果二十四年の國民所得は暦年で、一月から十二月までで二兆九千二百八十六億円、年度としまして四月から翌年の三月三十一日で二兆九千七百四十二億円と、一應の推定をされておるわけであります。
#44
○深川タマヱ君 今度租税が七〇%増大になるのでございますけれども、國民所得がそれ程殖えておりませんように思いますけれども、何%殖えていると御計算になつておりますか……。それは又後に讓りまして、外の方が待つていらつしやるようですから、最後の質問をさせて頂きます。
 失業救済と関連があるのでございますが、今度の失業救済の樣子を見ておりますと、どうもインテリの人には統計をさすとか、一般の人には燒跡の整理とか、それから失業保險金などが挙げられているようですけれども、どうも私インテリの人の統計も勿論あつた方がよいとは思いますけれども、今非常に困難なる財政支出を割いてそれに充てなければならないものとも思いませんし、燒跡の整理なんというものは、資力のある國民個人がやつてよいものであつて、今財政支出を割いてする性質のものでもないと思いますし、失業保險金なんというものは大体生産の裏付けがありませんので、インフレを刺戟することになる、今日千や二千貰つたつて一向救済の実が挙がらない上に、闇屋を拵えることになつて却つて安定を害すると思う。これで今度の失業救済の主眼点は貿易に集中しなければならないと思いますけれども、それに先立つものは資金ですが、今度のアメリカの援助資金は随分輸出貿易の方に注いでよいと思うのですけれども、一体輸出貿易の方にどのくらい向ける御予定なのですか。産業資金とだけは書いてありますけれども、援助資金は輸出貿易にどのくらい割くというようなことは分つていないのでございますが、如何ですか。
#45
○國務大臣(青木孝義君) お答えいたします。輸出産業にも一部分は向ける考えでありますが、まだ今のところその細かい資金計画はできておりません。
#46
○委員長(黒川武雄君) 宜しうございますか。
#47
○深川タマヱ君 はい。
#48
○委員長(黒川武雄君) それでは本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時五十四分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     黒川 武雄君
   理事
           油井賢太郎君
           飯田精太郎君
           島村 軍次君
           中西  功君
           木村禧八郎君
           岩男 仁藏君
   委員
           波多野 鼎君
           西川 昌夫君
           西川甚五郎君
           一松 政二君
           平岡 市三君
           深水 六郎君
           深川タマヱ君
           西郷吉之助君
           高橋龍太郎君
           伊達源一郎君
           久松 定武君
           帆足  計君
           堀越 儀郎君
           松村眞一郎君
           栗山 良夫君
           小川 友三君
  國務大臣
   國 務 大 臣 青木 孝義君
  政府委員
   総理廳事務官
   (経済安定本部
   財政金融局長) 内田 常雄君
   経済安定政務次
   官       中川 以良君
   大藏政務次官  田口政五郎君
   大藏事務官
   (主計局次長) 阪田 泰二君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト