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1949/03/26 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第4号
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1949/03/26 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第4号

#1
第005回国会 本会議 第4号
昭和二十四年三月二十六日(土曜日)
   午前十時五十三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第三号
  昭和二十四年三月二十六日
   午前十時開議
 第一 副議長の選挙
 第二 自由討議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。
 この際お諮りいたします。前之園喜一郎君より、病氣のため二十二日間請暇の申出がございました。許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松平恒雄君) 次にお諮りいたします。下條恭兵君より予算委員を、河野正夫君より議院運営委員を、それぞれ理由を附して辞任いたしたい旨の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として予算委員に波多野鼎君を、議院運営委員に宇都宮登君を指名いたします。尚、欠員中の議院運営委員に下條恭兵君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#7
○議長(松平恒雄君) 次にお諮りして決定いたしたいことがございます。本月十七日黒田英雄君、二十二日高瀬荘太郎君より、委員長を経由し、それぞれ理由を附して両院法規委員辞任の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、この際直ちに両院法規委員の補欠選挙を行いたいと存じます。
#9
○中村正雄君 只今議題となりました両院法規委員会の委員の補欠選挙は、本院規則第二百四十八條第三項によりまして、選挙の手続を省略し、その選任を議長に一任するの動議を提出いたします。
#10
○矢野酉雄君 本員は只今の中村君の動議に賛成をいたします。
#11
○議長(松平恒雄君) 中村君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として大野幸一君及び田中耕太郎君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#13
○内村清次君 本員はこの際、本院前副議長松本治一郎氏の公職追放問題に関する疑義について、緊急質問の動議を提出いたします。
#14
○羽仁五郎君 私は内村清次君の只今の動議に賛成いたします。
#15
○議長(松平恒雄君) 内村君の緊急質問の動議に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#16
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。内村清次君。
   〔内村清次君登壇、拍手〕
   〔「しつかりやれよ」と呼ぶ者あり〕
#17
○内村清次君 日本社会党を代表いたしまして、曾て我が党の顧問であり、前参議院副議長でありました松本治一郎氏の公職追放資格審査の問題につきまして、重大なる疑義を持ち、ここに緊急質問をいたしたいのであります。(拍手)
 それと申しまするのは、今回の松本氏の公職追放問題に関する政府の態度でございまするが、本日、指名した吉田首相が御出席にならないのは甚だ本員は遺憾とするところであります。松本治一郎氏は、昭和二十四年一月二十五日、殖田法務総裁から、軍國主義、超國家主義團体の役員であつたという理由によつて、一切の公職から追放される旨の通知を受取つておられるのであります。併し我々にとつて、この措置は全く納得行かないままに、その公職の期限は二月十四日と決められたのでありまするが、我々の嚴重なる抗議によつて、再審査の機会を與えられる予定で十日間の延長が許されたのであります。ところが、その十日の間、訴願委員会は一回も開かれず、遂に二十四日、正式に公職追放と確定したまま今日に至つておるのであります。この不明瞭なる手続上の問題につきまして、政府の釈明を要求するものであります。更に目下松本氏の不当追放解除の大衆運動は、すでに一千万人の署名運動にまで発展いたしておるのでありまして、その目的のために、全國の各労働組合の殆んど全部が立ち上り、自由人権協会、民主主義擁護同盟その他全國の部落解放委員会など、全民主主義勢力が挙つて松本氏の追放解除のために大きな運動を展開いたしておるのであります。このような運動によつて明らかでありまするように、今回の政府の処置に対するこれらの熱烈なる要望は、氏をよく知る國民大衆全般の盛り上る公憤の情でありまして、目下、國民の多大の関心の的になつておるのであります。この点、政府も國会議員の方々も、賢明公正なる態度を以て、この問題に愼重に対処して頂きたいのでございます。
 即ち松本氏は、過去三回もこの資格問題について再審査の上、パスしておられるのであります。何故、事新らしく、特に今回の総選挙直後に氏の追放を突如として発表したのであるか、この点が不可解の第一点であります。(「陰謀だよ」と呼ぶ者あり)過去六十余年の生涯におかれまして、徹底的なる民主主者義として世界的にも著名な松本氏を、一体政府は如何なる理由で軍國主義などという忌わしい名の下に追放処分にするのであるかという不信の声は目下全國的に起つておるのであります。吉田首相は常に民主主義政治の確立を口にしておられまするが、その民主主義政治の確立のためにも、私はこれらの政府に対する不信と憤激の情を絶対に無視すべきものではないと確信するものであります。(拍手)民主主義の名にかけても、政府は以下数項に亘る質問に対しまして、具体的な確乎たる御答弁を要求するものであります。
 先ず、松本氏が過去如何なる経歴を辿られたかにつきまして、政府はよく御存じの筈であるとは思いまするが、一應御説明申上げたいのであります。松本氏は大正十一年以來、全國水平社運動に挺身して、その間二回に亘つて投獄されておられるのであります。その四ケ年の間を牢獄で送つておられますが、福岡聯隊反戰事件はその一つでありまして、このことは松本氏が熱烈なる反軍國主義者であり、徹底したるところの民主主義者であるということを物語つておるのであります。(拍手)第二には、戰時中あらゆる民主國体は、当時の軍閥官僚政府によつて次々と解散を命ぜられたのでありまするが、このフアツシヨの波に抗しかねて、水平社の内部より自発的に水平社を解散しようという声が起つてたのでありまするが、これに対し松本氏は頑強に反対して、最後まで民主主義的水平運動を守り続けて來ておられるのであります。第三には、その後、同志と共に、フアツシヨ反対、勤労大衆の生活擁護をスローガンとする勤労國民党を結成したのでありますが、時の軍閥官僚政府によつて即日解散を命ぜられておるのであります。このことは冨吉榮二氏が証言されております。第四は、昭和十六年二月、当時の大政翼賛会事務総長有馬頼寧氏から、翼賛会幹部の一人として協力して欲しいということで参加を勧められたのでありまするが、翼賛会はフアツシヨであるから反対であるという理由できつぱりと拒絶されておるのであります。このことは水谷長三郎氏が証言せられております。
 以上のような氏の経歴は、眞実の民主主義者としての苦難な道を如実に物語るものでありまして、このことは我我議員自身の今までの体驗と比較して、よく味わつて見て頂きたてのであります。(拍手)若し松本氏のごとき人物が追放されるなら、現在の政界、財界に追放を免かれる者が幾人ありや、疑わざるを得ないのであります。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)
 では何故追放などという言いがかりを付けられたのであるか。その根拠と反証の諸点について申述べたいのであります。
 第一に、今回松本氏が公職追放該当者として指定せられた理由は、大和報國運動の役員であつたということであります。併し松本氏は、その就任を受諾したことはないのでありまして、大和報國運動本部発行のパンフレツトに松本氏の名前が理事として記載してあつたのは、松本氏の承諾なくして名前を勝手に利用したに過ぎないのでありまして、この事情は井元林之氏の証言によつても明らかであります。
 第二に、松本氏は大和報國運動に反対であつたというその証拠には、昭和十六年五月五日に大阪で開かれた全國推進者大会におきまして、「私は大和報國運動に反対であり、何の関係もない。私は一人になつても全國水平社の旗の下に戰う」と宣言して、同志と共に退場しておられるのであります。このことは山本正男、井元林之の両君の証言及び当時の中外日報の記事によつて明らかであります。
 第三に、松本氏の名前が理事の一人として述べられておる大和報國運動本部が、大日本興亞同盟の加盟團体として解散指定を受けたので、その役員であつた者は追放該当者だということであります。これは法務廳の間違いでありまして、先に述べましたように、大阪の会合における松本氏の爆彈的宣言によつて水平社系の者が離脱した後の大和報國運動は、昭和十六年八月十一日に開かれた残留組理事会の決議によつて組織を変更し、改めて大和報國会が生れたのであります。そうして同月十九日にその大和報國会が大日本興亞同盟に加盟したのであります。松本氏と大和報國会とは何ら関係がないことは言うまでもないのであります。このことは山本正男氏の証言及び日記によつて明らかであります。
 第四には、昨年八月頃、松本氏に関することの度の公職資格の疑義が問題になりましたときに、以上述べましたような反証を法務廳に提出いたしました結果、九月の末頃に至つて一應非該当としてその手続が取られたのであります。このことは当時の新聞にも報道しておりましたし、当時の法務総裁鈴木義男氏も認めておらるるのであります。
 以上でもお分りになりまする通りに、今回の追放措置は何と考えても常識では判断できない不合理極まる処置でございまして、これらの事実はすでに前鈴木法務総裁の下で審査の結果、非該当を確認されておるのであります。この点については政府はよく御存じの筈とは思いまするが、この点更にはつきりと確言して頂きたいのであります。又我が党の片山委員長の外数名の幹部が、この点について今回殖田法務総裁を訪ねた節に、殖田法務総裁は、私もこの点では却つて迷惑しておると言つておられた由でありまするが、何の理由で、どんな点で迷惑しておられるのか、お聽きしたいのであります。
 今回の松本氏の公職追放処置は、政府の政治的謀略であり、宮中関係からも來ておるというような不信と憤激の声が高いのでありまするが、終戰後、歴代政府は、ややもすると日本民主化に取つて重要且つ嚴正なるべき公職追放問題を政爭の具となして來たという評が一般化しておるのであります。果てはこれを握ることによつて、公明なるべき政局の動向が左右せられるとさえ言われておるのであります。(「事実だ」と呼ぶ者あり)問題は特に松本氏の場合には重要であると思います。なぜならば、國民大衆のために過去の軍閥時代に日本民主化の苦難なる道を切り開かれたるところの徹底せる民主主義者松本氏の問題であり、今や旧全國水平社数百万のみならず、廣汎なる労農組織大衆がひとしく尊敬し注目しておるところの松本氏の問題であるからであります。(「時間を注意したらどうか」「しつかりしつかり」と呼ぶ者あり)この大衆の支持を集めておる松本氏は、参議院の副議長としての公職におきましても、公平無私、あらゆる権勢にも屈しない民主主義の大先輩として國会議員の誇るべき存在であり、その人格におきましても、その日常の行動におきましても、我々の内外に誇るべき眞の民主的な日本人として、外人記者までが尊敬していた方であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
 特に今回の問題に対し、自由人権協会は、この問題の眞相をアメリカの自由人権協会に報告し、世界の自由なる國民の公正なる判断に訴えたのでありますが、これに対し同協会事務総長ボールドウイン氏より次のような書簡がもたらされているのであります。「二月十四日附貴翰書類と共に拜受しましたが、シヨツクを受けました。日本全國民の中で、松本治一郎氏のような人が、過去の結社の故に公職を追放せられることがあろうとは夢にも思いませんでした。提出せられた証拠によれば、追放指定に誤まりがあつたことを信ぜしむるものがあります。訴願委員会が前の指定を取消すことを希望しております。松本治一郎氏によろしくお傳え下さい。貴下の親愛なるボールドウインより。」(拍手)このような松本氏の追放問題は、日本の國民のみならず國際関係にも多大の関心を以て見つめられているのであります。この松本氏の問題に関して政府の答えられるところ如何では、民主主義政治の將來において重大なる影響を持つものであることを深く考慮せられて、左記の点について首相及び法務総裁の愼重なる御答弁を要求するものであります。
 第一に、手続上の問題といたしまして、重要な公職にある松本氏について十日間の延期の間、訴願委員会も開かず、再審査もせず、その理由も責任の所在も明確にしないで、かかる処置に出たる点について、特にその理由をお聽きいたしたいのであります。第二に、追放の理由が以上説明いたしましたごとく、何ら確乎たる根拠がなく、十分なる反証が上つているにも拘わらず、而も時期的に総選挙直後になつて発表した点について、深い政治的謀略があるという声が高いのでありまするが、この点については特に首相の弁明をお願いする次第であります。第三に、前法務総裁のときに、すでに三回以上も再審査にパスしたものが、何らの新事実なくして、新らしく突如追放該当者として不当なる処置をされたことについては、これは追放該当事項の如何なる点にあるか、且つ又これに対する反証があるにも拘わらず、どの点を以て追放せられたのか、法務総裁の所見を伺いたいのであります。第四に、責任の所在が政府にあるといたしましたならば、その中で誰がこれを提案し、誰がこれを決定したのであるか、その責任者をはつきりとさせて頂きたいのであります。第五に、殖田法務総裁は、この問題について、却つて迷惑していると言われた由でありまするが、如何なる理由で迷惑しておられるかお聽きしたいのであります。第六に、訴願委員会でこの問題を取上げる日時をはつきりとお聽きしたいのであります。
 以上の諸点につきまして、政府に日本民主化のため心から率直公明な立場から御答弁をお願いして、私の質問を終りたいのでございます。(拍手)
   〔國務大臣林讓治君登壇、拍手〕
   〔「吉田はどうした」と呼ぶ者あり〕
#18
○國務大臣(林讓治君) 吉田総理は不快のために出席をいたしかねますので、私が代つてお答えをいたしたいと思います。(「いつも病氣じやないか」と呼ぶ者あり)
 先程追放の手続の問題についていろいろお話であつたのでありますが、再審査は訴願委員会がなすべきものでありまして、政府といたしましては、これに何ら関與すべきところではないのであります。それから前に三回に亘つて再審査をせられたようなお話であつたのでありまするけれども、前に三回に亘る再審査をいたしました事実はございません。松本治一郎氏に対しましては、最初非該当者と決定したのでありまするが、その後新たなる追放の理由が発生いたしましたので、(「何だ何だ」と呼ぶ者あり)法務総裁において、これを追放と指定をいたしたのであります。その追放を決定した責任の所在についてのお話でありまするが、(「はつきりはつきり」と呼ぶ者あり)法務総裁がその責任者であります。從いまして尚詳細のことは法務総裁から御説明があることと考えますので、私は以上お答えいたします。(拍手、「政治家として恥かしくないか」「何が理由かはつきり言えよ」と呼ぶ者あり)
   〔國務大臣殖田俊吉君登壇、拍手〕
#19
○國務大臣(殖田俊吉君) 只今の内村さんの御質問に対しましてお答を申上げます。
 先ず松本治一郎氏の追放の根拠をなしました大和報國運動本部のことを申上げます。大和報國運動本部は、勅令第百一号第一條第一項第二号、第三号、第六号、第四條第一号(イ)及び(ロ)に該当する軍國主義的且つ超國家主義的な團体として、同令第四條の規定によりまして、昭和二十三年八月十四日、法務廳告示第五十号を以て解散指定をしたのであります。次いで松本治一郎氏外九名は、その大和報國運動本部の役員と認定いたしまして、(「誰が認定したのか」と呼ぶ者あり)勅令第百一号第五條の三、第五條の四の規定に基きまして、昭和二十二年勅令第一号の規定による覚書該当者に準じて、公職より除去される者として、お話のごとく昭和二十四年一月二十五日、法務廳告示第十三号を以て指定いたしたのであります。これが松本治一郎氏追放の経過であります。
 追放の理由と根拠が全く薄弱であるというお話でありますから、(「ないんだよ」と呼ぶ者あり)その点を申上げたいと思います。つまり追放の根拠は只今申上げましたように、大和報國運動本部なるものが、昨年八月にこの解散團体に指定されたことにあるのであります。(「無関係だから必要ないよ」と呼ぶ者あり)或る席で私が迷惑であると申上げましたのは、松本さんの追放は昨年八月十四日の枠の指定にあるのであります。この指定の結果、松本さんは追放になつたのであります。(「ちつとも分らんよ」と呼ぶ者あり)この指定は決して吉田内閣の関するところではないのであります。(「その通り」「何がその通りだ」と呼ぶ者あり)先ず少しく長くなりまするが、大体の経過を申上げます。(「話せ話せ」と呼ぶ者あり)この大和報國運動本部なるものは、昭和十五年十一月三日頃に、いわゆる翼賛政治体制確立の一翼といたしまして、大東亞新秩序の建設及び國防國家体制の完成等を目的に掲げまして、(「調べてあるよ、そんなことは」と呼ぶ者あり)憲兵隊‥‥(理由を聽け」「松本氏との関係なんだ、問題は」と呼ぶ者あり)お聽きになれば分りますから、ゆつくりお聽き願います。(「その通り」と呼ぶ者あり)憲兵隊勤務の経歴を有し、正規陸軍中將であつた島本正一を主要役員の一員とし、部落解放運動の有力團体である全國水平社その他の諸團体を統合して結成されたものであります。(「そんなことは聞く必要なし」と呼ぶ者あり)いわゆる大和一致の運動を通じて右目的の実現を期し、講演会の開催等諸般の活動を展開いたしまして、その間、昭和十六年八月三日頃、名称を大和報國会と変更いたしましたが、その團体としての同一性はこれを保持しておつたものと認められるのであります。尚、大日本興亞同盟及びその一切の関係團体は、連合國総令司部発日本政府宛一九四六年一月四日附の覚書附属書A号によりまして、廃止せらるべき團体といたしまして明記されておるものであるのであります。(「その通りだよ、それとは関係がないというのだ、それとはね」「頭が惡いよ」と呼ぶ者あり)ところが、この團体は昭和十六年八月十二日頃でありまするが、大和報國運動本部の名称を以て大日本興亞同盟に加盟したのであります。右加盟團体中の單なる研究團体又は事業團体以外の思想及び運動團体は、大日本興亞同盟の機構内に発展的に解消する意味におきまして、本團体は昭和十七年四月三日頃、自発的に解散したのでございます。これを要するに、大和報國運動本部は部落解放運動を前記大和一致の運動として実践することにより、前掲の目的の実現を図つたものであると認めるのであります。又松本治一郎君は、最前申しました陸軍中將島本正一らの勧誘に應じまして、同人等と共に、大和報國運動本部の前記目的を承認しながら、その結成に協力し、大和報國運動本部が成立するやその有力な役員となつて諸般の活動に從事したものであります。(拍手)
 以上各般の人的物的証憑によりまして、これを認定するに十分でございます。これを‥‥(「証拠を見せろ」と呼ぶ者あり)証拠は一杯ございます。(「それは嘘だよ」と呼ぶ者あり)それは松本さんは只今訴願を申請されております。從つて訴願委員会にあらゆる証拠を御提出になるでありましよう。政府といたしましても各般の証拠を訴願委員会に提出いたしまして、訴願委員会の十分なる徹底した(「なぜ今まで開かなかつたのだ」と呼ぶ者あり)十分な審議をやるつもりであります。(「委員会をいつやるのだ」と呼ぶ者あり)それから訴願委員会はこの頃ずつと開かれております。(「追放の大事なときに開かなかつたじやないか」と呼ぶ者あり)先にお話のありました二月十四日に、松本さんの公職資格が満了いたしまして、その後十日間、これを資格を延期いたしましたのは、再審査をするためではございません。これは松本さんの残務整理を遊ばすのに御都合のよいように、政府の特に許しました措置であります。(「うまいことを言うな」と呼ぶ者あり)松本さんは或いはこの期間に再審査の機会があるかとお考えになつたかも知れませんが、それは公の目的ではございませんでした。その間私共は訴願委員会を成るべく速かに結成し、成るべく速かにこれを開きまして、訴願委員会の審議を仰ぎたいと思つたのでありますが、いろいろな手違いから訴願委員会が審議を開く運びに至りませなかつたのであります。(「開かなかつた」と呼ぶ者あり)それから松本さんの追放につきまして、何らか松本さんの皇室関係に対するお考えがこれに影響されたかのごとき言説をなす者がありますが、一切さようなことはございません。(拍手、「語るに落ちるな」と呼ぶ者あり)松本さんの追放は、そもそも推薦議員として初めから追放さるべき人であつたのであります。(「何言つているのだ」と呼ぶ者あり)推薦議員は殊んど全部指定されまして追放されたのであります。併しながら松本さんの長い間の御経歴が、只今内村さんのお話のごとく、誠に称讃に値する御経歴でありますので、(「その通り」と呼ぶ者あり)の推薦議員という大きな理由を超越して、(「感服すべきものだよ」と呼ぶ者あり)これは追放非該当として指定されたものであつたのであります。併しながらここに新たに昨年八月、大和報國運動本部の役員という大きな枠が浮び上りました以上は、これを推薦議員であるということと、この両方の二つが加わりまして、到底松本さんの非該当を続けるわけに参りません。どうしてもこれは公職より追放を受けなければならん人と認定されざるを得なかつた次第であります。
 それから前法務総裁のときにこれは非該当と決定しておつた、新聞にも出ておつたというお話でありますが、新聞には出ておつたかも知れませんが、決して政府において非該当の決定はいたしておりません。若し非該当の決定をいたしますならば、これは直ちに官報に発表さるべきものであります。(拍手)当時すでに松本さんが役員であるということを承知の上で、大和報國運動本部なるものを解散團体として指定したのであります。このときにすでに松本氏の該当は決定的であります。この決定的の措置を更に檢討を加えまして、何とかしてお助けする途はないかというので、(「その通り」と呼ぶ者あり)長い間の‥‥(「嘘をつけ」と呼ぶ者あり)長い間の時日をかけたのであります。併し審査をいたしましても、どういたしましても、この枠を超越する途がありませなかつたので、遂に残念ながら松本さんの指定を決定いたしたのであります。(拍手)そういたしまして、松本さんのこの指定の決定をいたしましたのは、実は昨年の十二月上旬でありました。併しながらこのときすでに議会は解散の空氣濃厚でありまして、総選挙間近にありと考えましたので、松本さんのごとき有力なる社会党のメンバーを追放するということは、社会党の勢力に惡い影響を及ぼす憂えがあり、(拍手)從つて選挙の済むまではこれを発表しない方がよろしいというサゼツシヨンもありましたので、選挙の終るまで発表を控えました。選挙直後発表いたした次第であります。(拍手)
     ―――――・―――――
#20
○議長(松平恒雄君) 日程第一、副議長の選挙、尚、念のために申上げますが、投票は無名投票でございます。お手許に配付してございます白色の無名投票用紙に候補者の氏名を御記入の上、白色の木札の名刺と共に順次演壇に御持参を願います。これより点呼を行います。
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#21
○議長(松平恒雄君) 投票漏れはございませんか‥‥投票漏れはないと認めます。投票箱を閉鎖いたします。
   〔投票箱閉鎖〕
#22
○議長(松平恒雄君) これより開票いたします。投票の点檢をいたさせます。
   〔参事投票及び名刺を計算、投票を点檢〕
#23
○議長(松平恒雄君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百九十四票、名刺の数もこれを符合いたしております。投票の過半数は九十八票でございます。
  松嶋 喜作君   七十六票
   〔拍手〕
  波多野 鼎君   五十七票
   〔拍手〕
  櫻内 辰郎君   五十三票
  小川 友三君     二票
  高橋龍太郎君     一票
  千田  正君     一票
  板谷 順助君     一票
  佐藤 尚武君     一票
  白票         二票
 只今報告いたしました通り、得票者はいずれも投票の過半数に達しておりません。よつて本院規則第九條により決選投票を行うこととなります。
    ―――――――――――――
#24
○議長(松平恒雄君) これより投票の最多数を得られた二人につき決選投票を行います。投票の最多数を得られた者は松嶋喜作君と波多野鼎君とであります。両君のうち一名を白色の無名投票用紙に御記入の上、白色の木札の名刺と共に順次演壇に御持参を願います。これより点呼を行います。
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#25
○議長(松平恒雄君) 投票漏れはございませんか……投票漏れはないと認めます。投票箱を閉鎖いたします。
   〔投票箱閉鎖〕
#26
○議長(松平恒雄君) これより開票いたします。投票の点檢をいたさせます。
   〔参事投票及び名刺を計算、投票を点檢〕
#27
○議長(松平恒雄君) 決選投票の結果を報告いたします。投票総数百九十三票、名刺の数もこれと符合いたしております。
  松嶋 喜作君    百三票
   〔拍手〕
  波多野 鼎君   八十二票
  白 票        八票
 よつて松嶋喜作君が副議長に当選されました。(拍手)
#28
○議長(松平恒雄君) 只今副議長に当選されました松嶋喜作君を御紹介いたします。(拍手)
   〔副議長松嶋喜作君登壇、拍手〕
#29
○松嶋喜作君 このたび皆様多数の御支援によりまして、副議長の席を汚すことに相成りました。誠に光栄の至りであります。この上は嚴正公平、議会の運営が円滑に行きまするよう懸命の努力を拂いたいと存じます。この上とも一層の御支援を賜わらんことを切に懇願いたして止まぬ次第であります。(拍手)
#30
○議長(松平恒雄君) 木檜三四郎君より発言を求められております。許可いたします。木檜三四郎君。
   〔木檜三四郎君登壇、拍手〕
#31
○木檜三四郎君 諸君のお許しを得まして、最年長者の故を以ちまして、甚だ僣越ながら、ここに諸君を代表いたしまして、前副議長に一言御挨拶を申上げると共に、新副議長に鉄して御祝辞を申述べたいと存ずるのであります。(拍手)
 前副議長松本治一郎君は、新國会の発足に当りまして、衆望を担い、初の副議長に当選せられたのでありまして、爾來御在職中、熱誠以て事に当り、常に公明而も敏活によくその重責を盡されたのであります。ここにその御努力に対し、深く感謝の意を表する次第であります。今回御退任の止むなきに至りましたことは誠に御同情に堪えないのでございます。今や天候不順であります。どうぞお体を大切にして、今後とも民衆のために御活躍の程をお願いいたします次第であります。(拍手)
 次に松嶋喜作君が新たに副議長に御当選、御就任につきまして、御祝辞を申述べたいと存ずるのであります。(拍手)
 松嶋喜作君のごとき副議長として最も適任の人を得ましたことを國家憲政のために欣幸に存じます。(拍手)松嶋喜作君は実業界において活躍せられ、老練達識を以て聞えた方でありまして、その公正にして穩健なる人徳により、今後多事多難を予想せらるる本院におきまして、國会の権威昂揚に努めらるることを確信いたすものでございます。ここに今後の御健鬪を祈ると共に、謹んで御祝辞を申述べる次第であります。(拍手)
#32
○議長(松平恒雄君) 本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○議長(松平恒雄君) 御異議ないものと認めます。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後零時九分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、議員の請暇
 一、常任委員辞任及び補欠の件
 一、両院法規委員辞任及び補欠選任の件
 一、本院副議長松本治一郎氏公職追放問題の疑義に関する緊急質問
 一、日程第一、副議長の選挙
ソース: 国立国会図書館
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