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1949/04/05 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第9号
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1949/04/05 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第9号

#1
第005回国会 本会議 第9号
昭和二十四年四月五日(火曜日)
   午前十時十四分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第八号
  昭和二十四年四月五日
   午前十時開議
 第一 國務大臣の演説に関する件(第二日)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、國務大臣の演説に関する件(第二日)、昨日の國務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。田中利勝君。
   〔田中利勝君発壇、拍手〕
#4
○田中利勝君 私は日本社会党を代表いたしまして、吉田総理大臣並びに関係各大臣に対して質問をいたしたいのであります。
 今や我が國民にとつてその至上命令でありますところの経済九原則を如何に実施するかという重大な使命の下に開かれましたこの第五國会に当り、先ず第一に、その出発点でありまする保守連立の組閣工作においてとられた吉田総裁の態度について質問いたしたいのであります。
 この度の総選挙は、日本の政治的、経済的諸情勢の新たなる段階における、資本主義的保守政党と社会主義的革新政党との決戰であつたのであります。その結果は民自党の圧倒的勝利に帰したのであります。從つて次期政権は、選挙の結果に現われました國民の総意に基いて決定される建前から、絶対多数を獲得した民自党が速かに單独内閣を組織して時局を收拾すべきであり、國民も亦そうあるべきものと当然期待しておつたのであります。事実、民自党は、かねてより挙党一致して強力な單独内閣論を主張しておつたのであります。民主党も亦閣外協力の野党ということに、ほぼ党議が決定しておつたのであります。然るに一方かような國民の期待を裏切り、他方両党の意向を無視して、吉田総裁と犬養総裁との談合と取引によつて、強引に保守連立内閣の工作が推し進められたのであります。これがために、民主党内は連立派と野党派との間に紛糾と混乱を重ね、組閣工作は難航を続けて、徒らに時日を空費し、遂に一方の連立派の首唱者である犬養総裁を取り残して民主党内から二名の閣僚を引抜き、辛うじて組閣を完了したのであります。然るにその結果は、民主党をして総裁派と残留派とが分裂するの止むやき状態に追い込んでおるのであります。
 総選挙後の入党者を入れるならば二百七十名に近い絶対多数を有する民自党が、單独内閣を以てしても十分その政策を実現し得るにも拘わらず、何が故に他党に対して分裂の犠牲を強い、又自党の内部においてすら連立の反対論を抑えてまで、敢て保守連立を企図せねばならなかつたか。この疑問は國民の頭から未だ拭い去られていないのであります。過ぐる総選挙の一つの意義は、これまでの政党の不自然な離合集散を清算し、不明朗な連立関係を解消することにあつたと思うのであります。この度の保守連立工作に示された吉田総裁の態度は、再び政界の分野の上に不明朗な暗い影を投じたと言わなければならないのであります。吉田総裁は、議会政治の理想的形態として、保守と進歩との二大政党の発達が望ましいことを、しばしば言明されたのでありますが、その限りにおいて私はこれに賛成するに吝かでないのであります。そして又今日の事態が九原則実施のために強力に安定政権を要請しておるという見地からして、吉田総裁は敢て保守連立の実現を企図されたものと考えられるのであります。併しながら、よしさように仮定いたしましても、政策の質の問題を度外視して、單に絶対多数という量の問題のみを目標とする政権を以てしては、到底今日の重大政局を乘切ることはできないと思うのであります。なぜならば、その連立工作の経緯に見られるごとく、民自党と民主党とは、保守政党という性格の共通点を除いては、両党の間において当面最も重要な現実的、具体的政策について何らの交渉も行われず、一片の政策協定も結ばれずして、それぞれの党の意向に反して、総裁或いは幹部の独断によつて強行された機械的な連立政権は、すでにそれ自体断じて強力な安定政権たり得ないのであります。そればかりでなく、少数野党に対する多数專制の野望をもくろむ單なる政党の野合に過ぎないと断じて差支ないと思うのであります。更に又民主政治は國民の輿論を尊重し、國民のすべてに対して公明にして納得の行くべきものでなければならないのであります。政党の態度も亦多数の意思によつて決定され、而も特に政党はその政策に忠実でなければならないことは申すまでもありません。然るに連立か野党かという重大な決定が、一総裁、或いは一部幹部の談合や取引によつて左右されるならば、それは政営を以て私党化するものであり、延いてはボス政治の温床となすものと申さなければなりません。これは誠に政党を毒し、民主政治の根柢を危くするものであります。(「そうだ」と呼ぶ者のあり)吉田総裁は常に民主政治の確立を唱えておられるのでありますが、この度の連立工作において取られた態度を凡そこれと相隔たること遠いものがあると考えるのであります。かような意味におきまして、何故に以上のごとき無理を冒してまで保守連立をしなければならなかつたか、その政治的理由並びに経緯に鑑みまして、民主政治に対する基本的な考え方について、先ず第一に吉田総理の率直な所信をお伺いいたしたいのであります。
 第二に労働問題に関して鈴木労働大臣に質問いたしたいのであります。政府は公約の大半は殆んどこれを果すことができなくなりまして、特に大衆課税の軽減を図るべき重要な公約はすべてその実現が不可能となつたのであります。他方において大衆に犠牲を強いるところの行政整理の公約については、吉田総理は断乎としてこれを実行に移すということを重ねて言明しておるのであります。先に発表された本多案によりますならば、現業二割、非現業三割の原則の下に、中央地方を通じて五十五万人の整理が予定され、最近の政府当局の言明によつても大体四十万人の犠牲者が出ると言われているのであります。我々は財政支出の圧縮のためとは言え、政府の意図しているような天下り的な天引き行政整理に対しては断乎として反対せざるを得ないのであります。更に今後為替レートの設定による企業合理化に伴い、或いは又國家資金と、大企業の結合の強化による大資本の擁護の半面においては、中小企業の資金難はますます激化し、これがために企業整備による失業者は増加の一途を迫るものと考えられておるのであります。これらの企業整備の失業者約三十万人、その他引揚者、顯存化する失業者等を合算するならば、失業者総数は百七十万人と推定され、而もこれは政府の過小評價による推定数に過ぎないのでありまして、実際の失業者数は今後一ケ年間において二百万人近くに達するものと想像されるのであります。労働省の調査によれば、二十四年度の失業者数を百七十万人として、これに要する経費一千億円と見積つておるのでありますが、この度の予算案によれば、当初の政府内定案の失業対策費百五十億円が激減して、僅かに二十九億円が計上されているに過ぎないのであります。而も他方失業救済費の一部とも考えられる公共事業費は七百五十億円から五百億円に削減されておるのであります。即ち政府は失業者に対して何ら十分な予算的措置を行わずして、又十分な受入態勢を整備することなくして、先ず首を切り、その後で何とか考えようというがごとき政府の安易な無責任な態度には到底承服できないのであります。今後社会不安、延いては政治不安の大きな原因の一つとも言うべきこの重大な失業問題に対して、如何なる方針を以てこれに対処し、又如何なる具体的方策を以てこれを解決されようとするか。この点につきまして先ず鈴木労働大臣の所見をお伺いいたしたいのであります。
 又政府は先に國家公務員法の改正によつて行政整理に備え、今又労働法規の改正によつて企業整備に備えんとしておるのであります。今日資本攻勢が強力に展開されようとしている社会情勢の下にあつては、これは誠に勤労大衆の手足を束縛して首の座に坐らせるにひとしい反動政権の労働者に対する挑戰的措置であると断ぜざるえ得ないのであります。政府は労働法規改正の理由として、労働組合の民主性の確立と、労働爭議の公共の福祉との調和を図ることを謳つておるのでありますが、その内容において、労働者の権利と自由を不当に制限し、組合運動を圧迫するものであり、今や全労働者は結束して、憲法の保障する労働者の基本的人権を擁護するために労働法規改惡の反対闘爭を展開しておるのであります。我が國の労働運動におきましては、終戰後急速な発展を遂げたために、そこには多少の行過ぎも認められたのでありますが、これらの欠陷はすでに労働者の間から自発的に盛り上りつつあるところの民主化運動によつておのずから是正されるものであつて、これを法律の改正によつて取締るがごときは不当な干渉であると申さねばなりません。况んや保守反動勢力が今や衝く立直り、九原則の実施をめぐつて労働者に一方的犠牲を強要せんとする現下の情勢においては、かかる法規の改正は資本家に対して攻撃の武器を與えるにひとしいと申さねばなりません。政府はかような危險を冒してまで何故に労働法規の改正法案を急いで提出しなければならぬか。その理由を明らかにされるよう第二にお尋ねしたい。他面、勤労者の生活全体を考えまするならば、所得税の基礎控除、扶養控除並びに税率は据置かれて、而も所得税收入は三千百二億円の増徴が見込まれ、更に旅客運賃、郵便料の値上げ、爲替レートの設定に伴うところの食糧の値上り等によつて生計費は著しく増大し、他方において企業三原則によつて賃金は低く抑えられ、労働者の生活は極度に圧迫されて一層苦しくなる状態にあるのであります。かように見まするならば、九原則の実施による犠牲と負担は專ら労働者の背に一方的に重くのしかかつて來るのでありまして、九原則に関するマ元帥の書簡の示す「負担は全國民に公平に課される」という趣旨にも反するものと考えられるのであります。凡そ九原則の実施には、何よりも労働者の積極的な協力と支持を得なければならないのであります。労働者の自発的生産闘爭を通じてのみ、日本経済を再建し、延いては経済安定と自立の目的を達することができるのであります。かような意味におきまして、一般國民は耐乏生活を覚悟しなければならないとは言え、先ず労働者の最低賃金制を確立する必要があると考えるのでありますが、これについて如何ようにお考えであるか。先ず鈴木労働大臣にお伺いしたいのであります。更にすでに國民の担税力は、ほぼその限界点に達しておると言われているにも拘わらず、三千百二億円という厖大な所得税收入を実際に徴收し得る見込があるかどうか。それは結局において大衆負担の過重を來す虞れがあるのではないかどうか。從つて勤労所得税の軽減について、今後これを実現する見通しを持つておられるか。或いはどの程度の具体案を持意されておられるかどうか。これらについても池田大藏大臣の所見をお伺いいたしたいのであります。
 第三には、危機に立つ文教対策について、高瀬文部大臣にお伺いしたいのであります。敗戰日本の再建の唯一の途が平和な文化國家を目標としておることは明白でありまして、今や完全に武力なき我が日本は、高い教育と文化を保持する國家でなければならぬのであります。終戰以來、日本民主化の発展につれて、制度や機構の面では確かに著しい進歩の跡が認められるのでありますが、同時にそれに伴い、且つそれにふさわしい國民精神の轉換が行われたかといえば、未だ必ずしも十分と申せないのであります。この意巳におきまして、総司令部も早くから我が國の教育文化の発展を重視し、その要請により渡日したアメリカ教育使節團の勧告に基いて、教育制度の重要な改革の一つとして、六・三制の新学制が実施されるに至つたのであります。この六・三制は一昨年の四月に第一次吉田内閣の下に発足し、この四月から新制大学も発足して、敗戰下の窮乏の中にありながらも、よく國民的支持を得まして、画期的な重要性を有するこの新学制は一應完成されようとしておるのであります。然るに二十四年度の予算を見まするに、当初内定されていた七百五十億円の公共事業費におきましては五百億円に削減され、その結果、そのうち新制中学建設費として予定されました七十億円は全額削除されたと傳えられ、ここに六・三制は全く危機に直面するに至つたのであります。四月一日現在で推定される新制中学の生徒数は約五百万、これに必要な教室数は十三万であるに対して、現在教室数は漸くその半分に達するに過ぎず、中学生の半分は学校内の廊下や物置などを使用し、或いは学校外の寺院、民家の一部を利用しておると傳えられ、教育的にも、保健的にも、極めてみじめな状態に置かれておるのであります。從つてこの六・三制予算の経費七十億円は最低限度の要求として飽くまでも確保されなければならんのであります。更に文部省一般予算を見ましても、最初文部省が要求した総額約九百億円は大藏省査定により三百七十五億円に削減され、更に本予算において三百四十七億円に減少したのであります。これがために、小学校並びに中学校義務教育國庫負担金、定時制高校教員國庫補助、育英会貸付資金、私立学校経営費貸付金、直轄学校物件費等もいずれも減額され、著しい教員の不足を生じ、又は学校経営の困難は倍加されようとしておるのであります。即ち教育予算は大幅削減のために崩壊の危機にさらされているのであります。敗戰直後の経済的危機に開かれた二十一年八月の第七十議会においても、文教再建に関する決議案は満場一致を以て可決され、政治における教育優先の原則が確認されたのであります。然るに文教予算がともすれば軽視され虐待されることは甚だ遺憾と思うのであります。凡そ文化國家の建設は向うに及ばず、経済の再建においても、一般國民の教育と文化の水準の向上なくしては、その十分な効果を期することはできないのでありまして、文教こそは日本再建の原動力であると申さねばなりません(拍手)而も人間の教育は、商品の生産と根本的に異なり、一朝一夕に成るものではなくして、不断の努力と負担によつてのみ有終の美をなすことができるのでありまして、すでに六・三制の発足以來、我が國民は耐乏生活の中にあつて、日本將來の希望を担う若い子弟の育成のために多くの犠牲を忍んで参つたのであります。今九原則の実施に当り、文教費が單なる非生産的費目であるとの考え方からこれを削減し、安易な氣持で教育刷新の大方針を変更することは断じて許されないのであります。(拍手)若し六・三制が中途半端にして挫折するならば、國民の教育文化に対する熱意と信頼は失われ、その影響するところ誠に重大と申さなければなりません。(「その通り」「それは民自党の政策だ」と呼ぶ者あり)而もその新学制は、第一次吉田内閣において着手され、現内閣は特にこれに対して重い責任を有するのであります。かような意味からしましても、若し六・三制予算が現在以上に復活されないならば、高瀬文相は速かにその責任を取られる覚悟があるかどうか。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり、拍手)これは、ひとり六・三制予算のみならず、一般文教費の復活について、如何なる見通しとその用意があるか。この点について御所見を伺いたいのであります。(「吉田にも伺え」「その通り」と呼ぶ者あり)
 第四に、單一爲替レートの設定による國際貿易参加に備えて、我が國の金政策について稻垣商工大臣にお尋ねしたいのであります。経済九原則の大きな狙いが單一爲替レートの設定にあることは申すまでもないのであります。日本経済は、近く決定されるこの爲替レートを通じて輸出貿易を増大し、経済自立の体制を急速に完成しなければならぬのであります。そうしてこのことは、日本も將來ブレトン・ウツヅ機構に参加することを予定するものであります。從つてこの機構の一つである國際通貨安定基金への参加に備えて、日本の金は再び重要な意義を持つて來るのであります、尚、現在日本は、外國貿易の点において、占領地向回轉基金一億二千五百万ドルの外に、來年度において、ガリオア、イロアによる総額約五億三千五百万ドルの対日援助が予定されているのであります。これらの援助によつて日本経済は支えられているのでありますが、今後の日本はますます輸出貿易の増大によつて外貨を獲得し、日本経済の自立性の度合を高めて行かねばならないのであります。かように日本経済の國際経済への全面的参加の態勢に切換えるにつれて、我が國の金鉱開発並びに金の價格については、ここに新たなるところの再檢討を加え、積極的政策をとるべき段階に達したものと考えるのであります。我が國金山は、昭和四十年、十五年、十六年において、毎年二十六トンに近い産金量を挙げて、外貨獲得に輝かしいところの記録を持つておつたのであります。当時主要鉱山の稼行鉱山数八百有余でありまして、一日一万数千トンの鉱石を処理して、有史以來の活況を呈していたのであります。然るに昭和十八年金山整備の結果、政府の命令によつて重要鉱山の設備というものは根柢から撤去されて、資源的に保坑鉱山として僅かに六鉱山が残され、全部休山閉鎖の止むなきに至つたのであります。從つて現在の産金量は二トン台を上廻つているに過ぎないのであります。今後政府の施策よろしきを得ますば、優に三トンの産金量の増産を獲得することは可能なのであります。今日、金鉱山は行政施策の順位が低く取扱われているために、資金、資材において、資源開発のための探鉱を十分に行えない状態に置かれているのであります。從つて目先堀りの高品位の採鉱にのみ囚われた結果、今日すでに資源的に枯渇を來しているのであります。然るに今や爲替レートの設定近く、國を挙げて輸出振興に傾注しているとき、産金業をすべての輸出産業に優先する産業として再建することの緊急性を確認さるべきものと考えるのであります。從つて金鉱山の再開開発のために、選鉱製錬所の設備は勿論、特に探鉱費の大幅國家補償がなされて然るべきであると考えるものでありますが、産金政策について如何なる見通しと用意があるか。この点稻垣商工大臣の御所見をお伺いしたいのであります。
 以上四つの点について質問いたしたのでありますが、私が総理大臣並びに関係各大臣に質問いたしました点について明快な御答弁をお願いいたします。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#5
○國務大臣(吉田茂君) 田中君にお答をいたします。私が民主政治確立のために、二大政党の組織で行くべきであるということは常に申している通りで、田中君においても御承知の通りであろうと思うのであります。これを外國の例に鑑みて見ましても、民主政治がよく行つている國は、多くは二大政党対立の形において民主政治が行われているのであります。これに反してフランスその他民主政治が余り効果的にないように考えられる國においては、多くは小党分立いたしているのみならず、現に過去において吉田内閣総辞職以來、社会党、民主党の内閣ができて、これが少数連合の内閣に立つたために、その政策は多くは強力に遂行されなかつた結果、諸幣溜り溜つて今日に至つたのであつて、この諸幣を一掃するためには、我が自由党としては絶対多数を以て押切るという考えを以てこの経済危機に臨みたいと思つているのであります。(「公約は一体どうしたのだ」と呼ぶ者あり)これ故に私は、理想を申せば、得べくんば保守党或いは他の何と申すか、急進党と申すか、或いは進歩党というか、いずれにしても得べくんば二大政党の下に民主政治を確立して行くということが、我が國のような民主政治から申せば或いは甚だ幼年な民主政治國においては第一である。この二大政党の樹立を我々が助けて行つて、眞に日本において民主政治の基礎を確立いたしたい。これが私の理想であります。(「國民が決めるぞ」と呼ぶ者あり)批評は自由である。更に犬養と申すか、連立内閣云々ということがありますが、これは私は総辞職以來常に申しておつたことは、我々と志を同じうする政党政派が政局に立ちたいということは常に言つておることであります。今度の総選挙において私の申しておつたことは、常に保守政党……志を同じうする政派と一緒に政局に立ちたいということを申しておつたのであつて、連立内閣が決して我々の主張に反しておらないのであります。又民自党内においても多少連立に反対した者のあつたことは事実でありまするが、今日においては挙党一致してこの連立内閣を支持しておるのであります。我が党において何らの動揺はないのであります。更に政局に立つて、この積弊と申すか、税制においても行政においても積幣山積しておつて、強く解決いたさなければならぬ問題が沢山ある。殊に敗戰後の日本として、十年の間戰い抜いた日本といたしまして、改革すベき問題は沢山ある。況んや九原則の実行においても、今日においては幾多の困難があるのであつて、政党として、或いは又政府として、成るベく基礎の固い、基礎の廣い政党の後援によつて、政府が強力に政策を実行いたしたい。又いたすためには議会において成るベく多数の力を包容して、その力を以て民主主義的に政策を実行いたすためには、数がますます多いのみならず、質においても我我と志を同じうする者と行くベきである。民主党の一部には我々と志を同じうせざる中道派のごときものがあるかも知れませんが、併しながら九原則の実行或いは又この経済危機を乘切るためには、余程力を同じうし、志を同じくしておる者が強力に政党を作つて行くベきだということについては、(「政府の自主性がないじやないか」と呼ぶ者あり)民主党において我々と志を同じうする人、即ちそれが犬養君一派である。で、我々を支持しておる。(拍手)政策において何らの協定を必要としないのであります。九原側の実行は現に犬養君一派の政綱となつておるのであり、細かいことについては、時々そのときの必要に應じて協議はいたすといたしましても、大綱においては我我と志を同じうしており、この同じうしておる者が我々と連立いたすことは何らの不思議がないのであります。(拍手)
   〔國務大臣鈴木正文君登壇、拍手〕
#6
○國務大臣(鈴木正文君) お答いたします。失業対策の終局的な收束は、新らしい國民経済の活動の中に雇傭の面を拡大して行つて、そこに最終的に吸收して行く以外に、最終の收束方法はないということは、これは分り切つておるのでありますが、お説のように、特に特殊の事情によつて本年度現われて來るところの失業の人たちを一ケ年でこういう意味において最終収束に持つて行くということは、極めて困難であるということは分り切つておるのであります。私共の計算するところによりますると、こういう意味において、本年度内に新らしい國民経済の枠の中の雇傭量として考えられるものは、貿易を中心とし、それに民需産業の一部を加えまして、その他四十万前後の新雇傭というものが開拓されるのではないかと考えておるのであります。これに対しまして、先程の御質問の中にもありましたように失業者がどのくらい出るかという問題は、なかなか捕捉し難いのでありますが、労働者では、最も低く見た場合に百四十万くらい、多く見た場合に百七十万くらいという一應の推定を下しておるのであります。このうち就業を必要とする者のがどれ位あるか。これも目下の集め得る情勢の下における推定でありまするが、大体百四十万くらいではないかと見ておるのであります。そういたしますというと、四十万は新らしい雇傭面に吸収されるにいたしましても、百万人前後は、來年度以後九原則を実行しつつ、政府を中心とする新らしい國民経済の開拓の中に、來年度以後において吸收されるまで、何らかの失業対策によつてこれを持ちこたえて行かなければならないということになるのであります。これに対しまして(「人間は生きておるぞ、どうするのだ」と呼ぶ者あり)私共は第一番に失業保險の方法によつて五十万前後を支えて行く。職業補導によつて五万前後を支えて行くこともできる。こういうふうに計算いたしましても、約三十万人前後の人々に対しては直接的な救済事業を以てこれを措置して行かなければならないということになるのではないかと思つておるのでありまして、この点に関しましては、お説の通りこの予算にその経費が計上されておらないのでありまするけれども、これは敢て一労働省だけの問題でなくして、全政府の責任なのでありまするからして、予算的措置によるなり或いは臨時國会なりにおいてこれに必要な経費を計上いたしまして、そうして直接的な都市その他を中心とするところの失業救済事業を展開いたしまして、これに時に遅れることなく当つて行きたいと考えておるのであります。
 それから労働法規の問題は、これはすでに二年若しくは三年実行いたしました労働法規の実際の運営上及び最近における爭議の実際等に照し合せまして、ここに民主的な、自由な、建設的な本当の組合を質量共に展開する、強化するという方向にその根柢が置かれておるのでありまして、政治的、破壊的な組合運動を排斥はいたしまするけれども、民主的な、眞の建設的な労働組合は排斥するどころではなく、これを助長し、眞に質量両面に亘るその活動を促そうとするのな過ぎないのでありまして、決して彈圧的な意味等は毛頭持つておらないのであります。(拍手)近く発表されるのであろうところの原案を手て頂きまするならば、政府のこの意見はよく御了解を頂き得ると思うのであります。尚、賃金問題につきましては、言うところの最低賃金制というふうな問題は、爲替レートの問題がまだ完全にどういうふうに推移するか、その結果がはつきり分らない今日におきまして、直ちに形式的な(「形式的でない」と呼ぶ者あり)最低賃金制という問題につきましては考慮の余地がありますけれども、労働省といたしましては諸般の資料を蒐集し、その調査には十分当つておるのであります。尚、私共の考えまするところの賃金問題の根本は、九原則持つまでもなく、日本の今日の状態まで來ました今後におきまして、赤字若しくは補給金によるところの賃金の維持、引上げという問題は、方向轉換をせざるを得ない実質的な時期に來ておるのでありまして、今後は主として労資双方の対等と協力によるところの企業努力によつて賃金を維持し、一方に諸政策を敷衍いたしまして、実質賃金の維持に極力当つて行くという方向が妥当ではないかと思うのでありまして、私共は九原則は労働者諸君の一方的負担においてのみ解決して行くというふうな考え方は毛頭持つておらなのでありますけれども、飽くまでも妥当な実質賃金の維持という方向に進みたいと考えております。
   〔國務大臣稻垣平太郎登壇、拍手〕
#7
○國務大臣(稻垣平太郎君) 田中議員の御質問に対してお答を申上げます。金の需要は現在におきましては、國内用の医療用その他といたしまして約二トン程度であります。國際收支の関係といたしましては、從來程その比重が大でないことは御承知の通りであります。併しながら田中議員がお話のように、今後單一爲替レートが設定される場合におきましては、金の問題が大きな問題として出て來るだろうと存じておるのであります。國際收支の決済用として、又通貨の安定の基礎といたしましての産金政策は、十分考慮いたして行かなければならんと、かように考えておるのであります。これについては御指摘のように、戰爭末期におきまして休廃山いたしましたところの金が鉱山の復旧、或いは殊に青化精錬所の建設復旧が最も必要であろうかと存じておるのであります。大体復興五ケ年計画の二十八年度において五トンの生産を目標といたしまして、休廃山いたしました中から、鴻の舞その他八、九ヶ所の金山の建設復旧、殊に精錬所の建設復旧に特に力を入れ、これに対して資材資金の斡旋をいたしたい、かように考えておる次第であります。尚、二十三年度におきましても探鉱奬励費として大体千四百六十万円を支出いたしておるのでありまするが、今年度の予算におきましても同樣計上いたしてあるのであります。尚、金の價格の問題についてもお話があつたようでありまするが、現在一グラム三百二十六円でありまするが、爲替レートが設定されました場合におきまして、國際價格と睨み合せて、これについても亦何らかの改訂を要するのではないか、かように考えておる次第であります。(拍手)
   〔國務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#8
○國務大臣(池田勇人君) 只今の御質問は、國民の租税負担力はその極限に達すると思うが、果して所得税の完全なる徴收の見込ありや、又勤労者の負担軽減の具体的対策ありや、こういう御質問であつたと承わつております。御承知の通り、昭和二十三年度の所得税につきましては、大体千八百五十億円を見込んでおります。只今のところ、これだけの金額は確実に入る見込に相成つております。その千八百五十億円が二十四年度におきまして三千百億円になるのは如何にも激増ではないか、現行所得税法をそのままにして置いて三千百億円の收入見込は余りに過大ではないかという御質問だと思います。御承知の通り三千百億円の内訳を見まするに、源泉課税をいたしまする勤労所得者並びに、配当等の所得につきましては千二百四十億円を見込んでおります。又申告納税をいたしまするいわゆる事業所得につきましては、千八百六十億円程度を見込んでおるのであります。勤労所得税の千二百四十億円は大体において今の賃金の基準で入る見込んでおります。最近は大体一ケ月に百億円程度收入がございます。次に、申告納税によりまする事業所得税につきましては、今年只今までは余り成績はよくございませんが、年度末までに相当の決定をいたしておりますので、大体今年度におきましても收入見込程度は入つて來ると考えております。二十四年度において千八百数十億円も取れるかという問題でありますが、米價の高騰その他物價の値上り等を勘案いたしますると、取れる計算になるのであります。我々は税務、徴税技術の改善と共に一般納税者の協力を得まして、この程度の收入は挙げ得ると考えております。併し三千百億円のこの所得税の負担は可なり、或いは非常に重い税金になつております。我々は國民に耐乏生活を望みますと同時に、この所得税法の改正につきまして一段と工夫をいたしたいと思うのであります。昨日総理よりも申されましたごとく、今の税の負担は各國のそれに比べましても著しく重くなつております。又外國と比べなくとも、今の現状から申しましても軽減の必要があると思うのであります。併し全体のいわゆる收入支出を絶対的にバランスする建前から一應かく計算いたしたのでありまするが、最近の機会におきまして根本的の改正を加えたいと思つております。
 第二段の勤労者の負担軽減の具体的対策につきましては、只今檢討いたしておりますのは、先ず扶養家族の控除、基礎控除の引上を第一としなければならぬと思います。そうしてその次に税率の軽減を考えたいという考えでおります。(拍手)
   〔國務大臣高瀬荘太郎君登壇、拍手〕
#9
○國務大臣(高瀬荘太郎君) 田中議員の御質問にお答いたします。六・三制、公共事業費の補助予算につきましては、まだはつきり確定しておりません。併し(「予算は出てるぞ」と呼ぶ者あり)現在のところは極めて憂慮すべき状態に置かれております。極力本予算に計上方を関係方面に折衝中であります。又引続いて今後予算されます國会等におきましても、これが追加増額を図りたいと努力いたしておる次第であります。(「どれくらい出ておるのか」と呼ぶ者あり)次に文教政策の遂行に必要な予算の獲得につきましては、文部大臣として最善の努力を盡しておるのでありますが、現下の政治的、経済的諸條件の嚴しい制約を受けまして甚だ困難な状況にあることは、文教の責任者といたしまして、誠に遺憾に堪えないところであります。(「國民は絶対承服しないぞ、そういうことでは」と呼ぶ者あり)この際私としては、このような嚴しい制約の下でその影響を最小限度に喰い止め、文教の破綻を防ぎ、教育の危機をあらゆる創意工夫を以て克服するために全力を挙げて努力いたしますことが私の責任であると考えております。(拍手、「予算の裏付けなくしてできない」「駄目々々」と呼ぶ者あり)
 昨日の岡元議員の質問に対しましてお答をいたしたいと思います。岡元氏よりの御指摘の戰歿者公葬に関する通牒は連合軍司令部からの神道指令に基きまして発せられたものでありまして、戰歿者に対しましてはこれが当然適用されるものでありますが、御質問のありました終戰後の現地死亡者等につきましてはその関係が幾分違いますので、これにつきましてはよく研究して考えて見たいと思つております。
 次に一般文民であります殉職者、功労者等に対する公葬についてでありますが、これはやはり神道指令によりまして、公共團体による執行はできないことになつております。併し個人或いは民間團体が行います場合に、公の團体が弔慰金とか花環等を贈りましたり、又官公吏が公の資格で列席することも差支ないということになつております。併しお話がありましたように、こういう一般文民に対する葬儀につきまして通牒の趣旨が十分に徹底しておらないといたしますれば、これについてはできるだけ努力をいたしたいと考えております。(拍手)
   〔岡元義人君「徹底しておりません」と述ぶ〕
    ―――――――――――――
#10
○議長(松平恒雄君) 川上嘉君。
   〔川上嘉君登壇、拍手〕
#11
○川上嘉君 無所属懇談会を代表いたしまして、昨日行われました吉田総理の施政方針演説に対しまして質問いたします。
 もとより施政方針の全般に亘りまして、先ず公約不履行を衝き、更に飽くまでも全勤労大象の立場に立ちまして徹底的にこれを檢討し、更に特に行政整理、六・三制の費用等を徹底的に糾彈して、飽くまでもその責任を問いたいのでありまするが、これは他の同僚議員諸君から十二分に質問が行われることと思いますので、私は少しく方向を変えることにいたします。
 私は税務署の第一線で十数年間勤務して参りました生粹の税務署出身でありますので、又更に昨今大藏省もその実質がすでに收税廳になりつつあると言われております程に、税金問題こそは現代の政治の根幹であり、全勤労者大衆、全國民にとつて最も密接な重要な問題であると固く信じまするが故に、税金問題一本槍で質問を行うことにいたします。(拍手、「異議なし」「徹底的にやれ」と呼ぶ者あり)
 首相も昨日施政方針演説の中で、我が國の財源は極端に枯渇しておる、重税に國民は未だ曾て見ざる苦痛を感じつつあり、誠に憂慮に堪えない事態である云々と述べられております。誠にその通りであります。私の質問に対しましては明確にして詳細、而も責任のある答弁を特に冒頭に希望いたして置きます。吉田首相は三月十四日大磯の私邸から増田官房長官を通じまして次の通り述べたと三月十五日附の各新聞が一齊に報じております。國民の最も苦しんでいるのは税負担だから、國民の租税負担を軽減する必要がある、現行の徴税強行はひど過ぎるようだ、滯納八百億円の整理についても徴税方法に人間味を持たせるような檢討を加え、所得税など減價償却ができるよう考慮しなくちやならぬ云々。この吉田首相の言に対しては全國民が同感であり、税務署の事務に從事しております全税務職員は全く同感でありましよう。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)然るに政府はその後何らの政策を講じていないではないか。対策も講ぜずにかくのごとき言をなすことは明らかに反税的な発言であり、税務職員を政府と納税者との板狹みにして苦しめるがごときものであります。(「そうだ、大阪事件を見ろ」と呼ぶ者あり)恐らく税務職員の一人として重税を課することの好きな者はない。一人として差押えの好きな者もいない。泣かれたり頼まれたりするのを見て見ぬ振りしながらべたべた封印するときの氣持ぐらい非人間的なものはないでしよう。(「道理だ」と呼ぶ者あり)泣く人もある。怒鳴る人もある。今年限り店をしまう人もある、首を吊る人もある。併し税務職員は自分勝手にやつているのではなく、政府の命令によつて飽くまでもやつているのであります。何とか言えば政府は強権を発動する。今や第一線の税務職員は國民の怨嗟の的となり、政府と納税者との板挾みとなりつつも徴税強行を敢てし、こうまでしても二十三年度の租税收入三千百六十億円を辛うじて確保できるかどうかの瀬戸際であります。この悲惨な実情を吉田総理はどう御覽になるか。而も二十四年度におきましては、実に前年度に対する六割増の税收入五千百四十億円が見込まれているのであります。然るに税制に対しては何らの措置が講ぜられていないのであります。民自党が今回の衆議院議員の選挙において絶対多数をかち得たのは、他に種々な事情がありましようが、その公約が選挙民の要望に叶つたためであり、而もこの公約中最も國民の支持を受けたものは、税金問題であることは一点の疑いもないのであります。然るに税金問題に対して、ただ一点の措置も講じていないのであります。
   〔議長退席、副議長著席〕
 國民の苦痛はよく分つているとの單なる見せ掛けでは済まされない。一体吉田総理はこれに対してどんな責任を取られるのでありますか、明確なる御答弁をお願いいたします。もとより政府はその年度内におきまして予定の税收入を確保すべく最善の努力をなすのは当然でありまするが、併し同時に税收入さえ上れば万事良しでないことは言うまでもないところであります。経済安定の條件である健全財政の確立は納税問題と密接に繋がれており、從つて納税成績を上げることは絶対でありまするが、それには納税者の納得の行くような解決策を工夫することが根本問題であります。昭和二十四年度歳入予算は七千三十四億円でありまして、前年度四千七百三十一億円に対しまして四割八分の増加であり、このうち租税收入五千百四十億円は歳入の七二%を占めており、前年度三千百六十億円に対しまして六割の増加であります。中でも所得税三千百億円は前年度千八百三十四億円に対しまして六割九分の増加であります。この厖大な税收入を納税者が納得の行くように賦課徴收するためには、当然税制の画期的な改革が必要とせられますが、これに対しまして政府は用意があるのか、それとも現在のままの不合理な賦課徴收を繰返す意思であるのか、以下大藏大臣の答弁を願うものであります。
 税制の画期的な改革なくして、若し過去の経驗に一層輪をかけた徴税強行に発展するとしますならば、吉田内閣は近々必ず税金問題で崩壞するでありましよう。もとより一内閣の運命や一政党の進退は必ずしも大した問題ではありませんが、國民は重税の下に押し潰され、税務行政は全く國民の信頼を失つて早晩破綻するの止むなきに至るでありましよう。次に、納税者の負担と、税務の事務に從事している第一線税務職員の負担とに大別いたしまして、更に具体的に質問いたします。
 先ず納税者の負担について言えば、税金が高過ぎはしないのか。更に税の負担が不公平ではないのか。更に所得額の捕捉が不適正ではないのか。去年の十二月七日の都下各新聞は、税金が拂えないのを苦にした麻布の洗濯屋の主人が、十五になる長女を初め三人の子供を前夜近所の映画館に連れて行きまして、豚カツを御馳走した後、青酸カリで一家四人心中をしたという記事を載せております。更に昨日の東京新聞に、四月二日午後一時四十分頃、荒川区日暮里町四ノ一〇〇四、傘販賣業萩原房男が自宅八疊の間で西洋剃刀で右頸部及び腹部を切り自殺を図つたので、附近の下谷病院へ收容したが、間もなく絶命した。これは税金を苦にしたものであると報じております。こういう悲惨な話は、多少の程度の差こそあれ、拾い上げて行きますれば限りがなく、國民は今税金の苛酷さに文字通り圧殺されようとしておるのであります。正に徴税の行過ぎであり、眞劍に取上げなくちやならない重要な問題であります。かくのごとき税金の不合理の原因は一体どこにあるのか。又この不合理をなくして、租税の過重な負担を軽減し、税金の賦課徴收を公平且つ適正に配合するためにはどうすればいいのか。大藏大臣の御答弁を願います。
 さて、税金の不合理の原因は、先ず歳入見積りの過大が問題であり、続いて税制運用面などに甚だしい欠陷があるからであります。ここで、この不合理の原因、尚これに対する根本策について檢討して見ますれば、先ず歳入見積りの過大については、第一に最も大きな矛盾は、取るつもりの税收入の基礎となるものは机の上で計算しました國民所得であるが、それが直ちに國民の正しい所得であるかどうかは大きな疑問であります。國民所得に対する税負担の割合は我が國におきましては二〇%程度であるが、アメリカにおきましては二六%、イギリスにおいては三六%であるから、英米に比較してまだ軽いと大藏当局はちよいちよい発表しておるのでありまするが、大体國民所得なるものに大きな疑問がある上に、更に同じ二〇%程度の負担でも、生産が減退して國が今日のごとく疲弊しておるときと平時とは、負担の度合に大変な相違がある筈であります。大阪時事新聞の二十四年の元旦の外人記者の座談会の記事に、官吏は生活給以下の給料しか貰つていない、然るに税金は実際に拂えるよりか遥かに重い、而もこの状態を基礎にして予算を立てるというのが日本政治の現状だといつたような意味深長なことが載つております。
 次に税法につきましては、税法そのものが大衆課税的であります。國の予算が増大するに連れまして税の收入が増大するのは当然であるとしまして、その賦課徴收の方法が予算の多少に拘わらず依然として同じであるということが大きな矛盾であります。國の歳出予算を通じて見ますれば、金のばら撤かれる先がどんな階級であるか、どんな人たちであるかは、はつきりと分るのでありまして、これを的確に掴んで、そこから税を徴收するよう、一切の措置を講ずべきであります。大阪軍政部長コワルスキー大佐は、一月二十七日、次のように述べております。私は徴收の対象として決して貧しい中産階級の市民諸君を指してはいない。私の見るところでは、現在の日本の上層階級の國家への支援は甚だ欠如している。これらの階級は政府から多くの金を貰つているのであるから、金持階級がかかる場合に政府を支援するのは当然である。私は納税の責任の大半は、かかる大口納税者によつて完全になされるべきことを強調し、要請すると、かように述べております。インフレ大口所得を捕捉することは、租税制度の問題ではなくして租税技術の問題であり、課税技術上に困難があると当局では一方的に決めておりまするが、勿論課税技術も重要な一要素ではありますが、併し調査技術だけによりまして、大口所得を捕捉できると決めているところに大きな誤算があるのであります。(「欺瞞だ欺瞞だ」と呼ぶ者あり)政府は税務に練達の士を五百人程すぐりまして、國税査察部を設置して大口所得の調査捕捉に当らしめて、最近その成果は相当に挙つていると発表しております。三月十六日の発表によりますと、脱税件数は一千十五件、そのうち告発済四十五件、増差税額四十億七千万に上り、引き続いて調査中のもの百七十五件に達すると発表しております。この國税査察部の方々の活動努力に対しては敬服するのでありますが、今の分では良心的でまじめな経営者だけが運惡く捕まつて、インフレ大口利得者はまだまだであり、不公平であるとか、調査に行き過ぎがあるとか、横暴であるとか、人権蹂躪であるとかの非難が囂々としております。從いましてインフレ大口利得の捕捉は決して調査技術だけでよくなし得るものではないことを事実が立証しておるのであります。何が故に政府は金融機関に対する幅のある調査権限を税務職員に付與しないのか。これによつて預金忌避、現金退藏の弊風が再現することを政府は恐れているのでありますが、それならそれといたしまして、預金の調査はやらくとも、せめて融資先を調査するだけでも大口所得を捕捉するのに非常に効果があるのであります。尚、手形税のごときも、直接そのものの税收入は別々としましても、インフレ大口所得の捕捉に非常に助かることになります。もとより金融機関の調査とか手形税の実施等によりまして完全にインフレ大口所得を捕捉することができるとは承知しておりませんが、こうすることは正に現行税法の画期的な進歩であるということができるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)一体政府は積極的にインフレ大口所得者に重税を課する意思があるのか、あるとすればその具体策について御答弁を願いたいと思います。今回の税制改正案を見ましても、表面では以上述べました通り現政府は立派なことを言うておるのでありますが、極めて形式だけの改正で実績は少しも変らず、依然として税源を大象課税に求めようとしておるのであります。共産党は、終戰から二十二年度末までに四千億円、更に二十三年度末までに二千億円増加して、脱税額だけで六千億円に達するということを発表しておりまするが、これに対する大藏大臣の見解を御発表願います。
 次に申告納税制度についてでありまするが、申告額に対し更正課税は低いものでも五、六倍はざらにあり、二十倍、三十倍というのも少くなく、勿論これは納税者にも責任があります。人を見て法を説き、善人と惡人くらいの区別は付けるべきでありまするが、大多数の申告は実際の額よりも少いとの一般的な原則からいたしまして数倍の査定額が要求されるものと思います。又税務職員が常に掴まえにくい個人や企業の所得をできるだけ正確に掴もうと苦心努力しておることを十分知つておりまするが故に、ここで無暗に税務職員の見当違いを非難する前に、先ず申告納税制度をあらゆる角度から徹底的に檢討する必要があると思います。これまでの結果から見て、果して申告納税制度は実情に既したものであるかどうか、御答弁を願います。次に最近怨嗟の的となつておりますところの差押、公賣の件についてでありますが、勿論惡質な滯納者に対してはどしどし嚴罰主義で臨むべきでありますが、正直な納税者が、自分の所得に対して不服があり、異議申立をして再調査の申請中に差押えされて、トラツクで乳母車のごときものまで持つて行かれたといたします。後になつて再調査の結果所得額が軽減されて、差押物件を引取りに行つたときには、すでに「早いもの勝ち、時價により遥かに安い」との宣傳の下に公賣されていたといたしましたら、正に憲法第二十九條に保障されております財産権の侵害であり、基本的人権の蹂躪であります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)こうした実例のあることを幾らも聞いております。昨晩もラヂジで異議申立をなしたる者も一應税金を納めて下さいと、かような放送をしておつたのでありまするが、この條文は現行税法の中における最惡の癌であり、正に日本民主主義の推進を阻むところの癌であることを強調し、併せてこれに対する大藏大臣の御答弁を願いたいのであります。(拍手)
 次に運用面について申上げます。人員が非常に少い、熟練者が少い、待遇が惡い、徴税費が少い、設備が不十分であるなど全く不合理だらけであります。從いまして租税の過重なる負担を軽減し、税金の賦課徴收を公平且つ適正に配合するためには、税制の根本的な改革が必要でありますると同時に、運用面を実情に既して合理化することが必要であります。予算の圧縮が不能であり、予算の膨張が止むを得ないものでありますならば、せめて負担の公平適正に万全の対策を講じて、國民の負担軽減を図るべきであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)マ元帥の手紙にも、その負担が全國民に平等に課せられるならば、個人生活に対する衝撃は最小限度に止めることができようと明らかに述べております。そこで運用面を実情に既して合理化するためには、税務職員の大幅の増員、税務職員の素質の向上、待遇の徹底的改善、科学的調査方法の樹立、諸設備の完備などが必要とせられるのでありまするが、これに対する政府の見解並びに対策等について御答弁を願います。
 終りに税務の事務に從事しておる財務職員の負担について申上げますと、勤務が肉体の点でも頭脳の点でも非常に過重である。その上、責任が過重であります。以上長々と述べました通り、予算、税制、運用面に不合理、不備がありますにも拘わらず、僅かの人員で、而も限られた短期間で収收入の目標額を是が非でも達成しなくちやならないところに無理があります。今や職場には肺浸潤が続出しております。発狂した者もあります。自殺した者もあります。一人で役所から家に帰れないという者もおります。今年に入つてからでも大森税務署、荒川税務署でそれぞれ事務官が過労から自殺をしております。尚、葛飾税務署では、連日の徹夜で疲労因憊した事務官が、帰宅の途中ふらふらして汽車から轉落して慘死を遂げました。又愛知縣の小牧税務署では間税課長が発狂しまして、済まない、惡かつたと連発して、誰彼のお構いなく、人の顔さえ見れば、どうも済みません、私が惡かつたのですと、頭を下げておるそうであります。右のごとき第一線税務署の過重な負担の実情について、一体政府はどんな対策を持つておるのか。吉田総理の責任ある御答弁をお願いいたします。
 次にここに非常に重大なことがあります。実は三月八日放送されましたNHKの街頭録音、「新内閣と公約実行」の中で、増田官房長官は、答弁の中で次のようなことを言うております。「今の御質問も亦極めて御尤もな御質問である。私は最近税務職員が極めてこの人情という見地から見て苛斂誅求であるというような税金を取り立てておる点については、誠に不本意に思います。この点については閣議で問題になつて、各閣僚間にも、ああいうやり方は、あれは民主自由党の評判を落すために税務署の共産党フラクシヨンがやつておるということまで実は議題になつたわけであります。いずれの理由か実は私は調べて見ないと分りませんが、そういうような共産党フラクシヨンの活動であるかどうか分りませんが、ああいう人情から見てむごいことはしたくない、これから適切な措置を講じたいつもりであります。」以上が増田官房長官の言でありますが、実に妙な表現の仕方でありまして、現在の徴税の一切の不合理の責任を税務署に轉稼しておる。そうでなくてさえ怨嗟の的となつております税務職員を、納税者と政府との板挟みにして苦しめ、且つ又納税者の神経をいやが上にも刺激し、明らかに反税的な発言であると断定せざるを得ないのであります。(拍手)、「その通り」と呼ぶ者あり)恐らく税務職員の一人として、民主自由党の評判を落すために政略的な立場から税務の事務を遂行するごとき者はいないでしよう。職務なるが故に、税收入目標額達成のために政府の命令によつてやつているのであります。(「そり通りだ」と呼ぶ者あり)又私も全財労組の出身でありまするが、増田官房長官のこの放送に対しまして、全國の税務職員と共に底知れない義憤を感ずるものであります。この放送に対して吉田総理の責任ある答弁をお願いするものであります。
 最後に、税金問題とは別個に吉田外務大臣に質問したします。実は昨日の吉田総理大臣の施政方針演説の中にもあります通り、又昨日岡元議員の緊急質問にも強力に要請せられました通り、海外同胞の引揚促進に関して万全の努力を要請することは勿論でありまするが、同時にここに要請したいことがあります。実は今次戰爭の結果、北緯三十度以南の線で鹿児島縣奄美大島並びに沖縄縣は日本の行政権より離れて、目下交通も杜絶せられております。奄美出身者の日本本土に居住する者約十万でありまするが、これらの人たちは、行政権の帰属の件につきましては、講和條約に譲るといたしましても、交通の復旧につきましては、國民生活が一日も早く安定するのは念願すると同じような氣持で、否それ以上に交通の復旧の一日も早からんことを念願しているのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)無論この中には、郷土からの送金の杜絶えた学徒も相当数に達しております。奄美大島及び沖縄方面の交通復旧に対する見通し並びにこれについて関係方面に折衝する用意があるかどうか。吉田外務大臣の御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終ることにいたします。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#12
○國務大臣(吉田茂君) 川上君にお答をいたします。
 現在の課税問題、租税問題については、果して國民の間に負担が公平であるか、過重ではないか、これは我が内閣におきましても絶えず心配いたしておる一つの問題であります。從つて、これは昨年の、いつとはつきり申上げかねますが、昨年中であります。取敢えず、大藏省内と思いますが、課税方法の審議会を設立いたして、課税の過重にあらざるか、或いは課税の方法がよろしくないのではないかということの一應調べに著手いたしておるのであります。その結果について、私はまだ結果を聞いておりませんが、その答申はすでに大藏当局に出ているということに承知いたしておるのであります。又今後のこの予算について更に増税されており、又現在経済の縮少した、財源の枯渇した今日において、果してこれだけの税の負担に堪え得るかどうか。これは税制審議会を新たに起しまして、この審議会において十分徹底して研究をいたすということになつております。(「研究か」と呼ぶ者あり)勿論從來の税制は、これは過去における税制に関する観念の累積であつて、この間には戰爭もあり、或いは敗戰もあり、幾多欠陷もあると考えますから、是非共徹底的に研究いたさなければならん、調査いたさなければならんというので、政府もその必要を認めて審議会を設置せられて、更に各方面、政党からも、議会からも、及び実業家、学者その他の方面からして、有能な権威ある人々を集めて十分研究いたして、その成果によつて臨時議会を開いて、予算の補正なり税制の改正なり、実施いたしたい考えでおるのであります。
 只今税務署員についてのお話がありましたが、日本國内の各地における税務署員が、日夜非常な努力を拂い苦痛を忍んでこの税務に関係しておることは、私も承知いたしております。併しながら一面においては税制が複雜になつた、その分量においても増加しておるために、新らしく税労署員を任命いたしたり何かするような関係でありましようが、税の課税方法について或いは課税について、いろいろな噂或いは実際において苦情があるということを私も承知いたしておるので、税務署員については待遇も勿論考えなければならんでありましようが、同時に綱紀の粛正も十分いたしたいと、こう考えて、当局においてもこの点については十分注意いたしておるのであります。
 只今奄美大島の問題についてお話がありましたが、奄美大島については、第一次吉田内閣以來これが問題になつて、この点については外務省といたしても非常に注意もいたし、又関係方面との折衝もいたしておつたのでありますが、現在どういうふうになつておるかということは、私の今日調査が不十分でありますから、実情を調べた上で以てお考をいたします。(拍手、「官房長官のはどうした」と呼ぶ者あり)
   〔國務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
   〔「正直に言つて呉れよ」「取れるか取れないかはつきり言つて呉れ」と呼ぶ者あり〕
#13
○國務大臣(池田勇人君) 川上さんの御質問にお答いたします。多年税務に携わつておられた方で、各般に亘つて適切なる御質問で、私といたしましてもこの機会に所懷を申述べ得ますことを光栄に存じます。(「うまいことを言うな」「お世辞がうまいぞ」と呼ぶ者あり)
 第一に税務制改正の点でありますが、先程申上げましたように、今年一月から大藏省に税制審議会を設けまして檢討を続けました。尚、私といたしましては、今議会に税制改正案を提案する計画でおつたのでありますが、絶対的に均衡予算を作る関係と、もう一つは極く最近アメリカよりシヨープ氏を首班としまする使節團が参ります。それに檢討を願うことにいたしました関係上、今回は税制改正案の提案を見合せました。而してシヨープ・ミツシヨンは、一部の方は四月二日に出発しております。他の方も五月の上旬にはおいでになると思いますので、今までこちらで考えておつた案を基盤とし、又向うの制度等も取入れまして、早急に根本的改正案を考えるつもりであります。先程申上げましたように、三千百億円の租税は大体取れる確信がありまするが、私といたしましては、租税はできるだけ軽いことを望んでおりますので、歳出を十分檢討いたしまして、今後においてできるだけ軽減を図つて行きたいと思つておるのであります。(「どうして軽くなるのだ」「はつきり言え」と呼ぶ者あり)
 見積りの過大につきましては、國民所得との関係においてお話がございましたが、私は國民所得の何割が適正であるか、(「收穫政策じや駄目だ」と呼ぶ者あり)國民所得の何割が適正であるかということは、これは一つの材料でございまして、(笑声)これによつてやつて行くわけには行かないと思うのであります。勿論國民所得の全体が負担に関係あることはありますが、その配分の状態が、所得の配分の状態がどうなつておるかということが一番の問題でございます。從いまして國民所得が二兆八千億になつたからといつて、三千百億円の税金が軽いという考え方は毛頭ないのであります。(「大衆課税だから重過ぎる」と呼ぶ者あり)二兆八千億になりましても三千億円は非常な負担でございまして、できるだけ軽減をいたしたいと思つておるのであります。
 第三に大所得者に対しての調査が問題になりました。お話の通りに先般來インフレ所得者、大所得者に対しましては徹底的調査を開始いたしまして、相当の効果を挙げておるのであります。私といたしましては、今後共この大所得者の調査に対しましては全力を注いで行きたいと考えておりますが、(「どういう方法で」「具体的に」と呼ぶ者あり)尚そのときに共産党の脱税額の見積りが六千億というお話でございましたが、私はそういう数字の根拠も何もありません。知つておりません。殆んど問題にならない金額だと考えております。(拍手「根拠はある」と呼ぶ者あり)
 次に申告納税制度についてでございますが、この申告納税制度は一昨年來我が國に行われました民主的制度でございます。從來長く実績課税によりまして所得調査委員会の議を経て決定いたしました所得税につきましては、いろいろな弊害もありましたので、申告納税制度に変えたのであります。併し國民は数十年間に亘りまして所得調査委員会による制度に慣れておりました関係上、なかなかこの申告納税制度はうまく行つておりません。併しこの制度は昨年よりも今年は非常によくなつて参つております。殊に農村方面におきましては、殆んどこの申告納税制度がうまく参りまして、私は今後におきましても、この申告納税制度を続けて行きたいと考えております。ただ或る程度民意と申しまするか、民間の方の御意見を参酌する必要があると考えられますので、その点につきまして只今考慮を拂つておる次第でございます。
 尚、最近納税強行によりまして差押え等の場合が相当起つておるのであります。これは誠に遺憾なことでございまするが、徴税を確保するため万止むを得ない次第でありまして(「万止むを得ないとは何だ」と呼ぶ者あり)できるだけ、かかることのないように納税者の協力を得ますると同時に、調査の徹底を期したいと思つております。尚異議の申立があつた場合に差押をする制度は非民主的であり、違憲であるとのお話でございますが、異議の申立があつたからといつて徴税をないがしろにいたしましたならば、税金の確保はむずかしいのであります。できないのでございます。從いまして差押をし公賣をするような場合は、税務署をして余程愼重な態度を取つて行くように指令を出しておるのでございます。
 最後に徴税費問題でございます。勿論只今の状態におきまして徴税費は多いとは申されませんが、年々増加をいたして來ておるのであります。過去十年前までは税務官吏は全体で六七千人でございましたが、昨年の一月には四万二千人になり、本年は六万三千人に相成つておるのであります。勿論税額も殖え、調査もむずかしくなりましたが、かくのごとく人を殖やして行つております。ただ遺憾ながら急速に人員を補充いたしました関係上、六万三千人の税務署職員の税務署に勤めております平均年数は非常に少いのでございます。殊に三年以下の勤務年数の人が全職員の七割を占めておるような状態でございます。課税の対象になりまする経済界は非常に複雜でございまして、ここに税務行政がうまく行つていない、或いは完璧を期し得ない原因があるのでございまして、我々といたしましては、現在の税務官吏に再教育を加えますると同時に、新たに採用いたしまする者につきましても、相当の年齢であり、社会的の常識もあり、又学識のある人をどしどし入れまして、税務の運営の円滑を図りたいと思うのであります。(拍手)
   〔政府委員増田甲子七君登壇〕
   〔「失言なら失言とはつきり言えよ」と呼ぶ者あり〕
#14
○政府委員(増田甲子七君) 川上さんの御質問にお答え申上げます。
 私の街頭録音のことについてのお話でありまするが、御指摘の言葉は街頭録音の全部をお読みにならなかつたのでございまして、前後の関係をお読みになるとよく分るのでございまするが、私ははつきり申上げまするが、そういうような御指摘のよう噂ながあつたことは事実であり、又閣議の論題になつたことも事実でございます。而して川上さんがお読み上げになつたように、このことは調査の結果でなければ分らないからして、私は調査するつもりである、こう申しました通り、現に調査中でございます。(「何を調査するか」と呼ぶ者あり)その結果懲罰事犯として挙げられて免職処分を受けたのも具体的事実でございます。併し勿論全國の税務職員諸君は勤勉に忠実に徴税事務に從事されておるということは、私は圧倒的多数……(発言する者多し)極く一部には不良分子もおつたことも事実でございますし、現に噂もございます。併し圧倒的多数の税務職員は忠実に徴税事務に從事しておるということは(発言する者多し)私は確信し、感謝しておるものでございます。
    ―――――――――――――
#15
○副議長(松嶋喜作君) 岡本愛祐君。
   〔岡本愛祐君登壇、拍手〕
#16
○岡本愛祐君 私は緑風会を代表いたしまして吉田総理大臣並びに関係國務大臣に質疑を申上げたいと存じます。
 先ず最初に経済九原則と民主自由党の公約問題について御質問いたします。民主自由党は野党時代に、統制経済の大幅の整理撤廃、行政整理の断行、公共事業費の大増額、地方財政の確立、米供出後の自由販賣、所得税の軽減、取引高税の廃止、鉄道運賃の値上げ反対、料飲店の即時再開等の政策を声明していたのであります。政府党となつては経済九原則の下にその政策を多少修正しましたが、過般の総選挙においても依然としてほぼ同樣の主張で戰つたのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)今や民主自由党は政府の衝に当り、二十四年度予算の編成に当面して、占領政策と公約との間に板挾みになつております。政府は果してこれらの公約のどれだけを二十四年度から実行せんとするのか。九原則と公約とを如何に調整せんとするのか。これを具体的に吉田総理から伺いたいのであります。(拍手)昨日の総理その他の演説ではこの点がはつきりしなかつたのでであります。私はこの間における政府並びに民主自由党の苦衷を察するに吝かではありません。私は決して即刻公約の全面的実行を迫るものでもありません。それどころか、人氣取り政策的な公約の実行では速かな経済の安定は覚束ないと憂えていたのであります。併し政党がその公約を実現するか否かはその政党の生命であり、國民に対する信義の問題であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)予算編成に当つて公約ができるだけ多く織込まれることは、國民から言つて当然の要請であります。吉田総理は、経済九原則及びドツジ公使声明の線によるにあらずんば我が國の再建はでき難しと信じて、一大決心と覚悟の下にこれを積極的忠実に実施し、日本経済の急速な安定を図ることを第一義とし、個々の公約を棚上げにするも余儀なしと決意されたものであります。九原則の枠の下において、民主自由党の公約が棚上げにされなければならないことは当然であります。経済九原則は、日本経済自立と安定のため、國民の耐乏生活を要求する統制経済の重点的強化策であります。
   〔副議長退席、議長著席〕
 インフレーシヨンの強引な抑圧策であります。総選挙において自由経済的色彩の強い公約を軽率に掲げたのは、九原則に対して民主自由党は周到な用意がなかつたことを示しております。(拍手)総理は、九原則乃至ドツジ氏声明の趣旨は戰後の日本官民が当然実行せねばならなかつたことであるが、今までこれを疎かにしておつたのであると、顧みて他を責めておられますが、他を言う前に、率直に民主自由党が見通しを誤まつた不明を反省して國民に謝すると共に、九原則の下における政策を根本的に再檢討し、個々の公約に拘泥することなく、経済の安定、國家の自主的復興のために最善を盡すべきであります。(拍手)総理は絶対多数の力を得た後においても、その力を惡用されず、飽くまで公正正大に國民を納得せしめて出所進退をなすべきであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、(拍手)我が緑風会は、速かに我が國経済を安定し、強力に祖國再建を図るため、飽くまで嚴正なる是々非々主義の立場に立ち、政府のなさんとするところを鞭撻し叱正せんとするものであります。(拍手)吉田総理の率直で國民の納得し得る責任ある弁明を求めるものであります。
 第二に國内治安の確立に関連して数項目につき質問いたします。現実の國際諸情勢は、北欧、西欧諸國と同樣、我が國にとつても決して樂観を許さない重大な事態にあります。戰爭を放棄した我が國は、若し万一にも米ソの衝突が起つた場合にはその戰場となる重大な危險はないか。我が國は嚴正中立國たることを熟望するのでありますが、たとえ中立を堅持しようとしても、米軍は撤兵し、そのあとに他國が日本に侵入するようなことが起つて、これと内からの撹乱が起る場合、武力を放棄した我が國民の自由と民主主義を防衞するには如何にすればいいか。こんなことで果して我が國の眞の中立が保持し得られるであろうか。かかる重大なる危惧を國民は絶えず抱いているのであります。連合國側の言明又は意見発表の度ごとに一喜一憂している状態であります。総理は、いずれの國も平和を欲するは明らかであるから、國民は軽々しく海外情報に惑わさるることなきを希望すると昨日言われましたが、これら平和並びに中立に関する憂慮に対して、積極的な明快なお答を願いたいのであります。今や一方には中共軍が中華民國を席巻しつつあります。東南アジアのシヤム、ビルマ、インドネシアには共産党の武裝蜂起による内乱が活發化しております。又北鮮の朝鮮人民共和國の勢力が南鮮に滲透しつつあります。他方には(「見て來たようなことを言うな」と呼ぶ者あり)北大西洋條約は四日、関係各國の調印が完了し、これに対應してオーストラリア、フイリツピン方面では同樣な太平洋條約の締結を提唱している有樣でありまして、これらの世界の動きは一つ一つ日本の現状に重大なる影響を及ぼす状況であります。これらの情勢に対應して我が國は如何に処すべきであるか。すべてを連合軍に依頼して放つて置くつもりであるか。そんなことでは、いつになつても日本の独立、自立がないではないか。私はこの我が國危急存亡の問題に対し、総理の決意と根本対策をお尋ねいたします。
 終戰後、國内の治安状況は表面的にはやや立ち直つた観がありますが、裏面的には依然として險惡であります。集團強盗、集團暴行は横行し、密入國、密輸出入、密造酒等の集團的犯罪行爲はむしろ増加しつつあります。治安の維持が完きを得、國民の生命財産が確保されて、初めて國民は安心して生業にいそしみ、生産の増強、経済の復興が期待し得、平和國家の建設、民主制度の完成を促進し得るのでありますが、この状態は誠に遺憾千万であります。新警察制度が実施されて以來一ケ年の実績は國民に何を教えるか。三万人の國家地方警察と互いに独立した約千六百ヶ所九万五千人の自治体警察、かかる縦横の連絡を切断された半身不随の警察、而もピストル僅かに二万五千挺、それ以外の武装のない弱体警察では、犯罪の檢挙に治安の維持に大いに欠けるところがあるのであります。連合軍駐屯下の今日においても然りでありますから、連合軍引揚後のことを考えれば、これは、どうしてもいけないのであります。警察力の強化策を講ずることこそ刻下の急務であります。なかんずく小都市の自治体警察は、自治体財政上の重圧とその堕落し易い性格のために甚だしく振わず、市長村民嫌惡の的となり、自治体警察返上論が全國に瀰漫している有樣であります。速かに警察法を改正し、首都の自治体警察並びに人口十万以下の市町村の自治体警察を廃止して、これを國家警察に移し、又治安に関する事件や数府縣に跨がる犯罪の捜査は國家警察の権限とすべきであります。自治体警察については内閣に民主的な自治体警察委員会ともいうべきものを設けてその世話役とし、併せて國家公安委員会との連絡を勤めさせ、これらによつて縦横の連絡を密にすべきであります。又ピストルその他警察官の武装を強化し、機密の保ち得ない現在の劣惡な通信連絡制度を改革することが急務であります。尚、連合軍の引揚に備えて、適当の時期に國家警察官の相当数の増員を考慮する必要があると考えます。國家治安維持の上において最も考慮を要する問題は、極右又は極左の隠れた團体が暴力を以て民主憲法を破壊し、民主主義国家を顛覆せんとする計画が存在するかどうかの問題であります。並びにその一脈通ずるものとして、秘密組織により民主國策の遂行を非合法的に妨害して國家の再建を阻碍し、或いは國法の違反者を煽動し、又はこれと通謀して、社会的紛乱を増大することを方針とする活動が存在するかどうかの問題であります。國民の自由な意思の表明、自由な政治活動は、合法的である限り、もとより制約してはなりません。併し先には極右の潜伏政府が地下に作られつつあるとの風説が諸外國までも流布せられ、又反税運動、反供出運動、非合法的労働爭議、学校騷動の挑発行爲等に関しても、種種忌わしい風説を耳にするのであります。総理も昨日、祖國の再建を妨害するものが一部現存することを認めておられるのであります。我が國は特高警察という極端に彈圧的であつた機関を廃止したのは当然であります。併し、その後には、國家の安危に関する情報すら的確に把握できない欠陷が生じました。この点を自覚して、政府は非日活動委員会の設置を考慮しているとのことでありますが、その具体的な構想を承わりたいのであります。私は、私の今述べたごとき非合法的破壊行動の調査機関であるならば、その設置は、現下必要であると認めます。而してこの調査執行の事務は、第一次的には当然國政部門に属するのでありますから、政府がその責任を担当せられ、政府の機関として民主的な委員会を設けて所管とし、参衆両議院は政府の行うところを嚴重に調査監督し、政府に非違があれば断乎としてこれを矯正するのが、立法、行政を分離した憲法の精神に合致するものだと信じます。
 次に、最近朝鮮人の密入國、密輸出入が激増しつつあります。要衝に当つている山口縣のごときはその取締に手を燒きまして、又今後の見通しについて、現状のままでは万全を期することは殆んど絶望だとしております。これに対する海上保安廳の活動は殆んど無力であります。海上保安廳法で百二十五隻、五万総トンの船舶の保有が許されているのに、現在僅か四十二隻、九千トンのぼろ船を持つに過ぎません。又武装は皆無に近く、僅かにピストル数挺を警察から借用している程度であります。速かに海上保安廳法によつて許された範囲において、優秀な船舶の増加、武装の強化、保安官の充実を行い、殊に関門方面、対馬、隠岐等、要衝の地にはその大半を配する等、配置を合理化し、且つ警察との連絡を強化し、万全を期さなければならないのであります。昨年以來浜松、大阪、神戸、姫路、宇部、益田の諸都市に朝鮮人関係の大事件が頻発し、延いては國内の治安を騷然とさせております。これは在留朝鮮人に対する政府の取扱の方針及び関係法規がはつきりしない点に第一の禍根が存する。殊に過般南鮮の大韓民國は國際連合において承認せられたのでありますが、この際在留朝鮮人の取扱の法的関係を確立する必要があると考えます。善良なる大多数の在留朝鮮人に対しましては、我々は相携えて共存共栄し、世界の文化に貢献しなければならん。併し強窃盗、詐欺、暴行等の犯罪は勿論、大掛りの密造酒、密造煙草の販賣、その他我が國の再建を阻碍する経済事犯に対しては、政府は不良日本人に対すると同樣断乎としてこれを取締るべきであります。而して同時に正業によつてその生活の立ち行くよう懇切に世話をすべきであります。然らざれば、これらは最近著しく増加しつつある密入國者と共に、我が國治安上の癌となる虞れがあります。これら治安の諸問題に関連しまして、吉田総理大臣兼外務大臣、樋貝國務大臣、大屋運輸大臣の所見をお尋ねいたします。尚、昨四日、極端な國家主義、反民主主義團体の結成指導を禁止する團体等規正令というものが公布施行されました。この團体等規正令関係の特殊調査と、この非日活動委員会との関連如何、これを法務総裁にお尋ねして置きます。
 最後に、治山治水及び森林の保全についてお尋ねいたします。治山治水及び森林の保全は、ややもすれば國の財政が豊かなときにやればよい事業のように思われております。併し決してそうではありません。これを怠れば、我が國のような崩れ易い山々を持ち、暴風雨の多い所では、忽ち治山治水費と森林保全費に数倍する惨害に襲われ、國民の日常生活は多大の損害を蒙むるのであります。政府の経済白書にも、昭和二十四年度に繰越される河川、耕地、山林等の要復旧額は約八百億円に上り、これが食込みとして災害に対する抵抗力をますます減少させるので、僅かの降雨によつても出水を招き、農地荒廃、山林破壊等、災害を拡大再生産していると言つております。又戰爭中及び戰爭後において、應急用として山林の過伐が強行せられ、森林資源は著しく不均衡となり、山地の生産力は減退し、森林の治水機能と水源涵養力も又減退いたしました。而も伐採跡地に対する造林が戰爭以來放置されていて、以上の事態を更に險惡化しているのであります。現在生産地たるべき土地で、無立木地が二百万町歩、荒廃林地が二十五万五千町歩もできております。然るに我が國では、依然年々七千万石の用材と一億数千万石の薪炭林を生産しなければ、復旧建設用の木材も生活用燃材も保持できないのであります。石炭生産に必要な坑木、用紙に必要なパルプにも事欠くことになるのであります。森林面積が戰前の約半分になつたのに、戰前の二倍近くの木材を伐採しなければならないことは、日本の森林資源にとり異常の負担であると同時に、國土保安上の危機であります。この事態に政府は如何にして対処せんとするが、政府の具体的な方針を承わりたい。(拍手)政府は從來造林、治山治水、林道開発等の各五ケ年計画を発表しておりますが、いつも実行が伴わないのであります。大水災に遭遇する度ごとに、國民は政府も治山治水を怠つたことを後悔するのでありますが、生産を急速に伴わない関係でいつも後廻しにしてしまうのである。昭和二十四年度予算において、これらの事業に対しどのくらいの重要性を認めておるのか。治水について、ややもすれば河川重点主義に堕しまして、砂防を疎かにする弊害がありますが、これは建設省内部における錯覚ではないか。又政府は第二回國会における森林保全に関する本院の決議を尊重し、速かに森林保全の積極的対策を講ずべきであります。かかる國土保全、民生安定の根本的事業にこそ、貧乏世帶をやりくりして是非とも優先的に経費を注ぎ込むべきであると思います。殊に行政整理、産業合理化による失業救済事業として、轉出産業と共にこれらの事業は最も適当であると思料いたします。これらの事項に対する安本長官、大藏大臣の所見をお尋ねいたします。又今年こそ造林、治山、治水、林道開発の各五ケ年計画を、予定通り実行することを確約することができるかどうか、森農林大臣、益谷建設大臣に所見をお尋ねいたします。
 尚、全國山林面積の三分の一の八百万町歩という、大きな面積を占めておる國有林の経営については、職員、從業員の努力にも拘わらず、成績は甚だ芳ばしくないのでありまして、國有林は國民から預かつておる大切な國家財産であります。然るにそれについての國土保安、生産の保続、國家財政への寄與、この三大任務を完全に果していないのであります。便利なところだけを伐り過ぎておる。造林が済んでいない所も二十五万町歩の多きに上つておる。これは余りに独立採算制に囚われ過ぎているからでもありますが、政府は一段と職員、從業員の待遇を改善すると共に、その努力を煩わさなければならないのであります。この造林未済地の造林には、國有林の小さい面積の所、飛地、里山、そういうもので、地元町村部落がこれを是非拂下げて貰いたいと切望しておるものがあります。そういうものを処分し造林費に充てることを適当と考えます。國有財産の処分も一時限りの支出に充てるのでは意義が薄い。(「そうだ」と呼ぶ者あり)森林保全のごとく、重要な恒久的な財源として使用してこそ意義があるのであります。この問題について農林大臣、大藏大臣の所見を伺います。(「所見でなく対策だ」と呼ぶ者あり)対策を伺います。(拍手)
 以上を以て私の質疑を終りますが、誠意ある当局のお答を期待いたします。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#17
○國務大臣(吉田茂君) 岡本君にお答をいたします。いわゆる民自党の公約については、政府としては緩急を図り、漸を以て実現する考えでおります。これは私の施政方針において述べた通りであります。御指摘の公約云々についての最も主なるものは、取引高税の廃止及び所得税の軽減、これについての答弁を要求せられておるものと思いますが、この税は先程も申した通り、税制審議会にかけて、各般の税制と共に、この二つの点については政府としては誠実に研究いたすつもりでおります。
 又警察についてのお話がありましたが、これは私も、現行の警察制度は甚だよろしくない、御指摘の通り、集團強盗その他に対しての取締も甚だ不十分である、これは政府といたしても、遺憾に考うるところであります。現に関係官廳において、現在の制度に対してどう改正をいたしていいか、この警察制度を最も有力なる、効果ある制度に直すのには、どうしたらいいかということを研究さしております。不日その点について答申を得るだろうと思います。
 又朝鮮人の問題については、これはお話の通り、山口縣その他において現に問題となつて甚だ困つております。又海上保安警察等についても、裝備その他において遺憾な点がある、そのために有効な取締ができない、これは事実であります。この裝備等については、只今その裝備を充実するために処置を講じております。これは多分相当の裝備が近日できやしないかと考えるのであります。その他については所管大臣からお答いたします。(拍手)
   〔國務大臣樋貝詮三君登壇、拍手〕
#18
○國務大臣(樋貝詮三君) 只今お尋ねがありました中の、警察についてお答え申上げます。米英が撤退した場合において、内から外からの不安をどうして除去するかというようなお尋ねでありましたが、外國新聞にもそのことは見えましたけれども、直ちに取消されたような状態でありまして、大体今のところで想像の域を脱しないというような考えを持つておりますけれども、併しながらこれに対しては、殊に外から來るところの不安に対しましては、現在勢力を以てできるだけの防備は施しておるような次第であります。(「講和会議はいつ頃か」と呼ぶ者あり)いろいろ國内事情についても不安があるというようなお話でありましたが、殊に各種の密造に対して不安も非常におありでありましたが、これに対しても十分なる考えを以ちまして、今日のあの人々を以て万遺憾なきを期しておるような次第であります。
 今日丁度國警が三万人ありまして、地方自治体が九万五千ありましたわけでありますが、その中の約一万は学校に入れて警察隊の修養に心掛けておるような次第であります。昨年、丁度只今御指摘になりましたように、一年ばかり経つておりますけれども、自治体警察と國家警察とを区別されまして、それ以來警察が僅かでも國民の警察であるという明るい点はありましたけれども、その力において非常に乏しいものがありました。着々この制度に慣れることによつて能力を回復して來るだろうとは考えておりまするものの、而も尚今日の状態においては、只今総理大臣からお答え申上げましたように、甚だ心許ないものが存在しておりますので、これに対して十分な計画を立てておるような次第であります。それから小都市の自治体警察が財政上非常に負担になるというお話は事実であろうと思います。各方面からいたしまして現行の制度がよろしいというのと、又財政上の負担に堪えられないというような声等、沢山陳情を承わつているようなわけで、これに対しましても或いは國費を増そうということを考えたり、又この制度を根本において考えなければならんことを思つておりましたために、その両面から研究をいたしているような次第であります。いずれこの案を整えましてから、これに対しては皆さんの御協賛も得なければならないことに達するだろうと思つておりますけれども、以上かくのごとき状態でありますのでお答え申上げます。尚海上保安隊につきましては、後刻或いは運輸大臣から申上げることかと存じます。これを以て御答弁申上げます。(拍手)
   〔國務大臣大屋晋三君発壇、拍手〕
#19
○國務大臣(大屋晋三君) 只今岡本君から御質問のありました北九州並びに山口縣方面におきまする海上治安警備の点につきましては、只今総理大臣からお答を申上げた通りなんでありまするが、何分廣い水域のことでございまして、これらの警備に十分であるということが御指摘の通り不完全なのでありまするが、今年は目下國会に提出いたしました予算の中に、巡視船を六隻、港内艇を十隻の建造を見込みまして御協賛を願つておりますので、これらの船舶が建造の暁には、從來の不完全なる経費を相当充実もできるし、又或る程度の裝備の不完全も、目下関係方面にいろいろ交渉をいたしておりまするので、御指摘の警備不十分なる点は本年は着々と改善ができる見込でおります。右御答弁いたします。(拍手)
   〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
#20
○國務大臣(殖田俊吉君) 昨日團体等規正令を発布いたしました。これは一九四六年一月四日附の覚書五百四十八号に基きまして制定いたしたのでありまして、お話のごとき非日活動なるものと直接の関連を目途とするものではございません。併しながらこの團体等規正令の第一條にはこういうことを規定しております。「この政令は、平和主義及び民主主義の健全な育成発達を期するため、政治團体の内容を一般に公開し、祕密的、軍國主義的、極端な國家主義的、暴力主義的及び反民主主義的な團体の結成及び指導並びに團体及び個人のそのような行爲を禁止することを目的とする。」それから第二條に、「その目的又は行爲が左の各号の一に該当する政党、協会その他の團体は、結成し、又は指導してはならない。」云云とございまして、七つの項目を掲げております。その中で只今お話の点に関係があると思いますることは、「占領軍に対して反抗し、若しくは反対し、又は日本國政府が連合國最高司令官の要求に基いて発した命令に対して反抗し、若しくは反対すること。」これが一番目でありまして、第七番目に、「暗殺その他の暴力主義的企図によつて政策を変更し、又は暴力主義的方法を是認するような傾向を助長し、若しくは正当化すること。」その他まだ五つの項目を掲げておりまするが、これらの行爲を禁止しよう、徹底的に禁止をしようと、こういうことになつておるのでございまして、只今申上げました項目は可なり廣汎に亘つておるのでありまするが、苟くもこの覚書に基きまする政令に違反をいたしまして、國民の自由と安全を脅かし、社会に破壤を混乱をもたらそうとするものに対しましては、これが指導原理の如何に拘わらず断乎取締をいたさなければならんのでございます。併しながらこれがために、はつきりと具体的にこの政令に規定しておりまする場合を除きまして、日本國憲法に保障されております集会、言論、又は信教の自由というものは、飽くまでもこれを尊重しなければならんのであります。その辺は万間違いなきを期したいと考えておるのでございます。
 それから非日委員会ということのお尋ねがございましたが、非日活動というものにつきまして、この頃世上いろいろの論議がございますので、政府におきましても、この点は十分に愼重に考えたいと思いまして、只今各方面を動員をいたしまして研究をいたしておる程度でございます。
   〔國務大臣池田勇人君登壇〕
#21
○國務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。治山治水の重要性は誠に御同感でございまして、これら経費は公共事業費の中に盛つております。御承知のごとく、公共事業費は枠を五百億円と決めました関係上、金額は昨年度より多うございますが、事業分量は可なり減つております。我々はこの金額で最も重点的にこれを使用して行こうとしておるのであります。從いましてお話の治山治水に関しましては、昨年度よりも相当多額の経費を見込んでおります。大体昨年度は五十億円余でございましたが、今年度は八十数億円を見込んでいる状況でございます。又治山治水の公共事業費以外におきましても、民有林の施業につきましては昨年度の倍額以上を見込みまして、この治山治水の趣旨に副いたいと考えております。尚森林政策につきましてお話がございましたが、國有林が最近非常に多くなつて参りました。これにつきまして我々もいろいろな研究をいたしております。当座の独立採算制ということよりも、百年の大計を樹つる意味におきまして只今檢討中でございます。(拍手)
   〔國務大臣青木孝義君登壇〕
#22
○國務大臣(青木孝義君) 岡本議員にお答えをします。経済安定本部の五ケ年計画は、御承相の通りに二十四年度を以て出発するということに相成つておりましたが、今回の予算の関係から見まして、お言葉の通りに、遺憾ながらその所期の目的が予定通りには進まないような状態にあるのであります。甚だ遺憾に存じている次第であります。ただ併しながら今回の公共事業費の中で、特に道路の建設費及び只今の治山治水という関係の上から見まして、砂防或いは山林というような面で多少増額されているというような点では、幾分これに副つているとも考えられるのでありまするが、全体といたしましては、甚だ遺憾ながら今年はこの第一年の計画に副わない状況にありますることを甚だ遺憾と存じている次第であります。
   〔國務大臣森幸太郎君登壇〕
#23
○國務大臣(森幸太郎君) 岡本さんの民質問にお答え申し上げたいと思います。お述べになりました通り、誠に山林の荒廃は遺憾な点がありまして、戰爭中過伐、濫伐を続けました結果、殊に薪炭、製材等の便宜から、里山というものが非常に荒廃いたしておるような状態でありまして、國土保安の上から申しましても一日も捨て置けない状態になつております。併し先程大藏大臣が申上げました通り、公共事業費が非常に削減せられましたるために、二十四年度におきまして予定の計画が遂行できないことを遺憾に存ずるのであります。現在造林を要しまするものが、百四十五万町歩あるのであります。今後、伐採いたしておりましてその跡を植樹いたさなければいけないものが、五ケ年計画といたしまして百三十八万町歩を考えて行かなければいかんと思います。この計画に基きますと、二十四年度におきましては二十五万町歩の計画を当初いたしておつたのでありますが、先程申上げましたような事情のために、その全部をなし得ない情勢になりましたことを、誠に遺憾に存じておる次第であります。併しながらでき得るだけその予算の範囲におきまして、最も急を要する個所について力を注いで参りたいと存じます。殊に民有林等の造林に対しましては、その所有者の自由意思によりまして、伐採後、栽植が遅れており、或いは怠つておるというようなものがありまして、これは個人の自由ではありますけれども、國家保安の上から申しましても捨てて置けない問題でありますので、こういうふうな栽植をすべき森林地帶をそのまま放任して置くことは、何とか法の力によつてこれを是正して行きたいというようなことを考えて、近く皆様に御審議をお願いしたいと考えておる次第でございます。尚先程申しました通り、里山というものが非常に荒廃いたしまして、奥山というものが残つておる。こういう事情でありますから、林道等も相当力を入れまして、奥山というものの開発に力を入れて行きたいと、かように考えております。又荒廃地もお述べになりました通り非常な数に上つておりますので、一日も早く‥‥これは捨てて置けない問題でありますから、この荒廃地に対しまして極力、力を盡して行きたいと存じます。今度御承知の通り、昨日箱根の仙石原に行われました愛林デーのごとく、十七年以前からこの愛林連盟ができまして、そうして、全國的にこの造林を奬励された参りました。すでに相当の成績が挙つております。殊に本年は学徒の諸君が非常に應援をして呉れることになりまして、学徒の力によつて各府縣に学校林の造成を進めて行くようなことを計画せられて、その緒に本年着きましたことは、誠に國土保安の上から頼もしきことであり、我々はその仕事の成果を祈つておるわけであります。又政府といたしましても、そういう方面にできるだけの力を盡したいと、かように考えております。
 尚國有林の問題でありますが、大藏大臣が先程お話になりましたが、國有林はすでに三十二年以來整理に着手いたしまして、一應整理は付いたわけであります。併しながら皇室御料林が拂下げになりまして、國有林の事情も非常に変つて参つたのであります。又この國有林を國有林として、いつまでもこれを國家が保管いたさなければならん國有林もあります。又これは民間に拂下げまして、そうして民間の経営としてやらした方がいい場合もあるのであります。そういうふうなものは目下それぞれ檢討を加えております。殊に戰爭以來保安林の解除がやかましくなりましたが、保安林として設定しなければならない林野が開放いたしてあるというような現状でありますので、この保安林の設定にいたしましても、國有林の整理と相俟つて根本的にこれを整理いたしたい、かように考えておる次第であります。(拍手)
   〔國務大臣益谷秀次君登壇〕
#24
○國務大臣(益谷秀次君) 岡本議員にお答え申上げます。災害対策の上から見ましても、單に災害復旧に止まることなく、恒久的に治山治水の計画を樹立いたさなければならないのであります。これには申すまでもなく、急速に河川の改修をいたします。又維持修繕をいたすと時時に、砂防の万全を期せなければならんのであります。從つて建設省といたしましては、御承知の通りいわゆる溪流砂防を担当いたしております。この砂防については他の河川改修と全く同一に私共は重く見ております。砂防を軽視いたしておるということは毛頭ございません。この点は御了承願いたいと思うのであります。建設省の計画をいたしておりますいわゆる治水五ケ年計画であります。これは申すまでもなく近年の雨量から見まして、ややこれで安心ができるという程度の河川改修工事をいたしまするための直轄河川は九十余河川であります。新たに着手すべき中小河川を加えまして約八百河川であります。その他北海道の河川についてもこれの改修完成を目的といたしまして、そうして昭和二十四年度から向う十ケ年にこれを完成するという目途の下に、上半期五ケ年間に行うべき河川改修の計画を立てましたのが、いわゆる建設省の治水五ケ年計画でございます。これに対しては御承知の通り相当金額が必要でございます。併しながら今日大藏大臣も申されました通り、國家の財政の現状から見て、河川に対しては政府といたして相当にこれには予算を組んであります。ありますが、私といたしましては、與えられたる予算の範囲内において最も効果的に、重点的にこれを使つて、工事におきましては災害復旧工事と関連いたして、でき得るだけ、繰返して申しますが、効果的に、重点的に使用いたして参りたいという所在でございます。
 尚失業の対策と絡んでの御質問でありましたが、御承知の通り河川工事は事業本位でございます。又地域に制約されておりまするが、地域的に、事業的に、許す限り失業者を吸収して参りたいと思います。以上簡單でありますが御答弁申します。
#25
○議長(松平恒雄君) 本日はこれにて延会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。明日は午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十九分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、日程第一 國務大臣の演説に関する件(第二日)
ソース: 国立国会図書館
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