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1949/04/07 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第11号
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1949/04/07 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第11号

#1
第005回国会 本会議 第11号
昭和二十四年四月七日(木曜日)
   午前十時二十二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十号
  昭和二十四年四月七日
   午前十時開議
 第一 國務大臣の演説に関する件(第四日)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、國務大臣の演説に関する件(第四日)、昨日に引続き順次質疑を許します。帆足計君。
   〔帆足計君登壇、拍手〕
#4
○帆足計君 政府の施政方針に対する質問をいたします。
 最近日本の産業は戰前の六割前後にまで生産を回復したと言われておりますが、今その内容を仔細に檢討して見ますると、國民生活の深刻なる不安は依然として続き、又石炭鉱業のごときは戰前の基準に漸く近付きましたけれども、セメント、化学工業等は戰前の四、五割に過ぎません。又製鉄業は三割、繊維工業は二割前後というふうに、その実体は未だ極めて不均衡な実情にあるのであります。更に生産回復の実体を突き詰めますると、企業の努力と正常なる輸出貿易によつて得ましたものは、その半ばに過ぎぬ現状でありまして、他の半ばは年額四億ドルにも及ぶ連合軍の援助物資に依存して今日を凌いでおる実情であります。かく考えますると、六割生産の自力による実体は実は三割に過ぎません。我々は日本経済の自立が如何に困難な課題であるかを一段と深く痛感する次第であります。現状では年に三億ドル、一千万石以上の食糧をアメリカから惠まれ、その代金さえ一文も支拂つていないというのが敗戰祖國の現状であります。今や食糧の増産なくして日本経済の自立はありません。食糧の増産こそは、金の生産、貿易の振興にも優る経済的意義を持ち、石炭の増産以上の急務中の急務であります。マツカーサー元帥が、他國の惠みを受けている民族に眞の自由と解放はないということを警告したことは、遺憾ながら正当であると思います。
 そこで私は農林大臣にお尋ねしたいのでありますが、本年度の食糧の見通しについて考えますると、数ケ年に亘る豊作の後を受け、地方は枯渇し、天候は異変を呈し、我々國民として憂慮に堪えません。政府はこれらに対し遺憾なく準備をしておられるでありましようか。政府は食糧の増産が石炭の増産にも優る重大課題であることを十分認識しておられるでありましようか。経済九原則には、原糧供出推進という項目はありますが、食糧増産という項目は見当りません。供出もさることながら、増産への努力こそが最も必要である。(拍手)そのためには、曾てデンマルクが、外に失いしものを内に耕せという意氣込みを以て、農村の小学校を小農民学校に改編したがごとき勇断を持ち、農業技術の全能力を集中し、解放された農民に協同組合への途を示し、農業と工業、科学技術を結合し、又米價の適正化を図る等のことが必要であると思うのであります。経済安定本部の立てました第一次の五ケ年計画試案では、その計画は功成り名遂げた遂句においてすら、更に四百万トン、五億ドル内外の食糧の輸入を必要とすると聞きましたが、このようなことで果してよいのでありましようか。食糧問題となると、大農國たるアメリカの技術も、アジア的水田小農国たる日本には一向通用せざるがごとくであります。一般國民も亦、ややもすれば、國土狹小にして猫の額程の零細農では如何ともすることができぬというような、陳腐な常識論に終始して今日を糊塗しておるかのごとく見えます。私は日本農業の改革のためには、むしろデンマルクのごとき小農國の農学者を招聘する等の手段により、進歩的技術を導入し、旧套を打破して、この際思い切つた進歩と改革への努力が必要であると思います。食糧増産問題を第一義的に解決せずして、経済の自立、爲替の安定を望むことは、三百万トンの鉄で一億トンの鉄に戰いを挑んだ戰時政策の愚かさを追うものと言わなければなりません。私は農林大臣に先ずこの一点をお尋ねいたしたいと思います。
 第二に吉田総理にお尋ね申上げたいと思いますが、國際情勢の関係についてであります。國土の半ばを失い、数千丈の断崖から轉落した販戰日本経済の特色は、アメリカ、ソ連などと異なり、日本が資源に乏しく、國内の自力のみを以てしては自立復興が不可能であるという事実であります。現状では、食糧はもとより、殆んど一切の原料資材を輸入に依存し、國外の理解と協力なくしては日本は絶対に生きて行けないのであります。然るが故に、日本復興のための第一國際的要件は、何よりも先ず平和、なかんずく極東の平和であります。万が一にも平和が脅かされるようなことがありますならば、それによつて最も激しい犠牲を蒙むるものは外ならぬ日本であります。即ち、食糧並びに原料補給路の杜絶により、日本國民は飢餓と破産に直面し、更に戰禍の波及するところを思うと、慄然たらざるを得ないのであります。勿論現代における世界の両極たる米ソ両國は、共に資源において何一つ欠くるところのない國でありますから、究極においては協調と共存の可能なことを私は信ずるのでありますが、右に関し、現在の國際危機に処すベき日本の立場について、過般マツカーサー元帥はデーリー・レール通信員ウオード・プライス氏との談話において次のごとく述べております。即ち、「私はソ連が日本を攻撃するとは信じない。同時に又アメリカは日本を軍事的同盟國とする意思はない。若し万一戰爭が起つたときも、アメリカは日本が戰うことを望んではいない。」マツカーサー元帥はかくのごとく述べ、更に語を継いで、「日本の役割は太平洋におけるスエーデンやスイツツルのごときものであるべきだ。」と語つたということであります。今春のロイヤル長官の戰略論議は、いろいろな意味におきまして日本國民にとつて異常なシヨツクでありましたが、その結論は、結局マ元帥と同じく、日本が永世局外中立の國として平和と文化の道を進むべきことを示したものでありました。考えて見ますると、すでに原子爆彈の発見によりまして世界史は一変しつつあります。新日本の憲法に示されたあの異常なる理想主義こそは、單なる抽象的空論ではなくして、偉大なる原子爆彈の眞空が生んで嚴しい現実の産物であります。この意味におきまして、私は近時洛陽の紙價を高からしめました永井隆博士の近著「長崎の鐘」と文理大小倉教授の「絶後の記録」こそは、全國民必読の書であり、万國語に飜訳さるべき歴史的記録であると思うのであります。我々はまだとかく小銃、機関銃、戰車の立場からものを考えるのに慣れているかのごとくであります。かくのごとき狹隘な観点は当然清算さるべきでありましよう。原子爆彈の観点より考えますならば、人類は今や飽くまで平和と理性の道を追求し、みずからを救うために、再び戰爭をあらしめてはならぬという固き決意を示すときであると思います。(拍手)特に現下の敗戰日本といたしましては、その置かれたる特殊の立場からしまして、平和と中立への道こそは絶体絶命の道であると思うのであります。先日も或る外國の新聞に、「原子爆彈の今日、七つの海を支配する大英帝國の艨艟も今や一介の裝飾物に過ぎぬ。今や世界の市民は國際連合に協力して平和と理性の道を追求する以外に残された道はない。」と論じております。もはや戰車や小銃は武器ではありません。我々は武器を奪われたのではなくして、かかる汚れたる玩具を捨て、世界平和の先駆者として、裸身のままで、理性と文化に生き拔くというくらいの自覚と気魄を持たねばならぬのじやないかと思います。(拍手)世上一部には、憲法の改正とか再軍備とかいう軽卒なる論議を聞くのでありますが、我々は飽くまで新聞憲法の精神を守りたいと思います。我々は我々の子らを如何なる國の傭兵にもしたくありません。(拍手)日本は世界最初の原子爆彈の天刑を見舞われた國として、武裝を放棄せる國家たることを名誉と考え、賢明なるスエーデン、スイツツルのごとく、一切の國際紛爭に超絶して、永世局外中立の立場を守り拔くことが必要であると確信いたしますが、(拍手)政府はこれに対し如何なる御見解と信念を有せられるでありましようか。吉田総理大臣にお尋ねしたき第一の点はこの点でございます。
 次に吉田総理にお尋ねいたしたいことは、新生の中國並びに東南洋諸國との経済提携の問題であります。日本の復興は國外よりの援助なくしては不可能であり、現状ではアメリカ市民の負担によつて乞食のごとく辛うじてその命脈を保つているのでありますが、正常なる國際経済の観点より考えますならば、生糸貿易の激減したる今日、日本とアメリカとし経済関係はすでに昔日の比ではないのであります。勿論アメリカとの協力は日本國民として今後とも第一義の務めではありますけれども、我々は船腹の八割五分を喪失し、ヨーロツパとの貿易も亦すでに余りにも疎遠となつております。然りとするならば、日本の八千万國民の今後生くべき道は鉄鉱、粘結性石炭、ボーキサイト非鉄金属、工業塩、ゴム、油脂、食糧などの資源を持つところの中國、朝鮮並びに東南アジア諸國との親善の恢復と経済提携をおいて外に道はないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)この問題に対して過日ロイヤル・アメリカ陸軍長官が、「日本経済の復興のためには、その長期計画において極東地域の相互依存関係が十分に認められなければならぬ」と指摘しておりますことは、注目に値することであります。今や中國その他との密貿易くらいのことで、この八千万國民が生きて行ける筈はありません。これらの諸國と心からなる親善関係を結び、経済協力をなす以外に日本の生きるべき途は絶対にありません。(拍手)若し我々が新生の中國、朝鮮並びに東南洋諸國との親善協力の関係を確立することができますならば、両三年にして日本は自立し、湧き立つような平和繁栄と復興の日を迎えることができるでありましよう。併しながら、このためには日本の現状を私共は反省しなくてはならぬと思います。現在日本の一部に見られるような、朝は平和國家、文化國家、畫は軍需発注への期待、夜は再軍備への期待と不沈航空母艦論、(「本当だ」と呼ぶ者あり)このような、でたらめなことであつてはならないと思います。本庄事件その他に示されたような暴力團や、ボスや、顔役、暗黒勢力が白晝濶歩するような日本であつてはならないと思います。(拍手)政府は全國到る所に巣喰う封建時代の残宰、かかる暗黒勢力を日本から一掃する決意がおありでありましようか。(「封建勢力だけではない」と呼ぶ者あり)私はこの際日本が軍國主義と封建制の残滓を完全に清算し、二度とアジア諸民族の恐怖とならぬよう、又中國並びに東南洋諸國から心から信頼され親しまれる底の民主的且つ文化的國家たるべく、一段と努力することが何よりも肝要であると思うのであります。
 日本は敗戰の結果一切の植民地を失いました。併し考えて見ますると、植民地を失つたことは單に軍事的敗北の結果ではありません。今や植民地という呪われた言葉は、アジアから、世界史の上から消えんとする時代に直面しておることを我々は知らねばなりません。曾て偏狹なる國粹主義と忠君愛國を以て飯の種とする寄怪なる一群の人人と集團がありました。かかる一群の人と集團との無智と偏見とが無謀なる戰爭を挑発し、今日の祖國の悲運を招いた隠れたる元兇であることは、すでに國民周知の事実であります。そうして今でも國体護持、反共のスローガンをされ掲げれば飯を食うに事欠かぬ由であります。私はかかる素朴なスローガンを以て、一部の勢力に対抗し、且つ現在の複雜なる國際情勢に有効に対処して行くことはできないと思います。(「然り」と呼ぶ者あり)マツカーサー元帥が九原則の書簡に要求したところの、「混乱せるアジアが以て範とするに足るべき進歩的経済安定の型を作り出すことは、日本國民に期待するところである」という言葉を、政府は如何ように解釈せられておるでありましようか。我々にとつて必要なものは、全國民の支持と協力をかち得るごとき進歩と建設と理性への道であると思います。而も日本は曾てアメリカに対してのみでなく、ソ連と中國に対する認識を誤まり、今日の沒落を招いた國であることを知らねばなりません。かく考えますると、戰事戰後を問わず終始一貫して中立の道を歩み、欧洲擾乱のさなかにおいてすら平和と幸福の道を模索し、奇しくも生き抜き得たスエーデン國民の冷靜と叡智こそは、敗戰日本國民の学ぶべき道であると思うのであります。今や二つの世界を超絶した國際連合の道、ユネスコの道、絶対的中立と平和の道こそが日本の進むべき唯一の道と思うのであります。かかる観点から吉田総理は、近く成立を予想せられる新中國民主連合との親善提携に対し、又自由と独立のために沸騰しておる東南アジア諸國との親善提携の関係に関し、如何なる御見解と抱負をお持ちであられるでありましようか。これが伺いたき第三の点でございます。
 第四に青木安定本部長官にお尋ねしたいのでありますが、中川次官がお見えですからお聞き願いたいのでありますが、経済九原則の問題についてであります。日本経済の自立を要求する九原則の嚴しいことは、もとより当然のことでありますが、この九原則の発せられた日本経済の現実の足場は異常なる不安定と不均衡の上に置かれております。特に経済安定の中核たるべき物價体系は著しいアンバランスの現状でありまして、石炭、電力、運賃等、基礎物資のマル公が不当なる位置に置かれていることは周知の事実であります。私は九原則実施のためには、先ず混乱している現在の足場を合理的に調整すべきであり、又爲替一本レートの設定は、日本の実勢、実力に應じたものでなくてはならぬと思います。今次の予算におきまして、アメリカからの援助資金一千七百億が特別会計に組まれましたことは当然のことでありましようが、本予算七千億中二千億にも及ぶものが價格調整費に計上されておりますことは、極めて不合理であると思うのであります。このようなことでは、いわゆる竹馬の脚はますます高くならざるを得ません。又國民の血と涙から取上げた税金二千億が價格調整という空疎なる名目に消えてしまうということも、財政技術上より見まして極めて拙劣なことであると思います。よろしく基礎物資のマル公の中で甚だしく不合理なものについては、この際生計費に著しい影響を及ぼさない範囲においてこれを是正し、それによつて價格調整補助金を三、四割方減額すべきであると思います。かくて節約された財政の一部を國民の税負担の軽減に充て、他を六・三制、水害対策費、住宅資金等、必要なる復興資金の増額に充てるべきものであると思います。(拍手)同時に現在の不当なる價格差益金の徴收並びに不合理なマル公の現状こそは、企業の自主性を破壊し、現下金融逼迫の最大な原因と思います。政府は近き將來これらを是正する意思がおありでしようか。これに関連して、現在の官僚独善を改善し、國民各界の正当なる要望を物價政策に反映させるために、物價審議会のごとき機構を政府に設ける意思があおりでしようか。現在の物價機構は正に総動員法以上の独善的機構になつております。これに対して物價審議会のごとき機構を設ける意思がおありでしようか。以上の諸項が安本長官にお尋ねしたき諸問題であります。
 更に第五の質問として、大藏大臣、商工大臣、並びに関係大臣にお尋ねしたいのでありますが、現下の産業資金逼迫についての対策、なかんずく政府支拂の遅延、特に車輛、通信機への十数億に上る不拂、並びに百億にも上る石炭関連産業の不拂問題につきまして、政府はこれが打開策を如何にお考えでありましよう。
 最後に厚生大臣にお尋ねしたいのでありまするが、人口問題の対策であります。御承知のごとく、昭和六年に六千五百万でありました日本の人口は、今や領土は半減せるに拘わらず、すでに八千万を超え、近く九千万の人口になろうとしております。その上、出生率は未曾有の増加で、而も一方ペニシリンその他の衞生施設の向上により死亡率は激減し、年々生れる人口は三百万、人口の純増加は百六十万にも及ぼうとしております。産兒調節の問題は嚴粛なる宗教的並びに倫理的問題をも内包しておりますことは十分に承知しておりますが、敗戰祖國の如何とも抜け道のない悲惨な現状を考え、今後生れ來る子らの將來を考えますると、今や眞劍にこれが対策を考究せねばならぬところに來ておると思います。移民問題のごときはもとより緊要な問題でありますが、これは数十年に亘る歴史の流れにおいて解決すべき問題でありまして、当面の敗戰日本におきましては、これを論ずることは未だ空理空論たるを免れません。從いまして当面の対策としては、健康で明朗なる産兒調節のために一大國民運動を必ず起さねばならぬと考えまするが、これに対する厚生大臣の御所見を伺いたいと思います。
 以上六点を以ちまして、政府の施政方針に対する私の一般質問といたします。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#5
○國務大臣(吉田茂君) 帆足君の御質問に対して御答弁をする前に、岡本議員の質問に対してこの間、当弁漏れがございましたから、一應この点を先にお答をいたします。
 岡本議員の御質疑は、私が國際関係について余り、何と申したか、軽々しく変えない方針とか申したのでありましよう。つまり國際関係についての見通しについてどういうことを言つたかという御質問であります。私が申した趣意は、如何なる時代におきましても、大戰爭の後においては一時平和に対する危險な事態を発生しがちである。例えば普佛戰爭のあとに、一八七二年でありましたか、五年でありましたか、一時いわゆるブレメンテイブ・ウオーというような問題が起つて、一時ヨーロツパの平和が再び破れる、ビスマークがフランスの復興の早いのに対して警戒をした結果、独佛戰爭の再起の虞れがあるような事態が生じたこともありますし、第一次戰爭後において、一九二三年と思いますが、ルールの占領というような事態が起つたことがあつて、再びフランスとドイツの間の平和が破れるというような事態が生じたことは御承知の通りであります。今度の第二次世界戰爭後におきましても、段段國際情勢が危險なりまして、今お話の通り二つの世界に分れるというような形勢になつておるというようなことでありますが、私はこれも一應の経史的事実に考えて見ても、戰爭後において起る一つの現象である。併しながら各國共に戰爭の惨害に懲りて、戰爭の惨害については、害毒については、尚各國共に記憶に新たなるものがありまするから、そこで平和が破壊されないように、平和維持のためにいろいろな問題が起る。その一つの現われは北大西洋條約でありますが、この北大西洋條約にいたしましても、結局は加入國がその平和維持のために戰爭による共同の危險を防衞するための一つの平和條約であつて、かくのごとき條約が生じたのも、これは戰爭再起というよりは平和を維持するために、平和は飽くまでも維持したい、戰爭は飽くまでも拒みたいという観念からできたのであつて、一方においていろいろな國際的の噂が生ずる、他面において平和維持の運動が起るという一つの現われである、こう考え得るのであります。故に直ちに戰爭がこれから起る……直ちにということでもありませんが、近き將來において戰爭が生ずるということは万々ないのである。又日本國民もそう考えて、國内の情勢或いは國内の経済安定等について疑念を持たずに、その業に安んじ、日本の平和は勿論、極東の平和は勿論でありますが、世界的にも平和は増進されて……直ちに近い將來において戰爭の危險ありとして余りに神経過敏になつてはいけないというので私の趣意であります。又そう考えました根柢は、今申したような理由に基くわけであります。
 帆足君の御質問にお答えをいたします。
 第一の御質問は、永世中立という立場を堅持してはどうかという御質問でありまするが、私は直ちに永世中立という立場をとることがよいか惡いかということについては多少の疑いがございます。例えばベルギーのごときは永世中立國でありましたが、これも戰爭に巻き込まれたのが第二次戰爭における事実であります。故に永世中立の立場をとるがよいかということは余程考うべき問題ではないかと思いますると共に、然らば日本が戰爭に巻き込まれないようにするにはどうしたらよいか。これは私は飽くまでも日本が民主政治に徹底いたし、民主政治の國々とよい関係を持ち、又民主政治の國々が、日本は眞に平和を愛好するのであり、又日本は世界の平和に飽くまでも貢献するという國民が決意を持つておるということを示すことが、日本の今日において先ずとるべき態度ではないか、こう私は考えるのであります。故に日本における民主政通の確立には飽くまでも努力いたしたい。又國民もその考えで、民主政治の確立に着々歩を進めるように協力いたすべきであると、こう考えるのであります。又私は、日本の経済が先ず自立するということが第一において必要であつて、日本の経済が自立する、日本の國民がその堵に安んじて安定してその生活を営むということが、世界の平和を破らないただ一つのことであつて、先ず我々は経済の自立ということに、即ち日本の復興に先ず政府も國民も一致して、この問題の解決のために一致協力すべきである。このことによつて先ず日本で安定し、從つて世界の安定に貢献するということになると私は考えるのであります。
 又新生中國との親善関係に協力せよというお話でありますが、無論そのつもりであります。又そういたすべきであると思います。これは過般ドレーバー・ミツシヨンが見えたときと思いますが、そのとき私は、日本の食糧は足りないが、アメリカから高い物資を輸入されて、日本の輸出は全然この支拂のために充てられるという状態になつては、これは日本の経済自立もできないことであり、又日本の食糧自立ということもできないということになつておるのでありますから、この日本への輸入は成るべく原料の形において輸入して貰いたい。日本がこれに加工して輸出を増進することによつて、アメリカの食糧よりももつと安い食糧を輸入して、貿易の振興によつて日本の経済なり食糧問題の自立を図りたいものである。この点はドレーバー氏も同感でありました。今日においては、ただにアメリカの麦が高いのみならず、海運運賃等も高いために、非常に輸入する場合においては、輸入物資としては非常な高價なものになつております。これが輸出の増進によつて、アメリカの工業原料の輸入によつてのみならず、加工をして、そうしたこれをアジア地方に輸出して、そうしてアメリカの食糧よりももつと安い食糧が手に入るならば、日本の経済の独立を増進することであり強化するものでありまするから、成るべく輸出増進によつて食糧を近い國から得るということが日本の経済の原則であるべきものであると、こう信ずるものであります。現にイギリスのごときも、アメリカの輸入食糧が高價に付くために、ドル資金の関係からも、昨年でありますか、アメリカの食糧輸入は半分にして貰いたいという要求をいたしておるように承知いたしておりますが、今や我が國においては、成るべく輸入は工業原料にして、そうしてこれを生産品として、輸出品として、近隣の國から食糧の共給を仰ぐということが、日本の経済自立を助くるゆえんであり、又國民の食糧を安價に供給する上から言つて見ても必要である。こう私は考えるのであります。殊に從來、御承知の通り食糧原料は中國から仰いでおつたのでありまするから、その親善関係からして、中國からの輸入が増進するということは最も望ましいことである。過般中國の何とかいう人が見えたときにも同じような意見を述べたのでありますが、これは中國としても日本から工業品を得て、そうして食糧と交換をするということは、中國の経済においても必要であると、大いに話し合つたのであります。故に中國との親善関係の強化については無論我々は賛意を表するところであります。やがて近日、中國における平和も確立するでありましようから、その節に政府といたしても総司令部を通じて経済親善関係の希望は実現し得ることと私は考えるのであります。
 それから暴力團その他についてのお尋ねでありますが、これは法務総裁から説明があると思います。
   〔國務大臣森幸太郎君登壇、拍手〕
#6
○國務大臣(森幸太郎君) 帆足さんにお答をいたします。お話になりました通り、食糧の自立ということは誠に必要なことであります。殊に経済九原則によりまして、今総理よりお話になりました通り貿易第一主義とされまして、日本の産業の將來は非常な苦痛を感じる場合も想像されるのであります。この場合に、高い食糧をアメリカから輸入して貰つておるということは日本の自立の上において非常な障害を及ぼすことは勿論であります。私は、あらゆる農林行政をこの食糧自給の方面に持つて行きたいと、かように考えておるのであります。(「何にもやらんじやないか」と呼ぶ者あり)安本において調査されました五ケ年計画におきましては相当の輸入食糧を見積つておるようでありまするが、これは一つの計画であります。併し我々はこの日本の事情から考えまして、必ずや自給の途が立つのであろうということを考えておるのであります。それに日本の食糧が、從來から長い習慣によりまして、米麦というものを主食として外のものを考えておらなかつたので、今後は現在配給いたしておりまする点におきましても、成るべく米麦で配給して貰いたい、「さつまいも」「じやがいも」のごときはこれを主要食糧から除いて貰いたいというような希望がある。これは長い間の日本の食糧習慣がそういうふうに慣らされておるのであります。これは日本人としての生理上、米麦を主要食糧のみに考えることは大いなる誤りと思うのであります。それで將來におきましては、この食生活において一段の工夫を考えて行かなければならぬと思うのであります、殊に日本の從來の食生活におきましては、蛋白質の不足或いは脂肪の不足ということが、日本人の体力関係を今日のような状態に置いたと考えるのでありまするから、今後は総合的なる食糧によつて、量というよりも質というものを考えて行かなければならぬと思います。ただ單にカロリーのみでなしに、その外に栄養食としての蛋白質をとるというふうに導いて行かなければならぬと思います。併し今日、尚百八十万トンの食糧を輸入して貰うことを懇請するの余儀ない状態におきましては、かかる理想もなかなかむずかしいと考えますが、併しこの戰爭以來、日本は粉食に相当慣らされて殊たのであります。余儀なき結果ではありましたが、粉食をし、パンというものを用いるようになつて参りましたことは、我々の考えておる食生活を改良する上において非常な貢献があつたと思うのであります。それで今後はこの粉食、パンというものを加え、そうして蛋白質給源を補給いたしまして、從來のような量というよりも質ということによつて食生活を変えて行くということを考えておるのであります。殊に日本がこの甘藷の生産に非常に適当いたしておりますがために、この甘藷の増産に非常に力を入れて行きたいと思うのであります。然るに甘藷は御承知の通り腐敗性がありまして、折角の甘藷も、この一月、二月になると、すでに腐敗をいたすというようなことは誠に遺憾のことと考えまして、本年度からはキユアリング施設をやりまして、三千万貫くらいを取敢えず貯藏をいたしまして、四月、五月の候まで、この「さつまいも」を貯藏し腐敗しないようにいたしまして、食糧の補給にいたしたいと思います。又甘藷、馬鈴薯の加工等に力を入れまして、そうして澱粉によつていろいろの食糧を得て行きたい。こうして行くならば、日本は水産國であり、又畜産の酪農の面にも力を入れて行きますならば、必ずや自給自足の途ができるのであるという確信を私は持つておるのであります。現在如何にして行くか、今日の農業の施設の上におきましては、土地が非常に荒廃いたしております。化学肥料に依存いたしましたために、非常に土地が荒廃いたしておりますから、家畜を導入いたしまして土質の改良を図つて行く。(「飼料がないじやないか」と呼ぶ者あり)又一面科学を取入れまして、そうして(「予算がないよ」と呼ぶ者あり)これで電氣科学その他いろいろな科学を持つて行かなければなりません。又技術の方面におきましても、今日までの指導が誤まつておる点も発見されるのでありまして、昨年できました改良局によりまして指導技術網を全國に張りまして、そうして隠れたる技術、民間の篤農家と名附けられる人が、こつこつと築き上げました体驗を科学的に研究いたしまして、これを普及するという方面に今力を入れておるのであります。(「新規入植者をどうするか」と呼ぶ者あり)そうして品種の改良におきましても尚残されたる面があると思いますし、又土質の改良をいたして、地方を向上さして行くというふうに力を入れて行きたいと思います。
 尚、耕地の拡張におきまして、開墾、干拓等のことが継続せられておるのでありますが、殊に今回、満州の方或いはソ連の方より帰還されるところの引揚の人々に対しましては、長い間の開拓の技術を活かすために、特にそういう人々のために開拓の方面に從事して貰うような方法を考えておるのであります。從來、開墾の所に入植いたしました人が、過去の経驗がないために、(「経驗じやない」と呼ぶ者あり折角入植いたしましても二三年で離れてしまう(「政府は嘘ばかり言つておる」と呼ぶ者あり)というようなことがありましたのに鑑みまして、この入植問題もいろいろ論議されたのであります。満州、シベリア等において深き経驗を持つ州人は、必ずそこに入植しても落ち着かれることになると思いますので、そういう人が営農ができ得るような施設をいたしたい、かように考えておるのであります。
 本年の麦作につきましては、四國九州方面において、冬暖かかつたために相当の被害がありまして、馬鈴薯に轉換いたした方面もありますけれども、それだけに東北のいわゆる寒冷地におきましては麦が從來よりも発育が都合好く運んでおるようでありますので、相互相殺して大して麦の減收も予想しておつた程にはないように考えておるのであります。本年の食糧事情につきましても、今申上げたような事情において、決して不安のないような計画が立ち得ると思つておる次第であります。(「もう少しまじめにやれ」と呼ぶ者あり)
   〔政府委員中川以良君登壇、拍手〕
#7
○政府委員(中川以良君) 帆足君の御質問に対しまして、青木総務長官は只今関係方面に出向いておりますので、私より代つて御答弁さして頂きます。
 帆足さんは経済人といたされまして、該博なるかずかずの御指摘を賜わつたのでございますが、御質問の第一点といたしましては、現行の物價体系を國際物價体系と睨み合せまして、これを合理的に改訂すべきではないかという御所見のように承わつたのでございます。現在の物價体系には若干のひずみのあることは御指摘の通りでございます。併し全体といたしましての價格水準はこれを引上げぬ方針に基きまして、止むを得ない最小限度の調整、特に輸入物資中、補給金の今後出るもの等に対しまして、必要に應じこれが改訂を行いたいと存じております。而もこれらの値上によりますところの價格の響きは、第二次、第三次の製品におきまして、でき得る限りこれを吸收せしめる所存でございます。而ういたしまして、今回の予算編成に当りましても貨物運賃はこれを据置きまして、旅客運賃の若干の引上を見込んでおりますが、石炭、電力等については、九原則の強い要請に基きまして、これに包藏されておりますところの從來の不合理性をこの機会に拂拭いたしまして、強固な基盤の上に増産を遂行せしむる意図の下に、現行價格を据置くことといたしまして、この範囲内におきまして收支相償いまするところの合理的経営を行うことを併せて要請をいたしております次第であります。
 御質問の第二点は、無理のない爲替レートを設定すべきであるという御趣旨のように承わりましたが、爲替レートの設定は近い將來に実現をせられると存ずるのでございますが、その高さにつきましては、我が國経済の実情に即應いたしまして無理のない高さが御指摘の通りに望ましいのでございまするが、しばしばこれを変更しなければならないような高さは不適当と存じます。又一度設定をされました以上は、これが長期に亘りまして維持し得るように、経済の合理化を推進して行かねばならぬと存ずる次第であります。これに関しましては、先に單一爲替設定対策審議会におきましても同樣のことが論ぜられているのでございますが、ただ、このレートの決定をいたしますることは一に関係方面でございまするので、政府といたしましては、これらの実情を率直に関係方面に披瀝をいたしておりまする次第でございます。
 御質問の第三点は、價格調整費の計上は多きに過ぐるではないか、これを他にもつと振向けるべきではないかということと存じますが、價格調整費は元來、経済の合理性、企業の自主性の要請の見地からいたしますと、必ずしも望ましいものではないのでございますが、今次、物價の低位安定を確保せんとしております折柄、一遂にこれを撤廃をいたしますることは、却つて生産を阻害し、徒らに混乱を招きまする虞れがございますので、補給金單位の切下げ、支給対象の減少等を嚴正に行いまして、最小限度にこれが支給をとどめまして、でき得る限り今後とも節約をいたし、御意図に副うような考えを持つております次第でございます。
 御質問の第四点は價格差益金の処理に関する件でございます。從來公定價格の改訂が、ややともいたしますると、その時期を失しまして、特に第二次、第三次製品におきましては、その改訂が常に時間的に現実と大きなズレを生じまして、手持品を安く賣り、そうして高い原材料を購入しなければならない余儀ない破目に陷つているのでございます。そうしてその半面、價格差益金を取られ、再生産に向けらるべき資金の枯渇を來たしまして、縮小再生産は遂に生産不能の状態にまで立至るものも往々生じております。特にこれらの現象は中小企業に想像以上深刻なるものがございますることは、正に只今御指摘の通りであると存じます。経済安定本部におきましては、折角價格差益金処理規則に再檢討を加えまして、少くとも正常の在庫に関しましては合理的特段の処置を講じまして、以て生産の正しき増強に寄與せしむるよう公明なる改正を企図いたし、御期待に副わんことを期している次第であります。(「それは実行いたすわけでありますか」と呼ぶ者あり)
 御質問の第五点は、物價審議会を設置せよということでございましたが、物價に関しましては、昨年末設定いたしました單一爲替設定対策審議会におきましても審議をいたしておるところでございますが、同審議会の使命も大体一段落を告げて参つたのでございまするので、今後は仰せのように、廣く民意を取入れまするところの新たなる機構を設置いたしますることにつきまして、研究を是非いたしたいと考えておりまする次第でございます。以上を以ちましてお答といたします。(拍手)
   〔國務大臣小澤佐重喜君登壇、拍手〕
#8
○國務大臣(小澤佐重喜君) 帆足君にお答えいたします。お話のように、政府支拂金の遅延が生産者の資金の圧迫を來しまして、延いて生産の増強に重大なる影響のあるということは、全く御指摘の通りであります。從いまして政府といたしましては極力この支拂遅延を解消いたしまして、促進して参つたのでございます。殊に第三次吉田内閣が成立いたしまするや、吉田総理大臣からも特にこの問題につきましては各省大臣に嚴重な御注意がありましたので、極力支拂を促進する方向に進んで参りました。即ち逓信省におきましては、二十三年度におきまして、通信機器費において約百十一億の発注をいたしましたが、この物品に対しましては大体納入は完了いたしております。而して支拂方面を見ますというと、大体檢收後、即ち品物を受取りましてから、一日乃至二日、遅くとも三日以内に代金は全部支拂つております。從つて現実におきましては、逓信省に関する限り一厘半銭の支拂未了もございません。ただ申上げて置きたいことは、御承知のように大体毎年予算年度初頭におきまして、商工省からメーカーに対しまして生産の指定をいたしております。ところが昨年の予算におきまして、商工省から指定をいたしたその額が、途中で價格の暴騰或いは賃金の変更がありましたので、当初の指定額程度の注文をいたしませんでした。從つて生産者側から見ますというと、それだけの資材を用意し或いは生産の準備にかかつたという関係から、非常に資金の行詰りを來しておるという現状は認めておるのでございます。從つて第二次吉田内閣におきまして、これに相当する約十三億の追加予算を計上したいと考えておりましたが、客観情勢がこれを許しませんので、勢い生産者側におきましては予定数量の十三億に該当する部分が不注文ということになつておりまするから、生産者諸君は相当お困りだと思います。併しこれに対しましては、逓信省といたしましても極力融資の途を斡旋いたしまして、或る程度融資が成功いたしておるような現状であります。尚もう一点申上げて置きたいことは、いわゆる予算外國庫負担の契約となるべきものが約六億ございます。これは六億ありまして、大体その一部の品物も納入いたしておりまするけれども、これは契約の当初より二十四年度の予算において支拂うべき金額でありまするから、法律上遅延になつておるものはございませんけれども、只今申上げた点で、これは現実に支拂つていない金が若干ございまするが、これは只今御審議を願つておる昭和二十四年度の予算が成立いたしますれば一日も速かにお支拂いするつもりであります。以上お答え申上げます。
   〔國務大臣大屋晋三君登壇、拍手〕
#9
○國務大臣(大屋晋三君) 帆足君の運輸省の支拂の遅延しておる問題についてお答をいたします。
 昨二十三年度におきまして國鉄の買物の代金の総額は四百二十数億に上つております。その中で石炭代が百五十六億、一般物件が二百七十億円になつておるのであります。そうしまして、その一般物件の購入代金の中の約七%強に当りまする二十億円が、いわゆる運輸省といたしまして代金の未拂になつておるわけでありまして、これが債権者は、小は十数万円から六、七千万円まであり、その債務を運輸省といたしまして持つており、つまりそれだけ支拂が延びておるわけであります。これにはいろいろな理由がございますのですが、究極のところ、極く困つておる先に対しましては、直ちにこの支拂を完遂いたすようにいたしまするし、その他の債権者に対しましても、この四月と五月、この二ケ月で全部二十億の支拂遅延の代金を完済いたし、借金拂をいたすことが十分確信を以て申上げることができるわけであります。(「石炭は」「発注は」と呼ぶ者あり)
   〔國務大臣稻垣平太郎君登壇、拍手〕
#10
○國務大臣(稻垣平太郎君) 帆足議員の御質問にお答え申上げます。先刻私関係筋に参つておりましたので、御演説を聞き漏らしたのでありますが、御質問の要旨は石炭関連産業未拂の問題についてであつたと承わつております。石炭の関連産業が石炭業者からの未拂約百数十億に上つておると記憶しておるのでありますが、それがために非常な影響を蒙むつており、関連産業の影響が自然他の又その関連産業に影響して、波及するところが非常に大でありまして、私としても非常に憂慮いたしておるのであります。かように沢山の未拂ができました原因は、前年度におきまして、大体生産設備九十四億円を予定して工程を進めておつたのでありまするが、その途中で例の企業三原則によりまして、約五十億円程度で復金の融資が打切りとなりました関係上、すでに注文しておりましたところの設備その他についての未拂が生じたということと、それからして又一面に、或る部分の炭鉱は実際上赤字が出るという問題、この二つの関係から、かような多額の未拂が生じたわけであります。この点に対しましては、取敢えずこれに対する融資について目下斡旋について考究中でありまして、何らかの形でできるのではないかと、かように考えておるのであります。尚これの完済の方法につきましては、生産設備の問題について、生産設備資金につきましては、相当長期に亘つて返済をする外はないかと思うのでありますが、一面いわゆる赤字の経営による赤字という問題につきましては、目下経営の合理化が着々進んでおりまするので、この点は今後さような赤字は出ないであろうと我々は考えておる次第であります。(拍手)
   〔國務大臣林讓治君登壇、拍手〕
#11
○國務大臣(林讓治君) 帆足君の御質問にお答えいたします。
 今日、人口の問題、從つて産兒制限等のことにつきましては、お説の通り現在の國民生活の実情から見まして非常に重大なる問題と考えておるのであります。併しながらお説のごとく、宗教上、倫理上に極めて関係の深い問題と考えまして、政府が國民各自の意思に拘わらず一方的に國の方針として指導するということは、今日においてはまだ如何かと存じまするので、この種の運動等につきましては、國民各自の自由意思に任して置いて然るべきところの問題ではなかろうか。尚、最近の問題につきまして、人口問題研究所において不十分ながら調査をいたして見ましたところが、今日、國民の二割乃至二割五分ぐらいが受胎調節を実行いたしておりますような統計が現われて参つておるわけであります。又最近の人口態勢統計に現われました数字を見ますると、死産が著しく増加をいたしておりまして、そのうちの驚くなかれ四分の一強は人工妊娠中絶によるものと見られておるのであります。つきましては政府といたしましては、これらの妊娠を希望しないような人々に対しましては、医学上又は保健上の立場を十分考慮いたしまして、妊娠調節についての有効適切な実行方法と申しましようか、或いは又有害でない藥品、用具等の使用斡旋を行いまして、そうして或いは保健所その他の機関を活用いたしまして、かかる弊害の少いように取計らつて行きたいと考えておるわけであります。(拍手)
   〔國務大臣殖田俊吉君登壇、拍手〕
#12
○國務大臣(殖田俊吉君) 帆足さんのお尋ねの中で、暴力團、顔役、ボス等の暗黒勢力を一掃する決意があるかどうかということに対しまして総理にお尋ねがありました。総理からお答すべきでありまするが、便宜、私からお答をいたしたいと思います。
 かようなものが特に暗黒勢力と申す程のものでありまするやらどうやら聊か疑いはございまするが、先般この席におきまして申上げました勅令第百一号を改正いたしました團体等規正令におきまして、その第一條に、「この政令は、平和主義及び民主主義の健全な育成発達を期するため、政治團体の内容を一般に公開し、秘密的、軍國主義的、極端な國家主義的、暴力主義的及び反民主主義的な團体の結成及び指導並びに團体及び個人のそのような行爲を禁止することを目的とする。」とはつきり謳つてあるのでありまして、大体この政令によりまして今のような暗黒勢力を取締りたいと思つておるのであります。この政令の第二條には、「その目的又は行爲が左の各号の一に該当する政党、協会その他の團体は、結成し、又は指導してはならない。」と規定しておりまして、その第七番目に、「暗殺その他の暴力主義的企図によつて政策を変更し、又は暴力主義的方法を是認するような傾向を助長し、若しくは正当化すること。」を禁じておるのであります。かようなことを目的といたしまする團体は、法務総裁の名前を以ちまして解散を命じておるのであります。若し解散を命ぜられました場合には、その團体の主要の役員であつた者は公職に就くことを禁ぜられますし、その團体の財産は國庫に沒収をいたします。又これらの規定に反しまする場合には重き刑罰に処するのであります。今後はこの法令を嚴重に実施いたしまして、今のような暗黒勢力の一掃に努めたいと考えておるのであります。又かくのごとき團体を成さざるまでも各個の暴力的傾向に対しましては、從來は、ともすれば地方の因縁等に禍いされまして、これを傍見するというようなことが無きにしもあらずであつたのでありまするが、今後は決してさようなことを許しません。飽くまでこれを徹底的に処置いたしまして、日本の將來の民主的又平和的再建のために一層貢献いたしたい所在でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(松平恒雄君) 伊東隆治君。
   〔伊東隆治君登壇、拍手〕
#14
○伊東隆治君 私の質問の第一点は、現在におきまする我が國の政治のあり方について、吉田首相の所見をお伺いいたしたいのであります。吉田首相が老躯を提げて敗戰後の日本再建に日夜の努力を捧げておりますことに対しまして、満腔の敬意を表するものでありまして、敗戰後の日本再建のためには、政党政派を超越して挙國一致これに当らねばならぬことは、我が民主党が常に唱道いたして参つたところでございまして、吉田内閣に対しましても我々は同樣の態度を以て援助いたしておるのであります。これは何も保守陣営に参加するという意味よりは、むしろこの際政治休戰をなして政界を安定せしめ、再建の業を容易ならしめんとする從來の我が党の態度を堅持し参つたのに過ぎないのであります。即ち敗戰後の今日におきましては、殊に軍事占領下にある現在におきましては、各党各派の対立を尖鋭化せしめることなく、一致協力して再建に邁進すべきであるという理念に基いておるのであります。私は現在並びに將來の我が國政治のあり方につきまして、大体三段階に分つて考えることができると思うのであります。
 第一段階は軍事占領下における現在のごとき場合のあり方、第二段階に管理時代とも言うべき時代が参りますときの政治のあり方、第三段階はいよいわ講和條約の経まして完全独立を回復した後のあり方であります。軍事占領下におきましては、今度の民自党がつぶさに嘗めました苦い経驗のごとくに、如何に政党が政策を掲げましても、占領政策の要請に基きましてその実行が不可能に陥るのでありますからして、嚴密に申しますならば、政策を生命とする政党は良心的には存在し得ないわけであります。(「冗談言うな」と呼ぶ者あり)まして首相の唱道せられるがごとく、二大政党対立し、その間に政権の授受を行うがごとき、先進民主國家において見るようなことは、到底実現し得ないと思うのであります。この点に関しまして吉田首相の所見をお伺いいたしたいのであります。而も対立する二大政党が、一は保守党であり、他は社会党でありといたしますならば、資本主義を基盤とする保守党と社会主義を基盤とする社会党との間に政権の授受が行われることになりまして、政治、経済、社会の組織は、その基盤を異にするたびに動揺する虞れはないでありましようか。國の状態が疲弊いたしてありまするときにおいては特にこの動揺は一層ひどいと思うのであります。この意味におきまして、私はこの二者いずれにも偏しない革新的保守政治こそ、今日我々が要請せられておるのではないかと思うのであります。(拍手、「異議あり」と呼ぶ者あり)國民が左に寄りつつあるときに、危いと思つてこれを右に強く引張りますと、船は從らに動揺し沈沒の憂き目を見るだけであります。一九三二、三年頃、米國民がひどく左傾いたしましたときに、ルーズヴエルトはこれを阻止しようとせず、むしろ、みずから身を挺して國民よりも更に一歩左に寄つてNRA政策を断行し、左に驀進せんとする國民の足を緩め、健全且つ革新的保守政治を確立して今日に至つて参つておりますることは、我々が目撃いたしておるところであります。この意味におきまして、私は革新的保守政治こそは現在の日本が要請しておるものと信じまするが故に、この点に関しまして首相の所見を伺いたいのであります。今や我が國は、漸く安定復興の曙光を見出さんとしております。このとき吉田首相は國民の大なる期待の下に第三次奥閣を組織し、懸命の御努力をなさつておられます。今次の民自党の大勝利は、その掲げた人氣取りの政策に釣り込まれたというよりは、吉田首相その人に対する信頼から得られたものと私は思うのでありまして、我々は吉田首相に期待すること大なるだけに、首相が現在の我が國の政治のあり方をはつきり認識して、(「期待するのか」と呼ぶ者あり)その政治指導に一層の正しさと強さを増されんことを切望して止まない次第であります。吉田首相が過半数をかち得ながら尚我が民主党に参加を要請しておられますことにつきましては、世上いろいろの評をなす者がありますが、これは首相が革新的政治に十分の理解を持つておられることの証左であると私は思うのでありますが、連立構想に対しまする首相の腹藏のない御意見を披瀝して頂きたいのであります。(「我田引水と称する」「民自党か、どつちだ」と呼ぶ者あり)
 質問の第二点は我が国防衞問題であります。このことにつきましては先程吉田首相から所見の開陳がございましたが、私もこの問題に関しまして私の所見を述べまして、首相の所見をお伺いいたしたいと思うのであります。ロイヤル陸軍長官の日本視察旅行は、図らずも米國最高当局の間に、日本の戰略價値如何、並びに米國に日本防衞の義務ありや否やという二つの大きな問題につきまして、鋭く対立しておる意見が存在することを明らかにいたしました。この新聞報道の経緯は御存じの通りでありますが、トルーマン大統領並びにロイヤル長官の否認声明によりまして、一應この問題は収まりましたものの、日本人の心の底に一旦惹き起されたところの疑念はなかなか去ろうとはしないのであります。二月二十五日の英國エコノミスト誌は、「日本人が知りたがつておるのは、米國軍が当分日本に留まるかというのではなくて、戰爭が起つた場合日本を防衞できるのかどうかということである」と指摘し、尚「日本が中國のようになるのを欲しないならば、日本に防衞軍を作ることについて眞劍に考慮しなければならない」と論じております。これは太平洋に重要な権盆を有しまする英國方面の意見を如実に代表したものであると思うのであります。この間にありまして、マツカーサー元帥が常に不動の信念を以て我々に安心感を與えて頂きましたことは、ここに改めて感謝する次第でありまして、日本に望むところは「太平洋のスイス」となることであると申されております。これは、二つの世界が対立しております今日、きつぱりと言い切つた我が日本に対する大きなサゼツシヨンであると思うのであります。日本とスイスとはいろいろの点において類似いたしておりますが、國際的立場をも類似することを要請せられたことは、一つの因縁でありましようが、我々の希望するところも正しく「太平洋のスイス」であります。第二次世界大戰が済んで第三次大戰のにおののいておりますこの際、はつきりと日本の立場を示されたことは誠に氣強い次第でありまして、我々は是非「太平洋のスイス」として終始すべきであると確信するものであります。併しスイスの中立は、内は國民の平和維持に関する努力があり、紙は関係國よりの保障がありまして、初めてこの両者が相俟つて中立は確立いたしておるのであります。即ち内外の要素が相俟つて、かち得られておるのであります。「太平洋のスイス」におきましても、この内外の二大要素がなければ到底その中立はかち得られないと信ずるものであります。然るに我が國は、この内部的要素でありまする國民の平和維持に関する努力につきましては、憲法によりまして戰爭を放棄しておりますからして、すでに満たされておるものと言つても差支ないでありましようが、この外部的要素とも言うべき國際制度による保障は、まだ十分とは言うことは得ないのであります。私はこれらの問題はいずれ講和條約締結の際にこの保障は得られるとは存ずるのでありますが、この保障がなければ、「太平洋のスイス」たる國民が如何に戰爭放棄の國内態勢を整えましても、それは全く自己満足に過ぎないのであります。私はこの意味におきまして、講和條約の急速なる締結を希望するものでありますが、以上申述べました私の所見に対しまする首相の所見並びに講和條約の見通しにつきまして、首相の御答弁をお願いいたしたいのであります。
   〔議長退席、副議長著席〕
 ここに今一つのことは、先般新聞紙上において、或る外務高官の談として、太平洋條約に加盟するのでなければ日本の地位は保障せられないとの趣旨が報道せられましたが、太平洋條約が締結せられますれば、その内容は恐らく北大西洋條約と同様のものと察せられるのでありまするからして、條約國に対する侵撃があります場合、当然戰爭に加入する結果を招くもので、ありまして、この結果は憲法違反になるわけであります。「太平洋のスイス」たり得ないわけであります。併しこれは恐らく右高官の私的意見に過ぎないと思うのでありまして、この点に関して特に首相の答弁をお願いするわけではありませんが、(笑声)太平洋條約が北大西洋條約と同様、平和維持を目的とするものであります以上、我々はこれに加盟せずとも、(「太平洋條約反対だ」と呼ぶ者あり)防衞の地域に、我が日本がその防衞の対象となるべき地域に包含せられまするならば、例えば西ドイツが北大西洋條約の防衞地域に包含せられるごとくに、我が日本もこれに包含せられまするならば、我々といたしましても大いに歓迎すべきものだと思うのであります。(「絶対反対だ」と呼ぶ者あり)この点に関しまする首相の御意見を拜聽いたしたいのであります。
 質問の第三点は賠償問題についてであります。対日賠償問題は過去三ケ年間連合國側において論議せられましたが、未だ尚最終決定を見るに至らず、現在八百余の工場が幾多の不利不便を蒙むつております。而もこの八百余の工場の中には、全生産実績の六七%を占める電力部門、五五%を占める銑鉄部門、三八%を占める鋼塊部門等の重要工場が含まれておるのであります。今や経済九原則の本格的実施に伴い、経済の再建に専念せんとしておりまする今日、この賠償問題の未決定は重大なる障碍をなすものと信ずるものであります。願わくは連合國側におきましては一日も早く賠償に関し最終的決定を與えて頂きたいのでありますが、政府におきましては、この点に関し何らか懇請いたしましたことがありましようか。又は懇請する意思はないか。関係大臣は御出席になつていないようでありますが、適当の政府委員より御答弁をお願いいたしたいのであります。元來日本は土地が狹く、農地は集約的に耕作せられておりまするからして、將來の人口増加に対應する農産物の増加は殆んど望み得ないのであります。どうしても工業生産により、この農産物の不足を補うのでなければ、連合國より示されましたる一九三〇年より三四年に至りまする平均生活水準を維持することができないのであります。賠償案に関しては、ポーレー中間案、ポーレー最終案、ストライク案、ジヨンストン案と漸次日本側に寛大なる処理案が提唱されて参りましたが、一九五三年に八千七百万人に増加せんとする総人口のうち、約一千百万人を工場に收容するのでなければ、この生活水準は維持できない計算になつておりまするからして、少くともジヨンストン報告によつて規定せられましたる生産施設が残置せられるのでなければ、日本経済の自立は到底期し得られないのであります。政府は日本経済自立と不可分的関係にありまするこの賠償問題に関しまして、連合國との間に現在如何なる折衝が行われておるのであるか、お伺いいたしたいのであります。又中間賠償三割前後即時取立ての決定がありまして、次いで軍二厰三割の撤去指令がありましたが、その後の撤去の進捗振り如何。尚、撤去数量と各国への割当数量を承知したいのであります。これらの点について腹藏ない政府側の御答弁をお伺いしたいのであります。
 最後に、私は我が國貿易の根本方針に関しまして稻垣商工大臣にお伺いいたしたいのであります。経済九原則の実施によりまして、近く單一爲替レートの設定があり、國内物價の國際物價への鞘寄せが行われることになりまして、我が國経済もいよいよ世界経済の一環として運営せらるることになりましたが、この際我が國貿易の根本方針について、即ちあり方について稻垣商工大臣の所信を伺つて置くことは、極めて緊要と存ずるのであります。即ち今後の我が國貿易のあり方として、從來のごとくバーター・システム即ち物々交換主義で行くか、即ち貿易の均衡を第一の主たる目的として行くべきであろうか、それとも通商の自由を理想として、一般最惠國條款主義を採つて行くべきであるか、この二つの大きな問題を今日決めてかかることが今後の我が日本に課せられたる大きな問題であるのであります。一昨年末、英國がポンドの自由交換停止をいたしましたので、世界の貿易趨勢は物々交換國家主義的な立場においてなさるべきものであるとの意見が経済評論家の間に散見せられましたが、これは当時藏相ドールトン氏が、これはハード・カレンシー國からの輸入超過と、ソフト・カレンシー國への輸出超過の調整をなすため止むを得ざる措置であるという弁明をいたしましたが、果せるかな、数日前の新聞を見まするというと、佛國において開催せられている関税会議におきまして、米國は日本に最惠國條款を適用すべしとの論議が行われておることが報ぜられておりまするところを見まするというと、やはり自由貿易主義は依然として各國が堅持しようとするところであるように窺えるのであります。又現に御承知の通り、一九四四年には、連合國は米國ハムプシヤ州のブレトン・ウツドに会合いたしまして、通商の自由を原則として承認し、國際通貨基金と國際復興開発銀行とを設けて、これを國際連合の側面的機関として、爲替の制限を撤廃し、通商の自由を確立するために努力しておるのでありますからして、我が國も國内態勢を整えまして、時期が参りましたならば、この協定にも参加いたして、又特に通商憲章、貿易憲章によりまする世界貿易機構に加入するのでなければ、我が國の輸出貿易も円滑に運営されないのでありまして、從つて又我が國の経済の自立もその目的を達成し得ないのであると思うのでありますが、これらの諸点に関しまして稻垣商工大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。私の質問はこれを以て終ります。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#15
○國務大臣(吉田茂君) 伊東君にお答をいたします。第一の御質問は、占領下において政党は、良心的に政策を掲げ、これを実行に移すことはむずかしいじやないかというような御質問でありますが、今日占領下にあることを御承知の通りでありまするが、併し連合國としても、又連合軍司令部としても、日本に対する占領政策は日本を破壞するというのではないのである。日本をどうかして助けて、そうしてこの経済独立なり或いは國際團体の一員にしてやろいという考えを以て行われておるのでありますのみならず、私共の体驗によりましても、今日まで筋の立つた話であるならば、大概その話については協調的に協議が進められ得るのであります。從つて私は(「筋が立つておらん」と呼ぶ者あり)日本の今日において、占領下においても、日本の政党が眞にその線において日本の復興を図り、日本の民主化を図り、日本の國際團体に入ることに熱意を示して、その準備に着々進んであるという政策の下に、占領下と雖もその政策が妨げられることはないと確信いたすのであります。又日本において國内的にむずかしいのではないかというのでありますが、日本の政党にして、日本の破壞……日本の安定を妨げるという、日本の社会安定なり経済安定を妨げるという政党がありますれば、それは別でありますが、日本まで民主党としても、又社会党としても、私の接触した範囲においては、そのような目的を持つて立つており政党は社会党その他にないのであります。でありますから、日本の復興なり、日本の再建、民主政治の確立という点においては、何者の党であるかは別として、社会党その他にはそれはないと思いまするから、話はでき得ると思います。又二大政党によつて民主政治を確立したいという考えは、私の接触しておるところでは、多くの政党はその線に沿つておりますから、これは私は日本において、現在占領下においても、又内政の立場から言つても、二大政党に分れて民主政治を確立して行こうということにおいて妨げのあるということは私は考えられないのであります。從つて又二大政党の対立も理想に過ぎなくして、不可能に過ぎないではないかということは、私は全然信じないのであります。
 又講和條約の見通しにつきましてのお尋ねでありますが、一昨々年と思いますが、吉田内閣が総辞職をする以前におきましては、マツカーサー元帥は、多分その年の秋頃に講和條約の運びに行きはしないかというようなことをひそかに漏らしておられました。國際情勢はその当時においてはそうであつたろうと思いますが、その後國際情勢が急変いたし、幾多の変遷を來して、今日においては甚だ見通しは付きにくいのでありますが、それにしても講和條約に代るだけの暫定措置を講じて行くという方法もありはしないか。或いは一層進んで講和條約の開催についてはマツカーサー元帥も盡力する考えでおられるようでありますから、これは希望を加えて申せば、成るべく早くその運びに至るように、少くとも米國政府は仕向けつつあるのではないかと、これは想像いたします。今日は外交関係を断たれておりまするものでありまするから、こういう事実があると言つてお話をするわけには、まだ材料を持ちませんが、併しながら総司令部との間の話合いにおいては、その氣分は十分あるようであり、又日本國民のその講和條約の近きに及んで実現するようにという希望は了承しておると思いますから、何かの形においてできはしないかと、まあこれは希望を加えてここでお話をいたすわけであります。
 その次は、太平洋條約に対する加盟についてのお話でありますが、太平洋條約なるものは未だ形として現われておりませんので、これが若し北大西洋條約等と同じ協約、同じような形であるならば、日本は防備が撤廃せられた今日において加入はできませんが、それが平和の保障となり、極東における平和の確立ということを目的としておるならば、條件次第によつては日本としてはこれに加入して、極東の平和をもたらすことに貢献すべきであると私も考えるのであります。
 又賠償問題についてのお話でありまするが、この賠償問題は今日絶えず連合國と交渉を続けております。その間に賠償の目的となつて工業、工場等についても漸次解除されつつあることは御承知の通りと思いまするが、さてこれがいつ終るかということについての見通しは、今日只今ここで申上げることができないのであります。これを以てお答といたします。(拍手)
   〔國務大臣稻垣平太郎君登壇〕
#16
○国務大臣(稻垣平太郎君) 伊東議員の御質問にお答いたします。
 御質問は、今後の貿易をバーター・システムによるべきか、或いは自由貿易主義によるべきかというお尋ねであつたのであります。現在バーター・システムを中心といたしましての、いわゆる貿易協定による輸出計画の総額が約二億ドルに計上されております。大体本年度の輸出計画の五億五千万ドルから申しますると、ほぼ半数に達しておるのであります。その理由といたしましては、御承知のように各國におきまして非常にドル資金が不足いたしておるということ、同時に日本からできるだけ多額の輸出をしたいというために、これと交換的に必要なる物資を輸入しておる。こういうことのために主としてバーター・システムによるところの貿易協定を結んでおるわけであります。併しながら理想といたしましては、伊東議員の御指摘のごとく、今後自由貿易制に移行すべきものと存ずるのでありまするけれども、現在の段階におきましては、暫らく主として貿易協定を以て進むより外はないと、かように考えておる次第であります。(拍手)
   〔政府委員中川以良君登壇〕
#17
○政府委員(中川以良君) 伊東さんの御質問の賠償の問題につきましては、只今総理より御答弁がございましたが、補足いたしまして私よりお答をさして頂きます。
 中間賠償の問題がどうなつているかという点、御指摘がございましたが、極東委員会におきまして、中間計画に基きまする三割前渡計画を実施をしておりまするが、同計画によりまするところの撤去の予定の三割は、関係産業よりこれを取立てるのでございまするが、今日までのところでは旧陸海軍工廠のうち二十工廠が対象と相成つておりまして、すでに引渡済のものは、工作機械におきまして約五万トン、試驗機械におきまして百トン、ローリング・ミルにおきまして約千トンを撤去いたしております。大体これは軍工廠の三割、半ば以上を撤去いたしましたことに相成る次第でございます。次に、撤去いたしました数量の各國別割当の状況はどうなつておるかという御質問でございましたが、前渡しの受取國は中國、オランダ、フイリツピン及び英國の四ケ國でございまして、分量の割当は全部のうちの二分の一が中國でございまして、あとの二分の一を残りの三國がこれを三分をいたすことに相成つておりまするようでございます。現在までにすでに引渡済の分量を工作機械において申述べまするならば、中國に約三万トン、オランダに約五千トン、フイリピンに約一万トン、英國に約四千トンでございます。以上お答を申上げます。(拍手)
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#18
○副議長(松嶋喜作君) 細川嘉六君。
   〔細川嘉六君登壇、拍手〕
#19
○細川嘉六君 私は日本共産党を代表して、総理大臣の施政方針演説に関し質問いたします。
 我が國現在の時局は、我が國民が乘るか反るか、独立か隷属か、誠に重大な岐路に立つております。(「その通り」と呼ぶ者あり)これは終戰以來約四ケ年に亘る独占資本家擁護の政策の結果であり、現吉田内閣に至つて激成されるに至つたものであります。これは三十年に亘る世界の経驗と教訓とに反し、勤労大衆の総意総力を信頼し得ない政治の運命であります。國家は孤立して存在し得ない。我が國の建設も國際関係と離るべからざるものであつて、私はこの質問において我が國の國際関係に限つて質問いたします。
 第一に、ガリオア・フアンドの見返り円資金勘定は一千七百五十億円と傳えられておりますが、一体この金額は確定しておるかどうか。見込が外れるという場合には、これを基とする一切の財政経済政策は破綻せざるを得ないのであります。又この資金を如何なる方面に使うか、又幾ら割当てられるものであるかは、必ずしも政府の一存で決められないのであるが、從來の政府の実績では、政府の希望する方面とは全く反対の方面に認可されることもあり得ると思うが、さようの場合は、これがために結局財政は全面的に崩れざるを得ないのではないか。これらの点に関し総理大臣並びに大藏大臣の所見を伺います。又この資金の使途の一つとして、市中銀行の手持國債の償却に充てられると傳えられているが、これは今回百八十五億に上る政府預金の市中銀行への指定預金制と共に巨大銀行の救済ではないか。又これら銀行の融資能力が増大し、この面から銀行の産業に対する支配力が強化されると思うが、大藏大臣の所見はどうであるか。又この資金を以て國鉄、通信の建設勘定を賄うとのことであるが、これは結局外國資本の支配が強化される結果となりはしないか。マツカーサー元帥がアメリカ議会へ報告するため、一九四七年二月二十日附で陸軍省に送つた書簡のうちで、ガリオア物資の代金は從來日本に対して請求されることになるが、これは日本資産に対し米國が先取特権によつて保証さるべきである。だからこれは慈善ではない。愼重に考慮すれば、米國の納税者は一ドルたりとも損をすることはないと述べているが、この先取特権は、この國鉄、通信に設定されるのであるかどうか。かくして一般に重要産業に対する外國資本の統制力が強化されるとは考えないか。総司令部が日本政府の計画とは全く独立して独自の使途を指示することもあるのかどうか。総理大臣及び大藏大臣の所見を伺います。
 第二に貿易についてであります。輸入原料は年々増加し、國内原料の生産が抑えられておる例は多々挙げることができる。例えば塩や原油の輸入のごとき、又硝安の輸入によつて硫安の生産を抑えておるがごときは、その顯著なる例でありますが、而も外國に対し高い独占的運賃を拂つて輸入しておるのであります。時事通信によれば、輸出品によつてはバイヤーと契約当時のFOB價格の二倍から五倍の價格で海外市場で販賣されておると報ぜられておる。貿易廳当局によれば、商品を輸出する場合、海上運賃、保險料等諸掛りを加えても二〇%―三〇%ぐらい高くなるのが至当であると言われておるのであります。これでは國民を窮乏に陷れるための貿易ではないかどうか。商工大臣の所見を伺います。我が國への外國投資については二つの相反した意見が外國人間にあります。一つは、アジアの政情が安定していないから投資は見込はないという見方、一つは不等價貿易が十分に行われるから十分活動の余地があるという見方、この二つの見方が外國人間に行われておりまするが、これについては商工大臣は如何にお考えになつておるか、お伺いいたします。
 第三に、総理大臣吉田君は、煙草專賣及び鉄道を外國資本家へ賣渡す意向を公にされておる。今回本議場においても、でき得る限り國有財産を処分する旨を明らかにされておる。重要産業を國有にすることは社会生活に必要な発展であるに拘わらず、それを逆轉して私企業に賣り渡し、而も外國資本の支配下に置くというのである。この場合どんなことが我が國民生活に起るか。吉田君は、日本は植民地となつてもよろしい、米國も曾ては植民地であつたと公言されておるが、これは全く國情の相違と時代の相違とを理解しない者の妄言である。近くは中國最近百年の歴史、インド近代三百年の歴史は、外國資本の支配が民族の独立と自由にとつて如何に致命的な打撃であつたかを痛烈に教えておるのである。(拍手)明治の初年、我々の先輩はかかる問題につき眞劍に、勇猛に戰つたではないか。固有財産の外國資本への讓渡しが我が國の独立と自由とを毀損しないという保障は何であるか。総理大臣吉田君の御所見を伺います。(拍手)
 次に、平和條約の締結について総理大臣吉田君に伺います。言うまでもなく、平和條約が一日も早く締結され、日本が連合國との平和状態に復帰することは國民大衆の念願である。平和條約が連合國の一部と締結されたのでは、戰爭状態が尚持続するわけで、それは國民大衆の念願ではありません。吉田君は一昨年十日、スターズ・アンド・ストライプスの記者との会談で、「ソ連の参加を待ち、それがために平和條約の締結が延引されるよりは、アメリカと單独講和を結ぶ方がいい。又講和條約締結後も、マツカーサー元帥系統の統治の下にあつた方がいい」という旨を述べられたと報道されております。ところで本年二月、ロイヤル前長官が日本訪問の際、戰爭の場合、日本は戰略上の價値を持たず、米軍は撤退する方がよいのである。アメリカの第一の関心事はヨーロツパにあり、極東にはない旨の議論が報道されました。
 三月三日の報道によれば、マツカーサー元帥はデーリー・メール通信員ウオード・プライス氏との会談において、「戰爭が起つた場合、我々は日本が戰うことを望んではいない。日本の役割は、太平洋におけるスイスのごときものであるべきで」、「又ソ連が若し日本を攻撃した場合は、勿論米國は日本を防衞するだろう。併しソ連が日本を攻撃するとは私は信じられない」と述べられております。
 これら一連の出來事は、日本の極東における戰略地位を想像し、これと引合せに富強な他國の援助を当てにした人々、昔の侵略主義を清算し得ない支配階級の人々に取つて、全く意外な天啓ともなつたようである。今日吉田君は單独講和の主張を持つているかどうか。持つているとすればそれは國民の念願に反するものである。若し又連合國全体との講和の実現は、今のところ到底期待し得ないと考え、経済、文化その他の関係において、既成事実を作り上げ、單独講和を締結すると同樣の効果を收める策をめぐらしておるとすれば、(「暫定講和」と呼ぶ者あり)これ亦國民の念願に反するものである。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)
 日本國民は、今置かれておる当面の立場からすれば、民主主義的発展のために、欧米諸國民と友好関係を保ち、必要な物資を相互に交換しなければならないと同時に、中國、ソ連等、極東諸國と同樣の関係を持たなければなりません。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)殊に現在民主主義的大発展をなしつつある中國とは、切つても切れない重大な関係を持つているのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)我が日本國民は民主主義的発展のためには、現在当面の利害に跼蹐することなく、視野を大にして、新たにして、今後來るべき大なる國際関係において、連合諸國は無論、その他世界の諸國民の信用を受け、友好関係を結び、その支援を受けなければならないのであります。無論米ソ関係は、世界の平和と戰爭とに一個至大な要因を成しております。いわゆる冷たい戰爭が激化しつつあるという報道は毎日傳えられておる。だが事実として、ソ連國民、ヨーロツパ諸國民、中國民、アメリカの健全なる國民も戰爭を欲していない。我が國民は、侵略主義を清算し得ない人人を除いては誰も戰爭を欲してはいないが、(「その通り」と呼ぶ者あり)万々一にも世界戰爭が起つたとしても、我が國民に取つては、断乎として終始一貫中立を守り抜くより外に正しい道はない。(「平和を守り抜く」と呼ぶ者あり)連合國との降伏條約からしても、憲法からしても、我々は嚴粛に戰爭を放棄しておるばかりではない。この敗戰によつて、我々は永年苦しめられた軍國主義、侵略主義の重圧から逃れ、人間らしい生活を可能ならしめる人民民主主義の生々発展の社会を建設する空前の機会を獲得しておるのであります。(拍手)今や戰爭は、世界進歩の現段階において時代遅れのものであります。人類社会の敵であります。終始一貫、中立を守り、如何なる国の侵略にも抗爭することは我々の國是である。(「その通り」と呼ぶ者あり)この國是を嚴守することは、連合國全体との平和を成立させる一つの準備でもあり、今一つの準備は、ポツダム宣言第六條に規定する軍國主義の絶滅を嚴粛に実行すること。從つて又人民の民主主義を完成することである。
 これらの諸点について、如何なる準備が今日なされておるかどうか。私はこの点について詳しく申しませんが、一言申しますれば、吉田君は公務員法改惡して、労働者から罷業権を剥奪しを今日労働法の改惡を企図しておられる。昨今、宇垣元大將の追放解除について盡力しておられるとも傳えられておる。人民の民主主義の完成などは頭に浮ばぬのであろうかどうか。事あるごとに主要な外國新聞が口を揃えて、吉田君は民主主義の推進者ではないと評論しておることは御存じのことと思います。最近、外務政務次官近藤君は、三月二十四日の新聞によれば、「太平洋防衛條約の締結は、武裝を解除された日本にとつて、独立と領土保全を維持する唯一の方策である」とINS記者に述べておる。何を恐れるのであるか。断乎として我が國民が、内は民主主義を完成し、外は中立國の立場を嚴守するならば、世界廣しと雖も何の恐るべき敵があるか。又この言は、我が國の置かれておる立場を度忘れしたものである。これはヨーロツパに北大西洋條約ができたから太平洋にもこれと同類のものを作ろうというのであろうが、連合國の一國たるソ連、並びに中國共産党によつて人民民主主義國に一大変化している中國の立場を無視し、我が國をして一方的に國際條約に縛り付ける危險を敢てせんとするものである。これが戰爭を放棄し、民主主義平和國を作ることを誓つた日本國政府内の一高官から出る言葉であろうか。而もかかる重大な発言を軽々しく出す高官の住みよい日本政府なのである。上述のごとき吉田君あつての政務次官であり、その言葉である。私は総理大臣吉田君にお伺いするが、かくては國民大衆の念願する平和條約の早期締結を阻止するものは吉田君ではないかと思うのであります。
 最後に私は総理大臣吉田君の出所進退について一言いたします。吉田君について、山浦貫一氏の編述した故森格氏の傳記「森格」においても述べられておるが、それは吉田君が当時満州の都奉天の総領事として、一九二七年の東方会議の組織者の一人、その参加者の一人として述べられていることである。山浦氏は故森格氏の側近者の一人であり、その信頼された祕書であり、森格傳は最もオーソリチーのあるものであります。御存じの通り東方会議は、満州事変から結局太平洋戰爭にまで突入した日本帝國主義の侵略戰爭の発端を成しておるものである。(「そうだ」と呼ぶ者あり)この傳記において、先に極東裁判によつて無期禁錮に処せられた鈴木貞一氏は、こう言つておるのであります。「僕と森と吉田と会見した。……吉田の言うのには、これはどうしてもアメリカに、ぐうの音も言わさないようにしなくてはいかん……アメリカのことは齋藤博がよく知つている。併しこういう考えをむき出しにしたのでは、内閣ばかりでなしに、元老、重臣皆承知しそうにもないから、これを一つオブラートに包まなければならぬ。どういうオブラートに包むか、これを齋藤に相談しよう。それで齋藤を加えて相談した結果、自分の書いた案を更に齋藤が筆を執つて書き改め、つまりオブラートの包んで一つの案を作り上げた。……これを基にして吉田、齋藤が外務省の方の基礎工作をする。即ち東方会議というものがその政策を実行する場合にオブラートの役も成した。それで吉田は元老、重臣の方を説く……」と述べている。更に同書によれば、東方会議の席上、吉田君は「……將來東三省における主人公が誰であろうとも、満州における日本の地位は頗る強固なものであるから、今後は公平且つ合理的の主張を以て日本の権利利益を擁護し、経済的発展を獲得すれば足れりと確信する」という意見であつた。又吉田君は一九二八年には田中大將内閣の外務次官の要職におられたのであります。吉田君は、軍人の猪突猛進に反し、外交的方策を以て対中國問題を解決しようと努力していたように推測されるが、併し手段方法相違はあつても、中國革命を認めず、日本財閥の侵略主義の支持者であつたことは否認はできません。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)最近新華社の社説は、今回の総選挙を評論した際、「中國人の血で手の汚れた人々と中日両國の親善関係を結ばない」と主張したのは、ここに根拠がある。(「正にその通り」と呼ぶ者あり)吉田君が、中共軍が中國を統一する大勢を示した最近、中國が赤であろうと青であろうと貿易はする云々と述べておることは、今も昔もこの大変化に対して理解がないということははつきりする。世界は第二十世記、殊にこの三十年間、民主主義史上空前の躍進を成しておる。ポツダム宣言と極東委員会方針書とは、軍國主義の絶滅、財閥の解体、民主主義の完成を我が國民に要求しておる。(「そうだ」と呼ぶ者あり)この要求は第二次世界戰爭の終りにおいて勝つた者が敗けた者に対して課した單なる思い付きではない。人類六千年に亘る世界史の進歩の要求である。今や人類社会は少数の資産階級のための民主主義にあらずして、最大多数の人民のための民主主義を完成するか、(拍手)それとも世界戰爭によつて人類社会の破滅をもたらすべきかを決すべき段階に達しておるのである。吉田君はもう過去の人である。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)過去三十年間の世界の民主主義的変化はお分りではなかろうとも、東方会議の役割と満州事変以來蒙らされた國民的大犠牲、大艱難を反省しただけでも、すでにすでに勇退の條件が備わつておるではありませんか。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)我々は日本民主主義発展の阻害者として吉田君の勇退……(「退陣しろ」と呼ぶ者あり)從つて又吉田内閣の退陣を要求するものであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#20
○國務大臣(吉田茂君) お答をいたします。ガリオア資金の日本への供給は、これは決定いたしております。又総司令部は、日本が占領下にある以下は、予算その他について総司令部が監督いたしておることは事実であるまするが、併いながら先頃私の施政演説において申した通り、この予算は現内閣の責任において提出いたしておるのであります。又外資導入が國を亡ぼすというような御意見のようであるが、私は昨日も衆議院において申した通り、私は日本國民が、外資導入によつて國が亡びるということは考えないのであります。(拍手、「條件の問題だよ」と呼ぶ者あり)又過去において(「勤労者が亡びる」と呼ぶ者あり)日本の産業は外資によつて発達したのであります。外資導入よりもその他の危險思想の方が、むしろ國をあやめ、社会を破壞し、社会の擾乱を起すことを甚だ心配いたすのであります。(吉田総理偉いぞ」「民自党の総裁」と呼ぶ者あり)又單独講和條約を私が主張いたしたようであるが、そういうことは曾ていたしたことがないのであります。私は講和條約が早急にできないとするならば、これに代るべき暫定措置……事件々々によつて暫定措置して行つて集積して、これが講和條約に代るような暫定措置をとるべきではないかということを申したので、アメリカと單独條約をいたして、連合國その他と戰爭をしろとか、或いは(「單独講和を言つたのじやないか」と呼ぶ者あり)和親を欠くというようなことは申したことはない。(「どうだ分つたか」「鎧を着ているのだ、鎧を」「オブラートさ」と呼ぶ者あり)又太平洋條約云々ということがありましたが、先程申した通り平和を目的とするならば、これに加入し、平和の保障となるべき條約であるならば加入した方がいい。併しながらすでに軍備を撤廃した今日において、連合軍に加わるというような疑義があるならば、これは無論今日の憲法上から言つても、國の建前から言つても、この條約に入る資格はないのであります。
 又労働法の改惡ということがありますが、労働法の改正はまだ提出しておらないのみならず、改正するために提出するのであります。これに対する主張は諸君の御自由である。森恪傳云々ということがありますが、これはこの著書については私は責任を負わないのみならず、私は東方会議には奉天の総領事として招集を受けて出席しただけであります。その他については私の一身上の弁明に属しますから、これを御信用になるとならぬとは諸君の自由である。(拍手)
   〔國務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#21
○國務大臣(池田勇人君) 対日援助資金が確保できるかどうか、又その資金の使途等についての御質問でございました。対日援助資金特別会計の歳入一千七日五十億円は、確保できることを確信いたしております。尚これが使途につきましては只今決つておりません。ただ國鉄並びに通信会計の建設勘定二百四十億円の公債をこの会計で引受けることだけ決まつておるのであります。從いましてその他の資金は、國債の償還に充てるか、或いは長期資金に充てるか、そのときどき最も國のためになるような方面に使つて行きたいと思います。而して國鉄の建設勘定をこの会計で引受けたならばアメリカが國鉄に対して発言権を持つのじやないかという御質問であつたらしいのでありますが、政府の特別会計から鉄道公債を引受けるのでありまして、アメリカとは関係はございません。次に國債をこの資金で償還したならば、金融資本がますます強化するのではないかという御質問でございますが、私は先般も申上げましたように、信用統制をいたしまして、これからの金融につきましては最も合理的な方法でやつて行きたいと考えております。(拍手)
   〔國務大臣稻垣平太郎君登壇、拍手〕
#22
○國務大臣(稻垣平太郎君) お答え申上げます。民間の外資導入についてのお話があつたのでありますが、民間の外資導入は、一つには單に原料を入れてこれを加工して出すという形において行われる場合、又設備機械その他を入れて行われる場合、單に投資、こういう三つの形になると思うのでありまするが、これらは民間外資導入でありますから、自然受入れ側と又導入する側との合意によつて行われるわけでありまして、それが不等價か否かという問題は、おのずから両当事者間において適当に処理することと私は考えておるのであります。それからして又その前の御質問は、輸入の問題と輸出の間に不等價交換がされているのではないかというような意味であつたと私は存ずるのでありますが、輸入の場合は御承知のようにCIF建になつております。そうして御指摘のようにこれが外國のフレートによつて行われて來たのでありますので、これができるだけ我が國のフレートに取替えられるということは希望するところであります。そういう点についてはリバテイ型の傭船その他の問題について目下考究されておるところであります。それから輸出は御承知のようにFOB價格でやられておるのでありまして、これをCIF價格にする。又海外市場について我々は長い間鎖されておりましたので、この点に明るくない点もあろうかと思うのであります。こういう点については、今日、例えば南米に対しては司令部の随員というような形で数名の專門家を送つておりますし、各地においてそれぞれの專門家をできるだけ早く送る機会を捉えて、國際市價の点についての考究をいたしたい、かように考えております。(拍手、「輸入」「國内産業には答えてないぞ」「大体合格」と呼ぶ者あり)
#23
○副議長(松嶋喜作君) 本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○副議長(松嶋喜作君) 御異議なしと認めます。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十一分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、日程第一 國務大臣の演説に関する件(第四日)
ソース: 国立国会図書館
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