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1949/04/11 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第13号
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1949/04/11 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第13号

#1
第005回国会 本会議 第13号
昭和二十四年四月十一日(月曜日)
   午前十時十九分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十二号
  昭和二十四年四月十一日
   午前十時開議
 第一 國会法第三十九條但書の規定による國会の議決に関する件(日本学術会議会員)
 第二 國家公安委員会の委員の任命に関する件
 第三 昭和二十二事業年度前期持株会社整理委員会経費收支計算書並びに讓受財産に関する財産目録及び收支計算書(委員長報告)
 第四 昭和二十二事業年度後期持株会社整理委員会経費收支計算書並びに讓受財産及び過度経済力集中排除法第七條第二項第五号の規定に基きその讓受けたる財産の目録及び收支計算書(委員長報告)
 第五 特殊財産資金歳入歳出決算(委員長報告)
 第六 自由討議(前会の続)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。
 この際お諮りして決定いたしたいことがございます。在外同胞引揚問題に関する特別委員長より、引揚者の上陸港における受入施設実地調査のため、函館市に天田勝正君及び木下源吾君を舞鶴市に紅露みつ及び草葉隆圓君を、今期國会中七日間の日程を以てそれぞれ派遣したいとの要求がございました、これら四名の議員を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松平恒雄君) 去る九日、在外同胞引揚問題に関する特別委員会から、在外同胞引揚問題に関する調査の中間報告として、舞鶴における引揚者暴行事件の調査報告書が提出せられました。本件に関しましてこの際委員長の報告を求めたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。在外同胞引揚問題に関する特別委員長紅露みつ君。
    ―――――――――――――
   〔紅露みつ君登壇、拍手〕
#7
○紅露みつ君 只今議題となりました舞鶴暴行事件調査について在外同胞引揚問題に関する特別委員会の審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 本件は昨年十一月一日及び二日のシベリア方面から英彦丸、惠山丸、高砂丸で引揚げられた八千七百余名が舞鶴引揚援護局に滯在中、引揚者相互間に紛爭を生じ、その間殴打事件を惹起した件であります。本件につきましては、すでに昨年十一月二十四日に共産党細川嘉六議員よりの質問書に対し政府から答弁書も発せられ、事件の外貌は一應明らかにされたのでありますが、本件に附随いたしまして、英彦丸が航海中に十三名の引揚者が海中に投ぜられ死亡したという流説もあり、細川議員は十一月十七日、本議場におきましてこの旨演説せられ、その他全國的に撤布せられましたパンフレツト等にもこの旨が記載せられて、巷間に各種の噂を生ずるに至つたのであります。かかる言辞は、一般には單なる浮説に過ぎぬとせられていたようでありまするが、併し肉親を今尚シベリアに置く留守家族に対しましては意外な衝動を與えたかの感があり、近くソ連地区からの引揚再開も予想せられるこの際、本委員会はこの間の眞相を究明いたしまして、各種の機関を通じて國内に事情を明らかならしめ、不要なる不安はこれを一掃すると共に、行政機関に対しましてもこれが準備を完からしめるために、審査を開始いたしまして、事件関係者たる官公廳側、紛爭による被害者及び加害者、並びに紛爭に直接関係のなかつた引揚者等合計二十名を証人として喚問し、去る三月二十四日、二十五日の両日に亘りまして、右事件に関する委員会を開催いたした次第であります。而して本委員会は審議の便宜上事件を左の四点に区分したのであります。
 即ち第一点は、英彦丸がナホトカからの航海中十三名の人が海中に投ぜられ死歿したというが事実かどうか。又被害者の中で負傷して三名程死亡者が出たというが、事実かどうか。
 第二点は、本紛爭事件の原因及び経過。
 第三点は、本件に対する官廳側の措置の適否、及び引揚援護廳の官吏や鎭撫のために派遣せられました警官が却つて事件を煽動したというが、事実かどうか。
 第四点は、その他本件に関係ある事項。
 以上四点であります。
 先ず第一点につきまして、英彦丸船長の証言を初めとし、引揚者全員並びに引揚援護局業務部長等、いずれも航海中に死亡者を生じたというがごとき事態を認めたる者は一人もなく、且つ負傷して医師の手を煩わした者すらなかつたという証言もあつたのでありまするが、一委員より、引揚者の員数、姓名等不明であつて、これら証言に信を措き難しとする意見があり、そこで事実を証明する資料の提出を求めましたところ、ソ連側から船長に対し手交されたロシア語の名簿即ち英彦丸、惠山丸、高砂丸の乘船者名簿が提出され、ここにおいて航海中、海中に投ぜられ死亡した者があるとの説は全く誤謬であることが明白にされたのであります。又負傷者中死亡者が出たとの事実につきましても、援護局側、舞鶴國立病院医官及び各入院者共いずれもその事実を否認し、負傷者全員は十一月十九日までに全部退院帰郷した事情が明らかにされたのでありまして、この点ここではつきり御報告いたします。
 次に第二点の紛爭の原因及びその経過でありますが、加害者の証言は、ソ連内に抑留中食糧について或いは又作業遂行についての專横なやり方、又は帰還するに当つて尚残留せしめんと企てた等の理由から、元の收容所の幹部又は帰還輸送中の幹部であつたいわゆる民主グループと呼ばれていた人々その他に対し、反撥的にこれを行なつたのである旨を申述べております。これに対し被害者の証言は、ソ連抑留中及び帰還に当り我らが排斥したのは反動分子であつて、我々の行動は正当であり、暴行を受けたのは心外である旨申述べております。特異の事項といたしましては、在ソ中全然関係のなかつた收容所にあつて全く顔も見知らない人から、ただ單に民主グループに属していたという理由で暴行されたと申述べた者が一名あり、又一加害者は、前非を悔いたという被害者から自分を殴打して呉れという依頼を受けて、以前同一收容所にいたその依頼者を殴打したという事情を陳述しております。かくて紛爭の原因に挙げられております被害者側のいう反動分子とは如何なるものを指すか、反動分子の定義如何ということが問題となりまして、各委員から綿密な質問があつたのでありまするが、これに対し被害者は、反動分子とは旧軍隊の將校下士官の或る者及び民主主義者と称する者の中の或る者であると言い、加害者側では共産主義を余り勉強しなかつた者が反動と呼ばれたと陳述いたしておるのであります。尚本件に直接関係のなかつた第三者の立場からは、アクテイヴと呼ばれる人々も私たちの前では結構あぐらをかいており、共産主義に賛成しない者を反動としていた、そうしてこれらの者の逆鱗に触れると帰ることができなくなつたと証言しております。
 以上の証言により、暴行は十一月一日から十一月五日の至る間に散発いたしまして、その結果、入院患者十名その他の負傷者を出した事態が明瞭にされたのであります。
 次は第三点の本件に対する官廳側の措置の適否でありますが、本事件惹起直前の状況は、前に永徳丸で上陸した引揚者が尚舞鶴引揚援護局内に滯留し、而も英彦、惠山、高砂の三船が相次いで入港するという状況でありましたが、各船からは、その搭載人員、入港時刻等については詳細なる電報が援護局に到着しており、これにより予想せられるところの混雜に対し警戒警備の手配も予めなされていたとの証言があり、尚將來の警備についての計画に関する証言もあつたのであります。尚官吏等が加害者を煽動したという事実は、指導官が引揚船に乘り組みまして、船中で引揚についての準備を指導中、この引揚船は騷ぎもなく結構であるという旨を梯團長に語つたのを、暗に反動分子を煽動せんとしたものであるとか、又或る者が多人数の中に坐らされて謝罪せしめられている側を過ぎた巡査が、何らの処置を講じなかつたのは不当である等の証言もありましたが、これらに対しては、それぞれ又反対の証言もなされたのであります。又船中の給食たるお米六百瓦その他を基準としたその定量に対し、在ソ中よりその量が極めて少く不満であつたという者、又逆に米飯に対して、感謝の念を持つて喫した等の証言が行われたのでありますが、この種の証言中には相当に主観的なものを包含しておつたと思われる節が多分に見受けられたのであります。
 以上の証人の証言に基きまして、本月六日、当委員会においては愼重に審議をいたしましたところ、各委員より活溌なる意見の開陳があり、第一点の結論としては、十一月一日、二日、三日、入港の英彦丸、惠山丸、高砂丸の三隻の航海中における十三名の行方不明者、及び援護局内における暴行事件に基く負傷死亡者三名は、全然事実無根なるものと決定されたのであります。この結論に対し問題提案者である共産党細川嘉六委員もこれを認められまして、委員会における調査に対しては事実なきことを認める旨の発言があつた次第であります。
 尚、他に岡元義人委員より発言がありまして、先の証人喚問審査に当り、一部新聞に公聽会としてあつたが、公聽会にあらざりし点、及び乘船名簿の提出がなかつたと報ぜられておりましたが、前述の通りこれは明らかな誤報でありまして、当委員会として遺憾に堪えない旨述べられたのであります。
 第二点の原因経過については、上陸後、舞鶴援護局内において暴行事件のあつたことは事実でありますが、先程も述べました通り、負傷によつて死亡者を出した事実なく、原因についてはソ連地区抑留中及び帰還途上における反動摘発闘爭委員会等に対する憤激が爆発したものであると結論された次第であります。
 第三点の官廳の処置の適否の点でありますが、これについて官廳側があらゆる処置につき努力されたことは、これを認めますが、尚十分とは言い得ないのでありまして、本年度の輸送開始と共に、政府は関係國に対し更に一層の理解と援助を懇請すると同時に、政府みずからこれが受入態勢を積極的に強化すべきであると結論した次第であります。
 以上を以ちまして、在外同胞引揚問題に関する特別委員会における審議の経過につき、一應の御報告をいたした次第であります。(拍手)
   〔細川嘉六君発言の許可を求む〕
#8
○議長(松平恒雄君) 細川君は……
#9
○細川嘉六君 この報告について一言したい。私はこの報告は少数者の意見を取扱つていません。この少数者の意見は今日の委員会でなさるべきものであると、出さるべきものだと思つています。それがなされずに、今日突然やられております。それは不完全であります。勝手な解釈が多分に入つております。私はこれに対して反対……
   〔「議長、議事進行」と呼ぶ者あり〕
     ―――――・―――――
#10
○議長(松平恒雄君) 日程第一、國会法第三十九條但書の規定による國会の議決に関する件(日本学術会議会員)を議題といたします。本月四日、内閣総理大臣から日本学術会議会員に田中耕太郎君、高瀬荘太郎君、堀眞琴君、羽浩五郎君を充てる件について、本院の議決を求めて参りました、本件は内閣総理大臣の申出通り、日本学術会議の会員に以上四名を充てることに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#11
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#12
○議長(松平恒雄君) 日程第三、國家公安委員会の委員の任命に関する件を議題といたします。本月四日、内閣総理大臣から、警察法第五條第二項の規定に基き、植村環君を國家公安委員会の委員に再任することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#13
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本件は同意を與えることに決しました。
     ―――――・―――――
#14
○議長(松平恒雄君) 日程第三、昭和二十二事業年度前期持株会社整理委員会経費收支計算書並びに讓受財産に関する財産目録及び收支計算書、日程第四、昭和二十二事業年度後期持株会社整理委員会経費收支計算書並びに讓受財産及び過度経済力集中排除法第七條第二項第五号の規定に基きその讓受けたる財産の目録及び收支計算書、日程第五、特殊財産資金歳入歳出決算、以上三件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。決算委員会理事中平常太郎君。
    ―――――――――――――
   〔中平常太郎君登壇、拍手〕
#16
○中平常太郎君 只今議題となりました持株会社整理委員会の昭和二十二事業年度前期、前期と申しますのは二十二年の四月から九月までを申しております。その経費收支計算書並びに讓受財産に関する財産目録及び收支計算書、及び同じく二十二事業年度後期経費收支計算書並びに讓受財産及び過度経済力集中排除法第七條第二項第五号の規定に基きその讓受けたる財産の目録及び收支計算書について、決算委員会における審議の経過並びに結果につきまして御報告いたします。
 持株会社整理委員会は「ポツダム」宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基きまして、昭和二十一年勅令第二百三十三号を以て公布されました持株会社整理委員会令によつて設置されたものでありまして、財閥の解体及び過度経済力の集中排除をその目的としておるものでございます。整理委員会令によりますれば、同委員会の会計は会計檢査院の檢査を受けるのでありまして、政府はその決算報告書に会計檢査院の意見書を添えて國会に提出すべきものとなつておるのであります。今ここに提出されました昭和二十二事業年度の報告書を見ますると、第一に、経費收支計算書によりますると、前期の支出は一千四百八十三万三千余円でありまして、これは持株会社の負担金及び手数料等によつて支弁されてあります。後期の支出は三千四百二万四千余円でありまして、これは持株会社の手数料等が二千七百七十七万円及び國庫の交付金が六百二十五万円によつて支弁されてあります。第二に、譲受財産は財産目録によりますると、前期におきましては総額五十七億六千五百六十三万六千余円でございまして、後期におきましては総額六十一億七千百七十四万八千余円であります。第三に、讓受財産に関する收支計算書には持株会社及び指定者別の收支がその内容により項目別に記されてあります。第四に、過度経済力集中排除法第七條第二項第五号の規定に基く讓受財産に関する財産目録及び收支計算書、これは前期にはありませんで、後期だけでありまするが、この事業年度中には讓受けた財産がないと記載されてあります。尚、会計檢査院から内閣総理大臣宛に送られた意見書には、檢査の結果特に通知すべき意見はないと記されてあります。
 当決算委員会における質疑應答のうち主なるものを御紹介申上げます。第一は、後期の経費收支計算書にありまする國庫の交付金六百余万円についてであります。御承知のように整理委員会がその業務を行うために必要な経費は、持株会社等から徴收する手数料及び附属雜收入並びに國庫交付金を以てこれを支弁するものと定められてありまするが、前回即ち昭和二十一事業年度の報告書を審議いたしました際に、二十一年度においては政府の負担がなくて済んだのであるが、二十二年度以降においても極力経費を緊縮して政府の負担を必要としないよう十分注意すべきであるが、後期には六百余万円を支出しておるが如何との質問に対しまして、持株会社及び指定者の所有株券等の管理及び処分に対する費用は持株会社等に負担させる方針については從來と何ら変りはないのであるが、持株会社整理委員会の事務として新たに追加された会社の証券保有制限等に関する勅令第五百六十七号による株式の処分に関する計画書の承認等の業務及び過度経済力集中排除法に基く過度の経済力の集中排除等の業務に関する経費は、その性質上國庫負担となつておるのであるとの答弁でありました。
 第二は、本整理委員会の存続期間の見通しはどうであるかとの質問に対しましては、存続期間は別段の定めはないが、業務は着々進行しておるのであつて、昭和二十五年一杯ぐらいに業務を完了したい氣持で努力しておるということでありました。又業務の進行に伴つて職員も必要限度に止めて段々減員して経費の節減を図つておるとの答弁がございました。
 その他種々熱心な質疑が行われましたが、詳細は速記録で御承知を願いたいと思います。質疑が終了いたしまして討論に入りました。別段の意見もなく、採決の結果、本件は異議なきものと全員一致を以て議決いたしました次第であります。以上御報告申上げます。
 次に、特殊財産資金歳入歳出につきまして、決算委員会における審議の経過並びに結果につきまして御報告をいたします。特殊財産資金特別会計は、昭和十八年の三月二十七日に施行された法律第八十六号、特殊財産資金特別会計法によつて設けられたものでありまするが、特殊財産とは、戰時中沒收せられた敵産のうち戰利品及び軍事上必要なものを除いた外のものを言うのであります。この特殊財産の運用等に関する收入支出が特別会計として処理せられたものであります。この特別会計は昭和二十二年法律第四十二号により同年の三月三十一日を以て廃止せられましたが、その歳入歳出は昭和十八年三月設置以來、約四年間を一会計年度として決算せられておるのでありまして、歳入の收入済額は七千九百五十九万円であります。歳出の支出済額は十四万八千余円でありまして、差引七千九百四十四万二千余円の剩余を生じておりますが、そのうち財産の減價償却に九万余円を充当いたしまして、残額七千九百三十四万五千円余をこの特別会計の資金に繰入れて決算を終了いたしておるのであります。そうしてこの会計の廃止の際における資金及び保管金の総額は五億六千余万円となつておりまするが、これはすべて一般会計に帰属させたのであります。
 決算は以上の通りでありまして、これにつきましては会計檢査院におきましても檢査の結果、法令若しくは予算に違反し、又は不当と認めた事項として特に報告するものはないとのことでございます。
 決算委員会の審議におきまして、いろいろ質疑應答がありましたが、その主なるものについて申上げますれば、第一には、この特別会計の予算額は歳入は八億百余万円で歳出は八千百余万円である。然るに実際の收入済額は七千九百余万円で、支出済額は僅かに十四万円に過ぎなかつたということで、予算額と決算額との差が甚だ大きいように思われるが、これはどういう理由に基くものかとの質問がございました。これに対しましては、当初予算を立てたときは、この程度の歳入歳出があると見込まれたのであるが、取扱つた事項が少かつたため、実際はこのような收入支出に止まつたのであつて、誠に止むを得ない次第であるとの答弁でありました。
 第二に、この会計の廃止の際、この特殊財産は、すべて一般会計に帰属させたということであるが、これは將來どのように処分される見込みであるかとの質問に対しまして、この特殊財産については、すでに元の所有者に対して返還をしたものも一部はあるが、尚大部分の処分については目下研究中であるとの答弁がありました。
 質疑が終了しまして討論に入りましたが、別段の発言もなく採決の結果、本件は異議ないものと、全会一致を以て議決いたしました次第であります。簡單でありますが以上御報告申上げます。(拍手)
#17
○議長(松平恒雄君) 以上三件共、決算委員長の報告通りで御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#19
○議長(松平恒雄君) この際日程に追加して、通信事業特別会計法の一部を改正する法律案、公團等の予算及び決算の暫定措置に関する法律案、專賣局特別会計等の昭和二十四年度の予算の特例に関する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大藏委員長櫻内辰郎君。
    ―――――――――――――
   〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕
#21
○櫻内辰郎君 只今議題となりました通信事業特別会計法の一部を改正する法律案の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 去る四月七日より四月九日まで愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 先ず本案の提案理由及び内容について申上げます。通信省は來る六月、郵政省及び電氣通信省に分離し、これに伴い現在の通信事業特別会計は廃止され、新たに郵政事業特別会計及び電氣通信事業特別会計が設置される予定でありますが、それまでの間、通信事業特別会計を郵政勘定及び電氣通信勘定に区分して経理を行わんとするものであります。さて本案審議に当り各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対して懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。かくて質疑を終局し、四月九日討論に入り採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。
 次に只今議題となりました公團等の予等及び決算の暫定措置に関する法律案の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。去る四月七日より四月九日まで愼重に審議をいたしまして質疑應答の後、四月九日討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 さて本案は、公團、復興金融金庫、庶民金庫、船舶運営会、持株会社整理委員会、閉鎖機関整理委員会及び証券処理調整協議会、以下これらを総称して公團等と申上げますが、この公團等の予算及び決算はその性質に顧みまして、國会の議決を経させる等の措置を講じ、その経理の適正明確を図る必要がありますので、
   〔議長退席、副議長著席〕
 予算の作成、議決及び実行並びに決算の作成等につきまして、詳細な基準及び手続を確立するまでの暫定措置として、取敢えず昭和二十四年度から概ね國の予算及び決算の例に倣つて、これを実行しようとするものであります。
 本案に規定する主なる点について申上げますと、第一に、公團等の事業年度につきましては、從來各公團法等により、毎年四月より翌年三月までに至る間を前期後期の二期に分けているのでありますが、昭和二十四年度より國の会計年度と同樣に、毎年四月より翌年三月までの一会計年度とすることになつているのであります。第二に、予算の作成及び提出につきましては、公團等においてこれを作成し、参照書類を添えて主務大臣を経て大藏大臣に提出することとし、大藏大臣はこれを檢討して必要な調整を行い、閣議の決定を経た上、内閣から國会に提出することになつておるのであります。第三に、予算の形成及び内容につきましては、概ね國の予算に倣つて款及び項に区分し、その実行科目も目及び節に区分することになつているのであります。第四に、予算の執行につきましては、國会において議決された各項に定める目的に外に予算を使用してはならないことになつておりますが、予算の執行上の必要に基き、予め予算を以て國会の議決を経た場合に限り、國の予算執行の場合におけると同樣に、一定制限の下にその移用、流用ができることになつておるのであります。第五に、決算につきましては、公團等は予算の形式に倣い決算書を作成し、これに参照書類を添え、主務大臣を経てこれを大藏大臣に提出し、大藏大臣はこれを内閣に送付し、内閣は会計檢査院の檢査を経た上、國の歳入歳出の決算て共に、國会に提出することになつているのであります。
 さて本案審議に当りまして、各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対し懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録に讓りたいと存じます。かくて質疑を終局し、四月九日討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。
 次に、只今議題となりました專賣費局特別会計等の昭和二十四年度の予算の特例に関する法律案の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告をいたします。
 去る四月八日より四月九日まで愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、四月九日討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。
 先ず、本案の提案理由並びに内容について申上げます。本年六月から日本專賣公社及び日本國有鉄道が新設せられ、又逓信省が郵政省と電氣通信省とに分割されるに伴いまして、昭和二十四年度の予算は、本來ならば二ケ月分は從來の勘定で、十ケ月分は新規の勘定で編成し、國会に提出さるべきものでありますが、予算の作成、提出及び実行の手続上の便宜から、從來の勘定一本で年間予算を作成して國会の審議を受け、從つて從來の勘定の予算の使用残額は、直ちに新勘定の予算となるような特例を設けんとするものであります。
 さて、本案審議に当り、各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対し懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。かくて質疑を終局し、四月九日討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。ここに御報告を申上げます。(拍手)
#22
○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#23
○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて三案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#24
○副議長(松嶋喜作君) 日程第六、自由討議、本山の自由討議は前会の続きでございます。発言者はそれぞれ発言時間を遵守せられんことを望みます。これより発言を許します。
   〔店尾豐君発言者指名の許可を求む〕
#25
○副議長(松嶋喜作君) 寺尾豊君。
#26
○寺尾豊君 民主自由党は小串清一君を指名いたします。
#27
○副議長(松嶋喜作君) 小串清一君に発言を許します。
   〔小出清一君登壇、拍手〕
#28
○小串清一君 第三次吉田内閣が成立しまして日も浅く、而も前古未曾有の難局に処する今日に当りまして、我々國民として要望すべき事項は多種多様でありますが、現下平和日本再建の至上命令であり、経済的自立の鍵と申すべき重要性を持つものは、畜産の問題であると考えるのであります。
 御承知の通り、我が國は領土の半ば以上を喪失いたしまして、人口は逆に八千万人に増加しているのでありますからして、衣食住の欠乏が甚だしく、食糧は今や戰前の生産に回復をしておりましても、尚一千万石の不足があるのであります。僅かに米國の好意によりまして、その援助で辛うじて支えておる有様であります。終戰後、政府は食糧増産のため耕地の拡張を図り、百五十万町歩の山林開墾を予定をいたしまして莫大の経費を支出しております。併しながら十分土地の適否を考えずに、これを帰還者若しくはその他の慣れにいない團体の人々によつて開拓を行わせたのでありますから、その結果多くは失敗して不成功に終つたのであります。彼らの中には、樹木を伐採し木根を掘取つてこれを賣拂い、作付は申訳的であつて、誠にその開拓地が荒地であるというような原因から水害の元となつたものが多々あるのであります。これらは元來土地を十分に研究し、更に第一に家畜をこれに入れて、有畜営農の操作をしなかつたということがその原因であると考えるのであります。我が國の経済自立における畜産の地位が如何に重大であるか。國民の栄養上において乳、肉、卵は米麦に次ぐ主要の食糧であります。米麦、蔬菜その他重要食物の生産には、牛馬、羊豚、鶏等の厩肥が貴重なる肥料資源であつて、化学肥料即ち硫安、過燐酸石灰、硫化加里などの生産の何十倍にも当る肥培効果があるのであります。又食糧の増産、輸送の円滑のために大きな役割を果しておるのは牛馬の畜力でありますが、特に東北、北海道地方のように、耕地が廣く、温暖の時期の短かい地方においては、畜力がなかつたならば農業経営は成立つものではないと考えております。更に輸送方面におけるところの牛馬の力は如何に驚くべきものであるかと申しますと、昭和二十年の運輸省の統計によりますと、牛馬車の運送力は貨物三億六千万トンでありまして、汽車の輸送は当時僅かに七千三百万トン、貨物自動車は一億四千万トンで、両方を加えても尚牛馬の輸送力はその二倍の量を運搬しておる有様であります。更に衣料資源としての緬羊、皮革資源としての牛馬羊豚は勿論、兎毛皮、アンゴラ兎のごときものは輸出品として軽視できないものであります。然るに戰爭の結果、家畜の数は著しく減少しておりまして、牛は昭和二十年の二百四十万頭が二年後の二十二年には二百万頭、馬は百五十万頭のものが百万頭を欠けるようになり、豚のごときは百万近い頭数がただの十二万頭にまで激減したのであります。更に兎は戰前六百六十万羽あつたものが三百四十万羽、鶏は五千万羽あつたものが千七百万羽というように減じておりまして、このうち豚と鶏は昨年以來漸次増加をして参りましたが、牛は頭数はまだ余り殖えておりません。併し飼料その他の関係で牛乳はやや増産をしておりますけれども、全國民の需要にはまだまだ大不足を告げておる有様であります。
 農林省においては、昨年畜産増殖五ケ年計画というものを発表しておりますが、まだその効果は全く現われておりません。この際私は左の数項目の実現を切に政府並びに國民に要望したいと思います。
 第一は飼料の供給であります。本年度における飼料の需要額は概算濃厚飼料が二百八十万トン、粗飼料が五千万トンぐらいと発表してありますが、これに対する國内の供給は、濃厚飼料が百九十万トンであつて、約九十万トン程の不足であります。粗飼料は農民の努力によりまして、これはやや五千万トンに達する可能性があるのじやないかと思うのでありますが、然らばこの濃厚飼料はどうして八、九十万トンの不足を補給するか、その補填のためには、先ず第一にこの飼料畑の作付面積を拡大する必要があります。政府が主食増産のために、米麦作の作付面積の割当は非常に多いのでありますが、又多くて当然ではありますが、飼料の作付はこれに比して非常に少いのであります。有畜の農家には頭数に應じて一定の飼料畑を供出免除としておるのでありますけれども、僅かに総耕作面積の一、二割に過ぎないのであつて、或る特別の地方においては四割までに制限して、それまでは作らせるといつたような所もありますけれども、全國的に見て飼料の作付が非常に少い。從つて家畜が殖えない。家畜が殖えないから肥料が不足して、いわゆる主要食糧の生産が衰える。こういう結果になるわけであります。更に牛乳の生産に対しましては、初め農林省は還元麦として大麦三斗三升を乳牛一頭に対して還元するということであつたのが、これが今実行されておりません。これらの問題は是非とも実行に移して、そうして乳牛の飼育を奬励し、更に牛乳を主食として総合供出をさせ、牛乳に主食と同等の待遇を與えて、乳量の増加を図るというのが私の最も希望するところであります。飼料の輸入において、一昨年は大豆、麩、玉蜀黍のようなものを加えて、僅か一万七千トンを輸入しております。昨年はやはり二万トンぐらいの貧弱な輸入量でありまして、これではとても飼料が不足して家畜の増産が図れない。政府は貿易廳に命じてこのミルクその他畜産物の輸出をバーター制を採用して、そうして連合國と交渉をして、極力輸入の増加を図つて貰いたい。更にその輸入に対する價格差補給金は幾ら要るかというと、仮に十二万トン輸入するものとして、爲替レートの関係もありますけれども、大体二十四億円程度ではないとか思います。このくらいの支出なれば緊縮予算でもできますが、更に今日非常に盛んであるところの全國の競馬の收入の一部を以てしてでも、二十億やそこらのものは補給ができる。これによつて價格差補給をなして輸入飼料の増加を図るということが私の最も要望するところであります。
 更に畜産の増殖に対しましては、畜産の金融問題があります。家畜及び畜産物の増産のためには、種畜、役畜の買入れ、廐舍の設備、管理並びに畜産加工事業等に多大の資金を要するものでありますが、農林中央金庫は昨年の第三・四半期に、要望額の十一億に対して僅かに一億八千万円を融通し、第四・四半期には農林中央金庫が割当てたいわゆる融通は全國で五千万円でありまして、殆んど絶望の状態であつたのであります。今回全國農業会の解散に伴う資産処理に当りまして、飼料工場とか、酪農工場等畜産に專属するものは当然全國畜産農業協同組合に委讓をいたしまして、よつて以てこの畜産農民の結集によるところの総力を以て畜産の増強を図るよう、特に政府当局の深甚な考慮を以て、この実現を図つて貰いたいということを私は切望するものであります。
 尚次に家畜及び畜産物に対する課税の問題がありますが、この畜産業務に対する税務当局の認識は不足しておる。例えば畜産物に対する物品税の決定とか或いは畜産に関する所得税の認定などにおいて、非常に妥当を欠くものが多いのであります。畜産の振興を妨害するかような事実に対して、私は今時間の関係上その内容を説明できませんが、速かにこの公正適切の措置を望んで、税の今日のような不公平な課税を止めて貰いたい。
 その他家畜の傳染病予防法の不徹底のことや、家畜市場、家畜商等の規則が撤廃されました結果、表面は民主的自由取引の形が一應できましたけれども、これに伴うところの弊害は、もはやすでに発生をしております。これら各般の問題につきまして、前刻來申すように、畜産が容易ならざる目下の國家の要求であるころから考え、政府に周到なる監督と指導を切望いたして私の意見を終りたいと思います。甚だ簡單でありますが以上で終ります。(拍手)
    ―――――――――――――
   〔小林勝馬君発言者指名の許可を求む〕
#29
○副議長(松嶋喜作君) 小林勝馬君。
#30
○小林勝馬君 民主党は高橋啓君を指名いたします。
#31
○副議長(松嶋喜作君) 高橋啓君に発言を許します。
   〔高橋啓君登壇、拍手〕
#32
○高橋啓君 今日我が國の大きな課題といたしましては食糧問題の解決であります。この食糧の増産をするための方策は幾多あることでありますが、先ず田と畑を整えなければならないのでありますが、最近度重なる水害のために田と畑が非常に荒されて未だ復旧されておらないのであります。かの非常な大きな洪水の際は、國民挙つて洪水対策について輿論を高めたのでありますが、段々に熱が冷めたような傾向がありまして、尚政府におきましても、予算編成に当つてこれが対策に極めて冷淡であることが、今度の予算において見ることができるのであります。私共は何としてもこの水害を日本から放逐するように考えなければならないと思うのであります。私共は緊急対策といたしましては、何を措いても先ず災害の復旧に力を盡さなければならないのであります。如何にいろいろな増産の方策を講じましても、あのように荒れた田をそのままにしては、今年度の増産計画、生産計画が空なものになるのであります。そのためにはあらゆる費目を節約しても、先ずこの田や畑、河やその他の復旧に力を盡さなければならないと思うのであります。私共は先ず災害によつて荒された復旧を図ると同時に、先ず根本対策について私共は考えなければならないと思うのであります。誰でも言うことでありますが、洪水を予防するためには山林を緑化しなければならない。これは國民的常識となつておるのであります。大体山林の緑化の諸條件を簡單に申上げますと、先ず私有林の場合を申上げますと、我々は木を植える。そうして收穫をする。その間少くとも三十年、四十年、五十年を要するのであります。このような長い間收穫に時日を要するとするならば、土地の所有権に不安があつたならば誰も木を植える者がないのであります。先ず第一に所有権の確立ということが必要であります。又所有地を制限するという問題も考えなければならないのでありまして、これは少くとも小さい土地で木を植える、或いはその他の造林をするについても、余り小さい土地ではそれに対して意欲を持たないのであります。少くとも木を育てるには、その山を育てるについての愛撫感がなければこれはできないのであります。五十年間の採算ということは、我々としてなかなかそれに対して、計算上によつて、いわゆる利益とか或いは利害による関係において意欲を持つのではなくして、自分の子供や孫を育てるような氣持で山を育成して行くのであるから、余り小さい面積では植林意欲が生じないのであります。そこで所有権を確立する。それに対する所有面積の制限は行わない。こういうことでなければいけないと思うのであります。
 尚國有林の場合もそうでありますが、今日國有林の伐採その他の生産計画と、それに対する植林の計画とがマツチいたさないのであります。伐るものは伐る、植えるものは植えるというふうに、別な計画の下にこれを樹立いたすために、今日尚國有林が非常に禿山が多い。政府みずからがこのような状況では、私有林の緑化ということは非常にむずかしい。この意味におきまして、計画を立てるときには、伐採その他の生産の計画と植林の計画とのマツチを図り、予算もそれにふさわしいものを作り上げなければならないと思うのであります。尚今日植林に対する隘路といたしまして、非常に費用がかかるということであります。大体一町歩二万円から三万円、三万五千円くらい実際に費用を要しております。これを何とかしなければならない。そのうち主なるものは苗木が高いということ、それから人夫賃が非常に高いというこの二つの問題になつております。私はこの際國民にいわゆる森林の恩惠を感ぜしめると同時に、愛林思想昂揚の意味で國民奉仕デーというものを作つて、そうして過般の植林愛護デーというようなものを実際全國的に展開して植林のために奉仕する。又秋にはその植林の根刈とか下刈というような作業に奉仕するという日を設定いたしたい。その植林技術は一時間か二時間丁寧に指導すれば特別なる技術を必要としないのであります。それでこの國民の奉仕によつて植林し、その木が收穫された場合にこれを何割か國家に還元いたすのであります。その還元いたした費用、それを更に植林のためにこの費用を使つて行くということにすれば、長い間にはこの大きな問題も解決すると思うのであります。尚種苗が折角の植林計画に対して足りません。そこで種苗の育成ということについて國家は國営とし、そうしてこれを無償で交付するということにならなければならないと思うのであります。大体日本の國は御承知の通り非常に傾斜度が激しいのであります。そこで、このような地形におきましては、耕土を維持し、或いは電源を維持し、或いは水源地を維持するというためには、どうしも一定数の林野を保持しなければならないのであります。いろいろな計算によりまして少くとも日本では七〇%くらいの林野面積が必要であります。そこで國土計画を立てるに当りまして林野の利用区分をはつきりと決めて、これを法制化によつて裏付けして、いわゆる利用を変更する、例えば開拓をするとか、その他の利用に移す場合には、國土計画の一環の中でこれをするというような強い方策を設けて、林野区分を七〇%くらい残さなければ、日本の國土保安は保たれないと私は思うのでありまして、このために我々はどうしても國民の大きな課題として解決しなければならないと思うのであります。かくのごとく山を緑にする、木を育てるということだけでは今日の山林或いは森林の保全はできないのであります。何故かといえば、山を緑にするだけであれば林を伐らなければよい。ところが日本には戰災復旧という大きな國策的な問題があります。その他進駐軍用材とか或いは賠償物資の梱包用材、このような國策的に供出しなければならない材木が沢山あります。それを伐らなければならない。即ち山を伐るなというのと、山を伐つて木を出せというのと、二つの関係を調査して行かなければならないのであります。それではどうするかというと、今後木材の利用加工の面について科学的な檢討を行い、合理化して行かなければならないのであります。一本の木も細かく用途別にこれを生産いたしまして、できるだけ木に無駄がないようにして、そして森林を保持して行くようにしなければならないのであります。今日くらい木材の生産が極めて不合理な生産をしておるのはないのでありまして、それには國もこの問題に対してできるだけ指導或いは予算上の援助を與えなければならないと思うのであります。
 もう一つは、今日日本には二十億石というような大きな数字の利用のできない奥地の林があります。それは奥地は原始林でありまして、これ以上何年放つて置いても腐るばかりでなく樹木が増加いたさないのであります。併しながらこれを開発するということには非常な大きな困難があります。その一つは非常に費用がかかるということ、もう一つこの奥地林を伐り拂うことによつて洪水や或いは、水源地を失つたり、電源を失つたりという関係が生じて参るのであります。そこで今後この未利用に置かれておるこれらの奥地林を開発することによつて、平地林その他の私有林を守つてやらなければならないのであります。それはどうするかというと、奥地開発には非常に大袈裟な計画を立てる、小さい資本でやつては仕事を始めたばかりで参つてしまうのであります。そこで先ず奥地林を開発するためには非常に立派な林道が必要であります。そこで又ダムを作らなければならない。これらの大きな森林を伐採してしまえば、必ず洪水が起きたり或いは旱魃が起きたりいろいろな大きな原因となつて参るのであるから、それを防止するためにダムを作つて、このダムによつて水害を防ぎ、或いは水力発電の水源となし、或いは用水の調和を図るということにしなければならない。もう一つは今日の原始林は大体闊葉樹でありまして、「ぶな」のごときは季節によつて、伐採した場合これは腐つてしまうのであります。それを水に漬けて置くと腐らない。そこで、このダムにこれらの闊葉樹を漬けておいて、夏であろうと冬であろうと、何どきでもこれを運搬し得るようにしなければいけない。即ちいろいろな関係の総合計画を立てて、そうして奥地林の開発をしなければならないのであります。この奥地林の立木價格を計算いたしますと、略算してないのもあります。又五十銭、一円と算定されるのもあります。このような隠れておつた宝物を、これを木材の需要に供した場合、大きな費用となるのでありまして、このいろいろな資源の枯渇しておる日本においては、これは相当重要に考えてよろしいと思うのであります。恐らく原始林を開発して、その材木を池或いは港の止場に持つて來たなら、恐らく千二三百円の原木となると思うのでありまして、この費用というものは決して投げるものでなくして生産的な費用であります。又これに附帶した問題として、最近行政整理その他によつて失業者が沢山出て参るのでありますが、このような大きな仕事にはあらゆる立場の人たちをこれに吸收し得ると思うのであります。例えば一円の原木を持つて來て千二百円となるが、この仕事を失業者でやらしめて、これを國家の財源にするということは、私共は考えようによつてはなし得ないことはないと考えているのであります。私はこの際一石二鳥の方法といたしまして、水害洪水対策の根本問題として、このようないろいろな諸條件を解決して政府はこの植林問題の解決に当つて貰いたいと考える次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
   〔駒井藤平君発言者指名の許可を求む〕
#33
○副議長(松嶋喜作君) 駒井藤平君。
#34
○駒井藤平君 新政クラブは鈴木憲一君を指名いたします。
#35
○副議長(松嶋喜作君) 鈴木憲一君の発言を許します。
   〔鈴木憲一君登壇拍手〕
#36
○鈴木憲一君 最近文部省へ入つて行きますると入口のところに法隆寺の燒けた壁画の写眞を並べその所へささやかな詩が一篇貼つてあります。
 法隆寺が燃えた
 あの壁画が燃えた
 僅に残された我が一かけらの文化の誇りが
 めらめらと燃えた
 まるで宗教と科学の相剋を笑うかの樣に
 いや不誠意極まる文教政策への怒りの火なのだ
 形式に捕われた官僚行政へののろいの火なのだ
 一滴の水に等しい文教予算への
  反逆の火なのだ
 このつぐないは形式的責任の追及だけでは
  済まされない
 われ齊しく心からわびよう
  世界に!祖先に!そして國民に!
 業火はまだ消えない
 苛烈な世想の風にあふられて火焔を
  たたきつけている!
 いたいけな学童の上に!
 國民一人一人の文化の上に!
 かつて敗戰の中から教育を叫んだ
 あの絶望の中から文化を叫んだ
 再建の望みを文教の
 光りに求めたことを忘れたか!
 われら働く者今こそ
 形式的ごまかしを
 排して官僚的予算の
 かけひきをすてて
 その職場を通して心から
 教育と文化を守ろう
 業火はまだ消えない
 火はますますひろがつている!
 火はますますひろがつている!
 こう書いてあります。私たちは敗戰絶望の中から再建の望みを文教の光の中に求め、苦難の中にこの國策を実現することを誓つておるのであります。ところが皆さんも御承知のように、最も近日におきまして教育の危機が各方面から叫ばれております。國民全体がこの教育の危機を強く叫んでおる。その危機の例を挙げて見ますると、第一には、小学校の赤い教員の問題から大学生の生産党運動まで、又第二には貸付金が出ないので私立学校が倒れる。第三には、新制大学になつても大学に値する予算がない。こういつたことが教育の危機として次々に叫ばれておるのであります。併しながら私はこれらの事実よりも、更に根本的な危機を強く教育、文教の上に感ずるのであります。それは、一方に現政府の教育文化に対する予算を見ます。片方には燒ビルの地下室や、馬小屋の中で勉学にいそしもうとしておるいたいけな学童を見ます。この二つの現実を、端的な現実を両方に見ますときに、私ばかりではない、日本の良識の人たちは実に重大な、而も根本的な國家の危機を感得し、発見しないわけには行かないと私は思うのであります。
 この問題は、民自党が総選挙に当つて國民に公約したからどうこうというような程度を越えていて、遥かにこれよりも大きな國家的問題である、更に憲法上の一大問題であると私は思うのであります。御承知のように憲法は、國民ひとしく教育を受ける権利を保障しております。父兄や保護者にその子女の教育を受けさせる義務を課しております。ところが、こういう立場から新学制が発足をしまして二年を経過しましたが、いよいよ第三年目の完成年度を前にして六・三制が御破算になろうとしております。血の出るような思いで築き上げた六・三制が正に三年目を前にして息を引取ろうとしておる。このことは國民全体が極めて冷靜に考えなければならない問題でありまして、文部省や、國会の文教委員や、教員組合や、教育委員会の問題だけでは決してないのであります。(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり)あの悲惨な戰爭の体驗から得られた極めて貴重な結論であつて、平和を愛する文化日本、民主日本再建の宣言、戰爭の放棄、軍備の撤廃、こういうものを決意した國民に対する一大危機が眼の前に拡がつて來ておるのだと私は思うのであります。今ここで皆さんと共に、新教育制度が発足いたしまして過去二年間の経過を振返つて見たいと思うのであります。最前申上げましたように、憲法が國民に教育の権利を與えている、子女に教育を受けさせる義務を父兄に課している。更にこの憲法によつて國家と地方公共團体は学校設備を整えて無償の義務教育を約束しているのであります。でありまするからこそ、議会はこれに対しまして、教育基本法を作り、学校教育法を作り、教育委員会法を作り、更に教育の尊重、教育予算優先の決議さえもしているのであります。これらの根源からいたしまして、新教育問題が、新教育というものが我が國に発足しているのでありますが、併しどなたも御承知の通りに、打ちのめされた國力の中でこの制度を守り立てるということは並大抵の努力ではかなわないことなのを何人もよく知つているところであります。その苦しい中を押してこの難事業を完遂することが、今次戰爭から得ましたところの唯一絶対の基本であることを覚悟をして決心した筈なのであります。そんな筈はないと誰も言えないと思う。これは曾ての日本の誤まりを請算し、平和を愛する民主的な文化國家を建設したいという強烈な國民的情熱から湧出したものでありまして、この目標に対して國民は現在も血の出るような努力を続けているのであります。地方では乏しい財政をしぼり、地元も父兄も曾てなかつた程の多額の寄附を負担してこの完成を希つているのであつて、この寄附のごときは明らかに國と地方公共團体の負担の義務を父兄たちが背負い込んでいるのであつて、それをしてまでも二ケ年間の苦労を続けて來ているのであります。こうしていよいよ來年度で完成という瀬戸際になつて、財政的に無理だから六・二制にしようとか、戰爭前のようにするとかいうことを言われたのでは、これでは國民は納得はできないのであります。納得できないばかりではなく、これでは國民は民主政治への信頼こ根本から覆えす虞れが迫つて來るのではないかと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)資源の全く乏しい小さい國土の上に溢れるばかりの人口を擁して國家を再建して行くためには、何としても一人々々の能力を最大限に育て上げることのわか途はないのでありまして、即ち再建の力は國民の教育の外には全く方法がないという日本の宣言と信念は決して誤まりではない筈であります。ところが現政府は何を血迷つているのか。現在提出されている二十四年度予算を見るときには、我らは明らかに教育文化の危機の迫れるを感ぜずにはいられないのであります。このことは國民全体の相一致するところであろうと思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)私は今更のように文化國家を宣言した日本が、否、現政府が教育文化に國費を惜しむという、このこと自体が不思議に思われてならないのであります。現政府ばかりではなく由來我が國の文部予算なるものは常にかかる不満を國民全体に與えているのであります。その局に当る文部大臣をして伴食大臣を称し、終戰後においても尚そうでありまして、何人もの大臣はこの伴食的傾向の強い存在であることは、諸君よく御承知の通りであります。政党政治の中にあつて、文教のみ、文部大臣のみ政党外や参議院の無所属に属する人を選ぶことは、そのときの首相の心理は明らかに予算的に文教文化を重視しない現われの一端であると見て敢て差支なかろうと私は思う。人格、識見優れた人を以て文相の椅子に坐らせる適当者であるとすることは、むしろ我が文教文化を重視するがごとく見せかけて、実は極めて巧妙な政治家の逆手(拍手)であることは爭えない事実であると私は考えるのであります。かかる伴食的風習と文教予算の貧困化は、曾て國家を破壊するために、國費の三割から五割までを軍事費に使い続け、國家を建設するためにそれの十分の一にも満たないもので、お茶を濁して來た政治にあり方を今日再現するのではないかという危惧を禁じ得ないのであります。正に文教文化の危機、否、文化國家の宣言の危機でなくて何でありましよう。
#37
○副議長(松嶋喜作君) 時間が経過いたしました。(「続けてやらせろ」と呼ぶ者あり)
#38
○鈴木憲一君(続) 試みにその一、二の例を申上げますれば、六・三制の危機は諸君御承知の通りであります。更に國宝は荒廃の一途を辿つております。私学は今その基盤を搖り動かされております。学生はアルバイトに出ておりまするし、育英会の事業は殆んど零に近くなつておりますし、学徒厚生事業費についても全く望みはない。学術行政費や科学研究費、これ亦実に情けないものであります。その実体を細かく解剖すれば幾らでもありますが……
#39
○副議長(松嶋喜作君) 大分時間が経過しました。(「大事なことだ、默つてやらせろ」と呼ぶ者あり)
#40
○鈴木憲一君(続) 先ず以て新学制六・三制、これを無用呼ばわりしたり、逆行せしめんとする者のあることを聞くのでありますが、むしろこれは六・三制を実驗台に乘せて生体解剖の実驗に供せんとするがごとき悲惨な、恥を知らざる意見としか私には受けとれない。(拍手)世人が「六・三制野球ばかりが強くなり」という川柳を以て諷刺しておりますが、当局者はこれを何と感ずるか、聞きたいものであると思うのであります。まだありまするが、時間のようでありますから、これで終ります。(拍手)
#41
○副議長(松嶋喜作君) 本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十八分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、議員派遣の件
 一、在外同胞引揚問題に関する調査の中間報告
 一、日程第一 國会法第三十九條但書の規定による國会の議決に関する件(日本学術会議会員)
 一、日程第二 國家公安委員会の委員の任命に関する件
 一、日程第三 昭和二十二事業年度前期持株会社整理委員会経費收支計算書並びに讓受財産に関する財産目録及び收支計算書
 一、日程第四 昭和二十二事業年度後期持株会社整理委員会経費收支計算書並びに讓受財産及び過度経済力集中排除法第七條第二項第五号の規定に基きその讓受けたる財産の目録及び收支計算書
 一、日程第五 特殊財産資金歳入歳出決算
 一、通信事業特別会計法の一部を改正する法律案
 一、公團等の予算及び決算の暫定措置に関する法律案
 一、專賣局特別会計等の昭和二十四年度の予算の特例に関する法律案
 一、日程第六 自由討議(前会の続)
ソース: 国立国会図書館
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