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1949/04/20 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第17号
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1949/04/20 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第17号

#1
第005回国会 本会議 第17号
昭和二十四年四月二十日(水曜日)
   午後一時二十六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十六号
  昭和二十四年四月二十日
   午後一時開議
 第一 会期延長の件
 第二 郵便振替に関する約定に加入することについて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 郵便爲替に関する約定に加入することについて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第四 代金引換郵便物に関する約定に加入することについて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第五 價格表記の書状及び箱物に関する約定に加入することについて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第六 馬籍法を廃止する法律案(内閣提出)(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。
 この際お諮りいたします。昨日、堀眞琴君より理由を附して議院運営委員辞任の申出がございました。許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として千葉信君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#5
○赤松常子君 本員はこの際、蚕糸業に対する補給金の問題に関する緊急質問の動議を提出いたします。
#6
○奥むめお君 只今の赤松常子さんの動議に賛成いたします。
#7
○議長(松平恒雄君) 赤松常子君の動議に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#8
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。
   〔矢野酉雄君「議事進行について」と述ぶ〕
#9
○議長(松平恒雄君) 何ですか。
#10
○矢野酉雄君 議事進行について……。関係の労働大臣等の出席を直ちに議長において督促して欲しいのであります。それに密接な関係のある緊急質問である以上は、当然関係大臣は出席すべき義務があると思います。
   〔「賛成々々」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(松平恒雄君) 只今督促中であります。赤松常子君。
#12
○赤松常子君 大臣の出席を待ちます。
   〔「登壇々々」と呼ぶ者あり〕
   〔赤松常子君登壇、拍手〕
#13
○赤松常子君 昨日の(「政府怠慢だぞ、いつも」「参議院を軽視しておる」「約束と違うじやないか」と呼ぶ者あり)新聞紙上にすでに載つておりますのでございますから、皆樣も御承知のことでございますが、全國蚕糸労働組合の代表者が昨年から続けております爭議の解決が、政府の怠慢によりまして、完全なる解決に到達いたしませんために、人命を賭してまでその解決を図ろうという非壯な決意によりまして、ハンガー・ストライキに入つておる事実はすでに御承知のことと存じます。今日この社会に奴隷が尚存在しておるということを申上げましたならば、皆樣は奇異にお感じになるかも知れません。併しながら現実、長野縣を中心に、群馬、山梨の生糸工場には、約八万のかよわい婦人労働者が、口に言うもみじめな低賃金と劣惡な労働條件の下に営々として働いているのでございます。申すまでもなく日本の経済再建のために、輸出産業を以てその再建を図つておりますことは言うまでもございませんが、その輸出産業の大宗を成しておりますものは紡績繊維産業でございまして、これは日本の過去九十年に亘る資本主義の発達の底流を成したものでございます。日本の國富を蓄積いたしましたその大きな役割をしたのは、過去九十年に亘りまして凡そ数百万人の婦人労働者がこの紡績繊維に働いた結果でございまして、その働きました代償として得たものは何でございましようか。肺病とそれから貧困であつたのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)何らこれに報われることなく、凡そ十九歳を平均年令といたしますかよわい婦人労働者の手によつて日本の資本主義の発達を築いて参つたのでございまして、私は今更これを皆樣に申上げることすらが、余りにも遅過ぎたと言いたいのでございます。
 今日問題になつておりますのは、その中でも特に惡い労働條件の下に酷使されております生糸の婦人労働者でございます。如何に労働條件が惡いか、一つの例を申上げますならば、賃金についても今、手取一千三百円という、誠に誠に口にするさえも恥かしいような金でございまして、今ピースが六十円いたしますならば、六十個ほか買えないような金でございます。(「二十個だ」と呼ぶ者あり)二十個ほか買えない金でございますし、お酒ならば一升にも足らない僅かな金でございます。これだけの僅かな金で、一体成長盛りの婦人労働者が十分なる肉体的な栄養をとることができるでございましようか。(「できないできない」と呼ぶ者あり)殊に又教養を身に附けなければならない大事な成長期に、十分な文化費、教養費がこの中から生み出され、文化的な生活が営まれるのでございましようか。(「絶対できない」と呼ぶ者あり)誠にこういう声なき、力なき婦人労働者が、日本の輸出産業の大宗を成している生糸繊維産業に喘いでいることを、皆樣にはつきりと訴えたいのでございます。この現状に鑑みまして、蚕糸労働組合連合会は、昨年物價騰貴によりまして非常なる生活苦に陷つて参りましたので、この賃金ベースを四千五百七十五円に上げて貰いたいという、誠にささやかな要求を提出したのでございました。併しながらこれに対しまして経営者並びに政府は、これの解決に熱意を示すことなく、これに対してもなかなか労働者の要求を満足させる回答をいたしておりませんでした。先ず経営者側はこうこれに回答をいたしました。生糸の價格の中に織込まれた労働賃金は二千四百六十四円であるので、その二〇%を増して、二千九百五十七円を企業努力によつて支拂うことというふうな、誠に微々たる、たつた二〇%を加えた二千九百五十七円の原案しか示さないのでございました。そこで組合はこれに應ずることなく、更に交渉をいたしたのでございましたけれども、どうしても経営者側はこれに更に色を着ける樣子もなかつたのでございます。で、最後に交渉が決裂いたしまして、組合側は労働者は提訴いたしました。又経営者側は同じく労働、農林の両省に調停斡旋方を依頼したのでございました。こういう経過を辿りまして、それは一月八日にいたしたのでございますが、やつと政府は二月の四日の午後三時に労働大臣室におきまして労資代表を招いて、政府側の代表には時の増田労働大臣が出席されておりました。そうしてその調停案は、僅かに四千百八十五円の賃金ベースとするという決定でございました。そうしてそれの支拂は十二月一日から支給するという回答であつたのでございます。そうしてこのため十二月一日から三月三十一日まで四ケ月間この賃金ベースで支拂うと回答いたしたのでございますが、このため約四億五千万円の差額が生ずるわけでございますが、そのうち二億円は企業家の企業努力によつてひねり出せ、残りの二億五千万円は政府が特別措置において責任を持つて支拂うという回答であつたのでございます。で、会計年度の終りでございます三月三十一日までのこれが回答であつたのでございますが、その後、組合はこれに信頼いたしまして、この支拂を待つていたのでございますが、一向にその措置をとられないのでございます。それで組合側はいよいよ痺れを切らしまして、そうして四月一日に政府並びに経営者に対しまして、最後の手段でございますストライキに入る通告をいたしたのでございました。
 で、これにやつと御輿を上げましたか、政府は四月六日に労資双方会談したいという申入れをいたしたのでございますが、労働組合側は、政府に何か責任ある成案があるかと思つて出席いたしまして尋ねましたところ、政府には何ら成案はないのであるという、実に無責任極まる態度で出られたのでございました。そこで組合側は、折角、我々はその招集に應じて、解決を一日も早くしたいから來たのに拘わらず、何ら政府に成案ないという不誠意な態度に憤慨いたしまして、この会談は決裂いたしました。それでいよいよ組合側は九日から波状ストに入ることを通告いたして、そうして地区々々に分けてストライキに入つたのでございます。ところが政府がやつと十三日に、今國家再建の途上であるからストライキを中止して貰いたいという申出がございました。そうして尚責任ある回答をするからというので一時中止の指令を出したのでございますが、それは通告が遅くなりまして十五日以後停止いたして現在に至つているのでございます。そうして十五日又政府が最後の処置をいたしたいからという今見の申込がございまして、労資共に政府を混えて会談をいたしたのでございますが、そのときの話では、この二億五千万円の補給金は九原則に牴触するので支拂われない。諦めた方がいいであろうという一つの事項と、それから、こちらから要求いたしております四千百八十五円の賃金ベースを割るならばということと、それからストライキを絶対に中止するならばという三つの條件を申出たに過ぎないのでございます。こういう無誠意極まる政府の態度に対しまして、労働組合側は憤然、先程申しましたように、はつきりと二月十二日に増田官房長官が出席いたしまして、自分一個の責任ではなくて、閣議においてこれは取上げられた方針であるから、政府みずからの責任において二億五千万円の補給金の支出は解決すると言つておられるに拘わらず、その後何ら責任ある誠意ある処置をしておられないことをも考えまして、そうしてストライキは中止いたしましたが、最後にとる手段といたしまして、今命を賭してまで、労働組合の最高指導者はハンストに入つたのでございます。私はこういう自分の命を投げ出さなければ政府が考えて呉れないような、或いは最初から交渉に交渉を重ねて、そうして政府が責任を以て解決すると言明しながら、今尚のらりくらりと責任ある回答をしないという、こういう態度、公約を実行しようとするその誠意すら少しもないこの態度に対しまして、この責任の(「所在を明らかに」と呼ぶ者あり)所在を追及いたしたいのでございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)農林大臣、大藏大臣、労働大臣、増田官房長官の納得の行く誠意ある答弁をお願いいたしたいのでございます。今京橋の片倉ビルの四階に七名の同志が命を賭して無期限ハンストに入つております。私も先日現場に参りまして、我々の力の足らざることは勿論でございますが、政府がこうまで長引かしておるその結果が、政府の誠意の足らざる結果が、七名の同志の生命にまで及ぶような、こういう危險をさらさなければ解決されないのかという姿を見まして、実に胸の中が煮えくりかえる思いをいたしたのでございます。私は今申上げました実情を愬えて、そうして皆樣の御賛同を頂き、社会の世論に愬え、この問題が皆樣の力によつて圧力を政府に加えることによつて……
#14
○議長(松平恒雄君) 赤松君、時間が参りました。
#15
○赤松常子君(続) 正しい解決が一刻も早く、人命に関係のあることでございますので、一瞬一刻を爭つて、労働者に対する誠意ある解決の態度を政府が示されんことを、そうしてこの問題が本当に過去数百万人の婦人労働者の、その労働に対する誠意ある御回答をお願いいたしたいのでございます。(拍手)
   〔國務大臣森幸太郎君登壇、拍手〕
#16
○國務大臣(森幸太郎君) 赤松さんの緊急御質問に対しまして、農林大臣としてお答をいたしたいのであります。(「はつきり」「人命に関する問題だ」と呼ぶ者あり)赤松さんは結論からすべてを御批判になつて、誠に政府が無責任である、(「そうだ」と呼ぶ者あり)こういう(「その通り」と呼ぶ者あり)ことを申されたのでありますが、(「二億五千万円を出せ」と呼ぶ者あり)私はこの経過について一應御了解を得たいと思います。政府は石炭、電氣、繊維、絹糸等の労働者に対する補給金を支拂うべく計画を立てまして、予算を確保いたしたのであります。然るに十一月に三原則が発表されまして、その結果、石炭はこれを支拂うことができたのでありまするが、電氣その他の労働者に対する補給金は、我々政府として考えました通りその予算の執行を関係方面が許されなかつたのであります。我々は労働組合に対する声明もあり、何としてでもこの問題を解決したいと、三月三十一日予算の終る日まで先方と交渉いたしたのでありまするが、遂にこれが容認を得られなかつたのであります。で、本日お話になりました蚕糸業者労働組合に対しての問題でありますが、お話の通り二億五千万円を政府負担となす方針をとりまして、それをどうかして確保いたしたく努力いたして参りました。製糸の労働者は長い間安き賃金で定められておりまして、お話のように二千四百六十四円という平均ベースであつたのであります。同じ繊維企業に対して、紡績、羊毛等の労働者よりも安いという理由はない。その程度まで引上げねばならない。そうしますとお話のような四千百八十五円ということになるのであります。それをしますについては、政府として二億五千万円の補給をしなければならないという計数が出て來るのでありますが、今申しましたように三月三十一日まで政府といたしましては折角努力を傾けて來たのでありますが、とうしてもこれが容認を得られなかつたのであります。その善後処置につきましては、お話のように業者と労働者と政府と、この三者が一つになりまして、この問題をどう解決するかということを協議を重ねて行くということになりまして、第一回の会合はお話のようにやつたのであります。ところが労働者といたしましては、原案を持たないような会見は幾度繰返されても出席しない、こういうことを申出られたのであります。もともと政府は出したいという意思を持つておつたが、これを出すことができないという事情になりましたので、(「いいじやないか、よくて……」と呼ぶ者あり)経営者、業者、そうして政府とが、この問題をどういうふうにして解決しようか、解決したらよかろうか、この相談をしようという(「空手形だ」と呼ぶ者あり)これを申出たのでありますが、労働者とは、成案がないような会合には出ない、こういうふうにして問題が今日になつているのでありますが、政府といたしましては、企業の経営合理化等によりまして、何とかしてこの問題を解決いたしたいと、今尚努力を傾注いたしているわけであります。殊に御承知の通り蚕糸業はこの爲替レートの一本建が予想されますので、非常に悲境な立場におるのであります。現在製糸業者の持つております原料は、御承知の通り五千六百円掛の原料を持つておりますが、若しこれが三百三十円というようなレートに決定されるといたしまするならば、二割の損害を彼らは蒙むるのであります。これは輸出の問題といたしまして、又國内纖維の需要から申しましても重大な問題でありまするから、何とかしてこの面を救済することができ得れば、今問題になつております二億五千万円の問題も、企業者自体において解決する途はないかということを努力いたしまして、何とかこの問題の妥協に今労働省と力を合せて研究を重ねておるような状態であります。結論から御批判になれば、誠に政府は約束を破り捨てておる(「そうだ」と呼ぶ者あり)という御批判を蒙むるのでありますが、今申しましたような経過によりまして、政府は決してこの責任を捨てて、責任を免れんと呆然といたしておるのではありません。この責任に対して飽くまで政府は努力を傾注しておるということを一つ御承知置きを願いたいと思います。(拍手)
   〔國務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#17
○國務大臣(池田勇人君) 只今農林大臣のお話の通りでございまして、支出いたしますることに話が纒まらなかつた関係上、大藏大臣としても支拂予算を付けなかつた次第でございます。(「責任を取れ」と呼ぶ者あり)
   〔國務大臣鈴木正文君登壇、拍手〕
#18
○國務大臣(鈴木正文君) 二億五千万円の問題に推移につきましては、只今農林大臣から大体御説明申上げた通りであります。私共もこの問題につきましては、十数回に亘つて関係方面と折衝を続けたのでありまするが、残念ながら最後の三月三十一日になつてもこの問題は解決し得ませんでした。同時に一方において蚕糸関係の労働者の皆さんの賃金が安きに失するというこの根本問題につきましては、最初も亦当時も今日も、労働大臣といたしましては、明確にこの点を認識しておるつもりでありまして、あらゆる手段を盡してこの標準のところまで、今日も、亦今後の努力も続けて行きたいということは、当時二億五千万円の問題が今申しましたような結果になりましたときも、組合の方々にも明確に申上げて、その努力を今後も継続いたしますということをお約束し、又続けても参つたのでありまするが、今後の賃金の問題は御承知のように補給金の形によつてこれを解決して行くということは、敢て生糸の問題に限らず、すべての産業に亘つてこれはでき難いという情勢にあるのでありまして、どうしてもこれは労資双方の企業努力に依らなければならない。併し單に企業努力と言つておつただけでは、(「死んでしまう」と呼ぶ者あり)一種の空文でありまして、これがためには企業努力が実際にでき得るように、賃金の面、政策の面その他において政府側のでき得る限りの援助と新らしい政策の注入が必要と考えまして、その点につきまして四月一日以降農林当局と折衝して、直接的にはこの問題の解決のために、根本的にはそういつた基本的な賃金問題を解決するために努力を続けて來ておるのであります。それらにつきましては、單に抽象だけでなくして、二、三の具体的な問題もすでに取上げられて、昨日も本日も檢討を続けております。私といたしましては、赤松議員の御指摘になりましたような形において爭議をこのまま放置するということは、労働大臣としては全く忍びないのでありまして、この点につきまして全力を傾けまして農林大臣とも折衝をして、急速なる解決を図りたいと存じております。
     ―――――・―――――
#19
○議長(松平恒雄君) 日程第一、会期延長の件についてお諮りいたします。議長は衆議院議長と協議の結果、國会の会期を五月十六日まで二十五日間延長することに協定いたしました。議長が協定いたしました通り決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて会期は五月十六日まで二十五日間延長することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#21
○議長(松平恒雄君) この際、日程第二、郵便振替に関する約定に加入することについて承認を求めるの件、日程第三、郵便爲替に関する約定に加入することについて承認を求めるの件、日程第四、代金引換郵便物に関する約定に加入することについて承認を求めるの件、日程第五、價格表記の書状及び箱物に関する約定に加入することについて承認を求めるの件、(いずれも内閣提出、衆議院送付)以上四件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。外務委員長佐藤尚武君。
    ―――――――――――――
   〔佐藤尚武君登壇〕
#23
○佐藤尚武君 只今議題となりました郵便爲替に関する約定、郵便振替に関する約定、代金引換郵便物に関する約定、價格表記の書状及び箱物に関する約定、これらの四約定に加入することについて、委員会の審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 先ずこれらの約定に関し簡單に総括的説明をいたします。我が國は昨年七月一日より國際郵便業務に関する基本條約である万國郵便條約及びその関係約定の一である小包郵便物に関する約定に加入しておるのでありますが、右の條約及び諸約定は、一九四七年パリで開催された第十二回万國郵便連合会議の結果締結されたものでありまして、万國郵便條約の関係約定としては、前述の小包郵便物に関するものの外、只今上程せられた四約定を含めて六個の約定があるのであります。今回はそのうちの四約定に加入せんとするものでありまして、加入の理由としては、政府側の説明によりますと次の通りであります。
 第一に、これらの約定は、小包郵便物の約定の場合と同樣、いずれも万國郵便條約第四條の規定に基いて関係連合國間に締結せられたものであつて、すでに関係國間では、一九四八年即ち昨年の七月一日から実施されておるものであるということ。第二に、これら約定に対する我が國の加入については、万國郵便條約の最終議定書に権限ある当局が、日本の場合は連合國最高司令官でありますが、そのような権限のある当局が加入を適当と思料するときは、いつでも加入できることが特に規定されておるということ。第三に、爲替交換率の決定が近く行われる見込であるから、これに伴い銀行筋を通ずる爲替取引等と併行して、郵便業務においても相当廣範囲に亘つて海外との現金、有價証券、貴重な物品及び爲替の送受、振替、代金引換制度の利用等が要望される可能性があり、
   〔議長退席、副議長著席〕
 且つ又我が國が万國郵便條約の関係約定のうち、その希望するものに対し加入を申出でることは、昨年六月の連合國最高司令官の覚書によつて包括的に承認されておるので、前記諸約定に対する加入の途はすでに開かれておるということ、これらが今回右の四つの約定に加入せんとする理由であるとのことでありました。而してその加入の時期は、單一爲替率決定の直後の予定で、その実施は関係國との協定を待つて行うとのことであります。尚これらの約定は戰前まで我が國が加入していた約定に対應するもので、ただ代金引換郵便物に関するもののみが新規のものであります。尚又價格表記に関するものを除いた三約定には英米は加入していないので、日本としては追つて英米と單独協定を結ぶ必要が起るであろうとのことであります。
 これら四約定に関し、四月四日外務、逓信連合委員会を開き予備審査を行い、政府側の説明を聽取し、質疑應答をいたしました。次いで四月十八日外務委員会を開きまして審議を行いましたが、これらの約定への加入は、先の小包郵便に関する約定の場合と同樣、講和会議の開始前であるにも拘わらず、日本が國際郵便業務に加入し得るという案件でありますので、全会一致を以てこれら四約定の加入に対しては、これに承認を與うべきものと決定した次第であります。以上御報告申上げます。(拍手)
#24
○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより四件の採決をいたします。四件は委員長報告の通り承認を與えることに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#25
○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて四件は全会一致を以て承認を與えることに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#26
○副議長(松嶋喜作君) 日程第六、馬籍法を廃止する法案律(内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長楠見義男君。
   〔楠見義男君登壇、拍手〕
#27
○楠見義男君 只今議題となりました馬籍法を廃止する法律案につきまして、農林委員会における審議の状況並びに結果を御報告申上げます。
 御承知のように、馬籍法はいわば馬の戸籍法でございまして、馬一頭ごとにその名称、性別、種類、特徴、産地、生年月日その他の事項を記載した馬籍を作成することを目的とし、市町村長をしてこの馬籍作成事務を掌らしむることを内容として大正十年制定せられた法律でございますが、その制定の趣旨は、主として軍馬徴発の際における便宜に供することを第一義とし、併せて馬産改良及び馬の取引改善の資にも供することといたしたのであります。然るところ終戰後の今日におきましては、もはや軍馬徴発ということは全くその必要がなくなり、法律存在理由の第一はすでに失われ、又第二義的な馬産改良、取引改善に資するということも、実際問題といたしましては、この法律が寄與するところは殆んどない状況で、むしろ自主的に進むべき段階に達しておると認められますので、以上の理由に基いて今回現行馬籍法はこれを廃止せんとするものであります。
 本件につきまして委員会の審議に際して主として論議せられましたところは、先ず第一に從來のようにいろいろ面倒な手続と内容を有する現行法律の廃止には賛成であるけれども、畜産振興対策の基礎條件としては、何といつても家畜の現在頭数を正確に而も常に把握しておることが必要で、この法律廃止後の措置をどうするかということでございましたが、この点についての政府の見解は、農業センサスにおいて行う家畜の一齊調査によつて大筋の畜産行政を行うのには支障のない程度の現状把握は可能であり、特別の必要を生じた場合はそれに應じた特別の措置を講じて行きたいということでございました。第二の論点は、最近馬に関するいろいろの行政措置が漸次縮減せられて行く傾向が強く、このことは具体的には國の改良増殖施設は勿論、民間に対する助長施設の縮小となつて現われ、甚だしきは最も恐るべき馬の傳染性貧血や脳炎のごとき衞生上の研究乃至対策費の削減にまで及んで來ておることは、一面において馬が農業経営上、或いは現在の輸送手段としての重要性から見て、今後誠に憂慮せられるという点でありますが、この点についての政府の見解は、國家財政の制約の下において政府みずからもこれが打開の方途には腐心しており、特に家畜傳染病の防遏対策については率直にその不十分なることを認めるから、限られた予算内において最善を盡すと共に、尚今後不断の努力と善処を期したいということでございました。尚右の外いろいろの質疑應答が行われたのでありますが、詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。
 以上の経過を経まして採決に付しましたるところ、本案は全会一致を以て政府提出原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手)
#28
○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#29
○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。これにて本日の議事日程は全部終了いたしましたが、委員会の議案審議の状況に應ずるため、午後四時まで休憩いたします。
   午後二時九分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時十八分開議
#30
○義長(松平恒雄君) 休憩前に引続きこれより会議を開きます。
 この際、お諮りして決定いたしたいことがございます。商工委員長より、貿易振興に関する諸方策の審議に資するため日本貿易博覽会を視察し、併せて横浜市において貿易関係業者と会談するため、神奈川縣に小畑哲夫君、島清君、山田佐一君、玉置君之丞君、栗山良夫君、田中利勝君、廣瀬與兵衞君、平岡市三君、小杉繁安君、境野清雄君、佐伯卯四郎君、中川以良君、駒井藤平君及び阿竹齋次郎君を來る二十三日一日間の日程に以て派遣いたしたい旨の申出がございました。これら十四名の議員を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつと議員派遣の件は決定いたしました。
     ―――――・―――――
#32
○議長(松平恒雄君) 参事をして報告いたさせます。
   〔青木参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
 日本國憲法第八條の規定による議決案可決報告書
 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案可決報告書
 農業災害補償法第十二條第三項の規定の適用を除外する法律案可決報告書
     ―――――・―――――
#33
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、日本國憲法第八條の規定による議決案、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。
   〔河井彌八君登壇、拍手〕
#35
○河井彌八君 只今議題となりました日本國憲法第八條の規定による議決案及び皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、この両案の内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 両案につきましては、本日の委員会と一昨日の予備審査の委員会を開きまして、愼重に審議を遂げました結果、両案とも可決、即ち日本國憲法第八條の規定による議決案はこれを承認すべきもの、それから皇室経済法施行法の一部を改正する法律案はこれを可決すべきものと議決いたしたのであります。只今から両案につきまして審議の内容を概略申上げたいと思います。
 日本國憲法第八條の規定による議決案につきましては、「皇室に財産を讓り渡し、又は皇室が、財産を讓り受け、若しくは賜與することは、國会の議決に基かなければならない。」ということが憲法第八條に規定してあるところの趣意であります。そこで、その憲法第八條を執行いたしまするために皇室経済法の規定がありまして、その第二條によりますると、天皇及び天皇の御内廷にある皇族が一年のうちになされる賜與又は讓受けの財産の價額が百二十万円に達した後は、その後の期間においてなされるところのものはすべて國会の議決を要することとなつているのであります。ところが賜與につきましては、これらの方々が、特に災害の場合の罹災者に対するお見舞とか、或いは各種の御奨励等のためにせられるところの賜與の金額は、一ケ年間に凡そ二百五十万円くらいになるという見込でありまするので、そうなりますと、この百二十万円を越して更に二百五十万円というものを、災害或いは賜與を必要とするその都度に國会に諮らなければならぬというようなことは、これは事実上困難なことでありまするから、而もその目的も決まつておることでありまするから、この際一定の額を決めまして、予めこれを國会に提出して國会の議決を経るというのが、この憲法第八條の規定による議決案の趣意であります。而してその金額は昨年度におきましてすでに百八十万円の議決を経ておるのでありまするが、今年度即ち昭和二十四年四月一日から始まるところの一年度におきましては、その限度をば二百五十万円としようというのがこの案の趣意であります。
 これに対しまして政府の説明を聽きました後に、各委員からいろいろな質疑をいたしたのであります。第一には、昨年度の賜與の内容はどういうものであつたかということであります。それに対しまして、福井、石川縣の地震であるとか、或いは宮城、岩手縣の暴風雨であるとか、能代の火災であるとかいうような災害に対するお見舞、それから或いは学術振興のため、或いは発明を促進するためというので、日本学士院とか或いは発明協会というものに賜わつたこと、更に又社会事業への御助成、例えば中央共同募金に應募せられたとか、或いは結核予防事業に御賜與になつたとか、その他各種の社会事業を挙げられたのであります。それからその賜與の額をどうして決定するかという方法等についても質問がありました。更に又昨年百八十万円であつたものが今年二百五十万円にこれを増加する理由はどういうことであるかというような質問もありました。これに対しましては大体四〇%を目途として増額したのである。今日物價の騰貴とかいろいろな事情がありまするから、大体においてこの程度にするという意見であつたのであります。この案につきましては大体それらが主なる質問でありました。
 次に、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案について申上げます。皇室の諸般の御経費は、憲法第八十八條の規定に基きまして、すべて予算に計上をいたしまして、國庫からこれを支出しなければならない建前になつておるのであります。そこで、この憲法の規定を受けましたところの皇室経済法の規定によりまして、皇室の御費用のうちで内廷費及び皇族費、内廷費とは即ち天皇、皇后、皇太后等の天皇の御内廷にあらせられるところの皇族、その内廷の費用であります。それから皇族費とは、その他の天皇の御内廷にあらせられざる皇族、言葉を換えて現実に申上げますれば、秩父宮、高松宮、三笠宮御三家であります。その内廷費と皇族費を増額しようというのであります。即ち皇室経済法施行法第七條及び第八條でその定額を決めておるのでありまして、それは昨年度におきましては、やはり国会の議決を経まして、内廷費は二千万円、皇族費は年額の基準をば三十六万円となつておりましたのを、今年度におきまして、それを内廷費をば二千八百万円、皇族費の年額の基準額をば六十五万円に増額しようというのであります。これは、やはりこの物價騰貴その他いろいろな事情に鑑みまして、この程度の増額を妥当と認めるという意味において、政府からこの案を提出いたしたのであります。そこで只今申上げました内廷費の二千万円から二千八百万円の増加、それから皇族費の昨年三十六万円の基準によつての総額が百八十九万円でありましたのが、六十五万円の基準と変えまする結果、総額が三百四十一万三千円となるのでありまして、その増加額が百五十二万三千円となるのであります。かようなわけでありまして、質疑應答を終えまして、そうして意見を交換いたしましたのであります。一委員から、災害の御救恤、或いは社会事業の御奨励、或いは学術文化の御奨励に対して、そのために皇室から御賜與になるということは実に國民をして感奮させるゆえんである。どうか、こういう有難いことによりまして、如何に國民が奮起し、そうして世の中が進んで行くであろうかということを考えまするとこに、この法律において決定いたしまするところの、この憲法八條の規定による議決によつて決めまする限度におきましては、まだ金額が少いと思う。折角皇室から賜わりましても、その金額が少いのは或いは効果を殺ぐゆえんではないかということを恐れる。又賜與の項目につきまして、範囲につきましても、更に拡張せられることが適当ではないかとも考えるのでありまするけれども、併し当局が妥当と認めて提出せられましたこの案に対しましては、全然同意を表するゆえんでありまして、本案を至当と認め賛成をいたしますというのでありました。又、皇室経済施行法の一部を改正する法律案に対しましても、物價騰貴の今日当然止むを得ざるものと考えるのであるという意味において賛成をいたしたのであります。他に発言をせられる委員諸君もありませんので、これを採決いたしましたところが、全会一致を以て可決すべきものであると議決した次第であります。この段御報告申上げます。(拍手)
#36
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#37
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#38
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、農業災害補償法第十二條第三項の規定の適用に途外する法律案(内閣提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議ない」と呼ぶ者あり〕
#39
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長楠見義男君。
   〔楠見義男君登壇、拍手〕
#40
○楠見義男君 只今議題となりました農業災害補償法第十二條第三項の規定の適用を除外する法律案につきまして、委員会の審議の状況並びにその結果を御報告申上げます。
 先ず法律案の内容及び趣旨でございますが、いわゆる農業共済保險を目的とする現行農業災害補償法の第十二條によりますと、その第一項において、農家の支拂うべき共済掛金の一部は國の食糧管理特別会計において負担することとなつており、同じく第三項の規定におきまして、右の食糧管理特別会計の負担は食糧の消費者が負担するように食糧の賣渡價格を定めねばならぬ旨規定しておるのであります。即ち農業保險におきまして特に災害の大きい、いわゆる異常災害或いは超異常災害のような部分に関係のある掛金負担分につきましては、できるだけ國が負担することといたしまして、それを消費者に轉嫁する建前を取つておるのでございます。ただ法律の制定当時の昭和二十二年度は國家が全部負担いたしまして、昭和二十三年度分から消費者負担を実現することといたしておつたのであります。今回の法律案におきましては、この消費者負担の点を、米價対策、延いて消費者の生活安定の観点から、昭和二十三年度及び同じく二十四年度分につきましては消費者に轉嫁せず、國において負担することといたしておるのであります。元來この消費者轉嫁の問題につきましては、詳しいことは省略いたしますが、第一回國会における現行法の制定に際しましても、委員会といたしましては、或いは理論的立場から、或いは実際的に、その可否につきまして種々論議を盡したところでございまして、その当時の委員会における大体の結論は、農業保險において特に異常災害及び超異常災害に関する負担金は國家において負担すべきことが、農家経済の現状、消費者生活の実情から言つても、亦社会保險的な考え方からいたしましても、妥当であるが、ただ国家財政の立場からどうしても止むを得ぬということであれば、できるだけ早い機会に國が負担するようにすべく、政府の善処方を強く希望しておつた状況でございまして、從つて今回この法律案によりまして右の希望が実現いたしましたわけでありますから、委員会といたしましては本案についてはさして異論がないわけでございますが、ただ審議に際して種々論議され、又質疑應答のあつた点は、第一に消費者負担を行わないということは、この法律案では昭和二十三年度及び同じく二十四年度分に限つておるが、これは將來に亘つて恒久的に轉嫁せしめないようにすべきであるということ、第二には、農業経営が現に非常に苦しくなつて來ており、而も一面においては災害復旧や積極的助長施設において殆んど見るべきものがない実情においては、一層この災害補償制度を強化し、現在の保險の域を脱して、文字通り災害の全額補償にまで進むべきで、具体的には、保險事故の拡張、補償の限度拡大等、全面的な改正を行うべきであるというような点でございました。これらのことは後に討論に際しましても、各委員からもそれぞれ強張せられ、或いは又希望せられたことでございましたが、詳細は速記録によつて御承知願いとうございます。
 以上のような経過を経まして、本日午前採決に付しましたところ、本法律案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第でございます。右御報告願います。(拍手)
#41
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の方の起立を請います。
   〔総員起立〕
#42
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。議事の都合により午後五時半まで休憩いたします。
   午後四時四十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後八時四十六分開議
#43
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続きこれより会議を開きます。参事をして報告いたさせます。
   〔青木参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
 昭和二十四年度一般会計予算可決報告書
 昭和二十四年度特別会計予算可決報告書
 昭和二十四年度政府関係機関予算可決報告書
     ―――――・―――――
#44
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、昭和二十四年度一般会計予算、昭和二十四年度特別会計予算、昭和二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。予算委員長黒川武雄君。
   〔黒川武雄君登壇、拍手〕
#46
○黒川武雄君 只今議題となりました昭和二十四年度一般会計予算、昭和二十四年度特別会計予算及び昭和二十四年度政府関係機関予算各案の、予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 先ず各予算案の概要について申上げます。昭和二十四年度一般会計の歳入歳出予算総額は、歳入七千四十九億三千四百万円、歳出七千四十六億六千七百万円、差引歳入超過額二億六千七百万円でありまして、これを前年度予算額歳入歳出共四千七百三十一億四千五百万円に比較いたしますと、歳入において二千三百十七億八千九百万円、歳出において二千三百十五億二千百余万円をおのおの増加いたしております。
 先ず歳出の主なる事項について申上げますと、終戰処理費関係経費一千二百九十八億九百万円、公共事業費五百十八億六千九百万円、政府出資及び投資八百四十二億千七百万円、地方配付税配付金五百七十七億円、義務教育費國庫負担金二百十九億四千四百万円、生活保護費及び兒童保護費百二十四億七千五百万円、失業対策費二十九億七千四百万円、同胞引揚費六十二億八千九百万円、農地改革費四十億八千九百万円、食糧供出関係費三十九億九千六百万円、政府機関等損失補填金百二十九億千六百万円、價格調整関係経費二千二十二億円等でございます。
 次に歳入におきまして、租税及び印紙收入におきまして五千百四十六億六千万円を計上いたしておりましてこれを前年度予算に比較いたしますと、千九百八十五億六千三百万円の増加となつておりますが、その増加の主なるものは、所得税において千二百六十七億三千四百万円、法人税において九十二億千五百万円、酒税において百九十二億五千九百万円、織物消費税において七十二億二千三百万円、揮発油税創設のため四十億五千二百万円、物品税において九十五億三千六百万円、取引高税平年度化のため二百三十七億円等でございます。又官業益金としては千二百九億七千七百万円を計上いたしておりますが、これを前年度に比較いたしますと、二百四十六億三千七百万円の増加と相成つております。以上が一般会計予算の重要事項金額の大体であります。
 次に特別会計予算について申上げますと、これは地方配付税配付金特別会計外二十九の特別会計に関するものでありまして、そのうち米國対日援助見返資金特別会計及び國立病院特別会計は、本年度新たに設置することになりましたもので、又從來の金資金特別会計は貴金属特別会計と改め、貿易資金特別会計は廃止いたしまして新たに貿易特別会計を設置することに相成つております。尚、專賣局及び國有鉄道事業特別会計は、それぞれ六月より專賣公社、日本國有鉄道と相成る予定となつており、通信事業特別会計も六月より郵政事業特別会計及び電氣通信事業特別会計に分離される予定となつておりますが、予算にはいずれも年間通ずる全体の予算が計上せられておるのでございます。以上三十の特別会計の歳入歳出総額は、歳入二兆五千五十億四千三百万円、歳出二兆三千五百六十億九百万円でありまして、これを前年度に比較いたしますと、歳入におきまして一兆三千七十五億千五百万円、歳出において一兆二千五百五十四億千五円万円をそれぞれ増加いたしておりますが、それは特別会計の新設と各特別会計における業務量の増加等によるものでございます。
 次に政府関係機関予算について申上げます。これを本年度より新たに公團等の政府関係機関予算について、今次國会に提出されました公團等の予算及び決算暫定措置に関する法律に基きまして、法令による公團、復興金融金庫、庶民金庫、船舶運営会、持株会社整理委員会、閉鎖機関整理委員会及び証券処理調整協議会に関する收入支出の予算を提出することとなつたものでありまして、その理由は、これらの公團等は政府関係機関として國務を代行しております関係上、その経理の明確を期するため各機関の收入支出予算について國会の議決を必要とするというにあるのでございます。而してその收入支出予算総額はおのおの一兆三千百四十億三千二百万円となつております。
 さて、本案の審議に当りましては、田村委員、波田野委員、木村委員、中西委員、山下委員、栗山委員、飯田委員、木下委員、森下委員、岩木委員、尾形委員、高橋委員、深川委員、池田委員、小川委員、堀越委員、帆足委員、新谷委員、井上委員、岩男委員、油井委員、西郷委員、松村委員、島村委員、一松委員、内村委員、安達委員、西川甚五郎委員、小林委員からそれぞれ重要事項に関し熱心なる質疑を行い、政府亦これに対し懇切なる應答がございました。右予算案は四月六日予算審査に入り、十一日に公聽会を開き、十六日に至り一先ず一般質疑を打切りました。次いで十八、十九の両日分科会を開き、第一、二、三、四の各分科会ともそれぞれ所管事項の予算各案に亘り愼重なる審議を経て、二十日午前の委員会におきまして、第一分科会主査高橋龍太郎委員、副主査木村禧八郎委員、第二分科会主査油井賢太郎委員、副主査西川昌夫委員、第三分科会主査東浦庄治委員、副主査岩男仁藏委員、第四分科会主査内村清次委員、副主査新谷寅三郎委員でありますが、各主査より各分科会における経過並びに結果の御報告がありました、次いで質疑を続行、終了の上、波田野委員より予算案に対する一部修正の提案があり、よつてこれを討論に付しましたところ、純無所属の小川委員及び民主自由党岡田委員反対、社会党森下委員、民主党高橋委員、無所属懇談会木村委員、緑風会帆足委員及び共産党中西委員はいずれも修正案に賛成の旨意見の開陳がありました。(拍手)かくて暫時休憩の後、委員会再開、委員長より、波田野委員提案の修正案は関係方面の了解が得られぬことが判明いたしましたので、これを採決に付さぬと宣言いたしました。直ちに原案に対する討論に入りましたところ、純無所属小川委員、民主党油井委員、緑風会久松委員、民主自由党平岡委員よりは賛成、社会党波田野委員、無所属懇談会木村委員、共産党中西委員よりは反対の旨述べられました。以上を以て討論を終結し、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚詳細は速記録により御承知願います。以上御報告申上げます。(拍手)
#47
○議長(松平恒雄君) 三案に対し討論の通告がございます。波多野鼎君。
   〔波多野鼎君登壇、拍手〕
#48
○波多野鼎君 私は日本社会党を代表いたしまして、政府提出、衆議院送付の予算案に対しまして反対の意向を表明するものであります。
 本予算案につきましては根本的に論ずべき点が非常に多いのでありますが、先ず我々がこの予算案を見まして、一番現われておるところで問題となると思われる点は、先ず第一に國民所得の見積りが過大に過ぎるという点であります。我が國が今年度におきまして單一爲替レートを設定する、即ち円の通貨價値の安定を図るということを國策の基本に置いて立てておるのでありますが、この通貨價値の安定ということは、即ち裏を返せば経済の一應の混乱、つまり今までの日本の経済の行き方に対しまして急激な歯止めをすることから起る大きな混乱が予想されるのであります。從いまして、例えば中小企業におきましても倒産するものも相当出て來る筈でありますし、又政府におきましても行政整理をやる、或いは又民間におきましても企業の合理化をやるということから、失業者の続出は免れ難いところであります。でありますから、國民所得というものは、昨年度に比較いたしまして、そう大幅に増加するとは考えられない。ところが政府は租税收入の見積りの基礎におきまして、國民所得を昨年度の約三〇%増加というところに置いております。殊に失業者が沢山出るということを政府側においてもしばしば言明しており、そのための対策を愼重に考慮しなければならんということを言つておるその矢先に、同じ政府が提出しておるこの所得税の算定の基礎となつておる勤労所得につきましては、昨年度より五五%増加するというようなことる基礎に置いて、この租税計画を立てておるのであります。又中小企業などの面を見ましても、現に政府が発表しておりますところの経済白書、あれを御覽になりますと、すでに我が國は相対的な、リラテイブな生産過剩に陷つておる。即ち購買力の不足によりまして製品の販路が梗塞して、ストツクが増加しつつあるということは、経済白書の中にはつきり謳つておる。にも拘わらず、営業所得の三〇%見当の増加を見越す。こういうような甚だ杜撰な國民所得の算定の上に立つて所得税の計算をやつておるのであります。勿論政府においては來る五月に税制の改革をやると申しておりますけれども、この予算案が通過いたしますと、この数字に基きまして財務局並びに税務署などに対して、いわゆる努力目標なるものを設定されるに決まつておる。そうしますと、税務署あたりはこの努力目標を達成しなければ自己の成績に関わるということから、國民に対しまして強制的な非常に強い力で以て租税の取立をやる。その結果は、吉田首相が憂えておられる苛斂誅求、今年度においても、二十三年度においてもすでに苛斂誅求があつたということを首相自身も認めておる。その苛斂誅求以上のことが起るということを私共は心配せざるを得ないのであります。このことから如何なる事態が日本に生ずるかということを思いますと、肌に粟を生ずる感がするのであります。この意味におきまして、私共はこの租税計画、これを中心とする予算案には反対せざるを得ない。これが反対理由の第一点であります。
 第二は、民生に対する経費の支出が非常に少額であるということであります。御承知のように我々がポツダム宣言に基いて文化國家として立上るためには、もうあらゆる議員があらゆる機会に口を酸つぱくして言うところのこの教育、國民の教育ということが根本的な事柄であるに拘わらず、六・三制の完遂については、総理はまあそう急ぐ必要はない、五年、六年くらいでやればよろしい、といつたような意向を持つておりまして、今年度の六・三制の経費は非常に削減されてしまつておる。このままでは我々の子弟は進学におきまして非常な困難を感ずるに違いない。六・三制がすでに六・二制になるということさえも世間で言われておる。そういう教育の危機をもたらしておるのであります。又農業問題につきましても、これは九原則の一つといたしまして、日本の國内資源は十分開発しろ、そうして、できるだけ食糧の自給の方策を講ずるということが九原則の一つになつておるにも拘わらず、農業生産改良に用いらるべき費用というものは非常に削減されております。この農業改良費用の削減ということは、私は九原則にそのまま直案に反すると思う。この予算案は九原則の中に財政の均衡を図るというところに力点を置き過ぎております。それにのみ囚われて、九原則に謳つておるその他の点を疎そかにしておるということがはつきり言えると思うのであります。又住宅の問題につきましても、國民は住宅問題に悩んでおるということは、これはこの議場でも何度も言われておる。そうして政府の善処方をいつも要求されておるにも拘わらず、住宅建設費なんてものは相当大幅に削減されてしまつておる。こういう性格を持つておるものでありますが故に、本予算案に対しては反対せざるを得ない。これが第二点であります。
 第三点は、二千二十二億円という、租税收入の約四〇%を占める價格調整費の見積りが過大に失しておるという点であります。價格調整費につきましては、政府が特に提出しておるところの昭和二十四年度予算の説明書の末尾にその内容が記されておりますけれども、ここに記されておる價格調整費の内容を仔細に檢討いたしますと、一目してこの價格調整費の見積りが非常に大きな水増しであるということが分るのであります。現にこの重要資材の安定帶物資の價格調整費の計算にいたしましても、これは輸出さるべき安定帶物資に対して直接乃至間接の補助金をやつておることになる。輸出に対する補助金を出すということは、これは御承知のハヴアナ憲章によりまして、いわゆる國際貿易憲章、これによつて固く禁じられておる。國際的にこういうことをやらないで置こうということが協定されておるので、輸出補助金を出すということは一種のダンピングなんだから、これをやつたのでは又第二次戰爭の原因と同じようなものを作り出すから、そういうことはやらないで置こうということが決められておる。にも拘わらず、この安定帶物資中、輸出さるべきものにつきまして、直接乃至間接の補助金が出されておる。このことがはつきり見える。これは私は國際貿易憲章の精神に反すると思う。そういう不信なことをやつておりましては、國際社会において日本が信用を得てその仲間に入るという日が一日々々と遅れて行くということを惧れるのであります。又食糧輸入につきましても、この調整費の内訳を見ますと、輸入食糧は二百六十一万八千トンという見込を立てて、それについての調整金を、いわゆる輸入補助金を計算いたしております。四百六億の輸入補助金を計算しておる。ところが昨日の新聞を見ましても、農林大臣は今年度の食糧輸入は大体百八十七万トンであろうということを言つておる。價格調整費を取るときには二百六十一万トンの輸入食糧が入るということを前提として組んでおる。そうして実際入るのは百八十七万トンだ。こういうことを見ましても、非常にこの價格調整費の計算の仕方が杜撰であるということが分る。又棉花につきましても、ここでは三十六万五千梱を基礎に置いております。而もそれに対して全部補助金を出している。だからこれは國内用の綿製品のための原料に全部使うのかと私共は問う。漁網用に使いますと政府は答える。棉花が漁網用にこんなに沢山要るのか。そうすると、一部はそうではないものに使う、といつたような極めて曖昧な答弁しか得られない。私は怒らく綿製品につきましては、輸出不適格品、輸出不合格品などが國内用に使われるだけであるというふうに思う。だとすれば、ここに補助金をこんなに出すということは輸出奬励金を出すにひとしい。先程言つた國際貿易憲章の精神に反する。こういつたようなことが沢山ある。でありまするから、こういう厖大な、而も基礎の薄弱な二千二十億円というような價格調整費の組み方に対しては反対せざるを得ない。
 主としてこの三点から私共はこの予算案に反対の意向を表明せざるを得ないのでありますが、これに対しまして、私は予算第一分科会におきまして二つの修正案を各派共同で出した。これは先程委員長の報告にもございました通り、その各派共同の修正案の内容は、價格調整費におきまして五百七十五億八千八百万円を節約する。これぐらいの節約はできる。それから剩余金がすでに二百億円あるということは政府委員が説明しており通りであります。その半額を國債償還に充てる。半額だけを一般会計に計上してよろしい。かくして六百七十五億八千八百万円の財源を見積りまして、この財源から公共事業費として百億円、この内訳は六・三制の完成のために三十億、農業改良のために五十億、住宅建設のために二十億、合せて百億、これを入れる。それから地方配付税配付金の増額を図らなければ地方財政はもう破綻に瀕しております。で、その増額として百六十億円を出す。そうして残りの四百十五億八千八百万円を以て租税の軽減に充てる。こういう内容を持つた修正案でありました。小委員会におきましては民自党の諸君がこれに反対されましたけれども、これは民自党の諸君が言われておるところとそう違わないんだ。民自党の諸君が選挙において言われておることを、我々がそれを代弁しておるような恰好になつてしまつておるのです。私は参議院が、できるならば一致の態度を以ちまして、その参議院の権威において連合國側に懇請がしたかつたのであります。(拍手)我々はこの修正案の内容が、恐らく國民すべての人が望んでおるところのものに触れておると思う。(拍手)その全部ではないでしようけれども、恐らくその一端はこの修正案の中に現われておると思う。併し残念ながら関係方面の了解を得ることができなくて流産になりましたけれども、我々は今後の政府のやり方を監視する場合におきまして、この精神において、この方針において嚴重に我々は政府のやり方を監視いたしまして、そうして國民代表としての我々の責任を十分果したいと思つておるのであります。(拍手)以上本予算案に対する反対の意見を表明いたしました。(拍手)
#49
○議長(松平恒雄君) 小串清一君。
   〔小串清一君登壇、拍手〕
#50
○小串清一君 私は民主自由党を代表しまして、只今上程せられました昭和二十四年度の一般会計、特別会計及び政府関係機関の予算案につきまして、政府の原案に賛成するものであります。(「オーケー」と呼ぶ者あり、拍手)政府はこの原案を出すに当りまして、その編成の根本方針としては、我が國民がみずからの努力と耐乏とによつて先ずインフレーシヨンの根源を断ち、健全な経済の基盤を確立し、米國の援助を最も有効に利用することによつて、一日も早く自主自立の経済態勢を整えることを目標とし、これに即應した極めて嚴格な意味の健全財政を実現しようとするものであります。(拍手)これが即ち我が党が政府の原案に賛成をするゆえんであります。(「選挙のとき何入言わんか」と呼ぶ者あり)予算委員会におきましては、只今反対の波多野君からも言われたように、價格調整費その他で六百億円の額を削つて、これを公共事業費及び地方配付税配付金とか、いろいろのものを増額し、並びに所得税、法人税の減額に充当しようとするような御意見も出ました。併しながら政府も(「賛成せざるを得ない」と呼ぶ者あり)公共事業費や地方配付税配付額の増額、又は所得税、法人税の減額については、夙にこれを希望をしておつたのであります。而して價格調整費のごときも我が党の方針として一日も早くこれを廃止することを考えておられたわけなんであります。それが政府も前に申上げました通り、厳格な意味の健全財政を実行するためには、一時これらの希望を犠牲にするも亦止むを得ないのであります。國民はよくこれを了解しておると思います。(拍手)私は政府に望みますことは、今後政府におきましては、予算委員会において論議せられたいろいろの價格調整費の廃止であるとか、六・三制を初めとして、農業改良とか、住宅とかというような公共事業費の充実、又所得税、法人税等の減免等の緊急問題等も、もとより我が党の政策なのであるから、(笑声)愼重の上にも愼重に研究を遂げて、而してこれらの実現を図り、而して今速かにやることは、我が國の自主自立の経済態勢を確立して、國家再建の大業をなしとげ、列國の一員として立つことのできるようにすることが一番の急務なのであります。(拍手)その意味におきまして、私はこの予算案に全幅の賛成を表するものであります。(拍手)
#51
○議長(松平恒雄君) 中西功君。
   〔中西功君登壇、拍手〕
#52
○中西功君 私は日本共産党を代表いたしまして、政府提出並びに衆議院送付のこの予算案原案に対しまして全面的に反対するものであります。(拍手)そうして我々はこの根本的な組替を要求するものであります。
 この予算案を我々は審議いたしまして、極めて明白になつたことは、單にこの予算案の個々の数字に問題があるのではない。根本は、現在の吉田内閣がやろうとするところのその政策、この全体に問題があるのであります。從つて又そこから、今日多くの委員から指摘されておりますような、この予算の全く矛盾撞着したようなものが出て來るのであります。現在の吉田内閣の政策の根本は何であるか。それは現在輸出振興という名によつて強行されようとしておるところのこの政策であります。それは日本経済をアメリカ経済の一環として組み入れるところにある。更に又その中で、日本の又その中で、日本の独占資本が非常な暴利を貧ろうとするところにあるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)そういうところに現在の吉田内閣の根本があります。その貿易振興を中心とするところの政策の下に日本の労働者の賃金はますます下げられ、ますます首切りがはびこる、そうして日本國民向けの、日本國内向けの産業はばたばたと倒されて行くのであります。今日大きな企業までがもうやれなくなつて現実に倒れておるのであります。そういうことは皆樣自身が最もよく知つておられるところであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)このような全般的なことがこの予算案の数字にはつきりと現われておるのであります。
 現在政府は輸出において五億三千万米ドル、輸入において九億五千万米ドル、これは二十三年度の実績の約倍でありますが、このような計画に基いて、又この計画を強行するために非常な無理をしておるのであります。更にこの生産計画においては輸出向きの生産を二倍も増そうとしておる。このような仕事のためにすべての日本の國民経済は犠牲にされて行く。このような結果がこの予算案の数字にれつきとして現われておるのであります。從つてこの予算案の数字は第一に極めて不確かであります。(「不確実なのか」と呼ぶ者あり)不確実であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)今日、東京新聞の夕刊を見ますと、政府、大藏省自身が價格調整費は五百億減らず、節約すると、はつきり言つております。今日五百億減らせるというものを、この予算案から何故拔くことができないか、これは人を馬鹿にしておるのであります。國会においては、これは必要でございますと、ちやんと我々に言つて置きながら、現に今日の東京新聞には大藏省の見解として五百億が減らせると書いてある。何のためにそんなら我々は実際審議することになるのか。実にこれは馬鹿げておるのであります。而もこのような馬鹿げたことを日本の國会が許しておるのであります。私は極めてこういう問題は由々しい問題であると思うのであります。数字が極めて不確かであるばかりでなくして、見返り資金会計のあの千七百五十億がよく示しておりますごとく、日本の産業資金の殆んどは極めて重要な部分がすべてあれに依存しておることは、これは皆樣のよく御存じのことであります。このような方向が果して自立経済かどうか、決してこれは自立経済の具体的な表現ではないのであります。更に又必要経費の削減、滅茶苦茶な削減については、すでに沢山述べておられますから私は申しません。ただ併し民主自由党も政府もこの予算は均衡予算であると言つた。一体どこが均衡しておるのか。(「分らんのか」と呼ぶ者あり)数字だけを並べて(「数字だけ均衡しておるのだ」と呼ぶ者あり)これが均衡しているとは、一体……例えばこの中で中央財政と地方財政と比べて見たらいい。地方財政は滅茶苦茶にされておる。(「そうだ」と呼ぶ者あり)地方財政と中央とは全く不均衡なのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)所得税、法人税、これを比べて見ても分るのであります。戰前においては所得税と法人税とはほぼ同額でありました。今では所得税の方が十倍も多いのであります。一体これはどこに均衡がしておるか。(「社会情勢が違う」と呼ぶ者あり)更に又價格調整費、日本のこの貿易政策のために、すべて奉仕しているところの價格調整費は、全予算額の四割にも達しようとしている。而して六・三制や或いはそうしたものがすべて無残にも切り捨てられて、一体どこが均衡しておるのか。國民に必要なものは全部なくなろうといている。そうして殆んど國民経済のためには役立たないところの経費が全予算を占めようとしている。一体どこに均衡があるか。この予算はますます貧富の不均衡を拡大している。そうして一部の独占資本はますます儲けております。この予算の中を見ても、八百億の政府出資金として明らかに銀行資本に莫大な利益を與えるものであります。彼たちの支配を強化するものであります。この予算に見まするならば、この予算こそ最も均整の取れない、ますます日本の貧富の差を拡大して行くところの予算であることは極めて明白なのであります。(拍手)更にもう一つ言いまするならば、六・三制が無残に切られたことに対して日本の國民は限りない憤激を感じております。だのに皆樣で予算案を、ちよつと警察費のところを見て見られればよろしい。そこには僅か三万の國警のために九億四千七百万という教育費が盛られておるのであります。三万人のために九億五千万の金が使われ、そうして何百万という我々の兒童のためには一文も使わないという、この事実は何であるか。これがいわゆる、このような予算案が……、このようなことを我々が数え上げるならば幾らでもあります。從つて又参議院においては、國会議員の良心としてこれを修正すべく努力されたのであります。私はこのような予算案に対して、日本の少しでも良心のある人々ならば絶対に賛成ができないと思うのであります。曾て民主自由党の人々は、第二回國会において二十三年度本予算に対してどのような態度を取られたか。七月四日の本会議で小野光洋君は、この議場において何と言われたか。(「健忘症だ」と呼ぶ者あり)教育委員会法案の予算がない、地方教育委員会法案の予算がないというだけで、民主自由党を代表して彼は「予算的措置を講ぜられることなく、すべて地方財政の負担としてこれが実施せられるというような曉になりました場合には、本國会はそのまま地方民の怨嗟の的になることは明らかであります」と、こう言われました。六・三制に限られておるのではない、地方財政に限られておるのではなくて、地方教育委員会法の予算的措置がないということに対して、地方民の怨嗟の的になるだろうと言われました。一体今この國会が、それならば如何なる怨嗟の的になるか、正に表現の言葉さえないのであります。更に價格調整費の削減、そういう問題に対しても非常な大きな声で以てここで要求されたのであります。而も今日二十三年度に比べるならば、遥かに價格調整費は多くなつておるだけではない、惡質にさえもなつておるのであります。最後に小野氏は、この予算案に……、以前の予算案に反対されるに当つて、最後に何と言われたかと言いますれば、「徒らに政権に恋々として、思うところを行わないような政党は、これは天下の公党でないということを私は断言して憚らないのであります。」こう言われたのであります。これが民主自由党が野党におられるときの言葉であります。徒らに政権に恋々として、(「社会情勢が違う」と呼ぶ者あり)思うことをやられないのは天下の公党でない、こう言われたのであります。私は民主自由党は、はつきりと、ここで天下の公党ではないということを明瞭にされることが必要であると思うのであります。(拍手、「懲罰」「國民は知つておる」と呼ぶ者あり)実際に民主自由党の人々は、総選挙でいろいろ好ましいことを言つた。そのことは國民がよく知つておりますが、(「本論に入れ」と呼ぶ者あり)併し吉田首相自身がこの予算案を衷心から支持すると言われることによりまして、すでに今まで民主自由党が選挙の時に言われたことは、それは民主自由党の本質ではなく、民主自由党は、全く選挙のために、欺瞞のためにこれを言つたというより外に我々は理解のしようがないのであります。(「出たらめを言うな」「懲罰だぞ」と呼ぶ者あり)最後に、この参議院が國民の要望を体して、この予算案を多少とも、多少ともです、修正するために努力された、我々はその努力を非常に多とするものであります。(「選挙運動だ」と呼ぶ者あり)併し現在日本の経済がますます依存性が強くなり、この予算案自体がますます依存性が強くなると同時に、我々國会議員自身にも、本当の日本人としての襟度、そういうものがますます欠けつつあるのではないかと危惧されるような事態が若し起りますとしますならば、我々は実にこれを遺憾とするのであります。若し本当にこの予算案を國民のために修正されることが必要であり、そのために参議院の権威を本当に発揮しようとするならば、修正案に賛成した人々は、決して原案に賛成することなく、飽くまでもこの修正案の趣意を、本意を貫徹して、そうして原案の否決に廻られること自身が、ことこそが、私はこの参議院の眞の権威を確立するものだと思うのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)言いわけのために、恰かも言いわけのようなことのために、我々は修正案を弄んではならないのであります。(拍手)眞にやるならば、眞に決意をして、そうして本当に國民のために盡すことこそが、我々國会議員に與えられた神聖なる義務であると思うのであります。(拍手)光栄ある権利であると思うのであります。我々共産党は(「分つた」と呼ぶ者あり)眞に日本の國を思いますが故に、(「何を言う」と呼ぶ者あり)眞の自立経済を念願するが故に、一切そのような(「分つた」「止めろ」と呼ぶ者あり)依存的な考え方に断乎として反対し、我々は飽くまでもこの予算に反対し、政府に組替を要求するのであります。これを以て私の演説を終ります。(拍手)
#53
○議長(松平恒雄君) 田村文吉君。
   〔田村文吉君登壇、拍手〕
#54
○田村文吉君 私は「概念論は止めろ」と呼ぶ者あり)縁風会を代表いたしまして原案に賛成するものであります。(拍手)
 次の点におきまして三点の不満があるのでありますが、(「誰が修正案を発案した」と呼ぶ者あり)在來陷り易かつた予算の分捕り主義、或いは運動主義と申しましようか、さような弊風を一擲いたしました点において、第二に、この予算は絶対黒字の健全予算であります。(「何故修正案を出すのだ」「修正する必要はないのじやないか」「そうだそうだ」「默つて聞け」「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)
 次に私はこの予算に不満の点があつたと申上げました点を申上げます。(「よく分つておる」「どうして反対しない」と呼ぶ者あり)今日九原則に從いまして、日本の経済の自主自立が望まれ、すでに政府事業はすべて独立採算制を採ることに相成つたのであります。(「九原則の惡用だ」と呼ぶ者あり)然るに、ひとり私企業にだけ独立採算制を採らないということが甚だ遺憾に感じたのであります。(「それは選挙区でやれ」と呼ぶ者あり)即ちこれを現わしておりまするものは、先程來諸君の御発表になりました價格調整金の矛盾であります。(「そうだそうだ」「それが分つておれば反対しろ」「それならば反対する値打が十分ある」「どうして賛成する」と呼ぶ者あり)最も著して例として私は申上げたいのは、例えば銑鉄であります。銑鉄は大凡一トン二万五千円でありまするが、これを輸入の燃料、輸入の鉱石その他に補給しておりまする金額を通算いたしますると、一トンに対して二万一千円の補助があるわけであります。そうして四千円の價格を以てこれが消費されておるのであります。次に石炭でありまするが、石炭はいわゆる重要産業に向けられるものにおきまして、一般の消費者價格が約三千四百円でありまするのに、一トン一千円を以て供給されておるのであります。(「ひどいね、随分」と呼ぶ者あり)かような状態でありますることは、政府が希望しておられます……これによつて順次生産者價格を引き下げるように努力されておるのでありまして、現に今回も若干の生産者價格を引下げられたのでありまするが、二万五千円のため二万一千円の補助、三千四百円のものを二千四百円の補助、かような多額の補助をしておりますることでは、到底近いうちに價格調整金を廃止し、私企業の自主自立の形態を整えるということは困難なのであります、この故に、私共はこの價格調整金に対しては十分檢討を加えられました上、この價格調整金は速かに廃止されることが日本の將來の自主自立のために絶対に必要であるということを信ずるものであります。(「何故反対したのだ」「やかましい」と呼ぶ者あり)
 第二に國民の負担の軽減であります。先程來から諸君からいろいろお話がありましたが、今日國民の負担は実に過重であると申さねばなりません。(「その通り」「分つているじやないか」と呼ぶ者あり)戰爭以來國民は実に堪え難きを堪え、忍び難きを忍んで今日まで参りました。終戰後は、(「口先だけじやないよ、口先だけじや」と呼ぶ者あり)非常な苦労、いわゆる荊棘の途を歩いて來たのであります。幸いに生産は漸次上昇して参りました。幾らか國民も、少しは今後樂のできるようなところに参ろうかというときに、税の上で非常な負担をしなければならないということは、誠に氣の毒な状態であるのであります。(「それぢや論理が矛盾しているよ」と呼ぶ者あり)
 第三には実に眞に止むを得ない公共事業費、例えば六・三制の問題、或いは日本の食糧自給のための農地の改良、それから住宅問題、それは現在日本に約一千万人の人が家がなくて、三疊、六疊の間に多数の人が雜居していり状態であるのであります。(「それで予算に何故賛成するのだ」「賛成の理由を言え」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)それから造林に関する事業のごときは、治山治水の上から絶対に一日も早くこれが政策を立てなければならんのであるまするに拘わらず、ややもすればこれを軽視されまして、予算がないという建前から一年々々と遅らせておるのでありまして、(「その通り」と呼ぶ者あり)かような点がいわゆる私企業の独立採算制、國民負担の軽減、各種の公共事業、これらの点につきまして、今回の予算が不十分であるという点について、(「反対理由か」と呼ぶ者あり)私も修正案を提出する一人としてその責任を持つたのであります。然るに諸般の事情によりまして修正案はこれは通すことができ得ませんので……、併し只今前議員が言われましたように、修正案が通らなければこれに反対すべきであるという議論には賛成いたしかねるのであります。(拍手)その故如何となれば、私は今度の予算は苦がいけれども体の病氣を直すに絶対必要な藥だと信ずるものであります。(拍手)この藥に更に心臓の手当があつたならば、カンフルの注射の一本もあつたならば、この藥が有効であると考えたから、私は修正案に賛成したのであります。併しながらカンフルがない、或いは藥が強いから、胃の藥が伴わないから、であるからこの苦がい藥がいけませんということは、私は断然そういう議論は立たんと思います。(「反対の理由じやないじやないか」と呼ぶ者あり)その意味におきまして私は本案に賛成いたします。
 我々はこの運用に当りまして最も注意を要する点と考えまするのは、これが極端のデフレになる傾向をややもすれば持つかも知れんのでありまして、産業金融が、これがために梗塞するようなことがないように、今後運用において十分の注意を要するものがあると考えるのであります。尚且つ今度の予算には隠れたる剰余が十分に見込まれておることは諸君の御承知の通りであります。今後次の議会、或いは又その次の議会においてその緩急を図つて予算を提出する、又その運用を十分に妙を盡して貰うということは、今後の内閣諸公の責任にあると考えるものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)かような点に私は期待を持ちまして、この予算に(國民は期待していないぞ」と呼ぶ者あり)賛成するものであります。(拍手)
#55
○議長(松平恒雄君) 木村禧八郎君。
   〔木村禧八郎君登壇、拍手〕
   〔簡單々々」「よく聞けよ」「ゆつくりやれよ」と呼ぶ者あり)
#56
○木村禧八郎君 私は無所族懇断会を代表いたしまして、政府提出、衆議送付のこの予算原案に反対し、全面的な組替を要求するものであります。(拍手)その主なる理由は四点でございます。
 その第一点は、この予算案は非常に過大な、強制的な資本の蓄積を計画しているという点でございます。その内容は、米國の対日援助見返り資金特別会計において千七五百五十億、又政府の出資及び投資として七百五億、又先程問題になつておりました價格調整費二千二十億の中で約五百億、こういうものは、我々から税カを取つて、そうしてこれを強制的に資本蓄積として計画しているものであります。この約三千億に上るところの資本蓄積額は、これは日本の今の経済の状態から言つて、その規模及びその速度は果してこれは適正でありましようか。我々としては、余りにその速度が早過ぎ、余りにもその額が多過ぎるではないかと考えるのであります。(拍手)最近税金で非常に苦しんでおる、これは皆さん方御備知の通りであります。又この過大な資本蓄積を強行するとために六・三制がすつ飛んでしまう。又公共事業費が削減され、更に又地方財政配付金が減額された。そういう犠牲は何から生じておるかと言えば、一にかかつてこの過大な、強制的な三千億に上る資本蓄積にあると思うのであります。それがこの予算の中に計画されておるのであります。二十四年度予算の特徴は一にかかつてここにあると思います。予算は二十三年度に比して約二千億円殖え、更に又税金が二千億円も殖える原因は、この過大な資本蓄積を強制的にここで強行するという点にあるのであります。そのためにあらゆる犠牲がそこに起つて來ておる。税金が六名殖える、六・三制、公共事業、失業対策費、そういうものが犠牲になるのは、この過大な資本蓄積を急速に強行するという、この点にあるのであります。これが日本の経済の現状として適正でない。そういう点に反対の第一の理由があるのであります。
 反対の第二の理由は、この三千億円に上る巨額の急速な強制的資本蓄積が、勤労大衆、農民、中小業者、こういう人たちの犠牲においてこれが強行されることになるという点であります。税金について申しますれば、御承知の通り二十四年度の分配國民所得の勤労者に対する割合は四一%、その他の営業者に対する分配所得の割合は五四%、こういう國民所得の分配割合であるにも拘わらず、税金の方は、勤労所得税は二十四年度予算においては九六%、約一〇〇%増加し、業種所得の方は五五%の増加に過ぎないのであります。このような分配國民所得とその課税との間に非常に矛盾があるのであります。非常な不公平があるのであります。更に又大衆課税であるところの消費税についても軒並みにこれが増徴されておりまして、二十三年度に比較しまして六二%の消費税の増額になつております。こういう税の面から行きまして勤労大衆を非常に不当に圧迫しておるわけであります。更に又税以外の面におきましても、周知のごとくこの資本蓄積を強行する結果として、主食は一三・三%の値上りになりました。又鉄道運賃は六割乃至十割の値上げ、通信料金は四割乃至十割の値上げ、又補助金を貰わないところの輸入物資の公定價格の引上げも行われるわけであります。このように我々の生活に必要なる商品は値上りし、そうして又勤労大仕に不当に重い税金がかかつて來た。税金と物價の値上げ、この二つの面から、勤労大衆、中小業者、農民、そういう働く人たちの生活は非常な困窮に陥れられる。それはなぜかといえば、三千億の資本蓄積をここで強制的に税金を取つて強行するという、この予算案の家味からそういうことが生じて來るのであります。これは、マツカーサー元帥が、九原則を実行するに当つて非常な苛烈な犠牲が來るかも知れないが、この犠牲は國民が平等に負担することによつて耐え得るであろう、そういうマツカーサー元帥の吉田首相に宛てた書簡の精神に全く相反するものであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり、拍手)これが反対の理由の第二点であります。
 反対理由の第三点は、この三千億の資本蓄積を強行することによつて、只今申上げましたように勤労大衆が非常な犠牲になる半面において、日本銀行初め市中大銀行はこれによつて莫大な利益を得るばかりでなく、今後の日本の産業は大金融資本の手に握られて、思うままに金融資本の支配の下に服さなければならない状態になることであります。御承知の通り米国の対日援助見返り円資金千七百五十億円、この大部分は、日本銀行の公債の償還等に充てられます。更に又政府出資金のうち三百億円は復金債の償還に充てられます。この公債及び復金債はどこが持つておるか、日本銀行及び市中銀行、特に市中の大銀行がこれを持つておるのであります。これを償還する結果として現金が日本銀行及び市中銀行に流れて行くわけでありまして、その結果として巨額の現金が金融機関の手に還つて、その金をどこに貸すか、誰に貸すか、どれだけ貸すかということが、一に金融機関の手中に握られるわけでありまして、それによつて日本の全産業は、又延いて日本の経済再建は、そういう大金融資本の支配の下に服さなければならなくなるのであります。從いましてそういう状態になります以上、日本銀行並びに市中の金融機関の性格が從來のような性格であつてよろしいかどうか。アメリカの援助資金千七百五十億円は、一部の金融資本家の利益のために援助されるのではなくて、日本國民全体の利益のためにこれは使わなければならないものであります。從いましてその金が公債償還、復金償還の形で金融機関に流れ込んで行くというときに、その金融機関が一部の大資本家の利益にこれを使つて、そうしてそのために中小業者の金融は困難になり、(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)或いは又その他の國民生活に圧迫を加えるようになりましたならば、これは対日援助資金の精神に反するものである。從いまして(「それは学者の言うことだ」と呼ぶ者あり)この援助資金が大金融機関に流れ込んで行くならば、日本銀行及び各金融機関の性格はもつと社会化され、公共化されなければならないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)我々としてはこういう段階になつた以上、金融機関は國有國営にすべきであると思うのでありますけれども、せめてそれができなければ、昨年の八月十七日に司令部から政府に指示されました金融制度改革に関するあの指令の方針に基いて、金融制度を改革すべきであると思うのでありますが、政府においては全然その用意がなく、ただ日本銀行法の一部の改正によつてこれを糊塗しようとしておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)而もこの重大な予算案の裏付けとなるべき、その金融政策の一環としての日本銀行法の改正法案は、まだ國会に提出されておらないのです。我我は今後は金融政策が非常に重大化する、そういう点において金融機関が如何に公共化されるか、そういう点が明らかにされなければ、この予算案を我々は承認することはできないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)然るに拘わらず、まだその金融制度の改革に関する法律案は出ておらない。こういう状態なのであります。從つて我我はこの予算案に対する賛否を決める場合において、その重大な金融機関に関する改革案が示されない以上、この一点だけでもこの予算案に反対せざるを得ないのであります。(「反対したらいいじやないか」「それは理屈だ」と呼ぶ者あり)
 最後に、反対の第四の理由でありますが、十八年間もインフレ経済をやつて参りました。この二十四年度予算において一挙にインフレを止めようとする重大な、画期的な、歴史的な予算であると私は思うのでありますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)この而もです。実に二兆億に達するこの重大な予算案を審議するのに、この期間が幾日でありましたか。衆議院に提出されたのが四日であり、五日から審議を始めまして僅かに十五日間、我々は予算の委員会においてこの二兆億の厖大な予算案に対して、総理大臣に対する、我々の首相に対する我々の質問割当時間は実に五分間であります。(「それは学者の常の言うことだ」と呼ぶ者あり)これで國民に対して責任を以て、この予算、二兆億に対する予算審議ができたということができるでありましようか。(「その通り」「なんぼやつたつて反対するじやないか」と呼ぶ者あり、笑声)常識がある者として、反対、賛成はとにかく、十分にまじめに予算は審議すべきであります。(「その通り」「分つたよ」と呼ぶ者あり)而もこの予算審議の過程において、予算内容に対する我々の質問に対しての政府の答弁は極めて不親切であり、(「分つた」と呼ぶ者あり)極めて抽象的であり、具体性を欠いております。更に又政府は最初これと違つた予算案を作成して司令部に提出したため、この予算案を政府は(「時間だ、時間だ」と呼ぶ者あり)実施することに対しての何らの心構えも準備も用意もないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)こういうような予算案に対して、我我は國民に対して責任を持つてこれを承認することはできないのであります。
 以上の四点を以ちまして私はこの予算案に反対し、全面的な組替を要求するのであります。(拍手)
#57
○議長(松平恒雄君) 油井賢太郎君。
   〔油井賢太郎君登壇、拍手〕
   〔「うまくやれよ」「首相どうした」と呼ぶ者あり〕
#58
○議長(松平恒雄君) 総理は直ぐ見えます。
#59
○油井賢太郎君 我々民主党は本予算案に対しまして、(「反対」と呼ぶ者あり)附帶條件を付けまして賛成するものであります。民主党といたしましては、本予算の審議に当りまして、第一に不当なる價格調整費を減額し、(「反対だ」と呼ぶ者あり)それを税負担の軽減と公共事業費の増額、地方配付税の増額に充てるという修正案を提出したのでありました。併しながら客観情勢は遺憾ながら止むを得ずこの修正案を採用せられないというような状況に至つたのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)從いまして我が党は、修正によつて政府原案より、ヨリよき予算案を作りたいと思つたのでありましたが、この我々の目的は達せられなかつたのであります。今となりましては、徒らにイデオロギー的に反対するというようなことは、(「イデオロギーじやない」と呼ぶ者あり)現下の諸情勢を勘案いたしまして、誠に残念ながら次のような條件を附いまして賛成せざるを得ないのであります。(「衆議院で反対しているじやないか」と呼ぶ者あり)先ず第一に本予算案の実施に当りましては、見積り過大の歳入を挙げるために苛斂誅求とならぬよう政府に対し細心の注意を拂つて貰いたいということと共に、國民負担の軽減を目標といたしまして、速かに税制を改革し、適正なる課税をすること、(「國民の声を聞かんのか」と呼ぶ者あり)これはすでに諸君よりもいろいろお話がございましたから、時間の関係上理由は省略いたします。(「理由はない」と呼ぶ者あり)
 次に第二の点でありますが、産業の合理化を期し、企業意欲の向上と労働能率の増進を図り不当の價格調整費を減額することであります。今回の予算に盛られておりまするところの産業資金計画が、復金融資を極度に圧縮しまして、この代りの方策が不十分であるということは皆さん御承知の通りであります。又國民の蓄積によりまして預金の増加を図り、これを二千五百億と政府は計算いたしておりますが、この産業資金の重要なる部分としての國民貯蓄が果して得られるかどうかは、極めて疑問な点であります。今日國民の竹の子生活、これは未だに続いております。これによつて果して蓄積ができるかどうかということは、これは明白でありまして、この点につきましては、政府は今一段の研究を要するものと言わざるを得ないのであります。預金はたとえ名目の預金があつたといたしましても、いつでも引き出せるような預金であつては、これは決して蓄積預金とは言われないのでありまして、かかる面よりいたしまして、或いは目算違いではないかと政府に難ぜざるを得ないのでありまして、我が國の産業が果して政府の期待する通り向上することはできないものと思われるのであります。又通貨の收縮のみに頼りましてインフレの抑圧を図つているかのように見えますが、通貨收縮と課税の重圧は正にデフレ政策と言わざるを得ません。生産第一主義の民主自由党の諸君が常に掲げられた生産第一主義は、今日出されましたところの予算の面から見ては、すつかり姿を消して、デフレ政策に轉換したのでありまして、これは我々にとりまして甚だ不満の点であります。併しながら徒らにインフレを恐れるの余り角を矯めて牛を殺すようなことのないように、眞に日本の産業再建のために政府は格段の力を入れて貰いたいと思うのであります。又この目的の達成のために價格の調整費には一大削減を図るべきであると思います。現に價格補給金が如何なる方面に使用されているか、又この制度が如何に産業界に安逸感を與えておつて、向上進歩の跡がないということは皆様すでに御承知の通りであります。この弊害をこの際断乎といたしまして断ち切つて、いわゆる軌道に乘せた経済政策を現政府はさるべきことを強く強く要望するのであります。この理由によりまして我が党は價格調整費を大幅に節減したいと念願するのであります。
 第三番目には價格調整費の減額によりました得ましたるところのその金を、税負担の軽減と緊急なる公共事業費並びに地方配付税の増額に充てられたい。このことにつきましても前議員よりすでに皆様方に詳細述べられましたが、六・三制の実施或いは住宅難等については國民は本当に要望いたしている点であります。是非とも至急にこの面の解決を図つて頂きたい。又地方配付税は、法案によりますれば三三・一四%というのが日本の法律に、はつきりと決められているにも拘わらず、今回政府の原案によりますれば、僅かに一六・二九%という半分になんなんとする僅かの配付税しか出しておりません。そのために地方におきましては、或いは六・三制の実施に或いは地方自治体警察の拡充に、実に困難を極めておる面が多々あるのでありまして、これにつきましても政府は心より地方財政という点に注意せられまして、今後中央地方の均衡の破れざるよう格段の力を入れて貰いたいと思うのであります。
 以上二三点を我々民主党は強く要望いたしまして原案に賛成するものであります。(拍手)
#60
○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより三案の採決をいたします。三案の表決は記名投票を以て行います。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。これより氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#61
○議長(松平恒雄君) 統標漏れはございませんか。……投票漏れはないと認めます。これにより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#62
○議長(松平恒雄君) 投票の結果を御報告いたします。投票総数百四十二票、白色票即ち三案を可とするもの百二票、(拍手)青色票即ち三案を否とするもの四十票、(拍手)よつて三案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
 賛成者(白色票)氏名       百二名
      小川 友三君    阿竹齋次郎君
      井上 なつゑ君    宇都宮 登君
      梅原 眞隆君    江熊 哲翁君
      小野  哲君    加賀  操君
      鎌田 逸郎君    河井 彌八君
      小杉 イ子君    西郷吉之助君
      佐藤 尚武君    新谷寅三郎君
      鈴木 直人君    高瀬荘太郎君
      高橋龍太郎君    伊達源一郎君
      中川 以良君    野田 俊作君
      早川 愼一君    久松 定武君
      藤井 丙午君    松村眞一郎君
      矢野 酉雄君    赤木 正雄君
      赤澤 與仁君    安部  定君
      飯田精太郎君    岡部  常君
      岡本 愛祐君    木下 辰雄君
      大屋 晋三君    山田 佐一君
      中山 壽彦君    下條 康麿君
      宿谷 榮一君    大野木秀次郎君
      遠山 丙市君    小林 英三君
      田村 文吉君    玉置吉之丞君
      松嶋 喜作君    徳川 宗敬君
      玉屋 喜章君    一松 政二君
      藤野 繁雄君    穗積眞六郎君
      田口政五郎君    岡田喜久治君
      小野 光洋君    團  伊能君
      山内 卓郎君    結城 安次君
      北村 一男君    川村 松助君
      淺岡 信夫君    池田宇右衞門君
      堀  末治君    荒井 八郎君
      西川甚五郎君    大島 定吉君
      鈴木 安孝君    黒田 英雄君
      寺尾  豊君    石坂 豊一君
      柴田 政次君    板谷 順助君
      松野 喜内君    黒川 武雄君
      深川タマヱ君    深水 六郎君
      平岡 市三君    城  義臣君
      藤森 眞治君    仲子  隆君
      中川 幸平君    重宗 雄三君
      橋本萬右衞門君    伊東 隆治君
      佐々木鹿藏君    境野 清雄君
      淺井 一郎君    廣瀬與兵衞君
      左藤 義詮君    小串 清一君
      水久保甚作君    尾形六郎兵衞君
      木檜三四郎君    木内 四郎君
      櫻内 義雄君    油井賢太郎君
      石川 準吉君    小畑 哲夫君
      入交 太藏君    小林 勝馬君
      門屋 盛一君    奧 主一郎君
      林屋亀次郎君    稻垣平太郎君
      米倉 龍也君    岩男仁藏君
    ―――――――――――――
 反對者(青色票)氏名       四十名
      姫井 伊介君    内村 清次君
      梅津 錦一君    門田 定藏君
      塚本 重藏君    河野 正夫君
      羽生 三七君    田中 利勝君
      カニエ邦彦君    和田 博雄君
      森下 政一君    青山 正一君
      中平常太郎君    若木 勝藏君
      吉川末次郎君    板野 勝次君
      細川 嘉六君    中西  功君
      岩間 正男君    兼岩 傳一君
      鈴木 清一君    千葉  信君
      木村禧八郎君    堀  眞琴君
      池田 恒雄君    星野 芳樹君
      太田 敏兄君    大野 幸一君
      千田  正君    藤田 芳雄君
      大畠農夫雄君    岩崎正三郎君
      河崎 ナツ君    栗山 良夫君
      原  虎一君    中村 正雄君
      佐々木良作君    波多野 鼎君
      山下 義信君    岡田 宗司君
     ―――――・―――――
#63
○議長(松平恒雄君) 次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後十時十八分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、常任委員辞任及び補欠の件
 一、蚕糸業に対する補給金の問題に関する緊急質問
 一、日程第一 会期延長の件
 一、日程第二 郵便振替に関する約定に加入することについて承認を求めるの件
 一、日程第三 郵便爲替に関する約定に加入することについて承認を求めるの件
 一、日程第四 代金引換郵便物に関する約定に加入することについて承認を求めるの件
 一、日程第五 價格表記の書状及び箱物に関する約定に加入することについて承認を求めるの件
 一、日程第六 馬籍法を廃止する法律案
 一、議員派遣の件
 一、日本國憲法第八條の規定による議決案
 一、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案
 一、農業災害補償法第十二條第三項の規定の適用を除外する法律案
 一、昭和二十四年度一般会計予算
 一、昭和二十四年度特別会計予算
 一、昭和二十四年度政府関係機関予算
ソース: 国立国会図書館
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