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1949/04/25 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第18号
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1949/04/25 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第18号

#1
第005回国会 本会議 第18号
昭和二十四年四月二十五日(月曜日)
   午前十時三十八分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十七号
  昭和二十四年四月二十五日
   午前十時開議
 第一 海外残留同胞引揚促進に関する決議案(紅露みつ君外十七名発議)(委員会審査省略要求事件)
 第二 地方配付税法の特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 貿易特別会計法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第四 昭和二十一年度歳入歳出総決算、昭和二十一年度特別会計歳入歳出決算(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。
 この際お諮りいたします。前之園喜一郎君より病氣のため十一日間請暇の申出がございました。許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松平恒雄君) 次にお諮りして決定いたしたいことがございます。法務委員長より、檢察及び裁判の運営等に関する調査のため、福島縣に大野幸一君及び齋武雄君を、本月二十六日から三十日まで五日間、厚生委員長から、社会事業團体の地方組織及びその事業状況等実地調査のため、愛知縣、大阪府に塚本重藏君、竹中七郎君及び草葉隆圓君を、岡山縣、廣島縣、大阪府に姫井伊介君、中平常太郎君及び谷口弥三郎君を、本月二十七日より五月三日まで七日間の各日程を以て、それぞれ派遣いたしたい旨の申出がございました。これら八名の議員を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(松平恒雄君) 議事の都合により、日程第一を後に廻し、日程第二、地方配付税法の特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。
    ―――――――――――――
   〔岡本愛祐君登壇、拍手〕
#9
○岡本愛祐君 只今上程になりました地方配付税法の特例に関する法律案の委員会における審議の経過及び結果を御報告申上げます。
 本法案の規定は頗る簡單でありますが、その内容は極めて重大でありますので、少しく詳細に亘り御報告申上げることをお許し願います。地方配付税として政府が一般会計より地方配付税配付金特別会計に繰入れるべき額は、地方配付税法第二條により、毎年度の所得税及び法人税の徴收額の百分の三三・一四と割合が決まつており、これによりますと、昭和二十四年度において特別会計に繰入れるべき額は一千百十三億円に達する計算となるのでありますが、政府はこれを五百七十七億円と大幅に削減することとした結果、本法案により、右の法定割合を二十四年度に限り百分の一六・二九と変更せんとするものであります。その政府案の提案理由を申上げますと「地方財政の現状は深く窮乏しているのであるが、我が國当面の課題である経済九原則に則り、國と地方を通ずる総合予算の均衡を図るため、更に歳出の徹底的縮減を行い、又歳入の増加を図ると共に、國庫財政の都合により、地方配付税の繰入額を昭和二十四年度に限り地方配付税法に定める繰入率に基く額によらず、その総額を五百七十七億円に止めることとしたため、その繰入率を変更する必要があるので本法案を提出した」というのであります。
 地方行政委員会におきましては、本法案の重要性に鑑み、大藏委員会と連合委員会を開くこととし、数回に亘つて愼重審議を盡しました。今質疑應答の主なるものの要旨を申上げますと、
 一、昨年通過した地方財政法は、地方財政の基本原則を定め、その第二條第二項に、從來のように國家財政の一方的な都合により地方財政を圧迫してはならないことを規定している。然るに本案によれば、國家財政の都合により地方配付税を減額する必要があるというのであるが、これは地方財政法の明文に反し、國家財政の都合により地方團体に負担を轉嫁するものであつて、政府に対する全國地方自治團体の信用は占われるものと思うがどうかという質問に対し、池田大藏大臣より、配付税の繰入割合は、その年の予算上の必要に從い從來もたびたび変更したものであり、今回の提案も決して地方財政法の明文に反しない。地方財政法第二條第二項の規定は同條第二項との関言において考えらるべきであるという答弁がありました。右の大藏大臣の答弁に対しましては重ねて、毎年度その率を変更することは自由であるという大藏大臣の解釈は不当である。地方配付税法第二條の規定は、地方財政の基礎を確立するため、いわゆる平年度の場合の繰入率を保証したものであるから、特別の事情なき限り変更すべきものではない。二十四年度のごときは、二十三年度と同樣、所得税の徴收上特別の事情ある場合と解して、初めて本法案提出の理由が成立つのではないかという質問に対しては、大藏大臣は、前の答弁の不足であつたのを認め、右の趣旨に同感である。明年度の配付税の減額は、全く九原則の実施という例外特別の事情によるものであるという答弁がありました。又木村國務大臣より、自分もこの法定割合は紊りに変更すべきものではないと思う。從つて若し國家財政上必要があるというならば、一旦法定通り特別会計に繰入れて、然る後國庫に貸付ける形を取る方がいいと考えて、その案を閣議に提出したが、結局本法案のように纏まつたものであるという答弁がありました。
 二、政府はいわゆる経済九原則により、総合予算の均衡を図る必要から本法案を提出したと言われるが、総合予算の均衡の原則から言うならば、國の赤字も地方の赤字も同じことである。若し配布税を減額しなかつたならば、地方予算は公債を発行せずして收支の均衡を得た筈であり、逆に國家予算はそれだけ公債を発行しなければならなかつたのである。言換えれば、明年度國家予算は地方財政の犠牲の上に立つて辛うじて予算の均衡を保つことができたものであると思うが、政府の所見如何という質問に対し、木村國務大臣より、経済九原則の趣旨により、國家財政も極めて苦しい予算措置を取らなければならないという事情に立つたから、配付税減額という例外的な措置をなさざるを得なかつたのであるが、これは全く明年度限りの例外的措置として承認して欲しいという意味の答弁がありました。
 三、地方配付税は、元來、所得税附加税に代るものとして制定されたものであつて、政府から地方に対する涙金的性質を有するものではない。若し所得税附加税であつたならば、今回の政府案のような無茶な削減はできなかつた筈である。政府は地方財政の基礎を確立するため、配付税制度に代え、將來地方税として所得税附加税の制度を考慮する考えはないかとの質問に対し、木村國務大臣及び池田大藏大臣よりそれぞれ、同感であるから、税制改革の際、所得税附加税制度を復活することを研究したいという答弁がありました。
 四、消防組織法及び警察法によれば、地方財費が確立されるときまで、これらの費用は國庫及び都道府縣が負担する規定になつておるが、この度の地方配付税の大幅の削減によつて地方財政の確立は妨げられたのである。然らば現在市町村の義務となつておるこれらの費用負担は今後どうなるかという質問に対しては、木村國務大臣より、昭和二十三年度における地方税制改革と、これに伴う財政措置により、一應地方財政は確立され、警察費等の國庫負担制度は廃止された。二十四年度における配付税の大幅減額により新たに生ずべき事態に対しては、九原則の趣旨により、中央、地方を通じて十分の考慮を拂い善処したいという答弁がありました。
 五、配付税の減額に対しては、全國知事会議、市長会、町村会が盡く反対しておるが、これらの代表者を以て構成しておる地方財政委員会が本法案に同意せざるに拘わらず、政府は本案を國会に提出した。木村國務大臣は委員長として如何なる所見を有するかという質問に対しては、木村國務大臣より、九原則の実施という國家的見地から本案の提出を、國務大臣の立場上、閣議で承認したものであるという答弁がありましたが、
 六、國と地方を通ずる総合均衡予算においては、二十四年度地方財政の歳出の推計総額は、ドツジ氏案によれば三千五百十億円となつており、政府の推計三千三百八十八億円に比し百二十二億円の開きがある。即ち地方財政の歳出は一應三千五百十億円まで認められたのであるから。政府は最小限度この差額の百二十二億円を配付税に増額するよう努力すべきではなかつたかという質問に対しては、大藏大臣等より、地方財政歳出総額は三千五百十億円として認められたのではなかつた。歳計総額の差額は歳入関係の課算是正等から生じたもので、結局歳入歳出の各総額が三千三百八十八億円に改算されたものであつて、いろいろ努力したが、配付税を五百七十七億円以上に増加することは承認を得るに至らなかつたという答弁がありました。
 以上のごとき質疑應答を重ねたのでありますが、連合委員会は更に政府の地方財政に対する基本方針を質す必要を認めまして、四月二十日、吉田総理大臣の出席を求めて質疑を行いました。その質疑の要旨は、一、今度の地方配付税繰入額の大幅の減額は地方財政法の精神を蹂躪したものではないか。配付税の減額には全國の自治体が一致して反対しておるが、地方財政の現状から見れば誠に尤もなことである。六・三制の実施、警察費の支弁、災害復旧費等につき、政府は如何なる施策を以て地方自治体に望むつもりであるか。二、政府のいわゆる総合的均衡予算の編成により予算の均衡を維持することができたのは國の財政のみであつて、地方財政はこのために借金として残る二百三十三億円の赤字公債を発行しなければならない。政府は右地方財政の赤字補填のため二百三十三億円程度の配付税増額を工夫し、眞の均衡予算たらしむべきであると思うが如何。三、シヨープ博士來朝の結果、中央地方を通ずる税制改革が立案され、これに伴い補正予算を臨時國会に提出されるようであるが、政府はその際までに地方財政の窮状を詳細に調査し、優先的に地方配付税の増額を実現すべきであると思うが如何。四、政府は地方財政確立のため、將來の税制改革の方向として所得税附加税主義をとり、配付税は最小限度の地方財政調整資金として存置すべきであると思うが、首相の所見如何というにありました。
 これに対し吉田総理大臣より、一、六・三制については、國家財政が窮乏しておるのであるから、所要額四十五億円を例えば十五億円ずつ三ケ年間に支出することとして、その間のやりくりは金融措置等において行い完成させたいと思つて、文部省当局に研究させておる。二、警察制度については、人口の多寡によつて負担の軽重があり、人員の余剰、不足があるのは國として考慮しなければならない。その組織の根本において國家治安維持の観点から國家、自治体を通じた檢討する必要があると思うので、関係者に研究させておる。三、地方配付税の減額については、現在の時局に鑑み、中央も地方も財政上の耐乏生活が必要であると思う。地方公共團体の自治権は尊重すべきであるが、総合的均衡予算の上から本年度に限り特別の措置を講じたのである。地方財政法の精神を蹂躪したものでない。予算の実行上支出の面で緊縮を図り、國有財産の拂下げ等を実行し、國家財政上余力ができたならば、次の臨時國会で補正を行いたい。四、國家財政と地方財政との関連は、シヨープ氏の來るまでに研究し、税制審議会において確立するつもりであるという答弁がありました。以上の外多くの重要なる質疑應答がありましたが、速記録によつて詳細を御承知願いたいと存じます。
 さて四月二十二日、質疑を終局し、討論に入りましたところ、緑風会の西郷委員より次のごとき希望條件を以て原案に賛成の意見の開陳がありました。
   希望條件
  一、地方配付税法第二條は、平年度の場合における地方配付税の特別会計への繰入率を保証したものであつて、特別な事情がない限り紊りにこれを変更すべきものではない。明年度以降、政府は、平年である以上は、右第二條の現行繰入率を嚴守すること。
  二、地方財政窮迫の現状に鑑み、政府は國と地方を通ずる眞の均衡財政の確立に努力し、最近の機会に本年度配付税額の増額補正をなすこと。
  三、本年度において税制改革等のため、万一、所得税及び法人税の徴收額に減少を來した場合と雖も、最低五百七十七億円の配付税額は保証すること。
  四、地方財政の基礎を確立するため、政府は將來地方税として所得税附加税制度を復活することとし、配付税は地方財政調整上必要なる範囲に止めるよう措置すること。
 これに対しまして、社会党の吉川委員、無所属懇談会の太田委員よりそれぞれ原案反対の意見の開陳があり、民主自由党の岡田委員、民主党の林屋委員より、それぞれほぼ西郷委員と同樣の希望意見の下に、原案賛成の意見が述べられました。かくて討論を終結し、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手)
#10
○議長(松平恒雄君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。吉川末次郎君。
   〔吉川末次郎君登壇、拍手〕
#11
○吉川末次郎君 只今上程されました地方配付税法の特例に関する法律案に関しまして、私は日本会社党を代表いたしまして、これに反対の意思表示をいたしたいと思うのであります。本法案に対する我々の反対いたしまする理由につきましては、先にこの会議場におきまして、予算の審議に関連いたしまして、我が党の波多野鼎君その他の諸君からその問題について若干触れられたところであります。又只今の委員長の報告におきましても、我々のこれに対するところの反対の理由の若干は述べられておるのでありまするが、特に今日におきましては、これを独立的な立場から、我々のこれに対する反対の理由が奈辺にあるかということをは、明確に簡單に申上げて見たいと思うのであります。
 第一に、本案は委員長の報告にもあつたことでありまするが、地方公共團体の財政の基本原則を定めましたところの地方財政法に明らかに違反するものであると我々は考えるのであります。同法の第二條におきまして、國と地方公共團体との財政についての相関関係が規定されておるのでございますが、その第二條の第二項におきまして、こういうことが規定されておるのであります。「國は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共團体に負担を轉稼するような施策を行つてはならない。」とあるのであります。ところがこの法案によりまするというと、先に委員長が報告せられましたように、現行の地方配付税法によりまして、地方公共團体は、國民から納付せられますところの所得税及び法人税の百分の三三・一四、即ち約三分の一に相当する額をば受取ることとなつておるのでありまするのを、この法案によりまして、その率の二分の一以下でありまする百分の一六・二九に、地方公共團体の意思をば一方的に國家が無視いたしまして、これを低下せんとするのでございます。御承知のことと思いまするが、地方公共團体におきましての最も大きい租税收入はこの地方配付税であります。地方配付税によるところの收入でありまして、一昨々年度におきましては、その税收入の約五割というものがこの地方配付税によつて賄われておるのであります。でありまするから、本年度におきましても、当然に既得権的なものといたしまして、地方自治團体が歳入予算に計上することができまするところの総額は、これ亦委員長の報告にあつたことでありますが、一千百十八億円余になるのであります。これをばこの改正法案に基きまして五百七十六億百余の予算に削減されて計上されておるのであります。このようなことをいたしまするということは、私が今引用いたしましたこの地方財政法第二條第二項に規定いたしておりまするところの地方財政の自主性を阻害し、その自律性をそこない、國が自分の一方的な利益のために地方公共團体に負担を轉稼するところの施策そのものであると私は申上げて、決して誤まりでないと考えるのであります。(拍手)即ちそれは明らかに法律の違反であります。これ我々がここに反対いたしまするところの第一点であります。
 第二に、我々は、これ亦委員長の報告の中にもあつたのでありますが、本法案は今述べられました地方財政法に反するばかりでなくして、同時に我が國会が、地方財政の自主性を尊重し、その基礎を確立するために制定いたしましたところの現行の地方財政委員会法の精神をも併せて同時に蹂躪いたしておるのであります。即ち同法によりまして、その委員会を構成いたしまするところの七名の委員の中におきまして、政府の代表でありまする木村國務相を除きまして、全國知事会議の代表者、全國市長会の代表者、全國町村長会の代表者でありまするところの地方公共團体の代表者が、挙つてこのような無謀なる、地方財政の破綻を來しまするような法案の提出に対して反対いたしておりまするにも拘わらず、全くこれを顧慮することなくして、ここに本案をこの國会に提出されておりまするということは、地方財政審議の中枢機関でありまする、我々が制定いたしました法律に基くこの地方財政委員会の存在を全く無用なものであるとみなしたものであり、又我々がその法律を制定いたしましたところの理由が全く無理由であると断定いたしましたものと、私たちは断言せざるを得ないと思うのであります。これが我々が反対いたしまするところの第二点であります。
 第三番目に、これ亦委員長が先に申されたことでありますが、木村國務相の委員会におけるところの本案の提案理由の説明によりまするというと、この法案は、経済九原則に則つて、國と地方を通ずるところの総合予算の均衡を図るために、國家財政の都合によつて地方配付税を減額するのである。こういうように述べられておるのであります。國の予算と地方自治体の予算とは、今日までその額が大体において相匹敵して参つたのであります。過去の平和時代におきましては、却つて地方費の方が國の予算より多額であつたときもあるのであります。本年度の予算におきましても、地方予算の総額は三千三百八十八億円余でありまして、國の予算よりも若干少いのでありまするけれども、國の予算の中から終戰処理費であるとか或いは價格調整費であるとかいうような眞に臨時の費目を控除いたしまするというと、その額は遥かに地方費の方が多いのであります。國の予算ばかりが一方的に均衡を得ましたからというて、その半面において自治体予算を赤字の犠牲において編成されておるということは、國全体の見地から考えまするならば、断じて均衡予算であるということは言い得ないと私は考えるのであります。(拍手)これは明らかに経済九原則が要求いたしておりまするところに反する結果を生んで來ることであります。かくのごときは、中央政府あるを知つて地方自治体の政府のあるということを知らないところの、中央集権的な旧式官僚の片目式な偏見であると断じて誤まりないと私は考えるのであります。(拍手)これが私たちが反対いたしまするところの第三点であります。
 第四は手続に関してでありまするが、議会政治というものは、そもそも國において國民に租税を賦課するということについて國民からの承諾を得るということの傳統から発達したものであるということは、皆樣御承知のことであると思うのであります。ところが、この法案ばかりではないのでありますが、しばしばすべて予め必要とすべきところの財政に関する法律の改正或いは制定が完了せざるに先だつて、現在行われておるところの法律に違反するような法律を國会に提出いたしまして、與党の多数を頼んで無理やりにこれを國会を通過せしめて、先ずそうした法律違反の既成事実を先に作り上げて置いて後に、法律の改正、制定に臨むというがごときことは、これは私は明らかに吉田総理大臣がしばしば言われておりまするところの立憲政治のルールに反するところのものでありまして、即ち法治國の精神をば蹂躪するところの行爲であると言わなければならぬと考えるのであります。(拍手)今や全國一万二千の地方自治体は、この政府の地方配付税減額の一方的な暴挙に対しまして、ごうごうたる反抗の声を挙げておるのであります。我々國会は、この地方自治体の合理的な要求を我々の良心にたずねてこれを取り上げ、本法案を否決することによりまして、現行法によつて過般の予算を修正せしめて、飽くまでも今申述べましたところの法治國の精神を擁護するということが、この際参議院議員の取るべき当然の政治的な責務であると私は考えるのであります。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)
 尚、最後に、委員長報告の中の附帶希望條件につきましては、私たちはこの法案全体に対しまして、今賛成なのか、反対なのか、イエスなのか、ノーなのかということをば明らかにされることを要求されておるのであります。我々は基本的にはこのような乱暴なるところの法案に対しましては絶対的に反対なのでありまするから、我々が今イエスかノーかと答えることを要求されておるときに当りまして、顧みて、他を言うがごときところの、只今の委員長の報告にありましたような、多数派の諸君のこの附帶條件、希望條件というようなものは、顧慮するところの必要をこの際認めないと思うのであります。(拍手、「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)以上申上げまして私の反対演説を終らんとするものであります。
#12
○議長(松平恒雄君) 太田敏兄君。
   〔太田敏兄君登壇、拍手〕
#13
○太田敏兄君 私は無所属懇談会を代表いたしまして、本法案に反対の意見を申述べたいと存じます。
 今日、地方財政が極度に窮乏をいたして、もはや、どうにもならぬところまで押し詰められていることは、私が改めて申上げるまでもなく、諸君はすでによく御承知のことと思います。私の選挙区岡山縣では六・三制の整備ができないために、前年來、町村長又は町村議員の辞職、リコール等が相次いで起りまして、今日までに町村政担当者の更迭せるものが実に四十数件の多きに及んでおるのであります。このうちで甚だしきは、公選以來僅か二ケ年のうちに、同一町村におきまして数回の町村長更迭、又は自殺等の悲劇を生んでおるのでありまするが、若しもこの上にも地方財政が行詰まるならば、より一層深刻なる事態が頻発することは火を見るよりも明らかであると思います。かかる折しも地方配付税の特例に関する法律案が提出されましたので、私はそうした窮乏に喘ぐ地方財政を救済するための臨時措置かと思つて読んで見ますると、いずくんぞ知らん、それは反対に地方配付金の額を半減しようという案であつたので、私は実に一驚を喫したのであります。
 一方では又二十四年度予算におきまして公共事業費は極度に削減されておるのであります。これで地方財政が何として立つて行くか。これに対しまして、地方財政委員長でありまする木村國務大臣は、委員会におきまして、これが善後措置として、第一には一般行政費の節約による剩余金、第二には、國有財産を処分し、又出先機関の整理によつて浮いた金を、その埋め合せに廻したい希望を持つていると言われたのでありますが、併しこれは恰も絵に画いた餅と同じでありまして、決して現実の問題ではあり得ないのであります。勿論これを先ず実行いたして、然る後に、外からこれこれの金を廻したのであるから、その代りに地方配付税をそれだけ減らすというのであれば話は分るのでありますが、事は逆なのであります。先後を誤まつておるのであります。又吉田首相も將來所得税の附加税を復活する等の方法によつて地方財政の確立を図る意思あることを言明しておられるが、これ亦、先の木村國務大臣の弁明と同じ性質のものでありまして、いずれも明日の問題でありまして、即今どうするかの問題に対する解答ではないのであります。
 若し今日國民の意思に反して、院内の多数を恃んでこの法案が一挙に可決されるようなことがあるならば、地方公共團体は自衞上止むなくその公務員に対して、早速首切りの大鉈を振わざるを得ないと思うのであります。その上又或いは住民税であるとか、何税であるとかいつて、いろいろな形で負担の増加が行われることも、これ亦必然の成行きであると思うのであります。併し國民の担税力は凡そ限りがありまして、否、すでにそのぎりぎりの限界点にまで來ておるのでありまするから、かくては恐らく國民の大多数は飢餓線上に彷徨せざるを得ないであろうと思うのであります。それがために六・三制の整備も災害の復旧も全く放棄せざるを得ないのでありまして、その結果は、実に憂うべき、悲しむべき事態となつて現われることが予想されるのであります。去んぬる衆議院議員の総選挙におきまして、民主自由党や民主党等は、選挙後の國会では、六・三制の整備はこれを最優先的に実施する旨を國民に公約しておらるるのでありまするが、而も選挙が済むと、けろりとこの公約を忘れたふうに、國民に煮え湯を呑ますとは、誠に不届き千万なりと言わなければならぬと思うのであります。(拍手)諸君は何と言つて國民に弁解されるのであるか。彼の経済九原則では、総合予算の眞に均衡を図ることが指示されておるのでありますが、これでは中央財政のために地方財政を全く犠牲としたものであつて、民主主義の建前からいつても本末顧倒も甚だしいものであります。組閣以來失政多き吉田内閣の失政中、又最も大いなる失政なりと断言して私は敢て差支ないと思うのであります。私は以上の理由によりまして、本案の通過に対し断乎反対をいたすものであります。(拍手)
#14
○議長(松平恒雄君) 板野勝次君。
   〔板野勝次君登壇〕
#15
○板野勝次君 このような特例法案が上程されますことは、我が党は何も不思議には思つていないのであります。過去におきましても、憲法に違反して、あの公務員を奴隷にするような公務員法が難なく通過して参りまして、その後におきましても、しばしば法規等を曲解していろいろなことがなされて來たのであります。特例の中にも、人民のためになるような特例が、未だ曾て第一回國会以來、今日まで出て來ていない。若しも人民のためのものならばその法律を多少曲げてもよいけれども、逆に人民のためにならないばかりでない、殺人的な、人民を困らせるような特例をいつの場合にも出して來ておる。これを最も率直に示したものがこの惡特例法案であると思うのであります。(拍手)共産党はそれ故に四つの点を指摘いたしまして本案に反対したいのであります。
 申すまでもなく、第一の理由はすでに皆さんもよく御存じの点でありまして、第三回國会におきまして配付税法が制定されたときの趣旨からいたしましても、このような特例を断じて設けるべきでない。理由につきましては、今二人の反対討論者によつて指摘されておりますので、詳しくは申上げません。第二点は、この特例は國の財政的な負担を地方公共團体に轉嫁するものでありまして、地方財政法第二條第二項に違反するところの行爲であります。これは吉川君が指摘されるところでありまして、重複いたしますから、この理由の詳細に亘つては私は申述べることを差控えたいと思うのであります。
 第三は、國家予算の内容から地方配付税を減額しなければならないという理由は、少しもこの中から見付け出すことはできないのであります。すでに良心ある人々は、あの昭和二十四年度の予算を具さに分析されますならば、人民を收奪して大資本の前に奉仕させるところの内容であつたということはよくお分りのところであります。決して國家予算の内容からして地方をこれ以上困難な状態に押込めなければならんという理由を、毫も見出すことはできないのが第三の理由であります。
 第四の理由は、配付税減額によつて、全國の地方公共團体は完全に財政的に崩壞するという点であります。これは太田君も指摘いたしましたが、ただに岡山縣において自殺者が出、市町村長が辞職したのみでなく、全國におきまして多数の事例がある。今の吉田政府は、市町村長が辞職しようとも、良心の苛責に堪えかねて自殺しようとも、人民が如何なる重税に苦しもうとも、地方財政が破綻し、現在では地方起債が圧縮され、住民税や家屋税の増徴があり、限界点に達しておる以上に地方の住民が、困難な、この住民の苦難なる生活に対しては冷やかな目を以て、どのようになろうとも構わん。そうして一方におきましては大資本に價格調整費等の名目で莫大な金を與えて行く。このような差別を付けながら、何ら日本の國を眞に再建して行こうとする意図がない。
 我が党は只今申上げました四つの点からいたしまして、本法案に対しまして地方住宅諸君と見に断乎反対いたしますると共に、このように特例をしばしば出して來、これ以上に住民の生活を塗炭の苦しみの中に追込めようとする人民の敵である吉田政府を、一日も早く退陣して貰うところの一大國民運動を起すことによつて、(「そうだそうだ」「懲罰だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)日本の全人民が眞に憲法を守り、眞にこの日本の民主化のために戰うことなしには、地方財政はますます破綻し、國の財政も破綻し、我が国の独立も又永久に失われて行くという結果になつて参るのであります。(「脱線だ」「本筋だ」と呼ぶ者あり)我々は全人民と共に大きな國民運動を起すことによつて吉田反動内閣の退陣を要求し、それによつてのみこのような惡特例が続々出て來ないところの正しい慣例を作るようにして参りたい。以上申述べまして、我が党はこの法案に重ねて強く人民と共に反対することを、この議場を通して(「宣傳いたします」と呼ぶ者あり)表明するものであります。(拍手)
#16
○議長(松平恒雄君) 討論の通告者はこれにて全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#17
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#18
○議長(松平恒雄君) 日程第三、貿易特別会計法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。尚、本案につきましては少数意見の報告書が提出されております。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長櫻内辰郎君。
    ―――――――――――――
   〔櫻内辰郎君登壇〕
#19
○櫻内辰郎君 只今議題となりました貿易特別会計法案の大藏委員会における審議の経過並びに経果を御報告いたします。
 去る四月十五日より四月二十二日まで愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。先ず、本案の提案理由並びに内容について申上げます。
   〔議長退席、副議長著席〕
 從來の貿易資金特別会計においては、主として貿易資金の運用に関する事項を経理するに過ぎなかつたのでありますが、かくては貿易に関する政府の経理の全般を知ることができない不便がありますので、今回これを廃止して、新たに貿易特別会計を新設し、貿易資金の運用、輸出入物資の買入並びに賣拂、食糧及び原材料貿易公團の清算等に関する一切の受拂を、この会計において一括整理することとし、これに必要なる諸規定の整備をなさんとするものであります。本案審議に当り、各委員より熱心なる質疑があり、政府又これに対し懇切なる答弁がありましたが、詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。かくて質疑を終局し、四月二十二日討論に入り、中西功委員より反対の意見が述べられましたが、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手)
#20
○副議長(松嶋喜作君) 本件に関し少数意見者から報告することを求められておりましたが、中西功君は議場に見えませんので、棄権されたものと認めます。
 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#21
○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#22
○副議長(松嶋喜作君) 日程第四、昭和二十一年度歳入歳出総決算、昭和二十一年度特別会計歳入歳出決算を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。決算委員長奧主一郎君。
    ―――――――――――――
   〔奧主一郎君登壇、拍手〕
#23
○奧主一郎君 只今議題となりました昭和二十一年度歳入歳出総決算及び昭和二十一年度特別会計歳入歳出決算について、決算委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 御承知の通り昭和二十一年度の決算報告は第二國会に提出され、決算委員会における審議は相当進行しておりましたが、当時行政機構の改革に関する多数の法律案審議のため相当の日時を費したので、審議未了に終り、第三國会以後におきましては、常任委員会の組織変更がありましたことと、会期が短かつたために審議未了となり、遂に今回に至つてその全部を審議し終つた次第であります。審議が遅れました右の事情につきまして、予め御了承を願いたいと思うのであります。
 先ず歳入の部について申上げますと、総決算に計上してありまする歳入決算額は、経営部三百二十三億余円、臨時部八百六十五億余円、合計一千百八十八億円であります。これを歳入予算額と比較しますと、経営部におきましては三十三億余円を増加し、臨時部では三十四億余円を減少し、結局一億余円の減少となつております。次に歳出の部を見ますると、歳出予算額は、一千百九十億余円で、これに前年度からの繰越額二億余円を加えますと、一千百九十三億余円となりますが、そのうちから支出額一千百五十二億余円と、翌年度繰越額十九億余円を差引きますと、結局二十一億余円の不用額を生じております。これらの詳細は決算書類について御覧を願いたいと思います。
 次に会計檢査院が、法令若しくは予算に違則し又は不当と認めた事項として指摘しておりますもののうち、特に重要であり、内閣に対して將來の注意を促すため特に意見を附すべきものと認めましたものについて、その要点を御報告いたしたいと存じます。
 その一は、元臨時軍事費特別会計に関する件であります。これに属する歳入及び歳出は、昭和二十一年臨時軍事費特別会計の終結に関する件というポツダム勅令によりますと、收支の判明した金額は、これをその判明した年度の一般会計の歳入歳出に組入れて整理することに規定されておるのに対し、内閣の決算報告では、これを「二十一年度に組入整理した」と記載しながら、実際にはその処置をなさず、別途に計算してこれを総決算に附記しております。本特別会計の昭和二十一年度歳入は一億余円、歳出は二百十五億余円でありますので、一般会計の收支計算は前に申しましたように黒字決算のように見えますが、ここに二百億円以上の赤字が存在しております。この決算の仕方は明らかにこのポツダム勅令に違反する措置であります。
 その二は、收入未済額が多額に上り、而も年々増加の傾向にありますことは遺憾であります。一般会計における收入未済額は百十五億余円に上り、その調定済額に対する割合は八%余に当り、前年度の割合四%に対して二倍になつております。特別会計においても同樣、徴收成績は不良であります。殊に租税のみについて見ますと、一般会計と特別会計とを合せて未收入額百五十七億余円に上り、調定済額に対し約二五%に当り、前年度の八%に比し非常な増加であります。内閣は、我が國の困難なる財政の現状に鑑み、收入金の徴收成績の改善のため格段の努力をなす必要を認めます。
 その三は、繰越金の問題であります。経費の年度区分を紊つた事例は殆んど全部の省においてこれを見出し、殊に司法省においてその件数が多いのであります。繰越金の承認を余り自由にすると、或いは思わぬ弊害を生ずる虞れもあるかと思われますが、反対に余り嚴重に失するときは、虚僞の口実を設けたり、或いは虚僞の報告をしたりして、無理に予算の消化を図ろうとするようになり、延いては経費の年度区分を紊るなど、会計法規に違反した措置を講じ、種々弊害を生ずる源となるのであります。その故に、事業計画の示達の敏速、予算の配賦、繰越の申請及びその承認につきまして改革を要するものがあると認めます。
 第四は、予算に積算なきに拘わらず、他の費目を流用し、予算の目的外に経費を使用する等、会計法規を紊る事例は殆んど全部の省に存在し、特に逓信省などが甚だしいのであります。内閣は会計法規を嚴守して、將來重ねてこのような事故の起らないよう、十分注意を加うべきであります。但しこの違反事項のうちには、事情諒とすべきものもありますが、眞に必要なものについては予算に計上するの措置をとるべきであります。
 その五は、特殊物件及び放出物件の処分については、終戰直後の異常な時期に処置を急ぐという特殊事情がありましたので、多少の混乱を生じたことは止むを得ないことではありますが、違法又は不当の事件が多かつたのは遺憾であります。これらの物件の処置は、今日では大部分終了しておりますが、尚今後整理を要する問題が相当残つておりますから、今後の処置については遺憾のないよう、内閣は格別の注意を拂う必要があると認めます。
 特殊物件の中で、廃兵器類の賣拂につきましては、兵器処理委員会に一括して取扱わせたのでありますが、その方法が甚だ不適当でありましたので、今日では、この委員会の業務を停止させ、これを産業復興公團の取扱わせておりますが、この委員会の残務整理については、内閣は特に嚴重な監督をなす必要があると認めます。
 尚、内務省において鉄鋼類等を賣拂つた場合に、賣拂のときの公定價格によるものを國庫の收入となすべきであるにも拘わらず、價格安定資金を捻出するため、これと異なる取扱をしたことにつきまして、当局の説明では、この方法が当時の事情に照して最良の方法であつたし、内務省、物價廳、大藏省、商工省の共同責任で行なつたのであると言つておりますが、この異例な取扱をしたことは適当でなかつたと認めます。又その收納未済額が多額に上つていることも遺憾であります。
 その六は、終戰処理費の大部分は工事費及び物件調達費でありまして、その支出額は四百億円近くに上り、その多くは概算拂で支拂われていますが、その精算が著しく遅延していたり、会計の経理が著しく不良なものがある等、経理の改善を要するものが多いのであります。終戰処理費は、その金額が多額に上り、且つ特殊の事情もありますから、内閣は特に注意して、その経理事務を的確に且つ迅速に整理するよう、その改善につき最善の努力をなすべきであります。
 その七は、補助金の支出額は多額に達しておりますが、その使用の実績を見ますと、或いは補助の條件に適合しないものに交付し、或いは事業実施の程度を考慮せずして、徒らに過大に交付する等、措置よろしきを得ないものが多いのであります。特に顯著なものは、大藏省專賣局の自給製塩設備に対する補助、農林省の各種の補助であります。又精算遅延のため補助超過額の返納に至らないものがあり、その特に著しいものとしては、内務省等において昭和二十年度までに支出した防空関係の補助金は、終戰後二年余を経過した時において、未だ大部分が精算未了であるのであります。
 凡そ補助金の交付に関しましては、決算委員会の昨年の審査報告にも記載されております通り、その目的達成のため効果的に支出するよう、内閣は更に十分の注意を拂うべきであると考えるのであります。
 その次は官有物についての問題であります。物品の経理は現金に比して從來一般に軽視された傾向があり、物品出納簿の記帳整理も十分でなく、又帳簿外の物品を保有するとか、或いはその出納保管の上に適当でないと認められることが少くないのであります。名古屋財務局で木材の管理よろしきを得ず、多量の腐蝕材を生じたこと、或いは靜岡刑務所等で多くの物品を失つたこと、或いは東京逓信局で久しきに亘り官有物の使用料の決定及び徴收をしなかつたこと等がその主なものであります。須らく内閣は物品経理の改善につき十分注意を加うべきであります。
 その九は出資團体に関するものであります。庶民金庫は大藏省の監督に服するものでありますが、政府の保証がある債券であるという理由で、多額に上る帝國燃料興業債券を買入れております。併し当時の事情から見まするならば、不良の社債であることが明らかであり、而も結局七割程度の評價損を生じたのでありまするから、資金の運用よろしきを得ないものと認めざるを得ないのであります。
 又農林省の監督に服しておりまする日本蚕糸統制株式会社はその清算に当つて、本來の業務を逸脱して製造していた製品の大部分を賣却し、又解散記念品代等の名目で無償で拂い出し、且つ國において負担すべきもので仮拂金として整理して來た生糸檢査所の戰災復興費を寄附金として損失整理したこと等は、措置当を得ないものと認める次第であります。資金の運用につきましては、決算委員会の前年度審査報告書において嚴重な注意をなすべきことを指摘しているのでありますが、内閣は出資團体の資金の運用に関してもその適正を期するため嚴重な監督を加える外、一般に出資團体に対しては、從來に比し、更に嚴重且つ適正な監督を行うことが肝要であると考えるのであります。
 その十は、大藏省專賣局において、補助條件に適合しないものに補助金を交付したものがあること、並びに予算の目的外に経費を使用したものがあることにつきまして、專賣局ではすでにその責任者をそれぞれ訓告或いは注意の処分に付しているにも拘わらず、当委員会の席上における説明の際には、その処分に関する事実を默祕して、これらの措置が正当であつたことを主張しておるのでありますが、このような当局の態度は実に遺憾であります。委員会に対する政府当局の態度はまじめで誠実でなければならんのでありまして、この点、当局の深き反省を要求するものであります。(拍手)
 尚遵法の府であり、範を公に示すベきである司法省におきまして、幾多の会計法規の違反を行なつていること、及び決算委員会の前年度審査報告において嚴重な注意を受けた運輸省において、引続き多くの違反事項を繰返していることは、これ亦遺憾に堪えないところであるのでありまして、当局の深き反省を望む次第であります。
 以上は内閣に対し將來の注意を促すため、特に意見を附した重要問題でありますが、会計檢査院の檢査報告の中に、「法令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項」として指摘されております事件数は、昭和二十一年度及び即往年度分では内務省所管で二件、大藏省所管で百十九件、司法省所管で七件、文部省所管で二件、厚生省所管で四件、農林省所管で五件、商工省所管で四件、運輸省所管で十件、逓信省所管で十一件、及び出資團体に関するもの二件、合計百六十六件に上り、昭和二十年度の二十二件に比し著しい増加であります。これらのいわゆる批難事項のうち特に重要と認めた事項につきましては、以上御説明申上げましたが、それ以外の多くの事項につきましては、いずれも会計檢査院の檢査報告とその見解を同じうするのであります。尚、批難事項の詳細につきましては、会計檢査院の檢査報告書で御覧を願いたいと思うのであります。決算に関し以上述べました事項以外の事項につきましては、別に異議はなかつたのであります。
 最後に申上げたいことは、会計法規に関する違反事項は、昭和二十一年度において前述の通り二十年度に比し著しく増加しておるのでありますが、昭和二十二年度においては更に著しく増加しておるのであります。これは終戰以後の混乱が尚靜まつていなかつたこと、官吏の会計経理に関する観念が散漫になつていること、その他いろいろの原因に基くものと思うのでありますが、誠に寒心に堪えないところであります。よつて内閣に対し次の事項を要望する次第であります。
   内閣に対する要望事項
 会計法規に関する違反事項は、年々寧ろ増加する傾向にあることは、甚だ遺憾である。
 内閣は、会計法規に関する違反を防止するために、最善の諸方策を講ずべきこと、前述の各意見に対しては、その実現を期するため、速かに最善の具体的措置を講ずべきこと、及び責任者に対する処分のうちには、違反の内容が相当重大であるにもかかわらず、その処分が軽きに失するものがあると認められるから、責任者の処分を嚴重、適正にするよう措置を講ずべきことを要望する。
 決算委員会は愼重に審議いたしました結果、全会一致を以て以上述べました通り議決いたしました。
 右御報告申上げます。(拍手)
#24
○副議長(松嶋喜作君) 本院規則第八十四條により、これにて暫事休憩いたします。
   午前十一時四十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時三十六分開議
#25
○副議長(松嶋喜作君) 件憩前に引続き会議を開きます。昭和二十一年度歳入歳出総決算、昭和二十一年度特別会計歳入歳出決算を問題に供します。これより採決をいたします。本件は決算委員長の報告通りで御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。(「異議あり」と呼ぶ者あり)
 議事の都合により本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
#27
○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十七分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、議員の請暇
 一、議員派遣の件
 一、日程第二 地方配付税法の特例に関する法律案
 一、日程第三 貿易特別会計法案
 一、日程第四 昭和二十一年度歳入歳出総決算、昭和二十一年度特別会計歳入歳出決算
ソース: 国立国会図書館
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