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1949/04/26 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第19号
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1949/04/26 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第19号

#1
第005回国会 本会議 第19号
昭和二十四年四月二十六日(火曜日)
   午前十時十二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十八号
  昭和二十四年四月二十六日
   午前十時開議
 第一 海外残留同胞引揚促進に関する決議案(紅露みつ君外十九名発議)(委員会審査省略要求事件)
 第二 政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 炭鉱向け機械代金支拂促進に関する請願(委員長報告)
 第四 愛知い物公館設置に関する請願(委員長報告)
 第五 中小企業金融金庫設置等に関する請願(委員長報告)
 第六 中小企業診断制度実施に関する陳情(委員長報告)
 第七 中小工業振興に関する陳情(委員長報告)
 第八 中小企業金融特殊機関設置に関する陳情(委員長報告)
 第九 中小企業の資金わく増加等に関する陳情(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。
 この際お諮りして決定いたしたいことがございます。法務委員長より、檢察及び裁判の運営等に関する調査のため、今期國会中、千葉縣に岡部常君及び鈴木安孝君を三日間、滋賀縣及び京都府に來馬琢道君及び星野芳樹君を六日間の日程を以て派遣いたしたい旨の申出がございました。これら四名の議員を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松平恒雄君) 去る六日、本院において議決せられました阿波丸事件に基く日本國の請求権の放棄に関する決議に基いてとつた措置の結果について、この際、吉田内閣総理大臣から報告のため発言を求められております。よつて許可いたします。吉田内閣総理大臣。
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#6
○國務大臣(吉田茂君) 政府は、四月六日の國会の決議に基きまして、米國政府と交渉いたしました結果、四月十四日、米國政府との間に阿波丸請求権の処理のための協定ができたのであります。その内容は大体こういうようなことであります。先ず、前文におきまして、米國政府は阿波丸の撃沈についてその責任を認め、敵対行動が終結したあと、損害賠償の問題を考慮する用意のあることを保証いたしましたこと、その後、日米両國政府はこの問題を満足に解決するため努力しつつあつたのでありまするが、今回マツカーサー元帥の斡旋によつて協定を締結する運びになつた旨が述べられてあるのであります。
 本文におきましては、(一)日本の占領が開始せられて以來進展した公正な事態を考慮し、又米國政府から受けた援助を多として、日本政府は阿波丸撃沈事件に基く一切の請求権を放棄し、今後これらの請求権は何人が利害関係者であつても完全に消滅するものであるということ。(二)この災難で死亡した者の家族及び阿波丸の所有者に対して、日本政府は見舞金を支給するために努力すること。(三)阿波丸事件について米國政府は深く遺憾の意を表し、且つ又死亡者の家族に対して同情の意を表する旨が規定されてあるのであります。
 尚、以上本文に附帶せしめて、日米両國政府の間の了解事項といたしまして、占領費並びに米國政府から日本に供與された借款並びに信用は日本に取つて有効な債務であり、これらの債務は米國政府の決定によつてのみこれを減額し得るものである旨が規定されたのであります。これは当り前な話でありまするが、併しこのクレジツト、或いはいわゆるガリオア、イロア・フアンド、費用と言いますか、或いは日本に対する棉花その他のクレジツトというようなものが、恰かもアメリカ政府から日本が種々常に無償で以て貰つておるような誤解を與えておりまするから、この機会に了解事項として附加えたのであります。そして本文及び了解事項のおのおのに、私が外務大臣として日本政府を代表し、米國政府を代表して日本関係米國政治顧問シーボルト氏が署名をいたして、これに連合國司令部の最高司令官マツカーサー元帥が認証するという形式がとられたのであります。政府は本協定及び了解事項の主文を速かに発表する所存であります。國会が進んで本件の解決の端緒を開かれましたことは、過去三年半の連合軍占領期間中に米國政府及び國民より受けた甚大な援助に対する我が國民の深い感謝を表現したものであり、政府は阿波丸事件のこのような解決が、今後日米両國間の友好的関係を一層増進することになるということを信ずるのであります。
 尚、前述の通り本協定には、この災難で死亡したものの家族及び船舶所有者の慰藉に関しては特別な規定が設けられてありまするが、政府は適当な見舞金を贈るため目下所要の手続を考究中であります。御報告をいたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#7
○議長(松平恒雄君) 日程第一、海外残留同胞引揚促進に関する決議案(紅露みつ君外十九名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。本件は、発議者紅露みつ君外十九名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会の審査を省略し、直ちに本案の審議に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて、これより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。紅露みつ君。
    ―――――――――――――
   〔紅露みつ君登壇、拍手〕
#9
○紅露みつ君 只今議題となりました海外残留同胞引揚促進に関する決議案の趣旨につきまして弁明申上げたいと存じます。
 先ず、その案文を朗読いたします。
   海外残留同胞引揚促進に関する決議
  終戰以來今日まで連合國の積極的な厚意により六百余万の引揚が実施せられたことは、全國民の深く感謝するところである。
  しかし、今なお四十数万同胞が國外に残留を余儀なくされている。昨年は、五月六日ソ連地区から引揚第一船の入港をみた。しかるに本年は、まだ引揚再開の予報さえなく、その引揚如何は全國民の悲痛極まりない関心事である。
  この際、われわれは、更に一段の努力と施策をなすことを決意する。政府は、本年度帰還完了を必ず実現するよう緊急に有効な措置をなすとともに、残留者留守家族に対し、万全の策を採るべきである。
  右決議する。
以上が決議案の案文でございます。
 海外残留同胞引揚促進について、本院は悲痛なる國民の声を代表し、すでに昭和二十一年六月以來しばしばこれが決議をいたして参つたのであります。而して本日ここに実に四度目の本案を上程しなければならないことは、深く遺憾に存ずる次第であります。今更申すまでもなく、連合國側におかれては、我が國民の輿望に應えて絶大なる好意を寄せられました結果、終戰当時六百数十万と言われた在外同胞中、すでに六百余万は引揚を終り、残るは主としてソ連地域及び中共地域合せて四十数万となつたのであります。この点に関しましては、連合國側の御努力に対して、この際、國民と共に深く感謝の意を表する次第であります。
 ソ連地区の引揚状況を顧みまするに、これは滯留すること一ケ年半の後、即ち昭和二十一年の末から漸く引揚が開始され、翌二十二年十二月までに六十二万五千名、昨二十三年五月から十二月までに二十八万九千名という引揚状況でありまして、誠に遅々たるの感なきを得ないのであります。而も尚、取残された四十万の人々は、遂に四度の冬をあの嚴寒の地に送り迎えしなければならない状態に置かれ、愛する父母は、妻は、子は、兄弟は、と思うにつけ、押え難い望郷の念をじつと耐えて、僅かに「異國の丘」を歌い続けながら、一日千秋の思いで帰還の日を待ち焦れておられることでありましよう。又中共地区に残された六万の同胞は戰塵尚收まらざる中にあつて、昨二十三年八月以降、帰還の途も全く途絶え、帰國の希望も失われんとするかの中に労苦を重ねておられるのであります。
 一方留守家族の方々は、今年こそは、今年こそはと、夫帰る日を、父帰る日を、さては又我が子の帰還を見るまではと、老いの努力をこの一点に集中した父母たちの願いも、すべて今尚叶わず、せめて残留者の安否だけなりとも明らかにせられたいというたびたびの懇請さえも顧みなられず、遂に四年の月日は空しく流れて、ここに引揚最後の年を迎えたのであります。
 又さなきだに生活難に喘ぐ敗戰後の社会情勢下に、一家の支柱と頼む人を海外に残すこれら留守家族の方々の大部分の生活状態が、如何に悲惨なものであるかは、ここに喋々するまでもない周知の事実であります。すでに行き着くところまで追詰められたこれらの方々の唯一の希望は、次々に引揚げて來られる人々を見るにつけ、ひとえに頼みとする人の帰る日にかけられておるのであります。申すまでもなく、ポツダム宣言によれば、海外残留者は当然各自の家庭に復帰し、平和的且つ生産的な生活を営む機会を得せしめられると定められてあるにも拘わらず、荏苒ここに至り、望みをかけた最後の年もすでに五月を目前に控えて、尚今日のような憂慮すべき状態にあるのであります。今日この頃の留守家族の方々の焦燥は全く筆舌に盡し難いものがあると存じます。
 本院においてなされた最初の決議の際、私共は、その当時の引揚状況を以てしては、二十四年の秋ならでは完了は不可能ではないかと、痛く憂慮したのであります。然るに現在の情勢においては当時の憂慮が更に進んで、一体本年中に引揚が完了するであろうかという危惧に変り、時の経過と共に、いよいよ心身の労苦に疲れ果てて行く留守家族の方々と共に、全國民挙げて沈痛なる憂いに閉ざされ、今や引揚促進の声は血の叫びとなつて挙げられつつあるのであります。本院におきましては、從來この問題に関し深き熱意を以て、残留者各位が一刻も早く引揚を完了せらるるよう百方力を盡して参つたのでありまして、この点につきましては内外共に認められておるところであります。これが受入態勢につきましても万遺漏なきを期し、上陸地受入準備視察のためには、先般、在外同胞引揚問題に関する特別委員会から、委員長外四名の委員を舞鶴及び函館に派遣し、視察せしめました結果、舞鶴においては、新粧を終えた病院船高砂丸を初め、十二隻の輸送船が一切の準備を終え、命令一下即時出航し得るの状態にあり、又食糧その他物資の積込も終え、医療施設も完備し、尚又、舞鶴援護局内には各縣ごとの郷土室も設けられ、それぞれの縣においては代表者が特にこの地に出向いて、引揚者を迎える手配も整えつつある実情であります。又函館班もすでに視察を終り、同樣受入準備の完了を確認されております。政府におかれても去る四月四日、吉田総理大臣は、本議場においてその施政方針演説中に、在外残留同胞引揚促進に関して最も明白に決意を述べられ、本年中の引揚完了を強く期待しておられることは皆樣承知の通りであります。
 飜つてソ連側においても、昨年末、同國代表部に本院議員が訪問いたしました際、引揚中止の原因は、冬季における天候と、ソ連國内の輸送事情とによるものであつて、これ以外には理由なく、むしろ一日も早く一人残らず帰したいと申述べられておるのであります。而も又本年一月中旬、ソ連から飛行機で輸送されました引揚者を本院が証人として召喚し、その証言を得たるところによれば、ハバロフスク、ナホトカ間の鉄道は円滑に運行され、旦つ一月半ばにおいてもナホトカ港は尚凍結を見なかつた程の緩冬であつたということであります。にも拘わらず今日只今のこの状況はどうしたことでありましようか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)私共はこの遺憾なる現状に鑑み、この際更に決意を新たにして、関係國の一段の御理解と勇断を懇請し、速かに引揚を再開し、本年度引揚完了と留守家族援護とに万全の努力を誓うと共に、政府に対しこれが目的完遂のために最も有効適切なる手段を速かに講ぜられんことを強く要望するものであります。何とぞ満場一致御賛同あらんことをお願い申上げる次第であります。(拍手)
#10
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#11
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。
 只今の決議に対し、吉田内閣総理大臣より発言を求められました。吉田内閣総理大臣。
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#12
○國務大臣(吉田茂君) 只今の決議に対して政府の所見を申述べます。
 只今提案者の説明の中にありました通り、今尚数十万の未帰還者があり、又その留守家族がその帰還を一日も早くと願つておるその心情については、誠に同情に堪えないのであります。又政府としても今日までこの未帰還者の帰還が成るべく早くなるようにと最善の努力を盡しておるのでありまするが、今日に至るまでいつ送還せられるかということについての確報を得ておらないのは、誠に遺憾に堪えないのであります。昨年の引揚も五月初めに再開せられたのでありまするから、本年も遅くも五月には再開せらるるであろうと考えておるのでありますが、併し今申した通り、未だ確報を得ておらないことは誠に残念に存じます。政府としてはその帰還の促進をせしむるためにあらゆる努力を拂い、又関係國にも要望をすることにおいては決して力を惜しむものではございませんが、何分今申すようなことで、ここに、いつ幾日からどのくらいの数が帰還するということの確たる報告のできないことは、誠に遺憾に存じます。併しながら今後とも一層努力を続ける考えであります。尚、留守家族に対しても、できるだけのことを政府としてはいたす考えであります。一應お答え申上げます。(拍手)
     ―――――・―――――
#13
○議長(松平恒雄君) 日程第二、政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。大藏委員長櫻内辰郎君。
    ―――――――――――――
   〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕
#14
○櫻内辰郎君 只今議題となりました「政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律の一部を改正する法律案」の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告をいたします。
 去る四月二十二日より四月二十五日まで愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。先ず本案の提案理由及び内容について申上げます。本法律案は、本年三月十日附総司令部からの日本國政府宛政府支出の節約に関する覚書に基き、一般競爭契約又は指名競爭契約によるその契約額を公價として取扱い得るように改正せんとするものであります。即ち終戰処理費関係の政府支拂については、從前の原價計算主義による複雜な手続を廃止し、これを競爭入札契約に改め、政府の算定せる予定價格の範囲内で落札する以上、その契約額を公價とみなしても別段政府支出の不当を來さないものと解しまして、政府支拂の促進並びにその節約を図ろうとする趣旨に外ならないのであります。さて本案審議に当り、各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対し懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。かくて質疑を終局し、四月二十五日討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手)
#15
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に参賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#16
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#17
○議長(松平恒雄君) この際、日程第三より第五までの請願、及び日程第六より第九までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。商工委員長小畑哲夫君。
    ―――――――――――――
   〔小畑哲夫君登壇、拍手〕
#19
○小畑哲夫君 只今議題となりました請願第三百六十七号、炭鉱向け機械代金支拂促進に関する請願は、石炭増産という至上命令に対應して、他需要面の納入を抑制してまでも炭鉱向機械の増産を邁進して來た機械業者に対して、九原則により設備資金計画を中断したことは、業者を死地に陷らしめることになるから、九原則の適用は過去の契約に基く納品代未拂額完済後にすること、二十四年度においては、発註、資材、資金の三者が一貫するような裏付けを有する計画を樹立すること等、炭鉱機械業者の経営が成り立つような措置をとられたいとの趣旨であります。未拂金、特に炭鉱の関連産業のそれは、時に應じ事に触れて院内外から声を大にしてその解決策を要請されておりましたが、政府においては、二十四年度予算成立と共に必ず善処するという力強い決意を承わりましたので、当委員会といたしましては愼重なる審議の結果、炭鉱向け機械の増産が石炭生産増強の強力なる支柱である点を勘案して、本件を採択、院議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 次に請願第三百七十五号は、愛知鑄物公館を設置せられたいとの請願であります。名古屋商工会議所では、鑄物工業を如何にして振興させるかについて過去一ケ年研究を重ねた結果、そのためには鑄物に関する技術と経営の研究、指導、調査を行うと共に、鑄物共同作業場をも兼ねた鑄物公館を設置するのが最も時宜に適したものだという結論になつたのであります。これが設置については、鑄物工業協同組合が主として当るけれども、何分研究試驗機関と共同作業場とを兼ねた大きな機関が考えられております。政府並びに地方廳の援助を必要とするわけで、経費は設備に四千万円を要し、半額は國庫で負担して欲しいというのであります。國費多端の折柄、かかる経費の捻出は困難でもありましようが、鑄物業が工業の基礎的なる産業であること、愛知縣が鑄物業の一大中心地であることに鑑みて、業者の熱意を何とかして実現させてやることが必要であると考えられ、政府においても施策の実現について考慮しているとの答弁を得ましたので、本件は議院の会議に付して内閣に送付すべきものと全会一致を以て決定いたしました。
 次に請願第四百十二号、陳情第三十三号、同五十一号、同七十七号、同八十二号は、いずれも中小企業の振興を目的としたもので、内容に若干の異同はあるものの、関連するところが多いので、一括審議いたしました。
 請願、陳情の趣旨を大別いたしますと、先ず第一に金融に関するものが最も多く、その一は、中小企業金融についての中央金庫を設置せられたいこと、その二は、中小企業者の任意に組織する自主的協同組織体を認め、特殊の金融機関的な組合とせられたいこと、その三は、代理貸しの取扱金融機関を勧銀、興銀、中金、北拓のみに限らず、市中金融機関の或るものにもこれを許されたいこと、第四は、中小企業資金枠を増加すると共に、これを信用保証協会の信用保証対象資金とされたいこと、第五は、中小企業診断制度を実施した場合、その結果を効果的ならしめるように、資金、資材の斡旋を強力に実施されたいこと、というのがその主なものであります。中小企業の金詰りの現状は誠に憂慮すべきものがあり、当局においても鋭意これが打開に苦心しつつあるようではありますが、金融はいつしか大企業中心となつて、中小企業に冷淡になりがちであります。これが更正に関する業者の声の一端が、かかる請願陳情となつて現われて來たものと思うのであります。
 第二には租税についてでありまして、その一は、中小企業に対する徴税は過重であるから緩和せられたいこと、その二は、徴税はこれを納得の行く方法において実施せられたいこと、その三は、勤労所得税については基礎控除の制度があるが、中小企業者の多くは同様の勤労者であるから、この制度を中小企業にも適用されたいこと等であります。國家財政において税源の窮迫しておる折柄、徴税が嚴正であるのは当然であるとしても、それらが負担力に應じて公平でなければならぬことは申すまでもないことで、政府の善処を要望するのは十分の理由があると思います。
 次に第三には、技術、経営の診断、指導に関するものでありまして、その一は、現在中小企業廳の実施しておりますところの企業診断制度の実施に当つては、その経費について國庫より府縣に補助金を交付せられたきこと、その二は、右の制度を実施するための診断要領は、診断員の診断を俟たずとも、業者みずからが自分の経営が健全であるか否かを判定するための指針となるような自己診断要領ともいうべきものを作つて欲しいということ、その三は、右の診断は企業の内部に立ち入つて行うのでありますから、結果は祕密にするのが当然であるが、診断を受けた業者が差支えないというような場合には、これを公表して一般の参考に資せられたいこと、その四は、右の診断指導に当る専門家を養成する施設、業者を啓蒙するための施設を作つて欲しいことが要望されております。これ亦中小企業に最も欠けておるものが技術の低劣、経営の非合理という点にあります以上、これを助成することに万全を期せられたいということは当然であります。
 第四には、資材について中小企業に対する不当なる割当方針を改訂し、割当権限を地方に委讓されたいということであります。第五に、中小工業の協同施設のうち、その適当なるものに対して、府縣を通じ、所要資金の半額ぐらいは國庫から補助金を交府されたいというのであります。第六に、労務について中小企業に対しては苛酷に失すると思われる労働基準法の改正を要望するが、特に就業時間に彈力性を與えるようにせられたいとの希望をしております。
 以上、中小企業に関する請願及び陳情の願意は大体右の六点に要望されると思うのであります。これに対し政府の見解を要めましたところ、政府においても願意の方向に努力中とのことでありました。商工委員会においても願意はいずれも妥当と認め、これらの請願、陳情を一括採択し、院議に付して内閣に送付すべきであると全会一致を以て決定した次第であります。簡單に右御報告申上げます。(拍手)
#20
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに贊成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#21
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
 これにて本日の議事日程は終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午前十時五十一分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、議員派遣の件
 一、阿波丸事件に基く日本國の請求権の放棄に関する決議に基いてとつた措置の結果に関する内閣総理大臣の報告
 一、日程第一 海外残留同胞引揚促進に関する決議案
 一、日程第二 政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律の一部を改正する法律案
 一、日程第三乃至日程第五の請願及び日程第六乃至日程第九の陳情
ソース: 国立国会図書館
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