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1949/05/27 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第36号
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1949/05/27 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第36号

#1
第005回国会 本会議 第36号
昭和二十四年五月二十七日(金曜日)
   午前十一時二十六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第三十五号
  昭和二十四年五月二十七日
   午前十時開議
 第一 議員星野芳樹君懲罰事犯の件(委員長報告)
 第二 國立病院特別会計法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 日本銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第四 國家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第五 國家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第六 行政機関職員定員法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第七 行政機関職員定員法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第八 食糧増産確保基本法案(楠見義男君外十八名発議)(委員長報告)
 第九 食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第一〇 食糧管理法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第一一 引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
 第一二 懲罰権の適用範囲に関する調査に関する件(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○副議長(松嶋喜作君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○副議長(松嶋喜作君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議員星野芳樹君懲罰事犯の件を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。懲罰委員長太田敏兄君。
    ―――――――――――――
   〔太田敏兄君登壇、拍手〕
#4
○太田敏兄君 只今上程になりました議員星野芳樹君の懲罰事犯の件に関する委員会の経過並びに結果を御報告申上げます。
 本件は去る二十日、本委員会に付託になりましたので、翌二十一日から二十三日まで前後三回委員会を開きまして、愼重にこれが審議をいたしたのであります。動議提出の理由につきましては、過日の本会議における草葉議員の趣旨弁明によりまして明らかでありまするからここに申上げませんが、委員会におきましては、更に詳細に調査の必要がありましたので、発議者の一人である國元義人君及び本人星野芳樹君を召喚し、それぞれ趣旨の説明及び一身上の弁明を求め、更に審議の必要上、在外同胞引揚に関する特別委員会の委員長紅露みつ君及び委員北條秀一、木内キヤウの両君を召喚し、同委員会における前後の事情を詳細に聽取し、且つ各委員より右の五氏に対し熱心なる質問應答がありましたが、その内容は速記録に讓ることをお許し願いたいと思います。
 質問を終つて討論に入りましたところ、先ず松井委員から、「苟くも占領下の日本で軍國主義思想を持つているということが、その指摘された人にとつて重大な名誉の毀損であり、又議員として、指名の上、かかる軍國主義的の思想を持つが故に除名すべきものだと言われることは大なる侮辱である。併し星野議員の弁明を聽くと、星野議員の判断にもその思想傾向からして尤もであると察せられるような事柄があつたようにも思われる。」(拍手)「併しながら特殊の思想の持主が、これと異なる思想を持つ者を、直ちにさような言辞で攻撃するのは当を得ないものと思う。これは院内言論自由の範囲を逸脱したもので、議院の体面を汚すことになる。故に、前述の尤もの事情もあつたように窺われる情状も酌量して、「戒告」の懲罰に付することを適当とする」との発言があり、これに対し大野議員は、「星野議員が特別委員会において眞摯に熱心に働いていたということは、関係者がひとしく認めているところであるが、同議員と淺岡、矢野、岡元三議員の思想傾向においては相隔たること遠いものがあつた。そこで三議員の吉村隊長を庇護するごとき行動から、星野議員が軍國主義の影響下にあると言われた。又右の三議員を反動的議員であるから除名するということが引揚促進に最も有効な手段と断ぜざるを得ないと言つたのは、彼の本当の信念によつて意見を発表したに過ぎないので、三人の体面を汚さんと考えたものではない。究極するところ思想を発表したに過ぎないのであつて、我々は思想を発表するに何ら拘束を受けるものではない。即ち星野君の発言は言論の範囲を逸脱したものとは思わない。故に星野君の懲罰には反対である」と論じて反対されたのであります。他の各委員からもそれぞれ賛否の意見が開陳されましたが、討論を終結して採決に入りましたところ、四対二の多数を以て、星野議員に対し、國会法第百二十二條による「公開議場における戒告」の懲罰に付することに決しました。よつて委員会におきましては、直ちに次のごとき戒告文案を起草いたしました。それを読み上げます。
   戒告文案
  議員星野芳樹君は、昭和二十四年五月十九日の在外同胞引揚問題に関する特別委員会において、通称吉村隊事件に関する調査報告書に対する討論中、他の議員に対して不穏当の言を用い、議院の体面を汚した。議員の職分に顧みて、誠に遺憾である。
  よつて國会法第百二十二條第一号により、ここに、これを戒告する。
 以上を以て報告を終ります。(拍手)
#5
○副議長(松嶋喜作君) 星野芳樹君より一身上の弁明を求められましたから許可いたします。暫らくお待ち下さい‥‥星野芳樹君の登壇を許します。
   〔星野芳樹君登壇、拍手〕
#6
○星野芳樹君 私は、この度の私の発言に対して懲罰動議が出され、懲罰委員長より只今委員会としては戒告というような御報告があつたようでありますが、これに対して、私は何らその戒告の理由がないと思いますので、一身上の弁明のために暫らく皆樣の貴重な時間を割かして頂きます。
 先ず第一に、懲罰動議を草葉隆圓君より提出されたのでありますが、この中に、私が特別委員会の審議を妨害して、一々遅々として進まなんだのはそこにあると信ずると、殊に委員長が御婦人でありましたような関係で、その一点について星野議員の態度に非協力のところがあつたというようなことをお書きになつておりますが、私のいわゆる失言と言われる問題は、吉村隊事件の委員会の討論が殆んど終結いたしまして、全部済んだあげくに、僅かに前々から約束をして置いて、速記をとつて討論をするというときに申上げたので、何ら議事妨害をしていないのであります。そうして一々進まなかつた理由と申しておりますが、これは政見が異なるが故にこれを堂々と討論するのは当り前のことで、これについては後低も申上げますが、決してこの遅々として進まなかつたのが私の責任でもなく、殊に委員長が婦人でありましたからということは全く意味のないことであり、これによつて事情を知らない議員諸君を雷同せしめるというような、術策的な方法であると思いますので、この点は誠に意味のないことであることを初めに申上げます。
 それから本論に入りますが、私の言動が決して議院規則にあるような野卑な言動と品位を害するような言動でなかつたことは明らかであります。何ら野卑な言動は一言も申しておりません。ただ政治的な我々の見解を申上げたのであつて、こうした見解さえも懲罰に付せられるということになりますと、憲法によつて保障された言論の自由というものを危うくすると言わなければならないと思うのであります。殊に國会議員は議会における言論に対しては一般の方々よりも保障されていると思うのであります。然るに外部においても、内閣打倒、反動議員の追放というようなことは当然言われている、許されていることで、これが我々がポツダム宣言によつて與えられた、前にはなかつた民主的國家になつた証拠なのであります。(拍手)然るに議会において私の言動に何ら野卑な言動がなく、ただ反動的三議員の除名を決議することが至当であると考えると、こう申したことさえが懲罰に値するとすれば、全く國会における言論の自由が奪われることになると考えますので、これは單に私個人の問題でなく、皆樣御見識ある方々は、憲法擁護のためにかかる懲罰に賛成なさらぬことを切に希望するものであります。(拍手)
 それから、それでは私の言つたことが適切であつたかどうかという問題になりますが、これに対しては私は誠に本当のことを本当のままに言つたに過ぎないということを確信しているのであります。(拍手)その事実は、私が申上げたことは吉村隊長が軍國主義的な影響下にこうした思想を持つているというのでなく、実に今日この日本國土において、而も政治の中枢である國会の中にもこうした軍國主義的な影響下にある人々があるということを実に結論せざるを得ないのであります。そうして吉村隊長と心情が相通ずるものがあるということを指摘したのでありますが、これは誠に吉村隊事件の審議の経過を通じて、明々白々の事実として明らかにされたのであります。(拍手)吉村隊の事件の審議に当りまして、私が指摘しました三君は、盡くにこれを、一切を蒙古政府の命令とし、すべてを蒙古政府の責任とし、そうして吉村隊長に対しては、ただ岡元議員が草案されたこの報告書にも、一部は給養状態であり、一部は吉村隊長の責任としておりますが、これを嚴正に考えますと、給養状態においては、他の証人からして聞き得たところは、蒙古における入蒙当時の第一年の給養状態は相当粗惡なものがあつたようでありますが、第二年には相当改善させ、第三年目には殆んど衣食住に関する限りは完全に解決されたというのが、各証人からの証言であります。こういう事実でありますのに、このことに一向触れず、第一年の最も窮乏していた時のみを挙げておるのであります。併し吉村隊事件が起つたのは第二年目であり、聊か外の隊では給養が改善させておる事態の下に起つておるのであります。それでありますから、この吉村隊事件の起つた責任は、重点的には大部分は吉村隊長の責任であるに拘わらず、これを一部は一部はと半分半分に取扱い、むしろ責任を外的條件に負荷しようとしておることが明らかであります。そうして更に吉村隊長は、單に軍の統制が、隊の統制が幼稚であるというようなことを書かれておるのですが、單に幼稚ではなくて、道徳的な重大な錯誤があつたということをなかなかお認めにならない。そうして更にこうした吉村隊長のごとき残虐な行爲をする人間を生んだその背景をなすものは、曾ての日本にはびこつていた軍國主義的、封建的思想であるということをはつきりと述べるべきなのに、この点を何故か強硬に回避されるという点において、先程申上げたように、淺岡委員、岡元委員、矢野委員の三名の方々は、この事実を歪曲して、責任を全部蒙古側に負荷して、そうして吉村隊長を何か弁護されるような言動が続いたことは明らかなのであります。現に淺岡委員がこの問題に対して、いわゆる「曉に祈る」という事件に対しては、各証人、外の証人がすべて百数十名曉に祈らせられたという証言をしたに拘わらず、一方、当の吉村隊長こと池田重善君のみが四十二名だという証言をしておるのに対して、淺岡委員は、隊長が宣誓をして証言をしたのだから、これを信ずるのが至当だということを主張されておるのであります。(拍手)外の十四名の証人が殆んど証言が一致し、最後の点まで飽くまで吉村隊長のみが違うことを言つておる。その場合に、宣誓をしたからこの人の言うことを信ずべきだというのでは、何と見てもこの吉村隊長を意識的に支持しておると見ざるを得ないのであります。(拍手)
 更に矢野議員も、これは委員会の席上ではありませんが、隊長となる者はあのくらいでなければという言動を漏らされております。(拍手)これを裏書きすると言いますか、四月十五日の毎日新聞に、矢野先生の御令息である矢野端氏の言葉として、「吉村隊長の残虐行爲が新聞などで一部大きく報道され、この委員会の質問も初めから吉村隊長に対し一方的な傾きが感じられる。証言が互い食い違つておる事実などから「曉に祈る」がほんの一部の行爲でないのかと疑問をもつて來た」ということを述べられておりますが、これはあの証言に立会つた方はひとしく見られる通り、この質問は決して吉村隊長に集中されたものではなくて、むしろ問題は、この「曉に祈る」その他の問題を中心とした吉村隊の事件が中心であつたに拘わらず、むしろこの三議員の方によつて、故意に関係薄い、いわゆる人民裁判の名の下に津村謙二夏に問題の核心に触れた質問が集中された点が、むしろ不公平と客観的な傍聽者には受取れた事実なのでありますが、矢野さんの御令息がそれを一方的な傾きがあつたと言われておる点などから察しましても、甚だ吉村隊長こと池田重善氏に同情を持たれておることを、この御子息の言も証明されておるのであります。
 更に、事実の行爲といたしましても、池田重善君が証人召喚として東京に呼ばれまするときに、岡元義人君が駅頭まで出迎えに行つております。(拍手)これは理由を懲罰委員会で追究されましたるところ、池田重善君に対してはいろいろのセンセーシヨンを起しておるので、一身上の危險もあるかも知れないから、それではいけないからと思つて迎えに行つたというのであります。それから迎えに行き、そうしてその宿舎は特に池田重善君のみは参議院の会館である矢野さんのお部屋に泊めておるのであります。このことについても同樣に、特に危險があるといけないからと申しておるのであります。併しながらこのことは警視廳に、危險があるならば特に注意深く保護するように依頼すればそれで足りるのであつて、(拍手)その証人を喚問、公平な立場よりこれを審査する立場にある委員自身が駅頭に出迎えて、ニユースのカメラに納まつて、(拍手)ニユース映画に入るというがごときことを敢えてするということは甚だ‥‥(「行過ぎだ」と呼ぶ者あり)穩当を欠くものと私共は考えざるを得ないのであります。(「同感」「そうだ」「大事な点だぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)こういう幾多の点から申しまして、この三議員の方々が故意にこの吉村隊長を援護されるという傾向が明らかに見えたのであります。そしてなぜ援護されるのか、その理由は二つあつたと思うのであります。その一つは、意識的にこの問題を全部外蒙政府の責任、延いてはソヴイエト政府の責任として、これを敵本的な排外的宣傳にお使いになりたいという意思が一つと、もう一つは、私は遺憾ながら、吉隊村長と甚だ思想心境が相通ずるもので、これに同情せざるを得なかつたと判断せざるを得なかつたのであります。(拍手)それの事実は、單に委員会の行動のみならず、從來の三議員の方々の日頃の言行に徴して私はかく信ぜざるを得ないのであります。こういうことについては私は成るべく発言はしたくなかつたのでありますが、私の発言の理由に事情があつたことを、一身上の弁明をせざるを得ないことになりましたので、止むを得ず指摘せざるを得ないことは甚だ残念でありますが、聊か指摘さして頂きたいと思いますが、先ず、この三議員の中の淺岡信夫議員、このお方は戰爭中には上海や杭州におりまして、あの‥‥
#7
○副議長(松嶋喜作君) ちよつと御注意いたしますが、成るべく一身上の弁明の範囲を逸脱しないようにお願いいたします。
   〔「その通り」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
#8
○星野芳樹君(続) 範囲内であると思います。(「逸脱しているじやないか」「弁明でないじやないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#9
○副議長(松嶋喜作君) 御靜粛に願います。
   〔「弁明じやないぞ」「名誉毀損じやないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
#10
○星野芳樹(続) 吉村隊長の心情と相似ておることを指摘しなければ、私の言つたことが嘘か本当か分りません。その意味で申上げます。そうしてあの中國では七十六号という憲兵隊の祕密事務所と兒玉機関というのは、泣く子も默るような機関でございましたが、その兒玉さんといろいろの関係がござつたようでございまして、杭州の方で敵産であつた製紙会社を受取つてこれを経営されて、(「議長議長」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)相当裕福な暮しをされていたのであります。(「議長注意しろ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)終戰になりまして、我々上海におつた者は、最も困つた人々を一番先に帰させる……
#11
○副議長(松嶋喜作君) 國会法の規定によりまして、余りに他人の個人的のことに触れることは禁じられておりますから、御注意申上げます。
   〔「公の問題だぞ」「議長々々」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
#12
○星野芳樹君(続) 公の問題でありますから、それでは後に廻します。(「憲兵や兒玉機関に関係はありません」と呼ぶ者あり)それでは事件の政治的の問題を申上げますが、これは單に吉村隊長を支持されて、蒙古政府に全責任を負荷しようとする点、これが排外的な行動であるということ、これは丁度日本の軍國主義時代の外交政策と同じであると思うのであります。(拍手)私は決して白いものを黒とは申さないのであります。併しながら白いものは白、黒いものは黒として公平に扱うことによつて、そうして我々のポツダム宣言を受諾した立場を十分に認めて、そうして海外の同胞を帰して貰いたいということ等が、本当の外交的態度であると思うのでありますが、單に人の國の落度のみを挙げて、みずからを挙げないということは、從來の軍國主義時代の外交方針と同じなのであります。その点において吉村隊事件のごときは、成る程第一年において相当蒙古の給養が惡かつたということは事実ですけれども、それよりも増して從來の軍國主義的な思想、そうしてその制度が、あのような、吉村隊長をしてああいうようなスパイ制度を作らして、そうして同胞に対して苛酷な労働を負荷しながら、暴力團を雇つてこれに対していろいろな苛酷な制裁を加えたというようなことは、誠に我々の側にあつた封建的、軍國主義的思想及びその習慣、制度ということを指摘しなければ、これは誠に公平ではないのであります。そういう意味で、これは実に從來の軍國主義的外交方針と全く同じ方法であつたと断ぜざるを得ないのであります。而もこの問題は、單に軍國主義と同じようなものであつたことは事実といたしましても、これが眞に同胞の苦難に関係することでなかつたならば、敢えて指摘するのは差控えたかも知れないのでありますが、このことたるや皆さまはお氣付きでありましようか知れませんが、実に在外同胞及び留守家族の運命に重大な関係があるのであります。(拍手)なぜかと申しますと、この引揚促進の問題につきまして世上いろいろと申されておりますが、やはり私は、問題はソヴイエト当局を動かすということが鍵であるということを確信するわけなんであります。從來日本から船が廻らなかつたというような御指摘もありましたが、これはいわゆる人民裁判の召喚人などの証言の結果といたしまして、これは誤解であつたことが明らかになりました。向うの民主グループの指導者であつた津村謙二氏は、成る程一昨年の引揚が開始する前、毎日、今日は船が來るか來ないかと言つて、向うの收容所長と共に一週間程港を見たということを言つております。これが帰つて來た人々から船が廻らなかつたということが傳えられたのでありますが、これは証言からも分ります通り、國際関係で我々の交渉が直接でないために、そこに何かの行き違いがあつて、先方で船が來るものと思つておるのに、こつちではまだ電報が來ないので出られないという行き違いがあつた事実はあるのでありますが、併し引揚の船としては不十分ながら用意はされておることは十分に認めておる。それ故にソヴイエト当局を動かさなければならないということを私は確信するのであります。併しながらソヴイエト当局を動かすということは、これは一つの外交であります。最もむずかしい外交であります。從來我々は常に武力を背景として外交をしていたのに、今や我々は平和國家として、そうして本当に正義のみに立つて外交をしなければならないという立場にあるのであります。そのときに当つては私共は、相手方の心持を、考え方などをじつくりと呑み込んで、そして対應しなければならないことは明らかなのであります。そうしてこの引揚問題がどうして困難であつたかという事情を申上げますならば、(「一身上の弁明を越えておるぞ」「早く本論に入れ」と呼ぶ者あり)段々お聞きなさい。(笑声)これはソヴイエトでは何を最も神経質に考えておるか、こういうことを、考えて行かなければならないと思うのであります。これは明らかに國際的関係であります。このことを明らかにする例が幾つもございます。一昨年は四月から引揚が再開されたのに、昨年は四月になつてもなかなか再開されなかつた。それは四月十八日にイタリーにあの総選挙があつたからであります。(「早く本論に入れ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#13
○副議長(松嶋喜作君) 星野君に再び御注意いたしますが、一身上の弁明を大分離れておるようですから、早く本論にお入り下さい。
#14
○星野芳樹君(続) このことが分らなければこの事情が分らないから謹聽願います。引揚問題をまじめに聞いて下さい。本論に段々入ります。時間がございませんので、皆さんが喧騒されておると時間が余計経ちますから、私は申合せの決まつた時間に終りたいと思います。それであのイタリーの選挙があの國際情勢を非常に激発する山であつた。そして選挙が終つて國際情勢が穏当になると引揚が開始された。昨年の十一月にも同じ事象がありました。昨年は十二月まで引揚が遅れ、十一月に突然止つたのであります。これは御承知の通り、当時アメリカ大統領の選挙を目前に控えておつて、当時の下馬評ではデユーイーの当選が圧倒的の輿論で、デユーイーが当選されたならば米ソ関係が一層緊迫化するということが見通しであつたのであります。そのためと言いますか、そのときは中止されましたが、選挙の結果は意外にもトルーマンが再選して、全世界の平和を願う人々は、ほつとしたのであります。それと同時に十一月の後半には引揚が又再開されまして、後半十五日間においては三万七千人という、十五日にこれだけ帰つて來た記録は今までなかつたのであります。そういう諸事情から考えましても、こうしたことはこの引揚問題に関係する重要な問題であります。そのときに当つて、我々日本國民としての立場は、飽くまでも我々は國際粉爭には関係せず、飽くまで憲法で謳つておるところの平和國家を守つて行くということを、はつきりとどこにも疑点のないように示して行く、そのことこそ先方の意思を動かすゆえんであるということが、確言されるのであります。(拍手)それにも拘わらず、事実を事実として述べるならまだしも、この事実を歪曲して、先方の惡いところを挑発し指摘するということのみを以て引揚運動であると考えられることは重大な誤まりであります。(拍手)而してこういう態度をとつておる者が國会の引揚特別委員会におるということ、これが先方に響かない筈はないのでありまして、(拍手)こうしたことは、在外同胞並びにその留守家族の運命に重大なる関係を及ぼすものなのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)それであるから、私はここに苛烈と思いましたが、そのことを切言せざるを得なかつたのであります。皆樣御承知の通り在外同胞を待つておる留守家族の心情というものは実に切実なるものであります。昨日私のところにも手紙が参りまして、自分は七十八歳の年寄だが、子供が帰つて來るのを待つておつて、今胃癌に罹つておる。こういうまじめなことに野次される、これが引揚促進議員でありますか。そうして胃癌を患つている。(「余計な宣傳するな」と呼ぶ者あり)それで今年の五月まで命がないと医者から言われている、どうかあなたの力で一番先に帰して呉れ、誠に無智と言いますか、実に苦しい程の心情が察しられるのであります。而もこうした引揚問題を扱いまして、徒らに対外的な惡宣傳のみをすることを以てこうして狂おしい家族の心情を迷わし、そうして人氣を取り、そうして吉村隊などという事件を取上げ、更に人民裁伴などという問題を取上げ、ニユース・ヴアリユーなどを狙うということなどは全く言語道断なことであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)而も審議の方法たるや実に非民主的に行われたのでありまして、吉村隊事件を委員会で取上げるときにも賛否両論がありまして、実は八対七という際どいところの票数であります。こういう重大な影響を及ぼす問題は、こうした多数決で押切るということでなく、もつと納得行くように話し合うべきが本当なのであります。然るに議論があれば多数決で行こうと淺岡委がの主張の下に、八対七で強行的にこれを取上げられゐ而も取上げた結果がかくのごときなのであります。而もその報告書を纒める段階に至りまして、いわゆる岡元私案なるものが出されたのでありますが、これを審議するに当つては、これを理事には一読させましたが、一般委員には刷つて見せずに、ただ委員会でこれを読んで聞かせて、惡い所には注意をしろというのであります。そこで注意が出たのが四十七ヶ所注意が出だ、併しここを除いて呉れというのと共に、こういう所はこれを加えなければならないという所も沢山あるという意見も保留されたのであります、そうして四十七ケ條の指摘点を委員会で討議しておりましたところ、岡元委員と共に討議しておりまして、二十一ケ條を討議したところが、岡元委員は天田委員と何か感情的な対立をお始めになつて、俺はもう席を立つと言つてどこかへ行かれてしまいまして、その人々を除いて、細川委員や北條委員や、委員長や私などの六人の委員で以て残りの個條を審議したということもあり、議事運営を妨害したというのが私だと言うよりも、むしろこの人たちなのであります。そうしてその後結論についてはいろいろの意見があつて、それからその審議の過程にもう一つ申上げることがありますが、如何に岡元委員が自設を固持されたかという証拠といたしまして、その中に「推定される」と書いてあるのを、北條委員から御注意によつて「考えられる」にお直しになつたら如何であるかという御注意がありましたら、これに対して岡元委員は二十分以上頑張られたのであります。これに対しては北條委員も、こうなると思考能力の問題だと漏らされたのも、むべなるかなと思うのであります。(笑声)こういうように非常に頑強に自設を主張されるために審議が遅々として進まず、而も自分の思うようにならないと突然退席されて、我々に任せられる。そうして結論については北條委員も草案を書かれ、北條委員と岡元委員の両案が比較されて、委が会で北條委員の案を骨子として理事と北條委員と細川委員に任せるという決議がなされたのであります。ところがこの理事会になりますと、岡元委員は併しラジオの放送があるというので、どこかに行かれてしまいまして、委員長、北條委員、私らにおいてこれを深更まで審議しましたが、北條委員と私とは、北條委員は緑風会におられるし、私は労農党にいるので、非常に思想的に懸隔があるのでありますが、両方紳士的に討論しましたので、全くすべてが解決したのであります。然るに又翌日岡元委員、淺岡委員が出席されますと、これが又混乱になつて纒まらないという事実からしまして、実に私共の(「一身方の弁明を逸脱しているじやないか」と呼ぶ者あり)一身上の弁明です。あなた上は議事を妨害していると言つているが、実にこの議事の進行を妨害したというのは、実にこの人々にあつたのであります。その証拠はこの岡元委員や矢野委員があの議院運営委員会における態度を以て十分に御認識だと思うのであります。(拍手、「君は自分が一人いい子になつているぞ」と呼ぶ者あり)こういう理由でありまして、この草葉委員が指摘された議事を妨害したなどという根拠は何ら一つもないのでございます。実に盧構の誣告とさえ言うものであります。そうしてこの問題をなぜ私が痛烈に指摘しなければならなかつたかということは、先程申上げたように、これが簡單な問題ではなく、在外同胞の運命に関する問題である、これをまじめに聽く意思もないのであります。私は從來幾度か指摘しているのでありますが、これをまじめに聽く意思がない。而も私の討論を後に速記に残すと言いながら、速記が間に合わないというような理由を以てこれを闇に葬らんとあらゆる策動をされたのであります。
 それから先程議長の注意がございましたから私は述べませんが、実に私がこの人々が軍國主義的思想と結ばつているという結論をせざるを得なかつた証拠は幾つも持つているのであります。過去の行動においていろいろ幾つも持つているのであります。それでありますから、本当に在外同胞の身の上を思い、更に日本の平和國家としての育成を考えたならば、こうした三人の議員の方々を除名決議することは本当に至当なのであります。(笑声、拍手)ですから、私は何も嘘を申上げていないのであります。今日は相当不まじめな方々から、私共最も國民の中で苦難を担う在外同胞及び留守家族の事情を述べましても、実に下劣な野次を飛ばしておりますが、賢明なる皆さんの中にはまじめな方々も十分おありだと私は信ずるのであります。この意味において今日の譴責という動議に対しましては、私は、皆さんは多数を恃んで議場で譴責されるか知りませんが、天地の大道に通ずる私の良心からは(笑声)何ら譴責されていないのであつて、むしろ、こうした理に合わざる譴責処分に賛同される方こそが、一生良心から譴責されるものと考えざるを得ないことになるのであります。(拍手)この事情は皆さんがよくお分りだと思いますので、特に緑風会の方々は、決して矢野君だの岡元君だのの矯激な言辞を弄する人が皆さんの正当なる代表でないということを確認されておる方もあると思うのであります。それでありますから、この度の譴責動議に対してこれは理由がないと思われた方は、その会派の立場からまあ毅然として反対して頂くのが至当でありますが、反対しにくければ、良心の表示としてまあ棄権して頂くのが本当ではないかと思うのであります。(笑声、拍手)更にどうしても立場でお立ちになる方、一つの意観を申上げますが、この問題は実にこうした反動……(議長侮辱しているじやないか」と呼ぶ者あり)静粛に願います。
#15
○副議長(松嶋喜作君) あなたの御発言も少し逸脱しているようですから、先程再三注意した範囲内でお述べ願います。
#16
○星野芳樹君(続) 強いてこの譴責処分に賛成される方も、少くとも良心がある証拠として、眼をおつぶりになつて、在外同胞及び留守家族に対して默祷を捧げられつつお立ちになることをお願いします。(笑声)この私が述べた引揚問題に対する根本的な違い、これを敵本的に宣傳せんとする立場と、これを平和國家の外交方針として冷静に採り上げんとする立場、これは私は民主党の方々にも十分了解の行く筈であると思うのであります。それでありますから私は民主党の方々が、かかる民自党、最も右派であるがごとき民自党と、この思想というものは相容れないものだと私は信ずるのであります。民主党の方々がこれに賛同されるということは、実に重大な過誤となりますと考えますので、この点も嚴重に御忠告いたしたいと思うのであります。(発言する者多し)私に十分の時間が與えられましたならば、この問題の重要性をはつきりと申上げ、そうして……(「再懲罰だ」「綺麗なことを言うな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#17
○副議長(松嶋喜作君) 静粛に願います。(「議長は注意せねばいかんよ」と呼ぶ者あり)再三注意をいたしております。
#18
○星野芳樹君(続) 甚だ私の発言がお氣に障るようですが、私に対しては如何なることを言われましても、私は疚しいところがないから苦しむところはないのであります。どうして皆さんが騒がれるか疑問であります。余り長くなりましたので私この辺で止しますが、くれぐれも皆さん私の御忠告を考えられた方が至当だと思うのであります。実に皆さんも日本國民の將來のために、世界の平和のために、最も苦悩する留守家族、在外同胞のために、愼重に御考慮あつて、かかる一方的な極端な人々と御賛同なきことを切望するものであります。(拍手)(「うまいぞ、うまいぞ」と呼ぶ者あり)
   〔淺岡信夫君「発言を求めます」と述ぶ〕
#19
○副議長(松嶋喜作君) 淺岡君の発言は何ですか。
#20
○淺岡信夫君 只今星野議員より淺岡信夫議員に対して、兒玉機関、上海にあつた兒玉機関並びに六十何号、七十何号憲兵隊と関係……(発信する者多し)一身上の弁明をいたしたいと思います。
#21
○副議長(松嶋喜作君) 淺岡君の只今の御発言の通り、一身上の弁明のため登壇することに関し、皆さんの決を採ります。この御提案に対し賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#22
○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて淺岡君の登壇を許します。
   〔淺岡信夫君登壇、拍手〕
#23
○淺岡信夫君 皆さんのお許しを得まして、簡單に私の一身に関する……只今星野君の御自身の弁明に対する陳弁中、私が上海にあつた兒玉機関と関係しておつた、或いは憲兵隊の七十何号とか六十何号と関係しておつたという発言をなされたのでありますが、私は兒玉機関とも更に憲兵隊とも何らの関係のなかつたことを、ここではつきり弁明いたして置きます。(拍手)
 更にこの問題に対しまして、星野君が関係のなき私を関係のあるがごとく陳弁されたということに対しましては、私は今後におきまして、発言を一應留保いたしまして降壇いたします。(拍手)
#24
○副議長(松嶋喜作君) 本件に関し討論の通告がございます。大野幸一君。
#25
○大野幸一君 自席から発言をお許し下さい。本議員は都合により討論をすることを放棄いたします。
#26
○副議長(松嶋喜作君) それでは次の討論者中野重治君。
   〔中野重治君登壇、拍手〕
#27
○中野重治君 日本共産党は、星野君の懲罰にすることに反対であります。問題は委員会における星野君の言葉が妥当であつたかなかつたか、野卑であつたかなかつたかということに係つています。星野君によつて名指された人人が軍國主義者であるか、或いは軍國主義的な思想を持つているかいないかということに関する星野君の発言に係つております。問題は……(「違う違う」と呼ぶ者あり)若干の人々が軍國主義思想を持つているかいないかということにあるのであつて、軍國主義思想を持つておる人を軍國主義思想を持つていると呼んだことが妥当であるかないかということにあるのではないと思います。あの委員会には我が党からは細川委員が出ておる。併しながら誰かが細川嘉六は軍國主義思想を持つていると言つたとしたならば、その表現は、その表現を生み出した事実が間違いであるから誰もこれに鼻汁も引掛けないでしよう。あそこで若干の人々が軍國主義思想を持つていると言われても仕方がないような言動をしておることは、速記録に明らかであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)例えば先般岡村寧次元大將を喚んだときと、それから赤十字の看護婦の梁瀬美智子氏を喚んだときと、この扱い方は、その言葉の端々までそれを現わしておる。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)あるぞ。速記録を読んで見ろ。我々は人々が表現の自由を持つことを守るために起つておる。これは憲法に明記されている政治的見解の表現を野卑とする者こそ最も野卑な者でなければならない。(拍手)我々は反対的立場にある人々がその政治的見解をどういう言葉で表現しようとも、この表現の自由を束縛しようとする者がある場合は、その束縛をしようとする者と闘う用意がある。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)例えば、簡單に言えば、民自党の諸君が他の人人をいろいろの言葉を使つて攻撃するという場合に、これを不法に妨げる者がある場合は、妨げる者を排除して、民自党の人々の政治的見解を、藝術的な自由な表現を守つて上げようとする用意がある。こういう意味において星野君に対する懲罰の動議は意味をなさない。それ自身反動的である。(「その通り」と呼ぶ者あり)我々は率直に言う方がいい。そのことをギリシヤ人が言つておる。俺は百姓であるから桶を桶という。桶が問題であるということが問題である。何を苦しんで懲罰の動議を出すような卑しいことをするのか。我々はかかる動議に対しては徹底的に闘うものである。(拍手)
#28
○副議長(松嶋喜作君) これにて討論の通告者は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本件の採決をいたします。本件は委員長の報告通り決定することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#29
○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて本件は可決せられました。
     ―――――・―――――
#30
○副議長(松嶋喜作君) 議長は本院の議決に基き、これより星野芳樹君に対し懲罰の宣告をいたします。星野芳樹君を「公開議場における戒告」に処します。これより戒告文を朗読いたすのでありますが、星野芳樹君が議場に見えますまで暫らくお待ち下さい。これより戒告文を朗読いたします。
  議員星野芳樹君は、昭本二十四年五月十九日の在外同胞引揚問題に関する特別委員会において、通委吉村隊事件に関する調査報告書に対する討論中、他の議員に対して不穩当の言を用い、議院の体面を汚した。議員の職分に顧みて、誠に遺憾である。
  よつて國会法第百二十二條第一号により、ここに、これを戒告する。(拍手)
     ―――――・―――――
#31
○副議長(松嶋喜作君) 日程第二、國立病院特別会計法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。大藏委員長櫻内辰郎君。
    ―――――――――――――
   〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕
#32
○櫻内辰郎君 只今議題となりました國立病院特別会計法案の審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 先ず政府提出の法律案の内容を申上げますと、國立病院は一般の官廳と異なる特殊の事情がありますから、新たに特別会計を設け、一般会計と経理を区分することにより、その收支を明らかにし、尚その足らないところは当分の間一般会計より補足する措置を講じて、國立病院の経理の明確適正を期すると共に、その円滑なる運営を図ろうというのであります。次に衆議院の修正点は、國立病院特別会計の足らないところは一般会計より補填するのが当然でありますから、附則第三項中の「当分の間」を削除すると共に、一般会計より補填する規定を附則に置くことは独立採算制を採るように解せらるる虞れがありますので、附則第三項及び第四項の規定を法文中に挿入しようとするものであります。本案審議の経過を申上げますと、四月十五日より五月二十三日まで、その本五月十三日公聽会を開きます等、愼重審議いたしまして、五月二十三日質疑を終局し、討論に入り、小川友三、九鬼紋十郎、黒田英雄各委員より賛成、木村禧八郎、油井賢太郎、高橋龍太郎、森下政一、川上嘉、天田勝正、中西功、波多野鼎各委員よりそれぞれ反対の意見が述べられ討論を終結し、採決の結果多数を以て衆議院送付の修正案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。
#33
○副議長(松嶋喜作君) これにて午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十一分開議
#34
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続きこれより会議を開きます。
 日程第二、國立病院特別会計法案を休憩前に引続き議題といたします。本案の委員長報告は休憩前になされました。本案に対し討論の通告がございます。天田勝正君。
   〔天田勝正君登壇、拍手〕
#35
○天田勝正君 日本社会党はこの特別会計法案に反対の意を表明するものであります。
 先程委員長の報告にもございましたが、本法案を提案いたしました政府の提案理由といたしまして、本特別会計を制定する理由は、第一に國立病院の円滑なる運営とその経理の適正を図るためである。第二は、病院の事業経営という特殊な官廳であるから、その経理面を明確に整理し、適切な経営方策を立てるためその收支を明らかにするためである。この二点を挙げております。この政府の説明を裏返しにいたしますならば、一般会計では円滑な運営はできず、経理の適正も図れないから、結局無駄が多く、非能率になる、又收支は明らかにならないというのであります。このことは実に一般会計の使途が全部でたらめであるということをば、政府みずからが認めたことになるのでありまして、私共は一般会計であろうと特別会計であろうと、終局的には國民の税負担によつて賄う國庫支出でありまするから、これは必ず適正であり且つ明確であると信じて参つたのであります。從つてかような政府の考え方を変えなり限り、たとえ特別会計になりましても不明朗な支出が続くであろうということを考えなければなりません。從つて今回の改正は、單に機構いじりに終るであろうということであります。反対の第二点は、我々の現在の希望と課題は、社会保障制度の実現に一歩々々近付けて行くということであります。厚生省予算の本筋は、この社会保障に近付けるものはますます一般会計において重視して行かなければならないことであろうと思うのに、それをこの厚生省の本筋の仕事の予算から切離して参る。このようなことは今日の我々の要請であるところと全く逆行することになると思うのであります。このことにつきまして、政府の答弁も又政府案に賛成いたしまする諸君の討論を聽きましても、特別会計を実施することによつて患者が今日より惡くはならないという、極めて消極的な言訳だけでありまして、この会計によつて改善されるという積極行な理由は何一つ示されないのであります。而もこの特別会計法案につきましては、当初厚生当局も反対されておつて、大藏省から無理押し付けに押しつけられたという事実が明らかになつたのであります。このことによりましても、國立病院を担当いたしておりまする厚生省みずからが、この特別会計法案によつては十分なる國立病院の運営ができないということを認めたのでありまして、この点からいたしましても私共反対するのであります。反対の第三点は、去る十三日の公聽会におきまして、國立東京第一病院長の坂口博士、慈惠医大教授の石川博士或いは横浜病院看護婦の梁瀬美代子氏、その他四名、合計七名の公述人の出席を求めたのでありますが、これらの諸君が盡く本特別会計法案に反対いたしておるのであります。これらの反対の理由の一二を挙げて見ますれば、國立東京第一病院長の意見によれば、昨年度までは旧軍病院から引継いだ薬品が相当ストツクがあつた、器械類も殆んど修理せずしてやつて來られた、從つて病院の收支に三割程度の補給をいたせば、それで済んだのであるが、今年以後はどうしても四割以上の一般会計からの繰入がなければ、到底現在までの施療を維持することができないということであります。これに対する政府の予定繰入額は二割五分であるのであります。又横浜病院看護婦の梁瀬美代子氏の言によりますれば、すでに医務局長の名におきまして四月四日附によつて通牒が発せられまして、入院料その他の診療費の割引は、四月一日よりこれを行わない旨の通牒が來ておる。こういうことによりまして、すでに生活に全く困窮いたしておりまする一般大衆にとりましては、この僅かな一割の割引をやめるということだけによつて、目に見えて患者が減つておるということを言つておるのであります。この明らかな二つの事実を以ていたしましても、政府は如何に特別会計に名を藉りて國立病院を営利的に経営せんとしておるかの意図が明らかであるのであります。今日まで國会は重要な案件の審議に当つては、幾度か立聽会を開いて参りました。併しながらこれらの公述の意見は殆んど採り入れられておらないというのが現実であります。かくしては國民が政治に熱意を持たなくなり、國会不信の声の起るのも誠に尤もであります。今回の公聽会は過去のそれと違いまして、賛否が両論あつたというのではございません。全部の公述人が、即ち病院側におきましても、病院の從業員、即ち労働組合側におきましても、患者側におきましても、第三者の立場をとつておられる方にいたしましても、盡く反対いたしておるのであります。國民の輿論を採り入れる意味からいたしましても、本法案は断じて反対いたさなければならないと思うのであります。反対の第四点は、今日の國立病院の多くは旧軍用病院の轉用でありまするから、その立地條件は誠に適当でないものがあるのであります。勤労者の多く住む地域から遠くして、勤労者の利用度が少いということは否むことができないのであります。この勤労者の利用度の少いという点につきまして、政府は独立採算制に近付けて差支えない、こういう結論を出しております。私共は同じこの原因からいたしまして、國立病院の配置轉換を行なつて、庶民の住宅地域に多くの國立病院を設置して、勤労者が手軽に医療を受けられるようにするためにも、一般会計において行うことの方が遥かに妥当性があると、かように主張するものであります。
 以上の四点を挙げたのでありまするが、要するにこの企てというものは、國立病院を利用する必要を感じない階級、こうした人たちが、庶民医療、延いては社会保障に冷淡なる正体の現われであろうと思うのであります。この法案が委員会において審議されまするや、先程委員長の報告の通り多くの委員の反対がなされております。緑風会等におきましては、財界の巨頭である高橋龍太郎氏までも反対されております。(笑声)私共は現政府が先には労働組合法の改惡を行い、又農民に対しては農地調整法の改惡を断行し、今日ここに上程されたところの國立病院特別会計法案におきまして、勤労者医療の收奪を行なつて、國立病院の目的を全く抹殺いたしまして、営利化の一歩前進を図ろうとするものであると考えるものであります。今日のインフレ下に、ただ食つて行くだけで精一杯の一般大衆にとつては、医療の高騰は誠に悲劇であります。今日病氣になるということは、一般大衆にとりましては一家の破滅を意味いたすのであります。今日の町医者の一部には誠に奇妙なる医療を施す者ができて参りました。医者の門前に参りますると、一切の病氣が直ちに治るという医療方法であります。これは医療費が余りに高過ぎまするために、患者は医者の門前に参りますると、びつくりして皆病氣が治るのであります。(拍手、笑声)このことを指しまして私は経済的衝撃療法と名付けておるのであります。(拍手、笑声)この経済的な衝撃療法を國立病院においてすら採用いたさんとするのがこの國立病院特別会計法の正体であるのであります。どうか、委員会は一票の差によつて通過して参つたのでありまするが、この本議場におきまして皆さん方がこの法案に反対されまして、否決されんことをばお願い申上げる次第であります。(拍手)
#36
○議長(松平恒雄君) 小川友三君。
   〔小川友三君登壇〕
#37
○小川友三君 國立病院の特別会計法案につきましては、大藏委員会において可なり長く討議をしたのであります。そこでこの問題に対しては、医療方面の労組からいろいろ資料を送られております。又小議員は厚生省からも沢山の資料を頂いておりますので、それを中心にしまして、本案を如何にすべきかということを中心に(「反対か、賛成か」と呼ぶ者あり)申上げます。
 実は四月から一割引を取消したというけれども、厚生省側では五〇%以上の藥品を増量いたしておるのでありまして、五〇%増加して一割値上げするということは、四〇%のサービスになつたという実態があるのでありまして、この特別会計にして、政府は一年度に計算しますると、八億万円程度の支出をする、一般会計からするということは、健康な人々の負担において病人を友愛の精神を以て救助して行くという建前であつて、これは大いに賛意を表する次第であります。又昨年度の一般会計の赤字状態を見ますると、今度厚生省が支出する金額が約一年に計算して八億万円です。予備費から五千万円と一千五百万円の支出がありまして、これが去年の三千五百億万円の紙幣の発行高から比較しますと、去年は三千億万円前後でありますから、貨幣價値は二割以上増大いたしております。去年の赤字が六億六千七百九十万八千円でありまして、今年の支出の八億万円と、予備費から五千万円と一千五百万円の三つを合せますと、貨幣價値の割合が十二億ぐらいに付くのであります。こうした建前と、現在藥品が大分暴落をいたしております。ペニシリンは去年五百円したものが現在半分以下の二百二三十円程度に暴落をいたしておりまして、医藥品、繃帶材料等どんどん暴落いたしております。そこで政府が十二ケ月計算で八百億万円程度の支出をする、一般会計から補助費で十二分なる経営ができる建前から、医藥品の内容を五〇%以上優良にいたしております。これは政府が、人は病氣の器であつて、いつ病氣が出るか分らないという建前を重点的に十分に勘案をしまして、この巨大なるところの支出を、健康者から取つたものを國立病院に廻しておる、この建前でありまして、本案には全面的に賛成せざるを得ないのであります。(「おい厚生省大臣か」と呼ぶ者あり)重点的にお話を中野先生に申上げますからちよつと‥‥共産党の主張でも正しい主張は私は全面的に賛成する。特に病院の経営に至つては、本議員は藥剤師でありまして、病院の経営は自分でも数年間したこともあり、この問題に対しましては、政府が正しいか或いは國立病院側の労働組合が正しいか、嚴正なる調査をした結果は、政府側の経営の方針が誠に正しいのであるという証拠は、本法案を否決をしますると、七月以降は、看護婦さんにも、お医者さんにも、藥剤師の方にも、全部の給料を拂うことができなくなります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)さようにいたしますと、七月又は八月に莫大な費用をかけ、臨時國会を開いて補正予算を可決するという状態になるので、そうした余分な手数をかけないで、現在政府が立てられるところの、この特別会計予算に対する一般会計の補助金を以て、十二分に賄い得る。デイスインフレーシヨンになつたために物價はどんどん下ります。下つて行くから、この予算でも幾らか余りができて行く。余りができた場合は、何百何千の入院患者の病室を作つて行くことができると、私は固く信じて本案に賛成するものであります。(賛成論そのものを否定しておるじやないか」と呼ぶ者あり)簡單に申上げました。
#38
○議長(松平恒雄君) 木村禧八郎君。
   〔木村禧八郎君登壇、拍手〕
#39
○木村禧八郎君 私は無所属懇談会を代表いたしまして、本法案に反対いたすものであります。國立病院の経理を特別会計に移した場合の影響につきまして、先程天田委員も申述べましたように、公聽会を開きまして愼重に檢討いたしました結果、戰災者とか引揚者、元の傷痍軍人、或いは生活保護法の適用を受けておるところの困窮者などの医療に対して、深刻なる障害を與えることが極めて明らかとなりましたので、反対せざるを得ないのであります。
 反対理由の第一は、國立病院の経営を特別会計に移しまして國民医療に独立採算制を採用しようとしておることで間違いであるという点にあるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)社会保障制度の中核となるべき國民医療制度に対して、鉄道とか、或いは通信、或いは「たばこ」の專賣事業、そういうような企業的経営と同様の見地から独立採算制を設けることは間違いであると思うのであります。政府は独立採算を採用しないと弁明しておられますが、それなら何故わざわざ特別会計を設けるのか、その理由が分らないのであります。なぜならば特別会計なるものは、これは御承知の通り経理を独立採算的にするために設けるものでありまして、若しそうでないならば、わざわざ特別会計に移すという、その理由が分らないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
 反対の第二点は、すでに天田委員から指摘されました通り、厚生省当局も最初は特別会計に移した場合に重大な弊害の起ることを認めまして反対しておつたのであります。それが止むを得ず大藏省の主張に屈服いたしまして、特別会計に移行することを承認せざるを得なかつたという実情にあるのであります。即ち厚生省は去る五月の十八、十九日に開かれた國立病院長会議におきまして、特別会計に移した場合どういう弊害が生ずるかということについて指摘しておるのであります。第一に、診療内容が不適正となり、実質的な医療費の高騰を來し、或いは粗惡なる藥品を使用し、或いは診療費の徴收を目的として不必要な治療まで行うようになる。これは厚生省が述べておる言葉であります。第二に、收入の上りにくい患者を敬遠するようになる。即ち生活保護法や社会保險の患者を敬遠し、自費患者を歓迎するようになる。第三に、治療方法、診断方法、医療の社会事業等、直接收入に関係のない業務が等閑に付され、或いはその費用が貧困の患者の負担に帰せられ、学究的医師を得ることも困難になる。第四に、災害時或いは傳染病流行時等の活動、その他公衆衞生面の活動が疎かになる。こういう弊害を指摘しております。更に新設、大修繕等大きな営繕工事が困難になる。このように厚生省の指摘しておることは、この國立病院を特別会計に移すことによつて國民医療の実質が低下するということを、はつきりと指摘しておるわけなのであります。これに対して厚生省は、こういう弊害を除去するのにどういう用意を持つているかということにつきまして、こう述べております。即ちいろいろな帳簿を整備し、報告を正確にする等の措置を講じて、各病院の指導、監督を強化すると共に、各職員に対し國立病院の目的及び使用について十分自覚せしめるよう努力し、社会保險、生活保護等の支拂の敏速及び單價の適正を期することによつて、これらの弊害を除去し得ると、そういうように主張しておるわけであります。併しながらこのような措置は、何もわざわざ特別会計を設けなくても、これは措置し得るものでありまして、又特別会計を設けたからといつて、以上述べましたような弊害が除去し得るものではないと信ずるものであります。
 更に反対理由の第三は、これもすでに天田委員が指摘いたしましたので諄く申述べることを省略いたしますが、公聽会におきまして、國立病院の院長、或いは東京慈惠会医大の教授、患者同盟の代表、職員の代表、それから看護婦の代表、更に労働組合の保健部の方を担当しておる方、或いは又民生委員、合計七人の人を公聽会に呼んで、その実情を聞いたのでありますが、いずれもこれに対しては反対でありました。公述人全部が反対であるということは私は珍らしいと思うのでありまして、而もその公述人の公述によつて分つたことは、厚生省が特別会計実施によつて生ずるだろうと憂えたところのその諸弊害が、これらの公述人によつて、必ずそれが現われるということを実証されたということであります。これは我々としては実に放つておくことのできない大きな問題でありまして、厚生省側が如何にその合理性を主張しましても、我々としては納得でき難い点なのであります。
 更に理由の第四は、御承知の通りこの二十四年度予算の実施の結果は、非常なデフレが予想され、又失業者も多く生じ、貧困者もこれから非常に多くなると思うのであります。こういう際こそ、社会保障の有力な一環となる國民医療というものをますます拡充強化しなければならないと思うのでありますが、(拍手)然るにこの特別会計設置法は正にそれと逆行するものでありまして、即ちこの法律実施によつて國民医療を独立採算的にし、これを又営利主義的にして行こう、そういうことがこの法案の狙いなのであります。御承知の通り政府は今度の予算において價格調整費等は二千二十億も計上し、そのうち少くとも我々の見るところによれば数百億は見積り過大と見られているのであります。にも拘わず僅か十億円足らずの貧困者救済のためのこの補助を節約するために國立病院を特別会計に移す、そういうような法律案を提出するということは、私は吉田内閣が如何にその反社会的であり、反公共的である、そういう政策を、性格を強く持つているかを、これを明らかにしたものではないかと思うのであります。(拍手)尚、先程小川委員から、若しこの法律案を否決した場合に、國立病院の運営に支障を來すのではないかという御議論がございましたが、我々としては、國立病院においては病院收入などがありますので、その間の措置には支障がないであろうということが大体分りましたので、支障のない措置がとられ得るということが大体分りましたので、本法案に反対しているのであります。(拍手)
 以上が私の反対論点でございますが、どうぞ参議院の諸君の良識によつて、こういう惡い法律案は是非とも否決して頂きたいと思うのであります。以上であります。(拍手)
#40
○議長(松平恒雄君) 兼岩傳一君。
   〔兼君傳一君登壇、拍手〕
#41
○兼岩傳一君 私は日本共産党の反対討論の要旨を簡單に述べます。
 現在國立病化は九十八ございます。これに対しまして二十三年度の一般会計からの補助金は十億円であります。從つて一病院に対して一年間に大体一千四円という極く僅かな補助をいたしておるに過ぎないのであります。これは各病院経費の約三割弱にしか当つていないのであります。これをこの法案によりまして、この一般会計からの補助金を六億円に減らす。そうすると一病院の平均は六百万円に減じまして、病院全体の経営費に対する補助は二割に減少するのであります。この法律案が通りました結果はどうなるか。先ず第一に、医療費の値上をするか、或いは從來使つていた藥品をもう少し粗惡なものに変えるか、こういう方法が講じられなければならないのであります。第二といたしましては、生活保護法の患者、或いは社会保險の患者というような國民の中の不幸の人たち、この不幸な人たちの入院患者が現在の國立病院の八割を占めておりますが、この八割までの不幸な人たちの入院が非常に困難になつて來るのであります。それから第三に、このような法律案によつて國立病院が営利化されます結果、先ず收入の上りにくい、むずかしい病氣とか、慢性病などの入院患者は敬遠されることになります。そうして收入の増加を目的とするために不必要な治療をするというような、そういう危險が含まれております。それから更に看護婦その他の從業員の労働が強化され、人員の整理が行われるかも知れないという危險も含んでおるのであります。況んや從來國立病院の果して参りました災害時の救援、例えば一昨年の利根川が切れましたときに、私は現地でこれを見たのでありますが、國立病院の諸君が、普通の病院では全然できないような計画的な、機敏な、自己犠牲的な活動をせられたということを私は目のあたり見て非常に敬意を表しておるのでありますが、そういつた災害時の救援、又昨年の福井の震災に際して、私は國会から派遣されて見て参りましたが、ここにおきましても普通の病院の人たちでは到底できないような迅速な、機敏な、自己犠牲的な活躍をいたされておりまして、災害地の縣民はこれがもう少し残つて貰いたいという請願を國会に対しても政府に対してもいたしたということは皆さんの御記憶にあろうと思いますが、実にこれらは國立病院のこの災害時の救援は非常に大きな役割を持つておるのであります。そういつた活動、それから治療、診断なぞに対する科学的な、基礎的な研究、それから看護婦、助産婦、助産婦なぞの養成、それから病院の性能を高めるための拡張、そういつたものは、非常に困難になつて來るのであります。日本共産党はその行動綱領に医療の社会化を掲げております。つまり疾病、大きな疾病の治療というものは個人の負担で行われるものでなくて、國民の共存共栄によつて、社会的な力によつてこれを治療して行くという、そういう立場をとつておきます。從つてこの國立病院がその將來の医療の社会化に対して、この國立病院の任務は、その將來の社会化に対する基礎になるであろうという、これに期待をかけております関係上、この法案には反対するものであります。それで社会党、無所属、或いは我々がこれに反対する、そうして採決が行われる、そうして反対されると、そういうようなふうに行つたのでは非常に困るのであります。と申しますのは、この法律案はそういつた党派的な立場のみならず、すでに國立病院の病院長初め、全從業員、患者は無論、一般國民六十万名以上の反対署名簿が國会に持ち込まれておりますし、尚これは國民の一部でありまして、尚続々と反対の声が上つております。これのみではございません。反対請願が提出されております。そうして民自党の草葉隆圓氏、中山壽彦氏、石坂豊一氏が反対請願の紹介をせられており、緑風会では三島通陽氏、小野哲氏、安部定氏がこの紹介の労をとられ、社会党では片山義信氏、無所属懇談会では千田正氏、日本共産党では中西功氏の諸君がこの反対請願紹介の労をとつておられます。國民保健に対する正しい人道的なこれら諸君の立場に対しては私は深甚なる敬意を表するものであります。國立病院は將來の医療の社会化に対する基礎だけではございません。今言つたような、起つて來るべき災害の救援部隊として優秀な機能を発揮するものであります。それのみではございません。長い打続く戰爭、戰災、敗戰の痛手で非常に傷いておりますこの幾千万の貧しい國民大衆の健康を保証し、そして困難な將來の祖國再建のために全國民に働いて頂くというために、どうしても日本の医療制度は保險診療が中心になり、営利を度外視して、良心的な診療が行われて行かなければならぬのであります。その意味においてこの國立病院の担う役割は非常に大きなものであり、且つこのような特別会計を営利的な方面に追い込むか追い込まないかということは、党派の問題であると同時に党派を超えての問題と考えますので、参議院の各位がこれに対して反対せられんことを要望して、私の反対討論を終るものであります。(拍手)
#42
○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案の表決は記名投票を以て行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#43
○議長(松平恒雄君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#44
○議長(松平恒雄君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百六十九票、白色票即ち本案を可とするもの八十九票、青色票即ち本案を否とするもの八十票、よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      八十九名
      小川 友三君    阿竹齋次郎君
      岩本 月洲君    宇都宮 登君
      小野  哲君    加賀  操君
      柏木 庫治君    河井 彌八君
      來馬 琢道君    高良 とみ君
      小杉 イ子君    小宮山常吉君
      小林米三郎君    高田  寛君
      中川 以良君    久松 定武君
      藤井 丙午君    宮城タマヨ君
      村上 義一君    矢野 酉雄君
      山崎  恒君    赤木正雄君
      飯田精太郎君    伊藤 保平君
      大山  安君    岡部  常君
      岡本 愛祐君    木下 辰雄君
      九鬼紋十郎君    楠見 義男君
      中山 壽彦君    植竹 春彦君
      島津 忠彦君    島村 軍次君
      下條 康麿君    宿谷 榮一君
      遠山 丙市君    小林 英三君
      徳川 宗敬君    玉屋 喜章君
      水久保甚作君    徳川 頼貞君
      一松 政二君    藤野 繁雄君
      田口政五郎君    岡田喜久治君
      小野 光洋君    團  伊能君
      結城 安次君    寺尾  豊君
      大野木秀次郎君    川村 松助君
      加藤常太郎君    城  義臣君
      淺岡 信夫君    池田宇右衞門君
      堀  末治君    西川甚五郎君
      大島 定吉君    鈴木 安孝君
      黒田 英雄君    平沼彌太郎君
      草葉 隆圓君    石坂 豊一君
      柴田 政次君    板谷 順助君
      今泉 政喜君    松野 喜内君
      藤井 新一君    深水 六郎君
      北村 一男君    平岡 市三君
      左藤 義詮君    中川 幸平君
      西山 龜七君    橋本萬右衞門君
      佐々木鹿藏君    重宗 雄三君
      廣瀬與兵衞君    小串 清一君
      山田 佐一君    大隅 憲二君
      尾形六郎兵衞君    木檜三四郎君
      木内 四郎君    鬼丸 義齊君
      櫻内 辰郎君    林屋亀次郎君
      中井 光次君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      八十名
      西郷吉之助君    新谷寅三郎君
      竹下 豐次君    高瀬荘太郎君
      早川 愼一君    東浦 庄治君
      町村 敬貴君    松井 道夫君
      奥 むめお君    岡元 義人君
      尾崎 行輝君    穗積眞六郎君
      小杉 繁安君    紅露 みつ君
      木内キヤウ君    石川 準吉君
      境野 清雄君    淺井 一郎君
      油井賢太郎君    小畑 哲夫君
      高橋  啓君    内村 清次君
      大隈 信幸君    門屋 盛一君
      天田 勝正君    金子 洋文君
      岩木 哲夫君    門田 定藏君
      小泉 秀吉君    山下 義信君
      大野 幸一君    原  虎一君
      伊藤  修君    赤松 常子君
      大畠農夫雄君    岩崎正三郎君
      河崎 ナツ君    島   清君
      カニエ邦彦君    板野 勝次君
      細川 嘉六君    中野 重治君
      中西  功君    岩間 正男君
      兼岩 傳一君    鈴木 清一君
      千葉  信君    木村禧八郎君
      堀  眞琴君    梅津 錦一君
      原口忠次郎君    中村 正雄君
      星野 芳樹君    太田 敏兄君
      塚本 重藏君    齋武  雄君
      村尾 重雄君    千田  正君
      國井 淳一君    藤田 芳雄君
      羽仁 五郎君    山田 節男君
      波多野 鼎君    若木 勝藏君
      川上  嘉君    丹羽 五郎君
      吉川末次郎君    河野 正夫君
      田中 利勝君    三好  始君
      米倉 龍也君    佐々木良作君
      和田 博雄君    三木 治朗君
      木下 源吾君    森下 政一君
      青山 正一君    駒井 藤平君
      岩男 仁藏君    鈴木 憲一君
     ―――――・―――――
#45
○議長(松平恒雄君) この際、日程の順序を変更して、日程第三を後に廻し、日程第四、國家行政組織法の一部を改正する法律案、日程第五、國家行政組織法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。
    ―――――――――――――
#47
○河井彌八君 只今議題に供せられました國家行政組織法の一部を改正する法律案の二案があるのでありまするが、便宜上先ず以て閣法第五十六号というのについて御説明申上げまして、続いて閣法第二百九号に入ろうと思うのであります。この國家行政組織法の一部を改正する法律案につきましてはその内容を先ず申上げて置きます。
 第一には、府、省の内部部局に官房、局、課とあるのに対して、官房及び局に部を置くことを得るという改正であります。その次は政務次官を置く規定でありまして、府、省、國務大臣が長たる行政機関には政務次官おのおの一人を置く。而してこれを特別職とする。そしてその職務、任免の方法、内閣総辞職の場合における失職の規定が掲げてあるのであります。それから更に各省事務次官一人を置くということ、尚、総理府秘書官三名とするということ、及び施行期日をば本年の六月一日にするということが改正の主なる点であります。内閣委員会におきましては、審議の結果、最後に述べまする通りの修正を付しまして、これを全会一致を以て可決すべきものと議決いたしたのであります。
 本案の審議に当りましては、事いわゆる行政組織の根本に関しまする重大な問題でありまするから、その根本的問題につきまして、政府に対して沢山の質疑應答を重ねまして、そうして本案に入つて審査をいたしたのであります。先ず行政整理の目的はどこにあるかという点につきまして、総理大臣の意向を質したところが、総理大臣は、財政の緊縮を図るのである。言い換えればこれによつて國民負担の軽減を期するという点、それから更に行政機構を簡素化するのである。そしてこれによつて行政能率を向上する。事務を処理することの敏活を期する。現在の手続が非常に煩雜になつておる、その弊を改めまして、そうして官廳においても亦國民においても実に簡明ないい行政を得るようにするということ、これが第二点。第三点には公務員の道義を昂揚する。どこまでも紀律を正して、忠実に國家の仕事を運ぶようにするという点を明らかにいたしたのであります。
 それから整理の方式はどうであるかという点につきましては、中央官廳の機構及び定員において、それぞれ現業は二割、非現業は三割を減縮する。但しその仕事の性質に照しまして、どうしても縮小することができない、或いは無理であるというようなものは、その範囲外に置くということの原則を明らかにしたのであります。尚、地方出先機関に関しましては、府縣を單位といたしまするものは、原則としてこれを地方廳に移す。併しそれでも尚事務の都合上その移す方法及び時期等につきましては、尚相当の考慮を加えるという意味であるのであります。そこで、それらの点を明らかにいたしましたのでありますが、さて、この原則について各委員からあらゆる方面に亘つて沢山の質疑を重ねたのであります。その結果かような点が大体において明らかにせられたと思うのであります。
 即ち第一には、今回の行政整理は、官廳も人員も共に大体一律一体的に整理をする傾きがあることが明瞭になつたのであります。言い換えれば、官廳にいたしましても機械的に‥‥、機械的と申すことはどうか知りませんが、先ず機械的に若干の局を減らす、課を減らすというような事柄であります。人員につきましても、先ず可なりそういう傾きが見えたのであります。それから第二は、事務の系統的の整理、事務の性質によつての廃置分合を行うという点においては、まだ大いに遺憾の点があるということを認めたのであります。而して事務の整理をするというのは、どういう点に重きを置くべきかと申しますれば、これは第一には統制を撤廃する、若しくは統制を少くする、簡約にするという点、又官廳において取扱つておるところの認可であるとか許可であるとかいう制度などについても思い切つた改革を加えるということが必要であるという点などについて、尚十分一層の改善を加えべきものであるという結論に達しておるのであります。即ち整理の方針といたしまして、科学的に合理的に整理をするという点におきましては、遺憾ながらまだ十分でないという感じを各委員が抱いたのであります。
 更に原案の國家行政組織法の根本原則に照してこれを見まするときに、人員の問題は後から申上げますが、組織の関係におきましては、この根本原則に違反する‥‥、違反と申しては穏当でありませんが、その精神を逸脱しておる官廳組織が沢山できておることを認めたのであります。そこでこれらの点につきまして十分政府の意向を質しましたところが、結局政府におきましては、それらの点については政府においてもまだ十分なりとは考えておらないものと見えまして、更に一年間を期して行政整理審議会に付して、十分なる檢討を加えて、そうして正しい結論を得て、案を作つて、更にこれをば國会に提出しようという意思のあることが明らかになつたのであります。
 そこで國家行政組織法の、只今私が申上げました改正点の主な諸点にこれを照して申上げますと、第七條の修正におきまして、即ち特別の必要あるときは、官房及び局に部を置くことができるという点について、大いにこれは考慮しなければならぬところの部局が沢山あるのであります。第二には、外局であるところの廳であつて、やはりこの例外的の規定の濫用と申しますかその精神に違つておるものがあることを認めたのであります。即ちこれは或いは内局に移すべきものであるとか、或いは外局の廳としては如何か、もつと更に拡大強化して一つの省でも作らなければならぬものではなかろうかというようなもの等も発見いたしたのであります。その他通商産業省における通商監とか、電氣通信省の電氣通信監であるとか、或いは局の次長であるとか、いろいろな違つたものが沢山見付かつたのであります。本委員会におきましては、すでに二十二日、二十三日の両日に各省設置法案等についての報告を提出いたしまして、それが本院を通過いたしておるのでありまするが、その本院を通過いたしましたものは、本体只今申上げました諸点について、これをば近く政府が実施せられるであろうと思うところの行政整理審議会にかけて、そうして更に完璧なるものとするために、十分なる檢討を加えることを要求する意味を以ちまして、この組織法一部改正の法律案に対しまして、先に申上げましたような修正を加えたのであります。即ち各省設置法の原案をば大体においてこれを認める。併しながらこれはそのままで永久の制度として置くべきものではない。更に檢討を加えて、一年の間に適当な案を作り直すべきであるという意味におきまして、次のごとき修正案を決定いたしたのであります。
 即ちその要旨を申上げますると、これはすでに印刷してお手許に配付せられておるものと考えまするけれども、御参考のために申上げますれば、
 第七條を改正する規定を削除するつまり「特に必要がある場合においては、前項の」、第七條の第一項です。「官房及び局に部を置くことができる。」という規定を除きまして、その代りにかような條項を加えるのであります。第二十四條の二に、「昭和二十五年五月三十一日までは、」只今申上げました一年を期してという意味であります。「第七條第一項の規定にかかわらず、別に法律の定めるところにより、別表第二上欄に掲げる府、省又は本部の官房又は局に限り、同表下欄に掲げる部を置くことができる。」、第二項といたしまして「昭和二十五年五月三十一日までは、第七條第二項の規定にかかわらず、別に法律の定めるところにより、別表第三上欄に掲げる廳に限り、同表下欄に掲げる局を置くことができる。」第三項には「前二項の規定により設置された部局は、昭和二十五年五月三十一日限り、廃止されるものとする。」こういう趣旨でありまして、只今私が申上げたのを條文化いたしたに過ぎないのであります。そうして「(別表第一)」の次に次のように加える。」別表第二を加えるのであります。これは各府、省及び本部におきまして、明年の五月三十一日までは原案にある通りこれを認めるけれども、五月三十一日限りこれは廃止せられるのであるから、それまでに政府が適当の措置を講ずべきものであるとして掲げたものが沢山あるのであります。その一端を例示すれば総理府の大臣官房においては賞勳部、総理府の統計局においては人口部、経済部、製表部が属するものであります。その他はこれを略します。かような趣意の修正を加えまして、全会一致を以てこれを修正して可決すべきものと決定いたしたのであります。
 尚、本案の審議に当りましては、いろいろな適切な意見が出ておりまするので、これを数個御紹介申上げます。第一、総理府において官房に賞勳部を置くということは、栄典を尊重する意味におきましては、これは不適当ではないか、むしろ、もつと独立性を與うべきじやないかというような点、第二は、総理府に統計局を置き、又各省各廳においても統計の係を置いて、統計事務がそれぞればらばらにあるのをば一つの官廳に統一して、そうして正確なる又精密なる統計事業をここに打立てて、そうして眞に國家の役に立つような統計を作り上げるために、これを一つ強力な権限のあるものにすること、それから外務省の情報部のごときも、これは日本の今後外交関係が大いに伸びなければならぬのでありまするからして、特にこれに独立性を與えて、そうして十分なる働きをさせようではないかという意見、又文部省の教育施設部なども斯くのごとき地位を與えて置くことは不適当である。他の局と同じように十分にこれを働かせることが必要である。或いは文部省において体育局が姿を消しておる、これはどういうわけかと申しますれば、初等中等教育局と大学教育局に分れておるのでありまするが、かようなことにせずに、一つの体育局中心となつて眞に今後國民の体力を旺盛に育て上げるための行政をば強力に進めて行くというようなことが必要であるという意見がありました。その他まだ数々あつたのでありまするが、ここにはこれの報告を省略いたします。
 次には、國家行政組織法の一部を改正する法律案のもう一つの案であります。即ち閣法第二百九号、この法律について申上げます。
 本案につきましては、これは國家行政組織法の第二十七條によりまして、行政部門であるところの府、省、委員会、廳並びに公團というものは、それぞれそれを列挙いたしました表を作りまして、これに表示すること、そうして、それによつてこの國の行政組織の全貌を明らかにして、系統を一目瞭然たらしめるためにする規定であります。そうして本案に対しましても委員会は一つの修正を加えたのであります。それは只今私が説明をいたしました表を加える、つまり日程第四に掲げてある第五十六号の法律案に一つの表を加えました結果、この表を改める必要があるのであります。即ち「第三條第四項及び第二十二條第二項中「別表」をば「別表第一」に改める」。「別表を加える規定中「(別表)」を「(別表第一)」に改めるという簡單な、当然の手続の修正として加えた次第であります。
 以上を以てこの両案の委員会の審査の経過及び結果を御報告いたします。(拍手)
#48
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案いずれも委員長報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#49
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて両案は委員会修正通り議決せられました。
     ―――――・―――――
#50
○議長(松平恒雄君) この際、日程第六、行政機関職員定員法案、日程第七、行政機関職員定員法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付、)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。尚、政行機関職員定員法案につき少数意見の報告書が提出されております。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。
    ―――――――――――――
   〔河井彌八君登壇、拍手〕
#52
○河井彌八君 議題となつておりまする行政機関職員定員法案、行政機関職員定員法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、この二案について申上げます。
 先ず以て行政機関職員定員法案について、委員会の審査の状況及び結果を申上げたいと思います。
 この職員定員法案は行政整理の一環をなすものであります。即ち只今本会議で議決になりましたところの國家行政組織法の改正案と、二十三日までに決定せられましたところの各省設置法案、この二つの案に対應いたしまして、行政整理を行うための各機関の定員を定める法律案であるのであります。この法案の重要なことは、行政機関に働いておるところの職員が如何なる整理を受けるであろうかということ、そうして、それが行政機構の働きの上にどんな影響があるであろうかということ、而して更に他の関連から見ますれば、行政整理は國民の要望である、從つて相当な人員を減少しなければならぬという点から考えまして、この両者の調和を如何にするかという点、それから又これによつて行政整理の結果、退官退職せらるべきところの人の生活問題等を考えますときに、これが如何に重大な影響を持つておるかということは、私がここで申述べる必要はないのであります。
 そこで本案は、國家行政組織法の施行に伴いまして、行政機関の規模の適正簡素化を図りますために、各行政機関の職員の定員を定めたものでありまして、而してその定員を超過しておりまする人員をば整理するという規定になつておるのであります。先ず、大体において本案の内容を簡單に申上げますれば、
 第一には、本案において言うところの行政機関とは何であるか、又行政機関の職員とは何であるかという点を定めます。次には、各行政機関の職員の定員をば、総理府、法務府、その他各省、各委員会及び外局の廳ごとにそれぞれ人数を明記いたしたのであります。そして尚その他に事務の性質上当分置くべき定員、引揚援護廳であるとか、或いはその他の行政機関、当分の間設置すべき行政事務のある行政機関の職員の数について、予算の範囲内においてこれを政令で定めるというようなこと等が規定してあるのであります。そうして更にこの列挙したる官廳と定員の割振りは、各官廳と申しますか、各機関の内部部局、地方支分部局、及び附属機関別の定員はそれぞれ府令、省令、経済安定本部令で以てこの定員内の中でそれぞれ定めるということを規定しております。それから施行期日をば六月一日とする。但し通商産業省につきましては、御承知の通り五月二十五日となつておつたのであります。それからいよいよ整理を実行する時期はいつであるかと申しますれば、これは九月三十日までに整理するということになつております。そうして官廳ばかりではありません。日本專賣公社及び日本國有鉄道の職員も九月三十日までにそれぞれ整理をいたしまして、ここに規定してあるところの人員に合せる。それまでの数に合せるということを決めております。
 更に重要な点として申上げなければならぬのは、政府職員、專賣公社並びに國有鉄道の職員の整理せられた者は、國家公務員法によるところの不当処分に対する審査請求権、或いは苦情処理というものの権利は、この法律の施行に当つてはこれを認められないということ、更に退職手当の支給額或いはその支給の率等に関しましては、昭和二十四年の総合予算の範囲内においてこれが決定せられるのでありまして、各人に対してこれを割当てる、決定いたしまするのは、その額は、恩給法、國家公務員共済組合法及び労働基準法等の施行に伴う政府職員に係る給與の應急措置に関する法律に基いて、給與その他の給付との関係を考慮して政令でこれを定めるという点が主な諸点であるのであります。
 委員会におきましてはこれらの点について詳細な又周到な調査を行いまして、政府に対してそれぞれ質問をいたしたのであります。定員法に関する委員会の開会の日数はよく覚えておりませんが、その間におきまして公聽会を開く暇がありませんために、証人を喚問いたしまして、証人の説明を、各界の権威者の説明を聞いたこともあるのであります。それで大体さようなことをいたしまして明らかになつた点を申上げますると、この新らしい定員の総数をば本年度の予算定員に比較いたしますると約二十四万人の減少となるのであります。併しながら予算定員と実際おるところの実員数との間には相当に差がありまするために、現実に退職する職員の数は約十七万人前後であるということであります。尚この行政整理によりまして國費がどのくらい節減せられるかと申しますれば、その額は今年度におきまして約七十一億円、明年度以降は年々二百億円程度と予想されるのであります。
 それから更に只今挙げましたこの職員の整理に関する措置について、職員がその意思に反して免職せられるとか、或いは降職せられるとか、或いは減俸せられるとかいうような不利益の処分を受ける場合においては、國家公務員法によつて人事院に対して審査を請求する権利があるのでありますが、これがこの法律によつては認められていないという点。それから尚六月一日から專賣局或いは國有鉄道がそれぞれ專賣公社又は日本國有鉄道という公共企業体に移管される。その職員につきましては、やはりそれぞれ一般の政府職員と同樣に、定員法によつて整理されることになつておるのでありまするが、これらの企業体の人々は公共企業体労働関係法による團体交渉或いは苦情処理解決に関する規定等が、この法律の適用によつてそれが認められない点等について、委員会は愼重なる審議を遂げたのであります。尚又退職手当に関する規定等につきましても、随分綿密な調査をいたしたのであります。そこで、それらの点を十分に政府に質しまするために、特に打合会、懇談会を開きまして委員の融意なき意見を交換いたしまして、そうして大体次の四つの点につきまして政府に対して率直な意見をはつきりと聞く手法をとつたのであります。
 次の四点と申しまするのは、かように整理せられた後の官廳において、その整理後の職員の数で以て事務の遂行に支障なきやという点、それから第二は、不当免職と申しますと少し行過ぎかも知れませんが、只今説明しました通り、不当免職と申しますか、その不当免職に対する審査要求権或いは苦情処理に関する権というものが阻止せられるという点、第三には退職手当を如何にするかという点、第四には失業対策を如何にするかという点等につきまして、委員会において種々打合せの結果、それに基いて委員諸君からそれぞれ詳しい質問を政府当局にいたしたのであります。政府当局といたしましては農林大臣、運輸大臣、経済安定本部長官、或いは通商産業大臣、逓信大臣の出席を求めまして、それぞれかような人員の減少をいたしましても仕事の運用に差支ないかという点について質問したのであります。例えば、農林大臣に対しましては、食糧事務所の人員を二千九百六十八人減らす。そういうことが、國民の主要食糧の配給の上に、或いは又その主要食糧を農家から供出させる等の観点から差支ないか、又それらの買上代金を支拂うというような点において不便がないかということ、或いは林野廳におきまして、営林署の末端におりまするところの担当区の職員を減らすということにつきましても、これで林野行政の上に差支ないかというような点を質しました。又運輸大臣に対しましては、鉄道で十二万余人が職を離れる、併しながら今日の鉄道の実際を見ますると、各種の施設、即ち路線の状況、車輌の状況、その他いろいろな設備等、或いは石炭の品質の低下しておるとか、いろいろな事柄を挙げまして、結局それらの設備上物的の不便をば人の力によつて補つているのではないか、その人の力で以て補つておるところのものを、その人員を十二万人を減らすということは、これは一体どういう結果になるであろうか、というような点を質しました。尚、中央氣象台のごとき大切な特殊の技能を要するところの役所に対しても、相当思い切つた減員をなすということは、これ眞に、あらゆる方面に大切な氣象の正確を失うという虞れがあるではないかというような点など質しまして。或いは経済安定本部については、物價廳、経済調査廳等の職員をかように減らして、それでよろしいか。通商産業省においては、中小企業廳の減員について差支あるではないか、或いは又逓信省についての郵便事務の現状に考えて、このようなその不完全な郵便の事務の状況において、尚人員を減らす余地があるか、更に又貯金事務のごときは、随分増加しておる。曾ての五倍にも上つておるのに、更にこれを減らすというようなことができるか。大藏省に対しては專賣局の人員整理なども問題になつたのでありまするが、たしか政府の答弁は、要するに、とにかく政府としては、それらのことは、或いは、或る点において改善せられておる、或いは又改善に向いつつあるのであるが、これだけの整理の程度であるならば事務遂行には支障がないという答弁であつたのであります。
 第二の点、即ち不利益な処分を受けた國家公務員が、その意に反して不利益な処分を受けた場合は、人事院に対して審査を請求する権利を認めてあることは、前に申した通りでありますが、又公共企業体労働関係法におきましても、一定範囲内の公務員に対して、その苦情処理の途を講じておるのであります。これらの法律は、公務員の進退について深い考慮をめぐらして、そうして保護を全うすることを図つておるのであります。即ち憲法上、人民の基本権を擁護するとも見らるべきものであるのでありまするが、これをば本案の附則において、今回の行政整理によつて整理せらるる職員に限つて、この法律の保護を適用しないということになつておる点につきまして、委員からこもごも立つて、かような基本的人権を無視する行政整理について政府の反省を求めたのであります。併し政府はこれに対しまして、今回の行政整理によつて一時に多数の人員を整理するのでありまするから、どうもこれは止むを得ないという説明で……どうしてもこれは止むを得ない事情があるということを率直に申述べたのであります。而してこれが個々の整理を実施する場合におきましては、不当、不合理ということのないように整理を行うということを、政府は責任を以て言明するということを申したのであります。
 第三の点の退職手当につきましては、政府は整理せられる者の生活を考えて、少くとも現在行われておるところの退官退職手当支給準則の額を維持したいということを考えておるのでありまするけれども、何分昭和二十四年度の総合的均衡予算の範囲内で措置しなければならないという固い粋に嵌められた事情があるのでありまするから、そこで恩給及び共済組合給付等の関係を考慮いたしまして、そうして被整理者をば非現業雇傭人、現業雇傭人及び官吏のこの三つのグループに分けまして、そうして退職手当につきまして合理的な案を作つておる。そうして、これは目下関係方面と折衝中であるということでありまして、その数字を明瞭にして頂くことは、その時まではできなかつたのであります。併し政府はその折衝が付き次第、この法律案の附則第十一項の規定によりまして政令でこれを定めて、速かに公布するということでありました。これ以上、委員会といたしましては、この問題に関して更に論議を進めることはできなくて、一應政府の言明を認めるの外はなかつた次第であります。
 それから最後に失業対策に関しましての調査でありまするが、これ又極めて詳細な質疑應答がありました。近く発生する離職者の予想数はどのくらいであるか。それは百万人乃至百五十万人、これは國の行政整理によるもの以外に、尚企業合理化に伴うもの、引揚者、潜在失業者の顯在化、その他新規学校卒業者等のようなものを含むのでありますが、合計約百万乃至百五十万人、その中で就職ができる者はどのくらいあるかと言えば、いろいろな方面に吸收せられる計画を立てまして、百四万人、それからもう一つその離職者の中で就職を希望する者の推定が八十万乃至百二十万人ということでありまして、そこで大体において今までの推定によりまして、先ず約十六万人くらいはまだ確実な対策が講ぜられていないという模様でありました。併しこれに対しましても政府は極力就職のできるように努め、或いは輸出業たる商工業の方にこれを吸收するとか、或いは公共の土木費を使つてこの失業者を吸收するとか、いろいろ意見を申しておつたのであります。而して今年度の失業対策事業費の予算は八億八百二十六万円、それから本年度の失業保險に対する政府負担金が約二十一億円、これらを加算いたしまして二十九億七千万円ということでありまするが、この程度ではまだ十分ではなかろうということを考えられまするが、これに対しましては、政府は更に何らかの措置を講ずるということを申述べた次第であります。大体主な点につきまして申上げたのはかような次第であります。まだその他沢山の重要なる意見がありましたが、包括いたしまして、この四点を御報告するに止めて置くのであります。
 本案の審議中には、委員諸君があらゆる方面において御心配になつて、そうして種々修正案を提出せんとする模様もあつたのでありまするけれども、只今申上げましたように、政府との懇談会を開いて、自由に十分に檢討いたしました結果、いろいろな修正案の考え方、即ち食糧事務所の職員の増員とか、或いは林野廳の職員の増員とか、中小企業廳の職員の増員とか、経済調査廳の職員に関して増員するとか、いろいろなことを考えられまして、そうして如何にせば無理なる整理をば免れることができるかというように、少しでもこれを修正しようという考えはあつたのでありまするけれども、いろいろな各種の事情の結果、これが実現を見ることができなかつたのであります。それ故に委員会におきましては、この原案について討論をいたしまして採決に進んだのであります。
 原案の討議に当りましては、各委員それぞれ熱心なる意見を述べられました。堀委員のごときは、本案に反対する要点を三つに分けて、第一には、今回の人員整理は全く合理的の基礎がないのだ。のみならず、これは人権蹂躪とみなさるべきものであるという点、第二には、今回の行政整理によつて財政上の節約ができるという考え方においても又不合理である。他にまだ節約して、これくらいな國費は捻出できるではないかというような点、第三には、失業対策はまだ不十分である。從つてかような行政整理は、人員の整理は無理であるというような点を挙げられました。又三好君は同様本法案に対して反対意見を述べて、三好君としては、一般的に行政製理そのものに対して反対の意向はないのだ。併しながらこの案を見るときには、この案は科学的、合理的基礎を欠いておる。即ち天引的な機械的な行政整理であるのであるから、これはよろしくない。どうか政府は合理的な基礎の上から十分な研究を遂げて、この案を作り、國会に提出するようにという意見でありました。又カニエ委員も本案に反対をいたしまして、同様、本案は科学的、合理的の基礎がないものであるからして、結局は政府が機構を簡素化するという名前の下に整理を行なつて、その整理の結果十七万人の公務員が犠牲になるに過ぎないのだ。それで而も尚この整理によりまして、年々、本年は七十一億、來年以降は二百億ということの経費節減ができるということであるけれども、併しそのくらいのことは他に幾らでも方法があるのではないか。殊に公務員の憲法上の人権は無視せられ、それから尚残つておるところの公務員は過重な勤務を強いられて、而もこれに対する超過勤務手当の支給が十分に受けられない。疾病が続出するというようなことがあると見なければならない。だからして機構簡素化なんということが本当に実効があるものとは認めることができない。併し又各官廳間に共管事務が沢山あつて錯雜を極めておる。これらが整理せられないのだから、迷惑を蒙むるものは國民であるというようなこと等を指摘せられまして反対せられたのであります。これに対しまして、岩本君は、修正したい点は沢山ある。併しながら政府が責任を以て今後尚十分の、立派な案を作るということを言うておる以上、これを潰してしまうわけには行かないのである。又同時に我々として修正案を提出することも不可能であるのであるから、政府の声明に信頼をして賛成をするのであるが、願わくは政府は各委員の述べたこの眞劍な意見をば十分に尊重すべきものであるということを述べたのであります。その他中川委員もこれに対して簡單に賛成の意見を表し、藤森委員もこれに対して賛成せられたのであります。かようにいたしまして討論を終結いたしまして、原案について採決をいたしましたところ、多数を以て本案は可決すべきものと決定いたした次第であります。
 次に、行政機関職員定員法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、これにつきましては、すでに只今申述べましたところの定員法案が成立いたしまする以上、これに関係するところの他の法律において修正、改正を要する点が沢山あるのであります。例えば全國選挙管理委員会法とか、外國爲替管理委員会法とか、日本学術会議法であるとか、証券取引法とか國立光明寮設置法であるとか、引揚援護廳設置令であるとか、その他沢山あるのでありますが、これは先に申上げました案が成立いたしました以上は、当然の結果としてこれは修正せらるべきものでありまするので、これにつきまして何ら異議はなかつた次第であります。
 さて最後に私は議場に特に申上げて置きたいのは、この行政機構の改革と、それから定員法という一連の沢山の法律案を委員会において審議いたしたのであります。誠に沢山の法律案に対しまして、日時も極めて短かかつたのでありますが、各委員は非常な努力を以てこの審査に当つたのであります。而してその審査の言論を拜聽いたしましても、実に党派とか何とかいうそういう立場を離れまして、一に憂國の至誠に燃えて言論を闘かわしたのであります。そうして如何にせば一番いい立法ができるだろうかということに精力を集中せられたのであります。私はこれこそ、この参議院が憲法において與えられておるところの眞の意義をここに発揮したものであるということをはつきりと認めたのであります。そうして諸君がおのおの所見を闘かわした後は、実に光風霽月の心境でありまして、
   〔議長退席、副議長著席〕
私はかような立派な委員会に委員長たりしことを眞に幸福といたしまして、各委員に深甚の敬意を表すると共に、私はこれを議場に報告するのが私としての義務であるということを信ずるものであります。これを以て報告を終ります。(拍手)
#53
○副議長(松嶋喜作君) 少数意見者から報告することを求められております。堀眞琴君。
   〔堀眞琴君登壇、拍手〕
#54
○堀眞琴君 只今内閣委員長から、内閣委員会の審議、討論の模様につきまして御報告があつたのでありまするが、私は内閣委員会における少数意見として、私の意見をここに申上げて見たいと思うのであります。委員長はこの御報告の中におきまして四点、つまり事務に支障がないかどうか、訴願権を削除したということはいいか惡いか、退職手当の問題、失業対計、この四点について詳細に報告があつたのでありまするが、私も大体その問題を中心にしまして、委員長の報告に尚補足する意味において、少数意見を申述べようと思います。
 先ず第一に、事務に支障なきや、私思いまするに、行政機構並びにその定員の割合というものは、必ず一定の合理的な基礎の上に立たなければならぬのであります。言い換えるならば、一定の事務の量が決定されて、そこで初めてその事務を取扱うところの人員の数も決まるのであります。人員が先に決定して、そうして事務がこれに割当てられるというのでは、本末を願倒すると申さなければならぬのであります。私はこの点につきまして政府委員に質問したのでありますが、この点につきまする政府委員の答弁は、必ずしも私共を納得させることができなかつたのであります。例えば一般会計において三割、特別会計において二割の人員整理を行うというのでありますが、二割乃至三割の基礎はどこにあるか、何を基準にして二割、三割の整理を行うかということを質問したのでありますが、政府側においては私共に納得の行くような御答弁は全然與えておらぬ。ただ、そこに昭和六、七年前後の日本におけるところの官公職員の数はこれこれである。現在はこれこれである。從つて今日は当時に比較して五倍以上に上つておる。殊に戰爭後の増加が甚だしい。だからして、これを二割乃至三割首切ることがよろしいという、それだけの答弁なのでありまして、そこに何ら事務量との比較においての御答弁はなかつたのであります。從つてこの二割乃至三割の首切り整理というものは、合理的な基礎を持たないばかりか、むしろそれによつて、その後の行政事務の澁滯を來すということは火を見るより明らかであると思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
 それから第二点の訴願権の問題でありまするが、これは只今も委員長の御報告通り、今度は多数の離職者が出るのであるからして、若しこの多数の離職者に訴願権を認めるならば、到底その手数の煩瑣に堪えないのであろうと、こういう説明なのであります。併しながらこの訴願権は諸君も御存じのように、國家公務員がその特殊性によつて爭議権、團体交渉権について制限を受けておる。そのいわば反対給付とも言うべき意味において訴願権を認めておるのでありまして、不当なる退職の要求に対して、各自の職員がこれに対する審査を要求する権利として認められておるところの憲法上の権利であると申さなければならぬのであります。ところがその権利が、今申上げたような手数の煩瑣に堪えないというような理由だけで以てこれを認めないということは甚だしく手落である、こう申さなければならぬのであります。(拍手)
 次に退職手当の問題でありまするが、退職手当は本多國務相の説明によりまするというと、一人平均三万乃至四万円、こういうことになつておるのであります。これにつきましては只今も委員長が報告されたのでありまするが、この三万乃至四万円という金額は通常の退職金よりも少いのであります。國鉄においては今年の三月末までに一万二千人の希望退職者が出たのでありまするが、その退職者に対する一人平均の退職金は約二十万円であります。從つて今度の退職金はその五分の一乃至六分の一にしか過ぎないのであります。勿論これはその勤続年数であるとかその他の條件も考慮しなければなりませんが、併し通常の退職金と比較しましても、例えば五年勤続の職員が退職した場合、官吏である場合には退職手当は三ケ月、それから非現業の職員である場合には、非現業の特に雇傭人である場合には、共済組合の給付金が同時に支給されるのでありますが、その場合においては退職手当は三分の一減額されるということになつておるのでありまして、通常の場合に比較しまするというと、六分の一少くなつておるという勘定になつておるのであります。一方において訴願権を認められず、而も大量に首切り整理されるこの人々に対する退職金が通常の場合よりも少いということ、而も退職しても新らしい就職の機会が見付けられない、なかなか見付けることが困難であるようなこの情勢上において、そのような退職金を少く支給するということは、甚だ不当であるということを申上げなければならぬのであります。
 それから失業対策でありまするが、これも委員長の報告にありましたように、私共委員会においていろいろ労働大臣に質問いたしたのであります。失業対策費は八億数千万円、失業保險費が二十一億、これだけの金で以て果して二十万に近いところの失業者、單に官公吏の失業者だけではないのであります。恐らく企業整備によつて生ずる失業者が政府の予想している以上に沢山出て來るであろうということは、これは私共十分に推察ができるのであります。この二十何万、三十万に近いとは申しますが、百万以上の失業者を見るであろうという今日、これだけの失業対策費、失業保險費によつて、果して失業する彼らの生活、生命を支えることができるでありましようか、而も政府の計算によりましても、三十万乃至四十万は失業対策並びに失業保險の枠外に外されて、何らこれに対する手段が講ぜられないということが労働大臣によつて言明されているのであります。私はこれらの点につきまして、委員会において詳細に審議、討論したのでありまするが、政府当局からは何ら満足すべきところの回答に接しなかつたのであります。それ故に私はここに少数意見として、委員会における私の質疑、討論の大要を簡單に申上げて、私の少数意見に代えようと思うのであります。(拍手)
#55
○副議長(松嶋喜作君) 行政機関職員定員法案につき、質疑の通告がございます。内村清次君。……御登壇を願います。
   〔内村清次君登壇、拍手〕
#56
○内村清次君 私は只今議題となつておりまする行政機関職員定員法案につきまして、最終段階であり、且つ重大なる時機でありまするからして、更に政府の所信を質しまして、ここに明確にせんとするものであります。
 終戰後我が國は戰災のどん底から立上りまして、乏しい資材の中で、困難なるインフレ下にありまして、経済復興に努力し、今日相当の生産が回復いたしておりますることは、連合國の対日援助によるところ誠に大でありまするが、併し基本的には、残された我が國の労働力、即ち勤労大衆、特に労働者の日夜の努力によるものであるということは万人の認めるところであります。(拍手)吉田総理大臣は過日の施政方針演説におきまして、特に労働者の協力を求められたことは、そのゆえんのものであると信ずるものであります。併しながら協力を求められた吉田内閣が、実際には労働者に如何なる態度を以て臨んでおられるか。労働者は一般官公吏職員がこの定員法によつて二十数万馘首され、更にこれが民間企業に波及し、今や四百万以上の失業者が政府の統計によつても明らかに予想されます。この法案が社会的に及ぼす影響は多大のものでありますし、全官公及び國鉄從業員労組二百六十万のみならず、全國の民間労働階級が挙げてこの法案の成行きを注目して、且つ又失業対策の裏付けにつきましても切実に要求しておるのが現実の樣相であります。然るに今までの政府の態度は、ただ多数の威力を以て強引に押切らんとするかのごとき態度をとり、その裏付けとなるべきところの退職金の問題、これが未だに明確にされておりません。基本的人権を制限し、又整理の基準を示さないことによりまして、あの國会におきまするところの各委員会におきましても、或いは本会議におきましても、その議事の混乱というものは、我々民主勢力の挙げての憤懣が政府に集中しておるのでありまして、この点政府はみずから深く反省して頂きたいと思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)私は先程委員長の報告及び堀君の反対のいわゆる報告にこの要点がありまするが、この際委員会におきましては、いろいろに各委員の方々が熱心に質疑はしておられまするが、この際この本会議におきまして次の諸点につきまして、明確に政府の所信を披瀝して頂きたいのであります。
 先ずその第一は整理の基準でありまするが、政府は当初五十七万の整理を発表いたしたのでありまするが、それが國会の審議過程におきまして二十数万に縮減座れております。そのように何らの科学的又合理的な根拠がないのでありまして、いわゆる天下りの数字を押付けておられるのであります。若しそれが予算の削減という面から天下りに押付けるということでありましたならば、それこそ國家行政の円滑、鉄道通信の運営上、誠に政府の重大なる責任問題がここに存するものであると思うのであります。(拍手)法案にあるところの職員の定員数は、果して確実に実際面から檢討した数字であるかどうか。整理の基準はどこに求められたのか。本多國務大臣の所見を伺いたいのであります。我々は一ケ月の間すでに政府と実際に交渉をいたしております。又衆議院での審査の過程もよく存じております。政府がただ天下りに実際の業務面を無視した機械的な押付けの数字であるということは、國鉄通信のこの事業の実態を見まして、我々は実にその成行きの点について憂慮いたしております。よく承知しておりまするからして、その結果について憂慮しておるものであります。若しこの定員法が実際に行われました際に起るところの各種の事故につきまして、この責任は挙げて政府にあると思うのでありまするが、吉田総理大臣の御答弁を特にお願いして置きたいのであります。
 次に整理の方法につきまして質問申したいと思います。政府は最初申上げましたように、五十七万の整理人員が二十数万に圧縮せられておりまするが、併しながらこの整理の時期につきましても、九月三十日までと、こうなつております。併しながらこの短期間の間に整理をどのようにしてやつて行くか。この整理の措置についてまだ明確にされておりません。この措置の明確でないために、現業機関の各所におきましては人心が非常に動搖しておるのです。この動搖につきまして、実は長野管理部の一職員が、行政整理を苦に病んで鉄道自殺をしたというような事件もできております。又先般貨物列車が急行列車に追突をやつた。その新聞によるところによりますと、その原因は信号機の故障であるというような即ち施設の面、施設の保守の問題につきましても相当考えて行かねばならぬような事態があります。こういうような施設の面の荒廃によつて起るところの、実に由々しきところの、人命財産に障碍を及ぼすような事態が、今後どのようにして起らぬとも測り知れないのであります。かような事態に対しまして、行政整理の具体的な措置が分つておらない。或いは臆測におきまして、五反以下のものについては、これは鉄道の一例でありまするが、五反以下の所有地を持つておる者については、これは整理の対象になる、或いは家族に二人の鉄道職員があつたならば、その一人は整理の対象になる、或いは二十五歳以下の者は整理の対象になる、或いは勤務成績が著しく惡い者は整理の対象になる、こういうようなことのために二十五歳以下の人たちの不安がある。こういうような具体的な処置を、これは逓信の場合も同じことですが、早く示して、そうして労働組合とよく話合いをして、そうして行かなければならないと私は思いまするが、これに対して運輸大臣及び逓信大臣はどう考えておられるか。アメリカにおきましてもフーヴアー元大統領が行政整理委員長になりまして実行せられましたあの行政整理の形態は、五ケ年計画で愼重にやつておられます。それを、噂によりますると、國鉄におきましてはこの法案に九月三十日までとなつておるのに、七月までにやるというような通牒が発せられておるというような噂もあります。かようなことにおきまして、我々は強引にこの整理を強行するというところの政府の態度につきまして、少からず不安を感じておるものであります。
 次は請願権及び團体交渉権の問題でありますが、この問題につきましては堀君からよく説明せられましたから、私はこれ以上は申しませんが、いわゆる基本的人権を制限しておられると同時に、公共企業体労働組合法に明記してあるところの問題も制限しておられる。このように一方的に非常に制限して、そうして天下り的に首を切つて、而もその裏付けとなるところの退職金の問題は未だ明確にされておらない。この退職金の問題につきましても、政府はいつこれを明確にし、どのような額を支給するのであるか、ここで明確に御答弁をお願いしたいと思うのであります。
 第四点は失業対策の問題でありまするが、いわゆる政府は企業合理化を強引に行い、いわゆる集中生産を考えておられまするが、そのために官公吏の整理も含みまして、いわゆる民間労働者の整理が先程申しましたように四百万になんなんとしております。これに対するところの政府は具体的な失業対策をお持ちであるかどうか、この点を明確にここにお示しになつて頂きたいと思います。いわゆる首を切られる者、整理をされる人たちは、明日からの家族を擁しての生活に困窮するのであります。この首を切られる人方の氣持になつて、そうしてこの法案というものが、万全にこの裏付けがあつてこそ立派な法案でありますけれども、その裏付けのないところのこの法案に対しまして、我々は不満の意を表明しておるものでありまするが、この切実なる全官公職員の注目の眞中におきまして、政府に明快なる御答弁を私はここに要求いたしまして、質問を終りたいのであります。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#57
○國務大臣(吉田茂君) 内村君にお答えをいたします。この行政整理、定員法の実施ということは、日本の経済再建のために必要止むを得ざる問題として政府が採り上げたのであります。これによつて再建ができ、これによつて経済復興ができ得るならば、日本の繁栄が増し、日本の産業が増加する結果、定員法実施以前の繁栄が持ち來されたならば、失業者を吸收する上に一層新らしい労働の需要が生ずるということを政府は考えるのであります。そのために障碍があれば如何というお尋ねでありますが、政府としては十分各種の障碍が起らざるようにいろいろ愼重審議してこの案を生み出したのであります。障碍は万々ないことを私は希望いたしておるのであります。(「あつたらどうする」と呼ぶ者あり)(拍手)
   〔國務大臣本多市郎君登壇、拍手〕
#58
○國務大臣(本多市郎君) お答えをいたします。今回の行政整理に当りまして、政府が決定いたしました整理率の問題でありますが、これは御承知の通り一般会計三割、特別企業会計二割を目途とするということを決定いたしたのでございます。これによつて決定されました結果が、新聞で傳えられておりました数字よりも大変に減つたという理由はどこにあるかという御質問でございましたが、これは二割、三割ということを目途とはいたしましたけれども、でき得る限り実情に副うようにということを調査して参りました結果、いろいろの点において除外例を設けなければならぬことを発見いたしたのでございます。例えば國立学校或いは國立療養所、病院、その他現業的な、特別企業会計ではありませんでも、現業的な方面につきまして相当の例外を設けたのでございます。こうした実情に副うように調査いたしました結果が、新聞に傳えられておりました数字よりも相当に減つた理由であるということを御了承願いたいと存じます。更にこの人員の査定に当りましては予算定員を標準としてやりましたことも、すでに御承知とは思いますけれども附加えて置きたいと存じます。次に整理の時期についてでございますが、これは六月一日より九月までの間におきまして、後の事務に支障を來さないように、引継ぎその他配置轉換等の計画を遺憾なくやつて実施いたしたいと考えております。
 更に人員整理の基準についてのお話でありましたが、地主であるから或は家族が多いから少いからというようなことは、全然さようなことは決定いたしておりません。又考えてもおらないところでございます。年齢の点におきましても、在職期間の点におきましても、こういうことを整理の基準とするということは考えておりません。勤務成績その他の事情状況を勘案いたしまして、愼重に主管大臣が調査いたしまして公正に実施する考えであります。
 退職手当の問題につきましても、御承知の通りに、本年度の予算の範囲内においてこれを賜つて行かなければならぬという事情がありますので、でき得る限り從來の準則通りの、即ちこの準則と申しますのは一般退職の場合の二倍の金額であります。この準則通りの退職手当を出したいと苦心はいたしましたけれども、以前申上げましたような事情の下に幾分減額されることの止むを得ない状況になつておるのでございます。これにつきましてはでき得る限り退職者、実際の退職者の数を減して行くということが必要でありますので、最後まで配置轉換等の計画を進めまして、この枠内においてでき得る限りこの退職手当の金額も多く渡るように措置すべく努力いたしておる次第でございます。私のお答えするところは以上であつたと思います。(拍手)
   〔國務大臣鈴木正文君登壇、拍手〕
#59
○國務大臣(鈴木正文君) 政府は四月の末に、一應当時の見通しといたしまして、失業者の数を百二十万乃至百四十万ということを発表申上げた筈でございます。但しこの中には、行政整理によつて出て來るところの失業者は四十万と当時の状況において見越しておりましたので、現在の状況と照し合せますと、ここには多少の数の相違があるのでございまして、その点は四月末日から今日までの状況の変化というふうに御了承願いたいと存じます。そうして、これをこの当時の百二十万乃至百七十万、このうち百万乃至百四十万は就職を希望し、又失業救済を希望する人々であろうという数字を、これも同時に御発表申上げたのでありますが、この吸收の大体の考え方につきましては、これは衆参両議院の委員会その他を通じてしばしば申上げたのでございますが、失業問題の最終的処理は、新らしい國民経済の新雇用面への吸收が終らなければ完成しないということは勿論でございまして、それならば本年度どれだけ新雇用面が國民経済の中に開かれるか、これは安本及び商工省当局と打合せの結果、今年度内に貿易産業を中心として四十万人、二十五年度には大体八十万人くらいの雇用が、一方において失業は出て來るけれども、雇用も亦開けるだろうという見通しを持つておるのであります。(「嘘をつけ」と呼ぶ者あり)そうして、このうち大体この面に最終的に雇用をして行くと同時に、一方失業保險を以ちまして、これは保險法の改正、保險料の実質的引上その他を以て、すでに今議会に御協賛を得て、失業保險法の改正はでき上つておるのでございますが、この予算に計上されたところの二十一億円の國庫負担を以てしては、大体三十万人の人たちが失業保險の対象となる。併し保險経理そのものは非常に健全でありまして、無理をせずして今年の経理関係だけで七十五万人の人たちを対象とし得るだけの経理の基礎を持つておる。昨年度の剩余金と合せますと、百十万人の人たちを対象とする基礎を持つておるという保險経理の実情でございます。併しながら保險によるところの失業対策というものは飽くまで消極的な、段階的なものであることは勿論でございまして、先程も申しましたように新雇用面に配置轉換して行くところの段階的の方法として保險の力を借りる。併しその保險は非常に幸いにしてこの段階において健全であるということを御報告申上げる次第でございます。
 尚そういうふうにいたしまして、その時間的なズレというものを生じて來る。それに対應するのがいわゆる狹義の直接的な失業救済事業でございまして、これに対しましては、先に両院を通過いたしましたところの緊急失業対策法によつて、労働大臣が直接必要な時期、必要な場所に、急速に直接的に失業救済事業を展開して行くという準備を整えておる次第でございます。その経費が八億八百余万円では少いということを指摘されましたが、私もそう思います。この点につきましては内閣全体の責任といたしまして、必要な時に必要な措置をとつて、予算的な操作を行なつて、そうしてその段階に應じ得るように、急速に措置して行くということにしたいと存じます。(拍手)
   〔國務大臣大屋晋三君登壇、拍手〕
#60
○國務大臣(大屋晋三君) 鉄道におきまする行政整理の基準如何という御質問でございまするが、鉄道におきましては、各業務機関ごとにその仕事の分量を檢討いたしまして、それに適当な要員の配置をいたす勘定で、結局十万内外の人員の整理と相成るわけでありますが、更にこの十万人の内容を如何なる基準に求めるかという御質問でありまするが、これは各從業員の技倆、或いは勤務振り、或いは人柄、(「人柄とは何だ」と呼ぶ者あり)或いは健康状態というような各般の状態を考査いたしまして、それぞれそれらの標準によりましていたすつもりであります。
   〔國務大臣小澤佐重喜君登壇、拍手〕
#61
○国務大臣(小澤佐重喜君) 内村君にお答えいたします。お話の趣旨によりますというと、今回の定員法の基礎となりましたいわゆる逓通省において四万八千人の整理は、何ら科学的な根拠がないじやないのかというお話であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)逓信省に関する限りは、昭和九年のいわゆる能率を基礎といたしまして、而もその後における変化、即ち労働法規の適用、或いは労働力の構成等を参酌し、これに事務量を按分いたしまして決まつたのが只今の定員法の現状でありますから、この問題はすでに委員会で度度御答弁した通りであることを御了承願います。
 尚この整理の基準でありまするが、この整理の基準もいろいろ各大臣からお話があつたように、いろいろの考え方がございまするが、つまり私といたしましては、この問題は各省とも大体同じ標準で行くことが必要ではないか、こういうふうに考えておりまするので、不日自分らの持寄りました考えを政府として一纒めにしまして、一つの基本を出し、更に各省ごとに特殊事情のあるところは別個の基準を設けて整理に当ることが適切ではないかと考えておる次第であります。更にこの整理を断行するに当りまして、労働組合と協議するかどうかという問題でありまするが、これはできるだけして行きたいと思います。併しながら労働組合と協議することによつて、この行政整理の目的を敢行することができないと認めた場合には、相談せずに行きます。要はできるだけ労働組合の考えを尊重しながら、而も政府の施策を強力に実施するような方針で進みたいと考えております。(拍手)
#62
○副議長(松嶋喜作君) 行政機関職員定員法に対し討論の通告がございます。
   〔羽仁五郎君登壇、拍手〕
#63
○羽仁五郎君 私は無所属懇談会を代表いたしまして本法案に反対をいたします。
 專制時代の政治はいざ知らず、近代政治においては、目的は決して手段を正当化しないのであります。そうして若しその方法を誤まつておつたならば、その目的も決して到達されないのであります。今も政府から答弁がなされましたように、行政整理をやる、そうして、それによつて國民の負担を軽減し、行政事務の能率化を図るということは、これは目的であります。併しそれをどういう手段によつてやるのか、どういう方法によつてやるのかということは、全然はつきりした御説明がないのです。ですから若し國会がこれを通過せられるとすれば、國会は依然として旧憲法時代と同じような翼賛國会となるより外ないのであります。國会は目的だけによつて政府に全権を委任することはできないのであつて、國会は、その目的を政府がどういう手段によつて、どういう方法によつてやるかということまでも説明しなければ、現在の民主主義の國会、人民を代表しておる國会は決してこれを通過することはできないのであります。これが私がこの法案に反対いたしますところの全体的な理由でありまして、この政府は行政整理をやろうとしておりますが、今政府がやろうとしておるような法律では行政整理そのものができないであろう。國民の負担軽減ができないであろうし、行政機構の能率化ということもできないであろう。この故に反対せざるを得ないのであります。今申上げましたことを約七ケ條に亘つて申上げたいと思います。第一はこの行政整理によつて大衆の負担を軽減するということが輿論であるということを言われるのですが、然らば如何なる大衆負担を軽減するかということを我々は、内閣委員会と人事委員会が連合して努力をしたのでありますが、その席上で質問をいたしましたときに、大藏大臣は二回に亘つてはつきりと、特に大衆の負担というものの軽減を考えていないということを公言せられておるのであります。これは正に世論に應じて國民の負担を軽減するために行政整理をやると言つて置いて、実際は國民の負担の軽減を今特に考えていないと言われておることを明らかにしておるのであります。で、そのことはどういうことを意味するかと言えば、この行政整理によつて國民大衆の負担というものを考える、軽減するということを考えるよりも、何か特殊の或いは少数の人たちの利益のために、多数の人を犠牲にしようとしておるのではないかということを疑わせるものがあるのであります。これが第一の反対の理由であります。
 第二の反対の理由は、先程からいろいろの質問にもありましたように、今度の行政整理をやつて行政機関の機能に支障がないかというお尋ねがあつたのでありますが、これは実は非常に消極的なお尋ねであつて、行政整理をやる、定員法を決める以上は、この定員法によつて行政事務がどれだけ能率が上るかということの御説明がなければ、実はこれは定員法と言うことができないし、行政整理ということはできないのです。ところが支障はないかというお尋ねに対して、今も総理大臣も支障がないことを希望するという程度であつて、決して行政の能率が上つて國民が非常に感謝するようにする確信があり、又その方法はこれこれだという御説明がないのです。これは行政整理とか或いは定員法とかいう名前に値しないのです。現に日本の官僚主義、これに伴ういわゆる行政事務の煩瑣、國民が長い間悩んでおりますいわゆるハンコをついて、そうしてレツド・テープの、そうして冗務の多いああいう仕事をこの際にどういうふうに簡素化するのか、どういうふうに合理化するのか、それによつて國民が眞に國民の公僕としてのいわゆる官廳事務の能率化というものを、どういうふうにして受入れられることができるのか、これについては全然委員会の間においても一つも報告がなかつたのであります。而して我々が委員会を通じて感じたところは、多くの欠員が隠されておるのではないか。そうして多くの冗務が依然として続けられるのではないか。これは警察関係においてもそういうことは言えます。警察官が非常に増大しておることから、それに伴つて警察関係で非常に繁雜ないろいろな関係が起つておるのではないか。この点につきまして非常に我々が目を引きますのは、最近の五月二十二日に、日本タイムズがその社説を以て、農林省の畜産局というものが殆んどその過半の力を競馬のために割いておる、競馬部というものを持つておる、そうしてこの競馬部に対して、政治的腐敗の根源を國民の税金によつて養つておるということを痛撃しておるのでありますが、今後の行政整理においては依然としてその競馬部は存続して、そうして農林省としてやらなければならない、或いは畜産局としてやらなければならない他の面を少しも考慮いたしていない、或いは逆に農地改革をやるべき農地部をなくしてしまう。農業協同組合の世話をしなければならない農業協同組合部というものを削つてしまう。競馬部のような政治的腐敗の原因となるようなものを存置して置いて、國民が希望しておるようなものを削つて行く、こういう端的な表現を示しておるのであります。そうして、さつき堀議員も指摘せられましたように、今度の定員法及び行政整理において、我々が何度繰返して政府は行政事務の質と量とをどういうふうに把握しておるか、如何なる性質の行政事務がどれくらいの量であるのかというその資料を政府に何度要求いたしましても、遂に我々はこれを手にすることができないのであります。そういう意味で、今度の定員法或いは行政整理に何らの合理的、科学的根拠がないと断ぜざるを得ない。尚このことに関係して、今回の定員法或いは行政整理の関係において、政府はいずれも同じ政府部内の人事院、我々が官廳行政の合理化と能率化のために新らしく法律を以て設置したところの人事院というものの機能を全然活用していないということであります。活用していないどころか、人事院と政府との間には絶えず衝突或いは行き違いを起しておることは皆さんがすでに御承知の通りであります。例えば政府は今度の行政整理を第七十八條によつて行おうとしておる、第七十八條によつて行うならば第八十九條のいわゆる苦情処理というものを削ることができない。こういう点において人事院と政府とは意見が対立しておつたのであります。そうして、いつの間にか政府は第七十八條によつてやるのだということを言わなくなつてしまつたのであります。又人事院はこの整理の基準というものを立てることは合理的な基礎において立てることができない。若しやるとすれば、消極的に、第一に、公平の原則を守らなければならない。第二に、組合活動の理由を以て首を切るということは絶対になすべきではない。この程度のことを明らかにしておるのでありますが、政府がこの点についてどう考えているか、はつきりしないのであります。これが我々が今回の行政整理或いは定員法というものが何ら行政機構の流線化又は能率化というものではないという意味で反対せざるを得ない点であります。
 第三の理由は、今度の定員法において國家公務員法を蹂躪しておるということであります。我々は國家公務員法そのものに対しても反対したものでありますが、その國家公務員法を制定した政府みずからが國家公務員法を守る誠意がないということを現わしております。これはすでに委員長及び堀議員その他からも十分に説明せられましたので省略をいたします。この点で尚強調しなければならないことは、國家公務員法の或る部分を用いて、或る部分を用いない、こういうことが現在の政府ではなされる危險があるのであります。これは法律をこま切れにすることであつて、法律で自分の都合のいいところはこれを使つて、自分の都合の惡いところは使わない。こういうような法律に対するこま切れ主義、つまり法律に対しても一種の残虐行爲を加えていると言わねばならない。而も御説明があつたように、國家公務員の苦情審議の権利というもの、或いは公共企業体の團体交渉権及び苦情処理権というものは、爭議権に代つて與えられたものであります。でありますから、若しこれを奪えば、これを奪つて、そうしてこの國家公務員なり公共企業体の労働者がその生活を守る唯一の道として、彼らが爭議権の奪還、或いは爭議に訴えることを、むしろ今日の政府は挑発しているのではないかというふうに考えられるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)これが我々の反対の第三の理由であります。
 反対の理由の第四は退職金の問題であります。これはすでに各議員から申されましたので省略いたします。
 第五の理由は、失業対策がないということであります。失業対策がないということについては、特に五月二十四日の世界経済新聞が「失業対策に本腰を入れろ」という表題を以て社説においてこれを指摘しております。「最近に至つて失業者の増大は極めて大きな重圧感を與えている。問題の根本は、失業者救済対策を何一つやることなしに、政府は定員法の成立を契機として行政整理を行い、又各企業とも合理化の重点を人員の淘汰に置いているためである。若しこのままで放置して置けば、一大社会不安を釀成することは恐らく必至であろう。」尚詳細にこの点を指摘しておりますが、これは良心のある人間は、現在の定員法及び行政整理に対して、政府が何らの失業対策なしにこれを國会に提出しておることを怪しまざるを得ないのであります。
 反対の第六の理由は、今回の行政整理或いは定員法というものは、國の経済を救うとか或いは日本を救うとかいうことではなしに、反対にこれこそ日本の國を滅亡の方に向つて進めて行くのではないか。これは第一には食糧供出の問題でありますが、この食糧供出は現在一町村に一人前後の檢査官で以てやつておる。そうして約二千俵の食糧供出の檢査をやつておる。この結果檢査は粗漏になり、規格が不正確になるので、行政整理によつて國庫負担を減少すると言いながら、実は國庫が損失を蒙むり、他面において代金の支拂が遅れる結果、つい、この米が闇に流れる傾向がある。この点において大衆の食糧費の負担が増大する。第二は、今の交通の問題でありますが、國鉄の人員が多過ぎるということをしばしば政府は言つておられます。実際において戰前三十万、現在六十万と言われておるのですが、この中で十八万は特殊の事情において置かれておる者である。いわゆる日本が占領下に置かれておる関係等よつて置かれておる者である。そうして現在戰前三十万に対しては四十二万でありますが、これに対して実際國鉄が果しておるところの仕事は、貨物において戰前の一三〇%、人員の輸送においては戰前の三・五倍、これを両方併せて二五〇%の能率を上げておるのであります。でありまするから、三十万に対して四十二万の人員で以て実は二五〇%の能率を上げている。而もこれを現在整理する結果、すでに本省の業務局長が持つておるところの五項目三十九條というものによつて、國鉄の人員を十二万整理する結果、どういうことを今後やらないかというと、これを我々が見ましたときに戰慄を感ぜざるを得ないのであります。或いは急行列車の通過の監視を止めるとか、その他いろいろなことがありますが、その中でも特に國鉄從業員の中のいわゆる連結手、生命の危險をも伴つておる連結手の見習期間というものを全然なくしてしまつて、採用された翌日から走つておる汽車に飛び乘つて連結をやらせる。こういう生命の危險をも感じさせるようなことをやらせる。そうして現に昨日靜岡において衝突が起るとか、或いはその他日本の國鉄がいろいろな点で、施設の老朽等によつて乘客の生命を安全に保持し得ないところに、今のようないろいろの種類の安全を守るための仕事を今後やらないことにしてしまう。これは先日も公聽会に参つて公述人が述べられたことに、或いは政府は何とかして、これをやると言われるかも知れない。國鉄從業員としては、一にも確認、二にも確認、三にも確認というふうに言つて、ポイントを一つ倒して、それから手でさすつて、誰もいない夜中であつても、口でそれを唱えて、そうして乘客の安全を保つておるのに、今のような六十万人中十二万の整理によつて、確認という國鉄の傳統が失われてしまつて、乘客の生命の安全が脅かされるということには、飽くまでも反対せざるを得ないと言われるのであります。
 その次に、この亡國的である、國を危くするものではないかと特に指摘せざるを得ないのは労働基準の問題であります。これは日本人は長い間いわゆる低賃金労働をやつて來たのであります。低賃金労働というものが、世界國際市場においてその商品市場をシヤツト・アウトされ、そうしていわゆる戰爭手段に移つたということは、皆さんのよく御承知のところでありますが、極く最近の四月九日の日本タイムズに、司令部のヘプラー君が、日本が労働基準法を変えるようなことがあるならば、これは世界によつて非難され、國際市場は日本の輸出商品に対してシヤツト・アウトをするであろうということを警告しているのであります。然るに今回の行政整理によつて、如何にも労働基準法は変えられないのでありますが、労働基準は前進する代りに後退するのであります。これは法を変えたか変えないかということを世界が見るのではなくて、世界は日本の労働基準が高まる代りに低まつたということを見るならば、今ヘプラー君が警告されておるような、日本の輸出商品に対して國際市場でシヤツト・アウトされるという危險が完全にあるのであります。こういう事実を眼前に置きながら、どうして日本の経済が繁栄し、失業者を吸收するというような出任せなことが現政府の口を通じて言われることができるのでしようか。こういうふうに見て参りますと、この今回の定員法、行政整理は、要するに正当に働こうとする人たち、或いは婦人や小兒というものが虐待されないように守らなければならない婦人少年局というものを、僅かに百五十人によつて全國の婦人や小兒が虐待されるのを防ぐということは、言うべくして行われないことです。即ち正直に働いて正当な生活ができるという望みを絶つて、その人が或いは惡事をやり、犯罪に走つた場合に、これを捕える方の法務廳関係は九九%で全然行政整理をしていない。こういう政治が若しこのまま断行せられるとするならば、國民が正当に働いて何とかして食う、それこそ國を興す途なのであつて、そうではなくて、正当に働いても食えないのに、惡事を働けばそれを捕えて行くというのは、私は國を滅ぼす政治であると言わざるを得ないのであります。
 尚この問題については、逓信省において現在約四千人の人が結核によつて入院しておる。注意を要求せられている者が一万二千ある。これが恐らくは今回の行政整理でこの人たちの首を切ろうとするのだと思う。この人たちは逓信省に入つたときは丈夫な身体であつたのです。そこで働いておる間に結核になつたのである。從つてこの人たちが療養することは逓信省が責任を持つておることなのですけれども、こういうことはしないのみならず、こういう人たちを首にするということは、今後いわゆる集團檢診を拒絶する人が非常に多くなる。集團檢診を受けて結核を発見されたら次に行政整理になるということですから、集團檢診を受けないようになる。或いは現在でもこの行政整理に引掛るのではないかと思つて、血痰を吐きながら職場に出て來る。こういう者を見るごとに、行政整理によつて國費を節約するのだと言うのですが、これでは日本國中が結核になつてしまうということを恐れなければならない。(笑声)これはお笑いになるが、実際逓信省の保健課長の長谷川君が明らかに言つておられるところであります。(拍手)こういう行政整理、これは私は國内の國民、労働者や、婦人や、小兒を虐待して、そうして而も國際市場から輸出貿易をシヤツト・アウトされて、そうして國民を結核に追い込み、或いは刑務所の中に追い込んで行く。極く少数の人の利益のためにこういうことをやつて行く。これは亡國的定員法であり、國を滅ぼすところの行政整理であると断ぜざるを得ないのです。現に我々が見る毎日の新聞紙を見ても浮浪者が刻々に増大しておる。昨日東京都の職業安定所において、自由労働者諸君が職を得る希望が達せられる見込がないので、或いはそこに騒ぎが起つている。こういうことは、恐らくこの現内閣が公約を履行することができなかつたということは、或いは時局を担当する能力がなかつたということであるのではないか。そのことが今度の行政整理にも現われているのではないか。即ち行政整理をせらるべきものはむしろ現内閣ではないかと私は考えるのであります。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)若しも民主主義的な政府ができるならば、必ず我々が希望するような行政整理をなすことができるでしよう。併しここに出されているものは行政整理でも何でもないのであります。これはむしろ國民に対する残虐を続けて行おうとするものに過ぎない。これは單に労働階級だけではなく、日本の多くの市民が、日本の官僚主義というものをどうかして打破して貰いたいと思つているので、この法案に期待しているのですが、実はこの法案は官僚主義を一片だに解決しようとはしていないのであります。(「時間だよ」と呼ぶ者あり)現行政整理が全く欺瞞的なものである以上、我々は賢明なる参議院が本法案を潔く否決せられんことを衷心より希うものであります。(拍手)
#64
○副議長(松嶋喜作君) カニエ邦彦君。
   〔カニエ邦彦君登壇、拍手〕
#65
○カニエ邦彦君 私は只今上程いたされましたところの行政機関職員定員法に対しまして、日本社会党を代表いたしまして反対をするものであります。討論に先立ちまして皆様に一言お断わりし、且つお願いして置きたい点がございます。後から出ますところの本法案の一部修正案を除いて、残り全部に対する修正案があるということを十分御了承願いたいのでございます。それから本法案は、我々労働者にとりましては最も重要な問題でございますので、十分に我々の意見を述べさして頂きたいと思うのであります。只今議長から時間の制限を受けているのでございますが、大体は先ず時間制限内にやれるものと思うのでございますが、多少延びるかも分りませんので、その点は皆さん一つ御了承をお願いいたしたと思います。(「了承しないぞ」と呼ぶ者あり)
 この法案の狙いとしているところは、皆さんも御承知の通り、戰後の國の役所が非常に多く殖えたということ、從つて役人の数が余りにも多過ぎるので、これでは國の世帶がやつて行けないから、一つ二重三重にダブつているような役所はこの際できるだけ整理をして、そうして人員も一般会計三割、特別会計二割を減らして、そうして國の財源を助け、現在の危機を乘切ろうと言つているのでございます。これは理窟では非常に至極尤もなように聞えるのではございますが、事実は全くそうではないのでございます。法案の第一條に、先程説明されたように行政機関とはどういうものを言うかということを規定しておりまして、第二條では、一應各省各廳の定員は何人ということを、即ち我が國の役人の総数を八十七万一千二百七十九人と規定しており、第三條では各省廳内の人員の融通が自由にできるというようなことに定められているのであります。第四條では、毎月行政管理廳長官……そこにおられる行政管理廳長官の手許に一々報告をするという義務を規定しているのでございます。終戰後我が國の憲法は、労働者、勤労者の基本的人権を守ると共に、自由なストライキができ得るように、いわゆる罷業権をも認めているのでございます。ところが公務員法は、國の官吏であるという立場から、一般の労働者や勤労者のように自由にストライキができないように公務員法で定められているのございます。即ちいわば両手を後手に縛り上げられているような形になつているのでございます。その代りに一つ公務員法の八十九條から九十二條までの規定で、不当に首を切られた者は審査ができ得るよう、いわゆる訴願権が認められているのでございます。即ちせめて口だけでも一つ……手は括つておるが口だけでも自由に抗弁できるようにしてあるのであります。この法案の附則の第五項から第十項までの規定は、これら公務員の最後の命の綱とも頼むべき訴願権が取り上げられているのでございます。即ち口で物を言うだけ認められているやつが、その口の中に手拭を捻じ込まれて、そうして物も何も言えないように、この点でやつているのでございます。こうなりますと、國家の公務員というものも実に哀れなものでございまして、手足は公務員法で後手に縛られておるし、而も今度の法律では猿ぐつわを口に嵌められている。昔から私は、どんな大惡党でも皆首を切る前には親切に教悔師と言いますか、坊さんが出て來て、そうして本人に対して丁寧に納得の行くように話をし、得心させた上で、而もその遺言の一言もしやべらせて、そうして首を切るのであると聞いておるのであります。而もその首を切るときには日本刀の切れ味のよいので、ずばりつと切り落す。而も切る前には死骸の片附け方につきましても丁寧にちやんと準備がしてあると、こう聞いておるのであります。この法律の附則の第十一條では、肝腎の失業対策或いは退職金の問題はこれを政令で定めると言つており、即ち死骸の処置については政府が勝手に自分でお手盛りでやつて行くというようなことになつておるのでございます。このことは政府が首切りの責任を我々國会になすり付けて置いて、その責任を我々に轉嫁せんとする以外の何物でもないのでございます。こうなると、手足を縛り上げられ、口には猿ぐつわを嵌められ、而も切れないところの鉈で首を叩き切つて、死骸は足で蹴つ飛ばして、そうして首を木の上にさらして、そうしてさらし首にするようなものであつて、首を切られる公務員の沢山の人たちは恨めしうて、とても死んでも死に切れず、冥土へも行けないと思うのであります。(拍手)而もこのむごたらしい首切りをする首切浅右衞門は、あすこに鎭座ましますところの本多國務大臣でございます。お顔は至つてこう円満そうに見えるのでございますが、腹の中は至つて薄情なものでございます。(笑声、拍手)又このような残酷な首切りに賛成をされたところの内閣委員の、民自党の諸君はともかくもといたしまして、中でも緑風会の官僚出身であるところの、ここにおられる鈴木、新谷の両先生のごときは積極的に大賛成をされておるのであります。私はこの緑風会の皆樣方が全部が全部かような、えげつない、血も涙もない人ばかりであるとは決して思つておりません。
 先ず、今回の二割、三割という基準でございますが、どこの役所をどれだけ機構を改革することによつて、又どれだけの仕事を減らすことにおきまして、どれだけの人員を整理するという科学的な又合理的な基礎の上に立つてなされるのが当然だと思います。政府は一体如何なる基礎によつてかかる基準を出したのか、私たちはここを数日來お互いに口を酸つぱくして追究しておるのでありますが、これだけ沢山両脇に大臣がおられて、ただの一人として満足な答弁をして頂いた方はございませんのであります。強いて追究されると、それは各省大臣は、政府から無理押しに今度は押し込まれたので止むを得ずやつておると言いますし、又首切りの総元締である本多國務相に聞けば、それぞれの主管大臣から御説明をそれは申上げますと言い、我々は今日まで到頭その本体を掴むことが実はできずに終つたのでございます。
 要するに、今回の整理の基準の数は何ら科学的根拠によるものではなく、それかと言つて、仕事の量からこれを決めたものでもございません。全くの天下り天引行政整理であつて、我々は我々の國民生活を全面的に破綻に導くところの反動政策の一環として行われるものであつて、而も憲法に規定されておるところの基本的人権を無視して強引に断行されるところの暴力的な首切りのための首切りであつて、我々はかような行政整理に対しましては断乎として反対するものであります。(拍手)
 さて、我が國の官吏の数は諸外國に比較いたしまして多いと言つておられるのでございますが、実態はどうであるかと言いますと、アメリカ、イギリス、日本の官吏の数を総人口及び有業人口との比率を最近の資料を以て見まするならば、次のようでございます。即ちアメリカが総人口一億四千四百万人、有業人口が五千七百九十四万七千人、官公吏の数は中央で百九十八万五千人、地方では三百六十六万八千名、合計で五百六十五万三千人、総人口に対して官吏の数は二五・四人に一人、有業人口に対しては十二人に一人、イギリスにおいては総人口は四千五百万人、有業人口は千九百十万三千人、これに対する官吏は中央は百八万一千人、地方は百十四万二千人、合計二百二十二万三千人、総人口に比して二〇・二人に一人、有業人口に対しましては、八・六人に一人となつており、一方我が國におきましては、総人口は七千九百万人、有業人口は三千六百二十万人、官公吏の数は中央で四十七万一千人、地方では百二十一万三千人、合計百六十八万四千人、総人口に対して四六・八人に一人、有業人口に対して二一・五人に一人という数字となつておるのでございます。(「鉄道は民営だ」と呼ぶ者あり)我が國の中央官吏のうち四十七万一千人の中には、鉄道、逓信、專賣等の特別会計に属するところの現業百二十万一千五百九人及び公團の職員十二万八千四百九十七人は、以上申述べましたアメリカ、イギリスの対比の上から除外しておるのでございます。アメリカ、イギリスについては各軍隊二百二十万と八十一万を除外いたしました。特別会計と公團とを含めた場合には、総人口に対して二十六人に一人となり、有業人口に対しましては十二人に一名以下でございます。只今申上げましたアメリカにおける資料は一九四七年十二月の資料であり、イギリスの場合は一九四七年七月の数字であります。我が國の有業人口は総理廳統計局による一九四八年十月の資料でございます。我が國の中央、地方官吏の数はおのおの二十三年三月一日の数字でございます。かくのごとく数字によりましても、アメリカ、イギリスのように行政のやり方がすべて機械化されて、そうして組織化されておる國々と比較して見ましても、決して多いとは言えないのでございます。戰後我が國の官吏は急激に増加したことは、我々の認めておるところでございますが、併し現在の我が國の状況よりして、官吏を減らすことにおいて我が國の再建ができ得るとは考えられないのであります。現在の各官廳並びに現場の実情は、働く者が足りなくて或いは労働強化となり、胸部疾患その他の病氣で倒れる者が増加の一途を辿つておるのでございます。又婦人の労働者におきましても、十分な休暇が與えられておるにも拘わらず休暇を取ることができず、而もこれらの人々は予算の関係でオーバー労働に対する賃金も十分には貰つていない現状でございます。我が國の官吏が終戰後増加した原因はいろいろあるのでありますが、官僚統制の強化、渉外事務の複雜化、民主的改革、現業の諸施設の老朽等によるものでありまして、官僚統制の強化は、戰後における経済再編成の過程において政策的に強行なされたものでございまして、経済安定本部とか或いは物價廳、或いは経済調査廳等はそのために新らしく設けられたものでございます。その他各省廳ともに人員の増加、機構の拡充を招いたのでございます。地方出先機関の増加もこの理由によるものでありまして、渉外事務の複雜化は占領下におけるところの特殊的事情に基くものでありまして、政府の政策次第によりましては、その削減は可能と思われるのでございますが、現在のような自主性も亦責任性も失つているところの現政府の下では、ますます渉外事務が殖えるばかりでありまして、戰後において民主的改革が行われた一例として、各種の行政の委員会とか或いは審議会、調査会等の設置並びに調査統計部門の拡充、或いは又各種の社会保險制度に應ずるところの機構の強化新設等、すべてその現われでありまして、戰後における急激なる官吏の増加は、仕事の量が飛躍的に増加したことに実は原因しておるのでございます。ここに從來の定員が二割乃至三割削減されるといたしますれば一体どうなるかについて、二三の現場について申上げて見たいと思うのであります。
 先ず郵政電信関係の現場におきましては、事業量は逐年ますます増加をするに反しまして、從業員は必ずしもこれに追い付いておるのではございません。例えば保險年金業務におきましては、昭和九年に比べまして年金契約の件数は四倍以上に達しておるのに対しまして、人員は三倍にも達せず、而も労働力の構成は、労働の強化と待遇の劣惡から非常に不安定であり、又熟練者は年々減少しておる状態でございます。のみならず戰災施設の復興及び保全は極めて不良でありまして、例えば戰災局舍の復旧は、郵便局で約半数でございます。電信局で三分の一に過ぎず、加入電話のごときも四〇%が被災し、これの三九%が僅かに漸く復旧したのみという現状でございます。保全について一例を申しますと、郵便袋、いわゆる行嚢でありますが、その使用量は戰前に比べまして六五%に過ぎません。又電話故障率について見ましても、昭和十二年の八・一%に比して二十二年度には二七・四%に達しており、事業施設が如何に荒れ果てているかということを物語つておるのでございます。かくて事業量の絶対的増加、施設の能率低下が從業員の上に労働強化の形となつて蔽いかぶさつており、このために逓信事業におけるところの、先程も羽仁さんから話されました通りに、結核罹病率は他産業に比べまして最もその高率を示し、東京三中央局では療養を要する者が一三%にも達しておるというのでございます。又曾て昭和五年には二十五都市の平均の電報の所要時間は僅かに五十七分でありましたが、現在では約七時間を要しておる状態であります。從つて逓信現從業員の労働條件を安定せしめ、そうして人員を増加する措置を講ずる以外には、この荒れ果てた現場を救済することは不可能と私は信ずるのでございます。然るに今や予算節減のために十人に対しまして一人の割合で整理されるならば、その事業は完全に麻痺し、恐るべき亡國への途を迫るに過ぎないことは明らかであります。
 更に國鉄において言うなれば、二十三年度の予算定員の六十二万七千五百名を五十万六千七百名に、約十二万名を整理しようというのでありますが、この場合現業は平均一七%に止まるが、管理部門は実に五〇%の整理ということに相成るのでございます。又現業中最も重要な部門であるところの機関区、電車区は、実に三三%の減員となることになつております。然るに一方國鉄の從業員諸君は、驚く勿れ年間を通じまして八万人分の超過勤務を余儀なくされているのでございます。而も十分な超過勤務手当は未だに受取つておらない実情でございます。然るにも拘わらず十二万人を整理せんとしておることは、五月十四日に我が党の政調会主催の定員法案説明会において、加賀山長官は婉曲に今回の首切政策は失敗するということを事前に認めている。而もこれを強行するごときことになれば、電車区において送電事務に重大なる支障を來し、或いは通過列車監視の削減、中間駅信号係の減員、巡察員の廃止、外勤運轉係の廃止等を結果し、今日すでに路線の荒廃はその極に達し、國鉄の現状を熟知せる專門家の人たちは安心して汽車には乘れないというようなことを言つておるのでございます。危險状態に更に拍車をかけ、交通事故は更に今後増加することとなるであろうと思います。更に又小駅の廃止、それから今の駅の裏口の閉鎖、出札窓口及び改札窓口の一部閉鎖、手荷物小荷物取扱時間の制限等が行われる結果となりまして、國鉄のサービスは著しく低下することとなるでございましよう。
 又測候所、氣象台の減員の問題でありますが、現在六千四百名の諸君のうち、その三分の一の二千数百名を減らそうというのでありますが、現在の数においてすら、その所掌事務を遂行することが非常に困難な状態にありまして、三分の一の減員となりますれば、農業、漁業、海運等の発展のための科学的資料は殆んど提供されることが不可能の状態となることは全く疑えない事実にあるのでございます。一端を述べましただけでもかかる状態でありまして、必要欠くべからざる民主主義の徹底に資すべき方面は遠慮なく整理をいたし、その半面、海上保安廳とか、或いは法務廳とか、警察関係官廳は、首切りどころか却つて増員せねばならぬというようなことを言つているのでございます。今回の整理のかような実情で、政府の言い分によりますと、官吏が多過ぎるといつて、まるで、なまくらな役人が役所の中をうようよしているような聞えるのでありますが、現在におきましては四十八時間制と、この六千三百円ベースの鎖に実は繋がれておりまして、極度の労働強化となつているのは前にも申上げた通りでございます。
 さて次に今を機会に行政機構の簡素化をやると政府は言つておるのでございますが、皆樣方も各省設置法案ですでに見られて御承知のごとく、今回の行政機構というものは、事務の徹底的簡素化を図つたとは言つておるのでございますが、その片鱗だにその姿が跡形も見えぬのでございます。ただ現在の機構を総花的に二割三割を圧縮して行なつただけでありまして、却つてそれがために不自然な形になつておるのでございます。行政機関の徹底的簡素とは、でき得る限りの二重三重の行政事務を一体にして、窓口を一つに纏め、二重行政或いはハンコ行政の幣を排除すると共に、各省廳の共管事務を徹底的に整理統合しなければならないのであります。然るに依然として官僚の繩張り行政が行われておるのでございます。一例を申上げますと、建設業務にいたしましても何ら建設省に一貫されておらずに、優秀な技術者を各省に分散をいたして、港湾は運輸省に、河川は建設省に、漁港は農林省に、又電源の開発は通産省に、その他限りなく同じ土建事業がそれぞれに分散されておりまして、これによる國家の損失は非常に厖大なものであろうかと思います。又我我労働者の保險行政にいたしましても、簡易生命保險は郵政省に、國民健康保險は厚生省に、健康保險、厚生年金保險、失業保險、労災保險、船員保險、農業保險、山林保險、漁船再保險等は、或いは運輸省に、或いは労働者に或いは厚生省に、或いは農林省にばらばらになつておるのでございます。官僚繩張り行政をやるところの行政の大臣方には一向にお構いはないのでございますが、やられる方の労働者農民は全く迷惑千万至極な話でございます。又その他生産業務を担当するところの糸や織物を農林省がやつて見たり、上屋倉庫、埠頭施設の管理の権限につきましても、運輸省、大藏省等において権限の爭いをやつて見たり、貿易関係の爲替管理にいたしましても、大藏省、通産省両省間において権限の爭いがあつたり、公共事業費の査定におきましても、経済安定本部と大藏省に重複する面があり、又炭鉱行政におきましても一部は運輸省がやつて見たり、一部は厚生省がやつて見たり、或いは建設省がやつて見たり、労働行政につきましても一般労働者の労働行政は労働者にあり、又海運局がやつて見たり、運送機関の施策に当りましても、船を作るのは運輸省がやつて見たり、同じ輸送機関でも自動車を作るのは通産省がやつて見たり、その他数限りない矛盾が、重複が露呈しておるのでございます。かような意味からいたしましても今回の行政機構の改革は何ら國家の利するところは蚊の涙程もないのでございます。
 然るに今回の行政整理によつて一体どれだけの國家財源が節約されたかと言いますと、先程も大臣から説明があつたように、整理人員十七万一千三百人に対する一般会計、特別会計で、本年度の予算節減額は、政府の言明によりますと七十億であります。本年度予算一般会計、特別会当三兆六百六億円の支出から見ますと、この節約額の比率は〇・二二に過ぎません。我が國の総支出から見ますると余りにも僅少でざいます。これを政府は緊急非常時突破の唯一の手段であると言つておるのでございますが、私はかかるような節約は我が國の経済から見てどこからでも実は搾り出せると確信を持つて申上げたいのでございます。例えば一例を申上げただけでも、物價廳におけるところの價格調整補給金の本年度の歳出二千二十二億円、同じく物價差益金の歳入二十三年度決定額におきまして二百五十億六千万円、これらの歳出歳入の合計二千二百七十六億六千万円のこういうものの取立て或いは拂い渡しの業務に從事しておる者は僅かに合計七百四十五人で、非常に無理な過重労働の結果、勢い歳出歳入業務の疎漏を來しておる現状でございます。これに所要人員の二百人も配置轉換をいたしまして完全な実施をさすことによりまして、一割の節減をいたすことは決して難事なことではございません。このことだけでも二百二十七億円に相成りまして、今回の行政整理による節減額の七十億から見ますと約三倍にもなるのでございます。又現在の予算定員百六十五万六千九百三十人から、二十四万八百十一人もの現在欠員があるのでございます。かかる点から見ましても、ここ一、二年間新規の採用を見合わすだけでも、今回の首切り十七万人は、急がなくても病氣や或いは高齢者等の退職者で、放つて置いても自然となくなると思うのであります。かような点から見まして、政府は國民の基本的人権を奪い去り、國家公務員法によつて保障されておるところの訴願権をも剥奪し、十七万人の首を切り、その家族の生活権をも奪い取り、塗炭の苦しみに追い込んでまで敢えてやらねばならないのか。或いはこれが國家再建の最大にして唯一の方策であるのでしようか。行政整理によるところの官吏の首切りは、單に十七万人の官吏とその家族の死活問題ではない。資本家はすでに政府のこの方針に倣いまして、各経営者、各産業において続々と首切りを強行しておるのでございます。これによつて恐らく二百万を超える失業者を生み、七百万に上るところの家族をこのインフレのさ中に路頭に放り出すことになるのでございます。数百万の同胞を失業と困窮のどん底に陥れてどこに経済の再建があるか。又これを経済復興と呼ぶことができるのでございましようか。(拍手、「そうだ」と呼ぶ者あり)政府は行政整理の強行によつて日本経済の混乱と國民生活の窮乏を、社会不安の招來をみずからの手によつて押し進めんとしておるのでございます。吉田内閣は勤労大衆の首に刄を擬しておるのでございます。首を切られた幾十万のこの官吏の人たち、それに続いて街頭に投げ出された数百万の労働者は、果して默つてこの暴力的な馘首を堪え忍ぶでありましようか。勤労大衆の生きんがための闘いは必ずや廣汎に展開され、その波はやがて怒濤と化して、吉田反動内閣と、それが代弁する資本主義そのものをもやがて呑み盡す日が遠からず來るであろうと私は思うのであります。(拍手)私は特に生活を奪われ、生命の脅威にさらされておる全労働者、勤労者を代表し、同僚議員諸君の良心と良識に訴えて、本法案を否決されんことを切望いたしまして、本法案に反対するものでございます。(拍手)
#66
○副議長(松嶋喜作君) 中西功君。
   〔中西功君登壇、拍手〕
#67
○中西功君 傍聽席の方々の方が遥かに眞劍なように見えるこの議場において、私は氣を腐らすことなく、我々日本共産党の、この定員法に対する反対意見をここに述べんとするものであります。この定員法は單なる官吏の首切り法案ではない。これこそ日本民族の運命に関する問題であります。この定員法こそは日本を植民地化し、日本経済を破壊し、日本を退歩させ、労働者農民を塗炭の苦しみに突き落そうとする一切の反動政策を強行しようとするための新らしい官僚機構を作らんとするものであります。(「見解の相違」と呼ぶ者あり)これは未曾有の惡法であり、我が日本共産党は断乎としてこれに反対するものであります。私は先ず政府がこの行政整理を強行しようとする理由や或いは宣傳が全く嘘であることを強く指摘せねばならないと思う。即ち民自党は第三回選挙におきましては、選挙必勝虎の巻というものを発行いたしまして、廣く全國に遊説をいたしました。その虎の巻には、國民がこのように税金地獄で困つておるのは、一に官吏が多いからである、この税金地獄からの脱出の途は、行政整理によつて官吏の首を切ることであると大々的に宣傳したのであります。ここにおられる議員諸君にも、必ずや覚えがあると思うのであります。更にこの定員法を作成するに当つては、民自党の政府は、財政を健全化し、行政能率を作振し、官僚主義を排除し、かくして日本経済を安定させることがこの法案の目的であると言つております。併しこれはすでに赤兒でも騙し得ない余りにも馬鹿らしい口実のための口実であります。
 第一に、すでに幾多の委員、議員によつてここで指摘されましたごとく、この十八万に近い人を切ることによつて浮く財政上の節約は、僅かに〇・二%か、或いは一般会計だけ見ましても、即ち税金に対比しましても〇・六%、これに過ぎないのでありまして、私はここで、はつきりと、このように官吏の首を切るような吉田内閣こそが重税によつて國民の首を切るものであるということを、はつきり申すべきであると思うのであります。更に官僚主義の排除や或いは行政能率の向上等々の言葉も、同樣にこれは全く虚構であります。そうではなくて、反対にこの定員法こそは最も惡辣な新らしい官僚機構を確立しようとしておるのであります。
 そこで私は、次にこの定員法によつてどんなことが起るのか、又政府の本当の狙いはどこにあるのかということを具体的に述べて、我々の反対の論点を明白にいたしたいと思うのであります。
 第一は、この定員法、或いはこれと関連しておるところの各省設置法案、そういうものが実は國家企業を崩壊に導くものであります。この点であります。これについては私は沢山述べません。二、三の例を直接ここで申上げたいと思うのであります。即ち若しこれが強行されるならば、日本の現在の國家企業や或いは経営は完全に行き詰るであろうという点なのであります。山梨縣の大月電話局では七台の電話交換台があるが、必要人員が十九名であるのに、実際人員は九名でしかない。而もこの状態において尚、首を切ろうとしておるのであります。大阪の逓信局では貯金事業は未だ二年前の仕事をやつております。更にこの貯金関係にも大鉈が揮われようとしておるのであります。而も超過勤務でやらせようといたしましても、すでに諸君も御存じのごとく、今年度の予算においては超過勤務手当は殆んどないのであります。一体どうしてこの運行をやろうとするのか。これが鉄道においては更に甚だしいのであります。すでに國鉄については幾多のことが述べられておりますので私は述べませんが、端的に言いますれば、國鉄では現在でも八万人の人が、即ち八万人分が超過勤務をしておる勘定になつておる。或る場合においては現在首を切られたことになつておる人が臨時人夫となつて働いておるという現状がある。而も超過勤務手当は殆んど出されていない。過剩労働のために病人が二倍にも殖えておる。運轉事故は今日五倍以上も殖えておる。而も一億四千万トンという新らしい飛躍的な課題が國鉄に與えられておる。こういう状態で十二万人を首切つたならば一体どうなるか。もうすでによく知られておることでありますが、大阪駅は八十七センチも沈下しておりながら放置され、貨物関係の各駅は沈下して、貨車レールは洪水に浸されておるという現状であります。その他沢山のことがあります。併し私はここにも書いてありますけれども、ここでは述べません。とにかく、この國鉄の運営が実際に甚だしい危險に遭遇することは極めて明白である。現に東海道線では昨日大きな事故が起つておる。山陽線でも起つておるように、最近五ヶ所殆んど同時に起つておる。このようなことに対して、この参議院の委員会に証人として來た國鉄労働組合の鈴木市藏氏は、自分たちがこの案を、当局に対してこれでやれますかと言つても当局自身確答を與えない。一体誰がこの責任を負つて呉れるのか。自分たちは死力を盡しておるが、自分達は責任が持てない。鉄道当局自身が責任を持たないと言つておる。一体どこに持つて行つて、誰が責任を負つて呉れるのか。汽車が轉覆して沢山の人が死ぬ。この責任を一体誰が負うのか。私はこの責任こそこの國会が負うべきであると思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)これに賛成した議員諸君が負うべきであると思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)我々はこのような危險に國民をさらすわけには行かない。從つて我々はこの法案に断乎として反対いたし、又今まで反対して來たのであります。更にもう一つ述べますれば、氣象台におきましても同樣のことが起るのであります。諸種の関係からこの氣象台では三割近い整理が余儀なくされております。若しこれが強行されたならば、実際には單に天引きでは済まされなくて、各地の観測所は閉鎖されるより外ないのであります。そういたしましたならば、この打撃を蒙むるものは何であるか。これは日本の漁業であり、日本の農業であります。漁業の振興或いは農業の振興ということを口に易々と言う人はありますが、併しこの法案に賛成して安易に漁業の振興などということは断じて言えないのであります。かくてこの定員法は、日本経済をいつ故障が起るか分らない汽車に乘せ、電報もろくに届かず、天候も予知できない全くの暗闇の途を進ませることになるのであります。私たちはこの定員法の実体こそ、このようなものであるということをはつきり知らねばならぬと思うのであります。
 第二に國有企業のこのような破壞だけでなく、実は日本の経済行政全体を破壞するものであります。この度の人員整理案を見ますならば、文部省、法務廳は九九%残つておることになつておる。総理府は九〇%残されておる。これに対して農林省はどうか。農林省は八〇%、通産省は八〇%、建設省は七六%、労働省に至つては七二%に切下げられておるのであります。(「間違つておるぞ」と呼ぶ者あり)而もこの各省の内部においても甚だしく均衡を失しておる。農林省のうち食糧管理事務や林野局事務等は、全く事務が不可能になる程、甚だしい打撃を受けます。これは商工省においても同じであります。中小企業廳のごときは半減に近い状態になつております。同時に又資本家の私利利慾を見張るような部門、本当に日本の経済建設を助長する部門は極度に節減されておる。特にこの点について注目に値いするのは、調査統計事務並びに科学技術部門、このような部門が容赦なく削られております。私はこのことは、民自党の政府が計画的の経済建設に無能であることをよく示しておるだけではなく、惡辣なる彼らは、この計画的な建設の基礎を破壞しようとすることもよく示されておるのであります。これがこの定員法が日本の経済建設に與える現状態でありますが、このような状態でどうして日本の建設ができるでしようか。我々はこの定員法に賛成される人々は、今後日本の復興とか建設とかいう言葉を使わないようにして頂きたいと思うのであります。私はその人には新日本の建設に対して一言の発言権もないということをはつきりと断ずるものであります。(「偉いぞ」と呼ぶ者あり)
 第三に、これは我々國民生活への非常に大きな脅威であります。今回の整理案を見れば分りますように、厚生省、労働省は特に甚だしく切られておる。即ち多少でも我々國民生活に役立つていたものは容赦なく切られて行くのであります。これについては労働基準局或いはその他、厚生省の各部を見れば分ります。これは時間の都合もありますので、これは省略したいと思います。とにかく、このようなことは、民自党が予算面において教育費や或いは公共事業費や病院費等を殆んど切つてしまつたと揆を一にするものでありまして、定員法自体は、先に申しましたように決して單なる官吏の首切りでなく、我々の國民生活全般に対して極めて由々しき影響を持つておるということを、ここにはつきり示しておるのであります。
 第四は地方行政に対しても甚大な打撃を與えます。詳しく述べる必要もないと思いますので省略いたしますが、現に出先機関を地方行政に移讓したり、逆には地方の配付金を大量に削減したりして、地方にどんどん國務が移讓されている。而も地方財政は枯渇している。こういう関係において、定員法が通つて行くならば、これに倣つて地方でも又大きな行政整理が行われることは必然でありますが、それがそういうふうに行われていたならば、地方行政自身も全く崩懷して行くことは極めて明白なのであります。
 第五に、この法案は私的独占資本の経済力を強化しようとすることを直接の目的としているのであります。民自党が長い間自由経済と称して、國有企業を解体したり、國家統制を私的独占資本の手に握るために、國鉄を公社化し、公團を改廃したり、中小企業を無慈悲に壞して來た。実はこのようなことを促進するために、わざと旧來の國家統制事務を混乱させ、この面からも私的資本の跋扈を助長しようとしているのどあります。これは民自党が税金地獄を逃れるために行政整理をやるのだと宣傳して來たのを顧みまするとき、この宣傳が如何に惡辣であり、敵は本能寺に別にあつたかということが極めて明白であります。我々は國民の犠牲において、みずからの支配を築かんとするこの法案の立案者たちの惡辣な意図に対しては、断乎として反対するのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)
 第六に、この定員法は買弁的な奴隷的な新らしい官僚機構を作らんとするのであります。この官僚機構については、一方には公務員法というものがある。これによつて全官公労働組合に入つているところの労働者、從業員の自主的な活動を完全に禁圧している。更に又一方には、昨日通過しましたところの國立大学設置法案、あのような愚民政策によつて木偶の坊のような官僚を作らんとしている。更に政府並びに民自党は、この行政整理が飽くまでも官廳行政の簡素化にあるがごとく宣傳しておりますが、事実は一方においてそのように公務員に対し非常ないろいろの圧力を加え、ここにおける良心を持つた人々を追い出しつつありますが、他方では屋上屋を架するがごとく幾多の機構を作つて、上級官僚をみずからの手に買收しようとしているのであります。これを一番明白に現わしておりますのは、國家警察が四万七千人になつているということ、更に又九百二十八人しかいないところの宮内府において九人の特別職を置くことが許されている。どの官廳においてもこの特別職はそう多くはいないのであります。一人か二人のものであります。だが九百人そこそこしかいないところの宮内府において九人の特別職というものが許されている。更にもつと特徴的なのは、この度の各省設置法案には無数に審議会、顧問会議、いろいろのものが‥‥まだ参議院で議了しないところの参政官法案というものまで姨捨山見たような、そのものが(笑声)とにかく無数にある。運輸省だけでも二十九ある。一体これは何であるか。これが簡素院かどうか。(拍手)これこそは大きな大資本家が直接に官廳に來て、そうしていろいろのことをし、実際に全國家機構を彼たちのために自由自在に駆使するところのこの取引場所であります。このようにして、一方では良心的な官僚を抑え首切りながら、一方ではこのようなものを目茶苦茶に作つている。一体何の簡素化であるか。而もこのような審議会或いは奴隷的なこの官僚機構は、直接にいろいろの線を使つて外資と結び付いておる。このようなところに新らしくでき上るところの官僚機構は、はつきりと独占資本のために奴隷のようになり、更に又買弁的なと言いますか、賣國的と言いますか、そのようなことをするところの官僚機構にならざるを得ない。ここに我々がこの定員法に対して、なぜ眞劍に反対しなければならないかの非常に重大なる点があるのであります。更にこの官僚機構の問題について言いますれば、このような機構ができるということは一体どういうことか。これは國民や國会を全く無視して、金融資本家、或いはそのような大きな資本家共が官僚と一緒になつて國家の最高の政策を決定してしまう。國会なんか單なる附属に過ぎない。このようにして定員法が作られ、各省設置法が作られ、公務員法が実現されているのです。実際に憲法は無視されている。日本の民主主義は死んで行くのであります。我々のこのような法案に賛成する議員が若しあつたとしたならば、その人自身みずからを愚弄しているものと言いたいのであります。
 第七、最後に我々は、この法案が公務員さえ無視しておる。即ち指摘されましたごとく、訴願権を抹殺しておるとか、或いは何らの失業対策が考えられていないような無責任なものであるとか、退職金さえ未だに決定し得ないでいること、このようなことに対しても幾多述べなければならぬと思います。が併しこのようなことは、すべて政府の理不盡な無責任な態度を最もよく示しているのであります。而もこのことは、政府がこれ程の重大法案を会期余すところ四、五日に切迫したときの國会に提出し、我々に十分な審議の期間も與えず、どさくさに紛れて強行通過を図つた、このずるい態度と全く揆を一にするのであります。このような政府の無誠意な態度、強引な態度が、今回の参議院の混乱を招いた根本原因であります。以上により、この法案の由々しい反動性は極めて明白であります。この法案に対して沢山の國民が猛烈に反対していることは当然であります。これは労働者階級にとつては正に死ぬか生きるかの問題である。労働者の誰一人として賛成する者はないのは当然であります。故にすべての労働組合は、早くからこれに対して猛然と反対し、國会に対しても何回かのデモ或いは陳情を行なつておるのであります。かくのごとく労働者を初めとする日本の勤労大衆がこの法案に対して反対しているのは、このこと自身が如何にこの法案が惡法であるか、破滅的な法案であるかということを示しているだけではなく、労働者を中心とする勤労大衆人民こそ、眞にこのような日本民族を破滅させる法案を葬り去る力を持つておるということをも示しておるのであります。(拍手)眞に日本民族を更生せしめるために労働者階級が如何に大きな力を持つておるかということをも示しておるのであります。我々も亦この議会内において、この惡法の阻止のため、通過阻止のため、全力を盡して闘つておる。如何に僞裝的な輿論が振り撤かれようとも、二十三日夜のこの國会の轟きは必ずや全日本のすみずみまで響き渡り、それは多くの國民の奮起の烽火となるであろうことを我々は確信するのであります。私が今この反対演説に立とうとするとき、秋田の國鉄労働組合から次のような電報を受け取りました。「國鉄を破壞する定員法反対、貴下の御健闘を祈る、秋田電務区」と書いてあります。若し不幸にしてこの法案が通過するならば、二百数十万の全官公労組の労働者諸君は直接にこの惡法に当面するのであるが、その時こそこの人々は、全國民にこの惡法が如何に惡いかを行動を以て勇敢に示すであろうということを我々は確信しております。この惡法反対の闘爭は、我が民族を独立に導き民主主義を守るための光栄ある日本國民の闘爭の重大な一環であります。日本共産党は、これらの破滅的な法案に対し、更にこれを強行しようとする吉田反動内閣に対して更に勇を鼓して闘うことを、ここにはつきりと宣言するのであります。終り。(拍手)
#68
○副議長(松嶋喜作君) 木下源吾君。
   〔木下源吾君登壇、拍手〕
#69
○木下源吾君 私はこの法案が衆議院に上程せられて以來、我が党は挙げてこの法案の通過を阻止し、何とかしてこの法案を葬り去り、そのために私共は全力を挙げて闘つて参つたのでありますが、
   〔福議長退席、議長著席〕
凡そ私の反対討論が終りますならば、この法案が或いは通過するのではないかという、こういう場面に直面いたしまして、私はこの機会に心から参議院の同僚諸君の良識に訴えても、この法案を阻止したい。かように考えて只今この演壇に立つのであります。すでに反対者諸君の討論におきまして、皆さんは十分この法案の内容並びに性格等は究められたと思うのでありますけれでも、私は更になぜこの法案に我我は強く反対しなければならないかということについて、聊か申上げたいと思うのであります。
 第一に、この法案はそれ自体フアツシヨ的である。又この法案は私共から見まするならば、何でもない、單なる首切り法案である。かように私共は信ずるものであります。なぜフアツシヨ的であるか。言うまでもなく先程來の演説でお分りのように、この法案は我我が今賛成すべき何らの根拠が政府によつて示されておりません。政府を信ぜよ。退職金の問題については後から……。或いは又いろいろの資料につきましても我々は明確にすることはできない。委員長の報告にもありましたように、整理人員すらもその人員が明確ではない。一切を挙げて政府に信頼せよと言われておるのであります。曾て我々は東條内閣時代に、恐らくこのように信頼せよの一点張りで、國会がこれに盲從したのではなかつたか。私共はどうしてもかかる政府の態度に盲從することはできません。すでに政府はこの法案の提出に際しては政治的な一つの意図を持つて出されていること、從いまして衆議院におきましては、民自党の圧倒的多数を以てこれが容易に通過して本院に参つたのでありますが、本院においてこそ、我々はこの内容を究明し、又我が参議院の持てる性格をはつきり示すべきであると私は考えます。私共先程來の懲罰事犯におきまして、本院の権威を高めるためになさなければならぬ数々のことを知つておりますが、今や我が参議院は、自分みずからの使命を達成し、その権威を高めるためにこそ、かかる内容の根拠薄弱なる、而も政党の政治的意図を以て通過を強行せんとするものに対し、私共は本当に今こそ考え直さなければならないと信ずるのであります。
 本法案は私は憲法を無視しておるものである、この点を強く申上げたいのであります。御案内の通り、憲法七十三條には「法律の定める基準に從ひ、官吏に關する事務を掌理すること」とかように書いてあります。この法律に定める基準というものが一体どこにございましようか。別に國家公務員法におきましては、この憲法の條章に從い、人事院がこの基準を定め、人間の首切り或いは減少等に対して総理大臣に勧告することが規定せられておるのであります。皆樣、今回の行政整理において人事院は全く政府と背反しております。人事院はこの問題に関與しておらないということはしばしば諸君の耳にするところ、知つているところでありましよう。從つて人事院が政府に基準を定めて勧告したということを諸君お聞きになつたでありましようか。私はこの一点が今回の行政整理が無理であり、政治的の問題としてこれを採り上げ強行せんとするところに極めて不自然がある。この基準というものが示されない限りにおいて、今回の行政整理は不可能であります。若しもこれを強行せんとするならば、首切る者の主観で、独断で、首切る者の欲するままに、少数の権力者によつて多数の公務員が人権を蹂躪せられる結果になるということは火を見るより明らかでありまして、かかる意味において私はこの法案の内容がフアツシヨ的であると断ずるものであります。先ず、私は本法案に対する基本的の態度といたしまして、憲法を無視し、又はその疑義あるものを、参議院の任務とし参議院の性格として、どうしてもこれは阻止しなければならないし、賢明なる同僚諸君の良識に改めて私は訴えなければならないと固く信じているものでございます。
 次に、然らば本法案の政治的の面を見て見ましよう。政府はこれからやることを信用せよと、かように申されておりますが、この法案に関する限りでも、今日まで我々が信用し得るような態度を実際に示しているでありましようか。すでに申されたごとく、行政整理は國費の節約であると言えましよう。そうしてその人員は曾て示されたごとくであります。然るに現在において、正確ではありませんけれどもが、約十七万人というところに段々減少して参つたのであります。而もその理由は、先程この壇上から國務大臣の答弁をお聞きになつたごとく、実情に則して、実態に應じてこのように減少して來たのだど言つているのであります。果して然らば、政府は余すところなく、行政機構の末端まで、この実態を眞劍に、民主的に、科学的に把握したでありましようか、これが行われておらないところに現在世論がごうごうとしているのであります。私はかかる意味において、現政府の政治的な性格を信用できない。かように断言せざるを得ないのであります。このような意図を以て出されているこの法案には、政府は本当に愼重にかかる重要な法案に対して準備せせられたでありましようが、先程も申されるように、アメリカにおけるところの行政整理は、元大統領のフーヴァー氏を委員長といたしまして、而も長い期間多数の人が巨額の経費を使つて、これが行政整理の諸問題を研究し調査いたしました。そうして本年二月七日に米國会にこれが報告になつているのでありますが、これらの目的は、各行政機関は各局別に一々檢討され、権限の重複は如何にして正されるか、どこに経費の節約の余地があるか、どうすれば能率が向上されるか等々について具体的に示されておるのであります。然らば我が國の今回の行政整理に関しまして政府は如何なる態度をとりましたか、御案内の通り行政機構刷新審議会に答申を求めて、審議会が答申しておるのでありまするが、極めて雜駁なものであり、而も極めて簡單なものではありまするけれども、この答申の中にありまする重要な諸点について、政府はこれについて考量を拂つたでありましようか、私は今日までの政府の答弁において、これらの答申さえも無視されておると考えられる点が沢山あります。例えば失業対策においては、退職者に対しては建設的労働への意欲を振起せしめると共に、公共的建設事業等にこれを吸収するよう適切に措置すること、又は退職者の自立的更生に資するため特別の融資の方法を構ずること、失業保險制度の改善及び生活保護法による扶助額の引上げ等の措置により、退職者の最低限度の生活を保障する方法を構ずること等の諸点を挙げておりまするが、最後にこういう一項があります。整理対象の決定の基準等につき内閣は人事院と密接な連絡を図ること、これが行われておりません。尚その末尾には、特に連合國最高司令部の理解と協力を得ることを絶対の要件とすると書いてあります。先程國務大臣の答弁におきまして退職金の問題はお聞きになつた通りであります。まだ関係筋の了解は得られておらない。この退職金問題、行政整理問題に最も重大な要素をなすところの退職金問題に対して了解を得ておられない。このように、審議会が答申しておる中にも特にこの点を強調しておるのでありまするが、未だ関係方面の協力を十分に得ておらないと私は考えられるのであります。
 かかる今回の政政整理は、然らばその仕事の面で政府は政治的に或いは財政的にやらなければならぬと言いますが、仕事の面でどうであるか。而論この点は政府は考慮しておるようなことを言つておりまするが、私共はさように感じておりません。例えて言うならば、国鉄の場合をとつて見ましても、日本通運から小荷物、手荷物のこれらの事業を國鉄に取上げること、通運は……早川君はそこにおられますが、この小荷物、手荷物には現在まで三万人の從業員を使つております。一方國鉄においては現從業員を九万八千人切るのは、極めて下の極めて重要なそういう人々を切るのでありまするが、尚その外に三万人の仕事が殖えるのであります。諸君は官吏の態度、官吏の職務の状況を、或いは國鉄職員の状況を遊んであるとはお考えになりますまいか。暇だとお考えになつておりましようか。只今申上げた事例一つでも、この三万人分は否應なしに仕事が殖えるのでありましよう。この一点を見ましても、本当に政府は我が國再建のために、財政のための節約はそれはよろしいが、一方に政府の事業、行政事務を完全に行うということを考えて、或いは実際面から汲み取つて、かかる行政整理を行おうとしておるのであるかどうか。この点は賢明なる諸君はすでに御了承だと思うのであります。私共すでに今國会において二十四年度の予算はこの議場において議決いたしました。予算は法律案であります。そうしてその予算にはすでに政府の意図するところのこの行政整理の内容が組まれておるのである。政府が眞にみずからの責任において、我が國のために、國民のためにやろうとするならば、あの予算で十分である。何故に今日我々のもとに、而も予算の定員と変りないようなこのような法案を我我の前に提出するのでありましよう。私はこれを提出する人は重大な首切りの責任を我が國会に轉嫁しようとする。この点に対して私は政府に対して猛省を促さなければならない。そうして先程來も退職金の問題が出ておりまするが、末だ決定しておらないし、これをやる場合には政令を以てこれを定めるとしてある。諸君、この点は承服できますか。私共民主國会においては、今日までみずからの権限拡大のために、或いはみずからの権限縮小に対する防衞のために諸君が闘つておられると確信しております。現政府は、これら公務員は單なる使用人であつて、國民の一人であり我々國民の胴体のどの部分であるかを考えておらない。私はこの点に対しまして、我が参議院においては飽くまでも公平にこの問題は処理されなければならない。かように考えます。失業対策の問題等においても政府は何ら誠意を示しておらない。こういう点から考えて見ましても、これら公務員は自分の身体の一部分である、こういうことを考えたならば、決してこのような不親切なことはできないと思います。万一政府がその声明通りにやろうといたしましても、決して我我國会を満足せしめるものではない。私共は政府が独断で今回の首切りを行い、而もその結果を我々國会に責任を轉嫁しようとするこの態度については、私は反対するのみならず、このような法案はどうしても通過させられない。我が日本社会党は行政整理に反対するものではありません。改めて強くここで申上げます。民主的で、能率的であることは、ただ数の問題だけではない。算術のプラス、マイナスの問題ではない。我々は行政機構の改革においては、掛けるような、割るような互いに密接不離な協力を以て事務の能率を挙げなければならないということを我々は考えております。(「簡單に願います」「分りました」と呼ぶ者あり、笑声)諸君、この法案が政治的の意図の下に利用されることなく、参議院の権威を高めるために、どうぞこの採決に当つては、我が日本の政治をかくある、民主的な政治であるということを中外に示すために、何とぞこの法案に対しては多数諸君の反対せられんことを切に希望いたしまして、私の討論を終ります。(拍手)
    ―――――――――――――
#70
○議長(松平恒雄君) 行政機関職員定員法案に対し、三好始君より成規の賛成を得て修正案が提出されました。この際修正案の趣旨説明を求めます。三好始君。
    ―――――――――――――
   〔三好始君登壇、拍手〕
#71
○三好始君 私は成規の手続をとり、各会派多数の賛成者を得まして、只今上程せられております行政機関職員定員法案の一部修正案を提出いたしましたので、その趣旨を御説明申上げます。
 定員法案の内容に対して我々は種々檢討を加えた結果、修正の望ましい部分が相当多く認められたのでありますが、諸般の情勢により、農林省の林野廳関係だけ修正案の提出が可能になりましたので、ここに修正案の趣旨を申上げる次第であります。修正案の内容は、配付されております印刷物の通り、林野廳の定員を原案より千九百五十八人増加せんとするものであります。定員法案によりますと、林野廳に置かれる職員は二万三千三百十四人となつておるのでありますが、この算出に当り、実行機関である営林署は、標準予算定員の二割減、担当区員は一割減とされたのであります。ところが現場官廳としての営林署は、林野の荒廃が憂慮され、その復旧育成の重要性が痛感されている今日、國有林野事業の実行に任ずる重大なる任務を有することは申上げるまでもありません。加うるに今回の農林省設置法案において、民有林の造林及び営林を指導する事務が明記せられるに至つているのでありまして、その使命は一段と重くなつて來ていると言えるのであります。すでに実施中の本年度予算においては、営林署はその事務の実情と重要性に基き、人員は一割減として認められておるのであります。修正案はこの二十四年度予算定員と一致せしめて、人員を一割減に止めようてするものであります。又営林署の末端機関たる担当区員は、営林署の管轄区域内の一定の個所に單独で分散駐在し、直接國有林の保護管理に当つているものでありまして、特に司法警察権を有し、火災、盗伐等の予防処理にも從事しているものであります。從つて事務の実情から減員は困難と認められるものであつて、本年度予算におきましても減員されないでそのままになつているものであり、修正案は定員をすでに実施中の本年度予算に合致せしめんとするものであります。以上のごとく、本修正案の実現により、本年度予算に何らの変更をも必要としないものであることを特に指摘いたす次第であります。
 林野の荒廃復旧が國家的な課題となつている今日、定員法案修正の可能性を認められた唯一の本修正案が実現いたしますことは、林野関係者に対し、その責務の重大性に対する自覚を要請することとなり、林野事業の遂行に大いに寄與するものであることを確信いたすものであります。私は國民生活上における森林資源の涵養並びに利用の重要性に対する皆さんの御理解に訴え、特に治山治水に対する参議院の一貫した熱心なる主張を貫かれることを要請いたしまして、本修正案に対し御賛成をお願いいたして止まない次第であります。簡單でありますが、以上を以て修正案の趣旨説明を終ります。(拍手)
#72
○議長(松平恒雄君) 三好君の修正案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。宇都宮登君。
   〔宇都宮登君登壇、拍手〕
#73
○宇都宮登君 私は只今三好議員から提出に相成りました林野廳定員法に対する修正案に賛成をいたすものであります。(拍手)
 政府提出の原案によりますと、営林署二割、山林の第一線を担当いたしまする担当区員即ち森林主事を一割削減しようとする機械的な整理案であります。
 今回の農林省設置法によつて、営林署は從來の通り國有林の管理経営に当ると共に、今後その職員は民有林の合理的経営に関する指導奬励の業務をも担任することになつたのであります。從いまして、職員二割の削減を実施されることになりましては、我が國の森林復興は全く可能となり、治山治水等災害予防に大きな支障を來すことは明らかに予想されるところであります。又森林主事は、森林警察吏の職務をも重ね負わされ、國有林を災害盗難の被害から守り、風水害の天災を防除し、更に進んで木材生産の実務にも当るものでありまして、重い重い責任を負うと共に、その一人の担当面積は平均いたしまして約四千町歩、中には一人で二万町歩にも及ぶ者さえあるような次第であります。かように廣大な面積を頂かり過重な責務を有する森林主事を一割を減員することは、全く実情に副わないものと言わねばなりません。
 從來民有林の官行造林が余りに廣い面積に対して人員と予算とが甚だしく不足であつたために、その管理が行届かず、極めて成績の惡かつた事例に鑑みましても、このたびの修正案の必要性は十分実証されると思われるのであります。
 以上述べましたような極く一部の理由だけを採り上げて見ましても、この修正案の妥当であることは何人にも了解されるところでありますが、現在年額四千四百万石の生産量を超えて七千万石にも及ぶ過伐をしている國有林におきましては、実際の業務に携わる営林署の職員を二割、(「元氣がないぞ」と呼ぶ者あり)更に第一線の実務を行う森林主事を一割を減ずるがごときは、実に現実に即した人員配置を全然顧みない乱暴な整理案であつて、むしろ増員を必要とするものと考えるものであります。この度の修正案でも決して十分ではありませんが、この程度のものならば、すでに認められた予算の範囲内で実施できるものでありまして、農林関係の議員もこの修正を切に望んでおるものであります。私は右申述べました趣旨に基きまして本修正案に賛成の意を表明するものであります。(拍手)
#74
○議長(松平恒雄君) 高橋啓君。
   〔高橋啓君登壇、拍手〕
#75
○高橋啓君 私は本案に賛成する理由を簡單に要領だけ申述べます。
 本問題は極めて單純な問題でありまして、何らむずかしい論議を必要としないのであります。政府が計画した仕事を遂行するためには、この整理案の人ではできないから、何とかこれをしなければならないということであります。そこで執行部に聞いて見ますと、とてもこの人間ではできないから何とかして呉れと、政府みずからが言つておるのであります。(拍手)それ故に、この結果によりましては、國民、國家に非常な不利益を來すことでありますから、政党政派を超越して、これだけはみんなで修正してやらなければならないと思うのであります。今回行われんとしている政行整理は極めて廣範囲に亘つておりますが、行政整理によつて起るであろういろいろな事項に対して、果して十分な研究と準備をしておつたかということについて心配をいたしておるのであります。若しその措置を誤まつた場合には、ただに失業者を出すこととなるのみならず、能率の減退を來し、又は全然仕事ができなくなるということも考えられるのであります。人員整理をするに当つては、財政の節約を見出すということのみでなく、能率並びに生産の減退を來さないようにするということが必要であります。ここにおきまして、定員を決定する場合は業務の態様を見ましてなすべきで、これは一割、これは二割とかの天引整理ということは極めて危險であると思うのであります。本案提出の理由になつております林野局は、國有林八百万町歩の管理経営に当つておるのでありまして、経理関係は独立採算制によつておるのでありますが、事業の実行員であるところの営林署員を二割、又森林司法警察吏の職務を行う者を一割削減せんとするのでありますが、これでは事業遂行が不可能になるのであります。営林署の業務としては、國有林の管理、保護、育成並びに國有林の木材の生産等の事業を行なつておるのでありますが、今の人員で火災予防、盗伐の警戒を行う外に、この頃新聞に出ております通り松喰虫の予防という大きな仕事が又殖えて参つたのであります。それに要員を更に減らして、このような仕事を背負うことができないとなつた場合に、その損失はどういうことになるかと申しますと、私の得た資料によりますれば、火災による被害は二十三年度において六百八十万石、松喰虫による被害は四百六十万石、これは年間木材需要量の一割を超えておるのでありまして、これは並大抵の問題ではありません。これが管理保護に現在の人員でも不足し、減員どころかますます増員をしなければならないという必要に迫つておるのであります。事業の方では今年度は、官行斫伐や、造林、立木処分が殖えております。立木処分と言つても、ただ紙の上で処分するのではありません。山の立木を毎木調査をする。その他いろいろな仕事をするためには、何か而も責任のある人を使わなければならないのでありまして、少いからその辺の臨時雇を得るという方法はできないのであります。こういうような意味で、非常にそのような仕事を遂行するためには、慣れた技術的な素養のある者を使わなければならないのであります。公的な理由といたしましては、今民有林が非常に疲弊困憊しておりまして、又奥の方に入つておりまして、この民有林の保全を保つためには(「簡單々々」と呼ぶ者あり)どうしても政府の生産に俟たなければならない。そこで若しも國の生産が、いわゆる國力で生産する材木が少くなれば、需要の面に非常な影響を受けるのであります。それに最近の水害の頻発に鑑み、伐採跡地の植林並びに山林砂防工事の施行というようなものが必要でありまして、ますます増員が必要であるのであります。(「簡單に願います」と呼ぶ者あり)結論に直ちに入れますが、とにかくこのような事情で、どうしても減員ができない。そしてこの整理に当りましては、例えて申しますと、二人で担ぐ龍を一人にして、それで整理の目的が達したというような整理をしないように希望を申上げまして、私の賛成の討論といたします。(拍手)
#76
○議長(松平恒雄君) 河崎ナツ君。
   〔河崎ナツ君登壇、拍手〕
#77
○河崎ナツ君 私は社会党を代表いたしまして、只今の三好議員の御提案になりました議案に賛成を表明するものでございます。(拍手)
 それは二つの理由からでございますが、一つは、第一の方は、今の前の議員の方が大体私と言葉は違いますが、内容は似たり寄つたりのところでありまするから、それは省きまして、私が是非主張をして、その立場から賛成に立つたという第二の理由を申上げたいと思うのであります。それはこの林野行政は、それは日本の國民大衆の九割を占める各地において勤労しておりますところの大衆の生活に非常に関係ある、世界のどの國よりも大きな関連性を持つておるので、若しも林野行政が脅かされますと、日本の國民大衆の日常生活が脅かされる。大衆の日常生活を安定する一つの面としまして、林野行政の適正に愼重にされなければならぬという面からの、私のこの度の定員を削ることに反対の修正をお出しになりましたそこに賛成したのでございます。言うまでもなく、日本は石炭とガソリンの資源の極めて少い國でございますが、大衆は日常生活におきまして、昨二十三年度も三百二十五万石の薪と百八十万トンの木炭、この二つの燃料で以ちまして炊事をいたしますし、又唯一の多の保温燃料といたしまして、やつと寒さを凌いでおるような有樣でございます。若し薪、木炭というものに日本が行詰るとしますならば、大衆の生活は餓え凍える外はないことにならないとも決して限らないのであります。一方には又羊毛、綿花を持たないところの日本の國民大衆の着物が、現に一割から七割に及びますところのスフ混りのものを着ております。そのために二十三年度におきましては、スフ四千万ポンド、人絹四千三百万ポンド、このためにパルプ三十万トンという莫大な木材が使われたのであります。それでいて尚且つ生れて來る赤ん坊のおしめの輸入を考えねばならぬというような衣料の始末の樣子なのであります。三百年前までは日本の人民大衆は麻を着ておりました。そうして綿花を知りましてから木綿を着たのでありますが、今日もはや日本はパルプを着、木材を着、森林を着てやつと暮して行くところに立つておる次第でございます。衣料につきまして、林野行政の方面を、若しも行政の方向を誤まりますならば、國民大衆は文字通り裸にならざるを得ないでありましよう。(拍手)更に又九〇%まで木材から成立つておるところの家に住んでおりますところの日本人大衆のために、二十三年度は六千八百七十二万トンの建築木材材料を必要といたしましたのでありますが、皆さん、而も尚且つ家が足りないないという今日の樣子でございまして、この家の問題と木材、この木材林野行政と國民の住宅の問題、このことの関連性から見ましても深く考えなければならないことでございます。衣料と燃料と住宅、これは実に生活の全面的な重要な部面でございますが、それらを木材へのこの大きな関連で生活しておりますところの日本の國は、本当に世界に比類のないものでありまして、これは曽ては日本趣味、日本的特色というように高揚していた向きもありましたが、これこそ、日本の政治、経済、文化、生活文化のアジア的低さを物語るものでありますが、(拍手)それはとにかくといたしまして、木材を欠いては日本の國民大衆の日常生活は一刻も支持され得ないということは事実でございます。而も又精神文化の面におきましても、大衆を啓蒙し娯しましめるところの新聞、雜誌、書籍、教科書等々の一切の印刷文化、出版文化を担う用紙は、曽ての日本紙から今は九九%まで洋紙で賄われておりますが、そのために年間十億五千三百万ポンドの用紙、パルプにしまして十九万トンの木材を二十三年度は必要として來たのであります。先年來の学科書不足、良書、良雜誌の不足、新聞紙の縮紙等々は、外にも理由はございますが、主として用紙の絶対量の不足、從つてパルプの不足、木材の不足に基因していたのでございました。(拍手)パルプなくして、木材なくしては、日本の精神文化、出版文化さえ脅かされるようなところの関係があるのでございます。このように木材と日本大衆の日常生活は関連がございますので、從つて適正なる林野行政を大衆は切望して止まないのであります。
 然るに皆さんどうでしよう、先日來、日本の経済資源の実態調査をしたアツカーマン博士は、「日本が現在のごとき森林の育成管理であり、現在のごとき野放図な消費の仕方である限り、その山林樹木は三十年にして盡きるであろう」という意味の警告をしております。農林省林野局でも、日本が今のような需要と伐採であり、管理育成の第一線に立つ指導員、実践者の手不足と過労である限り、五ケ年にして我が國有林は丸坊主になるとも言つております。然らばこの木材問題と日本人大衆の生活安定のために、如何なる政策を採るべきでありましようか。曽ての日本の指導者たちは、資源獲得をその一つの理由とし、植民地への侵略戰に突入して、一挙にしてその解決をしようとしたものでありました。そのために大衆は、父を、兄を、夫を、息子を、それぞれの沢山の人たちを失い、沢山の家は燒かれ、沢山の人たちは、その営々辛苦の畢生の事業を放棄して帰つて來た。又そのために、日本は世界の信を失墜したのでありました。併しこれは平和國家を宣言したこれからの日本の採るべき政策でないことは論を俟ちません。他の一つの方策、それはアツカーマン博士も指示しておりますように、「先ず日本人みずからがその國土において合理的なる消費と、科学的、企画的な造林の育成管理による森林の培養」を先ず対策されなければなりません。山蔭に、谷蔭に、雨の日も、風の日も、孜々默々として働いておりますところの、営林管理を現にやつております職員の人たちの地味な、絶えざるこの働き、そういう人たちに働いて貰うこと、そこから先ず始めて行くところに、私が新らしく、而も平凡であつて、そうして三好さんの修正に賛成して、そこから出発すべき最初の踏み出す一歩といたしましての強い賛成に結ばれているところでございます。こういうふうにしてこそ、日本の國民大衆の日常生活が木材にしつかりと支えられまして安定する日が來るのでありましよう。営林署の関係の人たちのこの尊い実践者の手というものは、多きに過ぎても決して困ることはないのであります。断じて手不足にさせたり過労にさせたりしてはならないのであります。以上が私が三好議員の提案に賛成をいたす理由でございます。(拍手)どうか多数の方々が御賛同下さいまするように、最後にお願い申上げます。(拍手)
#78
○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本修正案の採決をいたします。本修正案の表決は記名投票を以て行います。本修正案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#79
○議長(松平恒雄君) 投票漏れはございませんか‥‥投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#80
○議長(松平恒雄君) 投票の結果を御報告いたします。投票総数百七十票、白色票即ち本修正案を可とするもの九十三票、(拍手)青色票即ち本修正案を否とするもの七十七票、よつて本修正案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      九十三名
      小川 友三君    宇都宮 登君
      江熊 哲翁君    加賀  操君
      西郷吉之助君    東浦 庄治君
      松井 道夫君    松本治一郎君
      山崎  恒君    飯田精太郎君
      伊藤 保平君    岡部  常君
      岡本 愛祐君    木下 辰雄君
      楠見 義男君    島津 忠彦君
      島村 軍次君    下條 康麿君
      徳川 宗敬君    藤野 繁雄君
      穗積眞六郎君    紅露 みつ君
      木内キヤウ君    石川 一衞君
      仲子  隆君    境野 清雄君
      淺井 一郎君    木檜三四郎君
      木内 四郎君    鬼丸 義齊君
      田中 信儀君    油井賢太郎君
      星   一君    小畑 哲夫君
      高橋  啓君    小林 勝馬君
      内村 清次君    門屋 盛一君
      天田 勝正君    金子 洋文君
      下絛 恭兵君    門田 定藏君
      小泉 秀吉君    山下 義信君
      中井 光次君    大野 幸一君
      原  虎一君    伊藤  修君
      赤松 常子君    岩崎正三郎君
      河崎 ナツ君    島   清君
      力ニエ邦彦君    細川 嘉六君
      中野 重治君    中西  功君
      岩間 正男君    兼岩 傳一君
      鈴木 清一君    千葉  信君
      木村禧八郎君    堀  眞琴君
      梅津 錦一君    原口忠次郎君
      星野 芳樹君    太田 敏兄君
      塚本 重藏君    齋武  雄君
      村尾 重雄君    千田  正君
      國井 淳一君    藤田 芳雄君
      羽仁 五郎君    山田 節男君
      波多野 鼎君    岡田 宗司君
      若木 勝藏君    川上  嘉君
      丹羽 五郎君    吉川末次郎君
      河野 正夫君    田中 利勝君
      三好  始君    米倉 龍也君
      佐々木良作君    和田 博雄君
      三木 治朗君    木下 源吾君
      森下 政一君    青山 正一君
      駒井 藤平君    岩男 仁藏君
      鈴木 憲一君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      七十七名
      阿竹齋次郎君    井上なつゑ君
      岩本 月洲君    小野  哲君
      柏木 庫治君    河井 彌八君
      來馬 琢道君    高良 とみ君
      小杉 イ子君    小宮山常吉君
      小林米三郎君    新谷寅三郎君
      鈴木 直人君    竹下 豐次君
      高瀬荘太郎君    高田  寛君
      高橋龍太郎君    中川 以良君
      早川 愼一君    久松 定武君
      姫井 伊介君    藤井 丙午君
      村上 義一君    矢野 酉雄君
      赤木 正雄君    岡元 義人君
      植竹 春彦君    大屋 晋三君
      中山 壽彦君    宿谷 榮一君
      松嶋 喜作君    遠山 丙市君
      小林 英三君    玉屋 喜章君
      水久保甚作君    徳川 頼貞君
      一松 政二君    田口政五郎君
      岡田喜久治君    小野 光洋君
      團  伊能君    結城 安次君
      寺尾  豊君    大野木秀次郎君
      川村 松助君    加藤常太郎君
      城  義臣君    淺岡 信夫君
      池田宇右衞門君    堀末  治君
      西川甚五郎君    大島 定吉君
      鈴木 安孝君    黒田 英雄君
      平沼彌太郎君    草葉 隆圓君
      石坂 豊一君    柴田 政次君
      板谷 順助君    今泉 政喜君
      松野 喜内君    黒川 武雄君
      藤井 新一君    深水 六郎君
      平岡 市三君    中川 幸平君
      左藤 義詮君    西山 龜七君
      橋本萬右衞門君    佐々木鹿藏君
      重宗 雄三君    廣瀬與兵衞君
      小串 清一君    山田 佐一君
      大隅 憲二君    櫻内 辰郎君
      稻垣平太郎君
     ―――――・―――――
#81
○議長(松平恒雄君) 只今何決せられました修正案の修正個所を除く残り全部を問題に供します。本案の表決は記名投票を以て行います。残り全部委員長報告の通り本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#82
○議長(松平恒雄君) 投票漏れはございませんか‥‥投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#83
○議長(松平恒雄君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百七十二票、白色票百十四票、青色票五十八票、よつて残り全部は衆議院送付案の通り可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百十四名
      阿竹齋次郎君    井上なつゑ君
      岩本 月洲君    宇都宮 登君
      江熊 哲翁君    小野  哲君
      加賀  操君    柏木 庫治君
      河井 彌八君    來馬 琢道君
      高良 とみ君    小杉 イ子君
      小宮山常吉君    小林米三郎君
      西郷吉之助君    新谷寅三郎君
      鈴木 直人君    竹下 豐次君
      高瀬荘太郎君    高田  寛君
      高橋龍太郎君    中川 以良君
      早川 愼一君    東浦 庄治君
      久松 定武君    姫井 伊介君
      藤井 丙午君    松井 道夫君
      松村眞一郎君    村上 義一君
      矢野 酉雄君    山崎  恒君
      赤木 正雄君    飯田精太郎君
      伊藤 保平君    岡部  常君
      岡本 愛祐君    岡元 義人君
      木下 辰雄君    楠見 義男君
      大屋 晋三君    植竹 春彦君
      中山 壽彦君    島津 忠彦君
      島村 軍次君    下條 康麿君
      宿谷 榮一君    松嶋 喜作君
      遠山 丙市君    小林 英三君
      徳川 宗敬君    玉屋 喜章君
      水久保甚作君    徳川 頼貞君
      一松 政二君    藤野 繁雄君
      穗積眞六郎君    田口政五郎君
      岡田喜久治君    小野 光洋君
      團  伊能君    結城 安次君
      寺尾  豊君    大野木秀次郎君
      川村 松助君    加藤常太郎君
      城  義臣君    淺岡 信夫君
      池田宇右衞門君    堀末  治君
      西川甚五郎君    大島 定吉君
      鈴木 安孝君    黒田 英雄君
      平沼彌太郎君    草葉 隆圓君
      石坂 豊一君    柴田 政次君
      板谷 順助君    今泉 政喜君
      松野 喜内君    黒川 武雄君
      紅露 みつ君    木内キヤウ君
      藤井 新一君    深水 六郎君
      平岡 市三君    北村 一男君
      石川 一衞君    仲子  隆君
      中川 幸平君    左藤 義詮君
      西山 龜七君    橋本萬右衞門君
      佐々木鹿藏君    境野 清雄君
      淺井 一郎君    重宗 雄三君
      鷹瀬與兵衞君    小串 清一君
      山田 佐一君    大隅 憲二君
      木檜三四郎君    木内 四郎君
      鬼丸 義齊君    櫻内 辰郎君
      田中 信儀君    油井賢太郎君
      星   一君    小畑 哲夫君
      門屋 盛一君    林屋亀次郎君
      中井 光次君    稻垣平太郎君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      五十八名
      小川 友三君    内村 清次君
      梅津 錦一君    齋武  雄君
      村尾 重雄君    門田 定藏君
      塚本 重藏君    河野 正夫君
      田中 利勝君    山田 節男君
      カニエ邦彦君    和田 博雄君
      森下 政一君    青山 正一君
      若木 勝藏君    吉川末次郎君
      天田 勝正君    板野 勝次君
      細川 嘉六君    中野 重治君
      中西  功君    岩間 正男君
      兼岩 傳一君    鈴木 清一君
      千葉  信君    木村禧八郎君
      堀  眞琴君    原口忠次郎君
      星野 芳樹君    太田 敏兄君
      金子 洋文君    小泉 秀吉君
      大野 幸一君    赤松 常子君
      千田  正君    國井 淳一君
      藤田 芳雄君    羽仁 五郎君
      伊藤  修君    岩崎正三郎君
      河崎 ナツ君    川上  嘉君
      丹羽 五郎君    原  虎一君
      下條 恭兵君    島   清君
      中村 正雄君    三好  始君
      米倉 龍也君    佐々木良作君
      波多野 鼎君    三木 治朗君
      木下 源吾君    山下 義信君
      岡田 宗司君    駒井 藤平君
      岩男 仁藏君    鈴木 憲一君
     ―――――・―――――
#84
○議長(松平恒雄君) 次に行政機関職員定員法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#85
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
 本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#86
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。明日は午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十六分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、日程第一 議員星野芳樹君懲罰事犯の件
 一、日程第二 國立病院特別会計法案
 一、日程第四 國家行政組織法の一部を改正する法律案
 一、日程第五 國家行政組織法の一部を改正する法律案
 一、日程第六 行政機関職員定員法案
 一、日程第七 行政機関職員定員法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案
ソース: 国立国会図書館
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